(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-17
(54)【発明の名称】ピリドン多環縮合環系誘導体及びその使用
(51)【国際特許分類】
C07D 519/00 20060101AFI20240110BHJP
A61K 31/5383 20060101ALI20240110BHJP
C07D 471/04 20060101ALI20240110BHJP
A61K 31/5025 20060101ALI20240110BHJP
A61P 31/16 20060101ALI20240110BHJP
C07D 517/14 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
C07D519/00 CSP
A61K31/5383
C07D471/04 119
A61K31/5025
A61P31/16
C07D517/14
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023541778
(86)(22)【出願日】2022-01-07
(85)【翻訳文提出日】2023-09-11
(86)【国際出願番号】 CN2022070733
(87)【国際公開番号】W WO2022148434
(87)【国際公開日】2022-07-14
(31)【優先権主張番号】202110024885.9
(32)【優先日】2021-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202110264686.5
(32)【優先日】2021-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202110513447.9
(32)【優先日】2021-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521493167
【氏名又は名称】フェーノ・セラピューティクス・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Phaeno Therapeutics Co., Ltd.
(71)【出願人】
【識別番号】516304780
【氏名又は名称】メッドシャイン ディスカバリー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チェン、ケビン エックス
(72)【発明者】
【氏名】シオン、チエン
(72)【発明者】
【氏名】ワン、チンチン
(72)【発明者】
【氏名】フー、クオピン
(72)【発明者】
【氏名】リウ、チンシン
(72)【発明者】
【氏名】ハン、ユー
(72)【発明者】
【氏名】リー、チエン
(72)【発明者】
【氏名】チェン、シューホイ
【テーマコード(参考)】
4C065
4C072
4C086
【Fターム(参考)】
4C065AA03
4C065BB10
4C065CC01
4C065DD02
4C065EE02
4C065HH01
4C065JJ04
4C065JJ05
4C065KK02
4C065LL01
4C065PP20
4C072MM10
4C072MM20
4C072UU01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086CB09
4C086CB22
4C086CB40
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZB33
(57)【要約】
ピリドン多環縮合環系誘導体及びその使用を提供し、具体的には式(VI)で表される化合物及びその薬学的に許容される塩を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(VI)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩。
【化1】
(ただし、
R
7は、H及び
【化2】
から選択され、
R
8は、C
1-3アルキル及び
【化3】
から選択され、前記C
1-3アルキル及び
【化4】
は、1、2又は3個のR
aにより任意選択で置換され、
R
9は、Hから選択され、E
1は、Seから選択され、X
1は、CR
10R
11から選択され、R
10及びR
11は、それらに連結された原子と一緒にC
3-5シクロアルキルを形成し、
或いは、X
1及びR
9は、それらに連結された原子と一緒に
【化5】
を形成し、pは、0及び1から選択され、E
1及びE
2の一方はSeから選択され、他方はS及びOから選択され、
各R
12は、それぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、OH、NH
2、-COOH、C
1-3アルキル、C
1-3アルコキシ及びC
1-3アルキルアミノから選択され、前記C
1-3アルキル、C
1-3アルコキシ及びC
1-3アルキルアミノは、それぞれ独立して1、2又は3個のR
bにより任意選択で置換され、
T
1、T
2、T
3及びT
4は、それぞれ独立してCH及びNから選択され、
qは、0及び1から選択され、
tは、0、1、2、3及び4から選択され、
各R
a及びR
bは、それぞれ独立してH、F、Cl、Br及びIから選択され、
ただし、T
1がCHから選択され、且つE
1がSeから選択され、且つE
2がOから選択され、pが1から選択され、qが1から選択される場合、各R
12はそれぞれ独立してOH及びNH
2から選択される。)
【請求項2】
各R
12は、それぞれ独立してFから選択される、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
R
8は、CH
3、CH
2CH
3、CH
2CH
2CH
3、CH(CH
3)
2及び
【化6】
から選択され、前記CH
3、CH
2CH
3、CH
2CH
2CH
3、CH(CH
3)
2及び
【化7】
は、1、2又は3個のR
aにより任意選択で置換される、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
R
8は、CH
3、CH
2CH
3、CH(CH
3)
2及び
【化8】
から選択される、請求項3に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
R
7は、H、
【化9】
から選択される、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
E
1は、Seから選択され、E
2は、Oから選択される、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項7】
構造単位
【化10】
は、
【化11】
から選択され、R
5及びR
6は、それぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、OH、NH
2、-COOH、C
1-3アルキル、C
1-3アルコキシ及びC
1-3アルキルアミノから選択され、前記C
1-3アルキル、C
1-3アルコキシ及びC
1-3アルキルアミノは、それぞれ独立して1、2又は3個のR
bにより任意選択で置換され、T
1、E
1、q及びR
bは請求項1に定義された通りである、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項8】
構造単位
【化12】
は、
【化13】
から選択される、請求項7に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項9】
構造単位
【化14】
は、
【化15】
から選択される、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項10】
構造単位
【化16】
は、
【化17】
から選択される、請求項9に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項11】
下記式から選択される、請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【化18】
(ただし、
R
5及びR
6は、それぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、OH及びNH
2から選択され、
R
7は、H及び
【化19】
から選択され、
R
8は、C
1-3アルキル及び
【化20】
から選択され、前記C
1-3アルキル及び
【化21】
は、1、2又は3個のR
aにより任意選択で置換され、
R
9は、Hから選択され、E
1は、Seから選択され、X
1は、CR
10R
11から選択され、R
10及びR
11は、それらに連結された原子と一緒にC
3-5シクロアルキルを形成し、
或いは、X
1及びR
9は、それらに連結された原子と一緒に
【化22】
を形成し、
E
1及びE
2の一方はSeから選択され、他方はS及びOから選択され、
T
1は、CH及びNから選択され、
p及びqは、それぞれ独立して0及び1から選択され、
各R
aは、それぞれ独立してH、F、Cl、Br及びIから選択され、
ただし、T
1がCHから選択され、且つE
1がSeから選択され、且つE
2がOから選択され、pが1から選択され、qが1から選択される場合、R
5及びR
6はそれぞれ独立してOH及びNH
2から選択され、
「*」の付いた炭素原子はキラル炭素原子であり、(R)又は(S)単一エナンチオマー形態又は一つのエナンチオマーを豊かに含む形態で存在する。)
【請求項12】
下記式から選択される、請求項11に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【化23】
(ただし、
p、q、E
1、E
2、T
1、R
5、R
6及びR
7は請求項11に定義された通りであり、
「*」の付いた炭素原子はキラル炭素原子であり、(R)又は(S)単一エナンチオマー形態又は一つのエナンチオマーを豊かに含む形態で存在する。)
【請求項13】
下記式から選択される、請求項12に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【化24】
(ただし、
p、q、E
1、E
2、R
5、R
6及びR
7は請求項12に定義された通りであり、
「*」の付いた炭素原子はキラル炭素原子であり、(R)又は(S)単一エナンチオマー形態又は一つのエナンチオマーを豊かに含む形態で存在する。)
【請求項14】
下記式から選択される、請求項13に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【化25】
(ただし、
R
1及びR
2は、それぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、OH及びNH
2から選択され、
mは、0及び1から選択され、
q、R
5、R
6、R
7及びR
8は、請求項13に定義された通りである。)
【請求項15】
R
1及びR
2は、それぞれ独立してFから選択される、請求項14に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項16】
R
5及びR
6は、それぞれ独立してFから選択される、請求項14に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項17】
下記式から選択される、請求項14に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【化26】
(ただし、R
1、R
2、R
5、R
6、R
7及びR
8は、請求項14に定義された通りである。)
【請求項18】
下記式の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【化27】
【請求項19】
インフルエンザウイルスに関連する疾患を治療するための医薬の製造における、請求項1~18のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は下記の優先権を主張する:
CN202110024885.9、出願日:2021年01月08日;
CN202110264686.5、出願日:2021年03月11日;
CN202110513447.9、出願日:2021年05月11日。
【0002】
本発明は、ピリドン多環縮合環系誘導体及びその使用に関し、具体的には式(VI)で表される化合物及びその薬学的に許容される塩に関する。
【背景技術】
【0003】
流行性インフルエンザウイルス、即ちインフルエンザウイルス(influenza virus、IFV)は、ヒトや動物にインフルエンザを引き起こす可能性があるセグメント化された一本鎖アンチセンスRNAウイルスである。インフルエンザウイルスは、非常に高い罹患率と死亡率を引き起こす可能性があり、特にA型インフルエンザウイルスは、1918年~1920年の「スペイン風邪」(H1N1亜型)、1957年~1958年の「アジア風邪」(H2N2亜型)、1968年~1969年の「アジア風邪」(H3N2亜型)、1977年~1978年の「香港風邪」(H1N1亜型)、そして2009年3月にメキシコで初めて発生したA型インフルエンザ(H1N1型)など、世界的なパンデミックを引き起こす可能性もある。インフルエンザのパンデミックは、何千人もの死者を出し、社会に広範なパニックを引き起こし、社会の不安定要因を増大させる。
【0004】
A型インフルエンザウイルスは一本鎖のネガティブ鎖RNAウイルスであり、ゲノムは八つのセグメントに分割され、八つのタンパク質をコードする。インフルエンザウイルスゲノムセグメントの5’末端と3’末端は高度に保存されており、当該両末端の配列は相補的にステムループ構造を形成し、当該構造はウイルスRNA複製の開始に重要な役割を果たしている。ウイルスの各遺伝子セグメントがコードするタンパク質のサイズは異なり、且つインフルエンザウイルスのライフサイクルにおいて異なる役割を果たし、いくつかの主要なタンパク質の基本的な機能を以下に紹介する。インフルエンザウイルスのHAは、インフルエンザウイルスが宿主受容体を認識するためのリガンドであり、細胞表面のウイルス特異的受容体に結合し、ウイルス外膜と細胞内小胞膜の融合を媒介し、ウイルスヌクレオカプシドを細胞質に放出する。インフルエンザウイルスの受容体は特異性を有し、A型インフルエンザウイルスの受容体はシアル酸糖タンパク質である。インフルエンザウイルスのNAタンパク質は、複製プロセス中にウイルス粒子の表面のシアル酸を除去することができ、ウイルス粒子が宿主細胞の表面で凝集し続けることができなくなり、それによってビリオンの放出を促進し、さらにより多くの宿主細胞に感染する。
【0005】
インフルエンザウイルスのM2タンパク質の役割:インフルエンザウイルスのHAタンパク質はシアル酸に結合し、インフルエンザウイルスは宿主細胞によってエンドサイトーシスされる。貪食小胞の酸性とアルカリ性は、ウイルスのコーティングの解除に重要な役割を果たし、ウイルス膜上のM2タンパク質のイオンチャネルは、貪食小胞のpH値を徐々に低下させることができ、pH値が5.0~6.0に低下すると、HA2タンパク質の立体構造に変化があり、HA2タンパク質のアミノ末端に位置する融合ペプチドがシフトし、それによって融合プロセスが活性化され、ウイルスの二重層脂質膜と細胞膜が融合し、ウイルス粒子内のRNPが宿主細胞の細胞質に放出される。M2タンパク質は、A型インフルエンザウイルスにのみ見られる膜貫通イオンチャネルであり、その一部はウイルスの外膜の表面まで伸びている。
【0006】
インフルエンザウイルスのタンパク質の合成にも宿主細胞の翻訳機構を利用し、ウイルスでさえ宿主タンパク質の翻訳を一時停止して自身のタンパク質の合成を加速することができる。宿主細胞mRNAのポリアデニル化が特異的なアデニラーゼによって達成されるのとは異なり、ウイルスmRNAのアデニル酸テールは、マイナス鎖vRNA上の連続した5~7個のウラシルの転写によって形成される。個々のウイルスメッセンジャーRNA(mRNA)のキャッピングは同様の方法で行われる:PA及びPB2タンパク質は、宿主のpre-mRNA転写物の5’キャッピングプライマーを捕らえ、続いてウイルスmRNA合成を開始し、このプロセスは「キャップスナッチング(cap snatching)」と呼ばれ、主にウイルスのRNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRp)によって行われ、そのPAサブユニットはRNAエンドヌクレアーゼ活性を有し、宿主mRNAの切断に関与している。ポリアデニル化プロセスとキャッピングプロセスが完了すると、ウイルスmRNAは核から出て細胞質に入り、宿主細胞のmRNAと同様に翻訳され、ウイルスvRNAフラグメントの核輸送は、ウイルスM1タンパク質及びNS2タンパク質によって媒介され、M1タンパク質はvRNA及びNPタンパク質と相互作用することができる場合、核輸送タンパク質NS2とも相互作用する。それにより、核輸送タンパク質NS2は、核タンパク質の形態で核から宿主細胞の細胞質へのM1-RNPの輸送を媒介する。
【0007】
インフルエンザは、生産性や関連する医療リソースの損失による直接的なコストだけでなく、予防策の間接的なコストも発生させる。米国では、インフルエンザの被害額は累計で年間約100億ドルであり、将来のインフルエンザのパンデミックにより、直接的及び間接的なコストで数千億ドルが発生すると推定されている。予防のコストも非常に高く、世界中の政府はH5N1鳥インフルエンザの潜在的なパンデミックの準備と計画に数十億ドルを費やしており、予防費は、医薬品やワクチンの購入、災害訓練の開発、国境管理の強化のための戦略に関連している。
【0008】
インフルエンザの現在の治療選択肢には、ワクチン接種、抗ウイルス薬による化学療法及び化学予防療法が含まれる。インフルエンザに対する予防接種は、子供や高齢者、喘息、糖尿病、心臓病のある人などのハイリスクグループに推奨されることが多いが、ワクチン接種を受けてもインフルエンザを完全に予防できるわけではない。一部の特定のインフルエンザ株に対するワクチンはシーズンごとに再生産されるが、そのシーズン中に世界中で人々に活発に感染している様々な株をカバーすることは不可能である。さらに、インフルエンザウイルスはある程度の抗原ドリフトを起こすため、複数のウイルスが単一細胞に感染すると、ゲノム内の八つの個別のvRNAセグメントが混合又は再集合し、その結果、ウイルスの遺伝学の急速な変化により、抗原のシフトが生じ、ウイルスが新しい宿主種に感染し、防御免疫を急速に克服することができる。
【0009】
抗ウイルス薬はインフルエンザの治療にも使用でき、その中でもオセルタミビル(タミフル)などのノイラミニダーゼ阻害薬はA型インフルエンザウイルスに明らかな効果を発揮するが、このタイプのノイラミニダーゼ阻害薬に対して薬剤耐性ウイルス株が出現していることが臨床観察で判明している。抗インフルエンザウイルスの分野では、A型インフルエンザの予防と治療のために、A型インフルエンザの治療に単剤を使用したり、他の作用機序を有する市販の抗インフルエンザウイルス薬と併用したりできる新規作用機序を有する抗インフルエンザウイルス薬が臨床的に急務となっている。その中で、WO2016175224には、S-033447及びそのプロドラッグS-033188などのRNAポリメラーゼPAサブユニット阻害剤が報告されている。
【0010】
【発明の概要】
【0011】
本発明は、式(VI)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0012】
【0013】
ただし、
R
7は、H及び
【化3】
から選択され、
R
8は、C
1-3アルキル及び
【化4】
から選択され、前記C
1-3アルキル及び
【化5】
は、1、2又は3個のR
aにより任意選択で置換され、
R
9は、Hから選択され、E
1は、Seから選択され、X
1は、CR
10R
11から選択され、R
10及びR
11は、それらに連結された原子と一緒にC
3-5シクロアルキルを形成し、
或いは、X
1及びR
9は、それらに連結された原子と一緒に
【化6】
を形成し、pは、0及び1から選択され、E
1及びE
2の一方はSeから選択され、他方はS及びOから選択され、
R
12は、H、F、Cl、Br、I、OH、NH
2、-COOH、C
1-3アルキル、C
1-3アルコキシ及びC
1-3アルキルアミノから選択され、前記C
1-3アルキル、C
1-3アルコキシ及びC
1-3アルキルアミノは、それぞれ独立して1、2又は3個のR
bにより任意選択で置換され、
T
1、T
2、T
3及びT
4は、それぞれ独立してCH及びNから選択され、
qは、0及び1から選択され、
tは、0、1、2、3及び4から選択され、
各R
a及びR
bは、それぞれ独立してH、F、Cl、Br及びIから選択され、
ただし、T
1がCHから選択され、且つE
1がSeから選択され、且つE
2がOから選択され、pが1から選択され、qが1から選択される場合、各R
12はそれぞれ独立してOH及びNH
2から選択される。
【0014】
本発明のいくつかの実施形態において、前記各R12は、それぞれ独立してFから選択され、他の変量は本発明に定義された通りである。
【0015】
本発明のいくつかの実施形態において、前記R
8は、CH
3、CH
2CH
3、CH
2CH
2CH
3、CH(CH
3)
2及び
【化7】
から選択され、前記CH
3、CH
2CH
3、CH
2CH
2CH
3、CH(CH
3)
2及び
【化8】
は、1、2又は3個のR
aにより任意選択で置換され、他の変量は本発明に定義された通りである。
【0016】
本発明のいくつかの実施形態において、前記R
8は、CH
3、CH
2CH
3、CH(CH
3)
2及び
【化9】
から選択され、他の変量は本発明に定義された通りである。
本発明のいくつかの実施形態において、前記R
8は、CH
3及び
【化10】
から選択され、他の変量は本発明に定義された通りである。
本発明のいくつかの実施形態において、前記R
7は、H、
【化11】
から選択され、他の変量は本発明に定義された通りである。
【0017】
本発明のいくつかの実施形態において、前記R
7は、H、
【化12】
から選択され、他の変量は本発明に定義された通りである。
【0018】
本発明のいくつかの実施形態において、前記R
7は、H及び
【化13】
から選択され、他の変量は本発明に定義された通りである。
【0019】
本発明のいくつかの実施形態において、前記E1は、Seから選択され、E2は、Oから選択され、他の変量は本発明に定義された通りである。
【0020】
本発明のいくつかの実施形態において、前記構造単位
【化14】
は、
【化15】
から選択され、R
5及びR
6は、それぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、OH、NH
2、-COOH、C
1-3アルキル、C
1-3アルコキシ及びC
1-3アルキルアミノから選択され、前記C
1-3アルキル、C
1-3アルコキシ及びC
1-3アルキルアミノは、それぞれ独立して1、2又は3個のR
bにより任意選択で置換され、他の変量は本発明に定義された通りである。
【0021】
本発明のいくつかの実施形態において、前記構造単位
【化16】
は、
【化17】
から選択され、他の変量は本発明に定義された通りである。
【0022】
本発明のいくつかの実施形態において、前記構造単位
【化18】
は、
【化19】
から選択され、他の変量は本発明に定義された通りである。
【0023】
本発明のいくつかの実施形態において、前記R5は、Fから選択され、他の変量は本発明に定義された通りである。
【0024】
本発明のいくつかの実施形態において、前記R6は、Fから選択され、他の変量は本発明に定義された通りである。
【0025】
本発明のいくつかの実施形態において、前記構造単位
【化20】
は、
【化21】
から選択され、他の変量は本発明に定義された通りである。
【0026】
本発明のいくつかの実施形態において、前記構造単位
【化22】
は、
【化23】
から選択され、他の変量は本発明に定義された通りである。
【0027】
本発明のいくつかの実施形態において、前記構造単位
【化24】
は、
【化25】
から選択され、他の変量は本発明に定義された通りである。
【0028】
本発明のいくつかの実施形態において、前記化合物又はその薬学的に許容される塩は、下記式から選択される。
【0029】
【0030】
ただし、
R
5及びR
6は、それぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、OH及びNH
2から選択され、
R
7は、H及び
【化27】
から選択され、
R
8は、C
1-3アルキル及び
【化28】
から選択され、前記C
1-3アルキル及び
【化29】
は、1、2又は3個のR
aにより任意選択で置換され、
R
9は、Hから選択され、E
1は、Seから選択され、X
1は、CR
10R
11から選択され、R
10及びR
11は、それらに連結された原子と一緒にC
3-5シクロアルキルを形成し、
或いは、X
1及びR
9は、それらに連結された原子と一緒に
【化30】
を形成し、
E
1及びE
2の一方はSeから選択され、他方はS及びOから選択され、
T
1は、CH及びNから選択され、
p及びqは、それぞれ独立して0及び1から選択され、
各R
aは、それぞれ独立してH、F、Cl、Br及びIから選択され、
ただし、T
1がCHから選択され、且つE
1がSeから選択され、且つE
2がOから選択され、pが1から選択され、qが1から選択される場合、R
5及びR
6はそれぞれ独立してOH及びNH
2から選択され、
「*」の付いた炭素原子はキラル炭素原子であり、(R)又は(S)単一エナンチオマー形態又は一つのエナンチオマーを豊かに含む形態で存在する。
【0031】
本発明のいくつかの実施形態において、前記化合物又はその薬学的に許容される塩は、下記式から選択される。
【0032】
【0033】
ただし、
p、q、E1、E2、T1、R5、R6及びR7は、本発明に定義された通りであり、
「*」の付いた炭素原子はキラル炭素原子であり、(R)又は(S)単一エナンチオマー形態又は一つのエナンチオマーを豊かに含む形態で存在する。
【0034】
本発明のいくつかの実施形態において、前記化合物又はその薬学的に許容される塩は、下記式から選択される。
【0035】
【0036】
ただし、
p、q、E1、E2、R5、R6及びR7は、本発明に定義された通りであり、
「*」の付いた炭素原子はキラル炭素原子であり、(R)又は(S)単一エナンチオマー形態又は一つのエナンチオマーを豊かに含む形態で存在する。
【0037】
本発明のいくつかの実施形態において、前記化合物又はその薬学的に許容される塩は、下記式から選択される。
【0038】
【0039】
ただし、
p、q、E1、E2、R5、R6及びR7は、本発明に定義された通りであり、
「*」の付いた炭素原子はキラル炭素原子であり、(R)又は(S)単一エナンチオマー形態又は一つのエナンチオマーを豊かに含む形態で存在する。
【0040】
本発明のいくつかの実施形態において、前記化合物又はその薬学的に許容される塩は、下記式から選択される。
【0041】
【0042】
ただし、
R1及びR2は、それぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、OH及びNH2から選択され、
mは、0及び1から選択され、
q、R5、R6、R7及びR8は、本発明に定義された通りである。
【0043】
本発明のいくつかの実施形態において、前記R1及びR2は、それぞれ独立してFから選択され、他の変量は本発明に定義された通りである。
【0044】
本発明のいくつかの実施形態において、前記R5及びR6は、それぞれ独立してFから選択され、他の変量は本発明に定義された通りである。
【0045】
本発明のいくつかの実施形態において、前記化合物又はその薬学的に許容される塩は、下記式から選択される。
【0046】
【0047】
ただし、R1、R2、R5、R6、R7及びR8は、本発明に定義された通りである。
【0048】
本発明のいくつかの実施形態において、前記化合物又はその薬学的に許容される塩は、下記式から選択される。
【0049】
【0050】
ただし、
R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、OH及びNH2から選択され、
n及びmは、それぞれ独立して0及び1から選択され、
ただし、式(I-1)及び式(I-2)において、mが1から選択される場合、R1及びR2はそれぞれ独立してOH及びNH2から選択され、
q、R5、R6及びR8は、本発明に定義された通りである。
【0051】
本発明のいくつかの実施形態において、前記R1及びR2は、それぞれ独立してFから選択され、他の変量は本発明に定義された通りである。
【0052】
本発明のいくつかの実施形態において、前記R3及びR4は、それぞれ独立してFから選択され、他の変量は本発明に定義された通りである。
【0053】
本発明のいくつかの実施形態において、前記化合物又はその薬学的に許容される塩は、下記式から選択される。
【0054】
【0055】
【0056】
ただし、
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、本発明に定義された通りである。
【0057】
本発明は、式(V)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0058】
【0059】
ただし、
R
5及びR
6は、それぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、OH及びNH
2から選択され、
R
7は、H及び
【化40】
から選択され、
R
8は、C
1-3アルキル及び
【化41】
から選択され、前記C
1-3アルキル及び
【化42】
は、1、2又は3個のR
aにより任意選択で置換され、
R
9は、Hから選択され、
X
1は、CR
10R
11から選択され、R
10及びR
11は、それらに連結された原子と一緒にC
3-5シクロアルキルを形成し、
或いは、X
1及びR
9は一緒に連結して
【化43】
を形成し、
E
1は、S及びSeから選択され、
E
2は、O及びSeから選択され、且つE
1及びE
2の少なくとも一つはSeから選択され、
T
1は、CH及びNから選択され、
p及びqは、それぞれ独立して0及び1から選択され、
各R
aは、それぞれ独立してH、F、Cl、Br及びIから選択され、
ただし、T
1がCHから選択され、且つE
1がSeから選択され、且つE
2がOから選択され、pが1から選択され、qが1から選択される場合、R
5及びR
6はそれぞれ独立してOH及びNH
2から選択され、
「*」の付いた炭素原子はキラル炭素原子であり、(R)又は(S)単一エナンチオマー形態又は一つのエナンチオマーを豊かに含む形態で存在する。
【0060】
本発明は、式(IV)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0061】
【0062】
ただし、
T
1は、CH及びNから選択され、
E
1は、S及びSeから選択され、
E
2は、O及びSeから選択され、且つE
1及びE
2の少なくとも一つはSeから選択され、
R
5及びR
6は、それぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、OH及びNH
2から選択され、
R
7は、H及び
【化45】
から選択され、
R
8は、C
1-3アルキル及び
【化46】
から選択され、前記C
1-3アルキル及び
【化47】
は、1、2又は3個のR
aにより任意選択で置換され、
p及びqは、それぞれ独立して0及び1から選択され、
各R
aは、それぞれ独立してH、F、Cl、Br及びIから選択され、
ただし、T
1がCHから選択され、且つE
1がSeから選択され、E
2がOから選択され、pが1から選択され、qが1から選択される場合、R
5及びR
6はそれぞれ独立してOH及びNH
2から選択され、
「*」の付いた炭素原子はキラル炭素原子であり、(R)又は(S)単一エナンチオマー形態又は一つのエナンチオマーを豊かに含む形態で存在する。
【0063】
本発明のいくつかの実施形態において、前記化合物又はその薬学的に許容される塩は、下記式から選択される。
【0064】
【0065】
ただし、
p、q、E1、E2、R5、R6及びR7は、本発明に定義された通りであり、
「*」の付いた炭素原子はキラル炭素原子であり、(R)又は(S)単一エナンチオマー形態又は一つのエナンチオマーを豊かに含む形態で存在する。
【0066】
本発明は、式(III)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0067】
【0068】
ただし、
T1は、CH及びNから選択され、
R1は、H、F、Cl、Br、I、OH及びNH2から選択され、
R2は、H、F、Cl、Br、I、OH及びNH2から選択され、
mは、0及び1から選択され、
「*」の付いた炭素原子はキラル炭素原子であり、(R)又は(S)単一エナンチオマー形態又は一つのエナンチオマーを豊かに含む形態で存在する。
【0069】
本発明は、式(II)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0070】
【0071】
ただし、
R3は、H、F、Cl、Br、I、OH及びNH2から選択され、
R4は、H、F、Cl、Br、I、OH及びNH2から選択され、
nは、0及び1から選択され、
「*」の付いた炭素原子はキラル炭素原子であり、(R)又は(S)単一エナンチオマー形態又は一つのエナンチオマーを豊かに含む形態で存在する。
【0072】
本発明は、式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0073】
【0074】
ただし、R1、R2及びmは本発明で定義された通りである。
【0075】
本発明は、式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0076】
【0077】
ただし、
R1は、H、F、Cl、Br、I、OH及びNH2から選択され、
R2は、H、F、Cl、Br、I、OH及びNH2から選択され、
mは、0及び1から選択され、
「*」の付いた炭素原子はキラル炭素原子であり、(R)又は(S)単一エナンチオマー形態又は一つのエナンチオマーを豊かに含む形態で存在する。
【0078】
本発明のいくつかの実施形態において、前記R1は、Fから選択され、他の変量は本発明に定義された通りである。
【0079】
本発明のいくつかの実施形態において、前記R2は、Fから選択され、他の変量は本発明に定義された通りである。
【0080】
本発明のいくつかの実施形態において、前記R3は、Fから選択され、他の変量は本発明に定義された通りである。
【0081】
本発明のいくつかの実施形態において、前記R4は、Fから選択され、他の変量は本発明に定義された通りである。
【0082】
本発明の更なるいくつかの実施形態は、前記変量の任意の組み合わせによって形成される。
【0083】
本発明は、下記式の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0084】
【0085】
【0086】
本発明は、インフルエンザウイルスに関連する疾患を治療するための医薬の製造における、前記化合物又はその薬学的に許容される塩の使用をさらに提供する。
【発明の効果】
【0087】
本発明の化合物は、RNAポリメラーゼ阻害剤として、細胞レベルによるインフルエンザウイルス複製の阻害試験においてプラスの効果を示し、動物生体内薬効モデルにおいて優れた体重保護を示し、且つ回復時間が早い。血漿タンパク質結合率の試験結果は、本発明の化合物が血漿において中程度の血漿タンパク質結合率を有することを示し、PK結果は、化合物が良好な薬物動態特性及び良好な創薬特性を有することを示す。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【
図1】S-033447とタンパク質(PDB ID:6FS6)の3D結合モードである。
【
図2】S-033447とアミノ酸及び金属イオンの相互作用を示す。
【
図3】S-033447の低エネルギー立体配座における二つの二面角である。
【
図4】S-033447の回転中の二つの二面角のエネルギーの変化である。
【
図5】化合物A(濃い色)とS-033447(浅い色)の低エネルギー立体配座の比較である。
【
図6】化合物Aの回転中の二つの二面角のエネルギーの変化である。
【
図7】化合物B(濃い色)とS-033447(浅い色)の低エネルギー立体配座の比較である。
【
図8】化合物Bの回転中の二つの二面角のエネルギーの変化である。 定義と説明
【0089】
別途に説明しない限り、本明細書で使用される以下の用語及び語句は、以下の意味を有するものとする。特定の用語や語句は、特に定義されていない場合、不確定又は不明瞭であるとみなされるべきではなく、通常の意味に従って理解されるべきである。本明細書に商品名が記載されている場合、対応する商品名又はその有効成分を指すことを意図している。
【0090】
本明細書で使用される「薬学的に許容される」という用語は、それらの化合物、材料、組成物及び/又は剤形について、健全な医学的判断の範囲内にあり、ヒト及び動物の組織と接触して使用するのに適し、過度の毒性、刺激性、アレルギー反応又はほかの問題又は合併症があまりなく、合理的な利益/リスク比に見合ったことを指す。
【0091】
「薬学的に許容される塩」という用語は、本発明で見出される特定の置換基を有する化合物と比較的毒性のない酸又は塩基とから製造される本発明の化合物の塩を指す。本発明の化合物が比較的酸性の官能基を含む場合、塩基付加塩は、純粋な溶液又は適切な不活性溶媒中でそのような化合物を十分量の塩基と接触させることによって得ることができる。薬学的に許容される塩基付加塩としては、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウム、有機アミン若しくはマグネシウム塩或いは類似の塩が含まれる。本発明の化合物が比較的塩基性の官能基を含む場合、酸付加塩は、純粋な溶液又は適切な不活性溶媒中でそのような化合物を十分量の酸と接触させることによって得ることができる。薬学的に許容される酸付加塩の実例としては、無機酸塩及び有機酸塩、さらにアミノ酸(例えば、アルギニンなど)の塩、及びグルクロン酸などの有機酸の塩が含まれ、前記無機酸は、例えば塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、炭酸水素イオン、リン酸、リン酸一水素イオン、リン酸二水素イオン、硫酸、硫酸水素イオン、ヨウ化水素酸、亜リン酸などを含み、前記有機酸は、例えば酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マレイン酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、クエン酸、酒石酸及びメタンスルホン酸などの類似の酸を含む。本発明の一部の特定の化合物は、塩基性官能基と酸性官能基の両方を含むため、塩基付加塩又は酸付加塩のいずれかに変換することができる。
【0092】
本発明の薬学的に許容される塩は、酸基又は塩基を含む親化合物から通常の方法によって合成することができる。一般に、このような塩は、これらの化合物の遊離酸又は遊離塩基の形態を、水又は有機溶媒又は両方の混合物中で化学量論量の適切な塩基又は酸と反応させることによって製造される。
【0093】
本発明の化合物は、特定の幾何異性体又は立体異性体の形態で存在することができる。本発明によって想定される全てのこのような化合物は、シス及びトランス異性体、(-)-及び(+)-エナンチオマー、(R)-及び(S)-エナンチオマー、ジアステレオマー、(D)-異性体、(L)-異性体、及びそれらのラセミ混合物並びに他の混合物、例えばエナンチオマー又はジアステレオマーに富む混合物を含み、これらの混合物はすべて本発明の範囲内にある。追加の不斉炭素原子は、アルキルなどの置換基に存在してもよい。これらの異性体、及びそれらの混合物は、すべて本発明の範囲内に含まれる。
【0094】
本発明の化合物は、化合物を構成する一つ又は複数の原子に不自然な割合の原子同位体を含有してもよい。例えば、化合物はトリチウム(3H)、ヨウ素-125(125I)、C-14(14C)などの放射性同位元素で標識することができる。又は例えば、重水素を水素に置換して重水素化薬物を形成することができ、重水素と炭素で形成された結合は、通常の水素と炭素で形成された結合よりも強く、非重水素化薬物と比較して、重水素化薬物は、毒性副作用を低減し、薬物の安定性を高め、有効性を増強し、薬物の生物学的半減期を延長するなどの利点がある。本発明の化合物の同位体組成の変換は、放射性であるかどうかにかかわらず、本発明の範囲内に含まれる。
【0095】
「任意選択」また「任意選択で」という用語は、その後に記載される事象又は状況が発生する可能性があるが、必ずしも発生する必要はないこと、及びその記載には、前記事象又は状況が発生する場合と、前記事象又は状況が発生しない場合とが含まれることを意味する。
【0096】
「置換された」という用語は、特定の原子における任意の一つ又は複数の水素原子が置換基で置換されていることを意味し、特定の原子の原子価が正常でかつ置換された化合物が安定である限り、置換基は重水素及び水素の変異体を含んでもよい。置換基が酸素(即ち=O)である場合、二つの水素原子が置換されることを意味する。酸素置換は芳香族基では起こらない。「任意選択で置換される」という用語は、置換されていても置換されていなくてもよく、別途に説明しない限り、置換基の種類と数は化学的に実現可能で任意である。
【0097】
変量(例えば、R)のいずれかが化合物の組成又は構造に1回以上出現する場合、その定義はいずれの場合においても独立している。したがって、例えば、一つの基が0~2個のRで置換されている場合、前記基は任意選択で最大2個のRにより置換されていてもよく、かついずれの場合においてもRは独立して選択肢を有する。また、置換基及び/又はその変異体の組み合わせは、そのような組み合わせが安定な化合物をもたらす場合にのみ許容される。
【0098】
連結基の数が0の場合、例えば、-(CRR)0-は、当該連結基が単結合であることを意味する。
【0099】
そのうち一つの変量が単結合である場合、その結合している二つの基が直接結合していることを意味し、例えば、A-L-ZにおけるLが単結合を表す場合、当該構造は実際にA-Zであることを意味する。
【0100】
列挙された連結基がその連結方向を示していない場合、その連結方向は任意であり、例えば、
【化55】
における連結基Lは-M-W-であり、この時-M-W-は左から右への読み取る順序と同じ方向に環Aと環Bを連結して
【化56】
を構成することができ、また、左から右への読み取る順序と逆方向に環Aと環Bを連結して
【化57】
を構成することもできる。前記連結基、置換基及び/又はその変異体の組み合わせは、そのような組み合わせが安定な化合物をもたらす場合にのみ許容される。
【0101】
別途に説明しない限り、ある基が一つ又は複数の結合可能な部位を有する場合、当該基の任意の一つ又は複数の部位は、化学結合を介して他の基に結合することができる。当該化学結合の結合方式が非局在であり、且つ結合可能な部位にH原子が存在する場合、化学結合を結合すると、当該部位のH原子の数は、結合された化学結合の数に応じて対応する価数の基に減少する。前記部位が他の基と結合する化学結合は、
【化58】
【0102】
例えば、-OCH
3の直線実線結合は、当該基内の酸素原子を介して他の基に結合していることを表し、
【化59】
の直線破線結合は、当該基内の窒素原子の両端を介して他の基に結合していることを表し、
【化60】
の波線は、当該フェニル基の1位及び2位の炭素原子を介して他の基に結合していることを表す。
【化61】
は当該ピペリジニルの任意の結合可能な部位が一つの化学結合を介して他の基に結合できることを表し、少なくとも
【化62】
の四つの結合方法を含み、H原子が-N-に描かれている場合でも、
【化63】
の結合方法の基が含まれるが、一つの化学結合が結合されると、当該部位のHは一つ減少して対応する一価のピペリジニルになる。
【0103】
別途に説明しない限り、「C1-3アルキル」という用語は、1~3個の炭素原子からなる直鎖又は分枝鎖の飽和炭化水素基を表すために使用される。前記C1-3アルキルにはC1-2及びC2-3アルキルなどが含まれ、それは1価(例えばメチル)、2価(例えばメチレン)又は多価(例えばメチン)であってもよい。C1-3アルキルの実例は、メチル(Me)、エチル(Et)、プロピル(n-プロピル及びイソプロピルを含む)などを含むが、これらに限定されない。
【0104】
別途に説明しない限り、「C1-3アルコキシ」という用語は、一つの酸素原子を介して分子の残りの部分に結合している1~3個の炭素原子を含むアルキル基を意味する。前記C1-3アルコキシには、C1-2、C2-3、C3及びC2アルコキシなどが含まれる。C1-3アルコキシの実例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ(n-プロポキシ及びイソプロポキシを含む)などを含むが、これらに限定されない。
【0105】
別途に説明しない限り、「C1-3アルキルアミノ」という用語は、アミノを介して分子の残りの部分に結合している1~3個の炭素原子を含むアルキル基を意味する。前記C1-3アルキルアミノには、C1-2、C3及びC2アルキルアミノなどが含まれる。C1-3アルキルアミノの実例は、-NHCH3、-N(CH3)2、-NHCH2CH3、-N(CH3)CH2CH3、-NHCH2CH2CH3、-NHCH2(CH3)2などを含むが、これらに限定されない。
【0106】
別途に説明しない限り、「C3-5シクロアルキル」は3~5個の炭素原子からなる飽和環状炭化水素基を意味し、それは単環式環系であり、前記C3-5シクロアルキルにはC3-4及びC4-5シクロアルキルなどが含まれ、それは一価、二価又は多価であってもよい。C3-5シクロアルキルの実例はシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルなどを含むが、これらに限定されない。
【0107】
別途に説明しない限り、Cn-n+m又はCn-Cn+mはn~n+m個の炭素の任意の一つの具体的な様態を含み、例えば、C1-12はC1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、C10、C11、及びC12を含み、n~n+mのうちの任意の一つの範囲も含み、例えば、C1-12はC1-3、C1-6、C1-9、C3-6、C3-9、C3-12、C6-9、C6-12、及びC9-12等を含む。同様に、n員~n+m員は環における原子の数がn~n+m個であることを表し、例えば、3~12員環は3員環、4員環、5員環、6員環、7員環、8員環、9員環、10員環、11員環、及び12員環を含み、n~n+mのうちの任意の一つの範囲も含み、例えば、3~12員環は3~6員環、3~9員環、5~6員環、5~7員環、6~7員環、6~8員環、及び6~10員環等を含む。
【0108】
「脱離基」という用語は、別の官能基又は原子により置換反応(例えば、求核置換反応)によって置換されてもよい官能基又は原子を指す。例えば、代表的な脱離基は、トリフルオロメタンスルホネート;塩素、臭素、ヨウ素;メタンスルホネート、トルエンスルホネート、p-ブロモベンゼンスルホネート、p-トルエンスルホネートなどのスルホネート基、アセトキシ、トリフルオロアセトキシなどのアシルオキシ基などのアシルオキシ基などを含む。
【0109】
「保護基」という用語は、「アミノ保護基」「ヒドロキシ保護基」又は「メルカプト保護基」を含むが、これらに限定されない。「アミノ保護基」という用語は、アミノ窒素位での副反応を防止するのに適した保護基を指す。代表的なアミノ酸保護基は、ホルミル;アルカノイル(例えばアセチル、トリクロロアセチル又はトリフルオロアセチル)などのアシル;tert-ブトキシカルボニル(Boc)などのアルコキシカルボニル;ベンジルオキシカルボニル(Cbz)及び9-フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)などのアリールメトキシカルボニル;ベンジル(Bn)、トリフェニルメチル(Tr)、1,1-ジ-(4’-メトキシフェニル)メチルなどのアリールメチル;トリメチルシリル(TMS)及びtert-ブチルジメチルシリル(TBS)などのシリルなどを含むが、これらに限定されない。「ヒドロキシル保護基」という用語は、ヒドロキシルの副反応を防止するのに適した保護基を指す。代表的なヒドロキシル保護基は、メチル、エチル及びtert-ブチルなどのアルキル、アルカノイル(例えば、アセチル)などのアシル、ベンジル(Bn)、p-ホルミルオキシベンジル(PMB)、9-フルオレニルチル(Fm)及びジフェニルメチル(ジフェニルメチル、DPM)などのアリールメチル、トリメチルシリル(TMS)及びtert-ブチルジメチルシリル(TBS)などのシリルなどを含むが、これらに限定されない。
【0110】
本発明の化合物は、以下に列挙される特定の実施形態、他の化学合成法と組み合わせることによって形成される実施形態及び当業者に周知の同等の代替方法を含む、当業者に周知の様々な合成方法によって製造することができ、好ましい実施形態は本発明の実施例を含むが、これらに限定されない。
【0111】
本発明の化合物の構造は、当業者に周知の通常の方法によって確認することができ、本発明が化合物の絶対配置に関する場合、当該絶対配置は、当該技術分野における通常の技術的手段によって確認することができる。例えば、単結晶X線回折(SXRD)では、培養した単結晶をBruker D8 venture回折計で回折強度データを収集し、光源はCuKα放射線であり、走査方法はφ/ω走査であり、関連データを収集した後、さらに直接法(Shelxs97)を使用して結晶構造を解析することにより、絶対配置を確認することができる。
【0112】
本発明では下記の略語が使用される:DMAC:N,N-ジメチルアセトアミド、PG:プロピレングリコール、HP-β-CD:ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、Solutol HS-15:ポリエチレングリコール(15)-ヒドロキシステアレート。
【0113】
本発明で使用される溶媒は市販品から得ることができる。化合物は、当分野の通常の命名原則に従って、又はChemDraw(登録商標)ソフトウェアを使用して命名され、市販の化合物はサプライヤーのカタログで命名される。
【発明を実施するための形態】
【0114】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、これらは本発明を何ら不利に限定するものではない。本発明を本明細書において詳細に説明したが、その具体的な実施形態も開示されており、当業者にとって、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、本発明の具体的な実施形態に関して様々な変更及び改良を行うことが明らかである。
【0115】
【0116】
【0117】
【0118】
【0119】
SHIONOGI & CO., LTD.の抗インフルエンザ薬S-033447を参照化合物として、Schrodinger社のMaestroソフトウェアのMacromodelモジュールによってS-033447の低エネルギー立体配座を計算した。低エネルギー立体配座では、ピリドヘキサヒドロピリミジン(以下、親核と呼ぶ)の二面角(dehidal 1)は-146.6°であり、親核と2,5-ジヒドロチオフェンとの二面角(dehidal 2)は56.8°であった(
図3を参照)。S-033447の低エネルギー立体配座からタンパク質結合モードの活性立体配座(親核は-146.6°から-153.7°に回転し、2,5-ジヒドロチオフェンと親核との二面角は56.8°から55.0°に回転する)への変換には、0.8kcal/molのエネルギー障壁を克服する必要があった(
図4を参照)。S-033447とタンパク質(PDB ID:6FS6)の3D結合モードは
図1に示された通りであり、S-033447とアミノ酸及び金属イオンの相互作用は
図2に示された通りである。
【0120】
実施例1
S-033447及び6FS6タンパク質の活性立体配座の結合モードを観察することにより、S-033447のベンゾ2,5-ジヒドロチエノジフルオロベンジルフラグメントが自由に回転しながら、ピリドヘキサヒドロピリミジン親核との間で形成された最も低いエネルギー障壁立体配座(低エネルギー立体配座)は、S-033447及び6FS6タンパク質共結晶におけるタンパク質結合モード立体配座(活性立体配座)とより一致しており、S-033447及び6FS6タンパク質の高い結合活性が説明された。一般に、小分子の最も低いエネルギー障壁立体配座(低エネルギー立体配座)とそのタンパク質における結合モード立体構造(活性立体配座)との間のエネルギー障壁の差が小さいほど、当該小分子が低エネルギー立体配座から当該タンパク質との結合活性立体配座への変換において失われるエネルギーが少なくなり、化合物がタンパク質に結合しやすくなり、その結合活性が高くなることを意味する。
【0121】
S-033447の活性立体配座をロックし、その回転エネルギー障壁をさらに低減するために、S-033447のテトラヒドロピランフラグメントと2,5-ジヒドロチオフェンフラグメントのOとSを原子置換によりSeに置換し、異なるシクロペンタセレン及びシクロヘキサセレンフラグメントを得、また、これらのSe置換分子の最も低いエネルギー障壁立体配座と、S-033447及び6FS6タンパク質の共結晶における活性立体配座との間のエネルギー障壁の違いを探索した。
【0122】
(1)化合物Aと化合物Bの低エネルギー立体配座の回転二面角と回転エネルギー障壁をMacromodelモジュールによって計算し、結果は表1に示された通りである。化合物A(濃い色)とS-033447(浅い色)の低エネルギー立体配座の比較は
図5に示された通りであり、化合物Aの回転中の二つの二面角のエネルギーの変化は
図6に示された通りであり、化合物B(濃い色)とS-033447(浅い色)の低エネルギー立体配座の比較は
図7に示された通りであり、化合物Bの回転中の二つの二面角のエネルギーの変化は
図8に示された通りである。
【0123】
【0124】
結論:化合物Bの低エネルギー立体配座は、S-033447の活性立体配座とよく重なる。本発明の化合物は、6FS6タンパク質構造における最も低い結合エネルギー障壁と、参照化合物の当該タンパク質構造における活性立体配座におけるエネルギー障壁との間のエネルギーの差がより小さいため、本発明の化合物は当該タンパク質に結合しやすくなり、当該タンパク質への実際の結合において参照化合物と同様又はより優れた結合活性を示す可能性がある。
【0125】
(2)化合物Bの低エネルギー立体配座の回転二面角をMacromodelモジュールによって計算し、結果は表2に示された通りである。
【0126】
【0127】
結論:化合物Bの低エネルギー立体配座は、S-033447の低エネルギー立体配座と基本的に一致する。
【0128】
【0129】
ステップ1:化合物2-2の合成
リン酸二水素ナトリウム(13.58g、113.19mmol)を水(20mL)に加え、アセトニトリル(10mL)、ジフェニルジセレニド(1.18g、3.77mmol)を加え、亜鉛粉末(986.83mg、15.09mmol)をバッチで加え、反応溶液を室温で1時間撹拌し、次に化合物2-1(2g、7.55mmol)を加え、反応溶液を室温で一晩撹拌した。反応溶液を濾過し、ケーキを酢酸エチル(10mL×2)で洗浄し、分離し、水相を酢酸エチル(10mL×2)で抽出し、有機相を合わせ、飽和食塩水(20mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮して乾固した。得られた粗生成物をシリカゲルカラム(石油エーテル:酢酸エチル=1:0~10:1)で精製して、化合物2-2を得た。MS m/z: 343.0 [M+H]+。
【0130】
ステップ2:化合物2-3の合成
化合物2-2(1.5g、4.40mmol)をメタノール(10mL)及び水(5mL)に加え、水酸化ナトリウム(527.53mg、13.19mmol)を加え、反応溶液を60℃で2時間撹拌した。反応溶液を室温まで冷却させ、反応溶液を1Nの塩酸でpH=7に調節し、酢酸エチルで抽出し、有機相を合わせ、飽和食塩水(10mL×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮して乾固して化合物2-3を得、粗生成物を次のステップの反応に直接に使用した。
【0131】
ステップ3:化合物2-4の合成
化合物2-3(1.3g、3.97mmol)をポリリン酸(13mL)に加え、反応溶液を120℃で2時間撹拌した。反応溶液を80℃まで冷却させ、攪拌下の水(50mL)に加え、5分間攪拌し続け、ジクロロメタン(20mL×2)で抽出し、有機相を合わせ、水(20mL)で洗浄し、飽和食塩水(20mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮して乾固した。得られた粗生成物をシリカゲルカラム(石油エーテル:酢酸エチル=1:0~10:1)で精製して、化合物2-4を得た。MS m/z: 310.9 [M+H]+。
【0132】
ステップ4:化合物2-5の合成
化合物2-4(300mg、970.34μmol)をメタノール(6mL)に加え、次に水素化ホウ素ナトリウム(110.13mg、2.91mmol)を加え、反応溶液を室温で1時間撹拌した。反応溶液を1Nの塩酸でpH=7に調節し、次にジクロロメタン(10mL×2)で抽出し、有機相を合わせ、飽和食塩水(10mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮して乾固した。得られた粗生成物をシリカゲルカラム(石油エーテル:酢酸エチル=10:1~2:1)で精製して、化合物2-5を得た。
【0133】
ステップ5:化合物2-7の合成
化合物2-6(50mg、152.75μmol)を酢酸エチル(1mL)に加え、化合物2-5(47.53mg、152.75μmol)を加え、次に1-プロピルホスホン酸無水物(388.82mg、611.00μmol、363.38μL、50%の酢酸エチル溶液)及びメタンスルホン酸(58.72mg、611.00μmol、43.50μL)を加え、反応溶液を一晩還流した。反応溶液を室温まで冷却させ、水(10mL)を加え、酢酸エチル(5mL×2)で抽出し、有機相を合わせ、飽和食塩水(10mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮して乾固した。得られた粗生成物をシリカゲルカラム(ジクロロメタン:メタノール=1:0~10:1)で精製して、化合物2-7を得た。MS m/z: 622.0 [M+H]+。
【0134】
ステップ6:化合物2及び2’の合成
化合物2-7(10mg、16.12μmol)をN,N-ジメチルアセトアミド(0.5mL)に加え、塩化リチウム(3.42mg、80.58μmol、1.65μL)を加え、反応溶液を80℃で3時間撹拌した。反応溶液を室温まで冷却させ、アセトニトリル(2mL)で希釈した。粗生成物の反応溶液を分取高速液体クロマトグラフィー(カラム:Xtimate C18 100×30mm×3μm;移動相:[A:水(0.225%のギ酸);B:アセトニトリル];勾配:アセトニトリル%:40%~60%、8分)で分離精製して、化合物2(保持時間:3.205分)及び化合物2’(保持時間:3.301分)を得た。
【0135】
化合物2(保持時間:3.205分),1H NMR (400 MHz, 重水素化メタノール) δ 7.49 (d, J = 7.53 Hz, 1H), 7.23-7.32 (m, 2H), 7.16-7.22 (m, 1H), 7.07-7.15 (m, 1H), 6.85-6.97 (m, 2H), 5.85 (d, J = 7.28 Hz, 1H), 5.69 (s, 1H), 5.39 (dd, J = 2.64, 12.67 Hz, 1H), 4.73 (dd, J = 2.89, 10.16 Hz, 1H), 4.62 (br d, J = 15.56 Hz, 1H), 4.12 (d, J = 12.80 Hz, 1H), 4.07 (dd, J = 3.14, 11.17 Hz, 1H), 3.77 (dd, J = 3.01, 11.80 Hz, 1H), 3.65 (t, J = 10.54 Hz, 1H), 3.43-3.53 (m, 1H), 3.06-3.17 (m, 1H). MS m/z: 532.1 [M+H] +。
【0136】
化合物2’(保持時間:3.301分)1H NMR (400 MHz, 重水素化メタノール) δ 7.51 (d, J = 7.28 Hz, 1H), 7.35-7.45 (m, 2H), 7.21-7.33 (m, 2H), 6.94-7.04 (m, 1H), 6.82-6.93 (m, 1H), 6.11 (d, J = 7.53 Hz, 1H), 5.52-5.68 (m, 2H), 4.42-4.58 (m, 2H), 4.16 (d, J = 13.05 Hz, 1H), 4.06 (dd, J = 3.14, 10.92 Hz, 1H), 3.60-3.78 (m, 2H), 3.39-3.52 (m, 1H), 2.65-2.81 (m, 1H). MS m/z: 532.1 [M+H] +。
【0137】
【0138】
ステップ1:化合物3-2の合成
化合物3-1(66g、383.43mmol)をジクロロメタン(460mL)に溶解させ、N,N-ジメチルホルムアミド(280.27mg、3.83mmol、295.02μL)を加え、反応溶液に塩化オキサリル(73.00g、575.15mmol、50.35mL)を滴下し、滴下終了後、反応溶液を20℃で30分間撹拌し、次に減圧濃縮して乾固した。得られた粗生成物をジクロロメタン(460mL)に加え、撹拌下でトリエチルアミン(77.60g、766.87mmol、106.74mL)及びN,O-ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩(37.40g、383.43mmol)を加え、反応溶液を20℃で1時間攪拌した。水(100mL)を加え、分離し、水相をジクロロメタン(50mL×2)で抽出した。有機相を合わせ、それぞれ希塩酸(0.2M、50mL)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(50mL)及び飽和食塩水(50mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮して乾固して、化合物3-2を得た。1H NMR (400 MHz, 重水素化クロロホルム) δ 7.02-7.05 (m, 2H), 3.81 (brs, 3H), 3.49 (s, 3H), 2.28 (s, 3H)。
【0139】
ステップ2:化合物3-3の合成
化合物3-2(20g、92.94mmol)をテトラヒドロフラン(200mL)に溶解させ、0℃でメチルマグネシウムブロミド(3M、37.18mL)を滴下し、滴下終了後、反応溶液を20℃まで昇温させて2時間撹拌した。反応溶液を1Mの塩酸でクエンチングさせ、pHを7に調節し、酢酸エチル(100mL×2)で抽出し、有機相を合わせ、それぞれ希塩酸(0.2M、50mL)、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(50mL)、飽和食塩水(50mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮して乾固して、化合物3-3を得た。1H NMR (400 MHz, 重水素化クロロホルム) δ 7.47-7.50 (m, 1H), 7.03-7.07 (m, 1H), 2.60 (s, 3H), 2.47 (s, 3H)。
【0140】
ステップ3:化合物3-4の合成
化合物3-3(15g、88.15mmol)をピリジン(90mL)に溶解させ、二酸化セレン(19.56g、176.31mmol)を加え、反応溶液を110℃で12時間撹拌した。反応溶液を室温まで冷却させ、濾過し、減圧濃縮して乾固した。粗生成物に水(50mL)を加え、1Mの塩酸でpHを4に調節し、酢酸エチル(50mL×3)で抽出し、有機相を合わせ、飽和食塩水(50mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮して乾固して、化合物3-4を得た。1H NMR (400 MHz, 重水素化メタノール) δ 7.64-7.68 (m, 1H), 7.30-7.32 (m, 1H), 2.52 (s, 3H)。
【0141】
ステップ4:化合物3-5の合成
化合物3-4(15g、74.95mmol)をジクロロメタン(60mL)及びメタノール(60mL)に溶解させ、温度を0~20℃に制御し、トリメチルシリルジアゾメタン(2M、44.97mL)を滴下し、反応溶液を20℃で2時間撹拌し、次に酢酸(3mL)を加え、5分間撹拌した。反応溶液を減圧濃縮して乾固し、水(50mL)を加え、ジクロロメタン(50mL×2)で抽出し、有機相を合わせ、飽和食塩水(30mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮して乾固した。得られた粗生成物をシリカゲルカラム(酢酸エチル/石油エーテル、酢酸エチル比率:0~20%)で精製して、化合物3-5を得た。1H NMR (400 MHz, 重水素化クロロホルム) δ 7.51-7.55 (m, 1H), 7.12-7.16 (m, 1H), 3.98 (s, 3H), 2.54 (s, 3H)。
【0142】
ステップ5:化合物3-6の合成
化合物3-5(5g、23.35mmol)を1,2-ジクロロエタン(50mL)に溶解させ、N-ブロモスクシンイミド(8.31g、46.69mmol)及びアゾビスイソブチロニトリル(383.37mg、2.33mmol)を加え、反応溶液を80℃で12時間撹拌した。反応溶液を室温まで冷却させ、それぞれ飽和亜硫酸ナトリウム溶液(20mL)、水(20mL)及び飽和食塩水(20mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮して乾固した。得られた粗生成物をシリカゲルカラム(酢酸エチル/石油エーテル、酢酸エチル比率:0~5%)で精製して、化合物3-6を得た。1H NMR (400 MHz, 重水素化クロロホルム) δ 7.61-7.64 (m, 1H), 7.26-7.31 (m, 1H), 4.94 (s, 2H), 3.99 (s, 3H)。
【0143】
ステップ6:化合物3-7の合成
リン酸二水素ナトリウム(11.52g、96.05mmol)を水(60mL)に溶解させ、次にアセトニトリル(30mL)を加え、3-(3-ピリジルジセレニル)ピリジン(3.62g、11.53mmol)を加え、亜鉛粉末(1.88g、28.82mmol)をバッチで加え、反応溶液を20℃で30分間撹拌した。化合物3-6(5.63g、19.21mmol)を加え、反応溶液を20℃で3時間撹拌した。反応溶液を濾過し、濾液を酢酸エチル(30mL×2)で抽出した。有機相を合わせ、飽和食塩水(30mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮して乾固した。得られた粗生成物をシリカゲルカラム(酢酸エチル/石油エーテル、酢酸エチル比率:0~60%)で精製して、化合物3-7を得た。MS(ESI) m/z: 373.8 [M+H]+。
【0144】
ステップ7:化合物3-8の合成
化合物3-7(4.2g、11.28mmol)をジクロロメタン(80mL)に溶解させ、デス-マーチンペルヨージナン(7.18g、16.93mmol)を加え、反応溶液を20℃で12時間撹拌した。反応溶液に飽和亜硫酸ナトリウム溶液(30mL)を加え、5分間撹拌した。ジクロロメタン(30mL×2)で抽出し、有機相を合わせ、飽和食塩水(30mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮して乾固した。得られた粗生成物をシリカゲルカラム(酢酸エチル/石油エーテル、酢酸エチル比率:0~50%)で精製して、化合物3-8を得た。MS(ESI) m/z: 371.9 [M+H]+。
【0145】
ステップ8:化合物3-9の合成
化合物3-8(2.9g、7.83mmol)をテトラヒドロフラン(16mL)に溶解させ、水酸化ナトリウム水溶液(626.67mg、15.67mmol、4mL)を加え、反応溶液を20℃で1時間撹拌した。減圧濃縮してテトラヒドロフランの大部分を除去し、水相を1Nの塩酸でpHを6に調節し、固体を濾過し、ケーキを減圧排出して、化合物3-9を得た。MS(ESI) m/z: 357.9 [M+H]+。
【0146】
ステップ9:化合物3-10の合成
化合物3-9(2.3g、6.46mmol)をジメチルスルホキシド(23mL)に溶解させ、それぞれ過硫酸アンモニウム(2.95g、12.91mmol)、硝酸銀(109.69mg、645.74μmol)及び濃硫酸(633.34mg、6.46mmol)を加え、反応溶液を50℃で3時間撹拌した。反応溶液にそれぞれ飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(20mL)、水(10mL)及びジクロロメタン(20mL)を加え、5分間撹拌し、濾過し、濾液を分離し、水相をジクロロメタン(10mL)で抽出した。有機相を合わせ、飽和食塩水(30mL×3)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮して乾固した。得られた粗生成物をシリカゲルカラム(酢酸エチル/石油エーテル、酢酸エチル比率:0~50%)で精製して、化合物3-10を得た。MS(ESI) m/z: 311.8 [M+H]+。
【0147】
ステップ10:化合物3-11の合成
化合物3-10(390mg、1.26mmol)をイソプロパノール(8mL)に溶解させ、水素化ホウ素ナトリウム(95.14mg、2.51mmol)を加え、反応溶液を20℃で1時間撹拌した。1Nの塩酸を加えてpHを7に調節し、酢酸エチル(15mL×2)で抽出し、有機相を合わせ、飽和食塩水(10mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮して乾固した。得られた粗生成物をシリカゲルカラム(酢酸エチル/石油エーテル、酢酸エチル比率:0~50%)で精製して、化合物3-11を得た。MS(ESI) m/z: 313.8 [M+H]+。
【0148】
ステップ11:化合物3-12の合成
化合物3-11(330mg、1.06mmol)をジクロロメタン(6mL)に溶解させ、ジクロロスルホキシド(251.53mg、2.11mmol、153.37μL)を加え、反応溶液を20℃で1時間撹拌した。反応溶液を減圧濃縮して乾固して、化合物3-12を得、粗生成物を次のステップの反応に直接に使用した。
【0149】
ステップ12:化合物3-13及び3-13’の合成
化合物2-6(340mg、1.04mmol)をアセトニトリル(6mL)に溶解させ、化合物3-12(343.41mg、1.04mmol)及び炭酸セシウム(676.86mg、2.08mmol)を加え、反応溶液を60℃で12時間撹拌した。反応溶液を室温まで冷却させ、水(5mL)を加え、酢酸エチル(5mL×3)で抽出し、有機相を合わせ、飽和食塩水(5mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮して乾固した。得られた粗生成物をシリカゲルカラム(メタノール/ジクロロメタン、メタノール比率:0~5%)で精製し、得られた化合物を超臨界流体クロマトグラフィーカラム(分析方法:カラムタイプ:Chiralpak AD-3(50mm×4.6mm、3μm);移動相:[A:二酸化炭素、B:0.05%のジエチルアミン/エタノール];勾配:移動相Bの濃度は2分間で5%から40%に増加し、40%を1.2分間保持し、次に5%を0.8分間保持した)で検出し、混合物として分析され、キラル分離(カラムタイプ:DAICEL CHIRALPAK AD(250mm×30mm、10μm);移動相:[A:二酸化炭素、B:0.1%のアンモニア水/エタノール];勾配:移動相Bは40%を保持した)で分離して、キラル異性体化合物3-13(保持時間:1.831分、ee=96.1%)及び化合物3-13’(保持時間:2.031分、ee=100%)を得た。
【0150】
ステップ13:化合物3の合成
化合物3-13(6mg、9.65μmol)をN,N-ジメチルアセトアミド(1mL)に加え、塩化リチウム(2.05mg、48.27μmol)を加え、反応溶液を80℃で12時間撹拌した。反応溶液を室温まで冷却させ、アセトニトリル(1mL)で希釈した。粗生成物の反応溶液を分取高速液体クロマトグラフィー(カラム:Phenomenex Gemini-NX C18 75×30mm×3μm;移動相:[A:水(0.225%のギ酸);B:アセトニトリル];勾配:アセトニトリル%:30%~53%、5分)で分離精製して、化合物3を得た。1H NMR (400 MHz, 重水素化メタノール) δ 7.98-8.09 (m, 1H), 7.70 (dd, J = 1.51, 8.03 Hz, 1H), 7.41 (d, J = 7.53 Hz, 1H), 7.18-7.31 (m, 2H), 7.13 (dd, J = 4.52, 8.03 Hz, 1H), 5.75-5.88 (m, 2H), 5.40-5.53 (m, 1H), 4.71 (dd, J = 3.01, 10.04 Hz, 1H), 4.63 (br s, 1H), 4.17 (d, J = 12.55 Hz, 1H), 4.07 (dd, J = 3.01, 11.04 Hz, 1H), 3.77 (dd, J = 3.01, 11.54 Hz, 1H), 3.66 (t, J = 10.54 Hz, 1H), 3.48 (dt, J = 2.51, 11.80 Hz, 1H), 3.04-3.18 (m, 1H)。MS(ESI) m/z: 533.1 [M+H]+。
【0151】
ステップ14:化合物3’の合成
化合物3-13’(5mg、8.05μmol)をN,N-ジメチルアセトアミド(1mL)に加え、塩化リチウム(1.71mg、40.23μmol)を加え、反応溶液を80℃で12時間撹拌した。反応溶液を室温まで冷却させ、アセトニトリル(1mL)で希釈した。粗生成物の反応溶液を分取高速液体クロマトグラフィー(カラム:Phenomenex Gemini-NX C18 75×30mm×3μm;移動相:[A:水(0.225%のギ酸);B:アセトニトリル];勾配:アセトニトリル%:30%~53%、5分)で分離精製して、化合物3’を得た。1H NMR (400 MHz, 重水素化メタノール) δ 8.39-8.49 (m, 1H), 7.83 (dd, J = 1.51, 8.03 Hz, 1H), 7.26-7.39 (m, 2H), 6.95-7.10 (m, 1H), 6.85 (br s, 1H), 5.92 (d, J = 7.53 Hz, 1H), 5.72 (s, 1H), 5.64 (br d, J = 13.55 Hz, 1H), 4.50-4.58 (m, 1H), 4.36 (br d, J = 7.53 Hz, 1H), 4.16-4.24 (m, 1H), 4.05 (dd, J = 3.01, 11.04 Hz, 1H), 3.74 (dd, J = 3.51, 11.54 Hz, 1H), 3.65 (t, J = 10.54 Hz, 1H), 3.47 (dt, J = 2.51, 11.80 Hz, 1H), 2.79-2.91 (m, 1H)。MS(ESI) m/z: 533.1 [M+H]+。
【0152】
【0153】
化合物3(130.00mg、244.65μmol)をN,N-ジメチルアセトアミド(2mL)に加え、次に炭酸クロロメチルメチル(45.70mg、366.98μmol)、炭酸カリウム(67.63mg、489.30μmol)及びヨウ化カリウム(40.61mg、244.65μmol)を加え、反応溶液を70℃で3時間撹拌した。反応溶液を室温まで冷却させ、水(10mL)を加え、酢酸エチル(10mL×2)で抽出し、有機相を飽和食塩水(10mL×4)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮して乾固した。得られた粗生成物をシリカゲルカラム(ジクロロメタン:メタノール=1:0~20:1)で精製して、化合物4を得た。1H NMR (400 MHz, 重水素化クロロホルム) δ 8.03 (dd, J=1.00, 4.52 Hz, 1H), 7.44 (dd, J=1.51, 8.03 Hz, 1H), 6.99-7.16 (m, 3H), 6.95 (dd, J=4.52, 8.03 Hz, 1H), 5.90 (d, J=6.53 Hz, 1H), 5.74-5.85 (m, 1H), 5.22-5.35 (m, 3H), 4.60 (dd, J=2.01, 13.55 Hz, 1H), 4.50 (dd, J=3.01, 10.04 Hz, 1H), 4.03 (d, J=12.55 Hz, 1H), 3.95 (dd, J=3.01, 11.04 Hz, 1H), 3.77-3.83 (m, 3H), 3.73 (dd, J=3.01, 12.05 Hz, 1H), 3.54 (t, J=10.54 Hz, 1H), 3.41 (dt, J=2.51, 11.80 Hz, 1H), 2.85-2.97 (m, 1H);MS(ESI) m/z: 621.0 [M+H]+。
【0154】
化合物4は、単結晶X線回折(SXRD)により絶対配置が下記に確認された:
【0155】
【0156】
【0157】
化合物2(30.00mg、56.56μmol)をN,N-ジメチルアセトアミド(1mL)に加え、次に炭酸クロロメチルメチル(14.09mg、113.13μmol)、炭酸カリウム(15.64mg、113.13μmol)及びヨウ化カリウム(9.39mg、56.56μmol)を加え、反応溶液を70℃で3時間撹拌した。反応溶液を室温まで冷却させ、水(3mL)を加え、酢酸エチル(3mL×2)で抽出し、有機相を飽和食塩水(3mL×3)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮して乾固した。得られた粗生成物を分取薄層シリカゲルプレート(ジクロロメタン:メタノール=10:1)で精製して、化合物5を得た。1H NMR (400 MHz, 重水素化メタノール) δ 7.54 (d, J=7.53 Hz, 1H), 7.13-7.28 (m, 3H), 7.07-7.13 (m, 1H), 6.99-7.05 (m, 1H), 6.90-6.97 (m, 1H), 5.92 (d, J=7.78 Hz, 1H), 5.75-5.83 (m, 2H), 5.66 (s, 1H), 5.39 (dd, J=2.64, 12.67 Hz, 1H), 4.65 (dd, J=3.01, 10.04 Hz, 1H), 4.55 (dd, J=2.13, 13.43 Hz, 1H), 4.03-4.15 (m, 2H), 3.80-3.85 (m, 3H), 3.75 (dd, J=3.26, 11.54 Hz, 1H), 3.56 (t, J=10.54 Hz, 1H), 3.42 (dt, J=2.51, 11.67 Hz, 1H), 2.98-3.08 (m, 1H);MS(ESI) m/z: 620.1 [M+H]+。
【0158】
【0159】
【0160】
ステップ1:化合物6-2の合成
氷浴下で、化合物6-1(3.35g、13.61mmol)のメタノール(8mL)及びテトラヒドロフラン(32mL)溶液にトリメチルシリルジアゾメタン溶液(2M、13.61mL、27.22mmol)を滴下し、滴下終了後、反応溶液を20℃まで昇温させて1時間攪拌した。反応溶液に飽和クエン酸溶液(100mL)を加え、酢酸エチル(100mL×3)で抽出し、有機相を合わせ、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(100mL)及び飽和食塩水(100mL)で順次に洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、スピン乾燥させて、化合物6-2の粗生成物を得、次のステップの反応に直接に使用した。
【0161】
ステップ2:化合物6-3の合成
化合物6-2(3.98g、15.29mmol)、カルバジン酸tert-ブチル(2.02g、15.29mmol)及びピリジニウムp-トルエンスルホナート(3.84g、15.29mmol)をN,N-ジメチルアセトアミド(80mL)に加え、反応溶液を60℃で12時間反応させた。反応溶液を室温まで冷却させ、水(200mL)を加え、酢酸エチル(100mL×3)で抽出し、有機相を合わせ、それぞれ水(200mL)及び飽和食塩水(200mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、スピン乾燥させた。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=3:1~1:2)で精製して、化合物6-3を得た。
【0162】
ステップ3:化合物6-4の合成
化合物6-3(2.7g、7.21mmol)、アクリル酸メチル(1.24g、14.42mmol、1.30mL)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(2.80g、21.64mmol、3.77mL)をアセトニトリル(35mL)に溶解させ、反応溶液を50℃で12時間反応させた。反応溶液を濃縮してスピン乾燥させ、粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=4:1~1:2、体積比)で精製して、化合物6-4を得た。
【0163】
ステップ4:化合物6-5の合成
化合物6-4(1.6g、3.47mmol)の酢酸エチル(20mL)溶液に塩化水素・酢酸エチル溶液(4M、10mL)を加え、反応溶液を25℃で1時間撹拌した。反応溶液を減圧濃縮して、塩酸塩の粗生成物6-5を得、次のステップの反応に直接に使用した。
【0164】
ステップ5:化合物6-6の合成
化合物6-5(1.18g、塩酸塩)及びカリウムtert-ブトキシド(955.32mg、8.51mmol)をアセトニトリル(20mL)に加え、反応溶液を25℃で1時間撹拌した。メタノール(30mL)を加え、濃縮し、スピン乾燥させた。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=3:1~0:1、体積比、次にジクロロメタン:メタノール=10:1~0:1)で分離精製して、化合物6-6を得た。
【0165】
ステップ6:化合物6-7の合成
化合物6-6(3g、9.14mmol)をジメチルスルホキシド(30mL)及び水(3mL)に溶解させ、塩化ナトリウム(1.07g、18.27mmol)を加え、反応溶液を90℃で12時間撹拌した。反応溶液を水(100mL)で希釈し、ジクロロメタン(100mL×3)で抽出し、有機相を飽和食塩水(100mL×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール=1:0~10:1)で精製して、化合物6-7を得た。
【0166】
ステップ7:化合物6-8の合成
化合物6-7(0.3g、1.11mmol)及びジフェニル(ビニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート(482.68mg、1.33mmol)をジメチルスルホキシド(3.6mL)に溶解させ、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(506.93mg、3.33mmol)を加え、反応溶液を25℃で1時間撹拌した。反応溶液を水(30mL)で希釈し、酢酸エチル(30mL×3)で抽出し、有機相を飽和食塩水(30mL×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾液を減圧濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール=1:0~10:1)で精製して、化合物6-8を得た。MS (ESI) m/z: 297.3 [M+H]+。
【0167】
ステップ8:化合物6-9の合成
化合物6-8(70mg、236.23μmol)及び化合物2-5(73.51mg、236.23μmol)を酢酸エチル(2mL)に加え、次にトリ-n-プロピルシクロリン酸無水物(50%の酢酸エチル溶液、300.66mg、472.46μmol、280.99μL)及びメタンスルホン酸(22.70mg、236.23μmol、16.82μL)を加え、反応溶液を77℃で3時間撹拌した。反応溶液を室温まで冷却させ、水(10mL)を加え、酢酸エチル(5mL×2)で抽出し、有機相を合わせ、飽和食塩水(5mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮して乾固し、粗生成物を得た。粗生成物をフラッシュシリカゲルカラム(ジクロロメタン:メタノール=1:0~10:1)で精製して、化合物6-9を得た。MS(ESI)m/z: 591.1 [M+H]+。
【0168】
ステップ9:化合物6-9A及び6-9Bの合成
化合物6-9を超臨界流体クロマトグラフィーカラム(分析方法:カラムタイプ:CHIRALCEL OD-3(100mm×4.6mm、3μm);移動相:[A:二酸化炭素、B:0.05%のジエチルアミン/エタノール];勾配:B%:4分間で5%から40%に増加し、次に2.5分間保持し、次に5%を1.5分間保持した)で検出し、ラセミ化合物として分析され、キラル分離(カラムタイプ:DAICEL CHIRALCEL OD-H(25mm×30mm、5μm);移動相:[A:二酸化炭素、B:0.1%のアンモニア水/エタノール];勾配:B%:40%~40%)で化合物6-9A(保持時間:4.024分)及び化合物6-9B(保持時間:4.447分)を得た。
【0169】
ステップ10:化合物6の合成
化合物6-9A(20mg、33.93μmol)をN,N-ジメチルアセトアミド(1mL)に加え、次に塩化リチウム(7.19mg、169.64μmol)を加え、反応溶液を80℃で12時間撹拌した。反応溶液を室温まで冷却させ、アセトニトリル(2mL)で希釈した。粗生成物を分取高速液体クロマトグラフィー(カラムタイプ:Xtimate C18 100×30mm×3μm;移動相:[水(0.225%のギ酸)-アセトニトリル];アセトニトリル%:50%~70%、5分)で分離精製して、化合物6を得た。1H NMR (400 MHz, 重水素化メタノール) δ 7.59 (d, J=7.53 Hz, 1H), 7.19-7.31 (m, 2H), 7.03-7.19 (m, 2H), 6.90 (br s, 2H), 5.86 (d, J=7.53 Hz, 1H), 5.45-5.61 (m, 2H), 4.26 (br d, J=15.06 Hz, 1H), 4.11 (d, J=12.55 Hz, 1H), 3.07 (br d, J=15.06 Hz, 1H), 1.84-1.97 (m, 1H), 1.60-1.75 (m, 1H), 0.92-1.12 (m, 2H);MS(ESI)m/z: 501.2 [M+H]+。
【0170】
ステップ11:化合物6’の合成
化合物6-9B(20.00mg、33.93μmol)をN,N-ジメチルアセトアミド(1mL)に加え、次に塩化リチウム(7.19mg、169.64μmol、3.47μL)を加え、反応溶液を80℃で12時間撹拌した。反応溶液を室温まで冷却させ、アセトニトリル(2mL)で希釈した。粗生成物を分取高速液体クロマトグラフィー(カラムタイプ:Xtimate C18 100×30mm×3μm;移動相:[水(0.225%のギ酸)-アセトニトリル];アセトニトリル%:50%~70%、5分)で分離精製して、化合物6’を得た。1H NMR (400 MHz, 重水素化メタノール) δ 7.59 (d, J=7.53 Hz, 1H), 7.19-7.32 (m, 2H), 7.02-7.19 (m, 2H), 6.81-6.96 (m, 2H), 5.86 (d, J=7.53 Hz, 1H), 5.44-5.63 (m, 2H), 4.26 (br d, J=15.06 Hz, 1H), 4.11 (d, J=12.55 Hz, 1H), 3.07 (br d, J=15.06 Hz, 1H), 1.81-1.98 (m, 1H), 1.57-1.73 (m, 1H), 0.90-1.14 (m, 2H)。MS(ESI)m/z: 501.1[M+H]+。
【0171】
生物学的試験データ
実験例1:インフルエンザウイルス細胞変性(CPE)実験
化合物の半数効果濃度(EC50)値を測定することによってインフルエンザウイルス(Influenza virus、IFV)に対する化合物の抗ウイルス活性を評価した。細胞変性実験は、化合物の抗ウイルス活性を反映するために、ウイルス感染細胞に対する化合物の保護効果を測定するために広く使用されている。
【0172】
インフルエンザウイルスCPE実験
MDCK細胞を1ウェルあたり2000細胞の密度で黒色の384ウェル細胞培養プレートに播種し、その後37℃、5%CO2インキュベーターで一晩培養した。化合物をEcho555音響技術の非接触型ナノリッター分注システムで希釈し、細胞ウェルに加えた(4倍希釈、8個の試験濃度ポイント)。その後、インフルエンザウイルスA/PR/8/34(H1N1)株を1ウェル当たり1~2の90%組織培養感染量(TCID90)で細胞培養ウェルに加え、培地中のDMSOの最終濃度は0.5%であった。ウイルス対照ウェル(DMSOとウイルスを加え、化合物なし)、細胞対照ウェル(DMSOを加え、化合物とウイルスなし)、及び培地対照ウェル(培地のみ、細胞なし)を設置した。化合物の細胞毒性測定と抗ウイルス活性測定を並行して行い、ウイルスを加えないことを除き、他の実験条件は抗ウイルス活性実験と一致した。細胞プレートを37℃、5%CO2インキュベーターで5日間培養した。5日間の培養後、細胞生存率検出キットCCK8を使用して細胞生存率を検出した。生データは、化合物の抗ウイルス活性と細胞毒性の計算に使用された。
【0173】
化合物の抗ウイルス活性と細胞毒性は、それぞれウイルスによる細胞ウイルス効果に対する化合物の阻害率(%)で表される。計算式は下記の通りである:
【0174】
【0175】
GraphPad Prismソフトウェアを使用して、化合物の阻害率と細胞毒性に関する非線形フィッティング分析を行い、化合物のEC50値を得た。実験結果は表3に示された通りである。
【0176】
【0177】
結論:本発明の化合物は、細胞レベルによるインフルエンザウイルス複製の阻害試験においてプラスの効果を示した。
【0178】
実験例2:生体内薬効試験
実験目的:A型インフルエンザウイルスH1N1マウス感染モデルにおける化合物の有効性を評価することである。
【0179】
実験プロトコール:マウスを鼻腔内点滴によりA型インフルエンザウイルスA/PR/8/34(H1N1)に感染させ、感染後の48時間から化合物で処理し、1日2回、連続7日間経口投与した。このモデルにおける化合物の抗A型インフルエンザウイルスH1N1効果は、マウスの体重変化と生存率を観察することによって評価された。
【0180】
実験にはSPFグレードのBALB/cマウス、6~7週、メスを使用した。マウスはBSL-2動物室に到着した後、少なくとも3日間順応させてから実験を開始した。感染日を実験0日目とした。マウスにペントバルビタールナトリウム(75mg/kg、10mL/kg)の腹腔内注射によって麻酔をかけ、マウスが深い麻酔状態に入った後、マウスを鼻腔内点滴によりA/PR/8/34(H1N1)ウイルスに感染させ、感染量は50μLであった。2日目から8日目まで、試験化合物5mg/kg(投与体積10mL/kg)を1日2回経口投与した。最初の投与時間は感染後48時間であった。毎日マウスの状態を観察し、マウスの体重と生存率を記録した。14日目に、生き残ったすべての動物を安楽死させた。
【0181】
実験結果:
動物の生存率と体重減少率を検出し、体重減少率=(0日目の体重-N日目の体重)/0日目の体重×100%である。結果は表4に示された通りである:化合物5は、7日目に13.77%の最大体重減少率で動物を保護することができ、その後回復し始め、実験終了時のマウスの生存率は100%であった。化合物4は、3日目に7.03%の最大体重減少率で動物を保護することができ、その後回復し始め、実験終了時のマウスの生存率は100%であった。
【0182】
【0183】
結論:本発明の化合物は、動物生体内薬効モデルにおいて優れた体重保護を示し、且つ回復時間が早い。
【0184】
実験例3:バロキサビル耐性A/PR/8/34(H1N1)I38Tインフルエンザウイルス株の細胞変性効果(CPE)実験
【0185】
実験目的:化合物の半数効果濃度(EC50)値を測定することによってバロキサビル耐性A/PR/8/34(H1N1)I38Tインフルエンザウイルス株に対する化合物の抗ウイルス活性を評価することである。
【0186】
実験プロトコル:MDCK細胞を1ウェルあたり15000細胞の密度で96ウェル細胞培養プレートに播種し、37℃、5%CO2インキュベーターで一晩培養した。翌日、化合物溶液(3倍段階希釈、8個の濃度ポイント、三つの複製ウェル)とバロキサビル耐性A/PR/8/34(H1N1)インフルエンザウイルス株を加え、細胞培養液中のDMSOの最終濃度は0.5%であった。化合物のないウイルス感染対照ウェル内の細胞変性が80~95%に達するまで、細胞を5%CO2、37℃のインキュベーターで5日間培養した。次に、CCK8を使用して各ウェルの細胞生存率を検出した。化合物を含むウェルの細胞生存率がウイルス感染対照ウェルの細胞生存率よりも高い場合、即ちCPEが弱まっている場合、化合物が試験ウイルスに対して阻害効果があることを示す。
【0187】
実験結果:
化合物の抗ウイルス活性は、ウイルスによるサイトウイルス効果に対する化合物の阻害活性(%)で表される。計算式は下記の通りである:
【0188】
【0189】
EC50は、GraphPad Prism(バージョン5)ソフトウェアを使用して、化合物の阻害活性と細胞生存率に関する非線形フィッティング分析を行い、フィッティング方法は、「log(inhibitor)vs.response--Variable slope」である。実験結果は表5に示された通りである。
【0190】
【0191】
結論:本発明の化合物は、細胞レベルによるバロキサビル耐性A/PR/8/34(H1N1)インフルエンザウイルス株複製の阻害試験においてプラスの効果を示す。
【0192】
実験例4:生体内薬効試験
実験目的:A型インフルエンザウイルスH1N1薬剤耐性株のマウス感染モデルにおける化合物の有効性を評価することである。
【0193】
実験プロトコール:マウスを鼻腔内点滴によりA型インフルエンザウイルスバロキサビル耐性A/PR/8/34(H1N1)I38Tウイルス株に感染させ、感染前の2時間に化合物で処理し、1日2回、連続7日間経口投与した。このモデルにおける化合物の抗A型インフルエンザウイルスH1N1効果は、マウスの体重変化と生存率を観察することによって評価された。
【0194】
実験にはSPFグレードのBALB/cマウス、6~7週、メスを使用した。マウスはBSL-2動物室に到着した後、少なくとも3日間順応させてから実験を開始した。感染日を実験0日目とした。マウスをゾレチル(Zoletil)50/キシラジン塩酸塩の腹腔内注射によって深く麻酔した後、鼻腔内点滴によりバロキサビル耐性A/PR/8/34(H1N1)I38Tウイルス株に感染させ、感染量は50μLであった。2日目から8日目まで、試験化合物15mg/kg又は50mg/kg(投与量10mL/kg)を1日2回経口投与した。最初の投与時間は感染前2時間であった。毎日マウスの状態を観察し、マウスの体重と生存率を記録した。14日目に、生き残ったすべての動物を安楽死させた。
【0195】
実験結果:
動物の生存率と体重減少率を検出し、体重減少率=(0日目の体重-N日目の体重)/0日目の体重×100%である。実験結果は下記の表6に示された通りである。化合物4が50mg/kgの投与量である場合、マウスの体重はほとんど減少せず、実験終了時のマウスの生存率は100%であった。
【0196】
【0197】
結論:本発明の化合物は、動物生体内薬効モデルにおいて優れた体重保護を示し、且つ回復時間が早い。
【0198】
実験例5 化合物の血漿タンパク質結合率試験
実験目的:平衡透析により、CD-1マウス、SDラット及びヒト血漿における本発明の化合物のタンパク質結合率を評価することである。
【0199】
試験プロトコール:試験化合物をそれぞれ透析緩衝液で上記5種の血漿に希釈し、最終濃度2μMの試料を調製し、次に、試料を96ウェル平衡透析装置に加え、37℃でリン酸緩衝液で4時間透析した。実験では対照化合物としてワルファリン(warfarin)を使用した。血漿及び緩衝液中の試験化合物及びワルファリンの濃度をLC-MS/MSによって測定した。
【0200】
実験結果:結果は表7に示された通りである。
【0201】
【0202】
結論:本発明の化合物は、5種の血漿において中程度の血漿タンパク質結合率を有し、これは、上記5種の血漿において、試験化合物の遊離薬物濃度比が中程度であり、良好な創薬特性を有することを示す。
【0203】
実験例6:ラットにおける薬物動態研究試験
実験目的:本発明の化合物の単回静脈内注射及び胃内投与後のオスのSDラットにおける血漿薬物動態を考察することである。
【0204】
実験動物:オスのSDラット、6~8週齢、体重200~300g;
【0205】
実験手順:注射投与(i.v.)で、投与量は1mpkであり、濃度は0.50mg/mLであり、溶媒は40%のDMAC+40%のPG+20%の(20%のHP-β-CD+水)である;経口投与(po)で、投与量は10mpkであり、濃度は1mg/mLであり、溶媒は3%のDMSO+10%のSolutol HS+87%の水である。
【0206】
試料採取:各時点で実験動物の伏在静脈から穿刺により0.03mLの血液試料を採取し、実際の採血時間を記録した。すべての血液試料を1.5mLの市販のEDTA-K2抗凝固チューブに加えた。採血後の血漿マトリックスに安定化剤としてDDVを加え、ここで、血漿:ジクロルボス溶液=40:1であり、ジクロルボス溶液は40mMのジクロルボスのアセトニトリル/水(1:1)溶液であり、30分以内に、4℃で、3000gで10分間遠心分離して上清血漿を吸引し、すぐにドライアイスに入れ、LC-MS/MS分析のために-80℃の冷蔵庫で保存した。
【0207】
データ分析:Phoenix WinNonlin 6.3薬物動態ソフトウェアのノンコンパートメントモデルを使用して血漿濃度を処理し、線形対数台形法を使用して薬物動態パラメーター:Cl(見かけのクリアランス率)、T1/2(化合物の半分をクリアするのに必要な時間)、Cmax(ピーク濃度)、AUC0-last(0から最後のサンプリング時間までの濃度-時間曲線下の積分面積)を計算し、結果は表8に示された通りである。
【0208】
【0209】
実験の結論:本発明の化合物は、比較的高い経口血漿曝露量を有し、良好な薬物動態特性を有する。
【0210】
実験例7:ビーグル犬における薬物動態研究実験
実験目的:本発明の化合物の単回静脈内注射及び胃内投与後のオスのビーグル犬における血漿薬物動態を考察することである。
【0211】
実験動物:オスのビーグル犬、生後6ヶ月以上、体重6~12kg;
【0212】
実験手順:注射投与(i.v.)で、投与量は1mpkであり、濃度は1mg/mLであり、溶媒は10%のDMAC+90%の(20%のHP-β-CD+水)である;経口投与(po)で、投与量は10mpkであり、濃度は2mg/mLであり、溶媒は3%のDMSO+10%のSolutol HS+87%の水である。
【0213】
試料採取:各時点で実験動物の伏在静脈から穿刺により0.8mLの血液試料を採取し、実際の採血時間を記録した。すべての血液試料を1.5mLの市販のEDTA-K2抗凝固チューブに加えた。採血後の血漿マトリックスに安定化剤としてDDVを加え、ここで、血漿:ジクロルボス溶液=40:1であり、ジクロルボス溶液は40mMのジクロルボスのアセトニトリル/水(1:1)溶液であり、30分以内に、4℃で、3000gで10分間遠心分離して上清血漿を吸引し、すぐにドライアイスに入れ、LC-MS/MS分析のために-80℃の冷蔵庫で保存した。
【0214】
データ分析:Phoenix WinNonlin 6.3薬物動態ソフトウェアのノンコンパートメントモデルを使用して血漿濃度を処理し、線形対数台形法を使用して薬物動態パラメーターCl、T1/2、Cmax、AUC0-lastを計算し、結果は表9に示された通りである。
【0215】
【0216】
実験の結論:本発明の化合物は、低いクリアランス率、長い半減期、高い経口血漿曝露量、及び良好な薬物動態特性を有する。
【国際調査報告】