(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-18
(54)【発明の名称】アレイ基板及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1368 20060101AFI20240111BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20240111BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20240111BHJP
【FI】
G02F1/1368
G09F9/30 338
G09F9/00 338
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021576398
(86)(22)【出願日】2021-12-16
(85)【翻訳文提出日】2022-01-19
(86)【国際出願番号】 CN2021138862
(87)【国際公開番号】W WO2023103013
(87)【国際公開日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】202111491101.X
(32)【優先日】2021-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515203228
【氏名又は名称】ティーシーエル チャイナスター オプトエレクトロニクス テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】TCL China Star Optoelectronics Technology Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.9-2,Tangming Rd,Guangming New District,Shenzhen,Guangdong,China 518132
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】劉 倩
【テーマコード(参考)】
2H192
5C094
5G435
【Fターム(参考)】
2H192AA24
2H192BB13
2H192BC33
2H192CB05
2H192CB37
2H192DA24
2H192EA67
2H192HA44
2H192JA33
5C094AA43
5C094BA03
5C094BA43
5C094DB01
5C094EA04
5C094EA07
5C094JA08
5G435AA17
5G435BB12
5G435KK05
(57)【要約】
本願は、アレイ基板及びその製造方法を開示する。アレイ基板は、基板、薄膜トランジスタ、第1不動態化層、有機膜層、共通電極、第2不動態化層及び画素電極層を含む。有機膜層は、第1ビアホールを含む。共通電極は、画素領域を被覆し、かつ第2ビアホール及び第2ビアホールを囲む緩勾配壁を含む。第2ビアホールは、第1ビアホールに連通し、かつ緩勾配壁の底縁と第1ビアホールの頂縁との間に間隔を有する。第2不動態化層は、第2ビアホールに連通する第3ビアホールを含む。画素電極層は、第2不動態化層に設けられ、かつ第1ビアホール、第2ビアホール及び第3ビアホールにより第2金属層に接続される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、前記基板に設けられた第1金属層、第2金属層、第1金属配線、第2金属配線及び薄膜トランジスタと、を含むアレイ基板であって、
前記薄膜トランジスタを被覆する第1不動態化層と、
前記第1不動態化層に設けられ、かつ前記薄膜トランジスタの上方に位置する第1ビアホールを含む有機膜層と、
前記有機膜層に設けられ、かつ前記第1ビアホールに連通する第2ビアホールと、前記第2ビアホールを囲み、その底縁と前記第1ビアホールの頂縁との間に間隔を有する緩勾配壁とを含む共通電極と、
前記共通電極及び前記有機膜層を被覆し、かつ前記第2ビアホールに連通する第3ビアホールと、一部の前記共通電極を露出させる貫通孔と、を含む第2不動態化層であって、前記第1ビアホール、前記第2ビアホール及び前記第3ビアホールによって第1連通孔が定義され、前記第1連通孔は、前記第1不動態化層まで延在し、かつ一部の前記第1不動態化層を貫通することにより、一部の前記薄膜トランジスタを露出させる第2不動態化層と、
前記第2不動態化層に設けられ、前記第1連通孔により前記薄膜トランジスタに接続され、かつ前記貫通孔により前記共通電極に接続される画素電極層と、を含む、
アレイ基板。
【請求項2】
前記共通電極に接触するように前記共通電極に設けられた第3金属層をさらに含み、前記第2ビアホールの前記緩勾配壁の底縁と前記第1ビアホールの頂縁との間の前記間隔は、2.5μmより小さい、
請求項1に記載のアレイ基板。
【請求項3】
前記第2ビアホールの前記基板への正投影は、前記第1ビアホールの前記基板への正投影より大きく、かつ前記第1ビアホールの前記基板への正投影を被覆し、前記第2不動態化層は、前記第1連通孔に沿って設けられ、かつ前記第1ビアホールの孔壁及び前記第2ビアホールの緩勾配壁を被覆する被覆壁をさらに含む、
請求項1に記載のアレイ基板。
【請求項4】
前記第2金属配線に位置し、かつ前記第2不動態化層、前記共通電極、前記有機膜層及び一部の前記第1不動態化層を貫通することにより、前記第2金属配線を露出させる第2連通孔をさらに含み、前記画素電極層は、前記第2連通孔により前記第2金属配線に接続され、前記第3金属層は、前記共通電極及び前記画素電極層を介して前記第2連通孔により前記第2金属配線に電気的に接続される、
請求項2に記載のアレイ基板。
【請求項5】
前記第1金属層は、ゲート線を含み、前記第2金属層は、データ線を含み、前記ゲート線と前記データ線との間には、複数の画素領域が定義され、前記画素電極層は、互いに離間して前記画素領域に設けられた複数の画素電極を含み、前記共通電極は、ブロック状であり、かつ前記画素領域を被覆する、
請求項1に記載のアレイ基板。
【請求項6】
基板と、前記基板に設けられた第1金属層、第2金属層、第1金属配線、第2金属配線及び薄膜トランジスタと、を含むアレイ基板の製造方法であって、
前記基板に前記薄膜トランジスタを被覆する第1不動態化層を堆積するステップと、
前記第1不動態化層に有機膜層を堆積するステップと、
フォトリソグラフィプロセスを用いて前記有機膜層をパターン化することにより、前記薄膜トランジスタの上方に対応する第1ビアホールを形成するステップと、
前記有機膜層に共通電極層を堆積するステップと、
ハーフトーンマスク板を用いて前記共通電極層に対してフォトリソグラフィプロセスを行うことにより、共通電極及び前記第1ビアホールに対応する第2ビアホールを形成するステップであって、前記共通電極の前記第2ビアホールに隣接する箇所に緩勾配壁が形成され、前記ハーフトーンマスク板は、前記第2ビアホールに対応する少なくとも1つの孔形成領域と、前記孔形成領域を囲んで離間して設けられ、前記緩勾配壁に対応する少なくとも1つのスリットとを含み、前記緩勾配壁の底縁と前記第1ビアホールの頂縁との間に間隔を有するステップと、
第2不動態化層を堆積し、かつ前記第1ビアホール、前記有機膜層及び前記共通電極層を被覆するステップと、
フォトリソグラフィプロセスを用いて前記第2不動態化層をパターン化することにより、第3ビアホールと、一部の前記共通電極を露出させる貫通孔と、を形成するステップであって、前記第1ビアホール、前記第2ビアホール及び前記第3ビアホールによって第1連通孔が定義され、前記第1連通孔は、前記第1不動態化層まで延在し、かつ一部の前記第1不動態化層を貫通することにより、一部の前記薄膜トランジスタを露出させるステップと、
前記第2不動態化層に画素電極層を堆積するステップと、
フォトリソグラフィプロセスを用いて前記画素電極層をパターン化することにより、前記第1連通孔により前記薄膜トランジスタに接続され、前記貫通孔により前記共通電極に接続される画素電極を形成するステップと、を含む、
アレイ基板の製造方法。
【請求項7】
前記有機膜層に前記共通電極層を堆積するステップは、
前記共通電極層に第3金属層を堆積するステップと、
前記ハーフトーンマスク板を用いて前記共通電極層及び前記第3金属層に対して複数のフォトリソグラフィプロセスを行い、前記共通電極層及び前記第3金属層をパターン化するステップと、をさらに含む、
請求項6に記載のアレイ基板の製造方法。
【請求項8】
前記ハーフトーンマスク板は、膜形成領域をさらに含み、前記スリットは、前記膜形成領域と前記孔形成領域との間に位置し、前記膜形成領域は、前記共通電極を形成するために用いられ、前記孔形成領域は、前記第2ビアホールを形成するために用いられ、前記スリットは、前記第2ビアホールを囲む前記緩勾配壁を形成するために用いられ、前記緩勾配壁の底縁と前記第1ビアホールの頂縁との間の間隔は、2.5μmより小さい、
請求項6に記載のアレイ基板の製造方法。
【請求項9】
前記第1不動態化層を堆積するステップの前に、前記薄膜トランジスタを形成するステップをさらに含み、前記薄膜トランジスタを形成するステップは、
前記基板に、ゲート及び前記第1金属配線を含む前記第1金属層を形成するステップと、
前記基板及び前記第1金属層にゲート絶縁層を堆積するステップと、
前記ゲート絶縁層に前記ゲートの上方に位置する活性層を形成するステップと、
フォトリソグラフィプロセスを用いて前記ゲート絶縁層にコンタクトホールを形成することにより、前記第1金属配線を露出させるステップと、
前記活性層及び前記ゲート絶縁層に前記第2金属層を堆積するステップと、
フォトリソグラフィプロセスを用いて前記第2金属層にソースと、ドレインと、前記コンタクトホールにより前記第1金属配線に接続される第2金属配線と、を形成するステップと、を含む、
請求項6に記載のアレイ基板の製造方法。
【請求項10】
前記第2不動態化層、前記共通電極層、前記有機膜層及び一部の前記第1不動態化層を貫通することにより前記第2金属配線を露出させる第2連通孔を、前記第2不動態化層の前記第2金属配線に対応する上方に形成するステップであって、前記画素電極層は、前記第2連通孔により前記第2金属配線及び前記第1金属配線に接続されるステップをさらに含む、
請求項9に記載のアレイ基板の製造方法。
【請求項11】
基板と、前記基板に設けられた、ゲート線を含む第1金属層、データ線を含む第2金属層、第1金属配線、第2金属配線、薄膜トランジスタ及び第3金属層と、を含み、前記ゲート線と前記データ線との間に複数の画素領域が定義されるアレイ基板であって、
前記薄膜トランジスタを被覆する第1不動態化層と、
前記第1不動態化層に設けられ、かつ前記薄膜トランジスタの上方に位置する第1ビアホールを含む有機膜層と、
前記有機膜層に設けられ、かつ前記第1ビアホールに連通する第2ビアホールと、前記第2ビアホールを囲み、その底縁と前記第1ビアホールの頂縁との間に間隔を有する緩勾配壁とを含む共通電極と、
前記共通電極及び前記有機膜層を被覆し、かつ前記第2ビアホールに連通する第3ビアホールと、一部の前記共通電極を露出させる貫通孔と、を含む第2不動態化層であって、前記第1ビアホール、前記第2ビアホール及び前記第3ビアホールによって第1連通孔が定義され、前記第1連通孔は、前記第1不動態化層まで延在し、かつ一部の前記第1不動態化層を貫通することにより、一部の前記薄膜トランジスタを露出させる第2不動態化層と、
前記第2不動態化層に設けられ、前記第1連通孔により前記薄膜トランジスタに接続され、かつ前記貫通孔により前記共通電極に接続される画素電極層と、を含み、
前記画素電極層は、互いに離間して前記画素領域に設けられた複数の画素電極を含み、前記共通電極は、ブロック状であり、かつ前記画素領域を被覆し、前記第3金属層は、前記共通電極に設けられ、かつ前記共通電極に接触する、
アレイ基板。
【請求項12】
前記第2ビアホールの緩勾配壁の底縁と前記第1ビアホールの頂縁との間の前記間隔は、2.5μmより小さい、
請求項11に記載のアレイ基板。
【請求項13】
前記第2ビアホールの前記基板への正投影は、前記第1ビアホールの前記基板への正投影より大きく、かつ前記第1ビアホールの前記基板への正投影を被覆し、前記第2不動態化層は、前記第1連通孔に沿って設けられ、かつ前記第1ビアホールの孔壁及び前記第2ビアホールの緩勾配壁を被覆する被覆壁をさらに含む、
請求項11に記載のアレイ基板。
【請求項14】
前記第2金属配線に位置し、かつ前記第2不動態化層、前記共通電極、前記有機膜層及び一部の前記第1不動態化層を貫通することにより、前記第2金属配線を露出させる第2連通孔をさらに含み、前記画素電極層は、前記第2連通孔により前記第2金属配線に接続され、前記第3金属層は、前記共通電極及び前記画素電極層を介して前記第2連通孔により前記第2金属配線に電気的に接続される、
請求項11に記載のアレイ基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、表示の技術分野に関し、特にアレイ基板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示パネルのインプレインスイッチング(In-Plane Switching、IPS)モード又はフリンジフィールドスイッチング(Fringe Field Switching、FFS)の表示モードにおいて、共通電極91は、液晶偏向端として、画素電極92と共に水平電界(
図1に示す)を形成することにより、液晶を偏向させて表示を実現することができる。画素を表示領域とし、バックライトを通過させて赤、緑、青の3原色を生成する部分は、開口領域と呼ばれる。視野角を改善し、表示効率を向上させるために、一般的に、開口領域における、液晶を偏向させる画素電極92をストライプ状に設計する。液晶表示モードにおいて、一般的に、共通電極がストライプ状に設計され、画素電極がストライプ状に設計されるという2種類の設計場合がある。一方の電極がストライプ状に設計される場合、他方の電極は、開口領域を全面的に被覆するように設計される。画素電極がストライプ状に設計され、共通電極が全面的に設計される場合、共通電極の抵抗を増加させ、ゲート線、データ線の信号妨害の、共通電極で構成されたコンデンサに対する結合作用をより増加させる。
【0003】
一般的に、共通電極の製造には、ハーフトーンマスク(halftone mask、HTM)プロセスを用いる。このような製造プロセスにおいて、大面積のHTM、画素電極及び第2金属層の連通孔が存在するため、HTM露光プロセスの後、残されたHTMフォトレジスト膜の厚さがプロセス要件を満たし、かつ膜を破壊しないという要件と、画素電極の連通孔にフォトレジストが存在しないという要件とを同時に満たす必要がある。一般的には、上記要件を達成するために、共通電極のフォトレジストのビアホールの縁部と画素電極の連通孔との間に一定の安全距離を有し、フォトレジストが連通孔に落下することを防止するために十分な空間を提供するように設計する必要がある。しかしながら、現在の製造プロセスに要求される安全距離が非常に大きいため、必要な空間が大きくなり、それにより開口領域の面積を減少させ、透過率を低下させ、液晶ディスプレイの消費電力を増加させ、表示効果を低下させる。また、上記安全距離が不十分であれば、製造プロセスにおいて位置合わせがずれるか又は重要な寸法が変化する場合に、ビアホール内でアッシングしにくく、残されたフォトレジストのため、共通電極をエッチングすることができず、残されたフォトレジストがビアホール内の異物となるため、画素電極と第2金属層との重ね継ぎが異常になり、かつ表示が異常になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願は、従来共通電極の製造プロセスにおいて対応する画素電極の連通孔にフォトレジストが残りやすいため、画素電極と第2金属層との重ね継ぎが異常になり、さらに表示が異常になるという技術的課題を解決するために、アレイ基板及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本願に係る技術手段は、以下のとおりである。
【0006】
本願の実施例によれば、基板と、前記基板に設けられた第1金属層、第2金属層、第1金属配線、第2金属配線及び薄膜トランジスタと、を含むアレイ基板が提供される。前記アレイ基板は、前記薄膜トランジスタを被覆する第1不動態化層と、前記第1不動態化層に設けられ、かつ前記薄膜トランジスタの上方に位置する第1ビアホールを含む有機膜層と、前記有機膜層に設けられ、前記第1ビアホールに連通する第2ビアホールと、前記第2ビアホールを囲み、その底縁と前記第1ビアホールの頂縁との間に間隔を有する緩勾配壁とを含む共通電極層と、前記共通電極層及び前記有機膜層を被覆し、かつ前記第2ビアホールに連通する第3ビアホールと、一部の前記共通電極層を露出させる貫通孔と、を含む第2不動態化層であって、前記第1ビアホール、前記第2ビアホール及び前記第3ビアホールによって第1連通孔が定義され、前記第1連通孔は、前記第1不動態化層まで延在し、かつ一部の前記第1不動態化層を貫通することにより、一部の前記薄膜トランジスタを露出させる第2不動態化層と、前記第2不動態化層に設けられ、前記第1連通孔により前記薄膜トランジスタに接続され、かつ前記貫通孔により前記共通電極層に接続される画素電極層と、を含む。
【0007】
好ましくは、前記アレイ基板は、前記共通電極層に接触するように前記共通電極層に設けられた第3金属層をさらに含み、前記第2ビアホールの前記緩勾配壁の底縁と前記第1ビアホールの頂縁との間の前記間隔は、2.5μmより小さい。
【0008】
好ましくは、前記第2ビアホールの前記基板への正投影は、前記第1ビアホールの前記基板への正投影より大きく、かつ前記第1ビアホールの前記基板への正投影を被覆し、前記第2不動態化層は、前記第1連通孔に沿って設けられ、かつ前記第1ビアホールの孔壁及び前記第2ビアホールの緩勾配壁を被覆する被覆壁をさらに含む。
【0009】
好ましくは、前記アレイ基板は、前記第2金属配線に位置し、かつ前記第2不動態化層、前記共通電極層、前記有機膜層及び一部の前記第1不動態化層を貫通することにより、前記第2金属配線を露出させる第2連通孔をさらに含み、前記画素電極層は、前記第2連通孔により前記第2金属配線に接続され、前記第3金属層は前記共通電極層及び前記画素電極層を介して前記第2連通孔により前記第2金属配線に電気的に接続される。
【0010】
好ましくは、前記第1金属配線は、ゲート線を含み、前記第2金属配線は、データ線を含み、前記ゲート線と前記データ線との間には、複数の画素領域が定義され、前記画素電極層は、互いに離間して前記画素領域に設けられた複数の画素電極を含み、前記共通電極層は、ブロック状であり、かつ前記画素領域を被覆する。
【0011】
本願の実施例によれば、基板と、前記基板に設けられた第1金属層、第2金属層、第1金属配線、第2金属配線及び薄膜トランジスタと、を含むアレイ基板の製造方法がさらに提供される。前記アレイ基板の製造方法は、前記基板に前記薄膜トランジスタを被覆する第1不動態化層を堆積するステップと、前記第1不動態化層に有機膜層を堆積するステップと、フォトリソグラフィプロセスを用いて前記有機膜層をパターン化することにより、前記薄膜トランジスタの上方に対応する第1ビアホールを形成するステップと、前記有機膜層に共通電極層を堆積するステップと、前記共通電極層にフォトレジスト層を堆積するステップと、ハーフトーンマスク板を用いて前記共通電極層に対してフォトリソグラフィプロセスを行うことにより、共通電極及び前記第1ビアホールに対応する第2ビアホールを形成するステップであって、前記共通電極の前記第2ビアホールに隣接する箇所に緩勾配壁が形成され、前記ハーフトーンマスク板は、前記第2ビアホールに対応する少なくとも1つの孔形成領域と、前記孔形成領域を囲んで離間して設けられ、前記緩勾配壁に対応する少なくとも1つのスリットとを含み、前記緩勾配壁の底縁と前記第1ビアホールの頂縁との間に間隔を有するステップと、第2不動態化層を堆積し、かつ前記第1ビアホール、前記有機膜層及び前記共通電極層を被覆するステップと、フォトリソグラフィプロセスを用いて前記第2不動態化層をパターン化することにより、第3ビアホールと、一部の前記共通電極層を露出させる貫通孔と、を形成するステップであって、前記第1ビアホール、前記第2ビアホール及び前記第3ビアホールによって第1連通孔が定義され、前記第1連通孔は、前記第1不動態化層まで延在し、かつ一部の前記第1不動態化層を貫通することにより、一部の前記薄膜トランジスタを露出させるステップと、前記第2不動態化層に画素電極層を堆積するステップと、フォトリソグラフィプロセスを用いて前記画素電極層をパターン化することにより、前記第1連通孔により前記薄膜トランジスタに接続され、前記貫通孔により前記共通電極層に接続される画素電極を形成するステップと、を含む。
【0012】
好ましくは、前記有機膜層に前記共通電極層を堆積するステップは、前記共通電極層に第3金属層を堆積するステップと、前記ハーフトーンマスク板を用いて前記共通電極層及び前記第3金属層に対して複数のフォトリソグラフィプロセスを行い、前記共通電極層及び前記第3金属層をパターン化するステップと、をさらに含む。
【0013】
好ましくは、前記ハーフトーンマスク板は、膜形成領域をさらに含み、前記スリットは、前記膜形成領域と前記孔形成領域との間に位置し、前記膜形成領域は、前記共通電極を形成するために用いられ、前記孔形成領域は、前記第2ビアホールを形成するために用いられ、前記スリットは、前記第2ビアホールを囲む前記緩勾配壁を形成するために用いられ、前記緩勾配壁の底縁と前記第1ビアホールの頂縁との間の間隔は、2.5μmより小さい。
【0014】
好ましくは、前記第1不動態化層を堆積するステップの前に、前記薄膜トランジスタを形成するステップをさらに含む。前記薄膜トランジスタを形成するステップは、前記基板に、ゲート及び前記第1金属配線を含む前記第1金属層を形成するステップと、前記基板及び前記第1金属層にゲート絶縁層を堆積するステップと、前記ゲート絶縁層に前記ゲートの上方に位置する活性層を形成するステップと、フォトリソグラフィプロセスを用いて前記ゲート絶縁層にコンタクトホールを形成することにより、前記第1金属配線を露出させるステップと、前記活性層及び前記ゲート絶縁層に前記第2金属層を堆積するステップと、フォトリソグラフィプロセスを用いて前記第2金属層にソースと、ドレインと、前記コンタクトホールにより前記第1金属配線に接続される第2金属配線と、を形成するステップと、を含む。
【0015】
好ましくは、前記アレイ基板の製造方法は、前記第2不動態化層、前記共通電極層、前記有機膜層及び一部の前記第1不動態化層を貫通することにより前記第2金属配線を露出させる第2連通孔を、前記第2不動態化層の前記第2金属配線に対応する上方に形成するステップであって、前記画素電極層は、前記第2連通孔により前記第2金属配線及び前記第1金属配線に接続されるステップをさらに含む。
【0016】
本願の実施例によれば、基板と、前記基板に設けられた、ゲート線を含む第1金属層、データ線を含む第2金属層、第1金属配線、第2金属配線、薄膜トランジスタ及び第3金属層と、を含み、前記ゲート線と前記データ線との間に複数の画素領域が定義されるアレイ基板がさらに提供される。前記アレイ基板は、前記薄膜トランジスタを被覆する第1不動態化層と、前記第1不動態化層に設けられ、かつ前記薄膜トランジスタの上方に位置する第1ビアホールを含む有機膜層と、前記有機膜層に設けられ、前記第1ビアホールに連通する第2ビアホールと、前記第2ビアホールを囲み、その底縁と前記第1ビアホールの頂縁との間に間隔を有する緩勾配壁とを含む共通電極層と、前記共通電極層及び前記有機膜層を被覆し、かつ前記第2ビアホールに連通する第3ビアホールと、一部の前記共通電極層を露出させる貫通孔と、を含む第2不動態化層であって、前記第1ビアホール、前記第2ビアホール及び前記第3ビアホールによって第1連通孔が定義され、前記第1連通孔は、前記第1不動態化層まで延在し、かつ一部の前記第1不動態化層を貫通することにより、一部の前記薄膜トランジスタを露出させる第2不動態化層と、前記第2不動態化層に設けられ、前記第1連通孔により前記薄膜トランジスタに接続され、かつ前記貫通孔により前記共通電極層に接続される画素電極層と、を含む。前記画素電極層は、互いに離間して前記画素領域に設けられた複数の画素電極を含み、前記共通電極層は、ブロック状であり、かつ前記画素領域を被覆し、前記第3金属層は、前記共通電極層に設けられ、かつ前記共通電極層に接触する。
【発明の効果】
【0017】
本願によれば、アレイ基板及びその製造方法が提供される。そして、スリットを有するハーフトーンマスク板を用いて第3金属層及び共通電極層に対してフォトリソグラフィプロセスを行うことにより、共通電極層の孔掘り領域に対してフォトマスクによる光学補正を追加し、共通電極のビアホールの縁部のフォトレジスト形態を最適化し、ビアホールの縁部のフォトレジストの厚さを減少させ、かつ共通電極が小さいビアホールの縁部(安全距離)を有するという条件下で、ビアホールの縁部のフォトレジストが堆積されて有機膜層のビアホール内に落下するリスクを低減するために十分な空間を提供することができ、る。従来の製造プロセスに要求される安全距離が非常に大きいため、必要な空間が大きくなり、それにより開口領域の面積を減少させ、透過率を低下させ、液晶ディスプレイの消費電力を増加させ、表示効果を低下させるという技術的課題を効果的に解決することができる。また、第3金属層の設計により、共通電極の抵抗を減少させることができ、かつゲート線とデータ線の信号妨害の、共通電極で構成されたコンデンサに対する結合作用を効果的に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
実施例又は従来の技術における技術手段をより明らかに説明するために、以下、実施例又は従来の技術の記載に使用される図面を簡単に説明し、明らかに、以下の記載における図面は、本願のいくつかの実施例に過ぎず、当業者であれば、創造的な労力を要することなく、これらの図面に基づいて他の図面を得ることができる。
【0019】
【
図1】従来の画素電極と共通電極の概略構成図である。
【
図2】本願の実施例に係るアレイ基板の概略構成断面図である。
【
図3】本願の実施例に係るアレイ基板の製造方法のフローチャートである。
【
図4】本願の実施例に係るアレイ基板の製造方法の各ステップで製造された膜層の概略構成図である。
【
図5】本願の実施例に係るアレイ基板の製造方法の各ステップで製造された膜層の概略構成図である。
【
図6】本願の実施例に係るアレイ基板の製造方法の各ステップで製造された膜層の概略構成図である。
【
図7】本願の実施例に係るアレイ基板の製造方法の各ステップで製造された膜層の概略構成図である。
【
図8】本願の実施例に係るアレイ基板の製造方法の各ステップで製造された膜層の概略構成図である。
【
図9】本願の実施例に係るアレイ基板の製造方法の各ステップで製造された膜層の概略構成図である。
【
図10】本願の実施例に係るアレイ基板の製造方法の各ステップで製造された膜層の概略構成図である。
【
図11A】本願の共通電極を製造する概略構成図である。
【
図11B】本願の共通電極を製造する概略構成平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下の各実施例の説明は、添付図面を参照し、本願の実施され得る特定の実施例を例示するために用いられる。本願に言及される方向用語、例えば、[上]、[下]、[前]、[後]、[左]、[右]、[内]、[外]、[側面]などは、単に添付図面の方向を参照する。したがって、使用される方向用語は、本願を説明し理解するためのものであり、本願を限定するものではない。図において、構造が類似するユニットは、同じ参照番号で示される。図面において、理解の明確さ及び記載の便宜のために、いくつかの層及び領域の厚さを誇張して示す。すなわち、図面に示される各コンポーネントの寸法及び厚さは、任意に示されるが、本願はこれらに限定されない。
【0021】
本願によれば、液晶表示パネル用のアレイ基板及びその製造方法が提供される。特に、本願のアレイ基板は、共通電極と画素電極が共に水平電界を形成して液晶偏向端とする液晶表示パネルに基づくものである。
【0022】
図2は、本願の実施例に係るアレイ基板1の概略構成断面図である。
図2に示すように、本願のアレイ基板1は、基板10と、基板10に下から上へ順に積層して設けられた第1金属層11、ゲート絶縁層12、活性層20、第2金属層21、第3金属層31、第1不動態化層13、有機膜層14、ブロック状の共通電極152、第2不動態化層16及び画素電極層17とを含む。具体的には、この実施例において、第1金属層11は、ゲート111及び第1金属配線112を含み、第2金属層21は、ソース211、第2金属配線212及びドレイン213を含む。一般的な薄膜トランジスタ構造と同様に、薄膜トランジスタTは、本願のゲート111、ゲート絶縁層12、活性層20、ソース211及びドレイン213で構成され、かつ第2金属配線212は、データ線を含み、第1金属配線112は、ゲート線を含む。データ線とゲート線との間には、画素領域(すなわち表示領域)が定義される。
【0023】
図2に示すように、有機膜層14は、第1不動態化層13に設けられ、かつ薄膜トランジスタTの上方に位置する第1ビアホール140を含む。共通電極152は、有機膜層14に設けられ、上記画素領域を被覆し、かつ第2ビアホール150及び第2ビアホール150を囲む緩勾配壁151を含む。第2ビアホール150は、第1ビアホール140に連通し、緩勾配壁151の底縁と第1ビアホール140の頂縁との間に間隔D1を有する。第2不動態化層16は、共通電極152及び有機膜層14を被覆し、かつ第2ビアホール150に連通する第3ビアホール160と、一部の共通電極152を露出させる貫通孔162とを含む。なお、第1ビアホール140、第2ビアホール150及び第3ビアホール160によって第1連通孔101が定義される。上記第1連通孔101は、第1不動態化層13まで延在し、かつ一部の第1不動態化層13を貫通することにより、一部の上記薄膜トランジスタTを露出させる。
【0024】
本願の実施例において、画素電極層17は、互いに離間して設けられた複数の画素電極171を含み、かつ第1連通孔101により第2金属層21のドレイン213に接触し、貫通孔162により共通電極152に接続される。
図2に示すように、画素電極層17、上記共通電極152は、ブロック状であり、上記画素電極171及び上記共通電極152は、いずれも透明である。本願の画素電極171は、共通電極152と同じ側に位置することにより、共に水平電界を形成して液晶を偏向させて、表示機能を実現する。
【0025】
続いて
図2に示すように、本願において、共通電極層15に第3金属層31が設けられ、かつ画素電極171を介して第2連通孔102により第2金属配線212のデータ線及び第1金属配線112のゲート線に電気的に接続される。第3金属層31と共通電極152が直接的に重ね継ぎるため、両者で構成された構造で生じる抵抗は、共通電極層のみで生じる抵抗より遥かに小さく、それによりゲート線とデータ線の信号干渉の、共通電極で構成されたコンデンサに対する結合作用を効果的に低減することができる。上記本願の実施例に係るアレイ基板1の製造方法及び細部構造について後述する。
【0026】
本願の実施例によれば、アレイ基板の製造方法、すなわち、上記実施例に係るアレイ基板1を製造するための方法がさらに提供される。
【0027】
図3及び
図4~
図10を参照されたい。
図3は、本願の実施例に係るアレイ基板1の製造方法のフローチャートであり、
図4~
図10は、本願の実施例に係るアレイ基板の製造方法の各ステップで製造された膜層の概略構成図である。
図3に示すように、本願のアレイ基板1の製造方法は、ステップS10~ステップS90を含む。なお、ステップS10の前に、上記薄膜トランジスタTを形成するステップをさらに含む。
【0028】
薄膜トランジスタTを形成するステップに対応する膜層構造は、
図4~
図7に示すとおりである。
【0029】
図4に示すように、基板10に、ゲート111及び第1金属配線112を含む第1金属層11を形成する。具体的には、物理気相成長(physical vapor deposition、PVD)プロセスを用いて基板10に第1金属層11を堆積し、フォトリソグラフィプロセス及びウェットエッチングプロセスにより第1金属層11をパターン化することにより、ゲート111とゲート線を含む第1金属配線112とを形成する。なお、上記フォトリソグラフィプロセスは、フォトレジスト塗布、プリベーク、マスク板を用いる露光、現像、ポストベーク、エッチング、フォトレジスト剥離などの工程を含む。上記ウェットエッチングプロセスは、一般的なウェットエッチングのフローと同じであり、ここでは詳しく説明しない。また、基板10の材料は、ガラス又は透明プラスチックなどの材料であってもよく、好ましくはガラスである。
【0030】
図5に示すように、基板10及び第1金属層11にゲート絶縁層12を堆積する。具体的には、化学気相成長(chemical vapor deposition、CVD)プロセスを用いて、窒化ケイ素又は酸化ケイ素で製造されるゲート絶縁層12を堆積する。
【0031】
続いて
図5に示すように、ゲート絶縁層12にゲート111の上方に位置する活性層20を形成する。具体的には、PVDプロセスによりインジウムガリウム亜鉛酸化物(indium gallium zinc oxide、IGZO)を堆積して活性層20とする。この実施例において、活性層20の材料は、IGZO、インジウム亜鉛スズ酸化物(indium zinc tin oxide、IZTO)又はインジウムガリウム亜鉛スズ酸化物(indium gallium zinc tin oxide、IGZTO)の金属酸化物半導体であってもよく、好ましくはIGZOである。フォトリソグラフィプロセス及びウェットエッチングプロセスにより活性層20を形成する。
【0032】
図6に示すように、フォトリソグラフィプロセスを用いてゲート絶縁層12にコンタクトホール120を形成することにより、第1金属配線112(すなわちゲート線)を露出させる。具体的には、ドライエッチングによりゲート絶縁層12をパターン化することにより、コンタクトホール120を形成する。
【0033】
図7に示すように、活性層20及びゲート絶縁層12に第2金属層21を堆積する。具体的には、PVDプロセスにより第2金属層21を堆積する。また、ウェットエッチングプロセスを用いて第2金属層21にソース211と、ドレイン213と、データ線を含み、かつコンタクトホール120により第1金属配線112(すなわちゲート線)に接続される第2金属配線212とを形成する。それにより、本願の薄膜トランジスタTの製造を完了する。なお、データ線とゲート線との間には、画素領域(すなわち表示領域)が定義される。
【0034】
図8は、本願の製造方法のステップS10で製造された膜層構造である。
図8に示すように、ステップS10では、基板に第1不動態化層を堆積することにより、薄膜トランジスタを被覆する。具体的には、前述の薄膜トランジスタTを有する膜層構造に窒化物(窒化ケイ素等)、酸化物(酸化ケイ素、二酸化ケイ素)の材料をCVDプロセスにより堆積して第1不動態化層13とする。
【0035】
ステップS20では、第1不動態化層に有機膜層を堆積する。具体的には、有機膜層14の材料は、ポリフルオロアルコキシ(Polyfluoroalkoxy、PFA)であってもよい。下の膜の表面の平坦性をさらに変更して、平坦化を実現し、かつ電界が互いに干渉することを防止することができる。
【0036】
ステップS30では、フォトリソグラフィプロセスを用いて有機膜層をパターン化することにより、薄膜トランジスタの上方に対応する第1ビアホールを形成する。
図8に示すように、有機膜層14がパターン化された後に、薄膜トランジスタTの直上に位置する第1ビアホール140と、第2金属配線212(すなわちデータ線)の上方に形成され、すなわち、第1金属配線112(ゲート線)の上方に位置する第1相対ビアホール140aとを形成する。
【0037】
ステップS40では、有機膜層に共通電極層を堆積する。具体的には、
図8に示すように、まず、インジウムスズ酸化物(Indium Tin Oxide、ITO)で製造されてもよい共通電極層15をPVDにより堆積し、次に、銅で製造されてもよい第3金属層31をPVDにより堆積し、共通電極層15は上記画素領域を被覆する。
【0038】
ステップS50では、ハーフトーンマスク板を用いて上記共通電極層に対してフォトリソグラフィプロセスを行うことにより、共通電極及び上記第1ビアホールに対応する第2ビアホールを形成し、上記共通電極の上記第2ビアホールに隣接する箇所に緩勾配壁が形成され、上記ハーフトーンマスク板は、上記第2ビアホールに対応する少なくとも1つの孔形成領域と、上記孔形成領域を囲んで離間して設けられ、上記緩勾配壁に対応する少なくとも1つのスリットとを含み、上記緩勾配壁の底縁と上記第1ビアホールの頂縁との間に間隔を有する。
【0039】
図9、
図11A及び
図11Bを参照されたい。
図11Aは、本願の共通電極を製造する概略構成図である。
図11Bは、本願の共通電極を製造する概略構成平面図である。
図11Aに示すように、本願において、ハーフトーンマスク板4を用いて共通電極層15及び第3金属層31に対して複数のフォトリソグラフィプロセスを行うことにより、共通電極層15及び第3金属層31をパターン化して、共通電極152及びパターン化された第3金属層31を形成する。
図11Aに示すように、ハーフトーンマスク板4は、有機膜層14に被覆されたフォトレジスト層40に対して露光現像を行うために用いられる。この実施例において、ハーフトーンマスク板4は、膜形成領域41と、孔形成領域42と、上記孔形成領域42を囲んで離間して設けられた少なくとも1つのスリット43とを含む。なお、ハーフトーンマスク板4の膜形成領域41は、共通電極152を形成するために用いられ、孔形成領域42は、第2ビアホール150を形成するために用いられ、スリット43は、第2ビアホール150を囲む緩勾配壁151を形成するために用いられる。
図11Bに示すように、共通電極層15の第2ビアホール150の周囲上方は、スリット43に対応する。本願のスリット43は、ハーフトーンマスク板の縁部の弱遮光テープとして、ビアホールの縁部に近接するフォトレジストの厚さを減少させる。
【0040】
さらに、ハーフトーンマスク板4のスリット43により、一部の光がスリット43を透過し、その下方の膜層との界面で反射するため、従来の技術における、スリットを備えないマスク板によりビアホールの勾配が急である場合とは異なり、本願の共通電極層15及び第3金属層31に塗布されたフォトレジスト層40は、対応する第1ビアホール140の周囲に、勾配が緩やかであるビアホールを形成する。
【0041】
具体的には、ステップS50のフォトリソグラフィプロセスは、以下を含む。共通電極層15及び第3金属層31にフォトレジスト層40を塗布し、かつ露光現像を行い、このとき、第3金属層31は、ハーフトーンマスク板の非透光領域(すなわち膜形成領域)に対応し、共通電極層15は、ハーフトーンマスク板の半透光領域(すなわち膜形成領域)に対応し、共通電極層15の孔掘り領域及び上記表示領域(すなわち画素領域)の周辺は、ハーフトーンマスク板の透光領域(すなわち孔形成領域)に対応する。次に、一回目のエッチングを行って、上記表示領域の周辺及び共通電極層15の孔掘り領域に対応する第3金属層31をエッチングし、続いて、アッシングプロセスを行って、上記エッチング後に残されたフォトレジストをアッシングして除去し、そして、二回目のエッチングを行って、第3金属層31のパターンがない共通電極層15をエッチングすることにより、共通電極層15の第2ビアホール150を形成し、その後、三回目のエッチングを行って、半透光領域に対応する第3金属層31をエッチングし、半透光領域の下の共通電極パターンと、フォトレジストにより保護された第3金属層31及び第3金属層31の下方の共通電極152のパターンとを残し、最後に、第3金属層31上のフォトレジストを除去して、ステップS50のフォトリソグラフィプロセスを完了する。また、第2ビアホール150を製造するプロセスにおいて、第1相対ビアホール140aに対応する上方に、第1相対ビアホール140aに連通する第2相対ビアホール150aを同時に形成する(
図9に示す)。
【0042】
上記ステップにより、共通電極層15の緩勾配壁151の底縁と第1ビアホール140の頂縁との間の間隔は、2.5μmより小さく、第2ビアホール150の基板10への正投影は、第1ビアホール140の基板10への正投影より大きく、かつ第1ビアホール140の基板10への正投影を被覆する(
図2に示す)。換言すれば、本願において、スリットを有するハーフトーンマスク板を用いて第3金属層31及び共通電極層15に対してフォトリソグラフィプロセスを行い、すなわち、共通電極層15の孔掘り領域に対してフォトマスクによる光学補正を追加することにより、共通電極の第3ビアホールの縁部のフォトレジスト形態を最適化し、ビアホールの縁部のフォトレジストの厚さを減少させ、ビアホールの縁部のフォトレジストが堆積されて有機膜層のビアホール内に落下するリスクを低減する。
【0043】
ステップS60では、第2不動態化層を堆積し、かつ第1ビアホール、上記有機膜層及び上記共通電極層を被覆する。具体的には、
図10に示すように、材料が窒化ケイ素であってもよい第2不動態化層16をCVDプロセスにより基板10に堆積する。
【0044】
ステップS70では、フォトリソグラフィプロセスを用いて上記第2不動態化層をパターン化することにより、第3ビアホール及び貫通孔を形成する。具体的には、
図10に示すように、貫通孔162は、一部の共通電極152を露出させる。第1ビアホール140、第2ビアホール150及び第3ビアホール160によって第1連通孔101が定義され、上記第1連通孔101は、第1不動態化層13まで延在し、かつ一部の第1不動態化層13を貫通することにより、上記薄膜トランジスタTのドレイン213を露出させる。また、第3ビアホール160を形成するプロセスにおいて、第2不動態化層16に第2相対ビアホール150aに対応する第3相対ビアホール160aを同時に形成する。
図10に示すように、第1相対ビアホール140a、第2相対ビアホール150a及び第3相対ビアホール160aによって第2連通孔102が形成される。
【0045】
また、製造された第2不動態化層16は、被覆壁161をさらに含む。上記被覆壁161は、第1連通孔101に沿って設けられ、かつ上から下へ第1ビアホール140の底部へ傾斜することにより、上記第1ビアホール140の孔壁及び上記第2ビアホール150の緩勾配壁151を被覆する。
【0046】
ステップS80では、上記第2不動態化層に画素電極層を堆積する。
【0047】
ステップS90では、フォトリソグラフィプロセスを用いて上記画素電極層をパターン化することにより、上記第1連通孔により上記薄膜トランジスタのソースに接続される画素電極を形成する。具体的には、
図2に示すように、基板10に画素電極層17をPVDプロセスにより堆積し、パターン化することにより、画素電極171を形成する。
図2に示すように、画素電極171は、第1連通孔101により薄膜トランジスタTのドレイン213に接続され、かつ上記貫通孔162により共通電極152に接続される。
【0048】
続いて
図2に示すように、第2連通孔102は、第2不動態化層16、共通電極層15、有機膜層14及び一部の上記第1不動態化層13を貫通することにより、上記第2金属配線212を露出させ、上記画素電極171は、上記第2連通孔102により第2金属層21の第2金属配線212(すなわちデータ線)及び第1金属層11の第1金属配線112(すなわちゲート線)に接続される。
【0049】
以上より、本願によれば、アレイ基板及びその製造方法が提供される。そして、スリットを有するハーフトーンマスク板を用いて第3金属層及び共通電極層に対してフォトリソグラフィプロセスを行うことにより、共通電極層の孔掘り領域に対してフォトマスクによる光学補正を追加し、共通電極のビアホールの縁部のフォトレジスト形態を最適化し、ビアホールの縁部のフォトレジストの厚さを減少させ、かつ共通電極が小さいビアホールの縁部(安全距離)を有するという条件下で、ビアホールの縁部のフォトレジストが堆積されて有機膜層のビアホール内に落下するリスクを低減するために十分な空間を提供することができ、従来の製造プロセスに要求される安全距離が非常に大きいため、必要な空間が大きくなり、それにより開口領域の面積を減少させ、透過率を低下させ、液晶ディスプレイの消費電力を増加させ、表示効果を低下させるという技術的課題を効果的に解決することができる。また、第3金属層の設計により、共通電極の抵抗を減少させることができ、かつゲート線とデータ線の信号妨害の、共通電極で構成されたコンデンサに対する結合作用を効果的に低減することができる。
【0050】
上記実施例において、各実施例の記載についてそれぞれ重点が置かれ、ある実施例で詳しく説明していない部分について、他の実施例の関連記載を参照されたい。
【0051】
以上、本願の実施例について詳細に説明し、本明細書において具体例を用いて本願の原理及び実施形態を解説したが、以上の実施例の説明は、本願の技術手段及びその主旨の理解を助けるためのものに過ぎず、当業者であれば理解すべきこととして、依然として、前述の各実施例に記載の技術手段を修正するか、又はその技術的特徴の一部に同等置換を行うことができ、これらの修正や置換によって、対応する技術手段の本質は、本願の各実施例の技術手段の範囲から逸脱することはない。
【国際調査報告】