(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-18
(54)【発明の名称】高純度テレフタル酸装置の脱水塔の水質を改良するためのシステム及びその方法
(51)【国際特許分類】
C02F 1/04 20230101AFI20240111BHJP
B01D 3/14 20060101ALI20240111BHJP
B01D 5/00 20060101ALI20240111BHJP
【FI】
C02F1/04 D
B01D3/14 Z
B01D5/00 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022544421
(86)(22)【出願日】2022-05-16
(85)【翻訳文提出日】2022-07-20
(86)【国際出願番号】 CN2022092909
(87)【国際公開番号】W WO2023103283
(87)【国際公開日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】202111483557.1
(32)【優先日】2021-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522290592
【氏名又は名称】テンファ インスティチュート オブ ケミカル マシナリィ アンド オートメーション カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】TIANHUA INSTITUTE OF CHEMICAL MACHINERY AND AUTOMATION CO.,LTD
【住所又は居所原語表記】3 North Heshui Road, Xigu, Lanzhou, Gansu 730060, CN
(74)【代理人】
【識別番号】100125265
【氏名又は名称】貝塚 亮平
(72)【発明者】
【氏名】ザオウ シュ
(72)【発明者】
【氏名】タン ヨンパエン
(72)【発明者】
【氏名】ガウ ヤエン
(72)【発明者】
【氏名】マ カイシュアン
(72)【発明者】
【氏名】ザアン イパエン
(72)【発明者】
【氏名】ルー ユアンルイ
(72)【発明者】
【氏名】ザアイ シャンナン
(72)【発明者】
【氏名】ヂョー タウ
(72)【発明者】
【氏名】シェ シャウリン
【テーマコード(参考)】
4D034
4D076
【Fターム(参考)】
4D034AA26
4D034BA01
4D034CA14
4D076BB03
4D076BC21
4D076CB02
4D076CD22
4D076DA02
4D076FA02
4D076FA12
4D076FA33
(57)【要約】
高純度テレフタル酸装置の脱水塔の水質を改良するためのシステム及びその方法であって、従来技術の問題を解決するために、本発明は高純度テレフタル酸装置の脱水塔の水質を改良するためのシステムを提供し、前記システムは、脱水洗浄装置と、前記脱水洗浄装置の頂部と連通する排気ガス凝縮装置と、前記排気ガス凝縮装置と連通する水分離装置とを含み、本発明の有益な効果は以下のとおりであり、1)エネルギー消費を削減し、経済的利益が大きくなり、2)排気ガス凝縮装置は、加熱媒体として第Nm段の凝縮器によって生成された約0.05Mpaの低圧蒸気を加熱媒体として使用し、3)水分離塔は塔式の多重効用蒸発式水分離塔であり、作動媒体は水と低圧蒸気であり、その過程において有機相が含まれておらず、反応が安定し、本質的に安全であり、4)水分離塔の水は精製水と濃縮水であり、精製水は脱水塔の頂部に戻り、濃縮水は母液と混合された後に脱水塔に入り、脱水塔の効率を向上させ、水質を改良する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高純度テレフタル酸装置の脱水塔の水質を改良するためのシステムであって、脱水洗浄装置と、前記脱水洗浄装置の頂部と連通する排気ガス凝縮装置と、前記排気ガス凝縮装置と連通する水分離装置とを含み、
前記脱水洗浄装置は、装置の頂部に位置する第1段精製水洗浄ユニット、装置の中部に位置する第2段濃縮水洗浄ユニット、及び/又は装置の下部に位置する第3段精製母液洗浄ユニットを含み、
前記排気ガス凝縮装置に、該システム内の酸化排気ガス凝縮器が初めて熱交換した後に得られた第1復水を盛るための第1高温復水ドラムと、二回目に熱交換した後に得られた第2復水を盛るための第2復水ドラムと、蒸気を導出するための第2蒸気通路とが接続され、
前記水分離装置は、前記第2復水を精製して分離させる多重効用蒸発ユニットと、分離して精製した後の精製水出口と、濃縮水出口とを含み、前記精製水出口は精製水管路を介して前記第1段精製水洗浄ユニットと連通し、前記第2復水ドラムは第2復水管路を介して一次効用蒸発ユニットの底部と連通して復水を分離させ、前記第2蒸気通路は第2蒸気管路を介して一次効用蒸発ユニット内に伸びて復水を分離させて熱交換用熱源を提供し、及び/又は前記濃縮水出口は濃縮水管路を介して前記第2段濃縮水洗浄ユニットと連通し、及び/又は前記精製水管路に精製水熱交換器が設けられ、前記第1高温復水ドラムは高温復水管路を介して前記精製水熱交換器を通して熱交換を行い、前記濃縮水管路に濃縮水熱交換器が設けられ、前記第1高温復水ドラムは第2高温復水管路を介して前記濃縮水熱交換器を通して熱交換を行うことを特徴とする、システム。
【請求項2】
前記排気ガス凝縮装置は、順次連通した1段以上の酸化排気ガス凝縮器で構成された第1酸化排気ガス凝縮システムと、第1酸化排気ガス凝縮システムの次の工程に位置する、順次連通した1段以上の酸化排気ガス凝縮器で構成された第2酸化排気ガス凝縮システムとを含み、前記第1酸化排気ガス凝縮システム内の各段の酸化排気ガス凝縮器はいずれも該システム内の酸化排気ガス凝縮器が熱交換した後に得られた第1復水を盛るための第1高温復水ドラムと連通し、前記第2酸化排気ガス凝縮システムの各段の酸化排気ガス凝縮器はいずれも該システム内の酸化排気ガス凝縮器が熱交換した後に得られた第2復水を盛るための第2復水ドラム及び蒸気を導出するための第2蒸気通路と連通することを特徴とする、請求項1に記載の高純度テレフタル酸装置の脱水塔の水質を改良するためのシステム。
【請求項3】
前記脱水洗浄装置は脱水洗浄塔であり、前記脱水洗浄塔の底部はPTA酸化反応器と連通し、洗浄後の濃い反応液は酸化反応器に戻って反応し続けることを特徴とする、請求項1に記載の高純度テレフタル酸装置の脱水塔の水質を改良するためのシステム。
【請求項4】
前記第1段精製水洗浄ユニット、第2段濃縮水洗浄ユニット及び第3段精製母液洗浄ユニットにノズルがそれぞれ設けられるため、スプレーの手段で排気ガスを洗浄することを特徴とする、請求項1に記載の高純度テレフタル酸装置の脱水塔の水質を改良するためのシステム。
【請求項5】
前記第1酸化排気ガス凝縮システムは、1~4段の酸化排気ガス凝縮器を含み、及び/又は前記第2酸化排気ガス凝縮システムは、1~4段の酸化排気ガス凝縮器を含むことを特徴とする、請求項1に記載の高純度テレフタル酸装置の脱水塔の水質を改良するためのシステム。
【請求項6】
水分離装置は水分離塔であり、前記塔本体内に前記復水を精製するための蒸発ユニットが設けられ、前記蒸発ユニットの下方に最終効用凝縮ユニットが設けられ、前記最終効用凝縮ユニットの底部に真空ポンプが接続されることを特徴とする、請求項1に記載の高純度テレフタル酸装置の脱水塔の水質を改良するためのシステム。
【請求項7】
前記蒸発ユニットは、一次効用蒸発ユニットと二次効用蒸発ユニットとを含み、前記一次効用蒸発ユニットは第2復水入口と第1熱交換チャンバとを含み、前記第1熱交換チャンバの上方に、気相が次の効用蒸発ユニットに入るための第1蒸気通路及び液相が通過して次の効用蒸発ユニットに流れるための第1降液管が接続され、前記第1降液管の底部に第1ループ状装置が設けられ、前記二次効用蒸発ユニットは、第2熱交換チャンバを含み、前記第2熱交換チャンバの上方に、復水が熱交換した後に気相が通過するための第2蒸気通路及び液相が通過するための第2降液管が設けられ、前記第2降液管の底部に第2ループ状装置が設けられ、前記第2熱交換チャンバの下方に、熱交換した後に復水が次の効用装置に流れるための第1復水通路が設けられ、前記第1復水通路の底部に第1U字管が設けられ、前記第1ループ状装置は第2熱交換チャンバと第2ミスト除去器との間に位置することを特徴とする、請求項6に記載の高純度テレフタル酸装置の脱水塔の水質を改良するためのシステム。
【請求項8】
1)反応排気ガスは酸化反応器の底部から排出された後、第3段精製母液洗浄ユニットの下方に入り、反応した排気ガスは、上昇過程において、まず、第3段精製母液洗浄ユニットを介して精製母液でスプレーして洗浄し、次に、第2段濃縮水洗浄ユニットを介して濃縮水でスプレーして洗浄し、最後に、第1段精製水洗浄ユニットを介して精製水でスプレーして洗浄するステップと、
2)脱水塔で洗浄した反応排気ガスは、排気ガス凝縮装置の頂部から排出された後、まず、第1段酸化排気ガス凝縮器に入り、次に、後の他の酸化排気ガス凝縮器に順次入って熱交換して冷却し、一部の排気ガスは復水、第1復水に変わり、各段の酸化排気ガス凝縮器で生成された第1復水は管路を介して第1高温復水ドラムに流れ、第1酸化排気ガス凝縮システムで凝縮した後、反応排気ガスは、次に、第2酸化排気ガス凝縮システムに入って凝縮し続け、第2酸化排気ガス凝縮システムの凝縮処理によって第2復水を形成し、続いて、管路を介して第2復水ドラム中に入り、凝縮しない第2蒸気を上向きに排出するステップと、
3)第2復水は水分離塔内に入って持続的に分離させて精製するについて、底部に位置する真空ポンプを開け、第2復水は第2復水入口から第1熱交換チャンバに入り、蒸発に備え、第2蒸気は第2蒸気管路から第1熱交換チャンバ内の管路に入り、第1熱交換チャンバ内に、第2蒸気と第2復水は熱交換を行い、第2復水の一部は揮発して上向きにして第1蒸気通路に入り、第1蒸気通路を介して二次効用蒸発ユニット内の管路に入る蒸気は熱源として第1降液管から流れ出した復水と熱交換し、蒸気の熱量は復水へ流れ、最後に、蒸気が冷却して第1復水通路から流れ出し、その一部は第1U字管内に集まり、底部の精製水貯蔵領域に流れ、また、蒸発しない部分は第1降液管に入り、次の効用蒸発ユニットに入って蒸発し続け、又は第1ループ状装置に留まるステップと、
4)分離した後、精製水は精製水出口から管路を介して排出され、精製水熱交換器を通す場合、第1高温復水と熱交換し、精製水の温度が上昇し、その後、第1段精製水洗浄ユニットの洗浄液として反応排気ガスをスプレーし、濃縮水は濃縮水出口から管路を介して排出され、濃縮水熱交換器を通す場合、第1段濃縮水洗浄ユニットの洗浄液として反応排気ガスをスプレーして洗浄するステップとを含むことを特徴とする、請求項1に記載の高純度テレフタル酸装置の脱水塔の水質を改良するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高純度テレフタル酸装置の脱水塔の水質を改良するための方法に関し、より具体的にはPTA工業生産過程における酸化排気ガス復水を精製及び利用するシステム並びにその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
PTA(高純度テレフタル酸)の調製及び生産過程において、排気ガス復水を精製し、排気ガス復水の精製は現在、一般的に抽出方法を使用し、即ち、中圧蒸気でPTA精製ユニットの精製母液(復水)を加熱した後、抽出剤パラキシリレン(英語の略語がPX、以下PXと呼ばれる)と共に抽出塔に加えて抽出し、抽出剤PXによって元の溶剤中の溶質(酢酸、PT酸などの有機部)をPX中に抽出してPX抽出相を形成し、そのうち、PX抽出相は酸化反応器に戻って反応し続け、ラフィネート相(元の溶剤中の酢酸、PT酸などの有機部の分離が完了した後の精製母液)にとって、従来の脱水塔によって精留過程を完了させ、水と酢酸の交換を実現し、酢酸蒸気は酢酸の復水として凝縮し、脱水塔の底部から反応器に戻って反応し続け、水は気化して水蒸気になり、酸化排気ガスは脱水塔の頂部から凝縮器に排出されて熱回収され、水蒸気は、他の目的のために復水に凝縮される。しかし、上記方法はいくつかの問題があり、1.上記技術はPX抽出技術を用い、抽出フローが複雑で、システムが巨大で、コストが高く、2.精製母液は元の溶液として、抽出過程において、抽出塔を塞ぐことを防止するために、母液を加熱する必要があり、加熱は3.5~4.5MPa(G)の中圧蒸気が必要であり、蒸気の消費が非常に高く、且つこの中圧蒸気は外界から供給される必要があり、装置のエネルギー消費と動作コストは大幅に増加し、3.抽出過程は、PX有機相と水相の物質移動過程であり、有機相が存在するため、システムの安全要件は水相よりも高く、建設費が増加する。
【発明の概要】
【0003】
本発明の目的は、高純度テレフタル酸装置の脱水塔の水質を改良するためのシステム及びその方法を提供することであり、該システム及びその対応する方法により、精製又は富化効果を果たす。
【0004】
高純度テレフタル酸装置の脱水塔の水質を改良するためのシステムは、脱水洗浄装置と、前記脱水洗浄装置の頂部と連通する排気ガス凝縮装置と、前記排気ガス凝縮装置と連通する水分離装置とを含み、
【0005】
前記脱水洗浄装置は、装置の頂部に位置する第1段精製水洗浄ユニット、装置の中部に位置する第2段濃縮水洗浄ユニット、及び/又は装置の下部に位置する第3段精製母液洗浄ユニットを含み、
【0006】
前記排気ガス凝縮装置に、該システム内の酸化排気ガス凝縮器が初めて熱交換した後に得られた第1復水を盛るための第1高温復水ドラムと、二回目に熱交換した後に得られた第2復水を盛るための第2復水ドラムと、蒸気を導出するための第2蒸気通路とが接続され、
【0007】
具体的には、前記排気ガス凝縮装置は、順次連通した1段以上の酸化排気ガス凝縮器で構成された第1酸化排気ガス凝縮システムと、第1酸化排気ガス凝縮システムの次の工程に位置する、順次連通した1段以上の酸化排気ガス凝縮器で構成された第2酸化排気ガス凝縮システムとを含み、前記第1酸化排気ガス凝縮システム内の各段の酸化排気ガス凝縮器はいずれも該システム内の酸化排気ガス凝縮器が熱交換した後に得られた第1復水を盛るための第1高温復水ドラムと連通し、前記第2酸化排気ガス凝縮システムの各段の酸化排気ガス凝縮器はいずれも該システム内の酸化排気ガス凝縮器が熱交換した後に得られた第2復水を盛るための第2復水ドラム及び蒸気を導出するための第2蒸気通路と連通し、そのうち、テールに設けられた酸化排気ガス凝縮器に排気ガス排出口が設けられ、
【0008】
前記水分離装置は、前記第2復水を精製して分離させる多重効用蒸発ユニットと、分離して精製した後の精製水出口と、濃縮水出口とを含み、前記精製水出口は精製水管路を介して前記第1段精製水洗浄ユニットと連通し、前記第2復水ドラムは第2復水管路を介して一次効用蒸発ユニットの底部と連通して復水を分離させ、前記第2蒸気通路は第2蒸気管路を介して一次効用蒸発ユニット内に伸びて復水を分離させて熱交換用熱源を提供し、前記濃縮水出口は濃縮水管路を介して前記第2段濃縮水洗浄ユニットと連通し、前記精製水管路に精製水熱交換器が設けられ、前記第1高温復水ドラムは高温復水管路を介して前記精製水熱交換器を通して熱交換を行い、前記濃縮水管路に濃縮水熱交換器が設けられ、前記第1高温復水ドラムは第2高温復水管路を介して前記濃縮水熱交換器を通して熱交換を行う。
【0009】
更に、前記脱水洗浄装置は脱水洗浄塔であり、前記脱水洗浄塔の底部はPTA酸化反応器と連通し、洗浄後の濃い反応液は酸化反応器に戻って反応し続け、そのうち、循環ポンプを用いることができる。
【0010】
更に、前記第1段精製水洗浄ユニット、第2段濃縮水洗浄ユニット及び第3段精製母液洗浄ユニットにノズルがそれぞれ設けられるため、スプレーの手段で排気ガスを洗浄する。
【0011】
更に、前記第1酸化排気ガス凝縮システムは、1~4段の酸化排気ガス凝縮器を含み、好ましくは3段である。
【0012】
更に、前記第2酸化排気ガス凝縮システムは、1~4段の酸化排気ガス凝縮器を含み、好ましくは3段である。
【0013】
更に、水分離装置は水分離塔であり、前記塔本体内に前記復水を精製するための蒸発ユニットが設けられ、前記蒸発ユニットの下方に最終効用凝縮ユニットが設けられ、前記最終効用凝縮ユニットの底部に真空ポンプが接続される。前記水分離塔は、降下膜蒸発の水分離塔であってもよく、上昇膜蒸発の水分離塔であってもよい。
【0014】
好ましくは、前記蒸発ユニットは、一次効用蒸発ユニットと二次効用蒸発ユニットとを含み、前記一次効用蒸発ユニットは第2復水入口と第1熱交換チャンバとを含み、前記第1熱交換チャンバの上方に、気相が次の効用蒸発ユニットに入るための第1蒸気通路及び液相が通過して次の効用蒸発ユニットに流れるための第1降液管が接続され、前記第1降液管の底部に第1ループ状装置が設けられ、前記二次効用蒸発ユニットは、第2熱交換チャンバを含み、前記第2熱交換チャンバの上方に、復水が熱交換した後に気相が通過するための第2蒸気通路及び液相が通過するための第2降液管が設けられ、前記第2降液管の底部に第2ループ状装置が設けられ、前記第2熱交換チャンバの下方に、熱交換した後に復水が次の効用部材に流れるための第1復水通路が設けられ、前記第1復水通路の底部に第1U字管が設けられ、前記第1ループ状装置は第2熱交換チャンバと第2ミスト除去器との間に位置する。
【0015】
高純度テレフタル酸装置の脱水塔の水質を改良するための方法は、
【0016】
1)反応排気ガスは酸化反応器の底部から排出された後、第3段精製母液洗浄ユニットの下方に入り、反応した排気ガスは、上昇過程において、まず、第3段精製母液洗浄ユニットを介して精製母液でスプレーして洗浄し、次に、第2段濃縮水洗浄ユニットを介して濃縮水でスプレーして洗浄し、最後に、第1段精製水洗浄ユニットを介して精製水でスプレーして洗浄するステップと、
【0017】
2)脱水塔で洗浄した反応排気ガスは、排気ガス凝縮装置の頂部から排出された後、まず、第1段酸化排気ガス凝縮器に入り、次に、後の他の酸化排気ガス凝縮器に順次入って熱交換して冷却し、一部の排気ガスは復水、第1復水に変わり、各段の酸化排気ガス凝縮器で生成された第1復水は管路を介して第1高温復水ドラムに流れ、第1酸化排気ガス凝縮システムで凝縮した後、反応排気ガスは、次に、第2酸化排気ガス凝縮システムに入って凝縮し続け、第1酸化排気ガス凝縮システムの凝縮処理によって第2復水を形成し、続いて、管路を介して第2復水ドラム中に入り、凝縮しない第2蒸気を上向きに排出するステップと、
【0018】
3)第2復水は水分離塔内に入って持続的に分離させて精製するについて、底部に位置する真空ポンプを開け、第2復水は第2復水入口から第1熱交換チャンバに入り、蒸発に備え、第2蒸気は第2蒸気管路から第1熱交換チャンバ内の管路に入り、第1熱交換チャンバ内に、第2蒸気と第2復水は熱交換を行い、第2復水の一部は揮発して上向きにして第1蒸気通路に入り、第1蒸気通路を介して二次効用蒸発ユニット内の管路に入る蒸気は熱源として第1降液管から流れ出した復水と熱交換し、蒸気の熱量は復水へ流れ、最後に、蒸気が冷却して第1復水通路から流れ出し、その一部は第1U字管内に集まり、底部の精製水貯蔵領域に流れ、また、蒸発しない部分は第1降液管に入り、次の効用蒸発ユニットに入って蒸発し続け、又は第1ループ状装置に留まるステップと、
【0019】
4)分離した後、精製水は精製水出口から管路を介して排出され、精製水熱交換器を通す場合、第1高温復水と熱交換し、精製水の温度が上昇し、その後、第1段精製水洗浄ユニットの洗浄液として反応排気ガスをスプレーし、濃縮水は濃縮水出口から管路を介して排出され、濃縮水熱交換器を通す場合、第1段濃縮水洗浄ユニットの洗浄液として反応排気ガスをスプレーして洗浄するステップとを含む。
【0020】
本発明の有益な効果は以下のとおりである。1)本発明は、水分離塔技術を用いて抽出技術に代え、抽出に必要な中圧蒸気を節約し、製品1トンあたりの外部蒸気消費を0.2トン以上削減し、エネルギー消費を大幅に削減し、経済的利益が大きくなり、2)排気ガス凝縮装置は、第Nm段の凝縮器(第Ni+1段~第N段の凝縮器の1段以上)で生成された約0.05Mpa(G)の低圧蒸気を加熱媒体として使用するだけで、エアコンプレッサシステムのタービンに入った低品位蒸気を大幅に低減させ、エアコンプレッサ(1台4役のプラント)の負荷を軽減させる。エアコンプレッサのプラントは、設計と製造の難しさが低下し、製造コストが大幅に低下し、1台4役のプラント中の冷却源損失が低下し、循環冷却水の使用量が低下し、3)水分離塔は塔式の多重効用蒸発式水分離塔であり、作動媒体は水と低圧蒸気であり、その過程において有機相が含まれておらず、反応が安定し、本質的に安全であり、4)水分離塔の水は精製水と濃縮水であり、精製水は脱水塔の頂部に戻り、濃縮水は母液と混合された後に脱水塔に入り、脱水塔の効率を大幅に向上させ、水質を改良し、5)システムを簡素化し、投資が低い。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明のPTAショートフローの復水精製プロセスフローチャートである。
【
図2】本発明のPTAショートフローの復水精製プロセスフローブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下では、図面を参照しながら本発明を更に解釈及び説明する。
【0023】
図1に示すように、破線のボックスには、PTAを生産するための酸化反応器(01)があり、酢酸などを含む酸化反応器(01)にPTとエアを導入し、反応させて反応液を得て、反応溶液に対して、洗浄などの手順を行った後に反応物及び精製母液を得て、精製母液中には、酢酸、PT酸などの有機部が多く含まれるため、本発明によって提供された処理システムにおいて、精製母液を第3段精製母液洗浄ユニットのスプレー液として使用し、また、該反応は放熱反応であるため、反応過程において、大量の熱エネルギーを放出し、反応溶液の一部(反応排気ガス)は上向きにして管路から排出され、本発明の1つの目的は、反応排気ガスを富化した後に液体の形態に変更して改めて酸化反応器(01)中に戻すことである。
【0024】
高純度テレフタル酸装置の脱水塔の水質を改良するためのシステムは、脱水洗浄装置1と、前記脱水洗浄装置1の頂部と連通する排気ガス凝縮装置2と、前記排気ガス凝縮装置2と連通する水分離装置3とを含み、
【0025】
前記脱水洗浄装置1は、装置の頂部に位置する第1段精製水洗浄ユニット11、装置の中部に位置する第2段濃縮水洗浄ユニット12、及び/又は装置の下部に位置する第3段精製母液洗浄ユニット13を含み、各ユニットはいずれもスプレーの手段で洗浄し、
【0026】
反応排気ガスは酸化反応器(01)の底部から排出された後、脱水洗浄装置1内に導入され、導入口は第3段精製母液洗浄ユニット13の下方に位置し、反応した排気ガスは、上昇過程において、まず、第3段精製母液洗浄ユニット13を介して精製母液でスプレーして洗浄し、次に、第2段濃縮水洗浄ユニット12を介して濃縮水でスプレーして洗浄し、最後に、第1段精製水洗浄ユニット11を介して精製水でスプレーして洗浄し、三回スプレーして洗浄した後、反応排気ガス中の大部分の酢酸、PT酸などの有機部が脱水洗浄装置1の底部に集まり、該部分の富化液体は循環ポンプ14の作用で改めて酸化反応器(01)に戻り、反応し続け、少量の酢酸、PT酸などの有機部を含む洗浄後の反応排気ガスは、脱水洗浄装置1の頂部から排出され、次の工程に入って他の処理を行う。
【0027】
好ましくは、前記脱水洗浄装置1は脱水洗浄塔であり、前記脱水洗浄塔の底部はPTA酸化反応器と連通し、洗浄後の濃い反応液(大量の酢酸、PT酸などの有機部を含有する)は酸化反応器に戻って反応し続け、そのうち、循環ポンプ14を用いることができる。
【0028】
前記排気ガス凝縮装置2は、順次連通した1段以上の酸化排気ガス凝縮器で構成された第1酸化排気ガス凝縮システム21と、第1酸化排気ガス凝縮システム21の次の工程に位置する、順次連通した1段以上の酸化排気ガス凝縮器で構成された第2酸化排気ガス凝縮システム22とを含み、前記第1酸化排気ガス凝縮システム21内の各段の酸化排気ガス凝縮器はいずれも該システム内の酸化排気ガス凝縮器が熱交換した後に得られた第1復水を盛るための第1高温復水ドラム4と連通し、前記第2酸化排気ガス凝縮システム22の各段の酸化排気ガス凝縮器はいずれも該システム内の酸化排気ガス凝縮器が熱交換した後に得られた第2復水を盛るための第2復水ドラム5及び蒸気を導出するための第2蒸気通路と連通し、そのうち、テールに設けられた酸化排気ガス凝縮器に排気ガス排出口が設けられ、
【0029】
前記第1酸化排気ガス凝縮システム21は、1-N段の酸化排気ガス凝縮器を含み、好ましくは3段であり、
図1は、2段の酸化排気ガス凝縮器を示し、各段の酸化排気ガス凝縮器に冷水入口211及び温水出口212が設けられる。
【0030】
図1では、脱水塔で洗浄した反応排気ガスは、排気ガス凝縮装置2の頂部から排出された後、まず、第1段酸化排気ガス凝縮器に入り、次に、後の他の酸化排気ガス凝縮器に順次入り、これらの酸化排気ガス凝縮器を流れる過程において、冷水入口211から流れ込んだ冷水と熱交換し、その後、冷水の温度が上昇するが、酸化排気ガス凝縮器内の反応排気ガスの温度が低下し、その一部が復水、第1復水に変わり、各段の酸化排気ガス凝縮器で生成された第1復水は管路を介して第1高温復水ドラム4に流れ、第1酸化排気ガス凝縮システム21で凝縮した後、反応排気ガスは、次に、第2酸化排気ガス凝縮システム22に入って凝縮し続け、第1酸化排気ガス凝縮システム21の凝縮処理により、その反応排気ガスの温度が低下し、圧力が低下する。
【0031】
前記第2酸化排気ガス凝縮システム22は、1~4段の酸化排気ガス凝縮器を含み、好ましくは3段であり、
図1は、3段の酸化排気ガス凝縮器を示し、第2酸化排気ガス凝縮システム22中の各酸化排気ガス凝縮器は冷水の熱交換を使用せず、正常に流れる過程において、反応排気ガスの一部は正常に第2復水に凝縮し、次に、管路を介して第2復水ドラム5中に入り、凝縮しない反応排気ガス(第2蒸気)は上向きに排出される。
【0032】
前記水分離装置3は、前記第2復水を精製して分離させる多重効用蒸発ユニット(31、32、33…)と、分離して精製した後の精製水出口35と、濃縮水出口34とを含み、前記精製水出口35は精製水管路を介して前記第1段精製水洗浄ユニット11と連通し、前記第2復水ドラム5は第2復水管路を介して一次効用蒸発ユニットの底部と連通して復水を分離させ、前記第2蒸気通路は第2蒸気管路221を介して一次効用蒸発ユニット内に伸びて復水を分離させて熱交換用熱源を提供し、前記濃縮水出口34は濃縮水管路を介して前記第2段濃縮水洗浄ユニット12と連通し、前記精製水管路に精製水熱交換器352が設けられ、前記第1高温復水ドラム4は高温復水管路を介して前記精製水熱交換器352を通して熱交換を行い、前記濃縮水管路に濃縮水熱交換器351が設けられ、前記第1高温復水ドラム4は第2復水管路を介して前記濃縮水熱交換器351を通して熱交換を行う。
【0033】
好ましくは、前記水分離装置は密閉水分離塔3であり、前記塔本体内に前記復水を精製するための蒸発ユニット(31、32、33…)が設けられ、前記蒸発ユニットの下方に最終効用凝縮ユニット34を有し、前記最終効用凝縮ユニット34の底部に真空ポンプが接続され、
図1に示すように、前記蒸発ユニットは、一次効用蒸発ユニット31と二次効用蒸発ユニット32などとを含み、前記一次効用蒸発ユニット31は第2復水入口311と第1熱交換チャンバ312とを含み、第2復水入口311は一次効用蒸発ユニット31の底部に位置し、第2蒸気管路221を介して第2蒸気を第1熱交換チャンバ312に導入し、熱交換のために熱源を提供し、第2復水は第1熱交換チャンバ312内に第2蒸気と熱交換し、第2復水の一部は気化するため、水と他の有機物との分離を実現し、前記第1熱交換チャンバ312の上方に、気相が次の効用蒸発ユニットに入るための第1蒸気通路313及び液相が通過して次の効用蒸発ユニットに流れるための第1降液管314が接続され、前記第1降液管314の底部に第1ループ状装置315が設けられ、前記二次効用蒸発ユニット32は、第2熱交換チャンバ321を含み、前記熱交換チャンバ321の上方に、復水が熱交換した後に気相が通過するための第2蒸気通路323及び液相が通過するための第2降液管324が設けられ、前記第2降液管324の底部に第2ループ状装置325が設けられ、前記第2熱交換チャンバ32の下方に、熱交換した後に復水が次の効用部材に流れるための第1復水通路326が設けられ、前記第1復水通路326の底部に第1U字管327が設けられ、前記第1ループ状装置325は第2熱交換チャンバと第2ミスト除去器との間に位置する。水分離塔に入った蒸気は、好ましくは0.05MPa(G)の蒸気であり、また、任意の段の酸化排気ガス凝縮器によって生成された0.05~0.5MPa(G)の蒸気であってもよく、又は外界から導入された蒸気であってもよい。
【0034】
水分離塔内に、第2復水を持続的に分離させて精製する。底部に位置する真空ポンプ36を開け、第2復水は第2復水入口311から第1熱交換チャンバ312に入り、蒸発に備え、第2蒸気は第2蒸気管路221から第1熱交換チャンバ312内の管路に入り、第1熱交換チャンバ312内に、第2蒸気と第2復水は熱交換を行い、第2復水の一部は揮発して上向きにして第1蒸気通路313に入り、蒸発しない部分は第1降液管314に入り、次の効用蒸発ユニットに入って蒸発し続け、又は第1ループ状装置315に留まる。第1蒸気通路313を介して二次効用蒸発ユニット32内の管路に入った蒸気は熱源として第1降液管314から流れ出した復水と熱交換し、蒸気の熱料は復水へ流れ、最後に、蒸気が冷却して第1復水通路326から流れ出し、その一部は第1U字管327内に集まり、最後に、底部の精製水貯蔵領域に流れ、第1ループ状装置315と第1U字管327は各効用ユニットを仕切りし、このように、真空ポンプ36の作用で、上から下へ、圧力はますます低くなり、従って、第1ループ状装置315は、圧力差と熱交換の作用で、自己蒸発を行い、従って、水と他の物質との分離を実現する。分離した後、精製水は精製水出口35から管路を介して排出され、精製水熱交換器352を通す場合、第1高温復水と熱交換し、精製水の温度が上昇し、その後、第1段精製水洗浄ユニットの洗浄液として反応排気ガスをスプレーし、濃縮水は濃縮水出口34から管路を介して排出され、濃縮水熱交換器351を通す場合、第1段濃縮水洗浄ユニットの洗浄液として反応排気ガスをスプレーして洗浄する。新規な水分離塔で生成された濃縮水は脱水塔に入ることができ、更に、粗テレフタル酸(英語の略語がCTA、以下ではCTAと呼ばれる)溶剤として、プラントの洗浄液を交換することができる。
【0035】
システム全体において、図に示すように、実際のニーズに応じて、各種類のポンプ又は弁を合理的に取り付け、システムのスムーズ性を達成することができる。
【国際調査報告】