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特表2024-502229ラマン分光プローブと、ラマン分光プローブ及び細長アセンブリを含むラマン分光装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-18
(54)【発明の名称】ラマン分光プローブと、ラマン分光プローブ及び細長アセンブリを含むラマン分光装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20240111BHJP
   A61B 1/018 20060101ALI20240111BHJP
【FI】
A61B1/00 500
A61B1/00 623
A61B1/00 715
A61B1/018 515
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023535467
(86)(22)【出願日】2021-12-06
(85)【翻訳文提出日】2023-07-05
(86)【国際出願番号】 EP2021084423
(87)【国際公開番号】W WO2022122666
(87)【国際公開日】2022-06-16
(31)【優先権主張番号】2019486.6
(32)【優先日】2020-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512008495
【氏名又は名称】クレオ・メディカル・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CREO MEDICAL LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハンコック,クリストファー・ポール
(72)【発明者】
【氏名】バーン,パトリック
(72)【発明者】
【氏名】タプリン,ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】プレストン,ショーン
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161CC06
4C161DD04
4C161FF43
4C161FF46
4C161GG15
4C161HH51
4C161HH56
4C161LL02
(57)【要約】
本発明は、遠位端及び近位端を有する細長本体と、近位端と遠位端との間に光を導くための細長本体内の少なくとも1つのラマンファイバーと、細長本体内にあり、近位端と遠位端との間に延在する器具内腔と、を備えるラマン分光プローブに関し、器具内腔は細長器具を受けるように構成され、少なくとも1つのラマンファイバーは器具内腔の外側に配置される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラマン分光プローブであって、
遠位端及び近位端を有する細長本体と、
前記近位端と前記遠位端との間で光を導くための、前記細長本体内の少なくとも1つのラマンファイバーと、
前記細長本体内にあり、前記遠位端と前記近位端との間に延在する、器具内腔と、
を備え、
前記器具内腔は細長器具を受けるように構成され、
前記少なくとも1つのラマンファイバーは前記器具内腔の外側に配置される、
前記ラマン分光プローブ。
【請求項2】
複数のラマンファイバーをさらに備え、
前記細長本体の断面図では、前記複数のラマンファイバーは前記器具内腔の周囲に分布し、
好ましくは、前記複数のラマンファイバーは前記器具内腔の前記周囲の大部分または全体の周りに分布し、
さらに好ましくは、前記複数のラマンファイバーはファイバーのリングを形成する、
請求項1に記載のラマン分光プローブ。
【請求項3】
複数の照明ファイバー及び複数の集光ファイバーを含む複数のラマンファイバーをさらに備え、
前記細長本体の断面図では、前記複数の照明ファイバーは第1のファイバーのリングに配置され、前記複数の集光ファイバーは、前記第1のファイバーのリングと同軸に配置された第2のファイバーのリングに配置される、請求項1または2に記載のラマン分光プローブ。
【請求項4】
複数の照明ファイバー及び複数の集光ファイバーを含む複数のラマンファイバーをさらに備え、
前記細長本体の断面図では、前記照明ファイバー及び前記集光ファイバーはファイバーのリングに交互に配置されるか、または前記複数の集光ファイバーのグループは単一リングの第1のセクションに配置され、前記複数の照明ファイバーのグループは前記単一リングの第2のセクションに配置される、請求項1または2に記載のラマン分光プローブ。
【請求項5】
複数の集光ファイバー及び少なくとも1つの照明ファイバーを含む複数のラマンファイバーをさらに備え、
前記細長本体の断面図では、前記複数の集光ファイバーはファイバーの単一リングに配置され、
好ましくは、前記少なくとも1つの照明ファイバーは、前記集光ファイバーの単一リングの半径方向の外側に配置されるか、または半径方向の内側に配置される、請求項1または2に記載のラマン分光プローブ。
【請求項6】
前記細長本体の縦軸は、前記器具内腔の縦軸と同軸である、先行請求項のいずれかに記載のラマン分光プローブ。
【請求項7】
前記器具内腔は前記細長器具を摺動可能に受けるように構成されるか、または
前記ラマン分光プローブは前記細長器具を含み、前記細長器具は前記器具内腔に固定して配置される、先行請求項のいずれかに記載のラマン分光プローブ。
【請求項8】
前記細長器具をさらに備え、
前記細長器具は、組織治療のために電磁放射線を送達するための細長カメラ、手術器具、及び/または電気手術治療デバイスである、先行請求項のいずれかに記載のラマン分光プローブ。
【請求項9】
前記電気手術治療デバイスは、電磁エネルギーを搬送するように構成された伝送線と、前記伝送線の遠位端から突出し、前記電磁エネルギーを前記伝送線から受信するように配置される、放射素子と、を含み、
前記放射素子は組織治療のための前記電磁エネルギーを放射するように構成される、請求項8に記載のラマン分光プローブ。
【請求項10】
前記伝送線は、前記伝送線の前記遠位端が前記細長本体の前記遠位端と一致するように、前記器具内腔に固定して配置される、請求項9に記載のラマン分光プローブ。
【請求項11】
前記伝送線は中空の内部導体を含み、
好ましくは、前記放射素子は前記中空の内部導体の遠位端内に格納可能である、請求項9または10に記載のラマン分光プローブ。
【請求項12】
前記細長本体の前記遠位端に搭載され、及び/または前記少なくとも1つのラマンファイバーに光学的に結合された光学構造を含む、キャップデバイスをさらに備え、
好ましくは、前記光学構造は少なくとも1つのレンズを含む、先行請求項のいずれかに記載のラマン分光プローブ。
【請求項13】
前記キャップデバイスは前記器具内腔と位置合わせされるアパーチャを含み、及び/または前記キャップデバイスは前記細長本体内に前記伝送線の遠位端を保持し、
好ましくは、前記キャップデバイスはセントラライザーを含む、請求項12に記載のラマン分光プローブ。
【請求項14】
複数の照明ファイバー及び複数の集光ファイバーを含む複数のラマンファイバーをさらに備え、
前記細長器具は、前記器具内腔に固定して配置される細長カメラであり、
前記細長カメラは、前記細長本体の前記遠位端に画像キャプチャデバイス、具体的にはCMOSセンサーを含み、
好ましくは、前記細長本体の断面図では、前記複数の照明ファイバーは第1のファイバーのリングに配置され、前記複数の集光ファイバーは前記第1のファイバーのリングと同軸に配置された第2のファイバーのリングに配置される、請求項1に記載のラマン分光プローブ。
【請求項15】
前記遠位端から前記近位端に光を導くために前記細長本体内に少なくとも1つのイメージングファイバーをさらに備え、
前記少なくとも1つのイメージングファイバーは前記器具内腔の外側に配置されている、先行請求項のいずれかに記載のラマン分光プローブ。
【請求項16】
前記細長本体の断面図では、前記器具内腔の周囲に分布する複数のイメージングファイバーが提供され、
好ましくは、前記複数のイメージングファイバーは、前記器具内腔の前記周囲の大部分または全体の周りに分布する、請求項15に記載のラマン分光プローブ。
【請求項17】
各イメージングファイバーは前記イメージングファイバーの遠位端にレンズ構造を含み、前記レンズ構造は光を前記イメージングファイバーに結合するように構成される、請求項15または16のいずれかに記載のラマン分光プローブ。
【請求項18】
前記イメージングファイバーは前記光学構造に結合される、請求項12または13に従属する場合の請求項15または16のいずれかに記載のラマン分光プローブ。
【請求項19】
ラマン分光装置であって、
先行請求項のいずれかに記載のラマン分光プローブと、
スペクトロメーター、及び単色光を生成するためのラマン光源を含む分析デバイスと、
を備え、
前記少なくとも1つのラマンファイバーは、前記分析デバイス、具体的には、前記ラマン光源及び/または前記スペクトロメーターに結合される、前記ラマン分光装置。
【請求項20】
前記分析デバイスは、さらに、光学照明構成要素、及び非単色光を生成するための照明光源を含み、
前記光学照明構成要素は、前記少なくとも1つのラマンファイバー、前記ラマン光源、及び前記照明光源に結合され、
前記光学照明構成要素は、前記ラマン光源からの前記単色光及び/または前記照明光源からの前記非単色光を前記少なくとも1つのラマンファイバーに選択的または永久的に結合されるように構成される、請求項19に記載のラマン分光装置。
【請求項21】
前記分析デバイスはさらに光学検出構成要素を含み、前記光学検出構成要素は前記少なくとも1つのラマンファイバー、前記ラマン光源、及び前記スペクトロメーターに結合され、
前記光学検出構成要素は、前記ラマン光源の前記単色光を前記少なくとも1つのラマンファイバーにルーティングし、前記光を前記少なくとも1つのラマンファイバーから前記スペクトロメーターにルーティングするように構成される、請求項19または20に記載のラマン分光装置。
【請求項22】
細長アセンブリであって、
電磁エネルギーを搬送するための同軸給電ケーブルであって、前記同軸給電ケーブルは、内部導体、外部導体、ならびに前記内部導体及び前記外部導体を分離する誘電材料を有する、前記同軸給電ケーブルと、
前記同軸給電ケーブルから前記電磁エネルギーを受信するために前記同軸給電ケーブルの遠位端に配置された放射先端であって、前記放射先端は、組織治療のために前記電磁エネルギーを放射するように構成されている、前記放射先端と、
を含み、
前記内部導体及び前記放射先端は細長器具を受けるように構成された通路を含み、
前記放射先端は、
前記内部導体に電気的に接続され、縦方向に延在して、電磁放射器を形成する細長導体と、
前記細長導体に電気的に接続された第1の同調素子と、
前記細長導体及び前記第1の同調素子の周りに配置された誘電体と、
を備え、
前記電磁放射器によって放射された電磁場は前記誘電体の周りにつくられる、前記細長アセンブリ。
【請求項23】
前記放射先端の遠位領域にある前記細長導体に電気的に接続された第2の同調素子をさらに備え、
前記第1の同調素子は前記放射先端の近位領域に位置付けられ、
前記誘電体は前記第2の同調素子の周りに配置され、
前記第1の同調素子及び前記第2の同調素子が前記縦方向に離間していることによって、前記マイクロ波放射器によって放射されたマイクロ波場は前記誘電体の周りにつくられる、請求項22に記載の細長アセンブリ。
【請求項24】
前記細長器具をさらに備え、
前記細長器具は、手術器具、細長カメラ、または前記ラマン分光器具の遠位端と前記ラマン分光器具の近位端との間に延在する少なくとも1つのラマンファイバーを含む細長いラマン分光器具である、請求項22または23に記載の細長アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラマン分光プローブに関し、より具体的には、細長器具(例えば、カメラ、手術器具、及び/または組織治療用の電磁放射線を送達するための電気手術治療デバイス)を受けるように構成された内腔と、内腔の外側に配置された少なくとも1つのラマンファイバーとを有するラマン分光プローブに関する。
【0002】
本発明は、また、ラマン分光プローブ及び分析デバイスを含むラマン分光装置に関する。
【0003】
本発明は、さらに、マイクロ波エネルギーを搬送するための同軸給電ケーブルと、同軸給電ケーブルの遠位端に配置され、同軸給電ケーブルからマイクロ波エネルギーを受信し、組織治療のためにマイクロ波エネルギーを放射する放射先端と、を備える、細長アセンブリに関する。同軸給電ケーブル及び放射先端は、細長器具(例えば、手術器具、細長カメラ、または細長いラマン分光器具)を受けるように構成された通路を含む。
【背景技術】
【0004】
ラマン分光法は、人間または哺乳動物の異なるタイプの組織を識別するために使用できる。加えて、ラマン分光法を使用して、癌組織または他の形態の組織変性を識別できることが実証されている。ラマン分光法のこの機能は、例えば治療対象の組織を識別するため等、組織の内視鏡治療にも使用できる。
【0005】
米国特許第8,175,423号及び米国特許第8,702,321号では、ラマン散乱光を収集するための複数の光ファイバーを含む内視鏡ラマンプローブが開示されている。
【0006】
CMOSまたはCCDセルのいずれかを使用して、LEDまたはハロゲン電球からの照明を用いる直接視覚は、内視鏡で病変組織を目で診断するために使用され、一般的に、内視鏡検査室及び気管支鏡検査室で使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は独立請求項によって定義される。従属請求項は、本発明の好ましい実施形態を説明する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ラマン分光プローブは、遠位端及び近位端を有する細長本体、少なくとも1つのラマンファイバー、及び器具内腔を備える。少なくとも1つのラマンファイバーは、近位端と遠位端との間に光を導くために細長本体内に配置される。器具内腔は、細長本体内に配置され、遠位端と近位端との間に延在する。器具内腔は、細長器具を受けるように構成され、例えば、器具内腔は、内視鏡器具/動作/作業チャネルとして機能し得る。少なくとも1つのラマンファイバーは、器具内腔の外側に配置される。
【0009】
ラマン分光装置(またはラマン分光ユニット)は、上述のラマン分光プローブと、単色光を生成するためのラマン光源(赤外光と紫外光との間のEMスペクトルの波長で発振するレーザー等)と、スペクトロメーターとを含む分析デバイスとを備え、少なくとも1つのラマンファイバーは、分析デバイスに(例えば光通信で)接続され、具体的には単色光源及び/またはスペクトロメーターに(例えば光通信で)接続される。特定の構成では、照明ファイバーを使用して、可視領域に単一の波長または複数の波長で光を送達して組織を照明し得、その結果、CMOS(またはCCD)センサー/センサーのアレイを使用して、目で確認できる標的組織及び任意の欠陥を視覚化し得る。
【0010】
「接続された」及び「結合された」という用語は、本明細書では広い意味で使用され、一方の要素が別の要素に接続/結合されると言われるとき、2つの要素が、介在要素が存在しないように直接接続/結合され得ることがあることと、また、1つ以上の介在要素が存在するように、2つの要素が間接的に接続/結合され得ることと、を理解するべきである。しかしながら、2つの要素が互いに「直接接続される」または「直接結合される」と言われるとき、それらの間に介在要素が存在しないことを理解されたい。
【0011】
ラマン分光法をスコーピングデバイス(例えば、内視鏡等)とともに使用するとき、十分なラマン散乱光がスコーピングデバイスの遠位端で収集されることを保証する必要がある。これは、スコーピングデバイスの断面積と比較して、少なくとも1つのラマンファイバーの大きな断面積を提供することによって達成し得る。少なくとも1つのラマンファイバーを器具内腔の外側に配置することによって、ひいては随意にスコーピングデバイスの外周上またはその近くに配置することによって、器具内腔及びスコーピングデバイスの直径を維持しながら、少なくとも1つのラマンファイバーの断面積を大きくできる。集光ファイバーの直径が大きくなるにつれて及び/または集光ファイバーの数が多くなるにつれて、可能な限り多くの散乱光を収集することを可能にし、これにより、集められた光子は電子に変わると、処理のために可能な限り最高の電気信号が収集されることがもたらされる。
【0012】
ラマン分光法は、分子の振動モードを決定することによって組織を分析するために使用できる分光技術であるが、入射EMエネルギーが遠赤外線、さらにはマイクロ波/ミリ波領域にあるとき、システムの回転モードまたはその他の低周波モードも観察され得る。ラマン分光法は、例えば、癌組織によって示される特定のタイプの組織及び/または特定のタイプの組織変性と関連付けできる分子を識別できる構造的特徴を提供する。
【0013】
ラマン分光法は、ラマン散乱として知られている光子の非弾性散乱に依存している。通常、可視、近赤外、または近紫外の範囲のレーザーからの単色光源を使用する。また、中赤外領域または遠赤外領域のより長い波長の光を使用することも好ましくなり得る。レーザー光は、組織の分子振動、フォノン、またはその他の励起と相互作用し、その結果、レーザー光子のエネルギーが上または下にシフトされる。エネルギーのシフトにより、システムの振動モードに関する情報が与えられる。
【0014】
分析される組織は、少なくとも1つのラマンファイバーによって伝送される単色光で照らされる。照射された組織からの電磁放射線は収集され、少なくとも1つのラマンファイバーを介して分析デバイスに送信される。単色光分光器は分析デバイスに提供され得る。レーザーラインに対応する波長の弾性散乱放射線(レイリー散乱)は、ノッチフィルター、エッジパスフィルター、またはバンドパスフィルターのいずれかによって除去され、収集された光の残りは分析デバイスの検出器上に分散される。
【0015】
少なくとも1つのラマンファイバーは、光を遠位端から近位端に導くための少なくとも1つの集光ファイバー及び/または光を近位端から遠位端に導くための少なくとも1つの照明ファイバーを含み得る。また、照明ファイバーを使用して、直視及びラマン分光法用に広帯域の白色光または狭帯域の光を送達し得る。この構成では、光スイッチまたは光カプラーを使用して、ラマン用の単色レーザー光または例えば直視用のハロゲン電球からの広帯域光のいずれかを送達し得る。詳細については後述する。
【0016】
ラマン分光プローブは分析デバイスに接続され得る。分析デバイスは、分析される組織を照らすために、1つ以上のレーザー等の単色ラマン光源を含み得る。ラマン光源は、少なくとも1つのラマンファイバーに(例えば光通信で)接続、具体的には少なくとも1つの照明ファイバーに(例えば光通信で)接続され得る。分析デバイスは、また、ラマン光源によって放射された光による照明を受けた組織によって放射されたラマン散乱光を分析するための構成要素を含み得る。例えば、分析デバイスは、少なくとも1つの集光ファイバーを介して分析デバイスへの光フィードバックからのレイリー散乱光をフィルタリングするために、ノッチフィルター、エッジパスフィルター、またはバンドパスフィルター等のフィルターを含み得る。分析デバイスは、散乱光の強度及び/または波長を決定するためのスペクトロメーターを含み得る。スペクトロメーターは、分析される光を分散する手段と、CCD検出器等の光を検出するための光検出器とを含み得る。分析される光を分散する手段は、波長に応じて光を空間的に分離し得、そして回折格子を含み得る。
【0017】
少なくとも1つの集光ファイバーはスペクトロメーターに(例えば光通信で)結合され得、及び/または少なくとも1つの照明ファイバーはラマンレーザー光源に(例えば光通信で)結合され得る。
【0018】
ラマン分光プローブは、スコーピングデバイスとして、またはスコーピングデバイスと併せて使用され得る。例えば、ラマン分光プローブは、カテーテル、または、内視鏡、気管支鏡、膀胱鏡、腎盂鏡、関節鏡、結腸鏡、もしくは腹腔鏡等の他のタイプの視鏡デバイスに挿入され得る。加えて、ラマン分光プローブは、内視鏡、気管支鏡、膀胱鏡、腎盂鏡、関節鏡、結腸鏡、または腹腔鏡として使用され得る。
【0019】
加えて、ラマン分光プローブは、小型、例えば0.65mm×0.65mmのCMOSセンサーアレイ及び白色光源を備える直視システムと統合され得る。この構成では、白色光源に使用されるのと同じファイバーを使用して、また、ラマン分光法の標的組織にレーザー光を送達し得る。また、内視鏡または気管支鏡の使用に代えて、統合されたラマンプローブ及び直視プローブを操縦可能なカテーテルに導入することも望ましくなり得る。例えば、直径1.8mmの挿入チューブを備えた3mmの操縦可能なカテーテルを使用して、ラマン分光プローブを気管支及び気管支樹内、例えば気管支樹の6番目または7番目の枝まで操縦し得、また、可撓性マイクロ波エネルギー治療デバイス、ならびに/または統合型ラマン/直視システムプローブ、ならびに/または分離型ラマンプローブ、照明ファイバー及びCMOS/CCDセンサーアレイを備えた直視システムプローブの挿入も可能になり得る。ラマン分光プローブは、内視鏡器具、または内視鏡器具の一部であり得る。
【0020】
ラマン分光プローブの細長本体は、人間または哺乳類の体腔、カテーテル、または他のタイプのスコーピングデバイスに挿入されるラマン分光プローブの部分の外形寸法を画定し得る。細長本体は、ラマン分光プローブの内視鏡機能を提供し得る。
【0021】
細長本体、及び細長本体内に配置された全ての構成要素は、治療される人間または哺乳類の細長い体腔内を通して導かれるのに十分な可撓性があり得る。例えば、人体のこの細長い体腔は、曲がり及びねじれを含む胃腸管または肺の気管支樹であり得る。言い換えれば、細長本体、及び細長本体内に配置された全ての構成要素は可撓性があり得る。これは、小型CMOSカメラ及び複数のファイバーリングも含み得るラマン分光プローブの遠位端が身体を通り、ヒトまたは哺乳動物の身体の標的エリア(標的部位)に移動するときに屈曲することを可能にするためである。標的部位は、分析、治療、及び/または画像化される体内の空洞(またはゾーンもしくは領域)または空洞(またはゾーンもしくは領域)の一部であり得る。
【0022】
さらに、細長本体の外面は、滅菌できる、または外科的処置に必要な洗浄ルーチンを受けることができるような、そのような材料から作られ得る。
【0023】
ラマン分光プローブは、細長本体によって(単独で)構成できる細長構造体を有する。細長本体の遠位端は、患者に挿入されるラマン分光プローブの細長構造体の端である。細長本体の近位端は、好ましくは、細長器具が接続できる分析デバイスまたは他のデバイスに接続され、使用中、患者の体外に留まり得る。細長本体は、ラマン分光プローブの遠位端から近位端まで画定し得る。
【0024】
ラマン分光プローブは棒状構造を有し得る。ラマン分光プローブは、(縦方向に対応する)その延在方向と垂直に可撓性があり、延在方向に剛性がある。
【0025】
細長本体は管状構造を有し得、ラマン分光プローブの他の構成要素を外側から、例えば流体等から絶縁または遮蔽(例えば、保護)するためのシースを含み得る。シースは、例えばスコーピングデバイスに挿入されるとき、及び/または周囲の組織との摩擦を減らすための潤滑性ポリマーシースであり得る。
【0026】
細長本体は、さらに、少なくともラマンファイバーの曲がりを制限するために張力緩和層を含み得る。張力緩和層は、上述のシースによって覆われ得る。張力緩和層は、ポリマーまたは金属ワイヤーで作られた編組、コイル、及び/またはチューブを含み得る。
【0027】
器具内腔は、ラマン分光プローブの細長本体内に配置された通路である。器具内腔は、好ましくは、遠位端から近位端まで完全に延在する。細長器具の少なくとも一部は、器具内腔内に配置または設置され得る。細長本体、ひいては器具内腔の細長構造により、細長器具の細長い部分を器具内腔内に設置または配置できる。例えば、細長器具の遠位端は、細長本体の遠位端の領域と一致する、またはその近くに配置される。細長器具の近位端は、細長本体の近位端を越えて延在し得る。
【0028】
器具内腔は、器具内腔を遠位端から近位端まで囲む壁または表面によって画定され得る。器具内腔は、流体密封方式で細長本体内の残りの空間から分離され得る。壁は、細長本体内に配置された中空管によって構成され得る。
【0029】
また、器具内腔は、少なくとも1つの照明ファイバー、少なくとも1つの集光ファイバー、及びファイバー間に設置された充填材等、細長本体内に配置された構成要素によって画定されることも可能である。この場合、器具内腔を提供するための別個の壁が存在しない場合がある。
【0030】
ラマンファイバーは、シングルモードファイバーまたはマルチモードファイバー等の光ファイバーである。少なくとも1つの照明ファイバーは、励起ファイバーと呼ばれ得、光、具体的にはレーザー光を近位端から遠位端まで伝送するように構成される。随意に、少なくとも1つの照明ファイバーは、細長本体の近位端を越えて延在し、レーザー等のラマン光源に接続される。
【0031】
ラマン光源(または励起光源)は、ラマン分光法を使用して分析される分子の励起周波数と一致する波長/周波数を有する単色光を生成するように構成され得る。単色光は単一の波長を有する光であり得る、または波長範囲は狭い。例えば、波長は、100mWの出力で785nm等、可視スペクトル内にある。しかしながら、THZまたはミリ波帯にも属する遠赤外線周波数に至るまでのより長い波長(より低い周波数)も使用し得る。遠赤外線(FIR)は電磁放射線の赤外線スペクトルの領域である。遠赤外線は、多くの場合、15マイクロメートル(μm)~1mm(約20THz~300GHzの範囲に相当)の波長を有する放射線として定義される。
【0032】
少なくとも1つの照明ファイバーの遠位端は、少なくとも1つの照明ファイバーの遠位端から光を放射できるように処理され得る。例えば、少なくとも1つの照明ファイバーの遠位端面は、延在方向の延長線に対して傾斜し得る。傾斜角度は90°以下であり得る。代替的または追加的に、少なくとも1つの照明ファイバーの遠位端表面はレンズ構造に接続され得る。両方のオプションは、少なくとも1つの照明ファイバーから放射された光を標的エリアの一部に導くために提供され得る。
【0033】
随意に、少なくとも1つの照明ファイバーは、後方散乱を減らすためのコーティングの塗布等の表面処理が施され得る。
【0034】
少なくとも1つの集光ファイバーは、光、具体的には標的部位からのラマン散乱光を遠位端から近位端まで伝送するように構成される。少なくとも1つの集光ファイバーの遠位端は、光を収集できるように、すなわち、少なくとも1つの集光ファイバーの遠位端に結合できるように処理され得る。例えば、少なくとも1つの照明ファイバーの遠位端面は、延在方向の延長線に対して傾斜し得る。傾斜角度は90°以下であり得る。代替的または追加的に、少なくとも1つの集光ファイバー遠位端表面はレンズ構造に接続され得る。両方のオプションは、標的エリアの照射部分からラマン散乱光をできるだけ多く収集し、ラマン散乱光を少なくとも1つの集光ファイバーに結合するために提供され得る。少なくとも1つの集光ファイバーは、分析デバイス、具体的にはスペクトロメーターに接続され得る。
【0035】
随意に、複数のラマンファイバー、具体的には複数の照明ファイバー及び/または複数の集光ファイバーが提供され得る。少なくとも1つの集光ファイバー及び少なくとも1つの照明ファイバーは互いに固定され得る。例えば、少なくとも1つの照明ファイバーと少なくとも1つの集光ファイバーとの間の空間は、接着剤及び/または他の充填材料で充填され得る。
【0036】
少なくとも1つのラマンファイバーは、器具内腔と細長本体との間に配置され得る。言い換えれば、少なくとも1つのラマンファイバーは、器具内腔の外面と細長本体の内面との間に配置され得る。例えば、少なくとも1つのラマンファイバーは、器具内腔を囲む壁及び細長本体によって画定された空間に配置され得る。
【0037】
複数のラマンファイバーの配置は、複数のラマンファイバーによって画定された空間が、断面図では器具内腔に並んで配置されないようになり得る。
【0038】
随意に、複数のラマンファイバーの少なくとも一部は器具内腔と接触する。したがって、残りのラマンファイバーは、細長本体と、器具内腔と接触する複数のラマンファイバーとの間に配置される。例えば、断面図では、複数のラマンファイバーは、器具内腔と細長本体との間に配置される1つ以上のセクションに配置され得る。具体的には、1つ以上のセクションは、器具内腔の形状に従う。言い換えれば、断面図では、1つ以上のセクションの外形は、器具内腔の形状にそろえられる(例えば、各セクションは円周セクションであり得、ほぼ円弧状の形状を有し得る)。
【0039】
随意に、ラマン分光プローブは、遠位端と近位端との間に延在する第2の管腔を含み得る。少なくとも1つのラマンファイバーは第2の管腔内に配置され得る。好ましくは、細長本体の断面図では、器具内腔の外面のセクションに最も近接する第2の管腔の外面のセクションは、器具内腔の外面のセクションと平行に延在する。すなわち、2つのセクションの断面形状は、「()」または「)(」よりも「((」または「))」として図的に表す方が良くなり得る。
【0040】
第2の管腔は、細長本体内に配置され、遠位端から近位端まで延在するさらなる壁または表面によって提供され得る。器具内腔の壁に最も近接する第2の管腔の壁の外面のセクションは、器具内腔の外面の対応するセクションに対して平行に(すなわち、第2の管腔の壁の外面のセクションに沿って一定距離を有して)延在し得る。したがって、少なくとも1つのラマンファイバーが配置される第2の管腔の外面は、器具内腔の外面に従い得る。例えば、器具内腔の外面及び第2の管腔の外面は、それらの対応するセクションにおいて同じ曲率を有する必要がある。
【0041】
第2の管腔は、器具内腔から離間して配置され得る。代替として、第2の管腔は器具内腔と直接接触する。器具内腔は、壁または中空管によって第2の管腔から分離され得る。したがって、壁または中空管は、器具内腔及び第2の管腔の両方の境界を画定する。
【0042】
複数のラマンファイバーは器具内腔と接触するように配置され得る。例えば、複数の照明ファイバー及び集光ファイバーは、細長本体の断面図では、器具内腔の表面の1つ以上のセクション(例えば、円周セクション)を画定し得る。さらに、複数のラマンファイバーは、器具内腔と細長本体との間の扇形を完全に充填し得る。例えば、扇形は、器具内腔の外面の一部、細長本体の内面の一部、及び器具内腔の外面の一部の端と、細長本体の内面の一部の端とを接続する線、によって画定される。
【0043】
随意に、器具内腔は、複数のラマンファイバーの配置によって完全に画定され得る。代替として、器具内腔の表面の一部だけが複数のラマンファイバーによって画定され得る。複数のラマンファイバーは、器具内腔の表面の2つ以上のセクションを画定し得る。例えば、器具内腔の2つの対向するセクションは、複数のラマンファイバーによって画定され得る。器具内腔の表面の残りのセクションは、細長本体内に配置された充填材料によって画定され得る。例えば、細長本体及び器具内腔が実質的に円形断面を有するとき、各扇形は異なる円弧状部であり、例えば、時計の文字盤を例えとして使用すると、第1のセクションは、12時と3時との間の円弧を画定し得、第2のセクションは3時と12時との間に円弧を画定し得る。代替として、第1のセクションは1時と5時との間の円弧を画定し、第2のセクションは7時と11時との間に円弧を画定し、充填材料は11時と1時との間に、また5時と7時との間に配置され得る。
【0044】
選択的な実施形態では、ラマン分光プローブは、さらに、複数のラマンファイバー、具体的には複数の照明ファイバー及び集光ファイバーを備え、細長本体の断面図では、複数のラマンファイバーは器具内腔の周囲に分布し、好ましくは、複数のラマンファイバーは、器具内腔の周囲の大部分または全体に分布し、さらに好ましくは、複数のラマンファイバーはファイバーのリングを形成する。
【0045】
複数の照明ファイバー及び集光ファイバーは、照明ファイバー及び集光ファイバーが互いに接触しないように、器具内腔の周囲に分布し得る。照明ファイバーと集光ファイバーとの間の空間は、器具内腔の画定に寄与し得る接着剤または充填材によって充填され得る。代替として、器具内腔は壁によって画定されることによって、複数の照明ファイバー及び集光ファイバーが壁と接触し得る。これらの場合、上述の複数の集光ファイバー及び照明ファイバーによって器具内腔から分離され、器具内腔を画定するまたはその画定に関与するさらなる照明ファイバー及び/または集光ファイバーが提供され得る。
【0046】
複数の照明ファイバー及び集光ファイバーは、器具内腔の周囲の1つ以上のセクションに配置され得る、または器具内腔の周囲を完全に囲むことができる。説明されるように、複数の照明ファイバー及び集光ファイバーは互いに接触するように密集し得る、または、例えば充填材料によって互いに離間できる。
【0047】
互いに接触しない配置により、個々のファイバー間の光のクロスカップリングが減り得る。しかしながら、個々のファイバー間の光のクロスカップリングを減らす、または排除するために、複数のラマンファイバーを光学的に不透明な材料によって覆われ得ることが可能である。この場合、複数の照明ファイバー及び集光ファイバーは互いに接触し得、具体的にはラマンファイバーの光学的に不透明なカバー材料は互いに接触する。
【0048】
断面図では、複数の照明ファイバー及び集光ファイバーと交差する線は、器具内腔の周囲で、完全に、またはその少なくとも1つのセクションにわたって、のいずれかで延在し得る。複数の照明ファイバー及び集光ファイバーと交差する線は、断面図では器具内腔と交差しなくなり得る。
【0049】
細長本体及び/または器具内腔は、断面図では円形、長方形、楕円形、または楕円体の形状を有し得る。器具内腔に接触して配置される複数の照明ファイバー及び集光ファイバーは、円形、長方形、楕円形、または楕円体の器具内腔の形状に従い得、その結果、複数の照明ファイバー及び集光ファイバーの少なくとも一部は、細長本体の断面図における円形、長方形、楕円形、または楕円体に配置される。したがって、複数の照明ファイバー及び集光ファイバーの少なくとも一部は、細長本体の断面図では器具内腔の形状に平行に配置される。
【0050】
リング状の複数の照明ファイバー及び集光ファイバーの配置は、複数の集光ファイバー及び照明ファイバーが器具内腔の円周に沿って互いに接触するように構成され得る。断面図における器具内腔の形状に応じて、集光ファイバー及び照明ファイバーのリングは、器具内腔の形状と同一の断面図における形状を有し得る。好ましくは、器具内腔は断面で円形の形状を有し、集光ファイバー及び/または照明ファイバーのリングは断面図で円形であり得る。
【0051】
器具内腔の外周に複数の照明ファイバー及び集光ファイバーを提供することは、有利な方法で細長本体の断面積を減らすのに役立つ。すなわち、複数の照明ファイバー及び集光ファイバーは、細長本体の外周に近接して配置され、複数のファイバーが半径方向の外側に配置されるため、多数の集光ファイバー及び照明ファイバーを配置するのに十分な空間を提供する。器具内腔は半径方向の内側に配置される。このように、細長本体及び器具内腔の半径の所与の直径について、器具内腔、ならびに複数の集光ファイバー及び照明ファイバーが並べて配置される方法と比較して、空間が有利に割り当てられる。
【0052】
選択的な実施形態では、ラマン分光プローブは、さらに、複数の照明ファイバー及び複数の集光ファイバーを含む複数のラマンファイバーを備え、細長本体の断面図では、複数の照明ファイバーは第1のファイバーのリングに配置され、複数の集光ファイバーは、第1のファイバーのリングと同軸に配置された第2のファイバーのリングに配置される。
【0053】
集光ファイバーの第2のリングは照明ファイバーの第1のリングを囲み得る。すなわち、複数の集光ファイバーは、複数の照明ファイバーの半径方向の外側に配置される。このように、照明ファイバーの数と比較して、より多くの集光ファイバーを提供し得る。前述したように、集光ファイバーの数が増加する場合、より多くのラマン散乱光を集光できる。したがって、この配置では、集光ファイバー及び照明ファイバーの密集した配置が提供され、その結果、多数の照明ファイバー及び集光ファイバーが得られる。さらに、照明ファイバー及び集光ファイバーは、細長本体内に容易に配置され得る。例えば、照明ファイバーのリングが提供され、その後、集光ファイバーのリングが提供される。
【0054】
複数の照明ファイバー及び集光ファイバーは互いに接触し得る。照明ファイバーの第1のリングは、細長本体内に配置された中間壁または別の構造構成要素によって、集光ファイバーの第2のリングから分離され得る。しかしながら、照明ファイバーの第1のリングが集光ファイバーの第2のリングと接触し得ることも可能である。
【0055】
器具内腔は、照明ファイバーの第1のリング内に配置され得る。細長本体の断面図では、器具内腔、照明ファイバーの第1のリング、集光ファイバーの第2のリング、及び/または細長本体は、同軸に配置され得る。
【0056】
選択的な実施形態では、ラマン分光プローブは、さらに、複数の照明ファイバー及び複数の集光ファイバーを含む複数のラマンファイバーを備え、細長本体の断面図では、照明ファイバー及び集光ファイバーはファイバーのリングに交互に配置されるか、または複数の集光ファイバーのグループは単一リングの第1のセクションに配置され、複数の照明ファイバーのグループは単一リングの第2のセクションに配置される。前述のように、照明ファイバーよりも多くの集光ファイバーを有することが望ましくなり得るため、その後、交互に配置されると、照明ファイバーのより小さなグループ(例えば、1個または2個)が集光ファイバーのより大きなグループ(例えば、4個または6個)と交互になり得る。また、交互に配置されないとき、照明ファイバーのグループ(例えば、1時と3時との間のより小さなセクションに位置する)は、集光ファイバーのグループ(例えば、12時を通る、3時と1時との間のより大きなセクションに位置する)よりも少ないファイバーを含み得る。
【0057】
照明ファイバー及び/または集光ファイバーの1つ以上のさらなる単一リングが提供され得、それによって、単一リングのそれぞれ1つが上述の特性を有することが可能である。上述したように、複数の照明ファイバー及び集光ファイバーは、それらのファイバーが互いに接触するように配置され得る、または互いに離間する。
【0058】
随意に、集光ファイバーの第1のセクションは照明ファイバーの第2のセクションよりも大きい。例えば、集光ファイバーの第1のセクションは単一リングの3分の2または4分の3を含む一方、照明ファイバーの第2のセクションは単一リングの3分の1または4分の1を含む。
【0059】
選択的な実施形態では、ラマン分光プローブは、さらに、複数の集光ファイバー及び少なくとも1つの照明ファイバーを含む複数のラマンファイバーを備え、細長本体の断面図では、複数の集光ファイバーはファイバーの単一リングに配置され、好ましくは、少なくとも1つの照明ファイバーは、集光ファイバーの単一リングの半径方向の外側に配置されるか、または半径方向の内側に配置される。
【0060】
好ましくは、2つ以上の照明ファイバーが、照明ファイバーの単一リングの半径方向の内側または半径方向の外側に配置される。例えば、2つ以上の照明ファイバーは、集光ファイバーの単一リングに沿ったセクションに配置される、または集光ファイバーの単一リングに沿って均等に分散される。
【0061】
選択的な実施形態では、細長本体の縦軸は、器具内腔の縦軸と同軸である。
【0062】
細長本体の断面図では、細長本体の中心は、器具内腔の中心と同軸に配置される。加えて、細長本体の中心または器具内腔の中心は、ファイバーの1つまたは複数のリングと同軸に配置され得る。
【0063】
縦軸は、細長本体または器具内腔の中心に沿って延在し得る。中心は質量中心に対応し得る。例えば、器具内腔及び/または細長本体が断面図では円形である場合、中心は円の中心であり得る。
【0064】
選択的な実施形態では、器具内腔は、細長器具を摺動可能に受けるように構成される。すなわち、細長器具は、ラマン分光プローブから分離可能であり、取り外し可能である。別の実施形態では、ラマン分光プローブは細長器具を含み、細長器具が器具内腔に固定して配置されるため、細長器具はプローブから分離できない、または取り外しできない。
【0065】
随意に、細長本体の縦軸は、器具内腔の縦軸と一致する。
【0066】
細長器具は、器具内腔に挿入及び/または引き抜かれるように構成された内視鏡器具であり得る。例えば、異なる細長器具が器具内腔に挿入され得る。具体的には、細長器具を細長本体の遠位端から押し出すことが可能であり、例えば、ラマン分光プローブが標的部位にナビゲートされている限り、細長器具が器具内腔内に留まりながら、標的部位で細長器具を使用することが可能である。
【0067】
この場合、器具内腔は壁または中空管によって画定され得、壁は中空管であり、ラマン分光プローブを流体シールするように構成され得る。器具内腔の内径が細長器具の外径よりもわずかに大きくなり得ることにより、細長器具が器具内腔内で移動できる。
【0068】
別の実施形態では、細長器具は器具内腔に固定される。この場合、細長器具は細長本体と一体の構成要素である。したがって、ラマン分光プローブは、ラマン分光測定値を取得し、細長器具の機能を利用するために使用され得る。したがって、ラマン分光プローブは追加の機能または能力を有する。
【0069】
選択的な実施形態では、細長器具は、(内視鏡)カメラ、手術器具、及び/または組織治療のために電磁放射線を送達するための電気手術治療デバイスである。
【0070】
細長カメラは内視鏡カメラであり得る。カメラは、標的エリアの一部の光学情報を、電気情報またはデジタル情報に変換するように構成され得る画像キャプチャデバイスを含み得る。例えば、画像キャプチャデバイスは、標的エリアの一部から放射した光等の電磁放射線を、電気信号もしくはデジタル信号、または一連の電気信号もしくはデジタル信号に変換するように構成され、これらの信号を処理して、標的エリアの一部の可視画像を作成できる。電気信号もしくはデジタル信号、または一連の電気信号もしくはデジタル信号は、標的エリアの電気画像またはデジタル画像と見なされ得る。電気画像またはデジタル画像の生成は、例えば、画像キャプチャデバイスの遠位端に近接してCMOSセンサー(アレイ)及び/またはCCDセンサー(アレイ)を提供することによって、電気手術器具の遠位端の領域で実行され得る。電気信号もしくはデジタル信号の処理または一連の電気信号もしくはデジタル信号の処理は、標的エリアのキャプチャした部分の可視画像を表示するためのディスプレイも備え得る表示デバイスによって実行され得る。
【0071】
画像キャプチャデバイスは、遠位端の領域において、標的エリアの一部の光学画像を作成するように構成され得る。画像キャプチャデバイスは、標的エリアの一部の光学画像を、電気信号または一連の電気信号、例えばデジタル信号に変換するように構成され得、この変換から、標的エリアの一部の画像は、ディスプレイスクリーンまたは表示デバイスを備えたコンピューターまたはプロセッサ等の処理装置によって再現できる。画像キャプチャデバイスによって作成された光学画像を、電気画像またはデジタル画像(電気信号または一連の電気信号に対応する)に変換することは、遠位端の領域で実行され得る。
【0072】
画像キャプチャデバイスは、電気信号または一連の電気信号を生成するように構成され得、これらの信号を、標的部位の一部の2次元または3次元表示に変換できる。これは、カメラが必ずしも、光学情報を遠位端から近位端に伝送するわけではないが、遠位端の領域で、光学情報を電気情報に変換することを意味する。この目的のために、画像キャプチャデバイスの光学センサーは、電気手術器具の遠位端の近くに、または遠位端に近接して配置される。
【0073】
画像キャプチャデバイスは、1つ以上のレンズデバイス及び/または1つ以上の光学センサーを含み得る。レンズデバイスを使用して、(光学センサー上の標的部位の一部の光学画像を作成するために)標的部位の一部が起源である入射光線を光学センサー上に投影し得る。レンズデバイスは、1つ以上の光学レンズ、及び/または(調節可能な)アパーチャを含み得る。しかしながら、レンズデバイスはピンホールである場合があり得る。光学センサーは、入射光を電気信号に変換するように構成され得る。例えば、光学センサーは、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)センサーまたは電荷結合デバイス(CCD)であり得る。CMOSセンサーは、最大40.000ピクセルを有し得る。CMOSセンサーは、それぞれ0.65mm以上の長さ、加えて幅を有する、四角形または正方形のチップであり得る。レンズデバイス及び/または光学センサーは、遠位端の領域に配置され得る。光センサーによって生成された電気信号の処理は、画像キャプチャデバイスを接続できる表示デバイスによって実行され得る。
【0074】
画像キャプチャデバイスは、カメラ、または光学情報を、標的エリアの一部を示す電気情報に変換するための任意の他の手段であり得る。細長カメラは、可視光、紫外線、及び/または赤外光を画像化するように構成され得る。細長カメラは、また、標的部位においてマーカーの場所を識別するように構成され得る。
【0075】
画像キャプチャデバイスは、各々のレンズデバイス及び/またはピンホールにより画定される主光軸を有し得る。主光軸は、随意に、細長本体の縦方向延在の向きに平行である。この場合、画像キャプチャデバイス及び/または細長カメラは前を見るように構成される。代替的または追加的に、主光軸は、電気手術器具の縦方向延在の向きに傾斜し得る。例えば、画像キャプチャデバイスは横を見るように構成され、主光軸は、延在の向きに対して90°、または0°~90°の任意の他の角度に傾斜し得る。レンズデバイス及び/またはピンホールは、電気手術器具または本体の側面に配置され得る。
【0076】
画像キャプチャデバイスによって生成された電気信号は、表示デバイスに送られ得る。この目的のために、細長カメラは、画像キャプチャデバイスによって生成された電気信号を細長本体の遠位端から近位端まで伝送するように構成される1つ以上のケーブル、ワイヤー、及び/または他の導電性構成要素を含み得る。ケーブル、ワイヤー、及び/または他の導電性構成要素は、細長本体の近位端を越えて延在し得、表示デバイスに接続できる。ケーブル、ワイヤー及び/または他の導電性構成要素は、細長カメラのカメラ本体内に配置され得る。
【0077】
デバイスはプロセッサ及び/またはディスプレイを含み得る。表示デバイスは、モニターまたはスクリーンを有するコンピューターであり得る。画像キャプチャデバイスによって生成された電気信号は、プロセッサによって処理され、ディスプレイによって表示される。
【0078】
細長カメラは、代替的または追加的に、1つ以上のカメラファイバーによって構成され得る。カメラファイバーは、光を近位端から遠位端に導くように構成される少なくとも1つのカメラ照明ファイバー及び/または光を遠位端から近位端に導くように構成される少なくとも1つのイメージングファイバーを含み得る。具体的には、イメージングファイバーは、細長本体の近位端を越えて延在し、表示デバイスに接続され得る。イメージングファイバーは、集光ファイバーと同様に、細長本体の遠位端に集められた光を、表示デバイス内に配置された光センサーに導く。光センサーは、上述のように構成され得る。表示デバイスは、画像キャプチャデバイスを使用して撮像された標的エリアの一部を表示するためのディスプレイを含み得る。
【0079】
カメラ照明ファイバーは、また、カメラ光源を含み得る表示デバイスに接続され得る。カメラ光源は、可視スペクトルの光、すなわち白色光(例えば、400nm~700nm)、またはラマン光源によって生成された波長からオフセットされた波長範囲の光を提供し得る。例えば、カメラの光源は狭帯域の緑色光を生成する一方、ラマン光源は紫外スペクトル(例えば、244nm、257nm、325nm、364nm)、可視スペクトル(例えば、457nm、473nm、488nm、514nm、532nm、633nm、660nm)、近赤外スペクトル(例えば、785nm、830nm、980nm、1064nm)、または最大で、中赤外(IR)スペクトルもしくは遠赤外スペクトルを有する。カメラ照明ファイバーの遠位端は、画像キャプチャデバイス及び/または細長カメラによって撮像される標的エリアの一部を照らすように構成され得る。
【0080】
細長カメラは、また、遠位端の領域に配置された照射器も含み得る。照射器は、照明デバイス、及び/または照明ファイバーの遠位端もしくは複数の照明ファイバーの遠位端を含み得る。照射器は、標的エリア、または標的エリアの一部、具体的には画像キャプチャデバイス及び/または細長カメラによってキャプチャされる標的エリアの一部を照らすために提供される。
【0081】
照明デバイスは、例えば、遠位端の領域に位置付けられた、1つ以上のLEDを含み得る1つ以上の光源を含み得る。照明デバイス、具体的には光源は、照明デバイスに接続され、近位端に延在する照明ワイヤーによって給電され得る。照明ワイヤーは、別個の電源に接続され得る、または表示デバイスによって給電され得る。
【0082】
照射器は、光ファイバー(複数可)-照明ファイバー(複数可)の遠位端を含み得る。照明ファイバー(複数可)の遠位端は光を放射し、その光は他端で、例えば、近位端で照明ファイバー(複数可)に送られる。したがって、照射器は照明ファイバー(複数可)の一部を形成する。例えば、照射器は、照明ファイバーの遠位端に配置もしくは固定された、または複数の照明ファイバーに固定された、レンズまたはレンズ構造である。照明ファイバーの近位端はランプまたはLED等の光源に接続され得、これらは表示デバイスに配置できる。照明ファイバー(複数可)は、本体の近位端から突出し得る。
【0083】
細長カメラは、細長カメラの外面を画定するカメラ本体を含み得る。カメラ本体は、細長本体と同じ特性及び/または特徴を有し得る。具体的には、細長カメラが別個の器具である場合、細長カメラの全ての構成要素はカメラ本体内に配置され得る。
【0084】
外径(または最大外径)は、断面図では、照明ファイバー(または、外径が指す任意の他の構成要素)の外周に任意の2点の間の最大距離に一致する。
【0085】
手術器具は、針、メス、または標的部位における組織を治療するために必要な他の手術器具であり得る。手術器具は器具内腔に挿入できるような外形寸法を有する。手術器具は内視鏡器具であり得る。
【0086】
選択的な実施形態では、電気手術治療デバイスは、電磁エネルギーを搬送するように構成された同軸伝送線と、伝送線から突出し、伝送線から電磁エネルギーを受信するように配置された放射素子とを含み、放射素子は、組織治療のために電磁エネルギーを放射するように構成される。
【0087】
電気手術治療デバイスは、高周波放射線及び/またはマイクロ波放射線を放射するように構成され得る。高周波放射線は組織を切断するために使用され得る一方、マイクロ波放射線を使用して、標的部位において組織を切除、凝固、及び/または刺激し得る。電気手術治療デバイスは、随意に、電磁放射線を放射するように構成された放射素子及び/または電磁エネルギーを放射素子に送達するための伝送線を含む。伝送線は同軸ケーブルであり得る。
【0088】
放射素子は1つ以上の導体素子を含み得る。具体的には、放射素子が高周波放射線を放射するように構成される場合、放射素子は、互いに近接して配置されるが、相互に離間している少なくとも2つの導体素子を含む。放射素子に供給された高周波電磁エネルギーによって、2つの導体素子の間で生成された電磁場を使用して、組織を切断できる。
【0089】
放射素子は、ダイポール構造またはモノポール構造体を有し得、後者はマイクロ波放射線を放射するために使用され得る。放射素子、好ましくは全ての導体素子は、電気手術治療デバイスの本体内及び/またはその上に配置される。
【0090】
放射素子は細長本体の遠位端から突出し得る。代替として、放射素子は、電磁放射線が標的組織に当たるとき、器具内腔から押し出され得るが、電磁放射線が標的組織に当たらないとき、器具内腔内に格納可能であり得る。
【0091】
治療デバイスの別の実施形態では、放射素子は、マイクロ波エネルギーを搬送するための近位同軸伝送線と、近位同軸伝送線の遠位端に搭載された遠位針先端とを備える。遠位針先端は、電磁エネルギーを標的の生体組織に送達するように構成される。
【0092】
電磁エネルギーを近位端から放射素子に供給するために、伝送線は放射素子に接続される。電磁エネルギーを伝送するために、伝送線は任意の形状の導体材料を含み得る。伝送線は、近位端で発電機に接続され得る。
【0093】
いくつかの実施形態では、近位同軸伝送線は、可撓性同軸ケーブルの遠位端から延在する内部導体であって、可撓性同軸ケーブルの中心導体に電気的に接続される、内部導体と、内部導体の周りに搭載された近位誘電体スリーブと、近位誘電体の周りに搭載された外部導体とを備え得、遠位針先端は内部導体の周りに搭載された遠位誘電体スリーブを備え、外部導体の遠位部は遠位誘電体スリーブの近位部に重なる。
【0094】
外部導体は、標的組織を貫通することが可能である力を伝送するのに十分な縦方向の剛性を示す材料である、例えばニチノールから形成された導電性管であり得る。好ましくは、導電性管は、また、器具が外科用スコーピングデバイスの器具チャネルを通って進むことを可能にするのに適切な横方向の屈曲も示す。有利に、ニチノールは、十二指腸壁を貫通するのに十分な縦方向の剛性を提供し、さらに高度の横方向の柔軟性を提供しながら、膵臓の組織の治療を可能にし得る。遠位針先端は、生体組織への挿入を容易にするために、実質的に剛性であり得る。
【0095】
内部導体は、高導電性の材料、例えば、銀から形成され得る。内部導体は、可撓性同軸ケーブルの中心導体の直径よりも小さい直径を有し得る。これにより、放射先端部の曲げが容易になり得る。例えば、内部導体の直径は0.25mmであり得る。好ましい直径は、放射先端部に沿った損失(及び加熱)を決定する主要なパラメータが、内部導体の直径の関数である導体損失であることが考慮され得る。その他の関連パラメータは、遠位誘電体スリーブ及び近位誘電体スリーブの誘電率であり、また外部導体に使用される直径及び材料でもある。近位同軸伝送線の構成要素の寸法は、可撓性同軸ケーブルのインピーダンスと同一、またはそれに近いインピーダンス(例えば、約50Ω)を提供するように選ばれ得る。
【0096】
伝送線の近位端は、細長本体の近位端から突出し得、電磁気エネルギーを生成するように構成された発電機に接続され得る。
【0097】
選択的な実施形態では、伝送線が器具内腔に固定して配置され、その結果、伝送線の遠位端が細長本体の遠位端と一致する。
【0098】
この場合、治療デバイスの放射素子は細長本体の遠位端から突出する。伝送線は細長本体内に配置され、細長本体によって周囲から隔離できる。
【0099】
例えば、伝送線として同軸ケーブルの場合、同軸ケーブルの外部絶縁シースは、器具内腔を画定する壁または管となり得る。伝送線は、器具内腔を画定する壁または管に固定され得る、管の壁がない場合、伝送線は、ファイバーのリング及び/または細長本体内に配置された充填材料に固定され得る。接着剤を使用することによって、固定を達成し得る。
【0100】
選択的な実施形態では、伝送線は中空の内部導体を含み、好ましくは、放射素子は中空の内部導体の遠位端内に格納可能である。
【0101】
伝送線は、内部導体と、外部導体と、内部導体を外部導体から絶縁する誘電材料を有する同軸ケーブルであり得る。ラマン分光プローブが標的エリアにナビゲートされるとき、放射素子は中空の内部導体内に設置され得る。電磁放射線を放射するためにラマン分光プローブの遠位端が標的部位に配置されると、放射素子は中空の内部導体から押し出される。
【0102】
選択的な実施形態では、ラマン分光プローブは、さらに、細長本体の遠位端に搭載され、少なくとも1つの照明ファイバー及び/または少なくとも1つの集光ファイバーに光学的に結合された光学構造を含む、キャップデバイスを備え、好ましくは、光学構造は少なくとも1つのレンズを含む。
【0103】
キャップデバイスの光学構造は、照明ファイバーからの光が標的エリアに到達できる窓、及び/またはラマン散乱光が集光ファイバーに結合できる窓であり得る。少なくとも1つの照明ファイバー及び/または少なくとも1つの集光ファイバーがキャップデバイスに固定され得ることにより、ファイバーはキャップデバイスに対して移動できない。キャップデバイスは、さらに、細長本体の遠位端をシールするように構成され得る。キャップデバイスはドーム形状であり得る。
【0104】
代替的または追加的に、光学構造は、照明ファイバーから放射された光を標的エリア上に集束させる、及び/またはラマン散乱光を集光ファイバー内に集束させる、1つ以上のレンズまたはレンズ構造を含む。光学構造体は、さらに、光学フィルターを含み得る。
【0105】
選択的な実施形態では、キャップデバイスは、器具内腔と位置合わせされるアパーチャを含む。選択的な実施形態では、キャップデバイスは、細長本体内に伝送線の遠位端を保持する。また、キャップデバイスはセントラライザーを含み得る。
【0106】
アパーチャは、細長器具が細長本体の遠位端から突出し得るように提供される。さらに、キャップデバイスは、その上、器具内腔の一部、具体的には断面図では器具内腔の周囲に接触するリングを覆い得る。例えば、放射素子はキャップデバイスのアパーチャを通って突出する。放射素子の外径は伝送線の外径よりも小さい。この場合、アパーチャの内径は放射素子の外径に相当するため、伝送線の外径よりも小さくなる。したがって、キャップは、また、放射素子の直径を越えて半径方向に延在する伝送線の部分も覆う。
【0107】
セントラライザーは、放射素子を可撓性伝送線(同軸ケーブル)に固定するための電気構成要素である。セントラライザーは、それらの間の接合部の上に搭載されたカラーを含み得る。カラーは、導電性があり得、例えば真ちゅうから形成され得る。カラーは、近位同軸伝送線の外部導体を、近位同軸ケーブル(伝送線)の外部導体に電気的に接続し得る。
【0108】
したがって、キャップデバイスは、少なくとも1つの集光ファイバー及び/または少なくとも1つの照明ファイバー用の光学構成要素を含む機能と、放射素子の外部コネクタを伝送線の外部導体に固定する機能と、を有する二重機能を有し得る。
【0109】
選択的な実施形態では、ラマン分光プローブは、さらに、遠位端から近位端に光を導くための細長本体内に少なくとも1つのイメージングファイバーを備え、少なくとも1つのイメージングファイバーは器具内腔の外側に配置されている。
【0110】
イメージングファイバーは、上述のように細長カメラの一部であり得る。カメラファイバーは、少なくとも1つのイメージングファイバー及び/または少なくとも1つのカメラ照明ファイバーを含む。イメージングファイバー及び/またはカメラ照明ファイバーは、器具内腔の外面及び細長本体の内面によって画定された空間内で照明ファイバー及び集光ファイバーと混合され得る。例えば、少なくとも1つのカメラファイバー、具体的には少なくとも1つのイメージングファイバーは、第2の管腔に配置される。これらの異なるタイプのファイバーの配置及び数は、最適なイメージング機能及びラマン分光機能を実現するために選ばれ得る。
【0111】
ある実施形態では、断面図ではリングに配置され得る複数のカメラファイバーが提供される。各カメラファイバーは、少なくとも、近位端から細長本体を通って遠位端まで延在し得る。照明ファイバーの複数のリングが提供され得る。カメラファイバーのリングは、照明ファイバー及び/または集光ファイバーを囲み得る。
【0112】
カメラ照明ファイバーは、イメージングファイバーのリングの半径方向の外側または半径方向の内側に位置付けできるファイバーのリングを形成し得る。
【0113】
選択的な実施形態では、ラマン分光プローブは、さらに、遠位端と近位端との間に延在する第3の管腔を備え、好ましくは、少なくとも1つのカメラファイバー、具体的には少なくとも1つのイメージングファイバーは第3の管腔に配置される。
【0114】
第3の管腔は、細長本体内に配置され、遠位端から近位端まで延在する追加壁(例えば中間壁)によって器具内腔及び/または第2の管腔から境界を定められ得る。本実施形態では、照明ファイバー及び集光ファイバーは、第3の管腔を画定する壁によってカメラファイバー、具体的にはイメージングファイバーから分離される。
【0115】
例えば、第2の管腔及び/または第3の管腔は中空の円筒であり得る。言い換えれば、第2の管腔及び/または第3の管腔は、細長本体の断面図では、リングである。この場合、第3の管腔を第2の管腔から分離する壁は中空管であり得る。第3の管腔及び第2の管腔は同軸に配置され得る。
【0116】
選択的な実施形態では、細長本体の断面図では、器具内腔の周囲に分布する複数のカメラファイバーが提供され、好ましくは複数のカメラファイバーは器具内腔の大部分または全体の周囲に分布する。
【0117】
例えば、複数のイメージングファイバー及び/またはカメラ照明ファイバーは、器具内腔と同軸に配置されたリングまたはリングの一部を形成し得る。選択的な実施形態では、このリング、またはイメージングファイバー及び/もしくはカメラ照明ファイバーのリングのセクションは、上述のように第3の管腔に配置され得る。
【0118】
イメージングファイバーは単一リングに配置され得る。同様に、カメラ照明ファイバーも単一リングに配置され得る。さらに、イメージングファイバー及びカメラ照明ファイバーは単一リングに配置され得る。基本的に、照明ファイバー及び集光ファイバーの配置に関する同じ説明は、各々、イメージングファイバー及びカメラ入射ファイバーに等しく適用され得る。
【0119】
選択的な実施形態では、各イメージングファイバーはその遠位端にレンズ構造を含み、レンズ構造はイメージングファイバーに光を結合するように構成される。
【0120】
レンズ構造は、イメージングファイバーの遠位端を研削することによって製造され得る。代替的または追加的に、レンズ構造はイメージングファイバーの遠位端に取り付けられ得る。
【0121】
選択的な実施形態では、イメージングファイバー及び/またはカメラ照明ファイバーは、キャップデバイスの光学構造に結合される。
【0122】
光学構造は、追加のレンズ、ならびに/またはイメージングファイバー及び/もしくはカメラ照明ファイバー用の他の光学構成要素を含み得る。言い換えれば、レンズ構造は、イメージングファイバー及び/またはカメラ照明ファイバーに光学的に結合される。イメージングファイバー及び/またはカメラ照明ファイバーのレンズ構造は、光学的に透明な窓であり得る。この場合、レンズ及び/または他の光学構成要素は、イメージングファイバー及び/またはカメラ照明ファイバーの遠位端に取り付けられ得る。窓は、溶融シリカまたはフッ化マグネシウム(MgF)で作られ得る。
【0123】
選択的な実施形態では、分析デバイスは、さらに、非単色光を生成するための照明源と、光学照明構成要素とを含み、光学照明構成要素は、少なくとも1つのラマンファイバー、ラマン光源、及び照明源に接続され、光学照明構成要素は、ラマン光源からの単色光及び/または照明源からの非単色光を少なくとも1つのラマンファイバーに選択的または永久的に結合するように構成される。
【0124】
照明源はカメラ光源に対応し得るが、表示デバイスには配置されず、分析デバイスに配置される。これは、細長器具が標的部位の照明を提供しない細長カメラである場合に有益であり得る。標的部位の照明は、照明源及び少なくとも1つのラマンファイバーを使用することによって達成される。例えば、細長カメラは照明器を含まない、または表示デバイスの光センサーに接続されたイメージングファイバーだけを含む。照明源は、随意に、少なくとも1つの照明ファイバーに結合される。
【0125】
一実施形態では、光学照明構成要素は光スイッチ、例えば単極二極スイッチであり得る。光スイッチは、少なくとも1つのラマンファイバーに入力される光源を選択的に切り替えるように構成され得る。例えば、ラマン分光測定を行うとき、光スイッチはラマン光源の光を少なくとも1つのラマン(照明)ファイバーに結合する。細長カメラを使用して標的部位を画像化するとき、光スイッチは、照明源からの光を少なくとも1つのラマン(照明)ファイバーに結合する。同じファイバーが使用され、ソースが切り替えられる構成では、システムの視覚側が損なわれないように測定を十分に高速に行う必要がある。つまり、測定は毎秒10msのタイムスロットで行う必要があり得る。
【0126】
また、光スイッチは、例えば、画像化及びラマン分光測定が同時に行われるとき、ラマン光源からの光及び照明光源からの光の両方を同時に、または並行して少なくとも1つのラマン(照明)ファイバーに結合することも可能であり得る。
【0127】
別の実施形態では、光学照明構成要素は、ラマン光源及び照明源の両方からの光を少なくとも1つのラマン(照明)ファイバーに永久的に結合する光カプラーであり得る。光カプラーはY分岐カプラーであり得る。行われる機能に応じて、ラマン光源及び/または照明源が選択的にオンまたはオフに切り替えられる。
【0128】
選択的な実施形態では、分析デバイスは、さらに、光学検出構成要素を含み、光学検出構成要素は、少なくとも1つのラマンファイバー、ラマン光源、及びスペクトロメーターに接続され、検出構成要素は、ラマン光源の単色光を少なくとも1つのラマンファイバーにルーティングし、光を少なくとも1つのラマンファイバーからスペクトロメーターにルーティングするように構成される。
【0129】
光検出構成要素は、時分割スイッチ及び/またはマルチプレクサを含み得る。光検出構成要素は、波長、偏光、及び/または位相に応じて光をルーティングするように構成され得る。これは、ラマン散乱光からレイリー散乱光を低減/除去するのに役立ち得る。しかしながら、光学検出構成要素は、カプラーと、随意に、いくつかの光学フィルターとを含み得る。
【0130】
本実施形態では、1種類のラマンファイバーだけ、例えば集光ファイバーだけが提供される。同じラマンファイバーは、光を近位端から遠位端に及び遠位端から近位端に導くために使用される。
【0131】
光学検出構成要素は、ラマン光源からの光をラマンファイバーに結合する。加えて、光学検出構成要素はラマン散乱光をスペクトロメーターに向ける。この機能は、例えば時間的に分離して、または各々の波長に応じて、選択的に行われ得る。光学検出構成要素は、ラマンファイバーの数を減らすのに役立ち得る、または各ファイバーが集光ファイバーとして機能するため、集光ファイバーとして機能するファイバーの数を増加させるのに役立ち得る。
【0132】
さらに、本発明は、ラマン分光プローブ及び直視カメラ、例えば、適切な白色光または狭帯域画像を備えた小型CMOSカメラを組み合わせたものに関する。このラマン分光法、及びEMスペクトルの可視領域で行われる直接視覚の組み合わせは、スタンドアロンデバイス、及び治療エネルギー源と統合されるデバイスを形成し得る。
【0133】
この目的のために、上述の細長カメラは器具内腔に永久的に固定され得る。細長カメラは、上述のような画像キャプチャデバイスを含み得る。画像キャプチャデバイスはCMOSセンサーを含み得る。上述のように、画像化用の照明は、カメラ照明ファイバーによって、及び/または(上記のように)標的部位を照らすための照明ファイバーを使用することによって提供され得る。
【0134】
例えば、カメラ照明ファイバーのリングは細長カメラを囲み、ひいては器具内腔を囲む。カメラ照明ファイバーのリングは、照明ファイバーのリングによって囲まれ得、照明ファイバーのリングは、集光ファイバーのリングによって囲まれ得る。しかしながら、上述したように、異なるタイプのファイバーの他の配置も可能である。
【0135】
別の実施形態では、照明ファイバーのリングは細長カメラを囲み、ひいては器具内腔を囲む。照明ファイバーのリングは集光ファイバーのリングによって囲まれ得る。しかしながら、上述したように、異なるタイプのファイバーの他の配置も可能である。本実施形態では、照明ファイバーは、イメージング及びラマン測定の両方のための照明を提供するために使用され得る(上記参照)。
【0136】
細長アセンブリは、同軸給電ケーブル及び放射先端で構成される。同軸ケーブルは電磁エネルギーを搬送するように構成され、内部導体と、外部導体と、内部導体及び外部導体を分離する誘電材料とを備える。放射先端は、同軸給電ケーブルの遠位端に配置され、同軸給電ケーブルから電磁エネルギーを受信する。放射先端は、組織治療のために電磁エネルギーを放射するように構成される。内部導体及び放射先端は、細長器具を受けるように構成された通路を含む。放射先端は、内部導体に電気的に接続され、縦方向に延在して、電磁放射体を形成する細長導体と、細長導体に電気的に接続された第1の同調素子と、細長導体及び第1の同調素子の周りに配置された誘電体とを備える。電磁放射器によって放射された電磁場は、誘電体の周りにつくられる。
【0137】
選択的な実施形態では、細長器具は、手術器具、内視鏡カメラもしくは細長カメラ、またはラマン分光器具の遠位端とラマン分光器具の近位端との間に延在する少なくとも1つのラマンファイバーを含む細長いラマン分光器具であり、少なくとも1つのラマンファイバーは、随意に、光を近位端から遠位端に導くための照明ファイバー及び/または光を遠位端から近位端に導くための少なくとも1つの集光ファイバーを含む。
【0138】
手術器具及び/または細長カメラは、上述のような特徴及び構成を有し得る。細長いラマン分光器具のラマンファイバー、照明ファイバー、及び/または集光ファイバーは、上述のような特性及び構成を有し得る。ラマン分光器具は、上述のようなラマン分光プローブであり得る。ラマン分光器具は、ラマン分光装置にあるラマン分光プローブの代わりに使用され得る。このように、ラマン分光装置は、ラマン分光器具及び分析デバイスを含む。
【0139】
ラマン分光器具の照明ファイバー及び集光ファイバーは、上述のように細長本体によって促進されて密集した束で配置され得る。具体的には、ラマン分光器具は装置内腔を含まない場合がある。
【0140】
細長アセンブリは、電磁放射線、具体的には高周波放射線及び/またはマイクロ波放射線の放射によって、組織を切除、凝固、切断及び/または刺激するための器具であり得る。通路を通して細長器具を挿入することによって、さらなる機能を提供し得る。例えば、細長カメラ及び/またはラマン分光器具は、放射先端によって放射された放射線によって治療される組織を画像化/分析するために使用され得る。
【0141】
細長器具が通路内に滑動可能に挿入され得ることにより、電磁放射線で治療される組織を画像化/分析するために、放射先端の遠位端から押し出す、または引き出すことができる。したがって、組織を切除/切断するためのデバイスを画像化デバイスまたは分析デバイスと同時に挿入することが可能である。これにより、様々な機能を同時に挿入できるため、挿入プロセスが簡素化される。
【0142】
選択的な実施形態では、細長いものは、さらに、放射素子の遠位領域で細長導体に電気的に接続された第2の同調素子を備え、第1の同調素子は放射先端の近位領域に位置付けられ、誘電体は第2の同調素子の周りに位置付けられ、第1の同調素子及び第2の同調素子は縦方向に離間して位置付けられ、それによって、マイクロ波放射器によって放射されたマイクロ波場は誘電体の周りにつくられる。
【0143】
細長アセンブリは、身体の標的組織を切除するように動作し得る。デバイスは肺の組織の切除に特に適しているが、他の器官(例えば、子宮または胃腸管等)の組織の切除にも使用され得る。標的組織を効率的に切除するために、放射先端が標的組織の可能な限り近接して(そして多くの場合、内側に)配置することが望ましい。標的組織(例えば肺にある)に到達するために、デバイスは、通路(例えば気道)を通って、障害物の周りに導く必要があり得る。これは、器具が理想的には可能な限りの可撓性があり、小さい断面積を有することを意味する。特に、デバイスは、その先端の近くで、かなり可撓性がある必要があり、そこで、狭く屈曲する可能性がある細気管支等の狭い通路に沿ってデバイスを操縦する必要があり得る。
【0144】
同軸給電ケーブルは、1つの端部が電気手術用発電機に接続可能である従来の低損失の同軸ケーブルであり得る。具体的には、内部導体は、同軸給電ケーブルの縦軸に沿って延在する細長導体であり得る。誘電材料は、内部導体の周りに配置され得、例えば、第1の誘電材料は、内部導体が延在するチャネルを有し得る。外部導体は、誘電材料の表面に配置される導体材料で作られたスリーブであり得る。同軸給電ケーブルは、さらに、ケーブルを絶縁及び保護するための外部保護シースを含み得る。いくつかの例では、保護シースは、組織がケーブルに付着するのを防ぐために、非粘着材料で作られ得る、または非粘着材料でコーティングされ得る。放射先端は同軸給電ケーブルの遠位端に配置され、同軸給電ケーブルに沿って搬送されたEMエネルギーを標的組織に送達するのに役立つ。放射先端は同軸給電ケーブルに永久的に取り付けられ得る、または放射先端は同軸給電ケーブルに取り外し可能に取り付けられ得る。例えば、コネクタは、放射先端を受け、必要な電気接続を形成するように配置される同軸給電ケーブルの遠位端に提供され得る。
【0145】
放射先端は概して円筒形であり得る。誘電体は同軸給電ケーブルの遠位端に取り付けられ得る。いくつかの例では、誘電体は、同軸給電ケーブルの遠位端を越えて延在する同軸給電ケーブルの誘電体の突出部を含み得る。これは、放射先端の構造を簡素化し、放射先端と同軸給電ケーブルとの間の境界においてEMエネルギーの反射を回避し得る。他の例では、同軸給電ケーブルの誘電材料とは異なる第2の誘電材料を使用して、誘電体を形成し得る。マイクロ波エネルギーを標的組織に送達する効率を改善するために、標的組織とのインピーダンス整合を改善するように、第2の誘電材料を選択し得る。放射先端は、所望の方法で放射プロファイルをつくるように選択及び配置される複数の異なる誘電材料の一部を含み得る。
【0146】
細長導体は同軸給電ケーブルの内部導体に電気的に接続され、マイクロ波放射器として機能するように誘電体の内部に延在する。言い換えれば、同軸給電ケーブルから放射先端に搬送されたマイクロ波エネルギーは、細長導体から放射され得る。外部導体は同軸給電ケーブルの遠位端で終端し得、その結果、細長導体は外部導体の遠位端を越えて延在する。このように、放射先端はマイクロ波モノポールアンテナとして機能し得る。したがって、放射先端に搬送されたマイクロ波エネルギーは、細長導体から周囲の標的組織に放射され得る。細長導体は、例えば、誘電体のチャネル内に延在し得る。細長導体は、細長い形状を有する任意の適切な導体であり得る。例えば、細長導体は、誘電体の内部に延在する導体材料のワイヤー、ロッド、またはストリップであり得る。
【0147】
第1の同調素子は近位同調素子と呼ばれ得、放射先端の近位端の近くに位置する一部の導体材料(例えば、金属)であり得る。第2の同調素子は、放射先端の遠位端の近くに位置する導体材料(例えば、金属)の一部であり得る。したがって、遠位同調素子は、近位同調素子よりも同軸給電ケーブルの遠位端から遠くに離れ得る。近位同調素子及び遠位同調素子は両方とも細長導体に電気的に接続される。例えば、近位同調素子及び遠位同調素子はそれぞれ、細長導体上またはその周りに配置され得る。近位同調素子及び遠位同調素子は、任意の適切な手段によって細長導体に電気的に接続され得る。例えば、近位同調素子及び遠位同調素子は、細長導体に溶接され得る、またははんだ付けされ得る。別の例では、近位同調素子及び遠位同調素子は、導電接着剤(例えば、導電性エポキシ)を使用して細長導体に接続され得る。代替として、近位同調素子及び遠位同調素子の一方または両方は、細長導体と一体的に形成され得る(例えば、それらは単一部品として一緒に製造され得る)。近位同調素子及び遠位同調素子は、細長導体の長さだけ縦方向に離間する。言い換えれば、細長導体の一部は、近位電極と遠位電極との間に配置される。近位同調素子及び遠位同調素子が誘電体の一部によって覆われ得ることにより、それらの同調素子は環境から隔離/保護される。
【0148】
発明者らは、上述のような構成を有する放射先端が、放射先端と周囲の標的組織との間のインピーダンス不整合を減らし得ることを発見している。これにより、放射先端で同軸給電ケーブルに反射して戻るマイクロ波エネルギーの量が減り得る(これは、放射先端と標的組織との間のインピーダンスの不整合により発生する)。結果として、マイクロ波エネルギーを標的組織に送達できる効率を改善し得る。これにより、標的組織を切除するために同軸給電ケーブルを通って搬送する必要があるエネルギー量を減らすことを可能にし得る。次に、これにより、同軸給電ケーブルに沿ったマイクロ波エネルギーの伝達による加熱効果が減り得、その結果、電気手術器具はより長期間使用され得る。
【0149】
また、発明者らは、近位同調素子及び遠位同調素子が、放射先端のより望ましい放射プロファイルを生じさせ得ることを発見している。具体的には、同調素子は、放射プロファイルが放射先端の周りに集中するように放射プロファイルをつくり、同軸給電ケーブルに沿って後方に延在する放射プロファイルの尾部を減らし得る。このように、放射先端に搬送されたマイクロ波エネルギーは、放射先端から放射され、放射先端の周りの明確に画定された体積内の周りの標的組織を切除し得る。切除体積(すなわち、放射されたマイクロ波エネルギーによって切除される組織の体積)は、ほぼ球形であり得る。同調素子の形状、サイズ、及び場所は、所望のマイクロ波放射プロファイルを得るために選択され得る。
【0150】
近位同調素子及び遠位同調素子は、縦方向に関して対称に配置され得る。例えば、近位同調素子及び遠位同調素子は、例えば細長導体の縦軸と同一線上にある中心軸を有する円筒形であり得る。細長導体の縦軸は、細長導体の長さに沿った軸である。例えば、近位同調素子は、細長導体の周りに配置され、細長導体と同軸にある、導体材料の円筒部であり得る。これは、放射先端の放射プロファイルの軸対称性を改善し得る。
【0151】
いくつかの実施形態では、近位同調素子は、縦方向に同軸給電ケーブルの遠位端から離間され得る。例えば、誘電体は、同軸給電ケーブルの遠位端と近位同調素子との間に位置付けられるスペーサを含み得る。発明者らは、近位同調素子を同軸給電ケーブルの遠位端から離間させると、器具内に位相シフトが導入され得ることを発見している。位相シフトは、放射先端と標的組織との間のインピーダンス整合を改善し得、その結果、標的組織へのマイクロ波エネルギーの効率が改善され得る。位相シフトは、同軸給電ケーブルの遠位端と近位同調素子の近位端との間の距離に依存し得る。
【0152】
通路は、細長アセンブリの遠位端まで延在しており、細長アセンブリの遠位端で開いている。したがって、通路の遠位端から細長器具を押し出すことができる。放射先端の内部導体は、通路を提供するために中空であり得る。同軸ケーブルの内部導体及び放射先端の内部導体は、通路を形成するように位置合わせされ得る。
【0153】
通路は、1.5mm~2.3mm、好ましくは1.8mm~2.0mmの範囲の内径を有し得る。細長器具の外径は通路の内径よりもわずかに小さい。
【0154】
本願は、また、電磁放射線、具体的には高周波またはマイクロ波放射線を放射するように構成された放射素子または放射先端を有する治療デバイスの使用にも言及する。治療デバイスは、放射素子または放射先端が、好ましくは肺組織の癌性結節に近接または接触して配置され、その後、癌性結節の組織は永久的に損傷を受けないように、放射素子または放射先端によって電磁放射線が放射されるように使用される。
【0155】
治療デバイスは、近位端及び遠位端を備えた細長本体を有する内視鏡器具であり得る。放射素子は、遠位端またはそれに近接して配置され得る。放射素子は、細長本体内に配置された給電構造を介して発電機に接続され得る。したがって、遠位端は、それ自体で、または治療デバイスが挿入されるカテーテルを使用することによって、のいずれかで、癌性結節までナビゲートされる。
【0156】
電磁放射線はそのようなエネルギーレベルを有し得る、及び/または電磁放射線の適用時間は、癌性結節の組織が永久的に損傷を受けないように非常に短くなり得る。例えば、癌性結節の組織は、組織が損傷しない温度まで加熱される。癌性結節が加熱される温度は、癌組織内の分子の変性が起こる温度よりも低い。組織の温度は、組織が永久的に損傷を受けていないことを保証するために監視され得る。言い換えれば、しばらく後(例えば、治療された組織が体温に戻った後)、結節が電磁放射線に曝されたかどうかを判断できない。
【0157】
発明者らは、癌組織は電磁放射線によって生理学的に改変されなかったが、癌性結節の変化を観察できることを発見している。例えば、癌性結節の治癒プロセスが開始することが観察された。電磁放射線の適用は免疫系による反応を刺激すると考えられている。さらに、治療された癌性結節の近くにあるが、電磁放射線で治療されていない癌性結節自体も、癌組織の縮小をもたらす変化を受けることが発見されていた。この効果は、電磁放射線の適用によってもたされた免疫反応によって引き起こされると考えられている。
【0158】
治療デバイスは、上述のような電気手術治療デバイスまたは細長アセンブリを含むラマン分光プローブであり得る。癌組織はラマン分光プローブによって促進されたラマン分光法を使用することによって検出され得る一方、電磁エネルギーは、器具内腔内に配置された電気手術治療デバイスによって放射される。治療デバイスは、WO2020/011547またはWO2020/221749に説明されているように構成され得る。
【0159】
本明細書では、「マイクロ波」は、400MHz~100GHzの周波数範囲を示すために広範囲に使用され得るが、1GHz~60GHzの範囲が好ましい。マイクロ波EMエネルギーの好ましいスポット周波数は、915MHz、2.45GHz、3.3GHz、5.8GHz、10GHz、14.5GHz、及び24GHzを含む。5.8GHzが好ましくなり得る。
【0160】
「電気手術」という用語は、手術中に使用され、マイクロ波及び/または無線周波数電磁(EM)エネルギーを利用する器具、装置、またはツールに関連して使用される。
【0161】
添付の図面と併せて、本発明の実施形態について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0162】
図1】ラマン分光プローブを含むラマン分光装置の概略斜視図を示す。
図2図1によるラマン分光プローブの断面図を示す。
図3図1によるラマン分光プローブの断面図を示す。
図4】第2の実施形態による、ラマン分光プローブの断面図を示す。
図5】第3の実施形態による、ラマン分光プローブの断面図を示す。
図6図5によるラマン分光プローブの別の断面図を示す。
図7】第4の実施形態による、ラマン分光プローブを含むラマン分光装置のさらなる実施形態の概略斜視図である。
図8図7によるラマン分光プローブの断面図を示す。
図9図7によるラマン分光プローブの別の断面図を示す。
図10】第5の実施形態による、ラマン分光プローブの断面図を示す。
図11】ラマン分光プローブを含むラマン分光装置の別の概略斜視図を示す。
図12図11によるラマン分光プローブの断面図を示す。
図13】第6の実施形態による、ラマン分光プローブを含むラマン分光装置のさらなる実施形態の概略斜視図である。
図14図13によるラマン分光プローブの断面図を示す。
図15図13によるラマン分光プローブの別の断面図を示す。
図16】アセンブリのさらなる実施形態の概略斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0163】
図1は、ラマン分光プローブ10、分析デバイス12、及び/または表示デバイス14を含むラマン分光装置100を示す。ラマン分光プローブ10は、遠位端18から近位端20まで延在する細長本体16を含む。ラマン分光プローブ10、具体的には細長本体16は、細長構造を有し、身体の体腔に挿入されるように構成される。ラマン分光プローブ10は内視鏡デバイスであり得、遠位端18を体腔内を通して標的部位または標的エリアまでナビゲートするために、曲げることができる、または屈曲できる。標的部位は、分析、監視、及び/または治療することを意向がある体腔(例えば肺)の内部の領域であり得る。
【0164】
細長本体16は、ラマン分光プローブ10を遠位端18から近位端20まで覆う。具体的には、細長本体16は、ラマン分光プローブ10の内側をその周囲、例えば流体等から絶縁する。図3によく見えるように、細長本体16は、外部シース22及び張力緩和層24を含む。外部シース22は、ラマン分光プローブ10を体腔またはカテーテル等のスコーピングデバイスに挿入するときの摩擦を減らすために、潤滑性ポリマーから作られ得る。張力緩和層24は、ポリマーまたは金属ワイヤーで作られた編組、コイル、及び/またはチューブを含み得、これらはそれぞれまたは組み合わせて、ラマン分光プローブ10の屈曲角が制限され、その結果、細長本体16(後述)の内部に配置された構成要素は、屈曲または曲がるとき破損しない。
【0165】
ラマン分光プローブ10は、さらに、器具内腔26と、少なくとも1つの照明ファイバー28及び/または少なくとも1つの集光ファイバー30を含み得るラマンファイバー27とを含む。器具内腔26は、遠位端18から近位端20まで延在し、細長本体16の内部に配置される。器具内腔26は、細長器具32を摺動可能に配置できる通路と考えられ得る。言い換えれば、細長器具32は、器具内腔26に挿入できる、または器具内腔26から引き抜くことができる。器具内腔26の内径は、細長器具32の外径よりもわずかに大きい。
【0166】
器具内腔26は、遠位端18から近位端20まで延在し、例えば管34と細長本体16との間の空間に進入する流体からラマン分光プローブ10をシールする壁として機能する中空管34によって境界を定められる。中空管34は、プラスチック材料、例えばシース22と同じ材料から作られ得る。中空管34を作り得る潤滑性ポリマーは、細長器具32と中空管34との間の摩擦の低減に寄与できる。
【0167】
図3によく見えるように、器具内腔26ひいては中空管34は細長本体16と同軸に配置される。随意に、器具内腔26及び/または中空管34は細長本体16の内部の中央に配置される。しかしながら、本発明は本実施形態に限定されるものではない。器具内腔26は細長本体16の内側に配置される一方、少なくとも1つの照明ファイバー28及び少なくとも1つの集光ファイバー30は、器具内腔26の外側に、具体的には器具内腔26と細長本体16との間に配置される。
【0168】
図に示される実施形態では、複数の照明ファイバー28及び集光ファイバー30が器具内腔26を(完全に)囲む。図3及び図4に見えるように、複数の照明ファイバー28及び集光ファイバー30はファイバーの単一リングを形成する。それによって、照明ファイバー28及び集光ファイバー30は互いに接触し、器具内腔26(中空管34)及び/または細長本体16、具体的には張力緩和層24と接触する。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。照明ファイバー28及び/または集光ファイバー30は、互いに接触しない場合があり、または器具内腔26及び細長本体16とも接触しない場合があるが、離間して配置される。
【0169】
照明ファイバー28と集光ファイバー30との間の空間は、充填材及び/またはエポキシ等の接着剤で充填され得る。接着剤を使用して、複数の照明ファイバー28及び集光ファイバー30を互いに固定し得る。
【0170】
図3の実施形態では、照明ファイバー28及び集光ファイバー30は単一ファイバーのリング内に交互に配置される。それとは対照的に、図4に示される実施形態は、図3に示される実施形態と同じ特徴及び特性を含むが、集光ファイバー30はファイバーの単一リングの第1のセクションを形成し、照明ファイバー28はファイバーの単一リングのセクションの第2のセクションを形成する。集光ファイバー30の数は、照明ファイバー28の数よりも大きくなり得る。したがって、ファイバーの単一リングの第1のセクションは、ファイバーの単一リングの第2のセクションよりも大きくなり得る。例えば、ファイバーの単一リングの第2のセクションは、ファイバーのリングの4分の1または3分の1にわたって延在し得る。
【0171】
図2に見えるように、複数の照明ファイバー28及び集光ファイバー30は、細長本体16の近位端20を越えて延在し得、分析デバイス12に接続できる。集光ファイバー28及び集光ファイバー30の遠位端は、細長本体16の遠位端18と一致し得る。遠位端18をシールするために、キャップデバイス36が遠位端18に提供され得る。キャップデバイス36が器具内腔26と位置合わせされるアパーチャ38を含み得ることにより、細長器具32は、器具内腔26から、キャップデバイス36のアパーチャ38を通して押し出すことができる。
【0172】
キャップデバイス36は、また、照明ファイバー28及び/または集光ファイバー30に結合される光学構造を含み得る。光学構造は、照明ファイバー28からの光が通過できる窓及び/または標的部位から来る光が集光ファイバー30に結合できる窓であり得る。照明ファイバー28及び/または集光ファイバー30は窓に接触し得る及び/または窓に対して離間できる。照明ファイバー28及び/または集光ファイバー30は、光学構造に対して固定して位置付けられ得る。
【0173】
光学構造は、1つ以上のレンズ及び/または1つ以上の光学フィルターを含み得る。1つ以上のレンズは、照明ファイバー28から来る光を標的部位上に集束させるように構成され得る。1つ以上のレンズが標的部位から来る光を集光ファイバー30の遠位端面上にも集束させるように構成され得ることにより、光は集光ファイバー30に結合され得る。1つ以上の光学フィルターは、集光ファイバー30の遠位端面の前に位置付けられ得、照明ファイバー28によって放射された光と同一の波長を有する光、すなわちレイリー光または弾性散乱光を除去するように構成され得る。
【0174】
複数の照明ファイバー28及び集光ファイバー30は、ラマン分光測定用のプローブを形成する。一般に知られているように、ラマン分光法は、例えばスペクトロメーターを使用して非弾性後方散乱光(またはラマン散乱光)を分析しながら、単色光でサンプルを照らすことを含む。ラマン散乱光は、サンプルを照射する単色光と比較して異なる波長を有する。
【0175】
本発明の場合、分析デバイス12は、照明ファイバー28が結合されるラマン光源40(1つ以上のレーザー等)を含む。したがって、単色光は照明ファイバー28を介して標的部位に向けられる。ラマン散乱光(標的部位によって非弾性的に散乱された光)は、集光ファイバー32に結合され、分析デバイス12に配置されたスペクトロメーター42に送られる。スペクトロメーター42を使用して、ラマン散乱光を分析する。ラマン散乱光の強度及び/または波長は、標的部位内に存在する分子を示す。スペクトロメーター42を使用して識別された分子の分析は、標的部位における癌組織または他の変性組織の存在を示し得る。また、ラマン分光測定を使用して、標的部位に存在する異なるタイプの組織を識別することも可能である。この分析ステップは、手動で、または分析デバイス12に含まれ得る各々のソフトウェアと組み合わせてプロセッサによって行われ得る。
【0176】
図1図6に示される実施形態の細長器具32は内視鏡カメラ44である。内視鏡カメラまたは細長カメラ44は、画像キャプチャデバイス46を含み得る。画像キャプチャデバイス46は、画像キャプチャデバイス46内に配置された光センサー上に投影される光学画像に基づいて一連の電気信号を作成するように構成される。光学センサーは、細長カメラ44の遠位端またはそれに近接して配置され得る。ワイヤーは、電気信号を伝送するために、細長カメラ44内で画像キャプチャデバイス46(具体的には光学センサー)から細長カメラ44の近位端まで延在し得る。細長カメラ44の近位端は表示デバイス14に接続される。表示デバイス14は、画像キャプチャデバイス46によって生成された一連の電気信号を処理するプロセッサを含み得る。具体的には、プロセッサは、表示デバイス14のディスプレイ48によって表示できる光学画像を生成し得る。
【0177】
したがって、図1図6に示されるアセンブリを用いて、ラマン分光測定を行いながら、同時に標的部位を画像化することが可能である。これは、具体的には、ラマン分光測定を使用することによっては検出できるが、カメラを使用することによっては検出できない癌組織だけを検出できる場合に、癌性である標的部位のエリアを視覚的に識別するのに役立ち得る。
【0178】
図5及び図6は、以下の違いを除いて、図1図4に示された実施形態と同じ特徴及び特性を有するラマン分光プローブ10の別の実施形態に言及する。
【0179】
複数の照明ファイバー28は第1のファイバーのリングに配置される一方、複数の集光ファイバー30は第2のファイバーのリングに配置される。各リングでは、複数の集光ファイバー30及び照明ファイバー28が密に詰め込まれ、互いに接触し得る。集光ファイバー30の第1のリングは、照明ファイバー28の第2のリングと同軸に配置され、随意に、器具内腔26及び/または細長本体16と同軸に配置される。図6に示されるように、集光ファイバー30の第2のリングは、中間壁50によって照明ファイバー28の第1のリングによって分離される。しかしながら、中間壁50は必須ではなく、省略できる(図5参照)。中間壁50は中空管で構成され得、プラスチック材料で作ることができる。中間壁50は、器具内腔26、中空管34、及び/または細長本体16と同軸に配置され得る。
【0180】
集光ファイバー30の第2のリングは照明ファイバー28の第1のリングを囲む。したがって、集光ファイバー30によって覆われた断面積は、照明ファイバーによって覆われた断面積よりも大きい。これは、標的部位からのレイリー散乱光と同程度の光の収集に寄与し得る。例えば、この配置により、結果的に、集光ファイバー30の数が照明ファイバーの数よりも大きくなる。代替的または追加的に、集光ファイバー30の直径は照明ファイバー28の直径よりも大きくなり得る。
【0181】
図7図9は、以下の違いを除いて、図1図6に示される実施形態のラマン分光プローブと同一である別の実施形態に従ったラマン分光プローブ10を含む別のアセンブリを示す。
【0182】
図8及び図9に見えるように、ラマン分光プローブ10は、少なくとも1つのイメージングファイバー52及び/または少なくとも1つのカメラ照明ファイバー54を含む。イメージングファイバー52及びカメラ照明ファイバー54は、標的部位を画像化するためのカメラ44の別の実施形態の一部であるため、カメラファイバーと呼ばれ得る。
【0183】
イメージングファイバー52及びカメラ照明ファイバー54は、細長本体16の近位端20を越えて延在し、表示デバイス14に接続される。表示デバイス14は、白色光、具体的には非単色光等の光を生成するように構成されるカメラ光源56を含み得る。カメラ照明ファイバー54はカメラ光源56に接続される。カメラ照明ファイバー54は、カメラ光源56によって生成された光を、細長本体16の遠位端18と一致し得るカメラ照明ファイバー54の遠位端に導く。
【0184】
カメラ照明ファイバー54は、キャップデバイス36の光学構造に結合され得る。例えば、キャップデバイス36は、カメラ照明ファイバー54によって放射された光を標的部位上に集束させる(向ける)ための1つ以上の追加のレンズを含み得る。
【0185】
キャップデバイス56の光学構造は、また、標的部位から来る光をイメージングファイバー52に結合するための1つ以上のレンズを含み得る。例えば、イメージングファイバーに結合される光は、カメラ照明ファイバー54によって標的部位上に示される光であり得る。イメージングファイバー52は、イメージングファイバー52の遠位端から近位端に光を導き、イメージングファイバー52はCCDセンサー等の光センサーに結合できる。具体的には、イメージングファイバー52によって導かれた光は、標的部位の画像が光センサーに投影されるように、光センサーに投影される。光学センサーは、発せられた入射光を、プロセッサによって処理され得る一連の電気パルスに変換し、標的部位の画像がディスプレイ48上に見え得る。
【0186】
要するに、イメージングファイバー52は、表示デバイス14に配置された光センサーと連動して、標的部位を画像化するためのカメラを構成する。カメラ光源56に結合されたカメラ照明ファイバー54を使用して、標的部位を照らし得る。しかしながら、標的部位が照明ファイバー28によって放射された光によって照らされ得るため、カメラ照明ファイバー54及びカメラ光源56は必須ではない。単色光が照明ファイバー28によって放射される場合でも、これは標的部位を画像化するのに十分であり得る。
【0187】
図9によく見えるように、照明ファイバー28及び集光ファイバー30はファイバーの単一リングを形成する一方、イメージングファイバー52及びカメラ照明ファイバー54は別のファイバーの単一リングを形成する。照明ファイバー28及び集光ファイバー30の単一リングは、イメージングファイバー52及びカメラ照明ファイバー54の単一リングと同軸に配置され得る。図9に示される実施形態では、イメージングファイバー52及びカメラ照明ファイバー54の単一リングは、照明ファイバー28及び集光ファイバー30の単一リングを囲む。しかしながら、図9に示される実施形態と比較して集光ファイバー30の数が増加するという利点をもたらし得る逆の配置も可能である。したがって、ラマン分光測定のためにより多くの光を収集し得る。
【0188】
イメージングファイバー52及びカメラ照明ファイバー54は、ファイバーの単一リングに交互に配置される。しかしながら、イメージングファイバー52はファイバーの単一リングにセクションを形成し得る一方、カメラ照明ファイバー54はファイバーの単一リングに別のセクションを形成し、これは、図4に示される照明ファイバー28及び集光ファイバー30の断面配置と同様である。また、図9に示されるステップにおいて、照明ファイバー28及び集光ファイバー30が交互に配置されていないが、図4に示されるように扇形配置にすることも可能である。
【0189】
一方のイメージングファイバー52及びカメラ照明ファイバー54は、他方の照明ファイバー28及び集光ファイバー30から中間壁50によって物理的に分離される。しかしながら、中間壁50は必須ではなく、省略できる。
【0190】
中間壁50は、さらに、細長本体16の内部の空間を第2の管腔58及び第3の管腔60に分割する。複数の照明ファイバー28及び集光ファイバー30は第2の管腔に配置される一方、複数のイメージングファイバー52及びカメラ照明ファイバー54は第3の管腔に配置される。図9に示される実施形態では、第2の管腔58及び/または第3の管腔60は器具内腔26を完全に囲む。随意に、第2の管腔58及び/または第3の管腔60は器具内腔26と同軸に配置される。
【0191】
表示デバイス12は、さらに、照明源61及び光学照明構成要素63を含み得る。照明源61は、非単色光、例えば白色光を生成するように構成され得る。照明源61は、カメラ光源56と同じ特徴及び/または特性を有し得る。照明源61は、照明ファイバー28に結合され得る。
【0192】
照明構成要素63は、一実施形態では、光スイッチ、例えば単極二極スイッチであり得る。照明構成要素63は、照明ファイバー28に入力される光源を選択的に切り替えるように構成され得る。例えば、ラマン分光測定を行うとき、照明構成要素63は、ラマン光源40の光を照明ファイバー28に結合する。細長カメラ44を使用して標的部位を画像化するとき、照明構成要素63は、照明源61からの光を照明ファイバー28に結合する。また、例えば画像化及びラマン分光測定が同時に行われるとき、照明構成要素63がラマン光源40からの光及び照明光源61からの光の両方を照明ファイバー28に結合することも可能であり得る。
【0193】
別の実施形態では、照明構成要素63がラマン光源40及び照明光源61の両方からの光を照明ファイバー28に永久的に結合する光カプラーであり得る。光カプラーはY分岐カプラーであり得る。行われる機能に応じて、ラマン光源40及び/または照明光源61のスイッチを選択的にオンまたはオフにする。
【0194】
照明構成要素63、ラマン光源40、及び照明源61は、導波路及び/または光ファイバーによって互いに接続され得る。
【0195】
照明源61及び光学照明構成要素63は、追加的または代替的に、カメラ光源56に提供され得る。具体的には、照明源61及び光学照明構成要素63が提供される場合、カメラ照明ファイバー54を省略し得る。したがって、照明源61及び光学照明構成要素63は、照明ファイバー28を使用することによる画像化のために、標的部位に追加または代替の照明を提供する。
【0196】
図7及び図8に示される細長器具32は、標的部位における組織の切断、切除、刺激及び/または凝固に使用され得る高周波放射線及び/またはマイクロ波放射線等の電磁放射線を放射する電気手術治療デバイス62である。
【0197】
治療デバイス62の近位端は、無線周波数範囲及び/またはマイクロ波範囲の周波数を有する電磁エネルギーを生成することが可能である発電機64に接続され得る。
【0198】
治療デバイス62は、可撓性伝送線66(同軸ケーブル等)と、伝送線66の遠位端に接続される放射素子68とを含み得る。伝送線66は、マイクロ波エネルギーを搬送するのに適した従来の可撓性の50Ω同軸ケーブルであり得る。伝送線66は誘電材料によって分離される中心導体及び外部導体を含み得る。伝送線66は、電磁エネルギー、具体的にはマイクロ波エネルギーを受信するために、近位端で発電機に、例えば発電機64に接続可能である。
【0199】
放射素子68は、近位同軸伝送線70と、近位同軸伝送線70の遠位端に形成された遠位針先端72とを含む。近位同軸伝送線70は、伝送線66の遠位端に電気的に接続され、電磁エネルギーを伝送線66から受信し、その電磁エネルギーを遠位針先端72に搬送する。遠位針先端72は、受信した電磁エネルギーを標的部位の生体組織に送達するように構成される。本発明の例では、遠位針先端72は、マイクロ波エネルギーを標的の生体組織に送達して、その標的組織を切除するための半波長変成器として構成される。言い換えれば、遠位針先端72の電気的長さは、マイクロ波エネルギーの半波長(例えば5.8GHz)に対応する。マイクロ波エネルギーが遠位針先端72に送達されるとき、それは、マイクロ波エネルギーをその長さに沿って周囲の生体組織に放射し得る。
【0200】
近位同軸伝送線70の内部導体が、伝送線66の中心導体に電気的に接続される。放射素子68は、伝送線66と放射素子68との間の接合部上に搭載されたカラー74を介して伝送線66に固定される。カラー74は導体材料(例えば真ちゅう)で作られ、伝送線66の外部導体を、近位同軸伝送線70の外部導体に電気的に接続する。外部導体は、可撓性があり、組織(例えば、十二指腸壁)を貫通するのに十分な縦方向の剛性をもたらすニチノールの管で形成される。例示の目的で、外部導体は図8から省略される。また、例示の目的で、図8では近位同軸伝送線70の長さが省略されている。伝送線66及び放射素子68の例示的な詳細はWO2020/221749から取得され得る。
【0201】
伝送線66は、器具内腔26の内部に固定して配置される。例えば、伝送線66は接着剤によって中空管34に接着される。しかしながら、中空管34は、図7図9に示される実施形態では省略され得る。その理由として、伝送線66が細長本体16の内部に配置されるため、器具内腔26のシールは必要ないためである。例えば、伝送線66の外部シースは中空管34に交換され得る。複数の照明ファイバー28及び集光ファイバー30は伝送線66に固定され得る。
【0202】
カラー74は、キャップデバイス36の一部を形成し得る。そのような実施形態では、キャップデバイス36は、上述のような光学構造の機能と、伝送線66と放射素子68との間の電気接続とを組み合わせたものである。さらに、アパーチャ38の直径は、放射素子68の外径よりもわずかに大きいが、伝送線66の外径よりも小さい。したがって、キャップデバイス36は、遠位端18で伝送線66の一部を覆い得る。随意に、伝送線66の遠位端は、細長本体16の遠位端18と一致する。したがって、放射素子68だけが細長本体16の遠位端18から突出する。
【0203】
図に示されない代替の実施形態では、伝送線66は中空の内部導体を含む。放射素子68は、伝送線66の中空の内部導体に挿入されるように構成され得る。
【0204】
代替的または追加的に、治療デバイス62は、器具内腔26で永久的に固定されず、器具内腔26の内部で摺動可能であり得る。したがって、ラマン分光プローブ10を標的部位にナビゲートする間、完全な治療デバイス62、具体的には放射素子68は、細長本体16の遠位端18から突出しないが、器具内腔26の内部に配置される。電磁放射線を放射するために、放射素子68は細長本体16の遠位端18から押し出される。
【0205】
図7図9のラマン分光プローブ10は、カメラ、ラマン分光デバイス、及び外科的治療デバイスの機能を組み合わせ得る。具体的には、カメラ44(イメージングファイバー52及びカメラ照明ファイバー54を含む)を使用して標的部位で治療される組織を識別し、照明ファイバー28及び集光ファイバー30によって提供されたラマン分光機能を使用して、組織を分析することが可能である。標的部位の監視及び標的部位における組織の分析は、治療デバイス62による電磁エネルギーの印加中に継続し得る。したがって、標的部位における組織を切除しながら、標的部位を画像化し、癌組織を識別することが可能である。
【0206】
図10に示されるラマン分光プローブ10の実施形態は、以下の違いを除いて、図7図9に示されるラマン分光プローブ10の実施形態と同じ特徴及び機能を有する。
【0207】
集光ファイバー30は、器具内腔26の周囲に分布するファイバーの完全なリングを形成し得る。具体的には、集光ファイバー30だけが第2の管腔58に配置される。他のタイプのファイバーは第2の管腔58に配置されない。少なくとも1つの照明ファイバー28は、第3の管腔60に配置され得る。したがって、少なくとも1つの照明ファイバー28は、集光ファイバー30のリングの半径方向の外側に配置される。イメージングファイバー52及び/またはカメラ照明ファイバー54は、第3の管腔60に配置され得る。しかしながら、第3の管腔60を第2の管腔58から分離する中間壁50は、異なるタイプのファイバーの配置を維持しながら省略され得る。照明ファイバー28、イメージングファイバー52、及び/またはカメラ照明ファイバー54は、複数の集光ファイバー30によって構成されたファイバーのリングを囲むファイバーの単一リングを形成し得る。
【0208】
図11及び図12によるラマン分光プローブ10を含むラマン分光装置100の実施形態は、以下の違いを除いて、図1図3に示されるラマン分光プローブ10を含むラマン分光法装置100の実施形態と同じ特徴及び機能を有する。
【0209】
ラマン分光プローブ10は、1種類のラマンファイバー27だけ、例えば集光ファイバー30だけを含む。集光ファイバー30は、追加的に、近位端20から遠位端18に光を導くように構成され得る。ラマンファイバー27は、器具内腔26の周りにファイバーの単一リングに配置される。したがって、近位端20から遠位端18に光を導くために、かつ遠位端18から近位端20に光を導くために、同じラマンファイバー27を使用する。
【0210】
分析デバイス12は、さらに、ラマンファイバー27が結合される光学検出構成要素76を含む。光検出構成要素76は、さらに、例えば導波路及び/または光ファイバーによってラマン光源40及びスペクトロメーターの両方に接続される。
【0211】
光学検出構成要素76は、時分割スイッチ及び/またはマルチプレクサを含み得る。光検出構成要素76は、波長、偏光、及び/または位相に応じて、ラマン光源40からラマンファイバー27に及び/またはラマンファイバー27からスペクトロメーター42に、光をルーティングするように構成される。この選択的ルーティングは、ラマン散乱光からレイリー散乱光を減らす/除去するのに役立つ。しかしながら、光学検出構成要素76は、結合器、随意に、いくつかの光学フィルターを含み得る。
【0212】
光学検出構成要素76は、ラマン光源42からの光をラマンファイバー27に結合する。加えて、光学検出構成要素76は、ラマン散乱光をスペクトロメーター72に向ける。この機能は、例えば、時間的に選択して、または各々の波長に応じて、選択的に行われ得る。光学検出構成要素76は、ラマンファイバー27の数を減らすこと、または各ファイバーが集光ファイバー30として機能するため、集光ファイバー30として機能するファイバーの数を増加させることを可能にする。
【0213】
図13及び図15によるラマン分光プローブ10を含むラマン分光装置100の実施形態は、以下の違いを除いて、図7図9に示されるラマン分光プローブ10を含むラマン分光法装置100の実施形態と同じ特徴及び機能を有する。
【0214】
細長器具32は、器具内腔26で永久的に固定されるカメラ44である。カメラ44の遠位端は、細長本体16の遠位端18と一致する。中空管34は省略され得る。カメラ44の外面は、ラマンファイバー27と直接接触し得る。
【0215】
カメラ44は画像キャプチャデバイス46を含む。カメラ44は、標的部位を照らすための手段を含まない。標的部位の照明は、照明源61によって提供される。照明源61によって生成された光は、光スイッチまたは光カプラーであり得る照明構成要素63によって照明ファイバー28のリングで結合される。また、照明ファイバー28を使用して、ラマン光源40によって生成された光を標的部位に導く。
【0216】
照明ファイバー28のリングは、カメラ44を囲み得る。照明ファイバー28のリングは、集光ファイバー30のリングによって囲まれる。図に示されていない代替の実施形態では、カメラ44は、カメラ照明ファイバー54のリングによって囲まれ、さらに、照明ファイバー28のリング及び集光ファイバー30のリングによって囲まれる。本実施形態では、照明源61及び照明構成要素63は省略され得る。代わりに、カメラ照明ファイバー54が結合されるカメラ光源56が提供される。
【0217】
図16は、細長アセンブリ200の側面断面図を示す。細長アセンブリ200は、マイクロ波エネルギーを搬送するために、その近位端で発電機(発電機64等)に接続可能である同軸給電ケーブル202を含む。同軸給電ケーブル202は、誘電材料208によって分離される内部導体204及び外部導体206を含む。同軸給電ケーブル202は、マイクロ波エネルギーに対して好ましくは低損失である。チョーク(図示せず)を同軸給電ケーブル202に提供され、遠位端から反射されたマイクロ波エネルギーの逆伝播を抑制し、ひいては、デバイスに沿って逆行する加熱を制限し得る。同軸ケーブル202は、さらに、同軸ケーブル204を保護するために外部導体206の周りに配置された可撓性外部シース210を含む。外部シース210は、外部導体206をその周囲から電気的に絶縁するために絶縁材料で作られ得る。外部シース210及び外部シース22は、摩擦を減らすために、PTFE等の非粘着性材料で作られ得る、または非粘着性材料でコーティングされ得る。
【0218】
放射先端212は、同軸給電ケーブル202の遠位端214に形成される。図16の破線215は、同軸給電ケーブル202と放射先端212との間の境界面を示す。放射先端212は、同軸給電ケーブル202によって搬送されたマイクロ波エネルギーを受信し、そのエネルギーを生体組織、例えば標的部位に送達するように配置される。同軸給電ケーブル202の外部導体206は同軸給電ケーブル202の遠位端214で終端し、すなわち、外部導体206は放射先端212の中に延在しない。放射先端212は、同軸給電ケーブル202の遠位端を越えて延在する内部導体204の遠位部216を含む。具体的には、内部導体204の遠位部216は、外部導体206の遠位端を越えて延在する。
【0219】
同軸給電ケーブル202の内部導体204及び放射先端212の内部導体216は中空であり、細長器具32を挿入し得る通路217が形成される。通路217の内径は1.8mm~2.0mmであり得る一方、細長器具32の外径は隙間を許容するためにわずかに小さい。
【0220】
導体材料(例えば、金属)で作られた近位同調素子218(または第1の同調素子)は、放射先端212の近位端の近くで、内部導体204の遠位部216に電気的に接続される。近位同調素子218は円筒形状を有し、内部導体204の遠位部216が通過するチャネル220を含む。チャネル220の直径は内部導体204の外径と実質的に同じであり、その結果、内部導体204はチャネル220の内側の近位同調素子218と接触する。さらに、近位同調素子218は、例えば、導電接着剤(例えば、導電性エポキシ)を使用して、またははんだ付けもしくは溶接によって、内部導体204に固定され得る。近位同調素子218は内部導体204の中心にある。言い換えれば、円筒形の近位同調素子218の中心軸は、内部導体204の縦軸と同一線上にある。このように、近位同調素子218は、内部導体204の縦軸を中心として対称である様式で、内部導体204の遠位部216の周りに配置される。
【0221】
導体材料(例えば、金属)で作られた選択式遠位同調素子222(または第2の同調素子)は、放射先端212の遠位端近くの内部導体204の遠位部216に電気的に接続される。したがって、遠位同調素子222は、内部導体204に沿って、近位同調素子218よりもさらに遠くに位置する。遠位同調素子222は、内部導体204の遠位部216の長さだけ近位同調素子から離間されている。近位同調素子218と同様に、遠位同調素子は円筒形状を有し、チャネル224を含む。図16に確認できるように、内部導体204の遠位部216はチャネル224の中に延在する。内部導体204の遠位部216はチャネル224の遠位端で終端し、すなわち、それは遠位同調素子222を越えて突出しない。このように、内部導体204の遠位端は、遠位同調素子222の遠位面と同一平面にある。チャネル224の直径は、内部導体204の外径と実質的に同じであり、その結果、内部導体204は、チャネル224の内側の遠位同調素子222と接触する。さらに、遠位同調素子222は、例えば、導電接着剤(例えば、導電性エポキシ)を使用して、またははんだ付けもしくは溶接によって、内部導体204に固定され得る。近位同調素子218と同様に、遠位同調素子222は、内部導体204の中心に位置するように搭載される。
【0222】
近位同調素子218及び遠位同調素子222の両方は同じ外径を有する。近位同調素子218及び遠位同調素子222の外径は、電気手術器具200の外径よりもわずかに小さくなり得る。示される例では、遠位同調素子222は、器具の縦方向において近位同調素子218よりも長い。言い換えれば、遠位同調素子222のチャネル224の内部導体204の長さは、近位同調素子218のチャネル220の内部導体204の長さよりも大きい。例えば、遠位同調素子222は、近位同調素子218の約2倍の長さであり得る。遠位同調素子222を近位同調素子218よりも長くすることによって、放射先端212の遠位端の周りにマイクロ波放射線を集中させることが可能である。
【0223】
誘電材料208の遠位部226は、同軸給電ケーブル202の遠位端214を越えて、放射先端212の中に延在する。誘電材料208の遠位部226は、近位同調素子218と同軸給電ケーブル202の遠位端214との間のスペーサとして機能する。いくつかの実施形態(図示せず)では、誘電材料208は、同軸給電ケーブル202の遠位端214で終端し得、別個のスペーサは、同軸給電ケーブル202の遠位端214と近位同調素子218との間に提供され得る。誘電体スペーサ228は、近位同調素子218と遠位同調素子222との間の放射先端212に提供される。誘電体スペーサ228は誘電材料の円筒部であり、それを通って延在する中央チャネルを有する。したがって、誘電体スペーサ228は、誘電材料のチューブであり得る。内部導体204の遠位部214は、誘電体スペーサ228のチャネルを通って延在する。誘電体スペーサ228の近位面は近位同調素子218と接触しており、誘電体スペーサ228の遠位面は遠位同調素子222と接触する。誘電体スペーサ228は、近位同調素子218及び遠位同調素子222とほぼ同じ外径を有する。
【0224】
保護シース230は放射先端212の外側に提供される。保護シース230は、誘電体スペーサ228と、近位同調素子218及び遠位同調素子222とを覆い、放射先端212の外面が形成される。保護シース230は絶縁材料で作られたチューブであり得る。保護シース230は、放射先端212を絶縁し、それを環境から保護するのに役立ち得る。保護シース230は、組織がそのシースに付着するのを防ぐために、非粘着性材料(例えばPTFE)で作られ得る、またはそれでコーティングされ得る。保護シース230の外径は、同軸給電ケーブル202の外径と実質的に同じであり、その結果、器具は滑らかな外面を有し、すなわち、放射先端212は、境界面215の同軸給電ケーブル202の外面と同一平面である外面を有する。いくつかの実施形態(図示せず)では、保護シース230は、同軸給電ケーブル202の外部シース210の延長であり得る。それと同時に、誘電材料208の遠位部226、誘電体スペーサ228、及び保護シース230は、放射先端212の誘電体を形成する。
【0225】
放射先端212は、さらに、その遠位端に位置する遠位先端232を含み得る。遠位先端232は、標的組織への放射先端212の挿入を容易にするように尖り得る。しかしながら、他の実施形態(図示せず)では、遠位先端は丸いまたは平坦であり得る。遠位先端232は、例えば誘電材料208と同じ誘電材料で作られ得る。いくつかの実施形態では、遠位先端232の材料は、EMエネルギーを標的組織に送達する効率を改善するために、標的組織とのインピーダンス整合を改善するように選択され得る。遠位先端232は、組織がその先端に付着するのを防ぐために、非粘着性材料(例えば、PTFE)で作られ得る、またはそれで覆われ得る。
【0226】
遠位先端232は、通路217と位置合わせされ、通路217の方向に延在する貫通孔233を含み得る。貫通孔233は、通路217と同じ内径を有する。細長器具32は、通路217及び貫通孔233を通って細長器具200の外に押し出され得る。
【0227】
以下は、電気手術器具200の寸法の例である。
‐境界面215から内部導体204の遠位部216の遠位端までの距離:9.1mm、
‐近位同調素子218及び遠位同調素子222の外径:2.4mm、
‐近位同調素子218の長さ:0.8mm、
‐遠位同調素子222の長さ:1.6mm、
‐近位同調素子218と遠位同調素子222との間の間隔:5.9mm、
‐近位同調素子218と境界面215との間の間隔:0.8mm、
‐電気手術器具200の外径:3.0mm。
【0228】
放射先端212は、マイクロ波エネルギーが放射先端212に搬送されるとき、マイクロ波モノポールアンテナとして機能し得る。具体的には、マイクロ波エネルギーは内部導体202の遠位部216から放射され得、その結果、マイクロ波エネルギーは周囲の生体組織に送達できる。下記に説明されるように、近位同調素子218及び遠位同調素子222は、放射先端212の放射プロファイルをつくるように作用し、器具と周囲の標的組織との間のインピーダンス整合を改善する。
【0229】
通路217に挿入できる細長器具32は、(内視鏡)手術器具、内視鏡カメラ44、または細長いラマン分光器具であり得る。内視鏡カメラ44は、上述のように構成され得る。細長いラマン分光器具は、少なくとも1つの照明ファイバー28、少なくとも1つの集光ファイバー30、細長本体16、及び/またはキャップデバイス36を含み得、これらは上述のような構成及び形状を有し得る。具体的には、細長いラマン分光器具は、器具内腔26のないラマン分光プローブ10として構成され得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【手続補正書】
【提出日】2022-10-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラマン分光プローブであって、
遠位端及び近位端を有する細長本体と、
前記近位端と前記遠位端との間で光を導くための、前記細長本体内の少なくとも1つのラマンファイバーと、
前記細長本体内にあり、前記遠位端と前記近位端との間に延在する、器具内腔と、
前記器具内腔に固定して配置される細長器具であって、前記細長器具は組織治療のために電磁放射線を送達するための電気手術治療デバイスである、前記細長器具と、
前記細長本体の前記遠位端に搭載されたキャップデバイスと、
を備え、
前記器具内腔は前記細長器具を受けるように構成され、
前記少なくとも1つのラマンファイバーは前記器具内腔の外側に配置され
前記電気手術治療デバイスは、電磁エネルギーを搬送するように構成された伝送線と、前記伝送線の遠位端から突出し、前記電磁エネルギーを前記伝送線から受信するように配置される、放射素子と、を含み、前記放射素子は組織治療のための前記電磁エネルギーを放射するように構成されており、
前記キャップデバイスは前記器具内腔と位置合わせされるアパーチャを含み、前記キャップデバイスは前記細長本体内に前記伝送線の遠位端を保持し、
前記キャップデバイスは、前記少なくとも1つのラマンファイバーに光学的に結合された光学構造を含み、
前記キャップデバイスはセントラライザーを含む、
前記ラマン分光プローブ。
【請求項2】
複数のラマンファイバーをさらに備え、
前記細長本体の断面図では、前記複数のラマンファイバーは前記器具内腔の周囲に分布し、
好ましくは、前記複数のラマンファイバーは前記器具内腔の前記周囲の大部分または全体の周りに分布し、
さらに好ましくは、前記複数のラマンファイバーはファイバーのリングを形成する、
請求項1に記載のラマン分光プローブ。
【請求項3】
複数の照明ファイバー及び複数の集光ファイバーを含む複数のラマンファイバーをさらに備え、
前記細長本体の断面図では、前記複数の照明ファイバーは第1のファイバーのリングに配置され、前記複数の集光ファイバーは、前記第1のファイバーのリングと同軸に配置された第2のファイバーのリングに配置される、請求項1または2に記載のラマン分光プローブ。
【請求項4】
複数の照明ファイバー及び複数の集光ファイバーを含む複数のラマンファイバーをさらに備え、
前記細長本体の断面図では、前記照明ファイバー及び前記集光ファイバーはファイバーのリングに交互に配置されるか、または前記複数の集光ファイバーのグループは単一リングの第1のセクションに配置され、前記複数の照明ファイバーのグループは前記単一リングの第2のセクションに配置される、請求項1または2に記載のラマン分光プローブ。
【請求項5】
複数の集光ファイバー及び少なくとも1つの照明ファイバーを含む複数のラマンファイバーをさらに備え、
前記細長本体の断面図では、前記複数の集光ファイバーはファイバーの単一リングに配置され、
好ましくは、前記少なくとも1つの照明ファイバーは、前記集光ファイバーの単一リングの半径方向の外側に配置されるか、または半径方向の内側に配置される、請求項1または2に記載のラマン分光プローブ。
【請求項6】
前記細長本体の縦軸は、前記器具内腔の縦軸と同軸である、先行請求項のいずれかに記載のラマン分光プローブ。
【請求項7】
前記伝送線は、前記伝送線の前記遠位端が前記細長本体の前記遠位端と一致するように、前記器具内腔に固定して配置される、先行請求項のいずれかに記載のラマン分光プローブ。
【請求項8】
前記伝送線は中空の内部導体を含み、
好ましくは、前記放射素子は前記中空の内部導体の遠位端内に格納可能である、先行請求項のいずれかに記載のラマン分光プローブ。
【請求項9】
前記光学構造は少なくとも1つのレンズを含む、先行請求項のいずれかに記載のラマン分光プローブ。
【請求項10】
前記遠位端から前記近位端に光を導くために前記細長本体内に少なくとも1つのイメージングファイバーをさらに備え、
前記少なくとも1つのイメージングファイバーは前記器具内腔の外側に配置されている、先行請求項のいずれかに記載のラマン分光プローブ。
【請求項11】
前記細長本体の断面図では、前記器具内腔の周囲に分布する複数のイメージングファイバーが提供され、
好ましくは、前記複数のイメージングファイバーは、前記器具内腔の前記周囲の大部分または全体の周りに分布する、請求項1に記載のラマン分光プローブ。
【請求項12】
各イメージングファイバーは前記イメージングファイバーの遠位端にレンズ構造を含み、前記レンズ構造は光を前記イメージングファイバーに結合するように構成される、請求項1または1のいずれかに記載のラマン分光プローブ。
【請求項13】
前記イメージングファイバーは前記光学構造に結合される、請求項1または1のいずれかに記載のラマン分光プローブ。
【国際調査報告】