(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-18
(54)【発明の名称】MAGE-B2特異的T細胞受容体
(51)【国際特許分類】
C12N 15/867 20060101AFI20240111BHJP
C12N 15/24 20060101ALI20240111BHJP
C12N 15/12 20060101ALI20240111BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20240111BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20240111BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20240111BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20240111BHJP
A61K 39/00 20060101ALI20240111BHJP
A61K 35/17 20150101ALI20240111BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240111BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20240111BHJP
【FI】
C12N15/867 Z
C12N15/24 ZNA
C12N15/12
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
A61K39/00 H
A61K35/17
A61P35/00
A61P37/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023537297
(86)(22)【出願日】2021-12-21
(85)【翻訳文提出日】2023-08-17
(86)【国際出願番号】 US2021064504
(87)【国際公開番号】W WO2022140321
(87)【国際公開日】2022-06-30
(32)【優先日】2020-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】500049716
【氏名又は名称】アムジエン・インコーポレーテツド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム,ソンウン
(72)【発明者】
【氏名】ジェン,ヤン
(72)【発明者】
【氏名】バガル,ダナッシュリー・エス
(72)【発明者】
【氏名】ユエ,リリー
【テーマコード(参考)】
4B065
4C085
4C087
【Fターム(参考)】
4B065AA01X
4B065AA57X
4B065AA72X
4B065AA90X
4B065AB01
4B065BA02
4B065CA43
4B065CA44
4C085AA02
4C085BB01
4C085BB11
4C085DD62
4C085EE01
4C085GG01
4C087AA01
4C087AA02
4C087AA03
4C087BB65
4C087CA04
4C087NA14
4C087ZB02
4C087ZB09
4C087ZB26
(57)【要約】
T細胞表面に組換えで発現された場合に、HLA-A*02:01により提示された場合のMAGE-B2由来ペプチドGVYDGEEHSV(配列番号1)を、組換えT細胞を活性化するのに十分に認識することができるT細胞受容体(TCR)が本明細書において提供される。本明細書において提供される特定のTCRも、組換えT細胞を活性化するために十分にMAGE-A4由来ペプチドGVYDGREHTV(配列番号2)を認識することができる。重要なことには、正常細胞又は組織によって提示され得る類似のペプチドとの交差反応の欠如、及びアロ反応性について、本明細書に提供される例示的なTCRが徹底的にスクリーニングされた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
T細胞受容体(TCR)α鎖及びTCRβ鎖をコードする核酸配列を含む発現ベクターであって、前記TCRα鎖及びTCRβ鎖が、
a.配列番号13に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号24に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
b.配列番号14に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号25に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
c.配列番号15に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号26に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
d.配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号27に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
e.配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号28に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
f.配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号29に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
g.配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号30に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
h.配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号31に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
i.配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号32に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
j.配列番号22に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号33に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;並びに
k.配列番号23に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号34に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
からなる群から選択される、発現ベクター。
【請求項2】
インターロイキン-12(IL-12)をコードする核酸、又はその機能性変異体をさらに含む、請求項1に記載の発現ベクター。
【請求項3】
ウイルスベクターである、請求項1又は2に記載の発現ベクター。
【請求項4】
レトロウイルスベクターである、請求項3に記載の発現ベクター。
【請求項5】
レンチウイルスベクターである、請求項4に記載の発現ベクター。
【請求項6】
前記TCRα鎖が配列番号13に記載のアミノ酸配列を含み、且つ前記TCRβ鎖が配列番号24に記載のアミノ酸配列を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の発現ベクター。
【請求項7】
前記TCRα鎖が配列番号35に記載のアミノ酸配列を含み、且つ前記TCRβ鎖が配列番号46に記載のアミノ酸配列を含む、請求項6に記載の発現ベクター。
【請求項8】
前記TCRα鎖が配列番号57に記載のアミノ酸配列を含み、且つ前記TCRβ鎖が配列番号68に記載のアミノ酸配列を含む、請求項7に記載の発現ベクター。
【請求項9】
前記TCRα鎖が配列番号14に記載のアミノ酸配列を含み、且つ前記TCRβ鎖が配列番号25に記載のアミノ酸配列を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の発現ベクター。
【請求項10】
前記TCRα鎖が配列番号36に記載のアミノ酸配列を含み、且つ前記TCRβ鎖が配列番号47に記載のアミノ酸配列を含む、請求項9に記載の発現ベクター。
【請求項11】
前記TCRα鎖が配列番号58に記載のアミノ酸配列を含み、且つ前記TCRβ鎖が配列番号69に記載のアミノ酸配列を含む、請求項10に記載の発現ベクター。
【請求項12】
前記TCRα鎖が配列番号15に記載のアミノ酸配列を含み、且つ前記TCRβ鎖が配列番号26に記載のアミノ酸配列を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の発現ベクター。
【請求項13】
前記TCRα鎖が配列番号37に記載のアミノ酸配列を含み、且つ前記TCRβ鎖が配列番号48に記載のアミノ酸配列を含む、請求項12に記載の発現ベクター。
【請求項14】
前記TCRα鎖が配列番号59に記載のアミノ酸配列を含み、且つ前記TCRβ鎖が配列番号70に記載のアミノ酸配列を含む、請求項13に記載の発現ベクター。
【請求項15】
前記TCRα鎖が配列番号16に記載のアミノ酸配列を含み、且つ前記TCRβ鎖が配列番号27に記載のアミノ酸配列を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の発現ベクター。
【請求項16】
前記TCRα鎖が配列番号38に記載のアミノ酸配列を含み、且つ前記TCRβ鎖が配列番号49に記載のアミノ酸配列を含む、請求項15に記載の発現ベクター。
【請求項17】
前記TCRα鎖が配列番号60に記載のアミノ酸配列を含み、且つ前記TCRβ鎖が配列番号71に記載のアミノ酸配列を含む、請求項16に記載の発現ベクター。
【請求項18】
前記TCRα鎖が配列番号17に記載のアミノ酸配列を含み、且つ前記TCRβ鎖が配列番号28に記載のアミノ酸配列を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の発現ベクター。
【請求項19】
前記TCRα鎖が配列番号39に記載のアミノ酸配列を含み、且つ前記TCRβ鎖が配列番号50に記載のアミノ酸配列を含む、請求項18に記載の発現ベクター。
【請求項20】
前記TCRα鎖が配列番号61に記載のアミノ酸配列を含み、且つ前記TCRβ鎖が配列番号72に記載のアミノ酸配列を含む、請求項19に記載の発現ベクター。
【請求項21】
前記TCRα鎖が配列番号18に記載のアミノ酸配列を含み、且つ前記TCRβ鎖が配列番号29に記載のアミノ酸配列を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の発現ベクター。
【請求項22】
前記TCRα鎖が配列番号40に記載のアミノ酸配列を含み、且つ前記TCRβ鎖が配列番号51に記載のアミノ酸配列を含む、請求項21に記載の発現ベクター。
【請求項23】
前記TCRα鎖が配列番号62に記載のアミノ酸配列を含み、且つ前記TCRβ鎖が配列番号73に記載のアミノ酸配列を含む、請求項21に記載の発現ベクター。
【請求項24】
前記TCRα鎖が配列番号19に記載のアミノ酸配列を含み、且つ前記TCRβ鎖が配列番号30に記載のアミノ酸配列を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の発現ベクター。
【請求項25】
前記TCRα鎖が配列番号41に記載のアミノ酸配列を含み、且つ前記TCRβ鎖が配列番号52に記載のアミノ酸配列を含む、請求項24に記載の発現ベクター。
【請求項26】
前記TCRα鎖が配列番号63に記載のアミノ酸配列を含み、且つ前記TCRβ鎖が配列番号74に記載のアミノ酸配列を含む、請求項25に記載の発現ベクター。
【請求項27】
前記TCRα鎖が配列番号20に記載のアミノ酸配列を含み、且つ前記TCRβ鎖が配列番号31に記載のアミノ酸配列を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の発現ベクター。
【請求項28】
前記TCRα鎖が配列番号42に記載のアミノ酸配列を含み、且つ前記TCRβ鎖が配列番号53に記載のアミノ酸配列を含む、請求項27に記載の発現ベクター。
【請求項29】
前記TCRα鎖が配列番号64に記載のアミノ酸配列を含み、且つ前記TCRβ鎖が配列番号75に記載のアミノ酸配列を含む、請求項28に記載の発現ベクター。
【請求項30】
前記TCRα鎖が配列番号21に記載のアミノ酸配列を含み、且つ前記TCRβ鎖が配列番号32に記載のアミノ酸配列を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の発現ベクター。
【請求項31】
前記TCRα鎖が配列番号43に記載のアミノ酸配列を含み、且つ前記TCRβ鎖が配列番号54に記載のアミノ酸配列を含む、請求項30に記載の発現ベクター。
【請求項32】
前記TCRα鎖が配列番号65に記載のアミノ酸配列を含み、且つ前記TCRβ鎖が配列番号76に記載のアミノ酸配列を含む、請求項31に記載の発現ベクター。
【請求項33】
前記TCRα鎖が配列番号22に記載のアミノ酸配列を含み、且つ前記TCRβ鎖が配列番号33に記載のアミノ酸配列を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の発現ベクター。
【請求項34】
前記TCRα鎖が配列番号44に記載のアミノ酸配列を含み、且つ前記TCRβ鎖が配列番号55に記載のアミノ酸配列を含む、請求項33に記載の発現ベクター。
【請求項35】
前記TCRα鎖が配列番号66に記載のアミノ酸配列を含み、且つ前記TCRβ鎖が配列番号77に記載のアミノ酸配列を含む、請求項34に記載の発現ベクター。
【請求項36】
前記TCRα鎖が配列番号23に記載のアミノ酸配列を含み、且つ前記TCRβ鎖が配列番号34に記載のアミノ酸配列を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の発現ベクター。
【請求項37】
前記TCRα鎖が配列番号45に記載のアミノ酸配列を含み、且つ前記TCRβ鎖が配列番号56に記載のアミノ酸配列を含む、請求項36に記載の発現ベクター。
【請求項38】
前記TCRα鎖が配列番号67に記載のアミノ酸配列を含み、且つ前記TCRβ鎖が配列番号78に記載のアミノ酸配列を含む、請求項37に記載の発現ベクター。
【請求項39】
組換えT細胞受容体(TCR)を発現する細胞であって、前記TCRが:
a.配列番号13に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号24に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
b.配列番号14に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号25に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
c.配列番号15に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号26に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
d.配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号27に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
e.配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号28に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
f.配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号29に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
g.配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号30に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
h.配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号31に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
i.配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号32に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
j.配列番号22に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号33に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;又は
k.配列番号23に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号34に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
を含む、細胞。
【請求項40】
前記TCRが:
a.配列番号35に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号46に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
b.配列番号36に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号47に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
c.配列番号37に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号48に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
d.配列番号38に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号49に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
e.配列番号39に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号50に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
f.配列番号40に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号51に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
g.配列番号41に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号52に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
h.配列番号42に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号53に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
i.配列番号43に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号54に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
j.配列番号44に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号55に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;又は
k.配列番号45に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号56に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
を含む、請求項39に記載の細胞。
【請求項41】
組換えIL-12又はその機能性変異体をさらに発現する、請求項39又は40に記載の細胞。
【請求項42】
請求項1から38のいずれかに記載の発現ベクターを含む、細胞。
【請求項43】
T細胞である、請求項39~42のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項44】
前記TCRが、HLA-A
*02:01の状況において、配列番号1又は配列番号2のペプチドに結合し、前記結合によって、前記細胞によるIFNγ、TNFα、IL-12、又はグランザイムB産生の活性化が生じる、請求項43に記載の細胞。
【請求項45】
請求項39~44のいずれか一項に記載の細胞を治療有効量で含む、医薬組成物。
【請求項46】
TCRα鎖及びTCRβ鎖をコードする核酸配列を含む発現ベクターを、細胞に導入することを含む、請求項39~44のいずれか一項に記載の細胞又は請求項45に記載の医薬組成物を製造する方法であって、
前記TCRα鎖及びTCRβ鎖が:
a.配列番号13に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号24に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
b.配列番号14に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号25に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
c.配列番号15に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号26に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
d.配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号27に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
e.配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号28に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
f.配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号29に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
g.配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号30に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
h.配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号31に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
i.配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号32に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
j.配列番号22に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号33に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;又は
k.配列番号23に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号34に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
からなる群から選択される、方法。
【請求項47】
前記TCRα鎖及びTCRβ鎖が:
a.配列番号35に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号46に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
b.配列番号36に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号47に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
c.配列番号37に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号48に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
d.配列番号38に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号49に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
e.配列番号39に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号50に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
f.配列番号40に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号51に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
g.配列番号41に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号52に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
h.配列番号42に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号53に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
i.配列番号43に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号54に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
j.配列番号44に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号55に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;並びに
k.配列番号45に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号56に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
からなる群から選択される、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記発現ベクターが、IL-12をコードする核酸配列又はその機能性変異体をさらに含む、請求項46又は47に記載の方法。
【請求項49】
前記細胞がT細胞である、請求項46~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記細胞が初代T細胞である、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記初代T細胞が、癌患者から単離される、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
MAGE-B2又はMAGE-A4発現性の癌を治療する方法であって、請求項39~44のいずれか一項に記載の細胞、請求項45に記載の医薬組成物、又は請求項46~51のいずれか一項に記載の方法によって製造された細胞を、治療有効量で癌患者に投与することを含む、方法。
【請求項53】
前記患者が、MAGE-B2又はMAGE-A4を発現する癌の存在を決定するために投与前に試験される、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
MAGE-B2又はMAGE-A4をコードする核酸が検出される、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
MAGE-B2若しくはMAGE-A4タンパク質、又はMAGE-B2由来若しくはMAGE-A4由来ペプチドが検出される、請求項53に記載の方法。
【請求項56】
前記患者が、前記HLA-A
*02:01対立遺伝子を保有することが同定される、請求項52~55のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、その全体が、本明細書に完全に記載されているが如くすべての目的のために、参照により本明細書に組み込まれる、2020年12月22日出願の米国仮特許出願第63/129,447号の利益を主張する。
【0002】
本発明は、T細胞の表面に組換えで発現された場合に、組換えT細胞を活性化するのに十分にペプチドを認識することができるT細胞受容体に関する。
【0003】
配列表
本出願は、開示内容の別個の部分として、コンピューターで読み取り可能な形式(2021年11月2日に作成され、113KBのサイズである、ファイル名:A-2668-WO-PCT_ST25.txt)であり、その全体が参照により組み込まれる、配列表を含有する。
【背景技術】
【0004】
養子T細胞療法は、癌を治療する途方もなく大きな機会を提供する。キメラ抗原受容体(CAR)-T細胞療法は、血液悪性腫瘍に対する承認された養子T細胞療法であるが、ゲノムの約25%を占める細胞表面抗原のみに対してそれが認識するために、標的の範囲が限られる。CAR-T細胞と異なり、腫瘍抗原に対して特異的なT細胞受容体(TCR)を発現するように操作されたTCR-T細胞は、ゲノムの約75%を占める細胞内タンパク質から誘導されるペプチド-MHC複合体(pMHC)を認識し得ることから、複数の癌適応症に対する、より広い範囲の標的を利用し得る。細胞内タンパク質は、pMHC複合体として主要組織適合遺伝子複合体(MHC)によって処理され、提示される。
【0005】
癌-精巣抗原(CTA)は、生殖細胞におけるその制限された発現及び種々の癌における異常な再活性化、及びその免疫原性のために、TCR-T細胞療法などの癌免疫療法の魅力的な標的である。精巣(免疫特権部位)などの生殖細胞は通常、HLAクラスI/II分子を発現せず、免疫システムからの攻撃を回避することが可能となる。MAGE-B2及びMAGE-A4は、黒色腫抗原(MAGE)遺伝子ファミリーのメンバーであり、その大部分は、MAGE-B2及びMAGE-A4などの細胞内癌-精巣抗原として分類される。最近の研究から、E3 RINGユビキチンリガーゼとのMAGEアセンブルが、ユビキチン結合の制御因子として働き、細胞増殖及び発癌活性において役割を果たし、細胞ストレス応答を調節することが示唆されている。しかしながら、MAGE-B2及びMAGE-A4などの、大部分のMAGE遺伝子の機能は完全には理解されていない。
【0006】
TCR-T細胞が、腫瘍特異的ペプチド-MHC標的に対して非常に強力であり、感受性のある様式であることが分かっていると同時に、TCRは複数のペプチドを認識することができる。TCR形成に必要なDNA再構成は、自己抗原を認識する一定数のT細胞を産生する。初期のT細胞発生時に、自己反応性T細胞は、胸腺髄質上皮細胞における広範囲の自己抗原の無差別の発現を介して、胸腺の髄質においてネガティブに選択され、排除される。胸腺におけるこのネガティブセレクションは、中枢性免疫寛容の主要なメカニズムとして機能し、T細胞レパートリーを形づくり、自己免疫を回避する。特定のpMHCに対するその親和性を高めるため、又は複数のpMHCに交差反応性を導入するために操作されたTCRは、胸腺で起こるネガティブセレクションの利点を持たない。親和性増強MAGE-A3 TCR-T細胞は、心筋において発現されるタイチンに対する交差反応性のために、致死の毒性を引き起こすことは注目に値する(Cameron et al.,Sci Transl Med.2013 5(197))。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Cameron et al.,Sci Transl Med.2013 5(197)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
腫瘍特異的抗原を認識するTCR配列の同定は、特に、患者の血液中での腫瘍特異的T細胞の希少さ、生体外(ex vivo)でごく少数の腫瘍特異的T細胞クローンを拡大する難しさ、及び腫瘍浸潤性リンパ球(TIL)における腫瘍特異的T細胞の潜在的な消耗又は抑制のために、当技術分野において非常に挑戦的であることが分かっている。これらの難題にも関わらず、健康なドナーの血液及び生体外(ex vivo)刺激方法を用いて同定されたMAGE-B2ペプチド-MHC(GVYDGEEHSV/HLA-A*02:01)及びMAGE-A4ペプチド-MHC(GVYDGREHTV/HLA-A*02:01)に対して特異的なTCR配列が本明細書において提供される。本明細書で実施例に実証されるように、腫瘍特異的MAGE-B2 pMHCを認識する、及び一部の実施形態においてはMAGE-A4、pMHCを認識する例示的なTCR-T細胞は、細胞障害性を発揮し、且つサイトカインを産生することによって、MAGE-B2+/HLA-A*02:01+及び/又はMAGE-A4+/HLA-A*02:01+腫瘍の治療に対する非常に強力な治療物質(therapeutics)であり得る。これらのTCR-T細胞療法は、多種多様な癌適応症の重要な治療選択肢であるだろう。
【0009】
TCR-T細胞は、pMHC標的に対する生体外(in vitro)で最も強力な、及び感受性の様式である。本明細書で提供されるTCR-T細胞は、非常に低い標的発現性細胞に対してさえ、高い効力を示す。TCR-T細胞のこの高い効力は、形質導入TCRと内因性CD3サブユニットの複合体から生じる。さらに、生体内(in vivo)有効性を高めるために、例示的TCR-T細胞は、TCR-T構築物に組み込まれる、活性化-依存性IL12ペイロードを含み、IL12発現は、最小IL-2プロモーターに連結された6つのNFAT(活性化T細胞の核因子)応答エレメントを含有する複合プロモーター下でのTCR活性化によって制御される。したがって、TCR-T-IL12細胞が腫瘍抗原に遭遇した場合に、IL12が産生される。実施例に提供されるマウスの研究で示されるように、IL12ペイロードは、生体内での養子T細胞療法の有効性を高め、したがって、潜在的な臨床用量を低減し得る(10~100倍)。
【0010】
第1の態様において、本発明は、T細胞受容体(TCR)α鎖及びTCRβ鎖をコードする核酸配列を含む発現ベクターであり、TCRα鎖及びTCRβ鎖は、
a.配列番号13に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号24に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
b.配列番号14に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号25に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
c.配列番号15に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号26に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
d.配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号27に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
e.配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号28に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
f.配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号29に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
g.配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号30に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
h.配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号31に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
i.配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号32に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
j.配列番号22に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号33に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;並びに
k.配列番号23に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号34に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖
からなる群から選択される。
【0011】
第1の態様のいずれかの発現ベクターはさらに、インターロイキン-12(IL-12)をコードする核酸又はその機能性変異体を含み得て、レトロウイルス又はレンチウイルスベクターなどのウイルスベクターであり得る。
【0012】
第1の態様の特定の実施形態において、発現ベクターは、配列番号13に記載のCDR3領域アミノ酸配列を有するTCRα鎖及び配列番号24に記載のCDR3領域アミノ酸配列を有するTCRβ鎖をコードする。好ましい実施形態において、成熟TCRα鎖は、配列番号35に記載のアミノ酸配列を含み、成熟TCRβ鎖は配列番号46に記載のアミノ酸配列を含む。発現ベクターは、配列番号57に記載のアミノ酸配列を含む完全長TCRα鎖及び配列番号68に記載のアミノ酸配列を含む完全長TCRβ鎖をコードし得る。
【0013】
第1の態様の特定の実施形態において、配列番号14に記載のCDR3領域アミノ酸配を含むTCRα鎖及び配列番号25に記載のCDR3領域アミノ酸配列を含むTCRβ鎖をコードする。好ましい実施形態において、成熟TCRα鎖は、配列番号36に記載のアミノ酸配列を含み、成熟TCRβ鎖は配列番号47に記載のアミノ酸配列を含む。発現ベクターは、配列番号58に記載のアミノ酸配列を含む完全長TCRα鎖及び配列番号69に記載のアミノ酸配列を含む完全長TCRβ鎖をコードし得る。
【0014】
第1の態様の特定の実施形態において、発現ベクターは、配列番号15に記載のCDR3領域アミノ酸配列を有するTCRα鎖及び配列番号26に記載のCDR3領域アミノ酸配列を有するTCRβ鎖をコードする。好ましい実施形態において、成熟TCRα鎖は、配列番号37に記載のアミノ酸配列を含み、成熟TCRβ鎖は配列番号48に記載のアミノ酸配列を含む。発現ベクターは、配列番号59に記載のアミノ酸配列を含む完全長TCRα鎖及び配列番号70に記載のアミノ酸配列を含む完全長TCRβ鎖をコードし得る。
【0015】
第1の態様の特定の実施形態において、発現ベクターは、配列番号16に記載のCDR3領域アミノ酸配列を有するTCRα鎖及び配列番号27に記載のCDR3領域アミノ酸配列を有するTCRβ鎖をコードする。好ましい実施形態において、成熟TCRα鎖は、配列番号38に記載のアミノ酸配列を含み、成熟TCRβ鎖は配列番号49に記載のアミノ酸配列を含む。発現ベクターは、配列番号60に記載のアミノ酸配列を含む完全長TCRα鎖及び配列番号71に記載のアミノ酸配列を含む完全長TCRβ鎖をコードし得る。
【0016】
第1の態様の特定の実施形態において、発現ベクターは、配列番号17に記載のCDR3領域アミノ酸配列を有するTCRα鎖及び配列番号28に記載のCDR3領域アミノ酸配列を有するTCRβ鎖をコードする。好ましい実施形態において、成熟TCRα鎖は、配列番号39に記載のアミノ酸配列を含み、成熟TCRβ鎖は配列番号50に記載のアミノ酸配列を含む。発現ベクターは、配列番号61に記載のアミノ酸配列を含む完全長TCRα鎖及び配列番号72に記載のアミノ酸配列を含む完全長TCRβ鎖をコードし得る。
【0017】
第1の態様の特定の実施形態において、発現ベクターは、配列番号18に記載のCDR3領域アミノ酸配列を有するTCRα鎖及び配列番号29に記載のCDR3領域アミノ酸配列を有するTCRβ鎖をコードする。好ましい実施形態において、成熟TCRα鎖は、配列番号40に記載のアミノ酸配列を含み、成熟TCRβ鎖は配列番号51に記載のアミノ酸配列を含む。発現ベクターは、配列番号62に記載のアミノ酸配列を含む完全長TCRα鎖及び配列番号73に記載のアミノ酸配列を含む完全長TCRβ鎖をコードし得る。
【0018】
第1の態様の特定の実施形態において、発現ベクターは、配列番号19に記載のCDR3領域アミノ酸配列を有するTCRα鎖及び配列番号30に記載のCDR3領域アミノ酸配列を有するTCRβ鎖をコードする。好ましい実施形態において、成熟TCRα鎖は、配列番号41に記載のアミノ酸配列を含み、成熟TCRβ鎖は配列番号52に記載のアミノ酸配列を含む。発現ベクターは、配列番号63に記載のアミノ酸配列を含む完全長TCRα鎖及び配列番号74に記載のアミノ酸配列を含む完全長TCRβ鎖をコードし得る。
【0019】
第1の態様の特定の実施形態において、発現ベクターは、配列番号20に記載のCDR3領域アミノ酸配列を有するTCRα鎖及び配列番号31に記載のCDR3領域アミノ酸配列を有するTCRβ鎖をコードする。好ましい実施形態において、成熟TCRα鎖は、配列番号42に記載のアミノ酸配列を含み、成熟TCRβ鎖は配列番号53に記載のアミノ酸配列を含む。発現ベクターは、配列番号64に記載のアミノ酸配列を含む完全長TCRα鎖及び配列番号75に記載のアミノ酸配列を含む完全長TCRβ鎖をコードし得る。
【0020】
第1の態様の特定の実施形態において、発現ベクターは、配列番号21に記載のCDR3領域アミノ酸配列を有するTCRα鎖及び配列番号32に記載のCDR3領域アミノ酸配列を有するTCRβ鎖をコードする。好ましい実施形態において、成熟TCRα鎖は、配列番号43に記載のアミノ酸配列を含み、成熟TCRβ鎖は配列番号54に記載のアミノ酸配列を含む。発現ベクターは、配列番号65に記載のアミノ酸配列を含む完全長TCRα鎖及び配列番号76に記載のアミノ酸配列を含む完全長TCRβ鎖をコードし得る。
【0021】
第1の態様の特定の実施形態において、発現ベクターは、配列番号22に記載のCDR3領域アミノ酸配列を有するTCRα鎖及び配列番号33に記載のCDR3領域アミノ酸配列を有するTCRβ鎖をコードする。好ましい実施形態において、成熟TCRα鎖は、配列番号44に記載のアミノ酸配列を含み、成熟TCRβ鎖は配列番号55に記載のアミノ酸配列を含む。発現ベクターは、配列番号66に記載のアミノ酸配列を含む完全長TCRα鎖及び配列番号77に記載のアミノ酸配列を含む完全長TCRβ鎖をコードし得る。
【0022】
第1の態様の特定の実施形態において、発現ベクターは、配列番号23に記載のCDR3領域アミノ酸配列を有するTCRα鎖及び配列番号34に記載のCDR3領域アミノ酸配列を有するTCRβ鎖をコードする。好ましい実施形態において、成熟TCRα鎖は、配列番号45に記載のアミノ酸配列を含み、成熟TCRβ鎖は配列番号56に記載のアミノ酸配列を含む。発現ベクターは、配列番号67に記載のアミノ酸配列を含む完全長TCRα鎖及び配列番号78に記載のアミノ酸配列を含む完全長TCRβ鎖をコードし得る。
【0023】
第2の態様は、組換えT細胞受容体(TCR)を発現する細胞であり、前記TCRは:
a.配列番号13に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖CDR3領域、及び配列番号24に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖CDR3領域;
b.配列番号14に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖CDR3領域、及び配列番号25に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖CDR3領域;
c.配列番号15に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖CDR3領域、及び配列番号26に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖CDR3領域;
d.配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖CDR3領域、及び配列番号27に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖CDR3領域;
e.配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖CDR3領域、及び配列番号28に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖CDR3領域;
f.配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖CDR3領域、及び配列番号29に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖CDR3領域;
g.配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖CDR3領域、及び配列番号30に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖CDR3領域;
h.配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖CDR3領域、及び配列番号31に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖CDR3領域;
i.配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖CDR3領域、及び配列番号32に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖CDR3領域;
j.配列番号22に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖CDR3領域、及び配列番号33に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖CDR3領域;又は
k.配列番号23に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖CDR3領域、及び配列番号34に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖CDR3領域;
を含む。
【0024】
第2の態様の好ましい実施形態において、細胞は、
a.配列番号35に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号46に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
b.配列番号36に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号47に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
c.配列番号37に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号48に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
d.配列番号38に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号49に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
e.配列番号39に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号50に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
f.配列番号40に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号51に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
g.配列番号41に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号52に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
h.配列番号42に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号53に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
i.配列番号43に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号54に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
j.配列番号44に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号55に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;又は
k.配列番号45に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号56に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
を含むTCRを組換え発現する。
【0025】
第2の態様の細胞は、組換えIL-12又はその機能性変異体をさらに発現し得る。
【0026】
第2の態様の特定の実施形態において、細胞は、第1の態様の1種又は複数種の発現ベクターを含む。
【0027】
細胞はT細胞であり得て、TCRは、HLA-A*02:01の状況において配列番号1又は配列番号2のペプチドに結合し、その結合は、IFNγ、TNFα、IL-12の活性化、又は細胞によるグランザイムBの産生を導く。
【0028】
本発明の第3の態様において、医薬組成物は、治療有効量の第2の態様の細胞又は第1の態様の発現ベクターを含む。
【0029】
第4の態様において、本発明は、TCRα鎖及びTCRβ鎖をコードする核酸配列を含む発現ベクターを細胞に導入することを含む、第2の態様の細胞又は第3の態様の医薬組成物を製造する方法であって、TCRα鎖及びTCRβ鎖が:
a.配列番号13に記載のアミノ酸配列を有するCDR3領域を含むTCRα鎖、及び配列番号24に記載のアミノ酸配列を有するCDR3領域を含むTCRβ鎖;
b.配列番号14に記載のアミノ酸配列を有するCDR3領域を含むTCRα鎖、及び配列番号25に記載のアミノ酸配列を有するCDR3領域を含むTCRβ鎖;
c.配列番号15に記載のアミノ酸配列を有するCDR3領域を含むTCRα鎖、及び配列番号26に記載のアミノ酸配列を有するCDR3領域を含むTCRβ鎖;
d.配列番号16に記載のアミノ酸配列を有するCDR3領域を含むTCRα鎖、及び配列番号27に記載のアミノ酸配列を有するCDR3領域を含むTCRβ鎖;
e.配列番号17に記載のアミノ酸配列を有するCDR3領域を含むTCRα鎖、及び配列番号28に記載のアミノ酸配列を有するCDR3領域を含むTCRβ鎖;
f.配列番号18に記載のアミノ酸配列を有するCDR3領域を含むTCRα鎖、及び配列番号29に記載のアミノ酸配列を有するCDR3領域を含むTCRβ鎖;
g.配列番号19に記載のアミノ酸配列を有するCDR3領域を含むTCRα鎖、及び配列番号30に記載のアミノ酸配列を有するCDR3領域を含むTCRβ鎖;
h.配列番号20に記載のアミノ酸配列を有するCDR3領域を含むTCRα鎖、及び配列番号31に記載のアミノ酸配列を有するCDR3領域を含むTCRβ鎖;
i.配列番号21に記載のアミノ酸配列を有するCDR3領域を含むTCRα鎖、及び配列番号32に記載のアミノ酸配列を有するCDR3領域を含むTCRβ鎖;
j.配列番号22に記載のアミノ酸配列を有するCDR3領域を含むTCRα鎖、及び配列番号33に記載のアミノ酸配列を有するCDR3領域を含むTCRβ鎖;又は
k.配列番号23に記載のアミノ酸配列を有するCDR3領域を含むTCRα鎖、及び配列番号34に記載のアミノ酸配列を有するCDR3領域を含むTCRβ鎖;
からなる群から選択される、方法を提供する。
【0030】
第4の態様の好ましい実施形態において、TCRα鎖及びTCRβ鎖は、
a.配列番号35に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号46に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
b.配列番号36に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号47に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
c.配列番号37に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号48に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
d.配列番号38に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号49に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
e.配列番号39に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号50に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
f.配列番号40に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号51に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
g.配列番号41に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号52に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
h.配列番号42に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号53に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
i.配列番号43に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号54に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
j.配列番号44に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号55に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;並びに
k.配列番号45に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号56に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
からなる群から選択される。
【0031】
第4の態様の特定の実施形態において、IL-12又はその機能性変異体をコードする核酸配列も細胞に導入され、α鎖及び/又はβ鎖をコードする発現ベクター上にあり得て、或いは別々のベクター上でコードされ得る。
【0032】
第4の態様の方法によって製造される細胞は、癌患者から単離された初代T細胞であり得る。
【0033】
第5の態様において、本発明は、MAGE-B2又はMAGE-A4発現性癌を治療する方法を提供し、前記方法は、第2の態様の細胞、第3の態様の医薬組成物、又は第4の態様の方法によって製造された細胞を癌患者に治療有効量で投与することを含む。第5の態様の特定の実施形態において、MAGE-B2又はMAGE-A4を発現する癌の存在を決定するために、投与前に患者を試験する。試験では、MAGE-B2-又はMAGE-A4コード核酸、MAGE-B2若しくはMAGE-A4タンパク質、又はMAGE-B2由来若しくはMAGE-A4由来ペプチドが検出され得る。好ましい実施形態において、患者は、HLA-A*02:01対立遺伝子を保有すると同定される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1A-1】(A)様々な癌におけるMAGE-A4及びMAGE-B2 mRNA発現(TCGA及び内部RNA-seqデータ)。(B)ヒトの正常組織におけるMAGE-A4及びMAGE-B2 mRNA発現(Amgen Body map RNA-seqデータ)。(C)OTI1F9モノクローナルAbによるMAGE-A4免疫組織染色(IHC)から、扁平上皮非小細胞肺癌の腫瘍内に、MAGE-A4タンパク質が腫瘍細胞の大部分に発現されることが示される。扁平上皮非小細胞肺癌の腫瘍の代表的なIHC株は、100%MAGE-A4ポジティブ腫瘍細胞及び強度3+の染色を示す。
【
図1A-2】(A)様々な癌におけるMAGE-A4及びMAGE-B2 mRNA発現(TCGA及び内部RNA-seqデータ)。(B)ヒトの正常組織におけるMAGE-A4及びMAGE-B2 mRNA発現(Amgen Body map RNA-seqデータ)。(C)OTI1F9モノクローナルAbによるMAGE-A4免疫組織染色(IHC)から、扁平上皮非小細胞肺癌の腫瘍内に、MAGE-A4タンパク質が腫瘍細胞の大部分に発現されることが示される。扁平上皮非小細胞肺癌の腫瘍の代表的なIHC株は、100%MAGE-A4ポジティブ腫瘍細胞及び強度3+の染色を示す。
【
図1B】(A)様々な癌におけるMAGE-A4及びMAGE-B2 mRNA発現(TCGA及び内部RNA-seqデータ)。(B)ヒトの正常組織におけるMAGE-A4及びMAGE-B2 mRNA発現(Amgen Body map RNA-seqデータ)。(C)OTI1F9モノクローナルAbによるMAGE-A4免疫組織染色(IHC)から、扁平上皮非小細胞肺癌の腫瘍内に、MAGE-A4タンパク質が腫瘍細胞の大部分に発現されることが示される。扁平上皮非小細胞肺癌の腫瘍の代表的なIHC株は、100%MAGE-A4ポジティブ腫瘍細胞及び強度3+の染色を示す。
【
図1C】(A)様々な癌におけるMAGE-A4及びMAGE-B2 mRNA発現(TCGA及び内部RNA-seqデータ)。(B)ヒトの正常組織におけるMAGE-A4及びMAGE-B2 mRNA発現(Amgen Body map RNA-seqデータ)。(C)OTI1F9モノクローナルAbによるMAGE-A4免疫組織染色(IHC)から、扁平上皮非小細胞肺癌の腫瘍内に、MAGE-A4タンパク質が腫瘍細胞の大部分に発現されることが示される。扁平上皮非小細胞肺癌の腫瘍の代表的なIHC株は、100%MAGE-A4ポジティブ腫瘍細胞及び強度3+の染色を示す。
【
図2A】(A)質量分析(MS)データ(Immatics)から、MAGE-B2ペプチド-HLA-A
*02:01が腫瘍において発現され、正常な組織では発現されないことが実証される。(B)MSによって測定される代表的な腫瘍におけるMAGE-B2 pMHC頻度を表に示す。
【
図2B】(A)質量分析(MS)データ(Immatics)から、MAGE-B2ペプチド-HLA-A
*02:01が腫瘍において発現され、正常な組織では発現されないことが実証される。(B)MSによって測定される代表的な腫瘍におけるMAGE-B2 pMHC頻度を表に示す。
【
図3】指定の癌適応症における患者母集団は、米国の母集団における1年当たりの新たな事例(新たな患者数)を掛けたpMHC標的頻度に基づいて推定された。各癌適応症におけるpMHC標的頻度は、米国の母集団におけるHLA-A
*02:01キャリア頻度を掛けたMAGE-B2及び/又はMAGE-A4 mRNA発現頻度(TCGA)によって計算された(0.41)。MAGE-B2/A4は、MAGE-B2及び/又はMAGE-A4ポジティブな癌患者を示す。
【
図4A】健康なヒトPBMCからのMAGE-B2 pMHC特異的TCRの同定。(A)概略図は、健康なHLA-A
*02:01+ドナーPBMCから単離された希少なT細胞クローンからのMAGE-B2 pMHC特異的TCRを同定する手順を例示する。(B)MAGE-B2ペプチド負荷自己抗原提示細胞での刺激によるエンリッチメントの複数ラウンドに続く、2種類の蛍光色素(PE及びAPC)で標識化されたpMHCデキストラマー(dextramer)(Dex)によるMAGE-B2 pMHC特異的T細胞のフローサイトメトリーによる同定。代表的なスクリーン結果から、ポジティブなドナーAが、複数回の生体外(ex vivo)刺激後にエンリッチされたMAGE-B2 pMHC特異的T細胞を示したのに対して、ネガティブドナーBはDex+T細胞を持たなかった。(C)MAGE-B2ペプチド又はネガティブコントロールとしての無関係のAFPペプチドでパルスされたT2細胞で刺激した選別CD8+Dex+T細胞のIFNγ ELISPOT解析。
【
図4B】健康なヒトPBMCからのMAGE-B2 pMHC特異的TCRの同定。(A)概略図は、健康なHLA-A
*02:01+ドナーPBMCから単離された希少なT細胞クローンからのMAGE-B2 pMHC特異的TCRを同定する手順を例示する。(B)MAGE-B2ペプチド負荷自己抗原提示細胞での刺激によるエンリッチメントの複数ラウンドに続く、2種類の蛍光色素(PE及びAPC)で標識化されたpMHCデキストラマー(dextramer)(Dex)によるMAGE-B2 pMHC特異的T細胞のフローサイトメトリーによる同定。代表的なスクリーン結果から、ポジティブなドナーAが、複数回の生体外(ex vivo)刺激後にエンリッチされたMAGE-B2 pMHC特異的T細胞を示したのに対して、ネガティブドナーBはDex+T細胞を持たなかった。(C)MAGE-B2ペプチド又はネガティブコントロールとしての無関係のAFPペプチドでパルスされたT2細胞で刺激した選別CD8+Dex+T細胞のIFNγ ELISPOT解析。
【
図4C】健康なヒトPBMCからのMAGE-B2 pMHC特異的TCRの同定。(A)概略図は、健康なHLA-A
*02:01+ドナーPBMCから単離された希少なT細胞クローンからのMAGE-B2 pMHC特異的TCRを同定する手順を例示する。(B)MAGE-B2ペプチド負荷自己抗原提示細胞での刺激によるエンリッチメントの複数ラウンドに続く、2種類の蛍光色素(PE及びAPC)で標識化されたpMHCデキストラマー(dextramer)(Dex)によるMAGE-B2 pMHC特異的T細胞のフローサイトメトリーによる同定。代表的なスクリーン結果から、ポジティブなドナーAが、複数回の生体外(ex vivo)刺激後にエンリッチされたMAGE-B2 pMHC特異的T細胞を示したのに対して、ネガティブドナーBはDex+T細胞を持たなかった。(C)MAGE-B2ペプチド又はネガティブコントロールとしての無関係のAFPペプチドでパルスされたT2細胞で刺激した選別CD8+Dex+T細胞のIFNγ ELISPOT解析。
【
図5】ジャーカット(Jurkat)-ルシフェラーゼ活性化アッセイを用いたMAGE-B2 TCRスクリーン。個々のTCRの活性は、賦形剤のみを有するT2細胞と比較して、MAGE-B2ペプチドが負荷されT2細胞の存在下にて、ルシフェラーゼ活性(発光)の平均倍率変化として表された。エラーバーは標準誤差を表す。
【
図6A】種々の機能アッセイによって上位4つのMAGE-B2 TCR-Tの選択。(A)ペプチド滴定及びE:T滴定研究などのT2/MAGE-B2ペプチド細胞障害性アッセイにおけるMAGE-B2 TCR-Tの細胞障害性概要(ドナー3名からのペプチド濃度(M)のEC90平均又はE:T)。(B)E:T=1:1にてMAGE-B2ペプチド濃度でT2/ペプチドアッセイを用いた細胞障害性研究。(C)E:T滴定と共にT2/ペプチドアッセイを用いた細胞障害性研究がMAGE-B2ペプチド濃度10
-8Mにて行われた。(B及びCに関して:TCR1●、TCR2■、TCR3▲、TCR4▼、TCR6◆、TCR7☆、TCR8□、TCR11◇、TCR12小さな●)。(D)27.5FPKMのMAGE-B2発現を有するSK-Mel-5癌細胞系に対するTCR-Tの細胞溶解活性。TCR1●、TCR2■、TCR8☆。(E)相同性に基づく類似のペプチドに対する交差反応性スクリーンからの代表的なデータ(T2/ペプチド細胞障害性アッセイ)。MAGE-B2●、ペプチド9■、ペプチド25▲、ペプチド46、△、ペプチド75▼。
【
図6B】種々の機能アッセイによって上位4つのMAGE-B2 TCR-Tの選択。(A)ペプチド滴定及びE:T滴定研究などのT2/MAGE-B2ペプチド細胞障害性アッセイにおけるMAGE-B2 TCR-Tの細胞障害性概要(ドナー3名からのペプチド濃度(M)のEC90平均又はE:T)。(B)E:T=1:1にてMAGE-B2ペプチド濃度でT2/ペプチドアッセイを用いた細胞障害性研究。(C)E:T滴定と共にT2/ペプチドアッセイを用いた細胞障害性研究がMAGE-B2ペプチド濃度10
-8Mにて行われた。(B及びCに関して:TCR1●、TCR2■、TCR3▲、TCR4▼、TCR6◆、TCR7☆、TCR8□、TCR11◇、TCR12小さな●)。(D)27.5FPKMのMAGE-B2発現を有するSK-Mel-5癌細胞系に対するTCR-Tの細胞溶解活性。TCR1●、TCR2■、TCR8☆。(E)相同性に基づく類似のペプチドに対する交差反応性スクリーンからの代表的なデータ(T2/ペプチド細胞障害性アッセイ)。MAGE-B2●、ペプチド9■、ペプチド25▲、ペプチド46、△、ペプチド75▼。
【
図6C】種々の機能アッセイによって上位4つのMAGE-B2 TCR-Tの選択。(A)ペプチド滴定及びE:T滴定研究などのT2/MAGE-B2ペプチド細胞障害性アッセイにおけるMAGE-B2 TCR-Tの細胞障害性概要(ドナー3名からのペプチド濃度(M)のEC90平均又はE:T)。(B)E:T=1:1にてMAGE-B2ペプチド濃度でT2/ペプチドアッセイを用いた細胞障害性研究。(C)E:T滴定と共にT2/ペプチドアッセイを用いた細胞障害性研究がMAGE-B2ペプチド濃度10
-8Mにて行われた。(B及びCに関して:TCR1●、TCR2■、TCR3▲、TCR4▼、TCR6◆、TCR7☆、TCR8□、TCR11◇、TCR12小さな●)。(D)27.5FPKMのMAGE-B2発現を有するSK-Mel-5癌細胞系に対するTCR-Tの細胞溶解活性。TCR1●、TCR2■、TCR8☆。(E)相同性に基づく類似のペプチドに対する交差反応性スクリーンからの代表的なデータ(T2/ペプチド細胞障害性アッセイ)。MAGE-B2●、ペプチド9■、ペプチド25▲、ペプチド46、△、ペプチド75▼。
【
図6D】種々の機能アッセイによって上位4つのMAGE-B2 TCR-Tの選択。(A)ペプチド滴定及びE:T滴定研究などのT2/MAGE-B2ペプチド細胞障害性アッセイにおけるMAGE-B2 TCR-Tの細胞障害性概要(ドナー3名からのペプチド濃度(M)のEC90平均又はE:T)。(B)E:T=1:1にてMAGE-B2ペプチド濃度でT2/ペプチドアッセイを用いた細胞障害性研究。(C)E:T滴定と共にT2/ペプチドアッセイを用いた細胞障害性研究がMAGE-B2ペプチド濃度10
-8Mにて行われた。(B及びCに関して:TCR1●、TCR2■、TCR3▲、TCR4▼、TCR6◆、TCR7☆、TCR8□、TCR11◇、TCR12小さな●)。(D)27.5FPKMのMAGE-B2発現を有するSK-Mel-5癌細胞系に対するTCR-Tの細胞溶解活性。TCR1●、TCR2■、TCR8☆。(E)相同性に基づく類似のペプチドに対する交差反応性スクリーンからの代表的なデータ(T2/ペプチド細胞障害性アッセイ)。MAGE-B2●、ペプチド9■、ペプチド25▲、ペプチド46、△、ペプチド75▼。
【
図6E】種々の機能アッセイによって上位4つのMAGE-B2 TCR-Tの選択。(A)ペプチド滴定及びE:T滴定研究などのT2/MAGE-B2ペプチド細胞障害性アッセイにおけるMAGE-B2 TCR-Tの細胞障害性概要(ドナー3名からのペプチド濃度(M)のEC90平均又はE:T)。(B)E:T=1:1にてMAGE-B2ペプチド濃度でT2/ペプチドアッセイを用いた細胞障害性研究。(C)E:T滴定と共にT2/ペプチドアッセイを用いた細胞障害性研究がMAGE-B2ペプチド濃度10
-8Mにて行われた。(B及びCに関して:TCR1●、TCR2■、TCR3▲、TCR4▼、TCR6◆、TCR7☆、TCR8□、TCR11◇、TCR12小さな●)。(D)27.5FPKMのMAGE-B2発現を有するSK-Mel-5癌細胞系に対するTCR-Tの細胞溶解活性。TCR1●、TCR2■、TCR8☆。(E)相同性に基づく類似のペプチドに対する交差反応性スクリーンからの代表的なデータ(T2/ペプチド細胞障害性アッセイ)。MAGE-B2●、ペプチド9■、ペプチド25▲、ペプチド46、△、ペプチド75▼。
【
図7】EF1αプロモーター下のフューリン切断部位-SGSG-T2Aのリンカー、及び最小IL-2プロモーターに連結された6つのNFAT(活性化T細胞の核因子)応答エレメントを含有する複合プロモーター下のIL12ペイロードと共に、TCRα及びTCRβ鎖を含有するTCR-T-IL12レンチウイルスの構築物の概略図。
【
図8】T2/MAGE-B2ペプチド細胞障害性アッセイを用いたTCR-T-IL12の効力バリデーション。3名のHLA-A
*02:01ドナーの4つのTCR-T-IL12を用いたT2/ペプチド滴定研究からのペプチド濃度(M)のEC90を表に示す。E:T比(デキストラマー+T細胞:T2)は1:1であった。TCR1-IL12●、TCR2-IL12■、TCR3-IL12△、TCR4-IL12▼、IL12 RFP◇、モック(Mock)T細胞●。
【
図9】3名のドナーからのTCR4-IL12細胞は、ペプチド滴定研究においてMAGE-B2ペプチド-及びMAGE-A4ペプチド負荷T2細胞の両方に対して強力な細胞障害性を示した。MAGE-B2◇/破線、MAGE-A4■。
【
図10】MAGE-B2+MAGE-A4-癌細胞系に対する4つのTCR-T-IL12細胞の効力の概略。4つすべてのTCR-T-IL12は、癌細胞系に対して強力な細胞障害性を示した。IL12-RFP T細胞(遺伝子導入TCRなしの、NFAT.IL-12.RFP形質導入T細胞)及びモック(未形質導入)T細胞をネガティブコントロールとして使用した。50%を超える最大特異的細胞死が灰色で強調される。
【
図11】MAGE-A4+MAGE-B2-癌細胞系に対するTCR4-IL12の効力の概略。50%を超える最大特異的細胞死が灰色で強調される。
【
図12】MAGE-B2+MAGE-A4+癌細胞系に対する4つのTCR-T-IL12細胞の効力の概略。TCR4-IL12及びTCR2-IL12は、MAGE-B2+MAGE-A4+癌細胞系に対する強力な細胞障害性を示した。50%を超える最大特異的細胞死が灰色で強調される。
【
図13】MAGE-B2+及び/又はMAGE-A4+癌細胞系に対する4つのTCR-T-IL12細胞の代表的な効力。効力のバリデーションのために、約40の癌細胞系を、ドナー2~3名から産生された4つのTCR-T-IL12細胞で試験した。MAGE-B2及び/又はMAGE-A4 mRNA発現レベル(FPKM、RNAseq)を各癌細胞系に対して示した。TCR1-IL12●、TCR2-IL12■、TCR3-IL12△、TCR4-IL12▼、IL12 RFP◇。
【
図14A】TCR-T-IL12のペプチド-MHC標的特異的細胞障害性をMAGE-B2 KO又はB2M KO癌細胞系によって検証した。(A)E:T滴定を用いた細胞障害性アッセイについて、DAN-G由来癌細胞系(WT、MAGE-B2 KO、及びB2M KO)をTCR2-IL12及びTCR4-IL12で試験した。DAN-G WT●、DAN-G MAGE B2 KI(2E9)▲、DAN-G B2M KO▼。(B)E:T滴定を用いた細胞障害性アッセイについて、8505C由来癌細胞系(WT、MAGE-B2 KO、及びB2M KO)を試験した。複数のドナーから、同じ結果が確認された。MAGE-B2 KO効率をシーケンシングによって検証した。B2M KO効率は、フローサイトメトリーによって検証された。8505C WT●、8505C neg gRNA■、8505C MAGE B2 KO▲、8505C B2M KO▼。
【
図14B】TCR-T-IL12のペプチド-MHC標的特異的細胞障害性をMAGE-B2 KO又はB2M KO癌細胞系によって検証した。(A)E:T滴定を用いた細胞障害性アッセイについて、DAN-G由来癌細胞系(WT、MAGE-B2 KO、及びB2M KO)をTCR2-IL12及びTCR4-IL12で試験した。DAN-G WT●、DAN-G MAGE B2 KI(2E9)▲、DAN-G B2M KO▼。(B)E:T滴定を用いた細胞障害性アッセイについて、8505C由来癌細胞系(WT、MAGE-B2 KO、及びB2M KO)を試験した。複数のドナーから、同じ結果が確認された。MAGE-B2 KO効率をシーケンシングによって検証した。B2M KO効率は、フローサイトメトリーによって検証された。8505C WT●、8505C neg gRNA■、8505C MAGE B2 KO▲、8505C B2M KO▼。
【
図15A】IL12ペイロードが、低い標的発現性の細胞に対してTCR-T細胞効力を増加し、生体内でCAR-T細胞の有効性を高めた。(A)生体外(in vitro)でのTCR-T及びTCR-T-IL12細胞効力の比較。TCR-T又はTCR-T-IL12細胞に関する最大細胞死の平均は、異なる3名のドナーから産生されたTCR-T細胞及びTCR-T-IL12細胞の特異的細胞死活性から導かれた。(B)生体内でのCAR-T及びCAR-T-IL12細胞有効性の比較。IL12ペイロードを含む、又は含まないhuEpCAM CAR-T細胞の有効性が、B16F10-huEpCAM同系マウス腫瘍モデルにおいて評価された。
【
図15B】IL12ペイロードが、低い標的発現性の細胞に対してTCR-T細胞効力を増加し、生体内でCAR-T細胞の有効性を高めた。(A)生体外(in vitro)でのTCR-T及びTCR-T-IL12細胞効力の比較。TCR-T又はTCR-T-IL12細胞に関する最大細胞死の平均は、異なる3名のドナーから産生されたTCR-T細胞及びTCR-T-IL12細胞の特異的細胞死活性から導かれた。(B)生体内でのCAR-T及びCAR-T-IL12細胞有効性の比較。IL12ペイロードを含む、又は含まないhuEpCAM CAR-T細胞の有効性が、B16F10-huEpCAM同系マウス腫瘍モデルにおいて評価された。
【
図16】完全パネルの類似のペプチドでの交差反応性スクリーンの概略。SLC16A10及びKLHDC3は、Xスキャン誘導モチーフに基づいて同定され、NRXN1及びMAGE-B1は、標的ペプチドに対する配列相同性に基づいて同定された。MAGE-B1は、非常に制限された正常組織発現(精巣においてのみ)を有する別の癌精巣抗原である。完全長タンパク質又は内因性タンパク質を過剰発現する癌細胞系での細胞障害性アッセイに基づいて、オフターゲットの問題で同定された類似のペプチドはなかった。
【
図17】SLC16A10推定交差反応性ペプチドがさらに、SLA16A10完全長タンパク質を過剰発現するHLA-A
*02:01+癌細胞系(NCI-H441及びIGR-1)(A)及びSLC16A10内因性タンパク質を発現する癌細胞系(LOUCY及びMFE-280)(B)を用いたTCDDアッセイによってリスク低減された。MAGE-B2完全長タンパク質過剰発現性(OE)癌細胞系をポジティブコントロール標的細胞系として使用した(A)。IL12-RFP T細胞をネガティブコントロールT細胞として使用した(B)。
【
図18】ヒト正常細胞反応性評価の概略。TCR2-IL12及びTCR4-IL12細胞によるIFNγ及びグランザイムB産生の増加は、HLA-A
*02:01+ヒト正常初代細胞に対して確認されなかった。ヒト気管支の上皮細胞(hBEpC)、ヒト気管上皮細胞(hTEpC)、ヒト皮膚微小血管内皮細胞(HDMEC)、及びヒトケラチノサイト(Ker.)などの、4つの正常細胞タイプからの代表的なデータを示す。コントロールIL12-RFP T細胞と比較したIFNγ及びグランザイムB産生の倍変化率を表に示す。同等の結果が、試験された9つすべての正常細胞タイプから、且つIL-12p70及びTNFαに対して得られた。B-CPAP癌細胞系(MAGE-B2 65.9FPKM)を、MAGE-B2+HLA-A
*02:01+細胞のポジティブコントロールとして使用した。同じドナーからの、モック(未形質導入)T細胞又はIL12-RFP構築物を発現するT細胞(遺伝子導入TCRなし)が、ネガティブコントロール効果細胞として含まれた。さらに、T細胞なしの標的細胞(単に標的として標識化された)を、細胞障害性アッセイのネガティブコントロールとして使用した。
【
図19-1】アロ反応性評価の概略。試験された34のBLCLに対するサイトカイン又はグランザイムB応答の4倍以上の増加(IL12-RFPコントロールT細胞と比較して)は、4つのTCRT-T-IL12細胞のいずれについても確認されなかった。一部の低いレベルの応答(IL12-RFPコントロール細胞と比較して3倍以上であるが、4倍未満の)が、TCR1-IL12及びTCR2-IL12について確認された。同等の結果が、IL-12p70及びTNFα産生に関して得られた。4つすべてのTCR-T-IL12細胞から、MAGE-B2ペプチドでパルスされたポジティブコントロールU266B1細胞(HLA-A
*02:01+MAGE-B2+MAGE-A4+)に対する強いサイトカイン及びグランザイムB応答が実証された。
【
図19-2】アロ反応性評価の概略。試験された34のBLCLに対するサイトカイン又はグランザイムB応答の4倍以上の増加(IL12-RFPコントロールT細胞と比較して)は、4つのTCRT-T-IL12細胞のいずれについても確認されなかった。一部の低いレベルの応答(IL12-RFPコントロール細胞と比較して3倍以上であるが、4倍未満の)が、TCR1-IL12及びTCR2-IL12について確認された。同等の結果が、IL-12p70及びTNFα産生に関して得られた。4つすべてのTCR-T-IL12細胞から、MAGE-B2ペプチドでパルスされたポジティブコントロールU266B1細胞(HLA-A
*02:01+MAGE-B2+MAGE-A4+)に対する強いサイトカイン及びグランザイムB応答が実証された。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本明細書で使用されるセクションの表題は、単に系統化する目的のためであり、記載の主題を制限するものとして解釈すべきではない。本明細書の本文内に記載のすべての参考文献は、その全体が参照により明確に組み込まれる。
【0036】
組換えDNA、オリゴヌクレオチド合成、組織培養及び形質転換、タンパク質精製等に、標準技術が使用され得る。酵素反応及び精製技術は、製造元の仕様書に従って、又は当技術分野で一般に達成されるように、又は本明細書に記載のように実施され得る。以下の手順及び技術は一般に、当技術分野でよく知られている従来の方法に従って、且つ本明細書全体に記載及び考察される様々な一般的及びより具体的な参考文献に記載のように、実施され得る。例えば、いずれかの目的で、参照により本明細書に組み込まれる、Sambrooket al.,2001,Molecular Cloning:A Laboratory Manuel,3rd ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.を参照のこと。具体的な定義が提供されていない限り、本明細書に記載の分析化学、有機化学、及び医薬品化学及び製薬化学と関連して用いられる命名法、並びにそれらの実験手順及び技術は、当技術分野でよく知られており、一般に使用されている。標準技術は、化学合成、化学分析、医薬調製、製剤化、及び送達及び患者の治療に使用され得る。
【0037】
HLAクラスI分子、好ましくはHLA-A*02:01によって表される場合、MAGE-B2由来ペプチドGVYDGEEHSV(配列番号1)に結合する、T細胞受容体(TCR)α鎖及びβ鎖の対が本明細書において提供される。「TCRα鎖及びβ鎖の対」は、本明細書において「TCR」、「1つのTCR」、又は「そのTCR」とも呼ばれ得る。細胞、例えばT細胞において組換えで発現される場合には、TCRは、細胞、例えば癌細胞上でMAGE-B2ペプチド-HLA複合体に結合し、かかる結合によって、組換え細胞が活性化される、T細胞の活性化によって、癌細胞が死ぬ、又は破壊される。T細胞活性化を決定する方法は当技術分野で公知であり、本明細書において実施例で提供される。
【0038】
好ましい実施形態において、本発明の組換え細胞の効力又は細胞溶解性活性(細胞障害性)は、(1)T細胞依存性細胞障害性(TDCC)アッセイ、T2/ペプチド負荷アッセイにおいて約100コピー(約10-8M)/細胞にてペプチドが負荷されたHLA-A*02:01標的細胞の80~100%溶解又は(2)天然のpMHC標的ポジティブ癌細胞系の80~100%溶解によって定義される。
【0039】
特定の実施形態において、HLAクラスI分子、好ましくはHLA-A*02:01によって提示される場合に、TCRはさらに、MAGE-A4由来ペプチドGVYDGREHTVに結合する。かかるTCRとしては、TCR3、TCR4、TCR6、TCR7、及びTCR11が挙げられる。
【0040】
各TCRα鎖及びβ鎖は、可変及び定常ドメインを含む。可変ドメイン(Vα又はVβ)内に、3つのCDR(相補性決定領域):CDR1、CDR2、及びCDR3がある。その種々のα鎖及びβ鎖可変ドメインは、そのCDR1、CDR2、及びそのCDR3配列の一部と共にそのフレームワークによって区別することができる。
【0041】
好ましい実施形態において、TCRは、配列番号13~23に記載のCDR3を有するα鎖及び配列番号24~34に記載のCDR3を有するβ鎖を含む。CDR3領域は、市販のソフトウェア(例えば、Cellranger;10X Genomics)によって決定され得る。TCRα鎖は、配列番号35~45のいずれかに記載の配列と少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%同一の配列を含み得る。TCRβ鎖は、配列番号46~56のいずれかに記載の配列と少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%同一の配列を含み得る。2つの配列間の同一性の決定方法、例えば、BLAST又はGeneiousが、当技術分野でよく知られている。特定の実施形態において、配列番号35~45のいずれかに記載の配列のいずれか、又は配列番号46~56のいずれかに記載の配列のいずれかのC末端又はN末端の1、2、3、4、5、6、7、8、9、若しくは10残基は、短縮又は除去され得る。例示的TCR、並びに相当するα鎖及びβ鎖CDR3、並びに完全長配列番号を、表1A及び表1B、配列番号13~56に示す。
【0042】
【0043】
【0044】
【0045】
【0046】
【0047】
【0048】
【0049】
【0050】
【0051】
【0052】
【0053】
【0054】
特定の実施形態において、TCRα鎖又はβ鎖の可変ドメインは、非TCRポリペプチドに融合され得る。例示的α鎖及びβ鎖可変ドメインを用いて、HLA分子の状況においてMAGE-B2(及び一部の場合にはMAGE-A4)由来ペプチドに結合することができる可溶性TCRが形成され得る。可溶性TCRは、α及びβ可変ドメインがリンカーによって連結される単鎖フォーマットであり得る。ジスルフィド結合が、α鎖とβ鎖の間に導入されて、安定性が増加され得る。可溶性TCRは、治療剤又は造影剤に融合又は連結され得る。
【0055】
例示的TCR及び相当するα及びβ可変領域を表2に示す。
【0056】
【0057】
TCRα又はβ可変ドメインは、表2に指定される配列のいずれかと少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%同一の配列を含み得る。TCRβ鎖は、配列番号46~56のいずれかに記載の配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%同一の配列を含み得る。特定の実施形態において、表2及び表1Bの配列番号35~56に指定の配列のいずれかのC末端又はN末端の1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個の残基は、切り詰め又は除去され得る。
【0058】
HLAの状況における標的ペプチドの認識が有効性のために必要とされるが、安全性の目的のため、一部の実施形態において、HLA-A*02:01によって提示される場合に構造的に類似のペプチドとの、又は他のアロタイプのHLA分子との交差反応性をTCRが欠くことが好ましい。本明細書に記載の例示的TCRの交差反応性及びアロ反応性は実施例で提供される。したがって、例示的TCRは、腫瘍細胞上で発現される、HLA-A*02:01の状況におけるMAGE-B2ペプチドを認識し、且つ腫瘍細胞に対してTCRを組換えで発現するT細胞を活性化することができるだけでなく、組換えT細胞に、HLA-A*02:01又は正常組織に発現される他のHLA分子の状況においてペプチドを提示した場合に、活性化できないか、又は活性化が極めてわずかとなる。
【0059】
本発明の更なる実施形態は、本明細書に記載のTCRα可変ドメイン、TCRβ可変ドメイン、又はTCRα可変ドメインとTCRβ可変ドメインをコードする核酸を含む。特定の実施形態において、核酸は、表2に記載のα又はβ可変ドメインの1つ又は複数をコードする。特定の実施形態において、核酸は、TCR1、TCR2、TCR3、TCR4、TCR5、TCR6、TCR7、TCR8、TCR9、TCR10、又はTCR11の、α可変ドメインとβ可変ドメインの両方をコードする。好ましい実施形態において、TCRα鎖可変ドメイン、TCRβ鎖可変ドメイン、又はTCRα鎖可変ドメインとβ鎖可変ドメインをコードする核酸は、発現ベクターであり、TCRα鎖可変ドメイン、TCRβ鎖可変ドメイン、又はTCRα鎖可変ドメインとβ鎖可変ドメインは、プロモーターに作動可能に連結される。
【0060】
TCRα可変ドメイン及びβ可変ドメインは、同じプロモーターから共転写され得る。α可変ドメイン及びβ可変ドメインが融合タンパク質内に連結される実施形態に関しては、ドメインは、単一ポリペプチド内に同時翻訳され得る。αドメイン及びβドメインが別々のポリペプチド内にある実施形態において、発現ベクター内のα可変ドメインコード領域とβ可変ドメインコード領域の間に内部リボソーム侵入部位(IRES)を含ませることは有用である。
【0061】
本明細書に記載のTCRα鎖、TCRβ鎖、又はTCRα鎖とTCRβ鎖をコードする核酸も、本明細書において提供される。特定の実施形態において、核酸は、表1に記載のα鎖又はβ鎖のうちの1つ又は複数をコードする。コードされるα鎖又はβ鎖は、完全長又は成熟型であり得る。成熟型である場合、つまり、そのα鎖又はβ鎖を伴う天然リーダー配列を欠く場合、シグナル又はリーダー配列をコードする核酸は、翻訳される際にリーダー配列が、小胞体に対してα鎖又はβ鎖を方向付けるように、α鎖又はβ鎖をコードする核酸に作動可能に連結されることが好ましい。
【0062】
特定の実施形態において、核酸は、TCR1、TCR2、TCR3、TCR4、TCR5、TCR6、TCR7、TCR8、TCR9、TCR10、又はTCR11のα鎖及びβ鎖の両方をコードする。好ましい実施形態において、TCRα鎖、TCRβ鎖、又はTCRα鎖及びβ鎖をコードする核酸は、発現ベクターであり、TCRα鎖、TCRβ鎖、又はTCRα鎖及びβ鎖がプロモーターに作動可能に連結される。
【0063】
TCRα鎖及びβ鎖は、同じプロモーターから共転写され得る。かかる実施形態において、発現ベクター内のα鎖コード領域とβ鎖コード領域の間に内部リボソーム侵入部位(IRES)を含ませることは有用である。
【0064】
本発明の発現ベクターとしては、限定されないが、レトロウイルス又はレンチウイルスベクターが挙げられる。発現ベクターはさらに、TCRα鎖及び/又はβ鎖の他に、1種又は複数種の更なるタンパク質をコードし得る。特定の実施形態において、発現ベクターは1種又は複数種のサイトカインをコードする。好ましい実施形態において、サイトカインは、その組合せと共に、IL-2、IL-7、IL-12、IL-15、IL-18、又はIL-21などのT細胞成長因子である。サイトカインは全身作用を有し得て、養子細胞療法のための細胞を産生するためにサイトカインをコードする発現ベクターを使用する場合、サイトカイン発現は、誘導性プロモーターによって制御されることが好ましい。特定の実施形態において、プロモーターは、最小IL-2プロモーターに連結される6つのNFAT(活性化T細胞の核因子)応答エレメントを含有する複合プロモーターであり、サイトカインは、IL-12又はそのバリアントである。IL-12を発現させるための、最小IL-2プロモーターに連結される6つのNFAT(活性化T細胞の核因子)応答エレメントを含有する複合プロモーターの使用は、米国特許第8,556,882号明細書に記載されている。
【0065】
本明細書に記載の例示的TCRを組換えで発現する細胞が、本明細書において提供される。前記組換え細胞は、TCRα鎖、TCRβ鎖、TCRα鎖及びβ鎖、TCRα可変ドメイン、TCRβ可変ドメイン、又はTCRα及びβ可変ドメインをコードし、且つ発現する1種又は複数種の発現ベクターを含み得る。好ましい実施形態において、細胞は、TCR1、TCR2、TCR3、TCR4、TCR5、TCR6、TCR7、TCR8、TCR9、TCR10、又はTCR11を組換え発現する。特定の実施形態において、細胞はさらに、1種又は複数種の組換えサイトカインを発現する。好ましい実施形態において、サイトカインは、IL-12又はそのバリアントであり、前記発現は、誘導性プロモーター、例えばNFAT駆動プロモーターによって制御される。
【0066】
特定の実施形態において、細胞は、癌患者から採取した試料から得られる。T細胞、NKT又はNK細胞などの細胞が試料から単離され、拡大される。特定の実施形態において、前駆細胞が単離され、所望の細胞タイプに成熟される。細胞は、いずれかの更なるポリペプチド、例えばIL-12又はそのバリアントと共にTCRの成分をコードする、1種又は複数種のベクター、例えばレンチウイルスベクターでトランスフェクト/形質転換される。かかる細胞は、それらが由来する癌患者のための養子細胞療法に使用され得る。
【0067】
他の実施形態において、細胞系は、可溶性TCRを組換え発現する。可溶性TCRは、scFvなどの抗CD3抗原結合性タンパク質との融合タンパク質であり得る。
【0068】
疾患又は障害と関連する細胞が、MAGE-B2及び/又はMAGE-A4を発現する、疾患又は障害を治療する方法が本明細書において提供される。好ましい実施形態において、細胞は、HLAクラスI分子、好ましくはHLA-A2、特にHLA-A*02:01の状況においてMAGE-B2由来ペプチドGVYDGEEHSV及び/又はMAGE-A4ペプチドGVYDGREHTVを提示する。本発明の可溶性TCR又は組換え細胞で治療され得る例示的疾患又は障害としては、血液学的又は固形腫瘍が挙げられる。かかる疾患及び障害としては、限定されないが、肺癌、卵巣癌、扁平上皮細胞肺癌、黒色腫、乳癌、胃癌、精巣癌、頭頚部癌、子宮癌、食道癌、膀胱癌、及び子宮頚癌が挙げられる。好ましい疾患及び障害としては、非小細胞肺癌(NSCLC)、頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)、膀胱癌、食道癌、又は卵巣癌が挙げられる。
【0069】
特定の治療では、腫瘍のバイオプシーが、MAGE-B2又はMAGE-A4の発現について試験される。腫瘍は、MAGE-B2-又はMAGE-A4由来ペプチドを提示した場合に、本発明のTCRによって認識される適切なHLA分子の発現に関しても試験され得る。その腫瘍がMAGE-B2又はMAGE-A4を発現し、且つ適切なHLAハプロタイプである患者は、本発明の可溶性TCR又は組換え細胞が投与され得る。
【0070】
本明細書における種々の実施形態は、種々の状況下にて「含む」の文言を用いて表されるが、関連する実施形態は、「からなる」又は「から本質的になる」を用いても説明され得ると理解すべきである。本開示は、その特徴「からなる」又は「から本質的になる」実施形態を包含するように、特徴を「含む」と記述される実施形態を企図する。「1つ(a)」又は「1つ(an)」という用語は、1つ又は複数を意味し;その用語「1つ(a)」(又は「1つ(an)」)、「1つ又は複数」及び「少なくとも1つ」は、本明細書において区別なく使用することができる。「又は」という用語は、特に内容で明確に必要とされない限り、代替で、又は共に、項目を包含すると理解すべきである。「及び/又は」という用語は、リストにおける各項目(個々に)、リストのアイテムの組合せ、及びリストのすべてのアイテムを合わせて、包含すると理解すべきである。本明細書において使用される「~あり得る」又は「~できる」とは、提供される主題の一部として機能的であり、利用可能な、本発明者らにより考えられた何かを表す。
【0071】
本出願で使用される専門用語は当技術分野内で標準的であり、特定の用語の定義は、特許請求の範囲の意味に明確性及び確定性を保証するために、本明細書において提供される。単位、接頭辞、及び記号は、そのSI容認形で表され得る。本明細書に記載の数値範囲は、範囲を定義する数を包含し、且つ定義される範囲内の各整数を含み、補完する。本明細書に記載の方法及び技術は一般に、当技術分野でよく知られている従来の方法に従って、且つ別段の指定がない限り、本明細書全体を通して記載及び論述される、様々な一般的及びより具体的な参考文献に記載のように実施される。限定されないが、特許、特許出願、記事、本、及び学術論文などの本出願に記載のすべての文書、又は文書の一部は、参照により本明細書に明確に組み込まれる。
【0072】
本発明の更なる特徴及び変形形態は、図面及び詳細な説明を含む、本出願の全体から当業者には明らかであり、かかるすべての特徴は本発明の態様として意図される。同様に、本明細書に記載の本発明の特徴は、特徴の組合せが本発明の態様又は実施形態として指定されているか否かに関わらず、本発明の態様としても意図される更なる実施形態へと再結合することができる。たとえ特徴の組合せが、この文書の同じセンテンス、又はパラグラフ、又はセクションに共に見出されないとしても、文書全体が、統合された開示内容に関連することが意図され、本明細書に記載の特徴のすべての組合せ(別々のセクションに記載の場合でさえ)が企図されることを理解すべきである。また、本発明にとって重要であると本明細書に記載のかかる制限のみが、それ自体としてみなされるべきであり;重要であると本明細書に記載されていない限定がない本発明の変形形態は、本発明の態様として意図される。
【0073】
本発明は、本発明の個々の態様の単一の例証として意図される、本明細書に記載の具体的な実施形態によって範囲に制限されず、機能的に等しい方法及び成分は本発明の範囲内にある。実際に、本明細書に示され、記述される形態に加えて、本発明の様々な修正形態は、上述の説明及び添付の図面から当業者には明らかとなるだろう。かかる修正形態は、添付の特許請求の範囲の範囲内にあることが意図される。
【実施例】
【0074】
以下の実施例、実際の実施例及び予測的な実施例の両方が、本発明の具体的な実施形態又は特徴を例証する目的のために提供され、その範囲を制限することを意図するものではない。
【0075】
実施例1-MAGE-A4及びMAGE-B2は、非常に制限された正常組織発現を有し、広範囲の固形腫瘍にわたって発現される
癌ゲノムアトラス(TCGA)及び出願人のデータから、MAGE-A4及びMAGE-B2 mRNAが、広範囲の固形腫瘍にわたって高い有病率を有することが実証されている(
図1A)。重要なことには、出願人の内部ボディマップのデータによって、免疫特権部位である精巣を除いて、MAGE-A4及びMAGE-B2 mRNAの非常に制限された正常組織発現を示す(
図1B)。扁平上皮非小細胞肺癌(扁平上皮非小細胞肺癌又は肺扁平上皮癌)におけるMAGE-A4 IHCデータから、腫瘍内で、MAGE-A4タンパク質が、腫瘍細胞の大部分(60~100%)で発現され、ストローマ細胞においてはそうではないことが示される(
図1C)。同様に、MAGE-B2 ISHデータから、腫瘍内でMAGE-B2 mRNがNSCLC腫瘍細胞の大部分(>50%)で発現され、ストローマ細胞ではそうではないことが分かる(データは示されていない)。
【0076】
さらに、pMHC標的として、HLA-A
*02:01でのMAGE-B2及びMAGE-A4ペプチドの提示は、質量分析法(MS)によって確認された。種々の腫瘍及び正常組織(Immatics,Tuebingen,Germany)から、MAGE-B2ペプチド-MHC(GVYDGEEHSV/HLA-A
*02:01)発現が、腫瘍に対して非常に特異的であり、正常な健康な組織において検出されないことが実証された(
図2A)。MSによって測定される代表的な癌タイプにおけるMAGE-B2 pMHC頻度を表(
図2B)に示す。MAGE-B2ペプチドGVYDGEEHSV(配列番号1)は、MAGE-B2タンパク質のアミノ酸残基231~240に相当する。さらに、院内MSデータから、扁平上皮NSCLC腫瘍におけるMAGE-A4 pMHC発現が確認される(データは示されていない)。MAGE-A4ペプチドGVYDGREHTV(配列番号2)は、MAGE-A4タンパク質のアミノ酸残基230~239に相当する。
【0077】
MAGE-A4及びMAGE-B2は、広範囲の癌タイプにおいて発現される。MAGE-B2及び/又はMAGE-A4 pMHC発現(MAGE-B2/A4-HLA-A
*02:01)を有する固形腫瘍の適応症としては、限定されないが、肺扁平上皮癌(扁平上皮非小細胞肺癌、LUSC)の16.2~22.7%、頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)の9.2~15.8%、食道癌腫6.2~11.1%、膀胱癌4.7~10.4%、及び卵巣癌2.1~7.8%(
図3)が挙げられる。指定の癌適応症における癌母集団は、米国の母集団における1年当たりの新たな事例(新たな患者数)を掛けたpMHC標的頻度(%)に基づいて推定された。pMHC標的頻度(%)は、米国におけるHLA-A
*02:01キャリア頻度を掛けたMAGE-B2及び/又はMAGE-A4 mRNA発現頻度によって計算された(0.41)。対象の腫瘍からのRNAseqのTCGA公的データセットを使用して、(1)MAGE-B2>=1FPKM及び/又はMAGE-A4>=10FPKM或いは(2)MAGE-B2>=5FPKM及び/又はMAGE-A4>=50FPKMの閾値にて、各腫瘍適応症におけるMAGE-B2及び/又はMAGE-A4 mRNA発現頻度を推定した(
図3)。MAGE-B2及びMAGE-A4標的の両方にポジティブな患者は2回カウントされなかった。SEER,EPIC Oncology New Patients又はEpiphany/Epic in 2020を用いて、選択された腫瘍適応症における疾患発生数(1年当たりの新たな事例)を推定し、したがって、推定される治療可能な患者の母集団範囲を導いた(
図3)。HLA-A
*02:01は、米国において最も一般的なMHCクラスI対立遺伝子の1つである。米国の母集団においてのHLA-A
*02:01ハプロタイプ(キャリア)頻度推定値は0.41である(www.allelefrequencies.net)。米国の患者母集団は、MAGE-A4及びMAGE-B2の両方がカバーされる場合に、MAGE-B2単独と比較して2倍になる。最大の患者母集団は、扁平上皮非小細胞肺癌、続いてHNSCC、膀胱癌、食道癌、及び卵巣癌における母集団である(
図3)。
【0078】
実施例2-MAGE-B2 pMHC特異的TCRの同定
リード臨床TCR候補を同定及び選択するプロセスを以下に示す。最初に、生体外(ex vivo)の刺激及びscRNAseqに基づくTCR発見プラットフォームを使用し、健康なHLA-A*02:01+ドナー52名を用いて、40のドミナントMAGE-B2 pMHC特異的TCRを同定した。ジャーカット活性化アッセイを用いて、11のTCR候補を40のTCRから選択した。これらの11のTCR配列に基づいて、個々のTCRを保持するレンチウイルスを用いて、ドナー3名から単離された初期pan-T細胞を形質導入することによって、ドナー1名につき11のTCR-T細胞を産生した。それらのTCR-T細胞はさらに、標的ペプチドでパルスされたT2細胞系、及び複数(約20)の癌細胞系での効力(細胞障害性)試験、類似のペプチドを用いた交差反応性スクリーン、及び初期アロ反応性スクリーンなどの、様々な機能アッセイによって評価された。機能データに基づいて、本発明者らは、11のTCRから上位4つのTCR候補に絞った。生体内有効性をさらに高め、臨床用量を低減するために、IL12ペイロード発現が、NFAT応答駆動プロモーター下でのTCR活性化によって誘発されるTCR-T-IL12レンチウイルス構築物において、上位4つのTCRを製造した。したがって、TCR-T細胞が腫瘍におけるpMHC標的(MAGE-B2及び/又はMAGE-A4)に結合する場合にのみ、IL12が産生され得る。3名のドナーから産生されたTCR-T-IL12細胞はさらに、標的ペプチドでパルスされたT2細胞系、及び複数(約40)の癌細胞系での効力試験、フルパネルの類似ペプチドを用いた交差反応性、正常細胞の細胞障害性スクリーン、及び完全アロ反応性スクリーンなどの、様々な機能アッセイによって評価された。これらの評価からのすべてのデータに基づいて、本発明者らは、1つのリード臨床TCR候補を選択した。
【0079】
MAGE-B2 pMHC特異的TCRは、健康なドナーPBMCから単離されたレアなT細胞クローンから同定され得る
腫瘍抗原特異的TCRの同定における難しさによって、TCR仲介免疫療法の開発が阻まれている。これらの難題にも関わらず、本発明者らは、腫瘍抗原pMHC特異的TCRが、健康なドナーPBMCから単離されたレアなT細胞クローンから、それによって同定され得る、TCR発見プラットフォームを開発することに成功した(
図4A)。健康なHLA-A
*02:01+ドナーからのPBMCにおけるMAGE-B2 pMHC反応性T細胞の頻度は、非常に低く、一般に約0%デキストラマー+T細胞であった。DEXTRAMER(登録商標)(Dex)は、TCRに特異的に結合し得るペプチド-MHC複合体の多量体であり、したがって、抗原(pMHC)特異的T細胞を単離するために使用することができる。最初に、レアな腫瘍抗原特異的Tクローンを拡大するために、本発明者らは、52の健康なHLA-A
*02:01+ドナーのPBMCを使用して、T細胞及び自己抗原提示細胞(APC)、例えば単球由来樹状細胞及び活性化B細胞を単離した。標的ペプチドでパルスされた自己APCとT細胞を共培養すると、これらのT細胞は、生体外(ex vivo)の刺激の複数の段階を通過し、腫瘍抗原pMHC特異的プライミング、再刺激、及びpMHC特異的T細胞の拡大が起こる。複数の抗原再刺激後に、MAGE-B2 pMHCデキストラマー+(Dex+)T細胞(MAGE-B2 pMHC反応性T細胞)の母集団が検出された。抗原再刺激の2~4ラウンド後に、MAGE-B2 pMHC特異的T細胞集団がよりエンリッチされ、デキストラマー-PE株とデキストラマー-APC株の両方によって確認された(
図4B)。次いで、Dex+CD8+T細胞を単細胞RNAseqに対して選別し、TCRα及びTCRβ鎖の配列を同定した。同定された代表的なTCRのTCRα及びTCRβ配列に相当する配列番号を表1に示す。さらに、それらの選別されたDex+CD8+T細胞を、ペプチド負荷T2細胞を用いたIFNγ ELISPOTアッセイによって、MAGE-B2抗原特異的活性化に関してバリデートした(
図4C)。このTCR発見プラットフォームによって、52名の健康なHLA-A
*02:01+ドナーからの40のドミナントMAGE-B2 pMHC特異的TCRが同定された。重要なことには、健康なドナーの血液から同定されたTCRは、ヒトの体内で(胸腺の髄質において)胸腺自然淘汰を通じて、親和性増強TCR又は二重特異性抗体と異なり、自己反応性TCRを排除している。したがって、TCRに対するオフターゲットのリスクはかなり低いと考えられ、安全性評価アッセイによってそれが確認された(以下に記述される)。
【0080】
上位のMAGE-B2 pMHC特異的TCR-T細胞の選択
52名の健康なHLA-A
*02:01+ドナーのスクリーンから同定された40のドミナントMAGE-B2 pMHC特異的TCRから、ジャーカット活性化アッセイによって11のTCR候補が選択された(
図5)。個々のTCRを保有するレンチウイルスが、NFAT応答駆動プロモーター下でのTCR活性化によって制御される、構成的にCD8a及びウミシイタケルシフェラーゼを発現する、ジャーカットTCRKOレポーター細胞系に形質導入された。個々のTCRの活性は、賦形剤のみを有するT2細胞と比較して、MAGE-B2ペプチドが負荷されたT2細胞の存在下でのルシフェラーゼ活性の倍率変化として測定された(
図5)。
【0081】
これら11の選択されたTCR配列に基づいて、ドナー3名から単離されたヒト初期pan-T細胞に個々のTCRを保有するレンチウイルスを形質導入することによって、ドナー1名につき11のTCR-T細胞系が作成された。それらのTCR-T細胞はさらに、種々の機能活性によって評価された。最初に、各TCR-Tの効力が、ペプチド滴定及びE:T(エフェクター:標的細胞比)滴定アッセイなどのT2/ペプチド細胞障害性アッセイ(MAGE-B2ペプチド)を用いて評価された(
図6A~6C)。T2は、抗原プロセッシングと関連するトランスポーター(TAP)が欠損しており、且つHLA-A
*02を発現する細胞系であるため、MHCクラスI-制限内因性ペプチドはERに入ることができず、T2細胞系は主に外因性ペプチドを提示する。したがって、T2/ペプチド細胞障害性アッセイ(対象のペプチドによって付加されたT2細胞系を用いた、細胞溶解活性測定)を用いて、T細胞のTCRによってペプチド(例えば、HLA-A
*02:01-制限)の特異的認識を研究した。T2/MAGE-B2ペプチドに対する2つのTCR、TCR2-T及びTCR4-Tの効力は非常に類似していた(
図6A~6C)。重要なことには、TCR3-T及びTCR4-Tは、上述のように広範囲の固形腫瘍における高い有病率を有する癌精巣抗原でもある、MAGE-A4ペプチドに対して交差反応性でもあった。TCR4-Tは、TCR3-Tと比べてMAGE-A4ペプチドに対してかなり高い効力を示した。さらに、複数の(約20)MAGE-B2+及び/又はMAGE-A4+癌細胞系に対する細胞障害性が評価された。SK-MEL-5系に対する代表的な細胞障害性を
図6Dに示す。例示的TCR-Tは、約1.4FPKMと低いMAGE-B2発現又は約0.25と低いE:TEC50を有する癌細胞系に対して強力な細胞死活性を表した。
【0082】
オフターゲット選択性を評価するために、131の相同性ベースの類似ペプチド及び標的ネガティブ癌系を用いて、T2/ペプチド細胞障害性アッセイによって、TCR-T細胞を調べた。代表的なデータを
図6Eに示す。オフターゲット戦略及び類似のペプチドの同定の詳細を以下に記述する。
【0083】
初期のアロ反応性について、米国母集団において、上位5つの最も高頻度の非HLA-A*02:01対立遺伝子を表す5のBリンパ芽球様細胞系(BLCL)との共培養でTCR-Tを試験した(例えば、HLA-A*01:01、HLA-A*03:01、HLA-A*11:01、HLA-A*24:02、HLA-A*02:07)。IFNγ及びグランザイムBの産生を、初期アロ反応性の読み取り値(readout)として使用した。アロ反応性の詳細を以下に記述する。
【0084】
(1)T2/MAGE-B2ペプチド、T2/MAGE-A4ペプチド及び約20のMAGE-B2+及び/又はMAGE-A4+癌細胞系を用いた、MAGE-B2及び/又はMAGE-A4 pMHC標的に対する強力な細胞障害性、(2)131の相同性ベースの類似ペプチド及び標的ネガティブな癌細胞系に対する交差反応性を示さないオフターゲット選択性、(3)初期のアロ反応性なし、及び(4)製造性(例えば、優れたTCR形質導入効率)などの様々な機能性研究に基づいて、11のTCRから、上位4つのTCR(TCR1、TCR2、TCR3、TCR4)を選択した。
【0085】
実施例3-TCR-T-IL12細胞の効力バリデーション
IL12ペイロード発現が、NFAT応答駆動プロモーター下でのTCR活性化によって調節されるTCR-T-IL12レンチウイルス構築物において、上述の様々な機能性アッセイによって選択された上位4つのTCRをさらに製造した(
図7)。したがって、TCR-T-IL12細胞が腫瘍におけるpMHC標的(MAGE-B2及び/又はMAGE-A4)に結合する場合に、TCRシグナル伝達でIL12が産生される。3名のドナーを用いて産生されたTCR-T-IL12細胞はさらに、様々な機能アッセイによって評価された。最初に、T2/MAGE-B2ペプチド細胞障害性アッセイを用いて、効力バリデーションを行った(
図8)。4つのTCR-T-IL12の効力順位は、親のTCR-T(IL12なし)の効力と同じままである。TCR2-IL12は、最も高い効力を示し、続いてTCR4-IL12、TCR3-IL12、次にTCR1-IL12が最も低かった。4つすべてのTCR-IL12細胞が、T2/ペプチド細胞障害性アッセイによるEC90 10
-8M(ペプチド濃度)で効力基準を満たした。
【0086】
実施例4-MAGE-B2ペプチド負荷T2細胞とMAGE-A4ペプチド負荷T2細胞の両方に対するTCR4-IL12の強力な細胞障害性
注目すべきことには、TCR4-IL12は、T2/ペプチド細胞障害性アッセイにおいて高い効力を有するMAGE-A4ペプチドMHCも認識することができる(
図9)。このTCR-T-IL12に対するMAGE-A4ペプチドとMAGE-B2ペプチドとの効力ギャップは、EC50でわずか2.5倍であり、EC90において約7倍であった。異なるドナー3名からの効力データから、MAGE-B2ペプチド及びMAGE-A4ペプチドに対する効力がかなり似ていることが示された(
図9のグラフ)。重要なことには、TCR4-IL12は、MAGE-B2ペプチド及びMAGE-A4ペプチドの両方に関して、EC90 10
-8M(ペプチド濃度)で効力基準を満たした。
【0087】
実施例5-MAGE-B2+及び/又はMAGE-A4+癌細胞系に対する細胞障害性
MAGE-B2+MAGE-A4-、MAGE-B2-MAGE-A4+、及びMAGE-B2+MAGE-A4+癌細胞系などの3つの異なるカテゴリーの癌細胞系を用いて、4つのTCR-T-IL12の効力(細胞障害性)をバリデートした。最初に、MAGE-B2+MAGE-A4-癌細胞系を用いて、TCR-T-IL12の効力を評価した(
図10)。4つすべてのTCR-T-IL12が、約1.4FPKMと低いMAGE-B2発現を有する癌細胞系に対して強力な細胞障害性を示した。MAGE-B2+MAGE-A4-癌細胞系に対する効力順位付けアッセイにおいて、TCR2は最も強力なTCRであり、次にTCR4、次いでTCR1及びTCR3がほぼ同じであった。TCR2-IL12及びTCR4-IL12は、それぞれ約0.07及び0.21、と低いE:TEC50にて細胞障害性を示した。TCR-T-IL12は、8505C(約1.4FPKM)及びAU565HLA-A2hi(約3.7FPKM)などのMAGE-B2低癌細胞系にでさえ高い効力を示した。これらのMAGE-B2低癌細胞系に対する標的特異的細胞死は、これらの低癌細胞系から産生されたMAGE-B2 KO細胞系によって検証された(以下に記述される)。
【0088】
第2に、T2/ペプチドアッセイから、MAGE-A4ペプチドに対するこのTCRの交差反応性を考慮して、MAGE-A4+MAGE-B2-癌細胞系に対するTCR4-IL12の効力が評価された(
図11)。TCR4-IL12は、約6.3FPKMと低いMAGE-A4発現、又は約0.46と低いE:TEC50を有する癌細胞系に対する細胞障害性を示した。
【0089】
第3に、ダブルポジティブ、MAGE-B2+MAGE-A4+癌細胞系に対する効力が評価された(
図12)。TCR4-IL12及びTCR2-IL12は、MAGE-B2+MAGE-A4+癌細胞系に対する強力な細胞障害性を示した。MAGE-B2+MAGE-A4+癌細胞系に対する効力順位付けにおいて、TCR4が最も強力なTCRであり、続いてTCR2、次いでTCR3及びTCR1はほぼ同じであった。注目すべきことには、MAGE-B2ペプチド及びMAGE-A4ペプチドの両方に対する高い効力のために、TCR4-IL12は、ダブルポジティブMAGE-B2+MAGE-A4+癌細胞系に対する最も高い効力を示した。特に、TCR2は、MAGE-A4交差反応性なく、MAGE-B2特異性のみを有するため、一部のMAGE-B2-低MAGE-A4-高癌細胞系(例えば、A375)は、TCR4とTCR2の効力を区別することができる。TCR4-IL12から、約1.2FPKMと低いMAGE-B2発現又は約44FPKMと低いMAGE-A4発現、又は0.04と低いE:TEC50を有するダブルポジティブ癌細胞系に対する細胞障害性が実証された。TCR2-IL12は、約3.5FPKMと低いMAGE-B2発現又は0.01と低いE:TEC50を有する細胞系に対する細胞障害性を示した。
【0090】
4つのTCR-T-IL12細胞の代表的な癌細胞系効力データを
図13に示す。ドナー2~3名から産生された4つのTCR-T-IL12細胞で約40の癌細胞系を試験した。TCR-T-IL12細胞から、低E:T EC50を有する一部の癌細胞系に対する強力な細胞障害性が実証された。例えば、癌細胞系に対するTCR4-IL12のE:T EC50は、B-CPAPに対して0.21、SK-MEL-5に対して0.25、THP-1に対して0.98及びNCI-H1755に対して0.25であった。
【0091】
実施例6-MAGE-B2 KO及びB2M KO癌細胞系によるペプチド-MHC標的特異的細胞障害性バリデーション
MAGE-B2の非常に低い発現を有する、複数のMAGE-B2+癌系統に対するTCR-T-IL12の強力な細胞障害性が確認され、この細胞障害性がpMHC標的発現に依存するか否かを決定した。したがって、本発明者らは、発現MAGE-B2及びB2Mそれぞれを排除するために、MAGE-B2 KO(ノックアウト)細胞系及びB2M KO細胞系を作成した(
図14A及び14B)。B2M(β2ミクログロブリン)は、MHCクラスI分子の重要なサブユニットである。MAGE-B2 KO及びB2M KOの両方によって、TCR2-IL12又はTCR4-IL12のいずれかによる細胞死活性が減少する結果となった。著しくは、非常に低いMAGE-B2 mRNA発現(1.4FPKM)を有する8505C癌細胞系においてMAGE-B2をKO(ノックアウト)すると、両方のTCR-T-IL12細胞が細胞死能力を失い、TCR-T-IL12細胞の細胞溶解活性がMAGE-B2標的発現に依存し、且つTCR-T-IL12が、標的のかかる低い発現を真に認識することができることを表す(
図14B)。同様に、細胞障害性の減少は、B2M KO系で見られ、TCR-T-IL12活性がHLA発現に応答することが実証されている。
【0092】
実施例7-TCR-T効力に対するIL12ペイロードの作用
B16F10-huEpCAM同系マウス腫瘍モデルにおいて、IL12ペイロードを含む、又は含まないHuEpCAM CAR-T細胞を評価した。このマウスの研究から、IL12ペイロードが生体内でT細胞有効性を高め、潜在的な臨床用量を低減し得ることが実証されている(
図15B)。
【0093】
次に、本発明者らは、複数の癌細胞系を有するヒトTCR-TシステムにおけるIL12ペイロードの作用を評価した。特にMAGE-B2-低癌細胞系(波線四角内に示す)について、IL12ペイロードは、IL12なしの親TCR-Tと比較して、TCR-T細胞効力を増加し得る(
図15A)。MAGE-B2-高又はMAGE-A4-高癌細胞系(波線四角外に示す)に関しては、親TCR-Tによって効力が既に最大限度に到達したため、それらの癌細胞系に関してIL12の効果はあまりなかった。
【0094】
実施例8-非臨床的安全性評価の概要
ヒト特異的HLA標的が動物モデルの使用を妨げるため、TCR-T-IL12細胞に対して広範な生体外(in vitro)及び生体外(ex vivo)安全性評価を実施した。最初に、上述される、正常なヒト組織並びに腫瘍組織を使用して、RNASeq、IHC、及び質量分析などの様々なアッセイによって、標的発現を評価した。MAGE-B2及びMAGE-A4が癌精巣抗原であるため、非常に限定された正常組織発現(精巣でのみ発現された)が研究から示された。第2に、オフターゲット反応性が評価され、2つの異なる戦略を用いて評価された。第1の戦略は、主要な臓器に代表的な様々な正常なヒト初代細胞タイプに対する細胞障害性の評価を含んだ。第2の戦略は、各TCRに固有の推定の交差反応性ペプチドを同定するためのポジショナルスキャン(Xスキャン)ベースの戦略と共に、MAGE-B2標的ペプチドにマッチする配列相同性に基づく類似ペプチドのパネルを同定することを含んだ。類似ペプチドのこのパネルに対する潜在的な交差反応性を評価するために、T2/ペプチドTECCアッセイが行われた。第3の安全性評価はアロ反応性であり、38HLA-A、40HLA-B及び24HLA-C対立遺伝子を含む、米国母集団における高頻度のHLAクラスI対立遺伝子を表す34のBLCLを評価した。
【0095】
相同性に基づく類似ペプチドの同定
オフターゲット反応性を評価するために、標的ペプチド又はXスキャン誘導モチーフに対するいずれかの配列相同性に基づいて、2つの異なる戦略を用いて、MAGE-B2標的ペプチドに対する類似ペプチドのフルパネルを同定した。
【0096】
相同性に基づく戦略は、候補TCR-Tと潜在的に交差反応し得るペプチドのリストを同定するために、イン・シリコ(in silico)アプローチを用いてデザインされた。これを達成するために、タンパク質データベース(UniProtKB/Swiss-Prot,June 2019)クエリーを最初に実施し、標的MAGE-B2ペプチド(GVYDGEEHSV)に対するアミノ酸同一性マッチに基づいて、すべての可能性のある十量体ペプチドのリストを作成した。このイン・シリコクエリーは、Pythonスクリプトを用いて実施し、標的ペプチドに対して30%相同性(同一性)マッチに基づく170,082ペプチドが同定された。このリストをさらに正確にするために、高い相同性マッチなどの基準、及びNetMHCpanソフトウェアなどのソフトウェア及びIEDB(免疫エピトープデータベース)を利用した。NetMHCpan3.0を使用して、HLA-A*02:01に対するペプチドの予想結合親和性を検討した。実験的に特徴付けられた免疫エピトープのマニュアルで厳選されたIEDBデータベース(June 2019)を使用して、HLA-A*02:01対立遺伝子によりプロセッシングされ、提示されるペプチドの確率を検討した。ペプチド選択に使用される具体的な基準は以下の通りであった:(1)標的ペプチド(65ペプチド)に対して60%以上の相同性マッチ(同一性)を有するすべてのペプチド、(2)50%以上の相同性マッチ及び50nM以下の予測結合親和性(IC50)を有するすべてのペプチド(35ペプチド)、並びに(3)IEDBにおいて報告される標的ペプチド(HLA0A*02:01対立遺伝子によって提示される)(45ペプチド)に対して40%以上の相同性マッチを有するすべてのペプチド。結果として、ヒトプロテオームデータベースのこの相同性に基づくイン・シリコ検索から、本発明者らは、131のユニークなペプチドを同定した。
【0097】
ポジショナルスキャン(Xスキャン)を用いたTCR結合性モチーフ、及びXスキャン誘導モチーフに基づく類似のペプチドの同定
類似のペプチドを同定する直交アプローチとして、本発明者らは、Xスキャンとして知られるポジショナルスキャン法を用いた。Xスキャンアッセイでは、他の19の天然アミノ酸のうちの1つにMAGE-B2ペプチドの各残基を逐次、変異導入することによって作成されるペプチドライブラリーが使用され、合計で190ペプチドが生じる。これらの190ペプチドが合成され、T2/ペプチドTDCCアッセイにおいて試験されて、それぞれ個々のTCRに特異的なXスキャン誘導モチーフが同定された(表3)。簡潔には、濃度10μM又は1μMにてこれらの各ペプチドで、T2細胞をパルスし、続いてE:T比1:1にてTCR-T細胞を添加した。T2/ペプチドTDCCアッセイを用いて、細胞生存率を決定した。アミノ置換は、TCRの結合(engagement)に必須であると定義され、確認された生存率は20%未満であった。相当する検索モチーフを作成して、どのアミノ酸がペプチド配列(表3)における各位置で許容されるかを表した。下線のアミノ酸は、ペプチドにおける相当する位置での天然残基を表す。
【0098】
pythonスクリプトを用いて、スプライスバリアントでのUniProtKB/Swiss-Protデータベースのイン・シリコ検索(June 2019)を実施して、誘導モチーフに従うすべての十量体配列を同定した。このモチーフに基づくblast検索から、特異的TCR-Tのコンセンサスモチーフに従う、ユニークなヒトペプチドマッチが同定された。
【0099】
2つのTCR(TCR3及びTCR2)の場合において、得られるモチーフ検索ベースのペプチドの数がかなり多い場合には、更なるアンカー残基の制限(残基2及び10での)を誘導モチーフに適用し、最終的な交差反応性ペプチド選択を制限した(表3)。具体的には、IEDBデータベースから得られた、2583の十量体HLA-A*02:01ポジティブなペプチドの配列を解析して、アンカー残基位置のアミノ酸頻度を算出した。モチーフの両方のアンカー残基(残基2及び残基10)に3%アミノ酸頻度カットオフを適用し、それによって位置2はアミノ酸T、M、E、I、V、Lに制限され、位置10はアミノ酸Y、I、A、L、Vに制限された。
【0100】
【0101】
完全パネルの類似ペプチドでの交差反応性スクリーン
完全パネルの類似ペプチド(Xスキャンモチーフに基づくセット及び相同性に基づくセットを含む)を合成し、T2/ペプチドTDCCアッセイにおいて調べ、オフターゲット反応性の可能性を研究した。
【0102】
各TCR-T-IL12に対して潜在的交差反応性ペプチドを同定するために、類似ペプチドの完全パネルを、高いペプチド濃度(10μM又は1μM)でT2/ペプチドTDCCスクリーンを用いて試験した。ドナー3名のうち少なくとも1名において生存率25%以下を示したペプチドは、推定の交差反応性ペプチドと見なされ、更なる効力試験のために選択された。3名の異なるドナーすべてが、ペプチド応答との良好な一致を示した。
【0103】
次に、上記のスクリーンから同定された推定の交差反応性ペプチドに対するT2/ペプチド滴定TDCCアッセイを用いて、効力スクリーン(用量依存性スクリーン)を実施した。大部分の推定の交差反応性ペプチドは、この効力スクリーンによってリスクが低減された。標的ペプチドと推定の交差反応性ペプチドとの間のEC50の10
3倍未満の効力ギャップは、更なるリスク評価のためのカットオフとしてみなされた。上位4つのTCR-T-IL12細胞に対する完全パネル類似ペプチドでの交差反応性スクリーンからの結果を
図16にまとめ、標的MAGE-B2ペプチドに対して10
3倍未満の効力を示す、すべてのペプチドが記載される。TCR4-IL12細胞は、いずれの推定交差反応性ペプチドも産生しなかった(MAGE-A4を除いて)。他の3つのTCR-T-IL12細胞はそれぞれ、癌精巣抗原であるMAGE-B1を除いて、この完全パネルペプチドスクリーンから同定される1つの推定交差反応性ペプチドを有した。3つすべての推定交差反応性ペプチド(タンパク質SLC16A10、KLHDC3、及びNRXN1から生じる)はさらに、それぞれの完全長タンパク質を過剰発現するHLA-A
*02:01+癌細胞系又は内因性タンパク質を発現する癌細胞系を用いたTDCCアッセイによってリスク低減された(
図17)。これらの推定交差反応性タンパク質又は内因性タンパク質を過剰発現する癌細胞系に対する細胞障害性は、TCR-T-IL12のいずれか(TCR1、TCR2、及びTCR3)によって確認されず、これらのペプチドが天然にプロセッシングされず、タンパク質から提示されそうにないことが示唆される(
図16及び17)。結論として、4つのTCR-T-IL12細胞のいずれによっても、配列相同性及びXスキャン誘導TCRモチーフによって同定される類似ペプチドの完全パネルにわたる有意な交差反応性は実証されなかった。
【0104】
ヒト正常細胞に対する細胞障害性の評価
次に、T細胞媒介性細胞傷害アッセイにおいて、標的細胞として働く主要な臓器(MAGE-B2又はMAGE-A4発現なし)に代表的な9つの正常ヒト初期若しくはiPSC由来細胞タイプのパネルに対して、4つのMAGE-B2 TCR-T-IL12細胞(TCR1-IL12、TCR2-IL12、TCR3-IL12、及びTCR4-IL12)の細胞障害性を評価した。9つの正常ヒト細胞のパネルは、気管支上皮細胞(hBEpC)、気管上皮細胞(hTEpC)、皮膚微小血管内皮細胞(HDMEC)、ケラチノサイト、肝細胞、腎近位尿細管上皮細胞(RPTEC)、iPSC由来星状膠細胞、心筋細胞、及びGABA神経細胞を含んだ(
図18)。すべての正常細胞が、HLA-A
*02:01-ポジティブなドナーから得られた(HLA-A
*02:01発現はRNASeqによって確認された)。重要なことには、これらの正常細胞は、HLA-A
*02:01に対して非常に多様なペプチドを提示し得ることから、これは、広範囲のオフターゲット効果を評価する、アッセイシステムとしての役割を果たす。MAGE-B2及びHLA-A
*02:01発現を有するB-CPAP癌細胞系をポジティブコントロール標的細胞として使用した。同じドナーからの、モック(未形質導入)T細胞又はIL12-RFP構築物を発現するT細胞(遺伝子導入TCRなし)が、ネガティブコントロール効果細胞として含まれた。サイトカイン(IFNγ、IL-12p70、TNFα)及びグランザイムBの産生、並びに標的細胞の細胞障害性(カスパーゼ3/7切断によって測定される)が、TCR-T-IL12細胞との共培養において評価された(
図18)。ポジティブコントロールB-CPAP細胞と共培養された場合に、4つすべてのTCR-T-IL12細胞が、サイトカイン産生及び標的細胞の細胞障害性を誘発した(MAGE-B2+HLA-A
*02:01+)。重要なことには、TCR2-IL12及びTCR4-IL12は、試験された正常なヒト初代若しくはiPSC由来細胞のいずれかと共培養した場合に、サイトカインの産生を仲介せず、又はカスパーゼ3/7切断を増強せず、試験された正常細胞のいずれに対してもオフターゲット反応性を示さなかった。
【0105】
34のBLCL系を用いたアロ反応性の潜在性の評価
安全性の評価の一部として、38HLA-A、40HLA-B、及び24HLA-C対立遺伝子などの主要な米国人種グループにおける高頻度(>11%)MHCクラスI対立遺伝子を表す34のBLCL(Bリンパ芽球腫細胞系)のパネルを用いて、アロ反応性の潜在性が評価された。TCR-T-IL12細胞をBLCLのそれぞれと共培養した場合に、サイトカイン(IFNγ、TNFα、及びIL-12p70)及びグランザイムBの産生によって、アロ反応性の潜在性を評価した。試験された34のBLCLに対するサイトカイン又はグランザイムB応答の有意な増加(IL12-RFPコントロールT細胞と比較して、4倍以上)は、4つのTCR-T-IL12細胞のいずれにも確認されなかった(
図19)。一部の低レベルの応答(IL12-RFPコントロール細胞と比較して、3倍以上であるが、4倍未満)が、TCR1-IL12及びTCR2-IL12に関して確認された。4つすべてのTCR-T-IL12細胞によって、MAGE-B2ペプチドでパルスされたポジティブコントロールU266B1細胞(HLA-A
*02:01+MAGE-B2+MAGE-A4+)に対して強いサイトカイン及びグランザイムB応答が実証された。
【0106】
全体的に、4つの例示的TCR-T-IL12候補は、実施された標準的及びアロ反応性潜在性の安全性評価に基づいて著しい安全性問題を示さなかった。
【0107】
上記の実施例で使用された方法及び材料
健康なドナースクリーンによるMAGE-B2 pMHC特異的TCRの同定
自己抗原提示細胞(APC)の産生
新鮮な、又は凍結されたHLA-A*02:01ポジティブな健康なドナー末梢血単核細胞(PBMC)が使用された。単球は、PBMCからヒトCD14-マイクロビーズ(Miltenyi Biotec,San Diego,CA,130-050-201)を使用することによってポジティブに選択された。成熟樹状細胞は、CellXVivo(商標)ヒト単球誘導樹状細胞(DC)分化キット(R&D,Minneapolis,MN,CDK004)を使用して得られた。抗原提示B細胞が、CD40L及びIL-4刺激法を使用して産生された。B細胞は、PBMCからヒトCD19-マイクロビーズ(Miltenyi Biotec,130-050-301)を使用することによってポジティブに選択された。次いで、B細胞培地中の0.125ug/ml組換えhuCD40Lによって、CD19+細胞を刺激し、2×105細胞/ml及び1ml/ウェルにて24-ウェルプレートにシーディングした。B細胞培地は、10%熱不活性ヒト血清(MilliporeSigma H3667-100ML)、100U/mlペニシリン及び100ug/mlストレプトマイシン(Gibco,15140-122)、10μg/mlゲンタマイシン(Gibco,15750-060)及び200IU/ml IL-4(Peprotech,Rock Hill,NJ,20004100UG)で補充された、IMDM、GlutaMax(商標)サプリメント培地(Gibco,31980030)で構成された。400IU/ml IL-4を有する新鮮なB細胞培地を、B細胞培養液に1ml/ウェルにて、細胞を乱すことなく、B細胞活性化後3日目に添加した。活性化B細胞は、B細胞活性化後6日目に抗原反応性T細胞刺激に即時使用可能であった。
【0108】
抗原特異的T細胞の生体外(Ex vivo)刺激及び拡大
CD14+細胞単離後7日目に、組換えヒトTNF-αと共に、MAGE-B2ペプチド(Anaspecカスタムペプチド,Freemont,CA)を未成熟樹状細胞に1μMで添加した。CD14+細胞単離後9日目に、MAGE-B2ペプチド-パルス成熟樹状細胞を収集し、洗浄し、10μM MAGE-B2ペプチド、10IU/ml IL-2(Miltenyi Biotec,130-097-745)及び10ng/ml IL-7(Peprotech,AF20007100UG)を有するヒトT細胞培地において比1:10にてCD14-PBMCと混合した。ヒトT細胞完全培地は、CMとAIM-V(商標)(ThermoFisher,12055083)の1:1混合物からなる。CMは、GlutaMAX(商標)(Gibco,61870-036,ThermoFisher)、10%ヒト血清(MilliporeSigma,H3667)、25mM HEPES(Gibco,15630-080,ThermoFisher)及び10μg/mlゲンタマイシン(Gibco,15750-060,ThermoFisher)が補充されたRPMI 1640からなる。MAGE-B2特異的なT細胞はさらに、毎週のペプチド-パルスB細胞活性化の1~3ラウンド(合計4回までのT細胞抗原特異的刺激)によってさらに拡大された。HuCD40L活性化B細胞を収集し、洗浄し、1×106細胞/ml及び4ml/ウェルにて6ウェルプレートにシーディングし、1μM MAGE-B2ペプチドをB細胞に添加し、インキュベータ内で37℃にて2時間インキュベートした。次いで、10IU/ml IL-2及び10ng/ml IL-7を有するヒトT細胞培において1:10の比で、ペプチド-パルスB細胞をT細胞と混合した。MAGE-B2デキストラマーポジティブ細胞が、フローサイトメトリーによって確認され、次いで単細胞RNAseqによってTCR同定のために選別された。
【0109】
活性化抗原特異的T細胞の選別
MAGE-B2ペプチド活性化抗原特異的T細胞を、暗所で室温にてMAGE-B2デキストラマー-APC及び-PEで10分間染色し、次いで、CD3-FITC(Biolegend,SanDiego,CA,300440)及びCD8-BV605(BD Biosciences,San Jose,CA,564116)によって染色した。死細胞除去染色(Sytox blue)をThermoFisher(Invitrogen,S34857)から購入した。Aria(商標)Fusion細胞選別機(BD Biosciences,San Jose,CA)を使用して、細胞を選別した。選別後にFlowjoを用いて、データを解析した。
【0110】
ELISPOT
ペプチド負荷T2細胞を用いたBD(登録商標)ELISPOTアッセイ(BD Bioscience,San Jose,CA,551849)によって、抗原特異的IFNγ産生について、選別されたCD3+CD8+Dex+T細胞をバリデートした。24ウェルプレートにおいて2×106細胞/ml及び1ml/ウェルにてヒトT細胞完全培地においてT2細胞に10μM MAGE-B2ペプチドを1~2時間負荷した。ヒトT細胞完全培地150ul及びペプチド負荷T2細胞50μlを、プレコートされたELISPOTプレートにおける各ウェルに添加した。CD3+CD8+Dex+T細胞(500又は1000細胞)を、ELISPOPTプレートにおける各ウェルに直接、選別した。37℃のインキュベータ内で24時間インキュベートした後に、ELISPOTを検出した。ELISPOTプレートをスキャンし、IMMUNOSPOT(登録商標)(Cellular Technology Limited,Cleveland,OH)によってカウントした。
【0111】
単細胞RNAseq
全トランスクリプトームのcDNA増幅を省く、直接的な標的エンリッチメントのために、製造元の説明書に従って、V(D)J単細胞ヒトT細胞エンリッチメントキット(PN-1000006、PN-1000005、PN-120236、PN-120262)と共にChromium(商標)コントローラー(10Xゲノミクス,Pleasanton,CA)を使用して、試料を処理した。簡潔には、細胞及びバーコード付きのオリゴヌクレオチドを有するビーズをナノリットルドロップレットに封入し、そこで細胞は溶解され、mRNAは、ポリ-Tプライマー及びバーコード付き鋳型スイッチオリゴを用いて逆転写される。次いで、ネスティッド(nested)PCRが、ヒトTCRの定常領域におけるプライマー及び鋳型スイッチオリゴを用いて実施された。製造元の提案に従って、推定される細胞インプット数に応じて13~17サイクルを用いて、第2の標的エンリッチメントPCRが実施された。最終的なシーケンシングライブラリーが、Illuminaシーケンシングアダプタにライゲートされた断片化PCR産物から作成された。ライブラリーは、少なくとも5,000リード/細胞にてNextSeq(商標)550又はMiSeq(商標)(Illumina,Inc.,San Diego,CA)で151ペアードエンドリード(151×8×0×151)にてシーケンスされた。cellranger vdj(2.2.0)で、データを多重分離し、解析して、個々の細胞に割り当てられる完全長ペアTCR配列が得られた。
【0112】
ジャーカット細胞へのTCRのクローニング及び形質導入
候補TCRを遺伝子断片として産生した。トランスフェクション又は形質導入をモニターするために、MSCVプロモーター及びIRES駆動eGFPからなるレンチウイルス発現ベクターに、各断片をクローニングした。成功した形質転換体をSangerシーケンシングによってスクリーニングし、検証されたクローンを、下流適用のためにマキシプレップした。形質導入を用いて、候補TCRをスクリーニングする場合には、レンチウイルスのベクターは、VSV-G偽型ビリオン(Alstem,Richmond,CA)内にパッケージされた。TCRを運ぶレンチウイルスは、NFAT誘導性プロモーター下にて、構成的にCD8a及びRenillaルシフェラーゼを発現する、ジャーカットTCR KOレポーター細胞系に形質導入された。簡潔には、感染多重度(MOI)が10となるように、50mLコニカルチューブ内で5ug/mLポリブレン(MilliporeSigma,TR1003G)を含有する完全培地における1,000,000個~100万個の細胞にレンチウイルス粒子20μLが添加された。ウイルスを添加した後、細胞を32℃にて1200×gで45分間回転させた。回転後、培地を吸引し、十分な新たな培地と取り換えて、37℃のインキュベータに入れる前に濃度500,000細胞/mlに細胞を調節した。形質導入後約72時間で、細胞をフローサイトメトリーによって解析した。細胞50μlを96ウェルU底プレートに移し、300×gで3分間遠心する前に、150ul FACSバッファー(PBS w/o CaCl2 & MgCl2(Corning,Corning,NY,21-040-CV)+5%FBS(Gibco,10082-147))を添加した。上清を除去し、FACSバッファー中の1×Fcブロック50μlに細胞を再懸濁し、それを4℃で20分間インキュベートした。製造元の推奨濃度を使用して、MAGE-B2ペプチド-MHC(GVYDGEEHSV/HLA-A*02:01,Immudexカスタマイズ,Fairfax,VA)に特異的な蛍光デキストラマーを暗所で室温にて10分間、形質導入細胞と共にインキュベートした。その後、4℃で20分間の別のインキュベーション前に、抗CD3(BD Biosciences)を含有する2×抗体カクテルを体積50ulで添加した。300×gにて3分間遠心することによって、染色後に細胞を3回洗浄し、続いて吸引し、再懸濁した。分析前に、新たな2%ホルムアルデヒド溶液100μl中で4℃にて20分間、細胞を固定した。EDTAを含むPBS 200μl中に最後に懸濁する前に、細胞を2回洗浄し、ホルムアルデヒドを除去した。固定された標識細胞を、推奨される取得設定を用いて、LSRII又はSymphony(商標)サイトメーター(BD Biosciences)にかけた。
【0113】
ジャーカット活性化アッセイ
抗原提示T2細胞(ATCC)に、血清不含培地中で一定範囲の濃度で2時間、ペプチド(Anaspecカスタマイズ)又は賦形剤のみを負荷した。インキュベーション後、完全培地に再懸濁する前に、負荷されたT2細胞を3回洗浄し、カウントし、ハーフエリア96ウェルプレート(Corning)において15,000細胞/ウェルにてシーディングした。形質導入に成功したジャーカット細胞を、30,000細胞/ウェルにて総体積100μLに添加した。TCR発現性ジャーカット細胞をT2細胞の存在下にて37℃で24時間共培養した。このインキュベーションの最後に、半分の体積を収集する前に、短時間でプレートを300×gにて遠心し、サイトカイン分泌を特徴付けるために保管した。残りの体積に、等しい体積のRENILLAGLO(登録商標)(Promega)を添加し、発光(ENVISION(登録商標)(PerkinElmer,Waltham,MA)で検出される)前に振盪しながら、プレートを室温にて20分間インキュベートした。賦形剤のみのT2細胞との共培養と比較して、ペプチドが負荷されたT2細胞の存在下にて、個々のTCRの活性を発光の倍率変化として表した。
【0114】
ヒト初代T細胞を用いた、MAGE-B2 TCR-T及びTCR-T-IL12細胞の産生
健康なドナー3名(HLA-A*02:01)からのPBMCが、Ficoll-Paque勾配遠心分離を用いて、leukopak(Allcells,Alameda,CA)から単離され、CD3ネガティブセレクションキット(Miltenyi Biotec,130-096-535)及び関連する製造元のプロトコルを用いて、更なるT細胞の単離が行われた。TCR形質導入の1日前に、凍結pan-T細胞を解凍し、1×106細胞/mlにてヒトT細胞完全培地に再懸濁し、30IU/ml IL-2(Miltenyi Biotec,130-097-745)、10ng/ml IL-7(Peprotech,AF20007100UG)及び25ng/ml IL-15(Peprotech,AF20015100UG)の存在下にて、T細胞:ビーズの比(2:1)でCD3/CD28ダイナビーズ(Dynabeads)(商標)(Thermo Fisher,11131D)によって刺激した。次いで、T細胞を24ウェルプレートにおいて1ml/ウェルにてシーディングした。TCR形質導入の当日に、活性化T細胞(300,000)を48ウェルプレートにおいてヒトT細胞完全培地中でシーディングし、8μg/mlポリブレン、100IU/ml IL-2、10ng/ml IL-7及び25ng/ml IL-15の存在下にて、レンチウイルスを形質導入した。次いで、T細胞を32℃にて1500×gで1.5時間スピン接種した。スピン接種後、8μg/mlポリブレン、100IU/ml IL-2、10ng/ml IL-7、及び25ng/ml IL-15を有する培地380ulを細胞に添加して、総体積を600μl/ウェルにした。形質導入後17~18時間で、ウェルの底の細胞に触れることなく、培地約400μlを取り出した。48ウェルプレートの各ウェルからの細胞を、100IU/ml IL-2、10ng/ml IL-7及び25ng/ml IL-15を含有するヒトT細胞完全培地3ml中でG-REX(登録商標)24ウェルプレート(WilsonWolf,St Paul,MN,P/N 80192M)の1つのウェルに移した。形質導入後4日目に、ダイナビーズを製造元のプロトコルに従って除去した。100IU/ml IL-2、10ng/ml IL-7、及び25ng/ml IL-15の存在下にて、G-REX(登録商標)6ウェルプレート(WilsonWolf,P/N 80240M)に、培地30ml中で約10×106細胞にてTCR-T細胞をシーディングした。形質導入後7日目に、TCR-Tを収集し、凍結し、液体窒素気相中で保管した。デキストラマー結合によって、TCR形質導入効率をバリデートした。特許出願(PCT公開出願番号:国際公開第2021/211104号パンフレット)に記載のプロセスによって、TCR-T-IL12細胞を産生した。
【0115】
フローサイトメトリー
以下の抗体:CD3-FITC(Biolengend:300440)、CD8-BV605(BD:564116)、CD4-PE(Biolegend:317410)をT細胞フェノタイピングに使用した。以下の抗体:CD14-PerCP/Cy5.5(Biolegend:301824)、CD11c-PE(Biolegend:337206)、CD1a-APC-cy7(Biolegend:300125)、CD86-APC(BD:555660)を樹状細胞フェノタイピングに使用した。以下の抗体:MHCクラスI(Biolegend:311414)、MHCクラスII(Biolengend:361706)、CD83-PE(BD556855)、CD86-APC(BD:555660)、CD20-FITC(BD:556632)をB細胞フェノタイピングに使用した。デキストラマー-APC又は-PEをImmudexから購入した(カスタム化デキストラマー)。50nM PKIダサチニブ(Axon Medchem:1392)を使用して、TCRインターナリゼーションを防いだ。TCR発現性T細胞を50nM PKIダサチニブと共に37℃で30分間インキュベートし、続いて氷上で30分間デキストラマー染色し、4℃で15分間、細胞表面マーカー染色を行った。死細胞除去染色(Sytox blue,ThermoFisher/Invitrogen,S34857)を用いた。Flowjoを使用して、ローサイトメトリーデータを解析した。
【0116】
T細胞仲介T2-luc/ペプチド細胞障害性アッセイ(T2/ペプチドTDCCアッセイ)
MAGE-B2 TCR-Tの機能性及び細胞死特異性を、T2-luc(ホタルルシフェラーゼを発現するT2細胞系)細胞死アッセイによって決定した。T2-Luc細胞を収集し、洗浄し、T2-Luc細胞死アッセイ培地(RPMI 1640-GlutaMAX(商標)、1×非必須アミノ酸溶液(Gibco,11140-050,ThermoFisher,Waltham,MA)、10mM HEPES(Gibco,15630-080)、50μM 2-β-メルカプトエタノール(Gibco,21985-023)、1mMピルビン酸ナトリウム(Gibco,11360-070)、100U/mlペニシリン-ストレプトマイシン(Gibco,15140-122)、5%熱不活性化FBS(Gibco,10082-147)中に2×106細胞/mlにて再懸濁し、次いで24ウェルプレートにおいて1ml/ウェルにてシーディングした。37℃にて2~4時間、指示されるペプチド濃度でT2-Luc細胞をパルスした。次いで、2-Luc細胞を洗浄し、1×105細胞/mlにて再懸濁し、384ウェルプレート(Corning,3570)において25μl/ウェルにてシーディングした。指示されるデキストラマー+TCR-TとT2-luc細胞の比で、TCR-T細胞25μlと共にT2-Luc細胞を48時間インキュベートした。Bio-Glo(商標)(Promega,Madison,WI,G7940)30μlを添加することによって、発光シグナルを測定し、続いてBiostack(商標)ネオシステム(BioTek,Winooski,VT)を使用して発光シグナルを測定した。親のTCR-Tに関して、細胞死アッセイ前に、TCR-T-IL12細胞のすべてが、モックT細胞の添加によって基準化されたわけではない。異なるTCR-Tが、モック(非形質導入)T細胞の添加によって同量のMAGE-B2デキストラマー+細胞(例えば10%)に基準化された。特異的な溶解(特異的細胞死%)が、モックT細胞+T2/標的ペプチド細胞死、又はTCR-T+T2/ペプチドなしの細胞死のいずれかによって、TCR-T+T2/標的ペプチド細胞死の正規化によって計算された。具体的な溶解公式を以下に示す。
特異的な溶解(%)の式
ペプチド滴定(MAGE-B2/A4ペプチド及び類似のペプチド):
{1-(TCRT+T2-luc/試験ペプチドRLU)/(TCRT+T2-luc/ペプチドなしRLU)}×100
E:T滴定(MAGE-B2/A4ペプチド):
{1-(TCRT+T2-luc/MAGE-B2ペプチドRLU)/(モックT+T2-luc/MAGE-B2ペプチドRLU)}×100
癌細胞系細胞死:
{1-(TCRT+癌細胞系RLU)/(モックT+癌細胞系RLU)}×100。
【0117】
T細胞仲介癌細胞の細胞障害性アッセイ(癌細胞TCDDアッセイ)
MAGE-B2ポジティブ及びネガティブ癌細胞系に対するTCR-T細胞の細胞障害性が、癌細胞死アッセイによって決定された。癌細胞を収集し、洗浄し、癌細胞死アッセイ培地(RPMI 1640-GlutaMAX(商標)、1×非必須アミノ酸溶液(Gibco,11140-050,ThermoFisher)、10mM HEPES(Gibco,15630-080,ThermoFisher)、50μM 2-β-メルカプトエタノール(Gibco,21985-023,ThermoFisher)、1mMピルビン酸ナトリウム(Gibco,11360-070,ThermoFisher)、100U/mlペニシリン-ストレプトマイシン(Gibco,15140-122,ThermoFisher)、10%熱不活性化FBS(Gibco,10082-147,ThermoFisher)中に1×105細胞/mlにて再懸濁した。次いで、384ウェルプレートにおいて25μl/ウェルにて癌細胞をシーディングし、指示されるデキストラマー+TCR-TとT2-Luc細胞の比で、TCR-T細胞25μlと共に48時間インキュベートした。インキュベーション後に、付着癌細胞に関して、懸濁液T細胞を除去し、プレートウォッシャーを使用して、Ca2+Mg2+を含むDPBS(Corning,21-031-CM)でウェルを洗浄した。Celltiter Glo(Promega,G7573)30μlを添加して、発光シグナルを測定した。懸濁液ルシフェラーゼ標識癌細胞に関して、Bio-Glo(商標)(Promega,G7940)30μlを添加して、発光シグナルを測定した。Biostack(商標)ネオシステムを発光の測定に使用した。ルシフェラーゼ標識なしの懸濁液癌細胞に関して、癌細胞をCelltrace far red(Invitrogen,C34572,Carlsbad,CA,USA)によって標識した。Celltrace(商標)far red(希釈率1:4000)を含有する血清不含RPMI培地に1×106細胞/mlにて癌細胞を再懸濁し、37℃で10分間インキュベートした。細胞死アッセイ培地30mlを添加し、室温にて10分間インキュベートすることによって、反応を停止させた。生きた癌細胞をフローサイトメトリーによって検出した。死細胞除去染色(Sytox(商標)blue,ThermoFisher/Invitrogen,S34857)を使用した。特異的な溶解(特異的細胞死%)が、癌細胞系に対するモックT細胞死、又はIL12-RFP T細胞死のいずれかによって、癌細胞系に対するTCR-T細胞死の正規化により計算された。具体的な溶解式を上記に示す。
【0118】
類似のペプチドスクリーン
T2-Luc/ペプチド指示(directed)細胞死アッセイを用いて、MAGE-B2 TCR-Tの機能特異性を決定した。標的及び類似のペプチドを含むペプチドがJPT(Berlin,Germany)又はAnaSpec(Fremont,CA)によって合成された。1.0E-05M~6.0E-16M(効力)又は1.0E-05M(単一ポイント)の最終ペプチド濃度範囲にて37℃/5%CO2で、T2-Luc細胞死培地中にて反応性の類似ペプチド、標的特異的なペプチド又はDMSOコントロールと共にT2-Luc細胞を2時間インキュベートした。凍結MAGE-B2 TCR-T及びモックT細胞を解凍し、洗浄し、アッセイセットアップ前の3時間、ヒトT細胞培地中で休ませた。MAGE-B2 TCR-T細胞をアッセイ培地中で3回洗浄し、2.5E06細胞/mLで再懸濁した。Bravoリキッドハンドリングシステム(Agilent,Santa Clara,CA)を用いて2,000細胞/25μLにて白色透明底384ウェルアッセイプレート(Costar)に、ペプチド負荷T2-Luc細胞を添加した。標的:エフェクター比10:1;20,000細胞/25μL(最終Dex+T細胞:T2-Luc 1:1)が得られるように、MAGE-B2デキストラマーポジティブ細胞をモックT細胞で希釈することによって、MAGE-B2 TCR-T細胞を調製した。T2-Lucパルス細胞及びTCR-T細胞を37℃/5%CO2で48時間インキュベートした。製造元の推奨に従って、Bio-Glo(商標)ルシフェラーゼアッセイシステム(Promega,G7940)を用いて、T2-Luc細胞生存率を決定した。発光は、ENVISION(商標)マルチラベルプレートリーダー(Perkin Elmer,Santa Clara,CA)を使用して検出された。生存率パーセントは、以下の式:%生存率=(試料の未処理RLU値/平均DMSOコントロールRLU)×100を用いて計算された。GraphPad Prism(非線形回帰曲線フィット解析)を使用して、EC50が決定された。
【0119】
正常なヒト初代細胞培養
ヒト初代正常細胞及びiPSC由来細胞の供給元を表4にまとめる。それらの細胞の培養条件を表5にまとめる。初代細胞を解凍し、共培養の開始直前に、RPMI 1640培地に変換された、以下の心筋細胞、星状膠細胞、GABA神経細胞、及びRPTECを除いて、供給元の説明書に従って培養した。先の最適化研究から、これらの細胞タイプに対して、RPMI 1640の忍容性及び細胞生存率の向上が実証された。アッセイ前に、すべての細胞がカウントされ、生存率に関して評価された。
【0120】
【0121】
【0122】
【0123】
ヒト初代正常細胞を用いた細胞障害性アッセイ
位相差/蛍光動態イメージングアッセイを用いて、標的細胞の細胞障害性を評価した。蛍光カスパーゼ3/7切断を、INCUCYTE(登録商標)ライブイメージングデバイス(Sartorium,Gottingen,Germany)で時間の経過に従って測定し、細胞集合を取り込んだ位相差画像上に重ね合わせた。細胞障害性アッセイを実行する前に、96ウェルプレートにおいて著しい細胞オーバーラップなく適切なンフルエンスを達成するために、異なるプレーティング密度及び様々な培養培地に対する忍容性が評価された。各TCR-T構築物のデキストラマー陽性を考慮に入れることによって、デキストラマー正規化エフェクター:標的(E:T)比1:1にて、50μlのMAGE-B2 TCR-T-IL12細胞、IL-12 RFP T細胞、又はモックT細胞を含有する黒色の96ウェルViewPlateに、標的細胞(100μl)を表3に記載の密度で添加した。CellEvent(商標)カスパーゼ3/7試薬(50μl)を製造元の説明書(ThermoFisher,C10423)に従って添加した。INCUCYTE(登録商標)S3を備えた37℃、5%CO2インキュベータにアッセイプレートを入れた。0時点で開始して、10倍対物レンズでの位相差及び蛍光イメージ(視野数5)を44又は48時間に4時間ごとに収集し、INCUCYTE(登録商標)2019Bソフトウェアを用いてカスパーゼ3/7の全積分強度について解析した。44又は48時間の時点で、インキュベータからプレートを取り出し、サイトカイン分析のために、ウェルから、細胞培地50μLを取り出した。
【0124】
ヒト初代正常細胞を用いたサイトカインアッセイ
44又は48時間で、細胞培養上清(50μL)を、細胞障害性アッセイから96ウェルプレートに採取した。プレートを密閉し、後日のサイトカイン解析のために-80℃で保存した。製造元の説明書に従って、上清を解凍した。室温で浸透しながら1時間、MSDキットからのブロッキングバッファー(PBS中1%w/v)で、IFNγ及びIL-12p70プレートをブロッキングした。PBS/0.05%Tween-20でプレートを3回洗浄した後、プレートのレイアウトに応じて、標準物質及び試料(未希釈の25μL)を添加した。検出抗体(25μL)を添加し、振盪しながら室温にてプレートを2時間インキュベートし、続いてPBS/0.05%Tween-20で3回洗浄した。リード(Read)バッファー(2×、150μL)を各ウェルに添加し、MSD MESOSECTOR(登録商標)S600装置(Meso Scale Diagnostics,Rockville,MD)でプレートを解析した。標準曲線を標準物質から作成し、それを使用して、MSD DISCOVERY WORKBENCH(登録商標)ソフトウェア4.0を用いて試料中のサイトカインを定量した。
【0125】
アロ反応性スクリーン
39HLA-A、40HLA-B及び23HLA-C対立遺伝子を表す、34のBLCL系(Bリンパ芽球腫細胞系)それぞれと共に4つのTCR-T-IL12細胞それぞれを共培養することによって、アロ反応性潜在性が評価された。表6に示すように、フレッドハッチンソンがん研究所(Fred Hutchinson Cancer Research Institute)(Seattle,WA)及びCellero(Bothell,WA)からBLCLを購入した。L-グルタミンを含有するRPMI-1640、15%(v/v)HI-FBS、及び1mMピルビン酸ナトリウム含有する、15%FBS完全RPMI中でBLCLを培養した。
【0126】
37℃で2時間インキュベートすることによって、MAGE-B2+MAGE-A4+HLA-A*02:01+ポジティブコントロール細胞系としてのU266B1細胞(ATCC;培地中に105細胞/ml)を50μM MAGE-B2ペプチドでパルスした。培地の添加によって、ドナーD160780からのTCR-T細胞を解凍し、4℃で400×gにて5分間遠心し、培地10mlに再懸濁し、カウントした。1.923×105TCR-T細胞を、体積200μlで1×104BLCL又はペプチド-パルスU266B1細胞のいずれかと共培養した。4つのTCR-T細胞に対するデキストラマー正規化エフェクター:標的比は、それぞれのデキストラマー陽性に応じて、3:1~約8:1の範囲であった。96ウェル平底組織培養プレートにおいて37℃、5%CO2にて、すべての共培養を48時間行った。インキュベーション後、96ウェルプレートを4℃で887×gにて1分間遠心し、サイトカイン解析のために、上清を96ウェルV底プレートに収集した。製造元の説明書に従って、IFNγ、グランザイムB、TNFα及びIL-12p70の検体を含む、カスタムMILLIPLEX(登録商標)ヒトサイトカイン/ケモカインキット(Millipore,ST Louis,MO,SRP1885)を用いたLUMINEX(登録商標)アッセイによって、サイトカイン及びグランザイムBを評価した。各アッセイプレートで反復して、検体標準物質の段階稀釈を行った。LUMINEX(登録商標)プレートをFLEXMAP 3D(登録商標)装置(XMAP(登録商標)technologies,Luminex)で読み取った。XPONENT(登録商標)ソフトウェア(Luminex)によって、データをエクスポートし、EMDMilliporeのMILLIPLEX(登録商標)Analystソフトウェア(Burlington,MA)によって直接解析し、5パラメーターのロジスティック非線形回帰フィッティング曲線を用いて標準曲線を作成した。各アッセイプレートから得た適切な再現標準曲線値の平均として、検出限界(最小及び最大)をMILLIPLEX(登録商標)Analystソフトウェア(Millipore)によって算出し、検体が標準からその範囲内で補間され得る範囲を示す。試料検体レベルの測定が確実にアッセイ標準曲線限界内となるように、試料を適切な希釈度にて流した。サイトカイン及びグランザイムBのレベルをpg/mLで、又はIL12 T細胞(コントロール)と比較した倍率差(fold-difference)として報告し、GraphPad Prismソフトウェア(GraphPad,San Diego,CA)でグラフにした。
【0127】
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2023-09-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
T細胞受容体(TCR)α鎖及びTCRβ鎖をコードする核酸配列を含む発現ベクターであって、前記TCRα鎖及びTCRβ鎖が、
a.配列番号13に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号24に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
b.配列番号14に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号25に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
c.配列番号15に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号26に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
d.配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号27に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
e.配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号28に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
f.配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号29に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
g.配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号30に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
h.配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号31に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
i.配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号32に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
j.配列番号22に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号33に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;並びに
k.配列番号23に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号34に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
からなる群から選択される、発現ベクター。
【請求項2】
インターロイキン-12(IL-12)をコードする核酸、又はその機能性変異体をさらに含む、請求項1に記載の発現ベクター。
【請求項3】
ウイルスベクターである、請求項1又は2に記載の発現ベクター。
【請求項4】
レトロウイルスベクターである、請求項3に記載の発現ベクター。
【請求項5】
レンチウイルスベクターである、請求項4に記載の発現ベクター。
【請求項6】
前記TCRα鎖が配列番号13に記載のアミノ酸配列を含み、且つ前記TCRβ鎖が配列番号24に記載のアミノ酸配列を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の発現ベクター。
【請求項7】
前記TCRα鎖が配列番号35に記載のアミノ酸配列を含み、且つ前記TCRβ鎖が配列番号46に記載のアミノ酸配列を含む、請求項6に記載の発現ベクター。
【請求項8】
前記TCRα鎖が配列番号57に記載のアミノ酸配列を含み、且つ前記TCRβ鎖が配列番号68に記載のアミノ酸配列を含む、請求項7に記載の発現ベクター。
【請求項9】
前記TCRα鎖が配列番号14に記載のアミノ酸配列を含み、且つ前記TCRβ鎖が配列番号25に記載のアミノ酸配列を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の発現ベクター。
【請求項10】
前記TCRα鎖が配列番号36に記載のアミノ酸配列を含み、且つ前記TCRβ鎖が配列番号47に記載のアミノ酸配列を含む、請求項9に記載の発現ベクター。
【請求項11】
前記TCRα鎖が配列番号58に記載のアミノ酸配列を含み、且つ前記TCRβ鎖が配列番号69に記載のアミノ酸配列を含む、請求項10に記載の発現ベクター。
【請求項12】
前記TCRα鎖が配列番号15に記載のアミノ酸配列を含み、且つ前記TCRβ鎖が配列番号26に記載のアミノ酸配列を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の発現ベクター。
【請求項13】
前記TCRα鎖が配列番号37に記載のアミノ酸配列を含み、且つ前記TCRβ鎖が配列番号48に記載のアミノ酸配列を含む、請求項12に記載の発現ベクター。
【請求項14】
前記TCRα鎖が配列番号59に記載のアミノ酸配列を含み、且つ前記TCRβ鎖が配列番号70に記載のアミノ酸配列を含む、請求項13に記載の発現ベクター。
【請求項15】
前記TCRα鎖が配列番号16に記載のアミノ酸配列を含み、且つ前記TCRβ鎖が配列番号27に記載のアミノ酸配列を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の発現ベクター。
【請求項16】
前記TCRα鎖が配列番号38に記載のアミノ酸配列を含み、且つ前記TCRβ鎖が配列番号49に記載のアミノ酸配列を含む、請求項15に記載の発現ベクター。
【請求項17】
前記TCRα鎖が配列番号60に記載のアミノ酸配列を含み、且つ前記TCRβ鎖が配列番号71に記載のアミノ酸配列を含む、請求項16に記載の発現ベクター。
【請求項18】
前記TCRα鎖が配列番号17に記載のアミノ酸配列を含み、且つ前記TCRβ鎖が配列番号28に記載のアミノ酸配列を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の発現ベクター。
【請求項19】
前記TCRα鎖が配列番号39に記載のアミノ酸配列を含み、且つ前記TCRβ鎖が配列番号50に記載のアミノ酸配列を含む、請求項18に記載の発現ベクター。
【請求項20】
前記TCRα鎖が配列番号61に記載のアミノ酸配列を含み、且つ前記TCRβ鎖が配列番号72に記載のアミノ酸配列を含む、請求項19に記載の発現ベクター。
【請求項21】
前記TCRα鎖が配列番号18に記載のアミノ酸配列を含み、且つ前記TCRβ鎖が配列番号29に記載のアミノ酸配列を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の発現ベクター。
【請求項22】
前記TCRα鎖が配列番号40に記載のアミノ酸配列を含み、且つ前記TCRβ鎖が配列番号51に記載のアミノ酸配列を含む、請求項21に記載の発現ベクター。
【請求項23】
前記TCRα鎖が配列番号62に記載のアミノ酸配列を含み、且つ前記TCRβ鎖が配列番号73に記載のアミノ酸配列を含む、請求項21に記載の発現ベクター。
【請求項24】
前記TCRα鎖が配列番号19に記載のアミノ酸配列を含み、且つ前記TCRβ鎖が配列番号30に記載のアミノ酸配列を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の発現ベクター。
【請求項25】
前記TCRα鎖が配列番号41に記載のアミノ酸配列を含み、且つ前記TCRβ鎖が配列番号52に記載のアミノ酸配列を含む、請求項24に記載の発現ベクター。
【請求項26】
前記TCRα鎖が配列番号63に記載のアミノ酸配列を含み、且つ前記TCRβ鎖が配列番号74に記載のアミノ酸配列を含む、請求項25に記載の発現ベクター。
【請求項27】
前記TCRα鎖が配列番号20に記載のアミノ酸配列を含み、且つ前記TCRβ鎖が配列番号31に記載のアミノ酸配列を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の発現ベクター。
【請求項28】
前記TCRα鎖が配列番号42に記載のアミノ酸配列を含み、且つ前記TCRβ鎖が配列番号53に記載のアミノ酸配列を含む、請求項27に記載の発現ベクター。
【請求項29】
前記TCRα鎖が配列番号64に記載のアミノ酸配列を含み、且つ前記TCRβ鎖が配列番号75に記載のアミノ酸配列を含む、請求項28に記載の発現ベクター。
【請求項30】
前記TCRα鎖が配列番号21に記載のアミノ酸配列を含み、且つ前記TCRβ鎖が配列番号32に記載のアミノ酸配列を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の発現ベクター。
【請求項31】
前記TCRα鎖が配列番号43に記載のアミノ酸配列を含み、且つ前記TCRβ鎖が配列番号54に記載のアミノ酸配列を含む、請求項30に記載の発現ベクター。
【請求項32】
前記TCRα鎖が配列番号65に記載のアミノ酸配列を含み、且つ前記TCRβ鎖が配列番号76に記載のアミノ酸配列を含む、請求項31に記載の発現ベクター。
【請求項33】
前記TCRα鎖が配列番号22に記載のアミノ酸配列を含み、且つ前記TCRβ鎖が配列番号33に記載のアミノ酸配列を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の発現ベクター。
【請求項34】
前記TCRα鎖が配列番号44に記載のアミノ酸配列を含み、且つ前記TCRβ鎖が配列番号55に記載のアミノ酸配列を含む、請求項33に記載の発現ベクター。
【請求項35】
前記TCRα鎖が配列番号66に記載のアミノ酸配列を含み、且つ前記TCRβ鎖が配列番号77に記載のアミノ酸配列を含む、請求項34に記載の発現ベクター。
【請求項36】
前記TCRα鎖が配列番号23に記載のアミノ酸配列を含み、且つ前記TCRβ鎖が配列番号34に記載のアミノ酸配列を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の発現ベクター。
【請求項37】
前記TCRα鎖が配列番号45に記載のアミノ酸配列を含み、且つ前記TCRβ鎖が配列番号56に記載のアミノ酸配列を含む、請求項36に記載の発現ベクター。
【請求項38】
前記TCRα鎖が配列番号67に記載のアミノ酸配列を含み、且つ前記TCRβ鎖が配列番号78に記載のアミノ酸配列を含む、請求項37に記載の発現ベクター。
【請求項39】
組換えT細胞受容体(TCR)を発現する細胞であって、前記TCRが:
a.配列番号13に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号24に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
b.配列番号14に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号25に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
c.配列番号15に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号26に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
d.配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号27に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
e.配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号28に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
f.配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号29に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
g.配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号30に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
h.配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号31に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
i.配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号32に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
j.配列番号22に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号33に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;又は
k.配列番号23に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号34に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
を含む、細胞。
【請求項40】
前記TCRが:
a.配列番号35に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号46に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
b.配列番号36に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号47に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
c.配列番号37に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号48に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
d.配列番号38に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号49に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
e.配列番号39に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号50に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
f.配列番号40に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号51に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
g.配列番号41に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号52に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
h.配列番号42に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号53に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
i.配列番号43に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号54に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
j.配列番号44に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号55に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;又は
k.配列番号45に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号56に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
を含む、請求項39に記載の細胞。
【請求項41】
組換えIL-12又はその機能性変異体をさらに発現する、請求項39又は40に記載の細胞。
【請求項42】
請求項1から38のいずれかに記載の発現ベクターを含む、細胞。
【請求項43】
T細胞である、請求項39~42のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項44】
前記TCRが、HLA-A
*02:01の状況において、配列番号1又は配列番号2のペプチドに結合し、前記結合によって、前記細胞によるIFNγ、TNFα、IL-12、又はグランザイムB産生の活性化が生じる、請求項43に記載の細胞。
【請求項45】
請求項39~44のいずれか一項に記載の細胞を治療有効量で含む、医薬組成物。
【請求項46】
TCRα鎖及びTCRβ鎖をコードする核酸配列を含む発現ベクターを、細胞に導入することを含む、請求項39~44のいずれか一項に記載の細胞又は請求項45に記載の医薬組成物を製造する方法であって、
前記TCRα鎖及びTCRβ鎖が:
a.配列番号13に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号24に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
b.配列番号14に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号25に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
c.配列番号15に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号26に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
d.配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号27に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
e.配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号28に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
f.配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号29に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
g.配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号30に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
h.配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号31に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
i.配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号32に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
j.配列番号22に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号33に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;又は
k.配列番号23に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号34に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
からなる群から選択される、方法。
【請求項47】
前記TCRα鎖及びTCRβ鎖が:
a.配列番号35に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号46に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
b.配列番号36に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号47に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
c.配列番号37に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号48に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
d.配列番号38に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号49に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
e.配列番号39に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号50に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
f.配列番号40に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号51に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
g.配列番号41に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号52に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
h.配列番号42に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号53に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
i.配列番号43に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号54に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
j.配列番号44に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号55に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;並びに
k.配列番号45に記載のアミノ酸配列を含むTCRα鎖、及び配列番号56に記載のアミノ酸配列を含むTCRβ鎖;
からなる群から選択される、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記発現ベクターが、IL-12をコードする核酸配列又はその機能性変異体をさらに含む、請求項46又は47に記載の方法。
【請求項49】
前記細胞がT細胞である、請求項46~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記細胞が初代T細胞である、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記初代T細胞が、癌患者から単離される、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
MAGE-B2又はMAGE-A4発現性の癌を治療する方法
に使用するための医薬組成物であって、
請求項39~44のいずれか一項に記載の細胞、又は請求項46~51のいずれか一項に記載の方法によって製造された細胞を含み、前記方法は、請求項39~44のいずれか一項に記載の細胞
、又は請求項46~51のいずれか一項に記載の方法によって製造された細胞を、治療有効量で癌患者に投与することを含む、
医薬組成物。
【請求項53】
前記患者が、MAGE-B2又はMAGE-A4を発現する癌の存在を決定するために投与前に試験される、請求項52に記載の
医薬組成物。
【請求項54】
MAGE-B2又はMAGE-A4をコードする核酸が検出される、請求項53に記載の
医薬組成物。
【請求項55】
MAGE-B2若しくはMAGE-A4タンパク質、又はMAGE-B2由来若しくはMAGE-A4由来ペプチドが検出される、請求項53に記載の
医薬組成物。
【請求項56】
前記患者が、前記HLA-A
*02:01対立遺伝子を保有することが同定される、請求項52~55のいずれか一項に記載の
医薬組成物。
【国際調査報告】