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特表2024-502238無線電力伝送システムにおける熱管理のためのシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-18
(54)【発明の名称】無線電力伝送システムにおける熱管理のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/204 20210101AFI20240111BHJP
   H01M 50/247 20210101ALI20240111BHJP
   H01M 50/284 20210101ALI20240111BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20240111BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20240111BHJP
   H01M 10/623 20140101ALI20240111BHJP
   H01M 10/6554 20140101ALI20240111BHJP
   H01M 10/6553 20140101ALI20240111BHJP
   H02J 50/10 20160101ALI20240111BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240111BHJP
【FI】
H01M50/204 401H
H01M50/247
H01M50/284
H01M10/44 P
H01M10/613
H01M10/623
H01M10/6554
H01M10/6553
H02J50/10
H02J7/00 301A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023537311
(86)(22)【出願日】2021-12-20
(85)【翻訳文提出日】2023-07-03
(86)【国際出願番号】 US2021064317
(87)【国際公開番号】W WO2022140242
(87)【国際公開日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】63/128,513
(32)【優先日】2020-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517073591
【氏名又は名称】ティーシー1 エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルケラ、ジオナータ
(72)【発明者】
【氏名】ボール、エイドリアン
(72)【発明者】
【氏名】ラボルド、サイモン
【テーマコード(参考)】
5G503
5H030
5H031
5H040
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB02
5G503CA01
5G503CB13
5G503EA08
5G503FA01
5G503GB08
5G503GD03
5G503GD04
5H030AA10
5H030AS06
5H030AS11
5H030BB01
5H031EE01
5H031EE02
5H031KK01
5H040AA28
5H040AS18
5H040DD10
5H040LL01
5H040NN03
(57)【要約】
本開示によれば、植込み型電池パックが提供される。本開示の植込み型電池パックは、ハウジングと、ハウジング内に配置された複数の電池セルと、ハウジング内に配置された電子機器レイアウトとを備え、電子機器レイアウトは、複数の電池セルに電気的に接続されている。電子機器レイアウトは、電子機器を搭載した少なくとも1つのプリント回路基板と、少なくとも1つのプリント回路基板に接続され、該プリント回路基板から延びる少なくとも1つの熱伝導ウイングと、を含み、少なくとも1つの熱伝導ウイングは、電子機器で発生した熱を植込み型電池パック全体に拡散させるように構成されている。
【選択図】図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植込み型電池パックであって、
ハウジングと、
前記ハウジング内に配置された複数の電池セルと、
前記ハウジング内に配置され、前記複数の電池セルに電気的に接続された電子機器レイアウトと、を備え、
前記電子機器レイアウトは、
電子機器を搭載した少なくとも1つのプリント回路基板と、
前記少なくとも1つのプリント回路基板に接続され、該プリント回路基板から延びる少なくとも1つの熱伝導ウイングと、を含み、
前記少なくとも1つの熱伝導ウイングは、前記電子機器で発生した熱を当該植込み型電池パック全体に拡散させるように構成されている、
植込み型電池パック。
【請求項2】
請求項1に記載の植込み型電池パックであって、
前記複数の電池セルは、複数のリチウムイオン電池セルを含む、電池パック。
【請求項3】
請求項1に記載の植込み型電池パックであって、
前記少なくとも1つのプリント回路基板は、電力変換装置及び電池充電装置を搭載した第1のプリント回路基板を含み、
前記第1のプリント回路基板は、当該植込み型電池パックの略中央に配置される、植込み型電池パック。
【請求項4】
請求項3に記載の植込み型電池パックであって、
前記少なくとも1つの熱伝導ウイングは、
前記第1のプリント回路基板の第1の縁部から延びる第1の熱伝導ウイングと、
前記第1のプリント回路基板の前記第1の縁部の反対側の第2の縁部から延びる第2の熱伝導ウイングと、を含む、植込み型電池パック。
【請求項5】
請求項1に記載の植込み型電池パックであって、
前記ハウジング内に配置された少なくとも1つのグラファイトシートをさらに備え、
前記1つのグラファイトシートは、前記電子機器で発生した熱をさらに拡散させるように構成されている、植込み型電池パック。
【請求項6】
請求項1に記載の植込み型電池パックであって、
前記少なくとも1つの熱伝導ウイングは、銅製である、植込み型電池パック。
【請求項7】
請求項1に記載の植込み型電池パックであって、
前記少なくとも1つの熱伝導ウイングは、前記少なくとも1つのプリント回路基板を前記複数の電池セルに電気的に接続するための少なくとも1つのはんだ接続部を含む、植込み型電池パック。
【請求項8】
ハウジングと複数の電池セルとを備えた植込み型電池パックで使用するための電子機器レイアウトであって、
電子機器を搭載した少なくとも1つのプリント回路基板と、
前記少なくとも1つのプリント回路基板に接続され、該プリント回路基板から延びる少なくとも1つの熱伝導ウイングと、を含み、
前記少なくとも1つの熱伝導ウイングは、前記電子機器で発生した熱を前記植込み型電池パック全体に拡散させるように構成されている、電子機器レイアウト。
【請求項9】
請求項8に記載の電子機器レイアウトであって、
前記少なくとも1つのプリント回路基板は、電力変換装置及び電池充電装置を搭載した第1のプリント回路基板を含み、
前記第1のプリント回路基板は、前記植込み型電池パックの略中央に配置される、電子機器レイアウト。
【請求項10】
請求項9に記載の電子機器レイアウトであって、
前記少なくとも1つの熱伝導ウイングは、
前記第1のプリント回路基板の第1の縁部から延びる第1の熱伝導ウイングと、
前記第1のプリント回路基板の前記第1の縁部の反対側の第2の縁部から延びる第2の熱伝導ウイングと、を含む、電子機器レイアウト。
【請求項11】
請求項8に記載の電子機器レイアウトであって、
前記少なくとも1つの熱伝導ウイングは、銅製である、電子機器レイアウト。
【請求項12】
請求項8に記載の電子機器レイアウトであって、
前記少なくとも1つの熱伝導ウイングは、前記少なくとも1つのプリント回路基板を前記複数の電池セルに電気的に接続するための少なくとも1つのはんだ接続部を含む、電子機器レイアウト。
【請求項13】
請求項8に記載の電子機器レイアウトであって、
前記少なくとも1つのプリント回路基板は、
第1のプリント回路基板と、
第1のフレキシブルな熱伝導コネクタによって前記第1のプリント回路基板に接続された第2のプリント回路基板と、
第2のフレキシブルな熱伝導コネクタによって前記第2のプリント回路基板に接続された第3のプリント回路基板と、
第3のフレキシブルな熱伝導コネクタによって前記第3のプリント回路基板に接続された第4のプリント回路基板と、を含み、
当該電子機器レイアウトは、前記第2のプリント回路基板が、前記第1のプリント回路基板と前記第4のプリント回路基板との間に積層される折り畳み状態で配置することができる、電子機器レイアウト。
【請求項14】
植込み型電池パックを組み立てる方法であって、
ハウジング内に複数の電池を配置するステップと、
前記ハウジング内に電子機器レイアウトを配置するとともに、前記電子機器レイアウトを前記複数の電池に電気的に接続するステップと、を含み、
前記電子機器レイアウトは、
電子機器を搭載した少なくとも1つのプリント回路基板と、
前記少なくとも1つのプリント回路基板に接続され、該プリント回路基板から延びる少なくとも1つの熱伝導ウイングと、を含み、
前記少なくとも1つの熱伝導ウイングは、前記電子機器で発生した熱を前記植込み型電池パック全体に拡散させるように構成されている、
方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法であって、
前記複数の電池セルは、複数のリチウムイオン電池セルを含む、方法。
【請求項16】
請求項14に記載の方法であって、
前記少なくとも1つのプリント回路基板は、電力変換装置及び電池充電装置を搭載した第1のプリント回路基板を含み、
前記第1のプリント回路基板は、前記植込み型電池パックの略中央に配置される、方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法であって、
前記少なくとも1つの熱伝導ウイングは、
前記第1のプリント回路基板の第1の縁部から延びる第1の熱伝導ウイングと、
前記第1のプリント回路基板の前記第1の縁部の反対側の第2の縁部から延びる第2の熱伝導ウイングと、を含む、方法。
【請求項18】
請求項14に記載の方法であって、
前記ハウジング内に少なくとも1つのグラファイトシートを配置するステップをされた含み、
前記1つのグラファイトシートは、前記電子機器で発生した熱をさらに拡散させるように構成されている、方法。
【請求項19】
請求項14に記載の方法であって、
前記少なくとも1つの熱伝導ウイングは、銅製である、方法。
【請求項20】
請求項14に記載の方法であって、
前記少なくとも1つの熱伝導ウイングは、前記少なくとも1つのプリント回路基板を前記複数の電池セルに電気的に接続するための少なくとも1つのはんだ接続部を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2020年12月21日出願の米国特許仮出願第63/128、513号に基づく優先権を主張するものである。上記出願の開示内容の全体は、参照により本明細書中に援用される。
【0002】
(技術分野)
本開示は、一般に、無線電力伝送システムに関し、より詳細には、無線電力伝送システムにおける熱管理に関する。
【背景技術】
【0003】
VAD(Ventricular assist device)として知られている心室補助装置(補助人工心臓)は、植込み型の血液ポンプであり、一般に心不全またはうっ血性心不全と呼ばれる心臓が十分な循環を提供することができない症状を患っている患者において、短期(すなわち、数日または数か月)及び長期(すなわち、数年または生涯)の両方で使用される。心不全を患っている患者は、心臓移植を待つ間に、または、長期のDT治療(destination therapy)として、VADを使用することができる。別の例では、患者は、心臓手術後の回復期に、VADを使用することができる。このように、VADは、弱った心臓を補助したり(すなわち、部分的に補助したり)、自然の心臓の機能を効果的に代替したりすることができる。
【0004】
VADへの電力供給には、無線電力伝送システムを使用することができる。無線電力伝送システムは、一般に、外部送信共振器と、患者の体内に植え込まれるように構成された植込み型受信共振器とを備える。このような無線電力伝送システムは、経皮エネルギ伝送システム(TETS)とも呼ばれている。
【0005】
このような無線電力伝送システムでは、VADへの電力供給及び制御を容易にするために、植込み型電池パックが使用される。植込み型電池パックは、例えば、比較的高い電流で比較的早く充電することができるリチウムイオン電池セルを含む。しかしながら、リチウムイオン電池セル、並びに、それの充電及び放電に必要な電子機器は、かなりの量の熱を発生する。したがって、リチウムイオン電池セルを含む植込み型電池パックにおいては、植込み型電池パックで発生した熱を効果的に管理することが重要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、植込み型電池パックに関する。本開示の植込み型電池パックは、ハウジングと、ハウジング内に配置された複数の電池セルと、ハウジング内に配置され、複数の電池セルに電気的に接続された電子機器レイアウトと、を備え、電子機器レイアウトは、電子機器を搭載した少なくとも1つのプリント回路基板と、少なくとも1つのプリント回路基板に接続され、該プリント回路基板から延びる少なくとも1つの熱伝導ウイングと、を含み、少なくとも1つの熱伝導ウイングは、電子機器で発生した熱を植込み型電池パック全体に拡散させるように構成されている。
【0007】
また、本開示は、ハウジングと複数の電池セルとを備えた植込み型電池パックで使用するための電子機器レイアウトに関する。本開示の電子機器レイアウトは、電子機器を搭載した少なくとも1つのプリント回路基板と、少なくとも1つのプリント回路基板に接続され、該プリント回路基板から延びる少なくとも1つの熱伝導ウイングと、を含み、少なくとも1つの熱伝導ウイングは、電子機器で発生した熱を植込み型電池パック全体に拡散させるように構成されている。
【0008】
また、本開示は、植込み型電池パックを組み立てる方法に関する。本開示の方法は、ハウジング内に複数の電池を配置するステップと、ハウジング内に電子機器レイアウトを配置するとともに、電子機器レイアウトを複数の電池に電気的に接続するステップと、を含み、電子機器レイアウトは、電子機器を搭載した少なくとも1つのプリント回路基板と、少なくとも1つのプリント回路基板に接続され、該プリント回路基板から延びる少なくとも1つの熱伝導ウイングと、を含み、少なくとも1つの熱伝導ウイングは、電子機器で発生した熱を植込み型電池パック全体に拡散させるように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本開示の無線電力伝送システムの一実施形態の簡略化された電気回路図である。
図2図2は、図1の無線電力伝送システムを心室補助装置(VAD)への電力の供給に使用した様子を示す図である。
図3A図3Aは、図2に示した植込み型装置と共に使用される電子機器レイアウトの一実施形態の上面図である。
図3B図3Bは、図3Aに示した電子機器レイアウトの底面図である。
図4図4は、図3A及び図3Bに示した電子機器レイアウトの折り畳んだ状態を示す斜視図である。
図5図5は、図3A図3B図4Bに示した電子機器レイアウトを含む植込み型電池パックを通る熱流を示す概略図である。
図6図6は、図5に示した植込み型電池パックの熱シミュレーションを示す図である。
図7図7は、別の電子機器レイアウト700の平面図である。
図8図8は、図7に示した電子機器レイアウトを含む植込み型電池パックの分解図である。
図9図9は、図8に示した植込み型電池パックを通る熱流を示す概略図である。
図10図10は、植込み型電池パックの熱シミュレーションを示す図である。
図11図11は、植込み型電池パックの熱シミュレーションを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示は、無線電力伝送システムにおける熱を管理するためのシステム及び方法に関する。本開示の植込み型電池パックは、ハウジングと、ハウジング内に配置された複数の電池セルと、ハウジング内に配置された電子機器レイアウトとを備え、電子機器レイアウトは、複数の電池セルに電気的に接続されている。電子機器レイアウトは、電子機器を搭載した少なくとも1つのプリント回路基板と、少なくとも1つのプリント回路基板に接続され、該プリント回路基板から延びる少なくとも1つの熱伝導ウイングと、を含み、少なくとも1つの熱伝導ウイングは、電子機器で発生した熱を植込み型電池パック全体に拡散させるように構成されている。
【0011】
次に図面を参照すると、図1は、例示的な無線電力伝送システム100の簡略化された電気回路を示す。本システム100は、外部送信共振器102と、植込み型受信共振器104とを備える。図1に示すシステムでは、電源Vsが送信共振器102に電気的に接続されており、電源Vsは送信共振器102に電力を供給する。受信共振器104は、負荷106(例えば、植込み型医療機器)に接続されている。受信共振器104及び負荷106は、スイッチングまたは整流デバイス(図示せず)に電気的に接続されてもよい。
【0012】
例示的な本実施形態では、送信共振器102は、コンデンサCxによって電源Vsに接続されたコイルLxを含む。さらに、受信共振器104は、コンデンサCyによって負荷106に接続されたコイルLyを含む。コイルLx(インダクタLx)とコイルLy(インダクタLy)とは、結合係数kで接続される。Mxyは、2つのコイル間の相互インダクタンスである。相互インダクタンスMxyは、結合係数kと下記の式(1)に示すような関係にある。
【0013】
【数1】
【0014】
動作中、送信共振器102は、電源Vsから供給された電力を無線送信する。受信共振器104は、送信共振器102から無線送信された電力を受信し、受信した電力を負荷106に供給する。
【0015】
図2は、外部コイル202(例えば、図1に示す送信共振器102)を使用して、患者200の体内に植え込まれた植込み型コイル204(例えば、図1に示す受信共振器104)に電力を無線送信する一実施形態を示す。植込み型コイル204は、受信した電力を使用して植込み型装置206に電力を供給する。例えば、植込み型装置206としては、ペースメーカまたは心臓ポンプ(例えば、左心室補助装置(LVAD))が挙げられる。いくつかの実施形態では、植込み型コイル204及び/または植込み型装置206は、電池を備えてもよいし、または電池207に接続されてもよい。例えば、図2に示すように、電池207は、植込み型コイル204と植込み型装置206との間に接続されている。
【0016】
一実施形態では、外部コイル202は、コンピュータ装置210との間で信号を送受信できるように、例えば有線接続または無線接続を介してコンピュータ装置210に通信可能に接続されている。いくつかの実施形態では、コンピュータ装置210は、外部コイル202の電源としての役割も果たす。他の実施形態では、外部コイル202は、別の電源(図示せず)に接続される。コンピュータ装置210は、メモリ装置214と、メモリ装置214に通信可能に接続されたプロセッサ212とを備える。いくつかの実施形態では、コンピュータ実行可能命令がメモリ装置214に格納されている。
【0017】
コンピュータ装置210は、ユーザインターフェース(UI)216をさらに備える。ユーザインターフェース(UI)216は、ユーザ(例えば、患者200)に情報を提示する。ユーザインターフェース(UI)216としては、例えば、陰極線管(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)、有機LED(OLED)ディスプレイ、及び/または、「電子インク」ディスプレイなどのディスプレイ装置に接続されるディスプレイアダプタ(図示せず)が挙げられる。いくつかの実施形態では、ユーザインターフェース(UI)216は、1以上の表示装置を含む。さらに、いくつかの実施形態では、プレゼンテーションインターフェースは、視覚的コンテンツを生成せずに、可聴及び/またはコンピュータで生成された音声コンテンツを生成する。例示的な実施形態では、ユーザインターフェース(UI)216は、外部コイル202と植込み型コイル204との間の接続が最適になるように、患者200が外部コイル202を配置するのを支援するよう作られた1以上の表現または画像を表示する。いくつかの実施形態では、コンピュータ装置210は、ウェアラブルデバイスであってもよい。例えば、一実施形態では、コンピュータ装置210は腕時計であり、ユーザインターフェース(UI)216は腕時計に表示される。
【0018】
植込み型装置206は、外部コイル202と植込み型コイル204との間の電力伝送によって再充電される電池セルを含む植込み型電池パックを使用して電力供給を受けることができる。植込み型電池パックは植込み型装置であるため、植込み型電池パックで発生した熱エネルギを管理することが重要である。例えば、適切な動作を確保するために、少なくともいくつかの規則では、植込み型装置の外面が、その周囲組織の温度(すなわち、37℃)よりも2°C以上高くならないように定められている。
【0019】
リチウムイオン電池セルを含む植込み型電池パックは、(他の種類の電池セルを含む植込み型電池パックと比較して)より多くの熱エネルギを発生させる。したがって、このような植込み型電池パックの外面を許容可能な温度に維持することを容易にするために、効果的な熱管理ソリューションが必要とされる。熱管理が効果的であればあるほど、リチウムイオン電池をより速く充電することができる。
【0020】
本開示のシステム及び方法は、植込み型電池パック内で発生した熱を、植込み型電池パックの外面(例えば、チタンハウジング)上に実質的に均一に拡散させることを容易にする。すなわち、本開示のシステム及び方法は、植込み型電池パックの外面上のホットスポットの低減を容易にする。
【0021】
本明細書で説明するように、植込み型電池パック内でより多くの熱を発生させる電子部品(例えば、電力変換装置)は、植込み型電池パックの略中央に配置されたプリント回路基板(PCB)に搭載される。さらに、プリント回路基板(PCB)は、熱を電池パック全体に拡散させるのを容易にするために、1以上の熱伝導ウイングに接続されている。また、熱拡散を容易にするために、グラファイトフォイル(グラファイトシート)を植込み型電池パック内に配置してもよい。
【0022】
熱放散に関しては、均質な材料の球体で、球体の中央に熱源があれば、球体の外面を均一な熱流束が通る。しかし、植込み型電池パックは、明らかに、球体とは異なる形状、及び、異なる材料の組み合わせを有している。したがって、本明細書で説明するように、本開示の技術では、植込み型電池パックの比較的均一な熱放散を容易にするために、熱絶縁性材料と導電性材料とを組み合わせることにより、電池パックの外面の特定の場所に熱を伝導する。さらに、本開示の技術では、発熱及び放熱に寄与する電子部品は、電池パック内の特定の場所に配置する。例えば、本開示の実施形態では、電力変換回路は、一般的に、電池パックの中央に配置される。
【0023】
図3Aは、植込み型装置206(図2に示した)と共に使用される電子機器レイアウト300の一実施形態の上面図である。図3Bは、電子機器レイアウト300の底面図である。電子機器レイアウト300は、植込み型装置206への電力供給を容易にする植込み型電池パックに含まれる。植込み型電池パックは、植込み型装置206内に組み込んでもよいし、植込み型装置206に接続してもよい。
【0024】
図3A及び図3Bでは、電子機器レイアウト300は、平坦な、すなわち、展開された構成で示されている。本明細書で説明するように、電子機器レイアウト300は、植込み型電池パック内に配置するときは、折り畳んだ状態(図4に示す)で配置される。電子機器レイアウト300は、本明細書で説明するように、植込み型電池パック内の電池セルで発生した熱を均一に拡散させることを容易にする。
【0025】
図3A図3B、及び図4に示すように、電子機器レイアウト300は、第1のプリント回路基板(PCB)302、第2のPCB304、第3のPCB306、及び第4のPCB308を含む。この実施形態では、マイクロコントローラ及びデジタル信号処理装置が第1のPCB302に搭載されており、電力変換装置及びバッテリ充電装置が第2のPCB304に搭載されており、フィルタリング装置(例えば、静電放電装置)が第3のPCB306に搭載されており、ブースト装置(例えば、DC-DCステップアップコンバータ装置)が第4のPCB308に搭載されている。あるいは、他の適切な電子機器を、PCB302、304、306、及び308に搭載してもよい。
【0026】
さらに、第1のフレキシブルな熱伝導コネクタ310が第1のPCB302と第2のPCB304との間に延在しており、第2のフレキシブルな熱伝導コネクタ312が第2のPCB304と第3のPCB306との間に延在しており、第3のフレキシブルな熱伝導コネクタ314が第3のPCB306と第4のPCB308との間に延在している。熱伝導コネクタ310、312、及び314は、例えば、比較的硬いPCB302、304、306、及び308の各PCB間に延在するフレキシブルなPCBであり得る。
【0027】
熱拡散を容易にするために、電子機器レイアウト300は、比較的硬いPCB302、304、306、及び308に接続(結合)された1つ以上の熱伝導ウイングを含む。図3A図3B、及び図4に示す実施形態では、第1の熱伝導ウイング320が第1のPCB302の第1の縁部322に接続されており、第2の熱伝導ウイング324が第1のPCB302の第1の縁部322の反対側の第2の縁部326に接続されている。同様に、第3の熱伝導ウイング330が第2のPCB304の第1の縁部332に接続されており、第4の熱伝導ウイング334が第2のPCB304の第1の縁部332の反対側の第2の縁部336に接続されている。さらに、第5の熱伝導ウイング340が第3のPCB306の第1の縁部342に接続されており、第6の熱伝導ウイング344が第3のPCB306の第1の縁部342の反対側の第2の縁部346に接続されている。第5の熱伝導ウイング340及び第6の熱伝導ウイング344は、例えば、気密性フィードスルーへの接続を可能にする。加えて、第7の熱伝導ウイング350が第4のPCB308の第1の縁部352に接続されており、第8の熱伝導ウイング354が第4のPCB308の第1の縁部352の反対側の第2の縁部356に接続されている。熱伝導ウイング320、324、330、334、340、344、350、354は、例えば銅製であってよく、また、ある程度柔軟であってもよい。あるいは、熱伝導ウイング320、324、330、334、340、344、350、354は、比較的高い熱伝達係数を有する任意の適切な材料から作製してもよい。
【0028】
いくつかの実施形態では、熱伝導ウイングは、PCB302、304、306、及び308のうちのいくつかにのみ接続されている。例えば、一実施形態では、電子機器レイアウト300は、第3の熱伝導ウイング330及び第4の熱伝導ウイング334(両方とも第2のPCB304に接続される)のみを含む。
【0029】
注目すべきは、熱流束(q)は、熱抵抗が最も低い経路に沿って流れることである。
具体的には、熱流束は、q=(ΔT*A*λ)/Lで表される。式中、ΔTは温度変化、Aは熱が流れる断面積、Lは熱が流れる距離、λは熱伝達係数である。
【0030】
電子機器レイアウト300は、図4に示すように、植込み型電池パックの内部に配置するときは、折り畳んだ状態で配置される。図4に示すように、折り畳んだ状態では、第1のPCB302、第2のPCB304、及び第4のPCB308は垂直方向に積層され、第2のPCB304は第1のPCB302と第4のPCB308との間に配置される。一般に、第2のPCB304(電力変換装置及び電池充電装置が搭載されている)が最も多くの熱を発生させる。したがって、第2のPCB304は、折り畳んだ状態の電子機器レイアウト300(及び植込み型電池パック)内の中央に配置される。第3のPCB306は、折り畳んだ状態の電子機器レイアウト300の側部(側面)に配置され、第1のPCB302、第2のPCB304、及び第4のPCB308に対して略垂直に(直交して)配向される。
【0031】
熱伝導ウイングが設けられていない場合、熱は、植込み型電池パックの上部及び下部の中央(すなわち、第1のPCB302の中央の上側、第4のPCB308の中央の下側)に向かって流れるであろう。空気の熱伝達係数(λ)が比較的小さいにもかかわらず、距離(L)が小さく、断面積(A)が大きいため、熱は、このように流れるであろう。
【0032】
したがって、熱を効果的に管理するために、熱伝導性材料(例えば、熱伝導ウイング)を使用して、電子機器レイアウト300(及び植込み型電池パック)の側部に向かう熱流束を増加させる。さらに、熱伝導ウイングは、サーマルビア(図示せず)によって、比較的大きな熱を発生する電子部品に接続されている。熱放散をさらに向上させるために、サーマルビアに銅を充填してもよい。
【0033】
図3A図3B図4に示すように、第3の熱伝導ウイング330及び第4の熱伝導ウイング334は、電池セル(例えば、リチウムイオン電池セル)を第3の熱伝導ウイング330及び第4の熱伝導ウイング334に接続するためのはんだ接続部360を含む。電池セルは、図5及び図6(後述)に示すように、熱伝導ウイング間に配置される。
【0034】
熱を拡散させるために、熱伝導ウイングは、電池、及び、植込み型電池パックのハウジングに熱を伝導する。また、放熱性を高めるために、ハウジングの内側にグラファイトフォイル(グラファイトシート)をラミネート(配置)してもよい。グラファイトフォイルは、異方性の熱伝導性を有し、面内では、面外の約800倍の熱を伝導する。
【0035】
図5は、電子機器レイアウト300を含む植込み型電池パック500を通る熱流を示す概略図である。図5に示すように、植込み型電池パックは、外側ハウジング502内に配置された電子部品アセンブリ300(電子機器レイアウト300)を含む。図5中の矢印は、植込み型電池パック500を通る熱流を表している。
【0036】
上述のように、植込み型電池パック500では、電池セル504は、熱伝導ウイング320、324、330、334、350、及び354間に配置される。さらに、プラスチック製の固定具508が、電池セル504と外側ハウジング502との間に配置されている。図5に示すように、第2のPCB304上の回路510で発生した熱は、第2のPCB304から熱伝導ウイング330、334を通ってPCB外部の電池セル504及びプラスチック製の固定具508に流れ、その後、外側ハウジング502に流れる。熱拡散をさらに向上させるために、プラスチック製の固定具508は、望ましい熱伝導率を有する材料から作製するとよい。同様に、第1のPCB302及び第4のPCB308で発生した熱は、熱伝導ウイング320、324、350と354を通ってPCB外部に流れる。このような熱流は、熱が、外側ハウジング502上のいくつかのスポットだけに集中するのではなく、外側ハウジング502上にはるかに均一に拡散するという結果をもたらす。
【0037】
図6は、植込み型電池パック500の熱流密度[W/mm]の熱シミュレーション600を示す。熱シミュレーション600に示すように、回路510で発生した熱は、植込み型電池パック全体に比較的均一に分散して分布する。図6では、外側ハウジング502の内面に配置されたグラファイトフォイル602も示されている。上述のように、グラファイトフォイル602は、植込み型電池パック500全体の熱拡散をさらに改善する。
【0038】
図7は、展開した状態の別の電子機器レイアウト700の平面図である。電子機器レイアウト700は、第1のPCB702、第2のPCB704、第3のPCB706、及び第4のPCB708を含む。この実施形態では、マイクロコントローラ及びデジタル信号処理装置が第1のPCB702に搭載されており、電力変換装置及びバッテリ充電装置が第2のPCB704に搭載されており、ブースト装置(例えば、DC-DCステップアップコンバータ装置)が第4のPCB708に搭載されている。あるいは、他の適切な電子機器を、PCB702、704、706、及び708に搭載してもよい。
【0039】
さらに、第1の熱伝導コネクタ710が第1のPCB702と第2のPCB704の間に延在しており、第2の熱伝導コネクタ712が第2のPCB704と第4のPCB708との間に延在しており、第3の熱伝導コネクタ714が第1のPCB702と第3のPCB706との間に延在している。熱伝導コネクタ710、712、及び714は、例えば、比較的硬いPCB702、704、706、及び708の各PCB間に延在するフレキシブルなPCBである。
【0040】
熱拡散を容易にするために、この実施形態では、電子機器レイアウト700は、第2のPCB704に接続された2つの熱伝導ウイング730を含む。電子機器レイアウト300(図3A図3B図4に示す)とは対照的に、第2のPCB704以外のPCB702、706、及び708には熱伝導ウイングが接続されていない。熱伝導ウイング730は、例えば銅製であってよく、また、ある程度柔軟であってもよい。あるいは、熱伝導ウイング730は、比較的高い熱伝達係数を有する任意の適切な材料から作製してもよい。
【0041】
図8は、電子機器レイアウト700を含む別の植込み型電池パック800の分解図である。電子機器レイアウト300と同様に、電子機器レイアウト700は、植込み型電池パック800内に配置するときは、折り畳んだ状態で配置される。図8に示すように、植込み型電池パック800は、電子機器レイアウト700、電池セル802(例えば、リチウムイオン電池セル)、プラスチック製の固定具804、及び、チタン製の外側ハウジング806を含む。植込み型電池パック800は、グラファイトフォイル810(グラファイトシート)をさらに含む。2つのグラファイトフォイル810が示されているが、追加のグラファイトフォイルを含んでもよい(例えば、電子機器レイアウト300の上側及び下側に配置される)。
【0042】
図9は、電子機器レイアウト700を含む植込み型電池パック800を通る熱流を示す概略図である。図9中の矢印は、植込み型電池パック800を通る熱流を表している。図9に示すように、熱伝導ウイング730は、第2のPCB704のみから延びているが、それでも熱は第2のPCB704から電池セル802を通ってチタン製の外側ハウジング806に実質的に均一に拡散する。
【0043】
上述のように、本開示のシステム及び方法は、植込み型電池パック全体に熱をはるかに均一に拡散させることを容易にする。例えば、図10は、本開示のシステム及び方法を実施していない植込み型電池パック1002の熱シミュレーション1000を示しており、図11は、本開示のシステム及び方法を実施した植込み型電池パック1102の熱シミュレーション1100を示している。図10に示すように、植込み型電池パック1002の熱シミュレーション1000では、熱エネルギは、植込み型電池パック1002の外面上の一箇所に集中している。一方、図11に示すように、植込み型電池パック1102の熱シミュレーション1100では、熱エネルギは、植込み型電池パック1102の外面により均一に拡散している。さらに、図11の植込み型電池パック1102の外面の最高温度は、図10の植込み型電池パック1002の外面の最高温度と比べて0.5°C低い。
【0044】
本開示は、無線電力伝送システムにおける熱を管理するためのシステム及び方法に関する。本開示の植込み型電池パックは、ハウジングと、ハウジング内に配置された複数の電池セルと、ハウジング内に配置された電子機器レイアウトとを備え、電子機器レイアウトは、複数の電池セルに電気的に接続されている。電子機器レイアウトは、電子機器を搭載した少なくとも1つのプリント回路基板と、少なくとも1つのプリント回路基板に接続され、該プリント回路基板から延びる少なくとも1つの熱伝導ウイングと、を含み、少なくとも1つの熱伝導ウイングは、電子機器で発生した熱を植込み型電池パック全体に拡散させるように構成されている。
【0045】
本開示の実施形態及び実施例を、特定の実施形態を参照して説明したが、これらの実施形態及び実施例は、本開示の原理及び適用の単なる例示であることを理解されたい。したがって、特許請求の範囲によって定義される本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、例示的な実施形態及び実施例に対して様々な変更を加えたり、他の構成を考案したりすることができることを理解されたい。したがって、本出願は、それらの実施形態の改変例や変形例、及びそれらの均等物を包含することを意図している。
【0046】
本明細書は、実施例を用いて、最良の実施の形態(ベストモード)を含む本発明の内容を開示し、かつ、本開示を当業者が実施(任意の装置またはシステムの作製及び使用、並びに組み込まれた任意の方法の実施を含む)することを可能にする。本発明の特許される技術範囲は、特許請求の範囲の請求項の記載によって定義され、当業者が想到可能な別の実施例も包含する。そのような別の実施例は、請求項の文言と相違しない構成要素を含む場合、または、請求項の文言とは実質的に相違しない均等な構成要素を含む場合、その請求項の範囲内に含まれるものとする。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】