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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-18
(54)【発明の名称】熱可塑性組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 77/06 20060101AFI20240111BHJP
   C08L 23/00 20060101ALI20240111BHJP
   C08L 91/06 20060101ALI20240111BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20240111BHJP
   C08G 69/26 20060101ALI20240111BHJP
【FI】
C08L77/06
C08L23/00
C08L91/06
C08L101/00
C08G69/26
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023537326
(86)(22)【出願日】2021-12-16
(85)【翻訳文提出日】2023-06-19
(86)【国際出願番号】 US2021063748
(87)【国際公開番号】W WO2022133059
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】63/126,830
(32)【優先日】2020-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506347528
【氏名又は名称】ルブリゾル アドバンスド マテリアルズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】セトフォード, ディーン
(72)【発明者】
【氏名】コールベック, エリオット
(72)【発明者】
【氏名】グリーン, サシャ
【テーマコード(参考)】
4J001
4J002
【Fターム(参考)】
4J001DA01
4J001DB02
4J001DD01
4J001EB71
4J001EC05
4J001EC08
4J001EE28C
4J001FA01
4J001FB03
4J001FC03
4J001FC06
4J001GA12
4J001JB01
4J001JB16
4J002AA01X
4J002AE03X
4J002AE05X
4J002BB15X
4J002CL03W
4J002CL04W
4J002DE136
4J002FD010
4J002FD096
(57)【要約】
粒子状固体と、プラスチック材料と、ポリマーと、を含む、組成物であって、ポリマーが、脂肪末端基を有するポリアミドであり、ポリアミドが、ジアミンと二酸との縮合反応生成物であり、ポリマーが、5~13個のモノマー単位を有し、ジアミンが、飽和C~C12直鎖、分岐鎖、又は環状ジアミンであり、ジアミンのアミン基が、一級又は二級であり、二酸が、飽和C20~C50分岐鎖カルボン酸二酸であり、脂肪末端基の各々が、独立して、アミド又はイミド結合を介してポリアミドに結合されているC~C36直鎖又は分岐鎖炭素鎖である、組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子状固体と、プラスチック材料と、ポリマーと、を含む組成物であって、前記ポリマーが、脂肪末端基を有するポリアミドであり、前記ポリアミドが、ジアミンと二酸との縮合反応生成物であり、前記ポリマーが、5~13個のモノマー単位を有し、前記ジアミンが、飽和C~C12、直鎖、分岐鎖、又は環状ジアミンであり、前記ジアミンのアミン基が、一級又は二級であり、前記二酸が、飽和C20~C50分岐鎖カルボン酸二酸であり、前記脂肪末端基の各々が、独立して、アミド又はイミド結合を介して前記ポリアミドに結合されているC~C36直鎖又は分岐鎖炭素鎖である、組成物。
【請求項2】
前記ポリマーが、1,000~5,000g/molの理論分子量を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ポリマーが、5~7個のモノマー単位を有する、請求項1又は請求項2のいずれかに記載の組成物。
【請求項4】
前記ジアミンが、飽和C~C12直鎖、分岐鎖、又は環状ジアミンである、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記粒子状固体が、顔料である、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記粒子状固体が、前記組成物の総重量に基づいて、1重量%~95重量%の量で前記組成物中に存在する、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記ポリマーが、前記組成物の総重量に基づいて、0.1重量%~50重量%の量で存在する、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
a.前記ポリマーが、前記組成物の総重量に基づいて、0.1重量%~50重量%の量で存在し、
b.前記プラスチック材料が、
i.前記組成物の総重量に基づいて、最大90重量%の量で存在する非晶質ポリ-α-オレフィン、
ii.前記組成物の総重量に基づいて、最大90重量%の量で存在するワックス、
iii.前記組成物の総重量に基づいて、最大30重量%の量で存在する結晶性ポリオレフィン、又は
iv.前記組成物の総重量に基づいて、最大75重量%の量で存在する硬化ヒマシ油ワックス、のうちの少なくとも1つを含み、
但し、(i)又は(ii)の少なくとも1つが、前記組成物の総重量に基づいて、少なくとも0.1重量%の量で存在する、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物の総重量に基づいて、前記組成物の少なくとも10重量%が、50nm~1mmの粒径画分を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記ポリマーが、10mg KOH/g未満の酸価を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記ポリマーが、10mg KOH/g未満のアミン価を有する、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
組成物中の分散剤としてポリマーを使用する方法であって、前記ポリマーを前記組成物に提供することを含み、前記組成物が、粒子状固体と、プラスチック材料と、を含み、前記ポリマーが、脂肪末端基を有するポリアミドであり、前記ポリアミドが、ジアミンと二酸との縮合反応生成物であり、前記ポリマーが、5~13個のモノマー単位を有し、前記ジアミンが、飽和C~C12、直鎖、分岐鎖、又は環状ジアミンであり、前記ジアミンのアミン基が、一級又は二級であり、前記二酸が、飽和C20~C50分岐鎖カルボン酸二酸であり、前記脂肪末端基の各々が、独立して、アミド又はイミド結合を介してポリアミドに結合されているC~C36直鎖又は分岐鎖炭素鎖である、方法。
【請求項13】
前記ポリマーが、1,000~5,000g/molの理論分子量を有する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ポリマーが、5~7個のモノマー単位を有する、請求項12又は請求項13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記ジアミンが、飽和C~C12直鎖、分岐鎖、又は環状ジアミンである、請求項12~14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子状固体と、プラスチック材料(例えば、熱可塑性ポリマー)と、ポリマーと、を含有する、組成物に関する。ポリマーは、分散剤であることができ得る。
【背景技術】
【0002】
ポリプロピレン、ポリエチレンなどの熱可塑性樹脂は、典型的には顔料濃縮物を使用して着色される。顔料濃縮物は、マスタバッチと称され得る。これらの濃縮物は、配合成分を一緒に混合し、それらを、熱可塑性ポリマーなどのプラスチック材料中に粒子状固体を分散させるために一般に使用されるプロセスのいずれかに供することによって調製される。二軸スクリュー押出機における配合又は混合は、そのようなプロセスの1つである。マスタバッチは、最大70%の顔料、及び任意選択的に他の添加剤を含有し得る。他の添加剤としては、ワックス、分散剤、潤滑剤及び/又はUV安定剤を挙げ得る。
【0003】
マスタバッチの製造では、限られた量の凝集物を有する微粒子を理想的に形成するために、熱可塑性ポリマーなどのプラスチック材料中に分散された顔料が典型的に利用される。しかしながら、凝集物は、マスタバッチの製造時に、顔料から形成されることが既知である。顔料凝集物の存在は、押出機のフィルタの閉塞をもたらし得る。
【0004】
更に、特定の要件は、熱可塑性ポリマーを含有する最終物品にとって重要である。熱可塑性ポリマーは、例えば、固体物品、フィルム、又は繊維の形態であり得る。固体物品では、発色を最大にし、着色力を最大にし、及び/又は斑点レベルを減少させるために、顔料の許容可能な分散が必要である。フィルムの場合、顔料の不完全な分散は、亀裂、望ましくない光散乱効果、及び/又は斑点をもたらし得る。繊維において、顔料の不完全な分散は、繊維の破損をもたらす可能性がある。
【0005】
過去の研究は、熱可塑性ポリマーなどのプラスチック材料に使用される顔料のための分散剤を提供するために行われてきた。従来の分散剤は、非ポリマー分散剤に対する規制の精査が強化されているなどの理由で、望ましくないものになりつつあるか、又は望ましくないものになっている可能性がある。
【0006】
したがって、開示される技術は、上で考察される技術的課題のいずれかのうちの少なくとも1つを低減又は最小化することができる組成物を提供する。これらの課題は、高価な押出機タイプの装置において効率的でない加工をもたらし、製造コストを増加させる可能性がある。したがって、本発明の主題は、ポリマー、及びポリマーを含む組成物であって、ポリマーは、顔料を分散させることができ、熱可塑性樹脂は、(i)凝集物及び/若しくは斑点の低減、(ii)より微細な分散状態(例えば、より低いフィルタ圧力値を有する)、(iii)許容可能な/改善された着色力及び/若しくは改善された明度、(iv)より速い分散速度、又は(v)ポリマー分散剤、
のうちの少なくとも1つを有することができる、ポリマー、及びポリマーを含む組成物を特定する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書で開示される主題は、粒子状固体と、プラスチック材料と、ポリマーと、を含む、組成物を提供し、ポリマーは、脂肪末端基を有するポリアミドであり、ポリアミドは、ジアミンと二酸との縮合反応生成物であり、ポリマーは、5~13個のモノマー単位を有し、ジアミンは、飽和C~C12、直鎖、分岐鎖、又は環状ジアミンであり、ジアミンのアミン基は、一級又は二級であり、二酸は、飽和C20~C50分岐鎖カルボン酸二酸であり、脂肪末端基の各々は、独立して、アミド又はイミド結合を介してポリアミドに結合しているC~C36直鎖又は分岐鎖炭素鎖である。
【0008】
粒子状固体及びプラスチック材料を更に含む組成物における分散剤としてのポリマーの使用もまた提供され、ポリマーは、脂肪末端基を有するポリアミドであり、ポリアミドは、ジアミンと二酸との縮合反応生成物であり、ポリマーは、5~13個のモノマー単位を有し、ジアミンは、飽和C~C12、直鎖、分岐鎖、又は環状ジアミンであり、ジアミンのアミン基は、一級又は二級であり、二酸は、飽和C20~C50分岐鎖カルボン酸二酸であり、脂肪末端基の各々は、独立して、アミド又はイミド結合を介してポリアミドに結合しているC~C36直鎖又は分岐鎖炭素鎖である。
【0009】
組成物中の分散剤としてポリマーを使用する方法であって、ポリマーを組成物に提供することを含む、方法が更に提供され、組成物は、粒子状固体と、プラスチック材料と、を含み、ポリマーは、脂肪末端基を有するポリアミドであり、ポリアミドは、ジアミンと二酸との縮合反応生成物であり、ポリマーは、5~13個のモノマー単位を有し、ジアミンは、飽和C~C12、直鎖、分岐鎖、又は環状ジアミンであり、ジアミンのアミン基は、一級又は二級であり、二酸は、飽和C20~C50分岐鎖カルボン酸二酸であり、脂肪末端基の各々は、独立して、アミド又はイミド結合を介してポリアミドに結合しているC~C36直鎖又は分岐鎖炭素鎖である。
【0010】
本主題の以下の実施形態が企図される。
【0011】
1. 粒子状固体と、プラスチック材料と、ポリマーと、を含む、組成物であって、ポリマーが、脂肪末端基を有するポリアミドであり、ポリアミドが、ジアミンと二酸との縮合反応生成物であり、ポリマーが、5~13個のモノマー単位を有し、ジアミンが、飽和C~C12、直鎖、分岐鎖、又は環状ジアミンであり、ジアミンのアミン基が、一級又は二級であり、二酸が、飽和C20~C50分岐鎖カルボン酸二酸であり、脂肪末端基の各々が、独立して、アミド又はイミド結合を介してポリアミドに結合しているC~C36直鎖又は分岐鎖炭素鎖である、組成物。
【0012】
2. ポリマーが、1,000~5,000g/molの理論分子量を有する、実施形態1に記載の組成物。
【0013】
3. ポリマーが、5~7個のモノマー単位を有する、実施形態1又は実施形態2に記載の組成物。
【0014】
4. ジアミンが、飽和C~C12直鎖、分岐鎖、又は環状ジアミンである、実施形態1~3のいずれか1つに記載の組成物。
【0015】
5. プラスチック材料が、熱可塑性ポリマーである、実施形態1~4のいずれか1つに記載の組成物。
【0016】
6. プラスチック材料が、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂である、実施形態1~5のいずれか1つに記載の組成物。
【0017】
7. 粒子状固体が、顔料である、実施形態1~6のいずれか1つに記載の組成物。
【0018】
8. 粒子状固体が、組成物の総重量に基づいて、1重量%~95重量%の量で組成物中に存在する、実施形態1~7のいずれか1つに記載の組成物。
【0019】
9. ポリマーが、組成物の総重量に基づいて、0.1重量%~50重量%の量で存在する、実施形態1~8のいずれか1つに記載の組成物。
【0020】
10. (a)ポリマーが、組成物の総重量に基づいて、0.1重量%~50重量%の量で存在し、(b)プラスチック材料が、(i)組成物の総重量に基づいて、最大90重量%の量で存在する非晶質ポリ-α-オレフィン、(ii)組成物の総重量に基づいて、最大90重量%の量で存在するワックス、(iii)組成物の総重量に基づいて、最大30重量%の量で存在する結晶性ポリオレフィン、(iv)組成物の総重量に基づいて、最大75重量%の量で存在する硬化ヒマシ油ワックス、のうちの少なくとも1つを含み、但し、(i)又は(ii)の少なくとも1つが、組成物の総重量に基づいて、少なくとも0.1重量%の量で存在する、実施形態1~9のいずれか1つに記載の組成物。
【0021】
11. 非晶質ポリ-α-オレフィンが、ポリエチレン/ポリプロピレン混合物である、実施形態10に記載の組成物。
【0022】
12. 組成物の総重量に基づいて、組成物の少なくとも10重量%が、1mm以下の粒径画分を有する、実施形態1~11のいずれか1つに記載の組成物。
【0023】
13. 組成物の総重量に基づいて、組成物の少なくとも10重量%が、50nm~1mmの粒径画分を有する、実施形態1~12のいずれか1つに記載の組成物。
【0024】
14. ポリマーが、10mg KOH/g未満の酸価を有する、実施形態1~13のいずれか1つに記載の組成物。
【0025】
15. ポリマーが、10mg KOH/g未満のアミン価を有する、実施形態1~14のいずれか1つに記載の組成物。
【0026】
16. 粒子状固体及びプラスチック材料を更に含む組成物における分散剤としてのポリマーの使用であって、ポリマーが、脂肪末端基を有するポリアミドであり、ポリアミドが、ジアミンと二酸との縮合反応生成物であり、ポリマーが、5~13個のモノマー単位を有し、ジアミンが、飽和C~C12、直鎖、分岐鎖、又は環状ジアミンであり、ジアミンのアミン基が、一級又は二級であり、二酸が、飽和C20~C50分岐鎖カルボン酸二酸であり、脂肪末端基の各々が、独立して、アミド又はイミド結合を介してポリアミドに結合しているC~C36直鎖又は分岐鎖炭素鎖である、使用。
【0027】
17. 組成物中の分散剤としてポリマーを使用する方法であって、ポリマーを組成物に提供することを含み、組成物が、粒子状固体と、プラスチック材料と、を含み、ポリマーが、脂肪末端基を有するポリアミドであり、ポリアミドが、ジアミンと二酸との縮合反応生成物であり、ポリマーが、5~13個のモノマー単位を有し、ジアミンが、飽和C~C12、直鎖、分岐鎖、又は環状ジアミンであり、ジアミンのアミン基が、一級又は二級であり、二酸が、飽和C20~C50分岐鎖カルボン酸二酸であり、脂肪末端基の各々が、独立して、アミド又はイミド結合を介してポリアミドに結合しているC~C36直鎖又は分岐鎖炭素鎖である、方法。
【0028】
18. ポリマーが、1,000~5,000g/molの理論分子量を有する、実施形態17に記載の方法。
【0029】
19. ポリマーが、5~7個のモノマー単位を有する、実施形態17又は実施形態18に記載の方法。
【0030】
20. ジアミンが、飽和C~C12直鎖、分岐鎖、又は環状ジアミンである、実施形態17~19のいずれか1つに記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本主題の様々な特徴及び実施形態を、非限定的な例示によって、以下で説明する。
【0032】
本明細書において説明される各化学成分の量は、別段の指示がない限り、市販物質中に慣習的に存在し得る任意の溶媒又は希釈油を除いて、すなわち、活性化学物質ベースで提示される。しかしながら、別段の指示がない限り、本明細書で言及される各化学物質又は組成物は、異性体、副生成物、誘導体、及び商用グレードで存在すると通常理解される他のそのような物質を含有し得る商用グレードの物質であると解釈されるべきである。
【0033】
本明細書において説明される材料のうちのいくつかは、最終配合物中で相互作用し得るため、最終配合物の成分は、最初に添加されたものとは異なり得ることが既知である。例えば、(例えば、洗浄剤の)金属イオンは、他の分子の他の酸性部位又はアニオン性部位に移動し得る。それによって形成される生成物は、その意図された用途において本主題の組成物を用いる際に形成される生成物を含めて、容易に説明することができない場合がある。それにもかかわらず、全てのそのような修飾及び反応生成物は、本主題の範囲内に含まれ、本主題は、上で説明される成分を混合することによって調製される組成物を包含する。
【0034】
本明細書で使用される場合、「a」という不定冠詞は、1つ又は2つ以上を意味することが意図される。本明細書で使用される場合、「少なくとも1つ」という句は、以下の用語の1つ又は2つ以上を意味する。したがって、「a」及び「少なくとも1つ」は、互換的に使用され得る。例えば、「A、B、又はCのうちの少なくとも1つ」は、代替的な実施形態において、A、B、又はCのうちの1つのみが含まれ得、A、B、及びCのうちの2つ以上の任意の混合物が含まれ得ることを意味する。
【0035】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、所与の量の値が、記載された値の±20%以内であることを意味する。他の実施形態では、値は、記載された値の±15%以内である。他の実施形態では、値は、記載された値の±10%以内である。他の実施形態では、値は、記載された値の±5%以内である。他の実施形態では、値は、記載された値の±2.5%以内である。他の実施形態では、値は、記載された値の±1%以内である。他の実施形態では、値は、本明細書に提供される開示に基づいて、本明細書において説明される文字通りの量を含む組成物と実質的に同様に機能することが当業者によって理解される、明示的に説明された値の範囲内である。
【0036】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、所与の量の値が、記載された値の±10%以内であることを意味する。他の実施形態では、値は、記載された値の±5%以内である。他の実施形態では、値は、記載された値の±2.5%以内である。他の実施形態では、値は、記載された値の±1%以内である。
【0037】
本明細書で使用される場合、「実質的に含まない」という用語は、成分が「実質的に含まれない」材料の意図的な添加を含まないことを意味している。例えば、成分は、不完全な化学反応及び/又は意図しない/望ましくない(しかし、おそらく避けられない)反応生成物の結果であり得る不純物レベル以下で「実質的に含まない」材料を含み得る。
【0038】
本明細書で使用される場合、「含む(including)」、「含有する(containing)」、又は「を特徴とする」と同義である移行用語「含む(comprising)」は、包括的又はオープンエンドであり、追加の列挙されていない要素又は方法ステップを除外しない。しかしながら、本明細書における「含む」の各記載において、この用語がまた、代替的な実施形態として、「から本質的になる」及び「からなる」という句を包含することが意図され、ここで、「からなる」は、特定されていない任意の要素又は工程を排除し、「から本質的になる」は、考慮中の組成物又は方法の本質的又は基本的かつ新規な特徴に実質的に影響を及ぼさない追加の記載されていない要素又は工程の包含を許容する。
【0039】
ある特定の実施形態では、粒子状固体と、プラスチック材料と、ポリマーと、を含む、組成物が提供され、ポリマーは、脂肪末端基を有するポリアミドであり、ポリアミドは、ジアミンと二酸との縮合反応生成物であり、ポリマーは、5~13個のモノマー単位を有し、ジアミンは、飽和C~C12直鎖、分岐鎖、又は環状ジアミンであり、ジアミンのアミン基は、一級又は二級であり、二酸は、飽和C20~C50分岐鎖カルボン酸二酸であり、脂肪末端基の各々は、独立して、アミド又はイミド結合を介してポリアミドに結合しているC~C36直鎖又は分岐鎖炭素鎖である。
【0040】
ある特定の実施形態では、ポリマーは、5~13個のモノマー単位、例えば、6~13個のモノマー単位、例えば、7~13個のモノマー単位、例えば、8~13個のモノマー単位、例えば、9~13個のモノマー単位、例えば、10~13個のモノマー単位、例えば、11~13個のモノマー単位、例えば、12~13個のモノマー単位、例えば、5~12個のモノマー単位、例えば、7~12個のモノマー単位、例えば、8~12個のモノマー単位、例えば、9~12個のモノマー単位、例えば、10~12個のモノマー単位、例えば、11~12個のモノマー単位、例えば、5~11個のモノマー単位、例えば、6~11個のモノマー単位、例えば、7~11個のモノマー単位、例えば、8~11個のモノマー単位、例えば、9~11個のモノマー単位、例えば、10~11個のモノマー単位、例えば、5~10個のモノマー単位、例えば、6~10個のモノマー単位、例えば、7~10個のモノマー単位、例えば、8~10個のモノマー単位、例えば、9~10個のモノマー単位、例えば、5~9個のモノマー単位、例えば、6~9個のモノマー単位、例えば、7~9個のモノマー単位、例えば、8~9個のモノマー単位、例えば、5~8個のモノマー単位、例えば、6~8個のモノマー単位、例えば、7~8個のモノマー単位、例えば、5~7個のモノマー単位、例えば、6~7個のモノマー単位、例えば5~6個のモノマー単位を有する。ある特定の実施形態では、ポリマーは、5、6、7、8、9、10、11、12、又は13個のモノマー単位を有する。ポリマー中のモノマー単位の数に言及する場合、意味するものは、化学反応を介して一緒に結合してポリマーを形成するモノマー単位の数である。
【0041】
ある特定の実施形態では、ジアミンは、飽和C~C12(例えば、C~C12、C~C12、C~C12、C10~C12、C~C10、C~C10、C~C10、C~C10、C~C、C~C、C~C、C~C、C~C、又はC~C)直鎖、分岐鎖、又は環状ジアミンである。「直鎖」、「分岐鎖」、及び「環状」という修飾語は、当業者によって理解されるように、特定の実施形態が化学的に可能である場合に、特定の実施形態にのみ適用されるものとする、と理解すべきである。例えば、ジアミンが飽和C環状ジアミンであることは不可能であり、したがって、そのような実施形態は、この段落に説明されるより広い実施形態から除外されると考えるべきである。ジアミンの好適な非限定的な例としては、エチレンジアミン、ジアミノプロパン、ジアミノブタン、ジアミノペンタン、ヘキサメチレンジアミン、ジアミノオクタン、ジアミノノナン、ジアミノデカン、ジアミノドデカン、ピペラジン、メチルピペラジン、ジメチルピペラジン、ホモピペラジン、及びビス-(アミノメチル)-シクロヘキサンが挙げられる。
【0042】
ある特定の実施形態では、二酸は、飽和C20~C50(例えば、C24~C50、C28~C50、C32~C50、C36~C50、C40~C50、C44~C50、C20~C46、C24~C46、C28~C46、C32~C46、C36~C46、C40~C46、C20~C42、C24~C42、C28~C42、C32~C42、C36~C42、C20~C38、C24~C38、C28~C38、C32~C38、C20~C34、C24~C34、C28~C34、C20~C30、C24~C30、又はC20~C26)分岐鎖カルボン酸二酸である。市販の二酸の好適な非限定的な例としては、Kraton Corporationから入手可能なUNIDYME(商標)製品範囲が挙げられる。
【0043】
ある特定の実施形態では、脂肪末端基の各々は、独立して、C~C36(例えば、C10~C36、C14~C36、C18~C36、C22~C36、C26~C36、C30~C36、C~C32、C10~C32、C14~C32、C18~C32、C22~C32、C26~C32、C~C28、C10~C28、C14~C28、C18~C28、C22~C28、C~C24、C10~C24、C14~C24、C18~C24、C~C20、C10~C20、C14~C20、C~C16、C10~C16、又はC~C12)直鎖又は分岐鎖炭素鎖である。
【0044】
脂肪末端基を形成するために使用され得る好適な化合物としては、脂肪酸及び/又はそれらのメチル/エチルエステル、脂肪アミン(例えば、ヘキシルアミン、オクチルアミン、ステアラミン、デシルアミン、及び/又はノナナミン)、及び/又は脂肪酸無水物(例えば、ドデシルコハク酸無水物、ヘキサデシルコハク酸無水物、オクタデシルコハク酸無水物、ドデセニルコハク酸無水物、ヘキサデセニルコハク酸無水物、オクタデセニルコハク酸無水物、及び/又はペンタゴンからのPentasize(商標)68)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0045】
脂肪酸及び/又はこれらのメチル/エチルエステルの好適な例としては、ミリスチン酸、オレイン酸、パルミチン酸、エルカ酸、ベヘン酸、Versatic(商標)酸911(C9~11分岐鎖脂肪酸とも説明され得る)、Versatic(商標)酸10(tert-デカン酸とも説明され得る)、リシノール酸、12-ヒドロキシステアリン酸、9,11-リノール酸、9,12-リノール酸、9,12,15-リノレン酸、アビエチン酸、ヘキサン酸、オクタン酸、ラウリン酸、デカン酸、ステアリン酸、2-エチル酪酸、2-エチルヘキサン酸、2-ブチルオクタン酸、2-ヘキシルデカン酸、2-オクチルドデカン酸、2-デシルテトラデカン酸、又はそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。このタイプの分岐鎖アルキルカルボン酸は、商標Isocarb(登録商標)(Sasol GmbHから)で入手可能であり、具体例は、Isocarb(登録商標)12、16、20、28、32、34T、及び36である。カルボン酸の多くは、混合物として市販されている。脂肪酸の更なる例としては、Baker Petrolite Polymer Divisionから市販されているUnicid(登録商標)酸(直鎖一級合成カルボン酸)が挙げられる。
【0046】
好適な脂肪酸の他の例としては、限定するものではないが、ヒマワリ油、オリーブ油、ナタネ油、ヒマシ油、パーム油、ヤシ油、アマニ油、大豆油、魚油などの天然起源の油から誘導された脂肪酸の混合物が挙げられ、水素化(飽和)又は不飽和形態のいずれかである。
【0047】
ある特定の実施形態では、脂肪末端基は、ポリアミド部分の性質に基づいて、上で説明される化合物のタイプのうちの1つ以上から選択され得る。例えば、ジアミンが過剰に使用される場合、脂肪末端基は、脂肪酸及び/又はそれらのメチル/エチルエステル又は脂肪酸無水物のうちの少なくとも1つから選択され得、又は、二酸が過剰に使用される場合、脂肪末端基は、脂肪アミンのうちの少なくとも1つから選択され得る。
【0048】
ある特定の実施形態では、ポリマーは、1,000~5,000g/mol、例えば、1,500~5,000g/mol、2,000~5,000g/mol、2,500~5,000g/mol、3,000~5,000g/mol、3,500~5,000g/mol、4,000~5,000g/mol、4,500~5,000g/mol、1,000~4,500g/mol、1,500~4,500g/mol、2,000~4,500g/mol、2,500~4,500g/mol、3,000~4,500g/mol、3,500~4,500g/mol、4,000~4,500g/mol、1,000~4,000g/mol、1,500~4,000g/mol、2,000~4,000g/mol、2,500~4,000g/mol、3,000~4,000g/mol、3,500~4,000g/mol、1,000~3,500g/mol、1,500~3,500g/mol、2,000~3,500g/mol、2,500~3,500g/mol、3,000~3,500g/mol、1,000~3,000g/mol、1,500~3,000g/mol、2,000~3,000g/mol、2,500~3,000g/mol、1,000~2,500g/mol、1,500~2,500g/mol、2,000~2,500g/mol、1,000~2,000g/mol、1,500~2,000g/mol、又は1,000~1,500g/molの理論分子量を有する。本明細書で使用される場合、対象ポリマーに言及するとき、「理論分子量」という用語は、(1)モノマー単位の化学式に基づいてポリマー中の各モノマー単位の分子量を計算し、(2)ポリマー中の各モノマー単位の分子量を足し合わせ、(3)モノマー単位が一緒に反応して対象ポリマー又はその前駆体を形成するときに失われ得る任意の原子/分子(水など)を差し引く、ことによって決定される対象ポリマーの平均分子量を意味する。
【0049】
ある特定の実施形態では、プラスチック材料は、熱可塑性ポリマーである。
【0050】
ある特定の実施形態では、プラスチック材料は、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂である。
【0051】
ある特定の実施形態では、粒子状固体は、顔料である。
【0052】
ある特定の実施形態では、粒子状固体は、組成物の総重量に基づいて、1重量%~95重量%の量で組成物中に存在する。
【0053】
ある特定の実施形態では、(a)ポリマーは、組成物の総重量に基づいて、0.1重量%~50重量%の量で存在し、(b)プラスチック材料は、(i)組成物の総重量に基づいて、最大90重量%の量で存在する非晶質ポリ-α-オレフィン、(ii)組成物の総重量に基づいて、最大90重量%の量で存在するワックス、(iii)組成物の総重量に基づいて、最大30重量%の量で存在する結晶性ポリオレフィン、又は(iv)組成物の総重量に基づいて、最大75重量%の量で存在する硬化ヒマシ油ワックス、のうちの少なくとも1つを含み、但し、(i)又は(ii)の少なくとも1つが、組成物の総重量に基づいて、少なくとも0.1重量%の量で存在する。ある実施形態では、非晶質ポリ-α-オレフィンは、ポリエチレン/ポリプロピレン混合物である。
【0054】
ある特定の実施形態では、組成物の総重量に基づいて、組成物の少なくとも10重量%は、1mm以下の粒径画分を有する。
【0055】
ある特定の実施形態では、組成物の総重量に基づいて、組成物の少なくとも10重量%は、50nm~1mmの粒径画分を有する。
【0056】
ある特定の実施形態では、主題のポリマーは、少量の残留酸性又は塩基性官能基を有し得る。ある特定の実施形態では、ポリマーは、10mg KOH/g未満、例えば、5mg KOH/g未満、又は2.5mg KOH/g未満の酸価を有する。ある特定の実施形態では、ポリマーは、10mg KOH/g未満、例えば、5mg KOH/g未満、又は2.5mg KOH/g未満のアミン価を有する。これらの実施形態は、例えば、100%完了まで進行しないポリマーを作製するための反応によって、又はアミンと酸官能基の量の間にわずかなモル差が存在することによって、生じ得る。
【0057】
上で説明される組成物中の分散剤としての上で説明されるポリマーの使用もまた提供される。
【0058】
また、上で説明される対象ポリマーを使用してプラスチック材料中に粒子状固体を分散させる方法もまた提供される。例えば、ポリマー、粒子状固体及びプラスチック材料を、任意の順序で一緒に混合して、上で提供した様々な実施形態において説明されているような組成物を形成し得る。ある特定の実施形態では、粒子状固体が混合物に最後に添加されるように、配合成分は一緒に混合され得る。
【0059】
上で説明される組成物中の分散剤として上で説明されるポリマーを使用する方法が更に提供される。
【0060】
ある特定の実施形態では、上で説明される実施形態のいずれかのポリマーは、組成物、例えば、熱可塑性ポリマーなどのプラスチック材料に組み込まれる、顔料材料などの粒子状固体のための加工助剤又は分散剤としての使用に好適であり得る。
【0061】
ある特定の実施形態では、本明細書において説明のポリマーは、組成物の総重量に基づいて、0.1重量%(例えば、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、15、20、又は25重量%)~50重量%(例えば、45、40、35、又は30重量%)の量で、そのような組成物中に存在し得る。
【0062】
ある特定の実施形態では、組成物中に存在する粒子状固体は、任意の無機又は有機固体材料であり得る。ある特定の実施形態では、粒子状固体は、顔料、増量剤、充填剤、難燃性材料、セラミック材料、磁性材料、又は金属粒子のうちの少なくとも1つであり得る。ある特定の実施形態では、粒子状固体は、無機顔料又は有機顔料などの顔料である。
【0063】
ある特定の実施形態では、粒子状固体は、有機顔料、例えば、Third Edition of the Colour Index(1971)並びにその後の改訂版及びその補遺の「Pigmnets」と題された章において説明されている顔料の認定されているクラスのいずれかであり得る。
【0064】
好適な有機顔料の非限定的な例は、アゾ、ジスアゾ、トリスアゾ、縮合アゾ、アゾレーキ、ナフトール、アントラピリミジン、ベンズイミダゾロン、カルバゾール、ジケトピロロピロール、フラバントロン、インジゴイド、イソインドリノン、イソインドリン、イソビオラントロン、金属錯体、オキサジン、ペリレン、ペリノン、ピラントロン、ピラゾロキナゾロン、キノフタロン、トリアリールカルボニウム、トリフェンジオキサジン、キサンテン、チオインジゴ、インダントロン、イソインダントロン、アンタントロン、アントラキノン、イソジベンズアントロン、トリフェンジオキサジン、キナクリドン、又はフタロシアニン顔料系列、及び/又は酸性、塩基性及び媒染染料のレーキ、及びカーボンブラックからの少なくとも1つの顔料である。ある特定の実施形態では、有機顔料は、フタロシアニン、例えば、銅フタロシアニン及び/又はその核ハロゲン化誘導体、モノアゾ、ジスアゾ、インダントロン、アントラントロン、キナクリドン、ジケトピロロピロール、ペリレン、又はカーボンブラックのうちの少なくとも1つである。
【0065】
ある特定の実施形態では、無機粒子状固体としては、増量剤及び/若しくは充填剤、例えば、タルク、カオリン、モンモリロナイト、例えば、ベントナイト、ヘクトライト、サポナイト、マイカ、シリカ、バライト、チョーク、難燃性充填剤、例えば、アルミナ三水和物、天然水酸化マグネシウム、若しくはブルーサイト、粒状セラミック材料、例えば、アルミナ、シリカ、ジルコニア、チタニア、窒化ケイ素、窒化ホウ素、炭化ケイ素、炭化ホウ素、混合ケイ素-アルミニウム窒化物、及び/若しくは金属チタネート、粒子状磁性材料、例えば、鉄及びクロムなどの遷移金属の磁性酸化物(例えば、ガンマ-Fe、Fe、及びコバルトドープ酸化鉄)、酸化カルシウム、フェライト、例えば、バリウムフェライト、並びに/又は金属粒子、例えば、鉄、ニッケル、コバルト、銅、及びこれらの合金、のうちの少なくとも1つが挙げられ得る。
【0066】
好適な無機顔料の非限定的な例としては、金属酸化物、例えば、二酸化チタン(例えば、ルチル二酸化チタン及び/若しくは表面コーティングされた二酸化チタン)、異なる色(例えば、黄色及び黒色)の酸化チタン、異なる色(例えば、黄色、赤色、茶色、及び黒色)の酸化鉄、亜鉛酸化物、ジルコニウム酸化物、アルミニウム酸化物、オキシ金属化合物(例えば、バナジン酸ビスマス、アルミン酸コバルト、スズ酸コバルト、亜鉛酸コバルト、クロム酸亜鉛、及びマンガン、ニッケル、チタン、クロム、アンチモン、マグネシウム、コバルト、鉄、及びアルミニウムの混合酸化物)、プルシアンブルー、ベルミリオン、ウルトラマリン、リン酸亜鉛、硫化亜鉛、カルシウム及び亜鉛のモリブデン酸塩及びクロム酸塩、金属効果顔料(例えば、アルミニウムフレーク、銅、及び銅/亜鉛合金)、又は真珠光沢フレーク(例えば、炭酸鉛及びオキシ塩化ビスマス)、のうちの少なくとも1つが挙げられる。
【0067】
ある特定の実施形態では、本明細書において説明される組成物に含まれ得る熱可塑性ポリマー(例えば、熱可塑性樹脂)としては、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリレート、セルロース、又はセルロース誘導体のうちの少なくとも1つが挙げられ得る。これらの組成物は、溶融混合法又は乾燥固体ブレンド法などのいくつもの方法で調製され得る。
【0068】
好適な熱可塑性樹脂の非限定的な例としては、(低密度、直鎖低密度、若しくは高密度)ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate、PET)、ポリブチレンテレフタレート(polybutylene terephthalate、PBT)、ナイロン6、ナイロン6-6、ナイロン6-12、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン4-6、ポリメチルメタクリレート、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル(PVC)、塩素化ポリ塩化ビニル、熱可塑性ポリウレタン、エチレン酢酸ビニル(EVA)、Victrex PEEK(商標)ポリマー(例えば、オキシ-1,4-フェニレノエオキシ-1,4-フェニレン-カルボニル-1、及び/若しくは4-フェニレンポリマー)、並びにアクリロニトリルブタジエンスチレンポリマー(acrylonitrile butadiene styrene polymer、ABS)、並びに/又は上記材料及び/若しくは他の熱可塑性ポリマーの様々な他のポリマーブレンド若しくは合金が挙げられる。
【0069】
ある特定の実施形態では、組成物は、組成物の総重量に基づいて、1~95重量%、例えば、2重量%(例えば、3重量%、4重量%、5重量%、6重量%、7重量%、8重量%、9重量%、10重量%、12重量%、14重量%、16重量%、18重量%、20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、40重量%、又は45重量%)~90重量%(例えば、85重量%、80重量%、75重量%、70重量%、65重量%、60重量%、55重量%、又は50重量%)の粒子状固体を含有し得る。例えば、固体が、有機顔料などの有機材料である組成物は、組成物の総重量に基づいて、15重量%~60重量%の固体を含有し得、固体が、無機顔料、充填剤、又は増量剤などの無機材料である組成物は、組成物の総重量に基づいて、40重量%~90重量%の固体を含有し得る。
【0070】
本明細書において説明される組成物は、1つ以上の他の配合成分、例えば、防曇剤、核剤、発泡剤、難燃剤、加工助剤、界面活性剤、熱安定剤、UV吸収剤、香料、抗菌剤、殺生物剤、耐衝撃性改良剤、酸化防止剤、帯電防止剤、カップリング剤、発泡剤、離型剤、潤滑剤(外部及び内部)、可塑剤、スリップ剤、UV安定剤、粘度降下剤、本主題のポリマー以外の分散剤、及び脱泡剤のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0071】
本明細書において説明される熱可塑性ポリマー/樹脂組成物は、熱可塑性組成物を調製するための既知の任意の方法によって、調製され得る。したがって、例えば、固体の熱可塑性ポリマーと分散剤とを、任意の順序で混合し、次いで、その混合物を機械的処理に供して、例えば、バンバリー混合、リボンブレンディング、二軸押出、双ロールミリング、バスコニーダー(Buss co-kneader)中でのコンパウンディング、又は同様の装置によって、固体の粒子を適切なサイズに低減させ得る。
【0072】
ある特定の実施形態では、本明細書において説明される組成物は、(a)0.1~50重量%、又は0.25~35重量%、及び0.5~30重量%の上で説明されるポリマー、(b)最大90重量%(例えば、0超~90重量%、又は0.1重量%~90重量%、又は1重量%~90重量%)の非晶質ポリ-α-オレフィン、例えば、ポリエチレン/ポリプロピレン混合物、(c)最大90重量%(例えば、0超~90重量%、又は0.1重量%~90重量%、又は1重量%~90重量%)のワックス、例えば、ポリオレフィンワックス、例えば、ポリエチレンワックス、(d)最大30重量%(例えば、0超~30重量%、又は0.1重量%~30重量%、又は1重量%~30重量%)の結晶性ポリオレフィン、及び(e)最大75重量%(例えば、0超~75重量%、又は0.1重量%~75重量%、又は1重量%~75重量%)の水素化ヒマシ油ワックス、を含み得る。ある特定の実施形態では、(b)又は(c)の少なくとも1つは、少なくとも0.1重量%の量で存在する。
【0073】
本明細書において説明されるある特定の実施形態は、理論的には、任意の特定の組成物の総重量に基づいて、100重量%を超える、本明細書において説明される組成物の全成分の総重量%を含むと解釈され得ることに留意されたい。当業者は、組成物が組成物の全成分の100重量%超を含むことは不可能であり、よって、全成分の100重量%超を含むと認識され得る任意の実施形態は、本明細書において説明される主題から具体的に除外されることを理解するであろう。例えば、組成物が、組成物の総重量に基づいて、(他の可能な成分の中で)最大90重量%の量で存在する非晶質ポリ-α-オレフィン、最大90重量%の量で存在するワックスを含み得る場合、各成分の量は、組成物の全成分の総重量%が、100重量%を超えないように選択されよう。
【0074】
ポリオレフィンワックス(例えば、ポリエチレンワックスなど)は、担体、助剤、又は相乗剤であり得る。
【0075】
ある特定の実施形態では、微粉化組成物が提供される。一実施形態では、(i)非晶質ポリ-α-オレフィン、又は(ii)ポリオレフィンワックスのうちの少なくとも1つを含む組成物は、1mm以下、又は0.5mm以下、又は0.1mm以下、又は0.05mm以下の直径を有する少なくとも10重量%の粒径画分を有する。ある特定の実施形態では、粒径画分は、50nm~1mm、又は100nm~0.05mmであり得る。
【0076】
本明細書において説明されるポリマーの好適な使用は、粉末粒子形態及び/又は繊維粒子形態の分散性固体の製造、特に分散性顔料又はポリマー充填剤の製造においてあり得るが、その粒子は分散剤でコーティングされている。有機固体及び無機固体の両方のこの種のコーティングは、例えば、欧州特許第A-0 270 126号に説明されているような既知の方法で行われる。この場合、溶媒又はエマルジョン媒体は、除去され得るか、又は混合物中に残留して、ペーストを形成し得る。これらのペーストは、通常の市販製品であり、更に結合剤画分、更にまた助剤及び添加剤を含み得る。顔料の場合、例えば、本明細書において説明されるポリマーを顔料懸濁液に添加することによって、顔料の合成中若しくは合成後に、又は顔料仕上げの操作中若しくは操作後に、顔料表面をコーティングすることが可能である。この仕方で前処理された顔料は、未処理の顔料と比較して、組み込みが非常に容易であり、粘度、凝集、及び光沢性能が向上し、色強度が高いことが注目に値する。
【0077】
本明細書において説明されるポリマーの他の好適な用途としては、塗料、インク、及びコーティングのための分散剤、又はポリマーが分散剤として好適に使用され得る任意の他の製品における分散剤が挙げられる。
【0078】
本明細書において説明される組成物は、「マスタバッチ」として処理され得、加工物品を形成するときに追加のポリマー材料に添加され得る。追加のポリマー材料と混合される「マスタバッチ」の量は、ポリマー材料及び粒子状固体の性質に応じて広い範囲にわたって変化し得る。異なる実施形態では、「マスタバッチ」の量は、最終プラスチック物品の総重量に基づいて、0.5~50%、又は10~50%、又は20~50%であり得る。「マスタバッチ」を調製する際に使用されるプラスチック材料は、「マスタバッチ」が添加される更なるプラスチック材料と異なり得るが、所望の最終材料に応じて同じであり得る。「マスタバッチ」の使用は、プラスチック材料が、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレン/ポリプロピレンジエン、エチルビニルアセテート、ポリクロロプレン、塩素化ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、天然及び合成ゴム、例えば、ブタジエン系エラストマー(例えば、ブタジエン-スチレン、ブタジエン-アクリロニトリルゴム、ポリブタジエン)、ポリイソプレン又は天然ゴムを含む場合に特に有用である。
【実施例
【0079】
実施例
【0080】
本明細書で開示される主題は、以下の実施例を参照してより良好に理解され得るが、これらの実施例は、本明細書で開示される主題を更に例示するために記載されるにすぎない。例示的な実施例は、いかなる様式でも主題を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0081】
比較例1(「CE1」):ベヘン酸(178.94g)及びヘキサメチレンジアミン(30.53g)(50℃に予熱した)を、500mLの3つ口丸底フラスコに投入し、その内容物をオーバーヘッド撹拌及び窒素雰囲気下で140℃まで加熱する。ジルコニウムIVブトキシド(tert-ブタノール中約80%)(0.6g)を添加し、反応温度を180℃まで上昇させ、5時間保持する。硬質のオフホワイトの固体(180g)が得られる。IR分析は、1644cm-1、1634cm-1にアミドのピークを示し、3312cm-1にアミドN-H伸縮を示す。比較例1は、米国特許出願公開第2011/0041730(A1)号明細書の実施例9であり、この実施例に関する全ての情報は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0082】
実施例1(「EX1」):77.33部の二量体脂肪酸(KratonからのUnidyme(登録商標)18)、20.55部のヘキサメチレンジアミン、及び25.28部のステアリン酸を、窒素下で反応容器に投入し、120℃に15分間加熱した。次いで、0.64部のジルコニウムブトキシド溶液(80%ブタノール)を投入し、反応温度を180時間にわたって180℃に上昇させた。次いで、反応を停止させ、材料を注ぎ出し、冷却して、黄色固体を得、これをコーヒーグラインダで粉砕し、1.7mmの篩で篩い分けて黄色粉末を得た。
【0083】
実施例2(「EX2」):70.13部の二量体脂肪酸(KratonからのUnidyme(登録商標)18)、20.92部のヘキサメチレンジアミン、及び34.14部のステアリン酸を、窒素下で反応容器に投入し、60℃まで15分間加熱した。次いで、0.37部のジルコニウムブトキシド溶液(80%ブタノール)を投入し、反応温度を180時間にわたって180℃まで上昇させた。次いで、反応を停止させ、材料を注ぎ出し、冷却して、黄色固体を得、これをコーヒーグラインダで粉砕し、1.7mmの篩で篩い分けて黄色粉末を得た。
【0084】
実施例3(「EX3」):82.54部の二量体脂肪酸(KratonからのUnidyme(登録商標)18)、20.62部のヘキサメチレンジアミン、及び20.53部のステアリン酸を、窒素下で反応容器に投入し、60℃まで15分間加熱した。次いで、0.35部のジルコニウムブトキシド溶液(80%ブタノール)を投入し、反応温度を180時間にわたって180℃まで上昇させた。次いで、反応を停止させ、材料を注ぎ出し、冷却して、黄色固体を得、これをコーヒーグラインダで粉砕し、1.7mmの篩で篩い分けて黄色粉末を得た。
【0085】
実施例4(「EX4」):69.49部の二量体脂肪酸(KratonからのUnidyme(登録商標)14)、10.84部のエチレンジアミン、34.67部のステアリン酸を、窒素下で反応容器に投入し、60℃まで15分間加熱した。次いで、0.36部のジルコニウムブトキシド溶液(80%ブタノール)を投入し、反応温度を180時間にわたって180℃まで上昇させた。次いで、反応を停止させ、材料を注ぎ出し、冷却して、黄色固体を得、これをコーヒーグラインダで粉砕し、1.7mmの篩で篩い分けて黄色粉末を得た。
【0086】
試験
【0087】
7.5部の上記各実施例を、30部の青色顔料(BASFからのHeliogen Blue K6911)及び62.5部のナイロン6(DSMからのAkulon k222-D)と、WAB管状ミキサで混合して、押出用の試料を調製した。次いで、これらの試料を、16mm二軸押出機において、スクリュー速度100rpm及び供給量12%(EX4及びEX5については8%)で、以下の温度プロファイル、すなわち、ゾーン1(供給)では170℃、ゾーン2では230℃、ゾーン3では240℃、ゾーン4では240℃、及びゾーン5(ダイ)では240℃で押出して、マスタバッチを製造した。次いで、各マスタバッチを、ナイロン6(DSMからのAkulon k222-D)及び二酸化チタン白色顔料(HuntsmanからのTioxide(登録商標)R-FC5)中にレットダウンして、ナイロン6中の0.5%青色顔料及び5%白色顔料の最終組成物を得、これは、Betol一軸スクリュー押出機で行い、次いで、BOY15Sを使用して射出成形してカラーチップを製造した。次いで、各カラーチップの色強度が、100%に設定された添加剤なしで調製されたカラーチップに対するデータカラー分光光度計(反射率)で測定され、その結果が、以下の表1に提供される。
【表1】
【0088】
上で説明されるように、比較例1は、本質的に非ポリマーであるが、実施例1~4は、本質的にポリマーであり、説明される組成物中の分散剤として主題のポリマーを含む。実施例1及び2は、色強度において比較例1を超える決定的な改善を示すが、実施例3及び4は、比較例1とほぼ同じであるか、又は比較例1よりもわずかに劣ると考えられ得る。しかしながら、本明細書に説明される主題の1つの目的は、克服すべき規制上のハードルがより少なくあり得るポリマー/組成物を提供することであり、これは、少なくとも部分的には、非ポリマー分散剤よりも規制上のハードルが少ないポリマー分散剤を提供することによって達成され得る。規制上のハードルが少ないことは、物質を、より迅速かつ低コストで市場に出すことができることを意味する。
【0089】
実施例を除いて、又は別様に文脈によって他に明示的に示されるか若しくは必要とされる場合を除いて、材料の量、反応条件、分子量、炭素原子の数などを明記する本説明における全ての数量は、「約」という語によって修飾されるものと理解されるべきである。本明細書に記載される上限及び下限の量、範囲、及び比の限界は、独立して組み合わされ得、開示された範囲内の任意の量は、代替的な実施形態において、より狭い範囲の最小値又は最大値を提供することが企図されると理解されるべきである(但し、当然ながら、範囲の最小量は、同じ範囲の最大量よりも低くなければならない)。同様に、本明細書に開示の主題の各要素についての範囲及び量は、他の要素のいずれかについての範囲又は量と一緒に使用され得る。
【0090】
本主題を例示する目的のために、ある特定の代表的な実施形態及び詳細を示してきたが、本主題の範囲から逸脱することなく様々な変更及び修正を成し得ることは当業者には明らかであろう。これに関して、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲によってのみ限定されるべきである。
【国際調査報告】