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特表2024-502241動圧縮機のサージ制御システム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-18
(54)【発明の名称】動圧縮機のサージ制御システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   F04D 17/12 20060101AFI20240111BHJP
   F04D 27/02 20060101ALI20240111BHJP
【FI】
F04D17/12
F04D27/02 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023537328
(86)(22)【出願日】2021-12-10
(85)【翻訳文提出日】2023-08-18
(86)【国際出願番号】 US2021062800
(87)【国際公開番号】W WO2022140079
(87)【国際公開日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】17/247,724
(32)【優先日】2020-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/247,725
(32)【優先日】2020-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511158339
【氏名又は名称】コープランド エルピー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ペレヴォースチコフ,マイケル エム.
(72)【発明者】
【氏名】スワロー,マシュー ジェイ.
【テーマコード(参考)】
3H021
3H130
【Fターム(参考)】
3H021AA02
3H021BA20
3H021BA25
3H021CA07
3H021DA04
3H021EA02
3H021EA05
3H021EA11
3H021EA12
3H021EA20
3H130AA14
3H130AB27
3H130AB42
3H130AC11
3H130BA03G
3H130DD01Z
3H130DF01X
3H130DF03X
3H130ED05G
(57)【要約】
システムが、動圧縮機、可変周波数ドライブ(VFD)、及びコントローラを含む。動圧縮機は、動圧縮機内で回転可能に支持されるドライブシャフトを有するモータと、ドライブシャフトに接続され、ドライブシャフトの回転の際に作動流体を圧縮するように動作可能な圧縮機構とを含む。VFDは、モータに供給される電流を感知するように構成されたセンサを含む。コントローラは、モータに接続され、プロセッサ及びメモリを含む。メモリは、作動流体を圧縮ようにVFDを使用してモータを動作させ、VFDからモータへの電流を表す信号を受信し、VFDからモータへの電流を表す受信された信号に少なくとも部分的に基づいてサージイベントがいつ発生したかを決定するようにプロセッサをプログラムする命令を格納する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動圧縮機であって:
前記動圧縮機内に回転可能に支持されたドライブシャフトを有するモータ;及び
前記ドライブシャフトに接続され、前記ドライブシャフトの回転の際に作動流体を圧縮するように動作可能な圧縮機構;を有する、
動圧縮機と;
前記モータに供給される電流を感知するように構成されたセンサを含む可変周波数ドライブ(VFD)と;
前記モータに接続されたコントローラであって、前記コントローラはプロセッサ及びメモリを有し、前記メモリは:
前記作動流体を圧縮するように前記VFDを使用して前記モータを動作させ;
前記VFDから前記モータへの前記電流を表す信号を受信し;
前記VFDから前記モータへの前記電流を表す受信された前記信号の少なくとも一部に基づいて、サージイベントがいつ発生したかを決定するように;
前記プロセッサをプログラムする命令を格納する、
コントローラと;を有する、
システム。
【請求項2】
前記メモリは、前記VFDから前記モータへの前記電流を表す前記受信された信号に基づいて、以前の電流と現在の電流との間の差を決定することによって、前記サージイベントが発生したことを決定するように前記プロセッサをプログラムするさらなる命令を格納する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記メモリは、前記VFDから前記モータへの前記現在の電流を表す信号を前記VFDから受信する前に前記プロセッサによって受信された前記VFDから前記モータへの前記電流を表す複数の信号を平均することによって前記以前の電流を決定するように前記プロセッサをプログラムするさらなる命令を格納する、
請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記メモリは、前記差がサージ閾値を超えたときに前記サージイベントが発生したことを決定するように前記プロセッサをプログラムするさらなる命令を格納する、
請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記サージ閾値は、可変閾値である、
請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記モータの速度を検出するように構成された速度センサをさらに有し、前記メモリは、前記現在の電流を表す前記信号が受信されたときに、前記モータの検出された前記速度に少なくとも部分的に基づいて前記サージ閾値を決定するように前記プロセッサをプログラムするさらなる命令を格納する、
請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記メモリは、前記以前の電流と前記現在の電流との間の前記差に基づいて前記サージの大きさを決定するように前記プロセッサをプログラムするさらなる命令を格納する、
請求項2に記載のシステム。
【請求項8】
前記メモリは、前記サージイベントの発生の指示及び前記メモリ内の前記サージの決定された前記大きさを格納するように前記プロセッサをプログラムするさらなる命令を格納する、
請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記動圧縮機は遠心圧縮機であり、前記圧縮機構は羽根車である、
請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記システムはHVACシステムであり、前記作動流体は冷媒である、
請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
モータと、前記モータに接続され、前記モータの作動の際に作動流体を圧縮するように動作可能な圧縮機構とを含む、動圧縮機のためのコントローラであって、前記コントローラは:
プロセッサと;
メモリであって、前記メモリは:
前記作動流体を圧縮するように前記モータを動作させ;
前記モータを動作させるために前記モータに供給される電流を表す信号を受信し;

前記モータに供給された前記電流を表す受信された前記信号に少なくとも部分的に基づいて、サージイベントがいつ発生したかを決定する;
ように、前記プロセッサをプログラムする命令を格納する、メモリと;
を有する、
コントローラ。
【請求項12】
前記メモリは、前記モータに供給された前記電流を表す受信された前記信号に基づいて、以前の電流と現在の電流との間の差を決定することによって、前記サージイベントが発生したことを決定するように前記プロセッサをプログラムするさらなる命令を格納する、
請求項11に記載のコントローラ。
【請求項13】
前記メモリは、前記モータに供給される前記現在の電流を表す信号を受信する前に、前記プロセッサによって受信された前記モータに供給された前記電流を表す複数の信号を平均することによって、前記プロセッサをプログラムするさらなる命令を格納する、
請求項12に記載のコントローラ。
【請求項14】
前記メモリは、前記差がサージ閾値を超えたときに前記サージイベントが発生したことを決定するように前記プロセッサをプログラムするさらなる命令を格納する、
請求項12に記載のコントローラ。
【請求項15】
前記サージ閾値は可変閾値であり、前記メモリは、前記現在の電流を表す前記信号が受信されたときに前記モータの検出された速度に少なくとも部分的に基づいて前記サージ閾値を決定するように前記プロセッサをプログラムするさらなる命令を格納する、
請求項14に記載のコントローラ。
【請求項16】
前記メモリは:
前記以前の電流と前記現在の電流との間の前記差に基づいて前記サージの大きさを決定し;
前記サージイベントの前記発生の指示と、前記サージの決定された前記大きさを前記メモリに格納する;
ように前記プロセッサをプログラムするさらなる命令を格納する、
請求項12に記載のコントローラ。
【請求項17】
モータと、前記モータに接続され、前記モータの動作の際に作動流体を圧縮するように動作可能な圧縮機構とを含む動圧縮機におけるサージイベントの発生を検出する方法であって、前記方法は:
前記作動流体を圧縮するように前記モータを動作させるステップと;
前記モータを動作させるために前記モータに供給される電流を表す信号を受信するステップと;
前記モータに供給される前記電流を表す受信された前記信号とサージ閾値のみに基づいて、サージイベントがいつ発生したかを決定するステップと;を含む、
方法。
【請求項18】
サージイベントがいつ発生したかを決定するステップは:
前記モータに供給される前記電流を表す前記受信された信号に基づいて、以前の電流と現在の電流との間の差を決定するステップと;
前記差が前記サージ閾値を超えたときに前記サージイベントが発生したと決定するステップと;を含む、
請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記以前の電流を決定することは、前記モータに供給される前記現在の電流を表す信号を受信する前に、前記プロセッサによって受信される前記モータに供給される前記電流を表す複数の前記信号を平均することを含む、
請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記サージ閾値は可変閾値であり、サージイベントがいつ発生したかを決定するステップは、前記現在の電流を表す前記信号が受信されたときに前記モータの検出された速度に少なくとも部分的に基づいて前記サージ閾値を決定するステップを含む、
請求項18に記載の方法。
【請求項21】
動圧縮機であって:
前記動圧縮機内に回転可能に支持されたドライブシャフトを有するモータ;及び
前記ドライブシャフトに接続され、前記ドライブシャフトの回転の際に作動流体を圧縮するように動作可能な圧縮機構;
を有する、動圧縮機と;
前記モータに接続されたコントローラであって、前記コントローラはプロセッサ及びメモリを含み、前記メモリは:
予測される最小サージ速度足す制御マージンより大きいモータ速度で前記作動流体を圧縮するように前記モータを動作させ;
サージイベントがいつ発生したかを決定し;
前記プロセッサが発生したと決定した各サージイベントの指示を前記メモリに格納し;
前記サージイベントが発生したと前記プロセッサが決定したときに保護アクションを実行するかどうかを決定する;
ように前記プロセッサをプログラムする命令を格納する、
コントローラと;を有する、
システム。
【請求項22】
前記保護アクションは、警告を生成することを含む、
請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記メモリは、前記メモリに格納された指示を有するサージイベントの数が発生警報限界以上であるときに、前記警告として発生警告を生成することを決定するように前記プロセッサをプログラムするさらなる命令を格納する、
請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記メモリは、前記メモリに格納された指示を有するサージイベントの数が前記発生警報限界より大きい故障限界以上であるときに、前記警告として故障警告を生成することを決定するように前記プロセッサをプログラムするさらなる命令を格納する、
請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記メモリは、前記プロセッサが前記故障警告を生成することを決定するたびに前記制御マージンを増加させるように前記プロセッサをプログラムするさらなる命令を格納する、
請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
各サージイベントの前記指示は、前記サージイベントの大きさの指示を含み、前記メモリは、前記メモリに格納された決定された前記サージイベントの前記大きさの合計が、深刻度警報限界以上であるときに、前記警告として深刻度警告を生成するように前記プロセッサをプログラムするさらなる命令を格納する、
請求項22に記載のシステム。
【請求項27】
前記メモリは、前記メモリに格納された決定された前記サージイベントの前記大きさの合計が、前記深刻度警報限界より大きい深刻度故障限界以上であるときに、前記警告として故障警告を生成するように前記プロセッサをプログラムするさらなる命令を格納する、
請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
前記メモリは、前記プロセッサが前記故障警告を生成することを決定するたびに前記制御マージンを増加させるように前記プロセッサをプログラムするさらなる命令を格納する、
請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
前記システムはHVACシステムであり、前記作動流体は冷媒であり、前記メモリは:
前記サージイベントが発生すると決定されたときの前記モータの速度が、前記予測される最小サージ速度、前記制御マージン、及びチャージマージンの合計を超えたときに、前記警告を生成するように決定し;
前記プロセッサが前記警告を生成することを決定したときに、前記制御マージンを増加させ;
ように前記プロセッサをプログラムするさらなる命令を格納する、
請求項22に記載のシステム。
【請求項30】
前記警告は、遠隔に位置するシステムコントローラに送信される警告信号を含む、
請求項22に記載のシステム。
【請求項31】
前記保護アクションは、前記モータを停止することを含み、
各サージイベントの前記指示は、前記サージイベントの大きさの指示を含み、前記メモリは:
前記プロセッサが発生したと決定したサージイベントの数が、発生停止閾値以上であるとき;又は
前記メモリに格納された決定された前記サージイベントの前記大きさの合計が、累積停止閾値以上であるとき;
前記モータを停止することを決定するように前記プロセッサをプログラムするさらなる命令を格納する、
請求項21に記載のシステム。
【請求項32】
前記システムは、さらにアンロード装置を含み、前記保護アクションは、決定された前記サージイベントの深刻度を低減するために前記圧縮機をアンロードするように前記アンロード装置を作動させることを含む、
請求項21に記載のシステム。
【請求項33】
モータと、前記モータに接続され、前記モータの動作の際に作動流体を圧縮するように動作可能な圧縮機構とを含む動圧縮機のためのコントローラであって、前記コントローラは:
プロセッサと;
メモリと;を有し、前記メモリは:
予測される最小サージ速度足す制御マージンより大きいモータ速度で前記作動流体を圧縮するように前記モータを動作させ;
サージイベントがいつ発生したかを決定し;
前記プロセッサが発生したと決定した各サージイベントの指示を前記メモリに格納し;
前記サージイベントが発生したと前記プロセッサが決定したときに保護アクションをとるかどうかを決定する;
ように前記プロセッサをプログラムする命令を格納する、
コントローラ。
【請求項34】
前記メモリは:
前記メモリに格納された指示を有するサージイベントの数が発生警報限界以上であるときに発生警告を生成すること;
前記メモリに格納された指示を有するサージイベントの数が発生警報限界より大きい故障限界以上であるときに故障警告を生成すること;
前記プロセッサが前記故障警告を生成することを決定するたびに前記制御マージンを増加させること;及び
前記プロセッサが発生したと決定したサージイベントの数が発生停止閾値以上であるときに前記モータを停止すること;
によって、前記サージイベントが発生したと前記プロセッサが決定したときに保護アクションをとるか否かを決定するように前記プロセッサをプログラムする命令を格納する、
請求項33に記載のコントローラ。
【請求項35】
各サージイベントの前記指示は、前記サージイベントの大きさの指示を含み、前記メモリは:
前記メモリに格納された決定された前記サージイベントの前記大きさの合計が深刻度警報限界以上であるときに深刻度警告を生成すること;
前記メモリに格納された決定された前記サージイベントの前記大きさの合計が前記深刻度警報限界より大きい深刻度故障限界以上であるときに故障警告を生成すること;
前記プロセッサが前記故障警告を生成することを決定するたびに前記制御マージンを増加させること;及び
前記メモリに格納された決定された前記サージイベントの前記大きさの合計が累積停止閾値以上であるときに前記モータを停止すること;
によって、前記サージイベントが発生したと前記プロセッサが決定したときに保護アクションをとるか否かを決定するように前記プロセッサをプログラムするさらなる命令を格納する、
請求項33に記載のコントローラ。
【請求項36】
前記動圧縮機はHVACシステムの一部であり、前記作動流体は冷媒であり、前記メモリは、サージイベントが発生したと決定されたときの前記モータの速度が前記予測される最小サージ速度、前記制御マージン、及びチャージマージンの合計を超えたときにチャージ警告を生成することを決定することによって、前記サージイベントが発生したと前記プロセッサが決定したときに保護アクションをとるか否かを決定するように前記プロセッサをプログラムするさらなる命令を格納する、
請求項33に記載のコントローラ。
【請求項37】
モータ、及び前記モータに接続され、前記モータの動作の際に作動流体を圧縮するように動作可能な圧縮機構を含む動圧縮機を制御するための方法であって、前記方法は:
予測される最小サージ速度足す制御マージンより大きいモータ速度で前記作動流体を圧縮するように前記モータを動作させるステップと;
サージイベントがいつ発生したかを決定するステップと;
前記プロセッサが発生したと決定した各サージイベントの指示を格納するステップと;
サージイベントが発生したと前記プロセッサが決定したときに保護アクションをとるか否かを決定するステップと;を含む、
方法。
【請求項38】
サージイベントが発生したと前記プロセッサが決定したときに保護アクションをとるか否かを決定するステップは:
前記メモリに格納された指示を有するサージイベントの数が発生警報限界以上であるときに発生警告を生成するステップ;
前記メモリに格納された指示を有するサージイベントの数が前記発生警報限界より大きい故障限界以上であるときに故障警告を生成するステップ;
前記プロセッサが前記故障警告を生成することを決定するたびに前記制御マージンを増加させるステップ;及び
前記プロセッサが発生したと決定したサージイベントの数が発生停止閾値以上であるときに前記モータを停止するステップ;を含む、
請求項37に記載の方法。
【請求項39】
サージイベントが発生したと前記プロセッサが決定したときに保護アクションをとるか否かを決定するステップは:
前記メモリに格納された決定された前記サージイベントの前記大きさの合計が深刻度警報限界以上であるときに深刻度警告を生成するステップ;
前記メモリに格納された決定された前記サージイベントの前記大きさの合計が前記深刻度警報限界より大きい深刻度故障限界以上であるときに故障警告を生成するステップ;
前記プロセッサが前記故障警告を生成することを決定するたびに前記制御マージンを増加させるステップ;及び
前記メモリに格納された決定された前記サージイベントの前記大きさの合計が累積停止閾値以上であるときに前記モータを停止するステップ;を含む、
請求項37に記載の方法。
【請求項40】
前記動圧縮機はHVACシステムの一部であり、前記作動流体は冷媒であり、サージイベントが発生したと前記プロセッサが決定したときに保護アクションをとるか否かを決定するステップは、前記サージイベントが発生したと決定されたときの前記モータの速度が前記予測される最小サージ速度、前記制御マージン、及びチャージマージンの合計を超えたときにチャージ警告を生成することを決定するステップを含む、
請求項37に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年12月21日に出願された米国特許出願第17/247,724号及び第17/247,725号の優先権を主張しており、これらの開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示の分野は、概して制御システムに関し、特に、動圧縮機を含む機械の制御システムに関する。
【背景技術】
【0003】
遠心圧縮機を含む動圧縮機(Dynamic compressors)は、HVACのような多くのアプリケーションで使用されている。遠心圧縮機は、ガスフォイル軸受によって支持される圧縮機構又は羽根車ステージ(impeller stages)間のモータに動作可能に接続されたドライブシャフトを有する。ドライブシャフトは、羽根車がHVACシステムで選択された圧力に冷媒を圧縮するためにある回転速度で回転するように羽根車ステージ間に位置することができる。圧縮機軸受は通常、圧縮機軸受とドライブシャフトとの間の摩擦を低減するための1つ以上の特徴(features)を備える。シャフトが十分な速く回転すると、接触が生じないように、ガスがフォイルをシャフトから押し離す。シャフトとガスフォイル軸受は、ガスの高圧によって分離され、この高圧は、粘性効果によって軸受にガスを引き込む回転によって発生する。ガスギャップを開始するには、ガスフォイル軸受に対するシャフトの高速が必要であり、これが達成されると、接触は発生しない。これらの軸受には、軽量化、高速及び高温での安定した動作、高速での低動力損失、及びほとんどメンテナンスのない長寿命など、他の軸受に対していくつかの利点がある。
【0004】
圧縮機サージイベントは、圧縮機及び圧縮機コンポーネント(軸受を含む)の摩耗を加速させる。サージは、圧縮機の吐出時にシステム圧力を克服するために圧縮機によって発生するヘッド(head(揚程))が不十分な場合に発生する可能性がある動圧縮機の特性動作である。サージが発生すると、圧縮機の出力圧力が大幅に低下し、圧縮機内の流れの逆転をもたらす。動圧縮機がサージするとき、羽根車を通るガスの流れの実際の逆転がある。サージは通常、多段圧縮機の1つの段で始まり、非常に急速に発生することがある。圧縮機は、低い動作速度のため、起動の間又は停止の間に特にサージイベントの影響を受けやすくなる。サージイベントの深刻度(severity)とそれが引き起こす損傷は、圧縮機の速度とともに増加する。
【0005】
この背景技術のセクションは、以下に説明及び/又は請求項に記載する本開示の様々な態様に関連する可能性のある技術の様々な態様を読者に紹介することを目的としている。この議論は、本開示の様々な態様をよりよく理解するために、読者に背景情報を提供するのに役立つと考えられる。したがって、これらの記述は、先行技術の承認としてではなく、この観点から読まれるべきであることを理解すべきである。
【発明の概要】
【0006】
本開示の一態様は、動圧縮機、可変周波数ドライブ(VFD)、及びコントローラを含むシステムである。動圧縮機は、動圧縮機内で回転可能に支持されるドライブシャフトを有するモータと、ドライブシャフトに接続され、ドライブシャフトの回転の際に作動流体を圧縮するように動作可能な圧縮機構とを含む。VFDは、モータに供給される電流を感知するように構成されたセンサを含む。コントローラは、モータに接続され、プロセッサとメモリを含む。メモリは、VFDを使用して作動流体を圧縮するようにモータを動作させ、VFDからモータへの電流を表す信号を受信し、VFDからモータへの電流を表す受信された信号に少なくとも部分的に基づいてサージイベントがいつ発生したかを決定するようにプロセッサをプログラムする命令を格納する。
【0007】
別の態様は、モータと、モータに接続され、モータの動作の際に作動流体を圧縮するように動作可能な圧縮機構とを含む動圧縮機のためのコントローラである。コントローラは、プロセッサとメモリとを含む。メモリは、作動流体を圧縮するようにモータを動作させ、モータを動作させるようにモータに供給される電流を表す信号を受信し、モータに供給される電流を表す受信された信号に少なくとも部分的に基づいてサージイベントがいつ発生したかを決定するようにプロセッサをプログラムする命令を格納する。
【0008】
別の態様は、モータと、モータに接続され、モータの動作の際に作動流体を圧縮するように動作可能な圧縮機構とを含む動圧縮機におけるサージイベントの発生を検出する方法である。この方法は、作動流体を圧縮するようにモータを動作させるステップと、モータを動作させるためにモータに供給される電流を表す信号を受信するステップと、モータに供給される電流を表す受信された信号とサージ閾値のみに基づいてサージイベントがいつ発生したかを決定するステップとを含む。
【0009】
別の態様は、動圧縮機とコントローラを含むシステムである。動圧縮機は、動圧縮機内で回転可能に支持されるドライブシャフトを有するモータと、ドライブシャフトに接続され、ドライブシャフトの回転の際に作動流体を圧縮するように動作可能な圧縮機構とを含む。コントローラは、モータに接続され、プロセッサとメモリとを含む。メモリは、予測される最小サージ速度足す(plus)制御マージンよりも大きいモータ速度で作動流体を圧縮するようにモータを動作させ、サージイベントがいつ発生したかを決定し、プロセッサが発生したと決定した各サージイベントの指示(indication)をメモリに格納し、サージイベントが発生したとプロセッサが決定したときに保護アクション(protective action)を実行するかどうかを決定するようにプロセッサをプログラムする命令を格納する。
【0010】
別の態様は、モータと、モータに接続され、モータの動作の際に作動流体を圧縮するように動作可能な圧縮機構とを含む動圧縮機のコントローラである。コントローラは、プロセッサとメモリとを含む。メモリは、予測される最小サージ速度足す制御マージンよりも大きいモータ速度で作動流体を圧縮するようにモータを動作させ、サージイベントがいつ発生したかを決定し、プロセッサが発生したと決定した各サージイベントの指示をメモリに格納し、サージイベントが発生したとプロセッサが決定したときに保護アクションをとるかどうかを決定するようにプロセッサをプログラムする命令を格納する。
【0011】
別の態様は、モータと、モータに接続され、モータの動作の際に作動流体を圧縮するように動作可能な圧縮機構とを含む動圧縮機を制御する方法である。この方法は、予測される最小サージ速度足す制御マージンよりも大きいモータ速度で作動流体を圧縮するようにモータを動作させるステップと、サージイベントがいつ発生したかを決定するステップと、プロセッサが発生したと決定した各サージイベントの指示を格納するステップと、サージイベントが発生したとプロセッサが決定したときに保護アクションをとるかどうかを決定するステップとを含む。
【0012】
上記の態様に関連して注目される特徴には、様々な改良が存在する。さらなる特徴が上記の態様に組み込まれてもよい。これらの改良及びさらなる特徴は、個別に又は任意の組み合わせで存在することがある。例えば、例示された実施形態のいずれかに関連して以下で説明する様々な特徴は、単独で又は任意の組み合わせで、上記の態様のいずれかに組み込まれ得る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
以下の図は、本開示の様々な態様を示す。
【0014】
図1】組み立てられた圧縮機の斜視図である。
【0015】
図2】外部導管が除去されている、線2-2に沿って取られた、図1の圧縮機の断面図である。
【0016】
図3図2に示す軸受ハウジングのスリーブを通る断面図であり、一対の保持クリップを使用して軸受ハウジングのスリーブ内に維持されたフォイル軸受アセンブリ内に支持されたドライブシャフトを示す。
【0017】
図4図1の圧縮機での使用に適した軸受ハウジングの別の実施形態の断面図であり、一端の軸受ハウジング内に形成された保持リップと他端の保持クリップとの間で軸受ハウジング内に維持されたフォイル軸受アセンブリ内に支持されたドライブシャフトを示す。
【0018】
図5】軸受ハウジング及びドライブシャフトに対して配置されたフォイル軸受アセンブリの要素の分解図である。
【0019】
図6】動圧縮機の制御システムのブロック図である。
【0020】
図7】動遠心圧縮機のサージ電流特性グラフである。
【0021】
図8】動遠心圧縮機の速度グラフである。
【0022】
図9】動遠心圧縮機の電流グラフである。
【0023】
図10】動遠心圧縮機の電流振れ率と速度率の間のグラフィカルな関係である。
【0024】
図11】動遠心圧縮機の動作マップである。
【0025】
図12】動遠心圧縮機についてサージイベントがいつ発生したかを決定する方法のフローチャートである。
【0026】
図13図12の方法の例示的な実施形態のフローチャートである。
【0027】
図14】サージイベントが動遠心圧縮機に発生した場合に保護動作を行うか否かを決定する方法のフローチャートである。
【0028】
図15図14の方法の例示的な実施形態のフローチャートである。
【0029】
図面全体を通して、対応する参照符号は対応する部分を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
簡潔にするために、ガスフォイル軸受(GFB)を備えた遠心圧縮機に関する例について説明する。しかしながら、本明細書に記載する方法及びシステムは、任意の適切な動圧縮機に適用され得る。遠心圧縮機のサージ制御システムにおいて、サージイベントの発生を監視すること、発生したサージイベントの数を監視すること、サージイベントの深刻度を監視すること、サージ閾値を決定すること、モータ速度とサージイベントとの間の関係を決定すること、より大きいサージマージンを提供するために制御マージンを調整すること、及びサージイベントが発生したときに警告(alerts)を発する、機械の運転を停止するなどの防護アクションをとるかどうかを決定することは、損傷を防止し、遠心圧縮機の寿命を長くし得る。これらのステップは、予防保全のより正確なスケジューリングを可能にし、サージ防止制御の感度を高め、遠心圧縮機を安定するまで低速で保持することにより起動時のサージ深刻度を限定することにより信頼性を向上させ、故障して停止する前に遠心圧縮機の稼働時間を増加させることによりシステムが冷却を提供し続けることを可能にし、推定マップではなくサージ検出でアンロード装置を作動させることによりサージ深刻度を限定することにより信頼性を向上させることにより、遠心圧縮機の壊滅的な故障をさらに防止し得る。
【0031】
図1を参照すると、二段冷媒圧縮機の形態で示される圧縮機が、概して100で示される。圧縮機100は、概して、冷媒圧縮の各段がその中で達成される少なくとも1つの密閉キャビティを形成する圧縮機ハウジング102を含む。圧縮機100は、冷媒蒸気を第1圧縮段(図1にラベル付けされていない)に導入する第1冷媒入口110と、第1冷媒出口114と、圧縮された冷媒を第1圧縮段から第2圧縮段に移送する冷媒移送導管112と、冷媒蒸気を第2圧縮段(図1にラベル付けされていない)に導入する第2冷媒入口118と、第2冷媒出口120とを含む。冷媒移送導管112は、両端で第1冷媒出口114及び第2冷媒入口118のそれぞれに接続される。第2冷媒出口120は、第2圧縮段から、圧縮機100が組み込まれた冷却システムに圧縮冷媒を送り出す。
【0032】
図2を参照すると、圧縮機ハウジング102は、第1圧縮段124と第2圧縮段126とを圧縮機100の両端で囲む。第1圧縮段124は、第1冷媒入口110を介して流入する冷媒に運動エネルギーを加えるように構成された第1圧縮機構106を含む。いくつかの実施形態では、第1圧縮機構106は羽根車である。第1圧縮機構106によって冷媒に付与された運動エネルギーは、冷媒速度がヴォリュート(volute)132内に形成された密閉キャビティ(例えば、ディフューザ(diffuser))への移送の際に減速されるときに増加した冷媒圧力に変換される。同様に、第2圧縮段126は、第1圧縮段124から第2冷媒入口118を介して流入する冷媒に運動エネルギーを加えるように構成された第2圧縮機構116を含む。いくつかの実施形態では、第2圧縮機構116は羽根車である。第2圧縮機構116によって冷媒に付与された運動エネルギーは、冷媒速度がヴォリュート132内に形成された密閉キャビティ(例えば、ディフューザ)への移送の際に減速されるときに増加した冷媒圧力に変換される。圧縮された冷媒は、第2冷媒出口120(図2に示されていない)を介して第2圧縮段126から出る。
【0033】
図2を参照すると、第1圧縮機構106と第2圧縮機構116は、ドライブシャフト104の両端に接続されている。ドライブシャフト104は、第1圧縮機構106と第2圧縮機構116が第2冷媒出口120(図2に示されていない)から出る事前に選択された質量流量に冷媒を圧縮するように選択された回転速度で回転するように、第1圧縮機構106と第2圧縮機構116との間に位置するモータ108に動作可能に接続される。電気モータを含むがこれに限定されない任意の適切なモータが、圧縮機100に組み込まれ得る。ドライブシャフト104は、以下にさらに詳細に説明するように、各軸受ハウジング200/200aのスリーブ202内に配置されたガスフォイル軸受アセンブリ300によって支持される。各軸受ハウジング200/200aは、図2に示すように、各軸受ハウジング200/200aを圧縮機ハウジング102に接続するための取付構造(図示せず)を含む。
【0034】
図2を参照すると、各軸受ハウジング200/200aは、ドライブシャフト104を支持し、ドライブシャフト104は、スリーブ202と反対側の軸受ハウジング200/200aを通って突出し、圧縮機構106は、ドライブシャフト104の突出端に接続される。図3及び図5を参照すると、ガスフォイル軸受アセンブリ300は、軸受ハウジング200内の円筒形ボア206内に配置される。ドライブシャフト104は、ガスフォイル軸受アセンブリ300内に密接に嵌合され、このガスフォイル軸受アセンブリは、スリーブ202の内壁に隣接して配置された外側コンプライアント(compliant)フォイル又はフォイル層302と、ドライブシャフト104に隣接して配置された内側コンプライアントフォイル又はフォイル層306(「トップフォイル」とも呼ばれる)と、内側フォイル層306と外側フォイル層302との間に配置されたバンプ(bump)フォイル又はフォイル層310とを含む。ガスフォイル軸受アセンブリのフォイル又は層302/306/310は、既存のフォイル軸受設計法によって決定されるように、相対的にわずかなギャップ又はギャップなしでドライブシャフト104を受け入れるサイズにされた本質的に円筒形のチューブを形成する。外側フォイル層302、内側フォイル層306、及びバンプフォイル層310などのフォイル軸受アセンブリ300のコンポーネントは、フォイル軸受アセンブリ300が本明細書に記載されたように機能することを可能にする任意の適切な材料で構成され得る。適切な材料には、例えば、限定されないが、金属合金が含まれる。いくつかの実施形態では、例えば、外側フォイル層302、内側フォイル層306、及びバンプフォイル層310の各々は、ステンレス鋼(例えば、17-4ステンレス鋼)で構成される。
【0035】
再び図3を参照すると、図示された実施形態のフォイル軸受アセンブリ300は、さらに、スリーブ202の円筒形ボア206内の軸方向における層302/306/310のスライドを抑制するために、層302/306/310の両端に隣接して配置された一対のフォイルキーパー312a/312bを含む。フォイルキーパー312a/312bに隣接して配置された一対のフォイル保持クリップ314a/314bがそれぞれ、円筒形ボア206内のロックされた軸方向位置に層302/306/310を固定する。フォイル保持クリップ314a/314bは、軸受ハウジング200に取り外し可能に接続され得る。
【0036】
他の実施形態では、図4に示すように、各軸受ハウジング200aは、軸受ハウジング200aと一体に(例えば、キャスト)形成され、円筒形ボア206を画定するラジアル内面(radial inner surface)204から半径方向内側に突出するフォイル保持リップ214を含む。図示の実施形態では、フォイル保持リップ214は、圧縮機構116(図2に示す)に近位の円筒形ボア206の圧縮機構端部216の近くに配置される。フォイル保持リップ214は、フォイル軸受アセンブリ300の層302/306/310の少なくとも一部と重なるラジアル内面204から半径方向距離突出するようにサイズ決め及び寸法決めされる。フォイル保持リップ214は、ラジアル内面204の周囲に完全に延在してもよく、又は、フォイル保持リップは、ラジアル内面204の円周の一部にわたって延在し、隣接するラジアル内面204と面一の空間によって分離された2つ以上のセグメントを含むことができる。軸受ハウジング200(図4に示されていない)は同様に形成される。
【0037】
図4に示す実施形態のフォイル軸受アセンブリ300は、さらに、スリーブ202の円筒形ボア206内の層302/306/310の軸方向移動を抑制するために、フォイル保持リップ214と反対側の層302/306/310の端部に隣接して配置された単一のフォイル保持クリップ314を含む。この実施形態では、フォイル保持クリップ314は、円筒形ボア206のモータ端部218の近くの円筒形ボア206のラジアル内面204内に形成された周方向溝212にはまり込む(snaps into)。
【0038】
フォイル保持リップ214は、圧縮機構端部216における円筒形ボア206の開口部に直接隣接する位置を含むが、これに限定されない、圧縮機構端部216の近くの円筒形ボア206の任意の領域内に配置され得る。あるいは、フォイル保持リップ214は、モータ端部218における円筒形ボア206の開口部に直接隣接する位置を含むが、これに限定されない、モータ端部218の近くの円筒形ボア206の任意の領域内に配置され得る。このような実施形態では、フォイル保持クリップ314は、図4に示される配置と本質的に反対の配置で、圧縮機構端部216の近くの円筒形ボア206のラジアル内面204内に形成された円周溝212にはまり込む。
【0039】
再び図4を参照すると、フォイル軸受アセンブリ300は、モータ端部218で軸受ハウジング200の円筒形ボア206にフォイル軸受アセンブリ300を挿入することにより、軸受ハウジング200内に取り付けられる。次に、フォイル軸受アセンブリ300は、層302/306/310がフォイル保持リップ214に接触するまで、圧縮機構端部216に向かって円筒形ボア206内に軸方向に前進する。次に、フォイル保持クリップ314は、フォイル軸受アセンブリ300を所定の位置にロックするために、円筒形ボア206のモータ端部218の近くの円周溝212にはめ込まれる。
【0040】
他の実施形態では、スリーブ202内にフォイル軸受アセンブリ300を取り付けるための任意の適切な方法が使用され得る。適切な方法の非限定的な例には、キーパー(keepers)及び保持クリップ、接着剤、固定ネジ、及び任意の他の適切な取り付け方法が含まれる。
【0041】
軸受ハウジング200/200aは、上記のフォイル軸受アセンブリ300のようなラジアル軸受、スラスト軸受、及び近接プローブ、圧力変換器、熱電対、キーフェーザ(Key phasers)などの受動的又は能動的制御方式のためのフィードバックとして使用される感知デバイス(図示せず)を含むが、これらに限定されない様々な要素の取り付け構造としてさらに機能し得る。
【0042】
フォイル軸受アセンブリ300は、限定されることなく任意の適切な形態で提供され得る。例えば、フォイル軸受アセンブリ300は、限定されることなく、二層、三層、四層又は追加層を備え得る。フォイル軸受アセンブリ300のバンプフォイル310は、圧縮機100の動作中に回転するドライブシャフト104のための弾性表面を提供するために、ラジアル弾性構造(radially elastic structure)から形成され得る。バンプフォイル310は、断続的な圧縮径方向荷重下で変形及び反発するように設計された変形可能なバンプ又は他の特徴のアレイ、及び断続的な圧縮径方向荷重下で圧縮及び反発することができる他の任意の弾性の回復力のある材料(elastically resilient material)を含むがこれらに限定されない、任意の適切な径方向弾性構造から形成され得る。バンプフォイル310は、外側層302及び内側層306のうちの少なくとも1つを含むがこれらに限定されない少なくとも1つの隣接層に接続され得る。いくつかの実施形態では、バンプフォイル310は、外側層302及び内側層306の両方に接続され得る。他の実施形態では、バンプフォイル310は、自由に浮動し(free-floating)、フォイル軸受アセンブリ300のいかなる層にも接続されていない。
【0043】
図6を参照すると、システム400の例示的な実施形態は、動圧縮機404を含む。一実施形態では、動圧縮機は遠心圧縮機である。他の実施形態では、動圧縮機は軸流圧縮機である。システム400は、圧縮機ハウジング405を有する圧縮機404と、アンロード装置401と、ユーザインターフェース415と、コントローラ410とを含む。圧縮機は、モータ406と、圧縮機構407と、ガスフォイル軸受409と、速度センサ417とを含む。システム400は、さらに、電流センサ408を有する可変周波数ドライブ(VFD)416と、モータ406と通信するモータインターフェース413とを含む。いくつかの実施形態では、VFD416は、コントローラ410の制御下で動作する。いくつかの実施形態では、VFD416は、コントローラ410の一部である。例示的な実施形態では、圧縮機構407は羽根車であり、動圧縮機404は遠心圧縮機である。他の実施形態では、圧縮機構407はブレードであり、動圧縮機404は軸流圧縮機である。モータ406、圧縮機構407及びガスフォイル軸受409を含む圧縮機ハウジング405及び圧縮機404は、図1-5に記載された圧縮機100と同様に構成されてもよく、又は異なる方法で構成されてもよい。圧縮機404は、システム400における特定の構成に限定されない。圧縮機404は、圧縮機404の動作を制御し、サージイベントがいつ発生したか、及び1つ以上のサージイベントが発生したときに保護アクションをとるかどうかを決定するためのコントローラ410を含む。コントローラ410は、プロセッサ411、メモリ412、及びアンロードインターフェース414を含む。メモリ412は、圧縮機404を制御し、サージイベントが発生したかどうか、及びいつ発生したか、及びサージイベントに応答して保護アクションをとるかどうかを決定する方法を実行するためにプロセッサによって実行される命令を含む。
【0044】
システム400内のアンロード装置401は、起動及び停止ルーチン及び検出されたサージイベントの間に圧縮機の負荷を除去及び/又は低減し、サージイベントの深刻度を限定する(limit)。例示的な実施形態では、アンロード装置401はバイパス弁である。冷媒バイパス弁のようなバイパス弁は、ガスのための代替経路を提供し、それによって、圧縮機404の圧力上昇を停止し、圧縮機モータ406がいかにゆっくりと起動中に加速しているか又は停止中に減速しているかにかかわらず、あらゆる潜在的なサージを限定する。他の実施形態では、アンロード装置401は膨張弁である。他の実施形態では、アンロード装置401は、サーボ弁のような可変オリフィス又は直径弁と、デューティサイクルに従って開閉を制御するように構成された電磁弁又はパルス幅変調(PWM)弁のような固定オリフィス又は直径弁とすることができる。さらに他の実施形態では、アンロード装置401は、限定されないが、可変ディフューザ又は可変入口ガイドベーン(VIGV)とすることができる。多くのタイプのアンロード装置がここに記載されているが、アンロード装置401は、圧縮機404の負荷を低減する任意の適切な装置、又は装置の組合せとすることができる。
【0045】
アンロード装置401は、コントローラ410に動作可能に結合され、コントローラ410は、バイパス弁を開くなど、アンロード装置401の少なくとも1つの動作パラメータを制御するように構成される。電流センサ408は、モータ406の電流を測定し、コントローラ410は、モータ406の測定された電流のスパイクを検出することにより、圧縮機404のサージイベントが発生したかどうか及びいつ発生したかを決定する。コントローラ410は、いつサージイベントが完了したか、及び、モータ406の測定された電流が実質的に一定であるときに通常動作が再開することをさらに決定する。他の実施形態は、電圧の変化を検出すること、圧力の変化を検出すること、サージによって生じる振動を感知すること等の他の技術を用いてサージイベントの発生及び終了を検出し得る。コントローラ410は、サージイベントが発生したときに保護アクションをとるか否かをさらに決定する。1つ以上の制御方式で使用するための適切なセンサの非限定的な例は、温度センサ、圧力センサ、流量センサ、電流センサ、電圧センサ、回転速度(rotational rate)センサ、及び他の任意の適切なセンサを含む。
【0046】
制御システム400は、モータ406へのVFD416の接続のためのモータインターフェース413、VFD416へのコントローラ410の接続のためのインターフェース、及びアンロード装置401へのコントローラ410の接続のためのアンロードインターフェース414を含む。次に、プロセッサ411は、VFD416からモータ406への電流を表す受信された信号の少なくとも一部に基づいて、サージイベントがいつ発生したか、及びサージイベントが発生したとプロセッサ411が決定したときに保護アクションをとるかどうかを決定するためにメモリ412に格納された命令を実行し得る。
【0047】
制御システム400は、システム400に関連する情報(例えば、ユーザから)を出力(例えば、表示)及び/又は受信するように構成されたユーザインターフェース415を含む。いくつかの実施形態では、ユーザインターフェース415は、ユーザからのアクティブ化及び/又は非アクティブ化入力を受信し、システム400のアクティブ化及び非アクティブ化(つまり、オンにする及びオフにする)又はその他の方法でシステム400の動作を可能にするように構成される。さらに、いくつかの実施形態では、ユーザインターフェース415は、例えば、深刻度警告、発生警告、故障警告、及びモータ速度警告などの警告インジケータ、並びにガスフォイル軸受409の状態、及びその他の適切な情報を含むが、これらに限定されない、システム400の1つ以上の動作特性に関連する情報を出力するように構成される。
【0048】
ユーザインターフェース415は、ユーザインターフェース415が本明細書に記載されるように機能することを可能にする任意の適切な入力装置及び出力装置を含み得る。例えば、ユーザインターフェース415は、キーボード、マウス、タッチスクリーン、ジョイスティック(複数可)、スロットル(複数可)、ボタン、スイッチ、及び/又は他の入力装置を含むがこれらに限定されない入力装置を含み得る。さらに、ユーザインターフェース415は、例えば、ディスプレイ(例えば、液晶ディスプレイ(LCD)又は有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ)、スピーカ、インジケータライト、計器、及び/又は他の出力装置を含むがこれらに限定されない出力装置を含み得る。さらに、ユーザインターフェース415は、システムコントローラ(図示せず)などの異なるコンポーネントの一部であってもよい。他の実施形態は、ユーザインターフェース415を含まない。
【0049】
いくつかの実施形態では、システム400は、遠隔制御インターフェースによって制御され得る。例えば、システム400は、システム400の遠隔制御及びアクティブ化を可能にする無線制御インターフェースに接続するように構成された通信インターフェース(図示せず)を含み得る。無線制御インターフェースは、タブレット又はスマートフォンのようなポータブルコンピューティングデバイス上に具現化され得る。
【0050】
コントローラ410は、概して、圧縮機404の動作を制御するように構成される。コントローラ410は、他の装置又はコントローラからのプログラミング及び命令によって動作を制御する、又はシステムコントローラを介して制御システム400と統合される。いくつかの実施形態では、例えば、コントローラ410は、ユーザインターフェース415からユーザ入力を受信し、そのようなユーザ入力に応答してシステム400の1つ以上のコンポーネントを制御する。例えば、コントローラ410は、ユーザインターフェース415から受信されたユーザ入力に基づいてモータ406を制御し得る。
【0051】
コントローラ410は、概して、相互に通信可能に結合され得、独立して又は相互に接続して動作し得るコンピュータ、処理ユニット及び/又は類似のものの任意の適切な組み合わせを含む、任意の適切なコンピュータ及び/又は他の処理ユニットを含み得る(例えば、コントローラ410は、コントローラネットワークの全部又は一部を形成し得る)。コントローラ410は、1つ以上のモジュール又はデバイスを含み、そのうちの1つ以上はシステム400内に封入され、又はシステム400から離れた場所に配置されてもよい。コントローラ410は、圧縮機404の一部であってもよく、又は別個のものであってもよく、HVACシステム内のシステムコントローラの一部であってもよい。コントローラ410及び/又はコントローラ410のコンポーネントは、システム400の他のコンポーネント内に統合又は組み込まれ得る。いくつかの実施形態では、例えば、コントローラ410はモータ406又はアンロード装置401内に組み込まれ得る。コントローラ410は、様々なコンピュータ実装された機能(例えば、本明細書に開示される計算、決定及び機能を実行すること)を実行するように構成された1つ以上のプロセッサ411及び関連メモリデバイス(複数可)412を含み得る。本明細書で使用される場合、「プロセッサ」という用語は、集積回路だけでなく、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロコンピュータ、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)、特定用途集積回路、及び他のプログラマブル回路をも意味する。さらに、コントローラ410のメモリデバイス(複数可)412は、概して、コンピュータ可読媒体(例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM))、コンピュータ可読不揮発性媒体(例えば、フラッシュメモリ)、フロッピー(登録商標)ディスク、コンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM)、光磁気ディスク(MOD)、デジタル汎用ディスク(DVD)及び/又は他の適切なメモリ要素を含むが、これらに限定されないメモリ要素(複数可)であり得る又は含み得る。このようなメモリデバイス(複数可)412は、概して、プロセッサ(複数可)411によって実装されるとき、システム400を制御すること、モータ406の動作を制御すること、ユーザインターフェース415からの入力を受信すること、ユーザインターフェース415を介したオペレータへの出力を提供すること、アンロード装置401を制御すること及び/又は他の適切なコンピュータ実装機能を含むがこれらに限定されない、本明細書に記載された様々な機能を実行するようにコントローラ410を設定する又はコントローラ410に実行させる、適切なコンピュータ可読命令を格納するように構成され得る。
【0052】
図7を参照すると、速度曲線601及びモータ電流曲線602を含む起動時のサージ電流特性グラフ600が示されている。図7は、モータ速度を第1速度まで加速し、その第1速度でモータ406をある期間605の間動作させることを示す。モータ406が期間605の間第1速度で動作している間、可能なサージ603の領域がモータ電流曲線602内の振動で識別されている。圧縮機404は、サージの電流振動パターンが停止し604、圧縮機404が完全に始動することが示されるまで第1速度で保持される。
【0053】
図8及び図9は、サージ(例えば、図7の期間605の間)の発生を検出するためにシステムによって使用される信号のトレースである。図8は速度グラフ800であり、図9は電流グラフ900である。図8に関して、圧縮機のモータの実際の速度801がベースライン速度線803と共に示されており、サージが発生するかどうかを決定するための基準点として使用され得る。ベースライン速度線803は、速度設定点又は指令速度とも呼ばれる。図9に関して、モータに供給される実際の電流901(電流センサ408を用いて検出される)及び平均電流902を示す。平均電流902は、サージイベントの直前に検出された電流、サージイベントの前のすべての電流測定値の平均、サージイベントの前の所定又は可変数の電流測定値の平均、又は他の任意の適切な電流平均であってもよい。圧縮機404がサージイベントに入ると、圧縮機を通る質量流量が大幅に減少し、それによって圧縮機404の負荷が減少し、無負荷の(アンロードされた)モータ406の速度をベースライン速度線803よりも上昇させる。次に、VFD416は、制御アルゴリズムを介して、実際の速度801をベースライン速度線803に戻すために、増加した速度に応じて実際の電流901を下げる。サージが終了すると、圧縮機404(及びモータ406)の負荷が戻り、速度801を急速に低下させる。VFD416は、モータの速度をベースライン速度803に戻すために電流を増加させる。結果は、速度と電流がサージ前のおおよそのレベルに戻る前の、図8および9のサージイベントの終了時に見られる、実際の電流901の特徴的なオーバーシュートと実際の速度801のアンダーシュートである。平均電流902からの実際の電流901の低下は、サージイベントの発生を検出するためにコントローラによって使用される。平均電流902からの電流の変化が閾値を超えるとき、コントローラはサージイベントが発生したと決定する。速度グラフ800は、速度サージ深刻度802を示し、電流グラフ900は、サージイベント中の電流サージ深刻度904を示す。電流サージ深刻度は、平均電流902と最小電流903の間の差である。各サージイベントの深刻度は、メモリ412に記録され得る。
【0054】
図10を参照すると、サージイベントを検出するための閾値電流スイングを示すために、電流スイング率と速度率との間の例示的なグラフィカルな関係1100が示されている。直線的なサージ曲線1103は、サージを検出するための閾値を表す。圧縮機の現在の速度(最高速度のパーセントで表される)での直線的なサージ曲線1103上又はそれより上の電流スイング(例えば、図9のサージ深刻度904)は、サージイベントの発生を示すと決定される。電流スイングが直線的なサージ曲線1103より小さい場合、サージイベントは検出されない。あるいは、直線的なサージ曲線1103より上の電流スイングのみがサージイベントとみなされ、直線的なサージ曲線より下の電流スイングはサージイベントではないとみなされてもよい。
【0055】
図11を参照すると、例示的なの動遠心圧縮機404の動作エンベロープ又は動作マップ1000が示されている。動作マップ1000は、流量、ヘッド及び速度に関して圧縮機の性能をグラフィカルに推定し、示す。マップは、圧縮機404の設計点におけるヘッド対入口質量流量をそれらの値のパーセントとして示す。入口質量流量は、圧縮機構407を流れる冷媒のような作動流体の量の尺度(measure)である。ヘッドは、入口圧力に対する出口圧力の全圧比(total pressure ratio)である。動作マップ1000は、複数の圧縮機速度線1007を示す。この例では、110%設計速度から70%設計速度までの範囲の5つの速度線1007があり、各線は10%の差で分離されている。この例では、これらの特定の速度線が示されているが、圧縮機の設計速度の任意の異なるパーセンテージの任意の数の速度線を、任意のタイプの圧縮機に対して示すことができる。
【0056】
サージ限界線1004は、サージ領域1006でサージが発生する前の最大負荷状態を示す(すなわち、サージ限界線1004の左側)。サージ制御線1003は、圧縮機404がサージに陥る危険性なく安全に動作できる最大負荷状態を大まかに示す。サージ制御線1003は、サージ限界線1004からのサージマージン1005によって規定される。サージ制御線1003の右側で動作することにより、圧縮機はサージを避けるべきである。圧縮機404の動作マップ1000の1つの動作点1009は、速度線、入口質量流量、及び全圧比の交点として示される。例えば、動作マップ1000に示される動作点1009は、80%入口質量流量、108%ヘッド、及び100%速度である。動作点1009で動作しているときにサージが発生した場合、サージマージン1005は、例えば、サージ制御線1003を新しいサージ制御線1002にシフトさせるために、量1008だけ増加され得る。チョーク線1001は、動作マップ1000に示されている。
【0057】
図12を参照すると、サージイベントがいつ発生したかを決定するための方法1200が示されている。方法1200は、作動流体を圧縮するためにVFD416を使用してモータ406を動作させること1201から始まる。いくつかの実施形態では、作動流体は冷媒である。モータが動作する1201と、方法1200は、VFD416からモータ406への電流を表す信号を受信すること1202を続ける。方法1200は、VFD416からモータ406への電流を表す受信された信号に少なくとも部分的に基づいて、いつサージイベントが発生したかを決定すること1203によって終了する。方法1200は、図6に示す制御システム400で実装される。具体的には、コントローラ410は、メモリ412に格納された命令を使用して、プロセッサ411を介して方法1200を実装する。モータ406への電流の測定値は、VFD416に含まれる電流センサ408によって提供される。他の実施形態は、モータ406に提供される電流の他の任意の適切な検出又は推定を使用し得る。モータ406の動作1201における作動流体の圧縮は、圧縮機構407によって行われる。
【0058】
サージイベントが発生したことを決定すること1203は、VFD416からモータ406への電流を表す受信された信号に基づいて、以前の電流と現在の電流との間の差を決定することを含む。いくつかの実施形態では、以前の電流は、VFD416からモータ406への現在の電流を表すVFDからの信号を受信する前に、プロセッサ411によって受信されるVFD416からモータ406への電流を表す複数の信号を平均することによって決定される。サージイベントは、以前の電流と現在の電流との間の差がサージ閾値を超えたときに発生する。例えば、サージ閾値は可変閾値(例えば、図10に示すように)であり、ユーザによってコントローラ410に事前にロードされ、続いてユーザインターフェース415を介して変更されてもよい。可変サージ閾値は、現在の電流を表す信号が受信されたときに、モータ406の速度センサ417からの検出された速度に少なくとも部分的に基づいて決定される。他の実施形態では、VFD416からモータ406への電流を表す受信された信号に基づいて、以前の電流と現在の電流との間の差を決定することは、以前の電流と現在の電流との間の差に基づいてサージの大きさを決定することを含む。プロセッサ411は、サージイベントの発生の指示と、決定されたサージの大きさをメモリ412に格納する。
【0059】
図13を参照して、サージイベントを決定するための図12からの方法1200の例示的な実施形態のフローチャート1300を示す。フローチャート1300は、圧縮機404が起動しているときに開始する。フローチャート1300は、サージイベントが発生したかどうかを決定するときの圧縮機404の通常動作と起動動作の両方の場合を示す。圧縮機404が動作を開始し、電流センサ408が現在の電流Ipresentを連続的に測定し、速度センサ417が速度Sactualを連続的に測定する。圧縮機404が動作しているとき、N個の以前に測定された電流Ipreviousがローリングデータセット
【数1】
としてメモリ412に格納される。ローリングデータセットIrollingは、サブセットを作成するために、ある期間にわたるIpresent以前に測定された任意のN個の電流Ipreviousを含み得る。ローリングデータセットIrollingが作成され、メモリ412に格納されると、ローリングデータセットIrollingに関連付けられた期間の間にローリング平均
【数2】
が生成される。「ローリング平均」は、固定サブセットサイズを有する一連の測定された電流値の平均である。ある期間の電流値Irollingの第1のサブセットのコントローラ410によって第1の平均Iaverageが取られると、そのサブセットは、ローリングデータセット内の第1の電流値を前方にシフトする又は除外し、新しい(例えば、最新の)電流値を追加することによって修正され、したがって、新しいサブセット
【数3】
が生成され、異なる時間間隔にわたってメモリ412に格納される。これは、圧縮機404の寿命の間、電流データセット全体にわたって継続的に行われる。サブセットIrollingが作成されて格納される速度は、OEMによって設定されてもよいし、ユーザインターフェース415を介してユーザによって調整されてもよい。コントローラ410は、ローリング平均Irollingと現在の電流Ipresentとの間の差Idifferenceを計算する。次に、コントローラ410は、圧縮機404が起動動作中であるかどうかをチェックする。圧縮機404が起動動作中である場合、その差
【数4】
は、予め設定された起動電流Istart-upと比較される。いくつかの実施形態では、起動電流Istart-upは2アンペアである。他の実施形態では、起動電流Istart-upは、他の任意の適切な固定又は可変電流である。差Idifferenceが起動電流Istart-up以上である場合、サージイベントが検出された。サージイベントが検出された場合、サージイベントの発生がメモリ412に格納される。圧縮機が通常動作している場合、コントローラ410は、圧縮機404の検出された速度Sactualに基づいてサージ閾値電流Ithresholdを決定する。サージ閾値電流Ithresholdは、図10で上述した圧縮機404の電流スイングパーセンテージと速度パーセンテージとの間のグラフィカルな関係1100を使用して見い出される。すなわち、例示的な実施形態では、サージ閾値電流Ithresholdは、検出された速度Sactualの速度パーセンテージにおける直線的なサージ曲線1103の電流スイングパーセンテージである。他の実施形態は、絶対速度、絶対電流スイング、又は任意の適切な組み合わせに関して閾値を定義することができる。いくつかの実施形態は、ルックアップテーブル、又は任意の他の適切なフォーマットでサージ閾値電流をリストすることができる。差Idifferenceがサージ閾値電流Ithreshold以上である場合、サージイベントが発生し、検出された。サージイベントが発生した場合、サージイベントの発生がメモリ412に格納され、関連する差Idifferenceの大きさがサージ深刻度としてメモリ412に格納される。圧縮機404の起動動作及び通常動作のいずれにおいても、サージイベントが検出されない場合、圧縮機404は、新たな測定電流サブセットを用いて将来サージイベントが検出されるまで、起動動作又は通常動作を継続する。
【0060】
図14を参照して、サージイベントが発生したとプロセッサ411が決定した場合に保護アクションを行うか否かを決定する方法1400が示されている。方法1400は、図12に示す方法1200が、サージイベントが発生したと決定した後に発生する。前の方法1200は、サージイベントの発生を決定するために同時に使用することができるが、方法1400は、動圧縮機においてサージイベントが(任意の検出手段によって)検出された任意の状況で使用することができる。方法1400は、予測される最小サージ速度足す制御マージンより大きいモータ速度で作動流体を圧縮するためにモータ406を動作させること1401から開始する。方法は、いつサージイベントが発生したかを決定すること1402に続く。いくつかの実施形態では、このステップは、サージイベントが発生したことを決定するために方法1200を利用し得る。方法1400は、プロセッサ411が発生したことを決定した各サージイベントの指示をメモリ412に格納すること1403を続ける。方法1400は、サージイベントが発生したことをプロセッサ411が決定したときに保護アクションをとるか否かを決定すること1404で終了する。いくつかの実施形態では、保護アクションは警告を生成することを含む。警告は、遠隔に配置されたシステムコントローラに送信される警告信号、圧縮機の近くに配置された視覚的又は聴覚的警告、又は任意の他の適切な警告であり得る。いくつかの実施形態では、保護アクションは、モータ406を停止することを含む。いくつかの実施形態では、保護アクションは、制御マージンを調整することを含む。前の方法1200と同様に、方法1400は、図6に示す制御システム400で実装される。具体的には、コントローラ410は、メモリ412に格納された命令を使用して、プロセッサ411を介して方法1400を実装する。モータ406の動作1401における作動流体の圧縮は、圧縮機構407によって行われる。
【0061】
方法1400の決定1404ステップが、警告を生成することがサージイベントが発生したとプロセッサ411が決定した後に必要とされる保護アクションであると結論する場合、以下のステップが、様々な実施形態においてさらに行われる。警告を生成することは、メモリ412に格納された指示を有するサージイベントの数が発生警報限界以上である場合に発生警告を生成することを含み得る。警告を生成することは、メモリ412に格納された指示を有するサージイベントの数が、発生警報限界よりも大きい故障限界以上である場合に故障警告を生成することを含み得る。故障警告が生成されるとき、図11に示す動作マップ1000の制御マージン1005のような制御マージンが、いくつかの実施形態では、動圧縮機404に対して増加される。いくつかの実施形態では、各サージイベントの指示は、サージイベントの大きさの指示を含み、警告を生成することは、メモリ412に格納された決定されたサージイベントの大きさの合計が深刻度警報限界以上である場合に深刻度警告を生成することを含む。警告を生成することは、さらに、メモリ412に格納されている決定されたサージイベントの大きさの合計が、いくつかの実施形態における深刻度警報限界よりも大きい深刻度故障限界以上である場合に、故障警告を生成することを含む。そして、上述したように、故障警告が生成されるとき、制御マージンが増加され得る。いくつかの実施形態では、作動流体が冷媒である場合に、サージイベント中のモータ406の速度が、予測される最小サージ速度、制御マージン、及びチャージマージンの合計を超える場合に、警告を生成することが発生する。そして、上述したように、警告が生成されると、制御マージンが増加される。
【0062】
方法1400の決定する1404ステップが、モータ406を停止することがサージイベントが発生したと決定した後に必要な保護アクションであると結論し、各サージイベントの指示がサージイベントの大きさを含む場合、方法は以下を含むことができる。いくつかの実施形態では、モータ406を停止することは、検出されたサージイベントの数が発生停止閾値以上である場合に発生する。代替的に、又は追加的に、モータ406は、決定されたサージイベントの大きさの合計が蓄積停止閾値以上である場合に停止され得る。
【0063】
図15を参照して、動圧縮機404においてサージイベントが発生した場合に保護アクションをとるか否かを決定するための図14からの方法1400の例示的な実施形態のフローチャート1500が示されている。フローチャート1500は、サージイベントsurgei=1,2, …Nが検出された場合に開始する検出されると、サージカウントNがインクリメントされるN=N+1。同時に、サージカウントNがインクリメントされるN=N+1と、サージ深刻度累積が計算される。サージ深刻度累積は、検出されたN個のすべてのサージイベントの大きさの合計
【数5】
である。次に、サージカウントN及びサージ深刻度累積
【数6】
は、圧縮機404の停止条件が満たされているかどうかを確認するためにチェックされる。サージカウントNが停止サージカウント限界Nshutdown以上である(N≧Nshutdown)場合、又はサージ深刻度累積
【数7】
が停止サージ深刻度限界|surgemax|以上である
【数8】
場合、制御システム400は停止を開始し、圧縮機404はロックアウトされる。上述した停止の条件が満たされない場合、停止決定で使用される閾値よりも低い閾値を使用して故障チェックが行われる。サージカウントNが故障サージカウントNfault以上である(N≧Nfault)場合、又はサージ深刻度累積
【数9】
が故障サージ深刻度限界|surgefault|以上である
【数10】
場合、制御システム400は、図11に示される動作マップ1000の制御マージンシフト1008によって示されるように、動圧縮機404のサージ速度制御マージンを増加させる。サージ速度制御マージンは、固定量、固定パーセンテージ、又は可変量だけ増加され得る。サージ速度制御マージンが増加された後、サージ故障がコントローラ410に発行される。いくつかの実施形態では、サージ故障は、動圧縮機404が一部であるHVACシステムの別のシステムコントローラ(図6に示されていない)に発行される警報である。上述のような故障条件が満たされない場合、警報限界チェックは、故障チェックで使用される閾値よりも低い閾値を使用して実行される。サージカウントNが警報カウント限界Nalarm以上(N≧Nalarm)の場合、又はサージ深刻度累積
【数11】
が警報サージ深刻度限界|surgealarm|以上
【数12】
の場合、制御システム400は、コントローラ410にサージ警告を発行する。いくつかの実施形態では、サージ警告は、HVACシステムの別のシステムコントローラに発行される警報である。さらに、サージイベントが検出されると、動圧縮機404の速度Sが測定され、予測されたサージ速度Spredict足すチャージマージンSmarginと比較される。速度Sが予測されたサージ速度Spredict足すチャージマージンSmarginよりも大きい(S>Spredict+Smargin)場合、サージ速度制御マージンが増加する。これが発生すると、システムが追加の作動流体(例えば、冷媒)を必要とする可能性があることを示す低チャージ警告がコントローラ410に発行される。いくつかの実施形態では、低チャージ警告は、動圧縮機404が一部であるHVACシステムの別のシステムコントローラ(図6に示されていない)に発行される警報である。他の実施形態は、上記の比較を逆順で実行することがある。つまり、警報限界チェックを最初に、故障チェックを2番目に、停止チェックを最後に実行することができる。このような実施形態では、警報限界チェックがサージ警告を発行しないと決定した場合、故障チェックと停止チェックの閾値が警報限界チェックの閾値よりも大きく、それらはより低い警報限界閾値(Nalarm)を超えない限り超えることができないため、比較は停止され得る。
【0064】
いくつかの実施形態では、サージイベントが検出されると、アンロード装置が保護アクションとして作動し、圧縮機をアンロードしてサージの深刻度を低減する。例示的な実施形態では、アンロード装置は、負荷バランス弁であり、圧縮機404の負荷を戻す前の時間Tdelay分間、圧縮機404の負荷を低減する。
【0065】
本明細書に記載される方法及びシステムの技術的利点は、以下の通りである:(a)HVACシステム内の圧縮機によって見られるサージイベントの数及びサージ深刻度を継続的にモニタリングすること、(b)サージイベント及びサージ深刻度をHVACシステム内で圧縮機が処理できるサージの最大数と比較すること、及び(c)サージイベント中の圧縮機速度を現在の圧力比での予測サージ速度と比較すること。
【0066】
本開示又はその実施形態の要素を紹介する場合、冠詞「1つの("a"、"an")」、「その("the")」及び「前記("said")」は、要素の1つ以上があることを意味することを意図している。用語「有する」、「含む」及び「持つ」は、包括的であることを意図しており、リストされた要素以外の追加要素が存在する可能性があることを意味する。特定の向き(例えば、「上部」、「下部」、「側部」など)を示す用語の使用は、説明の便宜のためであり、記載された項目の特定の方向を必要としない。
【0067】
開示の範囲を逸脱することなく、上記の構成及び方法に様々な変更を加えることができるため、上記の説明に含まれ、添付の図面に示されているすべての事項は、限定的な意味ではなく、例示として解釈されることを意図している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【国際調査報告】