(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-18
(54)【発明の名称】近赤外線(NIR)透明性中性黒色ペリレン固溶体
(51)【国際特許分類】
C07D 471/04 20060101AFI20240111BHJP
C09B 67/22 20060101ALI20240111BHJP
C07D 471/22 20060101ALI20240111BHJP
C07D 493/04 20060101ALI20240111BHJP
【FI】
C07D471/04 112Z
C09B67/22 Z CSP
C07D471/22
C07D493/04 101Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023537700
(86)(22)【出願日】2021-12-20
(85)【翻訳文提出日】2023-08-08
(86)【国際出願番号】 EP2021086872
(87)【国際公開番号】W WO2022136310
(87)【国際公開日】2022-06-30
(32)【優先日】2020-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521002006
【氏名又は名称】サン・ケミカル・ベスローテン・ヴェンノーツハップ
【氏名又は名称原語表記】Sun Chemical B.V.
【住所又は居所原語表記】Leeuwenveldseweg 3-t, 1382 LV Weesp, the Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ニコライ ヴィノクロフ
(72)【発明者】
【氏名】パウル パスカル ロケット
(72)【発明者】
【氏名】ポール ブラウン
(72)【発明者】
【氏名】ティル フォーゲル
(72)【発明者】
【氏名】アンドレス カルロス ガルシア エスピノ
【テーマコード(参考)】
4C065
4C071
【Fターム(参考)】
4C065AA01
4C065AA19
4C065BB05
4C065BB09
4C065BB10
4C065CC09
4C065DD02
4C065DD04
4C065EE02
4C065EE04
4C065HH02
4C065JJ04
4C065KK02
4C065LL01
4C065PP01
4C071AA01
4C071AA08
4C071BB01
4C071CC12
4C071EE07
4C071FF17
4C071HH08
4C071LL04
(57)【要約】
本発明は、固溶体であって、(a)式(I)による少なくとも1種の化合物と、(b)式(II)による少なくとも1種の化合物、または式(III)による少なくとも1種の化合物、または式(II)による少なくとも1種の化合物と式(III)による少なくとも1種の化合物との混合物とを含み、式中、R1およびR2が、互いに独立して、-(CH2)n-Xを表してよく、Xが、水素、メチル、C1~C5アルコキシル、ヒドロキシ、フェニル、C1~C5アルキルフェニル、C1~C5アルコキシフェニル、ヒドロキシフェニル、ハロゲン化フェニル、ピリジル、C1~C5アルキルピリジル、C1~C5アルコキシピリジル、ハロゲン化ピリジル、ピリジルビニル、またはナフチルを表し、nが、0、1、2、3、4、または5を表し、R3およびR4が、互いに独立して、フェニレン、C1~C5アルキルフェニレン、C1~C5アルコキシフェニレン、ヒドロキシフェニレン、ハロゲン化フェニレン、ピリジンジイル、C1~C5アルキルピリジンジイル、C1~C5アルコキシピリジンジイル、ハロゲン化ピリジンジイル、アントラキノンジイル、またはナフタレンジイルを表してよく、式(II)および(III)によるR3に結合した2個の窒素原子が、R3の芳香環の2個の原子とともに5員または6員の複素環を形成し、式(II)および(III)によるR4に結合した2個の窒素原子が、R4の芳香環の2個の原子とともに5員または6員の複素環を形成し、X1~X8が、互いに独立して、水素、C1~C5アルキル、C1~C5アルコキシ、ヒドロキシ、フェニル、またはハロゲン化物を表してよい、固溶体に関する。本発明はさらに、固溶体を製造するための方法に関する。さらに、本発明は、前記方法によって得ることができるまたは得られた固溶体と、特にNIR非吸収性成分におけるNIR透明性黒色着色剤としての、本発明の固溶体の使用とに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固溶体であって、
(a)式(I)による少なくとも1種の化合物
【化1】
と、
(b)式(II)による少なくとも1種の化合物、または式(III)による少なくとも1種の化合物、または式(II)による少なくとも1種の化合物と式(III)による少なくとも1種の化合物との混合物
【化2】
と
を含み、
式中、
- R
1およびR
2が、互いに独立して、-(CH
2)
n-Xであり、Xが、水素、メチル、C
1~C
5アルコキシル、ヒドロキシ、フェニル、C
1~C
5アルキルフェニル、C
1~C
5アルコキシフェニル、ヒドロキシフェニル、ハロゲン化フェニル、ピリジル、C
1~C
5アルキルピリジル、C
1~C
5アルコキシピリジル、ハロゲン化ピリジル、ピリジルビニル、またはナフチルであり、nが、0、1、2、3、4、または5であり、
- R
3およびR
4が、互いに独立して、フェニレン、C
1~C
5アルキルフェニレン、C
1~C
5アルコキシフェニレン、ヒドロキシフェニレン、ハロゲン化フェニレン、ピリジンジイル、C
1~C
5アルキルピリジンジイル、C
1~C
5アルコキシピリジンジイル、ハロゲン化ピリジンジイル、アントラキノンジイル、またはナフタレンジイルであり、式(II)および(III)によるR
3に結合した2個の窒素原子が、R
3の芳香環の2個の原子とともに5員または6員の複素環を形成し、式(II)および(III)によるR
4に結合した2個の窒素原子が、R
4の芳香環の2個の原子とともに5員または6員の複素環を形成し、
- X
1~X
8が、互いに独立して、水素、C
1~C
5アルキル、C
1~C
5アルコキシ、ヒドロキシ、フェニル、またはハロゲン化物である、
固溶体。
【請求項2】
- Xが、メトキシフェニルまたはフェニルであり、nが、1または2であり、
- R
3およびR
4が、互いに独立して、フェニレン、メチルフェニレン、メトキシフェニレン、クロロフェニレン、ジクロロフェニレン、またはナフタレンジイルであり、
- X
1~X
8が水素である、
請求項1記載の固溶体。
【請求項3】
- R
1およびR
2が、互いに独立して、-CH
2C
6H
4OCH
3または-CH
2CH
2C
6H
5であり、
- R
3およびR
4が、互いに独立して、フェニレン、4-クロロフェニレン、ナフタレンジイル、または4,5-ジクロロフェニレンであり、
- X
1~X
8が水素である、
請求項1または2記載の固溶体。
【請求項4】
- Xが4-メトキシフェニルであり、nが1であり、
- R
3およびR
4がフェニレンであり、
- X
1~X
8が水素であり、かつ/または
- Xが4-メトキシフェニルであり、nが1であり、
- R
3およびR
4がナフタレンジイルであり、
- X
1~X
8が水素であり、かつ/または
- Xが4-メトキシフェニルであり、nが1であり、
- R
3およびR
4が4-クロロフェニレンであり、
- X
1~X
8が水素であり、かつ/または
- Xが4-メトキシフェニルであり、nが1であり、
- R
3およびR
4が4,5-ジクロロフェニレンであり、
- X
1~X
8が水素であり、かつ/または
- Xがフェニルであり、nが2であり、
- R
3およびR
4がフェニレンであり、
- X
1~X
8が水素であり、かつ/または
- Xがフェニルであり、nが2であり、
- R
3およびR
4がナフタレンジイルであり、
- X
1~X
8が水素であり、かつ/または
- Xがフェニルであり、nが2であり、
- R
3およびR
4が4-クロロフェニレンであり、
- X
1~X
8が水素である、
請求項1から3までのいずれか1項記載の固溶体。
【請求項5】
200~350の範囲、好ましくは220~330の範囲、より好ましくは230~300の範囲、より好ましくは242~280の範囲の非色依存性黒色値M
Y、および200~350の範囲、好ましくは220~330の範囲、より好ましくは230~300の範囲、より好ましくは230~280の範囲の色依存性黒色値M
Cを呈し、M
YおよびM
Cが、DIN EN 18314-3に従って決定される、請求項1から4までのいずれか1項記載の固溶体。
【請求項6】
前記固溶体において、式(II)による前記少なくとも1種の化合物、または式(III)による前記少なくとも1種の化合物、または式(II)による前記少なくとも1種の化合物と式(III)による前記少なくとも1種の化合物との前記混合物に対する式(I)の前記少なくとも1種の化合物の重量比である重量((I)):重量((II)(III))が、60:40~95:5の範囲、好ましくは65:35~95:5の範囲、より好ましくは70:30~90:10の範囲、例えば、70:30~80:20の範囲、または75:25~85:15の範囲、または80:20~90:10の範囲である、請求項1から5までのいずれか1項記載の固溶体。
【請求項7】
前記固溶体の80~100重量%、好ましくは85~100重量%、より好ましくは90~100重量%、より好ましくは95~100重量%、より好ましくは98~100重量%が、
(a) 式(I)による前記少なくとも1種の化合物と、
(b) 式(II)による前記少なくとも1種の化合物、または式(III)による前記少なくとも1種の化合物、または式(II)による前記少なくとも1種の化合物と式(III)による前記少なくとも1種の化合物との前記混合物と
からなる、請求項1から6までのいずれか1項記載の固溶体。
【請求項8】
固溶体を製造するための方法であって、
(i.1) 式(IV)による化合物
【化3】
および適切な有機塩基
を提供すること、
(i.2) 式(IV)の前記化合物を、
(i.2.1) 化合物R
1-NH
2、または化合物R
2-NH
2、またはR
1がR
2とは異なる場合には化合物R
1-NH
2および化合物R
2-NH
2と、
(i.2.2) 化合物H
2N-R
3-NH
2、または化合物H
2N-R
4-NH
2、またはR
3がR
4とは異なる場合には化合物H
2N-R
3-NH
2および化合物H
2N-R
4-NH
2[式中、R
3に結合した2個の窒素原子は、R
3の芳香環の2個の原子に結合しており、R
4に結合した2個の窒素原子は、R
4の芳香環の2個の原子に結合している]と
同時に反応させること
を含み、
式中、
- R
1およびR
2が、互いに独立して、-(CH
2)
n-Xであり、Xが、水素、メチル、C
1~C
5アルコキシル、ヒドロキシ、フェニル、C
1~C
5アルキルフェニル、C
1~C
5アルコキシフェニル、ヒドロキシフェニル、ハロゲン化フェニル、ピリジル、C
1~C
5アルキルピリジル、C
1~C
5アルコキシピリジル、ハロゲン化ピリジル、ピリジルビニル、またはナフチルであり、nが、0、1、2、3、4、または5であり、
- R
3およびR
4が、互いに独立して、フェニレン、C
1~C
5アルキルフェニレン、C
1~C
5アルコキシフェニレン、ヒドロキシフェニレン、ハロゲン化フェニレン、ピリジンジイル、C
1~C
5アルキルピリジンジイル、C
1~C
5アルコキシピリジンジイル、ハロゲン化ピリジンジイル、アントラキノンジイル、またはナフタレンジイルであり、
- X
1~X
8が、互いに独立して、水素、C
1~C
5アルキル、C
1~C
5アルコキシ、ヒドロキシ、フェニル、またはハロゲン化物である、
方法。
【請求項9】
(i.1)によれば、式(IV)の前記化合物が、固体として、好ましくは、溶媒と混合された固体として、より好ましくは、水、ジエチレングリコール、トリエチレングリゴール、テトラエチレングリコール、ブチルグリコール、ジメチルホルムアミド、ピリジン、フェノール、ニトロベンゼン、テルミノールVP-1、1,3-ジメチルイミダゾリジン-2-オン、トリクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、メシチレン、キシレン、プロピルベンゼン、アルキルナフタレン、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドン、キノリン、N-メチルイミダゾール、またはイミダゾールからなる群から選択される溶媒と混合された固体として、より好ましくは、水と混合された固体として提供される、請求項8記載の方法。
【請求項10】
(i.1)の後かつ(i.2)の前に、
- 式(IV)による前記化合物と、
- 前記化合物R
1-NH
2、または前記化合物R
2-NH
2、またはR
1がR
2とは異なる場合には前記化合物R
1-NH
2および前記化合物R
2-NH
2と、
- 前記化合物H
2N-R
3-NH
2、または前記化合物H
2N-R
4-NH
2、またはR
3がR
4とは異なる場合には前記化合物H
2N-R
3-NH
2および前記化合物H
2N-R
4-NH
2と、
- 水と
を含む懸濁液を調製することをさらに含む、請求項8または9記載の方法。
【請求項11】
(i.1)の後かつ(i.2)の前に、
- 式(IV)による前記化合物と、
- 前記化合物R
1-NH
2、または前記化合物R
2-NH
2、またはR
1がR
2とは異なる場合には前記化合物R
1-NH
2および前記化合物R
2-NH
2と、
- 前記化合物H
2N-R
3-NH
2、または前記化合物H
2N-R
4-NH
2、またはR
3がR
4とは異なる場合には前記化合物H
2N-R
3-NH
2および前記化合物H
2N-R
4-NH
2と、
適切な無機塩基、好ましくは水酸化カリウムと、
ハイドロサルファイトナトリウムと
を含む溶液を調製することをさらに含む、請求項8から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
前記適切な有機塩基が、第2級または第3級アミンを含み、好ましくは、ピペラジン、N-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン、ジエタノールアミン、N,N’-ジメチルピペラジン、N-エチルピペラジン、N-メチルシクロヘキシルアミン、イミダゾール、N-メチルイミダゾール、およびピロリジンからなる群から選択され、より好ましくは、ピペラジンである、請求項8から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
(i.2)による前記反応を、95~5重量%、好ましくは90~10重量%、より好ましくは80~20重量%、より好ましくは70~30重量%の前記化合物R
1-NH
2、または前記化合物R
2-NH
2、またはR
1がR
2とは異なる場合には前記化合物R
1-NH
2および前記化合物R
2-NH
2の存在下で、かつ
5~95重量%、好ましくは10~90重量%、より好ましくは20~80重量%、より好ましくは30~70重量%の前記化合物H
2N-R
3-NH
2、または前記化合物H
2N-R
4-NH
2、またはR
3がR
4とは異なる場合には前記化合物H
2N-R
3-NH
2および前記化合物H
2N-R
4-NH
2の存在下で行う、請求項8から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
(i.2)による前記反応を、1~20bar(100~2000kPa)の範囲、好ましくは1~16bar(100~16000kPa)の範囲の圧力で、80~210℃の範囲、好ましくは150~200℃の範囲の反応混合物、好ましくは、請求項24または25で定義されているような懸濁液の温度で行う、請求項8から13までのいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
(i) (i.2)から得られた前記固溶体を含む混合物を提供すること、
(ii) (i)によって提供された前記混合物を機械的処理に供すること、
(iii) (ii)から得られた前記混合物に水を添加すること、
(iv) (iii)から得られた前記混合物を固液分離に供すること、
(v) (iv)から得られた前記固体を少なくとも1種の適切な洗浄剤で洗浄すること、
(vi) (v)から得られた前記固体を乾燥させて前記固溶体を得ること
をさらに含む、請求項8から14までのいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
(ii)による前記機械的処理が、1回以上の混練および粉砕を含み、混練が、共押出、塩混練、単軸混練、および二軸混練を含み、粉砕が、湿式粉砕、ボール粉砕、ビーズ粉砕、振動粉砕、遊星粉砕、およびアトライター粉砕を含む、請求項8から15までのいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
(ii)による前記機械的処理が混練を含み、好ましくは混練であり、前記混練を、40~120℃の範囲、好ましくは45~90℃の範囲、より好ましくは50~90℃の範囲の混合物の温度で行い、前記方法が、好ましくは、混練の直前および/またはその最中のいずれかに、1種のまたは適切な溶媒、または塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、および無水硫酸アルミニウムのうちの1種以上、好ましくは塩化ナトリウムを、混練すべき前記混合物に添加することをさらに含み、より好ましくは、(i)によって提供される前記混合物に対する塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、および無水硫酸アルミニウムのうちの1種以上の重量比が、20:1~1:1、好ましくは15:1~2:1、より好ましくは10:1~2:1、より好ましくは8:1~2:1、より好ましくは6:1~2:1、より好ましくは4:1~2:1の範囲であり、前記少なくとも1種の溶媒が、好ましくは、1種以上のエチレングリコール、ジエチレングリコール、ジアセトンアルコール、ジメチルホルムアミド、グリセリン、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、ブチルアセテート、グリセロールトリアセテート、スルホラン、キシレン、テトラヒドロフラン、ブタノール、水、およびジメチルスルホキシドであり、より好ましくは、前記少なくとも1種の溶媒が、ジエチレングリコール、ジアセトンアルコール、ジメチルホルムアミド、キシレン、ブタノール、水、およびグリセリンを含み、より好ましくはジエチレングリコール、ジアセトンアルコール、ジメチルホルムアミド、キシレン、ブタノール、水、およびグリセリンである、請求項8から16までのいずれか1項記載の方法。
【請求項18】
(ii)による前記機械的処理が、混練の直前および/またはその最中のいずれかに、混練混合物の総重量に基づいて、好ましくは1~15重量%、より好ましくは1~5重量%の量の、ペリレン、インダントロン、フタロシアニン、およびジケトピロロピロールのスルホン酸およびカルボン酸誘導体を含む相乗剤のうちの少なくとも1種以上を添加することをさらに含む、請求項8から17までのいずれか1項記載の方法。
【請求項19】
請求項8から18までのいずれか1項記載の方法によって得ることができるまたは得られた、固溶体、好ましくは請求項1から7までのいずれか1項記載の固溶体。
【請求項20】
コーティング組成物、光検出および測距(LiDAR)デバイス、近赤外線(NIR)非吸収性成分、光起電力成分、熱管理成分、断熱成分、着色塗料、印刷インク、リサイクル可能なプラスチック物品、生分解性マルチ、トナー、電荷発生材料、カラーフィルター、LCディスプレイ、ならびにセキュリティ印刷成分のうちの1種以上の成分としての、請求項1から7までのいずれか1項または請求項19記載の固溶体の使用。
【請求項21】
近赤外線(NIR)放射検出における信号対雑音比を高めるためにコーティングまたは対象において近赤外線(NIR)吸収性黒色顔料と置き換わることができる近赤外線(NIR)透明性着色剤としての、請求項1から7までのいずれか1項または請求項19記載の固溶体の使用。
【請求項22】
多層コーティングであって、
- 請求項1から7までのいずれか1項または請求項19記載の固溶体および700~2500nmの範囲で50%超の反射率を有する白色顔料または反射性顔料を1:99~99:1、好ましくは1:95~95:1の重量比で含むプライマーコーティングと、
- 請求項1から7までのいずれか1項または請求項19記載の固溶体を含むことが好ましい、黒色、着色、メタリックまたは干渉顔料を含むベースコートと、
- 任意選択的に透明トップコートと
を含む、多層コーティング。
【請求項23】
前記ポリマーの総重量に基づいて、0.01重量%~70重量%の量の、熱可塑性の、エラストマー性の、架橋された、または本質的に架橋されたポリマー、好ましくは、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアセタール、天然または合成ゴム、およびハロゲン化ビニルポリマーのうちの1種以上に含まれている、請求項1から7までのいずれか1項または請求項19記載の固溶体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固溶体であって、式(I)による少なくとも1種の化合物
【化1】
と、式(II)による少なくとも1種の化合物、または式(III)による少なくとも1種の化合物、または式(II)による少なくとも1種の化合物と式(III)による少なくとも1種の化合物との混合物
【化2】
と
を含む、固溶体に関する。
【0002】
本発明はさらに、固溶体を製造するための方法に関する。本発明はさらに、前記方法によって得ることができるまたは得られた固溶体と、特に近赤外線(NIR)非吸収性成分における近赤外線(NIR)透明性黒色着色剤としての、本発明の固溶体の使用とに関する。
【0003】
導入
自動車用コーティング、航空宇宙用コーティング、工業用コーティングおよび建築用コーティングなどの多くのコーティング用途では、審美目的のために、黒色などの暗い色が特に望ましい。従来、黒色顔料としては、PBk6、PBk7などのカーボンブラック、またはPBk11のような無機黒色顔料が使用されてきた。しかしながら、暗い色のコーティングは、歴史的に見て、可視光に加えて近赤外線放射を吸収するカーボンブラックなどの顔料の使用に依存していることが多いため、近赤外線放射の吸収を受けやすくなっている。近赤外線(NIR)放射、すなわち、700~2500ナノメートルの波長を有する電磁放射は、地表に到達する日射エネルギーの50%超を構成している。熱は、近赤外線(NIR)放射の吸収の直接的な結果である。結果として、暗い色のコーティングは、歴史的に見て、特に晴れた日に大幅な温度上昇の影響を受けやすくなっており、これは、多くの理由から望ましくないことが多い。
【0004】
さらに、最近では、自動運転(「自律」)車両や、自立車両に搭載されたセンサーによって検出可能なマーキングを含む車両周囲の他の物体に関連する、NIRを利用する技術が進歩している。
【0005】
伝統的なカーボンブラック顔料は、ナビゲーションのために自立車両によって使用される近赤外線(NIR)LiDAR信号を強く吸収する。低いLiDAR信号リターンによって、より高いレベルのカーボンブラックを含有する暗い色の物体の場合に特に、物体検出能力が損なわれる。NIR透明性または反射性機能性黒色顔料を使用した自動車用コーティング配合物は、優れた信号応答をもたらし、それによって、物体検出を改善する。しかしながら、黒色顔料は、重要な配合ツールであるが、伝統的なカーボンブラック顔料は、LiDARの信号の大部分を吸収する。良好なLiDAR応答を有する暗い黒色の色合いが望まれる。
【0006】
さらに、国際公開第2018/081613号では、異なるペリレン系顔料の物理的混合物を使用したNIR反射性コーティングでコーティングされた物体のNIR検出距離を増加させるための方法およびシステムを得る試みがなされた。しかしながら、2種(以上)の顔料のそのような顔料ブレンドが必要な色彩を達成するとしても、分散した混合顔料から得られる色彩は、使用される分散条件およびターゲット色の必要な色調レベルに応じて著しく変わり得る。2種(以上)の顔料の物理的混合物を使用する場合にすべての濃度で必要な色彩を達成するためには、一般に、ブレンドされる成分の比を調整して、同じ中性の色彩を達成する必要があるだろう。米国特許第7083675号明細書には、高温および真空または不活性ガス雰囲気での焼成によって製造される固溶体としてのペリレン系顔料が記載されている。しかしながら、これらの顔料では、結晶性が低く、色彩性能が不十分である。さらに、不活性ガス雰囲気下での高温でのプロセス条件を理由に、これらの顔料は、従来、有機顔料の分野では使用することができない。
【0007】
固溶体とは、同じ結晶構造内に2種以上の分子が含まれており、この構造が1種の分子単独でとられる構造と同一である、結晶を定義するものである。最大濃度の分子は、その結晶構造が固溶体の結晶構造を決定するため、ホストと呼ばれる。もう一方の分子はゲストと呼ばれる。いずれの場合でも、固溶体は、それらのX線回折パターンを調べることによって成分の物理的混合物と区別することができる。物理的混合物では、それぞれの成分に特徴的なX線回折パターンが識別可能であり、混合物のパターンはそれぞれの成分のパターンの合計である。しかしながら、固溶体のX線回折パターンは、その成分のX線回折パターンと明確に区別することができ、成分のX線ラインの一部が消えて、新たなラインが現れることがある。
【0008】
しかしながら、近赤外線(NIR)透明性黒色ペリレン系顔料の色彩および機能性を改善する必要がある。特に、分散した混合顔料から得られる色彩が使用される分散条件および目的の色の必要な顔料レベルに大幅に依存しない近赤外線(NIR)透明性黒色ペリレン系顔料を提供するという問題がある。ブレンドされた成分の比を変えることなく、すべての濃度で必要な色彩を達成する必要がある。
【0009】
詳細な説明
したがって、本発明の目的は、有利な性能特性、特に、中性の色彩、非常に低い彩度、および高い黒色値(MC色依存性およびMY非色依存性)を有する着色を提供する、改善された固溶体を提供することであった。したがって、驚くべきことに、近赤外線(NIR)透明性黒色ペリレン系顔料を含有する固溶体は、有利な性能特性、特に、中性の色彩、非常に低い彩度、および高い黒色値(MC色依存性およびMY非色依存性)を有する着色を提供することが見出された。
【0010】
したがって、本発明は、固溶体であって、(a)式(I)による少なくとも1種の化合物
【化3】
と、(b)式(II)による少なくとも1種の化合物、または式(III)による少なくとも1種の化合物、または式(II)による少なくとも1種の化合物と式(III)による少なくとも1種の化合物との混合物
【化4】
と
を含み、
式中、
R
1およびR
2が、互いに独立して、-(CH
2)
n-Xを表してよく、Xが、水素、メチル、C
1~C
5アルコキシル、ヒドロキシ、フェニル、C
1~C
5アルキルフェニル、C
1~C
5アルコキシフェニル、ヒドロキシフェニル、ハロゲン化フェニル、ピリジル、C
1~C
5アルキルピリジル、C
1~C
5アルコキシピリジル、ハロゲン化ピリジル、ピリジルビニル、またはナフチルを表し、nが、0、1、2、3、4、または5を表し、R
3およびR
4が、互いに独立して、フェニレン、C
1~C
5アルキルフェニレン、C
1~C
5アルコキシフェニレン、ヒドロキシフェニレン、ハロゲン化フェニレン、ピリジンジイル、C
1~C
5アルキルピリジンジイル、C
1~C
5アルコキシピリジンジイル、ハロゲン化ピリジンジイル、アントラキノンジイル、またはナフタレンジイルを表してよく、式(II)および(III)によるR
3に結合した2個の窒素原子が、R
3の芳香環の2個の原子とともに5員または6員の複素環を形成し、式(II)および(III)によるR
4に結合した2個の窒素原子が、R
4の芳香環の2個の原子とともに5員または6員の複素環を形成し、X
1~X
8が、互いに独立して、水素、C
1~C
5アルキル、C
1~C
5アルコキシ、ヒドロキシ、フェニル、またはハロゲン化物を表してよい、
固溶体に関する。
【0011】
本発明によれば、式(II)および(III)によるR3に結合した2個の窒素原子が、R3の芳香環の2個の隣接した原子とともに5員の複素環を形成すること、および式(II)および(III)によるR4に結合した2個の窒素原子が、R4の芳香環の2個の隣接した原子とともに5員の複素環を形成することが好ましい。
【0012】
本発明によれば、Xが、C1~C5アルコキシフェニルまたはフェニルを表し、nが、1または2であり、R3およびR4が、互いに独立して、フェニレン、C1~C5アルキルフェニレン、C1~C5アルコキシフェニレン、ハロゲン化フェニレン、またはナフタレンジイルであり、X1~X8が、互いに独立して、水素またはハロゲン化物を表すことが好ましい。
【0013】
本発明によれば、Xが、メトキシフェニルまたはフェニルを表し、nが、1または2であり、R3およびR4が、互いに独立して、フェニレン、メチルフェニレン、メトキシフェニレン、クロロフェニレン、ジクロロフェニレン、またはナフタレンジイルであり、X1~X8が水素を表すことが好ましい。
【0014】
本発明の特定の好ましい実施形態によれば、R1およびR2は、互いに独立して、-CH2C6H4OCH3または-CH2CH2C6H5を表してよく、R3およびR4は、互いに独立して、フェニレン、4-クロロフェニレン、ナフタレンジイル、または4,5-ジクロロフェニレンを表してよく、X1~X8は水素を表す。
【0015】
本発明によれば、R1がR2であること、またはR3がR4であること、またはR1がR2であり、かつR3がR4であること、好ましくは、R1がR2であり、かつR3がR4であることが好ましい。
【0016】
本発明によれば、Xが4-メトキシフェニルを表し、nが1であること、R3およびR4がフェニレンを表すこと、X1~X8が水素を表すことが好ましい。
【0017】
本発明によれば、Xが4-メトキシフェニルを表し、nが1であること、R3およびR4がナフタレンジイルであること、X1~X8が水素であることが好ましい。
【0018】
本発明によれば、Xが4-メトキシフェニルを表し、nが1であること、R3およびR4が4-クロロフェニレンを表すこと、X1~X8が水素を表すことが好ましい。
【0019】
本発明によれば、Xが4-メトキシフェニルを表し、nが1であること、R3およびR4が4,5-ジクロロフェニレンを表すこと、X1~X8が水素を表すことが好ましい。
【0020】
本発明によれば、Xがフェニルを表し、nが2であること、R3およびR4がフェニレンを表すこと、X1~X8が水素を表すことが好ましい。
【0021】
本発明によれば、Xがフェニルを表し、nが2であること、R3およびR4がナフタレンジイルを表すこと、X1~X8が水素を表すことが好ましい。
【0022】
本発明によれば、Xがフェニルを表し、nが2であること、R3およびR4が4-クロロフェニレンを表すこと、X1~X8が水素を表すことが好ましい。
【0023】
本発明によれば、本発明の固溶体が、200~350の範囲、好ましくは220~330の範囲、より好ましくは230~300の範囲の黒色値MY、および200~350の範囲、好ましくは220~330の範囲、より好ましくは230~300の範囲の色依存性黒色値MCを呈することが好ましく、MYおよびMCは、DIN EN 18314-3に従って決定される。
【0024】
本発明によれば、本発明の固溶体が、中性の色相の黒色近赤外線(NIR)中性透明性顔料であることが好ましく、近赤外線(NIR)は、700~2500ナノメートルの範囲の波長を表し、透明性は、1000nmで70%超、好ましくは80%の透過率を有する近赤外領域における透明度を表す。
【0025】
本発明によれば、本発明の固溶体が、反射性基板(80%超のTSR値)の上方で25%超の値、好ましくは33%超の値のTSR値を呈することが好ましい。
【0026】
本発明によれば、本発明の固溶体が、905nmにおいて反射性基板(90%超の反射率)の上方で65%超の値、好ましくは75%超の値の近赤外反射率、1550nmにおいて反射性基板(70%超の反射率)の上方で50%超の値、好ましくは60%超の値の近赤外反射率を呈することが好ましい。
【0027】
本発明によれば、本発明の固溶体が、5~1000nmの範囲、好ましくは10~500nmの範囲、より好ましくは20~200nmの範囲の粒径を有することが好ましい。
【0028】
本発明によれば、本発明の固溶体が、1種の結晶変態を含み、好ましくは1種の結晶変態からなり、より好ましくは、固溶体の総重量に基づいて、80重量%超の量、より好ましくは90重量%超の量の1種の結晶変態を含み、より好ましくはこの1種の結晶変態からなることが好ましい。
【0029】
本発明によれば、固溶体において、式(II)による少なくとも1種の化合物、または式(III)による少なくとも1種の化合物、または式(II)による少なくとも1種の化合物と式(III)による少なくとも1種の化合物との混合物に対する式(I)の少なくとも1種の化合物の重量比である重量((I)):重量((II)(III))が、60:40~95:5の範囲、好ましくは65:35~95:5の範囲、より好ましくは70:30~90:10の範囲、例えば、70:30~80:20の範囲、または75:25~85:15の範囲、または80:20~90:10の範囲であることが好ましい。
【0030】
本発明によれば、固溶体の80~100重量%、好ましくは85~100重量%、より好ましくは90~100重量%、より好ましくは95~100重量%、より好ましくは98~100重量%が、(a)式(I)による少なくとも1種の化合物と、(b)式(II)による少なくとも1種の化合物、または式(III)による少なくとも1種の化合物、または式(II)による少なくとも1種の化合物と式(III)による少なくとも1種の化合物との混合物とからなることが好ましい。
【0031】
本発明によれば、固溶体が、(a)式(I)による1種の化合物と、(b)式(II)による1種の化合物、または式(III)による1種の化合物、または式(II)による1種の化合物と式(III)による1種の化合物との混合物とを含むことが好ましい。
【0032】
代替的には、本発明によれば、固溶体の80~100重量%、好ましくは85~100重量%、より好ましくは90~100重量%、より好ましくは95~100重量%、より好ましくは98~100重量%が、(a)式(I)による1種の化合物と、(b)式(II)による1種の化合物、または式(III)による1種の化合物、または式(II)による1種の化合物と式(III)による1種の化合物との混合物とからなることが好ましい。
【0033】
本発明はさらに、固溶体を製造するための方法であって、
(i.1) 式(IV)による化合物
【化5】
またはペリレン-3,4:9,10-テトラカルボン酸、ペリレン-3,4:9,10-テトラカルボニルクロリド、ペリレン-3,4:9,10-テトラメタノエート、ペリレン-3,4:9,10-テトラエタノエート、ペリレン-3,4:9,10-テトラプロパノエート、もしくはペリレン-3,4:9,10-テトラブタノエートからなる群から選択されるその誘導体、
および適切な有機塩基
を提供すること、
(i.2) 式(IV)の化合物を、
(i.2.1) 化合物R
1-NH
2、または化合物R
2-NH
2、またはR
1がR
2とは異なる場合には化合物R
1-NH
2および化合物R
2-NH
2と、
(i.2.2) 化合物H
2N-R
3-NH
2、または化合物H
2N-R
4-NH
2、またはR
3がR
4とは異なる場合には化合物H
2N-R
3-NH
2および化合物H
2N-R
4-NH
2[式中、R
3に結合した2個の窒素原子は、R
3の芳香環の2個の原子に結合しており、R
4に結合した2個の窒素原子は、R
4の芳香環の2個の原子に結合している]と
同時に反応させること
を含み、
式中、
- R
1およびR
2が、互いに独立して、-(CH
2)
n-Xであり、Xが、水素、メチル、C
1~C
5アルコキシル、ヒドロキシ、フェニル、C
1~C
5アルキルフェニル、C
1~C
5アルコキシフェニル、ヒドロキシフェニル、ハロゲン化フェニル、ピリジル、C
1~C
5アルキルピリジル、C
1~C
5アルコキシピリジル、ハロゲン化ピリジル、ピリジルビニル、またはナフチルであり、nが、0、1、2、3、4、または5であり、
- R
3およびR
4が、互いに独立して、フェニレン、C
1~C
5アルキルフェニレン、C
1~C
5アルコキシフェニレン、ヒドロキシフェニレン、ハロゲン化フェニレン、ピリジンジイル、C
1~C
5アルキルピリジンジイル、C
1~C
5アルコキシピリジンジイル、ハロゲン化ピリジンジイル、アントラキノンジイル、またはナフタレンジイルであり、
- X
1~X
8が、互いに独立して、水素、C
1~C
5アルキル、C
1~C
5アルコキシ、ヒドロキシ、フェニル、またはハロゲン化物である、
方法に関する。
【0034】
本発明によれば、(i.1)において、式(IV)の化合物が、固体として、好ましくは、溶媒と混合された固体として、より好ましくは、水、ジエチレングリコール、トリエチレングリゴール、テトラエチレングリコール、ブチルグリコール、ジメチルホルムアミド、ピリジン、ニトロベンゼン、テルミノールVP-1、1,3-ジメチルイミダゾリジン-2-オン、フェノール、トリクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、メシチレン、キシレン、プロピルベンゼン、アルキルナフタレン、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドン、キノリン、N-メチルイミダゾール、またはイミダゾールからなる群から選択される溶媒と混合された固体として、より好ましくは、水と混合された固体として提供されることが好ましい。
【0035】
本発明によれば、この方法が、(i.1)の後かつ(i.2)の前に、式(IV)による化合物と、化合物R1-NH2、または化合物R2-NH2、またはR1がR2とは異なる場合には化合物R1-NH2および化合物R2-NH2と、化合物H2N-R3-NH2、または化合物H2N-R4-NH2、またはR3がR4とは異なる場合には化合物H2N-R3-NH2および化合物H2N-R4-NH2と、水とを含む懸濁液を調製することをさらに含むことが好ましい。
【0036】
本発明によれば、この方法が、(i.1)の後かつ(i.2)の前に、式(IV)による化合物と、化合物R1-NH2、または化合物R2-NH2、またはR1がR2とは異なる場合には化合物R1-NH2および化合物R2-NH2と、化合物H2N-R3-NH2、または化合物H2N-R4-NH2、またはR3がR4とは異なる場合には化合物H2N-R3-NH2および化合物H2N-R4-NH2と、適切な無機塩基、好ましくは水酸化カリウムと、ハイドロサルファイトナトリウムとを含む溶液を調製することをさらに含むことが好ましい。
【0037】
本発明によれば、適切な有機塩基が、第2級または第3級アミンを含み、好ましくは、ピペラジン、N-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン、ジエタノールアミン、N,N’-ジメチルピペラジン、N-エチルピペラジン、N-メチルシクロヘキシルアミン、イミダゾール、N-メチルイミダゾール、およびピロリジンからなる群から選択され、より好ましくは、ピペラジンであることが好ましい。
【0038】
さらに、本発明によれば、(i.2)による反応を、95~5重量%、好ましくは90~10重量%、より好ましくは80~20重量%、より好ましくは70~30重量%の化合物R1-NH2、または化合物R2-NH2、またはR1がR2とは異なる場合には化合物R1-NH2および化合物R2-NH2の存在下で、かつ5~95重量%、好ましくは10~90重量%、より好ましくは20~80重量%、より好ましくは30~70重量%の化合物H2N-R3-NH2、または化合物H2N-R4-NH2、またはR3がR4とは異なる場合には化合物H2N-R3-NH2および化合物H2N-R4-NH2の存在下で行うことが好ましい。
【0039】
本発明によれば、(i.2)による反応を、1~20bar(100~2000kPa)の範囲、好ましくは1~16bar(100~16000kPa)の範囲の圧力で、60~210℃の範囲、好ましくは150~200℃の範囲の反応混合物、好ましくは、実施形態24または25で定義されているような懸濁液の温度で行うことが好ましい。
【0040】
本発明によれば、(i.2)による反応を、混合装置内で、好ましくは単軸もしくは多軸ニーダー内で、より好ましくはニーダー型反応器、単もしくは多部品/軸ニーダー、押出機、パドルドライヤー、ミキサー、またはミル内で行うことが好ましい。
【0041】
代替的には、本発明によれば、(i.2)による反応を、溶融混合アセンブリ内で、好ましくは、単軸スクリューニーダー(例えば、特に混合およびせん断セクションを有する共ニーダー、単軸スクリュー押出機)、二軸スクリューニーダー(例えば、ZSKまたはZE二軸スクリュー押出機、コンビプラスト押出機、MPC二軸スクリューニーダーミキサー、FCM二段ミキサー、KEX混練スクリュー押出機、およびヘビーロール押出機)などのスクリューニーダー内で行うことが好ましい。トラフニーダーおよびバンバリーミキサーなどのように、ラムありまたはなしのニーダーも好適である。
【0042】
本発明によれば、(i.2)による反応の最中に、前記温度および前記圧力が、以下の範囲の組み合わせのうちの少なくとも2つであることが好ましい:150~220℃の範囲の温度および9~13bar(900~1300kPa)の範囲の圧力;170~190℃の範囲の温度および10~12bar(1000~1200kPa)の範囲の圧力;80~120℃の範囲の温度および1~1.5bar(100~150kPa)の範囲の圧力。
【0043】
本発明によれば、この方法が、(i.3)(i.2)から得られた反応混合物を、好ましくは15~40℃の範囲、より好ましくは20~30℃の範囲の混合物の温度に冷却することをさらに含むことが好ましい。
【0044】
本発明によれば、この方法が、(i.4)(i.2)から得られた反応混合物、好ましくは(i.3)から得られた冷却された反応混合物を、水および適切な塩と混合することと、得られた混合物を、好ましくは50~90℃の範囲、より好ましくは60~80℃の範囲の温度に加熱して懸濁液を得ることとをさらに含むことが好ましく、適切な塩は炭酸カリウムである。
【0045】
本発明によれば、この方法が、(i.5)(i.2)から、好ましくは(i.3)から、より好ましくは(i.4)から得られた混合物を固液分離に供することであって、前記固液分離が、好ましくは遠心分離および濾過のうちの1つ以上、より好ましくは濾過を含む、供すること、(i.6)(i.5)から得られた固体を少なくとも1種の適切な洗浄剤で洗浄することであって、前記適切な洗浄剤が、好ましくは水を含み、より好ましくは水および少なくとも1種の適切な有機酸を含み、前記少なくとも1種の適切な有機酸が、酢酸およびクエン酸を含み、より好ましくは酢酸およびクエン酸である、洗浄すること、(i.7)(i.6)から得られた固体をガス雰囲気で乾燥させることであって、前記ガス雰囲気が、好ましくは、窒素、空気、および希薄空気のうちの1種以上であり、かつ好ましくは、50~95℃、より好ましくは60~90℃、より好ましくは70~85℃の範囲の温度を有する、乾燥させることをさらに含むことが好ましい。
【0046】
本発明によれば、この方法が、(i)本明細書に記載されている特定の好ましい実施形態のいずれかに記載されているような方法によって得ることができるまたは得られた固溶体を含む混合物を提供すること、好ましくは、(1.2)から、より好ましくは(i.3)から、より好ましくは(i.4)から、より好ましくは(i.5)から、より好ましくは(i.6)から、より好ましくは(i.7)から得ることができるまたは得られた固溶体を含む混合物を提供すること、(ii)(i)によって提供された混合物を機械的処理に供すること、(iii)(ii)から得られた混合物に水を添加すること、(iv)(iii)から得られた混合物を固液分離に供すること、(v)(iv)から得られた固体を少なくとも1種の適切な洗浄剤で洗浄すること、(vi)(v)から得られた固体を乾燥させて固溶体を得ることをさらに含むことが好ましい。
【0047】
本発明によれば、(i)による混合物を提供することが、少なくとも1種の適切な酸または溶媒を混合物に添加することを含み、好ましくは、少なくとも1種の適切な酸が、ポリリン酸および硫酸のうちの1種以上であり、より好ましくは、少なくとも1種の適切な酸が硫酸を含み、より好ましくは硫酸であり、少なくとも1種の溶媒が水を含み、好ましくは水であることが好ましい。
【0048】
本発明によれば、(i)による混合物を提供することを、30~120℃の範囲、好ましくは40~110℃の範囲、より好ましくは50~100℃の範囲の混合物の温度で行うことが好ましい。
【0049】
本発明によれば、(i)による混合物を提供することを、30~80℃の範囲、好ましくは40~70℃の範囲、より好ましくは45~60℃の範囲の混合物の温度で行い、好ましくは、この方法が、少なくとも1種の適切な塩基、溶媒、またはハイドロサルファイトナトリウムを混合物に添加することをさらに含み、好ましくは、少なくとも1種の適切な塩基が、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムのうちの1種以上であり、より好ましくは、少なくとも1種の適切な塩基が水酸化ナトリウムであり、少なくとも1種の溶媒が水を含み、好ましくは水であり、より好ましくは、この方法が、少なくとも1種の適切な酸化剤を添加することをさらに含み、より好ましくは、少なくとも1種の適切な酸化剤が、酸素または過酸化水素のうちの1種以上であることが好ましい。
【0050】
本発明によれば、(ii)による機械的処理が、1回以上の混練および粉砕を含み、混練が、共押出、塩混練、単軸混練、および二軸混練を含み、粉砕が、湿式粉砕、ボール粉砕、ビーズ粉砕、振動粉砕、遊星粉砕、およびアトライター粉砕を含むことが好ましい。
【0051】
本発明によれば、(ii)による機械的処理が混練を含み、好ましくは混練であり、前記混練を、40~120℃の範囲、好ましくは45~90℃の範囲、より好ましくは50~90℃の範囲の混合物の温度で行い、この方法が、好ましくは、混練の直前および/またはその最中のいずれかに、1種のまたは適切な溶媒を、または塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、および無水硫酸アルミニウムのうちの1種以上、好ましくは塩化ナトリウムを、混練すべき混合物に添加することをさらに含み、より好ましくは、(i)によって提供される混合物に対する塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、および無水硫酸アルミニウムのうちの1種以上の重量比が、20:1~1:1、好ましくは15:1~2:1、より好ましくは10:1~2:1、より好ましくは8:1~2:1、より好ましくは6:1~2:1、より好ましくは4:1~2:1の範囲であり、好ましくは、少なくとも1種の溶媒が、1種以上のエチレングリコール、ジエチレングリコール、ジアセトンアルコール、ジメチルホルムアミド、グリセリン、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、ブチルアセテート、グリセロールトリアセテート、スルホラン、キシレン、テトラヒドロフラン、ブタノール、水、およびジメチルスルホキシドであり、より好ましくは、少なくとも1種の溶媒が、ジエチレングリコール、ジアセトンアルコール、ジメチルホルムアミド、キシレン、ブタノール、水、およびグリセリンを含み、より好ましくはジエチレングリコール、ジアセトンアルコール、ジメチルホルムアミド、キシレン、ブタノール、水、およびグリセリンであることが好ましい。
【0052】
本発明によれば、(ii)による機械的処理が、混練の直前および/またはその最中のいずれかに、混練混合物の総重量に基づいて、好ましくは1~15重量%、より好ましくは1~5重量%の量の、ペリレン、インダントロン、フタロシアニン、およびジケトピロロピロールのスルホン酸およびカルボン酸誘導体を含む相乗剤、ならびに/または混練混合物の総重量に基づいて、好ましくは1~50重量%、より好ましくは2~25重量%の量の、アビエチン酸のエステルおよび塩を含む天然もしくは合成樹脂である水和もしくは水素化もしくは部分水素化もしくは二量化ロジン、または混練混合物の総重量に基づいて、好ましくは1~50重量%、より好ましくは2~20重量%の量の、モノラウリン酸ソルビタンもしくはセバシン酸ジブチルポリオールを含むラウリン酸もしくはセバシン酸を含むエステルもしくはエステル混合物を含むポリソルベート非イオン性界面活性剤のうちの少なくとも1種を、混練すべき混合物に添加することをさらに含むことが好ましい。
【0053】
代替的には、本発明によれば、(ii)による機械的処理が粉砕を含み、好ましくは粉砕であり、前記粉砕を、40~120℃の範囲、好ましくは45~90℃の範囲、より好ましくは50~90℃の範囲の混合物の温度で行い、この方法が、好ましくは、粉砕の直前および/またはその最中のいずれかに、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、および無水硫酸アルミニウムのうちの1種以上、好ましくは塩化ナトリウムを、粉砕すべき混合物に添加することをさらに含むことが好ましい。
【0054】
本発明によれば、この方法が、粉砕直後に、40~200℃、好ましくは45~150℃の範囲、より好ましくは50~120℃の範囲の混合物の温度で撹拌しながら少なくとも1種の適切な酸または溶媒を、粉砕すべき混合物に添加することをさらに含み、好ましくは、少なくとも1種の適切な酸が、ポリリン酸および硫酸のうちの1種以上であり、より好ましくは、少なくとも1種の適切な酸が硫酸を含み、より好ましくは硫酸であり、好ましくは、少なくとも1種の溶媒が、1種以上のエチレングリコール、ジエチレングリコール、ジアセトンアルコール、ジメチルホルムアミド、グリセリン、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、ブチルアセテート、グリセロールトリアセテート、スルホラン、キシレン、テトラヒドロフラン、ブタノール、水、およびジメチルスルホキシドであり、より好ましくは、少なくとも1種の溶媒が、ジエチレングリコール、ジアセトンアルコール、ジメチルホルムアミド、キシレン、テトラヒドロフラン、ブタノール、水、およびグリセリンを含み、より好ましくはジエチレングリコール、ジアセトンアルコール、ジメチルホルムアミド、キシレン、テトラヒドロフラン、ブタノール、水、およびグリセリンであることが好ましい。
【0055】
本発明によれば、粉砕を、好ましくは0.1~5cmの範囲の直径を有する鋼球、酸化ケイ素/アルミニウム/ジルコニウムビーズ、ガラスビーズ、セラミックビーズ、およびメノウボールを用いて行い、粉砕が湿式粉砕であり、湿式粉砕を、水中で、または水と少なくとも1種の適切な有機溶媒および任意選択的に少なくとも1種の適切な塩基との混合物中で行い、より好ましくは、少なくとも1種の適切な溶媒が、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、およびジプロピレングリコールを含み、より好ましくはメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、およびジプロピレングリコールであり、より好ましくは、少なくとも1種の適切な塩基が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、および水酸化ベンジルトリメチルアンモニウムを含み、より好ましくは水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、および水酸化ベンジルトリメチルアンモニウムであることが好ましい。
【0056】
さらに、本発明によれば、(ii)による機械的処理が、粉砕の直前および/またはその最中のいずれかに、粉砕混合物の総重量に基づいて、好ましくは1~15重量%、より好ましくは1~5重量%の量の相乗剤、ならびに/または粉砕混合物の総重量に基づいて、好ましくは1~50重量%、より好ましくは5~30重量%の量の、アビエチン酸のエステルおよび塩を含む天然もしくは合成樹脂である水和もしくは部分水素化もしくは二量化ロジン、ならびに粉砕混合物の総重量に基づいて、好ましくは1~50重量%、より好ましくは5~30重量%の量のアビエチン酸の誘導体を含む天然ロジンのうちの1種以上を、粉砕すべき混合物に添加することをさらに含むことが好ましい。
【0057】
本発明によれば、相乗剤のうちの少なくとも1種以上が、ペリレン、インダントロン(PB60)、銅、アルミニウムまたは亜鉛フタロシアニン、キナクリドン(PV19、PR202)、ジオキサジン(PV23、PV37、PB80)、およびジケトピロロピロール(PR254、PR255)のスルホン酸誘導体およびカルボン酸誘導体を含むことが好ましい。
【0058】
さらに、本発明によれば、相乗剤のうちの少なくとも1種以上が、ペリレン、インダントロン、銅、アルミニウムまたは亜鉛フタロシアニン、キナクリドン、ジオキサジン、およびジケトピロロピロールのスルホン酸誘導体およびカルボン酸誘導体を含み、ペリレン、インダントロン、銅、アルミニウムまたは亜鉛フタロシアニン、キナクリドン、ジオキサジン、およびジケトピロロピロールのスルホン酸誘導体およびカルボン酸誘導体が、互いに独立して、-COO-M+、-COOR’5、-CONR’5R’6、-COO-N+R’5R’6R’7R’8、-SO2NR’5R’6、-CH2NR’5R’6、-CH2N+R’5R’6R’7R’8R’5-COO-および/もしくは-CH2R’9、ベンゾイルによって一置換もしくは多置換されてよく、さらに、C1~C12-アルキル、C1~C6-アルコキシ、ニトロおよび/もしくはハロゲンによって一置換もしくは多置換されたものを表してよく、R’5、R’6、R’7、R’8が、互いに独立して、水素、その炭化水素鎖がそれぞれの場合に1つ以上の-O-、-S-、NR’9-、-CO-もしくは-SO2-部分によって中断されてよいC1~C12-アルキルもしくはC2~C12-アルケニルを表してよく、および/またはヒドロキシル、ハロゲン、アリール、C1~C4-アルコキシおよび/もしくはアセチル、その炭素骨格が1つ以上の-O-、-S-、-NR’10-もしくは-CO-部分によって中断されてよいC3~C8-シクロアルキルによって一置換もしくは多置換されてよく、かつ/またはアセチルによって置換されてよく、R’9がフタルイミジルを表し、R’10が水素もしくはC1~C8-アルキルを表し、M+が、水素、もしくは特にアルカリ金属カチオンとしての金属カチオン、より好ましくはナトリウムもしくはカリウムを表すことが好ましい。適切な相乗剤は、欧州特許第0636666号明細書に記載されており、好ましくは、国際公開第2005078023号の式Iのペリレン誘導体、好ましくは、国際公開第91/02034号の式Ia’およびIb’のペリレン誘導体、好ましくは、欧州特許出願公開第2316886号明細書の式Iのペリレン誘導体、好ましくは、欧州特許出願公開第504922号明細書の式DS-1、DS-2、DS-3の化合物、好ましくは、米国特許出願公開第2012018687号明細書の式Iの化合物、好ましくは、米国特許出願公開第20050001202号明細書の式Iの化合物、好ましくは、欧州特許第0700420号明細書の式I~VIIの化合物、好ましくは、式I~VIIまたは中国特許出願公開第110591445号明細書の化合物、好ましくは、式I、IA、IB、II、III、IVの化合物である。
【0059】
本発明によれば、(iv)による固液分離が、遠心分離および濾過のうちの1つ以上、より好ましくは濾過を含むことが好ましい。
【0060】
本発明によれば、(v)による少なくとも1種の適切な洗浄剤が水を含み、より好ましくは水であり、(iv)から得られた固体が、好ましくは、洗浄から得られた水が最大100マイクロジーメンス/cmの導電率を呈するまで洗浄されることが好ましい。
【0061】
さらに、本発明によれば、(v)から得られた固体の乾燥をガス雰囲気で行い、好ましくは、前記ガス雰囲気が、好ましくは、窒素、空気、および希薄空気のうちの1種以上であり、かつ好ましくは、50~95℃、より好ましくは60~90℃、より好ましくは70~85℃の範囲の温度を有することが好ましい。
【0062】
本発明によれば、この方法において、n、X、R1、R2、R3、R4、X1~X8、およびそれらの特定の組み合わせが、本明細書に記載されている特定の好ましい実施形態のいずれかに記載されているような固溶体について定義される通りであることが好ましい。
【0063】
本発明によれば、固溶体が、本明細書に記載されている特定の好ましい実施形態のいずれかに記載されているような固溶体であることが好ましい。
【0064】
本発明はさらに、本明細書に記載されている特定の好ましい実施形態のいずれかに記載されているような方法によって得ることができるまたは得られた固溶体に関する。
【0065】
本発明によれば、本明細書に記載されている特定の好ましい実施形態のいずれかに記載されているような方法によって得ることができるまたは得られた固溶体が好ましく、ここで、R1およびR2は、互いに独立して、-(CH2)n-Xを表してよく、Xは、水素、メチル、C1~C5アルコキシル、ヒドロキシ、フェニル、C1~C5アルキルフェニル、C1~C5アルコキシフェニル、ヒドロキシフェニル、ハロゲン化フェニル、ピリジル、C1~C5アルキルピリジル、C1~C5アルコキシピリジル、ハロゲン化ピリジル、ピリジルビニル、またはナフチルを表し、nは、0、1、2、3、4、または5であり、R3およびR4は、互いに独立して、フェニレン、C1~C5アルキルフェニレン、C1~C5アルコキシフェニレン、ヒドロキシフェニレン、ハロゲン化フェニレン、ピリジンジイル、C1~C5アルキルピリジンジイル、C1~C5アルコキシピリジンジイル、ハロゲン化ピリジンジイル、アントラキノンジイル、またはナフタレンジイルを表してよく、式(II)および(III)によるR3に結合した2個の窒素原子は、R3の芳香環の2個の原子とともに5員または6員の複素環を形成し、式(II)および(III)によるR4に結合した2個の窒素原子は、R4の芳香環の2個の原子とともに5員または6員の複素環を形成し、X1~X8は、互いに独立して、水素、C1~C5アルキル、C1~C5アルコキシ、ヒドロキシ、フェニル、またはハロゲン化物を表してよい。
【0066】
本発明はさらに、ポリマーの総重量に基づいて、0.01重量%~70重量%の量の、熱可塑性の、エラストマー性の、架橋された、または本質的に架橋されたポリマー、好ましくは、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアセタール、天然または合成ゴム、およびハロゲン化ビニルポリマーのうちの1種以上に含まれている固溶体に関する。
【0067】
本発明はさらに、基板の表面に塗布されるコーティング組成物、好ましくは、基板の表面に塗布される膜もしくはコーティングの形態または繊維、シートもしくは他の成形もしくは形成された物品の形態である熱可塑性の、エラストマー性の、架橋された、または本質的に架橋されたポリマーのうちの1種以上に含まれている固溶体に関する。
【0068】
本発明はさらに、コーティング組成物、光検出および測距(LiDAR)デバイス、近赤外線(NIR)非吸収性成分、光起電力成分、熱管理成分、断熱成分、着色塗料、印刷インク、リサイクル可能なプラスチック物品、生分解性マルチ、トナー、電荷発生材料、カラーフィルター、LCディスプレイ、ならびにセキュリティ印刷成分のうちの1種以上に含まれている固溶体に関する。
【0069】
本発明はさらに、コーティング組成物、光検出および測距(LiDAR)デバイス、近赤外線(NIR)非吸収性成分、光起電力成分、熱管理成分、断熱成分、着色塗料、印刷インク、リサイクル可能なプラスチック物品、生分解性マルチ、トナー、電荷発生材料、カラーフィルター、LCディスプレイ、ならびにセキュリティ印刷成分のうちの1種以上における成分としての使用のための固溶体に関する。
【0070】
さらに、別の実施形態では、本発明は、コーティング組成物、光検出および測距(LiDAR)デバイス、近赤外線(NIR)非吸収性成分、光起電力成分、熱管理成分、断熱成分、着色塗料、印刷インク、リサイクル可能なプラスチック物品、生分解性マルチ、トナー、電荷発生材料、カラーフィルター、LCディスプレイ、ならびにセキュリティ印刷成分のうちの1種以上の成分としての固溶体の使用に関する。
【0071】
代替的には、本発明は、本明細書に記載されている特定の好ましい実施形態のいずれかに記載されているような固溶体を含む、コーティング組成物、ならびに/または光検出および/もしくは測距(LiDAR)デバイス、ならびに/または近赤外線(NIR)非吸収性成分、ならびに/または光起電力成分、ならびに/または熱管理成分、ならびに/または断熱成分、ならびに/または着色塗料、ならびに/または印刷インク、ならびに/またはリサイクル可能なプラスチック物品、ならびに/または生分解性マルチ、ならびに/またはトナー、ならびに/または電荷発生材料、ならびに/またはカラーフィルター、ならびに/またはLCディスプレイ、ならびに/またはセキュリティプリント成分に関する。
【0072】
本発明はさらに、多層コーティングであって、本明細書に記載されている特定の好ましい実施形態のいずれかに記載されているような固溶体および700~2500nmの範囲で50%超の反射率を有する白色顔料または反射性顔料を1:99~99:1、好ましくは1:95~95:1の重量比で含むプライマーコーティングと、本明細書に記載されている特定の好ましい実施形態のいずれかに記載されているような固溶体を含むことが好ましい、黒色、着色、メタリックまたは干渉顔料を含むベースコートと、任意選択的に透明トップコートとを含む、多層コーティングに関する。
【0073】
本発明はさらに、コーティング組成物、光検出および測距(LiDAR)デバイス、近赤外線(NIR)非吸収性成分、近赤外線(NIR)非吸収性成分、光起電力成分、熱管理成分、断熱成分、着色塗料、印刷インク、プラスチック、リサイクル可能なプラスチック物品、生分解性マルチ、トナー、電荷発生材料、カラーフィルター、LCディスプレイ、ならびにセキュリティ印刷成分のうちの1種以上を製造するための、本明細書に記載されている特定の好ましい実施形態のいずれかに記載されているような固溶体の使用に関する。
【0074】
本発明はさらに、コーティング組成物、光検出および測距(LiDAR)デバイス、近赤外線(NIR)非吸収性成分、光起電力成分、熱管理成分、断熱成分、着色塗料、印刷インク、プラスチック、リサイクル可能なプラスチック製品、生分解性マルチ、トナー、電荷発生材料、カラーフィルター、LCディスプレイ、ならびにセキュリティ印刷成分のうちの1種以上を製造するための方法であって、この方法が、本明細書に記載されている特定の好ましい実施形態のいずれかにあるような固溶体を提供および処理することを含む、方法に関する。
【0075】
本発明はさらに、品目を識別するための方法であって、前記品目が、本明細書に記載されている特定の好ましい実施形態のいずれかに記載されているような有効量の固溶体を含む特徴部を含み、前記特徴部を、700~2500nmの波長の電磁波による照射下で記録し、その特徴部の画像を、品目を識別するために使用する、方法に関する。
【0076】
本発明はさらに、物品をレーザー溶接するための方法であって、本明細書に記載されている特定の好ましい実施形態のいずれかに記載されているような固溶体を、近赤外線吸収性材料を含有する溶融可能な基板の材料の表面と接触しているポリマー組成物に組み込み、次いで、好ましくは700~2500nmの範囲の波長のレーザーからの近赤外線放射を、本明細書に記載されている特定の好ましい実施形態のいずれかに記載されているような固溶体を含有する層を通じて下の基板に通過させて、照射点で十分な熱を発生させて2つの材料を一緒に溶融させる、方法に関する。
【0077】
本発明はさらに、本明細書に記載されている特定の好ましい実施形態のいずれかに記載されているような固溶体を含むリサイクル可能なプラスチック物品を、700~2500nmの範囲の波長のレーザー信号で識別する方法に関する。
【0078】
本発明はさらに、近赤外線(NIR)放射検出における信号対雑音比を高めるためにコーティングまたは対象において近赤外線(NIR)吸収性黒色顔料と置き換わることができる近赤外線(NIR)透明性着色剤としての、本明細書に記載されている特定の好ましい実施形態のいずれかに記載されているような固溶体の使用に関する。
【0079】
本発明はさらに、700~2500nmの範囲の波長のレーザー信号でのLiDAR検出のための、本明細書に記載されている特定の好ましい実施形態のいずれかに記載されているような固溶体の使用に関する。
【0080】
本発明はさらに、本明細書に記載されている特定の好ましい実施形態のいずれかに記載されているような固溶体と、少なくとも1種の有機顔料および/または少なくとも1種の無機顔料および/またはエフェクト顔料とを含むコーティングであって、有機顔料が、カラーインデックス(C.I.)黄色顔料109、110、139、151、154;C.I.橙色顔料61、64、69、73;C.I.赤色顔料122、179、202、254、264、272、282;C.I.茶色顔料29;C.I.紫色顔料19、23、37;C.I.青色顔料15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、60、80;C.I.緑色顔料7、36;C.I.黒色顔料31、32、Spectrasense(商標)Black K 0087(Lumogen(登録商標)K 0087)、および前記顔料の顔料調製物からなる群から選択され、無機顔料が、C.I.黄色顔料53、184、C.I.茶色顔料24、29、33、35、C.I.青色顔料28、36、C.I.緑色顔料17、26、50、C.I.黒色顔料12、30、および前記顔料の顔料調製物からなる群から選択される、コーティングに関する。
【0081】
本発明は、以下の一連の実施形態、ならびに示されているような従属性および後方参照から生じる実施形態の組み合わせによって説明される。特に、実施形態の範囲が述べられているそれぞれの場合において、例えば、「実施形態1から4までのいずれか1つ記載の固溶体」などの用語の文脈において、この範囲のあらゆる実施形態は、当業者にとって明示的に開示されることを意味し、すなわち、この用語の表現は、「実施形態1、2、3、および4のいずれか1つ記載の固溶体」と同義であると当業者によって理解されるべきである。さらに、以下の一連の実施形態が、保護の範囲を決定する一連の請求項であるのではなく、本発明の一般的かつ好ましい態様を対象とした説明の好適に構成された部分を表すことに明示的に言及したい。
【0082】
実施形態1によれば、本発明は、固溶体であって、
(a)式(I)による少なくとも1種の化合物
【化6】
と、
(b)式(II)による少なくとも1種の化合物、または式(III)による少なくとも1種の化合物、または式(II)による少なくとも1種の化合物と式(III)による少なくとも1種の化合物との混合物
【化7】
と
を含み、
式中、
R
1およびR
2が、互いに独立して、-(CH
2)
n-Xであり、Xが、水素、メチル、C
1~C
5アルコキシル、ヒドロキシ、フェニル、C
1~C
5アルキルフェニル、C
1~C
5アルコキシフェニル、ヒドロキシフェニル、ハロゲン化フェニル、ピリジル、C
1~C
5アルキルピリジル、C
1~C
5アルコキシピリジル、ハロゲン化ピリジル、ピリジルビニル、またはナフチルであり、nが、0、1、2、3、4、または5であり、R
3およびR
4が、互いに独立して、フェニレン、C
1~C
5アルキルフェニレン、C
1~C
5アルコキシフェニレン、ヒドロキシフェニレン、ハロゲン化フェニレン、ピリジンジイル、C
1~C
5アルキルピリジンジイル、C
1~C
5アルコキシピリジンジイル、ハロゲン化ピリジンジイル、アントラキノンジイル、またはナフタレンジイルであり、式(II)および(III)によるR
3に結合した2個の窒素原子が、R
3の芳香環の2個の原子とともに5員または6員の複素環を形成し、式(II)および(III)によるR
4に結合した2個の窒素原子が、R
4の芳香環の2個の原子とともに5員または6員の複素環を形成し、X
1~X
8が、互いに独立して、水素、C
1~C
5アルキル、C
1~C
5アルコキシ、ヒドロキシ、フェニル、またはハロゲン化物である、
固溶体に関する。
【0083】
好ましい実施形態2は、実施形態1を具体化したものであり、Xは、C1~C5アルコキシフェニルまたはフェニルであり、nは、1または2であり、R3およびR4は、互いに独立して、フェニレン、C1~C5アルキルフェニレン、C1~C5アルコキシフェニレン、ハロゲン化フェニレン、またはナフタレンジイルであり、X1~X8は、互いに独立して、水素またはハロゲン化物である。
【0084】
好ましい実施形態3は、実施形態1または2を具体化したものであり、Xは、メトキシフェニルまたはフェニルであり、nは、1または2であり、R3およびR4は、互いに独立して、フェニレン、メチルフェニレン、メトキシフェニレン、クロロフェニレン、ジクロロフェニレン、またはナフタレンジイルであり、X1~X8は水素である。
【0085】
好ましい実施形態4は、実施形態1から3までのいずれか1つを具体化したものであり、R1およびR2は、互いに独立して、-CH2C6H4OCH3または-CH2CH2C6H5であり、R3およびR4は、互いに独立して、フェニレン、4-クロロフェニレン、ナフタレンジイル、または4,5-ジクロロフェニレンであり、X1~X8は水素である。
【0086】
好ましい実施形態5は、実施形態1から4までのいずれか1つを具体化したものであり、R1がR2であるか、R3がR4であるか、またはR1がR2であり、かつR3がR4であり、好ましくは、R1がR2であり、かつR3がR4である。
【0087】
好ましい実施形態6は、実施形態1から5までのいずれか1つを具体化したものであり、Xは4-メトキシフェニルであり、nは1であり、R3およびR4はフェニレンであり、X1~X8は水素である。
【0088】
好ましい実施形態7は、実施形態1から5までのいずれか1つを具体化したものであり、Xは4-メトキシフェニルであり、nは1であり、R3およびR4はナフタレンジイルであり、X1~X8は水素である。
【0089】
好ましい実施形態8は、実施形態1から5までのいずれか1つを具体化したものであり、Xは4-メトキシフェニルであり、nは1であり、R3およびR4は4-クロロフェニレンであり、X1~X8は水素である。
【0090】
好ましい実施形態9は、実施形態1から5までのいずれか1つを具体化したものであり、Xは4-メトキシフェニルであり、nは1であり、R3およびR4は4,5-ジクロロフェニレンであり、X1~X8は水素である。
【0091】
好ましい実施形態10は、実施形態1から5までのいずれか1つを具体化したものであり、Xはフェニレンであり、nは2であり、R3およびR4はフェニレンであり、X1~X8は水素である。
【0092】
好ましい実施形態11は、実施形態1から5までのいずれか1つを具体化したものであり、Xはフェニレンであり、nは2であり、R3およびR4はナフタレンジイルであり、X1~X8は水素である。
【0093】
好ましい実施形態12は、実施形態1から5までのいずれか1つを具体化したものであり、Xはフェニレンであり、nは2であり、R3およびR4は4-クロロフェニレンであり、X1~X8は水素である。
【0094】
好ましい実施形態13は、実施形態1から12までのいずれか1つを具体化したものであり、200~350の範囲、好ましくは220~330の範囲、より好ましくは230~300の範囲の黒色値MY、および200~350の範囲、好ましくは220~330の範囲、より好ましくは230~300の範囲の色依存性黒色値MCを呈し、MYおよびMCは、DIN EN 18314-3に従って決定される。
【0095】
好ましい実施形態14は、実施形態1から13までのいずれか1つを具体化したものであり、黒色近赤外線(NIR)中性透明性顔料であり、近赤外線は、700~2500ナノメートルの範囲の波長を表し、透明性は、1000nmで70%超、好ましくは80%の透過率を有する近赤外領域における透明度を表す。
【0096】
好ましい実施形態15は、実施形態1から14までのいずれか1つを具体化したものであり、反射性基板(80%超のTSR値)の上方で25%超の値、好ましくは33%超の値のTSR値を呈する。
【0097】
好ましい実施形態16は、実施形態1から15までのいずれか1つを具体化したものであり、905nmにおいて反射性基板(90%超の反射率)の上方で65%超の値、好ましくは75%超の値の近赤外反射率、1550nmにおいて反射性基板(70%超の反射率)の上方で50%超の値、好ましくは60%超の値の近赤外反射率を呈する。
【0098】
好ましい実施形態17は、実施形態1から16までのいずれか1つを具体化したものであり、粒径は、5~1000nmの範囲、好ましくは10~500nmの範囲、より好ましくは20~200nmの範囲である。
【0099】
好ましい実施形態18は、実施形態1から17までのいずれか1つを具体化したものであり、固溶体は、1種の結晶変態を含み、好ましくは1種の結晶変態からなり、より好ましくは、固溶体の総重量に基づいて、80重量%超の量、より好ましくは90重量%超の量の1種の結晶変態を含み、より好ましくはこの1種の結晶変態からなる。
【0100】
好ましい実施形態19は、実施形態1から18までのいずれか1つを具体化したものであり、固溶体において、式(II)による少なくとも1種の化合物、または式(III)による少なくとも1種の化合物、または式(II)による少なくとも1種の化合物と式(III)による少なくとも1種の化合物との混合物に対する式(I)の少なくとも1種の化合物の重量比である重量((I)):重量((II)(III))は、60:40~95:5の範囲、好ましくは65:35~95:5の範囲、より好ましくは70:30~90:10の範囲、例えば、70:30~80:20の範囲、または75:25~85:15の範囲、または80:20~90:10の範囲である。
【0101】
好ましい実施形態20は、実施形態1から19までのいずれか1つを具体化したものであり、固溶体の80~100重量%、好ましくは85~100重量%、より好ましくは90~100重量%、より好ましくは95~100重量%、より好ましくは98~100重量%が、
(a) 式(I)による少なくとも1種の化合物と、
(b) 式(II)による少なくとも1種の化合物、または式(III)による少なくとも1種の化合物、または式(II)による少なくとも1種の化合物と式(III)による少なくとも1種の化合物との混合物と
からなる。
【0102】
好ましい実施形態21は、実施形態1から20までのいずれか1つを具体化したものであり、
(a) 式(I)による1種の化合物と、
(b) 式(II)による1種の化合物、または式(III)による1種の化合物、または式(II)による1種の化合物と式(III)による1種の化合物との混合物と
を含む。
【0103】
好ましい実施形態22は、実施形態21を具体化したものであり、固溶体の80~100重量%、好ましくは85~100重量%、より好ましくは90~100重量%、より好ましくは95~100重量%、より好ましくは98~100重量%が、
(a) 式(I)による1種の化合物と、
(b) 式(II)による1種の化合物、または式(III)による1種の化合物、または式(II)による1種の化合物と式(III)による1種の化合物との混合物と
からなる。
【0104】
実施形態23によれば、本発明は、固溶体を製造するための方法であって、
(i.1) 式(IV)による化合物
【化8】
またはペリレン-3,4:9,10-テトラカルボン酸、ペリレン-3,4:9,10-テトラカルボニルクロリド、ペリレン-3,4:9,10-テトラメタノエート、ペリレン-3,4:9,10-テトラエタノエート、ペリレン-3,4:9,10-テトラプロパノエート、もしくはペリレン-3,4:9,10-テトラブタノエートからなる群から選択されるその誘導体、
および適切な有機塩基
を提供すること、
(i.2) 式(IV)の化合物を、
(i.2.1) 化合物R
1-NH
2、または化合物R
2-NH
2、またはR
1がR
2とは異なる場合には化合物R
1-NH
2および化合物R
2-NH
2と、
(i.2.2) 化合物H
2N-R
3-NH
2、または化合物H
2N-R
4-NH
2、またはR
3がR
4とは異なる場合には化合物H
2N-R
3-NH
2および化合物H
2N-R
4-NH
2[式中、R
3に結合した2個の窒素原子は、R
3の芳香環の2個の原子に結合しており、R
4に結合した2個の窒素原子は、R
4の芳香環の2個の原子に結合している]と
同時に反応させること
を含み、
式中、
R
1およびR
2が、互いに独立して、-(CH
2)
n-Xであり、Xが、水素、メチル、C
1~C
5アルコキシル、ヒドロキシ、フェニル、C
1~C
5アルキルフェニル、C
1~C
5アルコキシフェニル、ヒドロキシフェニル、ハロゲン化フェニル、ピリジル、C
1~C
5アルキルピリジル、C
1~C
5アルコキシピリジル、ハロゲン化ピリジル、ピリジルビニル、またはナフチルであり、nが、0、1、2、3、4、または5であり、R
3およびR
4が、互いに独立して、フェニレン、C
1~C
5アルキルフェニレン、C
1~C
5アルコキシフェニレン、ヒドロキシフェニレン、ハロゲン化フェニレン、ピリジンジイル、C
1~C
5アルキルピリジンジイル、C
1~C
5アルコキシピリジンジイル、ハロゲン化ピリジンジイル、アントラキノンジイル、またはナフタレンジイルであり、X
1~X
8が、互いに独立して、水素、C
1~C
5アルキル、C
1~C
5アルコキシ、ヒドロキシ、フェニル、またはハロゲン化物である、
方法に関する。
【0105】
好ましい実施形態24は、実施形態23を具体化したものであり、(i.1)によれば、式(IV)の化合物は、固体として、好ましくは、溶媒と混合された固体として、より好ましくは、水、ジエチレングリコール、トリエチレングリゴール、テトラエチレングリコール、ブチルグリコール、ジメチルホルムアミド、ピリジン、ニトロベンゼン、テルミノールVP-1、1,3-ジメチルイミダゾリジン-2-オン、フェノール、トリクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、メシチレン、キシレン、プロピルベンゼン、アルキルナフタレン、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドン、キノリン、N-メチルイミダゾール、またはイミダゾールからなる群から選択される溶媒と混合された固体として、より好ましくは、水と混合された固体として提供される。
【0106】
好ましい実施形態25は、実施形態23または24を具体化したものであり、(i.1)の後かつ(i.2)の前に、式(IV)による化合物と、化合物R1-NH2、または化合物R2-NH2、またはR1がR2とは異なる場合には化合物R1-NH2および化合物R2-NH2と、化合物H2N-R3-NH2、または化合物H2N-R4-NH2、またはR3がR4とは異なる場合には化合物H2N-R3-NH2および化合物H2N-R4-NH2と、水とを含む懸濁液を調製することをさらに含む。
【0107】
好ましい実施形態26は、実施形態23から25までのいずれか1つを具体化したものであり、(i.1)の後かつ(i.2)の前に、式(IV)による化合物と、化合物R1-NH2、または化合物R2-NH2、またはR1がR2とは異なる場合には化合物R1-NH2および化合物R2-NH2と、化合物H2N-R3-NH2、または化合物H2N-R4-NH2、またはR3がR4とは異なる場合には化合物H2N-R3-NH2および化合物H2N-R4-NH2と、適切な無機塩基、好ましくは水酸化カリウムと、ハイドロサルファイトナトリウムとを含む溶液を調製することをさらに含む。
【0108】
好ましい実施形態27は、実施形態23から26までのいずれか1つを具体化したものであり、適切な有機塩基は、第2級または第3級アミンを含み、好ましくは、ピペラジン、N-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン、ジエタノールアミン、N,N’-ジメチルピペラジン、N-エチルピペラジン、N-メチルシクロヘキシルアミン、イミダゾール、N-メチルイミダゾール、およびピロリジンからなる群から選択され、より好ましくは、ピペラジンである。
【0109】
好ましい実施形態28は、実施形態23から27までのいずれか1つを具体化したものであり、(i.2)による反応を、95~5重量%、好ましくは90~10重量%、より好ましくは80~20重量%、より好ましくは70~30重量%の化合物R1-NH2、または化合物R2-NH2、またはR1がR2とは異なる場合には化合物R1-NH2および化合物R2-NH2の存在下で、かつ5~95重量%、好ましくは10~90重量%、より好ましくは20~80重量%、より好ましくは30~70重量%の化合物H2N-R3-NH2、または化合物H2N-R4-NH2、またはR3がR4とは異なる場合には化合物H2N-R3-NH2および化合物H2N-R4-NH2の存在下で行う。
【0110】
好ましい実施形態29は、実施形態23から28までのいずれか1つを具体化したものであり、(i.2)による反応を、1~20bar(100~2000kPa)の範囲、好ましくは1~16bar(100~16000kPa)の範囲の圧力で、60~210℃の範囲、好ましくは150~200℃の範囲の反応混合物、好ましくは、実施形態24または25で定義されているような懸濁液の温度で行い、より好ましくは、(i.2)による反応を、混合装置内で、好ましくは単軸もしくは多軸ニーダー内で、より好ましくはニーダー型反応器、単もしくは多部品/軸ニーダー、押出機、パドルドライヤー、ミキサー、もしくミル内で、または溶融混合アセンブリ内、より好ましくは単軸スクリューニーダーおよび二軸スクリューニーダーなどのスクリューニーダー内で行う。
【0111】
好ましい実施形態30は、実施形態29を具体化したものであり、(i.2)による反応の最中に、前記温度および前記圧力は、以下の範囲の組み合わせのうちの少なくとも2つである:150~200℃の範囲の温度および9~13bar(900~1300kPa)の範囲の圧力;170~190℃の範囲の温度および10~12bar(1000~1200kPa)の範囲の圧力;80~120℃の範囲の温度および1~1.5bar(100~150kPa)の範囲の圧力。
【0112】
好ましい実施形態31は、実施形態23から30までのいずれか1つを具体化したものであり、(i.3)(i.2)から得られた反応混合物を、好ましくは15~40℃の範囲、より好ましくは20~30℃の範囲の混合物の温度に冷却することをさらに含む。
【0113】
好ましい実施形態32は、実施形態23から31までのいずれか1つ、好ましくは実施形態29を具体化したものであり、(i.4)(i.2)から得られた反応混合物、好ましくは(i.3)から得られた冷却された反応混合物を、水および適切な塩と混合することと、得られた混合物を、好ましくは50~90℃の範囲、より好ましくは60~80℃の範囲の温度に加熱して懸濁液を得ることとをさらに含み、適切な塩は炭酸カリウムである。
【0114】
好ましい実施形態33は、実施形態23から32までのいずれか1つを具体化したものであり、
(i.5) (i.2)から、好ましくは(i.3)から、より好ましくは(i.4)から得られた混合物を固液分離に供することであって、前記固液分離が、好ましくは遠心分離および濾過のうちの1つ以上、より好ましくは濾過を含む、供すること、
(i.6) (i.5)から得られた固体を少なくとも1種の適切な洗浄剤で洗浄することであって、前記適切な洗浄剤が、好ましくは水を含み、より好ましくは水および少なくとも1種の適切な有機酸を含み、前記少なくとも1種の適切な有機酸が、酢酸およびクエン酸を含み、より好ましくは酢酸およびクエン酸である、洗浄すること、
(i.7) (i.6)から得られた固体をガス雰囲気で乾燥させることであって、前記ガス雰囲気が、好ましくは、窒素、空気、および希薄空気のうちの1種以上であり、かつ好ましくは、50~95℃、より好ましくは60~90℃、より好ましくは70~85℃の範囲の温度を有する、乾燥させることをさらに含む。
【0115】
好ましい実施形態34は、実施形態23から33までのいずれか1つを具体化したものであり、
(i) 実施形態23から33までのいずれか1つ記載の方法によって得ることができるまたは得られた固溶体を含む混合物を提供すること、または実施形態1から22までのいずれか1つの固溶体を含む混合物を提供すること、好ましくは、(1.2)から、より好ましくは(i.3)から、より好ましくは(i.4)から、より好ましくは(i.5)から、より好ましくは(i.6)から、より好ましくは(i.7)から得ることができるまたは得られた固溶体を含む混合物を提供すること、
(ii) (i)によって提供された混合物を機械的処理に供すること、
(iii) (ii)から得られた混合物に水を添加すること、
(iv) (iii)から得られた混合物を固液分離に供すること、
(v) (iv)から得られた固体を少なくとも1種の適切な洗浄剤で洗浄すること、
(vi) (v)から得られた固体を乾燥させて固溶体を得ること
をさらに含む。
【0116】
好ましい実施形態35は、実施形態34を具体化したものであり、(i)による混合物を提供することは、少なくとも1種の適切な酸または溶媒を混合物に添加することを含み、好ましくは、少なくとも1種の適切な酸は、ポリリン酸および硫酸のうちの1種以上であり、より好ましくは、少なくとも1種の適切な酸は硫酸を含み、より好ましくは硫酸であり、少なくとも1種の溶媒は水を含み、好ましくは水である。
【0117】
好ましい実施形態36は、実施形態34または35のいずれかを具体化したものであり、(i)による混合物を提供することを、30~120℃の範囲、好ましくは40~110℃の範囲、より好ましくは50~100℃の範囲の混合物の温度で行う。
【0118】
好ましい実施形態37は、実施形態34を具体化したものであり、(i)による混合物を提供することを、30~80℃の範囲、好ましくは40~70℃の範囲、より好ましくは45~60℃の範囲の混合物の温度で行い、好ましくは、この方法は、少なくとも1種の適切な塩基、溶媒、またはハイドロサルファイトナトリウムを混合物に添加することをさらに含み、好ましくは、少なくとも1種の適切な塩基は、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムのうちの1種以上であり、より好ましくは、少なくとも1種の適切な塩基は水酸化ナトリウムであり、少なくとも1種の溶媒は、好ましくは水であり、より好ましくは、この方法は、少なくとも1種の適切な酸化剤を添加することをさらに含み、より好ましくは、少なくとも1種の適切な酸化剤は、酸素または過酸化水素のうちの1種以上である。
【0119】
好ましい実施形態38は、実施形態34から37までのいずれか1つを具体化したものであり、(ii)による機械的処理は、1回以上の混練および粉砕を含み、混練は、共押出、塩混練、単軸混練、および二軸混練を含み、粉砕は、湿式粉砕、ボール粉砕、ビーズ粉砕、振動粉砕、遊星粉砕、およびアトライター粉砕を含む。
【0120】
好ましい実施形態39は、実施形態38を具体化したものであり、(ii)による機械的処理は混練を含み、好ましくは混練であり、前記混練を、40~120℃の範囲、好ましくは45~90℃の範囲、より好ましくは50~90℃の範囲の混合物の温度で行い、この方法は、好ましくは、混練の直前および/またはその最中のいずれかに、1種のまたは適切な溶媒を、または塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、および無水硫酸アルミニウムのうちの1種以上、好ましくは塩化ナトリウムを、混練すべき混合物に添加することをさらに含み、より好ましくは、(i)によって提供される混合物に対する塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、および無水硫酸アルミニウムのうちの1種以上の重量比は、20:1~1:1、好ましくは15:1~2:1、より好ましくは10:1~2:1、より好ましくは8:1~2:1、より好ましくは6:1~2:1、より好ましくは4:1~2:1の範囲であり、少なくとも1種の溶媒は、好ましくは、1種以上のエチレングリコール、ジエチレングリコール、ジアセトンアルコール、ジメチルホルムアミド、グリセリン、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、ブチルアセテート、グリセロールトリアセテート、スルホラン、キシレン、テトラヒドロフラン、ブタノール、水、およびジメチルスルホキシドであり、より好ましくは、少なくとも1種の溶媒は、ジエチレングリコール、ジアセトンアルコール、ジメチルホルムアミド、キシレン、ブタノール、水、およびグリセリンを含み、より好ましくはジエチレングリコール、ジアセトンアルコール、ジメチルホルムアミド、キシレン、ブタノール、水、およびグリセリンである。
【0121】
好ましい実施形態40は、実施形態38または39を具体化したものであり、(ii)による機械的処理は、混練の直前および/またはその最中のいずれかに、混練混合物の総重量に基づいて、好ましくは1~15重量%、より好ましくは1~5重量%の量の、ペリレン、インダントロン、フタロシアニン、およびジケトピロロピロールのスルホン酸およびカルボン酸誘導体を含む相乗剤、ならびに/または混練混合物の総重量に基づいて、好ましくは1~50重量%、より好ましくは2~25重量%の量の、アビエチン酸のエステルおよび塩を含む天然もしくは合成樹脂である水和もしくは水素化もしくは部分水素化もしくは二量化ロジン、または混練混合物の総重量に基づいて、好ましくは1~50重量%、より好ましくは2~20重量%の量の、モノラウリン酸ソルビタンもしくはセバシン酸ジブチルポリオールを含むラウリン酸もしくはセバシン酸を含むエステルもしくはエステル混合物を含むポリソルベート非イオン性界面活性剤のうちの少なくとも1種を、混練すべき混合物に添加することをさらに含む。
【0122】
好ましい実施形態41は、実施形態38を具体化したものであり、(ii)による機械的処理は粉砕を含み、好ましくは粉砕であり、前記粉砕を、40~120℃の範囲、好ましくは45~90℃の範囲、より好ましくは50~90℃の範囲の混合物の温度で行い、この方法は、好ましくは、粉砕の直前および/またはその最中のいずれかに、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、および無水硫酸アルミニウムのうちの1種以上、好ましくは塩化ナトリウムを、粉砕すべき混合物に添加することをさらに含む。
【0123】
好ましい実施形態42は、実施形態38または41を具体化したものであり、この方法は、粉砕直後に、40~200℃、好ましくは45~150℃の範囲、より好ましくは50~120℃の範囲の混合物の温度で撹拌しながら少なくとも1種の適切な酸または溶媒を、粉砕すべき混合物に添加することをさらに含み、好ましくは、少なくとも1種の適切な酸は、ポリリン酸および硫酸のうちの1種以上であり、より好ましくは、少なくとも1種の適切な酸は硫酸を含み、より好ましくは硫酸であり、好ましくは、少なくとも1種の溶媒は、1種以上のエチレングリコール、ジエチレングリコール、ジアセトンアルコール、ジメチルホルムアミド、グリセリン、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、ブチルアセテート、グリセロールトリアセテート、スルホラン、キシレン、テトラヒドロフラン、ブタノール、水、およびジメチルスルホキシドであり、より好ましくは、少なくとも1種の溶媒は、ジエチレングリコール、ジアセトンアルコール、ジメチルホルムアミド、キシレン、テトラヒドロフラン、ブタノール、水、およびグリセリンを含み、より好ましくはジエチレングリコール、ジアセトンアルコール、ジメチルホルムアミド、キシレン、テトラヒドロフラン、ブタノール、水、およびグリセリンである。
【0124】
好ましい実施形態43は、実施形態38から42までのいずれか1つを具体化したものであり、粉砕を、好ましくは0.1~5cmの範囲の直径を有する鋼球、酸化ケイ素/アルミニウム/ジルコニウムビーズ、ガラスビーズ、セラミックビーズ、およびメノウボールを用いて行い、粉砕は湿式粉砕であり、湿式粉砕を、水中で、または水と少なくとも1種の適切な有機溶媒および任意選択的に少なくとも1種の適切な塩基との混合物中で行い、より好ましくは、少なくとも1種の適切な溶媒は、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、およびジプロピレングリコールを含み、より好ましくはメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、およびジプロピレングリコールであり、より好ましくは、少なくとも1種の適切な塩基は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、および水酸化ベンジルトリメチルアンモニウムを含み、より好ましくは水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、および水酸化ベンジルトリメチルアンモニウムである。
【0125】
好ましい実施形態44は、実施形態38から43までのいずれか1つを具体化したものであり、(ii)による機械的処理は、粉砕の直前および/またはその最中のいずれかに、粉砕混合物の総重量に基づいて、好ましくは1~15重量%、より好ましくは1~5重量%の量の相乗剤、ならびに/または粉砕混合物の総重量に基づいて、好ましくは1~50重量%、より好ましくは5~30重量%の量の、アビエチン酸のエステルおよび塩を含む天然もしくは合成樹脂である水和もしくは部分水素化もしくは二量化ロジン、ならびに粉砕混合物の総重量に基づいて、好ましくは1~50重量%、より好ましくは5~30重量%の量のアビエチン酸の誘導体を含む天然ロジンのうちの1種以上を、粉砕すべき混合物に添加することをさらに含む。
【0126】
好ましい実施形態45は、実施形態38から44までのいずれか1つを具体化したものであり、相乗剤のうちの少なくとも1種以上は、ペリレン、インダントロン(PB60)、銅、アルミニウムまたは亜鉛フタロシアニン、キナクリドン(PV19、PR202)、ジオキサジン(PV23、PV37、PB80)、およびジケトピロロピロール(PR254、PR255)のスルホン酸誘導体およびカルボン酸誘導体を含む。
【0127】
好ましい実施形態46は、実施形態23から45までのいずれか1つを具体化したものであり、(iv)による固液分離は、遠心分離および濾過のうちの1つ以上、より好ましくは濾過を含む。
【0128】
好ましい実施形態47は、実施形態23から46までのいずれか1つを具体化したものであり、(v)による少なくとも1種の適切な洗浄剤は水を含み、より好ましくは水であり、(iv)から得られた固体は、好ましくは、洗浄から得られた水が最大100マイクロジーメンス/cmの導電率を呈するまで洗浄される。
【0129】
好ましい実施形態48は、実施形態23から46までのいずれか1つを具体化したものであり、(v)から得られた固体の乾燥をガス雰囲気で行い、前記ガス雰囲気は、好ましくは、窒素、空気、および希薄空気のうちの1種以上であり、かつ好ましくは、50~95℃、より好ましくは60~90℃、より好ましくは70~85℃の範囲の温度を有する。
【0130】
好ましい実施形態49は、実施形態23から48までのいずれか1つを具体化したものであり、n、X、R1、R2、R3、R4、X1~X8、およびそれらの特定の組み合わせは、実施形態2から12までのいずれか1つで定義した通りである。
【0131】
好ましい実施形態50は、実施形態23から49までのいずれか1つを具体化したものであり、固溶体は、実施形態1から22までのいずれか1つ記載の固溶体である。
【0132】
実施形態51によれば、本発明は、実施形態23から49までのいずれか1つ記載の方法によって得ることができるまたは得られた、固溶体、好ましくは実施形態1から22までのいずれか1つ記載の固溶体に関する。
【0133】
実施形態52によれば、本発明は、ポリマーの総重量に基づいて、0.01重量%~70重量%の量の、熱可塑性の、エラストマー性の、架橋された、または本質的に架橋されたポリマー、好ましくは、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアセタール、天然または合成ゴム、およびハロゲン化ビニルポリマーのうちの1種以上に含まれている、実施形態1から22までのいずれか1つまたは実施形態51記載の固溶体に関する。
【0134】
実施形態53によれば、本発明は、基板の表面に塗布されるコーティング組成物、好ましくは、基板の表面に塗布される膜もしくはコーティングの形態または繊維、シートもしくは他の成形もしくは形成された物品の形態である熱可塑性の、エラストマー性の、架橋された、または本質的に架橋されたポリマーのうちの1種以上に含まれている、実施形態1から22までのいずれか1つまたは実施形態51記載の固溶体に関する。
【0135】
実施形態54によれば、本発明は、コーティング組成物、光検出および測距(LiDAR)デバイス、近赤外線(NIR)非吸収性成分、光起電力成分、熱管理成分、断熱成分、着色塗料、印刷インク、リサイクル可能なプラスチック物品、生分解性マルチ、トナー、電荷発生材料、カラーフィルター、LCディスプレイ、ならびにセキュリティ印刷成分のうちの1種以上に含まれている、実施形態1から22までのいずれか1つまたは実施形態51記載の固溶体に関する。
【0136】
実施形態55によれば、本発明は、コーティング組成物、光検出および測距(LiDAR)デバイス、近赤外線(NIR)非吸収性成分、光起電力成分、熱管理成分、断熱成分、着色塗料、印刷インク、リサイクル可能なプラスチック物品、生分解性マルチ、トナー、電荷発生材料、カラーフィルター、LCディスプレイ、ならびにセキュリティ印刷成分のうちの1種以上における成分としての使用のための、実施形態1から22までのいずれか1つまたは実施形態51記載の固溶体に関する。
【0137】
実施形態56によれば、本発明は、コーティング組成物、光検出および測距(LiDAR)デバイス、近赤外線(NIR)非吸収性成分、光起電力成分、熱管理成分、断熱成分、着色塗料、印刷インク、リサイクル可能なプラスチック物品、生分解性マルチ、トナー、電荷発生材料、カラーフィルター、LCディスプレイ、ならびにセキュリティ印刷成分のうちの1種以上の成分としての、実施形態1から22までのいずれか1つまたは実施形態51記載の固溶体の使用に関する。
【0138】
実施形態57によれば、本発明は、実施形態1から22までのいずれか1つまたは実施形態51記載の固溶体を含む、コーティング組成物、ならびに/または光検出および/もしくは測距(LiDAR)デバイス、ならびに/または近赤外線(NIR)非吸収性成分、ならびに/または光起電力成分、ならびに/または熱管理成分、ならびに/または断熱成分、ならびに/または着色塗料、ならびに/または印刷インク、ならびに/またはリサイクル可能なプラスチック物品、ならびに/または生分解性マルチ、ならびに/またはトナー、ならびに/または電荷発生材料、ならびに/またはカラーフィルター、ならびに/またはLCディスプレイ、ならびに/またはセキュリティプリント成分に関する。
【0139】
実施形態58によれば、本発明は、多層コーティングであって、実施形態1から22までのいずれか1つまたは実施形態51記載の固溶体および白色顔料を1:99~99:1、好ましくは1:95~95:1の重量比で含むプライマーコーティングと、実施形態1から22までのいずれか1つまたは実施形態51記載の固溶体を含むことが好ましい、黒色、着色、メタリックまたは干渉顔料を含むベースコートと、任意選択的に透明トップコートとを含む、多層コーティングに関する。
【0140】
実施形態59によれば、本発明は、コーティング組成物、光検出および測距(LiDAR)デバイス、近赤外線(NIR)非吸収性成分、近赤外線(NIR)非吸収性成分、光起電力成分、熱管理成分、断熱成分、着色塗料、印刷インク、プラスチック、リサイクル可能なプラスチック物品、生分解性マルチ、トナー、電荷発生材料、カラーフィルター、LCディスプレイ、ならびにセキュリティ印刷成分のうちの1種以上を製造するための、実施形態1から22までのいずれか1つまたは実施形態51記載の固溶体の使用に関する。
【0141】
実施形態60によれば、本発明は、コーティング組成物、光検出および測距(LiDAR)デバイス、近赤外線(NIR)非吸収性成分、光起電力成分、熱管理成分、断熱成分、着色塗料、印刷インク、プラスチック、リサイクル可能なプラスチック物品、生分解性マルチ、トナー、電荷発生材料、カラーフィルター、LCディスプレイ、ならびにセキュリティ印刷成分のうちの1種以上を製造するための方法であって、実施形態1から22までのいずれか1つまたは実施形態51記載の固溶体を提供および処理することを含む、方法に関する。
【0142】
実施形態61によれば、本発明は、品目を識別するための方法であって、前記品目が、実施形態1から22までのいずれか1つまたは実施形態51記載の有効量の固溶体を含むマークを含み、前記マークを、700~2000nmの波長の電磁波による照射下で記録し、そのマークの画像を、品目を識別するために使用する、方法に関する。
【0143】
実施形態62によれば、本発明は、物品をレーザー溶接するための方法であって、実施形態1から22までのいずれか1つまたは実施形態51記載の固溶体を、近赤外線吸収性材料を含有する溶融可能な基板の材料の表面と接触しているポリマー組成物に組み込み、次いで、好ましくは700~2000nmの範囲の波長のレーザーからの近赤外線放射を、実施形態1から22までのいずれか1つまたは実施形態51記載の固溶体を含有する層を通じて下の基板に通過させて、照射点で十分な熱を発生させて2つの材料を一緒に溶融させる、方法に関する。
【0144】
実施形態63によれば、本発明は、実施形態1から22までのいずれか1つまたは実施形態51記載の固溶体を含むリサイクル可能なプラスチック物品を、700~2000nmの範囲の波長のレーザー信号で識別する方法に関する。
【0145】
実施形態64によれば、本発明は、近赤外線(NIR)光検出における有意な信号対雑音比を可能にする近赤外線(NIR)透明性着色剤としての、実施形態1から22までのいずれか1つまたは実施形態51記載の固溶体の使用に関する。
【0146】
実施形態65によれば、本発明は、700~2500nmの範囲の波長のレーザー信号でのLiDAR検出のための、実施形態1から22までのいずれか1つまたは実施形態51記載の固溶体の使用に関する。
【0147】
実施形態66によれば、本発明は、近赤外線(NIR)非吸収性成分における近赤外線(NIR)透明性黒色着色剤としての、実施形態1から22までのいずれか1つまたは実施形態51記載の固溶体の使用に関する。
【0148】
本発明を以下の実施例および参照例によってさらに説明する。
【実施例】
【0149】
サンプル調製物
以下の例1で得られた固溶体を使用してサンプル調製物1~11を調製した。本明細書において以下で使用される「顔料」という用語は、以下の例1によって調製された本発明による固溶体を指す。
【0150】
サンプル調製物1:20重量%顔料ミルベース
密閉可能な容器内で、20重量%の顔料を、20重量%の水性分散剤(BASF SEによって供給されたアクリルブロックコポリマーであるDispex(登録商標)Ultra PX 4585(50重量%の分散剤および50重量%の水)と、59.5重量%の脱塩水と、0.5重量%の消泡添加剤(BASF SEによって供給されたFoamStar(登録商標)ST 2400(100重量%の消泡剤))と組み合わせることによって、20重量%顔料ミルベースを調製した。分散媒体(例えば、直径2mmのガラスビーズ)を、ミルベース成分:ビーズの重量比を1:2にして容器に添加し、容器を密閉した。次いで、容器をSkandex分散機に装填し(Skandex分散機は、コーティング産業で広く使用されている周知の振とう機型分散機である。同様の設計が異なる会社によって供給されており、LAU GmbHは、最も人気のあるサプライヤーのうちの1つである)、ミルベース成分を6時間分散させた。分散後に、内容物を粗いフィルターに通すことによって、ビーズを均一な液体ミルベースから除去した。得られた20重量%顔料ミルベースは、塗料配合物における使用に利用可能であった。
【0151】
サンプル調製物2:15重量%カーボンブラックミルベース
密閉可能な容器内で、15重量%のColour Black FW200カーボンブラック顔料(Orion Engineered Carbonsによって供給されたもの)を、15重量%の水性分散剤(BASF SEによって供給されたアクリルブロックコポリマーであるDispex(登録商標)Ultra PX 4585(50重量%の分散剤および50重量%の水)と、69.6部の脱塩水と、0.4重量%の消泡添加剤(BASF SEによって供給されたFoamStar(登録商標)ST 2400(100重量%))と組み合わせることによって、15重量%カーボンブラックミルベースを調製した。分散媒体(例えば、直径2mmのガラスビーズ)を、ミルベース成分:ビーズの重量比を1:2にして容器に添加し、容器を密閉した。次いで、容器をSkandex分散機に装填し、ミルベース成分を6時間分散させた。分散後に、内容物を粗いフィルターに通すことによって、ビーズを均一な液体ミルベースから除去した。得られた15重量%のカーボンブラック顔料ミルベースは、塗料配合物における使用に利用可能であった。
【0152】
サンプル調製物3:70重量%顔料二酸化チタンミルベース
密閉可能な容器内で、70重量%のKronos 2310二酸化チタン顔料(Kronos Worldwide Inc.によって供給されたもの)を、6.5重量%の水性分散剤(BASF SEによって供給されたアクリルブロックコポリマーであるDispex(登録商標)Ultra PX 4575(40重量%の分散剤および60重量%の水)と、23.1重量%の脱塩水と、0.4重量%の消泡添加剤(BASF SEによって供給されたFoamStar(登録商標)ST 2400(100重量%))と組み合わせることによって、70重量%顔料ミルベースを調製した。分散媒体(例えば、直径2mmのガラスビーズ)を、ミルベース成分:ビーズの重量比を1:2にして容器に添加し、容器を密閉した。次いで、容器をSkandex分散機に装填し、ミルベース成分を1時間分散させた。分散後に、内容物を粗いフィルターに通すことによって、ビーズを均一な液体ミルベースから除去した。得られた70重量%顔料ミルベースは、塗料配合物における使用に利用可能であった。
【0153】
【0154】
サンプル調製物4:水性ベースコートレットダウン樹脂
15重量%のアルカリ膨潤性アクリル分散液(Allnex Resinsによって供給されたSetaqua(登録商標)6802(24重量%の固体樹脂材料、76重量%の溶媒、および中和塩基))と、9重量%の熱硬化性水性アクリルエマルション(Allnex Resinsによって供給されたSetaqua(登録商標)6160(45重量%の固体樹脂材料、55重量%の揮発性溶媒、および中和塩基))と、52重量%の脂肪族ポリエステル系ポリウレタンエマルション(Allnex Resinsによって供給されたDaotan(登録商標)TW 6466/36WA(36重量%の固体樹脂材料、64重量%の溶媒、および中和塩基))と、4.8重量%のメチル化モノマーメラミン架橋剤(Allnex Resinsによって供給されたCymel(登録商標)303LF(98重量%超の固体樹脂材料、2重量%未満の揮発性溶媒、およびホルムアルデヒド))とを組み合わせることによって、水性レットダウン樹脂系を提供した。水性樹脂系の調製の当業者によって使用されているように、レットダウン樹脂の固形分、粘度、およびpHのパラメータを調整するために、脱塩水、中和アミン(ジメチルエタノールアミン)、および共溶媒(ブチルグリコール)も組み込んだ。
【0155】
サンプル調製物5:アルミニウムベース
ノンリーフィングアルミニウムペースト(Toyo Aluminiumによって供給されたもの)である7.6重量%のToyal TCR 3040シルバーダラーを、Allnex Resinsによって供給された2重量%のAdditol(登録商標)XL250顔料湿潤剤(55重量%の固体と、溶媒を含む45重量%の揮発性成分)および11重量%の親水性溶媒(n-ブタノールおよびブチルグリコール)で湿潤させた。完全に湿潤して均一になったら、50重量%の水性ベースコートレットダウン樹脂(サンプル調製物4)を撹拌しながら添加し、続いて、29.4重量%の脱塩水を添加した。
【0156】
サンプル調製物6:顔料マストーンベースコート(2.5重量%の顔料)
12.5重量%の20重量%顔料ミルベース(サンプル調製物1)を、60重量%の水性ベースコートレットダウン樹脂(サンプル調製物4)ならびに水性コーティング調製物の当業者に知られている他の共溶媒および塗布添加剤(例えば、湿潤剤)と撹拌しながら組み合わせた。粘度およびpHの調整を、脱塩水、中和されたRheovis(登録商標)AS 1130(BASF SEによって供給された水中で30重量%のアルカリ膨潤性アクリルコポリマーエマルション(ASE))、および中和アミン(ジメチルエタノールアミン)の組み合わせを使用して実現して、40~45秒DIN4フローカップの粘度および8.0~8.5の範囲のpHを達成する。
【0157】
サンプル調製物7:カーボンブラックマストーンベースコート(2.5重量%の顔料)
16.7重量%の15重量%カーボンブラックミルベース(サンプル調製物2)を、60重量%の水性ベースコートレットダウン樹脂(サンプル調製物4)ならびに水性コーティング調製物の当業者に知られている他の共溶媒および塗布添加剤(例えば、湿潤剤)と撹拌しながら組み合わせた。粘度およびpHの調整を、脱塩水、中和されたRheovis(登録商標)AS 1130(BASF SEによって供給された水中で30重量%のアルカリ膨潤性アクリルコポリマーエマルション(ASE))、および中和アミン(ジメチルエタノールアミン)の組み合わせを使用して実現して、40~45秒DIN4フローカップの粘度および8.0~8.5の範囲のpHを達成する。
【0158】
【0159】
サンプル調製物8:10:90(重量比)の顔料:二酸化チタン白色還元(Titanium Dioxide White Reduction)
10.1重量%の20重量%顔料ミルベース(調製物1)および25.8重量%の顔料二酸化チタンミルベース(調製物3)を、50.7重量%の水性ベースコートレットダウン樹脂(サンプル調製物4)ならびに水性コーティング調製物の当業者に知られている他の共溶媒および塗布添加剤(例えば、湿潤剤)と撹拌しながら組み合わせた。粘度およびpHの調整を、脱塩水、中和されたRheovis(登録商標)AS 1130(BASFによって供給された水中で30重量%のアルカリ膨潤性アクリルコポリマーエマルション(ASE))、および中和アミン(ジメチルエタノールアミン)の組み合わせを使用して実現して、40~45秒DIN4フローカップの粘度および8.0~8.5の範囲のpHを達成する。
【0160】
【0161】
サンプル調製物9:50:50(重量比)の顔料:アルミニウム還元
28.3重量%のアルミニウムベース(サンプル調製物5)を、45.0重量%の水性ベースコートレットダウン樹脂(サンプル調製物4)と撹拌しながら組み合わせた。脱塩水、中和アミン、および共溶媒を添加して、混合物の固形分およびpHを調整した。8.5重量%の20重量%顔料ミルベースを撹拌しながら添加した。ベースコートにおけるフレークの配向は、Laponite(登録商標)RD(Byk-Chemie GmbHによって供給された粘土タイプのレオロジー系添加剤)を使用して制御した。最終的な噴霧粘度およびpHの調整を、脱塩水、中和されたRheovis(登録商標)AS 1130(BASFによって供給された水中で30重量%のアルカリ膨潤性アクリルコポリマーエマルション(ASE))、および中和アミン(ジメチルエタノールアミン)の組み合わせを使用して実現して、40~45秒DIN4フローカップの粘度および8.0~8.5の範囲のpHを達成する。
【0162】
【0163】
サンプル調製物10:ポリ塩化ビニル(PVC)膜中の0.2重量%の顔料マストーン
0.2重量%の顔料を含有する厚さ約0.3mmのポリ塩化ビニル(PVC)膜を150℃のツインロールミルにおいて原色塗布で製造する。
【0164】
PVCグレード:Polymer-Chemie DEのSorVyl DB 2105透明。2ロールミルタイプのCollin 150(Collin Lab & Pilot Solutions)、総粉砕時間:約10分。
【0165】
サンプル調製物11:ポリ塩化ビニル(PVC)膜中の1:10重量%の顔料:二酸化チタン還元
白色還元適用のために0.5重量%の顔料および5重量%のTiO2を含有する(すなわち、1:10のTiO2還元をもたらす)厚さ約0.3mmのポリ塩化ビニル(PVC)膜を150℃のツインロールミルにおいて製造する。
【0166】
PVCグレード:Polymer-Chemie DEのSorVyl DB 2105透明。2ロールミルタイプのCollin 150(Collin Lab & Pilot Solutions)、総粉砕時間:約10分。
【0167】
参照例:決定方法
a) L*a*b*C*h色彩決定
本明細書で使用されるL*(明度)という用語は、国際照明委員会によって規定されたL*a*b*色空間(CIELABとも呼ばれる)における明度を意味し、a*およびb*は色度座標である。L*値は25°の観察角で測定される。CIELAB系によれば、L*=100は最も明るい値(白色)を意味し、L*=0は最も暗い値(黒色)を意味する。一般に、L*値は不透明コーティングを指す。
【0168】
本明細書で使用されるC*(彩度)という用語は、国際照明委員会によって規定されるL*C*h色空間(CIELABとも呼ばれる)における彩度を意味し、L*はL*a*b*色空間と同じ明度であり、hは色相角である。
【0169】
ソリッドカラー(Solid colors)(CIELAB色測定)は、D65光源および10°の観察者で、Datacolor 650 d8積分球分光光度計を使用して測定した。BASF Color-Careソフトウェアによるデータ処理。
【0170】
エフェクトカラー(Effect colors)(CIELAB色測定)は、D65光源および10°の観察者で、BYK-mac 6角度分光光度計(-15°、15°、25°、45°、75°、および110°)を使用して測定した。BASF ColorCareソフトウェアによるデータ処理。
【0171】
b) NIR反射率決定-全日射反射率(TSR)および指定されたNIR波長(905nmおよび1550nm)
本明細書で使用されるTSRという用語は、全日射反射率を意味し、300~2500nmの波長範囲における物体の表面反射能力の測定値である。
【0172】
905nmおよび1550nmにおけるNIR反射率は、LiDARベースの自動運転用途で使用されるNIR波長を代表するものであると考えられる。
【0173】
TSRおよび指定されたNIR波長は、Agilent Cary 5000 UV-Vis-NIR分光光度計を使用して測定した。TSRは、ASTM G159-98の直接法線日射スペクトル放射照度を使用して、ASTM標準法E903-96に従って測定した。
【0174】
c) XRD
X線回折は、Bragg-Brentano幾何学で動作する、Lynx-Eye検出器を備えたマルチサンプルチェンジャーを使用して決定した。Bruker D8 Advance XDR 2を使用した。一次側:Cuアノード、発散スリットを0.1°に設定、空気散乱シールドを設置;二次側:空気散乱スリット8mm、0.5mmニッケル吸収フィルター、4°ソラー、開口角3°に設定されたLynx-Eye検出器。サンプルをサンプルホルダーに満たし、スライドガラスで平滑にした。
【0175】
d) マストーン、二酸化チタン還元、およびアルミニウム還元試験パネル
すべてのベースコートサンプルを、Intec実験室用噴霧ロボットに取り付けられた自動HVLP噴霧ガン(大容量低圧力、例えばSATA LP90)を使用して、下塗りされていないQパネルアルミニウム試験パネル上に噴霧塗布した。ベースコート層を80℃の有効金属温度(EMT)で15分間乾燥させた。ベースコートを、不透明性が達成される層厚まで塗布した(典型的な乾燥膜厚:マストーン15~20ミクロン、10:90重量%の顔料:TiO2還元30~35ミクロン;50:50重量%の顔料:Al還元15~20ミクロン)。次いで、UV吸収剤(例えば、BASF SEによって供給されたTinuvin(登録商標)400(100%のヒドロキシフェニルトリアジンUV吸収剤))とヒンダードアミン光安定剤(HALS)(例えば、BASF SEによって供給されたTinuvin(登録商標)123(100重量%))との組み合わせを含有する典型的な一成分アクリルメラミン系クリアコートを、乾燥したベースコート層の上方に噴霧塗布した。溶媒を蒸発させるために周囲温度で静置した後に、パネルを140℃のEMTで30分間焼き固めた。乾燥膜厚35~40ミクロンのクリアコートを塗布した。
【0176】
これらのベースコートパネルを比色分析および促進耐候性試験に使用した。
【0177】
e) UV-Vis-NIR分光法のためのマストーン試験パネル
2.5重量%マストーンベースコートサンプル(サンプル調製物6)を、Zehntner ZAA2300自動膜アプリケーターに取り付けられた150ミクロンの巻線アプリケーターバーを使用して、Leneta不透明度チャートフォーム2A上に塗布した。溶媒を蒸発させるために周囲温度で静置した後に、パネルを80℃で30分間乾燥させた。20~25ミクロンの乾燥膜厚を塗布した。次いで、UV吸収剤(例えば、BASF SEによって供給されたTinuvin(登録商標)400(100重量%のヒドロキシフェニルトリアジンUV吸収剤))とヒンダードアミン光安定剤(HALS)(例えば、BASF SEによって供給されたTinuvin(登録商標)123(100重量%))との組み合わせを含有する典型的な一成分アクリルメラミン系クリアコートを、Zehntner ZAA2300自動膜アプリケーターに取り付けられた100ミクロンの巻線アプリケーターバーを使用して、乾燥したベースコート層の上方に塗布した。溶媒を蒸発させるために周囲温度で静置した後に、パネルを140℃のEMTで30分間焼き固めた。乾燥膜厚35~40ミクロンのクリアコートを塗布した。
【0178】
これらのマストーンパネルを比色分析にも使用した。
【0179】
f) UV-Vis-NIR(近赤外線反射率)データ
UV-Vis-NIR(近赤外線反射率)データは、電磁スペクトルのUV、可視、およびNIR部分にわたるサンプルの反射/透過特性を測定する分光光度計を使用して得た。UV-Vis-NIRデータは、Agilent Cary 5000を使用して決定した。
【0180】
g) 粒径
粒径は、透過型電子顕微鏡法(TEM)を使用して決定した。非常に少ない量のサンプル粉末をマイクロスパチュラの先端からスライドガラスに移す。これを5滴のエタノールで湿潤させ、別のスライドガラスの間で擦って、顔料を均一に分散させる。カーボンコーティングされたTEMグリッド(SF162)を、コーティングされたスライド上に平らに浸漬する。空気中で短時間乾燥させた後に、代表的な位置において様々な倍率で弾性光フィールドモードにて120kVで動作するオメガフィルターを備えたZeiss Libra 120透過型電子顕微鏡でサンプルを調べる。
【0181】
h) PVC膜中の0.2重量%の顔料マストーンの色彩測定
原色塗布での0.2重量%の顔料マストーン(サンプル調製物10)および標準の測色は、グロストラップを使用してd/8°または8°/d形状でスペクトル法ISO 18314-1 (2015)を使用して、白色の上方で行う。試験特性は、ISO 11664-4 (2008); 18314-2 (2015)に従って、白色基板の上方で、光源D65および10°の標準観察者について測定する。
【0182】
i) PVC膜中の1:10のTiO2顔料:二酸化チタン還元の色彩測定
1:10のTiO2白色還元(サンプル調製物11)および標準の測色は、30°/30°測定形状でスペクトル法(ISO 18314-1 (2015))を使用して行う。色の強度を調整した後に、試験特性を、ISO 11664 4 (2008); 18314-2 (2015)に従って、光源D65および10°の標準観察者について測定する。
【0183】
例1~3:化合物IVから出発する固溶体の調製
【0184】
【0185】
例1
1リットルの容量を有するオートクレーブに、51重量%のペリレンビス無水物を含有する水湿潤プレスケーキとしてのペリレンビス無水物130g(0.169mol)、水350g、およびピペラジン12.8g(0.148mol)を充填した。p-メトキシベンジルアミン36.4g(0.265mol)および1,2-ジアミノベンゼン(o-フェニレンジアミン)7.5g(0.069mol)を添加した後に、反応懸濁液を180℃に加熱し、11barの圧力で25時間保持した。冷却後に、水600mLおよび炭酸カリウム33.8gを添加し、反応混合物を70℃に加熱した。懸濁液を濾過し、水3500mL、10%のクエン酸3500mL、および水3500mLで連続的に洗浄した。80℃での乾燥によって、理論値の99.3%に相当する固溶体102.7gが黒色粉末として得られた。顔料をミル内で粉砕し、WBコーティングシステムで色彩を評価する。例1のみを含有するミルベースをサンプル調製物1に従って調製した。例1のみを含有する比較用の2.5重量%の顔料マストーンをサンプル調製物6に従って調製した。比較用の10:90(重量比)の例1:二酸化チタン還元をサンプル調製物8に従って調製した。比較用の50:50(重量比)の例1:アルミニウム還元をサンプル調製物9に従って調製した。XRDは、
図1を参照されたい。
【0186】
例2
1リットルの容量を有するオートクレーブに、51重量%のペリレンビス無水物を含有する水湿潤プレスケーキとしてのペリレンビス無水物170g(0.221mol)、水450g、およびピペラジン16.8g(0.195mol)を充填した。p-メトキシベンジルアミン50.5g(0.368mol)および1,2-ジアミノベンゼン(o-フェニレンジアミン)7.4g(0.068mol)を添加した後に、反応懸濁液を180℃に加熱し、11barの圧力で25時間保持した。冷却後に、水600mLおよび炭酸カリウム41.6gを添加し、反応混合物を70℃に加熱した。懸濁液を濾過し、水4000mL、10重量%のクエン酸4000mL、および水4000mLで連続的に洗浄した。80℃での乾燥によって、理論値の98.3%に相当する顔料134gが黒色粉末として得られた。顔料をミル内で粉砕し、WBコーティングシステムで色彩を評価する。例2のみを含有するミルベースをサンプル調製物1に従って調製した。例2のみを含有する比較用の2.5重量%の顔料マストーンをサンプル調製物6に従って調製した。比較用の10:90(重量比)の例2:二酸化チタン還元をサンプル調製物8に従って調製した。比較用の50:50(重量比)の例2:アルミニウム還元をサンプル調製物2に従って調製した。XRDは、
図2を参照されたい。
【0187】
例3
1リットルの容量を有するオートクレーブに、51重量%のペリレンビス無水物を含有する水湿潤プレスケーキとしてのペリレンビス無水物130g(0.169mol)、水430g、およびピペラジン12.8g(0.149mol)を充填した。p-メトキシベンジルアミン36.4g(0.265mol)および1,2-ジアミノ-4,5-ジクロロベンゼン12.6g(0.071mol)を添加した後に、反応懸濁液を180℃に加熱し、11barの圧力で25時間保持した。冷却後に、水600mLおよび炭酸カリウム33.8gを添加し、反応混合物を70℃に加熱した。懸濁液を濾過し、水3500mL、10重量%のクエン酸233g、および水1200mLで連続的に洗浄した。80℃での乾燥によって、理論値の99%に相当する顔料105gが黒色粉末として得られた。顔料をミル内で粉砕し、WBコーティングシステムで色彩を評価する。例4のみを含有するミルベースをサンプル調製物1に従って調製した。例4のみを含有する比較用の2.5重量%の顔料マストーンをサンプル調製物6に従って調製した。比較用の10:90(重量比)の例4:二酸化チタン還元をサンプル調製物8に従って調製した。比較用の50:50(重量比)の例4:アルミニウム還元をサンプル調製物9に従って調製した。XRDは、
図3を参照されたい。
【0188】
例4
1.1リットルの容量を有する混練装置(Zブレードニーダー)に、例1からの固溶体顔料33.4g(90重量%)およびステイベライト樹脂3.47g(10重量%)を充填する。塩化ナトリウム222gおよびジアセトンアルコール(DAA)60gをニーダーに添加し、回転速度を100rpmに設定する。装置の壁を85℃に温度調節する。85℃での8時間の混練後に、混練を停止する。混練塊に水1500gを添加する。混合物を濾液の導電率が100μS/cm未満になるまで濾別する。湿潤プレスケーキをオーブン内にて80℃で24時間乾燥させる。黒色顔料の収量は35.8gである。顔料をミル内で粉砕し、WBコーティングシステムで色彩を評価する。例5のみを含有するミルベースをサンプル調製物1に従って調製した。例5のみを含有する比較用の2.5重量%の顔料マストーンをサンプル調製物6に従って調製した。比較用の10:90(重量比)の例5:二酸化チタン還元をサンプル調製物8に従って調製した。比較用の50:50(重量比)の例5:アルミニウム還元をサンプル調製物9に従って調製した。XRDは、
図4を参照されたい。
【0189】
例5
1.1リットルの容量を有する混練装置(Zブレードニーダー)に、例2からの固溶体顔料26g(90重量%)およびステイベライト樹脂2.9g(10重量%)を充填した。塩化ナトリウム231gおよびジエチレングリコール(DEG)58gをニーダーに添加し、回転速度を100rpmに設定した。装置の壁を115℃に温度調節した。115℃での8時間の混練後に、混練を停止した。次いで、混練塊に1500gの水を添加した。次いで、混合物を濾液の導電率が100μS/cm未満になるまで濾別した。湿潤プレスケーキをオーブン内にて80℃で24時間乾燥させた。得られた固溶体をミル内で粉砕した。得られた固溶体の収量は25.4gであった。顔料をミル内で粉砕し、WBコーティングシステムで色彩を評価する。例6のみを含有するミルベースをサンプル調製物1に従って調製した。例6のみを含有する比較用の2.5重量%の顔料マストーンをサンプル調製物6に従って調製した。比較用の10:90(重量比)の例6:二酸化チタン還元をサンプル調製物8に従って調製した。比較用の50:50(重量比)の例6:アルミニウム還元をサンプル調製物9に従って調製した。XRDは、
図5を参照されたい。
【0190】
例6
1.1リットルの容量を有する混練装置(Zブレードニーダー)に、例1からの固溶体顔料33.4g(90重量%)およびステイベライト樹脂3.7g(10重量%)を充填した。塩化ナトリウム222gおよびジエチレングリコール(DEG)58gをニーダーに添加し、回転速度を100rpmに設定した。装置の壁を115℃に温度調節した。100℃での8時間の混練後に、混練を停止した。次いで、混練塊に1500gの水を添加した。次いで、混合物を濾液の導電率が100μS/cm未満になるまで濾別した。湿潤プレスケーキをオーブン内にて80℃で24時間乾燥させた。得られた固溶体をミル内で粉砕した。得られた固溶体の収量は35.6gであった。顔料をミル内で粉砕し、WBコーティングシステムで色彩を評価する。例7のみを含有するミルベースをサンプル調製物1に従って調製した。例7のみを含有する比較用の2.5重量%の顔料マストーンをサンプル調製物6に従って調製した。比較用の10:90(重量比)の例7:二酸化チタン還元をサンプル調製物8に従って調製した。比較用の50:50(重量比)の例7:アルミニウム還元をサンプル調製物9に従って調製した。XRDは、
図6を参照されたい。
【0191】
例7
1.1リットルの容量を有する混練装置(Zブレードニーダー)に、例2からの固溶体顔料33.4g(90重量%)およびステイベライト樹脂3.47g(10重量%)を充填する。塩化ナトリウム222gおよびジアセトンアルコール(DAA)60gをニーダーに添加し、回転速度を100rpmに設定する。装置の壁を90℃に温度調節する。90℃での8時間の混練後に、混練を停止する。混練塊に水1500gを添加する。混合物を濾液の導電率が100μS/cm未満になるまで濾別する。湿潤プレスケーキをオーブン内にて80℃で24時間乾燥させる。黒色顔料の収量は34.0gである。顔料をミル内で粉砕し、WBコーティングシステムで色彩を評価する。例8のみを含有するミルベースをサンプル調製物1に従って調製した。例8のみを含有する比較用の2.5重量%の顔料マストーンをサンプル調製物6に従って調製した。比較用の10:90(重量比)の例8:二酸化チタン還元をサンプル調製物8に従って調製した。比較用の50:50(重量比)の例8:アルミニウム還元をサンプル調製物9に従って調製した。XRDは、
図7を参照されたい。
【0192】
例8
1.1リットルの容量を有する混練装置(Zブレードニーダー)に、例3からの固溶体顔料37.1gを充填した。塩化ナトリウム222gおよびジアセトンアルコール(DAA)60gをニーダーに添加し、回転速度を100rpmに設定した。装置の壁を65℃に温度調節した。8時間の混練後に、混練を停止した。次いで、混練塊に水1500gを添加した。混合物を濾液の導電率が100μS/cm未満になるまで濾別した。湿潤プレスケーキをオーブン内にて80℃で24時間乾燥させた。得られた材料をミル内で粉砕した。得られた固溶体の収量は36gであった。顔料をミル内で粉砕し、WBコーティングシステムで色彩を評価する。例10のみを含有するミルベースをサンプル調製物1に従って調製した。例10のみを含有する比較用の2.5重量%の顔料マストーンをサンプル調製物6に従って調製した。比較用の10:90(重量比)の例10:二酸化チタン還元をサンプル調製物8に従って調製した。比較用の50:50(重量比)の例10:アルミニウム還元をサンプル調製物9に従って調製した。XRDは、
図8を参照されたい。
【0193】
例9
1.1リットルの容量を有する混練装置(Zブレードニーダー)に、例1からの固溶体顔料37.1gを充填した。塩化ナトリウム222gおよびジアセトンアルコール(DAA)62gをニーダーに添加し、回転速度を100rpmに設定した。装置の壁を65℃に温度調節した。8時間の混練後に、混練を停止した。次いで、混練塊に水1500gを添加した。混合物を濾液の導電率が100μS/cm未満になるまで濾別した。湿潤プレスケーキをオーブン内にて80℃で24時間乾燥させた。得られた材料をミル内で粉砕した。得られた固溶体の収量は35gであった。顔料をミル内で粉砕し、WBコーティングシステムで色彩を評価する。例11のみを含有するミルベースをサンプル調製物1に従って調製した。例11のみを含有する比較用の2.5重量%の顔料マストーンをサンプル調製物6に従って調製した。比較用の10:90(重量比)の例11:二酸化チタン還元をサンプル調製物8に従って調製した。比較用の50:50(重量比)の例11:アルミニウム還元をサンプル調製物9に従って調製した。XRDは、
図9を参照されたい。
【0194】
例10
1.1リットルの容量を有する混練装置(Zブレードニーダー)に、例3からの固溶体顔料33.4g(90重量%)およびステイベライト樹脂3.7g(10重量%)を充填した。塩化ナトリウム222gおよびジアセトンアルコール(DAA)61gをニーダーに添加し、回転速度を100rpmに設定した。装置の壁を90℃に温度調節した。90℃での6時間の混練後に、混練を停止した。次いで、混練塊に水1500gを添加した。混合物を濾別し、濾液の導電率が100μS/cm未満になるまで水で洗浄した。湿潤プレスケーキを真空オーブン内にて60℃および50mbarで24時間乾燥させた。得られた材料をミル内で粉砕し、色彩特性をPVC膜において評価した。
【0195】
PVC膜中の顔料マストーンおよび白色還元を、それぞれサンプル調製物10および11に従って調製した。
【0196】
比較例
比較例1は、米国特許第4,450,273号明細書の例1に従って合成し、Spectrasense(商標)(Paliogen(登録商標))Black L 0086を表し、R1-NH2およびR2-NH2はp-メトキシベンジルアミンである。
【0197】
比較例1は、単一の化合物1(BASF Colors and Effectsによって供給されたSpectrasense(商標)Black L 0086)を表す。化合物2のみを含有する比較用のミルベースをサンプル調製物1に従って調製した。化合物1のみを含有する比較用の2.5重量%の顔料マストーンをサンプル調製物6に従って調製した。比較用の10:90(重量比)の化合物1:二酸化チタン還元をサンプル調製物8に従って調製した。比較用の50:50(重量比)の化合物1:アルミニウム還元をサンプル調製物9に従って調製した。
【0198】
比較例2は、米国特許出願公開第2010/0184983号明細書の例1に従って合成し、Spectrasense(商標)(Lumogen(登録商標))Black K 0087を表し、H2N-R3-NH2およびH2N-R4-NH2はo-フェニレンジアミンである。
【0199】
比較例2は、単一の化合物2(BASF Colors and Effectsによって供給されたSpectrasense(商標)Black K 0087)を表す。化合物2のみを含有する比較用のミルベースをサンプル調製物1に従って調製した。化合物2のみを含有する比較用の2.5重量%の顔料マストーンをサンプル調製物6に従って調製した。比較用の10:90(重量比)の化合物2:二酸化チタン還元をサンプル調製物8に従って調製した。比較用の50:50(重量比)の化合物2:アルミニウム還元をサンプル調製物9に従って調製した。
【0200】
比較例3は、カーボンブラック(Orion Engineered Carbonsによって供給されたPigment Black 7、PBK-7、Color Black FW200)を表す。カーボンブラックのみを含有する比較用のミルベースをサンプル調製物2に従って調製した。カーボンブラック(黒色顔料7)のみを含有する比較用の2.5重量%の顔料マストーンをサンプル調製物7に従って調製した。
【0201】
【0202】
【0203】
先のことから、顔料の化学組成および使用される処理条件を注意深く考慮することによって、固溶体顔料を調製することができる。個々の顔料は、既存の利用可能な単一成分である比較例の黒色ペリレン顔料と比較して低いa*およびb*値を特徴とする、非常に望ましい中性の黒色(マストーン)または中性の(もしくはわずかに青みがかった)灰色(還元)の色彩特性を示すことが分かる。
【0204】
【0205】
先のことから、顔料の化学組成および使用される処理条件を注意深く考慮することによって、固溶体顔料を調製することができる。個々の顔料は、既存の利用可能な単一成分であるペリレン黒色顔料と比較して低いa*およびb*値を特徴とする、非常に望ましい中性の灰色(アルミニウムでの1:1還元)の色彩特性を示すことが分かる。
【0206】
適切な処理方法を使用して調製された例3、例4、5および6(例1に基づく)、ならびに例7(例2に基づく)は、単一の固溶体顔料からの中性の黒色/灰色の色彩を示す。
【0207】
記載されている固溶体顔料は、コーティングにおける使用などのためにバインダー系に分散されると、配合物中の顔料の重量含有量に基づいて、すべての濃度で予測可能な中性の色彩を提供する単一の顔料として挙動するであろう。既存の商業的な単一成分であるペリレン黒色顔料(対称置換基)は、同様の中性の色彩を達成するために、他の顔料とブレンドする必要がある。分散した混合顔料から得られる色彩は、使用される分散条件およびターゲット色の必要な色調レベルに応じて著しく変わるため、追加的なシェーディング顔料(shading pigment)についてのこの要件は、実施における実践的な複雑性をもたらす。すべての濃度で必要な色彩を達成するためには、一般に、ブレンドされる成分の比を調整して、同じ中性の色彩を達成する必要がある。
【0208】
【0209】
先のことから、顔料の化学組成および使用される処理条件を注意深く考慮することによって、固溶体顔料を調製することができる。本発明の個々の固溶体顔料は、既存の利用可能な単一成分である比較例の黒色ペリレン顔料に匹敵する非常に高いNIR反射率値を特徴とする、非常に望ましいNIR非吸収特性を示すことが分かる。
【0210】
【0211】
従来のカーボンブラック(黒色顔料7)を含有するコーティングは、可視およびNIR波長領域(400~2500nm)にわたるすべての波長で強く吸収するであろう。これは、低いTSR値が観察される比較例3でも観察することができる。
【0212】
先のことから、顔料の化学組成および使用される処理条件を注意深く考慮することによって、固溶体顔料を調製することができる。本発明の個々の固溶体顔料は、既存の利用可能な単一成分である比較例の黒色ペリレン顔料と比較したTSR値を特徴とする、非常に望ましいNIR非吸収特性を示すことが分かる。
【0213】
全日射反射率は、より長い波長のNIR放射によるよりも、可視および短波長のNIR放射によってより強く影響を受ける。言い換えるなら、700~1000nmにおける本発明の固溶体の吸収挙動における小さな差異が、TSR値に強い影響を与えるであろう。
【0214】
本発明の固溶体顔料が透明になる波長が高くなる(白色の上方の反射率が増加する)ほど、TSR値は低くなる。例3、4、5、および6では、可視領域における色彩を改善するために、吸収バンドはNIR内にわずかに延在しており、結果として、これらは約780nmで透明になり始めるだけである。したがって、例3、4、5、および6は、比較例1の場合よりも約100nm狭い領域にわたってNIR非吸収性であり、それによって、可視領域における色彩がより良好であるにもかかわらず、より劣ったTSR値が生じる。したがって、本発明の固溶体顔料は、良好なTSR性能と組み合わされた良好な色彩を提供し、それによって、本発明の固溶体顔料は、NIR吸収を制御するための良好なツールとなる。
【0215】
表9および表10から分かるように、本発明の固溶体に基づくすべての実施例について、比較例3によって示されているように、カーボンブラックと比較した場合、NIR反射率およびTSR値が著しく改善されている。
【0216】
【0217】
本発明の固溶体顔料は、既存の利用可能な単一成分である比較例1および2の黒色ペリレン顔料と比較したL*、a*、およびb*値を特徴とする、非常に望ましい中性から青みがかった黒色(マストーン)の色彩特性を示すことが分かる。
【0218】
【0219】
本発明の固溶体顔料は、既存の利用可能な単一成分である比較例1および2の黒色ペリレン顔料と比較して非常に低いC*、a*、およびb*値を特徴とする、非常に望ましい中性から青みがかった灰色(還元)の色彩特性を示すことが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0220】
【
図12】サンプル調製物6に従って調製された顔料マストーンベースコート(例の2.5%の顔料)を示す。
【
図13】サンプル調製物8に従って調製された10:90重量%の顔料(例):二酸化チタン白色還元を示す。
【
図14a】サンプル調製物9に従って調製された50:50重量%の顔料(例):アルミニウム還元のCIELABパネルのすべての角度を示す。
【
図14b】サンプル調製物9に従って調製された50:50重量%の顔料:アルミニウム還元のCIELABパネルのすべての角度でのズームを示す。
【0221】
引用先行技術の一覧
国際公開第2018/081613号
米国特許出願公開第7083675号明細書
欧州特許第0636666号明細書
国際公開第91/02034号
欧州特許出願公開第2316886号明細書
欧州特許出願公開第504922号明細書
米国特許出願公開第2012018687号明細書
中国特許出願公開第110591445号明細書
Justus Liebigs Annalen der Chemie, 1984, 483
米国特許第4,450,273号明細書
米国特許出願公開第2010/0184983号明細書
国際公開第2009/074504号
【国際調査報告】