(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-18
(54)【発明の名称】極低温環境のための低熱伝導性支持システム
(51)【国際特許分類】
F25B 9/00 20060101AFI20240111BHJP
【FI】
F25B9/00 H
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023538741
(86)(22)【出願日】2021-12-30
(85)【翻訳文提出日】2023-06-22
(86)【国際出願番号】 EP2021087872
(87)【国際公開番号】W WO2022148707
(87)【国際公開日】2022-07-14
(32)【優先日】2021-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】New Orchard Road, Armonk, New York 10504, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【氏名又は名称】太佐 種一
(74)【代理人】
【識別番号】100120710
【氏名又は名称】片岡 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】グマン、パトリク
(72)【発明者】
【氏名】グレンダニン、ヴァレリオ
(72)【発明者】
【氏名】チョウ、ジェリー
(57)【要約】
極低温環境内の低熱伝導性支持システムを助ける技術を提供する。一例では、クライオスタットは、支柱およびワッシャを備え得る。支柱は、クライオスタットの第1のサーマル・ステージと第2のサーマル・ステージとを結合し得る。ワッシャは、支柱と第1のサーマル・ステージとの間に介在し得る。ワッシャは、支柱と第1のサーマル・ステージとを熱的に分離し得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クライオスタットであって、
前記クライオスタットの第1および第2のサーマル・ステージを結合する支柱と、
前記支柱と前記第1のサーマル・ステージとの間に介在するワッシャであって、前記ワッシャは、前記支柱と前記第1のサーマル・ステージとを熱的に分離する、前記ワッシャと、
を備えるクライオスタット。
【請求項2】
前記ワッシャは、1ワット毎メートル・ケルビン未満の熱伝導率を有する材料で作製される、請求項1に記載のクライオスタット。
【請求項3】
前記ワッシャは、ポリイミドを含む、請求項1または2に記載のクライオスタット。
【請求項4】
前記ワッシャは、前記第1のサーマル・ステージに形成された窪みで受容され、前記窪みは、前記第1のサーマル・ステージの厚さを前記窪みのフットプリント内で減少させる、請求項1ないし3のいずれか一項に記載のクライオスタット。
【請求項5】
前記支柱は、前記ワッシャを介して前記第1のサーマル・ステージに結合された基礎プレートと、前記基礎プレートに対向するテーパ状端部とを備える、請求項1ないし4のいずれか一項に記載のクライオスタット。
【請求項6】
前記支柱は、前記基礎プレートから前記テーパ状端部へ前記支柱の長手方向軸に沿って延在する溝を備え、前記溝は、前記支柱のねじ切りされた内壁によって画定される、請求項5に記載のクライオスタット。
【請求項7】
前記基礎プレートは、前記支柱の長手方向軸に同軸方向に外接する複数のクリアランス・ホールを含む、請求項5または6に記載のクライオスタット。
【請求項8】
第3のサーマル・ステージは、前記第1のサーマル・ステージと第2のサーマル・ステージとの間に介在する、請求項1ないし7のいずれか一項に記載のクライオスタット。
【請求項9】
前記支柱は、前記第2のサーマル・ステージから熱的に分離され、前記第3のサーマル・ステージに熱的に結合される、請求項8に記載のクライオスタット。
【請求項10】
前記支柱と前記第2のサーマル・ステージとの間に介在する追加ワッシャであって、前記追加ワッシャは前記支柱と前記第2のサーマル・ステージとを熱的に分離する、前記追加ワッシャを更に備える、請求項1ないし9のいずれか一項に記載のクライオスタット。
【請求項11】
前記支柱は、前記第1のサーマル・ステージに結合された第1の区分と、前記第2のサーマル・ステージに結合された第2の区分とを備える複数の区分を含み、前記第1の区分と前記第2の区分とを結合するために、前記第1の区分のねじ切りされた内壁は、前記第2の区分のねじ切りされた軸を受容する、請求項1ないし10のいずれか一項に記載のクライオスタット。
【請求項12】
前記支柱を前記第2のサーマル・ステージに結合するために、前記支柱のねじ切りされた内壁は、前記第2のサーマル・ステージを介して取り付け機構のねじ切りされた軸を受容する、請求項1ないし11のいずれか一項に記載のクライオスタット。
【請求項13】
前記取り付け機構の前記ねじ切りされた軸と前記支柱の前記ねじ切りされた内壁との間にポリイミド・スリーブが介在する、請求項12に記載のクライオスタット。
【請求項14】
前記第2のサーマル・ステージの対向する側部に配置されたワッシャは、前記第2のサーマル・ステージの前記対向する側部間の熱伝導路を減少させる、請求項12に記載のクライオスタット。
【請求項15】
前記支柱は、ステンレス鋼を含む、請求項1ないし14のいずれか一項に記載のクライオスタット。
【請求項16】
クライオスタット支持システムであって、
外側真空室の上部プレートに結合されたクライオスタットの第1のサーマル・ステージと第2のサーマル・ステージとを結合するテンション支柱と、
前記テンション支柱と前記第2のサーマル・ステージとの間に介在するワッシャであって、前記ワッシャは、前記テンション支柱と前記第2のサーマル・ステージとを熱的に分離する、前記ワッシャと、
を備えるクライオスタット支持システム。
【請求項17】
前記テンション支柱は、前記第2のサーマル・ステージにかかる機械的負荷の少なくとも一部を前記上部プレートに伝達する、請求項16のクライオスタット支持システム。
【請求項18】
前記ワッシャは、第1のフットプリントを有し、前記第2のサーマル・ステージに形成された窪みで受容され、前記窪みは、前記第2のサーマル・ステージの厚さを、前記第1のフットプリントよりも大きい前記窪みの第2のフットプリント内で減少させる、請求項16または17に記載のクライオスタット支持システム。
【請求項19】
前記テンション支柱と前記第1のサーマル・ステージとを熱的に分離するために、前記テンション支柱と前記第1のサーマル・ステージとの間に介在する追加ワッシャを更に備える、請求項16ないし18のいずれか一項に記載のクライオスタット支持システム。
【請求項20】
前記テンション支柱は、前記テンション支柱の長手方向軸に同軸方向に外接する複数のクリアランス・ホールを備える基礎プレートを含み、前記追加ワッシャは、各々が前記基礎プレートのそれぞれのクリアランス・ホールと整列する複数の開口部を含む、請求項16ないし19のいずれか一項に記載のクライオスタット支持システム。
【請求項21】
前記テンション支柱は、前記第1のサーマル・ステージに結合された第1の区分と、前記第2のサーマル・ステージに結合された第2の区分とを備える複数の区分を含み、前記第1の区分と前記第2の区分とを結合するために、前記第1の区分のねじ切りされた内壁は、前記第2の区分のねじ切りされた軸を受容する、請求項16ないし20のいずれか一項に記載のクライオスタット支持システム。
【請求項22】
前記テンション支柱は、前記第2のサーマル・ステージに結合された第1の区分と、前記第1のサーマル・ステージに結合された第2の区分とを備える複数の区分を含み、前記第1の区分と前記第2の区分とを結合するために、前記第1の区分のねじ切りされた内壁は、前記第2の区分のねじ切りされた軸を受容する、請求項16ないし21のいずれか一項に記載のクライオスタット支持システム。
【請求項23】
クライオスタット支持システムであって、
外側真空室の下部プレートに結合されたクライオスタットの第1のサーマル・ステージと第2のサーマル・ステージとを結合する圧縮支柱と、
前記圧縮支柱と前記第1のサーマル・ステージとの間に介在するワッシャであって、前記ワッシャは、前記圧縮支柱と前記第1のサーマル・ステージとを熱的に分離する、前記ワッシャと、
を備えるクライオスタット支持システム。
【請求項24】
前記圧縮支柱は、前記第2のサーマル・ステージにかかる機械的負荷の少なくとも一部を前記下部プレートに伝達する、請求項23に記載のクライオスタット支持システム。
【請求項25】
前記ワッシャは、第1のフットプリントを有し、前記第2のサーマル・ステージに形成された窪みで受容され、前記窪みは、前記第2のサーマル・ステージの厚さを、前記第1のフットプリントよりも大きい前記窪みの第2のフットプリント内で減少させる、請求項23または24に記載のクライオスタット支持システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、極低温環境に関し、詳しくは、極低温環境内の低熱伝導性支持システムを助ける技術に関する。
【背景技術】
【0002】
クライオスタットは、クライオスタット内に配置された標本設置面に配置された標本またはデバイスを絶対零度に近い温度に維持して、極低温状態下におけるそのような標本またはデバイスの評価を助け得る。クライオスタットは、概して、5つのサーマル・ステージを密閉する外側真空室の室温プレートに機械的に結合された5つのサーマル・ステージを利用して、上記のような低温を実現する。クライオスタットの5つのサーマル・ステージは、各々の後続のサーマル・ステージの温度が前のサーマル・ステージに存在する温度よりも徐々に低くなる温度プロファイルを含む。
【0003】
クライオスタットは、概して、支柱を利用して、サーマル・ステージを外側真空室の室温プレートに機械的に結合し、隣り合うサーマル・ステージ間の空間的隔離を維持する支持システムを実装する。そのような支柱は、より高温のサーマル・ステージからより低温のサーマル・ステージへの熱の伝搬を助ける熱伝導路をもたらす場合がある。より高温のサーマル・ステージからより低温のサーマル・ステージへの熱の伝搬を軽減するために熱伝導路を遮断する様々な技術が存在する。例えば、いくつかの技術は、支柱によってもたらされる熱伝導路を遮断するために、支柱に穴を導入することを含む。そのような技術はより高温のサーマル・ステージからより低温のサーマル・ステージへの熱の伝搬の軽減を助け得るが、支柱に穴を導入すると支柱の荷重負担能力を低減し得る。したがって、そのような技術は、クライオスタットの拡張性を制限する場合がある。
【発明の概要】
【0004】
以下は、本発明の1つまたは複数の実施形態の基本的理解を実現するための概要を示す。この概要は、鍵となる要素もしくは重要な要素を明らかにする、または特定の実施形態のいかなる範囲もしくは請求項のいかなる範囲を詳細に描写することを意図していない。その唯一の目的は、後に提示されるより詳細な説明の序章として簡略化された形態で概念を示すことである。本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態では、極低温環境内での低熱伝導性支持システムを助けるシステム、デバイス、または方法、あるいはその組み合わせが説明される。
【0005】
一実施形態によれば、クライオスタットは、支柱およびワッシャを備え得る。支柱は、クライオスタットの第1のサーマル・ステージと第2のサーマル・ステージとを結合し得る。ワッシャは、支柱と第1のサーマル・ステージとの間に介在し得る。ワッシャは、支柱と第1のサーマル・ステージとを熱的に分離し得る。クライオスタットの一態様は、クライオスタットが極低温環境内で低熱伝導性支持システムを助け得ることである。
【0006】
一実施形態では、支柱を第2のサーマル・ステージに結合するために、支柱のねじ切りされた内壁は、第2のサーマル・ステージを介して、取り付け機構のねじ切りされた軸を受容し得る。一実施形態では、ポリイミド・スリーブは、取り付け機構のねじ切りされた軸と支柱のねじ切りされた内壁との間に介在し得る。クライオスタットの一態様は、クライオスタットが、取り付け機構が支柱のねじ切りされた内壁内の中央に配置されたままであることを確実にすることによって、支柱と第2のサーマル・ステージとの間の結合の完全性の維持を助け得ることである。
【0007】
別の実施形態によれば、クライオスタット支持システムは、テンション支柱およびワッシャを備え得る。テンション支柱は、クライオスタットの第1のサーマル・ステージと第2のサーマル・ステージとを結合し得る。第1のサーマル・ステージと第2のサーマル・ステージとは、外側真空室の上部プレートに結合され得る。ワッシャは、テンション支柱と第2のサーマル・ステージとの間に介在し得る。ワッシャは、テンション支柱と第2のサーマル・ステージとを熱的に分離し得る。そのようなクライオスタット支持システムの一態様は、そのシステムが極低温環境内で低熱伝導性支持システムを助け得ることである。
【0008】
一実施形態では、ワッシャは第1のフットプリントを有し、第2のサーマル・ステージに形成された窪みで受容されることができ、窪みは、第2のサーマル・ステージの厚さを、第1のフットプリントよりも大きい窪みの第2のフットプリント内で減少させる。クライオスタット支持システムの一態様は、そのシステムが、熱膨張/収縮に起因して第2のサーマル・ステージの形状が変化するときにテンション支柱の構造的完全性の維持を助け得ることである。
【0009】
別の実施形態によれば、クライオスタット支持システムは、圧縮支柱およびワッシャを備え得る。圧縮支柱は、クライオスタットの第1のサーマル・ステージと第2のサーマル・ステージとを結合し得る。第1のサーマル・ステージと第2のサーマル・ステージとは、外側真空室の下部プレートに結合され得る。ワッシャは、圧縮支柱と第1のサーマル・ステージとの間に介在し得る。ワッシャは、圧縮支柱と第1のサーマル・ステージとを熱的に分離し得る。そのようなクライオスタット支持システムの一態様は、そのシステムが極低温環境内で低熱伝導性支持システムを助け得ることである。
【0010】
一実施形態では、圧縮支柱は、第2のサーマル・ステージにかかる機械的負荷の少なくとも一部を下部プレートに伝達する。そのようなクライオスタット支持システムの一態様は、そのシステムがクライオスタット内での重量/負荷分散の管理を助け得ることである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本明細書で説明される1つまたは複数の実施形態による、例示的で非限定的なクライオスタットの図である。
【
図2】本明細書で説明される1つまたは複数の実施形態による、
図1のクライオスタットの支柱を図示する例示的で非限定的なクローズアップ図である。
【
図3】本明細書で説明される1つまたは複数の実施形態による、
図2の支柱を図示する別の例示的で非限定的なクローズアップ図である。
【
図4】本明細書で説明される1つまたは複数の実施形態による、
図2の支柱を隣り合ったサーマル・ステージのうちの一方のサーマル・ステージに結合する取り付け機構を図示する例示的で非限定的なクローズアップ図である。
【
図5】本明細書で説明される1つまたは複数の実施形態による、
図2の支柱を隣り合ったサーマル・ステージのうちの他方のサーマル・ステージに結合する別の取り付け機構を図示する例示的で非限定的なクローズアップ図である。
【
図6】本明細書で説明される1つまたは複数の実施形態による、
図2の支柱を他方のサーマル・ステージから熱的に分離するワッシャを図示する例示的で非限定的なクローズアップ図である。
【
図7】本明細書で説明される1つまたは複数の実施形態による、
図2の支柱の基部を図示する例示的で非限定的な等角図である。
【
図8】本明細書で説明される1つまたは複数の実施形態による、
図7の基部を図示する例示的で非限定的な直交図である。
【
図9】本明細書で説明される1つまたは複数の実施形態による、
図7の基部の例示的で非限定的な垂直断面図である。
【
図10】本明細書で説明される1つまたは複数の実施形態による、
図2の支柱の軸部を図示する例示的で非限定的な等角図である。
【
図11】本明細書で説明される1つまたは複数の実施形態による、
図10の軸部の例示的で非限定的な垂直断面図である。
【
図12】本明細書で説明される1つまたは複数の実施形態による、
図10の軸部を図示する例示的で非限定的な直交図である。
【
図13】本明細書で説明される1つまたは複数の実施形態による、
図12の線A-Aに沿った
図10の軸部の例示的で非限定的な断面図である。
【
図14】本明細書で説明される1つまたは複数の実施形態による、別の軸部を図示する例示的で非限定的な等角図である。
【
図15】本明細書で説明される1つまたは複数の実施形態による、
図14の軸部の例示的で非限定的な垂直断面図である。
【
図16】本明細書で説明される1つまたは複数の実施形態による、
図15の線A-Aに沿った
図14の軸部の例示的で非限定的な断面図である。
【
図17】本明細書で説明される1つまたは複数の実施形態による、基部-ステージ部ワッシャを図示する例示的で非限定的な等角図である。
【
図18】本明細書で説明される1つまたは複数の実施形態による、
図17の基部-ステージ部ワッシャを図示する例示的で非限定的な直交図である。
【
図19】本明細書で説明される1つまたは複数の実施形態による、
図17の基部-ステージ部ワッシャの例示的で非限定的な側面図である。
【
図20】本明細書で説明される1つまたは複数の実施形態による、軸ワッシャを図示する例示的で非限定的な等角図である。
【
図21】本明細書で説明される1つまたは複数の実施形態による、
図20の軸ワッシャを図示する例示的で非限定的な直交図である。
【
図22】本明細書で説明される1つまたは複数の実施形態による、
図20の軸ワッシャの例示的で非限定的な側面図である。
【
図23】本明細書で説明される1つまたは複数の実施形態による、基部-取り付け部ワッシャを図示する例示的で非限定的な等角図である。
【
図24】本明細書で説明される1つまたは複数の実施形態による、
図23の基部-取り付け部ワッシャを図示する例示的で非限定的な直交図である。
【
図25】本明細書で説明される1つまたは複数の実施形態による、
図23の基部-取り付け部ワッシャの例示的で非限定的な側面図である。
【
図26】本明細書で説明される1つまたは複数の実施形態による、クライオスタットのサーマル・ステージにおいて形成される窪みの例示的で非限定的な直交図である。
【
図27】本明細書で説明される1つまたは複数の実施形態による、
図26の窪みの例示的で非限定的な側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の詳細な説明は例示目的に過ぎず、実施形態または実施形態の用途または使用あるいはその両方を限定することを意図していない。更に、上記の背景または概要の項または発明を実施するための形態の項で示されたあらゆる明示または暗示された情報に従うという意図はない。
【0013】
図面を参照して1つまたは複数の実施形態がここで説明され、全体において同様の参照番号は同様の要素を指すために用いられる。以下の詳細な説明において、説明を目的として、1つまたは複数の実施形態の十分な理解を実現するために、多数の具体的な詳細が記載される。ただし、様々な場合において、1つまたは複数の実施形態がそれらの具体的な詳細なしで実践可能であることは明らかである。
【0014】
図1は、本明細書で説明される1つまたは複数の実施形態による、例示的で非限定的なクライオスタット100の図である。
図1に示すように、クライオスタット100は、上部プレート114と下部プレート116との間に介在する側壁112によって形成された外側真空室110を備える。動作において、外側真空室110は、外側真空室110の周囲環境120と外側真空室110の室内130との間の圧力差を維持できる。クライオスタット100は、更に、室内130内に配置されて各々が上部プレート114に機械的結合された複数のサーマル・ステージ(またはステージ)140を備え得る。複数のステージ140は、ステージ141、ステージ143、ステージ145、ステージ147、およびステージ149を含む。
【0015】
複数のステージ140の各ステージは、異なる温度と関連付けられ得る。例えば、ステージ141は、50ケルビン(K)の温度と関連付けられた50ケルビン(50-K)ステージであってもよく、ステージ143は、4Kの温度と関連付けられた4ケルビン(4-K)ステージであってもよく、ステージ145は、700ミリケルビン(mK)の温度と関連付けられてもよく、ステージ147は、100mKの温度と関連付けられてもよく、ステージ149は、10mKの温度と関連付けられてもよい。一実施形態では、ステージ145は、静止ステージであってもよく、ステージ147は冷却板ステージであってもよく、ステージ149は混合室ステージであってもよい。
【0016】
1つまたは複数の支柱(例えば、支柱142)は、複数のステージ140を外側真空室110の上部プレート114に結合し得る。更に、複数のステージ140の各ステージは、複数の支柱(例えば、支柱144)によって複数のステージ140の他のステージから空間的に分離され得る。いくつかの支柱は、複数の区分を含み得る。例えば、支柱150は、区分152、154、156、および158を含む。支柱150の区分152は、ステージ141を外側真空室110の上部プレート114に結合し、区分154はステージ141をステージ143に結合し、区分156はステージ143をステージ145に結合し、区分158はステージ145をステージ147に結合する。一実施形態では、支柱142、144、または150、あるいはその組み合わせは、ステンレス鋼を含み得る。一実施形態では、支柱150は、ステージ141、143、145、または147、あるいはその組み合わせにかかる機械的負荷の少なくとも一部を外側真空室110の上部プレート114に伝達できる。例えば、区分158は、ステージ147にかかる機械的負荷の少なくとも一部を区分156、154、および152を介して上部プレート114に伝達できる。ステージ141、143、145、または147、あるいはその組み合わせにかかる機械的負荷の少なくとも一部を外側真空室110の上部プレート114に伝達することによって、支柱150は、クライオスタット100内での重量/負荷分散の管理を助け得る。複数のステージ140の質量に作用する重力は、支柱(例えば、支柱142)に対して張力を誘発でき、複数のステージ140を、それらのステージ140を空間的に分離している上部プレート114または支柱(例えば、支柱144または150、あるいはその両方)に結合する。そのような支柱は、テンション支柱と称され得る。
【0017】
図1に示すように、クライオスタット100は、更に、外側真空室110の下部プレート116に結合される1つまたは複数のプレートを備え得る。例えば、クライオスタット100は、更に、ステージ141と関連付けられた熱遮蔽材の機械的支持を助け得るサーマルプレート(またはプレート)160を備え得る。別の例として、クライオスタット100は、更に、ステージ143と関連付けられた熱遮蔽材の機械的支持を助け得るプレート170を備え得る。1つまたは複数の支柱(例えば、支柱162)は、プレート160または170、あるいはその両方を外側真空室110の下部プレート116に結合し得る。更に、プレート160および170は、複数の支柱(例えば、支柱164)によって空間的に分離され得る。
【0018】
上述したように、いくつかの支柱は、複数の区分を含み得る。例えば、支柱180は、区分182および184を含む。支柱180の区分182は、プレート160を外側真空室110の下部プレート116に結合し、区分184は、プレート160をプレート170に結合する。一実施形態では、支柱162、164、または180、あるいはその組み合わせは、ステンレス鋼を含み得る。一実施形態では、支柱180は、プレート160または170、あるいはその両方にかかる機械的負荷の少なくとも一部を外側真空室110の下部プレート116に伝達できる。例えば、区分182は、プレート170にかかる機械的負荷の少なくとも一部を、区分184を介して下部プレート116に伝達できる。プレート160または170、あるいはその両方にかかる機械的負荷の少なくとも一部を外側真空室110の下部プレート116に伝達することによって、支柱180は、クライオスタット100内での重量/負荷分散の管理を助け得る。
【0019】
プレート160または170、あるいはその両方の質量に作用する重力は、支柱(例えば、支柱162)に対して圧縮力を誘発でき、プレート160または170、あるいはその両方を、それらのプレートを空間的に分離している下部プレート116または支柱(例えば、支柱164または180、あるいはその両方)に結合する。そのような支柱は、圧縮支柱と称され得る。
【0020】
より詳細に後述するように、クライオスタット100のステージ間の熱伝導路は、低熱伝導率を有する材料(例えば、1ワット毎メートル・ケルビン(W/mK)未満の熱伝導率を有する材料)を含むワッシャを使用して遮断され得る。特に、低熱伝導率材料(例えば、各々がDelaware、WilmingtonのDuPont de Nemours,Inc.から入手可能なKAPTONまたはVESPELなどのポリイミド)を含むワッシャは、クライオスタット100のステージ間の熱伝導路を遮断するために支柱とステージとの間に介在し得る。一実施形態では、3つ以上のステージを結合する支柱に沿った温度勾配は、支柱を3つ以上のステージ内の少なくとも1つの介在ステージに熱的に結合することによって最小限に抑えられ得る。例えば、支柱150は、ステージ141、143、145、および147を外側真空室110の上部プレート114に結合する。この例では、支柱150の区分154または156、あるいはその両方は、ステージ143または145、あるいはその両方に熱的に結合され得る。
【0021】
図2~
図5は、本明細書で説明される1つまたは複数の実施形態による、
図1のクライオスタット100の支柱142を図示する例示的で非限定的なクローズアップ図である。
図2~
図3を参照すると、支柱142は、基部230および軸部240を備える複数の区分を含む。基部230は、
図7~
図9に関して以下で詳述され、軸部240は、
図10~
図13に関して詳細に後述される。上部プレート114は、上部プレート114と基部230とを結合するために、基部230の長手方向軸(例えば、
図8~
図9の長手方向軸810)に同軸方向に外接する基部230のクリアランス・ホール(例えば、
図7~
図8のクリアランス・ホール712)を介して複数の取り付け機構260を受容し得る。
【0022】
図3~
図4に最も良く示されるように、基部-ステージ部ワッシャ310は、上部プレート114と基部230との熱的分離を助けるために、上部プレート114の内側214と基部230との間に介在し得る。基部-ステージ部ワッシャ310は、
図17~
図19に関して詳細に後述される。
図3~
図4はまた、基部-取り付け部ワッシャ320が、上部プレート114と基部230との熱的分離を助けるために、各取り付け機構260と基部230との間に介在し得ることを示す。基部-取り付け部ワッシャ320は、
図23~
図25に関して詳細に後述される。
【0023】
基部230の内側のねじ切りされた壁(例えば、
図7~
図9の内側のねじ切りされた壁740)は、基部230と軸部240とを結合するために軸部240のねじ切りされた軸242を受容し得る。一実施形態では、軸部240の内側のねじ切りされた壁は、基部230と軸部240とを結合するために、基部230のねじ切りされた軸を受容し得る。基部230のクリアランス・ホール(例えば、
図7のクリアランス・ホール750)は、基部230における軸部240のねじ切りされた軸242の保持を助けるために取り付け機構340を受容し得る。一実施形態では、取り付け機構340は省略され得る。一実施形態では、ポリイミド・スリーブ(不図示)は、取り付け機構250のねじ切りされた軸と軸部240のねじ切りされた内壁との間に介在し得る。ポリイミド・スリーブは、取り付け機構250が軸部240のねじ切りされた内壁内の中央に配置されたままであることを確実にすることによって、支柱142とステージ141との間の結合の完全性の維持を助け得る。
【0024】
軸部240のねじ切りされた内壁(例えば、
図10~
図13のねじ切りされた内壁1012)は、軸部240をステージ141に結合するために、ステージ141を介して取り付け機構250のねじ切りされた軸(不図示)を受容し得る。
図6に最も良く示されるように、軸ワッシャ330は、ステージ141と軸部240との熱的分離を助けるために、上部プレート114の内側214に向くステージ141の側部241と軸部240との間に介在し得る。軸ワッシャ330は、
図17~
図19に関して詳細に後述される。
図3および
図5に最も良く示されるように、軸ワッシャ330はまた、ステージ141と取り付け機構250との熱的分離を助けるために、側部241に対向するステージ141の側部243と取り付け機構250との間に介在し得る。一実施形態では、ステージ141の対向側部上に軸ワッシャ330を配置することは、ステージ141の対向側部間の熱伝導路の低減を助け得る。
【0025】
図6は、上部プレート114の内側214に向くステージ141の側部241と軸部240との間に介在する軸ワッシャ330がステージ141に形成された窪み610内に受容され得ることを示す。窪み610は、窪み610のフットプリント内でステージ141の厚さを減らす。ステージに形成された窪みおよびその窪みのフットプリントは、各々が
図26~
図27に関して詳細に後述される。窪み610は、窪み610を形成するための減少した厚さを含むステージ141の面領域によって規定されるフットプリントを含み得る。軸ワッシャ330はまた、軸ワッシャ330の外壁(例えば、
図21の外壁2110)内に包含された軸ワッシャ330の面領域によって規定されるフットプリントを含み得る。
図6は、更に、窪み610のフットプリントがステージ141の側部241と軸部240との間に介在する軸ワッシャ330のフットプリントよりも大きくてもよいことを示す。
【0026】
図3および
図5を参照すると、ステージ141の側部243と取り付け機構250との間に介在する軸ワッシャ330は、ステージ141に形成された窪み373内に受容され得る。窪み373は、窪み373のフットプリント内でステージ141の厚さを減らす。窪み373は、窪み373を形成するための減少した厚さを含むステージ141の面領域によって規定されるフットプリントを含み得る。軸ワッシャ330はまた、軸ワッシャ330の外壁(例えば、
図21の外壁2110)内に包含された軸ワッシャ330の面領域によって規定されるフットプリントを含み得る。
図3および
図5は、更に、窪み373のフットプリントがステージ141の側部243と取り付け機構250との間に介在する軸ワッシャ330のフットプリントよりも大きくてもよいことを示す。
【0027】
当業者は、熱膨張/収縮に起因してステージ141の温度が変化すると、ステージ141の形状が変化し得ることを認識するであろう。軸ワッシャ330よりも大きいフットプリントを有するステージ141の窪み内に各軸ワッシャ330を受容することは、熱膨張/収縮に起因してステージ141の形状が変化するときに支柱142の構造的完全性の維持を助け得る。例えば、窪み610のより大きいフットプリントは、支柱142の構造上の欠陥を軽減するために、ステージ141の形状における上記のような変化に応じた窪み610内の支柱142の移動を助け得る。別の例として、窪み373のより大きいフットプリントはまた、支柱142の構造上の欠陥を軽減するために、ステージ141の形状における上記のような変化に応じた窪み610内の支柱142の移動を助け得る。
【0028】
図7~
図9は、本明細書で説明される1つまたは複数の実施形態による、基部230の例示的で非限定的な図である。特に、
図7~
図9は、それぞれ、基部230の等角
図700、直交
図800、および断面
図900を示す。
図7~
図9を参照すると、基部230は、基礎プレート710と、基礎プレート710に対向するテーパ状端部720とを含み得る。基部230は、更に、基部230の長手方向軸810に沿って延在する溝730を備え得る。溝730は、基部230のねじ切りされた内壁740によって画定され得る。基礎プレート710は、長手方向軸810に同軸方向に外接する複数のクリアランス・ホール712を含む。外側真空室のプレート(例えば、
図1の上部プレート114または下部プレート116、あるいはその両方)、クライオスタットのステージ(例えば、ステージ141~149)、またはクライオスタットのプレート(例えば、プレート160および170)は、基部230をそのプレートまたはステージ、あるいはその両方に結合するために、各クリアランス・ホール712を介して取り付け機構(例えば、
図2~
図4の取り付け機構260)を受容し得る。テーパ状端部720は、基部230内における軸部のねじ切りされた軸(例えば、ねじ切りされた軸242または1420、あるいはその両方)の保持を助け得るクリアランス・ホール750を備え得る。
【0029】
図10~
図13は、本明細書で説明される1つまたは複数の実施形態による、軸部240の例示的で非限定的な図である。特に、
図10~
図12は、それぞれ、軸部240の等角
図1000、断面
図1100、および直交
図1200を示す。
図13は、
図11の線A-Aに沿った軸部240の断面
図1300を示す。
図10~
図13を参照すると、軸部240は、軸部240の中心線1110に沿って配置された、本体1010およびねじ切りされた軸242を備え得る。本体1010は、軸部240の中心線1110に沿って延在する溝1040を備え得る。溝1040は、軸部240のねじ切りされた内壁1012によって画定され得る。軸部240のねじ切りされた内壁1012は、軸部240をそのプレートまたはステージあるいはその両方に結合するために、外側真空室のプレート(例えば、
図1の上部プレート114または下部プレート116、あるいはその両方)、クライオスタットのステージ(例えば、ステージ141~149)、またはクライオスタットのプレート(例えば、プレート160および170)を介して取り付け機構(例えば、取り付け機構250)のねじ切りされた軸を受容し得る。基部の内側のねじ切りされた壁(例えば、内側のねじ切りされた壁740)は、軸部240を基部に結合するために軸部240のねじ切りされた軸242を受容し得る。本体1010は、更に、軸部240の設置または除去、あるいはその両方を助けるための工具界面1030を備え得る。
【0030】
図14~
図16は、本明細書で説明される1つまたは複数の実施形態による、軸部1405の例示的で非限定的な図である。特に
図14~
図15は、それぞれ、軸部1405の等角
図1400および垂直断面
図1500を示す。
図16は、
図15の線A-Aに沿った軸部1405の断面
図1600を示す。
図14~
図16を参照すると、軸部1405は、軸部1405の中心線1510に沿って配置された、本体1410およびねじ切りされた軸1420を備え得る。本体1410は、軸部1405の中心線1510に沿って延在する溝1440を備え得る。溝1440は、軸部1405のねじ切りされた内壁1412によって画定され得る。軸部1405のねじ切りされた内壁1412は、軸部1405をそのプレートまたはステージあるいはその両方に結合するために、外側真空室のプレート(例えば、
図1の上部プレート114または下部プレート116、あるいはその両方)、クライオスタットのステージ(例えば、ステージ141~149)、またはクライオスタットのプレート(例えば、プレート160および170)を介して取り付け機構(例えば、取り付け機構250)のねじ切りされた軸を受容し得る。基部の内側のねじ切りされた壁(例えば、内側のねじ切りされた壁740)は、軸部1405を基部に結合するために軸部1405のねじ切りされた軸1420を受容し得る。本体1410は、更に、軸部1405の設置または除去、あるいはその両方を助けるための工具界面1430を備え得る。
【0031】
軸部240と軸部1405とを比較すると、異なるクライオスタット構成(例えば、隣り合うステージ間の間隔)に対応するためにいくつかの変形が軸部に対してなされ得ることがわかる。例えば、軸部240は、軸部1405の長さ(本体1410の長さ1414およびねじ切りされた軸1420の長さ1424によって確定される)よりも短い長さ(本体1010の長さ1014およびねじ切りされた軸242の長さ1024によって画定される)を有する。この例では、軸部240は、相対的に近くに離間して配置されたクライオスタットの隣り合うステージまたはプレート、あるいはその両方の結合を助け得る一方、軸部1405は、相対的に遠くに離間して配置されたクライオスタットの隣り合うステージまたはプレート、あるいはその両方の結合を助け得る。別の例として、軸部1405は、軸部240の比較対象となり得る比率よりも大きい、本体1410の長さ1414とねじ切りされた軸1420の長さ1424との比率を有する。この特徴は、本体の長さとねじ切りされた軸の長さとの比率が、軸部が異なる耐荷重性要件に対応するために可変であり得ることを示す。
【0032】
別の例として、溝1040は、溝1040を工具界面1030内に配置する長さ1120だけ、軸部240の本体1010内で延在する。対照的に、溝1440は、溝1440を工具界面1430の外部に配置する長さ1520だけ、軸部1405の本体1410内で延在する。
図13と
図16とを比較すると、軸部240の本体1010を含む何らかの物質が工具界面1030内で除去されているが、軸部1405の工具界面1430は中実のままであることがわかる。したがって、軸部240の工具界面1030に印加可能なトルク量よりも大きなトルク量が軸部1405の工具界面1430に印加され得る。この特徴は、軸部内の溝の長さが、異なるトルク要件に対応するために可変であり得ることを示す。
【0033】
図17~
図19は、本明細書で説明される1つまたは複数の実施形態による、基部-ステージ部ワッシャ310の例示的で非限定的な図である。特に、
図17~
図19は、それぞれ、基部-ステージ部ワッシャ310の等角
図1700、直交
図1800、および側面
図1900を示す。
図17~
図19を参照すると、基部-ステージ部ワッシャ310は、各々が基礎プレートのそれぞれのクリアランス・ホール(例えば、クリアランス・ホール710)と整列する複数の開口部1710を含み得る。一実施形態では、基部-ステージ部ワッシャ310は、低熱伝導率を有する材料(例えば、1ワット毎メートル・ケルビン(W/mK)未満の熱伝導率を有する材料)を含み得る。一実施形態では、基部-ステージ部ワッシャ310は、ポリイミド(例えば、KAPTONまたはVESPEL)を含み得る。
【0034】
図20~
図22は、本明細書で説明される1つまたは複数の実施形態による、軸ワッシャ330の例示的で非限定的な図である。特に、
図20~
図22は、それぞれ、軸ワッシャ330の等角
図2000、直交
図2100、および側面
図2200を示す。
図20~
図22を参照すると、軸ワッシャ330は、各々が軸ワッシャ330の中心線2140に外接する外壁2110および内壁2120を含み得る。外壁2110は、軸ワッシャ330のフットプリントを規定する面領域を包含し得る。内壁2120は、直径2130を有する開口部を画定することができ、開口部は、支柱の軸部をクライオスタットのステージまたはプレート、あるいはその両方に結合することを助ける取り付け機構(例えば、取り付け機構250)のねじ切りされた軸を受容し得る。一実施形態では、軸ワッシャ330は、低熱伝導率を有する材料(例えば、1ワット毎メートル・ケルビン(W/mK)未満の熱伝導率を有する材料)を含み得る。一実施形態では、軸ワッシャ330は、ポリイミド(例えば、KAPTONまたはVESPEL)を含み得る。
【0035】
図23~
図25は、本明細書で説明される1つまたは複数の実施形態による、基部-取り付け部ワッシャ320の例示的で非限定的な図である。特に、
図23~
図25は、それぞれ、基部-取り付け部ワッシャ320の等角
図2300、直交
図2400、および側面
図2500を示す。
図23~
図25を参照すると、基部-取り付け部ワッシャ320は、各々が基部-取り付け部ワッシャ320の中心線2440に外接する外壁2410および内壁2420を含み得る。外壁2410は、基部-取り付け部ワッシャ320のフットプリントを規定する面領域を包含し得る。内壁2420は、直径2430を有する開口部を画定することができ、開口部は、支柱の基部をクライオスタットのステージまたはプレート、あるいはその両方に結合することを助ける取り付け機構(例えば、取り付け機構260)のねじ切りされた軸を受容し得る。一実施形態では、基部-取り付け部ワッシャ320は、低熱伝導率を有する材料(例えば、1ワット毎メートル・ケルビン(W/mK)未満の熱伝導率を有する材料)を含み得る。一実施形態では、基部-取り付け部ワッシャ320は、ポリイミド(例えば、KAPTONまたはVESPEL)を含み得る。
【0036】
図26~
図27は、本明細書で説明される1つまたは複数の実施形態による、クライオスタットのステージ2605(またはプレート)に形成された窪み2640の例示的で非限定的な図である。特に
図26~
図27は、それぞれ、ステージ2605に形成された窪み2640の等角
図2600および側面
図2700を示す。
図26~
図27を参照すると、ステージ2605は、ステージ2605の中心線2650に外接する外壁2620を含み得る。
図26~
図27に示すように、窪み2640は、ステージ2605に形成されることができ、ステージ2605の厚さを窪み2640のフットプリント2630内で減少させる。例えば、ステージ2605は、窪み2640内でステージ2605の厚さ2645より厚い、窪み2640の外部の面領域2610における厚さ2625を有し得る。
【0037】
本発明の実施形態は、完全性の任意の可能な技術詳細レベルにおけるシステム、方法または装置、あるいはその組み合わせであり得る。上記で説明されたものは、システム、方法、および装置の単なる例を含む。当然ながら、本開示を説明する目的で構成要素またはコンピュータ実施方法のあらゆる考えられる組み合わせを説明することは可能ではないが、当業者は、本開示の多くの更なる組み合わせおよび置き換えが可能であることを認め得る。更に、「備える」という語は、請求項において用いられるときに転換語として解釈されるため、「含む」、「有する」、「所有する」などの語が詳細な説明、請求項、付記、および図面で使用される程度に、そのような語は、「備える」という語と同様に包括的であることが意図される。
【0038】
加えて、「または」という語は、排他的な「または」ではなく包括的な「または」を意味することが意図される。換言すれば、特段の記載がない限り、または文脈から明らかでない限り、「XがAまたはBを用いる」は、自然な包括的順列のいずれかを意味することが意図される。すなわち、XがAを用いる;XがBを用いる;またはXがAおよびBの両方を用いる場合、「XはAまたはBを用いる」が上述した事例のいずれかの下で満たされる。更に、単数形が指示された特段の記載がない限り、またはそのような文脈から明らかでない限り、本明細書と添付図面で使用される場合の「a」および「an」という冠詞は、概して「1つまたは複数」を意味すると解釈されるべきである。本明細書で使用される場合、「例」または「例示的」という語あるいはその両方の語は、「例、事例、または説明役割を果たす」ことを意味するために利用される。不確かさを回避するため、本明細書で開示される主題は、そのような例によって限定されない。加えて、「例」または「例示的」あるいはその両方として本明細書で説明されるあらゆる態様または設計は、他の態様または設計よりも好ましいまたは有益であるとは必ずしも解釈されるべきではなく、当業者に知られている等価の例示的な構造および技術を排除することが意味されていない。
【0039】
様々な実施形態の説明が例示目的で提供されたが、網羅的である、または開示された実施形態に限定されることは意図されない。多くの修正および変形は、説明された実施形態の範囲および思想から逸脱しない範囲で、当業者にとって明らかであろう。実施形態の原理、市場に存在する技術の実用化または技術的改良を最も良く説明するため、または本開示が属する分野の通常技量を有する他者が本明細書で開示される実施形態を理解できるようにするために、本明細書で使用される用語は選ばれた。
【0040】
特定の例示的な実施形態が説明されたが、これらの実施形態は例として提示されたに過ぎず、本明細書の開示の範囲を限定することは意図されない。したがって、上記説明におけるいずれも、あらゆる特定の特徴、特性、ステップ、モジュール、またはブロックが必要または不可欠であることを示唆することを意図していない。実際に、本明細書で説明する新規の方法およびシステムは、多種多様な他の形態で具体化されることができ、更に、本明細書で説明する方法およびシステムの形態における様々な除外、置換および変更が、本明細書の開示の思想から逸脱しない範囲でなされ得る。添付の特許請求の範囲およびその等価物は、本明細書の開示のいくつかの範囲および思想に存在し得るような形態または修正を網羅することが意図される。
【国際調査報告】