(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-18
(54)【発明の名称】スレッド巻取りユニット用の敷設ヘッド
(51)【国際特許分類】
B65H 57/16 20060101AFI20240111BHJP
B29C 70/32 20060101ALI20240111BHJP
B29C 70/54 20060101ALI20240111BHJP
B65H 57/14 20060101ALI20240111BHJP
【FI】
B65H57/16
B29C70/32
B29C70/54
B65H57/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023539027
(86)(22)【出願日】2021-12-24
(85)【翻訳文提出日】2023-08-18
(86)【国際出願番号】 FR2021052457
(87)【国際公開番号】W WO2022136812
(87)【国際公開日】2022-06-30
(32)【優先日】2020-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502124444
【氏名又は名称】コミッサリア ア レネルジー アトミーク エ オ ゼネルジ ザルタナテイヴ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ・マニエ
(72)【発明者】
【氏名】ステファーヌ・ヴィラロンガ
【テーマコード(参考)】
3F110
4F205
【Fターム(参考)】
3F110BA05
3F110CA03
3F110DA09
3F110DB01
3F110DB15
4F205AD16
4F205AG07
4F205AH55
4F205AJ08
4F205HA02
4F205HA23
4F205HA37
4F205HA46
4F205HB01
4F205HB11
4F205HC02
4F205HF23
4F205HK23
(57)【要約】
本発明は、各々がボビンから来て長手方向軸(L)を有する複数のロービング(Mk)のための敷設ヘッド(8)に関し、敷設ヘッド(8)は、ボビンからロービングを巻き取るための複数のラインローラ対(10k、12k)を備え、各ローラ対(10k、12k)は、動作時に1つの所与のロービング(Mk)のみに対応付けられることを意図されており、ロービング(Mk)の巻戻し方向に対して上流側ローラ(10k)及び下流側ローラ(12k)を備え、ローラ(10k、12k)は互いに独立して回転している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本のストランド(M
k)を敷設するための敷設ヘッド(8)であって、前記ストランドの各々はボビンを起点とすると共に長手方向軸(L)を有しており、前記敷設ヘッド(8)は、前記ボビンから前記ストランドを巻き取るための複数対のラインローラ(10
k,12
k)を備え、ラインローラ(10
k,12
k)の各対は、1つの所与のストランド(M
k)のみに対応して動作するように意図されており、ストランド(M
k)の巻戻し方向に関して上流側ローラ(10
k)及び下流側ローラ(12
k)を備え、ラインローラ(10
k,12
k)は、互いに独立して回転している、敷設ヘッド。
【請求項2】
ラインローラ(10
k,12
k)の各対は、解放ローラ(14
k)に関連付けられており、該解放ローラ(14
k)は同軸であり、互いに独立して回転可能である、請求項1に記載の敷設ヘッド。
【請求項3】
前記ローラ(10
k、12
k、14
k)の回転軸は、前記長手方向軸(L)に対して垂直である、請求項1または2に記載の敷設ヘッド。
【請求項4】
一対のラインローラの上流側ローラ(10
k)及び下流側ローラ(12
k)は、ローラ(10
k,12
k)の回転軸に垂直で前記長手方向軸(L)を含む平面内で、他の一対のローラの上流側ローラ(10
k)及び下流側ローラ(12
k)に対して互い違いに配置されている、請求項3に記載の敷設ヘッド。
【請求項5】
一対のラインローラの上流側ローラ(10
k)及び下流側ローラ(12
k)は、ローラ(10
k,12
k)の回転軸に平行な平面内で、他の一対のローラの上流側ローラ(10
k)及び下流側ローラ(12
k)に対して互い違いに配置されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の敷設ヘッド。
【請求項6】
2対のローラのうちの少なくとも2つの上流側ローラ(10
k)が、同じ上流側ピボット(16、18)上で回転するように同軸上に配置されている、請求項1~5のいずれか一項に記載の敷設ヘッド。
【請求項7】
2対のローラのうちの少なくとも2つの下流側ローラ(12
k)が、同じのピボット(20、22)上で回転するように同軸上に配置されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の敷設ヘッド。
【請求項8】
各々のローラは、ストランドを受け入れるための環状溝を備え、この環状溝(17)は、凹状の湾曲した底面を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の敷設ヘッド。
【請求項9】
ローラの各対の下流側ローラ(12
k)の軸線が、上流側ローラ(10
k)の回転軸及び解放ローラ(14
k)の回転軸を含む平面から外れて配置されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の敷設ヘッド。
【請求項10】
前記敷設ヘッド(8)の前記長手方向軸(L)は、ローラ(10
k、12
k、14
k)の全ての回転軸が平面の同じ側に配置されるような平面が存在するように位置決めされる、請求項1~9のいずれか一項に記載の敷設ヘッド。
【請求項11】
ボビンのストランドが各対のローラに関連付けられ、各ストランドの強化繊維が、好ましくは炭素繊維で作られ、硬化性マトリックスで含浸されている、請求項1~10のいずれか一項に記載の敷設ヘッド。
【請求項12】
複数本のストランドを敷設するための装置であって、前記ストランドの各々はボビンを起点としており、長手方向軸(L)の周りに回転して移動可能である、請求項1~11のいずれか一項に記載の敷設ヘッド(8)を備えている、装置。
【請求項13】
ボビンから少なくとも1本のストランドを巻き取るためのユニットであって、請求項12に記載の装置又は請求項1~11のいずれか一項に記載の敷設ヘッドと、前記ボビンの前記少なくとも1本のストランドによって完全に又は部分的に覆われることを意図された対象物を移動させるためのロボットと、を含むユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維ボビンから少なくとも1本のストランドを巻き取るためのユニット用の敷設ヘッド(laying head)に関する。前記ボビンは、1本から数本の繊維を含むことができる。これらの繊維は、例えば、特に水素ガス等の加圧流体を受け入れることができるリザーバを形成することを目的とした中空マンドレル等の対象物の周囲に堆積されたストランドを形成するように組み立てられる。また本発明は、スレッド巻取りユニット(thread winding unit)に関する。
【背景技術】
【0002】
スレッド巻取りは、複合材料を、回転軸を有する部品(円筒、円錐等)の形に成形して実施する方法である。この方法は大量生産に適しており、主に高い機械的応力を受ける部品(タンク、パイプ等)の製造に使用されている。
【0003】
図1は、公知の技術による、略水平な長手方向軸Aの周りでフレーム14に回転可能に取り付けられたマンドレル12を含むスレッド巻取りユニット10を示す。ユニット10は、長手方向軸Aに沿って並進移動可能なディスペンサ16を含み、ディスペンサのパネルに対して略垂直に延在し、且つ略水平に延在している複数のボビン17を支持している。各ボビン17は、シートを形成するために敷設ヘッド22で互いに隣接して一緒にされるストランド20を含む。敷設ヘッド22は、長手方向軸Aに沿って並進移動可能なキャリッジ24を介してディスペンサ16に固定されている。
【0004】
いくつかの構成(図示せず)では、敷設ヘッドはまた、マンドレルの軸に対して横断方向に移動し、前記横断軸の周りを回転し、長手方向軸の周りを枢動し、場合によっては垂直軸の上を移動することができる。
【0005】
スレッド巻取りユニットを始動する前に、シートがマンドレルに取り付けられる。ディスペンサのテンショナを作動させて、繊維に張力をかけ、収縮を制限し、堆積された連続層(deposited successive layers)を可能な限り圧縮している。層は、被覆しようとするマンドレルの表面全体にシートを堆積させることを可能にする巻線によって画定されている。円筒の表面全体及び半球形底部の所望の領域を覆うために、螺旋(helices)を形成することによって堆積されるシートで螺旋タイプの層を形成することが可能である。シートがマンドレルの円筒形領域の全体または一部に亘ってマンドレルの軸に対してほぼ横方向に堆積される円周タイプ(circumferential type)の層を作ることが可能である。
【0006】
スレッド巻取りによる構造化は、対象物の所望の機械的性能を達成するために、連続した螺旋状及び/または円周方向の層を積み重ねることを可能にしている。一般に、機械は数値制御によって制御されている。この数値制御は、スレッド巻取り専用のソフトウェアを使用してオペレータによってプログラムされることが多い。
【0007】
スピンのリスク無しに短い長さのテープの敷設を可能にする接触式敷設機械(contact laying machine)が知られている。しかし、これらの機械では、長い連続した繊維を、繊維の方向に加えられ調整された張力または軸方向の機械的応力の下で敷設及び保守することはできない。
【0008】
この種の既知のプロセスは、「Automated Tape Layer」の略であるATLと、「Automated Fiber Placement」の略であるAFPである。
【0009】
ATLプロセスでは、非常に幅の広いテープ(一般に100~300mm)が使用されている。この技術は、民間航空機の翼のような小さな曲率半径及び大きな寸法を有する表面上への堆積を可能にしている。AFPプロセスは、幅10mm未満のテープの並置と、最大32本のテープのヘッド出口でのアセンブリを実行している。
【0010】
主な用途は、平面的な部品や大きな曲率半径を持つ部品の作成である。主な思想は、所定の繊維配向(fiber orientation)を持つ連続したプライ(successive plies)を敷設するために、人手を置き換えることである。
【0011】
現在の全てのシステムは、貯蔵ボビン上の層間に分離フィルムを有する較正された予め含浸された(pre-impregnated)テープ(繊維/樹脂)を使用している。これらの較正されたテープは、エッジ上の補強材が部分的に切断されるリスクを伴う、一方向の予め含浸されたシートの再切断から得られる。ここでは、材料コストが高く、ドレープ作業(draping operation)の際に分離フィルムを巻き取るためのシステムを有することが必要である。
【0012】
これらのシステムはいずれも、標準的な予め含浸された繊維を使用しておらず、すなわち、スレッド巻取りによる実施のために層間に分離フィルムを有していない。シートを構成するストランドは、製造された部品の両端で切断されるため、ストランドに(繊維方向の)張力の連続的な張力(または応力)を加えることはできない。
【0013】
今日まで、複合材料の実装の分野における連続的な発展は、大部分がプロセスの自動化に集中してきた。これらの開発は、自動車及び航空分野で表明された巨大なニーズによって推進されている。重量容量(gravimetric capacity)(すなわち、貯蔵された水素の量と容器の質量との比)の増加に伴う水素貯蔵技術(例えば、700バールの運転圧力で)の開発は、複合材料を使用の限界に押し上げる。
【0014】
従来のスレッド巻取りプロセス(専用機械)及びよりロボット的なもの(汎用機械)は、性能の損失におけるプロセスへの多大な影響を考慮していなかった。殆どの場合、ボビン支持体は敷設ヘッドから遠く離れており、ストランドは敷設ヘッドに到達する前に多数のたわみ及びローラを通過している。方向及び/または回転の各変化は、ローラの壁との摩擦によって、ストランドがそれ自体の上でスピンまたは折り曲げられる可能性を引き起こす。このスピン(ねじれ)は、ストランドを構成する特定のスレッドの劣化及び/または早期破損による材料の性能低下の主な原因である。更に、形状の変化によって、いくつかの層を層状にし、マトリックス及び/または強化繊維の多孔性または局所的な超過(porosities or local excesses)を出現させる場合があった。
【0015】
異なる形状、異なる材料で作られた多くの種類の敷設ヘッドがある。一般に、実務者は、敷設された材料の品質を損なうのと引き換えに、1時間当たり最大量の材料を敷設することを可能にするトレードオフを行う。敷設ヘッドは、マンドレル上に複合材料を敷設する際の主要な構成要素である。製造された対象物の全体的な性能への影響は、敷設の品質に依存している。
【0016】
この点に関して、
図1を参照して先に説明したようなヘッドは、通常、それぞれボビンから生じる異なるストランドを一緒にすることを確実にする解放ローラ(release roller)を含む。このローラは一体に作られており、各ストランドがカバーする距離の問題を引き起こす。敷設中、各ストランドは、理論上の巻線軸(対象物の角度と形状に従って最も理想的な巻線軌道を定義する無形の線(immaterial line))に関して、一意且つ特定の距離をカバーしている。換言すれば、各ストランドは、他のボビンの他のストランドがカバーする距離とは異なる距離をカバーしている。
【0017】
スレッド巻取りユニットにあっては、例えば
図1を参照して説明したような敷設ヘッドは、以下の機能を確保すべきものである:
- シートのインデックス、すなわち、異なるストランドの並置(juxtaposition)、
- 成形シートの案内、
- 選択した角度に従ったシートの方向付け、
- 摩擦を最小限に抑えながら、ストランドの張力を継続すること、
- 各ストランドの形状、従って成形されたシートの形状の維持。
殆どの実施形態では、ヘッドは、プラスチック材料(フッ素化されているか否かに拘わらず)または金属材料(鋼、ステンレス鋼、合金)のいずれかで、機械加工された回転ローラ、単一または複数の溝によって形成されている。各々の一体ローラは、いくつかのストランドを受け入れる。
【0018】
しかし、一体ローラの存在は、マンドレル上のシートに起伏の形成をもたらし、これらの起伏は、炭素繊維のコーティングに重大な欠陥を生じさせ、最終部品の期待される/所望の機械的強度を著しく低下させる可能性があることが知られている。シートまたは巻かれた部分上のストランドのこれらの起伏は、シートのレベルでのゆるい敷設または張力の損失の兆候の1つであることを理解すべきである。圧縮後、これらの起伏は、材料の折り目や、繊維/マトリックス比がかなり変化する可能性のある不均一な領域等の大きな欠陥をもたらす。
【0019】
この問題は、いわゆるドライストランドを使用する場合、すなわち、巻戻し中に含浸させる必要がある場合、またはプリプレグと呼ばれる部分的に重合したマトリックスを含浸させたストランドを使用する場合の両方で生じる可能性がある。後者の場合、各ストランドは、あるレベルの粘着性(マンドレル上で互いに折り目を固定することを可能にする)を有し、これは、ストランドがスリップすることをかなり制限し、不可能にする。敷設ヘッドの出口に一体型ローラがあると、起伏が更に大きくなることに留意されたい。
【0020】
更に、異なるボビンのいくつかのストランドに対してガイドローラを使用することは、各ストランドによってカバーされる異なる距離の前述の問題に対処することを可能にせず、一体の出口ローラと組み合わせて、この問題を更に悪化させることに留意されたい。
【0021】
接触式敷設機械は、この技術的問題に対して部分的な応答を提供する唯一のものである。それらは(より高い価格の)調整されたシートしか使えない。接触による適用は材料の事前のストレス(張力付与)を可能にしないので、張力レベルは(ねじ巻き技術とは対照的に)0または非常に低い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】国際公開第2017/203109号
【特許文献2】英国特許出願公開第921138号明細書
【特許文献3】仏国特許出願公開第2882681号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
本発明は、各々がボビンを起点とし長手方向軸を有する複数のストランドを敷設するための敷設ヘッドに関し、敷設ヘッドは、ボビンからストランドを巻き取るための複数対のラインローラ(line roller)を備え、ラインローラの各対は、1つの所与のストランドのみに対応して動作するように意図されており、ローラの各対は、ストランドの巻戻し方向(direction of unwinding)に関して上流側ローラ及び下流側ローラを備え、ラインローラは、互いに独立して回転している。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明によれば、各ローラの回転分離(rotational decoupling)により、各ストランドが他のストランドの動きを受けること無く、各ストランドの完全な動きを保証することができる。言い換えれば、各ストランドは、他のストランドとは独立して、マンドレル上に敷設するためのヘッドの下流端まで移動されている。
【0025】
ローラは、ストランドの方向に略垂直な回転軸を有することができる。
【0026】
各対のラインローラは、解放ローラに関連付けられても良く、該解放ローラは同軸であり、互いに独立して回転可能である。従って、2つの上流側ローラ及び下流側ローラは、上流側ローラ及び下流側ローラの他の対に関連する解放ローラとは異なる所与の解放ローラに関連付けられている。
【0027】
これにより、マンドレル上にシートのうねりが形成されることを回避することができ、マンドレル上にシートを敷設する際に最適な効率を確保することができる。
【0028】
ローラの回転軸は、長手方向軸に垂直であっても良い。
【0029】
一対のラインローラの上流側ローラ及び下流側ローラは、ローラの回転軸に垂直で長手方向軸を含む平面内で、他の一対のローラの上流側ローラ及び下流側ローラに対して互い違いに(staggered)配置されても良い。一対のラインローラの上流側ローラ及び下流側ローラは、ローラの回転軸に平行な平面内で、別の一対のローラの上流側ローラ及び下流側ローラに対して互い違いに配置されても良い。この平行平面は長手方向軸を含んでいても良い。
【0030】
この二重に互い違いな配置により、限られた空間で最大数のストランドを通過させることができる。
【0031】
また、k個のローラ対のうちk個の上流側ローラは、長手方向と直交する方向に沿って連続して配置され、これにより、奇数番目の上流側ローラは、第1の上流側ピボットによって担持され、偶数番目の上流側ローラは第1のピボットの下流側に配置された第2のピボットによって担持されるようにしても良い。
【0032】
k個のローラ対のうちk個の下流側ローラは、長手方向Lと直交する方向に沿って連続的に配置され、奇数番目の下流側ローラは第3の上流側ピボットによって担持され、偶数番目の下流側ローラは第3のピボットの下流側に配置された第4のピボットによって担持されるようにしても良い。また、第3のピボットは、第2のピボットの下流側に配置されていても良い。
【0033】
2対のローラのうちの少なくとも2つの上流側ローラは、同じ上流側ピボット上で回転するように同軸上に配置することができる。
【0034】
2対のローラのうちの少なくとも2つの下流側ローラは、同じピボット上で回転するように同軸上に配置することができる。
【0035】
各々のローラは、ストランドを受け入れるための環状溝を含むことができ、この環状溝は、凹状の底面を有している。環状溝の底部は、可変の曲率半径、特に、環状溝の中心から環状溝の外側に向かって増大する曲率半径を有することができる。
【0036】
ローラの各対の下流側ローラの軸線が、上流側ローラの回転軸及び解放ローラの回転軸を含む平面から外れて配置することができる。
【0037】
敷設ヘッドの長手方向軸は、ローラの全ての回転軸が平面の同じ側に配置されるような平面が存在するように位置決めすることができる。
【0038】
ボビンのストランドは、各対のローラに関連付けられても良く、各ストランドの強化繊維は、好ましくは炭素繊維で作られ、特に熱硬化性材料または熱可塑性材料で作られても良い硬化性マトリックス(curable matrix)で含浸されている(impregnated)。
【0039】
本発明はまた、各々がボビンを起点とする複数のストランドを敷設するための装置に関し、前述の敷設ヘッドを備え、該敷設ヘッドは、長手方向軸の周りに回転して移動可能である。
【0040】
本発明はまた、少なくとも1本のボビンの繊維からなる少なくとも1本のストランドを巻くためのユニットに関し、このユニットは、上述した装置又は上述した敷設ヘッドと、ボビンの前記少なくとも1本のストランドによって完全に又は部分的に覆われることを意図された対象物を移動させるためのロボットとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】従来技術によるスレッド巻取りユニットの概略斜視図である。
【
図2】本発明による敷設ヘッドの概略斜視図である。
【
図5】本発明による、敷設ヘッドと共に使用することを意図したローラの概略断面図である。
【
図6】本発明による敷設ヘッドの4つの下流側ローラの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
他の特徴、詳細及び利点は、以下の詳細な説明を読み、添付の図面を分析すると明らかになるであろう。
【0043】
次に、本発明による、第1の長手方向D
1に沿って延在している長手方向軸Lを有し、長手方向D
1に垂直な第2の方向D
2に沿って互いに離間した2つの横方向アームB
1、B
2を含む敷設ヘッド8を示す
図2から
図4を参照する。この第2の方向D
2は、第1の方向D
1にも垂直な第3の方向D
3に垂直である。敷設ヘッドは、単一の横方向アームB
1またはB
2を含むことができる。
【0044】
上流側10k及び下流側12kのローラ対が、横方向アームB1、B2の間に配置されており、回転に関して互いに独立している、即ち、対になっている。図に示された例では、敷設ヘッドは、4つの上流側ローラ101、102、103、104と、4つの下流側ローラ121、122、123、124とを含む。上流側10k及び下流側12kの各ローラは、第2の方向D2に沿って延在している回転軸を有し、従って、ローラの軸は、長手方向D1及び敷設ヘッド8の長手方向軸Lに対して垂直である。上流10k及び下流12kのローラは、ストランドMkの線に沿って案内を行うため、いわゆるラインローラであり、この線は長手方向軸Lに平行である。それでも、それらを、ストランドを案内するローラとして認定することは可能である。図に示された例では、4本のストランドM1、M2、M3、M4が存在し、それぞれ上流側10kと下流側12kのローラの対に関連していることが分かる。本開示では、ローラ対の数k[10k、12k]が2以上である全ての構成をカバーすることを理解されたい。ローラ対の数が多く、例えば4つ以上である場合に、本発明がより特に興味深いことは明らかに理解されるべきである。
【0045】
図3に示すように、各上流側ローラは、所与のストランドを案内する一対のラインローラを形成するように下流側ローラに関連付けられ、他のストランドは、ラインローラ対の別個の対によって案内されている。
【0046】
「上流」及び「下流」という用語は、ストランドM1、M2、M3、M4の巻戻しまたは敷設の方向に関して、すなわちストランドの巻戻し方向に関して、互いに上流または下流に位置するローラを指すことを理解されたい。この場合、ストランドM1、M2、M3、M4の巻戻し方向は、第1の方向D1に沿って左から右に向いている。
【0047】
上流10k及び下流12kのラインローラの各対は、解放ローラ14kに関連している。解放ローラは、軸15と同軸である。ここでは、それらは同じピボット19に取り付けられている。図示された敷設ヘッド8の例では、4つの解放ローラ101、102、103、104がある。上流側及び下流側の各ローラ対は、第1の長手方向D1及び第3の長手方向D3を含む平面Pkに関して対称なストランドMkを支持する面を備えている。一対のラインローラ10k、12kに関連する解放ローラは、ストランドMkを支持するための面を備え、この面も平面Pkに関して対称である。前述の支持面は環状面であり、円形断面を有するが、支持体は環状ではないことを理解されたい。
【0048】
上流10k及び下流12kのラインローラの支持面17は、環状溝19の底部に形成されている。これらの支持面17は、略平坦であるように示されているが、凹状の湾曲形状を有する断面を有しても良い。環状溝19のこれらの底面17は、可変曲率半径を有することができ、特に、環状溝の中心から環状溝19の外側に向かって増大する曲率半径を有することができる。上流10k及び下流12kの各ラインローラは、完全に中心合わせされた回転運動を保証するために、2つのボールベアリング21を含むことができる。
【0049】
本記載の構成では、k個のローラが方向D
2に沿って連続して配置されている。kが奇数であるローラ10
kは、同じピボット16によって担持され、kが偶数であるローラ10
kは、同じ別のピボット18によって担持されている。ピボット16は、ピボット18の上流側に配置されている。kが奇数であるローラ12
kは、同じピボット20によって担持され、kが偶数であるローラ12
kは、同じ別のピボット22によって担持されている。ピボット20は、ピボット22の上流側に配置されている。ピボット18は、ピボット20の上流側に配置されている。ピボット16,18,20,22は、解放ローラ14
kのピボット19よりも上流側に配置されている。ピボット16、18、20、22は、第2の方向D
2に従って延在し、従って、長手方向軸Lに垂直に延在している。当業者は、ピボット16、18、20、22は、ピボット16、18、20、22の軸16
1、16
2、16
3、16
4に垂直であり、長手方向軸Lを含む平面に沿って互い違いに配置されることを理解できるであろう(
図4)。同様に当業者は、ラインローラの軸又はローラ10k、12kの回転軸に平行な平面内で、上流及び下流の偶数番目のラインローラと上流及び下流の奇数番目のラインローラとが互い違いに配置されていることを理解できるであろう。
【0050】
k個の上流側ローラは、長手方向Lに垂直な方向D2に沿って連続的に配置され、これにより、奇数番目の上流側ローラは第1の上流側ピボット16によって担持され、偶数番目の上流側ローラは第1の上流側ピボット16の下流に配置された第2のピボット18によって担持されている。
【0051】
k個の下流側ローラは、長手方向Lに垂直な方向D2に沿って連続的に配置されても良く、奇数番目の下流側ローラは第3の上流側ピボット20によって担持され、偶数番目の下流側ローラは第3のピボット20の下流に配置された第4のピボット22によって担持されている。また、第3のピボット20は、第2のピボット18の下流側に配置されても良い。
【0052】
図4において、当業者は、各対のローラの下流側ローラ12
1、12
2、12
3、12
4の軸20
1、22
1は、関連する上流側ローラ10
1、10
2、10
3、10
4の回転軸及び解放ローラ14kの回転軸15を含む平面から外れて位置していることを理解できるであろう。更に当業者は、上流側ローラと下流側ローラとの間に位置するストランドM
kの部分24は、下流側ローラと解放ローラとの間に位置するストランドM
kの部分26と実質的に90°に等しい角度を形成することを理解できるであろう。この角度は、70°と110°との間、好ましくは80°と100°との間とすることができる。
【0053】
図3において、当業者は、ストランドM
kが、上流側ラインローラ10
k、下流側ラインローラ12
k及び解放ローラ14
kによって、線P
kに沿って巻戻し方向に案内されていることを理解できるであろう。この例では当業者は、P
1、P
2、P
3、P
4の4本の線の存在を理解できるであろう。
【0054】
上流側ラインローラは、kが奇数であり、同じピボット16によって担持される第1の一連の上流側ローラ10kと、kが偶数であり、同じピボット18によって担持される第2の一連の上流側ローラ10kとを含む。下流側ラインローラは、kが奇数であり、同じピボット20によって担持される第1の一連の下流側ローラ12kと、kが偶数であり、同じピボット22によって担持される第2の一連の下流側ローラ12kとを含む。ピボット16、18、20、22は、対で区別される。長手方向Lに従って且つ巻戻し方向に沿って、当業者は、ピボットは、kが奇数である第1の一連の上流側ローラ10kのピボット16、kが偶数である第2の一連の上流側ローラ10kのピボット18、kが奇数である第1の一連の下流側ローラ12kのピボット20、次いでkが偶数である第2の一連の下流側ローラ12kのピボット22を有するように、上流から下流に配置されることが理解できるであろう。ストランドMkは、一連の上流側ローラのうちの上流側ローラと、一連の下流側ローラのうちの下流側ローラと協働している。より詳細には、kが奇数であるストランドMkは、第1の一連の上流側ローラの上流側ローラ及び第1の一連の下流側ローラの下流側ローラと協働し、kが偶数であるストランドMkは、第2の一連の上流側ローラの上流側ローラ及び第2の一連の下流側ローラの下流側ローラと協働している。ローラの配置は、kを偶数とするストランドMkと、kを奇数とするストランドMkとが、第2の方向D2に沿って交互に配置されるようになっている。
【国際調査報告】