(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-18
(54)【発明の名称】スイッチトリラクタンスモータにおける不感帯を克服するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
H02P 25/092 20160101AFI20240111BHJP
【FI】
H02P25/092
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023539053
(86)(22)【出願日】2021-12-14
(85)【翻訳文提出日】2023-06-23
(86)【国際出願番号】 US2021063177
(87)【国際公開番号】W WO2022140102
(87)【国際公開日】2022-06-30
(32)【優先日】2020-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391020193
【氏名又は名称】キャタピラー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CATERPILLAR INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガーデス、ジェシー アール.
(72)【発明者】
【氏名】ソプコ、トーマス エム.
(72)【発明者】
【氏名】ニノ バロン、カルロス イー.
(72)【発明者】
【氏名】ワイ、ジャクソン
(72)【発明者】
【氏名】カリル、アフメド
(72)【発明者】
【氏名】アブドゥル、サジャン
(72)【発明者】
【氏名】アシュファク、アマラ
(72)【発明者】
【氏名】ソーン、ジェームズ マイケル
【テーマコード(参考)】
5H501
【Fターム(参考)】
5H501AA20
5H501DD09
5H501HB07
5H501HB16
5H501LL12
5H501LL35
(57)【要約】
【課題】スイッチトリラクタンスモータにおける不感帯を克服するためのシステムおよび方法を提供する。
【解決手段】作業機械(100)は、フレーム(110)と、フレーム(110)を支持する牽引システム(120)と、フレーム(110)に取り付けられた電源(130)と、スイッチトリラクタンスモータ(205)と、電源(130)からモータ(205)への電力を制御するように構成されたインバータ(220)と、コントローラ(210)と、を備える。コントローラ(210)は、所望のトルク(430)を示す信号を受信し、所望のトルク(430)が上限閾値(410)と下限閾値(420)との間にあるか否かを判定するように構成される。所望のトルク(430)が上限閾値(410)と下限閾値(420)との間にある場合、パルス幅変調を用いてPWM調整トルク命令(450)が生成され、PWM調整トルク命令(450)に基づいてモータ(205)が命令される。PWM調整トルク命令(450)は、所望のトルク(430)を生成するために、上限閾値(410)と下限閾値(420)との間を循環するように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機械(100)であって、
フレーム(110)と、
前記フレーム(110)を支持する牽引システム(120)と、
前記フレーム(110)に取り付けられた電源(130)と、
スイッチトリラクタンスモータ(205)と、
前記電源(130)から前記モータ(205)への電力を制御するように構成されたインバータ(220)と、
コントローラ(210)と、を備え、前記コントローラ(210)は、
所望のトルク(430)を示す信号を受信し、
前記所望のトルク(430)が上限閾値(410)と下限閾値(420)との間にあるか否かを判定し、
前記所望のトルク(430)が前記上限閾値(410)と前記下限閾値(420)との間にある場合、パルス幅変調を用いて、前記上限閾値(410)と前記下限閾値(420)との間を循環して前記所望のトルク(430)を生成するように構成されたPWM調整トルク命令(450)を生成し、
前記PWM調整トルク命令(450)に基づいて前記モータ(205)を命令するように構成される、作業機械(100)。
【請求項2】
前記PWM調整トルク命令(450)は、PWM基準信号(440)を生成し、この信号を前記所望のトルク(430)と比較することによって生成される、請求項1に記載の作業機械(100)。
【請求項3】
前記PWM基準信号(440)が鋸歯状波である、請求項1に記載の作業機械(100)。
【請求項4】
前記上限閾値(410)と前記下限閾値(420)は、前記スイッチトリラクタンスモータ(205)のセンサレス動作に必要な最小電流を生成する正のトルク負荷および負のトルク負荷に対応する、請求項1に記載の作業機械(100)。
【請求項5】
前記所望のトルク(430)が正弦波を発生させる、請求項1に記載の作業機械(100)。
【請求項6】
スイッチトリラクタンスモータ(205)における不感帯を克服する方法(600)であって、
所望のトルク(430)を示す信号を受信するステップと、
前記所望のトルク(430)が上限閾値(410)と下限閾値(420)との間にあるか否かを判定するステップと、
前記所望のトルク(430)が前記上限閾値(410)と前記下限閾値(420)との間にある場合、パルス幅変調を用いて、前記上限閾値(410)と前記下限閾値(420)との間を循環して前記所望のトルク(430)を生成するように構成されたPWM調整トルク命令(450)を生成するステップと、
前記PWM調整トルク命令(450)に基づいて前記モータ(205)を命令するステップと、を含む、方法。
【請求項7】
前記PWM調整トルク命令(450)は、PWM基準信号(440)を生成し、この信号を前記所望のトルク(430)と比較することによって生成される、請求項8に記載の方法(600)。
【請求項8】
前記PWM基準信号(440)が三角波である、請求項8に記載の方法(600)。
【請求項9】
前記上限閾値(410)と前記下限閾値(420)は、前記スイッチトリラクタンスモータ(205)のセンサレス動作に必要な最小電流を生成する正のトルク負荷および負のトルク負荷に対応する、請求項8に記載の方法(600)。
【請求項10】
前記所望のトルク(430)が正弦波を発生させる、請求項8に記載の方法(600)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、モータおよび発電機に関し、より具体的にはスイッチトリラクタンスモータに関する。
【背景技術】
【0002】
トラック式トラクタ、掘削機等のような多くの作業機械は、作業機械を位置間で再配置または移動させることを可能にする動力源に接続された変速機を含むことができる。省エネや化石燃料の使用回避への関心が高まる中、動力源として電気モータを使うことが一般的になってきている。電気モータは、バッテリーなどのエネルギー源からの電気エネルギーを機械エネルギーに変換して作業機械を駆動する。
【0003】
スイッチトリラクタンスモータと呼ばれる電気モータは、その堅牢で堅牢な構造により、上記作業機械等の各種用途に広く使用されている。スイッチトリラクタンスモータは、ロータと複数のステータとを備える。通常のブラシ付き直流モータとは異なり、ロータ巻線ではなくステータ巻線に電力が伝達される。これにより、電力を可動部品に供給する必要がなくなるため、機械設計が大幅に簡素化されますが、異なる巻線に電力を送るためにあるスイッチングシステムを使用する必要があるため、電気的設計が複雑になる。一部のスイッチトリラクタンスモータは、直接位置センサを用いることなく、ステータに対するロータの位置および速度を推定するセンサレス動作制御システムを有する。センサレス動作は最小限のパッケージサイズ、高信頼性、低コストが要求されるため、多くの用途において非常に重要である。静止時または低速時のロータの位置を正確に判定することは、モータの性能と効率に不可欠である。
【0004】
このようなセンサレス制御システムは、米国特許第10,079,566号に記載されている。しかし、低負荷では、ステータはロータの位置を推定するのに十分な電流を持っていない可能性があり、最小トルクを発生させる。したがって、低トルクが必要なときにセンサレス動作を提供するスイッチトリラクタンスモータの制御システムが依然として必要とされる。
【発明の概要】
【0005】
本開示の一態様によれば、作業機械が開示される。前記作業機械は、フレームと、前記フレームを支持する牽引システムと、前記フレームに取り付けられた電源と、スイッチトリラクタンスモータと、前記電源から前記モータへの電力を制御するように構成されたインバータと、コントローラと、を備える。前記コントローラは、所望のトルクを示す信号を受信し、前記所望のトルクが上限閾値と下限閾値との間にあるか否かを判定するように構成される。前記所望のトルクが前記上限閾値と前記下限閾値との間にある場合、パルス幅変調を用いてPWM調整トルク命令を生成する。PWM調整トルク命令は、前記上限閾値と前記下限閾値との間を循環して前記所望のトルクを生成するように構成されたように構成される。
【0006】
本開示の別の態様によれば、電気駆動システムが開示される。前記システムは、スイッチトリラクタンスモータと、電源からモータへの電力を制御するように構成されたインバータと、コントローラと、を含む。前記コントローラは、所望のトルクを示す信号を受信し、所望のトルクが上限閾値と下限閾値との間にあるか否かを判定するように構成される。所望のトルクが上閾値と下閾値との間にある場合、パルス幅変調を用いてPWM調整トルク命令を生成し、PWM調整トルク命令に基づいてモータを命令する。PWM調整トルク命令は、上限閾値と下限閾値との間を循環して所望のトルクを生成するように構成される。
【0007】
本開示のさらに別の態様によれば、スイッチトリラクタンスモータにおける不感帯を克服する方法が開示される。この方法は、所望のトルクを示す信号を受信するステップと、所望のトルクが上限閾値と下限閾値との間にあるか否かを判定するステップとを含む。所望のトルクが上閾値と下閾値との間にある場合、パルス幅変調を用いてPWM調整トルク命令を生成し、PWM調整トルク命令に基づいてモータを命令する。PWM調整トルク命令は、上限閾値と下限閾値との間を循環して所望のトルクを生成するように構成される。
【0008】
本開示のこれらおよび他の態様および特徴は、添付の図面に関連して以下の詳細な説明を読んだ後に、より容易に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の一態様による作業機械の側面図である。
【
図2】本開示の一態様による、
図1の作業機械で使用可能な電気駆動システムのブロック図である。
【
図3】本開示の一態様によるスイッチトリラクタンスモータの断面図である。
【
図4】本開示の一態様によるパルス幅変調を示す図である。
【
図5】本開示の一態様によるパルス幅変調を有するトルク命令図である。
【
図6】本開示の一態様による不感帯を克服する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示は、スイッチトリラクタンスモータ制御システムおよびその使用方法に関する。スイッチトリラクタンスモータ制御システムは、このようなスイッチトリラクタンスモータ制御システムを使用するあらゆる作業機械に適用可能である。ここで図面を参照し、特に
図1を参照すると、スイッチトリラクタンスモータ制御システムを含む作業機械100の例が示されている。作業機械100は、トラック型トラクタとして示されているが、スイッチトリラクタンスモータおよび制御システムを含む任意のタイプの作業機械を含むことができる。
【0011】
図示するように、作業機械100は、フレーム110と、フレーム110を支持する牽引システム120と、フレーム110に支持された動力源130と、動力源130から牽引システム120にエネルギーを伝達するように構成された電気駆動システム200と、を備える。図示のバケットなどの作業具140は、フレーム1110に取り付けられてもよく、電気駆動システム220によって動力を供給されてもよいが、これに限定されない。作業機械100は、動作室150をさらに含んでもよい。電源130は、作業機械100に電力を供給するとともに、電力駆動システム200の推進のための作動電力を供給するように構成されている。電源130は、直流(DC)電源、オットサイクルまたはディーゼルサイクルエンジンなどであってもよい。電源130は、動作室150内のオペレータコントロール(図示せず)から制御信号を受信するように動作可能に配置されている。また、電源130は、作業機械100の他のシステムに電力を供給するように動作可能に構成されている。
【0012】
電気駆動システム200は、動作室150内のオペレータからの制御信号を介して作業機械100を選択的に推進するために、電源130と共に動作可能に構成され得る。電気駆動システム200は、牽引システム120に動作可能に接続され、牽引システム120は、車軸、駆動軸、変速機、および/または他の構成要素を介して作業機械100に移動可能に接続され得る。いくつかの実施形態では、牽引システム120は、車輪駆動システムまたは地面に係合して作業機械100を推進するように構成された任意の他のタイプの駆動システムも可能であるが、図示のトラック駆動システムの形態で提供することができる。
【0013】
いくつかの実施形態では、電気駆動システム200は、追加的にまたは代替的に、作業機械100および電気駆動システム200に移動可能に接続され得る作業具140を選択的に動作させるように構成されてもよい。図示された作業具154はトラクタローダの形態の作業機械100に取り付けられたブレードであるが、もちろん、他の実施形態は、様々なタスク、例えば、ドージング、ブラッシング、圧縮、採掘、整地、持ち上げ、引き裂き、耕耘などなどのための任意の他の適切な作業具を含むことができる。
【0014】
上述したように、
図1は、本開示のスイッチトリラクタンスモータおよび制御システムを利用することができる作業機械100の一例として提供される。他の例も可能であり、
図1に関連して説明した例とは異なる場合がある。
【0015】
図2に示すように、電気駆動システム200は、モータ205と、コントローラ210と、インバータ220と、電流センサ230とを備える。モータ205は、
図3に示すスイッチトリラクタンス(SR)モータであり、以下により詳細に説明する。
【0016】
コントローラ210は、センサ230、オペレータ、および/または作業機械100の他のシステムから入力を受け取るように構成されている。コントローラ210は、これらの入力に基づいて、必要に応じてSRモータ205に電力を供給するようにインバータ220に命令する。これには、本明細書で説明するように、起動時の起動命令、動作中の切替命令、および用途に必要な他の命令が含まれる。
【0017】
インバータ220は、電源130とモータ205とに電気的に接続されている。インバータ220は、コントローラ210の指示に従ってSRモータ205に電流を供給する。いくつかの実施形態では、インバータ220は、電源130から直流電流を受け取り、SRモータ205に交流電流を供給するために直流電流の位相を制御することができる。電流センサ230は、SRモータ205の電流を監視し、SRモータ205のいくつかの相の各々の電流に関する情報をコントローラ210に通信する。
【0018】
SRモータ205の一例は、
図3の断面に示されている。SRモータ205は、複数のステータ歯310を有するステータ320を含む。ステータ歯310は、
図3においてA、B、Cと示されるように、ステータの反対側に対をなして設けられている。ブラシ付きDCモータタイプとは異なり、ロータ340の代わりにステータ310に電力が伝達される。これにより、電力を可動部品に供給する必要がなくなるため、機械設計が大幅に簡素化されますが、異なるステータ310に電力を順次伝達するためにある種のスイッチングシステムを使用する必要があるので、電気的設計が複雑になる。
【0019】
各ステータ歯310は、ステータ歯310への通電を可能にする巻線(図示せず)を有する。各ステータ歯310は、異なる相として通電され得る。ステータ320の中心内には、複数のロータ極350も対をなして配置されたロータ340が配置されている。図示の例は、6つのステータ歯310および4つのロータ極350を有しているが、他の数のステータ歯310およびロータ極350も可能である。
【0020】
SRモータ205は、ロータ340がステータ320に対して磁気抵抗が最小となる位置に移動する傾向で動作する。一対のロータ極350が一対の付勢されたステータ歯310と整列する位置には、磁気抵抗が最小化される位置が現れる。この磁気吸引は、ロータ340を回転させ、最小磁気抵抗位置に向かって移動させるトルクを生成する。各一対のステータ歯310に動力が伝達され、ロータ340が整列されると、後続する次のステータ歯310が付勢され、ロータ340の移動が継続され、角運動量が維持される。このように、どのステータ歯310に通電しているか、どのステータ歯310に通電していないか、どの相かを切り替えるパターンは、このようなモータの動作を複雑にする。モータ310の適切な動作は、各ステータ歯310が通電される適切なタイミングに依存する。このタイミングは、ステータ320に対するロータ340の角度位置によって駆動される。
【0021】
従来技術のいくつかのSRモータ205は、ステータ320に対するロータ極350の位置を検出するためにセンサを使用しているが、SRモータの最小パッケージサイズ、高い信頼性、および低コストが必要であるため、センサレス動作は様々な用途に重要である。スイッチトリラクタンスモータの信頼性の高い正確な位置検出は、低コストで高性能なSR作業機械の駆動を開発するための重要なステップである。
【0022】
ロータ340の位置を推定する1つの方法は、デルタ電流パルスをステータ310の1つ以上のアイドル相に注入することを含む。そして、アイドル相に流れるステータ電流が、オブザーバベースの推定方法を用いて推定される。コントローラ310は、推定されたステータ電流と電流センサから受信された実際のステータ電流とを比較して誤差信号を生成する。誤差信号は、ロータの推定位置およびロータの推定速度を計算するために使用される。
【0023】
しかし、このセンサレス動作方法は、モータの最小電流を必要とする。非常に低いトルク負荷では、注入、測定および比較プロセスに必要な電流が低すぎて正しく動作しない可能性があり、コントローラがロータの位置を判定できない不感帯が生じる。
【0024】
したがって、本開示は、不感帯が発生したときにパルス幅変調を適用するようにコントローラをさらに構成することによって、不感帯を克服することを提案する。同様の開示は、SR発電機、位置センサを有するSRモータ、誘導モータ、永久磁石モータ、およびモータまたは発電機を含む他の電動機を含むがこれに限定されない、電気機械の他の不感帯にも適用され得る。
【0025】
不感帯を克服するために、コントローラは、まず、必要なトルク量が、センサレス動作を発生させるために必要な最小電流に対応する正のトルク負荷と負のトルク負荷の上限閾値410と下限閾値420の間にあるか否かを判定しなければならない。いくつかの実施形態では、上限閾値410は250N・mであってもよく、下限閾値420は?250N・mであってもよいが、もちろん、特定の閾値は用途に依存する。
【0026】
所望のトルクまたは「所望のトルク命令430」が閾値410,420の間にない場合、コントローラは通常どおりインバータに所望のトルクを生成するように命令する。
【0027】
一方、トルク命令430が閾値410と閾値420との間にあることが望ましい場合、コントローラは、パルス幅変調PWMを適用してPWM調整トルク命令450を生成する。PWMは、電気信号を効果的に個別の部分に分割することにより、電気信号によって供給される平均電力を低減する方法である。これにより、モータが所望のトルク430を生成しながら、不感帯限界外の電流を使用することが可能となる。
【0028】
図4に示すように、PWM調整トルク命令450は、PWM基準信号440を生成し、この信号を所望のトルク430と比較することによって生成することができる。PWM基準信号440は、のこぎり波または三角波とすることができ、上限閾値410と下限閾値420との間で発振する。基準信号の周波数は、SRモータ205の機構が応答できるよりも速くなければならないが、位置感知を妨げるほど速くあってはならない。いくつかの実施形態では、周波数は、250Hz、500Hz、または特定の用途に適した任意の他の周波数とすることができる。同じシステムは、異なる条件下で異なる周波数を使用することができる。
【0029】
PWM基準信号440が所望のトルク430よりも小さい場合、PWM調整トルク命令450は上限閾値410に等しくなる。PWM基準信号440が所望のトルク430よりも大きい場合、PWM調整トルク命令450は下限閾値420に等しい。PWM調整トルク命令450は、SRモータから所望のトルク450と同じトルクを生成する。
【0030】
前述したように、PWM調整トルク命令450は、所望のトルク430が閾値レベルの間にある場合にのみ生成される。
図5は、所望のトルク430が正弦波を形成する典型的な例を示している。トルクが0N・m付近であれば、PWM調整トルク命令450は狭い範囲でのみ適用される。
【産業上の利用可能性】
【0031】
一般に、本開示は、土工設備、建設、農業、採鉱などを含むがこれに限定されない、多くの異なる産業に適用することができる。より具体的には、ここで開示される不感帯のないセンサレス動作は、SR作業機械駆動アクチュエータの最小パッケージサイズ、高信頼性、低コストの必要性のため、様々な用途にとって重要である。スイッチトリラクタンスモータの信頼性の高い正確な位置検出は、低コストで高性能なSR作業機械の駆動を開発するための重要なステップである。非常に低いトルク負荷では、必要な電流が低すぎて、この方法が正常に機能しないことがあり、制御システムが正常に機能しない不感帯が生じる。したがって、本開示は、スイッチトリラクタンスモータにおけるセンサの不感帯を回避する方法を提案する。
図6に示され、以下でさらに詳細に説明されるように、本方法は、様々な作業機械および用途におけるセンサレス動作を有する任意のSRモータにおける不感帯を補正するために使用することができる。これらは、トラック型トラクタ、掘削機、グレーダ、およびSRモータ205を利用することができる任意の他の電気駆動式作業機械100を含むことができる。また、同様の方法は、SR発電機、位置センサ付きSRモータ、誘導モータ、永久磁石モータ、およびモータまたは発電機を含む他の電動機を含むがこれに限定されない電気機械の他の不感帯にもを適用することができる。
【0032】
ここで
図6を参照すると。ブロック610で表されるように、方法600は、まず、所望のトルクを示す信号430を受信する必要がある。コントローラ210は、作業機械100の他のシステムまたはオペレータから受信信号を入力することができる。次に、コントローラ210は、ブロック620に示されるように、所望のトルク430が上限閾値410と下限閾値420との間にあるか否かを判定する。上限閾値410および下限閾値420は、センサレス動作の不感帯制限に対応する。コントローラ210は、所望のトルクが上限閾値410と下限閾値420との間にない場合、SRモータ205に所望のトルクを正常に生成させるように命令する(ブロック630)。
【0033】
一方、所望のトルク430が上閾値410と下閾値420との間にある場合、コントローラは、パルス幅変調を用いてPWM調整トルク命令450を生成し(ブロック640)、ブロック650に示すように、PWM調整トルク命令450に基づいてSRモータ205に命令する。PWM調整トルク命令450は、上限閾値410と下限閾値420との間を循環して所望のトルク430を生成するように構成される。
【0034】
PWM調整トルク命令450は、PWM基準信号440を生成し、この信号を所望のトルク430と比較することによって生成することができる。PWM基準信号450は、のこぎり波または三角波であってもよく、上限閾値410と下限閾値420との間で発振する。基準信号の周波数は、機構が応答できるよりも速くなければならないが、位置感知を妨げるほど速くあってはならない。
【0035】
前述では、多くの異なる実施形態の詳細な説明が述べられているが、法的保護範囲は、本特許の末尾に記載された特許請求の範囲によって定義されることを理解すべきである。詳細な説明は例示としてのみ解釈されるべきであり、考えられるすべての実施形態を説明することは不可能ではないにしても非現実的であるため、考えられるすべての実施形態を説明するものではない。現在の技術またはこの特許の出願日以降に開発された技術を使用して、多くの代替実施形態を実施することができ、それらは依然として保護範囲を定義する特許請求の範囲内に含まれるものとする。
【国際調査報告】