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特表2024-502303カルコゲンアニオンのインターカレーションおよびデインターカレーションに基づく電気化学セル
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  • 特表-カルコゲンアニオンのインターカレーションおよびデインターカレーションに基づく電気化学セル 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-18
(54)【発明の名称】カルコゲンアニオンのインターカレーションおよびデインターカレーションに基づく電気化学セル
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/58 20100101AFI20240111BHJP
   C01F 17/30 20200101ALI20240111BHJP
   H01M 10/05 20100101ALI20240111BHJP
   H01M 10/0562 20100101ALI20240111BHJP
   H01M 4/136 20100101ALI20240111BHJP
   H01M 4/66 20060101ALI20240111BHJP
【FI】
H01M4/58
C01F17/30
H01M10/05
H01M10/0562
H01M4/136
H01M4/66 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023539075
(86)(22)【出願日】2021-12-24
(85)【翻訳文提出日】2023-07-25
(86)【国際出願番号】 EP2021087650
(87)【国際公開番号】W WO2022136707
(87)【国際公開日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】2014131
(32)【優先日】2020-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507421289
【氏名又は名称】ナント・ユニヴェルシテ
【氏名又は名称原語表記】NANTES UNIVERSITE
(71)【出願人】
【識別番号】595040744
【氏名又は名称】サントル・ナショナル・ドゥ・ラ・ルシェルシュ・シャンティフィク
【氏名又は名称原語表記】CENTRE NATIONAL DE LA RECHERCHE SCIENTIFIQUE
(74)【代理人】
【識別番号】100080447
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 恵一
(72)【発明者】
【氏名】カリオ,ロラン
(72)【発明者】
【氏名】ササキ,シュンスケ
(72)【発明者】
【氏名】ジョビック,ステファン
(72)【発明者】
【氏名】カルデス,マリア テレザ
(72)【発明者】
【氏名】ジャノ,エチエンヌ
(72)【発明者】
【氏名】コラーズ,ブノワ
(72)【発明者】
【氏名】ブラムス-アバスプール,イザベル
(72)【発明者】
【氏名】エムヴェル,ルイ-ベニ
(72)【発明者】
【氏名】ドゥドン,カトリーヌ
【テーマコード(参考)】
4G076
5H017
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
4G076AA01
4G076AA13
4G076AB08
4G076BA24
4G076BB01
4G076BC08
4G076BD02
4G076BE20
4G076CA01
4G076DA30
5H017AA03
5H017EE05
5H029AJ00
5H029AK05
5H029AL04
5H029AM12
5H029DJ07
5H029HJ02
5H050AA00
5H050BA15
5H050CA11
5H050CB05
5H050DA08
5H050HA02
(57)【要約】
本出願は、Laなどの、可逆的にカルコゲンのアニオンをデインターカレート/リインターカレートすることができるカルコゲンオリゴマーを含む、電気化学セル電極に好適な電気活性材料、ならびに前記材料を含有する電気化学電極およびセルに関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルコゲンオリゴマーを含む電気化学セル電極用電気活性材料であって、前記材料が、その全体的構造を維持しながら、可逆的に還元により前記カルコゲンのアニオンをデインターカレートし、酸化により前記アニオンをリインターカレートすることができることを特徴とする、電気活性材料。
【請求項2】
前記カルコゲンアニオンが、式(III):
(SX- (III)
の硫黄またはそのオリゴマーであり、
式中、nおよびxは、xが1または2に等しく、nが1~6となるような整数である、
請求項1に記載の電気活性材料。
【請求項3】
前記カルコゲンアニオンがS2-である、請求項1または2に記載の電気活性材料。
【請求項4】
La、SrS、SrS、BaS、BaS、Ba、FeS、NiS、CoS、MnS、TiS、VS、PbS、BiSの中から選択される、請求項1から3のいずれか一つに記載の電気活性材料。
【請求項5】
前記活性材料が、Laであり、これが
【化1】
なる反応にしたがってS2-を可逆的にデインターカレートしかつリインターカレートし、ここで
oAが、中心直方晶形態を表わしている、請求項1から4のいずれか一つに記載の電気活性材料。
【請求項6】
式(I):
oA-LaS (I)
の材料において、
oAが中心直方晶形態を表わしている材料。
【請求項7】
式(II):
oA-La1.5 (II)
の材料において、
oAが中心直方晶形態を表わしている材料。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一つに記載の材料を含む正極。
【請求項9】
集電体およびコーティング層を含み、前記コーティング層が前記電気活性材料を含んでいる、請求項8に記載の正極。
【請求項10】
集電体がアルミニウムシートである、請求項9に記載の正極。
【請求項11】
- 請求項8から10のいずれか一つに記載の正極と、
- 負極、および
- 正極と負極の間に挟み込まれた電解質層と、
を含む電気化学セルにおいて、電解質が、電気活性材料のカルコゲンオリゴマーのカルコゲンアニオンを伝動性イオンとして含む固体電解質であることを特徴とする、電気化学セル。
【請求項12】
セルが電気的に接続されている、複数の請求項11に記載の電気化学セルを含む電池。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気化学、詳細には固体イオン電池に関する。
【背景技術】
【0002】
地球温暖化および天然資源の欠乏を考慮すると、再生可能エネルギーの生産および貯蔵は、極めて重要であり、科学界にとっての大きな課題の1つである。
【0003】
電気デバイスおよび電気輸送機関は、今日ではリチウム電池に基づいている。しかしながらリチウム資源には限界がある。したがって、研究者らはすでに、例えばナトリウムなどを用いた代替電池を検討している。
【0004】
これらの電池においては、アルカリ金属カチオン(Li、Na)が、電解質内部の伝導を保証している。すなわち、カチオン(例えばLiイオン)は、正極および負極上にある2つの活性材料間で交換される。これらの材料は、少なくとも正極内において、リチウムをインターカレートおよびデインターカレートすることができる。
【0005】
より最近では、カソードとして元素硫黄を用いるLiイオン電池が考慮されてきている(Manthiramら、chem.Rev.2014、114、11751~11787)。しかしながら、このようなリチウム硫黄電池においては、硫黄カソードとリチウムアノードの間を移動する導電性イオン種は、なおもリチウムカチオン(Li)である。
【0006】
例えば、負極に亜鉛および正極に酸化マンガンを含む亜鉛イオン電池などの電気化学セル内の導電性種として、代替的イオン種も研究された。これらの電気化学システムは、広範に研究されているが、その利益は今なお疑問視されている。すなわち何年もの研究の後、最近になって初めて安定した充電/放電サイクルが、インターカレーション種としてアルミニウムイオンを用いた電池に対して達成された。マグネシウムイオン電池の実現が成功している。それでも、代替的カチオンの使用は課題のままであり続けている。
【0007】
アニオンのインターカレーションまたはデインターカレーションに基づいた電池の調査は、実質的にさらに少ないものである。大部分の研究は、放電中に空気カソードから金属アノードに向かってO2-イオンが移動する金属イオンに焦点を当てたものである。有機アニオンも考慮されてきている(PF 、BF 、TFSI)。代替的アニオン電池は、カソードとしてBiFおよびBiClなどのフッ化物、塩化物および金属ハロゲン化物を、そしてアノードとしてリチウムなどの反応性金属を使用し、こうして、ハロゲン化物アニオンがカソードからアノードまで移動するようになっている。
【0008】
しかしながら、リチウム源は限られており、代替材料を考慮することが必要である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Manthiramら、chem.Rev.2014、114、11751~11787
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明の目的は、カルコゲンなどの天然に豊富に存在する元素に依存する代替的電気活性材料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、例えば硫黄対などのカルコゲンオリゴマーを含有する材料から硫黄などのカルコゲン/カルコゲニドを適温(300℃未満)でデインターカレートおよびリインターカレートすることが可能である、ということを発見した。
【0012】
この現象は、可逆的であることが証明されている。この発見により、例えば硫黄-硫黄であるカルコゲン-カルコゲン電池を提供するためのこのようなカルコゲン材料の使用を考慮することが可能となる。このような電池には、カルコゲン対などのカルコゲンオリゴマーを含む活性材料、およびカソードとアノードの間のカルコゲンアニオンの交換が関与する。
【0013】
したがって、第1の目的によると、本発明は、カルコゲンオリゴマーを含む電気化学セル電極用電気活性材料であって、前記材料が、その全体的構造を維持しながら、可逆的に還元により前記カルコゲンのアニオンをデインターカレートし、酸化により前記アニオンをリインターカレートすることができることを特徴とする、電気活性材料に関する。
【0014】
本明細書中で使用されている「電気活性材料」なる用語は、電極材料として使用され得、酸化還元反応を起こすことのできる材料を意味する。
【0015】
カルコゲンは、周期表の第16族における化学元素である。この族には、詳細には、以下の元素が含まれる:酸素(O)、硫黄(S)、セレン(Se)、テルル(Te)。典型的には、カルコゲンは硫黄である。
【0016】
「オリゴマー」なる用語は、強力な化学結合を介して互いに化学的にリンクされたカルコゲン原子を含む中性化学種または荷電化学種を意味する。典型的には、これらのブロックは、1~2の範囲内であり得る電荷を伴う、典型的には2~6個という数個の同一のカルコゲン原子からなる。したがって、カルコゲンオリゴマーは、典型的にQという式の2~6個のカルコゲン原子の直鎖または非直鎖配列を表わし、ここでQはカルコゲン原子を表わし、nは2~6の整数を表わしている。典型的には、カルコゲンオリゴマーは、硫黄対(S-S)である。
【0017】
典型的には、カルコゲンオリゴマーを含む前記材料は、詳細にはLa、SrS、SrS、BaS、BaS、Ba、FeS、NiS、CoS、MnS、TiS、VS、PbS、BiSの中から選択され得るが、少なくとも2つのカルコゲン原子の配列を伴うあらゆる化合物が有益であり得る。
【0018】
本発明によると、前記材料は、以下のように還元されてカルコゲンアニオンまたはカルコゲンオリゴマーアニオンを形成することのできるカルコゲンオリゴマーを含む:
(Q2-+(2n-2)e→nQ2-
【0019】
カルコゲンが硫黄である場合には、以下の還元開裂が発生し得る:
(S2-+2e→2S2-または(S2-+4e→3S2-
【0020】
一つの例示として、La構造は、これらの2Dブロックに平行に整列された単離済み(S2-硫黄ダイマーによって互いに分離された蛍石型[La)]2+無限層で構成されている。ダイマー1つあたり1個の硫黄原子の脱離、すなわちデインターカレーションは、前駆体Laの積層構造から受け継いだ構造を有するLaS化合物を導く。この非常に新しい相は、Amm2空間群内で結晶化し、周知の六方晶系LaS(hp-LaS(P-3m1))の新しい多形である。以下では、oA-LaSなる用語は、周知の六方晶系型と対比したこの特異的直方晶形態のために使用されるものとする。
【0021】
したがって、Laは、
【化1】
なる反応にしたがってS2-を可逆的にデインターカレートしかつリインターカレートし、ここで
oAは、中心直方晶形態を表わしている。
【0022】
oA-LaSは、これまでに合成または同定されたことが全くない。
【0023】
別の目的によると、本発明は、こうして、
式(I):
oA-LaS (I)
の材料において、
oAが中心直方晶形態を表わしている材料にも関する。
【0024】
同様にして、Laは、
【化2】
なる反応にしたがって0.5Sを可逆的にデインターカレートしリインターカレートもする。
【0025】
oA-La1.5(Amm2空間群)は、これまでに合成または同定されたことが全くない。
【0026】
別の目的によると、本発明は、こうして、
式(II):
oA-La1.5 (II)
の材料において、
oAが中心直方晶形態を表わしている材料にも関する。
【0027】
一実施形態によると、oA-LaS(I)は、LaとRbを混合し前記混合物を加熱するステップを含む方法によって調製可能である。典型的には、反応は、好ましくは1:2のモル比で、封止された石英管内で行なわれ得る。典型的には、詳細には実施例中で論述されている手順の適用または適応によって、加熱温度は、200~350℃である。
【0028】
一実施形態によると、oA-La(II)は、類似の方法で調製可能である。変形実施形態によると、それは、oA-LaS内への硫黄アニオンのインターカレーションによって、すなわちoA-LaSをS薄片と混合するステップおよび前記混合物を加熱するステップを含む方法によっても調製可能である。典型的には、加熱ステップの前に、混合物をペレット化し真空石英管内に封止することができる。典型的には、加熱温度は、150~200℃である。
【0029】
式(I)および(II)の材料は、添付図に例示されているように、それらのX線および電子回折スペクトルによって特徴付けされ得る。
【0030】
本明細書中で使用されるように、デインターカレーションは、存在していたホスト格子からの原子またはイオンの脱離を意味し、一方、リインターカレーションは、ホスト材料の全体的結晶構造、すなわちそのラメラ構造を修正することのない、可逆的な格子内への再包含(または再挿入)を意味する。
【0031】
本発明によると、正極において、カルコゲン(またはカルコゲニド)アニオン(典型的にはS2-)は、放電(還元)中に電極材料からデインターカレートし、充電(酸化)中に前記材料内にリインターカレートする。
【0032】
一実施形態によると、前記カルコゲンアニオンは、式(III):
(SX- (III)
の硫黄またはそのオリゴマーであり、
式中、nおよびxは、xが1または2に等しく、nが1~6となるような整数である。
【0033】
典型的には、nは1、そしてxは2であって、前記カルコゲンアニオンはS2-となっている。
【0034】
一実施形態によると、電気化学セル電極は、正極である。正極とは、本明細書中では、放電においてカルコゲンイオンが離れ電子が入る、要素と称される電気化学セルの電極を意味する。
【0035】
「正極」は、放電においてカソードとして機能する電極を表わし、充電においてアノードとして機能する電極を表わし、アノードは、電気化学酸化反応(電子の放出)が起こる電極として定義され、一方カソードは還元部位である。
【0036】
別の目的によると、本発明は、本発明の電気活性材料を含む正極にも関する。
【0037】
一実施形態によると、正極は、集電体およびコーティング層を含んでいてよく、前記コーティング層は前記電気活性材料を含んでいる。
【0038】
正極は概して、電気活性材料そして典型的には、固体電解質粒子、導電性添加物およびバインダーを含む混合物でコーティングされている集電体として使用される導電性媒体で構成されている。
【0039】
「集電体」なる用語は、導電性材料で作製され、正極または負極に接続され、電池の端子と電極との間の電子の流れの伝導を保証する、パッド、プレート、ホイル、シート、メッシュ、織物他などの要素を意味するものとして理解される。
【0040】
典型的には、集電体は、アルミニウム、銅、ニッケル、炭素、ステンレス鋼およびそれらの合金からなる群から選択された金属または合金で構成されている。
【0041】
一実施形態によると、集電体はアルミニウムシートである。
【0042】
別の目的によると、本発明は、
- 以上で定義された正極と;
- 負極と;
- 正極と負極の間に挟み込まれた電解質層と、
を含む電気化学セルにおいて、電解質が、電気活性材料のカルコゲンオリゴマーのカルコゲンアニオンを伝導性イオンとして含む固体電解質であることを特徴とする、電気化学セルにも関する。
【0043】
「負極」なる用語は、放電においてアノードとして機能する電極を表わし、充電においてカソードとして機能する電極を表わし、アノードは、電気化学酸化反応(電子の放出)が起こる電極として定義され、一方カソードは還元部位である。
【0044】
典型的には、負極なる用語は、放電において電子がそこから離れ、カルコゲンアニオンがその上に収集される電極を意味する。
【0045】
「電気化学セル」とは、正極/電解質/負極のアセンブリで構成され、化学反応によって供給された電気エネルギーを電流の形態で貯蔵し戻すことを可能にする基礎的な電気化学セルを意味する。
【0046】
一実施形態によると、電気化学セルは、固体セルである。
【0047】
全固体型要素において、電解質化合物は、固体電解質層内に内含され得るが、部分的に電極内に内含されることもできる。
【0048】
別の目的によると、本発明は、セルが電気的に接続されている、以上で定義された複数の電気化学セルを含む電池に関する。
【0049】
「電池」または蓄電池とは、本発明に係る複数のセルのアセンブリを意味する。
【図面の簡単な説明】
【0050】
図1】カルコゲンとしての硫黄、そして電気活性材料としてのLaが関与する、本発明に係る硫黄-硫黄電池の原理を例示している。
図2】(a)Ostoreroら、(SG:Cmca)(Acta Cryst.C46、1376~1378(1990))によって報告されたLaの構造;(b)LaSという新たな多形へのLaのトポケミカル変換を可能にすると考えられるSダンベルの半硫黄原子のデインターカレーションを後にひき起こす元素金属M1個あたり1個の電子の提供の下でのS-S結合開裂の概念図;(c)USPEXにより予測されたoA-LaSの2つの低エネルギーの動的に安定した相を例示している。
図3】(a)oA-LaSへの硫黄の部分的なインターカレーションおよび中間化合物oA-La1.5を導くLaからの硫黄のデインターカレーション;(b)oA-LaS内への硫黄のインターカレーション実験。純粋oA-LaSおよび150または200℃での熱処理後の硫黄(0.5または1当量のS)との混合による生成物の実験的XRDパターン。0.5Sでの熱処理後に出現する新しいXRDピークは、*によってマーキングされている;(c)Laからの硫黄のデインターカレーション。La並びに、200または350℃での熱処理後のRb、AgおよびNiとの混合による生成物の実験的XRDパターン。副生成物に割当てられたXRDピークは、以下のようにマーキングされている:●=AgS(Fur Krist.- Cryst.Mater.110、136~144(1958);■=α-NiS(J.Trahan、R.G.Goodrich、S.F.Watkins、Phys.Rev.B2、2859~2863(1970))。
図4】La-O-S系における低温の硫黄が豊富なトポケミストリの概要を表わす。オキシカルコゲニド化合物La中の硫黄のトポケミカルインターカレーションおよびデインターカレーションは、2つの新しい準安定化合物の形成を導く。
図5】(A)エポキシ樹脂が含浸されたoA-LaS粉末試料のEDXスペクトルおよび(B)その後方散乱電子画像(BEI)ならびにLaおよびSについてマッピングしたその元素組成を表わしている。
【発明を実施するための形態】
【0051】
図1中では、このような硫黄-硫黄電池のセルは、放電中の状態で概略的に表示されている。
【0052】
前記セルは、正極1(カソード)および負極2(アノード)を含む。硫黄アニオン伝導性電解質3が、電極1と2の間に挟み込まれている。
【0053】
両方の電極1および2は共に、電流計9を含む電気回路を用いて電気的に接続されている。
【0054】
図1に描かれている通り:
正極1は、集電体4および電気活性材料層5を含む。層5は、伝導性電解質3と集電体4の内側面の間の界面にある。典型的には、集電体4はアルミニウムシートであり得る。
【0055】
負極2は、集電体6および、伝導性電解質3と集電体6の内側面の間の界面にある層7を含む。
【0056】
概して、負極の集電体6は、銅製である。
【0057】
層7は、硫黄複合材料、またはwM+S2-→MS+2eなる反応にしたがって硫黄アニオンと反応し得る金属Mで構成され得る。これは、硫黄アニオンをインターカレートしデインターカレートする能力を有する別の材料でも構成され得る。
【0058】
放電の間、正極1は、例えばLaの場合:
【化3】
のように、電気回路から電子を引付け、こうして還元開裂が発生するようにする。
【0059】
2-アニオンは、正極1から負極2に向かって電解質8を通って移動し、負極2で収集されて酸化し、電子を放出する:
2-→S+2eまたはwM+S2-→MS+2e
【0060】
このとき、結果として得られた電子は、電気回路9を通って正極1へ戻るように移動している。
【0061】
図1には表わされていないものの、充電では反対の反応が起こり、そこでは、正極はアノード(酸化部位)となり、負極はカソード(還元部位)となる。
【0062】
以下の実施例は、単に例示目的で提供されているにすぎない。
【実施例
【0063】
カルコゲニドについてのトポケミカル還元を試験するための前駆体として、Laを使用した(図2a)。その構造は、これらの2Dブロックに対して平行に整列した単離済み(S2-硫黄ダイマーによって互いに分離された蛍石型[La2+無限層からなる。ダイマー1つあたり1個の硫黄原子の脱離は、先験的に、前駆体Laの積層構造から受け継がれるはずの構造を有するLaS化合物(図2b)を導くはずである。最初に、計画された結晶構造予測(CSP)方法を用いたLaS化合物の低エネルギー構造を調査した。USPEX構造探索用進化アルゴリズムと第1原理計算を組合せることによって、2つの多形、すなわちそれぞれ安定および準安定であるhPおよびoA結晶構造を位置特定することが可能になる(図2c参照)。両方の相とも、動的に安定しており、LaSの潜在的エネルギー表面上での包括的および局所的最小値におけるそれらのそれぞれの場所の正当性を立証している。最も安定した候補は、ランタンの8面体環境内で硫黄原子と交番する[La]蛍石型(111)スラブを伴う六方晶系積層構造を示す。興味深いことに、これはまさに、文献(Acta Cryst.B29、2647~2648(1973))中で報告されている、一般に高温(800~1200℃)で調製されるLaS化合物の構造である。以下では、この構造を、ピアソン表記法にしたがってhP-LaSと表記する(hは六方晶系、Pは単純セルを意味する)。USPEXは、わずかにだけ高いエンタルピーを有する未知の準安定多形の構造も予測した。この構造は、積層特徴も示すが、プリズム環境内で硫黄原子と交番する[La]フッ素型(001)スラブ(La構造のフルレミニセンスの積み重ねの上に構築されている。hP-LaSと同様に、直方晶系Amm2空間群を伴うこの準安定多形を、以下oA-LaSと呼ぶ。これら2つの構造の熱的および動力学的安定性を、アブイニシオ分子動力学(AIMD)シミュレーションによってさらに確認し、ここでは、hP-およびoA-LaSの両方共が、最高600Kの温度で10ps後に、それらの主要構造骨組を保持した。その結果として、理論的計算は、すでに知られている相hP-LaS以外の準安定oA-LaSの存在の可能性を明らかに予測している。
【0064】
その後、真空封止パイレックス(登録商標)管内における低温でのアルカリ金属Rbとの反応によって、積層前駆体La内への硫黄のトポケミカル脱離を試みた。乾燥エタノールによってRb余剰分(およびその塩)をひとたび洗い出した(SI内の合成手順を参照)時点で、200℃および350℃で合成された生成物について、粉末X線回折(XRD)パターンを収集した。それらの両方共が、非常に類似したものであることが分かり、いかなる公知の相も明らかにしなかった。その上、バルク生成物粉末のEDX分析は、ルビジウムの不在および2.0(2)/1.0(1)というLa/Sモル比を明らかに示した(図5参照)。これらの結果は、構造内にRbを取り込むことの無い、硫黄欠損LaS相の形成を表示している。X線パターン内ではhP-LaS XRDピークが全く検出されなかったが、USPEXによって予測された多形oA-LaSの存在は、適合度X=1.33およびブラグ信頼度因子R(obs)=1.67%でのリードベルト法を介して容易に立証することができた。下表を参照のこと。
【0065】
【表1】
【0066】
走査型透過電子顕微鏡法(STEM)も同様に、新たに合成された相がoA-LaSであるという結論を裏付けている。[La]無限シートとフッ素型(100)スラブ構造との積み重ねは、高角度環状暗視野(HAADF)STEM画像上で、明確に見ることができる。対照的に、安定した多形hP-LaSに特徴的である蛍石型(111)スラブを、実験STEM画像中に発見することはできなかった。ナノサイズ単結晶のEDXスペクトルは、バルク粉末のEDX分析と同様、LaSの組成と一致するものであった。新しいoA-LaS化合物の構造配列は、Laの1つから直接受け継がれている。この観察事実は、デインターカレーションプロセスのトポケミカル性を明確に裏付けるものである。硫黄デインターカレーションプロセスは、[La]スラブの無欠性を全く修正しないが、本来のLa構造(SG:Cmca)の1/2(b+c)方向に沿った1つの[La]層の2層以上へのシフトを伴う。ラマン分光法により、トポケミカル還元に沿った硫黄ダイマーの完全な損失が確認された、すなわち、La内の487および498cm-1に位置するS-S伸縮モードに結び付けられたバンドは、Laからの1つの硫黄のデインターカレーション後、完全に消失しており、oA-LaSに向かうhP-LaSの反応が完全であったというXRDパターンから得られた結論を確認している。最後に、拡散反射スペクトルも、(S2-ダイマーの開裂を裏付けている。吸着閾値は、孤立対のπ-σ電子遷移に特徴的な値であるLaにおける2.50eVから、oA-LaSにおける3.88eVまで移動し、これは、hP-LaS内で観察されるもの(4.13eV)よりもわずかに低い値である。したがって、元素ルビジウムを伴うLaとの反応中、アルカリ金属は、S-S結合の破砕をひき起こす(S2-ダイマーとの酸化還元反応を活性化させるとの結論が得られた。しかしながら、Laホスト格子内にインターカレートするCuナノ粒子(Angew.Chem.Int.Ed.57、13618~13623(2018))とは異なり、Rbは、硫黄のトポケミカル脱離を導いて、oA-LaS準安定相を提供する。還元剤の選択は、反応の帰結に関する決定的要因である。Laが還元性雰囲気下で、すなわち5%のH/Ar流の下で200~300℃で処理された場合には、いかなる反応も起こらなかった。最終的に350℃で還元が発生したが、それは、結局、熱力学的に安定したhP-LaSで終結し、ここで原初の蛍石(100)スラブは、蛍石(111)スラブへと変形された。この結果は、Hなどの一般的な還元剤と、同じ反応温度(350℃)においてでさえoA-LaSへのトポケミカル還元に有利に作用したより強力な還元剤Rbとの間の対比を強調するものである。
【0067】
この段階において、Laのトポタクティックデインターカレーションが低温で可逆的であり得るか否かの仮説を立てた。この可能性を試験するために、oA-LaSの一部分を1当量の硫黄と混合し、200℃で加熱した(図3a)。図3bで示されているように、XRDを用いて生成物を分析した。原初のLa材料を、いかなる副生成物も無く完全に回収することができ、LaS/La積層オキシカルコゲニド内部での硫黄ダイマーの形成/破断に基づいて温度援用インターカレーション/デインターカレーションプロセスの可逆性が確認された。硫黄のインターカレーションに関する洞察をより多く得るために、低温においてわずか半当量の硫黄に向かってのoA-LaSの反応度も同様に試験した。oA-LaS内への0.5Sの200℃でのインターカレーションから得た生成物のXRDパターン(図3b参照)は、少量のLaを伴った未知の中間相へのoA-LaSの変換を明確に立証している。中間相のXRDパターンは、oA-LaSのものと類似であったが、より低い回折角度へとシフトしており、インターカレートしたoA-La相の存在を示唆していた(1<x<2.0)。1.0当量のRb、1.0当量のAgおよび0.5当量のNiを用いて、Laから0.5Sをデインターカレートしようとする中で、同じXRDパターンを観察した(図3c)。いかなる超構造ピークも無く約8.4Å、約4.0Åおよび約12.8ÅのセルパラメータおよびoA-LaS(Amm2)と同じ空間群で、oA-La1.5の回折パターンを精緻化することができた。このことは、oA-LaS構造の強いレミニセンスを有する中間相の存在を、明確に証明した。この新しい中間相が、単原子S2-の半分を、oA-LaSの主要構造骨組を保持するダイマー(S2-アニオンで置換した、というのが合理的な仮説の一つである。この部分的二量化は、予期されたoA-La1.5組成を導くはずであった。実際、金属種を用いた0.5Sのインターカレーションおよび0.5Sのデインターカレーションの両方共が、413~417cm-1における単一の強いピークを特徴として有する類似のラマンスペクトルを提供し、一方で、oA-LaSまたはLa由来のラマンピークは不在であった。400~500cm-1前後での強いピークは、S-S伸縮モードに特徴的なものである(Angew.Chem.Int.Ed.Engl.14、655~720(1975))ことから、これらのラマンスペクトルは、S-S結合の部分的開裂を通したoA-La1.5の形成を裏付けるものである。
【0068】
この新規の相の結晶構造を解くために、プリセッション電子回折断層撮影法(PEDT)解析を行なった。この新興の技術は、データ収集中の動的回折効果を削減することができ、単一のナノ結晶を用いて複雑な構造をアブイニシオで解くことを可能にする。したがって、新規相の複数のナノ結晶について、PEDTデータを収集した。コンピュータプログラムPETS2.0(Acta Crystallographica、B75、512~522(2019))、Superflip (Journal of Applied Crystallography、40、451~456.(2007))およびJana2006(Zeitschrift fur Kristallographie、229、345~352.(2014))を用いて、全てのデータセットを解析した。直方晶系単位セルa=8.348Å、b=3.961Åおよびc=12.645Å(V=418.1Å)ならびに非中心対称空間群Amm2と一致する逆格子平面hk0、h0lおよび0klの再構築を観察した。その後、電子回折データに基づいてJana2006プログラムを用いて、構造を解き精緻化した。構造分析は、電子ブラグ信頼性係数R(obs)=10.1%で収束し、組成oA-La1.5を伴う積層構造を明らかにした。この得られた新しい構造は、それぞれS2-および(S2-種として3分の1および3分の2の硫黄アニオンを含有する硫黄層と交番する[La]フッ素型(001)無限スラブからなる。このoA-La1.5構造モデルを用いて、硫黄インターカレーションおよびデインターカレーションから、すなわちoA-LaS+0.5SおよびLa+0.5Ni反応混合物からの両方の粉末XRDパターン(図3参照)の精緻化に成功した。満足のいく適合に達するために、大きな歪パラメータを考慮しなければならなかった。これは、ホスト格子の2D構造および考えられる異なる段階の存在との関係においてインターカレーションまたはデインターカレーションプロセス中に予期通りに発生する積み重ねの無秩序のシグネチャーとして解釈することができる。構造分析は、最もよく結晶化された結晶について収集されたデータに基づいていた。しかしながら、ほとんどのPEDTデータにおいて、積層欠陥は、[001]に沿った散漫散乱特徴部を導く。HAADF-STEM画像内の実験的コントラストは、[La]フッ素型(001)無限スラブの積み重ねをアサートする。この特異的oA-La1.5組成のための進化アルゴリズムUSPEXによって独立して、類似の構造を予測した。最も安定しているものとして予測された構造は、PEDT解析によって得られた実験的構造と十分一致するものであった。2番目および3番目に最も安定した構造は、1Dスラブおよび2D六方晶系(フッ素型(111))スラブを表示したが、これは、それらの[La]単位およびこれらのスラブが、硫黄ダイマー/原子の(準)2Dアレイを有する連晶構造を構成していたからである。しかしながら、それらのいずれも、実施された実験において見い出すことができなかった。
【0069】
この研究作業は、独自のトポケミカルアプローチを用いた積層オキシカルコゲニド化合物内の硫黄のデインターカレーションおよびリインターカレーションを実証している。カルコゲニドオリゴマーの還元およびカルコゲン-カルコゲン結合の破断をひき起こすための還元剤として、アルカリまたは遷移金属を使用することができる。Laの場合、硫黄原子の低温デインターカレーションは、2段階で進み、前駆体の積層特徴を保持する2つの新しい準安定相oA-La1.5およびoA-LaSを形成する。図4で例示されているように、硫黄原子は低温でリインターカレートされて再び前駆体Laを形成し得ることから、これは完全に可逆的なトポタクティックプロセスである。
【0070】
【表2】
【0071】
1.合成手順
初期前駆体Laを、Angew.Chem.Int.Ed.2018、57、13618~13623中に記載の手順にしたがって合成した。
【0072】
oA-LaS:RbによるS2-アニオンのトポケミカルデインターカレーション
調製に先立って、オーブン(T=80℃)内で全ての実験用ガラス製品および用具を乾燥させた。アルゴン雰囲気下で、LaおよびRb(Aldrich、98+%)を1:2のモル比で秤量し、炭素コーティングで底面が保護された石英管内に導入した。これらの準備は全て、アルゴン雰囲気下で行なった。その後、パイレックス(登録商標)管を真空(約10-3torr)にし、封止した。封止した混合物を20℃h-1の割合で200℃まで加熱し、2時間アニールした。最後に、封止した混合物を炉内で漸進的に冷却して、淡い灰青色の粉末を得た。余剰のRbは、石英管の反対側に被着した。石英管をアルゴン雰囲気下で開放し、全ての内容物を、超過量のエタノールで急冷した(注意:周囲雰囲気下では、エタノールとの接触時点でRbが発火する)。無色の沈殿物は、小さな炭素薄片で汚染されており、機械的撹拌を用いた反復的デカンテーションによってこれを分離した。沈殿物を次にエタノール、水およびアセトンにより洗浄し、その後真空乾燥して、oA-LaSの無色の粉末を得た。この生成物は、周囲雰囲気下で安定していた。350℃で行なった同じ反応も、同一の結果すなわち、hP-LaSのいかなる痕跡もいかなる他の不純物も無い純粋なoA-LaSを提供した。
【0073】
oA-LaS内への硫黄アニオンのインターカレーション
oA-LaSの無色粉末(約200mg)を、oA-LaS:S=1:0.5のモル比でS薄片(Aldrich、99.99+%)と組合せ、アルゴン雰囲気下において瑪瑙乳鉢上ですりつぶした。その後、混合物をペレット化し、真空(約10-3torr)石英管内に封止した。封止した混合物を、100℃h-1の割合で150~200℃まで加熱し、4~48時間アニールし(結果については図3bを参照のこと)、その後、炉内で漸進的に冷却して、淡黄色のペレットを得た。硫黄が完全に消費されなかった場合、残留硫黄が石英管の反対側に被着した。インターカレーションを完了するため、得られたペレットをアルゴン雰囲気下で追加の0.5当量のSと共にすりつぶした。混合物を再び、真空石英管内で200℃での熱処理に付した。160時間のアニールの後、混合物は、純粋Laの淡黄色ペレットへと完全に変換された。
【0074】
oA-La:さまざまな金属によるS2-アニオンのトポケミカルデインターカレーションのための一般的手順
それぞれの金属種についての詳細な合成条件(すなわち化学量論、アニール持続時間、金属源の形態)を以下に記した。1.0当量のLa(約150~250mg)に対して、0.5~2.0当量の金属元素を添加し、アルゴン雰囲気下において粉末が灰色がかり、瑪瑙乳鉢上で粘着するようになるまで、共にすりつぶした。その後、混合物をペレット化し、真空(約10-3torr)石英管内に封止した。封止した混合物を300℃h-1の速度で350℃まで加熱し、2~4時間アニールした。最後に、封止した混合物を炉内で漸進的に冷却して、oA-Laを含有する混合物を得た(そのXRDについては、図3cを参照)。
【0075】
Agとの反応:
1.0当量のAg粉末(Aldrich、2~3.5μm、99.9%以上)を添加した。アニール:4時間。わずかな過超分(約1.1当量)のAgも、延長/反復された熱処理も、Laのさらなる消費を導かなかった。
【0076】
Niとの反応:
0.5当量のNiナノ粉末(Aldrich、100nm未満、99%)を添加した。アニール:4時間。延長および反復された熱処理は、oA-Laの収率を改善せず、hP-LaSへの部分的分解で終わった。
【符号の説明】
【0077】
1 正極
2 負極
3 伝導性電解質
4 集電体
5 電気活性材料層
6 集電体
7 層
8 電解質

図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
【国際調査報告】