(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-18
(54)【発明の名称】圧縮可能なカテーテルポンプのためのクリンプツール
(51)【国際特許分類】
A61M 60/135 20210101AFI20240111BHJP
A61M 60/237 20210101ALI20240111BHJP
A61M 60/808 20210101ALI20240111BHJP
A61M 60/865 20210101ALI20240111BHJP
A61F 2/966 20130101ALI20240111BHJP
【FI】
A61M60/135
A61M60/237
A61M60/808
A61M60/865
A61F2/966
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023539964
(86)(22)【出願日】2021-12-28
(85)【翻訳文提出日】2023-08-08
(86)【国際出願番号】 US2021065315
(87)【国際公開番号】W WO2022146987
(87)【国際公開日】2022-07-07
(32)【優先日】2021-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510121444
【氏名又は名称】アビオメド インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ザリンシュ クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】シューマッハ イェルク
(72)【発明者】
【氏名】ダンブロージオ ラルフ
(72)【発明者】
【氏名】トーステン シエス
(72)【発明者】
【氏名】ダシェウスキ マキシム
(72)【発明者】
【氏名】ローエン ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】バーコフ マルクス
【テーマコード(参考)】
4C077
4C267
【Fターム(参考)】
4C077AA04
4C077DD10
4C077DD21
4C077FF04
4C077KK25
4C267AA05
4C267AA56
4C267BB02
4C267CC08
(57)【要約】
クリンプツールは、弾性的に放射方向に圧縮可能な人体植込み型カテーテルポンプをクリンプすることと、テーパ状縦方向ボアを規定する細長チューブを通して心臓ポンプを引くことによって、クリンプしたポンプを管状移送シース内に移送することとを、容易にする。ボアは、ボアの長さに沿って徐々にテーパする内寸を有する。ボアの、大きい端部は、クリンプされていない心臓ポンプを受け入れるのに十分である。ボアの、小さい端部は、移送シースの内寸と同様の寸法を有する。チューブの近位端はハブを有する。ハブを通るボアの近位端は、移送シースの遠位端部分をチューブボアと同軸上に受けるように構成されている。任意で、ラッチが、移送シースの遠位端部分をハブ内で解放可能に拘束するように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管状シース内への移送用に血液ポンプをクリンプするためのクリンプツールであって、
テーパ状縦方向ボアを規定する細長チューブであって、
該ボアは、少なくとも長さ約30 mmであり、かつ(a)該ボアの遠位端における該ポンプの少なくともおよそ最大外寸から、(b)該ボアの近位端における該管状シースのおよそ内寸まで、該ボアの長さに沿ってテーパする内寸を有する、
細長チューブと;
該チューブの近位端に取り付けられているハブであって、
該ハブは、該ハブを通り該チューブボアと同軸上にあるボアを規定し、
該ハブボアの一端は該チューブボアの該近位端に連結されており、
該ハブボアの他端は、該管状シースの遠位端部分を該チューブボアと実質的に同軸上に受けるように構成されている、
ハブと
を備える、クリンプツール。
【請求項2】
チューブボアの遠位端の内寸が少なくとも約7 mmである、請求項1記載のクリンプツール。
【請求項3】
チューブボアの近位端の内寸が最大で約4 mmである、請求項1記載のクリンプツール。
【請求項4】
チューブボアの遠位端の内寸が少なくとも約7 mmであり、かつ該チューブボアの近位端の内寸が最大で約4 mmである、請求項1記載のクリンプツール。
【請求項5】
チューブボアが少なくとも長さ約50 mmである、請求項1記載のクリンプツール。
【請求項6】
チューブボアが少なくとも長さ約100 mmである、請求項1記載のクリンプツール。
【請求項7】
チューブボアが少なくとも長さ約170 mmである、請求項1記載のクリンプツール。
【請求項8】
チューブボアが少なくとも長さ約300 mmである、請求項1記載のクリンプツール。
【請求項9】
テーパ状チューブボアを規定する前記チューブの内壁が、該チューブの縦軸に対して約2°未満の角度で延在している、請求項1記載のクリンプツール。
【請求項10】
(a)チューブボアの内径の変化と(b)前記チューブの縦軸に沿ったテーパの長さの比として計算される、テーパ状チューブボアのテーパ比が、約1:14を超えない、請求項1記載のクリンプツール。
【請求項11】
管状シースの遠位端部分をハブボアの前記他端内で解放可能に拘束するように構成されているラッチをさらに備える、請求項1記載のクリンプツール。
【請求項12】
前記ラッチが前記ハブ内に配されており、該ラッチが第一ピラーと、第二ピラーと、アクチュエーターとを備えており、該アクチュエーターは人間によって作動されるように構成されており、該アクチュエーターは非作動モードと作動モードとを有し;ここで、
該第一ピラーは非作動モードと作動モードとを有し;
該第一ピラーは該アクチュエーターに機械的に連結され、かつ、該アクチュエーターの作動に応答して該非作動モードから該作動モードへと弾性的に移行するように構成されており;
該第一および第二ピラーは、それらの間で開口部を集合的に規定し、ハブボアは該開口部を通ってチューブボアと実質的に同軸上に延在しており;
前記チューブの縦軸に沿って見た場合、該開口部の最小寸法は、該第一ピラーの該作動モードより該第一ピラーの該非作動モードにおいて、より小さく;かつ
該第一ピラーは、該アクチュエーターの作動とは独立に、該第二ピラーから離れる方向に弾性的にずれるように構成されている、
請求項11記載のクリンプツール。
【請求項13】
前記第一ピラーの非作動モードにおいて、前記チューブの縦軸に沿って見た場合、前記開口部の最小寸法が、管状シースの遠位端部分の特徴の外寸より小さく;かつ、該第一ピラーの作動モードにおいて、該開口部の該最小寸法が、該特徴の外寸と少なくとも同じくらい大きい、請求項12記載のクリンプツール。
【請求項14】
前記第二ピラーが非作動モードと作動モードとを有し;
該第二ピラーは前記アクチュエーターに機械的に連結され、かつ、該アクチュエーターの作動に応答して該非作動モードから該作動モードへと弾性的に移行するように構成されており;
該第一および第二ピラーは対称的であり;
該第一および第二ピラーの各々は第一の弓形形状を有し;
該第一の弓形形状のそれぞれの凹状の側面は互いに向き合っており;かつ
前記開口部が、前記チューブの縦軸に沿って見た場合、該第一および第二ピラーの該作動モードより該第一および第二ピラーの該非作動モードにおいてより偏心しているように、該第一および第二ピラーの各々は、該アクチュエーターの作動に応答して、その第一の弓形形状から、より小さい半径を有する第二の弓形形状へと弾性的に移行するように構成されている、
請求項12記載のクリンプツール。
【請求項15】
前記第一および第二ピラーの各々が前面と後面とを有し;
前記開口部が、該前面から該後面まで延在して通路を規定し;かつ
該通路が、該前面より該後面で狭くなるようにテーパしている、
請求項14記載のクリンプツール。
【請求項16】
前記ラッチが前記ハブ内に配され、該ラッチが、
非作動モードと作動モードとを有する、人間によって作動されるように構成されているアクチュエーターと;
該アクチュエーターに機械的に連結され、かつ該アクチュエーターの作動に応答して内寸を弾性的に増大させるように構成されている、ラジアルばねと
を備える、請求項1記載のクリンプツール。
【請求項17】
前記ラッチが前記ハブ内に配され、該ラッチがねじ式の圧縮フィッティングを備える、請求項11記載のクリンプツール。
【請求項18】
血液ポンプをクリンプするための方法であって、以下の段階を含む、方法:
細長チューブによって規定されるテーパ状縦方向チューブボアの遠位端の内部に該血液ポンプを配する段階であって、該チューブボアは、少なくとも長さ約30 mmであり、かつ(a)該チューブボアの該遠位端における該ポンプの少なくともおよそ最大外寸から、(b)該チューブボアの近位端における最大で約4 mmの直径まで、該チューブボアの長さに沿ってテーパする内寸を有する、段階;および
該チューブボアの該近位端に向かう方向において該チューブボアを通って該血液ポンプを並進させる段階であって、該血液ポンプが該チューブボアを通って並進する際に該血液ポンプの外面を該細長チューブの内面と接触させることを含み、それによって該血液ポンプをクリンプしてクリンプされた血液ポンプをもたらす、段階。
【請求項19】
血液ポンプを並進させる段階が、チューブボアを通して該血液ポンプを引くことを含む、請求項18記載の方法。
【請求項20】
チューブボアの遠位端の内寸が少なくとも約7 mmである、請求項18記載の方法。
【請求項21】
チューブボアの近位端の内寸が最大で約4 mmである、請求項18記載の方法。
【請求項22】
チューブボアの遠位端の内寸が少なくとも約7 mmであり、かつ該チューブボアの近位端の内寸が最大で約4 mmである、請求項18記載の方法。
【請求項23】
チューブボアが少なくとも長さ約50 mmである、請求項18記載の方法。
【請求項24】
チューブボアが少なくとも長さ約100 mmである、請求項18記載の方法。
【請求項25】
チューブボアが少なくとも長さ約170 mmである、請求項18記載の方法。
【請求項26】
チューブボアが少なくとも長さ約300 mmである、請求項18記載の方法。
【請求項27】
テーパ状チューブボアを規定する前記チューブの内壁が、該チューブの縦軸に対して約2°未満の角度で延在している、請求項18記載の方法。
【請求項28】
(a)チューブボアの内径の変化と(b)前記チューブの縦軸に沿ったテーパの長さの比として計算される、テーパ状チューブボアのテーパ比が、約1:14を超えない、請求項18記載の方法。
【請求項29】
管状シースを前記チューブボアの近位端と実質的に同軸上に配する段階;および
クリンプされた血液ポンプの外寸を実質的に変化させることなく、該クリンプされた血液ポンプを該チューブボアの該近位端から該管状シースまで並進させる段階
をさらに含む、請求項18記載の方法。
【請求項30】
クリンプされた血液ポンプを前記チューブボアの前記近位端から前記管状シースまで並進させる段階が、
(a)該管状シースの遠位端部分をハブ内で解放可能に拘束することであって、該ハブは前記チューブの前記近位端に取り付けられており、該ハブは、該ハブを通り該チューブボアと同軸上にあるハブボアを規定し、該ハブボアの一端は該チューブボアの該近位端に連結されており、該ハブボアの他端は、該管状シースの該遠位端部分を該チューブボアと実質的に同軸上に受けるように構成されている、こと;および
(b)該クリンプされた血液ポンプを該ハブボアを通して並進させること
を含み、前記方法が
該管状シースの該遠位端部分を該ハブから解放する段階
をさらに含む、請求項29記載の方法。
【請求項31】
クリンプされた血液ポンプを管状シースから出て患者の脈管構造内に入るように並進させる段階;および
該クリンプされた血液ポンプが該脈管構造内で弾性的に伸展することを可能にする段階
をさらに含む、請求項29記載の方法。
【請求項32】
血液ポンプをクリンプするためのクリンプツールであって、
内寸を有する管状シースと;
テーパ状縦方向チューブボアを規定する細長チューブであって、該チューブボアは、少なくとも長さ約30 mmであり、かつ(a)該チューブボアの遠位端における該血液ポンプの少なくともおよそ最大外寸から、(b)該チューブボアの近位端における該管状シースのおよそ内寸まで、該チューブボアの長さに沿ってテーパする内寸を有する、細長チューブと
を備えており、
該管状シースの遠位端が、該チューブの近位端に同軸上かつ易破壊的に(frangibly)取り付けられている、
クリンプツール。
【請求項33】
血液ポンプをクリンプするための方法であって、以下の段階を含む、方法:
細長チューブによって規定されるテーパ状縦方向チューブボアの遠位端の内部に該血液ポンプを配する段階であって、該チューブの近位端は、内寸を有する管状シースの遠位端に同軸上かつ易破壊的に取り付けられており、該チューブボアは、少なくとも長さ約30 mmであり、かつ(a)該チューブボアの該遠位端における該血液ポンプの少なくともおよそ最大外寸から、(b)該チューブボアの近位端における該管状シースのおよそ内寸まで、該チューブボアの長さに沿ってテーパする内寸を有する、段階;
該チューブボアの該近位端に向かう方向において該チューブボアを通って該血液ポンプを並進させる段階であって、該血液ポンプが該チューブボアを通って並進する際に該血液ポンプの外面を該細長チューブの内面と接触させることを含み、それによって該血液ポンプをクリンプしてクリンプされた血液ポンプをもたらす、段階;
該クリンプされた血液ポンプの外寸を実質的に変化させることなく、該クリンプされた血液ポンプを該チューブボアの該近位端から該管状シースまで並進させる段階;および
該クリンプされた血液ポンプが該管状シース内に配された状態で、該管状シースを該チューブから易破壊的に取り外す段階。
【請求項34】
近位端を有する移送シースと;
血液ポンプのクリンプ中および該移送シース内への該血液ポンプの後退中に補助するようにアレンジされた後退指標を伴うカテーテルを有する、血液ポンプと;
該血液ポンプをクリンプするようにアレンジされたクリンプツールと
を備えており、かつ
該クリンプされた血液ポンプが該移送シースの望ましいポジションに着座した時に、該移送シースの該近位端の近位側で該後退指標が視認可能になる、
システム。
【請求項35】
前記後退指標が、前記カテーテルの一部分の周囲を囲んで延在している1つまたは複数のバンドを含み、任意で該後退指標が細長のバンドを含む、請求項34記載のシステム。
【請求項36】
患者の脈管構造内で受けられるようにアレンジされたイントロデューサーと;
該イントロデューサーを通る血液ポンプの挿入中に補助するようにアレンジされた前進指標を伴うカテーテルを有する、血液ポンプと;
該血液ポンプを受けるようにアレンジされた移送シースであって、近位端を有する、移送シースと
を備えており、
該血液ポンプが該イントロデューサーから出現しはじめた時および/または出現してすぐに、該移送シースの該近位端の近位側で該前進指標が視認可能になる、
システム。
【請求項37】
前記前進指標が、前記カテーテルの一部分の周囲を囲んで延在している1つまたは複数のバンドを含み、任意で後退指標が細長のバンドを含む、請求項36記載のシステム。
【請求項38】
後退指標と前進指標とを伴うカテーテルを有する血液ポンプを、クリンプツールを介してクリンプする段階;
移送シースの近位端の近位側で該後退指標が視認可能になるまで、該クリンプされた血液ポンプを該移送シース内に後退させる段階
を含む、方法。
【請求項39】
前記移送シースの近位端の近位側で前記前進指標が視認可能になるまで、前記クリンプされた血液ポンプを、患者の脈管構造内にポジショニングされるようにアレンジされたイントロデューサー内に前進させる段階
をさらに含む、請求項38記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照によりその全内容が本明細書に組み入れられる、2020年12月31日に提出された米国特許仮出願第63/132,994号および2021年11月3日に提出された米国特許仮出願第63/275,264号に由来する優先権とその恩典とを主張する。
【0002】
技術分野
本開示は、経カテーテル式血管内補助デバイスをクリンプするためのツールに関し、より具体的には、伸展可能なカテーテル血液ポンプをクリンプするためのツールに関する。
【背景技術】
【0003】
関連技術
血管内血液ポンプは、患者の血液循環系、すなわち静脈および/または動脈を通って、患者の心臓内または患者の脈管構造内の他の場所まで進めることができるポンプである。そうした血液ポンプは典型的にカテーテルの端部に配される;カテーテルはポンプの挿入とポジショニングとに用いられ、かつ後にポンプを引き出すために用いられる。ポンプは、ポジショニングされたら、循環系を通して血液をポンピングするために、ひいては、心臓発作後の心臓の回復を可能にするためなど患者の心臓にかかる負荷を一時的に低減させるために、使用され得る。一例示的な血管内血液ポンプは、Impella(登録商標)心臓ポンプの商標名でAbiomed, Inc., Danvers, MAから入手可能である。
【0004】
血管内血液ポンプには、患者体内へのポンプの挿入を容易にするために、弾性的に放射方向に圧縮可能な(「クリンプ可能な」)ポンプハウジングを有するものがあり、場合によっては放射方向に圧縮可能なインペラーも有する。圧縮可能ハウジング式血液ポンプは、血液ポンプとインペラーとが圧縮状態にある間に患者体内に挿入され、それから血液ポンプが適切にポジショニングされた後に、ポンプハウジングとインペラーとが放射方向に伸展可能になる。
【0005】
一例示的な圧縮可能ハウジング式血液ポンプが、参照によりすべての目的についてその全内容が本明細書に組み入れられる米国特許第8,439,859号(「第'859号特許」)(特許文献1)に説明されている。第'859号特許の
図8はポンプハウジングの管状メッシュ構造を示している。管状メッシュ構造はニチノールなどの好適な形状記憶材料で作られてもよい。放射方向に圧縮された時、管状メッシュ構造のポンプセクションは外径約3 mmであってもよい。しかし、拘束されていない時、ポンプセクションは外径約6.15 mmまで弾性的にリバウンドする。他の圧縮可能ハウジング式血液ポンプが、他の圧縮時および/またはリバウンド時の外径を有する可能性もある。
【0006】
そうした血液ポンプを患者の脈管構造内への挿入用に準備するには、血液ポンプを放射方向に圧縮しなければならず、次に、典型的には圧縮した血液ポンプを管状移送シース内に挿入することによって、圧縮状態に保持しなければならない。次に、移送シースは、デバイスを患者の静脈または動脈内に挿入するためのイントロデューサーに取り付けられるかまたはこれを通って送り込まれる。患者の静脈または動脈内に入り、かつ移送シースまたはイントロデューサーから出ると、血液ポンプのハウジングは放射方向に弾性的に伸展する。
【0007】
そうした血液ポンプは、血液ポンプを患者体内に挿入する直前、例えば患者体内への挿入の数分前に手術室内などで、圧縮されるべきである。それよりずっと早く、例えば製造中などに血液ポンプを圧縮すると、弾性のコンポーネントがその圧縮状態の形状記憶を生じる可能性があるので、弾性的にリバウンドする血液ポンプの能力に負の影響を及ぼす可能性が高い。
【0008】
血液ポンプを損傷することなく、血液ポンプを放射方向に圧縮すること、および圧縮した血液ポンプを移送シース内に挿入することは困難であり、高度の熟練者2名の協働を必要とすることが多い。血液ポンプの圧縮および移送シース内への挿入に用いられる従来の方法および装置は、いくつかの段階と、いくつかのコンポーネントの精密なアライメントとを伴い、さらには関与する人員の相当なトレーニングも伴う。血液ポンプを損傷することなく、血液ポンプを放射方向に圧縮しかつ圧縮した血液ポンプを移送シース内に挿入するための、よりシンプルな装置、およびよりシンプルかつ迅速な方法は、非常に望ましいと考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【0010】
諸態様の概要
管状シース内への移送用に血液ポンプをクリンプするためのクリンプツールを本明細書に説明する。クリンプツールは、テーパ状縦方向ボアを規定する細長チューブを有してもよく、ボアは少なくとも長さ約30 mmであり、かつ(a)ボアの遠位端におけるポンプの少なくともおよそ最大外寸から、(b)ボアの近位端における管状シースのおよそ内寸まで、ボアの長さに沿ってテーパする内寸を有する。クリンプツールは、チューブの近位端に取り付けられているハブを有していてもよい;ハブは、ハブを通りチューブボアと同軸上にあるボアを規定し、ハブボアの一端はチューブボアの近位端に連結されており、ハブボアの他端は、管状シースの遠位端部分をチューブボアと実質的に同軸上に受けるように構成されている。
【0011】
クリンプツールは、少なくとも約7 mmである、チューブボアの遠位端の内寸を有してもよい。チューブボアの近位端の内寸は、任意で、最大で約4 mmであってもよい。チューブボアの遠位端の内寸は少なくとも約7 mmであってもよく、かつ、チューブボアの近位端の内寸は最大で約4 mmであってもよい。
【0012】
チューブボアは少なくとも長さ約50 mmであってもよい。チューブボアは少なくとも長さ約100 mmであってもよい。チューブボアは少なくとも長さ約170 mmであってもよい。チューブボアは少なくとも長さ約300 mmであってもよい。
【0013】
クリンプツールは、テーパ状チューブボアを規定しかつチューブの縦軸に対して約2°未満の角度で延在している、チューブの内壁を有してもよい。テーパ状チューブボアは、(a)チューブボアの内径の変化と(b)チューブの縦軸に沿ったテーパの長さの比として計算される、約1:14を超えないテーパ比を有してもよい。
【0014】
クリンプツールは、管状シースの遠位端部分をハブボアの前記他端内で解放可能に拘束するように構成されているラッチを有してもよい。ラッチはハブ内に配されていてもよい。ラッチは、第一ピラーと、第二ピラーと、アクチュエーターとを有してもよい;アクチュエーターは人間によって作動されるように構成されており、非作動モードと作動モードとを有する。第一ピラーが非作動モードと作動モードとを有してもよい。第一ピラーはアクチュエーターに機械的に連結されてもよく、かつ、アクチュエーターの作動に応答して非作動モードから作動モードへと弾性的に移行するように構成されていてもよい。第一および第二ピラーは、それらの間で開口部を集合的に規定してもよく、ハブボアはその開口部を通ってチューブボアと実質的に同軸上に延在している。チューブの縦軸に沿って見た場合、開口部の最小寸法は、第一ピラーの作動モードより第一ピラーの非作動モードにおいて、より小さくてもよい。第一ピラーは、アクチュエーターの作動とは独立に、第二ピラーから離れる方向に弾性的にずれるように構成されていてもよい。
【0015】
クリンプツールは、第一ピラーの非作動モードにおいて、チューブの縦軸に沿って見た場合、管状シースの遠位端部分の特徴の外寸より小さい開口部の最小寸法を有してもよい。第一ピラーの作動モードにおいて、開口部の最小寸法は、その特徴の外寸と少なくとも同じくらい大きくてもよい。
【0016】
クリンプツールの別の局面において、第二ピラーが非作動モードと作動モードとを有してもよい。第二ピラーはアクチュエーターに機械的に連結されてもよく、かつ、アクチュエーターの作動に応答して非作動モードから作動モードへと弾性的に移行するように構成されていてもよい。この局面において、第一および第二ピラーは対称的であってもよく、かつ第一および第二ピラーの各々が第一の弓形形状を有してもよい。この局面において、第一の弓形形状のそれぞれの凹状の側面は互いに向き合っていてもよく、かつ、第一および第二ピラーの各々は、そのそれぞれの第一の弓形形状からそれぞれの第二の弓形形状へと弾性的に移行するように構成されていてもよく、かつ、アクチュエーターの作動に応答して、より小さい半径を有してもよい。そうした局面において、チューブの縦軸に沿って見た場合、開口部は、第一および第二ピラーの作動モードより第一および第二ピラーの非作動モードにおいて、より偏心している。
【0017】
クリンプツールのさらなる局面において、第一および第二ピラーの各々が前面と後面とを有してもよい。この局面において、開口部は前面から後面まで延在して通路を規定してもよい。通路は、前面より後面で狭くなるようにテーパしていてもよい。
【0018】
さらなる局面において、クリンプツールのラッチがハブ内に配されてもよい。ラッチは、非作動モードと作動モードとを有する、人間によって作動されるように構成されているアクチュエーターを有してもよい。ラッチは、アクチュエーターに機械的に連結され、かつアクチュエーターの作動に応答して内寸を弾性的に増大させるように構成されている、ラジアルばねをさらに有してもよい。ラッチはハブ内に配されてもよく、かつ、ねじ式の圧縮フィッティングを有してもよい。
【0019】
別の局面において、血液ポンプをクリンプするための方法を本明細書に説明する。本方法の一局面において、細長チューブによって規定されるテーパ状縦方向チューブボアの遠位端の内部に血液ポンプが配される;チューブボアは少なくとも長さ約30 mmであり、かつ(a)チューブボアの遠位端におけるポンプの少なくともおよそ最大外寸から、(b)チューブボアの近位端における最大で約4 mmの直径まで、チューブボアの長さに沿ってテーパする内寸を有する。血液ポンプは、チューブボアの近位端に向かう方向においてチューブボアを通って並進し、それは、血液ポンプがチューブボアを通って並進する際に血液ポンプの外面を細長チューブの内面と接触させることを含み、それによって血液ポンプをクリンプしてクリンプされた血液ポンプをもたらす。
【0020】
一局面において、血液ポンプを並進させる段階は、チューブボアを通して血液ポンプを引くことであってもよい。チューブボアの遠位端の内寸は少なくとも約7 mmであってもよい。チューブボアの近位端の内寸は最大で約4 mmであってもよい。チューブボアの遠位端の内寸が少なくとも約7 mmであってもよく、かつ、チューブボアの近位端の内寸が最大で約4 mmであってもよい。任意で、チューブボアは少なくとも長さ約50 mmであってもよい。さらに任意で、チューブボアは少なくとも長さ約100 mmであってもよい。さらに任意で、チューブボアは少なくとも長さ約170 mmであってもよい。さらに任意で、チューブボアは少なくとも長さ約300 mmであってもよい。
【0021】
本方法のさらなる局面において、テーパ状チューブボアを規定する、チューブの内壁が、チューブの縦軸に対して約2°未満の角度で延在している。さらに別の局面において、(a)チューブボアの内径の変化と(b)チューブの縦軸に沿ったテーパの長さの比として計算される、テーパ状チューブボアのテーパ比は、約1:14を超えないのであってもよい。
【0022】
本方法のさらなる局面において、管状シースはチューブボアの近位端と実質的に同軸上に配される。クリンプされた血液ポンプの外寸を実質的に変化させることなく、クリンプされた血液ポンプは、チューブボアの近位端から管状シースまで並進する。
【0023】
本方法の別の局面において、クリンプされた血液ポンプは、(a)管状シースの遠位端部分をハブ内で解放可能に拘束することによって、チューブボアの近位端から管状シースまで並進する;ここで、ハブはチューブの近位端に取り付けられており;ハブは、ハブを通りチューブボアと同軸上にあるハブボアを規定しており;ハブボアの一端はチューブボアの近位端に連結されており;ハブボアの他端は、管状シースの遠位端部分をチューブボアと実質的に同軸上に受けるように構成されている。この局面において、クリンプされた血液ポンプはハブボアを通って並進する。本方法のこの局面において、管状シースの遠位端部分がハブから解放されてもよい。
【0024】
別の局面において、クリンプされた血液ポンプが、管状シースから出て患者の脈管構造内に入るように並進してもよい。クリンプされた血液ポンプは、脈管構造内で弾性的に伸展することが可能になる。
【0025】
別の局面において、クリンプツールは、内寸を有してもよい管状シースと、テーパ状縦方向チューブボアを規定する細長チューブとを有する;チューブボアは少なくとも長さ約30 mmであり、かつ、(a)チューブボアの遠位端における血液ポンプの少なくともおよそ最大外寸から、(b)チューブボアの近位端における管状シースのおよそ内寸まで、チューブボアの長さに沿ってテーパする内寸を有する。管状シースの遠位端は、チューブの近位端に同軸上かつ易破壊的に(frangibly)取り付けられていてもよい。
【0026】
別の局面において、細長チューブによって規定されるテーパ状縦方向チューブボアの遠位端の内部に血液ポンプが配される、血液ポンプをクリンプするための方法を説明する。この局面において、チューブの近位端が、内寸を有してもよい管状シースの遠位端に同軸上かつ易破壊的に取り付けられていてもよい。チューブボアは少なくとも長さ約30 mmであってもよく、かつ、(a)チューブボアの遠位端における血液ポンプの少なくともおよそ最大外寸から、(b)チューブボアの近位端における管状シースのおよそ内寸まで、チューブボアの長さに沿ってテーパする内寸を有してもよい。この局面において、血液ポンプは、チューブボアの近位端に向かう方向においてチューブボアを通って並進してもよく、それは、血液ポンプがチューブボアを通って並進する際に血液ポンプの外面を細長チューブの内面と接触させることを含み、それによって血液ポンプをクリンプしてクリンプされた血液ポンプをもたらす。さらにこの局面において、クリンプされた血液ポンプの外寸を実質的に変化させることなく、クリンプされた血液ポンプは、チューブボアの近位端から管状シースまで並進する。さらにこの局面において、クリンプされた血液ポンプが管状シース内に配された状態で、管状シースがチューブから易破壊的に取り外される。
【0027】
近位端を有する移送シースと;血液ポンプのクリンプ中および移送シース内への血液ポンプの後退中に補助するようにアレンジされた後退指標を伴うカテーテルを有してもよい、血液ポンプと;血液ポンプをクリンプするようにアレンジされたクリンプツールと;を有してもよいシステムもまた、本明細書に説明する。本システムのこの局面において、クリンプされた血液ポンプが移送シースの望ましいポジションに着座した時に、移送シースの近位端の近位側で後退指標が視認可能になってもよい。この局面において、後退指標は、カテーテルの一部分の周囲を囲んで延在している1つまたは複数のバンドを含んでいてもよく、ここで後退指標は、任意で細長のバンドを含んでいてもよい。
【0028】
別の局面において、患者の脈管構造内で受けられるようにイントロデューサーがアレンジされていてもよいシステムを説明する。本システムは、イントロデューサーを通る血液ポンプの挿入中に補助するようにアレンジされていてもよい前進指標を伴うカテーテルを有する、血液ポンプを有してもよい。本システムは、血液ポンプを受けるようにアレンジされた移送シースであって、近位端を有する移送シースを有してもよい。このシステムにおいて、血液ポンプがイントロデューサーから出現しはじめた時および/または出現してすぐに、移送シースの近位端の近位側で前進指標が視認可能になってもよい。
【0029】
本システムのさらなる局面において、前進指標は、カテーテルの一部分の周囲を囲んで延在している1つまたは複数のバンドを含み、ここで後退指標は、任意で細長のバンドを含む。
【0030】
別の局面において、クリンプツールを用いて血液ポンプがクリンプされる方法を本明細書に説明する。血液ポンプは、後退指標と前進指標とを備えたカテーテルを有してもよい。本方法において、クリンプされた血液ポンプは、移送シースの近位端の近位側で後退指標が視認可能になるまで、移送シース内に後退される。この方法のさらなる局面において、クリンプされた血液ポンプは、移送シースの近位端の近位側で前進指標が視認可能になるまで、患者の脈管構造内にポジショニングされるようにアレンジされたイントロデューサー内に前進される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
後述する具体的態様の詳細な説明を、以下の添付の図面とともに参照することによって、本開示がより完全に理解されるであろう。
【0032】
【
図1】弾性的に放射方向に圧縮可能な血管内血液ポンプの側面図である。
【
図2】シースが引き出される際の、管状シースから出現する6つのステージ((1)~(6))における、
図1の血液ポンプの側面図である。
【
図3】従来のクリンプ用ツールの斜視図であり、その使用の2つのステージを示している。
【
図4】本開示の一態様に基づく、
図1~2の心臓ポンプなど弾性的に放射方向に圧縮可能な人体植込み型のカテーテルポンプをクリンプするための、かつクリンプしたポンプを管状移送シース内に移送するための、クリンプツールの側面図である。
【
図6】本開示の一態様に基づく、
図4および5の移送シースの遠位端部分の拡大斜視図であり、クリンプツールの任意的なラッチによって係合されてもよい遠位端部分の特徴を示している。
【
図7】本開示の一態様に基づく、
図1~2の心臓ポンプがクリンプツールのチューブ内に部分的に引き入れられており、
図6の移送シースの遠位端部分がハブ内に挿入されかつラッチによってハブ内に拘束されている、
図4~5のクリンプツールの断面図である。
【
図10】本開示の一態様に基づく、
図7と同様であるが、明瞭さのため
図1~2の心臓ポンプを欠き、かつ
図7のラッチを欠いている、
図4~5のクリンプツールの断面図である。
【
図11】本開示の一態様に基づく、
図10のハブの端面図である。
【
図12】本開示の一態様に基づく、
図4、5、および7のラッチの斜視図である。
【
図13】本開示の一態様に基づく、
図4、5、7、10、および11のハブの斜視図である。
【
図14】本開示の一態様に基づく、
図4、5、7、および12のラッチの、それぞれ背面図、断面図、および前面図である。
【
図15】本開示の一態様に基づく、
図4、5、7、および12のラッチの、それぞれ背面図、断面図、および前面図である。
【
図16】本開示の一態様に基づく、
図4、5、7、および12のラッチの、それぞれ背面図、断面図、および前面図である。
【
図17】本開示の一態様に基づく、
図4、5、7、12、および14~16のラッチを欠くが、
図4~6の移送シースの遠位端部分がハブ内に配されている、
図4、5、7、10、11、および13のハブの断面図である。
【
図18】本開示の一態様に基づく、ラッチがハブ内に装着されている、
図4、5、7、10、11、13、および17のハブ、ならびに
図4、5、7、12、および14~16のラッチの断面図である。
【
図19】本開示の一態様に基づく、
図4、5、7、12、および14~16のラッチ内に漸進的に挿入されている
図4~6の移送シースの遠位端部分の斜視図であり、明瞭さのため
図4、5、7、10、11、13、17、および18のハブは省略されている。
【
図20】本開示の一態様に基づく、
図4、5、7、12、および14~16のラッチ内に漸進的に挿入されている
図4~6の移送シースの遠位端部分の斜視図であり、明瞭さのため
図4、5、7、10、11、13、17、および18のハブは省略されている。
【
図21】本開示の一態様に基づく、
図4、5、7、12、および14~16のラッチ内に漸進的に挿入されている
図4~6の移送シースの遠位端部分の斜視図であり、明瞭さのため
図4、5、7、10、11、13、17、および18のハブは省略されている。
【
図22】本開示の一態様に基づく、
図4、5、7、12、および14~16のラッチ内に漸進的に挿入されている
図4~6の移送シースの遠位端部分の斜視図であり、明瞭さのため
図4、5、7、10、11、13、17、および18のハブは省略されている。
【
図23】本開示の一態様に基づく、
図4、5、7、12、および14~16のラッチ内に漸進的に挿入されている
図4~6の移送シースの遠位端部分の斜視図であり、明瞭さのため
図4、5、7、10、11、13、17、および18のハブは省略されている。
【
図24】本開示の一態様に基づく、
図14と同様の、
図4、5、7、12、および14~16のラッチの背面図である。
【
図25】本開示の一態様に基づく、
図4、5、7、12、および14~16のラッチから取り外されている
図4~6の移送シースの遠位端部分の斜視図であり、明瞭さのため
図4、5、7、10、11、13、17、および18のハブは省略されている。
【
図26】本開示の一態様に基づく、
図4~7、17~23、および25の管状移送シースとして使用され得るピールアウェイ式シースの斜視図である。
【
図27】本開示の一態様に基づく、
図4~7、17~23、および25または26の管状移送シースが連結されてもよい、イントロデューサーの一部分の断面図である。
【
図28】本開示の別の態様に基づく、
図1~2の心臓ポンプなど弾性的に放射方向に圧縮可能な人体植込み型のカテーテルポンプをクリンプするための、かつ、クリンプしたポンプを、当初は易破壊性クリンプツールの一部である管状移送シース内に移送するための、易破壊性クリンプツールの斜視図である。
【
図29】本開示の別の態様に基づく、ラッチの背面図である。
【
図30】本開示のなお別の態様に基づく、ラッチの部分断面斜視図である。
【
図31】本開示の第三の代替的態様に基づく、ラッチの部分断面側面図である。
【
図32】本開示のそれぞれの態様に基づく、血液ポンプをクリンプするための方法を模式的に例証したフローチャートである。
【
図33】本開示のそれぞれの態様に基づく、血液ポンプをクリンプするための方法を模式的に例証したフローチャートである。
【
図34】血液ポンプと、それに関連するカテーテル上の後退指標との、側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
具体的態様の詳細な説明
クリンプツールは、弾性的に放射方向に圧縮可能な人体植込み型のカテーテルポンプをクリンプすることと、テーパ状縦方向ボアを規定する細長チューブを通して心臓ポンプを引くことによって、クリンプしたポンプを管状シース内に移送することとを、容易にする。ボアは、(a)ボアの遠位端におけるポンプの少なくともおよそ最大外寸から、(b)ボアの近位端における管状シースのおよそ内寸まで、ボアの長さに沿ってテーパする内寸を有する。いくつかの態様においてチューブの近位端にハブが取り付けられている。ハブは、ハブを通りチューブボアと同軸上にあるボアを規定する。ハブボアの一端はチューブボアの近位端に連結され、ハブボアの他端は、管状シースの遠位端部分をチューブボアと実質的に同軸上に受けるように構成されている。任意で、ラッチが、管状シースの遠位端部分をハブボアの前記他端内で解放可能に拘束するように構成されている。ラッチのいくつかの態様を本明細書に説明する。
【0034】
いくつかの態様において、管状シースの遠位端部分は、易破壊性部分などによってテーパ状チューブの近位端に取り外し可能式に取り付けられており、必ずしもハブを伴わない。これらの態様において、クリンプされたポンプが管状シース内に引き入れられると、易破壊性部分が壊されて管状シースがテーパ状チューブから自由になる。
【0035】
ピールアウェイ式シース;および、本クリンプツールのいくつかの態様のハブと同様のハブを備えたイントロデューサーもまた、説明される。
【0036】
定義
特許請求の範囲も含め本明細書において用いる「弾性の(resilient)」という用語は、曲げ、伸ばし、または圧縮などの変形後に、変形の結果として内部に蓄積されたエネルギーを放出することによって、元の形状に跳ね返りまたはスプリングバックできることを意味する。
【0037】
特許請求の範囲も含め本明細書において用いる、円、円状、または正方形など、形状を表す用語は、妥当な製造公差内を意味する。同軸上または共線的など、相対的なポジションを表す用語は、妥当な製造公差内を意味する。同様に、物体の長さに沿った一定した外径など、寸法を表す用語または句は、妥当な製造公差内を意味する。
【0038】
特許請求の範囲も含め本明細書において用いる、「管状の(tubular)」は、円形の断面を有することを必ずしも意味しない。例えば、管状のアイテムが、卵形、正方形、または他の形状の断面を有してもよい。
【0039】
弾性的に放射方向に圧縮可能な血液ポンプ
図1は、弾性的に放射方向に圧縮可能な血管内血液ポンプ100の側面図であり、ここでは非圧縮状態で示されている。
図8に血液ポンプ100の一部分の拡大図を提供する。血液ポンプ100は、ニチノールなどの好適な形状記憶材料で作られた管状メッシュ構造102を含む。管状メッシュ構造102内部にインペラー104が配される。インペラー104もまた、インペラー104の弾性ブレードを折り重ねるなどによって、放射方向に圧縮可能であってもよい。血液ポンプ100は弾性の「ピッグテール」106を含む(
図1においてよく見える)。ピッグテール106は、他の機能の中でも特に、血液ポンプ100をポジショニングすること、および/または心臓組織の損傷を回避することを補助してもよい。血液ポンプ100は折り畳み可能な流出チューブ108を含んでいてもよい(
図1においてよく見える)。血液ポンプ100に出入りする血流が矢印によって示されている(
図1)。血液ポンプ100はカテーテル110の遠位端に取り付けられている。
【0040】
図2は、矢印202で示されるように血液ポンプ100に対して管状シース200が引き出される際の、管状シース200から出現する6つのステージ((1)~(6))における、血液ポンプ100の側面図である。管状シース200が引き出されるにつれて、血液ポンプ100の部分、特にメッシュ構造102とインペラー104とは弾性的に放射方向に伸展し、ピッグテール106は丸く巻く。
【0041】
従来のクリンプ用ツール
図3は、ステントなどをクリンプするために使用される従来のクリンプ用ツール300の斜視図である。クリンプ用ツール300は、
図3の上部において開モードで、そして
図3の下部において閉モードで示されている。クリンプ用ツール300は、クリンプ用ツール300のチャンバー302内に置かれた物体を放射方向に圧縮する。クリンプ用ツール300は、大きく、重く、複雑で、高額であり、滅菌が難しい。さらに、クリンプ用ツール300は、セグメント304、306、および308に代表される、放射方向に配されたいくつかの直線セグメントを含み、それらが集合的にチャンバー302を規定する。ゆえにチャンバー302は断面が円形でない。代わりに、チャンバーは断面が多角形である。結果的に、クリンプ用ツール300によってクリンプされる物体は、セグメント304~308によって、またはセグメント304~308の隣り合うペアの交差部に形成される角によって、望ましくないひずみまたは損傷を受ける可能性がある。
【0042】
クリンプツール
図4は、本開示の一態様に基づく、弾性的に放射方向に圧縮可能な人体植込み型のカテーテルポンプ100をクリンプするための、かつクリンプしたポンプ100を、管状移送シース401によって表されている管状シース内に移送するための、クリンプツール400の側面図である。移送シース401は、
図6に関して本明細書に説明する、ある一定の物理的特徴を有する。しかし、クリンプツール400、またはその好適なバリエーションが、これらの特徴を欠いた管状シースなど、他の管状シースとともに用いられてもよい。
図5は
図4の一部分の斜視図である。
図6は移送シース401の遠位端部分402の拡大斜視図である。挿入
図Aおよび挿入
図Bは、それぞれの態様に基づく、移送シース401の最遠位端部分601のそれぞれのクローズアップ断面図である。
【0043】
クリンプツール400の主要なコンポーネントには、テーパ状縦方向ボアを規定する細長チューブ404と、チューブ404の近位端408に取り付けられているハブ406とが含まれる。チューブ404およびハブ406は、機械的インターロック、ねじ接続、圧縮フィッティング、超音波溶接、接着剤、または他の好適な接合部などによって一緒に接合された、別々のコンポーネントであってもよい。代替的に、チューブ404および406は、統合された単一のコンポーネントとして作られてもよい。いずれのケースにおいても、チューブ404およびハブ406は、同じ材料または異なる材料で作られてもよい。チューブ404は
図4においてまっすぐであるとして示されているが、製造上の非理想性、またはチューブ404の重量、およびチューブ404を作っている材料の可撓性などによって、チューブ404がカーブしていてもよい。任意で、丸く巻いたまたはカーブしたチューブ404がより容易にその包装内にフィットするように、チューブ404が丸く巻いているかまたは固有のカーブを伴っていてもよい(図示せず)。
【0044】
任意で、クリンプツール400がラッチ410を含んでいてもよい。ラッチ410は、存在するならば、移送シース401の遠位端部分402を解放可能に拘束するように構成されている。
図4および5に示す態様においてラッチ410はハブ406内に配されているが、別の態様において好適なラッチがハブ406の外部にあってもよい。
【0045】
チューブ
クリンプツール100を通って心臓ポンプが引かれる際に、心臓ポンプ100を損傷することなく心臓ポンプ100を徐々に圧縮する(クリンプする)ために、チューブ404の縦方向ボアのテーパ角は、本明細書に説明するように、比較的小さい。例えば、クリンプツール400のいくつかの態様を通って引かれるいくつかの心臓ポンプは、縦方向のひずみを著しく受けることはない。他の実施例において、管状メッシュ構造102(
図1)および/またはインペラー104は、縦方向に弾性的に長くされるが、管状メッシュ構造102またはインペラー104の損傷は伴わない。すなわち、クリンプされた心臓ポンプ100が移送シース401から引き出されると、心臓ポンプ100のクリンプされた部分が、実質的にクリンプ前のサイズおよび形状まで弾性的にリバウンドする。
【0046】
図4および5は、クリンプツール400によってクリンプされる準備ができた、所定のポジションにある心臓ポンプ100を示している。特に、カテーテル110が、チューブ404のテーパ状縦方向ボアを通り、ハブ406を通って、ハンドル412まで延在している。チューブ404は、チューブ404の遠位端414における最大内寸から、チューブ404の近位端408におけるより小さい内寸まで、ボアの長さに沿ってテーパする内寸413を有する。いくつかの態様において、内寸413はボアの長さに沿って単調にテーパする。いくつかの態様はボアの非テーパ部分を含む。いくつかの態様はボアの反テーパ部分を含む。いくつかの態様において内寸413は滑らかにテーパしている一方、他の態様において内寸413は段差がある。
【0047】
チューブ404の遠位端414において、血液ポンプ100を実質的に放射方向にクリンプすることなく血液ポンプ100をチューブ404内に入れるために、チューブ404の内寸413は、心臓ポンプ100のおよそ最大外寸416と少なくとも同じくらい大きい。換言すると、内寸413は心臓ポンプ100の寸法416の少なくとも80%である。いくつかの態様において、内寸413は心臓ポンプ100の寸法416の少なくとも約100%である。いくつかの態様において、内寸413は心臓ポンプ100の寸法416の少なくとも約110%である。いくつかの態様において、内寸413は心臓ポンプ100の寸法416の少なくとも約120%である。いくつかの態様において、内寸413は心臓ポンプ100の寸法416の少なくとも約130%である。いくつかの態様において、内寸413は心臓ポンプ100の寸法416の少なくとも約150%である。いくつかの態様において、内寸413は心臓ポンプ100の寸法416の少なくとも約200%である。
【0048】
チューブ404内への遠位端414の開口部の断面形状は、心臓ポンプ100の圧縮可能部分の断面形状と同様であるべきである。ほとんどの態様において、チューブ404の内部の断面形状は円形またはほぼ円形である。いくつかのケースにおいて、チューブ404の内部の断面形状は、例えば製造上の非理想性などにより、やや卵形である。血液ポンプ100の管状メッシュ構造102(
図1)はストラットで作られてもよく、したがって円形に近似した多角形の断面形状を管状メッシュ構造102に与えるが、本発明者らはそうした管状メッシュ構造102の断面形状を円形という。他の態様において、チューブ404の内部の断面形状は、概ね正方形、概ね長方形、または別の好適な形状である。
【0049】
「心臓ポンプ100の最大外寸416」は、例えば管状メッシュ構造102など、慎重なクリンプを必要とする心臓ポンプ100の部分を指す。例えば、折り畳み可能な流出チューブ108が、非内圧下でそれ自体で折り畳まれる非剛性プラスチックであるならば、折り畳み可能な流出チューブ108は慎重なクリンプを必要としない可能性がある。このケースにおいて、折り畳み可能な流出チューブ108の外寸は、心臓ポンプ100の最大外寸416を定義するとはみなされない。それぞれの態様において、チューブ404のボアの遠位端414の内寸413は、少なくとも約7 mm、少なくとも約8 mm、少なくとも約10 mm、少なくとも約15 mm、または少なくとも約30 mmである。他の態様において、チューブ404のボアの遠位端414の内寸413は、意図される心臓ポンプ100の寸法および/または断面形状に基づいて選択される。
【0050】
チューブ404の近位端408の開口部の断面形状は、移送シース401の開口部の断面形状と同様であるべきである。ほとんどの態様において、その断面形状は円形またはほぼ円形である。いくつかのケースにおいて、チューブ404の内部の断面形状は、製造上の非理想性などにより、または、ローターブレードの、例えばやや非円形など、非対称的な放射方向の圧縮に対応するために、やや卵形である。圧縮された心臓ポンプ100がチューブ404の近位端408から移送シース401内に容易に移行できるように、寸法およびサイズは概ね同じであるべきである。この文脈において、「同じ(same)」とは、製造公差内を意味する。
【0051】
チューブ404の近位端408において、チューブ404の内寸413は移送シース401の内寸と概ね等しい。それぞれの態様において、チューブ404のボアの近位端408の内寸413は、最大で約4 mm、最大で約3 mm、最大で約2 mm、または最大で約1.5 mmである。いくつかの態様において、チューブ404のボアの近位端408の内寸413は、移送シース401の内寸より約0.1~約0.3 mm小さい。いくつかの態様において、チューブ404のボアの近位端408の内寸413は、意図される心臓ポンプ100の寸法および/または断面形状に基づいて選択される。
【0052】
いくつかの態様において、チューブ404のボアの近位端408の内寸413は、移送シース401の内寸より約0.1~約0.3 mm大きい。これらのケースにおいて、移送シース401の最遠位端部分601は、
図6においてそれぞれ挿入
図Aおよび挿入
図Bに示されるように、丸みを帯びているかまたは面取りされているべきである。
【0053】
任意で、チューブ404内への遠位端414の開口部の断面形状は、例えば移送シース401の開口部の断面形状にマッチさせるなどのために、チューブ404の近位端408の開口部の断面形状と異なっていてもよい。これらのケースにおいて、ボアの断面形状は、遠位端414の開口部の断面形状から近位端408の開口部の断面形状まで滑らかに移行するように、ボアの長さに沿って徐々に変化する。
【0054】
チューブ404は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)など、押し出されたポリマー材料で作られてもよい。代替的に、チューブ404は、ポリエーテルブロックアミド(PEBA)、高密度ポリエチレン(HDPE)もしくは低密度ポリエチレン(LDPE)を含むポリエチレン、ナイロン、ポリプロピレン(PP)、ポリオキシメチレン(POM)、または別の好適な材料で作られてもよい。例えば、Duke Extrusion, Santa Cruz, CAから入手可能であるPebaSlix(登録商標)医療用チュービングが好適である。任意でまたは代替的に、摩擦を低減するために、チューブ404の材料が添加剤を含んでもよく、または、チューブ404の内面がPTFEもしくは別の好適な物質でコーティングされてもよい。いずれのケースにおいても、チューブ404の内面は滑らかであるべきであり、心臓ポンプ100の外部の材料に対して比較的低い摩擦係数を有するべきである。
【0055】
ゆえに、心臓ポンプ100は、矢印418によって示されるようにチューブ404を通って引かれる時に、徐々に放射方向に圧縮され、そして、圧縮された心臓ポンプ100が移送シース401内部にフィットするまで、チューブ404の内壁によって任意で断面形状が変化してもよい。
【0056】
図7は、心臓ポンプ100がチューブ404内に部分的に引き入れられており、移送シース401の遠位端部分402がハブ406内に挿入されかつラッチ410によってハブ406内に拘束されている、クリンプツール400の断面図である。ピッグテール106の一部分は、まだチューブ404内に引き入れられておらず、チューブ404の外側に残っている。
図8は
図7の一部分の拡大図である。
【0057】
図7および8に見られるように、この態様において、チューブ404の内寸413は、チューブボア700の遠位端414における心臓ポンプ100の少なくともおよそ最大外寸416(
図4)から、チューブボア700の近位端408における移送シース401のおよそ内寸まで、チューブボア700の長さに沿って単調にテーパする。血液ポンプ100がチューブボア700に入る際に、流出チューブ108など血液ポンプ100のコンポーネントが損傷することを防ぐために、チューブ404の遠位端414の内縁は面取りされるかまたは丸みを帯びていてもよい。
【0058】
ハブ
図10は、
図7と同様であるが、明瞭さのため心臓ポンプ100を欠き、かつラッチ410を欠いている、クリンプツール400の断面図である。ハブ406は、それを通るハブボア1000を規定する。ハブボア1000はチューブボア700と同軸である。ハブボア1000の一端1002はチューブボア700の近位端408に連結されている。ハブボア1000の他端1004は、
図17に関してより詳しく本明細書に述べるように、移送シース401の遠位端部分402をチューブボア700と概ね同軸上に受けるように構成されている。
【0059】
ゆえにユーザーは、ハブ406を片手にホールドし、別の手でハンドル412を引くか、または移送シース401の近位端422とハンドル412との間の位置420(
図4)においてカテーテル110を引くことによって、心臓ポンプ100をチューブ404のテーパ状縦方向ボア700内に入れて通し、ハブ406に通して、移送シース401内まで引いてくる。心臓ポンプ100がチューブ404のテーパ状縦方向ボア700を通って並進する際に、心臓ポンプ100は、メッシュ構造102またはインペラー104の損傷を伴うことなく、矢印702(
図7)によって示されるように、徐々に放射方向に圧縮(クリンプ)される。次に、より詳しく本明細書に述べるように、ラッチ410を作動させることによって移送シース401がハブ406から解放されてもよく、かつ移送シース401が、圧縮された心臓ポンプ100がその中に配された状態で、ハブ406から引き出されてもよい。
【0060】
いくつかの態様において、移送シース401の遠位端部分402が、圧縮された心臓ポンプ100がその中に配された状態で、イントロデューサーシース(図示せず)に連結されてもよく、圧縮された心臓ポンプ100は次にイントロデューサーシースを通って患者の脈管構造内まで押されて、そこで伸展する。いくつかの態様において、圧縮された心臓ポンプ100がその中に配されている移送シース401それ自体が、イントロデューサーシース(図示せず)を通って脈管構造内まで通され、次に、圧縮された心臓ポンプ100が移送シース401から患者の脈管構造内まで押し出されて、そこで心臓ポンプ100は伸展する。後者のケースにおいて、血栓形成の問題を回避するために、移送シースは特徴600などの機械的な特徴を規定するのではなく、滑らかな外面を有するべきである。ゆえに、そうした態様は、
図30に関して本明細書に説明するように、圧縮ラッチとより良好にマッチする。
【0061】
チューブ404の内壁802と、チューブ404の縦軸804に平行な線との間で、テーパ角800(明瞭さのため
図8において誇張されている)が測定される。すなわち、テーパ状チューブボア700を規定するチューブ404の内壁802が、チューブ404の縦軸802に対してテーパ角800で延在している。言及したように、チューブ404は、完全にまっすぐでなくカーブしていてもよい。これらのケースにおいて縦軸804もまたカーブしており、テーパ角800は、縦軸804を横断する断面であってテーパ角800測定点においてチューブ壁を通って延在している断面にて、縦軸804に平行な線に対して測定される。言及したように、クリンプツール100を通って心臓ポンプ100が引かれる際に、心臓ポンプ100を損傷することなく心臓ポンプ100を徐々に圧縮する(クリンプする)ために、チューブ404の縦方向ボア700のテーパ角800は比較的小さい。それぞれの態様において、テーパ角800は、約0.5°未満、約0.6°未満、約0.7°未満、約1°未満、または約2°未満である。他の態様において、テーパ角800は他の上限を有してもよいが、概して約10°未満である。
【0062】
代替的に、縦方向ボア700のテーパは、(a)チューブボア700の内径413の変化と(b)チューブ404の縦軸804に沿ったテーパの長さ704の比として計算される、テーパ比として表現されてもよい。それぞれの態様において、テーパ比は、約1:14を超えず、約1:20を超えず、約1:30を超えず、約1:40を超えず、約1:50を超えず、約1:60を超えず、または約1:70を超えない。
【0063】
いくつかの態様において、チューブボア700は少なくとも長さ約30 mmである。いくつかの態様において、チューブボア700は少なくとも長さ約50 mmである。いくつかの態様において、チューブボア700は少なくとも長さ約100 mmである。いくつかの態様において、チューブボア700は少なくとも長さ約170 mmである。いくつかの態様において、チューブボア700は少なくとも長さ約300 mmである。
【0064】
チューブボア700の長さおよびテーパ角800(代替的にテーパ比)は、インペラー104が受けるクリンプ力が主としてまたはもっぱら放射方向であるように、かつインペラー104が縦方向の力を全くまたはほとんど受けないように、選ばれるべきである。概して、チューブ404の内壁がメッシュ構造102の円柱状部分806(
図8)にのみ接触し、かつチューブ404の内壁がメッシュ構造102の近位カーブ部分808に接触しないかまたは接触が最小である時に、これらの目標が満たされる。あるいは、概して、チューブ404の内壁が、ポンプハウジングの最大外径部またはその付近で、かつインペラーの近くで、ポンプハウジングに接触するように、テーパ角800が選択された時に、これらの目標が満たされ得る。部分的には、チューブボア700の幾何学形状は、メッシュ構造102内のインペラー104の軸方向ポジションに少なくとも部分的に依存する可能性がある。
【0065】
とはいえ、テーパしたボア700を伴うチューブ404は、ワイヤ引抜きダイなどのダイとは区別可能である。
図9は例示的な従来のダイ900の断面図である。ダイは、材料を形作るための従来のデバイスであり、物体の断面寸法をアパーチャー902の寸法まで低減させるために、ワイヤ906によって例示される物体を引いて(矢印904によって示されるように引き抜いて)通すための、アパーチャー902によって例示されるアパーチャーを規定する。アパーチャー902は、908において示されるように、テーパしていてもよい。しかし、ハッチマーク910の間隔の増大によって示されているように、引抜きの結果として物体906の長さは必然的に増大する。長さが増大するのは、物体906が、放射方向に圧縮可能な血液ポンプ100のような弾性ではなく、中実であり本質的に非圧縮性であるからである。さらに、従来のワイヤ引抜きダイのテーパ908は、本明細書に説明するテーパ角800またはテーパ比よりはるかに急である。
【0066】
物体906がダイ900を通して引かれる際に、ワイヤの体積は同じままである。したがって、ワイヤの直径が低減するにつれて、ワイヤ906の長さが必然的に増大する。さらに、ワイヤ引抜きの過程は、冷間加工のゆえに、ワイヤの材料特性を変化させる。
【0067】
対照的に、本明細書に説明するクリンプツール400は、チューブ404が徐々にテーパしていることによって、心臓ポンプ100を損傷させることなく心臓ポンプ100を弾性的に圧縮する(クリンプする)。本質的に、クリンプツール400は、ワイヤ引抜きダイと異なり、心臓ポンプ100の体積を低減させる。
【0068】
任意的なラッチ
図7を参照して言及したように、クリンプツール400は、任意で、移送シース401の遠位端部分402をハブ406内で解放可能に拘束するためのラッチ410を含んでいてもよい。
図6は移送シース401の遠位端部分402の拡大斜視図であり、遠位端部分402をハブ406内で解放可能に拘束するためにラッチ410によって係合されてもよい機械的特徴600を示している。ラッチ410は、移送シース401の遠位端部分402の特徴600がラッチ410に入ったことに応答して弾性的に変形するように構成されている。ラッチ410は、特徴600がラッチ410内にさらに挿入された際に特徴600を機械的に捕捉して遠位端部分402をハブ406内で拘束するために、少なくとも部分的にリバウンドするようにさらに構成されている。ラッチ410は、ラッチ410を弾性的に変形させて移送シース401の特徴600をハブ406から解放するために人間のユーザーが押すことができる、ボタンなどのアクチュエーターを含む。ラッチ410の詳細を本明細書に説明する。
【0069】
図4~6、17~23、および25に示す態様において、移送シース401の近位側の長さの大部分は、その長さに沿って比較的一定した外径602を有する。しかし、遠位側の縦方向部分604は、外径602より小さい外径606を有する。加えて、縦方向部分608は、これも移送シース401の近位部分の大部分の外径602より小さい外径610を有する。いくつかの態様において、外径606と610とは等しい;しかし、他の態様において、外径606と610とは必ずしも等しくない。
【0070】
部分604、608、および612について、円形の断面形状が示されているが、他の断面形状が用いられてもよい。例えば、断面形状は三角形であってもよく、または、六角形のボルトヘッドの2つの辺と同様の2つの平行なフェースカットを備えた円形であってもよい。任意でまたは代替的に、凹んでいるのとは反対に盛り上がっている、例えばリッジまたはバンプなどの特徴が用いられてもよい。ハブ406の内径および/またはラッチ410における開口部の形状は、ハブ406内への移送シース401の遠位端部分402の挿入および/またはラッチ410による遠位端部分402の捕捉を容易にするために、適宜改変されてもよい。
【0071】
部分604および608は、その外径614が外径606および610より大きい、別の縦方向部分612によって、互いから縦方向に離されている。いくつかの態様において、外径614は外径602と等しい;しかし、他の態様において、外径614と602とは必ずしも等しくない。直径606と614との差は第一の肩部616を規定する。直径614と610との差は第二の肩部618を規定する。直径610と602との差は第三の肩部620を規定する。肩部616~620は移送シース401の縦軸622に垂直な段差として示されているが、他の態様において、肩部616~620のうちの1つまたは複数がスロープまたはカーブになっていてもよい。
【0072】
言及したように、
図10は、
図7と同様であるが心臓ポンプ100を欠きかつラッチ410を欠いている、クリンプツール400の断面図である。
図11はハブ406の端面図である。
図12はラッチ410の斜視図であり、
図13はラッチ410を欠いているハブ406の斜視図である。
図14はラッチ410の背面図であり、
図15はラッチ410の部分断面図であり、
図16はラッチ410の前面図である。
【0073】
図17は、ラッチ410を欠くが、移送シース401の遠位端部分402がハブ406内に配されている、ハブ406の断面図である。
図19~23は、ラッチ410内に漸進的に挿入されている移送シース401の遠位端部分402の斜視図である。明瞭さのためハブ406は
図19~23から省略されている。
【0074】
図12を参照すると、ラッチ410は、2つの弾性の弓状ピラー(第一および第二ピラー)1200および1202を含む。弓形形状のそれぞれの凹状の側面1204および1206は互いに向き合う。アクチュエーター1208がネック1210によって第一および第二ピラー1200および1202に機械的に連結されている。任意で、ラッチ410が、第一および第二ピラー1200および1202の、アクチュエーター1208とは反対側に、位置決めピン1212を含む。
【0075】
(
図12と13との間に延びている)長短が交互になった破線1300は、ラッチ410がどのようにハブ406内にフィットするかを示す。2つのピラー1200および1202が、ハブ406によって規定されるアパーチャー1006(
図10および13)を通ってフィットするよう、ピラー1200と1202との間の間隔を一時的に狭めるために、2つのピラー1200および1202は、矢印1214によって示されるように、互いに向かって弾性的にスクィーズされる。位置決めピン1212は、ハブ406の底部における開口部1008(
図10)内にフィットする。代替的に、ハブ406が上向きに方向づけされた位置決めピンを含み、ラッチ410が開口部を規定する。ラッチ410がハブ406から不注意で外れることを防ぐために、2つのピラー1200および1202は、ハブ406内に配されると、元の形状に向かって少なくとも部分的にリバウンドし、そして、ハブ406によって規定される、空隙1302によって例示されるそれぞれの空隙に入る。
図18は、ラッチ410がハブ406内に装着されている、ハブ406およびラッチ410の断面図である。
【0076】
言及したように、
図14および16はそれぞれラッチ410の背面図および前面図である。第一および第二ピラー1200および1202は、その間の細長の開口部1400を集合的に規定する。言及したように、第一および第二ピラー1200~1202は弾性である。したがって、ピラー1200~1202の底部(位置決めピン1212の近傍)が拘束されている間に、矢印1401によって示されるように力が垂直方向にピラー1200~1202に印加されると、矢印1403によって示されるようにピラー1200~1202が外向きに変形する。加えて、開口部1400の中心1405がわずかに下に動く。しかし、本開示および添付の特許請求の範囲の目的について、中心1405のこの垂直の動きは無視し、中心1405はラッチ410に対して固定されていると仮定する。
図18に見られるように、ハブボア1000はチューブボア700と同軸上に開口部1400を通って延在している。
【0077】
再び
図14を参照すると、各ピラー1200および1202はそれぞれの後面1402または1404を有し、そして
図16を参照すると、各ピラー1200および1202はそれぞれの前面1602または1604を有する。開口部1400は前面1602~1604から後面1402~1404まで延在して通路1500(
図15)を規定する。通路1500は、前面1602~1604より後面1402~1404でより狭くなるようにテーパしている。後面1402~1404における開口部1400の幅が1406に示されており、前面1602~1604における開口部1400の幅が1605に示されている。このテーパは、通路1500の側壁1606および1608が
図16の前面図において視認できるが
図14の背面図においては視認できないことから明白である。
【0078】
このテーパのゆえに、移送シース401の遠位端部分402が前面1200~1202にて開口部1400内に挿入される際に(
図19)、いくつかの態様において、遠位端部分402が、2つのピラー1200および1202をひずませながら、矢印1610(
図16および20)によって示されるようにピラー1200および1202を引き離す。ピラー1200および1202は、移送シース401の遠位端部分402の挿入に応答して、互いから離れる方向に弾性的にずれるように構成されている。
【0079】
移送シース401の遠位端部分402が開口部1400を通ってさらに進められるにつれて(
図21)、ピラー1200および1202の弾性と変形とによって、側壁1606および1608が移送シース401の外壁にもたれかかる。
【0080】
図22に示すように、移送シース401の部分612が開口部1400に入る時に、矢印2200によって示されるように、部分612がピラー1200および1202をさらに弾性的に離れさせる。すなわち、第一の肩部616(
図6)がピラー1200および1202を引き離す。いくつかの態様において、移送シース401の遠位端部分402は、ピラー1200および1202を互いから離れる方向にずれさせるほど十分には外径が大きくない。代わりに、ピラー1200および1202は、まず第一の肩部616によって互いから離れる方向にずれる。
【0081】
図23に示すように、移送シース401の部分612が開口部1400から出ると、矢印2300によって示されるようにピラー1200および1202がリバウンドして、移送シース401の部分608の外径610にもたれる。部分608はピラー1200および1202の幅1502(
図15)を受け入れられるだけ十分に縦方向に長い。肩部2000と2002との間で規定されるノッチ2100(
図21)内にピラー1200および1202が落ち込むと、移送シース401の部分の外径610および614が変わるところで規定される第二の肩部618(
図6および20)が、移送シース401の縦方向の移動を制限または防止する。任意で、ピラー1200および1202がノッチ2100内に落ち込んだら、第三の肩部620もまた移送シース401の縦方向の移動を制限または防止してもよい。第二の肩部618は、移送シース401の遠位端部分402をハブ406内に解放可能に拘束するためにラッチ410によって係合されてもよい機械的特徴600を規定する。任意で、ピラー1200および1202がノッチ2100内に落ち込んだら、移送シース401がさらにハブ406内に縦方向に移動することを防止または制限するために、機械的特徴600がノッチ2100および/または第三の肩部620もまた含んでいてもよい。
【0082】
ハブ(続き)
言及したように、
図10は、心臓ポンプ100を欠きかつラッチ410を欠いている、クリンプツール400の断面図である。ハブ406の各内径(集合的に内部プロフィル1010)は、予期される製造公差を考慮に入れてハブ406の内壁と遠位端部分402の外壁との間に少なくとも隙間嵌めのための十分な間隔をもたせて、移送シース401の遠位端部分402の外径606、614、610、および602(
図6)にマッチするべきである。
【0083】
ハブ406は、移送シース401をハブボア1000内にどれだけ遠く挿入できるかを制限するためのストップとして作用する、ハブボア1000内の肩部1012を規定する。
図17は、ラッチ410を欠くが、移送シース401の遠位端部分402がハブ406内に配されている、ハブ406の断面図である。肩部1012は、移送シース401の遠位端部分402の第一の肩部616をハブ406内にどれだけ遠く挿入できるかを制限する。肩部1012のポジションおよび移送シース401の遠位の縦方向部分604の長さ1700は、移送シース401がハブボア1000内にいっぱいまで挿入された時、すなわち第一の肩部616がストップ1012に接した時に、移送シース401の最遠位端部分601がハブボア1000内で規定される肩部1702に届かず、代わりに最遠位端部分601が肩部1702から小さい距離1704だけの間隔が空けられるように、選択されるべきである。間隔1704は移送シース401の最遠位端部分601の損傷を防ぐ。
【0084】
ゆえに、移送シース401の遠位端部分402をハブ406内に拘束するには、単に、第一の肩部616がストップ1012に接触するまで遠位端部分402をハブボア1000内に挿入すればよい。その挿入距離において、
図23に関して述べたようにピラー1200および1202がリバウンドして、肩部618(
図20)が移送シース401の縦方向の引き戻しを防ぐ。
【0085】
遠位端部分402をハブ406から解放するには、ユーザーがアクチュエーター1208を押す。アクチュエーター1208は人間によって作動するように構成されている。アクチュエーター1208は、ハブ406内にフィットされた時に、矢印1800(
図18)によって示される方向に人間のユーザーが押すことができる押しボタン(例えば
図5および18において見える)となる。ラッチ410のネック1210は、ハブ406によって規定される肩部1802からアクチュエーター1208が距離1804だけ盛り上がっているように、十分に長い。肩部1802はアクチュエーター1208の下向き1800の移動を制限する。
【0086】
図24および25に図示するように、ピラー1200および1202の底部が拘束されている間にアクチュエーター1208を下1800に押すと、矢印2402によって示されるようにピラー1202および1204が外向きに曲がり、それによって開口部1400の幅1406が増大する。距離1804(
図18)と、ピラー1202および1204の幾何学形状と材料とは、距離1804を超えない距離だけアクチュエーター1208を押すことによって、開口部1400が少なくとも遠位端部分402の部分612の外径614(
図6)まで広がるように、選ばれる。結果的に、部分612が通路1500の側壁1606および1608(
図16)を通れるようになり、矢印2500によって示されるように遠位端部分402をハブ406から引き出すことができる。
【0087】
チューブ404の縦軸1014(
図10)に沿って見た場合、開口部1400は偏心しているが、開口部1400は楕円形である必要はない。本明細書において「偏心している(eccentric)」は、形状が円形からどれくらい逸脱しているかを意味する。偏心率は、長軸寸法1408(
図14)と短軸寸法1406または1605(
図14および16)との比として取られ得る。本質的に、ピラー1200および1202は偏心したラジアルばねを形成し、ラジアルばねの偏心率はアクチュエーター1208を押すことによって低減できる。
【0088】
アクチュエーター1208は、押下されるかまたは押下されないかのいずれかであり得る。ゆえに、アクチュエーター1208は作動モードと非作動モードとを有すると考えることができる;ここで、アクチュエーター1208を押下するとアクチュエーターが作動モードになり、アクチュエーター1208を押下しないかまたは解放するとアクチュエーターが非作動モードになる。
【0089】
言及したように、アクチュエーター1208を押すとピラー1200および1202が曲がる。ゆえに、2つのピラー1200および1202の各々は、開口部1400の幅1406を増大させて移送シース401の遠位端部分402をハブ406から解放するために、矢印2402によって示されるように外向きに曲げられてもよく、または、ピラー1200および1202は、それぞれの曲げられていない形状にあってもよい。ゆえに、各ピラー1200および1202は作動モードと非作動モードとを有すると考えることができる;ここで、アクチュエーター1208が押された結果として曲げられているとピラー1200および1202は作動モードになり、リバウンドするかまたは曲げられていないとピラー1200および1202は非作動モードになる。
【0090】
各ピラー1200および1202はアクチュエーター1208に機械的に連結され、かつ、アクチュエーター1208の作動に応答して非作動モードから作動モードへと弾性的に移行するように構成されている。言及したように、ピラー1200および1202はそれらの間で開口部1400を集合的に規定する。ピラー1200および1202の非作動モードにおいて、チューブ404の縦軸1014(
図10)に沿って見た場合、開口部1400の最小寸法1406(
図14)は、ピラー1200および1202の作動モードにおける場合より小さい。
【0091】
言及したように、移送シース401の遠位端部分402、または第一の肩部616をハブ406内に挿入すると、開口部1400の幅1406が増大する。幅1406のこの増大はアクチュエーター1208が押されることを必要としない。ゆえに、ピラー1200および1202は、アクチュエーター1208の作動とは独立に、互いから離れる方向に弾性的にずれるように構成されている。
【0092】
対称的なピラー1200および1202を伴ったラッチ410を説明してきたが、他の態様においてピラーが必ずしも対称的でなくてもよい。例えば、ピラーが互いに対して斜めであってもよい。第一ピラーが弓形形状をしていてもよく、かつ別のピラーがまっすぐであるかまたは第一ピラーとは異なる別の形状を有していてもよい。いくつかの態様は、2つより多いかまたは少ないピラーを有する。
【0093】
ピールアウェイ式シース
いくつかの態様において、圧縮された心臓ポンプ100が管状シース401から取り出されたら管状シース401を引き裂くことを容易にするために、
図26に示すように、管状シース401は、領域2600によって例示される、管状シース401を脆弱化する1つ、2つ、またはそれ以上の平行な縦方向領域を規定する。例えば各領域2600は、矢印2606によって示されるように耳部2602および2604が引き離された時に既定かつ制御された壁内の破損を促すために、管状シース401の壁厚を低減させる溝を規定する。他の点に関して、
図26の管状シース401は本開示の他所に説明した管状シース401と同様であり、管状シース401の説明は
図26の管状シースに準用される。例えば、本明細書に説明するように遠位端部分402をハブ406内で解放可能に拘束するために、管状シース401の機械的特徴600がラッチ410または代替的なラッチによって係合されてもよい。
【0094】
代替的なラッチ
言及したように、矢印1401(
図4)によって示されるように力が垂直方向にピラー1200~1202に印加されると、矢印1403によって示されるようにピラー1200~1202が外向きに変形し、それによって開口部1400の幅1406を増大させて、管状シース401の機械的特徴600を解放するように、ラッチ410は2つの弾性の弓状ピラー1200および1202を有する。しかし、代替的なラッチも企図されている。
【0095】
第一の代替的なラッチ2900を
図29に示す。この態様において、ラッチ2900が作動された時、すなわち力1800が垂直方向下向きにアクチュエーター1208に印加された時に、ピラー2902および2904が著しく変形することはなく、細長の開口部1400の幅2906が著しく変化することはない。代わりに、ばね2910が垂直方向に圧縮し、ゆえに、矢印2912によって示されるように、開口部1400の細長の軸に沿って開口部1400が下向きに並進する。この態様において、開口部1400の幅2906は、ピラー2902~2904を外向きに著しく変形させることなく、遠位端部分402の部分612が開口部1400を通過できるだけの十分な幅である。すなわち、幅2906は少なくとも直径614(
図6)に等しい。
【0096】
開口部1400の中心1405は、ハブボア1000およびテーパ状チューブボア700の縦軸より上にある。ハブボア1000およびチューブボア700のおよその相対的ポジションが点線の円2914によって示されている。移送シース401の遠位端部分402をラッチ2900内に挿入すると、ピラー2902~2904の前面(ラッチ410の前面1602~1604に対応)から後面(ラッチ410の後面1402~1404に対応)までの通路1500のテーパのゆえに、ピラー2902~2904が下向きに並進する。この下向きの並進がばね2910を圧縮する。しかし、移送シース401の部分612が開口部1400を通って並進すると、ばね2910がリバウンドし、細長の開口部1400が上向きに並進し、そしてラッチ2900が機械的特徴600を捕捉する。
【0097】
ラッチ2900は、開口部1400を再び下げて機械的特徴600を解放するために、アクチュエーター1208を押下することによって解放できる。他の点に関して、ラッチ2900はラッチ410と同様であり、ラッチ410の説明はラッチ2900に準用して適用される。
【0098】
第二の代替的なラッチ3000を
図30に示す。第二の代替的なラッチ3000は、管状シース401の遠位端部分402の周りにクリンプするねじ式の圧縮フィッティングを含む。このケースにおいて、遠位端部分402が必ずしも機械的特徴600を規定する必要はない。遠位端部分402は外径が一定していてもよい。ハブ406の残りの部分は破線3002で示されている。
【0099】
第三の代替的なラッチ3100を
図31に示す。第三の代替的なラッチ3100は、Luerコネクターなど、相補的な雄ねじおよび雌ねじコネクター3102および3104を含む。2つのねじコネクター3102または3104のうちの1つは、ハブ406に接続されるかまたはその一部であり、2つのねじコネクター3102または3104のうち他方は、管状シース401の遠位端部分402に接続されるかまたはその一部である。この態様において、管状シース401は、相補的な雄ねじおよび雌ねじコネクター3102および3104を嵌合させることによって、取り外し可能式にハブ401に取り付けられていてもよい。
【0100】
ボールデテント、スナップロック、またはロッキングピンなど、他のラッチ機構もまた企図されている。
【0101】
イントロデューサー
図27は、本開示の一態様に基づく、イントロデューサー2700の一部分の断面図である。イントロデューサー2700はイントロデューサーシース2702とハブ2704とを含む。イントロデューサー2700とともに拡張器(図示せず)が用いられてもよい。ハブ2704は、イントロデューサーシース2702と同軸のハブボア2706を規定する。ハブボア2706の一端2705はイントロデューサーシース2702の近位端2707に連結されている。クリンプツール400のハブ406が移送シース401の遠位端部分402を受けるように構成されているのと同様に、ハブボア2706の他端2708は、移送シース401の遠位端部分402をイントロデューサーシース2702と概ね同軸上に受けるように構成されている。
【0102】
任意で、いくつかの態様において、本明細書に説明するように管状シース401の遠位端部分402を解放可能に拘束するために、
図4、5、7、12~16、および18~25、または29に関して本明細書に説明するように、ハブ2704はラッチ410または2900を含む。いくつかの態様において、イントロデューサーハブ2704は、移送シース401のイントロデューサーシース2702および/または遠位端部分402の周囲を解放可能に締め付けて、シースまたは遠位端部分を所定の位置で解放可能にホールドして液密なシールを提供するために、Tuohy-Borst弁2710によって例示される1つまたは複数のTuohy-Borstアダプターを含む。本質的に、そうした弁2710はねじ式の圧縮フィッティングラッチを提供する。代替的に、ハブ2704は本明細書に説明するラッチ3100を含む。任意で、イントロデューサーハブ2704はパージポート2710を規定する。例えば、イントロデューサーハブ2704は、組み合わせリングスリット弁(combination ring and slit valve)2712を含んでいてもよい。スリット弁部分は、カテーテル110および/またはシース402がイントロデューサーハブ2704内にない時にシールし、リング弁は、移送シース401の遠位端部分402、カテーテル110、または拡張器が所定の位置にある時にシールする。
【0103】
イントロデューサーハブ2704は、止血を維持するために、必要に応じて1つまたは複数の弁を含んでいてもよい。他の点に関して、
図27のイントロデューサーハブ2704は本開示の他所に説明したハブ406と同様であり、それらの説明はハブ2704に準用される。例えば、ハブボア2706は、
図10に関して説明した内部プロフィル1010と同様の内部プロフィルを規定してもよい。代替的または追加的に、1つもしくは複数の弁、および/またはそれぞれの弁受けと一緒に内部プロフィルが形成されてもよい。
【0104】
易破壊性クリンプツール
言及したように、かつ
図28に示すように、いくつかの態様において、管状シース401の遠位端部分402は、易破壊性部分2800などによってテーパ状チューブ404の近位端408に取り外し可能式に取り付けられており、テーパ状チューブ404と管状シース401との間に必ずしもハブを含まない。管状シース401の遠位端部分402は、易破壊性部分2800によって、テーパ状チューブ404の近位端408に同軸上に連結されている。これらの態様において、クリンプされたポンプがカテーテル110によって管状シース401内に引き入れられると、易破壊性部分2800が壊されて管状シース401がテーパ状チューブ404から自由になる。易破壊性部分2800が壊される前のテーパ状チューブ404と管状シース401とを集合的にクリンプツール2802と呼ぶ。任意で、圧縮された心臓ポンプ100が管状シース401から取り出されたら管状シース401を引き裂くことを容易にするために、
図26に関して述べたように、管状シース401は、領域2600によって例示される、管状シース401を脆弱化する1つ、2つ、またはそれ以上の平行な縦方向領域を規定する。他の点に関して、クリンプツール2802のテーパ状チューブ404および管状シース401は、本明細書の他所に説明したものと同様である。
【0105】
方法
図32は、血液ポンプをクリンプするための方法3200を模式的に例証したフローチャートである。方法3200は、例えば、本明細書に説明したクリンプツール400を用いて行われてもよい。本方法は、血液ポンプをテーパ状縦方向チューブボアの遠位端の内部に配する段階3202を含む。チューブボアは細長チューブによって規定される。チューブボアは少なくとも長さ約30 mmである。チューブボアは、(a)チューブボアの遠位端におけるポンプの少なくともおよそ最大外寸から、(b)チューブボアの近位端における最大で約4 mmの直径まで、チューブボアの長さに沿ってテーパする内寸を有する。
【0106】
3204において、血液ポンプは、チューブボアの近位端に向かう方向においてチューブボアを通って並進し、それは、血液ポンプがチューブボアを通って並進する際に血液ポンプの外面を細長チューブの内面と接触させることを含み、それによって血液ポンプをクリンプしてクリンプされた血液ポンプをもたらす。
【0107】
いくつかの態様において、血液ポンプを並進させる段階は、チューブボアを通って血液ポンプを引くことを含む。しかし、原理上、血液ポンプを並進させる段階が、チューブボアを通って血液ポンプを押すことを含んでもよい。
【0108】
いくつかの態様において、チューブボアの遠位端の内寸は少なくとも約7 mmである。いくつかの態様において、チューブボアの近位端の内寸は最大で約4 mmである。いくつかの態様において、チューブボアの遠位端の内寸は少なくとも約7 mmであり、かつチューブボアの近位端の内寸は最大で約4 mmである。いくつかの態様において、チューブボアは少なくとも長さ約50 mmである。いくつかの態様において、チューブボアは少なくとも長さ約100 mmである。いくつかの態様において、チューブボアは少なくとも長さ約170 mmである。いくつかの態様において、チューブボアは少なくとも長さ約300 mmである。
【0109】
任意で、テーパ状チューブボアを規定する、チューブの内壁が、チューブの縦軸に対して約2°未満の角度で延在していてもよい。任意で、(a)チューブボアの内径の変化と(b)チューブの縦軸に沿ったテーパの長さの比として計算される、テーパ状チューブボアのテーパ比は、約1:14を超えないのであってもよい。
【0110】
任意で、3206において、管状シースはチューブボアの近位端と実質的に同軸上に配されてもよい。任意で、3208において、クリンプされた血液ポンプの外寸を実質的に変化させることなく、クリンプされた血液ポンプは、チューブボアの近位端から管状シースまで並進してもよい。
【0111】
クリンプされた血液ポンプをチューブボアの近位端から管状シースまで並進させる段階3208は、(a)管状シースの遠位端部分をハブ内で解放可能に拘束する段階3210を含んでもよい。ハブはチューブの近位端に取り付けられている。ハブは、ハブを通りチューブボアと同軸上にあるハブボアを規定する。ハブボアの一端はチューブボアの近位端に連結されている。ハブボアの他端は、管状シースの遠位端部分をチューブボアと実質的に同軸上に受けるように構成されている。クリンプされた血液ポンプをチューブボアの近位端から管状シースまで並進させる段階3208は、(b)クリンプされた血液ポンプをハブボアを通して並進させる段階3212もまた含んでもよい。任意で、本方法は、管状シースの遠位端部分をハブから解放する段階3214をさらに含んでもよい。
【0112】
任意で、本方法は、クリンプされた血液ポンプを管状シースから出て患者の脈管構造内に入るように並進させる段階3216、および、クリンプされた血液ポンプが脈管構造内で弾性的に伸展することを可能にする段階3218を含んでもよい。
【0113】
図33は、血液ポンプをクリンプするための別の方法3300を模式的に例証したフローチャートである。方法3300は、例えば、
図28に関して本明細書に説明したクリンプツール2802を用いて行われてもよい。方法3300は、血液ポンプをテーパ状縦方向チューブボアの遠位端の内部に配する段階3302を含む。チューブボアは細長チューブによって規定される。チューブの近位端が、管状シースの遠位端に同軸上かつ易破壊的に取り付けられている。管状シースは内寸を有する。チューブボアは少なくとも長さ約30 mmである。チューブボアは、(a)チューブボアの遠位端における血液ポンプの少なくともおよそ最大外寸から、(b)チューブボアの近位端における管状シースのおよそ内寸まで、チューブボアの長さに沿ってテーパする内寸を有する。
【0114】
3304において、血液ポンプは、チューブボアの近位端に向かう方向においてチューブボアを通って並進し、それは、血液ポンプがチューブボアを通って並進する際に血液ポンプの外面を細長チューブの内面と接触させることを含み、それによって血液ポンプをクリンプしてクリンプされた血液ポンプをもたらす。3306において、クリンプされた血液ポンプの外寸を実質的に変化させることなく、クリンプされた血液ポンプは、チューブボアの近位端から管状シースまで並進する。3308において、クリンプされた血液ポンプが管状シース内に配された状態で、管状シースがチューブから易破壊的に取り外される。
【0115】
カテーテル指標
いくつかの態様において、圧縮可能かつ伸展可能な血液ポンプシステムをクリンプ、挿入、ポジショニング、および/または使用するさまざまな局面を補助するために、カテーテル上に1つまたは複数の指標が提供されてもよい。
図34は、本明細書に説明するように、クリンプツール400を介して血液ポンプをクリンプする間、およびクリンプされた血液ポンプを移送シース401内に後退させる間に助けとなり得る、カテーテル110上の後退指標112を含む血液ポンプ100の一態様を描写している。
【0116】
例えばいくつかの実施形態において、(例えばクリンプツール400および/または移送シース401が不透明であると)血液ポンプが移送シース内にいっぱいまで引き出されたかを決定することが難しい可能性がある。そうした実施例において、血液ポンプ100が十分に後退していないと、移送シース401がクリンプツール400から脱係合された時にピッグテール106など血液ポンプ100の一部分が移送シース401から出て延在している可能性があり、それは血液ポンプ100をイントロデューサー内に挿入できる可能性に干渉する可能性があり、かつ/または血液ポンプ100の損傷をもたらす可能性がある。さらに、そうした事例において、移送シース401は、血液ポンプ100が移送シース内に引き出されすぎると血液ポンプ100を損傷する可能性がある、1つまたは複数の内部特徴を含む可能性がある。したがって、後退指標112は、クリンプされた血液ポンプが正しいまたは望ましいポジションまで移送シース401内に引き入れられた時に後退指標が移送シース401の近位端422の近位側で露出するように、カテーテル110上にポジショニングされてもよい。
図34に示すように、後退指標112はバンド(例えば、カテーテルの周囲を囲んで延在している色付きのバンド)を含んでもよい。認識されるように、指標は、クリンプツールおよび移送シース内への血液ポンプの後退を止めるための、ユーザーに対する他の好適な視覚的手がかりを含んでもよい。例えば、後退指標は、絵もしくはアイコン(例えば停止サイン)、またはテキスト(例えば「停止(STOP)」)を含んでもよい。
【0117】
本明細書に説明するように、ユーザーは、血液ポンプ100をクリンプして患者体内に挿入できるように準備するために、クリンプツール400とクリンプツール400に連結された移送シース401とを通して血液ポンプ100を引いてもよい。このプロセス中に、後退指標112が移送シースの近位端422から出現するのが見えたら、それが、ユーザーが引くのを停止すべきであること、およびポンプが移送シース401内に適切に受けられたことを示す、視覚的な指示を提供してもよい。続いて、ユーザーは移送シース401をクリンプツール400から脱係合してもよく、かつ、上述したように、クリンプされた血液ポンプ100をイントロデューサーを介して患者体内に挿入することに進んでもよい。
【0118】
前述のことに鑑みて、カテーテル110上の後退指標112のポジションは、血液ポンプ100および移送シース401の寸法に基づいて選択されてもよい。例えば、第一の指標112は、血液ポンプが移送シース内に後退された時に、移送シース内で伸ばされている可能性があるピッグテールの遠位端が移送シース401内にありかつ移送シースの遠位端450と隣り合うように、カテーテル110上の、移送シース401の長さに対応するポジションに位置していてもよい。いくつかの事例において、後退指標が移送シース401の近位端422の外側でちょうど視認可能になった時に、ピッグテールの遠位端が移送シース401の遠位端450から既定の距離(例えば約0.1~約5 cm)だけ間隔が空くように、後退指標112のポジションが選択されてもよい。しかし、本開示はピッグテール106の端部と移送シース401の遠位端450との間に特定の間隔が空くことに限定されるわけではないこと、および、後退指標112は移送シース401内におけるクリンプされた血液ポンプ100の適切なポジションに対応する任意の好適な位置にポジショニングされてよいことが、認識されるべきである。
【0119】
後退指標は、ユーザーが移送シース401内への血液ポンプ100の後退を停止すべきポイントを示すものとして上述したが、他のアプローチが好適である可能性もある。例えばいくつかの態様において、後退指標112は、クリンプされた血液ポンプ100が移送シース401内に許容可能的にポジショニングされ得る「安全ゾーン(safe zone)」を示すようにアレンジされてもよく、かつユーザーは、「安全ゾーン」のいずれかの部分が移送シース401の近位端422の外側で視認可能である間に血液ポンプの後退を停止してもよい。このような態様において、「安全ゾーン」の全体が移送シースの外側で視認可能になることは、血液ポンプが後退されすぎたことを示す可能性がある。
【0120】
いくつかの態様において、「安全ゾーン」はカテーテル110上の細長のバンドとして形成されてもよい。「安全ゾーン」はまた、カテーテルに沿って延在している複数のバンドを介して形成されてもよい。そうした態様において、細長のバンドまたは複数のバンドは、同じ色であってもよく、または異なる色を有してもよい。例えば一例証的態様において、「安全ゾーン」の終わりに近づいていること、およびユーザーがカテーテルを移送シース内に引くことを停止する必要があることを、ユーザーに示すために、細長のバンドは、(例えば安全ゾーンの長さに沿って、かつカテーテルの長さに沿って延在している)赤色、黄色、および緑色を有してもよい。
【0121】
再び
図34を参照すると、いくつかの態様において、血液ポンプ100は、クリンプされた血液ポンプ100を、上述したように患者の脈管構造内に受けられるイントロデューサー(描写せず)を通して挿入する間に補助し得る、前進指標114を含んでもよい。例えば、クリンプされた血液ポンプ100がイントロデューサーを通って前進される間に、クリンプされた血液ポンプ100はイントロデューサーの管腔内で液密なシールを形成する可能性がある。しかし、クリンプされた血液ポンプ100がイントロデューサーの遠位端から出現して伸展する(これを管状メッシュ構造102を含むポンプハウジングの「ハッチング(hatching)」と呼ぶこともある)時に、イントロデューサーの管腔はもはや閉塞されておらず、血液がイントロデューサーと移送シース401とを通って患者体外まで逆流できる可能性があり、ゆえに望ましくない出血につながる可能性がある。したがって、前進指標114は、カテーテル110上の、血液ポンプがイントロデューサーから出現しそうであるかまたは出現したばかりであること(すなわち、圧縮された血液ポンプが「ハッチ」しそうであるかまたは「ハッチ」したばかりであること)を示す位置に、提供されてもよい。例えば、前進指標114は、前進指標114が移送シース401の近位端422と隣り合った時に、イントロデューサーの内部とともにシール性の係合を提供する血液ポンプ100の圧縮部分がイントロデューサーの遠位端から出現しそうであるかまたは出現したばかりとなるように、カテーテル110上にポジショニングされてもよい。このことは、イントロデューサーシースのハブ内の1つまたは複数の弁がカテーテル110上にシールして止血を提供し、ゆえに出血を回避するように、ユーザーが移送シース401をイントロデューサーから脱係合すべきであるという、視覚的な指示を提供する。上述したように、いくつかの態様において、移送シース401は、カテーテル110から剥ぎ取られかつ除去されることを可能にする特徴を含んでいてもよい。そうした態様において、ユーザーは、前進指標114が移送シース410の近位端422内まで前進されそうであることを見た時に、血液ポンプの前進を停止し、移送シース401をイントロデューサーから脱係合し、移送シースを剥ぎ取り、それに続いて、イントロデューサーを通して血液ポンプを引き続き前進させてもよい。
【0122】
前述のことに鑑みて、カテーテル110上の前進指標112のポジションは、血液ポンプ100、移送シース401、およびイントロデューサーの寸法に基づいて選択されてもよい。例えば、前進指標112は、移送シースがイントロデューサーと係合された時のイントロデューサーと移送シース401とを組み合わせた長さに対応する、カテーテル110に沿った距離だけ、管状メッシュ102から近位方向に間隔が空けられてもよい。
【0123】
後退指標と同様に、前進指標112は、イントロデューサーシースのハブ内の1つまたは複数の弁がカテーテル上にシールし得るように、ユーザーが移送シースをイントロデューサーから脱係合すべき時にこれを示すための、単一のバンド、細長のバンド、複数のバンド、または他の好適な指標を含んでいてもよい。
【0124】
いくつかの態様において、複数のポジション指標116もまたカテーテル110に提供されてもよく、かつ、血液ポンプ100が患者体内に受けられた時にそのポジションを評価することを助けてもよい。例えば、ポジション指標116は既定の隔たり(例えば、1 cm間隔、2 cm間隔、または他の任意の好適な間隔)にある複数の線を含んでいてもよく、ゆえにユーザーは、血液ポンプを前進または後退させながらポジション指標116を観察することによって、患者の脈管構造内で望ましい距離だけ血液ポンプを前進または後退できる可能性がある。さらに、いくつかの事例において、ポジション指標116は、移送シースおよび/またはイントロデューサーを通してカテーテルを挿入する時にカテーテルを前進させるべきである有利なステップ距離(step distance)を示してもよい。そうした有利なステップ距離(例えば約2 cm)は、カテーテル前進中の曲げ、座屈、キンク、または他の任意のタイプの望ましくないカテーテル変形を回避するように選択されてもよい。
【0125】
本開示はカテーテル110上に形成された指標を含む血液ポンプに必ずしも限定されるわけではないこと、ならびに、血液ポンプが、後退指標112、前進指標114、および/または留置指標116の任意の好適な組み合わせを含んでいてよいことが、認識されるべきである。さらに、カテーテル110の色と対比をなす1色もしくは複数色によるパッド印刷、または、カテーテル110上で対比的な色および/もしくはテクスチャを形成するためのエッチング(例えばレーザーエッチング)など、任意の好適な様式でさまざまな指標がカテーテル上に形成されてもよいことが、理解されるべきである。いくつかの事例において、カテーテルは、さまざまな指標に対応する位置において、異なる材料および/または異なる色の材料から形成されてもよい。
【0126】
本出願は例示的諸態様を説明しているが、本明細書に開示する発明の概念から逸脱することなく、例証した態様に対する改変およびバリエーションが可能である。例えば、ピラー1200および1202の数および形状、チューブ404の長さ、内径および外径、テーパ比およびテーパ角などの具体的なパラメーター値が開示態様との関連において具陳される可能性があるが、本開示の範囲内において、すべてのパラメーターの値が、異なる用途に適するよう広範囲にわたって変動し得る。文脈中に別段の提示がない限り、または当業者により別段に理解されるのでない限り、「約(about)」などの用語は±20%以内を意味する。
【0127】
特許請求の範囲も含めて、ほとんどの態様において、心臓ポンプ100、および管状移送シース401などの管状シースは、クリンプツール400に対するワークピースであり、クリンプツール400の要素ではない。
【0128】
本明細書および特許請求の範囲において、項目のリストに関連して用いる「および(ならびに)/もしくは(または)(and/or)」という用語は、リスト内の項目のうちの1つまたは複数、すなわち、リスト内の項目のうち少なくとも1つを意味するが、必ずしもリスト内の全項目を意味するわけではない。本明細書および特許請求の範囲において、項目のリストに関連して用いる「または(もしくは)(or)」という用語は、リスト内の項目のうちの1つまたは複数、すなわち、リスト内の項目のうち少なくとも1つを意味するが、必ずしもリスト内の全項目を意味するわけではない。「または(もしくは)」は「排他的または(もしくは)」を意味しない。
【0129】
本明細書および特許請求の範囲において、あるオペレーション「または」別のオペレーションを行うように構成されているとして説明される要素は、その2つのオペレーションのうち1つのみを行うように構成されている要素によって満たされる。すなわち、その要素は、その要素がオペレーションのうち1つを行う1つのモードと、その要素が他方のオペレーションを行う別のモードとにおいて、作動するように構成されている必要はない。ただしその要素は、そのオペレーションのうちの1つより多いオペレーションを行うように構成されていてもよいが、そうである必要はない。
【0130】
諸態様の諸局面を、フローチャートおよび/またはブロック図を参照しながら説明する場合があるが、各ブロックまたはブロックの組み合わせの全部もしくは一部分の、機能、オペレーション、決定などが、組み合わされるか、別々のオペレーションに分離されるか、または他の順序で行われてもよい。「モジュール(module)」、「オペレーション(operation)」、「段階(step)」、および類似の用語への言及は便宜上のものであり、その実施形態を限定する意図はない。
【0131】
本開示の諸局面、またはその一部分が、本明細書に列挙されていない方式および/または明示的に特許請求されていない方式で組み合わせられてもよい。加えて、本明細書に開示する諸態様が、本明細書に具体的に開示されていない任意の要素を欠いた状態で、好適に実施されてもよい。したがって、本発明は、開示態様に限定されるものと見られるべきではない。
【0132】
本明細書において用いる「第一(first)」、「第二(second)」、および「第三(third)」などの数に関する用語は、それぞれのピラーを互いから区別するために用いられるのであり、いかなる特定の態様においてもピラーの特定の順序または総数を示すことを意図したものではない。ゆえに、例えば、所与の態様が第二のピラーおよび第三のピラーのみを含んでいてもよい。
【国際調査報告】