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特表2024-502332プラスチック熱分解油を処理するための水素化工程を含む方法
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  • 特表-プラスチック熱分解油を処理するための水素化工程を含む方法 図1
  • 特表-プラスチック熱分解油を処理するための水素化工程を含む方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-18
(54)【発明の名称】プラスチック熱分解油を処理するための水素化工程を含む方法
(51)【国際特許分類】
   C10G 65/02 20060101AFI20240111BHJP
   C10G 49/00 20060101ALI20240111BHJP
   C10G 45/04 20060101ALI20240111BHJP
   C10G 45/34 20060101ALI20240111BHJP
   C10G 47/02 20060101ALI20240111BHJP
【FI】
C10G65/02
C10G49/00
C10G45/04 Z
C10G45/34
C10G47/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023540683
(86)(22)【出願日】2021-12-21
(85)【翻訳文提出日】2023-09-01
(86)【国際出願番号】 EP2021086988
(87)【国際公開番号】W WO2022144235
(87)【国際公開日】2022-07-07
(31)【優先権主張番号】2100026
(32)【優先日】2021-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591007826
【氏名又は名称】イエフペ エネルジ ヌヴェル
【氏名又は名称原語表記】IFP ENERGIES NOUVELLES
(71)【出願人】
【識別番号】518035983
【氏名又は名称】レプソル・エセ・ア
【氏名又は名称原語表記】REPSOL, S.A.
【住所又は居所原語表記】C/ MENDEZ ALVARO, 44, 28045 MADRID, SPAIN
(74)【代理人】
【識別番号】100106091
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 直都
(74)【代理人】
【氏名又は名称】渡邉 彰
(74)【代理人】
【識別番号】100199369
【弁理士】
【氏名又は名称】玉井 尚之
(74)【代理人】
【識別番号】100228175
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 充紀
(72)【発明者】
【氏名】ヴェイス ウィルフリード
(72)【発明者】
【氏名】デコティニー ドミニク
(72)【発明者】
【氏名】ボナルド ジェローム
(72)【発明者】
【氏名】リバス サングエサ イニーゴ
(72)【発明者】
【氏名】エスクデロ カステホン リディア
【テーマコード(参考)】
4H129
【Fターム(参考)】
4H129AA01
4H129BC04
4H129CA22
4H129DA15
4H129DA19
4H129DA21
4H129KC02X
4H129KC03X
4H129KC03Y
4H129KC04X
4H129KC10X
4H129KC13X
4H129KC28X
4H129KD13
4H129KD14X
4H129KD15X
4H129KD15Y
4H129KD16X
4H129KD18X
4H129KD19X
4H129KD20X
4H129KD21
4H129KD22X
4H129KD23X
4H129KD24X
4H129KD24Y
4H129KD25X
4H129KD26X
4H129MA01
4H129MA12
4H129MA13
4H129MB14B
4H129MB18A
4H129MB20C
4H129NA02
4H129NA04
(57)【要約】
本発明は、プラスチック熱分解油を処理するための方法であって、以下の工程を含んでいる方法に関する:(a)少なくとも水素および少なくとも1種の水素化触媒の存在中、140~340℃の平均温度で前記供給原料を選択的に水素化する工程;工程(a)からの出口上の温度は、工程(a)への入口上の温度より最低15℃高い;水素化済み流出液を得る;(b)前記水素化済み流出物を、少なくとも水素および少なくとも1種の水素化処理触媒の存在中、水素化処理する工程;水素化処理済み流出物を得る;工程(b)の平均温度は、ステップ(a)の平均温度より高い;(c)前記水素化処理済み流出物を、水性流れの存在中、50~370℃の温度で分離する工程;少なくとも1種のガス状流出物と、液体水性流出物と、液体炭化水素流出物とを得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック熱分解油を含んでいる供給原料を処理するための方法であって、以下の工程を含む方法:
a) 水素化工程;水素化反応セクションにおいて行い、少なくとも1基の固定床反応器を用い、該固定床反応器は、n個の触媒床を含んでおり、nは、1以上の整数であり、それぞれ、少なくとも1種の水素化触媒を含み、前記水素化反応セクションに、前記供給原料と、水素を含んでいるガス流れとを少なくとも給送し、前記水素化反応セクションを用いる際の平均温度は、140~400℃であり、水素の分圧は、1.0~10.0MPa(絶対)であり、毎時空間速度は、0.1~10.0h-1であり、工程a)の反応セクションの出口温度は、工程a)の反応セクションの入口温度より最低15℃高い;水素化済み流出物を得る、
b) 水素化処理工程;水素化処理反応セクションにおいて行い、少なくとも1基の固定床反応器を用い、該反応器は、n個の触媒床を含有しており、nは、1以上の整数であり、それぞれ、少なくとも1種の水素化処理触媒を含んでおり、前記水素化処理反応セクションに、工程a)から得られた前記水素化済み流出物と、水素を含んでいるガス流れとを少なくとも給送し、前記水素化処理反応セクションを用いる際の平均温度は、250~430℃であり、水素の分圧は、1.0~10.0MPa(絶対)であり、毎時空間速度は、0.1~10.0h-1であり、工程b)の反応セクションの平均温度は、工程a)の水素化反応セクションの平均温度より高い;水素化処理済み流出物を得る、
b’) 任意選択での水素化分解工程;水素化分解反応セクションにおいて行い、少なくとも1個の固定床を用い、該固定床は、n個の触媒床を含有し、nは、1以上の整数であり、それぞれ、少なくとも1種の水素化分解触媒を含んでおり、前記水素化分解反応セクションに、工程b)から得られた前記水素化処理済み流出物および/または工程d)から得られた沸点が175℃超である化合物を含んでいる留分と、水素を含んでいるガス流れとを少なくとも給送し、前記水素化分解反応セクションを用いる際の平均温度は、250~450℃であり、水素の分圧は、1.5~20.0MPa(絶対)であり、毎時空間速度は、0.1~10.0h-1である;水素化分解済み流出物を得て、それを分離工程c)に送る、
c) 分離工程;工程b)から得られた水素化処理済み流出物または工程b’)から得られた水素化分解済み流出物と、水溶液とを給送し、前記工程を行う際の温度は、50~370℃の温度である;少なくとも1種のガス状流出物と、水性流出物と、炭化水素ベースの流出物とを得る、
d) 任意選択での、工程c)から得られた炭化水素ベースの流出物の全部または一部を分画する工程;少なくとも1種のガス状流出物と、沸点が175℃以下である化合物を含んでいる少なくとも1種の留分と、沸点が175℃超である化合物を含んでいる少なくとも1種の炭化水素ベースの留分とを得る。
【請求項2】
工程d)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程b’)を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
工程a)の前記反応セクションに給送する水素を含んでいるガス流れの量を、水素被覆率が供給原料の容積(m)当たり水素50~1000Nmになるようにする、請求項1~3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項5】
工程a)の前記反応セクションに給送する水素を含んでいるガス流れの量を、水素被覆率が供給原料の容積(m)当たり水素200~300Nmになるようにする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
工程a)の出口温度は、工程a)の入口温度より最低30℃高い、請求項1~5のいずれか1つに記載の方法。
【請求項7】
分離工程c)から得られた炭化水素ベースの流出物の少なくとも一部または分画工程d)から得られた沸点が175℃以下である化合物を含んでいるナフサ留分の少なくとも一部を、水素化工程a)および/または水素化処理工程b)に送る、請求項1~6のいずれか1つに記載の方法。
【請求項8】
分画工程d)から得られた沸点が175℃超である化合物を含んでいる留分の少なくとも一部を、水素化工程a)および/または水素化処理工程b)および/または水素化分解工程b’)に送る、請求項1~7のいずれか1つに記載の方法。
【請求項9】
プラスチック熱分解油を含んでいる供給原料の前処理工程a0)を含み、前処理工程a0)を、前記水素化工程a)の上流で行い、ろ過工程および/または静電分離工程および/または水溶液による洗浄工程および/または吸着工程を含む、請求項1~8のいずれか1つに記載の方法。
【請求項10】
分離工程c)から得られた炭化水素ベースの流出物、または工程d)から得られた2種の液体炭化水素ベースの流れの少なくとも一方を、全体的または部分的に、水蒸気分解工程e)に送り、この水蒸気分解工程e)を、少なくとも1基の熱分解炉において、温度700~900℃および圧力0.05~0.3MPa(相対)で行う、請求項1~9のいずれか1つに記載の方法。
【請求項11】
工程a)の反応セクションは、配列可変様式で操作する少なくとも2基の反応器を用いる、請求項1~10のいずれか1つに記載の方法。
【請求項12】
アミンを含有している流れを工程a)の上流に注入する、請求項1~11のいずれか1つに記載の方法。
【請求項13】
前記水素化触媒は、アルミナ、シリカ、シリカ-アルミナ、マグネシア、粘土およびそれらの混合物から選ばれる担体と、少なくとも1種のVIII族元素と少なくとも1種のVIB族元素、または少なくとも1種のVIII族元素のいずれかを含んでいる水素化脱水素機能基とを含む、請求項1~12のいずれか1つに記載の方法。
【請求項14】
前記水素化処理触媒は、アルミナ、シリカ、シリカ-アルミナ、マグネシア、粘土およびそれらの混合物からなる群から選ばれる担体と、少なくとも1種のVIII族元素および/または少なくとも1種のVIB族元素を含んでいる水素化脱水素機能基とを含む、請求項1~13のいずれか1つに記載の方法。
【請求項15】
第2の水素化分解工程b’’)も含み、この第2の水素化分解工程b’’)を、水素化分解反応セクションにおいて行い、少なくとも1個の固定床を用い、この固定床は、n個の触媒床を含み、nは1以上の整数であり、それぞれ、少なくとも1種の水素化分解触媒を含んでおり、前記水素化分解反応セクションに、工程d)から得られた沸点が175℃超である化合物を含んでいる留分と、水素を含んでいるガス流れとを給送し、水素化分解反応セクションを用いる際の温度は、250~450℃であり、水素の分圧は、1.5~20.0MPa(絶対)であり、毎時空間速度は、0.1~10.0h-1であり、水素化分解済み流出物を得、このものを、分離工程c)に送る、請求項1~14のいずれか1つに記載の方法。
【請求項16】
前記水素化分解触媒は、ハロゲン化アルミナ、ホウ素およびアルミニウムの酸化物の組み合わせ、無定形シリカ-アルミナおよびゼオライトから選ばれる担体と、クロム、モリブデンおよびタングステンから単独でまたは混合物として選ばれる少なくとも1種のVIB族金属、および/または鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウムおよび白金から選ばれる少なくとも1種のVIII族金属を含んでいる水素化脱水素機能基とを含む、請求項1~15のいずれか1つに記載の方法。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか1つに記載の方法を介して得られる生成物。
【請求項18】
請求項17に記載の生成物であって、該生成物は、該生成物の全重量に相対して以下を含む:
- 金属元素の全含有率:5.0重量ppm以下;
- 鉄元素の含有率:100重量ppb以下、
- ケイ素元素の含有率:1.0重量ppm以下、
- 硫黄含有率:500重量ppm以下、
- 窒素含有率:100重量ppm以下、
- 塩素元素の含有率:10重量ppm以下。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチック熱分解油を処理して、ナフサまたはディーゼルの貯蔵ユニットに直接的に組み込まれることよってまたは水蒸気分解ユニットのための供給原料としてグレードアップされ得る炭化水素ベースの流出物を得るための方法に関する。より詳細には、本発明は、プラスチック廃棄物の熱分解から得られる供給原料を処理して、前記供給原料が比較的多量に含有する場合がある不純物を少なくとも部分的に除去するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
収集・選別チャネルから得られたプラスチックは、熱分解の工程を経て、熱分解油を特に得るようにしてよい。これらのプラスチック熱分解油は、一般に、発電のために燃焼させられ、かつ/または工業用ボイラー若しくは都市暖房における燃料として用いられる。
【0003】
プラスチック熱分解油をグレードアップさせるための別のルートは、オレフィンを(再)生成させるこれらのプラスチック熱分解油の水蒸気分解ユニットのための供給原料としての使用であり、前記オレフィンは、所定のポリマーの構成モノマーである。しかしながら、プラスチック廃棄物は、一般に、いくつかのポリマーの混合物、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタラート、ポリ塩化ビニルおよびポリスチレンの混合物である。さらに、用途に応じて、プラスチックは、ポリマーに加えて、他の化合物、例えば、可塑剤、顔料、染料またはポリマー化触媒の残渣を含有することがある。プラスチック廃棄物は、少量で、バイオマス、例えば、家庭ごみを起源とするものを含有してもよい。一方の廃棄物の処理、とりわけ、貯蔵、機械的処理、選別、熱分解、およびまた、他方の熱分解油の貯蔵および輸送は、腐食を引き起こすこともあり得る。その結果、プラスチック廃棄物の熱分解から得られた油は、多くの不純物、特にジオレフィン、金属、とりわけ、鉄、ケイ素、またはハロゲン化化合物、とりわけ、塩素ベースの化合物、ヘテロ元素、例えば、硫黄、酸素および窒素、および不溶物質を、しばしば高く、かつ、水蒸気分解ユニットまたは水蒸気分解ユニットの下流に位置するユニット、とりわけ、ポリマー化法および選択的水素化方法に適合できない含有率で含んでいる。これらの不純物は、操作性の問題、とりわけ、腐食、コーキングまたは触媒の不活性化の問題、あるいは標的ポリマーの用途における非適合性の問題を生じさせることがある。ジオレフィンの存在により、熱分解油の不安定性の問題に至ることもあり、これは、ガム状物の形成によって特徴付けられる。熱分解油に存在することのあるガム状物および不溶性物質は、この方法における目詰まりの問題を生じさせ得る。
【0004】
さらに、水蒸気分解工程中に、石油化学に求められる軽質オレフィン、とりわけ、エチレンやプロピレンの収率は、水蒸気分解のために送られる供給原料の品質に大きく依存する。炭化水素留分を特徴付けるためにBMCI(Bureau of Mines Correlation Index:鉱山局相関指数)がしばしば用いられる。この指数は、原油から得られる炭化水素ベースの生成物のために開発されたものであり、密度と平均沸点の測定から算出される:それは直鎖状パラフィンについて0に、ベンゼンについて100に等しい。その値は、したがって、全て、分析された生成物が芳香族縮合構造を有するならば、より高く、ナフテンは、パラフィンと芳香族化合物との間の中間のBMCIを有する。全体として、軽質オレフィンの収率が高くなるのは、パラフィン含有率が高くなる場合、したがって、BMCIが低くなる場合である。逆に、望みでない重質化合物および/またはコークの収率が高くなるのは、BMCIが高くなる場合である。
【0005】
特許文献1には、プラスチック廃棄物をリサイクルするための全体的な方法が提案されており、この方法は、非常に一般的であり、かつ比較的複雑であり、プラスチック廃棄物の熱分解のまさにその工程から水蒸気分解工程に至るものである。特許出願(特許文献1)の方法は、とりわけ、熱分解から直接的に得られた液相を、好ましくは極めて厳しい、特に温度に関して厳しい条件下に、例えば260~300℃の温度で水素化処理する工程と、水素化処理流出物の分離の工程と、次いで、分離に取り出された重質流出物の水素化脱アルキルの、好ましくは高温、例えば260~400℃での工程とを含む。
【0006】
未公開の特許出願FR20/01758には、プラスチック熱分解油を処理するための方法であって、以下の工程を含む方法が記載されている:
a) 水素および選択的水素化触媒の存在中での前記供給原料中に含有されるオレフィンの選択的水素化;水素化済み流出物を得る;
b) 水素および水素化処理触媒の存在中での前記水素化済み流出物の水素化処理;水素化処理流出物を得る;
c) 水性流れの存在中、50~370℃の温度での水素化処理流出物の分離;ガス状流出物、水性液体流出物および炭化水素ベースの液状流出物を得る;
d) 任意選択での、工程c)から得られた炭化水素ベースの流出物の全部または一部の分画の工程;ガス流れと、ナフサ留分およびより重質な留分であってよい少なくとも2種の炭化水素ベースの流れとを得る;
e) 分離工程c)から得られた炭化水素ベースの流出物の一部または分画工程d)から得られた炭化水素ベースの流れの一部および/または少なくとも1つを回収する相を含んでいる、選択的水素化工程a)および/または水素化処理工程b)へのリサイクル工程。
【0007】
出願FR20/01.758によると、選択的水素化工程a)と水素化処理工程b)とは別々の工程であり、異なる条件下に異なる反応器において行われる。さらに、出願FR20/01.758によると、選択的水素化工程a)は、温和な条件下、とりわけ、100~250℃の温度で行われ、触媒の早期失活をもたらし得る。最後に、出願FR20/01.758によると、水素化処理工程b)は、一般に、選択的水素化工程a)よりもかなり高い温度、とりわけ、250~430℃の温度で行われ、これら2工程の間で加熱するためのデバイスを必要とする。
【0008】
したがって、ジオレフィン水素化反応と水素化処理反応の一部、特にオレフィン水素化反応と水素化脱金属反応の一部、とりわけ、ケイ素の保持を、1つのかつ同一の工程において、触媒の失活を制限するのに十分な温度で行うことは有利であろう。
【0009】
この同一の工程により、水素化反応、特に一部のジオレフィンの水素化反応、とりわけ、ジオレフィンの一部の水素化からの熱の恩恵を受けることも可能となり、この工程において上昇する温度プロファルを有するようにし、それ故に、水素化のための触媒セクションと、水素化処理のための触媒セクションとの間で加熱するためのデバイスについての必要性を排除することができるようにする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際公開第2018/055555号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
(発明の概要)
本発明は、プラスチック熱分解油を含んでいる供給原料を処理するための方法であって、以下の工程を含んでいる方法に関する:
a) 水素化工程;水素化反応セクションにおいて行い、少なくとも1基の固定床反応器を用い、該固定床反応器は、n個の触媒床を含んでおり、nは、1以上の整数であり、それぞれ、少なくとも1種の水素化触媒を含み、前記水素化反応セクションは、前記供給原料と、水素を含んでいるガス流れとを少なくとも給送され、前記水素化反応セクションが用いられる際の平均温度は、140~400℃であり、水素の分圧は、1.0~10.0MPa(絶対)であり、毎時空間速度は、0.1~10.0h-1であり、工程a)の反応セクションの出口温度は、工程a)の反応セクションの入口温度より最低15℃高い;水素化済み流出物を得る、
b) 水素化処理工程;水素化処理反応セクションにおいて行い、少なくとも1基の固定床反応器を用い、該反応器は、n個の触媒床を含有しており、nは、1以上の整数であり、それぞれ、少なくとも1種の水素化処理触媒を含んでおり、前記水素化処理反応セクションは、工程a)から得られた前記水素化済み流出物と、水素を含んでいるガス流れとを少なくとも給送され、前記水素化処理反応セクションが用いられる際の平均温度は、250~430℃であり、水素の分圧は、1.0~10.0MPa(絶対)であり、毎時空間速度は、0.1~10.0h-1であり、工程b)の反応セクションの平均温度は、工程a)の水素化反応セクションの平均温度より高い;水素化処理済み流出物を得る、
b’) 任意選択での水素化分解工程;水素化分解反応セクションにおいて行い、少なくとも1個の固定床を用い、該固定床は、n個の触媒床を含有し、nは、1以上の整数であり、それぞれ、少なくとも1種の水素化分解触媒を含んでおり、前記水素化分解反応セクションは、工程b)から得られた前記水素化処理済み流出物、および/または工程d)から得られた沸点が175℃超である化合物を含んでいる留分と、水素を含んでいるガス流れとを少なくとも給送され、前記水素化分解反応セクションが用いられる際の平均温度は、250~450℃であり、水素の分圧は、1.5~20.0MPa(絶対)であり、毎時空間速度は、0.1~10.0h-1である;水素化分解済み流出物を得て、それを分離工程c)に送る、
c) 分離工程;工程b)から得られた水素化処理済み流出物または工程b’)から得られた水素化分解済み流出物および水溶液を給送し、前記工程が行われる際の温度は、50~370℃の温度である;少なくとも1種のガス状流出物と、水性流出物と、炭化水素ベースの流出物とを得る、
d) 任意選択での、工程c)から得られた炭化水素ベースの流出物の全部または一部を分画する工程;少なくとも1種のガス状流出物と、沸点が175℃以下である化合物を含んでいる少なくとも1種の留分と、沸点が175℃超である化合物を含んでいる少なくとも1種の炭化水素ベースの留分とを得る。
【0012】
本発明による方法の1つの利点は、プラスチック廃棄物の熱分解から得られた油を、その不純物の少なくとも一部から精製することにあり、これにより、それを水素化することが可能となり、それ故に、それを直接的に燃料貯蔵ユニットに特に組み込むことによってあるいはほかに水蒸気分解ユニットにおける処理にそれを適合させて、軽質オレフィンを向上した収率で特に得ることができるようにすることによってそれをグレードアップさせることができ、これは、ポリマーの製造においてモノマーとして機能することもある。
【0013】
本発明の他の利点は、本発明の方法が行われる処理ユニットの目詰まりおよび/または腐食のリスクを防止することにあり、このリスクは、ジオレフィン、金属およびハロゲン化化合物のプラスチック熱分解油中のしばしば大量の存在によって悪化するものである。
【0014】
本発明の方法により、出発プラスチック熱分解油の不純物を少なくとも部分的に含まないプラスチック熱分解油から得られる炭化水素ベースの流出物を得ることがそれ故に可能となり、これらの不純物が、特に水蒸気分解ユニットおよび/または水蒸気分解ユニットの下流に位置するユニット、とりわけ、ポリマー化および水素化のユニットにおいて引き起こす場合がある操作上の問題、例えば、腐食、コーキングまたは触媒の失活の問題をそれ故に制限する。プラスチック廃棄物の熱分解から得られた油からの不純物の少なくとも一部の除去により、標的ポリマーの用途を拡大することも可能になり、用途の不適合性が減少する。
【0015】
1つの変形によると、本方法は、工程d)を含む。
【0016】
1つの変形によると、本方法は、工程b’)を含む。
【0017】
1つの変形によると、工程a)の前記反応セクションに給送する水素を含んでいるガス流れの量は、水素被覆率が供給原料の容積(m)当たり水素50~1000Nm(Nm/m)、好ましくは供給原料の容積(m)当たり水素200~300Nm(Nm/m)になるようにされる。
【0018】
1つの変形によると、工程a)の出口温度は、工程a)の入口温度より最低30℃高い。
【0019】
1つの変形によると、分離工程c)から得られた炭化水素ベースの流出物の少なくとも一部または分画工程d)から得られた沸点が175℃以下である化合物を含んでいるナフサ留分の少なくとも一部は、水素化工程a)および/または水素化処理工程b)に送られる。
【0020】
1つの変形によると、分画工程d)から得られた沸点が175℃超である化合物を含んでいる留分の少なくとも一部は、水素化工程a)および/または水素化処理工程b)および/または水素化分解工程b’)に送られる。
【0021】
1つの変形によると、本方法は、プラスチック熱分解油を含んでいる供給原料を前処理する工程a0)を含み、前記前処理工程は、水素化工程a)の上流で行われ、ろ過工程および/または静電分離工程および/または水溶液による洗浄工程および/または吸着工程を含む。
【0022】
1つの変形によると、分離工程c)から得られた炭化水素ベースの流出物、または工程d)から得られた2種の液体炭化水素ベースの流れの少なくとも1種が、全体的または部分的に、水蒸気分解工程e)へ送られ、この水蒸気分解工程e)は、少なくとも1基の熱分解炉において、温度700~900℃および圧力0.05~0.3MPa(相対)で行われる。
【0023】
1つの変形によると、工程a)の反応セクションは、配列可変様式で操作する少なくとも2基の反応器を用いる。
【0024】
1つの変形によると、アミンを含有している流れが工程a)の上流に注入される。
【0025】
1つの変形によると、前記水素化触媒は、アルミナ、シリカ、シリカ-アルミナ、マグネシア、粘土およびそれらの混合物から選ばれる担体と、少なくとも1種のVIII族元素と少なくとも1種のVIB族元素、または少なくとも1種のVIII族元素のいずれかを含んでいる水素化脱水素機能基とを含む。
【0026】
1つの変形によると、前記水素化処理触媒は、アルミナ、シリカ、シリカ-アルミナ、マグネシア、粘土およびそれらの混合物からなる群から選ばれる担体と、少なくとも1種のVIII族元素および/または少なくとも1種のVIB族元素を含んでいる水素化脱水素機能基とを含む。
【0027】
1つの変形によると、本方法は、第2の水素化分解工程b’’)も含み、この第2の水素化分解工程b’’)は、水素化分解反応セクションにおいて行われ、少なくとも1個の固定床を用い、この固定床は、n個の触媒床を含み、nは1以上の整数であり、それぞれ、少なくとも1種の水素化分解触媒を含んでおり、前記水素化分解反応セクションは、工程d)から得られた沸点が175℃超である沸点を有する化合物を含んでいる留分と、水素を含んでいるガス流れとを給送され、水素化分解反応セクションが用いられる際の温度は、250~450℃であり、水素の分圧は、1.5~20.0MPa(絶対)であり、毎時空間速度は、0.1~10.0h-1であり、水素化分解済み流出物を得、このものは、分離工程c)に送られる。
【0028】
1つの変形によると、前記水素化分解触媒は、ハロゲン化アルミナ、ホウ素およびアルミニウムの酸化物の組み合わせ、無定形シリカ-アルミナおよびゼオライトから選ばれる担体と、クロム、モリブデンおよびタングステンから単独でまたは混合物として選ばれる少なくとも1種のVIB族金属、および/または鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウムおよび白金から選ばれる少なくとも1種のVIII族金属を含んでいる水素化脱水素機能基とを含む。
【0029】
本発明は、本発明による方法を介して得られてよい、好ましくは得られる、生成物にも関する。
【0030】
この変形例によると、本生成物は、生成物の全重量に相対して以下を含む:
- 金属元素の全含有率:5.0重量ppm以下;
- 鉄元素の含有率:100重量ppb以下、
- ケイ素元素の含有率:1.0重量ppm以下、
- 硫黄含有率:500重量ppm以下、
- 窒素含有率:100重量ppm以下、
- 塩素元素の含有率:10重量ppm以下。
【0031】
本発明によると、圧力は絶対圧力であり、abs.とも記載され、特に断らない限り、MPa(絶対)(またはMPa abs.)で与えられる。
【0032】
本発明によると、表現「AとBの間に含まれる(comprised between ... and ...)」および「AとBの間、またはA~B(between ... and ...)」は同等であり、間隔の両限界値は記載された値の範囲に含まれることを意味する。もしそうでなかったならば、および、もし、限界値が記載された範囲に含まれていなかったならば、そのための明確化が本発明によってなされることになる。
【0033】
本発明の目的のために、所与の工程についての種々の範囲のパラメータ、例えば、圧力範囲および温度範囲は、単独でまたは組み合わせで用いられてよい。例えば、本発明の目的のために、好適な圧力値の範囲は、より好適な温度値の範囲と組み合わされ得る。
【0034】
以下の本明細書において、本発明の特定のおよび/または好適な実施形態が記載され得る。それらは、別個にまたは一緒に組み合わされて実施されてよく、組み合わせが技術的に実現可能である場合にそれに制限はない。
【0035】
以下の本明細書において、化学元素の族は、CAS分類に従って与えられる(CRC Handbook of Chemistry and Physics、出版元CRC Press、編集長D. R. Lide、第81版、2000-2001)。例えば、CAS分類による第VIII族は、新IUPAC分類による8、9および10列からの金属に対応する。
【0036】
金属含有率は、蛍光X線によって測定される。
【発明を実施するための形態】
【0037】
(詳細な説明)
(供給原料)
本発明によると、「プラスチック熱分解油」は、プラスチック、好ましくは、プラスチック廃棄物、とりわけ、収集・選別チャネルから生じたプラスチック廃棄物の熱分解から得られた油、有利には、室温で液体の形態にある油である。それは、摩耗したタイヤの熱分解からも得られ得る。
【0038】
それは、炭化水素ベースの化合物、とりわけ、パラフィン、モノオレフィンおよび/またはジオレフィン、ナフテンおよび芳香族化合物の混合物を特に含む。これらの炭化水素ベースの化合物の最低80重量%は、700℃未満、好ましくは550℃未満の沸点を好ましくは有する。特に、熱分解油の起源に応じて、前記油は、最高70重量%のパラフィン、最高90重量%のオレフィンおよび最高90重量%の芳香族化合物を含み、パラフィン、オレフィンおよび芳香族化合物の合計は、炭化水素ベースの化合物の100重量%になることが理解される。
【0039】
熱分解油の密度は、ASTM D4052法に従って15℃で測定されて、一般に0.75~0.99g/cm、好ましくは0.75~0.95g/cmである。
【0040】
プラスチック熱分解油は、不純物、例えば、金属、とりわけ、鉄、ケイ素、またはハロゲン化化合物、とりわけ、塩素化化合物をさらに含むことができ、通常、含んでいる。これらの不純物は、プラスチック熱分解油中に高い含有率で存在する場合があり、例えば、ハロゲン化化合物によって提供されるハロゲン元素(特に塩素)の重量で350重量ppm、さらには700重量ppm、さらには1000重量ppmまで、金属または半金属元素の重量で100重量ppm、さらには200重量ppmまで存在する。アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、ポスト遷移金属および半金属は、金属性の性質の汚染物質に例えられる場合があり、金属または金属性もしくは半金属性の元素と呼ばれる。特に、プラスチック廃棄物の熱分解から得られた油中に含有される場合がある金属または金属性もしくは半金属性の元素は、ケイ素、鉄またはこれらの元素の両方を含む。プラスチック熱分解油は、他の不純物も含む場合があり、例えば、ヘテロ元素があり、これは、とりわけ、硫黄化合物、酸素化合物および/または窒素化合物によって提供され、その含有率は、一般にヘテロ元素の重量で10000ppm未満、好ましくはヘテロ元素の重量で4000ppm未満である。
【0041】
本発明による方法の供給原料は、少なくとも1種のプラスチック熱分解油を含む。前記供給原料は、プラスチック熱分解油(1種または複数種)のみからなってよい。好ましくは、前記供給原料は、供給原料の全重量に相対して、最低50重量%、好ましくは70重量%~100重量%のプラスチック熱分解油、すなわち、好ましくは50重量%~100重量%、好ましくは70重量%~100重量%のプラスチック熱分解油を含む。
【0042】
本発明による方法の供給原料は、プラスチック熱分解油(1種または複数種)に加えて、従来の石油ベースの供給原料、またはバイオマスの転化から得られた供給原料を含んでよく、供給原料のプラスチック熱分解油と共処理される。
【0043】
従来の石油ベースの供給原料は、有利には、ナフサ、ガスオイルまたは真空下のガスオイルのタイプの留分または留分の混合物とすることができる。
【0044】
バイオマスの転化から得られた供給原料は、有利には、植物油、藻類からの油すなわち藻類油、魚油、使用済み食品油、および植物または動物起源の脂肪、またはこのような供給原料の混合物から選ばれ得る。前記植物油は、有利には、全体的または部分的に未精製のまたは精製され、菜種、ヒマワリ、大豆、パーム、オリーブ、ココナッツ、ココナッツカーネル、ひまし油植物、綿、落花生油、亜麻仁油および海ケール油から選ばれる植物、および遺伝子組み換えまたは交雑によるヒマワリまたは菜種に例えば由来する全ての油に由来するが、このリストは限定的なものではない。前記動物性脂肪は、有利には、食品産業からの残渣からなる脂身および脂肪、またはケータリング産業から得られる脂肪から選ばれる。揚げ油、種々の動物油、例えば、魚油、獣脂またはラードも用いられ得る。
【0045】
バイオマスの転化から得られた供給原料は、バイオマスの熱的または触媒的な転化方法を起源とする供給原料、例えば、バイオマスから、特にリグノセルロース系バイオマスから、液化方法、例えば、水熱液化または熱分解により生じた油からも選ばれ得る。用語「バイオマス」は、最近まで生きていた生物に由来する材料を意味し、植物、動物およびその副産物を含む。用語「リグノセルロース系バイオマス」は、植物およびその副産物に由来するバイオマスを意味する。リグノセルロース系バイオマスは、炭水化物ポリマー(セルロース、ヘミセルロース)と芳香族ポリマー(リグニン)とから構成されている。
【0046】
バイオマスの転化から得られた供給原料は、有利には、製紙産業から得られた供給原料からも選ばれ得る。
【0047】
プラスチック熱分解油は、熱的、触媒的な熱分解処理から得られてよく、あるいはほかに、水素化熱分解(触媒と水素との存在中での熱分解)によって調製されてよい。
【0048】
(前処理(任意選択))
プラスチック熱分解油を含んでいる前記供給原料は、有利には、水素化工程a)の前に、任意選択の前処理工程a0)において前処理されて、前処理済み供給原料を得てよく、このものは、工程a)に給送する。
【0049】
この任意選択の前処理工程a0)により、プラスチック熱分解油を含んでいる供給原料中に存在する可能性がある汚染物質の量、特に鉄および/またはケイ素および/または塩素の量を減少させることが可能となる。それ故に、プラスチック熱分解油を含んでいる供給原料の前処理の任意選択の工程a0)が有利に行われるのは、特に、前記供給原料が10重量ppm超、とりわけ20重量ppm超、より特定的には50重量ppm超の金属元素を含む場合、特に前記供給原料が5重量ppm超のケイ素、より特定的には10重量ppm超、さらには20重量ppm超のケイ素を含む場合である。同様に、プラスチック熱分解油を含んでいる供給原料の前処理の任意選択の工程a0)が有利に行われるのは、特に、前記供給原料が10重量ppm超、とりわけ20重量ppm超、より特定的には50重量ppm超の塩素を含む場合である。
【0050】
前記任意選択の前処理工程a0)は、汚染物質の量を減少させるための当業者に知られている任意の方法を介して行われてよい。それは、とりわけ、ろ過工程および/または静電分離工程および/または水溶液により洗浄する工程および/または吸着工程を含んでよい。
【0051】
前記任意選択の前処理工程a0)が有利に行われる際の温度は、0~150℃、好ましくは5~100℃であり、その際の圧力は、0.15~10.0MPa(絶対)、好ましくは0.2~1.0MPa(絶対)である。
【0052】
1つの変形によると、前記任意選択の前処理工程a0)は、少なくとも1種の吸着剤の存在中で操作される吸着セクションにおいて行われる。吸着剤は、好ましくはアルミナタイプのものであり、100m/g以上、好ましくは200m/g以上の比表面積を有している。前記少なくとも1種の吸着剤の比表面積は、有利には、600m/g以下、特に400m/g以下である。吸着剤の比表面積は、BET法によって測定される表面積、すなわち、定期刊行物The Journal of the American Chemical Society, 60, 309 (1938)に記載されたBrunauer-Emmett-Teller法から確立された規格ASTM D 3663-78に従う窒素吸着によって決定される比表面積である。
【0053】
有利には、前記吸着剤は、1重量%未満の金属性元素を含み、好ましくは金属性元素を含まない。用語「吸着剤の金属性元素」は、元素周期律表の6~10族からの元素を指すと理解されるべきである(新IUPAC分類)。吸着剤セクションにおける供給原料の滞留時間は、一般に、1~180分である。
【0054】
任意選択の工程a0)の前記吸着セクションは、少なくとも1個の吸着カラムを含み、好ましくは、少なくとも2個の吸着カラム、優先的には2~4個の吸着カラムを含み、これらは、前記吸着剤を含有している。吸着セクションが2個の吸着カラムを含む場合、1つの操作様式は、専門用語に従う「スイング」操作と呼ばれるものであってよく、ここでは、カラムの一方がオンライン、すなわち、インサービスにある一方で、他方のカラムは、インリザーブにある。オンラインのカラムの吸着剤が使い古された場合に、このカラムは隔離される一方で、インリザーブのカラムがオンライン、すなわち、インサービスに置かれる。使用済みの吸着剤は、次いで、現場内(in situ)で再生されるか、および/または、フレッシュな吸着剤と交換され得、それを含有しているカラムは、他のカラムが隔離されたところで、再度、オンラインに置かれ得る。
【0055】
別の操作様式は、少なくとも2個のカラムを直列で操作するようにさせることである。先頭部のところに置かれたカラムの吸着剤が使い古された場合、この第1のカラムは隔離され、使用済みの吸着剤は、現場内再生されるか、またはフレッシュな吸着剤と交換されるかのいずれかがなされる。カラムは、次いで、最後の位置でオンラインに戻され、以降、同様のことが行われる。この操作様式は、配列可変の様式として、または、PRS(permutable reactor system)あるいはまた専用の用語による「リードアンドラッグ(lead and lag)」として知られている。少なくとも2個の吸着カラムの組み合わせにより、処理対象プラスチック熱分解油中に存在する場合のある金属汚染物質、ジオレフィン、ジオレフィンから得られたガム状物および不溶物の複合作用による吸着剤の可能なかつ潜在的に迅速な被毒および/または目詰まりを克服することが可能となる。これについての理由は、少なくとも2個の吸着カラムが存在することにより、吸着剤の交換および/または再生が容易になり、有利には前処理ユニットを停止させることなく、さらには処理を停止させることなく、それ故に、目詰まりのリスクを低減させること、それ故に、目詰まりに起因したユニットの停止を回避すること、コストをコントロールすることおよび吸着剤の消費を制限することが可能になるためである。
【0056】
別の変形によると、前記任意選択の前処理工程a0)は、水溶液、例えば水、または酸性もしくは塩基性の溶液により洗浄するためのセクションにおいて行われる。この洗浄セクションは、供給原料を水溶液と接触させるためのデバイスと、一方で前処理済み供給原料、他方で不純物を含んでいる水溶液を得るように相分離するためのデバイスとを含むことができる。これらのデバイスの中で、例えば、撹拌反応器、デカンタ、ミキサ-デカンタおよび/または並流または向流の洗浄カラムが挙げられてよい。
【0057】
前記任意選択の前処理工程a0)は、場合によっては、リサイクル流れ、有利には、本方法の工程h)から得られたリサイクル流れの少なくとも一部を、プラスチック熱分解油を含んでいる供給原料との混合物としてまたはそれとは別に給送されてもよい。
【0058】
前記任意選択の前処理工程a0)により、前処理済み供給原料を得ることがそれ故に可能となり、この前処理済み供給原料は、次いで、水素化工程a)に給送する。
【0059】
(水素化工程a))
本発明によると、本方法は、水素化工程a)を含み、この工程は、水素化反応セクションにおいて行われ、少なくとも1基の固定床反応器を用い、この固定床反応器は、n個の触媒床を含み、nは1以上の整数であり、それぞれ、少なくとも1種の水素化触媒を含み、前記水素化反応セクションは、前記供給原料と、水素を含んでいるガス流れとを少なくとも給送され、前記水素化反応セクションが用いられる際の平均温度は、140~400℃であり、水素の分圧は、1.0~10.0MPa(絶対)であり、毎時空間速度は、0.1~10.0h-1であり、工程a)の反応セクションの出口温度は、工程a)の反応セクションの入口温度より最低15℃高く、水素化済み流出物を得る。
【0060】
工程a)は、とりわけ、水素化反応セクションの開始時にジオレフィンおよびオレフィンの水素化を行うことを可能にする一方で同時に、工程a)の反応セクションの出口温度が工程a)の反応セクションの入口温度よりも最低15℃高くなるように上昇温度プロファイルを許容するような水素圧力および圧力の条件下に行われる。実際に、プラスチック熱分解油中に存在するジオレフィンおよびオレフィンの少なくとも一部の水素化、金属の少なくとも一部の水素化脱金属、とりわけ、ケイ素の保持、さらには、塩素の少なくとも一部の(HClへの)転化を可能とするのに必要とされる量の水素が注入される。ジオレフィンおよびオレフィンの水素化により、「ガム状物」の形成、すなわち、ジオレフィンおよびオレフィンのポリマー化、それ故に、オリゴマーおよびポリマーの形成を回避または少なくとも制限することがそれ故に可能となる。これらは、水素化処理工程b)の反応セクションを詰まらせる可能性があるものである。水素化と並行して、水素化脱金属、とりわけ、工程a)の間のケイ素の保持により、工程b)の水素化処理反応セクションの触媒の不活性化を制限することが可能となる。さらに、工程a)の条件、とりわけ、温度およびその上昇プロファイルにより、塩素の少なくとも一部を転化することが可能となる。
【0061】
温度のコントロールは、それ故に、この工程において重要であり、拮抗的な制約を満たさなければならない。一方で、水素化反応セクションの入口における温度および水素化反応セクションの全体にわたる温度は、水素化反応セクションの開始時におけるジオレフィンおよびオレフィンの水素化を許容するために十分に低くなければならない。他方で、水素化反応セクションの入口温度は、触媒の失活を避けるために十分に高くなければならない。水素化反応、とりわけ、オレフィンおよびジオレフィンの一部の水素化反応は、発熱性が高いので、上昇温度プロファイルが、したがって、水素化反応セクションにおいて観察される。前記セクションの終わりにおけるこのより高い温度により、水素化脱金属および水素化脱塩素の反応を行うことが可能となる。それ故に、工程a)の反応セクションの出口温度は、工程a)の反応セクションの入口温度より最低15℃、好ましくは最低25℃、特に好ましくは最低30℃高い。
【0062】
工程a)の反応セクションの入口と出口との間の温度差は、任意のガス(水素)冷却流れまたは液体冷却流れ(例えば、工程c)および/またはd)から生じた流れのリサイクル)の任意選択の注入に適合している。
【0063】
工程a)の反応セクションの入口と出口との間の温度差は、専ら反応セクションで行われる化学反応の発熱性に起因するため、加熱手段(オーブン、熱交換器など)を使用しなくても適合できる。
【0064】
工程a)の反応セクションの入口温度は、135~385℃、好ましくは210~335℃である。
【0065】
工程a)の反応セクションの出口温度は、150~400℃、好ましくは225~350℃である。
【0066】
本発明によると、ジオレフィンの水素化反応と水素化処理反応の一部とを1つの同一の工程で、ジオレフィン転化率における低下によって現れる工程a)の触媒の失活を制限するのに十分な温度で行うことは有利である。この同一の工程により、水素化反応、とりわけ、オレフィンおよびジオレフィンの一部の水素化からの熱の恩恵を受けることも可能となり、この工程における温度プロファイルが上昇するため、水素化のための触媒セクションと水素化処理のための触媒セクションとの間でデバイスについての必要性を排除することができる。
【0067】
前記反応セクションは、少なくとも1種の水素化触媒の存在中で水素化を有利に行い、その際の平均温度(または以下に定義されるWABT)は、140~400℃、好ましくは220~350℃、特に好ましくは260~330℃であり、水素の分圧は、1.0~10.0MPa(絶対)、好ましくは1.5~8.0MPa(絶対)であり、毎時空間速度(HSV)は、0.1~10.0h-1、好ましくは0.2~5.0h-1、大いに好ましくは0.3~3.0h-1である。
【0068】
本発明によると、当業者に周知である専門用語によれば反応セクションの重量平均床温度(weight-average bed temperature:WABT)に対応する。平均温度は、有利には、用いられる触媒系、デバイスおよびその構成に応じて決定される。平均温度(すなわちWABT)は、以下の方法で計算される:
【0069】
【数1】
【0070】
式中、Tinlet:反応セクションの入口のところの流出物の温度、Toutlet:反応セクションの出口のところの流出物の温度。
【0071】
毎時空間速度(HSV)は、ここでは、プラスチック熱分解油(場合によっては前処理されている)を含んでいる供給原料の毎時の容積流量対触媒(1種または複数種)の容積の比率として定義される。
【0072】
水素被覆率は、「フレッシュな」供給原料、すなわち、処理対象の供給原料(場合によっては前処理されており、リサイクルされたフラクションを何ら考慮しない)の容積流量に相対する標準の温度および圧力の条件下に取られる水素容積流量の15℃での比として定義される(供給原料の容積(m)当たりのHの標準m(Nmとして表記される))。
【0073】
工程a)の前記反応セクションに給送する水素(H)を含んでいるガス流れの量は、有利には、水素被覆率が、供給原料の容積(m)当たり水素50~1000Nm(Nm/m)、好ましくは供給原料の容積(m)当たり水素50~500Nm(Nm/m)、好ましくは供給原料の容積(m)当たり水素200~300Nm(Nm/m)になるようになされる。実際に、ジオレフィンおよびオレフィンの少なくとも一部の水素化および金属の少なくとも一部の脱水素脱金属、特にケイ素の保持、さらには塩素の少なくとも一部の(HClへの)転化を可能とするために必要とされる水素の量は、FR20/01.758に記載されたジオレフィンの水素化のみを行うことを可能にするために必要とされる水素の量よりも多い。
【0074】
工程a)の水素化反応セクションは、プラスチック熱分解油を含んでいる前記供給原料、または任意選択の前処理工程a0)から得られた前処理済み供給原料と、水素(H)を含んでいるガス流れとを少なくとも給送される。場合によっては、前記工程a)の反応セクションは、同様に、工程c)または工程d)から有利に得られたリサイクル流れの少なくとも一部を給送されてもよい。
【0075】
有利には、前記工程a)の反応セクションは、1~5基の反応器を含み、好ましくは2~5基の反応器を含み、特に好ましくは、それは、2基の反応器を含む。複数基の反応器を含んでいる水素化反応セクションの利点は、供給原料の最適化された処理にある一方で同時に、触媒床(1個または複数個)の目詰まりのリスクを低減させ、それ故に、目詰まりに起因するユニットの停止を回避することが可能となることにある。
【0076】
1つの変形によると、これらの反応器は、PRS(Permutable Reactor System)あるいは他に「リードアンドラッグ」としても知られる配列可変様式で操作する。PRS様式の少なくとも2基の反応器の組み合わせにより、1基の反応器を隔離し、使用済み触媒を排出し、フレッシュな触媒を反応器に再充填し、前記反応器をインサービスに戻すことが可能となり、本処理を停止させることがない。PRS技術は、特に特許FR2681871に記載されている。
【0077】
1つの特に好適な変形によると、工程a)の水素化反応セクションは、配列可変様式で操作する2基の反応器を含む。
【0078】
有利には、反応器挿入物、例えば、フィルタプレートタイプのものが、反応器(1基または複数基)の目詰まりを防ぐために用いられてよい。フィルタプレートの例は、特許FR3051375に記載されている。
【0079】
有利には、前記水素化触媒は、担体、好ましくは鉱物担体と、水素化脱水素機能基とを含む。
【0080】
1つの変形によると、水素化脱水素機能基は、特に、少なくとも1種の第VIII族元素と、少なくとも1種の第VIB族元素とを含み、第VIII族元素は、好ましくはニッケルおよびコバルトから選ばれ、第VIB族元素は、好ましくはモリブデンおよびタングステンから選ばれる。この変形によると、第VIB族および第VIII族からの金属性元素の酸化物として表される全含有率は、触媒の全重量に相対して、好ましくは1重量%~40重量%、優先的には5重量%~30重量%である。金属がコバルトまたはニッケルである場合、金属含有率は、それぞれ、、CoOおよびNiOとして表される。金属がモリブデンまたはタングステンである場合、金属含有率は、それぞれMoOおよびWOとして表される。
【0081】
第VIB族金属(1種または複数種)の第VIII族金属(1種または複数種)に相対する金属酸化物として表される重量比は、、好ましくは1~20、好ましくは2~10である。
【0082】
この変形によると、前記工程a)の反応セクションは、例えば、水素化触媒を含み、この水素化触媒は、0.5重量%~12重量%のニッケル、好ましくは1重量%~10重量%のニッケル(前記触媒の重量に相対するニッケル酸化物NiOとして表される)、および1重量%~30重量%のモリブデン、好ましくは3重量%~20重量%のモリブデン(前記触媒の重量に相対するモリブデン酸化物MoOとして表される)を、担体、好ましくは鉱物担体上、好ましくはアルミナ担体上に含んでいる。
【0083】
別の変形によると、水素化脱水素機能基は、少なくとも1種の第VIII族元素、好ましくはニッケルを含み、好ましくは、それからなる。この変形によると、ニッケル酸化物の含有率は、前記触媒の重量に相対して好ましくは1重量%~50重量%、好ましくは10重量%~30重量%である。このタイプの触媒は、好ましくは、それの還元された形態で、担体上、好ましくは鉱物である担体上、好ましくはアルミナ担体上で用いられる。
【0084】
前記水素化触媒のための担体は、好ましくは、アルミナ、シリカ、シリカ-アルミナ、マグネシア、粘土およびその混合物から選ばれる。前記担体は、ドーパント化合物、とりわけ、ホウ素酸化物、特に、三酸化ホウ素、ジルコニア、セリア、酸化チタン、五酸化リンおよびこれらの酸化物の混合物から選ばれる酸化物を含有してよい。好ましくは、前記水素化触媒は、アルミナ担体を含み、場合によっては、リンおよび必要に応じてホウ素をドープされる。五酸化リンPが存在する場合、その濃度は、アルミナの重量に相対して10重量%未満、かつ、有利には、アルミナの全重量に相対して最低0.001重量%である。三酸化ホウ素Bが存在する場合、それの濃度は、アルミナの重量に相対して10重量%未満、かつ、有利にはアルミナの全重量に相対して最低0.001重量%である。用いられるアルミナは、例えば、γ(ガンマ)またはη(エータ)のアルミナであってよい。
【0085】
前記水素化触媒は、例えば、押出物の形態にある。
【0086】
大いに好ましくは、工程a)は、上記の水素化触媒(1種または複数種)に加えて、工程a)において用いられる少なくとも1種の水素化触媒であって、前記触媒の重量に相対するニッケル酸化物NiOとして表されて、1重量%未満のニッケルかつ最低0.1重量%のニッケル、好ましくは0.5重量%のニッケル、および前記触媒の重量に相対するモリブデン酸化物MoOとして表されて5重量%未満のモリブデン、かつ最低0.1重量%のモリブデン、好ましくは0.5重量%のモリブデンを、アルミナ担体上に含んでいるものを用いてもよい。この触媒は、多量に金属を充填したわけではないものであり、このものは、好ましくは、上記の水素化触媒の(1種または複数種)上流または下流に配置され得る。
【0087】
前記水素化工程a)により、水素化済み流出物、すなわち、オレフィン、特にジオレフィン、および金属、特にケイ素の含有率が低下した流出物を得ることが可能になる。工程a)の終結の際に得られた水素化済み流出物の不純物、特にジオレフィンの含有率は、本方法のための供給原料中に含まれる同一の不純物、特にジオレフィンの含有率と相対して低下させられている。水素化工程a)により、一般に、最初の供給原料中に含有されるジオレフィンの最低40%、好ましくは最低60%、さらにオレフィンの最低40%、好ましくは最低60%を転化することが可能になる。工程a)により、少なくとも部分的に、他の汚染物質、例えばケイ素および塩素を除去することも可能となる。好ましくは、初期供給原料の塩素およびケイ素の最低50%、より好ましくは最低75%が工程a)の間に除去される。水素化工程a)の終結の際に得られた水素化済み流出物は、水素化処理工程b)に、好ましくは直接的に送られる。
【0088】
(水素化処理工程b))
本発明によると、本処理方法は、水素化工程b)を含み、この工程は、水素化処理反応セクションにおいて行われ、少なくとも1基の固定床反応器を用い、当該固定床反応器は、n個の触媒床を含み、nは1以上の整数であり、それぞれ、少なくとも1種の水素化処理触媒を含み、前記水素化処理反応セクションは、工程a)から得られた前記水素化済み流出物と、水素を含んでいるガス流れとを少なくとも給送され、前記水素化処理反応セクションが用いられる際の平均温度は、250~430℃であり、水素の分圧は、1.0~10.0MPa(絶対)であり、毎時空間速度は、0.1~10.0h-1であり、工程b)の反応セクションの平均温度は、工程a)の水素化反応セクションの平均温度より高く、水素化処理済み流出物を得る。
【0089】
有利には、工程b)は、当業者に周知である水素化処理反応、より詳細には、水素化処理反応、例えば、芳香族化合物の水素化、水素化脱硫および水素化脱窒を実施する。さらに、オレフィンおよび残留ハロゲン化化合物の水素化、さらに水素化脱金属が続けられる。
【0090】
前記水素化処理反応セクションは、有利には、水素化工程a)の反応セクションにおいて用いられた圧力と同等の圧力で実施されるが、水素化工程a)の反応セクションの平均温度よりも高い平均温度で実施される。それ故に、前記水素化処理反応セクションが有利に実施される際の平均温度は、250~430℃、好ましくは280~380℃であり、その際の水素の分圧は、1.0~10.0MPa(絶対)であり、その際の毎時空間速度(HSV)は、0.1~10.0h-1、好ましくは0.1~5.0h-1、優先的には0.2~2.0h-1、好ましくは0.2~1h-1である。工程b)における水素被覆率は、有利には、工程a)に給送するフレッシュな供給原料の容積(m)当たり水素50~1000Nm、好ましくは工程a)に給送するフレッシュな供給原料の容積(m)当たり水素50~500Nm、好ましくは工程a)に給送するフレッシュな供給原料の容積(m)当たり水素100~300Nmを含む。平均温度(WABT)、HSVおよび水素被覆率の定義は、上述の定義に対応する。
【0091】
前記水素化処理反応セクションは、工程a)から得られた前記水素化済み流出物と、水素を含んでいるガス流れとを、有利には第1の機能している反応器の第1の触媒床に少なくとも給送される。場合によっては、前記工程b)の反応セクションは、同様に、リサイクル流れ、有利には、工程c)または任意選択の工程d)からから得られたリサイクル流れの少なくとも一部を給送されてもよい。
【0092】
有利には、前記工程b)は、水素化処理反応セクションにおいて行われ、この水素化処理反応セクションは、少なくとも1基、好ましくは1~5基の固定床反応器を含んでいる。固定床反応器は、n個の触媒床を含有しており、nは、1以上、好ましくは1~10、好ましくは2~5の整数である。前記床(1個または複数個)は、それぞれ、少なくとも1種、かつ好ましくは10種以下の水素化処理触媒を含んでいる。反応器がいくつかの触媒床、すなわち、少なくとも2個、好ましくは2~10個、好ましくは2~5個の触媒床を含む場合、前記触媒床は、好ましくは、前記反応器中に直列配置される。
【0093】
工程b)が複数の反応器、好ましくは2基の反応器を含んでいる水素化処理反応セクションにおいて行われる場合、これらの反応器は、直列でおよび/または並列でおよび/または配列可変(またはPRS)様式および/またはスイング様式で操作することができる。種々の任意選択の操作様式、PRS(またはリードアンドラッグ)様式およびスイング様式は、当業者に周知であり、有利には上記に定義されている。
【0094】
本発明の別の実施形態において、前記水素化処理反応セクションは、n個の触媒床を含んでいる単一の固定床反応器を含み、nは、1以上、好ましくは1~10、好ましくは2~5の整数である。
【0095】
1つの特に好適な実施形態において、工程a)の水素化反応セクションは、配列可変様式で操作する2基の反応器を含み、その次に、工程b)の水素化処理反応セクションが置かれ、これは、単一の固定床反応器を含む。
【0096】
有利には、前記工程b)において用いられる前記水素化処理触媒は、既知の水素化脱金属、水素化処理またはケイ素捕捉の触媒であって、石油留分の処理のために特に用いられるもの、およびその組み合わせから選ばれてよい。既知の水素化脱金属触媒は、例えば、特許EP 0113297、EP 0113284、US 5221656、US 5827421、US 7119045、US 5622616およびUS 5089463に記載されているものである。既知の水素化処理触媒は、例えば、特許EP 0113297、EP 0113284、US 6589908、US 4818743またはUS 6332976に記載されているものである。既知のケイ素捕捉触媒は、例えば、特許出願CN 102051202およびUS 2007/080099に記載されているものである。
【0097】
特に、前記水素化処理触媒は、担体、好ましくは、鉱物担体と、水素化脱水素機能を有している少なくとも1種の金属性元素とを含む。水素化脱水素機能を有している前記金属性元素は、有利には、少なくとも1種の第VIII族元素、および/または、少なくとも1種の第VIB族元素を含み、第VIII族元素は、好ましくは、ニッケルおよびコバルトからなる群から選ばれ、第VIB族元素は、好ましくは、モリブデンおよびタングステンからなる群から選ばれる。第VIB族および第VIII族からの金属性元素の酸化物として表される全含有率は、触媒の全重量に相対して好ましくは0.1重量%~40重量%、優先的には5重量%~35重量%である。金属がコバルトまたはニッケルである場合、金属含有率は、それぞれ、CoOおよびNiOとして表される。金属がモリブデンまたはタングステンである場合、金属含有率は、それぞれ、MoO、WOとして表される。第VIII族金属(1種または複数種)に相対する第VIB族金属(1種または複数種)の間の金属酸化物として表される重量比は、好ましくは1.0~20、好ましくは2.0~10である。例えば、本方法の工程b)の水素化処理反応セクションが含む水素化処理触媒は、水素化処理触媒の全重量に相対するニッケル酸化物NiOとして表されて、0.5重量%~10重量%のニッケル、好ましくは1重量%~8重量%のニッケル、および水素化処理触媒の全重量に相対するモリブデン酸化物MoOとして表されて、1.0重量%~30重量%のモリブデン、好ましくは3.0重量%~29重量%のモリブデンを、鉱物担体上、好ましくはアルミナ担体上に含んでいる。
【0098】
前記水素化処理触媒のための担体は、有利には、アルミナ、シリカ、シリカ-アルミナ、マグネシア、粘土およびその混合物から選ばれる。前記担体は、ドーパント化合物、とりわけ、ホウ素酸化物、特に、三酸化ホウ素、ジルコニア、セリア、酸化チタン、五酸化リンおよびこれらの酸化物の混合物から選ばれる酸化物を含有してもよい。好ましくは、前記水素化処理触媒は、アルミナ担体を含み、好ましくは、アルミナ担体は、リンをドープされ、および場合によってはホウ素をドープされる。五酸化リンPが存在する場合、それの濃度は、アルミナの重量に相対して10重量%未満、かつ、有利にはアルミナの全重量に相対して最低0.001重量%である。三酸化ホウ素Bが存在する場合、それの濃度は、アルミナの重量に相対して10重量%未満、かつ、有利にはアルミナの全重量に相対して最低0.001重量%である。用いられるアルミナは、例えば、γ(ガンマ)またはη(エータ)のアルミナであってよい。
【0099】
前記水素化処理触媒は、例えば、押出物の形態にある。
【0100】
有利には、本方法の工程b)において用いられる前記水素化処理触媒が有している比表面積は、250m/g以上、好ましくは300m/g以上である。前記水素化処理触媒の比表面積は、有利には800m/g以下、好ましくは600m/g以下、特に400m/g以下である。水素化処理触媒の比表面積は、BET法によって測定される。すなわち、比表面積は、定期刊行物The Journal of the American Chemical Society, 60, 309 (1938)に記載されたBrunauer-Emmett-Teller法から確立された規格ASTM D 3663-78に従う窒素吸着によって決定される。このような比表面積により、汚染物質、特に金属、例えばケイ素の除去をさらに改善することが可能となる。
【0101】
本発明の別の態様によると、上記の水素化処理触媒は、酸素および/または窒素および/または硫黄を含有している1種または複数種の有機化合物も含む。このような触媒は、しばしば、用語「添加型触媒(additivated catalyst)」によって示される。一般に、有機化合物は、カルボン酸、アルコール、チオール、チオエーテル、スルホン、スルホキシド、エーテル、アルデヒド、ケトン、エステル、カルボナート、アミン、ニトリル、イミド、オキシム、ウレアおよびアミドの官能基から選ばれる1種または複数種の化学官能基を含む化合物あるいはほかにフラン環を含む化合物あるいはほかに糖から選ばれる。
【0102】
有利には、水素化処理工程b)により、水素化工程a)の後に残ったオレフィンの最低80%、好ましくは全ての水素化が可能となるが、供給原料中に存在する他の不純物、例えば芳香族化合物、金属化合物、硫黄化合物、窒素化合物、ハロゲン化合物(とりわけ塩素化合物)および酸素化合物の少なくとも一部の転化も可能となる。好ましくは、工程b)の終結の際の窒素含有率は、10重量ppm未満である。工程b)により、汚染物質の含有率、例えば、金属の含有率、特にケイ素含有率をさらに低下させることも可能となってよい。好ましくは、工程b)の終結の際の金属含有率は、10重量ppm未満、好ましくは2重量ppm未満であり、ケイ素含有率は、5重量ppm未満である。
【0103】
(水素化分解工程(任意選択)b’))
1つの変形によると、本発明の方法は、水素化分解工程b’)を含んでよく、この工程は、水素化処理工程b)の直後に、または分画工程d)後にかのいずれに、沸点が175℃超である化合物を含んでいる炭化水素ベースの留分(ディーゼル留分)に対して行われる。
【0104】
有利には、工程b’)は、当業者に周知である水素化分解反応を実施し、より特定的には、工程b)から得られた水素化処理済み流出物中に含有されているかまたは分画工程d)の間に分離される重質化合物、例えば、沸点が175℃超である化合物を、沸点が175℃以下である化合物に転化することを可能にする。他の反応、例えば、オレフィン類または芳香族化合物の水素化、水素化脱金属、水素化脱硫、水素化脱窒等が続くことがある。
【0105】
沸点が175℃超である化合物は、高いBMCIを有し、より軽質の化合物に相対して、より多くのナフテン系、ナフテノ芳香族系、芳香族系の化合物を含有するため、より高いC/H比につながる。この高い比率は、スチームクラッカーにおけるコーキングの原因となるため、この留分に特化した水蒸気分解炉が必要となる。これらの重質化合物(ディーゼル留分)の収率を最小にし、軽質化合物(ナフサ留分)の収率を最大にすることが望まれる場合、これらの化合物は、水素化分解によって、軽質化合物(水蒸気分解ユニットに一般的に好まれる留分)に少なくとも部分的に転化され得る。
【0106】
それ故に、本発明の方法は、水素化分解工程b’)を含むことができ、この工程は、水素化分解反応セクションにおいて行われ、n個の触媒床を含んでいる少なくとも1個の固定床を用い、nは1以上の整数であり、それぞれ、少なくとも1種の水素化分解触媒を含み、前記水素化分解反応セクションは、工程b)から得られた前記水素化処理済み流出物および/または工程d)から得られた沸点が175℃超である化合物を含んでいる留分と、水素を含んでいるガス流れとを給送され、前記水素化分解反応セクションが用いられる際の平均温度は、250~450℃であり、水素の分圧は、1.5~20.0MPa(絶対)であり、毎時空間速度は、0.1~10.0h-1であり、水素化分解済み流出物を得て、それは、分画工程d)に送られる。
【0107】
それ故に、前記水素化分解反応セクションが有利に実施される際の平均温度は、250~480℃、好ましくは320~450℃であり、その際の水素の分圧は、1.5~20.0MPa(絶対)、好ましくは2~18.0MPa(絶対)であり、その際の毎時空間速度(HSV)は、0.1~10.0h-1、好ましくは0.1~5.0h-1、優先的には0.2~4h-1である。工程c)における水素被覆率は、有利には、工程a)に給送するフレッシュな供給原料の容積(m)当たり水素80~2000Nm、好ましくは、工程a)に給送するフレッシュな供給原料の容積(m)当たり水素200~1800Nmである。平均温度(WABT)、HSVおよび水素被覆の定義は、上述の定義に対応する。
【0108】
有利には、前記水素化分解反応セクションは、水素化工程a)または水素化処理工程b)の反応セクションにおいて用いられた圧力と同等の圧力で実施される。
【0109】
有利には、前記工程b’)は、水素化分解反応セクションにおいて行われ、この水素化分解反応セクションは、少なくとも1基、好ましくは1~5基の固定床反応器を含んでいる。この固定床反応器は、n個の触媒床を含有し、nは、1以上、好ましくは1~10、好ましくは2~5の整数である。前記床(1個または複数個)は、それぞれ、少なくとも1種、かつ、好ましくは10種以下の水素化分解触媒を含む。反応器が、いくつかの触媒床、すなわち、少なくとも2個、好ましくは2~10個、好ましくは2~5個の触媒床を含む場合、前記触媒床は、好ましくは、前記反応器中に直列に配置される。
【0110】
水素化処理工程b)および水素化分解工程b’)は、有利には、同一の反応器または異なる反応器において行われてよい。同一の反応器においてそれらが行われる場合、反応器は、いくつかの触媒床を含み、第1の触媒床は、水素化処理触媒(1種または複数種)を含んでおり、以下の触媒床は、水素化分解触媒(1種または複数種)を含んでいる。
【0111】
水素化分解工程は、1工程(工程b’))または2工程(工程b’)およびb’’))で行われ得る。2工程でそれが行われる場合、第1の水素化分解工程b’)から得られた流出物の分離が行われ、これにより、工程c)およびd)の間に沸点が175℃超である化合物を含んでいる留分(ディーゼル留分)を得ることが可能となり、この留分は、第2の水素化分解工程b’’)に導入される。第2の水素化分解工程b’’)は、第1の水素化分解反応セクションb’)とは異なる専用の第2の水素化分解反応セクションを含んでいる。この構成が特に適しているのは、ナフサ留分のみを製造することが望まれる場合である。
【0112】
第2の水素化分解工程b’’)は、水素化分解反応セクションにおいて行われ、少なくとも1個の固定床を用い、この固定床は、n個の触媒床を含んでおり、nは1以上の整数であり、それぞれ、少なくとも1種の水素化分解触媒を含んでおり、前記水素化分解反応セクションは、工程d)から得られた沸点が175℃超である化合物を含んでいる留分と、水素を含んでいるガス流れとを少なくとも給送され、前記水素化分解反応セクションが用いられる際の平均温度は、250~450℃であり、水素の分圧は、1.5~20.0MPa(絶対)であり、毎時空間速度は、0.1~10.0h-1であり、水素化分解済み流出物を得て、それは、分離工程c)に送られる。第2の水素化分解工程において用いられる好適な操作条件および触媒は、第1の水素化分解工程について記載されたものである。2回の水素化分解工程において用いられる操作条件および触媒は、同一でも異なっていてもよい。
【0113】
前記第2の水素化分解工程は、好ましくは、水素化分解反応セクションにおいて行われ、水素化分解反応セクションは、少なくとも1基、好ましくは1~5基の固定床反応器を含み、この固定床反応器は、n個の触媒床を含み、nは1以上、好ましくは1~10、好ましくは2~5の整数であり、前記床(1個または複数個)は、それぞれ、少なくとも1種、かつ、好ましくは10種以下の水素化分解触媒を含む。
【0114】
水素化分解工程(1回または複数回)において用いられるこれらの操作条件により、一般に、沸点が175℃以下、好ましくは160℃未満、好ましくは150℃未満である化合物の最低80容積%を有する生成物への通過当たりの転化率:15重量%超、一層より好ましくは20~95重量%を得ることが可能となる。本方法が2回の水素化分解工程で行われる場合、第2工程における通過当たりの転化率は中程度に保たれ、ナフサ留分(沸点が175℃以下、特に80℃と175℃以下との間)の化合物についての選択性を最大にする。通過当たりの転化率は、第2の水素化分解工程ループにわたる高いリサイクル比の使用によって制限される。この比は、工程b’’)の給送流量対工程a)の供給原料の流量として定義される;優先的には、この比は、0.2~4、好ましくは0.5~2.5である。
【0115】
水素化分解工程(1回または複数回)により、沸点が175℃超である化合物(ディーゼル留分)の全てを、沸点が175℃以下である化合物(ナフサ留分)に転化することがそれ故に必ずしも可能となるわけではない。分画工程d)の後に、したがって、多かれ少なかれかなりの割合の沸点が175℃超である化合物が残っている可能性がある。転化率を高めるために、この未転化留分の少なくとも一部は、以下に記載されるように工程b’)にリサイクルされ得、あるいはほかに、第2の水素化分解工程b’’)に送られ得る。別の部分はパージされ得る。本方法の操作条件に応じて、前記パージは、流入供給原料に相対する沸点が175℃超である化合物を含んでいる留分の重量で0~10重量%、好ましくは0.5~5重量%であってよい。
【0116】
発明によると、水素化分解工程(1回または複数回)は、少なくとも1種の水素化分解触媒の存在中で操作する。
【0117】
水素化分解工程(1回または複数回)において用いられる水素化分解触媒(1種または複数種)は、当業者に知られている従来の水素化分解触媒であり、酸機能基を水素化脱水素機能基および場合により少なくとも1種のバインダーマトリックスと組み合わせた二機能タイプのものである。酸機能基は、表面酸性を有する大きな表面積(一般に150~800m/g)を有する担体によって提供され、例えば、ハロゲン化(とりわけ塩素化またはフッ素化)アルミナ、ホウ素およびアルミニウムの酸化物の組み合わせ、無定形シリカ-アルミナおよびゼオライトがある。水素化脱水素機能基は、周期律表の第VIB族からの少なくとも1種の金属および/または第VIII族からの少なくとも1種の金属によって提供される。
【0118】
好ましくは、水素化分解触媒(1種または複数種)は、水素化脱水素機能基を含み、この水素化脱水素機能基は、第VIII族からの少なくとも1種の金属を含んでおり、第VIII族からの少なくとも1種の金属は、鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウムおよび白金から、好ましくは、コバルトおよびニッケルから選ばれる。好ましくは、前記触媒(1種または複数種)は、第VIB族からの少なくとも1種の金属も含み、この第VIB族からの少なくとも1種の金属は、クロム、モリブデンおよびタングステンから単独でまたは混合物として、好ましくはモリブデンおよびタングステンから選ばれる。NiMo、NiMoWまたはNiWのタイプの水素化脱水素機能基が好適である。
【0119】
好ましくは、水素化分解触媒(1種または複数種)中の第VIII族からの金属の含有率は、有利には0.5重量%~15重量%、好ましくは1重量%~10重量%であり、百分率は、触媒の全重量に相対する酸化物の重量百分率として表される。金属がコバルトまたはニッケルである場合、金属含有率は、それぞれ、CoOおよびNiOとして表される。
【0120】
好ましくは、水素化分解触媒(1種または複数種)中の第VIB族からの金属の含有率は、有利には5重量%~35重量%、好ましくは10重量%~30重量%であり、百分率は、触媒の全重量に相対する酸化物の重量百分率として表される。金属がモリブデンまたはタングステンである場合、金属含有率は、それぞれ、MoO、WOとして表される。
【0121】
水素化分解触媒(1種または複数種)は、場合によっては、少なくとも1種のプロモータ元素を含んでもよい。当該プロモータ元素は、触媒上に堆積され、リン、ホウ素およびケイ素によって形成される群から選ばれ、場合によっては、第VIIA族からの少なくとも1種の元素(好適には塩素およびフッ素)、場合によっては、第VIIB族からの少なくとも1種の元素(好適にはマンガン)、および、場合によっては、第VB族からの少なくとも1種の元素(好適にはニオブ)を含む。
【0122】
好ましくは、水素化分解触媒(1種または複数種)は、酸化物タイプの少なくとも1種の無定形または不十分に結晶化された多孔性の鉱物マトリクスを含み、アルミナ、シリカ、シリカ-アルミナ、アルミン酸塩、アルミナ-ホウ素酸化物、マグネシア、シリカ-マグネシア、ジルコニア、酸化チタンまたは粘土から単独でまたは混合物として選ばれ、好ましくは、アルミナまたはシリカ-アルミナから単独でまたは混合物として選ばれる。
【0123】
好ましくは、シリカ-アルミナは、50重量%超のアルミナ、好ましくは60重量%超のアルミナを含有する。
【0124】
好ましくは、水素化分解触媒(1種または複数種)は、場合によっては、ゼオライトも含み、これは、Yゼオライトから、好ましくは、USYゼオライトから、単独でまたは他のゼオライトとの組み合わせで選ばれ、他のゼオライトは、ベータ、ZSM-12、IZM-2、ZSM-22、ZSM-23、SAPO-11、ZSM-48またはZBM-30のゼオライトの中からの単独または混合物としてのものである。好ましくは、ゼオライトは、単独のUSYゼオライトである。
【0125】
前記触媒がゼオライトを含む場合、水素化分解触媒(1種または複数種)中のゼオライトの含有率は、有利には0.1重量%~80重量%、好ましくは3重量%~70重量%であり、百分率は、触媒の全重量に相対するゼオライトの百分率として表される。
【0126】
好適な触媒は、第VIB族からの少なくとも1種の金属および場合による第VIII族からの少なくとも1種の非貴金属、少なくとも1種のプロモータ元素、好ましくはリン、少なくとも1種のYゼオライトおよび少なくとも1種のアルミナバインダを含み、好ましくは、それらからなる。
【0127】
さらにより好適な触媒は、ニッケル、モリブデン、リン、USYゼオライト、および場合によるベータオライト、およびアルミナを含み、好ましくは、それらからなる。
【0128】
別の好適な触媒は、ニッケル、タングステン、アルミナおよびシリカ-アルミナを含み、好ましくは、それらからなる。
【0129】
別の好適な触媒は、ニッケル、タングステン、USYゼオライト、アルミナおよびシリカ-アルミナを含み、好ましくは、それらからなる。
【0130】
前記水素化分解触媒は、例えば、押出物状の形態にある。
【0131】
1つの変形において、工程b’’)において用いられる水素化分解触媒は、パラジウムおよび白金から単独でまたは混合物として選ばれる第VIII族からの少なくとも1種の貴金属を含んでいる水素化脱水素機能基を含む。第VIII族からの貴金属の含有率は、有利には0.01重量%~5重量%、好ましくは0.05重量%~3重量%であり、百分率は、触媒の全重量に相対する酸化物(PtOまたはPdO)の重量百分率として表される。
【0132】
本発明の別の態様によると、上記の水素化分解触媒は、酸素および/または窒素および/または硫黄を含有している1種または複数種の有機化合物も含む。このような触媒は、しばしば、用語「添加型触媒」で示される。一般に、有機化合物は、カルボン酸、アルコール、チオール、チオエーテル、スルホン、スルホキシド、エーテル、アルデヒド、ケトン、エステル、カルボナート、アミン、ニトリル、イミド、オキシム、ウレアおよびアミドの官能基から選ばれる1種または複数種の化学官能基を含む化合物あるいはまたフラン環を含む化合物あるいはまた糖類から選ばれる。
【0133】
工程a)、b)、b’)またはb’’)のための触媒の調製は、知られており、一般に、第VIII族金属および存在する場合の第VIB族金属、および場合によるリンおよび/またはホウ素の担体上の含浸の工程を含み、これに続いて、乾燥、次いで、場合による焼成を行う。添加型触媒の場合において、調製は、一般に、有機化合物を導入した後に焼成のない単純な乾燥によって行われる。用語「焼成」は、ここでは、空気または酸素を含有しているガス下の、200℃以上の温度における熱処理を意味する。方法工程におけるそれらの使用の前に、触媒は、一般に、硫化に供され、活性種を形成する。工程a)の触媒は、それの還元された形態で用いられる触媒であってもよく、そのため、それの調製中に還元工程を含む。
【0134】
工程a)、b)、b’)またはb’’)の反応セクションに給送する水素を含んでいるガス流れは、水素の供給および/または分離工程c)から特に得られたリサイクル水素からなっていてもよい。好ましくは、水素を含んでいる追加のガス流れは、有利には、各反応器、特に直列に操作する反応器の入口に、および/または反応セクションの第2の触媒床から各触媒床の入口に導入される。これらの追加のガス流れは、冷却流れとも呼ばれる。それらにより、伴われる反応が一般に高度に発熱性である反応器内の温度をコントロールすることが可能になる。
【0135】
場合によっては、工程a)、b)、b’)またはb’’)のそれぞれは、反応セクションの上流に位置し、流入する流出物が適切な温度に達するように加熱される加熱セクションを用いることができる。前記任意選択の加熱セクションは、好ましくは、1基または複数基の交換器、好ましくは水素化処理済み流出物と水素化分解済み流出物との間で熱交換を可能にするもの、および/または予熱オーブンをそれ故に含むことができる。
【0136】
しかしながら、昇温プロファイルを有する比較的高い平均温度で工程a)を行うことにより、場合によっては、加熱装置についての必要性を排除すること、または工程a)の水素化触媒セクションと工程b)の水素化処理触媒セクションとの間の熱要求を少なくとも低減させることが可能となる。
【0137】
(分離工程c))
本発明によると、本処理方法は、分離工程c)を含み、これは、有利には、少なくとも1個の洗浄/分離セクションにおいて行われ、この洗浄/分離セクションは、工程b)から得られた水素化処理済み流出物、または任意選択の工程b’)およびb’’)から得られた水素化分解済み流出物と、水溶液とを少なくとも給送され、少なくとも1種のガス状流出物、水性流出物および炭化水素ベースの流出物を得る。
【0138】
工程c)の終結の際に得られたガス状流出物は、有利には、水素を含み、好ましくは、最低80容積%、好ましくは最低85容積%の水素を含む。有利には、前記ガス状流出物は、水素化工程a)および/または水素化処理工程b)および/または水素化分解工程b’)および/水素化分解工程b’’)に少なくとも部分的にリサイクルされてよく、リサイクルシステムは、場合によっては、精製セクションを含んでいる。
【0139】
工程c)の終結の際に得られた水性流出物は、有利には、アンモニウム塩および/または塩酸を含む。
【0140】
工程a)およびb)の間に塩素化化合物の水素化によって放出され、これに続いて、水中に溶解した塩化物イオン、特に、HClの形態にあるものと、工程b)の間に窒素化合物、特にNHの形態にあるものの水素化によって生じ、および/またはアミンの注入とその後の水中の溶解によって提供されるアンモニウムイオンとの反応によって塩化アンモニウム塩が生じる。この分離工程d)により、特に、この塩化アンモニウム塩を取り除くこと、それ故に、塩化アンモニウム塩の析出に起因する目詰まり、特に、移送ラインおよび/または本発明の方法のセクションおよび/またはスチームクラッカーへの移送ラインにおける目詰まりのリスクを制限することが可能となる。それにより、水素イオンと塩化物イオンの反応によって形成された塩酸を取り除くことも可能となる。
【0141】
処理されるべき初期供給原料中の塩素化化合物の含有率に応じて、アミン、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンおよび/またはモノジエタノールアミンを含有している流れは、水素化工程a)の上流および/または水素化工程a)と水素化処理工程b)との間および/または水素化分解工程b’)と分離工程c)との間に、好ましくは、水素化工程a)の上流に注入されてよく、水素化処理工程の間に形成された塩化物イオンと結合するのに十分な量のアンモニウムイオンが保証され、それ故に、塩酸の形成を制限すること、それ故に、分離セクションの下流の腐食を制限することが可能となる。
【0142】
有利には、分離工程c)は、工程b)から得られた水素化処理済み流出物、または任意選択の工程b’)およびb’’)から得られた水素化分解済み流出物への水溶液の注入、好ましくは、水の注入を、洗浄/分離のセクションの上流に含み、塩化アンモニウム塩および/または塩酸を少なくとも部分的に溶解させ、それ故に、塩素化不純物の除去を改善し、それ故に、塩化アンモニウム塩の蓄積によって引き起こされる目詰まりのリスクを低減させる。
【0143】
分離工程c)が有利に行われる際の温度は、50~450℃、優先的には100~440℃、好ましくは200~420℃である。塩化アンモニウム塩の沈着によるライン中の閉塞のリスクから、この温度範囲で前記工程を行う(したがって、水素化転化済み流出物を冷却し過ぎない)ことが重要である。有利には、分離工程c)は、工程a)および/またはb)において用いられる圧力に近い圧力、好ましくは1.0~20.0MPaで行われ、水素のリサイクルを容易にする。
【0144】
工程c)の洗浄/分離のセクションは、共通のまたは別個の洗浄および分離の設備において少なくとも部分的に行われてよく、この設備は、周知である(種々の圧力および温度で操作されてよい分離容器、ポンプ、熱交換器、洗浄カラム等)。
【0145】
本発明の1つの任意選択の実施形態において、分離工程c)は、工程b)から得られた水素化処理済み流出物への水溶液の注入を含み、その後に洗浄/分離のセクションが行われ、これは、有利には、アンモニウム塩を含んでいる少なくとも1種の水性流出物、洗浄済み液体炭化水素ベース流出物および部分的に洗浄されたガス状流出物を得るための分離相を含んでいる。アンモニウム塩を含んでいる水性流出物および洗浄済み液体炭化水素ベースの流出物は、続いて、デカント容器において分離され、前記炭化水素ベース流出物および前記水性流出物を得るようにしてよい。前記部分的洗浄済みガス状流出物は、並行して、洗浄カラムに導入されてよく、そこで、それは、水性流れ、好ましくは水素化処理済み流出物に注入された水溶液と同じ性質の水性流れに相対して向流式に流通し、これにより、少なくとも部分的に、好ましくは完全に、部分的洗浄済みガス状流出物中に含有される塩酸を取り除くこと、それ故に、前記ガス状流出物、好ましくは、水素を本質的に含んでいる前記ガス状流出物、および酸性水性流れを得ることが可能となる。デカント容器から得られた前記水性流出物は、場合によっては、前記酸性水流れと混合されてよく、場合によっては、前記酸性水性流れとの混合物として、水リサイクル回路において用いられ、洗浄/分離のセクションの上流の前記水溶液および/または洗浄カラム中の前記水性流れへの分離の工程c)に給送してよい。前記水リサイクル回路は、水および/または塩基性溶液の供給および/または溶解した塩を取り除くためのパージを含んでよい。
【0146】
本発明の別の任意選択の実施形態において、分離工程c)は、有利には、「高圧」の洗浄/分離のセクションを含んでよく、これは、水素化工程a)および/または水素化処理工程b)および/または任意選択の水素化分解工程b’)の圧力に近い圧力、好ましくは1.0~20.0MPaで操作し、水素のリサイクルを容易にする。工程c)のこの任意選択の「高圧」セクションは、「低圧」セクションで完了して、高圧で溶解したガスの部分を含まず、水蒸気分解法において直接的に処理されるかまたは場合によっては分画工程d)に送られることが意図された炭化水素ベースの液体フラクションを得るようにしてよい。
【0147】
分離工程c)から得られたガスフラクション(1種または複数種)は、少なくとも1種の水素リッチガスおよび/または液体炭化水素、とりわけ、エタン、プロパンおよびブタンを回収するという目的で追加の精製(1回または複数回)および分離(1回または複数回)を経てよく、水素リッチガスは、工程a)および/またはb)および/またはb’)および/またはb’’)の上流にリサイクルされてよく、液体炭化水素は、有利には、別個にまたは混合物として、水蒸気分解工程e)の1個または複数個の炉に送られて、オレフィンの全体的な収率を増大させるようにしてよい。
【0148】
分離工程c)から得られた炭化水素ベースの流出物は、部分的または全体的に、直接的に水蒸気分解ユニットの入口に送られるか、または任意選択の分画工程d)に送られるかのいずれかである。好ましくは、炭化水素ベースの液体流出物は、部分的または全体的に、好ましくは全体的に、分画工程d)に送られる。
【0149】
(分画工程d)(任意選択))
本発明による方法は、工程c)から得られた炭化水素ベースの流出物の全部または一部、好ましくは全部を分画する工程を含んでよく、少なくとも1種のガス流れと、少なくとも2種の液体炭化水素ベース流れを得るようにし、前記2種の液体炭化水素ベース流れは、沸点が175℃以下、特に80~175℃である化合物を含んでいる少なくとも1種のナフサ留分と、沸点が175℃超である化合物を含んでいる少なくとも1種の炭化水素留分である。
【0150】
工程d)により、炭化水素ベースの液体流出物中に溶解したガス、例えば、アンモニア、硫化水素および1~4個の炭素原子を含有している軽質炭化水素を取り除くことが特に可能となる。
【0151】
任意選択の分画工程d)が有利に行われる際の圧力は、1.0MPa(絶対)以下、好ましくは0.1~1.0MPa(絶対)である。
【0152】
1つの実施形態によると、工程d)は、環流容器を含んでいる環流回路を備えた少なくとも1基のストリッピング塔を有利に含んでいるセクションにおいて行われてよい。前記ストリッピング塔は、工程c)から得られた炭化水素ベースの液体流出物と、水蒸気流れとを給送される。工程c)から得られた炭化水素ベースの液体流出物は、場合によっては、ストリッピング塔に入る前に加熱されてよい。それ故に、最軽質の化合物は、塔の頂部で同伴され、気/液分離が行われる環流容器を含んでいる環流回路に運ばれる。軽質炭化水素を含む気相は、ガス流れとして環流容器から抜き出される。沸点が175℃以下である化合物を含んでいるナフサ留分は、有利には、環流容器から抜き出される。沸点が175℃超である化合物を含んでいる炭化水素留分は、有利には、ストリッピング塔の底部のところで抜き出される。
【0153】
他の実施形態によると、分画工程d)は、ストリッピング塔とその次の蒸留塔または蒸留塔のみを含んでよい。
【0154】
沸点が175℃以下である化合物を含んでいるナフサ留分および沸点が175℃超である化合物を含んでいる留分は、場合によっては、混合されて、全体的または部分的に、水蒸気分解ユニットに送られてよく、水蒸気分解ユニットの出口のところで。オレフィンが、(再)形成されて、ポリマーの形成に関与する場合がある。好ましくは、前記留分(複数種)の一部のみが水蒸気分解ユニットに送られる;残留部分の少なくとも一部は、場合によっては、本方法の工程の少なくとも1つリサイクルされ、かつ/または従来の石油系供給原料から得られる、燃料貯蔵ユニット、例えば、ナフサ貯蔵ユニット、ディーゼル貯蔵ユニットまたはケロセン貯蔵ユニットに送られる。
【0155】
好適な実施形態によると、沸点が175℃以下である化合物を含んでいるナフサ留分は、全体的または部分的に、水蒸気分解ユニットに送られる一方で、沸点が175℃超である化合物を含んでいる留分は、工程a)および/またはb)および/またはb’)にリサイクルされ、および/または燃料貯蔵ユニットに送られる。
【0156】
1つの特定の実施形態において、任意選択の分画工程d)により、ガス流れの他に、沸点が175℃以下、好ましくは80~175℃である化合物を含んでいるナフサ留分、および沸点が175℃超かつ385℃未満である化合物を含んでいる中間蒸留物留分、および重質炭化水素留分として知られている沸点が385℃以上である化合物を含んでいる炭化水素留分を得ることが可能となってよい。ナフサ留分は、全体的または部分的に、水蒸気分解ユニットおよび/または従来の石油ベースの供給原料から得られたナフサのための貯蔵ユニットに送られてよい;それは、リサイクルされてもよい;中間蒸留物は、全体的または部分的に、水蒸気分解ユニット、または従来の石油ベースの供給原料から得られたディーゼルのための貯蔵ユニットのいずれかに送られてもよいか、または、リサイクルされてよい;重質留分は、それの一部について、少なくとも部分的に、水素化分解工程f)に送られてよいか、またはリサイクルされてよい。
【0157】
別の特定の実施形態において、任意選択の分画工程e)により、ガス流れの他に、沸点が175℃以下、好ましくは80~175℃である化合物を含んでいるナフサ留分、および沸点が175℃超かつ280℃以下である化合物を含んでいるケロセン留分、沸点が280℃超かつ385℃未満である化合物を含んでいるディーゼル留分、および重質炭化水素留分として知られている沸点が385℃以上である化合物を含んでいる炭化水素留分を得ることが可能となってよい。ナフサ留分は、全体的または部分的に、水蒸気分解ユニットおよび/または従来の石油ベースの供給原料から得られたナフサプールに送られてよい;それは、リサイクル工程g)に送られてもよい;ケロセン留分および/またはディーゼル留分は、全体的または部分的に、水蒸気分解ユニット、または従来の石油ベースの供給原料からそれぞれ得られたケロセンまたはディーゼルのプールのいずれかに送られるか、または、リサイクル工程f)に送られてよい;重質留分は、それの一部について、少なくとも部分的に、水蒸気分解ユニットに送られてよいか、または、リサイクル工程f)に送られてよい。
【0158】
別の特定の実施形態において、工程d)から得られた沸点が175℃以下である化合物を含んでいるナフサ留分は、沸点が80~175℃である化合物を含んでいる重質ナフサ留分と、沸点が80℃未満である化合物を含んでいる軽質ナフサ留分とに分画され、前記重質ナフサ留分の少なくとも一部は、芳香族化合物を生じさせることを目的とする少なくとも1回のナフサ改質工程を含むアロマティックコンプレクスに送られる。この実施形態によると、軽質ナフサ留分の少なくとも一部は、下記の水蒸気分解工程e)に送られる。
【0159】
分画工程d)から得られたガスフラクション(1種または複数種)は、少なくとも軽質炭化水素、とりわけ、エタン、プロパンおよびブタンを回収するという目的で追加の精製(1回または複数回)および分離(1回または複数回)を経てよく、軽質炭化水素は、有利には、別個にまたは混合物として、水蒸気分解工程e)の炉の1つに送られて、オレフィンの全体的収率を増大させるようにしてよい。
【0160】
(沸点が175℃超である化合物を含んでいる留分のリサイクル)
分画工程d)から得られた沸点が175℃超である化合物を含んでいる留分の少なくとも一部は、回収されて、リサイクル流れを構成することができ、このリサイクル流れは、本発明による方法の反応工程の少なくとも1つの上流にまたは直接的に、特に水素化工程a)および/または水素化処理工程b)および/または水素化分解工程b’)に送られる。場合によっては、リサイクル流れの一部は、任意選択の工程a0)に送られてよい。
【0161】
リサイクル流れは、1回の注入で前記反応工程a)および/またはb)および/またはb’)に給送してよく、または、いくつかのフラクションに分割されて、複数回の注入で、すなわち異なる触媒床に反応工程a)および/またはb)および/またはb’)に給送されてよい。
【0162】
有利には、沸点が175℃超である化合物を含んでいる留分のリサイクル流れの量の調節は、リサイクル流れと、プラスチック熱分解油を含んでいる供給原料、すなわち全体の方法に給送する処理対象の供給原料との間の重量比が10以下、好ましくは5以下、かつ、優先的には0.001以上、好ましくは0.01以上、好ましくは0.1以上になるように行われる。大いに好ましくは、リサイクル流れの量は、リサイクル流れと、プラスチック熱分解油を含んでいる供給原料との重量比が0.2~5になるように調節される。
【0163】
1つの好適な変形によると、分画工程d)から得られた沸点が175℃超である化合物を含んでいる留分が存在する場合、その少なくとも一部は、水素化分解工程b’)に送られる。沸点が175℃超である化合物を含んでいる留分の一部の、本発明による方法の反応工程の少なくとも1つへのまたはその上流への、とりわけ、水素化分解工程b’)へのリサイクルにより、沸点が175℃未満であるナフサ留分の収率を高めることが有利に可能になる。リサイクルにより、不純物を希釈すること、さらに、関係する反応が高度に発熱性である可能性のある反応工程(1回または複数回)における温度をコントロールすることも可能になる。
【0164】
別の好適な変形によると、分画工程d)から得られた沸点が175℃超である化合物を含んでいる留分の少なくとも一部は、第2の水素化分解工程b’’)が存在する場合、それに送られる。
【0165】
沸点が175℃超である化合物を含んでいる留分のリサイクルに際して、パージが設置されてよい。本方法の操作条件に応じて、前記パージは、入来供給原料に相対して沸点が175℃超である化合物を含んでいる留分の重量で0~10重量%、好ましくは0.5~5重量%であってよい。
【0166】
(工程c)から得られた炭化水素ベースの流出物および/または工程d)から得られた沸点が175℃以下であるナフサ留分のリサイクル)
分離工程c)から得られた炭化水素ベースの流出物の一部または任意選択の分画工程d)から得られた沸点が175℃以下であるナフサ留分の一部が回収され、リサイクル流れを構成してよい。リサイクル流れは、本発明による方法の反応工程の少なくとも1つの上流にまたはその工程に直接に、特に、水素化工程a)および/または水素化処理工程b)に送られる。場合によっては、リサイクル流れのフラクションは、任意選択の前処理工程a0)に送られてよい。
【0167】
好ましくは、分離工程c)から得られた炭化水素ベースの流出物または任意選択の分画工程d)から得られた沸点が175℃以下であるナフサ留分の少なくとも一部は、水素化処理工程b)に給送する。
【0168】
有利には、リサイクル流れ、すなわち、得られたリサイクル生成物のフラクションの量の調節は、リサイクル流れと、プラスチック熱分解油を含んでいる供給原料、すなわち、全体的方法に給送する処理対象供給原料との間の重量比が、10以下、好ましくは5以下、かつ、優先的には0.001以上、好ましくは0.01以上、好ましくは0.1以上になるように行われる。大いに好ましくは、リサイクル流れの量は、リサイクル流れと、プラスチック熱分解油を含んでいる供給原料との間の重量比が、0.2~5になるように調節される。
【0169】
有利には、本方法の開始段階で、本方法に対して外部の炭化水素留分が、リサイクル流れとして用いられてよい。当業者は、前記炭化水素留分をどのように選ぶかを知っているであろう。
【0170】
得られた生成物の一部を、本発明による方法の反応工程の少なくとも1つにまたはその上流にリサイクルすることにより、第1に不純物を希釈すること、第2に、関与する反応が高度に発熱性である場合がある反応工程(1回または複数回)中の温度をコントロ-ルすることが有利に可能になる。
【0171】
プラスチック熱分解油の本発明の方法による処理によってこうして得られた前記炭化水素ベースの流出物または前記炭化水素ベースの流れ(1種または複数種)は、水蒸気分解ユニットに入る供給原料についての仕様に適合できる組成を有している。特に、炭化水素ベースの流出物または前記炭化水素ベース流れ(1または複数)の組成は、好ましくは、以下のようになされる:
- 金属性元素の全含有率は、5.0重量ppm以下、好ましくは2.0重量ppm以下、優先的には1.0重量ppm以下、好ましくは0.5重量ppm以下であり、これに伴い:
ケイ素元素(Si)の含有率は、1.0重量ppm以下、好ましくは0.6重量ppm以下であり、
鉄元素(Fe)の含有率は、100重量ppb以下であり、
- 硫黄含有率は、500重量ppm以下、好ましくは200重量ppm以下であり、
- 窒素含有率は、100重量ppm以下、好ましくは50重量ppm以下、好ましくは5重量ppm以下であり、
- アスファルテンの含有率は、5.0重量ppm未満であり、
- 塩素元素の全含有率は、10重量ppm以下、好ましくは1.0重量ppm未満であり、
- オレフィン系化合物(モノオレフィンおよびジオレフィン)の含有率は、5.0重量%以下、好ましくは2.0重量%以下、好ましくは0.1重量%以下である。
【0172】
含有率は、検討中の流れの全重量に相対する相対重量濃度、重量百分率(%)、重量百万分率(ppm)または重量百億分率(ppb)として与えられる。
【0173】
本発明による方法により、プラスチック熱分解油を処理して、水蒸気分解ユニットに全体的または部分的に注入され得る流出物を得るようにすることがこのように可能となる。
【0174】
(水蒸気分解の工程e)(任意選択))
分離工程c)から得られた炭化水素ベースの流出物、または任意選択の工程d)から得られた2種の液体炭化水素ベースの流れの少なくとも1つは、全体的または部分的に、水蒸気分解工程e)に送られてよい。
【0175】
有利には、エタン、プロパンおよびブタンを含有している分離工程c)および/または分画工程d)から得られたガスフラクション(1種または複数種)は、全体的または部分的に、水蒸気分解工程e)に送られてもよい。
【0176】
前記水蒸気分解工程e)は、有利には、少なくとも1基の熱分解炉において、700~900℃、好ましくは750~850℃の温度、および0.05~0.3MPa(相対)の圧力で行われる。炭化水素ベースの化合物の滞留時間は、一般に1.0秒(sと記す)以下、好ましくは0.1~0.5sである。水蒸気は、有利には、任意選択の水蒸気分解工程e)の上流に、分離(または分画)の後に導入される。導入される水、有利には、水蒸気の形態にある水の量は、有利には、工程e)に入る炭化水素ベースの化合物の重量(kg)当たり水0.3~3.0kgである。任意選択の工程e)は、好ましくは、並列の複数基の熱分解炉において行われ、工程e)に給送する種々の流れ、とりわけ、工程d)から得られた流れに操作条件を適合させ、かつ、管のデコーキング時間を管理する。炉は、1本または並列に配置された複数本の管を含む。炉は、並列で操作する一群の炉を表すこともある。例えば、炉は、沸点が175℃以下である化合物を含んでいるナフサ留分の分解専用であってよい。
【0177】
種々の水蒸気分解炉からの流出物は、一般に、分離の前に再結合され、流出物を構成する。水蒸気分解工程e)は、水蒸気分解炉だけでなく、当業者に周知である水蒸気分解に関連するサブ工程も含むことが理解される。これらのサブ工程は、熱交換器、カラムおよび触媒反応器および炉へのリサイクルをとりわけ含んでよい。カラムにより、一般に、水素および2~5個の炭素原子を含有している化合物を含んでいる少なくとも1種の軽質フラクションと、熱分解ガソリンを含んでいるフラクションとを含み、場合によっては、熱分解油を含んでいるフラクションとを回収するという目的で流出物を分画することが可能となる。カラムにより、分画軽質フラクションの種々の成分を分離して、エチレンに豊富な少なくとも1種の留分(C2留分)と、プロピレンに豊富な留分(C3留分)とを回収し、場合によってはブテンに豊富な留分(C4留分)を回収することが可能となる。触媒反応器により、C2、C3、さらにはC4留分および熱分解ガソリンの水素化を行うことがとりわけ可能となる。飽和化合物、とりわけ、2~4個の炭素原子を含有している飽和化合物は、有利には、水蒸気分解炉にリサイクルされ、オレフィンの全体的収率が向上する。
【0178】
この水蒸気分解工程e)により、2、3および/または4個の炭素原子を含んでいるオレフィン(すなわち、C2、C3および/またはC4のオレフィン)を、満足のいく含有率、特に、検討中の水蒸気分解流出物の重量に相対する2、3および4個の炭素原子を含んでいる全オレフィンの重量で30重量%以上、とりわけ40重量%以上、さらには50重量%以上の含有率で含有している少なくとも1種の流出物を得ることが可能となる。前記C2、C3およびC4のオレフィンは、有利には、ポリオレフィンモノマーとして用いられてよい。
【0179】
本発明の1つの好適な実施形態によると、プラスチック熱分解油を含んでいる供給原料を処理するための方法は、以下の通りの工程の配列を、好ましくは与えられた順序で含み、好ましくは、それらからなる:
- 水素化工程a)、水素化処理工程b)、分離工程c)、または
- 水素化工程a)、水素化処理工程b)、分離工程c)および分画工程d)、または
- 水素化工程a)、水素化処理工程b)、分離工程c)、分画工程d)および沸点が175℃以下である化合物を含んでいる留分を工程a)および/またはb)にリサイクルする工程、
- 水素化工程a)、水素化処理工程b)、水素化分解工程b’)、分離工程c)、または
- 水素化工程a)、水素化処理工程b)、水素化分解工程b’)、分離工程c)および分画工程d)、または
- 水素化工程a)、水素化処理工程b)、水素化分解工程b’)、分離工程c)、分画工程d)および沸点が175℃超である化合物を含む留分を水素化分解工程b’)にリサイクルする工程、または
- 水素化工程a)、水素化処理工程b)、水素化分解工程b’)、分離工程c)、分画工程d)および沸点が175℃以下である化合物を含んでいる留分を工程a)またはb)にリサイクルする工程、または
- 水素化工程a)、水素化処理工程b)、水素化分解工程b’)、分離工程c)、分画工程d)、沸点が175℃超である化合物を含んでいる留分を水素化分解工程b’)にリサイクルする工程および沸点が175℃以下である化合物を含んでいる留分を工程a)またはb)にリサイクルする工程、または
- 水素化工程a)、水素化処理工程b)、水素化分解工程b’)、分離工程c)、分画工程d)、沸点が175℃超である化合物を含んでいる留分を水素化分解工程b’)にリサイクルする工程、または
- 水素化工程a)、水素化処理工程b)、水素化分解工程b’)、分離工程c)、分画工程d)、沸点が175℃超である化合物を含んでいる留分を水素化分解工程b’)にリサイクルする工程および沸点が175℃以下である化合物を含んでいる留分を工程a)またはb)にリサイクルする工程、または、
- 水素化工程a)、水素化処理工程b)、分離工程c)、分画工程d)および水素化分解工程b’)、または
- 水素化工程a)、水素化処理工程b)、分離工程c)、分画工程d)および水素化分解工程b’)、および工程b’)からの流出物を工程c)にリサイクルする工程、または
- 水素化工程a)、水素化処理工程b)、分離工程c)、分画工程d)および水素化分解工程b’)および工程b’)からの流出物を工程c)にリサイクルする工程および沸点が175℃以下である化合物を含んでいる留分を工程a)またはb)にリサイクルする工程。
【0180】
全ての実施形態は、さらに、前処理工程a0)を含むことができ、好ましくは、それらからなる。
【0181】
全ての実施形態は、さらに、水蒸気分解工程g)を含むことができ、好ましくは、それらからなる。
【0182】
(用いられる分析方法)
種々の流れの特徴、特に、処理されるべき供給原料および流出物の特徴を決定するために用いられる分析方法および/または標準は、当業者に知られている。それらは、特に情報として以下にリストされている。他の評判の高い同等の方法も用いられ得、とりわけ、同等のIP、EN、またはISOの方法がある。
【0183】
【表1】
【0184】
(1)MAV 法;以下の文献に記載されている:C. Lopez-Garcia et al., Near Infrared Monitoring of Low Conjugated Diolefins Content in Hydrotreated FCC Gasoline Streams, Oil & Gas Science and Technology - Rev. IFP, volume 62 (2007), No. 1, 57-68
(図面のリスト)
図1~2において参照される要素に関する情報により、本発明のよりよい理解が可能となるが、前記発明は、図1~2に示される特定の実施形態に限定されない。提示された種々の実施形態は、単独でまたは互いとの組み合わせで用いられてよく、組み合わせに何らの限定もない。
【0185】
図1は、本発明の方法の特定の実施形態のスキームを表し、以下の工程を含んでいる:
- プラスチックの熱分解から得られた炭化水素ベースの供給原料(1)の水素化の工程a);水素リッチガス(2)の存在中、および場合によっては、流れ(3)によって供給されるアミンの存在中、少なくとも1種の水素化触媒を含む少なくとも1基の固定床反応器において行う;流出物(4)を得る;
- 工程a)から得られた流出物(4)の水素化処理の工程b);水素(5)の存在中、少なくとも1種の水素化処理触媒を含む少なくとも1基の固定床反応器において行う;水素化処理済み流出物(6)を得る;
- 任意選択での、工程b)から得られた流出物(6)の水素化分解の工程b’);水素(7)の存在中、少なくとも1種の水素化分解触媒を含む少なくとも1基の固定床反応器において行う;水素化分解済み流出物(8)を得る;
- 流出物(8)の分離の工程c);水性洗浄溶液(9)の存在中で行う;水素を含んでいる少なくとも1種のフラクション(10)と、溶解した塩を含有している水性フラクション(11)と、炭化水素ベースの液体フラクション(12)とを得ることを可能とする;
- 任意選択での、炭化水素ベース液体フラクション(12)の分画の工程d);少なくとも1種のガスフラクション(13)と、沸点が175℃以下である化合物を含んでいる留分(ナフサ留分)(14)と、沸点が175℃超である化合物を含んでいる留分(ディーゼル留分)(15)とを得ることを可能とする。
【0186】
工程d)の終結の際に、沸点が175℃以下である化合物を含んでいる留分(14)の少なくとも一部は、水蒸気分解法(示されない)に送られる。留分(14)の別の部分は、水素化工程a)(フラクション(14a))および水素化処理工程b)(フラクション(14b))に給送する。工程d)から得られた沸点が175℃超である化合物を含んでいる留分(15)の一部は、水素化分解工程b’)(フラクション(15a))に給送し、別の部分(15b)は、パージを構成する。
【0187】
図2は、本発明の方法の別の特定の実施形態のスキームを表し、図1のスキームをベースとしている。このスキームは、とりわけ、第2の水素化分解工程b’’)を含み、この工程において、工程d)から得られた沸点が175℃超である化合物を含んでいる留分(15)は、この第2の水素化分解程b’’)に給送し(フラクション(15a))、この工程は、少なくとも1種の水素化分解触媒を含んでいる少なくとも1基の固定床反応器において行われ、水素(16)を給送される。第2の水素化分解済み流出物(17)は、分離工程c)にリサイクルされる。留分(15)の他の部分は、パージ(15b)を構成する。
【0188】
アミン流れ(3)を水素化工程a)の入口に注入する代わりに、供給原料の特徴に応じて、水素化処理工程b)の入口、水素化分解工程b’)の入口、分離工程c)の入口にそれを注入することあるいはまたそれを注入しないことが可能である。
【0189】
主要な工程のみが主要な流れとともに図1および2に示されているのは、本発明のより良好な理解を可能とするためである。機能化に必要な全ての設備(容器、ポンプ、交換器、炉、カラムなど)が存在することは、たとえ示されてなくとも、明確に理解される。水素リッチガス流れ(供給またはリサイクル)は、上記のように、各反応器または触媒床の入口に、または2基の反応器または2つの触媒床の間に注入されてよいことも理解される。水素を精製およびリサイクルするための当業者に周知である手段が用いられてもよい。
【0190】
(実施例1)
(実施例1(本発明に合致する))
本方法において処理される供給原料(1)は、プラスチック熱分解油(すなわち、100重量%の前記プラスチック熱分解油を含んでいる)であり、表2に示される特徴を有している。
【0191】
【表2】
【0192】
(1)MAV法は、以下の記事において記載されている:C. Lopez-Garcia et al., Near Infrared Monitoring of Low Conjugated Diolefins Content in Hydrotreated FCC Gasoline Streams, Oil & Gas Science and Technology - Rev. IFP, Vol. 62 (2007), No. 1, pages 57-68
【0193】
供給原料(1)を、水素化工程a)に供する。この工程を、固定床反応器において、水素(2)およびアルミナ担持NiMoタイプの水素化触媒の存在中、表3に示される条件下に行う。
【0194】
【表3】
【0195】
表3に示される条件は、サイクルの開始時の条件に対応し、平均温度(WABT)を月当たり1℃ずつ上昇させて、触媒の失活を補うようにする。
【0196】
水素化工程a)の終結の際に、観察された転化率(=(初期濃度-最終濃度)/初期濃度)を表4に示す。
【0197】
【表4】
【0198】
水素化工程a)から得られた流出物(4)を、分離なしで、水素化処理工程b)に直接的に供する。この工程を、固定床において、水素(5)およびアルミナ担持NiMoタイプの水素化処理触媒の存在中、表5に示される条件下に行う。
【0199】
【表5】
【0200】
表5に示される条件は、サイクルの開始時の条件に対応し、平均温度(WABT)を月当たり1℃ずつ上昇させて触媒の失活を補うようにする。
【0201】
水素化処理工程b)から得られた流出物(6)を、分離工程c)に供する;水の流れを、水素化処理工程b)から得られた流出物に注入する;混合物を、次いで、酸性ガス洗浄カラムおよび分離容器において処理し、ガスフラクションと、液体流出物とを得るようにする。分離の後に得られた種々のフラクションについての収率を表6に指し示す(収率は、工程a)の上流の供給原料の質量に相対する種々の生成物の質量の比に対応し、百分率で表され、%m/mとして表記される)。
【0202】
【表6】
【0203】
得られた液体フラクションの全部または一部は、その後、リサイクルプラスチックを形成する目的でポリマー化される可能性のあるオレフィンを形成する目的で水蒸気分解工程においてグレードアップされ得る。
【0204】
本発明により行われる方法により、従来技術により観察された触媒の失活に相対して水素化工程a)の間および水素化処理工程b)の間の触媒の失活が低下する結果となる。
【0205】
(実施例2(本発明に合致しない))
従来技術に合致するが本発明に合致しないこの実施例において、処理されるべき供給原料は、実施例1に記載されたものと同一である(表2参照)。
【0206】
供給原料を、選択的水素化工程a)に供する。この工程を、固定床反応器において、水素およびアルミナ担持NiMoタイプの選択的水素化触媒の存在中、表7に示される条件下に行う。
【0207】
【表7】
【0208】
表7に指し示される条件は、サイクルの開始時の条件に対応し、平均温度(WABT)を月当たり4℃ずつ上昇させて、触媒の失活を補うようにしている。
【0209】
選択的水素化工程a)の終結の際に、観察された転化率(=(初期濃度-最終濃度)/初期濃度)を表8に指し示す。
【0210】
【表8】
【0211】
選択的水素化工程a)から得られた流出物を、分離なしで、水素化処理工程b)に直接的に供する。この工程を、固定床において、水素、炭化水素ベースのリサイクル流れおよびアルミナ担持NiMoタイプの水素化処理触媒の存在中、表9に提示される条件下に行う。
【0212】
【表9】
【0213】
表9に指し示される条件は、サイクルの開始時の条件に対応し、平均温度(WABT)を月当たり2℃ずつ上昇させて、触媒の失活を補うようにしている。
【0214】
水素化処理工程b)から得られた流出物を、分離工程c)に供する:水の流れを、水素化処理工程b)から得られた流出物に注入する;混合物を、次いで、酸性ガス洗浄カラムおよび分離容器において処理し、ガスフラクションと液体流出物とを得るようにする。分離後に得られた種々のフラクションについての収率を表10に指し示す(収率は、工程a)の上流の供給原料の質量に相対する種々の取得生成物の質量の量の比に対応し、百分率で表され、%m/mとして表記される)。
【0215】
【表10】
【0216】
従来技術に従って行われ、本発明に従っていない方法は、選択的水素化工程a)中および水素化処理工程b)中に、水素化工程a)中および水素化処理工程b)中に本発明に従って行われる方法において観察される触媒失活よりも大きい触媒失活という結果に至る。
【図面の簡単な説明】
【0217】
図1】本発明の方法の特定の実施形態のスキームを表す。
図2】本発明の方法の別の特定の実施形態のスキームを表し、図1のスキームをベースとしている。
図1
図2
【国際調査報告】