(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-18
(54)【発明の名称】電気化学セルからの構成材料の分離、偏析及び回収のための方法
(51)【国際特許分類】
H01M 10/54 20060101AFI20240111BHJP
C22B 1/00 20060101ALI20240111BHJP
C22B 7/00 20060101ALI20240111BHJP
C22B 26/12 20060101ALI20240111BHJP
C22B 3/16 20060101ALI20240111BHJP
C22B 3/22 20060101ALI20240111BHJP
C22B 21/00 20060101ALI20240111BHJP
【FI】
H01M10/54
C22B1/00 601
C22B7/00 C
C22B26/12
C22B3/16
C22B3/22
C22B21/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023541313
(86)(22)【出願日】2022-01-06
(85)【翻訳文提出日】2023-09-05
(86)【国際出願番号】 US2022011498
(87)【国際公開番号】W WO2022150515
(87)【国際公開日】2022-07-14
(32)【優先日】2021-01-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521320667
【氏名又は名称】ソリッド パワー オペレーティング, インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【氏名又は名称】村上 智史
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン カールソン
(72)【発明者】
【氏名】ジョシュア ブエットナー-ギャレット
【テーマコード(参考)】
4K001
5H031
【Fターム(参考)】
4K001AA01
4K001AA02
4K001AA04
4K001AA09
4K001AA10
4K001AA12
4K001AA15
4K001AA19
4K001AA23
4K001AA24
4K001AA27
4K001AA30
4K001AA34
4K001AA35
4K001AA36
4K001AA38
4K001AA41
4K001CA05
4K001CA09
4K001DB01
4K001DB11
4K001DB16
5H031BB01
5H031BB02
5H031RR02
(57)【要約】
複数の溶媒への溶解、溶解した構成成分の分離、及び複数種の材料の回収により、電気化学セルから複数種の材料を分離及び回収する方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気化学セルから複数種の材料を分離及び回収する方法であって、
(a)容器内に位置する前記電気化学セルに溶媒を加える工程;
(b)前記容器内の前記電気化学セル及び前記溶媒にエネルギーを供給して、前記電気化学セルの第1の複数種の材料の溶解を促進させる工程;
(c)前記溶媒及び溶解した第1の複数種の材料を前記電気化学セルの残存する材料から分離する工程;及び
(d)溶解した前記第1の複数種の材料を回収する工程;
を含み、任意選択的に、(a)、(b)、(c)及び(d)が1もしくは2以上の同種もしくは異種の溶媒又はそれらの混合物を用いて繰り返される、方法。
【請求項2】
前記複数種の材料には、電極金属、固体電解質、活物質、バインダー、導電性添加剤、及びそれらの誘導体が含まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数種の材料には、リチウム金属、硫化物系固体電解質、正極活物質、バインダー、炭素系添加剤、アルミニウム金属、及びそれらの誘導体が含まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記電気化学セルの前記残存する材料をさらなる溶媒で洗浄して、残存する材料を除去することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
分離する工程が密度偏析を含む、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記容器内の前記電気化学セル及び溶媒に錯化剤を加えることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記錯化剤が、P
2S
5、元素状硫黄、P
4S
8、P
4S
9、Sb
2S
5及びそれらの混合物から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
溶解した前記複数種の材料のうちの1つがP
2S
5-Li
2S錯体を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記溶媒が炭化水素系溶媒を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記溶媒がキシレン系溶媒を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
工程(a)、(b)、(c)及び(d)が極性溶媒を用いて繰り返される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
工程(a)、(b)、(c)及び(d)がニトリル系溶媒を用いて繰り返される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記ニトリル系溶媒が、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル又はそれらの混合物を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
エネルギーの前記供給が、前記容器内の前記電気化学セル及び前記溶媒を物理的に撹拌すること、又は前記容器内の前記電気化学セル及び前記溶媒に熱を加えることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
リチウム金属を含む電気化学セルをリサイクルする方法であって、
(a)前記電気化学セルを1又は2以上の溶媒に浸漬し、任意選択的に撹拌又は熱を加える工程であって、前記電気化学セルのバインダー及び/又はポリマー構成成分が前記溶媒に可溶化される工程;
(b)前記電気化学セルの可溶化された前記バインダー及び/又はポリマー構成成分とともに前記溶媒を除去する工程;
(c)前記電気化学セルに異なる溶媒を加え、前記電気化学セルを浸漬し、任意選択的に撹拌又は熱を加える工程であって、前記電気化学セルの前記リチウム金属を遊離させてリチウム金属分散体を有する混合物を形成するために、前記固体電解質のさらなるバインダー及び/又はポリマー構成成分が前記異なる溶媒に可溶化される工程;
(d)前記リチウム金属分散体に錯化剤を加えて、遊離した前記リチウム金属との錯体を形成させて、沈殿物を形成する工程;
(e)前記沈殿物をフィルターにかけて、前記リチウム金属錯体を回収する工程;
を含み、任意選択的に、(a)、(b)、(c)、(d)及び/又は(e)が、1もしくは2以上の同種もしくは異種の溶媒又はそれらの混合物を用いて繰り返される、方法。
【請求項16】
(a)の前記溶媒が炭化水素系溶媒を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
(c)の前記異なる溶媒が極性溶媒又はニトリル系溶媒を含む、請求項15記載の方法。
【請求項18】
(d)の前記錯化剤が、元素状硫黄、P
4S
3、P
4S
4、P
4S
5、P
4S
6、P
4S
7、P
4S
8、P
4S
9、P
4S
10(P
2S
5)、Sb
2S
3及びSb
2S
5、又はそれらの混合物を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記炭化水素系溶媒が、キシレン、トルエン、ベンゼン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソパラフィン系炭化水素、非プロトン性炭化水素、又はそれらの混合物を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記異なる溶媒が、エーテル、エステル、ニトリル、アルコール、チオール、ケトン、又はそれらの混合物を含む、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年1月6日に出願された米国仮特許出願第63/134,326号の優先権の利益を主張するものであり、その全体を参照により本明細書に援用する。
技術分野
【0002】
本明細書に記載される様々な実施形態は、一次及び二次電気化学セル、電極及び電極材料、電解質、電解質組成物、並びにこれらを製造、使用及び再処理する方法の分野に関する。
【背景技術】
【0003】
モバイル機器の増え続ける数及び多様性、ハイブリッド/電気自動車の進化、及びInternet-of-Thingsデバイスの発展により、信頼性、容量(Ah)、熱特性、寿命、及び再充電性能が改善された電池技術に対するニーズが高まっている。現在、リチウム固体電池技術は、安全性、パッケージング効率の潜在的な向上をもたらし、新規な高エネルギー化学物質を可能にしている。固体電池技術の利用拡大に伴い、構成材料の再生及びリサイクルプロセスの重要性が高まっている。
【0004】
再充電可能な電池に対する社会一般の需要の高まりによって、リチウム、ニッケル及びコバルトなどの電池用原材料のコストも上昇し続けている。コストを維持するための1つの可能な方法は、米国特許第9,023,130号明細書及び日本国特許第5577926号公報に記載されているように、これらの電池の酸性又はアルカリ性消化を実施することによって、使用済み電池に含まれる材料をリサイクルすることである。このタイプの電池リサイクルは、液体電解質を含む再充電可能な電池に対してのみ安全に機能する。なぜなら、電池の固体コンポーネントから液体電解質を分離することができ、これは、電池のニッケル含有層及びコバルト含有層へのアクセスを提供するからである。
【0005】
しかしながら、固体電池、特に硫化物固体電解質を含む固体電池では、電解質材料の除去は、危険で、より複雑である場合がある。固体電池では、固体電解質材料は、ニッケル及びコバルト含有材料と混合された微粉末の形態で存在する場合がある。公知のリサイクル技術が試みられる前に硫化物固体電解質材料が正極層から除去されない場合、硫化物固体電解質材料が水又は酸に曝されると有害なH2Sガスが発生する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
さらに複雑なことに、固体電池では、負極(アノード)層、電解質層及び正極(カソード)層が高圧で積層されているため、ニッケルやコバルトを含む正極活物質への直接のアクセスが制限される。正極層への直接アクセスがなければ、現在知られているリサイクル技術を使用して、硫化物固体電池をリサイクルすることは安全ではない。本開示では、硫化物固体電池に適合する使用済み電池用の新規で安全なリサイクル技術について説明する。この技術は、複数種の材料の回収のために電池をその構成成分に穏やかに分解するために、的を絞った溶媒を使用する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本出願は、電気化学セルから複数種の材料を分離及び回収する方法であって、
(a)容器内に位置する電気化学セルに溶媒を加える工程;
(b)容器内の電気化学セル及び溶媒にエネルギーを供給して、電気化学セルの第1の複数種の材料の溶解を促進させる工程;
(c)溶媒及び溶解した第1の複数種の材料を電気化学セルの残存する材料から分離する工程;及び
(d)溶解した第1の材料を回収する工程;
を含み、任意選択的に、(a)、(b)、(c)及び(d)が1もしくは2以上の同種もしくは異種の溶媒又はそれらの混合物を用いて繰り返される方法に関する。
【0008】
一実施形態では、上記の複数種の材料には、電極金属、固体電解質、活物質、バインダー、導電性添加剤、及びそれらの誘導体が含まれる。
【0009】
別の実施形態では、上記の複数種の材料には、リチウム金属、硫化物系固体電解質、正極活物質、バインダー、炭素系添加剤、アルミニウム金属、及びそれらの誘導体を含む。
【0010】
別の実施形態では、本方法は、さらに、電気化学セルの残存する材料をさらなる溶媒で洗浄して、残存する材料を除去することを含む。
【0011】
別の実施形態では、本方法は、さらに、密度偏析を含む分離を含む。
【0012】
別の実施形態では、本方法は、容器内の電気化学セル及び溶媒に錯化剤を加えることをさらに含む。
【0013】
別の実施形態では、上記錯化剤は、P2S5、元素状硫黄、P4S8、P4S9、Sb2S5及びそれらの混合物から選択される。
【0014】
別の実施形態では、上記溶解した複数種の材料はP2S5-Li2S錯体を含む。
【0015】
別の実施形態では、上記溶媒は炭化水素系溶媒を含む。
【0016】
別の実施形態では、上記溶媒はキシレン系溶媒を含む。
【0017】
別の実施形態では、ステップ(a)、(b)、(c)及び(d)は、極性溶媒を用いて繰り返される。
【0018】
別の実施形態では、ステップ(a)、(b)、(c)及び(d)は、ニトリル系溶媒を用いて繰り返される。
【0019】
別の実施形態では、ニトリル系溶媒は、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、又はそれらの混合物を含む。
【0020】
別の実施態様では、エネルギーの供給が、容器内の電気化学セル及び溶媒を物理的に撹拌すること、又は容器内の電気化学セル及び溶媒に熱を加えることを含む。
【0021】
別の実施態様では、本開示は、リチウム金属を含む電気化学セルをリサイクルする方法であって、
(a)電気化学セルを1又は2以上の溶媒に浸漬し、任意選択的に撹拌又は熱を加える工程であって、電気化学セルのバインダー及び/又はポリマー構成成分が溶媒に可溶化される工程;
(b)電気化学セルの可溶化されたバインダー及び/又はポリマー構成成分とともに溶媒を除去する工程;
(c)電気化学セルに異なる溶媒を加え、電気化学セルを浸漬し、任意選択的に撹拌又は熱を加える工程であって、電気化学セルのリチウム金属を遊離させてリチウム金属分散体を有する混合物を形成するために、固体電解質のさらなるバインダー及び/又はポリマー構成成分が異なる溶媒に可溶化される工程;
(d)リチウム金属分散体に錯化剤を加えて、遊離したリチウム金属との錯体を形成させて、沈殿物を形成する工程;
(e)沈殿物をフィルターにかけて、リチウム金属錯体を回収する工程;
を含み、任意選択的に、(a)、(b)、(c)、(d)及び/又は(e)が、1もしくは2以上の同種もしくは異種の溶媒又はそれらの混合物を用いて繰り返される方法を記載する。
【0022】
上記リサイクル方法の別の実施態様では、(a)の溶媒は炭化水素系溶媒を含む。
【0023】
上記リサイクル方法の別の実施態様では、(c)の異なる溶媒は、極性溶媒又はニトリル系溶媒を含む。
【0024】
上記リサイクル方法の別の実施形態では、(d)の錯化剤は、元素状硫黄、P4S3、P4S4、P4S5、P4S6、P4S7、P4S8、P4S9、P4S10(P2S5)、Sb2S3、及びSb2S5、又はそれらの混合物を含む。
【0025】
上記リサイクル方法の別の実施形態では、炭化水素系溶媒は、キシレン、トルエン、ベンゼン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソパラフィン系炭化水素、非プロトン性炭化水素、又はそれらの混合物を含む。
【0026】
上記リサイクル方法の別の実施形態では、異なる溶媒は、エーテル、エステル、ニトリル、アルコール、チオール、ケトン、又はそれらの混合物を含む。
【0027】
本開示は、以下に簡単に説明される図面と併せて以下の詳細な説明を参照することによって理解されるであろう。図面中の特定の要素は縮尺通りに描かれていない場合があることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、固体電解質を含む電気化学セルの層構造の簡略模式図である。
【0029】
【
図2】
図2は、固体電解質を含む電気化学セルの構成材料を溶解し、分離し、偏析し、再生するためのプロセスのフローチャートである。
【0030】
【
図3】
図3A~3Dは、
図2のプロセスの様々なステップを示す一組の概略絵画図である。
【0031】
【
図4】
図4は、電気化学セルが分解され、バインダーが除去され、エーテル系溶媒が加えられ、P
2S
5が加えられた、本方法の使用から得られた材料の一例を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
例示の実施形態の詳細な説明
以下の説明では、本発明の様々な実施形態についての十分な理解を与えるために、具体的な詳細が提供する。しかしながら、本明細書、特許請求の範囲、及び図面を読んで理解すれば、当業者であれば、本発明の実施形態によっては、本明細書に記載された具体的な詳細のいくつかに従わずに実施され得ることを理解するであろう。さらに、本発明を不明瞭にすることを避けるために、本明細書に記載される様々な実施形態で利用されるいくつかの周知の方法、プロセス、デバイス、及びシステムは、詳細に開示されない。
【0033】
図1は、固体電解質を含む例示的な電気化学セル100の層構造の簡略模式図である。セル100は複数の層を含み、当該複数の層には、負極(アノード)層110、電解質層120、正極(カソード)層130、及び集電体層140が含まれるが、これらに限定されない。負極層110は、リチウム金属又はリチウム合金の箔から形成されてもよく、リチウム合金は、金属ナトリウム(Na)、又は金属カリウム(K)のうちの1種以上を含んでもよい。一実施形態では、リチウム金属箔は、マグネシウム(Mg)及びカルシウム(Ca)などのアルカリ土類金属のうちの1種以上を含んでもよい。別の実施形態では、リチウム箔は、アルミニウム(Al)、インジウム(In)、銀(Ag)、金(Au)、又は亜鉛(Zn)を含んでもよい。
【0034】
さらなる一実施形態では、リチウムは、集電体層140とほぼ同様な集電体として機能する金属箔上に堆積されてもよく、この金属箔は、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、ステンレス鋼、マグネシウム(Mg)、鉄(Fe)、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、ゲルマニウム(Ge)、銀(Ag)、白金(Pt)、又は金(Au)のうちの1種以上を含んでもよい。一実施形態では、負極層110は、ケイ素(Si)、スズ(Sn)、ゲルマニウム(Ge)、グラファイト、Li4Ti5O12(LTO)又は他の既知の負極活物質などの1種以上を含んでもよい。実施形態によっては、負極層110は、さらに、炭素繊維、グラファイト、グラフェン、カーボンブラック、導電性カーボン、アモルファスカーボン、VGCF、及びカーボンナノチューブなどの1つ又は複数の導電性炭素材料を含んでもよい。実施形態によっては、負極層110は、さらに、1種以上の固体電解質、例えば、Li2S-P2S5、Li2S-P2S5-LiI、Li2S-P2S5-GeS2、Li2S-P2S5-Li2O、Li2S-P2S5-Li2O-LiI、Li2S-P2S5-LiI-LiBr、Li2S-SiS2、Li2S-SiS2-LiI、Li2S-SiS2-LiBr、Li2S-S-SiS2-LiCl、Li2S-S-SiS2-B2S3-LiI、Li2S-S-SiS2-P2S5-LiI、Li2S-B2S3、Li2S-P2S5-ZmSn(ここで、m及びnは正の数であり、ZはGe、Zn又はGaである。)、Li2S-GeS2、Li2S-S-SiS2-Li3PO4、及びLi2S-S-SiS2-LixMOy(ここで、x及びyは正の数であり、MはP、Si、Ge、B、Al、Ga又はInである。)などを含んでもよい。
【0035】
別の実施形態では、固体電解質は、Li3PS4、Li4P2S6、Li7P3S11、Li10GeP2S12、Li10SnP2S12のうちの1種以上であることができる。さらなる実施形態では、固体電解質は、Li6PS5Cl、Li6PS5Br、Li6PS5I、又は式Li7-yPS6-yXy(ここで、「X」は、少なくとも1種のハロゲン元素及び/又は擬ハロゲンを表し、0<y<2.0であり、ハロゲンは、F、Cl、Br、Iのうちの1種以上であることができ、擬ハロゲンは、N、NH、NH2、NO、NO2、BF4、BH4、AlH4、CN及びSCNのうちの1種以上であることができる。)により表されるもののうちの1種以上であることができる。さらに別の実施形態では、固体電解質は、式Li8-y-zP2S9-y-zXyWz(ここで、「X」及び「W」は、少なくとも1種のハロゲン元素及び又は擬ハロゲンを表し、0<y<1及び0<z<1である。)により表され、ハロゲンは、F、Cl、Br、Iのうちの1種以上であることができ、擬ハロゲンは、N、NH、NH2、NO、NO2、BF4、BH4、AlH4、CN及びSCNのうちの1種以上であることができる。負極層110は、さらに、例えばフッ化ビニリデン(VdF)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、テトラフルオロエチレン(TFE)、及びそれらの誘導体を構造単位として含むフッ素樹脂などのバインダー又はポリマーのうちの1種以上をさらに含んでもよい。その具体例としては、例えばポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリヘキサフルオロプロピレン(PHFP)及びポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのホモポリマー、並びに例えばポリ(二フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン)共重合体(PVdF-HFP)などのVdFとHFPのコポリマーなどの二元共重合体などが挙げられる。別の実施形態では、ポリマー又はバインダーは、例えばスチレン-ブタジエンゴム(SBR)、スチレン-ブタジエン-スチレン共重合体(SBS)、スチレン-イソプレンブロック共重合体(SIS)、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン(SEBS)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ニトリル-ブチレンゴム(NBR)、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリ(メタ)アクリレートニトリル-ブタジエンゴム(PMMA-NBR)など(ただし、これらに限定されない)の熱可塑性エラストマーの1種以上であることができる。さらなる実施形態では、ポリマー又はバインダーは、例えばポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート、ポリイソプロピル(メタ)アクリレート、ポリイソブチル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレートなど(ただし、これらに限定されない)のアクリル樹脂の1種以上であることができる。さらに別の実施形態では、ポリマー又はバインダーは、例えばポリウレア、ポリアミド紙、ポリイミド、ポリエステルなど(ただし、これらに限定されない)の重縮合ポリマーの1種以上であることができる。さらに別の実施形態では、ポリマー又はバインダーは、ニトリルゴムの1種以上であることができ、例えばアクリロニトリル-ブタジエンゴム(ABR)、ポリスチレンニトリル-ブタジエンゴム(PS-NBR)、及びそれらの混合物など(ただし、これらに限定されない)を使用することができる。
【0036】
電解質層120は、1種又2種以上の材料の組み合わせを含む1種以上の硫黄系固体電解質、例えば、Li2S-P2S5、Li2S-P2S5-LiI、Li2S-P2S5-GeS2、Li2S-P2S5-Li2O、Li2S-P2S5-Li2O-LiI、Li2S-P2S5-LiI-LiBr、Li2S-SiS2、Li2S-SiS2-LiI、Li2S-SiS2-LiBr、Li2S-S-SiS2-LiCl、Li2S-S-SiS2-B2S3-LiI、Li2S-S-SiS2-P2S5-LiI、Li2S-B2S3、Li2S-P2S5-ZmSn(ここで、m及びn正の数であり、ZはGe、Zn又はGaである。)、Li2S-GeS2、Li2S-S-SiS2-Li3PO4、及びLi2S-S-SiS2-LixMOy(ここで、x及びyは正の数であり、MはP、Si、Ge、B、Al、Ga又はInである。)などを含むことができる。実施形態によっては、固体電解質材料の1種以上は、Li3PS4、Li4P2S6、Li7P3S11、Li10GeP2S12、Li10SnP2S12であることができる。一実施形態では、固体電解質材料の1種以上は、Li6PS5Cl、Li6PS5Br、Li6PS5I、又は式Li7-yPS6-yXy(ここで、「X」は、少なくとも1種のハロゲン元素及び/又は擬ハロゲンを表し、0<y<2.0であり、ハロゲンは、F、Cl、Br、Iのうちの1種以上であることができ、擬ハロゲンは、N、NH、NH2、NO、NO2、BF4、BH4、AlH4、CN及びSCNのうちの1種以上であることができる。)により表されるものであることができる。別の実施形態では、固体電解質材料の1つ以上は、式Li8-y-zP2S9-y-zXyWz(ここで、「X」及び「W」は、少なくとも1種のハロゲン元素及び/又は擬ハロゲンを表し、0<y<1及び0<z<1であり、ハロゲンは、F、Cl、Br、Iのうちの1種以上であることができ、擬ハロゲンは、N、NH、NH2、NO、NO2、BF4、BH4、AlH4、CN及びSCNのうちの1種以上であることができる。)により表されるものであることができる。電解質層120は、さらに、例えばバインダー及びポリマーなどの材料を含むことができ、バインダー及びポリマーは、フッ化ビニリデン(VdF)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、テトラフルオロエチレン(TFE)、及びそれらの誘導体を構造単位として含むフッ素樹脂のうちの1種以上であることができるが、これらに限定されない。その具体例としては、ホモポリマー、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリヘキサフルオロプロピレン(PHFP)、及びポリテトラフルオロエチレン(PTFE)など、並びに二元共重合体、例えば、VdFとHFPの共重合体、例えば、ポリ(二フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン)共重合体(PVdF-HFP)などを挙げることができる。別の実施形態では、ポリマー又はバインダーは、熱可塑性エラストマー、例えば、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、スチレン-ブタジエン-スチレン共重合体(SBS)、スチレン-イソプレンブロック共重合体(SIS)、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン(SEBS)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ニトリル-ブチレンゴム(NBR)、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリ(メタ)アクリレートニトリル-ブタジエンゴム(PMNIA-NBR)など(ただし、これらに限定されない)の1種以上であることができる。さらなる実施形態では、ポリマー又はバインダーは、アクリル樹脂、例えば、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート、ポリイソプロピル(メタ)アクリレート、ポリイソブチル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレートなど(ただし、これらに限定されない)の1種以上であることができる。さらに別の実施形態では、ポリマー又はバインダーは、重縮合ポリマー、例えば、ポリウレア、ポリアミド紙、ポリイミド、ポリエステルなど(ただし、これらに限定されない)の1種以上であることができる。さらに別の実施形態では、ポリマー又はバインダーは、ニトリルゴムの1種以上であることができ、例えば、アクリロニトリル-ブタジエンゴム(ABR)、ポリスチレンニトリル-ブタジエンゴム(PS-NBR)、及びそれらの混合物など(ただし、これらに限定されない)を使用することができる。
【0037】
正極層130は、正極活物質、例えば、Li(NiaCobMnc)O2(0<a<1、0<b<1、0<c<1、a+b+c=1)として表すことができる(“NMC”)ニッケル-マンガン-コバルト、あるいは、例えば、NMC 111(LiNi0.33Mn0.33Co0.33O2)、NMC 433(LiNi0.4Mn0.3Co0.3O2)、NMC 532(LiNi0.5Mn0.3Co0.2O2)、NMC 622(LiNi0.6Mn0.2Co0.2O2)、NMC 811(LiNi0.8Mn0.1Co0.1O2)、又はそれらの組み合わせを含むことができる。別の実施形態では、正極活物質は、被覆された又は被覆されていない金属酸化物、例えば、V2O5、V6O13、MoO3、LiCoO2、LiNiO2、LiMnO2、LiMn2O4、LiNi1-yCoyO2、LiCo1-yMnyO2、LiNi1-yMnyO2(0<y<I)、Li(NiaCobMnc)O4(0<a<2、0<b<2、0<c<2、a+b+c=2)、LiMn2-zNizO4、LiMn2-zCozO4(0<z<2)、LiCoPO4、LiFePO4、CuO、Li(NiaCobAlc)O2(0<a<1、0<b<1、0<c<1、a+b+c=1)、又はそれらの組み合わせなど(ただし、これらに限定されない)の1種以上を含む。さらに別の実施形態では、正極活物質は、被覆された又は被覆されていない硫化物、例えば、硫化チタン(TiS2)、硫化モリブデン(MoS2)、硫化鉄(FeS、FeS2)、硫化銅(CuS)、及び硫化ニッケル(Ni3S2)、又はそれらの組み合わせなど(ただし、これらに限定されない)の1種以上を含んでもよい。正極層130は、さらに、1種以上の導電性炭素材料、例えば、炭素繊維、グラファイト、グラフェン、カーボンブラック、導電性カーボン、アモルファスカーボン、VGCF及びカーボンナノチューブなどを含んでもよい。正極層130は、さらに、1種以上の固体電解質を含んでもよく、固体電解質は、1つ又は複数の材料の組み合わせ、例えば、Li2S-P2S5、Li2S-P2S5-LiI、Li2S-P2S5-GeS2、Li2S-P2S5-Li2O、Li2S-P2S5-Li2O-LiI、Li2S-P2S5-LiI-LiBr、Li2S-SiS2、Li2S-SiS2-LiI、Li2S-SiS2-LiBr、Li2S-S-SiS2-LiCl、Li2S-S-SiS2-B2S3-LiI、Li2S-S-SiS2-P2S5-LiI、Li2S-B2S3、Li2S-P2S5-ZmSn(ここで、m及びn正の数であり、ZはGe、Zn又はGaである。)、Li2S-GeS2、Li2S-S-SiS2-Li3PO4、及びLi2S-S-SiS2-LixMOy(ここで、x及びyは正の数であり、MはP、Si、Ge、B、Al、Ga又はInである。)などを含む。別の実施形態では、固体電解質は、Li3PS4、Li4P2S6、Li7P3S11、Li10GeP2S12、Li10SnP2S12のうちの1種以上であってもよい。さらなる実施形態では、固体電解質は、Li6PS5Cl、Li6PS5Br、Li6PS5I、又は式Li7-yPS6-yXy(ここで、「X」は、少なくとも1種のハロゲン元素及び/又は擬ハロゲンを表し、0<y<2.0であり、ハロゲンは、F、Cl、Br、Iのうちの1種以上であることができ、擬ハロゲンは、N、NH、NH2、NO、NO2、BF4、BH4、AlH4、CN及びSCNのうちの1種以上であることができる。)により表されるもののうちの1種以上であることができる。さらに別の実施形態では、固体電解質は、式Li8-y-zP2S9-y-zXyWz(ここで、「X」及び「W」は、少なくとも1種のハロゲン元素及び又は擬ハロゲンを表し、0<y<1及び0<z<1である。)により表され、ハロゲンは、F、Cl、Br、Iのうちの1以上であることができ、擬ハロゲンは、N、NH、NH2、NO、NO2、BF4、BH4、AlH4、CN及びSCNのうちの1種であることができる。正極層130は、さらに、バインダー又はポリマー、例えば、フッ化ビニリデン(VdF)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、テトラフルオロエチレン(TFE)、及びそれらの誘導体を構造単位として含むフッ素樹脂などの1種以上を含んでもよい。その具体例としては、ホモポリマー、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリヘキサフルオロプロピレン(PHFP)、及びポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、並びに、二元共重合体、例えば、VdFとHFPの共重合体、例えばポリ(ビニレンジフルオリド-ヘキサフルオロプロピレン)共重合体(PVdF-HFP)などが挙げられる。別の実施形態では、ポリマー又はバインダーは、熱可塑性エラストマー、例えば、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、スチレン-ブタジエン-スチレン共重合体(SBS)、スチレン-イソプレンブロック共重合体(SIS)、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン(SEBS)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ニトリル-ブチレンゴム(NBR)、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリ(メタ)アクリレートニトリル-ブタジエンゴム(PMMA-NBR)など(ただし、これらに限定されない)の1種以上であることができる。さらなる実施形態では、ポリマー又はバインダーは、アクリル樹脂、例えば、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート、ポリイソプロピル(メタ)アクリレート、ポリイソブチル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレートなど(ただし、これらに限定されない)の1種以上であることができる。さらに別の実施形態では、ポリマー又はバインダーは、重縮合ポリマー、例えば、ポリウレア、ポリアミド紙、ポリイミド、ポリエステルなど(ただし、これらに限定されない)の1種以上であることができる。さらに別の実施形態では、ポリマー又はバインダーは、ニトリルゴムの1種以上であることができ、例えば、アクリロニトリル-ブタジエンゴム(ABR)、ポリスチレンニトリル-ブタジエンゴム(PS-NBR)、及びそれらの混合物など(ただし、これらに限定されない)を使用することができる。
【0038】
集電体層140は、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、ステンレス鋼、マグネシウム(Mg)、鉄(Fe)、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、ゲルマニウム(Ge)、銀(Ag)、白金(Pt)、金(Au)のうちの1種以上を含むことができる。
【0039】
図2は、固体電解質を含む電気化学セルの構成材料を溶解、分離、偏析及び再生するためのプロセスのフロ-チャ-トである。プロセス200は準備ステップ210から始まり、準備動作には、セルを放電又は非充電状態にすること、セルの格納装置、例えばパウチの表面を洗浄又はすすぐこと、又はセルの格納装置を解体することもしくは取り外すことが含まれる。また、任意の装置の準備が行われてもよい。プロセス200は、外部との化学的相互作用を最小化するために、乾燥窒素やアルゴン雰囲気などの不活性条件下で行われるのが好ましい。さらに、ある種の材料や溶媒を使用する場合、高湿度条件及び高酸素レベルは、プロセス200に影響を与えたり、プロセス200を妨げるおそれがある。
【0040】
初期準備の後、プロセス200はステップ220に進み、ここで
図1のセル100のような電気化学セルを第1の溶媒と組み合わせる。第1の溶媒は、1種以上の炭化水素系溶媒、例えば、キシレン、トルエン、ベンゼン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソパラフィン系炭化水素、非プロトン性炭化水素、又は前述のもののいずれかのブレンドなどであることができる。第1の溶媒は、電気化学セルの層中に含まれるバインダー及びポリマーが前記第1の溶媒に溶解するように選択されるべきである。
【0041】
セル及び第1の溶媒の温度は、-120℃~450℃の範囲内にあることができ、より一般的には、この温度は、使用される溶媒の凝固点を超える温度から使用される溶媒の沸点を超える温度までの範囲内にあることができる。溶媒の沸点を超える温度が使用される場合、プロセスが行われているシステムは密閉され、加圧されることがある。処理されるセルの様々な構成成分の劣化を抑えるために、セル全体を溶媒中に入れてもよい。あるいは、処理を容易にするために、セルを少なくとも部分的に解体又は断片化してもよい。別の実施形態では、パウチや他の容器に密封されたセルは、第1の溶媒と組み合わせる前に、開封又は取り出されてもよい。セルに対する第1の溶媒の体積比は重要ではないが、望ましい溶解を支援するのに十分であるべきである。一般的に、第1の溶媒は、セル中、例えば、負極層110、電解質層120及び正極層130中などのバインダー及びポリマーを溶解するように選択される。これらのバインダーやポリマーが溶解することで、セルの貼り合わされた複数の層が分離し、各層に含まれる個々の粒子が分散する。
【0042】
ステップ230では、溶媒とセルにエネルギーを加えて溶解を促進させる。熱又は放射線を加えることでエネルギーを熱的に加えることができ、あるいは、かき混ぜ(stirring)、タンブリング、グラインディング、混合、又はその他の方法で撹拌(agitating)することによって、エネルギーを機械的に加えることができる。適切な溶解の後、ステップ240の間に、溶解した材料と溶媒を残存固体材料から分離することができる。溶解したポリマー及びバインダーは、溶媒を含む溶液の状態で、ろ過、遠心分離、又はデカントのうちの1つ以上を含むがこれらに限定されない様々な手段により除去することができる。溶解した成分の分離後に残った固体材料は、ポリマー及びバインダーなどの溶解物をさらに除去するために、新鮮な溶媒でさらに洗浄してもよい。洗浄に使用した溶媒は、ろ過、遠心分離、デカントのいずれか1つ以上によって除去することもできる。
【0043】
別の実施形態では、使用されたバインダー及びポリマーを溶解することができるが、電気化学セルの他の成分に対して不活性でもある溶媒を使用することができる。このような溶媒を使用することで、ポリマー及びバインダーを溶解し、セルの他の材料と不利な反応をすることなく、異なる層から分離することができる。これらの特性を有する溶媒は、トルエン、キシレン、ベンゼン、ヘプタン、又はオクタンのうちの1種以上であることができる。対照的に、バインダーを溶解し得るが、電気化学セルの他の成分に対して反応性のある1種以上の溶媒を主に使用すると、電気化学セルに含まれる有価物の不可逆的な劣化をもたらすおそれがある。アセトン又は水などの溶媒はバインダー及びポリマーを溶解し得るが、リチウム金属負極や固体電解質材料と反応することができ、水素又はH2Sガスなどの望ましくない又は有害な副生成物を生成する。
【0044】
バインダー及びポリマーを溶解させるために第1の溶媒を使用することで、セルの細断(shredding)、切断(cutting)又は粉砕(grinding)におけるような機械的な力を必要とせずに、セル中の複数の層が穏やかに分解される。これにより、リチウム金属と金属細断又は粉砕コンポーネントとの間の有害な相互作用が回避され、柔らかいリチウム金属の崩壊が回避される。さらに、1つ又は2以上の細断又は粉砕プロセスを回避することにより、既存の粒径が再生に適切であり、再利用を複雑にする追加の機械的応力の下で減少する可能性があるNMC粒子及び他の成分の構造的完全性が保護される。
【0045】
ステップ250において、残存する固体材料が第2の溶媒と組み合わされる。実施形態によっては、第2の溶媒は、エーテル、例えば、テトラヒドロフラン(「THF」)、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、及びジオキサンなどの1種以上であることができる。別の実施形態では、第2の溶媒は、エステル、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、及び酢酸アミルなどの1種以上であることができる。さらに別の実施形態では、第2の溶媒は、ニトリル、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、ピリジン及びピロリジンなどの1種以上であることができる。さらなる実施形態では、第2の溶媒は、アルコール、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、又はtert-ブチルアルコールなどの1種以上であることができる。別の実施形態では、第2の溶媒は、チオール又はケトンのうちの1つ以上であってもよく、他の極性溶媒を含んでもよい。
【0046】
材料及び第2の溶媒の温度は、-120℃~450℃の範囲内にあることができ、又はより一般的には使用される溶媒の凝固点を超える温度から使用される溶媒の沸点を超える温度までの範囲内にあることができる。溶媒の沸点を超える温度が使用される場合、プロセスが行われているシステムは密閉され、加圧されることがある。材料の体積に対する溶媒の体積の比は重要ではないが、望ましい溶解を支援するのに十分であるべきである。ステップ260の間、溶媒及び材料にエネルギーを加えて溶解を促進させることができる。エネルギーは、熱又は放射線を加えることによってエネルギーを熱的に加えることができ、あるいは、撹拌、混合、又はその他の方法で撹拌することによってエネルギーを機械的に加えることもできる。
【0047】
THFなどの第2の溶媒と残存する固体材料との組み合わせは、セルの1つ以上の層、例えば
図1の電解質層120及び正極層130の両方などの中に一般的に含まれる電解質材料の溶解及び粒径減少を促進する。例えば、THFは、強く貼り合わされていることがあるリチウム金属層110と固体電解質層120の分離を促進する。さらに、THFは、リチウム金属の表面でTHF-リチウム錯体を形成し、大量の熱を発生するおそれがある又は燃え上がってリチウム金属が含まれる溶媒に引火するおそれさえある周囲環境(例えば、空気や水分への暴露)からリチウム金属を保護することもできる。
【0048】
さらなる有用な反応を提供するために、追加の化合物、例えば、元素状硫黄、P
4S
3、P
4S
4、P
4S
5、P
4S
6、P
4S
7、P
4S
8、P
4S
9、P
4S
10(P
2S
5)、Sb
2S
3及びSb
2S
5などの1種以上を錯化剤として溶液に添加してもよい。錯化剤は、電気化学セルに含まれる固体電解質材料の総質量の0.1%~200%の量で添加することができる。実施形態によっては、錯化剤は、電気化学セルに含まれる固体電解質材料の総質量の10%~150%であってもよい。別の実施形態では、錯化剤は、電気化学セルに含まれる固体電解質材料の総質量の40%~130%であってもよい。さらなる実施形態では、錯化剤は、電気化学セルに含まれる固体電解質材料の総質量の50%~120%であってもよい。例えば、P
2S
5は、THF中に存在する場合、残存する固体電解質材料と反応し、以下の反応により溶解を助けることができる。
反応1:
【化1】
【0049】
この反応により、電解質材料は少なくとも部分的に分解されて、THF中に可溶性の(P2S5-Li2S)錯体が形成される。(P2S5-Li2S)錯体は、Li2P2S6又はLiPS3化合物のうちの1つ以上であってもよい。さらに、固体電解質に一般的に使用されるLiBrはTHFに可溶であり、溶解して、THF中の(P2S5-Li2S)の溶液となる。
【0050】
溶液中に残留する固形物は、Li
3PS
4又は類似の材料とLi
2Sとを含み得る。追加のP
2S
5は、以下の反応により、これらの残留固形物のさらなる分解及び溶解を支援する。
反応2:
【化2】
反応3:
【化3】
【0051】
Li
6PS
5Brのような電解質材料と組み合わせてTHFベースの溶液に十分なP
2S
5を添加することにより、固体電解質材料は、例えば、下記反応4のように、十分に可溶性である1種以上の材料に変換され得る。
反応4:
【化4】
【0052】
具体的には、反応2では、P
2S
5が、固体電解質材料Li
3PS
4の総質量の123%の量で添加される。反応4では、P
2S
5が、固体電解質材料Li
6PS
5Brの総質量の142%の量で添加される。全ての電解質材料が反応溶媒に溶解すると、(P
2S
5-Li
2S)錯体は、密度の異なる2つ以上の部分に分離することがあり、このことは、密度に基づいてセルの異種成分の偏析を助ける。最高密度の層(溶液の底の方に沈降)は、集電体層(例えば、
図1の集電体層140)の金属成分と、正極層130の活物質、例えばNMC粒子などを含み得る。実施形態によっては、最高密度の層は、負極層110に由来する負極活物質も含むことがあり、ここで、負極活物質は、ケイ素含有材料、グラファイト含有材料、又はスズ含有材料、最高密度の(P
2S
5-Li
2S)錯体のうちの1つ以上であることができるが、これらに限定されない。中間密度の層(前述した層の上に沈降)は、炭素系添加剤(炭素、グラファイト、(「VGCF」)気相成長炭素繊維)と、密度の低い(P
2S
5-Li
2S)錯体などの成分を含み得る。最低密度の層(溶液の最上部付近に浮遊)は、例えばリチウム金属などの低密度材料であり得る。
【0053】
適切な溶解に続いて、ステップ270の間に、溶解した材料と溶媒を、濾過又は遠心分離の助けを借りて、残存する固体材料から分離することができる。分離後に残った固形材料を、溶解物をさらに除去するために、新鮮な溶媒でさらに洗浄してもよい。例えばリチウム金属などの最低密度の成分は、溶液の上部からすくい取り、再処理のために回収することができる。炭素系添加剤を含む中間密度の(P2S5-Li2S)錯体は、その後に単離することができる。炭素系添加剤を、溶液の単離された部分から濾別し、洗浄し、保存し、再利用してもよい。次に、NMCを含むことがある最高密度の(P2S5-Li2S)錯体、及び集電体材料を、集電体材料を除去するのに十分小さいがNMC材料を通過させるのに十分大きいフィルターに通してもよい。得られたNMC材料含有混合物を再度フィルターに通してNMC材料を単離し、その後に、洗浄、保存、再処理することができる。
【0054】
回収されたリチウムは、例えば、再利用されるか、リチウム箔に再加工されるか、又はLi2SもしくはLi3Nなどのリチウム前駆体に変換される。プロセス200は、ステップ280で終了する。
【0055】
第1溶媒と第2溶媒の作用順序が逆である代替プロセスでは、ポリマー及び/又はバインダー材料を溶解させるために、キシレン又は他の適切な第1溶媒を最後に適用してもよい。リチウム箔の適切な除去及び固体電解質の溶解後、残留する材料には、炭素系添加剤、NMC、集電体、及びバインダーが含まれる。その際に、キシレンを添加すると、バインダーが溶解し、各種成分の分離が可能になる。さらなる代法では、バインダーは、最終的なNMC/炭素複合材料中に残留することがあり、酸を使用してNMCを溶解させることができる。このさらなる代法では、NMCをバインダーとカーボンから濾別することができる。その後、バインダーとカーボンの混合物を不活性環境中で加熱することができ、その場合に、バインダーを炭化させることができる。
【0056】
負極材料がリチウムではなく、例えばケイ素又はグラファイトである他のセル構造では、電解質材料を溶解させるために、THFを使用する代わりに例えばプロパノールなどの溶媒を使用することができる。固体電解質をプロパノールに溶解しても、THFほど強く密度差による分離が生じない場合がある。その結果、炭素系添加剤とNMC及び負極活物質との分離の困難性が増大する。この課題を克服するために、炭素系添加剤が浮いて、より高密度のNMCや他の金属成分が溶液の底の方に沈降するように、高密度の溶媒を加えてもよい。
【0057】
密度差によって材料を分離するために使用されるTHF中の(P2S5-Li2S)錯体の存在を変化させるために、別のプロセスステップを使用してもよい。THF中の(P2S5-Li2S)錯体をプロセスから除去し、高密度溶媒、例えばフッ素化炭化水素(例えば、ヘキサフルオロベンゼン及びペルフルオロデカリン)などを添加して、NMCから炭素系添加剤を分離することができる。さらに、固体電解質の溶解及び除去を助けるため、又はTHF中の(P2S5-Li2S)錯体の密度を調整するために、P2S5とともに又はP2S5の代わりに元素状硫黄を使用することができる。THF中のLi2S及び元素状硫黄は、多硫化リチウム(Li2Sx、1<X≦8)を形成する。P2S5又は多硫化リチウムが溶液中にさらなる密度領域を形成するのと同様に、硫黄の添加は、固体電解質の分解を引き起こし得る。固体電解質を溶液に十分に溶解させるために、P2S5のさらなる調整を行ってもよい。
【0058】
図3A~3Dは、
図2のプロセスの様々なステップを例示する一組の概略絵画図である。
図3Aは、モノリシックセルが第1の溶媒と組み合わされるプロセスステップ220を示し、
図3Bは、セルの様々な構成要素が分解され、液体及び固体成分の不均一な溶液、例えば、完全に溶解したバインダーと、固体電解質、正極活物質及び炭素系添加剤の固体粒子との不均一な溶液を形成するプロセスステップ230を示す。
図3Cは、
図3Bに関連するプロセスステップの後に残留した様々な固体成分と第2の溶媒との組み合わせを示す。
図3Dは、元のセルのさらなる溶解した構成成分の分離及び密度偏析を示す。この例では、3つの密度分割が示されているが、処理されたセルの元の構造及び組成に依存して、より多くの分割又はより少ない分割が生じ得ることを理解すべきである。
図3Dに示した分割は、例えば、リチウム金属負極、硫化物系固体電解質、NMC系正極、及びアルミニウム集電体を有する電気化学セルがプロセス200に従って処理されることに関連付けることができる。偏析した白抜きの丸印で示されている最低密度の層は、例えば、
図1のもののような負極に由来するリチウム金属と関連付けることができる。部分的に塗りつぶされた丸印で示されている中間密度の層は、例えば、
図1の層120などの層に由来する材料からの固体電解質に対する反応性溶媒の作用によって生じる(P
2S
5-Li
2S)錯体及び種々の炭素系添加剤と関連付けることができる。塗りつぶされた丸印で示されている最高密度の層は、例えば、
図1の層130及び層140などの層に由来する材料からの固体電解質に対する反応性溶媒の作用によって生じる(P
2S
5-Li
2S)錯体、NMC材料及び金属と関連付けることができる。
【実施例】
【0059】
正極層の構築
【0060】
NMC正極活物質、Li2S-P2S5含有固体電解質、炭素系導電性添加剤、及びポリマーを使用して、正極層を構築した。これらの成分をポリマーを溶解可能な溶媒中で混合して正極合材を形成し、これをアルミ箔集電体上に配置した。正極合材層を乾燥させ、圧縮して、コンパクトな正極層を形成した。
【0061】
固体電解質層の構築
【0062】
Li2S-P2S5含有固体電解質とポリマーとを、ポリマーを溶解可能な溶媒中で混合することによって、固体電解質層を構築した。この混合物を支持材に塗布し、溶媒を除去した。この層を圧縮して、コンパクトな固体電解質層を形成した。
【0063】
電気化学セルの構築
【0064】
固体電解質層から支持材を除去し、固体電解質層の一方の面を集電体層とは反対側の正極層の表面上に配置することによって、リチウム金属箔製の負極層と、固体電解質層と正極層とを含む電気化学セルを構築した。次に、正極層とは反対側の固体電解質層上にリチウム金属箔の層を配置した。次に、積層体をラミネートして、全ての層間の均一な接触を確保した。
【0065】
電気化学セルの解体
【0066】
次に、電気化学セルを幅0.25インチ(6.35mm)のストリップに切断した。次に、これらのストリップを32オンス(946ml)のガラス瓶に入れた。
【0067】
ポリマーの除去
【0068】
電気化学セルのストリップを入れたガラス瓶に16オンス(473ml)のキシレンを加えた。次に、電気化学セルのストリップを入れたガラス瓶を手で2分間振とうした。2分間以内に、キシレンへの溶解性を有するポリマーが溶解し、ストリップ中の層が分離し始めた。ポリマーが溶解し続けると、正極層と固体電解質層中に含まれる個々の粒子がキシレン中に分散した。次に、メッシュの孔が新たに遊離した微粒子のうちの最も小さいものを捕捉するのに十分に小さい金属メッシュに通して濾過することによって、ポリマーを含むキシレンを取り除いた。次に、固形物を32オンス(946ml)の瓶に戻し、16オンスのキシレンを再び加えた。バインダーの全てが溶解するように瓶を1分間振とうした。ポリマーを含むキシレンを、メッシュの孔が新たに遊離した粒子のうちの最も小さいものを捕捉するのに十分に小さい金属メッシュに通して濾過した。
【0069】
リチウム金属負極活物質の除去
【0070】
次に、32オンスの瓶の内容物を50mlガラスバイアルに移した。残存材料を含む50mlバイアルに25mlのテトラヒドロフラン(THF)を加えた。この混合物を入れた50mlバイアルを手で2分間振とうした。この間、正極層及び固体電解質層中に含まれる固体電解質が分解を始め、THF中に溶解して、(Li
2S-P
2S
5)錯体を形成した。この溶解プロセスにより、固体電解質層とリチウム箔層の間の界面が破れ、2つの層が互いに解放される。次に、混合物を沈降させ、全ての材料のうち最も密度が低いリチウム金属を上部に浮かせた。電気化学セルに使用される固体電解質材料の総質量の125%に相当する量のP
2S
5を、50mlバイアル中のTHF混合物に加えた。次に、全ての材料を含むバイアルを手で30分間振とうした。この間、P
2S
5が固体電解質をさらに分解して、THF中でより多くの(Li
2S-P
2S
5)錯体を形成した。30分後、混合物を沈降させ、
図4に示すように残留リチウム金属をTHF混合物の上部に浮かせた。全ての残存材料400を含む50mlバイアルは、密度の異なる複数の層が形成されたことを示している。上部には、リチウム金属を含む最低密度の層410が存在する。その下方に、最低密度の(Li
2S-P
2S
5)錯体と、炭素系添加材料の最低密度の粒子とを含む第1の中間層420が存在する。次に、より高密度の(Li
2S-P
2S
5)錯体と導電性添加剤の大部分とを含む第2の中間層430が存在する。一番下に、NMC正極活物質と、アルミニウム集電体と、(Li
2S-P
2S
5)錯体のうちの最も重い部分とを含む最高密度の層440が存在する。全てのリチウムが上部に上昇したら、リチウム金属を含む最低密度層の一部を、リチウムを捕集するには十分に小さいが、他のより小さな微粒子がメッシュを容易に通過するのに十分に大きい金属メッシュに通すことによって除去した。次に、リチウム片をTHFで洗浄して、残留する(Li
2S-P
2S
5)錯体を除去した。
【0071】
導電性添加剤の除去
【0072】
最も軽い導電性添加剤粒子を含む第1の中間密度層420と、残存する導電性添加剤を含む第2の中間層430とを、ピペットを使用して50mlガラスバイアルからデカントした。次に、デカントした層を、導電性添加剤粒子を捕捉するのに十分な小さな孔径を有するフィルターに通した。THF中の濾過された(Li2S-P2S5)錯体を50mlバイアルに戻し、導電性添加剤を20mlのTHFで洗浄して、残留する(Li2S-P2S5)錯体を除去した。
【0073】
集電体層の除去
【0074】
集電体層のストリップを除去するために、バイアルの残存内容物を粗い金属メッシュに通した。集電体層のストリップをTHFで洗浄し、金属メッシュフィルターを通過した材料を50mlバイアルに戻した。
【0075】
正極活物質の除去
【0076】
バイアルの残存内容物を、孔径がNMC正極活物質を捕捉するのに十分に小さいファインメッシュフィルターに通した。THF溶液からNMC正極活物質を濾別した後、(Li2S-P2S5)錯体の残留物を除去するためにNMC正極活物質を20mlのTHFで洗浄した。THF溶液を50mlバイアル瓶に戻した。このバイアルの残留内容物はTHF中の(Li2S-P2S5)錯体のみであった。
【0077】
結果の要約
【0078】
図4の50m1ガラスバイアル400の内容物によって示されるように、個々の層に含まれるバインダー又はポリマーを除去するために、例えばキシレンなどの特定の溶媒を使用することによって、積層電気化学セルに含まれる多数の成分を分離することが可能である。次に、例えばTHFなどの特定の溶媒を使用して、正極層、固体電解質層、及び用途によっては負極層に含まれる固体電解質の一部を分解する。バインダー、ポリマー、及び固体電解質材料が電気化学セルの個々の層から完全に又は部分的に除去されると、残存材料はそれぞれの粉末又は箔に分解される。電気化学セルの成分とTHFとの混合物に元素状硫黄又はP
2S
5などの錯化剤が加えられると、錯化剤は固体電解質をさらに分解し、電気化学セルに含まれる様々な材料を分離するために調整できる密度で分離した多数の液体層を形成することができる。いったん分離したら、それらの層はデカント及びろ過によって容易に除去することができる。
【0079】
上述した特徴及び以下の特許請求の範囲に記載の特徴は、本明細書の範囲から逸脱することなく様々に組み合わせることができる。したがって、上記の説明に含まれる事項又は添付の図面に示される事項は、例示的なものとして解釈されるべきであり、限定的な意味ではないことに留意すべきである。上記の実施形態は、本発明の範囲を限定するものとして考慮されるべきではなく、本発明の例として考慮されるべきである。上記の発明の実施形態に加えて、詳細な説明及び添付の図面を検討すれば、そのような発明の他の実施形態が存在することが分かるであろう。従って、本開示で明示的に規定されていない前述の発明の実施形態の多くの組み合わせ、変更、変形及び修飾は、それにもかかわらず、かかる発明の範囲に含まれる。以下の特許請求の範囲は、本開示に記載した一般的な特徴及び特定の特徴、並びに、言語の問題としてそれらの間に該当すると言えるであろう、本方法及びシステムの範囲に関する全ての記載をカバーすることを意図している。
【国際調査報告】