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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-19
(54)【発明の名称】作業スペースのための遮蔽装置
(51)【国際特許分類】
   E04B 2/74 20060101AFI20240112BHJP
   A47G 5/00 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
E04B2/74 561D
A47G5/00 E
A47G5/00 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023530496
(86)(22)【出願日】2021-11-23
(85)【翻訳文提出日】2023-07-06
(86)【国際出願番号】 EP2021082630
(87)【国際公開番号】W WO2022106717
(87)【国際公開日】2022-05-27
(31)【優先権主張番号】202020106705.2
(32)【優先日】2020-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507336499
【氏名又は名称】イグス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクター ハフトゥング
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100196117
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 利恵
(72)【発明者】
【氏名】フランク ブレイズ
(57)【要約】
本発明は、作業区画(2)のための遮蔽装置(1)に関し、その装置は少なくとも部分的に作業区画(2)を囲む壁(3)からなり、技術的に最小限の複雑さのみで、視覚的に邪魔にならず、対象となる個々の従業者によって少ない労力で独立して適切な位置に運搬可能である。本装置は、壁(3)が対象の作業区画(2)の上方に位置決めされ、かつ必要に応じて作業区画(2)を遮蔽するために壁(3)が降下可能となるように設計される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業区画(2)のための遮蔽装置(1)であって、少なくとも部分的に前記作業区画(2)を囲む壁(3)からなり、
前記壁(3)は、それぞれの前記作業区画(2)の上方に位置決めされ、
前記壁(3)は、必要に応じて前記作業区画(2)を遮蔽するために降下可能である、遮蔽装置。
【請求項2】
前記壁(3)は、ドーム状に形成され、降下した状態では、少なくとも部分的に前記作業区画(2)を遮蔽する、請求項1に記載の遮蔽装置。
【請求項3】
前記壁(3)は全周で閉じて形成され、降下した状態では、前記作業区画(2)を完全に囲む、請求項1又は2に記載の遮蔽装置。
【請求項4】
前記壁(3)が筒体(4)として形成される、請求項3に記載の遮蔽装置。
【請求項5】
前記壁が円筒体として形成される、請求項4に記載の遮蔽装置。
【請求項6】
全周で閉じた前記壁(3)は、上部に開放し、又は上部開口(5)を有する、請求項3から5のいずれか一項に記載の遮蔽装置。
【請求項7】
前記壁(3)は、固体の材料から製造される、請求項1から6のいずれか一項に記載の遮蔽装置。
【請求項8】
前記壁(3)の前記材料は、消音性となるように形成される、請求項7に記載の遮蔽装置。
【請求項9】
前記壁(3)の前記材料は、消音性の物質で被覆されている、請求項7に記載の遮蔽装置。
【請求項10】
前記壁(3)は硬質繊維材料からなり、前記硬質繊維材料はフェルトで被覆されている、請求項8又は9に記載の遮蔽装置。
【請求項11】
作業機器(6)を固定するための装置が、前記壁(3)の内側に設けられた、請求項1から10のいずれか一項に記載の遮蔽装置。
【請求項12】
前記壁(3)は、少なくとも1本のケーブル(8)に天井(7)の下方で懸吊され、プーリ(9)によって昇降可能である、請求項1から11のいずれか一項に記載の遮蔽装置。
【請求項13】
前記プーリ(9)は、滑車装置(14)の態様で固定ローラ(10)及び可動ローラ(13)の周囲にガイドされる、請求項12に記載の遮蔽装置。
【請求項14】
前記ケーブル(8)には、前記壁(3)の重量を補償するためのカウンタウェイト(12)が装備される、請求項12又は13に記載の遮蔽装置。
【請求項15】
スプリングバランサが、前記プーリ(9)として設けられた、請求項12に記載の遮蔽装置。
【請求項16】
前記プーリ(9)は、手動で作動可能である、請求項12から15のいずれか一項に記載の遮蔽装置。
【請求項17】
前記プーリ(9)は、電動モータによって作動可能である、請求項12に記載の遮蔽装置。
【請求項18】
前記プーリ(9)の電動駆動は、遠隔制御可能である、請求項17に記載の遮蔽装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも部分的に作業区画を囲む壁からなる作業区画のための遮蔽装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明に係る遮蔽装置は、特に、オープンプランオフィス及び/又はオープンプランの作業場に対して設けられる。騒音及びプライバシーの欠如は、職場の不満の最も重要な原因の1つである。したがって、オープンプランのオフィス及びオープンプランの作業場における作業区画を従業員にとってより快適なものとすることは、すでに何度か試みられてきた。
【0003】
作業区画の間又は単一の作業区画の周囲に設置される軽量の移動式のパーティションは、作業区画を遮蔽する周知の手段である。しかしながら、このようなパーティションは一般にとても煩わしく、所望の効果を得られないことも多い。
【発明の概要】
【0004】
さらに、オープンプランのオフィス及びオープンプランの作業場について、高い集中力でかつ騒音にさらされることなく作業をする必要がある場合に、従業員が退避できる遮音性の小室が知られている。このような固定的な形態で設置される小室は、比較的面倒であり、追加の設置スペースを必要するので、それは一般的には利用できないか、望ましくない。さらに、このような小室は、エレガントなスタイルのオープンプランオフィスのデザインを阻害してしまう。
【0005】
したがって、本発明は、作業区画のための遮蔽装置を生み出すという課題に基づき、その遮蔽装置は装置への出費をほとんど必要とせず、視覚的に邪魔にならず、対象となる個々の従業員が、独立してかつ少ない労力で適切な位置に運搬可能である。
【0006】
本発明によると、この課題は、壁がそれぞれの作業区画の上方に位置決めされること、及び必要に応じて作業区画を遮蔽するために壁が降下可能であることで達成される。
【0007】
壁を降下させた後、それぞれの従業員はその周囲からのいずれの妨害的影響なしに作業することができ、同時に彼らは近接して作業している他の従業員を妨害することもない。
【0008】
作業区画を遮蔽するために使用される壁は、好ましくはドーム状に形成され、降下した状態では、少なくとも部分的に作業区画を周囲から遮蔽すべきである。
【0009】
好適な実施形態において、壁は全周で閉じて形成され、降下した状態では、それぞれの作業区画を完全に囲むことができる。
【0010】
作業区画が独立した位置にある場合、壁は、例えば筒体として形成され、好ましくは円筒体として形成され得る。
【0011】
作業区画が建物の壁の前方又は部屋の角部に位置する場合、半筒体、好ましくは四分筒体で十分である。
【0012】
要求に応じて、壁は代替的に他の設計、例えば、直方体、立方体、多角形などであってもよい。ここで、それぞれの遮蔽装置は、全周で閉じて形成されてもよく、又はそれぞれの空間的状況に応じて一方に開放して形成されてもよい。
【0013】
遮蔽に使用される壁が全周で閉じられた場合、いずれの場合でも、壁は十分な空気の循環を確保するために上部に開放して設計され、又は上部開口を設けると有利である。
【0014】
いずれの場合でも、日常での使用時に十分な安定性を確保するため及び十分な寿命を確保するために、壁は固体の材料から製造されるべきである。
【0015】
騒音公害はオープンプランのオフィス及びオープンプランの作業場における障害の主たる発生源であるため、本発明に係る壁は主として消音作用を有すべきである。
【0016】
この目的を達成するために、壁の材料は消音性の物質で適宜被覆される。
【0017】
例えば、壁は片側又は両側がフェルトで被覆された硬質繊維材料からなっていてもよい。
【0018】
さらに、本発明に係る遮蔽装置は、作業区画を改良及び拡大するためにも使用され得る。この目的のため、作業機器を固定するための装置が壁の内側に適宜設けられてもよい。例えば、稀にしか必要とされないPC作業区画は、追加の機器として壁の内側に設置されてもよい。また、その他の作業機器に対するモニタ、ディスプレイ及びホルダ並びに工具の固定又は懸吊手段も任意選択的に壁の内側に取り付けられてもよい。
【0019】
壁は、好ましくは、プーリによって昇降可能な少なくとも1本のケーブル上に天井の下方で懸吊される。
【0020】
ここで、例えば壁が重い設計のものである場合、ほとんど力を使わずに壁を昇降するために、ケーブルは滑車装置(block and tackle)の態様でローラの周囲にガイドされ得る。
【0021】
さらに、ケーブルには、それぞれのユーザがより大きな力を発揮する必要がないように、壁の重量を補償するためのカウンタウェイトが装備され得る。
【0022】
あるいは、最小限の設備投資しか必要としないスプリングバランサも、プーリとして使用され得る。
【0023】
プーリは、それぞれの操作者によって手動でも作動可能となるように適宜装備される。
【0024】
あるいは、具体的には、特に相対的に重い構造を伴う場合又はそれぞれのユーザによる簡単な作動が望まれる場合、当然ながらプーリは電動モータによって作動されてもよい。
【0025】
本発明に係る遮蔽装置をさらに一層簡便に作動させるために、操作者による面倒な取り扱いが不要となるように、プーリの駆動ユニットが遠隔制御されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】その上方に遮蔽装置が懸吊された作業区画である。
図2図1と同一の構成であり、遮蔽装置は降下されている。
図3】引上げ位置のプーリと組み合わせた遮蔽装置である。
図4図3と同一の構成であり、遮蔽装置は降下されている。
図5】金属クロスによって支持された遮蔽装置である。
図6】プーリにカウンタウェイトを有する遮蔽装置のさらなる変形例である。
図7】滑車装置で上方位置に保持される遮蔽装置のさらなる変形例である。
図8図7と同一の構成であり、遮蔽装置は降下されている。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明は図面に例示され、図面に基づいて以下で詳細に説明される。
【0028】
図面で示す実施例において、遮蔽装置1は、全周で閉じかつ筒体4の形状を有する壁3からなる。
【0029】
本場合において、全周で閉じた筒体4は、ケーブル8の補助で、具体的には作業区画2の真上にある天井7に懸吊される。図2に示すように、降下した状態では、筒体4の直径は、十分な空間取りで作業区画2を囲むほどに大きい。
【0030】
遮蔽装置1を形成する筒体4は、固体で実質的に剛体の材料から製造される。材料は、消音作用を有するように選択される。筒体4を形成する壁3の材料は、この場合では、消音性の物質で被覆され得る。
【0031】
本発明に係る遮蔽装置の好適な実施例において、筒体4を形成する壁3は、片側又は両側がフェルトで被覆された硬質繊維材料からなる。
【0032】
筒体4として形成された遮蔽装置1が降下した後、それぞれのユーザが周囲からのいかなる妨害的影響もなく作業することができるように、発生するあらゆる妨害的な周囲の騒音も実質的に排除される。
【0033】
例えば、大きな工場ホールにおける作業区画2でユーザ自身が騒音を発生する場合、遮蔽装置1が降下するとこの騒音も除去され、結果として近接して作業している人への障害もほとんどなくなる。
【0034】
図1及び図2に示すように、常時では使用されず、筒体4を降下することによって必要に応じて利用可能となる任意の所望の追加の作業機器6が、筒体4の内壁に固定可能となる。遮蔽装置1が例えばオープンプランのオフィスで使用される場合、必要に応じて、追加のモニタ及びディスプレイが筒体4の内壁に固定可能となる。オープンプランの作業場では、例えば、筒体4の内面に様々な工具、特に、常時では使用されず、筒体4が降下するとユーザが利用可能となる特定の特殊工具を着脱可能に固定可能となる。
【0035】
図面に図示する本発明に係る遮蔽装置1の実施形態は、特に、独立型の作業区画2を遮蔽するために使用される。逆に、作業区画が建物の壁の前方に設置される場合、壁3は単に半筒体の形態に形成されるだけでよい。部屋の角部での作業区画については、特定の状況下では、90度にわたって延在する筒体表面で十分な場合もある。
【0036】
本発明に係る遮蔽装置は、筒状の壁3に限定されない。所与の空間的状況又は所望の設計に応じて、異なる設計の壁3は、それぞれの作業区画を完全に囲い又は部分的にのみ遮蔽する、例えば、直方体、立方体、多角形などの形態でも可能である。
【0037】
全周で閉じた壁3の場合、例えば筒体4の場合に、空気の滞留が遮蔽装置内に発生しないようにして良好な空気の循環を確保するために、上側は開放されるべきであり、又は比較的大きな開口5を有すべきである。
【0038】
図3及び図4に示す実施例において、遮蔽装置は、ここでも筒体4として形成される。プーリ9を形成するように天井7に設置された固定ローラ10を介して接続されたケーブル8は、必要に応じてユーザ自身が遮蔽装置を降下し又は上方に移動できるように、筒体4の上縁に固定される。
【0039】
図5に示す実施例において、筒体4は、金属クロス11に懸吊される。そして、金属クロス11は、天井に固定的に設置される2つのローラ10上にガイドされるケーブル8を用いてユーザによって手動で作動可能となる。
【0040】
図6のような実施例も同じことがあてはまり、遮蔽装置1を作動するためにユーザがより大きな力を発揮する必要がないように、カウンタウェイト12がケーブル8に固定され、このカウンタウェイトが筒体4の重量を補償する。
【0041】
これは、図7及び図8のような実施形態にも同様にあてはまる。本実施例において、遮蔽装置1は、天井7に取り付けられた固定ローラ10の周り及び2つの可動ローラ13の周りに滑車装置14の態様でガイドされるプーリによって昇降される。本実施例でも、筒体4又は壁3の重量を補償するためのカウンタウェイト12が、ケーブル8に設けられてもよい。
【0042】
図1図8に示すプーリ9とは別に、他のプーリ、例えば、それ自体周知でありかつ図面に個別に示されていないスプリングバランサが使用されてもよく、この場合、筒体4が引き下げられるとスプリングが伸張し、筒体4が押し上げられるとスプリングの補助でケーブルが巻き上げられる。
【0043】
手動による遮蔽装置1の作動の代替例として、プーリ9の様々な様式は、電動モータによっても作動可能である。図面で個別に示されないプーリ9の電動駆動は、必要に応じてユーザによって遠隔制御され得る。
【0044】
本発明に係る装置は、いずれのオープンプランのオフィス又はいずれのオープンプランの作業場にも非常に心地よい向上をもたらすものである。筒体4として又は別の形状で設計された壁3は、インテリアデザイン手法の一環として、対応して調和のとれた色及び模様を有するデザイン要素の形態で備え付けられてもよい。いずれの場合も、少なくとも断続的に達成可能な騒音除去及び新たに生み出されたプライバシーの感覚が、それぞれの従業員の満足に寄与することになる。
【符号の説明】
【0045】
1 遮蔽装置
2 作業区画
3 壁
4 筒体
5 (上部)開口
6 作業機器
7 天井
8 ケーブル
9 プーリ
10 固定ローラ
11 金属クロス
12 カウンタウェイト
13 可動ローラ
14 滑車装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】