(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-19
(54)【発明の名称】制御されない試験ヘッドの回転に対処するように構成された試験ヘッドマニピュレータ
(51)【国際特許分類】
G01R 31/26 20200101AFI20240112BHJP
G01N 3/20 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
G01R31/26 J
G01N3/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023536342
(86)(22)【出願日】2022-01-04
(85)【翻訳文提出日】2023-06-15
(86)【国際出願番号】 US2022011123
(87)【国際公開番号】W WO2022150296
(87)【国際公開日】2022-07-14
(32)【優先日】2021-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502391840
【氏名又は名称】テラダイン、 インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】シルバ、 アイザック エヌ.
【テーマコード(参考)】
2G003
2G061
【Fターム(参考)】
2G003AG12
2G003AH04
2G061AA07
2G061AB01
2G061BA01
2G061CA16
2G061CB16
2G061CC11
2G061DA01
2G061DA10
2G061EA01
2G061EA02
(57)【要約】
例示的な試験ヘッドマニピュレータは、ベース、及びトラックであって、トラックはベースに対して垂直である、トラックを有するタワーと、試験ヘッドのための支持を可能にするためのアームと、を含む。アームは、試験ヘッドをタワーに対して垂直に移動させるようトラックに接続されており、アームは、試験ヘッドの回転を制御するように構成されている。アームの各々は、回転可能であるカム、及びカムに接触しており、試験ヘッドに接触するように構成された少なくとも1つのプランジャを含む。カムの回転は、制御されない回転、試験ヘッドを相殺するよう少なくとも1つのプランジャを移動させるように制御可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験ヘッドマニピュレータであって、
ベース、及び前記ベースに対して垂直であるトラックを有するタワーと、
前記試験ヘッドのための支持を可能にするためのアームであって、前記試験ヘッドを前記タワーに対して垂直に移動させるよう前記トラックに接続されるアームと
を備え、
前記アームは、前記試験ヘッドの回転を制御するように構成され、
前記アームの各々が、回転可能であるカムと、前記カムに接触する少なくとも1つのプランジャとを含み、
前記少なくとも1つのプランジャは、前記試験ヘッドに接触するように構成され、
前記カムの回転が、前記試験ヘッドの制御されない回転を相殺するよう前記少なくとも1つのプランジャを移動させるように制御可能である、試験ヘッドマニピュレータ。
【請求項2】
前記少なくとも1つのプランジャは2つのプランジャを含み、
前記2つのプランジャは前記試験ヘッドに対して反対方向に向いており、これにより、前記2つのプランジャの各々が前記試験ヘッドの異なる部分に接触するように構成され、
前記カムの回転が、前記制御されない回転を相殺するために前記試験ヘッドに伝達される前記2つのプランジャの長手方向移動を引き起こす、請求項1に記載の試験ヘッドマニピュレータ。
【請求項3】
前記カムの複数の断面が、各断面の少なくとも一部分に沿って連続的に変化する半径を有する、請求項2に記載の試験ヘッドマニピュレータ。
【請求項4】
前記2つのプランジャは、
前記カムの第1の側の第1のプランジャであって、前記カムに接触する第1のローラを含む、第1のプランジャと、
前記カムの第2の側の第2のプランジャであって、前記カムに接触する第2のローラを含む、第2のプランジャと
を含み、
前記カムは前記第1のプランジャと前記第2のプランジャとの間にあり、
前記カムは、異なる回転角において、前記カムの異なる部分が前記第1のプランジャ及び前記第2のプランジャに接触するよう、前記第1のプランジャ及び前記第2のプランジャに対して回転するように制御可能である、請求項2に記載の試験ヘッドマニピュレータ。
【請求項5】
前記カムは、同じ軸を中心として回転可能である第1の角度構造及び第2の角度構造を含み、
前記第1の角度構造は、前記第1の角度構造の部分に沿って変化する第1の半径を有し、
前記第2の角度構造は、前記第2の角度構造の少なくとも部分に沿って変化する第2の半径を有する、請求項4に記載の試験ヘッドマニピュレータ。
【請求項6】
前記第1の半径は第1の角度方向に増大し、
前記第2の半径は第2の角度方向に増大し、
前記第1の角度方向は前記第2の角度方向と反対である、請求項5に記載の試験ヘッドマニピュレータ。
【請求項7】
前記第1の角度構造の最大半径において、前記第1の角度構造が、前記最大半径を前記第1の角度構造の最小半径に接続する直線縁部不連続部を含み、
前記第2の角度構造の最大半径において、前記第2の角度構造が、前記最大半径を前記第2の角度構造の最小半径に接続する直線縁部不連続部を含む、請求項6に記載の試験ヘッドマニピュレータ。
【請求項8】
前記第1の角度構造及び前記第2の角度構造は各々、360°よりも小さい回転に制約される、請求項7に記載の試験ヘッドマニピュレータ。
【請求項9】
前記第1の角度構造及び前記第2の角度構造は各々、0°~145°である回転に制約される、請求項7に記載の試験ヘッドマニピュレータ。
【請求項10】
前記第1のプランジャ及び前記第2のプランジャは、前記第1のプランジャが前記試験ヘッドマニピュレータのアームの上部の方に向き、前記第2のプランジャが前記アームの下部の方に向くよう、約180°離れている、請求項4に記載の試験ヘッドマニピュレータ。
【請求項11】
前記少なくとも1つのプランジャは、前記試験ヘッドの一部分に接触するように構成される一のボールを含み、
前記一のボールは前記試験ヘッドマニピュレータのアームに対して少なくともタンブル及びシータ方向に回転可能である、請求項1に記載の試験ヘッドマニピュレータ。
【請求項12】
前記一のボールは複数のボールによって支持され、
前記複数のボールは各々が前記一のボールに対して回転可能であり、
前記一のボールは前記複数のボールの各々に対して回転可能である、請求項11に記載の試験ヘッドマニピュレータ。
【請求項13】
前記少なくとも1つのプランジャは、
前記一のボールを収容するためのハウジングと、
前記ハウジングが接続するシャフトと、
前記少なくとも1つのプランジャの長手方向寸法を変更するよう少なくとも部分的に圧縮可能である少なくとも1つのばねと
を含む、請求項11に記載の試験ヘッドマニピュレータ。
【請求項14】
前記少なくとも1つのプランジャは、前記カムに接触するローラを含み、
前記ローラは、前記カムの回転によって生じた変位を前記プランジャへ伝えるように構成される、請求項13に記載の試験ヘッドマニピュレータ。
【請求項15】
少なくとも一部分が前記試験ヘッドマニピュレータのアームの外側にあるハンドルを更に備え、
前記ハンドルは前記カムに機械的に接続し、
前記ハンドルは、前記カムを手動で回転させるように制御可能である、請求項1に記載の試験ヘッドマニピュレータ。
【請求項16】
前記カムは、前記試験ヘッドの±1.5°以下の回転を相殺するよう前記少なくとも1つのプランジャを移動させるように制御可能である、請求項1に記載の試験ヘッドマニピュレータ。
【請求項17】
2つのアーム及び2つのプランジャが存在し、
前記アームの各々に1つのプランジャが対応する、請求項1に記載の試験ヘッドマニピュレータ。
【請求項18】
前記トラックに沿った前記アームの移動を駆動する1つ以上のモータを更に備える、請求項1に記載の試験ヘッドマニピュレータ。
【請求項19】
試験ヘッドを搬送するための試験ヘッドマニピュレータであって、
ベース、及び前記ベースに対して垂直であるトラックを有するタワーと、
前記試験ヘッドのための支持を可能にする複数のアームであって、前記試験ヘッドを前記タワーに対して垂直に移動させるよう前記トラックに接続されるアームと
を備え、
前記アームは、前記試験ヘッドの回転を制御するように構成され、
前記アームは各々が、前記試験ヘッドの制御されない回転を相殺する手段を含む、試験ヘッドマニピュレータ。
【請求項20】
前記制御されない回転を相殺する手段は、
反対方向に向いた2つのプランジャと、
回転可能であるカムと
を含み、
前記プランジャは各々が、前記試験ヘッドの異なる部分に接触するように構成され、
前記プランジャは各々が、前記カムに接触するように構成され、
前記カムの回転が、前記制御されない回転を相殺するために前記試験ヘッドに伝達される前記プランジャの長手方向移動を引き起こす、請求項19に記載の試験ヘッドマニピュレータ。
【請求項21】
少なくとも一部分が前記試験ヘッドマニピュレータのアームの外側にあるハンドルを更に備え、
前記ハンドルは前記カムに機械的に接続し、
前記ハンドルは、前記カムを手動で回転させるように制御可能である、請求項19に記載の試験ヘッドマニピュレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、概して、制御されない試験ヘッドの回転に対処するように構成された試験ヘッドマニピュレータに関する。
【背景技術】
【0002】
自動試験装置(ATE)は、試験ヘッドを含み、この試験ヘッドは、被試験デバイス(DUT)に対する試験を実施するためのテスト電子機器を格納する。一部のATEでは、複数の(DUT)を、デバイスインターフェースボード(DIB)に接続する。試験ヘッドは、DUTとの電気接続を確立するために、DIBと嵌合し、これらの接続を通じ、様々な試験を実施する。マニピュレータは、試験装置内で試験ヘッドを搬送する種類のデバイスである。
【発明の概要】
【0003】
例示的な試験ヘッドマニピュレータは、ベース、及びトラックであって、トラックはベースに対して垂直である、トラックを有するタワーと、試験ヘッドのための支持を可能にするためのアームと、を含む。アームは、試験ヘッドをタワーに対して垂直に移動させるようトラックに接続されており、アームは、試験ヘッドの回転を制御するように構成されている。アームの各々は、回転可能であるカム、及びカムに接触しており、試験ヘッドに接触するように構成された少なくとも1つのプランジャを含む。カムの回転は、制御されない回転、試験ヘッドを相殺するよう少なくとも1つのプランジャを移動させるように制御可能である。例示的な試験ヘッドマニピュレータは以下の特徴のうちの1つ以上を、単独で、又は組み合わせて含み得る。
【0004】
少なくとも1つのプランジャは、2つのプランジャを含み得る。2つのプランジャは試験ヘッドに対して反対方向に向き得、これにより、2つのプランジャの各々は試験ヘッドの異なる部分に接触するように構成されている。カムの回転は、制御されない回転を相殺するために試験ヘッドに伝達される2つのプランジャの長手方向移動を引き起こし得る。カムの断面は、各断面の少なくとも部分に沿って連続的に変化する半径を有し得る。
【0005】
2つのプランジャは、カムの第1の側に第1のプランジャを含み得る。第1のプランジャは、カムに接触した第1のローラを含み得る。2つのプランジャは、カムの第2の側に第2のプランジャを含み得る。第2のプランジャは、カムに接触した第2のローラを含み得る。第1のプランジャ及び第2のプランジャは、第1のプランジャが試験ヘッドマニピュレータのアームの上部の方に向き、第2のプランジャがアームの下部の方に向くよう、約180°離れ得る。カムは、第1のプランジャと第2のプランジャとの間にあり得る。カムは、異なる回転角において、カムの異なる部分が第1のプランジャ及び第2のプランジャに接触するよう、第1のプランジャ及び第2のプランジャに対して回転するように制御可能であり得る。
【0006】
カムは、同じ軸を中心として回転可能である第1の角度構造及び第2の角度構造を含み得る。第1の角度構造は、第1の角度構造の部分に沿って変化する第1の半径を有し得、第2の角度構造は、第2の角度構造の少なくとも部分に沿って変化する第2の半径を有し得る。第1の半径は第1の角度方向に増大し得、第2の半径は第2の角度方向に増大し得る。第1の角度方向は、第2の角度方向と反対であり得る。第1の角度構造の最大半径において、第1の角度構造は、最大半径を第1の角度構造の最小半径に接続する直線縁部不連続部を有し得る。第2の角度構造の最大半径において、第2の角度構造は、最大半径を第2の角度構造の最小半径に接続する直線縁部不連続部を有し得る。第1の角度構造及び第2の角度構造は各々、360°よりも小さい回転に制約され得る。第1の角度構造及び第2の角度構造は各々、0°~145°である回転に制約され得る。
【0007】
少なくとも1つのプランジャは、試験ヘッドの部分に接触するように構成されたボールを含み得る。ボールは、試験ヘッドマニピュレータのアームに対して少なくともタンブル及びシータ方向に回転可能であり得る。ボールは複数のボールによって支持され得、複数のボールの各々はボールに対して回転可能であり、ボールは複数のボールの各々に対して回転可能である。
【0008】
少なくとも1つのプランジャは、ボールを収容するためのハウジング、ハウジングが接続したシャフト、及び少なくとも1つのプランジャの長手方向寸法を変更するよう少なくとも部分的に圧縮可能である少なくとも1つのばねを含み得る。少なくとも1つのプランジャは、カムに接触するためのローラを含み得る。ローラは、カムの回転によって生じた変位をプランジャへ伝えるように構成され得る。
【0009】
試験ヘッドマニピュレータは、少なくとも部分が試験ヘッドマニピュレータのアームの外側にあるハンドルを含み得る。ハンドルは、カムに機械的に接続し得る。ハンドルは、カムを手動で回転させるように制御可能であり得る。カムは、±1.5°以下の回転、試験ヘッドを相殺するよう少なくとも1つのプランジャを移動させるように制御可能であり得る。アームの各々にプランジャが1つずつ、2つのアーム及び2つのプランジャが存在してもよい。試験ヘッドマニピュレータは、トラックに沿ったアームの移動を駆動するための1つ以上のモータを含み得る。
【0010】
試験ヘッドを搬送するための例示的な試験ヘッドマニピュレータは、ベース、及びトラックであって、トラックはベースに対して垂直である、トラックを有するタワーと、試験ヘッドのための支持を可能にするためのアームと、を含む。アームは、試験ヘッドをタワーに対して垂直に移動させるようにトラックに接続されている。アームは、試験ヘッドの回転を制御するように構成されている。アームの各々は、制御されない回転、試験ヘッドを相殺するための手段を含む。例示的な試験ヘッドマニピュレータは以下の特徴のうちの1つ以上を、単独で、又は組み合わせて含み得る。
【0011】
制御されない回転を相殺するための手段は、反対方向に向いた2つのプランジャであって、プランジャの各々は試験ヘッドの異なる部分に接触するように構成されている、プランジャ、及び回転可能であるカムを含み得る。プランジャの各々は、カムに接触するように構成され得る。カムの回転は、制御されない回転を相殺するために試験ヘッドに伝達されるプランジャの長手方向移動を引き起こし得る。試験ヘッドマニピュレータはまた、少なくとも部分が試験ヘッドマニピュレータのアームの外側にあるハンドルを含み得る。ハンドルはカムに機械的に接続し得る。ハンドルは、カムを手動で回転させるように制御可能であり得る。
【0012】
この発明の概要の項を含む、本明細書において説明される特徴のうちの任意の2つ以上を組み合わせることにより、本明細書では具体的に説明されない実装形態を形成することができる。
【0013】
本明細書において説明されるシステム及び技術の少なくとも部分は、1つ以上の処理装置上で、1つ以上の非一時的機械可読記憶媒体上に記憶された命令を実行することによって構成又は制御され得る。非一時的機械可読記憶媒体の例としては、リードオンリーメモリ、光ディスクドライブ、メモリディスクドライブ、及びランダムアクセスメモリが挙げられる。本明細書において説明されるシステム及び技術の少なくとも部分は、1つ以上の処理装置、及び様々な制御動作を遂行するために1つ以上の処理装置によって実行可能である命令を記憶するメモリで構成されたコンピューティングシステムを用いて構成又は制御され得る。本明細書において説明される、システム及び技術、並びにそれらの構成要素及び変形例は、例えば、設計、構造、構成、配置、プログラミング、動作、活動化、非活動化、及び/又は制御を通じて構成され得る。
【0014】
1つ以上の実現例の詳細を、添付の図面及び以下の説明で明らかにする。その他の特徴及び利点は、それらの説明、図面、及び特許請求の範囲から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】例示的な試験ヘッドマニピュレータ及び試験ヘッドの部分的に透明な斜視図を示す図である。
【
図2A】試験ヘッドマニピュレータ内に含まれる例示的なアームの部分の切断正面図を示す図である。
【
図3A】試験ヘッドマニピュレータのアームの部分の斜視図を示す写真である。
【
図3B】様々な回転位置における
図2Aのアーム上のハンドルの正面図を示す図である。
【
図3C】様々な回転位置における
図2Aのアーム上のハンドルの正面図を示す図である。
【
図3D】様々な回転位置における
図2Aのアーム上のハンドルの正面図を示す図である。
【
図4】
図2Aのアームの部分であるプランジャ内に含まれるボールアセンブリの斜視図を示す図である。
【
図5A】
図2Aのアームの部分である例示的なカムアセンブリ内に含む構成要素の斜視図を示す図である。
【
図5B】
図2Aのアームの部分である例示的なカムアセンブリ内に含む構成要素の斜視図を示す図である。
【
図5C】
図5A及び
図5Bの例示的なカムアセンブリ内に含まれる構成要素の分解図を示す図である。
【
図6A】
図2Aのアームの部分である例示的なプランジャの斜視図を示す図である。
【
図6B】
図6Aの例示的なプランジャの切断側面図を示す図である。
【
図6C】
図6Aの例示的なプランジャの分解図を示す図である。
【
図7A】
図2Aの例示的なアームの部分の切断正面図を示す図である。
【
図7B】様々な回転角におけるプランジャ及びカムの切断正面図を示す図を含む。
【
図8】例示的なマニピュレータ、及びそれによって実施され得る制御された運動の斜視図を示す図である。
【0016】
異なる図面における同様の参照番号は同様の要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本明細書において説明されるのは、試験ヘッドを搬送するための試験ヘッドマニピュレータの例示的な実装形態である。試験ヘッドは、プリント回路基板(PCB、printed circuit board)を保持し、そのPCBを試験システムに対して搬送又は操作するように構成されている。例えば、マニピュレータは、デバイスインターフェースボード(DIB)を保持し、搬送し、操作し得る。この点について、DIBは、自動試験装置(ATE)などの、試験システムによって試験されている、又は試験されることになる、1つ以上の被試験デバイス(DUT)への機械的及び電気的インターフェースを含む。例示的なマニピュレータは、ベース、及びトラックであって、トラックはベースに対して垂直である、トラックを有するタワーと、試験ヘッドのための支持を可能にするためのアームと、を含む。アームは、試験ヘッドをタワーに対して垂直に移動させるようにトラックに接続されている。アームはまた、試験ヘッドの、回転などの、移動を制御するように構成されている。アームの各々は、回転可能であるカム、及びカムに接触しており、試験ヘッドに接触するように構成された少なくとも1つのプランジャを含む。カムの回転は、制御されない回転、試験ヘッドを相殺するよう少なくとも1つのプランジャを移動させるように制御可能である。
【0018】
上述のように、マニピュレータによって遂行され得る移動又は操作は、試験ヘッドを回転させることを含む。
図8を参照すると、例えば、試験ヘッドマニピュレータ5は、試験ヘッド6を、上下、内外、及び左右に移動させるように構成されている。マニピュレータ5はまた、試験ヘッド6のために、タンブル回転、シータ回転、ツイスト回転、及びスイング回転を実施するように構成されている。これらの移動は制御され、例えば、試験ヘッドを所望の場所及び向きに位置決めするための命令又は手動移動に応じて実施され得る。例えば、試験ヘッドは、90°、180°、270°、又は360°回転させられ得る。
【0019】
しかし、場合によっては、試験ヘッドの制御されない角回転が生じ得る。例えば、試験ヘッド上のDIB又は他の構造の重量分布は不均一になり得、例えば、DIBは、その後縁部8と比べて、その前縁部7上において更なる重量を有し得る。この更なる重量は試験ヘッドの制御されない回転を生じさせ得る。例えば、
図8に示される向きにおいて、このような不均一な重量分布は、試験ヘッドの小さい制御されないタンブル回転角変位を生じさせ得る。試験ヘッドが90°回転させられる例では、不均一な重量分布は、試験ヘッドの小さい制御されないシータ回転角変位を生じさせ得る。これらの制御されない回転に対処するために、カム及びプランジャは、試験ヘッドの回転を調整するように構成され、制御可能である。一例では、カム及びプランジャは、制御されない回転を打ち消す、又は相殺するために、およそ±1.5°の制御された回転を実施するように構成されている。ただし、本明細書において説明されるマニピュレータは、カム及びプランジャによって可能にされる角回転補正のためのいかなる特定の値にも限定されない。カム及びプランジャの動作は手動で制御されてもよい。しかし、幾つかの実装形態では、それらの動作はコンピュータ制御されてもよい。
【0020】
図1は、試験ヘッドマニピュレータ10の例示的な実装形態を示す。マニピュレータ10は、
図8のマニピュレータ5と同じ構造及び能力を有してもよいが、有することを必要とするわけではない。マニピュレータ10は、タワー15、トラック13a及び13b、並びにアーム14a及び14bを含む。タワー15はベース11及びトラック12を含む。本例では、ベース11はトラック12に接続されており、トラック12に沿って移動するように構成されている。
【0021】
上述のように、タワー15は、マニピュレータ10の各側に1つずつ、2つの垂直トラック13a、13bを含む。
図1に示されるように、トラック13a、13bはタワー15の垂直の長さに沿って配置されている。幾つかの実現例では、トラック13a、13bはタワーの垂直全長に沿って配置され、幾つかの実現例では、トラック13a、13bはタワーの垂直の長さの一部(例えば、全長未満)のみに沿って配置される。アーム14a、14bは支持構造18を介してトラック13a、13b上に取り付けられている。この構成では、例えば、支持構造18はトラック13a、14bに接続されており、アーム14は支持構造に接続されている。支持構造18は、トラック13a、13bに沿って垂直に移動し、それゆえ、アーム14a、14bもタワー15に沿って垂直に移動させるように構成されている。支持構造18はまた、
図8に示される移動を実施するように構成されている。この点について、1つ以上のモータ(図示せず)が、トラック13a及び13bに沿った、支持構造18、ひいてはアーム14の移動を駆動するように構成され、配置されている。幾つかの実装形態では、アーム14a、14bは、矢印17の方向に0°と180°との間で回転するように構成され、制御可能である。幾つかの実装形態では、アーム14a、14bは、矢印17の方向に0°と360°との間で回転するように構成され、制御可能である。1つ以上のモータ(図示せず)が、
図8に関して説明されるこれらの回転及び他の回転を制御するように構成され、配置されている。
【0022】
アーム14は、試験ヘッド20を保持するように構成され、制御される。上述のように、試験ヘッド20はATEの部分であり、DUTを試験するための、ピンエレクトロニクス、試験計器、又は同様のものなどの、テスト電子機器を含み得る。この点について、上述のように、幾つかの実装形態では、DUTを、DUTと試験ヘッドとの間に電気的及び機械的接続を提供するDIBに接続する。
図8に示されるように、DIB9が試験ヘッドによって保持され得る。幾つかの実装形態では、モータによって駆動される垂直移動が試験ヘッド20をDIBに接触させる。
【0023】
幾つかの場合には、DIBの、又はその上の不均一に分布した重量は、例えば、アーム14a、14bに対する、及び軸21を中心とする試験ヘッドの小さい制御されない回転を生じさせ得る。この制御されない回転は望ましくなく、試験システム内におけるDIBの移動及びその後の配置に悪影響を及ぼし得る。この制御されない回転は「回転誤差」と称される。本明細書において説明される例では、マニピュレータ10のアーム14a、14b内の構成要素が、この回転誤差を少なくとも部分的に補正するように構成され、配置されている。幾つかの実装形態では、構成要素は各アーム14a、14bの前方セクション22内に配置されている。幾つかの実装形態では、構成要素はアームの中央又は後部内に配置されていてもよい。
【0024】
図2Aは、
図1の矢印4の方向からのアーム14aの前方セクション22の切断正面図を示す。
図2Bは、
図1の矢印3の方向からのアーム14aの前方セクション22の部分の側面図を示す。アーム14bは、
図2A及び
図2Bに示されるものと同様又は同一の構造を有し得る。したがって、本明細書ではアーム14aの構造のみが説明される。アーム14aはカム23を含む。カム23は、本例では、その回転運動をプランジャ24及び25に伝達するように構成された回転可能物体を含むカムアセンブリの部分である。これは、プランジャの一方又は両方の少なくとも部分を矢印2の方向に直線的に移動させる。幾つかの実装形態では、各アーム14a、14bは、
図2A及び
図2Bに示される構成によるカム及び2つのプランジャを含む。幾つかの実装形態では、各アームはカム及び単一のプランジャ(図には示されていない)を含み得る。
【0025】
本例では、カム23は、各プランジャ24、25がカム23の異なる側に配置された構成でプランジャ24及び25に接触している。例えば、プランジャ24は、プランジャ25に対して180°の角度で配置されている。それゆえ、プランジャ24及び25は反対方向に面しており、したがって、各プランジャは試験ヘッド20の異なる部分-例えば、
図1に示される試験ヘッド20内の溝又はくぼみ103の上部100及び下部101に接触する。例えば、
図2A及び
図2Bに示されるように、プランジャ24はアーム14aの上部の方に向いており、プランジャ25はアーム14aの下部の方に向いている。「上部」及び「下部」は、ここでは、
図1に示される構成のときのアーム14aの部分を指し、限定であることを意図されていない。反対に配置されたプランジャは、試験ヘッドの異なる向きにおける-例えば、それが上下逆さまであるときの-回転誤差を補正するために用いられる。
【0026】
図示のように、カム23は、本例では、プランジャ24、25の間にあり、それらに物理的に直接接触している。この点について、プランジャ24は、カム23に接触したローラ26を含み、プランジャ25は、カム23に接触したローラ27を含む。プランジャ24はまた、部分100、試験ヘッド20に接触したローラ71を含み、プランジャ25は、試験ヘッド20の部分101に接触したローラ72を含む。各ローラ26、27は、ボールアセンブリを含み得、
図4に示される構成を有する。
図4に示されるように、例示的なローラ26は、ハウジング68内の複数の(本例では、6つの)ボール69によって支持された-例えば、それらに直接接触した-ボール71を含む。複数のボール69の各々はボール71に対して回転可能であり、ボール71は複数のボール68の各々に対して回転可能である。同様に、ボール71は試験ヘッド20に直接接触しているが、その接触は固定されていない。即ち、ボール71は、試験ヘッドが移動する際に回転し得、プランジャが、本明細書において説明されるように試験ヘッド14aの角度位置を補正することを可能にする。例えば、プランジャは、ボール71を介して試験ヘッドに向かってそれに力によるものを印加し得る。その力は試験ヘッドの角移動を引き起こし得、その間、ボール71は、試験ヘッドの連続的角移動を可能にするよう回転する。
【0027】
図2A及び
図2Bを再び参照すると、カム23はまた、ハンドル30に機械的に接続されており、これは
図3A、
図3B、
図3C、及び
図3Dにも示されている。この機械的接続を通じて、ハンドル30は、カム23の回転を制御し、これにより、プランジャにおける緊張及び試験ヘッド20の回転を制御するために手動で回転可能である。それゆえ、ハンドル30を
図3B~
図3Dに示される様々な角度へ回転させることによって、カム23もまた、プランジャに対して回転し、これにより、異なる回転角において、カム23の異なる部分がプランジャに接触し、プランジャ24、25の異なる長手方向移動をもたらす。プランジャ24、25は試験ヘッド20に接触しているため、その長手方向移動は試験ヘッド20へ伝達し、試験ヘッド20の角移動を引き起こす。
図3A~
図3Dに示される実装形態では、ハンドル30はアーム14aの外側にある。
【0028】
図5Aは、カムアセンブリの例示的な構成を示す。
図5B及び
図5Cは、ハンドル30に接続された、組み立てられた位置、及び分解された位置におけるカム23をそれぞれ示す。図示のように、カム23は、角度構造28の部分に沿って変化し、最大半径31’に達する半径31を有する角度構造28、及び角度構造29の部分に沿って変化し、最大半径32’に達する半径32を有する角度構造29を含む。
図5A~
図5Cに示されるように、半径31は角度方向33に増大し、半径32は角度方向34に増大する。本例では、角度方向33は角度方向34と反対である。したがって、カム23の断面は、各断面の部分に沿って連続的に変化する半径を有する。
【0029】
角度構造28は、最大半径31’を最小半径31に接続する直線縁部不連続部38を含む。角度構造28の直線縁部不連続部38は最大半径31’に配置されている。同様に、角度構造29は、最大半径32’を最小半径32に接続する直線縁部不連続部39を含む。角度構造29の直線縁部不連続部39は、最大半径32’に配置されている。角度構造28及び29は、同じ軸36を中心として回転可能である。幾つかの実装形態では、角度構造28及び29は各々、0°と360°との間で回転することができる。幾つかの実装形態では、角度構造28及び29は各々、0°と145°との間で回転するように制約されている。幾つかの実装形態では、回転は、各直線縁部不連続部を通り越さないように、即ち、それぞれのプランジャが不連続部を落ちないように制約されている。
【0030】
カム23は、ロッド35及びプレート40を通じてハンドル30に接続されている。ロッド35は、円筒形構造37であって、その端部42に接続されたリング43を有する円筒形構造37を含む。リング43は、端部42においてロッド35に固定して取り付けられている。幾つかの実装形態では、リング43は、円筒37の外面上で軸36に沿って移動するように構成されている。ロッド35は、カム23を貫く中心管状孔41を貫き、これにより、ロッド35の端部44は中心管状孔41、プレート40の孔46を貫き、ハンドル30の貫通穴45内へ入る。カム23の中心管状孔41は長手方向軸36に沿っており、角度構造28から角度構造29を貫いて延び得る。本例では、プレート40は、カム23及びハンドル30をマニピュレータの、アーム14aなどの、アームに接続するために、カム23とハンドル30との間に配置されている。プレート40は、ピン53を用いてハンドル30をアーム14aに取り付けるための孔48を含む。上述のように、ハンドル30をアームに、及びまたカム23に固定するために、ロッド35はカム23の貫通穴41を貫き、プレート40の孔46を貫き、ハンドル30の貫通穴45内へ入る。ピン49が、ロッド35をハンドル30に固定するために、ハンドル30の孔50、及びまた、ロッド35の孔51を貫く。
【0031】
図6A~
図6Cはプランジャ24、25の例示的な実装形態を示す。各プランジャ24、25は同じ構造及び機能を有し得る。したがって、本明細書では一方のプランジャ24のみが説明される。プランジャ24は、
図4に関して説明されたボールアセンブリを収容するためのハウジング70を含む。
図1も参照すると、ボールアセンブリのボール71は、限定するものではないが、矢印17及び19の方向を含む、複数の自由度において回転するように構成されている。プランジャ24はシャフト72を含む。シャフト72は上端部77及び下端部78を含む。上端部77は、ロッド79によってハウジング70に接続された肩部76を含む。ロッド79は、上端部81及び下端部82を有する。上端部81は、孔85を含む段83を含む。プランジャ24が組み立てられたとき、段83はハウジング70内に位置付けられる。Oリング80及びピン84が、ハウジング70をロッド79及びプランジャ24に固定するために、ハウジング70の孔90及び孔85を貫く。ハウジング70’が構造86によってシャフト72の下端部78に接続されている。構造86は、ロッド、及び構造に固定して取り付けられたリング87を含む。ロッドは上部部分88及び下部部分89を含む。上部部分88は下部部分89よりも大きい半径を有する。リング87は、ロッドの上部において、上部部分88と下部部分89との間に配置されている。下部部分89は、Oリング80’、並びに貫通孔85’及び90’に挿入されるピン84’によってハウジング70’に固定され得る。プランジャ24が組み立てられたとき、リング87はカム23の近くのシャフト72の端部78に配置され、上部部分88はその長手方向に沿ってばね74の内部に配置される。
【0032】
図6A~
図6Cに示されるように、シャフト72は複数のばね74-本例では、2つのばねを収容する。ばね74は、プランジャ24の長手方向寸法を変更するよう少なくとも部分的に圧縮可能である。ばね74は、シャフト72の長手方向軸に沿って配置されている。プレート75が2つのばね74の間に配置されている。
図6A~
図6Cの例では、2つのばね74は構造及び長さが同一である。幾つかの実装形態では、ばね74は同一でない。幾つかの実装形態では、プランジャ24は、1つのばね74のみ、又は2つを超えるばねを含む。
【0033】
上述されたように、ハンドル30上の緊張はカム23へ伝達する。カム23は、そのローラ26を通じて、カム23の回転によって生じた変位をプランジャ24へ伝える。プランジャ24はボール71を通じて試験ヘッド20に接触しているため、プランジャ24の伝達された変位は、ばね74を通じて、試験ヘッドを移動させることができる。ボール71と試験ヘッドとの間のフローティング接続は、上述された制御されない/望ましくない回転を相殺するための試験ヘッドの回転を可能にする。
【0034】
図7Aは、
図2Aのものと同様の構成要素を含む試験ヘッドマニピュレータアームの正面図である。
図7Bは、ハンドルに印加された様々なレベルのトルクにおける、カム構成要素23a及び23bの様々な回転角におけるプランジャ24及び25の異なる線形位置をそれぞれ示す
図7Aの例示的なアームの側面図の図を示す。上述のように、ハンドル30上の緊張/力はカム23を回転させる。
図7Bが示すように、プランジャ24及び25にかかる荷重はカム23の異なる回転角において変化する。したがって、カム23が特定の角度へ回転したとき、プランジャ24にかかる荷重は、プランジャ25にかかる荷重とは異なる。
【0035】
本明細書では、「試験」及び「試験システム」に関する例示的な実装形態について述べているが、本明細書に示す装置は、任意の適切なシステムで使用可能であり、試験システム又は本明細書で述べる例示的な試験システムに限定されない。
【0036】
本明細書に示されるとおりに実施される、試験ヘッドマニピュレータの少なくとも一部の制御を含む試験は、ハードウェア又はハードウェアとソフトウェアとの組み合わせを使用して、実現及び/又は制御可能である。例えば、本明細書に示されるような試験システムは、様々な場所にある種々のコントローラ及び/又は処理装置を含み得る。中央コンピュータは、様々なコントローラ又は処理装置にわたる動作を調整し得る。中央コンピュータ、コントローラ、及び処理装置は、様々なソフトウェアルーチンを実行して、試験及び較正の制御と調整をもたらす。
【0037】
マニピュレータの制御を含む試験は、少なくとも一部が、1つ若しくは複数のコンピュータプログラム製品、例えば、プログラム可能プロセッサ、コンピュータ、複数のコンピュータ、及び/又は、プログラム可能な論理構成要素等の1つ若しくは複数のデータ処理機器による実行用、又は、その動作を制御するための、1つ若しくは複数の非一時的機械可読媒体等の1つ若しくは複数の情報担体に有形的に組み込まれた1つ若しくは複数のコンピュータプログラム製品を使用して、制御可能である。
【0038】
本明細書で説明される種々の実現例の要素を組み合わせることにより、上記で具体的に述べられていない他の実施形態を形成することができる。本明細書で述べる要素は、動作に悪影響を及ぼすことなく構造から除外し得る。更に、本明細書に記載の機能を実行するために、様々な別個の要素を、1つ以上の個別の要素に組み合わされ得る。
【国際調査報告】