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特表2024-502414極低温環境用の搬送ポート・システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-19
(54)【発明の名称】極低温環境用の搬送ポート・システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/00 20060101AFI20240112BHJP
   F25B 9/00 20060101ALI20240112BHJP
   G01N 1/42 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
G01N1/00 101B
F25B9/00 Z
G01N1/42
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023538739
(86)(22)【出願日】2021-12-30
(85)【翻訳文提出日】2023-06-22
(86)【国際出願番号】 EP2021087867
(87)【国際公開番号】W WO2022148703
(87)【国際公開日】2022-07-14
(31)【優先権主張番号】17/144,803
(32)【優先日】2021-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】New Orchard Road, Armonk, New York 10504, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【弁理士】
【氏名又は名称】太佐 種一
(74)【代理人】
【識別番号】100120710
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】チョウ、ジェリー
(72)【発明者】
【氏名】グマン、パトリク
【テーマコード(参考)】
2G052
【Fターム(参考)】
2G052CA04
2G052CA45
2G052DA22
2G052DA24
2G052EB11
2G052EB13
(57)【要約】
極低温環境用の搬送ポート・システムの実現を容易にする技術が提供される。1つの例では、クライオスタットの外側真空チャンバは、試料設置面を備える内側チャンバを包囲する側壁を備え得る。側壁は、外側真空チャンバの外側の領域からの試料設置面へのアクセスを可能にする、フィードスルー・ポートを備え得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クライオスタットの外側真空チャンバであって、
試料設置面を有する内側チャンバを包囲する側壁を備え、前記側壁は、前記外側真空チャンバの外側の領域からの前記試料設置面へのアクセスを提供するフィードスルー・ポートを備える、クライオスタットの外側真空チャンバ。
【請求項2】
前記側壁は前記外側真空チャンバの頂部プレートと底部プレートとの間に延在する複数のセクションへと分割されている、請求項1に記載の外側真空チャンバ。
【請求項3】
前記フィードスルー・ポートは前記外側真空チャンバの頂部プレートおよび底部プレートからほぼ等距離のところに配置されている、請求項1または2に記載の外側真空チャンバ。
【請求項4】
前記側壁は、前記外側真空チャンバの外側の前記領域からの前記試料設置面へのアクセスを提供する複数のフィードスルー・ポートを更に備える、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の外側真空チャンバ。
【請求項5】
前記フィードスルー・ポートに連結されている、周囲環境と前記外側真空チャンバの内部との間の圧力差を維持する真空バルブ
を更に備える、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の外側真空チャンバ。
【請求項6】
前記フィードスルー・ポートと前記試料設置面との間に介在する熱シールドであって、前記外側真空チャンバの外側の前記領域と前記試料設置面との間にクリアランスの線を形成するように前記フィードスルー・ポートと位置合わせされている追加のフィードスルー・ポートを備える、前記熱シールド
を更に備える、請求項1ないし5のいずれか一項に記載の外側真空チャンバ。
【請求項7】
前記フィードスルー・ポートを介した前記試料設置面上への試料の装填を容易にする装填機構
を更に含む、請求項1ないし6のいずれか一項に記載の外側真空チャンバ。
【請求項8】
前記試料設置面は、前記フィードスルー・ポートを介して装填される試料の熱の前記試料設置面への移動を容易にする熱アンカーを備える、請求項1ないし7のいずれか一項に記載の外側真空チャンバ。
【請求項9】
クライオスタットであって、
頂部プレートと底部プレートとの間に介在して試料設置面を備える内側チャンバを包囲する外側真空チャンバを形成している側壁を備え、前記頂部プレートは第1のフィードスルー・ポートを備え、前記底部プレートは第2のフィードスルー・ポートを備え、これらは前記外側真空チャンバの外部からの前記試料設置面への入力/出力の対のアクセスのそれぞれのラインを提供し、前記試料設置面は前記側壁に配設された第3のフィードスルー・ポートを介して試料を受ける、クライオスタット。
【請求項10】
前記試料設置面と前記頂部プレートまたは前記底部プレートとの間に介在する熱プレートであって、前記試料設置面と前記外側真空チャンバの前記外部との間にクリアランスの線を形成するように前記第1または前記第2のフィードスルー・ポートと位置合わせされている第3のフィードスルー・ポートを備える、前記熱プレート
を更に備える、請求項9に記載のクライオスタット。
【請求項11】
前記第1および前記第2のフィードスルー・ポートは前記頂部プレートと直交する軸線と位置合わせされている、請求項9または10に記載のクライオスタット。
【請求項12】
前記第1および前記第2のフィードスルー・ポートは前記頂部プレートと非直交の軸線と位置合わせされている、請求項9または10に記載のクライオスタット。
【請求項13】
前記頂部プレートおよび前記底部プレートは、前記第1および前記第2のフィードスルー・ポートを含む複数のフィードスルー・ポートを更に備え、各フィードスルー・ポートは、前記外側真空チャンバの前記外部からの前記試料設置面への所与の入力/出力の対のアクセスのラインを提供する、
請求項9ないし12のいずれか一項に記載のクライオスタット。
【請求項14】
前記側壁は前記外側真空チャンバの前記頂部プレートと前記底部プレートとの間に延在する複数のセクションへと分割されている、請求項9ないし13のいずれか一項に記載のクライオスタット。
【請求項15】
クライオスタットであって、
内側チャンバであり、試料設置面と、前記内側チャンバを包囲する外側真空チャンバの側壁に配設されており前記外側真空チャンバの外側の領域からの前記試料設置面へのアクセスを提供する第2のフィードスルー・ポートと位置合わせされている、第1のフィードスルー・ポートと、を備える、前記内側チャンバを備える、クライオスタット。
【請求項16】
前記側壁は前記外側真空チャンバの頂部プレートと底部プレートの間に介在し、前記内側チャンバは、前記外側真空チャンバの前記頂部プレートおよび前記底部プレートの一方に配設されている第3のフィードスルー・ポートを介して入力/出力の対の入力ラインを受け、前記内側チャンバは、前記外側真空チャンバの前記頂部プレートおよび前記底部プレートの他方に配設されている第4のフィードスルー・ポートを介して前記入力/出力の対の出力ラインを受ける、請求項15に記載のクライオスタット。
【請求項17】
前記内側チャンバは、前記頂部プレートと直交する軸線に沿って前記入力/出力の対の前記入力ラインおよび前記出力ラインを受ける、請求項15または16に記載のクライオスタット。
【請求項18】
前記内側チャンバは、前記頂部プレートと非直交の軸線に沿って前記入力/出力の対の前記入力ラインおよび前記出力ラインを受ける、請求項15または16に記載のクライオスタット。
【請求項19】
前記内側チャンバは、前記第1のフィードスルー・ポートを含む複数のフィードスルー・ポートを更に備え、前記複数のフィードスルー・ポートは、前記外側真空の側壁に配設されている対応するフィードスルー・ポートと位置合わせされて、前記外側真空チャンバの外側の前記領域からの前記試料設置面へのアクセスを提供する、請求項15ないし18のいずれか一項に記載のクライオスタット。
【請求項20】
前記側壁は前記外側真空チャンバの前記頂部プレートと前記底部プレートとの間に延在する複数のセクションへと分割されている、請求項15ないし19のいずれか一項に記載のクライオスタット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
主題の開示は極低温環境に関し、より詳細には、極低温環境用の搬送ポート・システムに関する。
【背景技術】
【0002】
クライオスタットのような極低温環境の試料設置面上に置かれた試料の交換においては、時間がかかり、エネルギー効率の悪い場合がある。例えば、試料を交換するために試料設置面にアクセスするには、試料設置面を収容したクライオスタットの内側チャンバを室温に温めることが必要な場合がある。試料設置面へのアクセスにはまた、外側真空チャンバを通気して、外側真空チャンバ内の圧力を周囲圧力にまで高めることも必要となり得る。試料設置面上に試料が装填されると、このプロセスを逆転して、外側真空チャンバ内を減圧し、クライオスタットの内側チャンバを極低温にまで冷却することができる。
【0003】
クライオスタットの中には、試料設置面上に置かれた試料の変更に関連する時間およびエネルギー・コストを削減するために、トップ・ローディング式またはボトム・ローディング式の試料交換機構を採用したものがある。この目的のために、そのようなトップ・ローディング式またはボトム・ローディング式の試料交換機構には、真空チューブを介して試料設置面と連絡可能に連結されているプローブに、試料を取り付けることが伴い得る。プローブは真空管体を通過して、試料を試料設置面に機械的および熱的に接触させることができる。これを行う際、試料設置面を収容した内側チャンバ内を極低温に維持することができ、内側チャンバを包囲する外側真空チャンバ内を試料の交換中に真空状態に維持することができる。このように、トップ・ローディング式またはボトム・ローディング式の試料交換機構によって、試料設置面上に置かれた試料の変更に関連する時間およびエネルギー・コストを削減することができる。
【0004】
しかしながら、トップ・ローディング式またはボトム・ローディング式の試料交換機構を採用したクライオスタットでは、拡張性が制限される場合がある。例えば、トップ・ローディング式またはボトム・ローディング式の試料交換機構には一般に、より厳しい垂直方向クリアランス要件が伴う。いくつかの例では、ボトム・ローディング式の試料交換機構を採用する場合は、追加の0.7メートル以上の垂直方向クリアランスが、またトップ・ローディング式の試料交換機構を採用する場合は、追加の1.5メートル以上の垂直方向クリアランスが、必要になり得る。別の例として、トップ・ローディング式またはボトム・ローディング式の試料交換機構は一般に、複数の試料を同時に交換することができない。
【発明の概要】
【0005】
以下に本発明の1つまたは複数の実施形態の基本的な理解を得るための概要を提示する。この概要は、主要なもしくは決定的な要素を特定すること、または、特定の実施形態の何らかの範囲もしくは特許請求の範囲の何らかの範囲を規定することは意図していない。その唯一の目的は、後から提示する詳細な説明への導入部として、単純化した形態で概念を提示することである。本明細書に記載する1つまたは複数の実施形態では、極低温環境用の搬送ポート・システムの実現を容易にするシステム、デバイス、または方法、あるいはそれらの組合せが記載される。
【0006】
ある実施形態によれば、クライオスタットの外側真空チャンバは、試料設置面を備える内側チャンバを包囲する側壁を備え得る。側壁は、外側真空チャンバの外側の領域からの試料設置面へのアクセスを可能にする、フィードスルー・ポートを備え得る。このような外側真空チャンバには、その外側真空チャンバにおいて、クライオスタットの垂直方向クリアランス要件の軽減が容易になり得るという側面がある。
【0007】
ある実施形態では、外側真空チャンバは、フィードスルー・ポートに連結された、周囲環境と外側真空チャンバの内部との間の圧力差を維持する真空バルブを更に備え得る。このような外側真空チャンバには、その外側真空チャンバにおいて、外側真空チャンバ内の真空状態を維持したままで試料設置面上に装填された試料を交換するのが容易になり得るという側面がある。
【0008】
別の実施形態によれば、クライオスタットは、頂部プレートと底部プレートとの間に介在して、試料設置面を備える内部チャンバを包囲する外側真空チャンバを形成する、側壁を備え得る。頂部プレートは第1のフィードスルー・ポートを備えることができ、底部プレートは第2のフィードスルー・ポートを備えることができる。第1および第2のフィードスルー・ポートは、外側真空チャンバの外部からの試料設置面への入力/出力の対のアクセスのそれぞれのラインを提供し得る。試料設置面は、側壁に配設された第3のフィードスルー・ポートを介して試料を受けることができる。このようなクライオスタットには、そのクライオスタットにおいて、入力/出力のラインが通るフィードスルー・ポートの数の増加への対応が容易になり得るという側面がある。
【0009】
ある実施形態では、第1および第2のフィードスルー・ポートは、頂部プレートと直交する軸線と位置合わせされる。ある実施形態では、第1および第2のフィードスルー・ポートは、頂部プレートと非直交の軸線と位置合わせされる。このようなクライオスタットには、このようなクライオスタットでは入力/出力線の経路決定の柔軟性を高めることが容易になり得るという側面がある。
【0010】
別の実施形態によれば、クライオスタットは、内側チャンバであって、試料設置面と、内部真空チャンバを包囲する外側真空チャンバの側壁に配設されており外側真空チャンバの外側の領域からの試料設置面へのアクセスを提供する第2のフィードスルー・ポートと位置合わせされている、第1のフィードスルー・ポートと、を備える、内側チャンバ、を備え得る。このようなクライオスタットには、そのクライオスタットにおいて、試料設置面上に装填された試料の交換に関連する熱損失が軽減され得るという側面がある。
【0011】
ある実施形態では、内側チャンバは、第1のフィードスルー・ポートを含む複数のフィードスルー・ポートを更に備える。複数のフィードスルー・ポートは、外側真空チャンバの側壁に配設された対応するフィードスルー・ポートと位置合わせされて、外側真空チャンバの外側の領域からの試料設置面へのアクセスを提供する。このようなクライオスタットには、そのクライオスタットにおいて、複数の試料を同時に交換することが容易になり得るという側面がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本明細書に記載する1つまたは複数の実施形態に係る、例示の非限定的なクライオスタットを示す図である。
図2】本明細書に記載する1つまたは複数の実施形態に係る、フィードスルー・ポートを含む側壁を有するクライオスタットの例示の非限定的な外側真空チャンバを示す図である。
図3】本明細書に記載する1つまたは複数の実施形態に係る、内側チャンバを包囲する例示の非限定的な外側真空チャンバを示す図である。
図4】本明細書に記載する1つまたは複数の実施形態に係る、外側真空チャンバの側壁と内側チャンバとの間に介在する熱シールドを有する、図3の例示の非限定的な外側真空チャンバを示す図である。
図5】本明細書に記載する1つまたは複数の実施形態に係る、サイド・ローディング式の機構を有する例示の非限定的な外側真空チャンバを示す図である。
図6】本明細書に記載する1つまたは複数の実施形態に係る、複数のフィードスルー・ポートを含む側壁を有する例示の非限定的な外側真空チャンバを示す図である。
図7】本明細書に記載する1つまたは複数の実施形態に係る、複数のフィードスルー・ポートを有する内側チャンバを包囲する例示の非限定的な外側真空チャンバを示す図である。
図8】本明細書に記載する1つまたは複数の実施形態に係る、複数のセクションへと分割された側壁を有する例示の非限定的な外側真空チャンバを示す図である。
図9】本明細書に記載する1つまたは複数の実施形態に係る、入力/出力の対の試料設置面へのアクセスのそれぞれのラインを提供するフィードスルー・ポートを有する頂部プレートおよび底部プレートを有する、例示の非限定的な外側真空チャンバを示す図である。
図10】本明細書に記載する1つまたは複数の実施形態に係る、底部プレートと試料設置面との間に介在する熱プレートを有する、図9の例示の非限定的な外側真空チャンバを示す図である。
図11】本明細書に記載する1つまたは複数の実施形態に係る、試料設置面への入力/出力の対のそれぞれのラインを提供する複数のフィードスルー・ポートを各々有する頂部プレートおよび底部プレートを有する、例示の非限定的な外側真空チャンバを示す図である。
図12】本明細書に記載する1つまたは複数の実施形態に係る、例示の非限定的な内側チャンバを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の詳細な説明は例示的なものに過ぎず、実施形態または実施形態の用途もしくは使用あるいはそれらの組合せを限定することは意図していない。また更に、先行する「技術分野」もしくは「発明の概要」の項に、または「発明を実施するための形態」の項に提示される、何らかの明示または暗示された情報に縛られることは意図していない。
【0014】
ここで1つまたは複数の実施形態について、全体を通して同様の参照符号が同様の要素を指すように使用される図面を参照して記載する。以下の記載では、説明の目的で、1つまたは複数の実施形態のより完全な理解を提供するための多数の具体的な詳細が記載される。しかしながら、様々な場合において、その1つまたは複数の実施形態を、それら具体的な詳細がなくても実施できることは明白である。
【0015】
図1には、本明細書に記載する1つまたは複数の実施形態に係る、例示の非限定的なクライオスタット100が図示されている。図1に示すように、クライオスタット100は、頂部プレート130と底部プレート140との間に介在する側壁120によって形成された外側真空チャンバ110を備える。動作中、外側真空チャンバ110は、外側真空チャンバ110の周囲環境150と外側真空チャンバ110の内部160との間の圧力差を維持することができる。クライオスタット100は、内部160内に配設され、各々が頂部プレート130に機械的に連結された、複数の熱ステージ(またはステージ)170を更に備える。複数のステージ170は、ステージ171、ステージ173、ステージ175、ステージ177、およびステージ179を含む。複数のステージ170の各ステージを異なる温度と関連付けることができる。例えば、ステージ171は50ケルビン(K)の温度と関連付けることができ、ステージ173は4Kの温度と関連付けることができ、ステージ175は700ミリケルビン(mK)の温度と関連付けることができ、ステージ177は100mKの温度と関連付けることができ、ステージ179は10mKの温度と関連付けることができる。複数のステージ170の各ステージは、複数のステージ170の他のステージから、複数の支持ロッド(例えば、支持ロッド172および174)によって空間的に隔離されている。ある実施形態では、ステージ175は蒸留器ステージ(Still stage)、ステージ177はコールド・プレート・ステージ、ステージ179は混合チャンバ・ステージとすることができる。
【0016】
本明細書に記載する実施形態は、効率的かつスケーラブルなクライオスタットの試料交換を容易にするべく、上で検討した欠陥に対処する。例えば、上で検討したように、トップ・ローディング式またはボトム・ローディング式の試料交換機構を採用すると、クライオスタットの垂直方向クリアランスがそれぞれ、1.5mまたは0.7m追加されることになり得る。対照的に、本明細書に記載する実施形態は、クライオスタットの垂直方向クリアランス要件を軽減できる、サイド・ローディング式の試料交換機構を実装する。別の例として、トップ・ローディング式またはボトム・ローディング式の試料交換機構は一般に、複数の試料を同時に交換することができない。対照的に、本明細書に記載する実施形態は、複数のサイド・ローディング式の試料交換機構を実装し、クライオスタット内での複数の試料の同時交換を容易にする。
【0017】
図2には、本明細書に記載する1つまたは複数の実施形態に係る、サイド・ローディング式の試料交換機構の実装を容易にし得る、例示の非限定的な外側真空チャンバ200が図示されている。ある実施形態では、図1の外側真空チャンバ100は、外側真空チャンバ200を使用して実装され得る。図2が示すように、外側真空チャンバ200は、頂部プレート210と底部プレート220との間に側壁230が介在することによって形成され得る。側壁230は、外側真空チャンバ200内に配置された試料設置面へのアクセスを提供し得るフィードスルー・ポート240を含む。ある実施形態では、フィードスルー・ポート240は、外側真空チャンバ200に包囲された内側チャンバ内の試料設置面上に装填された試料の交換に伴う熱損失を軽減することができる。このような熱損失を軽減することにより、フィードスルー・ポート240は、試料の冷却時間、クライオスタットの動作時間、またはクライオスタットの冷却動作に関連するエネルギー・コスト、あるいはそれらの組合せの削減を促進し得る。
【0018】
図2では、フィードスルー・ポート240を、頂部プレート210および底部プレート220からほぼ等距離に配置されているものとして描いた。つまり、距離250は距離260とほぼ等しい。いくつかの実施形態では、フィードスルー・ポート240は、頂部プレート210のより近くに配置され得る。他の実施形態では、フィードスルー・ポート240は、底部プレート220のより近くに配置され得る。フィードスルー・ポート240が中心を外れて(例えば、頂部プレート210のより近くに、または底部プレート220のより近くに)配置される実施形態では、フィードスルー・ポート240は、頂部プレート210と底部プレート220との間の中点から閾値距離だけ逸脱し得る。ある実施形態では、閾値距離は、フィードスルー・ポート240の直径、側壁230の高さ、頂部プレート210もしくは底部プレート220またはその両方の周長、側壁230の厚さ、あるいはそれらの組合せによって定義され得る。
【0019】
図3を参照すると、側壁230は、外側真空チャンバ200の内部303内に配置された内側チャンバ310を包囲し得る。フィードスルー・ポート240は、外側真空チャンバ200の外側の領域301からの、内側チャンバ310の試料設置面340へのアクセスを提供し得る。このアクセスを容易にするために、内側チャンバ310は、試料設置面340上に装填された試料の交換に関連する熱損失を緩和し得る、フィードスルー・ポート320を備え得る。このような熱損失を軽減することにより、フィードスルー・ポート320は、試料の冷却時間、クライオスタットの動作時間、またはクライオスタットの冷却動作に関連するエネルギー・コスト、あるいはそれらの組合せの削減を促進し得る。ある実施形態では、フィードスルー・ポート320はフィードスルー・ポート240に対して、これらのフィードスルー・ポートが、試料設置面340と外側真空チャンバ200の外側の領域301との間にクリアランスの線330を形成するように位置合わせされ得る。ある実施形態では、試料設置面340は、クライオスタット(例えば、図1のクライオスタット100)の混合チャンバ・ステージに、熱的に結合され得る。
【0020】
様々な実施形態において、熱シールド410は、図4に図示されているように、フィードスルー・ポート240と試料設置面340との間に介在し得る。ある実施形態では、熱シールド410は、クライオスタットの熱ステージと関連付けられた熱プレートに、機械的に連結され得る。例えば、熱シールド410は、50Kステージ、4Kステージ、蒸留器ステージ、またはコールド・プレート・ステージと関連付けられる熱プレートに、機械的に連結され得る。フィードスルー・ポート240と試料設置面340との間に介在することによって、熱シールド410はクリアランスの線330を遮る可能性がある。その場合、熱シールド410は、外側真空チャンバ200の外部の領域301から試料設置面340へのアクセスを容易にするための、フィードスルー・ポート420を備え得る。ある実施形態では、フィードスルー・ポート240、320、または420、あるいはそれらの組合せは、これらのフィードスルー・ポートが、試料設置面340と外側真空チャンバ200の外側の領域301との間にクリアランスの線330を形成するように位置合わせされ得る。
【0021】
図5を参照すると、外側真空チャンバ200は、フィードスルー・ポート240に連結された真空バルブ510を更に備え得る。真空バルブ510は、周囲環境(例えば、外側真空チャンバ200の外側の領域301)と外側真空チャンバ200の内部303との間の圧力差を維持することができる。その場合、真空バルブ510によって、外側真空チャンバ200内の真空状態を維持したままで試料設置面340上に装填された試料を交換するのが容易になり得る。ある実施形態では、真空バルブ510はゲート・バルブを用いて実装され得る。ある実施形態では、真空バルブ510は、青銅、鉄、ステンレス鋼、鋼、などを含み得る。図5にはまた、外側真空チャンバ200が、フィードスルー・ポート240を介した試料設置面340上への試料の装填を容易にし得る、装填機構520を更に備え得ることも図示されている。ある実施形態では、装填機構520はエッジ溶接ベローズで構成され得る。
【0022】
装填機構520は、これが-頂部プレート210または底部プレート220によって提供されるフィードスルー・ポートの代わりに-側壁230のフィードスルー・ポート240を介した試料設置面340上への試料の装填を容易にする範囲で、サイド・ローディング式の試料交換機構を構成し得る。このようなサイド・ローディング式の試料交換機構とインターフェースできるフィードスルー・ポート240を側壁230に含めることによって、外側真空チャンバ200は、トップ・ローディング式またはボトム・ローディング式の試料交換機構とインターフェースする外側真空チャンバの代替を提供できる。このように、外側真空チャンバ200は、トップ・ローディング式またはボトム・ローディング式の試料交換機構の採用に関連する垂直方向クリアランスの追加を回避することによって、クライオスタットの垂直方向クリアランス要件の軽減を容易にする。
【0023】
クライオスタットの垂直方向クリアランス要件の軽減を容易にすることに加えて、本明細書に記載する実施形態はまた、クライオスタット内で複数の試料を同時に交換することも容易にし得る。例えば、図6に図示されているように、外側真空チャンバ600の側壁230に、複数のフィードスルー・ポートを設けることができる。図6において、複数のフィードスルー・ポートは、フィードスルー・ポート240、610、620、および630を含む。外側真空チャンバ600の各フィードスルー・ポートは、装填機構(図示せず)に連結された真空バルブ510に連結され得る。各装填機構は、それぞれのフィードスルー・ポートに連結された真空バルブ(図示せず)を介した、外側真空チャンバ600内の1つまたは複数の試料設置面上への試料の装填を容易にし得る。ある実施形態では、このような装填機構および真空バルブはそれぞれ、図5の装填機構520および真空バルブ510を使用して実装され得る。
【0024】
例として、外側真空チャンバ700の側壁230は、図7に図示されているように、2つのフィードスルー・ポート(例えば、フィードスルー・ポート240および710)を備え得る。図7において、フィードスルー・ポート240および710は、外側真空チャンバ700の外側の領域301からの試料設置面340へのアクセスを各々提供する。このようなアクセスを容易にするために、内側チャンバ310は、側壁230の所与のフィードスルー・ポートと各々位置合わせされている複数のフィードスルー・ポートを備え得る。図7が示すように、内側チャンバ310は、フィードスルー・ポート240と位置合わせされたフィードスルー・ポート320と、フィードスルー・ポート710と位置合わせされたフィードスルー・ポート730と、を備える。フィードスルー・ポート240および320は、これらのフィードスルー・ポートが、試料設置面340と外側真空チャンバ200の外側の領域301との間にクリアランスの線330を形成するように位置合わせされ得る。また更に、フィードスルー・ポート710および730は、これらのフィードスルー・ポートが、試料設置面340と外側真空チャンバ200の外側の領域301との間にクリアランスの線720を形成するように位置合わせされ得る。
【0025】
様々な実施形態において、外側真空チャンバの側壁は、サイド・ローディング式の試料交換機構の採用を容易にするために、複数のセクションへと分割することができる。例として、図8には、2つのセクション-セクション810および820-に分割された側壁を有する、例示の非限定的な外側真空チャンバ800が図示されている。図8に図示されているように、セクション810および820は、外側真空チャンバ800の頂部プレート210と底部プレート220との間に各々延在する。ある実施形態では、セクション810および820は、セクション810を方向815において外側真空チャンバ800から取り外すことができ、セクション820を方向815と反対の方向825において外側真空チャンバ800から取り外すことができるように、取り外し可能に連結され得る。図8において、セクション820は、外側真空チャンバ800の外側の領域301からの試料設置面340へのアクセスを提供するフィードスルー・ポート240を備えるが、セクション810にはそのようなフィードスルー・ポートはない。しかしながら、当業者は、セクション810および820が各々、本明細書に記載する実施形態に係る外側真空チャンバ800内に配置された試料設置面へのアクセスを提供する、1つまたは複数のフィードスルー・ポートを含み得ることを諒解するであろう。
【0026】
トップ・ローディング式またはボトム・ローディング式の試料交換機構とインターフェースする外側真空チャンバを備えるクライオスタットには一般に、トップ・ローディング式またはボトム・ローディング式の試料交換機構に関連するセットアップ要件に起因して、入力/出力のラインが通るフィードスルー・ポートは片側に設けられている。例えば、ボトム・ローディング式の試料交換機構とインターフェースするクライオスタットの中には、セットアップ中に外側真空チャンバの側壁および底部プレートを下げることを伴うものがある。そのようなセットアップ中の側壁および底部プレートの降下に対応するために、外側真空チャンバの頂部プレートには、入力/出力のラインが通るフィードスルー・ポートを設けることができる。
【0027】
対照的に、サイド・ローディング式の試料交換機構のセットアップ要件では、外側真空チャンバの複数の面に入力/出力のラインが通るフィードスルー・ポートを設けることが容易となり得る。このように、サイド・ローディング式の試料交換機構を採用することには、そのような試料交換機構とインターフェースする外側真空チャンバでは入力/出力のラインが通るフィードスルー・ポートの数の増加に対応可能である、という側面もある。例として、図9には、フィードスルー・ポート910を備える頂部プレート210と、フィードスルー・ポート930を備える底部プレート220とを有する、例示の非限定的な外側真空チャンバ900が図示されている。
【0028】
図9において、フィードスルー・ポート910および930は、外側真空チャンバ900の外部からの試料設置面340への入力/出力の対のアクセスのそれぞれのラインを提供する。例えば、フィードスルー・ポート910または930を介して試料設置面340にアクセスする入力/出力の対の一方のラインは、フィードスルー・ポート240を介して試料設置面340上に装填された試料に入力を伝播することができ、一方、入力/出力の対の残りのラインは、試料から入力に応じた出力を伝播することができる。
【0029】
このようなアクセスを容易にするために、内側チャンバ310は、頂部プレート210のフィードスルー・ポート910および底部プレート230のフィードスルー・ポート930とそれぞれ位置合わせされる、フィードスルー・ポート950および960を備え得る。フィードスルー・ポート910および950は、これらのフィードスルー・ポートが試料設置面340と外側真空チャンバ900の外部との間にクリアランスの線920を形成するように位置合わせされ得る。また更に、フィードスルー・ポート930および960は、これらのフィードスルー・ポートが試料設置面340と外側真空チャンバ900の外部との間にクリアランスの線940を形成するように位置合わせされ得る。
【0030】
様々な実施形態において、外側真空チャンバの外部から試料設置面への入力/出力の対のアクセスのラインを提供するフィードスルー・ポートの間に、熱プレートが介在し得る。例えば、図10には、底部プレート220のフィードスルー・ポート930と試料設置面340との間に介在する熱プレート1010が図示されている。ある実施形態では、熱プレート1010をクライオスタットの熱ステージと関連付けることができる。例えば、熱プレート1010は、50Kステージ、4Kステージ、蒸留器ステージ、またはコールド・プレート・ステージと関連付けられ得る。
【0031】
フィードスルー・ポート930と試料設置面340との間に介在することによって、熱プレート1010はクリアランスの線940を遮る可能性がある。その場合、熱プレート1010は、外側真空チャンバ900の外部からの試料設置面340へのアクセスを容易にするための、フィードスルー・ポート1020を備え得る。ある実施形態では、フィードスルー・ポート930、960、または1020、あるいはそれらの組合せは、これらのフィードスルー・ポートが、試料設置面340と外側真空チャンバ900の外部との間にクリアランスの線940を形成するように位置合わせされ得る。図10には熱プレート1010が底部プレート220と試料設置面340との間に介在するものとして図示されているが、熱プレート1010が頂部プレート210と試料設置面340との間にも介在できることを当業者は諒解するであろう。
【0032】
入力/出力のラインがクライオスタットの外側真空チャンバを通過するためのフィードスルー・ポートの数の増加が容易になることに加えて、本明細書に記載する実施形態はまた、そのような入力/出力のラインの経路決定の柔軟性を高めることもできる。例えば、外側真空チャンバ1100の頂部プレート210および底部プレート220は、外側真空チャンバ1100の外部からの試料設置面への入力/出力の対のアクセスのそれぞれのラインを提供し得る、複数のフィードスルー・ポートを各々含む。外側真空チャンバ1100において、複数のフィードスルー・ポートは、フィードスルー・ポート1105、1110、1150、1155、および1160を含み得る。
【0033】
図11に図示されているように、頂部プレート210のフィードスルー・ポート1105と底部プレート220のフィードスルー・ポート1110は、外側真空チャンバ1100の外部からの内側チャンバ310内の試料設置面(図示せず)への入力/出力の対のアクセスのそれぞれのラインを提供する。このようなアクセスを容易にするために、内側チャンバ310は、頂部プレート210のフィードスルー・ポート1105および底部プレート230のフィードスルー・ポート1110とそれぞれ位置合わせされる、フィードスルー・ポート1115および1120を備え得る。フィードスルー・ポート1105および1115は、これらのフィードスルー・ポートが、内側チャンバ310内の試料設置面(図示せず)と外側真空チャンバ1100の外部との間にクリアランスの線1101を形成するように位置合わせされ得る。また更に、フィードスルー・ポート1110および1120は、これらのフィードスルー・ポートが内側チャンバ310内の試料設置面(図示せず)と外側真空チャンバ1100の外部との間にクリアランスの線1102を形成するように位置合わせされ得る。
【0034】
図11には、頂部プレート210のフィードスルー・ポート1150と底部プレート220のフィードスルー・ポート1160が、外側真空チャンバ1100の外部からの内側チャンバ1135内の試料設置面(図示せず)への入力/出力の対のアクセスのそれぞれのラインを提供することが更に図示されている。このようなアクセスを容易にするために、内側チャンバ1135は、頂部プレート210のフィードスルー・ポート1150および底部プレート230のフィードスルー・ポート1160とそれぞれ位置合わせされる、フィードスルー・ポート1165および1170を備え得る。フィードスルー・ポート1150および1165は、これらのフィードスルー・ポートが、内側チャンバ1135内の試料設置面(図示せず)と外側真空チャンバ1100の外部との間にクリアランスの線1103を形成するように位置合わせされ得る。また更に、フィードスルー・ポート1160および1170は、これらのフィードスルー・ポートが内側チャンバ1135内の試料設置面(図示せず)と外側真空チャンバ1100の外部との間にクリアランスの線1104を形成するように位置合わせされ得る。
【0035】
内側チャンバ310内の試料設置面(図示せず)への入力/出力の対のアクセスのそれぞれのラインを提供するフィードスルー・ポート(例えば、フィードスルー・ポート1105および1110)の配置と、内側チャンバ1135内の試料設置面(図示せず)への入力/出力の対のアクセスのそれぞれのラインを提供するフィードスルー・ポート(例えば、フィードスルー・ポート1150および1160)の配置との比較によって、そのような入力/出力のラインの経路決定の柔軟性を高める態様が示されている。例えば、内側チャンバ310内の試料設置面(図示せず)への入力/出力の対のアクセスのそれぞれのラインを提供するフィードスルー・ポート1105および1110は、頂部プレート210と直交する軸線1125と位置合わせされる。
【0036】
対照的に、内側チャンバ1135内の試料設置面(図示せず)への入力/出力の対のアクセスのそれぞれのラインを提供するフィードスルー・ポート1150および1160は、頂部プレート210と非直交の軸線1175と位置合わせされる。設計上の制約から頂部プレート210と直交する位置合わせが必要な場合、代替的にフィードスルー・ポート1150および1155によって、内側チャンバ1135内の試料設置面(図示せず)への入力/出力の対のアクセスのそれぞれのラインを提供することができる。ただし、図11に図示した例では、設計上の制約から、頂部プレート210に対して非直交の位置合わせが求められた。したがって、内側チャンバ1135内の試料設置面(図示せず)への入力/出力の対のアクセスのそれぞれのラインを提供するために、フィードスルー・ポート1150および1160を利用した。
【0037】
図11では、頂部プレート210および底部プレート220の複数のフィードスルー・ポートは、異なる内側チャンバ(例えば、内側チャンバ310および1135)内に配置された異なる試料設置面(図示せず)への入力/出力の対のアクセスのそれぞれのラインを提供するものとして図示されている。ある実施形態では、頂部プレート210および底部プレート220の複数のフィードスルー・ポートは、単一の試料設置面への入力/出力の対のアクセスのそれぞれのラインを提供し得る。例えば、試料は、フィードスルー・ポート1130および1140によって形成されたクリアランスの線1145に沿って、内側チャンバ1135内の試料設置面(図示せず)上に装填され得る。この例では、頂部プレート210および底部プレート220の各フィードスルー・ポートは、試料への入力および入力に応じた試料からの出力を伝播するための、内側チャンバ1135内の試料設置面(図示せず)への入力/出力の対のアクセスのそれぞれのラインを提供し得る。
【0038】
図12には、本明細書に記載する1つまたは複数の実施形態に係る、例示の非限定的な内側チャンバ1200が図示されている。図12に図示されているように、内側チャンバ1200は、内側チャンバ1200を包囲する外側真空チャンバの側壁に設けたフィードスルー・ポートと位置合わせされてクリアランスの線1220を形成し得る、フィードスルー・ポート1210を備える。フィードスルー・ポート1210は、外側真空チャンバの外側の領域からの試料設置面1230上への試料の装填を容易にし得る。試料設置面1230は、フィードスルー・ポート1210を介して装填された試料の熱を試料設置面1230に移動させるのを容易にする、熱アンカー1240を備える。この目的のために、熱アンカー1240は試料設置面1230に熱的に結合され得る。
【0039】
図12の実施形態では、熱アンカー1240は、熱伝導性材料(例えば、銅、金、真鍮、ステンレス鋼、銀、プラチナなど)を含む、「L」ブラケットとして図示されている。他の実施形態では、熱アンカー1240は、試料の熱を試料設置面1230に移動させるのを容易にする、異なる機構を用いて実装され得る。例えば、熱アンカー1240は、クランプ機構に接触させた試料にクランプ力を加える、熱伝導性材料を含むクランプ機構を用いて実装され得る。ある実施形態では、内側チャンバ1200は、熱アンカー1240が試料に加えるクランプ力の解除を容易にする解放機構へのアクセスを提供する、追加のフィードスルー・ポートを更に備え得る。
【0040】
本発明の実施形態は、任意の可能な技術詳細レベルで統合された、システム、方法、または装置、あるいはそれらの組合せであり得る。上記した内容に含まれるのは、システム、方法、および装置の単なる例に過ぎない。当然ながら、本開示を説明する目的で構成要素またはコンピュータ実装方法の考えられる全ての組合せを記載することは不可能であるが、当業者は、本開示の多くの更なる組合せおよび組み換えが可能であることを認識できる。また更に、用語「含む(includes)」、「有する(has)」、「保有する(possesses)」などが詳細な説明、特許請求の範囲、付属書、および図面で使用される範囲において、かかる用語は、用語「備える(comprising)」を請求項で移行句として用いるときに解釈される場合の「備える」と同様、包括的であることが意図されている。
【0041】
更に、用語「または」は排他的な「または」ではなく包括的な「または」を意味することが意図されている。すなわち、別に規定されていないかまたは文脈から明らかでない限り、「XはAまたはBを利用する」は、無理のない包括的な組み換えの全てを意味することが意図されている。すなわち、XがAを利用する、XがBを利用する、またはXがAおよびBの両方を利用する場合には、上記の場合のいずれにおいても「XはAまたはBを利用する」が満たされる。また更に、本明細書および付属の図面で使用される冠詞「1つの(a)」および「1つの(an)」は一般に、別に規定されていないかまたは文脈から単数形を指すものであると明らかでない限りは、「1つまたは複数の」を意味するものと解釈されるべきである。本明細書で使用する場合、用語「例」または「例示的な」あるいはその両方は、例、実例、または例示の役割を果たすことを意味するように利用される。疑義を生じさせないために言うが、本明細書で開示する主題はそのような例によって限定されない。更に、本明細書に「例」または「例示的な」あるいはその両方として記載される任意の態様または設計は、必ずしも他の態様または設計よりも好ましいまたは有利であると解釈されるものではなく、また当業者に知られている例示的な等価な技法および構造を排除するものでもない。
【0042】
例示の目的で様々な実施形態の説明を提示してきたが、それらは網羅的であること、または開示される実施形態に限定されることは意図していない。当業者には記載される実施形態の範囲および思想から逸脱することなく多くの修正および変更が明らかであろう。本明細書で用いられる専門用語は、実施形態の原理、実際の用途、もしくは市場で見られる技術に対する技術的な改善を最もよく説明するように、または他の当業者が本明細書において開示される実施形態を理解できるように、選択された。
【0043】
特定の例示の実施形態について説明してきたが、これらの実施形態は例としてのみ提示されており、本明細書の開示の範囲を限定することを意図するものではない。したがって、上述の説明のどの内容も、任意の具体的な特徴、特性、ステップ、モジュール、またはブロックが必要または不可欠であることを示唆するように意図されたものではない。実際には、本明細書に記載する新規な方法およびシステムは様々な他の形態で具現化されてもよく、また更に、本明細書における開示の精神から逸脱することなく、本明細書に記載する方法およびシステムの形態の様々な省略、置換、および変更を行うことができる。添付の特許請求の範囲およびそれらの等価物は、本明細書の特定の開示の範囲および精神に収まると考えられるような形態または修正形態を包含するように意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2023-12-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クライオスタットの外側真空チャンバであって、
試料設置面を有する内側チャンバを包囲する側壁を備え、前記側壁は、前記外側真空チャンバの外側の領域からの前記試料設置面へのアクセスを提供するフィードスルー・ポートを備える、クライオスタットの外側真空チャンバ。
【請求項2】
前記側壁は前記外側真空チャンバの頂部プレートと底部プレートとの間に延在する複数のセクションへと分割されている、請求項1に記載の外側真空チャンバ。
【請求項3】
前記フィードスルー・ポートは前記外側真空チャンバの頂部プレートおよび底部プレートから等距離のところに配置されている、請求項1または2に記載の外側真空チャンバ。
【請求項4】
前記側壁は、前記外側真空チャンバの外側の前記領域からの前記試料設置面へのアクセスを提供する複数のフィードスルー・ポートを更に備える、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の外側真空チャンバ。
【請求項5】
前記フィードスルー・ポートに連結されている、周囲環境と前記外側真空チャンバの内部との間の圧力差を維持する真空バルブ
を更に備える、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の外側真空チャンバ。
【請求項6】
前記フィードスルー・ポートと前記試料設置面との間に介在する熱シールドであって、前記外側真空チャンバの外側の前記領域と前記試料設置面との間にクリアランスの線を形成するように前記フィードスルー・ポートと位置合わせされている追加のフィードスルー・ポートを備える、前記熱シールド
を更に備える、請求項1ないし5のいずれか一項に記載の外側真空チャンバ。
【請求項7】
前記フィードスルー・ポートを介した前記試料設置面上への試料の装填を容易にする装填機構
を更に含む、請求項1ないし6のいずれか一項に記載の外側真空チャンバ。
【請求項8】
前記試料設置面は、前記フィードスルー・ポートを介して装填される試料の熱の前記試料設置面への移動を容易にする熱アンカーを備える、請求項1ないし7のいずれか一項に記載の外側真空チャンバ。
【請求項9】
クライオスタットであって、
頂部プレートと底部プレートとの間に介在して試料設置面を備える内側チャンバを包囲する外側真空チャンバを形成している側壁を備え、前記頂部プレートは第1のフィードスルー・ポートを備え、前記底部プレートは第2のフィードスルー・ポートを備え、前記第1のフィードスルー・ポートおよび前記第2のフィードスルー・ポートは前記外側真空チャンバの外部からの前記試料設置面への入力/出力の対のアクセスのそれぞれのラインを提供し、前記試料設置面は前記側壁に配設された第3のフィードスルー・ポートを介して試料を受ける、クライオスタット。
【請求項10】
前記試料設置面と前記頂部プレートまたは前記底部プレートとの間に介在する熱プレートであって、前記試料設置面と前記外側真空チャンバの前記外部との間にクリアランスの線を形成するように前記第1のフィードスルー・ポートまたは前記第2のフィードスルー・ポートと位置合わせされている第3のフィードスルー・ポートを備える、前記熱プレート
を更に備える、請求項9に記載のクライオスタット。
【請求項11】
前記第1のフィードスルー・ポートおよび前記第2のフィードスルー・ポートは前記頂部プレートと直交する軸線と位置合わせされている、請求項9または10に記載のクライオスタット。
【請求項12】
前記第1のフィードスルー・ポートおよび前記第2のフィードスルー・ポートは前記頂部プレートと非直交の軸線と位置合わせされている、請求項9または10に記載のクライオスタット。
【請求項13】
前記頂部プレートおよび前記底部プレートは、前記第1のフィードスルー・ポートおよび前記第2のフィードスルー・ポートを含む複数のフィードスルー・ポートを更に備え、各フィードスルー・ポートは、前記外側真空チャンバの前記外部からの前記試料設置面への所与の入力/出力の対のアクセスのラインを提供する、
請求項9ないし12のいずれか一項に記載のクライオスタット。
【請求項14】
前記側壁は前記外側真空チャンバの前記頂部プレートと前記底部プレートとの間に延在する複数のセクションへと分割されている、請求項9ないし13のいずれか一項に記載のクライオスタット。
【請求項15】
クライオスタットであって、
内側チャンバであり、試料設置面と、前記内側チャンバを包囲する外側真空チャンバの側壁に配設されており前記外側真空チャンバの外側の領域からの前記試料設置面へのアクセスを提供する第2のフィードスルー・ポートと位置合わせされている、第1のフィードスルー・ポートと、を備える、前記内側チャンバを備える、クライオスタット。
【請求項16】
前記側壁は前記外側真空チャンバの頂部プレートと底部プレートの間に介在し、前記内側チャンバは、前記外側真空チャンバの前記頂部プレートおよび前記底部プレートの一方に配設されている第3のフィードスルー・ポートを介して入力/出力の対の入力ラインを受け、前記内側チャンバは、前記外側真空チャンバの前記頂部プレートおよび前記底部プレートの他方に配設されている第4のフィードスルー・ポートを介して前記入力/出力の対の出力ラインを受ける、請求項15に記載のクライオスタット。
【請求項17】
前記内側チャンバは、前記頂部プレートと直交する軸線に沿って前記入力/出力の対の前記入力ラインおよび前記出力ラインを受ける、請求項16に記載のクライオスタット。
【請求項18】
前記内側チャンバは、前記頂部プレートと非直交の軸線に沿って前記入力/出力の対の前記入力ラインおよび前記出力ラインを受ける、請求項16に記載のクライオスタット。
【請求項19】
前記内側チャンバは、前記第1のフィードスルー・ポートを含む複数のフィードスルー・ポートを更に備え、前記複数のフィードスルー・ポートは、前記外側真空の側壁に配設されている対応するフィードスルー・ポートと位置合わせされて、前記外側真空チャンバの外側の前記領域からの前記試料設置面へのアクセスを提供する、請求項15ないし18のいずれか一項に記載のクライオスタット。
【請求項20】
前記側壁は前記外側真空チャンバの頂部プレートと底部プレートとの間に延在する複数のセクションへと分割されている、請求項15ないし19のいずれか一項に記載のクライオスタット。
【国際調査報告】