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特表2024-502416スパイン強化された成形された関節ジョイントを備えるステアラブルカテーテル設計
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-19
(54)【発明の名称】スパイン強化された成形された関節ジョイントを備えるステアラブルカテーテル設計
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/00 20060101AFI20240112BHJP
【FI】
A61M25/00 510
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023538857
(86)(22)【出願日】2021-12-22
(85)【翻訳文提出日】2023-07-10
(86)【国際出願番号】 US2021064787
(87)【国際公開番号】W WO2022140506
(87)【国際公開日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】63/129,960
(32)【優先日】2020-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ジョダ、デイビッド ビー.
(72)【発明者】
【氏名】ゲスラー、レイモンド ディ.
(72)【発明者】
【氏名】ラジグル、プールヴァ エム.
(72)【発明者】
【氏名】ウィットワム、エミリー アール.
(72)【発明者】
【氏名】エディソン、ブライアン ピー.
(72)【発明者】
【氏名】ダンフィー、コリン ピー.
(72)【発明者】
【氏名】ネルセン、ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】ソルティス、ブライアン
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA04
4C267BB02
4C267BB03
4C267BB61
4C267CC07
4C267GG08
4C267GG09
4C267GG22
4C267GG24
(57)【要約】
電気生理学的カテーテル(100)は、管状シャフト(102)であって、シャフトは近位部分と、遠位端及び偏向領域(108)を有する遠位部分とを有し、シャフトは長手方向軸を画定し、外側管状ジャケット(402)を含む管状シャフト、及び偏向領域においてジャケット内に配置された関節部材(404)を備え、関節部材は長手方向に配置された複数の管状セグメント(502)、複数の第1の接続セグメント(504)、及び複数の第2の接続セグメント(506)を備える。隣接する管状セグメントは第1及び第2の接続セグメントのそれぞれによって結合され、第1及び第2の接続セグメントはすべて、上記長手方向軸を通って延びる第1の平面内に配置される。第1の補強部材(508)及び第2の補強部材(510)は、それぞれ、複数の第1及び第2の接続セグメントを通って延びる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気生理学的カテーテルであって、
近位部分と、遠位端及び偏向領域を有する遠位部分とを有する管状シャフトを備え、前記シャフトは長手方向軸を画定し、かつ
外側管状ジャケット、
前記偏向領域において前記ジャケット内に配置された関節部材であって、前記関節部材は、長手方向に配置された複数の管状セグメント、複数の第1の接続セグメント、及び複数の第2の接続セグメントを含み、前記第1及び第2の接続セグメントのそれぞれは、隣接する管状セグメントの間に配置されるとともにそれらを結合し、前記第1及び第2の接続セグメントは、前記長手方向軸を通って延びる第1の平面内に配置されている、前記関節部材、及び
それぞれ前記複数の第1及び第2の接続セグメントを通って延びる、第1の補強部材及び前記第2の補強部材
を含む、電気生理学的カテーテル。
【請求項2】
前記第1及び第2の接続セグメントは、前記管状セグメントと一体的に形成されたリビングヒンジとして構成されている、請求項1に記載の電気生理学的カテーテル。
【請求項3】
前記第1及び第2の補強部材が、それぞれ、前記第1及び第2の接続セグメント内及び前記管状セグメント内に埋め込まれている、請求項1又は2に記載の電気生理学的カテーテル。
【請求項4】
前記第1及び第2の補強部材が、それぞれ螺旋状に巻かれた平坦なリボンワイヤを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の電気生理学的カテーテル。
【請求項5】
前記第1及び第2の補強部材が撚線ケーブルである、請求項1~3のいずれか一項に記載の電気生理学的カテーテル。
【請求項6】
前記第1及び第2の補強部材が、直接オーバーモールドによって前記管状セグメント内に埋め込まれることで、前記第1及び第2の接続部材との結合を形成しており、
前記結合は接着剤又は表面処理によってさらに強化されている、請求項1~5のいずれか一項に記載の電気生理学的カテーテル。
【請求項7】
前記偏向領域は、偏向力が前記シャフトの前記遠位部分に加えられたときに湾曲形状をとるように構成されており、前記湾曲形状は、前記長手方向軸を通る第2の平面内に位置し、前記第2の平面は前記第1の平面に直交する、請求項1~6のいずれか一項に記載の電気生理学的カテーテル。
【請求項8】
前記第1及び第2の補強部材が、前記偏向力を受けて前記第2の平面と実質的に整列した前記湾曲形状を維持するように構成されている、請求項7に記載の電気生理学的カテーテル。
【請求項9】
前記第1及び第2の補強部材が、前記第2の平面からの前記シャフトの前記遠位部分の逸れに抵抗するように構成されている、請求項1~8のいずれか一項に記載の電気生理学的カテーテル。
【請求項10】
前記管状シャフトの前記近位端に取り付けられたハンドルをさらに備え、前記ハンドルは、ステアリングアクチュエータと、
前記管状シャフトを通って延びる第1のステアリングワイヤとを含み、前記第1のステアリングワイヤは、前記ステアリングアクチュエータに動作可能に結合されるとともに、前記管状シャフトの前記遠位部分に固定されており、
前記ステアリングアクチュエータの作動により、前記偏向領域が前記湾曲形状をとるように、前記第1のステアリングワイヤが前記管状シャフトの前記遠位部分に偏向力を加える、請求項1~9のいずれか一項に記載の電気生理学的カテーテル。
【請求項11】
前記第1のステアリングワイヤは、前記第1及び第2の補強部材から周方向に90度ずれている、請求項10に記載の電気生理学的カテーテル。
【請求項12】
前記シャフトを通って延びる第2のステアリングワイヤをさらに備え、前記第2のステアリングワイヤは、前記ステアリングアクチュエータに動作可能に結合されるとともに、前記シャフトの前記遠位部分に固定されており、前記第2のステアリングワイヤは、前記第1及び第2のステアリングワイヤが前記第2の平面内に位置するように、前記第1のステアリングワイヤから周方向に180度ずれている、請求項10又は11に記載の電気生理学的カテーテル。
【請求項13】
前記第1及び第2のステアリングワイヤの周囲の前記複数の管状セグメント内に第1のステアリングワイヤルーメン及び第2のステアリングワイヤルーメンをさらに備える、請求項7~12のいずれか一項に記載の電気生理学的カテーテル。
【請求項14】
前記管状シャフトの前記遠位端に配置された1つ以上のアブレーション電極をさらに含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の電気生理学的カテーテル。
【請求項15】
前記管状セグメントが中央ルーメンをさらに含み、
前記外側管状ジャケットが外層及び編組中間層をさらに含む、
請求項1~14のいずれか一項に記載の電気生理学的カテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療処置用のカテーテルのための医療装置及び方法に関する。より具体的には、本発明は、操縦可能な(ステアラブル)カテーテルなどのカテーテルの方向性の強化を含む装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な医療処置で、患者の血管系に挿入されるカテーテルが使われる。特定の処置では、カテーテルは血管系を通って体内の標的位置までナビゲートされ得る。カテーテルの遠位端は、例えばインターベンショナル電気生理学的処置において患者の心腔に挿入され得る。カテーテルの遠位端は、治療(例えば、アブレーション)を送達するか、又は心臓組織の表面をマッピングする(例えば、不整脈の原因である心臓組織の位置を特定する)ために使用される1つ以上の電極を含み得る。カテーテルの遠位端部分を含むカテーテルの位置を正確に特定し、維持することは、カテーテルの性能を促進し得る。
【発明の概要】
【0003】
例1では、電気生理学的カテーテルは、近位部分と、遠位端及び偏向領域を有する遠位部分とを有する管状シャフトを備える。前記シャフトは長手方向軸を画定し、かつ外側管状ジャケット、前記偏向領域において前記ジャケット内に配置された関節部材、及び、第1及び第2の補強部材を含む。前記関節部材は、長手方向に配置された複数の管状セグメント、複数の第1の接続セグメント、及び複数の第2の接続セグメントを備え、前記第1及び第2の接続セグメントのそれぞれは、隣接する管状セグメントの間に配置されるとともにそれらを結合し、前記第1及び第2の接続セグメントは、前記長手方向軸を通って延びる第1の平面内に配置される。前記第1の補強部材及び前記第2の補強部材は、それぞれ、前記複数の第1及び第2の接続セグメントを通って延びる。
【0004】
例2では、例1の電気生理学的カテーテルにおいて、前記第1及び第2の接続セグメントは、前記管状セグメントと一体的に形成されたリビングヒンジとして構成される。
例3では、例1又は2のいずれかの電気生理学的カテーテルにおいて、前記第1及び第2の補強部材が、それぞれ、前記第1及び第2の接続セグメント内及び前記管状セグメント内に埋め込まれている。
【0005】
例4では、例1~3のいずれかの電気生理学的カテーテルにおいて、前記第1及び第2の補強部材が、それぞれ螺旋状に巻かれた平坦なリボンワイヤを含む。
例5では、例1~3のいずれかの電気生理学的カテーテルにおいて、前記第1及び第2の補強部材が撚線ケーブルである。
【0006】
例6では、例1~5のいずれかの電気生理学的カテーテルにおいて、前記第1及び第2の補強部材が、直接オーバーモールドによって前記管状セグメント内に埋め込まれることで、前記第1及び第2の接続部材との結合を形成しており、前記結合は接着剤又は表面処理によってさらに強化されている。
【0007】
例7では、例1~6のいずれかの電気生理学的カテーテルにおいて、前記偏向領域は、偏向力が前記シャフトの前記遠位部分に加えられたときに湾曲形状をとるように構成されており、前記湾曲形状は、前記長手方向軸を通る第2の平面内に位置し、前記第2の平面は前記第1の平面に直交する。
【0008】
例8では、例7の電気生理学的カテーテルにおいて、前記第1及び第2の補強部材が、前記偏向力を受けて前記第2の平面と実質的に整列した前記湾曲形状を維持するように構成されている。
【0009】
例9では、例1~8のいずれかの電気生理学的カテーテルにおいて、前記第1及び第2の補強部材が、前記第2の平面からの前記シャフトの前記遠位部分の逸れに抵抗するように構成されている。
【0010】
例10では、例1~9のいずれかの電気生理学的カテーテルは、前記管状シャフトの前記近位端に取り付けられたハンドルをさらに備え、前記ハンドルは、ステアリングアクチュエータと、前記管状シャフトを通って延びる第1のステアリングワイヤとを含み、前記第1のステアリングワイヤは、前記ステアリングアクチュエータに動作可能に結合されるとともに、前記管状シャフトの前記遠位部分に固定されており、前記ステアリングアクチュエータの作動により、前記偏向領域が前記湾曲形状をとるように、前記第1のステアリングワイヤが前記管状シャフトの前記遠位部分に偏向力を加える。
【0011】
例11では、例10の電気生理学的カテーテルにおいて、前記第1のステアリングワイヤは、前記第1及び第2の補強部材から周方向に90度ずれている。
例12では、例10又は11のいずれかの電気生理学的カテーテルは、前記シャフトを通って延びる第2のステアリングワイヤをさらに備え、前記第2のステアリングワイヤは、前記ステアリングアクチュエータに動作可能に結合されるとともに、前記シャフトの前記遠位部分に固定されており、前記第2のステアリングワイヤは、前記第1及び第2のステアリングワイヤが前記第2の平面内に位置するように、前記第1のステアリングワイヤから周方向に180度ずれている。
【0012】
例13では、例7~12のいずれかの電気生理学的カテーテルは、前記第1及び第2のステアリングワイヤの周囲の前記複数の管状セグメント内に第1のステアリングワイヤルーメン及び第2のステアリングワイヤルーメンをさらに備える。
【0013】
例14では、例1~13のいずれかの電気生理学的カテーテルは、前記管状シャフトの前記遠位端に配置された1つ以上のアブレーション電極をさらに含む。
例15では、例1~14のいずれかの電気生理学的カテーテルにおいて、前記管状セグメントが中央ルーメンをさらに含み、前記外側管状ジャケットが外層及び編組中間層をさらに含む。
【0014】
例16では、電気生理学的カテーテルは、近位部分と、遠位端を有する遠位部分と、偏向領域とを有する管状シャフトを備える。前記シャフトは長手方向軸を画定し、かつ外側管状ジャケット、関節部材、及び、第1及び第2の補強部材を含む。前記関節部材は、前記偏向領域において前記ジャケット内に配置されるとともに、長手方向に配置された複数の管状セグメント、複数の第1の接続セグメント、及び複数の第2の接続セグメントを備え、隣接する管状セグメントは、前記第1及び第2の接続セグメントのそれぞれによって結合されており、前記第1及び第2の接続セグメントはすべて、前記長手方向軸を通って延びる第1の平面内に配置されている。前記第1の補強部材及び前記第2の補強部材は、それぞれ、前記複数の第1及び第2の接続セグメントを通って延びる。
【0015】
例17では、例16の電気生理学的カテーテルにおいて、前記第1及び第2の補強部材が、それぞれ、前記第1及び第2の接続セグメント内及び前記管状セグメント内に埋め込まれている。
【0016】
例18では、例17の電気生理学的カテーテルにおいて、前記第1及び第2の補強部材が、それぞれ螺旋状に巻かれた平坦なリボンワイヤを含む。
例19では、例17の電気生理学的カテーテルにおいて、前記第1及び第2の補強部材が撚線ケーブルである。
【0017】
例20では、例17の電気生理学的カテーテルにおいて、前記第1及び第2の補強部材が、直接オーバーモールドによって前記管状セグメント内に埋め込まれることで、前記第1及び第2の接続部材との結合を形成している。
【0018】
例21では、例16の電気生理学的カテーテルにおいて、前記偏向領域は、偏向力が前記シャフトの前記遠位部分に加えられたときに湾曲形状をとるように構成されており、前記湾曲形状は、前記長手方向軸を通る第2の平面内に位置し、前記第2の平面は前記第1の平面に直交する。
【0019】
例22では、例21の電気生理学的カテーテルにおいて、前記第1及び第2の補強部材が、前記偏向力を受けて前記第2の平面と実質的に整列した前記湾曲形状を維持するように構成されている。
【0020】
例23では、例21の電気生理学的カテーテルは、前記管状セグメントを通って延びる第1及び第2のステアリングワイヤルーメンをさらに備え、各ステアリングワイヤルーメンは、偏向力を加えて前記偏向セクションに前記湾曲形状をとらせるように構成されたステアリングワイヤを受け入れるように構成されており、前記第1及び第2のステアリングワイヤは、第1及び第2の補強部材から周方向に約90度ずれている。
【0021】
例24では、電気生理学的カテーテルは、近位部分と、遠位端及び偏向領域を有する遠位部分とを有する管状シャフトを備える。前記シャフトは長手方向軸を画定し、かつ外側管状ジャケット、前記偏向領域において前記ジャケット内に配置された関節部材、及び第1及び第2の補強部材を含む。前記関節部材は、長手方向に配置された複数の管状セグメントと、複数のリビングヒンジとを備え、隣接する管状セグメントは、それぞれ一対のリビングヒンジによって結合され、前記リビングヒンジはすべて、前記長手方向軸を通って延びる第1の平面内に配置される。前記第1及び第2の補強部材は、前記複数のリビングヒンジを通って延びる。
【0022】
例25では、例24の電気生理学的カテーテルにおいて、前記第1及び第2の補強部材が、それぞれ前記リビングヒンジ内及び前記管状セグメント内に埋め込まれている。
例26では、例25の電気生理学的カテーテルにおいて、前記第1及び第2の補強部材が、それぞれ螺旋状に巻かれた平坦なリボンワイヤを含む。
【0023】
例27では、例26の電気生理学的カテーテルにおいて、前記第1及び第2の補強部材が、それぞれ硬いポリマー又は金属材料を含む。
例28では、例26の電気生理学的カテーテルにおいて、前記第1及び第2の補強部材が、直接オーバーモールドによって前記管状セグメント内に埋め込まれることで、前記第1及び第2の接続部材との結合を形成している。
【0024】
例29では、例26の電気生理学的カテーテルにおいて、前記偏向領域は、偏向力が前記シャフトの前記遠位部分に加えられたときに湾曲形状をとるように構成されており、前記湾曲形状は、前記長手方向軸を通る第2の平面内に位置し、前記第2の平面は前記第1の平面に直交する。
【0025】
例30では、例29の電気生理学的カテーテルにおいて、前記第1及び第2の補強部材が、前記偏向力を受けて前記第2の平面と実質的に整列した前記湾曲形状を維持するように構成されている。
【0026】
例31では、例29の電気生理学的カテーテルは、前記複数の管状セグメント内に第1のステアリングワイヤルーメン及び第2のステアリングワイヤルーメンをさらに備え、偏向力を加えるためのそれぞれのステアリングワイヤを受け入れるように構成され、前記第1及び第2のステアリングワイヤルーメンは、それぞれ、前記第1及び第2の補強部材から周方向に約90度ずれている。
【0027】
例32では、電気生理学的カテーテルは、近位部分と、遠位端及び偏向領域を有する遠位部分とを有する管状シャフトを備える。前記シャフトは長手方向軸を画定し、かつ外側管状ジャケット、前記偏向領域において前記ジャケット内に配置された関節部材、及び、第1の補強部材及び第2の補強部材を含む。前記関節部材は、長手方向に配置された複数の接続された管状セグメントを備える。前記第1の補強部材及び前記第2の補強部材は、前記長手方向軸を通って延びる第1の平面内で前記管状セグメントを通って長手方向に延びる。
【0028】
例33では、例32のいずれかの電気生理学的カテーテルにおいて、前記第1及び第2の補強部材が、それぞれ螺旋状に巻かれた平坦なリボンワイヤを含む。
例34では、例33のいずれかの電気生理学的カテーテルにおいて、前記第1及び第2の補強部材が撚線ケーブルである。
【0029】
例35では、例33のいずれかの電気生理学的カテーテルにおいて、前記第1及び第2の補強部材が、直接オーバーモールドによって前記管状セグメント内に埋め込まれることで、前記第1及び第2の接続部材との結合を形成しており、前記結合は接着剤又は表面処理によってさらに強化されている。
【0030】
複数の実施形態が開示されるが、本発明のさらに他の実施形態は、本発明の例示的な実施形態を示し説明する以下の詳細な説明から当業者には明らかになるであろう。したがって、図面及び詳細な説明は、限定的なものではなく本質的に例示的なものとみなされるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本開示の様々な態様と一致する、例示的な電気生理学的カテーテルの図である。
図2】本開示の様々な態様と一致する、第1の方向に偏向された図1に示す電気生理学的カテーテルの図である。
図3】本開示の様々な態様と一致する、第2の方向に偏向された図1~2に示す電気生理学的カテーテルの図である。
図4】本開示の様々な態様と一致する、偏向領域を含む電気生理学的カテーテルのシャフトの一部の側面図である。
図5A】本開示の様々な態様と一致する、電気生理学的カテーテルの関節部材の上面図である。
図5B】本開示の様々な態様と一致する、電気生理学的カテーテルの管状セグメントの断面図である。
図5C】本開示の様々な態様と一致する、電気生理学的カテーテルの関節部材の側面図である。
図5D】本開示の様々な態様と一致する、電気生理学的カテーテルの関節部材の側面図の一部の詳細図である。
図6】本開示の様々な態様と一致する、例示的な電気生理学的カテーテルの別の図である。
図7A】本開示の様々な態様と一致する、電気生理学的カテーテルの関節部材の一部の側面図の一実施形態である。
図7B】本開示の様々な態様と一致する、電気生理学的カテーテルの関節部材の代替実施形態の一部を示す側面図の一実施形態である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明は様々な修正及び代替形態を受け入れることができるが、特定の実施形態が例として図面に示されており、以下に詳細に説明される。しかしながら、その意図は、本発明を説明した特定の実施形態に限定することではない。むしろ、本発明は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内にある修正、等価物、及び代替物のすべてを包含することを意図している。
【0033】
詳細な説明
本開示の様々な態様は、カテーテル及びステアラブルカテーテルの方向性の強化を対象としている。カテーテル及びステアラブルカテーテルは、患者の体内に配置されると、様々な方向に操縦し又は湾曲させることができる。本開示は、カテーテル及びステアラブルカテーテルの方向性を促進及び強化する態様を含む。以下にさらに詳細に説明するように、カテーテル及びステアラブルカテーテルの少なくとも一部は、湾曲したときにカテーテル及びステアラブルカテーテルを所望の方向に付勢する方向強化特徴を含むことができる。
【0034】
図1~3は、本開示の様々な態様と一致する、例示的な電気生理学的カテーテル100の図である。図1に示すように、電気生理学的カテーテル100は、電気生理学的ステアラブルカテーテル100であり得る。特定の例では、電気生理学的カテーテル100は、一方向(例えば、図2に示す方向A)又は複数の方向(例えば、図2~3に示す方向A及びB)に操縦可能である。電気生理学的カテーテル100は、総じて、近位部分104と、患者の心臓の標的領域内に配置され及び操作されるようにサイズ決め及び構成された遠位部分106とを有する管状シャフト102を含む。遠位部分106は操縦可能であり得る。示されるように、遠位部分106は、偏向領域108及び遠位端110をさらに含む。
【0035】
管状シャフト102は、偏向されていない状態では、管状シャフト102の幾何学的中心線にほぼ対応する長手方向軸を画定する。さらに、偏向されていない状態では、管状シャフト102は相互に垂直な平面(例えば、デカルト平面)であって、管状シャフト102の長手方向軸を通って延びる平面及びそれに沿って交差する平面を画定することができる。一実施形態では、図1に示すように、相互に垂直な平面は、x-y軸及びy-z軸によって表され、管状シャフト102がy軸を画定する。
【0036】
特定の例では、管状シャフト102はハンドル112の遠位部分から延びる。ハンドル112の近位端から延びる電気ケーブル又は他の適切なコネクタ114は、エネルギー源又は1つ以上のアブレーション信号を送信するための他の装置(図1には示されていない)に結合され得る。図1は、遠位部分106の遠位端110に配置された1つ以上のアブレーション電極116を概略的に示す。
【0037】
ハンドル112の遠位端に配置され得る回転可能なノブやプランジャなどのステアリングアクチュエータ118が医師によって操作されることで、管状シャフト102の操縦可能な遠位部分106を偏向又は位置決めすることができる。
【0038】
図2~3に示すように、電気生理学的カテーテル100は、偏向可能又は操縦可能なタイプのものである。これにより、使用中に、遠位端110及びアブレーション電極116を心臓内の所望の標的位置に配置することを容易にするために、使用者によって偏向領域108を偏向又は湾曲させることができる。いくつかの実施形態では、偏向領域108の偏向は、シャフト102内を延び、遠位部分106内の位置でシャフト102に(直接的又は間接的に)取り付けられたステアリング要素(例えば、ワイヤ、腱、リボンなど)に動作可能に接続されたステアリングアクチュエータ118の操作によって達成することができる。偏向領域108を偏向させるための特定のモード及び構造は本開示にとって重要ではないため、現在既知であるか今後開発されるかにかかわらず、任意の技術を本開示の範囲内で使用することができる。
【0039】
使用中、遠位部分106を偏向又は湾曲させると、遠位部分106を標的位置から遠ざけたり逸らしたりするトルク又はねじりを生じさせるねじり力が付与され得る。偏向領域108は、脈管構造内の電気生理学的カテーテル100の曲率の張力により、偏向前に遠位部分106が配置された平面から面外に出るようにねじられ得る。以下により詳細に説明するように、カテーテル100は、偏向領域108の平面性が実質的にy-z平面に沿って維持されるように構成される。
【0040】
図4は、本開示の様々な態様と一致する、偏向領域108を含むシャフト102の一部の側面図である。示されるように、シャフト102は、外側管状ジャケット402(図4では部分的な破断図で示す)と、外側管状ジャケット402内に配置された関節部材404とを含む。
【0041】
特定の例では、外側管状ジャケット402は、織られ、編まれ、絡ませ、又はその他の方法で互いに絡み合った複数の織り交ぜられたワイヤから形成された金属又はポリマーの編組体で強化されたポリマー材料を有する編組構造のものである。当業者であれば、カテーテル構造における編組ジャケットの使用は周知であり、編組/ジャケット構造の特定の詳細は本開示にとって決定的に重要ではないことを認識するであろう。いくつかの実施形態では、前述の編組体は省略することができ、あるいは、他の構造、例えば補強コイルを使用して、ジャケット402の構造強度及びねじり強度を高めることができる。
【0042】
以下、図2~3を参照してより詳細に説明するように、関節部材404は、y-z平面において比較的高い柔軟性を示すと同時に、x-y平面において比較的柔軟でないように構成される。そのため、シャフト102に対するねじれ力が偏向領域108をx-y平面(又はy-z平面を横切るように方向付けられた他の平面)内で偏向又は屈曲させようとしても、関節部材404はそのねじれ力に抵抗することによって、偏向領域108の予測可能な高度に平面的な偏向を容易にする。
【0043】
図5Aは、本開示の様々な態様と一致する、電気生理学的カテーテル100の関節部材404の上面図である。示されるように、関節部材404は、長手方向に配置された複数の管状セグメント502、複数の接続セグメント504、及び複数の接続セグメント506を含む。隣接する管状セグメント502は、接続セグメント504、506のそれぞれによって結合される。示されるように、接続セグメント504、506は、関節部材404が偏向されていない状態にあるとき、図5Aとともに示されるデカルト座標系によって表されるx-y平面内に配置される。
【0044】
図5Bは、本開示の様々な態様と一致する、図5Aの線A-Aに沿った電気生理学的カテーテル100の管状セグメント502の断面図である。示されるように、関節部材404は、それを通って延びる一対の補強部材508、510を含む。さらに示されるように、補強部材508、510は、それぞれ接続セグメント504、506内に埋め込まれ、以下でさらに詳細に説明するように、隣接する管状セグメント502間の接続を強化する。
【0045】
示されるように、管状セグメント502は、接続セグメント504、506が位置するx-y平面に垂直な、y軸及びz軸によって画定される平面内に配置された一対のステアリングワイヤルーメン512、514を含むことができる。当業者であれば理解するように、ステアリングワイヤルーメン512、514は、従来の方法で知られているように、管状シャフト102の少なくとも偏向領域108の偏向を容易にするために、ステアリングアクチュエータ118(図1)に動作可能に接続されたステアリングワイヤ又は部材を受け入れるように構成されている。いくつかの実施形態では、セグメント502は、ステアリングワイヤルーメンを1つだけ含んでもよい。
【0046】
示されるように、ステアリングワイヤルーメン512、514(したがって、それぞれの内部に収容されるステアリングワイヤも)は、関節部材404の円周の周りで互いに正反対の位置に配置される。したがって、ステアリングワイヤルーメン512、514は、互いに円周方向に約180度ずらされており、それぞれ、補強部材508、510から円周方向に約90度ずらされている。この構成では、ステアリングワイヤルーメン512、514はy-z平面内にある。
【0047】
図5Cは、本開示の様々な態様と一致する、電気生理学的カテーテル100の関節部材404の側面図である。示されるように、管状セグメント502は、図5Cとともに示されるデカルト座標系によって表される、x軸及びy軸によって画定される平面内に配置される接続セグメント504、506を介して接続される。図5Cに示される関節部材404は、図5Aに示される関節部材404から90度ずらされている。このことは、これら2つの図のx軸とz軸を回転させることによっても立証される。
【0048】
接続セグメント504、506は、管状セグメント502と一体的に形成されたリビングヒンジとして機能する。偏向力を受けて、関節部材404は、y-z平面に沿って方向Aに曲がることができる。特定の実施形態では、関節部材404は、y-z平面に沿った方向Aとは反対の別の方向Bに曲がることができる。関節部材404が一方向性であるか二方向性であるかは、本発明にとって決定的に重要ではない。
【0049】
関節部材404がどの方向(例えば、A又はB)に曲がるかに関係なく、リビングヒンジは、屈曲が実質的にy-z平面内で関節運動するように、各隣接する管状セグメント502の間に複数のスリット522及び複数のスリット524を形成する。いくつかの実施形態では、異なる隣接する管状セグメント502間のスリット522、524は同じものである。他の実施形態では、異なる隣接する管状セグメント502間の複数のスリット522、524は、管状シャフト102の遠位部分106の関節運動を微調整するために異なるものであり得る。いくつかの実施形態では、スリットは凹面であり、実質的に「V字形」又は実質的に「U字形」であり得る。
【0050】
リビングヒンジ設計により、関節部材404は、y-z平面において比較的高い柔軟性を示すことができるのと同時に、x-y平面(リビングヒンジを通過する平面)において比較的柔軟ではなくなる。そのため、シャフト102に対するねじれ力が偏向領域108をx-y平面(又はy-z平面を横切るように方向付けられた他の平面)内で偏向又は屈曲させようとしても、そのねじれ力に抵抗することによって、複数のスリット522、524は関節部材404が偏向領域108の予測可能な高度に平面的な偏向を有することを容易にする。
【0051】
図5Dは、本開示の様々な態様と一致する、電気生理学的カテーテル100の関節部材404の側面図の一部の詳細図である。示されるように、補強部材508は、接続セグメント504内及び管状セグメント502内に埋め込まれている。
【0052】
いくつかの実施形態では、リビングヒンジに使用される材料は、接続セグメント504、506の応力により誘発される故障の可能性を最小限に抑えるために、比較的柔らかいものとすることができる。柔らかい材料は関節運動中に変形しやすいため、細かい動きの能力が制限されるのに加え、全体的な耐久性が低下する。したがって、補強部材508、510は、接続セグメント504、506よりも硬い材料で作られる。いくつかの実施形態では、補強部材508、510はそれぞれ、螺旋状に巻いた平坦なリボンワイヤを含む。特定の例では、補強部材508、510は、コイル、撚線ケーブル、より硬いポリマー材料、及び他の金属又はポリマーコンポーネントを含み得る。他の例では、補強部材508、510に使用される材料は、用途の特定の要求に従って変更することができる。
【0053】
実施形態では、管状セグメント502は、管状シャフト102に沿って管状セグメント502内の中心に配置された中央ルーメン516を含み得る。特定の例では、中央ルーメン516は、管状シャフト102に沿って配置されたアブレーション電極用の1つ以上のワイヤ、ナビゲーションコンポーネント、温度センサ(例えば、熱電対)、力センサ、無線周波数回路及び/又はワイヤ、及び冷却ルーメンなどのコンポーネントを含み得る。中央ルーメン516は、1つ以上のデバイスが通過できるワーキングチャネルであり得る。
【0054】
示されるように、中央ルーメン516は砂時計形状であり得る。いくつかの実施形態では、中央ルーメン516は、実質的に丸みを帯びた形又は円形であり得る。一対のステアリングワイヤルーメン512、514は、中央ルーメン516の両向かい側に配置され得る。
【0055】
特定の例では、ステアリングワイヤルーメン512、514は、y-z平面に沿って延在してもよく、x-y平面と整列されてもよい。ステアリングワイヤルーメン512、514は、偏向力を加えて少なくとも管状シャフト102の偏向領域108を偏向又は湾曲させるためのステアリング要素(例えば、ステンレス鋼、チタン、MP35N、適切な合金、及び他の適切な材料で作られたワイヤ、腱、リボン)を受け入れるように構成される。
【0056】
偏向力は、脈管構造内においてステアリングワイヤルーメン512、514の張力及び/又は電気生理学的カテーテル100の曲率により、偏向領域108をほぼy-z平面から外に出すようにひねり又はねじり得る。接続セグメント504、506は、偏向領域108の曲率に応じて偏向領域108の平面性を維持するように構成される。接続セグメント504、506は、偏向領域108を安定させることができる。例えば、接続セグメント504、506は、偏向領域108にバイアスを生成して、偏向と実質的に位置合わせすることができる。特定の例では、接続セグメント504、506は、y-z平面から外に曲がるのに抵抗し得る。接続セグメント504、506は、偏向力が管状シャフト102の少なくとも遠位部分106を湾曲又は偏向させている間も、偏向領域108をほぼy-z平面内(例えば、平面の約+/-10%以内)に維持するように構成される。特定の例では、接続セグメント504、506は、偏向力に応じて偏向領域108をy-z平面と実質的に整列された状態(例えば、約+/-10%以内)に維持するように構成される。
【0057】
接続セグメント504、506は、偏向領域108の平面性を維持し、管状シャフト102の管状セグメント502の比較的低い剛性(例えば、ポリマー材料)における曲げの平面度への依存を軽減することができる。接続セグメント504、506は、偏向中の偏向領域108の湾曲形状を維持することができ、偏向中の偏向領域108の湾曲形状を達成する再現性を維持することができる。
【0058】
いくつかの実施形態では、複数の管状セグメント502は、実質的に同じ長さであり得る。他の実施形態では、管状セグメント502の長さは、管状シャフト102の少なくとも偏向領域108の偏向形状をカスタマイズ又は微調整するために変更され得る。
【0059】
いくつかの例では、補強部材508、510は、直接オーバーモールドによって管状セグメント502内に埋め込まれることで、管状セグメント502と接続部材504、506との間の結合を形成する。管状セグメント502と接続部材504、506との間の結合は、接着剤、表面処理、又は結合を強化することができる他のものの適用によってさらに強化することができる。
【0060】
直接オーバーモールド成形により、所望の柔軟性を依然として維持しながら、隣接する管状セグメント502間の高強度の接合が可能になる。いくつかの実施形態では、補強部材508、510は、螺旋状に巻かれた平坦なリボン形状であるためにより大きい表面積を有することで、成形された接続セグメント504、506へのより強力な機械的結合又は積層を可能にする。
【0061】
したがって、複数の管状セグメント502は、耐久性及び使用中の関節運動フィードバックを高めるために、より硬い材料で作られてもよい。例えば、管状セグメント502は、ポリカーボネート(PC)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、PC/ABSブレンド、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、アセタール、ポリエーテルイミド、又は液晶ポリマー(LCP)で作製され得る。
【0062】
直接オーバーモールドプロセスは、隣接する管状セグメント502を接続セグメント504、506にわたって個別につなぎ合わせる場合と比較して、処理時間及びオペレータの対応を大幅に減少させる。このプロセスは、関節部材404全体を1つのプロセスで作成することによって、固有のばらつきを低減することを可能にする。金型は、接続セグメント504、506を通る材料の顕著な流れを防止しながら、補強部材508、510が部品の長さに沿って通過できるようなサイズにすることができる。接続セグメント504、506での拘束により、張力をかけて又は張力をかけずにそれらを成形することができる。さらに、タブ又は楕円形のゲートをパーティングラインで使用することで、補強部材508、510を通る及び/又は補強部材508、510の周囲に流れができるため、適切な封じ込めが達成される。補強部材508、510は、関節動作中の圧縮を防止し、より多いサイクル数の後のより高い一貫性をもたらす。
【0063】
図6は、本開示の様々な態様と一致する、例示的な電気生理学的カテーテル100の別の図である。上で詳細に述べたように、電気生理学的カテーテル100は、偏向領域108を有する管状シャフト102を含む。管状シャフト102は、外側管状ジャケット402を含む。いくつかの実施形態では、外側管状ジャケット402は、複数の層(例えば、TPE、PEBAなどのTPU、又は40D未満のデュロメータを有する他の材料で作られた外層と、高い被覆率、高ピック・パー・インチ(PPI)、マルチワイヤ編組の編組中間層)を含み得る。
【0064】
関節部材404(図5A~Dに示す)は、偏向領域108内に配置される。関節部材404は、偏向領域108の曲率の平面性の維持を容易にする。例えば、関節部材404は、一対の補強部材508、510の間に屈曲を生じさせる偏向(例えば、偏向力によって引き起こされたもの)に対して垂直な力を生成するように構成される。
【0065】
管状シャフト102の偏向領域108内に配置された関節部材404は、管状シャフト102の少なくとも遠位部分106を安定させるように動作する。他の例では、関節部材404は、管状シャフト102の長さに沿って延在してもよいし、近位部分104と遠位部分106との間の中間セクション内に延在してもよい。
【0066】
管状シャフト102の偏向領域108内に埋め込まれた関節部材404は、管状シャフト102が患者の脈管構造内に配置されるときに、湾曲した形状をとるようにすることができる。偏向領域108を選択的に湾曲させる能力は、正確かつ効果的な送達療法(例えば、アブレーション)を容易にすることができ、又は心臓組織の表面をマッピングする(例えば、不整脈の原因である心臓組織の位置を特定する)ことができる。
【0067】
いくつかの実施形態では、編組構造は、ねじり又は引張荷重中に接続セグメント504、506を強化するように機能することができる。中間層の高PPI編組体と外層の低デュロメータ材料の組み合わせは、外側管状ジャケット402の弾性を高めることができる。外側管状ジャケット402の高い弾性は、関節運動中の圧縮を低減しながら外側管状ジャケット402を伸張させることによって過度の応力を防止する。しかしながら、カテーテル構造における編組ジャケットの使用は当技術分野でよく知られており、編組体/ジャケット構造の特定の詳細は、本開示にとって決定的に重要ではない。いくつかの実施形態では、前述の編組体は省略することができ、あるいは、他の構造、例えば補強コイルを使用して、ジャケット402の構造強度及びねじり強度を高めることができる。
【0068】
図7Aは、本開示の別の実施形態による関節部材404の一部の側面図の一実施形態である。示されるように、複数のスリット702は、複数のスリットのそれぞれが位置する関節部材404の領域で異なる曲げ半径を可能にするために、複数のスリット704とは異なる形状のものである。例えば、図示される実施形態では、スリット702はスリット704よりも狭い。その結果、関節部材404を屈曲させるように偏向力が加えられたとき、スリット702を含む関節部材404の部分の曲げ半径は、スリット704を含む部分の曲げ半径よりも大きくなる。したがって、関節部材404の異なる部分に沿って異なる幅のスリット702、704を選択的に設けることにより、関節部材404は複数の曲率半径を達成することができる。
【0069】
図7Bは、関節部材404において一方向性又は非対称の曲線をとることを容易にする関節部材404の代替実施形態の一部の側面図の一実施形態である。図示されるように、複数のスリット706は、実質的に閉じた間隙であり、例えば、関節部材404が偏向していない状態にあるとき、スリット706がまたがる対向する管状セグメントの面は接触するか、又は離れているが非常に近い位置にある。さらに示されるように、スリット708は比較的幅が広い。この実施形態では、関節部材404は、スリット706に向かって曲がる方向には実質的に柔軟性がないが、それでも関節部材404がスリット708の方向に曲がることは可能である。この図に示される関節部材404は、比較的真っ直ぐで、狭いスリット706がある側に向かう方向に偏向せず、実質的に一方向の屈曲を達成する。他の実施形態では、スリット706及び708は、関節部材404が非対称の(例えば、スリット706に向かう曲げ方向の偏向点は、スリット708に向かう曲げ方向の偏向点とは異なる)曲げプロファイルをとることを可能にするために、関節部材404に沿って選択的に配置することができる。当業者であれば、所望のとおりに曲げプロファイルをさらに調整するために、関節部材404及びスリット706、708のさらに異なる構成を使用できることを容易に理解するであろう。
【0070】
他の実施形態では、関節部材404の両側の異なるカット幅、深さ、形状、及び位置のスリットを変更して、湾曲特性を微調整することができ、したがって、曲げ又は関節動作に非対称性を作り出すことができる。
【0071】
本発明の範囲から逸脱することなく、説明した例示的な実施形態に対して様々な修正及び追加を行うことができる。例えば、上述の実施形態は特定の特徴について言及しているが、本発明の範囲には、特徴の異なる組み合わせを有する実施形態や、記載された特徴のすべてを含まない実施形態も含まれる。したがって、本発明の範囲は、特許請求の範囲に含まれるすべてのそのような代替、修正、及びバリエーションを、そのすべての均等物とともに包含することを意図している。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7A
図7B
【国際調査報告】