(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-19
(54)【発明の名称】アイスクリームフリーザー
(51)【国際特許分類】
A23G 9/16 20060101AFI20240112BHJP
B01F 27/091 20220101ALI20240112BHJP
B01F 27/74 20220101ALI20240112BHJP
B01F 35/90 20220101ALI20240112BHJP
B01F 35/12 20220101ALI20240112BHJP
B01F 27/116 20220101ALI20240112BHJP
B01F 101/13 20220101ALN20240112BHJP
【FI】
A23G9/16
B01F27/091
B01F27/74
B01F35/90
B01F35/12
B01F27/116
B01F101:13
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023538907
(86)(22)【出願日】2021-11-24
(85)【翻訳文提出日】2023-08-22
(86)【国際出願番号】 EP2021082807
(87)【国際公開番号】W WO2022144131
(87)【国際公開日】2022-07-07
(32)【優先日】2020-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391053799
【氏名又は名称】テトラ ラバル ホールディングス アンド ファイナンス エス エイ
【住所又は居所原語表記】70 Avenue General Guisan,CH-1009 Pully,Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100151105
【氏名又は名称】井戸川 義信
(72)【発明者】
【氏名】クリステンセン、クルト
(72)【発明者】
【氏名】ピーターセン、エリック ジミー ウォルフ
【テーマコード(参考)】
4B014
4G037
4G078
【Fターム(参考)】
4B014GB18
4B014GE11
4B014GP08
4B014GP13
4B014GP25
4B014GP27
4B014GQ05
4B014GQ17
4B014GT12
4B014GT20
4B014GU18
4B014GU24
4G037CA03
4G037DA15
4G037EA03
4G078AA07
4G078AA10
4G078AB09
4G078BA01
4G078CA03
4G078CA09
4G078DA30
4G078DC01
4G078DC06
4G078EA03
4G078EA10
4G078EA15
(57)【要約】
ジャケットと、回転可能な中空のシリンダー本体(31)を有するダッシャ-(30)が配置される内部空間とを有する細長いハウジングを備えるアイスクリームフリーザーであって、シリンダー本体(31)は、シリンダー本体(31)の外周に沿って配置されるスクレーパーブレード(50)と、スクレーパーブレード(50)の前に位置し、アイスクリ-ムミックス(M)がシリンダー本体(31)の内部に入るための入口(60)と、スクレーパーブレード(50)の後に位置し、アイスクリ-ムミックス(M)がシリンダー本体(31)の内部(32)から出るための出口(62)と、を備え、入口(60)は、アイスクリ-ムミックス(M)をシリンダー本体(31)の軸方向(D)に押し出すための、少なくとも3°のリ-ド角(θ)を有するリ-ド面(67)を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アイスクリームフリーザー(1)であって、
ジャケット(3)及び内部空間(4)を有する細長いハウジング(2)と、
前記内部空間(4)を通して供給されるアイスクリ-ムミックス(M)を撹拌し混合するために、中心軸(A1)を中心として回転方向(R)に回転するように、前記内部空間(4)に配置された中空のシリンダー本体(31)を備えるダッシャ-(30)と、を備え、
前記シリンダー本体(31)は、
前記シリンダー本体(31)の外周に沿って配置されたスクレーパーブレード(50)と、
前記回転方向(R)から見て、前記スクレーパーブレード(50)の前に位置し、前記アイスクリ-ムミックス(M)を前記シリンダー本体(31)の内部(32)に入れるための入口(60)と、
前記回転方向(R)から見て、前記スクレーパーブレード(50)の後に位置し、前記アイスクリ-ムミックス(M)が前記シリンダー本体(31)の前記内部(32)から出るための出口(62)と、を備え、
前記入口(60)は、前記アイスクリ-ムミックス(M)を前記シリンダー本体(31)の軸方向(D)に押し出すため、少なくとも3°のリ-ド角(θ)を有するリ-ド面(67)を備える、
アイスクリームフリーザー(1)。
【請求項2】
前記シリンダー本体(31)に孔(91)が形成され、前記スクレーパーブレード(50)が前記孔(91)の上方に配置され、前記孔(91)を前記入口(60)及び前記出口(62)に分離する、
請求項1に記載のアイスクリームフリーザー。
【請求項3】
前記リ-ド面(67)が前記入口(60)から前記出口(62)まで延在し、前記出口(62)も前記リ-ド面(67)を含む、
請求項1又は2に記載のアイスクリームフリーザー。
【請求項4】
前記入口(60)が、少なくとも10°の角度(β)で上部が面取りされる、又は上部が斜面となるように削り取られる入口面(64)を備える、
請求項1~3のいずれか一項に記載のアイスクリームフリーザー。
【請求項5】
前記入口面(64)が、前記シリンダー本体(31)の厚さ(t)の少なくとも30%にわたって上部が面取りされる、
請求項4に記載のアイスクリームフリーザー。
【請求項6】
前記出口(62)が、少なくとも10°の角度(β)で上部が面取りされる、又は上部が斜面となるように削り取られる出口面(65)を備える、
請求項1~5のいずれか一項に記載のアイスクリームフリーザー。
【請求項7】
前記出口面(65)が、前記シリンダー本体(31)の厚さ(t)の少なくとも30%にわたって上部が面取りされる、
請求項6に記載のアイスクリームフリーザー。
【請求項8】
前記シリンダー本体(31)は、前記出口(62)を覆って延在する突出部(63)を備え、前記スクレーパーブレード(50)は、前記突出部(63)の端部(81)に取り付けられる、
請求項1~7のいずれか一項に記載のアイスクリームフリーザー。
【請求項9】
前記突出部(63)が前記出口面(65)から延在し、前記出口(62)を2つの出口部分に分離する、
請求項8に記載のアイスクリームフリーザー。
【請求項10】
前記突出部(63)は、前記シリンダー本体(31)の中心(C)に向けられる内面(82)を備え、前記内面(82)は、前記シリンダー本体(31)の接線方向(T)に対して少なくとも10°の角度(α)で傾斜しており、前記接線方向(T)は、前記突出部(63)の前記端部(81)と半径方向に整列する前記シリンダー本体(31)上の点(70)によって画定される、
請求項8又は9に記載のアイスクリームフリーザー。
【請求項11】
前記入口(60)が、前記リ-ド面(67)に対向し、前記リ-ド面(67)のリ-ド角(θ)と同じ角度(θ)だけ傾斜した面(61)を備える、
請求項1~10のいずれか一項に記載のアイスクリームフリーザー。
【請求項12】
前記孔(91)が、前記シリンダー本体(31)に配列された一連の同様の孔(91、92)のうちの1つであり、前記孔(91、92)が、前記シリンダー本体(31)の軸方向(D)に延び、前記スクレーパーブレード(50)が延在するリブ(93)によって分離されており、前記リブ(93)は、前記スクレーパーブレード(50)が前記リブ(93)上を超えて延在する位置において、前記シリンダー本体(31)の前記軸線方向(D)に少なくとも3mm面取りされた又は斜面となるように削り取られた外面(94)を備える、
請求項2に記載のアイスクリームフリーザー。
【請求項13】
前記リブ(91)が前記シリンダー本体(31)の前記入口(60)の前記リ-ド面(67)を備え、前記リブ(91)の前記外面(94)が、前記リブ(91)に含まれる前記リ-ド面(67)に対向する前記リブ(91)の側面(61)で面取りされる又は斜面となるように削り取られる、
請求項12に記載のアイスクリームフリーザー。
【請求項14】
アイスクリ-ム製造システム(700)であって、
請求項1~13のいずれか一項に記載のアイスクリ-ム塊(M)を製造するアイスクリームフリーザー(702)と、
前記アイスクリ-ム塊(M)をアイスクリ-ム塊の個々のピース(705)に成形するアイスクリ-ム成形装置(704)と、
前記アイスクリ-ム塊の個々のピース(705)を受け取り、その温度を下げる冷凍装置(707)と、
前記アイスクリ-ム塊の個々のピース(705)の周囲に包装材料(710)を巻き付ける包装機(708)と、を備える、
アイスクリ-ム製造システム(700)。
【請求項15】
アイスクリ-ムの製造方法(800)であって、
アイスクリ-ム塊(M)を生成し(802)、
前記アイスクリ-ム塊(304)をアイスクリ-ム塊の個々のピース(705)に成形し(804)、
前記アイスクリ-ム塊の個々のピース(705)の温度を下げ(807)、
前記アイスクリ-ム塊の個々のピース(705)の周囲に包装材料(710)で包装し(808)、
前記アイスクリ-ム塊(304)を生成(802)する際に、請求項1~13のいずれか一項に記載のアイスクリームフリーザー(1)を使用する、
アイスクリ-ムの製造方法(800)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダッシャ-が配置された細長いハウジングを有するアイスクリームフリーザーに関する。ダッシャ-は、アイスクリ-ムミックスを撹拌し混合するための中空シリンダーを有する。シリンダー本体の外周に沿ってスクレーパーブレードが配置され、アイスクリ-ムミックスがシリンダーの内部に入ることができるように、アイスクリ-ムミックスの入口がスクレーパーブレードの前に配置され、アイスクリ-ムミックスの出口がスクレーパーブレードの後に配置される。本発明はまた、この種のアイスクリームフリーザーを使用してアイスクリ-ムを製造するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、食品加工業界では、乳製品をベースとしたアイスクリ-ム製品や、アイスキャンディ-等の水をベースとした冷凍スナック等のアイスクリ-ム製品を製造するために、数多くの食品処理装置が使用されている。フローズンカスタード、フローズンヨーグルト、シャーベット、ジェラート、フローズンデイリーデザート等は、アイスクリ-ム製品のさまざまな種類やスタイルを区別するために使用される製品名である。
【0003】
アイスクリ-ム製品の大規模生産では、アイスクリ-ム製品に加工されるアイスクリ-ムミックス(ice cream mixture)が準備される。このミックスは多くの場合、2つの主要な機能を持つ連続フリ-ザ-に送られる。第1の機能は、制御された量の空気をミックスにホイップ(whip)することであり、第2の機能は、ミックス中の水分の大部分を凍らせて多数の小さな氷の結晶にすることである。
【0004】
連続フリ-ザ-は通常、ジャケット付きの円筒形ハウジングの形状を有しており、その中でナイフ、ダッシャ-、場合によってはビ-タ-が回転するように配置されている。製造中、アイスクリ-ムミックスは、例えば、ギアポンプを使って計量されてハウジングに入れられる。同時に、一定の空気流がハウジング内に供給され、ジャケット付きハウジング内に配置された回転ダッシャ-によってミックスにホイップされる。ダッシャ-は、アイスクリ-ムミックスの攪拌機及びミキサ-として機能する。ハウジングを囲むジャケットを通過する冷媒が、フリ-ザ-に投入されたアイスクリ-ムミックスを凍らせ、アイスクリ-ムミックスに氷の結晶が形成される。アイスクリ-ムミックスはその後、アイスクリ-ム製品の形成に使用される。
【0005】
スクレーパーブレードとも呼ばれるナイフは、回転するダッシャ-上に配置され、ハウジング内壁の凍結したミックスがナイフによって連続的に掻き取られる。ダッシャ-は、製品をダッシャ-内で撹拌し続ける。制御された量の空気が、アイスクリ-ムミックスとは別に、又はミックスと一緒にフリ-ザ-に供給される。ダッシャ-の回転により、空気がミックスに均一に混合され、均質なアイスクリ-ムミックスが形成される。フリ-ザ-にビ-タ-が使用されている場合、ビ-タ-によってミックスにホイップ作用が与えられ、アイスクリ-ムミックスへの空気の混合が促進される。
【0006】
アイスクリ-ムに空気を混ぜると、体積が増える。一般的に、アイスクリ-ム1リットルに対して、0.8~1リットルの空気が導入される。フリ-ザ-から出すときのミックスの温度は、アイスクリ-ム製品の種類にもよるが、-8℃から-3℃であることが多く、ミックスの組成にもよるが、ミックス中の水分の30%から55%が凍って氷の結晶となり得る。
【0007】
アイスクリ-ムミックスをフリ-ザ-を通して搬送するために、ポンプがよく使用され、アイスクリ-ムミックスを連続式フリ-ザ-から、例えば、原料フィーダー、アイスクリ-ム成形装置、又は充填機等に送り出す。構成によっては、ミックスをフリ-ザ-に供給するために、フリ-ザ-の上流にポンプを代替的に又は追加的に配置してもよい。フリ-ザ-を通過する際、ミックスの温度が徐々に低下するため、その粘度が上昇し、フリ-ザ-を通過するミックスを搬送するためにより多くのエネルギ-が必要となる。
【0008】
アイスクリ-ム用フリ-ザ-の例は、特許文献EP1178734B1及びUS4162127Aに開示されている。
【0009】
連続式アイスクリームフリーザーがアイスクリ-ムミックスの凍結に成功しても、フリ-ザ-を通過するミックスの温度をどの程度下げることができるかという点では、依然として限界がある。特に、シャーベットやウォーターアイス等の低脂肪アイスクリ-ム製品の場合、温度を下げると粘度が急速に上昇する。このような製品は粘度が高いため、フリ-ザ-を通して十分なポンピングを行い、排出ポンプへの十分な排出圧力を確保することは困難である。別の観点から見ると、水分含量の低いアイスクリ-ムミックスは、粘度が急激に上昇しないにもかかわらず、フリ-ザ-を通してミックスを搬送するために比較的大きなエネルギ-が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、従来技術の1つ以上の制限を少なくとも部分的に克服することである。特に、例えば、エネルギ-を節約する、及び/又はフリ-ザ-からの十分な排出を確保する等のアイスクリ-ムミックスがより容易に供給されるアイスクリームフリーザーを提供することが目的である。
【0011】
本発明の第1の態様では、ジャケット及び内部空間を有する細長いハウジングと、内部空間を通って供給されるアイスクリ-ムミックスを撹拌し混合するために、内部空間内に配置され、シリンダー本体の中心軸を中心として回転方向に回転するための中空のシリンダー本体を含むダッシャ-とを備えるアイスクリームフリーザーによって、これは達成される。シリンダー本体は、シリンダー本体の外周に沿って配置されたスクレーパーブレードと、回転方向から見てスクレーパーブレードの手前に位置し、アイスクリ-ムミックスがシリンダー本体の内部に入るための入口と、回転方向から見てスクレーパーブレードの後に位置し、アイスクリ-ムミックスがシリンダー本体の内部から出るための出口とを備える。入口は、アイスクリ-ムミックスをシリンダー本体の軸方向に押し出すための少なくとも3°のリ-ド角を有するリ-ド面を備える。
【0012】
傾斜したリ-ド面を持つシリンダー本体の入口を使用することは、アイスクリ-ムを連続的に前方に押し出すのに役立つ利点がある。アイスクリ-ムミックスが押し出される方向は、ハウジングのアイスクリ-ムミックス入口からハウジングのアイスクリ-ムミックス出口までである。このように、ダッシャ-は攪拌と混合に加えて、アイスクリ-ムミックスのポンプ装置としても機能する。これにより、フリ-ザ-からの十分な排出が確保される。多くの場合、角度のついたリ-ド面は、アイスクリームフリーザーを通してアイスクリ-ムミックスを供給するのに必要なエネルギ-の総量の節約にも貢献する。
【0013】
アイスクリームフリーザーの他の目的、特徴、態様及び利点は、以下の詳細な説明及び図面から明らかになるであろう。
【0014】
本発明の第2の態様において、上記の目的はまた、アイスクリ-ム塊を製造するためのアイスクリームフリーザーと、アイスクリ-ム塊をアイスクリ-ム塊の個々のピースに成形するアイスクリ-ム成形装置と、アイスクリ-ム塊の個々のピースを受け入れてその温度を低下させる冷凍装置と、アイスクリ-ム塊の個々のピースの周囲に包装材料を巻き付ける包装機と、を備えるアイスクリ-ム製造システムによって達成され、ここで、アイスクリームフリーザーは、第1の態様によるアイスクリームフリーザーである。
【0015】
本発明の第3の態様において、上記の目的はまた、アイスクリ-ムを製造するための方法によって達成され、この方法は、アイスクリ-ム塊を生産し、アイスクリ-ム塊を個々のピースに成形し、アイスクリ-ム塊の個々のピースの温度を低下させ、アイスクリ-ム塊の個々のピースの周囲に包装材料を巻き付ける、ことを含み、アイスクリ-ム塊を生産する際に、第1の態様によるアイスクリームフリーザーを使用することを含む。
【課題を解決するための手段】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、添付の図面を参照しながら例示的に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図2】
図1に示すアイスクリームフリーザー用ダッシャ-の斜視図である。
【
図5】
図2に示したダッシャ-の部分正面図である。
【
図6】
図2に示したダッシャ-の部分斜視図である。
【
図7】
図2に示すダッシャ-の概略側断面図である。
【
図8】
図2のダッシャ-の概略側断面図であり、
図7の図に対応し、反対側から見た図である。
【
図9】
図1に示すアイスクリームフリーザー用ダッシャ-の他の実施形態を示す斜視図である。
【
図11】アイスクリ-ム製造システムの概略図である。
【
図12】アイスクリ-ムの製造方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1~
図4を参照すると、アイスクリームフリーザー1が示されている。アイスクリームフリーザー1は、ジャケット3とシリンダー形状の内部空間4とを有する細長いハウジング2を有する。内部空間4にはダッシャ-30が配置され、中空シリンダー本体31を有し、このシリンダー本体31は、シリンダー本体31本体の中心軸A1を中心として回転方向Rに回転するように取り付けられている。シリンダー本体31は、
図7を参照すると、周面34と内面33とを有している。これらの面34,33間の距離は、中空シリンダー本体31の厚さtを画定する。この厚さは、例えば、5mm~15mmである。ハウジング2は、内部空間4を通してアイスクリ-ムミックスMを供給するために配置された第1の入口11及び第1の出口12を有する。ハウジング2は、冷却流体CF、すなわちジャケット3を通して冷媒を供給し、それによって内部空間4を通して供給されるアイスクリ-ムミックスMを冷却するために配置される第2の入口21及び第2の出口22を有する。ダッシャ-とそのすべての部品はステンレス鋼製であってもよい。
【0019】
ダッシャ-30の軸15には、ダッシャ-30を回転させるためのモ-タ(図示せず)が接続されている。ダッシャ-が回転すると、シリンダー本体31も回転方向Rに回転し、内部空間4を通って供給されるアイスクリ-ムミックスMが撹拌され、混合される。シリンダー本体31には、シリンダー本体31の外周に沿ってスクレーパーブレード50が取り付けられており、このブレ-ド50がハウジング2の内壁5からアイスクリ-ムミックスを掻き落とせるようになっている。スクレーパーブレード50は、その先端が回転方向Rの最前方に位置するように取り付けられている。
【0020】
図5及び
図6を参照すると、シリンダー本体31には、回転方向Rから見て、スクレーパーブレード50の手前に位置する入口60が設けられている。これにより、アイスクリ-ムミックスMは、回転時に中空シリンダー本体31の内部32に押し込まれる。シリンダー本体31は、回転方向Rから見て、スクレーパーブレード50の後に位置する出口62を有する。これにより、シリンダー本体31を回転させたときに、シリンダー本体31の内部32からアイスクリ-ムミックスMを出すことができる。このようにして、アイスクリ-ムミックスMは、シリンダー本体31の内部32に連続的に供給され、シリンダー本体31の内部32から排出され得る。
【0021】
入口60は、少なくとも3°のリ-ド角θを有するリ-ド面67を有する。リ-ド面67は、アイスクリ-ムミックスMをシリンダー本体31の軸方向Dに押し出す。これにより、アイスクリ-ムミックスMは、ハウジング2の内部空間4を通してアイスクリ-ムミックスMを供給するために配置された第1の入口11から第1の出口12へ向かう方向に効果的に押し出される。
【0022】
リ-ド角θは、少なくとも5°、少なくとも8°、少なくとも15°、あるいは少なくとも30°であってもよい。リ-ド角θが少なくとも3°、5°、8°又は15°である場合、リ-ド角θは25°未満、すなわち上限が25°であってもよい。リ-ド角θは、シリンダー本体31の軸線A1に垂直な線を基準とし、シリンダー本体31の軸線A1を基準とするねじれ角の補数である。リ-ド面67はわずかに凹んでいてもよく、わずかに凸であってもよく、この場合、リ-ド角θは、リ-ド面67を形成する曲率に対する平均リ-ド角として計算される。入口60は、リ-ド面67に対向し、リ-ド面67のリ-ド角θと同じ角度だけ傾斜した面61を有してもよい。
【0023】
入口60と出口62はシリンダー本体31に孔91を形成し、スクレーパーブレード50は孔91を入口60と出口62に分離するために孔91の上に配置してもよい。これは製造の観点から有利であり、スクレーパーブレード50が入口60と出口62を分離することで、1回の操作で入口60と出口62の両方を形成することができる。孔91はまた、アイスクリ-ムミックスが入口60及び出口62を経由してシリンダー本体31の内部32へ容易に流入し、及び内部32から容易に流出するという点でも有利である。
【0024】
リ-ド面67は、入口60から出口62まで延在してもよい。これは、出口62もリ-ド面67を備え、ダッシャ-30のポンプ効果をさらに高める点で有利である。出口62はまた、リ-ド面67に対向し、リ-ド面67のリ-ド角θと同じ角度だけ傾斜した面を有してもよい。
【0025】
図7及び
図8をさらに参照すると、入口60は、少なくとも10°の角度βで上面が面取りされた(top chamfered)又は上面が斜面となるように削り取られた(top beveled)入口表面64を備えてもよい。図示の例では、入口面64は面取りされている。面取り(入口面取り)64の角度βは、
図7に示すように、面取り64がシリンダー本体31の外周面34上で開始する位置71において、シリンダー本体31の半径方向に対して相対的に測定される。面取り64は、中空シリンダー本体31の内面33に向かう方向に内側に延びている。面取り64は、少なくとも20°、少なくとも40°、又は少なくとも60°の角度βを有してもよい。
【0026】
入口面64は、シリンダー本体31の厚さtの少なくとも30%にわたって上面が面取りされてもよい。入口面64は、シリンダー本体31の厚さtの少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%又は少なくとも80%にわたって上面が面取りされてもよい。シリンダー本体31の厚さtの100%にわたって上面が面取りされていてもよく、その場合は上面が斜面となるように削り取られている。
【0027】
面取りされた入口面64を有することにより、アイスクリ-ムの塊がシリンダー本体31の内側32により容易に押し込まれ、ダッシャ-30を回転させるのに必要なエネルギ-が少なくて済むという点で有利である。さらに、ダッシャ-30の混合効率が向上する。
【0028】
シリンダー本体31の出口62は、少なくとも10°の角度βで上面が面取りされる又は上面が削り取られた出口表面65を備えてもよい。図示の例では、出口面65は面取りされている。出口面取り65の角度βは、
図7に示すように、出口面取り65がシリンダー本体31の外周面34上で開始する位置72において、シリンダー本体31の半径方向に対して相対的に測定される。出口面取り部65は、中空のシリンダー本体31の内面33に向かう方向に内側に延びている。出口面取り65は、少なくとも20°、少なくとも40°、又は少なくとも60°の角度βを有してもよい。
【0029】
出口面65は、シリンダー本体31の厚さtの少なくとも30%にわたって頂面取りされてもよい。出口面65は、シリンダー本体31の厚さtの少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%又は少なくとも80%にわたって上面取りされていてもよい。シリンダー本体31の厚さtの100%にわたって上面が面取りされていてもよく、その場合は上面が斜面となるように削り取られている。
【0030】
面取りされた出口面65を有することにより、アイスクリ-ム塊がシリンダー本体31の内部32からより容易に流出し、ダッシャ-30を回転させるのに必要なエネルギ-がより少なくて済むという点で有利である。さらに、ダッシャ-30の混合効率が向上する。
【0031】
入口面取り64及び出口面取り65は、同じ面取り角度又は削り取り角度で面取り又は削り取られてもよい。これは、製造上の観点から有利であり、また、アイスクリ-ムミックスのシリンダー本体31への流入及びシリンダー本体31からの流出を改善する。
【0032】
シリンダー本体31は、出口62の上に延びる突出部63を有してもよい。
図7に見られるように、スクレーパーブレード50は、突出部63の端部81に取り付けられてもよい。スクレーパーブレードの取り付け位置は、孔91の上方に位置する。突出部63は、出口面65から延びて、出口62を2つの出口面部65、66に分離してもよい。
【0033】
突出部63は、シリンダー本体31の中心Cに向かう内面82を備えてもよい。この内面82は、シリンダー本体31の接線方向Tに対して少なくとも10°の角度αだけ傾斜していてもよい。接線方向Tは、
図7に軸線A2に沿って示すように、突出部63の端部81と半径方向に整列するシリンダー本体31上の点70によって画定される。
【0034】
図5に戻ると、孔91は、シリンダー本体31に配列された一連の同様の孔91,92のうちの1つであってもよい。孔91、92は、シリンダー本体31の軸方向Dに延び、リブ93によって隔てられている。スクレーパーブレード50は、リブ93の上に延在する。
図6において最もよく分かるように、リブ93は、シリンダー本体31の軸方向Dに少なくとも3mmだけ面取りされた又は斜面となるように削り取られたそれぞれの外面94を有し、リブ93に面取り69を形成している。リブ93の面取り69は、スクレーパーブレード50がリブ93上に延在する位置に配置される。面取り69は、リブ93の幅の少なくとも75%にわたって延在してもよく、リブ93の幅全体にわたって延びてもよい。リブ93の幅は、シリンダー本体31の軸方向Dに延びている。リブの幅は、例えば、10mm~20mmであってもよい。リブ93の面取り69により、洗浄が容易になるとともに、アイスクリ-ムミックスMの流れ、特に、出口62からの流れが改善される。
【0035】
1つ又は複数のリブ91は、シリンダー本体31の入口60のリ-ド面67を備えてもよい。その場合、リブ91の外面94は、好ましくは、リブ91に含まれるリ-ド面67と反対側であるそれぞれのリブ91の側面61に面取りされる、又は斜面となるように削り取られる。
【0036】
本明細書で説明したリブ93に加えて、シリンダー本体31は、他の形状及び形態を有するリブを含んでもよい。シリンダー本体31の入口60及び出口62によって形成される孔91、92についても同様に、すなわち、シリンダー本体31は、他の形状及び他の種類の入口及び出口を含んでもよい。ダッシャ-130の別の例が
図9及び
図10に示されている。このダッシャ-130の場合、シリンダー本体131は、異なる形状の孔191、192及びリブ193を有しており、角度のついたリ-ド面167がアイスクリ-ムミックスを軸方向に押すこと補助する。
【0037】
図11を参照すると、アイスクリ-ム製造システム700が示されている。簡単に説明すると、クリ-ム、砂糖及び他の原料を使用することにより、アイスクリームフリーザー702を使用して、アイスクリ-ム塊Mを製造することができる。アイスクリームフリーザー702は、好ましくは、上述のアイスクリームフリーザー1である。アイスクリ-ム塊Mは、その後、アイスクリ-ム成形装置704において、アイスクリ-ム塊の個々のピ-ス705に成形されてもよい。これは、異なる方法で、例えば、押出成型又は型を使用して製造してもよい。オプションで、スティック処理装置706は、アイスクリ-ム塊の個々のピ-ス705にアイスクリームスティックを入れることができる。
【0038】
スティックが提供された後、個々のピ-ス705は、冷凍装置707、例えば、冷凍トンネル内に配置されてもよい。最後に、包装機708において、出荷準備が整ったアイスクリ-ム製品が形成されるように、個々のピ-ス705を包装材料710で包装することができる。アイスクリ-ム成形装置704、スティック処理装置706、冷凍装置707及び包装機708は、典型的には、アイスクリ-ム製造に適した市販の装置である。
【0039】
図12を参照すると、アイスクリ-ムを製造する方法800が示されている。方法800は、アイスクリ-ム塊を生成し(802)、アイスクリ-ム塊Mをアイスクリ-ム塊の個々のピースに成形し(804)、アイスクリ-ム塊の個々のピースの温度を下げ(807)、アイスクリ-ム塊の個々のピース705の周りに包装材料710を巻き付ける(808)、ことを含む。アイスクリ-ム塊304を生成する(802)際に、上述のアイスクリームフリーザー1を使用することを含む。オプションとして、アイスクリ-ムスティックをアイスクリ-ム塊の個々のピースに挿入することにより、アイスクリ-ムスティックを取り扱う(806)ことを含む。
【0040】
以上の説明から、本発明の様々な実施形態を説明し示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲に定義される主題の範囲内で他の方法で具体化してもよい。
【国際調査報告】