IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ナノエンテク インクの特許一覧

特表2024-502424多チャネル試料チップを用いた微細粒子計数方法,及びこれを実現した微細粒子計数装置
<>
  • 特表-多チャネル試料チップを用いた微細粒子計数方法,及びこれを実現した微細粒子計数装置 図1
  • 特表-多チャネル試料チップを用いた微細粒子計数方法,及びこれを実現した微細粒子計数装置 図2
  • 特表-多チャネル試料チップを用いた微細粒子計数方法,及びこれを実現した微細粒子計数装置 図3
  • 特表-多チャネル試料チップを用いた微細粒子計数方法,及びこれを実現した微細粒子計数装置 図4
  • 特表-多チャネル試料チップを用いた微細粒子計数方法,及びこれを実現した微細粒子計数装置 図5
  • 特表-多チャネル試料チップを用いた微細粒子計数方法,及びこれを実現した微細粒子計数装置 図6
  • 特表-多チャネル試料チップを用いた微細粒子計数方法,及びこれを実現した微細粒子計数装置 図7
  • 特表-多チャネル試料チップを用いた微細粒子計数方法,及びこれを実現した微細粒子計数装置 図8
  • 特表-多チャネル試料チップを用いた微細粒子計数方法,及びこれを実現した微細粒子計数装置 図9
  • 特表-多チャネル試料チップを用いた微細粒子計数方法,及びこれを実現した微細粒子計数装置 図10
  • 特表-多チャネル試料チップを用いた微細粒子計数方法,及びこれを実現した微細粒子計数装置 図11
  • 特表-多チャネル試料チップを用いた微細粒子計数方法,及びこれを実現した微細粒子計数装置 図12
  • 特表-多チャネル試料チップを用いた微細粒子計数方法,及びこれを実現した微細粒子計数装置 図13
  • 特表-多チャネル試料チップを用いた微細粒子計数方法,及びこれを実現した微細粒子計数装置 図14
  • 特表-多チャネル試料チップを用いた微細粒子計数方法,及びこれを実現した微細粒子計数装置 図15
  • 特表-多チャネル試料チップを用いた微細粒子計数方法,及びこれを実現した微細粒子計数装置 図16
  • 特表-多チャネル試料チップを用いた微細粒子計数方法,及びこれを実現した微細粒子計数装置 図17
  • 特表-多チャネル試料チップを用いた微細粒子計数方法,及びこれを実現した微細粒子計数装置 図18
  • 特表-多チャネル試料チップを用いた微細粒子計数方法,及びこれを実現した微細粒子計数装置 図19
  • 特表-多チャネル試料チップを用いた微細粒子計数方法,及びこれを実現した微細粒子計数装置 図20
  • 特表-多チャネル試料チップを用いた微細粒子計数方法,及びこれを実現した微細粒子計数装置 図21
  • 特表-多チャネル試料チップを用いた微細粒子計数方法,及びこれを実現した微細粒子計数装置 図22
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-19
(54)【発明の名称】多チャネル試料チップを用いた微細粒子計数方法,及びこれを実現した微細粒子計数装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 15/06 20240101AFI20240112BHJP
   G01N 15/075 20240101ALI20240112BHJP
【FI】
G01N15/06 E
G01N15/06 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023539939
(86)(22)【出願日】2022-01-25
(85)【翻訳文提出日】2023-06-28
(86)【国際出願番号】 KR2022001294
(87)【国際公開番号】W WO2022158940
(87)【国際公開日】2022-07-28
(31)【優先権主張番号】10-2021-0010369
(32)【優先日】2021-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510127790
【氏名又は名称】ナノエンテク インク
(74)【代理人】
【識別番号】110002398
【氏名又は名称】弁理士法人小倉特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チョン,チャン イル
(72)【発明者】
【氏名】イ,ヒョン ソプ
(72)【発明者】
【氏名】アン,サンファ
(57)【要約】
多チャネル試料チップを用いた微細粒子計数方法,及びこれを実現した微細粒子計数装置が開示される。本発明による多チャネル試料チップを用いた微細粒子計数方法,及びこれを実現した微細粒子計数装置によれば,多数のサンプルを短時間内に観察することができるとともに,試料チップが大きくなることにより製造過程で反りが発生しても,これを補正して正確な微細粒子の計数を可能にすることができる。そして,多数のチャネルを有するチップに発生する反りのためチャネルごとに焦点距離が一定にならず,それによりそれぞれのチャネルに対する焦点値を得てイメージの取得に多くの時間がかかるという問題点を解決することができる。さらに,チャネルに注入されるサンプルの量が少量であるため,イメージを速やかに取得して計数しなければサンプルが乾燥してしまい,それによる測定誤差が発生するという問題点を防止することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のチャネル及び焦点マークを有する試料チップ上の各チャネルに収容された試料中の微細粒子を計数する方法であって,
前記複数の焦点マークのうち,特定の焦点マークに対する焦点値と,前記特定の焦点マークに隣接するチャネルの焦点値との差を計算して反り補正値を求めるステップと,
前記複数の焦点マークに対するそれぞれの焦点値を測定するステップと,
前記各チャネル間を順次移動しながら,隣接する焦点マークの焦点値に前記反り補正値を代入して求められた焦点値を介してイメージを取得するステップと,
前記取得されたイメージを介して,各チャネルに収容された試料中の微細粒子を計数するステップと,を含む,多チャネル試料チップを用いた微細粒子計数方法。
【請求項2】
前記焦点マークの個数は,前記チャネルの個数より少ないことを特徴とする,請求項1記載の多チャネル試料チップを用いた微細粒子計数方法。
【請求項3】
前記焦点マークは,多数の突起が群集している形状をすることを特徴とする,請求項1記載の多チャネル試料チップを用いた微細粒子計数方法。
【請求項4】
前記焦点マークは,グリッド形状をすることを特徴とする,請求項1記載の多チャネル試料チップを用いた微細粒子計数方法。
【請求項5】
前記グリッド形状の焦点マークの格子模様を用いて単位ピクセル当たりの距離を求め,該距離をイメージ解像度に代入して面積を求め,該面積を隣接のチャネルイメージの面積に適用することを特徴とする,請求項4記載の多チャネル試料チップを用いた微細粒子計数方法。
【請求項6】
前記反り補正値を求めるステップは,
前記特定の焦点マークに対する焦点値を自動焦点調節によって求め,
前記特定の焦点マークに隣接するチャネルの焦点値を手動焦点調節又は自動焦点調節によって求めることを特徴とする,請求項1記載の多チャネル試料チップを用いた微細粒子計数方法。
【請求項7】
前記複数の焦点マークに対するそれぞれの焦点値を測定するステップは,自動焦点調節によって焦点値を求めることを特徴とする,請求項1記載の多チャネル試料チップを用いた微細粒子計数方法。
【請求項8】
複数のチャネル及び焦点マークを有する試料チップ上の各チャネルに収容された試料中の微細粒子を計数する方法であって,
前記複数の焦点マークに対するそれぞれの焦点値を測定するステップと,
前記複数の焦点マークのうち,特定の焦点マークに対する焦点値と,前記特定の焦点マークに隣接するチャネルの焦点値との差異を計算して反り補正値を求めるステップと,
前記各チャネル間を順次移動しながら,隣接する焦点マークの焦点値に前記反り補正値を代入して求められた焦点値を介してイメージを取得するステップと,
前記取得されたイメージを介して,各チャネルに収容された試料中の微細粒子を計数するステップと,を含む,多チャネル試料チップを用いた微細粒子計数方法。
【請求項9】
微細粒子を含む試料を収容する複数のチャネルを備える試料チップと,
前記試料チップが載置されるステージと,
前記ステージに載置された試料チップ上のチャネルへ光を照射する光源部と,
前記光が通過したチャネルに収容された試料の像を拡大するための対物レンズ部と,
前記対物レンズ部によって拡大された像に関するイメージを取得するイメージセンサ部と,
前記取得したイメージを介して,各チャネルに収容された試料中の微細粒子を計数する微細粒子計数部と,
前記ステージを移動させるステージ移動部と,を含み,
前記試料チップは,前記各チャネルの反り高さ偏差を補正するフォーカシング情報を求めるための複数の焦点マークと,をさらに含むことを特徴とする,多チャネル試料チップを用いた微細粒子計数装置。
【請求項10】
前記各チャネルの反り高さ偏差を補正することは,
前記複数の焦点マークのうち,特定の焦点マークに対する焦点値と,前記特定の焦点マークに隣接するチャネルの焦点値との差を計算して求められた反り補正値を各焦点マークの焦点値に代入することにより行われることを特徴とする,請求項9記載の多チャネル試料チップを用いた微細粒子計数装置。
【請求項11】
前記焦点マークの個数は,前記チャネルの個数より少ないことを特徴とする,請求項9記載の多チャネル試料チップを用いた微細粒子計数装置。
【請求項12】
前記焦点マークは,多数の突起が群集している形状をすることを特徴とする,請求項9記載の多チャネル試料チップを用いた微細粒子計数装置。
【請求項13】
前記焦点マークは,グリッド形状をすることを特徴とする,請求項9記載の多チャネル試料チップを用いた微細粒子計数装置。
【請求項14】
前記複数の焦点マークの焦点値は,全焦点マークのうち,一部の焦点マークの焦点値を測定し,これを用いて前記試料チップ全体の反り程度をトポロジマッピング(topology mapping)して残りの焦点マークの焦点値を求めることを特徴とする,請求項1又は8記載の多チャネル試料チップを用いた微細粒子計数方法。
【請求項15】
前記グリッド(grid)形状の焦点マークは,陽刻されていることを特徴とする,請求項4記載の多チャネル試料チップを用いた微細粒子計数方法。
【請求項16】
前記反り補正値を求めるステップ,焦点マークに対する焦点値を測定するステップ,及びイメージを取得するステップは,前記試料チップを分割して形成されるグループごとに繰り返し行われることを特徴とする,請求項1又は8記載の多チャネル試料チップを用いた微細粒子計数方法。
【請求項17】
同じ反り補正値を適用するグループが予め指定されることを特徴とする,請求項16記載の多チャネル試料チップを用いた微細粒子計数方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,多チャネル試料チップを用いた微細粒子計数方法,及びこれを実現した微細粒子計数装置に関し,さらに詳細には,多数のサンプルを短時間に観察することができ,試料チップが大きくなることにより,製造過程で反りが発生しても,これを補正して正確な微細粒子の計数が可能な,多チャネル試料チップを用いた微細粒子計数方法,及びこれを実現した微細粒子計数装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エイズ,白血病,貧血などの疾患を有する患者に対して,これらの疾患を診断し,その進行経過をモニタリングし,治療効果を把握するためには,これらの患者の血液中の,当該疾患に関連する白血球又は赤血球の個体数を計数し,その分布を把握する必要がある。
【0003】
特に,これらの疾患を診断するための血液検査だけでなく,前記疾患を保有していると判断された患者をモニタリングするための血液検査がさらに多く行われている。
【0004】
以前は,ほとんどの病院で臨床病理技術士が直接手作業で血液中の白血球又は赤血球細胞を計数していたが,臨床病理技術士が直接手作業で計数したため,検査結果に多くの誤差が発生し,検査に長時間を要した。
【0005】
本出願人は,かかる問題点を解決するために,自動的かつ迅速に細胞などの微細粒子を計数することができる微細粒子計数装置を開発し,これを出願して韓国登録特許第10-0608498号として登録された。
【0006】
近年では,このような微細粒子計数装置の適用がヒトの疾患に対する診断や治療に限られるのではなく,牛から抽出した牛乳原液の検査などへとその適用分野を広げており,それにより,多量,多種のサンプルを迅速かつ正確に検査して計数することが可能な装置の必要性が高まっている。
【0007】
ところが,多数のサンプルを短時間内に観察するために製造された多チャネルを有する試料チップの場合は,その大きさが大きくなるので,製造過程で全体的に平坦に保たれずに反りが発生してしまう。
【0008】
このように多数のチャネルを有するチップに発生する反りのため,チャネルごとに高さが一定にならず,それぞれのチャネルに対するフォーカシング値,すなわち焦点値を得てイメージを取得するのに多くの時間がかかるという問題点がある。
【0009】
そして,各チャネルに注入されたサンプルの量が10μl程度と少量であるため,イメージを速やかに取得して計数しなければ,サンプルが乾燥してしまい,それによる測定誤差が発生するという問題点がある。
【0010】
したがって,かかる問題点を解決することにより,多数のサンプルを短時間内に観察することができ,試料チップが大きくなることにより,製造過程で反りが発生しても,これを補正して正確な微細粒子の計数を行うことができる,多チャネル試料チップを用いた微細粒子計数方法,及びこれを実現した微細粒子計数装置の必要性が台頭している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の実施形態は,多数のサンプルを短時間内に観察することができるとともに,試料チップが大きくなることにより製造過程で反りが発生しても,これを補正して正確な微細粒子の計数を可能にしようとするものである。
【0012】
また,本発明の実施形態は,多数のチャネルを有するチップに発生する反りのためにチャネルごとに焦点距離が一定にならず,それによりそれぞれのチャネルに対する焦点値を得てイメージの取得に多くの時間がかかるという問題点を解決しようと意図するものである。
【0013】
さらに,本発明の実施形態は,チャネルに注入されるサンプルの量が少量であるため,イメージを速やかに取得して計数しなければ,サンプルが乾燥してしまい,それによる測定誤差が発生するという問題点を防止しようと意図するものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一態様によれば,複数のチャネル及び焦点マーク(focusing mark)を有する試料チップ上の各チャネルに収容された試料中の微細粒子を計数する方法において,前記複数の焦点マークのうち,特定の焦点マークに対する焦点値と,前記特定の焦点マークに隣接するチャネルの焦点値との差を計算して反り補正値を求めるステップと,前記複数の焦点マークに対するそれぞれの焦点値を測定するステップと,前記各チャネル間を順次移動しながら,隣接する焦点マークの焦点値に前記反り補正値を代入して求められた焦点値を介してイメージを取得するステップと,前記取得されたイメージを介して,各チャネルに収容された試料中の微細粒子を計数するステップと,を含む,多チャネル試料チップを用いた微細粒子計数方法が提供される。
【0015】
前記焦点マークの個数は,前記チャネルの個数より少なくてもよい。
【0016】
前記焦点マークは,多数の突起が群集している形状をしてもよい。
【0017】
前記焦点マークは,グリッド形状をしてもよい。
【0018】
前記グリッド形状の焦点マークの格子模様を用いて単位ピクセル当たりの距離を求め,該距離をイメージ解像度に代入して面積を求め,該面積を隣接のチャネルイメージの面積に適用してもよい。
【0019】
前記反り補正値を求めるステップは,前記特定の焦点マークに対する焦点値を自動焦点調節によって求め,前記特定の焦点マークに隣接するチャネルの焦点値を手動焦点調節又は自動焦点調節によって求めるように構成されてもよい。
【0020】
前記複数の焦点マークに対するそれぞれの焦点値を測定するステップは,自動焦点調節によって焦点値を求めるように構成されてもよい。
【0021】
本発明の他の態様によれば,微細粒子を含む試料を収容する複数のチャネルを有する試料チップと,前記試料チップが載置されるステージと,前記ステージに載置された試料チップ上のチャネルへ光を照射する光源部と,前記光が通過したチャネルに収容された試料の像を拡大するための対物レンズ部と,前記対物レンズ部によって拡大された像に関するイメージを取得するイメージセンサ部と,前記取得したイメージを介して,各チャネルに収容された試料中の微細粒子を計数する微細粒子計数部と,前記ステージを移動させるステージ移動部と,を含み,前記試料チップは,前記各チャネルの反り高さ偏差を補正するフォーカシング情報を求めるための複数の焦点マークと,をさらに含むことを特徴とする,多チャネル試料チップを用いた微細粒子計数装置が提供される。
【0022】
前記各チャネルの反り高さ偏差を補正することは,複数の焦点マークのうち,特定の焦点マークに対する焦点値と,前記特定の焦点マークに隣接するチャネルの焦点値との差を計算して求められた反り補正値を各焦点マークの焦点値に代入することにより行われてもよい。
【0023】
前記焦点マークの個数は,前記チャネルの個数より少なくてもよい。
【0024】
前記焦点マークは,多数の突起が群集している形状をしてもよい。
【0025】
前記焦点マークは,グリッド形状をしてもよい。
【0026】
本発明の別の態様によれば,複数のチャネル及び焦点マークを有する試料チップ上の各チャネルに収容された試料中の微細粒子を計数する方法であって,前記複数の焦点マークに対するそれぞれの焦点値を測定するステップと,前記複数の焦点マークのうち,特定の焦点マークに対するそれぞれの焦点値と前記特定の焦点マークに隣接するチャネルの焦点値との差を計算して反り補正値を求めるステップと,前記各チャネル間を順次移動しながら,隣接する焦点マークの焦点値に前記反り補正値を代入して求められた焦点値を介してイメージを取得するステップと,前記取得したイメージを介して,各チャネルに収容された試料中の微細粒子を計数するステップと,を含む,多チャネル試料チップを用いた微細粒子計数方法が提供される。
【0027】
前記複数の焦点マークの焦点値は,全体焦点マークのうち,一部の焦点マークの焦点値を測定し,これを用いて前記試料チップ全体の反り程度をトポロジマッピング(topology mapping)して残りの焦点マークの焦点値を求めるように構成されてもよい。
【0028】
前記グリッド(grid)形状の焦点マークは,陽刻されていてもよい。
【0029】
前記反り補正値を求めるステップ,焦点マークに対する焦点値を測定するステップ,及びイメージを取得するステップは,前記試料チップを分割して形成されるグループごとに繰り返し行われてもよい。
【0030】
同じ反り補正値を適用するグループが予め指定されてもよい。
【発明の効果】
【0031】
本発明の実施形態は,多数のサンプルを短時間内に観察することができるとともに,試料チップが大きくなることにより製造過程で反りが発生しても,それを補正して正確な微細粒子の計数を可能にしたものであってもよい。
【0032】
また,本発明の実施形態は,多数のチャネルを有するチップに発生する反りのためチャネルごとに焦点距離が一定にならず,それによりそれぞれのチャネルに対する焦点値を得てイメージの取得に多くの時間がかかるという問題点を解決することができる。
【0033】
また,本発明の実施形態は,チャネルに注入されるサンプルの量が少量であるため,イメージを速やかに取得して計数しなければサンプルが乾燥してしまい,それによる測定誤差が発生するという問題点を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明の一実施形態による多チャネル試料チップを用いた微細粒子計数装置の試料チップを示す平面図である。
図2】本発明の一実施形態による多チャネル試料チップを用いた微細粒子計数装置の試料チップの焦点マークが備えられる例を示す平面構成図である。
図3】本発明の一実施形態による多チャネル試料チップを用いた微細粒子計数装置の試料チップにおける特定の焦点マークの焦点値とそれに隣接するチャネルの焦点値との差によって反り補正値を求める例を示すイメージである。
図4】本発明の一実施形態による多チャネル試料チップを用いた微細粒子計数装置の試料チップのF01チャネル観察の際に,隣接する焦点マークの焦点値に反り補正値を代入した焦点値で撮影したイメージと,自動焦点調節によって撮影したイメージとを比較して示す比較イメージである。
図5】本発明の一実施形態による多チャネル試料チップを用いた微細粒子計数装置の試料チップのF08チャネル観察の際に,隣接する焦点マークの焦点値に反り補正値を代入した焦点値で撮影したイメージと,自動焦点調節によって撮影したイメージとを比較して示す比較イメージである。
図6】200μmの間隔で構成された格子模様のグリッドチップの一定領域をイメージとして取得した後,ピクセル単位の平均距離を求めてピクセル当たりのμm値を計算し,全イメージ解像度に代入して面積を求める例を示す構成イメージである。
図7図6で説明した面積を求める方法を適用してA01チャネル付近の焦点マークを用いてイメージ解像度による面積を求めた例を示すイメージである。
図8図6で説明した面積を求める方法を適用してF01チャネル付近の焦点マークを用いてイメージ解像度による面積を求めた例を示すイメージである。
図9】本発明の一実施形態による多チャネル試料チップを用いた微細粒子計数装置の試料チップの焦点マークがグリッドからなる例を示す平面構成図である。
図10】本発明の一実施形態による多チャネル試料チップを用いた微細粒子計数装置の多チャネル試料チップのチャネルイメージを取得する手順の例示を示す平面構成図である。
図11】本発明の一実施形態による多チャネル試料チップを用いた微細粒子計数装置を一側から見た部分拡大斜視図である。
図12】本発明の一実施形態による多チャネル試料チップを用いた微細粒子計数装置を一側から見た斜視図である。
図13】本発明の一実施形態による多チャネル試料チップを用いた微細粒子計数装置を他の側面から見た斜視図である。
図14】本発明の一実施形態による多チャネル試料チップを用いた微細粒子計数装置のZ軸移動部とZ軸駆動部を示す部分拡大斜視図である。
図15】本発明の一実施形態による多チャネル試料チップを用いた微細粒子計数装置の上部構成を示す部分拡大斜視図である。
図16】本発明の一実施形態による多チャネル試料チップを用いた微細粒子計数装置の光学系を示す部分拡大斜視図である。
図17】本発明の一実施形態による多チャネル試料チップを用いた微細粒子計数装置の下部構成を示す部分拡大斜視図である。
図18】本発明の一実施形態による多チャネル試料チップを用いた微細粒子計数装置の試料チップにおける一部の焦点マークの座標値及び焦点値を用いてトポロジマッピングする原理を示す概念図である。
図19】本発明の一実施形態による多チャネル試料チップを用いた微細粒子計数装置の試料チップにおける,各チャネル位置に対応する焦点マークの焦点値をトポロジマッピングによって求めた例示を示す表である。
図20】本発明の他の実施形態による多チャネル試料チップを用いた微細粒子計数装置の試料チップを示す平面図である。
図21図20の試料チップの下板に適用された焦点マークを示す配置図及び実際撮影イメージである。
図22】本発明の一実施形態による多チャネル試料チップを用いた微細粒子計数装置の試料チップをグループに分割した場合を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下,添付図面を参照しながら,本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。ところが,本発明は,ここで説明される実施形態に限定されず,他の形態で具体化されてもよい。むしろ,ここで紹介される実施形態は,開示された内容が徹底かつ完全たるものとなるように,かつ当業者に本発明の思想が十分に伝達されるようにするために提供されるものである。明細書全体にわたり,同じ参照番号は,同じ構成要素を示す。
【0036】
図1は,本発明の一実施形態による多チャネル試料チップを用いた微細粒子計数装置の試料チップを示す平面図であり,図2は,本発明の一実施形態による多チャネル試料チップを用いた微細粒子計数装置の試料チップの焦点マークが備えられる例を示す平面構成図であり,図3は,本発明の一実施形態による多チャネル試料チップを用いた微細粒子計数装置の試料チップにおける特定の焦点マークの焦点値とそれに隣接するチャネルの焦点値との差によって反り補正値を求める例を示すイメージであり,図4は,本発明の一実施形態による多チャネル試料チップを用いた微細粒子計数装置の試料チップのF01チャネル観察の際に,隣接する焦点マークの焦点値に反り補正値を代入した焦点値で撮影したイメージと,自動焦点調節によって撮影したイメージとを比較して示す比較イメージであり,図5は,本発明の一実施形態による多チャネル試料チップを用いた微細粒子計数装置の試料チップのF08チャネル観察の際に,隣接する焦点マークの焦点値に反り補正値を代入した焦点値で撮影したイメージと,自動焦点調節によって撮影したイメージとを比較して示す比較イメージであり,図6は,200μmの間隔で構成された格子模様のグリッドチップの一定領域をイメージとして取得した後,ピクセル単位の平均距離を求めてピクセル当たりのμm値を計算し,全イメージ解像度に代入して面積を求める例を示す構成イメージであり,図7は,図6で説明した面積を求める方法を適用してA01チャネル付近の焦点マークを用いてイメージ解像度による面積を求めた例を示すイメージであり,図8は,図6で説明した面積を求める方法を適用してF01チャネル付近の焦点マークを用いてイメージ解像度による面積を求めた例を示すイメージであり,図9は,本発明の一実施形態による多チャネル試料チップを用いた微細粒子計数装置の試料チップの焦点マークがグリッドからなる例を示す平面構成図であり,図10は,本発明の一実施形態による多チャネル試料チップを用いた微細粒子計数装置の多チャネル試料チップのチャネルイメージを取得する手順の例示を示す平面構成図である。
【0037】
図1乃至図10を参照すると,本発明の一実施形態による多チャネル試料チップを用いた微細粒子計数方法は,複数のチャネル110及び焦点マーク120を有する試料チップ100上の各チャネル110に収容された試料中の微細粒子を計数する方法であって,前記複数の焦点マーク120のうち,特定の焦点マーク120に対する焦点値と,前記特定の焦点マーク120に隣接するチャネル110の焦点値との差を計算して反り補正値を求めるステップと,前記複数の焦点マーク120に対するそれぞれの焦点値を測定するステップと,前記各チャネル110間を順次移動しながら,隣接する焦点マーク120の焦点値に前記反り補正値を代入して求められた焦点値を介してイメージを取得するステップと,前記取得されたイメージを介して,各チャネル110に収容された試料中の微細粒子を計数するステップと,を含んで構成できる。
【0038】
前記試料チップ100は,図1に示すように,複数のチャネル110が備えられて多チャネルで構成できる。本実施形態において,チャネル110の個数は48個で構成されているが,これに限定されず,必要に応じて様々な個数に変形実施できる。
【0039】
前記試料チップ100は,上板と下板とが接合されて構成できるが,前記チャネル110は,このような上板と下板との間に一定の高さの空間を形成するように構成されてもよい。前記チャネル110の高さを,好ましくは10~100μmにすることにより,試料に含まれている微細粒子が浮遊せず,静止した状態で観察できるようにする。
【0040】
前記チャネル110の一側には,試料を投入する試料投入口112が設けられ,前記チャネルの他側には,チャネル110内部の空気と過剰の試料を排出することができるように試料排出口114が設けられてもよい。
【0041】
一方,前記試料チップ100は,前記各チャネル110の反り高さ偏差を補正するフォーカシング情報を求めるための複数の焦点マーク120を備えることができる。図2に示すように,前記焦点マーク120は,各チャネル110の近接位置に多数設けられてもよい。
【0042】
前記焦点マーク120は,図3の上側イメージのように,多数の突起が群集している形状であって,全体的に見て円形の形状をしてもよい。あるいは,図3の中間イメージのように,前記焦点マーク120がグリッド(grid)形状をしてもよい。この他にも,前記焦点マーク120は,様々な形状に変形実施できる。
【0043】
本実施形態において,前記焦点マーク120は,上板と下板のうち,下板に位置する。前記焦点マーク120は,前記試料チップ100の反り程度を確認するための用途であって,前記焦点マーク120を介して予め各チャネル110の反り高さ偏差を補正するフォーカシング情報を予めプロファイリングすることにより,試料チップ100の高さ偏差に関するトポロジ(topology)を作成することができる。すなわち,試料チップ100全体の反り情報を予めプロファイリングして記憶するのである。
【0044】
具体的には,本発明の一実施形態による多チャネル試料チップを用いた微細粒子計数方法は,まず,前記複数の焦点マーク120のうち,特定の焦点マーク120に対する焦点値と,該特定焦点マーク120に隣接するチャネル110の焦点値との差を計算して,反り補正値を求める。
【0045】
図3に示すように,特定の焦点マーク120の焦点値は175μmであり(焦点マークが突起形状の場合とグリッド形状の場合の両方ともを仮定して撮影する),これに近接しているチャネル110の焦点値は240μmであったため,反り補正値は,その差である65μmと求められる。この反り補正値を決定するための特定の焦点マーク120とそれに隣接するチャネル110は,予めその基準位置が指定されてもよい。
【0046】
前記反り補正値を求めるステップで,前記特定の焦点マーク120に対する焦点値は,自動焦点調節によって求め,前記特定の焦点マーク120に隣接するチャネル110の焦点値は,手動焦点調節又は自動焦点調節によって求められるが,これに限定されない。
【0047】
次に,前記複数の焦点マーク120に対するそれぞれの焦点値を測定する。このとき,前記複数の焦点マーク120に対するそれぞれの焦点値の測定は,自動焦点調節によって行われることができる。
【0048】
前記焦点マーク120は,前記チャネル110の個数より少なく備えられるので,焦点マーク120に対する焦点値測定をオートフォーカシングで行うとしても,各チャネル110全てをオートフォーカシングで進行する場合よりも時間が短縮できる。図2に示すように,前記焦点マーク120は,42個が備えられ,48個のチャネル110の個数よりも少ないことを確認することができる。さらに,図9の他の実施形態に示すように,前記焦点マークは,36個が備えられ,48個のチャネル110の個数よりも少ないことを確認することができる。
【0049】
結局,前記焦点マーク120の焦点値は,近接しているチャネル110の焦点値を代弁すると仮定するものであって,焦点マーク120の個数や位置などは,必要に応じて変形実施できる。
【0050】
このように構成することにより,複数のチャネル110に対して短時間にイメージの取得及び微細粒子の計数が可能であるので,ハイスループット(High-throughput)の微細粒子計数方式を実現することができる。
【0051】
本実施形態では,前記反り補正値を求めた後,前記各焦点マーク120の焦点値を測定するが,ステップの手順を変えて行うことも可能である。すなわち,前記各焦点マーク120の焦点値を求めた後,前記反り補正値を求める順に行うことができる。
【0052】
その後,前記各チャネル110間を順次移動しながら,チャネル110ごとにイメージを取得する。チャネル110別の移動順序は,例えば図10に示すようであるが,これに限定されず,各隣接のチャネル110へ効率よく移動することができる順序であれば,いくらでも変形実施できる。
【0053】
このとき,各チャネル110における焦点距離調節は,前段階で予め取得した隣接の焦点マーク120の焦点値に前記反り補正値を代入して求められた焦点値を適用することにより,速やかにイメージの取得が可能である。
【0054】
図4及び図5は,図1に示すF01,F08チャネル110のイメージを取得する際に,各隣接の焦点マーク120の焦点値に図3で求めた反り補正値を代入した焦点値でイメージを取得した場合を例示として示すものである。すなわち,反り補正値を適用した場合が中間にあるイメージであり,一番右側にあるイメージは,同じチャネル110に対してオートフォーカスによって取得したイメージである。
【0055】
図4の場合,焦点マーク120の焦点値に反り補正値を代入した場合の焦点値が325μmであり,オートフォーカスを介して撮影した焦点値が315μmであって,2つの焦点値の間に非常に微細な差があるだけであり,両イメージとも,微細粒子を計数する上で差がないほどに類似した鮮明度を示すことを確認することができる。同様に,図5からも,焦点値の差は10μm内外に過ぎず,鮮明度においても差がないことを確認することができる。
【0056】
このように,本発明による微細粒子計数方法は,各チャネル110全てを自動焦点調節によって求める場合とほぼ同様の鮮明度のイメージを取得することができながらも,焦点距離の適用を迅速に行うことにより,速やかなイメージの取得が可能である。
【0057】
その後は,前記取得したイメージを介して,各チャネルに収容された試料中の微細粒子を計数する。そして,究極的に計数された微細粒子の個数及び観察された試料の体積の計算によって微細粒子の濃度まで求めることができる。
【0058】
グリッド形状の焦点マーク120を適用した場合,取得したイメージに対する体積は,次の方式で計算することができる。
【0059】
まず,図6に示すように,グリッド形状の焦点マーク120において,各格子模様は,例えば200μmの間隔で構成できる。このような焦点マーク120の一定領域をイメージとして取得し,取得されたイメージにおける1つの格子のピクセル単位の距離を計算した後,これを用いて1ピクセル当たり何μmであるかを求める。
【0060】
図6では,108ピクセルが200μmであるので,単位画素当たりの距離は1.85μm/pixelであることを確認することができる。これを,イメージの解像度(Resolution)である1280×1024に代入して総面積を求めることができる。
【0061】
すなわち,横は1280×1.85=2368μmであり,縦は1024×1.85=1894μmである。そして,これによって面積を求めると,2368μm×1894μm=4.484mm2であり,ここに設計チャネル110の高さを掛けると,観察されたチャネル110イメージの体積を求めることができる。もちろん,このような面積及び体積の計算と微細粒子の計数は,システム上で自動的に行われる。
【0062】
上述した試料チップ100の反りによって同じ解像度のイメージでも焦点距離が異なることにより,単位ピクセル当たりの距離が異なるため,面積が異なることがある。ところが,上述のようにグリッド形状の焦点マーク120を介して面積値を補正し,これを隣接のチャネル110に適用すれば,体積計算における誤差を最小化することができる。
【0063】
図7及び図8は,グリッド形状の焦点マーク120に対してそれぞれの焦点値を求めるとき,補正された面積まで求める例を示す。例えば,図7では,A01チャネル110に隣接する焦点マーク120を介して単位ピクセル当たりの距離を求めた結果,1.8466μm/pixelであった。これを解像度(1280×1024)に代入した結果,面積が4.4695mm2であることを確認することができる。この面積値を当該焦点マーク120に隣接するA01チャネル110等に適用して体積及び濃度の計算を行う。
【0064】
また,図8は,F01チャネル110に隣接する焦点マーク120を介して同一に補正された面積値を求めたものであって,単位ピクセル当たりの距離は1.8472μm/pixelであり,面積値は4.4722mm2であることを確認することができる。やはり,この面積値は,当該焦点マーク120に隣接するF01チャネル110などに適用して体積及び濃度の計算を行う。
【0065】
このようにグリッド形状の焦点マーク120を用いる場合,速やかに焦点値を適用したイメージ撮影が可能であるだけでなく,面積誤差まで補正することができるという利点がある。
【0066】
結論として,上述した計数方法によって,多チャネル試料チップ100に対する速やかなイメージの取得,微細粒子の計数,及び正確な体積の計算による濃度計算が可能である。以下では,前述した微細粒子計数方法を実現した微細粒子計数装置について詳細に説明する。
【0067】
図11は,本発明の一実施形態による多チャネル試料チップを用いた微細粒子計数装置を一側から見た部分拡大斜視図,図12は,本発明の一実施形態による多チャネル試料チップを用いた微細粒子計数装置を一側から見た斜視図,図13は,本発明の一実施形態による多チャネル試料チップを用いた微細粒子計数装置を他の側面から見た斜視図,図14は,本発明の一実施形態による多チャネル試料チップを用いた微細粒子計数装置のZ軸移動部とZ軸駆動部を示す部分拡大斜視図,図15は,本発明の一実施形態による多チャネル試料チップを用いた微細粒子計数装置の上部構成を示す部分拡大斜視図,図16は,本発明の一実施形態による多チャネル試料チップを用いた微細粒子計数装置の光学系を示す部分拡大斜視図,図17は,本発明の一実施形態による多チャネル試料チップを用いた微細粒子計数装置の下部構成を示す部分拡大斜視図である。
【0068】
図1図17を参照すると,本発明の一実施形態による多チャネル試料チップを用いた微細粒子計数装置200は,大きく,微細粒子を含む試料を収容する複数のチャネル110を備える試料チップ100と,前記試料チップ100が載置されるステージ210と,前記ステージ210に載置された試料チップ100上のチャネルに光を照射する光源部220と,前記光が通過したチャネルに収容された試料の像を拡大するための対物レンズ部260と,前記対物レンズ部260によって拡大された像に関するイメージを取得するイメージセンサ部270と,前記取得したイメージを介して,各チャネル110に収容された試料中の微細粒子を計数する微細粒子計数部と,前記ステージを移動させるステージ移動部と,を含んでなることができる。
【0069】
前記微細粒子計数装置200には,前述した構造の多チャネル試料チップ100が適用される。前述したように,各チャネル110の反り高さ偏差の補正は,前記複数の焦点マーク120のうち,特定の焦点マーク120に対する焦点値と,前記特定の焦点マーク120に隣接するチャネル110の焦点値との差を計算して求められた反り補正値を,各焦点マーク120の焦点値に代入することで行われることは,以前と同様である。
【0070】
前記試料チップ100は,その形状と対応するように実現されたステージ210に載置できる。前記ステージ210は,前記試料チップ100が載置された後に試料チップ100を覆うことが可能なステージカバー212を備えることができる。前記ステージカバー212は,前記チャネル110及び焦点マーク120が見えるように中空が形成されている形状を有することができる。
【0071】
前記ステージ210の上部には光源部220が備えられてもよい。前記光源部220は,光源支持部222によって支持された状態でステージ210の上部に位置し,前記ステージ210に載置された試料チップ100上のチャネルに光を照射する役割を果たすことができる。
【0072】
前記光源部220としては,計数しようとする粒子の特性に応じて,LED,レーザー,ハロゲンランプ,キセノンランプ,マーキュリーランプなどの様々な光源が選択されて適用できる。例えば,赤血球を計数する場合には,紫外線-可視光線を発するランプ又はLEDを光源部220として用いることが好ましい。細胞核が含まれている白血球又は体細胞を計数しようとする場合には,レーザーを光源部220として用いることが好ましい。
【0073】
図示してはいないが,前記光源部220から発した光の量と焦点距離を調節して試料チップ100上に照射させる入射光調節レンズを前記光源部220の前面にさらに含むことも可能である。
【0074】
一方,前記ステージ210の下部には,対物レンズ部260が備えられてもよい。前記対物レンズ部260は,前記光が通過したチャネルに収容された試料の像を拡大する役割を果たすことができる。前記対物レンズ部260は,任意の倍率のレンズを必要に応じて選択して使用することができる。前記試料チップ100上のチャネル110における粒子の分布を全体的に把握するためには,低倍率で観察することが好ましく,本実施形態では4倍の対物レンズが適用された。
【0075】
前記対物レンズ部260の下側には,イメージセンサ部270が備えられる。前記対物レンズ部260によって拡大された像を,イメージセンサ部270を介してイメージとして取得することができる。イメージセンサ部270には,CCD(Charge Coupled Device)又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの様々な方式のイメージセンサが適用できる。
【0076】
前記光源部220,対物レンズ部260及びイメージセンサ部270は,Z軸上に一列に配列されて光学系をなす。
【0077】
前記微細粒子計数部(図示せず)は,前記イメージセンサ部270で取得したイメージを介して,各チャネル110に収容された試料中の微細粒子を計数する。前記微細粒子計数部は,ソフトウェアとして実現できるが,微細粒子計数装置200と無線又は有線で接続されたPCやサーバ又は移動端末などにプログラムやアプリとしてインストールされるか,或いは微細粒子計数装置200内のマイコンにオンチップ(on-chip)方式で組み込まれることも可能である。
【0078】
一方,前記ステージ210を移動させるステージ移動部が備えられてもよい。前記ステージ移動部は,前記ステージ210を3軸方向に正確に移動させることができるように実現される。
【0079】
まず,前記ステージ移動部は,X軸移動部232とX軸駆動部230とを含む。前記X軸駆動部230は,モータとエンコーダを備え,前記ステージ210に連結されたX軸移動部232が,ステージ210をX軸方向に精密に調節して移動させることができる駆動力を提供する。
【0080】
同様に,前記ステージ移動部は,Y軸移動部242とY軸駆動部240とを含む。前記Y軸駆動部240は,モータとエンコーダを備え,前記ステージ210に連結されたY軸移動部242がステージ210をY軸方向に精密に調節して移動させることができる駆動力を提供する。
【0081】
前記X軸移動部232とY軸移動部242を介して前記ステージ210がX-Y平面内で移動可能であり,それにより試料チップ100上の各チャネル110と焦点マーク120が前述の光学系に対応するように移動することができる。また,これにより,各チャネル110間を順次移動するか,或いは各焦点マーク120に順次移動することも可能である。
【0082】
そして,前記ステージ移動部は,Z軸移動部252とZ軸駆動部250と,を含む。前記Z軸駆動部250は,やはりモータとエンコーダを備え,前記ステージ210に連結されたZ軸移動部252がステージ210をZ軸方向に精密に調節して移動させることができる駆動力を提供する。前記Z軸移動部252がステージをZ軸方向に移動させることにより,焦点距離の調節が可能である。
【0083】
前記微細粒子計数装置200の下部には,電源印加部282,通信部284及びモータ制御部286が備えられてもよい。前記電源印加部282は,装置全体に電源を供給する役割を果たし,前記通信部284は,無線又は有線方式を介して外部のPC,サーバ又は移動端末とデータ又は制御命令を送受信する役割を果たし,前記モータ制御部286は,前記ステージ移動部に設置されたモータを制御する役割を果たす。
【0084】
図18は,本発明の一実施形態による多チャネル試料チップを用いた微細粒子計数装置の試料チップにおける一部の焦点マークの座標値及び焦点値を用いてトポロジマッピングする原理を示す概念図であり,図19は,本発明の一実施形態による多チャネル試料チップを用いた微細粒子計数装置の試料チップにおける,各チャネル位置に対応する焦点マークの焦点値をトポロジマッピングによって求めた例示を示す表であり,図20は,本発明の他の実施形態による多チャネル試料チップを用いた微細粒子計数装置の試料チップを示す平面図であり,図21は,図20の試料チップの下板に適用された焦点マークを示す配置図及び実際撮影イメージであり,図22は,本発明の一実施形態による多チャネル試料チップを用いた微細粒子計数装置の試料チップをグループに分割した場合を示す平面図である。
【0085】
図18図22を参照すると,前記複数の焦点マーク120の焦点値は,全焦点マーク120のうち,一部の焦点マーク120の焦点値を測定し,これを用いて前記試料チップ100全体の反り程度をトポロジマッピング(topology mapping)して,残りの焦点マーク120の焦点値を求めるように構成できる。
【0086】
例えば,図18に示すように,AとFの焦点値を測定して知る場合,AとFとの間の任意の点Dでの焦点値を計算して求めることができる。そして,同様の方式で,B,C及びEでの焦点値も求めることができる。このような方式によって一部の焦点マーク120の座標値を用いて,前記試料チップ100全体の反り程度をトポロジマッピング(topology mapping)することにより,残りの焦点マーク120の焦点値を求めることができる。
【0087】
その具体例は,図19に焦点マーク120の焦点値を計算して求めたトポロジマップを表として示した。まず,基準となる焦点マーク焦点値A01,A08,F01,F08を求め,残りの焦点マーク120の焦点値を求める。
【0088】
例示1:A01とF01の高さ差を用いてB01~E01を計算する。
B01=A01+((F01-A01)/F(100000)×B(20000))
=1000+((2000-1000)/100000×20000)
=1200
例示2:A01とA08の高さ差を用いてA02~A07を計算する。
A02=A01+((A08-A01)/08(126000)×02(18000))
=1000+((2000-1000)/126000×18000)
=1143
【0089】
上述した方式で一部の焦点マーク120の座標及び焦点値を用いることにより,トポロジマッピングを介して残りの焦点マーク120の焦点値を求めることができる。
【0090】
上述したトポロジマッピングに関して,図18及び図19では,線形の反り様相のみを示したが,これに限定されない。例えば,焦点マークを測定する位置及び個数を適切に調節することにより,様々な形態のトポロジマッピングが可能であるため,様々な反り様相を予測して適用することができる。
【0091】
そして,これにより,全体焦点マーク120を測定しなくても,トポロジマッピング機能を適用して各チャネルのイメージをより迅速かつ正確に撮影することができる。
【0092】
一方,上述したように,前記焦点マーク120のパターンは,様々な形態に変形実施できる。
【0093】
図20及び図21に示すように,前記グリッド形状の焦点マーク120は,陽刻されていてもよい。以前の実施形態で提示したグリッドパターンが陰刻で形成される場合,不透明に認識されて焦点値の測定が難しいことがあるが,これを補完するために,陽刻のグリッド形状に適用することができる。さらに好ましくは,図21の実際撮影イメージから分かるように,陽刻の黒い四角形に形成することにより,視認性をさらに向上させることができる。
【0094】
一方,図22に示すように,前記反り補正値を求めるステップ,焦点マーク120に対する焦点値を測定するステップ,及びイメージを取得するステップは,前記試料チップ100を分割して形成されるグループごとに繰り返すように構成することができる。
【0095】
次に,前述した方式を図22に基づいて順に説明する。
【0096】
(1)A01チャネル110の焦点値を手動焦点調節によって測定する。
(2)グループ1の焦点マーク120の焦点値を自動焦点調節によって測定する。
(3)(1)と(2)の値から反り補正値を求める。
(4)グループ1の反り補正値を適用して,補正された焦点値を介してA01,A02イメージを順次取得する。
(5)グループ2の焦点マーク焦点値を求め,(3)の反り補正値を適用してA03,A04のイメージを順次取得する。
(6)グループ3の焦点マーク焦点値を求め,(3)の反り補正値を適用してA05,A06のイメージを順次取得する。
【0097】
このとき,(4),(5),(6)でのように同一の反り補正値を適用するグループが予め指定できる。そして,試料チップ100内で互いに異なるサンプルを測定する場合,その測定位置の属したグループで反り補正値を新たに測定し,これにより補正した値に焦点調節してイメージを取得し,このときも同じ反り補正値を適用するグループが予め指定される。
【0098】
これまでに説明した本発明の実施形態による多チャネル試料チップを用いた微細粒子計数方法,及びこれを実現した微細粒子計数装置によれば,多数のサンプルを短時間内に観察することができるとともに,試料チップが大きくなることにより製造過程で反りが発生しても,これを補正して正確な微細粒子の計数を可能にすることができる。
【0099】
そして,多数のチャネルを有するチップに発生する反りのためチャネルごとに焦点距離が一定にならず,それによりそれぞれのチャネルに対する焦点値を得てイメージを取得するのに多くの時間がかかるという問題点を解決することができる。
【0100】
さらに,チャネルに注入されるサンプルの量が少量であるためイメージを速やかに取得して計数しなければ試料が乾燥してしまい,それによる測定誤差が発生するという問題点を防止することができる。
【0101】
以上では,本発明の一実施形態を参照して説明したが,当該技術分野における当業者は,以下に述べる特許請求の範囲に記載された本発明の思想及び領域から逸脱することなく,本発明を様々に修正及び変更実施することができるだろう。よって,変形実施が基本的に本発明の特許請求の範囲の構成要素を含むならば,いずれも本発明の技術的範囲に含まれると理解すべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
【国際調査報告】