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特表2024-502427巻回式電極組立体、電池セル、電池および受電機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-19
(54)【発明の名称】巻回式電極組立体、電池セル、電池および受電機器
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0587 20100101AFI20240112BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20240112BHJP
   H01M 10/054 20100101ALI20240112BHJP
   H01M 6/16 20060101ALI20240112BHJP
   H01M 50/538 20210101ALI20240112BHJP
   H01M 50/533 20210101ALI20240112BHJP
   H01M 10/654 20140101ALI20240112BHJP
【FI】
H01M10/0587
H01M10/052
H01M10/054
H01M6/16 D
H01M50/538
H01M50/533
H01M10/654
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023540142
(86)(22)【出願日】2021-07-30
(85)【翻訳文提出日】2023-06-29
(86)【国際出願番号】 CN2021109909
(87)【国際公開番号】W WO2023004823
(87)【国際公開日】2023-02-02
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】100106220
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 正悟
(72)【発明者】
【氏名】喩 鴻鋼
(72)【発明者】
【氏名】上官 会会
(72)【発明者】
【氏名】杜 ▲シィン▼▲シィン▼
(72)【発明者】
【氏名】唐 代春
【テーマコード(参考)】
5H024
5H029
5H031
5H043
【Fターム(参考)】
5H024AA12
5H024CC12
5H024DD11
5H024HH13
5H029AJ02
5H029AK01
5H029AK03
5H029AL06
5H029AL11
5H029BJ14
5H029DJ05
5H029DJ12
5H029HJ04
5H029HJ07
5H031AA08
5H031HH08
5H031KK06
5H043AA04
5H043BA07
5H043BA17
5H043BA19
5H043CA12
5H043EA22
5H043EA33
5H043EA36
5H043LA02E
5H043LA11E
(57)【要約】
巻回式電極組立体(22)、電池セル(20)、電池(100)、受電機器、電池セルの製造方法および機器(2000)を提供し、電池の技術分野に関する。巻回式電極組立体(22)は、正極シート(223)を含む。正極シート(223)は、繋がった正極タブ(2231)の設けられない正極巻回開始セグメント(2232)と正極タブ(2231)の設けられた正極巻回延在セグメント(2233)とを含む。正極巻回開始セグメント(2232)は、少なくとも一周巻回される。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極シートを含み、
前記正極シートは、繋がった正極タブの設けられない正極巻回開始セグメントと前記正極タブの設けられた正極巻回延在セグメントとを含み、
前記正極巻回開始セグメントは、少なくとも一周巻回される、
巻回式電極組立体。
【請求項2】
前記正極巻回開始セグメントの長さは、前記正極シートの全長の5%~30%を占め、
選択可能に、前記正極巻回開始セグメントの長さは、前記正極シートの全長の10%~25%を占め、
選択可能に、前記正極巻回開始セグメントの長さは、前記正極シートの全長の15%~20%を占める、
請求項1に記載の巻回式電極組立体。
【請求項3】
前記正極巻回延在セグメントに正極タブが複数設けられ、正極巻回開始端から正極巻回終端まで、前記正極巻回延在セグメントの1番目の正極タブの面積は、前記正極巻回延在セグメントの残りの正極タブの面積よりも大きい、
請求項1に記載の巻回式電極組立体。
【請求項4】
前記正極巻回開始端から前記正極巻回終端まで、複数の前記正極タブの面積は、徐々に小さくなる、
請求項3に記載の巻回式電極組立体。
【請求項5】
負極シートをさらに含み、前記正極タブの面積は、前記負極シートの負極タブの面積よりも大きい、
請求項1から4のいずれか1項に記載の巻回式電極組立体。
【請求項6】
前記正極巻回延在セグメントは、正極巻回中間セグメントと正極巻回終了セグメントとを含み、前記正極巻回中間セグメントが前記正極巻回開始セグメントと前記正極巻回終了セグメントとの間に接続され、少なくとも一周巻回され、一周ずつの層ごとに前記正極巻回中間セグメントに一つの正極タブが設けられる、
請求項1から5のいずれか1項に記載の巻回式電極組立体。
【請求項7】
前記正極巻回延在セグメントは、正極巻回中間セグメントと正極巻回終了セグメントとを含み、前記正極巻回中間セグメントは前記正極巻回開始セグメントと前記正極巻回終了セグメントとの間に接続され、前記正極巻回終了セグメントは少なくとも一周巻回され、一周ずつ前記正極巻回終了セグメントに一つの正極タブが設けられ、または、前記正極巻回終了セグメントに前記正極タブが設けられない、
請求項1から6のいずれか1項に記載の巻回式電極組立体。
【請求項8】
負極シートをさらに含み、前記正極シートの正極タブの数は、前記負極シートの負極タブの数よりも少ない、
請求項1から7のいずれか1項に記載の巻回式電極組立体。
【請求項9】
前記正極巻回延在セグメントは、正極巻回中間セグメントと正極巻回終了セグメントとを含み、
前記巻回式電極組立体は、負極シートをさらに含み、前記負極シートは、前記正極巻回開始セグメントに対応して設けられた負極巻回開始セグメントと、前記正極巻回中間セグメントに対応して設けられた負極巻回中間セグメントと、前記正極巻回終了セグメントに対応して設けられた負極巻回終了セグメントとを含み、
前記負極巻回開始セグメントは、少なくとも一周巻回され、一周ずつの層ごとに前記負極巻回開始セグメントに一つの負極タブが設けられ、および/または、
前記負極巻回中間セグメントは、複数周巻回され、一周ずつ前記負極巻回中間セグメントに一つの負極タブが設けられ、および/または、
前記負極巻回終了セグメントは、少なくとも一周巻回され、一周ずつ前記負極巻回終了セグメントに一つの負極タブが設けられる、
請求項1から8のいずれか1項に記載の巻回式電極組立体。
【請求項10】
前記正極巻回開始セグメントは、放熱構造を有する、
請求項1から9のいずれか1項に記載の巻回式電極組立体。
【請求項11】
収容室を有するハウジングと、
前記収容室内に収容された請求項1~10のいずれか1項に記載の巻回式電極組立体と、を含む、
電池セル。
【請求項12】
ケースと、
前記ケース内に収容された請求項11に記載の電池セルと、を含む、
電池。
【請求項13】
請求項11に記載の電池セルを含む、
受電機器。
【請求項14】
繋がった正極タブの設けられない正極巻回開始セグメントと正極タブの設けられた正極巻回延在セグメントとを含む正極シートを提供することと、
前記正極シートを巻回して設けるとともに前記正極巻回開始セグメントを少なくとも一周巻回することと、を含む、
巻回式電極組立体の製造方法。
【請求項15】
繋がった正極タブの設けられない正極巻回開始セグメントと正極タブの設けられた正極巻回延在セグメントとを含む正極シートを提供するように配置される提供装置と、
前記正極シートを巻回するとともに、前記正極巻回開始セグメントを少なくとも一周巻回するように配置される組立装置と、を含む、
巻回式電極組立体の製造機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、電池の技術分野に関し、具体的には、巻回式電極組立体、電池セル、電池、受電機器、電池セルの製造方法および機器に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、スマートフォン、タブレットおよび電気自動車などの急速な発展により、リチウムイオン電池の応用も日々広がっているため、リチウムイオン電池に対するニーズが益々高まっている。
【0003】
人々は、電池の安全性能を重視すると同時に、リチウム電池に対してより良い電気性能のパフォーマンスを求めている。リチウム析出は、電池の電気性能と安全性能に影響を与える主な要素の一つであり、セルでリチウム析出が発生すると、電池の電気性能が低下するだけでなく、リチウム析出量の累積に伴いデンドライトが形成されやすくなり、デンドライトがセパレータを突き破って、電池内の短絡を引き起こし、安全上の懸念を招くおそれがある。
【0004】
したがって、電池のリチウム析出のリスクを如何にして効果的に回避または低減するかは、現在早急に解決すべき技術的課題となっている。
【発明概要】
【0005】
本願の実施例は、電極組立体でリチウム析出が起こるリスクを低減するように、巻回式電極組立体、電池セル、電池、受電機器、電池セルの製造方法および機器を提供する。
【0006】
第1態様により、本願の実施例は、正極シートを含む巻回式電極組立体を提供する。前記正極シートは、繋がった正極タブの設けられない正極巻回開始セグメントと前記正極タブの設けられた正極巻回延在セグメントとを含む。前記正極巻回開始セグメントは、少なくとも一周巻回される。
【0007】
上記技術的解決手段において、正極巻回開始セグメントに正極タブが設けられず、正極シートを巻回して電極組立体が形成された後で、正極巻回開始セグメントには、正極巻回開始セグメントの電流を直接導出するタブがなく、正極巻回開始セグメントに対応する内部抵抗が増大したことに相当し、充電中に、正極シートの内部抵抗が大きい部分の充電分極は、正極シートの内部抵抗が小さい部分よりも大きくなるので、満充電時に、正極シートの内部抵抗が小さい部分は、上限電圧に達し、正極タブの設けられない正極巻回開始セグメントは、実際に上限電圧に達しておらず、正極シートの内部抵抗が小さい部分に比べて、正極巻回開始セグメントの電圧を下げることに相当し、正極巻回開始セグメントからイオンの離脱する難易度を増大させることによって、正極巻回開始セグメントから離脱するイオンの数を減らし、電極組立体でリチウム析出が起こる可能性を低減する。
【0008】
本願の第1態様に係る幾つかの実施例において、前記正極巻回開始セグメントの長さは、前記正極シートの全長の5%~30%を占める。
【0009】
上記技術的解決手段において、正極巻回開始セグメントの長さは、正極シートの全長の5%~30%を占める。正極巻回開始セグメントの長さが全長の5%未満である場合には、正極巻回開始セグメントの内部抵抗の増大が目立たず、正極巻回開始セグメントに対応する電圧を著しく下げることができず、電極組立体の折り曲げ部でリチウム析出が起こる問題を著しく改善することができない。正極巻回開始セグメントの長さが、正極シートの全長の30%を超えると、正極シートの巻回方向に沿った1番目の正極タブの温度上昇が大きくなりすぎ、熱暴走などの他のリスクを引き起こしてしまう。
【0010】
本願の第1態様に係る幾つかの実施例において、前記正極巻回開始セグメントの長さは、前記正極シートの全長の10%~25%を占める。
【0011】
上記技術的解決手段において、正極巻回開始セグメントの長さが、正極シートの全長の10%~25%を占めることによって、電極組立体でリチウム析出が発生する問題を明らかに改善することができるだけでなく、正極シートの巻回方向に沿った1番目の正極タブの温度上昇が大きくなりすぎるリスクを低減することができる。
【0012】
本願の第1態様に係る幾つかの実施例において、前記正極巻回開始セグメントの長さは、前記正極シートの全長の15%~20%を占める。
【0013】
上記技術的解決手段において、正極巻回開始セグメントの長さが、正極シートの全長の15%~20%を占めることによって、電極組立体のリチウム析出が発生する問題を明らかに改善することができるだけでなく、正極シートの巻回方向に沿った1番目の正極タブの温度上昇が大きくなりすぎるリスクを低減することができる。
【0014】
本願の第1態様に係る幾つかの実施例において、前記正極巻回延在セグメントに正極タブが複数設けられ、正極巻回開始端から正極巻回終端まで、前記正極巻回延在セグメントの1番目の正極タブの面積は、前記正極巻回延在セグメントの残りの正極タブの面積よりも大きい。
【0015】
上記技術的解決手段において、正極巻回開始端から正極巻回終端まで、正極巻回延在セグメントの1番目の正極タブが、正極巻回開始セグメントによる温度上昇を受け、正極巻回延在セグメントの1番目の正極タブの面積が、正極巻回延在セグメントの残りの正極タブの面積よりも大きいことによって、正極巻回開始セグメントの温度上昇を効果的に降下させることができ、正極巻回開始セグメントと正極巻回延在セグメントとの温度上昇の一致性をできるだけ確保できる。
【0016】
本願の第1態様に係る幾つかの実施例において、前記正極巻回開始端から前記正極巻回終端まで、複数の前記正極タブの面積は、徐々に小さくなる。
【0017】
上記技術的解決手段において、正極巻回開始端から正極巻回終端まで、複数の正極タブが完全に重なることなく、正極タブの幅方向にずれを持たせるように複数の正極タブの面積が徐々に小さくなることによって、正極タブごとに露出した面積を持たせることで、正極タブでの放熱能力を向上させる。
【0018】
本願の第1態様に係る幾つかの実施例において、前記巻回式電極組立体は、負極シートをさらに含み、前記正極タブの面積は、前記負極シートの負極タブの面積よりも大きい。
【0019】
上記技術的解決手段において、正極巻回開始セグメントに正極タブが設けられず、正極シートの温度上昇が負極シートの温度上昇よりも大きく、正極シートの放熱能力が負極シートの放熱能力よりも小さいため、正極シートの正極タブの面積を負極シートの負極タブの面積よりも大きくすると、正極シートの温度上昇を効果的に降下させることができ、正極シートの放熱能力を効果的に向上させる。
【0020】
本願の第1態様に係る幾つかの実施例において、前記正極巻回延在セグメントは、正極巻回中間セグメントと正極巻回終了セグメントとを含み、前記正極巻回中間セグメントが前記正極巻回開始セグメントと前記正極巻回終了セグメントとの間に接続され、前記正極巻回中間セグメントが少なくとも一周巻回され、一周ずつの層ごとに前記正極巻回中間セグメントに一つの正極タブが設けられる。
【0021】
上記技術的解決手段において、一周ずつの層ごとに正極巻回中間セグメントに一つの正極タブを設けると、正極巻回開始セグメントと正極巻回中間セグメントとの内部抵抗の差を増大させることができ、これにより、正極巻回開始セグメントと正極巻回中間セグメントとの間の電圧差を大きくすることができ、さらに、正極巻回開始セグメントからイオンが離脱する難易度が増大し、さらに、正極巻回開始セグメントが折り曲げ部でリチウム析出が発生するリスクを低減できる。
【0022】
本願の第1態様に係る幾つかの実施例において、前記正極巻回延在セグメントは、正極巻回中間セグメントと正極巻回終了セグメントとを含み、前記正極巻回中間セグメントは前記正極巻回開始セグメントと前記正極巻回終了セグメントとの間に接続され、前記正極巻回終了セグメントは少なくとも一周巻回され、一周ずつ前記正極巻回終了セグメントに一つの正極タブが設けられ、または、前記正極巻回終了セグメントに前記正極タブが設けられない。
【0023】
上記技術的解決手段において、負極巻回終了セグメントと正極巻回終了セグメントの拘束力が小さいため、電極組立体が膨張、収縮を繰り返した後で、負極巻回終了セグメントと正極巻回終了セグメントとの間の距離が他の巻き層における距離に対して大きくなり、正極巻回終了セグメントのイオンが負極巻回終了セグメントに到達することができなくなって、リチウム析出しやすくなり、一周ずつ正極巻回終了セグメントに一つの正極タブを設け、または、正極巻回終了セグメントに正極タブを設けないと、正極巻回終了セグメントからイオンが離脱する難易度を増大できることによって、正極巻回終了セグメントから離脱するイオンの数を低減し、電極組立体でリチウム析出が発生するリスクを低減する。
【0024】
本願の第1態様に係る幾つかの実施例において、前記巻回式電極組立体は、負極シートをさらに含み、前記正極シートの正極タブの数は、前記負極シートの負極タブの数よりも少ない。
【0025】
上記技術的解決手段において、負極タブの総数が、正極タブの総数よりも多いと、負極シートの内部抵抗は、正極シートの内部抵抗よりも小さくなって、負極シートのイオン受入能力が正極のイオン脱出能力よりも優れることが確保され、リチウム析出の問題をより効果的に改善することができる。
【0026】
本願の第1態様に係る幾つかの実施例において、前記正極巻回延在セグメントは、正極巻回中間セグメントと正極巻回終了セグメントとを含み、前記巻回式電極組立体は、負極シートをさらに含み、前記負極シートは、前記正極巻回開始セグメントに対応して設けられた負極巻回開始セグメントと、前記正極巻回中間セグメントに対応して設けられた負極巻回中間セグメントと、前記正極巻回終了セグメントに対応して設けられた負極巻回終了セグメントとを含み、前記負極巻回開始セグメントは、少なくとも一周巻回され、一周ずつの層ごとに前記負極巻回開始セグメントに一つの負極タブが設けられ、および/または、前記負極巻回中間セグメントは、複数周巻回され、一周ずつ前記負極巻回中間セグメントに一つの負極タブが設けられ、および/または、前記負極巻回終了セグメントは、少なくとも一周巻回され、一周ずつ前記負極巻回終了セグメントに一つの負極タブが設けられる。
【0027】
上記技術的解決手段において、最内周の正極シートが最内周の負極シートの外周に囲まれると、最内周の正極シートの巻回方向に沿った長さは最内周の負極シートの巻回方向に沿った長さよりも大きくなる。すると、最内周の正極シートから離脱することができるイオンの数は、最内周の負極シートの受入可能なイオンの数よりも多く、リチウム析出しやすくなる。負極巻回開始セグメントは、一周ずつの層ごとに一つの負極タブが設けられると、負極巻回終了セグメントの内部抵抗が小さくなり、負極巻回開始セグメントのイオン受入能力を向上させ、電極組立体でリチウム析出が発生するリスクを低減することができる。一周ずつ負極巻回中間セグメントに一つの負極タブが設けられると、負極巻回中間セグメントのイオン受入能力を向上させ、電極組立体でリチウム析出が発生するリスクを低減することができる。負極巻回終了セグメントと正極巻回終了セグメントとの間の距離が他の巻き層における距離に対して大きくなり、正極巻回終了セグメントのイオンが負極巻回終了セグメントに到達することができなくなると、リチウム析出しやすくなる。一周ずつ負極巻回終了セグメントに一つの負極タブが設けられると、負極巻回終了セグメントの内部抵抗が小さくなり、負極巻回中間セグメントのイオン受入能力を向上させ、電極組立体でリチウム析出が発生するリスクを低減することができる。
【0028】
本願の第1態様に係る幾つかの実施例において、前記正極巻回開始セグメントは放熱構造を有する。
【0029】
上記技術的解決手段において、正極巻回開始セグメントに正極タブが設けられないため、正極巻回開始セグメントの内部抵抗が、正極巻回開始セグメントに正極タブが設けられた場合の内部抵抗よりも大きくなると、正極巻回開始セグメントの温度上昇が大きくなるが、正極巻回開始セグメントが放熱構造を有することによって、正極巻回開始セグメントの放熱能力を向上させることができる。
【0030】
第2態様により、本願の実施例は、収容室を有するハウジングと、前記収容室内に収容された第1態様の実施例に提供される巻回式電極組立体と、を含む電池セルを提供する。
【0031】
上記技術的解決手段において、電極組立体の正極シートの正極巻回開始セグメントに正極タブが設けられないと、正極巻回開始セグメントに対応する内部抵抗を増大させたことに相当し、正極巻回開始セグメントからイオンの離脱する難易度を増大させることによって、正極巻回開始セグメントから離脱するイオンの数を低減し、電極組立体でリチウム析出が発生する可能性を低減する。
【0032】
第3態様により、本願の実施例は、ケースと第2態様の実施例に提供される電池セルとを含む電池を提供する。前記電池セルは、前記ケース内に収容される。
【0033】
上記技術的解決手段において、正極巻回開始セグメントに正極タブが設けられないため、これは正極巻回開始セグメントに対応する内部抵抗を増大させることに相当する。よって、電極組立体でリチウム析出が発生する可能性が小さく、電池の安全性能をより高くすることができる。
【0034】
第4態様により、本願の実施例は、第2態様の幾つかの実施例に提供される電池セルを含む受電機器を提供する。
【0035】
上記技術的解決手段において、電池セル内部でリチウム析出が発生する可能性が小さく、電池セルの安全性が高く、これにより、受電機器の受電安全性を向上させる。
【0036】
第5態様により、本願の実施例は、巻回式電極組立体の製造方法を提供し、
繋がった正極タブの設けられない正極巻回開始セグメントと正極タブの設けられた正極巻回延在セグメントとを含む正極シートを提供することと、
前記正極シートを巻回して設けるとともに前記正極巻回開始セグメントを少なくとも一周巻回することと、を含む。
【0037】
上記技術的解決手段において、正極巻回開始セグメントに正極タブが設けられず、これは正極シートを巻回して電極組立体が形成させられた後で、正極巻回開始セグメントに対応する内部抵抗を増大させたことに相当する。これにより正極巻回開始セグメントからイオンの離脱する難易度を増大させることによって、正極巻回開始セグメントから離脱するイオンの数を低減し、電極組立体でリチウム析出が発生する可能性を低減する。
【0038】
第6態様により、本願の実施例は、提供装置と組立装置とを含む巻回式電極組立体の製造機器を提供する。前記提供装置は、繋がった正極タブの設けられない正極巻回開始セグメントと正極タブの設けられた正極巻回延在セグメントとを含む正極シートを提供するように配置され、前記組立装置は、前記正極シートを巻回するとともに、前記正極巻回開始セグメントを少なくとも一周巻回するように配置される。
【0039】
上記技術的解決手段において、正極巻回開始セグメントに正極タブが設けられず、これは正極シートを巻回して電極組立体が形成された後で、正極巻回開始セグメントに対応する内部抵抗を増大させたことに相当する。これにより正極巻回開始セグメントからイオンの離脱する難易度を増大させることによって、正極巻回開始セグメントから離脱するイオンの数を低減し、電極組立体でリチウム析出が発生する可能性を低減する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
本願の実施例における技術的解決手段をより明瞭に説明するために、以下、実施例に使用する必要のある添付図面を簡潔に説明する。下記の図面は本願の幾つかの実施例のみが示されているため、範囲を限定するものと見なされるべきではなく、当業者にとって、進歩的な労力を払わないことを前提として、これらの図面に基づいて他の関連図面が取得できる。
【0041】
図1】本願の幾つかの実施例に提供される車両の概略構成図である。
図2】本願の幾つかの実施例に提供される電池の概略構成図である。
図3】本願の幾つかの実施例に提供される複数の電池セルが合流部材で接続された模式図である。
図4】本願の幾つかの実施例に提供される電池セルの分解図である。
図5】本願の幾つかの実施例に提供される巻回式電極組立体の概略構成図である。
図6】本願の他の幾つかの実施例に提供される巻回式電極組立体の概略構成図である。
図7】本願の別の幾つかの実施例に提供される巻回式電極組立体の概略構成図である。
図8】本願のさらなる幾つかの実施例に提供される巻回式電極組立体の概略構成図である。
図9】本願のさらなる幾つかの実施例に提供される電極組立体の概略構成図である。
図10】本願の他の幾つかの実施例に提供される電極組立体の概略構成図である。
図11】本願の幾つかの実施例に提供される正極シートが展開された概略構成図である。
図12】本願の別の幾つかの実施例に提供される正極シートが展開された概略構成図である。
図13】本願のさらなる幾つかの実施例に提供される正極シートが展開された概略構成図である。
図14】本願の幾つかの事実に提供される正極タブが積層して設けられた概略構成図である。
図15図14におけるI箇所の拡大図である。
図16】本願のまたの幾つかの実施例に提供される正極シートの概略構成図である。
図17】本願の幾つかの実施例に提供される巻回式電極組立体の製造方法のフローチャートである。
図18】本願の幾つかの実施例に提供される巻回式電極組立体の製造機器のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本願の実施例の目的、技術的解決手段および利点をより明瞭にするために、以下、本願の実施例中の図面と合わせて、本願の実施例における技術的解決手段を明確かつ完全に説明する。説明される実施例は本願の全ての実施例ではなく、一部の実施例であることは明らかである。通常、ここでの図面で説明や図示される本願の実施例の組立体は、異なる配置でレイアウトや設計することができる。
【0043】
したがって、添付図面に提供される本願の実施例に対する以下の詳細な記載は、権利を請求する本願の範囲を制限することを目的とするものではなく、本願で選定した実施例を示すだけである。本願における実施例に基づいて、当業者が進歩的な労力を払わずに取得した他の実施例の全ては、本願の特許請求の範囲に属する。
【0044】
矛盾がない限り、本願における実施例および実施例における構成要件を、互いに組み合わせてもよいことを説明しなければならない。
【0045】
類似する符号及びアルファベットは下記の図面において、類似項目を表すので、一旦、ある項目が一つの図面に定義されると、以降の図面において、これをさらに定義したり説明したりする必要がないことに注意すべきである。
【0046】
本願の実施例の記載において、以下のことを説明しなければならず、方向や位置関係は、図示に基づいた方向や位置関係であり、または、該出願に係る製品が使用されるときに通常置かれる方向や位置関係であり、または、当業者に一般的に理解される方向や位置関係であり、それらは本願を説明しやすく、記載を簡潔化するためのものに過ぎず、指示される装置や要素が特定の方位を有し、特定の方位で構成され、操作されなければならないことを明示または暗示するものではないため、それらの方向や位置関係は本願を限定すると理解してはならない。さらに、「第1」、「第2」、「第3」などの用語は、記載を区別するためのみに使用され、相対的な重要性を明示または暗示すると理解してはならない。
【0047】
本願に出てくる「複数」とは、2つ以上(2つを含む)を指す。
【0048】
本願において、電池セルは、リチウムイオン二次電池、リチウムイオン一次電池、リチウム硫黄電池、ナトリウムリチウムイオン電池、ナトリウムイオン電池またはマグネシウムイオン電池などを含んでもよいが、本願の実施例はこれに限定されない。電池セルは、円柱体、扁平体、直方体またはその他の形状などを呈することができ、本願の実施例もこれに限定されない。電池セルは、一般的にパッケージの方式によって、円筒型電池セル、角型電池セルおよびソフトパック電池セルの3種類に分類できるが、本願の実施例もこれに限定されない。
【0049】
本願の実施例でいう電池とは、より高い電圧と容量を提供するために1つまたは複数の電池セルを含む単一の物理モジュールを指す。例えば、本願でいう電池は、電池モジュールや電池パックなどを含むことができる。電池は、一般的に、1つまたは複数の電池セルをパッケージするためのケースを含む。ケースは、液体やその他の異物が電池セルの充電や放電に影響を与えることを回避することができる。
【0050】
電池セルは、正極シート、負極シートおよびセパレータからなる電極組立体と、電解液と、を含む。電池セルは、主に金属イオンが正極シートと負極シートとの間を移動することに依存して動作する。正極シートは、正極集電体と正極集電体の表面に塗布された正極活物質層とを含み、正極活物質層の塗布されていない正極集電体が正極活物質層の塗布された正極集電体より突出し、正極活物質層の塗布されていない正極集電体を正極タブとする。リチウムイオン電池を例に、正極集電体の材料は、アルミニウムであってもよく、正極活物質は、コバルト酸リチウム、リン酸鉄リチウム、三元リチウムまたはマンガン酸リチウムなどであってもよい。負極シートは、負極集電体と負極集電体の表面に塗布された負極活物質層とを含み、負極活物質層の塗布されていない負極集電体が負極活物質層の塗布された負極集電体より突出し、負極活物質層の塗布されていない負極集電体を負極タブにする。負極集電体の材料は、銅であってもよく、負極活物質は、炭素やケイ素などであってもよい。大電流を流しても溶断しないように確保するために、正極タブの数は、複数で積層され、負極タブの数は、複数で積層されている。セパレータの材質は、PP(polypropylene、ポリプロピレン)やPE(polyethylene、ポリエチレン)などであってもよい。本願の実施例において、電極組立体は、巻回式構造である。
【0051】
電池技術の発展は、複数の方面の設計要因、例えば、エネルギー密度、サイクル寿命、放電容量、充放電倍率などの性能パラメータを同時に考慮する必要があり、さらに、電池の安全性を考慮する必要がある。リチウム析出は、電池の電気性能と安全性能に影響を与える主な要素の一つであり、一旦、リチウム析出が発生すると、電池の電気性能が低下するだけでなく、リチウム析出量の累積に伴いデンドライトが形成されやすくなり、デンドライトがセパレータを突き破って電池内の短絡を引き起こし、安全上の懸念を招く可能性がある。リチウム析出を引き起こす原因は、多くある。
【0052】
一方、巻回式電極組立体では、折り曲げ部において、巻回方向に沿って、正極シートの巻回中心側に位置する正極活物質の長さが、その内側に位置する負極シートの巻回中心から遠い側に位置する負極活物質の長さよりも大きくなると、正極シートから離脱できるイオンの数が負極シートが受け入れることができるイオンの数よりも多くなり、リチウム析出を引き起こしやすくなり、他方、巻回式電極組立体の製造プロセスの問題から、巻回式電極組立体の折り曲げ部では、内周の正極シートと負極シートとの間の隙間が大きく、リチウム析出が起こりやすいことを本発明者は発見した。それに対して、正極シートの内部抵抗の大きさは、正極シートからのイオンの離脱能力に重要な影響を与え、正極シートの内部抵抗が大きいほど、正極シートからのイオンの離脱能力が弱くなり、正極シートからのイオンの離脱難易度が高くなり、リチウム析出が発生するリスクが低くなる。逆に、正極シートの内部抵抗が小さいほど、正極シートからのイオンの離脱能力が強くなり、正極シートからのイオンの離脱難易度が低くなり、リチウム析出が発生するリスクが高くなる。負極シートの内部抵抗の大きさは、負極シートのイオン受入能力に重要な影響を与え、負極シートの内部抵抗が大きいほど、負極シートのイオン受入能力が弱くなり、リチウム析出が発生するリスクが高くなり、逆に、負極シートの内部抵抗が小さいほど、負極シートのイオン受入能力が強くなり、リチウム析出が発生するリスクは低くなる。
【0053】
上記に鑑み、本願の実施例は、正極シートの正極巻回開始セグメントに正極タブを設けないことによって、正極巻回開始セグメントの内部抵抗を増大させ、正極巻回開始セグメントからのイオンの離脱難易度を増大させることによって、正極巻回開始セグメントから離脱するイオンの数を減らし、電極組立体でリチウム析出が発生する可能性を低減するという技術的解決手段を提供する。
【0054】
本願の実施例に記載されている技術的解決手段は、電池および電池を用いる受電機器に適用される。
【0055】
受電機器は、車両、携帯電話、携帯型機器、ノートパソコン、汽船、宇宙機、電動玩具および電動工具等であってもよい。車両は、燃料自動車、ガス自動車または新エネルギー自動車であってもよく、新エネルギー自動車は純電気自動車、ハイブリッド自動車またはレンジエクステンダー自動車などであってもよく、宇宙機は、飛行機、ロケット、スペースシャトルおよび宇宙船等を含み、電動玩具には、固定式または移動式の電動玩具、例えば、ゲーム機、電気自動車玩具、電動汽船玩具および電動飛行機玩具等が含まれ、電動工具には、金属切削電動工具、研磨電動工具、組立電動工具および鉄道用電動工具、例えば、電動ドリル、電動グラインダ、電動レンチ、電動ドライバ、電動ハンマ、インパクトドリル、コンクリート振動子および電動カンナ等が含まれる。本願の実施例は、上記の受電機器を特に制限しない。
【0056】
以下の実施例では、説明の便宜上、受電機器が車両であるものを例として説明する。
【0057】
図1を参照し、図1は、本願の幾つかの実施例に提供される車両1000の概略構成図である。車両1000の内部には電池100が設けられており、電池100は、車両1000の底部または頭部または尾部に設けられることができる。電池100は、車両1000の電力供給に用いることができ、例えば、電池100は、車両1000の操作電源とすることができる。
【0058】
車両1000は、さらに、コントローラ200と、モータ300とを含んでもよく、コントローラ200がモータ300に電力を供給するように電池100を制御するために用いられ、例えば、車両1000の起動、ナビゲーションおよび走行時の動作用電力の用途などに用いられる。
【0059】
本願の幾つかの実施例において、電池100は、車両1000の操作電源だけでなく、車両1000の駆動電源として、燃料又は天然ガスを代替又は一部代替して車両1000に駆動の動力を提供することができる。
【0060】
図2を参照し、図2は、本願の幾つかの実施例に提供される電池100の概略構成図である。電池100は、ケース10とケース10内に収容されている電池セル20とを含む。
【0061】
ケース10は、電池セル20に収容空間11を提供するために用いられる。幾つかの実施例において、ケース10は、第1部分12と第2部分13を含むことができ、第1部分12と第2部分13は、互いに係合されることによって、電池セル20を収容するための収容空間11を画定する。勿論、第1部分12と第2部分13との接続箇所は、シール(不図示)により密封を実現することができ、シールは、シールリング、シーラント等であってもよい。
【0062】
第1部分12と第2部分13は、例えば、直方体、円柱体などの様々な形状であってもよい。第1部分12は、一方側が開放された中空構造であってもよく、第2部分13も一方側が開放された中空構造であってもよく、第2部分13の開放側が第1部分12の開放側に係合されると、収容空間11を有するケース10を形成する。勿論、第1部分12が一方側が開放された中空構造であり、第2部分13が板状構造であってもよく、第2部分13が第1部分12の開放側に係合されると、収容空間11を有するケース10を形成する。
【0063】
電池100において、電池セル20は、1つであってもよく、複数であってもよい。電池セル20が複数であれば、複数の電池セル20の間に直列接続又は並列接続又は直並列接続が可能であり、直並列とは、複数の電池セル20に直列接続もあり、並列接続もあることを指す。複数の電池セル20の間は、直接的に直列接続又は並列接続または直並列接続されてもよく、さらに複数の電池セル20で構成された全体をケース10内に収容する。勿論、複数の電池セル20がまず直列接続または並列接続または直並列接続されて電池モジュールを構成し、複数の電池モジュールがさらに直列接続または並列接続または直並列接続されて一体に形成されるとともに、ケース10内に収容されてもよい。電池セル20は、円柱体、扁平体、直方体またはその他の形状等を呈してもよい。図2は、電池セル20が直方体を呈する場合を例示的に示す。
【0064】
図3を参照し、幾つかの実施例において、電池100は、さらに合流部材30を含んでもよく、複数の電池セル20の間は、合流部材30により電気的接続を実現することができ、それにより複数の電池セル20の直列接続または並列接続または直並列接続を実現する。
【0065】
図4を参照し、電池セル20は、ハウジング21、電極組立体22およびエンドキャップ組立体23を含むことができる。ハウジング21は、開口211と収容室(不図示)とを有する。電極組立体22は、収容室内に収容され、エンドキャップ組立体23は、開口211を密閉にカバーするために用いられる。
【0066】
ハウジング21は、例えば、円柱体、直方体等の様々な形状であってもよい。ハウジング21の形状は、電極組立体22の具体的な形状に合わせて決定することができる。例えば、電極組立体22が円柱体構造であれば、ハウジング21は、円柱体構造を選択することができ、電極組立体22が直方体構造であれば、ハウジング21は、直方体構造を選択することができる。図4は、ハウジング21と電極組立体22が直方体である場合を例示的に示す。
【0067】
ハウジング21の材質は、例えば、銅、鉄、アルミニウム、ステンレス鋼、アルミニウム合金等の複数種であってもよく、本願の実施例はこれを特に制限しない。
【0068】
エンドキャップ組立体23は、ハウジング21の開口211を密閉にカバーするために用いられることによって、電極組立体22を収容するための密閉された収容室(不図示)を形成する。収容空間11は、さらに電解質、例えば電解液を収容するために用いられる。エンドキャップ組立体23は、電極組立体22の電気エネルギーを出力する部材として、エンドキャップ組立体23における電極端子は、電極組立体22と電気的に接続されるために用いられ、すなわち、電極端子は、電極組立体22のタブと電気的に接続され、例えば、電極端子とタブはアダプタ(不図示)により接続されることによって、電極端子とタブとの電気的接続を実現する。
【0069】
ハウジング21の開口211は、一つであってもよく、二つであってもよいことを説明しなければならない。ハウジング21の開口211が一つであれば、エンドキャップ組立体23も一つであってもよく、エンドキャップ組立体23内に二つの電極端子が設けられてもよく、二つの電極端子は、電極組立体22の正極タブ2231と負極タブ2244とそれぞれ電気的に接続されるために用いられ、エンドキャップ組立体23における二つの電極端子は、それぞれ正極電極端子と負極電極端子である。ハウジング21の開口211が二つである場合、例えば、二つの開口211は、ハウジング21の対向する両側に設けられ、エンドキャップ組立体23も二つであってもよく、二つのエンドキャップ組立体23は、それぞれハウジング21の二つの開口211に係合される。この場合に、一方のエンドキャップ組立体23における電極端子は、電極組立体22の正極タブ2231と電気的に接続するための正極電極端子であり、他方のエンドキャップ組立体23における電極端子は、電極組立体22の負極シート224と電気的に接続するための負極電極端子である。
【0070】
エンドキャップ組立体23は、エンドキャップ231と、第1電極端子232と、第2電極端子233と、除圧機構234とを含むことができる。
【0071】
第1電極端子232は、エンドキャップ231に取り付けられ、第2電極端子233は、エンドキャップ231に取り付けられる。除圧機構234は、エンドキャップ231に設けられ、第1電極端子232と第2電極端子233との間に位置し、電池セル20の内部圧力又は温度が閾値に達する時に、電池セル20の内部の圧力を漏出するよう作動するように配置される。
【0072】
エンドキャップ組立体23におけるエンドキャップ231は、ハウジング21の開口211を密閉にカバーするために用いられる。エンドキャップ231は、例えば円形、長方形等の様々な形状であってもよい。エンドキャップ231の形状は、ハウジング21の形状によって決定され、ハウジング21が円柱体構造であれば、円形のエンドキャップ231を選択することができ、ハウジング21が直方体構造であれば、長方形のエンドキャップ231を選択することができる。
【0073】
本願の実施例は、直方体の巻回式電極組立体22を用いて関連する構造を説明する。
【0074】
図5に示すように、電極組立体22は、ストレート部221と二つの対向して配置された折り曲げ部222とを有し、電極組立体の幅方向Aに沿って、ストレート部221の両端は、二つの折り曲げ部222にそれぞれ接続される。
【0075】
幾つかの実施例において、電極組立体22は、正極シート223を含み、正極シート223が繋がった正極タブ2231の設けられない正極巻回開始セグメント2232と正極タブ2231の設けられた正極巻回延在セグメント2233とを含む。正極巻回開始セグメント2232は、少なくとも一周巻回されている。
【0076】
各セグメントの正極シート223は、一つの内部抵抗に等価であり、各正極タブ2231は、二セグメントの正極シート223に対応する内部抵抗を並列に接続することに等価であり、並列回路の内部抵抗は、直列回路の内部抵抗よりも小さい。各セグメントの正極シート223は、一周ずつの正極シート223から一つのタブが出ると、一周ずつの正極シート223が一つの内部抵抗と等価であり、または、一周ずつの正極シート223の層ごとに一つのタブが出ると、一層ずつの正極シート223が一つの内部抵抗と等価であると理解できる。正極巻回開始セグメント2232には、正極タブ2231が設けられず、正極巻回延在セグメント2233には、正極タブ2231が設けられ、正極シート223が巻回されて電極組立体22が形成された後で、正極巻回開始セグメント2232には、正極巻回開始セグメント2232の電流を直接導出するタブがなく、正極巻回開始セグメント2232に対応する内部抵抗が増大したことに相当し、充電中に、正極シート223の内部抵抗が大きい部分の充電分極は、正極シート223の内部抵抗が小さい部分よりも大きくなる。そのため、満充電時に、正極シート223の内部抵抗が小さい部分は、上限電圧に達し、正極タブ2231が設けられない正極巻回開始セグメント2232は、実際に上限電圧に達しておらず、これは正極シート223の内部抵抗が小さい部分に比べて、正極巻回開始セグメント2232の電圧を下げることに相当し、正極巻回開始セグメント2232からイオンの離脱する難易度を増大させることによって、正極巻回開始セグメント2232から離脱するイオンの数を減らし、電極組立体22でリチウム析出が発生する可能性を低減する。換言すれば、少なくとも最内周の正極シート223の内部抵抗を大きくして、最内周の正極シート223のイオンの離脱能力を高め、折り曲げ部222でリチウム析出が発生するリスクを低減できることによって、電極組立体22でリチウム析出が発生するリスクを低減する。
【0077】
正極シート223は、正極開始端2234と正極巻回終端2235とを有する。正極開始端2234は、正極シート223が巻回される開始位置であり、正極巻回開始セグメント2232に位置する。正極巻回終端2235は、正極シート223が巻回される終了位置であり、正極巻回延在セグメント2233に位置する。正極シート223の巻回が終了した後で、正極巻回開始セグメント2232は、正極巻回延在セグメント2233よりも巻回中心軸に近い。正極巻回開始セグメント2232は、第1接続端をさらに有し、正極巻回延在セグメント2233は、第2接続端をさらに有する。正極巻回開始セグメント2232が第1接続端を介して正極巻回延在セグメント2233の第2接続端に接続されることによって、正極シート223における第1接続位置2236が形成される。
【0078】
正極巻回開始セグメント2232は、正極開始端2234から巻回方向Bに延在する一部であり、正極シート223の1番目の正極タブ2231まで最も長く延在することができ、巻回方向Bに沿って、正極シート223の1番目の正極タブ2231の全てが正極巻回延在セグメント2233に位置する。巻回方向Bに沿って、正極シート223の1番目の正極タブ2231とは、巻回方向Bに沿って出会った1番目の正極タブ2231を指す。説明の便宜上、また図示の都合上、正極シート223が巻回方向Bに沿って出会った1番目の正極タブ2231を第1正極タブ2231aと定義する。
【0079】
図5を引き続き参照し、幾つかの実施例において、正極巻回延在セグメント2233は、正極巻回中間セグメント22331と正極巻回終了セグメント22332とを含む。正極巻回中間セグメント22331は、正極巻回開始セグメント2232と正極巻回終了セグメント22332との間に接続され、少なくとも一周巻回され、一周ずつの層ごとに正極巻回中間セグメント22331には一つの正極タブ2231が設けられる。第1正極タブ2231aは、正極巻回中間セグメント22331に位置する。一周ずつの層ごとに正極巻回中間セグメント22331に一つの正極タブ2231が設けられ、一周ずつの層ごとに正極巻回中間セグメント22331に一つの正極タブ2231が設けられると、正極巻回開始セグメント2232と正極巻回中間セグメント22331との内部抵抗の差を増大させることができ、正極巻回開始セグメント2232と正極巻回中間セグメント22331との間の電圧差を大きくすることができ、さらに、正極巻回開始セグメント2232からイオンが離脱する難易度が増大し、さらに、正極巻回開始セグメント2232が折り曲げ部222でリチウム析出するリスクを低減する。
【0080】
正極巻回延在セグメント2233の第2接続端は、正極巻回中間セグメント22331に位置する。正極巻回延在セグメント2233は、正極巻回中間セグメント22331に位置する第3接続端と正極巻回終了セグメント22332に位置する第4接続端とをさらに含み、正極巻回中間セグメント22331は、第2接続端を介して正極巻回開始セグメント2232の第1接続端に接続されるとともに、正極シート223の第1接続位置2236を形成し、正極巻回中間セグメント22331は、第3接続端を介して正巻回終了セグメントの第4接続端に接続されるとともに、正極シート223の第2接続位置2237を形成する。
【0081】
正極シート223の一周とは、正極開始端2234から巻回方向Bに沿って巻回軸線を中心に360°回ることを一周として意味する。一周は、二層を含み、二層は、厚さ中心面Pを境に区分することができ、厚さ中心面Pは、いずれか一周の正極シート223をその両側に位置する二層に区分する。電極組立体22の巻回軸線は、厚さ中心面Pに平行であり、電極組立体の厚さ方向Cは、厚さ中心面Pに垂直である。一周ずつの層ごとに正極巻回中間セグメント22331に一つの正極タブ2231が設けられ、正極巻回中間セグメント22331が巻回されて完全な巻きが複数形成された場合、正極巻回中間セグメント22331の正極タブ2231の数は偶数個であり、正極巻回中間セグメント22331が巻回されて一つの不完全な巻きを含むように形成された場合、正極巻回中間セグメント22331の正極タブ2231の数は奇数個であってもよい。図示の都合上、正極巻回中間セグメント22331における第1正極タブ2231a以外の他の正極タブ2231を第2正極タブ2231bと定義する。
【0082】
幾つかの実施例において、図6に示すように、正極巻回中間セグメント22331は、一周に一つの正極タブ2231が設けられてもよく、該タブは、第1正極タブ2231aである。
【0083】
負極巻回終了セグメント2243と正極巻回終了セグメント22332の拘束力が小さいため、電極組立体が膨張、収縮を繰り返した後で、正極巻回終了セグメント22332とそれに対応する負極巻回終了セグメント2243との間の距離が他の巻き層における距離に対して大きくなり、正極巻回終了セグメント22332のイオンが負極巻回終了セグメント2243に到達することができなくなり、リチウム析出を発生しやすい。
【0084】
これに基づいて、図6を参照し、幾つかの実施例において、正極巻回延在セグメント2233は、正極巻回中間セグメント22331と正極巻回終了セグメント22332とを含み、正極巻回中間セグメント22331は、正極巻回開始セグメント2232と正極巻回終了セグメント22332との間に接続され、正極巻回終了セグメント22332が少なくとも一周巻回され、一周ごとに正極巻回終了セグメント22332に一つの正極タブ2231(図6における第3正極タブ2231c)が設けられることによって、正極巻回終了セグメント22332の内部抵抗を小さくし、正極巻回終了セグメント22332からイオンが離脱する難易度を増大させることができることによって、正極巻回終了セグメント22332から離脱するイオンの数を低減し、電極組立体22でリチウム析出が発生するリスクを低減する。図示の都合上、正極巻回中間セグメント22331の正極タブ2231を第2正極タブ2231bに定義し、正極巻回終了セグメント22332の正極タブ2231を第3正極タブ2231cに定義する。
【0085】
勿論、図7に示すように、幾つかの実施例において、正極巻回終了セグメント22332に正極タブ2231が設けられていない。正極巻回終了セグメント22332の内部抵抗をも増大させることができることによって、正極巻回終了セグメント22332のイオンが離脱する難易度を増加させ、電極組立体22でリチウム析出が発生する可能性を低減する。
【0086】
これに基づいて、図8に示すように、幾つかの実施例において、正極巻回延在セグメント2233は、正極巻回中間セグメント22331と正極巻回終了セグメント22332とを含み、巻回式電極組立体22は、負極シート224をさらに含む。負極シート224は、正極巻回開始セグメント2232に対応して設けられた負極巻回開始セグメント2241と、正極巻回中間セグメント22331に対応して設けられた負極巻回中間セグメント2242と、正極巻回終了セグメント22332に対応して設けられた負極巻回終了セグメント2243と、を含む。負極巻回開始セグメント2241は、少なくとも一周巻回され、一周ずつの層ごとに負極巻回開始セグメント2241に一つの負極タブ2244が設けられる。負極巻回開始セグメント2241の一周ずつの層ごとに一つの負極タブ2244が設けられることによって、負極巻回終了セグメント2243の内部抵抗を小さくし、負極巻回開始セグメント2241のイオン受入能力を向上させ、電極組立体22でリチウム析出が発生するリスクを低減することができ、換言すれば、少なくとも最内周の負極シート224の内部抵抗を小さくし、最内周の負極シート224のイオン受入能力を向上させ、電極組立体22でリチウム析出が発生するリスクを低減することができる。図示の都合上、負極巻回開始セグメント2241の負極タブ2244を第1負極タブ2244aに定義し、負極巻回中間セグメント2242の負極タブ2244を第2負極タブ2244bに定義し、負極巻回終了セグメント2243の負極タブ2244を第3負極タブ2244cに定義する。
【0087】
正極巻回開始セグメント2232が負極巻回開始セグメント2241に対応して設けられることとは、正極巻回開始セグメント2232がその内側の負極シート224に対応することを指し、正極巻回終了セグメント22332が負極巻回終了セグメント2243に対応して設けられることとは、負極巻回終了セグメント2243がその内側の正極シート223に対応することを指す。
【0088】
負極シート224は、負極開始端2245と負極巻回終端2246とを有する。負極開始端2245は、負極シート224が巻回される開始位置であり、負極巻回開始セグメント2241に位置し、負極巻回終端2246は、負極シート224が巻回される終了位置であり、負極巻回終了セグメント2243に位置する。負極の巻回が終了した後で、負極巻回開始セグメント2241は、負極巻回中間セグメント2242と負極巻回終了セグメント2243よりも巻回中心軸に近い。負極巻回開始セグメントは、第5接続端をさらに有し、負極巻回終了セグメント2243は、第6接続端をさらに有し、負極巻回中間セグメント2242は、第7接続端と第8接続端とをさらに有する。負極巻回開始セグメントは、第5接続端を介して負極巻回中間セグメント2242の第7接続端に接続されることによって、負極シート224の第3接続位置2247が形成され、負極巻回終了セグメントは、第6接続端を介して負極巻回中間セグメント2242の第8接続端に接続されることによって、負極シート224の第4接続位置2248が形成される。
【0089】
図9に示すように、幾つかの実施例において、負極巻回開始セグメント2241は、一周ずつ一つの負極タブ2244が設けられる。他の実施例において、負極巻回開始セグメント2241上の負極タブ2244は他の配置形態を採用してもよい。
【0090】
正極巻回開始セグメント2232に正極タブ2231が設けられないため、巻回方向Bに沿って、電極組立体22に出た1番目のタブは、負極巻回開始セグメント2241上に位置する1番目の負極タブ2244である。
【0091】
図9を続けて参照し、幾つかの実施例において、負極巻回中間セグメント2242は、複数周巻回され、一周ずつ負極巻回中間セグメント2242に一つの負極タブ2244(図9における第2負極タブ2244b)が設けられ、負極巻回中間セグメント2242のイオン受入能力を向上させ、電極組立体22でリチウムが析出するリスクを低減することができる。別の幾つかの実施例において、負極巻回中間セグメント2242は、一周ずつの層ごとに一つの負極タブ2244(図9における第2負極タブ2244b)が設けられてもよい。
【0092】
図9を続けて参照し、幾つかの実施例において、負極巻回終了セグメント2243は、少なくとも一周巻回され、一周ずつ負極巻回終了セグメント2243に一つの負極タブ2244(図9における第3負極タブ2244c)が設けられ、負極巻回開始セグメント2241のイオン受入能力を向上させ、電極組立体22でリチウムが析出するリスクを低減することができる。別の幾つかの実施例において、負極巻回終了セグメント2243は、一周ずつの層ごとに一つの負極タブ2244が設けられてもよい。
【0093】
図10に示すように、幾つかの実施例において、負極巻回開始セグメント2241は、少なくとも一周巻回され、一周ずつの層ごとに負極巻回開始セグメント2241に一つの負極タブ2244(図10における第1負極タブ2244a)が設けられる。負極巻回中間セグメント2242は、少なくとも一周巻回され、一周ずつ負極巻回中間セグメント2242に一つの負極タブ2244(図10における第2負極タブ2244b)が設けられる。負極巻回終了セグメント2243は、少なくとも一周巻回され、一周ずつの層ごとに負極巻回終了セグメント2243に一つの負極タブ2244(図10における第3負極タブ2244c)が設けられ、負極巻回終了セグメント2243と正極巻回終了セグメント22332との間の距離は、他の巻き層における距離に対して大きくなり、正極巻回終了セグメント22332のイオンが負極巻回終了セグメント2243に到達することができなくなり、リチウムが析出しやすく、一周ずつの層ごとに負極巻回終了セグメント2243に一つの負極タブ2244が設けられることによって、負極巻回終了セグメント2243の内部抵抗が小さく、負極巻回中間セグメントのイオン受入能力を向上させ、電極組立体22でリチウム析出が発生するリスクを低減することができる。正極巻回開始セグメント2232に正極タブ2231が設けられず、正極巻回中間セグメントの一周ずつの層ごとに一つの正極タブ(図10における第1正極タブ2231aと第2正極タブ2231b)が設けられ、正極巻回終了セグメント22332には正極タブ2231が設けられない。
【0094】
幾つかの実施例において、電極組立体22は、セパレータ225をさらに含み、セパレータ225は、正極シート223と負極シート224が直接接触することによる短絡を回避するように正極シート223と負極シート224とを仕切るために用いられる。
【0095】
幾つかの実施例において、正極巻回開始セグメント2232の長さは、正極シート223の全長の5%~30%を占める。正極巻回開始セグメント2232の長さが全長の5%未満である場合に、正極巻回開始セグメント2232の内部抵抗の増大が目立たず、正極巻回開始セグメント2232に対応する電圧を著しく下げることができず、電極組立体22の折り曲げ部222でリチウムが析出する問題を著しく改善することができない。正極巻回開始セグメント2232の長さは、正極シート223の全長の30%を超えると、正極シート223の巻回方向Bに沿った1番目の正極タブ2231の温度上昇が大きくなりすぎ、熱暴走などの他のリスクを引き起こしてしまう。
【0096】
正極シート223の全長とは、巻回方向Bに沿って、正極シート223の正極開始端2234から正極巻回終端2235までの間の部分の寸法を指すことを説明しなければならない。正極巻回開始セグメント2232の長さとは、巻回方向Bに沿って、正極シート223の正極開始端2234から第1正極タブ2231aまでの間の部分の寸法を指す。
【0097】
幾つかの実施例において、正極巻回開始セグメント2232の長さが正極シート223の全長の10%~25%を占め、これにより電極組立体22でリチウム析出する問題を明らかに改善することができるだけでなく、正極シート223の巻回方向Bに沿った1番目の正極タブ2231の温度上昇が大きくなりすぎるリスクを低減することができる。
【0098】
幾つかの実施例において、正極巻回開始セグメント2232の長さが正極シート223の全長の15%~20%を占め、これにより電極組立体22でリチウム析出する問題を明らかに改善することができるだけでなく、正極シート223の巻回方向Bに沿った1番目の正極タブ2231の温度上昇が大きくなりすぎるリスクを低減することができる。また、正極タブ2231が設けられた正極巻回延在セグメント2233を適切な長さにすることができ、過電流面積を確保するように適切な数の正極タブ2231を設けることができる。
【0099】
幾つかの実施例において、正極巻回延在セグメント2233に正極タブ2231が複数設けられ、正極巻回開始端から正極巻回終端2235まで、正極巻回延在セグメント2233の1番目の正極タブ2231の面積は、正極巻回延在セグメント2233の残りの正極タブ2231の面積よりも大きい。換言すれば、巻回方向Bに沿って、第1正極タブ2231aの面積は、複数の正極タブ2231のうちの第1正極タブ2231a以外の他の正極タブ2231の面積よりも大きい。巻回方向Bに沿って、正極巻回延在セグメント2233の1番目の正極タブは、正極巻回開始セグメント2232による温度上昇を受ける。正極巻回延在セグメント2233の1番目の正極タブ2231の面積を、正極巻回延在セグメント2233の残りの正極タブ2231の面積よりも大きくすることによって、正極巻回開始セグメント2232の温度上昇を効果的に降下させることができ、正極巻回開始セグメント2232と正極巻回延在セグメント2233との温度上昇の一致性をできるだけ確保することができる。
【0100】
残りの正極タブ2231とは、1番目の正極タブ2231以外の他の正極タブ2231を指す。
【0101】
図11に示すように、幾つかの実施例において、第1正極タブ2231aの幅寸法は、残りの正極タブ2231の幅寸法よりも大きく、第1正極タブ2231aの高さ寸法は、残りの正極タブ2231の高さ寸法と等しく、これにより、第1正極タブ2231aの面積を残りの正極タブ2231の面積よりも大きくする。正極タブ2231の幅寸法は、正極タブ2231の巻回方向Bに沿った寸法であり、正極タブ2231の高さ寸法は、正極シート223の幅方向に沿った寸法である。
【0102】
図12に示すように、幾つかの実施例において、第1正極タブ2231aの高さ寸法は、残りの正極タブ2231の高さ寸法よりも大きく、第1正極タブ2231aの幅寸法は、残りの正極タブ2231の幅寸法と等しく、これにより、第1正極タブ2231aの面積を残りの正極タブ2231の面積よりも大きくする。
【0103】
図13に示すように、幾つかの実施例において、第1正極タブ2231aの幅寸法は、残りの正極タブ2231の幅寸法よりも大きく、第1正極タブ2231aの高さ寸法は、残りの正極タブ2231の高さ寸法よりも大きく、これにより、第1正極タブ2231aの面積を残りの正極タブ2231の面積よりも大きくする。
【0104】
残りの正極タブ2231の面積は、等しくても等しくなくてもよい。幾つかの実施例において、巻回方向Bに沿って、残りの正極タブ2231の面積は、徐々に小さくなる。即ち、正極開始端2234から正極巻回終端2235まで(即ち、巻回方向Bに沿って)、複数の正極タブ2231の面積が徐々に小さくなり、このような正極シート223が巻回された後で、図14図15に示すように、正極タブ2231が積層配置されると、複数の正極タブ2231が完全に重なることなく、正極タブ2231の幅方向にずれを持たせるように複数の正極タブ2231の面積が徐々に小さくなることによって、正極タブ2231ごとに露出した面積を持たせることで、正極タブ2231での放熱能力を向上させる。
【0105】
幾つかの実施例において、巻回式電極組立体22は、負極シート224をさらに含み、正極タブ2231の面積は、負極シート224の負極タブ2244の面積よりも大きい。正極巻回開始セグメント2232に正極タブ2231が設けられないため、正極シート223の温度上昇が負極シート224の温度上昇よりも大きく、正極シート223の放熱能力が負極シート224の放熱能力よりも低く、正極シート223の正極タブ2231の面積が負極シート224の負極タブ2244の面積よりも大きく、正極シート223の温度上昇を効果的に降下させることができ、正極シート223の放熱能力を効果的に向上させる。
【0106】
図16に示すように、幾つかの実施例において、正極巻回開始セグメント2232に放熱構造22321が設けられる。正極巻回開始セグメント2232に正極タブ2231が設けられないため、正極巻回開始セグメント2232の内部抵抗が正極巻回開始セグメント2232に正極タブ2231が設けられた場合の内部抵抗よりも大きくなり,正極巻回開始セグメント2232の温度上昇が大きくなる。正極巻回開始セグメント2232に放熱構造22321が設けられることで、正極巻回開始セグメント2232の放熱能力を向上させることができる。
【0107】
放熱構造22321は、正極巻回開始セグメント2232に設けられるとともに、正極シート223の活物質層が塗布された集電体の幅方向の少なくとも一方側に接続され、放熱構造22321は、活物質層から突出する突起であり、放熱構造22321の高さ寸法は、正極タブ2231の高さ寸法よりも小さく、放熱構造22321は、アダプタ(不図中)に接続されず、且つ、過電流に関与することなく、電流を導出するように、正極タブ2231のみを介してアダプタ(不図中)または電極端子に電気的に接続される。
【0108】
幾つかの実施例において、負極巻回開始セグメント2241に放熱構造22321が設けられてもよく、負極巻回開始セグメント2241の放熱構造22321の構造は、正極巻回開始セグメント2232上の放熱構造22321を参照することができる。
【0109】
幾つかの実施例において、巻回式電極組立体22は、負極シート224をさらに含み、正極シート223の正極タブ2231の数は、負極シート224の負極タブ2244の数よりも少ない。負極タブ2244の総数は、正極タブ2231の総数よりも多いと、負極シート224の内部抵抗は、正極シート223の内部抵抗よりも小さく、負極シート224のイオン受入能力が正極のイオン脱出能力よりも優れることが確保され、リチウム析出が発生する問題をより効果的に改善することができる。
【0110】
本願の実施例において、図示の都合上、正極タブ2231と負極タブ2244について、正極タブ2231を電極組立体の厚さ方向Cで正極シート223を超えるようにし、および負極タブ2244を電極組立体の厚さ方向Cで負極シート224を超えるようにするが、正極タブ2231と負極タブ2244の電極組立体の厚さ方向Cにおける寸法を限定するものではないことを説明しなければならない。
【0111】
図17に示すように、本願の実施例は、巻回式電極組立体22の製造方法を提供し、
繋がった正極タブ2231の設けられない正極巻回開始セグメント2232と正極タブ2231の設けられた正極巻回延在セグメント2233とを含む正極シート223を提供するステップS100と、
正極シート223を巻回して設けるとともに、正極巻回開始セグメント2232が少なくとも一周巻回されるステップS200と、を含む。
【0112】
正極巻回開始セグメント2232に正極タブ2231が設けられておらず、正極シート223が巻回されて電極組立体22が形成された後で、正極巻回開始セグメント2232に対応する内部抵抗が増大したことに相当し、これにより、正極巻回開始セグメント2232からのイオンの離脱する難易度を増大させることによって、正極巻回開始セグメント2232から離脱するイオンの数を減らし、電極組立体22でリチウムが析出する可能性を低減する。
【0113】
図18に示すように、本願の実施例は、巻回式電極組立体の製造機器2000を提供し、巻回式電極組立体の製造機器2000は、提供装置2100と組立装置2200とを含む。提供装置2100は、繋がった正極タブ2231の設けられない正極巻回開始セグメント2232と正極タブ2231の設けられた正極巻回延在セグメント2233とを含む正極シート223を提供するように配置され、組立装置2200は、正極シート223を巻回するとともに、正極巻回開始セグメント2232を少なくとも一周巻回するように配置される。
【0114】
正極巻回開始セグメント2232に正極タブ2231が設けられず、正極シート223が巻回されて電極組立体22が形成された後で、正極巻回開始セグメント2232に対応する内部抵抗が増大したことに相当し、これにより、正極巻回開始セグメント2232からイオンの離脱する難易度を増大させることによって、正極巻回開始セグメント2232から離脱するイオンの数を減らし、電極組立体22でリチウム析出が起こる可能性を低減する。
【0115】
以上は、本願の好ましい実施例に過ぎず、本願を制限するためのものではなく、当業者にとっては、本願に様々な変更や変化を加えることができる。本願の精神と原則の範囲内で行われたいかなる補正、同等の置換、改善なども、本願の権利範囲に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0116】
1000-車両;100-電池;10-ケース;11-収容空間;12-第1部分;13-第2部分;20-電池セル;21-ハウジング;211-開口;22-電極組立体;221-ストレート部;222-折り曲げ部;223-正極シート;2231-正極タブ;2231a-第1正極タブ;2231b-第2正極タブ;2231c-第3正極タブ;2232-正極巻回開始セグメント;22321-放熱構造;2233-正極巻回延在セグメント;22331-正極巻回中間セグメント;22332-正極巻回終了セグメント;2234-正極開始端;2235-正極巻回終端;2236-第1接続位置;2237-第2接続位置;224-負極シート;2241-負極巻回開始セグメント;2242-負極巻回中間セグメント;2243-負極巻回終了セグメント;2244-負極タブ;2244a-第1負極タブ;2244b-第2負極タブ;2244c-第3負極タブ;2245-負極開始端;2246-負極巻回終端;2247-第3接続位置;2248-第4接続位置;225-セパレータ;23-エンドキャップ組立体;231-エンドキャップ;232-第1電極端子;233-第2電極端子;234-除圧機構;30-合流部材;200-コントローラ;300-モータ;2000-巻回式電極組立体の製造機器;2100-提供装置;2200-組立装置;A-電極組立体の幅方向;B-巻回方向;C-電極組立体の厚さ方向;P-厚さ中心面。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
【国際調査報告】