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特表2024-502429集束超音波装置及びその集束超音波治療順序の設定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-19
(54)【発明の名称】集束超音波装置及びその集束超音波治療順序の設定方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/22 20060101AFI20240112BHJP
   A61N 7/00 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
A61B17/22
A61N7/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023540153
(86)(22)【出願日】2021-02-24
(85)【翻訳文提出日】2023-06-29
(86)【国際出願番号】 KR2021002282
(87)【国際公開番号】W WO2022149652
(87)【国際公開日】2022-07-14
(31)【優先権主張番号】10-2021-0000782
(32)【優先日】2021-01-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516270991
【氏名又は名称】アイエムジーティー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ソン,コン ホ
(72)【発明者】
【氏名】キム,デ スン
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ジュン ヒョク
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160EE19
4C160JJ35
4C160JJ36
4C160MM32
(57)【要約】
集束超音波装置及びその集束超音波治療順序の設定方法が開示される。一実施形態による集束超音波装置は、機械的エネルギーを利用した超音波治療法を使用する時、集束超音波の少なくとも1つの以前集束点位置を考慮して次の集束点位置を決定することによって、患部の熱的上昇を最小化しながら機械的エネルギーを最大限活用することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
集束超音波装置を利用した集束超音波治療順序の設定方法において、
集束超音波装置が、
3次元構造体内の集束候補点を座標系に並べる段階と、
集束超音波を照射する集束点位置を決定するが、集束超音波を照射した少なくとも1つの以前集束点があれば、前記少なくとも1つの以前集束点位置を考慮して集束候補点のうちから次の集束点位置を決定する段階と、
決定された次の集束点位置に集束超音波を照射する段階と、
を含むことを特徴とする集束超音波治療順序の設定方法。
【請求項2】
以前集束点は、
直前集束点PT(0)であることを特徴とする請求項1に記載の集束超音波治療順序の設定方法。
【請求項3】
以前集束点は、
直前集束点PT(0)と、直前集束点PT(0)以前の1次からL次までの集束点(L=整数)と、であり、
Lは、あらかじめ設定され、ユーザによって変更可能であり、
各集束点別に互いに異なる加重値が割り当てられることを特徴とする請求項1に記載の集束超音波治療順序の設定方法。
【請求項4】
次の集束点位置を決定する段階は、
複数の集束候補点のうちから以前集束点と距離が最も遠い位置の集束候補点を次の集束点として決定することを特徴とする請求項1に記載の集束超音波治療順序の設定方法。
【請求項5】
次の集束点位置を決定する段階は、
以前集束点と距離が最も遠い位置の集束候補点が複数個である場合、その中に装置の駆動距離が最も短い位置を次の集束点として決定することを特徴とする請求項4に記載の集束超音波治療順序の設定方法。
【請求項6】
次の集束点位置を決定する段階は、
以前集束点を基準に次の集束点の最大距離をあらかじめ設定した後、既定の最大距離以内で次の集束点位置を決定することを特徴とする請求項1に記載の集束超音波治療順序の設定方法。
【請求項7】
次の集束点位置を決定する段階は、
以前集束点と次の集束点との距離情報を温度情報に変換する段階と、
変換された温度情報を用いて次の集束候補点のうちから温度上昇が最小となる位置を次の集束点として決定する段階と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の集束超音波治療順序の設定方法。
【請求項8】
次の集束点位置を決定する段階は、
距離値
【数1】

を計算する段階と、
最大距離[D(0)max,…,D(L)max]を計算する段階と、
最大値max[W(0)*D(0)max,+…+,W(L)*D(L)max]を有する位置を次の集束点位置として決定する段階と、を含み、
[D(0)n+1,…,D(0)n+m]は、直前集束点PT(0)と次の集束候補点[PTn+1,…,PTn+m]との距離であり、
[D(L)n+1,…,D(L)n+m]は、直前集束点PT(0)以前のL次集束点PT(L)と次の集束候補点[PTn+1,…,PTn+m]との距離であり、
D(0)maxは、max[D(0)n+1,…,D(0)n+m]であり、
D(L)maxは、max[D(L)n+1,…,D(L)n+m]であり、
W(0),…,W(L)は、加重値であり、
Lは、直前集束点PT(0)以前のL番目の照射次数であることを特徴とする請求項1に記載の集束超音波治療順序の設定方法。
【請求項9】
次の集束点位置を決定する段階は、
距離値
【数2】

を計算する段階と、
距離値から変換された温度値
【数3】

を計算する段階と、
最大温度[Tmax(n+1),…,Tmax(n+m)]を計算する段階と、
最小値Min[Tmax(n+1),Tmax(n+2),Tmax(n+3),…,Tmax(n+m)]を有する位置を次の集束点位置として決定する段階と、を含み、
[D(0)n+1,…,D(0)n+m]は、直前集束点PT(0)と次の集束候補点[PTn+1,…,PTn+m]との距離であり、
[D(L)n+1,…,D(L)n+m]は、直前集束点PT(0)以前のL次集束点PT(L)と次の集束候補点[PTn+1,…,PTn+m]との距離であり、
max(n+1)は、最大値max[TδD(0)n+1,…,TδD(0)n+m]であり、
max(n+m)は、最大値max[TδD(L)n+1,…,TδD(L)n+m]であり、
δは、照射時間δtの間の温度変化値であり、
Lは、直前集束点PT(0)以前のL番目の照射次数であることを特徴とする請求項1に記載の集束超音波治療順序の設定方法。
【請求項10】
次の集束点位置を決定する段階は、
決定された次の集束点に集束超音波照射時に、温度変化値が既定の温度値よりも低ければ、次の集束点として最終確定する段階を含むことを特徴とする請求項9に記載の集束超音波治療順序の設定方法。
【請求項11】
集束超音波治療順序の設定方法は、
集束超音波を同じ集束点に集中集束時に、対象領域の熱的損傷が最小化されるように治療パラメータを調節する段階をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の集束超音波治療順序の設定方法。
【請求項12】
3次元構造体内の集束候補点を座標系に並べ、集束超音波を照射した少なくとも1つの以前集束点があれば、前記少なくとも1つの以前集束点位置を考慮して集束候補点のうちから次の集束点位置を決定する制御部と、
決定された集束点位置に集束超音波を照射する送受信部と、
を含むことを特徴とする集束超音波装置。
【請求項13】
制御部は、
複数の集束候補点のうちから、以前集束点と距離が最も遠い位置の集束候補点を次の集束点として決定することを特徴とする請求項12に記載の集束超音波装置。
【請求項14】
制御部は、
以前集束点と距離が最も遠い位置の集束候補点が複数個である場合、その中に装置の駆動距離が最も短い位置を次の集束点として決定することを特徴とする請求項13に記載の集束超音波装置。
【請求項15】
制御部は、
以前集束点を基準に次の集束点の最大距離をあらかじめ設定した後、既定の最大距離以内で次の集束点位置を決定することを特徴とする請求項12に記載の集束超音波装置。
【請求項16】
制御部は、
以前集束点と次の集束候補群との距離情報を温度情報に変換し、該変換された温度情報を用いて次の集束候補のうちから温度上昇が最小となる位置を次の集束点として決定することを特徴とする請求項12に記載の集束超音波装置。
【請求項17】
制御部は、
集束超音波を所定の集束点に集中集束時に、対象領域の熱的損傷が最小化されるように治療パラメータを調節することを特徴とする請求項12に記載の集束超音波装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波を利用した診断及び治療技術に係り、より詳細には、映像誘導下治療(Image Guide Therapy)のための集束超音波(Focused Ultrasound:FUS)を利用したイメージスキャニング及び治療技術に関する。
【0002】
本発明は、大韓民国政府課題に基づいて発明されたものである。前記政府課題情報は、NTIS固有番号:9991006682、課題番号:202011B03-01、部処名:科学技術情報通信部、産業通商資源部、保健福祉部、食品医薬品安全処、研究事業名:汎部処全周期医療機器研究開発事業(R&D)、研究課題名:市場善導型膵臓癌融合治療超音波映像誘導高強度集束超音波治療機器の商用化開発、研究管理専門機関:(財)汎部処全周期医療機器研究開発事業団、寄与率:100%、主管研究機関:(株)IMGT。研究期間:2020.09.01~2021.02.28である。
【背景技術】
【0003】
癌、腫瘍、病変のような生体組織の治療に超音波信号を利用できる。超音波を利用した治療は、超音波信号を人体の病変に照射して病変を治療する方式である。一般的な外科手術や化学的な治療(Chemotherapy)方式などに比べて、超音波治療は、患者の外傷を少なく損傷させ、非侵襲的治療(Non-invasive treatment)を実現することができる。その適用例としては、肝癌(Liver cancer)、骨肉腫(Bone sarcoma)、乳癌(Breast cancer)、膵臓癌(Pancreas cancer)、腎臓癌(Kidney cancer)、軟組織の腫瘍(Soft tissue tumor)及び骨盤腫瘍(Pelvic tumor)など多様である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一実施形態によって、熱的治療法ではない機械的なエネルギーを用いて患部を刺激するか、治療薬物の伝達効果の改善を目的とする超音波治療法を使用する時、患部の熱的上昇を最小化しながら機械的エネルギーを最大限活用することができる集束超音波装置及びその集束超音波治療順序の設定方法を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態による集束超音波治療順序の設定方法は、3次元構造体内の集束候補点を座標系に並べる段階;集束超音波を照射する集束点位置を決定するが、集束超音波を照射した少なくとも1つの以前集束点があれば、前記少なくとも1つの以前集束点位置を考慮して集束候補点のうちから次の集束点位置を決定する段階;及び決定された次の集束点位置に集束超音波を照射する段階;を含む。
【0006】
以前集束点は、直前集束点PT(0)である。以前集束点は、直前集束点PT(0)と、直前集束点PT(0)以前の1次からL次までの集束点(L=整数)と、であり、Lは、あらかじめ設定され、ユーザによって変更可能であり、各集束点別に互いに異なる加重値が割り当てられる。
【0007】
次の集束点位置を決定する段階で、複数の集束候補点のうちから以前集束点と距離が最も遠い位置の集束候補点を次の集束点として決定することができる。
【0008】
次の集束点位置を決定する段階で、以前集束点と距離が最も遠い位置の集束候補点が複数個である場合、その中に装置の駆動距離が最も短い位置を次の集束点として決定することができる。
【0009】
次の集束点位置を決定する段階で、以前集束点を基準に次の集束点の最大距離をあらかじめ設定した後、既定の最大距離以内で次の集束点位置を決定することができる。
【0010】
次の集束点位置を決定する段階は、以前集束点と次の集束点との距離情報を温度情報に変換する段階;変換された温度情報を用いて次の集束候補点のうちから温度上昇が最小となる位置を次の集束点として決定する段階;を含みうる。
【0011】
次の集束点位置を決定する段階は、距離値
【数1】

を計算する段階;最大距離[D(0)max,…,D(L)max]を計算する段階;及び最大値max[W(0)*D(0)max,+…+,W(L)*D(L)max]を有する位置を次の集束点位置として決定する段階;を含むことができ、[D(0)n+1,…,D(0)n+m]は、直前集束点PT(0)と次の集束候補点[PTn+1,…,PTn+m]との距離であり、[D(L)n+1,…,D(L)n+m]は、直前集束点PT(0)以前のL次集束点PT(L)と次の集束候補点[PTn+1,…,PTn+m]との距離であり、D(0)maxは、max[D(0)n+1,…,D(0)n+m]であり、D(L)maxは、max[D(L)n+1,…,D(L)n+m]であり、W(0),…,W(L)は、加重値であり、Lは、直前集束点PT(0)以前のL番目の照射次数である。
【0012】
次の集束点位置を決定する段階は、距離値
【数2】

を計算する段階;距離値から変換された温度値
【数3】

を計算する段階;最大温度[Tmax(n+1),…,Tmax(n+m)]を計算する段階;及び最小値Min[Tmax(n+1),Tmax(n+2),Tmax(n+3),…,Tmax(n+m)]を有する位置を次の集束点位置として決定する段階;を含むことができ、[D(0)n+1,…,D(0)n+m]は、直前集束点PT(0)と次の集束候補点[PTn+1,…,PTn+m]との距離であり、[D(L)n+1,…,D(L)n+m]は、直前集束点PT(0)以前のL次集束点PT(L)と次の集束候補点[PTn+1,…,PTn+m]との距離であり、Tmax(n+1)は、最大値max[TδD(0)n+1,…,TδD(0)n+m]であり、Tmax(n+m)は、最大値max[TδD(L)n+1,…,TδD(L)n+m]であり、Tδは、照射時間δtの間の温度変化値であり、Lは、直前集束点PT(0)以前のL番目の照射次数である。
【0013】
次の集束点位置を決定する段階は、決定された次の集束点に集束超音波照射時に、温度変化値が既定の温度値よりも低ければ、次の集束点として最終確定する段階をさらに含みうる。
【0014】
集束超音波治療順序の設定方法は、集束超音波を同じ集束点に集中集束時に、対象領域の熱的損傷が最小化されるように治療パラメータを調節する段階をさらに含みうる。
【0015】
他の実施形態による集束超音波装置は、3次元構造体内の集束候補点を座標系に並べ、集束超音波を照射した少なくとも1つの以前集束点があれば、前記少なくとも1つの以前集束点位置を考慮して集束候補点のうちから次の集束点位置を決定する制御部;決定された集束点位置に集束超音波を照射する送受信部;を含む。
【0016】
制御部は、複数の集束候補点のうちから、以前集束点と距離が最も遠い位置の集束候補点を次の集束点として決定することができる。
【0017】
制御部は、以前集束点と距離が最も遠い位置の集束候補点が複数個である場合、その中に装置の駆動距離が最も短い位置を次の集束点として決定することができる。
【0018】
制御部は、以前集束点を基準に次の集束点の最大距離をあらかじめ設定した後、既定の最大距離以内で次の集束点位置を決定することができる。
【0019】
制御部は、以前集束点と次の集束候補群との距離情報を温度情報に変換し、該変換された温度情報を用いて次の集束候補のうちから温度上昇が最小となる位置を次の集束点として決定することができる。
【0020】
制御部は、集束超音波を所定の集束点に集中集束時に、対象領域の熱的損傷が最小化されるように治療パラメータを調節することができる。
【発明の効果】
【0021】
一実施形態による集束超音波装置及びその集束超音波治療順序の設定方法によれば、熱的治療法ではない機械的なエネルギーを用いて患部を刺激するか、治療薬物の伝達効果の改善を目的とする超音波治療法を使用する時、患部の熱的上昇を最小化しながら機械的エネルギーを最大限活用することができる。
【0022】
例えば、集束超音波の少なくとも1つの以前集束点位置を考慮して次の集束点位置を決定することによって、患部の熱的上昇を最小化することができる。さらに、以前集束点と距離が最も遠い位置の集束候補点が複数個である場合、その中に装置の駆動距離が最も短い位置を次の集束点として決定することによって、装置の動きを最小化することができる。
【0023】
その具現及び動作原理が簡単であり、拡張性があって、集束超音波分野だけではなく、類似したエネルギーの被ばくまたは照射量を最小化する応用分野に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施形態による集束超音波装置の構成を示す図面である。
図2】本発明の一実施形態による集束超音波治療順序を設定するための対象領域の3次元構造体を示す図面である。
図3】本発明の一実施形態による集束超音波治療順序の設定方法の流れを示す図面である。
図4】本発明の一実施形態による距離を考慮して次の集束点位置を決定するプロセスを示す図面である。
図5】本発明の一実施形態による温度を考慮して次の集束点位置を決定するプロセスを示す図面である。
図6】本発明の一実施形態による距離を考慮して次の集束点位置を決定する方法及び距離及び温度を考慮して次の集束点位置を決定する方法を説明するために、対象領域の3次元構造体を2次元的に解析した構造体を示す図面である。
図7】本発明の一実施形態による以前の集束点位置を考慮して集束超音波を照射する場合の効果を示す図面である。
図8】本発明の一実施形態による以前の集束点位置を考慮して集束超音波を照射する場合の効果を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の利点及び特徴、そして、それらを果たす方法は、添付図面と共に詳細に後述されている実施形態を参照すると、明確になるであろう。しかし、本発明は、以下で開示される実施形態に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態として具現可能であり、単に、本実施形態は、本発明の開示を完全にし、当業者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明は、請求項の範疇によって定義される。明細書の全体に亘って同じ参照符号は、同じ構成要素を称する。
【0026】
本発明の実施形態を説明するに当って、公知の機能または構成についての具体的な説明が、本発明の要旨を不明にする恐れがあると判断される場合には、その詳細な説明を省略し、後述する用語は、本発明の実施形態での機能を考慮して定義された用語であって、これは、ユーザ、運用者の意図または慣例などによって変わりうる。したがって、その定義は、本明細書の全般に亘った内容に基づいて下されなければならない。
【0027】
添付のブロック図の各ブロックとフローチャートとの各段階の組み合わせは、コンピュータプログラムインストラクション(実行エンジン)によって行われてもよく、これらのコンピュータプログラムインストラクションは、汎用コンピュータ、特殊用コンピュータまたはその他のプログラム可能なデータプロセッシング装置のプロセッサに搭載され、コンピュータまたはその他のプログラム可能なデータプロセッシング装置のプロセッサを通じて行われるそのインストラクションがブロック図の各ブロックまたはフローチャートの各段階で説明された機能を行う手段を生成する。
【0028】
これらのコンピュータプログラムインストラクションは、特定の方式で機能を具現するためにコンピュータまたはその他のプログラム可能なデータプロセッシング装置を志向することができるコンピュータ利用可能またはコンピュータ読み取り可能メモリに保存されることも可能なので、そのコンピュータ利用可能またはコンピュータ読み取り可能メモリに保存されたインストラクションは、ブロック図の各ブロックまたはフローチャートの各段階で説明された機能を行うインストラクション手段を内包する製造品目を生産することも可能である。
【0029】
そして、コンピュータプログラムインストラクションは、コンピュータまたはその他のプログラム可能なデータプロセッシング装置上に搭載されることも可能なので、コンピュータまたはその他のプログラム可能なデータプロセッシング装置上で一連の動作段階が行われてコンピュータで実行されるプロセスを生成してコンピュータまたはその他のプログラム可能なデータプロセッシング装置を行うインストラクションは、ブロック図の各ブロック及びフローチャートの各段階で説明される機能を実行するための段階を提供することも可能である。
【0030】
また、各ブロックまたは各段階は、特定の論理的機能を実行するための1つ以上の実行可能なインストラクションを含むモジュール、セグメントまたはコードの一部を示すことができ、幾つかの代替実施形態では、ブロックまたは段階で言及された機能が順序を外れて発生することも可能であるということに注目しなければならない。例えば、相次いで示されている2つのブロックまたは段階は、実に、実質的に同時に行われることも可能であり、また、そのブロックまたは段階が必要に応じて該当する機能の逆順に行われることも可能である。
【0031】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。しかし、次に例示する本発明の実施形態は、さまざまな他の形態に変形され、本発明の範囲が、次に詳述する実施形態に限定されるものではない。本発明の実施形態は、当業者に本発明をより完全に説明するために提供される。
【0032】
図1は、本発明の一実施形態による集束超音波装置の構成を示す図面である。
【0033】
集束超音波(FUS)を利用した治療は、患部の温度上昇を通じた熱的治療、機械的なエネルギーを利用した治療などが主に使われている。代表的な治療法の1つである熱的治療は、病変を熱的にアブレーション(ablation)させて病変を壊死させる方法である。しかし、熱的治療法は、周辺正常組織の熱的上昇を通じた副作用の可能性が高い治療法である。
【0034】
一実施形態による集束超音波装置1は、熱的治療方法の代わりに、機械的なエネルギーを用いて患部を刺激するか、治療薬物の伝達効果の改善を目的として集束超音波を利用する。本発明は、機械的エネルギーを利用した超音波治療法を使用する時、患部の熱的上昇を最小化しながら機械的エネルギーを最大限活用することができる集束超音波装置及びその集束超音波治療順序の設定方法を提案する。
【0035】
図1を参照すれば、集束超音波装置1は、超音波発生部10、送受信部11、制御部12、信号処理部13、映像処理部14、ディスプレイ部15及び保存部16を含む。
【0036】
送受信部11は、治療のための集束超音波を送信するように動作する集束超音波変換器111と診断用超音波を送受信するように動作する映像超音波変換器112とを含みうる。集束超音波変換器111は、超音波発生部10から受信された駆動信号である短いパルスの電気信号を集束超音波に変換させて、それを組織の対象領域に伝送する。
【0037】
映像超音波変換器112は、超音波発生部10から受信された駆動信号である短いパルスの電気信号をイメージ超音波に変換させて、イメージ超音波を組織の対象領域に伝送し、対象領域から反射するエコー信号を抽出する。
【0038】
信号処理部13は、受信された超音波エコー信号を処理して映像処理部14に伝送する。信号処理部13は、低雑音増幅器(Low Noise Amplifier:LNA)とA/D変換器(Analog to Digital Converter:ADC)とを含みうる。映像処理部14は、信号処理部13を通じて信号処理された受信信号に基づいて映像を形成させ、ディスプレイ部15を通じて超音波映像を出力する。保存部16は、送受信部11を通じて形成された受信信号を保存し、制御部12の動作のために必要な情報を保存する。ディスプレイ部15を通じて出力される超音波映像から患部を確認した後、施術部位を設定することができる。超音波映像は、立体的な多面映像(Multi-plane)である。施術部位の設定は、自動で設定され、ユーザが施術部位を手動で設定しても良い。
【0039】
制御部12は、集束超音波装置1の全般的な動作を制御する。一実施形態による制御部12は、機械的エネルギーを利用した超音波治療法を使用する時、患部の熱的上昇を最小化しながら機械的エネルギーを最大限活用できるように集束超音波の治療パラメータを制御する。
【0040】
治療パラメータは、集束超音波の治療順序(treatment sequence)、強度(Intensity)、照射時間(Expose Time)、デューティー比(Duty rate)、パルス繰り返し周波数(pulse repetition frequency:PRF)間隔(Interval)、(距離、Steeringなどによる)加重値(Weighting)などである。
【0041】
制御部12は、集束超音波を所定の集束点に集中照射時には、対象領域の熱的損傷が最小化されるように治療パラメータ、例えば、強度、照射時間、デューティー比などを調節することができる。他の例として、集束点を移動時には、熱的損傷が最小化されるように治療パラメータ、例えば、集束超音波治療順序を設定する。
【0042】
集束超音波治療順序の設定、例えば、集束超音波装置1は、送受信部11を通じて対象体に診断用超音波を送信し、対象体から反射する超音波エコー信号を受信し、受信信号に基づいて生成された超音波映像を通じて患部を確認した後、集束超音波を照射する対象領域を決定する。対象領域は、施術部位に該当する。引き続き、制御部12の治療パラメータ制御部121が治療用パラメータを制御して集束超音波治療順序を設定し、集束超音波制御部122が超音波映像を通じて設定した立体的位置に集束超音波を照射させるための制御信号を生成する。引き続き、超音波発生部10が集束超音波制御部122から受信された制御信号によって集束超音波パルスを発生し、送受信部11の集束超音波変換器111が集束超音波パルスを超音波信号に変換して施術部位に照射する。
【0043】
より具体的に、治療パラメータ制御部121が集束超音波を照射する対象領域の熱的損傷が最小化されるように集束超音波を照射する治療順序を設定することができる。この際、治療順序は、次の集束点を照射する対象領域の位置情報を含み、集束超音波の少なくとも1つの以前集束点位置を考慮して次の集束点位置を決定することができる。引き続き、集束超音波制御部122が設定された治療順序によって対象領域の次の集束点位置に集束超音波を照射するように制御信号を生成する。送受信部11の集束超音波変換器111は、集束超音波制御部122の制御信号によって治療順序によって対象領域の次の集束点位置に集束超音波を照射する。
【0044】
治療パラメータ制御部121は、複数の集束候補点で構成された次の集束候補群のうちから、以前集束点と距離が最も遠い位置の集束候補点を次の集束点として決定することができる。この際、治療パラメータ制御部121は、以前集束点と距離が最も遠い位置の集束候補点が複数個である場合、その中に装置(例えば、集束超音波変換器)の駆動距離が最も短い位置を次の集束点として決定することができる。さらに、以前集束点を基準に次の集束点の最大距離をあらかじめ設定した後、既定の最大距離以内で次の集束点位置を決定することができる。
【0045】
治療パラメータ制御部121は、以前集束点と次の集束候補群との距離情報を温度情報に変換し、該変換された温度情報を用いて次の集束候補群のうちから温度上昇が最小となる位置を次の集束点として決定することができる。
【0046】
治療パラメータ制御部121は、集束超音波を所定の集束点に集中集束時に、対象領域の熱的損傷が最小化されるように治療パラメータ、例えば、集束超音波の強度、デューティー比、照射時間などを調節することができる。
【0047】
図2は、本発明の一実施形態による集束超音波治療順序を設定するための対象領域の3次元構造体を示す図面である。
【0048】
図1及び図2を参照すれば、集束超音波装置1は、超音波集束位置の超音波映像を3次元構造体データに変換し、該変換された3次元構造体を直交座標系上に所定の規則を有した点の連結網で連結することができる。図2では、3個の連結網21、22、23を例として図示している。各連結網21、22、23別に集束超音波変換器111をティルティング(Tilting)移動すること(例えば、0度、5度、10度)によって、多様な点を生成することができ、集束超音波変換器111を回転(Rotation)移動することによって、多様な点を生成することができる。対象領域は、集束超音波を照射する施術部位に該当する。直交座標系は、直角座標系、球面座標系などがある。所定の規則は、等距離、等角度またはこれらの組み合わせである。
【0049】
一実施形態による集束超音波装置1は、機械的エネルギーを利用した超音波治療時に、熱的損傷を最小化するために集束超音波の熱的損傷を考慮して集束超音波治療順序を設定する。
【0050】
対象領域の他の地点に焦点を移動しなければならない時、集束超音波装置1は、以前に集束超音波を照射した位置で可能な限り遠く超音波を照射して以前集束位置との熱的な相乗効果が発生しないように治療順序を設定する。特に、直前集束点(latest treatment point)で可能な限り最も遠く離れた位置を次の集束点として決定することができるが、それをAs Far Away Enough(AFAE)from the latest treatment point方法またはFar Enough from the Latest treatment Point(FELT)方法であると称することができる。図2では、(1)→(2)→(3)→(4)→(5)(ただし、括弧内の数字は、丸囲み数字)の治療順に集束超音波を照射する例を図示している。
【0051】
図3は、本発明の一実施形態による集束超音波治療順序の設定方法の流れを示す図面である。
【0052】
図1及び図3を参照すれば、事前作業として、集束超音波装置1は、対象領域の超音波映像を3次元構造体データに変換し、該変換された3次元構造体を直交座標系上に所定の規則を有した点の連結網で連結する。対象領域は、集束超音波を照射する施術部位に該当する。直交座標系は、直角座標系、球面座標系などがある。所定の規則は、等距離、等角度またはこれらの組み合わせである。
【0053】
集束超音波装置1は、3次元構造体内の集束候補点を座標系に任意の順序で並べる(ステップS310)。この際、任意の順序で並べることができ、既定の規則によって並べることができる。所定の規則は、等距離、等角度またはこれらの組み合わせである。
【0054】
引き続き、集束超音波装置1は、集束点位置を決定するが、集束超音波を照射した少なくとも1つの以前集束点があれば、少なくとも1つの以前集束点位置を考慮して集束候補点のうちから次の集束点位置を決定する(ステップS320)。以前集束点は、直前集束点PT(0)である。他の例として、以前集束点は、直前集束点PT(0)と、直前集束点PT(0)以前の1次からL次までの集束点(L=整数)と、である。Lは、あらかじめ設定され、ユーザによって変更可能である。この際、各以前集束点別に互いに異なる加重値を割り当てられる。時間順に最も最近の集束点がその以前の集束点よりも加重値をさらに高く割り当てられる。
【0055】
次の集束点位置決定段階(320)で、集束超音波装置1は、集束点移動時に、集束超音波の少なくとも1つの以前集束点位置を考慮して次の集束点位置を決定することができる。例えば、複数の集束候補点で、以前集束点と距離が最も遠い位置の集束候補点を次の集束点として決定する。この際、以前集束点と距離が最も遠い位置の集束候補点が複数個である場合、その中に装置の駆動距離が最も短い位置を次の集束点として決定することができる。
【0056】
次の集束点位置決定段階(320)で、集束超音波装置1は、以前集束点を基準に次の集束点の最大距離をあらかじめ設定した後、既定の最大距離以内で次の集束点位置を決定することができる。
【0057】
次の集束点位置決定段階(320)で、集束超音波装置1は、以前集束点と複数の集束候補点との距離情報を温度情報に変換した後、変換された温度情報を用いて複数の集束候補点のうちから温度上昇が最小となる位置を次の集束点として決定することができる。
【0058】
治療順序設定段階(320)で、集束超音波装置1は、集束超音波を所定の集束点に集中集束時には、対象領域の熱的損傷が最小化されるように治療パラメータを調節することができる。治療パラメータは、集束超音波の強度、照射時間、デューティー比、パルス繰り返し周波数(PRF)間隔、(距離、Steeringなどによる)加重値などである。
【0059】
引き続き、集束超音波装置1は、決定された次の集束点位置に集束超音波を照射する(ステップS330)。
【0060】
図4は、本発明の一実施形態による距離を考慮して次の集束点位置を決定するプロセスを示す図面である。
【0061】
距離を考慮した次の集束点位置決定プロセスを説明するために、用語を先に定義すれば、PT(0)は、直前集束点であり、PTと同じ点である(PT(0)=PT)。PT(L)は、直前集束点PT(0)のL番目の以前集束点である。Lは、直前集束点PT(0)以前のL番目の照射次数である。例えば、集束点PT(1)は、直前集束点PT(0)の1番目の以前集束点であり、集束点PT(2)は、直前集束点PT(0)の2番目の以前集束点であり、集束点PT(L)は、直前集束点PT(0)のL番目の以前集束点である。
【0062】
図1及び図4を参照すれば、集束超音波装置1は、3次元構造体内の集束候補点を座標系に並べる(410)。構造体は、既定の軌道(Trajectory)に沿って次の集束候補点PTn+1からPTn+mまで連結された連結網で構成される。軌道は、任意に設定され、治療順序を決定するアルゴリズムによって予め設定しうる。
【0063】
引き続き、集束超音波装置1は、所定のPT(0)に集束超音波を照射する(420)。
【0064】
引き続き、次の集束点の位置を求めるために、集束超音波装置1は、各以前集束点を基準に軌道に沿って次の集束候補点PTn+1からPTn+mまで距離値をそれぞれ計算する(430)。例えば、直前集束点PT(0)と次の集束候補点[PTn+1,…,PTn+m]との距離値[D(0)n+1,…,D(0)n+m]を計算する。そして、直前集束点以前の1次集束点PT(1)と次の集束候補点[PTn+1,…,PTn+m]との距離値[D(1)n+1,…,D(1)n+m]を計算する。このような式で、直前集束点PT(0)以前のL次集束点PT(L)と次の集束候補点[PTn+1,…,PTn+m]との距離値[D(L)n+1,…,D(L)n+m]までを計算する。それをまとめれば、
【数4】

を計算するものである。
【0065】
引き続き、最大距離[D(0)max,…,D(L)max]を計算する(440)。D(0)maxは、[D(0)n+1,…,D(0)n+m]のうちから最大値、すなわち、max[D(0)n+1,…,D(0)n+m]であり、直前集束点PT(0)で距離が最も遠い距離値である。D(L)maxは、[D(L)n+1,…,D(L)n+m]のうちから最大値、すなわち、max[D(L)n+1,…,D(L)n+m]であり、以前L次集束点PT(L)で距離が最も遠い距離値である。
【0066】
引き続き、集束超音波装置1は、[D(0)max,…,D(L)max]に加重値を割り当てた後、合算して合算距離[W(0)*D(0)max,+…+,W(L)*D(L)max]を計算し、合算距離が最大値max[W(0)*D(0)max,+…+,W(L)*D(L)max]を有する位置(距離が最も遠い所の座標値)を次の集束点位置として決定する(450)。ここで、W(0),…,W(L)は、加重値であり、1よりも小さく、0よりも大きいか、小さな実数である。加重値は、以前集束点中に最近の集束点が以前の集束点よりも加重値がさらに高く割り当てられ、ユーザによって変更可能である。
【0067】
図5は、本発明の一実施形態による温度を考慮して次の集束点位置を決定するプロセスを示す図面である。
【0068】
温度を考慮した次の集束点位置決定プロセスを説明するために、用語を先に定義すれば、PT(0)は、直前集束点であり、PTと同じ点である(PT(0)=PT)。PT(L)は、直前集束点PT(0)のL番目の以前集束点である。Lは、直前集束点PT(0)以前のL番目の照射次数である。例えば、集束点PT(1)は、直前集束点PT(0)の1番目の以前集束点である1次以前集束点であり、集束点PT(2)は、直前集束点PT(0)の2番目の以前集束点である2次以前集束点であり、集束点PT(L)は、直前集束点PT(0)のL番目の以前集束点であるL次以前集束点である。
【0069】
引き続き、集束超音波装置1は、所定のPT(0)に集束超音波を照射する(420)。
【0070】
引き続き、次の集束点の位置を求めるために、集束超音波装置1は、各以前集束点を基準に軌道に沿って次の集束候補点PTn+1からPTn+mまで距離値をそれぞれ計算する(430)。例えば、直前集束点PT(0)と次の集束候補点[PTn+1,…,PTn+m]との距離値[D(0)n+1,…,D(0)n+m]を計算する。そして、直前集束点以前の1次集束点PT(1)と次の集束候補点[PTn+1,…,PTn+m]との距離値[D(1)n+1,…,D(1)n+m]を計算する。このような式で、直前集束点PT(0)以前のL次集束点PT(L)と次の集束候補点[PTn+1,…,PTn+m]との距離値[D(L)n+1,…,D(L)n+m]までを計算する。それをまとめれば、
【数5】

を計算するものである。
【0071】
引き続き、最大距離[D(0)max,…,D(L)max]を計算する(440)。D(0)maxは、[D(0)n+1,…,D(0)n+m]のうちから最大値、すなわち、max[D(0)n+1,…,D(0)n+m]であり、直前集束点PT(0)で距離が最も遠い距離値である。D(L)maxは、[D(L)n+1,…,D(L)n+m]のうちから最大値、すなわち、max[D(L)n+1,…,D(L)n+m]であり、以前L次集束点PT(L)で距離が最も遠い距離値である。
【0072】
引き続き、集束超音波装置1は、[D(0)max,…,D(L)max]に加重値を割り当てた後、合算して合算距離[W(0)*D(0)max,+…+,W(L)*D(L)max]を計算し、合算距離が最大値max[W(0)*D(0)max,+…+,W(L)*D(L)max]を有する位置(距離が最も遠い所の座標値)を次の集束点位置として決定する(450)。ここで、W(0),…,W(L)は、加重値であり、1よりも小さく、0よりも大きいか、小さな実数である。加重値は、以前集束点中に最近の集束点が以前の集束点よりも加重値がさらに高く割り当てられ、ユーザによって変更可能である。
【0073】
図5は、本発明の一実施形態による温度を考慮して次の集束点位置を決定するプロセスを示す図面である。
【0074】
温度を考慮した次の集束点位置決定プロセスを説明するために、用語を先に定義すれば、PT(0)は、直前集束点であり、PTと同じ点である(PT(0)=PT)。PT(L)は、直前集束点PT(0)のL番目の以前集束点である。Lは、直前集束点PT(0)以前のL番目の照射次数である。例えば、集束点PT(1)は、直前集束点PT(0)の1番目の以前集束点である1次以前集束点であり、集束点PT(2)は、直前集束点PT(0)の2番目の以前集束点である2次以前集束点であり、集束点PT(L)は、直前集束点PT(0)のL番目の以前集束点であるL次以前集束点である。
【0075】
図1及び図5を参照すれば、集束超音波装置1は、3次元構造体内の集束候補点を座標系に並べる(510)。構造体は、既定の軌道に沿って次の集束候補点PTn+1からPTn+mまで連結された連結網で構成される。軌道は、任意に設定され、治療順序を決定するアルゴリズムによって予め設定しうる。
【0076】
引き続き、集束超音波装置1は、所定のPT(0)に集束超音波を照射する(520)。
【0077】
引き続き、次の集束点の位置を求めるために、集束超音波装置1は、各以前集束点を基準に軌道に沿って次の集束候補点PTn+1からPTn+mまで距離値をそれぞれ計算する(530)。例えば、直前集束点PT(0)と次の集束候補点[PTn+1,…,PTn+m]との距離値[D(0)n+1,…,D(0)n+m]を計算する。そして、直前集束点以前の1次集束点PT(1)と次の集束候補点[PTn+1,…,PTn+m]との距離値[D(1)n+1,…,D(1)n+m]を計算する。このような式で、直前集束点PT(0)以前のL次集束点PT(L)と次の集束候補点[PTn+1,…,PTn+m]との距離値[D(L)n+1,…,D(L)n+m]までを計算する。それをまとめれば、
【数6】

を計算するものである。
【0078】
引き続き、集束超音波装置1は、距離値を温度値に変換して温度値
【数7】

を計算する。Tδは、既定の照射条件による照射時間δtの間の温度変化値である。この際、集束超音波照射を通じて温度変化値を求めることができ、温度が距離に反比例する点を用いてシミュレーションを通じて温度変化値を求めうる。
【0079】
引き続き、集束超音波装置1は、最大温度[Tmax(n+1),…,Tmax(n+m)]を計算する(540)。ここで、Tmax(n+1)は、最大値max[TδD(0)n+1,TδD(0)n+m]であり、Tmax(n+m)は、最大値max[TδD(L)n+1,TδD(L)n+m]であり、Tδは、照射時間δtの間の温度変化値である。
【0080】
引き続き、最小値Min[Tmax(n+1),Tmax(n+2),Tmax(n+3),…,Tmax(n+m)]を有する位置(温度変化が最も小さな所の座標値)を次の集束点位置として決定する(550)。550段階をm回繰り返して、温度変化値が既定の値よりも小さければ、次の集束点として確定することができる。
【0081】
図6は、本発明の一実施形態による距離を考慮して次の集束点位置を決定する方法及び距離及び温度を考慮して次の集束点位置を決定する方法を説明するために、対象領域の3次元構造体を2次元的に解析した構造体を示す図面である。
【0082】
用語を定義すれば、構造体は、既定の軌道に沿って集束候補群PTn+1からPTn+mまで連結された連結網で構成される。軌道は、任意に設定され、治療順序を決定するアルゴリズムによって予め設定しうる。PT(0)は、直前集束点であり、PTと同じ点である(PT(0)=PT)。PT(L)は、直前集束点PT(0)のL番目の以前集束点である。Lは、直前集束点PT(0)以前のL番目の照射次数である。例えば、集束点PT(1)は、直前集束点PT(0)の1番目の以前集束点である1次以前集束点であり、集束点PT(2)は、直前集束点PT(0)の2番目の以前集束点である2次以前集束点であり、集束点PT(L)は、直前集束点PT(0)のL番目の以前集束点であるL次以前集束点である。
【0083】
まず、距離を用いて次の集束点位置を決定するプロセスを図6の構造体を用いて説明する。
【0084】
図1及び図6を参照すれば、次の集束点の位置を求めるために、集束超音波装置1は、各以前集束点を基準に軌道に沿って次の集束候補点PTn+1からPTn+mまで距離値をそれぞれ計算する。例えば、直前集束点PT(0)と次の集束候補点[PTn+1,…,PTn+m]との距離値[D(0)n+1,…,D(0)n+m]を計算する。そして、直前集束点PT(0)以前のL次集束点PT(L)と次の集束候補点[PTn+1,…,PTn+m]との距離値[D(L)n+1,…,D(L)n+m]を計算する。
【0085】
D(0)n+1=|PTn+1-PT(0)|、D(1)n+1=|PTn+1-PT(1)|,…,D(L)n+1=|PTn+1-PT(L)|、D(0)n+2=|PTn+2-PT(0)|、D(1)n+2=|PTn+2-PT(1)|,…,D(L)n+2=|PTn+2-PT(L)|、D(0)n+m=|PTn+m-PT(0)|、D(1)n+m=|PTn+m-PT(1)|,…,D(L)n+m=|PTn+m-PT(L)
引き続き、最大距離[D(0)max,…,D(L)max]を計算する。D(0)maxは、[D(0)n+1,…,D(0)n+m]のうちから最大値、すなわち、max[D(0)n+1,…,D(0)n+m]であり、直前集束点PT(0)で距離が最も遠い距離値である。D(L)maxは、[D(L)n+1,…,D(L)n+m]のうちから最大値、すなわち、max[D(L)n+1,…,D(L)n+m]であり、以前L次集束点PT(L)で距離が最も遠い距離値である。
【0086】
引き続き、集束超音波装置1は、[D(0)max,…,D(L)max]に加重値を割り当てた後、合算して合算距離[W(0)*D(0)max,+…+,W(L)*D(L)max]を計算し、合算距離が最大値max[W(0)*D(0)max,+…+,W(L)*D(L)max]を有する位置(距離が最も遠い所の座標値)を次の集束点位置として決定する(450)。ここで、W(0),…,W(L)は、加重値であり、1よりも小さく、0よりも大きいか、小さな実数である。加重値は、以前集束点中に最近の集束点が以前の集束点よりも加重値がさらに高く割り当てられ、ユーザによって変更可能である。
【0087】
他の例として、温度を用いて次の集束点位置を決定するプロセスを図6の構造体を用いて説明する。
【0088】
図1及び図6を参照すれば、次の集束点の位置を求めるために、集束超音波装置1は、各以前集束点を基準に軌道に沿って次の集束候補点PTn+1からPTn+mまで距離値をそれぞれ計算する。例えば、直前集束点PT(0)と次の集束候補点[PTn+1,…,PTn+m]との距離値[D(0)n+1,…,D(0)n+m]を計算する。そして、直前集束点PT(0)以前のL次集束点PT(L)と次の集束候補点[PTn+1,…,PTn+m]との距離値[D(L)n+1,…,D(L)n+m]を計算する。
【0089】
D(0)n+1=|PTn+1-PT(0)|、D(1)n+1=|PTn+1-PT(1)|,…,D(L)n+1=|PTn+1-PT(L)|、D(0)n+2=|PTn+2-PT(0)|、D(1)n+2=|PTn+2-PT(1)|,…,D(L)n+2=|PTn+2-PT(L)|、D(0)n+m=|PTn+m-PT(0)|、D(1)n+m=|PTn+m-PT(1)|,…,D(L)n+m=|PTn+m-PT(L)
引き続き、集束超音波装置1は、距離値を温度値に変換して温度値
【数8】

を計算する。Tδは、既定の照射条件による照射時間δtの間の温度変化値である。この際、集束超音波照射を通じて温度変化値を求めることができ、温度が距離に反比例する点を用いてシミュレーションを通じて温度変化値を求めうる。
【0090】
引き続き、集束超音波装置1は、最大温度[Tmax(n+1),…,Tmax(n+m)]を計算する。ここで、Tmax(n+1)は、最大値max[TδD(0)n+1,…,TδD(0)n+m]であり、Tmax(n+m)は、最大値max[TδD(L)n+1,…,TδD(L)n+m]であり、Tδは、照射時間δtの間の温度変化値である。
【0091】
引き続き、最小値Min[Tmax(n+1),Tmax(n+2),Tmax(n+3),…,Tmax(n+m)]を有する位置(温度変化が最も小さな所の座標値)を次の集束点位置として決定する。前記の過程をm回繰り返して、温度変化値が既定の値よりも小さければ、次の集束点として確定することができる。
【0092】
図7及び図8は、本発明の一実施形態による以前の集束点位置を考慮して集束超音波を照射する場合の効果を示す図面である。
【0093】
より具体的に、図7は、以前の集束点位置を考慮せず、集束超音波を照射する場合、患部の熱的上昇が発生するということを示す図面であり、図8は、本発明の一実施形態によって以前の集束点位置を考慮して集束超音波を照射する場合、患部の熱的上昇が遮断されるということを示す図面である。
【0094】
一実施形態によれば、熱的治療法ではない機械的なエネルギーを用いて患部を刺激するか、治療薬物の伝達効果の改善を目的とする超音波治療法を使用する時、患部の熱的上昇を最小化しながら機械的エネルギーを最大限活用することができる。例えば、集束超音波の少なくとも1つの以前集束点位置を考慮して次の集束点位置を決定することによって、患部の熱的上昇を最小化することができる。
【0095】
以上、本発明について、その実施形態を中心に説明した。当業者ならば、本発明が、本発明の本質的な特性から外れない範囲で変形された形態として具現可能であるということを理解できるであろう。したがって、開示された実施形態は、限定的な観点ではなく、説明的な観点で考慮されなければならない。本発明の範囲は、前述した説明ではなく、特許請求の範囲に示されており、それと同等な範囲内にあるあらゆる差異点は、本発明に含まれたと解釈しなければならない。
【産業上の利用可能性】
【0096】
治療を目的とするエネルギーや物質(例えば、集束超音波)の熱的損傷や被ばく量などの損傷を最小するための施術位置を選定するために、施術順序による位置選定時に、以前治療した位置情報を反映して最も安全な位置を確定する技術に利用可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】