(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-19
(54)【発明の名称】がん治療のための鋳型指向性免疫調節
(51)【国際特許分類】
A61K 31/7105 20060101AFI20240112BHJP
A61K 9/51 20060101ALI20240112BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20240112BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20240112BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240112BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240112BHJP
C12N 15/113 20100101ALI20240112BHJP
【FI】
A61K31/7105
A61K9/51
A61K47/02
A61K47/36
A61P35/00
A61P43/00 105
C12N15/113 Z ZNA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023540752
(86)(22)【出願日】2021-12-29
(85)【翻訳文提出日】2023-08-28
(86)【国際出願番号】 US2021065580
(87)【国際公開番号】W WO2022147177
(87)【国際公開日】2022-07-07
(32)【優先日】2020-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523248736
【氏名又は名称】トランスコード セラピューティクス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ダドリー, ロバート マイケル
(72)【発明者】
【氏名】リウ, チヨン ピーター
(72)【発明者】
【氏名】ゴーシュ, スブラタ クマール
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA19
4C076AA65
4C076BB11
4C076CC50
4C076DD29
4C076EE38H
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA05
4C086MA24
4C086MA38
4C086MA66
4C086NA14
4C086ZB26
4C086ZB27
(57)【要約】
がんを処置するための組成物および方法であって、非腫瘍環境と比較して腫瘍微小環境中で高度に発現されるmiRNAと相補的な一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む、組成物および方法が、本明細書に記載される。ある特定の態様では、本開示は、がんを処置するための方法であって、対象に治療有効量の一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドを投与することを含み、前記オリゴヌクレオチドが、非腫瘍または非腫瘍微小環境と比較して腫瘍または腫瘍微小環境中で高度に発現されるmiRNAと相補的である、方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
がんを処置するための方法であって、対象に治療有効量の一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドを投与することを含み、前記オリゴヌクレオチドが、非腫瘍または非腫瘍微小環境と比較して腫瘍または腫瘍微小環境中で高度に発現されるmiRNAと相補的である、方法。
【請求項2】
腫瘍または腫瘍微小環境中のRIG-Iを選択的に活性化するための方法であって、対象に、治療有効量の一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドを投与することを含み、前記一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドが、前記腫瘍または腫瘍微小環境中で発現されるmiRNAと相補的である配列を含み、前記RIG-Iが、前記miRNA.3を発現する前記腫瘍または腫瘍微小環境中で選択的に活性化される、方法。
【請求項3】
前記miRNAが、miR10b、miR17、miR18a、miR18b、miR19b、miR21、miR26a、miR29a、miR92a-1、miR92a-2、miR155、miR210、およびmiR221からなる群から選択される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドが、前記miRNAと二重鎖を形成する、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記miRNAが発癌性miRNAである、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記miRNAが腫瘍関連miRNAである、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記二重鎖がAGO2によって切断されない、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記二重鎖がRIG-Iを活性化する、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
RIG-I活性化が、対応する非修飾一リン酸RNAオリゴヌクレオチドによる活性化よりも少なくとも5%、10%、15%または20%大きい、請求項2から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記RIG-I活性化が、腫瘍特異的免疫応答を惹起する、請求項2から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記腫瘍特異的免疫応答が、I型IFN、DAMP(危険関連分子パターン)、および/または腫瘍抗原の放出を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記腫瘍または腫瘍微小環境に対する免疫記憶を誘導する、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記がんが、固形腫瘍である、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記固形腫瘍が、肉腫、癌、およびリンパ腫からなる群から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記がんが、非固形腫瘍である、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記非固形腫瘍が、白血病、骨髄腫、およびリンパ腫からなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記がんが、膀胱がん、血液がん、骨がん、脳がん、乳がん、結腸がん、子宮頸がん、腎臓がん、食道がん、肝臓がん、肺がん、甲状腺がん、皮膚がん、卵巣がん、膵がん、前立腺がん、直腸がん、胃がん、子宮がん、神経膠芽腫、または頭頸部がんからなる群から選択される、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。請求項16.前記修飾RNAオリゴヌクレオチドが、他のいかなる修飾も含まない、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記修飾RNAオリゴヌクレオチドが、少なくとも2個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記修飾RNAオリゴヌクレオチドが、少なくとも3個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記修飾RNAオリゴヌクレオチドが、少なくとも4個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記修飾RNAオリゴヌクレオチドが、少なくとも5個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記修飾RNAオリゴヌクレオチドが、最大で40個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記修飾RNAオリゴヌクレオチドが、2’-フルオロ(2’-F)リボース修飾をさらに含む、請求項1から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記2’-Fリボース修飾が、前記修飾RNAオリゴヌクレオチドの5’末端から10または11番目のヌクレオチドに存在する、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記修飾RNAオリゴヌクレオチドが、2’-O-メチル(2’-OMe)リボース修飾を含まない、請求項1から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記修飾RNAオリゴヌクレオチドが、N-6-メチルアデノシン(m6A)修飾を含まない、請求項1から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記修飾RNAオリゴヌクレオチドが、シュードウリジン(Ψ)を含まない、請求項1から26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記修飾RNAオリゴヌクレオチドが、N-1-メチルシュードウリジン(mΨ)修飾を含まない、請求項1から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記修飾RNAオリゴヌクレオチドが、5-メチル-シチジン(5mC)修飾を含まない、請求項1から28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記修飾RNAオリゴヌクレオチドが、5-ヒドロキシメチル-シチジン(5hmC)修飾を含まない、請求項1から29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記修飾RNAオリゴヌクレオチドが、5-メトキシシチジン(5moC)修飾を含まない、請求項1から30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記修飾RNAオリゴヌクレオチドが、少なくとも19ヌクレオチド長である配列を含む、請求項1から31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記修飾RNAオリゴヌクレオチドが、15~30ヌクレオチド長である配列を含む、請求項1から31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記修飾RNAオリゴヌクレオチドが、16~27ヌクレオチド長である配列を含む、請求項1から31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記修飾RNAオリゴヌクレオチドが、前記miRNAと完全に相補的である、請求項1から34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記修飾RNAオリゴヌクレオチドが、内因性mRNAと競合して、前記miRNAに結合する、請求項1から35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記二重鎖が、0~5個のミスマッチ塩基対を含む、請求項1から35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
配列番号6の核酸配列を有する修飾RNAオリゴヌクレオチドを投与することを含む、請求項1から37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
配列番号6の核酸が、miR-21と相補的である、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記がんが、乳房、卵巣、子宮頸部、結腸、肺、肝臓、脳、食道、前立腺、膵臓、および甲状腺のがんからなる群から選択される、請求項38または39に記載の方法。
【請求項41】
配列番号1の核酸配列を有する修飾RNAオリゴヌクレオチドを投与することを含む、請求項1から37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
配列番号1の核酸が、miR-10bと相補的である、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記がんが、非小細胞肺がんまたは子宮頸がんである、請求項41または42に記載の方法。
【請求項44】
前記がんが、転移性がんである、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
シトシンおよびウラシルが、前記AGO2切断部位に存在する、請求項41から44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記転移性がんが、乳房、リンパ節、肺、骨、脳、肝臓、卵巣、腹膜、筋肉組織、膵臓、前立腺、食道、結腸、直腸、胃、鼻咽頭または皮膚に局在する、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記修飾RNAオリゴヌクレオチドを用いた処置が、単剤治療である、請求項1から46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記修飾RNAオリゴヌクレオチドが、静脈内投与、皮下投与、動脈内投与、筋肉内投与、腹腔内投与、または局部投与によって投与される、請求項1から47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記修飾RNAオリゴヌクレオチドが、約0.2mg/kg~約200mg/kgの用量で投与される、請求項1から48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記修飾RNAオリゴヌクレオチドが、約0.2mg/kg~約2.0mg/kgの用量で投与される、請求項1から48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記修飾RNAオリゴヌクレオチドが、約1.0mg/kg~約10.0mg/kgの用量で投与される、請求項1から48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
がんを処置するための方法であって、対象に、
塩化第2鉄、塩化第1鉄、またはその組合せ;
デキストランコーティング;および
一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチド
を含む磁性ナノ粒子の治療有効量を投与することを含み、
前記オリゴヌクレオチドが、非腫瘍または非腫瘍微小環境と比較して腫瘍または腫瘍微小環境中で高度に発現されるmiRNAと相補的である、方法。
【請求項53】
前記磁性ナノ粒子が、約6~約40の範囲の非線形性指数を有する、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記磁性ナノ粒子が、約8~約14の範囲の非線形性指数を有する、請求項52または53に記載の方法。
【請求項55】
前記磁性ナノ粒子が、約0.54gの塩化第2鉄および約0.2gの塩化第1鉄を含む、請求項52から54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記磁性ナノ粒子が、少なくとも2個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む、請求項52から55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記磁性ナノ粒子が、少なくとも3個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む、請求項52から55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記磁性ナノ粒子が、少なくとも4個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む、請求項52から55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記磁性ナノ粒子が、少なくとも5個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む、請求項52から55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記磁性ナノ粒子が、最大で40個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む、請求項52から55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記miRNAが、miR10b、miR17、miR18a、miR18b、miR19b、miR21、miR26a、miR29a、miR92a-1、miR92a-2、miR155、miR210、およびmiR221からなる群から選択される、請求項52から60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
前記miRNAが発癌性miRNAである、請求項52から61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
前記miRNAが腫瘍関連miRNAである、請求項52から61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
支持治療または補助治療を投与することをさらに含む、請求項1から63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
前記補助治療が、放射線治療、凍結治療、および超音波治療を含む、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
追加の治療剤を投与することを含む、請求項64または65に記載の方法。
【請求項67】
前記追加の治療剤が、miRNAを含む、請求項64から66のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
請求項67に記載のmiRNAが、前記修飾RNAオリゴヌクレオチドと相補的である、請求項64から66のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
前記追加の治療剤が、標的化治療、化学療法剤、免疫治療剤、免疫原性細胞死誘導剤(ICDi)、およびsiRNA治療からなる群から選択される、請求項66に記載の方法。
【請求項70】
外科手術をさらに含む、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記化学療法剤が、シクロホスファミド、メクロレタミン、クロラムブシル、メルファラン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ミトキサントロン、バルルビシン、パクリタキセル、ドセタキセル、エトポシド、テニポシド、タフルポシド、アザシチジン、アザチオプリン、カペシタビン、シタラビン、ドキシフルリジン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、メルカプトプリン、メトトレキサート、チオグアニン、ブレオマイシン、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチン、オールトランスレチノイン酸、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビンおよびベバシズマブからなる群から選択される、請求項69に記載の方法。
【請求項72】
前記標的化治療が、トラスツズマブ、ジオトリフ、プロロイキン、アレクチニブ、キャンパス、アテゾリズマブ、アベルマブ、アキシチニブ、ベリムマブ、ベリノスタット、ベバシズマブ、ベルケイド、カナキヌマブ、セリチニブ、セツキシマブ、クリゾチニブ、ダブラフェニブ、ダラツムマブ、ダサチニブ、デノスマブ、エロツズマブ、エナシデニブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、イブルチニブ、ザイデリグ、イマチニブ、レンバチニブ、ミドスタウリン、ネシツムマブ、ニラパリブ、オビヌツズマブ、オシメルチニブ、パニツムマブ、レゴラフェニブ、リツキシマブ、ルキソリチニブ、ソラフェニブ、トシリズマブ、およびトラスツズマブからなる群から選択される、請求項69に記載の方法。
【請求項73】
前記免疫治療剤が、免疫チェックポイント阻害剤である、請求項69に記載の方法。
【請求項74】
前記免疫チェックポイント阻害剤が、ペムブロリズマブ(Keytruda(登録商標))、ニボルマブ(Opdivo(登録商標))、アテゾリズマブ(Tecentriq(登録商標))、イピリムマブ(Yervoy(登録商標))、アベルマブ(Bavencio(登録商標))およびデュルバルマブ(Imfinzi(登録商標))からなる群から選択される、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記補助治療が、前記miRNAの発現を誘導する、請求項64から74のいずれかに記載の方法。
【請求項76】
前記追加の治療剤が、前記miRNAの発現を誘導する、請求項66から73のいずれかに記載の方法。
【請求項77】
前記ICDiが、ダウノルビシン、ドセタキセル、ドキソルビシン、ミトキサントロン、オキサリプラチン、およびパクリタキセルからなる群から選択される、請求項73に記載の方法。
【請求項78】
前記siRNA治療が、PD-L1、CTLA-4、TGF-β、および/またはVEGFを標的とする、請求項73に記載の方法。
【請求項79】
前記支持治療または補助治療が、前記修飾RNAオリゴヌクレオチドの投与の前に、それと同時に、またはその後に投与される、請求項64から78のいずれか一項に記載の方法。
【請求項80】
非腫瘍組織と比較して腫瘍組織中で高度に発現されるmiRNAと相補的である、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチド。
【請求項81】
前記miRNAが、miR10b、miR17、miR18a、miR18b、miR19b、miR21、miR26a、miR29a、miR92a-1、miR92a-2、miR155、miR210、およびmiR221からなる群から選択される、請求項80に記載の修飾RNAオリゴヌクレオチド。
【請求項82】
前記miRNAと二重鎖を形成することができる、請求項80または81に記載の修飾RNAオリゴヌクレオチド。
【請求項83】
前記二重鎖がAGO2によって切断されない、請求項80から82のいずれか一項に記載の修飾RNAオリゴヌクレオチド。
【請求項84】
前記二重鎖がRIG-Iを活性化する、請求項80から83のいずれか一項に記載の修飾RNAオリゴヌクレオチド。
【請求項85】
前記RIG-I活性化が、対応する非修飾一リン酸RNAオリゴヌクレオチドによる活性化よりも少なくとも5%、10%、15%または20%大きい、請求項84に記載の修飾RNAオリゴヌクレオチド。
【請求項86】
前記RIG-I活性化が、腫瘍特異的免疫応答を惹起する、請求項84または85に記載の修飾RNAオリゴヌクレオチド。
【請求項87】
前記腫瘍特異的免疫応答が、I型IFN、DAMP(危険関連分子パターン)、および/または腫瘍抗原の放出を含む、請求項86に記載の修飾RNAオリゴヌクレオチド。
【請求項88】
他のいかなる修飾も含まない、請求項80から87のいずれか一項に記載の修飾RNAオリゴヌクレオチド。
【請求項89】
2’-フルオロ(2’-F)リボース修飾をさらに含む、請求項80から88のいずれか一項に記載の修飾RNAオリゴヌクレオチド。
【請求項90】
2’-O-メチル(2’-OMe)リボース修飾を含まない、請求項80から89のいずれか一項に記載の修飾RNAオリゴヌクレオチド。
【請求項91】
N-6-メチルアデノシン(m6A)修飾を含まない、請求項80から90のいずれか一項に記載の修飾RNAオリゴヌクレオチド。
【請求項92】
シュードウリジン(Ψ)を含まない、請求項80から91のいずれか一項に記載の修飾RNAオリゴヌクレオチド。
【請求項93】
N-1-メチルシュードウリジン(mΨ)修飾を含まない、請求項80から92のいずれか一項に記載の修飾RNAオリゴヌクレオチド。
【請求項94】
5-メチル-シチジン(5mC)修飾を含まない、請求項80から92のいずれか一項に記載の修飾RNAオリゴヌクレオチド。
【請求項95】
5-ヒドロキシメチル-シチジン(5hmC)修飾を含まない、請求項80から94のいずれか一項に記載の修飾RNAオリゴヌクレオチド。
【請求項96】
5-メトキシシチジン(5moC)修飾を含まない、請求項80から95のいずれか一項に記載の修飾RNAオリゴヌクレオチド。
【請求項97】
前記miRNAと完全に相補的である、請求項80から96のいずれか一項に記載の修飾RNAオリゴヌクレオチド。
【請求項98】
内因性mRNAと競合して、前記miRNAに結合する、請求項80から97のいずれか一項に記載の修飾RNAオリゴヌクレオチド。
【請求項99】
前記二重鎖が、0~5個のミスマッチ塩基対を含む、請求項82から98のいずれか一項に記載の修飾RNAオリゴヌクレオチド。
【請求項100】
配列番号1~13のいずれか1つの核酸配列を含む、請求項80から99のいずれか一項に記載の修飾RNAオリゴヌクレオチド。
【請求項101】
ナノ粒子にさらに連結されている、請求項80から100のいずれか一項に記載の修飾RNAオリゴヌクレオチド。
【請求項102】
前記ナノ粒子が、磁性ナノ粒子である、請求項101に記載の修飾RNAオリゴヌクレオチド。
【請求項103】
前記磁性ナノ粒子が、ポリマーコーティングでコーティングされている、請求項102に記載の修飾RNAオリゴヌクレオチド。
【請求項104】
前記ポリマーコーティングが、デキストランである、請求項103に記載の修飾RNAオリゴヌクレオチド。
【請求項105】
前記磁性ナノ粒子が、酸化鉄;および1つまたは複数のアミン基で官能化されたデキストランコーティングを含み、前記1つまたは複数のアミン基の数が、約5個~約1000個の範囲である、請求項102から104のいずれか一項に記載の修飾RNAオリゴヌクレオチド。
【請求項106】
前記磁性ナノ粒子の鉄含量が、約50重量%(wt)~約100%wtの鉄(III)および約0%wt~約50%wtの鉄(II)を含む、請求項102から105のいずれか一項に記載の修飾RNAオリゴヌクレオチド。
【請求項107】
前記磁性ナノ粒子が、約5個~約150個のアミノ基を含む、請求項102から106のいずれか一項に記載の修飾RNAオリゴヌクレオチド。
【請求項108】
磁性ナノ粒子が、1つまたは複数のそのような修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む、請求項102から107のいずれか一項に記載の修飾RNAオリゴヌクレオチド。
【請求項109】
塩化第2鉄、塩化第1鉄、またはその組合せ;
デキストランコーティング;および
一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチド
を含む磁性ナノ粒子であって、前記オリゴヌクレオチドが、非腫瘍または非腫瘍微小環境と比較して腫瘍または腫瘍微小環境中で高度に発現されるmiRNAと相補的である、磁性ナノ粒子。
【請求項110】
約6~約40の範囲の非線形性指数を有する、請求項109に記載の磁性ナノ粒子。
【請求項111】
約8~約14の範囲の非線形性指数を有する、請求項109または110に記載の磁性ナノ粒子。
【請求項112】
約0.54gの塩化第2鉄および約0.2gの塩化第1鉄を含む、請求項109から111のいずれか一項に記載の磁性ナノ粒子。
【請求項113】
前記miRNAが、miR10b、miR17、miR18a、miR18b、miR19b、miR21、miR26a、miR29a、miR92a-1、miR92a-2、miR155、miR210、およびmiR221からなる群から選択される、請求項109から112のいずれか一項に記載の磁性ナノ粒子。
【請求項114】
前記miRNAが発癌性miRNAである、請求項109から113のいずれか一項に記載の磁性ナノ粒子。
【請求項115】
前記miRNAが腫瘍関連miRNAである、請求項109から113のいずれか一項に記載の磁性ナノ粒子。
【請求項116】
2個またはそれより多い修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む、請求項109から115のいずれか一項に記載の磁性ナノ粒子。
【請求項117】
前記2個またはそれより多い修飾RNAオリゴヌクレオチドが、異なるmiRNAと相補的である、請求項116に記載の磁性ナノ粒子。
【請求項118】
前記2個またはそれより多い修飾RNAオリゴヌクレオチドが、同じmiRNAと相補的である、請求項116に記載の磁性ナノ粒子。
【請求項119】
請求項80から108のいずれか一項に記載の修飾RNAオリゴヌクレオチドまたは請求項109から118のいずれか一項に記載の磁性ナノ粒子を含む医薬組成物。
【請求項120】
送達剤をさらに含む、請求項119に記載の医薬組成物。
【請求項121】
前記送達剤が、ミセル、脂質ナノ粒子(LNP)、球状核酸(SNA)、細胞外ベシクル、合成ベシクル、エキソソーム、リピドイド、リポソーム、およびリポプレックスからなる群から選択される、請求項120に記載の医薬組成物。
【請求項122】
前記リポソームが、脂質二重層から形成される、請求項121に記載の医薬組成物。
【請求項123】
前記脂質二重層が、リン酸脂質、ホスホグリセロール脂質、ホスホコリン脂質、およびホスホエタノールアミン脂質からなる群から選択される1つまたは複数のリン脂質を含む、請求項122に記載の医薬組成物。
【請求項124】
前記リン脂質が、PEG化されている、請求項123に記載の医薬組成物。
【請求項125】
前記送達剤が、リポソームまたは脂質ナノ粒子である、請求項121に記載の医薬組成物。
【請求項126】
前記リポソームまたは脂質ナノ粒子が、追加の治療剤をさらに送達する、請求項125に記載の医薬組成物。
【請求項127】
前記追加の治療剤が、ICDi(例えば、ダウノルビシン、ドセタキセル、ドキソルビシン、ミトキサントロン、オキサリプラチン、およびパクリタキセル)である、請求項126に記載の医薬組成物。
【請求項128】
前記追加の治療剤が、siRNA(例えば、がんと関連する遺伝子を標的とするsiRNA)である、請求項126に記載の医薬組成物。
【請求項129】
前記追加の治療剤が、化学療法剤である、請求項126に記載の医薬組成物。
【請求項130】
少なくとも1つの追加の修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む、請求項119から129のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項131】
前記修飾RNAオリゴヌクレオチドが、約0.2mg/kg~約200mg/kgの用量で投与される、請求項119から130のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項132】
前記修飾RNAオリゴヌクレオチドが、約0.2mg/kg~約2.0mg/kgの用量で投与される、請求項119から130のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項133】
前記修飾RNAオリゴヌクレオチドが、約1.0mg/kg~約10.0mg/kgの用量で投与される、請求項119から130のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年12月30日に出願された米国仮特許出願第63/132,315号の優先権の利益を主張する。前記出願の明細書は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
がんは、全体的なヒトの健康に対する継続的かつ重大な脅威を表す。がんを処置するための新規メカニズムの利用は、有効ながん処置のための進行中かつ緊急の必要性を満たす治療剤を送達する有望な手段を表す。最近の研究により、合成RIG-I(レチノイン酸誘導遺伝子I)アゴニストの全身送達が腫瘍成長を阻害することが示されている。RIG-Iは、ウイルスRNA中に典型的に見出される共通モチーフである、非キャップ付加5’-三リン酸部分を有する短い二本鎖RNAを感知する。RIG-Iは、腫瘍細胞を含む多数の細胞型において発現され、がん治療のための有望な標的として役立つ。したがって、がんを処置するために腫瘍微小環境中のRIG-Iを選択的に活性化するための組成物および方法を提供することが本開示の目的である。RIG-Iを活性化するための手段として内因性miRNAを利用する治療方法は、腫瘍微小環境を標的とし、種々の関連するがんを処置するための非常に有望な手法を提供する。
【0003】
本開示の組成物および方法は、非腫瘍環境と比較して腫瘍微小環境中で高度に発現されるmiRNAと相補的な一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドを使用して腫瘍微小環境中のRIG-Iを選択的に活性化するための方法を提供する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
発明の概要
ある特定の態様では、本開示は、がんを処置するための方法であって、対象に治療有効量の一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドを投与することを含み、前記オリゴヌクレオチドが、非腫瘍または非腫瘍微小環境と比較して腫瘍または腫瘍微小環境中で高度に発現されるmiRNAと相補的である、方法に関する。
【0005】
ある特定の態様では、本開示は、腫瘍または腫瘍微小環境中のRIG-Iを選択的に活性化するための方法であって、対象に、治療有効量の一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドを投与することを含み、前記一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドが、腫瘍または腫瘍微小環境中で発現されるmiRNAと相補的である配列を含み、RIG-Iが、miRNAを発現する前記腫瘍または腫瘍微小環境中で選択的に活性化される、方法に関する。
【0006】
一部の実施形態では、miRNAは、miR10b、miR17、miR18a、miR18b、miR19b、miR21、miR26a、miR29a、miR92a-1、miR92a-2、miR155、miR210、およびmiR221からなる群から選択される。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、miRNAと二重鎖を形成する。一部の実施形態では、miRNAは発癌性miRNAである。一部の実施形態では、miRNAは腫瘍関連miRNAである。一部の実施形態では、二重鎖はAGO2によって切断されない。一部の実施形態では、二重鎖はRIG-Iを活性化する。一部の実施形態では、RIG-I活性化は、対応する非修飾一リン酸RNAオリゴヌクレオチドによる活性化よりも少なくとも5%、10%、15%または20%大きい。一部の実施形態では、RIG-I活性化は、腫瘍特異的免疫応答を惹起する。一部の実施形態では、腫瘍特異的免疫応答は、I型IFN、DAMP(危険関連分子パターン)、および/または腫瘍抗原の放出を含む。一部の実施形態では、方法は、腫瘍または腫瘍微小環境に対する免疫記憶を誘導する。
【0007】
一部の実施形態では、がんは、固形腫瘍である。一部の実施形態では、固形腫瘍は、肉腫、癌、およびリンパ腫からなる群から選択される。一部の実施形態では、がんは、膀胱がん、血液がん、骨がん、脳がん、乳がん、結腸がん、子宮頸がん、腎臓がん、食道がん、肝臓がん、肺がん、甲状腺がん、皮膚がん、卵巣がん、膵がん、前立腺がん、直腸がん、胃がん、子宮がん、神経膠芽腫、または頭頸部がんからなる群から選択される。一部の実施形態では、修飾RNAオリゴヌクレオチドは、他のいかなる修飾も含まない。
【0008】
一部の実施形態では、修飾RNAオリゴヌクレオチドが、少なくとも2個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、修飾RNAオリゴヌクレオチドは、少なくとも3個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、修飾RNAオリゴヌクレオチドは、少なくとも4個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、修飾RNAオリゴヌクレオチドは、少なくとも5個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、修飾RNAオリゴヌクレオチドは、最大で40個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。
【0009】
一部の実施形態では、修飾RNAオリゴヌクレオチドは、2’-フルオロ(2’-F)リボース修飾をさらに含む。一部の実施形態では、2’-Fリボース修飾は、修飾RNAオリゴヌクレオチドの5’末端から10または11番目のヌクレオチドに存在する。一部の実施形態では、修飾RNAオリゴヌクレオチドは、2’-O-メチル(2’-OMe)リボース修飾を含まない。一部の実施形態では、修飾RNAオリゴヌクレオチドは、N-6-メチルアデノシン(m6A)修飾を含まない。一部の実施形態では、修飾RNAオリゴヌクレオチドは、シュードウリジン(Ψ)を含まない。一部の実施形態では、修飾RNAオリゴヌクレオチドは、N-1-メチルシュードウリジン(mΨ)修飾を含まない。一部の実施形態では、修飾RNAオリゴヌクレオチドは、5-メチル-シチジン(5mC)修飾を含まない。一部の実施形態では、修飾RNAオリゴヌクレオチドは、5-ヒドロキシメチル-シチジン(5hmC)修飾を含まない。一部の実施形態では、修飾RNAオリゴヌクレオチドは、5-メトキシシチジン(5moC)修飾を含まない。
【0010】
一部の実施形態では、修飾RNAオリゴヌクレオチドは、少なくとも19ヌクレオチド長である配列を含む。一部の実施形態では、修飾RNAオリゴヌクレオチドは、15~30ヌクレオチド長である配列を含む。一部の実施形態では、修飾RNAオリゴヌクレオチドは、16~27ヌクレオチド長である配列を含む。一部の実施形態では、修飾RNAオリゴヌクレオチドは、miRNAと完全に相補的である。一部の実施形態では、修飾RNAオリゴヌクレオチドは、内因性mRNAと競合して、miRNAに結合する。一部の実施形態では、二重鎖は、0~5個のミスマッチ塩基対を含む。
【0011】
一部の実施形態では、方法は、配列番号6の核酸配列を有する修飾RNAオリゴヌクレオチドを投与することを含む。一部の実施形態では、配列番号6の核酸は、miR-21と相補的である。一部の実施形態では、がんは、乳房、卵巣、子宮頸部、結腸、肺、肝臓、脳、食道、前立腺、膵臓、および甲状腺のがんからなる群から選択される。一部の実施形態では、方法は、配列番号1の核酸配列を有する修飾RNAオリゴヌクレオチドを投与することを含む。一部の実施形態では、配列番号1の核酸は、miR-10bと相補的である。一部の実施形態では、がんは、非小細胞肺がんまたは子宮頸がんである。一部の実施形態では、がんは、転移性がんである。一部の実施形態では、シトシンおよびウラシルは、AGO2切断部位に存在する。一部の実施形態では、転移性がんは、乳房、リンパ節、肺、骨、脳、肝臓、卵巣、腹膜、筋肉組織、膵臓、前立腺、食道、結腸、直腸、胃、鼻咽頭または皮膚に局在する。一部の実施形態では、修飾RNAオリゴヌクレオチドを用いた処置は、単剤治療である。一部の実施形態では、修飾RNAオリゴヌクレオチドは、静脈内投与、皮下投与、動脈内投与、筋肉内投与、腹腔内投与、または局部投与によって投与される。一部の実施形態では、修飾RNAオリゴヌクレオチドは、約0.2mg/kg~約200mg/kgの用量で投与される。一部の実施形態では、修飾RNAオリゴヌクレオチドは、約0.2mg/kg~約2.0mg/kgの用量で投与される。一部の実施形態では、修飾RNAオリゴヌクレオチドは、約1.0mg/kg~約10.0mg/kgの用量で投与される。
【0012】
ある特定の態様では、本開示は、がんを処置するための方法であって、対象に、塩化第2鉄、塩化第1鉄、またはその組合せ;デキストランコーティング;および一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む磁性ナノ粒子の治療有効量を投与することを含み、前記オリゴヌクレオチドが、非腫瘍または非腫瘍微小環境と比較して腫瘍または腫瘍微小環境中で高度に発現されるmiRNAと相補的である、方法に関する。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、約6~約40の範囲の非線形性指数を有する。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、約8~約14の範囲の非線形性指数を有する。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、約0.54gの塩化第2鉄および約0.2gの塩化第1鉄を含む。一部の実施形態では、miRNAは、miR10b、miR17、miR18a、miR18b、miR19b、miR21、miR26a、miR29a、miR92a-1、miR92a-2、miR155、miR210、およびmiR221からなる群から選択される。一部の実施形態では、miRNAは発癌性miRNAである。一部の実施形態では、miRNAは腫瘍関連miRNAである。
【0013】
一部の実施形態では、方法は、支持治療または補助治療を投与することをさらに含む。一部の実施形態では、補助治療は、放射線治療、凍結治療、および超音波治療を含む。
【0014】
一部の実施形態では、方法は、追加の治療剤を投与することを含む。一部の実施形態では、追加の治療剤は、miRNAを含む。一部の実施形態では、miRNAは、修飾RNAオリゴヌクレオチドと相補的である。一部の実施形態では、追加の治療剤は、標的化治療、化学療法剤、免疫治療剤、免疫原性細胞死誘導剤(ICDi)、およびsiRNA治療からなる群から選択される。一部の実施形態では、方法は、外科手術をさらに含む。一部の実施形態では、化学療法剤は、シクロホスファミド、メクロレタミン、クロラムブシル、メルファラン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ミトキサントロン、バルルビシン、パクリタキセル、ドセタキセル、エトポシド、テニポシド、タフルポシド、アザシチジン、アザチオプリン、カペシタビン、シタラビン、ドキシフルリジン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、メルカプトプリン、メトトレキサート、チオグアニン、ブレオマイシン、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチン、オールトランスレチノイン酸、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビンおよびベバシズマブからなる群から選択される。一部の実施形態では、標的化治療は、トラスツズマブ、ジオトリフ、プロロイキン、アレクチニブ、キャンパス、アテゾリズマブ、アベルマブ、アキシチニブ、ベリムマブ、ベリノスタット、ベバシズマブ、ベルケイド、カナキヌマブ、セリチニブ、セツキシマブ、クリゾチニブ、ダブラフェニブ、ダラツムマブ、ダサチニブ、デノスマブ、エロツズマブ、エナシデニブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、イブルチニブ、ザイデリグ、イマチニブ、レンバチニブ、ミドスタウリン、ネシツムマブ、ニラパリブ、オビヌツズマブ、オシメルチニブ、パニツムマブ、レゴラフェニブ、リツキシマブ、ルキソリチニブ、ソラフェニブ、トシリズマブ、およびトラスツズマブからなる群から選択される。一部の実施形態では、免疫治療剤は、免疫チェックポイント阻害剤である。一部の実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、ペムブロリズマブ(Keytruda(登録商標))、ニボルマブ(Opdivo(登録商標))、アテゾリズマブ(Tecentriq(登録商標))、イピリムマブ(Yervoy(登録商標))、アベルマブ(Bavencio(登録商標))およびデュルバルマブ(Imfinzi(登録商標))からなる群から選択される。一部の実施形態では、補助治療は、miRNAの発現を誘導する。一部の実施形態では、追加の治療剤は、miRNAの発現を誘導する。一部の実施形態では、ICDiは、ダウノルビシン、ドセタキセル、ドキソルビシン、ミトキサントロン、オキサリプラチン、およびパクリタキセルからなる群から選択される。一部の実施形態では、siRNA治療は、PD-L1、CTLA-4、TGF-β、および/またはVEGFを標的とする。一部の実施形態では、支持治療または補助治療は、修飾RNAオリゴヌクレオチドの投与の前に、それと同時に、またはその後に投与される。
【0015】
ある特定の態様では、本開示は、非腫瘍組織と比較して腫瘍組織中で高度に発現されるmiRNAと相補的である、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む組成物に関する。一部の実施形態では、miRNAは、miR10b、miR17、miR18a、miR18b、miR19b、miR21、miR26a、miR29a、miR92a-1、miR92a-2、miR155、miR210、およびmiR221からなる群から選択される。一部の実施形態では、修飾RNAオリゴヌクレオチドは、前記miRNAと二重鎖を形成することができる。一部の実施形態では、二重鎖はAGO2によって切断されない。一部の実施形態では、二重鎖はRIG-Iを活性化する。一部の実施形態では、RIG-I活性化は、対応する非修飾一リン酸RNAオリゴヌクレオチドによる活性化よりも少なくとも5%、10%、15%または20%大きい。一部の実施形態では、RIG-I活性化は、腫瘍特異的免疫応答を惹起する。一部の実施形態では、腫瘍特異的免疫応答は、I型IFN、DAMP(危険関連分子パターン)、および/または腫瘍抗原の放出を含む。
【0016】
一部の実施形態では、修飾RNAオリゴヌクレオチドは、他のいかなる修飾も含まない。一部の実施形態では、修飾RNAオリゴヌクレオチドは、2’-フルオロ(2’-F)リボース修飾をさらに含む。一部の実施形態では、修飾RNAオリゴヌクレオチドは、2’-O-メチル(2’-OMe)リボース修飾を含まない。一部の実施形態では、修飾RNAオリゴヌクレオチドは、N-6-メチルアデノシン(m6A)修飾を含まない。一部の実施形態では、修飾RNAオリゴヌクレオチドは、シュードウリジン(Ψ)を含まない。一部の実施形態では、修飾RNAオリゴヌクレオチドは、N-1-メチルシュードウリジン(mΨ)修飾を含まない。一部の実施形態では、修飾RNAオリゴヌクレオチドは、5-メチル-シチジン(5mC)修飾を含まない。一部の実施形態では、修飾RNAオリゴヌクレオチドは、5-ヒドロキシメチル-シチジン(5hmC)修飾を含まない。一部の実施形態では、修飾RNAオリゴヌクレオチドは、5-メトキシシチジン(5moC)修飾を含まない。一部の実施形態では、修飾RNAオリゴヌクレオチドは、miRNAと完全に相補的である。一部の実施形態では、修飾RNAオリゴヌクレオチドは、内因性mRNAと競合して、miRNAに結合する。一部の実施形態では、二重鎖は、0~5個のミスマッチ塩基対を含む。一部の実施形態では、修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号1~13のいずれか1つの核酸配列を含む。
【0017】
一部の実施形態では、修飾RNAオリゴヌクレオチドは、ナノ粒子にさらに連結されている。一部の実施形態では、ナノ粒子は、磁性ナノ粒子である。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、ポリマーコーティングでコーティングされている。一部の実施形態では、ポリマーコーティングは、デキストランである。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、酸化鉄;および1つまたは複数のアミン基で官能化されたデキストランコーティングを含み、1つまたは複数のアミン基の数が、約5個~約1000個の範囲である。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子の鉄内容物(iron content)は、約50重量(wt)%~約100%wtの鉄(III)および約0%wt~約50%wtの鉄(II)を含む。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、約5個~約150個のアミノ基を含む。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、1つまたは複数のそのような修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。
【0018】
ある特定の態様では、本開示は、塩化第2鉄、塩化第1鉄、またはその組合せ;デキストランコーティング;および一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む磁性ナノ粒子を含む組成物であって、前記オリゴヌクレオチドが、非腫瘍または非腫瘍微小環境と比較して腫瘍または腫瘍微小環境中で高度に発現されるmiRNAと相補的である、組成物に関する。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、約6~約40の範囲の非線形性指数を有する。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、約8~約14の範囲の非線形性指数を有する。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、約0.54gの塩化第2鉄および約0.2gの塩化第1鉄を含む。一部の実施形態では、miRNAが、miR10b、miR17、miR18a、miR18b、miR19b、miR21、miR26a、miR29a、miR92a-1、miR92a-2、miR155、miR210、およびmiR221からなる群から選択される。一部の実施形態では、miRNAは発癌性miRNAである。一部の実施形態では、miRNAは腫瘍関連miRNAである。
【0019】
一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、2個またはそれより多い修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、2個またはそれより多い修飾RNAオリゴヌクレオチドは、異なるmiRNAと相補的である。一部の実施形態では、2個またはそれより多い修飾RNAオリゴヌクレオチドは、同じmiRNAと相補的である。
【0020】
ある特定の態様では、本開示は、本明細書に開示される修飾RNAオリゴヌクレオチドまたは磁性ナノ粒子を含む医薬組成物に関する。一部の実施形態では、医薬組成物は、送達剤をさらに含む。一部の実施形態では、送達剤は、ミセル、脂質ナノ粒子(LNP)、球状核酸(SNA)、細胞外ベシクル、合成ベシクル、エキソソーム、リピドイド、リポソーム、およびリポプレックスからなる群から選択される。一部の実施形態では、リポソームは、脂質二重層から形成される。一部の実施形態では、脂質二重層は、リン酸脂質、ホスホグリセロール脂質、ホスホコリン脂質、およびホスホエタノールアミン脂質からなる群から選択される1つまたは複数のリン脂質を含む。一部の実施形態では、リン脂質は、PEG化されている。一部の実施形態では、送達剤は、リポソームまたは脂質ナノ粒子である。一部の実施形態では、リポソームまたは脂質ナノ粒子は、追加の治療剤をさらに送達する。一部の実施形態では、追加の治療剤は、ICDi(例えば、ダウノルビシン、ドセタキセル、ドキソルビシン、ミトキサントロン、オキサリプラチン、およびパクリタキセル)である。一部の実施形態では、追加の治療剤は、siRNA(例えば、がんと関連する遺伝子を標的とするsiRNA)である。一部の実施形態では、追加の治療剤は、化学療法剤である。一部の実施形態では、医薬組成物は、少なくとも1つの追加の修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、修飾RNAオリゴヌクレオチドは、約0.2mg/kg~約200mg/kgの用量で投与される。一部の実施形態では、修飾RNAオリゴヌクレオチドは、約0.2mg/kg~約2.0mg/kgの用量で投与される。一部の実施形態では、修飾RNAオリゴヌクレオチドは、約1.0mg/kg~約10.0mg/kgの用量で投与される。
【0021】
一部の実施形態では、5’二リン酸(5’pp抗miRNAもしくはmRNA)または5’三リン酸修飾(5’ppp抗miRNAもしくはmRNA)を有する、miRNAまたはmRNAであって、好ましくは、それぞれ、表1、表2、または表3に列挙されるmiRNAまたはmRNAと相補的である配列を含む一本鎖アンチセンスRNAが本明細書で提供される。また、内因性(好ましくは、腫瘍特異的)RNA配列と相補的である少なくとも10ヌクレオチド長の5’二リン酸(5’pp)または5’三リン酸(5’ppp)修飾RNAを含むRIG-Iアゴニストも提供される。一部の実施形態では、核酸は、少なくとも1つの修飾ヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、少なくとも1つの修飾ヌクレオチドは、ロックドヌクレオチドである。
【0022】
一部の実施形態では、例えば、がんを処置するため、およびがんを発症するリスクを低減させるために、特異的RNA、例えば、内因性RNA配列に対する免疫応答を惹起するための5’ppまたは5’ppp抗miRNA/mRNAを含む組成物および方法が、本明細書で提供される。
【0023】
一部の実施形態では、一本鎖アンチセンスRNAは、ナノ粒子に連結され、前記ナノ粒子は、10nm~30nmの直径を有し、ポリマーコーティングを含む。
【0024】
一部の実施形態では、一本鎖アンチセンスRNAは、ナノ粒子に連結され、前記ナノ粒子は、10nm~30nmの直径を有し、ポリマーコーティングを含む。一部の実施形態では、ポリマーコーティングは、デキストランを含む。
【0025】
一部の実施形態では、一本鎖アンチセンスRNAは、ジスルフィド結合またはチオエーテル結合を含む化学部分を介してナノ粒子に3’末端において共有結合で連結される。一部の実施形態では、ナノ粒子は、磁性である。
【0026】
また、本明細書に記載される一本鎖アンチセンスRNAを含む医薬組成物も本明細書で提供される。さらに、対象におけるがんを処置するため、またはがんを発症するリスクを低減させるための方法が、本明細書で提供される。方法は、治療有効量の本明細書に記載の一本鎖アンチセンスRNAを、がんを有する、またはがんを発症するリスクがある対象に投与することを含む。一部の実施形態では、がんは、膀胱がん、血液がん、骨のがん、脳がん、乳がん、結腸がん、腎臓がん、肝臓がん、肺がん、皮膚がん、卵巣がん、膵がん、前立腺がん、直腸がん、胃がん、甲状腺がん、および子宮がんからなる群から選択される。
【0027】
一部の実施形態では、投与は、対象のリンパ節における腫瘍サイズの低下もしくは安定化、または転移性腫瘍成長の速度の低下をもたらす。一部の実施形態では、一本鎖アンチセンスRNAは、2またはそれより多い用量で対象に投与される。一部の実施形態では、一本鎖アンチセンスRNAは、少なくとも週1回、対象に投与される。一部の実施形態では、一本鎖アンチセンスRNAは、静脈内、皮下、動脈内、筋肉内、または腹腔内投与によって対象に投与される。一部の実施形態では、対象は、化学療法剤をさらに投与される。
【0028】
別途定義しない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本発明における使用のための方法および材料が、本明細書に記載される;当技術分野で公知の他の好適な方法および材料を使用することもできる。材料、方法、および例は、例示に過ぎず、限定的であることを意図したものではない。本明細書で言及される全ての刊行物、特許出願、特許、配列、データベースエントリー、および他の参考文献は、それらの全体が参照により組み込まれる。矛盾する場合、定義を含む本明細書が支配する。本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および図面、ならびに特許請求の範囲から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】
図1は、本明細書に記載のナノ粒子送達システムを使用して腫瘍および転移物に送達される、5’三リン酸化アンチセンスtsRNAの送達の概略図である。アンチセンスtsRNAおよび腫瘍特異的tsRNAは、ハイブリダイゼーションによって、強力なRIG-Iアゴニストである5’ppp-dsRNAを産生する。RIG-Iシグナル伝達経路の活性化は、腫瘍微小環境に特異的なI型IFN誘導性免疫応答をもたらす。この免疫応答は、樹状細胞(DC)、ナチュラルキラー細胞(NK)、およびマクロファージの活性化を特徴とする。このプロセスは、活性化されたDCおよびマクロファージによる有効な腫瘍抗原提示ならびにT細胞の成熟、活性化および腫瘍細胞殺傷を伴う。同時に、制御性T細胞(Treg)が阻害され、抗腫瘍免疫応答に対するその免疫抑制作用を低減させる。重要なことに、再チャレンジの際に外来のものとして腫瘍の完全な免疫拒絶を誘発する記憶T細胞サブ集団が生成される。合わせて、これらのプロセスは、完全な寛解およびがん再発に対する耐性をもたらす。
【0030】
【
図2A-2B】
図2は、ss-ppp-miRNA-21がヒトRIG-Iルシフェラーゼリポーター細胞系HEK-Lucia(商標)RIG-IにおいてRIG-I活性化を誘導する能力を示す概要データを提供する。細胞におけるRIG-Iの高発現を、ウェスタンブロットを使用して確認した(
図2A)。ヌル細胞と比較して、RIG-I過剰発現細胞においてルシフェラーゼ活性の非常に有意な増強が観察された(
図2B)。2μg/mL、4μg/mL、および8μg/mLの用量レベルのss-ppp-miRNA-21を、HEK-Lucia(商標)RIG-Iにおいて評価した。試験したss-ppp-miRNA-21の3つ全ての用量レベルで、有意なRIG-I活性化が観察された(
図2C)。用量依存的なカスパーゼ3/7の活性化が観察され、これは5’-pppの存在下でより顕著であった(
図2D)。ss-ppp-miRNA-21 RIG-Iアゴニストを使用した場合、腫瘍細胞生存能力の用量依存的低下も観察された(
図2E)。
【
図2C-2D】
図2は、ss-ppp-miRNA-21がヒトRIG-Iルシフェラーゼリポーター細胞系HEK-Lucia(商標)RIG-IにおいてRIG-I活性化を誘導する能力を示す概要データを提供する。細胞におけるRIG-Iの高発現を、ウェスタンブロットを使用して確認した(
図2A)。ヌル細胞と比較して、RIG-I過剰発現細胞においてルシフェラーゼ活性の非常に有意な増強が観察された(
図2B)。2μg/mL、4μg/mL、および8μg/mLの用量レベルのss-ppp-miRNA-21を、HEK-Lucia(商標)RIG-Iにおいて評価した。試験したss-ppp-miRNA-21の3つ全ての用量レベルで、有意なRIG-I活性化が観察された(
図2C)。用量依存的なカスパーゼ3/7の活性化が観察され、これは5’-pppの存在下でより顕著であった(
図2D)。ss-ppp-miRNA-21 RIG-Iアゴニストを使用した場合、腫瘍細胞生存能力の用量依存的低下も観察された(
図2E)。
【
図2E】
図2は、ss-ppp-miRNA-21がヒトRIG-Iルシフェラーゼリポーター細胞系HEK-Lucia(商標)RIG-IにおいてRIG-I活性化を誘導する能力を示す概要データを提供する。細胞におけるRIG-Iの高発現を、ウェスタンブロットを使用して確認した(
図2A)。ヌル細胞と比較して、RIG-I過剰発現細胞においてルシフェラーゼ活性の非常に有意な増強が観察された(
図2B)。2μg/mL、4μg/mL、および8μg/mLの用量レベルのss-ppp-miRNA-21を、HEK-Lucia(商標)RIG-Iにおいて評価した。試験したss-ppp-miRNA-21の3つ全ての用量レベルで、有意なRIG-I活性化が観察された(
図2C)。用量依存的なカスパーゼ3/7の活性化が観察され、これは5’-pppの存在下でより顕著であった(
図2D)。ss-ppp-miRNA-21 RIG-Iアゴニストを使用した場合、腫瘍細胞生存能力の用量依存的低下も観察された(
図2E)。
【0031】
【
図3A】
図3は、増加する濃度の合成成熟miRNA-21模倣体を一過的にトランスフェクトされたHEK-Lucia(商標)RIG-I細胞におけるss-ppp-miRNA-21アゴニストによるRIG-Iシグナル伝達の誘導を示す概要データを提供する。細胞に、0ng/mL、0.3ng/mL、3ng/mL、30ng/mL、および300ng/mL濃度の合成成熟miRNA-21模倣体をトランスフェクトした;ss-ppp-miRNA-21アゴニストによるRIG-Iシグナル伝達の非常に有意な誘導が、30および300ng/mlの合成成熟miRNA-21模倣体をトランスフェクトした細胞において観察された;5’-ppp欠損ss-miRNA-21は、検出可能なRIG-I活性化を引き起こすことができなかった(
図3A)。miRNA-21模倣体濃度の関数としてのRIG-I活性化の用量依存性の分析により、ss-ppp-miRNA-21を使用した場合のmiRNA-21模倣体の83.4ng/mlのEC50が決定された;対照的に、5’-ppp欠損ss-miRNA-21を使用した場合の算出されたEC50は、357.9ng/mlであった(
図3B)。増加する濃度のRIG-Iアゴニストを用いたB16-F10マウス黒色腫細胞の処置は、IFN-β分泌の用量依存的増加を引き起こした;対照的に、市販のds-ppp-RNAアゴニストは、IFN-β分泌を刺激することができなかった(
図3C)。miRNA-21模倣体濃度の関数としてのカスパーゼ3/7活性化を、B16-F10マウス(muring)黒色腫細胞において測定した;カスパーゼ3/7活性化の用量依存的増加が観察され、その効果は、5’-ppp欠損ss-miRNA-21と比較してss-ppp-miRNA-21で処置した細胞において有意に高く、ds-ppp-RNA陽性対照と同等であった(
図3D)。
図3Eは、miR-21をトランスフェクトし、ss-ppp-miRNA-21で処置した細胞が、ds-ppp-RNA陽性対照オリゴヌクレオチドに関して見られたレベルを超えるRIG-Iの劇的な上方調節を示したウェスタンブロットである。
図3Fは、miR-21をトランスフェクトし、ss-ppp-miRNA-21で処置した細胞における反応性の増加は、p65の発現の増加と関連しなかったことを示すウェスタンブロットであり、これは、反応性の増加が標的リン酸化を特異的に反映したことを示している。
【
図3B-3C】
図3は、増加する濃度の合成成熟miRNA-21模倣体を一過的にトランスフェクトされたHEK-Lucia(商標)RIG-I細胞におけるss-ppp-miRNA-21アゴニストによるRIG-Iシグナル伝達の誘導を示す概要データを提供する。細胞に、0ng/mL、0.3ng/mL、3ng/mL、30ng/mL、および300ng/mL濃度の合成成熟miRNA-21模倣体をトランスフェクトした;ss-ppp-miRNA-21アゴニストによるRIG-Iシグナル伝達の非常に有意な誘導が、30および300ng/mlの合成成熟miRNA-21模倣体をトランスフェクトした細胞において観察された;5’-ppp欠損ss-miRNA-21は、検出可能なRIG-I活性化を引き起こすことができなかった(
図3A)。miRNA-21模倣体濃度の関数としてのRIG-I活性化の用量依存性の分析により、ss-ppp-miRNA-21を使用した場合のmiRNA-21模倣体の83.4ng/mlのEC50が決定された;対照的に、5’-ppp欠損ss-miRNA-21を使用した場合の算出されたEC50は、357.9ng/mlであった(
図3B)。増加する濃度のRIG-Iアゴニストを用いたB16-F10マウス黒色腫細胞の処置は、IFN-β分泌の用量依存的増加を引き起こした;対照的に、市販のds-ppp-RNAアゴニストは、IFN-β分泌を刺激することができなかった(
図3C)。miRNA-21模倣体濃度の関数としてのカスパーゼ3/7活性化を、B16-F10マウス(muring)黒色腫細胞において測定した;カスパーゼ3/7活性化の用量依存的増加が観察され、その効果は、5’-ppp欠損ss-miRNA-21と比較してss-ppp-miRNA-21で処置した細胞において有意に高く、ds-ppp-RNA陽性対照と同等であった(
図3D)。
図3Eは、miR-21をトランスフェクトし、ss-ppp-miRNA-21で処置した細胞が、ds-ppp-RNA陽性対照オリゴヌクレオチドに関して見られたレベルを超えるRIG-Iの劇的な上方調節を示したウェスタンブロットである。
図3Fは、miR-21をトランスフェクトし、ss-ppp-miRNA-21で処置した細胞における反応性の増加は、p65の発現の増加と関連しなかったことを示すウェスタンブロットであり、これは、反応性の増加が標的リン酸化を特異的に反映したことを示している。
【
図3D-3E】
図3は、増加する濃度の合成成熟miRNA-21模倣体を一過的にトランスフェクトされたHEK-Lucia(商標)RIG-I細胞におけるss-ppp-miRNA-21アゴニストによるRIG-Iシグナル伝達の誘導を示す概要データを提供する。細胞に、0ng/mL、0.3ng/mL、3ng/mL、30ng/mL、および300ng/mL濃度の合成成熟miRNA-21模倣体をトランスフェクトした;ss-ppp-miRNA-21アゴニストによるRIG-Iシグナル伝達の非常に有意な誘導が、30および300ng/mlの合成成熟miRNA-21模倣体をトランスフェクトした細胞において観察された;5’-ppp欠損ss-miRNA-21は、検出可能なRIG-I活性化を引き起こすことができなかった(
図3A)。miRNA-21模倣体濃度の関数としてのRIG-I活性化の用量依存性の分析により、ss-ppp-miRNA-21を使用した場合のmiRNA-21模倣体の83.4ng/mlのEC50が決定された;対照的に、5’-ppp欠損ss-miRNA-21を使用した場合の算出されたEC50は、357.9ng/mlであった(
図3B)。増加する濃度のRIG-Iアゴニストを用いたB16-F10マウス黒色腫細胞の処置は、IFN-β分泌の用量依存的増加を引き起こした;対照的に、市販のds-ppp-RNAアゴニストは、IFN-β分泌を刺激することができなかった(
図3C)。miRNA-21模倣体濃度の関数としてのカスパーゼ3/7活性化を、B16-F10マウス(muring)黒色腫細胞において測定した;カスパーゼ3/7活性化の用量依存的増加が観察され、その効果は、5’-ppp欠損ss-miRNA-21と比較してss-ppp-miRNA-21で処置した細胞において有意に高く、ds-ppp-RNA陽性対照と同等であった(
図3D)。
図3Eは、miR-21をトランスフェクトし、ss-ppp-miRNA-21で処置した細胞が、ds-ppp-RNA陽性対照オリゴヌクレオチドに関して見られたレベルを超えるRIG-Iの劇的な上方調節を示したウェスタンブロットである。
図3Fは、miR-21をトランスフェクトし、ss-ppp-miRNA-21で処置した細胞における反応性の増加は、p65の発現の増加と関連しなかったことを示すウェスタンブロットであり、これは、反応性の増加が標的リン酸化を特異的に反映したことを示している。
【
図3F】
図3は、増加する濃度の合成成熟miRNA-21模倣体を一過的にトランスフェクトされたHEK-Lucia(商標)RIG-I細胞におけるss-ppp-miRNA-21アゴニストによるRIG-Iシグナル伝達の誘導を示す概要データを提供する。細胞に、0ng/mL、0.3ng/mL、3ng/mL、30ng/mL、および300ng/mL濃度の合成成熟miRNA-21模倣体をトランスフェクトした;ss-ppp-miRNA-21アゴニストによるRIG-Iシグナル伝達の非常に有意な誘導が、30および300ng/mlの合成成熟miRNA-21模倣体をトランスフェクトした細胞において観察された;5’-ppp欠損ss-miRNA-21は、検出可能なRIG-I活性化を引き起こすことができなかった(
図3A)。miRNA-21模倣体濃度の関数としてのRIG-I活性化の用量依存性の分析により、ss-ppp-miRNA-21を使用した場合のmiRNA-21模倣体の83.4ng/mlのEC50が決定された;対照的に、5’-ppp欠損ss-miRNA-21を使用した場合の算出されたEC50は、357.9ng/mlであった(
図3B)。増加する濃度のRIG-Iアゴニストを用いたB16-F10マウス黒色腫細胞の処置は、IFN-β分泌の用量依存的増加を引き起こした;対照的に、市販のds-ppp-RNAアゴニストは、IFN-β分泌を刺激することができなかった(
図3C)。miRNA-21模倣体濃度の関数としてのカスパーゼ3/7活性化を、B16-F10マウス(muring)黒色腫細胞において測定した;カスパーゼ3/7活性化の用量依存的増加が観察され、その効果は、5’-ppp欠損ss-miRNA-21と比較してss-ppp-miRNA-21で処置した細胞において有意に高く、ds-ppp-RNA陽性対照と同等であった(
図3D)。
図3Eは、miR-21をトランスフェクトし、ss-ppp-miRNA-21で処置した細胞が、ds-ppp-RNA陽性対照オリゴヌクレオチドに関して見られたレベルを超えるRIG-Iの劇的な上方調節を示したウェスタンブロットである。
図3Fは、miR-21をトランスフェクトし、ss-ppp-miRNA-21で処置した細胞における反応性の増加は、p65の発現の増加と関連しなかったことを示すウェスタンブロットであり、これは、反応性の増加が標的リン酸化を特異的に反映したことを示している。
【発明を実施するための形態】
【0032】
詳細な説明
1.概説
がんにおけるmiRNA
miRNAなどの低分子RNAは、RISC(RNA誘導サイレンシング複合体)と呼ばれるリボ核タンパク質複合体内からその調節機能を発揮する。RISCのコアサブユニットは、アルゴノートファミリーのタンパク質のメンバーに結合した低分子RNAである。アルゴノートは、様々な機構を介してサイレンシングのための相補的な標的転写物を同定するためのガイドとして低分子RNAを使用する。miRNAは一般に、ヒトアルゴノート2タンパク質(AGO2)によって捕捉され、AGO2と会合しながら、相補的mRNA標的と塩基対合することによって遺伝子発現を調節することができる。AGO2によって捕捉されたmiRNAは、相補的RNA標的を受容し、それとハイブリダイズし、二本鎖RNA二重鎖を形成するためのガイドRNAとして働く。高度に相補的なRNA標的は、AGO2からのガイドRNA:標的RNA二重鎖の放出を容易にすることが示された。
【0033】
レチノイン酸誘導性遺伝子I(RIG-I)様受容体(RLR)は、重要なRNAセンサーであり、抗ウイルス宿主応答を集合的に確立するI型インターフェロンおよび他の遺伝子の転写誘導を媒介する(Yong HY, Luo D. 2018;9:1379)。RIG-Iは、腫瘍細胞を含む実質的に全ての細胞型において発現され、ICI(免疫チェックポイント阻害剤)の有効性を増強するための有望な代替手段である(Heidegger S. et al., 2019. EBioMedicine. 41:146、Poeck H., et al. 2008. Nat. Med. 14:1256)。前臨床試験により、合成RIG-Iアゴニストの全身送達が、ウイルス感染細胞の除去を誘発したものと類似する機構によって腫瘍成長を阻害することが示された(Poeck H., et al. 2008. 5’-triphosphate-siRNA: turning gene silencing and Rig-I activation against melanoma. Nat. Med. 14:1256)。RIG-Iの関与は、優先的な腫瘍細胞死(内因性または外因性アポトーシス、およびインフラマソーム誘導性ピロトーシスによる)、ならびに自然免疫系および適応免疫系のIFN-I媒介性活性化(Elion DL., et al. 2018. Oncotarget. 9:29007の
図1を参照されたい)をもたらす。特異的なRIG-IアゴニストであるRGT100は、現在、進行性固形腫瘍およびリンパ腫の処置のための第I/II相臨床試験にある(NCT03065023)(Elion DL., et al. 2018. Oncotarget. 9:29007)。
【0034】
理論によって束縛されるものではないが、RIG-I経路は、がん細胞において特異的に発現されるmiRNA(5’ppp抗miRNA)またはmRNAと相補的な5’ppp RNAの導入後の5’ppp-dsRNAのin situでの生成によって、本開示の方法および組成物に記載のこれらの細胞において選択的に活性化することができる(
図1)。RIG-I経路の同じか、または類似する選択的活性化は、5’pp-dsRNAから予想される。結果として、腫瘍微小環境(TME)の抗腫瘍免疫能力を、単に一本鎖RNAを使用することによる、ある特定の腫瘍抑制遺伝子(複数可)の同時活性化と併せて、RIG-Iシグナル伝達経路の活性化によって明らかにすることができる。
【0035】
黒色腫治療のためのRIG-Iアゴニスト三リン酸RNAの有用性が最近検証された(Helms MW. et al. 2019. Utility of the RIG-I Agonist Triphosphate RNA for Melanoma Therapy. Mol Cancer Ther. 2019;18(12):2343-2356)。また、RIG-Iの天然のリガンドである三リン酸RNA(5’ppp-dsRNA)(および5’pp)と、低分子干渉RNA(siRNA)との類似性が、発癌性または免疫抑制性標的の同時サイレンシングならびにRIG-Iシグナル伝達経路の活性化のための二機能性siRNAの開発をもたらしたことも留意される(Poeck H., et al. 2008. Nat. Med. 14:1256、Ellermeier J. et al. 2013. 2013;73(6):1709-1720)。組み合わせた手法は、腫瘍細胞に対する2つの標的の攻撃を開始し、有望な結果を示す。
【0036】
マイクロRNA(miRNA)は、様々な標的遺伝子を調節することができる低分子非コードRNAである。miRNAは、メッセンジャーRNA(mRNA)の相補配列との塩基対合によって転写後レベルで遺伝子発現を調節する。この相互作用は、mRNA鎖の切断、そのポリA尾部の短縮によるmRNAの不安定化、またはmRNAのタンパク質への翻訳の阻害によって遺伝子サイレンシングをもたらす。miRNAは、約60%のタンパク質コード遺伝子の発現を制御し、細胞の代謝、増殖、分化、およびアポトーシスを調節する(Huang Z, Shi J, Gao Y, et al. HMDD v3.0: a database for experimentally supported human microRNA-disease associations. Nucleic Acids Res. 2019;47(D1):D1013-D1017)。
【0037】
正常な生理的条件下で、miRNAは、細胞の増殖、分化およびアポトーシスを含む重要な生物学的プロセスを保護することによるフィードバック機構において機能する(Reddy, K.B., Cancer Cell International, 2015, 15:38)。miRNAは、様々な臓器および細胞において発現され、炎症促進作用と抗炎症作用との両方を調節する。miRNAは、広範囲のヒト疾患における炎症応答の重要な調節因子として明らかになってきた(Tahamtan, A., et al., Front Immunol. 2018; 9: 1377)。
【0038】
miRNA発現の調節不全は、がんなどの種々の疾患の兆候と関連している。50%を超えるmiRNA遺伝子が、がん関連ゲノム領域中に位置することが示された(Di Leva, G., et al., Annu Rev Pathol. 2014; 9():287-314)。miRNAの調節不全は、いくつかの型のがんの開始、進行および播種において基礎的な役割を果たすことが示されている。例えば、miRNA調節不全は、慢性リンパ球性白血病と関連することが知られており、miR-15aおよびmiR-16-1は、慢性リンパ球性白血病を有する患者の大部分において下方調節されるか、または欠失していることが示された(Calin G.A., et al., Proc Natl Acad Sci USA; 2002; pp. 15524-15529)。miR-21、miR-26、およびmiR-29aなどの他のmiRNAは、がん細胞および/または腫瘍細胞微小環境中で優先的に発現されることが示されている(Chakraborty, C., et al., Mol Ther Nucleic Acids. 2020 Jun 5; 20: 606-620)。したがって、内因性miRNAに対する治療方法は、腫瘍微小環境を標的とし、miRNA調節不全と関連する種々のがんを処置するための非常に有望な手法を提供する。
【0039】
RIG-I媒介性RNA誘導性免疫原性細胞死
パターン認識受容体であるレチノイン酸誘導性遺伝子I(RIG-I)は、I型インターフェロンを誘導するためのウイルスRNAの特異的分子パターンを認識する。RIG-Iは、2つのN末端カスパーゼ動員ドメイン(CARD)、中央のRNAヘリカーゼドメイン、およびC末端RNA結合ドメインからなる。RIG-IのC末端ドメイン(CTD)は、非自己RNAの5’-ppp基を認識し、コンフォメーション変化を受けて、IFN-β産生を誘導する(Lee, M., et al., Nucleic Acids Research, 2016, Vol. 44, No. 17)。構造および生化学研究により、RIG-I CTDが5’-pppを含有する平滑末端dsRNAに結合することができることが示された。試験により、5’-ppp dsRNAがRIG-I CTDに強く結合し、5’-OH dsRNAと比較してより効率的にインターフェロン産生を刺激することが示された(Pichlmair, A., et al., 2006, Science, 314, 997-1001;Vela, A., et al., 2012, J. Biol. Chem., 287, 42564-42573)。
【0040】
RIG-I様受容体リガンドは、前臨床モデルにおいて黒色腫、膵がんおよび乳がんを含む固形悪性腫瘍の処置のための有望な戦略として使用されてきた。RIG-Iの大きな特徴は、その遍在性発現およびシグナル伝達の結果、とりわけ、IFN-I産生および優先的な腫瘍細胞死であり、これらは強力なT細胞応答における2つの重要な因子である。RIG-I手法の潜在的な成功にも拘わらず、免疫系は強力であり、不完全に理解されており、自己免疫の起こり得るオンタあり得るーゲット誘導、または患者の安全性に対する脅威をもたらし得るサイトカイン「ストーム」の誘導を含む、自然免疫活性化と関連する注意事項の慎重な楽観論および完全な検査を保証する。RIG-Iはヒト体内の多くの細胞において発現されるため、RIG-I活性化の結果は広範囲であり、疲労、抑鬱および認知機能障害のような症状を駆動し得ることに留意することが重要である。
【0041】
本開示は、RIG-I活性化を腫瘍微小環境に制限することによって、RIG-I治療と関連する潜在的な副作用を軽減するための戦略を提示する。具体的には、腫瘍特異的miRNAは、5’ppp-dsRNA RIG-Iアゴニストのアセンブリーのための鋳型として使用される。これを達成するために、本発明の方法は、miRNAと相補的である、外因的に供給された5’ppp一本鎖オリゴヌクレオチド(例えば、RNA)を導入する。相補的miRNA(内因性)および一本鎖5’pppオリゴヌクレオチド(例えば、RNA)(外因性)は、ハイブリダイズし、AGO2からの放出を促進する5’ppp-dsRNAを形成する。放出された5’ppp-dsRNAは、RIG-Iシグナル伝達の強力な活性化を容易にする。このプロセスによって、RIG-I活性化は、がん細胞に限定され、本質的には、体内の他の箇所での非特異的な免疫系の活性化を排除する。外因性一本鎖5’pppオリゴヌクレオチドを、腫瘍微小環境に優先的に局在化するナノ粒子担体とカップリングさせることによって、さらなるレベルの特異性を達成することができる。
図1に示されるように、標的miRNAまたはmRNAをサイレンシングするための標準的なRNAi技術についての、本明細書に記載の5(p)pp-抗mRNAまたは-miRNA手法の置換は、RIG-Iシグナル伝達および細胞死を誘発するRIG-I活性化を促進し、それによって、処置の結果を改善することができる。in vivoでは、5’(p)pp-抗mRNA/miRNAは、標的mRNAまたはmiRNAとハイブリダイズし、これをサイレンシングし、RIG-Iタンパク質に結合し、これを活性化する5’(p)pp-ds-mRNA/-miRNAの形成をもたらし、RIG-Iシグナル伝達およびがん細胞死をもたらすことができる。
【0042】
2.定義
本明細書で使用される用語は一般に、当技術分野における、本開示の文脈内で、およびそれぞれの用語が使用される特定の文脈における、その通常の意味を有する。ある特定の用語は、本開示の組成物および方法ならびにそれらを作製および使用する方法を記述する際のさらなる指針を実行者に提供するために、以下で、または明細書中の他の箇所で考察される。用語のいずれかの使用の範囲または意味は、その用語が使用される特定の文脈から明らかである。
【0043】
「約」および「およそ」は、一般的には、測定値の性質または正確さを考慮して測定された量に関する許容される程度の誤差を意味する。典型的には、例示的な誤差の程度は、所与の値または値の範囲の20パーセント(%)以内、好ましくは、10%以内、より好ましくは、5%以内である。
【0044】
あるいは、および特に、生物系では、用語「約」および「およそ」は、所与の値の1桁以内、好ましくは、5倍以内、より好ましくは、2倍以内である値を意味してもよい。本明細書で与えられる数量は、別途記述しない限り、近似であり、明示的に記述されない場合、用語「約」または「およそ」を推測できることを意味する。
【0045】
用語「a」および「an」は、その用語が使用される文脈が別途明確に区別しない限り、複数の指示対象を含む。用語「a」(または「an」)、ならびに用語「1または複数」および「少なくとも1」は、本明細書では互換的に使用することができる。さらに、本明細書で使用される場合、「および/または」は、他方を含む、または含まない、2つまたはそれより多い特定された特徴または成分のそれぞれの特定の開示と取られるべきである。したがって、本明細書で「Aおよび/またはB」などの語句において使用される用語「および/または」は、「AおよびB」、「AまたはB」、「A(のみ)」、および「B(のみ)」を含むことが意図される。同様に、「A、B、および/またはC」などの語句において使用される用語「および/または」は、以下の態様のそれぞれ:A、B、およびC;A、B、またはC;AまたはC;AまたはB;BまたはC;AおよびC;AおよびB;BおよびC;A(のみ);B(のみ);およびC(のみ)を包含することが意図される。
【0046】
本明細書で開示される数値範囲は、その範囲を規定する数を包含する。
【0047】
用語「核酸」は、任意の一本鎖または二本鎖ポリヌクレオチド(例えば、半合成、または合成起源の、DNAまたはRNA、cDNA)を意味する。用語「核酸」は、少なくとも1つの修飾ヌクレオチド(例えば、塩基における修飾および/もしくは糖における修飾を含有する)ならびに/または2つのヌクレオチドを連結するホスホジエステル結合における修飾を含有するオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、核酸は、2’-フルオロ(2’-F)などの少なくとも1つの修飾リボースを含有してもよい。一部の実施形態では、核酸は、5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸を含有してもよい。核酸の非限定例は、本明細書に記載される。核酸のさらなる例は、当技術分野で公知である。
【0048】
本明細書に開示される核酸は、天然に存在しないオリゴヌクレオチド配列を含んでもよい。そのようなバリアントは必然的に、出発分子との100%未満の配列同一性または類似性を有する。ある特定の実施形態では、バリアントは、例えば、バリアント分子の長さにわたって、出発(例えば、天然に存在する、または野生型)オリゴヌクレオチドの核酸配列との約75%~100%未満、より好ましくは、約80%~100%未満、より好ましくは、約85%~100%未満、より好ましくは、約90%~100%未満(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%)、最も好ましくは、約95%~100%未満のアミノ酸配列同一性または類似性の核酸配列を有する。ある特定の態様では、オリゴヌクレオチド配列は、標的配列と完全に相補的である。換言すれば、オリゴヌクレオチドおよびその標的によって形成される二重鎖領域は、オーバーハングを考慮に入れなければ、完全に相補的な配列を示す(すなわち、いかなる塩基対ミスマッチまたはギャップも含まない)。ある特定の態様では、オリゴヌクレオチドおよび標的配列は、二重鎖領域中に0~5個を超える塩基対ミスマッチを含まない。
【0049】
本開示の腫瘍特異的RNAは、マイクロRNA(miRNA)またはメッセンジャーRNA(mRNA)を含んでもよい。本開示のmiRNAまたはmRNAは、発癌性miRNAまたはmRNAを含んでもよい。発癌性miRNAまたはmRNAは、腫瘍/複数の腫瘍および/またはがんに関与する、またはそれと関連すると考えられるmiRNAまたはmRNAである。
【0050】
用語「反磁性」は、1未満または1に等しい相対透磁率を有し、磁場によって反発される組成物を記述するために使用される。
【0051】
用語「常磁性」は、外部的に印加された磁場の存在下でのみ磁気モーメントを生じる組成物を記述するために使用される。
【0052】
用語「強磁性」は、磁場に対して強く影響を受けやすく、外部的に印加された磁場が除去された後も、磁気特性(磁気モーメント)を保持することができる組成物を記述するために使用される。
【0053】
用語「ナノ粒子」は、約2nm~約200nm(例えば、10nm~200nm、2nm~100nm、2nm~40nm、2nm~30nm、2nm~20nm、2nm~15nm、100nm~200nm、および150nm~200nm)の直径を有する物体を意味する。ナノ粒子の非限定例としては、本明細書に記載のナノ粒子が挙げられる。
【0054】
用語「磁性ナノ粒子」は、磁性である(本明細書で定義される)ナノ粒子(例えば、本明細書に記載のナノ粒子のいずれか)を意味する。磁性ナノ粒子の非限定例は、本明細書に記載される。さらなる磁性ナノ粒子は、当技術分野で公知である。
【0055】
本明細書で使用される場合、用語「対象」または「患者」は、本開示の組成物または方法を、例えば、実験、診断、予防、および/または治療目的で投与することができる任意の哺乳動物(例えば、ヒトまたは獣医学的対象、例えば、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ヤギ、ヒツジ、マウス、ラット、もしくはウサギ)を指す。対象は、特定の疾患または状態のための、処置を求めるか、または必要とし得る、処置を要求し得る、処置を受けている、処置を受けるであろう、または訓練された専門家による看護の下にある。
【0056】
本明細書で使用される場合、用語「腫瘍」とは、固形の塊(例えば、固形腫瘍におけるような)または流体の塊(例えば、血液がんにおけるような)の両方または腫瘍内に見出される任意のがん細胞を含む、塊の成長が、正常組織の成長を上回り、それと調和していない、組織および/または細胞の異常な塊を指す。腫瘍は、固形(例えば、リンパ腫、肉腫もしくは癌)または非固形(例えば、血液、骨髄、もしくはリンパ節の腫瘍、例えば、白血病)であってもよい。腫瘍は、以下の特性:形態および機能を含む細胞分化の程度、成長の速度、局部侵襲および転移に応じて、「良性」または「悪性」と定義することができる。「良性」腫瘍は、高分化型であり、悪性腫瘍よりも特徴的に遅い成長を有し、発生部位に局在化したままであり得る。さらに、ある場合には、良性腫瘍は、浸潤する、侵襲する、または遠隔部位に転移する能力を有しない。「悪性」腫瘍は、低分化型(退形成)であり、進行的浸潤、侵襲、および周囲の組織の破壊を伴う特徴的に急速な成長を有し得る。さらに、悪性腫瘍は、遠隔部位に転移する能力を有し得る。したがって、がん細胞は、成長が正常組織の成長と調和していない組織の異常な塊内に見出される細胞である。
【0057】
本明細書で使用される場合、用語「微小環境」とは、組織の他の領域または身体の領域との一定の、または一時的な、物理的または化学的相違を有する組織または身体の任意の部分または領域を意味する。
【0058】
本明細書で使用される場合、用語「腫瘍微小環境」とは、腫瘍内の非細胞領域および腫瘍性組織のすぐ外側の領域であるが、がん細胞自体の細胞内区画に属しない、腫瘍が存在する環境を指す。それはまた、腫瘍微小環境内に見出される細胞、例えば、線維芽細胞、内皮細胞、脂肪細胞、周皮細胞、神経内分泌細胞、または腫瘍微小環境中の免疫細胞(マクロファージ、B細胞、T細胞など)も指す。腫瘍および腫瘍微小環境は密接に関連し、定常的に相互作用する。腫瘍は、その微小環境を変化させ、微小環境は、腫瘍がどのように成長し、拡散するかに影響し得る。典型的には、腫瘍微小環境は、5.0~7.0の範囲、または5.0~6.8の範囲、または5.8~6.8の範囲、または6.2~6.8の範囲の低いpHを有する。他方で、正常な生理的pHは、7.2~7.8の範囲である。腫瘍微小環境は、血漿と比較して、より低い濃度のグルコースおよび他の栄養素を有するが、より高い濃度の乳酸を有することも知られている。さらに、腫瘍微小環境は、正常な生理的温度よりも0.3~1℃高い温度を有し得る。
【0059】
用語「非腫瘍微小環境」とは、腫瘍以外の部位での微小環境を指す。
【0060】
用語「転移」とは、対象における、原発腫瘍に存在するがん細胞の、二次的な、非隣接組織への遊走を指す。転移の非限定例としては、原発腫瘍から、リンパ節(例えば、所属リンパ節)、骨組織、肺組織、肝臓組織、および/または脳組織への転移が挙げられる。用語 転移 はまた、リンパ節に見出される転移性がん細胞の、二次組織(例えば、骨組織、肝臓組織、または脳組織)への遊走も含む。一部の非限定的実施形態では、原発腫瘍に存在するがん細胞は、乳がん細胞、結腸がん細胞、腎臓がん細胞、肺がん細胞、皮膚がん細胞、卵巣がん細胞、膵がん細胞、前立腺がん細胞、直腸がん細胞、胃がん細胞、甲状腺がん細胞、または子宮がん細胞である。転移のさらなる態様および例は、当技術分野で公知であるか、または本明細書に記載される。
【0061】
用語「原発腫瘍」とは、腫瘍進行が開始し、進行して、がんの塊をもたらした解剖学的部位に存在する腫瘍を指す。一部の実施形態では、医師は、対象における原発腫瘍の部位を明確に同定することができない場合がある。
【0062】
用語「転移性腫瘍」とは、対象における原発腫瘍から転移した腫瘍細胞を起源とする対象における腫瘍を指す。一部の実施形態では、医師は、対象における原発腫瘍の部位を明確に同定することができない場合がある。
【0063】
好ましい方法および材料を本明細書に記載するが、本明細書に記載のものと類似するか、または等価な方法および材料も、本開示の方法および組成物の実施または試験において使用することができる。本明細書で言及される全ての刊行物、特許出願、特許および他の参考文献は、それらの全体が参照により組み込まれる。
【0064】
3.内因性腫瘍特異的RNA
内因性腫瘍特異的RNAによって免疫応答を惹起するための組成物および方法が、本明細書に記載される。一部の実施形態では、本開示は、がんを処置するための方法であって、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドを投与することを含み、前記オリゴヌクレオチドが、非腫瘍細胞と比較して腫瘍細胞において高度に発現される内因性腫瘍特異的RNAと相補的である、方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、腫瘍細胞においてRIG-Iを選択的に活性化するための方法であって、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドを投与することを含み、前記一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドが、内因性腫瘍特異的RNAと相補的である配列を含み、腫瘍特異的RNAが、腫瘍細胞に特異的であり、RIG-Iが、腫瘍特異的RNAを高度に発現する腫瘍細胞において選択的に活性化される、方法を提供する。本開示の内因性腫瘍特異的RNAを、miRNAまたはmRNAから選択することができる。本開示の内因性腫瘍特異的RNAを、発癌性miRNAまたは発癌性mRNAからさらに選択することができる。発癌性miRNAまたはmRNAは、がんに関与すると考えられるmiRNAまたはmRNAである。
【0065】
miRNAは、多くのがんにおける構成要素であることが示されており、がん処置のための新しい手段を提供することができる。本開示の方法および組成物のmiRNAは、限定されるものではないが、miR-9;miR-10b;miR-17;miR-18;miR-19b;miR-21;miR-26a;miR-29a;miR-92a;miR-106b/93;miR-125b;miR-130a;miR-155;miR-181a;miR-200s;miR-210;miR-210-3p;miR-221;miR-222;miR-221/222;miR-335;miR-498;miR-504;miR-1810;miR-1908;miR-224/452;およびmiR-181/340を含む。配列を含む完全な一覧は、OncomiRDB(Wang et al. Bioinformatics. 2014;30(15):2237-2238;mircancer.ecu.edu/browse.jsp;US20150004221A1);表1および表2も参照されたい)で入手可能である。
【0066】
1つのそのようなmiRNAの例は、miR-10bである。miR-10bの上方調節は、転移性腫瘍細胞の遊走および侵襲ならびにこれらの細胞の生存能力を担うことが示されている(Tian Y., et al., J. Biol. Chem. 2010; 285:7986-7994)。40個のヒト食道がん試料およびその対になった正常隣接組織におけるmiR-10bレベルの分析により、試料採取されたがん組織の95%(40のうちの38)におけるmiR-10bの発現の上昇が示された(Tian Y., et al., J. Biol. Chem. 2010; 285:7986-7994)。関連する標的である発癌においても役割を果たす多くの他のmiRNAが存在する;これらの、および他のmiRNAは、治療的阻害のための潜在的な新しいクラスの標的である(Nguyen DD, Chang S. Int J Mol Sci. 2017;19(1):65)。例えば、miR-21は、神経膠芽腫、乳がん、結腸直腸がん、肺がん、膵がん、皮膚がん、肝臓がん、胃がん、子宮頸がん、および甲状腺がん、ならびに種々のリンパがん、および造血がんおよび神経芽腫に限定されない、様々ながん細胞および組織に関与することが示されている。miR-21は、複数の発癌シグナル伝達カスケードを標的とし、がん細胞における遺伝子発現ネットワークの全体的な調節不全を引き起こす単一のmiRNAの代表例である(Pan, X., et al., Cancer Biol. Ther. 2010; 10:1224-1232)。miR-21発現の増加は、ホスファターゼおよびテンシンホモログ(PTEN)、PDCD4、RECK、TPM1などの様々な必須の腫瘍抑制因子を標的とし、細胞の増殖、生存、転移、および化学耐性表現型の獲得を容易にすることがわかった(Meng, F., et al., Gastroenterology. 2007; 133:647-658; Peralta-Zaragoza O., et al., BMC Cancer. 2016; 16:215; Zhang, X., et al., BMC Cancer. 2016;16:86; Reis ST., et al., BMC Urol. 2012;12:14; Zhu S., et al., J. Biol. Chem. 2007;282:14328-14336).。
【0067】
miR-155は、BRCA1によってエピジェネティックに制御され、乳がん、卵巣がん、および肺がんにおいて過剰発現される。miR-155は、B細胞がんのための潜在的なバイオマーカーとして調査されてきた。miR-155の過剰発現は、SHIP1およびC/EBPβ遺伝子の下方調節によってB細胞分化を遮断し、PI3K-AktおよびMAPK経路の活性化に起因して細胞生存の改善をもたらす。神経膠腫などの他のがんでは、miR-155の過剰発現は、神経膠腫組織中での尾側型ホメオボックス1タンパク質(CDX1)発現との負の相関を介して腫瘍形成の進行を促進する。
【0068】
miR-210は、がんの発達、進行および転移の様々な態様に関与する十分に裏付けられたmiRNAである。miR-210発現の増加は、骨転移性および非骨転移性前立腺がん組織において観察された。発現は、非骨転移性前立腺がん組織と比較して骨転移性前立腺がん組織において上昇していることが見出され、NF-κBシグナル伝達経路によって前立腺がん細胞の上皮間葉移行および骨転移を促進することが示された(Ren D., et al., Mol Cancer. 2017; 16: 117)。miRNA-221などの他のmiRNAは、乳がん、神経膠腫、肝細胞癌、膵臓腺癌、黒色腫、慢性リンパ球性白血病、および甲状腺乳頭癌において上方調節されることが見出された(Brognara E., et al., Int J Oncol. 2012 Dec;41(6):2119-27)。
【0069】
一部の実施形態では、本開示は、がんを処置するための方法であって、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドを投与することを含み、前記オリゴヌクレオチドが、非腫瘍細胞と比較して腫瘍細胞において高度に発現される内因性腫瘍特異的RNAと相補的である、方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、腫瘍細胞においてRIG-Iを選択的に活性化するための方法であって、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドを投与することを含み、前記一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドが、内因性腫瘍特異的RNAと相補的である配列を含み、腫瘍特異的RNAが、腫瘍細胞に特異的であり、RIG-Iが、腫瘍特異的RNAを高度に発現する腫瘍細胞において選択的に活性化される、方法を提供する。一部の実施形態では、内因性腫瘍特異的RNAは、発癌性miRNAである。一部の実施形態では、内因性腫瘍特異的RNAは、発癌性miRNAではない。
【0070】
一部の実施形態では、内因性腫瘍特異的RNAは、miR-9;miR-10b;miR-17;miR-18;miR-19b;miR-21;miR-26a;miR-29a;miR-92a;miR-106b/93;miR-125b;miR-130a;miR-155;miR-181a;miR-200s;miR-210;miR-210-3p;miR-221;miR-222;miR-221/222;miR-335;miR-498;miR-504;miR-1810;miR-1908;miR-224/452;およびmiR-181/340からなる群から選択されるmiRNAである。一部の実施形態では、内因性腫瘍特異的RNAは、miR-9である。一部の実施形態では、内因性腫瘍特異的RNAは、miR-10bである。一部の実施形態では、内因性腫瘍特異的RNAは、miR-17である。一部の実施形態では、内因性腫瘍特異的RNAは、miR-18である。一部の実施形態では、内因性腫瘍特異的RNAは、miR-19bである。一部の実施形態では、内因性腫瘍特異的RNAは、miR-21である。一部の実施形態では、内因性腫瘍特異的RNAは、miR-26aである。一部の実施形態では、内因性腫瘍特異的RNAは、miR-29aである。一部の実施形態では、内因性腫瘍特異的RNAは、miR-92aである。一部の実施形態では、内因性腫瘍特異的RNAは、miR-106b/93である。一部の実施形態では、内因性腫瘍特異的RNAは、miR-125bである。一部の実施形態では、内因性腫瘍特異的RNAは、miR-130aである。一部の実施形態では、内因性腫瘍特異的RNAは、miR-155である。一部の実施形態では、内因性腫瘍特異的RNAは、miR-181aである。一部の実施形態では、内因性腫瘍特異的RNAは、miR-200sである。一部の実施形態では、内因性腫瘍特異的RNAは、miR-210である。一部の実施形態では、内因性腫瘍特異的RNAは、miR-210-3pである。一部の実施形態では、内因性腫瘍特異的RNAは、miR-221である。一部の実施形態では、内因性腫瘍特異的RNAは、miR-222である。一部の実施形態では、内因性腫瘍特異的RNAは、miR-221/222である。一部の実施形態では、内因性腫瘍特異的RNAは、miR-335である。一部の実施形態では、内因性腫瘍特異的RNAは、miR-498である。一部の実施形態では、内因性腫瘍特異的RNAは、miR-504である。一部の実施形態では、内因性腫瘍特異的RNAは、miR-1810である。一部の実施形態では、内因性腫瘍特異的RNAは、miR-1908である。一部の実施形態では、内因性腫瘍特異的RNAは、miR-224/452である。一部の実施形態では、内因性腫瘍特異的RNAは、miR-181/340である。
【0071】
本開示の好ましい実施形態では、内因性腫瘍特異的RNAは、miR10b、miR17、miR18a、miR18b、miR19b、miR21、miR26a、miR29a、miR92a-1、miR92a-2、miR155、miR210、およびmiR221からなる群から選択される。一部の実施形態では、内因性腫瘍特異的RNAは、miR10bである。一部の実施形態では、内因性腫瘍特異的RNAは、miR17である。一部の実施形態では、内因性腫瘍特異的RNAは、miR18aである。一部の実施形態では、内因性腫瘍特異的RNAは、miR18bである。一部の実施形態では、内因性腫瘍特異的RNAは、miR19bである。一部の実施形態では、内因性腫瘍特異的RNAは、miR21である。一部の実施形態では、内因性腫瘍特異的RNAは、miR26aである。一部の実施形態では、内因性腫瘍特異的RNAは、miR29aである。一部の実施形態では、内因性腫瘍特異的RNAは、miR92a-1である。一部の実施形態では、内因性腫瘍特異的RNAは、miR92a-2である。一部の実施形態では、内因性腫瘍特異的RNAは、miR155である。一部の実施形態では、内因性腫瘍特異的RNAは、miR210である。一部の実施形態では、内因性腫瘍特異的RNAは、miR22である。
【0072】
一部の実施形態では、腫瘍細胞において高度に発現される内因性腫瘍特異的RNAは、miR-9;miR-10b;miR-17;miR-18;miR-19b;miR-21;miR-26a;miR-29a;miR-92a;miR-106b/93;miR-125b;miR-130a;miR-155;miR-181a;miR-200s;miR-210;miR-210-3p;miR-221;miR-222;miR-221/222;miR-335;miR-498;miR-504;miR-1810;miR-1908;miR-224/452;およびmiR-181/340からなる群から選択される。一部の実施形態では、腫瘍細胞は、骨および非骨転移性がん、乳がん、神経膠腫、肝細胞癌、膵臓腺癌、黒色腫、慢性リンパ球性白血病、甲状腺乳頭癌、神経膠芽腫、結腸直腸がん、肺がん、腎臓がん、膵がん、皮膚がん、肝臓がん、胃がん、子宮頸がん、甲状腺がん、リンパがん、造血がん、神経芽腫、急性骨髄性白血病、食道がん、骨肉腫、B細胞リンパ腫、リンパ性白血病、卵巣がん、口腔がん、膀胱がん、腺様嚢胞癌、未分化甲状腺癌、星状細胞腫、髄膜腫、網膜芽腫と関連する。
【0073】
一部の実施形態では、腫瘍細胞は、骨転移性がんと関連する。一部の実施形態では、腫瘍細胞は、非骨転移性がんと関連する。一部の実施形態では、腫瘍細胞は、乳がんと関連する。一部の実施形態では、腫瘍細胞は、神経膠腫と関連する。一部の実施形態では、腫瘍細胞は、肝細胞癌と関連する。一部の実施形態では、腫瘍細胞は、膵臓腺癌と関連する。一部の実施形態では、腫瘍細胞は、黒色腫と関連する。一部の実施形態では、腫瘍細胞は、慢性リンパ球性白血病と関連する。一部の実施形態では、腫瘍細胞は、甲状腺乳頭癌と関連する。一部の実施形態では、腫瘍細胞は、神経膠芽腫と関連する。一部の実施形態では、腫瘍細胞は、結腸直腸がんと関連する。一部の実施形態では、腫瘍細胞は、肺がんと関連する。一部の実施形態では、腫瘍細胞は、腎臓がんと関連する。一部の実施形態では、腫瘍細胞は、膵がんと関連する。一部の実施形態では、腫瘍細胞は、皮膚がんと関連する。一部の実施形態では、腫瘍細胞は、肝臓がんと関連する。一部の実施形態では、腫瘍細胞は、胃がんと関連する。一部の実施形態では、腫瘍細胞は、子宮頸がんと関連する。一部の実施形態では、腫瘍細胞は、甲状腺がんと関連する。一部の実施形態では、腫瘍細胞は、リンパがんと関連する。一部の実施形態では、腫瘍細胞は、造血がんと関連する。一部の実施形態では、腫瘍細胞は、神経芽腫と関連する。一部の実施形態では、腫瘍細胞は、急性骨髄性白血病と関連する。一部の実施形態では、腫瘍細胞は、食道がんと関連する。一部の実施形態では、腫瘍細胞は、骨肉腫と関連する。一部の実施形態では、腫瘍細胞は、B細胞リンパ腫と関連する。一部の実施形態では、腫瘍細胞は、リンパ性白血病と関連する。一部の実施形態では、腫瘍細胞は、卵巣がんと関連する。一部の実施形態では、腫瘍細胞は、口腔がんと関連する。一部の実施形態では、腫瘍細胞は、膀胱がんと関連する。一部の実施形態では、腫瘍細胞は、腺様嚢胞癌と関連する。一部の実施形態では、腫瘍細胞は、未分化甲状腺癌と関連する。一部の実施形態では、腫瘍細胞は、星状細胞腫と関連する。一部の実施形態では、腫瘍細胞は、髄膜腫と関連する。一部の実施形態では、腫瘍細胞は、網膜芽腫と関連する。
【0074】
ヒトのがんに関与するマイクロRNAを同定するための多くのウェブベースのツールが利用可能である。総説については、Mar-Aguilar F, Rodriguez-Padilla C, Resendez-Perez D. Web-based tools for microRNAs involved in human cancer, Oncol Lett. 2016;11(6):3563-3570を参照されたい。特定の型のがんと関連するmiRNAについて、または同時に異なる悪性腫瘍における特定のmiRNAの挙動についてデータベースをマイニングすることができ、および特定のmiRNAの配列を種々のデータベースから容易に回収することができる。例えば、miRCancer(mircancer.ecu.edu)は、データマイニングによって収集されたmiRNAとがんの関連の記録を保存するデータベースである。26,414の刊行物(2016)の表題および要約を分析し、miRNAおよびがん型の名称、および任意の表現用語を含む完全な文または語句を見出すための規則に基づく手法を考案した。次いで、このデータマイニングプロセスの結果を、手作業で裏付けた。miRCancerは、2,611の刊行物からの3,764を超えるmiRNA-がん関連の記録を有し、これは、176のヒトがんに由来する236のmiRNA発現プロファイルになる。miRCancerは、オンラインで自由にアクセス可能であり、miRNA名もしくはがん型、または両方の組合せによって、データベースを検索することができる(Xie B, Ding Q, Han H, Wu D. miRCancer: a microRNA- cancer association database constructed by text mining on literature. Bioinformatics. 2013;29(5):638-644)。
【0075】
例として、データベース(2020年12月16日)のマイニングにより、miR-10bが、急性骨髄性白血病、膀胱がん、結腸直腸がん、子宮内膜がん、食道がん、食道扁平上皮癌、胃がん、胃がん、神経膠芽腫、神経膠腫、肝細胞癌、肺がん、悪性黒色腫、髄芽腫、鼻咽頭癌、非小細胞肺がん、口腔がん、骨肉腫、膵がん、および膵管腺癌を含む20種のがんにおいて上方調節されることが見出された。同様に、hsa-miR-101、hsa-miR-106a、hsa-miR-106b、hsa-miR-10b、hsa-miR-1207-5p、hsa-miR-1228、hsa-miR-1229、hsa-miR-1246、hsa-miR-125a、hsa-miR-125b、hsa-miR-1307-3p、hsa-miR-135a、hsa-miR-140、hsa-miR-141、hsa-miR-150、hsa-miR-150-5p、hsa-miR-153、hsa-miR-155、hsa-miR-17、hsa-miR-17-5p、hsa-miR-181a、hsa-miR-181b、hsa-miR-181b-3p、hsa-miR-182、hsa-miR-182-5p、hsa-miR-183、hsa-miR-183-5p、hsa-miR-18a、hsa-miR-18b、hsa-miR-191、hsa-miR-1915-3p、hsa-miR-196a、hsa-miR-197、hsa-miR-19a、hsa-miR-19b、hsa-miR-200a、hsa-miR-200a-3p、hsa-miR-200b、hsa-miR-200c、hsa-miR-203、hsa-miR-205、hsa-miR-205-5p、hsa-miR-206、hsa-miR-20a、hsa-miR-20b、hsa-miR-21、hsa-miR-214-3p、hsa-miR-217、hsa-miR-221、hsa-miR-222、hsa-miR-223、hsa-miR-224、hsa-miR-224-5p、hsa-miR-23a、hsa-miR-23b、hsa-miR-24、hsa-miR-24-2-5p、hsa-miR-24-3p、hsa-miR-27a、hsa-miR-27b、hsa-miR-29a、hsa-miR-301a-3p、hsa-miR-3136-3p、hsa-miR-3188、hsa-miR-32、hsa-miR-330-3p、hsa-miR-346、hsa-miR-3646、hsa-miR-370、hsa-miR-372、hsa-miR-372-3p、hsa-miR-373、hsa-miR-374a、hsa-miR-376b、hsa-miR-378、hsa-miR-423、hsa-miR-429、hsa-miR-4469、hsa-miR-449a、hsa-miR-4513、hsa-miR-4530、hsa-miR-4732-5p、hsa-miR-494、hsa-miR-495、hsa-miR-498、hsa-miR-5003-3p、hsa-miR-503、hsa-miR-503-3p、hsa-miR-510、hsa-miR-520c、hsa-miR-520e、hsa-miR-520g、hsa-miR-526b、hsa-miR-544a、hsa-miR-645、hsa-miR-655、hsa-miR-660-5p、hsa-miR-665、hsa-miR-675、hsa-miR-761、hsa-miR-762、hsa-miR-9、hsa-miR-92a、hsa-miR-92a-3p、hsa-miR-93、hsa-miR-93-5p、hsa-miR-937、hsa-miR-944、hsa-miR-96、およびhsa-miR-96-5pを含め、miR-10bを含む100種を超えるmiRNAが、乳がんに関連することが見出された。
【0076】
miR-10bの配列または目的の任意の配列を、miRbase、マイクロRNAデータベース(mirbase.org/)から回収することができる:
>hsa-miR-10b-5p MIMAT0000254
UACCCUGUAGAACCGAAUUUGUG
>hsa-miR-10b-3p MIMAT0004556
ACAGAUUCGAUUCUAGGGGAAU。
【0077】
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【0078】
【0079】
本開示の方法および組成物を、がんの発達を促進するタンパク質をコードするmRNAなどの他のRNA標的に拡張することができる。一部の実施形態では、本開示は、がんを処置するための方法であって、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドを投与することを含み、前記オリゴヌクレオチドが、非腫瘍細胞と比較して腫瘍細胞において高度に発現される内因性腫瘍特異的RNAと相補的である、方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、腫瘍細胞においてRIG-Iを選択的に活性化するための方法であって、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドを投与することを含み、前記一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドが、内因性腫瘍特異的RNAと相補的である配列を含み、腫瘍特異的RNAが、腫瘍細胞に特異的であり、RIG-Iが、腫瘍特異的RNAを高度に発現する腫瘍細胞において選択的に活性化される、方法を提供する。一部の実施形態では、内因性腫瘍特異的RNAは、mRNAである。一部の実施形態では、内因性腫瘍特異的RNAは、mRNAである。一部の実施形態では、内因性腫瘍特異的RNAは、mRNAではない。
【0080】
いくつかのmRNAが、がんに関与すると考えられる。ポリA尾部を含むmRNAのアンチセンス鎖の全部または一部を、in vitroでの転写によってDNA鋳型から生成し、5’(p)ppで修飾することができる。5’(p)pp-抗mRNA配列を、RNA安定性を増加させる配列エレメントを含有するように最適化することができる。抗mRNAを、脂質と共に製剤化して、RNA-脂質ナノ粒子製剤を得ることができる。in vivoでは、5’(p)pp-抗mRNAは、標的mRNAとハイブリダイズし、これをサイレンシングし、RIG-Iタンパク質に結合し、これを活性化する5’(p)pp-ds-mRNAの形成をもたらし、RIG-Iシグナル伝達およびがん細胞死をもたらすことができる。例示的なmRNA転写物の一覧については、表3を参照されたい。
【0081】
【0082】
例えば、周知のがん治療標的であるサバイビン(BIRC5とも称される)を、この手法を使用して標的とすることができる。細胞周期およびアポトーシスのマルチレギュレータであるサバイビンは、全てのヒトがんにおいて過剰発現されるが、正常組織中では低発現を示す。その発現の増加は、原発性乳がんの90%において検出されており、臨床転帰の不良と相関する。さらに、サバイビン(surviving)レベルの増加は、負のホルモン受容体状態と有意に関連することが示されている。重要なことに、高レベルのサバイビンは、膵がんなどの他のがんにおいて検出されたが、それは細胞増殖とアポトーシスとの両方と相関し、この抗アポトーシスマーカーの起こり得る遍在的な役割を指摘している。化学耐性を克服する手段としてサバイビン発現を低下させる、または無効化する潜在的な価値を考慮すると、RNA干渉(RNAi)のプロセスが価値があると証明することができる。実際、RNAiによるBIRC5の下方調節は、in vitroの急性リンパ芽球性白血病、肺癌および子宮頸癌ならびにin vivoの乳がんにおいて有望性を示した(Ghosh SK, Yigit MV, Uchida M, et al. Sequence-dependent combination therapy with doxorubicin and a survivin-specific small interfering RNA nanodrug demonstrates efficacy in models of adenocarcinoma. Int J Cancer. 2014;134(7):1758-1766)。ドキソルビシンとの配列依存的併用療法およびサバイビン特異的低分子干渉RNAナノドラッグは、腺癌のモデルにおいて有効性を示す。
【0083】
サバイビンをサイレンシングするための標準的なsiRNA技術に代えての現在の5(p)pp-抗mRNA手法の使用は、RIG-Iシグナル伝達および細胞死を誘発するRIG-I活性化を促進し、それによって、処置の転帰を改善することができる。
【0084】
4.オリゴヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチド修飾
ある特定の実施形態では、本開示は、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む方法および組成物であって、前記オリゴヌクレオチドが、非腫瘍細胞と比較して腫瘍細胞において高度に発現される内因性腫瘍特異的RNAと相補的である、方法および組成物を提供する。ある特定の実施形態では、本開示は、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む方法および組成物であって、前記一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドが、内因性腫瘍特異的RNAと相補的である配列を含む、方法および組成物を提供する。
【0085】
5’三リン酸(ppp)を含む外因性RNAは、異なる腫瘍実体において免疫原性形態の細胞死を誘導することが示された(Elion, DL., et al Cancer Res. 2018 Nov 1; 78(21):6183-6195;Besch, R., et al, J Clin Investig. 2009;119:2399-411;Duewell, P., et al., Cell Death Differ. 2014;21:1825-37;Kuber, K., et al., Cancer Res. 2010;70:5293-304)。5’二リン酸(5’pp)または5’三リン酸(5’ppp)修飾は、本明細書では、それぞれ、5’ppおよび5’ppp抗miRNA/mRNAと称することができる。5’-ppp-RNAは、免疫細胞によるウイルスRNAの直接感知と共に、サイトカイン放出を誘導し、腫瘍細胞に対する適応細胞免疫応答を促進することが示された(Poeck, H., et al., Nat Med. 2008 Nov; 14(11):1256-63)。パターン認識受容体RIG-Iは、非キャップ付加5’pppまたは5’ppを含有する平滑末端dsRNAに結合することができる。本明細書に開示されるように、非キャップ付加とは、5’→5’三リン酸結合によってmRNAの5’末端に連結された7-メチルグアノシン(methylguansine)三リン酸からなる5’キャップ構造を欠くRNAを指す。本開示は、腫瘍細胞においてRIG-Iを選択的に活性化するための方法であって、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドを投与することを含み、前記一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドが、内因性腫瘍特異的RNAと相補的である配列を含む、方法を提供する。本開示はまた、非腫瘍組織と比較して腫瘍組織中で高度に発現されるmiRNAと相補的である、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドも提供する。5’三リン酸構造は、以下に示される:
【化1】
【0086】
好ましい実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、非キャップ付加5’三リン酸を含む。好ましい実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、非キャップ付加5’二リン酸を含む。
【0087】
本明細書に開示される方法および組成物の一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、miRNAと相補的である配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、内因性miRNAと相補的である配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、miR-9;miR-10b;miR-17;miR-18;miR-19b;miR-21;miR-26a;miR-29a;miR-92a;miR-106b/93;miR-125b;miR-130a;miR-155;miR-181a;miR-200s;miR-210;miR-210-3p;miR-221;miR-222;miR-221/222;miR-335;miR-498;miR-504;miR-1810;miR-1908;miR-224/452;およびmiR-181/340からなる群から選択される発癌性miRNAと相補的である配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、miR-9と相補的である配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、miR-10bと相補的である配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、miR-17と相補的である配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、miR-18と相補的である配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、miR-19bと相補的である配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、miR-21と相補的である配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、miR-26aと相補的である配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、miR-29aと相補的である配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、miR-92aと相補的である配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、miR-106b/93と相補的である配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、miR-125bと相補的である配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、miR-130aと相補的である配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、miR-155と相補的である配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、miR-181aと相補的である配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、miR-200sと相補的である配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、miR-210と相補的である配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、miR-210-3pと相補的である配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、miR-221と相補的である配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、miR-222と相補的である配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、miR-221/222と相補的である配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、miR-335と相補的である配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、miR-498と相補的である配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、miR-504と相補的である配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、miR-1810と相補的である配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、miR-1908と相補的である配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、miR-224/452と相補的である配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、miR-181/340と相補的である配列を含む。
【0088】
本開示の好ましい実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、miR10b、miR17、miR18a、miR18b、miR19b、miR21、miR26a、miR29a、miR92a-1、miR92a-2、miR155、miR210、およびmiR221と相補的である配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、miR10bと相補的である配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、miR17と相補的である配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、miR18aと相補的である配列を含む。 一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、miR18bと相補的である配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、miR19bと相補的である配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、miR21と相補的である配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、miR26aと相補的である配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、miR29aと相補的である配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、miR92a-1と相補的である配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、miR92a-2と相補的である配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、miR155と相補的である配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、miR210と相補的である配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、miR22と相補的である配列を含む。
【0089】
本明細書に開示される方法および組成物の一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、miRNAと二重鎖を形成する。好ましい実施形態では、二重鎖は、5’平滑末端を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、miR-9;miR-10b;miR-17;miR-18;miR-19b;miR-21;miR-26a;miR-29a;miR-92a;miR-106b/93;miR-125b;miR-130a;miR-155;miR-181a;miR-200s;miR-210;miR-210-3p;miR-221;miR-222;miR-221/222;miR-335;miR-498;miR-504;miR-1810;miR-1908;miR-224/452;およびmiR-181/340からなる群から選択されるmiRNAと二重鎖を形成する。好ましい実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、miR10b、miR17、miR18a、miR18b、miR19b、miR21、miR26a、miR29a、miR92a-1、miR92a-2、miR155、miR210、およびmiR221からなる群から選択されるmiRNAと二重鎖を形成する。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、前記miRNAと二重鎖を形成することができ、オリゴヌクレオチドの二重鎖部分は、miRNA内の少なくとも10個の連続するヌクレオチドと相補的である。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドの二重鎖部分は、miRNA内の少なくとも11個の連続するヌクレオチドと相補的である。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドの二重鎖部分は、miRNA内の少なくとも12個の連続するヌクレオチドと相補的である。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドの二重鎖部分は、miRNA内の少なくとも13個の連続するヌクレオチドと相補的である。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドの二重鎖部分は、miRNA内の少なくとも14個の連続するヌクレオチドと相補的である。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドの二重鎖部分は、miRNA内の少なくとも15個の連続するヌクレオチドと相補的である。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドの二重鎖部分は、miRNA内の少なくとも16個の連続するヌクレオチドと相補的である。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドの二重鎖部分は、miRNA内の少なくとも17個の連続するヌクレオチドと相補的である。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドの二重鎖部分は、miRNA内の少なくとも18個の連続するヌクレオチドと相補的である。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドの二重鎖部分は、miRNA内の少なくとも19個の連続するヌクレオチドと相補的である。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドの二重鎖部分は、miRNA内の少なくとも20個の連続するヌクレオチドと相補的である。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドの二重鎖部分は、miRNA内の少なくとも21個の連続するヌクレオチドと相補的である。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドの二重鎖部分は、miRNA内の少なくとも22個の連続するヌクレオチドと相補的である。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドの二重鎖部分は、miRNA内の少なくとも23個の連続するヌクレオチドと相補的である。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドの二重鎖部分は、miRNA内の少なくとも24個の連続するヌクレオチドと相補的である。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドの二重鎖部分は、miRNA内の少なくとも25個の連続するヌクレオチドと相補的である。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドの二重鎖部分は、miRNA内の少なくとも26個の連続するヌクレオチドと相補的である。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドの二重鎖部分は、miRNA内の少なくとも27個の連続するヌクレオチドと相補的である。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドの二重鎖部分は、miRNA内の少なくとも28個の連続するヌクレオチドと相補的である。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドの二重鎖部分は、miRNA内の少なくとも29個の連続するヌクレオチドと相補的である。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドの二重鎖部分は、miRNA内の少なくとも30個の連続するヌクレオチドと相補的である。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドの二重鎖部分は、前記miRNAと少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または少なくとも100%相補的である。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドの二重鎖部分は、前記miRNAと少なくとも50%相補的である。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドの二重鎖部分は、前記miRNAと少なくとも60%相補的である。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドの二重鎖部分は、前記miRNAと少なくとも70%相補的である。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドの二重鎖部分は、前記miRNAと少なくとも75%相補的である。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドの二重鎖部分は、前記miRNAと少なくとも80%相補的である。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドの二重鎖部分は、前記miRNAと少なくとも85%相補的である。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドの二重鎖部分は、前記miRNAと少なくとも90%相補的である。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドの二重鎖部分は、前記miRNAと少なくとも95%相補的である。好ましい実施形態では、オリゴヌクレオチドの二重鎖部分は、前記miRNAと少なくとも100%相補的である。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドの二重鎖部分は、0~5個のミスマッチ塩基対を含む。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドの二重鎖部分は、5個未満のミスマッチ塩基対を含む。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドの二重鎖部分は、4個未満のミスマッチ塩基対を含む。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドの二重鎖部分は、3個未満のミスマッチ塩基対を含む。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドの二重鎖部分は、2個未満のミスマッチ塩基対を含む。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドの二重鎖部分は、1個未満のミスマッチ塩基対を含む。好ましい実施形態では、オリゴヌクレオチドの二重鎖部分は、ミスマッチ塩基対を含まない。
【0090】
本明細書に開示される方法および組成物の一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、miRNAと二重鎖を形成することができ、内因性mRNAと競合して、前記miRNAに結合する。一部の実施形態では、二重鎖は、AGO2によって切断されない。一部の実施形態では、二重鎖は、RIG-Iを活性化する。一部の実施形態では、RIG-I活性化は、対応する非修飾一リン酸RNAオリゴヌクレオチドによる活性化よりも少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、または200%大きい。一部の実施形態では、RIG-I活性化は、対応する非修飾一リン酸RNAオリゴヌクレオチドによる活性化よりも少なくとも20%大きい。一部の実施形態では、RIG-I活性化は、対応する非修飾一リン酸RNAオリゴヌクレオチドによる活性化よりも少なくとも25%大きい。一部の実施形態では、RIG-I活性化は、対応する非修飾一リン酸RNAオリゴヌクレオチドによる活性化よりも少なくとも30%大きい。一部の実施形態では、RIG-I活性化は、対応する非修飾一リン酸RNAオリゴヌクレオチドによる活性化よりも少なくとも35%大きい。一部の実施形態では、RIG-I活性化は、対応する非修飾一リン酸RNAオリゴヌクレオチドによる活性化よりも少なくとも40%大きい。一部の実施形態では、RIG-I活性化は、対応する非修飾一リン酸RNAオリゴヌクレオチドによる活性化よりも少なくとも45%大きい。一部の実施形態では、RIG-I活性化は、対応する非修飾一リン酸RNAオリゴヌクレオチドによる活性化よりも少なくとも45%大きい。一部の実施形態では、RIG-I活性化は、対応する非修飾一リン酸RNAオリゴヌクレオチドによる活性化よりも少なくとも50%大きい。一部の実施形態では、RIG-I活性化は、対応する非修飾一リン酸RNAオリゴヌクレオチドによる活性化よりも少なくとも55%大きい。一部の実施形態では、RIG-I活性化は、対応する非修飾一リン酸RNAオリゴヌクレオチドによる活性化よりも少なくとも60%大きい。一部の実施形態では、RIG-I活性化は、対応する非修飾一リン酸RNAオリゴヌクレオチドによる活性化よりも少なくとも65%大きい。一部の実施形態では、RIG-I活性化は、対応する非修飾一リン酸RNAオリゴヌクレオチドによる活性化よりも少なくとも70%大きい。一部の実施形態では、RIG-I活性化は、対応する非修飾一リン酸RNAオリゴヌクレオチドによる活性化よりも少なくとも75%大きい。一部の実施形態では、RIG-I活性化は、対応する非修飾一リン酸RNAオリゴヌクレオチドによる活性化よりも少なくとも80%大きい。一部の実施形態では、RIG-I活性化は、対応する非修飾一リン酸RNAオリゴヌクレオチドによる活性化よりも少なくとも85%大きい。一部の実施形態では、RIG-I活性化は、対応する非修飾一リン酸RNAオリゴヌクレオチドによる活性化よりも少なくとも90%大きい。一部の実施形態では、RIG-I活性化は、対応する非修飾一リン酸RNAオリゴヌクレオチドによる活性化よりも少なくとも95%大きい。一部の実施形態では、RIG-I活性化は、対応する非修飾一リン酸RNAオリゴヌクレオチドによる活性化よりも少なくとも100%大きい。一部の実施形態では、RIG-I活性化は、対応する非修飾一リン酸RNAオリゴヌクレオチドによる活性化よりも少なくとも110%大きい。一部の実施形態では、RIG-I活性化は、対応する非修飾一リン酸RNAオリゴヌクレオチドによる活性化よりも少なくとも120%大きい。一部の実施形態では、RIG-I活性化は、対応する非修飾一リン酸RNAオリゴヌクレオチドによる活性化よりも少なくとも130%大きい。一部の実施形態では、RIG-I活性化は、対応する非修飾一リン酸RNAオリゴヌクレオチドによる活性化よりも少なくとも140%大きい。一部の実施形態では、RIG-I活性化は、対応する非修飾一リン酸RNAオリゴヌクレオチドによる活性化よりも少なくとも150%大きい。一部の実施形態では、RIG-I活性化は、対応する非修飾一リン酸RNAオリゴヌクレオチドによる活性化よりも少なくとも200%大きい。好ましい実施形態では、RIG-I活性化は、腫瘍特異的免疫応答を惹起する。
【0091】
本明細書で提供される方法および組成物のオリゴヌクレオチドは、修飾を含んでもよい。本明細書に開示されるように、修飾は、核酸リン酸骨格、核酸糖、核酸塩基、および/またはオリゴヌクレオチドの5’もしくは3’末端の化学的修飾、付加、欠失、置換、または操作を含んでもよい。オリゴヌクレオチド、特に、治療剤中に、または治療剤として実装されるものは、一般的には、ヌクレアーゼ耐性を増加させ、標的RNAに対する親和性を増強するためにリン酸骨格および/またはリボース糖上で修飾される。ホスホロチオエート(PS)骨格修飾は、非架橋酸素原子を硫黄原子で置き換え、血漿中でのオリゴヌクレオチドの半減期を数分から数日まで延長させる。タンパク質結合の増強は、ホスホジエステル(PO)結合を有するものと比較してPS修飾を有するオリゴヌクレオチドについても報告されている。オリゴヌクレオチドの標的RNAに対するヌクレアーゼ安定性および結合親和性のさらなる改善を、2’-O-メチル、2’-フルオロ(2’-F)、2’-O-メトキシエチル(2’-MOE)、2’,4’-拘束2’-O-エチル(cEt)およびロックド核酸(LNA)などの2’リボース修飾によって得ることができる。オリゴヌクレオチド配列内の2’修飾の位置は、タンパク質-オリゴヌクレオチド相互作用にさらに影響し得る。ある特定の実施形態では、本開示は、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む方法および組成物であって、前記オリゴヌクレオチドが、非腫瘍細胞と比較して腫瘍細胞において高度に発現される内因性腫瘍特異的RNAと相補的である、方法および組成物を提供する。ある特定の実施形態では、本開示は、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む方法および組成物であって、前記一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドが、内因性腫瘍特異的RNAと相補的である配列を含む、方法および組成物を提供する。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、他の修飾を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、任意の他の修飾を含まない。
【0092】
一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、2’-フルオロ(2’-F)リボース修飾をさらに含む。一部の実施形態では、2’-Fリボース修飾は、対応する塩基がシトシンまたはウラシルである場合に存在する。一部の実施形態では、2’-Fリボース修飾は、修飾RNAオリゴヌクレオチドの5’末端から10または11番目のヌクレオチドに存在する。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、ホスホロチオエート(PS)骨格修飾をさらに含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、2’-フルオロ(2’-F)リボース修飾およびホスホロチオエート(PS)骨格修飾をさらに含む。
【0093】
好ましい実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、任意の他の修飾を含まない。好ましい実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、2’-O-メチル(2’-OMe)リボース修飾、N-6-メチルアデノシン(m6A)、シュードウリジン(Ψ)、N-1-メチルシュードウリジン(mΨ)、N-1-メチルシュードウリジン(mΨ)、5-メチル-シチジン(5mC)、5-ヒドロキシメチル-シチジン(5hmC)、または5-メトキシシチジン(5moC)からなる群から選択される任意の他の修飾を含まない。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、2’-O-メチル(2’-OMe)リボース修飾を含まない。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、N-6-メチルアデノシン(m6A)を含まない。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、シュードウリジン(Ψ)を含まない。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、N-1-メチルシュードウリジン(mΨ)を含まない。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、5-メチル-シチジン(5mC)を含まない。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、5-ヒドロキシメチル-シチジン(5hmC)を含まない。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、5-メトキシシチジン(5moC)を含まない。
【0094】
一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、1つまたは複数の修飾を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、ホスホロチオエート(PS)骨格修飾、2’-O-メチル(2’-OMe)リボース修飾、N-6-メチルアデノシン(m6A)、シュードウリジン(Ψ)、N-1-メチルシュードウリジン(mΨ)、N-1-メチルシュードウリジン(mΨ)、5-メチル-シチジン(5mC)、5-ヒドロキシメチル-シチジン(5hmC)、または5-メトキシシチジン(5moC)からなる群から選択される1つまたは複数の修飾を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、2’-O-メチル(2’-OMe)リボース修飾を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、N-6-メチルアデノシン(m6A)を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、シュードウリジン(Ψ)を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、N-1-メチルシュードウリジン(mΨ)を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、5-メチル-シチジン(5mC)を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、5-ヒドロキシメチル-シチジン(5hmC)を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、5-メトキシシチジン(5moC)を含む。
【0095】
本明細書に開示される方法および組成物の一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、少なくとも10ヌクレオチド長である配列を含む。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、少なくとも15ヌクレオチド長である配列を含む。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、少なくとも16ヌクレオチド長である配列を含む。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、少なくとも17ヌクレオチド長である配列を含む。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、少なくとも18ヌクレオチド長である配列を含む。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、少なくとも19ヌクレオチド長である配列を含む。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、少なくとも20ヌクレオチド長である配列を含む。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、少なくとも21ヌクレオチド長である配列を含む。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、少なくとも22ヌクレオチド長である配列を含む。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、少なくとも23ヌクレオチド長である配列を含む。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、少なくとも24ヌクレオチド長である配列を含む。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、少なくとも25ヌクレオチド長である配列を含む。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、少なくとも26ヌクレオチド長である配列を含む。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、少なくとも27ヌクレオチド長である配列を含む。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、少なくとも28ヌクレオチド長である配列を含む。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、少なくとも29ヌクレオチド長である配列を含む。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、少なくとも30ヌクレオチド長である配列を含む。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、少なくとも50ヌクレオチド長である配列を含む。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、15~50ヌクレオチド長である配列を含む。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、15~30ヌクレオチド長である配列を含む。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、15~29ヌクレオチド長である配列を含む。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、15~28ヌクレオチド長である配列を含む。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、15~27ヌクレオチド長である配列を含む。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、15~26ヌクレオチド長である配列を含む。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、15~25ヌクレオチド長である配列を含む。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、16~50ヌクレオチド長である配列を含む。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、16~30ヌクレオチド長である配列を含む。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、16~29ヌクレオチド長である配列を含む。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、16~28ヌクレオチド長である配列を含む。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、16~27ヌクレオチド長である配列を含む。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、16~26ヌクレオチド長である配列を含む。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、16~25ヌクレオチド長である配列を含む。
【0096】
5’ppおよび5’ppp抗miRNA/mRNAは、miRNAまたはmRNA内の少なくとも10個(例えば、少なくとも11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、または23個)の連続するヌクレオチドと相補的である配列を含む。例示的なmiRNAとしては、例えば、miR-9;miR-10b;miR-21;miR-106b/93;miR-125b;miR-130a;miR-155;miR-181a;miR-200s;miR-210-3p;miR-221/222;miR-335;miR-498;miR-504;miR-1810;miR-1908;miR-224/452;またはmiR-181/340(例えば、Nguyen and Chang, Int J Mol Sci. 2017;19(1):65の表1を参照のこと)および本明細書の表1および表2に列挙されたものが挙げられる。例示的なmRNAとしては、本明細書の表2に列挙されたものが挙げられる。
【0097】
ある特定の実施形態では、本開示の方法および組成物は、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。ある特定の実施形態では、本開示の方法および組成物は、一本鎖5’非キャップ付加二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。本開示の好ましい実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、または13から選択される核酸配列と少なくとも75%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、または13から選択される核酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%または100%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、または13から選択される核酸配列と少なくとも80%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、または13から選択される核酸配列と少なくとも85%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、または13から選択される核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、または13から選択される核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、または13から選択される核酸配列と少なくとも97%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、または13から選択される核酸配列と少なくとも98%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、または13から選択される核酸配列と少なくとも99%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、または13から選択される核酸配列と100%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、または13から選択される核酸配列と同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、または13から選択される核酸配列と同一である核酸配列からなる。
【0098】
一部の実施形態では、本開示の方法および組成物は、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。ある特定の実施形態では、本開示の方法および組成物は、一本鎖5’非キャップ付加二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。本開示の好ましい実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号1の核酸配列と少なくとも75%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号1の核酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%または100%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号1の核酸配列と少なくとも80%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号1の核酸配列と少なくとも85%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号1の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号1の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号1の核酸配列と少なくとも97%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号1の核酸配列と少なくとも98%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号1の核酸配列と少なくとも99%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号1の核酸配列と100%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号1の核酸配列と同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号1から選択される核酸配列と同一である核酸配列からなる。
【0099】
一部の実施形態では、本開示の方法および組成物は、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。ある特定の実施形態では、本開示の方法および組成物は、一本鎖5’非キャップ付加二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。本開示の好ましい実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号2の核酸配列と少なくとも75%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号2の核酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%または100% i%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号2の核酸配列と少なくとも80%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号2の核酸配列と少なくとも85%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号2の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号2の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号2の核酸配列と少なくとも97%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号2の核酸配列と少なくとも98%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号2の核酸配列と少なくとも99%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号2の核酸配列と100%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号2の核酸配列と同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号2から選択される核酸配列と同一である核酸配列からなる。
【0100】
一部の実施形態では、本開示の方法および組成物は、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。ある特定の実施形態では、本開示の方法および組成物は、一本鎖5’非キャップ付加二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。本開示の好ましい実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号3の核酸配列と少なくとも75%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号3の核酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%または100%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号3の核酸配列と少なくとも80%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号3の核酸配列と少なくとも85%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号3の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号3の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号3の核酸配列と少なくとも97%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号3の核酸配列と少なくとも98%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号3の核酸配列と少なくとも99%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号3の核酸配列と100%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号3の核酸配列と同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号3から選択される核酸配列と同一である核酸配列からなる。
【0101】
一部の実施形態では、本開示の方法および組成物は、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。ある特定の実施形態では、本開示の方法および組成物は、一本鎖5’非キャップ付加二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。本開示の好ましい実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号4の核酸配列と少なくとも75%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号4の核酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%または100%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号4の核酸配列と少なくとも80%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号4の核酸配列と少なくとも85%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号4の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号4の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号4の核酸配列と少なくとも97%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号4の核酸配列と少なくとも98%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号4の核酸配列と少なくとも99%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号4の核酸配列と100%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号4の核酸配列と同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号4から選択される核酸配列と同一である核酸配列からなる。
【0102】
一部の実施形態では、本開示の方法および組成物は、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。ある特定の実施形態では、本開示の方法および組成物は、一本鎖5’非キャップ付加二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。本開示の好ましい実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号5の核酸配列と少なくとも75%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号5の核酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%または100%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号5の核酸配列と少なくとも80%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号5の核酸配列と少なくとも85%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号5の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号5の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号5の核酸配列と少なくとも97%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号5の核酸配列と少なくとも98%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号5の核酸配列と少なくとも99%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号5の核酸配列と100%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号5の核酸配列と同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号5から選択される核酸配列と同一である核酸配列からなる。
【0103】
一部の実施形態では、本開示の方法および組成物は、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。ある特定の実施形態では、本開示の方法および組成物は、一本鎖5’非キャップ付加二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。本開示の好ましい実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号1の核酸配列と少なくとも75%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号6の核酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%または100%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号6の核酸配列と少なくとも80%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号6の核酸配列と少なくとも85%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号6の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号6の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号6の核酸配列と少なくとも97%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号6の核酸配列と少なくとも98%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号6の核酸配列と少なくとも99%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号6の核酸配列と100%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号6の核酸配列と同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号6から選択される核酸配列と同一である核酸配列からなる。
【0104】
一部の実施形態では、本開示の方法および組成物は、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。ある特定の実施形態では、本開示の方法および組成物は、一本鎖5’非キャップ付加二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。本開示の好ましい実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号7の核酸配列と少なくとも75%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号7の核酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%または100%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号7の核酸配列と少なくとも80%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号7の核酸配列と少なくとも85%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号7の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号7の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号7の核酸配列と少なくとも97%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号7の核酸配列と少なくとも98%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号7の核酸配列と少なくとも99%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号7の核酸配列と100%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号7の核酸配列と同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号7から選択される核酸配列と同一である核酸配列からなる。
【0105】
一部の実施形態では、本開示の方法および組成物は、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。ある特定の実施形態では、本開示の方法および組成物は、一本鎖5’非キャップ付加二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。本開示の好ましい実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号8の核酸配列と少なくとも75%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号8の核酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%または100%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号8の核酸配列と少なくとも80%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号8の核酸配列と少なくとも85%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号8の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号8の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号8の核酸配列と少なくとも97%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号8の核酸配列と少なくとも98%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号8の核酸配列と少なくとも99%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号8の核酸配列と100%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号8の核酸配列と同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号8から選択される核酸配列と同一である核酸配列からなる。
【0106】
一部の実施形態では、本開示の方法および組成物は、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。ある特定の実施形態では、本開示の方法および組成物は、一本鎖5’非キャップ付加二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。本開示の好ましい実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号9の核酸配列と少なくとも75%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号9の核酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%または100%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号9の核酸配列と少なくとも80%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号9の核酸配列と少なくとも85%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号9の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号9の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号9の核酸配列と少なくとも97%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号9の核酸配列と少なくとも98%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号9の核酸配列と少なくとも99%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号9の核酸配列と100%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号9の核酸配列と同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号9から選択される核酸配列と同一である核酸配列からなる。
【0107】
一部の実施形態では、本開示の方法および組成物は、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。ある特定の実施形態では、本開示の方法および組成物は、一本鎖5’非キャップ付加二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。本開示の好ましい実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号10の核酸配列と少なくとも75%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号10の核酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%または100%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号10の核酸配列と少なくとも80%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号10の核酸配列と少なくとも85%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号10の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号10の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号10の核酸配列と少なくとも97%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号10の核酸配列と少なくとも98%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号10の核酸配列と少なくとも99%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号10の核酸配列と100%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号10の核酸配列と同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号10から選択される核酸配列と同一である核酸配列からなる。
【0108】
一部の実施形態では、本開示の方法および組成物は、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。ある特定の実施形態では、本開示の方法および組成物は、一本鎖5’非キャップ付加二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。本開示の好ましい実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号11の核酸配列と少なくとも75%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号11の核酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%または100%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号11の核酸配列と少なくとも80%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号11の核酸配列と少なくとも85%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号11の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号11の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号11の核酸配列と少なくとも97%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号11の核酸配列と少なくとも98%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号11の核酸配列と少なくとも99%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号11の核酸配列と100%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号11の核酸配列と同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号11から選択される核酸配列と同一である核酸配列からなる。
【0109】
一部の実施形態では、本開示の方法および組成物は、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。ある特定の実施形態では、本開示の方法および組成物は、一本鎖5’非キャップ付加二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。本開示の好ましい実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号12の核酸配列と少なくとも75%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号12の核酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%または100%%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号12の核酸配列と少なくとも80%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号12の核酸配列と少なくとも85%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号12の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号12の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号12の核酸配列と少なくとも97%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号12の核酸配列と少なくとも98%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号12の核酸配列と少なくとも99%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号12の核酸配列と100%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号12の核酸配列と同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号12から選択される核酸配列と同一である核酸配列からなる。
【0110】
一部の実施形態では、本開示の方法および組成物は、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。ある特定の実施形態では、本開示の方法および組成物は、一本鎖5’非キャップ付加二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。本開示の好ましい実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号13の核酸配列と少なくとも75%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号13の核酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%または100%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号13の核酸配列と少なくとも80%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号13の核酸配列と少なくとも85%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号13の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号13の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号13の核酸配列と少なくとも97%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号13の核酸配列と少なくとも98%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号13の核酸配列と少なくとも99%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号13の核酸配列と100%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号13の核酸配列と同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、配列番号13から選択される核酸配列と同一である核酸配列からなる。
【0111】
アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)
アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)は、遺伝子サイレンシングを媒介する細胞内でその標的RNA配列に結合する小さいサイズの一本鎖核酸(miRNAについては、典型的には、少なくとも8または10ntであり、最大で約30ntであるか、または全長mRNAアンチセンスRNAについてはそれよりはるかに長い)である。ASOに基づく戦略は、タンパク質に関与する下流のプロセスを標的とするよりもむしろ、RNAレベルで疾患源を標的とする。タンパク質は、メッセンジャーRNA(mRNA)に保存された情報を解読することによって産生される。いくつかの破壊的な疾患および障害と関連する、異常なタンパク質産生を、非コードRNA(ncRNA)の作用によってmRNAを標的とすることによって調節することができる。ncRNAのうち、マイクロRNA(miRNA)、転移RNA由来低分子RNA、偽遺伝子、PIWI-相互作用RNA、長鎖ncRNA(lncRNA)、および環状RNAは、遺伝子発現のモジュレーションによる生物学的機能の調節因子として同定された。したがって、プレmRNA、mRNA、またはmiRNAを含むncRNAを標的化することを含むアンチセンス戦略は、治療介入のために疾患を引き起こすタンパク質の産生を変更させることができる。
【0112】
低分子に基づくタンパク質標的化と違って、アンチセンス薬物は、標的RNA配列とのワトソン・クリック塩基対合規則によってその効果を示す。ワトソン・クリックの分子認識のこの原理は、アンチセンス分野に、RNAに基づく薬物設計におけるより高い自由度をもたらし、その開発を促進する。しかしながら、ASO設計中に、結合親和性を最適化するための必要な修飾は、ヌクレアーゼ耐性を改善し、in vivoでの送達を考慮することができる。高い結合親和性、高い特異性、および拡張された機能性を有するAMOを開発する試みと共に数世代の設計が存在していた(Ochoa S, Milam VT. Modified Nucleic Acids: Expanding the Capabilities of Functional Oligonucleotides. Molecules. 2020;25(20):4659)。
【0113】
RNAヌクレオチドを、骨格、核酸塩基、リボース糖および2’-リボース置換で化学的に修飾することができる。Roberts, T.C., Langer, R. & Wood, M.J.A. Advances in oligonucleotide drug delivery. Nat Rev Drug Discov 19, 673-694 (2020)の
図3を参照されたい。
【0114】
一部のASO(第1世代と称されることが多い)では、ヌクレオチドを連結するリン酸骨格が修飾される。ホスホジエステル結合中の非架橋酸素原子の1つが、硫黄、メチルまたはアミン基によって置き換えられ、それぞれ、ホスホロチオエート(PS)、メチル-ホスホネート、およびホスホロアミデートを生成する。これらの修飾は、同等ではなく、それぞれ、それ自身の特定の特徴を有する。PSオリゴヌクレオチドは、この第1世代を高度に代表するものであり、最も広く使用されている。これらの化学的修飾は、ヌクレアーゼに対するASOの耐性を増加させることによって、安定性を改善し、一定の目標は、ASOの半減期を拡大することである。PS修飾は、半減期を数分から数日まで変える。重要なことに、これらの修飾は、RNAseHを活性化する。RNAseHは、DNA-RNA二重鎖中のRNA鎖を切断する遍在的に発現される酵素である。したがって、RNAseHは、ASO/mRNA複合体内の標的mRNAを分解し、コードされたタンパク質の合成を制限することができる。残念ながら、生物学的に活性な修飾ASO(PS)は、特に、タンパク質へのその非特異的結合のため、毒性が高い。これにより、研究者が、毒性が低く、かつより特異的である新世代のASOを開発することにつながった。
【0115】
別のクラスのASO(第2世代のASOと称されることもある)は、リボースの2’位でのアルキル修飾を特徴とする。酸素化された基の導入は、2’-O-メチル(2’-OME)および2’-O-メトキシエチル(2’-MOE)ヌクレオチドの形成をもたらす。これらのASOは、PSよりも毒性が低く、その標的に対するわずかにより高い親和性を有する。しかしながら、これらの修飾は、RNAseHの動員およびそれによる切断と適合しない。この型のASOのアンチセンス効果はおそらく、翻訳の立体的遮断に起因する。標的RNAが分解されてはならない場合、そのような修飾は潜在的に興味深い。
【0116】
さらなるクラスのASO(第3世代のASOと称されることもある)は、結合親和性、ヌクレアーゼに対する耐性、および薬物動態プロファイルを改善することを目的とする多数の修飾を含む、より異種性のものである。最も一般的な修飾としては、リボースの2’-酸素と4’-炭素とを接続するメチレン架橋に対応する、ロックド核酸(LNA);リボースがモルホリン部分によって置き換えられ、ホスホジエステル結合がホスホロジアミデート結合によって置き換えられた、ホスホロジアミデートモルホリノオリゴマー(PMO);およびリボース-リン酸骨格が、塩基が連結されているN-(2-アミノエチルグリシンユニット(N-(2-aminothyl)glycine unit)の反復からなるポリアミド骨格によって置き換えられた、ペプチド核酸(PNA)が挙げられる(Papargyri N, Pontoppidan M, Andersen MR, Koch T, Hagedorn PH. Chemical Diversity of Locked Nucleic Acid-Modified Antisense Oligonucleotides Allows Optimization of Pharmaceutical Properties. Mol Ther Nucleic Acids. 2020;19:706-717)。これらの最後の2つの構造物は荷電せず、荷電したASOよりも低い親和性で血漿タンパク質に結合し、尿中でのその分布および除去を増加させる。除去される画分は、投与される量のおよそ10~30%に相当し、組織蓄積に寄与することが示されている。これらの修飾は、高い安定性をもたらすが、RNAseHの動員を惹起しない。この第3世代のASOは、その標的mRNAと安定なハイブリッドを形成し、それによって、そのプロセシングまたは翻訳を阻害する。
【0117】
接続している架橋によって課されるLNA修飾の構造的拘束およびそのメチル化されたアナログのそれ(「拘束エチル」:cETとして知られる)は、化学療法剤における新しい機会を創出した。トリシクロ-DNA(tcDNA)は、結合特性が増強された、このクラスの構造的に拘束されたDNAアナログに属する。それらは、RNAseH活性を惹起しないが、安定性の増加および細胞取込みの改善を示し、それらに、上記のASOを超える実質的な治療利益をもたらす。
【0118】
以前に強調されたように、大部分の第2および第3世代の化学的修飾を担持するASOは、RNAseH活性を惹起しない。しかしながら、RNAseH活性は、ASOの末端での一対の非RNAseH感受性配列の間に一連の非修飾またはPS-DNA切断感受性配列を挿入することによって回復させることができる。得られた構造物は、「ギャップマー」として公知である(例えば、Quemener, Wiley Interdiscip Rev RNA. 2020;11(5):e1594を参照されたい)。
【0119】
全体として、ASOの構造と共に、化学的修飾のそのような多様性は、選択された標的および作用機構に従って治療手法の適合化のためのかなりの自由度を提供する。いくつかの核酸に基づく薬物の最近の米国食品医薬品局(FDA)の承認は、アンチセンス研究への関心をさらに刺激した。現在、多数のアンチセンス薬物候補が、心血管疾患、代謝疾患、内分泌疾患、神経疾患、神経筋肉疾患、炎症性疾患、および感染性疾患を処置するための臨床試験中である。
【0120】
一部の実施形態では、アンチセンスオリゴは、修飾がRIG-Iヘリカーゼとの相互作用を阻害しない限り、例えば、当技術分野で公知のように、または本明細書に記載のように、塩基、2’位、骨格/リン酸、またはリボース中に、1つまたは複数の修飾を含む。
【0121】
抗miRNAオリゴヌクレオチド(AMO)
上記のように、マイクロRNAは、遺伝子発現を厳密に調節することによって、多くの生理学的機能を制御している。それらは重要な調節因子であるため、それらは疾患とも関連する。したがって、その活性の阻害は、有効な治療戦略であり得る。AMOは、標的化された内因性miRNAと相補的な配列を有するASOであり、安定な、高親和性の結合を形成する。ASOと同様、それらを、上記のような、様々な化学的特徴を用いて合成することができる。これらの合成的に設計された分子は、立体遮断機構ならびにmiRNAへのハイブリダイゼーションによって所望の応答のために細胞中のマイクロRNA(miRNA)の機能を中和するために使用される。特に、AMOは、miRNAの5’末端から2~8個の塩基に及ぶmiRNA「シード領域」に高い親和性で結合することが必須である。
【0122】
5.処置方法
部分的に、本開示は、がんを処置するための方法であって、治療有効量の一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドを投与することを含み、前記オリゴヌクレオチドが、非腫瘍細胞と比較して腫瘍細胞において高度に発現される内因性腫瘍特異的RNA(tsRNA)と相補的である、方法に関する。一部の実施形態では、本開示は、腫瘍細胞においてRIG-Iを選択的に活性化するための方法であって、治療有効量の一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドを投与することを含み、前記一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドが、内因性腫瘍特異的RNA(tsRNA)と相補的である配列を含み、RIG-Iが、腫瘍特異的RNAを高度に発現する腫瘍細胞において選択的に活性化される、方法を企図する。一部の実施形態では、RNAは、mRNAである。一部の実施形態では、RNAは、miRNAである。一部の実施形態では、miRNAは、配列番号1~13からなる群から選択される。
【0123】
本明細書で使用される用語「処置」、「処置すること」、「軽減すること」などは、一般的に、所望の薬物動態的および/または生理的効果を得ることを意味し、処置される状態(例えば、がん)の1つまたは複数の臨床的合併症の重症度を改善すること、軽減すること、および/または低下させることを指すために使用することもできる。その効果は、疾患、状態、もしくは合併症の開始もしくは再発を完全に、もしくは部分的に遅延させる観点から予防的であってよい、ならびに/または疾患もしくは状態の部分的もしくは完全な治癒および/もしくは疾患もしくは状態に起因する有害作用の観点から治療的であってもよい。本明細書で使用される場合、「処置」は、哺乳動物、特に、ヒトの疾患または状態の任意の処置を包含する。本明細書で使用される場合、障害または状態を「防止する」治療剤とは、統計学的試料において、未処置の対照試料と比較して、処置された試料において障害もしくは状態の発生を低減させる、または未処置の対照試料と比較して、疾患もしくは状態の開始を遅延させる化合物を指す。
【0124】
一般に、本開示に記載される疾患または状態(例えば、がん)の処置または防止は、本開示の1つまたは複数の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドを「有効量」で投与することによって達成される。薬剤の有効量とは、所望の治療または予防結果を達成するのに必要な用量で、および期間にわたって有効な量を指す。本開示の薬剤の「治療有効量」は、個体の病態(disease state)、年齢、性別、および体重、ならびに個体において所望の応答を惹起する薬剤の能力などの因子に応じて変化してもよい。「予防有効量」とは、所望の予防結果を達成するのに必要な投与量で、および期間にわたって有効な量を指す。
【0125】
ある特定の態様では、本開示は、疾患または状態(例えば、がん)を処置または防止するための1つまたは複数の追加の活性薬剤または他の支援治療と組み合わせた、1つまたは複数の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドの使用を企図する。本明細書で使用される場合、「と組み合わせた」、「の組合せ」、「と併用した」、または「共同の」投与とは、追加の活性薬剤または支援治療(例えば、第2、第3、第4など)が体内で依然として有効である(例えば、複数の化合物がいくらかの期間にわたって患者において同時に有効であり、これらの化合物の相乗効果を含んでもよい)ような、任意の形態の投与を指す。有効性は、血液、血清、または血漿中の薬剤の測定可能な濃度と相関しなくてもよい。例えば、異なる治療化合物を、同じ製剤中で、または別の製剤中で、同時に、または逐次的に、および異なるスケジュールで投与することができる。したがって、そのような処置を受ける対象は、異なる活性薬剤または治療剤の併用効果から恩恵を受けることができる。本開示の1つまたは複数の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドを、本明細書に開示されるものなどの、1つまたは複数の他の追加の薬剤または支援治療と同時に、その前に、またはその後に投与することができる。一般に、それぞれの活性薬剤または治療は、その特定の薬剤について決定された用量で、および/または時間スケジュールで投与される。レジメンにおいて用いるための特定の組合せは、本開示の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドと、追加の活性薬剤もしくは治療および/または所望の効果との適合性を考慮に入れる。
【0126】
本明細書に記載の方法は、がんを処置するための方法であって、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドを投与することを含み、前記オリゴヌクレオチドが、非腫瘍細胞と比較して腫瘍細胞において高度に発現されるmiRNAまたはmRNAと相補的である、方法を含む。理論によって束縛されることを望むものではないが、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、腫瘍特異的RNAと二重鎖を形成し、それによって、RIG-Iシグナル伝達経路を介する腫瘍特異的免疫応答を惹起する。そのため、必要に応じて、miRNAまたはmRNAを阻害しながら(例えば、内因性miR21と相補的である5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドの使用)、腫瘍細胞に対するRIG-I媒介性免疫活性化を組み合わせることによって、がんを処置する方法が、本明細書で提供される。一部の実施形態では、内因性に発現されるmRNAまたはmiRNAは、発癌性である。一部の実施形態では、内因性に発現されるmRNAまたはmiRNAは、腫瘍特異的である。本明細書で使用される場合、「腫瘍特異的RNA」とは、非腫瘍細胞と比較して腫瘍細胞において高度に発現されるRNA(例えば、miRNAまたはmRNA)を指す。
【0127】
in vivoでは、miRNAは、RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)内で調節機能を発揮することが多い。RISCのコアサブユニットは、AGO2(アルゴノートファミリーのタンパク質のメンバー)に結合したmiRNAである。RISC複合体内のmiRNAは、一方のRNA鎖が、複合体を標的mRNAに導くmiRNA-ガイドであり、他方のRNA鎖が、複合体から除去され、分解されるパッセンジャー鎖である、二本鎖miRNAを含む。AGO2は、抑制のための相補的標的転写物を同定するためにmiRNA-ガイドを使用する。
【0128】
一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、内因性腫瘍特異的RNAと二重鎖を形成する。一部の実施形態では、内因性腫瘍特異的RNAは、miRNAまたはmRNAから選択される。一部の実施形態では、miRNAまたはmRNAは、発癌性である。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、miRNAと二重鎖を形成する。一部の実施形態では、二重鎖は、AGO2によって切断されない。一部の実施形態では、二重鎖は、AGO2によって放出される。一部の実施形態では、二重鎖は、0~5個のミスマッチ塩基対を含む。
【0129】
一部の実施形態では、二重鎖は、RIG-Iを活性化する。一部の実施形態では、RIG-I活性化は、対応する非修飾一リン酸RNAオリゴヌクレオチドによる活性化よりも少なくとも5%、10%、15%または20%大きい。一部の実施形態では、RIG-I活性化は、腫瘍特異的免疫応答を惹起する。一部の実施形態では、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドは、内因性mRNAと競合して、miRNAに結合する。
【0130】
本明細書に開示される方法は、異常なアポトーシスまたは分化プロセスと関連する障害、例えば、細胞増殖障害または細胞分化障害、例えば、固形腫瘍と造血がんとの両方を含む、がんの処置を含む。ある特定の実施形態では、方法は、腫瘍特異的免疫活性化と、miRNAもしくはmRNAの阻害との組合せを含む、二重の処置方法に関する。前記方法を使用して、発達中のがん細胞を標的とする免疫応答を誘発することによって、異常なアポトーシスまたは分化プロセスと関連する障害を発症するリスクを低減させることもできる。一部の実施形態では、障害は、固形腫瘍、例えば、乳がん、前立腺がん、膵がん、脳がん、肝がん、肺がん、腎臓がん、皮膚がん、または結腸がんである。一般に、方法は、本明細書に記載の処置の治療有効量を、そのような処置を必要とする対象、またはそのような処置を必要とすると決定された対象に投与することを含む。一部の実施形態では、方法は、例えば、ナノ粒子に連結された、5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチド(例えば、本明細書で使用されるRNAオリゴヌクレオチド)を含む処置の治療有効量を投与することを含む。一部の実施形態では、ナノ粒子は、磁性ナノ粒子である。
【0131】
この文脈で使用される場合、「処置する」とは、異常なアポトーシスまたは分化プロセスと関連する障害の少なくとも1つの症状を改善することを意味する。例えば、処置は、腫瘍サイズまたは成長速度の低減をもたらすことができる。異常なアポトーシスまたは分化プロセスと関連する状態(例えば、がん)の処置のための、本明細書に記載の化合物の治療有効量の投与は、とりわけ、腫瘍サイズの低減もしくは成長速度の低下、再発のリスクもしくは頻度の低減、再発の遅延、転移の低減、生存率の増加、ならびに/または罹患率および死亡率の低下をもたらす。
【0132】
細胞増殖および/または分化障害の例としては、がん、例えば、癌、肉腫、転移性障害または造血系新生物障害、例えば、白血病が挙げられる。転移性腫瘍は、限定されるものではないが、前立腺、結腸、肺、乳房および肝臓起源のものを含む、多数の原発腫瘍型から生じ得る。
【0133】
本明細書で使用される場合、用語「がん」、「過剰増殖性」および「新生物性」とは、自律的成長の能力を有する細胞、すなわち、急速に増殖する細胞成長を特徴とする異常な状況または状態を指す。過剰増殖性および新生物性病態は、病原性、すなわち、病態を特徴付けるか、もしくは構成すると分類することができるか、または非病原性、すなわち、病態と関連するのではなく、正常からの逸脱と分類することができる。この用語は、組織病理型または侵襲性のステージに関係なく、あらゆる型のがん性成長または発癌プロセス、転移組織または悪性に形質転換した細胞、組織、もしくは臓器を含むことを意味する。「病原性過剰増殖」細胞は、悪性腫瘍成長を特徴とする病態で生じる。非病原性過剰増殖細胞の例としては、創傷修復と関連する細胞の増殖が挙げられる。
【0134】
用語「がん」または「新生物」は、罹患している膀胱、骨、肺、腎臓、乳房、甲状腺、リンパ、消化管、および尿生殖路などの種々の臓器系の悪性腫瘍、ならびに多くの結腸がん、腎細胞癌、前立腺がんおよび/もしくは精巣腫瘍、非小細胞肺癌、小腸のがんおよび食道のがんなどの悪性腫瘍を含む腺癌を含む。他の型のがんとしては、限定されるものではないが、胆道がん、脳がん、乳がん、子宮頸がん、絨毛癌、結腸がん、子宮内膜がん、食道がん、胃(gastric)がん、神経膠芽腫、上皮内新生物、白血病、リンパ腫、肝臓がん、肺がん、黒色腫、骨髄腫、神経芽腫、口腔がん、卵巣がん、膵がん、前立腺がん、直腸がん、肉腫、皮膚がん、胃(stomach)がん、精巣がん、甲状腺がん、子宮がん、および腎がんが挙げられる。ある特定の実施形態では、がんは、ヘアリー細胞白血病、慢性骨髄性白血病(chronic myelogenous leukemia)、皮膚T細胞白血病、慢性骨髄性白血病(chronic myeloid leukemia)、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、濾胞性リンパ腫、悪性黒色腫、扁平上皮癌、腎細胞癌、前立腺癌、膀胱細胞癌、乳癌、卵巣癌、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、肝細胞癌、基底細胞腫、結腸癌、子宮頸部異形成、およびカポジ肉腫(AIDS関連および非AIDS関連)から選択される。
【0135】
用語「癌」は、当技術分野で認識されており、呼吸器系の癌、消化管系の癌、尿生殖路系の癌、精巣癌、乳癌、前立腺癌、内分泌系の癌、および黒色腫を含む、上皮または内分泌組織の悪性腫瘍を指す。一部の実施形態では、疾患は、腎癌または黒色腫である。例示的な癌としては、子宮頸部、肺、前立腺、乳房、頭頸部、結腸および卵巣の組織から形成するものが挙げられる。この用語はまた、例えば、癌性および肉腫性の組織から構成される悪性腫瘍を含む、癌肉腫も含む。「腺癌」とは、腺組織に由来する癌、または腫瘍細胞が認識可能な腺状構造を形成する癌を指す。
【0136】
用語「肉腫」は、当技術分野で認識されており、間葉由来の悪性腫瘍を指す。
【0137】
増殖性障害のさらなる例としては、造血系新生物障害が挙げられる。本明細書で使用される場合、用語「造血系新生物障害」は、例えば、骨髄系列、リンパ系列もしくは赤血球系列、またはその前駆細胞から生じる、造血起源の過形成/新生物細胞を含む疾患を含む。好ましくは、疾患は、低分化型急性白血病、例えば、赤芽球性白血病および急性巨核芽球性白血病から生じる。さらなる例示的な骨髄性障害としては、限定されるものではないが、急性前骨髄性白血病(APML)、急性骨髄性白血病(AML)および慢性骨髄性白血病(CML)が挙げられる(Vaickus, L. (1991) Crit Rev. in Oncol./Hemotol. 11:267-97において概説されている);リンパ性悪性腫瘍としては、限定されるものではないが、B系統ALLおよびT系統ALLを含む急性リンパ芽球性白血病(ALL)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、前リンパ球性白血病(PLL)、ヘアリー細胞白血病(HLL)ならびにワルデンストレームマクログロブリン血症(WM)が挙げられる。さらなる形態の悪性リンパ腫としては、限定されるものではないが、非ホジキンリンパ腫およびそのバリアント、末梢T細胞リンパ腫、成人T細胞白血病/リンパ腫(ATL)、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)、大型顆粒リンパ球白血病(LGF)、ホジキン病およびリード・スタンバーグ病が挙げられる。
【0138】
本明細書に記載の方法のいずれかの一部の実施形態では、5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチド(例えば、本明細書で使用されるRNAオリゴヌクレオチド)は、がんを有する(例えば、原発性がんまたは転移性がんを有する)と診断された対象に投与される。一部の実施形態では、対象は、乳がん(例えば、転移性乳がん)を有する。一部の非限定的な実施形態では、対象は、男性または女性、成人、青年、または小児である。一部の実施形態では、対象は、がんまたは転移性がん(例えば、リンパ節における転移性がん)の1つまたは複数の症状を有する。一部の実施形態では、対象は、重症の、または進行ステージのがん(例えば、原発性がんまたは転移性がん)を有する。一部の実施形態では、対象は、少なくとも1つのリンパ節に存在する転移性腫瘍を有する。一部の実施形態では、対象は、乳房温存術(lymphectomy)および/または乳腺切除術を受けたことがある。
【0139】
RIG-I受容体活性化免疫応答
以前に記載されたように、RIG-Iは、自然免疫系のパターン認識受容体(PRR)を感知する細胞質核酸である。それは、5’三リン酸シグナチャーを用いてRNA構造(ウイルスのような)を認識するために必須である。RIG-I活性化を、がんに対する免疫応答としてプログラミングすることができる。重要なことに、RIG-Iによる腫瘍細胞死は、免疫記憶を構築することが示されており、これは、一度、身体の免疫系が活性化されたら、身体は免疫となり、腫瘍は「外来」として拒絶されることを意味する。
【0140】
一部の実施形態では、本開示は、腫瘍細胞においてRIG-Iを選択的に活性化するための方法であって、治療有効量の一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドを投与することを含み、前記一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドが、内因性腫瘍特異的RNA(tsRNA)と相補的である配列を含み、RIG-Iが、腫瘍特異的RNAを高度に発現する腫瘍細胞において選択的に活性化される、方法を企図する。理論によって束縛されることを望むものではないが、一本鎖5’非キャップ付加三リン酸または二リン酸修飾RNAオリゴヌクレオチドが腫瘍特異的RNAと二重鎖を形成し、それによって、RIG-Iシグナル伝達経路を介して腫瘍特異的免疫応答を惹起する場合、免疫系はがん細胞において選択的に活性化される。一部の実施形態では、5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドの投与は、抗ウイルス応答、特に、I型IFN応答を誘導する。一部の実施形態では、I型IFN応答は、IFN-α応答である。一部の実施形態では、RIG-I活性化は、腫瘍特異的免疫応答(例えば、腫瘍特異的RNAを高度に発現する腫瘍細胞に対する応答)を惹起する。一部の実施形態では、腫瘍特異的免疫応答は、I型IFN、DAMP(危険関連分子パターン)、および/または腫瘍抗原の放出を含む。一部の実施形態では、方法は、前記腫瘍細胞に対する免疫記憶を誘導する。
【0141】
一部の実施形態では、5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドの投与は、腫瘍細胞のアポトーシスを誘導する。一部の実施形態では、5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドの投与は、(a)抗ウイルス応答、特に、I型IFN応答を誘導する、および(b)脊椎動物、特に、哺乳動物において腫瘍特異的RNA(例えば、miRNA21)を下方調節する。本出願は、脊椎動物、特に、哺乳動物において腫瘍細胞のアポトーシスを誘導するための医薬組成物の調製のための少なくとも1つの5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドの使用をさらに提供する。
【0142】
5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドの投与によって腫瘍特異的免疫応答を惹起し、それによって、身体の免疫系を活性化して、所望の処置応答をもたらす(例えば、動物における抗腫瘍免疫記憶を扱う、および/または創出する)ための方法および/または組成物が、本明細書に記載される。理論によって束縛されることを望むものではないが、
図1に示されるように、RIG-I経路は、がん細胞において特異的に発現されるmiRNAまたはmRNAと相補的な5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドの導入後の5’ppp-dsRNAのin situでの生成によって、これらの細胞において選択的に活性化される;同じこと、または類似することは、5’pp-ssRNAからも予想される。結果として、腫瘍微小環境(TME)の抗腫瘍免疫能力を、単に一本鎖RNAを使用することによる、ある特定の腫瘍抑制遺伝子(複数可)の同時活性化と併せて、RIG-Iシグナル伝達経路の活性化によって明らかにすることができる。
【0143】
6.医薬組成物および投与様式
本明細書に記載の方法のいずれかにおいて、5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチド(例えば、本明細書で使用されるRNAオリゴヌクレオチド)は、医療従事者(例えば、医師、フィジシャン アシスタント、看護師、または検査室もしくは診療所従事者)、対象(すなわち、自己投与)、または対象の友人もしくは家族によって投与され得る。投与を、臨床現場(例えば、診療所もしくは病院)、介護付き住宅、または薬局において実施することができる。
【0144】
本明細書に記載の方法のいずれかの一部の実施形態では、対象は、少なくとも1(例えば、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、または30)用量の、本明細書に記載の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチド(例えば、本明細書で使用されるRNAオリゴヌクレオチド)のいずれかの少なくとも1つ(例えば、1、2、3、または4つ)を含有する組成物を投与される。本明細書に記載の方法のいずれかにおいて、少なくとも1つの磁性粒子または医薬組成物(例えば、本明細書に記載の磁性粒子または医薬組成物のいずれか)を、対象に静脈内、動脈内、皮下、腹腔内、または筋肉内投与することができる。一部の実施形態では、少なくとも1つの磁性粒子または医薬組成物は、対象のリンパ節に直接投与(注射)される。
【0145】
本明細書に記載の方法のいずれかの一部の実施形態では、対象は、少なくとも1(例えば、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、または30)用量の、本明細書に記載の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチド(例えば、本明細書で使用されるRNAオリゴヌクレオチド)のいずれかの少なくとも1つ(例えば、1、2、3、または4つ)を含有する組成物を投与される。一部の実施形態では、本開示の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドは、0.2mg/kg~200mg/kgの用量範囲で投与される。一部の実施形態では、本開示の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドは、0.3mg/kg~200mg/kgの用量範囲で投与される。一部の実施形態では、本開示の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドは、0.4mg/kg~200mg/kgの用量範囲で投与される。一部の実施形態では、本開示の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドは、0.5mg/kg~200mg/kgの用量範囲で投与される。一部の実施形態では、本開示の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドは、0.6mg/kg~200mg/kgの用量範囲で投与される。一部の実施形態では、本開示の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドは、0.7mg/kg~200mg/kgの用量範囲で投与される。一部の実施形態では、本開示の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドは、0.8mg/kg~200mg/kgの用量範囲で投与される。一部の実施形態では、本開示の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドは、0.9mg/kg~200mg/kgの用量範囲で投与される。一部の実施形態では、本開示の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドは、1mg/kg~200mg/kgの用量範囲で投与される。一部の実施形態では、本開示の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドは、2mg/kg~200mg/kgの用量範囲で投与される。一部の実施形態では、本開示の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドは、3mg/kg~200mg/kgの用量範囲で投与される。一部の実施形態では、本開示の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドは、4mg/kg~200mg/kgの用量範囲で投与される。一部の実施形態では、本開示の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドは、5mg/kg~200mg/kgの用量範囲で投与される。一部の実施形態では、本開示の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドは、6mg/kg~200mg/kgの用量範囲で投与される。一部の実施形態では、本開示の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドは、7mg/kg~200mg/kgの用量範囲で投与される。一部の実施形態では、本開示の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドは、8mg/kg~200mg/kgの用量範囲で投与される。一部の実施形態では、本開示の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドは、9mg/kg~200mg/kg.の用量範囲で投与される。一部の実施形態では、本開示の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドは、10mg/kg~200mg/kgの用量範囲で投与される。一部の実施形態では、本開示の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドは、20mg/kg~200mg/kgの用量範囲で投与される。一部の実施形態では、本開示の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドは、30mg/kg~200mg/kgの用量範囲で投与される。一部の実施形態では、本開示の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドは、40mg/kg~200mg/kgの用量範囲で投与される。一部の実施形態では、本開示の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドは、50mg/kg~200mg/kgの用量範囲で投与される。一部の実施形態では、本開示の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドは、60mg/kg~200mg/kgの用量範囲で投与される。一部の実施形態では、本開示の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドは、70mg/kg~200mg/kgの用量範囲で投与される。一部の実施形態では、本開示の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドは、80mg/kg~200mg/kgの用量範囲で投与される。一部の実施形態では、本開示の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドは、90mg/kg~200mg/kgの用量範囲で投与される。一部の実施形態では、本開示の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドは、100mg/kg~200mg/kgの用量範囲で投与される。一部の実施形態では、本開示の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドは、110mg/kg~200mg/kgの用量範囲で投与される。一部の実施形態では、本開示の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドは、120mg/kg~200mg/kgの用量範囲で投与される。一部の実施形態では、本開示の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドは、130mg/kg~200mg/kgの用量範囲で投与される。一部の実施形態では、本開示の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドは、140mg/kg~200mg/kgの用量範囲で投与される。一部の実施形態では、本開示の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドは、150mg/kg~200mg/kgの用量範囲で投与される。一部の実施形態では、本開示の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドは、160mg/kg~200mg/kgの用量範囲で投与される。一部の実施形態では、本開示の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドは、170mg/kg~200mg/kgの用量範囲で投与される。一部の実施形態では、本開示の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドは、180mg/kg~200mg/kgの用量範囲で投与される。一部の実施形態では、本開示の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドは、190mg/kg~200mg/kgの用量範囲で投与される。
【0146】
一部の実施形態では、本開示の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドは、少なくとも0.2mg/kg用量で投与される。一部の実施形態では、本開示の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドは、少なくとも0.3mg/kg用量で投与される。一部の実施形態では、本開示の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドは、少なくとも0.4mg/kg.用量で投与される。一部の実施形態では、本開示の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドは、少なくとも0.5mg/kg用量で投与される。一部の実施形態では、本開示の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドは、少なくとも0.6mg/kg用量で投与される。一部の実施形態では、本開示の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドは、少なくとも0.7mg/kg用量で投与される。一部の実施形態では、本開示の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドは、少なくとも0.8mg/kg用量で投与される。一部の実施形態では、本開示の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドは、少なくとも0.9mg/kg用量で投与される。一部の実施形態では、本開示の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドは、少なくとも1mg/kg用量で投与される。一部の実施形態では、本開示の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドは、少なくとも2mg/kg用量で投与される。一部の実施形態では、本開示の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドは、少なくとも3mg/kg用量で投与される。一部の実施形態では、本開示の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドは、少なくとも4mg/kg用量で投与される。一部の実施形態では、本開示の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドは、少なくとも5mg/kg用量で投与される。一部の実施形態では、本開示の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドは、少なくとも6mg/kg用量で投与される。一部の実施形態では、本開示の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドは、少なくとも7mg/kg用量で投与される。一部の実施形態では、本開示の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドは、少なくとも8mg/kg用量で投与される。一部の実施形態では、本開示の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドは、少なくとも9mg/kg用量で投与される。一部の実施形態では、本開示の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドは、少なくとも10mg/kg用量で投与される。一部の実施形態では、本開示の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドは、少なくとも20mg/kg用量で投与される。一部の実施形態では、本開示の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドは、少なくとも30mg/kg用量で投与される。一部の実施形態では、本開示の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドは、少なくとも40mg/kg用量で投与される。一部の実施形態では、本開示の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドは、少なくとも50mg/kg用量で投与される。一部の実施形態では、本開示の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドは、少なくとも60mg/kg用量で投与される。一部の実施形態では、本開示の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドは、少なくとも70mg/kg用量で投与される。一部の実施形態では、本開示の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドは、少なくとも80mg/kg用量で投与される。一部の実施形態では、本開示の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドは、少なくとも90mg/kg用量で投与される。一部の実施形態では、本開示の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドは、少なくとも100mg/kg用量で投与される。一部の実施形態では、本開示の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドは、少なくとも110mg/kg用量で投与される。一部の実施形態では、本開示の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドは、少なくとも120mg/kg用量で投与される。一部の実施形態では、本開示の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドは、少なくとも130mg/kg用量で投与される。一部の実施形態では、本開示の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドは、少なくとも140mg/kg用量で投与される。一部の実施形態では、本開示の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドは、少なくとも150mg/kg用量で投与される。一部の実施形態では、本開示の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドは、少なくとも160mg/kg用量で投与される。一部の実施形態では、本開示の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドは、少なくとも170mg/kg用量で投与される。一部の実施形態では、本開示の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドは、少なくとも180mg/kg用量で投与される。一部の実施形態では、本開示の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドは、少なくとも190mg/kg用量で投与される。一部の実施形態では、本開示の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドは、少なくとも200mg/kg用量で投与される。
【0147】
ある特定の実施形態では、本開示の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドは、1日1回投与される。ある特定の実施形態では、本開示の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドは、1日2回投与される。ある特定の実施形態では、本開示の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドは、週1回投与される。ある特定の実施形態では、本開示の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドは、週2回投与される。ある特定の実施形態では、本開示の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドは、週3回投与される。ある特定の実施形態では、本開示の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドは、2週毎に投与される。ある特定の実施形態では、本開示の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドは、3週毎に投与される。ある特定の実施形態では、本開示の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドは、4週毎に投与される。ある特定の実施形態では、本開示の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドは、毎月投与される。
【0148】
本明細書に記載の方法のいずれかの一部の実施形態では、対象は、少なくとも1(例えば、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、または30)用量の、本明細書に記載の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチド(例えば、本明細書で使用されるRNAオリゴヌクレオチド)のいずれかの少なくとも1つ(例えば、1、2、3、または4つ)を含有する組成物を投与される。ある特定の実施形態では、修飾RNAオリゴヌクレオチドは、最大で40個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。ある特定の実施形態では、修飾RNAオリゴヌクレオチドは、最大で39個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。ある特定の実施形態では、修飾RNAオリゴヌクレオチドは、最大で38個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。ある特定の実施形態では、修飾RNAオリゴヌクレオチドは、最大で37個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。ある特定の実施形態では、修飾RNAオリゴヌクレオチドは、最大で36個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。ある特定の実施形態では、修飾RNAオリゴヌクレオチドは、最大で35個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。ある特定の実施形態では、修飾RNAオリゴヌクレオチドは、最大で34個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。ある特定の実施形態では、修飾RNAオリゴヌクレオチドは、最大で33個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。ある特定の実施形態では、修飾RNAオリゴヌクレオチドは、最大で32個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。ある特定の実施形態では、修飾RNAオリゴヌクレオチドは、最大で31個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。ある特定の実施形態では、修飾RNAオリゴヌクレオチドは、最大で30個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。ある特定の実施形態では、修飾RNAオリゴヌクレオチドは、最大で29個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。ある特定の実施形態では、修飾RNAオリゴヌクレオチドは、最大で28個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。 ある特定の実施形態では、修飾RNAオリゴヌクレオチドは、最大で27個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。ある特定の実施形態では、修飾RNAオリゴヌクレオチドは、最大で26個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。ある特定の実施形態では、修飾RNAオリゴヌクレオチドは、最大で25個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。ある特定の実施形態では、修飾RNAオリゴヌクレオチドは、最大で24個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。ある特定の実施形態では、修飾RNAオリゴヌクレオチドは、最大で23個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。ある特定の実施形態では、修飾RNAオリゴヌクレオチドは、最大で22個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。ある特定の実施形態では、修飾RNAオリゴヌクレオチドは、最大で21個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。ある特定の実施形態では、修飾RNAオリゴヌクレオチドは、最大で20個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。ある特定の実施形態では、修飾RNAオリゴヌクレオチドは、最大で19個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。ある特定の実施形態では、修飾RNAオリゴヌクレオチドは、最大で18個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。ある特定の実施形態では、修飾RNAオリゴヌクレオチドは、最大で17個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。ある特定の実施形態では、修飾RNAオリゴヌクレオチドは、最大で16個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。ある特定の実施形態では、修飾RNAオリゴヌクレオチドは、最大で15個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。ある特定の実施形態では、修飾RNAオリゴヌクレオチドは、最大で14個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。ある特定の実施形態では、修飾RNAオリゴヌクレオチドは、最大で13個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。ある特定の実施形態では、修飾RNAオリゴヌクレオチドは、最大で12個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。ある特定の実施形態では、修飾RNAオリゴヌクレオチドは、最大で11個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。ある特定の実施形態では、修飾RNAオリゴヌクレオチドは、最大で10個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。ある特定の実施形態では、修飾RNAオリゴヌクレオチドは、最大で9個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。ある特定の実施形態では、修飾RNAオリゴヌクレオチドは、最大で8個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。ある特定の実施形態では、修飾RNAオリゴヌクレオチドは、最大で7個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。ある特定の実施形態では、修飾RNAオリゴヌクレオチドは、最大で6個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。ある特定の実施形態では、修飾RNAオリゴヌクレオチドは、最大で5個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。ある特定の実施形態では、修飾RNAオリゴヌクレオチドは、最大で4個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。ある特定の実施形態では、修飾RNAオリゴヌクレオチドは、最大で3個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。ある特定の実施形態では、修飾RNAオリゴヌクレオチドは、最大で2個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。ある特定の実施形態では、修飾RNAオリゴヌクレオチドは、1個の修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。
【0149】
本明細書に記載の方法のいずれかの一部の実施形態では、対象は、少なくとも1(例えば、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、または30)用量の、本明細書に記載の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチド(例えば、本明細書で使用されるRNAオリゴヌクレオチド)のいずれかの少なくとも1つ(例えば、1、2、3、または4つ)を含有する組成物を投与される。本明細書に記載の方法のいずれかにおいて、少なくとも1つの磁性粒子または医薬組成物(例えば、本明細書に記載の磁性粒子または医薬組成物のいずれか)を、対象に静脈内、動脈内、皮下、腹腔内、または筋肉内投与することができる。一部の実施形態では、少なくとも1つの磁性粒子または医薬組成物は、対象のリンパ節に直接投与(注射)される。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、1~最大40個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、2~最大40個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、3~最大40個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、4~最大40個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、5~最大40個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、6~最大40個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、7~最大40個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、8~最大40個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、9~最大40個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、10~最大40個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、11~最大40個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、12~最大40個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、13~最大40個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、14~最大40個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、15~最大40個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、16~最大40個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、17~最大40個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、18~最大40個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、19~最大40個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、20~最大40個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、21~最大40個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、22~最大40個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、23~最大40個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。 一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、24~最大40個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、25~最大40個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、26~最大40個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、27~最大40個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、28~最大40個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、29~最大40個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、30~最大40個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、31~最大40個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、32~最大40個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、33~最大40個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、34~最大40個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、35~最大40個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、36~最大40個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、37~最大40個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、38~最大40個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、39~最大40個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。
【0150】
一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、少なくとも40個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、少なくとも39個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、少なくとも38個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、少なくとも37個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、少なくとも36個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、少なくとも35個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、少なくとも34個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、少なくとも33個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、少なくとも32個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、少なくとも31個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、少なくとも30個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、少なくとも29個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、少なくとも28個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、少なくとも27個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、少なくとも26個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、少なくとも25個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、少なくとも24個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、少なくとも23個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、少なくとも22個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、少なくとも21個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、少なくとも20個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、少なくとも19個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、少なくとも18個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、少なくとも17個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、少なくとも16個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、少なくとも15個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、少なくとも14個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、少なくとも13個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、少なくとも12個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、少なくとも11個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、少なくとも10個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、少なくとも9個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、少なくとも8個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、少なくとも7個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、少なくとも6個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、少なくとも5個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、少なくとも4個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、少なくとも4個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、少なくとも3個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、少なくとも2個の異なる修飾RNAオリゴヌクレオチドを含む。
【0151】
一部の実施形態では、少なくとも1つの上記の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドおよび薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。一部の実施形態では、医薬組成物は、細胞、特に、細胞の細胞質ゾルへのオリゴヌクレオチドの送達を容易にする剤をさらに含む。一部の実施形態では、送達剤は、本明細書に記載される剤(例えば、ミセル、脂質ナノ粒子(LNP)、球状核酸(SNA)、細胞外ベシクル、合成ベシクル、エキソソーム、リピドイド、リポソーム、およびリポプレックス)である。
【0152】
医薬組成物は、オリゴヌクレオチドを安定化する剤などの別の剤をさらに含んでもよい。安定化剤の例としては、オリゴヌクレオチドと複合体化して、iRNPを形成するタンパク質、EDTAなどのキレート剤、塩、およびRNase阻害剤が挙げられる。
【0153】
ある特定の実施形態では、医薬組成物、特に、本明細書に記載の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドを含む医薬組成物は、1つまたは複数の薬学的に活性な治療剤をさらに含む。薬学的に活性な薬剤の例としては、免疫刺激剤、抗ウイルス剤、抗生物質、抗真菌剤、抗寄生虫剤、抗腫瘍剤、サイトカイン、ケモカイン、成長因子、抗血管新生因子、化学療法剤、抗体および遺伝子サイレンシング剤が挙げられる。好ましくは、薬学的に活性な薬剤は、免疫刺激剤、抗ウイルス剤および抗腫瘍剤からなる群から選択される。1つより多い薬学的に活性な薬剤は、同じか、または異なるカテゴリーのものであってよい。
【0154】
ある特定の実施形態では、医薬組成物、特に、本明細書に記載の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドを含む医薬組成物は、抗原、抗ウイルスワクチン、抗細菌ワクチン、および/または抗腫瘍ワクチンをさらに含み、ここで、ワクチンは、予防的および/または治療的であってもよい。
【0155】
ある特定の実施形態では、医薬組成物、特に、本明細書に記載の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドを含む医薬組成物は、レチノイド酸(retinoid acid)、IFN-αおよび/またはIFN-βをさらに含む。いかなる理論によっても束縛されるものではないが、レチノイド酸、IFN-αおよび/またはIFN-βは、おそらく、RIG-I発現の上方調節によって、IFN-α産生のために細胞を感作させることができる。
【0156】
医薬組成物を、意図された投与経路、送達形式および所望の投与量を含む、その治療適用と適合する任意の方法で製剤化することができる。当業者であれば、最適な医薬組成物を、当技術分野における共通一般知識に従って製剤化することができる。
【0157】
医薬組成物を、即時放出、制御放出、時限放出、持続放出、徐放、または連続放出のために製剤化することができる。
【0158】
医薬組成物を、それが意図された適用と適合するという条件で、限定されるものではないが、局所、経腸および非経口経路を含む当技術分野で公知の任意の経路によって投与することができる。局所投与としては、限定されるものではないが、経皮、吸入、鼻内、経膣投与、浣腸、点眼、および点耳が挙げられる。経腸投与としては、限定されるものではないが、経口、直腸投与および栄養管による投与が挙げられる。非経口投与としては、限定されるものではないが、静脈内、動脈内、筋肉内、心臓内、皮下、骨内、皮内、髄腔内、腹腔内、経皮、経粘膜、および吸入投与が挙げられる。医薬組成物を、予防および/または治療目的で使用することができる。
【0159】
当業者であれば、処置しようとする疾患または状態、疾患または状態の重症度、患者の年齢、性別および身体状態、ならびに以前の処置の存在または非存在などの因子に基づいて、投与の最適な投与量、頻度、タイミングおよび経路を容易に決定することができる。
【0160】
一部の実施形態では、対象は、少なくとも1つの5’ppもしくは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチド(例えば、本明細書で使用されるRNAオリゴヌクレオチド)または医薬組成物(例えば、5’ppもしくは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドのいずれかまたは本明細書に記載の医薬組成物)および少なくとも1つの追加の治療剤を投与される。少なくとも1つの追加の治療剤は、化学療法剤(例えば、シクロホスファミド、メクロレタミン、クロラムブシル、メルファラン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ミトキサントロン、バルルビシン、パクリタキセル、ドセタキセル、エトポシド、テニポシド、タフルポシド、アザシチジン、アザチオプリン、カペシタビン、シタラビン、ドキシフルリジン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、メルカプトプリン、メトトレキサート、チオグアニン、ブレオマイシン、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチン、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ、サリノスポラミドA、オールトランスレチノイン酸、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、およびビノレルビン)および/または鎮痛剤(例えば、アセトアミノフェン、ジクロフェナク、ジフルニサル、エトドラク、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラク、メクロフェナメート、メフェナム酸、メロキシカム、ナブメトン、ナプロキセン、オキサプロジン、フェニルブタゾン、ピロキシカム、スリンダク、トルメチン、セレコキシブ、ブプレノルフィン、ブトルファノール、コデイン、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、レボルファノール、メペリジン、メタドン、モルヒネ、ナルブフィン、オキシコドン、オキシモルホン、ペンタゾシン、プロポキシフェン、およびトラマドール)であってもよい。
【0161】
一部の実施形態では、少なくとも1つの追加の治療剤は、免疫原性細胞死誘導剤(ICDi)(例えば、ダウノルビシン、ドセタキセル、ドキソルビシン、ミトキサントロン、オキサリプラチン、およびパクリタキセル)である。一部の実施形態では、少なくとも1つの追加の治療剤は、siRNA治療である。一部の実施形態では、siRNA治療は、がんと関連する遺伝子(例えば、PD-L1、CTLA-4、TGF-β、および/またはVEGF)を標的とする。
【0162】
一部の実施形態では、少なくとも1つの追加の治療剤は、標的化治療である。標的化治療は、ヒトの遺伝子およびタンパク質に関する情報を使用して、疾患を防止し、診断し、処置する医療の形態である、精密医療とも称されるものの基礎である。そのような治療剤は、「分子標的化薬」または類似の名称で呼ばれることもある。それらを探索するプロセスは、「合理的薬物設計」と称されることが多い。この概念は、「個別化医療」と称されることもある。
【0163】
分子標的化薬は、経路中の、特定の標的分子、または構造的に関連する標的分子のセットと相互作用し、したがって、疾患関連プロセスなどの、その経路の終点効果をモジュレートし、したがって、治療利益を得る。
【0164】
分子標的化薬は、低分子またはバイオ医薬品、通常、抗体であってもよい。それらは、単独で、または他の治療剤および方法と組み合わせて有用であり得る。
【0165】
それらは特定の分子、または関連する分子のセットを標的とし、通常、他の分子とのそれらの相互作用を最小化するように設計されるため、標的化治療薬は、より少ない有害副作用を有し得る。標的化がん薬物は、広く言えば、がんの成長、進行、抑制もしくは除去の欠如、または拡散に関与する特定の分子または構造的に関連する分子のセット(まとめて、「分子標的」)と相互作用することによって、がんの成長および拡散を遮断する。そのような分子標的は、例えば、限定されるものではないが、シグナル伝達、遺伝子発現モジュレーション、アポトーシスの誘導もしくは抑制、血管新生阻害、または免疫系モジュレーションを含む、1つまたは複数の細胞機能に関与するタンパク質または遺伝子を含んでもよい。
【0166】
標的化治療モノクローナル抗体(mAb)および標的化低分子は、がんの処置として使用されている。それらは、単剤治療として、または特に、処置下にある疾患が従来の技術のみを使用する治療に対して不応性である場合、他の従来の治療モダリティと組み合わせて使用される。一部の実施形態では、少なくとも1つの追加の治療剤は、分子標的化治療である。一部の実施形態では、分子標的化治療は、トラスツズマブ、ジオトリフ、プロロイキン、アレクチニブ、キャンパス、アテゾリズマブ、アベルマブ、アキシチニブ、ベリムマブ、ベリノスタット、ベバシズマブ、ベルケイド、カナキヌマブ、セリチニブ、セツキシマブ、クリゾチニブ、ダブラフェニブ、ダラツムマブ、ダサチニブ、デノスマブ、エロツズマブ、エナシデニブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、イブルチニブ、ザイデリグ、イマチニブ、レンバチニブ、ミドスタウリン、ネシツムマブ、ニラパリブ、オビヌツズマブ、オシメルチニブ、パニツムマブ、レゴラフェニブ、リツキシマブ、ルキソリチニブ、ソラフェニブ、トシリズマブ、およびトラスツズマブからなる群から選択される。
【0167】
一部の実施形態では、少なくとも1つの追加の治療剤は、免疫治療である。本明細書で使用される場合、用語「免疫治療」とは、がん細胞に対する身体の免疫応答を間接的もしくは直接的に増強する、刺激する、もしくは増加させる、および/または他の抗がん治療の副作用を減少させる化合物、組成物または処置を指す。免疫治療は、したがって、がん細胞に対する免疫系の応答を直接的もしくは間接的に刺激もしくは増強する、および/または他の抗がん剤によって引き起こされ得る副作用を減少させる治療である。免疫治療はまた、免疫原性治療、生物学的治療、生物応答調節剤治療および生物治療と当技術分野で称される。当技術分野で公知の一般的な免疫治療剤の例としては、限定されるものではないが、サイトカイン、がんワクチン、モノクローナル抗体および非サイトカインアジュバントが挙げられる。あるいは、免疫治療処置は、ある量の免疫細胞(T細胞、NK細胞、樹状細胞、B細胞など)を対象に投与することからなってもよい。
【0168】
免疫治療剤は、非特異的であってもよく、すなわち、ヒトの身体ががん細胞の成長および/もしくは拡散と戦うのにより有効になるように、免疫系を全般的にブーストしてもよいか、またはそれらは特異的、すなわち、がん細胞自体を標的とすることができ、免疫治療レジメンは、非特異的免疫治療剤および特異的免疫治療剤の使用を組み合わせてもよい。
【0169】
非特異的免疫治療剤は、免疫系を刺激するか、または間接的に改善する物質である。非特異的免疫治療剤は、がんの処置のための主要な治療として単独で、ならびに非特異的免疫治療剤が他の治療(例えば、がんワクチン)の有効性を増強するためのアジュバントとして機能する場合、主要な治療に加えて使用されてきた。非特異的免疫治療剤はまた、この後者の文脈では、他の治療の副作用、例えば、ある特定の化学療法剤によって誘導される骨髄抑制を低減させるように機能することもできる。非特異的免疫治療剤は、重要な免疫系の細胞に対して作用し、サイトカインおよび免疫グロブリンの産生の増加などの二次的応答を引き起こすことができる。あるいは、薬剤はそれ自体、サイトカインを含んでもよい。非特異的免疫治療剤は一般に、サイトカインまたは非サイトカインアジュバントとして分類される。
【0170】
一部の実施形態では、免疫治療は、ペムブロリズマブ(Keytruda(登録商標))、ニボルマブ(Opdivo(登録商標))、アテゾリズマブ(Tecentriq(登録商標))、イピリムマブ(Yervoy(登録商標))、アベルマブ(Bavencio(登録商標))およびデュルバルマブ(Imfinzi(登録商標))からなる群から選択される。一部の実施形態では、対象は、抗PD-1、抗PD-L1、または抗CTLA4治療を受けたことがあるか、または受けている。あるいは、いずれかの方法は、対象に、有効量の抗PD-1、抗PD-L1、または抗CTLA4治療を投与することをさらに含んでもよい。一部の例では、抗PD-1、抗PD-L1、または抗CTLA4治療は、それぞれ、抗PD-1、抗PD-L1、または抗CTLA4抗体を含んでもよい。例示的な抗PD-1抗体としては、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、およびAMP-224、またはその抗原結合性断片が挙げられる。例示的な抗CTLA-4抗体としては、イピリムマブ、およびトレメリムマブ、またはその抗原結合性断片が挙げられる。例示的な抗PD-L1抗体としては、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、およびアベルマブ、またはその抗原結合性断片が挙げられる。
【0171】
一部の実施形態では、少なくとも1つの追加の治療剤および少なくとも1つの5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチド(例えば、本明細書で使用されるRNAオリゴヌクレオチド)は、同じ組成物(例えば、同じ医薬組成物)で投与される。「少なくとも1つ」とは、同じか、または異なるオリゴヌクレオチド(複数可)の1つまたは複数の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドを一緒に使用することができることを意味する。
【0172】
一部の実施形態では、少なくとも1つの追加の治療剤および少なくとも1つの5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドは、異なる投与経路を使用して対象に投与される(例えば、経口投与により送達される少なくとも1つの追加の治療剤および静脈内投与により送達される少なくとも1つの5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチド)。
【0173】
本明細書に記載の方法のいずれかにおいては、少なくとも1つの5’ppもしくは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドまたは医薬組成物(例えば、本明細書に記載の5’ppもしくは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドまたは医薬組成物のいずれか)および必要に応じて、少なくとも1つの追加の治療剤を、週に少なくとも1回(例えば、週1回、週2回、週3回、週4回、1日1回、1日2回、または1日3回)、対象に投与することができる。一部の実施形態では、少なくとも2つの異なる5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドは、同じ組成物(例えば、液体組成物)で投与される。一部の実施形態では、少なくとも1つの5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドおよび少なくとも1つの追加の治療剤は、同じ組成物(例えば、液体組成物)で投与される。一部の実施形態では、少なくとも1つの5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドおよび少なくとも1つの追加の治療剤は、2つの異なる組成物(例えば、少なくとも1つの5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドを含有する液体組成物および少なくとも1つの追加の治療剤を含有する固体経口組成物)で投与される。一部の実施形態では、少なくとも1つの追加の治療剤は、丸剤、錠剤、またはカプセル剤として投与される。一部の実施形態では、少なくとも1つの追加の治療剤は、持続放出経口製剤で投与される。
【0174】
一部の実施形態では、1つまたは複数の追加の治療剤を、少なくとも1つの5’ppもしくは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドまたは医薬組成物(例えば、本明細書に記載の5’ppもしくは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドまたは医薬組成物のいずれか)を投与する前に対象に投与することができる。一部の実施形態では、1つまたは複数の追加の治療剤を、少なくとも1つの5’ppもしくは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドまたは医薬組成物(例えば、本明細書に記載の磁性粒子または医薬組成物のいずれか)を投与した後に対象に投与することができる。一部の実施形態では、1つまたは複数の追加の治療剤および少なくとも1つの5’ppもしくは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドまたは医薬組成物(例えば、本明細書に記載の5’ppもしくは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドまたは医薬組成物のいずれか)は、対象における1つまたは複数の追加の治療剤および少なくとも1つの5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチド(例えば、本明細書に記載の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドのいずれか)の生物活性期間に重複が存在するように対象に投与される。
【0175】
一部の実施形態では、対象に、長期間にわたって(例えば、少なくとも1週間、2週間、3週間、1カ月間、2カ月間、3カ月間、4カ月間、5カ月間、6カ月間、7カ月間、8カ月間、9カ月間、10カ月間、11カ月間、12カ月間、1年間、2年間、3年間、4年間、5年間、または10年間にわたって)、少なくとも1つの5’ppもしくは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドまたは医薬組成物(例えば、本明細書に記載の5’ppもしくは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドまたは医薬組成物のいずれか)を投与することができる。知識のある医療従事者であれば、処置の有効性を診断または追跡するための本明細書に記載の方法のいずれかを使用して(例えば、上記の方法および当技術分野で公知の方法を使用して)、処置期間の長さを決定することができる。本明細書に記載される場合、知識のある医療従事者であれば、対象に投与される5’ppもしくは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチド(および/または1つもしくは複数の追加の治療剤)の同一性および数を変化させる(例えば、増加または減少させる)こともでき、処置の有効性の評価(例えば、本明細書に記載の方法および当技術分野で公知の方法のいずれかを使用する)に基づいて、対象への少なくとも1つの5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチド(および/または1つもしくは複数の追加の治療剤)の投与の投与量または頻度を調整する(例えば、増加または減少させる)こともできる。知識のある医療従事者であれば、処置を中止すべきとき(例えば、対象の症状が有意に減少したとき)をさらに決定することができる。
【0176】
7.送達
5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチド(例えば、本明細書で使用されるRNAオリゴヌクレオチド)を、当技術分野で利用可能な種々の公知かつ好適な方法を使用して、in vivoまたはex vivoで宿主細胞または対象に送達することができる。本明細書で提供される場合、リポプレックス、リポソーム、脂質ナノ粒子(LNP)、球状核酸(SNA)、ナノ粒子、および当技術分野で公知の他の方法を含む送達システムを、5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドの送達のために使用することができる。
【0177】
5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドを含有する様々な送達システム(例えば、リポソーム、ナノ粒子)を、in vivoで細胞への送達のために生物に投与するか、またはex vivoで細胞もしくは細胞培養物に投与することもできる。投与は、限定されるものではないが、注射、注入、局所的適用および電気穿孔を含む、ある分子を、血液、流体、または細胞との最終的な接触に導入することのために通常使用される任意の経路による。そのようなオリゴヌクレオチドを投与する好適な方法は、当業者には利用可能であり、周知である。
【0178】
オリゴヌクレオチド送達戦略
オリゴヌクレオチド治療剤の分野は、ここ数年にわたって顕著な進歩を見せている。しかしながら、オリゴヌクレオチドの、その細胞内の作用部位への有効な送達は、依然として大きな問題である。オリゴヌクレオチド送達の生物学的基礎は、様々な組織障壁の性質およびオリゴヌクレオチドの細胞取込みのメカニズムおよび細胞内輸送を含む。オリゴヌクレオチドの送達を増強するための現在の手法としては、オリゴヌクレオチド送達を改善する、分子規模の標的化リガンド-オリゴヌクレオチドコンジュゲート、脂質およびポリマーに基づくナノ粒子、球状核酸(核酸でコーティングされた無機ナノ粒子)、ミセル、細胞外ベシクル、合成ベシクル、エキソソーム、リピドイド、抗体コンジュゲートおよび低分子が挙げられる。これらの手法の利点および不利な点は、基礎となる基本生物学の文脈に置かれる。これらの送達方法の一部は、以下により詳細に記載される。
【0179】
リポプレックス、リポソーム、および脂質ナノ粒子
脂質を含む製剤は、核酸送達を増強するための最も一般的な手法の1つである。ポリアニオン性核酸薬物と脂質との混合は、より好ましい表面電荷を有し、エンドサイトーシスによる取込みを誘発するのに十分に大きい(直径約100nm)ナノ粒子への核酸の凝縮をもたらす。リポプレックスは、ポリアニオン性核酸と、カチオン性脂質との間の直接的な静電相互作用の結果であり、典型的には、比較的不安定な複合体の異種集団である。リポプレックス製剤は、使用の直前に調製する必要があり、局部送達適用のために成功裏に使用されている。対照的に、リポソームは、脂質二重層を含み、核酸薬物は封入された水性空間に存在する。リポソームは、より複雑であり(典型的には、カチオン性または融合性脂質[エンドソーム脱出を促進する]およびコレステロールPEG化脂質からなる)、リポプレックスよりも一貫した物理特性を示し、より高い安定性を示す。例えば、安定な核酸脂質粒子としても公知の、一部の脂質ナノ粒子(LNP)は、規定の比のイオン化可能な脂質、ホスファチジルコリン、コレステロールおよびPEG-脂質コンジュゲートを含有し、複数の例において成功裏に使用されているリポソームである。ランドマーク例は、前臨床動物試験におけるsiRNAによるB型肝炎ウイルスおよびAPOBのサイレンシングならびに、より最近では、LNP製剤として送達されるsiRNAであるパチシランの承認である。核酸カーゴの封入は、循環およびエンドソーム中でのヌクレアーゼ消化からの保護手段を提供する。さらに、イオン化可能なLNPはまた、APOEと会合し、LDLR媒介性エンドサイトーシスによる肝臓取込みをさらに容易にする。同様に、リピドイドまたは脂質様材料を含有するLNPは、齧歯類および非ヒト霊長類におけるロバストなsiRNA媒介性サイレンシングを示した。
【0180】
脂質ナノ粒子(LNP)は、ヌクレオチドカーゴの送達のための周知の手段であり、本明細書に開示される5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドの送達のために使用することができる。LNPの欠点は、その送達が主に肝臓および細網内皮系に限定されることであり、これは、この組織中での洞様毛細血管上皮がこれらの比較的大きいナノ粒子の進入を可能にするのに十分に大きい空間を提供するからである。しかしながら、LNPの局部送達は、脳室内注射後にsiRNAをCNSに上手く送達するために使用されてきた。逆に、大きいサイズのナノ粒子は、本質的に腎臓濾過を不可能にし、より高いペイロードの送達を可能にするため、それは有利である。
【0181】
一部の実施形態では、本明細書に開示される5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドを宿主細胞または対象に送達するための方法であって、5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドがLNPを介して送達される、方法が本明細書に提供される。一部の実施形態では、LNPは、生分解性のイオン化可能な脂質を含む。一部の実施形態では、LNPは、3-((4,4-ビス(オクチルオキシ)ブタノイル)オキシ)-2-((((3-(ジエチルアミノ)プロポキシ)カルボニル)オキシ)メチル)プロピル(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノエート)とも呼ばれる、(9Z,12Z)-3-((4,4-ビス(オクチルオキシ)ブタノイル)オキシ)-2-((((3-(ジエチルアミノ)プロポキシ)カルボニル)オキシ)メチル)プロピルオクタデカ-9,12-ジエノエートまたは別のイオン化可能な脂質を含む。例えば、PCT/US2018/053559、WO/2017/173054、WO2015/095340、およびWO2014/136086、ならびにその中で提供される参考文献の脂質を参照されたい。一部の実施形態では、LNP脂質の文脈におけるカチオン性およびイオン化可能という用語は、互換的であり、例えば、イオン化可能な脂質は、pHに応じてカチオン性である。
【0182】
一部の実施形態では、本明細書に開示される5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドは、脂質ナノ粒子中で製剤化されるか、または脂質ナノ粒子を介して投与される;例えば、その内容の全体が参照により本明細書に組み込まれるWO/2017/173054を参照されたい。本明細書に記載の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドのいずれかを、LNPによって送達することができる。一部の例では、脂質成分は、生分解性のイオン化可能な脂質、コレステロール、DSPC、およびPEG-DMGを含む。
【0183】
球状核酸(SNA)
代替的なナノ粒子に基づく送達戦略は、SNA手法である。SNA粒子は、チオール結合によって表面上に密に充填された親水性オリゴヌクレオチド(例えば、ASO、siRNAおよび免疫刺激オリゴヌクレオチド)で装飾された疎水性コアナノ粒子(金、シリカまたは他の様々な材料を含む)からなる。他のナノ粒子設計とは対照的に、SNAに結合したオリゴヌクレオチドは、コア構造から外に向かって放射状に広がる。立体障害、高い局部塩濃度、およびコロナタンパク質との相互作用の結果として、露出されている間、オリゴヌクレオチドは核酸分解からある程度保護される。
【0184】
ナノ粒子
一部の実施形態では、5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドは、例えば、WO2013/016126に記載されたように、ナノ粒子に連結またはコンジュゲートされる。一部の実施形態では、ナノ粒子は、約2nm~約200nm(例えば、約10nm~約30nm、約5nm~約25nm、約10nm~約25nm、約15nm~約25nm、約20nm~約25nm、約25nm~約50nm、約50nm~約200nm、約70nm~約200nm、約80nm~約200nm、約100nm~約200nm、約140nm~約200nm、および約150nm~約200nm)の直径を有し、ポリマーコーティングを含有する。
【0185】
一部の実施形態では、本明細書で提供されるナノ粒子は、球状もしくは楕円状であってよいか、または不定形の形状を有してもよい。一部の実施形態では、本明細書で提供されるナノ粒子は、約2nm~約200nm(例えば、約10nm~約200nm、約2nm~約30nm、約5nm~約25nm、約10nm~約25nm、約15nm~約25nm、約20nm~約25nm、約50nm~約200nm、約70nm~約200nm、約80nm~約200nm、約100nm~約200nm、約140nm~約200nm、および約150nm~約200nm)の直径(ナノ粒子の外表面上の任意の2つの点の間)を有してもよい。一部の実施形態では、約2nm~約30nmの直径を有するナノ粒子は、対象のリンパ節に局在化する。一部の実施形態では、約40nm~約200nmの直径を有するナノ粒子は、肝臓に局在化する。
【0186】
一部の実施形態では、本明細書に記載のナノ粒子は、磁性材料を含有しない。一部の実施形態では、ナノ粒子は、部分的に、ポリマー(例えば、ポリ(乳酸-コ-グリコール酸))を含有するコアを含有してもよい。当業者であれば、限定されるものではないが、ゴム(例えば、アカシア、グアー)、キトサン、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、およびアルブミンを含む、任意の数の当技術分野で公知の材料を使用して、ナノ粒子を調製することができることを理解する。本明細書に記載のナノ粒子を生成するために使用することができるさらなるポリマーは、当技術分野で公知である。例えば、ナノ粒子を生成するために使用することができるポリマーとしては、限定されるものではないが、セルロース系、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(N-ビニルピロリドン)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(アクリル酸)、ポリアクリルアミド、ポリ(エチレン-コ-酢酸ビニル)、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(メタクリル酸)、ポリラクチド(PLA)、ポリグリコリド(PGA)、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)(PLGA)、ポリ酸無水物、ポリオルトエステル、ポリシアノアクリレートおよびポリカプロラクトンが挙げられる。
【0187】
当業者であれば、ナノ粒子の組成物中で使用される材料、ナノ粒子を調製し、コーティングするための方法、およびナノ粒子のサイズを制御するための方法が実質的に変化してもよいことを理解する。しかしながら、これらの方法は、当業者には周知である。重要な問題は、ナノ粒子の生分解性、毒性プロファイル、および薬物動態/薬力学を含む。ナノ粒子の組成物および/またはサイズは、その生物学的運命の重要な決定因子である。例えば、より大きいナノ粒子は、典型的には、肝臓によって取り込まれ、分解されるが、より小さいナノ粒子(直径30nm未満)は、典型的には、長時間(時には、ヒトにおける24時間を超える血中半減期)にわたって循環し、リンパ節および腫瘍などの高浸透性血管系を有する臓器の間質に蓄積する。
【0188】
磁性ナノ粒子
一部の実施形態では、ナノ粒子は、磁性であってもよい(例えば、磁性材料のコアを含有する)。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子としては、塩化第2鉄、塩化第1鉄、またはその組合せ、およびデキストランコーティングが挙げられる。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、本明細書に記載の2つまたはそれより多い異なるナノ粒子組成物の混合物を含有する。一部の実施形態では、組成物は、調整可能な表面官能化を有する少なくとも1つの磁性ナノ粒子、および調整可能な磁気特性を有する少なくとも1つの磁性ナノ粒子を含有する。
【0189】
一部の実施形態では、本明細書に記載のナノ粒子のいずれかは、磁性材料のコアを含有してもよい(例えば、治療的磁性ナノ粒子)。一部の実施形態では、磁性材料または粒子は、磁場に反応する、反磁性、常磁性、超常磁性、または強磁性材料を含有してもよい。治療的磁性ナノ粒子の非限定例は、マグネタイト;フェライト(例えば、マンガン、コバルト、およびニッケルのフェライト);Fe(II)酸化物、およびヘマタイトの群から選択される金属酸化物、ならびにその金属合金を含有する磁性材料のコアを含有する。磁性材料のコアを、当技術分野で公知の方法(例えば、Kieslich et al., Inorg. Chem. 2011)を使用して金属塩を金属酸化物に変換することによって形成させることができる。一部の実施形態では、ナノ粒子は、シクロデキストリン金または量子ドットを含有する。治療的磁性ナノ粒子を生成するために使用することができる方法の非限定例は、Medarova et al., Methods Mol. Biol. 555:1-13, 2009;およびMedarova et al., Nature Protocols 1:429-431, 2006に記載されている。さらなる磁性材料および磁性材料を作製する方法は、当技術分野で公知である。本明細書に記載の方法の一部の実施形態では、治療的磁性ナノ粒子の位置または局在化を、対象中でイメージング(例えば、1つまたは複数の用量の治療的磁性ナノ粒子の投与後に対象中でイメージング)することができる。
【0190】
一部の実施形態では、磁性ナノ粒子を、1つまたは複数のアミン基で官能化することができる。一部の実施形態では、官能化は、磁性ナノ粒子の表面で起こる。一部の実施形態では、1つまたは複数のアミン基は、デキストランコーティングに共有結合で連結される。一部の実施形態では、1つまたは複数のアミン基は、デキストランコーティングの1つまたは複数のヒドロキシル基を置換する。一部の実施形態では、1つまたは複数のアミン基の数は、塩化第2鉄、塩化第1鉄、またはその組合せの濃度に基づいて調整可能である。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物は、約5~約1000個のアミン基を含む。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物は、約5~25、25~100、100~150、150~200、200~250、250~300、300~350、350~400、450~500、500~550、550~600、600~650、650~700、700~750、750~800、800~850、850~900、900~950、または950~1000個のアミン基を含む。
【0191】
一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、磁性材料(例えば、塩化第2鉄および/または塩化第1鉄)のコアを含有してもよい。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、約0.60g~約0.70gの塩化第2鉄および約0.3g~約0.5gの塩化第1鉄を含む。一部の実施形態では、約0.60g~約0.70gの塩化第2鉄および約0.3g~約0.5gの塩化第1鉄を含む磁性ナノ粒子は、約5~150個のアミン基で官能化される。一部の実施形態では、約0.65gの塩化第2鉄および約0.4gの塩化第1鉄を含む磁性ナノ粒子は、約60~90個のアミン基で官能化される。一部の実施形態では、約0.65gの塩化第2鉄および約0.4gの塩化第1鉄を含む磁性ナノ粒子は、約5~150個のアミン基で官能化される。一部の実施形態では、約0.65gの塩化第2鉄および約0.4gの塩化第1鉄を含む磁性ナノ粒子は、約1~150個のアミン基で官能化される。一部の実施形態では、約0.65gの塩化第2鉄および約0.4gの塩化第1鉄を含む磁性ナノ粒子は、少なくとも約1~10個のアミン基、10~20個のアミン基、約20~30個のアミン基、約30~40個のアミン基、約40~50個のアミン基、約50~60個のアミン基、約60~70個のアミン基、約70~80個のアミン基、約80~90個のアミン基、約90~100個のアミン基、約100~110個のアミン基、約110~120個のアミン基、約120~130個のアミン基、約130~140個のアミン基、または約140~150個のアミン基で官能化される。
【0192】
一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、約1g~約1.4gの塩化第2鉄を含む。一部の実施形態では、約1g~約1.4gの塩化第2鉄を含む磁性ナノ粒子は、約246~500個のアミン基で官能化される。一部の実施形態では、約1.2gの塩化第2鉄を含む磁性ナノ粒子は、約246~500個のアミン基で官能化される。一部の実施形態では、約246~500個のアミン基で官能化された磁性ナノ粒子は、塩化第2鉄を含まない。一部の実施形態では、約1.2gの塩化第2鉄を含む磁性ナノ粒子は、約200~600個のアミン基で官能化される。一部の実施形態では、約1.2gの塩化第2鉄を含む磁性ナノ粒子は、少なくとも約200~250個のアミン基、250~300個のアミン基、約300~350個のアミン基、約350~400個のアミン基、約400~450個のアミン基、約450~500個のアミン基、約500~550個のアミン基、約550~600個のアミン基、またはそれより多いアミン基で官能化される。
【0193】
したがって、一部の実施形態では、磁性ナノ粒子を調製するために使用される、塩化第2鉄および塩化第1鉄の濃度を制御することによって、デキストランコーティングにコンジュゲートされるアミン基の数を微調整することができる。
【0194】
一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、塩化第2鉄、塩化第1鉄、またはその組合せの濃度に基づいて調整可能である磁性強度を有する磁性ナノ粒子を含む。
【0195】
一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、MNPあたり、全鉄中、約0.1%~約99.9%の第2鉄イオンおよび約99.9%~約0.1%の第1鉄イオンを含む。一部の実施形態では、約60%~約80%の塩化第2鉄および約20%~約40%の塩化第1鉄を含む磁性ナノ粒子は、約80%より高い塩化第1鉄量を有するナノ粒子組成物よりも強い磁気特性を有する。一部の実施形態では、約70%の第2鉄イオンおよび約30%の第1鉄イオンを含む磁性ナノ粒子は、約30%より高い第1鉄イオン量を有する磁性ナノ粒子よりも強い磁気特性を有する。
【0196】
一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、約6~約40の範囲の非線形性指数(NLI)を有する。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、約6~約70の範囲のNLIを有する。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、約8.5~約14.8の範囲のNLIを有する。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、約8~約14の範囲のNLIを有する。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、約6のNLIを有する。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、約8のNLIを有する。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、約14のNLIを有する。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、約67のNLIを有する。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、6~7、7~8、8~9、9~10、10~11、11~12、12~13、13~14、14~15、15~16、16~17、17~18、18~19、19~20、20~30、30~40、40~50、50~60、または60~70の範囲のNLIを有する。一部の実施形態では、約0.54gの塩化第2鉄および約0.2gの塩化第1鉄を含む磁性ナノ粒子は、約8.5~約14.8の範囲のNLIを有する。一部の実施形態では、約0.54gの塩化第2鉄および約0.2gの塩化第1鉄を含む磁性ナノ粒子は、約12のNLIを有する。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子の磁性強度を、WO2021/113829に記載された磁性粒子分光法によって非線形性指数(NLI)を測定することによって定量することができる。
【0197】
一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、約80%~約100%の塩化第2鉄および約20%~約0%の塩化第1鉄を含む。一部の実施形態では、約0%~約50%の塩化第2鉄および約100%~約50%の塩化第1鉄を含む磁性ナノ粒子は、約0.4gより少ない塩化第1鉄量を有する磁性ナノ粒子よりも弱い磁気特性を有する。一部の実施形態では、約0.54gの塩化第2鉄および約0.4gの塩化第1鉄を含む磁性ナノ粒子は、約0.2gより少ない塩化第1鉄量を有する磁性ナノ粒子よりも弱い磁気特性を有する。一部の実施形態では、約0.54gの塩化第2鉄および約0.4gの塩化第1鉄を含む磁性ナノ粒子は、約50~約120の範囲のNLIを有する。一部の実施形態では、約0.54gの塩化第2鉄および約0.4gの塩化第1鉄を含む磁性ナノ粒子は、約67のNLIを有する。
【0198】
したがって、一部の実施形態では、磁性ナノ粒子を調製するために使用される、塩化第2鉄および塩化第1鉄の濃度を制御することによって、磁性ナノ粒子の磁気特性(例えば、磁気強度)を微調整することができる。
【0199】
一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、約8mM~約217mMの範囲の鉄濃度を有する。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、約8mM~約15mM、約15mM~約25mM、約25mM~約50mM、50mM~約60mM、約60mM~約70mM、約70mM~約80mM、約80mM~約90mM、約90mM~約100mM、約100mM~約110mM、約110mM~約120mM、約120mM~約130mM、約130mM~約140mM、約140mM~約150mM、約150mM~約160mM、約160mM~約170mM、約170mM~約180mM、約180mM~約190mM、約190mM~約200mM、約200mM~約210mMおよび約210mM~約220mMの範囲の鉄濃度を有する。
【0200】
一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、約1mg/mL~約25mg/mLの範囲の鉄濃度を有する。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、約1mg/mL~約5mg/mL、約5mg/mL~約10mg/mL、約10mg/mL~約15mg/mL、約15mg/mL~約20mg/mL、または約20mg/mL~約25mg/mLの範囲の鉄濃度を有する。
【0201】
一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、または4つ)の本明細書に記載の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチド(例えば、本明細書で使用されるRNAオリゴヌクレオチド)のいずれかを含有する組成物を送達するために使用される。「少なくとも1つ」とは、同じか、または異なるオリゴヌクレオチド(複数可)の1つまたは複数の5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドを一緒に使用することができることを意味する。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、1つの5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドを送達する。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、2つの5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドを送達する。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、3つの5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドを送達する。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、4つの5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドを送達する。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、5つの5’ppまたは5’ppp ssRNAオリゴヌクレオチドを送達する。
【0202】
ナノ粒子のポリマーコーティング
一部の実施形態では、本明細書に記載のナノ粒子は、コア磁性材料にわたって(例えば、磁性材料の表面にわたって)ポリマーコーティングを含有する。ポリマー材料は、1つまたは複数の生物剤(例えば、本明細書に記載の核酸、フルオロフォア、または標的化ペプチドのいずれかなど)を結合またはカップリングさせるのに好適であり得る。1つまたは複数の(one of more)生物剤(例えば、核酸、フルオロフォア、または標的化ペプチド)を、化学的カップリング(共有結合)によってポリマーコーティングに固定することができる。
【0203】
一部の実施形態では、ナノ粒子は、水中で比較的安定であるポリマーで磁性材料のコアをコーティングすることを含む方法によって形成される。一部の実施形態では、ナノ粒子は、ポリマーで磁性材料をコーティングすること、またはその上に還元基を有する熱可塑性ポリマー樹脂中に磁性材料を吸収させることを含む方法によって形成される。コーティングを、米国特許第5,834,121号、第5,395,688号、第5,356,713号、第5,318,797号、第5,283,079号、第5,232,789号、第5,091,206号、第4,965,007号、第4,774,265号、第4,770,183号、第4,654,267号、第4,554,088号、第4,490,436号、第4,336,173号、および第4,421,660号;ならびにWO10/111066(それらのそれぞれの開示は参照により本明細書に組み込まれる)に記載の方法を使用して磁性材料に適用することもできる。
【0204】
酸化鉄ナノ粒子の合成のための方法としては、例えば、物理的および化学的方法が挙げられる。例えば、酸化鉄を、水性溶液中でのFe2+およびFe3+塩の共沈降によって調製することができる。得られるコアは、マグネタイト(Fe3O4)、マグヘマイト(γ-Fe2O3)またはその2つの混合物からなる。水性溶液中のアニオン性塩内容物(塩化物、硝酸塩、硫酸塩など)、Fe2+およびFe3+比、pHおよびイオン強度は全て、サイズを制御する役割を果たす。窒素またはアルゴンなどの不活性ガス下の無酸素環境中で反応を実行することによって、合成されたナノ粒子の酸化を防止し、その磁気特性を保護することが重要である。酸化鉄ナノ粒子のマイクロ粒子への凝集を防止するために、共沈降プロセスの間にコーティング材料を添加することができる。当業者であれば、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、デキストラン、ポリビニルピロリドン(PVP)、脂肪酸、ポリペプチド、キトサン、および/またはゼラチンなどの合成および天然ポリマーのうち、任意の数の当技術分野で公知の表面コーティング材料を、酸化鉄ナノ粒子を安定化するために使用することができることを理解する。
【0205】
例えば、米国特許第4,421,660号は、無機材料のポリマーコーティングされた粒子が、(1)無機固体を、酸、酸と塩基との組合せ、アルコールまたはポリマー溶液で処理すること;(2)処理された無機固体の水性分散体中に追加の重合可能なモノマーを分散させること、および(3)得られた分散体を乳化重合条件にかけることによって従来通り調製されることを記載している(col.1、lines 21~27)。米国特許第4,421,660号はまた、ポリマーを用いて無機ナノ粒子をコーティングするための方法であって、(1)無機固体の個別粒子の水性コロイド分散体中で疎水性の乳化重合性モノマーを乳化するステップおよび(2)得られたエマルジョンを乳化重合条件にかけて、疎水性モノマーの水に不溶性のポリマーのマトリックス中に分散させた無機固体粒子の安定な、流体の水性コロイド分散体を形成させるステップを含む、方法を開示している(col.1、lines 42~50)。
【0206】
あるいは、サイズの出発要件を満たすポリマーコーティングされた磁性材料を、商業的に取得することができる。例えば、商業的に入手可能な超小型超常磁性酸化鉄ナノ粒子としては、NC100150 Injection(Nycomed Amersham、Amersham Health)およびFerumoxytol(AMAG Pharmaceuticals,Inc.)が挙げられる。
【0207】
磁性材料のコアをコーティングするために使用することができる好適なポリマーとしては、限定されるものではないが、ポリスチレン、ポリアクリルアミド、ポリエーテルウレタン、ポリスルホン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、およびポリプロピレンなどのフッ素化または塩素化ポリマー、ポリカーボネート、ならびにポリエステルが挙げられる。磁性材料のコアをコーティングするために使用することができるポリマーのさらなる例としては、ポリオレフィン、例えば、ポリブタジエン、ポリジクロロブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、ハロゲン化ポリビニリデン、ポリビニリデンカーボネート、およびポリフッ素化エチレンが挙げられる。スチレン/ブタジエン、アルファ-メチルスチレン/ジメチルシロキサン、または他のポリシロキサンを含むいくつかのコポリマーを、磁性材料(例えば、ポリジメチルシロキサン、ポリフェニルメチルシロキサン、およびポリトリフルオロプロピルメチルシロキサン)のコアをコーティングするために使用することもできる。磁性材料のコアをコーティングするために使用することができるさらなるポリマーとしては、ポリアルファ-アクリルニトリルコポリマー、アルキドまたはテルペノイド樹脂、およびポリアルキレンポリスルホネートなどのポリアクリロニトリルまたはアクリロニトリル含有ポリマーが挙げられる。一部の実施形態では、ポリマーコーティングは、デキストランである。
【実施例】
【0208】
本発明はここで一般的に記載されており、本発明のある特定の実施形態の例示を単に目的として含まれ、本発明を限定することを意図しない、以下の実施例を参照することによって、それはより容易に理解される。
【0209】
(実施例1)
RNAオリゴヌクレオチドの設計、合成、および試験
本実施例では、強力なアゴニスト応答のために5’末端に二リン酸(pp)三リン酸(ppp)、および送達のための磁性ナノ粒子(MN)へのコンジュゲーションのために3’末端にチオ-MC6-Dの修飾を含むその標的miRNAと完全に相補的になるようにmiRNA阻害剤を設計する。5’ppまたは5’ppp修飾は、対照オリゴについては省略される。5’ppまたは5’ppp-抗miRNA-3’-チオ-MC6-Dを、MNにコンジュゲートすることもできる相補的miRNAとアニーリングさせることによって、平滑末端二本鎖構造物を生成する。全てのカスタムRNAオリゴヌクレオチドを、公知の方法を使用して合成する。
【0210】
ナノコンジュゲートの合成および特性評価
手順は、刊行物(Medarova Z. et al., 2016. Controlling RNA Expression in Cancer Using Iron Oxide Nanoparticles Detectable by MRI and In Vivo Optical Imaging. Methods Mol Biol. 2016;1372:163-179)から適応され、以下に簡単にまとめられる。オリゴヌクレオチド上のジスルフィドを、3%Tris(2-カルボキシエチル)ホスフィンヒドロクロリド(TCEP、Thermo Scientific Co.、Rockford、IL)によって活性化した後、酢酸アンモニウム/エタノール沈降処理を用いて精製した後、ナノ粒子にコンジュゲートする。アミン化された磁性ナノ粒子を合成する。20+nmのサイズを有するナノ粒子を、オリゴヌクレオチドへのコンジュゲーションのために使用する。磁性ナノ粒子を、ヘテロ二機能性リンカーであるN-スクシンイミジル3-[2-ピリジルジチオ]-プロピオン酸(SPDP;Thermo Scientific Co.、Rockford、IL)および活性化されたオリゴヌクレオチドに順次コンジュゲートする。簡単に述べると、SPDPを無水DMSO中に溶解し、磁性ナノ粒子と共にインキュベートする。ヌクレアーゼ非含有PBS中での3%TCEP処理によって、オリゴの3’-チオMC6を活性化して、チオールを放出させる。オリゴヌクレオチドを、酢酸アンモニウム/エタノール沈降法を使用して精製する。TCEP活性化および精製の後、オリゴヌクレオチドを水中に溶解し、SPDP修飾された磁性ナノ粒子と共に一晩インキュベートする。磁性ナノ粒子あたりのオリゴヌクレオチドの数を、電気泳動分析法を使用して決定する。
【0211】
(実施例2)
タンパク質の発現および精製
全長ヒトRIG-Iを大腸菌中にクローニングし、報告されたようにHis-SUMOタグを有する組換え形態で発現させる(Kwok J. et al. 2014. Expression, purification, crystallization and preliminary X-ray analysis of full-length human RIG-I. Acta Crystallogr F Struct Biol Commun. 70(Pt 2):248-251)。タンパク質の発現および精製を、以下にまとめられるように、公開された手順から適合させ、改変する(Rawling DC. et al. 2020. Small-Molecule Antagonists of the RIG-I Innate Immune Receptor. ACS Chemical Biology.15(2):311-317)。RIG-I発現プラスミドを、150ng/25uLの市販の細胞ストックを使用してRosetta II(DE3)大腸菌細胞(Novagen)中に形質転換し、50mMリン酸カリウムpH7.4および1%グリセロールを補充したLB培地中で成長させる。0.5mMの最終濃度でイソプロピル-β-D-チオガラクトピラノシド(IPTG)を添加することによって発現を誘導する。細胞を16℃で24h成長させた後、遠心分離によって回収し、溶解緩衝液(20mMリン酸pH7.4、500mM NaCl、10%グリセロール、5mM β-メルカプトエタノール(βME))に再懸濁して50mlの最終体積にし、-80℃で凍結する。溶解のために、凍結したペレットを室温で解凍した後、ペレット4Lあたりさらなる200mlの溶解緩衝液中に再懸濁する。15,000psiでのマイクロフルイダイザーを介する通過または選り抜きの方法によって細胞を溶解し、溶解物を100,000×gで30minの超遠心分離によって明澄化する。可溶性溶解物を、2.5mlのNi-NTAビーズ(Qiagen)上でインキュベートし、さらなる40mMイミダゾールを含有する溶解緩衝液で洗浄した後、Ni溶出緩衝液(25mM HEPES pH8.0、150mM NaCl、220mMイミダゾール、10%グリセロール、5mM βME)で溶出する。溶出したタンパク質をHiTrap Heparin HPカラム(GE Biosciences)に結合させ、150mM NaClを含有する緩衝液で洗浄し、0.65M NaClで段階的に溶出する。次いで、4℃で2h、SUMOプロテアーゼと共にインキュベートすることによって、SUMOタグを除去する。最後に、ゲル濾過緩衝液(25mM MOPS pH7.4、300mM NaCl、5%グリセロール、5mM βME)中、HiPrep 16/60 Superdex 200カラム(GE Biosciences)を通過させることによって、モノマータンパク質を収集する。50kDの分子量カットオフを有する遠心分離濃縮器(Millipore)を使用して、ピーク画分を10~20μMに濃縮する。
【0212】
(実施例3)
5’ppまたは5’ppp-ds-miRNA模倣体によるRIG-I活性化のin vitro試験
ATPase活性に関するATP/NADH共役アッセイは、加水分解されたATPの再生がNADHの酸化と共役する反応に基づく。ATP加水分解の各サイクルの後、ホスホエノールピルビン酸(PEP)およびピルビン酸キナーゼ(PK)からなる再生系は、ADPが変換されてATPに戻るときに、1分子のPEPをピルビン酸に変換する。ピルビン酸は続いて、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)によって乳酸に変換され、1分子のNADHの酸化をもたらす。このアッセイは、定常状態のATP加水分解の速度と比例する、340nmでのNADH吸光度の低下の速度を測定する。ATPの定常的な再生は、アッセイの全過程にわたるATPの加水分解速度のモニタリングを可能にする。96ウェルのマイクロプレート形式のリーダーは、最大で96個の試料の同時分析を可能にする。RIG-Iは、ATP依存的RNAヘリカーゼである。5’ppまたは5’ppp-ds-miRNA模倣体による結合および活性化は、このタンパク質に対してATPase活性を付与する。酵素アッセイを、都合良く使用して、RIG-I受容体のためのアゴニストまたはアンタゴニストを試験および/またはスクリーニングすることができる。
【0213】
NADH共役ATPaseアッセイのための例示的な手順は、以下に記載される(Rawling DC. et al. 2020. Small-Molecule Antagonists of the RIG-I Innate Immune Receptor. ACS Chemical Biology.15(2):311-317)。NADH共役アッセイのために、RIG-Iタンパク質を、初期化合物については10nM、次いで、より強力な阻害剤を可視化するためには20nMの最終濃度に、ATPaseアッセイ緩衝液(25mM MOPS pH7.4、150mM KCl、2mM DTT)で希釈する。この場合、RIG-Iを、250nMの最終濃度になるように添加される所望のRNAオリゴまたは対照によって活性化する(wis activated)。1mM NADH、100U/ml乳酸デヒドロゲナーゼ、500U/mlピルビン酸キナーゼ、2.5mMホスホエノールピルビン酸からなる共役アッセイ混合物を、試料に添加する。試料を、RTで少なくとも1時間インキュベートする。5mMの最終濃度で1:1のATP/MgCl2ミックスを添加することによって、反応を開始させる。
【0214】
RNAアゴニスト誘導性RIG-I活性化を、容易に入手可能な細胞系に基づく細胞に基づくリポーター遺伝子アッセイを使用してI型インターフェロンを測定することによって評価する。IFN曝露に応答するリポーター遺伝子アッセイのために開発された市販の細胞系がますます利用可能である。これらの細胞は、マルチウェルプレート分光光度計または照度計を使用して容易に定量することができる可溶性遺伝子産物を産生する。
【0215】
InvivoGen HEK-Lucia(商標)RIG-I細胞を、分泌型Luciaルシフェラーゼリポーター遺伝子を安定に発現するHEK293由来細胞であるHEK-Lucia(商標)Null細胞から生成した。このリポーター遺伝子は、マルチマーIFN刺激応答エレメント(ISRE)によって増強されたIFN誘導性ISG54プロモーターの制御下にある。HEK-Lucia(商標)RIG-I細胞は、高レベルのヒトRIG-Iを安定に発現し、3p-hpRNAおよび5’ppまたは5’ppp-dsRNAなどの非キャップ付加5’-三リン酸末端を有する細胞質ゾルの二本鎖RNAに強く応答する。HEK-Lucia(商標)RIG-IおよびHEK-Lucia(商標)Null細胞を使用して、IRF誘導性Luciaルシフェラーゼ活性をモニタリングすることによってRIG-Iの役割を試験することができる。細胞培養上清中のIRF誘導性Luciaのレベルを、Luciaルシフェラーゼ検出試薬(これもInvivoGenからのもの)であるQUANTI-Luc(商標)を使用して容易にモニタリングすることができる。裸の5’ppもしくは5’ppp-dsRNAまたは細胞質中に送達される必要がある対照を使用してRIG-Iの刺激を達成するために、LyoVec(商標)(InvivoGen)などのトランスフェクション剤を使用することができる。
【0216】
(実施例4)
動物モデル
同所性モデルは、生きたイメージング技術を用いて容易にモニタリングされる組織特異的腫瘍埋込みを特徴とし、診療所へのより良好な橋渡しのための疾患関連腫瘍微小環境(TME)を作出する。同所性モデルは、動物モデルにおける対応する組織への腫瘍細胞系の播種を含む。この戦略により、本発明者らは、関連する環境中で腫瘍発達を評価し、ヒトにおける疾患プロセスを模倣する前臨床腫瘍モデルにおける有効性を評価することができる。同所性モデルを用いた場合、疾患進行は、臨床兆候、生存試験設計、ならびにin vivoおよびex vivoの両方の能力を有するイメージングプラットフォームを含む、様々な方法によってモニタリングされる。試験設計の例は、以下に記載される。
【0217】
使用することができる例示的な転移性乳がん細胞系としては、MDA-MB-231-GFP、4T1(American Type Culture Collection(ATCC)、Manassas、VA、USA)およびMDA-MB-231-luc-D3H2LN(Caliper Life Sciences、Hopkinton、MA、USA)が挙げられる。これらの細胞系は、供給業者によって推奨される通りに使用される。6週齢のメスのヌードマウス(nu/nuまたはNIH IIIヌード)に、ヒト乳腺癌MDA-MB-231-luc-D3H2LN細胞系(Caliper Life Sciences)を同所的に埋め込む。このモデルでは、同所的に埋め込まれた腫瘍は、腫瘍接種後4週までに局在化した疾患からリンパ節転移まで進行する。腫瘍細胞は、ルシフェラーゼを発現し、腫瘍負荷の相関分析のための非侵襲性生物発光イメージングによって検出することができる。全ての動物実験は、施設内指針を順守して実施され、Subcommittee on Research Animal Care(SRAC)によって承認されている。
【0218】
転移の防止:6週齢のnu/nuマウスの右上の乳腺脂肪体に、2×106個のMDA-MB-231-luc-D3H2LN細胞(Caliper)を注射する。動物を、腫瘍埋込みの14日後に実験で使用する。
【0219】
転移の停止:6週齢のNIH IIIヌードマウスの左下の乳腺脂肪体に、2×106個のMDA-MB-231-luc-D3H2LN細胞(Caliper)を注射する。動物を、腫瘍埋込みの28日後に実験で使用する。MN-5’ppまたはMN-5’ppp-抗miR10bおよびMN-5’pp-またはMN-5’ppp-scr-miRによる処置は、4週間にわたって週1回の10mg Fe/kgの用量での尾静脈を介する全身投与を含む。
【0220】
(実施例5)
鋳型特異的RIG-Iアゴニスト、ss-pppmiRNA-21の設計
鋳型特異的RIG-Iアゴニスト、ss-ppp-miRNA-21は、黒色腫細胞においてRIG-Iを効率的に刺激し、アポトーシスを誘導する
ss-ppp-miRNA-21がRIG-I活性化を誘導する能力を、ヒトRIG-Iルシフェラーゼリポーター細胞系であるHEK-Lucia(商標)RIG-Iで試験した。この市販の細胞系は、高レベルのヒトRIG-Iおよび分泌型Luciaルシフェラーゼリポーター遺伝子を安定に発現する。このリポーター遺伝子は、マルチマーIFN刺激応答エレメント(ISRE)によって増強されたIFN誘導性ISG54プロモーターの制御下にある。HEK-Lucia(商標)RIG-IおよびHEK-Lucia(商標)Null対照細胞を使用して、IRF誘導性Luciaルシフェラーゼ活性をモニタリングすることによってRIG-Iの役割を試験することができる。細胞におけるRIG-Iの高発現を、ウェスタンブロットを使用して確認した(
図2A)。HEK-Lucia(商標)RIG-IおよびHEK-Lucia(商標)Null対照細胞の識別感度を、5’三リン酸二本鎖RNA19マー(ds-ppp-RNA)からなる、市販の従来のRIG-Iアゴニストを使用して検証した。ヌル細胞と比較して、RIG-I過剰発現細胞においてルシフェラーゼ活性の非常に有意な増強が観察された(
図2B)。
【0221】
鋳型特異的RIG-Iアゴニストであるss-ppp-miRNA-21がRIG-Iを活性化する能力を評価した。HEK-Lucia(商標)RIG-IおよびHEK-Lucia(商標)Null対照細胞を、ss-ppp-miRNA-21ならびに5’-pppを含まないことを除いて、本発明者らのRIG-Iアゴニストと同一の一本鎖オリゴヌクレオチドで処理した。試験したss-ppp-miRNA-21の3つ全ての用量レベルで、有意なRIG-I活性化が観察された(
図2C)。RIG-I活性化のためのRNA二重鎖の形成に関する厳密な要件を考慮すると、これらの結果は、特に、一本鎖RNAオリゴヌクレオチドのmiR-21相補体が外因的に供給されなかったため、RIG-Iアゴニズムの鋳型指向性のメカニズムを支持する。興味深いことに、5’-pppの非存在下であっても、中程度のRIG-I活性化が存在していた(
図2C)。
【0222】
ss-ppp-miRNA-21がRIG-Iを過剰発現するHEK-Luciaリポーター細胞においてRIG-Iを誘導することができることが確立されたら、出願人は、鋳型特異的RIG-IアゴニストがB16-F10黒色腫細胞系中でアポトーシス促進シグナル伝達の活性化を媒介することができるかどうかを決定するための実験を行った。B16-F10黒色腫細胞は、miR-21を発現し、評価項目としての細胞死と共に内因性RIG-Iシグナル伝達を試験するために使用されてきた(Bek et al., 2019)。カスパーゼ-3/7活性化を、ss-ppp-miRNA-21または5’-ppp-欠損ss-miRNA-21で処理したB16-F10黒色腫細胞において測定した。用量依存的なカスパーゼ3/7の活性化が観察され、これは5’-pppの存在下でより顕著であった(
図2D)。ss-ppp-miRNA-21 RIG-Iアゴニストを使用した場合、腫瘍細胞生存能力の用量依存的低下も観察された(
図2E)。腫瘍細胞生存能力のこの低下は、5’-ppp-欠損ss-miRNA-21を使用して観察されたものよりも有意に大きかった。
【0223】
ss-ppp-miRNA-21によるRIG-Iアゴニズムは、鋳型依存性を示す
ss-ppp-miRNA-21を使用した場合の観察されたRIG-I活性化の鋳型依存性をさらに精査するために、HEK-Lucia(商標)RIG-I細胞に、増加する濃度の合成成熟miRNA-21模倣体を一過的にトランスフェクトした。ss-ppp-miRNA-21アゴニストによるRIG-Iシグナル伝達の非常に有意な誘導が、30および300ng/mlの合成成熟miRNA-21模倣体をトランスフェクトした細胞において観察された(
図3A)。驚くべきことに、ss-ppp-miRNA-21アゴニストによるRIG-Iシグナル伝達の誘導は、わずか10,000個の細胞の培養物中で観察された。ss-ppp-miRNA-21による活性化のレベルは、市販のds-ppp-RNA陽性対照オリゴヌクレオチドについて観察されたものと類似していた(
図3A)。5’-ppp-欠損ss-miRNA-21は、検出可能なRIG-I活性化を引き起こすことができなかった(
図3A)。さらに、miRNA-21模倣体濃度の関数としてのRIG-I活性化の用量依存性の分析により、ss-ppp-miRNA-21を使用した場合、83.4ng/mlのmiRNA-21模倣体のEC50が決定された。対照的に、5’-ppp-欠損ss-miRNA-21を使用した場合の計算されたEC50は、357.9ng/mlであった(
図3B)。
【0224】
IFN-I応答を誘導する鋳型特異的ss-ppp-miRNA-21アゴニストの能力を、B16-F10マウス黒色腫細胞において評価した。増加する濃度のRIG-Iアゴニストによる処理は、IFN-β分泌の用量依存的増加を引き起こした。成熟miR-21模倣体をトランスフェクトした細胞において、その効果は増幅されたが、これは、アゴニストによるIFN-I刺激の鋳型特異的増強を示唆している。対照的に、市販のds-ppp-RNAアゴニストは、IFN-β分泌を刺激することができなかった(
図3C)。
【0225】
miRNA-21模倣体濃度の関数としてのカスパーゼ3/7活性化を測定して、miRNA-21模倣体を一過的にトランスフェクトしたB16-F10細胞における腫瘍細胞内在性RIG-Iシグナル伝達によるアポトーシス誘導の公知のメカニズムとの一貫性を決定した。驚くべきことに、カスパーゼ3/7活性化の用量依存的増加が観察され、その効果は、5’-ppp-欠損ss-miRNA-21と比較して、ss-ppp-miRNA-21で処理した細胞において有意に高く、ds-ppp-RNA陽性対照と同等であった(
図3D)。
【0226】
RIG-I活性化に加えて、ss-ppp-miRNA-21で処理したB16-F10細胞におけるRIG-I上方調節の証拠も存在するかどうかを決定するために、RIG-Iの発現レベルを評価した。低レベルのRIG-IがB16-F10細胞において検出された。しかしながら、miR-21をトランスフェクトし、ss-ppp-miRNA-21で処理した細胞において、ds-ppp-RNA陽性対照オリゴヌクレオチドに関して見られたレベルを超えるRIG-Iの劇的な上方調節があった(
図3E)。
【0227】
RIG-Iアゴニズムによる免疫活性化のメカニズムの1つは、NF-κBシグナル伝達経路の活性化を含む。本発明者らの研究では、S536でのNF-κBサブユニットp65のリン酸化を、NF-κBトランス活性化を測定するために分析した。ss-ppp-miRNA-21で処理したB16-F10細胞に由来する溶解物中で強力なホスホ-P65反応性が観察され、その強力な反応性は、細胞にmiR-21模倣体もトランスフェクトした場合にさらに増幅された。反応性の増加は、p65の発現の増加と関連しなかったが、これは、反応性の増加が標的リン酸化を特異的に反映したことを示している(
図3F)。この驚くべき知見は、ss-ppp-miRNA-21による有効な鋳型依存的免疫刺激のためのメカニズムをさらに支持する。
【0228】
主題の特定の実施形態を考察してきたが、上記の明細書は例示的であり、限定的ではない。本明細書および以下の特許請求の範囲を再検討すれば、多くの変形形態が当業者には明らかである。本発明の全範囲は、特許請求の範囲を、等価物のその全範囲と共に、および明細書を、そのような変形形態と共に参照することによって決定されるべきである。
【手続補正書】
【提出日】2023-09-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】追加
【補正の内容】
【配列表】
【国際調査報告】