(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-19
(54)【発明の名称】液体パージ媒体で隔離弁をパージするためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
C10G 7/12 20060101AFI20240112BHJP
F16K 3/02 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
C10G7/12
F16K3/02 E
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023540809
(86)(22)【出願日】2021-12-23
(85)【翻訳文提出日】2023-08-29
(86)【国際出願番号】 US2021065130
(87)【国際公開番号】W WO2022146885
(87)【国際公開日】2022-07-07
(32)【優先日】2020-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523250304
【氏名又は名称】タプコエンプロ,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100131451
【氏名又は名称】津田 理
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【氏名又は名称】松野 知紘
(74)【代理人】
【識別番号】100174137
【氏名又は名称】酒谷 誠一
(74)【代理人】
【識別番号】100184181
【氏名又は名称】野本 裕史
(74)【代理人】
【識別番号】100220423
【氏名又は名称】榊間 城作
(72)【発明者】
【氏名】ヒメネス,フィリベルト
(72)【発明者】
【氏名】クラウス,ケネス
【テーマコード(参考)】
3H053
4H129
【Fターム(参考)】
3H053AA12
3H053BA02
3H053BC03
3H053DA07
4H129AA02
4H129CA09
4H129DA04
4H129GA03
4H129NA39
4H129NA45
(57)【要約】
炭化水素を使用してボトムスラリー回路の隔離弁をパージするためのシステムおよび方法であって、隔離弁は、ゲートと、ゲートを受けるように構成された筐体と、ゲートに対して封止するように構成された座部と、ゲートを作動させるように構成されたアクチュエータと、を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
隔離弁液体パージシステムであって、
プロセス流体の流れを制御するように構成された隔離弁、
を備え、
前記隔離弁が、
ゲートと、
前記ゲートを受けるように構成された筐体と、
前記ゲートに対して封止するように構成された座部と、
前記ゲートを作動させるように構成されたアクチュエータと、
を備え、
前記隔離弁が、液体パージ媒体でパージされるように構成されている、隔離弁液体パージシステム。
【請求項2】
前記液体パージ媒体が炭化水素である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記炭化水素がLCOを含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記炭化水素がMCOを含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記炭化水素がHCOを含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項6】
前記パージ媒体が、前記隔離弁によって制御されるライン内の圧力よりも高い正圧下で前記隔離弁に注入される、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
隔離弁をパージする方法であって、
前記方法は、
ボトムスラリー回路を有する分留塔を使用して、油供給原料を蒸留して異なる各炭化水素重量にすることと、
前記ボトムスラリー回路を通るボトムスラリーの流れを隔離弁で制御することであって、前記隔離弁は、前記分留塔内で作られる液体パージ媒体を使用してパージされる、制御することと、
を含む方法。
【請求項8】
前記液体パージ媒体が炭化水素を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記液体パージ媒体がLCOを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記液体パージ媒体がMCOを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記液体パージ媒体がHCOを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
ライン内のキャビテーションを低減するための方法であって、
前記方法は、
プロセス流体が流れている状態でラインを制御する隔離弁を、液体パージ媒体でパージすること、を含む方法。
【請求項13】
前記パージ媒体が前記プロセス流体の一構成要素である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記プロセス流体にかかる圧力よりも高い、前記液体パージ媒体にかかる正圧を維持することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、全般的に隔離弁のパージに関する。より詳細には、本開示は、分留塔で蒸留された炭化水素を、液体パージ媒体として使用することに関する。
【背景技術】
【0002】
流体接触クラッキング(FCC:fluid catalytic cracking)は、石油原油の留分を精製して、より価値の高いガソリン、オレフィンガス、およびその他の生成物にするために石油精製所で使用される、最も主要な転換プロセスの1つである。石油炭化水素のクラッキングは、当初、熱クラッキングによって行われていたが、これはほぼ完全に接触クラッキングに取って代わられた。FCCは、熱クラッキングによって生成されるものよりも多くの炭素-炭素二重結合(すなわち、より多くのオレフィン)を、したがってより高い経済的価値を有する副生成物ガスを生成する。
【0003】
分留塔は、FCC、コーキング、およびその他のプロセスのために、精製所の全体を通じて使用される。一般に、分留器は、炭化水素と、生成物の中で最も重いものとして底部に落下することから、ボトムスラリーとを生成する。触媒粒子および未精製の炭化水素を含む複数の生成物の混合物であるボトムスラリーは、生成物の中で最も汚れており、必要とされる圧力および温度下に置かれた場合に弁およびラインでコーク詰まりを起こしやすい。それでも、スラリーは、保持されている炭化水素を含む、いくつかの理由から価値がある。この理由から、ボトムスラリーは、炭化水素を回収するためのさらなる精製のために、分留装置の底部から回路を通じて圧送されて原料取り込み口に戻される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
任意のタイプの弁であり得る隔離弁は、ラインを通るボトムスラリーの流れを制御する。弁は、場合によっては有害であるプロセス流体がラインを出て弁体またはボンネットに入るのを防ぐように設計されているが、正圧下にあるパージ媒体により、プロセス流体がラインを出ないことを保証する。水蒸気や窒素などの気体がパージ媒体としてよく使用される。しかし、気体を用いたパージは、プロセス流体の密度を変化させ、またボトムスラリーポンプにおけるキャビテーションにつながり得る。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書に開示されるシステムおよび方法の全般的な目的は、隔離弁のパージを改良することである。具体的には、複数の蒸留カラムまたは分留装置およびスラリーポンプシステムが精製所に存在するいくつかの実施形態では、各分留装置が、隔離弁によって隔離されたボトムスラリー回路を有する。本発明は、炭化水素を蒸留するように構成されたFCCU蒸留分留塔を備えた隔離弁パージシステムを含む。いくつかの実施形態では、分留塔は、ボトムスラリー回路を有する。いくつかの実施形態では、ボトムスラリー回路は隔離弁を有し、内部構成要素は、ボトムスラリー回路ラインを通るプロセス流体の流れを隔離するように構成される。いくつかの実施形態では、隔離弁は、炭化水素(例えば、軽コーキング油もしくは軽サイクル油(LCO)、中コーキング油もしくは中サイクル油(MCO)、重コーキング油もしくは重サイクル油(HCO))、または炭化水素の組み合わせなどの液体パージ媒体を使用してパージされる。
【0006】
いくつかの実施形態は、隔離弁をパージする方法を含む。いくつかの実施形態は、ボトムスラリー回路を有する分留塔を使用して、油供給原料を蒸留して異なる各炭化水素重量にすることを含む。いくつかの実施形態は、ボトムスラリー回路を通るボトムスラリーの流れを隔離弁で隔離することであって、隔離弁は、分留塔内で作られる液体パージ媒体を使用してパージされる、隔離すること、を含む。
【0007】
いくつかの実施形態は、加圧されたライン内のキャビテーションを低減するための方法を含む。いくつかの実施形態は、プロセス流体が流れている状態でラインを制御する隔離弁を、液体パージ媒体でパージすること、を含む。
【0008】
本明細書を通じた、特徴、利点の言及、または類似の文言は、本開示によって実現され得る特徴および利点のすべてが本発明の任意の単一の実施形態になければならない、またはあることを示唆するものではない。そうではなく、特徴および利点について言及する文言は、ある実施形態との関連で説明される特定の特徴、利点、または特性が、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味するものと理解される。よって、本明細書を通じた特徴および利点の論述および類似の文言は、同じ実施形態を指すこともあるが、必ずしもそうではなく、あらゆる実施形態を指し得る。
【0009】
さらに、記載される本発明の特徴、利点、および特性は、1つまたは複数の実施形態において任意の好適な形で組み合わせられてよい。当業者は、本発明は、特定の実施形態の特定の特徴または利点の1つまたは複数を伴わずに実施されてよいことを認識するであろう。他の場合には、本発明のすべての実施形態には存在しなくてよい追加的な特徴および利点が、特定の実施形態で認識され得る。
【0010】
本開示の特徴および利点は、以下の説明および添付の特許請求の範囲からより完全に明らかになるか、または以後に述べられる本発明の実施によって分かるであろう。
【0011】
本開示の利点および特徴を得ることができる方式を説明するために、上記で簡単に説明した本発明のより詳細な説明が、添付図面に示されるその特定の実施形態を参照して与えられる。それらの図面は、本発明の典型的な実施形態を描くものに過ぎず、したがって、その範囲を制限するものとみなすべきでないことを理解した上で、本発明について、以下の添付図面の使用を通じて、さらなる具体性および詳細をもって記載、説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2A】例示的なFCCU動作を示し、いくつかの実施形態による隔離弁のいくつかの可能な位置を特定する図である。
【
図2B】例示的なFCCU動作を示し、いくつかの実施形態による隔離弁のいくつかの可能な位置を特定する図である。
【
図2C】例示的なFCCU動作を示し、いくつかの実施形態による隔離弁のいくつかの可能な位置を特定する図である。
【
図3A】閉位置にある隔離弁のいくつかの実施形態の切取り図である。
【
図3B】閉位置にある隔離弁のいくつかの実施形態の切取り図である。
【
図3C】閉位置にある隔離弁のいくつかの実施形態の切取り図である。
【
図3D】閉位置にある隔離弁のいくつかの実施形態の切取り図である。
【
図4】開位置にある隔離弁のいくつかの実施形態の切取り図である。
【
図5】いくつかの実施形態による、部分的に開いたまたは絞られた位置にある隔離弁の図である。
【
図6】封止アセンブリ、バイアスアセンブリおよび液体チャンバの詳細な切取り図である。
【
図7】液体パージチャンバと併せた浮動座部アセンブリの断面図である。
【
図8】液体パージチャンバと併せたバイアスアセンブリの断面図である。
【
図9】液体パージチャンバと併せた弁座の断面図である。
【
図10】液体パージチャンバと併せた弁座の代替断面図である。
【
図11】液体パージチャンバと併せた弁座の代替断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示の本実施形態は、図面を参照することによって最もよく理解され、すべての図面を通じて、同様の部分は同様の数字によって示される。本発明に概説され、図示される、開示される発明の構成要素は、様々な異なる構成で配置および設計され得ることが容易に理解されるであろう。よって、
図3A~
図11に表される、以下の装置の実施形態のより詳細な説明は、請求される本発明の範囲を制限する意図はなく、単に本発明の本実施形態を表すものである。
【0014】
いくつかの実施形態では、精製所またはプラントで、分留装置で蒸留された炭化水素などの精製所で精製されたパージ媒体を使用して、隔離弁がパージされる。いくつかの実施形態では、分留装置は、未精製原料を蒸留して、重コーカー油(HCO)、中コーカー油(MCO)および軽コーカー油(LCO)、ならびにその他の燃料およびガス、およびスラリー油と呼ばれる、残留同伴触媒を含んでいる主分留装置からのボトム生成物油、の各構成部分にする。いくつかの実施形態では、そのスラリー油の一部がリサイクルされて、高温の反応生成物蒸気の入口点よりも上で主分留装置に戻されることにより、主分留装置に入るときに反応生成物蒸気を冷却し、部分的に凝縮する。いくつかの実施形態では、スラリー油の一部は、スラリー沈降装置に通される。スラリー沈降装置からのボトム油は、スラリー油触媒粒子の大半を含んでおり、FCC供給原料油と組み合わせることにより、リサイクルされて触媒ライザーに戻される。スラリー油またはデカント油とも呼ばれる浄化されたスラリー流体は、重燃料油混合成分として、またはカーボンブラック供給原料として精製所の他の場所で使用するためにスラリー沈降装置の一番上から取り出される。スラリー回路内のこのスラリー油の流れは、隔離弁によって制御される。スラリー油は、弁の内部に堆積物を残して弁を傷める可能性が最も高い油であり、よって、いくつかの実施形態では、HCO、MCO、LCO、またはこれら油の組み合わせは、隔離弁をパージするために、ラインを加圧する圧力よりも高い正圧下に維持される。パージ媒体として使用される場合、小量の油が、弁内で金属-金属表面間の不完全な封止を通ってプロセス流体に進入する。しかし、スラリーの一定割合は炭化水素からなるため、油はスラリーを汚染することはない。
【0015】
スラリーに炭化水素を添加することは、ボトムスラリー回路を通じてスラリーを圧送するポンプ内のキャビテーションを防止する。従来技術では、弁座を越えて漏れ出す気体は、プロセス流体内で圧力の急速な変化を生じさせ、圧力が相対的に低い箇所で、蒸気で満たされた小さいキャビティの形成につながり得る。キャビテーションは、ポンプにとって好ましくなく、事例によってはポンプを傷めることがある。パージ媒体として気体の代わりに液体を使用することは、これらの問題を回避する。
【0016】
いくつかの実施形態では、パージ液は、コーキング油、サイクル油、またはHCO、MCOもしくはLCO、またはこれら流体の組み合わせを含む。HCO、MCO、およびLCOが使用される場合、能動的なパージシステム条件、すなわち圧力および温度は、弁体およびボンネット内のコーキングを回避するように制御されなければならない。本発明は、炭化水素、LCO、MCO、およびHCOを含み得る液体パージ媒体を企図し、液体パージ媒体は、システム内で交換可能に使用することができる。その結果、液体パージ媒体は、分留装置の炭化水素を含む。
【0017】
以下の説明では、隔離弁、ゲート、座部、本体、ボンネット、ライン、分留装置、ボトムスラリー回路などの処理機器への多数の言及がなされるが、これらの物品は、図には詳細には示されていない。しかし、当業者および本発明を所有する者であれば、本開示とそれら構造がどのように一体化され得るかを容易に理解するであろうことが理解されるべきである。
【0018】
次いで、開示される発明の実施形態が詳細に参照され、その例は、本発明の1つまたは複数の実施形態による液体媒体パージポートを有する弁の様々な図を示す
図3A~
図11に示されている。
【0019】
<FCCプロセスに関する一般的説明>
FCCプロセスは、極端な圧力および温度を伴う。FCCプラントで使用される隔離弁は、極端な圧力および温度下で弁の封止を維持する内部構成要素を含む。
【0020】
いくつかのFCCプロセスが
図2A~
図2Cに示され、これらの図は、例示的なFCC動作を示し、動作全体を通じて、気体、液体、および固体を含む物質をある位置から別の位置に搬送するために利用される様々なラインを強調表示している。FCC装置には2つの異なる構成があり、「積層(stacked)」タイプは、反応器と触媒再生器が2つの別々の容器に収容され、反応器が再生器の上にあるものである。これら容器の間にはスカートがあり、再生器のオフガス配管が、再生器容器の頂部に接続できるようにしている。第2のタイプは、「並行(side-by-side)」タイプであり、ここでは反応器と触媒再生器が2つの別々の容器にある。積層構成は、精製所面積に占める物理的空間がより少ない。
【0021】
反応器および再生器は、流体接触クラッキング装置の中心部と考えられる。
図2Aの典型的な現在のFCC装置の概略的流れ図は、「並行」構成に基づいている。長鎖炭化水素分子から構成される、予熱された高沸点石油供給原料(約315~430℃)は、蒸留カラムの底部からのリサイクルスラリー油と組み合わされて、触媒ライザーに注入され、そこで再生器からの非常に高温の粉状触媒と接触し、混合することにより、気化し、クラッキングされてより小さい分子の蒸気になる。クラッキング反応はすべて、2~4秒の時間内に触媒ライザー内で発生する。炭化水素蒸気は、粉状触媒を「流体化」し、炭化水素蒸気と触媒の混合物は、上に流れて、約535℃の温度および約1.72バールの圧力で反応器に入る。
【0022】
反応器は、クラッキングされた生成物蒸気が(a)反応器の2段サイクロンのセットを流れることにより、使用済み触媒から分離され、(b)使用済み触媒が水蒸気ストリッピング部を通って下方に流れて、使用済み触媒が触媒再生器に戻る前に炭化水素蒸気を除去する、容器である。再生器への使用済み触媒の流れは、使用済み触媒ライン内のスライド弁によって調節される。
【0023】
クラッキング反応は、触媒に堆積して触媒の反応性を急速に低下させるいくらかの炭素質物質(触媒コークスと呼ばれる)を生じるため、触媒は、再生器に吹き込まれる空気で堆積したコークスを焼き切ることによって再生される。再生器は約715℃の温度および約2.41バールの圧力で動作し、したがって、再生器は反応器よりも約0.7バール高い圧力で動作する。コークスの燃焼は発熱性であり、多量の熱を生成し、その熱は、再生された触媒によって部分的に吸収され、触媒ライザーで発生する供給原料の気化と吸熱性のクラッキング反応に必要とされる熱を提供する。
【0024】
再生器を出た高温の触媒(約715℃)は、触媒抜き取りウェルに流れ込み、そこで、同伴した燃焼煙道ガスを放出させ、流して再生器への上部部分に戻らせる。触媒ライザーよりも下方の供給原料注入点への再生された触媒の流れは、再生触媒ライン内のスライド弁によって調節される。高温の煙道ガスは、同伴触媒を煙道ガスから除去する2段サイクロンの複数のセットを通過した後、再生器を出る。
【0025】
再生器と反応器との間を循環する触媒の量は、供給原料1kg当たり約5kgになり、これは、供給原料1リットル当たり約4.66kgに相当する。よって、一日当たり75,000バレル(11,900m3/日)を処理するFCC装置は、一日当たり約55,900トンの触媒を循環させることになる。
【0026】
反応生成物蒸気(535℃および1.72バールの圧力)は、反応器の一番上から主カラムの底部部分(一般に、原料の分解が発生する主分留装置と呼ばれる)に流れ、そこで蒸留されて、クラッキングされた石油ナフサ、燃料油、およびオフガスというFCCの最終生成物になる。硫黄化合物を除去するためのさらなる処理の後、クラッキングされたナフサは、精製所の配合ガソリンの高オクタン成分になる。
【0027】
主分留装置のオフガスは、ガス回収装置と呼ばれるものに送られ、そこで、ブタンおよびブチレン、プロパンおよびプロピレン、ならびに低分子量ガス(水素、メタン、エチレンおよびエタン)に分離される。FCCガス回収装置の中には、エタンおよびエチレンの一部を取り出すものもある。
【0028】
図2Aの概略的流れ図は、主分留装置を、1つのサイドカットストリッパーおよび1つの燃料油生成物のみを有するものと示しているが、多くのFCC主分留装置は、2つのサイドカットストリッパーを有し、軽燃料油および重燃料油を生成する。同様に、多くのFCC主分留装置は、軽質クラッキングナフサおよび重質クラッキングナフサを生成する。この文脈における軽質および重質という用語は生成物の沸点域を言い、軽質生成物は重質生成物よりも低い沸点域を有する。
【0029】
主分留装置からのボトム生成物油は、反応器の一番上にあるサイクロンで完全に除去されなかった残留触媒粒子を含んでいる。この理由から、ボトム生成物油はスラリー油と呼ばれる。そのスラリー油の一部は、リサイクルされて、高温の反応生成物蒸気の入口点よりも上で主分留装置に戻されることにより、主分留装置に入るときに反応生成物蒸気を冷却し、部分的に凝縮する。スラリー油の残りは、スラリー沈降装置に通される。スラリー沈降装置からのボトム油は、スラリー油触媒粒子の大半を含んでおり、FCC供給原料油と組み合わせることにより、リサイクルされて触媒ライザーに戻される。浄化されたスラリー油またはデカント油は、重燃料油混合成分として、またはカーボンブラック供給原料として精製所の他の場所で使用するために、スラリー沈降装置の一番上から取り出される。
【0030】
FCC設計の選択に応じて、使用済み触媒上でのコークスの再生器内での燃焼は、二酸化炭素CO2へと完全燃焼する場合もしない場合もある。燃焼空気流は、特定のFCC設計ごとに望まれる一酸化炭(CO)対二酸化炭素の比をもたらすように制御される。
【0031】
図1に示される設計では、コークスは、部分的にのみCO
2に燃焼されている。715℃および2.41バールの圧力の燃焼煙道ガス(COおよびCO
2を含んでいる)は、再生器を出る煙道ガス中の微粒子の70~90パーセントを除去するように設計されたスワール管を含んでいる二次触媒分離器を通して送られる。これは、煙道ガスが次にそれを通して送られるターボ膨張機内の羽根への侵食損傷を防止するために必要とされる。
【0032】
ターボ膨張機を通じた煙道ガスの膨張は、再生器の燃焼空気圧縮機を駆動するのに充分な動力を提供する。電動モータ発電機は、電力を消費することも生成することもできる。煙道ガスの膨張が、空気圧縮機を駆動するのに充分な動力を提供しない場合、電動モータ/発電機は、必要とされる追加的な電力を提供する。煙道ガスの膨張が、空気圧縮機を駆動するのに必要とされる以上の動力を提供する場合、電動モータ/発電機は、余剰の動力を電力に変換して、精製所の電気系統に送出する。
【0033】
膨張した煙道ガスは次いで、水蒸気生成ボイラー(COボイラーと呼ばれる)を通して送られ、そこで、煙道ガス中の一酸化炭素が燃料として燃やされて、精製所で使用するための水蒸気を提供すると共に、一酸化炭素放出に対する該当する環境規制制限に準拠するようにする。
【0034】
煙道ガスは最終的に電気集塵器(ESP:electrostatic precipitator)を通して処理されて、微粒子放出に関する該当する環境規制に準拠するように、残留している微粒子物質を除去する。ESPは、煙道ガスから2~20μmの粒径範囲の微粒子を除去する。第4段階分離器(FSS:Fourth Stage Separator)として知られる微粒子フィルタシステムは、微粒子排出制限を満たすように要求されることがある。それらは、微粒子の排出が唯一の問題である場合には、ESPを代替することができる。
【0035】
煙道ガス処理システム内の水蒸気タービン(上記の図に示される)は、その作業を引き継ぐのに充分な燃焼煙道ガスが生じるまで、FCC装置の起動中に再生器の燃焼空気圧縮機を駆動するために使用される。
【0036】
流体接触クラッキングプロセスは、大きい炭化水素を、カルボカチオンに転換することによって壊し、カルボカチオンは、高沸点の直鎖アルカン(パラフィン)炭化水素を分解して、より小さい直鎖アルカンならびに分岐鎖アルカン、分岐アルケン(オレフィン)およびシクロアルカン(ナフテン)にする、多数の転移を受ける。大きい炭化水素分子を小さい分子に分解することは、より専門的には、有機化学者により炭素-炭素結合の切断と呼ばれる。より小さいアルカンの一部は次いで、分解されて、エチレン、プロピレン、ブチレン、およびイソブチレンなどのさらに小さいアルケンおよび分岐アルケンに転換される。これらのオレフィンガスは、石油化学供給原料として使用するのに有用である。また、プロピレン、ブチレンまたはイソブチレンも、それらを高オクタンのガソリン混合成分に転換する、特定の石油精製プロセスのための有用な供給原料である。大きい分子の最初の分解によって形成されるシクロアルカン(ナフテン)は、ベンゼン、トルエン、およびキシレンなどの芳香族にさらに転換され、それらはガソリンの沸点域で沸騰し、アルカンよりもはるかに高いオクタン価を有する。クラッキングプロセスでは、炭素も生成され、それが触媒上に堆積する(触媒コークス)。
【0037】
特に、
図2B~
図2Cは、本発明の隔離弁の様々な実施形態が利用され得る位置のいくつかを示している。弁14のいくつかの実施形態は、任意のラインまたはスラリー回路に接続されてよい。いくつかの実施形態では、FCCUからの炭化水素が、スラリーなどのプロセス媒体よりも高い正圧下で、ボンネットなど、隔離弁の機能空間に送られる。これは、プロセス媒体が弁筐体に入るのを防止するために、正圧下にある。スラリー回路の隔離弁をパージするために炭化水素パージ媒体が使用されるいくつかの実施形態では、精製された炭化水素パージ媒体がプロセス媒体と混ざり、次いで蒸留のために分留塔に戻される。
【0038】
FCCへの供給原料は通常、原油のうち、大気圧で340℃(644°F)またはそれ以上の初留点および約200~600またはそれ以上の範囲の平均分子量を有する部分である。原油のこの部分は、多くの場合、重質ガス油または真空ガス油(HVGO)と呼ばれる。FCCプロセスでは、供給原料は、高温および中程度の圧力に加熱され、高温の粉状触媒と接触させられる。触媒は、高沸点炭化水素液の長鎖分子を、はるかに短い分子に分解し、それが蒸気として回収される。
【0039】
蒸留カラムまたは分留装置とも呼ばれる分留塔と隔離弁は、精製所および化学プラントの全体を通じて使用される。分留塔は、化学的混合物を、揮発度の差に基づいて蒸留して、その各構成部分または留分にする。多くの場合、分留装置は、それぞれ異なる沸点域を有する複数の生成物が、複数成分の原料流を蒸留するカラムから取り出され得るように、カラム上に間隔を空けて出口を有する。最も低い沸点をもつ「最も軽い」生成物は、カラムの一番上から出、最も高い沸点をもつ「最も重い」生成物は一番下から出る。
【0040】
流体接触クラッキング(FCC)は、石油精製所で使用される最も主要な転換プロセスの1つである。それは、石油原油の高沸点高分子量の炭化水素留分を、より価値の高いガソリン、オレフィンガス、およびその他生成物に転換するために広く使用されている。石油炭化水素のクラッキングは、熱クラッキングを使用し、これは、触媒がより高いオクタン値をもつガソリンをより多く生成するためである。それは、より多くの炭素炭素二重結合(すなわち、より多くのオレフィン)、したがってより高い経済的価値を有する、副生成物ガスも生成する。
【0041】
FCCへの供給原料は通常、原油のうち、大気圧で340℃(644°F)またはそれ以上の初留点および約200~600またはそれ以上の範囲の平均分子量を有する部分である。原油のこの部分は、多くの場合、重質ガス油または真空ガス油(HVGO)と呼ばれる。FCCプロセスでは、供給原料は、高温および中程度の圧力に加熱され、高温の粉状触媒と接触させられる。触媒は、高沸点炭化水素液の長鎖分子を、はるかに短い分子に分解し、それが蒸気として回収される。
【0042】
供給原料は、反応器を通過して、原料の分解が発生する分留装置に入る。分留装置で、供給原料は蒸留されて、クラッキングされた石油ナフサ、燃料油、およびオフガスというFCCの最終生成物になる。硫黄化合物を除去するためのさらなる処理の後、クラッキングされたナフサは、ガソリン中の高オクタン成分になる。
【0043】
FCC主分留装置は、多くの場合、2つのサイドカットストリッパーを有し、軽質燃料油および重質燃料油を生成する。同様に、多くのFCC主分留装置は、軽質クラッキングナフサおよび重質クラッキングナフサを生成する。この文脈における軽質および重質という用語は生成物の沸点域を言い、軽質生成物は重質生成物よりも低い沸点域を有する。
【0044】
主分留装置からのボトム生成物油は、残留触媒粒子を含んでいる。この理由から、ボトム生成物油はスラリー油と呼ばれる。スラリー油の一部は、スラリー沈降装置に通される。スラリー沈降装置からのボトム油は、スラリー油触媒粒子の大半を含んでおり、FCCの供給原料油と組み合わせることにより、リサイクルされて触媒ライザー(riser)に戻される。浄化されたスラリー油またはデカント油は、精製所の他の場所で使用するためにスラリー沈降装置の一番上から、重油混合成分として、カーボンブラック供給原料として取り出され、または場合によっては、スラリー油は、スラリーボトム回路を使用した熱回収または水蒸気生成で使用するためにボトム回路を通じて圧送される。
【0045】
隔離弁は、プロセス媒体の流れを所与の位置で停止させるために流体処理システムで使用される。隔離弁はまた、流れの論理(ある流路を選択するか、別の流路を選択するか)を提供するため、および外部機器をシステムに接続するためにも使用されることがある。弁は、弁自体の種類ではなく、システムにおけるその意図される機能のために隔離弁として分類される。したがって、多くの異なる種類の弁が隔離弁として分類され得る。隔離弁は、流体の通過を効果的に停止することができなければならない。ゲート弁、ボール弁、プラグ弁、玉形弁およびバタフライ弁は、弁トリムまたは内部機構が必要な封止を作り出すときに、密で効果的な遮断を提供すると考えられ得る。
【0046】
<隔離弁の実施形態>
本開示は、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願第12/848,013号および同16/403,039号に記載されるものなどの隔離弁との関連で利用されてよい。本発明は、
図2B~
図2Cに示されるものなどのボトムスラリー回路で、FCCUで使用される任意の隔離弁と共に利用されてよい。当業者は、本発明に記載され、説明される本発明による隔離弁のパージ媒体としての分留装置の炭化水素の使用は、他のシステムのために設計され、使用されてもよいことを認識するであろう。
【0047】
本開示は、ボトムスラリー回路で使用されるものなどの隔離弁をパージするための弁パージ媒体システムおよび方法について記載する。このシステムおよび方法は、入口原料ラインの隔離、分留装置の隔離、および逆加熱(back warming)などの他の重要な保守用途で使用されてよい。
【0048】
本発明は、隔離弁の動作の任意の地点において、スラリー流体、任意の流体、固体および/または気体を含む、プロセス媒体、物質の流れを、それらが弁トリム、例えば、ボンネット、アクチュエータ、座部、封止部、に入って適正な動作を妨げるのを防止するように、制御するために利用されてよい。加えて、当業者は、本発明に説明され、記載される弁は、流体、固体および/または気体を含む物質の動きを制御することが望ましい他の環境で設計、使用されてもよいことを認識するであろう。
【0049】
隔離弁および関係する内部トリムの例が
図3~
図11に示される。本明細書は、ライン内で物質の流れを隔離するための弁システムおよび方法について記載する。本発明は、ボトムスラリー回路を隔離するために使用される隔離弁のために特に適合されている。しかし、本発明は、様々な要素を製造する他の製造プロセスの一体的な一部として適合されてよいことが予想でき、したがって、そのようなプロセスは、本願の範囲内にあるとみなすべきである。本発明の詳細を述べる前に、本発明のシステムおよび方法は、従来の関係する設計およびシステムを上回る著しい機能、有用性、および安全性の利点を有するまたは所有するように設計されることが留意されるべきである。
【0050】
弁システムのいくつかの実施形態は、ラインを通るスラリー油の流れを、分留器塔の底部から隔離するための座部システムを含んでよい。
【0051】
いくつかの実施形態は、a)FCCUの動作中に、ラインであって、出口スラリー油ラインであってよいラインと、座部システムとに結合された弁、および、b)弁閉鎖部を作動させるための構造を備える。
【0052】
いくつかの実施形態は、少なくとも1つのボンネットを備えてよい。いくつかの実施形態は、本体に結合された上部および下部ボンネットを備えてよく、ボンネットは、本体をラインから分離することなく弁部品を交換するために取り外されてよい。いくつかの実施形態は、ボンネットの内部に位置する1つまたは複数のプレートを備えてよく、プレートは、ブラインド上の1つまたは複数の表面と接触し得る平面表面を備える。
【0053】
システムのいくつかの実施形態は、気体および高温の液体、特にFCCU作業で利用されるもの、を隔離するように構築されてよい。いくつかの実施形態は、性能の低下を伴わずに、確実で長期にわたる流れの隔離を可能にする利益をもたらすように構築される。いくつかの実施形態では、長期間にわたる高い弁性能の維持は、弁をLCO、MCO、またはHCOでパージして、弁の内部構成要素から破片を除去する働きをする、座部とブラインドとの間の適正な接触を維持することを含む、本発明の特徴によって強化される。従来技術のシステムでは、コーキング詰まりまたは油詰まりの可能性が、頻繁な再構築と、したがってラインからの弁の除去を必要としていた。
【0054】
いくつかの実施形態では、システムは、弁の本体、上部および下部ボンネットを炭化水素でパージするように構成され、それらは各々、本体をラインから分離することなく弁部品を交換するために独立して取り外され得る。いくつかの実施形態のボンネット30の中には、互いに対向して位置する少なくとも1枚のプレート52があってよく、これは、ブラインド4がプレートとの表面接触を維持することを可能にする。ボンネット30の中に位置するプレート/ブラインド4/52システムと併せた炭化水素パージの正圧は、スラリー油などの物質がラインからボンネット30内に逃げるのを防止する。したがって、いくつかの実施形態は、ラインを通って移動する物質に、弁システム14の内部要素が曝されるのを防止する。その結果、弁システム14の内部構成要素は、清浄で、破片および蓄積物がない状態を保ち得る。
【0055】
いくつかの実施形態は、座部支持システム50を備える弁閉鎖部4を支持する構造を、液体パージ媒体でパージする。座部支持システム50は、弁の種類に応じて座部の配置または構成を備えてよい。いくつかの実施形態では、弁閉鎖部4を支持する構造は、弁閉鎖部4の各側に存在する第1の座部および第2の座部58、60を備える座部支持システム50を備え、第1の座部58と第2の座部60は互いから独立していてよい。いくつかの実施形態では、第1の座部58および第2の座部60は、加圧される座部カートリッジであってよい。第1および第2の座部58、60は、静的な性質または動的な性質のいずれを備えてもよく、一方が静的で他方が動的、両方が動的、または両方が静的であってよい。代替として、座部支持システム50は、弁14の本体16と弁閉鎖部4との間に位置するかまたは配設された、単一の座部から構成されてもよい。この構成では、この単一の座部が、その振動全体を通じて弁閉鎖部に連続的な力を加える。単一座部システムでは、単一の座部は、弁の種類およびシステム仕様の必要性および任意の他の寄与要因に応じて、動的であってよく、または静的であってもよい。
【0056】
弁システムの実施形態は、液体パージシステムを備え、この中では、分留塔からの精製された炭化水素HCO、MCOまたはLCOが、隔離弁内で液体パージ媒体として使用するために1つまたは複数の隔離弁に圧送される。いくつかの実施形態では、液体パージシステムは、液体パージ媒体として使用するために、精製された炭化水素を分留装置からボトムスラリー回路隔離弁に引き出すラインを利用してよい。いくつかの実施形態では、液体パージ媒体は、正圧、またはライン内の圧力よりも高い圧力に維持され、それにより炭化水素を継続的にライン内に圧送して、スラリー油などのプロセス媒体が弁座、ボンネット、または他の内部構成要素に入るのを防止する。パージ流体システム内の圧力は、弁内のプロセス流体よりも高い圧力にある流体を使用することによって維持される。
【0057】
液体パージ媒体システムのいくつかの実施形態は、システム内での気体を含む流体の隔離を提供するまたは維持する、内部気体/液体閉じ込めシステムを備えてよい。内部流体閉じ込めシステムは、本明細書に記載される金属-金属接触封止、ならびに弁14のボンネット30内に存在する独自の構成要素構成を備えてよい。正圧に維持されている液体パージ媒体は、流体が通ることができる程度に、炭化水素を強制的に金属-金属接触封止に通して、プロセス流体が逆方向に通って弁の内部構成要素に入るのを防止する。
【0058】
いくつかの実施形態では、液体パージ媒体を隔離弁に圧送するポンプは、弁の本体16をラインから外すことなく、座部システム50、座部およびブラインド4を含む内部構成要素が点検、修理、および/または交換等されるときに、オフにされる。
【0059】
いくつかの実施形態では、弁システム14は、液体でパージされる本体を備え、ここではパージ媒体が弁体温度を調整する温度に維持され、それは、気体、流体、および固体の移動に対抗する障壁を作り出すように構築されてよい。そのような実施形態のパージ要素は、ラインから上部および下部ボンネット30内への物質の移動を防止する。したがって、いくつかの実施形態の内部構成要素は、コークス堆積物や蓄積物で閉塞した状態にならない。内部構成要素が必要とする修理および交換は、大幅に少なくなる。したがって、弁のいくつかの実施形態は、性能の低下を伴わずに長期間にわたり確実に動作する。
【0060】
いくつかの実施形態は、弁ゲート4が部分的に開かれたまたは絞られた位置に維持される状態下で振動することにより、液体パージ媒体と協働するように機械的に構築される。いくつかの実施形態では、ボンネット30の内部構成要素は、ボンネット30内部の油、コークス、および破片の蓄積を防止する。実施形態の一部は液体パージ流体を正圧下にするので、弁システム14の内部構成要素は、弁14が部分的に開かれた状態に維持されている間、スラリー油、コークス、および/または他の蓄積物に曝されることがない。例えば、弁システム14のいくつかの実施形態は液体パージシステムを利用し、これは、ボンネット30の内部に正圧を生じさせて、ラインの内容物を強制的にライン内に留まらせ、ラインの内容物が弁14の内部構成要素内に移動するのを防止する。
【0061】
いくつかの実施形態では、長期間にわたって弁の性能を損なうことなく、液体パージ媒体と協働して、弁を部分的に開かれた位置に維持させる追加的な機械的特徴があってよい。例えば、いくつかの実施形態では、座部システム50は、ゲート4との継続的な接触を維持する。いくつかの実施形態における継続的な接触は、蓄積したコークスおよび/または他の破片を分断して、蓄積した物質が弁14自体に蓄積すること、および弁システム14の様々な内部構成要素の中に落下することを防止する。いくつかの実施形態は、ゲート4が開位置と閉位置を通って移動する間に弁14のゲート4との接触を維持する、ボンネット30の内部に位置するシステムを利用する。いくつかの実施形態では、ボンネット30、好ましくは弁14の下部ボンネット34は、互いと向かい合い、下部ボンネット34内に存在するゲート4の表面に対してバイアスされる、1つまたは複数のプレート52を含んでいる。いくつかの実施形態では、ばね54が、巻かれて、ボンネット30とプレート4との間に位置するように下部ボンネット34に対してバイアスされる。したがって、いくつかの実施形態のばねシステム56は、下部ボンネット34内に位置するプレート56をゲート4の表面に押し当てる。液体パージ媒体は、ボンネットシステム30内に位置するプレートシステムと共に、気体、流体、または固体の物質がラインからボンネット30内に移動するのを防止する。したがって、液体パージ媒体システムとプレートシステムの組み合わせは、ラインの内容物が、ゲートシステム14の内部要素と接触するのを防止する。
【0062】
本発明の図および本発明の実施形態のいくつかのより詳細な分析に移ると、
図1は、いくつかの要素およびシステムを有するFCCUが存在する、石油製造および精製所プロセスを概略的に描いている。軽い留分、水蒸気、および気体は、ライン上のコークス容器から、蒸気ライン2aおよび2bを通って放出される。
【0063】
図3A~
図3Dは、開位置にある隔離弁の実施形態を描いている。いくつかの実施形態では、描かれた弁は、上記で説明された位置(
図2参照)の1つまたは複数に接続されてよい。
図3A、
図3B、
図3Cおよび
図3Dの各々は、弁14の異なる実施形態を示している。
【0064】
図3~
図11に描かれた弁は、隔離弁の一実施形態であるが、弁14は各種の弁タイプおよび各種の異なる要素を備えてよいことが意図される。座部システム50(例えばいくつかの実施形態では、二重の金属座部表面)、ボンネット内部36、およびすべての内部部品は、弁が全開、全閉(
図4A参照)、または部分的に開いた(
図5A参照)位置にある間、ラインを通って流れる物質から完全に保護および隔離される。好ましくは、封止部品の構築に使用される材料は、腐食耐性があり、例外的に高い金属-金属のサイクルデューティに合わせて設計される。弁14の封止部は、ストロークのたびにコークスと弁閉鎖部の露出した表面との間の結着をきれいに破壊するように設計され、コークスは、液体パージ媒体により、内部構成要素に入ることを防止される。台座摩擦および慣性に打ち勝つのに必要とされる推力と組み合わせた、この作用に必要とされる合計推力は、入念に計算され、弁閉鎖部4を作動させて、それにより弁閉鎖部4を閉位置から開位置に位置を変えさせるまたは遷移させることによって実現される。
【0065】
いくつかの実施形態では、液体スラリーの一部をFCCプロセスのFCCUに戻して、液体スラリーから炭化水素を回収する。液体パージ媒体を使用して、隔離弁からボトムスラリーなどの任意のプロセス流体をパージして、プロセス流体が弁本体またはボンネットに入るのを防止する。いくつかの実施形態では、逆止弁を使用して、システム内に10psiよりも高い圧力を維持する。液体パージ媒体の使用は、従来の水蒸気または窒素を上回る追加的な利益をもたらす。第一に、液体パージ媒体は蒸留プロセス中に生成されるのに対して、水蒸気または窒素は製造されなければならない。ダウンラインで作られる液体スラリーは、しばしばプロセス中に加圧される。隔離弁をパージする間に液体スラリー中に注入される炭化水素パージ媒体の部分はいずれも、高温の反応生成物蒸気の入口点よりも上で分留装置11に戻して、コーカー分留装置に入るときに反応生成物蒸気を冷却し、部分的に凝縮することができる。液体スラリーの残りは、スラリー沈降装置に通される。スラリー沈降装置からのボトム油は、FCCUプロセスにおける液体スラリー触媒粒子の大半を含んでおり、FCC供給原料油と組み合わせることにより、リサイクルされて触媒ライザーに戻される。
図2Dは、例示的な動作を示し、動作全体を通じて、気体、液体、および固体を含む物質をある位置から別の位置に搬送するために利用される様々なラインを強調表示している。特に、
図2Aは、本発明の隔離弁の様々な実施形態が利用され得る位置のいくつかを示している。弁14のいくつかの実施形態は、任意のラインまたはコークスドラムに接続されてよい。弁の実施形態が利用され得るいくつかの位置の例には、水切り弁70、塔頂ベーパ弁71A/71B、ブローダウン隔離弁72A/72B、モジュール隔離弁79、逆加熱隔離弁80、分留装置隔離弁10、ドラムバイパス隔離弁78、ヒーターチャージポンプ排出隔離弁82A/82B、入口隔離弁26、スイッチマニホールド隔離弁73、予熱起動隔離弁74A/74B、急冷水隔離弁75、水蒸気隔離弁76、およびピット排水隔離弁77A/77Bが含まれる。
【0066】
図3A~
図3Dは、閉位置にある弁システムの実施形態を描いている。描かれた弁システム14は、ラインまたはコークスドラムに、およびフランジに結合するように構築されている。いくつかの実施形態では、描かれた弁は、ディレイドコーキング装置動作における上記で説明された位置(
図2A参照)の1つまたは複数に接続されてよい。
図3A、
図3B、
図3Cおよび
図3Dは各々、弁14の異なる実施形態を示している。
【0067】
図3~
図11に描かれた弁は、本発明の弁の実施形態であるが、弁14は各種の弁タイプおよび各種の異なる要素を備えてよいことが意図される。
【0068】
図3~
図13は、様々な実施形態による弁14の様々な図を示す。描かれた弁14は、上部ボンネット33および下部ボンネット34に結合された本体16を備え、上部ボンネット33および下部ボンネット34は、それぞれ下部チャンバ35および上部チャンバ36を備えている。本体16は、開口またはポート42を有する第1のフランジ部分40と、開口またはポート46を有する第2のフランジ部分44とを備える。本体16は、26を相補的なフランジ部分と、ライン2またはコークスドラム18および22の関連する開口またはポートとに結合し、各開口が互いと同心になるおよび/または位置合わせされるようにする。
【0069】
描かれた隔離弁14は、開位置において開口42および46と位置合わせすることが可能な孔を有する、スライドするブラインドまたはゲート4の形態の弁閉鎖部をさらに備える。弁閉鎖部4は、この例示的実施形態では座部支持システム50として示される弁閉鎖部を支持する手段との間を、直線状に双方向に往復してスライドする。座部支持システム50は、二重の独立した座部を含む、任意のタイプの台座構成を備えてよく、それら座部は、両方とも静的、両方とも動的、およびそれらの組み合わせである。座部支持システム50は、代替として、弁閉鎖部4を支持する単一の座部を備えてもよく、座部は、静的な座部からなっても動的な座部からなってもよい。
【0070】
一実施形態では、弁閉鎖部4と座部支持システム50との間に継続的な接触封止が作り出され、ラインに対して開位置から半開位置、そして最終的に閉位置への弁閉鎖部4の往復のスライドまたは回転の間、作り出された接触封止は決して壊されることも破られることもなく、その完全性が常に維持されることが好ましい。この継続的な接触封止は、好ましくは、いくつかの機能を行い、いくつかの利点を有し、本明細書に記載される液体パージ媒体と協働的に動作する、金属-金属接触封止である。例えば、接触封止は、弁14の隔離を作り出すかまたは少なくともそれに寄与し、そこで、隔離された環境がもたらされ、物質が封止されたエリアの外に逃げて弁14のボンネット30または他の部分、弁の外側のエリア、またはその他のエリアに入ることを許されない。様々な液体パージシステムおよび閉じ込めシステムが、物質を指定されたエリア内に閉じ込め、弁の隔離を維持するために、隔離弁14内の圧力を調整するように機能してもよい。別の例として、継続的な接触封止は、生成物物質が液体パージによってパージされるエリアを越えることを許されないため、隔離弁の様々な構成要素を清浄でそのような物質がない状態に保つのを助け得る。別の例として、荷重が弁閉鎖部4にかけられ、それにより弁閉鎖部4と第1および第2の座部との間に厳格な公差が存在するようになる結果として、また弁閉鎖部が第1の座部と第2の座部58、60の間を回転することにより、琢磨および研磨効果が発生する。
【0071】
いくつかの実施形態では、座部支持システム50が第1および第2の座部58、60を備えると共に、弁閉鎖部4が金属製であってよく、それにより、弁閉鎖部4の金属-金属接触または金属-金属封止、または金属-金属台座とも呼ばれるものを提供する。金属-金属台座は、座部を弁閉鎖部4に封止するためにビニールやゴムなどの非金属部品が使用されないため、システムの耐久性を向上させる。金属-金属台座は、システムがより高い封止の一貫性を実現することを可能にし、同時に延長された耐摩耗性および耐久性をもたらす。加えて、金属-金属封止は、システム14、具体的にはシステム内の封止、が必要に応じて微調整されることを可能にする。弁体内の各金属-金属接触封止は支持されることが可能である。
【0072】
弁閉鎖部4が作動されて、閉位置から開位置に回転されると、弁閉鎖部4の表面と、弁閉鎖部を支持する手段の表面との間に存在する接触封止が、弁閉鎖部4の表面またはその近くに蓄積した製造されたコークスを崩すまたは分断するように機能する。
【0073】
次いで、
図6~
図11を参照し、同図は、液体パージ媒体によってパージされた弁体に入らないようにプロセス流体を隔離するように構成された浮動座部プレートなどの、弁の代替実施形態を開示している。いくつかの実施形態では、座部23を浮動座部プレート23から分離することは、組み合わされた座部プレート23および座部23の代わりに、より小さい浮動座部プレートが平らに研削される必要があるようにすることにより、製造を改良し、簡略化する。いくつかの実施形態では、浮動座部プレート23は、座部にかかる荷重の分散を改良する。改良された荷重分散は、一部には、座部23から座部プレート23を隔離することによって達成される。処理からの熱は、座部23、ゲート11および浮動座部プレート23を含む機器を熱膨張させ、形状を変化させる。加えて、加圧されたドラムは、座部23、ゲート11および座部プレートの封止に対抗する。いくつかの実施形態では、浮動座部プレート23が、座部23にかかる圧力を隔離して、可能な漏れをより少なくする。これは、座部は、座部の取り付けによって影響されないためである。漏れは、残油が封止と封止の間から入ることができないように、正圧下の液体パージ媒体によってさらに低減される。加えて、いくつかの実施形態では、浮動座部プレートによる少なくとも部分的に独立した動きにより、座部23が、座部に衝撃を与えないようにドラム本体内部の圧力を部分的に隔離して、座部23の圧力をより均一にすることが可能になる。最後に、座部23と浮動座部プレート23とを分離することは、封止が完全に座部によって荷重をかけられるようにばね率を使用して浮動座部プレートと座部23との間の力を制御する、より高いコントロールおよび能力を提供する。
【0074】
いくつかの実施形態では、浮動座部プレートと組み合わせた液体パージ媒体が、特にゲートが熱膨張して変形する際に、座部プレート23と座部23との間の封止、および座部プレートとゲート11との間の封止を改善する。いくつかの実施形態では、座部プレートは、ゲートに対して自動的に水平調整し、また座部による関節動作を可能にするためのボール/コーンおよびソケット構成を備える。いくつかの実施形態では、コーンおよびソケット構成は、座部プレート23と座部23との間の境界面における角度の付いた棚部195およびパッキン180によって提供される。ゲート11または座部23が熱膨張して、形状が変化するとき、浮動座部プレートは、関節動作して、座部23の向きに関係なく封止を維持することができる。いくつかの実施形態では、ばね165が、座部23をゲート11に押し当て、一方で、ベローズ170が、パージ液185からの内部加圧によって作動して、ベローズ170を膨張させ、ばね165がゲートに対してより多くの荷重を加えるのを助ける。座部と座部プレート境界面の間の隙間は、液体パージ媒体で満たされる。ベローズの弁側においてチャンバ175内に圧送されるパージ液の増大した体積によって生じる圧力は、ベローズによってすでに生じている圧力を増して、座部プレート23とゲート11との間の封止を向上させる。いくつかの実施形態では、液体パージ媒体は、非圧縮性の流体である。
【0075】
いくつかの実施形態では、弁は、第1のポート185を備える。いくつかの実施形態では、弁は、複数の内部チャンバおよびポート187を備える。いくつかの実施形態では、ポート187は、パージ液が弁体からポート187を通って、座部アセンブリ145に形成されたチャネルを備えるパージ液チャンバ175まで進むことができるように、弁体と流体連通している。いくつかの実施形態では、浮動座部プレート23および加圧された液体パージ媒体の動作が、本体内のプロセス流体およびドラムが空にされるときに開口20を通過する、本体内のプロセス流体からポート185を保護する。いくつかの実施形態では、2枚の座部プレートが座部23およびゲート11に直接当接し、プロセス流体がゲートポート180に入るのを防止する。いくつかの実施形態では、弁は、閉位置にされたときにゲート11を受けるように構成された下部ボンネットプレート34を備える。いくつかの実施形態では、下部ボンネットプレート34は、弁体14を、ゲート11が第1の位置から第2の位置に動かされるときにゲート11と共に移動し得るプロセス流体から隔離する。いくつかの実施形態では、浮動座部プレートは、ポート185を常にボンネット30、33の内部から保護し、そのため、ゲート11孔が開口20を開いたときに、ポート185または弁の内部がプロセス流体に曝されるのを防止する。弁およびボンネットを貫通して延びるポートおよびチャネル185は、液体パージ媒体を収容する大きさである。
【0076】
いくつかの実施形態では、隔離弁14が、弁開口20を通るプロセス流体から弁体を隔離するように構成される。いくつかの実施形態では、座部23が、ゲートを受けるように構成された受け部分を有する。いくつかの実施形態では、受け部分は、座部23の本体の真ん中にある。いくつかの実施形態では、座部は座部アセンブリ145を備え、座部アセンブリ145は、第1の側部12および第2の側部13を有するゲート11の両側に配設され、プロセス流体が選択的に通ることのできる開口を作り出すように位置合わせされる。いくつかの実施形態では、座部の2つの側部は、共にボルト締めされて、座部とゲート11との間の封止を作り出す。いくつかの箇所において、2つの別々の座部がゲート11に隣接して配設され、第1の座部23が、ゲート11の第1の側部12に隣接し、第2の座部23が、ゲート11の第2の側部13に隣接する。いくつかの実施形態では、ゲート11は、第1の座部と第2の座部の中間に選択的に配置されるように構成される。
【0077】
いくつかの実施形態では、座部アセンブリ145は、浮動座部プレートを備える。いくつかの実施形態では、浮動座部プレートは、座部23に当接するように、座部23の内周の内側に入れ子にされる。いくつかの実施形態では、浮動座部プレート23は、座部23に取り付けられることなく、座部23と弁開口20との間に同心に入れ子にされる。いくつかの実施形態では、座部プレートは、熱がゲートの第1の側部12に加えられ、ゲートの第2の側部13には等しく加えられないときなどに、座部23とは独立して関節動作して、ゲート11の表面上の一箇所により多くの熱が加えることによって生じる熱膨張または熱差に起因するゲート11の変形に対応するように構成される。加えて、いくつかの実施形態では、浮動座部プレート23は、異なる圧力に対応するためのいくつかの度合いの動きを備える。
【0078】
いくつかの実施形態では、座部アセンブリ145は、座部プレート23と座部23の間の封止を向上させる封止システム155を備える。いくつかの実施形態では、封止システム155は、座部プレート23および座部プレート23を選択的に封止し、座部プレート23を座部23に対してバイアスする、バイアスシステムを備える。いくつかの実施形態では、封止システム155は、機械的形状と、座部と座部プレートとの間の境界面において一体化されているパッキン部材180とを備える。
【0079】
いくつかの実施形態では、本発明のバイアスシステム160は、第1のバイアス部材165をさらに備える。いくつかの実施形態では、バイアスシステムは、第1のバイアス部材165および第2のバイアス170を備える。いくつかの実施形態では、バイアスシステムは、第1のバイアス部材165、第2のバイアス部材170、および第3のバイアス部材175を備える。いくつかの実施形態では、バイアス部材は、ばね165を備える。いくつかの実施形態では、バイアス部材は、ベローズ170を備える。いくつかの実施形態では、バイアス部材は、パージ液チャンバ175を備える。いくつかの実施形態では、バイアスシステム160は、浮動座部プレート23を座部23に対してバイアスするように協働して機能するバイアス部材の任意の組み合わせを備える。いくつかの実施形態では、バイアスシステムは、浮動座部プレート23をゲート11に対してバイアスするように機能する。いくつかの実施形態では、バイアスシステムは、浮動座部プレート23をゲート12の第1の側部に対してバイアスし、浮動座部プレート23をゲート13の第2の側部に対してバイアスするように構成された複数のバイアス部材を備える。いくつかの実施形態では、バイアスシステム160は、ゲートの第2の側部13に配置された第3のバイアス部材をさらに備え、この第3のバイアス部材は、座部プレート23および座部23をゲートの第1の側部12と第2の側部13の両方に対して封止するように構成されたゲートの方向に、座部プレート23を座部23に対してバイアスするように構成される。いくつかの実施形態では、バイアスシステムは、段付きボルト199によって移動が制限されたバイアスアセンブリ145を備える。
【0080】
いくつかの実施形態では、協働するバイアス部材の組み合わせからなるバイアスシステム160は、アメリカ石油協会(「API」)規格を満たすように封止を改良する。いくつかの実施形態では、浮動座部プレート23は、平らに研削され、ゲート11の中央に配置される。いくつかの実施形態では、座部プレート23は、ばねを使用して座部に対してバイアスされて、200PSIに近い力を生じさせる。いくつかの実施形態では、座部プレート23をバイアスするのに加えて、ばねは、座部プレート23に自由度を与え、座部プレート23が移動して、ゲート11との常時の接触を維持するように調節されるのを可能にし、また座部プレート23が熱サイクルを通じてゲート11と互いに接触したままであることを可能にする。いくつかの実施形態では、ポート185は、パージ液チャンバをさらに備え、これは、チャンバを膨張させるように選択的に加圧され、さらに座部プレート23をバイアスすることができる。パージ媒体は、パージ液チャンバに圧送され、パージ液を封止部を通じてプロセス流体の中に押し出すために正圧下に保たれる。ベローズ170は、いくつかの実施形態では座部プレート23である第1のパッキン180、およびリテーナ173に溶接される171。いくつかの実施形態では、ベローズ170は、パージ液チャンバ175内のパージ液を封止するために座部プレート23およびパッキン180に溶接される171。いくつかの実施形態では、パージ液の体積が増大し、パージ液チャンバ175が膨張し、ベローズ170が膨張するのに伴って、パージ液がチャンバ175の中に圧送されて、圧力を増大させ、座部プレート23が座部23およびゲート11に対してさらにバイアスされて、ゲート11と、座部23と、座部プレート23との間の封止を向上させる。いくつかの実施形態では、バイアスシステムは、API規格820 PSIを満たすまたは超えるのに充分な累積協働力を作り出す。
【0081】
いくつかの実施形態では、座部プレート23は、座部23との境界面となる棚部195を備える。いくつかの実施形態では、棚部195は、それが座部23と噛み合う際に座部に円錐形を与えるように角度が付けられる。いくつかの実施形態では、パッキン180は、座部と座部プレートの境界面190に挿入され、作動されると、角度の付いた肩部195が境界面190において座部23の中に押し込まれ、パッキン180の形状を変えることによってパッキン180を付勢する。いくつかの実施形態では、座部プレート23を座部23に対してバイアスすることにより、パッキン180を変形させる。いくつかの実施形態では、ゲート11が変形するとき、浮動座部プレート23は、その位置を関節動作で動かして、座部23と座部プレート23との間、およびゲート11と座部プレート23との間の封止を維持する。いくつかの実施形態では、浮動座部プレート23は、ゲート11が開位置から閉位置または閉位置から開位置に位置を変えるのに伴い、ゲート11の変化する表面寸法に合わせて調節する。いくつかの実施形態では、パッキン180は、境界面190とおよそ同じ寸法の矩形断面を備えてよい。いくつかの実施形態では、パッキン190は、境界面190の形状よりもわずかに大きい。いくつかの実施形態では、パッキン180は、パッキンの区画を備える。
【0082】
いくつかの実施形態では、パッキン180は、弁が熱サイクルを通じて移動するのに伴ってゲート11の熱膨張と共に関節動作するための自由度を、円錐形状の浮動座部プレート23に与える。いくつかの実施形態では、封止は、液体パージ媒体が封止に形成され得る隙間を満たすように液体パージ媒体を弁体の中に圧送することによって向上される。いくつかの実施形態では、パッキン180は、座部プレート23がゲート11の形状変化に応じて位置を変える際でも、座部23と浮動座部プレート23との間の封止をさらに向上させる。いくつかの実施形態では、浮動座部プレート23は、ゲート11の形状が変化する際でも、パッキン180および座部23およびゲート11に対する径方向にバイアスされた力を維持する。いくつかの実施形態では、浮動座部プレート23は、パッキン180および座部23およびゲートに対する径方向にバイアスされた力を維持する。いくつかの実施形態では、座部プレート23およびパッキン180は、処理中に本体内の圧力から座部23を隔離する。
【0083】
いくつかの実施形態では、パッキン180は、ゲート11と浮動座部プレート23と座部23が同時に接触するように、浮動座部プレート23の端から端までの移動を許容する。いくつかの実施形態では、パッキン180は、必ずしも座部プレート23と座部23との間の境界面を封止せず、代わりに、座部プレート23が座部23と共通になることができるように軸方向の移動を可能にする。よって、いくつかの実施形態では、ゲート11が熱膨張して変形する際、座部プレート23は、座部とは独立して位置を変えて、接触を、したがって座部プレート23とゲートとの間の封止を、向上させることができる。
【0084】
いくつかの実施形態では、パージ液を隔離するために座部プレート23に溶接171されるのに加えて、ベローズ170は、座部プレート23、座部23、およびゲート11間の封止力を強化・向上させるために、座部プレートと共に協働的にバイアスされる。ベローズ170は、座部プレートアセンブリ145に溶接171されて、パージ液チャンバ175を隔離する。いくつかの実施形態では、ベローズ170は、パージ液体積として曲がるように構成され、その結果生じる圧力が印加されて、ゲート11に対する座部プレートアセンブリ145のバイアス力を増大させる。いくつかの実施形態では、ベローズ170は、溶接可能な材料から作られる。いくつかの実施形態では、ベローズ170は、INCONEL(登録商標)、ニッケルクロム系の超合金、またはニッケル合金(例えば、Monel(登録商標)合金)からなる。いくつかの実施形態では、ベローズ170は、単一のばね折り部166を備えて構成され、いくつかの実施形態では、ベローズ170は、複数のばね折り部166を備えて構成され、折りの数は、必要とされる力および求められる移動の量によって決まる。いくつかの実施形態では、ベローズ170は、隣接構造と重なるベローズタブを備える。いくつかの実施形態では、ベローズタブは、ベローズタブが隣接構造に溶接171される、溶接表面171を提供する。いくつかの実施形態では、隣接構造は、浮動座部プレート23を含む。いくつかの実施形態では、ベローズタブは、パッキン180に溶接171される。いくつかの実施形態では、パージ液チャンバ175は、中央開口20から離れる方を向くベローズ170の表面上に構成され、いくつかの実施形態では、パージ液チャンバ175は、中央開口175の方を向くベローズ表面175に接している。いくつかの実施形態では、パージ液は、ポート185を通ってパージ液チャンバ175に入り、パージ液チャンバ175の容積を増大させる。いくつかの実施形態では、チャンバ175の容積が増大し、パージ液が、ばね165およびベローズ170などの他のバイアス部材を協働的にバイアスして、座部プレート23が座部23に対してかけるバイアス力、および座部プレート23がゲート11に対して及ぼすバイアス力、および座部23がゲート11に対してかける力を増大させる。いくつかの実施形態では、ベローズ170は、バイアスを維持するように折られて圧縮される材料の硬い薄板である。
【0085】
溶接部171は、これらに限定されないが、いくつかの例を挙げると、電気アーク、レーザ溶接、TIG、および電子溶接を含む、任意の好適な技術で形成されてよい。この溶接部62は、ベローズ170とパッキン180との間の流体密の接合または封止を保証して、弁開口20内の流体流が第1のポートと第2のポート36、38の間に制限されるようにし、また、プロセス流体が、上部ボンネット30および下部ボンネット33ならびにアクチュエータ65に入る、または外部環境に逃げることがないようにする。
【0086】
いくつかの実施形態では、弁は、パージ液を継続的にポート185およびパージ液チャンバ175に通すように構成される。いくつかの実施形態では、パージ液は、プロセス流体がボンネット、パージ液チャンバ175、ポート185、または弁体35に入るのを防止するために、正圧下に保たれて、継続的にパージスラリーを弁体から出し、弁開口20に入れる。いくつかの実施形態では、座部プレート180は、封止表面25を保護された状態に保つために、ゲート11に対する常時の接触および荷重を維持する。いくつかの実施形態では、パージ液は、パージ液チャンバ175、ポート185、または弁体35を通じて高い圧が強制されて、ストローク中に入っている可能性のある流体プロセスをこれら空間からパージする。いくつかの実施形態では、座部プレート23は、すべてのプロセスが捉えられ、弁体チャンバ35に入ることが許されないように、ゲートストロークを通じたすべての位置においてゲート11との常時の接触を維持する、延長された座部プレート197である。
【0087】
いくつかの実施形態では、パッキン180、185は、浮動座部プレート23がパッキン180を押圧し、パッキン180を径方向に圧縮するのに伴い、形状を変化させて、座部プレート23と座部23との間の封止を向上させる。いくつかの実施形態では、パッキン180は、浮動座部プレート180と座部23の境界面190を緩衝して、座部プレート180がバイアス下でその自由度を維持できるようにし、よって、ゲート11が熱サイクルの熱と圧力下で熱膨張する際も、浮動座部プレート180は、「浮動」または関節動作して、座部プレート180と、座部23と、ゲート11との間の封止を、ボール/コーンおよびソケット方式で維持する。いくつかの実施形態では、弁は、開口20内での上流および下流への充分な軸方向の座部の移動を可能にして、ゲート11の両側で封止荷重を均衡させるために、2枚の座部プレート180を備える。いくつかの実施形態では、段付きボルト199は、ゲート11の各側で各座部に対する軸方向の強力な止め部の役割を果たして、上流座部23がゲート11とのその封止接触を維持することを可能にする。
【0088】
いくつかの実施形態では、ゲート11の各側の延長座部プレート23は、弁がゲートポートを閉じて、プロセスを一般的には他の貫通導管スラブゲート弁上で本体内に曝すときに、プロセスが本体に入るのを防止する。いくつかの実施形態では、延長座部プレート23は動的であり、弁の底部にあるキャリパによってばね荷重がかけられる。いくつかの実施形態では座部プレート23は、作動中、弁体キャビティ35内の正圧パージ液のチャージによってさらに荷重がかけられるかまたはバイアスされる。いくつかの実施形態では、パージ液は、精製プロセスの一部として流体が加圧される下流から取られる。いくつかの実施形態では、加圧されていないスラリー流体が、水圧ポンプによって取り込まれて加圧され、他の知られている機器が、パージ液を強制的にチャンバ175に入れて、ベローズの力を補い、座部プレート23とゲート11との間の封止を強化する。いくつかの実施形態では、浮動座部プレート23は、座部23を越えて延びている197。いくつかの実施形態では、浮動座部プレート23は、すべてのプロセス流体が座部23から隔離され、弁体に入るのを防止されるように、ゲートとの常時の接触を維持するように構成される。
【0089】
いくつかの実施形態では、弁は、弁を封止する封止システム155を備えてよい。いくつかの実施形態では、封止システム155は、パージ液チャンバ175を備える。いくつかの実施形態では、封止システム155は、座部プレート23と座部23との間の封止を向上させるように構成されたパッキン180をさらに備える。いくつかの実施形態では、封止システム155は、二重の動的なライブロード(live-loaded)浮動台座プレートを備え、これらは、開口20のいずれかのフランジ側からの高い圧力に等しく封止する双方向の封止を提供する。
【0090】
いくつかの実施形態は、弁体35とパージ液チャンバ175との間の流体連通を提供するポート185、187を備える。いくつかの実施形態では、パージ液は、弁体35から一方または両方のポート185または187を通り、パージ液チャンバ175に入って、浮動座部プレート23をゲート11および座部23に対してバイアスする。いくつかの実施形態は、座部23と座部プレート23との間の境界面で座部23に形成されたポート185、187と、座部プレート23が座部23に対してバイアスされたときに座部23の中に径方向の力を生じさせるように構成された、角度の付いた棚部195を備える円錐形の座部プレート23とを備える。いくつかの実施形態では、ポート187は、座部23と座部プレート23との間の封止を向上させるように構成されたパッキン180をさらに備える。いくつかの実施形態では、パッキン180は、グラファイト、ファイバーガラス、SPECTRA(登録商標)ファイバーまたはカーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ、押出し成形されたナノチューブ、または他の適切な材料からなる。
【0091】
いくつかの実施形態では、隔離弁14は、座部プレート23上の少なくとも1つのポート185を弁開口20から隔離するように構成され、隔離弁14は、第1の側部12および第2の側部13を有するゲートを備え、座部23は、開口20と、ゲートを受けるように構成された受け部分200であって、ゲートは、座部23の中間で受け部分200に選択的に挿入されるように構成されている、受け部分200と、座部23に形成された少なくとも1つのポート185と、座部23に接して座部23と開口20との間に同心に入れ子にされる円錐形の座部プレート23であって、座部プレート23は、座部23に形成された少なくとも1つのポート185を開口20から隔離するように構成され、座部プレート23は、座部23とは独立して関節動作するようにさらに構成される、座部プレート23と、座部プレート23を座部23に対してバイアスして座部23を開口20から隔離するように構成されたバイアスシステム160と、をさらに備える。いくつかの実施形態では、隔離弁14は、円錐形の座部プレート23と座部23との間の境界面190に置かれたパッキン180をさらに備え、このパッキン部材180は、座部プレート23が座部23に対してバイアスされるのに伴ってパッキン部材180が径方向に圧縮されるときに変形する。いくつかの実施形態では、円錐形の座部プレート23は、座部23との境界面190となる、角度の付いた表面を有する棚部195を備え、バイアスシステム160が作動されたときにパッキン180を径方向に圧縮するように構成される。いくつかの実施形態では、隔離弁14のバイアスシステム160は、パージ液チャンバ175のパージ液体積が増大したときに、パージ液チャンバ175を膨張させ、座部プレート23および座部23をゲート11に対してバイアスするために協働するように構成された、ばね165、ベローズ170、およびパージ液チャンバ175を備える。
【0092】
いくつかの実施形態は、パージ液ポートを弁開口20から隔離する方法を教示し、この方法は、第1の側部12および第2の側部13を有するゲートを用意することと、座部23を用意することとを含み、座部23は、開口20と、ゲートを受けるように構成された受け部分200であって、ゲートは、座部23の中間で受け部分200に選択的に挿入されるように構成されている、受け部分200と、座部23に形成された少なくとも1つのポート185と、座部23に接して座部23と開口20との間に同心に入れ子にされる円錐形の座部プレート23であって、座部プレート23は、座部23に形成された少なくとも1つのポート185を開口20から隔離するように構成され、座部プレート23は、座部23とは独立して関節動作するようにさらに構成される、座部プレート23と、を備え、方法はさらに、バイアスシステム160を使用して座部プレート23を座部23に対してバイアスすることと、円錐形の座部プレート23と座部23との間の境界面190に置かれたパッキン部材180を圧縮して、少なくとも1つのポート185を開口20から実質的に隔離することと、を含む。
【0093】
いくつかの実施形態では、方法は、角度の付いた棚部195を座部プレート23上に設けることをさらに含み、この棚部195は、座部23との境界面190となり、座部プレート23が座部23に対してバイアスされたときに座部23を径方向に圧縮する。いくつかの実施形態では、方法は、棚部195と座部23の境界面190にパッキン180を設けることをさらに含み、パッキン180は、座部プレート23に対してバイアス力が作用すると径方向に圧縮されるように構成される。
【0094】
いくつかの実施形態では、方法は、パージ液チャンバ175をパージ液で加圧することにより、座部プレート23を座部23に対して選択的にバイアスすることをさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、ゲートが移動するときに座部プレート23が座部にこすりつけられるように座部23を越えて延びる座部プレート23で、弁体をプロセス流体から隔離することをさらに含む。いくつかの実施形態は、方法のステップを異なる順序で行う、ステップの実行を遅らせる、またはステップをまとめて削除する。
【0095】
最後に、本明細書に開示される本開示の実施形態は本開示の原理を例示するものであることが理解されるべきである。採用され得る他の変更が本開示の範囲内にある。よって、限定ではなく例として、本開示の代替の構成が、本明細書における教示に従って利用されてよい。したがって、本開示は、図示され、説明された通りのものに制限されない。
【国際調査報告】