(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-19
(54)【発明の名称】機械式スイッチを含む電気自動車用ハンドルアセンブリ
(51)【国際特許分類】
E05B 81/64 20140101AFI20240112BHJP
E05B 85/18 20140101ALI20240112BHJP
B60J 5/04 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
E05B81/64
E05B85/18 Z
B60J5/04 H
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023540998
(86)(22)【出願日】2022-01-06
(85)【翻訳文提出日】2023-08-30
(86)【国際出願番号】 EP2022050210
(87)【国際公開番号】W WO2022148814
(87)【国際公開日】2022-07-14
(32)【優先日】2021-01-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516180070
【氏名又は名称】ユーシン イタリア ソチエタ ペル アツィオーニ
(74)【代理人】
【識別番号】110003292
【氏名又は名称】弁理士法人三栄国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トマ ペイノット
(72)【発明者】
【氏名】アントニー ゲラン
(72)【発明者】
【氏名】フレデリク シトロン
(72)【発明者】
【氏名】アレッシオ ガヨーニ
【テーマコード(参考)】
2E250
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250BB05
2E250BB38
2E250FF03
2E250HH01
2E250KK01
2E250KK02
2E250LL01
2E250PP02
2E250PP12
2E250QQ02
2E250SS05
(57)【要約】
【課題】製造コストが安く、取り付け空間および作動に必要な空間が少なくて済む自動化された車両ドアハンドルアセンブリを提供する。
【解決手段】本発明は、
- 車両の外側パネル(13)に対して面一に配置されるハウジング(12)と、
- 前記ハウジング(12)に収容され、回転軸(X-X)に沿って延在し、休止位置とドア開放位置との間で前記回転軸(X-X)の周りを回転するようになっている回転可能なフラップ(20)と、
- 車両ドアを解放するために車両ドアコントローラに送信される電気信号を生成する機械式作動スイッチ(28)と、を備える車両ドアハンドルアセンブリ(10)であって、
前記車両ドアハンドルアセンブリ(10)は、カムホルダ(30)と、前記カムホルダ(30)に支持されるカム(32)とをさらに備え、前記カムホルダ(30)は、前記回転軸(X-X)の周りを回転可能となるように前記回転可能なフラップ(20)に連結されており、前記回転可能なフラップ(20)の回転により前記カムホルダ(30)が回転し、前記カムホルダ(30)の回転により、前記カム(32)が前記機械式作動スイッチ(28)を作動させることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
- 車両の外側パネル(13)に対して面一に配置されるハウジング(12)と、
- 前記ハウジング(12)に収容され、回転軸(X-X)に沿って延在し、休止位置とドア開放位置との間で前記回転軸(X-X)の周りを回転するようになっている回転可能なフラップ(20)と、
- 車両ドアを解放するために車両ドアコントローラに送信される電気信号を生成する機械式作動スイッチ(28)と、を備える車両ドアハンドルアセンブリ(10)であって、
前記車両ドアハンドルアセンブリ(10)は、カムホルダ(30)と、前記カムホルダ(30)に支持されるカム(32)とをさらに備え、前記カムホルダ(30)は、前記回転軸(X-X)の周りを回転可能となるように前記回転可能なフラップ(20)に連結されており、前記回転可能なフラップ(20)の回転により前記カムホルダ(30)が回転し、前記カムホルダ(30)の回転により、前記カム(32)が前記機械式作動スイッチ(28)を作動させることを特徴とする車両ドアハンドルアセンブリ(10)。
【請求項2】
前記カムホルダ(30)は、長手方向に沿って延在するカムレバー(34)を備え、前記カムレバー(34)は、前記回転可能なフラップ(20)の前記回転軸(X-X)にヒンジ止めされた第1端部(34A)と、前記第1端部(34A)とは反対側にあり前記カム(32)を支持する第2端部(34B)と、を備えることを特徴とする請求項1記載の車両ドアハンドルアセンブリ(10)。
【請求項3】
前記回転可能なフラップ(20)は、ほぼ平面であり、一方では、前記回転軸(X-X)に沿って延在する2つの平行な直線状の長手方向側部(20L)によって区切られており、他方では、前記回転軸(X-X)に対してほぼ直角な方向に沿って延在する2つの平行な直線状の側部(20l)によって区切られていることを特徴とする請求項1又は2記載の車両ドアハンドルアセンブリ(10)。
【請求項4】
前記カムホルダ(30)の回転により、前記回転可能なフラップ(20)の長手方向側部の動きに追従するように前記カム(32)の動きが誘発されることを特徴とする請求項3記載の車両ドアハンドルアセンブリ(10)。
【請求項5】
前記カムレバー(34)は、前記回転可能なフラップ(20)の側部とほぼ平行であり、前記回転可能なフラップ(20)の前記側部に隣接して配置されることを特徴とする請求項2を引用する請求項3又は請求項2を引用する請求項4記載の車両ドアハンドルアセンブリ(10)。
【請求項6】
前記カムホルダ(30)の回転軸は、前記回転軸(X-X)に沿って前記回転可能なフラップ(20)に開けられた第1フラップ穴(37)に挿入されるようになっている前記カムレバー(34)の前記第1端部(34A)から出た第1ピン(36)であり、これにより、前記カムレバー(34)が前記回転可能なフラップ(20)の側部とほぼ平行になることを特徴とする請求項2を引用する請求項3又は請求項5記載の車両ドアハンドルアセンブリ(10)。
【請求項7】
前記カムレバー(34)の第2端部(34B)の隣に位置する前記カムレバー(34)の孔(34H)に挿入された第2ピン(38)も、前記回転可能なフラップ(20)の前記側部(20I)に沿って前記第1フラップ穴(37)の反対側に位置する前記回転可能なフラップ(20)の第2フラップ穴(39)に挿入されることを特徴とする請求項6記載の車両ドアハンドルアセンブリ(10)。
【請求項8】
前記カムレバー(34)の長さは、前記回転可能なフラップ(20)の側部と少なくとも同じであることを特徴とする請求項2を引用する請求項3又は請求項5から7のいずれか1項記載の車両ドアハンドルアセンブリ(10)。
【請求項9】
前記機械式作動スイッチ(28)は、可撓性ブレード(40)を備え、前記カムホルダ(30)の回転中に、前記カム(32)の接触面(32S)が前記可撓性ブレード(40)と接触し、前記回転軸(X-X)を横切る少なくとも一方向に前記可撓性ブレード(40)を押すことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項記載の車両ドアハンドルアセンブリ(10)。
【請求項10】
前記可撓性ブレード(40)は、前記回転可能なフラップ(20)の前記回転軸(X-X)に対してほぼ直角に配向されていることを特徴とする請求項9記載の車両ドアハンドルアセンブリ(10)。
【請求項11】
前記機械式作動スイッチ(28)は、押しボタン(44)を備え、前記カムホルダー(30)の回転中に、前記可撓性ブレード(40)が前記押しボタン(44)に接触して前記押しボタン(44)を押し、前記押しボタン(44)を押すと、車両ドアを解放するために車両ドアコントローラに送信される電気信号が生成されることを特徴とする請求項9又は10記載の車両ドアハンドルアセンブリ(10)。
【請求項12】
前記カム(32)の接触面(32S)は、2つのほぼ直線面(43)を繋ぐ傾斜面(42)で形成されていることを特徴とする請求項1から11のいずれか1項記載の車両ドアハンドルアセンブリ(10)。
【請求項13】
前記ハウジング(12)は、前記回転可能なフラップ(20)へのアクセスを可能にする容積(V)を区切るボウル形の受容面(15)を備えることを特徴とする請求項1から12のいずれか1項記載の車両ドアハンドルアセンブリ(10)。
【請求項14】
休止位置にある前記回転可能なフラップ(20)とドア開放位置にある前記回転可能なフラップ(20)とが形成する角度は、2°~6°度であることを特徴とする請求項3から13のいずれか1項記載の車両ドアハンドルアセンブリ(10)。
【請求項15】
休止位置にある回転可能なフラップ(20)とドア開放位置にある回転可能なフラップ(20)との間の距離は、6mm未満、好ましくは4mm未満であることを特徴とする請求項3から14のいずれか1項記載の車両ドアハンドルアセンブリ(10)。
【請求項16】
前記車両ドアハンドルアセンブリ(10)は、ドアラッチ機構に連結されかつ前記ドアラッチ機構を機械的に作動させて車両ドアを解放するケーブル(48)を備えるバックアップ解放機構(46)も備え、前記バックアップ解放機構(46)は、前記受容面(15)の内側に位置する鍵穴に鍵を差し込むことによって作動するようになっていることを特徴とする請求項1から15のいずれか1項記載の車両ドアハンドルアセンブリ(10)。
【請求項17】
前記回転可能なフラップ(20)は、硬質プラスチック、例えばポリプロピレンで作られた第2セクション(24)上にオーバーモールドされた、ゴムなどのエラストマーで作られた第1セクション(22)を備えることを特徴とする請求項1から16のいずれか1項記載の車両ドアハンドルアセンブリ(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両ドアの開放を制御するドア開放アセンブリに関し、特に機械的に作動するドアハンドルレバー又はノブを使用せずに電気的手段によって制御される自動化されたドアラッチに関する。
【背景技術】
【0002】
自動化されたドアラッチは、車両のドアパネルを自動化された方法で選択的にロック又は解放する。本明細書において自動化されたドアラッチとは、ユーザがハンドルレバー、ノブなどを握って動かすことでラッチを作動させるためのエネルギーを与えることがないドアラッチを指す。
【0003】
ドアパネルが解放されると、ユーザ又は電動パネルアクチュエータがドアパネルをスイング又はスライドさせて、車両への物理的なアクセスが可能になる。自動化されたドアラッチは、通常の場合、車両の外面に膨らんだハンドルレバーを必要としない。その結果、車両の空気抵抗を低減できると同時に、車両の外観を流線形にすることができる。
【0004】
ほとんどの自動化されたドアラッチは、車両ドアを解放するために、作動信号を受信するとボルト、フック、又はレバーを作動させる電動アクチュエータを備えている。このような電動アクチュエータは、電気式スイッチ又は機械式スイッチを使用して作動させることができる。電気式スイッチには、機械式スイッチと比較して、変位する機械部品のストロークに必要な空間を設ける必要がないため、ドアアセンブリ内の空間を節約できるという利点がある。しかし、機械式スイッチとは異なり、コストがかかり、ドアアセンブリの電子回路が複雑になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の目的は、製造コストが低く、取り付け空間および作動に必要な空間が少なくて済む自動化された車両ドアハンドルアセンブリを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、本発明は、
- 車両の外側パネルに対して面一に配置されるハウジングと、
- 前記ハウジングに収容され、回転軸に沿って延在し、休止位置とドア開放位置との間で前記回転軸の周りを回転するようになっている回転可能なフラップと、
- 車両ドアを解放するために車両ドアコントローラに送信される電気信号を生成する機械式作動スイッチと、を備える車両ドアハンドルアセンブリであって、
前記車両ドアハンドルアセンブリは、カムホルダと、前記カムホルダに支持されるカムとをさらに備え、前記カムホルダは、前記回転軸の周りを回転可能となるように前記回転可能なフラップに連結されており、前記回転可能なフラップの回転により前記カムホルダが回転し、前記カムホルダの回転により、前記カムが前記機械式作動スイッチを作動させることを特徴とする。
【0007】
この車両ドアハンドルアセンブリが回転可能なフラップに連結されたカムホルダを備え、このカムホルダが回転軸の周りを回転できるようになっているという事実により、回転可能なフラップの回転によりカムホルダが回転し、前記機械式作動スイッチが作動する。回転可能なフラップが回転するのに利用できる空間が非常に少ない場合でも、つまり利用可能なストローク空間がほとんどない場合でも、機械式作動スイッチを作動させることができる。このような配置は、確かに回転軸に沿った空間のみを必要とし、回転可能なフラップのストローク方向に沿った空間を必要としない。
【0008】
車両ドアハンドルアセンブリは、以下に説明する態様のうちの1つ又はいくつかを単独で又は組み合わせて提供することができる。
【0009】
一実施形態によれば、前記カムホルダは、例えば、長手方向に沿って延在するカムレバーを備え、前記カムレバーは、前記回転可能なフラップの前記回転軸にヒンジ止めされた第1端部と、前記第1端部とは反対側にあり前記カムを支持する第2端部と、を備える。この特別な構成により、カムレバー構造を利用して、回転可能なフラップの非常に小さな枢動運動をカムの十分な運動に変換して機械式作動スイッチを作動させることができる。
【0010】
別の実施形態によれば、前記回転可能なフラップは、特にほぼ平面であり、一方では、前記回転軸に沿って延在する2つの平行な直線状の長手方向側部によって区切られており、他方では、前記回転軸に対してほぼ直角な方向に沿って延在する2つの平行な直線状の側部によって区切られている。このような形状の回転可能なフラップは、空間をほとんどとらず、製造が容易であり、ユーザにとって操作も容易である。
【0011】
車両ドアハンドルアセンブリが占める空間、特に回転可能なフラップのストローク方向に占める空間をさらに制限するために、前記回転可能なフラップの長手方向側部の動きに追従するカムホルダの回転により、カムの動きが誘発される。
【0012】
車両ドアハンドルアセンブリが占める空間、特に回転可能なフラップのストローク方向に占める空間をさらに制限するために、前記カムレバーは、前記回転可能なフラップの側部とほぼ平行であり、前記回転可能なフラップの前記側部に隣接して配置される。
【0013】
車両ドアハンドルアセンブリが占める空間をさらに制限するために、前記カムホルダの回転軸は、例えば前記回転軸(X-X)に沿って前記回転可能なフラップに開けられた第1フラップ穴に挿入されるようになっている前記カムレバーの前記第1端部から出た第1ピンを備えており、これにより、前記カムレバーが前記回転可能なフラップの側部とほぼ平行になる。
【0014】
さらなる態様によれば、前記カムレバーの第2端部の隣に位置する前記カムレバーの孔に挿入された第2ピンも、前記回転可能なフラップの前記側部に沿って前記第1フラップ穴の反対側に位置する前記回転可能なフラップの第2フラップ穴に挿入される。
【0015】
車両ドアハンドルアセンブリが占める空間をさらに制限するために、前記カムレバーの長さは、前記回転可能なフラップの側部の長さと少なくとも同じである。
【0016】
さらなる態様によれば、前記機械式作動スイッチは、可撓性ブレードを備え、前記カムホルダの回転中に、前記カムの接触面が前記可撓性ブレードと接触し、前記回転軸を横切る少なくとも一方向に前記可撓性ブレードを押す。
【0017】
別の態様によれば、前記可撓性ブレードは、前記回転可能なフラップの前記回転軸に対してほぼ直角に配向することができる。この特定の構成により、回転可能なフラップの非常に小さな動きを、機械式作動スイッチを作動させるのに十分な動きに変換することもできる。
【0018】
別の態様によれば、前記機械式作動スイッチは、押しボタンを備え、前記カムホルダの回転中に、前記可撓性ブレードが前記押しボタンに接触して前記押しボタンを押し、前記押しボタンを押すと、車両ドアを解放するために車両ドアコントローラに送信される電気信号が生成される。
【0019】
更に、前記カムの接触面は、2つのほぼ直線面を繋ぐ傾斜面を提供することができる。この構成により、傾斜面の勾配によって、押しボタンを押すストローク速度が決定される。
【0020】
車両ドアハンドルアセンブリの前記ハウジングは、例えば前記回転可能なフラップ(20)へのアクセスを可能にする容積を区切るボウル形の受容面を備える。
【0021】
休止位置にある前記回転可能なフラップとドア開放位置にある前記回転可能なフラップとが形成する角度は、例えば2°~6°度である。
【0022】
更に、休止位置にある回転可能なフラップとドア開放位置にある回転可能なフラップとの間の距離は、6mm未満、好ましくは4mm未満である。
【0023】
何らかの理由で電流が利用できなくなった場合、前記車両ドアハンドルアセンブリ(10)は、ドアラッチ機構に連結されかつ前記ドアラッチ機構を機械的に作動させて車両ドアを解放するケーブル(48)を備えるバックアップ解放機構(46)も備え、前記バックアップ解放機構(46)は、前記受容面(15)の内側に位置する鍵穴に鍵を差し込むことによって作動するようになっている。
【0024】
ユーザにとって心地よい手触りと十分な耐久性を備えたハンドルを実現するために、前記回転可能なフラップは、硬質プラスチック、例えばポリプロピレンで作られた第2セクション上にオーバーモールドされた、ゴムなどのエラストマーで作られた第1セクションを備える。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の特定の実施形態による車両ドアハンドルアセンブリの斜視図である。
【
図2】
図1の平面II-IIに沿った断面図である。
【
図3】
図1の車両ドアハンドルアセンブリの構成部品の斜視図である。
【
図5】
図1の車両ドアハンドルアセンブリの機械式スイッチ、カムレバーおよび回転可能なフラップの側面図である。
【
図6】本発明の特定の実施形態による車両用ドアハンドルアセンブリを別の角度から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明は、添付の図を参照しながら以下の記載を考慮することにより、よりよく理解されるであろう。
【0027】
本発明の特定の実施形態による車両ドアハンドルアセンブリ10が
図1および
図2に示されている。
【0028】
車両ドアハンドルアセンブリ10は、車両の外側パネル13に対して面一に設置されるハウジング12を備える。
【0029】
ハウジングは、上部ケーシング14と、上部ケーシング14の内部へのアクセスを可能にする容積Vを区切るボウル状の受容面15とを備える。ここで、
図1からわかるように、受容面15は、直線に囲まれた断面を有する受容面用フレーム15Aによって区切られており、その2つの端部はU字形断面によって繋がれている。
【0030】
上部ケーシング14は、形状がほぼ長方形であり、上部ケーシングの前壁17と上部ケーシングの後壁18との間に、上部ケーシングの前壁17とほぼ平行なハウジング用空間16を含む。回転可能なフラップ20がハウジング用空間16内に収容される。
【0031】
図2からわかるように、上部ケーシングの前壁17は、ほぼ平面で車両の外側パネル13に対して面一である上部セクション17Aと、ほぼ平面であるが上部セクション17Aを横切る下部セクション17Bとを備える。より具体的には、下部セクション17Bは、上部セクション17Aと受容面15とを繋ぎ、受容面用フレーム15Aの直線セクションの後方で受容面15に連結する。したがって、前壁17の下部セクション17Bと上部ケーシングの後壁18との間の距離は、前壁17の上部セクション17Aと上部ケーシングの後壁18との間の距離よりも短い。
【0032】
図2からわかるように、受容面15は、上部ケーシングの後壁18によって延長されている。ハウジング用空間16は、回転可能なフラップ20を作動させるために、ハンドルを使用するユーザの手を容積Vおよびハウジング用空間16の残りの空間に挿入できるように容積Vに連結されている。より正確に言うと、手の指を最初に容積Vの内側に挿入し、ハウジング用空間16内を上に移動させる。ここで、ハウジング用空間16の幅は、50mm未満であり、好ましくは20mmを超える。
【0033】
利用可能な空間が狭いので、ハウジング用空間16の大部分は、ユーザの手が通過できるように空洞になっている。したがって、回転可能なフラップ20は、上部ケーシングの前壁17にできるだけ寄せて配置される。
【0034】
次に
図3および
図4を参照すると、回転可能なフラップ20は、回転軸X-X(
図2の面に対して直角)に沿って延在している。より正確に言うと、
図4から最もよくわかるように、回転可能なフラップ20は、ほぼ平面であり、一方では、回転軸X-Xに沿って延在する2つの平行な直線状の長手方向側部20Lによって区切られており、他方では、回転軸X-Xに対してほぼ直角な方向に沿って延在する2つの平行な直線状の側部20Iによって区切られている。
【0035】
回転可能なフラップ20は、硬質プラスチック、例えばポリプロピレンで作られた第2セクション24上にオーバーモールドされた、ゴムなどのエラストマーで作られた第1セクション22を備える。第1セクション22は、ハウジング用空間16に挿入された手が触り心地の良い表面に最初に接触するように、ハウジング用空間16に面して配置される。
【0036】
好ましくは、受容面15に最も近い、すなわちハウジング用空間16の入口に最も近く、容積Vに近接するその長手方向側部20Lにおいて、回転可能なフラップ20は、長手方向側部20L全体に沿って延びるボス27を備えることが好ましい。このボス27により、ユーザは、手をハウジング用空間16に挿入するとすぐに、回転可能なフラップ20を容易に感じて押すことができる。容積Vの入口とボス27との間の距離は、15mm未満であることが好ましい。
【0037】
回転可能なフラップ20は、図に示す位置に対応する休止位置とドア開放位置(図示せず)との間で、回転軸X-Xの周りを回転するようになっている。
【0038】
本実施形態において、回転可能なフラップ20と上部ケーシングの前壁17との間の残りの空間26の幅は、前壁の下部セクション17Bと上部ケーシングの後壁18との間の距離からユーザの指を挿入するために残されたハウジング用空間16の幅と回転可能なフラップ20自体の幅とを差し引いた距離に相当し、6mm未満である。したがって、回転可能なフラップ20のストロークは、この距離内に制限される。例えば、回転可能なフラップ20のストローク、すなわち休止位置にある回転可能なフラップ20とドア開放位置にある回転可能なフラップ20との間の距離は、6mm未満、好ましくは4mm未満である。休止位置にある回転可能なフラップ20とドア開放位置にある回転可能なフラップ20とは、2°~6°の角度を形成する。
【0039】
しかし、本発明は、たとえ回転可能なフラップ20のストロークが非常に制限されているとしても、前記回転可能なフラップ20が機械式作動スイッチ28を作動させ、車両ドアを解放するために車両ドアコントローラ(図示せず)に送信される電気信号を生成することができる。より具体的には、本発明は、機械式作動スイッチ28のストロークを回転可能なフラップ20のストロークよりも長くすることができる。
【0040】
この目的のために、車両ドアハンドルアセンブリ10は、カムホルダ30およびカムホルダ30によって支持されるカム32も備える。カムホルダ30は、回転軸X-Xの周りを回転可能となるように回転可能なフラップ20に連結されている。
【0041】
本実施形態において、カムホルダ30は、長手方向に沿って延びるカムレバー34を備え、このカムレバー34は、回転可能なフラップ20の回転軸X-Xにヒンジ止めされた第1端部34Aおよび第1端部34Aとは反対側にあり、カム32を支持する第2端部34Bを備える。
【0042】
より具体的には、カムホルダ30の回転軸は、カムレバーの第1端部34Aから出た第1ピン36が回転軸X-Xに沿って回転可能なフラップ20に開けられた第1フラップ穴37に挿入されることによって形成されている。これにより、カムレバー34は、回転可能なフラップ20の側部20Iとほぼ平行となる。カムレバー34の第2端部34Bの隣に位置するカムレバー34の孔34Hに挿入された第2ピン38も、回転可能なフラップ20の側部20Iに沿って第1フラップ穴37の反対側に位置する回転可能なフラップ20の第2フラップ穴39に挿入される。
【0043】
ここで、
図3および
図4からわかるように、カムレバー34の長さは、回転可能なフラップ20の側部20Iの長さと少なくとも同じであり、ここでは、ほぼ同じ長さである。
【0044】
ここで
図4および
図5を参照すると、車両ドアハンドルアセンブリ10は、回転可能なフラップ20の回転によりカムホルダ30の回転を引き起こし、カムホルダ30の回転によりカム32が機械式作動スイッチ28を作動させるようになっている。
【0045】
より具体的には、機械式作動スイッチ28は、可撓性ブレード40を備える。これにより、カムホルダ30の回転中、カム32の接触面32Sが可撓性ブレード40と接触し、回転軸X-Xを横切る少なくとも一方向に可撓性ブレード40を押す。ここで、可撓性ブレード40は、回転可能なフラップ20の回転軸X-Xに対してほぼ直角である長手方向軸に沿って延びている。可撓性ブレード40の一端部41は湾曲している。
【0046】
図5からよくわかるように、カム32の接触面32Sは、2つのほぼ直線面43を繋ぐ傾斜面42で形成されている。この構成により、傾斜面42の勾配によって、押しボタン44を押すストローク速度が決定される。
【0047】
可撓性ブレード40は最初に第1直線面43に接触するが、まだ機械式作動スイッチ28は作動していない。機械式作動スイッチ28の作動は、可撓性ブレード40が傾斜面42と接触したときに可能となり、これは可撓性ブレード40が可撓性ブレード40の反対側に配置された押しボタン44にも接触した時点に対応する。こうして、カムホルダ30の回転中、可撓性ブレード40が押しボタン44に接触し、押しボタン44を押す。押しボタン44を押すと、車両ドアを解放するために車両ドアコントローラに送信される電気信号が生成される。
【0048】
図1と比較して車両ドアハンドルアセンブリ10の裏側を示す
図6からわかるように、車両ドアハンドルアセンブリ10は、車両の電力不足など、電流が利用できない場合に、ユーザが車両ドアを開けることができるバックアップ解放機構46も備えている。
【0049】
バックアップ解放機構46は、ドアラッチ機構(図示せず)に連結され、かつ前記ドアラッチ機構を機械的に作動させて車両ドアを解放するケーブル48を備える。
【0050】
バックアップ解放機構46は、受容面15の内側に位置する鍵穴に鍵(図示せず)を差し込むことによって作動するようになっている。ここで、
図1からわかるように、鍵穴は、鍵穴にアクセスするために移動することができる隠し壁50によって隠されている。
【0051】
したがって、回転可能なフラップ20と上部ケーシング14の後壁18との間のわずかなハウジング用空間16において、本発明は、電気的に制御されるドアラッチ用の車両ドアハンドルアセンブリ10の非常にコンパクトな設計を達成していることが明確に理解されよう。これは、特に機械式作動スイッチ28の特定の位置、即ち、機械式作動スイッチ28が回転可能なフラップ20の一方の側にあり、その長手方向軸が回転可能なフラップ20の回転軸X-Xに対して直角になるように配向されていることによって、さらに、機械式作動スイッチ28の押しボタン44を作動させるのに必要なストロークを得るために小さな枢動運動を増幅する細長いカムホルダ30によって達成される。
【符号の説明】
【0052】
10 車両ドアハンドルアセンブリ
12 ハウジング
13 車両の外側パネル
14 上部ケーシング
15 受容面
15A 受容面用フレーム
16 ハウジング用空間
17 上部ケーシングの前壁
17A 前壁の上部セクション
17B 前壁の下部セクション
18 上部ケーシングの後壁
20 回転可能なフラップ
20L 回転可能なフラップの長手方向側部
20I 回転可能なフラップの側部
22 回転可能なフラップの第1セクション
24 回転可能なフラップの第2セクション
26 残りの空間
27 回転可能なフラップのボス
28 機械式作動スイッチ
30 カムホルダ
32 カム
32S カムの接触面
34 カムレバー
34A カムレバーの第1端部
34B カムレバーの第2端部
34H カムレバーの孔
36 第1ピン
37 第1フラップ穴
38 第2ピン
39 第2フラップ穴
40 可撓性ブレード
42 傾斜面
43 直線面
44 押しボタン
46 バックアップ解放機構
48 ケーブル
50 隠し壁
V 受容面によって区切られる容積
【国際調査報告】