(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-19
(54)【発明の名称】プロセス冷却棒
(51)【国際特許分類】
F28D 7/12 20060101AFI20240112BHJP
F28D 7/02 20060101ALI20240112BHJP
F28F 21/06 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
F28D7/12
F28D7/02
F28F21/06
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023541037
(86)(22)【出願日】2022-01-07
(85)【翻訳文提出日】2023-09-04
(86)【国際出願番号】 US2022011634
(87)【国際公開番号】W WO2022150600
(87)【国際公開日】2022-07-14
(32)【優先日】2021-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523254254
【氏名又は名称】サニシュア インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】バリュー クリス
(72)【発明者】
【氏名】ショア リチャード
【テーマコード(参考)】
3L103
【Fターム(参考)】
3L103AA33
3L103BB50
3L103CC12
3L103DD36
3L103DD38
(57)【要約】
【課題】プロセス容器内の液体を冷却又は加熱するプロセス熱交換棒である。
【解決手段】該棒は、線状外形を有し、プロセス容器の上壁を通過して下向きに伸びて下底部に接近してもよい。該棒は、内部に熱交換媒体用の循環流路が規定され、外側ジャケットと、中心貫通孔及び外側螺旋状フルートを有する分流器と、を含む。熱交換媒体は、下方に中心貫通孔を移動し、その後に分流器と外側ジャケットとの間に形成された螺旋溝を移動して戻り、その逆でもよい。プロセス流体の正確な加熱又は冷却は、熱交換棒の構成と、熱交換媒体の流量及び温度との変更によって達成される。これらの部品は、熱伝導率が高く、かつ通常、透明であるポリマーで射出成形されてもよい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセス容器内の流体を加熱又は冷却する流体プロセス熱交換棒を備えた装置において、
閉鎖遠位端及び開放近位端を規定する軸に沿って伸び、内腔が規定された細長いポリマー外側ジャケットと、
前記外側ジャケットの近位端に付着するマニホールドであって、前記内腔と流体連通する2つのコネクタを有し、第1コネクタが前記マニホールドを通る中心線からオフセットされ、第2コネクタが前記中心線に沿って配置されるとともに前記外側ジャケットと位置合わせされた、マニホールドと、
前記内腔内に位置する細長いポリマー分流器であって、前記分流器は、前記内腔において前記閉鎖遠位端との間に遠位空間が形成されるように、前記マニホールドから前記閉鎖遠位端から離れた点まで伸び、前記分流器は、中心内孔を有し、該中心内孔は、前記分流器の長さに沿って伸び、かつ前記第2コネクタと流体連通して前記第2コネクタと前記遠位空間を流体接続し、前記分流器はまた、外面を有し、該外面は、前記分流器の長さに沿って伸びるとともに、前記外側ジャケットに接触するようにその内径にほぼ等しい外径を有する少なくとも1つの螺旋状フルートによって規定され、前記少なくとも1つの螺旋状フルートは、前記外側ジャケットの内径から内側に離れた少なくとも1つの螺旋溝を規定し、前記少なくとも1つの螺旋溝は、前記分流器と前記外側ジャケットの間に、前記第1コネクタと前記遠位空間を流体接続する少なくとも1つの螺旋流路を形成する、分流器と、を含み、
前記熱交換棒は、前記第2コネクタに流入した流体が、遠位側に前記内孔を通過して前記遠位空間に到達し、前記少なくとも1つの螺旋流路を通過して前記遠位空間から近位側に前記第1コネクタに戻り、前記第1コネクタに流入した流体が、遠位側に前記少なくとも1つの螺旋流路を通過して前記遠位空間に到達し、前記内孔を通過して前記遠位空間から近位側に前記第2コネクタに戻るように構成されるため、熱交換棒を流れる流体が、プロセス容器内の流体を加熱又は冷却するのに適する、装置。
【請求項2】
少なくとも前記外側ジャケット及び前記分流器は、熱伝導率が23℃で少なくとも0.50W/mKのポリマーで射出成形される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
少なくとも前記外側ジャケット及び前記分流器は、熱伝導率が23℃で少なくとも0.90W/mKのポリマーで射出成形される、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記ポリマーは、透明である、請求項2又は3に記載の装置。
【請求項5】
前記ポリマーは、ポリプロピレン系樹脂である、請求項2~4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記分流器には、2つの平行な螺旋溝を規定する2つの平行な螺旋状フルートが形成される、先行する請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記細長いジャケットは、線状かつ筒状であり、閉鎖遠位端が半球状である、先行する請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
流体を保持するのに適するプロセス容器を更に含み、前記プロセス容器は、上壁を有し、前記熱交換棒は、前記外側ジャケットの閉鎖遠位端が前記プロセス容器の本体部の底部に向かって下向きに伸びて、前記プロセス容器内の流体に浸されるように、前記プロセス容器の上壁に取り付けられる、先行する請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記プロセス容器は、大きい本体部と、前記上壁を形成する、上方に傾斜した肩領域とを有するフラスコであり、前記熱交換棒は、前記外側ジャケットの閉鎖遠位端が前記プロセス容器の本体部の底部に向かって下向きに伸びるように、前記上壁に形成された孔を貫通して取り付けられる、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記熱交換棒は、トライクランプアセンブリ又はねじ接続により、前記上壁に形成された孔を貫通して着脱可能に取り付けられる、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記熱交換棒は、接着剤又は接合/溶接により前記上壁に固定される、請求項9に記載の装置。
【請求項12】
前記プロセス容器と前記熱交換棒は、単一の小売ユニットとして組み立てられ、そのように出荷され販売される、請求項8~11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記プロセス容器は、混合器を含み、前記混合器は、前記プロセス容器の下底部の真上に位置するとともに、垂直軸を中心として回転するように軸支された羽根を有する、請求項8~12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記混合器は、外部磁気ドライブにより回転を可能にするように、下底部に対向する磁石を内蔵している、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記熱交換棒の外側ジャケットは、閉鎖遠位端が前記容器の下底部に接近し、かつ前記混合器に隣接するように、下方に前記プロセス容器内に伸びるのに十分な長さを有する、請求項13又は14に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、化学生物プロセス用の熱交換素子に関する。
【背景技術】
【0002】
実験室環境における様々な化学生物プロセスは、熱を発生させる。例えば、プロセス媒体の定常濾過により、媒体の温度を迅速に上げることができ、特に媒体中に成長した脆弱な生体細胞に対して、有害な結果をもたらす。プロセス内容物の温度を下げる標準的な技術は、反応器又は容器を氷浴内に置くことである。しかしながら、これは、多くの課題をもたらし、特に重要なのは、冷却量を正確かつ確実に調整することである。また、プロセスは、規定量の熱を加える必要がある場合がある。
【0003】
冷却量又は加熱量を正確かつ確実に調整する、化学生物プロセス用の急速な熱交換解決策が求められている。
【発明の概要】
【0004】
本願は、生物反応器又は他の反応容器に挿入して温度を調整することができる棒状のプロセス冷却素子を開示する。プロセス冷却素子の使用方法は、棒をプロセス容器内の液体に浸すことを含み、棒は、容器の底部から少なくとも1インチ離れるように伸びて、容器内の液体と少量でも熱伝達を可能にする。容器から突出するマニホールドは、流体入口コネクタ及び流体出口コネクタを有する。冷却素子は、外側ジャケットと、マニホールドから外側ジャケットの閉鎖遠位端まで伸びる内部分流器と、を含む。分流器は、中心貫通孔と、ジャケットの内壁に接触し、分流器の長さに沿って1つ以上の螺旋流路を規定する1つ以上の外側螺旋状フルートと、を有する。上記方法は、冷却流体を入口コネクタに流入させることを含み、該冷却流体は、下方に中心孔を移動し、その後に上方に螺旋流路を移動して出口コネクタに到達する。入口が出口になるように、流れを反転してもよい。外側ジャケットと分流器は、ポリマーで形成されることが望ましい。該ポリマーは、時には透明であり、熱伝導率が高く、23℃で0.50W/mKよりも大きくてもよく、更に23℃で0.90W/mKよりも大きくてもよい。
【0005】
本明細書に係る装置の第1実施形態は、プロセス容器内の流体を加熱又は冷却する流体プロセス熱交換棒を備える。第1実施形態は、閉鎖遠位端及び開放近位端を規定する軸に沿って伸び、内腔が規定された細長いポリマー外側ジャケットと、前記外側ジャケットの近位端に付着するマニホールドであって、前記内腔と流体連通する2つのコネクタを有し、第1コネクタが前記マニホールドを通る中心線からオフセットされ、第2コネクタが前記中心線に沿って配置されるとともに前記外側ジャケットと位置合わせされた、マニホールドと、前記内腔内に位置する細長いポリマー分流器であって、前記分流器は、前記内腔において前記閉鎖遠位端との間に遠位空間が形成されるように、前記マニホールドから前記閉鎖遠位端から離れた点まで伸び、前記分流器は、中心内孔を有し、該中心内孔は、前記分流器の長さに沿って伸び、かつ前記第2コネクタと流体連通して前記第2コネクタと前記遠位空間を流体接続し、前記分流器はまた、外面を有し、該外面は、前記分流器の長さに沿って伸びるとともに、前記外側ジャケットに接触するようにその内径にほぼ等しい外径を有する少なくとも1つの螺旋状フルートによって規定され、前記少なくとも1つの螺旋状フルートは、前記外側ジャケットの内径から内側に離れた少なくとも1つの螺旋溝を規定し、前記少なくとも1つの螺旋溝は、前記分流器と前記外側ジャケットの間に、前記第1コネクタと前記遠位空間を流体接続する少なくとも1つの螺旋流路を形成する、分流器と、を有し、前記熱交換棒は、前記第2コネクタに流入した流体が、遠位側に前記内孔を通過して前記遠位空間に到達し、前記少なくとも1つの螺旋流路を通過して前記遠位空間から近位側に前記第1コネクタに戻り、前記第1コネクタに流入した流体が、遠位側に前記少なくとも1つの螺旋流路を通過して前記遠位空間に到達し、前記内孔を通過して前記遠位空間から近位側に前記第2コネクタに戻るように構成されるため、熱交換棒を流れる流体が、プロセス容器内の流体を加熱又は冷却するのに適する。更に、前記分流器には、2つの平行な螺旋溝を規定する2つの平行な螺旋状フルートが形成されてもよい。前記細長いジャケットは、線状かつ筒状であり、閉鎖遠位端が半球状であってもよい。
【0006】
本明細書に係る装置の第2実施形態は、上述した、プロセス容器内の流体を加熱又は冷却する流体プロセス熱交換棒と実質的に同じである流体プロセス熱交換棒を備える。分流器は、少なくとも1つの螺旋状フルートによって規定された外面の代わりに、前記分流器の長さに沿って伸びるとともに、前記外側ジャケットに接触するようにその内径にほぼ等しい外径を有するリブによって規定された外面を有する。リブは、前記分流器と前記外側ジャケットの間に、前記第1コネクタと前記遠位空間を流体接続する少なくとも1つの流路を規定し、熱交換流体が前記少なくとも1つの流路を流れる。
【0007】
本明細書で開示されるいずれかの実施形態において、前記外側ジャケット及び前記分流器は、熱伝導率が23℃で少なくとも0.50W/mK又は23℃で少なくとも0.90W/mKのポリマーで射出成形されてもよい。前記ポリマーは、透明であってもよく、ポリプロピレン系樹脂であってもよい。
【0008】
本明細書で開示されるいずれかの実施形態において、前記装置は、流体を保持するのに適するプロセス容器を更に含んでもよく、前記プロセス容器は、上壁を有し、前記熱交換棒は、前記外側ジャケットの閉鎖遠位端が前記プロセス容器の本体部の底部に向かって下向きに伸びて、前記プロセス容器内の流体に浸されるように、前記プロセス容器の上壁に取り付けられる。前記プロセス容器は、大きい本体部と、前記上壁を形成する、上方に傾斜した肩領域とを有するフラスコであってもよく、前記熱交換棒は、前記外側ジャケットの閉鎖遠位端が前記プロセス容器の本体部の底部に向かって下向きに伸びるように、前記上壁に形成された孔を貫通して取り付けられる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図4】例示的なプロセス冷却棒が上壁を貫通してシールスリーブにより取り付けられたプロセス容器を示す図である。
【
図5】プロセス容器の上壁の拡大図であり、プロセス冷却棒の代替的な取付配置を示す。
【
図7】プロセス容器の上壁の拡大図であり、プロセス冷却棒のトライクランプ取付アセンブリを示す。
【
図8】上壁を貫通する場合の分解垂直断面図である。
【
図9】プロセス容器の上壁の拡大図であり、プロセス冷却棒のねじ取付配置を示す。
【
図11】下底部を中心として回転するように軸支された羽根を有する内部混合器を有する例示的なフラスコの断面図であり、例示的なプロセス冷却棒のフラスコ内の配置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
生物反応器又は他の反応容器に挿入して温度を調整することができる、棒状のプロセス冷却素子について説明する。冷却棒の主な用途は媒体の温度を下げることであるが、冷却棒の有益な特性はまた、プロセス媒体の温度を上げるために適用されるため、より広く、熱交換素子又は棒が開示されることを理解されたい。また、冷却素子は、好ましくは、細長い線状棒の形状を有するが、湾曲棒、又は該冷却素子を用いた容器の形状を反映する不規則な形状などの他の形状にも適合する。更に、プロセス冷却棒のサイズは、要求される冷却能力によって異なってもよい。例示的な適用において、単一の冷却棒が示されるが、複数の冷却棒が用いられてもよい。最後に、冷却棒の好ましい材料について説明するが、特に明記しない限り、これに限定されると考えられるべきではない。
【0011】
プロセス熱交換素子の特に有用な用途は、液体、例えば、充填ステップにおいて製造される薬物を加熱して薄めることである。つまり、熱交換素子は、液状薬を含むプロセス容器内に下降する充填ニードルに接近して置かれてもよい。充填ニードルのすぐ周囲の液体を効率よく加熱することで、液体を薄めることができるため、容器からの引き抜きが容易になる。別の用途は、様々な媒体の限外ろ過中に用いられる。生物反応器に用いられる特定のろ過器は、滞留物を蓄積し、流れる流体に対する抵抗の増加により温度が上昇する傾向がある。温度上昇により、重要な媒体を損傷させる可能性があるため、熱交換素子を流体に置く。
【0012】
図1は、例示的なプロセス冷却棒20の斜視図であり、
図2は、例示的なプロセス冷却棒を縦断面に示す。例示的な実施形態において、冷却棒20は、閉鎖端24と、閉鎖端の反対側の開放端に固定されたハブ又はマニホールド26とを有する中空の外側ハウジング又はジャケット22を含む。マニホールド26は、第1コネクタ28及び第2コネクタ30に対してマウント及び内部通路を提供する。外側ジャケット22は、筒状かつ線状であってもよく、縦軸を規定し、その閉鎖端24が半球状キャップによって形成される。マニホールド26は、
図2の断面図に示すように、略円筒形状を有し、ジャケット22の開放端の外側周囲に密封して付着する。接着剤又は加熱接合は、部品の接続に用いられてもよい。第1コネクタ28は、マニホールド26から半径方向に突出し、第2コネクタ30は、軸方向に突出し、縦軸に沿って中心に置かれる。コネクタ28、30の両方は、従来のホースバーブとして形成されてもよい。
【0013】
また、
図3の分解図に示すように、細長い分流器32は、筒状のジャケット22の内壁34に密着し、内壁34のほぼ全長に沿って伸びる。分流器32は、サイズが内壁34の直径とほぼ同じの平坦な外周ランドを有する螺旋状のリブ又はフルート36を規定する。螺旋状フルート36は、サイズ指定され、分流器32の長さに沿って伸びる2つの平行なフルートが存在するようにピッチを有する。凹状の螺旋溝38は、フルート36の間に形成され、内壁34内に螺旋流路40を規定する。
【0014】
軸方向に配向した第2コネクタ30は、縦軸を中心とする中心貫通孔42を規定し、中心貫通孔42は、分流器32を貫通する中心孔44と流体連通する。孔44は、マニホールド26と、分流器の遠位端と半球状キャップ24の内壁との間によって規定されたプレナムチャンバ46との間で、分流器32の長さに沿って伸びる。矢印で示すように、コネクタ30の貫通孔42に流入した加圧流体は、下向きにプレナムチャンバ46に到達するまで孔44を移動する。
【0015】
螺旋溝38は、分流器32の下端に開口するため、プレナムチャンバ46内の加圧流体は、溝に沿って上向きに移動する。最後に、流体は、分流器32の頂部に到達し、外側ジャケット22及びマニホールド26内に規定された環状空間47に入る。半径方向に配向した第1コネクタ28内に形成された出口流路48は、マニホールド26内の短い軸方向流路50を介して環状空間47と連通する。当然のことながら、流れは、加圧流体が第1コネクタ28から入って下向きに螺旋溝38を移動し、上向きに中心孔44を移動するように反転されてもよいことを理解されたい。どちらにしても、一定流量の冷却(又は加熱)流体は、プロセス冷却棒20を通して循環することができる。示されないが、熱交換媒体は、熱交換棒20の外部の冷却器又は加熱器を通して循環し、プロセス容器の近傍に位置してもよい。
【0016】
図3に示すように、第1コネクタ28は、マニホールド26とは別体に成形されたアイテムであってもよい。また、第2コネクタ30は、別体であってもよいが、
図2の断面図に示すように、マニホールドと一体成形されていることが望ましい。
【0017】
図4は、例示的なプロセス冷却棒20が上壁62を貫通して取り付けられたプロセス容器60を示す。図示の実施形態において、プロセス容器60は、略円筒状の本体部61と、上壁62を形成する、上方に傾斜した肩領域とを有する大型フラスコである。上向きに続いて、容器60は、キャップ66によって閉じられた上口に至るネック領域64を有する。いくつかの用途では、キャップ66は、撹拌アセンブリに置き換えられてもよい。
【0018】
無菌性のために、冷却棒20と、上壁62を貫通する孔69との間に、スリーブ又は他種のシールスリーブ68を固定してもよい。シールスリーブ68は、取り外し可能であってもよく、冷却棒20とプロセス容器60とは、シールスリーブ68により組み立てられ(接合又は溶接され)、単一ユニットとして販売されてもよい。これにより、容器内のプロセス流体の冷却又は加熱に対して内蔵オプションを提供する。シールスリーブ68は、エラストマー又は硬質ポリマーであってもよく、冷却棒20及び上壁62を貫通する孔の両方に接合又は溶接される。
【0019】
冷却棒20は、閉鎖端キャップ24が容器の底部70に接近するまでプロセス容器60内に下向きに伸びる。一実施形態において、冷却棒20は、冷却棒がシールスリーブ68を貫通して取り付けられている場合、閉鎖端キャップ24が容器60の底部70から1インチ以下離れるように伸びるような長さを有する。このようにして、冷却棒20は、示すように、容器の底部のより低層の流体に到達して、それと熱交換を開始する。
【0020】
示されないが、入口筒状流体管及び出口筒状流体管は、マニホールド26から突出する第1コネクタ28、第2コネクタ30に付着して冷却棒20を流れる冷却(又は加熱)流を開始する。当業者には明らかなように、冷却棒20を流れる流体の温度及び流量は、容器60内の流体の温度を正確に調整するように変更することができる。
【0021】
図5は、プロセス容器60の上壁62の拡大図であり、プロセス冷却棒20の代替的な取付配置を示す。
図6は、代替的な取付配置の垂直断面図であり、冷却棒20の筒状のジャケット22が上壁62の孔を下向きに貫通することを示す。円周フランジ80は、マニホールド26の下端に形成され、接着剤又は接合/溶接により上壁62に固定される。この取付配置により、製造業者によって組み立てられる永久接続が可能となるため、プロセス容器60は、装着した冷却棒20と共に一体として出荷され販売される。
【0022】
図7は、プロセス容器60の上壁62の拡大図であり、プロセス冷却棒20のトライクランプ取付アセンブリ90を示す。
図8は、アセンブリ90を分解して示し、アセンブリ90は、共に弾性ガスケット94を挟む上フランジ92及び下フランジ94を含む。上フランジ92は、冷却棒20のマニホールド26と一体に形成されているように示されるが、当然のことながら、別体に形成してシールされてもよい。下フランジ94は、下方に向けた筒状のスリーブ98に接続される。筒状のスリーブ98は、上壁62の孔を下向きに貫通し、シールされてもよく、接合又は締結されてもよい。示すように、上フランジ92の下面及び下フランジ94の上面は、弾性ガスケット94の頂部及び底部の円形リブと嵌合する円形溝を有する。
【0023】
示されないが、衛生気密シールのために3つのトライクランプ部品を共に一時的に保持するために、従来、外部メカニカルクランプが用いられる。例えば、Muskego, WIに所在するSanitary Fittings,LLCは、https://sanitaryfittings.us/product-category/fittings/clamp-fittings/clampsにおいて多くの異なるクランプを提供し、それらは、参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0024】
トライクランプ取付アセンブリ90により、プロセス冷却棒20、又はサンプリング機器などの代替装置を容易に着脱することができる。これに対して、開口を塞ぐために下フランジ94にキャップを付着してもよい。
【0025】
図9は、プロセス容器60の上壁62の拡大図であり、プロセス冷却棒20のねじ取付配置を示す。
図10は、上壁62を貫通する場合の垂直断面図である。このアセンブリにおいて、冷却棒のマニホールド26の下端に形成された雄ねじ100は、取付スリーブ102内の雌ねじに嵌合する。スリーブ102は、上壁62の孔を貫通して下向きに伸び、シールされてもよく、接合又は締結されてもよい。嵌合ねじは、PGねじ、例えば、ねじ山の角度が80°のPG13.5であってもよく、通常、pH電極、溶存酸素(DO)プローブなどのプローブ、又は温度プローブ及び導電性プローブに用いられ、或いは、嵌合ねじは、標準NPTねじ、例えば、テーパーNPTねじ又はストレートNPTねじであってもよい。このシンプルな取付構造により、プロセス冷却棒20、又はサンプリング機器などの代替装置を容易に着脱することができる。或いは、開口を塞ぐために取付スリーブ102にプラグを付着してもよい。
【0026】
図11は、プロセス反応器及び混合系の一部を形成し、かつプロセス冷却棒20と統合されてもよい例示的なフラスコ又は容器120の破断斜視図である。容器120は、垂直側壁122を有する大きい本体部を含み、垂直側壁122は、示すように、リブ又は他の補強部材で補強されてもよく、両側にハンドルとして機能する凹部(図示せず)を内蔵してもよい。上方に傾斜した肩領域又は上壁126は、上部開口128につながり、容器の内容物を密封するために該上部開口128にキャップ(図示せず)を締結してもよい。いくつかのプロセスにおいて、キャップは、内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、Shorらの米国特許第10,260,036号に記載されているように、容器120の内部に対して流体を導入又は除去するために下向きに伸びるポート及びチューブを含んでもよい。容器120は、500mL~50Lの容積で設けられ、PET又はポリカーボネートで作られてもよい。
【0027】
図11は、容器の下底部129の真上に位置するとともに、垂直軸を中心として回転するように軸支された羽根132を有する内部混合器130を示す。混合器130は、容器120の下方及び外部にある外部磁気ドライブ(図示せず、撹拌板と呼ばれることもある)により回転することが望ましい。例えば、混合器130は、底部129に対向する2つの正反対の希土類磁石又はセラミック磁石を内蔵してもよく、磁気ドライブは、回転電磁石又は回転希土類磁石(図示せず)を有する。混合器130に接近することにより、磁気ドライブは、混合器を回転させることができる。
【0028】
上述したように、冷却棒20は、閉鎖端キャップ24が容器120の底部129に接近するまでプロセス容器120内に下向きに伸びる。一実施形態において、冷却棒20は、冷却棒が上壁126を貫通して取り付けられている場合、閉鎖端キャップ24が容器120の底部129から1インチ以下離れるように伸びるような長さを有する。このようにして、冷却棒20は、容器の底部の非常に低層の流体に到達して、それと熱交換を開始する。更に、冷却棒20は、混合器130の周囲の流体に到達して、熱伝達と流体撹拌を効果的に同時に行う。
【0029】
分流器32の螺旋構造は、外側螺旋冷却流路の表面積を最大にする。有利に、冷却棒20の全体は、プラスチックで作られる。例えば、全ての部品は、透明なポリカーボネートで作られてもよく、それにより、流れの流動中にその動画又は静止画を撮影することができる。好ましくは、材料は、プラスチックであり、a)非反応性で、b)熱伝導率ができるだけ高く、c)製造が容易で、d)リサイクル可能である。ステンレス鋼及び他の非反応性金属は、使い捨てとして認識されないが、使用される。
【0030】
冷却棒20の部品に用いられる例示的な材料は、Aveon Lake、OHIOに所在するPoly One Corporationから入手できるTherma-Techと呼ばれる高熱伝導性プラスチックである。Therma-Techポリマー組成物は、ポリプロピレン系樹脂である。PolyOneによってX TT-10279-002-04 El Natural(EM1003511360)という製品名が付けられる特定の組成物は、以下の性質を有する。
【表1】
【0031】
有利に、Therma-Techポリプロピレンは、ポリカーボネートよりも熱伝導率が40%高い。ポリカーボネートの熱伝導率は、通常、23℃で0.19~0.22W/mKである。したがって、用いられるポリマーの熱伝導率は、23℃で少なくとも0.50W/mKであることが好ましく、23℃で0.90W/mKであることがより好ましい。
【0032】
本明細書において「上」、「下」、「左」及び「右」などの用語が用いられるが、流体マニホールドは、上下逆などの様々な置き方で使用されてもよい。したがって、いくつかの記述用語は、絶対的な用語ではなく、相対的な用語として使用される。
【0033】
この説明全体を通して、示されている実施形態及び例は、開示又は請求された装置及び手順を限定するものではなく、例示的なものと見なされるべきである。本明細書に提示される例の多くは、方法動作又はシステム要素の特定の組み合わせを含むが、これらの動作及び要素は、同じ目的を達成するために他の方法で組み合わされてもよいことを理解されたい。一実施形態に関連して説明した動作、要素及び特徴は、他の実施形態における類似の役割から除外されることを意図するものではない。
【0034】
本明細書で使用される場合、「複数」は、2つ以上を意味する。本明細書で使用される場合、「セット」のアイテムは、1つ以上のそのようなアイテムを含んでもよい。請求項要素を変更する請求項における「第1」、「第2」、「第3」などの序数用語の使用は、それ自体では、ある請求項要素の別の請求項要素を上回る優先度、優先順位若しくは順序、又は方法の動作が実行される時間的順番を意味せず、請求項要素を区別するために、ある名前を持つ1つの請求項要素を、(序数用語の使用を除いて)同じ名前を持つ別の要素と区別するための単なる標示として使用される。
【手続補正書】
【提出日】2023-09-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセス容器内の流体を加熱又は冷却する流体プロセス熱交換棒を備えた装置において、
閉鎖遠位端及び開放近位端を規定する軸に沿って伸び、内腔が規定された細長
い外側ジャケットと、
前記外側ジャケットの近位端に付着するマニホールドであって、前記内腔と流体連通する2つのコネクタを有し、第1コネクタが前記マニホールドを通る中心線からオフセットされ、第2コネクタが前記中心線に沿って配置されるとともに前記外側ジャケットと位置合わせされた、マニホールドと、
前記内腔内に位置する細長いポリマー分流器であって、前記分流器は、前記内腔において前記閉鎖遠位端との間に遠位空間が形成されるように、前記マニホールドから前記閉鎖遠位端から離れた点まで伸び、前記分流器は、中心内孔を有し、該中心内孔は、前記分流器の長さに沿って伸び、かつ前記第2コネクタと流体連通して前記第2コネクタと前記遠位空間を流体接続し、前記分流器はまた、外面を有し、該外面は、前記分流器の長さに沿って伸びるとともに、前記外側ジャケットに接触するようにその内径にほぼ等しい外径を有する
2つの平行な螺旋状フルートによって規定され、前
記螺旋状フルートは、前記外側ジャケットの内径から内側に離れた
2つの平行な螺旋溝を規定し、前記
2つの平行な螺旋溝は、前記分流器と前記外側ジャケットの間に、前記第1コネクタと前記遠位空間を流体接続する
2つの平行な流路を形成する、分流器と、
流体を保持するのに適するプロセス容器であって、該プロセス容器は上壁を有し、前記熱交換棒は、前記外側ジャケットの閉鎖遠位端が前記プロセス容器の本体部の底部に向かって下向きに伸びて、前記プロセス容器内の流体に浸されるように前記プロセス容器の上壁に取り付けられ、前記熱交換棒の前記外側ジャケットは、前記閉鎖遠位端が前記容器の下底部に近接するのに十分な長さを有する、プロセス容器と、
を含み、
前記熱交換棒は、前記第2コネクタに流入した流体が、遠位側に前記内孔を通過して前記遠位空間に到達し、前記少なくとも1つの螺旋流路を通過して前記遠位空間から近位側に前記第1コネクタに戻り、前記第1コネクタに流入した流体が、遠位側に前記少なくとも1つの螺旋流路を通過して前記遠位空間に到達し、前記内孔を通過して前記遠位空間から近位側に前記第2コネクタに戻るように構成されるため、熱交換棒を流れる流体が、プロセス容器内の流体を加熱又は冷却するのに適する、装置。
【請求項2】
前記外側ジャケッ
トは、
非反応性金属で作られている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
少なくと
も前記分流器は、熱伝導率が23℃で少なくとも
0.50W/mKのポリマーで射出成形される、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記
非反応性金属は、
ステンレス鋼である、請求項2又は3に記載の装置。
【請求項5】
前記ポリマーは、ポリプロピレン系樹脂である、請求項
2~4いずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記ポリマーは、ポリカーボネートである、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記細長い
外側ジャケットは、線状かつ筒状であり、閉鎖遠位端が半球状である、
請求項1~6いずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記プロセス容器は、大きい本体部と、前記上壁を形成する、上方に傾斜した肩領域とを有するフラスコであり、前記熱交換棒は
、前記上壁に形成された孔を貫通して取り付けられる、請求項
1に記載の装置。
【請求項9】
前記熱交換棒は、トライクランプアセンブリ又はねじ接続により、前記上壁に形成された孔を貫通して着脱可能に取り付けられる、請求項
8に記載の装置。
【請求項10】
前記熱交換棒は、接着剤又は接合/溶接により前記上壁に固定される、請求項
8に記載の装置。
【請求項11】
前記熱交換棒の外側ジャケットは、前記容器の下底部から1インチ以下離れるように伸びるのに十分な長さを有する、請求項1~10いずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記プロセス容器は、混合器を含み、前記混合器は、前記プロセス容器の下底部の真上に位置するとともに、垂直軸を中心として回転するように軸支された羽根を有する、請求項
1~11いずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記混合器は、外部磁気ドライブにより回転を可能にするように、下底部に対向する磁石を内蔵している、請求項
12に記載の装置。
【請求項14】
前記熱交換棒の外側ジャケットは、前記容器の下底部
から前記混合器に隣接
して1インチ以下離れるように伸びるのに十分な長さを有する、請求項
12又は13に記載の装置。
【請求項15】
前記螺旋状フルートは、前記分流器の外径を規定し、前記外側ジャケットの内壁に接触する平坦な外側ランドを有する、請求項1~14いずれか一項に記載の装置。
【国際調査報告】