(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-19
(54)【発明の名称】癌の治療におけるKRAS G12C阻害剤の使用
(51)【国際特許分類】
A61K 31/519 20060101AFI20240112BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20240112BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240112BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20240112BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
A61K31/519
A61P11/00
A61P35/00
A61K9/20
A61P43/00 105
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023541058
(86)(22)【出願日】2022-01-07
(85)【翻訳文提出日】2023-08-28
(86)【国際出願番号】 US2022011673
(87)【国際公開番号】W WO2022150628
(87)【国際公開日】2022-07-14
(32)【優先日】2021-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500049716
【氏名又は名称】アムジエン・インコーポレーテツド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アン,アグネス・エル
(72)【発明者】
【氏名】ヘナリー,ハビー
(72)【発明者】
【氏名】ンガームチャムナンリー,ガタリー
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA36
4C076BB01
4C076CC15
4C076CC27
4C076FF04
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB09
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA34
4C086MA35
4C086MA52
4C086NA14
4C086ZA59
4C086ZB21
4C086ZB26
(57)【要約】
本開示は、特定の特徴を有する対象において非小細胞肺癌などの癌を治療することにおける、式I
の化合物(AMG 510、ソトラシブ)などのKRAS
G12C阻害剤に関する使用を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
KRAS G12C変異非小細胞肺癌の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、前記対象に、960mgの合計1日用量の、式I
【化1】
の化合物又はその薬学的に許容される塩を投与することを含み、前記対象は、50%未満のPD-L1腫瘍比率スコアを有する、方法。
【請求項2】
前記PD-L1腫瘍比率スコアは、1%以上且つ50%未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記PD-L1腫瘍比率スコアは、1%未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
KRAS G12C変異非小細胞肺癌の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、前記対象に、960mgの合計1日用量の、式I
【化2】
の化合物又はその薬学的に許容される塩を投与することを含み、前記対象は、STK11の機能喪失変異に関して陽性である、方法。
【請求項5】
前記対象は、KEAP1の機能喪失変異に関して陽性である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記対象は、KEAP1の野生型に関して陽性である、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
KRAS G12C変異非小細胞肺癌の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、前記対象に、960mgの合計1日用量の、式I
【化3】
の化合物又はその薬学的に許容される塩を投与することを含み、(i)前記対象は、50%未満のPD-L1腫瘍比率スコアを有するか、又は(ii)前記対象は、STK11の機能喪失変異に関して陽性である、方法。
【請求項8】
KRAS G12C変異非小細胞肺癌の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、前記対象に、960mgの合計1日用量の、式I
【化4】
の化合物又はその薬学的に許容される塩を投与することを含み、(i)前記対象は、50%未満のPD-L1腫瘍比率スコアを有し、及び(ii)前記対象は、STK11の機能喪失変異に関して陽性である、方法。
【請求項9】
KRAS G12C変異非小細胞肺癌の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、前記対象に、960mgの合計1日用量の、式I
【化5】
の化合物又はその薬学的に許容される塩を投与することを含み、(i)前記対象は、50%未満のPD-L1腫瘍比率スコアを有するか、(ii)前記対象は、STK11の機能喪失変異に関して陽性であるか、又は(iii)前記対象は、50%未満のPD-L1腫瘍比率スコアを有し、及び前記対象は、STK11の機能喪失変異に関して陽性である、方法。
【請求項10】
前記PD-L1腫瘍比率スコアは、1%以上且つ50%未満である、請求項7~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記PD-L1腫瘍比率スコアは、1%未満である、請求項7~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記対象は、KEAP1の機能喪失変異に関して陽性である、請求項7~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記対象は、KEAP1の野生型に関して陽性である、請求項7~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記対象は、以前の抗癌性全身療法を受けていない、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記対象は、少なくとも1回の以前の抗癌性全身療法を受けている、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記対象は、1回の以前の抗癌性全身療法を受けている、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記対象は、2回の以前の抗癌性全身療法を受けている、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記対象は、3回の以前の抗癌性全身療法を受けている、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記1回の以前の抗癌性全身療法は、抗PD1又は抗PD-L1免疫療法である、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項20】
1回の以前の抗癌性全身療法は、プラチナ系化学療法である、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項21】
前記非小細胞肺癌は、ステージIVの非小細胞肺癌である、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記非小細胞肺癌は、局所進行性又は転移性非小細胞肺癌である、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記対象は、1又は0の米国東海岸癌臨床試験グループ(ECOG)パフォーマンスステータスを有する、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記対象は、18歳以上である、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記化合物は、遊離塩基として投与される、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記化合物は、前記化合物及び薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物として投与される、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記医薬組成物は、固体剤形である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記医薬組成物は、経口投与のためのものである、請求項26又は27に記載の方法。
【請求項29】
前記医薬組成物は、錠剤である、請求項26~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記化合物の合計1日用量は、1日1回投与される、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年1月8日に出願された米国仮特許出願第63/135,449号明細書及び2021年5月17日に出願された米国仮特許出願第63/189,625号明細書の利益を主張するものであり、その各々は、全体として参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、特定の特徴を有する対象において非小細胞肺癌などの癌を治療することにおける、式Iの化合物(AMG 510、ソトラシブ)などのKRASG12C阻害剤に関する使用を提供する。
【背景技術】
【0003】
肺癌は、癌による死亡の主因であり、全ての肺癌症例の80%超が非小細胞肺癌(NSCLC)に分類される。世界中で、肺癌(小細胞及び非小細胞)は、男性及び女性の両方で生じる最も一般的な癌であり、2018年には推定209万件の症例があった(World Health Organization Statistics,2018)。2018年には、250000、470039及び1225000件を超える肺癌の新規の症例がそれぞれ北米、欧州及びアジアで報告された。2018年における肺癌に起因する死亡の推定数は、北米で173278件、欧州で387913件及びアジアで1068862件であった(Globocan-Lung Cancer,2018)。進行性NSCLC(ステージIIIB及びIV)は、重篤且つ生命を脅かす疾患であり、5年生存率は、5.2%である(Surveillance,Epidemiology,and End Results[SEER],2019)。
【0004】
発癌性RAS及びKRAS G12C変異
いくつかの癌原遺伝子変異は、NSCLCの発症において関係付けられている。これらの中で、癌原遺伝子のRASファミリーにおける変異が最も普及している。癌原遺伝子のRASファミリーは、細胞増殖及び生存の調節に関与するグアノシントリホスファターゼ(GTPase)をコードする3つの密接に関係する遺伝子からなる(Simanshu et al,2017;Barbacid,1987)。異なる腫瘍型は、RASの特定のアイソフォームにおける変異と関連し、カーステンラット肉腫ウイルス癌遺伝子ホモログ(KRAS)は、大部分の癌において最も高頻度に変異したアイソフォームである(Prior et al,2012)。
【0005】
KRAS変異の推定80%がコドン12で生じる。コドン12におけるKRAS G12C変異は、グアニンからチミンへの単一の置換であり、これによりアミノ酸位置12でのグリシンからシステインへの置換がもたらされる。タンパク質におけるこの構造変化は、グアノシントリホスファターゼ活性化タンパク質(GAP)の会合において欠陥をもたらし、それによりKRASタンパク質によるグアノシン三リン酸(GTP)の加水分解を低減する。結果として生じる活性型のGTP結合KRASの蓄積は、腫瘍細胞において増殖及び生存のシグナル伝達を引き起こす(Jones et al,2017)。KRAS G12C変異は、肺腺癌のおよそ13%において存在し、この腫瘍型で推定上の発癌駆動因子として同定された(AACR Project GENIE Consortium,2017;Biernacka et al,2016;Fernandez-Medarde and Santos,2011)。
【0006】
NSCLCを含むヒト癌におけるKRAS変異の役割は、数十年間知られていたが、KRAS G12C変異を特異的に標的化する阻害剤は、近年まで開発に成功していなかった(McCormick,2019)。
【0007】
既存の治療及びアンメットメディカルニーズ
進行性NSCLCの治療は、様々な発癌性変異のための免疫療法(チェックポイント阻害剤)及び標的化療法の発見以来、明確に改善されている。National Comprehensive Cancer Network(NCCN)及びEuropean Society for Medical Oncology(ESMO)治療ガイドラインは、発癌駆動因子変異に関してNSCLCを有する全ての対象の試験を要請している(Ettinger et al,2019;Planchard et al,2018)。しかしながら、KRAS G12C変異を有する腫瘍を特異的に標的化するNSCLCを有する対象の治療に関して、現在承認されている抗癌療法はない(Roman et al,2018;McCormick,2016)。さらに、発癌性KRAS変異は、稀に上皮増殖因子受容体遺伝子(EGFR)、未分化リンパ腫キナーゼ遺伝子(ALK)、B-raf遺伝子(BRAF);ROS癌原遺伝子1(ROS1)又は神経栄養性チロシンキナーゼ遺伝子(NTRK)などの他の発癌性変異と同時に生じる(Scheffler et al,2019;Martorell et al,2017;Gainor et al,2013)。したがって、KRAS G12C変異を含む発癌性KRAS変異を有する大部分の対象は、近年承認された標的化療法のための候補ではなく、結果的に標的化可能な変異を有しない対象として典型的に治療される(すなわち化学療法、免疫療法又は抗血管新生剤により)(Planchard et al,2018;Van Cutsem et al,2014)。
【0008】
アンメットメディカルニーズ
チェックポイント阻害剤は、新規のフロントライン療法として登場しており、抗血管新生剤を伴うか又は伴わない化学療法は、治療につながる変異を有しない対象のための第2選択以降の標準治療である(Ettinger et al,2019;Planchard et al,2018)。化学療法レジメンに対する低い奏効率及び第2選択以降の治療におけるNSCLCを有する対象の不十分な生存成績を考慮に入れると、新規のバイオマーカーに駆動される抗癌療法がこの対象集団において必要となる。
【0009】
二重の第1選択プラチナ含有化学療法(典型的にはシスプラチン/ペメトレキセド)を受容した、第2選択以降の療法において進行性/転移性NSCLCを有する対象(近年承認された標的化療法のための候補ではない)のための標準治療成績は、化学療法により(典型的にはタキサンにより)5.5%~13%の客観的奏効率(ORR;客観的奏効=完全奏効+部分奏効)及び化学療法+血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)阻害剤により9.7%~22.5%を示した(Gridelli et al,2018;Rittmeyer et al,2017;Herbst et al,2016;Borghaei et al,2015;Herbst et al,2007)。これらの試験は、化学療法単独に関してそれぞれ2.8~4.2ヶ月及び6~11.4ヶ月の無増悪生存期間(PFS)並びに全生存期間(OS)、VEGFR阻害剤を伴う化学療法に関してそれぞれ4.8~5.4ヶ月及び9.9~12.6ヶ月の無増悪生存期間(PFS)及び全生存期間(OS)も示した。第2選択以降の療法の状況において、KRAS変異に関して選択されていない患者は、抗PD-1療法で治療されるとき、4.0ヶ月の中央値PFSを示した。中央値OSは、12.7ヶ月であった(Herbst et al,2016)。
【0010】
さらに、KRAS G12C変異は、高いSTK11及びKEAP1変異レベルの存在下で観察された。STK11変異は、NSCLCにおいて高頻度で観察され、KRAS変異NSCLCにおいてさらに高頻度で観察された。この共変異パターンは、より低いOS及び免疫チェックポイント阻害剤に対する抵抗性と関連付けられている(Scheffler et al,2019;Ricciuti et al,2020;Pavan et al,2020;Tamiya et al,2020;An et al,2020;Uba et al,2020)。同様に、KEAP1の欠失は、NSCLCの前臨床モデルにおける化学療法抵抗性と関連付けられ、KEAP1変異は、NSCLCにおいてより低いOSと関連付けられた一方、KEAP1変異を保有するNSCLCを有する対象は、プラチナに基づく治療に対する感受性が低い(Jeong et al,2020;Tian et al,2016;Solis et al,2010;Arbour et al,2018;Goeman et al.,2019)。
【0011】
さらに、チェックポイント阻害剤の開発は、NSCLCなどの進行性癌のための治療方針を変化させた一方、大部分の対象は、治療に応答しない。プログラム死リガンド1(PD-L1)は、免疫療法臨床試験で試験されることになる早期のバイオマーカーとして登場した。PD-L1試験は、広範な適用範囲を有するバイオマーカーを提供しなかった一方、NSCLCなどの特定の腫瘍型に関する価値を実証し、現在の診療において一般的な免疫に基づくバイオマーカーであり続けている。(Davis et al.,2019)。実際に、米国食品医薬品局(FDA)は、例えば、特定のNSCLCの状況における単剤としての使用のためのペムブロリズマブの承認を、FDAに承認された試験によって決定されるとおりの1%以上のPD-L1腫瘍比率スコア(TPS)に関連付けた(ペムブロリズマブ添付文書、2020年11月改訂、https://www.merck.com/product/usa/pi_circulars/k/keytruda/keytruda_pi.pdf;2020年1月にアクセスされた)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】World Health Organization Statistics,2018
【非特許文献2】Globocan-Lung Cancer,2018
【非特許文献3】Surveillance,Epidemiology,and End Results[SEER],2019
【非特許文献4】Simanshu et al,2017
【非特許文献5】Barbacid,1987
【非特許文献6】Prior et al,2012
【非特許文献7】Jones et al,2017
【非特許文献8】AACR Project GENIE Consortium,2017
【非特許文献9】Biernacka et al,2016
【非特許文献10】Fernandez-Medarde and Santos,2011
【非特許文献11】McCormick,2019
【非特許文献12】Ettinger et al,2019
【非特許文献13】Planchard et al,2018
【非特許文献14】Roman et al,2018
【非特許文献15】McCormick,2016
【非特許文献16】Scheffler et al,2019
【非特許文献17】Martorell et al,2017
【非特許文献18】Gainor et al,2013
【非特許文献19】Van Cutsem et al,2014
【非特許文献20】Gridelli et al,2018
【非特許文献21】Rittmeyer et al,2017
【非特許文献22】Herbst et al,2016
【非特許文献23】Borghaei et al,2015
【非特許文献24】Herbst et al,2007
【非特許文献25】Ricciuti et al,2020
【非特許文献26】Pavan et al,2020
【非特許文献27】Tamiya et al,2020
【非特許文献28】An et al,2020
【非特許文献29】Uba et al,2020
【非特許文献30】Jeong et al,2020
【非特許文献31】Tian et al,2016
【非特許文献32】Solis et al,2010
【非特許文献33】Arbour et al,2018
【非特許文献34】Goeman et al.,2019
【非特許文献35】Davis et al.,2019
【非特許文献36】https://www.merck.com/product/usa/pi_circulars/k/keytruda/keytruda_pi.pdf
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
これらの生存成績及び治療の課題により、現在の療法は、不十分であり、以前に治療され且つ未治療の癌を有する対象のための治療方法の改善が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本明細書では、KRAS G12C変異非小細胞肺癌の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、対象に、960mgの合計1日用量の、式I
【化1】
の化合物又はその薬学的に許容される塩を投与することを含む方法が提供される。一実施形態では、対象は、50%未満のPD-L1腫瘍比率スコアを有する。一実施形態では、対象は、STK11の機能喪失変異などのSTK11の変異に関して陽性である。一実施形態では、対象は、KEAP1の機能喪失変異などのKEAP1の変異に関して陽性である。一実施形態では、対象は、脳転移を有しない。一実施形態では、対象は、骨転移を有しない。
【0015】
さらに、本明細書では、本明細書で開示される治療の方法に感受性である対象を同定する方法が提供される。本明細書では、本明細書で開示されるとおりの特定の特徴を有する対象のための治療を決定する方法も提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】利用可能なバイオマーカーデータ(N=86)を有した、(データカットオフ2020年12月1日)中央判定委員会に従って有効性に関して評価可能な対象集団(N=124)における腫瘍比率スコア(TPS)(<1%、1~49%及び≧50%)毎の異なるプログラム死リガンド1(PD-L1)発現レベル群に関する客観的奏効率(ORR、%、非レスポンダー/レスポンダー)を示す。
【
図2】利用可能なバイオマーカーデータ(N=104)を有した、(データカットオフ2020年12月1日)中央判定委員会に従って有効性に関して評価可能な対象集団(N=124)におけるSTK11/KEAP1の共存変異毎の客観的奏効率(ORR、%、非レスポンダー/レスポンダー)を示す。WT=野生型。MUT=変異体。
【
図3】TP53/STK11/KEAP1(データカットオフ2021年3月15日)毎の客観的奏効率(ORR、%、非レスポンダー/レスポンダー)を示す。
【
図4】STK11の共存変異によって重畳されたTPS(<1%、1~49%及び≧50%)毎のPD-L1発現レベル群による客観的奏効率(ORR、%)を示す(データカットオフ2021年3月15日)。Wt=野生型。Mut=変異体。
【
図5】KEAP1の共存変異によって重畳されたTPS(<1%、1~49%及び≧50%)毎のPD-L1発現レベル群による客観的奏効率(ORR、%)を示す(データカットオフ2021年3月15日)。Wt=野生型。Mut=変異体。
【
図6】TP53の共存変異によって重畳されたTPS(<1%、1~49%及び≧50%)毎のPD-L1発現レベル群による客観的奏効率(ORR、%)を示す(データカットオフ2021年3月15日)。Wt=野生型。Mut=変異体。
【
図7】STK11状態毎の無増悪生存期間(PFS)を示す(データカットオフ2021年3月15日)。WT=野生型。Mut=変異体。
【
図8】KEAP1状態毎の無増悪生存期間(PFS)を示す(データカットオフ2021年3月15日)。WT=野生型。Mut=変異体。
【発明を実施するための形態】
【0017】
第1の態様:PD-L1タンパク質発現
実施形態1として、本明細書では、非小細胞肺癌の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、(A)(i)KRAS G12C変異に関して対象から得られる試料をアッセイすること、及び(ii)PD-L1腫瘍比率スコアに関して対象から得られる試料をアッセイすること、並びに(B)960mgの合計1日用量の、式I
【化2】
の化合物又はその薬学的に許容される塩を、KRAS G12C変異に関して陽性であり、且つ50%未満のPD-L1腫瘍比率スコアを有する非小細胞肺癌を有する対象に投与することを含む方法が提供される。
【0018】
実施形態2として、本明細書では、KRAS G12C変異非小細胞肺癌の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、対象に、960mgの合計1日用量の、式I
【化3】
の化合物又はその薬学的に許容される塩を投与することを含み、対象は、50%未満のPD-L1腫瘍比率スコアを有する、方法が提供される。
【0019】
実施形態3として、本明細書では、非小細胞肺癌の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、対象に、960mgの合計1日用量の、式I
【化4】
の化合物又はその薬学的に許容される塩を投与することを含み、対象は、KRAS G12C変異に関して陽性である細胞を含み、対象は、50%未満のPD-L1腫瘍比率スコアを有する細胞を含む、方法が提供される。
【0020】
実施形態4として、本明細書では、非小細胞肺癌の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、対象に、960mgの合計1日用量の、式I
【化5】
の化合物又はその薬学的に許容される塩を投与することを含み、非小細胞肺癌は、KRAS G12C変異に関して陽性である細胞を含み、非小細胞肺癌は、50%未満のPD-L1腫瘍比率スコアを有する細胞を含む、方法が提供される。
【0021】
実施形態5として、本明細書では、非小細胞肺癌を有する対象が、式I
【化6】
の化合物又はその薬学的に許容される塩による治療に感受性であると同定する方法であって、(i)KRAS G12C変異に関して対象から得られる試料をアッセイすること、及び(ii)PD-L1腫瘍比率スコアに関して対象から得られる試料をアッセイすることを含み、試料がKRAS G12C変異に関して陽性であり、及び試料が50%未満のPD-L1腫瘍比率スコアを有するとき、対象は、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩による治療に対して感受性であると同定される、方法が提供される。
【0022】
実施形態6として、本明細書では、非小細胞肺癌を有する対象のための治療を決定する方法であって、(i)KRAS G12C変異に関して対象から得られる試料をアッセイすること、及び(ii)PD-L1腫瘍比率スコアに関して対象から得られる試料をアッセイすることを含み、試料がKRAS G12C変異に関して陽性であり、及び試料が50%未満のPD-L1腫瘍比率スコアを有するとき、対象のために決定された治療は、式I
【化7】
の化合物又はその薬学的に許容される塩を対象に投与することを含む、方法が提供される。
【0023】
実施形態7として、本明細書では、PD-L1腫瘍比率スコアが1%以上且つ50%未満である、実施形態1~6のいずれか1つによる方法が提供される。
【0024】
実施形態8として、本明細書では、PD-L1腫瘍比率スコアが1%未満である、実施形態1~6のいずれか1つによる方法が提供される。
【0025】
実施形態9として、本明細書では、PD-L1腫瘍比率スコアが免疫組織化学(IHC)試験を使用して決定される、実施形態1~8のいずれか1つによる方法が提供される。
【0026】
実施形態10として、本明細書では、試験がPD-L1 IHC 22C3 pharmDx試験である、実施形態9による方法が提供される。
【0027】
第2の態様:STK11及びKEAP1の共存変異
実施形態11として、本明細書では、非小細胞肺癌の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、(A)(i)KRAS G12C変異に関して対象から得られる試料をアッセイすること、及び(ii)STK11の機能喪失変異などのSTK11の変異に関して対象から得られる試料をアッセイすること、並びに(B)960mgの合計1日用量の、式I
【化8】
の化合物又はその薬学的に許容される塩を、KRAS G12C変異に関して陽性であり、且つSTK11の機能喪失変異などのSTK11の変異に関して陽性である非小細胞肺癌を有する対象に投与することを含む方法が提供される。
【0028】
実施形態12として、本明細書では、工程(A)が、(iii)KEAP1の機能喪失変異などのKEAP1の変異に関して対象から得られる試料をアッセイすることをさらに含み、工程(B)において、対象が、KRAS G12C変異に関して陽性であり、STK11の機能喪失変異などのSTK11の変異に関して陽性であり、且つKEAP1の機能喪失変異などのKEAP1の変異に関して陽性である非小細胞肺癌を有する、実施形態11による方法が提供される。
【0029】
実施形態13として、本明細書では、工程(A)が、(iii)KEAP1の野生型に関して対象から得られる試料をアッセイすることをさらに含み、工程(B)において、対象が、KRAS G12C変異に関して陽性であり、STK11の機能喪失変異などのSTK11の変異に関して陽性であり、且つKEAP1の野生型に関して陽性である非小細胞肺癌を有する、実施形態11による方法が提供される。
【0030】
実施形態14として、本明細書では、KRAS G12C変異非小細胞肺癌の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、対象に、960mgの合計1日用量の、式I
【化9】
の化合物又はその薬学的に許容される塩を投与することを含み、対象は、STK11の機能喪失変異などのSTK11の変異に関して陽性である、方法が提供される。
【0031】
実施形態15として、本明細書では、対象がKEAP1の機能喪失変異などのKEAP1の変異に関して陽性である、実施形態14の方法が提供される。
【0032】
実施形態16として、本明細書では、対象がKEAP1の野生型に関して陽性である、実施形態14の方法が提供される。
【0033】
実施形態17として、本明細書では、非小細胞肺癌の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、対象に、960mgの合計1日用量の、式I
【化10】
の化合物又はその薬学的に許容される塩を投与することを含み、対象は、KRAS G12C変異に関して陽性であり、且つSTK11の機能喪失変異などのSTK11の変異に関して陽性である細胞を含む、方法が提供される。
【0034】
実施形態18として、本明細書では、対象が、KEAP1の野生型に関して陽性である細胞をさらに含む、実施形態17の方法が提供される。
【0035】
実施形態19として、本明細書では、対象が、KEAP1の機能喪失変異などのKEAP1の変異に関して陽性である細胞をさらに含む、実施形態17の方法が提供される。
【0036】
実施形態20として、本明細書では、非小細胞肺癌の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、対象に、960mgの合計1日用量の、式I
【化11】
の化合物又はその薬学的に許容される塩を投与することを含み、非小細胞肺癌は、KRAS G12C変異に関して陽性であり、且つSTK11の機能喪失変異などのSTK11の変異に関して陽性である細胞を含む、方法が提供される。
【0037】
実施形態21として、本明細書では、癌が、KEAP1の野生型に関して陽性である細胞をさらに含む、実施形態20の方法が提供される。
【0038】
実施形態22として、本明細書では、癌が、KEAP1の機能喪失変異などのKEAP1の変異に関して陽性である細胞をさらに含む、実施形態20の方法が提供される。
【0039】
実施形態23として、本明細書では、非小細胞肺癌を有する対象が、式I
【化12】
の化合物又はその薬学的に許容される塩による治療に感受性であると同定する方法であって、(i)KRAS G12C変異に関して対象から得られる試料をアッセイすること、及び(ii)STK11の機能喪失変異などのSTK11の変異に関して対象から得られる試料をアッセイすることを含み、試料がKRAS G12C変異に関して陽性であり、及び試料がSTK11の機能喪失変異などのSTK11の変異に関して陽性であるとき、対象は、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩による治療に対して感受性であると同定される、方法が提供される。
【0040】
実施形態24として、本明細書では、(iii)KEAP1の機能喪失変異などのKEAP1の変異に関して対象から得られる試料をアッセイすることをさらに含み、試料がKRAS G12C変異に関して陽性であり、試料がSTK11の機能喪失変異などのSTK11の変異に関して陽性であり、及び試料がKEAP1の機能喪失変異などのKEAP1の変異に関して陽性であるとき、対象が式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩による治療に対して感受性であると同定される、実施形態23による方法が提供される。
【0041】
実施形態25として、本明細書では、(iii)KEAP1の野生型に関して対象から得られる試料をアッセイすることをさらに含み、試料がKRAS G12C変異に関して陽性であり、試料がSTK11の機能喪失変異などのSTK11の変異に関して陽性であり、及び試料がKEAP1の野生型に関して陽性であるとき、対象が式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩による治療に対して感受性であると同定される、実施形態23による方法が提供される。
【0042】
実施形態26として、本明細書では、非小細胞肺癌を有する対象のための治療を決定する方法であって、(i)KRAS G12C変異に関して対象から得られる試料をアッセイすること、及び(ii)STK11の機能喪失変異などのSTK11の変異に関して対象から得られる試料をアッセイすることを含み、試料がKRAS G12C変異に関して陽性であり、及び試料がSTK11の機能喪失変異などのSTK11の変異に関して陽性であるとき、対象のために決定された治療は、式I
【化13】
の化合物又はその薬学的に許容される塩を対象に投与することを含む、方法が提供される。
【0043】
実施形態27として、本明細書では、(iii)KEAP1の機能喪失変異などのKEAP1の変異に関して対象から得られる試料をアッセイすることをさらに含み、試料がKRAS G12C変異に関して陽性であり、試料がSTK11の機能喪失変異などのSTK11の変異に関して陽性であり、及び試料がKEAP1の機能喪失変異に関して陽性であるとき、対象のために決定された治療が式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩の対象への投与を含む、実施形態26による方法が提供される。
【0044】
実施形態28として、本明細書では、(iii)KEAP1の野生型に関して対象から得られる試料をアッセイすることをさらに含み、試料がKRAS G12C変異に関して陽性であり、試料がSTK11の機能喪失変異などのSTK11の変異に関して陽性であり、及び試料がKEAP1の野生型に関して陽性であるとき、対象のために決定された治療が式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩の対象への投与を含む、実施形態26による方法が提供される。
【0045】
実施形態29として、本明細書では、非小細胞肺癌の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、(A)(i)KRAS G12C変異に関して対象から得られる試料をアッセイすること、及び(ii)KEAP1の機能喪失変異などのKEAP1の変異に関して対象から得られる試料をアッセイすること、並びに(B)960mgの合計1日用量の、式I
【化14】
の化合物又はその薬学的に許容される塩を、KRAS G12C変異に関して陽性であり、KEAP1の機能喪失変異などのKEAP1の変異に関して陽性である非小細胞肺癌を有する対象に投与することを含む方法が提供される。
【0046】
実施形態30として、本明細書では、工程(A)が、(iii)STK11の機能喪失変異などのSTK11の変異に関して対象から得られる試料をアッセイすることをさらに含み、工程(B)において、対象が、KRAS G12C変異に関して陽性であり、KEAP1の機能喪失変異などのKEAP1の変異に関して陽性であり、且つSTK11の機能喪失変異などのSTK11の変異に関して陽性である非小細胞肺癌を有する、実施形態29による方法が提供される。
【0047】
実施形態31として、本明細書では、工程(A)が、(iii)KEAP1の野生型に関して対象から得られる試料をアッセイすることをさらに含み、工程(B)において、対象が、KRAS G12C変異に関して陽性であり、KEAP1の機能喪失変異などのKEAP1の変異に関して陽性であり、且つSTK11の野生型に関して陽性である非小細胞肺癌を有する、実施形態29による方法が提供される。
【0048】
実施形態32として、本明細書では、KRAS G12C変異非小細胞肺癌の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、対象に、960mgの合計1日用量の、式I
【化15】
の化合物又はその薬学的に許容される塩を投与することを含み、対象は、KEAP1の機能喪失変異などのKEAP1の変異に関して陽性である、方法が提供される。
【0049】
実施形態33として、本明細書では、対象がSTK11の機能喪失変異などのSTK11の変異に関して陽性である、実施形態32の方法が提供される。
【0050】
実施形態34として、本明細書では、対象がSTK11の野生型に関して陽性である、実施形態32の方法が提供される。
【0051】
実施形態35として、本明細書では、非小細胞肺癌の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、対象に、960mgの合計1日用量の、式I
【化16】
の化合物又はその薬学的に許容される塩を投与することを含み、対象は、KRAS G12C変異に関して陽性であり、且つKEAP1の機能喪失変異などのKEAP1の変異に関して陽性である細胞を含む、方法が提供される。
【0052】
実施形態36として、本明細書では、対象が、STK11の野生型に関して陽性である細胞をさらに含む、実施形態35の方法が提供される。
【0053】
実施形態37として、本明細書では、対象が、STK11の機能喪失変異などのSTK11の変異に関して陽性である細胞をさらに含む、実施形態35の方法が提供される。
【0054】
実施形態38として、本明細書では、非小細胞肺癌の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、対象に、960mgの合計1日用量の、式I
【化17】
の化合物又はその薬学的に許容される塩を投与することを含み、非小細胞肺癌は、KRAS G12C変異に関して陽性であり、KEAP1の機能喪失変異などのKEAP1の変異に関して陽性である細胞を含む、方法が提供される。
【0055】
実施形態39として、本明細書では、癌が、STK11の野生型に関して陽性である細胞をさらに含む、実施形態38の方法が提供される。
【0056】
実施形態40として、本明細書では、癌が、STK11の機能喪失変異などのSTK11の変異に関して陽性である細胞をさらに含む、実施形態38の方法が提供される。
【0057】
実施形態41として、本明細書では、非小細胞肺癌を有する対象が、式I
【化18】
の化合物又はその薬学的に許容される塩による治療に感受性であると同定する方法であって、(i)KRAS G12C変異に関して対象から得られる試料をアッセイすること、及び(ii)KEAP1の機能喪失変異などのKEAP1の変異に関して対象から得られる試料をアッセイすることを含み、試料がKRAS G12C変異に関して陽性であり、及び試料がKEAP1の機能喪失変異などのKEAP1の変異に関して陽性であるとき、対象は、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩による治療に対して感受性であると同定される、方法が提供される。
【0058】
実施形態42として、本明細書では、(iii)STK11の機能喪失変異などのSTK11の変異に関して対象から得られる試料をアッセイすることをさらに含み、試料がKRAS G12C変異に関して陽性であり、試料がKEAP1の機能喪失変異などのKEAP1の変異に関して陽性であり、及び試料がSTK11の機能喪失変異などのSTK11の変異に関して陽性であるとき、対象が式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩による治療に対して感受性であると同定される、実施形態41による方法が提供される。
【0059】
実施形態43として、本明細書では、(iii)STK11の野生型に関して対象から得られる試料をアッセイすることをさらに含み、試料がKRAS G12C変異に関して陽性であり、試料がKEAP1の機能喪失変異などのKEAP1の変異に関して陽性であり、及び試料がSTK11の野生型に関して陽性であるとき、対象が式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩による治療に対して感受性であると同定される、実施形態41による方法が提供される。
【0060】
実施形態44として、本明細書では、非小細胞肺癌を有する対象のための治療を決定する方法であって、(i)KRAS G12C変異に関して対象から得られる試料をアッセイすること、及び(ii)KEAP1の機能喪失変異などのKEAP1の変異に関して対象から得られる試料をアッセイすることを含み、試料がKRAS G12C変異に関して陽性であり、及び試料がKEAP1の機能喪失変異などのKEAP1の変異に関して陽性であるとき、対象のために決定された治療は、式I
【化19】
の化合物又はその薬学的に許容される塩を対象に投与することを含む、方法が提供される。
【0061】
実施形態45として、本明細書では、(iii)STK11の機能喪失変異などのSTK11の変異に関して対象から得られる試料をアッセイすることをさらに含み、試料がKRAS G12C変異に関して陽性であり、試料がKEAP1の機能喪失変異などのKEAP1の変異に関して陽性であり、及び試料がSTK11の機能喪失変異などのSTK11の変異に関して陽性であるとき、対象のために決定された治療が式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩の対象への投与を含む、実施形態44による方法が提供される。
【0062】
実施形態46として、本明細書では、(iii)STK11の野生型に関して対象から得られる試料をアッセイすることをさらに含み、試料がKRAS G12C変異に関して陽性であり、試料がKEAP1の機能喪失変異などのKEAP1の変異に関して陽性であり、及び試料がSTK11の野生型に関して陽性であるとき、対象のために決定された治療が式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩の対象への投与を含む、実施形態44による方法が提供される。
【0063】
第3の態様:脳転移の欠如
実施形態47として、本明細書では、非小細胞肺癌の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、(A)(i)KRAS G12C変異に関して対象から得られる試料をアッセイすること、及び(ii)対象が脳転移を有するかどうかを決定すること、並びに(B)960mgの合計1日用量の、式I
【化20】
の化合物又はその薬学的に許容される塩を、KRAS G12C変異に関して陽性であり、及び対象が脳転移を有しない非小細胞肺癌を有する対象に投与することを含む方法が提供される。
【0064】
実施形態48として、本明細書では、KRAS G12C変異非小細胞肺癌の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、対象に、960mgの合計1日用量の、式I
【化21】
の化合物又はその薬学的に許容される塩を投与することを含み、対象は、脳転移を有しない、方法が提供される。
【0065】
実施形態49として、本明細書では、非小細胞肺癌の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、対象に、960mgの合計1日用量の、式I
【化22】
の化合物又はその薬学的に許容される塩を投与することを含み、対象は、KRAS G12C変異に関して陽性である細胞を含み、対象は、脳転移を有しない、方法が提供される。
【0066】
実施形態50として、本明細書では、非小細胞肺癌の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、対象に、960mgの合計1日用量の、式I
【化23】
の化合物又はその薬学的に許容される塩を投与することを含み、非小細胞肺癌は、KRAS G12C変異に関して陽性である細胞を含み、対象は、脳転移を有しない、方法が提供される。
【0067】
実施形態51として、本明細書では、非小細胞肺癌を有する対象が、式I
【化24】
の化合物又はその薬学的に許容される塩による治療に感受性であると同定する方法であって、(i)KRAS G12C変異に関して対象から得られる試料をアッセイすること、及び(ii)対象が脳転移を有するかどうかを決定することを含み、試料がKRAS G12C変異に関して陽性であり、及び対象が脳転移を有しないとき、対象は、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩による治療に対して感受性であると同定される、方法が提供される。
【0068】
実施形態52として、本明細書では、非小細胞肺癌を有する対象のための治療を決定する方法であって、(i)KRAS G12C変異に関して対象から得られる試料をアッセイすること、及び(ii)対象が脳転移を有するかどうかを決定することを含み、試料がKRAS G12C変異に関して陽性であり、及び対象が脳転移を有しないとき、対象のために決定された治療は、式I
【化25】
の化合物又はその薬学的に許容される塩を対象に投与することを含む、方法が提供される。
【0069】
第4の態様:骨転移の欠如
実施形態53として、本明細書では、非小細胞肺癌の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、(A)(i)KRAS G12C変異に関して対象から得られる試料をアッセイすること、及び(ii)対象が骨転移を有するかどうかを決定すること、並びに(B)960mgの合計1日用量の、式I
【化26】
の化合物又はその薬学的に許容される塩を、KRAS G12C変異に関して陽性である非小細胞肺癌を有する対象であって、骨転移を有しない対象に投与することを含む方法が提供される。
【0070】
実施形態54として、本明細書では、KRAS G12C変異非小細胞肺癌の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、対象に、960mgの合計1日用量の、式I
【化27】
の化合物又はその薬学的に許容される塩を投与することを含み、対象は、骨転移を有しない、方法が提供される。
【0071】
実施形態55として、本明細書では、非小細胞肺癌の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、対象に、960mgの合計1日用量の、式I
【化28】
の化合物又はその薬学的に許容される塩を投与することを含み、対象は、KRAS G12C変異に関して陽性である細胞を含み、対象は、骨転移を有しない、方法が提供される。
【0072】
実施形態56として、本明細書では、非小細胞肺癌の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、対象に、960mgの合計1日用量の、式I
【化29】
の化合物又はその薬学的に許容される塩を投与することを含み、非小細胞肺癌は、KRAS G12C変異に関して陽性である細胞を含み、対象は、骨転移を有しない、方法が提供される。
【0073】
実施形態57として、本明細書では、非小細胞肺癌を有する対象が、式I
【化30】
の化合物又はその薬学的に許容される塩による治療に感受性であると同定する方法であって、(i)KRAS G12C変異に関して対象から得られる試料をアッセイすること、及び(ii)対象が骨転移を有するかどうかを決定することを含み、試料がKRAS G12C変異に関して陽性であり、及び対象が骨転移を有しないとき、対象は、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩による治療に対して感受性であると同定される、方法が提供される。
【0074】
実施形態58として、本明細書では、非小細胞肺癌を有する対象のための治療を決定する方法であって、(i)KRAS G12C変異に関して対象から得られる試料をアッセイすること、及び(ii)対象が骨転移を有するかどうかを決定することを含み、試料がKRAS G12C変異に関して陽性であり、及び対象が骨転移を有しないとき、対象のために決定された治療は、式I
【化31】
の化合物又はその薬学的に許容される塩を対象に投与することを含む、方法が提供される。
【0075】
実施形態59として、本明細書では、治療が、960mgの合計1日用量の式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩を対象に投与することを含む、実施形態5、23、41、51及び57のいずれか1つによる方法が提供される。
【0076】
実施形態60として、本明細書では、治療が、960mgの合計1日用量の式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩を対象に投与することを含む、実施形態6、26、44及び58のいずれか1つによる方法が提供される。
【0077】
第5の態様:以前のプラチナ系化学療法の欠如
実施形態61として、本明細書では、非小細胞肺癌の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、(A)(i)KRAS G12C変異に関して対象から得られる試料をアッセイすること、及び(ii)対象が以前の全身性プラチナ系化学療法を受けているかを決定すること、並びに(B)960mgの合計1日用量の、式I
【化32】
の化合物又はその薬学的に許容される塩を、KRAS G12C変異に関して陽性である非小細胞肺癌を有する対象であって、以前のプラチナ系化学療法を受けていない対象に投与することを含む方法が提供される。
【0078】
実施形態62として、本明細書では、KRAS G12C変異非小細胞肺癌の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、対象に、960mgの合計1日用量の、式I
【化33】
の化合物又はその薬学的に許容される塩を投与することを含み、対象は、以前の全身性プラチナ系化学療法を受けていない、方法が提供される。
【0079】
実施形態63として、本明細書では、非小細胞肺癌の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、対象に、960mgの合計1日用量の、式I
【化34】
の化合物又はその薬学的に許容される塩を投与することを含み、対象は、KRAS G12C変異に関して陽性である細胞を含み、対象は、以前の全身性プラチナ系化学療法を受けていない、方法が提供される。
【0080】
実施形態64として、本明細書では、非小細胞肺癌の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、対象に、960mgの合計1日用量の、式I
【化35】
の化合物又はその薬学的に許容される塩を投与することを含み、非小細胞肺癌は、KRAS G12C変異に関して陽性である細胞を含み、対象は、以前の全身性プラチナ系化学療法を受けていない、方法が提供される。
【0081】
実施形態65として、本明細書では、非小細胞肺癌を有する対象が、式I
【化36】
の化合物又はその薬学的に許容される塩による治療に感受性であると同定する方法であって、(i)KRAS G12C変異に関して対象から得られる試料をアッセイすること、及び(ii)対象が以前の全身性プラチナ系化学療法を受けているかどうかを決定することを含み、試料がKRAS G12C変異に関して陽性であり、及び対象が以前の全身性プラチナ系化学療法を受けていないとき、対象は、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩による治療に対して感受性であると同定される、方法が提供される。
【0082】
実施形態66として、本明細書では、非小細胞肺癌を有する対象のための治療を決定する方法であって、(i)KRAS G12C変異に関して対象から得られる試料をアッセイすること、及び(ii)対象が以前の全身性プラチナ系化学療法を受けているかどうかを決定することを含み、試料がKRAS G12C変異に関して陽性であり、及び対象が以前の全身性プラチナ系化学療法を受けていないとき、対象のために決定された治療は、式I
【化37】
の化合物又はその薬学的に許容される塩の対象への投与を含む、方法が提供される。
【0083】
実施形態67として、本明細書では、治療が、960mgの合計1日用量の式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩を対象に投与することを含む、実施形態65による方法が提供される。
【0084】
実施形態68として、本明細書では、治療が、960mgの合計1日用量の式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩を対象に投与することを含む、実施形態66による方法が提供される。
【0085】
本開示の追加の実施形態
実施形態69として、本明細書では、対象が少なくとも1回の以前の抗癌性全身療法を受けている、実施形態61~68のいずれか1つによる方法が提供される。
【0086】
実施形態70として、本明細書では、対象が少なくとも1回の以前の抗癌性全身療法を受けている、実施形態1~60のいずれか1つによる方法が提供される。
【0087】
実施形態71として、本明細書では、対象が1、2又は3回の以前の全身性療法を受けている、実施形態1~70のいずれか1つによる方法が提供される。
【0088】
実施形態72として、本明細書では、対象が1回の以前の抗癌性全身療法を受けている、実施形態1~70のいずれか1つによる方法が提供される。
【0089】
実施形態73として、本明細書では、対象が2回の以前の抗癌性全身療法を受けている、実施形態1~70のいずれか1つによる方法が提供される。
【0090】
実施形態74として、本明細書では、対象が3回の以前の抗癌性全身療法を受けている、実施形態1~70による方法が提供される。
【0091】
実施形態75として、本明細書では、1回の以前の抗癌性全身療法が抗PD1又は抗PD-L1免疫療法である、実施形態69又は実施形態70による方法が提供される。
【0092】
実施形態76として、本明細書では、1回の以前の抗癌性全身療法がプラチナ系化学療法である、実施形態70による方法が提供される。
【0093】
実施形態77として、本明細書では、非小細胞肺癌が局所進行性又は転移性非小細胞肺癌である、実施形態1~76のいずれか1つによる方法が提供される。
【0094】
実施形態78として、本明細書では、対象が1又は0の米国東海岸癌臨床試験グループ(Eastern Cooperative Oncology Group)(ECOG)パフォーマンスステータスを有する、実施形態1~77のいずれか1つによる方法が提供される。
【0095】
実施形態79として、本明細書では、対象が18歳以上である、実施形態1~78のいずれか1つによる方法が提供される。
【0096】
実施形態80として、本明細書では、化合物が遊離塩基として投与される、実施形態1~79のいずれか1つによる方法が提供される。
【0097】
実施形態81として、本明細書では、化合物が遊離塩基の結晶形態として投与される、実施形態80による方法が提供される。
【0098】
実施形態82として、本明細書では、結晶形態が無水結晶形態である、実施形態81による方法が提供される。
【0099】
実施形態83として、本明細書では、無水結晶形態がI型無水結晶である、実施形態82による方法が提供される。
【0100】
実施形態84として、本明細書では、化合物が、化合物及び薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物として投与される、実施形態1~83のいずれか1つによる方法が提供される。
【0101】
実施形態85として、本明細書では、医薬組成物が固体剤形である、実施形態84による方法が提供される。
【0102】
実施形態86として、本明細書では、医薬組成物が経口投与のためのものである、実施形態84又は実施形態85による方法が提供される。
【0103】
実施形態87として、本明細書では、医薬組成物が錠剤である、実施形態84~86のいずれか1つによる方法が提供される。
【0104】
実施形態88として、本明細書では、錠剤が式Iの化合物の合計1日用量の一部分を含む、実施形態87による方法が提供される。
【0105】
実施形態89として、本明細書では、化合物の合計1日用量が1日1回投与される、実施形態1~87のいずれか1つによる方法が提供される。
【0106】
実施形態90として、本明細書では、化合物の合計1日用量がそれぞれ480mgの用量の2回の別々の投与にわたって投与される、実施形態1~87のいずれか1つによる方法が提供される。
【0107】
実施形態91として、本明細書では、治療が対象において腫瘍退縮の誘導又は増加をもたらす、実施形態1~90のいずれか1つによる方法が提供される。
【0108】
実施形態92として、本明細書では、治療が対象において腫瘍又は癌の増殖の低減をもたらす、実施形態1~90のいずれか1つによる方法が提供される。
【0109】
実施形態93として、本明細書では、治療が対象において癌細胞の死滅の誘導又は増加をもたらす、実施形態1~90のいずれか1つによる方法が提供される。
【0110】
疑義を避けるために、本開示は、組み合わされた1つ以上の態様の1つ以上の実施形態を包含する実施形態も含むことが留意される。例えば、(i)本開示の第1の態様の実施形態、又は(ii)本開示の第2の態様の実施形態を包含する実施形態も本明細書で提供される。より具体的には、本開示は、(i)実施形態8の特徴、若しくは(ii)実施形態14の特徴又はその両方を列挙する実施形態も包含する。例えば、本開示は、KRAS G12C変異非小細胞肺癌の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、対象に、960mgの合計1日用量の、式I
【化38】
の化合物又はその薬学的に許容される塩を投与することを含み、(i)対象は、1%未満のPD-L1腫瘍比率スコアを有するか、若しくは(ii)対象は、STK11の機能喪失変異などのSTK11の変異に関して陽性であるか;又はその両方である、方法である実施形態を提供する。「本開示の追加の実施形態」及び「追加の亜集団」という表題の節において列挙される実施形態の特徴は、組み合わされた1つ以上の態様の1つ以上の実施形態を包含する任意の実施形態に同等に適用される。
【0111】
本開示の実施形態の代替的なセット
代替的な実施形態1として、本明細書では、KRAS G12C変異非小細胞肺癌の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、対象に、960mgの合計1日用量の、式I
【化39】
の化合物又はその薬学的に許容される塩を投与することを含み、対象は、50%未満のPD-L1腫瘍比率スコアを有する、方法が提供される。
【0112】
代替的な実施形態2として、本明細書では、PD-L1腫瘍比率スコアが1%以上且つ50%未満である、代替的な実施形態1による方法が提供される。
【0113】
代替的な実施形態3として、本明細書では、PD-L1腫瘍比率スコアが1%未満である、代替的な実施形態1による方法が提供される。
【0114】
代替的な実施形態4として、本明細書では、KRAS G12C変異非小細胞肺癌の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、対象に、960mgの合計1日用量の、式I
【化40】
の化合物又はその薬学的に許容される塩を投与することを含み、対象は、STK11の機能喪失変異に関して陽性である、方法が提供される。
【0115】
代替的な実施形態5として、本明細書では、対象がKEAP1の機能喪失変異に関して陽性である、代替的な実施形態4の方法が提供される。
【0116】
代替的な実施形態6として、本明細書では、対象がKEAP1の野生型に関して陽性である、代替的な実施形態4の方法が提供される。
【0117】
代替的な実施形態7として、本明細書では、KRAS G12C変異非小細胞肺癌の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、対象に、960mgの合計1日用量の、式I
【化41】
の化合物又はその薬学的に許容される塩を投与することを含み、(i)対象は、50%未満のPD-L1腫瘍比率スコアを有するか、又は(ii)対象は、STK11の機能喪失変異に関して陽性である、方法が提供される。
【0118】
代替的な実施形態8として、本明細書では、KRAS G12C変異非小細胞肺癌の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、対象に、960mgの合計1日用量の、式I
【化42】
の化合物又はその薬学的に許容される塩を投与することを含み、(i)対象は、50%未満のPD-L1腫瘍比率スコアを有し、及び(ii)対象は、STK11の機能喪失変異に関して陽性である、方法が提供される。
【0119】
代替的な実施形態9として、本明細書では、KRAS G12C変異非小細胞肺癌の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、対象に、960mgの合計1日用量の、式I
【化43】
の化合物又はその薬学的に許容される塩を投与することを含み、(i)対象は、50%未満のPD-L1腫瘍比率スコアを有するか、(ii)対象は、STK11の機能喪失変異に関して陽性であるか、又は(iii)対象は、50%未満のPD-L1腫瘍比率スコアを有し、及び対象は、STK11の機能喪失変異に関して陽性である、方法が提供される。
【0120】
代替の実施形態10として、本明細書では、PD-L1腫瘍比率スコアが1%以上且つ50%未満である、代替的な実施形態7~9のいずれか1つによる方法が提供される。
【0121】
代替的な実施形態11として、本明細書では、PD-L1腫瘍比率スコアが1%未満である、代替的な実施形態7~9のいずれか1つによる方法が提供される。
【0122】
代替的な実施形態12として、本明細書では、対象がKEAP1の機能喪失変異に関して陽性である、代替的な実施形態7~11のいずれか1つによる方法が提供される。
【0123】
代替的な実施形態13として、本明細書では、対象がKEAP1の野生型に関して陽性である、代替的な実施形態7~11のいずれか1つの方法が提供される。
【0124】
代替的な実施形態14として、本明細書では、対象が以前の抗癌性全身療法を受けていない、代替的な実施形態1~13のいずれか1つによる方法が提供される。
【0125】
代替的な実施形態15として、本明細書では、対象が少なくとも1回の以前の抗癌性全身療法を受けている、代替的な実施形態1~13のいずれか1つによる方法が提供される。
【0126】
代替的な実施形態16として、本明細書では、対象が1回の以前の抗癌性全身療法を受けている、代替的な実施形態1~13のいずれか1つによる方法が提供される。
【0127】
代替的な実施形態17として、本明細書では、対象が2回の以前の抗癌性全身療法を受けている、代替的な実施形態1~13のいずれか1つによる方法が提供される。
【0128】
代替的な実施形態18として、本明細書では、対象が3回の以前の抗癌性全身療法を受けている、代替的な実施形態1~13による方法が提供される。
【0129】
代替的な実施形態19として、本明細書では、1回の以前の抗癌性全身療法が抗PD1又は抗PD-L1免疫療法である、代替的な実施形態15又は代替的な実施形態16による方法が提供される。
【0130】
代替的な実施形態20として、本明細書では、1回の以前の抗癌性全身療法がプラチナ系化学療法である、代替的な実施形態15又は代替的な実施形態16による方法が提供される。
【0131】
代替的な実施形態21として、本明細書では、非小細胞肺癌がステージIVの非小細胞肺癌である、代替的な実施形態1~20のいずれか1つによる方法が提供される。
【0132】
代替的な実施形態22として、本明細書では、非小細胞肺癌が局所進行性又は転移性非小細胞肺癌である、代替的な実施形態1~20のいずれか1つによる方法が提供される。
【0133】
代替的な実施形態23として、本明細書では、対象が1又は0の米国東海岸癌臨床試験グループ(ECOG)パフォーマンスステータスを有する、代替的な実施形態1~22のいずれか1つによる方法が提供される。
【0134】
代替的な実施形態24として、本明細書では、対象が18歳以上である、代替的な実施形態1~23のいずれか1つによる方法が提供される。
【0135】
代替的な実施形態25として、本明細書では、化合物が遊離塩基として投与される、実施形態1~24のいずれか1つによる方法が提供される。
【0136】
代替的な実施形態26として、本明細書では、化合物が、化合物及び薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物として投与される、代替的な実施形態1~25のいずれか1つによる方法が提供される。
【0137】
代替的な実施形態27として、本明細書では、医薬組成物が固体剤形である、代替的な実施形態26による方法が提供される。
【0138】
代替的な実施形態28として、本明細書では、医薬組成物が経口投与のためのものである、代替的な実施形態26又は代替的な実施形態27による方法が提供される。
【0139】
代替的な実施形態29として、本明細書では、医薬組成物が錠剤である、代替的な実施形態26~28のいずれか1つによる方法が提供される。
【0140】
代替的な実施形態30として、本明細書では、化合物の合計1日用量が1日1回投与される、代替的な実施形態1~29のいずれか1つによる方法が提供される。
【0141】
代替的な実施形態1~29は、「本開示の追加の実施形態」及び「追加の亜集団」という表題の節において列挙される1つ以上の実施形態とも組み合わされ得る。
【0142】
定義
以下の定義は、本開示の範囲の理解を促進するために提供される。
【0143】
用語「抗PD1又はPD-L1免疫療法」は、本明細書で使用する場合、例えば、ペムブロリズマブなどのプログラム死受容体-1(PD1)遮断抗体又はアテゾリズマブなどのプログラム死リガンド-1(PD-L1)遮断抗体の投与を含む治療を指す。
【0144】
用語「式Iの化合物」は、本明細書で使用する場合、本明細書の下記の「式Iの化合物及び第1相臨床試験結果」という表題の節において記載される化合物を指す。式Iの化合物(AMG 510、ソトラシブ、6-フルオロ-7-(2-フルオロ-6-ヒドロキシフェニル)-(1M)-1-[4-メチル-2-(プロパン-2-イル)ピリジン-3-イル]-4-[(2S)-2-メチル-4-(プロパ-2-エノイル)ピペラジン-1-イル]ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン)は、米国特許第10,519,146号明細書(実施例41(col.411~415)及び実施例41~1(col.469))で開示され、この実施例は、全体として参照により本明細書に具体的に組み込まれる。米国特許第10,519,146号明細書は、全体として参照により本明細書に組み込まれる。
【0145】
用語「I型無水結晶」は、本明細書で使用する場合、全体として参照により本明細書に具体的に組み込まれる米国特許出願公開第2020/00369662A1号明細書、特に、段落[0226]~[240]及び[0346]~[0351](実施例2)に記載されるとおりの式Iの化合物のI型無水結晶を指す。米国特許出願公開第2020/00369662A1号明細書は、全体として参照により本明細書に組み込まれる。
【0146】
一実施形態では、式Iの化合物は、1.54Åのx線波長を使用する粉末x線回折によって測定されるとおりの9.0、12.0、12.6及び19.0±0.2度2シータでピークを含む粉末X線回折パターンによって特徴付けられる。別の実施形態では、式Iの化合物は、1.54Åのx線波長を使用する粉末x線回折によって測定されるとおりの8.8、9.0、10.8、12.0、12.6、12.8、13.6、14.2、15.0、15.4、18.0、18.6、18.7、19.0、19.9、20.0、22.9及び25.0±0.2度2シータから選択される少なくとも3、4、5、6又は7つのピークを含む粉末X線回折パターンによって特徴付けられる。さらに別の実施形態では、式Iの化合物は、1.54Åのx線波長を使用する粉末x線回折によって測定されるとおりの8.8、9.0、10.8、12.0、12.6、12.8、13.6、14.2、15.0、15.4、18.0、18.6、18.7、19.0、19.9、20.0、22.9及び25.0±0.2度2シータでピークを含む粉末X線回折パターンによって特徴付けられる。一実施形態では、式Iの化合物は、約293℃でのオンセットによる吸熱を含む示差走査熱量測定サーモグラムによって特徴付けられる。一実施形態では、式Iの化合物は、約25℃から約275℃まで加熱されるときに約0.2%の重量減少を含む熱重量測定サーモグラムによって特徴付けられる。一実施形態では、式Iの化合物は、およそ12、13、16、21、23、31、33、38、42、44、47、50、54、107、110、111、123、124、127、128、132、145、146、150、154、156、158、160、162、166、167及び168ppmでのピークから選択される少なくとも3、4、5、6又は7つのピークを含む13C固体NMR(核磁気共鳴)によって特徴付けられる。別の実施形態では、式Iの化合物は、およそ12、13、16、21、23、31、33、38、42、44、47、50、54、107、110、111、123、124、127、128、132、145、146、150、154、156、158、160、162、166、167及び168ppmでピークを含む13C固体NMRによって特徴付けられる。一実施形態では、式Iの化合物は、およそ-49、-60、-79、-90、-109、-120、-138、-150、-168及び-179ppmでピークを含む19F固体NMRによって特徴付けられる。本明細書の上記の分析的な特徴付けは、米国特許出願公開第2020/00369662A1号明細書(例えば、段落[0322]~[0328]を参照されたい)に記載されるとおりに実行された。
【0147】
用語「機能喪失変異」は、本明細書で使用する場合、もはや野生型活性を示さない(例えば、低減したか又は消失した野生型生物活性又は酵素活性)変異体タンパク質の発現をもたらすか、もはや野生型活性を示さないタンパク質の断片のみの発現をもたらすか、又は野生型タンパク質の発現をもたらさない変異(例えば、置換、欠失、短縮化又はフレームシフト変異)を指す。例えば、細胞においてSTK11遺伝子に影響を及ぼす機能喪失変異は、STK11タンパク質の発現の減少、STK11タンパク質の断片のみの発現又は癌性細胞において減少した酵素活性を示すか又は酵素活性を示さない(例えば、セリン/スレオニンキナーゼ酵素活性がない)STK11タンパク質の発現をもたらし得る。同様に、細胞においてKEAP1遺伝子に影響を及ぼす機能喪失変異は、KEAP1タンパク質の発現の減少、KEAP1タンパク質の断片のみの発現又は細胞において減少した活性を示すか又は活性を示さない(例えば、赤血球系転写因子2関連転写因子2(NRF2)と相互作用するか又はそれを活性化することができない)KEAP1タンパク質の発現をもたらし得る。
【0148】
本明細書で使用する場合、用語「薬学的に許容される塩」は、薬学的に許容され、且つ親化合物の所望の薬理活性を有する式Iの化合物の塩を指す。このような塩としては、(1)塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸と形成される酸付加塩;若しくは酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3-(4-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸などの有機酸と形成される酸付加塩;又は(2)親化合物に存在する酸性プロトンが金属イオン、例えばアルカリ金属イオン、アルカリ土類イオン若しくはアルミニウムイオンにより置き換えられる場合;又はエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N-メチルグルカミン、ジシクロヘキシルアミンなどの有機塩基と配位させる場合に形成される塩が挙げられる。このような塩のさらなる例は、Berge et al.,J.Pharm.Sci.66(1):1-19(1977)において見出すことができる。Stahl et al.,Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use,2nd Revised Edition(2011)も参照されたい。
【0149】
用語「プラチナ系化学療法」は、本明細書で使用する場合、プラチナを含む化合物の投与を含む化学療法治療を指す。例えば、プラチナ系化学療法において使用される化合物は、シスプラチン又はカルボプラチンである。特定の実施形態では、シスプラチン又はカルボプラチンは、パクリタキセル(タキソール)、アルブミン結合パクリタキセル(nab-パクリタキセル、アブラキサン)、ドセタキセル(タキソテール)、ゲムシタビン(ジェムザール)、ビノレルビン(ナベルビン)、エトポシド(VP-16)及びペメトレキセド(アリムタ)から選択される1つ以上の化合物と組み合わせて使用される。他のプラチナ系化学療法としては、オキサリプラチン、ネダプラチン、サトラプラチン、ロバプラチン、四硝酸トリプラチン、ピコプラチン、プロリンダック及びアロプラチンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0150】
本明細書で使用する場合、用語「薬学的に許容される賦形剤」は、医薬組成物又は製剤を調製するために本明細書で開示される化合物又は塩と組み合わされ得る広範囲の成分を指す。典型的に、賦形剤としては、希釈剤、着色剤、ビヒクル、抗粘着剤、流動促進剤、崩壊剤、香味剤、コーティング剤、結合剤、甘味料、潤滑剤、吸着剤、保存剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0151】
用語「対象」は、本明細書で使用する場合、ヒト対象を指す。
【0152】
KRAS、STK11、KEAP1及びTP53変異状態を検出する方法
腫瘍又は癌がKRAS G12C、STK11、KEAP1又はTP53変異を含むかどうかの決定は、例えば、KRAS、STK11、KEAP1若しくはTP53タンパク質をコードするヌクレオチド配列を評価することにより、KRAS、STK11、KEAP1若しくはTP53タンパク質のアミノ酸配列を評価することにより、又は推定上のKRAS、STK11、KEAP1若しくはTP53変異体タンパク質の特徴を評価することにより或いは当技術分野で知られる任意の他の好適な方法により行われ得る。野生型ヒトKRAS(受入番号BC010502;https://www.ncbi.nlm.nih.gov/nuccore/BC010502で入手可能、2020年1月にアクセスされた)、STK11(遺伝子ID:6794;https://www.ncbi.nlm.nih.gov/gene/6794で入手可能;2020年1月にアクセスされた)、KEAP1(遺伝子ID:9817;https://www.ncbi.nlm.nih.gov/gene/9817;2020年1月にアクセスされた)及びTP53(遺伝子ID:7157;https://www.ncbi.nlm.nih.gov/gene/7157、2021年5月にアクセスされた)のヌクレオチド及びタンパク質配列は、当技術分野で知られている。
【0153】
KRAS、STK11、KEAP1又はTP53ヌクレオチド配列において変異を検出するための方法は、当業者によって知られている。これらの方法としては、ポリメラーゼ連鎖反応-制限酵素断片長多型(PCR-RFLP)アッセイ、ポリメラーゼ連鎖反応-一本鎖DNA高次構造多型(PCR-SSCP)アッセイ、リアルタイムPCRアッセイ、PCRシークエンシング、変異体アレル特異的PCR増幅(MASA)アッセイ、ダイレクトシークエンシング及び/又は次世代シークエンシング、プライマー伸長反応、電気泳動、オリゴヌクレオチド連結アッセイ、ハイブリダイゼーションアッセイ、TaqManアッセイ、SNP遺伝子型決定アッセイ、高分解能融解アッセイ並びにマイクロアレイ分析が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、試料は、リアルタイムPCRによってKRAS G12C変異などの変異について評価される。リアルタイムPCRでは、KRAS G12C変異などの特定の変異に特異的な蛍光プローブが使用される。変異が存在すると、プローブが結合し、蛍光が検出される。いくつかの実施形態では、変異は、KRAS、STK11、KEAP1又はTP53遺伝子における特定の領域(例えば、エクソン2及び/又はエクソン3)のダイレクトシークエンシング法を使用して同定される。この手法は、配列決定された領域において起こり得る変異を全て同定する。
【0154】
KRAS、STK11、KEAP1又はTP53タンパク質において変異を検出するための方法は、当業者によって知られている。これらの方法としては、変異タンパク質に特異的な結合剤(例えば、抗体)を使用するKRAS、STK11、KEAP1又はTP53変異体の検出、タンパク質電気泳動及びウェスタンブロッティング並びに直接的なペプチドシークエンシングが挙げられるが、これらに限定されない。
【0155】
腫瘍又は癌がKRAS G12C、STK11、KEAP1又はTP53の変異を含むかどうかを決定するための方法は、様々な試料を使用することができる。いくつかの実施形態では、試料は、腫瘍又は癌を有する対象から採取される。いくつかの実施形態では、試料は、新鮮な腫瘍/癌試料である。いくつかの実施形態では、試料は、冷凍された腫瘍/癌試料である。いくつかの実施形態では、試料は、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)試料である。いくつかの実施形態では、試料は、循環細胞フリーDNA及び/又は循環腫瘍細胞(CTC)試料である。いくつかの実施形態では、試料は、細胞溶解物に処理される。いくつかの実施形態では、試料は、DNA又はRNAに処理される。特定の実施形態では、試料は、切除、コア針生検(CNB)、穿刺吸引(FNA)、尿の回収又は毛包の回収によって得られる。一実施形態では、全血又は脳脊髄液を使用する液体細胞診を使用して、KRAS変異状態を評価し得る。
【0156】
一実施形態では、米国食品医薬品局(FDA)などの規制当局によって承認された試験を使用して、対象がKRAS G12C変異非小細胞肺癌を有するかどうか又はそのような対象から得られる腫瘍又は組織試料がKRAS G12C変異を有する細胞を含有するかどうかを決定する。一実施形態では、試験は、therascreen(登録商標)KRAS RGQ PCRキット(Qiagen)である。therascreen(登録商標)KRAS RGQ PCRキットは、Rotor-Gene Q MDx 5plex HRM機器を使用するヒトKRAS癌遺伝子のコドン12及び13の7種の体細胞変異(G12A、G12D、G12R、G12C、G12S、G12V及びG13D)の検出のためのリアルタイム定量PCRアッセイである。キットは、切除、CNB又はFNAによって得られるNSCLC試料のFFPE試料から抽出されたDNAとの使用が意図される。
【0157】
STK11及びKEAP1変異試験は、24種の遺伝子を含む(NSCLCにおいて治療につながるものを含む)Resolution Bioscience Resolution ctDx Lung(商標)アッセイなどの市販の試験により実行され得る。組織試料は、Tempus xT 648パネルを使用して試験され得る。
【0158】
TP53変異試験は、Foundation One、Tempus xT、Illumina TSO500、Guardant 360又はGuardant Omniなどの市販の試験により実行され得る。
【0159】
一実施形態では、癌は、KRAS G12C変異を有すると同定された。一実施形態では、癌は、STK11の機能喪失変異などのSTK11の変異を有すると同定された。一実施形態では、癌は、KEAP1の機能喪失変異などのKEAP1の変異を有すると同定された。一実施形態では、癌は、野生型STK11を有すると同定された。一実施形態では、癌は、KEAP1の野生型を有すると同定された。
【0160】
一実施形態では、癌は、STK11の機能喪失変異などのSTK11の変異及び野生型KEAP1を有すると同定された。一実施形態では、癌は、STK11の機能喪失変異などのSTK11の変異及びKEAP1の機能喪失変異などのKEAP1の変異を有すると同定された。一実施形態では、癌は、STK11の野生型及び野生型KEAP1を有すると同定された。一実施形態では、癌は、STK11の野生型及びKEAP1の機能喪失変異などのKEAP1の変異を有すると同定された。
【0161】
PD-L1タンパク質発現を検出する方法
PD-L1発現は、当技術分野で知られる方法によって決定され得る。例えば、PD-L1発現は、ペムブロリズマブによる治療に関するコンパニオン試験としてDako及びBristol-Meyers Squibbによって開発されたFDAに承認されたインビトロ診断用の免疫組織化学(IHC)試験であるPD-L1 IHC 22C3 pharmDxを使用して検出され得る。これは、ヒト非小細胞肺癌組織などのFFPE試料においてPD-L1を検出するためのモノクローナルマウス抗PD-L1、クローン22C3 PD-L1及び自動染色装置Lin 48上でのEnVision FLEX可視化システムを使用する定量アッセイである。発現レベルは、腫瘍比率スコア(TPS)を使用して測定することができ、任意の強度で部分的な又は完全な膜染色を示す生存腫瘍細胞のパーセンテージを測定する。染色は、0%~100%でPD-L1発現を示すことができる。
【0162】
PD-L1発現は、ニボルマブによる治療に関するコンパニオン試験としてDako及びMerckによって開発されたFDAに承認されたインビトロ診断用の免疫組織化学(IHC)試験であるPD-L1 IHC 28-8 pharmDxを使用しても検出され得る。この定量アッセイは、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)ヒト非小細胞肺癌組織においてPD-L1を検出するためにモノクローナルウサギ抗PD-L1、クローン28-8及び自動染色装置Lin 48上でのEnVision FLEX可視化システムを使用する。
【0163】
PD-L1検出のための他の市販の試験としては、モノクローナルウサギ抗PD-L1クローンSP263を利用するVentana SP263アッセイ(AstraZenecaと共同でVentanaによって開発された)及びウサギモノクローナル抗PD-L1クローンSP142を使用するVentana SP142アッセイ(Genentech/Rocheと共同でVentanaによって開発された)が挙げられる。PD-L1状態の決定は、適応症特異的であり、評価は、任意の強度のPD-L1発現腫瘍浸潤性免疫細胞によって占められる腫瘍面積の比率(%IC)又は任意の強度のPD-L1発現腫瘍細胞のパーセンテージ(%TC)のいずれかに基づく。例えば、2021年4月に改訂されたアテゾリズマブの添付文書(https://www.gene.com/download/pdf/tecentriq_prescribing.pdfで入手可能、2021年5月にアクセスされた)を参照されたい。
【0164】
一実施形態では、米国食品医薬品局(FDA)などの規制当局によって承認された試験を使用して、PD-L1 TPSを決定する。別の実施形態では、PD-L1 TPSは、免疫組織化学(IHC)試験を使用して決定される。特定の実施形態では、IHC試験は、PD-L1 IHC 22C3 pharmDx試験である。一実施形態では、IHC試験は、例えば、切除、CNB又はFNAによって得られた試料を用いて実行した。
【0165】
一実施形態では、対象は、100%、95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、50%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%又は1%未満のPD-L1 TPSを有する。一実施形態では、対象は、50%未満又は1%未満のPD-L1 TPSを有する。一実施形態では、対象は、95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、50%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%又は1%以上のPD-L1 TPSを有する。一実施形態では、対象は、100%、95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、50%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%又は1%以下のPD-L1 TPSを有する。一実施形態では、対象は、50%以下又は1%以下のPD-L1 TPSを有する。一実施形態では、対象は、95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、50%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%又は1%を超えるPD-L1 TPSを有する。一実施形態では、対象は、前述の実施形態において引用される値のいずれかによって制限される範囲のPD-L1 TPSスコアを有する。例えば、対象は、50%未満且つ1%以上、50%以下且つ1%超、50%以下且つ1%以上又は50%未満且つ1%超の範囲のPD-L1 TPSスコアを有する。
【0166】
一実施形態では、対象は、50%未満且つ1%以上の範囲のPD-L1 TPSスコアを有する。別の実施形態では、対象は、0%以上且つ1%未満の範囲のPD-L1 TPSスコアを有する。さらに別の実施形態では、対象は、50%超且つ100%以下の範囲のPD-L1 TPSスコアを有する。
【0167】
脳及び骨転移を検出する方法
対象が骨又は脳転移を有するかどうかを決定する方法は、当技術分野で知られている。
【0168】
一実施形態では、脳転移は、例えば、静脈内造影剤を伴うか又は伴わないコンピューター体軸断層撮影(CAT)スキャン又はコンピューター断層撮影(CT)及び静脈内造影剤を伴うか又は伴わない磁気共鳴画像法(MRI)を使用して診断され得る。一実施形態では、対象は、治療開始前の28日以内に実施された脳のMRIを有する。MRIが禁忌となる場合、造影剤を伴うCTが実行される。
【0169】
一実施形態では、骨転移は、例えば、X線骨スキャン(骨シンチグラフィー)、CT、MRI、ポジトロン放出断層撮影(PET)及び生検のいずれか1つを使用して診断され得る。
【0170】
腫瘍変異負荷を検出する方法
対象において腫瘍変異負荷(TMB)を決定する方法は、当技術分野において知られている。TMBは、広範囲の変異を広く探す腫瘍組織の次世代シークエンシングを使用する臨床検査によって測定することができる。腫瘍組織の生検試料からのTMBの測定ほど確立されていないが、現在、血漿中の循環腫瘍DNAからのTMBの測定を評価する試験が行われており、将来的には血液からTMBを試験することが可能になる可能性がある。TMBは、DNAの一部分において見られる変異の数として報告され、メガベース当たりの変異(mut/Mb)として報告される。10mut/Mb以上のTMB(高TMBと呼ばれる)を有する癌は、癌細胞をより良好に認識する免疫系の活性化を促進する免疫チェックポイント阻害剤と呼ばれる薬剤に対して応答する可能性が高い場合がある(Fusco et al.2021)。一実施形態では、使用されるTMB試験は、Foundation One、Tempus xT、Guardant Omni及びIllumina TSO500などの市販の試験である。
【0171】
亜集団
さらに、本明細書では、治療を、それを必要とする対象において行うための特定の方法であって、対象は、本明細書において上で論じられるKRAS、STK11、KEAP1、TP53、PD-L1 TPS又は骨若しくは脳転移に関する状態に加えて特定の特徴又はその組み合わせを有する方法が提供される。
【0172】
本明細書では、上の本発明の様々な態様で開示されるとおりに、KRAS G12C変異非小細胞肺癌の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、対象が以下の特徴を有する方法も提供される。
【0173】
【0174】
【0175】
【0176】
例えば、特徴Aが「PD-L1 TPSが<1%である」であり且つ特徴Bが空である上の表の項目は、上の本発明の様々な態様で開示されるとおりに、KRAS G12C変異非小細胞肺癌の治療を、それを必要とする対象において行う方法に関する実施形態を表し、対象は、1%未満のPD-L1腫瘍比率スコアを有する。
【0177】
さらなる例として、特徴Aが「PD-L1 TPSが<1%である」であり且つ特徴Bが「STK11の機能喪失変異に関して陽性」である上の表の項目は、上の本発明の様々な態様で開示されるとおりに、KRAS G12C変異非小細胞肺癌の治療を、それを必要とする対象において行う方法に関する実施形態を表し、(i)対象は、1%未満のPD-L1腫瘍比率スコアを有するか又は(ii)対象は、STK11の機能喪失変異に関して陽性である(A又はB)。同じ項目は、上の本発明の様々な態様で開示されるとおりに、KRAS G12C変異非小細胞肺癌の治療を、それを必要とする対象において行う方法に関する実施形態も表し、(i)対象は、1%未満のPD-L1腫瘍比率スコアを有し、及び(ii)対象は、STK11の機能喪失変異に関して陽性である(A及びB)。同じ項目は、上の本発明の様々な態様で開示されるとおりに、KRAS G12C変異非小細胞肺癌の治療を、それを必要とする対象において行う方法に関する実施形態も表し、(i)対象は、1%未満のPD-L1腫瘍比率スコアを有するか、(ii)対象は、STK11の機能喪失変異に関して陽性であるか、又は(iii)対象は、1%未満のPD-L1腫瘍比率スコアを有し、及び対象は、STK11の機能喪失変異に関して陽性である(A若しくはB又はその両方)。
【0178】
以下の実施形態は、前記対象の特定の追加の特徴を開示する。一実施形態では、対象は、以下の追加の特徴の1、2、3、4、5、6、7、8、9若しくは10個又は全てを有する。特定の実施形態では、対象は、以下の追加の特徴の1つを有する。特定の実施形態では、対象は、以下の追加の特徴の2つを有する。特定の実施形態では、対象は、以下の追加の特徴の3つを有する。特定の実施形態では、対象は、以下の追加の特徴の5つを有する。特定の実施形態では、対象は、以下の追加の特徴の7つを有する。特定の実施形態では、対象は、以下の追加の特徴の10個を有する。特定の実施形態では、対象は、以下の追加の特徴の全てを有する。
【0179】
一実施形態では、対象は、男性である。別の実施形態では、対象は、女性である。
【0180】
一実施形態では、対象は、18歳以上である。
【0181】
一実施形態では、対象は、分子的検査を介して同定されたKRAS G12Cの変異を伴う、病理学的に証明された局所進行性又は転移性悪性腫瘍を有する。特定の実施形態では、変異は、治療開始前に中央検査機関での試験によって確認された。
【0182】
一実施形態では、対象は、(禁忌でなければ)抗PD-1若しくは抗PD-L1免疫療法並びに/又はプラチナ系の組み合わせ化学療法及び標的化療法(治療につながる発癌ドライバー変異(すなわちEGFR、ALK及びROS1)が同定された場合)を受けた後に進行した。
【0183】
一実施形態では、対象は、以前の3ラインを超える療法を受けていない。
【0184】
一実施形態では、保管された腫瘍組織試料(5年以内に採取されたホルマリン固定、パラフィン包埋[FFPE]試料)が利用可能であり、これは対象から得られた。特定の実施形態では、治療前の腫瘍生検試料が利用可能であり、これは対象から得られた。別の実施形態では、対象が適切に生検され得る病変を有する場合に限り、腫瘍進行時に対象から採取された追加の生検試料が利用可能である。
【0185】
一実施形態では、対象は、固形癌効果判定基準1.1(RECIST 1.1;Eisenhauer et al,2009)に従って測定可能な疾患を有する。
【0186】
一実施形態では、対象は、≦1の米国東海岸癌臨床試験グループ(ECOG)パフォーマンスステータスを有する(Oken et al.,1982)。特定の実施形態では、対象は、0のECOGパフォーマンスステータスを有する。特定の実施形態では、対象は、1のECOGパフォーマンスステータスを有する。
【0187】
一実施形態では、対象は、>3ヶ月の平均余命を有する。
【0188】
一実施形態では、対象は、経口薬を服用する能力を有する。
【0189】
一実施形態では、対象は、QTc≦470msecを有する(三つ組をスクリーニングした平均に基づく)。
【0190】
一実施形態では、対象は、以下の血液学的臨床検査の1、2又は3つを有する:好中球絶対数(ANC)≧1.5×109/L、血小板数≧75×109/L、ヘモグロビン≧9g/dL(90g/L)。
【0191】
一実施形態では、対象は、≧60ml/分/1.73m2のMDRD(腎疾患における食事の変更)計算に基づく推算糸球体濾過量を有する。
【0192】
一実施形態では、対象は、以下の肝臓臨床検査の1、2又は3つを有する:アスパラギン酸アミノ基転移酵素(AST)<2.5×正常範囲上限(ULN)(肝臓転移が存在する場合、≦5×ULN)、アラニンアミノ基転移酵素(ALT)<2.5×ULN(肝臓転移が存在する場合、≦5×ULN)、総ビリルビン<1.5×ULN(実証されたジルベール症候群を有する対象に関して<2.0×ULN又は間接的なビリルビンレベルが肝臓外の供給源の上昇を示唆する対象に関して<3.0×ULN)。
【0193】
一実施形態では、対象は、プロトロンビン時間(PT)若しくは部分トロンボプラスチン時間(PTT)<1.5×ULN又は<1.5若しくは予防的な抗凝固療法を受けている場合には目標範囲内の国際標準比(INR)を有する。
【0194】
別の実施形態では、対象は、非脳腫瘍からの活動性の脳転移を有しない。特定の実施形態では、脳転移が切除されたか又は治療開始の少なくとも4週前に放射線療法を終えた対象は、対象が以下の判定基準の全てを満たす場合、治療に適格である:2未満のグレードの残留性の神経症状;該当する場合、デキサメタゾンの安定用量の投与;及び30日以内に実施された追跡調査MRIが新規の病変の出現を示さなかった。
【0195】
別の実施形態では、対象は、2年以上疾患の証拠がなく、治療により完治している場合を除いて、血液系腫瘍の病歴がないか又はその存在を有しない。
【0196】
別の実施形態では、対象は、治療の開始の6ヶ月以内の心筋梗塞、症候性のうっ血性心不全(ニューヨーク心臓協会(New York Heart Association)>クラスII)、不安定狭心症又は薬物療法を必要とする心不整脈を有しない。
【0197】
別の実施形態では、対象は、経口薬の服用を不能にする胃腸(GI)管疾患、吸収不良症候群、静脈内栄養補給の必要、制御されない炎症性GI疾患(例えば、クローン病、潰瘍性大腸炎)を有しない。
【0198】
別の実施形態では、対象は、治療の開始の1週以内にIV抗生物質を必要とする活動性感染を有しない。
【0199】
別の実施形態では、対象は、肝炎感染を有しない。特定の実施形態では、対象において肝炎感染がないことは、以下の結果に基づいて決定される:陽性のB型肝炎表面抗原(HepBsAg)(慢性B型肝炎又は最近の急性B型肝炎を示す);B型肝炎コア抗体に関して陽性である陰性HepBsAg(B型肝炎コア抗体試験はスクリーニングのために必要ではないが、これがなされ、陽性であった場合、B型肝炎表面抗体[抗HBs]試験が必要である);この状況において抗HBsが検出不能であることは、不明確な感染の可能性を示唆しており、除外される必要がある);陽性のC型肝炎ウイルス抗体:PCRによるC型肝炎ウイルスRNAが必要である(C型肝炎ウイルスRNAが検出可能であることは、慢性C型肝炎を示唆する)。
【0200】
別の実施形態では、対象は、HIVに関して既知の陽性試験を有しない。特定の実施形態では、対象は、HIV陰性である。
【0201】
別の実施形態では、対象は、CTCAEバージョン5.0のグレード0又は1まで回復していないと定義される以前の抗腫瘍療法に起因する未回復の毒性を有しない。
【0202】
別の実施形態では、対象は、治療開始の28日以内に抗腫瘍療法(化学療法、抗体療法、分子標的化療法、レチノイド療法、ホルモン療法[乳癌を有する対象を除く]又は他の治験薬)を受けていない。特定の実施形態では、対象は、ホルモン抵抗性前立腺癌又は乳癌のためのホルモン枯渇療法を同時に受ける。
【0203】
別の実施形態では、対象は、いずれの放射線療法関連毒性も有しない。
【0204】
別の実施形態では、対象は、治療開始の28日以内に大手術を受けなかった。
【0205】
別の実施形態では、対象は、妊娠検査で陽性の女性ではない。
【0206】
別の実施形態では、対象は、治療開始前の14日以内又は薬物若しくはその主要な活性代謝物の5半減期以内のいずれか長い方に、既知のチトクロムP450(CYP)3A4感受性基質(狭い治療域)を投与されていない。
【0207】
別の実施形態では、対象は、治療開始前の14日以内又は5半減期以内(いずれか長い方)にCYP3A4の強力な誘導因子(セイヨウオトギリソウ(St.John’s wort)などのハーブの栄養補助剤を含む)を投与されていない。
【0208】
別の実施形態では、対象は、治療の開始前の過去2年以内に別の悪性腫瘍を有したことがない。特定の実施形態では、以下の例外が適用される:治癒を目的として治療された悪性腫瘍であり、治療開始前の2年間以上活動性の疾患が認められず、且つ担当医によって再発のリスクが低いと考えられたもの;疾患の証拠を有しない十分に治療された非黒色腫皮膚癌又は悪性黒子;疾患の証拠を有しない十分に治療された生体内原位置の子宮頸癌;疾患の証拠を有しない十分に治療された生体内原位置の乳管癌;前立腺癌の証拠を有しない前立腺上皮内腫瘍;又は十分に治療された尿路上皮乳頭非浸潤癌若しくは生体内原位置の癌。
【0209】
別の実施形態では、対象は、KRASG12C阻害剤による以前の治療に送られていない。
【0210】
製剤化及び投与経路
記載される使用において、本明細書で開示される式Iの化合物を単独で投与することも可能であり得るが、投与される化合物は通常、医薬組成物中の活性成分として存在することになる。したがって、一実施形態において、本明細書では、本明細書で開示される式Iの化合物を1つ以上の薬学的に許容される賦形剤及び必要に応じて他の活性成分と組み合わせて含む医薬組成物が提供される。例えば、Loyd V.Allen Jr.によって編集されたRemington:The Science and Practice of Pharmacy,Volume I and Volume II,第22版,Philadelphia,PA,Pharmaceutical Press,2012;Pharmaceutical Dosage Forms(Vol.1-3),Liberman et al.,Eds.,Marcel Dekker,New York,NY,1992;Arthur H.Kibbeによって編集されたHandbook of Pharmaceutical Excipients(3rd Ed.),American Pharmaceutical Association,Washington,2000;GD Toveyによって編集されたPharmaceutical Formulation:The Science and Technology of Dosage Forms(Drug Discovery),第1版,Royal Society of Chemistry,2018を参照されたい。
【0211】
本明細書で開示される化合物は、任意の好適な経路により、そのような経路に適合した医薬組成物の形態及び目的の治療に有効な用量で投与され得る。本明細書で提供される化合物及び組成物は、例えば、経口、粘膜、局所、経皮、直腸、肺、非経口、鼻腔内、血管内、静脈内、動脈内、腹腔内、髄腔内、皮下、舌下、筋肉内、胸骨内、膣内に又は注入技法により、従来の薬学的に許容される賦形剤を含有する単位剤形において投与され得る。
【0212】
医薬組成物は、例えば、錠剤、咀嚼錠、ミニ錠剤、カプレット、丸薬、ビーズ、硬カプセル、軟カプセル、ゼラチンカプセル、顆粒、粉剤、舐剤、貼付剤、クリーム、ジェル、サッシェ、マイクロニードルアレイ、シロップ、風味付きシロップ、ジュース、ドロップ、注射液、エマルション、マイクロエマルション、軟膏、エアロゾル、水性懸濁液又は油性懸濁液の形態であり得る。医薬組成物は、通常、特定量の活性成分を含有する投与単位の形態で作製される。
【0213】
式Iの化合物及び第1相臨床試験結果
いかなる特定の理論にも束縛されることを望むものではないが、以下が注目される。式Iの化合物(AMG 510、ソトラシブ、米国特許第10,519,146号明細書(実施例41-1))は、G12C置換を有するKRASタンパク質(KRAS
G12C)に共有結合し、それをグアニンジホスフェート(GDP)に結合された不活性状態でロックする新規の強力且つ高度に選択的な小分子阻害剤である(例えば、米国特許第10,519,146号明細書を参照されたい)。そうすることにより、式Iの化合物は、KRAS
G12C変異体タンパク質に特異的に結合し且つそれを不可逆的に阻害する。式Iの化合物の化学名は、6-フルオロ-7-(2-フルオロ-6-ヒドロキシフェニル)-(1M)-1-[4-メチル-2-(プロパン-2-イル)ピリジン-3-イル]-4-[(2S)-2-メチル-4-(プロパ-2-エノイル)ピペラジン-1-イル]ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンである。化学構造は以下に示される。
【化44】
【0214】
式Iの化合物は、組換えKRASG12Cを強力に阻害するが、野生型KRAS又はKRASの他の変異体型に対する影響は非常に少ない。式Iの化合物によるKRASG12Cの共有結合性の不可逆的な結合及び阻害は、式Iの化合物の結合ポケットに隣接する反応性チオール基を必要とする。このチオールは、KRAS位置12でのシステイン(G12C)によって提供され、KRASG12Cに特異的である厳密な相互作用をもたらす。阻害剤は、システイン残基を共有結合的に修飾し、不活性型のGDPに結合された立体構造でKRASG12Cをロックするチオール反応性部分を含有する。これは、急速進行性線維肉腫(RAF)などのエフェクターとKRASの相互作用を遮断することにより、細胞外シグナル調節キナーゼ(ERK)のリン酸化を含む下流の増殖及び生存シグナル伝達を妨げる(Canon et al,2019;Simanshu et al,2017;Ostrem et al,2013;Cully and Downward,2008)。式Iの化合物による治療は、KRAS G12C変異を有する腫瘍細胞株及び異種移植片においてのみ細胞増殖を減退させ、アポトーシスを誘導する(Canon et al,2019)。式Iの化合物によるKRASG12Cシグナル伝達の遮断は、腫瘍において抗原提示及び炎症性サイトカイン産生も増強して、腫瘍微小環境を刺激し、抗腫瘍免疫を促進する。したがって、式Iの化合物は、NSCLCなどのKRAS G12C変異腫瘍を有する対象の治療のための重要な進展となる。
【0215】
式Iの化合物は、「KRAS p.G12C変異を有する進行性固形腫瘍を有する対象におけるAMG 510単剤療法及びKRAS p.G12C変異を有する進行性NSCLCを有する対象におけるAMG 510組み合わせ療法の安全性、忍容性、薬物動態、薬力学及び有効性を評価する第1/2相、非盲検試験(CodeBreak 100)」という表題の進行中の臨床試験の研究対象である(ClinicalTrials.govの識別子:NCT03600883、https://www.clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03600883で入手可能、2020年1月にアクセスされた)。
【0216】
試験の第1相部分の主要目的は、式Iの化合物の安全性及び忍容性を評価し、ソトラシブの最大耐用量及び/又は第2相試験の推奨用量を推定することであった。試験の第2相部分に関して、主要目的は、KRAS G12C変異進行性固形腫瘍を有する対象における単剤療法としての式Iの化合物のための客観的奏効率(ORR)を評価することであった。試験の両方の部分に関する副次的目的は、式Iの化合物の有効性(奏効期間、病勢コントロール率、奏効までの時間、無増悪生存期間(PFS)及び全生存期間(OS)の評価項目)、安全性及び薬物動態の他の尺度を含んだ。第1相における対象は、1日1回(QD)の180、360、720及び960mgで単剤療法として式Iの化合物により治療された。
【0217】
CodeBreak 100治験(NCT03600883)の第1相コホートの特定の結果が公開されている(Hong et al,2020)。とりわけ、Hong et al.は、NSCLCを有する59名の対象のセットについて論じており、そのうちの53名(89.8%)は、以前に抗プログラム細胞死タンパク質1(PD-1)又は抗プログラム死リガンド1(PD-L1)療法を受け、59名の対象全てが、以前にプラチナ系化学療法を受けた。簡潔に述べると、式Iの化合物は、忍容性が良好であり、多くの前治療を受けたNSCLCを有する対象において試験された全ての用量にわたって32.2%の確認された客観的奏効(完全又は部分奏効)率、88.1%の病勢コントロール率(客観的奏効又は安定な疾患)、10.9ヶ月の中央値奏効期間(DoR)及び6.3ヶ月の中央値無増悪生存期間(mPFS)を実証した。
【0218】
第1相において得られる結果に基づいて同定された第2相のための推奨用量は、単剤療法としての式Iの化合物の960mg QDであった。
【実施例】
【0219】
実施例1:第2相試験デザイン
この実施例は、CodeBreak 100治験(ClinicalTrials.govの識別子:NCT03600883)の第2相部分の特定の結果を示す。本明細書で示される分析に関するデータカットオフは、別段の指定がない限り、2020年9月1日であった。
【0220】
上で論じられるとおり、CodeBreak 100治験(ClinicalTrials.govの識別子:NCT03600883)の第2相において、局所進行性又は転移性KRAS G12C変異体NSCLCを有する対象は、960mg QDで単剤療法として式Iの化合物で治療された。対象は、疾患進行(対象が継続的な治療に適格でない限り)、治療不耐容、同意の撤回、死亡又は他の治験実施計画書に定義された理由が生じるまでソトラシブ治療を続けることになっていた。
【0221】
対象は、以下の組み入れ基準及び除外基準に基づいて治験の第2相部分に入れられた。
【0222】
組み入れ基準
●対象は、いずれかの試験特異的な活性/手順の開始の前にインフォームドコンセントを提供した。
●男性又は女性:18歳以上。
●分子的試験を介して同定されたKRAS G12C変異を有する病理学的に実証された局所進行性又は転移性悪性腫瘍。第2相に関して、変異は、登録前に中央検査機関での試験によって確認された。
●対象は、(禁忌でなければ)抗PD-1若しくは抗PD-L1免疫療法並びに/又はプラチナ系の組み合わせ化学療法及び標的化療法(治療につながる発癌ドライバー変異(すなわちEGFR、ALK及びROS1)が同定された場合)を受けた後に進行しなければならなかった。対象は、以前に3ライン以下の療法を受けなければならなかった。以下のガイダンスが使用された:
○補助療法は、対象が補助療法投与時又はその6ヶ月以内に進行した場合、療法のラインとして数えられた。
○局所進行性及び切除不能なNSCLCにおいて、以前の治癒が意図された多様式の療法の終了時又はその6ヶ月以内の疾患進行は、療法のラインとして数えられた。化学放射線治療の後に計画された全身療法が行われ、化学放射線治療と全身療法の間に実証された進行を伴わない場合、全治療期間が療法の1ラインとして数えられた。
○プラチナダブレット化学療法後の維持療法は、別のラインの療法としてみなされなかった。
●対象は、保管された腫瘍組織試料(5年以内に採取されたホルマリン固定、パラフィン包埋[FFPE]試料)を提供する意思があるか又は治療前の腫瘍生検を受ける意思がある。
●適切に生検され得る病変を有する対象は、腫瘍進行時に任意選択の生検を受けることが要求された。
●固形癌効果判定基準1.1(RECIST 1.1;Eisenhauer et al,2009)に従って測定可能な疾患。
●≦1の米国東海岸癌臨床試験グループ(ECOG)パフォーマンスステータス(Oken et al.,1982)。
●治験責任医師の判断において>3ヶ月の平均余命。
●経口薬を服用する能力があり、治験依頼者から提供される投与日誌を利用して治験薬に対する日々のアドヒアランスを記録する意思がある。
●QTc≦470msec(三つ組をスクリーニングした平均に基づく)。
●以下のとおりの十分な血液学的臨床検査:
○好中球絶対数(ANC)≧1.5×109/L。
○血小板数≧75×109/L。
○ヘモグロビン≧9g/dL(90g/L)。
●以下のとおりの十分な腎臓臨床検査:
○MDRD(腎疾患における食事の変更)計算に基づく推算糸球体濾過量≧60ml/分/1.73m2。
●以下のとおりの十分な肝臓臨床検査:
○アスパラギン酸アミノ基転移酵素(AST)<2.5×正常範囲上限(ULN)(肝臓転移が存在する場合、≦5×ULN)。
○アラニン酸アミノ基転移酵素(ALT)<2.5×ULN(肝臓転移が存在する場合、≦5×ULN)。
○総ビリルビン<1.5×ULN(実証されたジルベール症候群を有する対象に関して<2.0×ULN又は間接的なビリルビンレベルが肝臓外の供給源の上昇を示唆する対象に関して<3.0×ULN)。
●以下のとおりの十分な凝固臨床検査:
○プロトロンビン時間(PT)若しくは部分トロンボプラスチン時間(PTT)<1.5×ULN又は<1.5若しくは予防的な抗凝固療法を受けている場合には目標範囲内の国際標準比(INR)。
【0223】
除外基準
●非脳腫瘍からの活動性の脳転移。脳転移が切除されたか又は試験1日目の少なくとも4週前に放射線療法を終えた対象は、対象が以下の判定基準の全てを満たす場合、適格であった:
○2未満のグレードの残留性の神経症状;
○該当する場合、デキサメタゾンの安定用量の投与;及び
○30日以内に実施された追跡調査MRIは新規の病変の出現を示さなかった。
●2年以上疾患の証拠がなく、治療により完治している場合を除いて、血液系腫瘍の病歴がないか又はそれが存在しない。
●試験の1日目の6ヶ月以内の心筋梗塞、症候性のうっ血性心不全(ニューヨーク心臓協会>クラスII)、不安定狭心症又は薬物療法を必要とする心不整脈。
●経口薬の服用を不能にする胃腸(GI)管疾患、吸収不良症候群、静脈内栄養補給の必要、制御されない炎症性GI疾患(例えば、クローン病、潰瘍性大腸炎)。
●試験登録(1日目)の1週以内のIV抗生物質を必要とする活動性感染。
●以下の結果及び/又は判定基準に基づく肝炎感染の除外:
○陽性のB型肝炎表面抗原(HepBsAg)(慢性B型肝炎又は最近の急性B型肝炎を示す)。
○B型肝炎コア抗体に関して陽性である陰性HepBsAg(B型肝炎コア抗体試験はスクリーニングのために必要ではないが、これがなされ、陽性であった場合、B型肝炎表面抗体[抗HBs]試験が必要であった。この状況において抗HBsが検出不能であることは、不明確な感染の可能性を示唆しており、除外される必要がある)。
○陽性のC型肝炎ウイルス抗体:PCRによるC型肝炎ウイルスRNAが必要であった。C型肝炎ウイルスRNAが検出可能であることは、慢性C型肝炎を示唆する。
●HIVに関して既知の陽性試験。
●CTCAEバージョン5.0のグレード0若しくは1又は脱毛症を除く適格性判定基準において指示されるレベルまで回復していないと定義される以前の抗腫瘍療法に起因する未回復の毒性(イホスファミド関連タンパク尿などの不可逆的であるとみなされる[6ヶ月を超えて存在し且つ安定であるものとして定義される]以前の抗腫瘍療法に起因するグレード2又は3の毒性は、それらが除外基準に記載されておらず且つ治験責任医師及び治験依頼者の両方によって同意が得られた場合に許容された)。
●試験1日目の28日以内の抗腫瘍療法(化学療法、抗体療法、分子標的化療法、レチノイド療法、ホルモン療法[乳癌を有する対象を除く]又は治験薬);ホルモン抵抗性前立腺癌又は乳癌のためのホルモン枯渇療法の同時の使用は許容される。
●試験1日目の2週以内の治療的又は対症的放射線療法。対象は全ての放射線療法関連毒性から回復していなければならない。
●現在、別の治験用医療機器若しくは治験薬試験に登録されているか、又は別の治験用医療機器若しくは治験薬試験の終了から28日未満であるか、又は他の治験薬の投与を受けている。
●他の治験処置は除外される。
●試験1日目の28日以内の大手術。
●治療中及び式Iの化合物の最後の投与後の少なくとも7日間(女性)又は7日間(男性)、受胎調節の許容される方法を実践する意思がなかった男性及び妊娠可能な女性(WOCBP)。女性にとって有効性の高い受胎調節の許容される方法は、禁欲(異性間性交を控える);精液中に精子がないことを示す試験を伴う精管切除(1名の男性の性的パートナーを有する女性);左右卵管結紮若しくは閉塞;又は子宮内避妊器具を含んだ。男性のための受胎調節の許容される方法は、禁欲(異性間性交を控える);精液中に精子がないことを示す試験を伴う精管切除;パートナーにおける左右卵管結紮若しくは閉塞;又はコンドーム(女性パートナーは受胎調節の形式も検討すべきである)を含んだ。
●授乳中/母乳栄養中であったか又は試験中から試験薬の最後の投与を受けてから7日後まで母乳で育てる予定があった女性。
●妊娠試験が陽性である女性。
●試験中から試験薬の最後の投与を受けてから7日後まで妊娠中になる予定がある女性。
●対象が、投与中に投与されることになる製品のいずれかに既知の感受性を有した。
●対象及び治験責任医師が知る限り、対象が、治験実施計画書で要求される試験来院又は手順について利用可能ではなかった。
●対象が、治験責任医師の判断において、文書によるインフォームドコンセントを行う対象の能力及び/又は必要な全ての試験手順を遵守する対象の能力を損なう可能性のあるいずれかの障害を有した。
●治験責任医師又は医師の判断において、対象の安全性に危険を及ぼすか、又は試験の評価、手順若しくは完了に支障をきたすと考えられる、任意の他の臨床的に重要な障害、状態又は疾患(上で概説されるものを除く)の病歴又は証拠。
●治験責任医師及び治験依頼者のメディカルモニターによる審査及び承認を受けていない、試験1日目前の14日以内又は本剤若しくはその主要な活性代謝物の5半減期以内のいずれか長い方の既知のチトクロムP450(CYP)3A4感受性基質(治療域が狭い)の使用。
●治験責任医師及び治験依頼者のメディカルモニターによる審査及び承認を受けていない、試験1日目前の14日以内又は5半減期以内(いずれか長い方)のCYP3A4の強力な誘導因子(セイヨウオトギリソウなどのハーブの栄養補助剤を含む)の使用。
●以下の例外を伴う過去2年以内の他の悪性腫瘍の病歴:
○治癒を目的として治療された悪性腫瘍であり、登録前の2年間以上活動性の疾患が認められず、且つ担当医によって再発のリスクが低いと考えられたもの。
○疾患の証拠を有しない十分に治療された非黒色腫皮膚癌又は悪性黒子。
○疾患の証拠を有しない十分に治療された生体内原位置の子宮頸癌。
○疾患の証拠を有しない十分に治療された生体内原位置の乳管癌。
○前立腺癌の証拠を有しない前立腺上皮内腫瘍。
○十分に治療された尿路上皮乳頭非浸潤癌又は生体内原位置の癌。
●直接的なKRASG12C阻害剤による以前の治療。
【0224】
中央検査機関試験のための腫瘍組織試料採取
例えば、治療応答と相関し得る潜在的なバイオマーカーを評価するためのバイオマーカー分析用の試料が採取された。対象は、中央検査機関試験の結果が報告され、対象がKRAS G12C変異を有することが実証されるまで登録されなかった。
【0225】
NSCLCを有する対象に関して、保管腫瘍試料(登録の5年以内に採取されたホルマリン固定、パラフィン包埋(FFPE)試料)又は治療前腫瘍生検(コア針又は穿刺吸引又は切除FFPE試料)は、中央検査機関試験及びその後の探索性のバイオマーカー分析のための登録の前に提出された。腫瘍組織は、FFPEブロック又は未染色のスライドガラスのいずれかとして中央検査機関に提出させられた。
【0226】
KRAS G12C変異試験は、therascreen(登録商標)KRAS RGQ PCRキット(Qiagen)を使用して実行された。キットは、FFPE組織から抽出されたDNAを使用するヒトKRAS癌遺伝子における7種の体細胞変異の検出のためのRotor-Gene Q MDx機器上で実施されたリアルタイム定量PCRアッセイである。検出される変異は、G12A、G12D、G12R、G12C、G12S、G12V及びG13Dである。
【0227】
PD-L1試験は、使用のための指示書に従ってDako PharmDx 22C3免疫組織化学FDA承認キットを使用して中央検査機関で実行された。より具体的には、腫瘍細胞上でのプログラム死-リガンド1(PD-L1)発現の免疫組織化学評価は、使用のための製造業者の指示書(IFU)に従って、BOND III自動染色システム(Leica Microsystems)上でのPD-L1 IHC 22C3 pharmDxアッセイを使用して実施された。全てのスライドガラスが、PD-L1 IHC 22C3 pharmDxアッセイをスコア化するために訓練された委員会認定の病理学者によって審査され、スコア化された。腫瘍細胞PD-L1発現(%腫瘍比率スコア)及び試験結果(陽性/陰性)の報告は、22C3に関する食品医薬品局(FDA)による確立されたコンパニオン診断ガイドラインに従って実行された。
【0228】
therascreen(登録商標)KRAS RGQアッセイ及びDako PharmDx 22C3による対象の試験は、Houston、TexasにおけるNeoGenomics Central Testing Laboratoryで行われた。
【0229】
STK11、KEAP1及びTP53変異試験は、24種の遺伝子を含んだ(NSCLCにおいて治療につながるものを含む)Resolution Bioscience Resolution ctDx Lung(商標)アッセイを使用して実行された。組織試料は、Tempus xT 648パネルを使用して試験された。さらに、STK11及びKEAP1変異試験は、Qiagenの網羅的な癌パネル(NGS)を使用しても実行された。STK11/KEAP1/TP53共変異分析は、ベースライン組織及び/又は血漿試料から変異状態を決定し、変異は、機能喪失になると予測されるナンセンス、ミスセンス、フレームシフト又はスプライス部位変異及び挿入/欠失を含み、意義付け不明のバリアントを除外した。STK11、KEAP1又はTP53における意義付け不明のバリアント(VUS)を有する対象は、各遺伝子に関して野生型に対する変異体の対応する比較において含まれなかった。いずれかの認定されたバリアントを有する対象は、その遺伝子に関して変異があり、それ以外は野生型とみなされた。報告内容においてプラットフォームに差異があるため、フィルタリング手法は、各プラットフォームにカスタマイズされた。Tempusのフィルタリングされた分子マスターファイル(MMF)は、非同義バリアント(スプライス部位変異、欠失、フレームシフトを含む)、再編成及びコピー数バリアント(CNV)を保持するように処理された。除外されたバリアントは、COSMIC又はdbSNPに存在しないものであり、非病原性状態であり且つ少なくとも0.40のアレル頻度又は以下の例の1つであった:意義付け不明、良性、良性である可能性が高い又は生殖系列。生殖系列状態は、適合した正常試料に基づいてTempusによって提供された。Resolution BiosciencesのcfDNA NGS結果は、SnpEff v4.3tを使用してアノテートされ、バリアントはさらに、SnpSift v4.3tを使用してCOSMIC(v92)及びdbSNP(ビルド154)からの情報でアノテートされた。次に、バリアントは、非同義バリアント(スプライス部位変異、欠失、フレームシフトを含む)、少なくとも4のClinVar臨床的意義(病原性の可能性が高い)、インデル、CNV及び少なくとも3つのCOSMIC試料におけるバリアントを保持するようにフィルタリングされた。除外されたバリアントは、COSMIC又はdbSNPに存在しないものであり、少なくとも0.40のアレル頻度であるか又はClinVar臨床的意義において意義付け不明、良性又は良性である可能性が高い。
【0230】
結果
人口統計及びベースライン特徴
下の表1.1に示されるとおり、KRAS G12C変異局所進行性又は転移性NSCLCを有する合計で126名の対象が、CodeBreak 100治験の第2相部分に登録され、1用量以上の単剤療法としての式Iの化合物を受容した(1日1回の960mg)。これらの中で123名の対象は、1用量以上の式Iの化合物を受容し、ベースライン時にRECIST 1.1に従って(中央判定委員会に基づいて)≧1の測定可能な病変を有し、有効性評価のための最大の解析対象集団に含まれた(表2.1)。2020年9月1日のデータカットオフ日時点で、NSCLCを有する126名の対象のうちの69名(54.8%)が、試験への参加を継続していた。試験を中断した57名の対象(45.2%)のうちの47名の対象(37.3%)が死亡し、10名の対象(7.9%)が同意を撤回した。89名の対象(70.6%)は、式Iの化合物による治療を中断し;中断の最も一般的な原因は、疾患進行(70名の対象[55.6%])及び有害事象(11名の対象[8.7%])であった。式Iの化合物による治療期間の中央値(範囲)は、24.1(1.0、52.1)週であり、それぞれ対象の47.6%及び28.6%が≧6ヶ月及び≧9ヶ月の治療を受けた。中央値の相対用量強度は100%であった。
【0231】
NSCLCを有する126名の登録された対象の81.7%は、白人であり、50%は、男性であった。中央値(範囲)年齢は、63.5(37、80)歳であった。大部分の対象は、スクリーニング時に非扁平上皮NSCLC(99.2%)及びステージIV疾患(96.0%)を有した。治験実施計画書の適格性判定基準に従って、対象は、0又は1のベースライン米国東海岸癌臨床試験グループ(ECOG)パフォーマンスステータス(それぞれ38名の対象[30.2%]及び88名の対象[69.8%])を有した。対象は、以前に中央値で2ラインの抗癌療法を受けた:54名の対象(42.9%)が以前に1ラインを受け、44名(34.9%)が以前に2ラインを受け、28名(22.2%)が以前に3ラインを受け、4以上を受けた対象はいなかった。合計で113名の対象(89.7%)が、以前にプラチナ系化学療法を受け、115名の対象(91.3%)が、以前に抗PD-1/PD-L1免疫療法を受けた。合計で102名の対象(81.0%)は、チェックポイント阻害剤及びプラチナ系化学療法の両方による治療を受け、その治療で進行した。大部分の対象は、以前に喫煙者であったか(102名の対象、81.0%)又は現在も喫煙者(15名の対象、11.9%)であった。全体的に、7.1%が、標的化小分子療法を受け、その療法で進行した(治療につながる変異のための承認された療法/組み合わせはなかった)。治験実施医療機関によって報告され且つ文献と一致する利用可能なデータに基づいて、少数の対象が共変異を有した(TP53に関して対象の10.3%、STK11に関して5.6%、EGFRに関して2.4%及び全ての他の共変異に関して<1.6%;地域の現場で利用可能なデータに基づいて、ALK又はROSにおける共変異を有する対象はいなかった)。全体的に、96.8%の対象が転移性疾患を有した。治験実施計画書の適格性判定基準に従って、治療され、安定な脳転移を有する対象が試験に登録できた一方、活動性の脳転移を有する対象は除外された。これは、薬物療法を開始する前に外科手術又は放射線照射で活動性の脳転移を治療する標準に沿うものである。
【0232】
【0233】
さらに、2021年3月15日のデータカットオフの時点で、以前に治療され、KRAS p.G12C変異NSCLCを有する合計で126名の患者が登録され、少なくとも1用量のソトラシブを受容した。独立中央判定委員会に従って、2名の患者はベースライン時に測定可能な病変を有さず、奏効評価に関して不適格であった。残りの124名の患者の中で、1名の患者は、中央判定委員会で確認されるKRAS p.G12Cを有しなかった;この患者は安定な疾患を有し、治験実施計画書によって予め指定されるとおりの奏効評価に含まれた。データカットオフは、2021年3月15日であり、追跡期間中央値は15.3ヶ月(範囲、1.1+~18.4、+は、値がデータカットオフ時に打ち切られた患者データを含むことを示す)であった。治療期間の中央値は、5.5ヶ月(範囲、0.2~17.8)であった。合計で88名の患者(69.8%)は、3ヶ月以上、60名(47.6%)は6ヶ月以上、41名(32.5%)は9ヶ月以上ソトラシブを受容した。用量減少が、26名の患者(20.6%)において行われた。カットオフ時点で、103名の患者(81.7%)は、ソトラシブによる治療を中断した;疾患進行(n=83、65.9%)及び原因を問わない有害事象(n=11、8.7%)は、中断の最も一般的な原因であった。
【0234】
ベースラインでの特徴は、表1.2に要約され、表1.3においてさらに詳述される。登録された126名の患者の中で、年齢中央値は、63.5歳(範囲、37~80)であり、117名(92.9%)は、現在又は以前に喫煙者であった。患者は、以前に中央値で2ラインの全身性抗癌療法を受けた。以前の療法は、プラチナ系化学療法(n=113、89.7%)、チェックポイント阻害剤(n=116、92.1%)及び抗血管新生療法(n=25、19.8%)を含んだ。合計で102名の患者(81.0%)は、プラチナ系化学療法及びPD-1/L1阻害剤の両方を受けた。
【0235】
【0236】
【0237】
【0238】
【0239】
全体的な有効性結果
CodeBreak 100治験の第2相部分からのNSCLCを有する対象における腫瘍応答のための重要な有効性結果(最大の解析対象集団)が、下の表2.1において提供される。
【0240】
RECIST 1.1を使用する盲検の独立中央判定委員会に基づいて、CodeBreak 100治験の第2相部分におけるNSCLCを有する対象間でのORRは、123名の評価可能な対象のうちの46名で37.4%(95% CI:28.8、46.6)であり、完全奏効を有する2名の対象(1.6%)及び部分奏効を有する44名の対象(35.8%)を含む完全奏効又は部分奏効を達成した。95% CIの下限は、23%の事前に指定されたベンチマークORRを除外した。第2相NSCLC群における46名のレスポンダーの中で、奏効までの時間の中央値は、1.35ヶ月(範囲:1.2~6.1)であった。奏効期間(DOR)の中央値は、8.4ヶ月(95% CI:6.9、8.4)であった。データカットオフ日の時点で、46名のレスポンダーのうちの24名の対象(52.2%)は依然として治療を受けており、進行中の奏効を有した;DORに関する追跡期間中央値は、6.9ヶ月(範囲:1.3~8.4+)であった。
【0241】
プラチナ系化学療法及び抗PD-1又は抗PD-L1の両方による以前の治療を有した99名の対象の中で、ORRは32.3%(95% CI:23.3、42.5)であり、奏効期間の中央値は推定不能(95% CI:6.9ヶ月、推定不能)であった。対象のこのサブセットは、NSCLCにおいて最も効果的に利用可能な療法を受け、したがって、良好な治療選択肢は制限される。
【0242】
したがって、急速且つ持続的な観察されたORRは、生命を脅かす疾患及び限定的な利用可能な療法を有する目的の患者集団を検討する場合に臨床的に意味のある利点となる。
【0243】
PFS及びOSの結果は、式Iの化合物の有効性の追加の証拠を提供する。PFSのための追跡期間中央値は、8.3ヶ月(範囲:0.3~11.5+)であった。中央判定委員会に基づく中央値PFSは、6.7ヶ月(95% CI:4.9、8.1)であった;6ヶ月目でのPFSに関するカプラン・マイヤー推定量は51.5%であり、9ヶ月目は36.2%であった。OSに関する追跡期間中央値は、9.3ヶ月(範囲:1.1~12.2)であった。中央値OSは、12.0ヶ月(95% CI:9.5、推定不能)であった;6ヶ月目でのOSに関するカプラン・マイヤー推定量は75.5%であり、9ヶ月目は63.4%であった。データカットオフ日の時点で(2020年9月1日)、126名の対象のうちの69名(54.8%)は、最後の追跡調査来院時に生存しており、9名(7.1%)は同意を撤回し、48名(38.1%)が死亡していた。
【0244】
さらに、式Iの化合物は、忍容性が良好であり、治療に起因する死亡がなく、グレード3又は4の治療関連有害事象、治療中断及び用量変更の発生率が低かった。
【0245】
【0246】
【0247】
2021年3月15日のデータカットオフの時点で、以下の有効性の情報が利用可能である。
【0248】
奏効に関して評価された124名の患者の中で、4名(3.2%)は完全奏効を有し、42名(33.9%)は部分奏効を有し、37.1%(95% CI、28.6~46.2)の客観的奏効率が得られた。客観的奏効率は、KRAS p.G12C変異アレル頻度(MAF)に依存せず、MAFのそれぞれの0.10の増加に関して1.11(95% CI:0.88、1.39)のオッズ比を有した。病勢コントロール(完全奏効、部分奏効又は安定な疾患)は、100名の患者(80.6%、95% CI、72.6~87.2)において達成された(表2.2)。任意の規模の腫瘍縮小が102名の患者(82%)において観察され;全てのレスポンダー間での最良の腫瘍縮小のパーセンテージの中央値は、60%であった。疾患進行は、20名の患者において最良総合効果であった。合計で4名の患者が評価不能(n=2)であったか又はスキャンをし損ねた(n=2)。
【0249】
【0250】
客観的奏効率は、以前の療法のライン数及び抗PD-1又は抗PD-L1療法による以前の治療によって事前に指定された患者の亜群全体にわたって一貫していた(表2.3)。
【0251】
【0252】
客観的奏効を有した46名の患者の中で、奏効までの時間の中央値は1.4ヶ月であり、奏効期間の中央値は11.1ヶ月(95% CI、6.9~評価不能)であった。奏効は、レスポンダーの71.7%(33/46)においておよそ6週目の最初の腫瘍評価で観察された。カットオフの時点で、16名(34.7%)のレスポンダーが、進行を伴わずに治療中のままであった。奏効した患者間での奏効期間に関する3、6及び9ヶ月のカプラン・マイヤー推定量は、それぞれ90.5%(95% CI、76.7~96.3)、70.8%(95% CI、54.3~82.2)及び57.3%(95% CI、40.4~71.0)であった。
【0253】
124名の評価可能な患者間の無増悪生存期間の中央値は、6.8ヶ月(95% CI、5.1~8.2)であった。PFSに関する6ヶ月及び9ヶ月のカプラン・マイヤー推定量は、52.2%(95% CI、42.6~60.9)及び37.5%(95% CI、28.4~46.5)であった。登録された126名全ての患者間の全生存期間の中央値は、12.5ヶ月(95% CI、10.0~評価不能)であった。
【0254】
126名全ての患者を含んだ現地の治験責任医師の評価によれば、2名(1.6%)は完全奏効を有し、37名(29.4%)は部分奏効を有し、69名(54.8%)は安定な疾患を有し、15名(11.9%)は疾患進行を有した(表2.4)。
【0255】
【0256】
亜群の有効性結果
分析は、第2相におけるNSCLCを有する対象間での亜群(例えば、年齢、人種、以前のラインの抗癌療法、以前の免疫療法治療、ECOGステータス、病理組織診断型、疾患状態、肝臓又は脳転移の存在、喫煙歴、領域、最後の前療法に対する最良の応答)全体にわたる治療効果を探索するために実行された(表3)。各亜群のサンプルサイズが小さいため亜群分析の解釈は制限される場合があるが、特定の注目すべき効果及び傾向が観察された。
【0257】
以前のプラチナ系化学療法
ORRは、以前にプラチナ系化学療法を受けた対象及び全体的な対象集団と比較してそれを受けなかった対象に関して著しく高かった(それぞれ33.6%[110名の対象のうちの37名]及び37.4%[123名の対象のうちの46名]に対して69.2%[13名の対象のうちの9名])。
【0258】
脳転移
ORRは、脳転移を有する対象より脳転移を有しない対象に関して著しく高かった(15.4%[26名の対象のうちの4名]に対して43.3%[97名の対象のうちの42名])。ORRは、全体的な対象集団と比較して脳転移を有する対象に関して著しく低かった(37.4%[123名の対象のうちの46名]に対して15.4%[26名の対象のうちの4名])。
【0259】
骨転移
骨転移を有する対象と比較して骨転移を有しない対象に関してORRがより高くなる傾向が観察された(32.8%[58名の対象のうちの19名]に対して41.5%[65名の対象のうちの27名])。
【0260】
PD-L1タンパク質発現
表3は、局所的に得られたPD-L1タンパク質発現結果を提供する。腫瘍比率スコア(TPS)によって測定されるとおり、より低いPD-L1タンパク質発現を有する対象において、ORRがより高くなる傾向が観察された。PD-L1 TPS≧50%を有する群は、全体的な奏効と比較してより低いORRを有する一方(37.4%[123名の対象のうちの46名]に対して26.5%[34名の対象のうちの9名])、<1%のPD-L1 TPSを有する群並びに≧1%及び<50%のPD-L1 TPSを有する群は両方ともに、全体的な奏効と比較してより高いORRを有する(37.4%[123名の対象のうちの46名]に対して48.5%[33名の対象のうちの16名]及び40.9%[22名の対象のうちの9名])。
【0261】
後向きPD-L1中央検査機関試験は、2020年12月1日のデータカットオフに基づいて対象集団に対する使用のための指示書に従ってDako PharmDx 22C3免疫組織化学FDA承認キットを使用して実行され、利用可能なバイオマーカーデータを有した中央判定委員会による有効性に関して評価可能な124名の対象を評価した。
図1に示されるこの後向き分析は、上述の局所的に得られた結果とともに観察される傾向を確認している(表3を参照されたい)。具体的には、PD-L1 TPS≧50%を有する群は、全体的な奏効と比較してより低いORRを有する一方(42%[86名の対象のうちの36名]に対して22%[9名の対象のうちの2名])、<1%のPD-L1 TPSを有する群並びに≧1%及び<50%のPD-L1 TPSを有する群は両方ともに、全体的な奏効と比較してより高い又は同様のORRを有する(42%[86名の対象のうちの36名]に対して48%[44名の対象のうちの21名]及び39%[33名の対象のうちの13名])。
【0262】
STK11/KEAP1/TP53の共存変異
利用可能なバイオマーカーデータ(N=104)を有した(データカットオフ2020年12月1日)中央判定委員会に従って有効性に関して評価可能な対象集団(N=124)におけるSTK11/KEAP1の共存変異毎のORR(%、非レスポンダー/レスポンダー)は、
図2に示される。STK11/KEAP1共変異分析は、ベースライン組織及び/又は血漿試料から変異状態を決定し、変異は、機能喪失になると予測されるナンセンス、ミスセンス、フレームシフト又はスプライス部位変異及び挿入/欠失を含み、意義付け不明のバリアントを除外した。説明のために、用語「共存変異」は、STK11及びKEAP1のいずれか又は両方が、KRAS G12C変異と共存する変異を有することを指す。
【0263】
本明細書の上で論じられるとおり、STK11及びKEAP1共存変異は、KRAS変異体NSCLCにおいてより低い全生存期間(OS)と関連付けられている(背景を参照されたい)。OSは臨床試験において判定基準のままであるが、ORRと生存率の間の関連を探索する分析は、ORR、PFS及びOSの間の患者レベル及び試験レベルの関連を実証した(Blumenthal et al,2015;Clarke et al,2015)。この背景状況に対して、臨床的に意味のあるORRがSTK11/KEAP1共存変異プロファイル全体にわたって観察されたことは注目すべきことである。特に、STK11変異状態(機能喪失又は野生型)から独立したKEAP1共存機能喪失変異は、20%のORRを実証した(20名の対象のうちの4名)。さらに、KEAP1変異状態(機能喪失変異又は野生型)から独立したSTK11共存機能喪失変異が、この対象集団における全体的な奏効と比較して同様のORRを実証したことは特に注目すべきことである(39%[104名の対象のうちの41名]に対する40%[35名の対象のうちの14名]、
図3も参照されたい)。STK11共存機能喪失変異及びKEAP1野生型又はSTK11野生型及びKEAP1野生型を有する対象群が、この対象集団における全体的な奏効と比較して、それぞれより高いORRを示すことはさらにより注目すべきことである(39%[104名の対象のうちの41名]に対する50%[22名の対象のうちの11名])及び(39%[104名の対象のうちの41名]に対する42%[62名の対象のうちの26名])。
【0264】
2021年3月15日のデータカットオフに基づいて作成された
図3は、TP53、STK11及びKEAP1に関する共存変異による奏効を示す(野生型対変異体)。TP53及びSTK11に関するORR(上述のとおり)は、野生型と変異体の間で著しい相違を示さなかった一方、KEAP1変異体を有する対象と比較してKEAP1野生型に関してより高いORRが観察された。表4も参照されたい。表5に示されるとおり、野生型KEAP1を同時に有するSTK11変異体群においてソトラシブによってより長い生存期間が見られた一方、KEAP1変異体群は、この試験のサンプルサイズが小さいこと及び探索的性質の制約により、利益が少ないように見えた。
【0265】
図4、5及び6は、STK11、KEAP1及びTP53共存変異によって重畳されたTPS毎のPD-L1発現レベル群による客観的奏効率を示す(データカットオフ2021年3月15日)。
【0266】
さらに、
図7及び8は、STK11及びKEAP1変異状態毎の無増悪生存期間(PFS)を示す(データカットオフ2021年3月15日)。
【0267】
腫瘍変異負荷
2021年3月15日のカットオフ時点で、腫瘍変異負荷に関して評価された患者サブセット(n=84)において、奏効率は、腫瘍変異負荷が低い群(<10Mut/Mb)に関して42%(95% CI、30%~55%)及び腫瘍変異負荷が高い群(≧10Mut/Mb)に関して40%(95% CI、16%~68%)であった(表6を参照されたい)。
【0268】
【0269】
【0270】
【0271】
【0272】
【0273】
実施例2:腫瘍が第1選択治療を必要とするKRAS G12C変異を有するステージIV NSCLCを有する対象におけるソトラシブ(AMG 510)の第2相、多施設、非盲検試験(CodeBreak 201)
全体的なデザイン
腫瘍が<1%のプログラム死リガンド1(PD-L1)を発現し且つ/又は第1選択治療を必要とするセリン/スレオニンキナーゼ11(STK11)変異を有するKRAS p.G12C変異を有する転移性非小細胞肺癌(NSCLC)を有する対象におけるソトラシブ単剤療法の抗腫瘍効果を探索するための非盲検、多施設第2相試験が設定される。対象は、経口により(PO)1日で(QD)960mgのソトラシブによる治療のための1:1デザインにおいて無作為化され、STK11変異の既知の存在によって層別化される。試験は、ClinicalTrials.gov識別子:NCT04933695の下で収載される(https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT04933695;2021年10月13日版;最終アクセス日2021年12月15日)。
【0274】
独立したデータ審査チーム(DRT)が試験をモニターすることになる。ベイズ事後確率に基づく拘束力のない無益性ガイドラインは、不十分な有効性の場合に中止を容易にするために使用されることになる。対象は、盲検下独立中央判定委員会(BICR)によって確認されるとおりの疾患進行、許容されない毒性、インフォームドコンセントの撤回又は死亡のいずれかが最初に生じるまで治療される。全ての対象は、治験実施計画書で要求される療法の最後の投与間隔の終わりのおよそ30(+7)日後又はいずれかの新たな抗腫瘍治療が開始されるおよそ30(+7)日前に安全性追跡調査(SFU)来院を行う必要がある。SFU来院の後、対象は、死亡、同意の撤回又は試験の終了のいずれかが最初に生じるまで、生存期間の評価及び抗癌治療の文書化のために12週(±2週)毎にクリニックにおいて又は電話を介して試験の長期的な追跡調査(LTFU)期に入ることになる。X線検査による疾患進行以外の理由でソトラシブを中止する対象は、疾患進行が固形癌効果判定基準(RECIST)1.1に従ってX線検査によって文書化されるか、試験外の癌治療を開始するか、同意の撤回又は試験の終了のいずれかが最初に生じるまで、疾患状態に関してLTFU画像検査を受けることになる。
【0275】
追加の血漿/血液/組織生検試料が、タンパク質、RNA及びDNAレベルでのバイオマーカー発現の同定及び定量化のための探索的バイオマーカーのために回収される。
【0276】
ソトラシブ錠剤は、21日の治療周期の間、食事とともに又は食事を伴わずにPO QDで投与される。ソトラシブ錠剤は、120mgの強度でPO、固体剤形として製剤化される。試験中に使用されるソトラシブ用量は、1日当たり960mgである。
【0277】
個々の対象に関する総試験期間は、およそ6年である:28日のスクリーニング、6~12ヶ月の治療及び最大およそ46サイクル、SFU並びに最後の対象が登録されてから5年のLTFU。
【0278】
プロトンポンプ阻害剤(PPI、例えば、オメプラゾール、パントプラゾール、エソメプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾール及びデクスランソプラゾール)又はH2RA(例えば、ファモチジン、ラニチジン、シメチジン、ニザチジン、ロキサチジン及びラフチジン)とソトラシブの同時投与は禁止される。制酸薬による治療が回避できない場合、ソトラシブは、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム及び水酸化マグネシウムなどの局所性制酸剤の4時間前又は10時間後に投与される必要がある。
【0279】
有効性亜群分析は、PD-L1<1%、STK11共変異及び目的の他の共存変異を有する対象に関して実施されることになる。主要及び最終解析に関して、亜群は、中央のデータに基づいて決定されることになる。
【0280】
【0281】
試験集団
対象組み入れ基準としては、以下が挙げられる:
●未治療ステージIV(米国癌合同委員会(American Joint Committee on Cancer)(AJCC)v8に従う、Amin et al.,2017を参照されたい)NSCLC。
○アジュバント又はネオアジュバント療法を受けた対象は、アジュバント/ネオアジュバント療法が転移性疾患の発症の12ヶ月より前に完了した場合、適格である。
●分子的試験を介して同定されたKRAS p.G12C変異を有する病理学的に実証された転移性NSCLC。KRAS p.G12C変異は、臨床検査改善修正法案(CLIA)により認可された実験室又は均等物において実施されなければならない。
●年齢≧18歳。
●pharm Dx DAKO 22C3又はVentana SP263 IHCによって決定されるPD-L1 TPSスコア<1%。対象がPD-L1 TPSスコア<1%を有しない場合、NGSによって決定されるとおりのSTK11機能喪失変異が存在しなければならない。PD-L1 TPSスコア<1%を有する対象もSTK11変異の存在を有し得る。
●対象は、保管された腫瘍組織試料(5年以内に採取されたホルマリン固定、パラフィン包埋[FFPE]試料)を提供する意思がある必要があるか又は治療前の腫瘍生検を受ける意思がある必要がある。
●RECIST 1.1判定基準を使用する治験責任医師による解釈に従う測定可能な疾患(Eisenhauer et al,2009)。以前に放射線照射された病変は、それらが放射線照射後に進行していない限り、測定可能であるとみなされない。
●≦1の米国東海岸癌臨床試験グループ(ECOG、Oken et al.,1982)パフォーマンスステータス。
●治験責任医師の判断において>3ヶ月の平均余命。
●経口薬を服用する能力があり、治験薬に対する日々のアドヒアランスを記録する意思がある。
●十分な血液学的臨床検査:
○好中球絶対数(ANC)≧1500細胞/μL
○ヘモグロビン≧9.0g/dL
○血小板数≧75000/μL。
●以下の定義とおりに定義される十分な腎臓臨床検査:
○腎疾患における食事の変更(MDRD)計算に基づく推算糸球体濾過量≧30ml/分/1.73m2
○推算糸球体濾過量=175×血清クレアチニン-1.154×年齢-0.203×性別(女性の場合、0.742)×人種(黒人の場合、1.210)。
●以下のとおりの十分な肝臓臨床検査:
○アスパラギン酸アミノ基転移酵素(AST)≦2.5×正常範囲上限(ULN)
○アラニンアミノ基転移酵素(ALT)≦2.5×ULN
○総ビリルビン(TBL) 実証されたジルベール症候群を有する対象に関して≦1.5×ULN又は間接的なビリルビンレベルが肝臓外の供給源の上昇を示唆する対象に関して<3.0×ULN。
●以下のとおりの十分な凝固臨床検査:
○プロトロンビン時間(PT)又は部分トロンボプラスチン時間(PTT)<1.5×ULN、又は
○国際標準比(INR)<1.5×ULN又は予防的な抗凝固療法を受けている場合には目標範囲内。
●女性においてQTc≦470msec又は男性において≦450msec(三つ組をスクリーニングした平均に基づく)。
【0282】
対象除外基準としては、以下が挙げられる:
疾患関連
●混合型小細胞肺癌及びNSCLC組織学的検査。
●対象は、転移性NSCLCのために以前に治療を受けた。アジュバント又はネオアジュバント療法を受けている対象は、アジュバント/ネオアジュバント療法が転移性疾患の発症の12ヶ月より前に完了した場合、適格である。
【0283】
他の医学的状態
●治癒を目的として治療されていない限り、悪性腫瘍の病歴又は存在及び以下の例外を伴って≧3年の疾患の証拠がないこと:
○疾患の証拠を有しない十分に治療された非黒色腫皮膚癌又は悪性黒子
○疾患の証拠を有しない十分に治療された生体内原位置の子宮頸癌
○疾患の証拠を有しない十分に治療された生体内原位置の乳管癌
○前立腺癌の証拠を有しない前立腺上皮内腫瘍
○十分に治療された尿路上皮乳頭非浸潤癌又は生体内原位置の癌。
●脊髄圧迫、活動性脳転移及び/又は癌性髄膜炎。脳転移が切除されたか又は試験1日目の少なくとも4週前に全脳放射線療法を終えた(又は少なくとも2週前に定位放射線手術を終えた)対象は、対象が以下の判定基準の全てを満たす場合、適格である:
○残存する神経性症状がないこと
○神経性症状を管理するためにコルチコステロイドの必要がないこと
○登録前の30日以内に実施された追跡調査MRIが新規の病変又は拡大中の病変の出現を示さない
○10mmより大きい単一の病変がないこと。
●試験の1日目の6ヶ月以内の心筋梗塞、症候性のうっ血性心不全(ニューヨーク心臓協会>クラスII)、不安定狭心症又は薬物療法を必要とする心不整脈。
●経口薬の服用を不能にする胃腸(GI)管疾患、吸収不良症候群、静脈内(IV)栄養補給の必要、制御されない炎症性GI疾患(例えば、クローン病、潰瘍性大腸炎)。
●以下の結果及び/又は判定基準に基づく肝炎感染の証拠:
○陽性のB型肝炎表面抗原(HepBsAg)(慢性B型肝炎又は最近の急性B型肝炎を示す)。
○B型肝炎コア抗体に関して陽性である陰性HepBsAg(B型肝炎コア抗体試験はスクリーニングのために必要ではないが、これがなされ、陽性である場合、B型肝炎表面抗体[抗HBs]試験が必要である。この状況において抗HBsが検出不能であることは、不明確な感染の可能性を示唆しており、除外される必要がある)。
○陽性のC型肝炎ウイルス抗体:ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によるC型肝炎ウイルスRNAが必要である。検出可能なC型肝炎ウイルスRNAは、対象を不適格にする。
○陽性B型又はC型肝炎ウイルス量:上の抗体/抗原検査を得ることができない場合、B型又はC型肝炎ウイルス量を得る。
●月1回を超える頻度で反復性のドレナージ処置を必要とする制御されない胸水、心膜液貯留又は腹水。所定の位置にPleurXカテーテルを有する対象は、メディカルモニターの承認によってのみ試験に関して検討され得る。
●ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に関する既知の陽性試験。
●ステロイドを要求した(非感染性)間質性肺炎の病歴を有するか又は現在間質性肺炎を有する。
●治療用経口又はIV抗生物質を要求する試験1日目の2週以内の活動性感染。
●試験1日目の28日以内の大手術。
●CTCAEバージョン5.0のグレード0若しくは1又は脱毛症(許容される任意のグレード)を除く適格性判定基準において指示されるレベルまで回復していないと定義される以前の抗腫瘍療法に起因する未回復の毒性。イホスファミド関連タンパク尿又はニューロパチーなどの不可逆的であるとみなされる(6ヶ月を超えて存在し且つ安定であるものとして定義される)以前の抗腫瘍療法に起因するグレード2又は3の毒性は、それらが別の方法で除外基準に記載されておらず且つ治験責任医師及び治験依頼者の両方によって同意が得られた場合に許容され得る。
【0284】
以前の/同時の療法
●12ヶ月以内の抗腫瘍療法(化学療法、抗体療法、分子標的化療法又は治験薬)。
●試験1日目の2週以内の治療的又は対症的放射線療法。対象は全ての放射線療法関連毒性からグレード1以下まで回復していなければならない。
●治験治療の最初の投与の6ヶ月以内に>30Gyである肺への放射線療法を受けた。
●共有結合性のKRAS p.G12C阻害剤による以前の治療。
●治験責任医師及びメディカルモニターによる審査及び承認を受けていない、試験1日目前の14日以内又は本剤若しくはその主要な活性代謝物の5半減期以内のいずれか長い方の既知のチトクロムP450(CYP)3A4感受性基質又はP-gp基質(治療域が狭い)の使用。
●治験責任医師及びメディカルモニターによる審査及び承認を受けていない、試験1日目前の14日以内又は5半減期以内(いずれか長い方)のCYP3A4の強力な誘導因子(セイヨウオトギリソウなどのハーブの栄養補助剤を含む)の使用。
●治験責任医師及びメディカルモニターによる審査及び承認を受けていない、試験1日目前の14日以内又は本剤若しくはその主要な活性代謝物の5半減期以内のいずれか長い方のプロトンポンプ阻害剤(PPI)又はヒスタミン2(H2)受容体アンタゴニスト(H2RA)の使用。
【0285】
以前の/同時の臨床試験経験
●別の治験用医療機器若しくは薬物試験における治療を現在受けているか、又は別の治験用医療機器若しくは薬物試験での治療終了から28日未満であること。本試験に参加しながらの他の治験工程は、除外される。
【0286】
他の除外
●治療中及びソトラシブの最後の投与のさらに7日後の間の治験実施計画書で指定される避妊方法(第11.5節を参照されたい)を使用する意思がない妊娠能力のある女性対象。
●試験中ソトラシブの最後の投与の7日後までの間に授乳中又は授乳する予定のある女性対象。
●試験中ソトラシブの最後の投与の7日後までの間に妊婦になる予定のある女性対象。
●スクリーニング時又は1日目に高感受性の尿又は血清妊娠検査によって陽性の妊娠検査を有する妊娠能力のある女性対象。
●治療中及びソトラシブの最後の投与のさらに7日後の間に禁欲(異性間性交を控える)を実践するか又は避妊を使用する意思がない妊娠能力のある女性パートナーを有する男性対象。
●治療中及びソトラシブの最後の投与のさらに7日後の間に禁欲を実践するか又はコンドームを使用する意思がない妊娠中のパートナーを有する男性対象。
●治療中及びソトラシブの最後の投与のさらに7日後の間に精子を提供することを控える意思がない男性対象。
●対象が投薬中に投与されることになる製品又は成分のいずれかに対する既知の感受性を有する。
●対象及び治験責任医師が知る限り、全ての治験実施計画書で要求される試験来院若しくは手順を完了することができず、且つ/又は全ての要求される試験手順(例えば、臨床成績評価)を遵守することができない可能性が高い対象。
●コンピューター断層撮影(CT)スキャンのためのヨウ素化造影剤及びMRIスキャンのためのガドリニウム造影剤の両方を受容することができない対象。
●受診した場合に治験責任医師又は医師が、対象の安全性に対するリスクを提起するか、又は試験の評価、手順若しくは完了に支障をきたすであろうと判断する任意の他の臨床的に重要な障害、病態又は疾患(上で概説されたものを除く)の病歴又は証拠。
【0287】
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【0288】
本明細書で引用された全ての参考文献、例えば科学論文又は特許出願公報は、各参考文献があらゆる目的のためにその全体が参照により組み込まれると具体的且つ個別に示されるのと同程度に、あらゆる目的のためにそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【国際調査報告】