(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-19
(54)【発明の名称】極低温環境用カスタムサーマルシールド
(51)【国際特許分類】
F25B 9/00 20060101AFI20240112BHJP
【FI】
F25B9/00 F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023541362
(86)(22)【出願日】2021-12-30
(85)【翻訳文提出日】2023-07-06
(86)【国際出願番号】 EP2021087874
(87)【国際公開番号】W WO2022148708
(87)【国際公開日】2022-07-14
(32)【優先日】2021-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】New Orchard Road, Armonk, New York 10504, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【氏名又は名称】太佐 種一
(74)【代理人】
【識別番号】100120710
【氏名又は名称】片岡 忠彦
(74)【復代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グマン、パトリック
(72)【発明者】
【氏名】グレンダニン、ヴァレリオ
(72)【発明者】
【氏名】ハート、ショーン
(72)【発明者】
【氏名】マッケイ、デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】チョウ、ジェリー
(72)【発明者】
【氏名】ザルスキー、デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】バウアー、ギルバート
(57)【要約】
極低温環境用カスタムサーマルシールドを容易にする技法が提供される。一例において、クライオスタットは、サーマルステージ、及び、外側真空チャンバの底板に結合された基底構造の間に延在するサーマルシールドを備え得る。サーマルステージは、外側真空チャンバの天板に結合され得る。サーマルシールドは、外側真空チャンバの天板及び底板を介する外側真空チャンバの領域の外部から、サーマルシールド内に包含された試料設置面へのアクセスを提供し得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーマルステージ、及び、外側真空チャンバの底板に結合された基底構造の間に延在する、サーマルシールド
を備え、
前記サーマルステージは、前記外側真空チャンバの天板に結合されており、前記サーマルシールドは、前記外側真空チャンバの前記天板及び底板を介する前記外側真空チャンバの領域の外部から、前記サーマルシールド内に包含された試料設置面へのアクセスを提供する、
クライオスタット。
【請求項2】
前記サーマルシールドは、前記サーマルシールド及び前記基底構造の間に介在する柔軟構造により下部構造に機械的に結合されている、請求項1に記載のクライオスタット。
【請求項3】
前記柔軟構造は、前記サーマルシールドを前記基底構造に熱的に結合する、請求項2に記載のクライオスタット。
【請求項4】
前記柔軟構造は、前記基底構造に対する前記サーマルシールドの鉛直移動を容易にする、請求項2又は3に記載のクライオスタット。
【請求項5】
前記サーマルステージ及び前記基底構造は、実質的に同様の温度で動作する、請求項1から4のいずれか一項に記載のクライオスタット。
【請求項6】
前記サーマルシールドは、前記サーマルステージ及び前記基底構造の間に延在する複数のセクションに分割される、請求項1から5のいずれか一項に記載のクライオスタット。
【請求項7】
前記サーマルステージ及び前記基底構造の間に延在する金属ストリップは、前記複数のセクションのうちの隣接するセクション間に介在する継ぎ目を覆い、前記サーマルステージから、前記クライオスタットのより低温のサーマルステージへのエネルギーの放射を最小化する、請求項6に記載のクライオスタット。
【請求項8】
前記複数のセクションは、固定セクション及び取り外し可能セクションを含む、請求項6又は7に記載のクライオスタット。
【請求項9】
前記サーマルシールドは、複数の取り付け機構を介して前記サーマルステージに機械的に固定されている、請求項1から8のいずれか一項に記載のクライオスタット。
【請求項10】
前記サーマルステージは、50ケルビンステージ又は4ケルビンステージである、請求項1から9のいずれか一項に記載のクライオスタット。
【請求項11】
前記サーマルシールドは、開口端を有する金属円筒である、請求項1から10のいずれか一項に記載のクライオスタット。
【請求項12】
前記サーマルシールドは、アルミニウム、銅、真鍮、チタン、金、プラチナ、又はこれらの組み合わせを有する、請求項1から11のいずれか一項に記載のクライオスタット。
【請求項13】
前記サーマルシールドは、8分の1インチ(0.3175cm)の最小厚さを有する、請求項1から12のいずれか一項に記載のクライオスタット。
【請求項14】
サーマルシールド、及び、外側真空チャンバの底板に結合された基底構造の間に介在する柔軟構造
を備え、
前記柔軟構造は、前記サーマルシールドを前記基底構造に機械的に結合し、前記サーマルシールドは、前記基底構造、及び、前記外側真空チャンバの天板に結合されたサーマルステージの間に延在し、前記サーマルシールドは、前記外側真空チャンバの前記天板及び底板を介する前記外側真空チャンバの領域の外部から、前記サーマルシールド内に包含された試料設置面へのアクセスを提供する、
クライオスタット。
【請求項15】
前記柔軟構造は、前記基底構造に対する前記サーマルシールドの鉛直移動を容易にする、請求項14に記載のクライオスタット。
【請求項16】
前記サーマルステージ及び前記基底構造は、実質的に同様の温度で動作する、請求項14又は15に記載のクライオスタット。
【請求項17】
前記柔軟構造は、前記サーマルシールドを前記基底構造に熱的に結合し、前記サーマルシールドを前記サーマルステージに機械的に固定する複数の取り付け機構は、前記サーマルシールドが前記サーマルステージに熱的に結合することを容易にする、請求項14から16のいずれか一項に記載のクライオスタット。
【請求項18】
前記柔軟構造は、アルミニウム、銅、真鍮、チタン、金、プラチナ、又はこれらの組み合わせを有する、請求項14から17のいずれか一項に記載のクライオスタット。
【請求項19】
前記柔軟構造は、前記サーマルシールドの第1の面上で前記基底構造に結合し、前記第1の面と反対の前記サーマルシールドの第2の面上で前記サーマルシールドに結合する、請求項14から18のいずれか一項に記載のクライオスタット。
【請求項20】
前記柔軟構造は、箔又は編組金属線を有する、請求項14から19のいずれか一項に記載のクライオスタット。
【請求項21】
前記柔軟構造は、熱膨張又は熱収縮に起因する前記サーマルステージの変動する形状に応答する前記サーマルシールドの最大鉛直変位により定義される弛みを有する、請求項14から20のいずれか一項に記載のクライオスタット。
【請求項22】
外側真空チャンバの底板に結合された基底構造、及び、
前記基底構造及びサーマルシールドの間に介在する柔軟構造
を備え、
前記柔軟構造は、前記基底構造を前記サーマルシールドに機械的に結合し、前記サーマルシールドは、前記基底構造、及び、前記外側真空チャンバの天板に結合されたサーマルステージの間に延在し、前記サーマルシールドは、前記外側真空チャンバの前記天板及び底板を介する前記外側真空チャンバの領域の外部から、前記サーマルシールド内に包含された試料設置面へのアクセスを提供する、
クライオスタット。
【請求項23】
前記基底構造は、前記基底構造を前記柔軟構造に結合する取り付け機構を受けるためのクリアランスホールを有する、請求項22に記載のクライオスタット。
【請求項24】
前記柔軟構造は、前記基底構造に対する前記サーマルシールドの鉛直移動を容易にする、請求項22又は23に記載のクライオスタット。
【請求項25】
前記柔軟構造は、前記基底構造を前記サーマルステージに熱的に結合する、請求項22から24のいずれか一項に記載のクライオスタット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、極低温環境に関し、より具体的には、極低温環境用カスタムサーマルシールドを容易にする技法に関する。
【背景技術】
【0002】
クライオスタットは、クライオスタット内に位置する試料設置面上に配置された試料又はデバイスを絶対零度に近い温度で維持し、そのような試料又はデバイスを極低温条件下で評価することを容易にし得る。クライオスタットは通常、後続の各サーマルステージが、先行するサーマルステージで存在するよりも漸進的に低い温度を有するサーマルプロファイルを含む複数のサーマルステージを用いて、そのような低温を提供する。クライオスタット内で試料又はデバイスを極低温条件下に維持することは、クライオスタットに近接する周囲環境から試料設置面を熱的に隔離することを伴い得る。
【0003】
そのような熱的隔離は通常、複数のサーマルステージを真空条件下に維持し得る、クライオスタットの外側真空チャンバにより提供される。幾つかのクライオスタットは、天板及び真空缶を有する外側真空チャンバを採用している。天板は、クライオスタットのサーマルステージに機械的に結合し、真空缶は、シール機構を介して天板に結合し、サーマルステージを外側真空チャンバ内に封じ込め得る。ポンプの動作は、外側真空チャンバ内の圧力を低下させ、サーマルステージを真空条件下に維持し得る。
【0004】
クライオスタットの外側真空チャンバ内に配設された1つ又は複数のサーマルシールドは、クライオスタットのサーマルステージに対して追加的な熱的隔離を提供し得る。サーマルシールドは、通常、サーマルシールドの外部の熱源により生成される電磁波(例えば、黒体放射)を遮断することにより、そのような熱的隔離を提供し得る。そのような電磁波を遮断することにより、サーマルシールドは、熱源からサーマルシールド内のクライオスタットのより低温の領域への熱放射を軽減し得る。
【0005】
サーマルシールドは、クライオスタットに対して熱的隔離を提供することにおいて有効であり得るが、サーマルシールドは、クライオスタットのスケーラビリティに悪影響を及ぼし得る。例えば、幾つかのクライオスタットは、開口端及び開口端に対向する閉鎖端を有する円筒として実装されたサーマルシールドを採用している。幾つかの事例において、クライオスタットは、トップローディング又はボトムローディングの試料交換機構に関連する鉛直方向のクリアランス要件に起因して、そのようなサーマルシールドを採用し得る。そのようなサーマルシールドの閉鎖端は、外側真空チャンバの領域の外部から試料設置面への入/出力ラインの経路決定(routing)に対する障害を表し得る。
【発明の概要】
【0006】
以下、本発明の1つ又は複数の実施形態の基本的な理解を提供するための概要を示す。この概要は、主要又は重要な要素を識別すること、又は、特定の実施形態の範囲又は特許請求の範囲を画定することを意図するものではない。その唯一の目的は、後で示されるより詳細な説明の前置きとして、概念を簡略化された形式で示すことである。本明細書に記載の1つ又は複数の実施形態において、極低温環境用カスタムサーマルシールドを容易にするシステム、デバイス、及び/又は方法が説明される。
【0007】
一実施形態によれば、クライオスタットは、サーマルステージ、及び、外側真空チャンバの底板に結合された基底構造の間に延在するサーマルシールドを備え得る。サーマルステージは、外側真空チャンバの天板に結合され得る。サーマルシールドは、外側真空チャンバの天板及び底板を介する外側真空チャンバの領域の外部から、サーマルシールド内に包含された試料設置面へのアクセスを提供し得る。そのようなクライオスタットの一態様は、クライオスタットが、極低温環境用カスタムサーマルシールドを容易にし得ることである。
【0008】
一実施形態において、サーマルシールドは、サーマルステージ及び基底構造の間に延在する複数のセクションに分割される。そのようなクライオスタットの一態様は、クライオスタットが、サーマルシールドを実装するにあたってのモジュール性を容易にし得ることである。
【0009】
別の実施形態によれば、クライオスタットは、サーマルシールド、及び、外側真空チャンバの底板に結合された下部構造の間に介在する柔軟構造を備え得る。柔軟構造は、サーマルシールドを下部構造に機械的に結合し得る。サーマルシールドは、下部構造、及び、外側真空チャンバの天板に結合されたサーマルステージの間に延在し得る。サーマルシールドは、外側真空チャンバの天板及び底板を介する外側真空チャンバの領域の外部から、サーマルシールド内に包含された試料設置面へのアクセスを提供し得る。そのようなクライオスタットの一態様は、クライオスタットが、極低温環境用カスタムサーマルシールドを容易にし得ることである。
【0010】
一実施形態において、柔軟構造は、基底構造に対するサーマルシールドの鉛直移動を容易にし得る。そのようなクライオスタットの一態様は、サーマルステージの形状が熱膨張/収縮に起因して変動する際に、クライオスタットがサーマルシールドの構造的完全性を保つことを容易にし得る。
【0011】
別の実施形態によれば、クライオスタットは、外側真空チャンバの底板に結合された基底構造、及び、基底構造及びサーマルシールドの間に介在する柔軟構造を備え得る。柔軟構造は、基底構造をサーマルシールドに機械的に結合し得る。サーマルシールドは、基底構造、及び、外側真空チャンバの天板に結合されたサーマルステージの間に延在し得る。サーマルシールドは、外側真空チャンバの天板及び底板を介する外側真空チャンバの領域の外部から、サーマルシールド内に包含された試料設置面へのアクセスを提供し得る。そのようなクライオスタットの一態様は、クライオスタットが、極低温環境用カスタムサーマルシールドを容易にし得ることである。
【0012】
一実施形態において、柔軟構造は、基底構造をサーマルステージに熱的に結合し得る。そのようなクライオスタットの一態様は、クライオスタットが、サーマルシールド内の温度勾配の最小化を容易にし得ることである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本明細書に記載の1つ又は複数の実施形態に係る、例示的で非限定的なクライオスタットを示す。
【0014】
【
図2】本明細書に記載の1つ又は複数の実施形態に係る、
図1のクライオスタットのサーマルシールドを図示する、例示的で非限定的な外部等角図を示す。
【0015】
【
図3】本明細書に記載の1つ又は複数の実施形態に係る、
図2のサーマルシールドを図示する、例示的で非限定的な内部側面図を示す。
【0016】
【
図4】本明細書に記載の1つ又は複数の実施形態に係る、例示的で非限定的なサーマルシールドを示す。
【0017】
【
図5】本明細書に記載の1つ又は複数の実施形態に係る、サーマルステージ及び基底構造の間に延在する、
図4の例示的で非限定的なサーマルシールドを示す。
【0018】
【
図6】本明細書に記載の1つ又は複数の実施形態に係る、サーマルシールド及び基底構造の間に介在する柔軟構造により基底構造に機械的に結合された、
図4の例示的で非限定的なサーマルシールドを示す。
【0019】
【
図7】本明細書に記載の1つ又は複数の実施形態に係る、第1の方向における基底構造に対する、
図4の例示的で非限定的なサーマルシールドの鉛直移動を容易にする柔軟構造を示す。
【0020】
【
図8】本明細書に記載の1つ又は複数の実施形態に係る、
図7の第1の方向と反対の第2の方向における基底構造に対する、
図4の例示的で非限定的なサーマルシールドの鉛直移動を容易にする柔軟構造を示す。
【0021】
【
図9】本明細書に記載の1つ又は複数の実施形態に係る、サーマルシールドの隣接するセクション間に介在する継ぎ目を覆う金属ストリップを図示する、例示的で非限定的な等角図を示す。
【0022】
【
図10】本明細書に記載の1つ又は複数の実施形態に係る、平坦な状態にある
図9の金属ストリップを図示する、例示的で非限定的な正射影図を示す。
【0023】
【
図11】本明細書に記載の1つ又は複数の実施形態に係る、平坦な状態にある
図9の金属ストリップの例示的で非限定的な側面図を示す。
【0024】
【
図12】本明細書に記載の1つ又は複数の実施形態に係る、折り畳み状態にある
図9の金属ストリップを図示する、例示的で非限定的な正射影図を示す。
【0025】
【
図13】本明細書に記載の1つ又は複数の実施形態に係る、折り畳み状態にある
図9の金属ストリップを図示する、例示的で非限定的な上面図を示す。
【0026】
【
図14】本明細書に記載の1つ又は複数の実施形態に係る、サーマルシールドのセクションを図示する、例示的で非限定的な等角図を示す。
【0027】
【
図15】本明細書に記載の1つ又は複数の実施形態に係る、平坦な状態にある
図14のサーマルシールドのセクションを図示する、例示的で非限定的な正射影図を示す。
【0028】
【
図16】本明細書に記載の1つ又は複数の実施形態に係る、平坦な状態にある
図14のサーマルシールドのセクションの例示的で非限定的な側面図を示す。
【0029】
【
図17】本明細書に記載の1つ又は複数の実施形態に係る、折り畳み状態にある
図14のサーマルシールドのセクションを図示する、例示的で非限定的な正射影図を示す。
【0030】
【
図18】本明細書に記載の1つ又は複数の実施形態に係る、折り畳み状態にある
図14のサーマルシールドのセクションを図示する、例示的で非限定的な上面図を示す。
【0031】
【
図19】本明細書に記載の1つ又は複数の実施形態に係る、サーマルシールドのセクションを図示する、例示的で非限定的な等角図を示す。
【0032】
【
図20】本明細書に記載の1つ又は複数の実施形態に係る、平坦な状態にある
図19のサーマルシールドのセクションを図示する、例示的で非限定的な正射影図を示す。
【0033】
【
図21】本明細書に記載の1つ又は複数の実施形態に係る、平坦な状態にある
図19のサーマルシールドのセクションの例示的で非限定的な側面図を示す。
【0034】
【
図22】本明細書に記載の1つ又は複数の実施形態に係る、折り畳み状態にある
図19のサーマルシールドのセクションを図示する、例示的で非限定的な正射影図を示す。
【0035】
【
図23】本明細書に記載の1つ又は複数の実施形態に係る、折り畳み状態にある
図19のサーマルシールドのセクションを図示する、例示的で非限定的な上面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下の詳細な説明は、単なる例示であり、実施形態及び/又は実施形態の適用又は使用を限定することを意図するものではない。更に、前述の背景技術又は発明の概要の章、又は、発明を実施するための形態の章に提示されるいかなる明示的又は黙示的情報によっても拘束される意図はない。
【0037】
次に、1つ又は複数の実施形態が、図面を参照して説明されるが、図面において、同様の参照符号は、全体を通して同様の要素を指すために使用される。以下の説明では、説明の目的で、多くの特定の詳細が、1つ又は複数の実施形態のより完全な理解を提供すべく記載される。しかしながら、様々な場合において、1つ又は複数の実施形態が、これら特定の詳細なくして実施され得ることは明白である。
【0038】
図1は、本明細書に記載の1つ又は複数の実施形態に係る、例示的で非限定的なクライオスタット100を示す。
図1において示される通り、クライオスタット100は、天板114及び底板116の間に介在する側壁112により形成された外側真空チャンバ110を備える。動作中、外側真空チャンバ110は、外側真空チャンバ110の周囲環境120及び外側真空チャンバ110の内部130の間の圧力差を維持し得る。クライオスタット100は、内部130内に配設され、それぞれが天板114に機械的に結合されている複数のサーマルステージ(又はステージ)140を更に備え得る。複数のステージ140は、ステージ141、ステージ143、ステージ145、ステージ147、及びステージ149を有する。
【0039】
複数のステージ140のうちの各ステージは、異なる温度に関連付けられ得る。例えば、ステージ141は、50ケルビン(K)の温度に関連付けられる50ケルビン(50-K)ステージであり得、ステージ143は、4Kの温度に関連付けられる4ケルビン(4-K)ステージであり得、ステージ145は、700ミリケルビン(mK)の温度に関連付けられ得、ステージ147は、100mKの温度に関連付けられ得、ステージ149は、10mKの温度に関連付けられ得る。一実施形態において、ステージ145は静止ステージであり得、ステージ147は冷却板ステージであり得、ステージ149は混合チャンバステージであり得る。1つ又は複数の支柱(例えば、支柱142)は、複数のステージ140を外側真空チャンバ110の天板114に結合し得る。更に、複数のステージ140のうちの各ステージは、複数の支柱(例えば、支柱144)により、複数のステージ140の他のステージから空間的に隔離され得る。一実施形態において、支柱142及び/又は144は、ステンレス鋼を含み得る。
【0040】
図1により示される通り、クライオスタット100は、外側真空チャンバ110の底板116に結合された1つ又は複数の基底構造を更に備え得る。例えば、クライオスタット100は、ステージ141に関連付けられたサーマルシールドを機械的に支持することを容易にし得る基底構造160を更に備え得る。一実施形態において、基底構造160及びステージ141は、実質的に同様の温度(例えば、50K)で動作し得る。別の例として、クライオスタット100は、ステージ143に関連付けられたサーマルシールドを機械的に支持することを容易にし得る基底構造170を更に備え得る。一実施形態において、基底構造170及びステージ143は、実質的に同様の温度(例えば、4K)で動作し得る。1つ又は複数の支柱(例えば、支柱162)は、基底構造160及び/又は170を外側真空チャンバ110の底板116に結合し得る。更に、板160及び170は、複数の支柱(例えば、支柱164)により、空間的に隔離され得る。
【0041】
図2~
図3は、本明細書に記載の1つ又は複数の実施形態に係る、クライオスタット100のサーマルシールド210の例示的で非限定的な図を示す。特に、
図2~
図3は、サーマルシールド210の外部等角
図200及び内部側面
図300をそれぞれ示す。
図2~
図3により示される通り、サーマルシールド210は、それぞれがサーマルステージ(例えば、ステージ141)及び基底構造(例えば、基底構造160)の間に延在する複数のセクション(例えば、セクション212及び216)に分割され得る。サーマルシールド210のセクション212及び216は、サーマルシールド210をステージ141に結合することを容易にする取り付け機構(例えば、ボルト及び/又はネジ)を受けるための複数のクリアランスホール(例えば、クリアランスホール211及び215)を含み得る。サーマルシールド210のセクション212及び216は、サーマルシールド210を基底構造160に結合することを容易にする取り付け機構(例えば、ボルト及び/又はネジ)を受けるための複数のクリアランスホール(例えば、クリアランスホール213及び217)を更に含み得る。以下により詳細に論述する通り、サーマルシールド210及び基底構造160の間に介在する柔軟構造(例えば、
図6~
図9の柔軟構造630)は、サーマルシールド210及び基底構造160を機械的及び熱的に結合し、基底構造160に対するサーマルシールド210の移動を容易にし得る。
【0042】
サーマルシールド210は、ステージ141及び基底構造160の間に延在する金属ストリップ220を有し得る。金属ストリップ220は、サーマルシールド210の隣接するセクション間に介在する継ぎ目又は隙間を覆い得る。例えば、セクション212の側縁部312及びセクション216の側縁部316は、セクション212及び216の間の継ぎ目又は隙間を定義し得る。この例において、セクション212及び216の間の継ぎ目又は隙間は、セクション212及び216の製造に関連する機械加工公差に起因して生じ得る。
図2~
図3により示される通り、金属ストリップ220は、サーマルシールド210のセクション212及び216の間に介在する継ぎ目又は隙間を覆い、サーマルシールド210の外部の熱源から、クライオスタット100のより低温のサーマルステージへのエネルギーの放射を最小化し得る。一実施形態において、サーマルシールド210は、最小厚さ(例えば、8分の1インチ(0.3175cm))を有し得る。一実施形態において、サーマルシールド210の最小厚さは、クライオスタット100が動作している間における外側真空チャンバ110内の圧力レベルにより定義され得る。
【0043】
図4~
図6は、本明細書に記載の1つ又は複数の実施形態に係る、サーマルシールド410を有する例示的で非限定的なクライオスタット400を示す。
図4を参照すると、サーマルシールド410は、クライオスタット400の内部チャンバ420内に配置された試料設置面430を包含し得る。試料設置面430は、クライオスタット400の最低温度のサーマルステージに関連付けられ得る。例えば、試料設置面430は、クライオスタット400の混合チャンバステージに熱的に結合され得る。サーマルシールド400は、通常、熱源(例えば、クライオスタット400のより高温のサーマルステージ)により生成される電磁波(例えば、黒体放射)を遮断し、熱源からクライオスタット400のより低温のサーマルステージ(例えば、試料設置面430)への熱放射を軽減する。一実施形態において、サーマルシールド410は、アルミニウム、銅、真鍮、チタン、金、プラチナ、又はこれらの組み合わせを有し得る。
【0044】
図5を参照すると、クライオスタット400は、外側真空チャンバの外部領域505及び外側真空チャンバの内部領域507の間の圧力差を維持し得る、外側真空チャンバの天板510及び底板520を備え得る。クライオスタット400は、天板510及び底板520にそれぞれ結合されるサーマルステージ530及び基底構造540を更に備え得る。サーマルステージ530及び基底構造540は、複数の支柱(例えば、支柱535及び545)により、天板510及び底板520にそれぞれ、機械的に結合され、それらから空間的に隔離され得る。
【0045】
様々な実施形態において、サーマルシールド410は、サーマルシールド410を実装するにあたってのモジュール性を容易にする複数のセクションに分割され得る。例として、
図4~
図5は、2つのセクション、すなわちセクション412及び416に分割されているサーマルシールド410を示す。
図5により示される通り、セクション412及び416はそれぞれ、クライオスタット400のサーマルステージ530及び基底構造540の間に延在する。一実施形態において、セクション412及び416は、取り外し可能に結合され得、それにより、セクション412は、方向401においてクライオスタット400から取り外され得、セクション416は、方向401と反対の方向403においてクライオスタット400から取り外され得る。一実施形態において、セクション412及び416は、取り外し可能に結合され得、それにより、セクション412は、方向401においてクライオスタット400から取り外され得、セクション416は、方向401と反対の方向403においてクライオスタット400から取り外され得る。
【0046】
一実施形態において、サーマルシールド410の複数のセクションは、固定セクション及び取り外し可能セクションを含み得る。この実施形態において、固定セクションは、天板510及び底板520を有する外側真空チャンバに関連付けられたフレーム構造に、永久的又は半永久的に結合(例えば、溶接)され得る。固定セクションをフレーム構造に永久的又は半永久的に結合することは、クライオスタット400からの固定セクションの取り外しのための時間を延長し得る。この実施形態において、取り外し可能セクションは、フレーム構造に(例えば、ボルト及び/又はネジなどの取り付け機構を介して)非永久的に結合され得る。取り外し可能セクションをフレーム構造に非永久的に結合することは、クライオスタット400からの取り外し可能セクションの取り外しのための時間を短縮し、サーマルシールド410内に包含されたコンポーネントへの迅速なアクセスを容易にし得る。
【0047】
図4~
図5により示される通り、サーマルシールド410は、外側真空チャンバの外部領域505から、外側真空チャンバの天板510及び底板540を介して、試料設置面430へのアクセスを提供し得る。試料設置面430へのそのようなアクセスを提供することの一態様は、サーマルシールド410が、試料設置面430及び外側真空チャンバの天板510及び底板520の間に最小限の障害を提供するように配設されることを伴い得る。例えば、内部チャンバ420は、試料設置面430及び天板510の間に介在するフィードスルーポート422を含み得る。内部チャンバ420は、試料設置面430及び底板520の間に介在するフィードスルーポート424を更に含み得る。フィードスルーポート422及び424は、入/出力ラインペアのライン440及び450に、外部領域505から試料設置面430へのアクセスを提供することを容易にし得る。
【0048】
この例において、天板510及びサーマルステージ530は、フィードスルーポート422及び外部領域505の間に介在し得る。そのため、天板510及びサーマルステージ530は、外部領域505及び試料設置面430の間におけるライン440の経路決定に対する障害を表し得る。そのような障害を軽減するため、天板510及びサーマルステージ530は、フィードスルーポート422と一直線に並ぶフィードスルーポート512及び532をそれぞれ有し得る。対照的に、外部領域505及び試料設置面430の間におけるライン440の経路決定は、サーマルシールド410により妨げられない。従って、サーマルシールド410は、外部領域505及び試料設置面430の間におけるライン440の経路決定のためのフィードスルーポートを欠いている。
【0049】
同様に、この例において、底板520及び基底構造540は、フィードスルーポート424及び外部領域505の間に介在し得る。そのため、底板520及び基底構造540は、外部領域505及び試料設置面430の間におけるライン450の経路決定に対する障害を表し得る。そのような障害を軽減するため、底板520及び基底構造540は、フィードスルーポート424と一直線に並ぶフィードスルーポート522及び542をそれぞれ有し得る。対照的に、外部領域505及び試料設置面430の間におけるライン450の経路決定もまた、サーマルシールド410により妨げられない。従って、サーマルシールド410は、外部領域505及び試料設置面430の間におけるライン450の経路決定のためのフィードスルーポートを欠いている。天板510及び底板520の両方を介して、外部領域505及び試料設置面430の間における入/出力ラインのための妨げられない経路決定を提供することにより、サーマルシールド410は、より多くの数の入/出力ラインの収容を容易にし得る。
【0050】
サーマルシールド410は、サーマルステージ530及び基底構造540の間に延在し得る。一実施形態において、サーマルステージ530は、50-Kステージ、4-Kステージ、静止ステージ、冷却板ステージ、又は混合チャンバステージであり得る。一実施形態において、サーマルステージ530及び基底構造540は、実質的に同様の温度で動作し得る。例えば、サーマルステージ530が4-Kステージである場合、基底構造540は、約4Kの温度で動作し得る。サーマルシールド410は、サーマルステージ530及び基底構造540の間に延在するため、サーマルシールド410内で温度勾配が発生し得る。そのような温度勾配の最小化を容易にするため、サーマルシールド410は、サーマルステージ530及び基底構造540に熱的に結合され得る。
【0051】
サーマルシールド410をサーマルステージ530及び基底構造540に機械的に結合することは、サーマルシールド410をサーマルステージ530及び基底構造540に熱的に結合することを容易にし得る。しかしながら、当業者であれば、サーマルステージ530及び基底構造540のそれぞれの温度は熱膨張/収縮に起因して変化するため、サーマルステージ530及び基底構造540の形状が変動し得ることを認識するであろう。更に、サーマルステージ530及び基底構造540のそれぞれの形状は、異なる速度、方向、及び/又は大きさにおいて変動し得る。従って、サーマルシールド410をサーマルステージ530及び基底構造540に剛性的に機械的に結合することは、サーマルシールド410の構造的完全性に悪影響を及ぼし得る。従って、サーマルシールド410とサーマルステージ530及び基底構造540の機械的結合においてある程度の柔軟性を提供することは、サーマルシールド410の構造的完全性を保つことを容易にし得る。
【0052】
図6~
図8により示される通り、サーマルシールド410及び基底構造540の間に介在する柔軟構造630は、サーマルシールド410の基底構造540への機械的結合及び熱的結合を同時に行うことにより、そのような柔軟性を提供し得る。一実施形態において、柔軟構造630は、アルミニウム、銅、真鍮、チタン、金、プラチナ、又はこれらの組み合わせを有し得る。一実施形態において、柔軟構造630は、箔及び編組線を有し得る。柔軟構造630は、サーマルシールド410のセクション412の内側413上の基底構造540の取り付け点620に結合し得る。柔軟構造630はまた、内側413と反対の外側411上のセクション412の取り付け点610(例えば、それぞれ
図14及び
図19のクリアランスホール1430及び/又は1930)でサーマルシールド410に結合し得る。
【0053】
図7~
図8は、柔軟構造630が、基底構造540に対するサーマルシールド410の移動を容易にし得ることを示している。例えば、サーマルシールド410は、サーマルシールド410のそれぞれのクリアランスホール(例えば、
図14及び
図19のそれぞれのクリアランスホール1410及び1910)を通過する複数の取り付け機構(例えば、ボルト及び/又はネジ)を介してサーマルステージ530に機械的に固定され得る。この例において、上方向601及び/又は上方向601と反対の下方向603へのサーマルシールド410上の鉛直移動を付与する熱膨張/収縮に起因して、サーマルステージ530の形状は変動し得る。
【0054】
柔軟構造630の動作により、サーマルシールド410上に付与されるそのような鉛直移動は、サーマルシールド410の構造的完全性に悪影響を及ぼす代わりに、サーマルステージ530及び基底構造540の間における鉛直変位へと変換し得る。
図7により示される通り、サーマルシールド410上に付与された上方向601への鉛直移動は、サーマルステージ530及び基底構造540の間における鉛直変位710を増加させ得る。
図8により示される通り、サーマルシールド410上に付与された下方向603への鉛直移動は、サーマルステージ530及び基底構造540の間における鉛直変位810を減少させ得る。
【0055】
柔軟構造630は、サーマルステージ530及び基底構造540の間におけるそのような増加及び/又は減少する鉛直変位に対応するための弛み又は余地を有し得る。一実施形態において、柔軟構造630の弛み又は余地は、熱膨張又は熱収縮に起因するサーマルステージ530の変動する形状に応答するサーマルシールド410の最大鉛直変位により定義され得る。一実施形態において、サーマルシールド410の最大鉛直変位は、サーマルステージ530及び基底構造540の間における鉛直変位の最大増加(例えば、鉛直変位710を増加させる)を用いて判断され得る。一実施形態において、サーマルシールド410の最大鉛直変位は、サーマルステージ530及び基底構造540の間における鉛直変位の最大減少(例えば、鉛直変位810を減少させる)を用いて判断され得る。
【0056】
図9~
図13は、本明細書に記載の1つ又は複数の実施形態に係る、サーマルシールドの隣接するセクション間に介在する継ぎ目を覆う金属ストリップ905の例示的で非限定的な図を示す。特に、
図9は、金属ストリップ905の等角
図900を示す。
図10~
図11は、平坦な状態にある金属ストリップ905の正射影
図1000及び側面
図1100をそれぞれ示す。
図12~
図13は、折り畳み状態にある金属ストリップ905の正射影
図1200及び上面
図1300をそれぞれ示す。
図9~
図13を参照すると、金属ストリップ905は、金属ストリップ905の長手軸1010に沿って配置された複数のクリアランスホール910を含み得る。複数のクリアランスホール910のうちの各クリアランスホールは、サーマルシールドのセクションの対応するクリアランスホール(例えば、
図14及び
図19のそれぞれのクリアランスホール1420及び/又は1920)を介して、取り付け機構(例えば、ボルト又はネジ)を受け、サーマルシールドの隣接するセクションの結合を容易にし得る。
【0057】
図9~
図13により示される通り、複数のクリアランスホール910は、金属ストリップ905の両側におけるサーマルシールドの隣接するセクションの結合を容易にするために、長手軸1010の両側に配置され得る。金属ストリップ905の両側でサーマルシールドの隣接するセクションを結合することにより、金属ストリップ905は、隣接するセクション間に介在する継ぎ目を覆い得る。そうすることで、金属ストリップ905は、クライオスタットのより高温のサーマルステージ(例えば、4-Kステージ)から、クライオスタットのより低温のサーマルステージ(例えば、静止ステージ)へのエネルギーの放射の最小化を容易にし得る。
【0058】
一実施形態において、サーマルシールド(例えば、サーマルシールド210及び/又は410)は、開口端を有する金属円筒であり得る。この実施形態において、サーマルシールドは、各セクションが円周の弧を提供するために曲線状であり得る円周を有し得る。金属ストリップ905及びそのような曲線状のセクションの間の隙間を最小化することは、金属ストリップ905を、
図10~
図11により示される平坦な状態から、
図12~
図13により示される折り畳み状態へと遷移させることを伴い得る。金属ストリップ905を平坦な状態から折り畳み状態へと遷移させることは、長手軸1010の周りで金属ストリップ905を曲げることにより実装され得る。長手軸1010の周りで金属ストリップ905を曲げることは、金属ストリップ905の幅を幅1020から幅1210に縮小させることにより、金属ストリップ905に曲げ半径1310を付与し得る。平坦な状態にある金属ストリップ905の高さ1110は、折り畳み状態にある金属ストリップ905の高さ1220と実質的に等しくなり得るため、金属ストリップ905に曲げ半径1310を付与することは、金属ストリップ905の高さに最小限の影響を及ぼし得る。
【0059】
図14~
図18は、本明細書に記載の1つ又は複数の実施形態に係る、サーマルシールドのセクション(又はセクション)1405の例示的で非限定的な図を示す。特に、
図14は、セクション1405の等角
図1400を示す。
図15~
図16は、平坦な状態にあるセクション1405の正射影
図1500及び側面
図1600をそれぞれ示す。
図17~
図18は、折り畳み状態にあるセクション1405の正射影
図1700及び上面
図1800をそれぞれ示す。
図14~18を参照すると、セクション1405は、セクション1405の上縁部1411に沿って配置された複数のクリアランスホール1410、セクション1405の各側縁部1421に沿って配置された複数のクリアランスホール1420、及びセクション1405の下縁部1431に沿って配置された複数のクリアランスホール1430を含み得る。
【0060】
複数のクリアランスホール1410のうちの各クリアランスホールは、セクション1405をサーマルステージ(例えば、
図1~3のステージ141又は143)に機械的に固定するための取り付け機構(例えば、ボルト又はネジ)を受け得る。セクション1405をサーマルステージに機械的に固定することは、セクション1405をサーマルステージに熱的に結合することを容易にし得る。複数のクリアランスホール1420のうちの各クリアランスホールは、金属ストリップの対応するクリアランスホール(例えば、
図9のクリアランスホール910)を介して、取り付け機構(例えば、ボルト又はネジ)を受け、セクション1405の金属ストリップへの結合を容易にし得る。複数のクリアランスホール1430のうちの各クリアランスホールは、取り付け機構(例えば、ボルト又はネジ)を受け、セクション1405を、セクション1405及び基底構造(例えば、
図1の基底構造160又は170)の間に介在する柔軟構造(例えば、
図6~
図8の柔軟構造630)に機械的に結合し得る。セクション1405を柔軟構造に機械的に結合することは、基底構造に対するセクション1405の鉛直移動を容易にすると同時に、セクション1405を基底構造に熱的に結合することを容易にし得る。
【0061】
一実施形態において、セクション1405を有するサーマルシールド(例えば、サーマルシールド210及び/又は410)は、開口端を有する金属円筒であり得る。一実施形態において、サーマルシールドがサーマルステージに機械的に固定されている場合、金属円筒の一方の開口端は、サーマルステージの外壁を囲み得る。一実施形態において、サーマルシールドは、各セクションが円周の弧を提供するために曲線状であり得る円周を有し得る。セクション1405及びサーマルステージの外壁の間の隙間を最小化することは、セクション1405を、
図15~
図16により示される平坦な状態から、
図17~
図18により示される折り畳み状態へと遷移させることを伴い得る。セクション1405を平坦な状態から折り畳み状態へと遷移させることは、長手軸1510の周りでセクション1405を曲げることにより実装され得る。長手軸1510の周りでセクション1405を曲げることは、セクション1405の幅を幅1520から幅1710に縮小させることにより、セクション1405に曲げ半径1810を付与し得る。平坦な状態にあるセクション1405の高さ1610は、折り畳み状態にあるセクション1405の高さ1720と実質的に等しくなり得るため、セクション1405に曲げ半径1810を付与することは、セクション1405の高さに最小限の影響を及ぼし得る。
【0062】
図19~
図23は、本明細書に記載の1つ又は複数の実施形態に係る、別のサーマルシールドのセクション(又はセクション)1905の例示的で非限定的な図を示す。特に、
図19は、セクション1905の等角
図1900を示す。
図20~
図21は、平坦な状態にあるセクション1905の正射影
図2000及び側面
図2100をそれぞれ示す。
図22~
図23は、折り畳み状態にあるセクション1905の正射影
図2200及び上面
図2300をそれぞれ示す。
図19~23を参照すると、セクション1905は、セクション1905の上縁部1911に沿って配置された複数のクリアランスホール1910、セクション1905の各側縁部1921に沿って配置された複数のクリアランスホール1920、及びセクション1905の下縁部1931に沿って配置された複数のクリアランスホール1930を含み得る。
【0063】
複数のクリアランスホール1910のうちの各クリアランスホールは、セクション1905をサーマルステージ(例えば、
図1~3のステージ141又は143)に機械的に固定するための取り付け機構(例えば、ボルト又はネジ)を受け得る。セクション1905をサーマルステージに機械的に固定することは、セクション1905をサーマルステージに熱的に結合することを容易にし得る。複数のクリアランスホール1920のうちの各クリアランスホールは、金属ストリップの対応するクリアランスホール(例えば、
図9のクリアランスホール910)を介して、取り付け機構(例えば、ボルト又はネジ)を受け、セクション1905の金属ストリップへの結合を容易にし得る。複数のクリアランスホール1930のうちの各クリアランスホールは、取り付け機構(例えば、ボルト又はネジ)を受け、セクション1905を、セクション1905及び基底構造(例えば、
図1の基底構造160又は170)の間に介在する柔軟構造(例えば、
図6~
図8の柔軟構造630)に機械的に結合し得る。セクション1905を柔軟構造に機械的に結合することは、基底構造に対するセクション1905の鉛直移動を容易にすると同時に、セクション1905を基底構造に熱的に結合することを容易にし得る。
【0064】
一実施形態において、セクション1905を有するサーマルシールド(例えば、サーマルシールド210及び/又は410)は、開口端を有する金属円筒であり得る。一実施形態において、サーマルシールドがサーマルステージに機械的に固定されている場合、金属円筒の一方の開口端は、サーマルステージの外壁を囲み得る。一実施形態において、サーマルシールドは、各セクションが円周の弧を提供するために曲線状であり得る円周を有し得る。セクション1905及びサーマルステージの外壁の間の隙間を最小化することは、セクション1905を、
図20~
図21により示される平坦な状態から、
図22~
図23により示される折り畳み状態へと遷移させることを伴い得る。セクション1905を平坦な状態から折り畳み状態へと遷移させることは、長手軸2010の周りでセクション1905を曲げることにより実装され得る。長手軸2010の周りでセクション1905を曲げることは、セクション1905の幅を幅2020から幅2210に縮小させることにより、セクション1905に曲げ半径2310を付与し得る。平坦な状態にあるセクション1905の高さ2110は、折り畳み状態にあるセクション1905の高さ2220と実質的に等しくなり得るため、セクション1905に曲げ半径2310を付与することは、セクション1905の高さに最小限の影響を及ぼし得る。
【0065】
本発明の実施形態は、任意の可能な技術的詳細レベルの統合におけるシステム、方法、及び/又は装置であり得る。上記で説明された事柄は、システム、方法、及び装置の単なる例を含む。当然、本開示を説明する目的で、コンポーネント又はコンピュータ実装方法の想定されるあらゆる組み合わせを説明することは不可能であるが、当業者であれば、本開示の多くの更なる組み合わせ及び入れ替えが可能であることを認識し得る。更に、詳細な説明、特許請求の範囲、付録及び図面において、「含む(includes)」、「有する(has)」、「所有する(possesse)」及び同様の用語が使用される範囲において、そのような用語は、特許請求の範囲における過渡的な単語として使用される場合、「備える(comprising)」と解釈されるため、「備える(comprising)」という用語と同様の方法で包括的であることが意図されている。
【0066】
加えて、「又は」という用語は、排他的な「又は」ではなく、包括的な「又は」を意味することが意図されている。すなわち、別様に指定されない限り、又は、文脈から明らかでない限り、「XがA又はBを利用する」は、自然で包括的な入れ替えのいずれかを意味することが意図されている。すなわち、XはAを採用する;XはBを採用する;又は、XはA及びBの両方を採用する場合、「XはA又はBを利用する」が前述の事例のいずれのもとでも充足される。更に、本明細書及び添付の図面に使用される冠詞「a」及び「an」は一般に、単数形を対象としていることが別様に指定されない限り、又は文脈からそれが明らかではない限り、「1つ又は複数」を意味すると解釈されるべきである。本明細書において使用される場合、用語「例」及び/又は「例示的」は、例、事例、又は例示として機能することを意味するために利用される。疑義を回避するために、本明細書において開示される主題は、そのような例に限定されるものではない。加えて、「例」及び/又は「例示的」として本明細書に記載の任意の態様又は設計は、他の態様又は設計より好ましい、又は有利であると必ずしも解釈されるものではなく、当業者において既知の同等の例示的な構造及び技法を除外することも意図されていない。
【0067】
様々な実施形態の説明は、例示の目的で提示されているが、包括的である、又は、開示される実施形態に限定されることは意図されていない。説明された実施形態の範囲及び趣旨から逸脱することなく、多くの修正及び変形が、当業者には明らかであろう。本明細書において使用される専門用語は、実施形態の原理、市場で見られる技術の実用的な適用又はそれに対する技術的改善を最適に説明し、又は、本明細書において開示される実施形態を他の当業者が理解することを可能にするように選択されたものである。
【0068】
特定の例示的な実施形態が説明されたが、これらの実施形態は、例としてのみ提示されたものであり、本明細書における開示の範囲を限定する意図はない。従って、前述の説明は、いかなる特定の特徴、特性、段階、モジュール、又はブロックも、必要である、又は不可欠であることを示唆する意図はない。実際に、本明細書に記載の新規の方法及びシステムは、様々な他の形態において具現化されてよく;更に、本明細書に記載の方法及びシステムの形態における様々な省略、置換及び変更は、本明細書における開示の趣旨から逸脱することなく行われてよい。添付の特許請求の範囲及びそれらの同等物は、本明細書の特定の開示の範囲及び趣旨に含まれるような形態又は修正を網羅することを意図したものである。
【国際調査報告】