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特表2024-502462水濾過システムを動作させるシステム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-19
(54)【発明の名称】水濾過システムを動作させるシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/44 20230101AFI20240112BHJP
   B01D 65/02 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
C02F1/44 D
C02F1/44 A
B01D65/02 530
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023541499
(86)(22)【出願日】2022-01-07
(85)【翻訳文提出日】2023-09-04
(86)【国際出願番号】 US2022011580
(87)【国際公開番号】W WO2022150567
(87)【国際公開日】2022-07-14
(31)【優先権主張番号】63/199,557
(32)【優先日】2021-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523255815
【氏名又は名称】シーティーエックス,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】スミス,スタントン ラッセル
【テーマコード(参考)】
4D006
【Fターム(参考)】
4D006GA03
4D006KA62
4D006KA64
4D006KA67
4D006KC02
4D006KC12
4D006KC13
4D006KC20
4D006KE07P
4D006KE09P
4D006KE12P
4D006KE13P
4D006KE14P
4D006KE15P
4D006KE19P
4D006KE30P
4D006PA01
4D006PB03
4D006PB05
(57)【要約】
本開示の一態様は、供給水中にスケーリング/ファウリング化合物を含んでも含まなくてもよい水の濾過のための方法及びシステムを対象とする。代わりに、本開示と一致するシステム及び方法は、入力供給物流れと、出力透過物流れと、ブリード流れであって、ブリード流れ中の保持された汚染物質の濃度が絶えず増加する、ブリード流れとを含む膜システム/構成を使用して動作することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
濾過システムを動作させるための方法であって、前記濾過システムが、供給物流れに流体結合するための入口を有する少なくとも1つの濾過膜と、ブリード流れであって、前記ブリード流れ中の保持された汚染物質の濃度が絶えず増加する、ブリード流れと、前記供給物流れからの供給水を前記少なくとも1つの濾過膜に移動させ、出力透過物流れを生産するための圧力を生成するための少なくとも1つのポンプと、を有し、前記方法が、
前記少なくとも1つの濾過膜に、第1の期間にわたって前記出力透過物流れを生産させることと、
前記第1の期間中の前記透過物流れの出力中に動作状態を検出することと、
検出された前記動作状態に基づいて、前記少なくとも1つの濾過膜から濃縮物の少なくとも一部分を排出するためにフラッシュを行わせることと、
前記少なくとも1つの濾過膜に、前記フラッシュを行わせた後の第2の期間にわたって、前記出力透過物流れを生産させることと、を含む、方法。
【請求項2】
前記動作状態が、前記少なくとも1つの濾過膜の透過物、残余物、及び/又は濃縮物の所定の特性である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記動作状態を検出することが、
前記少なくとも1つの濾過膜の前記透過物、前記残余物、及び/又は前記濃縮物の少なくとも1つの特性を測定することと、
前記少なくとも1つの測定された特性を所定の閾値と比較することと、を更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記所定の特性が、目標の流出物及び/又は透過物品質である、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記所定の特性が、目標の残余物及び/又は濃縮物品質である、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記所定の特性が、混合されたフラッシュ及びブリード流体の量若しくは品質、又は前記システムからの混合された廃棄物の総量である、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記所定の特性が、前記少なくとも1つの濾過膜についての時間平均流出物特性及び/又は時間平均透過物品質である、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記所定の特性が、前記少なくとも1つの濾過膜についての所定の時間平均残余物特性及び/又は時間平均濃縮物品質である、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記所定の特性が、所定の供給物流れの圧力及び/又は濃縮物の圧力である、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
前記動作状態が、前記透過物流れの出力中に経過する所定の持続時間である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記濾過システムが、逆浸透(RO)システムとして構成されており、前記第1の期間中に最大100%の回収率で、前記少なくとも1つの濾過膜を介して出力透過物を生産することができる、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記濾過システムが、前記供給物流れの供給物の少なくとも一部分が前記ブリード流れによって出力されるように、前記第1の期間中に100%未満の回収率で、前記少なくとも1つの濾過膜を介して前記出力透過物を生産するように構成されている、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
1つ又は複数のスケール防止剤用量を前記少なくとも1つの濾過膜に移動させることを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つの濾過膜から濃縮物の少なくとも一部分を排出するように前記フラッシュを行わせることが、前記供給物流れからの供給物を前記少なくとも1つの濾過膜に移動させること、前記透過物流れからの透過物を前記少なくとも1つの濾過膜に移動させること、並びに/又は前記供給物流れ及び前記透過物流れとは異なる供給源からの水を移動させることを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
濾過システムであって、前記濾過システムが、
供給物流れに流体結合するための入口と、ブリード流れに流体結合するためのブリード出口とを有する少なくとも1つの濾過膜であって、前記ブリード流れの保持された汚染物質の濃度が絶えず増加する、少なくとも1つの濾過膜と、
前記供給物流れからの供給水を前記少なくとも1つの濾過膜に移動させ、出力透過物流れを生産するための圧力を生成するための少なくとも1つのポンプと、
コントローラと、を備え、前記コントローラが、
前記少なくとも1つのポンプに第1の信号を提供して、前記少なくとも1つの濾過膜に、第1の期間にわたって前記出力透過物流れを生産させることと、
前記第1の期間中の前記透過物流れの出力中に動作状態を検出することと、
検出された前記動作状態に基づいて、フラッシュを行わせ、前記少なくとも1つの濾過膜から濃縮物の少なくとも一部分を排出させるためのフラッシュ信号を出力することと、
前記少なくとも1つのポンプに第2の信号を提供して、前記少なくとも1つの濾過膜に、前記フラッシュを行わせた後の第2の期間にわたって前記出力透過物流れを生産させることと、を行うように構成されている、濾過システム。
【請求項16】
前記動作状態が、前記少なくとも1つの濾過膜の透過物、残余物、及び/又は濃縮物の所定の特性である、請求項15に記載の濾過システム。
【請求項17】
前記コントローラが、前記少なくとも1つの濾過膜の前記透過物、前記残余物、及び/又は前記濃縮物の測定された特性を受信することに基づいて、前記動作状態を検出するように更に構成されている、請求項16に記載の濾過システム。
【請求項18】
前記所定の特性が、目標の流出物及び/又は透過物品質である、請求項16に記載の濾過システム。
【請求項19】
前記所定の特性が、目標の残余物及び/又は濃縮物品質である、請求項16に記載の濾過システム。
【請求項20】
前記所定の特性が、混合されたフラッシュ流体の量及び残余物品質、又は混合されたフラッシュ及びブリード流体の量若しくは品質、あるいは前記システムからの混合された廃棄物の総量である、請求項16に記載の濾過システム。
【請求項21】
前記所定の特性が、前記少なくとも1つの濾過膜についての所定の時間平均流出物特性及び/又は時間平均透過物品質である、請求項16に記載の濾過システム。
【請求項22】
前記所定の特性が、前記少なくとも1つの濾過膜についての所定の時間平均残余物特性及び/又は時間平均濃縮物品質である、請求項16に記載の濾過システム。
【請求項23】
前記所定の特性が、所定の供給物流れの圧力及び/又は濃縮物の圧力である、請求項16に記載の濾過システム。
【請求項24】
前記動作状態が、前記透過物流れの出力中に経過する所定の持続時間である、請求項15に記載の濾過システム。
【請求項25】
前記フラッシュ信号が、前記供給物流れからの供給物、前記透過物流れからの透過物、並びに/又は前記供給物流れ及び前記透過物流れとは異なる供給源からの水を、前記少なくとも1つの濾過膜に移動させるように構成されている、請求項15に記載の濾過システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、米国特許出願第63/199,557号に対する優先権を主張するものであり、その内容全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、濾過システム及び濾過システムを動作させる方法に関する。
【背景技術】
【0003】
水濾過システムは、多くの場合、供給物流れから透過物を生産するための少なくとも1つの濾過膜を含む。水濾過への1つのアプローチは、定常状態連続逆浸透(reverse osmosis、RO)動作/サイクル、及び実質的に一定の圧力で1つ以上の濾過膜を通して供給物を移動させるポンプを利用する。残余物/廃棄物として存在する供給物の部分に対する透過物として存在する供給物の割合により、システムの回収率が確立される。このような連続流システムは、典型的には、スケーリング状態が誘導される比率以下の回収率で動作する。その結果、連続流システムは、スケール及びファウリング物質の形成を回避するために、比較的低い最大回収率、例えば、50~75%を有する。
【0004】
水濾過に対する別のアプローチでは、バッチRO動作/サイクルを利用する。バッチROにおいて、ポンプは、1つ以上の濾過膜の浸透圧を克服するために経時的に圧力を変動させる。バッチROシステムは、連続流システムに対して比較的高い回収率を可能にするが、このようなシステムは、透過物流束を維持するために定期的にフラッシュされなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0005】
本開示の様々な態様及び特徴は、図面とともに以下の詳細な説明を読むことによってより良好に理解されるであろう。
【0006】
本明細書に含まれる図面は、本明細書の教示の物品、方法、及び装置の様々な例を示すためのものであり、教示されるものの範囲を限定することを決して意図するものではない。
図1】連続RO及びバッチRO動作をそれぞれ表す反対の極値を有する濾過システム連続体の例示的な図を示す。
図2A】連続RO動作中に使用するための例示的な濾過構成のブロック図を示す。
図2B】バッチRO動作中に使用するための例示的な濾過構成のブロック図を示す。
図3】本開示の実施形態による、例示的な濾過システムのブロック図を示す。
図4】本開示の実施形態による、図3の濾過システムによって実行される複数の例示的な濾過動作の順序を示す。
図5】本開示の実施形態による、図4の1つ以上の濾過動作の順序を実施するための例示的なプロセスを示す。
図6】一実施形態による、非スケーリング率を上回る回収率で動作するときに、図3の濾過システムの動作を延長するために、第1の誘導期間及び第2の誘導期間を生成するための例示的なプロセスを示す。
図7】本開示の実施形態による、1つ以上の濾過動作の順序を実行するときの、時間(T)に対する図3の濾過システムの様々な回収目標率を示すグラフである。
図8】本開示の実施形態による、1つ以上の濾過動作の順序を実行するときの、時間(T)に対する図3の濾過システムの様々な回収目標率を示す別のグラフである。
図9A】本開示の実施形態による、例示的な膜システムのブロック図を示す。
図9B】本開示の実施形態による、図9Aの例示的な膜システムの別のブロック図を示す。
図10】従来のRO濾過システムのシミュレーション動作に対するシミュレーションの水分析結果を示す。
図11A】本開示と一致する例示的な水濾過システムのシミュレーション動作中のある時点におけるシミュレーションの水分析結果を示す。
図11B】本開示と一致するシステムの一例の生産サイクルを示すグラフである。
図12A】本開示と一致する別の例示的な水濾過システムのシミュレーション動作中のある時点におけるシミュレーションの水分析結果を示す。
図12B】本開示と一致するシステムの別の例の生産サイクルを示すグラフである。
図13A】本開示と一致する別の例示的な水濾過システムの動作中のシミュレーション中のある時点におけるシミュレーションの水分析結果を示す。
図13B】本開示と一致するシステムの別の例の生産サイクルを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
ROベースの濾過システムは、特に商業的及び大規模な濾過施設において、人気及び採用が増加し続けている。ROベースの水濾過システムは、2つの動作モード、すなわち、連続RO又はバッチROのうちの1つに分類される。RO濾過システムの両方のモードは、NF、海水RO、及び汽水RO技術などの同様の濾過技術を利用するが、連続RO動作を実装する濾過システムとバッチRO動作を実装する濾過システムとは、互いに対して連続体の両端に位置する。
【0008】
この連続体は、例示によってより良好に理解され得る。図1は、連続RO動作及びバッチRO動作が両端/両極端にある、このような1つの例示的な連続体を示す。特に、連続ROシステムは、比較的低い回収率で動作して、非スケーリング定常状態(スケール防止剤あり又はなし)を達成し、動作時間は、数週間~数ヶ月で測定される。一方、バッチROシステムは、非スケーリング定常状態を上回る回収率、すなわち、100%の回収率で動作し、動作時間は、概して、濾過膜が、例えば、供給物を介してフラッシュされる前に、連続ROシステムが動作する時間量の数分の一である。例えば、いくつかのバッチRO動作は、フラッシュサイクルが行われる前に、数分から数時間ほどのわずかな時間にわたって行われる。
【0009】
連続ROシステムは、バッチROシステムに対して様々な構造的及び動作的な違いを特徴とする。新たな及び既存の濾過設計では、高回収率が所望されるときにバッチROを実装し、数週間又は数ヶ月間、安定した中断されない機器動作が所望され、スケール抑制剤用量がないか、又は低いことが好ましく、かつ/又は水回収率の低下が許容可能であるときに連続動作を実装する。
【0010】
いずれの場合でも、NF及びRO技術を使用する水濾過システムの設計は、概して、選択された濾過膜についてスケーリングが始まる回収率を特定することに基づいて、最大回収率設定点(本明細書では水回収率、回収率、又は単に回収率とも呼ばれる)を決定することから始まり、その特定された回収率は、一般に、本明細書ではスケール防止剤とも呼ばれるスケール抑制剤を使用せずに計算される。濾過システムの回収率は、濾過システムに流入する供給物(又は供給水)の部分と透過物として流出する供給物の部分とによって定義される比率として表される。したがって、100%を下回る回収率は、供給物の少なくとも一部分が、1つ又は複数のブリード弁を介して生産残余物として出力されることを含み、これは、本明細書では廃棄水又は単に廃棄物と呼ばれることもある。
【0011】
したがって、本明細書において残余物とも呼ばれる生産残余物は、濾過膜を通過しない供給物の一部分を指す。一方、透過物は、例えば、「清浄な」水として出力するために濾過膜を通過する供給物の部分を指すが、透過物は、濾過システムの構成及び透過物の意図された用途に応じて必ずしも飲料水でなくてもよい。
【0012】
以下の開示は、概して、スケーリングがスケール形成化合物の過飽和点に達する点、及びファウリングが臨界流束(又は臨界濃度)に達し、その時点で透過物出力が実質的に低減されるか、又はそうでなければ防止されるときを、それぞれ単にスケーリング及びファウリングと呼ぶことに留意されたい。本明細書で考察されるいくつかの例及びシナリオは、このようなスケーリング及びファウリング状態を、必ずしも両方ともに言及することなく、これらの一方又は両方を組み合わせて言及してもよい。例えば、本明細書で開示される様々な態様及び特徴は、最大非スケーリング回収率を参照する。この値は、スケーリングのみに限定されず、ファウリング状態が存在する前の最大比率を指すこともできる。
【0013】
図2Aに示すような連続RO/NFシステムの状況では、最大回収率(又は設定点)は、スケール防止剤なしでスケーリング状態の開始が行われる、特定された回収率のすぐ下の比率で確立される。あるいは、以下で更に詳細に考察されるように、最大回収率設定点は、スケール防止剤を利用するときにスケーリング状態が行われる、特定された回収率を超えて動作することができる。いずれにしても、連続RO/NFシステムは、次いで、概して、週/月で測定される期間にわたって非スケーリング定常状態で動作する。動作中、連続RO/NFシステムは、例えば、濾過膜を通して供給物流れを移動させるためのポンプなどの負荷を介して、実質的に一定量の電力を消費し、次いで、結果として生じる生産残余物は、下水管を介して処分されるか、又は追加の濾過段階に提供され、これらは、そのようなシステムの動作コストを更に増加させる。連続RO/NFシステムは、多くの場合、非スケーリング定常状態を維持するために約50%~70%の固定回収率で動作する。
【0014】
逆に、図2Bに示すようなバッチRO/NFシステムの状況では、最大回収率(又は設定点)は、スケーリング状態の開始が行われる、特定された回収率を上回って設定される。この構成により、供給物の100%が一定期間にわたって透過物に変換され、その後、ROシステムが供給物でフラッシュされて一連の稼働の最終バッチ濃縮物を排出し、次いで、バッチサイクルを再開する、循環バッチ動作を達成することができる。
【0015】
例えば、バッチRO/NFを使用して、100%の最大回収率が設定されてもよく、生産残余物を出力するためのブリードの必要性を排除する。次いで、このような回収率に設定されたRO/NFシステムは、非定常状態で動作し、経時的に圧力を変動させて、濾過膜の浸透圧に打ち勝つ。非定常状態におけるこのような動作のための全体的な時間量は、濾過システムの特定の構成に応じて、分単位又は時間単位で測定され得る。バッチROの1つの利点は、スケール防止剤を使用せずに高い回収率が達成され得ることである。
【0016】
しかしながら、このようなバッチ動作中のある時点で、濾過膜の浸透圧は、システムのポンプが生成することができる圧力の最大量を超える。システム設計者は、概して、このような非定常状態で動作するとき、すなわち、スケーリング限界を超えて動作するとき、濾過システムへの潜在的な損傷及び/又は安全でない状態を回避するために、時間量を制限する。このような制限は、例えば、システム圧力を注意深く監視すること、及び/又は固定された所定の時間量を超える非定常状態での動作を防止することを含むことができる。したがって、高い回収率、すなわち100%は、濾過膜をフラッシュするための停止時間(及び回収率の低下)を犠牲にして、並びに高頻度バッチ循環によって導入されるポンプの追加の摩耗及び断裂を犠牲にして達成される。
【0017】
スケール防止剤は、過去20年間にわたって著しく改善されてきており、バッチROシステム及び連続ROシステムの両方についてより高い回収率を可能にしている。以下の表1は、様々な市販のスケール防止剤が、スケール防止剤なしで最大100%に対する過飽和%を可能にする能力、又は主要なスケーリング化合物の最大絶対濃度、又は特定のNF/RO廃棄物流れ中の炭酸カルシウムのスケールについての飽和pHに対するpH単位での最大ランゲリア飽和指数(Langelier saturation index、LSI)を示す。表1では、1つの例示的な公的情報源から報告された最大過飽和度を第2欄に示しているが、スケール防止剤の研究が進行するにつれて結果が経時的に変化し得ることに留意されたい。
【0018】
商業的/大規模なNF/ROシステムは、概して、固定供給率及び固定回収率(固定透過物及びブリード率をもたらす)で動作し、このようなシステムは、過飽和度を達成するために供給物中に投与されるスケール防止剤を使用する。スケール防止剤の投与は、概して、薬品コストを低減するために5mg/l以下で行われる。しかしながら、より高い回収率に対する市場需要は、廃水市場における再利用要件と同様に増加し続けている。絶えず増加するスケール防止剤用量は、依然としてこのような要求を満たすための主要な手段のままの状態である。同時に、これらの同じ市場需要は、より高い膜ファウリング率及び関連する薬品コストの増加をもたらす。
【0019】
スケール防止剤を含有するNF/ROブリード流れの取り扱いに関連するいくつかの課題も存在する。このような課題には、沈殿及び熱体積低減システムにおいてこのような流れを後処理する必要性、及び/又は環境中の受け入れ流れに対するスケール防止剤の影響が含まれる。更なる課題としては、膜とスケール防止剤との間の潜在的な不適合性、及び供給物流れ成分とスケール防止剤との間の予期せぬ有害な相互作用が挙げられ、これらのいずれか又は両方が濾過システム性能を低下させ得る。
【0020】
【表1】
【0021】
RO技術を利用する水濾過システムにおける継続的な改善は、連続ROシステム及びバッチROシステムの特徴及び利点を、システム構成要素の摩耗及び断裂、高い電力消費、並びにスケール防止剤使用の必要性など、このような比率の既存の欠点なしに、比較的高い回収率を達成する様式で統合することを可能にする濾過技術の開発に少なくとも部分的に依存している。
【0022】
更に、一般的な意味で、図1に関して上で考察された連続体の中間点で動作して、全体的な電力消費、廃水発生、及び特定の濾過システムに特有の他の様々な要件及び目的にも適合する所望の水回収率が達成されるようにシステム設計に組み込まれる他のコストなどの、複数の目標パラメータのバランスをとることを可能にすることができる濾過システムが必要とされている。
【0023】
上記を考慮して、本開示は、連続NF/RO及びバッチNF/ROの要素を組み合わせる技術(例えば、システム及び方法)を対象とする。このようなシステム及び方法は、エンドユーザ設備の制約を考慮して、例えば、回収と電力消費との間の目標バランスを達成し、施設の長期動作コストを低減し得る。また、本明細書では、スケール防止剤注入を伴う第2の誘導期間にバッチ動作を延長するための方法が開示されており、第2の誘導期間は、更に高い水回収率を可能にする。第1の誘導期間及び/又は第2の誘導期間は、好ましくは、例えば、高圧濾過膜モジュールを通して供給水を移動させるために、最大90~120バールの可変圧力を生成することができる高圧濾過膜モジュール及びポンプの使用を通して延長されてもよい。ファウラントも同様にNF/ROシステムの圧力及び回収率に悪影響を及ぼすため、スケールを超えて、本明細書に開示される技術は、ファウリング管理にも使用することができる。
【0024】
本明細書で使用される場合、濾過システムにおける(例えば、水の)流れなどに関して使用されるときの「品質」(例えば、供給物、残余物、ブリード、濃度、流出物、透過物)という用語は、限定されるものではないが、流れのpH、流れ中のいくつかの物質の濃度、流れの伝導率、流れの濁度、これらの組み合わせなど、流れの1つ以上の物理的若しくは化学的特性又は値を指す。
【0025】
述べられた品質、特性、又は値に関して使用されるときの「実質的に」という用語は、本開示によって別段に提供されない限り、述べられた品質、特性、又は値の±10%を意味する。
【0026】
本明細書で使用される「結合された」という用語は、任意の接続、結合、連結などを指し、「流体結合された」は、1つの要素からの流体が別の要素に連通されるような結合を指す。このような「結合された」要素は、必ずしも互いに直接接続されている必要はなく、中間構成要素/要素によって分離されていてもよい。同様に、「直接結合された」という用語は、中間要素を使用しない要素間の接続を指し、本明細書で使用される「直接流体結合された」は、中間構成要素/要素を使用することなく流体が1つの要素から別の要素に連通され得る要素の結合を指す。
【0027】
図を参照すると、図3は、本開示と一致する濾過システム300の一例を示す。図示のように、濾過システム300は、コントローラ302と、少なくとも1つのポンプ304と、濾過段306と、を含む。
【0028】
コントローラ302は、例えば、マイクロコントローラ(microcontroller、MCU)、デジタル信号プロセッサ(digital signal processor、DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(field-programmable gate array、FPGA)、縮小命令セットコンピュータ(Reduced Instruction Set Computer、RISC)プロセッサ、x86命令セットプロセッサ、マイクロコントローラ、特定用途向け集積回路(application-specific integrated circuit、ASIC)などの、少なくとも1つの処理デバイス/回路を含む。好ましくは、コントローラ302は、プログラマブルロジックコントローラ(programmable logic controller、PLC)内に実装される。コントローラ302は、好ましくは、少なくとも1つのポンプ304に通信可能に結合する。コントローラ302は、駆動信号をポンプ304に提供させて、ポンプ304に目標圧力量を生成させるように構成することができる。
【0029】
コントローラ302はまた、好ましくは、少なくとも1つのブリード弁、例えば、ブリード弁308に通信可能に結合される。コントローラ302は、制御信号をブリード弁308に提供させるように構成することができる。好ましくは、制御信号は、ブリード弁308を閉位置と複数の開位置との間で移行させるように構成されている。複数の開位置の各々は、供給物流れ309の異なる量の供給水が生産残余物310(本明細書では濃縮廃棄物、廃棄水、又は単に廃棄物とも呼ばれる)として出力されることを可能にする。以下で更に考察されるように、一実施形態によれば、濾過弁装置312は、少なくとも1つのポンプ304によって移動された供給物を、本明細書では濾過アレイとも呼ばれ得る濾過段314のうちの1つ以上に切り替え可能に流体結合することができる。したがって、コントローラ302は、制御信号を弁装置312に提供させるように構成されてもよく、制御信号は、濾過段314のうちの1つ以上を、少なくとも1つのポンプ304を介して移動される供給物に切り替え可能に流体結合させる。
【0030】
ブリード弁308は、上で考察されたように、受信した制御信号を介して作動されるように構成された電気機械式弁として実装されてもよい。しかしながら、ブリード弁308は、例えば、技術者又はエンジニアがユーザ供給力を介して弁を作動させることを必要とする手動弁を含む任意の他の好適なデバイスとして実装されてもよい。濾過段306は、少なくとも1つの濾過膜311を含む。好ましくは、少なくとも1つの濾過膜311は、NF又はRO濾過膜である。
【0031】
一実施形態では、濾過段306は、少なくとも1000~1800psi、好ましくは少なくとも1740±5psiの動作圧が可能なケーシング/ハウジングを有する少なくとも1つの高圧NF又はRO濾過膜を含む。1つの非限定的な例では、少なくとも1つの濾過膜311は、最大1750psiの動作圧に耐えるように構成されたプレート及びフレーム(又はスペーサ管)高圧膜モジュールとして実装される。例えば、少なくとも1つの濾過膜311は、マサチューセッツ州ホルブルックのCrossTek Membrane Technology LLCによって提供される90~120バール(1305~1745psi)が可能な圧力ケーシングを有するAquaZoom(商標)超高圧濾過モジュールとして実装されてもよい。
【0032】
少なくとも1つの濾過膜311は、好ましくは、少なくとも1つのポンプ304によって供給物流れ309に流体結合された少なくとも1つの入口311-1(又は入力)を含む。少なくとも1つのポンプ304は、圧力(好ましくは、可変量の圧力)を生成して、供給物流れ309の供給水(本明細書では供給物とも呼ばれる)を受け取って少なくとも1つの濾過膜311に移動させ得る。図3は、入口311-1がポンプ304に直接結合されている例を示しているが、このような構成は必須ではないことに留意されたい。例えば、少なくとも1つの入口311-1は、別の濾過段/濾過システムのブリードに流体結合されてもよく、供給物流れ309としてブリードによる廃棄物出力を受け取るように構成されてもよい。あるいは、少なくとも1つの入口311-1は、別の濾過段/濾過システムの透過物出力部に流体結合されてもよく、供給物流れ309と同じものによって透過物出力を受け取るように構成されてもよい。
【0033】
少なくとも1つの濾過膜311は、透過物313を出力するための少なくとも1つの出口311-2と、残余物310を出力するための少なくとも1つのブリード311-3と、を更に含む。少なくとも1つの濾過膜311の出口311-2は、例えば、所望の構成に応じて、更なる処理のために複数の濾過段314のうちの別の濾過段の入口に流体結合されてもよい。少なくとも1つのブリード311-3はまた、複数の濾過段314のうちの別の濾過段の入口に流体結合されてもよく、あるいは下水管/廃水戻り部に流体結合されてもよい。
【0034】
一実施形態では、濾過段306は、314で集合的に示され、314-1~314-2として個々に示される濾過段など、複数の異なる濾過段として任意選択で実装される。複数の濾過段314の各々は、他の濾過段に対して、実質的に同様の濾過膜若しくは異なるタイプの濾過膜及び/又は濾過膜の総数を更に含むことができる。例えば、第1の濾過段314-1は、第1のタイプの濾過膜の1つ以上の濾過膜で構成されてもよく、第2の濾過段314-2は、第2のタイプの1つ以上の濾過膜で構成することができ、第2のタイプは、第1のタイプの濾過膜より高い最大動作圧力に耐えることができる圧力ケーシングを有する。濾過タイプにおけるこのバリエーションは、第2の濾過段314-2を介して高圧循環を実施するときに特に有利であり得る。このシナリオでは、弁装置312は、少なくとも1つのポンプ304からの供給物を第2の濾過段314-2に切り替え可能に流体結合し、高圧サイクルの特定の圧力量に耐えることができる圧力ケーシングを必ずしも有しているとは限らない第1の濾過段314-1などの、複数の濾過段314の他の濾過段からの供給物を切り替え可能に流体結合解除することができる。
【0035】
濾過弁装置312は、上で考察されたように、受信した制御信号を介して作動されるように構成された電気機械式弁として実装することができる。しかしながら、濾過弁装置312は、例えば、技術者又はエンジニアがユーザ供給力を介して弁を作動させることを必要とする手動弁、又はこのような手動弁と電気機械式弁との組み合わせを含む他の好適なデバイスを介して実装されてもよい。
【0036】
濾過システムの回収率は、一実施形態では、消費された供給物(又は受け取った供給水)の体積当たりに生産された透過水の体積として計算することができる。例えば、バッチプロセス中、回収率は、式(1)によって計算され得る。
【0037】
【数1】
【0038】
濾過システムが125ガロン/分(gpm)で3分間フラッシュし、バッチ生産中に100gpmで30分間稼働する以下のシナリオを検討する。次いで、濾過システム300の全体的な回収率は、88.9%=(100gpm×30分)/(100gpm×30分+125gpm×3分)であり得る。バッチROプロセスの1つの利点は、濾過システムが、スケール防止剤を使用せずに動作することができ、スケーリング/ファウリング状態の開始とスケーリングが発生したときとの間にかかる時間よりも短い期間にわたって動作することによって、スケーリングなしで最大回収率を超えることができることであり、この期間は、本明細書では第1の誘導期間と呼ばれる。
【0039】
次に、設計者は、供給物、例えば、供給物309の特性、好ましくは供給物309の全てのスケーリング化合物及び濃度を定義する。加えて、好ましくは、例えば、透過物の伝導率、全溶解固形物(total dissolved solid、TDS、伝導率から計算することができる)、及び有機含有量などの、エンドユーザの流出物又は透過物の品質要件が定義される。好ましくは、流出物又は透過物の品質要件は、オンラインでの迅速な測定を可能にし、一般的な透過物品質の強力な指標である伝導率に基づくことが好ましい。設計者はまた、供給物流量率、及びエンドユーザが所望する回収率目標を決定してもよい。本明細書で考察される例では、供給物流量率は、100gpmであり、供給物の全溶解固形物(TDS)は、2,000ppmであり、エンドユーザは、透過物TDS<250mg/lを望む。
【0040】
次に、設計者は、膜選択を実施し、好ましくは、選択された膜のスケール及びTDS廃棄特性が定義される。例えば、汽水のRO膜が選択されてもよく、99.5%のTDS廃棄率が、TDS及びスケール廃棄率の両方のために採用され得る。
【0041】
次に、設計者は、スケーリングが開始される時点、つまり対象のスケーリング化合物の過飽和が最初に発生したときの水回収率を決定する。この最大非スケーリング回収率は、例えば、濾過システム上で実装されることが予想される温度及び他の事前処理投与条件(例えば、スケール防止剤用量、酸用量)において決定される。例えば、最大非スケーリング回収率は、80%の回収率に設定されてもよいが、最大非スケーリング回収率の特定の設定点は、上で考察された要因に基づいて変動してもよい。
【0042】
次に、設計者は、例えば、濾過システム上で実装されることが予想される温度及び他の事前処理投与条件(例えば、スケール防止剤用量、酸用量)に基づいて、第1の誘導時間、例えば、最大非スケーリング回収率に達した(又は最初に超えた)ときと実際にスケーリングが発生したときとの間の時間を決定する。例えば、第1の誘導時間は、25分に等しくてもよい。
【0043】
次に、設計者は、濾過システムにおける供給物/廃棄物のホールドアップ体積を任意選択で決定してもよい。例えば、濾過システムは、200ガロンの供給物/廃棄物ホールドアップを有するように設計されてもよい。
【0044】
次いで、設計者は、好ましくは、例えば、動水/キャリア流体特性、スケール、ファウラント、及びTDS(全溶解固形物)を含む複数の入力(又は動作パラメータ)を確立して、システムに流入する搬送流体(例えば、水及び成分)、並びにシステムから出るブリード及び透過物を追跡することを可能にする物質収支を生成する。ブリード率は、好ましくは、設計者が入力として設定することに留意されたい。この物質収支は、システムにおける前述のパラメータの経時的な濃度の進行を示し、また好ましくは、経時的な回収率を追跡する。
【0045】
次に、設計者は、上で考察された様々な入力/パラメータを変動させることに基づいて、上の物質収支及び濾過システム性能の出力を分析してもよく、好ましくは、100%の回収率と、濾過システムの所望の電力消費率(ひいてはコスト)及び平均回収率を達成する最大非スケーリング回収率との間の回収率を設定する濾過システムの動作パラメータを選択する。好ましくは、選択された動作パラメータはまた、下水/廃棄物処理コスト及び/又はピーク電力消費(例えば、フラッシュ、バッチサイクルなどのために濾過システムのポンプを循環させるときの電流ピーク)を組み込まれる。設計者はまた、選択された動作パラメータを更新又は別様に修正して、濾過システムの条件が変化するにつれて、例えば、下水処理コストの増加/減少、電力コストの増加/減少、及び/又は回収率目標の増加/減少につれて、動作設定点を変化させてもよい。
【0046】
次いで、選択された動作パラメータは、好ましくは、コントローラ302などのコントローラによって実行されたときに、図4に示され、以下で更に詳細に考察される濾過順序のうちの1つ以上などの、濾過動作の順序を発生させる機械可読命令として出力され得る。このような命令は、好ましくは、コントローラ302のメモリ(図示せず)内に記憶され得る。
【0047】
RO/NF濾過システムのための誘導期間の延長
本開示は、第1の誘導期間の終了前の所定の時点(例えば、スケーリング/ファウリングが発生したとき)におけるスケール防止剤の導入を通じて、次いで、第2の誘導期間が確立され得ることを更に認識している。本開示は、第1の誘導期間及び第2の誘導期間中に濾過システム300の動作によって達成される全体的な回収率が、バッチ/連続ROサイクル中にスケール防止剤投与単独の使用を通じて濾過システム300によって可能にされる回収率に対して、より高い全体的な回収率を達成することを可能にすることを更に特定した。このような第1の誘導期間及び第2の誘導期間は、上で考察された例示的な濾過システム設計フローなどの、濾過システム設計フローに組み込まれてもよい。
【0048】
上で考察されたように、濾過段306への供給物309は、別の濾過段/システムの廃棄物/残余物流れからのものであってもよいことに留意されたい。このような場合、供給物309は、スケール防止剤を含むことができる。次いで、供給物309中に存在するスケール防止剤の濃度/量は、スケール防止剤の既知の効率とともに、本明細書に開示される第2の誘導期間を引き起こすための投与を決定するときに利用され得る。例えば、スケール防止剤は、時間依存的な効率を有することができ、第2の誘導期間を引き起こすために、より多くの及び/又はより少ないスケール防止剤用量を必要とする場合があり、より重要なことには、第2の誘導期間の全体的な持続時間が延長される。
【0049】
いずれにしても、第2の誘導期間の特定の持続時間は、所定の時点において、導入されているスケール防止剤、及び任意選択で存在することが知られているスケール防止剤の性能に少なくとも部分的に基づく。したがって、第2の誘導期間は、選択されたスケール防止剤の性能に少なくとも部分的に基づいて(かつ/又は供給物309中のスケール防止剤の存在に基づいて)予め決定され得る。好ましくは、選択されたスケール防止剤は、第2の誘導期間が、第1の誘導期間の少なくとも半分の持続時間/期間の間、好ましくは、第1の誘導期間の持続時間に等しいか又はそれより長く延長することを可能にする。したがって、このような延長された第2の誘導期間は、浸透圧を少なくとも1つの濾過膜311の定格浸透圧限界まで単調に増加させ得る。したがって、濾過システム300は、少なくとも1つの濾過膜311を高圧濾過膜モジュールとして実装して、第2の誘導期間を、例えば、90~120バールの関連する浸透圧を含む期間まで延長することを可能にする場合に役立ち得る。
【0050】
一実施形態では、濾過システム300は、スケール防止剤の使用の有無にかかわらず、サイクルの一部分にわたって100%の回収率と非スケーリング定常状態との間に設定された回収率を有するバッチROの両方の特徴を実装する。好ましくは、濾過システム300は、最大非スケーリング回収率を上回り、100%未満の回収率に設定された回収率を有する少なくとも1つの濾過動作を実装する。この動作は、回収率が最大非スケーリング回収率を上回る率に設定され得、廃棄物として出力される供給水の少なくとも一部分を有し得るため、本明細書では実質的な連続動作と呼ばれ得る。対照的に、連続動作は、最大非スケーリング回収率以下に設定された回収率を含み、バッチ動作は、100%(すなわち、ブリーディング廃棄物なし)に設定された回収率を含む。したがって、本開示と一致する濾過システムは、同様の連続システムの回収率を上回り、同様のバッチROシステムの回収率を下回る回収率を可能にして、全体的な電力消費及び下水管コストなどの動作パラメータのバランスを達成する。
【0051】
実施形態では、バッチRO及び連続動作/循環は、例えば、上で考察されたように、全体的な回収率(例えば、所定の時間量にわたって平均化される)、電力消費、及び廃棄水を処分するための下水管/処分コストなどの関連コストに関する様々なエンドユーザ要件を達成する、濾過動作の所定の順序で実行されてもよい。
【0052】
上で考察された第1の誘導期間及び第2の誘導期間は、好ましくは、バッチ動作が非スケーリング定常状態を超えて動作する全体的な時間量を延長するために最大化されることに留意されたい。しかしながら、供給物の濃縮係数などの、他の最終バッチパラメータ、供給物品質、例えば、全溶解固形物(TDS)、伝導率、透過物品質(例えば、透過物の伝導率)、及び/又は供給側圧力はまた、濾過プロセスの終了をトリガすることができる、又は別様に、第1の誘導期間/第2の誘導期間の全体的な持続時間に影響を及ぼすことができるパラメータである。
【0053】
加えて、濾過300システムは、本明細書に開示される様々な濾過プロセスと組み合わせて、ターボチャージャ又は圧力交換器などの、1つ以上のエネルギー回収デバイスを使用し、電力効率を更に増加させ、全体的な電力消費を低減させることができることに留意されたい。
【0054】
したがって、上記を考慮して、本開示の一態様は、バッチ及び/又は連続RO動作を順序付けることによって、スケーリング水のRO及びNF処理回収のための最適回収率及び電力消費を決定することである。本開示の様々な特徴及び態様は、好ましくは、既存の濾過システムが、例えば、電力消費及び全体的な回収率のより大きな制御及び調整を可能にするように拡張/修正されることを可能にする。しかしながら、本開示は、新たな濾過システム設計に等しく適用可能であり、この点については必ずしも限定されるものではない。
【0055】
図4は、複数の例示的な順序(A~C)を示し、これにより、図3の濾過システム300の動作は、例えば、所望の全体的な回収率、電力消費、及び残余物/廃棄物出力に応じて、順序A、B、C、又はこれらの任意の組み合わせに従って動作することを含むことができる。例えば、動作は、順序Cなしの順序A及びB、又は順序Bなしの順序A及びCを含むことができる。
【0056】
動作中、選択された順序の各々は、時間I、II、及びIIIに示す段階の各々、又はこれらの段階のサブセットのみを実行することを含み得る。例えば、順序A及びCは、必ずしも時間IIIにおいてフラッシュ段階を実行することなく、任意選択で実施されてもよい。同様に、順序は、順不同で実施されてもよく、順序Aは、必ずしもBの前に実施されなくてもよく、同様に、Cは、必ずしもBの後に実施されなくてもよく、代わりに例えば、Aの後に実施されてもよい。順序は、所与の順序が、他の順序がその間に実施されることなく所定の回数繰り返されるように、N回繰り返されてもよい。したがって、順序の特定の組み合わせは、1つ又は複数の選択された順序を含むことができ、選択された順序は、所望の順番で、好ましくは、全体的な回収率及び電力消費などの1つ以上の性能目標を達成することを可能にする順番で実行される。特定の順序は、好ましくは、図3の濾過システム300のメモリ(図示せず)に機械可読コード(例えば、設定ファイル)として記憶され得る。
【0057】
順序Cは、連続段階が、時間(I)におけるバッチ段階に続く濾過システム300の不完全フラッシュ(本明細書では部分的フラッシュとも呼ばれる)として動作することを可能にし、したがって、濾過システム300の動作サイクルの全体回数が、各バッチROサイクル後にフラッシュを実施するシステムに対して低減されることを可能にすることに留意されたい。この部分的フラッシュの一例は、図8を参照して以下に示され考察される。このような部分的フラッシュは、有利には、ポンプ及び関連機器の摩耗及び断裂の低減を通して、濾過システムの動作寿命を増加させることができ、濾過システムが透過物を出力していない期間(例えば、0%の回収率)を低減する。これは、例えば、少なくとも1つのポンプ304を循環させることによって引き起こされる電流スパイク/サージなど、様々な濾過システム構成要素によって引き起こされるエネルギー損失を低減することによって、エンドユーザのためのより安定した動作条件、並びに濾過システムのための更に大きい電力効率を更に有利に提供する。このようなエネルギー損失は、このような損失がシステムの寿命にわたって蓄積するので、濾過システムの電力効率を著しく低下させる可能性があり、最終的には、特に商業的/大規模な濾過システムにおける高電流モータにとって、電力損失の重大な原因となる可能性がある。
【0058】
図5は、本開示の様々な態様及び特徴を例示する例示的なプロセス500を示す。具体的には、プロセス500は、本開示と一致する濾過システムに、例えば、図4の例示的な順序Aに示すようなバッチ動作/サイクルが後に続く連続動作/サイクルを実施させる動作を含む。しかしながら、プロセス500は、この点については必ずしも限定されるものではなく、他の順序及び順序の組み合わせは、本開示の範囲内である。
【0059】
プロセス500の動作は、必ずしも示された順番で実施されなくてもよく、更に、動作は、本開示の範囲から逸脱することなく、本明細書で開示される様々な態様及び特徴に従って修正、省略、及び/又は追加されてもよいことに留意されたい。好ましくは、プロセス500は、濾過システム300の1つ以上の構成要素と組み合わせてコントローラ302によって少なくとも部分的に実施されて、自動動作、例えば、少なくとも1つのブリード弁308を開閉し、少なくとも1つのポンプ304に目標圧力を生成させるために、例えば、技術者による手動制御及び/又は介入を必ずしも必要としない濾過システム300の動作を達成する。
【0060】
しかしながら、プロセス500はまた、手動動作、例えば、ユーザがスイッチを手動で作動させて制御信号をスイッチに送信させることによる、少なくとも1つのブリード弁308及び/又は濾過弁装置312の作動を通じて、又は自動ステップと手動ステップとの組み合わせを通じて実施されてもよい。例えば、コントローラ302は、少なくとも1つのポンプに、自動順序を介して目標圧力を生成させるように構成されてもよく、一方、ブリード弁308は、所望の回収率を達成するために技術者が手動で作動してもよい。とりわけ、コントローラ302は、タイマ/スケジュールに基づいて、例えば、コンピュータシステムのユーザインターフェース、LED光などを介して視覚的指標を提供して、技術者に、少なくとも1つのブリード弁308を作動させるなどの、1つ以上の手動ステップ/手順を実施させるように構成されてもよい。
【0061】
プロセス500は、動作502で開始する。動作502では、コントローラ302は、第1の目標回収率を決定する。第1の目標回収率に対するいくつかの非限定的な例の回収率は、25~50%、50~70%、50~80%、並びにこれらの間の全ての値及び範囲を含む。好ましくは、第1の目標回収率は、濾過システムの最大非スケーリング回収率を上回り、例えば、少なくとも80%の回収率であり、100%未満である。第1の目標回収率の追加の非限定的な例は、少なくとも1つの濾過膜についての最大非スケーリング回収率より大きく、98%以下であることを含む。いずれの場合でも、供給水の残りは、その後、廃棄物として出力され得る。例えば、第1の目標回収率が最大非スケーリング回収率より大きく、98以下である状況では、供給水の少なくとも2%が第1の期間中に廃棄物として出力される。しかしながら、第1の目標回収率はまた、少なくとも1サイクルの定常状態連続動作が望ましいシナリオにおいて、濾過システムの最大非スケーリング回収率以下で選択されてもよい。
【0062】
動作504では、コントローラ302は、少なくとも1つのブリード308に、供給物流れ、例えば、供給物流れ309の所定の部分を、第1の目標回収率に基づいて第1の期間中に残余物/廃棄物として出力させる。例えば、一実施形態では、80%の回収率が第1の目標回収率として設定され、したがって、少なくとも1つのブリード308は、供給物流れの20%を残余物として出力するように構成され得る。
【0063】
動作506では、コントローラ302は、ポンプに、決定された第1の目標回収率に基づいて第1の期間中に出力透過物流れを生産させるために、駆動信号(又は第1の駆動信号)を少なくとも1つのポンプ、例えば、ポンプ304に提供させる。一実施形態では、第1の駆動信号は、少なくとも1つのポンプに、圧力が第1の期間にわたって目標回収率を達成する初期圧力から最大10psi/時だけ増加するように、実質的に一定の圧力を生成させるように構成されている。一実施形態では、第1の期間は、1~2時間であり、好ましくは、少なくとも6時間である。実質的な連続動作中の圧力変化率は、例えば、供給水特性及び/又は回収率設定点を含む複数の要因に応じて変動することに留意されたい。例えば、実質的な連続動作中の99%の回収率は、90%の回収率における動作に対して、比較的高い1分当たりの圧力増加をもたらす。したがって、実質的な連続動作に関連して本明細書で提供される例示的な圧力値及び変化率は、限定を目的として提供されるものではない。
【0064】
動作508では、コントローラ302は、第2の目標回収率を決定する。一実施形態では、第2の目標回収率は、第1の目標回収率より高い。第2の目標回収率のいくつかの非限定的な例は、70~80%、80~100%、90~100%、並びにこれらの間の全ての値及び範囲の回収率を含む。一実施形態では、第2の目標回収率は、95~100%であり、好ましくは100%である。別の実施形態では、第2の目標回収率は、第1の目標回収率より低く、第2の目標回収率は、少なくとも1つの濾過膜の少なくとも部分的フラッシュを引き起こす。例えば、第2の目標回収率は、少なくとも1つの濾過膜311についての最大非スケーリング回収率以下、例えば、0~80%、好ましくは0%超に設定されて、透過物生産が部分的フラッシュ中に継続することを可能にし得る。
【0065】
代替的に又は追加的に、第2の目標回収率は、第2の期間の一部分の間、少なくとも1つの濾過膜の最大非スケーリング回収率以下であり、第2の期間の一部分の間、最大非スケーリング回収率を上回る。
【0066】
動作510では、コントローラ302は、少なくとも1つのブリード308に、供給物流れ、例えば、供給物流れ309の所定の部分を、第2の目標回収率に基づいて第2の期間中に廃棄物として出力させる。1つの例示的なシナリオでは、第2の回収率は、100%であり、したがって、廃棄物として出力される供給物流れ309の所定の部分は、供給物流れ309の2%を含む最大2%が廃棄物として出力されるように、ゼロ(0%)又は実質的にゼロ(0%)である。したがって、本実施形態では、コントローラ302は、少なくとも1つのブリード308を閉鎖させ、供給物流れ309の実質的にいかなる部分も、第2の期間中に廃棄物として出力させない。
【0067】
あるいは、第2の目標回収率は、<100%であり、したがって、供給物流れ309の所定の部分は、特定の目標回収率に比例する。例えば、第2の目標回収率は、96~100%に設定されてもよく、その結果、第2の期間中に、受け取った供給水の出力透過物流れに対する体積比は、0.96~1.0である。別の例では、第2の目標回収率は、少なくとも部分的フラッシュを引き起こすために、上で考察されたように0~80%に設定されてもよい。
【0068】
動作512では、コントローラ302は、決定された第2の目標回収率に基づいて第2の期間中に出力透過物流れを生産するために、駆動信号(又は第2の駆動信号)を少なくとも1つのポンプに提供させる。例えば、駆動信号は、少なくとも1つのポンプに、少なくとも1つの濾過膜、例えば、図3の少なくとも1つの濾過膜311の浸透圧を超えるように、第2の期間中に圧力を単調に増加させるように構成されてもよい。あるいは、駆動信号は、上で考察されたように、フラッシュ又は部分的フラッシュを引き起こすように構成されてもよい。加えて、第2の駆動信号は、上で考察された第1の駆動信号と実質的に同様に構成されてもよく、その説明及び特徴は、簡潔にするために繰り返さない。
【0069】
好ましくは、第2の駆動信号は、少なくとも1つのポンプに、圧力が第2の期間にわたって少なくとも10psi/分、好ましくは少なくとも50psi/分だけ増加するように、実質的に一定の圧力を生成させるように構成されている。一実施形態では、第2の期間は、少なくとも2分である。
【0070】
以下で更に詳細に考察されるように、動作512は、コントローラ302が、第2の誘導期間を導入し、第2の期間の全体的な持続時間を延長し、したがってひいては、全体的な回収率(例えば、経時的に平均される)を増加させるために、所定の時点においてスケール防止剤用量を導入することを更に含むことができる。
【0071】
図6は、本開示の様々な態様及び特徴を例示する例示的なプロセス600を示す。具体的には、プロセス600は、本開示と一致する濾過システムに、第2の誘導期間の導入を通してバッチRO循環(例えば、最大非スケーリング回収率を上回り、100%を下回るか、又は好ましくは100%に等しい回収率を設定する関連回収率を有する)を延長させる動作を含む。プロセス600は、バッチRO処理が可能な任意の濾過システムによって実施されてもよく、例えば、図3の濾過システム300及び/又は前述の高圧濾過膜モジュールを有する濾過システムによる実行に必ずしも限定されないことに留意されたい。しかしながら、好ましくは、プロセス600を実装する濾過システムは、第2の誘導期間が、関連する濾過膜の浸透圧が90~120バール以上に達する時点まで延長されることを可能にするための高圧濾過膜モジュールを含む。
【0072】
プロセス600は、例えば、上で考察された図5のプロセス500の動作506及び/又は512中に駆動信号を提供するときに実施されてもよい。しかしながら、プロセス600は、この点については限定されるものではなく、プロセス600は、必ずしもプロセス500の動作を実施することなく濾過システムによって実施されてもよい。プロセス600の動作は、必ずしも示された順番で実施されなくてもよく、更に、動作は、本開示の範囲から逸脱することなく、本明細書で開示される様々な態様及び特徴に従って修正、省略、及び/又は追加されてもよいことに留意されたい。
【0073】
動作602では、コントローラ302は、少なくとも1つの濾過膜、例えば、少なくとも1つの濾過膜311について、最大非スケーリング率を上回る回収率を設定する。一実施形態では、回収率は、90~99.99%であり、より好ましくは100%である。
【0074】
動作604では、コントローラ302により、少なくとも1つのポンプが、圧力を、第1の期間中に少なくとも1つの濾過膜の浸透圧を超えて単調に増加させる。動作606では、コントローラ302は、第1の期間中の第1の所定の時点を決定し、第1の所定の時点は、スケーリング状態の発生と少なくとも1つの濾過膜のスケーリングが発生するときとの間である。一実施形態では、所定の時点は、第1の期間の最初の開始時、又は第1の期間の最初の開始後であって少なくとも1つの濾過膜のスケーリング及び/又はファウリングの前の時点である。
【0075】
608では、コントローラ302は、1つ又は複数のスケール防止剤用量を、所定の時点において少なくとも1つの濾過膜に導入させる。動作610では、コントローラ302により、少なくとも1つのポンプが、圧力を、第2の所定の時点まで少なくとも1つの膜の浸透圧を超えて単調に増加させ続ける。第2の所定の時点は、例えば、固定された時間量に基づいてもよく、かつ/又は濾過システムの安定性を維持するための他の条件及び要因に基づいてもよい。
【0076】
図7は、図5及び図6のプロセス500及び600をそれぞれ実行するときの、濾過システム300の動作を示す例示的なグラフ700を示す。グラフ700は、Y軸に沿った0%~100%までの目標回収率の範囲と、X軸に沿った時間とを含む。この例示的な結果では、濾過システム300は、図5のプロセス500の動作502~506に従って、第1の期間(T0~T0+1)にわたって第1の目標回収率、例えば、80%で動作する。図示のように、この第1の目標回収率は、好ましくは、濾過システム300の少なくとも1つの濾過膜311についての所定の最大非スケーリング/ファウリング回収率を上回る率として選択され得る。
【0077】
第1の期間(例えば、T0+1)の終了に続いて、濾過システム300は、第2の期間(例えば、T0+1~T0+2、又はT0+1~T0+3)にわたって第2の目標回収率、例えば、98%で動作する。第2の期間は、少なくとも第1の誘導期間を定義し、第1の誘導期間は、濾過システム300の回収率が非スケーリング/ファウリング回収率(例えば、スケーリング/ファウリング状態の開始が行われる回収率)を超えるときと、スケーリング/ファウリングが発生するときとの間の時間である。別の言い方をすれば、第2の期間中、目標回収率は、濾過システム300についての最大非スケーリング回収率を超え、スケール防止剤が意図的に注入されることなく、1つ以上の濾過膜について最大非スケーリング回収状態に達する前の関連する持続時間を有し、これは、スケール防止剤前の最大非スケーリング回収状態とも呼ばれ得る。図示のように、濾過システム300は、第1の誘導期間中のT0+2の直後に、スケール防止剤前の最大非スケーリング回収状態に達する。上で考察されたように、スケール防止剤が供給物中に存在してもよく、スケール防止剤前の時点という用語は、このような既存のスケール防止剤の存在を排除しないことに留意されたい。
【0078】
更に図示されるように、濾過システム300、より具体的にはコントローラ302は、例えば、図6のプロセス600の動作606に基づいて、例えば、スケーリング/ファウリングが第1の誘導期間中に発生したときに、スケーリング防止剤前の最大非スケーリング回収状態に達する直前であるT0+2に示すような所定の時点を決定してもよい。
【0079】
所定の時点において、コントローラ302は、例えば、上で考察された図6のプロセス600の動作608に基づいて、スケール防止剤用量を少なくとも1つの濾過膜311に導入/注入させることができる。それに応答して、次に、第2の目標回収率での濾過システム300の動作は、例えば、少なくとも1つの濾過膜311の浸透圧が少なくとも1つのポンプ304の最大圧力を超えるまで、又は不安定な状態で濾過システム300を動作させることを回避するために第2の誘導期間中の濾過システム300の動作のための所定の最大時間量が経過するまで、第2の誘導期間中に継続し得る。
【0080】
したがって、例えば、所定の時点においてスケール防止剤を導入することにより、濾過システム300の最大非スケーリング回収状態がT0+3まで延長され、このシフト/延長された回収状態は、スケール防止剤後の最大非スケーリング回収状態とも呼ばれる。この延長された持続時間は、例えば、少なくとも1つの濾過膜の浸透圧が、第2の誘導期間(例えば、T0+3)の終了に達する前に、少なくとも1つのポンプ304によって生成することができる最大圧力量及び/又は濾過膜の最大圧力定格を超えるようなものであってもよい。したがって、濾過システム300は、好ましくは、第2の誘導期間中に所定の最大時間量にわたって第2の目標回収率でバッチ動作を継続するように構成されてもよく、所定の最大時間量は、所定の時点におけるスケール防止剤用量の導入によって提供される第2の誘導期間の全体的な持続時間未満である。所定の最大時間量は、一定の持続時間、例えば、1分、3分、1~30分として選択されてもよく、又は、例えば、スケール防止剤の投与量、及び/又は既知のスケール防止剤性能評価、及び/又は既知の供給条件、圧力、若しくは他の機器制限、及び/又は例えば、モノのインターネット(Internet of Things、IOT)デバイスを介してオンラインで測定され得る透過物若しくは廃棄物の品質要件に基づいて動的に設定されてもよい。
【0081】
したがって、いずれの場合でも、所定の時点は、図7に示すように、第1の誘導期間を第2の誘導期間と区別する。第1の誘導期間及び第2の誘導期間は、持続時間が実質的に等しくてもよく、又は異なってもよいことに留意されたい。好ましくは、第2の誘導期間は、第1の誘導期間の持続時間の少なくとも半分である。
【0082】
図8は、一実施形態による、図5のプロセス500を実行するときの濾過システム300の動作を示す例示的なグラフ800を示す。グラフ800は、Y軸に沿った0%~100%までの目標回収率と、X軸に沿った時間とを含む。この例示的なシナリオでは、濾過システム300は、第1の回収率目標(最大非スケーリング回収率を上回り、100%の回収率を下回る)における実質的な連続動作と、第2の回収率目標(100%の回収率)におけるバッチ動作と、を含む順序で動作する。この順序は、以下で考察されるように、任意選択のフラッシュサイクルを更に含む。
【0083】
図示のように、各実質的な連続動作の全体的な持続時間は、D1であり、各バッチ動作の全体的な持続時間は、D2である。D1は、少なくとも6時間測定することができ、好ましくは、D1は、少なくとも1日測定する。一方、D2は、少なくとも1分~数時間、好ましくは、少なくとも5分間測定することができる。したがって、D1は、D2に対して持続時間が実質的に長くてもよい。
【0084】
各実質的な連続動作の持続時間D1は、均一であってもよく、又は各動作が他の実質的な連続動作よりも長く、実質的に等しく、若しくは短くなるように変動してもよい。同様に、各バッチ動作の持続時間D2は、均一であってもよく、又は各動作が他のバッチ動作よりも長く、実質的に等しく、若しくは短くなるように変動してもよい。上で考察されたように、スケール防止剤は、第2の誘導期間を導入/誘導するために所定の時点において導入されてもよい。したがって、1つ又は複数のバッチ動作は、第2の誘導期間を達成するためにスケール防止剤の使用を含まない他のバッチ動作よりも長い持続時間D2を含み得る。
【0085】
更に図示されるように、濾過システム300は、0%の回収率で動作して、少なくとも1つの濾過膜311の任意選択の(完全)フラッシュを引き起こしてもよく、その結果、受け取った供給水の全てが廃棄物として出力される。任意選択のフラッシュは、例えば、図5のプロセス500に関して上で考察されたような第2の駆動信号によって引き起こされてもよい。しかしながら、任意選択のフラッシュはまた、第3の駆動信号によって引き起こされてもよい。好ましくは、第3の駆動信号は、第3の目標回収率、例えば、完全フラッシュの場合には0%、又は部分フラッシュ中にはゼロ(0%)より大きく、最大非スケーリング回収率(例えば、80%)以下を引き起こすように構成されている。一実施形態では、第3の目標回収率は、図5のプロセス500に関して上で考察されたように、第1の目標回収率及び第2の目標回収率の両方とは異なっていてもよい。
【0086】
例えば、図示のように、濾過システム300は、第3の駆動信号に基づいて、第3の期間(又は持続時間)D3中に、最大非スケーリング/ファウリング回収率を下回る回収率、例えば、1~80%、好ましくは80%で動作してもよい。持続時間D3は、完全フラッシュを必要とすることなく(例えば、ある期間にわたって0%の回収率)、少なくとも1つの濾過膜311の少なくとも部分的フラッシュを引き起こすように設計されている。したがって、濾過システム300は、完全フラッシュを介在させることなく、すなわち、例えば、バッチRO動作後にフラッシュするために必ずしも0%の回収率に低下させることなく、透過物流れを生産し続け得る。
【0087】
したがって、本開示の態様は、NF/RO設計者が、エンドユーザ設備の制約に基づいて連続NF/RO及びバッチNF/ROの選択要素を組み合わせる最適動作アプローチを選択し、施設の長期動作コストを低減することを可能にする。また、スケール防止剤注入を伴う第2の誘導期間にバッチ動作を延長するための方法も本明細書に開示されており、第2の誘導期間は、更に高い水回収率を可能にする。加えて、ファウラントも同様にNF/ROシステムの圧力及び回収率に悪影響を及ぼすため、スケールを超えて、本明細書に開示される技術及び特徴は、ファウリング管理にも使用することができる。
【0088】
本開示の別の態様は、供給水中にスケーリング/ファウリング化合物を含んでも含まなくてもよい水の濾過のための方法及びシステムを対象とする。代わりに、以下の例示的なシステム及び方法は、入力供給物流れ、出力透過物流れ、及びブリード流れ中の保持された汚染物質の濃度が絶えず増加する、ブリード流れを含む膜システム/構成を使用して動作することができる。本明細書で使用される場合、「ブリード流れ中の保持された汚染物質の絶えず増加する濃度」という語句は、システム及び方法が、ブリード中の保持された汚染物質の濃度が増加している状態で常に動作するように設計されていることを意味する。これは、安定した濃度条件下で動作するように設計された連続ROシステム又は従来のROシステムとは対照的である。
【0089】
1つのこのような例示的な膜システム900(本明細書では濾過システムとも呼ばれ得る)が、図9Aに示される。膜システム900は、好ましくは、少なくとも1つの濾過膜911を含む。少なくとも1つの濾過膜911は、上で考察されたような様々な濾過膜構成のものと実質的に同様に構成されてもよく、このため、その説明は簡潔にするために繰り返さない。しかしながら、少なくとも1つの濾過膜911は、N個の濾過膜及び膜段を含むことができ、必ずしも図9Aに示すような単一の濾過膜モジュールでなくてもよいことに留意されたい。
【0090】
少なくとも1つの濾過膜911は、供給物流れ909に流体結合されて供給物を受け取る入口(又は供給物入口)と、透過物流れ913に流体結合された第1の出口(又は透過物出口)と、ブリード流れ910に流体結合された第2の出口(又はブリード出口)と、を含むことができる。
【0091】
膜システム900は、好ましくは、少なくとも1つの測定デバイスを含む。例えば、図9Aの膜システム900は、第1の測定デバイス960-1及び第2の測定デバイス960-2を含む。第1の測定デバイス960-1は、伝導率などの透過物流れ913の1つ以上の品質/特性を測定し、透過物流れ913の1つ以上の測定された品質/特性の表示を含む測定信号を出力するように構成することができる。第2の測定デバイス960-2は、伝導率及び圧力などのブリード流れ910の1つ以上の品質/特性を測定し、ブリード流れ910の1つ以上の測定された品質/特性の表示を含む測定信号を出力するように構成することができる。
【0092】
本開示と一致する膜システムは、他の要素の測定された品質/特性を出力するために他の場所に配置された測定デバイスを含むことができることに留意されたい。例えば、測定デバイスを使用して、伝導率、有機物濃度、及び紫外線透過率などの膜流出物品質を表す信号を測定し、出力してもよい。更なる態様では、少なくとも1つの濾過膜911内の色、屈折率、ブリックス、伝導率、pH、及び紫外線透過率などの濃縮物品質を含む他の品質/特性の測定を企図する。
【0093】
したがって、本開示と一致する測定デバイスによるコントローラ902への測定値出力は、膜流出物品質、透過物品質、膜廃棄物品質、濃縮物品質、及び/又はシステム圧力を表すことができる。好ましくは、システム900は、膜システムの動作中にリアルタイムで測定信号を出力することができる、いわゆる「オンライン」測定デバイスを利用する。
【0094】
更に図示されるように、膜システム900は、好ましくは、第1の測定デバイス960-1及び第2の測定デバイス960-2のうちの少なくとも1つに通信可能に結合されて、これらから出力される測定信号を受信するコントローラ902を更に含む。
【0095】
動作中、コントローラ902は、少なくとも1つの濾過膜911に、少なくとも1つのポンプ(図示せず)に提供される信号を介して透過物を透過物流れ913に出力させるように構成することができる。これに応答して、供給物流れ909からの供給物は、次いで、第1の期間中に少なくとも1つの濾過膜911に移動し、透過物流れ913への透過物として出力されて、目標回収率を達成する。目標回収率は、固定量/率であってもよいし、経時的に変動する量/率であってもよい。好ましくは、目標回収率は、供給物流れの少なくとも一部分がブリード流れ910に出力されるように、100%未満のままである。実施形態では、目標回収率は、100%未満である。
【0096】
次いで、コントローラ902は、好ましくは、第1の期間中に発生する動作状態を監視及び検出する。動作状態は、膜システム900の1つ以上の目標/所定の特性を含むことができる。
【0097】
コントローラ902は、例えば、第1の測定デバイスス960-1及び/又は第2の測定デバイ960-2によって出力された測定信号に基づいて、目標/所定の特性を検出することができる。代替的に又は追加的に、コントローラ902は、例えば、所定の持続時間が経過したときを決定するタイマに基づいて、すなわち、第1の期間中に透過物を出力している間に、動作状態を決定してもよい。
【0098】
コントローラ902は、測定された目標/所定の特性の時間平均化を更に実施して、例えば、時間平均膜残余物品質、濃縮物品質、膜流出物、及び透過物品質を決定し得ることに留意されたい。したがって、システムの現在の動作状態は、膜システム900の1つ以上の目標/所定の特性についての時間平均目標に基づいて計算/決定されてもよい。
【0099】
コントローラ902は、測定された目標/所定の特性を、対応する目標値又は目標閾値と比較し得る。例えば、コントローラ902は、第1の測定デバイス960-1によって出力された測定信号から目標/所定の特性を決定し、その決定された目標/所定の特性を対応する閾値と比較してもよい。実施形態では、測定信号は、伝導率、全溶解固形物、pH、色、ブリックス、及び/又は紫外線透過率などの測定された透過物品質の表示を含んでもよく、その場合、コントローラは、このような測定値を、1つ以上の対応する所定の透過物閾値と比較してもよい。例えば、所定の透過物閾値が全溶解固形物の閾値濃度(例えば、500mg/l)であるとき、コントローラは、透過物中の全溶解固形物が全溶解固形物の閾値濃度以上、すなわち、≧500mg/l)であるときに動作状態を検出してもよい。
【0100】
コントローラによって検出され得るいくつかの例示的な動作状態は、膜流出物及び/又は透過物品質(若しくはその指標)、膜残余物(本明細書では膜廃棄物若しくは単に廃棄物とも呼ばれ得る)並びに/又は濃縮物品質(及び/若しくはその指標)、混合されたフラッシュ流体+膜廃棄物並びに/又は濃縮物品質(及び/若しくはその指標)、所定の時間量の満了、並びに/あるいは時間平均残余物及び/若しくは濃縮物品質(及び/若しくはその指標)を含む。限定するものではないが、実施形態では、動作状態は、例えば、供給物、濃縮物、残余物、廃棄物、及び/又は透過物流れ中のスケーリング成分、ファウリング成分、又はその両方の濃度を含まない。限定するものではないが、実施形態では、動作状態は、供給物、濃縮物、残余物、又は廃棄物流れ中のスケーリング成分、ファウリング成分、又はその両方の濃度を含まない。それら又は他の実施形態では、透過物の硬度は、動作状態として(又はその一部として)機能する目標/所定の特性として使用されてもよい。
【0101】
本明細書で使用される場合、「混合されたフラッシュ」という用語は、濾過動作からの廃棄物(例えば、フラッシュ及び連続ブリードの量)の時間平均総体積と、例えば、それが全て撹拌タンク内に収集されたかのようなフラッシュ体積とを指す。あるいは、又は加えて、混合されたフラッシュは、ブリード及びフラッシュ濃度並びにそれらの対応する流量率の時間平均値として計算することができる。
【0102】
コントローラ902は、好ましくは、動作状態を検出/特定したときにフラッシュルーチンを開始する。フラッシュルーチンは、コントローラ902が、少なくとも1つの膜濾過器911の1つ又は複数のフラッシュ弁(図示せず)を開放させることを含むことができる。これにより、フラッシュ弁の開放が少なくとも1つの膜濾過器の供給側の圧力を低下させるので、少なくとも1つの膜濾過器が透過物出力を停止する。
【0103】
フラッシュルーチンは、好ましくは、図9Bに示すように、流れ961から少なくとも1つの濾過膜911へ水を移動させることを更に含む。水を提供する流れ961は、少なくとも1つの濾過膜911への、供給物流れ909からの供給物、透過物流れ913からの透過物、若しくは供給物流れ909及び透過物流れ913とは異なる別の水供給源からの水、又はこれらの任意の組み合わせであってもよい。次いで、少なくとも1つの濾過膜911内の濃縮物の少なくとも一部分、より好ましくは、濃縮物の少なくとも99%が、流れ961から移動した水に基づいて、流れ964(図9Bを参照)を介して排出される。流れ964は、典型的には、ブリード流れ910として実装されるが、本開示は、この点についでは必ずしも限定されるものではない。
【0104】
実験結果及びシミュレーション
第1の実験(従来のROシステム):以下の表2及び表3は、濾過構成の一例を示し、図10は、そこからシミュレートされた水分析結果を示す。図10のシミュレーション結果は、この例示的な構成が、局所的な受け入れ流れへの排出のための廃棄物排出全溶解固形物(TDS)目標を達成することができることを示す。シミュレーション結果は、この例示的な構成が333.9m/時間=1,469ガロン/分(gpm)の透過物流量を生産することを更に示す。
【0105】
より具体的には、表2及び表3は、従来の逆浸透(RO)システムの75%の回収率限界を決定する、地域の河川へのブラインの処分のための公称2,600mg/lの最大廃棄物TDSを目標とする従来のROシステム設計を示す。この設計は、市販のRO設計ツール(LG(登録商標)CHEM Q+)で開発した。75%の水回収率で、供給物の圧力を8.12バールに設定し、透過物TDSは、4.61mg/lに等しく、濃縮物TDSは、2622.69mg/lに等しかった。この例示的な構成は、段階1に38個の容器、段階2に18個の容器を有する2段階の膜を利用した。各容器は、システムにおける(38+18)6=336の膜要素の総膜数に対して6つの膜を有していた。
【0106】
【表2】
【0107】
【表3】
【0108】
第2の実験(本開示によるシステム):表4及び表5は、本開示と一致する濾過システムの例示的な構成を示す。実験1と同様に、この設計は、市販のRO設計ツール(LG(登録商標)CHEM Q+)で開発した。図11Aは、システムのシミュレーション動作中の単一時点における(すなわち、プロセスの終点における)シミュレーションの水分析結果を示す。この実施例及び構成は、実験1のシステムが従来の二段階ROシステムであるのに対して、実験1のシステムが一段階ROシステムである点で、実験1のシステムとは異なる。この実験におけるシステムはまた、実験1におけるシステムよりも低い圧力で開始し、示される圧力/濃縮物品質/エネルギーで終了する。これは、とりわけ、実験1のシステムに対して電力節約をもたらし、図10に対して、図11Bに示す生産サイクルにわたって時間平均濃縮物と混合された、この場合、フラッシュ体積の全溶解固形物である混合されたフラッシュとして決定されるように、より低い全溶解固形物(公称2,159mg/l)を有するブリードを生産する。図11Bは、この実験で使用されるシステムの生産サイクルを示し、水の品質及び量が経時的にどのように変化するかを示す。これは、長期間(例えば、数週間又は数ヶ月)にわたって同じ動作条件下で動作する従来のROシステムである実験1とは異なる。図11Bに示すように、このシステムを、ブリードTDSによって証明されるように、常に変化するブリード濃度で動作させ、ブリードTDSを、シミュレーションによって計算し、シミュレーションには、フラッシュ動作をいつ行うべきかを決定するための動作特性として従来の逆浸透システムの回収率75%を使用した。図11Bでは、濃縮係数(concentration factor、CF)は、ブリードの全溶解固形物を供給物の全溶解固形物で割ったもの、すなわち、ブリードTDS/供給物TDに等しいことに留意されたい。
【0109】
この例示的な構成は、表2、表3、及び図10の第1の実験に示すのと同じ流束目標及び水回収率を維持することを目的とする。この実験は、好ましくは、図9Aの膜システム900として実装され、その説明は簡潔にするために繰り返さない。特に、表4及び表5並びに図11A及び図11Bは、図9A図9Bに関して上で考察された態様及び特徴を利用するシステム生産動作サイクルの終点のシミュレーションを示す。この第2の実験の終点設計は、60個の容器を有する一段階の膜を使用して、75%の水回収率で、7.43バールの供給物の圧力を有し、透過物TDSは、6.22mg/lに等しく、濃縮物TDSは、2617.39mg/lに等しい。各容器は、システムにおける60*6=360の膜要素の総膜数に対して6つの膜を有し、これは、図10の従来のシステムよりも24膜多い。
【0110】
表4及び表5が更に示すように、本開示と一致する濾過システム及び方法は、図10に示す従来のROシステムと同じ75%の回収率及び同じ流束でエネルギー節約を達成するように構成することができる。とりわけ、本開示と一致する濾過システムは、したがって、1,469gpmの透過物ROシステムに対して約9.5%/16HPだけ電力を低減することができる一方で、12.7%低いTDSを廃棄物排出点まで稼働する。
【0111】
【表4】
【0112】
【表5】
【0113】
実験3(本開示によるシステム)-表6及び表7は、本開示と一致する濾過システムの別の例示的な構成を示し、図12Aは、システムのシミュレーション動作中の単一時点における(すなわち、プロセスの終点における)シミュレーションの水濾過結果を示す。実験2と同様に、この実施例及び構成は、実験1のシステムが従来の二段階ROシステムであるのに対して、実験1のシステムが一段階ROシステムである点で、実験1のシステムとは異なる。この実験におけるシステムはまた、実験1におけるシステムよりも低い圧力で開始し、示される圧力/濃縮物品質/エネルギーで終了する。これは、とりわけ、実験1のシステムに対して電力節約をもたらし、図10に対して、図12Bに示す生産サイクルにわたって時間平均濃縮物と混合された、この場合、フラッシュ体積の全溶解固形物である混合されたフラッシュとして決定されるように、より低い全溶解固形物(2,160mg/l)を有するブリードを生産する。図12Bは、この実験で使用されるシステムの生産サイクルを示し、水の品質及び量が経時的にどのように変化するかを示す。これは、長期間(例えば、数週間又は数ヶ月)にわたって同じ動作条件下で動作する従来のROシステムである実験1とは異なる。図12Bに示すように、このシステムを、シミュレーションによって追跡されたブリードTDSによって証明されるように、常に変化するブリード濃度で動作させた。図11Bと同様に、図12Bの濃縮係数(CF)は、ブリードの全溶解固形物を供給物の全溶解固形物で割ったもの、すなわち、ブリードTDS/供給物TDに等しい。
【0114】
この例示的な構成は、第1の実験に示すのと同じ膜数を維持することを目的とし、好ましくは、図9Aの膜システム900として実装され、その説明は簡潔にするために繰り返さない。この例示的なシステムの終点設計は、56個の容器を有する一段階の膜を使用して、75%の水回収率で、7.9バールの供給物の圧力を有し、透過物TDSは、5.73mg/lに等しく、濃縮物TDS=2619.43mg/lである。各容器は、図10の従来のROシステムと同じである、システムにおける56*6=336の膜要素の総膜数に対して6つの膜を有する。
【0115】
表6、表7、及び図12Aが更に示すように、本開示と一致する濾過システム及び方法は、図10の従来のROシステムと同じ75%の回収率及び同じ膜数でエネルギー節約を達成するように構成することができ、この構成では、本開示と一致する方法及びシステムは、1,469gpmの透過物ROシステムに対して約4.1%/7HPだけ電力消費を低減することができる一方で、12.7%低いTDSを廃棄物排出点まで稼働する。
【0116】
【表6】
【0117】
【表7】
【0118】
実験4(本開示によるシステム)-表8及び表9は、本開示と一致する濾過システムの別の例示的な構成を示し、図13Aは、システムのシミュレーション動作中の単一時点における(すなわち、プロセスの終点における)シミュレーションの水分析結果を示す。実験2及び実験3と同様に、この実施例及び構成は、実験1のシステムが従来の二段階ROシステムであるのに対して、実験1のシステムが一段階ROシステムである点で、実験1のシステムとは異なる。この実験におけるシステムはまた、実験1におけるシステムよりも低い圧力で開始し、示される圧力/濃縮物品質/エネルギーで終了する。これは、とりわけ、実験1のシステムに対して水回収率の増加をもたらし、図10に対して、図13Bに示す生産サイクルにわたって時間平均濃縮物と混合された、この場合、フラッシュ体積の全溶解固形物である混合されたフラッシュとして決定されるのと同じ全溶解固形物を有するブリードを生産する。図13Bは、この実験で使用されるシステムの生産サイクルを示し、水の品質及び量が経時的にどのように変化するかを示す。これは、長期間(例えば、数週間又は数ヶ月)にわたって同じ動作条件下で動作する従来のROシステムである実験1とは異なる。図13Bに示すように、このシステムを、ブリードTDSによって証明されるように、常に変化するブリード濃度で動作させ、ブリードTDSを、フラッシュ動作がいつ行われるべきかを決定するための動作特性としてシミュレーションによって追跡した。図11Bと同様に、図13Bの濃縮係数(CF)は、ブリードの全溶解固形物を供給物の全溶解固形物で割ったもの、すなわち、ブリードTDS/供給物TDに等しい。
【0119】
この構成は、第1の実験で示したものと同じ廃棄物TDSを維持することを目的とし、好ましくは、図9Aの膜システム900として実装され、その説明は簡潔にするために繰り返さない。この例示的なシステムの終点設計は、56個の容器を有する一段階の膜を使用して、77.3%の水回収率で、7.75バールの供給物の圧力、6.86mg/lに等しい透過物TDS、及び2879.1mg/lに等しい濃縮物TDSを有する。各容器は、システムにおける56*6=336の膜要素の総膜数に対して6つの膜を有しており、これは、従来のシステムと同じである。
【0120】
この実験は、本開示と一致する濾過システム及び方法が、実験1の従来のRO設計に対して2.3%向上した回収率を達成するように構成することができる一方で、動作中におおよそ7.2HP又は4.3%より多くの電力を使用しながら、同じ廃棄物TDS限界に合致することを更に示す。しかしながら、この実験の状況では、このアプローチは、年間にわたって同じ量の透過物を生産するために、1,469gpmの透過物ROシステム(350日/年の動作を仮定する)のための供給源リザーバから1年当たり2920万ガロンの取水を節約する。
【0121】
【表8】
【0122】
【表9】
【0123】
本開示はまた、エンドユーザが好み得る、例えば、電力コストが取水コストよりも高いか、又は電力を含む水廃棄コストが大きい場合、従来のROよりもわずかに多くのエネルギー使用を伴う1%の改善された回収率を考慮することができるような、中間的解決策が開発され得ることを認識している。本開示の態様及び特徴によって達成される別の使用では、図13の例は、最大許容廃棄物TDS限界が除去される場合に、システムの最大回収率を研究するために延長することができる。この例では、濃縮された水がスケーリング傾向を示す場合、スケール防止剤用量は、システム生産サイクルの一部として使用されてもよいが、このような投与は、サイクル時間がスケール形成を回避するのに十分に比較的短い場合、必要とされなくてもよい。
【0124】
追加の例示的な態様及びアーキテクチャ
本開示の一態様は、NF/ROシステムが、一般的な意味で、連続システムによって提供される非スケーリング定常状態動作(スケール防止剤あり又はなし)とROシステムによって提供される100%の回収バッチ動作の2つの極値の間の連続体に沿って入る設定点において動作することを可能にする、回収率及び電力条件/パラメータ(本明細書では動作パラメータとも呼ばれる)を決定するための方法を含む。したがって、以下の開示は、以下の非限定的な実施例を提供する。
【0125】
実施例1は、NF/ROシステムを、少なくとも1つの供給物流れ、1つのブリード流れ、及び1つの透過物流れを用いて、動作サイクルの少なくとも一部について100%の回収率及び最大非スケーリング回収率又は非ファウリング回収率の極値の間に設定された回収率で動作させることを含む。
【0126】
実施例2は、NF/ROシステムを、少なくとも1つの供給物流れ、1つのブリード流れ、及び1つの透過物流れを用いて、動作サイクルの少なくとも一部について100%の回収率及び最大非スケーリング回収率又は非ファウリング回収率の極値の間に設定された回収率で、動作サイクルを繰り返す前に、動作サイクルの最終ステップとして供給物のフラッシュ順序を用いて動作させることを含む。(例えば、図4の順序Bを参照)
【0127】
実施例3は、NF/ROシステムを、少なくとも1つの供給物流れ、1つのブリード流れ、及び1つの透過物流れを用いて、動作サイクルの一部については100%の回収率及び最大非スケーリング回収率又は非ファウリング回収率の極値の間に設定された回収率で、また、動作サイクルの別の部分については100%の回収率で動作させる方法を含む(例えば、必ずしもフラッシュサイクルを必要としない図4の順序A及びCを参照)。
【0128】
実施例4は、NF/ROシステムを、少なくとも1つの供給物流れ、1つのブリード流れ、及び1つの透過物流れを用いて、動作サイクルの一部については100%の回収率及び最大非スケーリング回収率又は非ファウリング回収率の極値の間に設定された回収率で、また、動作サイクルの別の部分については100%の回収率で、動作サイクルを繰り返す前に、動作サイクルの最終ステップとして供給物のフラッシュ順序を用いて動作させる方法である。(例えば、図4の順序A及びCを参照)。
【0129】
実施例5は、NF/ROシステムを、少なくとも1つの供給物流れ、1つのブリード流れ、及び1つの透過物流れを用いて、動作サイクルの少なくとも一部について100%の回収率及び最大非スケーリング回収率又は非ファウリング回収率の極値の間に設定された回収率で動作させる方法であって、スケーリング/ファウリングが発生する直前の所定の時点までの第1の誘導期間中にスケール防止剤なしで最初に動作し、次いで、動作サイクルを1回以上繰り返す前に、動作サイクルの最終ステップとして供給物のフラッシュ順序を用いて完了する直前に、延長動作(例えば、第2の誘導期間)を可能にするために、供給物中にスケール防止剤の用量を添加する、方法。
【0130】
実施例6は、NF/ROシステムを、少なくとも1つの供給物流れ、1つのブリード流れ、及び1つの透過物流れを用いて、動作サイクルの一部については100%の回収率及び最大非スケーリング回収率又は非ファウリング回収率の極値の間に設定された回収率で、また、動作サイクルの別の部分については100%の回収率で動作させる方法であって、最初に、スケール防止剤を含まない誘導期間(又は第2の誘導期間)に達する直前までスケール防止剤なしの第1の誘導期間中に動作し、次いで、動作サイクルを繰り返す前に、動作サイクルの最終ステップとして供給物のフラッシュ順序を用いて完了する直前のスケール防止剤誘導期間に至るまで、延長動作(例えば、第2の誘導期間)を可能にするために、供給物中にスケール防止剤の用量を添加する、方法。
【0131】
実施例7は、NF/ROシステムを、少なくとも1つの供給物流れ及び1つの透過物流れを用いて、100%の回収率で動作させる方法であって、最初に、スケール防止剤を含まない誘導期間(第2の誘導期間)に達する直前までスケール防止剤なしの第1の誘導期間中に動作し、次いで、動作サイクルを繰り返す前に、動作サイクルの最終ステップとして供給物のフラッシュ順序を用いて完了する直前に、延長動作(第2の誘導期間)を可能にするために、供給物中にスケール防止剤の用量を添加する、方法。
【0132】
実施例8は、NF/ROシステムを、少なくとも1つの供給物流れ及び1つの透過物流れを用いて、100%の回収率で動作させる方法であって、動作サイクルを繰り返す前に、動作サイクルの最終ステップとして供給物のフラッシュ順序を用いて完了する前に、スケール防止剤誘導期間の直前に至るまで、スケール防止剤を含まない誘導期間を超えて濃縮することを可能にするためにスケール防止剤を用いて動作する、方法。
【0133】
実施例9は、少なくとも1つの供給物流れ及び1つの透過物流れを有するプレート及びフレーム又はスペーサ管高圧膜モジュールを備えたNF/ROシステムを100%の回収率で動作させる方法であって、最初に、スケール防止剤を含まない誘導期間に達する直前までスケール防止剤なしで動作し、次いで、動作サイクルを繰り返す前に、動作サイクルの最終ステップとして供給物のフラッシュ順序を用いて完了する直前のスケール防止剤誘導期間に至るまで、延長動作(第2の誘導期間)を可能にするために、供給物中にスケール防止剤の用量を添加する、方法。
【0134】
実施例10は、少なくとも1つの供給物流れ及び1つの透過物流れを有するプレート及びフレーム又はスペーサ管高圧膜モジュールを備えたNF/ROシステムを100%の回収率で動作させる方法であって、動作サイクルを繰り返す前に、動作サイクルの最終ステップとして供給物のフラッシュ順序を用いて完了する前に、スケール防止剤誘導期間の直前に至るまで、スケール防止剤を含まない誘導期間を超えて濃縮することを可能にするためにスケール防止剤を用いて動作する、方法。
【0135】
実施例11は、濾過システムを動作させる方法であって、濾過システムは、少なくとも1つの供給物流れに流体結合された少なくとも1つの入口と、少なくとも1つの供給物流れから供給水を受け取るために少なくとも1つの入口に流体結合された少なくとも1つの濾過膜と、少なくとも1つの供給物流れからの供給水を少なくとも1つの濾過膜に移動させ、出力透過物流れを生産するための圧力を生成するための少なくとも1つのポンプと、を有し、本方法は、第1の駆動信号を少なくとも1つのポンプに提供させて、生成された圧力に、第1の期間中に第1の目標回収率に実質的に等しい回収率で出力透過物流れを生産させることを含み、第1の目標回収率は、少なくとも1つの濾過膜についての最大非スケーリング回収率より大きく、100%未満である、方法。
【0136】
実施例12は、実施例11の特徴を含み、第2の駆動信号を少なくとも1つのポンプに提供させて、生成された圧力に、第2の期間中に第2の目標回収率に実質的に等しい回収率で出力透過物流れを生産させることを更に含む。
【0137】
実施例13は、実施例12の特徴を含み、第2の目標回収率は、少なくとも1つの濾過膜についての最大非スケーリング回収率以下である。
【0138】
実施例14は、実施例12の特徴を含み、第2の目標回収率は、少なくとも1つの濾過膜についての最大非スケーリング回収率より大きい。
【0139】
実施例15は、実施例12の特徴を含み、第2の目標回収率は、少なくとも1つの濾過膜についての最大非スケーリング回収率及び第1の目標回収率より大きい。
【0140】
実施例16は、実施例12の特徴を含み、第2の駆動信号は、第2の目標回収率が少なくとも1つの濾過膜についての最大非スケーリング回収率未満になるように、少なくとも1つの濾過膜の少なくとも部分的フラッシュを引き起こすように構成されている。
【0141】
実施例17は、実施例16の特徴を含み、第2の目標回収率は、少なくとも1つの供給物流れの受け取った供給水の全てが廃棄物として出力されるように、ゼロに等しい。
【0142】
実施例18は、実施例12の特徴を含み、第2の目標回収率は、第2の期間の一部分の間、少なくとも1つの濾過膜についての最大非スケーリング回収率以下であり、第2の期間の一部分の間、最大非スケーリング回収率を上回る。
【0143】
実施例19は、実施例12の特徴を含み、第2の目標回収率は、少なくとも1つの濾過膜の部分的フラッシュを引き起こすために、0%より大きく、最大非スケーリング回収率以下である。
【0144】
実施例20は、実施例12の特徴を含み、第2の目標回収率は、96~100%であり、その結果、第2の期間中に、受け取った供給水の出力透過物流れに対する体積比は、0.96~1.0である。
【0145】
実施例21は、実施例12の特徴を含み、少なくとも1つの濾過膜に流体結合された少なくとも1つのブリード弁に、少なくとも1つの供給物流れの供給水の第1の所定の部分を廃棄水として第2の期間中に出力させることを更に含む。
【0146】
実施例22は、実施例21の特徴を含み、第2の目標回収率は、100%に等しく、少なくとも1つのブリード弁に、少なくとも1つの供給物流れの第1の所定の部分を廃棄水として第2の期間中に出力させることは、少なくとも1つの供給物流れの実質的に0%が廃棄水として出力されるように、少なくとも1つのブリード弁を閉鎖することを更に含む。
【0147】
実施例23は、実施例21の特徴を含み、第2の目標回収率は、100%未満であり、少なくとも1つのブリード弁に、少なくとも1つの供給物流れの第1の所定の部分を廃棄水として第2の期間中に出力させることは、供給水の第1の所定の部分を廃棄水として出力するために、少なくとも1つのブリード弁を開放することを更に含む。
【0148】
実施例24は、実施例12の特徴を含み、第2の目標回収率は、少なくとも1つの供給物流れの0%が廃棄水として第2の期間の少なくとも一部分の間に出力されるように、100%である。
【0149】
実施例25は、実施例12の特徴を含み、第2の期間は、濾過動作の所定の順序に基づいて、第1の期間の前又は後に発生する。
【0150】
実施例26は、実施例12の特徴を含み、第2の目標回収率は、100%であり、第2の駆動信号を少なくとも1つのポンプに提供させることは、1つ又は複数のスケール防止剤用量を、第2の期間中の所定の時点において少なくとも1つの濾過膜に導入させることを更に含み、所定の時点は、第2の期間を、所定の時点の前に発生する第1の誘導期間と、スケール防止剤が導入される所定の時点の後に発生する第2の誘導期間とに分け、第1の誘導期間は、少なくとも1つの濾過膜のスケーリング及び/又はファウリングが発生する前に動作する期間であり、第2の誘導期間は、スケール防止剤が導入されたときから、少なくとも1つの濾過膜のスケーリング及び/又はファウリングが発生するときまで測定される期間である。
【0151】
実施例27は、実施例11~26のいずれか1つの特徴を含み、第3の駆動信号を少なくとも1つのポンプに提供させて少なくとも1つの濾過膜を少なくとも部分的にフラッシュすることを更に含み、第3の駆動信号を少なくとも1つのポンプに提供させて少なくとも1つの濾過膜を少なくとも部分的にフラッシュすることは、第3の駆動信号を第3の期間中に少なくとも1つのポンプに提供させることを更に含み、第3の期間は第2の期間に続く。
【0152】
実施例28は、実施例27の特徴を含み、第3の駆動信号は、少なくとも1つのポンプに、第3の期間中に第3の目標回収率に実質的に等しい回収率で出力透過物流れを生産するための圧力を生成させるように構成されている。
【0153】
実施例29は、実施例28の特徴を含み、第3の目標回収率は、少なくとも1つの濾過膜の少なくとも部分的フラッシュを引き起こすために、第3の期間中に0%~80%である。
【0154】
実施例30は、実施例28の特徴を含み、第3の目標回収率は、少なくとも1つの濾過膜の完全フラッシュを引き起こすために実質的に0%であり、第3の目標回収率は、第1の目標回収率及び第2の目標回収率とは異なる。
【0155】
実施例31は、実施例11~30のいずれか1つの特徴を含み、第2の期間は、第1の期間の後であり、第2の駆動信号を第2の期間中に提供させることは、第1の期間と第2の期間との間に少なくとも1つの濾過膜の介在する完全フラッシュを引き起こすことなく行われる。
【0156】
実施例32は、実施例12の特徴を含み、第2の駆動信号は、第2の期間にわたって圧力が少なくとも10psi/分だけ増加するように、少なくとも1つのポンプによって生成される圧力を少なくとも1つの濾過膜の浸透圧を超える量まで増加させるように構成されており、第2の期間は、少なくとも2分である。
【0157】
実施例33は、実施例12の特徴を含み、第2の駆動信号は、少なくとも1つのポンプに、第2の期間にわたって実質的に一定の圧力が最大10ポンド/平方インチ(psi)/時間だけ増加するように、実質的に一定の圧力を生成させるように構成されており、第2の期間は、少なくとも6時間である。
【0158】
実施例34は、実施例11~33のいずれか1つの特徴を含み、第1の駆動信号は、第1の期間にわたって圧力が少なくとも10psi/分だけ増加するように、少なくとも1つのポンプによって生成される圧力を少なくとも1つの濾過膜の浸透圧を超える量まで増加させるように構成されており、第1の期間は、少なくとも2分である。
【0159】
実施例35は、実施例11~33のいずれか1つの特徴を含み、第1の駆動信号は、少なくとも1つのポンプに、第1の期間にわたって実質的に一定の圧力が最大10ポンド/平方インチ(psi)/時間だけ増加するように、実質的に一定の圧力を生成させるように構成されており、第1の期間は、少なくとも6時間である。
【0160】
実施例36は、実施例11~35のいずれか1つの特徴を含み、少なくとも1つの濾過膜に流体結合された少なくとも1つのブリード弁に、少なくとも1つの供給物流れの供給水の第2の所定の部分を廃棄水として第1の期間中に出力させることを更に含む。
【0161】
実施例37は、実施例36の特徴を含み、第1の目標回収率は、98%以下であり、少なくとも1つのブリード弁に、少なくとも1つの供給物流れの供給水の第2の所定の部分を廃棄水として第1の期間中に出力させることは、少なくとも1つの供給物流れの供給水の少なくとも2%を廃棄水として第1の期間中に出力させるために、少なくとも1つのブリード弁を開放することを更に含む。
【0162】
実施例38は、実施例11~37のいずれか1つの特徴を含み、第1の駆動信号を少なくとも1つのポンプに提供させることは、1つ又は複数のスケール防止剤用量を、第1の期間中の所定の時点において少なくとも1つの濾過膜に導入させることを更に含み、所定の時点は、第1の期間の最初の開始時、又は第1の期間の最初の開始後であって少なくとも1つの濾過膜のスケーリング及び/又はファウリングの前の時点である。
【0163】
実施例39は、実施例38の特徴を含み、所定の時点は、第1の期間を、所定の時点の前に発生する第1の誘導期間と、スケール防止剤が導入される所定の時点の後に発生する第2の誘導期間とに分け、第1の誘導期間は、少なくとも1つの濾過膜のスケーリング及び/又はファウリングが発生する前に動作する期間であり、第2の誘導期間は、スケール防止剤が導入されたときから、少なくとも1つの濾過膜のスケーリング及び/又はファウリングが発生するときまで測定される期間である。
【0164】
実施例40は、実施例39の特徴を含み、第1の駆動信号を少なくとも1つのポンプに提供させることは、少なくとも1つのポンプに、スケール防止剤が導入される所定の時点から少なくとも1つの濾過膜の浸透圧を超えて圧力を単調に増加させて、第2の誘導期間の少なくとも一部分の間に第1の目標回収率を維持させることを更に含む。
【0165】
実施例41は、濾過システムであって、少なくとも1つの供給物流れに流体結合された少なくとも1つの入口と、少なくとも1つの供給物流れから供給水を受け取るために少なくとも1つの入口に流体結合された少なくとも1つの濾過膜と、少なくとも1つの供給物流れからの供給水を少なくとも1つの濾過膜に移動させ、出力透過物流れを生産するための圧力を生成するための少なくとも1つのポンプと、第1の駆動信号を少なくとも1つのポンプに提供させて、生成された圧力に、第1の期間中に第1の目標回収率に実質的に等しい回収率で出力透過物流れを生産させるように構成されたコントローラであって、第1の目標回収率は、少なくとも1つの濾過膜についての最大非スケーリング回収率より大きく、100%未満である、コントローラと、を備える、濾過システム。
【0166】
実施例42は、実施例41の特徴を含み、コントローラは、第2の駆動信号を少なくとも1つのポンプに提供させて、生成された圧力に、第2の期間中に第2の目標回収率に実質的に等しい回収率で出力透過物流れを生産させるように更に構成されている。
【0167】
実施例43は、実施例42の特徴を含み、第2の目標回収率は、少なくとも1つの濾過膜についての最大非スケーリング回収率以下である。
【0168】
実施例44は、実施例42の特徴を含み、第2の目標回収率は、少なくとも1つの濾過膜についての最大非スケーリング回収率より大きい。
【0169】
実施例45は、実施例42の特徴を含み、第2の目標回収率は、少なくとも1つの濾過膜についての最大非スケーリング回収率及び第1の目標回収率より大きい。
【0170】
実施例46は、実施例42の特徴を含み、第2の駆動信号は、少なくとも1つの濾過膜の少なくとも部分的フラッシュを引き起こすように構成されている。
【0171】
実施例47は、実施例46の特徴を含み、第2の目標回収率は、少なくとも1つの供給物流れの供給水の全てが廃棄物として出力されるように、ゼロに等しい。
【0172】
実施例48は、実施例46の特徴を含み、第2の目標回収率は、第2の期間の一部分の間、少なくとも1つの濾過膜についての最大非スケーリング回収率以下であり、第2の期間の一部分について最大非スケーリング回収率より大きい。
【0173】
実施例49は、実施例46の特徴を含み、第2の目標回収率は、少なくとも1つの濾過膜の部分的フラッシュを引き起こすために、0%より大きく、最大非スケーリング回収率未満である。
【0174】
実施例50は、実施例42の特徴を含み、第2の目標回収率は、96~100%であり、その結果、第2の期間中に、受け取った供給水の出力透過物流れに対する体積比は、0.96~1.0である。
【0175】
実施例51は、実施例42の特徴を含み、少なくとも1つの濾過膜に流体結合されて、少なくとも1つの供給物流れの供給水の第1の所定の部分を廃棄水として第2の期間中に出力する少なくとも1つのブリード弁を更に備える。
【0176】
実施例52は、実施例51の特徴を含み、第2の目標回収率は、100%に等しく、コントローラは、少なくとも1つのブリード弁を、廃棄水として出力される供給水の第1の所定の部分が第2の期間中にゼロパーセントであるように、閉鎖させるように構成されている。
【0177】
実施例53は、実施例51の特徴を含み、第2の目標回収率は、少なくとも1つの供給物流れの0%が第2の期間中に廃棄水として出力されるように、100%である。
【0178】
実施例54は、実施例51の特徴を含み、第2の期間は、メモリに記憶された濾過動作の所定の順序に基づいて、第1の期間の前又は後に発生する。
【0179】
実施例55は、実施例42~54のいずれか1つの特徴を含み、第2の駆動信号は、第2の期間中の所定の時点において、1つ又は複数のスケール防止剤用量を少なくとも1つの濾過膜に導入させるように更に構成されている。
【0180】
実施例56は、実施例55の特徴を含み、所定の時点は、第2の期間を、所定の時点の前に発生する第1の誘導期間と、スケール防止剤が導入される所定の時点の後に発生する第2の誘導期間とに分け、第1の誘導期間は、少なくとも1つの濾過膜のスケーリング及び/又はファウリングが発生する前に動作する期間であり、第2の誘導期間は、スケール防止剤が導入されたときから、少なくとも1つの濾過膜のスケーリング及び/又はファウリングが発生するときまで測定される期間である。
【0181】
実施例57は、実施例42~56のいずれか1つの特徴を含み、コントローラは、第3の駆動信号を少なくとも1つのポンプに提供させて、第3の期間中に少なくとも部分的フラッシュを引き起こすように更に構成されており、第3の期間は第2の期間に続く。
【0182】
実施例58は、実施例57の特徴を含み、第3の駆動信号は、少なくとも1つのポンプに、第3の期間中に第3の目標回収率に実質的に等しい回収率で出力透過物流れを生産するための圧力を生成させるように構成されており、第3の目標回収率は、第1の目標回収率及び第2の目標回収率とは異なる。
【0183】
実施例59は、実施例57~58のいずれか1つの特徴を含み、第3の目標回収率は、少なくとも1つの濾過膜の少なくとも部分的フラッシュを引き起こすために、第3の期間中に0%~80%である。
【0184】
実施例60は、実施例57~58のいずれか1つの特徴を含み、第3の回収率は、少なくとも1つの濾過膜の完全フラッシュを引き起こすために、実質的に0%である。
【0185】
実施例61は、実施例42~60のいずれか1つの特徴を含み、第2の期間は、第1の期間の後であり、第2の駆動信号を第2の期間中に提供させることは、第1の期間と第2の期間との間に少なくとも1つの濾過膜の介在する完全フラッシュを引き起こすことなく行われる。
【0186】
実施例62は、実施例42の特徴を含み、第2の駆動信号は、第2の期間にわたって圧力が少なくとも10psi/分だけ増加するように、少なくとも1つのポンプによって生成される圧力を少なくとも1つの濾過膜の浸透圧を超える量まで増加させるように構成されており、第2の期間は、少なくとも2分である。
【0187】
実施例63は、実施例42の特徴を含み、第2の駆動信号は、少なくとも1つのポンプに、第2の期間にわたって実質的に一定の圧力が最大10ポンド/平方インチ(psi)/時間だけ増加するように、実質的に一定の圧力を生成させるように構成されており、第2の期間は、少なくとも6時間である。
【0188】
実施例64は、実施例41~63のいずれか1つの特徴を含み、第1の駆動信号は、第1の期間にわたって圧力が少なくとも10psi/分だけ増加するように、少なくとも1つのポンプによって生成される圧力を少なくとも1つの濾過膜の浸透圧を超える量まで増加させるように構成されており、第1の期間は、少なくとも2分である。
【0189】
実施例65は、実施例41~63のいずれか1つの特徴を含み、第1の駆動信号は、少なくとも1つのポンプに、第1の期間にわたって実質的に一定の圧力が最大10ポンド/平方インチ(psi)/時間だけ増加するように、実質的に一定の圧力を生成させるように構成されており、第1の期間は、少なくとも6時間である。
【0190】
実施例66は、実施例41~65のいずれか1つの特徴を含み、少なくとも1つの濾過膜に流体結合されて、少なくとも1つの供給物流れの供給水の第2の所定の部分を廃棄水として第1の期間中に出力する少なくとも1つのブリード弁を更に備える。
【0191】
実施例67は、実施例66の特徴を含み、第1の目標回収率は、98%以下であり、供給水の第1の所定の部分は、少なくとも2%であり、コントローラは、少なくとも1つのブリード弁に、第1の期間中に廃棄水として出力される少なくとも1つの供給物流れの供給水の第1の所定の部分を出力させるように構成されている。
【0192】
実施例68は、実施例41~67のいずれか1つの特徴を含み、コントローラは、第1の期間中の所定の時点において、1つ又は複数のスケール防止剤用量を少なくとも1つの濾過膜に導入させるように更に構成されている。
【0193】
実施例69は、実施例68の特徴を含み、所定の時点は、第1の期間を、所定の時点の前に発生する第1の誘導期間と、スケール防止剤が導入される所定の時点の後に発生する第2の誘導期間とに分け、第1の誘導期間は、少なくとも1つの濾過膜のスケーリング及び/又はファウリングが発生する前に動作する期間であり、第2の誘導期間は、スケール防止剤が導入されたときから、少なくとも1つの濾過膜のスケーリング及び/又はファウリングが発生するときまで測定される期間である。
【0194】
実施例70は、実施例69の特徴を含み、第1の駆動信号を少なくとも1つのポンプに提供させることは、少なくとも1つのポンプに、スケール防止剤が導入される所定の時点から少なくとも1つの濾過膜の浸透圧を超えて圧力を単調に増加させて、第2の誘導期間の少なくとも一部分の間に第1の目標回収率を維持させることを更に含む。
【0195】
実施例71は、実施例41~70のいずれか1つの特徴を含み、少なくとも1つの濾過膜は、少なくとも90バールの圧力に耐えることができる圧力ケーシングを有する少なくとも1つの高圧濾過膜を含む。
【0196】
実施例72は、実施例41~71のいずれか1つの特徴を含み、少なくとも1つの濾過膜は、少なくとも第1の濾過膜及び第2の濾過膜を含み、第1の濾過膜及び第2の濾過膜の各々は、第1の濾過段及び第2の濾過段のうちの少なくとも一部分をそれぞれ提供する。
【0197】
実施例73は、実施例72の特徴を含み、第1の濾過膜及び/又は第2の濾過膜を少なくとも1つの供給物流れに切り替え可能に流体結合するための濾過弁装置を更に含む。
【0198】
実施例74は、実施例73の特徴を含み、コントローラは、濾過弁装置に、第1の期間及び/又は第2の期間中に第1の濾過膜及び/又は第2の濾過膜を少なくとも1つの供給物流れに切り替え可能に流体結合させるように更に構成されている。
【0199】
実施例75は、実施例41~74のいずれか1つの特徴を含み、少なくとも1つの入口は、少なくとも1つの供給物流れが濾過システムからの濃縮物を含むように、濾過システムのブリードに流体結合する。
【0200】
実施例76は、実施例41~74のいずれか1つの特徴を含み、少なくとも1つの入口は、少なくとも1つの供給物流れが濾過システムによって出力された透過物を含むように、濾過システムの出口に流体結合する。
【0201】
実施例77は、濾過システムを動作させるための方法であって、濾過システムは、少なくとも1つの供給物流れに流体結合された入口と、少なくとも1つの供給物流れの供給水を受け取るために入口に流体結合された少なくとも1つの濾過膜と、少なくとも1つの供給物流れの供給水を少なくとも1つの濾過膜に移動させ、出力透過物流れを生産するための圧力を生成するための少なくとも1つのポンプと、を有し、本方法は、第1の駆動信号を少なくとも1つのポンプに提供させることであって、第1の駆動信号は、少なくとも1つのポンプの生成された圧力を少なくとも1つの濾過膜の浸透圧を超える量まで増加させ、第1の期間中に目標回収率を維持し、目標回収率は、最大非スケーリング回収率を超え、最大非スケーリング回収状態が少なくとも1つの濾過膜に達する前の関連する持続時間を有する、提供させることと、最大非スケーリング回収状態が第1の期間中に少なくとも1つの濾過膜に達したときを検出することと、最大非スケーリング回収状態に達したことの検出に応答して、1つ又は複数のスケール防止剤用量を少なくとも1つの濾過膜に導入させて、最大非スケーリング回収状態に達したときと、少なくとも1つの濾過膜のスケーリング及び/又はファウリングが発生するときとの間の時間量を増加させることと、を含む、方法。
【0202】
実施例78は、バッチ逆浸透(RO)濾過システムを動作させるための方法であって、バッチRO濾過システムは、少なくとも1つの供給物流れに流体結合された入口と、少なくとも1つの供給物流れの供給水を受け取るために入口に流体結合された少なくとも1つの濾過膜と、少なくとも1つの供給物流れの供給水を少なくとも1つの濾過膜に移動させ、出力透過物流れを生産するための圧力を生成するための少なくとも1つのポンプと、を有し、本方法は、第1の駆動信号を少なくとも1つのポンプに提供させて、第1の期間中に実質的に目標回収率で出力透過物流れを出力させることであって、目標回収率は、少なくとも1つの濾過膜についての最大非スケーリング回収率より大きく、第1の駆動信号は、少なくとも1つのポンプの生成された圧力を少なくとも1つの濾過膜の浸透圧を超える量まで増加させて、出力透過物流れの出力を実質的に目標回収率に維持する、提供させることと、1つ又は複数のスケール防止剤用量を、第1の期間中の所定の時点において少なくとも1つの濾過膜に導入させることと、を含む、方法。
【0203】
実施例79は、実施例78の特徴を含み、所定の時点は、第1の期間を、所定の時点の前に発生する第1の誘導期間と、1つ又は複数のスケール防止剤用量が導入される所定の時点の後に発生する第2の誘導期間とに分け、第1の誘導期間は、スケーリング及び/又はファウリングが発生する前に動作する期間であり、第2の誘導期間は、1つ又は複数のスケール防止剤用量が導入されたときから、スケーリング及び/又はファウリングが発生するときまで測定された期間である。
【0204】
実施例80は、実施例77に記載の方法を実行させる複数の命令を記憶した非一時的コンピュータ可読媒体である。実施例81は、実施例78~79のいずれか1つに記載の方法を実行させる複数の命令を記憶した非一時的コンピュータ可読媒体である。
【0205】
実施例82は、実施例1~40のいずれか1つに記載の方法を実行させる複数の命令を記憶した非一時的コンピュータ可読媒体である。
【0206】
実施例83は、供給物流れに流体結合する入口と、ブリード流れに結合されたブリード出口とを有する少なくとも1つの濾過膜であって、ブリード流れは、保持された汚染物質の濃度が絶えず増加する、少なくとも1つの濾過膜と、供給物流れからの供給水を少なくとも1つの濾過膜に移動させ、出力透過物流れを生産するための圧力を生成するための少なくとも1つのポンプと、コントローラであって、少なくとも1つのポンプに第1の信号を提供して、少なくとも1つの濾過膜に、第1の期間にわたって出力透過物流れを生産させることと、第1の期間中の透過物流れの出力中に動作状態を検出することと、検出された動作状態に基づいて、フラッシュを行わせ、少なくとも1つの濾過膜から濃縮物の少なくとも一部分を排出させるためのフラッシュ信号を出力することと、少なくとも1つのポンプに第2の信号を提供して、少なくとも1つの濾過膜に、フラッシュを行わせた後の第2の期間にわたって出力透過物流れを生産させることと、を行うように構成されたコントローラと、を備える。好ましくは、動作状態は、スケーリング化合物、ファウリング化合物、又はその両方の濃度を含まない。
【0207】
実施例84は、実施例83の特徴を含み、動作状態は、少なくとも1つの濾過膜の透過物、残余物、及び/又は濃縮物の所定の特性である。好ましくは、所定の状態は、スケーリング化合物、ファウリング化合物、又はその両方の濃度ではない。
【0208】
実施例85は、実施例83~84のいずれか1つの特徴を含み、コントローラは、少なくとも1つの濾過膜の透過物、残余物、及び/又は濃縮物の測定された特性を受信し、測定された特性を対応する閾値と比較することに基づいて、動作状態を検出するように更に構成されている。好ましくは、測定された特性は、スケーリング化合物、ファウリング化合物、又はその両方の濃度ではない。
【0209】
実施例86は、実施例83~85のいずれか1つの特徴を含み、所定の特性は、目標の流出物及び/又は透過物品質である。好ましくは、所定の特性は、スケーリング化合物、ファウリング化合物、又はその両方の濃度ではない。
【0210】
実施例87は、実施例83~86のいずれか1つの特徴を含み、所定の特性は、目標の残余物及び/又は濃縮物品質である。好ましくは、所定の特性は、スケーリング化合物、ファウリング化合物、又はその両方の濃度ではない。
【0211】
実施例88は、実施例83~87のいずれか1つの特徴を含み、所定の特性は、混合されたフラッシュ及びブリード流体の量若しくは品質、又はシステムからの混合された廃棄物の総量である。
【0212】
実施例89は、実施例83~88のいずれか1つの特徴を含み、所定の特性は、少なくとも1つの濾過膜についての所定の時間平均流出物特性及び/又は時間平均透過物品質である。
【0213】
実施例90は、実施例83~89のいずれか1つの特徴を含み、所定の特性は、少なくとも1つの濾過膜についての所定の時間平均残余物特性及び/又は時間平均濃縮物品質である。
【0214】
実施例91は、実施例83~90のいずれか1つの特徴を含み、所定の特性は、所定の供給物流れの圧力及び/又は濃縮物の圧力である。
【0215】
実施例92は、実施例83~91のいずれか1つの特徴を含み、動作状態は、透過物流れの出力中に経過する所定の持続時間である。
【0216】
実施例93は、実施例83~92のいずれか1つの特徴を含み、フラッシュ信号は、供給物流れからの供給物、透過物流れからの透過物、並びに/又は供給物流れ及び透過物流れとは異なる供給源からの水を、少なくとも1つの濾過膜に移動させるように構成されている。
【0217】
実施例94は、濾過システムを動作させるための方法であって、濾過システムは、供給物流れに流体結合する入口を有する少なくとも1つの濾過膜と、ブリード流れ中の保持された汚染物質の濃度が絶えず増加するブリード流れと、供給物流れからの供給水を少なくとも1つの濾過膜に移動させ、出力透過物流れを生産するための圧力を生成するための少なくとも1つのポンプと、を有し、本方法は、少なくとも1つの濾過膜に、第1の期間にわたって出力透過物流れを生産させることと、第1の期間中の透過物流れの出力中に動作状態を検出することと、検出された動作状態に基づいて、少なくとも1つの濾過膜から濃縮物の少なくとも一部分を排出するためにフラッシュを行わせることと、少なくとも1つの濾過膜に、フラッシュを行わせた後の第2の期間にわたって、出力透過物流れを生産させることと、を含む、方法。好ましくは、動作状態は、スケーリング化合物、ファウリング化合物、又はその両方の濃度を含まない。
【0218】
実施例95は、実施例94の特徴を含み、動作状態は、少なくとも1つの濾過膜の透過物、残余物、及び/又は濃縮物の所定の特性である。好ましくは、所定の特性は、スケーリング化合物、ファウリング化合物、又はその両方の濃度ではない。
【0219】
実施例96は、実施例94~95のいずれか1つの特徴を含み、動作状態を検出することは、少なくとも1つの濾過膜の透過物、残余物、及び/又は濃縮物の少なくとも1つの特性を測定することと、少なくとも1つの測定された特性を所定の閾値と比較することと、を更に含む。好ましくは、測定された特性は、スケーリング化合物、ファウリング化合物、又はその両方の濃度ではない。
【0220】
実施例97は、実施例94~96のいずれか1つの特徴を含み、所定の特性は、目標の流出物及び/又は透過物品質である。好ましくは、所定の特性は、スケーリング化合物、ファウリング化合物、又はその両方の濃度ではない。
【0221】
実施例98は、実施例94~97のいずれか1つの特徴を含み、所定の特性は、目標の残余物及び/又は濃縮物品質である。好ましくは、所定の特性は、スケーリング化合物、ファウリング化合物、又はその両方の濃度ではない。
【0222】
実施例99は、実施例94~98のいずれか1つの特徴を含み、所定の特性は、混合されたフラッシュ及びブリード流体の量若しくは品質、又はシステムからの混合された廃棄物の総量である。
【0223】
実施例100は、実施例94~99のいずれか1つの特徴を含み、所定の特性は、少なくとも1つの濾過膜についての時間平均流出物特性及び/又は時間平均透過物品質である。好ましくは、所定の特性は、スケーリング化合物、ファウリング化合物、又はその両方の濃度ではない。
【0224】
実施例101は、実施例94~100のいずれか1つの特徴を含み、所定の特性は、少なくとも1つの濾過膜についての所定の時間平均残余物特性及び/又は時間平均濃縮物品質である。好ましくは、所定の特性は、スケーリング化合物、ファウリング化合物、又はその両方の濃度ではない。
【0225】
実施例102は、実施例94~101のいずれか1つの特徴を含み、所定の特性は、所定の供給物流れの圧力及び/又は濃縮物の圧力である。
【0226】
実施例103は、実施例94~102のいずれか1つの特徴を含み、動作状態は、透過物流れの出力中に経過する所定の持続時間である。
【0227】
実施例104は、実施例94~103のいずれか1つの特徴を含み、濾過システムは、逆浸透(RO)システムとして構成されており、第1の期間中に最大100%の回収率で、少なくとも1つの濾過膜を介して出力透過物を生産することができる。
【0228】
実施例105は、実施例94~104のいずれか1つの特徴を含み、濾過システムは、供給物流れの供給物の少なくとも一部分がブリード流れによって出力されるように、第1の期間中に100%未満の回収率で、少なくとも1つの濾過膜を介して出力透過物を生産するように構成されている。
【0229】
実施例106は、実施例94~105のいずれか1つの特徴を含み、1つ又は複数のスケール防止剤用量を少なくとも1つの濾過膜に移動させることを更に含む。
【0230】
実施例107は、実施例94~106のいずれか1つの特徴を含み、少なくとも1つの濾過膜から濃縮物の少なくとも一部分を排出するようにフラッシュを行わせることは、供給物流れからの供給物を少なくとも1つの濾過膜に移動させること、透過物流れからの透過物を少なくとも1つの濾過膜に移動させること、並びに/又は供給物流れ及び透過物流れとは異なる供給源からの水を移動させることを更に含む。
【0231】
本開示によれば、別の例示的な方法及びシステムは、供給物、透過物、及びブリード流れ中の保持された汚染物質の濃度が絶えず増加するブリード流れを用いて膜システムを動作させるためのものである。動作状態に達する/これを検出すると、フラッシュステップが開始されて、膜システムから濃縮物が排出される。次いで、このプロセスが繰り返される。動作状態は、膜流出物若しくは透過物品質、膜廃棄物若しくは濃縮物品質、及び/又は混合されたフラッシュ流体+膜廃棄物若しくは濃縮物品質であってもよい。あるいは、又は加えて、動作状態は、所定の期間の経過、平均膜廃棄物若しくは濃縮物品質、平均膜流出物若しくは透過物品質、膜供給物若しくは濃縮物の圧力、又はこれらの2つ以上の組み合わせであってもよい。好ましくは、動作状態は、スケーリング化合物、ファウリング化合物、又はその両方の濃度ではない。このようなシステム及び方法は、膜システムに投与されるスケール軽減化学物質あり又はなしで動作し得る。
【0232】
本開示の原理が本明細書で説明されてきたが、この説明は、単に例としてなされ、本開示の範囲に関する限定ではないことが当業者には理解されるべきである。他の実施形態は、本明細書に示され説明される例示的な実施形態に加えて、本開示の範囲内で企図される。装置は、本明細書に含まれる特徴のうちの任意の1つ以上を具現化してもよく、特徴は、任意の特定の組み合わせ又は部分的組み合わせで使用されてもよいことが、当業者には理解されるであろう。当業者による修正及び置換は、本開示の範囲内であると考えられ、本開示は、特許請求の範囲による場合を除いて限定されるべきではない。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11A
図11B
図12A
図12B
図13A
図13B
【国際調査報告】