(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-19
(54)【発明の名称】ピーナッツアレルギーを治療するための方法およびIL-4Rアンタゴニストを投与することによってピーナッツアレルゲン特異的免疫療法を増強する方法
(51)【国際特許分類】
A61K 45/00 20060101AFI20240112BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20240112BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20240112BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240112BHJP
A61K 36/48 20060101ALI20240112BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20240112BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20240112BHJP
【FI】
A61K45/00
A61P37/02
A61P37/08
A61K39/395 U
A61K36/48
C07K16/28 ZNA
C12N15/13
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023541519
(86)(22)【出願日】2022-01-07
(85)【翻訳文提出日】2023-08-24
(86)【国際出願番号】 US2022011643
(87)【国際公開番号】W WO2022150605
(87)【国際公開日】2022-07-14
(32)【優先日】2021-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】597160510
【氏名又は名称】リジェネロン・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】REGENERON PHARMACEUTICALS, INC.
(71)【出願人】
【識別番号】515337475
【氏名又は名称】サノフィ・バイオテクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【氏名又は名称】竹林 則幸
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】ジェイミー・エム・オレンゴ
(72)【発明者】
【氏名】アレン・ラディン
(72)【発明者】
【氏名】マルセラ・ルディ
(72)【発明者】
【氏名】エリベルト・シュタウディンガー
(72)【発明者】
【氏名】チウファン・ワン
【テーマコード(参考)】
4C084
4C085
4C088
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA19
4C084MA02
4C084MA52
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZB071
4C084ZB131
4C085AA14
4C085AA16
4C085CC23
4C085DD62
4C085EE03
4C085GG02
4C085GG04
4C088AB59
4C088AC04
4C088BA07
4C088MA02
4C088MA43
4C088MA52
4C088NA05
4C088NA14
4C088ZB07
4C088ZB13
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
ピーナッツアレルギーを有する対象においてピーナッツアレルゲン特異的免疫療法レジメンの効能、安全性、および/または耐容性を増強する方法であって、免疫療法と組み合わせて、抗インターロイキン4受容体(IL-4R)抗体またはその抗原結合性断片などのIL-4Rアンタゴニストを投与する工程を含む方法が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピーナッツアレルギーを有する対象においてピーナッツアレルゲン免疫療法レジメンの効能、安全性、および/または耐容性を増強するための方法であって、免疫療法レジメンと組み合わせて、インターロイキン4受容体(IL-4R)アンタゴニストの1つまたはそれ以上の用量を対象に投与する工程を含み、IL-4Rアンタゴニストの少なくとも1回の用量は、免疫療法レジメンの開始前に投与され、IL-4Rアンタゴニストは、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(HCVR)の重鎖相補性決定領域(HCDR)および配列番号2のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(LCVR)の軽鎖相補性決定領域(LCDR)を含む抗IL-4R抗体またはその抗原結合性断片である、方法。
【請求項2】
免疫療法レジメンは、経口免疫療法(OIT)レジメンである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ピーナッツアレルゲンは、ピーナッツ粉を含む組成物である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
免疫療法レジメンは、増量投薬フェーズと、その後の維持フェーズとを含み、増量投薬フェーズは、少なくとも24週間にわたってピーナッツアレルゲンの漸増用量を投与する工程を含み、維持フェーズは、増量投薬フェーズの間に投与された最も多い用量においてピーナッツアレルゲンの1つまたはそれ以上の維持用量を投与する工程を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
増量投薬フェーズは、初期用量増加日(IDED)レジメンと、その後の2週毎の漸増用量増加とを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
増量投薬フェーズは、0.5mgのピーナッツタンパク質の初期用量から300mgのピーナッツタンパク質の用量への増量投薬を含み、維持フェーズは、300mgのピーナッツタンパク質の1つまたはそれ以上の維持用量を投与する工程を含む、請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
対象は、≧6歳~<18歳である、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
対象は、以下のベースライン特徴:
(a)ピーナッツまたはピーナッツ含有食物に対するアレルギーの病歴;
(b)二重盲検プラセボ対照食物誘発刺激(DBPCFC)における、100mgのピーナッツタンパク質の誘発刺激用量においてまたはその前に、あるいはピーナッツタンパク質の≦144mgの累積用量において、用量制限症状を経験している;
(c)≧10kUA/Lのピーナッツに対する血清IgEを有する;または
(d)≧8mmのピーナッツに対する皮膚プリックテスト(SPT)を有する
のうちの1つまたはそれ以上を有する、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
対象は、並存するアトピー性皮膚炎、喘息、好酸球性食道炎、および/または多重食物アレルギーを有する、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
IL-4Rアンタゴニストは、約50mg~約600mgの用量において投与される、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
IL-4Rアンタゴニストは、初期用量、続いて1つまたはそれ以上の二次用量として投与され、各二次用量は、直前の用量の1~4週間後に投与される、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
IL-4Rアンタゴニストの各二次用量は、直前の用量の2週間後に投与される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
IL-4Rアンタゴニストは、皮下または静脈内投与される、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
IL-4Rアンタゴニストは、初期用量で、続いて1つまたはそれ以上の二次用量で皮下投与され、各二次用量は、直前の用量の1~4週間後に投与され、
(i)<30kgの体重の対象では、IL-4Rアンタゴニストの初期用量は200mgであり、各二次用量は100mgであるか;または
(ii)≧30kg~<60kgの体重の対象では、IL-4Rアンタゴニストの初期用量は400mgであり、各二次用量は200mgであるか;または
(iii)≧60kgの体重を有する対象では、IL-4Rアンタゴニストの初期用量は600mgであり、各二次用量は300mgである、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
対象は、<30kgの体重を有し、IL-4Rアンタゴニストは、200mgの初期用量で、続いて2週毎に(Q2W)100mgの1つまたはそれ以上の二次用量で投与される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
対象は、≧30kg~<60kgの体重を有し、IL-4Rアンタゴニストは、400mgの初期用量で、続いて2週毎に(Q2W)200mgの1つまたはそれ以上の二次用量で投与される、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
対象は、≧60mgの体重を有し、IL-4Rアンタゴニストは、600mgの初期用量で、続いて2週毎に(Q2W)300mgの1つまたはそれ以上の二次用量で投与される、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
IL-4Rアンタゴニストの初期用量は、免疫療法レジメンの開始の少なくとも2週間前に投与される、請求項11~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
IL-4Rアンタゴニストは、免疫療法レジメンの開始前に少なくとも4週間投与される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
IL-4Rアンタゴニストの投与は、
(i)DBPCFCによって測定した場合のピーナッツタンパク質の累積耐容用量を増加させ;ならびに/または
(ii)ピーナッツアレルギー症状、胃腸症状、および/もしくは痒感症状の頻度および/もしくは重症度を減少させる、請求項1~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
抗IL-4R抗体またはその抗原結合性断片は、3つのHCDR(HCDR1、HCDR2、およびHCDR3)および3つのLCDR(LCDR1、LCDR2、およびLCDR3)を含み、該HCDR1は、配列番号3のアミノ酸配列を含み;該HCDR2は配列番号4のアミノ酸配列を含み;該HCDR3は、配列番号5のアミノ酸配列を含み;該LCDR1は配列番号6のアミノ酸配列を含み;該LCDR2は配列番号7のアミノ酸配列を含み;該LCDR3は配列番号8のアミノ酸配列を含む、請求項1~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
抗IL-4R抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号1のアミノ酸配列を含むHCVRを含み、配列番号2のアミノ酸配列を含むLCVRを含む、請求項1~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
抗IL-4R抗体は、配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、請求項1~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
IL-4Rアンタゴニストは、デュピルマブである、請求項1~23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
IL-4Rアンタゴニストは、ガラスバイアル、シリンジ、事前充填シリンジ、ペン型送達デバイス、およびオートインジェクターからなる群から選択される容器に含まれている、請求項1~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
IL-4Rアンタゴニストは、事前充填シリンジに含まれている、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
事前充填シリンジは、単一用量事前充填シリンジである、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
IL-4Rアンタゴニストは、オートインジェクターに含まれている、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
IL-4Rアンタゴニストは、ペン型送達デバイスに含まれている、請求項25に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2022年1月7日にPCT国際特許出願として出願され、2021年1月8日に出願された米国特許仮出願第63/135,238号に対する優先権および利益ならびに2021年11月10日に出願された欧州特許出願第21315241.6号に対する優先権を主張するものであり、当該文献のそれぞれの内容全体は、参照によって本明細書に組み入れられる。
【0002】
配列に関する宣言
本願は、ASCII形式で電子的に提出され、参照によってその全体が本明細書に組み入れられる配列表を含む。2022年1月3日に作成されたこのASCIIコピーは、40848_0110WOU1_SL.txtと命名され、サイズは、235,949バイトである。
【0003】
本開示はピーナッツアレルギーの症状を治療または軽減し、ピーナッツアレルゲン特異的免疫療法レジメンの効能および/または耐容性を向上させるための、インターロイキン4受容体(IL-4R)アンタゴニストの使用に関する。
【背景技術】
【0004】
食物アレルギーは、生命を脅かす可能性のある状態であり、最大8%の幼児および合衆国人口全体の3%から5%に影響を与える(非特許文献1;非特許文献2)。他の多くの小児期のアレルギーとは異なり、ピーナッツアレルギーは、典型的には、成人期まで持続し、他の食物アレルギーと比べて、重度のアナフィラキシーのより高い発生に関連する(非特許文献3)。食物アレルギーに対する現在の治療法は、食物忌避と、重度アレルギー性症状に関連する偶発的曝露に対するエピネフリン注射剤などの薬物投与による治療である。
【0005】
最近はアレルゲン特異的経口免疫療法(OIT)による食物アレルギーの治療において進展が見られるが、食物アレルギーにおける新たな療法に対するニーズが依然として存在する。OITの目的は、脱感作を誘導し、アレルゲン(例えば、ピーナッツ)摂取に対する閾を増大し、偶発的摂取後のアレルギー反応のリスクを減少させることである。アレルギー免疫療法の他の形態と同様に、ピーナッツOITは、ピーナッツに対する反応性を脱感作するかまたはその閾を増大するための、時間経過におけるアレルゲン(ピーナッツアレルゲン)への曝露のゆるやかな増量投薬を伴う。ピーナッツタンパク質の目標レベルに達した後、対象は、脱感作を維持するためにピーナッツタンパク質の維持用量を継続する。
【0006】
ピーナッツタンパク質の維持用量を続ける多くの対象は、ピーナッツに対する脱感作を示したが(すなわち、アレルギー反応を起こさないピーナッツに対する曝露のレベルを他耐容する能力)、最大で80%の対象は、OITの間に関連する有害事象(AE)を示し、42%が全身性反応を経験し、49%が胃腸(GI)の症状を経験し;これらの反応および症状の大部分が、軽症であり、長期治療によって弱まるが、最大20%の対象は、副作用に起因して増量投薬レジメンを完了することができない(非特許文献4)。現在のOITのさらなる問題は、対象が毎日のピーナッツ摂取を止めた時に臨床的耐性を誘導するその限られた能力である(非特許文献5)。ピーナッツOITによる研究の多くにおいて、何年もの免疫療法にもかかわらず、対象は、耐性を達成できず、毎日のピーナッツ摂取を停止した数週間以内に再び過敏になり、OITを止めた3カ月後ですでに、持続した不応答性を維持しているのはわずかな比率(約10%)である。したがって、ピーナッツアレルギーなどの食物アレルギーの治療のための新しい療法が依然として必要とされている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Guptaら, Pediatrics 2011, 128: e9~e17
【非特許文献2】Sicherer, JACI 2010, 125:1322~6
【非特許文献3】Dyer, Allergy, Asthma, Proc 2015, 36:58~64
【非特許文献4】Virkudら, JACI 2016, 1~7e
【非特許文献5】Vickeryら, JACI 2014, 133: 468~475
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ピーナッツアレルギーおよび/またはナッツアレルギーを有する対象におけるピーナッツまたはナッツアレルゲン特異的免疫療法レジメンの効能、耐容性、および/または安全性を増強するための方法が、本明細書において提供される。一部の実施形態では、ピーナッツアレルギーを有する対象におけるピーナッツアレルゲン特異的免疫療法レジメンの効能、耐容性、および/または安全性を増強するための方法が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一態様では、ピーナッツアレルギーを有する対象におけるピーナッツアレルゲン免疫療法レジメンの効能、安全性、および/または耐容性を増強するための方法が提供される。一部の実施形態では、この方法は、IL-4Rアンタゴニストの少なくとも1つの用量が免疫療法レジメンの開始前に投与される、免疫療法レジメンと組み合わせてインターロイキン4受容体(IL-4R)アンタゴニストの1つまたはそれ以上の用量を対象に投与する工程を含む。一部の実施形態では、IL-4Rアンタゴニストは、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(HCVR)の重鎖相補性決定領域(HCDR)および配列番号2のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(LCVR)の軽鎖相補性決定領域(LCDR)を含む、抗IL-4R抗体またはその抗原結合性断片である。
【0010】
一部の実施形態では、免疫療法レジメンは、経口免疫療法(OIT)レジメンである。
【0011】
一部の実施形態では、ピーナッツアレルゲンは、ピーナッツ粉を含む組成物である。
【0012】
一部の実施形態では、免疫療法レジメンは、増量投薬フェーズとその後の維持フェーズを含み、この場合、増量投薬フェーズは、少なくとも24週間にわたってピーナッツアレルゲンの漸増用量を投与する工程を含み、維持フェーズは、増量投薬フェーズの間に投与された最も多い用量においてピーナッツアレルゲンの1つまたはそれ以上の維持用量を投与する工程を含む。一部の実施形態では、増量投薬フェーズは、初期用量増加日(IDED)レジメンと、その後の2週毎の漸増用量増加を含む。一部の実施形態では、増量投薬フェーズは、0.5mgのピーナッツタンパク質の初期用量から300mgのピーナッツタンパク質の用量への増量投薬を含み、維持フェーズは、300mgのピーナッツタンパク質において1つまたはそれ以上の維持用量を投与する工程を含む。
【0013】
一部の実施形態では、対象は、≧6歳~<18歳である。
【0014】
一部の実施形態では、対象は、以下のベースライン特徴:
(a)ピーナッツまたはピーナッツ含有食物に対するアレルギーの病歴;
(b)二重盲検プラセボ対照食物誘発刺激(DBPCFC)における、100mgのピーナッツタンパク質の誘発刺激用量においてまたはその前に、あるいはピーナッツタンパク質の≦144mgの累積用量において、用量制限症状を経験している;
(c)≧10kUA/Lのピーナッツに対する血清IgEを有する;または
(d)≧8mmのピーナッツに対する皮膚プリックテスト(SPT)を有する
のうちの1つまたはそれ以上を有する。
【0015】
一部の実施形態では、対象は、並存するアトピー性皮膚炎、喘息、好酸球性食道炎、および/または多重食物アレルギーを有する。
【0016】
一部の実施形態では、IL-4Rアンタゴニストは、約50mg~約600mgの用量において投与される。一部の実施形態では、IL-4Rアンタゴニストは、初期用量、続いて1つまたはそれ以上の二次用量として投与され、この場合、各二次用量は、直前の用量の1~4週間後に投与される。一部の実施形態では、IL-4Rアンタゴニストの各二次用量は、直前の用量の2週間後に投与される。
【0017】
一部の実施形態では、IL-4Rアンタゴニストは、皮下または静脈内投与される。
【0018】
一部の実施形態では、IL-4Rアンタゴニストは、初期用量で、続いて1つまたはそれ以上の二次用量で皮下投与され、各二次用量は、直前の用量の1~4週間後に投与され、
(i)<30kgの体重の対象では、IL-4Rアンタゴニストの初期用量は200mgであり、各二次用量は100mgであるか;または
(ii)≧30kg~<60kgの体重の対象では、IL-4Rアンタゴニストの初期用量は400mgであり、各二次用量は200mgであるか;または
(iii)≧60kgの体重の対象では、IL-4Rアンタゴニストの初期用量は600mgであり、各二次用量は300mgである。
【0019】
一部の実施形態では、対象は、<30kgの体重を有し、IL-4Rアンタゴニストは、200mgの初期用量で、続いて2週毎に(Q2W)1つまたはそれ以上の100mgの二次用量で投与される。一部の実施形態では、対象は、≧30kg~<60kgの体重を有し、IL-4Rアンタゴニストは、400mgの初期用量で、続いて2週毎に(Q2W)1つまたはそれ以上の200mgの二次用量で投与される。一部の実施形態では、対象は、≧60mgの体重を有し、IL-4Rアンタゴニストは、600mgの初期用量で、続いて2週毎に(Q2W)300mgの1つまたはそれ以上の二次用量で投与される。
【0020】
一部の実施形態では、IL-4Rアンタゴニストの初期用量は、免疫療法レジメンの開始の少なくとも2週間前に投与される。一部の実施形態では、IL-4Rアンタゴニストは、免疫療法レジメンの開始前に少なくとも4週間投与される。
【0021】
一部の実施形態では、IL-4Rアンタゴニストによる治療は、
(i)DBPCFCによって測定した場合のピーナッツタンパク質の累積耐容用量を増加させ;ならびに/または
(ii)ピーナッツアレルギー症状、胃腸症状、および/または痒感症状の頻度および/または重症度を減少させる。
【0022】
別の態様では、ナッツアレルギーを有する対象におけるナッツアレルゲン免疫療法レジメンの効能、安全性、および/または耐容性を増強するための方法が提供される。一部の実施形態では、ナッツは、アーモンド、ブラジルナッツ、カシューナッツ、ヘーゼルナッツ、ピーカン、ピスタチオ、またはクルミである。一部の実施形態では、当該方法は、IL-4Rアンタゴニストの少なくとも1回の用量が免疫療法レジメンの開始前に投与される、免疫療法レジメンと組み合わせてインターロイキン4受容体(IL-4R)アンタゴニストの1つまたはそれ以上の用量を対象に投与する工程を含む。一部の実施形態では、IL-4Rアンタゴニストは、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(HCVR)の重鎖相補性決定領域(HCDR)と配列番号2のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(LCVR)の軽鎖相補性決定領域(LCDR)とを含む、抗IL-4R抗体またはその抗原結合性断片である。
【0023】
一部の実施形態では、抗IL-4R抗体またはその抗原結合性断片は、3つのHCDR(HCDR1、HCDR2、およびHCDR3)および3つのLCDR(LCDR1、LCDR2、およびLCDR3)を含み、この場合、HCDR1は、配列番号3のアミノ酸配列を含み、HCDR2は、配列番号4のアミノ酸配列を含み、HCDR3は、配列番号5のアミノ酸配列を含み、LCDR1は、配列番号6のアミノ酸配列を含み、LCDR2は、配列番号7のアミノ酸配列を含み、LCDR3は、配列番号8のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、抗IL-4R抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号1のアミノ酸配列を含むHCVRを含み、配列番号2のアミノ酸配列を含むLCVRを含む。一部の実施形態では、抗IL-4R抗体は、配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。一部の実施形態では、IL-4Rアンタゴニストは、デュピルマブである。
【0024】
一部の実施形態では、IL-4Rアンタゴニストは、ガラスバイアル、シリンジ、事前充填シリンジ、ペン型送達デバイス、およびオートインジェクターからなる群から選択される容器に収容される。一部の実施形態では、IL-4Rアンタゴニストは、事前充填シリンジに含まれている。一部の実施形態では、事前充填シリンジは、単一用量事前充填シリンジである。一部の実施形態では、IL-4Rアンタゴニストは、オートインジェクターに含まれている。
【0025】
他の実施形態は、以下の詳細な説明の概説から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】実施例1において開示される臨床試験のための研究設計の概略図である。2群間比較(2:1)、4週目から28~40週目の増量投薬AR101(ピーナッツ経口免疫療法)に登録する。DUP(デュピルマブ)+AR101グループの対象は、DUP+AR101およびPBO(プラセボ)+AR101に再無作為化されるが、少なくとも2週間において300mg/日のAR101を達成する対象のみは、24週間の維持療法に入る資格がある。300mg/日のAR101を達成しない対象は、12週間の経過観察に入る。略語:DBPCFC、二重盲検プラセボ対照食物誘発刺激;DUP、デュピルマブ;Exc、除外;Inc、包含;PBO、プラセボ。
【
図2】臨床試験の来院16回目DBPCFCの間のアレルギー反応の頻度と重症度。左側パネル:誘発刺激用量1mg、3mg、10mg、30mg、100mg、300mg、600mg、および1000mgのそれぞれでの、デュピルマブ+ AR101群において症状を有する対象の割合。右側パネル:誘発刺激用量1mg、3mg、10mg、30mg、100mg、300mg、600mg、および1000mgのそれぞれでの、プラセボ+AR101群において症状を有する対象の割合。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明を説明する前に、本発明は、記載されている特定の方法および実験条件に限定されないことが理解されるべきである。それは、そのような方法および条件は様々であり得るためである。本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されることになるため、本明細書で使用されている用語は、特定の実施形態を説明するためのものに過ぎず、限定を意図するものではないことも理解されるべきである。
【0028】
別様の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者により一般的に理解されるものと同じ意味を有する。
【0029】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、特定の記載数値に関して使用される場合、その値が記載値から1%を超えない範囲で変化してもよいことを意味する。例えば、本明細書で使用される場合、「約100」という表現は、99および101、ならびにその間の全ての値(例えば、99.1、99.2、99.3、99.4など)を含む。
【0030】
本明細書で使用される場合、「治療する」または「治療すること」などの用語は、症状を軽減すること、一時的もしくは恒久的のいずれかで症状の原因を排除すること、または指定された障害もしくは状態の症状の出現を防止もしくは遅らせることを意味する。
【0031】
用語「予防」、「予防すること」、または同様の用語は、アレルギー反応またはアレルギー状態に関して使用される場合、アレルギー、アレルギー反応、またはアレルギー状態の発生を防ぐことを意味する。当該用語は、本明細書で使用される場合、アレルギー反応を予防するためにアレルゲン増感を減少または排除することも包含する。一部の実施形態では、当該用語は、開示の方法によって提供されるようなIL-4Rアンタゴニストの投与において、血清アレルゲン特異的IgEのレベルを、ベースラインと比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%減少させることを意味する。
【0032】
本明細書で使用される場合、用語「それを必要とする対象」は、(i)アレルギーの1つまたはそれ以上の症状または兆候を示す、(ii)アレルゲンに対してアレルギー性と診断された;および/または(iii)アレルゲンに対してアレルギーまたはアレルギー反応を生じるリスクが増加している、ヒトまたは非ヒト動物を意味する。ある特定の実施形態では、当該用語は、1つまたはそれ以上のアレルゲン(例えば、1つまたはそれ以上のピーナッツアレルゲン成分)に対してアレルゲン増感を示す対象を包含する。ある特定の実施形態では、本開示の方法は、1つまたはそれ以上の血清バイオマーカー、例えば、これらに限定されるわけではないが、総IgE、アレルゲン特異的IgE、胸腺および活性化制御ケモカイン(TARC)、肺および活性化制御ケモカイン(PARC)、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)、およびペリオスチンなどのレベルの増加を示す対象を治療するために使用される。例えば、一部の実施形態では、本開示の方法は、アレルゲン特異的IgEのレベルが高い患者にIL-4Rアンタゴニストを投与する工程を含む。用語「対象」および「患者」は、本明細書において相互互換的に使用される。
【0033】
本明細書で使用される場合、用語「アレルギー応答」、「アレルギー反応」、「アレルギー症状」などは、じん麻疹(urticaria)(例えば、じん麻疹(hives))、血管性浮腫、鼻炎、喘息、嘔吐、くしゃみ、鼻水、副鼻腔炎、流涙、喘鳴音、気管支痙攣、最大呼気流量の低下(PEF)、胃腸障害、潮紅、口唇腫脹、舌腫脹、血圧低下、過敏症、および臓器機能不全/臓器不全からなる群から選択される1つまたはそれ以上の兆候または症状を包含する。「アレルギー応答」、「アレルギー反応」、「アレルギー症状」などは、免疫応答および免疫反応、例えば、IgE産生の増加および/またはアレルゲン特異的免疫グロブリン産生の増加なども包含する。
【0034】
用語「アレルゲン」は、影響を受けやすい個体のアレルギー応答を刺激することができる、物質、化学物質、粒子、または組成物を意味する。アレルゲンは、食品、例えば、乳製品(例えば、牛乳)、卵、セロリ、種子(例えば、ゴマ)、小麦、大豆、魚、貝、糖(例えば、α-ガラクトースなどの肉に存在する糖類)、ピーナッツ、他のマメ科植物(例えば、豆、エンドウ、大豆など)およびナッツ(例えば、アーモンド、ブラジルナッツ、カシューナッツ、ヘーゼルナッツ、ピーカン、ピスタチオ、およびクルミ)内に含まれるかまたはそれらに由来する。あるいは、アレルゲンは、非食品、例えば、粉塵(例えば、塵ダニを含むもの)、花粉、昆虫毒、(例えば、ミツバチ、スズメバチ、蚊、アカヒアリの毒など)、かび、動物の毛皮、動物の鱗屑、羊毛、ラテックス、金属(例えば、ニッケル)、家庭用洗浄剤、界面活性剤、医薬品、化粧料(例えば、香水など)、薬物(例えば、ペニシリン、スルホンアミド、サリチレートなど)、治療用モノクローナル抗体(例えば、セツキシマブ)、ブタ草、草類、および樺の木に含まれるかまたはそれらに由来する。一部の実施形態では、アレルゲンは、ピーナッツに含まれるかまたはそれらに由来する。一部の実施形態では、アレルゲンは、ピーナッツタンパク質アレルゲン成分、例えば、これらに限定されるわけではないが、Ara h 1、Ara h 2、またはAra h 3などである。用語「アレルゲン」および「抗原」は、本開示を通して相互互換的に使用される。
【0035】
本発明の実施には、本明細書に記載のものと類似するかまたは等価である任意の方法および材料を使用することができるが、典型的な方法および材料をこれから記載する。本明細書で言及されている刊行物は全て、参照によってその全体が本明細書に組み入れられる。
【0036】
序論
アレルギーを有する患者において、アレルゲン特異的免疫療法の前のまたはそれと同時のインターロイキン4受容体(IL-4R)アンタゴニストの1つまたはそれ以上の用量のアレルゲン特異的免疫療法の効能、耐容性、および/または安全性を増強するための方法が、本明細書において提供される。一部の実施形態では、IL-4Rアンタゴニスト(例えば、デュピルマブまたはその生物学的等価物)の使用は、ピーナッツアレルギー免疫療法などのアレルゲン特異的免疫療法の成功を、アレルゲンに対する増量投薬の耐容性を増強すること、免疫療法のプロセスを迅速化すること、より短い期間での偶発的アレルゲン曝露に対するより高い保護を可能にすること、および/またはアレルゲン特異的免疫療法を止めた後の免疫耐性の持続性を向上させることによって、著しく増強することができる。
【0037】
治療方法
一態様では、ピーナッツアレルゲン特異的免疫療法レジメンの効能、耐容性、および/または安全性を増強するための方法が提供される。一部の実施形態では、当該方法は、免疫療法レジメンの前またはそれと同時に、インターロイキン4受容体(IL-4R)アンタゴニストの1つまたはそれ以上の用量を、ピーナッツアレルギーを有する対象に投与する工程を含む。
【0038】
別の態様では、ナッツ(例えば、アーモンド、ブラジルナッツ、カシューナッツ、ヘーゼルナッツ、ピーカン、ピスタチオ、またはクルミ)アレルゲン特異的免疫療法レジメンの効能、耐容性、および/または安全性を増強するための方法が提供される。一部の実施形態では、この方法は、免疫療法レジメンの前またはそれと同時に、ナッツアレルギーを有する対象にインターロイキン4受容体(IL-4R)アンタゴニストの1つまたはそれ以上の用量を投与する工程を含む。
【0039】
本明細書で使用される場合、「アレルゲン特異的免疫療法」は、対象においてアレルゲンに対する免疫耐性を誘導するための、対象への時間経過において徐々に増加するアレルゲンの用量の反復投与を意味する。一部の実施形態では、アレルゲン特異的免疫療法は、ピーナッツまたはナッツアレルゲン(例えば、ピーナッツまたはナッツ全体;ピーナッツまたはナッツから分離される、精製される、またはそれに由来するタンパク質、抽出物、または成分;あるいはピーナッツまたはナッツを含む食料品、例えば、ナッツバターまたはナッツ粉など)を投与する工程を含む。一部の実施形態では、アレルゲン特異的免疫療法は、ピーナッツアレルゲン、例えば、ピーナッツタンパク質、またはピーナッツタンパク質を含む組成物、ピーナッツ抽出物、ピーナッツアレルゲン、あるいはピーナッツアレルゲン成分(例えば、Ara h 1、Ara h 2、またはAra h 3)を投与する工程を含む。一部の実施形態では、免疫療法は、ピーナッツ(例えば、ピーナッツ全体またはその一部)、ピーナッツバター、ピーナッツ抽出物、またはピーナッツ粉、あるいはピーナッツ、ピーナッツバター、またはピーナッツ粉を含む組成物を投与する工程を含む。一部の実施形態では、免疫療法(例えば、ピーナッツアレルゲン特異的免疫療法)は、経口免疫療法、皮下免疫療法、経皮免疫療法、または舌下免疫療法である。
【0040】
免疫療法レジメンは、「従来の」免疫療法レジメンまたは「促進的」免疫療法レジメンであり得る。一部の実施形態では、IL-4Rアンタゴニストは、従来の免疫療法レジメンの前にまたはそれと同時に投与される。典型的には、従来の免疫療法では、患者に対して、しっかりとモニターされた医学的管理下において、数週間から数カ月にわたって(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12カ月あるいはそれ以上にわたって)週1回の間隔で、アレルゲンの漸増用量が投与される。
【0041】
一部の実施形態では、本明細書に開示の通りのIL-4Rアンタゴニストは、促進的免疫療法レジメンの前にまたはそれと同時に投与される。促進的免疫療法レジメンは、従来の免疫療法と比べて、免疫療法の増量投薬スケジュールを加速させ、ならびに、その例としては、「急速免疫療法(rush immunotherapy)」および「クラスタ免疫療法(cluster immunotherapy)」が挙げられる。典型的には、急速免疫療法では、最大耐容用量に達するまで、連続した数日間にわたって(例えば、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、または1週間にわたって)、アレルゲンの漸増投薬量が毎日投与される。クラスタ免疫療法では、典型的には、最大耐容用量に達するまで、通常は4~8週間以内において、連続していない数日間にわたって、1日においてアレルゲンのいくつかの(例えば、2~3の)漸増投薬量が投与される。一部の実施形態では、IL-4Rアンタゴニストは、従来の免疫療法レジメンの前におよび/またはそれと同時に投与される。一部の実施形態では、IL-4Rアンタゴニストは、クラスタ免疫療法レジメンの前におよび/またはそれと同時に投与される。一部の実施形態では、IL-4Rアンタゴニストは、急速免疫療法レジメンの前におよび/またはそれと同時に投与される。
【0042】
一部の実施形態では、アレルゲン特異的(例えば、ピーナッツ特異的)免疫療法は、経口免疫療法である。本明細書で使用される場合、「経口免疫療法」または「OIT」は、アレルギーおよびアレルギー反応を治療または予防する手段としての、あるいはアレルギー応答を軽減または排除するための、時間経過における対象へのアレルゲンの反復経口投与を意味する。典型的には、OITは、アレルゲンに対する免疫耐性の誘導において効果的である用量が達成されるまで、徐々に増加する量のアレルゲンを対象に経口投与することを伴う。一部の実施形態では、OITは、ピーナッツまたはナッツアレルゲンを含む組成物(例えば、ピーナッツ(Arachis hypogaea)アレルゲン粉を含む組成物)を投与する工程を含む。一部の実施形態では、OITは、PALFORZIA(Aimmune Therapeutics, Inc.、ブリスベーン、カリフォルニア州)を投与する工程を含む。ピーナッツ特異的免疫療法(例えば、OIT)のための例示的組成物は、米国特許第9,198,869号および米国特許第9,492,535号において開示されており、なお、当該特許は、参照によって本明細書に組み入れられる。
【0043】
一部の実施形態では、免疫療法(例えば、OIT)は、増量投薬レジメンと、その後の維持レジメンを含む。一般的に、増量投薬レジメンは、効果的で安全な用量が達成されるまで、ある期間にわたってアレルゲンの漸増用量を投与する工程を含み、維持レジメンは、増量投薬レジメンの間に投与された最も多い用量において、アレルゲンの1つまたはそれ以上の用量を投与する工程を含む。一部の実施形態では、増量投薬レジメンは、初期用量増加期間(例えば、1日にわたる)と、その後の後続の用量増加期間(例えば、毎週または2週毎に用量を増加させる)を含む。初期用量増加および後続の隔週用量増加を含む例示的増量投薬レジメンは、実施例1および表1~2において開示される。
【0044】
一部の実施形態では、OITレジメンは、(i)0.5mgのピーナッツアレルゲンから最大6mgのピーナッツタンパク質(例えば、1.5、3、または6mg)の1日での増量投薬、(ii)最大1日用量(例えば、1.5、3、または6mg)から開始して最大で300gmのピーナッツアレルゲンの用量まで(例えば、最大で120mg、160mg、200mg、240mg、または300mgの用量まで)、少なくとも22週間の増量投薬(例えば、少なくとも約24週間または28週間あるいは約22、24、26、28、30、32、または34週間にわたって毎週または隔週において投薬量を増加させる)、ならびに(iii)(ii)からの最も高い耐容用量に等しい維持用量(例えば、120mg、160mg、200mg、240mg、または300mgの用量)での投薬を含む、投薬レジメンにおいてピーナッツアレルゲンを含む組成物を投与する工程を含む。一部の実施形態では、維持用量(例えば、120mg、160mg、200mg、240mg、または300mgの用量)は、少なくとも2週間、少なくとも4週間、少なくとも6週間、少なくとも8週間、少なくとも12週間、または少なくとも16週間、あるいは、少なくとも1カ月、2カ月、3カ月、4カ月、5カ月、6カ月、7カ月、8カ月、9カ月、10カ月、11カ月、12カ月、またはそれ以上において毎日投与される。
【0045】
一部の実施形態では、以下の転帰または現象のうちの1つまたはそれ以上が対象において観察または達成される場合、免疫療法レジメンの効能、耐容性、および/または安全性は、「増強される」:(1)増量投薬フェーズの期間が、効能または安全性を犠牲にすることなく減少される;(2)維持加フェーズの期間が、効能または安全性を犠牲にすることなく減少される;(3)増量投薬フェーズまたは維持フェーズの間に投与されるアレルゲンの用量の数が、効能または安全性を犠牲にすることなく減少される;(4)増量投薬フェーズまたは維持フェーズの間のアレルゲン投与の頻度が、効能または安全性を犠牲にすることなく減少される;(5)増量投薬フェーズまたは維持フェーズの間に投与されるアレルゲンの用量が、効能または安全性を犠牲にすることなく増加される;(6)免疫療法レジメンによって引き起こされたアレルギー応答または有害な副作用の頻度が、減少または排除される;(7)従来のアレルギー薬物療法(例えば、ステロイド、抗ヒスタミン薬、うっ血除去薬、抗IgE剤など)の使用または必要性が、増量投薬フェーズおよび/または維持フェーズの間に減少または排除される;(8)総IgE発現のレベルが減少する;(9)アレルゲン特異的IgG4発現のレベルが減少する;(10)血清アレルゲン特異的IgEに対する血清アレルゲン特異的IgG4の比率が増加する;(11)アナフィラキシー反応の頻度が減少または排除される;または(12)救急薬(例えば、エピネフリンまたは経口ステロイド)に対する必要性が減少または排除される。一部の実施形態では、対象が、より少ない回数のおよび/またはより重症度の低いアレルギー反応を経験し、その後に免疫療法レジメン単独ではなくIL-4R遮断と組み合わせて免疫療法レジメンが行われる場合、免疫療法レジメンの効能は「増強される」。一部の実施形態では、IL-4Rアンタゴニストが投与されるときに、免疫療法単独と比較して、対象によって耐容される最大免疫療法用量が増加する場合、免疫療法レジメンの効能は「増強される」。一部の実施形態では、IL-4Rアンタゴニストが投与される場合に、免疫療法単独と比較して、全身性反応を治療するための救急薬(例えば、エピネフリンまたは経口ステロイド)の必要性が減少する場合、免疫療法レジメンの効能は「増強される」。
【0046】
別の態様では、IL-4Rアンタゴニストを投与することによって、ピーナッツアレルギーまたはナッツアレルギーを有する対象におけるアレルギー反応またはアレルギー症状を治療する、予防する、またはその重症度を減少させるIL-4Rアンタゴニストを投与することによって、方法が提供される。一部の実施形態では、免疫療法レジメン(例えば、OIT)の前にまたはそれと同時に、IL-4Rアンタゴニストの少なくとも1回の用量が投与される。一部の実施形態では、免疫療法レジメン(例えば、OIT)の開始より前の少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、または少なくとも4週間、IL-4Rアンタゴニストが投与される。一部の実施形態では、免疫療法レジメンの開始前の少なくとも4週間、IL-4Rアンタゴニストが投与される。一部の実施形態では、免疫療法レジメンの開始前に、少なくとも1、2、3、4、またはそれ以上の用量が対象に投与される。一部の実施形態では、免疫療法レジメン(例えば、OIT)の開始より前の少なくとも1カ月間、少なくとも2カ月間、少なくとも3カ月間、または少なくとも4カ月間、IL-4Rアンタゴニストが投与される。
【0047】
一部の実施形態では、免疫療法レジメンと同時のIL-4Rアンタゴニストによる治療は、アレルゲン(例えば、ピーナッツまたはナッツ)に対する対象の脱感作を向上させる。一部の実施形態では、免疫療法レジメンと同時のIL-4Rアンタゴニストによる治療は、ピーナッツアレルゲンに対する対象の脱感作を向上させる(例えば、ピーナッツタンパク質に対する対象の耐性を増加させる)。本明細書で使用される場合、「脱感作」は、食物アレルゲン(例えば、ピーナッツアレルゲン)に関連して使用される場合、アレルギー反応を生じることなく食物アレルゲンのより高い閾を耐容する能力を意味する。一部の実施形態では、免疫療法レジメン(例えば、ピーナッツOIT)と同時のIL-4Rアンタゴニストによる治療は、ピーナッツアレルゲン(例えば、ピーナッツタンパク質または1つまたはそれ以上のピーナッツタンパク質アレルゲン成分、例えば、Ara h 1、Ara h 2、またはAra h 3など)に対する対象の脱感作を、対象のベースライン値と比較して少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれ以上向上させる(例えば、治療の開始前の二重盲検プラセボ対照食物誘発刺激(DBPCFC)において測定した場合)。一部の実施形態では、免疫療法レジメン(例えば、ピーナッツOIT)と同時のIL-4Rアンタゴニストによる治療は、対象が2044mgの累積ピーナッツタンパク質によるDBPCFCに合格することができるか否か(すなわち、CoFAR採点システムによるいかなる客観的なグレード1(軽症)反応も示さない)によって測定した場合の、ピーナッツアレルゲン(例えば、ピーナッツタンパク質または1つまたはそれ以上のピーナッツタンパク質アレルゲン成分、例えば、Ara h 1,Ara h 2,またはAra h 3など)に対する対象の脱感作を向上させる。一部の実施形態では、IL-4Rアンタゴニストによる治療は、ピーナッツアレルゲンに対する対象の脱感作の維持(例えば、免疫療法レジメンの完了の後の)を向上させる。
【0048】
一部の実施形態では、治療は、例えば、二重盲検プラセボ対照食物誘発刺激(DBPCFC)において測定した場合の、対象が耐容できるピーナッツタンパク質の累積用量を、対象のベースライン値と比較して増加させる。一部の実施形態では、ベースライン値は、IL-4R阻害剤および/または免疫療法レジメンによる治療の開始前にDBPCFCにおいて測定した場合の、対象が耐容できるピーナッツタンパク質の累積用量である。一部の実施形態では、治療は、免疫療法レジメンの増量投薬フェーズの完了時にDBPCFCにおいて測定した場合の、対象が耐容できるピーナッツタンパク質の累積用量を増加させる。一部の実施形態では、治療は、免疫療法レジメンの維持フェーズの開始時、その間、または完了時にDBPCFCにおいて測定した場合の、対象が耐容できるピーナッツタンパク質の累積用量を増加させる。一部の実施形態では、治療により、結果として、例えば、免疫療法維持フェーズの完了時またはその後に対象がDBPCFCに合格することができるか否かによって測定した場合に、対象はピーナッツアレルゲンに対する脱感作を維持することができる。
【0049】
一部の実施形態では、DBPCFCは、対象に漸増用量のピーナッツアレルゲンを投与する工程、ならびに対象がピーナッツアレルゲンに対する反応を示すか否かを特定するために(例えば、CoFAR採点システムによって測定した場合に;例えば、Sampsonら, J Allergy Clin Immunol 2012, 130:1260~1274を参照されたい)、投与された用量の間の対象をモニターする工程を含む。一部の実施形態では、DBPCFCは、下記に開示される表2の投薬のスケジュールに示されるように、少なくとも444mg、少なくとも1044mg、または少なくとも2044mgの累積用量まで漸増用量のピーナッツアレルゲンを投与する工程を含む。一部の実施形態では、IL-4R阻害剤で治療される対象は、免疫療法レジメンの増量投薬フェーズまたは維持フェーズの完了時に444mgの累積用量によるDBPCFCに合格することができる。一部の実施形態では、IL-4R阻害剤で治療される対象は、免疫療法レジメンの増量投薬フェーズまたは維持フェーズの完了時に1044mgの累積用量によるDBPCFCに合格することができる。一部の実施形態では、IL-4R阻害剤で治療される対象は、免疫療法レジメンの増量投薬フェーズまたは維持フェーズの完了時に2044mgの累積用量によるDBPCFCに合格することができる。
【0050】
一部の実施形態では、免疫療法レジメンと同時のIL-4Rアンタゴニストによる治療は、1つまたはそれ以上のバイオマーカー、例えば、2型免疫活性に関連するバイオマーカーおよび/またはアレルゲン特異的バイオマーカーなどにおける改善によって測定する場合に、免疫療法レジメンの効能、耐容性、および/または安全性を向上させる。一部の実施形態では、バイオマーカーは、血清バイオマーカーである。一部の実施形態では、バイオマーカーは、総IgE、アレルゲン特異的IgG4、あるいは胸腺および活性化制御ケモカイン(TARC)である。
【0051】
一部の実施形態では、バイオマーカーは、2型免疫活性のバイオマーカー、例えば、これらに限定されるわけではないが、血清TARCまたは血清総IgEなどである。一部の実施形態では、バイオマーカーは、アレルゲン特異的バイオマーカー例えば、ピーナッツ特異的バイオマーカー、例えば、これらに限定されるわけではないが、ピーナッツ特異的IgE(例えば、血清ピーナッツsIgE)、ピーナッツ特異的IgG(例えば、血清ピーナッツIgG)、またはピーナッツ特異的IgG4(例えば、血清ピーナッツsIgG4)などである。一部の実施形態では、本開示の方法は、2型バイオマーカーのレベルを減少させるか、または免疫療法による2型バイオマーカーの誘導を阻害する。一部の実施形態では、IL-4Rアンタゴニストの投与は、免疫療法の間(例えば、増量投薬フェーズおよび/または維持フェーズの間)に誘導されるsIgEの上昇を減少させるかまたは阻害する。
【0052】
一部の実施形態では、バイオマーカーは、ピーナッツ特異的IgG4(例えば、血清ピーナッツ特異的sIgG4)である。特定の理論に束縛されるわけではないが、IgG4は、IgEとの競合し、IgE媒介性エフェクタ細胞活性化を遮断し、ヒスタミン放出を抑制し、樹状細胞およびB細胞によってIgEアレルゲン複合物の抗原提示能を阻害するため、とりわけIgG4アイソタイプのアレルゲン特異的抗体の誘導は、IgE媒介性アレルギー症状に対する保護的効果を有すると仮定される。一部の実施形態では、本開示の方法は、対象のベースラインまたはコントロール値に対して、アレルゲン特異的バイオマーカー(例えば、血清ピーナッツアレルゲン特異的IgG4)のレベルを増加させる。
【0053】
一部の実施形態では、総IgEおよびアレルゲン特異的IgG(例えば、IgG4)バイオマーカーの両方が測定され、総IgEマーカーに対するアレルゲン特異的IgGまたはIgG4マーカーの比率(例えば、総IgEに対するピーナッツアレルゲン特異的IgGの比率)が計算される。一部の実施形態では、ピーナッツ免疫療法レジメンと同時のIL-4Rアンタゴニストによる治療は、例えば、対象のベースライン値と比較して、またはコントロール値(例えば、ピーナッツ免疫療法単独で治療された対象からの)と比較して、対象からの試料における総IgEに対するアレルゲン特異的IgG4の比率を増加させる。一部の実施形態では、本開示の方法は、対象のベースラインまたはコントロール値に対して、総IgEに対するアレルゲン特異的IgG4の比率を増加させる。
【0054】
当業者によって理解されるように、血清バイオマーカーの増加または減少は、(i)IL-4Rアンタゴニストの投与後の定められた時点での対象において測定されたバイオマーカーのレベルと、(ii)IL-4Rアンタゴニストによる治療の開始前に患者において測定されたバイオマーカーのレベルとを比較することによって特定することができる。バイオマーカーが測定される定められた時点は、例えば、IL-4Rアンタゴニストによる治療の開始後約4時間、8時間、12時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、15日、20日、35日、40日、50日、55日、60日、65日、70日、75日、80日、85日、100日、150日、またはそれ以上であり得る。
【0055】
血清バイオマーカー、例えば、アレルゲン特異的IgE、総IgE、またはTARCなどを検出する方法および/または定量する方法は、当技術分野において既知であり;そのような血清バイオマーカーを測定するためのキットは、様々な商業的供給元から入手可能であり;ならびに様々な商業的診断実験室も、そのようなバイオマーカーの測定を提供するサービスを提供している。
【0056】
例えば、Phadiatop(商標)は、アレルギー感作のスクリーニングのために導入された、血清特異的または抗原特異的IgEアッセイ試験の商業的に利用可能な改良型である(Merrettら 1987, Allergy 17: 409~416)。この試験は、一般的な吸入アレルギーを引き起こす関連アレルゲンの混合物に対して、血清特異的IgEの同時試験を提供する。この試験は、得られた蛍光応答に応じて陽性または陰性のどちらかの定性的な結果をもたらす。患者試料が、レファレンスに等しいかそれより高い蛍光応答を与える場合、陽性の試験結果が示される。より低い蛍光応答の患者試料は、陰性の試験結果を示している。
【0057】
別の実施例として、バイオマーカーTARCのレベルを測定するための例示的アッセイシステムは、R&D Systems、ミネアポリス、ミネソタ州によってカタログ番号DDN00として提供されるTARC定量的ELISAキットである。
【0058】
治療集団
本明細書に開示の方法は、IL-4RアンタゴニストまたはIL-4Rアンタゴニストを含む医薬組成物を、それを必要とする対象に投与する工程を含む。一部の実施形態では、本明細書に開示の方法による治療を必要とする対象は、ピーナッツアレルギー(例えば、ピーナッツに対するアレルギー、ピーナッツを含む食物、ならびに/あるいはピーナッツアレルゲンまたはピーナッツアレルゲン成分、例えば、Ara h1、Ara h2、またはAra h3など)の1つまたはそれ以上の症状または兆候を示す対象であり、(ii)ピーナッツアレルゲンに対するアレルギーと診断され;ならびに/あるいは(iii)ピーナッツアレルゲンに対するピーナッツアレルギーまたはアレルギー応答を生じるリスクの増加した状態にある。一部の実施形態では、本明細書に開示の方法による治療を必要とする対象は、ナッツアレルギー(例えば、ナッツ、例えば、アーモンド、ブラジルナッツ、カシューナッツ、ヘーゼルナッツ、ピーカン、ピスタチオ、またはクルミ、ナッツを含む食物、ならびに/あるいはナッツアレルゲン成分、例えば、Pru du6(アーモンド)、Ber e1、またはBer e2(ブラジルナッツ)、Ano o1、Ano o2、またはAno o3(カシューナッツ)、Cor a1、Cor a9、Cor 11、またはCor a14(ヘーゼルナッツ)、Car l1またはCar l2(ピーカン)、Pis v1、Pis v2、またはPis v3(ピスタチオ)、あるいはJug r1、Jug r2、またはJug r4(クルミ)に対するアレルギー)、(ii)ナッツアレルゲンに対するアレルギーと診断され;ならびに/あるいは(iii)ナッツアレルゲンに対してナッツアレルギーまたはアレルギー応答を生じるリスクが増加している、のうちの1つまたはそれ以上の症状または兆候を示す対象である。一部の実施形態では、対象は、18歳未満の小児対象である。一部の実施形態では、治療される対象は、少なくとも6歳である。一部の実施形態では、対象は、6歳から17歳である(境界値を含む)。一部の実施形態では、治療される対象は、成人である。
【0059】
一部の実施形態では、治療される対象は、以下の評価基準のうちの1つまたはそれ以上を満たす:(a)ピーナッツまたはピーナッツを含む食物に対するアレルギーの病歴(例えば、曝露による反応の症状を示す);(b)ピーナッツタンパク質の100mgの誘発刺激用量(≦144mgの累積)(例えば、200mgのピーナッツ粉として測定)においてまたはその前に、DBPCFCにおける用量制限症状を経験しており、プラセボに対する用量制限症状を経験していない;(c)≧10kUA/Lのピーナッツに対する血清IgE;ならびに(d)ネガティブコントロールと比較した、≧8mmのピーナッツに対する皮膚プリックテスト(SPT)。一部の実施形態では、治療される対象は、例えば、DBPCFCにおいて測定した場合の、≦43mgのピーナッツタンパク質を耐容する。一部の実施形態では、治療される対象は、>100kUA/L、>150kUA/L、または>200kUA/Lの、ピーナッツに対するベースラインsIgEを有する。一部の実施形態では、治療される対象は、>0.35kUA/Lから≦100kUA/Lの、ピーナッツに対するベースラインsIgEを有する。一部の実施形態では、治療される対象は、>0.35kUA/Lから≦52.5kUA/Lの、ピーナッツに対するベースラインsIgEを有する。
【0060】
一部の実施形態では、治療される対象は、1つまたはそれ以上の併発した2型炎症性疾患または状態(例えば、アトピー性皮膚炎、喘息、好酸球性食道炎、またはアレルギー性鼻炎)を有する。一部の実施形態では、治療される対象は、併発した喘息および/またはアトピー性皮膚炎を有する。一部の実施形態では、治療される対象は、1つまたはそれ以上の他のアレルギー(例えば、食物アレルギーまたは非食物アレルギー)を有する。一部の実施形態では、治療される対象は、複数の食物アレルギーの病歴を有する。一部の実施形態では、治療される対象は、ピーナッツアナフィラキシーの病歴を有する。
【0061】
インターロイキン-4受容体アンタゴニスト
一部の実施形態では、本開示の方法は、インターロイキン4受容体(IL-4R)アンタゴニストまたはIL-4Rアンタゴニストを含む医薬組成物を、それを必要とする対象(例えば、ピーナッツアレルギーを有する対象)に投与する工程を含む。本明細書で使用される場合、「IL-4Rアンタゴニスト」(本明細書では「IL-4R阻害剤」、「IL-4R遮断剤」、または「IL-4Rαアンタゴニスト」とも呼ばれる)は、IL-4RαまたはIL-4Rリガンドと結合または相互作用し、1型および/または2型IL-4受容体の正常な生物学的シグナル伝達機能を阻害または減衰させる任意の作用剤である。ヒトIL-4Rαは、配列番号11のアミノ酸配列を有する。1型IL-4受容体は、IL-4Rα鎖およびγc鎖を含む二量体受容体である。2型IL-4受容体は、IL-4Rα鎖およびIL-13Rα1鎖を含む二量体受容体である。1型IL-4受容体は、IL-4と相互作用し、IL-4により刺激されるが、2型IL-4受容体は、IL-4およびIL-13の両方と相互作用し、IL-4およびIL-13の両方により刺激される。したがって、本開示の方法で使用することができるIL-4Rアンタゴニストは、IL-4媒介性シグナル伝達、IL-13媒介性シグナル伝達、またはIL-4媒介性シグナル伝達およびIL-13媒介性シグナル伝達の両方を遮断することにより機能することができる。したがって、本開示のIL-4Rアンタゴニストは、IL-4および/またはIL-13と1型または2型受容体との相互作用を防止することができる。
【0062】
IL-4Rアンタゴニストのカテゴリーの非限定的な例としては、小分子IL-4R阻害剤、抗IL-4Rアプタマー、ペプチドベースのIL-4R阻害剤(例えば、「ペプチボディ(peptibody)」分子)、「受容体-ボディ(receptor-body)」(例えば、IL-4R成分のリガンド結合ドメインを含む遺伝子操作分子)、およびヒトIL-4Rαに特異的に結合する抗体または抗体の抗原結合性断片が挙げられる。本明細書で使用される場合、IL-4Rアンタゴニストとしては、IL-4および/またはIL-13に特異的に結合する抗原結合性タンパク質も挙げられる。
【0063】
抗IL-4Rα抗体およびそれらの抗原結合性断片
本開示のある特定の例示的な実施形態では、IL-4Rアンタゴニストは、抗IL-4Rα抗体またはその抗原結合性断片である。「抗体」という用語は、本明細書で使用される場合、ジスルフィド結合により相互接続された4つのポリペプチド鎖、2つの重鎖(H)鎖および2つの軽(L)鎖を含む免疫グロブリン分子、ならびにそれらの多量体(例えば、IgM)を含む。典型的な抗体では、各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書ではHCVRまたはVHと略される)および重鎖定常領域を含む。重鎖定常領域は、3つのドメイン、CH1、CH2、およびCH3を含む。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書ではLCVRまたはVLと略される)および軽鎖定常領域を含む。軽鎖定常領域は、1つのドメイン(CL1)を含む。VHおよびVL領域は、フレームワーク領域(FR)と名付けられているより保存されている領域に散在する相補性決定領域(CDR)と名付けられている超可変性の領域にさらに細分化することができる。各VHおよびVLは、アミノ末端からカルボキシ末端に向かって、以下の順序:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4に配置されている、3つのCDRおよび4つのFRで構成される。一部の実施形態では、抗IL-4R抗体(またはその抗原結合性部分)のFRは、ヒト生殖系列配列と同一である。一部の実施形態では、抗IL-4R抗体(またはその抗原結合性部分)の1つまたはそれ以上のFRは、天然にまたは人工的に改変されている。
【0064】
また、「抗体」という用語は、本明細書で使用される場合、全長抗体分子の抗原結合性断片を含む。抗体の「抗原結合性部分」および抗体の「抗原結合性断片」などの用語は、本明細書で使用される場合、抗原に特異的に結合して複合体を形成するあらゆる天然に存在する、酵素的に得ることが可能な、合成の、または遺伝子操作されたポリペプチドまたは糖タンパク質を含む。抗体の抗原結合性断片は、例えば、タンパク質分解消化、または抗体可変ドメインおよび場合により定常ドメインをコードするDNAの操作および発現を含む組換え遺伝子工学技法などの任意の好適な標準技法を使用して、全長抗体分子から導出することができる。そのようなDNAは、公知であり、および/または例えば、商業的入手先、DNAライブラリー(例えば、ファージ-抗体ライブラリーを含む)から容易に入手可能であるか、または合成することができる。DNAを配列決定し、化学的にまたは分子生物学技法を使用することにより操作して、例えば、1つもしくはそれ以上の可変および/もしくは定常ドメインを好適な構成に配置してもよく、またはコドンを導入してもよく、システイン残基を作出してもよく、アミノ酸を修飾、追加、もしくは欠失させてもよい。
【0065】
抗原結合性断片の非限定的な例としては、以下のものが挙げられる:(i)Fab断片;(ii)F(ab’)2断片;(iii)Fd断片;(iv)Fv断片;(v)単鎖Fv(scFv)分子;(vi)dAb断片;および(vii)抗体の超可変領域を模倣するアミノ酸残基からなる最小認識単位(例えば、CDR3ペプチドなどの、単離された相補性決定領域(CDR))、または拘束性FR3-CDR3-FR4ペプチド。ドメイン特異的抗体、単一ドメイン抗体、ドメイン欠失抗体、キメラ抗体、CDR移植抗体、ダイアボディ、トライアボディ、テトラボディ、ミニボディ、ナノボディ(例えば、一価ナノボディ、二価ナノボディなど)、小型モジュール式免疫医薬品(small modular immunopharmaceuticals)(SMIP)、およびサメ可変IgNARドメインなどの他の遺伝子操作分子も、本明細書で使用される「抗原結合性断片」という用語に包含される。
【0066】
抗体の抗原結合性断片は、典型的には、少なくとも1つの可変ドメインを含むことになる。可変ドメインは、任意のサイズまたはアミノ酸組成であってもよく、一般に、1つまたはそれ以上のフレームワーク配列に隣接するかまたはインフレームである少なくとも1つのCDRを含む。VHドメインがVLドメインに会合している抗原結合性断片では、VHおよびVLドメインは、任意の好適な配置で互いに対して相対的に位置していてもよい。例えば、可変領域は、二量体であってもよく、VH-VH、VH-VL、またはVL-VL二量体を含んでいてもよい。その代わりに、抗体の抗原結合性断片は、単量体VHまたはVLドメインを含んでいてもよい。
【0067】
ある特定の実施形態では、抗体の抗原結合性断片は、少なくとも1つの定常ドメインに共有結合で連結されている少なくとも1つの可変ドメインを含んでいてもよい。本開示の抗体の抗原結合性断片内に見出すことができる可変ドメインおよび定常ドメインの非限定的で例示的な構成としては、以下のものが挙げられる:(i)VH-CH1;(ii)VH-CH2;(iii)VH-CH3;(iv)VH-CH1-CH2;(v)VH-CH1-CH2-CH3;(vi)VH-CH2-CH3;(vii)VH-CL;(viii)VL-CH1;(ix)VL-CH2;(x)VL-CH3;(xi)VL-CH1-CH2;(xii)VL-CH1-CH2-CH3;(xiii)VL-CH2-CH3;および(xiv)VL-CL。上記に列挙されている例示的な構成のいずれかを含む、可変ドメインおよび定常ドメインの任意の構成では、可変ドメインおよび定常ドメインは、互いに直接連結されているかまたは完全なもしくは部分的なヒンジもしくはリンカー領域により連結されているかのいずれであってもよい。ヒンジ領域は、単一ポリペプチド分子内の隣接する可変ドメインおよび/または定常ドメイン間の可撓性または半可撓性連結をもたらす少なくとも2つの(例えば、5、10、15、20、40、60個、またはそれよりも多くの)アミノ酸からなっていてもよい。さらに、本開示の抗体の抗原結合性断片は、互いにおよび/または1つもしくはそれ以上の単量体VHもしくはVLドメインと非共有結合で会合している(例えば、ジスルフィド結合により)上記に列挙されている可変および定常ドメイン構成のいずれかのホモ二量体またはヘテロ二量体(または他の多量体)を含んでいてもよい。
【0068】
抗体の定常領域は、補体を固定し、細胞依存性細胞傷害性を媒介する抗体の能力にとって重要である。したがって、一部の実施形態では、抗体のアイソタイプは、抗体が細胞傷害性を媒介することが望ましいか否かに基づいて選択することができる。
【0069】
また、「抗体」という用語は、本明細書で使用される場合、多重特異性(例えば、二重特異性)抗体を含む。多重特異性抗体または抗体の抗原結合性断片は、典型的には、少なくとも2つの異なる可変ドメインを含むことになり、各可変ドメインは、別々の抗原または同じ抗原の異なるエピトープに特異的に結合することが可能である。任意の多重特異性抗体フォーマットを、当技術分野で利用可能な日常的な技法を使用して、本開示の抗体または抗体の抗原結合性断片の状況で使用するために構成することができる。例えば、一部の実施形態では、本開示の方法は、免疫グロブリンの一方のアームがIL-4Rαまたはその断片に特異的であり、免疫グロブリンの他方のアームが第2の療法標的に特異的であるかまたは療法部分にコンジュゲートされている二重特異性抗体の使用を含む。本開示の状況で使用することができる例示的な二重特異性フォーマットとしては、限定ではないが、例えば、scFvベースまたはダイアボディ二重特異性フォーマット、IgG-scFv融合物、二重可変ドメイン(DVD)-Ig、クアドローマ、ノブイントゥホール(knobs-into-holes)、共通軽鎖(例えば、ノブイントゥホールなどと共通の軽鎖)、CrossMab、CrossFab、(SEED)ボディ((SEED)body)、ロイシンジッパー、Duobody、IgG1/IgG2、二重作用性Fab(DAF)-IgG、およびMab2二重特異性フォーマットが挙げられる(上述のフォーマットの総説は、例えば、Kleinら、2012年、mAbs 4巻:6号、1~11頁、およびそこに引用されている参考文献を参照されたい)。二重特異性抗体は、ペプチド/核酸コンジュゲーションを使用して構築することもできる。例えば、直交化学反応性を有する非天然アミノ酸を使用して部位特異的抗体-オリゴヌクレオチドコンジュゲートを生成する。このコンジュゲートは、次いで自己集合して、規定の組成、価数、および形状を有する多量体複合体を形成する。(例えば、Kazaneら、J.Am.Chem.Soc.[Epub:2012年12月4日]を参照)。
【0070】
一部の実施形態では、本開示の方法に使用される抗体は、ヒト抗体である。「ヒト抗体」という用語は、本明細書で使用される場合、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する可変領域および定常領域を有する抗体を含むことが意図されている。にもかかわらず、本開示のヒト抗体は、例えば、CDRに、特にCDR3に、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列によりコードされていないアミノ酸残基(例えば、in vitroでのランダム突然変異誘発もしくは部位特異的突然変異誘発またはin vivoでの体細胞突然変異により導入される突然変異)を含んでいてもよい。しかしながら、「ヒト抗体」という用語は、本明細書で使用される場合、マウスなどの別の哺乳動物種の生殖系列に由来するCDR配列がヒトフレームワーク配列に移植されている抗体を含むことは意図されていない。
【0071】
本開示の方法で使用される抗体は、組換えヒト抗体であってもよい。「組換えヒト抗体」という用語は、本明細書で使用される場合、宿主細胞にトランスフェクトされた組換え発現ベクター(下記でさらに記載されている)を使用して発現される抗体、組換えコンビナトリアルヒト抗体ライブラリー(下記でさらに記載されている)から単離される抗体、ヒト免疫グロブリン遺伝子が遺伝子導入されている動物(例えば、マウス)から単離される抗体(例えば、Taylorら、(1992年)Nucl.AcidsRes.20巻:6287~6295頁を参照)、またはヒト免疫グロブリン遺伝子配列を他のDNA配列にスプライシングすることを含む任意の他の手段により調製、発現、作出、または単離される抗体など、組換え手段により調製、発現、作出、または単離される全てのヒト抗体を含むことが意図されている。そのような組換えヒト抗体は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する可変領域および定常領域を有する。しかしながら、ある特定の実施形態では、そのような組換えヒト抗体は、in vitro突然変異誘発(または、ヒトIg配列が遺伝子導入されている動物が使用される場合は、in vivo体細胞突然変異誘発)に供されており、したがって、組換え抗体のVH領域およびVL領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖系列VH配列およびVL配列に由来および関係しているが、in vivoでのヒト生殖系列レパートリー内に天然では存在し得ない配列である。
【0072】
「単離された抗体」は、その自然環境の少なくとも1つの成分から特定、分離、および/または回収されている抗体を指す。例えば、生物の少なくとも1つの成分から、または抗体が天然に存在するかもしくは天然に産生される組織もしくは細胞から分離または取り出されている抗体は、「単離された抗体」である。単離された抗体には、組換え細胞内のin situな抗体も含まれる。単離された抗体は、少なくとも1つの精製または単離工程に供されている抗体である。ある特定の実施形態によると、単離された抗体は、他の細胞性物質および/または化学物質を実質的に含んでいなくともよい。
【0073】
ある特定の実施形態によると、本開示の方法で使用される抗体は、IL-4Rαに特異的に結合する。「特異的に結合する」という用語は、本明細書で使用される場合、抗体またはその抗原結合性断片が、生理学的条件下で比較的安定である、抗原との複合体を形成することを意味する。抗体が抗原に特異的に結合するか否かを決定するための方法は、当技術分野で周知であり、例えば、平衡透析および表面プラズモン共鳴などが挙げられる。一部の実施形態では、IL-4Rαに「特異的に結合する」抗体は、表面プラズモン共鳴アッセイで測定して(例えば、BIAcore(商標)、Cytiva、マールバラ、マサチューセッツ州)、約1000nM未満、約500nM未満、約300nM未満、約200nM未満、約100nM未満、約90nM未満、約80nM未満、約70nM未満、約60nM未満、約50nM未満、約40nM未満、未満約30nM、約20nM未満、約10nM未満、約5nM未満、約1nM未満、約0.5nM未満、約0.25nM未満、約0.1nM未満、または約0.05nM未満の平衡解離定数(KD)でIL-4Rαまたはその部分に結合する。一部の実施形態では、標的抗原(例えば、IL-4Rα)に特異的に結合する抗体は、別の抗原、例えば標的抗原のオルソログに特異的に結合することもできる。例えば、一部の実施形態では、ヒトIL-4Rαに特異的に結合する単離された抗体は、他の(非ヒト)種に由来するIL-4Rα分子などの他の抗原に対して交差反応性を呈する。
【0074】
一部の実施形態では、IL-4Rアンタゴニストは、米国特許第7,608,693号明細書に記載の通りの抗IL-4R抗体のアミノ酸配列のいずれかを含む重鎖可変領域(HCVR)、軽鎖可変領域(LCVR)、および/または相補性決定領域(CDR)を含む抗IL-4Rα抗体またはその抗原結合性断片である。一部の実施形態では、IL-4Rアンタゴニストは、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(HCVR)の重鎖相補性決定領域(HCDR)および配列番号2のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(LCVR)の軽鎖相補性決定領域(LCDR)を含む抗IL-4Rα抗体またはその抗原結合性断片である。一部の実施形態では、IL-4Rアンタゴニストは、3つのHCDR(HCDR1、HCDR2、およびHCDR3)および3つのLDCR(LCDR1、LDCR2、およびLDCR3)を含む抗IL-4Rα抗体またはその抗原結合性断片であり、HCDR1は、配列番号3のアミノ酸配列を含み、HCDR2は配列番号4のアミノ酸配列を含み、HCDR3は、配列番号5のアミノ酸配列を含み、LCDR1は配列番号6のアミノ酸配列を含み、LCDR2は配列番号7のアミノ酸配列を含み、LCDR3は配列番号8のアミノ酸配列を含む。
【0075】
一部の実施形態では、抗IL-4R抗体またはその抗原結合性断片は、それぞれ、配列番号3、4、5、6、7、および8のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LDCR1、LDCR2、およびLDCR3を含み、配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも85%配列同一性(例えば、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%配列同一性)を有するHCVR、および配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも85%の配列同一性(例えば、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%配列同一性)を有するLCVRをさらに含む。一部の実施形態では、抗IL-4R抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号1を含むHCVRおよび配列番号2を含むLCVRを含む。
【0076】
一部の実施形態では、抗IL-4R抗体は、配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。一部の実施形態では、抗IL-4R抗体は、配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0077】
配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む例示的な抗体は、デュピルマブとして知られている完全ヒト抗IL-4R抗体である。ある特定の例示的な実施形態によると、本開示の方法は、デュピルマブの使用を含む。本明細書で使用される場合、「デュピルマブ」は、デュピルマブの生物学的等価物も包含する。「生物学的等価物」という用語は、デュピルマブに関して本明細書で使用される場合、吸収の速度および/または程度が、単一用量または複数用量のいずれかにかかわらず、同様の実験条件下で同じモル用量で投与された場合のデュピルマブのものとの有意差を示さない薬学的等価物または薬学的代替物である抗IL-4R抗体またはIL-4R結合性タンパク質またはそれらの断片を指す。一部の実施形態では、この用語は、それらの安全性、純度、および/または効力がデュピルマブと臨床的に意味のある違いを示さない、IL-4Rに結合する抗原結合性タンパク質を指す。
【0078】
本開示の方法との関連において使用することができる他の抗IL-4Rα抗体としては、例えば、AMG317(Correnら, 2010, Am J Respir Crit Care Med., 181(8):788~796)、またはMEDI 9314と呼ばれる、当技術分野において既知の抗体、あるいは米国特許第7,186,809号、米国特許第7,605,237号、米国特許第7,638,606号、米国特許第8,092,804号、米国特許第8,679,487号、米国特許第8,877,189号、米国特許第10,774,141号、または国際特許公開第2020/096381号において説明される抗IL-4Rα抗体のいずれかが挙げられ、なお、当該文献のそれぞれの内容は、参照によって本明細書に組み入れられる。
【0079】
一部の実施形態では、本開示の方法における使用のための抗IL-4R抗体またはその抗原結合性断片は、下記の表13に示される1つまたはそれ以上のCDR、HCVR、および/またはLCVR配列を含む。
【0080】
一部の実施形態では、抗IL-4Rα抗体は、(i)配列番号32(SCB-VH-59)、配列番号33(SCB-VH-60)、配列番号34(SCB-VH-61)、配列番号35(SCB-VH-62)、配列番号36(SCB-VH-63)、配列番号37(SCB-VH-64)、配列番号38(SCB-VH-65)、配列番号39(SCB-VH-66)、配列番号40(SCB-VH-67)、配列番号41(SCB-VH-68)、配列番号42(SCB-VH-69)、配列番号43(SCB-VH-70)、配列番号44(SCB-VH-71)、配列番号45(SCB-VH-72)、配列番号46(SCB-VH-73)、配列番号47(SCB-VH-74)、配列番号48(SCB-VH-75)、配列番号49(SCB-VH-76)、配列番号50(SCB-VH-77)、配列番号51(SCB-VH-78)、配列番号52(SCB-VH-79)、配列番号53(SCB-VH-80)、配列番号54(SCB-VH-81)、配列番号55(SCB-VH-82)、配列番号56(SCB-VH-83)、配列番号57(SCB-VH-84)、配列番号58(SCB-VH-85)、配列番号59(SCB-VH-86)、配列番号60(SCB-VH-87)、配列番号61(SCB-VH-88)、配列番号62(SCB-VH-89)、配列番号63(SCB-VH-90)、配列番号64(SCB-VH-91)、配列番号65(SCB-VH-92)、または配列番号66(SCB-VH-93)のアミノ酸配列を含むHCVR;および(ii)配列番号12(SCB-VL-39)、配列番号13(SCB-VL-40)、配列番号14(SCB-VL-41)、配列番号15(SCB-VL-42)、配列番号16(SCB-VL-43)、配列番号17(SCB-VL-44)、配列番号18(SCB-VL-45)、配列番号19(SCB-VL-46)、配列番号20(SCB-VL-47)、配列番号21(SCB-VL-48)、配列番号22(SCB-VL-49)、配列番号23(SCB-VL-50)、配列番号24(SCB-VL-51)、配列番号25(SCB-VL-52)、配列番号26(SCB-VL-53)、配列番号27(SCB-VL-54)、配列番号28(SCB-VL-55)、配列番号29(SCB-VL-56)、配列番号30(SCB-VL-57)、または配列番号31(SCB-VL-58)のアミノ酸配列を含むLCVRを含む。一部の実施形態では、抗IL-4Rα抗体は、配列番号64(SCB-VH-91)のアミノ酸配列を含むHCVRならびに配列番号17(SCB-VL-44)、配列番号27(SCB-VL-54)、または配列番号28(SCB-VL-55)のアミノ酸配列を含むLCVRを含む。
【0081】
一部の実施形態では、抗IL-4Rα抗体は、配列番号67/68(MEDI-1-VH/MEDI-1-VL);配列番号69/70(MEDI-2-VH/MEDI-2-VL);配列番号71/72(MEDI-3-VH/MEDI-3-VL);配列番号73/74(MEDI-4-VH/MEDI-4-VL);配列番号75/76(MEDI-5-VH/MEDI-5-VL);配列番号77/78(MEDI-6-VH/MEDI-6/VL);配列番号79/80(MEDI-7-VH/MEDI-7-VL);配列番号81/82(MEDI-8-VH/MEDI-8-VL);配列番号83/84(MEDI-9-VH/MEDI-9-VL);配列番号85/86(MEDI-10-VH/MEDI-10-VL);配列番号87/88(MEDI-11-VH/MEDI-11/VL);配列番号89/90(MEDI-12-VH/MEDI-12-VL);配列番号91/92(MEDI-13-VH/MEDI-13-VL);配列番号93/94(MEDI-14-VH/MEDI-14-VL);配列番号95/96(MEDI-15-VH/MEDI-15-VL);配列番号97/98(MEDI-16-VH/MEDI-16/VL);配列番号99/100(MEDI-17-VH/MEDI-17-VL);配列番号101/102(MEDI-18-VH/MEDI-18-VL);配列番号103/104(MEDI-19-VH/MEDI-19-VL);配列番号105/106(MEDI-20-VH/MEDI-20-VL);配列番号107/108(MEDI-21-VH/MEDI-21-VL);配列番号109/110(MEDI-22-VH/MEDI-22-VL);配列番号111/112(MEDI-23-VH/MEDI-23-VL);配列番号113/114(MEDI-24-VH/MEDI-24-VL);配列番号115/116(MEDI-25-VH/MEDI-25-VL);配列番号117/118(MEDI-26-VH/MEDI-26-VL);配列番号119/120(MEDI-27-VH/MEDI-27-VL);配列番号121/122(MEDI-28-VH/MEDI-28-VL);配列番号123/124(MEDI-29-VH/MEDI-29-VL);配列番号125/126(MEDI-30-VH/MEDI-30-VL);配列番号127/128(MEDI-31-VH/MEDI-31-VL);配列番号129/130(MEDI-32-VH/MEDI-32-VL);配列番号131/132(MEDI-33-VH/MEDI-33-VL);配列番号133/134(MEDI-34-VH/MEDI-34-VL);配列番号135/136(MEDI-35-VH/MEDI-35-VL);配列番号137/138(MEDI-36-VH/MEDI-36-VL);配列番号139/140(MEDI-37-VH/MEDI-37-VL);配列番号141/142(MEDI-38-VH/MEDI-38-VL);配列番号143/144(MEDI-39-VH/MEDI-39-VL);配列番号145/146(MEDI-40-VH/MEDI-40-VL);配列番号147/148(MEDI-41-VH/MEDI-41-VL);配列番号149/150(MEDI-42-VH/MEDI-42-VL);および配列番号151/152(MEDI-37GL-VH/MEDI-37GL-VL)からなる群から選択されるアミノ酸配列対を含む。
【0082】
一部の実施形態では、抗IL-4Rα抗体は、(i)配列番号153(AJOU-1-VH)、配列番号154(AJOU-2-VH)、配列番号155(AJOU-3-VH)、配列番号156(AJOU-4-VH)、配列番号157(AJOU-5-VH)、配列番号158(AJOU-6-VH)、配列番号159(AJOU-7-VH)、配列番号160(AJOU-8-VH)、配列番号161(AJOU-9-VH)、配列番号162(AJOU-10-VH)、配列番号163(AJOU-69-VH)、配列番号164(AJOU-70-VH)、配列番号165(AJOU-71-VH)、配列番号166(AJOU-72-VH)、または配列番号167(AJOU-83-VH)のアミノ酸配列を含むHCVR;ならびに(ii)配列番号168(AJOU-33-VL)、配列番号169(AJOU-34-VL)、配列番号170(AJOU-35-VL)、配列番号171(AJOU-36-VL)、配列番号172(AJOU-37-VL)、配列番号173(AJOU-38-VL)、配列番号174(AJOU-39-VL)、配列番号175(AJOU-40-VL)、配列番号176(AJOU-41-VL)、配列番号177(AJOU-42-VL)、配列番号178(AJOU-77-VL)、配列番号179(AJOU-78-VL)、配列番号180(AJOU-79-VL)、配列番号181(AJOU-80-VL)、配列番号182(AJOU-86-VL)、配列番号183(AJOU-87-VL)、配列番号184(AJOU-88-VL)、配列番号185(AJOU-89-VL)、配列番号186(AJOU-90-VL)、または配列番号187(AJOU-91-VL)のアミノ酸配列を含むLCVRを含む。
【0083】
一部の実施形態では、抗IL-4Rα抗体は、(i)配列番号188(REGN-VH-3)、配列番号189(REGN-VH-19)、配列番号190(REGN-VH-35)、配列番号191(REGN-VH-51)、配列番号192(REGN-VH-67)、配列番号193(REGN-VH-83)、配列番号194(REGN-VH-99)、配列番号195(REGN-VH-115)、配列番号196(REGN-VH-147)、または配列番号197(REGN-VH-163)のアミノ酸配列を含むHCVR;ならびに(ii)配列番号198(REGN-VL-11)、配列番号199(REGN-VL-27)、配列番号200(REGN-VL-43)、配列番号201(REGN-VL-59)、配列番号202(REGN-VL-75)、配列番号203(REGN-VL-91)、配列番号204(REGN-VL-107)、配列番号205(REGN-VL-123)、配列番号206(REGN-VL-155)、または配列番号207(REGN-VL-171)のアミノ酸配列を含むLCVRを含む。
【0084】
一部の実施形態では、本開示の方法において使用される抗IL-4Rα抗体またはその抗原結合性断片は、pH依存的結合特徴を有し得る。例えば、本明細書で開示の通りに使用するための抗IL-4Rα抗体は、中性pHと比較して酸性pHにおいてIL-4Rαに対する結合の低減を呈してもよい。その代わりに、本明細書で開示の通りに使用するための抗IL-4Rα抗体は、中性pHと比較して酸性pHにおいてその抗原に対する結合の増強を呈してもよい。「酸性pH」という表現は、約6.2未満の、例えば、約6.0、5.95、5.9、5.85、5.8、5.75、5.7、5.65、5.6、5.55、5.5、5.45、5.4、5.35、5.3、5.25、5.2、5.15、5.1、5.05、5.0、またはそれよりも低いpH値を含む。本明細書で使用される場合、「中性pH」という表現は、約7.0~約7.4のpHを意味する。「中性pH」という表現は、約7.0、7.05、7.1、7.15、7.2、7.25、7.3、7.35、および7.4のpH値を含む。
【0085】
ある特定の場合では、「中性pHと比較して酸性pHにおいてIL-4Rαに対する結合が低減される」は、酸性pHでIL-4Rαに結合する抗体のKD値の、中性pHでIL-4Rαに結合する抗体のKD値に対する比(またはその逆)で表される。例えば、抗体またはその抗原結合性断片が、約3.0またはそれよりも大きな酸性/中性KD比を呈する場合、抗体またはその抗原結合性断片は、「中性pHと比較して酸性pHにおいてIL-4Rαに対する結合の低減」を呈すると見なすことができる。ある特定の例示的な実施形態では、本開示の抗体または抗原結合性断片の酸性/中性KD比は、約3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10.0、10.5、11.0、11.5、12.0、12.5、13.0、13.5、14.0、14.5、15.0、20.0、25.0、30.0、40.0、50.0、60.0、70.0、100.0、またはそれよりも大きくてもよい。
【0086】
pH依存的結合特徴を有する抗体は、例えば、中性pHと比較して酸性pHにおいて特定の抗原に対する結合が低減(または増強)されることについて、抗体の集団をスクリーニングすることにより得ることができる。加えて、アミノ酸レベルで抗原結合性ドメインを修飾することにより、pH依存的特徴を有する抗体を産出することができる。例えば、抗原結合性ドメイン(例えば、CDR内)の1つまたはそれ以上のアミノ酸をヒスチジン残基で置換することにより、中性pHと比較して酸性pHにおいて抗原結合性が低減される抗体を得ることができる。
【0087】
ヒト抗体の調製
ヒト抗体をトランスジェニックマウスで生成するための方法は、当技術分野で公知である。本開示の状況では、そのような公知の方法を使用して、ヒトIL-4Rに特異的に結合するヒト抗体を製作することができる。
【0088】
VELOCIMMUNE(商標)技術(例えば、米国特許第6,596,541号明細書、Regeneron Pharmaceuticals社を参照)またはモノクローナル抗体を生成するための任意の他の公知の方法を使用して、ヒト可変領域およびマウス定常領域を有する、IL-4Rに対する高親和性キメラ抗体をまず単離する。VELOCIMMUNE(登録商標)技術は、マウスが、抗原刺激に応答してヒト可変領域およびマウス定常領域を含む抗体を産生するように、内因性マウス定常領域遺伝子座に作動可能に連結した、ヒト重鎖および軽鎖可変領域を含むゲノムを有するトランスジェニックマウスを生成することを含む。抗体の重鎖および軽鎖の可変領域をコードするDNAを単離し、ヒト重鎖および軽鎖定常領域をコードするDNAに作動可能に連結する。次いで、完全ヒト抗体を発現可能な細胞でDNAを発現させる。
【0089】
一般に、VELOCIMMUNE(登録商標)マウスを目的の抗原で負荷し、抗体を発現するマウスからリンパ細胞(B細胞など)を回収する。リンパ細胞を骨髄腫細胞株と融合させて不死ハイブリドーマ細胞株を調製し、そのようなハイブリドーマ細胞株をスクリーニングおよび選択して、目的の抗原に特異的な抗体を産生するハイブリドーマ細胞株を特定する。重鎖および軽鎖の可変領域をコードするDNAを単離し、重鎖および軽鎖の望ましいアイソタイプ定常領域に連結してもよい。このような抗体タンパク質は、CHO細胞などの細胞で産生することができる。その代わりに、抗原特異的キメラ抗体または軽鎖および重鎖の可変ドメインをコードするDNAを、抗原特異的リンパ球から直接単離してもよい。
【0090】
まず、ヒト可変領域およびマウス定常領域を有する高親和性キメラ抗体を単離する。当業者に公知の標準的手順を使用して、親和性、選択性、エピトープなどを含む望ましい特徴について抗体を特徴付け選択する。マウス定常領域を、所望のヒト定常領域と置き換えて、本開示の完全ヒト抗体、例えば、野生型または改変型IgG1またはIgG4を生成する。選択される定常領域は特定の使用に応じて様々であってもよいが、高親和性抗原結合特徴および標的特異性特徴は可変領域に存在する。
【0091】
一般に、本開示の方法で使用することができる抗体は、固相に固定化されているかまたは液相にあるかのいずれかの抗原に対する結合を測定すると、上記に記載の通りの高い親和性を有する。マウス定常領域を所望のヒト定常領域と置き換えて、本開示の完全ヒト抗体を生成する。選択される定常領域は特定の使用に応じて様々であってもよいが、高親和性抗原結合性特徴および標的特異性特徴は可変領域に存在する。
【0092】
一実施形態では、IL-4Rに特異的に結合し、本明細書に開示の方法で使用することができるヒト抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号1のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域(HCVR)内に含まれる3つの重鎖CDR(HCDR1、HCDR2、およびHCDR3)、および配列番号2のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域(LCVR)内に含まれる3つの軽鎖CDR(LCVR1、LCVR2、およびLCVR3)を含む。HCVRおよびLCVRアミノ酸配列内のCDRを特定するための方法および技法は、当技術分野で周知であり、本明細書に開示の指定のHCVRおよび/またはLCVRアミノ酸配列内のCDRを特定するために使用することができる。CDRの境界を特定するために使用することができる例示的な慣例としては、例えば、カバット定義、Chothia定義、およびAbM定義が挙げられる。一般に、カバット定義は、配列変動性に基づき、Chothia定義は構造ループ領域の位置に基づき、AbM定義は、カバット手法およびChothia手法の折衷である。例えば、Kabat、「Sequences of Proteins of Immunological Interest」、National Institutes of Health、ベセスダ、メリーランド州(1991年);Al-Lazikaniら、J.Mol.Biol.273巻:927~948頁(1997年);およびMartinら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86巻:9268~9272頁(1989年)を参照されたい。抗体内のCDR配列を特定するための公開データベースも利用可能である。
【0093】
医薬組成物
一態様では、本開示は、本明細書に開示の方法における使用のための(例えば、ピーナッツアレルゲンを予防または治療するための、あるいはピーナッツアレルゲン特異的免疫療法レジメンの効能、耐容性、および/または安全性を増強するための)、またはピーナッツアレルゲンを予防または治療する医薬品の製造における使用のための、またはピーナッツアレルゲン特異的免疫療法レジメンの効能、耐容性、および/または安全性を増強するための、IL-4Rアンタゴニスト(例えば、抗IL-4Rα抗体)を含む医薬組成物を提供する。別の態様では、本開示は、(例えば、ピーナッツアレルゲンを予防または治療するための、あるいはピーナッツアレルゲン特異的免疫療法レジメンの効能、耐容性、および/または安全性を増強するための)、IL-4Rアンタゴニストを対象に投与する工程を含む治療方法を提供し、この場合、IL-4Rアンタゴニスト(例えば、抗IL-4R抗体)は、1つまたはそれ以上の薬学的に許容されるビヒクル、担体、および/または賦形剤を含む医薬組成物に含まれる。種々の薬学的に許容される担体および賦形剤が当技術分野で周知である。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Company、イーストン、ペンシルバニア州を参照されたい。一部の実施形態では、担体は、静脈内、筋肉内、経口、腹腔内、髄腔内、経皮、局所、または皮下投与に好適である。
【0094】
投与方法としては、これらに限定されないが、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻腔内、硬膜外、および経口経路が挙げられる。組成物は、任意の便利な経路により、例えば、輸注またはボーラス注射により、上皮または粘膜皮膚内層(例えば、口腔粘膜、直腸および腸粘膜など)を介した吸収により投与することができ、他の生物学的活性作用剤と共に投与することができる。一部の実施形態では、本明細書に開示の通りの医薬組成物は、静脈内投与される。一部の実施形態では、本明細書に開示の通りの医薬組成物は、皮下投与される。
【0095】
一部の実施形態では、医薬組成物は、静脈内、皮下、皮内、および筋肉内注射、点滴輸注用などの剤形などの注射可能な調製物を含む。こうした注射可能な調製物は、公知の方法により調製することができる。例えば、注射可能な調製物は、例えば、注射に従来使用される無菌の水性媒体または油性媒体に、上記に記載の抗体またはその塩を溶解、懸濁、または乳化することにより調製することができる。注射用水性媒体としては、例えば、生理食塩水、グルコースおよび他の助剤を含む等張溶液などがあり、これらは、アルコール(例えば、エタノール)、ポリアルコール(例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、非イオン性界面活性剤[例えば、ポリソルベート80、HCO-50(水素化ヒマシ油のポリオキシエチレン(50mol)付加物)]などの適切な可溶化剤と組み合わせて使用することができる。油性媒体としては、例えば、ゴマ油、大豆油などが使用され、これらは、安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールなどの可溶化剤と組み合わせて使用することができる。このように調製された注射剤は、適切なアンプルに充填することができる。
【0096】
本開示の方法に従って対象に投与される抗体の用量は、対象の年齢およびサイズ、症状、状態、および投与経路などに応じて様々であってもよい。用量は、典型的には、体重または体表面積に応じて計算される。状態の重症度に応じて、治療の頻度および期間を調整することができる。抗IL-4R抗体を含む医薬組成物を投与するための効果的な投薬量およびスケジュールは、経験的に決定することができる。例えば、対象進行を、定期的な評価によりモニターすることができ、それに応じて用量を調整することができる。さらに、投薬量の種間スケーリングを、当技術分野で周知の方法を使用して実施することができる(例えば、Mordentiら、1991年、Pharmaceut.Res.8巻:1351頁)。本開示の状況で使用することができる、抗IL-4R抗体の特定の例示的な用量およびそれを含む投与レジメンは、本明細書の他所に開示されている。
【0097】
一部の実施形態では、本開示の医薬組成物は、容器内に含まれている。したがって、別の態様では、本明細書に開示の通りの医薬組成物を含む容器が提供される。例えば、一部の実施形態では、IL-4RアンタゴニストまたはIL-4Rアンタゴニストを含む医薬組成物は、ガラスバイアル、シリンジ、ペン型送達デバイス、およびオートインジェクターからなる群から選択される容器内に含まれている。
【0098】
一部の実施形態では、本開示の医薬組成物は、例えば、標準的な針およびシリンジを用いて皮下または静脈内に送達される。一部の実施形態では、シリンジは、事前充填シリンジである。一部の実施形態では、ペン型送達デバイスまたはオートインジェクターを使用して(例えば、皮下送達の場合)、本開示の医薬組成物を送達する。ペン型送達デバイスは、再利用可能であってもよくまたは使い捨てであってもよい。典型的には、再利用可能なペン型送達デバイスには、医薬組成物を含む交換可能なカートリッジが使用される。カートリッジ内の医薬組成物が投与され、カートリッジが空になると、空のカートリッジを容易に廃棄して、医薬組成物を含む新しいカートリッジと交換することができる。次いで、ペン型送達デバイスを再利用することができます。使い捨てペン型送達デバイスには、交換可能なカートリッジは存在しない。むしろ、使い捨てペン型送達デバイスは、デバイス内のリザーバーに保持されている医薬組成物で事前に充填された状態で提供される。医薬組成物のリザーバーが空になると、デバイス全体が廃棄される。
【0099】
好適なペン型送達デバイスおよびオートインジェクター送達デバイスの例としては、これらに限定されないが、AUTOPEN(商標)(Owen Mumford,Inc.社、ウッドストック、英国)、DISETRONIC(商標)ペン(Disetronic Medical Systems社、バーグドーフ、スイス)、HUMALOG MIX 75/25(商標)ペン、HUMALOG(商標)ペン、HUMALIN 70/30(商標)ペン(Eli Lilly and Co.社、インディアナポリス、インディアナ州)、NOVOPEN(商標)I、II、およびIII(Novo Nordisk社、コペンハーゲン、デンマーク)、NOVOPEN JUNIOR(商標)(Novo Nordisk社、コペンハーゲン、デンマーク)、BD(商標)ペン(Becton Dickinson社、フランクリンレイクス、ニュージャージー州)、OPTIPEN(商標)、OPTIPEN PRO(商標)、OPTIPEN STARLET(商標)、およびOPTICLIK(商標)(Sanofi-Aventis社、フランクフルト、ドイツ)が挙げられる。本開示の医薬組成物の皮下送達に応用を有する使い捨てペン型送達デバイスの例としては、これらに限定されないが、SOLOSTAR(商標)ペン(Sanofi-Aventis社)、FLEXPEN(商標)(Novo Nordisk社)、およびKWIKPEN(商標)(Eli Lilly社)、SURECLICK(商標)オートインジェクター(Amgen社、サウザンドオークス、カリフォルニア州)、PENLET(商標)(Haselmeier社、シュトゥットガルト、ドイツ)、EPIPEN(Dey,L.P.社)、およびHUMIRA(商標)ペン(Abbott Labs社、アボットパーク、イリノイ州)が挙げられる。
【0100】
一部の実施形態では、医薬組成物は、制御放出系を使用して送達される。一実施形態では、ポンプを使用してもよい(Langer、前出;Sefton、1987年、CRC Crit.Ref.Biomed.Eng.14巻:201頁を参照)。別の実施形態では、高分子材料を使用してもよい:Medical Applications of Controlled Release、LangerおよびWise(編)、1974年、CRC Pres、ボカラトン、フロリダ州を参照されたい。さらに別の実施形態では、制御放出系は、組成物の標的近傍に配置することができ、したがって、全身用量のほんの一部しか必要としない(例えば、Goodson、1984年、Medical Applications of Controlled Release、前出、2巻、115~138頁を参照)。他の制御放出系は、Langer、1990年、Science 249巻:1527~1533頁による総説で考察されている。他の送達系、例えば、リポソーム、マイクロ粒子、マイクロカプセルへの封入、突然変異ウイルスを発現可能な組換え細胞、受容体媒介性エンドサイトーシスが公知であり、医薬組成物を送達するために使用することができる(例えば、Wuら、1987年、J.Biol.Chem.262巻:4429~4432頁を参照)。
【0101】
一部の実施形態では、医薬組成物は、約0.5mLから約2.5mL、例えば、約0.7mL、0.8mL、0.9mL、1.0mL、1.1mL、1.15mL、1.2mL、1.25mL、1.3mL、1.4mL、1.5mL、1.6mL、1.7mL、1.75mL、1.8mL、1.9mL、2.0mL、2.1mL、2.2mL、2.25mL、2.3mL、2.4mL、または2.5mLの量において、本明細書に開示の通りの容器(例えば、ガラスバイアル、シリンジ、ペン型送達デバイス、またはオートインジェクター)において供給される。一部の実施形態では、医薬組成物は、約0.7mLの量において含まれる。一部の実施形態では、医薬組成物は、約1.15mLの量において含まれる。一部の実施形態では、医薬組成物は、約2.25mLの量において含まれる。
【0102】
一部の実施形態では、本明細書に記載の通りに使用するための医薬組成物は、活性成分の用量への適合に好適な単位用量の剤形に調製される。単位用量のそのような剤形としては、例えば、錠剤、丸剤、カプセル剤、注射剤(アンプル剤)、坐剤などが挙げられる。
【0103】
特定の実施形態では、抗IL-4R抗体は、デュピルマブを含む。特に明記されない限り、用語「デュピルマブ」は、その全てのバイオシミラも包含する。
【0104】
本開示の状況で使用することができる抗IL-4R抗体を含む例示的な医薬組成物は、例えば、米国特許第8,945,559号明細書に開示されている。
【0105】
投薬量および投与レジメン
典型的には、IL-4Rアンタゴニスト(例えば、本明細書に開示の通りの抗IL-4R抗体)は、本開示の方法に従って、治療有効量において対象に投与される。IL-4Rアンタゴニストに関して本明細書で使用される場合、「治療有効量」という語句は、(a)アレルギー反応の治療あるいはその重症度または期間の減少;(b)アレルギー反応の1つまたはそれ以上の症状または兆候の緩和;(c)血清アレルゲン特異的IgEに対する血清アレルゲン特異的IgG4の比率の増加;(d)2型免疫活性の1つまたはそれ以上のマーカー(例えば、血清TARCまたは総IgE)のレベルの減少;(e)アレルゲン特異的免疫療法に対するアレルギー応答の頻度の減少;および(f)ピーナッツタンパク質またはピーナッツアレルゲンに対する脱感作の増加(例えば、二重盲検プラセボ対照食物誘発刺激において測定した場合)のうちの1つまたはそれ以上を結果として生じるIL-4Rアンタゴニストの量を意味する。
【0106】
抗IL-4R抗体の場合、治療有効量は、約0.05mg~約600mgの、例えば、約0.05mg、約0.1mg、約1.0mg、約1.5mg、約2.0mg、約10mg、約20mg、約30mg、約40mg、約50mg、約60mg、約70mg、約80mg、約90mg、約100mg、約110mg、約120mg、約130mg、約140mg、約150mg、約160mg、約170mg、約180mg、約190mg、約200mg、約210mg、約220mg、約230mg、約240mg、約250mg、約260mg、約270mg、約280mg、約290mg、約300mg、約310mg、約320mg、約330mg、約340mg、約350mg、約360mg、約370mg、約380mg、約390mg、約400mg、約410mg、約420mg、約430mg、約440mg、約450mg、約460mg、約470mg、約480mg、約490mg、約500mg、約510mg、約520mg、約530mg、約540mg、約550mg、約560mg、約570mg、約580mg、約590mg、または約600mgの抗IL-4R抗体であってもよい。一部の実施形態では、治療有効量は、約50mg~約600mg、約75mg~約600mgである。ある特定の実施形態では、75mg、100mg、150mg、200mg、または300mgの抗IL-4R抗体が対象に投与される。
【0107】
個々の用量内に含まれるIL-4Rアンタゴニスト(例えば、抗IL-4R抗体)の量は、対象体重1キログラム当たりの抗体のミリグラム(つまり、mg/kg)換算で表すことができる。例えば、IL-4Rアンタゴニストは、対象体重の約0.0001~約10mg/kgの用量で、例えば、約1mg/kg~約10mg/kgの用量で、または、約1mg/kg、約2mg/kg、約3mg/kg、約4mg/kg、約5mg/kg、約6mg/kg、約7mg/kg、約8mg/kg、約9mg/kg、もしくは約10mg/kgの用量で対象に投与することができる。
【0108】
一部の実施形態では、本明細書に開示の方法は、IL-4Rアンタゴニストを、週に約4回、週2回、週1回、2週毎に1回、3週毎に1回、4週毎に1回、5週毎に1回、6週毎に1回、8週毎に1回、12週毎に1回の投薬頻度で、または療法応答が達成される限りより少ない頻度で、対象に投与する工程を含む。一部の実施形態では、抗IL-4R抗体は、1週間に1回または2週毎に1回投与される。
【0109】
一部の実施形態では、複数用量のIL-4Rアンタゴニストが、規定の時間経過にわたって対象に投与される。一部の実施形態では、本開示の方法は、複数用量のIL-4Rアンタゴニストを対象に順次投与する工程を含む。本明細書で使用される場合、「順次投与」は、IL-4Rアンタゴニストの各用量が、異なる時点で、例えば、所定の間隔(例えば、時間、日、週、または月)で隔てられた異なる日に、対象に投与されることを意味する。一部の実施形態では、本開示の方法は、IL-4Rアンタゴニストの単一初期用量、続いてIL-4Rアンタゴニストの1つまたはそれ以上の二次用量、および場合により続いてIL-4Rアンタゴニストの1つまたはそれ以上の三次用量を患者に順次投与する工程を含む。
【0110】
「初期用量」、「二次用量」、および「三次用量」という用語は、IL-4Rアンタゴニストの投与の時間的順序を指す。したがって、「初期用量」は、治療レジメンの始めに投与される用量(「負荷用量」とも呼ばれる)であり;「二次用量」は、初期用量の後に投与される用量であり;「三次用量」は、二次用量の後に投与される用量である。初期、二次、および三次用量は全て、同量のIL-4Rアンタゴニストを含んでいてもよいが、一般に投与頻度の点で互いに異なっていてもよい。しかしながら、ある特定の実施形態では、初期、二次、および/または三次用量に含まれるIL-4Rアンタゴニストの量は、治療の経過で互いに異なる(例えば、必要に応じて上方または下方に調整される)。ある特定の実施形態では、1つまたはそれ以上(例えば、1、2、3、4、または5つ)の用量が、「負荷用量」として治療レジメンの始めに投与され、続いてその後の用量(例えば、「維持用量」)はより少ない頻度で投与される。
【0111】
一部の実施形態では、負荷用量は、別々の日に投与される2つまたはそれ以上の用量(例えば、2、3、4、または5つの用量)として投与される「分割用量」である。一部の実施形態では、負荷用量は、2つまたはそれ以上の用量が少なくとも約1週間の間隔で投与される分割用量として投与される。一部の実施形態では、負荷用量は、2つまたはそれ以上の用量が、約1週間、2週間、3週間、または4週間の間隔で投与される分割用量として投与される。一部の実施形態では、負荷用量は、2つまたはそれ以上の用量に均等に分割される(例えば、負荷用量の半分が第1の部分として投与され、負荷用量の半分が第2の部分として投与される)。一部の実施形態では、負荷用量は、2つまたはそれ以上の用量に不均等に分割される(例えば、負荷用量の半分よりも多くが第1の部分として投与され、負荷用量の半分未満が第2の部分として投与される)。一部の実施形態では、負荷用量は、負荷用量の第1の部分(例えば、最初の半分)が1日目に投与され、負荷用量の第2の部分(例えば、後の半分)が、1週間後(例えば、8日目)、2週間後(例えば、15日目)、3週間後(例えば、22日目)、または4週間後(例えば、29日目)に投与される分割用量として投与され、続いて1つまたはそれ以上の二次または維持用量が投与される。
【0112】
例えば、IL-4Rアンタゴニストは、約200mg、約400mg、もしくは約600mgの初期または負荷用量で、続いて約75mg~約300mgの1つまたはそれ以上の二次または維持用量で対象に投与してもよい。一実施形態では、初期用量および1つまたはそれ以上の二次用量は各々、50mg~600mgのIL-4Rアンタゴニスト、例えば、100mg、150mg、200mg、250mg、300mg、400mg、500mg、または600mgのIL-4Rアンタゴニストを含む。一部の実施形態では、初期用量および1つまたはそれ以上の二次用量は各々、同量のIL-4Rアンタゴニストを含む。他の実施形態では、初期用量は、第1の量のIL-4Rアンタゴニストを含み、1つまたはそれ以上の二次用量は各々、第2の量のIL-4Rアンタゴニストを含む。例えば、IL-4Rアンタゴニストの第1の量は、IL-4Rアンタゴニストの第2の量よりも、1.5×、2×、2.5×、3×、3.5×、4×、または5×、またはそれよりも多くてもよい。1つの例示的な実施形態では、IL-4Rアンタゴニストは、約600mgの負荷用量で、続いて約300mgの1つまたはそれ以上の維持用量で対象に投与される。別の例示的実施形態では、IL-4Rアンタゴニストは、約400mgの負荷用量で、続いて約200mgの1回またはそれ以上の維持用量で、対象に投与される。さらなる別の例示的実施形態では、IL-4Rアンタゴニストは、約200mgの負荷用量で、続いて約100mgの1回またはそれ以上の維持用量で、対象に投与される。一部の実施形態では、対象には、IL-4Rアンタゴニスト(例えば、約50mg~約600mgの、例えば、約50mg、約75mg、約100mg、約150mg、約200mg、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mg、約550mg、または約600mgの1つまたはそれ以上の用量)が負荷用量なしで投与される。
【0113】
一部の実施形態では、各二次および/または三次用量は、直前用量の1~14(例えば、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、10.5、11、11.5、12、12.5、13、13.5、14、14.5、またはそれよりも長期の)週間後に投与される。「直前用量」という語句は、本明細書で使用される場合、複数投与の順序において、順序がすぐ次の用量の投与前に介在用量なしで患者に投与されるIL-4Rアンタゴニストの用量を意味する。
【0114】
本開示の方法は、IL-4Rアンタゴニストの任意の数の二次および/または三次用量を患者に投与する工程を含んでいてもよい。例えば、ある特定の実施形態では、単一の二次用量のみが患者に投与される。他の実施形態では、2つまたはそれ以上(例えば、2、3、4、5、6、7、8、またはそれよりも多く)の二次用量が患者に投与される。同様に、ある特定の実施形態では、単一の三次用量のみが患者に投与される。他の実施形態では、2つまたはそれ以上(例えば、2、3、4、5、6、7、8、またはそれよりも多く)の三次用量が患者に投与される。
【0115】
複数の二次用量を含む一部の実施形態では、各二次用量は、他の二次用量と同じ頻度で投与される。例えば、各二次用量は、直前用量の1~2週間後に患者に投与してもよい。同様に、複数の三次用量を含む一部の実施形態では、各三次用量は、他の三次用量と同じ頻度で投与される。例えば、各三次用量は、直前用量の2~4週間後に患者に投与してもよい。その代わりに、二次および/または三次用量が患者に投与される頻度は、治療レジメンの経過にわたって変化させることができる。また、投与の頻度は、臨床検査後の個々の患者の必要性に応じて、医師による治療の経過中に調整してもよい。
【0116】
一部の実施形態では、IL-4Rアンタゴニスト(例えば、抗IL-4R抗体)は、負荷用量(例えば、600mgの負荷用量)を用いてまたは用いずに、毎週(Q2W)300mgの用量で対象(例えば、≧6歳~<18歳の対象)に投与される。一部の実施形態では、IL-4Rアンタゴニスト(例えば、抗IL-4R抗体)は、負荷用量(例えば、400mgの負荷用量)を用いてまたは用いずに、毎週(Q2W)200mgの用量で対象(例えば、≧6歳~<18歳の対象)に投与される。一部の実施形態では、IL-4Rアンタゴニスト(例えば、抗IL-4R抗体)は、負荷用量(例えば、200mgの負荷用量)を用いてまたは用いずに、毎週(Q2W)100mgの用量で対象(例えば、≧6歳~<18歳の対象)に投与される。
【0117】
一部の実施形態では、<30kgの体重のピーナッツアレルギーを有する対象(例えば、≧6歳~<18歳の対象)の場合、IL-4Rアンタゴニスト(例えば、抗IL-4R抗体)は、100mg Q2Wの用量で投与される。一部の実施形態では、≧6歳~<18歳であり、<30kgの体重の対象では、IL-4Rアンタゴニストは、負荷用量で、続いて1つまたはそれ以上の維持用量で投与され、この場合、IL-4Rアンタゴニストの初期用量は、200mgを含み、各維持用量は、100mgを含み、Q2Wにおいて投与される。
【0118】
一部の実施形態では、≧30kg~<60kgの体重の、ピーナッツアレルギーを有する対象(例えば、≧6歳~<18歳の対象)の場合、IL-4Rアンタゴニスト(例えば、抗IL-4R抗体)は、200mg Q2Wの用量で投与される。一部の実施形態では、≧6歳~<18歳であり、≧30kg~<60kgの体重の対象では、IL-4Rアンタゴニストは、負荷用量で、続いて1つまたはそれ以上の維持用量で投与され、この場合、IL-4Rアンタゴニストの初期用量は、400mgを含み、各維持用量は、200mgを含み、Q2Wにおいて投与される。
【0119】
一部の実施形態では、≧60kgの体重の、ピーナッツアレルギーを有する対象(例えば、≧6歳~<18歳の対象)の場合、IL-4Rアンタゴニスト(例えば、抗IL-4R抗体)は、300mg Q2Wの用量で投与される。一部の実施形態では、≧6歳~<18歳であり、≧60kgの体重の対象では、IL-4Rアンタゴニストは、負荷用量で、続いて1つまたはそれ以上の維持用量で投与され、この場合、IL-4Rアンタゴニストの初期用量は、600mgを含み、各維持用量は、300mgを含み、Q2Wにおいて投与される。
【0120】
一部の実施形態では、免疫療法は、少なくとも20週間、例えば、少なくとも約24週間、26週間、28週間、30週間、32週間、34週間、または36週間(例えば、20~40週間、24~40週間、または28~40週間)の漸増フェーズと、その後の4、6、8、10、12週間、またはそれ以上の維持フェーズとを含むOITレジメンとして対象に投与される。
【0121】
一部の実施形態では、IL-4Rアンタゴニストの少なくとも1回の用量は、免疫療法レジメンの開始前に、1日またはそれ以上の日数において投与される。一部の実施形態では、IL-4Rアンタゴニストの少なくとも1回の用量が、免疫療法レジメンの開始前に、少なくとも1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、またはそれ以上の日数において投与される。一部の実施形態では、IL-4Rアンタゴニストは、免疫療法レジメンの開始前に、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも5週間、または少なくとも6週間投与される。一部の実施形態では、IL-4Rアンタゴニストの初回(負荷)用量および少なくとも1回の二次(維持)用量が、免疫療法レジメンの開始前に、対象に投与される。一部の実施形態では、IL-4Rアンタゴニストの初回(負荷)用量および少なくとも2回の二次(維持)用量が、免疫療法レジメンの開始前に、対象に投与される。
【0122】
一部の実施形態では、IL-4Rアンタゴニストおよび免疫療法は、同じ日に対象に投与されない。一部の実施形態では、IL-4Rアンタゴニストおよび免疫療法は、お互いの24時間以内、18時間以内、12時間以内、または8時間以内に対象に投与されない。
【0123】
併用療法
一部の実施形態では、本開示の方法は、IL-4RアンタゴニストあるいはIL-4Rアンタゴニストおよび免疫療法を、1つまたは複数の追加の治療薬と組み合わせて対象に投与する工程を含む。本明細書で使用される場合、「と組み合わせて」という表現は、1つまたはそれ以上の追加の治療薬が、IL-4RアンタゴニストあるいはIL-4Rアンタゴニストおよび免疫療法レジメンの前に、それと同時に、またはその後に投与されることを意味する。
【0124】
例えば、IL-4Rアンタゴニストを含む医薬組成物の「前」に投与される場合、追加の療法剤は、IL-4Rアンタゴニストを含む医薬組成物を投与する約72時間、約60時間、約48時間、約36時間、約24時間、約12時間、約10時間、約8時間、約6時間、約4時間、約2時間、約1時間、約30分、約15分、または約10分前に投与してもよい。IL-4Rアンタゴニストを含む医薬組成物の「後に」投与される場合、追加の療法剤は、IL-4Rアンタゴニストを含む医薬組成物を投与した約10分、約15分、約30分、約1時間、約2時間、約4時間、約6時間、約8時間、約10時間、約12時間、約24時間、約36時間、約48時間、約60時間、または約72時間後に投与してもよい。IL-4Rアンタゴニストを含む医薬組成物と「同時」の投与は、追加の療法剤が、IL-4Rアンタゴニストを含む医薬組成物の投与の前、その後、またはそれと同時の、約1日以内(例えば、約24時間以内、約12時間以内、約6時間以内、約3時間以内、約2時間以内、約1時間以内、約30分以内、約15分以内、約10分以内、または約5分以内)に、別の剤形で対象に投与されるか、あるいは、追加の療法剤およびIL-4Rアンタゴニストの両方を含む単一の併用投薬製剤として対象に投与されることを意味する。
【0125】
一部の実施形態では、追加の療法剤は、ステロイド、抗ヒスタミン剤、うっ血除去薬、または抗IgE剤である。一部の実施形態では、追加の療法剤は、ステロイド(例えば、コルチコステロイド、例えば、吸入コルチコステロイド(ICS)、経口コルチコステロイド(OCS)、静脈内コルチコステロイド、筋肉内のコルチコステロイド、または皮下コルチコステロイドなど)である。一部の実施形態では、追加の療法剤は、抗ヒスタミン剤(例えば、ロラタジン、フェキソフェナジン、セチリジン、ジフェンヒドラミン、プロメタジン、カルビノキサミン、デスロラタジン、ヒドロキシジン、レボセチリジン、トリプロリジン、ブロムフェニラミン、またはクロルフェニラミン)である。一部の実施形態では、追加の療法剤は、うっ血除去薬(例えば、プソイドエフェドリンまたはフェニレフリン)である。一部の実施形態では、追加の療法剤は、抗IgE剤(例えば、オマリズマブ)である。一部の実施形態では、追加の療法剤は、抗IgE抗体(例えば、オマリズマブまたはリゲリズマブ)、抗IL-5抗体(例えば、メポリズマブまたはレスリズマブ)、または抗IL-5R抗体(例えば、ベンラリズマブ)である。
【実施例】
【0126】
以下の実施例は、本開示の方法および組成物を製作および使用するための方法に関する完全な開示および説明を当業者に提供するために提示されており、本発明者らが自らの発明であると見なすものの範囲を限定することを意図するものではない。使用される数値(例えば、量、温度など)に関して正確さを保証するための努力がなされているが、一部の実験誤差および偏差を考慮に入れるべきである。別様に示されていない限り、部は重量部であり、分子量は平均分子量であり、温度は摂氏であり、圧力は大気圧またはその付近である。
【実施例1】
【0127】
ピーナッツ経口免疫療法に対する補助剤としてのデュピルマブの効能を調査する臨床試験
研究設計および目的
これは、ピーナッツアレルギーである6歳から17歳の対象における、ピーナッツ経口免疫療法に対する補助剤としてのデュピルマブの第2相多施設無作為二重盲検並行2群間比較研究である。デュピルマブは、配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖;配列番号1/2を含むHCVR/LCVRアミノ酸配列対;ならびに配列番号3~8を含む重鎖および軽鎖CDR配列を含む完全ヒト抗IL-4R抗体である。
【0128】
この研究の主目的は、プラセボと比較したピーナッツ経口免疫療法AR101に対する補助剤としてのデュピルマブが、来院16回目での2044mgの(累積)ピーナッツタンパク質による過去の増量投薬二重盲検プラセボ対照食物誘発刺激(DBPCFC)を合格した対象の割合の増加として定義される、増量投薬期間の完了時の脱感作を向上させるか否かを評価することである。
【0129】
この研究の第二の目的は、(i)プラセボと比較したAR101に対する補助剤としてのデュピルマブがベースラインから来院16回目までの増量投薬後DBPCFCの間の、ピーナッツタンパク質の累積耐容用量(log変換された)における増加として定義される、増量投薬の完了時の脱感作を向上させるか否かを評価すること;(ii)プラセボと比較したAR101に対する補助剤としてのデュピルマブが来院22回目において維持後DBPCFCに合格する対象の割合の増加として定義される脱感作を維持するか否かを評価すること;(iii)来院16回目までに少なくとも2週間で300mg/日の用量のAR101に達するデュピルマブ+AR101対プラセボ+AR101で治療された対象の割合を評価すること;(iv)無作為化から対象が治療フェーズの間(最長で来院16回目まで)に300mg/日の用量のAR101に達する最初の時までの時間を評価すること;(v)プラセボと比較したAR101に対する補助剤としてのデュピルマブの安全性および耐容性を評価すること;(vi)総IgEにおけるベースラインから来院16回目までの変化および変化パーセントにおけるAR101に対する補助剤としてのデュピルマブの効果(プラセボと比較した)を評価すること;(vii)ピーナッツ特異的IgE、IgG、およびIgG4におけるベースラインから来院16回目までの変化および変化パーセントならびにlog変換されたピーナッツ特異的IgG/sIgEおよびIgG4/IgEの比率におけるベースラインから来院16回目までの変化におけるAR101に対する補助剤としてのデュピルマブの効果(プラセボと比較した)を評価すること;(viii)Ara h1 sIgE、Ara h1 sIgG4、Ara h2 sIgE、Ara h2 sIgG4、Ara h3 sIgE、およびAra h3 sIgG4におけるベースラインから来院16回目までの変化および変化パーセントならびにログ変換されたAra h1特異的sIgG4/sIgE比、Ara h2特異的sIgG4/sIgE比、およびAra h3特異的sIgG4/sIgE比におけるベースラインから来院16回目までの変化における、AR101に対する補助剤としてのデュピルマブの効果(プラセボと比較した)を評価すること;(ix)増量投薬フェーズの間に毎日の症状(電子日誌電子[e日誌])によって測定した場合の、デュピルマブがAR101の耐容性を増加させるか否かを評価すること;(x)50%の最大好塩基球活性化を達成するために必要なピーナッツタンパク質の濃度であるEC50によって測定した場合の、ピーナッツアレルゲンに対する好塩基球感度におけるベースラインから来院16回目までの変化および変化パーセントを評価すること;ならびに(xi)ピーナッツ特異的T細胞サブセット(例えば、Th2A細胞)の頻度におけるベースラインから来院16回目までの変化および変化パーセントを測定することを含む。
【0130】
この研究は、最長16週間のスクリーニング期間;デュピルマブまたはプラセボによる予備治療の4週間と、その後のAR101のゆるやかな増量投薬を併用したデュピルマブまたはプラセボによる24~36週間の治療とを含む28~40週間の二重盲検治療期間;並存するデュピルマブまたはマッチングプラセボによる300mg/日のAR101の24週間の維持フェーズ(増量投薬期間において少なくとも2週間で300mg/日のAR101を達成する対象の場合)ならびに12週間の治療後追跡観察期間からなる。300mg/日を達成しない対象も、12週間の追跡観察に入る。研究設計の概要は、
図1に示される。
【0131】
スクリーニング:対象は、インフォームドコンセントを得たのち、以下のような3つの部分のスクリーニング期間において適格性について評価される。スクリーニング来院1回目の間(-113日目から-17日目)、対象は、病歴、身体的検査、肺活量測定、ピーナッツSPT、および臨床試験(ピーナッツsIgEを含む)を受け、研究適格性基準に対して評価される。対象は、来院1a回目におけるDBPCFCを進める前に、スクリーニング来院1回目において全ての適格性に合格しなければならない。スクリーニング来院1a回目の間(-15日目より前でなければならい)、直接研究調査員によるモニタリング下において、対象は、現在のピーナッツアレルギーを確認するために、スクリーニングDBPCFCを受ける。これは、累積で合計144mgのピーナッツタンパク質まで漸増する量において15~30分毎に与えられる5回のピーナッツタンパク質の用量からなる。バイタルサインが、15~30分毎に評価される。反応が生じているかもしれないと研究チームが推測する場合、彼らは、最大でさらに30分間まで(用量の間は最大で1時間)用量を分離するように、臨床判断を行い得る。マッチングプラセボ誘発刺激は、5回の用量において与えられるプラセボ物質(オート麦タンパク質)からなる。食物誘発刺激は、少なくとも24時間空けて、異なる日において(ランダムに決定された順番において、1日のプラセボオート麦タンパク質、1日のピーナッツタンパク質)実施されるであろう。用量は、1、3、10、30および100mgのピーナッツタンパク質(またはプラセボ)である。両方の食物誘発刺激日(プラセボおよびピーナッツ)は、行われなければならない。スクリーニングDBPCFCのプラセボパートまたは両方のパート(すなわち、オート麦分ならびにピーナッツ粉)に対して用量制限症状を有すると評価された対象は、スクリーニング不適格と見なされ、無作為化されない。調査員/現場人員は、適格性を評価するための誘発刺激の第二パートの完了時に、スクリーニング食物誘発刺激の結果に対してのみ非盲検である。この研究の全ての他の食物誘発刺激は、盲検のままである。
【0132】
二重盲検治療期間(28~40週間):ベースラインにおいて適格性基準を満たし続ける、確認されたピーナッツアレルギー兆候および症状の病歴を有する対象は、1日目/ベースライン評価を受け、2つの治療群のうちの1つへの無作為化においてピーナッツ特異的IgEレベルのスクリーニング(≦100kUA/Lまたは>100kUA/L)および体重(<30kg、≧30kgかつ<60kg、または≧60kg)によって層化された2:1の比率において無作為化される(プラセボに対してn=52およびデュピルマブに対してn=104)。デュピルマブおよびプラセボは、無作為化での体重に基づいて以下のようにSC投薬され、体重増加または減少にかかわらず用量は変わらない:
・<30kgの体重の対象は、1日目の200mgの負荷用量の後にQ2Wで100mgのデュピルマブを受けるか、あるいは、Q2WのマッチングプラセボQ2W(1日目に量を倍にすることを含む)を受ける
・≧30kgかつ<60kgの体重の対象は、1日目の400mgの負荷用量の後にQ2Wで200mgのデュピルマブを受けるか、あるいは、Q2WのマッチングプラセボQ2W(1日目に量を倍にすることを含む)を受ける
・≧60kgの体重の対象は、1日目の600mgの負荷用量の後にQ2Wで300mgのデュピルマブを受けるか、あるいは、Q2WのマッチングプラセボQ2W(1日目に量を倍にすることを含む)を受ける。
【0133】
予備治療の最初の4週間の後、対象は、研究の次の24~36週間にわたる最大300mg/日までの増量投薬レジメンによるAR101を開始し、合計は28~40週間であり(予備治療を含む)、28週間が理想であり、40週間が最長である(柔軟な増量投薬期間は、用量の減少および再増加ならびにクリニックでの来院のCOVID-19制限に適応するためである。したがって、28~40週間の増量投薬期間は、4週間の予備治療、22~34週間の柔軟な増量投薬、および300mg/日の最大用量での少なくとも2週間からなる)。
【0134】
並存するAR101の間、治験薬は、自宅においてSC投与される(クリニックでのAR101増量投薬の後少なくとも24時間および自宅での毎日のAR101用量とは別に少なくとも8時間)。AR101の摂取の後、対象は、アレルギー反応について2時間モニターされなければならない。全ての対象は、増量投薬期間の最大で来院15回目を完了する。来院15a~f回目は、2週間での300mg/日のAR101を達成するために、必要に応じて行われる。対象は、少なくとも2週間において300mg/日に達する場合(AR101の最後の用量の1日後に)、来院16回目において増量投薬後DBPCFCを受けるであろう。AR101による投薬は、DBPCFCの2つのパートの間において数日間続けられるべきである。
【0135】
プラセボ群
1日目:28~40週間でのプラセボ(体重ベースの用量)Q2W SC。
【0136】
4週目:クリニックにおいて5時間にわたる0.5mgから最大6mgのピーナッツタンパク質の用量(12mgの累積)の正規化された初期用量増加日(IDED)レジメンを使用するAR101(自宅投薬は、増量投薬までの次の2週間における3mg/日のピーナッツタンパク質である)(表1)と、その後の隔週(2週毎)での最も高い初日耐容用量から追加の22~34週間の自宅での最大300mg/日までのクリニックでの増量投薬(表2)。予定された隔週での増量投薬が可能でない場合、用量の減少および再増加ならびにクリニック来院のCOVID-19制限に適応するために、増量投薬期間は、最長12週間まで延長され得る。したがって、増量投薬期間は、28~40週目に終了するであろう(4週間の予備治療、22~34週間の柔軟な増量投薬、および最大用量での少なくとも2週間を含む)。
【0137】
デュピルマブ群
1日目:28~40週間でのデュピルマブ(体重ベースの用量)Q2W SC。
【0138】
4週目:クリニックにおいて5時間にわたる0.5mgから最大6mgのピーナッツタンパク質の用量(12mgの累積)の正規化されたIDEDレジメンを使用するAR101(自宅投薬は、増量投薬までの次の2週間における3mg/日のピーナッツタンパク質である)(表1)と、その後の隔週での最も高い初日耐容用量から追加の22~34週間の自宅での最大300mg/日までのクリニックでの増量投薬(表2)。予定された隔週での増量投薬が可能でない場合、増量投薬期間は、用量の減少および再増加ならびにクリニック来院のCOVID-19制限に適応するために、最長12週間まで延長され得る。したがって、増量投薬期間は、28~40週目に終了する(4週間の予備治療、22~34週間の柔軟な増量投薬、および最大用量での少なくとも2週間を含む)。
【0139】
各AR101投薬増量が、クリニックにおいて投与され、帰宅前に少なくとも2時間、有害なアレルギー事象についてモニターされる。現在の用量が維持され(すなわち、対象は、同じ用量のままであり、クリニック来院時に新たな用量へ増量されない)、次いで、臨床的に安定していると考えられる場合、観察期間は、対象が解放されるまでの1時間に短縮することができる。バイタルサインは、15~30分毎にモニターされる。対象/法的保護者は、自宅において、明確に割り当てられた用量を超えないように指示される。彼らは、いかなる新たな食物も食事に加えないように、ならびに偶発的摂取を避けるようにも指示される。対象/法的保護者には、アレルギー反応の治療のためのエピネフリンオートインジェクターと、24時間アクセス可能な緊急連絡の電話番号が提供される。クリニックでの増量投薬の次の日、クリニックは、クリニックを去った後に対象にAE(アレルギー症状を含む)が生じていないか確認するため、ならびに、日誌でのそのような事象の記録の支援を行うために、対象/対象の親または保護者と電話接触を行う。
【0140】
中等度の症状を示す対象は、軽度な症状においてまたは症状なしにその用量が耐容されるまで、来院毎に1用量レベルを減少させる(すなわち、新たな増量投薬の前に以前の用量に戻す)ことができる。調査員の裁量での用量減少も、介入性有害事象のために実施される。重度のアレルギー症状を示す対象は、治験薬を中止しなければならない。
【0141】
【0142】
【0143】
28~40週間のデュピルマブ治療および24~36週間のAR101の後、少なくとも2週間においてAR101の300mg/日を達成する対象は、ピーナッツ感度のレベルを評価するためにDBPCFCを受ける。
【0144】
デュピルマブ群における28~40週での再ランダム化:対象が来院16回目において少なくとも2週間で300mg/日のAR101を達成するかまたは中止するかにかかわらず、増量投薬フェーズからのデュピルマブ治療群の対象は、1:1プラセボまたはデュピルマブに再無作為化される。ただし、来院16回目において300mg/日のAR101を達成する対象のみが、維持フェーズに入る資格がある。少なくとも2週間において300mg/日のAR101を達成しなかった対象は、12週間の追跡観察期間に入る。
【0145】
二重盲検維持フェーズ(300mg/日のAR101に達する対象の場合):増量投薬期間に少なくとも2週間において300mg/日のAR101を達成する対象は、24週間の維持フェーズに入る資格があり、そのフェーズにおいて、全ての対象は、自宅でAR101の300mg/日を受けることを継続する。24週間の維持継続期間は、対象が来院16回目において増量投薬後DBPCFCの1日目を有するときから始まる(維持期間の安全性解析は、増量投薬後DBPCFCの来院16回目の2日目以降に始まる)。対象は、クリニックを毎月来院する。オンサイトのクリニック来院が行えない場合、対象のAR101用量への変化がない限り、電話来院を行うことができる。デュピルマブ治療群の対象は、増量投薬期間に投与されたのと同じ用量でデュピルマブを継続するか、またはプラセボを受けるかのどちらかに、ランダムに割り振られる。増量投薬フェーズにプラセボを受けた対象は、維持フェーズにおいてプラセボを受け続ける。AR101による24週間あるいはデュピルマブまたはプラセボによる24週間の後、対象は、維持期間の終了時にピーナッツ感度のレベルを評価するために、維持後DBPCFCを受ける。
【0146】
来院16回目において少なくとも2週間での300mg/日のAR101を達成せずならびに維持フェーズに入ることが許可されない対象は、12週間の追跡観察期間に入る(下記を参照されたい)。クリニックでの投薬後に安全性について対象をモニターする手順は、投薬後観察を必要とする初期期間が30分間に短縮されることを除いて増量投薬来院の場合と同じである。
【0147】
二重盲検プラセボ対照食物誘発刺激:徹底的なモニタリング下での来院16回目(増量投薬の終了)において、少なくとも2週間の増量投薬フェーズの間に300mg/日のAR101を達成する全ての対象は、脱感作を評価するために、最大2044mg(累積)までのピーナッツタンパク質またはプラセボの増量投薬後DBPCFCを受ける。来院22回目(維持期間の終了)において、300mg/日のAR101を維持する全ての対象は、脱感作を評価するために、最大2044mg(累積)までのピーナッツタンパク質またはプラセボの維持後DBPCFCを受ける。AR101による投薬は、DBPCFCの2つのパートの間に数日間続けられるべきである。ピーナッツアレルゲンに対する対象の感度は、対象がアレルギー反応を生じる用量として定義される。全ての症状および兆候は、正規化された経口食物誘発刺激採点システム(CoFAR)に基づいて推定およびランク付けされる。報告された症状、身体所見、または対象が誘発刺激物質に対して経験しているバイタルサインにおける臨床的に重要な変化に基づいて、定義された客観的な(グレード1[軽度])アレルギー反応(CoFAR採点システム)が生じたことを示す症状および/または兆候を盲検評価人が見出した場合、DBPCFCの間の増量投薬は中止される。バイタルサインは、15~30分毎に評価される。さらに、対象は、薬理学的介入を必要とする任意の軽度の主観的反応および/または任意の中等度/重度の反応を経験する場合、彼らは、用量制限反応を有すると見なされる。DBPCFCは、結果として最大2044mg(累積)までのピーナッツタンパク質の合計誘発刺激となる、15~30分毎に与えられる8つの用量(ピーナッツタンパク質またはプラセボ):1mg、3mg、10mg、30mg、100mg、300mg、600mg、1000mgからなる。ピーナッツタンパク質およびオート麦タンパク質の両方が、味をマスクした食物中に隠される。食物誘発刺激は、少なくとも24時間だが7日間を超えない、別々の、ならびに治験薬の用量の24時間以内ではない、異なる日に(ランダムに決定された順序で、1日のプラセボ[オート麦]タンパク質、1日のピーナッツタンパク質)実施されるであろう。対象が、CoFAR採点システムによるいかなる客観的なグレード1(軽度)反応も生じない場合、彼らは、DBPCFCに合格したと見なされる。対象が反応を生じる場合、彼/彼女は、必要な救急薬で治療される。さらに、対象は、薬理学的介入を必要とする任意の軽度の自覚症状ならびに/あるいは中等度または重度の症状も生じない場合、彼らは、DBPCFCに合格したと見なされる。対象は、最終的な投薬用量の後に最低2時間観察され、研究医師によって臨床的に安定していると考えられる場合にのみ、帰宅が許される。症状の重症度は、対象の研究来院行為に関与していない独立した盲検評価人によって判断される。用量が、軽度の自覚症状のみの発現によって特徴付けられる急性反応を引き起こす場合、調査員は、用量が耐容されたか否かを評価することが求められる。耐容性の特定は、臨床判断に基づいてなされなければならない。軽度の自覚症状の発生に関連する用量が耐容されたか否かを特定するためのガイドラインとして、以下が提示される。症状が以下のようなものである場合、軽度の自覚症状のみを引き起こす用量は耐容されると見なされる:
・気道(舌を含む)または呼吸器系を除く単一の器官システム臓器系に分離される;
・薬剤介入なしに、またはH1抗ヒスタミン剤の単回経口投与によって回復する
・エピネフリンの投与を必要としない
・時間経過において強度または分布が悪化しない
・1時間未満で回復するかまたは回復の明確な兆候を示す。
【0148】
DBPCFCの後日に、クリニックは、クリニックを去った後に対象にAE(アレルギー症状を含む)が生じていないか確認するため、およびそのような事象の記録の支援を行うために、対象/対象の親または保護者と電話接触を行う。
【0149】
治療後追跡観察期間(12週間):全ての対象は、治療の終了後に12週間の追跡観察期間を有し、安全性、検査、および臨床評価を受ける。12週間の追跡観察期間は、デュピルマブの最後の用量の後に定量の下限未満に下げるのに薬物レベルについて予想される時間に基づいている。12週間追跡観察期間の終了時に、来院22回目(52~64週間の維持期間の終了時)において444mgの(累積)ピーナッツタンパク質DBPCFCに合格した対象は、持続効果および持続する不応答性の証拠が存在するか否かを特定するために12週間のピーナッツおよびデュピルマブなしの期間の後のピーナッツ感度のレベルを評価するために、来院25回目(64~76週間の研究終了時)で徹底的なモニタリング下において最終的なDBPCFC(最大2044mgの累積)を受ける資格がある。来院16回目(理想的には28週目、最大で40週目まで)で300mg/日のピーナッツタンパク質を達成しない対象は、12週間の追跡観察期間に入る。
【0150】
AR101の飲み忘れ用量:通常の投薬の時間から6時間以上が経過した場合には、飲み忘れ用量を補うような試みはなすべきではなく、対象は、自宅で行われる次の計画された用量を継続するべきである。2回連続で用量を飲み忘れた場合、対象は、自宅で行われる次の計画された用量を継続するべきである。3~7回連続で用量を飲み忘れた場合、対象は、次の用量のためにクリニックを再訪するべきである。
【0151】
患者の選択
標的集団は、ピーナッツSPT、ピーナッツ特異的IgEによって、およびピーナッツDPBCFCの間に安全に摂取されたピーナッツタンパク質のレベルによって確認されたピーナッツアレルギーの病歴を有する6歳から17歳の男性および女性の対象を含む。
【0152】
参加基準:対象は、研究への参加の資格を有するためには、以下の基準を満たさなければならない:(1)6歳から17歳(境界値を含む);(2)対象は、ピーナッツまたはピーナッツ含有食物に対するアレルギーの病歴(曝露に起因する反応の症状)を有する;(3)PRACTALL(Practical Issues in Allergology, Joint United States/European Union Initiative)ガイドラインに従って行われたスクリーニングDBPCFCにおいてピーナッツタンパク質の100mg誘発刺激においてまたはその前に(200mgのピーナッツ粉として測定)、用量制限症状を経験し、プラセボに対して用量制限症状を経験しておらず;(4)ネガティブコントロールと比較して、≧10 kUA/Lのピーナッツに対する血清IgEおよび/または≧8 mmのピーナッツに対するSPT;(5)対象/法的保護者は、研究に登録するのが認められるエピネフリンオートインジェクターの正しい使用について訓練を受けなければならない;(6)他の既知の食物アレルギーを有する対象は、研究からの安全性および効能のデータを混乱させないために、食事からこれらの他の食品を排除するのに同意しなければならず;(7)全てのクリニック来院および研究関連の手順に応じる準備があり、応じることが可能である;(8)少数の対象のための親/保護者からの書面によるインフォームドコンセント;(9)適切であれば少数の対象からの書面による同意(例えば、6歳超または地域の規制案件ごとの適切な年齢)。
【0153】
除外基準:以下の基準のいずれかを満たす対象は、研究から除外される:(1)市販のデュピルマブまたは臨床試験のデュピルマブに対する以前の任意の曝露;(2)臨床現場の研究チームのメンバまたは対象の肉親;(3)治験責任医師の意見において、この研究における対象の健康または安全性あるいは研究プロトコルに従う対象の能力に対するリスクを示すような、治療を必要とする他の慢性疾患の病歴(喘息、AD、またはアレルギー性鼻炎以外)(例えば、心臓病、糖尿病、高血圧);(4)3回を超える昨年中のアナフィラキシーのエピソードおよび/またはスクリーニングDBPCFCの60日以内のアナフィラキシーのエピソードによって定義されるアナフィラキシーまたはアナフィラキシー性ショックの頻繁なまたは最近の重度の生命に危険を及ぼすエピソードの経歴;(5)好酸球性GI疾患の病歴;(6)現在の参加あるいは以前の任意の他の介入試験から6カ月以内の参加;(7)以下のいずれかによる登録時の喘息:(i)コントローラ薬物療法を用いてまたは用いずに、予測されるFEV1<80%、または予測される努力肺活量に対するFEV1の比率(FEV1/FVC)<75%、あるいは(ii)>500μgの毎日のフルチカゾンの吸入コルチコステロイド(ICS)投薬(または国立心臓・肺臓・血液研究所の投薬チャートに基づく同等なICS);または(iii)喘息に対する昨年の1回の入院;または(iv)スクリーニングの前の6カ月以内の喘息に対する救急外来受診;(8)スクリーニングの前の2カ月以内の全身性コルチコステロイドの使用;(9)スクリーニングの前の6カ月以内のオマリズマブの使用;(10)スクリーニングの前の3カ月以内のアレルゲン免疫療法(例えば、経口、パッチ、舌下)または免疫調節療法(コルチコステロイドを含まない)の、他の形態の使用;(11)スクリーニングの前の5日以内およびSPTの前の5日以内およびDBPCFCの1日の抗ヒスタミン薬の使用;(12)スクリーニングの前の3週間以内での、エピネフリンと相互作用することが知られているかまたは相互作用する可能性の高い任意の薬剤の使用(例えば、β-遮断薬、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、三環系抗うつ薬、または他の薬物);(13)オート麦(DBPCFCではプラセボ)に対するアレルギー;(14)エピネフリンおよびエピネフリン製品中の賦形剤のいずれかに対する薬物アレルギー;(15)マスト細胞障害、例えば、肥満細胞症、色素性じんましん(urticarial pigmentosa)、および遺伝性または特発性の血管性浮腫などの病歴;(16).スクリーニングの前の3カ月以内および研究の間における生(弱毒化された)ワクチンによる治療。全ての対象は、研究への登録の少なくとも3カ月前に、麻疹、流行性耳下腺炎、風疹、および水疱瘡に対する予防接種の実施に関する諮問委員会(ACIP)または地域のガイドラインによる全てのワクチン接種を受けなければならない。(17)抗生物質、抗ウイルス剤、駆虫薬、抗原虫薬、または抗菌剤による全身療法を必要とする、ベースライン来院の前の2週間以内の活性な慢性または急性の感染症。注意:対象は、感染症が回復した後に再スクリーニングされる。(18)頚の完全に治療された上皮内癌腫、完全に治療され回復した非転移性の扁平上皮または基底細胞癌腫を除く、ベースライン来院の前の5年以内の悪性腫瘍の病歴;(19)原発性免疫不全症障害(例えば、重症複合免疫不全症、ウィスコット・アルドリッチ症候群、ディジョージ症候群、X連鎖無ガンマグロブリン血症、分類不能型免疫不全症)、または続発性免疫不全症の確立された診断;(20)スクリーニング来院時のヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症またはHIV血清陽性の既知の病歴;(21)スクリーニングの時点でB型肝炎ウイルス感染の確立した診断あるいは、スクリーニングの時点でB型肝炎表面抗原(HBsAg)またはB型肝炎コア抗体(HBcAb)に対して陽性である;(22)≦17kgの体重;(23)研究の間に妊娠または授乳となることを計画している妊娠中または授乳中の女性(24)初期用量/最初の治療の開始の前、研究中、ならびに最後の用量の少なくとも12週間後に、性的に禁欲しておらず、高効率な避妊を行うつもりのない初潮を迎えた少女。
【0154】
研究治療
デュピルマブ150mg/ml:それぞれ2.25mLのスナップオフキャップを備える使い捨てプレフィルド注射筒は、300mgの治験薬(2.0mLの150mg/mL溶液)を提供する。
【0155】
デュピルマブ175mg/mL:スナップオフ蓋付きの使い捨て事前充填1.14mLガラスシリンジは各々、200mgの治験薬(1.14mLの175mg/mL溶液)を送達する。
【0156】
デュピルマブ150mg/mL:スナップオフ蓋付きの使い捨て事前充填0.67mLガラスシリンジは各々、100mgの治験薬(0.67mLの150mg/mL溶液)を送達する。
【0157】
デュピルマブと一致するプラセボは、タンパク質(つまり、活性物質、抗IL-4Rαモノクローナル抗体)を添加せずに同じ処方で調製する。3つの一致プラセボ製剤を使用する:(1)300mgデュピルマブ製剤と一致する2mLプラセボ;(2)200mgのデュピルマブ製剤と一致する1.14mLプラセボ;(3)100mgデュピルマブ製剤と一致する0.67mLプラセボ。
【0158】
治験薬の皮下注射部位は、同じ部位が2回の連続投与で注射されないように、腹部の異なる四分円部位(へそ領域および腰部領域を回避する)、大腿上部、および上腕の間で交互に変更しなければならない。
【0159】
経口免疫療法のためのAR101およびIDED:AR101(PALFORZIA;Aimmune Therapeutics, Inc.)は、予め測定した段階的用量において、充填剤(bulking agent)(トウモロコシ澱粉、微結晶性セルロース、および凝集するのを防ぐための他の賦形剤)および流動剤と共に製剤化された、ピーナッツ粉の形態の特徴的なピーナッツアレルゲンである。AR101医薬品製剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)カプセルにおいてカプセル化される。この研究の初回増加期間および増量投薬期間において使用されるカプセルは、現在、以下の強度:それぞれ0.5、1、10、20、および100mgのピーナッツタンパク質を有する。AR101は、安定性およびロット間の一貫性を示すために、高速液体クロマトグラフィによって、および主要なアレルギー誘発性タンパク質に対して特異的な酵素結合免疫吸着検査法によって、特徴付けられる。
AR101 0.5mg:それぞれの乳白色HPMCカプセルは、0.5mgのピーナッツタンパク質を提供する
AR101 1mg:それぞれの乳白色の赤いHPMCカプセル(白いバーがある)は、1mgのピーナッツタンパク質を提供する
AR101 10mg:それぞれの乳白色の青いHPMCカプセルは、10mgのピーナッツタンパク質を提供する
AR101 20mg:それぞれの乳白色の白いHPMCカプセル(灰色のバーがある)は、20mgのピーナッツタンパク質を提供する
AR101 100mg:それぞれの乳白色のスウェディッシュオレンジのHPMCカプセル(灰色および黒いバーがある)は、100mgのピーナッツタンパク質を提供する
【0160】
AR101カプセルは、投薬キット内の各用量へのアクセスを可能にする機能を有する、事前にパッケージされた熱成形ブリスタウォレットカードにおいて提供される。必要なAR101用量を提供するために、カプセルの適切な組合せが使用される(例えば、120mgの用量を提供するための1つの20mgカプセルおよび1つの100mgカプセル)。増加期間において、それぞれの個々のキットは、潜在的来院スケジューリング問題に対応するために2週間の投薬および7日の適用範囲を供給するのに十分である、所定の用量レベルでの21の1日用量を含む。維持期間の投薬のために、密封されたホイルラミネートサシェ(1サシェ/日)において、300mgのAR101用量が提供される。サシェは、35の個々の用量を収容するキットにおいて提供される。AR101は、各研究現場において安全な場所に貯蔵され、2℃から8℃の間で冷蔵維持される。
【0161】
完全な4週間のデュピルマブまたはプラセボ治療のどちらかの後に、対象は、およそ5~6時間に及ぶ単一IDED AR101の標準化されたレジメン(0.5mgから最大で6mg、累積12mg)の使用を開始する。対象は、次の14日間において3mg/日の経口用量を開始し、その後に自宅において最大で300mg/日のAR101までの隔週での増量投薬を行う。
【0162】
食物誘発刺激のためのピーナッツ:DBPCFCの場合、ビヒクル食物に混合されたピーナッツ粉混合物(約50%のピーナッツタンパク質を含有する)またはプラセボ(オート麦)粉混合物が使用される。プラセボ粉混合物は、妥当な程度のピーナッツ/ビヒクル食物混合物に対する最終的なプラセボ/ビヒクル食物混合物の味マッチングを提供するために、予め少量の人工ピーナッツ風味と混合されて供給される。治験部位は、手順の別々のマニュアルにおけるDBPCFCの調製のための標準化されたレシピによって提供される。
【0163】
救済治療
以下の治療が行われた場合、永久的な治験薬の中止を必要とする:(1)治験薬(デュピルマブ以外)による治療;(2)抗IgEおよび抗IL-5などの免疫活性調節生物学的製剤による治療;(3)AR101以外のアレルゲン免疫療法による治療;(4)連続した5日間超、合計で15日間超の継続期間、またはDBPCFCの前の2日以内での、全身性(経口、IV、IM、SC)コルチコステロイドによる治療。
【0164】
以下のアレルギー反応の治療が行われた場合、永久的な治験薬の中止を必要としない:(1)エピネフリンのIMまたはSC投与;(2)経口抗ヒスタミン薬;(3)短時間作用性の吸入気管支拡張剤;(4)吸入コルチコステロイド;(5)連続した5日間未満、合計で15日間未満の継続期間、およびDBPCFCの前の少なくとも2日間での、全身性(経口、IV、IM、SC)コルチコステロイド。
【0165】
手順および評価
デュピルマブおよびAR101 OITによる治療の効能、安全性、薬物動態、および薬力学を評価するために、研究の間に様々なパラメータが収集される。
【0166】
効能パラメータ
二重盲検プラセボ対照食物誘発刺激:ピーナッツアレルゲンに対する対象の感度は、対象がアレルギー反応を生じる用量として定義される。全ての症状および兆候は、正規化された経口食物誘発刺激採点システムに基づいて推定およびランク付けされる。治験責任医師(または被指名ヒト)が、報告された症状、身体所見、または対象が誘発刺激物質に対して経験しているバイタルサインにおける臨床的に重要な変化に基づいて、定義された客観的なアレルギー反応(CoFAR採点システム[表4を参照されたい])が生じたことを示す症状および/または兆候を見出した場合、DBPCFCの間の増量投薬は中止される。誘発刺激は、15~30分毎に与えられる8つの用量(ピーナッツタンパク質またはプラセボ):1mg、3mg、10mg、30mg、100mg、300mg、600mg、1000mg、最大2044mgのピーナッツタンパク質(累積)からなる。表3を参照されたい。ピーナッツタンパク質およびオート麦タンパク質の両方が、味をマスクした食物中に隠される。食物誘発刺激は、少なくとも24時間だが7日間を超えて間を空けないで、ならびに治験薬の用量の24時間以内ではない、異なる日に(ランダムに決定された順序で、1日のプラセボ[オート麦]タンパク質、1日のピーナッツタンパク質)実施される。DBPCFCの最後の用量の後に、対象は、少なくとも2時間モニターされ、その後、クリニックから帰宅が許される。対象は、任意のCoFAR採点システムによる客観的グレード1(軽度)反応を経験しない場合、DBPCFCに対して耐容性を有すると見なされ、合格する。対象が反応を生じる場合、必要な救急薬で治療される。症状の重症度は、ベースライン食物誘発刺激の実施に関与しない独立した盲検評価人によって判断される。
【0167】
【0168】
【0169】
呼気一酸化窒素濃度(FeNO):呼気一酸化窒素濃度は、アレルギー性気道炎症およびIgE増感と相関することが分かっている非侵襲性マーカーである。FeNOの測定は、目立ちました。ピーナッツ経口食物誘発刺激の転帰に対する予測値を示した(Preece、2014)。いかなる製造メーカも7歳未満の小児に対してFeNO装置を有効にしていないが、不十分な呼気力のため、6歳の小児に対するFeNOの使用についての禁忌は全くない。さらに、特定のガイダンスおよび基準範囲も、6歳程度の若い小児における情報収集のために利用可能である(Brody、2013)(Menou、2017)。FeNOは診査的バイオマーカーであるため、調査員が収集することを拒否しない限り、6歳の小児に対して収集されるであろう。呼気一酸化窒素濃度は、肺活量測定の前に実施される。
【0170】
ピーナッツ皮膚プリックテスト(SPT):標準的SPTは、標準的な全体ピーナッツ抽出試薬1:10w/v(ALK-Abello)を使用して、対象の前腕の手掌表面において実施され、スクリーニングにおいてのみ実施される。陽性結果は、ランセットを適用した15分後の最大垂直膨疹径を平均するによって特定される≧3mmである。ポジティブコントロールは、≧3mmの膨疹によって有効な検査であることが示されるヒスタミン基剤6mg/mL(ALK-Abello)である。ネガティブコントロールは、グリセロール塩水である。
【0171】
漸増SPTは、ネガティブコントロールとして塩水およびポジティブコントロールとしてヒスタミンを用いる、ピーナッツ抽出物の異なる濃度でのアトピー性応答に対する皮膚試験である。試験は、指定された時点4において実施される。ピーナッツ抽出物の試験は、以下の希釈:純粋、1:20、1:200、1:2000、1:20,000において行われる。最も長い直径および最も長い直交直径が収集される。
【0172】
各濃度においてピーナッツ抽出物、ヒスタミン、および塩水によって誘導される平均膨疹サイズは、最も長い直径を最も長い直交直径に加算して2で除算することによって計算される。正規化されたSPTは、平均ピーナッツ膨疹サイズから平均塩水膨疹サイズを減算することによって計算される。
【0173】
湿疹面積および重症度指数:EASIは、アトピー性皮膚炎(AD)の重症度および程度を評価するために臨床診療および臨床試験において使用される有効な指標である(Hanifin、2001)。EASIは、スコアが0~72の範囲である複合指標である。4つのAD疾患特徴(紅斑、肥厚[硬結、丘疹形成、浮腫]、引っかき傷[表皮剥離]、および苔癬化)が各々、治験責任医師または被指名人により「0」(非存在)~「3」(重度)の尺度で重症度が評価される。加えて、AD関与面積が、頭部、躯幹、上肢、および下肢の体面積によるパーセンテージとして評価され、0~6のスコアに変換される。各身体領域において、面積は、0、1(1%~9%)、2(10%~29%)、3(30%~49%)、4(50%~69%)、5(70%~89%)、または6(90%~100%)として表される。EASIは、スクリーニング時およびその後の指定された時点において、ADを有する対象に対して収集される。
【0174】
喘息コントロール質問票:喘息コントロール質問票(ACQ)は、喘息コントロールを評価するための有効な質問票である。質問票は、指定された時点において、喘息の病歴を有し、質問票が提示された言語を流暢に話す(参加国の正しい翻訳の有用性に基づいて)、対象のサブセットに対してのみ行われる。ACQ-5は、11歳以上の対象に対して行われ、ACQ-他記式(interviewer administered)(IA)は、6~10歳の対象に対して行われる。ACQは、自己式(self-administered)成人版が11歳以上の小児によって使用され、他記式版が6~10歳の小児に対して使用される場合、6~17歳の全ての小児に対して完全に有効であった。対象は、次の年齢層への移動にかかわらず、スクリーニングにおいて最初に行われたACQ版を使用し続ける。
【0175】
毎日のアレルギー症状日誌:毎日のアレルギー症状日誌は、ピーナッツOITの毎日の兆候および症状を捕捉するように設計された質問票である。この測定は、現在または最近ピーナッツOITで治療された患者ならびにピーナッツOITによって患者を治療した経験のある臨床医からの入力によって行われるように開発された。毎日のアレルギー症状日誌は、標的集団内においても認識的に報告されてきた。毎日のアレルギー症状に加えて、e日誌は、デュピルマブ注射、ピーナッツOIT投薬、ピーナッツOITの症状を治療するための薬物療法の使用、および健康状態に関するデータも収集する。
【0176】
食物アレルギークオリティ・オブ・ライフ質問票:食物アレルギークオリティ・オブ・ライフ質問票(FAQLQ)は、有効な食物アレルギー特異的健康関連クオリティ・オブ・ライフ(HRQL)質問票であり、社会的および食事の制限の影響を測り、患者の生活に対するこれらの制限の感情的な影響を評価する。患者は、年齢に応じて異なる形式のFAQLQを使用して、HRQLに対する食物アレルギーの影響を自己報告し;小児用の形式(FAQLQ-CF)は、8~12歳の患者によって使用され、若者用の形式(FAQLQ-TF)は、13~17歳の患者に対して使用される。親用の形式(FAQLQ-PF)は、子供のHRQLの指標であり、親代理人によって小児の観点から報告され、0~12歳の患者に対して使用される。FAQLQは、対象に対して行われ、適切であれば、指定された時点において両親に対して行われる。対象は、次の年齢層への移動にかかわらず、ベースラインにおいて最初に行われたFAQLQ版を使用し続ける。
【0177】
安全性手順
温度、座位血圧、脈拍、および呼吸速度を含むバイタルサインが、指定された時点において、投薬前に収集される。DBPCFC、IDE、および増量投薬の間、15~30分毎にバイタルサインがモニターされる。投薬後のモニタリングのために、脈拍および血圧のみは、安全性モニタリングの一部として取得する必要がある。
【0178】
徹底的で完全な身体的検査が、指定された時点において実施される。対象の病歴によって示されるような、存在し得る任意の異常を調査および評価するために注意を払うべきである。
【0179】
FEV1および/またはPEFを測定するために、2005年米国胸部学会/欧州呼吸学会推奨を満たすスパイロメトリーが使用される。DBPCFCの間、誘発刺激の前後に、肺活量測定が実施されるべきである。異なる来院において肺活量測定を実施するために同じスパイロメーターおよび較正を含むスパイロメトリー技術が使用されるべきであり、可能である場合にはいつも、同じ人が測定を行うべきである(Pellegrino、2005)。FeNOは、肺活量測定の前に行われるべきである。
【0180】
血液学、化学、尿分析、および妊娠の試験試料は、中央検査室によって分析される。臨床試験のための試料は、指定された来院のときに収集される。試験は、血液化学、血液学、および尿分析の試験を含む。
【0181】
薬物動態およびバイオマーカー手順
バイオマーカー試料は、指定された時点において収集される。関連する生理学および発病過程のバイオマーカーに対する効果を特定するために、血清または血漿においてバイオマーカー測定が実施される。研究されるバイオマーカーは、ピーナッツアレルギーの病理生理学、デュピルマブの作用機序、および可能性のある毒性に関連すると考えられるものである。研究されるバイオマーカーは、これらに限定されるわけではないが、総IgE、胸腺および活性化制御ケモカイン、ピーナッツ抽出物および主なピーナッツアレルゲン成分(これらに限定されるわけではないが、Ara h1、Ara h2、およびAra h3など)に対する特異的IgE、IgG4、およびIgG、TruCultureにおける血液刺激(上澄サイトカインおよびケモカインプロファイリング)、アレルゲン刺激およびピーナッツ特異的T細胞プロファイリングに対する好塩基球の感度を含み得る。
【0182】
研究試料(血清/血漿/末梢血単核細胞)は、2型/Th2炎症、アレルギー性疾患、IL-4/IL-13、デュピルマブ(作用機序、効能、毒性など)、およびアレルゲン特異的IgEがアレルゲンに結合するのを阻害する循環因子(例えば、IgE遮断因子)に関連する将来の生物医学研究のために遺伝子バンクに預けられる。この研究は、これらに限定されるわけではないが、アレルゲン特異抗体(IgEおよびIgG4の両方)によって認識されるアレルゲン抗原性の多様性の研究、T細胞およびB細胞受容体のレパートリー(DNA/RNA配列決定を必要とする)、および非ピーナッツアレルギーに対するデュピルマブ治療の効果を含み得る。
【0183】
統計学的方法
連続的変量のために、記述統計学は、以下の情報:計算に反映される対象の数(n)、平均値、中央値、第1四分位数(Q1)、第3四分位数(Q3)、標準偏差、最大値、および最小値を含む。カテゴリーデータまたは順序データに対して、頻度および割合が、各カテゴリーに対して示される。全てのデータは、以下に概説されるように、治療群によってまとめられる:
・AR101の事前投薬および増量投薬による二重盲検治療期間(28~40週間):プラセボ+AR101対デュピルマブ+AR101。
・二重盲検維持フェーズ(24週間):プラセボ+AR101では連続して、デュピルマブ+AR101ではその前に、ならびにプラセボ+AR101に対して再無作為化され、デュピルマブ+AR101では連続して。
【0184】
一次エンドポイントは、変更された全分析セット(mFAS)において、応答者(すなわち、来院16回目[-7/+30日間の来院窓の28週目]において2044mg[累積]のピーナッツタンパク質による増量投薬後DBPCFCに「合格」した人)の比率における治療相違点を評価するために無作為化層化因子によって調整されたコクラン-マンテル-ヘンツェル検定を使用して分析される。mFASは、プロトコルにおいて指定されるように隔週でのクリニックにおける増量投薬を受け、28週目(-7/+30日間の窓の来院16回目)での増量投薬後DBPCFCを受けたか、あるいは、28週目(-7/+30日間の窓の来院16回目)の前の研究を中止した、全てのFAS対象を含む。治療相違点、p値、および両側95%信頼区間の推定が提供される。さらに、全ての効能エンドポイントは、支持解析としての全分析セット(FAS)に対して推定される。全分析セット(FAS)は、COVID-19によって影響を受けた部位を含む全ての無作為化された対象を含む。COVID-19部位制限に対応するためになされたプロトコルの修正において、二重盲検治療期間は、28週間から最長で40週間まで延長された。28週目から40週目の間に追加の来院を行ったFAS対象は、AR101およびデュピルマブ/プラセボに対する曝露の期間を増加させた。対象が、来院16回目において利用可能な増量投薬後DBPCFCデータを有さない場合、対象は、欠損データの理由にかかわらず、非応答者と見なされる。
【0185】
増量投薬期間の完了時の中間解析の結果
患者ベースライン特徴
増量投薬期間の完了時に、中間解析を実施した。FASおよびmFAS患者集に対するベースライン人口統計および疾患特徴が、表5に示される。ベースラインバイオマーカーパラメータは、表6に示される。表5に示されるように、患者の高いパーセンテージは、並存するアトピー性疾患(アトピー性皮膚炎、喘息、またはアトピー性皮膚炎と喘息の両方)を有した。大多数の患者は、複数の食物アレルギーの病歴も有した。大多数の患者は、ピーナッツアナフィラキシーの病歴も有した。
【0186】
【0187】
【0188】
表7は、この研究のための解析集団を示している。変更された全分析セット(mFAS)は、全ての効能エンドポイントに対する一次解析設定と見なされた。全分析セット(FAS)は、支持性解析として全ての効能エンドポイントに対して推定された。
【0189】
【0190】
効能
主要な効能結果は、表8(mFAS集団)および表9(FAS集団)に示される。一次エンドポイントは、来院16回目において2044mg(累積)ピーナッツタンパク質のDBPCFCに合格することができる対象の割合であった。mFASおよびFAS集団の両方において、AR101のみで治療した患者に対して、デュピルマブ+AR101で治療した患者のより高い割合が、DBPCFCに合格することができた(mFAS:56.0%対35.9%、治療効果対20.2%のプラセボ;FAS:54.1%versus34.0%、治療効果対20.3%のプラセボ)。
【0191】
デュピルマブ+AR101による治療は、来院16回目までに少なくとも2週間でAR101の300mg/日の用量に達することができた対象の割合を増加させた(mFAS:89.3%対AR101のみの76.9%;FAS:89.7%対AR101のみの81.6%)。デュピルマブ+AR101による治療は、生の用量またはlog変換した用量によって測定した場合に、ベースラインから来院16回目までのDBPCFCの間のピーナッツタンパク質の累積耐容用量の量も増加させた。表8および9を参照されたい。
【0192】
【0193】
【0194】
耐容性および安全性
患者は、アレルギーの毎日の兆候および症状を捕捉するためにe日誌を使用するように頼まれた。下記の表10に示されるように、増量投薬の間に報告された毎日のe日誌のアレルギー症状の日数の割合は(DBPCFCを除く)、プラセボ+AR101群と比較した場合、デュピルマブ+AR101群において減少した。さらに、
図2に示されるように、来院16回目のDBPCFCの間、アレルギー反応の頻度および重症度は、プラセボ+AR101群と比較した場合、デュピルマブ+AR101群において減少した。
【0195】
【0196】
デュピルマブによる治療は、概して、十分に耐容性であり、プラセボ対照ピーナッツタンパク質予備投薬および増量投薬治療期間の間での許容できる安全性プロファイルを実証した。隔週で体重別の投薬を受けたピーナッツアレルギーの小児および若者のこの集団において、いかなる新たな安全性懸念も現れなかった。研究の間、死亡も生じなかった。24週間の増量投薬治療期間において少なくとも1つの治療中に発生した有害事象(TEAE)を有する対象の割合は、プラセボ+AR101群(76.0%)とデュピルマブ+AR101群(62.2%)との間で同様であった(表11を参照されたい)。5人の対象において、TEAEは、増量投薬期間の間に、治験薬の永久的な中止を引き起こした(プラセボ+AR101群において2人およびデュピルマブ+AR101群において3人)。増量投薬期間の間、注射部位反応は、プラセボ+AR101群(6.0%)よりもデュピルマブ+AR101群(5.1%)において、それほど一般的でなく;全ての注射部位反応は、強度において軽度または中等度と評価された。
【0197】
来院16回目のDBPCFCの間を除いて、予備投薬および増量投薬期間の間にアナフィラキシー反応(判定された)のTEAEを報告する対象の割合は、プラセボ+AR101群(4.0%)およびデュピルマブ+AR1010群(5.1%)において同様であった(表11)。研究の間の急性アレルギー反応の治療のためのエピネフリン使用は、表12にまとめられる。
【0198】
【0199】
【0200】
研究解析の終了による結果
上記において説明されるように、増量投薬期間に少なくとも2週間においてAR101の300mg/日を達成した患者は、全ての対象がAR101の300mg/日を受けることを継続する24週間の維持フェーズに入る資格がある。デュピルマブ治療群の対象は、増量投薬期間に投与されたのと同じ用量でデュピルマブを受けるかまたはプラセボを受けるように再無作為化された。増量投薬フェーズの間にプラセボを受けた対象は、維持フェーズにおいてもプラセボを受けることを継続する。AR101とデュピルマブまたはプラセボとを受けた24週間の後、対象は、維持期間の終了時のピーナッツ感度のレベルを評価するために、維持後DBPCFCを受け、その後に12週間の安全性経過観察期間が設けられた。
図1を参照されたい。
【0201】
mFAS維持群の場合、合計104人の患者が存在した(プラセボ+AR101を継続した29人の患者;デュピルマブ+AR101を継続した36人の患者;ならびに増量投薬フェーズではデュピルマブ+AR101および維持フェーズではプラセボ+AR101の39人の患者)。人口統計およびベースライン疾患特徴は、概して、継続プラセボ群に対してスクリーニングsIgEがより高いことを除いて、治療群の間でバランスが取られた(データは示されず)。
【0202】
追加の6カ月においてAR101の補助剤としてデュピルマブ治療を継続することは、2044mg(累積)のピーナッツタンパク質のDBPCFCを合格することによって測定される、52週間において脱感作を達成した対象の割合をさらに増加させた。デュピルマブ+AR101で継続したmFAS-維持患者の場合、63.9%(23/36)が、52週目においてDBPCFCを合格し表8に示させる増量投薬mFAS患者の56.0%(47/84)と比較する。増量投薬フェーズの後にデュピルマブを中止した患者の場合、52週目でDBPCFCに合格した対象の割合は減少した(デュピルマブ+AR101/プラセボ+AR101群の患者の43.6% (17/39))。連続プラセボ群の場合、患者の48.2%(14/29)が、DBPCFCに合格した。52週目のDBPCFCの間のピーナッツタンパク質の累積耐容用量は、AR101単独と比較して、デュピルマブ+AR101群においてあまり異ならなかった。
【0203】
より低いスクリーニングpsIgE(<52.5kU/Lまたは<100kU/L)の患者において、プラセボ+AR101群と比較して、患者のより高い割合が、持続デュピルマブ+AR101群において52週目のDBPCFCでのピーナッツタンパク質の2044mg累積耐容用量に合格した(<52.5kU/Lサブグループの場合は79%対30%、<100kU/Lサブグループの場合は76%対36%)。
【0204】
mFAS維持群において、デュピルマブは、維持の間の許容できる安全性プロファイルにおいて十分に耐容性であった。TEAEは、プラセボ(42.5%)群と持続デュピルマブ(44.2%)群との間で同様であったが、盲腸の1つSAEを含めて、デュピルマブ+AR101/プラセボ+AR101群においてより高かった(59.5%)。救急薬の使用は、維持期間の間の治療群において匹敵した。
【0205】
結論
まとめると、デュピルマブ補助剤治療は、2044mg累積ピーナッツタンパク質に安全に合格した対象の割合において臨床的に重要で統計的にも重要な20%の向上、ならびに、小児および青年期の対象において、AR101ピーナッツOIT増量投薬後のDBPCFCの間のピーナッツタンパク質の累積耐容用量における統計的に重要な増加を示した。AR101ピーナッツOITに対する補助剤としてのデュピルマブは、概して、ピーナッツアレルギーを有する小児対象において、安全で十分に耐容性であった。
【0206】
本発明は、本明細書に記載の特定の実施形態により範囲が限定されるべきではない。実際、当業者であれば、上述の説明および添付の図面から、本明細書に記載のものに加えて本発明には種々の改変があることが明らかになるであろう。そのような改変は、添付の特許請求の範囲内に入ることが意図されている。
【0207】
【表13-1】
【表13-2】
【表13-3】
【表13-4】
【表13-5】
【表13-6】
【表13-7】
【表13-8】
【表13-9】
【表13-10】
【表13-11】
【表13-12】
【配列表】
【国際調査報告】