(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-19
(54)【発明の名称】シリル変性ポリマーシーラント用安定剤組成物
(51)【国際特許分類】
C09K 3/10 20060101AFI20240112BHJP
C08K 5/20 20060101ALI20240112BHJP
C08K 5/3492 20060101ALI20240112BHJP
C08K 5/13 20060101ALI20240112BHJP
C08K 5/357 20060101ALI20240112BHJP
C08L 101/10 20060101ALI20240112BHJP
C09K 15/30 20060101ALI20240112BHJP
C09K 3/00 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
C09K3/10 G
C08K5/20
C08K5/3492
C08K5/13
C08K5/357
C08L101/10
C09K15/30
C09K3/00 104B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023541886
(86)(22)【出願日】2022-01-11
(85)【翻訳文提出日】2023-08-31
(86)【国際出願番号】 EP2022050390
(87)【国際公開番号】W WO2022152668
(87)【国際公開日】2022-07-21
(32)【優先日】2021-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596081005
【氏名又は名称】クラリアント・インターナシヨナル・リミテツド
(71)【出願人】
【識別番号】518453383
【氏名又は名称】オムヤ インターナショナル アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【氏名又は名称】竹林 則幸
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-イーヴ・デーラッツ
(72)【発明者】
【氏名】アントニオ・ディ・リシオ
(72)【発明者】
【氏名】ムフシン・カノーニ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレア・バッティスティ
(72)【発明者】
【氏名】ダヴィード・ピエトロ・グラッシーニ
【テーマコード(参考)】
4H017
4H025
4J002
【Fターム(参考)】
4H017AA04
4H017AB15
4H017AC07
4H017AD02
4H025AA11
4H025AA53
4H025AA56
4H025AC01
4J002AA031
4J002AB014
4J002AE043
4J002AH004
4J002CD163
4J002CH051
4J002CK021
4J002CM022
4J002DA019
4J002DA029
4J002DA039
4J002DE109
4J002DE119
4J002DE139
4J002DE239
4J002DJ009
4J002DJ019
4J002DJ039
4J002DJ049
4J002DJ059
4J002DL009
4J002ED079
4J002EE049
4J002EH039
4J002EH149
4J002EJ038
4J002EJ068
4J002EL029
4J002EL109
4J002EN029
4J002EN049
4J002EP018
4J002EP026
4J002EU139
4J002EU186
4J002EU217
4J002EU239
4J002EX039
4J002EX069
4J002EX079
4J002EX089
4J002EZ049
4J002FA049
4J002FA089
4J002FA109
4J002FD014
4J002FD019
4J002FD023
4J002FD029
4J002FD042
4J002FD047
4J002FD056
4J002FD078
4J002FD209
4J002GJ00
(57)【要約】
本発明は、少なくとも1種のオキサルアニリドUV吸収剤および/または少なくとも1種の(2-ヒドロキシフェニル)-s-トリアジンUV吸収剤と、少なくとも1種のオリゴマーヒンダードアミン系光安定剤(HALS)とを含み、場合により少なくとも1種のフェノール系酸化防止剤、少なくとも1種の液体希釈剤および/またはさらなる成分をさらに含む、安定剤組成物に関する。前記安定剤組成物は、好ましくは、シリル変性ポリマー(SMP)をベースとするシーラントまたは接着剤に使用される。本発明はまた、オキサルアニリドUV吸収剤および/または(2-ヒドロキシフェニル)-s-トリアジンUV吸収剤と、オリゴマーヒンダードアミン系光安定剤(HALS)との新規な安定剤の組合せを含むシリル変性ポリマー(SMP)をベースとするポリマー組成物であって、場合によりフェノール系酸化防止剤および液体希釈剤および/またはさらなる成分をさらに含む、ポリマー組成物も扱う。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
安定剤組成物であって、
(A)成分Aとしての少なくとも1種のUV吸収剤Aであり、
(A1)成分A1としての式(I.1):
【化1】
(式中、
R
a、R
b、R
c、R
d、R
eおよびR
fは、互いに独立して、水素、1~20個の炭素原子を有するアルキル基、1~20個の炭素原子および1~4個の酸素原子を有するアルコキシ基から選択される)
による1種またはそれ以上の(2-ヒドロキシフェニル)-s-トリアジン化合物、
および/または、
(A2)成分A2としての式(I.2):
【化2】
(式中、
R
aおよびR
bは、互いに独立して、水素、1~20個の炭素原子を有するアルキル基、1~20個の炭素原子および1~4個の酸素原子を有するアルコキシ基から選択される)
による1種またはそれ以上のオキサルアニリド化合物
を含む、少なくとも1種のUV吸収剤A、
ならびに
(B)成分Bとしての少なくとも1種のヒンダードアミン系光安定剤であり、式(II)-1:
【化3】
[nおよびmは、互いに独立して0~100、好ましくは0~10、より好ましくは0~5の数であるが、ただし、nおよびmが両方とも0であることはなく;
R
1は、水素、5~7個の炭素原子を有するシクロアルキル基、または1~12個の炭素原子を有するアルキル基であり;
R
2およびR
3は、互いに独立して、水素、1~18個の炭素原子を有するアルキル基から選択されるか、またはそれらを接続する炭素原子と一緒になって5~13員のシクロアルキル環であるか、またはそれらを接続する炭素原子と一緒になって式(II)-4
【化4】
(ここで、R
1は上で定義したとおりである)
の基であり;
R
4およびR
5は、互いに独立して、水素、1~22個の炭素原子を有するアルキル基、酸素ラジカルO
*、-OH、-NO、-CH
2CN、ベンジル、アリル、1~30個の炭素原子を有するアルキルオキシ基、5~12個の炭素原子を有するシクロアルキルオキシ基、アリールラジカルがさらに置換されていてもよい6~10個の炭素原子を有するアリールオキシ基、アリールラジカルがさらに置換されていてもよい7~20個の炭素原子を有するアリールアルキルオキシ基、3~10個の炭素原子を有するアルケニル基、3~6個の炭素原子を有するアルキニル基、1~10個の炭素原子を有するアシル基、ハロゲン、非置換フェニルまたはC
1~C
4アルキル置換フェニルから選択される]
による少なくとも1種のオリゴマーヒンダードアミン系光安定剤B1を含む、少なくとも1種のヒンダードアミン系光安定剤
を含む、安定剤組成物。
【請求項2】
少なくとも1つのオリゴマーヒンダードアミン系光安定剤成分B1は、540g/molを超える(重量平均)分子量を有する、請求項1に記載の安定剤組成物。
【請求項3】
以下の成分C、D、および/またはE:
(C)成分Cとしての少なくとも1種のフェノール系酸化防止剤;
(D)成分Dとしての少なくとも1種の液体希釈剤;および/または
(E)成分Eとしての少なくとも1種のさらなる添加剤
のうちの少なくとも1種をさらに含む、請求項1または2に記載の安定剤組成物。
【請求項4】
少なくとも1種のフェノール系酸化防止剤成分Cは、式(III)aおよび/または(III)b:
【化5】
[式中、
R
xおよびR
yは、互いに独立して、水素、ハロゲンまたは1~10個の炭素原子を有するアルキル基から選択され;
R
zは、水素、または1~10個の炭素原子を有するアルキル基から選択され;
R
wは、ヒドロキシ基、1~18個の炭素原子を有するアルコキシ基、1~4個のアルキル炭素原子を有するフェニルアルコキシ基、5~8個の炭素原子を有するシクロアルコキシ基、または式(III)c:
【化6】
(ここで、Z
1およびZ
2は、互いに独立して、水素、1~18個の炭素原子を有するアルキル基、フェニル基、および5~8個の炭素原子を有するシクロアルキル基から選択される)
の基から選択され;
Xは、-O-(CH
2)
q-O-;-(OCH
2-CH
2)
q-O-;-O-(CH
2)
q-S-(CH
2)
q-O;-NH-(CH
2)
q-NH-;-NH-NH-(ここで、qは1~12の整数である)、または基
【化7】
から選択され;
pは0、または1~6の整数である]
による1種またはそれ以上のフェノール系化合物から構成される、請求項3に記載の安定剤組成物。
【請求項5】
液体補助剤、液体溶媒およびそれらの組合せから選択される少なくとも1種の液体希釈剤Dを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の安定剤組成物。
【請求項6】
安定剤組成物は、
(A)安定剤組成物全体に基づいて、20~60重量%の少なくとも1種のUV吸収剤A;および
(B)少なくとも1種のオリゴマーヒンダードアミン系光安定剤B1を含む、安定剤組成物全体に基づいて、40~80重量%の少なくとも1種のヒンダードアミン系光安定剤
を含み、ここで、成分AおよびBの量は合計して安定剤組成物の100重量%となる、
請求項1~5のいずれか1項に記載の安定剤組成物。
【請求項7】
安定剤組成物は、
(A)安定剤組成物全体に基づいて、15~49重量%の少なくとも1種のUV吸収剤A;
(B)安定剤組成物全体に基づいて、20~69重量%の少なくとも1種のヒンダードアミン系光安定剤B;および
(C)安定剤組成物全体に基づいて、1~50重量%の少なくとも1種のフェノール系酸化防止剤C
を含み、ここで、成分A、BおよびCの量は合計して安定剤組成物の100重量%となる、
請求項1~5のいずれか1項に記載の安定剤組成物。
【請求項8】
安定剤組成物は、
(A)安定剤組成物全体に基づいて、5~49重量%の少なくとも1種のUV吸収剤A;
(B)安定剤組成物全体に基づいて、10~59重量%の少なくとも1種のヒンダードアミン系光安定剤B;
(C)安定剤組成物全体に基づいて、1~50重量%の少なくとも1種のフェノール系酸化防止剤C;
(D)安定剤組成物全体に基づいて、30~79重量%の少なくとも1種の液体希釈剤D;および
(E)安定剤組成物全体に基づいて、0~50重量%の少なくとも1種のさらなる添加剤E
を含み、ここで、成分A、B、C、D、およびEの量は合計して安定剤組成物の100重量%となる、
請求項1~5のいずれか1項に記載の安定剤組成物。
【請求項9】
UV吸収剤Aは、
(A1)式(I.1)-1および(I.1)-2:
【化8】
による1種またはそれ以上の前記(2-ヒドロキシフェニル)-s-トリアジン化合物A1;
および/または
(A2)以下の式(I.2)-1~(I.2)-7:
【化9】
の化合物から選択される1種もしくはそれ以上のオキサルアニリド化合物A2
を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の安定剤組成物。
【請求項10】
ヒンダードアミン系光安定剤Bは、成分Bに基づいて、65~95重量%の式(II)-1の少なくとも1種の化合物、成分Bに基づいて、5~35重量%の式(II)-2の少なくとも1種の化合物、および成分Bに基づいて、0~10重量%の式(II)-3の少なくとも1種の化合物から構成され、
【化10】
式中、
nおよびmは、互いに独立して0~100の数であるが、ただし、nおよびmが両方とも0であることはなく;
R
1は、水素、5~7個の炭素原子を有するシクロアルキル基、または1~12個の炭素原子を有するアルキル基であり;
R
2およびR
3は、互いに独立して、水素、1~18個の炭素原子を有するアルキル基から選択されるか、またはそれらを接続する炭素原子と一緒になって5~13員環であるか、またはそれらを接続する炭素原子と一緒になって式(II)-4
【化11】
(ここで、R
1は上で定義したとおりである)
の基であり;
R
4およびR
5は、互いに独立して、水素、1~22個の炭素原子を有するアルキル基、酸素ラジカルO
*、-OH、-NO、-CH
2CN、ベンジル、アリル、1~30個の炭素原子を有するアルキルオキシ基、5~12個の炭素原子を有するシクロアルキルオキシ基、アリールラジカルがさらに置換されていてもよい6~10個の炭素原子を有するアリールオキシ基、アリールラジカルがさらに置換されていてもよい7~20個の炭素原子を有するアリールアルキルオキシ基、3~10個の炭素原子を有するアルケニル基、3~6個の炭素原子を有するアルキニル基、1~10個の炭素原子を有するアシル基、ハロゲン、非置換フェニルまたはC
1~C
4アルキル置換フェニルから選択される、
請求項1~9のいずれか1項に記載の安定剤組成物。
【請求項11】
ヒンダードアミン系光安定剤Bは、式(II)-1および(II)-2、ならびに場合により(II)-3による化合物から構成され、
式中、
nおよびmは、互いに独立して0~5の数であるが、ただし、nおよびmが両方とも0であることはなく;
R
1は、1~4個の炭素原子を有するアルキル基であり;
R
2およびR
3は、それらを接続する炭素原子と一緒になって6~12員のシクロアルキル環であるか、またはそれらを接続する炭素原子と一緒になって式(II)-4の基であり;
R
4およびR
5は、互いに独立して、水素、1~4個の炭素原子を有するアルキル基、1~6個の炭素原子を有するアルキルルオキシ基、5~6個の炭素原子を有するシクロアルキルオキシ基、および1~4個の炭素原子を有するアシル基から選択される、
請求項10に記載の安定剤組成物。
【請求項12】
酸化防止剤Cは、式(III)bによるフェノール化合物を含み、
式中、
R
xおよびR
yは、互いに独立して、1~6個の炭素原子を有する分枝鎖アルキル基から選択され;
R
zは、水素、または1~4個の炭素原子を有するアルキル基から選択され;
Xは-O-(CH
2)
q-O-であり、ここでqは2~4の整数であり;
pは1~4の整数である、
請求項3~11のいずれか1項に記載の安定剤組成物。
【請求項13】
(A1)式(I.1)-1および/または(I.1)-2による(2-ヒドロキシフェニル)-s-トリアジン化合物A1、好ましくは、式(I.1)-1および(I.1)-2による(2-ヒドロキシフェニル)-s-トリアジン化合物:
【化12】
;
(A2)式(I.2)-1:
【化13】
による前記オキサルアニリド化合物A2;
(B)少なくとも1種のオリゴマーヒンダードアミン系光安定剤B1を含む、少なくとも1種のヒンダードアミン系光安定剤B;ならびに
(C)フェノール化合物ビス-(3,3-ビス-(4’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチルフェニル)ブタン酸)-グリコールエステルを含む少なくとも1種の酸化防止剤C
を含む、請求項3~12のいずれか1項に記載の安定剤組成物。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか1項に記載の安定剤組成物を製造するための方法であって、成分AおよびB、ならびに場合によりC、Dおよび/またはEを混合する、方法。
【請求項15】
シリル変性ポリマーをベースとするシーラントまたは接着剤における安定剤としての、請求項1~13のいずれか1項に記載の安定剤組成物の使用。
【請求項16】
ポリマー組成物であって、
(P)シリル変性ポリマーから選択される少なくとも1種のポリマーP;
(S)少なくとも1種のUV吸収剤A;
少なくとも1種のヒンダードアミン系光安定剤B;
場合により、少なくとも1種のフェノール系酸化防止剤C;
場合により、少なくとも1種の液体希釈剤D;および
場合により、少なくとも1種のさらなる添加剤E
から構成される安定剤の組合せSであり、ここで、成分A、B、C、D、およびEは、請求項1~11で定義したとおりである、安定剤の組合せS;
(F)場合により、少なくとも1種の充填剤F;
(G)場合により、少なくとも1種のさらなる添加剤G
を含む、ポリマー組成物。
【請求項17】
(P)ポリマー組成物全体に基づいて、5~99重量%の、シリル変性ポリマーから選択される少なくとも1種のポリマーP;
(S)ポリマー組成物全体に基づいて、0.001~3重量%の少なくとも1種のUV吸収剤A;
ポリマー組成物全体に基づいて、0.001~3重量%の少なくとも1種のヒンダードアミン系光安定剤B;および
ポリマー組成物全体に基づいて、0~3重量%の少なくとも1種のフェノール系酸化防止剤C;
ポリマー組成物全体に基づいて、0~3重量%の少なくとも1種の液体希釈剤D;
ポリマー組成物全体に基づいて、0~3重量%の少なくとも1種のさらなる添加剤E
から構成される安定剤の組合せS;
(F)ポリマー組成物全体に基づいて、0~85重量%の少なくとも1種の充填剤F;
(G)ポリマー組成物全体に基づいて、0~35重量%の、少なくとも1種のさらなる添加剤G
を含む、請求項16に記載のポリマー組成物。
【請求項18】
(P)前記ポリマー組成物全体に基づいて、7.5~95重量%の、シリル変性ポリマーから選択される前記少なくとも1種のポリマーP;
(S)前記ポリマー組成物全体に基づいて、0.001~3重量%の前記少なくとも1種のUV吸収剤A;
前記ポリマー組成物全体に基づいて、0.001~3重量%の前記少なくとも1種のヒンダードアミン系光安定剤B;および
前記ポリマー組成物全体に基づいて、0.001~3重量%の前記少なくとも1種のフェノール系酸化防止剤C;
安定剤組成物全体に基づいて、0.001~3重量%の少なくとも1種の液体希釈剤D;
ポリマー組成物全体に基づいて、0~3重量%の少なくとも1種のさらなる添加剤E
から構成される安定剤の組合せS;
(F)ポリマー組成物全体に基づいて、1~80重量%の少なくとも1種の充填剤F;
(G1)ポリマー組成物全体に基づいて、1~25重量%の、さらなる添加剤G1としての少なくとも1種の可塑剤;
(G2)ポリマー組成物全体に基づいて、1~10重量%の、さらなる添加剤G2としての少なくとも1種の接着促進剤;
(G3)ポリマー組成物全体に基づいて、0.01~3重量%の、さらなる添加剤G3としての少なくとも1種の触媒;
(G)ポリマー組成物全体に基づいて、0~10重量%の、G1~G3とは異なる少なくとも1種のさらなる添加剤G、
を含む、請求項16または17に記載のポリマー組成物。
【請求項19】
シリル変性ポリマーPは、以下の式(P-II):
【化14】
(式中、
Q
1、Q
2およびQ
3は、互いに独立して、1~40個の炭素原子を有するアルキル基、および1~10個の炭素原子を有するアルコキシ基から選択され、ただし、Q
1、Q
2およびQ
3のうちの少なくとも1つは、架橋性加水分解性シリル基であり、
n
1およびn
2は、互いに独立して0~1000の整数であり、ただし、n
1+n
2は少なくとも50である)
によるシリル変性ポリエーテルから選択される、請求項16~18のいずれか1項に記載のポリマー組成物。
【請求項20】
安定剤の組合せSは、
(A)少なくとも1種のUV吸収剤Aであり、
(A1)式(I.1)-1および/または(I.1)-2による(2-ヒドロキシフェニル)-s-トリアジン化合物(A1)、好ましくは、式(I.1)-1および(I.1)-2による(2-ヒドロキシフェニル)-s-トリアジン化合物:
【化15】
ならびに/または、
(A2)式(I.2)-1:
【化16】
によるオキサルアニリド化合物A2
を含む、少なくとも1種のUV吸収剤A;
(B)少なくとも1種のオリゴマーヒンダードアミン系光安定剤B1を含む、少なくとも1種のヒンダードアミン系光安定剤B;ならびに
(C)フェノール化合物ビス-(3,3-ビス-(4’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチルフェニル)ブタン酸)-グリコールエステルを含む少なくとも1種のフェノール系酸化防止剤C
を含む、請求項16~19のいずれか1項に記載のポリマー組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1種のオキサルアニリド(oxalanilide)UV吸収剤および/または少なくとも1種の(2-ヒドロキシフェニル)-s-トリアジンUV吸収剤と、少なくとも1種のオリゴマーヒンダードアミン系光安定剤(HALS)とを含み、場合により少なくとも1種のフェノール系酸化防止剤、少なくとも1種の液体希釈剤および/またはさらなる成分をさらに含む、安定剤組成物に関する。前記安定剤組成物は、好ましくは、シリル変性ポリマー(SMP)をベースとするシーラントまたは接着剤に使用される。本発明はまた、オキサルアニリドUV吸収剤および/または(2-ヒドロキシフェニル)-s-トリアジンUV吸収剤と、オリゴマーヒンダードアミン系光安定剤(HALS)との新規な安定剤の組合せを含むシリル変性ポリマー(SMP)をベースとするポリマー組成物であって、場合によりフェノール系酸化防止剤および液体希釈剤および/またはさらなる成分をさらに含む、ポリマー組成物も扱う。
【0002】
さらに、本発明は、安定剤組成物を製造するための方法、ならびにSMPシーラントおよび接着剤における熱および/またはUV安定剤としてのこれらの安定剤組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
シリル変性ポリエーテル(MSポリマーとしても知られる)、シリル変性ポリウレタン(SPURポリマーとしても知られる)、およびシリル変性アクリルポリマーなどのシリル変性ポリマー(SMP)、ならびに例えば建築および建設業界におけるシーラントおよび接着剤としてのそれらの使用は、長年にわたり知られている、例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、および特許文献4を参照のこと。市販のSMP製品の例は、Kaneka MS Polymers(登録商標)(MS Polymer(登録商標)S203H、MS Polymer(登録商標)S303Hなど)、またはEvonik製Polymers STである。広範囲のMS Polymer(登録商標)グレードが市販されており、これらは、広い粘度範囲において、官能化の程度(主鎖に結合した基の数および性質)および主鎖構造が異なる。
【0004】
そのようなシリル変性ポリマーは、湿気硬化性1Kもしくは2Kシーラントまたは接着剤組成物の基礎とすることができ、そのような組成物は、実質的に湿気を含まない状態で保存することができ、大気条件に曝されると、表面から急速に硬化を受ける。典型的には、SMPシーラントは液体またはゲル状態から弾性固体まで硬化し、ここで、硬化はシリル基の加水分解および架橋反応によるポリマー鎖の架橋を伴う。
【0005】
シリル変性ポリマー(SMP)は、例えば、長年にわたり、建築および建設産業、航空宇宙産業、自動車産業、海洋産業および他の関連産業の用途において、シーラントおよび接着剤の両方として使用されている。これらの製品は、典型的には、(イソ)シアネートおよび溶媒不含であり、良好な特徴、例えば広範囲の基材材料上への接着、限定された表面処理での接着の優れた耐久性、ならびに良好な温度およびUV安定性を示す。典型的には、SMPシーラントの重要な特徴は、それらが極めて可撓性であり、塗装可能であることである。
【0006】
特許文献5には、有機材料をUV光および熱分解から保護するための安定剤組成物が記載されている。上記安定剤組成物は、オルトヒドロキシフェニルトリアジン化合物、オルトヒドロキシベンゾフェノン化合物、オルトヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール(orthohydroxyphenyl benzotriaziole)化合物およびベンゾオキサジノン化合物から選択されるUV吸収剤、共活性剤(例えば、C12~C60アルコール、脂肪酸エステル、およびそれらのアルコキシル化誘導体から選択される)、ならびにヒンダードアミン系光安定剤(HALS)を含む。
【0007】
特許文献6には、オキサルアニリドUV安定剤を含む湿気硬化性有機ケイ素組成物が記載されている。さらに、シリル変性ポリマーシーラントにおけるUV吸収剤およびヒンダードアミン系光安定剤の組合せは、例えば、特許文献7および特許文献8に記載されている。
【0008】
特許文献9は、熱安定剤、UV吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤および酸化防止剤を含む自動車用シランポリエーテルシーラントを開示している。
【0009】
特許文献10には、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系光安定剤およびUV吸収剤を含む安定剤を含有するシリコーンフォームが記載されている。
【0010】
特許文献11は、シーラント(例えば、シラン末端化ポリエーテルをベースとするシーラント)のための添加剤の組合せを教示しており、この添加剤の組合せは、少なくとも2種の異なる立体障害性アミン、例えば、Tinuvin(登録商標)622およびTinuvin(登録商標)144、ならびにUV吸収剤、例えば、Tinuvin(登録商標)312を含む。この文献は、少なくとも2種の立体障害性アミン、少なくとも1種のさらなる安定剤、分散剤(分散剤ポリマー)および可塑剤を含む添加剤の組合せを開示している。しかし、Tinuvin(登録商標)622などのHALS安定剤は、シーラント組成物中で低い溶解度を示すため、好ましくない。
【0011】
現在、ヒンダードアミン系光安定剤とベンゾトリアゾール型UV吸収剤との組合せが、光および熱安定化のためにSMPシーラント産業において頻繁に使用されている。多くの場合、HALSであるビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)セバケート(bis(2,2,6,6-tetramethyl-4-piperidinyl)sebacat)(CAS番号52829-07-9)とUV吸収剤である2-(2’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチル-5’-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール(CAS番号3896-11-5)との組合せが、光および熱安定化を提供するために使用される。しかし、ベンゾトリアゾール型UV吸収剤には、塗布前および塗布中にSMPシーラントおよび接着剤が黄変するという欠点があり、最終製品に着色が生じ、多くの用途では許容されない。
【0012】
さらに、オキサルアニリドUV吸収剤と塩基性HALS安定剤とのブレンドである安定剤Tinuvin(登録商標)5866が、SMP組成物において頻繁に使用される。欠点として、これらの安定剤は、化学物質の分類、表示および包装(Classification, Labeling and Packaging of Chemical Substances)に関する現在のEU規則により危険有害性として分類される。さらに、これらの安定剤は典型的に固体であり、粉末として提供される。粉末安定剤の適用には、特に少量の場合、投与がより困難であるという欠点があり、粉末安定剤は、計量、混合および/または適用中に粉化しやすい。さらに、粉末安定剤の凝集体の形成によって、顧客の最終製品における安定剤の均質な分布が妨げられ、典型的に、粉末安定剤組成物の高価な加工(例えば、粉砕)が必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】US2002/198308
【特許文献2】US6,077,896
【特許文献3】EP-A 1 288 247
【特許文献4】US2003/0105261
【特許文献5】WO2016/081823
【特許文献6】US2010/0087576
【特許文献7】JP2010/248408
【特許文献8】CN107892900
【特許文献9】CN106833479
【特許文献10】JP2010/270241
【特許文献11】WO2012/010570
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
改善された耐熱性および耐候性を有し、初期黄変、これは、硬化工程前にポリマーと(例えばカートリッジ内で)混合した後の黄変を意味するが、この初期黄変を引き起こさず、有害な化合物を含まず、熱処理後に安定化SMP組成物の色の損傷を引き起こさず、最終的にはSMPシーラントの性能、例えば、機械的特性、耐化学性、接着性およびレオロジー特性を損なわない、SMPシーラントのための新規かつ改善された安定剤の組合せを提供する必要がある。さらに、用量および用途に関して改善された適用性を備えた安定剤の組合せが所望される。これを考慮すると、一般的なSMPシーラント中で良好な溶解度を有する安定剤組成物が必要とされている。この点において、多くの用途に対する液体安定剤組成物の必要性を確認することができる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
驚くべきことに、少なくとも1種のオキサルアニリドUV吸収剤、および/または少なくとも1種の(2-ヒドロキシフェニル)-s-トリアジンUV吸収剤と、場合により少なくとも1種の選択されたフェノール系酸化防止剤を含む少なくとも1種の選択されたヒンダードアミン系光安定剤(HALS)と、少なくとも1種の液体希釈剤との安定剤の組合せ、特に相乗的な安定剤の組合せは、伸長率、引張強度、および塗装性などの、硬化SMPシーラントの固有の有利な特性に影響を及ぼすことなく、光および熱安定化の領域において顕著な改善を提供することが見出された。液体希釈剤は、最終SMPシーラント中に安定剤の組合せを容易かつ迅速に提供し、均一に分布させることにより、安定剤の組合せの適用性をさらに向上させる。
【0016】
発明の説明
本発明は、安定剤組成物であって、
(A)成分Aとしての少なくとも1種のUV吸収剤Aであり、
(A1)成分A1としての式(I.1):
【化1】
(式中、
R
a、R
b、R
c、R
d、R
eおよびR
fは、互いに独立して、水素、1~20個の炭素原子を有するアルキル基、1~20個の炭素原子および1~4個の酸素原子を有するアルコキシ基から選択される);
による1種またはそれ以上の(2-ヒドロキシフェニル)-s-トリアジン化合物、ならびに/または
【0017】
(A2)成分A2としての式(I.2):
【化2】
(式中、
R
aおよびR
bは、互いに独立して、水素、1~20個、好ましくは2~12個の炭素原子を有するアルキル基、1~20個、好ましくは2~12個の炭素原子および1~4個、好ましくは1~2個の酸素原子(アルコキシ基の酸素原子)を有するアルコキシ基から選択される);
による1種またはそれ以上のオキサルアニリド化合物
を含む、少なくとも1種のUV吸収剤A、
ならびに
【0018】
(B)成分Bとしての少なくとも1種のヒンダードアミン系光安定剤であり、式(II)-1:
【化3】
[nおよびmは、互いに独立して0~100、好ましくは0~10、より好ましくは0~5の数であるが、ただし、nおよびmが両方とも0であることはなく;
R
1は、水素、5~7個の炭素原子を有するシクロアルキル基、または1~12個の炭素原子を有するアルキル基であり;
R
2およびR
3は、互いに独立して、水素、1~18個の炭素原子を有するアルキル基から選択されるか、またはそれらを接続する炭素原子と一緒になって5~13員のシクロアルキル環であるか、またはそれらを接続する炭素原子と一緒になって式(II)-4
【化4】
(ここで、R
1は上で定義したとおりである)
の基であり;
R
4およびR
5は、互いに独立して、水素、1~22個の炭素原子を有するアルキル基、酸素ラジカルO
*、-OH、-NO、-CH
2CN、ベンジル、アリル、1~30個の炭素原子を有するアルキルオキシ基、5~12個の炭素原子を有するシクロアルキルオキシ基、アリールラジカルがさらに置換されていてもよい6~10個の炭素原子を有するアリールオキシ基、アリールラジカルがさらに置換されていてもよい7~20個の炭素原子を有するアリールアルキルオキシ基、3~10個の炭素原子を有するアルケニル基、3~6個の炭素原子を有するアルキニル基、1~10個の炭素原子を有するアシル基、ハロゲン、非置換フェニルまたはC
1~C
4アルキル置換フェニルから選択される]
による少なくとも1種のオリゴマーヒンダードアミン系光安定剤B1を含む、少なくとも1種のヒンダードアミン系光安定剤
を含む、安定剤組成物に関する。
【0019】
安定剤組成物は、場合によりさらなる成分、特に以下の成分C、Dおよび/またはEのうちの少なくとも1つを含んでもよい:
(C)成分Cとしての少なくとも1種のフェノール系酸化防止剤;
(D)成分Dとしての少なくとも1種の液体希釈剤、および
(E)成分Eとしての少なくとも1種のさらなる添加剤。
【0020】
本発明の安定剤組成物は、シリル変性ポリエーテルなどのシリル変性ポリマーをベースとするシーラントおよび接着剤に有利に使用することができる。安定剤組成物により、標準的な安定剤(例えば、Tinuvin(登録商標)326)と比較して、UVおよび熱安定性が向上し、SMPシーラントの初期黄変を防止する。さらに、本発明の安定剤組成物は、安定化SMP組成物の熱処理後に色(例えば、CIE表色系に基づく)の損傷を引き起こさない。好ましくは、安定化SMP組成物の機械的特性は同等であるか、または改善されている。
【0021】
好ましくは、本発明の安定剤組成物は、化学物質の分類、表示および包装(Classification, Labeling and Packaging of Chemical Substances、CLP)に関する現在のEU規則により危険有害性として分類する必要がない。特に、この規則は、指令67/548/EECおよび指令1999/45/ECを改正および廃止し、規則(EC)第1907/2006号を改正する、物質および混合物の分類、表示および包装に関する2008年12月16日の欧州議会および理事会の規則(EC)第1272/2008号に記載されているように、適用される。
【0022】
本発明の安定剤組成物は、好ましくは、溶液、分散液、エマルション、懸濁液、またはペーストなどの実質的に液体組成物の形態であり、好ましくは溶液または懸濁液、特に溶液である。特に、安定剤組成物は、液体希釈剤Dにより実質的に液体形態である。さらに、成分A、B、Cおよび/またはEのうちの1つまたはそれ以上が液体形態であってもよい。
【0023】
本発明の目的において、「実質的に液体」という用語は、組成物および主要な液体画分が、固体の構成要素のある特定の画分をさらに含み得ることを意味し、例としては、未溶解の構成要素A、B、ならびに場合によりCおよび/またはEが挙げられる。
【0024】
本発明の目的において、「液体」という用語は、組成物が少なくとも室温で、好ましくは少なくとも10℃~30℃の範囲で、より好ましくは少なくとも0℃~40℃の範囲で流動性が低いことを意味する。
【0025】
本発明の目的において、「アルキル」という用語には、直鎖または分枝鎖アルキルが含まれる。直鎖C1~C20アルキル、特に直鎖C1~C18アルキル、好ましくは直鎖C1~C12アルキル、および分枝鎖C3~C20アルキル、特に分枝鎖C3~C18アルキル、好ましくは分枝鎖C3~C12アルキルが好ましい。アルキル基の例は、特に、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、1-メチルブチル、tert-ペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、3-ヘキシル、2-メチル-1-ペンチル、3-メチル-1-ペンチル、4-メチル-1-ペンチル、2-メチル-2-ペンチル、3-メチル-2-ペンチル、4-メチル-2-ペンチル、2-メチル-3-ペンチル、3-メチル-3-ペンチル、2,2-ジメチル-1-ブチル、2,3-ジメチル-1-ブチル、3,3-ジメチル-1-ブチル、2-エチル-1-ブチル、2,3-ジメチル-2-ブチル、3,3-ジメチル-2-ブチル、n-ヘプチル、n-オクチル、
1-メチルヘプチル、2-エチルヘキシル、2,4,4-トリメチルペンチル、1,1,3,3-テトラメチルブチル、n-ノニル、n-デシル、n-ウンデシル、n-ドデシル、n-トリデシル、n-テトラデシル、n-ペンタデシル、n-ヘキサデシル、n-ヘプタデシル、n-オクタデシル、およびn-エイコシルである。
【0026】
本発明の目的において、「アルコキシ」という用語は、酸素原子を介して結合したアルキル基であり、アルキル基の炭素鎖は、1つまたはそれ以上、好ましくは1~3個の隣接しないヘテロ原子-O-によって中断させることができる。上述のアルキル基が好ましい。アルコキシ基の例としては、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、1-メチルエトキシ、ブトキシ、1-メチルプロポキシ、2-メチルプロポキシ、1,1-ジメチルエトキシ、n-ペントキシ、1-メチルブトキシ、2-メチルブトキシ、3-メチルブトキシ、1,1-ジメチルプロポキシ、1,2-ジメチルプロポキシ、2,2-ジメチルプロポキシ、1-エチルプロポキシ、ヘキソキシ、1-メチルペントキシ、2-メチルペントキシ、3-メチルペントキシ、4-メチルペントキシ、1,1-ジメチルブトキシ、1,2-ジメチルブトキシ、1,3-ジメチルブトキシ、2,2-ジメチルブトキシ、2,3-ジメチルブトキシ、3,3-ジメチルブトキシ、1-エチルブトキシ、2-エチルブトキシ、1,1,2-トリメチルプロポキシ、1,2,2-トリメチルプロポキシ、1-エチル-1-メチルプロポキシまたは1-エチル-2-メチルプロポキシ、ヘキソキシ、-(OC2H4)u-(OC3H6)v-H基であって、uおよびvは互いに独立して0~19、好ましくは0~12の数であるが、ただし、u+vは1~20、好ましくは2~12である基、である。
【0027】
安定剤組成物
本発明の安定剤組成物は、少なくとも以下のものを含む(またはからなる):
(A)成分Aとしての少なくとも1種のUV吸収剤Aであり、
(A1)成分A1としての式(I.1):
【化5】
(式中、
R
a、R
b、R
c、R
d、R
eおよびR
fは、互いに独立して、水素、1~20個の炭素原子を有するアルキル基、1~20個の炭素原子および1~4個の酸素原子を有するアルコキシ基から選択される)
による1種またはそれ以上の(2-ヒドロキシフェニル)-s-トリアジン化合物、ならびに/または、
【0028】
(A2)成分A2としての式(I.2):
【化6】
(式中、
R
aおよびR
bは、互いに独立して、水素、1~20個の炭素原子を有するアルキル基、1~20個の炭素原子および1~4個の酸素原子を有するアルコキシ基から選択される)
による1種またはそれ以上のオキサルアニリド化合物
を含む(またはからなる)、少なくとも1種のUV吸収剤A、
ならびに
【0029】
(B)成分Bとしての少なくとも1種のヒンダードアミン系光安定剤であり、式(II)-1:
【化7】
[nおよびmは、互いに独立して0~100、好ましくは0~10、より好ましくは0~5の数であるが、ただし、nおよびmが両方とも0であることはなく;
R
1は、水素、5~7個の炭素原子を有するシクロアルキル基、または1~12個の炭素原子を有するアルキル基であり;
R
2およびR
3は、互いに独立して、水素、1~18個の炭素原子を有するアルキル基から選択されるか、またはそれらを接続する炭素原子と一緒になって5~13員のシクロアルキル環であるか、またはそれらを接続する炭素原子と一緒になって式(II)-4
【化8】
(ここで、R
1は上で定義したとおりである)
の基であり;
R
4およびR
5は、互いに独立して、水素、1~22個の炭素原子を有するアルキル基、酸素ラジカルO
*、-OH、-NO、-CH
2CN、ベンジル、アリル、1~30個の炭素原子を有するアルキルオキシ基、5~12個の炭素原子を有するシクロアルキルオキシ基、アリールラジカルがさらに置換されていてもよい6~10個の炭素原子を有するアリールオキシ基、アリールラジカルがさらに置換されていてもよい7~20個の炭素原子を有するアリールアルキルオキシ基、3~10個の炭素原子を有するアルケニル基、3~6個の炭素原子を有するアルキニル基、1~10個の炭素原子を有するアシル基、ハロゲン、非置換フェニルまたはC
1~C
4アルキル置換フェニルから選択される]
による少なくとも1種のオリゴマーヒンダードアミン系光安定剤B1を含む(またはからなる)、少なくとも1種のヒンダードアミン系光安定剤。
【0030】
UV吸収剤Aおよびヒンダードアミン系光安定剤Bに加えて、安定剤組成物は、以下の成分C、D、および/またはEの1つまたはそれ以上をさらに含んでもよい:
(C)成分Cとしての少なくとも1種のフェノール系酸化防止剤;
(D)成分Dとしての少なくとも1種の液体希釈剤;および/または
(E)成分Eとしての少なくとも1種のさらなる添加剤。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の一実施形態では、本発明の安定剤組成物は、少なくとも
(A)成分Aとしての少なくとも1種のUV吸収剤Aであり、成分A1としての式(I.1)による1種またはそれ以上の(2-ヒドロキシフェニル)-s-トリアジン化合物を含む(またはからなる)、少なくとも1種のUV吸収剤A;
および
(B)成分Bとしての少なくとも1種のヒンダードアミン系光安定剤であり、少なくとも1種のオリゴマーヒンダードアミン系光安定剤B1を含む(またはからなる)、少なくとも1種のヒンダードアミン系光安定剤:
を含む(またはからなる)。
【0032】
本発明の代替的実施形態では、本発明の安定剤組成物は、少なくとも
(A)成分Aとしての少なくとも1種のUV吸収剤Aであり、成分A2としての式(I.2)による1種またはそれ以上のオキサルアニリド化合物を含む(またはからなる)少なくとも1種のUV吸収剤A;
および
(B)成分Bとしての少なくとも1種のヒンダードアミン系光安定剤であり、少なくとも1種のオリゴマーヒンダードアミン系光安定剤B1を含む(またはからなる)、少なくとも1種のヒンダードアミン系光安定剤
を含む(またはからなる)。
【0033】
本発明のさらなる代替的実施形態では、本発明の安定剤組成物は、少なくとも
(A)成分Aとしての少なくとも1種のUV吸収剤Aであり、
(A1)成分A1としての式(I.1)による1種またはそれ以上の(2-ヒドロキシフェニル)-s-トリアジン化合物;
および
(A2)成分A2としての式(I.2)による1種またはそれ以上のオキサルアニリド化合物
を含む(またはからなる)、少なくとも1種のUV吸収剤A;
および
(B)成分Bとしての少なくとも1種のヒンダードアミン系光安定剤であり、少なくとも1種のオリゴマーヒンダードアミン系光安定剤B1を含む(またはからなる)、少なくとも1種のヒンダードアミン系光安定剤
を含む(またはからなる)。
【0034】
本発明の好ましい実施形態では、安定剤組成物は液体形態である。これは、室温で、好ましくは少なくとも10℃~30℃の範囲で、より好ましくは少なくとも0℃~40℃の範囲で液体であるUV吸収剤Aおよび/またはヒンダードアミン系光安定剤Bを使用することによって達成することができる。
【0035】
代替的実施形態では、安定剤組成物は、安定剤組成物を液体形態で提供するために、少なくとも1種の液体希釈剤Dをさらに含む。液体希釈剤Dは、好適な溶媒、または液体補助剤、または前述のものの組合せなどの好適な液体希釈剤から選択することができる。したがって、本発明の一実施形態では、安定剤組成物は、
(A)少なくとも1種のUV吸収剤A;
(B)少なくとも1種のヒンダードアミン系光安定剤B;および
(D)成分Dとしての少なくとも1種の液体希釈剤、
を含む(またはからなる)。
【0036】
本発明の一実施形態では、安定剤組成物は、
(A)少なくとも1種のUV吸収剤A;
(B)少なくとも1種のヒンダードアミン系光安定剤B;および
(C)成分Cとしての少なくとも1種のフェノール系酸化防止剤、
を含む(またはからなる)。
【0037】
成分Cとして少なくとも1種のフェノール系酸化防止剤を加えると、成分A、B、およびCの安定剤の組合せを含むSMP組成物の熱安定性およびUV安定性がさらに改善されることが見出されている。
【0038】
本発明のさらに好ましい実施形態では、安定剤組成物は、
(A)少なくとも1種のUV吸収剤A;
(B)少なくとも1種のヒンダードアミン系光安定剤B;および
(C)成分Cとしての少なくとも1種のフェノール系酸化防止剤であり、酸化防止剤Cは、式(III)aおよび/または(III)b:
【化9】
[式中、
R
xおよびR
yは、互いに独立して、水素、ハロゲンまたは1~10個の炭素原子を有するアルキル基から選択され;
R
zは、水素、または1~10個の炭素原子を有するアルキル基から選択され;
R
wは、ヒドロキシ基、1~18個の炭素原子を有するアルコキシ基、1~4個のアルキル炭素原子を有するフェニルアルコキシ基、5~8個の炭素原子を有するシクロアルコキシ基、または式(III)c:
【化10】
(ここで、Z
1およびZ
2は、互いに独立して、水素、1~18個の炭素原子を有するアルキル基、フェニル基、および5~8個の炭素原子を有するシクロアルキル基から選択される)
の基から選択され;
Xは、-O-(CH
2)
q-O-;-(OCH
2-CH
2)
q-O-;-O-(CH
2)
q-S-(CH
2)
q-O;-NH-(CH
2)
q-NH-;-NH-NH-(ここで、qは1~12の整数である)、または基
【化11】
から選択され;
pは0、または1~6、好ましくは1~4の整数である]
による1種またはそれ以上のフェノール系化合物から構成される、少なくとも1種のフェノール系酸化防止剤
を含む(またはからなる)。
【0039】
本発明のさらなる実施形態では、安定剤組成物は実質的に液体形態で提供され、成分A、B、および/または場合によりCの少なくとも1つが、液体形態で提供される。
【0040】
代替的実施形態では、安定剤組成物は、安定剤組成物を液体形態で提供するために、少なくとも1種の液体希釈剤Dをさらに含み、安定剤組成物は、
(A)成分Aとしての少なくとも1種のUV吸収剤A;
(B)成分Bとしての少なくとも1種のヒンダードアミン系光安定剤;
(C)成分Cとしての少なくとも1種のフェノール系酸化防止剤;および
(D)成分Dとしての少なくとも1種の液体希釈剤、
を含む(またはからなる)。
【0041】
本発明のさらなる実施形態では、安定剤組成物は、成分Eとして少なくとも1種のさらなる添加剤をさらに含むことができる。したがって、本発明は、
(A)成分Aとしての少なくとも1種のUV吸収剤A;
(B)成分Bとしての少なくとも1種のヒンダードアミン系光安定剤;および
(E)成分Eとしての少なくとも1種のさらなる添加剤、
を含む安定剤組成物にも関する。
【0042】
本発明の一実施形態では、安定剤組成物は、
(A)成分Aとしての少なくとも1種のUV吸収剤A;
(B)成分Bとしての少なくとも1種のヒンダードアミン系光安定剤;
(C)成分Cとしての少なくとも1種のフェノール系酸化防止剤;および
(E)成分Eとしての少なくとも1種のさらなる添加剤、
を含む(またはからなる)。
【0043】
本発明のさらなる実施形態では、安定剤組成物は、
(A)成分Aとしての少なくとも1種のUV吸収剤A;
(B)成分Bとしての少なくとも1種のヒンダードアミン系光安定剤;
(C)成分Cとしての少なくとも1種のフェノール系酸化防止剤;および
(E)成分Eとしての少なくとも1種のさらなる添加剤、
を含み(またはからなり)、実質的に液体形態で提供され、
成分A、B、C、および/またはEの少なくとも1つが、液体形態で提供される。
【0044】
本発明のさらなる代替的実施形態では、安定剤組成物は、
(A)成分Aとしての少なくとも1種のUV吸収剤A;
(B)成分Bとしての少なくとも1種のヒンダードアミン系光安定剤;
(C)成分Cとしての少なくとも1種のフェノール系酸化防止剤;
(D)成分Dとしての少なくとも1種の液体希釈剤;および
(E)成分Eとしての少なくとも1種のさらなる添加剤、
を含み(またはからなり)、実質的に液体形態で提供され、
少なくとも成分D、ならびに場合により成分A、B、C、および/またはEのうちの少なくとも1つが、液体形態で提供される。
【0045】
本発明の一実施形態では、安定剤組成物は、
(A)成分Aとしての少なくとも1種のUV吸収剤A;
(B)成分Bとしての少なくとも1種のヒンダードアミン系光安定剤;
(C)場合により、成分Cとしての少なくとも1種のフェノール系酸化防止剤;
(D)場合により、成分Dとしての少なくとも1種の液体希釈剤;および
(E)場合により、成分Eとしての少なくとも1種のさらなる添加剤、
を含む(またはからなる)。
【0046】
好ましい実施形態では、安定剤組成物は、
(A)安定剤組成物全体に基づいて、20~60重量%、好ましくは25~50重量%、より好ましくは30~45重量%の少なくとも1種のUV吸収剤A;および
(B)安定剤組成物全体に基づいて、40~80重量%、好ましくは50~75重量%、より好ましくは55~70重量%の少なくとも1種のヒンダードアミン系光安定剤B;
を含み(またはからなり)、
ここで、成分AおよびBの量は合計して安定剤組成物の100重量%となる。
【0047】
代替的な好ましい実施形態では、安定剤組成物は、
(A)安定剤組成物全体に基づいて、15~49重量%、好ましくは20~44重量%、より好ましくは25~39重量%の少なくとも1種のUV吸収剤A;
(B)安定剤組成物全体に基づいて、20~69重量%、好ましくは30~64重量%、より好ましくは40~59重量%の少なくとも1種のヒンダードアミン系光安定剤B;
(C)安定剤組成物全体に基づいて、1~50重量%、好ましくは1~30重量%、より好ましくは1~20重量%の少なくとも1種のフェノール系酸化防止剤C;
を含み(またはからなり)、
ここで、成分A、BおよびCの量は合計して安定剤組成物の100重量%となる。
【0048】
代替的な好ましい実施形態では、安定剤組成物は、
(A)安定剤組成物全体に基づいて、5~49重量%、好ましくは8~39重量%、より好ましくは10~29重量%の少なくとも1種のUV吸収剤A;
(B)安定剤組成物全体に基づいて、10~59重量%、好ましくは12~49重量%、より好ましくは15~39重量%の少なくとも1種のヒンダードアミン系光安定剤B;
(C)安定剤組成物全体に基づいて、1~50重量%、好ましくは1~20重量%、より好ましくは1~15重量%の少なくとも1種のフェノール系酸化防止剤C;
(D)安定剤組成物全体に基づいて、30~79重量%、好ましくは35~69重量%、より好ましくは40~64重量%の少なくとも1種の液体希釈剤D;および
(E)安定剤組成物全体に基づいて、0~50重量%、好ましくは0~20重量%、より好ましくは0~10重量%の少なくとも1種のさらなる添加剤E;
を含み(またはからなり)、
ここで、成分A、B、C、D、およびEの量は合計して安定剤組成物の100重量%となる。
【0049】
任意の成分Eが存在する場合、成分Aの量は、量の合計が100重量%であるかまたは超えないように適合させることができる。
【0050】
好ましくは、UV吸収剤Aおよびヒンダードアミン系光安定剤Bは、本発明の安定剤組成物中に、10:1~1:10、好ましくは5:1~1:5、より好ましくは2:1~1:2、特に1:1~1:2の範囲のA:Bの重量比で存在する。
【0051】
好ましくは、UV吸収剤Aおよび酸化防止剤C-酸化防止剤Cが存在する場合-は、本発明の安定剤組成物中に、10:1~1:5、好ましくは8:1~1:1、より好ましくは5:1~1.5:1の範囲のA:Cの重量比で存在する。
【0052】
好ましい実施形態では、本発明の安定剤組成物は、
(A)安定剤組成物全体に基づいて、8~39重量%、好ましくは10~29重量%、より好ましくは10~20重量%の少なくとも1種のUV吸収剤A;
(B)安定剤組成物全体に基づいて、12~49重量%、好ましくは15~39重量%、より好ましくは20~35重量%の少なくとも1種のヒンダードアミン系光安定剤B;
(C)安定剤組成物全体に基づいて、1~20重量%、好ましくは1~15重量%、より好ましくは2~10重量%の少なくとも1種のフェノール系酸化防止剤C;および
(D)安定剤組成物全体に基づいて、35~69重量%、好ましくは40~64重量%、より好ましくは40~55重量%の少なくとも1種の液体希釈剤D;
を含み(または、好ましくはこれらからなり)、
ここで、成分A、B、C、およびDの量は合計して安定剤組成物の100重量%となる。
【0053】
別の好ましい実施形態では、本発明の安定剤組成物は、
(A)安定剤組成物全体に基づいて、10~29重量%、より好ましくは12~25重量%、より好ましくは13~20重量%の少なくとも1種のUV吸収剤A;
(B)安定剤組成物全体に基づいて、15~39重量%、より好ましくは20~35重量%、より好ましくは22~33重量%の少なくとも1種のヒンダードアミン系光安定剤B;
(C)安定剤組成物全体に基づいて、1~15重量%、好ましくは2~10重量%、より好ましくは3~9重量%の少なくとも1種のフェノール系酸化防止剤C;
(D)安定剤組成物全体に基づいて、40~64重量%、好ましくは40~55重量%、より好ましくは43~53重量%の、好ましくは少なくとも1種の液体水分捕捉剤および/または少なくとも1種の溶媒を含む、少なくとも1種の液体希釈剤D、
を含み(または、好ましくはこれらからなり)、:
ここで、成分A、B、C、D、およびEの量は合計して安定剤組成物の100重量%となる。
【0054】
別の好ましい実施形態では、本発明の安定剤組成物は、
(A)安定剤組成物全体に基づいて、10~29重量%の少なくとも1種のUV吸収剤A;
(B)安定剤組成物全体に基づいて、15~39重量%の少なくとも1種のヒンダードアミン系光安定剤B;
(C)安定剤組成物全体に基づいて、1~15重量%の少なくとも1種のフェノール系酸化防止剤C;
(D)安定剤組成物全体に基づいて、40~64重量%の少なくとも1種の液体希釈剤D;
(E)安定剤組成物全体に基づいて、0.01~20重量%の少なくとも1種のさらなる添加剤E、
を含み(または、好ましくはこれらからなり)、:
ここで、成分A、B、C、D、およびEの量は合計して安定剤組成物の100重量%となる。
【0055】
UV吸収剤(成分A)
本発明の安定剤組成物は、成分AとしてUV吸収剤を含み、UV吸収剤は、オキサルアニリド(N,N’ジフェニルシュウ酸ジアミド、CAS番号620-81-5)もしくはその誘導体である1種もしくはそれ以上のオキサルアニリド化合物、および/または1種もしくはそれ以上の(2-ヒドロキシフェニル)-s-トリアジン化合物から選択される。好ましくは、UV吸収剤成分Aは、ヒドロキシ置換オキサルアニリド化合物を含まない。
【0056】
驚くべきことに、従来の安定剤組成物、特にベンゾトリアゾール型UV吸収剤を含む安定剤組成物とは対照的に、UV吸収剤Aとオリゴマーヒンダードアミン系光安定剤B1との組合せによって、特に色の観点から、安定剤の組合せの改善がもたらされることが見出された。
【0057】
好ましくは、UV吸収剤Aは、安定剤組成物中の成分AおよびBの総量に基づいて、20~60重量%、好ましくは25~50重量%、より好ましくは30~45重量%の量で存在する。好ましい実施形態では、UV吸収剤Aは、安定剤組成物中の成分A、B、C、D、およびEの総量に基づいて、5~49重量%、好ましくは8~39重量%、より好ましくは10~29重量%、また好ましくは12~25重量%、特に13~20重量%の量で存在する。
【0058】
成分A1
一実施形態では、UV吸収剤Aは、式(I.1):
【化12】
による1種もしくはそれ以上の(2-ヒドロキシフェニル)-s-トリアジン化合物A1を含むか、またはそれらから構成される。
(式中、
R
a、R
b、R
c、R
d、R
eおよびR
fは、互いに独立して、水素、1~20個の炭素原子を有するアルキル基、1~20個の炭素原子および1~4個の酸素原子を有するアルコキシ基から選択される)
【0059】
置換基Ra、Rb、Rc、および/またはRdは、好ましくは各環上のメタ位にある。好ましくは、各環上の少なくとも1つの置換基Ra、Rb、Rc、および/またはRdは、水素ではない。より好ましくは、Ra、Rb、Rc、およびRdは、各環のメタ位にあり、水素ではない、すなわち、Ra、Rb、Rc、およびRdは、1~20個の炭素原子を有するアルキル基、1~20個の炭素原子および1~4個の酸素原子を有するアルコキシ基から選択される。
【0060】
好ましい実施形態では、置換基Ra、Rb、Rc、およびRdは、1~20個、好ましくは1~12個、より好ましくは1~4個の炭素原子を有するアルキル基を表す。より好ましくは、置換基Ra、Rb、Rc、およびRdは、メチル、エチルまたはプロピルから選択され、より好ましくはメチルであり、各環上のメタ位に存在する。
【0061】
置換基Reおよび/またはRfは、好ましくはオルト位および/またはパラ位にある。好ましくは、環上の1つの置換基ReまたはRfは、水素である。好ましくは、環上の1つの置換基ReまたはRfは、水素であり、水素ではない置換基ReまたはRfは、環上のパラ位にある。
【0062】
好ましい実施形態では、環上の1つの置換基R
eまたはR
fは水素であり、環上の1つの置換基R
eまたはR
fはパラ位にあり、1~20個、好ましくは5~18個、より好ましくは10~17個の炭素原子および1~4個、好ましくは2~4個の酸素原子を有するアルコキシ基を表す。より好ましくは、環上の1つの置換基R
eまたはR
fは水素であり、他の環上のパラ位の1つの置換基R
eまたはR
fはC
10~C
17アルコキシ基であり、より好ましくは以下の式(I.1)-a:
【化13】
の置換基である。
【0063】
さらに好ましい実施形態では、UV吸収剤Aは、式(I.1’):
【化14】
による1種もしくはそれ以上の(2-ヒドロキシフェニル)-s-トリアジン化合物A1を含むか、またはそれらからなる。
(式中、
R
a、R
b、R
c、およびR
dは、上記のように定義され、
R
gは、7~15個の炭素原子を有するアルキル基から選択される)
【0064】
好ましいUV吸収剤Aは、以下の式(I.1)-1および(I.1)-2:
【化15】
の化合物から選択される1種もしくはそれ以上の(2-ヒドロキシフェニル)-s-トリアジン化合物A1を含むか、またはそれらからなる。
【0065】
本発明の好ましい実施形態では、好ましいUV吸収剤Aは、上記式(I.1)-1および(I.1)-2の化合物から選択される(2-ヒドロキシフェニル)-s-トリアジン化合物A1の混合物を含むか、またはそれからなる。好ましくは、UV吸収剤Aは、約1:5~5:1、より好ましくは1:2~2:1、特に1:1.2~1.2:1の化合物(I.1)-1対化合物(I.1)-2の比で、化合物(I.1)-1および(I.1)-2から選択される(2-ヒドロキシフェニル)-s-トリアジン化合物の混合物を含む。
【0066】
成分A2
代替的実施形態では、安定剤組成物は、式(I.2):
【化16】
による1種もしくはそれ以上のオキサルアニリド化合物A2を含むか、またはそれらからなる、UV吸収剤Aを含む。
(式中、
R
aおよびR
bは、互いに独立して、水素、1~20個、好ましくは2~12個の炭素原子を有するアルキル基、1~20個、好ましくは2~12個の炭素原子および1~4個、好ましくは1~2個の酸素原子(すなわち、アルコキシ酸素原子)を有するアルコキシ基から選択される)
【0067】
置換基Raおよび/またはRbは、好ましくはオルト位および/またはパラ位にある。好ましくは、各環上の1つの置換基RaまたはRbは水素である。好ましくは、各環上の1つの置換基RaまたはRbは水素あり、水素ではない置換基RaまたはRbは、各環上でオルト位にある。
【0068】
好ましい実施形態では、一方の環上の1つの置換基RaまたはRbは、1~20個、好ましくは2~12個、より好ましくは2~4個の炭素原子を有するアルキル基であり、他方の環上の1つの置換基RaまたはRbは、1~20個、好ましくは2~12個の炭素原子および1~4個、好ましくは1~2個の酸素原子を有するアルコキシ基である。より好ましくは、一方の環上の1つの置換基RaまたはRbはメチル、エチルまたはプロピル、より好ましくはエチルであり、他方の環上の1つの置換基RaまたはRbはC2~C4アルコキシ基、より好ましくは-OCH2CH3である。
【0069】
好ましいUV吸収剤Aは、以下の式(I.2)-1~(I.2)-7:
【化17】
の化合物から選択される1種もしくはそれ以上のオキサルアニリド化合物A2を含むか、またはそれらからなる。
【0070】
好ましい実施形態では、UV吸収剤Aは、上述のオキサルアニリド化合物のうちの1種から構成される。
【0071】
好ましくは、UV吸収剤Aは、上述の式(I.2)-1(N-(2-エトキシフェニル)-N’-(2-エチルフェニル)-エチレンジアミド;2-エチル-2’-エトキシ-オキサルアニリド、CAS-No.23949-66-8)によるオキサルアニリド化合物A2を含む(またはそれらからなる)。
【0072】
UV吸収剤成分Aの構成要素として好適な好ましいオキサルアニリド化合物は、US5,969,014および/またはUS6,916,867に記載されている。
【0073】
さらに好ましい一実施形態では、UV吸収剤Aは、上で定義した式(I.1)による1種もしくはそれ以上の(2-ヒドロキシフェニル)-s-トリアジン化合物A1、上で定義した式(I.1)による1種もしくはそれ以上のオキサルアニリド化合物A2、または上で定義した式(I.2)による1種もしくはそれ以上の(2-ヒドロキシフェニル)-s-トリアジン化合物A1と、上で定義した式(I.2)による1種もしくはそれ以上のオキサルアニリド化合物A2を含む混合物から構成される。好ましくは、その混合物における式(I.1)の化合物対式(I.2)の化合物の比は、約1:5~5:1、より好ましくは1:2~2:1の範囲であり得る。
【0074】
さらに好ましい一実施形態では、UV吸収剤Aは、上で定義した式(I.1)による1種もしくはそれ以上の(2-ヒドロキシフェニル)-s-トリアジン化合物A1を、場合により、上で定義した式(I.2)による1種もしくはそれ以上のオキサルアニリド化合物A2を含む混合物中の、上で定義した式(I.1)による1種もしくはそれ以上の(2-ヒドロキシフェニル)-s-トリアジン化合物A1を含む。好ましくは、UV吸収剤Aは、全UV吸収剤Aに基づいて、少なくとも30重量%、より好ましくは少なくとも40重量%、特に少なくとも50重量%の、上で定義した式(I.1)による1種もしくはそれ以上の(2-ヒドロキシフェニル)-s-トリアジン化合物A1、および場合により、全UV吸収剤Aに基づいて、最大70重量%、より好ましくは最大60重量%、特に最大50重量%の、上で定義した式(I.2)による1種もしくはそれ以上のオキサルアニリド化合物A2を含む。上記で定義した(2-ヒドロキシフェニル)-s-トリアジンUV吸収剤A1、場合によりUV吸収剤Aとして上記で定義したオキサルアニリドUV吸収剤A2、およびオリゴマーヒンダードアミン系光安定剤(HALS)B1、場合によりフェノール系酸化防止剤Cおよび場合により液体希釈剤Dの組合せであって、(2-ヒドロキシフェニル)-s-トリアジンUV吸収剤A1は、UV吸収剤Aの総量の少なくとも50重量%を占める、組合せを含む安定剤組成物を含むシリル変性ポリマーの場合、シリル変性ポリマー(SMP)のUV安定性(耐クラック性)に関して相乗効果が得られるということが見出された。
【0075】
好ましくは、UV吸収剤Aは、実質的に液体の形態で使用する。UV吸収剤Aは、それ自体が液体であってもよく、または液体希釈剤D、好ましくは少なくとも1種の不活性有機溶媒と組み合わせて使用してもよい。好適な溶媒は、当技術分野で一般に使用される不活性極性または不活性無極性有機溶媒から選択される。少なくとも1種の不活性有機溶媒は、本発明による液体希釈剤Dを構成する。本発明の目的において、不活性溶媒は、室温で、好ましくは少なくとも10℃~30℃の範囲で、より好ましくは少なくとも0℃~40℃の範囲で、成分A、B、C、D、および/またはEのいずれかに対して化学的に不活性である溶媒、すなわち、室温で、好ましくは少なくとも10℃~30℃の範囲で、より好ましくは少なくとも0℃~40℃の範囲で、成分A、B、C、D、および/またはEのいずれとも化学反応しない溶媒である。
【0076】
一実施形態では、UV吸収剤Aは、少なくとも1種の不活性溶媒、特に少なくとも1種の不活性極性有機溶媒と組み合わせて適用する。好適な極性溶媒には、エーテル、グリコールエーテル、特にメトキシプロパノールが含まれる。少なくとも1種の不活性極性有機溶媒は、本発明による液体希釈剤Dを構成する。
【0077】
代替的実施形態では、UV吸収剤Aは、少なくとも1種の不活性非極性有機溶媒、好ましくは、例えば、石油エーテル、ヘキサン、ヘプタン、石油留分、トルエン、シクロヘキサン、メシチレンまたはキシレンなどの脂肪族または芳香族炭化水素と組み合わせて適用する。少なくとも1種の不活性非極性有機溶媒は、本発明による液体希釈剤Dを構成する。
【0078】
好適なUV吸収剤Aは、Hostavin(登録商標)3206LIQおよびHostavin(登録商標)3400LIQとしてClariantから市販されている。
【0079】
ヒンダードアミン系光安定剤(成分B)
驚くべきことに、UV吸収剤Aとオリゴマーヒンダードアミン系光安定剤B1との組合せにより、特に熱安定性、耐UV性/耐候性および色の観点から固有の特性プロファイルを有する安定剤の組合せが得られることが見出された。
【0080】
したがって、本発明の安定剤組成物は、成分Bとして少なくともヒンダードアミン系光安定剤(HALS)を含み、本明細書で上に定義した式(II)-1による少なくとも1種のオリゴマーヒンダードアミン系光安定剤B1を含む。
【0081】
好ましくは、ヒンダードアミン系光安定剤は、式(II):
【化18】
によるテトラメチルピペリジニル基を含む1種またはそれ以上の化合物から構成される。
(式中、Rは、水素、1~20個、好ましくは2~12個の炭素原子を有するアルキル基、1~20個、好ましくは2~12個の炭素原子および1~4個、好ましくは1~2個の酸素原子(すなわち、アルコキシ酸素原子)を有するアルコキシ基から選択される)
【0082】
好ましくは、成分Bとして使用されるヒンダードアミン系光安定剤(HALS)は、化学物質の分類、表示および包装(Classification, Labeling and Packaging of Chemical Substances、CLP)に関する現在のEU規則により危険有害性として分類する必要がない。
【0083】
好ましくは、ヒンダードアミン系光安定剤Bは、安定剤組成物中の成分AおよびBの総量に基づいて、40~80重量%、好ましくは50~75重量%、より好ましくは55~70重量%の量で存在する。好ましい実施形態では、ヒンダードアミン系光安定剤Bは、安定剤組成物中の成分A、B、C、D、およびEの総量に基づいて、10~59重量%、好ましくは12~49重量%、より好ましくは15~39重量%、また好ましくは20~35重量%、特に22~33重量%の量で存在する。
【0084】
好ましくは、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)成分Bは、少なくとも1種のオリゴマーヒンダードアミン系光安定剤B1を、最大100重量%、より好ましくは最大95重量%含む。オリゴマーヒンダードアミン系光安定剤B1の他に、成分Bは、さらなるヒンダードアミン系光安定剤を含んでもよい。
【0085】
好適なヒンダードアミン系光安定剤の例は、2-ドデシル-N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)スクシンイミド(CAS番号79720-19-7);ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)セバケート(CAS番号52829-07-9);ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)セバケート(CAS番号41556-26-7);ビス(1-オクチルオキシ-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)セバケート(CAS番号129757-67-1);2,2,4,4-テトラメチル-7-オキサ-3,20-ジアザジスピロ-20-(2,3-エポキシプロピル)ジスピロ-(5.1.11.2)-ヘンエイコサン-21-オン(CAS番号64338-16-5)およびそれらの混合物である。
【0086】
好適なオリゴマーヒンダードアミン系光安定剤B1の例としては、2,2,4,4-テトラメチル-7-オキサ-3,20-ジアザジスピロ-20-(2,3-エポキシプロピル)ジスピロ-(5.1.11.2)-ヘンエイコサン-21-オンおよびエピクロロヒドリン(Clariant製Hostavin(登録商標)N30)の反応生成物が挙げられる。
【0087】
ヒンダードアミン系光安定剤Bは、本明細書において上で定義した式(II)-1による少なくとも1種のオリゴマーヒンダードアミン系光安定剤B1を含む。本発明の目的において、オリゴマーヒンダードアミン系光安定剤B1は、少なくとも2つの繰り返し単位、好ましくは≧3の繰り返し単位から構成される。好ましくは、オリゴマーヒンダードアミン系光安定剤B1は、≦300繰り返し単位、より好ましくは≦202繰り返し単位、さらにより好ましくは≦22繰り返し単位、および特に≦12繰り返し単位から構成される。
【0088】
より好ましくは、ヒンダードアミン系光安定剤Bは、下記に定義される式(II)-1および(II)-2、ならびに場合により(II)-3によるオキサジアザ-スピロデカン化合物の混合物から構成される。
【0089】
好ましい実施形態では、ヒンダードアミン系光安定剤Bは、成分Bに基づいて、65~95重量%、好ましくは75~94重量%、より好ましくは85~95重量%の式(II)-1の少なくとも1種の化合物、成分Bに基づいて、5~35重量%、好ましくは5~20重量%、より好ましくは5~12重量%の式(II)-2の少なくとも1種の化合物、および成分Bに基づいて、0~10重量%、好ましくは1~5重量%、より好ましくは1~3重量%の式(II)-3の少なくとも1種の化合物:
【化19】
から構成される。
(nおよびmは、互いに独立して0~100、好ましくは0~10、より好ましくは0~5の数であるが、ただし、nおよびmが両方とも0であることはなく;
R
1は、水素、5~7個の炭素原子を有するシクロアルキル基、または1~12個の炭素原子を有するアルキル基であり;
R
2およびR
3は、互いに独立して、水素、1~18個の炭素原子を有するアルキル基から選択されるか、またはそれらを接続する炭素原子と一緒になって5~13員のシクロアルキル環であるか、またはそれらを接続する炭素原子と一緒になって式(II)-4の基
【化20】
[ここで、R
1は上で定義したとおりである]であり;
R
4およびR
5は、互いに独立して、水素、1~22個の炭素原子を有するアルキル基、酸素ラジカルO
*、-OH、-NO、-CH
2CN、ベンジル、アリル、1~30個の炭素原子を有するアルキルオキシ基、5~12個の炭素原子を有するシクロアルキルオキシ基、アリールラジカルがさらに置換されていてもよい6~10個の炭素原子を有するアリールオキシ基、アリールラジカルがさらに置換されていてもよい7~20個の炭素原子を有するアリールアルキルオキシ基、3~10個の炭素原子を有するアルケニル基、3~6個の炭素原子を有するアルキニル基、1~10個の炭素原子を有するアシル基、ハロゲン、非置換フェニルまたはC
1~C
4アルキル置換フェニルから選択される)
【0090】
好ましくは、本発明の安定剤組成物は、上に示したように、成分Bに基づいて、65~95重量%、好ましくは75~94重量%、より好ましくは85~95重量%の式(II)-1の少なくとも1種の化合物、成分Bに基づいて、5~35重量%、好ましくは5~20重量%、より好ましくは5~12重量%の式(II)-2の少なくとも1種の化合物、および成分Bに基づいて、0~10重量%、好ましくは1~5重量%、より好ましくは1~3重量%の式(II)-3の少なくとも1種の化合物から構成されるヒンダードアミン系光安定剤B、を含む。
(式中、
nおよびmは、互いに独立して0~100、好ましくは0~10、より好ましくは0~5の数であるが、ただし、nおよびmが両方とも0であることはなく;
R1は、水素、5~7、好ましくは6個の炭素原子を有するシクロアルキル基、または1~12、好ましくは1~6個の炭素原子を有するアルキル基であり;
R2およびR3は、互いに独立して、水素、1~18個の炭素原子を有するアルキル基から選択されるか、またはそれらを接続する炭素原子と一緒になって5~13員のシクロアルキル環であるか、またはそれらを接続する炭素原子と一緒になって、上で定義した式(II)-4の基であり;
R4およびR5は、互いに独立して、水素、1~22個の炭素原子を有するアルキル基、酸素ラジカルO*、-OH、-NO、-CH2CN、ベンジル、アリル、1~30個の炭素原子を有するアルキルオキシ基、5~12個の炭素原子を有するシクロアルキルオキシ基、アリールラジカルがさらに置換されていてもよい6~10個の炭素原子を有するアリールオキシ基、アリールラジカルがさらに置換されていてもよい7~20個の炭素原子を有するアリールアルキルオキシ基、3~10個の炭素原子を有するアルケニル基、3~6個の炭素原子を有するアルキニル基、1~10個の炭素原子を有するアシル基、ハロゲン、非置換フェニルまたはC1~C4アルキル置換フェニルから選択される)
【0091】
式(II)-1、(II)-2、および場合により(II)-3による化合物の混合物である安定剤成分Bの好ましい実施形態は、例えばUS6,174,940および/またはUS2005/0228086に記載されている。式(II)-1~(II)-4の置換基R1~R5ならびに添字nおよびmは、US6,174,940に定義されている対応する置換基および添字を指す。
【0092】
好ましくは、HALS成分Bは、式(II)-1および(II)-2、ならびに場合により(II)-3による化合物から構成され、式中、置換基R1~R5は同じ定義を有する。
【0093】
好ましくは、HALS成分Bは、式(II)-1および(II)-2、ならびに場合により(II)-3による化合物から構成される。
(式中、
nおよびmは、互いに独立して0~10、より好ましくは0~5の数であるが、ただし、nおよびmが両方とも0であることはなく;
R1は、水素、6個の炭素原子を有するシクロアルキル基、または1~4個の炭素原子を有するアルキル基であり;
R2およびR3は、互いに独立して、水素、1~6個の炭素原子を有するアルキル基から選択されるか、またはそれらを接続する炭素原子と一緒になって6~12員のシクロアルキル環であるか、またはそれらを接続する炭素原子と一緒になって式(II)-4の基であり;
R4およびR5は、互いに独立して、水素、1~5個の炭素原子を有するアルキル基、酸素ラジカルO*、-OH、-NO、-CH2CN、ベンジル、アリル、1~10個の炭素原子を有するアルキルオキシ基、5~6個の炭素原子を有するシクロアルキルオキシ基、アリールラジカルがさらに置換されていてもよい6~7個の炭素原子を有するアリールオキシ基、アリールラジカルがさらに置換されていてもよい7~10個の炭素原子を有するアリールアルキルオキシ基、3~6個の炭素原子を有するアルケニル基、3~6個の炭素原子を有するアルキニル基、1~4個の炭素原子を有するアシル基、ハロゲン、非置換フェニルまたはC1~C2アルキル置換フェニルから選択される)
【0094】
より好ましくは、HALS成分Bは、式(II)-1および(II)-2、ならびに場合により(II)-3による化合物から構成される。
(式中、
nおよびmは、互いに独立して0~5の数であるが、ただし、nおよびmが両方とも0であることはなく;
R1は、1~4個の炭素原子を有するアルキル基、より好ましくはメチルであり;
R2およびR3は、それらを接続する炭素原子と一緒になって6~12員のシクロアルキル環、好ましくは12員シクロアルキル環であるか、またはそれらを接続する炭素原子と一緒になって式(II)-4の基であり;
R4およびR5は、互いに独立して、水素、1~4個の炭素原子を有するアルキル基、1~6個の炭素原子を有するアルキルオキシ基、5~6個の炭素原子を有するシクロアルキルオキシ基、および1~4個の炭素原子を有するアシル基から選択される)
【0095】
好ましくは、式(II)-1~(II)-4における置換基R1は、互いに独立して、水素または炭素原子1~4個を有するアルキル基であり、より好ましくは、全ての置換基R1がメチルである。
【0096】
好ましくは、式(II)-1~(II)-3中の置換基R2およびR3は、それらを接続する炭素原子と一緒になって、12員シクロアルキル環である。
【0097】
好ましくは、式(II)-1~(II)-4における置換基R4およびR5は、互いに独立して、水素、メチル、アセチル、オクチルオキシまたはシクロヘキシルオキシから選択される。
【0098】
好ましい実施形態では、HALS成分Bは、式(II)-1および(II)-2、ならびに場合により(II)-3による化合物から構成される。
(式中、
nおよびmは、互いに独立して0~10、より好ましくは0~5の数であるが、ただし、nおよびmが両方とも0であることはなく;
R1は、メチルであり;
R2およびR3は、それらを接続する炭素原子と一緒になって12員のシクロアルキル環であり;
R4は、水素である)
【0099】
より好ましい実施形態では、ヒンダードアミン系光安定剤Bは、成分Bに基づいて、85~95重量%の式(II)-1の少なくとも1種の化合物、成分Bに基づいて、5~12重量%の式(II)-2の少なくとも1種の化合物、および成分Bに基づいて、1~3重量%の式(II)-3の少なくとも1種の化合物から構成される。
(式中、
nおよびmは、互いに独立して0~10、より好ましくは0~5の数であるが、ただし、nおよびmが両方とも0であることはなく;
R1は、メチルであり;
R2およびR3は、それらを接続する炭素原子と一緒になって12員のシクロアルキル環であり;
R4は、水素である)
【0100】
典型的には、オリゴマーHALS成分B1は、540g/molを超える、好ましくは1,000g/molを超える、特に1,500g/molを超える(重量平均)分子量を有する。好ましくは、オリゴマーHALS成分B1の(重量平均)分子量は、≦20.000g/mol、好ましくは≦18.000g/mol、より好ましくは≦17.000g/molである。オリゴマーHALS成分B1の(重量平均)分子量を、溶媒としてテトラヒドロフランとジエタノールアミンの混合物を使用し、標準として分子量17.670g/molのポリスチレンを使用するゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定する。
【0101】
安定剤成分Bは、上で定義した式(II)-1および(II)-2、ならびに場合により(II)-3によるオキサジアザ-スピロデカン化合物の混合物であり、好ましくは、ポリアルキル-1-オキサジアザスピロデカンをエピハロゲノヒドリン、特にエピクロロヒドリンと反応させることによって得られる。好適な安定剤Bの製造は、例えばUS4,340,534および/またUS2005/228086に記載されている。
【0102】
特に、(II)-1、(II)-2および(II)-3によるオキサジアザ-スピロデカン化合物の混合物は、一般式(II)-5:
【化21】
(式中、ラジカルR
1、R
2、R
3およびR
4基は、上で定義したとおりであり、R
6は主族(V)、(VI)または(VII)元素のプロトン酸のアニオン、特に塩化物アニオンである)
の化合物を、
【0103】
式(II)-6:
【化22】
(式中、Halはハロゲンであり、塩素、臭素またはヨウ素原子、好ましくは塩素を意味すると理解される)
のエピハロゲノヒドリンと反応させることによって得られる。
【0104】
典型的には、第1の工程で式(II)-3の化合物が構築され、その後の反応混合物の加熱により、式(II)-1および(II)-2の化合物が形成される。好ましくは、化合物(II)-5および(II)-6は、1:1~1:2.9、好ましくは1:1~1:2.7、特に1:2~1:2.5のモル比で反応する。特に、反応は、不活性有機溶媒中、式(II)-5の化合物に対して4~20倍モル量のアルカリ金属水酸化物の存在下で起こる。典型的には、反応温度は20~220℃、好ましくは40~120℃、特に60~90℃の範囲にある。
【0105】
好ましい不活性有機溶媒は、例えば、石油エーテル、ヘキサン、ヘプタン、石油留分、トルエン、シクロヘキサン、メシチレンもしくはキシレンなどの脂肪族または芳香族炭化水素である。芳香族炭化水素、特にキシレンが特に好ましい。不活性有機溶媒は、化合物(II)-5に対して、好ましくは2:1~1:5、より好ましくは2:1~1:3、特に2:1~1:2の重量比で使用する。
【0106】
典型的には、反応には相間移動触媒を使用する。例えば、使用される相間移動触媒は、式(II)-5の化合物の量に対して、1.5~10重量%、好ましくは3~7重量%、特に4~6重量%の量的割合の、ポリエチレングリコール、好ましくは平均オリゴマー化度を有するポリエチレングリコール、および特にポリエチレングリコール200である。例えば、使用される相間移動触媒は、特に化合物(II)-5に対して0.1~5重量%の量的割合で、トリカプリルメチルアンモニウムクロリドなどのハロゲン化第四級アンモニウムであり得る。
【0107】
化合物(II)-5および(II)-6の反応は、一般に、30~60分後に終了する。反応後、過剰のエピハロヒドリンを、好ましくは蒸留によって反応混合物から除去する。有機相と水相を分離する;有機相を水で洗浄し、不活性有機溶媒を、好ましくは蒸留により除去する。得られた混合物を、さらなる精製工程を行わずに、100~240℃、好ましくは120~220℃、特に、150~200℃で、好ましくは減圧下で加熱することによって、式(II)-1、(II)-2および(II)-3の所望の混合物に変換することができる。
【0108】
式(II)-5の化合物の使用量、エピハロヒドリン(II)-6の量、使用されるアルカリ金属水酸化物の量、および使用される相間移動触媒の量を変えることにより、成分(II)-1、(II)-2および(II)-3の混合物の組成を調整することが可能である。成分(II)-1、(II)-2および(II)-3の混合物の組成は、従来の分光法(IRおよび13C-NMR分光法)によって示すことができる。
【0109】
特に好ましい実施形態では、HALS成分Bは、2,2,4,4-テトラメチル-7-オキサ-3,20-ジアザジスピロ-20-(2,3-エポキシプロピル)ジスピロ-(5.1.11.2)-ヘンエイコサン-21-オンおよびエピクロロヒドリンの反応生成物を含む(または好ましくはそれからなる)。前記反応生成物は、典型的には上記のように得られる。好ましくは、前記反応生成物は、相間移動触媒を使用した有機溶媒中で、2,2,4,4-テトラメチル-7-オキサ-3,20-ジアザジスピロ-20-(2,3-エポキシプロピル)ジスピロ-(5.1.11.2)-ヘンエイコサン-21-オンのモル量に対して4~20倍のモル量のアルカリ金属水酸化物の存在下で、モル比1:2~1:2.5で、2,2,4,4-テトラメチル-7-オキサ-3,20-ジアザジスピロ-20-(2,3-エポキシプロピル)ジスピロ-(5.1.11.2)-ヘンエイコサン-21-オンとエピクロロヒドリンとを反応させることによって得られる。
【0110】
本発明の一実施形態では、HALS成分Bは、安定剤組成物の一般的な有機溶媒および/または液体の構成要素中で良好な溶解度を示す。より好ましくは、HALS成分Bは、本明細書に開示される少なくとも1種の液体希釈剤D、特に液体可塑剤D1、液体接着促進剤D2、液体触媒D3、液体水分捕捉剤D4、および液体溶媒D5から選択される液体希釈剤Dにおいて良好な溶解度を示す。
【0111】
オリゴマーHALS成分Bの溶解度が安定剤組成物の性能に有益であることが見出された。均質性が良好なオリゴマーHALS成分Bを含むSMPシーラントおよび接着剤は、低温、例えば室温でも容易に得ることが可能である。
【0112】
フェノール系酸化防止剤(成分C)
驚くべきことに、UV吸収剤Aおよびヒンダードアミン系光安定剤Bと組み合わせてフェノール系酸化防止剤を加えると、特に熱安定性、耐UV性/耐候性および色の観点から、安定剤の組合せがさらに相乗的に改善されることが見出された。
【0113】
好ましくは、酸化防止剤Cは、成分A、BおよびCを含む安定剤組成物全体に基づいて、1~50重量%、好ましくは1~30重量%、より好ましくは1~25重量%、また好ましくは2~17重量%、特に5~16重量%の量で存在する。任意の成分DおよびEが安定剤組成物中に存在する場合、酸化防止剤Cは、成分A、B、C、DおよびEを含む安定剤組成物全体に基づいて、1~50重量%、好ましくは1~20重量%、より好ましくは1~15重量%、また好ましくは2~10重量%、特に3~9重量%の量で、好ましくは存在する。
【0114】
本発明の安定剤組成物は、成分Cとして酸化防止剤を含み、この酸化防止剤は、上記の式(III)aおよび/または(III)b
[式中、
R
xおよびR
yは、互いに独立して、水素、ハロゲンまたは1~10、好ましくは1~6、より好ましくは1~4個の炭素原子を有するアルキル基から選択され;
R
zは、水素、または1~10、好ましくは1~6、より好ましくは1~4個の炭素原子を有するアルキル基から選択され;
R
wは、ヒドロキシ基、1~18個の炭素原子を有するアルコキシ基、1~4個のアルキル炭素原子を有するフェニルアルコキシ基、5~8個の炭素原子を有するシクロアルコキシ基、または式(III)c:
【化23】
(ここで、Z
1およびZ
2は、互いに独立して、水素、1~18、好ましくは1~10個の炭素原子を有するアルキル基、フェニル基、および5~8個の炭素原子を有するシクロアルキル基から選択される)
の基から選択され;
Xは、-O-(CH
2)
q-O-;-(OCH
2-CH
2)
q-O-;-O-(CH
2)
q-S-(CH
2)
q-O;-NH-(CH
2)
q-NH-;-NH-NH-(ここで、qは1~12、好ましくは1~6の整数である)、または基
【化24】
から選択され;
pは0、または1~6、好ましくは1~4の整数である]
による1種またはそれ以上のフェノール化合物から構成される。
【0115】
好ましい実施形態では、本発明の安定剤組成物に使用されるフェノール系酸化防止剤化合物Cは、アミン基を含まない。
【0116】
好ましくは、RxおよびRyは、互いに独立して、1~10、好ましくは1~6、より好ましくは1~4個の炭素原子を有する分枝鎖アルキル基から選択される。より好ましくは、RxおよびRyの一方または両方がtert-ブチル基である。
【0117】
好ましくは、Xは、-O-(CH2)q-O-(ここで、qは1~12、好ましくは2~6、より好ましくは2~4の整数である)からの基である。
【0118】
好ましい実施形態では、酸化防止剤Cは、式(III)a’および/または(III)b’:
【化25】
による1種またはそれ以上のフェノール系化合物から構成される。
(式中、置換基および添字は、式(III)aおよび(III)bについて上に記載したとおりである)
【0119】
好ましい実施形態では、酸化防止剤Cは、式(III)b、または好ましくは(III)b’によるフェノール化合物を含む(または好ましくはそれからなる)。
(式中、
RxおよびRyは、互いに独立して、1~6、より好ましくは1~4個の炭素原子を有する分枝鎖アルキル基から選択され、より好ましくは、RxおよびRyの一方または両方がtert-ブチル基であり;
Rzは、水素、または1~4個の炭素原子を有するアルキル基から選択され;
Xは-O-(CH2)q-O-であり、ここでqは2~4の整数であり;
pは1~4の整数である)
【0120】
酸化防止剤成分Cの好ましい実施形態は、US6,270,692および/またはGB1 440 391にも記載されており、以下を含む:ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン酸、ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)エタン酸、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)エタン酸、ビス(4-ヒドロキシ-3-メチル-5-tert-ブチルフェニル)エタン酸、ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)エタン酸エチルエステル、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジブロモフェニル)エタン酸、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジブロモフェニル)エタン酸n-ブチルエステル、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)エタン酸n-ブチルエステル、ビス4-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)エタン酸n-ブチルエステル、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)エタン酸イソプロピルエステル、ビス(4-ヒドロキシ-3-tert-ブチルフェニル)エタン酸n-ブチルアミド、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)エタン酸n-オクチルアミド、4,4-ビス(4’-ヒドロキシ-3’-メチルフェニル)ブタン酸、2,2-ビス(4’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチルフェニル)プロパン酸、2,2-ビス(4’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチルフェニル)プロパン酸n-ブチルエステル、3,3-ビス(4’-ヒドロキシフェニル)ブタン酸、3,3-ビス(4’-ヒドロキシ-3’-メチルフェニル)ブタン酸メチルエステル、3,3-ビス(4’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチル-6’-メチルフェニル)ブタン酸メチルエステル、3,3-ビス(4’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチルフェニル)ブタン酸-シクロヘキシルアミド、3,3-ビス(4’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチルフェニル)ペンタン酸、4,4-ビス(4’-ヒドロキシフェニル)ペンタン酸、4,4-ビス(4’-ヒドロキシ-3’-メチルフェニル)ペンタン酸、4,4-ビス(4’-ヒドロキシ-3’-メチル-6’-tert-ブチルフェニル)-ペンタン酸、4,4-ビス(4’-ヒドロキシ-3’-メチルフェニル)ペンタン酸メチルエステル、4,4-ビス(4’-ヒドロキシ-3’-メチルフェニル)ペンタン酸イソプロピルエステル、4,4-ビス(4’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチルフェニル)ペンタン酸メチルエステル、4,4-ビス(4’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチルフェニル)ペンタン酸tert-ブチルエステル、4,4-ビス(4’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチルフェニル)ペンタン酸n-ブチルアミド、4,4-ビス(4’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチルフェニル)ペンタン酸ジエチルアミド、4,4-ビス(4’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチルフェニル)ペンタン酸アミド、4,4-ビス(4’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチルフェニル)ペンタン酸シクロヘキシルアミド、ビス[2,2-ビス(4’-ヒドロキシ-3’-メチルフェニル)エタン酸]グリコールエステル、ビス[2,2-ビス(4’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチルフェニル)エタン酸]ブタンジオールエステル-(1,4)、ビス[2,2-ビス(4’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-ブチルフェニル)エタン酸]グリコールエステル、ビス[2,2-ビス(4’-ヒドロキシ-3’,5-ジ-tert-ブチルフェニル)エタン酸]ヘキサン-ジオールエステル(1,6)、ビス[3,3-ビス(4’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチルフェニル)ブタン酸]ブタンジオールエステル-(1,4)、ビス[3,3-ビス(4’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチルフェニル)ブタン酸]ドデカンジオールエステル(1,12)、ビス[4,4-ビス(4’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタン酸]グリコールエステル、ビス[4,4-ビス(4’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチルフェニル)ペンタン酸]ブタンジオールエステル(1,4)、ビス[4,4-ビス(4’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチル-5’-ブロモフェニル)ペンタン酸]グリコールエステル、3,3-ビス(4’-ヒドロキシ-3’-メチルフェニル)ブタン酸、3,3-ビス(4’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチルフェニル)ブタン酸、ビス(4’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-ブチルフェニル)エタン酸、ビス(4’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチルフェニル)エタン酸、ビス(4’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチルフェニル)エタン酸n-ブチルエステル、3,3-ビス(4’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチルフェニル)ブタン酸イソプロピルエステル、3,3-ビス(4’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチルフェニル)ブタン酸ブチルエステル、3,3-ビス(4’-ヒドロキシ-3’-メチルフェニル)ブタン酸n-ブチルエステル、3,3-ビス(4’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチルフェニル)ブタン酸シクロヘキシルエステル、3,3-ビス(4’-ヒドロキシ-3’,5’-ジメチルフェニル)ブタン酸ドデシルエステル、ビス[3,3-ビス(4’-ヒドロキシ-3-tert-ブチルフェニル)ブタン酸]2,2-ジメチル-プロパンジオール-1,3-エステル、3,3-ビス(4’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチルフェニル)ブタン酸ベンジルエステル、3,3-ビス(4’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチルフェニル)ブタン酸n-ブチルアミド、4,4-ビス(4’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチルフェニル)ペンタン酸、4,4-ビス(4’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチルフェニル)ペンタン酸n-ブチルエステル、ビス[3,3-ビス(4’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチルフェニル)ブタン酸]グリコールエステル、ビス[3,3-ビス(4’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチルフェニル)ブタン酸]ヘキサンジオール-1,6エステル、ビス[4,4-ビス(4’ヒドロキシ-3’-tert-ブチルフェニル)ペンタン酸]グリコールエステル、4,4-ビス(4’-ヒドロキシフェニル)ペンタン酸、ビス[3,3-ビス(4’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチル-4’-ブロモフェニル)ブタン酸]グリコールエステル、5,5-ビス(4’-ヒドロキシ-3’,5’-ジメチルフェニル)ヘキサン酸メチルエステルおよびそれらの混合物。
【0121】
好ましい実施形態では、酸化防止剤Cは、式(III)-1によるフェノール化合物、すなわち、ビス-(3,3-ビス-(4’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチルフェニル)ブタン酸)-グリコールエステル(CAS番号32509-66-3)を含む(または好ましくはそれからなる)。
【0122】
【0123】
本発明の安定剤組成物の好ましい実施形態では、UV吸収剤Aは、式(I.1)-1および/または(I.1)-2による(2-ヒドロキシフェニル)-s-トリアジン化合物、ならびに/もしくは式(I.2)-1によるオキサルアニリド化合物を含む(または好ましくはそれらからなる)、ならびに酸化防止剤Cは、フェノール化合物ビス-(3,3-ビス-(4’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチルフェニル)ブタン酸)-グリコールエステルを含む(または好ましくはそれからなる)。
【0124】
本発明の安定剤組成物のより好ましい実施形態では、UV吸収剤Aは、式(I.2)-1によるオキサルアニリド化合物ならびに/または式(I.1)-1および/もしくは(I.1)-2による(2-ヒドロキシフェニル)-s-トリアジン化合物を含み(または好ましくはそれらからなり)、ヒンダードアミン系光安定剤Bは、2,2,4,4-テトラメチル-7-オキサ-3,20-ジアザジスピロ-20-(2,3-エポキシプロピル)ジスピロ-(5.1.11.2)-ヘンエイコサン-21-オンおよびエピクロロヒドリンの反応生成物を含み(または好ましくはそれらからなり)、酸化防止剤Cはフェノール化合物ビス-(3,3-ビス-(4’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチルフェニル)ブタン酸)-グリコールエステルを含む(または好ましくはそれからなる)。
【0125】
液体希釈剤(成分D)
本発明の安定剤組成物を好ましい液体形態で提供するために、液体成分Aおよび/またはB、ならびに場合によりCを使用することができる。しかし、好ましくは安定剤組成物の成分、特に成分A、Bおよび場合によりCに対して化学的に不活性である液体希釈剤を成分Dとして加えることによって、液体安定剤組成物を提供することがより好都合であり得る。したがって、本発明の安定剤組成物は、成分Dとして1種またはそれ以上の液体希釈剤を含んでもよい。好ましくは、少なくとも1種の液体希釈剤Dは、成分A、B、場合によりC、EおよびDを含む安定剤組成物全体に基づいて、組成物中に30~79重量%、好ましくは35~69重量%、より好ましくは40~64重量%、また好ましくは40~55重量%、特に43~53重量%、の量で存在する。量は、溶液、分散液、エマルション、懸濁液、またはペースト、好ましくは懸濁液の形態で実質的に液体の安定剤組成物を提供するように適切に選択される。
【0126】
好ましくは、液体希釈剤Dは、好適な溶媒、液体補助剤、またはそれらの混合物などの好適な液体希釈剤から選択することができる。好ましくは、少なくとも1種の液体希釈剤Dは、化学的に不活性な溶媒および液体補助剤から選択され、これらはシリル変性ポリマー(SMP)をベースとするポリマー組成物中に場合により存在してもよい(または典型的には存在する)。
【0127】
好ましい実施形態では、安定剤組成物は、安定剤組成物全体に基づいて、35~69重量%、好ましくは40~64重量%、より好ましくは40~55重量%、特に43~53重量%の、液体希釈剤Dとして、液体補助剤および/または液体溶媒から選択される少なくとも1種の液体希釈剤Dを含む。
【0128】
好ましい実施形態では、安定剤組成物は、液体希釈剤Dとして、シリル変性ポリマー(SMP)をベースとするポリマー組成物中に存在し得る少なくとも1種の液体補助剤および/または液体溶媒を含み、好ましくは、シリル変性ポリマー(SMP)をベースとするポリマー組成物中で補助剤として使用される少なくとも1種の液体希釈剤Dを含む。
【0129】
より好ましくは、安定剤組成物は、液体可塑剤D1、液体接着促進剤D2、液体触媒D3、液体水分捕捉剤D4、および液体溶媒D5から選択される少なくとも1種の液体希釈剤Dを含む。
【0130】
好ましい液体可塑剤D1は、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジイソウンデシル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ジラウリルおよびフタル酸ジシクロヘキシルなどのフタル酸エステル可塑剤、エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油およびエポキシステアリン酸ベンジルなどのエポキシ化可塑剤;C4~C28脂肪酸のアルキルエステルおよびフェニルエステルなどの脂肪酸エステル、塩素化パラフィンなどから選択される。
【0131】
可塑剤D1は、上述した可塑剤の1種、または2種もしくはそれ以上の組合せであり得る。
【0132】
好ましくは、可塑剤D1はフタル酸エステル化合物を含まない。好ましくは、可塑剤D1は、少なくとも1種のC10~C21アルカンスルホン酸フェニルエステル(例えば、LanxessからMesamoll(登録商標)として入手可能)を含む(または好ましくはそれらから構成される)。
【0133】
好ましくは、少なくとも1種の接着促進剤D2は、例えばアミノ基、メルカプト基、エポキシ基、カルボキシル基、ビニル基、イソシアネート基、イソシアヌレート、ハロゲン等から選択される少なくとも1つの追加の官能基を有するシラン化合物から選択される。典型的には、接着促進剤D2は、エポキシシランおよびアミノシランから選択される。
【0134】
例えば、接着促進剤D2は以下から選択され得る:
γ-イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、γ-イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、γ-イソシアナトプロピルメチルジエトキシシラン、およびγ-イソシアナトプロピルメチルジメトキシシランなどのイソシアナト基含有シラン;
例えば、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-(2-アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-(2-アミノエチル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ-ウレイドプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-ベンジル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、およびN-ビニルベンジル-γ-アミノプロピルトリエトキシシランから選択されるアミノ基含有シラン;
γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ-メルカプトプロピルメチルジメトキシシランおよびγ-メルカプトプロピルメチルジエトキシシランなどのγ-メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのメルカプト基含有シラン;
γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランおよびβ-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシランなどのエポキシ基含有シラン;
β-カルボキシエチルトリエトキシシラン、β-カルボキシエチルフェニルビス-(2-メトキシエトキシ)シランおよびN-β-(カルボキシメチル)アミノエチル-γ-アミノプロピルトリメトキシシランなどのカルボキシシラン;
γ-クロロプロピルトリメトキシシランなどのハロゲン含有シラン;ならびにトリス(トリメトキシシリル)イソシアヌレートなどのイソシアヌレートシラン。
【0135】
好ましい実施形態では、少なくとも1種の接着促進剤D2は、アミノ基含有シラン、特にアミノ基含有トリメトキシシランから選択される。好ましくは、少なくとも1種の接着促進剤D2は、少なくとも1種のアミノ基含有トリメトキシシラン、好ましくは、3-アミノプロピルトリメトキシシラン(例えば、Evonik製Dynasylan(登録商標)AMMO)を含む。
【0136】
好ましい実施形態では、少なくとも1種のD3は、一般に知られているシラノール縮合触媒から選択される。このような縮合触媒は、例えば、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズなどの四価のスズ化合物;オクチル酸第一スズ等の二価スズ化合物;チタン酸テトラブチル、チタン酸テトラプロピルなどのチタン酸エステル;ブチルアミン、オクチルアミン、ラウリルアミン、ジブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、キシリレンジアミン、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、モルホリン、N-メチルモルホリン、および1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7(DBU)などのアミン化合物;γ-アミノプロピルトリメトキシシランおよびN-(β-アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシランなどのアミノ基含有シランカップリング剤;ならびに同様のシラノール縮合触媒、ならびにさらには酸性触媒および塩基性触媒などの他の公知のシラノール縮合触媒であり得る。
【0137】
触媒D3は、上述した触媒のうちの1種、または2種もしくはそれ以上の組合せであり得る。
【0138】
好ましくは、少なくとも1種の触媒D3は、四価チタンをベースとする金属有機化合物(ジイソプロポキシチタンビスアセチルアセトネート(di-isopropoxy titanium bis-acetylacetonat)など)および/または四価スズをベースとする有機化合物(ジアルキルスズビスアセチルアセトネート化合物、およびジアルキルスズフタレートエステルなど)から選択される。このような触媒は、例えば、TIB Chemicalsから入手可能である。好ましくは、触媒D3は、少なくとも1種の有機スズ化合物、より好ましくは、ジブチルスズビスアセチルアセトネート(dibutyltin bis-acetylacetonat)および/またはジオクチルスズビスアセチルアセトネート(acetylacetonat)(例えば、TIB Chemicals製TIB KAT(登録商標)223、ジオクチルスズジケタノエート(dioctyltindiketanoat))を含む。
【0139】
好ましくは、水分捕捉剤D4は、液体ビニルシラン、特にビニルトリメトキシシラン(VTMO)、ビニルトリエトキシシラン(VTEO)、γ-メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシランおよびγ-アクリルオキシルオキシプロピルメチルトリエトキシシラン(acryloxyloxypropylmethyltriethoxysilane)などのビニル型不飽和基含有シランから選択される。例えば、水分捕捉剤D4は、ビニルトリメトキシシラン(VTMO)(例えば、Evonik製Dynasylan(登録商標)VTMO)および/またはビニルトリエトキシシラン(VTEO)(例えば、Evonik製Dynasylan(登録商標)VTEO)である。本発明の特に好ましい実施形態では、液体希釈剤Dは、少なくとも1種の水分捕捉剤D4、より好ましくはビニルトリメトキシシラン(VTMO)(例えば、Evonik製Dynasylan(登録商標)VTMO)および/またはビニルトリエトキシシラン(VTEO)(例えば、Evonik製Dynasylan(登録商標)VTEO)、最も好ましくはビニルトリメトキシシラン(VTMO)を含む(またはそれらからなる)。
【0140】
好ましくは、溶媒D5は、当技術分野で一般に使用される不活性極性または不活性無極性有機溶媒から選択される。
【0141】
一実施形態では、安定剤組成物は、少なくとも1種の不活性溶媒、特に少なくとも1種の不活性極性溶媒を含む。好適な極性溶媒には、エーテル、グリコールエーテル、酢酸エチルなどのアセテート、エタノールおよびn-ブタノールなどのアルコール、特にメトキシプロパノールが含まれる。
【0142】
代替的実施形態では、安定剤組成物は、不活性非極性有機溶媒、好ましくは、例えば、石油エーテル、ヘキサン、ヘプタン、石油留分、トルエン、シクロヘキサン、メシチレンまたはキシレンなどの脂肪族または芳香族炭化水素を含んでもよい。
【0143】
本発明の一実施形態では、安定剤組成物は、健康および/または環境に有害であり得る相当量の溶媒を含んでいない場合がある。特に、安定剤組成物は、化学物質の分類、表示および包装(Classification, Labeling and Packaging of Chemical Substances、CLP)に関する現在のEU規則により危険有害性として分類する必要がある相当量の溶媒を含んでいない場合がある。本発明の一態様によれば、安定剤組成物は、トルエン、メシチレンまたはキシレンなどの、相当量の芳香族炭化水素溶媒を含んでいない場合がある。本発明の一実施形態では、安定剤組成物は、相当量のトルエンを含まない。本発明の一実施形態では、安定剤組成物は、相当量のメシチレンを含まない。本発明の一実施形態では、安定剤組成物は、相当量のキシレンを含まない。本発明の目的では、「相当量」という用語は、安定剤組成物全体に基づいて、≧1重量%の量として理解されるべきである。
【0144】
本発明の好ましい実施形態では、液体希釈剤Dは、少なくとも1種の液体可塑剤D1、少なくとも1種の液体水分捕捉剤D4、少なくとも1種の液体溶媒D5、および前述の化合物の混合物から選択される少なくとも1つの成分を含む(またはそれらからなる)。
【0145】
さらに好ましい実施形態では、液体希釈剤Dは、少なくとも1種の液体水分捕捉剤D4、特にビニルトリメトキシシラン、少なくとも1種の液体溶媒D5、特にメトキシプロパノールおよび/またはキシレン、ならびに前述の化合物の混合物から選択される少なくとも1つの成分を含む(またはそれらからなる)。
【0146】
さらなる添加剤(成分E)
本発明の安定剤組成物は、安定剤組成物およびSMPシーラントおよび接着剤のための一般的な添加剤など、任意の成分として1種またはそれ以上のさらなる添加剤Eをさらに含んでもよい。
【0147】
好ましくは、少なくとも1種の添加剤Eは、安定剤組成物全体に基づいて、0~50重量%、好ましくは0~20重量%、より好ましくは0.01~20重量%、また好ましくは0.01~10重量%、また好ましくは0.1~1重量%の量で存在し得る。
【0148】
さらなる添加剤Eは、帯電防止剤、防炎剤、軟化剤、核剤、金属不活性化剤、殺生物剤、耐衝撃性改良剤、充填剤、顔料および殺菌剤(fungicides)、および殺菌剤(bactericides)などの一般的な添加剤から選択することができる。さらに、添加剤Eが液体希釈剤Dとは異なるという条件で、以下に添加剤Gとして言及する1種またはそれ以上の添加剤を、本発明の安定剤組成物に使用することができる。
【0149】
安定剤組成物を製造するための方法
本発明はまた、本発明の安定剤組成物を製造するための方法であって、成分A、B、ならびに場合によりC、Dおよび/またはEを混合する、方法にも関する。特に、混合は、成分A、B、ならびに場合によりC、Dおよび/またはEを液体形態、特に溶液、分散液、エマルション、懸濁液、またはペースト、好ましくは懸濁液または溶液、特に溶液の形態で混合することによって実行することができる。
【0150】
好ましくは、本発明の安定剤組成物を製造するための方法は、成分A、B、ならびに場合によりCおよび/またはEのうちの1つまたはそれ以上を粉砕する工程を包含し得る。続いて、成分A、B、ならびに場合によりC、Dおよび/またはEを混合することができる。好ましくは、安定剤組成物を、例えば、粉砕工程(例えば、微粉化)により、10~1000μmの範囲の粒径d50を有する固体粒子を含む懸濁液の形態で得ることができる。粉砕工程により、凝集物が粉砕され、非液体成分A、B、ならびに場合によりCおよびEの均一な分布が改善される場合がある。
【0151】
さらなる実施形態では、安定剤組成物を製造するための方法は、成分A、B、ならびに場合によりCおよび/またはEから選択される少なくとも1つの固体成分を液体中に分散または溶解する工程を包含し、ここで、液体は、少なくとも1種の液体希釈剤Dおよび/または液体形態の成分A、B、C、またはEの1つまたはそれ以上であり得る。例えば、成分A、B、C、またはEのうちの1つもしくはそれ以上を、例えば液体希釈剤Dと組み合わせて、その後、安定剤組成物のさらなる成分と混合して、分散または溶解形態で(in dispersed or dissolved from)、提供することができる。
【0152】
さらに、本発明は、シリル変性ポリマーをベースとするシーラントまたは接着剤における安定剤としての本発明の安定剤組成物の使用に関する。特に、本発明の安定剤組成物は、シリル変性ポリマーをベースとするシーラントまたは接着剤のUV安定性および熱安定性、すなわち、UV放射線および/または熱への曝露下での機械的および/または光学的表面特性の低下に対する耐性を改善するために使用される。
【0153】
ポリマー組成物
さらに、本発明は、上述のUV吸収剤A、ヒンダードアミン系光安定剤Bおよびフェノール系酸化防止剤Cの記載された安定剤の組合せを含むシリル変性ポリマー(SMP)をベースとするポリマー組成物に関する。本発明は、
(P)シリル変性ポリマーから選択される少なくとも1種のポリマーP;
(S)少なくとも1種のUV吸収剤A;
少なくとも1種のヒンダードアミン系光安定剤B;
場合により、少なくとも1種のフェノール系酸化防止剤C;場合により、少なくとも1種の液体希釈剤D;および
場合により、少なくとも1種のさらなる添加剤E
から構成される安定剤の組合せSであり、ここで、成分A、B、C、D、およびEが、本発明の安定剤組成物について定義したとおりである、安定剤の組合せS;
(F)場合により、少なくとも1種の充填剤F;
(G)場合により、好ましくは可塑剤G1、接着促進剤G2、触媒G3および水分捕捉剤G4から選択される少なくとも1種のさらなる添加剤G、
を含むポリマー組成物に関する。
【0154】
好ましい実施形態では、本発明は、
(P)ポリマー組成物全体に基づいて、5~99重量%、好ましくは10~80重量%、より好ましくは15~40重量%の、シリル変性ポリマーから選択される少なくとも1種のポリマーP;
(S)ポリマー組成物全体に基づいて、0.001~3重量%、好ましくは0.01~1重量%、より好ましくは0.1~0.8重量%の少なくとも1種のUV吸収剤A;
ポリマー組成物全体に基づいて、0.001~3重量%、好ましくは0.01~1重量%、より好ましくは0.1~0.8重量%の少なくとも1種のヒンダードアミン系光安定剤B;
ポリマー組成物全体に基づいて、0~3重量%、好ましくは0.01~1重量%、より好ましくは0.05~0.3重量%の少なくとも1種のフェノール系酸化防止剤C;
ポリマー組成物全体に基づいて、0~3重量%、好ましくは0.01~2重量%、より好ましくは0.1~1.6重量%の少なくとも1種の液体希釈剤D;および
ポリマー組成物全体に基づいて、0~3重量%、好ましくは0.01~1重量%、より好ましくは0.05~0.3重量%の少なくとも1種のさらなる添加剤E
から構成される安定剤の組合せS;
(F)ポリマー組成物全体に基づいて、0~85重量%、好ましくは0~80重量%、より好ましくは1~70重量%の、好ましくは炭酸カルシウムから選択される少なくとも1種の充填剤F;
(G)ポリマー組成物全体に基づいて、0~35重量%、好ましくは0~33重量%、より好ましくは1~30重量%の、好ましくは可塑剤G1、接着促進剤G2、触媒G3および水分捕捉剤G4から選択される少なくとも1種のさらなる添加剤G、を含む(または好ましくはからなる)ポリマー組成物を対象とする。
【0155】
任意の成分Fおよび/またはGが存在する場合、成分Pの量は、量の合計が100重量%であるかまたは超えないように適合させることができる。液体希釈剤Dが添加剤Gの活性成分としても機能し得る液体希釈剤Dを含む場合には、添加剤Gの総量を上記範囲に維持するためにGの量を適宜減少させてもよい。
【0156】
上述の成分A、B、CおよびDの好ましい実施形態は、本発明のポリマー組成物にも同様に適用される。
【0157】
好ましい実施形態では、ポリマー組成物は、
(P)ポリマー組成物全体に基づいて、7.5~95重量%、好ましくは12.5~72重量%、より好ましくは17~57重量%の、シリル変性ポリマーから選択される少なくとも1種のポリマーP;
(S)ポリマー組成物全体に基づいて、0.001~3重量%、好ましくは0.01~1重量%、より好ましくは0.1~0.8重量%の少なくとも1種のUV吸収剤A;
ポリマー組成物全体に基づいて、0.001~3重量%、好ましくは0.01~1重量%、より好ましくは0.1~0.8重量%の少なくとも1種のヒンダードアミン系光安定剤B;
ポリマー組成物全体に基づいて、0~3重量%、好ましくは0.01~1重量%、より好ましくは0.05~0.3重量%の少なくとも1種のフェノール系酸化防止剤C;
ポリマー組成物全体に基づいて、0~3重量%、好ましくは0.01~2重量%、より好ましくは0.1~1.6重量%の少なくとも1種の液体希釈剤D;および
ポリマー組成物全体に基づいて、0~3重量%、好ましくは0.01~1重量%、より好ましくは0.05~0.3重量%の少なくとも1種のさらなる添加剤E
から構成される安定剤の組合せS;
(F)ポリマー組成物全体に基づいて、1~90重量%、好ましくは20~80重量%、より好ましくは30~70重量%の少なくとも1種の充填剤F;
(G1)ポリマー組成物全体に基づいて、1~25重量%、好ましくは5~25重量%、より好ましくは10~20重量%の、さらなる添加剤G1としての少なくとも1種の可塑剤;
(G2)ポリマー組成物全体に基づいて、0.5~5重量%、好ましくは0.7~3重量%、より好ましくは0.8~2重量%の、さらなる添加剤G2としての少なくとも1種の接着促進剤;
(G3)ポリマー組成物全体に基づいて、0.01~3重量%、好ましくは0.1~2重量%、より好ましくは0.2~1重量%の、さらなる添加剤G3としての少なくとも1種の触媒;
(G4)ポリマー組成物全体に基づいて、0.5~5重量%、好ましくは0.7~5重量%、より好ましくは0.8~3重量%の、さらなる添加剤G4としての少なくとも1種の水分捕捉剤;
(G)ポリマー組成物全体に基づいて、0~10重量%の、G1~G4とは異なる少なくとも1種のさらなる添加剤G、
を含む(または好ましくはそれらからなる)。
【0158】
好ましい実施形態では、成分P、S、FおよびGは合計で100重量%となり、特に成分Pおよび/またはFの量を適合させることができる。
【0159】
特に、本発明のポリマー組成物は、上述の本発明の安定剤組成物を使用して得ることができる。特に、ポリマー組成物は、ポリマー組成物全体に基づいて、0.01~10重量%、好ましくは0.1~6重量%、より好ましくは0.2~3重量%、特に1.6~2.4重量%の本発明の安定剤組成物を含む。
【0160】
シリル変性ポリマーP
典型的には、シリル変性ポリマーPは、少なくとも1つ、好ましくは2つの末端架橋性加水分解性シリル基を有する有機ポリマー、特にポリエーテル、ポリウレタン、および/またはアクリルポリマーベースの有機ポリマーから選択される。好ましくは、末端架橋性加水分解性シリル基は、シリル変性ポリマーP中の唯一の架橋性加水分解性シリル基である。
【0161】
例えば、好適なシリル変性ポリマーPは、市販製品のKaneka MS Polymers(登録商標)(MS Polymer(登録商標)S203H、MS Polymer(登録商標)S303Hなど)またはEvonik製Polymer STであって、ポリエーテルおよびポリウレタンブロックを含むシリル変性ポリマーであり、または商品名VORASIL(登録商標)でThe Dow Chemical Companyから入手可能なポリマーであって、ポリウレタンポリマー主鎖を有するシリル変性ポリマーである。
【0162】
シリル変性ポリマーを製造するための重合方法は当技術分野で一般に知られており、例えばUS3,971,751およびEP-A1 288 247に記載されている。
【0163】
特に、架橋性加水分解性シリル基は、以下の式(P-I):
-SiYaRQ
3-a (P-I)
で表すことができる。
(式中、
RQは、1~20個の炭素原子を有するアルキル基、6~20個の炭素原子を有するアリール基、および7~20個の炭素原子を有するアラルキル基から選択され、
Yはヒドロキシル基または加水分解性基であり;
aは1、2または3であり、基RQまたはYが2個以上存在する場合、それらは同一であっても異なっていてもよい)
【0164】
例えば、加水分解性基Yは、水素、ハロゲン原子、1~20個の炭素原子を有するアルコキシ基、好ましくはメトキシ基またはエトキシ基、アシルオキシド基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基から選択することができる。好ましくは、加水分解性基Yはアルコキシ基、特にメトキシおよびエトキシから選択される。
【0165】
少なくとも1種のシリル変性ポリマーPは、少なくとも1つの架橋性加水分解性シリル基を含む1種またはそれ以上のシリル変性ポリウレタンおよび/またはシリル変性ポリウレタン/ポリエーテルコポリマーを含み得る。特に、シリル変性ウレタンポリマーは、例えば、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートもしくはキシリレンジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネート、または脂肪族ポリイソシアネート(例えば、イソホロンジイソシアネートもしくはヘキサメチレンジイソシアネート)とポリオールとの反応から誘導することができる。
【0166】
好ましい実施形態では、少なくとも1種のシリル変性ポリマーPは、少なくともシリル変性ポリエーテルを含む(または好ましくはそれらからなる)。典型的には、シリル変性ポリエーテルは、少なくとも1つの架橋性加水分解性シリル基によって、より好ましくは2つの末端架橋性加水分解性シリル基によって変性されたポリエーテル主鎖を包含する。例えば、ポリエーテル主鎖は、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリブチレンオキシドおよび/またはポリフェニレンオキシドから選択される繰り返し単位を含み得る。さらに、ポリエーテルは、主鎖中にウレタン結合またはウレア結合を含有してもよい。好ましくは、シリル変性ポリエーテルは、ポリエーテル主鎖中にポリエチレンオキシド繰り返し単位を含み、ここで、繰り返し単位の好ましくは少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも70重量%、より好ましくは少なくとも90重量%がポリエチレンオキシド繰り返し単位である。2つの末端架橋性加水分解性シリル基を有する好ましいシリル変性ポリエーテルは、例えばUS3,971,751およびUS2002/198308に記載されている。
【0167】
好ましい実施形態では、シリル変性ポリマーPは、以下の式(P-II):
【化27】
によるシリル変性ポリエーテルから選択される。
(式中、
Q
1、Q
2およびQ
3は、互いに独立して、1~40個、好ましくは1~20個、より好ましくは1~4個の炭素原子を有するアルキル基、メトキシまたはエトキシ、およびアセチルオキシなどの、1~10個、好ましくは1~4個の炭素原子を有するアルコキシ基から選択され、ただし、Q
1、Q
2およびQ
3のうちの少なくとも1つは、好ましくはメトキシ、エトキシ、およびアセチルオキシから選択される架橋性加水分解性シリル基であり、n
1およびn
2は、互いに独立して0~1000の整数、好ましくは0~500、より好ましくは0~300であり、ただし、n
1+n
2は少なくとも50、好ましくは少なくとも100である)
【0168】
より好ましい実施形態では、シリル変性ポリマーPは、以下の式(P-III)および(P-IV):
【化28】
によるシリル変性ポリエーテルから選択される。
(式中、n
3は、5~1000、好ましくは10~500、より好ましくは20~500、また好ましくは50~300の整数である)
【0169】
好ましくは、シリル変性ポリエーテルのポリエーテル主鎖の分子量は、例えば、式(P-I)~(P-III)に記載のとおり、500~30,000g/mol、好ましくは1,000~15,000g/mol、より好ましくは3,000~12,000g/molの範囲である。
【0170】
好ましくは、1つもしくはそれ以上のジメトキシシリル末端ポリエーテル(DMS MS)および/またはトリメトキシシリル末端ポリエーテル(TMS MS)を、シリル変性ポリマーPとして使用する。より好ましくは、1つもしくはそれ以上のジメトキシシリル末端ポリエーテル(DMS MS)を、ポリマーPとして使用する。より具体的には、メチルジメトキシシリル末端ポリエーテルを使用する。
【0171】
典型的には、ポリマーPとして使用される、好ましくは2つの末端架橋性加水分解性シリル基を有するシリル変性ポリエーテルは、約1,000~50,000g/mol、好ましくは約5,000~約40,000g/mol、より好ましくは約8,000~約35,000g/mol、より好ましくは約10,000~約30,000g/molの範囲の分子量(特に数平均分子量)を有する。
【0172】
典型的には、ポリマーPとして使用される、好ましくは2つの末端架橋性加水分解性シリル基を有するシリル変性ポリエーテルは、約1~約50Pa s、好ましくは約3~約40Pa s、より好ましくは約5~約30Pa s、より好ましくは約7~約20Pa sの範囲の粘度を示す。典型的には、粘度はブルックフィールド粘度計を使用して測定する。例えば、ブルックフィールド粘度(mPa・s単位で明記される)は、ブルックフィールドDV III Ultra粘度計により、例えば、ブルックフィールド RVスピンドルセット(典型的にはスピンドルNo.7)から選択される、測定する粘度範囲に好適な適切なスピンドルを使用して、24℃±3℃にて、100rpmで測定する。典型的には、スピンドルを試料に挿入すると、100rpmの一定の回転速度で測定が開始される。報告されるブルックフィールド粘度値は、測定開始から60秒後に表示される値である。
【0173】
好ましい実施形態では、シリル変性ポリマーPは、2つの末端メチルジメトキシシリル基を有する少なくとも1種のシリル変性ポリエーテル(例えば、Kaneka MSポリマー(登録商標)S203Hおよび/またはKaneka MSポリマー(登録商標)S303H)を含む(または好ましくはからなる)。
【0174】
充填剤F
好ましくは、本発明のポリマー組成物は、少なくとも1種の充填剤Fを、ポリマー組成物全体に基づいて、1~90重量%、好ましくは20~80重量%、より好ましくは30~70重量%の量で含む。
【0175】
好ましくは、少なくとも1種の充填剤Fは、木粉、クルミ殻粉、もみ殻粉、パルプ、綿チップ、雲母、黒鉛、珪藻土、陶土、カオリン、粘土、タルク、シリカ、ヒュームドシリカ、沈降シリカ、無水ケイ酸、石英粉末、ガラスビーズ、炭酸カルシウム(例えば、チョーク)、炭酸マグネシウム、酸化チタン、酸化第二鉄、酸化亜鉛、カーボンブラック、ガラスバルーン、ガラス繊維、および炭素繊維から選択される。充填剤Fは、上述した充填剤の1種、または2種もしくはそれ以上の組合せであり得る。好ましくは、少なくとも1種の充填剤は、炭酸カルシウム、シリカ、カーボンブラック、およびそれらの組合せから選択される。好適な充填剤は、US6,077,896およびEP1 288 247にも記載されている。
【0176】
好ましくは、少なくとも1種の充填剤Fは炭酸カルシウム、特に、チョーク、大理石、石灰石、沈降炭酸カルシウム(PCC)、コーティング沈降炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム(GCC)(特にチョーク、大理石および/または石灰石をベースとするGCC)およびコーティング重質炭酸カルシウムから選択される1種またはそれ以上の炭酸カルシウムである。例えば、脂肪酸でコーティングされたPCCおよび/またはGCCを充填剤Fとして使用することができる。
【0177】
好ましくは、充填剤Fは、少なくとも1種の炭酸カルシウム、特に脂肪酸でコーティングされた少なくとも1種の沈降炭酸カルシウムを含む(または好ましくはそれらから構成される)。
【0178】
添加剤G
好ましい実施形態では、本発明のポリマー組成物は、可塑剤G1、接着促進剤G2、触媒G3、水分捕捉剤G4、およびSMPシーラント用の他の一般に知られている添加剤から選択される少なくとも1種の添加剤Gを含む。好ましくは、本発明のポリマー組成物は、添加剤Gとして、少なくとも1種の可塑剤G1、少なくとも1種の接着促進剤G2、少なくとも1種の触媒G3、および少なくとも1種の水分捕捉剤G4を含む。
【0179】
SMPシーラントおよび接着剤用のこのような典型的な添加剤は、例えばUS6,077,896、EP-A1 288 247およびUS2003/105261に記載されている。
【0180】
好ましくは、本発明のポリマー組成物は、少なくとも1種の可塑剤G1を、ポリマー組成物全体に基づいて、1~25重量%、好ましくは5~25重量%、より好ましくは10~20重量%の量で含む。
【0181】
好ましくは、少なくとも1種の可塑剤G1は、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ジラウリルおよびフタル酸ジシクロヘキシルなどのフタル酸エステル可塑剤、エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油およびエポキシステアリン酸ベンジルなどのエポキシ化可塑剤;C4~C28脂肪酸のアルキルエステルおよびフェニルエステルなどの脂肪酸エステル、二塩基酸および二価アルコールに由来するポリエステル可塑剤、ポリプロピレングリコールおよびその誘導体などのポリエーテル;ポリ-α-メチルスチレンおよびポリスチレンなどのポリスチレン;ポリブタジエン、ブタジエン-アクリロニトリルコポリマー、ポリクロロプレン、ポリイソプレン、ポリブテン、塩素化パラフィンなどから選択される。
【0182】
可塑剤G1は、上述した可塑剤の1種、または2種もしくはそれ以上の組合せであり得る。
【0183】
好ましくは、可塑剤G1はフタル酸エステル化合物を含まない。好ましくは、可塑剤G1は、少なくとも1種のC10~C21アルカンスルホン酸フェニルエステル(例えば、LanxessからMesamoll(登録商標)として入手可能)を含む(または好ましくはそれらから構成される)。
【0184】
好ましくは、本発明のポリマー組成物は、少なくとも1種の接着促進剤G2を、ポリマー組成物全体に基づいて、0.5~5重量%、好ましくは0.7~3重量%、より好ましくは0.8~2重量%の量で含む。
【0185】
好ましくは、少なくとも1種の接着促進剤G2は、少なくとも1つの追加の官能基、例えばアミノ基、メルカプト基、エポキシ基、カルボキシル基、ビニル基、イソシアネート基、イソシアヌレート、ハロゲン等から選択される官能基を有するシラン化合物から選択される。典型的には、接着促進剤G2は、エポキシシランおよびアミノシランから選択される。
【0186】
例えば、接着促進剤G2は以下から選択され得る:
γ-イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、γ-イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、γ-イソシアナトプロピルメチルジエトキシシラン、およびγ-イソシアナトプロピルメチルジメトキシシランなどのイソシアナト基含有シラン;
例えば、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-(2-アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-(2-アミノエチル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ-ウレイドプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-ベンジル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、およびN-ビニルベンジル-γ-アミノプロピルトリエトキシシランから選択されるアミノ基含有シラン;
γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ-メルカプトプロピルメチルジメトキシシランおよびγ-メルカプトプロピルメチルジエトキシシランなどのγ-メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのメルカプト基含有シラン;
γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランおよびβ-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシランなどのエポキシ基含有シラン;
β-カルボキシエチルトリエトキシシラン、β-カルボキシエチルフェニルビス-(2-メトキシエトキシ)シラン、N-β-(カルボキシメチル)アミノエチル-γ-アミノプロピルトリメトキシシランなどのカルボキシシラン;
γ-クロロプロピルトリメトキシシランなどのハロゲン含有シラン;ならびにトリス(トリメトキシシリル)イソシアヌレートなどのイソシアヌレートシラン。
【0187】
好ましい実施形態では、少なくとも1種の接着促進剤G2は、アミノ基含有シラン、特にアミノ基含有トリメトキシシランから選択される。好ましくは、少なくとも1種の接着促進剤G2は、少なくとも1種のアミノ基含有トリメトキシシラン、好ましくは、3-アミノプロピルトリメトキシシラン(例えば、Evonik製Dynasylan(登録商標)AMMO)を含む。
【0188】
好ましくは、本発明のポリマー組成物は、少なくとも1種の触媒G3を、ポリマー組成物全体に基づいて、0.01~3重量%、好ましくは0.1~2重量%、より好ましくは0.2~1重量%の量で含む。
【0189】
典型的には、少なくとも1種の触媒G3は、一般に知られているシラノール縮合触媒から選択される。好適な触媒G3は、例えば、US6,077,896およびEP1 288 247に記載されている。
【0190】
そのような縮合触媒は、例えば、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズフタレート、ジブチルスズビスアセチルアセトネート、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジエチルヘキサノレート、ジブチルスズジオクトエート、ジブチルスズジ(メチルマレエート)、ジブチルスズジ(エチルマレエート)、ジブチルスズジ(ブチルマレエート)、ジブチルスズジ(イソオクチルマレエート)、ジブチルスズジ(トリデシルマレエート)、ジブチルスズジ(ベンジルマレエート)、ジブチルスズマレエート、ジオクチルスズジアセテート、ジオクチルスズジステアレート、ジオクチルスズジラウレート、ジオクチルスズジ(エチルマレエート)、ジオクチルスズジ(イソオクチルマレエート)、ジブチルスズジメトキシド、ジブチルスズビスノニルフェノキシドおよびジブテニルスズオキシドなどの四価スズ化合物;オクチル酸第一スズ、ナフテン酸第一スズおよびステアリン酸第一スズなどの二価スズ化合物;テトラブチルチタネートおよびテトラプロピルチタネートなどのチタネートエステル;アルミニウムトリスアセチルアセトネート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)およびジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテートなどのオルガノアルミニウム化合物;ジルコニウムテトラアセチルアセトネートおよびチタンテトラアセチルアセトネート(titanium tetraacetylacetoante)などのキレート化合物;オクチル酸鉛;ブチルアミン、オクチルアミン、ラウリルアミン、ジブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、オレイルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、キシリレンジアミン、トリエチレンジアミン、グアニジン、ジフェニルグアニジン、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、モルホリン、N-メチルモルホリン、2-エチル-4-メチルイミダゾールおよび1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7(DBU)、またはこれらのアミン化合物とカルボン酸との塩などのアミン化合物;アミン化合物-オルガノスズ化合物反応生成物および混合物、例えばラウリルアミン-オクチル酸第一スズ反応生成物または混合物;過剰のポリアミンおよび多塩基酸から得ることができる低分子量ポリアミド樹脂;過剰のポリアミンとエポキシ化合物からの反応生成物;γ-アミノプロピルトリメトキシシランおよびN-(β-アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシランなどのアミノ基含有シランカップリング剤;ならびに同様のシラノール縮合触媒、ならびにさらには酸性触媒および塩基性触媒などの他の公知のシラノール縮合触媒であり得る。
【0191】
触媒G3は、上述した触媒のうちの1種、または2種もしくはそれ以上の組合せであり得る。
【0192】
好ましくは、少なくとも1種の触媒G3は、四価チタンをベースとする金属有機化合物(ジイソプロポキシチタンビスアセチルアセトネート(di-isopropoxy titanium bis-acetylacetonat)など)および/または四価スズをベースとする有機化合物(ジアルキルスズビスアセチルアセトネート化合物、およびジアルキルスズフタレートエステルなど)から選択される。このような触媒は、例えば、TIB Chemicalsから入手可能である。好ましくは、触媒G3は、少なくとも1種の有機スズ化合物、より好ましくは、ジブチルスズビスアセチルアセトネート(dibutyltin bis-acetylacetonat)および/またはジオクチルスズビスアセチルアセトネート(acetylacetonat)((例えば、TIB Chemicals製TIB KAT(登録商標)223、ジオクチルスズジケタノエート(dioctyltindiketanoat)を含む。
【0193】
好ましくは、本発明のポリマー組成物は、少なくとも1種の水分捕捉剤Dを、ポリマー組成物全体に基づいて、0.5~5重量%、好ましくは0.7~5重量%、より好ましくは0.8~3重量%の量で含む。
【0194】
好ましくは、水分捕捉剤G4は、ビニルシラン、特にビニルトリメトキシシラン(VTMO)、ビニルトリエトキシシラン(VTEO)、γ-メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシランおよびγ-アクリルオキシオキシプロピルメチルトリエトキシシラン(acryloxyloxypropylmethyltriethoxysilane)などのビニル型不飽和基含有シランから選択される。例えば、水分捕捉剤G4は、ビニルトリメトキシシラン(VTMO)(例えば、Evonik製Dynasylan(登録商標)VTMO)および/またはビニルトリエトキシシラン(VTEO)(例えば、Evonik製Dynasylan(登録商標)VTEO)である。
【0195】
さらに、ポリマー組成物は、G1、G2、G3およびG4とは異なりならびにA、B、CおよびCとは異なる少なくともさらなる添加剤G、例として相容化剤、粘着付与剤、物理特性改質剤、貯蔵安定性改善剤、金属不活性化剤、オゾン分解防止剤、光安定剤、熱安定剤、リン含有過酸化物分解剤、潤滑剤、顔料(例えば、TiO2およびカーボンブラック)、チキソトロープ剤(ポリアミドワックス、フュームドシリカ、水素化ヒマシ油など)、発泡剤、難燃剤および帯電防止剤を、それぞれ適切な量で、0~10重量%含んでいてもよい。
【0196】
さらに、本発明はまた、本発明のポリマー組成物を製造するための方法であって、成分PおよびS、ならびに場合によりFおよび/またはGを混合する工程を含む、方法を包含する。
【0197】
SMPシーラントを製造するためのいくつかの方法が知られており、従来技術に記載されている。典型的には、製造方法は、上記成分を任意の順序で混合し、得られた混合物を、常温でまたは加熱しながら、ミキサー、ローラー、混練機などを用いて混練する工程を含む。組成物は、例えば、化合物A、B、C、Dならびに場合によりFおよびGをシリル変性ポリマーPに加え、均一な分散および溶解をもたらし、必要に応じて、例えば加熱および撹拌条件を調節することによって、製造することができる。典型的には、成分の混合は、混練機(遊星ミキサー)、真空および加熱系を備えた多軸ミキサーなどの公知の装置で実行する。さらに、製造方法は、適切な溶媒の適切なポーションを使用して、1つまたはそれ以上の成分を溶解し、次いで、溶液をよく混合する工程を包含し得る。必要に応じて、分散改善剤を使用してもよい。
【0198】
典型的には、SMPポリマー組成物は、空気および湿気の非存在下で製造し、それらの製造の直後に、カートリッジなどの閉鎖可能な容器に充填する。
【0199】
上記の様式で得られた本発明のポリマー組成物は、一液型硬化性組成物として適用することができる。そのような硬化性組成物は、本発明のポリマー組成物を、実質的に水分を含まない状態で製造することにより得ることができる。このような組成物はしっかりと閉じた状態で保存すると、長期間の保存に耐えることができ、大気条件に曝されると、表面から急速に硬化する。
【0200】
本発明の硬化性ポリマー組成物は、建築および建設工事の分野ならびに工業用途において、弾性シーラントまたは接着剤として有用である。また、塗料、接着剤、注入充填剤、コーティング材料などとして使用することもできる。
【0201】
他に記載がない限り、%で与えられる全ての値は重量%を指し、与えられる全ての比は重量比に基づく。他に記載がない限り、ppmという用語は、mg/kgを意味する。
【0202】
本発明は、以下の例および特許請求の範囲によってさらに例示する。
【実施例】
【0203】
本発明の液体安定剤組成物、本発明の粉末安定剤組成物、および参照安定剤組成物を含む実施例および比較例を製造した。
【0204】
1.液体安定剤組成物SCの製造
成分A1、A2、B1およびC1を液体希釈剤D4と混合することによって、以下の安定剤組成物を製造した。安定剤成分A1、A2、B1、C1およびD4は以下に定義されるとおりである。成分A1およびA2はそれぞれ、液体希釈剤Dの総量を占める溶媒D5.1(1-メトキシ-2-プロパノール)およびD5.2(キシレン)を含む組成物として提供される。以下の表1および2に与えられる全ての量は、活性成分の量を重量%で表す。希釈剤Dの合計量、ならびに希釈剤D4、D5.1およびD5.2の別々の量を、それぞれの安定剤組成物の総重量に基づいた重量%で与える。
【0205】
【0206】
成分:
A1:活性成分として、85重量%の2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-ドデシルオキシプロピル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジンおよび2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-トリデシルオキシプロピル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジンの混合物、ならびに液体希釈剤D5.1として15重量%の1-メトキシ-2-プロパノール(Frankfurt、Clariant製Hostavin(登録商標)3400LIQ)を含むUV吸収剤組成物;
A2:活性成分として、80重量%の2-エチル-2’-エトキシ-オキサルアニリド(CAS番号23949-66-8)、および液体希釈剤D5.2として20重量%のキシレン(Clariant製Hostavin3206LIQ)を含むUV吸収剤組成物;
B1:HALS、2,2,4,4-テトラメチル-7-オキサ-3,20-ジアザジスピロ-20-(2,3-エポキシプロピル)ジスピロ-(5.1.11.2)-ヘンエイコサン-21-オンと、エピクロロヒドリン、(CAS番号202483-55-4;Hostavin(登録商標)N30(Frankfurt、Clariant製))との反応生成物;
C1:フェノール系酸化防止剤、ビス-(3,3-ビス-(4’-ヒドロキシ-3’-tert.-ブチルフェニル)ブタン酸)-グリコールエステル(CAS番号32509-66-3);
D:液体希釈剤、特にD4、D5.1およびD5.2;
D4:液体希釈剤、ビニルトリメトキシシラン(Dynasylan(登録商標)VTMO、Evonik);
D5.1:液体希釈剤、1-メトキシ-2-プロパノール;
D5.2:液体希釈剤、キシレン。
【0207】
液体安定剤組成物SC1、SC2、SC3およびSC4を、成分を表1に示す量で室温にて混合することによって得た。得られた安定剤組成物は、透明で安定な溶液として得られた。安定剤組成物SC1、SC2、SC3およびSC4を、以下に記載するSMP組成物の製造に使用した。
【0208】
液体安定剤組成物を使用したSMP試験試料の製造
以下のSMP組成物は、SMP1(Kaneka(登録商標)S303H、シリル末端ポリエーテル)および液体安定剤組成物SC1、SC2、SC3またはSC4のうちの1種を使用して製造し、成分SMP1、F1、G1、G2、G3およびG4は後述のとおりである。
【0209】
【0210】
以下の成分を使用した:
成分P:
SMP1:Kaneka MSポリマー(登録商標)S303H、Kaneka、シリル末端ポリエーテル
充填剤成分F:
F1:Hakuenka(登録商標)CCR-S10、Omya、脂肪酸でコーティングした沈降炭酸カルシウム
さらなる成分G:
G1:可塑剤、Mesamoll(登録商標)、Lanxess、C10~C21アルカンスルホン酸フェニルエステル、
G2:接着促進剤、3-アミノプロピルトリメトキシシラン(Dynasylan(登録商標)AMMO、Evonik);
G3:触媒TIB KAT(登録商標)223、TIB Chemicals、ジオクチルスズジケタノエート(dioctyltindiketanoat)、
G4:水分捕捉剤、ビニルトリメトキシシラン(Dynasylan(登録商標)VTMO、Evonik);
【0211】
安定剤成分:
本発明の実施例(Ex.1~Ex.4)を、それぞれ、表1に従って液体安定剤組成物SC1、SC2、SC3、およびSC4を使用することによって製造する。
【0212】
製造SMP組成物を、表2にまとめる。
【0213】
【0214】
SMP試験試料の製造
150mlスピードミキサーカップ(PP250ml)内で、充填剤F1 52.0gを、ポリマーSMP1 29.2gおよび可塑剤G1 14.6gに加えた。混合物を、SpeedMixer DAC600.1FVZ内で、2300rpmにて30秒間、周囲温度で撹拌した。表2による量の安定剤組成物SC1、SC2、SC3またはSC3を、得られた混合物に加え、2300rpmでさらに60秒間撹拌した。最後に、接着促進剤G2 0.9g、水分捕捉剤G4 1.0gおよび触媒G3 0.5gを、得られた混合物に加え、2300rpmでさらに30秒間撹拌した。
【0215】
液体安定剤組成物SC1、SC2、SC3およびSC4は、容易かつ正確に投入することができ、SMP試験試料の製造中に粉塵の形成を示さない。
【0216】
SMP試験試料の試験
熱安定性、表面亀裂耐性、および色を、以下のセクション4で説明する試験方法を使用して、各試料について測定した。試験結果を、表3にまとめる。
【0217】
【0218】
熱安定性および表面亀裂耐性に関する高い要求を、UV吸収剤A1および/またはA2、ヒンダードアミン系光安定剤B1、フェノール系酸化防止剤C1および液体希釈剤Dの本発明の液体の組合せを使用するSMP試験試料が満たすことが実証される(Ex.1~Ex.4を参照)。特に高いUV安定性は、UV吸収剤A1対UV吸収剤A2の比が1:1よりも大きい、すなわちUV吸収剤A1がUV吸収剤の総量の50重量%を超える場合、本発明の安定剤の組合せを使用するSMP試験試料で達成される。(Ex.3およびEx.4を参照)。一方、少なくとも1種のUV吸収剤A2を含む安定剤の組合せでは、より優れた熱安定性が観察される(Ex.3対Ex.4を参照)。UV吸収剤A2などのオキサルアニリドUV吸収剤は、UV吸収剤A1などの(2-ヒドロキシフェニル)-s-トリアジンUV吸収剤と比較して安価であるため、これは安定剤組成物の費用削減にも寄与する。初期の黄色度指数(0時間でのYI)には、試料間で有意な変動はない。
【0219】
2.粉末安定剤を組み合わせたSMP試験試料の製造および試験
液体希釈剤Dの非存在下で、成分A、B、および場合によりCを含む粉末安定剤の組合せを使用して、いくつかのSMP試験試料を製造した。さらに、従来の安定剤の組合せを使用してSMP試験試料を製造することによって、参照例を作製した。
【0220】
以下の成分を使用した:
成分P:
SMP1:Kaneka(登録商標)S303H、シリル末端ポリエーテル
安定剤S
A3:UV吸収剤、2-エチル-2’-エトキシ-オキサルアニリド(CAS番号23949-66-8)、液体希釈剤非含有;
B1:HALS、2,2,4,4-テトラメチル-7-オキサ-3,20-ジアザジスピロ-20-(2,3-エポキシプロピル)ジスピロ-(5.1.11.2)-ヘンエイコサン-21-オンと、エピクロロヒドリン、(CAS番号202483-55-4;Hostavin(登録商標)N30(Frankfurt、Clariant製))との反応生成物;
C1:フェノール系酸化防止剤、ビス-(3,3-ビス-(4’-ヒドロキシ-3’-tert.ブチルフェニル)ブタン酸)-グリコールエステル(CAS番号32509-66-3);
R1:参照1は以下の組合せである:
UV-1 UV吸収剤、2-(2’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチル-5’-メチルフェニル)-5-クロロベンゾルトリアゾール(CAS番号3896-11-5)、および
HALS-1 ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)デカンジオエート(CAS-No.52829-07-9)
R2:参照2はTinuvin(登録商標)5866(BASF製)であって、UV吸収剤と、HALS成分であるビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)[[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネートが含まれる、塩基性HALSとをブレンドしたものである。
充填剤成分F:
F1:Hakuenka(登録商標)CCR-S10、脂肪酸でコーティングした沈降炭酸カルシウム
さらなる成分G:
G1:可塑剤、Mesamoll(登録商標)、C10~C21アルカンスルホン酸フェニルエステル、
G2:接着促進剤、3-アミノプロピルトリメトキシシラン(Dynasylan(登録商標)AMMO、Degussa Evonik);
G3:触媒TIB KAT 223、ジオクチルスズジケタノエート(Dioctyltindiketanoat)、
G4:水分捕捉剤、ビニルトリメトキシシラン(Dynasylan(登録商標)VTMO、Degussa Evonik);
【0221】
スピードミキサーカップ150ml(PP250ml)内で、充填剤F1 52.0gを、ポリマーSMP1 29.2gおよび可塑剤G1 14.6gに加えた。混合物を、SpeedMixer DAC600.1FVZ内で、2300rpmにて30秒間、周囲温度で撹拌した。成分A3、B1およびC1を、以下の表4、5および6による量で、得られた混合物に加え、2300rpmでさらに60秒間撹拌した。最後に、接着促進剤G2 0.9g、水分捕捉剤G4 2.0gおよび触媒G3 0.5gを、得られた混合物に加え、2300rpmでさらに30秒間撹拌した。参照安定剤R1およびR2を使用して、参照試料Ref.1~Ref.6を製造した。
【0222】
熱安定性、表面亀裂耐性、および色を、以下のセクション4で説明する試験方法を使用して、各試料について測定した。
【0223】
表4に示す以下の基本配合を使用した。
【0224】
【0225】
試験結果を、以下の表5および6にまとめる。
【0226】
UV吸収剤A3、HALSB1およびフェノール系酸化防止剤C1の本発明の組合せを使用することにより、参照材料(Ref.1~Ref.6)の熱安定性および表面亀裂耐性が満たされるか、または改善されることが実証される。通常、本発明の安定剤の組合せは、参照例と比較して44%高い熱安定性および67%高い表面亀裂耐性を示す。
【0227】
さらに、実験データは、本発明のUV吸収剤A3とヒンダードアミン系光安定剤B1との組合せは、フェノール系酸化防止剤C1の非存在下でSMP試験試料に熱安定性とUV安定性の組合せ特性を提供するが、これは多くの用途に十分であり(熱安定性>1000時間、UV安定性≧500時間、Ex.5、6、17、18)、フェノール系酸化防止剤C1の添加により、熱安定性と表面亀裂耐性が相乗的に大幅に向上する(Ex.7~Ex.16、Ex.19)することを示している。
【0228】
初期の黄色度指数(0時間でのYI)には、本発明による試料間で有意な変動はない。平均YI6.29は、Ref.1~Ref.4の結果と一致し、Ref.5~Ref.6(ヒンダードアミン系光安定剤とベンゾトリアゾール型UV吸収剤の従来の組合せを含む)の結果よりも低い。
【0229】
【0230】
さらに、驚くべきことに、フェノール系酸化防止剤の化学的性質が重要であり、フェノール系酸化防止剤C1を本発明の安定剤成分AおよびBと組み合わせて使用すると、有利な相乗的組合せが達成されることが見出された。
【0231】
【0232】
参照例Ref.1~Ref.4は、従来の最先端の粉末安定剤の組合せが、UV吸収剤A3、ヒンダードアミン系光安定剤B1およびフェノール系酸化防止剤C1の本発明の粉末安定剤の組合せよりも優れていることが多いことを実証している。安定剤の組合せRef.1~Ref.4は、化学物質の分類、表示および包装(Classification, Labeling and Packaging of Chemical Substances)に関する現在のEU規制により危険有害性として分類されるが、Ex.5~19の粉末安定剤の組合せにはこの表示は必要ない。さらに、参照例Ref.1~Ref.4は、従来の最先端の粉末安定剤の組合せが、UV吸収剤A1および/またはA2、ヒンダードアミン系光安定剤B1、フェノール系酸化防止剤C1および液体希釈剤Dの本発明の液体安定剤の組合せよりも優れていることを実証している(Ex.1~Ex.4)。本発明による液体安定剤組成物はさらに、容易に計量してSMPポリマー組成物中に均質に組み込むことができるという利点を有する。
【0233】
さらなる参照例Ref.5およびRef.6は、ヒンダードアミン系光安定剤とベンゾトリアゾール型UV吸収剤との従来の安定剤の組合せが、初期の黄色度指数に関して特に劣ることを実証している(0時間でのYI)。
【0234】
3.SMP試験試料の製造および試験
SMP試験試料を、セクション2で説明した成分および方法に基づいて製造した。熱安定性、表面亀裂耐性、および色を、セクション4で説明する試験方法を使用して、各試料について測定した。配合は上記の表5のEx.8に基づいており、以下のように与えられる(総量はg単位による):
【0235】
【0236】
成分SMP1、F1、G1、G2、G4、およびG3については上述したとおりである。以下の安定剤A、B、およびCを使用する:
A3:UV吸収剤、2-エチル-2’-エトキシ-オキサルアニリド(CAS番号23949-66-8)、液体希釈剤非含有;
B1:HALS、2,2,4,4-テトラメチル-7-オキサ-3,20-ジアザジスピロ-20-(2,3-エポキシプロピル)ジスピロ-(5.1.11.2)-ヘンエイコサン-21-オンと、エピクロロヒドリン(CAS番号202483-55-4;Hostavin(登録商標)N30(Frankfurt、Clariant製))との反応生成物;
B2*:比較HALS Tinuvin(登録商標)622(BASF SE)、ポリ(4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジンエタノール-alt-1,4-ブタン二酸)(CAS番号65447-77-0);
C1:フェノール系酸化防止剤、ビス-(3,3-ビス-(4’-ヒドロキシ-3’-tert.ブチルフェニル)ブタン酸)-グリコールエステル(CAS番号32509-66-3);
C2:Clariant製Hostanox(登録商標)P-EPQ、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-1,1-ビフェニル-4,4’-ジイルビスホスホナイト(CAS番号38613-77-3)を主成分として含む多成分系;
C3:Irganox(登録商標)1010、ペンタエリスリトールテトラキス(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、CAS番号6683-19-8;
C4:Tinuvin(登録商標)144(BASF SE)、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)-[[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート(CAS番号63843-89-0)。
【0237】
SMP配合および試験結果を、以下の表7および8にまとめる。
【0238】
【0239】
【0240】
上記の例は、式(II)-1によるオリゴマーヒンダードアミン系光安定剤を含む安定剤成分AおよびB1の本発明の組合せによって、Tinuvin(登録商標)622などの従来のオリゴマーHALSと比較して、優れた熱安定性およびUV安定性がもたらされることを実証している。(Ex.20およびRef.7を参照)。
【0241】
さらに、フェノール系酸化防止剤の化学的性質の重要な影響は、上に示した例によって実証されている。フェノール系酸化防止剤C1を本発明の安定剤成分AおよびB、特にB1と組み合わせて使用すると、有利な相乗的組合せが達成されることが見出された。改善された熱安定性および改善された表面亀裂耐性(UV安定性)に関する有利な効果は、別の酸化防止剤、例えば、比較安定剤C2、C3またはC4を使用しても達成されない。
【0242】
4.試験方法
熱安定性
上述のように製造したSMP試料の熱安定性を、以下の手順で試験した。均質な温度を確保するために、硬化フィルムから25×25×2mmの試験片を切り出し、ボール紙パネル上に置いた。パネルをオーブンの中央セクションに置き、110℃の設定温度で予熱した(Memmert UF30換気オーブン)。オーブンを、温度が23±1℃に制御され、湿度が50±5%に制御された実験室環境で操作した。試料を定期的にチェックした。110℃では、観察間の最大間隔は100時間であった。試料を、亀裂の最初の兆候で「破損」として分類し、オーブンから取り出した。表3に示すように、熱安定性は、破損するまでの時間で示す。
【0243】
表面亀裂耐性
上述のように製造したSMP試料のUV安定性(表面亀裂耐性)を、ISO4892-2E2013湿潤/乾燥に従ってウェザオメータ(weather-o-meter)(WoM)を使用して決定した。硬化試料を、102分間の乾燥期間とその後の未処理脱塩水による18分間の水噴霧のサイクルでUV放射線に曝露した。放射線強度は、60W/m2(300~400nm)であった。試験を、ISO4892-2E2013に従って、相対湿度50%、温度65℃+/-3℃(黒色標準)で実行した。
【0244】
試料は、表面亀裂の目視チェックおよび色の測定を含めて、2000時間まで500時間ごとにチェックした。試料は、表面亀裂の目視チェックおよび色の測定を含めて、2000時間から開始して100時間ごとにチェックした。表面亀裂が見える場合、試料を「破損」として記録した。表面亀裂耐性は、破損するまでの時間で示す。≧500時間の初期破損(特に、他の優れた特性と組み合わせた場合、例えば≧1000時間の熱安定性および良好な初期黄変指数)は、多くの用途には十分であると考えられるが、≧1000時間の初期破損が好ましい。表3に報告するように、表面亀裂耐性は、破損するまでの時間で示す。
【0245】
黄変
試験試料の黄色度指数(YI)を、ASTM E313に従って、UV放射線曝露を用いずに測定した。さらに、CIE表色系に基づく色の測定を、換気オーブン内で110℃にて1000時間の熱曝露の前後に行った。CIE LAB値L*、a*、b*およびdEは、分光光度計Minolta CM-3600dを使用し、ゼロボックスおよび白色基準板で較正して決定し、ここで、L*は明度を定義し、a*は赤/緑色の値を示し、b*は黄/青の値を示す。UV放射線曝露前後のCIE LAB値の差を、表3に示す。
【0246】
5.溶解度評価
オリゴマー光安定剤Tinuvin(登録商標)622およびHostavin(登録商標)のさまざまな有機溶媒および可塑剤への溶解度を、以下の試験手順に従って決定した。
【0247】
溶媒50mlを250mlフラスコに注ぎ、電磁撹拌器をフラスコに入れる。次に、少量のTinuvin(登録商標)622 SFをスパチュラで繰り返し溶液に加える。溶解しなくなったら30℃に加熱し、再度少量を、溶解しなくなるまで加える。40℃、50℃、および80℃で繰り返す。溶媒の沸点に応じて、温度を30℃上昇させる。
【0248】
次に、このプロセスをHostavin(登録商標)N30で繰り返すが、ここでは室温および50℃のみが必要である。
【0249】
生成物が1時間後に溶解していない場合は、溶解度試験を中止する。
【0250】
以下の材料を使用した。
B1:HALS、2,2,4,4-テトラメチル-7-オキサ-3,20-ジアザジスピロ-20-(2,3-エポキシプロピル)ジスピロ-(5.1.11.2)-ヘンエイコサン-21-オンと、エピクロロヒドリン(CAS番号202483-55-4)、(Hostavin(登録商標)N30、Clariant製)との反応生成物;
B2*:比較HALS Tinuvin(登録商標)622(BASF SE)、ポリ(4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジンエタノール-alt-1,4-ブタン二酸)(CAS番号65447-77-0);
G1:可塑剤、Mesamoll(登録商標)、Lanxess、C10~C21アルカンスルホン酸フェニルエステル、
【0251】
エタノール、n-ブタノール、酢酸エチル、トルエンなどの溶媒は市販されている。
【0252】
可塑剤であるジイソノニルシクロヘキサン-1,2-ジカルボキシレート(DINCH;CAS番号166412-78-8)およびジイソノニルフタレート(DINP;CAS番号68515-48-0)は、種々の製造元から市販されている。
【0253】
結果を以下の表9~11にまとめる。
【0254】
【0255】
組成物中で均一な分布を得るために、好ましくは広範囲の液体の構成要素に対する良好な溶解度が必要である。本発明者らは、本発明によるヒンダードアミン系光安定剤Bが広範囲の有機溶媒に対するこの要件を満たすことを見出した(表9参照)。さらに、ヒンダードアミン系光安定剤Bはまた、表10および11に示すように、一般的に使用されるSMPシーラント可塑剤に対して良好な溶解度を示す。
【0256】
【0257】
【国際調査報告】