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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-19
(54)【発明の名称】結腸直腸がん対象者の転帰の予測
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/6886 20180101AFI20240112BHJP
   G01N 33/50 20060101ALI20240112BHJP
   C12N 15/12 20060101ALN20240112BHJP
【FI】
C12Q1/6886 Z ZNA
G01N33/50 P
C12N15/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023541908
(86)(22)【出願日】2022-01-05
(85)【翻訳文提出日】2023-07-20
(86)【国際出願番号】 EP2022050105
(87)【国際公開番号】W WO2022152597
(87)【国際公開日】2022-07-21
(31)【優先権主張番号】21151054.0
(32)【優先日】2021-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ホフマン ラルフ ダイター
(72)【発明者】
【氏名】ストッフェルス モニーク
【テーマコード(参考)】
2G045
4B063
【Fターム(参考)】
2G045AA26
2G045DA13
2G045DA14
4B063QA12
4B063QA19
4B063QQ42
4B063QQ52
4B063QR08
4B063QR32
4B063QR35
4B063QR55
4B063QR62
4B063QS25
4B063QS34
(57)【要約】
本発明は、結腸直腸がん対象者の転帰を予測する方法であって、前記方法が、1種以上の免疫防御応答遺伝子のそれぞれに対する第1の遺伝子発現プロファイル、及び/若しくは1種以上のT細胞受容体シグナル伝達遺伝子のそれぞれに対する第2の遺伝子発現プロファイル、及び/若しくは1種以上のPDE4D7関連遺伝子のそれぞれに対する第3の遺伝子発現プロファイルを決定する又は決定の結果を受け取るステップであって、前記第1、第2及び第3の発現プロファイルは、前記結腸直腸がん対象者から取得した生物学的サンプル中で決定される、ステップと、前記第1の遺伝子発現プロファイル、若しくは前記第2の遺伝子発現プロファイル、若しくは前記第3の遺伝子発現プロファイル、又は前記第1、第2及び第3の遺伝子発現プロファイルに基づく前記結腸直腸がん対象者の転帰の予測を決定するステップと、適宜、前記結腸直腸がん対象者の転帰の予測を、医療介助者又は前記結腸直腸がん対象者に提供するステップと、を有する方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
結腸直腸がん対象者の転帰を予測する方法であって、前記方法が、
第1の遺伝子発現プロファイル、第2の遺伝子発現プロファイル及び第3の遺伝子発現プロファイルから選択される6種以上の遺伝子の発現レベルを決定する又は決定の結果を受け取るステップであって、前記6種以上の遺伝子発現レベルが、前記第3の遺伝子発現プロファイルから選択される少なくとも1種以上の遺伝子発現レベル並びに前記第1及び/若しくは前記第2の遺伝子発現プロファイルから選択される少なくとも1種以上の遺伝子発現レベルを含み、
前記第1の遺伝子発現プロファイルが、AIM2、APOBEC3A、CIAO1、DDX58、DHX9、IFI16、IFIH1、IFIT1、IFIT3、LRRFIP1、MYD88、OAS1、TLR8及びZBP1からなる群から選択される免疫防御応答遺伝子からなり、
前記第2の遺伝子発現プロファイルが、CD2、CD247、CD28、CD3E、CD3G、CD4、CSK、EZR、FYN、LAT、LCK、PAG1、PDE4D、PRKACA、PRKACB、PTPRC及びZAP70からなる群から選択されるT細胞受容体シグナル伝達遺伝子からなり、
前記第3の遺伝子発現プロファイルが、ABCC5、CUX2、KIAA1549、PDE4D、RAP1GAP2、SLC39A11、TDRD1及びVWA2からなる群から選択されるPDE4D7関連遺伝子からなり、
前記第1、第2及び第3の遺伝子発現プロファイルは前記結腸直腸がん対象者から取得した生物学的サンプル中で決定される、ステップと、
6種以上の遺伝子発現レベルに基づいて前記結腸直腸がん対象者の転帰の予測を決定するステップと、
適宜、前記結腸直腸がん対象者の転帰の予測を、医療介助者又は前記結腸直腸がん対象者に提供するステップと
を有する、方法。
【請求項2】
前記6種以上の遺伝子発現レベルが、
1種以上の免疫防御応答遺伝子、好ましくは、2種以上、より好ましくは3種以上、最も好ましくは、すべての免疫防御遺伝子、及び
1種以上のT細胞受容体シグナル伝達遺伝子、好ましくは、2種以上、より好ましくは3種以上、最も好ましくは、すべてのT細胞受容体シグナル伝達遺伝子、及び
1種以上のPDE4D7関連遺伝子、好ましくは、2種以上、より好ましくは3種以上、最も好ましくは、すべてのPDE4D7関連遺伝子
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記結腸直腸がん対象者の転帰の予測を決定するステップが、
2種以上の、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13種若しくはすべての前記免疫防御応答遺伝子の前記第1の遺伝子発現プロファイルと、結腸直腸がん対象者の集団から導出した回帰関数とを組み合わせるステップと、及び/又は
2種以上の、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16種若しくはすべての前記T細胞受容体シグナル伝達遺伝子の前記第2の遺伝子発現プロファイルと、結腸直腸がん対象者の集団から導出した回帰関数とを組み合わせるステップと、及び/又は
2種以上の、例えば、2、3、4、5、6、7種若しくはすべての前記PDE4D7関連遺伝子の前記第3の遺伝子発現プロファイルと、結腸直腸がん対象者の集団から導出した回帰関数とを組み合わせるステップと、及び/又は
前記6種以上の遺伝子の発現レベル、例えば6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16種以上若しくはすべての遺伝子発現レベルと、結腸直腸がん対象者の集団から導出した回帰関数とを組み合わせるステップとを有する、
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記結腸直腸がん対象者の転帰の前記予測を決定するステップが、前記第1の遺伝子発現プロファイルの組合せ、前記第2の遺伝子発現プロファイルの組合せ及び前記第3の遺伝子発現プロファイルの組合せと、結腸直腸がん対象者の集団から導出した回帰関数とを組み合わせるステップを更に有する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記結腸直腸がん対象者の転帰を決定するステップが、前記結腸直腸がん対象者から取得した1種以上の臨床パラメータに更に基づく、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記結腸直腸がん対象者から取得した1種以上の臨床パラメータは、(i)Tステージ属性(T1、T2、T3又はT4)、(ii)Nステージ属性(N0、N1又はN2)、及び(iii)Mステージ属性(M0、M1)のうちの1種以上を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記結腸直腸がん対象者の転帰の前記予測を決定するステップは、(i)前記1種以上の免疫防御応答遺伝子の前記第1の遺伝子発現プロファイル、(ii)前記1種以上のT細胞受容体シグナル伝達遺伝子の前記第2の遺伝子発現プロファイル、(iii)前記1種以上のPDE4D7関連遺伝子の前記第3の遺伝子発現プロファイル、並びに(iv)前記第1の遺伝子発現プロファイルの組合せ、前記第2の遺伝子発現プロファイルの組合せ、前記第3の遺伝子発現プロファイルの組合せ、及び前記結腸直腸がん対象者から取得した前記1種以上の臨床パラメータのうちの1つ以上を、結腸直腸がん対象者の集団から導出した回帰関数と組み合わせるステップを有する、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
前記生物学的サンプルを、前記治療の開始前に前記結腸直腸がん対象者から取得する、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記治療が、手術、放射線治療、細胞傷害性化学治療(CTX)、短期若しくは長期化学放射線治療(CRT)、免疫治療又はその任意の組合せである、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記治療応答の予測が、前記治療の有効性に対して可能性が低い又は可能性が高く、ここで、前記治療応答の予測に基づいて治療法が推奨され、前記治療応答の予測の可能性が低い場合、推奨される前記治療は、(i)標準よりも早期に提供される治療、(ii)有効線量を増加させた放射線治療、(iii)化学治療等の補助的治療、(iv)長期CRT(化学放射線治療)、及び(iv)免疫治療等の代替治療
のうちの1つ以上を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
結腸直腸がん対象者の転帰を予測するための装置であって、
AIM2、APOBEC3A、CIAO1、DDX58、DHX9、IFI16、IFIH1、IFIT1、IFIT3、LRRFIP1、MYD88、OAS1、TLR8及びZBP1からなる群から選択される1種以上、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13種若しくはすべての免疫防御応答遺伝子のそれぞれの第1の遺伝子発現プロファイルであり、前記結腸直腸がん対象者から取得した生物学的サンプル中で決定される、前記第1の遺伝子発現プロファイル、並びに/又はCD2、CD247、CD28、CD3E、CD3G、CD4、CSK、EZR、FYN、LAT、LCK、PAG1、PDE4D、PRKACA、PRKACB、PTPRC及びZAP70からなる群から選択される1種以上、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16種若しくはすべてのT細胞受容体シグナル伝達遺伝子のそれぞれの第2の遺伝子発現プロファイルであり、前記結腸直腸がん対象者から取得した生物学的サンプル中で決定される、前記第2の遺伝子発現プロファイル、並びに/又はABCC5、CUX2、KIAA1549、PDE4D、RAP1GAP2、SLC39A11、TDRD1及びVWA2からなる群から選択される1種以上、例えば、1、2、3、4、5、6、7種若しくはすべてのPDE4D7関連遺伝子のそれぞれの第3の遺伝子発現プロファイルであり、前記結腸直腸がん対象者から取得した生物学的サンプル中で決定される、前記第3の遺伝子発現プロファイルと、を示すデータを受け取る入力部と、
前記第1の遺伝子発現プロファイル、若しくは前記第2の遺伝子発現プロファイル、若しくは前記第3の遺伝子発現プロファイル、又は前記第1、第2及び第3の遺伝子発現プロファイルに基づく前記結腸直腸がん対象者の転帰の予測を決定するプロセッサと、
適宜、前記結腸直腸がん対象者の転帰の予測を、医療介助者又は前記結腸直腸がん対象者に提供する提供部と、
を備える、装置。
【請求項12】
複数の命令を含むコンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムをコンピュータによって走らせた場合に、前記複数の命令が、
AIM2、APOBEC3A、CIAO1、DDX58、DHX9、IFI16、IFIH1、IFIT1、IFIT3、LRRFIP1、MYD88、OAS1、TLR8及びZBP1からなる群から選択される1種以上、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13種若しくはすべての免疫防御応答遺伝子のそれぞれの第1の遺伝子発現プロファイルであり、結腸直腸がん対象者から取得した生物学的サンプル中で決定される前記第1の遺伝子発現プロファイル、並びに/又はCD2、CD247、CD28、CD3E、CD3G、CD4、CSK、EZR、FYN、LAT、LCK、PAG1、PDE4D、PRKACA、PRKACB、PTPRC及びZAP70からなる群から選択される1種以上、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16種若しくはすべてのT細胞受容体シグナル伝達遺伝子のそれぞれの第2の遺伝子発現プロファイルであり、結腸直腸がん対象者から取得した生物学的サンプル中で決定される前記第2の遺伝子発現プロファイル、並びに/又はABCC5、CUX2、KIAA1549、PDE4D、RAP1GAP2、SLC39A11、TDRD1及びVWA2からなる群から選択される1種以上、例えば、1、2、3、4、5、6、7種若しくはすべてのPDE4D7関連遺伝子のそれぞれの第3の遺伝子発現プロファイルであり、結腸直腸がん対象者から取得した生物学的サンプル中で決定される前記第3の遺伝子発現プロファイルと、を示すデータを受け取るステップと、
前記第1の遺伝子発現プロファイル、若しくは前記第2の遺伝子発現プロファイル、若しくは前記第3の遺伝子発現プロファイル、又は前記第1、第2及び第3の遺伝子発現プロファイルに基づく前記結腸直腸がん対象者の転帰の予測を決定するステップと、
適宜、前記結腸直腸がん対象者の転帰の予測を、医療介助者又は前記結腸直腸がん対象者に提供するステップと、
を有する方法を前記コンピュータに実行させる、コンピュータプログラム。
【請求項13】
対象者から取得した生物学的サンプル中で、第1の遺伝子発現プロファイル、第2の遺伝子発現プロファイル及び第3の遺伝子発現プロファイルから選択される6種以上の遺伝子の発現レベルを決定するための少なくとも1種のプライマー及び/又はプローブであって、前記6種以上の遺伝子発現レベルが、前記第3の遺伝子発現プロファイルから選択される少なくとも1種以上の遺伝子発現レベル並びに前記第1及び/若しくは前記第2の遺伝子発現プロファイルから選択される少なくとも1種以上の遺伝子発現レベルを含み、
前記第1の遺伝子発現プロファイルが、AIM2、APOBEC3A、CIAO1、DDX58、DHX9、IFI16、IFIH1、IFIT1、IFIT3、LRRFIP1、MYD88、OAS1、TLR8及びZBP1からなる群から選択される免疫防御応答遺伝子からなり、
前記第2の遺伝子発現プロファイルが、CD2、CD247、CD28、CD3E、CD3G、CD4、CSK、EZR、FYN、LAT、LCK、PAG1、PDE4D、PRKACA、PRKACB、PTPRC及びZAP70からなる群から選択されるT細胞受容体シグナル伝達遺伝子からなり、
前記第3の遺伝子発現プロファイルが:ABCC5、CUX2、KIAA1549、PDE4D、RAP1GAP2、SLC39A11、TDRD1及びVWA2からなる群から選択されるPDE4D7関連遺伝子からなる;少なくとも1種のプライマー及び/又はプローブと、
適宜、請求項11に記載の装置又は請求項12に記載のコンピュータプログラムと、
を含む、診断キット。
【請求項14】
請求項13に記載の診断キットの使用。
【請求項15】
結腸直腸がん対象者の転帰を予測する方法における、請求項14に記載の診断キットの使用。
【請求項16】
結腸直腸がん対象者から取得した1種以上の生物学的サンプルを受け取るステップと、
第1の遺伝子発現プロファイル、第2の遺伝子発現プロファイル及び第3の遺伝子発現プロファイルから選択される6種以上の遺伝子の発現レベルを決定するために請求項13に記載のキットを使用するステップであって、前記6種以上の遺伝子発現レベルが、前記第3の遺伝子発現プロファイルから選択される少なくとも1種以上の遺伝子発現レベル並びに前記第1及び/若しくは第2の遺伝子発現プロファイルから選択される少なくとも1種以上の遺伝子発現レベルを含み、
前記第1の遺伝子発現プロファイルが、AIM2、APOBEC3A、CIAO1、DDX58、DHX9、IFI16、IFIH1、IFIT1、IFIT3、LRRFIP1、MYD88、OAS1、TLR8及びZBP1からなる群から選択される免疫防御応答遺伝子からなり、
前記第2の遺伝子発現プロファイルが、CD2、CD247、CD28、CD3E、CD3G、CD4、CSK、EZR、FYN、LAT、LCK、PAG1、PDE4D、PRKACA、PRKACB、PTPRC及びZAP70からなる群から選択されるT細胞受容体シグナル伝達遺伝子からなり、
前記第3の遺伝子発現プロファイルが、ABCC5、CUX2、KIAA1549、PDE4D、RAP1GAP2、SLC39A11、TDRD1及びVWA2からなる群から選択されるPDE4D7関連遺伝子からなる、ステップと、
を有する、方法。
【請求項17】
6種以上の遺伝子発現レベルに基づいて結腸直腸がん対象者の転帰の予測を決定するステップと、
適宜、前記結腸直腸がん対象者の転帰の予測を、医療介助者又は前記結腸直腸がん対象者に提供するステップと
を有する、前記結腸直腸がん対象者の前記転帰を予測する方法における、第1の遺伝子発現プロファイル、第2の遺伝子発現プロファイル及び第3の遺伝子発現プロファイルから選択される6種以上の遺伝子の発現レベルの使用であって、
前記6種以上の遺伝子発現レベルが、前記第3の遺伝子発現プロファイルから選択される少なくとも1種以上の遺伝子発現レベル並びに前記第1及び/又は第2の遺伝子発現プロファイルから選択される少なくとも1種以上の遺伝子発現レベルを含み、前記第1の遺伝子発現プロファイルが、AIM2、APOBEC3A、CIAO1、DDX58、DHX9、IFI16、IFIH1、IFIT1、IFIT3、LRRFIP1、MYD88、OAS1、TLR8及びZBP1からなる群から選択される免疫防御応答遺伝子からなり、前記第2の遺伝子発現プロファイルが、CD2、CD247、CD28、CD3E、CD3G、CD4、CSK、EZR、FYN、LAT、LCK、PAG1、PDE4D、PRKACA、PRKACB、PTPRC及びZAP70からなる群から選択されるT細胞受容体シグナル伝達遺伝子からなり、前記第3の遺伝子発現プロファイルが、ABCC5、CUX2、KIAA1549、PDE4D、RAP1GAP2、SLC39A11、TDRD1及びVWA2からなる群から選択されるPDE4D7関連遺伝子からなる、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結腸直腸がん対象者の転帰を予測する方法、及び結腸直腸がん対象者の転帰を予測するための装置に関する。更に、本発明は、診断キット、キットの使用、結腸直腸がん対象者の転帰を予測する方法におけるキットの使用、結腸直腸がん対象者の転帰を予測する方法における第1、第2及び/又は第3の遺伝子発現プロファイルの使用、並びに対応するコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
がんは、細胞群が制御不能の増殖、浸潤、時には転移を示す疾患のクラスである。がんのこれらの3つの悪性の性質により、がんは、自己限定的でありかつ浸潤も転移もしない良性の腫瘍から区別される。結腸直腸がん(CRC)は、新規症例において第4位(8.2%)であり、米国における2020年の推定死者数においても第2位である極めて一般的ながんである。2020年には、ほぼ148,000例の結腸直腸がんの新規症例が診断されることになり、53,000名以上が、疾患により死亡することになると推定される。診断年齢の中央値は、67歳であり、相対的5年生存率は64.6%である。結腸直腸がんは、初期に診断されればされるほど、診断後に5年を超えて生存する機会はより高くなり;限局性結腸直腸がんの5年生存率は、90.2%であるが、遠隔結腸直腸がん患者は14.3%しか少なくとも5年間生存しない。患者の約38%が、限局性疾患を示す。男性は、女性より多く罹患し、発生率は、年齢と共に増大する(2020年9月9日にアクセスされた、国立がん研究所、SEER Cancer Stat Facts:Colorectal Cancer、https://seer.cancer.gov/statfacts/html/colorect.htmlを参照のこと)。結腸直腸がんのリスク因子には、加齢、一等親血縁者に結腸直腸がんの家族歴がある、結腸、直腸若しくは卵巣がんの病歴がある、高リスク腺腫の病歴がある、家族性大腸ポリープ症(FAP)若しくはリンチ症候群のリスクを増大させる特定の遺伝子に遺伝的変化がある、8年間以上慢性潰瘍性大腸炎又はクローン病の病歴がある、1日に3杯以上飲酒する、喫煙、黒人及び肥満がある。過去20年間に、死亡率の減少より急速であるが、新規症例の率は減少している。
【0003】
また、結腸直腸がんは、結腸又は直腸において始まり、始まった場所に応じて大腸がん若しくは直腸がんと呼ばれる場合がある。にもかかわらず、大腸がん及び直腸がんは、共通の特徴を多く有するので、しばしばひとまとめにされる。通常、CRCは、ポリープと呼ばれる結腸又は直腸の内壁の成長として始まる。これらのポリープが、がんに変化するかどうかは、ポリープのタイプによって決まる。腺腫は、がんに変化する場合がある。過形成性ポリープ及び炎症性ポリープは、より一般的であるが、一般に前がん性ではない。固着性鋸歯状(Sessile serrated)ポリープ(SSP)及び伝統的な鋸歯状腺腫(TSA)は、結腸直腸がんのリスクがより高いので、腺腫としてしばしば処置される。ポリープのタイプに加えて、より大きいサイズのポリープ、多発ポリープ、及びポリープ中に存在する形成異常は、CRCを発症するリスクを増大させる。
【0004】
ほとんどのCRCは腺癌であり、結腸及び直腸の内部を潤滑化するための粘液を産生する細胞において始まる。その他のタイプは、あまり一般的ではないが、カルチノイド腫瘍(ホルモン産生細胞において始まる)、消化管間質腫瘍(GIST)、リンパ腫及び肉腫である。
【0005】
局所処置は、初期がんにおいてより有用である。CRCのタイプに応じて、全身的処置も行われる。各タイプ及びステージに対して、異なる処置タイプが使用され、又は同時に併用され、又は互いの後に使用される。一部の主要な処置タイプは、2020年9月9日にアクセスされた、American Cancer Society, Colorectal Cancer、https://www.cancer.org/cancer/colon-rectal-cancer.html、及び2020年9月9日にアクセスされた、国立がん研究所、PDQ(登録商標)Adult Treatment Editorial Board、PDQ Colorectal Cancer Treatment、https://www.cancer.gov/types/colorectal/patient/colon-treatment-pdqに記載される。
【0006】
初期結腸直腸がんに対する主要な処置は手術である。手術のタイプは、がんの等級によって決まる。直腸がんの場合、手術前後に放射線及び化学治療がしばしば行われる。小さな転移は、塞栓形成又は焼灼によって除去され得る。これは、がんを手術で治癒できない又は手術できない患者に対する一選択肢でもある。放射線治療は、大腸がん処置では一般的でないが、手術と組み合わせた(ネオ)アジュバントセッティング等において、又は転移を処置するために、特別な症例で使用される。直腸がんの場合、放射線治療がはるかに一般的であり、術前、術後又は術中に使用され得る。また、手術が不可能な症例において、放射線治療は、化学治療の有り無しで使用され得る。化学治療は、(ネオ)アジュバントセッティングにおいて又は転移を処置するために、結腸直腸がんの処置の間に異なる回数で使用される。化学治療は、全身又は局所的に行われ得る。結腸直腸がんに使用される標的治療は:血管形成を防ぐためにVEGF、がんの成長を防ぐためにEGFR及びBRAFに標的化され得る。キナーゼ阻害剤も、がん細胞の成長を減速させるために使用され得る。免疫チェックポイント阻害剤(PD-1阻害剤、CTLA4-阻害剤)は、結腸直腸がん細胞が、マイクロサテライト不安定性(MSI-H)又はミスマッチ修復(MMR)遺伝子等の特定の遺伝子変化に対して陽性を示した人々に対して使用され得る。これら薬物は、手術が不可能な場合、又は再発若しくは転移したCRCに対してしばしば使用される。
【0007】
腫瘍の伝統的な分類は、多数の腫瘍を使用する包括的な分子的特徴付けによって洗練されてきた。結腸直腸がんは、染色体不安定性(CIN)、マイクロサテライト不安定性(MSI)及び高メチル化によってサブグループ化され得る。Cancer Genome Atlas Networkは、CRCの包括的な分子的特徴付けを2012年に公開した(Cancer Genome Atlas Network、「Comprehensive molecular characterization of human colon and rectal cancer」、Nature、第487巻、7407号、330~337頁、2012年を参照のこと)。多数の研究が、WNT、RAS-MAPK、PI3K、TGF-β、P53、並びにDNAミスマッチ修復経路等、CRCの開始及び進行に重要な遺伝子及び経路について以前に報告している。TCGA研究は、結腸及び直腸の非高変異腺癌をゲノムレベルで識別することはできないと結論した。WNTシグナル伝達経路の活性化及びTGF-βシグナル伝達経路の不活性化がMYCの活性低下をもたらすことは、CRCにおいてほぼ普遍的である。ゲノム異常は、PI3K及びMAPK経路を頻繁に標的化し、頻度は低いが受容体型チロシンキナーゼを標的化する。後に、Liu Y.らは、消化管がん(CRCを含む)に共有される分子プロセスを特徴付けるための系統的な試みを行った(Liu Y.ら、「Comparative molecular analysis of gastrointestinal adenocarcinomas」、Cancer Cell、第33巻、第4号、721~735頁、2018年)。特に下部消化管において、WNTシグナル伝達の活性化の強化を見出した。また、TGF-β及びSMADシグナル伝達成分の破損が見出され、これまでの所見と一致した。CRCを研究し、処置するには、分子サブタイプを考慮することが不可欠になる。より細かな詳細については、Liu Y.ら、2018年、同上及びCancer Genome Atlas Network、2018年、同上を参照のこと。
【0008】
例えば、欧州特許出願公開第1777523A1号、WO2007/082099A2、Heら、2020年(Journal of Cancer、col.第11巻、第4号、2020年1月1日、893~905頁)、Heら、2019年(Translatinal Cancer Research、第8巻、第4号、2019年8月1日、1351~1363頁)、Sheeluら、(Annals of Surgical Oncology、第14巻、第12号、2007年9月25日、3460~3471頁)及びWO2016/109546A2は、結腸直腸がんのマーカー遺伝子について記載している。
【0009】
多くの因子が、治療有効性及び疾患再発に関与するため、治療転帰の予測は非常に複雑である。重要な諸因子がまだ同定されていない可能性があり、他の因子の影響は正確に決定できていない。複数の臨床病理学的な測定値が、応答予測及び治療選択を改善するために臨床現場において現在検討及び適用されており、ある程度の改善をもたらしている。それにもかかわらず、処置応答のより良い予測が、これら治療の成功率を上げるために依然として強く必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、より良い処置判断を行うことを可能にする結腸直腸がん対象者の転帰を予測する方法、及び結腸直腸がん対象者の転帰を予測する装置を提供することである。診断キット、キットの使用、結腸直腸がん対象者の転帰を予測する方法におけるキットの使用、結腸直腸がん対象者の転帰を予測する方法における第1、第2及び/又は第3の遺伝子発現プロファイルの使用、並びに対応するコンピュータプログラムを提供することが本発明の更なる態様である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第一の態様では、結腸直腸がん対象者の転帰を予測する方法であって、前記方法が、
第1の遺伝子発現プロファイル、第2の遺伝子発現プロファイル及び第3の遺伝子発現プロファイルから選択される6種以上の遺伝子の発現レベルを決定する又は決定の結果を受け取るステップであって、前記6種以上の遺伝子発現レベルが、前記第3の遺伝子発現プロファイルから選択される少なくとも1種以上の遺伝子発現レベル並びに前記第1及び/又は第2の遺伝子発現プロファイルから選択される少なくとも1種以上の遺伝子発現レベルを含み、
前記第1の遺伝子発現プロファイルが:AIM2、APOBEC3A、CIAO1、DDX58、DHX9、IFI16、IFIH1、IFIT1、IFIT3、LRRFIP1、MYD88、OAS1、TLR8及びZBP1からなる群から選択される免疫防御応答遺伝子からなり;
前記第2の遺伝子発現プロファイルが:CD2、CD247、CD28、CD3E、CD3G、CD4、CSK、EZR、FYN、LAT、LCK、PAG1、PDE4D、PRKACA、PRKACB、PTPRC及びZAP70からなる群から選択されるT細胞受容体シグナル伝達遺伝子からなり;
前記第3の遺伝子発現プロファイルが:ABCC5、CUX2、KIAA1549、PDE4D、RAP1GAP2、SLC39A11、TDRD1及びVWA2からなる群から選択されるPDE4D7関連遺伝子からなり;
前記第1、第2及び第3の遺伝子発現プロファイルは前記結腸直腸がん対象者から取得した生物学的サンプル中で決定される、ステップと;
6種以上の遺伝子発現レベルに基づいて前記結腸直腸がん対象者の転帰の予測を決定するステップと、
適宜、前記結腸直腸がん対象者の転帰の予測を、医療介助者又は前記結腸直腸がん対象者に提供するステップと、
を有する方法が提示される。一実施形態では、6種以上の遺伝子発現レベルは、1種以上、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13種又はすべての免疫防御応答遺伝子、及び1種以上、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13種又はすべてのT細胞受容体シグナル伝達遺伝子、及び1種以上、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13種又はすべてのPDE4D7関連遺伝子を含む。
【0012】
或いは、本発明は、結腸直腸がん対象者の転帰を予測する方法であって、前記方法が、
AIM2、APOBEC3A、CIAO1、DDX58、DHX9、IFI16、IFIH1、IFIT1、IFIT3、LRRFIP1、MYD88、OAS1、TLR8及びZBP1からなる群から選択される1種以上、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13種若しくはすべての免疫防御応答遺伝子のそれぞれの第1の遺伝子発現プロファイルを決定する若しくは決定の結果を受け取るステップであって、前記第1の遺伝子発現プロファイルは前記結腸直腸がん対象者から取得した生物学的サンプル中で決定される、ステップと、並びに/又は
CD2、CD247、CD28、CD3E、CD3G、CD4、CSK、EZR、FYN、LAT、LCK、PAG1、PDE4D、PRKACA、PRKACB、PTPRC及びZAP70からなる群から選択される1種以上、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16種若しくはすべてのT細胞受容体シグナル伝達遺伝子のそれぞれの第2の遺伝子発現プロファイルを決定する若しくは決定の結果を受け取るステップであって、前記第2の遺伝子発現プロファイルは前記結腸直腸がん対象者から取得した生物学的サンプル中で決定される、ステップと、並びに/又は
ABCC5、CUX2、KIAA1549、PDE4D、RAP1GAP2、SLC39A11、TDRD1及びVWA2からなる群から選択される1種以上、例えば、1、2、3、4、5、6、7種若しくはすべてのPDE4D7関連遺伝子のそれぞれの第3の遺伝子発現プロファイルを決定する若しくは決定の結果を受け取るステップであって、前記第3の遺伝子発現プロファイルは前記結腸直腸がん対象者から取得した生物学的サンプル中で決定される、ステップと、
第1の遺伝子発現プロファイル、若しくは第2の遺伝子発現プロファイル、若しくは第3の遺伝子発現プロファイル、又は第1、第2及び第3の遺伝子発現プロファイルに基づく前記結腸直腸がん対象者の転帰の予測を決定するステップと、
適宜、前記結腸直腸がん対象者の転帰の予測を、医療介助者又は前記結腸直腸がん対象者に提供するステップと
を有する方法に関することが示される。
【0013】
近年、がん抑制における免疫系の重要性、並びにがんの発生、促進及び転移における免疫系の重要性は非常に明白である(Mantovani A.らによる「Cancer-related inflammation」、Nature、Vol.454、No.7203、436~444頁、2008年及びGiraldo N.A.らによる「The clinical role of the TME in solid cancer」、Br J Cancer、Vol.120、No.1、45~53頁、2019年を参照のこと)。免疫細胞及びそれらが分泌する分子は腫瘍微小環境の重要な部分を形成しており、ほとんどの免疫細胞は腫瘍組織に浸潤することができる。免疫系と腫瘍は互いに影響し合い、互いを形作っている。このように、抗腫瘍免疫が腫瘍形成を防ぎ得る一方で、炎症性の腫瘍環境ががんの発生及び増殖を促進する。同時に、免疫系に依存しない様式で発生した腫瘍細胞は、免疫細胞を動員することによって免疫微小環境を形作り、抗がん免疫も抑えながら炎症促進性の効果を有することができる。
【0014】
腫瘍微小環境中の一部の免疫細胞は、一般的な腫瘍促進効果又は一般的な腫瘍抑制効果のいずれかを有するが、別の免疫細胞は柔軟性を呈し、腫瘍促進と腫瘍抑制の両方の可能性を示す。このように、腫瘍の全体的な免疫微小環境は、存在する多様な免疫細胞、それらが産生するサイトカイン、並びにそれらと腫瘍細胞及び腫瘍微小環境中の他の細胞との相互作用が混ざり合ったものである(Giraldo N.A.らによる2019年の同上を参照のこと)。
【0015】
がん全般における免疫系の役割に関する上記の原則は、前立腺がんにも適用される。慢性的な炎症が良性並びに悪性の前立腺組織の形成と関連付けられており(Hall W.A.らによる2016年の同上を参照のこと)、ほとんどの前立腺がん組織サンプルが、免疫細胞の浸潤物を示す。腫瘍促進効果を有する特定の免疫細胞の存在が予後の悪化と互いに関係付けられている一方で、ナチュラルキラー細胞がより活性化している腫瘍では、治療に対するより良い応答及びより長い無再発期間が示された(Shiao S.L.らによる「Regulation of prostate cancer progression by tumor microenvironment」、Cancer Lett、Vol.380、No.1、340~348頁、2016年を参照のこと)。
【0016】
治療は腫瘍微小環境の免疫成分によって影響を及ぼされるが、RTそれ自体もこれら成分の構成に広範に影響する(Barker H.E.らによる「The tumor microenvironment after radiotherapy:Mechanisms of resistance or recurrence」、Nat Rev Cancer、Vol.15、No.7、409~425頁、2015年を参照のこと)。抑制性の細胞タイプは比較的放射線に非感受性であるため、それらの相対的な数は増加する。反作用的に、与えられた放射線障害は細胞生存経路を活性化し、免疫系を刺激し、それが炎症応答及び免疫細胞の動員を誘発する。正味の効果が腫瘍促進性であるか腫瘍抑制性であるかは今のところ不明であるが、がん免疫治療の増強に対するその可能性が検討されている。
【0017】
免疫系及び免疫微環境のステータスは治療有効性に影響を与えるため、この影響を予測するマーカーを同定する能力は、結腸直腸がん対象者の転帰のより良い予測を可能にする助けとなるというアイデアに本発明は基づく。
【0018】
本明細書において、用語「転帰」は、測定され得る特定の結果又は影響に関する。結腸直腸がん対象者の転帰の例には、結腸直腸がんの転帰、病理転帰、結腸直腸がんを処置する治療の転帰、例えば手術転帰、放射線治療転帰、化学治療転帰、及び免疫治療転帰、並びにバイオマーカー関連転帰[例えば、CEA(がん胎児性抗原)]、ゲノムプロファイル関連転帰、画像化関連転帰(例えば、腫瘍の形態構造又はテクスチャーの変化)、生物学関連転帰(例えば、炎症又は免疫応答)、代替マーカー関連転帰、腫瘍サイズ転帰、処置副作用転帰、処置毒性転帰、疾患疼痛転帰、生活の質転帰、がん特異的及び全体の生存期間、等の他の転帰がある。
【0019】
免疫応答防御遺伝子
ゲノムDNAの完全性及び安定性は、放射線、ウイルス又は細菌性感染への曝露のような様々な細胞内部及び外部因子によって誘導されるストレスだけではなく、酸化及び複製ストレス下に永久にある(Gasser S.ら、「Sensing of dangerous DNA」、Mechanisms of Aging and Development、第165巻、33~46頁、2017年を参照のこと)。DNA構造及び安定性を維持するために、細胞は、様々な因子によって誘導される一本鎖又は二本鎖破壊などのようなすべてのタイプのDNA損傷を認識することができなければならない。このプロセスは、DNA認識経路の一部として損傷の種類に応じて多数の特異的タンパク質が関与している。
【0020】
最近の証拠は、誤って局在するDNA(例えば、核ではなく細胞の細胞質画分に異常に出現するDNA)及び損傷したDNA(例えば、がんの発達において起こる突然変異による)は、感染している、さもなければ病変のある細胞を同定するために免疫系に使用され、一方で健康な細胞中に存在するゲノム及びミトコンドリアDNAは、DNA認識経路に無視されることを示唆している。病変のある細胞において、細胞質のDNAセンサータンパク質が、細胞の細胞質ゾル中の天然には存在しないDNAの検出に関係することが実証された。異なる核酸センサーによってそのようなDNAが検出されると、核内因子カッパB(NF-kB)及びI型インターフェロン(I型IFN)シグナル伝達が導かれ、その後自然免疫系成分が活性化されるという類似の応答が起こる。ウイルス性DNAの認識がI型IFN応答を誘導するということは知られているが、DNA損傷の検知が、免疫応答を開始するという証拠は、つい最近になって蓄積されてきた。
【0021】
エンドソーム中に位置するTLR9(トール様受容体9)は、アダプタータンパク質である骨髄分化一次応答タンパク質88(MYD88)を介して下流にシグナルを伝達することによってDNAの免疫認識に関係すると同定された最初のDNAセンサー分子の1つであった。この相互作用は、マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(MAPKs)及びNF-kBを次々に活性化する。TLR9は、形質細胞様樹状細胞(pDC)においてIkBキナーゼアルファ(IKKアルファ)を介するIRF7の活性化によるI型インターフェロンの生成も誘導する。IFI16(IFNガンマ誘導性タンパク質16)、cGAS(サイクリックGMP-AMP合成酵素、DDX41(DEADボックスヘリカーゼ41)、及びZBP1(Z-DNA結合タンパク質1)を含めた他の様々なDNA免疫受容体は、STING(IFN遺伝子の刺激物質)と相互作用し、TBK1(TANK結合キナーゼ1)によりIKK複合体及びIRF3を活性化する。ZBP1は、RIP1及びRIP3(それぞれ、受容体相互作用タンパク質1及び3)の動員を介してNF-kBも活性化する。ヘリカーゼDHX36(DEAHボックスヘリカーゼ36)は、複合体内でTRIDと相互作用してNF-kB及びIRF-3/7を誘導し、DHX9ヘリカーゼは、形質細胞様樹状細胞においてMYD88依存的シグナル伝達を刺激する。DNAセンサーLRRFIP1(ロイシンリッチリピートFlightless相互作用タンパク質)は、βカテニンと複合体形成してIRF3の転写を活性化し、一方AIM2(アブセントインメラノーマ2)(absent in melanoma 2)は、アダプタータンパク質ASC(アポトーシススペック様タンパク質)を動員して、インターロイキン1ベータ(IL1ベータ)及びIL18の分泌を導くカスパーゼ1活性化インフラマソーム複合体を誘導する[炎症性サイトカインの産生並びに自然免疫受容体を活性化するリガンドの発現をもたらすDNA損傷及びDNAセンサー経路の模式的概観を提供する、Gasser S.ら(2017年)同上、図1を参照のこと。非相同末端結合経路(オレンジ色)、相同組換え(赤色)、インフラマソーム(濃緑色)、NF-kB及びインターフェロン応答(薄緑色)のメンバーを示す]。
【0022】
がんにおいてDNAセンサー経路の活性化に関与する因子及び機序は、現在のところあまり解明されていない。疾患のすべてのステージで異なるがんタイプにおいてIFNの発現に関係する腫瘍内DNA種、センサー及び経路を同定することが重要になる。がんにおける治療標的に加えて、そのような因子は、予後及び予測値も有する。新規のDNAセンサー経路アゴニスト及びアンタゴニストが現在のところ開発されており、前臨床試験においてテストされている。そのような化合物は、がん、自己免疫疾患及び潜在的な他の疾患の病因におけるDNAセンサー経路の役割を特徴付けるのに有用となる。
【0023】
T細胞受容体シグナル伝達遺伝子
病原体に対する免疫応答は、様々な段階において誘発され得る:侵入者を入れないための皮膚等の物理的なバリアがある。破られた場合には、最初の素早い非特異的な応答である、自然免疫が働き始める。これで不十分な場合には、適応免疫応答が誘発される。これははるかにより特異的であるが、病原体に初めて遭遇する場合は発現するのに時間がかかる。リンパ球は、自然免疫系由来の活性化された抗原提示細胞と相互作用することによって活性化する。また、同じ病原体と次に遭遇する際により早く応答するための記憶の維持にも関与している。
【0024】
活性化されると、リンパ球は高度に特異的かつ効果的になるため、リンパ球は、中枢性寛容として知られるプロセスである、それらの自己を認識する能力に対する負の選択を受ける。選択部位においてすべての自己抗原が発現しているわけではないため、末梢性寛容の機構、例えば、共刺激非存在下でのTCRのライゲーション、抑制性共受容体の発現、及びTregによる抑制等も同様に発達した。活性化と抑制との間のバランスの乱れは、それぞれ、自己免疫障害、或いは免疫不全及びがんにつながる恐れがある。
【0025】
T細胞の活性化は、関与するT細胞のロケーションとタイプに依存して、様々な機能的結果を有し得る。CD8+T細胞が細胞傷害性エフェクター細胞に分化する一方で、CD4+T細胞はTh1(IFNγの分泌及び細胞性免疫の促進)又はTh2(IL4/5/13の分泌並びにB細胞及び液性免疫の促進)に分化し得る。つい最近同定された他のT細胞サブセット、例えば、免疫活性化に対する抑制効果を有するTreg等への分化も可能である(Mosenden R.及びTasken K.による「Cyclic AMP-mediated immune regulation-Overview of mechanisms of action in T-cells」、Cell Signal、Vol.23、No.6、1009~1016頁、2011年、特に、図4のT細胞の活性化及びPKAによるそのモジュレーション、並びにTasken K.及びRuppelt A.による「Negative regulation of T-cell receptor activation by the cAMP-PKA-Csk signaling pathway in T-cell lipid rafts」、Front Biosci、Vol.11、2929~2939頁、2006年を参照のこと)。
【0026】
PKAとPDE4が調節するシグナル伝達の両方が、TCR誘導性のT細胞活性化と交わって、反対の効果でその調節を微調整する(Abrahamsen H.らによる「TCR- and CD28-mediated recruitment of phosphodiesterase 4 to lipid rafts potentiates TCR signaling」、J Immunol、Vol.173、4847~4848頁、2004年、特に、TCRの活性化におけるPKAとPDE4の反対の作用を示す図6を参照のこと)。これらのエフェクターを結びつける分子は、細胞外のリガンドの作用の細胞内セカンドメッセンジャーであるサイクリックAMP(cAMP)である。T細胞内で、cAMPは、プロスタグランジン、アデノシン、ヒスタミン、ベータアドレナリン作動薬、神経ペプチドホルモン及びベータエンドルフィンの効果を媒介する。これら細胞外分子のGPCRへの結合は、GPCRのコンフォメーション変化と、刺激性サブユニット(stimulatory subunits)の遊離と、それに続くATPをcAMPに加水分解するアデニル酸シクラーゼ(AC)の活性化とをもたらす(Abrahamsen H.ら、2004、同上、の図6を参照のこと)。唯一ではないものの、PKAは、cAMPシグナル伝達の主要なエフェクターである(Mosenden R.及びTasken K.による2011年の同上、並びにTasken K.及びRuppelt A.による2006年の同上を参照のこと)。機能レベルでは、cAMPのレベルの増加は、T細胞におけるIFNγとIL-2の産生の低下につながる(Abrahamsen H.らによる2004年の同上を参照のこと)。TCR活性化を妨害することに加え、PKAは更に多くの効果を有する(Torheim E.A.による「Immunity Leashed-Mechanisms of Regulation in the Human Immune System」、博士号(PhD)の学位論文、The Biotechnology Centre of Ola、オスロ大学、ノルウェー、2009年の図15を参照のこと)。
【0027】
ナイーブT細胞では、高リン酸化型のPAGが、Cskを脂質ラフトに対して標的化する。エズリン-EBP50-PAGの足場複合体を介して、PKAはCskに対して標的化される。PKAによって特異的にリン酸化されることにより、Cskは、LckとFynを負に調節してそれらの活性を弱め、T細胞の活性化をダウンレギュレートすることができる(Abrahamsen H.らによる2004年の同上の図6を参照のこと)。TCRの活性化時に、PAGは脱リン酸化され、Cskはラフトから遊離する。Cskの解離はT細胞の活性化を進行させるために必要である。同一の時間経過の中で、Csk-G3BP複合体が形成され、それによってCskは脂質ラフトの外に隔離されるようである(Mosenden R.及びTasken K.による2011年の同上、並びにTasken K.及びRuppelt A.による2006年の同上を参照のこと)。
【0028】
一方で、TCRとCD28の複合刺激が、環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼPDE4の脂質ラフトへの動員を媒介し、それがcAMPの分解を亢進させる(Abrahamsen H.らによる2004年の同上の図6を参照のこと)。それにより、TCRが誘導するcAMPの産生が阻止され、T細胞の免疫反応が増強する。TCRの単独刺激時には、PDE4の動員はcAMPレベルを十分に低下させるには少なすぎ、それゆえT細胞の最大活性化は起こり得ない(Abrahamsen H.らによる2004年の同上を参照のこと)。
【0029】
このように、近位のTCRシグナル伝達を能動的に抑制することによって、cAMP-PKA-Cskを介したシグナル伝達はT細胞活性化のための閾値を設けていると考えられる。PDEの動員は、この抑制を阻止し得る。組織又は細胞タイプに特異的な調節は、AC、PKA及びPDEの複数のアイソフォームの発現によって達成される。上記で言及したように、自己免疫障害、免疫不全及びがんの発症を防ぐために、活性化と抑制との間のバランスが厳しく調節される必要がある。
【0030】
PDE4D7関連遺伝子
ホスホジエステラーゼ(PDE)は、二次メッセンジャーである3’-5’サイクリックAMPを分解する唯一の手段を提供する。したがって、ホスホジエステラーゼは、重要な、調節性の役割を提供することになる。したがって、ホスホジエステラーゼの発現、活性及び細胞内局在の異常な変化はすべて、特定の疾患状態の根底にある分子病理に関与している。実際、前立腺がん患者におけるPDE遺伝子内の突然変異の濃縮が、cAMPシグナル伝達の上昇及び前立腺がんに対する潜在的素因をもたらすることが最近示された。しかしながら、各PDEファミリー内のアイソフォームバリアントの複雑なアレイと連動する異なる細胞タイプにおける様々な発現プロファイルにより、疾患進行中のPDE発現の異常な変化と機能性との間の関連を理解することは困難である。いくつかの研究は、前立腺におけるPDEの補体について記載しようと試み、そのすべてが、他のPDEと同時にPDE4発現レベルが有意であることを同定したため、PDE4D7バイオマーカーの開発に至った(Alves de Inda M.ら、「Validation of Cyclic Adenosine Monophosphate Phosphodiesterase-4D7 for its Independent Contribution to Risk Stratification in a Prostate Cancer Patient Cohort with Longitudinal Biological Outcomes、Eur Urol Focus、第4巻、第3号、376~384頁、2018年を参照のこと)。PDE4D7バイオマーカーが優れた予測因子であることは証明されていたので、PDE47バイオマーカーと高度に相関するマーカーを同定する能力も、特定のがん対象者の転帰の予後判定に役立つと仮定した。
【0031】
遺伝子の選択
遺伝子のリストは、前立腺がん対象における予測のために当初選択された。本文献において、それら遺伝子が、結腸直腸がん対象者の転帰に関する予測値でもあることが示される。
【0032】
同定された免疫防御応答遺伝子、ZBP1、並びにAIM2、APOBEC3A、CIAO1、DDX58、DHX9、IFI16、IFIH1、IFIT1、IFIT3、LRRFIP1、MYD88、OAS1、TLR8及びZBP1は、以下のようにそれぞれ同定された:538前立腺がん患者の群をRPで処置し、前立腺がん組織を、臨床パラメータ(例えば、病理学的グリーソングレードグループ(pGGG)、病理状態(pT stage))並びに関連する転帰パラメータ(例えば、生化学的再発(BCR)、転移性再発、前立腺がん特異的死亡(PCa death)、救援放射線照射処置(SRT)、救援アンドロゲン遮断処置(SADT)、化学治療(CTX))と共に保管した。これらの患者のそれぞれに対して、PDE4D7スコアを計算し、4つのPDE4D7スコアクラスにカテゴリー化した(Alves de Inda M.ら、2018年、同上を参照のこと)。DE4D7スコアクラス1は、PDE4D7の発現レベルが最も低い患者サンプルに相当する一方で、PDE4D7スコアクラス4は、PDE4D7発現のレベルが最も高い患者サンプルに相当する。次いで、538前立腺がん対象者のRNASeq発現データ(TPM-百万あたりの転写物数(Transcripts Per Million))を、PDE4D7スコアクラス1とクラス4との間の差異的遺伝子発現に対して調査した。具体的には、タンパク質をコードするおよそ20,000の転写物について、PDE4D7スコアクラス1の患者の平均発現レベルが、PDE4D7スコアクラス4の患者の平均発現レベルの2倍を超えるかどうかを決定した。この分析により、4つのPDE4D7スコアクラスのそれぞれにおける最低平均発現が1TPMである状態で、PDE4D7スコアクラス1/PDE4D7スコアクラス4の比が2を超える637遺伝子が得られた。次いで、これらの637遺伝子を更に分子経路分析(www.david.ncifcrf.gov)に供した結果、様々な濃縮されたアノテーションクラスターが得られた。アノテーションクラスター#2は、ウイルスに対する防御応答、ウイルスゲノム複製の負の調節及びI型インターフェロンシグナル伝達における機能を有する30遺伝子における濃縮(濃縮スコア:10.8)を実証した。更なるヒートマップ分析により、これらの免疫防御応答遺伝子は、全般的に、PDE4D7スコアクラス4における患者由来のサンプルよりも、PDE4D7スコアクラス1における患者由来のサンプルにおいて高発現していることを確認した。ウイルスに対する防御応答、ウイルスゲノム複製の負の調節及びI型インターフェロンシグナル伝達において機能する遺伝子のクラスが、同じ分子機能を持つ追加の遺伝子を同定するための文献検索によって61遺伝子に更に濃縮された。前立腺がんで死亡した患者と死亡しなかった患者を分離するための組合せ力に基づいて61遺伝子からの更なる選択を行い、14遺伝子の好ましいセットを得た。イベント(転移、前立腺がん特異的死)の数は、全患者コホート(538名)及び手術後の疾患再発後に救援RT(SRT)を受けた151患者のサブコホートと比較して、これら遺伝子を低発現するサブコホートにおいて濃縮されることが見出された。
【0033】
同定されたT細胞受容体シグナル伝達遺伝子、CD2、CD247、CD28、CD3E、CD3G、CD4、CSK、EZR、FYN、LAT、LCK、PAG1、PDE4D、PRKACA、PRKACB、PTPRC及びZAP70は、以下のように同定された:538前立腺がん患者の群をRPで処置し、前立腺がん組織を、臨床パラメータ(例えば、病理学的グリーソングレードグループ(pGGG)、病理状態(pT stage))並びに関連する転帰パラメータ(例えば、生化学的再発(BCR)、転移性再発、前立腺がん特異的死亡(PCa death)、救援放射線照射処置(SRT)、救援アンドロゲン遮断処置(SADT)、化学療法(CTX))と共に保管した。これらの患者のそれぞれに対して、PDE4D7スコアを計算し、4つのPDE4D7スコアクラスにカテゴリー化した(Alves de Inda M.ら、2018年、同上を参照のこと)。PDE4D7スコアクラス1は、PDE4D7の発現レベルが最も低い患者サンプルに相当する一方で、PDE4D7スコアクラス4は、PDE4D7発現のレベルが最も高い患者サンプルに相当する。次いで、538前立腺がん対象者のRNASeq発現データ(TPM-百万あたりの転写物数(Transcripts Per Million))を、PDE4D7スコアクラス1とクラス4との間の差次的遺伝子発現に対して調査した。具体的には、タンパク質をコードするおよそ20,000の転写物について、PDE4D7スコアクラス1の患者の平均発現レベルが、PDE4D7スコアクラス4の患者の平均発現レベルの2倍を超えるかどうかを決定した。この分析により、4つのPDE4D7スコアクラスのそれぞれにおける最低平均発現が1TPMである状態で、PDE4D7スコアクラス1/PDE4D7スコアクラス4の比が2を超える637遺伝子が得られた。次いで、これらの637遺伝子を更に分子経路分析(www.david.ncifcrf.gov)に供した結果、様々な濃縮されたアノテーションクラスターが得られた。アノテーションクラスター#6は、原発性免疫不全及びT細胞受容体シグナル伝達の活性化における機能を有する17遺伝子における濃縮(濃縮スコア:5.9)を示した。更なるヒートマップ分析により、これらのT細胞受容体シグナル伝達遺伝子は、全般的に、PDE4D7スコアクラス4における患者由来のサンプルよりも、PDE4D7スコアクラス1における患者由来のサンプルにおいて高発現していることを確認した。
【0034】
同定したPDE4D7関連遺伝子ABCC5、CUX2、KIAA1549、PDE4D、RAP1GAP2、SLC39A11、TDRD1及びVWA2は、以下のとおりに同定した:571前立腺がん患者において生成した約60,000転写物のRNAseqデータにおいて、公知のバイオマーカーであるPDE4D7の発現と相関する一連の遺伝子をこのデータ内で同定した。571サンプルの全体で、これら遺伝子のいずれかとPDE4D7との間の発現相関をピアソン相関によって行い、正相関の場合0~1の値又は逆相関の場合-1~0の値として表す。相関係数算出用の入力データとして、PDE4D7スコア(Alves de Inda M.ら、2018年、同上を参照のこと)、及び対象となる遺伝子あたりのTPM遺伝子発現値を決定したRNAseqを使用した(下記参照)。
【0035】
およそ60,000転写物のいずれかの発現とPDE4D7の発現との間で同定された最大逆相関係数は-0.38であり、およそ60,000転写物のいずれかの発現とPDE4D7の発現との間で同定された最大正相関係数は+0.56であった。相関-0.31~-0.38及び+0.41~+0.56の範囲の遺伝子を選択した。これら特徴に適合している転写物を合計77種同定した。手術後の生化学的再発症のため救援放射線処置(SRT)を受けた186患者のサブコホートにおいてCox回帰組合せモデルを繰り返しテストすることによって、それら77種の転写物から、8種のPDE4D7関連遺伝子ABCC5、CUX2、KIAA1549、PDE4D、RAP1GAP2、SLC39A11、TDRD1及びVWA2を選択した。テストした臨床エンドポイントは、SRTを始めた後の前立腺がん特異的死亡であった。8種の遺伝子の選択の境界条件は、多変量Cox回帰におけるp値が、モデルに保持されるすべての遺伝子に対して0.1未満であるという制限によって与えられた。
【0036】
「ABCC5」という用語は、ヒトATP結合カセットサブファミリーCメンバー5の遺伝子(Ensembl:ENSG00000114770)、例えば、NCBI参照配列NM_001023587.2又はNCBI参照配列NM_005688.3に定義の配列、具体的には、上記に示したABCC5転写物のNCBI参照配列の配列に対応した、配列番号1又は配列番号2に定めるとおりのヌクレオチド配列のことを指し、それはまた、ABCC5ポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_001018881.1及びNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_005679に定義のタンパク質配列に対応した、例えば、配列番号3又は配列番号4に定めるとおりの対応するアミノ酸配列にも関する。
【0037】
「ABCC5」という用語はまた、ABCC5に対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号1若しくは配列番号2に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一である核酸配列、又は配列番号3若しくは配列番号4に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一であるアミノ酸配列、又は配列番号3若しくは配列番号4に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、又は配列番号1若しくは配列番号2に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0038】
「AIM2」という用語は、アブセントインメラノーマ2の遺伝子(Ensembl:ENSG00000163568)、例えば、NCBI参照配列NM_004833に定義の配列、具体的には、上記に示したAIM2転写物のNCBI参照配列の配列に対応した、配列番号5に定めるとおりのヌクレオチド配列のことを指し、それはまたAIM2ポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_004824に定義のタンパク質配列に対応した、例えば、配列番号6に定めるとおりの対応するアミノ酸配列にも関する。
【0039】
「AIM2」という用語はまた、AIM2に対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号5に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一である核酸配列、又は配列番号6に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一であるアミノ酸配列、又は配列番号6に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、又は配列番号5に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0040】
「APOBEC3A」という用語は、アポリポタンパク質B mRNA編集酵素触媒サブユニット3Aの遺伝子(Ensembl:ENSG00000128383)、例えば、NCBI参照配列NM_145699に定義の配列、具体的には、上記に示したAPOBEC3A転写物のNCBI参照配列の配列に対応した、配列番号7に定めるとおりのヌクレオチド配列のことを指し、それはまたAPOBEC3AポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_663745に定義のタンパク質配列に対応した、例えば、配列番号8に定めるとおりの対応するアミノ酸配列にも関する。
【0041】
「APOBEC3A」という用語はまた、APOBEC3Aに対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号7に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一である核酸配列、又は配列番号8に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一であるアミノ酸配列、又は配列番号8に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、又は配列番号7に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0042】
「CD2」という用語は、分化抗原群2の遺伝子(Ensembl:ENSG00000116824)、例えば、NCBI参照配列NM_001767に定義の配列、具体的には、上記に示したCD2転写物のNCBI参照配列の配列に対応した、配列番号9に定めるとおりのヌクレオチド配列のことを指し、それはまた、CD2ポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_001758に定義のタンパク質配列に対応した、例えば配列番号10に定めるとおりの対応するアミノ酸配列にも関する。
【0043】
「CD2」という用語はまた、CD2に対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号9に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列、或いは配列番号10に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列、或いは配列番号10に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、或いは配列番号9に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0044】
「CD247」という用語は、分化抗原群247の遺伝子(Ensembl:ENSG00000198821)、例えば、NCBI参照配列NM_000734又はNCBI参照配列NM_198053に定義の配列、具体的には、上記に示したCD247転写物のNCBI参照配列の配列に対応した、配列番号11又は配列番号12に定めるとおりのヌクレオチド配列のことを指し、それはまた、CD247ポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_000725及びNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_932170に定義のタンパク質配列に対応した、例えば配列番号13又は配列番号14に定めるとおりの対応するアミノ酸配列にも関する。
【0045】
「CD247」という用語はまた、CD247に対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号11又は配列番号12に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列、或いは配列番号13又は配列番号14に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列、或いは配列番号13又は配列番号14に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、或いは配列番号11又は配列番号12に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0046】
「CD28」という用語は、分化抗原群28の遺伝子(Ensembl:ENSG00000178562)、例えば、NCBI参照配列NM_006139又はNCBI参照配列NM_001243078に定義の配列、具体的には、上記に示したCD28転写物のNCBI参照配列の配列に対応した、配列番号15又は配列番号16に定めるとおりのヌクレオチド配列のことを指し、それはまた、CD28ポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_006130及びNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_001230007に定義のタンパク質配列に対応した、例えば配列番号17又は配列番号18に定めるとおりの対応するアミノ酸配列にも関する。
【0047】
「CD28」という用語はまた、CD28に対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号15又は配列番号16に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列、或いは配列番号17又は配列番号18に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列、或いは配列番号17又は配列番号18に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、或いは配列番号15又は配列番号16に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0048】
「CD3E」という用語は、分化抗原群3Eの遺伝子(Ensembl:ENSG00000198851)、例えば、NCBI参照配列NM_000733に定義の配列、具体的には、上記に示したCD3E転写物のNCBI参照配列の配列に対応した、配列番号19に定めるとおりのヌクレオチド配列のことを指し、それはまた、CD3EポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_000724に定義のタンパク質配列に対応した、例えば配列番号20に定めるとおりの対応するアミノ酸配列にも関する。
【0049】
「CD3E」という用語はまた、CD3Eに対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号19に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列、或いは配列番号20に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列、或いは配列番号20に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、或いは配列番号19に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0050】
「CD3G」という用語は、分化抗原群3Gの遺伝子(Ensembl:ENSG00000160654)、例えば、NCBI参照配列NM_000073に定義の配列、具体的には、上記に示したCD3G転写物のNCBI参照配列の配列に対応した、配列番号21に定めるとおりのヌクレオチド配列のことを指し、それはまた、CD3GポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_000064に定義のタンパク質配列に対応した、例えば配列番号22に定めるとおりの対応するアミノ酸配列にも関する。
【0051】
「CD3G」という用語はまた、CD3Gに対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号21に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列、或いは配列番号22に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列、或いは配列番号22に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、或いは配列番号21に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0052】
「CD4」という用語は、分化抗原群4の遺伝子(Ensembl:ENSG00000010610)、例えば、NCBI参照配列NM_000616に定義の配列、具体的には、上記に示したCD4転写物のNCBI参照配列の配列に対応した、配列番号23に定めるとおりのヌクレオチド配列のことを指し、それはまた、CD4ポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_000607に定義のタンパク質配列に対応した、例えば配列番号24に定めるとおりの対応するアミノ酸配列にも関する。
【0053】
「CD4」という用語はまた、CD4に対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号23に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列、或いは配列番号24に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列、或いは配列番号24に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、或いは配列番号23に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0054】
「CIAO1」という用語は、細胞質性鉄硫黄アセンブリコンポーネント1の遺伝子(Ensembl:ENSG00000144021)、例えば、NCBI参照配列NM_004804に定義の配列、具体的には、上記に示したCIAO1転写物のNCBI参照配列の配列に対応した、配列番号25に定めるとおりのヌクレオチド配列のことを指し、それはまたCIAO1ポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_663745に定義のタンパク質配列に対応した、例えば、配列番号26に定めるとおりの対応するアミノ酸配列にも関する。
【0055】
「CIAO1」という用語はまた、CIAO1に対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号25に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一である核酸配列、又は配列番号26に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一であるアミノ酸配列、又は配列番号26に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、又は配列番号25に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0056】
「CSK」という用語は、C末端Srcキナーゼの遺伝子(Ensembl:ENSG00000103653)、例えば、NCBI参照配列NM_004383に定義の配列、具体的には、上記に示したCSK転写物のNCBI参照配列の配列に対応した、配列番号27に定めるとおりのヌクレオチド配列のことを指し、それはまた、CSKポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_004374に定義のタンパク質配列に対応した、例えば配列番号28に定めるとおりの対応するアミノ酸配列にも関する。
【0057】
「CSK」という用語はまた、CSKに対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号27に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列、或いは配列番号28に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列、或いは配列番号28に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、或いは配列番号27に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0058】
「CUX2」という用語は、ヒトCut様ホメオボックス2の遺伝子(Ensembl:ENSG00000111249)、例えば、NCBI参照配列NM_015267.3に定義の配列、具体的には、上記に示したCUX2転写物のNCBI参照配列の配列に対応した、配列番号29に定めるとおりのヌクレオチド配列のことを指し、それはまたCUX2ポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_056082.2に定義のタンパク質配列に対応した、例えば、配列番号30に定めるとおりの対応するアミノ酸配列にも関する。
【0059】
「CUX2」という用語はまた、CUX2に対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号29に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一である核酸配列、又は配列番号30に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一であるアミノ酸配列、又は配列番号30に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、又は配列番号29に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0060】
「DDX58」という用語は、DExD/H-ボックスヘリカーゼ58の遺伝子(Ensembl:ENSG00000107201)、例えば、NCBI参照配列NM_014314に定義の配列、具体的には、上記に示したDDX58転写物のNCBI参照配列の配列に対応した、配列番号31に定めるとおりのヌクレオチド配列のことを指し、それはまたDDX58ポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_055129に定義のタンパク質配列に対応した、例えば、配列番号32に定めるとおりの対応するアミノ酸配列にも関する。
【0061】
「DDX58」という用語はまた、DDX58に対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号31に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一である核酸配列、又は配列番号32に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一であるアミノ酸配列、又は配列番号32に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、又は配列番号31に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0062】
「DHX9」という用語は、DExD/H-ボックスヘリカーゼ9の遺伝子(Ensembl:ENSG00000135829)、例えば、NCBI参照配列NM_001357に定義の配列、具体的には、上記に示したDHX9転写物のNCBI参照配列の配列に対応した、配列番号33に定めるとおりのヌクレオチド配列のことを指し、それはまたDHX9ポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_001348に定義のタンパク質配列に対応した、例えば、配列番号34に定めるとおりの対応するアミノ酸配列にも関する。
【0063】
「DHX9」という用語はまた、DHX9に対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号33に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一である核酸配列、又は配列番号34に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一であるアミノ酸配列、又は配列番号34に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、又は配列番号33に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0064】
「EZR」という用語は、Ezrinの遺伝子(Ensembl:ENSG00000092820)、例えば、NCBI参照配列NM_003379に定義の配列、具体的には、上記に示したEZR転写物のNCBI参照配列の配列に対応した、配列番号35に定めるとおりのヌクレオチド配列のことを指し、それはまた、EZRポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_003370に定義のタンパク質配列に対応した、例えば配列番号36に定めるとおりの対応するアミノ酸配列にも関する。
【0065】
「EZR」という用語はまた、EZRに対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号35に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列、或いは配列番号36に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列、或いは配列番号36に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、或いは配列番号35に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0066】
「FYN」という用語は、FYN Proto-Oncogeneの遺伝子(Ensembl:ENSG00000010810)、例えば、NCBI参照配列NM_002037、NCBI参照配列NM_153047又はNCBI参照配列NM_153048に定義の配列、具体的には、上記に示したFYN転写物のNCBI参照配列の配列に対応した、配列番号37、配列番号38又は配列番号39に定めるとおりのヌクレオチド配列のことを指し、それはまた、FYNポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_002028、NCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_694592、NCBIタンパク質アクセッション参照配列XP_005266949に定義のタンパク質配列に対応した、例えば配列番号40、配列番号41、又は配列番号42に定めるとおりの対応するアミノ酸配列にも関する。
【0067】
「FYN」という用語はまた、FYNに対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号37、配列番号38又は配列番号39に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列、或いは配列番号40、配列番号41又は配列番号42に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列、或いは配列番号40、配列番号41又は配列番号42に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、或いは配列番号37、配列番号38又は配列番号39に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0068】
「IFI16」という用語は、インターフェロンガンマ誘導性タンパク質16の遺伝子(Ensembl:ENSG00000163565)、例えば、NCBI参照配列NM_005531に定義の配列、具体的には、上記に示したIFI16転写物のNCBI参照配列の配列に対応した、配列番号43に定めるとおりのヌクレオチド配列のことを指し、それはまたIFI16ポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_005522に定義のタンパク質配列に対応した、例えば、配列番号44に定めるとおりの対応するアミノ酸配列にも関する。
【0069】
「IFI16」という用語はまた、IFI16に対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号43に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一である核酸配列、又は配列番号44に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一であるアミノ酸配列、又は配列番号44に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、又は配列番号43に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0070】
「IFIH1」という用語は、ヘリカーゼCドメイン保有インターフェロン誘導性1の遺伝子(Interferon Induced With Helicase C Domain 1 gene)(Ensembl:ENSG00000115267)、例えば、NCBI参照配列NM_022168に定義の配列、具体的には、上記に示したIFIH1転写物のNCBI参照配列の配列に対応した、配列番号45に定めるとおりのヌクレオチド配列のことを指し、それはまたIFIH1ポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_071451に定義のタンパク質配列に対応した、例えば、配列番号46に定めるとおりの対応するアミノ酸配列にも関する。
【0071】
「IFIH1」という用語はまた、IFIH1に対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号45に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一である核酸配列、又は配列番号46に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一であるアミノ酸配列、又は配列番号46に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、又は配列番号45に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0072】
「IFIT1」という用語は、テトラトリコペプチド反復配列保有インターフェロン誘導性タンパク質1の遺伝子(Interferon Induced Protein With Tetratricopeptide Repeats 1 gene)(Ensembl:ENSG00000185745)、例えば、NCBI参照配列NM_001270929又はNCBI参照配列NM_001548.5に定義の配列、具体的には、上記に示したIFIT1転写物のNCBI参照配列の配列に対応した、配列番号47又は配列番号48に定めるとおりのヌクレオチド配列のことを指し、それはまた、IFIT1ポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_001257858及びNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_001539に定義のタンパク質配列に対応した、例えば、配列番号49又は配列番号50に定めるとおりの対応するアミノ酸配列にも関する。
【0073】
「IFIT1」という用語はまた、IFIT1に対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号47若しくは配列番号48に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一である核酸配列、又は配列番号49若しくは配列番号50に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一であるアミノ酸配列、又は配列番号49若しくは配列番号50に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、又は配列番号47若しくは配列番号48に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0074】
「IFIT3」という用語は、テトラトリコペプチド反復配列保有インターフェロン誘導性タンパク質3の遺伝子(Ensembl:ENSG00000119917)、例えば、NCBI参照配列NM_001031683に定義の配列、具体的には、上記に示したIFIT3転写物のNCBI参照配列の配列に対応した、配列番号51に定めるとおりのヌクレオチド配列のことを指し、それはまたIFIT3ポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_001026853に定義のタンパク質配列に対応した、例えば、配列番号52に定めるとおりの対応するアミノ酸配列にも関する。
【0075】
「IFIT3」という用語はまた、IFIT3に対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号51に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一である核酸配列、又は配列番号52に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一であるアミノ酸配列、又は配列番号52に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列又は配列番号51に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0076】
「KIAA1549」という用語は、ヒトKIAA1549の遺伝子(Ensembl:ENSG00000122778)、例えば、NCBI参照配列NM_020910又はNCBI参照配列NM_001164665に定義の配列、具体的には、上記に示したKIAA1549転写物のNCBI参照配列の配列に対応した、配列番号53又は配列番号54に定めるとおりのヌクレオチド配列のことを指し、それはまた、KIAA1549ポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_065961及びNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_001158137に定義のタンパク質配列に対応した、例えば、配列番号55又は配列番号56に定めるとおりの対応するアミノ酸配列にも関する。
【0077】
「KIAA1549」という用語はまた、KIAA1549に対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号53若しくは配列番号54に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一である核酸配列、又は配列番号55若しくは配列番号56に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一であるアミノ酸配列、又は配列番号55若しくは配列番号56に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、又は配列番号53若しくは配列番号54に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0078】
「LAT」という用語は、T細胞の活性化のためのリンカー(Linker For Activation Of T-Cells)の遺伝子(Ensembl:ENSG00000213658)、例えば、NCBI参照配列NM_001014987又はNCBI参照配列NM_014387に定義の配列、具体的には、上記に示したLAT転写物のNCBI参照配列の配列に対応した、配列番号57又は配列番号58に定めるとおりのヌクレオチド配列のことを指し、それはまた、LATポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_001014987及びNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_055202に定義のタンパク質配列に対応した、例えば配列番号59又は配列番号60に定めるとおりの対応するアミノ酸配列にも関する。
【0079】
「LAT」という用語はまた、LATに対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号57又は配列番号58に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列、或いは配列番号59又は配列番号60に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列、或いは配列番号59又は配列番号60に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、或いは配列番号57又は配列番号58に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0080】
「LCK」という用語は、LCK Proto-Oncogeneの遺伝子(Ensembl:ENSG00000182866)、例えば、NCBI参照配列NM_005356に定義の配列、具体的には、上記に示したLCK転写物のNCBI参照配列の配列に対応した、配列番号61に定めるとおりのヌクレオチド配列のことを指し、それはまた、LCKポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_005347に定義のタンパク質配列に対応した、例えば配列番号62に定めるとおりの対応するアミノ酸配列にも関する。
【0081】
「LCK」という用語はまた、LCKに対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号61に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一である核酸配列、又は配列番号62に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一であるアミノ酸配列、又は配列番号62に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列又は配列番号61に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0082】
「LRRFIP1」という用語は、LRR結合FLII相互作用タンパク質1の遺伝子(Ensembl:ENSG00000124831)、例えば、NCBI参照配列NM_004735、NCBI参照配列NM_001137550、NCBI参照配列NM_001137553又はNCBI参照配列NM_001137552に定義の配列、具体的には、上記に示したLRRFIP1転写物のNCBI参照配列の配列に対応した、配列番号63、配列番号64、配列番号65又は配列番号66に定めるとおりのヌクレオチド配列のことを指し、それはまた、LRRFIP1ポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_004726、NCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_001131022、NCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_001131025及びNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_001131024に定義のタンパク質配列に対応した、例えば、配列番号67、配列番号68、配列番号69又は配列番号70に定めるとおりの対応するアミノ酸配列にも関する。
【0083】
「LRRFIP1」という用語はまた、LRRFIP1に対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号63、配列番号64、配列番号65若しくは配列番号66に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一である核酸配列、又は配列番号67、配列番号68、配列番号69若しくは配列番号70に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一であるアミノ酸配列、又は配列番号67、配列番号68、配列番号69若しくは配列番号70に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、又は配列番号63、配列番号64、配列番号65若しくは配列番号66に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0084】
「MYD88」とう用語は、MYD88自然免疫シグナル伝達アダプターの遺伝子(Ensembl:ENSG00000172936)、例えば、NCBI参照配列NM_001172567、NCBI参照配列NM_001172568、NCBI参照配列NM_001172569、NCBI参照配列NM_001172566又はNCBI参照配列NM_002468に定義の配列、具体的には、上記に示したMYD88転写物のNCBI参照配列の配列に対応した、配列番号71、配列番号72、配列番号73、配列番号74又は配列番号75に定めるとおりのヌクレオチド配列のことを指し、それはまたMYD88ポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_001166038、NCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_001166039、NCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_001166040、NCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_001166037及びNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_002459に定義のタンパク質配列に対応した、例えば、配列番号76、配列番号77、配列番号78、配列番号79又は配列番号80に定めるとおりの対応するアミノ酸配列にも関する。
【0085】
「MYD88」という用語はまた、MYD88に対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号71、配列番号72、配列番号73、配列番号74若しくは配列番号75に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一である核酸配列、又は配列番号76、配列番号77、配列番号78、配列番号79若しくは配列番号80に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一であるアミノ酸配列、又は配列番号76、配列番号77、配列番号78、配列番号79若しくは配列番号80に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、又は配列番号71、配列番号72、配列番号73、配列番号74若しくは配列番号75に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0086】
「OAS1」という用語は、2’-5’オリゴアデニル合成酵素1の遺伝子(Ensembl:ENSG00000089127)、例えば、NCBI参照配列NM_001320151、NCBI参照配列NM_002534、NCBI参照配列NM_001032409又はNCBI参照配列NM_016816に定義の配列、具体的には、上記に示したOAS1転写物のNCBI参照配列の配列に対応した、配列番号81、配列番号82、配列番号83又は配列番号84に定めるとおりのヌクレオチド配列のことを指し、それはまた、OAS1ポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_001307080、NCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_002525、NCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_001027581及びNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_058132に定義のタンパク質配列に対応した、例えば、配列番号85、配列番号86、配列番号87又は配列番号88に定めるとおりの対応するアミノ酸配列にも関する。
【0087】
「OAS1」という用語はまた、OAS1に対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号81、配列番号82、配列番号83若しくは配列番号84に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一である核酸配列、又は配列番号85、配列番号86、配列番号87若しくは配列番号88に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一であるアミノ酸配列、又は配列番号85、配列番号86、配列番号87若しくは配列番号88に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、又は配列番号81、配列番号82、配列番号83若しくは配列番号84に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0088】
「PAG1」という用語は、Phosphoprotein Membrane Anchor With Glycosphingolipid Microdomains 1の遺伝子(Ensembl:ENSG00000076641)、例えば、NCBI参照配列NM_018440に定義の配列、具体的には、上記に示したPAG1転写物のNCBI参照配列の配列に対応した、配列番号89に定めるとおりのヌクレオチド配列のことを指し、それはまた、PAG1ポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_060910に定義のタンパク質配列に対応した、例えば配列番号90に定めるとおりの対応するアミノ酸配列にも関する。
【0089】
「PAG1」という用語はまた、PAG1に対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号89に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一である核酸配列、又は配列番号90に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一であるアミノ酸配列、又は配列番号90に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、又は配列番号89に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0090】
「PDE4D」という用語は、ヒトホスホジエステラーゼ4Dの遺伝子(Ensembl:ENSG00000113448)、例えば、NCBI参照配列NM_001104631、NCBI参照配列NM_001349242、NCBI参照配列NM_001197218、NCBI参照配列NM_006203、NCBI参照配列NM_001197221、NCBI参照配列NM_001197220、NCBI参照配列NM_001197223、NCBI参照配列NM_001165899、又はNCBI参照配列NM_001165899に定義の配列、具体的には、上記に示したPDE4D転写物のNCBI参照配列の配列に対応した、配列番号91、配列番号92、配列番号93、配列番号94、配列番号95、配列番号96、配列番号97、配列番号98又は配列番号99に定めるとおりのヌクレオチド配列のことを指し、それはまた、PDE4DポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_001098101、NCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_001336171、NCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_001184147、NCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_006194、NCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_001184150、NCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_001184149、NCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_001184152、NCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_001159371及びNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_001184148に定義のタンパク質配列に対応した、例えば、配列番号100、配列番号101、配列番号102、配列番号103、配列番号104、配列番号105、配列番号106、配列番号107又は配列番号108に定めるとおりの対応するアミノ酸配列にも関する。
【0091】
「PDE4D」という用語はまた、PDE4Dに対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号91、配列番号92、配列番号93、配列番号94、配列番号95、配列番号96、配列番号97、配列番号98、又は配列番号99に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列、或いは配列番号100、配列番号101、配列番号102、配列番号103、配列番号104、配列番号105、配列番号106、配列番号107、又は配列番号108に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列、或いは配列番号100、配列番号101、配列番号102、配列番号103、配列番号104、配列番号105、配列番号106、配列番号107又は配列番号108に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、或いは配列番号91、配列番号92、配列番号93、配列番号94、配列番号95、配列番号96、配列番号97、配列番号98又は配列番号99に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0092】
「PRKACA」という用語は、Protein Kinase cAMP-Activated Catalytic Subunit Alphaの遺伝子(Ensembl:ENSG00000072062)、例えば、NCBI参照配列NM_002730又はNCBI参照配列NM_207518に定義の配列、具体的には、上記に示したPRKACA転写物のNCBI参照配列の配列に対応した、配列番号109又は配列番号110に定めるとおりのヌクレオチド配列のことを指し、それはまた、PRKACAポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_002721及びNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_997401に定義のタンパク質配列に対応した、例えば配列番号111又は配列番号112に定めるとおりの対応するアミノ酸配列にも関する。
【0093】
「PRKACA」という用語はまた、PRKACAに対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号109又は配列番号110に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列、或いは配列番号111又は配列番号112に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列、或いは配列番号111又は配列番号112に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、或いは配列番号109又は配列番号110に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0094】
「PRKACB」という用語は、Protein Kinase cAMP-Activated Catalytic Subunit Betaの遺伝子(Ensembl:ENSG00000142875)、例えば、NCBI参照配列NM_002731、NCBI参照配列NM_182948、NCBI参照配列NM_001242860、NCBI参照配列NM_001242859、NCBI参照配列NM_001242858、NCBI参照配列NM_001242862、NCBI参照配列NM_001242861、NCBI参照配列NM_001300915、NCBI参照配列NM_207578、NCBI参照配列NM_001242857又はNCBI参照配列NM_001300917に定義の配列、具体的には、上記に示したPRKACB転写物のNCBI参照配列の配列に対応した、配列番号113、配列番号114、配列番号115、配列番号116、配列番号117、配列番号118、配列番号119、配列番号120、配列番号121、配列番号122又は配列番号123に定めるとおりのヌクレオチド配列のことを指し、それはまた、PRKACBポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_002722、NCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_891993、NCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_001229789、NCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_001229788、NCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_001229787、NCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_001229791、NCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_001229790、NCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_001287844、NCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_997461、NCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_001229786及びNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_001287846に定義のタンパク質配列に対応した、例えば配列番号124、配列番号125、配列番号126、配列番号127、配列番号128、配列番号129、配列番号130、配列番号131、配列番号132、配列番号133又は配列番号134に定めるとおりの対応するアミノ酸配列にも関する。
【0095】
「PRKACB」という用語はまた、PRKACBに対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号113、配列番号114、配列番号115、配列番号116、配列番号117、配列番号118、配列番号119、配列番号120、配列番号121、配列番号122又は配列番号123に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列、或いは配列番号124、配列番号125、配列番号126、配列番号127、配列番号128、配列番号129、配列番号130、配列番号131、配列番号132、配列番号133又は配列番号134に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列、或いは配列番号124、配列番号125、配列番号126、配列番号127、配列番号128、配列番号129、配列番号130、配列番号131、配列番号132、配列番号133又は配列番号134に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、或いは配列番号113、配列番号114、配列番号115、配列番号116、配列番号117、配列番号118、配列番号119、配列番号120、配列番号121、配列番号122又は配列番号123に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0096】
「PTPRC」という用語は、タンパク質チロシンホスファターゼ受容体型Cの遺伝子(Ensembl:ENSG00000081237)、例えば、NCBI参照配列NM_002838又はNCBI参照配列NM_080921に定義の配列、具体的には、上記に示したPTPRC転写物のNCBI参照配列の配列に対応した、配列番号135又は配列番号136に定めるとおりのヌクレオチド配列のことを指し、それはまた、PTPRCポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_002829、及びNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_563578に定義のタンパク質配列に対応した、例えば配列番号137又は配列番号138に定めるとおりの対応するアミノ酸配列にも関する。
【0097】
「PTPRC」という用語はまた、PTPRCに対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号135又は配列番号136に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列、或いは配列番号137又は配列番号138に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列、或いは配列番号137又は配列番号138に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、或いは配列番号135又は配列番号136に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0098】
「RAP1GAP2」という用語は、ヒトRAP1 GTPアーゼ活性化タンパク質2の遺伝子(ENSG00000132359)、例えば、NCBI参照配列NM_015085、NCBI参照配列NM_001100398又はNCBI参照配列NM_001330058に定義の配列、具体的には、上記に示したRAP1GAP2転写物のNCBI参照配列の配列に対応した、配列番号139、配列番号140又は配列番号141に定めるとおりのヌクレオチド配列のことを指し、それはまたRAP1GAP2ポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_055900、NCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_001093868及びNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_001316987に定義のタンパク質配列に対応した、例えば、配列番号142、配列番号143又は配列番号144に定めるとおりの対応するアミノ酸配列にも関する。
【0099】
「RAP1GAP2」という用語はまた、RAP1GAP2に対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号139、配列番号140又は配列番号141に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一である核酸配列、又は配列番号142、配列番号143又は配列番号144に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一であるアミノ酸配列、又は配列番号142、配列番号143又は配列番号144に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、又は配列番号139、配列番号140又は配列番号141に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0100】
「SLC39A11」という用語は、ヒト溶質キャリアファミリー39メンバー11の遺伝子(Ensembl:ENSG00000133195)、例えば、NCBI参照配列NM_139177又はNCBI参照配列NM_001352692に定義の配列、具体的には、上記に示したSLC39A11転写物のNCBI参照配列の配列に対応した、配列番号145又は配列番号146に定めるとおりのヌクレオチド配列のことを指し、それはまた、SLC39A11ポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_631916及びNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_001339621に定義のタンパク質配列に対応した、例えば、配列番号147又は配列番号148に定めるとおりの対応するアミノ酸配列にも関する。
【0101】
「SLC39A11」という用語はまた、SLC39A11に対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号145若しくは配列番号146に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一である核酸配列、又は配列番号147若しくは配列番号148に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一であるアミノ酸配列、又は配列番号147若しくは配列番号148に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、又は配列番号145若しくは配列番号146に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0102】
「TDRD1」という用語は、ヒトチューダードメイン含有1の遺伝子(Ensembl:ENSG00000095627)、例えば、NCBI参照配列NM_198795に定義の配列、具体的には、上記に示したTDRD1転写物のNCBI参照配列の配列に対応した、配列番号149に定めるとおりのヌクレオチド配列のことを指し、それはまたTDRD1ポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_942090に定義のタンパク質配列に対応した、例えば、配列番号150に定めるとおりの対応するアミノ酸配列にも関する。
【0103】
「TDRD1」という用語はまた、TDRD1に対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号149に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一である核酸配列、又は配列番号150に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一であるアミノ酸配列、又は配列番号150に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列又は配列番号149に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0104】
「TLR8」という用語は、Toll様受容体8の遺伝子(Ensembl:ENSG00000101916)、例えば、NCBI参照配列NM_138636又はNCBI参照配列NM_016610に定義の配列、具体的には、上記に示したTLR8転写物のNCBI参照配列の配列に対応した、配列番号151又は配列番号152に定めるとおりのヌクレオチド配列のことを指し、それはまた、TLR8ポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_619542及びNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_057694に定義のタンパク質配列に対応した、例えば、配列番号153又は配列番号154に定めるとおりの対応するアミノ酸配列にも関する。
【0105】
「TLR8」という用語はまた、TLR8に対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号151若しくは配列番号152に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一である核酸配列、又は配列番号153若しくは配列番号154に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一であるアミノ酸配列、又は配列番号153若しくは配列番号154に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、又は配列番号151若しくは配列番号152に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0106】
「VWA2」という用語は、ヒトフォンビルブラント因子Aドメイン含有2の遺伝子(Ensembl:ENSG00000165816)、例えば、NCBI参照配列NM_001320804に定義の配列、具体的には、上記に示したVWA2転写物のNCBI参照配列の配列に対応した、配列番号155に定めるとおりのヌクレオチド配列のことを指し、それはまたVWA2ポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_001307733に定義のタンパク質配列に対応した、例えば、配列番号156に定めるとおりの対応するアミノ酸配列にも関する。
【0107】
「VWA2」という用語はまた、VWA2に対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号155に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一である核酸配列、又は配列番号156に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一であるアミノ酸配列、又は配列番号156に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列又は配列番号155に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0108】
「ZAP70」という用語は、T細胞受容体関連プロテインキナーゼ70のゼータ鎖(Zeta Chain Of T-Cell Receptor Associated Protein Kinase 70)の遺伝子(Ensembl:ENSG00000115085)、例えば、NCBI参照配列NM_001079又はNCBI参照配列NM_207519に定義の配列、具体的には、上記に示したZAP70転写物のNCBI参照配列の配列に対応した、配列番号157又は配列番号158に定めるとおりのヌクレオチド配列のことを指し、それはまた、ZAP70ポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_001070及びNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_997402に定義のタンパク質配列に対応した、例えば配列番号159又は配列番号160に定めるとおりの対応するアミノ酸配列にも関する。
【0109】
「ZAP70」という用語はまた、ZAP70に対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号157又は配列番号158に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列、或いは配列番号159又は配列番号160に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列、或いは配列番号159又は配列番号160に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、或いは配列番号157又は配列番号158に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0110】
「ZBP1」という用語は、Z-DNA結合タンパク質1の遺伝子(Ensembl:ENSG00000124256)、例えば、NCBI参照配列NM_030776、NCBI参照配列NM_001160418又はNCBI参照配列NM_001160419に定義の配列、具体的には、上記に示したZBP1転写物のNCBI参照配列の配列に対応した、配列番号161、配列番号162又は配列番号163に定めるとおりのヌクレオチド配列のことを指し、それはまた、ZBP1ポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_110403、NCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_001153890及びNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_001153891に定義のタンパク質配列に対応した、例えば、配列番号164、配列番号165又は配列番号166に定めるとおりの対応するアミノ酸配列にも関する。
【0111】
「ZBP1」という用語はまた、ZBP1に対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号161、配列番号162又は配列番号163に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一である核酸配列、又は配列番号164、配列番号165又は配列番号166に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一であるアミノ酸配列、又は配列番号164、配列番号165又は配列番号166に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、又は配列番号161、配列番号162又は配列番号163に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0112】
「生物学的サンプル」又は「対象者から取得したサンプル」という用語は、当業者に知られた適切な方法を介して対象者、例えば結腸直腸がん患者、から取得した任意の生物材料のことを指す。使用する生物学的サンプルは、臨床的に受け入れられるやり方、例えば、核酸(特にRNA)又はタンパク質が保たれる手法で採取する。
【0113】
生物学的サンプル(複数可)には、体組織及び/又は体液、例えば、これらに限定されないが、血液[又は血清、血漿、若しくはPBMC(末梢血単核細胞)などから得られる血液]、汗、だ液、尿及び針生検又は切除生検が含まれる。更に、生物学的サンプルは、がん性上皮細胞又はがんであると疑われる組織に由来する上皮細胞等の上皮細胞に由来する細胞抽出液又はそれを含む細胞集団を含有する。生物学的サンプルは腺組織に由来する細胞集団を含有し、例えば、サンプルは対象者の結腸直腸に由来する。加えて、必要であれば、取得した体組織及び体液から細胞を精製し、次いでそれを生物学的サンプルとして使用する。一部の実現化では、サンプルは、組織サンプル、尿サンプル、尿沈渣サンプル、血液サンプル、だ液サンプル、精液サンプル、循環腫瘍細胞を含むサンプル、細胞外小胞、前立腺によって分泌されたエキソソームを含有するサンプル又は細胞株若しくはがん細胞株である。
【0114】
特定の一実現化では、生検又は切除サンプルを取得する、及び/又は使用する。そのようなサンプルには、細胞又は細胞ライセートが含まれる。
【0115】
生物学的サンプルの内容物を濃縮ステップにかけることも考えられる。例えば、サンプルを、特定の細胞タイプ、例えば結腸直腸細胞の細胞膜又はオルガネラに対して特異的であり、例えば磁性粒子等で機能化させたリガンドと接触させる。磁性粒子によって濃縮した材料は、その後、本明細書の上記又は下記に記載の検出及び分析ステップのために使用する。
【0116】
更に、細胞、例えば腫瘍細胞は、液体又は液体サンプル、例えば血液、尿等のろ過プロセスを介して濃縮することもできる。そのようなろ過プロセスは、本明細書の上記に記載のリガンド特異的な相互作用に基づく濃縮ステップと組み合わせることもできる。
【0117】
「結腸直腸がん」という用語は、結腸又は直腸のがんのことを指す。結腸直腸がんは、消化管(GI)系の一部である腸の大部分を構成する結腸又は直腸のいずれかにおいて始まる。結腸直腸がんは、その起源部位によって大腸がん又は直腸がんと呼ばれ得る。しかしながら、これらのがんは、共通する性質のため、結腸直腸がんとして、しばしば一緒に分類される。「TNM」という用語は、分類体系のことを指し、悪性腫瘍の特徴について記述するために使用される。
【0118】
TNM分類系によると「Tステージ」という用語は、腫瘍の程度及びサイズのことを指す。Tステージは、属性、T1(小さい局所的腫瘍;一般にサイズ2cm未満);T2(より大きな局所的腫瘍;一般にサイズ2~5cm);T3(より大きい局所的な進行性腫瘍;一般にサイズ5cmより大きい;T4(進行性/転移性腫瘍)を有し得る。
【0119】
TNM分類系によると「Nステージ」という用語は、腫瘍陽性リンパ節の存在及び程度のことを指す。Nステージは、属性、N0(腫瘍陽性リンパ節を認めない);N1(腫瘍陽性リンパ節を認める);N2/N3(腫瘍陽性リンパ節数の拡大);NX(可能なリンパ節ステータスの評価がない)を有し得る。
【0120】
TNM分類系によると、「Mステージ」という用語は、腫瘍転移の存在及び程度のことを指す。Mステージは、属性、M0(遠隔転移の存在が認められない);M1(遠隔転移の存在が認められる)を有し得る。
【0121】
「生存」という用語は、患者が結腸直腸がんから生き残ることを指す。
【0122】
6種以上の遺伝子発現レベルは、
1種以上の免疫防御応答遺伝子、好ましくは、2種以上、より好ましくは3種以上、最も好ましくはすべての免疫防御遺伝子、及び
1種以上のT細胞受容体シグナル伝達遺伝子、好ましくは、2種以上、より好ましくは3種以上、最も好ましくは、すべてのT細胞受容体シグナル伝達遺伝子、及び
1種以上のPDE4D7関連遺伝子、好ましくは、2種以上、より好ましくは3種以上、最も好ましくはすべてのPDE4D7関連遺伝子を含むことが好ましい。
【0123】
一実施形態では:
1種以上の免疫防御応答遺伝子は、3種以上、好ましくは6種以上、より好ましくは、9種以上、最も好ましくはすべての免疫防御遺伝子を含む、及び/又は
1種以上のT細胞受容体シグナル伝達遺伝子は、3種以上、好ましくは6種以上、より好ましくは、9種以上、最も好ましくはすべてのT細胞受容体シグナル伝達遺伝子を含む、及び/又は
1種以上のPDE4D7関連遺伝子は、3種以上、好ましくは6種以上、最も好ましくはすべてのPDE4D7関連遺伝子を含む。
【0124】
前記結腸直腸がん対象者の転帰を決定するステップは、
2種以上の、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13種若しくはすべての免疫防御応答遺伝子の第1の遺伝子発現プロファイルと、結腸直腸がん対象者の集団から導出した回帰関数とを組み合わせるステップと、及び/又は
2種以上の、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16種若しくはすべてのT細胞受容体シグナル伝達遺伝子の第2の遺伝子発現プロファイルと、結腸直腸がん対象者の集団から導出した回帰関数とを組み合わせるステップと、及び/又は
2種以上の、例えば、2、3、4、5、6、7種若しくはすべてのPDE4D7関連遺伝子の第3の遺伝子発現プロファイルと、結腸直腸がん対象者の集団から導出した回帰関数とを組み合わせるステップと、及び/又は
前記6種以上の遺伝子の発現レベル、例えば6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16種以上若しくはすべての遺伝子発現レベルと、結腸直腸がん対象者の集団から導出した回帰関数とを組み合わせるステップと、
を有することが好ましい。
【0125】
Cox比例ハザード回帰により、生存のようなテストしたイベントに対する複数のリスク因子の影響をオンタイムに分析することが可能になる。それに関して、リスク因子は、リスクスコア若しくは臨床病期のような2値変数若しくは離散変数であるか、又はバイオマーカーの測定値若しくは遺伝子発現の値のような連続変数である。エンドポイント(例えば、死亡又は疾患再発)の確率はハザードと呼ばれる。回帰分析においては、テストしたエンドポイントに、例えばある患者コホートにおける対象者が達したか達しなかったか(例えば、患者が死亡したか死亡しなかったか)についての情報の次に、エンドポイントまでの期間も考慮される。ハザードは、H(t)=H(t)・exp(w・V+w・V+w・V+・・・)としてモデル化され、ここでV、V、V・・・は予測変数であり、H(t)はベースラインのハザードであるがH(t)は任意の時間tにおけるハザードである。ハザード率(すなわちイベントに達するリスク)は、Ln[H(t)/H(t)]=w・V+w・V+w・V+・・・によって表され、ここで係数又は重みw、w、w・・・はCox回帰分析によって見積もられ、ロジスティック回帰分析と同様に解釈することができる。
【0126】
特定の一実現化では、2種以上の、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13種又はすべての免疫防御応答遺伝子の第1の遺伝子発現プロファイルと、回帰関数との組合せを以下のとおりに決定する:
【数1】
ここで、wからw14は重みであり、AIM2、APOBEC3A、CIAO1、DDX58、DHX9、IFI16、IFIH1、IFIT1、IFIT3、LRRFIP1、MYD88、OAS1、TLR8及びZBP1は免疫防御応答遺伝子の発現レベルである。
【0127】
一例では、wは約-0.8~0.2、例えば-0.32であり、wは約0.0~1.0、例えば0.4743であり、wは約-0.2~0.8、例えば0.2864であり、wは約-1.2~-0.2、例えば-0.6683であり、wは約-0.9~0.1、例えば-0.3665であり、wは約-0.4~0.6、例えば0.1357であり、wは約0.0~1.0、例えば0.505であり、wは約-0.6~0.4、例えば-0.1024であり、wは約0.2~1.2、例えば0.7229であり、w10は約-0.3~0.7、例えば0.2066であり、w11は約-0.6~0.4、例えば-0.1209であり、w12は約-0.8~0.2、例えば-0.2982であり、w13は約-0.4~0.6、例えば0.1005であり、及びw14は約-0.7~0.3、例えば-0.2253である。
【0128】
特定の一実現化では、2種以上の、例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16種又はすべてのT細胞受容体シグナル伝達遺伝子の第2の遺伝子発現プロファイルと、回帰関数との組合せを以下のとおりに決定する:
【数2】
ここで、w15からw31は重みであり、CD2、CD247、CD28、CD3E、CD3G、CD4、CSK、EZR、FYN、LAT、LCK、PAG1、PDE4D、PRKACA、PRKACB、PTPRC及びZAP70はT細胞受容体シグナル伝達遺伝子の発現レベルである。
【0129】
一例では、w15は約-1.2~0.2、例えば-0.72であり、w16は約0.0~1.0、例えば0.5222であり、w17は約-0.1~0.9、例えば0.4222であり、w18は約0.1~1.1、例えば0.5981であり、w19は約-0.9~0.1、例えば-0.3978であり、w20は約0.0~1.0、例えば0.5332であり、w21は約-0.5~0.5、例えば0.007001であり、w22は約-0.3~0.7、例えば0.1881であり、w23は約-0.5~0.5、例えば0.08063であり、w24は約-0.7~0.3、例えば-0.2047であり、w25は約-0.4~0.6、例えば0.1408であり、w26は約-0.4~0.6、例えば0.1038であり、w27は約-0.6~0.4、例えば-0.1477であり、w28は約-0.3~0.7、例えば0.2311であり、w29は約-1.0~0.0、例えば-0.4637であり、w30は約-1.4~-0.4、例えば-0.8881であり、w31は約-0.3~0.7、例えば0.1936である。
【0130】
特定の一実現化では、2種以上の、例えば2、3、4、5、6、7種又はすべてのPDE4D7関連遺伝子の第3の遺伝子発現プロファイルと、回帰関数との組合せを以下のとおりに決定する:
【数3】
ここで、w32からw39は重みであり、ABCC5、CUX2、KIAA1549、PDE4D、RAP1GAP2、SLC39A11、TDRD1及びVWA2はPDE4D7関連遺伝子の発現レベルである。
【0131】
一例では、w32は約-0.4~0.6、例えば0.09275であり、w33は約-0.2~0.7、例えば0.2824であり、w34は約-0.8~0.2、例えば-0.2594であり、w35は約-0.5~0.5、例えば-0.0217であり、w36は約-0.4~0.6、例えば0.08958であり、w37は約-0.7~0.3、例えば-0.152であり、w38は約-0.8~0.2、例えば-0.2854であり、及びw39は約-0.6~0.4、例えば-0.1182である。
【0132】
前記結腸直腸がん対象者の転帰の予測を決定するステップは、前記第1の遺伝子発現プロファイルの組合せ、前記第2の遺伝子発現プロファイルの組合せ及び前記第3の遺伝子発現プロファイルの組合せと、結腸直腸がん対象者の集団から導出した回帰関数とを組み合わせるステップを更に有することが更に好ましい。
【0133】
特定の一実現化では、転帰の予測を、以下のとおりに決定する:
【数4】
ここでw40からw42は重みであり、IDR_modelは、2種以上、例えば、2、3、4、6、7、8、9、10、11、12、13種又はすべての免疫防御応答遺伝子の発現プロファイルに基づいた式1の回帰モデルであり、TCR_SIGNALING_modelは、2種以上、例えば、2、3、4、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16種又はすべてのT細胞受容体シグナル伝達遺伝子の発現プロファイルに基づいた式2の回帰モデルであり、PDE4D7_CORR_modelは、2種以上、例えば、2、3、4、6、7種又はすべてのPDE4D7関連遺伝子の発現プロファイルに基づいた式3の回帰モデルである。
【0134】
一例では、w40は約0.3~1.3、例えば0.7878であり、w41は約0.3~1.3、例えば0.7699であり、及びw42は約0.1~1.1、例えば0.6176である。
【0135】
特定の一実現化では、6種以上の遺伝子の発現レベルの組合せを、以下のとおりに算出する:
CRCAI_6モデル:
(w・[geneA])+(w・[geneB])+(w・[geneC])+(w・[geneD])+(w・[geneE])+(w・[geneF])
ここでwはそれぞれの遺伝子geneXの重みを表す。典型的な重みの値と遺伝子の組合せを表3~表12に挙げるが、本明細書において定義する6種以上の遺伝子の他の組合せを生成し、そのようなモデルに対してそれぞれの重みを算出することは、当業者の能力の範囲内である。
【0136】
転帰の予測はまた、転帰の予測の値に基づいて、少なくとも2つのリスク群のうちの1つに分類又はカテゴリー化されてもよい。例えば、2つのリスク群、3つのリスク群、4つのリスク群又は4つを超える予め定義されたリスク群がある。各リスク群は、転帰の予測の、個別の範囲の(オーバーラップしない)値をカバーする。例えば、リスク群は、0~<0.1、0.1~<0.25、0.25~<0.5、又は0.5~1.0等の、特定の臨床イベントの発生確率を表す。
【0137】
結腸直腸がん対象者の転帰の予測を決定するステップは、結腸直腸がん対象者から取得した1種以上の臨床パラメータに更に基づくことが更に好ましい。
【0138】
上述のとおり、臨床パラメータに基づく様々な測定値を、調査した。そのような臨床パラメータによる転帰の予測に更に基づくことによって、予測が更に改善される可能性があり得る。
【0139】
前記結腸直腸がん対象者から取得した1種以上の臨床パラメータは、(i)Tステージ属性(T1、T2、T3又はT4);(ii)Nステージ属性(N0、N1又はN2)、及び;(iii)Mステージ属性(M0、M1)のうちの1種以上を含むことが好ましい。更に又は別法として、臨床パラメータは、結腸直腸がんの診断及び/又は予後に関連する1種以上の他の臨床パラメータを含む。
【0140】
前記結腸直腸がん対象者の転帰の予測を決定するステップは、(i)1種以上の免疫防御応答遺伝子の第1の遺伝子発現プロファイル;(ii)1種以上のT細胞受容体シグナル伝達遺伝子の第2の遺伝子発現プロファイル;(iii)1種以上のPDE4D7関連遺伝子の第3の遺伝子発現プロファイル、並びに;(iv)前記第1の遺伝子発現プロファイルの組合せ、前記第2の遺伝子発現プロファイルの組合せ及び前記第3の遺伝子発現プロファイルの組合せ、及び前記結腸直腸がん対象者から取得した1種以上の臨床パラメータのうちの1つ以上を、結腸直腸がん対象者の集団から導出した回帰関数と組み合わせるステップを有することが更に好ましい。
【0141】
特定の一実現化では、転帰の予測を、以下のとおりに決定する:
【数5】
ここでw40からw44は重みであり、IDR_modelは、2種以上、例えば、2、3、4、6、7、8、9、10、11、12、13種又はすべての免疫防御応答遺伝子の発現プロファイルに基づいた式1の回帰モデルであり、TCR_SIGNALING_modelは、2種以上、例えば、2、3、4、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16種又はすべてのT細胞受容体シグナル伝達遺伝子の発現プロファイルに基づいた式2の回帰モデルであり、PDE4D7_CORR_modelは、2種以上、例えば、2、3、4、6、7種又はすべてのPDE4D7関連遺伝子の発現プロファイルに基づいた式3の回帰モデルであり、
N_stage_N1及びN_stage_N2は、悪性腫瘍のTNM分類による臨床的Nステージ属性である。
【0142】
一例では、w40は約0.3~1.3、例えば0.8098であり、w41は約0.2~1.2、例えば0.7297であり、w42は約0.1~1.1、例えば0.6221であり、w43は約0.0~1.0、例えば0.4875であり、及び、w44は約0.4~1.4、例えば0.9216である。
【0143】
生物学的サンプルは、治療の開始前に前記結腸直腸がん対象者から取得することが好ましい。遺伝子発現プロファイルは、結腸直腸がん組織中でmRNA又はタンパク質の形態で決定してもよい。或いは、遺伝子が可溶性の形態で存在する場合は、遺伝子発現プロファイルは血中で決定してもよい。
【0144】
治療は、手術、放射線治療、細胞傷害性化学治療(CTX)、短期若しくは長期化学放射線治療(CRT)、免疫治療又はその任意の組合せであることが更に好ましい。
【0145】
治療応答の予測は、治療の有効性に対して可能性が低い又は可能性が高いことが好ましく、ここで、前記治療応答の予測に基づいて治療法が推奨され、前記治療応答の予測が陰性である場合、推奨される治療は、(i)標準よりも早期に提供される治療;(ii)有効線量を増加させた放射線治療;(iii)化学治療等の補助的治療;(iv)長期CRT(化学放射線治療)、及び;(iv)免疫治療等の代替治療のうちの1つ以上を含む。
【0146】
本発明の更なる態様では、結腸直腸がん対象者の転帰を予測するための装置であって、前記装置が、
AIM2、APOBEC3A、CIAO1、DDX58、DHX9、IFI16、IFIH1、IFIT1、IFIT3、LRRFIP1、MYD88、OAS1、TLR8及びZBP1からなる群から選択される1種以上、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13種若しくはすべての免疫防御応答遺伝子のそれぞれの第1の遺伝子発現プロファイルであり、前記結腸直腸がん対象者から取得した生物学的サンプル中で決定される、前記第1の遺伝子発現プロファイル、並びに/又はCD2、CD247、CD28、CD3E、CD3G、CD4、CSK、EZR、FYN、LAT、LCK、PAG1、PDE4D、PRKACA、PRKACB、PTPRC及びZAP70からなる群から選択される1種以上、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16種若しくはすべてのT細胞受容体シグナル伝達遺伝子のそれぞれの第2の遺伝子発現プロファイルであり、前記結腸直腸がん対象者から取得した生物学的サンプル中で決定される、前記第2の遺伝子発現プロファイル、並びに/又はABCC5、CUX2、KIAA1549、PDE4D、RAP1GAP2、SLC39A11、TDRD1及びVWA2からなる群から選択される1種以上、例えば、1、2、3、4、5、6、7種若しくはすべてのPDE4D7関連遺伝子のそれぞれの第3の遺伝子発現プロファイルであり、前記結腸直腸がん対象者から取得した生物学的サンプル中で決定される、前記第3の遺伝子発現プロファイルと、を示すデータを受け取る入力部と、
前記第1の遺伝子発現プロファイル、若しくは前記第2の遺伝子発現プロファイル、若しくは前記第3の遺伝子発現プロファイル、又は前記第1、第2及び第3の遺伝子発現プロファイルに基づく前記結腸直腸がん対象者の転帰の予測を決定するプロセッサと、
適宜、前記結腸直腸がん対象者の転帰の予測を、医療介助者又は前記結腸直腸がん対象者に提供する提供部と、
を備える装置が提示される。
【0147】
本発明の更なる態様では、複数の命令を含むコンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムをコンピュータによって走らせた場合に、前記複数の命令が、
AIM2、APOBEC3A、CIAO1、DDX58、DHX9、IFI16、IFIH1、IFIT1、IFIT3、LRRFIP1、MYD88、OAS1、TLR8及びZBP1からなる群から選択される1種以上、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13種若しくはすべての免疫防御応答遺伝子のそれぞれの第1の遺伝子発現プロファイルであり、結腸直腸がん対象者から取得した生物学的サンプル中で決定される前記第1の遺伝子発現プロファイル、並びに/又はCD2、CD247、CD28、CD3E、CD3G、CD4、CSK、EZR、FYN、LAT、LCK、PAG1、PDE4D、PRKACA、PRKACB、PTPRC及びZAP70からなる群から選択される1種以上、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16種若しくはすべてのT細胞受容体シグナル伝達遺伝子のそれぞれの第2の遺伝子発現プロファイルであり、結腸直腸がん対象者から取得した生物学的サンプル中で決定される前記第2の遺伝子発現プロファイル、並びに/又はABCC5、CUX2、KIAA1549、PDE4D、RAP1GAP2、SLC39A11、TDRD1及びVWA2からなる群から選択される1種以上、例えば、1、2、3、4、5、6、7種若しくはすべてのPDE4D7関連遺伝子のそれぞれの第3の遺伝子発現プロファイルであり、結腸直腸がん対象者から取得した生物学的サンプル中で決定される前記第3の遺伝子発現プロファイルと、を示すデータを受け取るステップと、
前記第1の遺伝子発現プロファイル、若しくは前記第2の遺伝子発現プロファイル、若しくは前記第3の遺伝子発現プロファイル、又は前記第1、第2及び第3の遺伝子発現プロファイルに基づく前記結腸直腸がん対象者の転帰の予測を決定するステップと、
適宜、前記結腸直腸がん対象者の転帰の予測を、医療介助者又は前記結腸直腸がん対象者に提供するステップと、
を有する方法を前記コンピュータに実行させる、コンピュータプログラムが提示される。
【0148】
本発明の更なる態様では、
前記結腸直腸がん対象者から取得した生物学的サンプル中で、第1の遺伝子発現プロファイル、第2の遺伝子発現プロファイル及び第3の遺伝子発現プロファイルから選択される6種以上の遺伝子の発現レベルを決定するための少なくとも1種のプライマー並びに/又はプローブであって、前記6種以上の遺伝子発現レベルが、前記第3の遺伝子発現プロファイルから選択される少なくとも1種以上の遺伝子発現レベル並びに前記第1及び/又は第2の遺伝子発現プロファイルから選択される少なくとも1種以上の遺伝子発現レベルを含み、
前記第1の遺伝子発現プロファイルが:AIM2、APOBEC3A、CIAO1、DDX58、DHX9、IFI16、IFIH1、IFIT1、IFIT3、LRRFIP1、MYD88、OAS1、TLR8及びZBP1からなる群から選択される免疫防御応答遺伝子からなり;
前記第2の遺伝子発現プロファイルが:CD2、CD247、CD28、CD3E、CD3G、CD4、CSK、EZR、FYN、LAT、LCK、PAG1、PDE4D、PRKACA、PRKACB、PTPRC及びZAP70からなる群から選択されるT細胞受容体シグナル伝達遺伝子からなり;
前記第3の遺伝子発現プロファイルが:ABCC5、CUX2、KIAA1549、PDE4D、RAP1GAP2、SLC39A11、TDRD1及びVWA2からなる群から選択されるPDE4D7関連遺伝子からなる;
少なくとも1種のプライマー並びに/又はプローブと、
適宜、請求項11に記載の装置又は請求項12に記載のコンピュータプログラムと、
を含む診断キットが提示される。
或いは、
対象から取得した生物学的サンプルにおいて、AIM2、APOBEC3A、CIAO1、DDX58、DHX9、IFI16、IFIH1、IFIT1、IFIT3、LRRFIP1、MYD88、OAS1、TLR8及びZBP1からなる群から選択される1種以上、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13種若しくはすべての免疫防御応答遺伝子のそれぞれの第1の遺伝子発現プロファイルを決定するための少なくとも1種のプライマー及び/若しくはプローブ、並びに/又は
対象から取得した生物学的サンプルにおいて、CD2、CD247、CD28、CD3E、CD3G、CD4、CSK、EZR、FYN、LAT、LCK、PAG1、PDE4D、PRKACA、PRKACB、PTPRC及びZAP70からなる群から選択される1種以上、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16種若しくはすべてのT細胞受容体シグナル伝達遺伝子のそれぞれの第2の遺伝子発現プロファイルを決定するための少なくとも1種のプライマー及び/若しくはプローブ、並びに/又は
対象から取得した生物学的サンプルにおいて、ABCC5、CUX2、KIAA1549、PDE4D、RAP1GAP2、SLC39A11、TDRD1及びVWA2からなる群から選択される1種以上、例えば、1、2、3、4、5、6、7種若しくはすべてのPDE4D7関連遺伝子のそれぞれの遺伝子発現プロファイルを決定するための少なくとも1種のプライマー及び/若しくはプローブと、
適宜、請求項11に記載の装置又は請求項12に記載のコンピュータプログラムと
を含む診断キットが開示される。
【0149】
本発明の更なる態様では、請求項13に記載の診断キットの使用が提示される。
【0150】
請求項14に記載の診断キットの使用は、結腸直腸がん対象者の転帰を予測する方法においてであることが好ましい。
【0151】
本発明の更なる態様では、
結腸直腸がん対象者から取得した1種以上の生物学的サンプルを受け取るステップと、
第1の遺伝子発現プロファイル、第2の遺伝子発現プロファイル及び第3の遺伝子発現プロファイルから選択される6種以上の遺伝子の発現レベルを決定するために請求項13に記載のキットを使用するステップであって、前記6種以上の遺伝子発現レベルが、前記第3の遺伝子発現プロファイルから選択される少なくとも1種以上の遺伝子発現レベル並びに前記第1及び/又は第2の遺伝子発現プロファイルから選択される少なくとも1種以上の遺伝子発現レベルを含み、
前記第1の遺伝子発現プロファイルが:AIM2、APOBEC3A、CIAO1、DDX58、DHX9、IFI16、IFIH1、IFIT1、IFIT3、LRRFIP1、MYD88、OAS1、TLR8及びZBP1からなる群から選択される免疫防御応答遺伝子からなり;
前記第2の遺伝子発現プロファイルが:CD2、CD247、CD28、CD3E、CD3G、CD4、CSK、EZR、FYN、LAT、LCK、PAG1、PDE4D、PRKACA、PRKACB、PTPRC及びZAP70からなる群から選択されるT細胞受容体シグナル伝達遺伝子からなり;
前記第3の遺伝子発現プロファイルが:ABCC5、CUX2、KIAA1549、PDE4D、RAP1GAP2、SLC39A11、TDRD1及びVWA2からなる群から選択されるPDE4D7関連遺伝子からなる、
ステップとを含む方法が提示される。或いは、
結腸直腸がん対象者から取得した1種以上の生物学的サンプルを受け取るステップと、
対象者から取得した生物学的サンプルにおいて、AIM2、APOBEC3A、CIAO1、DDX58、DHX9、IFI16、IFIH1、IFIT1、IFIT3、LRRFIP1、MYD88、OAS1、TLR8及びZBP1からなる群から選択される1種以上、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13種若しくはすべての免疫防御応答遺伝子のそれぞれの第1の遺伝子発現プロファイルを決定するために請求項13に記載のキットを使用するステップと、並びに/又は
対象者から取得した生物学的サンプルにおいて、CD2、CD247、CD28、CD3E、CD3G、CD4、CSK、EZR、FYN、LAT、LCK、PAG1、PDE4D、PRKACA、PRKACB、PTPRC及びZAP70からなる群から選択される1種以上、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16種若しくはすべてのT細胞受容体シグナル伝達遺伝子のそれぞれの第2の遺伝子発現プロファイルを決定するために請求項13に記載のキットを使用するステップと、並びに/又は
対象者から取得した生物学的サンプルにおいて、ABCC5、CUX2、KIAA1549、PDE4D、RAP1GAP2、SLC39A11、TDRD1及びVWA2からなる群から選択される1種以上、例えば、1、2、3、4、5、6、7種若しくはすべてのPDE4D7関連遺伝子のそれぞれの第3の遺伝子発現プロファイルを決定するために請求項13に記載のキットを使用するステップと、
を含む方法が提示される。
【0152】
本発明の更なる態様では、
6種以上の遺伝子発現レベルに基づいて結腸直腸がん対象者の転帰の予測を決定するステップと、
適宜、前記結腸直腸がん対象者の転帰の予測を、医療介助者又は前記結腸直腸がん対象者に提供するステップと
を有する、前記結腸直腸がん対象者の転帰を予測する方法における、第1の遺伝子発現プロファイル、第2の遺伝子発現プロファイル及び第3の遺伝子発現プロファイルから選択される6種以上の遺伝子の発現レベルの使用であって、前記6種以上の遺伝子発現レベルが、前記第3の遺伝子発現プロファイルから選択される少なくとも1種以上の遺伝子発現レベル並びに前記第1及び/又は第2の遺伝子発現プロファイルから選択される少なくとも1種以上の遺伝子発現レベルを含み、前記第1の遺伝子発現プロファイルが:AIM2、APOBEC3A、CIAO1、DDX58、DHX9、IFI16、IFIH1、IFIT1、IFIT3、LRRFIP1、MYD88、OAS1、TLR8及びZBP1からなる群から選択される免疫防御応答遺伝子からなり;前記第2の遺伝子発現プロファイルが:CD2、CD247、CD28、CD3E、CD3G、CD4、CSK、EZR、FYN、LAT、LCK、PAG1、PDE4D、PRKACA、PRKACB、PTPRC及びZAP70からなる群から選択されるT細胞受容体シグナル伝達遺伝子からなり;前記第3の遺伝子発現プロファイルが:ABCC5、CUX2、KIAA1549、PDE4D、RAP1GAP2、SLC39A11、TDRD1及びVWA2からなる群から選択されるPDE4D7関連遺伝子からなる使用が提示される。或いは、本方法は、
第1の遺伝子発現プロファイル、若しくは第2の遺伝子発現プロファイル、若しくは第3の遺伝子発現プロファイル、又は第1、第2及び第3の遺伝子発現プロファイルに基づく結腸直腸がん対象者の転帰の予測を決定するステップと、
適宜、前記結腸直腸がん対象者の転帰の予測若しくは個人化、又は前記結腸直腸がん対象者の転帰の予測若しくは個人化に基づく治療の推奨を、医療介助者又は前記結腸直腸がん対象者に提供するステップと、
を有する前記結腸直腸がん対象者の転帰を予測する方法における、AIM2、APOBEC3A、CIAO1、DDX58、DHX9、IFI16、IFIH1、IFIT1、IFIT3、LRRFIP1、MYD88、OAS1、TLR8及びZBP1からなる群から選択される1種以上、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13種若しくはすべての免疫防御応答遺伝子のそれぞれの第1の遺伝子発現プロファイル、並びに/又はCD2、CD247、CD28、CD3E、CD3G、CD4、CSK、EZR、FYN、LAT、LCK、PAG1、PDE4D、PRKACA、PRKACB、PTPRC及びZAP70からなる群から選択される1種以上、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16種若しくはすべてのT細胞受容体シグナル伝達遺伝子のそれぞれの第2の遺伝子発現プロファイル、並びに/又はABCC5、CUX2、KIAA1549、PDE4D、RAP1GAP2、SLC39A11、TDRD1及びVWA2からなる群から選択される1種以上、例えば、1、2、3、4、5、6、7種若しくはすべてのPDE4D7関連遺伝子のそれぞれの第3の遺伝子発現プロファイルの使用に関する。
【0153】
請求項1に記載の方法、請求項11に記載の装置、請求項12に記載のコンピュータプログラム、請求項13に記載の診断キット、請求項14に記載の診断キットの使用、請求項16に記載の方法及び請求項17に記載の第1、第2及び/又は第3の遺伝子発現プロファイルの使用は、特に従属請求項に記載の、同様及び/又は同一の好ましい実施形態を有すると理解されるものとする。
【0154】
本発明の好ましい実施形態は、従属請求項又は上記の実施形態と、それぞれの独立請求項との任意の組合せでもあり得ると理解されるものとする。
【0155】
本発明のこれら及び他の態様は、以下に記載の実施形態から明らかとなり、以下に記載の実施形態を参照して解明される。
【図面の簡単な説明】
【0156】
図1】結腸直腸がん対象者の転帰を予測する方法の実施形態のフローチャートを、模式的及び典型的に示す図である。
図2】168結腸直腸がん患者のTCGAコホート(IDR_modelを開発するために使用した訓練セット)における、IDR_modelのカプランマイアー曲線を示す図である。
図3】83結腸直腸がん患者のTCGAコホート(168患者訓練セットで開発したIDR_modelを検証するために使用したテストセット)における、IDR_modelのカプランマイアー曲線を示す図である。
図4】168結腸直腸がん患者のTCGAコホート(TCR_SIGNALING_modelを開発するために使用した訓練セット)における、TCR_SIGNALING_modelのカプランマイアー曲線を示す図である。
図5】83結腸直腸がん患者のTCGAコホート(168患者訓練セットで開発したTCR_SIGNALING_modelを検証するために使用したテストセット)における、TCR_SIGNALING_modelのカプランマイアー曲線を示す図である。
図6】168結腸直腸がん患者のTCGAコホート(PDE4D7_CORR_modelを開発するために使用した訓練セット)における、PDE4D7_CORR_modelのカプランマイアー曲線を示す図である。
図7】83結腸直腸がん患者のTCGAコホート(168患者訓練セットで開発したPDE4D7_CORR_modelを検証するために使用したテストセット)における、PDE4D7_CORR_modelのカプランマイアー曲線を示す図である。
図8】168結腸直腸がん患者のTCGAコホート(CRCAI_modelを開発するために使用した訓練セット)における、CRCAI_modelのカプランマイアー曲線を示す図である。
図9】83結腸直腸がん患者のTCGAコホート(168患者訓練セットで開発したCRCAI_modelを検証するために使用したテストセット)における、CRCAI_modelのカプランマイアー曲線を示す図である。
図10】168結腸直腸がん患者のTCGAコホート(CRCAI&Clinical_modelを開発するために使用した訓練セット)における、CRCAI&Clinical_modelのカプランマイアー曲線を示す図である。
図11】83結腸直腸がん患者のTCGAコホート(168患者訓練セットで開発したCRCAI&Clinical_modelを検証するために使用したテストセット)における、CRCAI&Clinical_modelのカプランマイアー曲線を示す図である。
図12】GSE41248データセットから得られる結腸直腸がんコホートにおけるCRCAI_modelのカプランマイアー曲線を示す図である。テストした臨床エンドポイントは、全体として死亡であった。
図13】GSE41248データセットから得られる結腸直腸がんコホートにおけるCRCAI_modelのカプランマイアー曲線を示す図である。テストした臨床エンドポイントは、がん特異的死亡であった。
図14】GSE41248データセットから得られる結腸直腸がんコホートにおけるCRCAI&Clinical_modelのカプランマイアー曲線を示す図である。テストした臨床エンドポイントは、全体として死亡であった。
図15】GSE41248データセットから得られる結腸直腸がんコホートにおけるCRCAI&Clinical_modelのカプランマイアー曲線を示す図である。テストした臨床エンドポイントは、がん特異的死亡であった。
【発明を実施するための形態】
【0157】
転帰予測の概要
図1は、結腸直腸がん対象者の転帰を予測する方法の実施形態のフローチャートを、模式的及び典型的に示す。
【0158】
ステップS100において、方法に着手する。
【0159】
ステップS102において、結腸直腸がんと診断された第1のセットの患者(対象者)のそれぞれから、生物学的サンプルを取得する。好ましくは、生物学的サンプルを取得した後、少なくとも1年、少なくとも2年、又は約5年等の期間にわたり、これらの結腸直腸がん患者に対して、結腸直腸がんのモニタリングを実施する。
【0160】
ステップS104において、各生物学的サンプルから抽出したRNAに対して例えば、RT-qPCR(リアルタイム定量的PCR)を実行することにより、第1のセットの患者から取得した生物学的サンプルのそれぞれについての、AIM2、APOBEC3A、CIAO1、DDX58、DHX9、IFI16、IFIH1、IFIT1、IFIT3、LRRFIP1、MYD88、OAS1、TLR8及びZBP1からなる群から選択される1種以上、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13種若しくはすべての免疫防御応答遺伝子のそれぞれの第1の遺伝子発現プロファイル、並びに/又はCD2、CD247、CD28、CD3E、CD3G、CD4、CSK、EZR、FYN、LAT、LCK、PAG1、PDE4D、PRKACA、PRKACB、PTPRC及びZAP70からなる群から選択される1種以上、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16種若しくはすべてのT細胞受容体シグナル伝達遺伝子のそれぞれの第2の遺伝子発現プロファイル、並びに/又はABCC5、CUX2、KIAA1549、PDE4D、RAP1GAP2、SLC39A11、TDRD1及びVWA2からなる群から選択される2種以上、例えば、2、3、4、5、6、7種若しくはすべてのPDE4D7関連遺伝子のそれぞれの第3の遺伝子発現プロファイルを取得する。典型的な遺伝子発現プロファイルには、2種以上の遺伝子のそれぞれの発現レベル(例えば、値)が含まれ、B2M、HPRT1、POLR2A及び/又はPUM1などの参照遺伝子のセットのそれぞれの値を使用して標準化され得る。一実現化では、第1の遺伝子発現プロファイル及び/又は第2の遺伝子発現プロファイル及び/又は第3の遺伝子発現プロファイルのうち2種以上の遺伝子のそれぞれの遺伝子発現レベルは、ACTB、ALAS1、B2M、HPRT1、POLR2A、PUM1、RPLP0、TBP、TUBA1B及び/又はYWHAZからなる群から選択される1種以上の参照遺伝子、例えば、これら参照遺伝子のうち少なくとも1種、若しくは少なくとも2種、若しくは少なくとも3種、好ましくはすべてに対して標準化される。
【0161】
ステップS106において、第1のセットの患者に対して取得した生物学的サンプルのうち少なくとも一部について取得した2種以上の免疫防御応答遺伝子、AIM2、APOBEC3A、CIAO1、DDX58、DHX9、IFI16、IFIH1、IFIT1、IFIT3、LRRFIP1、MYD88、OAS1、TLR8及び/若しくはZBP1の第1の遺伝子発現プロファイル、及び/又は2種以上のT細胞受容体シグナル伝達遺伝子、CD2、CD247、CD28、CD3E、CD3G、CD4、CSK、EZR、FYN、LAT、LCK、PAG1、PDE4D、PRKACA、PRKACB、PTPRC及び/若しくはZAP70の第2の遺伝子発現プロファイル、及び/又は2種以上のPDE4D7関連遺伝子、ABCC5、CUX2、KIAA1549、PDE4D、RAP1GAP2、SLC39A11、TDRD1及び/若しくはVWA2の第3の遺伝子発現プロファイル、並びにモニタリングから取得したそれぞれの結果に基づいて、転帰の予測を与えるための回帰関数を決定する。特定の一実現化では、前記回帰関数は、上記の式(4)に明記したとおりに決定する。
【0162】
ステップS108において、患者(対象者、すなわち個体)から生物学的サンプルを取得する。患者は、新規の患者であっても第1のセットの患者であってもよい。
【0163】
ステップS110において、例えば、生物学的サンプルに対してPCRを実施することにより、AIM2、APOBEC3A、CIAO1、DDX58、DHX9、IFI16、IFIH1、IFIT1、IFIT3、LRRFIP1、MYD88、OAS1、TLR8及びZBP1からなる群から選択される1種以上、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13種若しくはすべての免疫防御応答遺伝子のそれぞれの第1の遺伝子発現プロファイル、並びに/又はCD2、CD247、CD28、CD3E、CD3G、CD4、CSK、EZR、FYN、LAT、LCK、PAG1、PDE4D、PRKACA、PRKACB、PTPRC及びZAP70からなる群から選択される1種以上、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16種若しく又はすべてのT細胞受容体シグナル伝達遺伝子のそれぞれの第2の遺伝子発現プロファイル、並びに/又は2種以上、例えば、2、3、4、5、6、7種若しくはすべてのPDE4D7関連遺伝子のそれぞれの第3の遺伝子発現プロファイルを取得する。一実現化では、第1の遺伝子発現プロファイル及び/又は第2の遺伝子発現プロファイル及び/又は第3の遺伝子発現プロファイルのうち2種以上の遺伝子のそれぞれの遺伝子発現レベルは、ACTB、ALAS1、B2M、HPRT1、POLR2A、PUM1、RPLP0、TBP、TUBA1B及び/又はYWHAZからなる群から選択される1種以上の参照遺伝子、例えば、これら参照遺伝子のうち少なくとも1種、若しくは少なくとも2種、若しくは少なくとも3種、好ましくはすべてに対して標準化される。これは、ステップS104と実質的に同じである。
【0164】
ステップS112において、第1、第2、及び第3の遺伝子発現プロファイルに基づく転帰の予測を、前記患者に対して、前記回帰関数を使用して決定する。これについては、後に本記載においてより詳細に記載する。
【0165】
ステップS114において、前記予測又は個人化に基づいて、治療の推奨を、例えば、患者又は彼若しくは彼女の保護者に対して、医師に対して、或いは別のヘルスケア従事者に対して提供する。この目的のために、前記予測又は個人化を、前記予測の値に基づいて、予め定義されたリスク群のセットの1つにカテゴリー化してもよい。特定の一実現化では、治療は、放射線治療であり、前記放射線治療応答の予測は、前記放射線治療の有効性に対して可能性が低い又は可能性が高い。前記放射線治療応答の予測の可能性が低い場合、推奨される前記治療は(i)標準より早期に提供される治療;(ii)有効線量を増加させた放射線治療;(iii)化学治療等の補助的治療;(iv)長期CRT(化学放射線治療)、及び;(iv)免疫治療等の代替治療、のうちの1つ以上を含む。
【0166】
ステップS116において、方法を終了する。
【0167】
一実施形態では、2種以上のプライマー及び/又はプローブ及び/又は2種以上のそれらのセットを使用してmRNAの発現を検出することにより、ステップS104及びS110における遺伝子発現プロファイルを決定する。
【0168】
一実施形態では、ステップS104及びS110は、患者の第1のセット及びその患者、それぞれから臨床パラメータを取得することを更に含む。臨床パラメータが、(i)Tステージ属性(T1、T2、T3又はT4);(ii)Nステージ属性(N0、N1又はN2)、及び;(iii)Mステージ属性(M0、M1)のうちの1種以上を含む。更に又は別法として、臨床パラメータは、結腸直腸がんの診断及び/又は予後に関連する1種以上の他の臨床パラメータを含む。ステップS106において決定する転帰の予測を与えるための回帰関数は、その後、患者の第1のセットの少なくとも一部から取得した1種以上の臨床パラメータに更に基づく。次いで、ステップS112において、転帰の予測は、患者から取得した1種以上の臨床パラメータ、例えば、Nステージ属性に更に基づき、回帰関数を使用して患者について決定される。特定の一実現化では、回帰関数は、上式(5)に規定されるとおり決定される。
【0169】
治療後の生存転帰との有意な相関に基づけば、同定された分子は、原発性結腸直腸がんの処置の有効性に関する予測値を与えると予想される。
【0170】
結果
各遺伝子について、TCGAデータベース(2020年3月6日にアクセスしたTCGA Colorectal Adenocarcinoma,Firehose legacy,http://linkedomics.org/login.php)からのダウンロードにおいて得られたlog2発現値を取得した。
【0171】
各遺伝子に対するlog2発現値を、
【数6】
を算出することによってz-スコアに変換し、ここでlog2_geneは遺伝子あたりのlog2遺伝子発現値であり、mean_samplesは、すべてのサンプルにわたるlog2_gene値の数学的平均であり、stdev_samplesは、すべてのサンプルにわたるlog2_gene値の標準偏差である。
【0172】
このプロセスにより、変換されたlog2_gene値は標準偏差1で平均0辺りに分布する。
【0173】
対象となる遺伝子の多変量分析の場合、入力値として各遺伝子のlog2_gene変換したz-スコア値を使用した。
【0174】
Cox回帰分析
次いで、14種の免疫防御応答遺伝子の組合せ、17種のT細胞受容体シグナル伝達遺伝子の組合せ、8種のPDE4D7関連遺伝子の組合せ、及びその組合せによって、結腸直腸がんの予測値が示されるかどうかのテストを開始した。Cox回帰を用いて、14種の免疫防御応答遺伝子、17種のT細胞受容体シグナル伝達遺伝子及び8種のPDE4D7関連遺伝子の発現レベルを、377結腸直腸がん患者のTCGAコホートにおける全生存期間に対してそれぞれモデル化した。
【0175】
TCGA結腸直腸がんコホートから、臨床パラメータ、遺伝子発現値、及び生存情報が複合的に存在するサンプルだけを含めた。このサブセットから、非転移性疾患(m0)の患者由来のサンプルのみ含め、その結果合計数251患者になった。これら251患者を、3群に無作為に分割した。コホート1(n=168)を訓練コホートとして使用し、群1+2からなった。コホート2(n=83)は群3からなり、訓練コホートから得られたリスクモデルを検証するために使用した。
【0176】
Cox回帰関数を、以下のように導出した:
【数7】
【0177】
重みw~w39についての詳細を、以下の表1に示す。
【0178】
【表1】
【0179】
3種の個々のCox回帰モデル(IDR_model、TCR_SIGNALING_model、PDE4D7_CORR_model)に基づいて、結腸直腸がん患者のそれぞれのコホートにおいて、臨床的変数(Nステージ属性)有り(CRCAI_model)又は無し(CRCAI&Clinical_model)でCox回帰をその後再度使用して、全生存率に対する組合せをモデル化した。カプランマイアー生存率分析において2種のモデルをテストした。
【0180】
Cox回帰関数を、以下のように導出した:
【数8】
【0181】
重みw40~w44についての詳細を、以下の表2に示す。
【0182】
【表2】
【0183】
カプランマイアー生存分析
カプランマイアー生存曲線分析のために、リスクモデル(IDR_model、TCR_SIGNALING_model、PDE4D7_CORR_model、CRCAI_model、及びCRCAI&Clinical_model)のCox関数を、カットオフ値に基づいて2つのサブコホートにカテゴリー化した。群を低及び高リスクへ分離するための閾値は、それぞれのCox回帰モデルによって予測される臨床エンドポイント(転帰)を経験するリスクに基づいた。
【0184】
図2は、168結腸直腸がん患者のTCGAコホート(IDR_modelを開発するために使用した訓練セット)における、IDR_modelのカプランマイアー曲線を示す。テストした臨床エンドポイントは、全体として死亡であった(ログランク p=0.009;HR=2.5;95% CI=1.3~5.0)。以下の補足リストは、分析したIDR_modelクラスのリスク患者数を表す(閾値=0)。すなわち、すべての+20カ月の期間における、リスク患者が示される:低リスク:80、45、21、15、9、6、4、1、0;高リスク:88、52、29、14、9、4、3、0、0。
【0185】
図3は、83結腸直腸がん患者のTCGAコホート(168患者訓練セットで開発したIDR_modelを検証するために使用したテストセット)における、IDR_modelのカプランマイアー曲線を示す。テストした臨床エンドポイントは、全体として死亡であった(ログランクp=0.8;HR=0.9;95% CI=0.3~2.6)。以下の補足リストは、分析したIDR_modelクラスのリスク患者数を表す(閾値=0)。すなわち、すべての+20カ月の期間における、リスク患者が示される:低リスク:42、29、8、4、4、2、2、1、0;高リスク:41、19、9、4、2、0、0、0、0。
【0186】
図4は、168結腸直腸がん患者のTCGAコホート(TCR_SIGNALING_modelを開発するために使用した訓練セット)における、TCR_SIGNALING_modelのカプランマイアー曲線を示す。テストした臨床エンドポイントは、全体として死亡であった(ログランクp=0.003;HR=2.9;95% CI=1.4~5.9)。以下の補足リストは、分析したTCR_SIGNALING_modelクラスのリスク患者数を表す(閾値=0)。すなわち、すべての+20カ月の期間における、リスク患者が示される:低リスク:81、46、23、10、4、3、1、0、0;高リスク:87、51、27、19、14、7、6、1、0。
【0187】
図5は、83結腸直腸がん患者のTCGAコホート(168患者訓練セットで開発したTCR_SIGNALING_modelを検証するために使用したテストセット)における、TCR_SIGNALING_modelのカプランマイアー曲線を示す。テストした臨床エンドポイントは、全体として死亡であった(ログランクp=0.02;HR=3.7;95% CI=1.3~10.9)。以下の補足リストは、分析したTCR_SIGNALING_modelクラスのリスク患者数を表す(閾値=0)。すなわち、すべての+20カ月の期間における、リスク患者が示される:低リスク:46、26、10、6、5、2、2、1、0;高リスク:37、22、7、2、1、0、0、0、0。
【0188】
図6は、95結腸直腸がん患者のTCGAコホート(PDE4D7_CORR_modelを開発するために使用した訓練セット)における、PDE4D7_CORR_modelのカプランマイアー曲線を示す。テストした臨床エンドポイントは、全体として死亡であった(ログランクp<0.0001;HR=10.7;95% CI=3.5~32.4)。以下の補足リストは、分析したPDE4D7_CORR_modelクラスのリスク患者数を表す(閾値=0)。すなわち、すべての+20カ月の期間における、リスク患者が示される:低リスク:143、86、45、27、17、10、7、1、0;高リスク:25、11、5、2、1、0、0、0、0。
【0189】
図7は、83結腸直腸がん患者のTCGAコホート(168患者訓練セットで開発したPDE4D7_CORR_modelを検証するために使用したテストセット)における、PDE4D7_CORR_modelのカプランマイアー曲線を示す。テストした臨床エンドポイントは、全体として死亡であった(ログランクp<0.8;HR=1.2;95% CI=0.2~5.9)。以下の補足リストは、分析したPDE4D7_CORR_modelクラスのリスク患者数を表す(閾値=0)。すなわち、すべての+20カ月の期間における、リスク患者が示される:低リスク:72、42、15、7、6、2、2、1、0;高リスク:11、6、2、1、0、0、0、0、0。
【0190】
図8は、168結腸直腸がん患者のTCGAコホート(CRCAI_modelを開発するために使用した訓練セット)における、CRCAI_modelのカプランマイアー曲線を示す。テストした臨床エンドポイントは、全体として死亡であった(ログランクp=0.0001;HR=4.6;95% CI=2.2~9.7)。以下の補足リストは、分析したCRCAI_modelクラスのリスク患者数を表す(閾値=0.5)。すなわち、すべての+20カ月の期間における、リスク患者が示される:低リスク:117、69、37、19、9、6、3、0、0;高リスク:51、28、13、10、9、4、4、1、0。
【0191】
図9は、83結腸直腸がん患者のTCGAコホート(168患者訓練セットで開発したCRCAI_modelを検証するために使用したテストセット)における、CRCAI_modelのカプランマイアー曲線を示す。テストした臨床エンドポイントは、全体として死亡であった(ログランクp=0.005;HR=5.9;95% CI=1.7~20.2)。以下の補足リストは、分析したCRCAI_modelクラスのリスク患者数を表す(閾値=0.5)。すなわち、すべての+20カ月の期間における、リスク患者が示される:低リスク:66、39、10、6、5、2、2、1、0;高リスク:17、9、7、2、1、0、0、0、0。
【0192】
図10は、168結腸直腸がん患者のTCGAコホート(CRCAI&Clinical_modelを開発するために使用した訓練セット)における、CRCAI&Clinical_modelのカプランマイアー曲線を示す。テストした臨床エンドポイントは、全体として死亡であった(ログランクp=0.0001;HR=4.0;95% CI=2.0~8.0)。以下の補足リストは、分析したCRCAI&Clinical_modelクラスのリスク患者数を表す(閾値=0.5)。すなわち、すべての+20カ月の期間における、リスク患者が示される:低リスク:105、59、29、15、7、5、3、0、0;高リスク:63、38、21、14、11、5、4、1、0。
【0193】
図11は、83結腸直腸がん患者のTCGAコホート(168患者訓練セットで開発したCRCAI&Clinical_modelを検証するために使用したテストセット)における、CRCAI&Clinical_modelのカプランマイアー曲線を示す。テストした臨床エンドポイントは、全体として死亡であった(ログランクp=0.01;HR=5.5;95% CI=1.4~21.8)。以下の補足リストは、分析したCRCAI&Clinical_modelクラスのリスク患者数を表す(閾値=0.5)。すなわち、すべての+20カ月の期間における、リスク患者が示される:低リスク:62、40、14、7、6、2、2、1、0;高リスク:21、8、3、1、0、0、0、0、0。
【0194】
以下において、GSE41248(www.ncbi.nlm.nih.gov/geo)データセットから得られる結腸直腸がんコホートに関する追加の結果をいくつか示す:
【0195】
図12は、GSE41248データセットから得られる結腸直腸がんコホートにおけるCRCAI_modelのカプランマイアー曲線を示す。前記モデルを、非転移(m0)及び転移(m1)疾患患者からのサンプルの2/3に対して訓練し、次いで、残り1/3のm0及びm1サンプルに対してテストした。次いで、この訓練したモデルを、TCGA結腸直腸がんコホートと同じ状況にするために、非転移疾患(m0)の患者からのサンプルに対してのみテストした。テストした臨床エンドポイントは、全体として死亡であった(ログランクp=0.001;HR=3.2;95% CI=1.6~6.5)。以下の補足リストは、分析したCRCAI_modelクラスのリスク患者数を表す(閾値=0.5)。すなわち、すべての+20カ月の期間における、リスク患者が示される:低リスク:132、123、113、97、75、50、32、14、6、3、2、0;高リスク:31、27、23、22、12、8、4、0、0、0、0、0。
【0196】
図13は、GSE41248データセットから得られる結腸直腸がんコホートにおけるCRCAI_modelのカプランマイアー曲線を示す。前記モデルを、非転移(m0)及び転移(m1)疾患の患者からのサンプルの2/3に対して訓練し、次いで、残り1/3のm0及びm1サンプルに対してテストした。次いで、この訓練したモデルを、TCGA結腸直腸がんコホートと同じ状況にするために、非転移疾患(m0)の患者からのサンプルに対してのみテストした。テストした臨床エンドポイントは、がん特異的死亡であった(ログランクp<0.0001;HR=12.9;95% CI=3.9~43.0)。以下の補足リストは、分析したCRCAI_modelクラスのリスク患者数を表す(閾値=0.5)。すなわち、すべての+20カ月の期間における、リスク患者が示される:低リスク:94、86、80、67、51、34、18、8、3、2、2、0;高リスク:23、19、16、15、7、4、3、0、0、0、0、0。
【0197】
図14は、GSE41248データセットから得られる結腸直腸がんコホートにおけるCRCAI&Clinical_modelのカプランマイアー曲線を示す。前記モデルを、非転移(m0)及び転移(m1)疾患の患者からのサンプルの2/3に対して訓練し、次いで、残り1/3のm0及びm1サンプルに対してテストした。次いで、この訓練したモデルを、TCGA結腸直腸がんコホートと同じ状況にするために、非転移疾患(m0)の患者からのサンプルに対してのみテストした。テストした臨床エンドポイントは、全体として死亡であった(ログランクp=0.0002;HR=3.3;95% CI=1.8~6.1)。以下の補足リストは、分析したCRCAI&Clinical_modelクラスのリスク患者数を表す(閾値=0.5)。すなわち、すべての+20カ月の期間における、リスク患者が示される:低リスク:120、111、103、90、71、45、30、14、6、3、2、0;高リスク:43、39、33、29、16、13、6、0、0、0、0、0。
【0198】
図15は、GSE41248データセットから得られる結腸直腸がんコホートにおけるCRCAI&Clinical_modelのカプランマイアー曲線を示す。前記モデルを、非転移(m0)及び転移(m1)疾患の患者からのサンプルの2/3に対して訓練し、次いで、残り1/3のm0及びm1サンプルに対してテストした。次いで、この訓練したモデルを、TCGA結腸直腸がんコホートと同じ状況にするために、非転移疾患(m0)の患者からのサンプルに対してのみテストした。テストした臨床エンドポイントは、がん特異的死亡であった(ログランクp=0.0001;HR=16.8;95% CI=6.0~47.1)。以下の補足リストは、分析したCRCAI&Clinical_modelクラスのリスク患者数を表す(閾値=0.5)。すなわち、すべての+20カ月の期間における、リスク患者が示される:低リスク:84、76、71、61、48、31、17、8、3、2、2、0;高リスク:33、29、25、21、10、7、4、0、0、0、0、0。
【0199】
図2図15に示すカプランマイアー生存曲線の分析は、異なる患者リスク群の存在を実証する。患者のリスク群は、図に示すそれぞれのリスクモデルによって計算された、個々の臨床エンドポイント(全体の死亡)を喫する確率によって決定する。患者が結腸直腸がんにより死亡するリスクの予測に依存して(すなわち、患者がリスク群のどちらに属しているかに依存して)、異なるタイプの治療介入が指示される。低リスク群(確率0.5未満)では、標準的治療(SOC)により、許容可能な長期の腫瘍学的制御を得られる。この患者は明らかに、関連する転帰のいずれかを経験するリスクが0.5を超える患者群の症例ではない。リスクが0.5を超える患者群では、治療介入又は代替処置の適用の拡大が必要である。処置拡大のための代わりの選択肢は、放射線若しくは細胞毒性薬による補助的治療、若しくは免疫治療のような代替治療(例えば、アテゾリズマブ;ペムブロリズマブ;ニボルマブ;アベルマブ;デュルバルマブ)、又は他の実験的治療である。
【0200】
次に、より小さいサブセットの遺伝子が、予測力をなお有するかどうか調査した。これを調査するために、以下の基準を満たす6種の遺伝子を無作為に選択した10種の群を生成した:少なくとも1つの遺伝子をPDE4D7関連遺伝子セットから選択する。以下の選択を取得した:
【0201】
【表3】
【0202】
【表4】
【0203】
【表5】
【0204】
【表6】
【0205】
【表7】
【0206】
【表8】
【0207】
【表9】
【0208】
【表10】
【0209】
【表11】
【0210】
【表12】
【0211】
本項では、上の表3~表12に記載される6種の遺伝子を無作為に選択した組合せを含む、両方の結腸直腸がんの多数の遺伝子モデルに基づくCox回帰モデルに関する追加の結果を示す。変数及び対応する重みを上に提示する。Cox回帰モデルを、図16図25のカプランマイアー曲線分析にプロットする。
【0212】
カプランマイアー曲線分析のために、上に示される10種のリスクモデル(CRCAI6.1~CRCAI6.10)のCox回帰関数を、カットオフ値に基づいて2つのサブコホート(低リスク対高リスク)にカテゴリー化した。群を低及び高リスクへ分離するための閾値は、それぞれのCox回帰モデルによって予測される臨床エンドポイント(転帰)を経験するリスクに基づいた。
【0213】
図16は、168結腸直腸がん患者のTCGAコホート(CRCAI_6.1_modelを開発するために使用した訓練セット)における、CRCAI_6.1_modelのカプランマイアー曲線を示す。テストした臨床エンドポイントは、全体として死亡であった(ログランクp=0.03;HR=2.2;95% CI=1.1~4.5)。グラフの下の補足リストは、分析したCRCAI_6.1_modelクラスのリスク患者数を表す(閾値=0)。すなわち、すべての+20カ月の期間における、リスク患者が示される。グラフにおいて上の線は、閾値より低い又は等しい患者を図示し、グラフにおいて下の線は、閾値を上回る患者を図示する。
【0214】
図17は、168結腸直腸がん患者のTCGAコホート(CRCAI_6.2_modelを開発するために使用した訓練セット)における、CRCAI_6.2_modelのカプランマイアー曲線を示す。テストした臨床エンドポイントは、全体として死亡であった(ログランクp=0.01;HR=2.4;95% CI=1.9~4.7)。グラフの下の補足リストは、分析したCRCAI_6.2_modelクラスのリスク患者数を表す(閾値=0)。すなわち、すべての+20カ月の期間における、リスク患者が示される。グラフにおいて上の線は、閾値より低い又は等しい患者を図示し、グラフにおいて下の線は、閾値を上回る患者を図示する。
【0215】
図18は、168結腸直腸がん患者のTCGAコホート(CRCAI_6.3_modelを開発するために使用した訓練セット)における、CRCAI_6.3_modelのカプランマイアー曲線を示す。テストした臨床エンドポイントは、全体として死亡であった(ログランクp=0.02;HR=2.4;95% CI=1.1~5.1)。グラフの下の補足リストは、分析したCRCAI_6.3_modelクラスのリスク患者数を表す(閾値=0)。すなわち、すべての+20カ月の期間における、リスク患者が示される。グラフにおいて上の線は、閾値より低い又は等しい患者を図示し、グラフにおいて下の線は、閾値を上回る患者を図示する。
【0216】
図19は、168結腸直腸がん患者のTCGAコホート(CRCAI_6.4_modelを開発するために使用した訓練セット)における、CRCAI_6.4_modelのカプランマイアー曲線を示す。テストした臨床エンドポイントは、全体として死亡であった(ログランクp=0.002;HR=3.0;95% CI=1.5~5.9)。グラフの下の補足リストは、分析したCRCAI_6.4_modelクラスのリスク患者数を表す(閾値=0)。すなわち、すべての+20カ月の期間における、リスク患者が示される。グラフにおいて上の線は、閾値より低い又は等しい患者を図示し、グラフにおいて下の線は、閾値を上回る患者を図示する。
【0217】
図20は、168結腸直腸がん患者のTCGAコホート(CRCAI_6.5_modelを開発するために使用した訓練セット)における、CRCAI_6.5_modelのカプランマイアー曲線を示す。テストした臨床エンドポイントは、全体として死亡であった(ログランクp=0.007;HR=2.6;95% CI=1.3~5.1)。グラフの下の補足リストは、分析したCRCAI_6.5_modelクラスのリスク患者数を表す(閾値=0)。すなわち、すべての+20カ月の期間における、リスク患者が示される。グラフにおいて上の線は、閾値より低い又は等しい患者を図示し、グラフにおいて下の線は、閾値を上回る患者を図示する。
【0218】
図21は、168結腸直腸がん患者のTCGAコホート(CRCAI_6.6_modelを開発するために使用した訓練セット)における、CRCAI_6.6_modelのカプランマイアー曲線を示す。テストした臨床エンドポイントは、全体として死亡であった(ログランクp=0.001;HR=3.4;95% CI=1.6~7.2)。グラフの下の補足リストは、分析したCRCAI_6.6_modelクラスのリスク患者数を表す(閾値=0)。すなわち、すべての+20カ月の期間における、リスク患者が示される。グラフにおいて上の線は、閾値より低い又は等しい患者を図示し、グラフにおいて下の線は、閾値を上回る患者を図示する。
【0219】
図22は、168結腸直腸がん患者のTCGAコホート(CRCAI_6.7_modelを開発するために使用した訓練セット)における、CRCAI_6.7_modelのカプランマイアー曲線を示す。テストした臨床エンドポイントは、全体として死亡であった(ログランクp=0.03;HR=2.1;95% CI=1.1~4.2)。グラフの下の補足リストは、分析したCRCAI_6.7_modelクラスのリスク患者数を表す(閾値=0)。すなわち、すべての+20カ月の期間における、リスク患者が示される。グラフにおいて上の線は、閾値より低い又は等しい患者を図示し、グラフにおいて下の線は、閾値を上回る患者を図示する。
【0220】
図23は、168結腸直腸がん患者のTCGAコホート(CRCAI_6.8_modelを開発するために使用した訓練セット)における、CRCAI_6.8_modelのカプランマイアー曲線を示す。テストした臨床エンドポイントは、全体として死亡であった(ログランクp=0.004;HR=2.8;95% CI=1.4~5.5)。グラフの下の補足リストは、分析したCRCAI_6.8_modelクラスのリスク患者数を表す(閾値=0)。すなわち、すべての+20カ月の期間における、リスク患者が示される。グラフにおいて上の線は、閾値より低い又は等しい患者を図示し、グラフにおいて下の線は、閾値を上回る患者を図示する。
【0221】
図24は、168結腸直腸がん患者のTCGAコホート(CRCAI_6.9_modelを開発するために使用した訓練セット)における、CRCAI_6.9_modelのカプランマイアー曲線を示す。テストした臨床エンドポイントは、全体として死亡であった(ログランクp=0.01;HR=2.5;95% CI=1.2~5.1)。グラフの下の補足リストは、分析したCRCAI_6.9_modelクラスのリスク患者数を表す(閾値=0)。すなわち、すべての+20カ月の期間における、リスク患者が示される。グラフにおいて上の線は、閾値より低い又は等しい患者を図示し、グラフにおいて下の線は、閾値を上回る患者を図示する。
【0222】
図25は、168結腸直腸がん患者のTCGAコホート(CRCAI_6.10_modelを開発するために使用した訓練セット)における、CRCAI_6.10_modelのカプランマイアー曲線を示す。テストした臨床エンドポイントは、全体として死亡であった(ログランクp=0.004;HR=3.0;95% CI=1.4~6.2)。グラフの下の補足リストは、分析したCRCAI_6.10_modelクラスのリスク患者数を表す(閾値=0)。すなわち、すべての+20カ月の期間における、リスク患者が示される。グラフにおいて上の線は、閾値より低い又は等しい患者を図示し、グラフにおいて下の線は、閾値を上回る患者を図示する。
【0223】
これらデータから、6種の遺伝子のうち少なくとも1遺伝子がPDE4D7関連遺伝子署名から選択されることを考慮すると、本明細書に記載の免疫防御応答署名、T細胞シグナル伝達署名及びPDE4D7関連署名から選択される6種の遺伝子のモデルが、予測を行うのに十分であると結論することができる。これら基準を満たす6種の遺伝子を無作為に選択した10種のセットは、患者リスクを有意に層化できるので、これら結果を6種以上の遺伝子を任意に選択するための推定に用いることができると予想される。
【0224】
考察
結腸直腸がんに対する治療の有効性は限定的であり、特に一次介入後の疾患の再発リスクが高い患者に対しては、疾患進行及び最終的には患者の死がもたらされる。多くの因子が、治療有効性及び疾患再発に関与するため、治療転帰の予測は非常に挑戦的である。重要な諸因子がまだ同定されていない可能性があり、他の因子の影響は正確に決定できていない。複数の臨床病理学的な測定値が、応答予測及び治療選択を改善するために臨床現場において現在検討及び適用されており、ある程度の改善をもたらしている。それにもかかわらず、処置応答のより良い予測が、結腸直腸がん治療の成功率を上げるために依然として強く必要とされている。
【0225】
発現が結腸直腸がんの一次治療後の死亡率と有意に関係することが示され、それゆえ二次処置の有効性の予測を改善すると予想される分子が同定された。これは、1)がんによる死亡と相関する進行性疾患のリスクが低い患者に対しては標準的治療、並びに/又は2)進行性疾患及びその後のがんによる死亡のリスクが高い患者を、現在適用されている標準的治療と比較して代替の、潜在的により有効な処置形態に導くこと、によって実現することができる。これによって、効果的でない治療をせずに済むことで患者の苦痛が減り、効果的でない治療に充てられていたコストが減る。
【0226】
当業者は、特許請求された発明の実施において、図面、開示及び添付の特許請求の範囲の検討から、開示された実現化に対する他の変形を理解し、遂行することができる。
【0227】
特許請求の範囲では、「有する、含む、備える」という語は他の要素又はステップを除外せず、単数形は複数を除外しない。
【0228】
コンピュータ上で走らせるコンピュータプログラム製品中に、図1に例示する方法の1つ以上のステップが実装される。コンピュータプログラム製品には、制御プログラムが記録された(保管された)、非一過性のコンピュータ読み取り可能な記録媒体、例えばディスク、ハードドライブ等が含まれる。よく見られる形態の非一過性のコンピュータ読み取り可能な媒体には、例えば、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ又はその他の磁気記憶媒体、CD-ROM、DVD又はその他の光媒体、RAM、PROM、EPROM、FLASH(登録商標)-EPROM又は他のメモリチップ若しくはカートリッジ、或いはコンピュータがそこから読み取って使用することができるその他の非一過性媒体が含まれる。
【0229】
或いは、電波及び赤外線データ通信等の間に生成するような音波又は光波等の伝送媒体を使用して、制御プログラムがデータ信号として具現化される伝送可能な搬送波等の一過性の媒体中に、本方法の1つ以上のステップが実装される。
【0230】
典型的な方法が、1つ以上の汎用コンピュータ、専用コンピュータ(複数可)、プログラムされたマイクロプロセッサ又はマイクロコントローラー及び周辺集積回路エレメント、ASIC又は他の集積回路、デジタル信号プロセッサ、ディスクリートエレメント回路等のハードワイヤード電子又はロジック回路、PLD、PLA、FPGA、グラフィックカード(Graphical card)CPU(GPU)又はPAL等のプログラマブルロジックデバイス上等に実装される。一般的に、図1に示すフローチャートを順次実施可能な有限機械を実装することが可能などんなデバイスも、前立腺がんの患者における治療選択のための、例示されるリスク層別化の方法の1つ以上のステップを実装するために使用することができる。理解されるであろうように、方法のステップはすべてコンピュータに実装され得るが、一部の実施形態では、1つ以上のステップが少なくとも部分的に手動で実行される。
【0231】
コンピュータ、他のプログラマブルデータ処理装置又は他のデバイス上にコンピュータプログラム命令を搭載して、一連の作業ステップをコンピュータ、他のプログラマブル装置又は他のデバイス上で実行させて、コンピュータ又は他のプログラマブル装置上で走る命令が本明細書に明記される機能/動作を実施するためのプロセスを提供するように、コンピュータ実装プロセスを生成することもできる。
【0232】
特許請求の範囲における如何なる参照記号も、その範囲を限定するものとして解釈すべきではない。
【0233】
本発明は、結腸直腸がん対象者の転帰を予測する方法であって、前記方法が、
第1の遺伝子発現プロファイル、第2の遺伝子発現プロファイル及び第3の遺伝子発現プロファイルから選択される6種以上の遺伝子の発現レベルを決定する又は決定の結果を受け取るステップであって、前記6種以上の遺伝子発現レベルが、前記第3の遺伝子発現プロファイルから選択される少なくとも1種以上の遺伝子発現レベル並びに前記第1及び/又は第2の遺伝子発現プロファイルから選択される少なくとも1種以上の遺伝子発現レベルを含み、
前記第1の遺伝子発現プロファイルが:AIM2、APOBEC3A、CIAO1、DDX58、DHX9、IFI16、IFIH1、IFIT1、IFIT3、LRRFIP1、MYD88、OAS1、TLR8及びZBP1からなる群から選択される免疫防御応答遺伝子からなり;
前記第2の遺伝子発現プロファイルが:CD2、CD247、CD28、CD3E、CD3G、CD4、CSK、EZR、FYN、LAT、LCK、PAG1、PDE4D、PRKACA、PRKACB、PTPRC及びZAP70からなる群から選択されるT細胞受容体シグナル伝達遺伝子からなり;
前記第3の遺伝子発現プロファイルが:ABCC5、CUX2、KIAA1549、PDE4D、RAP1GAP2、SLC39A11、TDRD1及びVWA2からなる群から選択されるPDE4D7関連遺伝子からなり;
前記第1、第2及び第3の遺伝子発現プロファイルは前記結腸直腸がん対象者から取得した生物学的サンプル中で決定される、ステップと;
6種以上の遺伝子発現レベルに基づいて前記結腸直腸がん対象者の転帰の予測を決定するステップと、
適宜、前記結腸直腸がん対象者の転帰の予測を、医療介助者又は前記結腸直腸がん対象者に提供するステップと
を有する方法に関する。一実施形態では、6種以上の遺伝子発現レベルは、1種以上、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13種又はすべての免疫防御応答遺伝子、及び1種以上、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13種又はすべてのT細胞受容体シグナル伝達遺伝子、及び1種以上、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13種又はすべてのPDE4D7関連遺伝子を含む。
【0234】
或いは、本発明は、結腸直腸がん対象者の転帰を予測する方法であって、前記方法が、AIM2、APOBEC3A、CIAO1、DDX58、DHX9、IFI16、IFIH1、IFIT1、IFIT3、LRRFIP1、MYD88、OAS1、TLR8及びZBP1からなる群から選択される1種以上、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13種若しくはすべての免疫防御応答遺伝子のそれぞれの第1の遺伝子発現プロファイルを決定する若しくは決定の結果を受け取るステップであって、前記第1の遺伝子発現プロファイルは前記結腸直腸がん対象者から取得した生物学的サンプル中で決定される、ステップと、並びに/又はCD2、CD247、CD28、CD3E、CD3G、CD4、CSK、EZR、FYN、LAT、LCK、PAG1、PDE4D、PRKACA、PRKACB、PTPRC及びZAP70からなる群から選択される1種以上、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16種若しくはすべてのT細胞受容体シグナル伝達遺伝子のそれぞれの第2の遺伝子発現プロファイルを決定する若しくは決定の結果を受け取るステップであって、前記第2の遺伝子発現プロファイルは前記結腸直腸がん対象者から取得した生物学的サンプル中で決定される、ステップと、並びに/又はABCC5、CUX2、KIAA1549、PDE4D、RAP1GAP2、SLC39A11、TDRD1及びVWA2からなる群から選択される1種以上、例えば、1、2、3、4、5、6、7種若しくはすべてのPDE4D7関連遺伝子のそれぞれの第3の遺伝子発現プロファイルを決定する若しくは決定の結果を受け取るステップであって、前記第3の遺伝子発現プロファイルは前記結腸直腸がん対象者から取得した生物学的サンプル中で決定される、ステップと、第1の遺伝子発現プロファイル、若しくは第2の遺伝子発現プロファイル、若しくは第3の遺伝子発現プロファイル、又は第1、第2及び第3の遺伝子発現プロファイルに基づく前記結腸直腸がん対象者の転帰の予測を決定するステップと、適宜、前記結腸直腸がん対象者の転帰の予測を、医療介助者又は前記結腸直腸がん対象者に提供するステップとを有する方法に関することが示される。
【0235】
一部の実施形態では、転帰の予測は、第1の遺伝子発現プロファイル及び第2の遺伝子発現プロファイルに基づいて決定することもできる。一部の実施形態では、転帰の予測は、第1の遺伝子発現プロファイル及び第3の遺伝子発現プロファイルに基づいて決定することもできる。一部の実施形態では、転帰の予測は、第2の遺伝子発現プロファイル及び第3の遺伝子発現プロファイルに基づいて決定することもできる。
【0236】
2020PF00762_Sequence Listing_ST25と表題が付けられた添付の配列表は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
【国際調査報告】