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特表2024-502499ガスクロマトグラフィシステムのためのフロースプリッタ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-19
(54)【発明の名称】ガスクロマトグラフィシステムのためのフロースプリッタ
(51)【国際特許分類】
   G01N 30/10 20060101AFI20240112BHJP
   G01N 30/72 20060101ALI20240112BHJP
   G01N 30/68 20060101ALI20240112BHJP
   G01N 27/62 20210101ALI20240112BHJP
   G01N 27/626 20210101ALI20240112BHJP
【FI】
G01N30/10
G01N30/72 F
G01N30/68 C
G01N27/62 C
G01N27/626 A
G01N27/62 F
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023546161
(86)(22)【出願日】2022-01-11
(85)【翻訳文提出日】2023-09-28
(86)【国際出願番号】 US2022011989
(87)【国際公開番号】W WO2022164627
(87)【国際公開日】2022-08-04
(31)【優先権主張番号】63/144,245
(32)【優先日】2021-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592071853
【氏名又は名称】レコ コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】LECO CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100147511
【弁理士】
【氏名又は名称】北来 亘
(72)【発明者】
【氏名】メリック,マーク ファーマー
(72)【発明者】
【氏名】ボートン,デイビッド,ジェシ
【テーマコード(参考)】
2G041
【Fターム(参考)】
2G041CA01
2G041CA04
2G041DA17
2G041EA06
2G041GA19
2G041GA25
2G041HA01
2G041HA05
2G041LA08
(57)【要約】
分析機器アセンブリは、ガスクロマトグラフと、第1の検出器と、第2の検出器と、空気圧制御モジュールとを含む。ガスクロマトグラフは、試料を受け取るように構成されたフロースプリッタを含む。第1の検出器は、フロースプリッタに結合されている。第2の検出器は、フロースプリッタに結合されている。空気圧制御モジュールは、フロースプリッタに結合され、キャリアガスをフロースプリッタに送達するように構成されている。フロースプリッタは、第1の分割比で、試料を分割し、試料の少なくとも第1の部分を第1の検出器に送達するとともに、試料の少なくとも第2の部分を第2の検出器に送達するように構成されている。空気圧制御モジュールは、(i)フロースプリッタへのキャリアガスの第3の部分を含む補給流、または(ii)フロースプリッタからの排気流のうちの一方を送達するように構成されており、空気圧制御モジュールは、フロースプリッタ内の圧力を調整し、それによって、第1の分割比を実質的に一定の値に維持するように構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析機器アセンブリにおいて、
ガスクロマトグラフであって、
試料とキャリアガスの第1の部分とを含む溶出液を受け取るように構成された一次カラム、および
前記一次カラムに結合され、前記溶出液を受け取るように構成されたフロースプリッタ
を含むガスクロマトグラフと、
第1の制限器を介して前記フロースプリッタに結合された質量分析計と、
第2の制限器を介して前記フロースプリッタに結合された水素炎イオン化検出器と、
前記フロースプリッタに結合された空気圧制御モジュールであって、
第1の分割比で、前記溶出液を分割し、前記溶出液の少なくとも第1の部分を前記第1の制限器を通して前記質量分析計に送達し、前記溶出液の少なくとも第2の部分を前記第2の制限器を通して前記水素炎イオン化検出器に送達するように構成された前記フロースプリッタに前記キャリアガスの第2の部分を送達し、
(i)前記フロースプリッタへの前記キャリアガスの第3の部分を含む補給流、または(ii)前記フロースプリッタからの排気流のうちの一方を送達するように構成されており、前記空気圧制御モジュールは、前記フロースプリッタ内の圧力を調整し、それによって、前記第1の分割比を実質的に一定の値に維持するように構成されている、空気圧制御モジュールと
を備える、分析機器アセンブリ。
【請求項2】
前記分割比は、前記フロースプリッタが流れを分割する点で、前記水素炎イオン化検出器への流れを前記質量分析計への流れで除算するものとして定義される、請求項1に記載の分析機器アセンブリ。
【請求項3】
前記フロースプリッタは、温度プログラムされたガスクロマトグラフィ分析の過程全体にわたって前記第1の分割比を前記実質的に一定の値に維持するように構成されている、請求項1に記載の分析機器アセンブリ。
【請求項4】
前記空気圧制御モジュールは、前記フロースプリッタからの排気流を制御し、それによって、前記フロースプリッタ内の前記圧力を背圧調整するように構成されている、請求項1に記載の分析機器アセンブリ。
【請求項5】
前記ガスクロマトグラフは、前記一次カラムに結合され、前記溶出液を受け取るように構成された二次カラムを含む、請求項1に記載の分析機器アセンブリ。
【請求項6】
前記ガスクロマトグラフは、前記一次カラムと前記二次カラムとの間のモジュレータを含む、請求項5に記載の分析機器アセンブリ。
【請求項7】
前記調整された圧力および前記キャリアガスの前記第2の部分は、前記水素炎イオン化検出器へ送達される前記溶出液の前記第2の部分の量を制御するように構成されている、請求項1に記載の分析機器アセンブリ。
【請求項8】
前記質量分析計へ送達される前記溶出液の前記第1の部分は、メイクアップガスを用いて希釈される、請求項7に記載の分析機器アセンブリ。
【請求項9】
前記調整された圧力および前記キャリアガスの前記第2の部分は、前記質量分析計へ送達される前記溶出液の前記第1の部分の量を制御するように構成されている、請求項1に記載の分析機器アセンブリ。
【請求項10】
前記溶出液は、前記一次カラムから前記フロースプリッタに一定の流量で送達されるように構成され、前記空気圧制御モジュールは、前記キャリアガスの前記第2の部分を前記フロースプリッタに一定の流量で送達し、前記溶出液を前記キャリアガスの前記第2の部分と混合するとともに、温度プログラムされたガスクロマトグラフィ分析の過程全体にわたって前記溶出液の前記第2の部分を前記水素炎イオン化検出器に一定の流量で送達するように構成されている、請求項1に記載の分析機器アセンブリ。
【請求項11】
分析機器アセンブリにおいて、
試料を受け取るように構成されたフロースプリッタを含むガスクロマトグラフと、
前記フロースプリッタに結合された第1の検出器と、
前記フロースプリッタに結合された第2の検出器と、
前記フロースプリッタに結合された空気圧制御モジュールであって、
第1の分割比で、前記試料を分割し、前記試料の少なくとも第1の部分を前記第1の検出器に送達するとともに、前記試料の少なくとも第2の部分を前記第2の検出器に送達するように構成された前記フロースプリッタにキャリアガスを送達し、
(i)前記フロースプリッタへの前記キャリアガスの第3の部分を含む補給流、または(ii)前記フロースプリッタからの排気流のうちの一方を送達するように構成されており、前記空気圧制御モジュールは、前記フロースプリッタ内の圧力を調整し、それによって、前記第1の分割比を実質的に一定の値に維持するように構成されている、空気圧制御モジュールと
を備える、分析機器アセンブリ。
【請求項12】
前記第1の検出器は、質量分析計である、請求項11に記載の分析機器アセンブリ。
【請求項13】
前記第2の検出器は、水素炎イオン化検出器である、請求項11に記載の分析機器アセンブリ。
【請求項14】
前記ガスクロマトグラフは、入口と、前記入口に結合された一次カラムとを含み、前記入口は、前記一次カラムに前記試料と前記キャリアガスの第1の部分とを提供するように構成されている、請求項11に記載の分析機器アセンブリ。
【請求項15】
前記分割比は、前記フロースプリッタが流れを分割する点で、前記第2の検出器への流れを前記第1の検出器への流れで除算するものとして定義される、請求項14に記載の分析機器アセンブリ。
【請求項16】
前記ガスクロマトグラフは、前記一次カラムに結合され、前記試料を受け取るように構成された二次カラムと、前記一次カラムと前記二次カラムとの間のモジュレータとを含む、請求項14に記載の分析機器アセンブリ。
【請求項17】
前記フロースプリッタは、温度プログラムされたガスクロマトグラフィ分析の過程全体にわたって前記第1の分割比を前記実質的に一定の値に維持するように構成されている、請求項11に記載の分析機器アセンブリ。
【請求項18】
前記空気圧制御モジュールは、前記フロースプリッタからの排気流を制御し、それによって、前記フロースプリッタ内の前記圧力を背圧調整するように構成されている、請求項11に記載の分析機器アセンブリ。
【請求項19】
前記調整された圧力および前記キャリアガスは、前記第2の検出器へ送達される前記試料の前記第2の部分の量を制御するように構成されている、請求項11に記載の分析機器アセンブリ。
【請求項20】
前記調整された圧力および前記キャリアガスは、前記第1の検出器へ送達される前記試料の前記第1の部分の量を制御するように構成されている、請求項11に記載の分析機器アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ガスクロマトグラフィシステムのためのフロースプリッタに関する。
【0002】
ガスクロマトグラフィ(GC)は、種々の用途においておよびいくつかの分野にわたって、化合物(例えば、揮発性有機化合物(VOC))を分離および分析するために従来から使用されている。伝統的なガスクロマトグラフィは、分析されるべき試料または分析物の混合物とキャリアガス(例えば、ヘリウムまたは水素)とをカラム内で組み合わせて、溶出液を形成することを含み得る。溶出液がカラムを通って移動するにつれて、様々な分析物が、例えば、流れの特性、分析物の質量等などの種々の要因に起因して、互いから分離され得る。カラムを出ると、分離された分析物の信号が、検出および記録され得る。
【0003】
試料の2つ以上の分析物が類似した特性を有するとき、そのような分析物は、十分な量の分離が生じないようにカラムを通って同様の速度で移動する傾向があり得るので、そのような分析物を分離することは困難であり得る。前述したものに対処し、分析の分解能を改善するために、単一のカラムを使用するのではなく、溶出液の少なくとも一部が第2のカラムに周期的に注入され、それによって、第2のカラムが第1のカラムとは異なる1つまたは複数の特性を有することができ、溶出液は、第2のカラムの端部にある検出器によって検出される技法が実施されている。これは、一般に多次元(または包括的二次元)ガスクロマトグラフィ(GC×GC)として知られている。
【0004】
GC-MS/FID機器およびGC×GC-MS/FID機器(デュアル質量分析(MS)および水素炎イオン化検出(FID)を検出器として備えたGCおよびGC×GC)は、ガスクロマトグラフィを使用して混合物を個々の成分に分離し、質量分析および水素炎イオン化検出を使用して各成分をそれぞれ同定および定量化する。
【0005】
ガスクロマトグラフィ(例えば、GC-MS/FIDおよびGC×GC-MS/FID)における現在のフロースプリッタは、一般に、シンプルなT字管(受動的スプリッタ)または補給流を有するフロースプリッタ(能動的スプリッタ)のいずれかである。いくつかの実装では、ディーンズスイッチに基づくフロースプリッタが実施され得る。条件および構成に応じて、これらのスプリッタは、必ずしもFIDに一定の分割流/分割比を提供しない場合があり、および/あるいは構成または動作するのが容易でない。
【0006】
異なる条件(カラム流量、分割比など)は、一般に、フロースプリッタから検出器への異なる制限器(移送ライン)を必要とする。そのような実装は、所望の条件を満たすように制限器が物理的に切り替えられることを必要とする。異なる条件が所望されるたびに制限器を変更しなければならないことは、時間がかかり、骨が折れ、非効率的であり得る。したがって、制限器を変更する必要なく様々な異なる条件を満足することができるGCシステムを実施することが望ましい場合がある。
【0007】
この章は、本開示に関連した背景情報を提供し、背景情報は、必ずしも先行技術とは限らない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様は、ガスクロマトグラフと、質量分析計と、水素炎イオン化検出器と、空気圧制御モジュールとを備える分析機器アセンブリを提供する。ガスクロマトグラフは、試料とキャリアガスの第1の部分とを含む溶出液を受け取るように構成された一次カラム、および一次カラムに結合され、溶出液を受け取るように構成されたフロースプリッタを含む。質量分析計は、第1の制限器を介してフロースプリッタに結合されている。水素炎イオン化検出器は、第2の制限器を介してフロースプリッタに結合されている。空気圧制御モジュールは、フロースプリッタに結合され、第1の分割比で、溶出液を分割し、溶出液の少なくとも第1の部分を第1の制限器を通して質量分析計に送達し、溶出液の少なくとも第2の部分を第2の制限器を通して水素炎イオン化検出器に送達するように構成されたフロースプリッタにキャリアガスの第2の部分を送達するように構成されている。空気圧制御モジュールは、(i)フロースプリッタへのキャリアガスの第3の部分を含む補給流、または(ii)フロースプリッタからの排気流のうちの一方を送達するように構成されており、空気圧制御モジュールは、フロースプリッタ内の圧力を調整し、それによって、第1の分割比を実質的に一定の値に維持するように構成されている。
【0009】
本開示の実装は、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含み得る。いくつかの実装では、分割比は、フロースプリッタが流れを分割する点で、水素炎イオン化検出器への流れを質量分析計への流れで除算するものとして定義される。
【0010】
フロースプリッタは、温度プログラムされたガスクロマトグラフィ分析の過程全体にわたって第1の分割比を実質的に一定に維持するように構成されてもよい。
【0011】
空気圧制御モジュールは、フロースプリッタからの排気流を制御し、それによって、フロースプリッタ内の圧力を背圧(逆方向の圧力)調整するように構成されてもよい。
【0012】
ガスクロマトグラフは、一次カラムに結合され、溶出液を受け取るように構成された二次カラムを含んでもよい。ガスクロマトグラフは、一次カラムと二次カラムとの間のモジュレータを含んでもよい。
【0013】
調整された圧力およびキャリアガスの第2の部分は、水素炎イオン化検出器へ送達される溶出液の第2の部分の量を制御するように構成されてもよい。質量分析計に送達される溶出液の第1の部分は、メイクアップガスを用いて希釈されてもよい。質量分析計に送達される溶出液の第1の部分は、溶出液の第1の部分の少なくとも一部が排気されるように分割されてもよい。
【0014】
調整された圧力およびキャリアガスの第2の部分は、質量分析計に送達される溶出液の第1の部分の量を制御するように構成されてもよい。
【0015】
溶出液は、一次カラムからフロースプリッタに一定の流量で送達されるように構成されてもよく、空気圧制御モジュールは、キャリアガスの第2の部分をフロースプリッタに一定の流量で送達し、溶出液をキャリアガスの第2の部分と混合するとともに、温度プログラムされたガスクロマトグラフィ分析の過程全体にわたって溶出液の第2の部分を水素炎イオン化検出器に一定の流量で送達するように構成されている。
【0016】
本開示の別の態様は、ガスクロマトグラフと、第1の検出器と、第2の検出器と、空気圧制御モジュールとを含む分析機器アセンブリを提供する。ガスクロマトグラフは、試料を受け取るように構成されたフロースプリッタを含む。第1の検出器は、フロースプリッタに結合されている。第2の検出器は、フロースプリッタに結合されている。空気圧制御モジュールは、フロースプリッタに結合され、キャリアガスをフロースプリッタに送達するように構成されている。フロースプリッタは、第1の分割比で、試料を分割し、試料の少なくとも第1の部分を第1の検出器に送達するとともに試料の少なくとも第2の部分を第2の検出器に送達するように構成されている。空気圧制御モジュールは、(i)フロースプリッタへのキャリアガスの第3の部分を含む補給流、または(ii)フロースプリッタからの排気流のうちの一方を送達するように構成されており、空気圧制御モジュールは、フロースプリッタ内の圧力を調整し、それによって、第1の分割比を実質的に一定の値に維持するように構成されている。
【0017】
本開示の実装は、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含み得る。いくつかの実装では、第1の検出器は、質量分析計である。第2の検出器は、水素炎イオン化検出器であり得る。
【0018】
ガスクロマトグラフは、入口と、入口に結合された一次カラムを含んでもよく、入口は、一次カラムに試料とキャリアガスの第1の部分とを提供するように構成されている。分割比は、フロースプリッタが流れを分割する点で、第2の検出器への流れを第1の検出器への流れで除算するものとして定義され得る。ガスクロマトグラフは、一次カラムに結合され、試料を受け取るように構成された二次カラムと、一次カラムと二次カラムとの間のモジュレータとを含んでもよい。
【0019】
フロースプリッタは、温度プログラムされたガスクロマトグラフィ分析の過程全体にわたって第1の分割比を実質的に一定の値に維持するように構成されてもよい。
【0020】
空気圧制御モジュールは、フロースプリッタからの排気流を制御し、それによって、フロースプリッタ内の圧力を背圧調整するように構成されてもよい。
【0021】
調整された圧力およびキャリアガスは、第2の検出器へ送達される試料の第2の部分の量を制御するように構成されてもよい。
【0022】
調整された圧力およびキャリアガスは、第1の検出器へ送達される試料の第1の部分の量を制御するように構成されてもよい。
【0023】
本開示の別の態様は、分割点における一定の分割比(代表的なサンプリング)を有するカラム溶出液を2つの検出器に分割するためのフロースプリッタを提供するが、温度プログラムされたGC分離全体にわたる流れ制御の理由で、溶出液ストリームの希釈および/または追加の分割がある。全体的に、スプリッタは、正確な定量を得るために代表的なサンプリングを実行するように構成されている。代表的なサンプリングは、温度プログラムされたGC分離中に分離される混合物中の分析物の相対的な量が、分割の前後で同じであり、すなわち、温度プログラムされたGC分離全体にわたる一定の分割比であることを意味する。第1の検出器の分割部分は代表的であり、一方、第2の検出器の分割部分は、検出器のタイプに応じて、代表的であってもなくてもよい。第2の検出器へ向かう分割部分は、分割点における代表的なものであるが、圧力および流量の制御のために、第2の検出器へ分割された溶出液は、可変的に希釈される、またはさらに可変的に分割される。この可変の希釈または分割は、第2の検出器の応答を非代表的にさせ得る。第2の検出器へのサンプリングが代表的であるかどうかは、検出器のタイプおよびその制御に依存する。概して、第2の検出器へのサンプリングの可変性は、存在するとき、試料量の大きな割合ではない。システムは、GC-MS/FIDおよびGC×GC-MS/FIDに利用されてもよく、FIDは、第1の検出器として定量的な精度を提供し、MSは、第2の検出器として少なくとも定性的な特性を提供する。システムの設計および制御は、容易な設置および動作を提供し、第1および第2の検出器に対しての単一のセットの制限器を用いて可変のカラムの流れおよび分割比を可能にするように構成されている。
【0024】
本開示の1つまたは複数の実装の詳細は、添付図面および以下の説明に記載されている。他の態様、特徴、および利点は、説明および図面から、ならびに特許請求の範囲から明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本開示の原理によるフロースプリッタを含む例示的なGC-MS/FIDシステムの概略図である。
【0026】
図2】本開示の原理による、図1のフロースプリッタを含む例示的なGC×GC-MS/FIDシステムの概略図である。
【0027】
図3A図1の第1の例示的なフロースプリッタの概略図である。
【0028】
図3B図1の第2の例示的なフロースプリッタの概略図である。
【0029】
図3C図1の第3の例示的なフロースプリッタの概略図である。
【0030】
図3D図1の第4の例示的なフロースプリッタの概略図である。
【0031】
図3E図1の第5の例示的なフロースプリッタの概略図である。
【0032】
図3F図1の第6の例示的なフロースプリッタの概略図である。
【0033】
図4図1のフロースプリッタの斜視図である。
【0034】
図5図4の線5-5に沿った、図1のフロースプリッタの断面図である。
【0035】
図6図5のフロースプリッタの第1のT字管の断面図である。
【0036】
図7図5のフロースプリッタの第2のT字管の断面図である。
【0037】
図8図5のフロースプリッタの第3のT字管の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
様々な図面における同様の参照符号は、同様の要素を示す。
【0039】
次に、添付の図面を参照して、例示的構成をより十分に説明する。例示的構成は、本開示が徹底的であり、本開示の範囲を当業者に十分に伝えるように提供される。特定の構成要素、デバイス、および方法の一例などの特定の詳細は、本開示の構成の徹底的な理解を与えるために記載されている。特定の詳細は使用される必要がなく、例示的構成は多くの異なる形態で具現化されてもよく、ならびに特定の詳細および例示的構成は本開示の範囲を限定すると解釈されるべきでないことは、当業者に明らかであろう。
【0040】
図1および図2を参照すると、分析機器アセンブリ10が、全体的に示されている。アセンブリ10は、ガスクロマトグラフィデバイスを含むことができ、ガスクロマトグラフィデバイスは、図1に示されるようなガスクロマトグラフ(GC)12a、または図2に示されるような包括的二次元(多次元)のガスクロマトグラフ(GC×GC)12bであり得る。明らかになるように、本開示の原理は、GC12a、GC×GC12b、および/または気液クロマトグラフィ(GLC)、気固クロマトグラフィ(GSC)などを含むがこれらに限定されない任意の他の適切なガスクロマトグラフィデバイスに適用できる。アセンブリ10は、第1の検出器、すなわち、ガスクロマトグラフィデバイス12a、12bに結合された質量分析計(MS)14、第2の検出器、すなわち、ガスクロマトグラフィデバイス12a、12bに結合された水素炎イオン化検出器(FID)16、および空気圧制御モジュール(PCM)18を含む。
【0041】
アセンブリ10は、MS14を第1の検出器として含むとともに、FID16を第2の検出器として含むものとして説明されているが、第1および第2の検出器は、熱伝導度検出器(TCD)、アルカリ炎検出器(AFD)、触媒燃焼検出器(CCD)、放電イオン化検出器(DID)、ポリアークリアクタ、炎光光度検出器(FPD)、原子放出検出器(AED)、電子捕獲検出器(ECD)、窒素リン検出器(NPD)、乾式電解伝導度検出器(DELCD)、真空紫外線(VUV)、ホール電解伝導度検出器(ElCD)、ヘリウムイオン化検出器(HID)、赤外線検出器(IRD)、光イオン化検出器(PID)、パルス放電イオン化検出器(PDD)、熱イオン化検出器(TID)などの任意の適切な検出器を含み得ることを理解されたい。前述の検出器のいずれも、任意の適切な組合せで配置されてもよいことをさらに理解されたい。
【0042】
引き続き図1および図2を参照すると、ガスクロマトグラフィデバイス12a、12bは、主オーブン20と、入口22と、一次カラム24と、フロースプリッタ26とを含む。二次カラム28およびモジュレータ30を含むGC×GC12bを除いて、図2に示されるように、および以下により詳細に説明されるように、構成要素およびそれらの機能を含むGC12aおよびGC×GC12bは、ほぼ同様または同じであり得る。したがって、以下の説明は、GC×GC12bのみに当てはまる二次カラム28およびモジュレータ30を除いて、GC12aとGC×GC12bの両方に当てはまることを理解されたい。
【0043】
主オーブン20は、少なくとも入口22、一次カラム24、フロースプリッタ26、二次カラム28、およびモジュレータ30を収容するまたは受け取ることができる。入口22は、試料34(すなわち、溶出物)、およびキャリアガスの第1の部分またはストリーム36a(すなわち、溶離剤)を含む溶出液32を作り出すように構成され得る。試料34は、注入デバイス、例えば、シリンジ、自動注入デバイス、または任意の他の適切な手段などを介して入口22に注入されてもよく、任意の適切な試料または分析物、例えば、石油、フレグランス、薬物関連の液体等などであってもよい。キャリアガスの第1の部分36aは、タンク内に収容されてもよく、任意の適切なガス、例えば、ヘリウムなどの不活性ガス、窒素などの非反応性ガス等などであってもよい。キャリアガスの第1の部分36aは、一定のストリーム内の入口22に供給されてもよく、試料34は、アリコートとして入口に供給されてもよい。入口22は、試料34とキャリアガスの第1の部分36aとを混合して溶出液32を形成することができ、入口22は、溶出液32を一次カラム24に注入することができる。
【0044】
一次カラム24および二次カラム28は、概して円形の構成でそれぞれ巻かれてもよく、または任意の適切な構成をそれぞれ有してもよい。GC12aについては、一次カラム24は、入口22からフロースプリッタ26まで延びることができる。GC×GC12bについては、一次カラム24は、入口22からモジュレータ30まで延びることができ、二次カラム28は、モジュレータ30からフロースプリッタ26まで延びることができる。いくつかの実装では、一次カラム24および二次カラム28は、互いに異なる特性を有し得る。一例では、一次カラム24は、二次カラム28よりも長くてもよく、より大きな直径を有してもよく、および/または異なる固定相を含んでもよい。別の例では、一次カラム24は、二次カラム28よりも小さい直径を有し得る。
【0045】
GC×GC12bについては、モジュレータ30は、一次カラム24から溶出液32を受け取り、モジュレーションピリオドと呼ばれる期間にわたって溶出液32に対してモジュレーションを実行するように構成され得る。モジュレーションプロセスは、溶出液32をサンプリングするステップと、溶出液32の全部または一部を二次カラム28に注入するステップとを少なくとも含み得る。いくつかの実装では、モジュレーションプロセスは、溶出物34を二次カラム28に注入する前に溶出物34を集める追加のステップを含む。モジュレーションピリオドは、モジュレータ30が前述のステップを含むモジュレーションプロセスを完了するのにかかる時間である。
【0046】
MS14は、移送ライン38を介してガスクロマトグラフィデバイス12a、12bに結合され得る。MS14およびFID16は、試料34を含む溶出液32を受け取り、例えば、保持時間、信号(または強度)などを含む試料34についての複数のデータを検出または収集するようにそれぞれ構成され得る。MS14およびFID16が本明細書中で説明されるが、電子捕獲検出器(ECD)、原子放出検出器(AED)、硫黄化学発光検出器(SCD)、窒素化学発光検出器(NCD)、窒素リン検出器(NPD)などを含むがこれらに限定されない任意の適切な検出器が実装されてもよいことを理解されたい。
【0047】
コンピューティングデバイスは、MS14およびFID16と通信することができ、MS14およびFID16から試料34についてのデータを受信し、分析し、および/または処理することができる。コンピューティングデバイスは、例えば、コンピュータ、ラップトップ、タブレット、スマートフォンなどの任意の適切なデバイスであり得る。コンピューティングデバイスは、試料34についてのデータを処理し、クロマトグラムを出力することができる。コンピューティングデバイスは、PCM18、モジュレータ30などを含むアセンブリ10の任意の適切な構成要素をプログラムまたは制御するために使用され得る。
【0048】
図1図3Eを参照すると、MS14は、移送ライン38へ延びるまたは移送ライン38を通って延びる質量分析計(MS)制限器40を介してフロースプリッタ26に結合され得る。FID16は、水素炎イオン化検出器(FID)制限器42を介してフロースプリッタ26に結合され得る。PCM18は、フロー制御毛細管44および補給/排気流毛細管46を介してフロースプリッタ26に結合され得る。MS制限器40は、溶出液の第1の部分32aを受け取り、溶出液の第1の部分32aをMS14に送達するように構成されている。FID制限器42は、溶出液の第2の部分32bを受け取り、溶出液の第2の部分32bをFID16に送達するように構成されている。フロー制御毛細管44は、キャリアガスの第2の部分36bをフロースプリッタ26に送達するように構成され、補給/排気流毛細管46は、キャリアガスの第3の部分(または補給流)36cをフロースプリッタ26またはフロースプリッタ26からの排気流37に送達するように構成されている。図に示されるように、試料34およびキャリアガスの部分36a~36cを含む溶出液32の流れは、概してFXによって表され、例えば、試料34の流れはF34によって表される。
【0049】
図3Aおよび図4図6を参照すると、フロースプリッタ26は、第1のT字管48と、第2のT字管50と、第3のT字管52と、第1のT字管48を第2のT字管50に接続し、第2のT字管50を第3のT字管52に接続する1つまたは複数の接続管54とを含むことができる。いくつかの実装において、接続管54は、溶出液32および溶離剤36の流れを容易にするための適切な穴を備えた第1のT字管48から第2のT字管50を通って第3のT字管52まで延びる単一の構成要素であり得る。3つのT字管48、50、52が図3Aに示されているが、T字管48、50、52は、任意の適切なやり方で組み合わせられまたは連結され得ることを理解されたい。例えば、図3Cに示されるように、第2のT字管50および第3のT字管52は、単一の継手に組み合わされてもよい。同様に、図3Dに示されるように、第2のT字管50および第3のT字管52は、概して十字形である単一の継手50に組み合わせられてもよい。さらに別の例として、図3Eに示されるように、T字管48、50、52は全て、単一の継手を形成するように互いに組み合わされてもよい。図に示されていないが、第1のT字管48および第2のT字管50は、単一の継手に同様に組み合わされてもよいことを理解されたい。図3A図3Eに示される構成は、デッドボリュームの減少という利点、したがって、より良好なクロマトグラフピーク形状という利点を有し得る。
【0050】
図3Bを参照すると、継手構成のそれぞれについて、第1の検出器14および第2の検出器16の位置は、検出器のタイプ(フラックス感受型、濃度感受型、またはその他)に応じて、検出器の非分割応答に対しての各検出器の定量的応答に関して同等でなくてもよい。第1の検出器14の位置において、希釈された溶出液またはカラム流F32は、第1の検出器制限器40に直接分割され、第1の検出器14への流れは、カラム流F32が一定であり、キャリアガスの第2の部分36bの流れF36bが一定であり、圧力がクロマトグラフィ分離の過程にわたって適切に制御(プログラム)されるときに一定である。この位置(第1の検出器14)では、ほとんどのGC検出器は、単一検出器の場合と同じように定量的に応答し、カラム流F32の分割比および希釈と一致する減少した応答を有する。
【0051】
第2の検出器16の位置において、第2の検出器16へ分割した流れも、分割点(すなわち、第1の検出器制限器40の先端)で一定であるが、順方向/前進方向の圧力の調整では、分割流は、第2の検出器制限器42に入る前に補給流F36cを用いて希釈され、逆方向の圧力(背圧)の調整では、第2の検出器16の分割流は、第2の検出器制限器42に入る前に再び分割され、第2の検出器16へ分割される流れの残りは、排出F37に行く。圧力調整のどちらの場合も、クロマトグラフィ分離全体を通して分割点において一定の分割比を維持する所望の流れのために適切な圧力を提供するように圧力が制御されるとき、第2の検出器16への流れは、温度プログラムされたGC分離の過程にわたって(条件および制限器に応じて約(+/-5%)20%まで)いくらか変化する。
【0052】
第1の検出器14とは異なり、単一の検出器としてその応答に対する第2の検出器16の応答は、GC検出器のタイプ、およびスプリッタが順方向の圧力の調整にあるのか背圧調整にあるのかに依存する。希釈(順方向の圧力の調整)またはさらなる分割(背圧調整)のいずれかのため、第2の検出器16の定量的応答は、非分割応答に対して一貫していない場合があり、すなわち、第2の検出器16の定量的応答は、非分割の場合に対してクロマトグラフィ分離の過程にわたって変化し得る。例えば、第2の検出器16がFID(フラックス感受型)である場合、背圧調整は、分割された試料の一部を可変的に排出し、したがって、FID16の応答は、非分割の場合と一致しない。しかしながら、順方向の圧力の調整の場合には、試料は希釈されるが、全部の分割試料がFID16に移送され、したがって、FID16の応答は、FID16の他の流れ(すなわち、燃料、補給、空気)が適切に制御される限り同じである。第2の検出器16が濃度に敏感なGC検出器である場合、背圧調整において、濃度は変化せず、応答は非分割の場合におけるのと本質的に同じであることが予期される。
【0053】
図3Aを参照すると、第1のT字管48は、第1の開口部48aと、この第1の開口部48aの反対側の第2の開口部48bと、第1の開口部48aと第2の開口部48bとの間の中間開口部48cとを含むことができる。同様に、第2のT字管50は、第1の開口部50aと、この第1の開口部50aの反対側の第2の開口部50bと、第1の開口部50aと第2の開口部50bとの間の中間開口部50cとを含むことができる。同様に、第3のT字管52は、第1の開口部52aと、この第1の開口部52aの反対側の第2の開口部52bと、第1の開口部52aと第2の開口部52bとの間の中間開口部52cとを含むことができる。代替として、T字管48、50、52は、任意の適切な構成を有してもよい。例えば、図3Dに示されるように、継手50は、第3の開口部50cおよび第4の開口部50dを含んでもよい。接続管54の一方は、第1のT字管48の第2の開口部48bから第2のT字管50の第1の開口部50aまで延びることができ、接続管54の他方は、第2のT字管50の第2の開口部50bから第3のT字管52の第1の開口部52aまで延びることができる。
【0054】
図6を参照すると、第1のT字管48は、第1の開口部48aにあるまたはその近くの第1の圧縮継手49aと、第2の開口部48bにあるまたはその近くの第2の圧縮継手49bと、第3の開口部48cにあるまたはその近くの第3の圧縮継手49cとを含むことができる。図7を参照すると、第2のT字管50は、第1の開口部50aにあるまたはその近くの第1の圧縮継手51aと、第2の開口部50bにあるまたはその近くの第2の圧縮継手51bと、第3の開口部50cにあるまたはその近くの第3の圧縮継手51cとを含むことができる。図8を参照すると、第3のT字管52は、第1の開口部52aにあるまたはその近くの第1の圧縮継手53aと、第2の開口部52bにあるまたはその近くの第2の圧縮継手53bと、第3の開口部52cにあるまたはその近くの第3の圧縮継手53cとを含むことができる。
【0055】
図3Aを参照すると、第1のT字管48の第1の開口部48aは、GC12aのための一次カラム24(またはGC×GC12bのための二次カラム28)を受け入れることができ、カラム24、28は、第1の開口部48aおよび第2の開口部48bを通って延び、接続管54における第2の開口部48bを越えた先端56で終端することができる。第1のT字管48の中間開口部48cは、PCM18のフロー制御毛細管44を受け入れることができる。第1の圧縮継手49aは、キャリアガスの第2の部分36bが図6に示されるように左から右にだけ流れることができるように第1の開口部48aを十分に封止させることができる。具体的には、キャリアガスの第2の部分36bは、カラム(内側)と接続管54(外側)との間の環状部内でカラムの外側の周りを流れることができる。
【0056】
FID制限器42は、第3のT字管52の第2の開口部52bを通り、第3のT字管52の第1の開口部52aを通り、第2のT字管50の第2の開口部50bを通り、第2のT字管50の第1の開口部50aを通って延びることができ、カラム24、28から下流の接続管54における先端58で終端することができる。第2のT字管50の中間開口部50cは、MS制限器40を受け入れてもよく、第3のT字管52の中間開口部52cは、PCM18の補給/排気流毛細管46を受け入れてもよい。
【0057】
別の例として、図3Bに示されるように、MS制限器40は、第3のT字管52の第2の開口部52bを通って、第3のT字管52の第1の開口部52aを通って、第2のT字管50の第2の開口部50bを通って、第2のT字管50の第1の開口部50aを通って延びることができ、カラム24、28から下流の接続管54における先端60で終端することができ、第2のT字管50の中間開口部50cは、FID制限器42を受け入れることができる。
【0058】
図3Aを参照すると、PCM18のフロー制御毛細管44は、PCM18によって特定されるようなキャリアガスの第2の部分36bの一定の流れF36bを送達する。キャリアガスの第2の部分36bの流れF36bは、第1のT字管48を通過し、カラム24、28の周りの環状部を通過する。カラム24、28からの溶出液またはカラム流F32とキャリアガスの第2の部分36bの流れF36bとは、FID制限器42の先端58に到達する前に、接続管54内で混合する。第1のT字管48と第2のT字管50との間の接続管54の長さは、流れF32、F36bが混合するのに十分長いものであり得る。
【0059】
引き続き図3Aを参照すると、溶出液流F32の分割点は、接続管54における第1のT字管48と第2のT字管50との間のFID制限器42の先端58にあるまたはその近くにある。溶出液32は分割点で分割され、溶出液の第2の部分32bはFID制限器42およびFID16に送達され、溶出液32の残り、すなわち溶出液の第1の部分32aは、FID制限器42の周りを流れ、中間T字管50を通り、そこでそれはキャリアガス36cの補給流F36cと混合されて溶出液の第3の部分32cを形成する。背圧調整の場合、溶出液32aは、排気流F37に向かう部分と、溶出液の第3の部分32cとしてMS制限器40に至る部分とに分割される。溶出液の第3の部分32cの流れF32cは、MS制限器40およびMS14に送られる。第2の圧縮継手53bは、キャリアガスの第3の部分36cが、図8に示されるように、右から左にだけ流れることができるように第2の開口部52bを十分に封止させることができる。具体的には、キャリアガスの第3の部分36cは、カラム(内側)と接続管54(外側)との間の環状部内でカラムの外側の周りを流れることができる。試料34はFID制限器42の外側を通り過ぎるので、FID制限器42は、吸着を最小限にするために内側と外側との両方に対して不活性材料を用いてコーティングされた金属毛細管で形成され得る。
【0060】
PCM18の補給/排気流毛細管46は、フロースプリッタ26に流入する補給流F36cを用いて接続管54内の圧力を調整することができる。所望の圧力は、PCM18上でプログラムされてもよい。この圧力は、FID制限器42への入口圧力であってもよく、入口圧力、出口圧力(大気圧または任意の他の適切な圧力)、FID制限器42の寸法、およびFID制限器42の温度ゾーンに基づいて、FID制限器42内の流れを定義することができる。フロースプリッタ26内のこの制御された圧力は、カラム24、28の出口圧力を定めることもでき、これは、カラム24、28の入口圧力が、カラム24、28からの一定の溶出液流F32のためにプログラムされることを可能にし得る。カラム24、28からの一定の溶出液流F32がフロースプリッタ26に向かい、キャリアガスの第2の部分36bの一定の流れF36bが溶出液流F32と混合する場合、FID制限器42の先端58への試料34の一定の流れF34が提供され得る。
【0061】
いくつかの実装では、PCM18は、フロースプリッタ26から流出する図3Aの流れF37の矢印によって示されるように、フロースプリッタ26から流出する排気流F37を用いて接続管54内の圧力を調整することができる。そのような実装では、圧力調整は、順方向の圧力の調整の代わりに背圧であり、溶出液の第1の部分32aの流れF32aは、溶出液の第3の部分32cの流れF32cへの部分を分割し、他の分割部分は、排気流F37である。
【0062】
試料34の一定の流れF34は、FID制限器42の中への試料の第1の部分34aの一定の流れF34aと、FID制限器42の外側の周りの試料の第2の部分34bの一定の流れF34bとに分割することができる。このプロセスでは、カラム24、28からの試料の流れF34は、キャリアガスの第2の部分36bの流れF36bによって希釈されるが、いくつかの実装では、FID16は、フラックスベースの検出器であり、したがって、FID16の応答は、希釈されていない試料の場合と同じであり得る。補給流F36cは、キャリアガスの第2の部分36bの流れF36bに基づいてそれに応じて調節され得る。いくつかの構成では、分割点(FID制限器42の先端58)における溶出液の第1の部分32aの流れF32aも一定であり得る。
【0063】
補給流F36cまたは排気流F37およびPCM圧力調整を制御することによって、PCM18は、MS14およびFID16のための同じセットの制限器(すなわち、MS制限器40およびFID制限器42)を用いてカラム流量および分割比を変化させることが可能であり得る。これは、種々の条件について制限器を変更する必要性を減少させるまたはなくすことによってフロースプリッタ26の使用を簡略化する。さらに、フロースプリッタ26内の圧力を制御することによって、PCM18は、温度プログラムされたGC分析の過程全体にわたって一定の分割比を維持するために制限器への入口圧力およびカラムの出口圧力を適切に制御することができる。いくつかの実装では、分割比は、フロースプリッタ26が流れを分割する点において、FID16への流れをMS14への流れで除算したものとして定義され得る。調整された圧力および補給流F36cまたは排気流F37は、同じMS制限器40およびFID制限器42ならびに適度に低い調整された圧力を用いて、様々なカラム流量および温度における様々な分割比を提供するように構成されている。
【0064】
一実装では、溶出液流F32は、0.5~20mL/分で流れることができ、キャリアガスの第2の部分36bの流れF36bは、1から20mL/分で流れることができ、キャリアガス36cの補給流F36cは、1から5psig(約6.895から34.475kPa(なお、psigはゲージ圧力、以下同様))の順方向の圧力で0.1から0.3mL/分で流れることができ、溶出液の第3の部分32cの流れF32cは、1~1.5mL/分で流れることができる。
【0065】
図3Bを参照すると、フロースプリッタ26の動作は、図3Aに示されたものと実質的に同様に動作することができるが、補給流F36cからの調整された圧力は、MS制限器40内の溶出液の第1の部分32aの流れF32aを制御することによって溶出液32の分割を制御することができ、溶出液32の残り、すなわち、溶出液の第2の部分32bの流れF32bは、キャリアガス36cの補給流F36cと混合して溶出液の第4の部分32dを形成することができる。溶出液の第4の部分32dは、FID16に送られ得る。この構成では、補給流F36cは、温度プログラムされた分離の過程中で変化し得、これは、溶出液の第2の部分32bの流れF32bに加えられるとき、溶出液の第2の部分32bとFID16への補給流F36cとの複合流F32bを変化させることができる。いくつかの実装では、FID16の一部でありスプリッタ26ではない補給流(ヘリウムキャリアガスのとき)または燃料ガス(水素キャリアガスのとき)は、FID16への全体的な一定の流れ(FID補給流または燃料流と、それに加えてスプリッタからFIDへの流れ)を維持するようにプログラムされ得る。
【0066】
図3Fを参照すると、この構成は、スプリッタとして説明されるディーンズスイッチ構成と同様であり得る。主な差異は、流量および圧力の制御である。分割は、流入する一定の流れおよび圧力調整(順方向の圧力または背圧)を用いて制御される。結果として得られるスプリッタは、図3A図3Eの構成と同じ特性のいくつかを有するが、性能はいくつかの点で異なる。分割される検出器のタイプに応じて、1つの構成が他の構成よりも好まれる場合がある。図3Fの構成は、また、継手を用いて構成されることも可能であり、カラムおよび検出器制限器が、継手を通して挿入される。そのような接続は、デッドボリュームの減少という利点、したがって、より良好なクロマトグラフピーク形状という利点を有し得る。デッドボリュームの減少は、GCxGCの狭いクロマトグラフピークに特に有益であり得る。
【0067】
上述の構成では、キャリアガスの第2の部分36bの流入する流れF36bは、第1の検出器制限器40を可変の制限器にする。キャリアガスの第2の部分36bの流れF36bおよびPCM圧力調整を制御することによって、カラム流F32および分割比は、第1および第2の検出器のための同じセットの制限器を用いて変更され得る。これは、種々の条件に対して制限器を変更する必要性を減少させるまたはなくすことによって、スプリッタの使用を簡略化する。さらに、スプリッタ内の圧力を制御することによって、制限器への入口圧力およびカラムの出口圧力は、一定の分割比を維持するように適切に制御される。
【0068】
MSとFIDとの間の感度の大きな差のために、カラムからの分割流は非常に小さくなり得、そのような小さな流れの制御を困難にさせる。本発明は、MSへの分割流がより大きく、より容易に制御されるように試料を希釈するが、FIDはフラックス感受型検出器であるため、試料の希釈はFIDの感度に影響を及ぼさない。
【0069】
前述したものに加えて、本明細書中に記載されるシステムおよび方法は、以下の利点を提供し得る:(i)クロマトグラフィ分離全体を通してFIDへの一定の分割比、(ii)(MSおよびFIDに対する)ただ一対の制限器が、ある範囲の動作条件(カラム流量、分割比)に十分であり、制限器の計算および変更が、一部の他のフローモジュレータのように必要とされず、(iii)必要とされるオペレータ入力は、基本的なクロマトグラフィパラメータ(カラム流量、分割比、温度条件、カラム寸法)のみであり、(iv)フロースプリッタにおける動作圧力は、フロースプリッタの上流で最速の可能なクロマトグラフィを可能にするカラム流および分割比の範囲にわたって大気圧近く(約1~5psig(約6.895から34.475kPa))であり、(v)カラム流およびFID分割流は、一定のフローモードで動作し、(vi)MSおよびFIDピーク保持時間は、単純な一定のオフセットおよび比例係数によって調整され得、ならびに(vii)カラムの先端、および制限器、ならびに流れは、デッドボリュームが最小になるように構成される。
【0070】
本明細書中で使用される専門語は、特定の例示的な構成を説明するためのものに過ぎず、限定であることは意図されていない。本明細書中で使用されるとき、単数形の冠詞「a」、「an」、および「the」は、文脈上別段明確に示さない限り、複数形も含むことが意図され得る。用語「備える(comprises)」、「備える(comprising)」、「含む(including)」、および「有する(having)」は、包括的であり、したがって、特徴、ステップ、動作、要素、および/または構成要素の存在を特定するが、1つまたは複数の他の特徴、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそれらの群の存在または追加を除外しない。本明細書中で説明される方法のステップ、プロセス、および動作は、実行の順番として具体的に特定されない限り、それらの実行を説明または図示された特定の順番で必ず必要とすると解釈されるべきではない。追加または代替のステップが用いられてもよい。
【0071】
要素または層が、別の要素または層「の上にある」、「に係合される」、「に接続される」、「に取り付けられる」、または「に結合される」と言及されるとき、それは、他の要素または層の上に直接あってもよく、他の要素または層に直接係合されてもよく、直接接続されてよく、直接取り付けられてもよく、または直接結合されてもよく、あるいは介在要素または層が存在してもよい。対照的に、要素が、別の要素または層「の上に直接ある」、「に直接係合される」、「に直接接続される」、「に直接取り付けられる」、または「に直接結合される」と言及されるとき、介在要素または層が存在しなくてもよい。要素間の関係を説明するために使用される他の単語(例えば、「の間に」と「の直接間に」、「隣接する」と「直接隣接する」など)は、同じように解釈されるべきである。本明細書中で使用されるとき、用語「および/または」は、関連した列挙項目のうちの1つまたは複数のいずれかおよび全部の組合せを含む。
【0072】
第1、第2、第3などの用語は、様々な要素、構成要素、領域、層、および/またはセクションを説明するために本明細書中で使用され得る。これらの要素、構成要素、領域、層、および/またはセクションは、これらの用語によって限定されるべきではない。これらの用語は、ある要素、構成要素、領域、層、またはセクションを別の領域、層またはセクションから区別するため使用され得るものに過ぎない。「第1の」、「第2の」、および他の数に関する用語などの用語は、文脈によって明確に示されない限り、順序または順番を示唆しない。したがって、以下に説明される第1の要素、構成要素、領域、層、またはセクションは、例示的構成の教示から逸脱することなく、第2の要素、構成要素、領域、層、またはセクションと呼ばれてもよい。
【0073】
いくつかの実装について説明してきた。それにもかかわらず、様々な修正が、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなくなされてもよいことが理解されよう。したがって、他の実装は、添付の特許請求の範囲内である。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】