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特表2024-502550金系触媒によるメタクロレインの液相酸化
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-22
(54)【発明の名称】金系触媒によるメタクロレインの液相酸化
(51)【国際特許分類】
   C07C 51/25 20060101AFI20240115BHJP
   B01J 23/66 20060101ALI20240115BHJP
   C07C 57/055 20060101ALI20240115BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20240115BHJP
【FI】
C07C51/25
B01J23/66 Z
C07C57/055 B
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023536191
(86)(22)【出願日】2021-12-02
(85)【翻訳文提出日】2023-06-14
(86)【国際出願番号】 US2021061513
(87)【国際公開番号】W WO2022132443
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】63/127,643
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(71)【出願人】
【識別番号】590002035
【氏名又は名称】ローム アンド ハース カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】ハウザー、ジン エル.
(72)【発明者】
【氏名】クラプチェトフ、ドミトリー エイ.
【テーマコード(参考)】
4G169
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4G169AA03
4G169BA01A
4G169BA01B
4G169BA02B
4G169BA04A
4G169BA04B
4G169BA05A
4G169BA05B
4G169BA06A
4G169BB02A
4G169BB02B
4G169BB04A
4G169BB04B
4G169BB06A
4G169BB06B
4G169BC33A
4G169BC33B
4G169BC35A
4G169BC35B
4G169BC40A
4G169BC42A
4G169BC43A
4G169BC43B
4G169BC52A
4G169BC54A
4G169BC55A
4G169BC56A
4G169CB17
4G169DA06
4G169EB18X
4G169EC22X
4G169EC29
4H006AA02
4H006AC46
4H006BA05
4H006BA55
4H006BA85
4H006BB15
4H006BB16
4H006BB20
4H006BB47
4H006BC14
4H006BC33
4H006BE30
4H039CA65
4H039CC30
(57)【要約】
メタクロレインからメタクリル酸を調製するための方法。この方法は、メタクロレイン及び水を含む液体混合物を、酸素の存在下で、担体及び金を含む不均一触媒と接触させること、を含み、担体は、γ-、δ-、若しくはθ-アルミナ、マグネシア、チタニア、ジルコニア、ハフニア、バナジア、酸化ニオブ、酸化タンタル、セリア、イットリア、酸化ランタン、酸化亜鉛、又はこれらの組み合わせから選択される酸化物を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メタクロレインからメタクリル酸を調製するための方法であって、
メタクロレイン及び水を含む液体混合物を、酸素の存在下で、担体及び金を含む不均一触媒と接触させること、を含み、前記担体が、γ-、δ-、若しくはθ-アルミナ、マグネシア、チタニア、ジルコニア、ハフニア、バナジア、酸化ニオブ、酸化タンタル、セリア、イットリア、酸化ランタン、酸化亜鉛、又はこれらの組み合わせから選択される酸化物を含む、方法。
【請求項2】
前記水が、前記液体混合物の総重量に対して、1~95重量%の範囲の量で、前記液体混合物中に存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記水が、前記液体混合物の総重量に対して、20~90重量%の範囲の量で前記液体混合物中に存在する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記液体混合物が、有機溶媒を更に含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記有機溶媒が、25℃及び1atmで8.2ppm超の酸素溶解度を有する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記有機溶媒が、N,N-ジメチルホルムアミド、アセトン、及びジグリムからなる群から選択される、請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
前記有機溶媒が、ジグリムを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記有機溶媒が、水と混和性である、請求項4又は5に記載の方法。
【請求項9】
前記触媒が、200ミクロン~10mmの平均直径を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
貴金属の少なくとも90重量%が、触媒体積の外側50%にある、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
貴金属の少なくとも95重量%が、触媒体積の外側30%にある、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記担体が、γ-、δ-、又はθ-アルミナ、チタニア、セリア、及び酸化亜鉛からなる群から選択される、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記担体が、チタニアを含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記担体が、ドープされていないシリカ又は炭化ケイ素を含まない、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、金系触媒を使用するメタクロレインの液相酸化からメタクリル酸を調製するための方法に関する。
【0002】
アクリル酸、メタクリル酸、及びそれらのエステルは、様々なポリマー、コーティング、接着剤、エラストマー、及び他の製品の製造に広く使用されている重要な化学物質である。
【0003】
従来、メタクリル酸は、アセトンシアノヒドリンから調製されてきた。代替的に、メタクリル酸は、イソブチレン又はtert-ブタノールをメタクロレインへ気相酸化して、続いてそれをメタクリル酸に変換することによって作製することができる。
【0004】
液相酸化は、より穏やかな条件及びより小さい設備を必要とすることが予想されるため、気相酸化に対する魅力的な代替法である。
【0005】
液相酸化によってメタクリル酸を調製するためのいくつかの試みがなされてきた。例えば、米国特許出願公開第2015/0321178号は、ケイ素、アルミニウム、並びに鉄、コバルト、ニッケル、及び亜鉛から選択される少なくとも1つの元素を含むシリカ系担体上の貴金属を使用してカルボン酸を生成するためのプロセスを開示している。
【0006】
メタクロレインを液相酸化してメタクリル酸を生成するための改善されたプロセスが必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、メタクロレインからメタクリル酸を調製するための方法を対象とする。この方法は、メタクロレイン及び水を含む液体混合物を、酸素の存在下で、担体及び金を含む不均一触媒と接触させること、を含み、担体は、γ-、δ-、若しくはθ-アルミナ、マグネシア、チタニア、ジルコニア、ハフニア、バナジア、酸化ニオブ、酸化タンタル、セリア、イットリア、酸化ランタン、酸化亜鉛、又はこれらの組み合わせから選択される酸化物を含む。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、メタクロレインを液相酸化してメタクリル酸を形成することを対象とする。
【0009】
本発明の方法では、メタクロレイン及び水を含む液体混合物を、酸素の存在下で不均一触媒と接触させる。
【0010】
不均一触媒は、担体上に金を含む。担体は、γ-、δ-、若しくはθ-アルミナ、マグネシア、チタニア、ジルコニア、ハフニア、バナジア、酸化ニオブ、酸化タンタル、セリア、イットリア、酸化ランタン、酸化亜鉛、又はこれらの組み合わせから選択される酸化物の粒子を含む。好ましくは、担体は、γ-、δ-、若しくはθ-アルミナ、チタニア、セリア、酸化亜鉛、又はこれらの組み合わせを含む。より好ましくは、担体は、チタニアを含む。
【0011】
好ましくは、担体は、ドープされていないシリカ又は炭化ケイ素を含まない。例えば、担体は、セリアでドープされたシリカを含んでもよいが、ドープされていないシリカを含まなくてもよい。
【0012】
好ましくは、貴金属を含む触媒の部分において、担体は、10m/g超、好ましくは30m/g超、好ましくは50m/g超、好ましくは100m/g超、好ましくは120m/g超の表面積を有する。貴金属をほとんど含まないか、又は全く含まない触媒の部分において、担体は、50m/g未満、好ましくは20m/g未満の表面積を有し得る。
【0013】
好ましくは、貴金属の少なくとも90重量%は、触媒体積(すなわち、平均触媒粒子の体積)の外側50%、好ましくは外側40%、好ましくは外側35%、好ましくは外側30%、好ましくは外側25%にある。好ましくは、任意の粒子形状の外側体積は、外側表面に垂直な線に沿って測定された、その内側表面からその外側表面(粒子の表面)まで一定の距離を有する体積に対して計算される。
【0014】
例えば、球形粒子の場合、体積の外側x%は球形シェルであり、その外側表面は粒子の表面であり、その体積は球全体の体積のx%である。好ましくは、貴金属の少なくとも95重量%、好ましくは少なくとも97重量%、好ましくは少なくとも99重量%は、触媒の外側体積にある。好ましくは、貴金属の少なくとも90重量%(好ましくは少なくとも95重量%、好ましくは少なくとも97重量%、好ましくは少なくとも99重量%)は、触媒直径の15%以下、好ましくは10%以下、好ましくは8%以下、好ましくは6%以下の表面からの距離内にある。表面からの距離は、表面に垂直な線に沿って測定される。「触媒中心」は、触媒粒子の重心、すなわち、全ての座標方向における全ての点の平均位置である。直径は、触媒中心を通過する任意の直線寸法であり、平均直径は、全ての可能な直径の算術平均である。
【0015】
アスペクト比は、最長の直径の最短の直径に対する比率である。好ましくは、触媒粒子のアスペクト比は、10:1以下、好ましくは5:1以下、好ましくは3:1以下、好ましくは2:1以下、好ましくは1.5:1以下、好ましくは1.1:1以下である。触媒粒子の好ましい形状としては、球、円柱、直方体、輪、多葉形状(例えば、クローバー断面)、複数の穴及び「ワゴンホイール」を有する形状、好ましくは球が挙げられる。不規則な形状も使用され得る。
【0016】
好ましくは、触媒粒子の平均直径は、少なくとも200ミクロン、好ましくは少なくとも400ミクロン、より好ましくは少なくとも600ミクロン、及び更に好ましくは少なくとも800ミクロンである。触媒粒子の平均粒径は、好ましくは30mm以下、より好ましくは20mm以下、及び更に好ましくは10mm以下である。担体の平均直径及び最終触媒粒子の平均直径は、有意に異ならない。
【0017】
好ましくは、金及び担体の百分率としての金の量は、0.2~5重量%、好ましくは少なくとも0.5重量%、好ましくは少なくとも0.8重量%、好ましくは少なくとも1重量%、好ましくは少なくとも1.2重量%、好ましくは4重量%以下、好ましくは3重量%以下、好ましくは2.5重量%以下である。
【0018】
好ましくは、触媒は、担体の存在下で金塩の水溶液から金を沈殿させることによって生成される。本発明の一実施形態では、触媒は、初期湿潤によって生成され、ここで、好適な金前駆体塩の水溶液が多孔性無機酸化物に添加され、その結果、孔が溶液で満たされ、次いで、乾燥によって水が除去される。好ましい塩としては、テトラクロロ金酸、金チオ硫酸ナトリウム、金チオリンゴ酸ナトリウム、及び水酸化金が挙げられる。次いで、得られた材料は、金塩を金属又は金属酸化物に分解するための、焼成、還元、又は当業者に既知の他の処理によって完成触媒に変換される。好ましくは、少なくとも1つのヒドロキシル又はカルボン酸置換基を含むC~C18チオールが、溶液中に存在する。好ましくは、少なくとも1つのヒドロキシル又はカルボン酸置換基を含むC~C18チオールは、2~12個、好ましくは2~8個、好ましくは3~6個の炭素原子を有する。好ましくは、チオール化合物は、合計で4個以下、好ましくは3個以下、好ましくは2個以下のヒドロキシル及びカルボン酸基を含む。好ましくは、チオール化合物は、2個以下、好ましくは1個以下のチオール基を有する。チオール化合物がカルボン酸置換基を含む場合、それらは、酸形態、共役塩基形態、又はこれらの混合物で存在し得る。チオール成分はまた、そのチオール(酸)形態又はその共役塩基(チオレート)形態のいずれかで存在し得る。特に好ましいチオール化合物としては、チオリンゴ酸、3-メルカプトプロピオン酸、チオグリコール酸、2-メルカプトエタノール、及び1-チオグリセロールが挙げられ、それらの共役塩基も含まれる。
【0019】
本発明の一実施形態では、触媒は、析出沈殿によって生成され、ここで、多孔質無機酸化物が、好適な金前駆体塩を含有する水溶液に浸漬され、次いで、その塩は、溶液のpHを調整することによって無機酸化物の表面と相互作用される。次いで、得られた処理済み固体を(例えば、濾過によって)回収し、次いで、金塩を金属又は金属酸化物に分解するための、焼成、還元、又は当業者に既知の他の処理によって完成触媒に変換される。
【0020】
触媒粒子は、好ましくは、触媒床に含有され、典型的には、固体壁によって、及びスクリーン又は触媒担体グリッドによって適所に保持される。いくつかの構成では、スクリーン又はグリッドは、触媒床の両端にあり、固体壁は、側面にあるが、いくつかの構成では、触媒床は、完全にスクリーンで囲まれ得る。触媒床の好ましい形状としては、円柱、直方体、及び円柱シェル、好ましくは円柱が挙げられる。
【0021】
液体混合物は、メタクロレイン及び水を含む。水は、液体混合物の総重量に対して、1~95重量%の範囲の量で、液体混合物中に存在し得る。好ましくは、水は、液体混合物の総重量に対して、少なくとも5重量%、より好ましくは少なくとも10重量%、更により好ましくは少なくとも15重量%、及び更により好ましくは少なくとも20重量%の量で存在する。好ましくは、水は、液体混合物の総重量に対して、90重量%未満の量で存在する。
【0022】
メタクロレインは、液体混合物の総重量に対して、2~60重量%の範囲の量で、液体混合物中に存在し得る。好ましくは、メタクロレインは、液体混合物の総重量に対して、少なくとも3重量%、より好ましくは少なくとも5重量%、及び更により好ましくは少なくとも10重量%の量で存在する。好ましくは、メタクロレインは、液体混合物の総重量に対して、50重量%未満、例えば、40重量%未満又は30重量%未満などの量で存在する。
【0023】
液体混合物は、有機溶媒を更に含んでもよい。好ましくは、有機溶媒は、水の酸素溶解度(25℃及び1atm(101kPa)で8.2ppm)超の酸素溶解度を有する。例えば、有機溶媒は、25℃及び1atm(101kPa)で100ppm超の酸素溶解度を有し得る。より好ましくは、有機溶媒は、25℃及び1atm(101kPa)で150ppm超、及び更により好ましくは25℃及び1atm(101kPa)で300ppm超の酸素溶解度を有する。理論に束縛されるものではないが、水の酸素溶解度よりも高い酸素溶解度を有する有機溶媒の添加は、反応のために酸素を供給する液体混合物の能力を増加させるのに役立ち得ると考えられる。
【0024】
液体混合物中に存在し得る有機溶媒の例としては、アセトニトリル、トルエン、o-キシレン、ヘキサン、オクタン、N,N-ジメチルホルムアミド、Fluorinert(商標)FC-770、ジクロロエタン、アセトン、及びジグリム(ビス(2-メトキシエチル)エーテル)が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、有機溶媒は、アセトン、N,N-ジメチルホルムアミド、又はジグリムを含む。更により好ましくは、有機溶媒は、ジグリムを含む。
【0025】
有機溶媒は、水と混和性であり得る。本明細書で定義されるように、有機溶媒は、混合物が均一溶液を形成する場合、水と混和性である。
【0026】
本発明の方法では、液体混合物を、酸素の存在下で不均一触媒と接触させる。酸素は、不活性ガスを伴って、又は不活性を伴わずに、空気又は酸素を使用して反応に供給され得る。
【0027】
反応は、例えば、40~120℃の範囲の温度で行ってもよい。好ましくは、温度は、少なくとも50℃、及びより好ましくは少なくとも60℃である。温度は、好ましくは110℃未満、及びより好ましくは100℃未満である。
【0028】
反応は、0.5~100バールの範囲、好ましくは80バール以下、及び好ましくは20バール以下の圧力で行ってもよい。
【実施例
【0029】
全ての実施例は、300mlのParr反応器で実行した。全ての反応は、80℃及び100psig(790kPa)で実行した。ガス供給物は、8%のO及び92%のNからなっていた。ガス供給物中の制限されたO濃度は、反応物及び溶媒の可燃性ゾーンの回避を確実にするためであった。200~500ppmのヒドロキノン(hydroquinone、HQ)を各実行において重合阻害剤として使用した。一連の溶媒を反応に使用した。3gの異なる担体を有する金系触媒を、酸化反応を触媒するために使用した。反応時間は、2回の実行を2時間続けたことを除いて、ほとんどの実行について1時間20分であった。最終反応混合物をガスクロマトグラフィー(gas chromatography、GC)で分析した。
【0030】
水濃度の効果
様々なレベルのアセトン溶媒によるメタクロレイン(methacrolein、MA)のメタクリル酸(methacrylic acid、MAA)への液相酸化に対する水の影響を示す実験を表1に列記する。表1に示すように、水の存在は反応に大きく影響したが、アセトンの存在は反応にそれほど影響しなかった。水の濃度が0から90%に増加するにつれて、MAA選択性及び空時収量の両方が増加した。MAA選択性は、水レベルが25%以上であるときに、最終的に90%を超え、空時収量は、最大を呈するようであった。
【0031】
【表1】
【0032】
塩の効果
表2は、同様の実験条件(すなわち、温度、圧力、反応時間、使用される触媒の量など)における様々な溶媒を用いた実験を示す。表2に示す結果によれば、N,N-ジメチルホルムアミド、アセトン、及びジグリムにおいて、並びに無溶媒において高い選択性が達成され、また、ジグリムが最も高い活性を呈した。溶媒が有意なO溶解度を有する反応のいくつかについては、水を添加しなかった。これらの実施例によって、MAAが水の非存在下で測定可能な量で生成されないことが確認された。
【0033】
【表2】
【0034】
触媒担体の効果
表3は、様々な触媒担体の性能を比較する。ほとんどの触媒は、90~95+%のMAA選択性を呈した。活性に関して、MAAの空時収量の順位は、Au/TiO>Au/Al、Au/Ti-Q10、Au/CeOでドープされたSiO>他の触媒である。
【0035】
【表3】
【0036】
本明細書の文脈により別段の指示がない限り、全ての量、比率、及びパーセンテージは重量によるものであり、全ての試験方法は、本開示の出願日現在のものである。冠詞「a」、「an」、及び「the」は各々、1以上を指す。添付の特許請求の範囲は、「発明を実施するための形態」を表現するために、かつそこに記載される特定の化合物、組成物、又は方法に限定されず、添付の特許請求の範囲の範疇の特定の実施形態間で異なり得ることを理解されたい。様々な実施形態の特定の特徴又は態様を説明するための本明細書に依拠する任意のマーカッシュ群に関して、全ての他のマーカッシュ要素から独立したそれぞれのマーカッシュ群の各要素から、異なる、特別な、かつ/又は予期しない結果が得られる可能性がある。マーカッシュ群の各要素は、添付の特許請求の範囲内で、特定の実施形態に、個々に及び又は組み合わされて依拠され得、十分なサポートを提供する。
【0037】
更に、本発明の様々な実施形態を説明する際に依拠とされる任意の範囲及び部分範囲は、独立して及び包括的に、添付の特許請求の範囲内に入り、本明細書にその中の全部及び/又は一部の値が明記されていなくても、そのような値を含む全範囲を説明及び想到するものと理解される。当業者であれば、列挙された範囲及び部分範囲が、本発明の様々な実施形態を十分に説明し、可能にし、そのような範囲及び部分範囲は、更に関連性がある2等分、3等分、4等分、5等分などに描かれ得ることを容易に認識する。単なる一例として、「0.1~0.9の」範囲は、下方の3分の1、すなわち、0.1~0.3、中央の3分の1、すなわち、0.4~0.6、及び上方の3分の1、すなわち、0.7~0.9に更に描かれ得、これらは、個々に及び包括的に、添付の特許請求の範囲内であり、添付の特許請求の範囲内で、特定の実施形態に、個々に及び/又は包括的に依拠され得、十分なサポートを提供する。加えて、範囲を定義する、又は修飾する言葉、例えば「少なくとも」、「超」、「未満」、「以下」などに関して、そのような言葉は、部分範囲及び/又は上限若しくは下限を含むと理解されるべきである。別の例として、「少なくとも10」の範囲は、少なくとも10~35の部分範囲、少なくとも10~25の部分範囲、25~35の部分範囲などを本質的に含み、各部分範囲は、添付の特許請求の範囲内で、特定の実施形態に、個々に及び/又は包括的に依拠され得、十分なサポートを提供する。最終的に、開示した範囲内の個々の数は、添付の特許請求の範囲内で、特定の実施形態に依拠され得、十分なサポートを提供する。例えば、「1~9の」範囲は、様々な個々の整数、例えば3、並びに、小数点(又は分数)を含む個々の数、例えば4.1を含み、これは、添付の特許請求の範囲内で、特定の実施形態に依拠され得、十分なサポートを提供する。
【0038】
本明細書で使用される「組成物」という用語は、組成物を含む材料、並びに組成物の材料から形成された反応物、及び分解物を含む。
【0039】
「含むこと」という用語及びその派生語は、それらが本明細書において開示されているかどうかにかかわらず、あらゆる追加の成分、工程、又は手順の存在を排除することを意図していない。あらゆる疑いも回避するために、「含むこと」という用語の使用を通じて本明細書において特許請求される全ての組成物は、矛盾する記述がない限り、ポリマー性か又は別様かにかかわらず、任意の追加の添加剤、補助剤、又は化合物を含み得る。対照的に、「から本質的になる(consisting essentially of)」という用語は、操作性に必須ではないものを除き、あらゆる以降の記述の範囲からあらゆる他の成分、工程、又は手順を除外する。「からなる(consisting of)」という用語は、具体的に描写又は列記されていないあらゆる成分、工程、又は手順を除外する。
【国際調査報告】