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特表2024-502556デジタルメディアを再生するための対話型トイセット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-22
(54)【発明の名称】デジタルメディアを再生するための対話型トイセット
(51)【国際特許分類】
   A63H 5/00 20060101AFI20240115BHJP
   A63H 3/00 20060101ALI20240115BHJP
   A63H 33/26 20060101ALI20240115BHJP
【FI】
A63H5/00 C
A63H3/00 Z
A63H33/26 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023536998
(86)(22)【出願日】2020-12-18
(85)【翻訳文提出日】2023-07-20
(86)【国際出願番号】 EP2020087206
(87)【国際公開番号】W WO2022128128
(87)【国際公開日】2022-06-23
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522120381
【氏名又は名称】キューブス アーゲー
【氏名又は名称原語表記】QUBS AG
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ブルマン, ハイリ シー.
【テーマコード(参考)】
2C150
【Fターム(参考)】
2C150BC01
2C150CA01
2C150CA02
2C150DD15
2C150DF08
2C150DF33
2C150ED42
2C150ED56
2C150EF16
2C150EF17
2C150EF36
2C150FC20
(57)【要約】
本発明は、デジタルメディアを再生する(特にストーリーを聴覚的に語る)対話型トイセットに関する。トイセットは、1つ又は複数の配置可能なトークン(7)を受ける構成とされたハウジング(10)を備える。配置可能な各トークンには、一意識別子が組み込まれ、トイセットは、上記トークン(7)の存在を検出する感知ユニット(11)をさらに備える。制御ユニットは、1つ又は複数の配置可能なトークンの検出された識別子に基づき、いくつかのインデックス付きトラックからトラックとトラックインデックス番号とを選択する構成とされ、トラック及びトラックインデックスは、上記トークン(7)に帰属させられる特定の一意の役柄に基づき決定される。トイセットは、トラックを出力する出力ユニットをさらに備え、また本発明は類似の様式でデジタルメディアを再生するトイセットを動作させる方法に関する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタルメディアを再生するための、特に、ストーリーを聴覚的に語るための、対話型トイセットであって、前記対話型トイセットは、
a.1つ又は複数の配置可能なトークン(複数可)(7)を受けるように構成されたハウジング(10)と、
b.それぞれに一意識別子が組み込まれている、1つ又は複数の配置可能なトークン(複数可)(7)と、
c.前記1つ又は複数の配置可能なトークン(複数可)(7)の存在を検出するための、特に、前記1つ又は複数の配置可能なトークン(複数可)(7)の存在をワイヤレスで検出するための、前記ハウジング(10)内の感知ユニット(11)と、
d.前記1つ又は複数の配置可能なトークン(複数可)(7)を前記検出することに基づいて、いくつかのインデックス付きトラックからトラックとトラックインデックス番号とを選択するように構成された制御ユニット(12)であって、前記トラック及びトラックインデックスが、各配置可能なトークン(7)に帰属させられる特定の一意の役柄に基づいて選択される、制御ユニット(12)と、
e.前記トラックを出力するための出力ユニットと、
を備える、対話型トイセット。
【請求項2】
少なくとも1つのトラックを記憶するためのメモリユニット、
をさらに備える、請求項1に記載の対話型トイセット。
【請求項3】
前記対話型トイセットを、トラックのリポジトリを備える計算デバイスと接続するための少なくとも1つのインターフェース、特に、前記対話型トイセットを、トラックのリポジトリを備える計算デバイスとワイヤレスで接続するためのインターフェース、
をさらに備える、請求項1又は2に記載の対話型トイセット。
【請求項4】
前記制御ユニット(12)が、トラックと、トークンの特定の一意識別子に一意に帰属可能なトラックインデックス番号とを選択するように構成された、請求項1~3のいずれか一項に記載の対話型トイセット。
【請求項5】
前記出力ユニットが少なくとも1つのラウドスピーカーを備える、請求項1~4のいずれか一項に記載の対話型トイセット。
【請求項6】
前記感知ユニットが、共振誘導結合のための、特に、RFIDタグを起動するように構成された電磁波を送信及び受信するための、少なくとも1つの手段を備える、請求項1~5のいずれか一項に記載の対話型トイセット。
【請求項7】
前記一意識別子が、RFIDタグ、特に、受動RFIDタグである、請求項1~6のいずれか一項に記載の対話型トイセット。
【請求項8】
前記制御ユニットが、前記一意識別子に基づいて1つ又は複数の配置可能なトークン(複数可)(7)に特定の役柄を帰属させるように構成されており、各役柄が、トラック、特に、物語のトラック、の特定のトラックインデックスに帰属させられる、請求項1~7のいずれか一項に記載の対話型トイセット。
【請求項9】
前記ハウジングが、前記1つ又は複数の配置可能なトークン(複数可)(7)を受けるための受けエリアを有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の対話型トイセット。
【請求項10】
前記ハウジングが、前記1つ又は複数の配置可能なトークン(複数可)(7)の対応する接続手段と解放可能に接続するための手段を備え、特に、磁石が前記1つ又は複数の配置可能なトークン(複数可)(7)の対応する磁石に解放可能に付着するように前記ハウジングに組み込まれた、請求項1~9のいずれか一項に記載の対話型トイセット。
【請求項11】
前記制御ユニットは、
前記感知ユニットが前記1つ又は複数の配置可能なトークン(複数可)(7)の存在を検出する、或いは、
前記感知ユニットが前記1つ又は複数の配置可能なトークン(複数可)(7)の前記存在の変化を検出すると、
トラックの出力を開始及び/又は中断するように構成される、請求項1~10のいずれか一項に記載の対話型トイセット。
【請求項12】
前記対話型トイセットが、前記対話型トイセットの動きを感知するように構成された第2のセンサを備える、請求項1~11のいずれか一項に記載の対話型トイセット。
【請求項13】
ディスプレイ手段をさらに備える、請求項1~12のいずれか一項に記載の対話型トイセット。
【請求項14】
音を記録するためのマイクロフォン、をさらに備える、請求項1~13のいずれか一項に記載の対話型トイセット。
【請求項15】
前記制御ユニットが、前記トラックのストリームを受信し、処理するように構成された、請求項1~14のいずれか一項に記載の対話型トイセット。
【請求項16】
デジタルメディアを再生するための、特に、ストーリーを聴覚的に語るための、トイセット、特に、請求項1に記載の対話型トイセット、を動作させるための方法であって、
a)1つ又は複数の配置可能なトークン(複数可)(7)の存在を検出するステップであって、特に、各トークンが、語られるストーリーに帰属させられる役柄を有する、当該検出するステップと、
b)前記配置可能なトークンの一意識別子に基づいて、特定のトラックとトラックインデックスとを選択するステップと、
c)前記トラックインデックスから前記トラックを出力するステップと、
を含む、方法。
【請求項17】
前記b)の前記選択するステップが、トラックのリポジトリを記憶する第1のデータベースとの接続を確立すること、を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記a)の前記検出するステップが、1つ又は複数の配置可能なトークン(複数可)(7)の存在について有効範囲をワイヤレスで走査すること、を含む、請求項16又は17に記載の方法。
【請求項19】
前記b)の前記選択するステップが、所与のポイントにおける前記トラックの進行に基づいて前記特定のトラックインデックスを選択すること、を含む、請求項16~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
音がマイクロフォンによって記録され、トークンの特定の一意識別子に帰属させられる、請求項16~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
請求項1~15のいずれか一項に記載の対話型トイセットを動作させる、及び/又は、請求項16~20のいずれか一項に記載の方法を実行する、
ためのコンピュータプログラム製品であって、
制御ユニット、特に、1つ又は複数の配置可能なトークン(複数可)を検出することに基づいて、いくつかのインデックス付きトラックからトラックとトラックインデックス番号とを選択するように構成された制御ユニット、によって、全体的に又は少なくとも部分的に実行されるように構成され、
前記トラック及びトラックインデックスは、各配置可能なトークンに帰属させられる特定の一意の役柄に基づいて、決定される、
コンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、すべて独立クレームの前文に記載の、デジタルメディアを再生するための対話型トイセットと、対話型トイセットを動作させるための方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
子供のための音楽プレーヤ及びオーディオプレーヤの分野における最近の進歩は、よりトラディショナルなカセットレコーダとCDプレーヤとに取って代わる触覚的に向上したオーディオプレーヤの台頭を目の当たりにしてきた。これらのデバイスは、ゲーミフィケーション(gamification)態様を含み、デジタルコンテンツと対話するために使用されるトイフィギュアを有することによって追加の触覚的刺激を与える。これらのデバイスは、特定のRFIDタグの存在を検出するためにボックス内にRFID/NFCリーダーを使用し、前記タグに基づいて特定のトラックを再生する。さらなる商業的態様として、トイフィギュアは収集品として個々に販売され、市場に出される。
【0003】
これらのデバイスは、デジタルコンテンツを管理するために、パーソナルコンピュータ又はスマートフォンなど、仲介コンピュータを使用する。デジタルコンテンツ自体はクラウドからこれらのボックス上にダウンロードされる。クラウドの接続性及び使用は、ユーザ行動について結論を引き出すために使用され得る多くのデータを生成し、以て潜在的に有益なマーケティング情報を獲得する。
【0004】
WO2017/129349A1は、ラウドスピーカーと、デバイスの近傍の特定のRFIDタグを検出することにより、出力を開始するためのセンサとを含む、音楽又は話されるストーリーを再生するためのトイを記載している。出力を生じるコンテンツは、たとえば外部サービスプロバイダ又は配信業者によって、ライブラリからデバイスにワイヤレスで送信される。最も好ましい実施形態では、ライブラリはクラウドベースである。
【0005】
依然として、現在知られているデバイスには、ボックスの検出器の近傍にフィギュアを配置することによる出力の簡単な開始及び停止を超える対話性はない。本質的に触覚的な体験が追加されるが、オーディオファイルの出力を開始するためにトイフィギュアを特定の場所に配置するという刺激はより年上の子供にとって十分に刺激的ではないので、その制限によりデバイスはごく小さい子供にしか適さなくなる。さらに、可能なコンテンツの選定は、本質的に、直線的な物語に限定される。
【0006】
したがって、改善された対話性を有し、並びに、ユーザのデータを保護し、特に、子供などの極めて敏感であると考えられるユーザのための関連するデータ保護規格に準拠する様式で動作させることが可能な、述べたタイプの対話型トイセットを提供する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】WO2017/129349A1
【発明の概要】
【0008】
本発明の目的は、先行技術の少なくとも1つの欠点を克服する対話型トイセットを提供することである。本発明の特定の目的は、先行技術に対して対話性が改善された対話型トイセットを提供することである。本発明のさらなる目的は、ユーザのデータを保護する様式で動作させることができるそのようなトイセットを提供することである。
【0009】
これらの問題のうちの少なくとも1つは、独立クレームの特徴付け部分に記載の、デジタルメディアを再生するための対話型トイセットと、デジタルメディアを再生するための対話型トイセットを動作させるための対応する方法とによって解決される。
【0010】
本発明の一態様は、デジタルメディアを再生するための対話型トイセットである。特に好ましい実施形態では、対話型トイセットはストーリーを聴覚的に語るように構成される。
【0011】
トイセットは、1つ又は複数の配置可能なトークンを受けるように構成されたハウジングを備える。トイセットは、それぞれに一意識別子が組み込まれている、1つ又は複数の配置可能なトークンをさらに備える。トイセットは、1つ又は複数の配置可能なトークンの存在を検出するための感知ユニットを備える。1つ又は複数の配置可能なトークンの存在を検出することは、ワイヤレスでの検出であるのが特に好ましい。
【0012】
トイセットは、1つ又は複数の配置可能なトークンを検出することに基づいて、いくつかのインデックス付きトラックからトラックとトラックインデックス番号とを選択するように構成された制御ユニットをさらに備える。トラック及びトラックインデックスは、各配置可能なトークンに帰属させられる特定の一意の役柄に基づいて決定される。対話型トイセットは、トラックを出力するための出力ユニットをさらに備える。代替的に、又は追加として、トラック及びトラックインデックスは、出力されている物語の進行の状態に基づいて決定される。
【0013】
本発明の文脈において、役柄は、たとえば、舞台作品である物語中の特定の話者又は演じる役柄として理解され得る。もちろん、役柄は、すべて当業者の裁量に従って、新しいキャラクターが導入されるとき、又は物語られる物語の特定のチャプターが特定の人物に対する強い関係をもつときなど、物語られる物語のチャプターの経過など、他の概念によっても定義され得る。特定の実施形態では、役柄は、動物の音、自然の音、機械音、背景音楽又は背景音など、特定の音を反映する出力をトリガする、抽象的な概念であり得る。
【0014】
本発明の対話型トイセットは、トラックインデックスが一意識別子に基づいて選択され得、以て、話されるストーリーを変えるためにユーザの決定を使用することができる分岐するストーリー又はさらには対話型のストーリーなど、より複雑なストーリーの出力が可能になるという特定の利点を有する。言い換えれば、本発明のトイセットは改善された対話性を有する。
【0015】
本発明の文脈において、対話性は、ユーザの特定の行為に基づいて、トイセットからの反応を達成することを可能にすることとして理解されるものとする。例として、ユーザの特定の行為は、トイセットのハウジングの上又は近くへの特定のトークンの配置であり得る。この配置により、デバイスが現在実行している出力に変化が生じ得る。これは、たとえば、双方向ダイアログを伴うストーリーを与える際に有用であり得る。ダイアログを変更することによって特定のストーリーを朗読するために複数の配置可能なトークンを使用することができ、各トークンは、たとえば、特定の配置可能なトークンの形態のそれぞれの演じる役柄を対話型トイセットの感知ユニットの有効範囲中に配置することによってプロンプトされる。
【0016】
特定の実施形態では、感知ユニットは、配置可能なトークンの一意識別子を読み取るように構成され、制御ユニットは、この一意識別子を特定のトラックと一致させるように構成される。
【0017】
特定の実施形態では、ハウジングは、1つ又は複数の配置可能なトークンをその上に配置することができる本質的に滑らかな表面を与えることによって、1つ又は複数の配置可能なトークンを受けるように構成される。
【0018】
代替的に、及び/又は追加として、ハウジングには、1つ又は複数の配置可能なトークン上の対応する幾何学的形状を受けるように構成されたノッチ及び/又は凹部を装備することができる。これらのノッチ及び/又は凹部は、画定された対応する幾何学的形状をもつ1つの特定の配置可能なトークンを受けるように、又はいずれか1つのタイプの配置可能なトークンを受けるように構成され得る。
【0019】
本発明の特定の実施形態では、ハウジングは、配置可能なトークンをそこに配列することができる劇場舞台をシミュレートするなどのための、舞台のような形状を備える。
【0020】
特に好ましい実施形態では、ハウジングは、1つ又は複数の配置可能なトークンのうちの各々を受けるように構成された複数の台座(pedestal)を備える。
【0021】
さらなる特定の実施形態では、舞台のような形状は、交換可能であり得る舞台背景によって達成される。舞台背景は、たとえば、配置可能なトークンの特定のセットとグループ化することができ、物語の劇、幕、環境を反映することができる。特に好ましい実施形態では、舞台背景は、物語を反映するイラストが描かれた前部をもつ、ボール紙の背景である。さらに、舞台背景には、特有の一意識別子、たとえばRFIDタグを装備することができる。舞台背景のためのこの一意識別子の検出は、たとえば、背景雑音又は背景音など、好適な背景出力をトリガすることができる。
【0022】
この特定の例では、ハウジングには、舞台背景の対応するフラップをそこで挿入することができる、たとえば舞台スリーブなど、交換可能な舞台背景を収容するための手段を装備することができる。
【0023】
好ましい実施形態では、配置可能なトークンは、たとえば、3cm~12cmの間の縦寸法及び/又は幅1cm~5cmの間の直径を有することによって、1歳~99歳の方々が容易に取り扱うことができるサイズ及び形状のものである。
【0024】
特定の実施形態では、配置可能なトークンは、対話型トイセット上へのより容易な配置可能性を可能にするなどのために、本質的に平坦なベースを備える。
【0025】
特定の実施形態では、トラックは、デジタルオーディオファイル、たとえばMP3、MP4、ウィンドウズ(登録商標)メディアオーディオ、アドバンストオーディオコーディング、波形オーディオファイル(Waveform Audio File)又は任意の他のタイプのオーディオファイル形式ファイルの形態である。インデックス番号は、たとえば、特定のロケーションであるか、又はオーディオファイル中の特定のロケーションを見つけるのに好適な他の情報であり得る。本発明では、オーディオファイルが圧縮されているか圧縮されていないかは重要でない。
【0026】
特定の実施形態では、トラックをインデックス付けすることは、たとえば、選定されたオーディオファイル形式がWAVである特定の実施形態などにおいて、デジタルオーディオファイルからメタデータクラスタを作成することによって、特定のトラックに対して実行することができ、WAVファイル上のチャンクに、配置可能なトークンの特定の属性、たとえば特定の役柄を記憶し、トラックをインデックス付けするために、得られたメタデータを使用することによって、オーディオファイルをインデックス付けするために、リソース交換ファイル形式を使用することができる。基本的に、すべてのオーディオファイル形式は、インデックス付けのために使用することができるそのようなメタデータを備える。
【0027】
本発明の特定の実施形態では、トイセットは、少なくとも1つのトラックを記憶するためのメモリユニットを備える。メモリユニットは、対話型トイセットの不可欠な要素であり得、及び/又はメモリカードなどのリムーバブルメモリユニット、又はUSBフラッシュドライブなどのドライブを対話型トイセットと接続するためのインターフェースをさらに備える。
【0028】
最も好ましい実施形態では、対話型トイセットは、フラッシュメモリユニットなど、一体型メモリユニットを有する。さらなる特定の実施形態では、トイセットは複数のメモリユニットを有する。
【0029】
特定の実施形態では、制御ユニットはCPUであり得、さらなる特定の実施形態では、トイセットはそれ自体でコンピュータシステムである。
【0030】
本発明の特定の実施形態では、トイセットは、トイセットを、トラックのリポジトリを記憶する計算デバイスと接続するための少なくとも1つのインターフェースをさらに備える。インターフェースは、トイセットを、トラックのリポジトリを記憶する計算デバイスとワイヤレスで接続するように構成されるのが特に好ましく、たとえば、さらなるデバイスとのWi-Fi(登録商標)ベースの接続を確立するためのワイヤレスネットワークアダプタにより構成されるのが好ましい。代替的に、及び/又は追加として、Bluetooth(登録商標)アダプタ又は近距離通信ユニットをその目的で使用することができる。トラックは、好ましくは、出力ファイル形式で伝達又は記憶される。代替又は追加として、トラックは、記憶ファイル形式で記憶及び/又は伝達され、出力される直前に出力ファイルに処理される。
【0031】
特定の実施形態では、トラックのリポジトリを記憶する計算デバイスは、トラックのリポジトリを記憶する第1のデータベースへのアクセスを与える。これらのトラックは、好ましくは、インデックス付けされ、この場合も配置可能なトークンの帰属させられる特定の一意の役柄に帰属させられる。
【0032】
特定の実施形態では、制御ユニットは、トラックと、トークンの特定の一意識別子に一意に帰属可能であるトラックインデックス番号とを選択するように構成される。たとえば、トークンには、一意識別子コードをもつRFIDタグを装備することができ、RFIDタグは、感知すると、特定のトラックにアクセスし、アクセスすると、前記特定の一意識別子に帰属させられるトラックインデックスによって選定されたトラック上の特定の位置の出力を開始するように制御ユニットにプロンプトする。上記で説明したように、トラックインデックス番号をもつトラックが第1のデータベースに記憶されている場合、制御ユニットは、計算デバイスとの通信接続を確立してトラックのリポジトリへのアクセスを与え、要求をトリガするトークンの特定の一意識別子に基づいて特定のトラックについての要求を発し、トラックインデックス番号をもつトラックを伴うデータパッケージを受信し、データパッケージを記憶ユニットに記憶すること、及び/又はトラックを出力するための出力ユニットのためにデータパッケージを処理することのいずれかを行うように構成される。
【0033】
特定の実施形態では、トークン中のRFIDタグはパッシブRFIDタグである。代替的に、又は追加として、トークンはアクティブRFIDタグ及び/又はセミパッシブRFIDタグを備える。
【0034】
さらなる実施形態では、トークンには、たとえば高メモリタグなど、アドバンストRFIDタグを装備することができる。これらのタグは、それら自体によってトラックを保持するか、又は特定の物語のためのより多いトラックと追加のテキスト及び/又は音とを与えるように構成され得る。トークンはトークンメモリユニットを備えるのが特に好ましい。アンテナと、メモリユニットをもつ集積回路と、を備えるいわゆる第2世代RFIDタグが特に好適である。特定の実施形態では、トークンはバッテリーを備える。
【0035】
特定の実施形態では、トークン中のRFIDタグは、大気条件、及びリーダーとタグとの間の妨げるものがない線に応じて、0~300cmの間、又は0~30mの間、又は0~100mの間の検出範囲のために構成される。
【0036】
この特徴により、トイセットは、配置可能なトークンが表す特定の役柄を出力することが可能である。例示的な実施形態では、この役柄は、劇又はストーリー中の特定の人物として定義され得る。本発明によって、トイセットは、真のダイアログ様式で舞台劇を語ることができ、主人公の各々は、劇又は複雑なストーリー中のその主人公の特定の役柄のテキストに関連する出力をトリガする。もちろん、配置可能なトークンによって表される個々の役柄に加えて、特定の配置可能なトークンを配置するようにユーザにプロンプトすること、又は、制御ユニットがプロンプトすると、個々の配置可能なフィギュアによって話されるフレーミングストーリーを与えることのいずれかのために、ナレーターを使用することができる。
【0037】
特定の実施形態では、出力ユニットは少なくとも1つのラウドスピーカーを備える。
【0038】
さらなる特定の実施形態では、出力ユニットは、少なくとも1つのイヤピースをもつヘッドセット、特にハウジングとは物理的に別個であり、トイセットの制御ユニットとのワイヤレス接続、特にBluetoothベースのワイヤレス接続を確立することが可能である、別個のヘッドセットである。
【0039】
最も基本的な実装形態では、ラウドスピーカーは、オーディオ信号を対応する音に、上記で説明した特定の例ではストーリーの物語に変換するように構成された電気音響変換器であり得る。
【0040】
特定の実施形態では、感知ユニットは共振誘導結合のための少なくとも1つの手段を備える。感知ユニットは、パッシブRFIDタグ又はアクティブRFIDタグを起動するように構成された電磁波を送信及び受信するように構成されるのが特に好ましい。
【0041】
フィギュア中でパッシブRFIDタグを使用することにより、必要とされるだけの電子構成要素しかもたない配置可能なトークンを有することが可能になる。配置可能なトークンは、たとえば、特に好ましくはトークンのベース中にパッシブRFIDタグを備えることができ、パッシブRFIDタグは、ほとんど無限の時間の間記憶しておくことができ、また、トイセットの共振誘導結合のためのそれぞれの手段と結合するとパッシブRFIDタグのアンテナによって供給され得るものを超える、個々のバッテリー又はエネルギー源を必要としない。
【0042】
特定の実施形態では、一意識別子は、RFIDタグ、特にパッシブRFIDタグに記憶される。
【0043】
特定の実施形態では、制御ユニットは、一意識別子に基づいて配置可能なトークンのうちのそれぞれ1つ又は複数に特定の役柄を帰属させるように構成される。各役柄は、トラック、特にストーリーの物語のトラックの特定のトラックインデックスに帰属させられる。
【0044】
特定の実施形態では、ハウジングは、1つ又は複数の配置可能なトークンの受け入れのための受けエリアを有する。
【0045】
特定の実施形態では、ハウジングは、1つ又は複数の配置可能なトークン上の対応する接続手段と解放可能に接続するための手段を備える。磁石が、1つ又は複数の配置可能なトークン上の対応する磁石に解放可能に付着するようにハウジングに組み込まれるのが特に好ましい。
【0046】
特定の実施形態では、ハウジングは本質的に熱可塑性材料から製造される。代替又は追加の実施形態では、ハウジングは、アルミニウム及び/又はステンレス鋼など、他の好適に形成された材料から製造することができる。ハウジングは、さらなる特定の実施形態では、複数の部品と、材料の組合せとから構築することができる。
【0047】
特定の実施形態では、ハウジングは、ボール紙から製造することができる。この実施形態は、本発明のトイセットをDIYセットとして提供するために特に魅力的であり、その場合、折り畳みボール紙を容易に組み立て、その中に電子部品を取り付けて、トイセットの対話性をさらに高め、さらなる教育的特徴を与えるように構成することができる。
【0048】
特定の実施形態では、ハウジングは、たとえば木質材料など、天然材料から本質的に製造することができる。
【0049】
これにより、ユーザが本発明のトイセットを容易に持ち歩くことが可能になり、配置可能なトークンは、トークンが常にその上に配置されるトイセットのどの表面からも落下しにくくなる。
【0050】
特定の実施形態では、制御ユニットは、感知ユニットが1つ又は複数の配置可能なトークンの存在を検出すること、或いは感知ユニットが1つ又は複数の配置可能なトークンの存在の変化を検出することに基づいて、トラックの出力を開始及び/又は中断するように構成される。たとえば、特定の配置可能なトークンが検出されると、トラックを開始することができる。一定時間の後に、ユーザは配置可能なトークンを取り外す。制御ユニットは、次いで、たとえば、特定のトラックの再生を中断することができる。別の例では、制御ユニットは、感知ユニットが特定の配置可能なトークンの存在を検出すると、トラックの再生を開始する。このトラックが再生されている間に、さらなる配置可能なトークンがトイセット上に配置される。このさらなる配置可能なトークンが感知ユニットによって検出されると、制御ユニットは、さらなるトラックインデックスへのトラック中での特定のジャンプをプロンプトし、以て、さらなる配置可能なトークンの役柄が話したかのように思われるであろう発声をトラック中に与えることができる。
【0051】
本発明の特定の実施形態では、トイセットはさらなるセンサを備える。トイセットは、トイセットの動きを感知するように構成された第2のセンサを備えるのが特に好ましい。これは、たとえば、トイセット内のプリント回路板に1つ又は複数の加速度計及び/又は1つ又は複数のジャイロスコープを組み込むことによって達成することができる。また、特定の実施形態では、GPSモジュールが実装され得る。これらのセンサは、本発明のトイセットの対話型体験をいっそう豊かにするために使用することができる。たとえば、これらのセンサのうちの1つ又は複数による検出にいくつかの機能を割り当てることが可能である。潜在的な機能は、たとえば、デバイスの検出された動きに基づくトイセットのオン/オフ切替えであり得る。
【0052】
代替的に、又は追加として、さらなるセンサ(複数可)、特にトイセットの動きを感知するように構成された第2のセンサは、物語の動的バイノーラルオーディオレンダリングなど、さらなる対話的な可能性を与えるように構成される。これにより拡張現実タイプの体験が生じ得る。空間化されたサウンドスケープを作成する実装のための好適な方法は、Geronazzo,M.ら(Michele Geronazzo、Amalie Rosenkvist、David Sebastian Eriksen、Camilla Kirstine Markmann-Hansen、Jeppe Kohlert、Miicha Valimaa、Mikkel Brogaard Vittrup、Stefania Serafin、「Creating an Audio Story with Interactive Binaural Rendering in Virtual Reality」、Wireless Communications and Mobile Computing、vol.2019、Article ID 1463204、14ページ、2019.)によって説明されている。
【0053】
特定の実施形態では、制御ユニット、もしあればインターフェース、センサ及びメモリユニットはプリント回路板上の構成要素である。
【0054】
特定の実施形態では、本発明のトイセットはエネルギー源を備える。エネルギー源は、誘導結合か、又は、たとえばUSBインターフェースなど、物理的接続を与えることのいずれかによるバッテリー充電器を備える充電可能なバッテリーであり得る。
【0055】
特定の実施形態では、トイセットはディスプレイ手段を備える。ディスプレイ手段は、たとえば、カラー液晶ディスプレイ(LCD)又は有機発光ダイオード(OLED)であり得る。ディスプレイスクリーンは、教育的トイセットの動作のための必須の情報を表示するように構成され得るか、又はユーザの体験を向上させるために使用することができる。
【0056】
特定の実施形態では、ディスプレイは、デバイスによって出力されているテキストでの物語を表示するように構成される。この実装形態により、ユーザは、異なる配置可能なトークンがそれらの役柄において朗読しているテキストを同時に読むことが可能になる。
【0057】
特に好ましい実施形態では、ディスプレイ手段は、同時に、配置可能なトークンがそこに配置可能なエリアである。この実施形態では、ディスプレイ手段は、配置可能なトークンがその上に配置可能である本質的に平坦な表面であり得る。ディスプレイ手段は、トイセットの出力の体験を全体的に向上させる特定のグラフィック要素を表示するように制御ユニットによって制御されるように構成され得る。ディスプレイ手段は、たとえば、特定の物語のシーンに対応する背景であり、配置可能なトークンの正しい配置を助けることができる。特定の物語が、たとえば、複数の異なるシーンからなる場合、ディスプレイは、特定のシーンを変更し、反映するように構成され得る。ディスプレイはまた、複数の配置可能なトークン間の最適な対話を与えるために、配置可能なトークンをそこに配置することができる、受けエリア上の特定のエリアを示すことができる。
【0058】
特定の実施形態では、本発明のトイセットは、音を記録するためのマイクロフォンを備える。この実施形態は、たとえば、デバイスが音声制御され得ることを可能にする。この実施形態はまた、ユーザが実際に物語に寄与する可能性を与えることによって、トイセットの対話性をさらに高める。物語が、配置可能なトークンによって表される複数の役柄を伴う舞台演劇に似ている、前に説明した例では、特定の役柄をユーザのために取っておくことができる。マイクロフォンは、話されるユーザの役柄を記録し、検出するために使用することができる。音声認識が可能である外部デバイス、たとえばスマートフォンとの本発明のトイセットの接続性によって容易に提供することができる特定の音声認識ソフトウェアは、ユーザによって話されたテキストを解釈し、役柄が正しく話されたかどうかを決定すること、又は任意の他の様式で反応することのいずれかを行うことができる。
【0059】
特に好ましい実施形態では、マイクロフォンは、サウンドファイルをメモリユニットに記憶するように構成される。これにより、本発明のトイセットのカスタマイズが可能になり、また、トイセットの対話性がさらに改善される。トイセットは、ユーザが自身のストーリーをトイセットに保存することを可能にし、ユーザ自身のストーリーは、次いで、たとえば特定の一意識別子に帰属させられ得る。このシステムを用いると、ユーザは、本発明のトイセットの感知ユニットの有効範囲内に配置可能なフィギュアを配置すると出力される、配置可能なフィギュアの特定の役柄についてのカスタムストーリーを作成することができる。
【0060】
特定の実施形態では、トイセットは、パーソナルコンピュータ及び/又はスマートフォンなど、追加の周辺デバイスによって音を記録するように構成される。デバイスは、予め記録されたサウンドファイルをダウンロードするためにインターネット及び/又はファイルリポジトリに接続するように構成され得る。
【0061】
本発明の特定の実施形態では、制御ユニットは、トラックのストリームを受信し、処理するように構成される。この実施形態では、プロバイダは、たとえば、本発明のトイセットについての連絡先を与えるように構成され得る。これはストリームの形態であり得る。配置可能なトークンの一意識別子は、この配置可能なトークンが生成するべきである特定の出力を反映する特定のトラックとトラックインデックスとをストリームからオンロックする。ストリームを使用する1つのさらなる利点は、本発明のトイセットによってライブパフォーマンスを作成することができることである。ストリームは、ラジオ劇のようなライブストリームの形態であり得、それにより、ユーザは、トイセットの感知ユニットの有効範囲内に配置可能なトークンを配置することによってライブストリームと対話し、以てライブストリームから特定の出力をトリガすることができる。多数の配置可能なトークンにより、特定のストリームのほとんど無限のバリエーションが個々のストーリーとして出力され得る。
【0062】
特定の実施形態では、トイセットは、コンテンツ配信ネットワークにロックし、特定のトラックのストリーミングに入り込むためのデコーダを備える。トラックをダウンロードすることに対するこの代替案は、提供される如何なるデジタルメディアコンテンツも記憶されず、エンドユーザによって潜在的にコピーされず、以て著作権制限を回避するという、コンテンツプロバイダのためのセキュリティを与えるのを助けることができる。
【0063】
特定の実施形態では、多数のストリーミングチャネルがコンテンツ配信ネットワークによって提供される。ユーザは、正しい配置可能なトークンを与え、そのトークンを本発明のトイセットの感知ユニットの有効範囲内に配置することによって、特定のストリーミングチャネルをアンロックすることができる。
【0064】
特定の実施形態では、制御ユニットは、複数の音声サンプル(複数可)を記憶する第2のデータベースへのアクセスを与える、第2の計算デバイスとの通信接続を確立するように構成される。音声サンプル(複数可)は、たとえば、各ユーザが第2のデータベース中の特定の音声サンプルにアクセスすることが可能であるように、特定のユーザ識別番号と一致させることができる。この実施形態では、第2の計算デバイスは、個人の音声記録に基づいて音声を合成するように構成された少なくとも1つのディープラーニングアルゴリズムにアクセスするように構成され得る。この音声記録は第2のデータベースに記憶することができる。合成された音声は、次いで、個人の音声記録を反映する合成された音声を用いて物語の出力ファイルを生成するために使用することができる。
【0065】
すべての説明した実施形態は、相互排他的でない任意の組合せで本発明によるトイセットにおいて実装することができることを、当業者は容易に理解する。さらに、説明した方法は本発明のトイセットの特定の機能的特徴をさらにもたらし得ることを、当業者は理解する。
【0066】
本発明の一態様は、デジタルメディアを再生するためのトイセットを動作させるための方法である。トイセットは、ストーリーを聴覚的に語るように構成されるのが特に好ましい。本方法は、1つ又は複数の配置可能なトークンの存在を検出するステップを含む。本方法はまた、配置可能なトークンの一意識別子に基づいて特定のトラックとトラックインデックスとを選択し、前記トラックインデックスからトラックを出力するステップを含む。
【0067】
特に好ましい実施形態では、各トークンは、語られるストーリーに帰属させられる役柄を有する。検出は、配置可能なトークンを感知ユニットの有効範囲中に移動することによって実行されるのが好ましい。検出は、制御ユニットからの特定の応答、たとえば、トラックインデックス上の特定のトラックの出力をトリガすることができるが、配置可能なトークンの取外しも、もちろん、制御ユニットからの特定の応答を生じることができる。取外しは、たとえば、特定のトラックの中断を引き起こし得る。取外しは、特定の配置可能なトークンを感知ユニットの有効範囲中に再び配置するための、及び/又はストーリーに対する一般的なナレーションを続けることのいずれかの、トイセットからのプロンプトをさらにトリガすることができる。
【0068】
本発明の特定の実施形態では、どのトラックインデックスがどの順序で再生されるかに応じて、単一のトラックから多数の潜在的なストーリーを生成するなどのために、複数の配置可能なトークンと、感知ユニットの有効範囲中へのそれらのトークンの配置との組合せが、異なるトラックインデックスをトリガする。たとえば、トラックは、特定の配置可能なトークンが感知ユニットの有効範囲上に配置されると選定される代替シーンである、いくつかのシーンを含むように構成され得る。例として、物語は、特定の役柄の特定の配置可能なトークンが取り外されると、俳優のうちの1人が去り、森の中で道に迷うシーンを含むことができる。感知ユニットがその特定の配置可能なトークンの有効範囲からのそのトークンの不在を感知した場合、設定された終止が出力される。代わりに、トラックがこの特定のトラックインデックスに到達する時間までにその配置可能なトークンが取り外されない場合、特定の役柄が他の配置可能なトークンとともにグループ中にとどまり、森の中で道に迷わない代替シーンが出力される。
【0069】
本発明の方法の特定の実施形態では、感知ユニットが特定の配置可能なトークンの不在を検出すると、制御ユニットはトラックの再生を停止する。不在を検出することは、もちろん、存在の非検出の結果である。このことは、たとえば、配置可能なトークンが有効範囲から取り外されたときに起こり得る。
【0070】
本発明の方法の特定の実施形態では、配置可能なトークンの一意識別子に基づいて特定のトラックとトラックインデックスとを選択するステップは、トラックのリポジトリとの接続を確立することを含む。これは、たとえば、トイ自体の上のメモリユニットにアクセスすることか、又は外部メディアストレージ、たとえばコンテンツ配信ネットワークとの接続を確立することのいずれかによって実行することができる。
【0071】
特定の実施形態では、本発明の方法は、個人の音声記録を取り込み、個人の元の音声に極めて類似している音声を合成することが可能であるディープラーニングアルゴリズムにアクセスするステップを含む。この合成された音声は、本発明に従って物語又は物語の一部を語るために使用することができる。さらなる実施形態では、たとえば上記で説明したように異なる役柄を物語るために、本発明に従って物語又は物語の一部を語るために、複数のそのような音声が使用され得る。
【0072】
本発明の文脈において、ディープラーニングアルゴリズムにアクセスすることは、たとえば人工ニューラルネットワークなど、人工知能ネットワークによってサポートされる機械学習アルゴリズムの利用を含むことができる。個人の音声記録を取り込み、個人の元の音声に極めて類似し、ほとんど識別不可能である音声を合成するディープラーニングアルゴリズムに基づくシステムが、当業者にとって利用可能である。
【0073】
本発明の方法の特定の実施形態では、本方法は、最初に、個人の少なくとも1つの音声記録をもつデータベースにアクセスし、その後、個人の音声記録を反映する合成された音声を用いて物語の出力ファイルを生成するためにディープラーニングアルゴリズムにアクセスするステップを含む。出力ファイルは、次いで、上記で概説したようにトラックを出力するために使用することができる。
【0074】
実際には、これは、個々に購入し、ストリーミング及び/又はダウンロードするか、或いはさもなければ本発明のトイセットのオペレーティングシステムに読み込むことができる、基本的な物語を用いてデジタル配信システムを作成するために使用することができる。物語の各々は、たとえば一意のユーザアカウントによってなど、たとえば、記憶された及び/又はさもなければデジタル配信システムに預けられた音声サンプルに基づいて生成された合成された音声など、カスタム選定された音声によって出力することができる。
【0075】
本発明の方法の特定の実施形態では、ディープラーニングアルゴリズムは、本質的にリアルタイムで、特に1000ms未満、好ましくは500ms未満の遅延を伴って、個人の音声記録に基づいて音声を合成するように構成される。これにより、1つ又は複数の配置可能なトークンの存在を検出することが行われ、配置可能なトークンがトイセットのいずれか1つのセンサの有効範囲内で変更され、及び/又は変えられる間に、個人の音声記録に基づいて、合成された音声の予め定められたセットとともに物語が出力されることが可能になる。遅延が低いと、トイセットを使用している間の対話型体験が高まり、一般に良好な反応性が与えられる。
【0076】
本発明の方法の特定の実施形態では、1つ又は複数の配置可能なトークンの存在を検出することは、1つ又は複数の配置可能なトークンの存在について有効範囲をワイヤレスで走査することを含む。ワイヤレスでの走査は、継続的に、又は特定の時間間隔で間欠的に実行することができる。
【0077】
本発明の特定の実施形態では、ワイヤレスでの走査は、トラック中の特定のポイントに到達すると実行される。たとえば、トラックが、特定の役柄を演じる多数の配置可能なトークンに基づいて語られるストーリーからなる場合、ワイヤレスでの走査が実行される時点は、特定の役柄が物語における一部を朗読すべき時点に対応する。
【0078】
本発明の特定の実施形態では、配置可能なトークンの一意識別子に基づいて特定のトラックとトラックインデックスとを選択するステップは、所与のポイントにおけるトラックの進行に基づいて特定のトラックインデックスを選択することを含む。このことは、各一意識別子について、基本的に、複数のトラックインデックスが制御ユニットによって選定され得ることを意味する。制御ユニットは、ストーリーの進行に基づいて適切なトラックインデックスを選定する。ストーリーの進行は、特定のトラックインデックスがいつでもそれにフィットするべきであるコンテキストフレームを与える。以て、ほんのいくつかの配置可能なトークンを用いて、それらのトークンが感知ユニットの有効範囲上に配置される順序を変えることによって、多数のストーリー連関が可能になる。
【0079】
本発明の特定の実施形態では、音は、マイクロフォンによって記録され、トークンの特定の一意識別子に帰属させられる。これは、たとえば、本発明のトイセットにおいて特定のカスタマイゼーションモードを与えることによって行うことができる。このトイカスタマイゼーションモードでは、ユーザは、トイセットによって記録され、特定の選択された配置可能なトークンに帰属させられる、ユーザ自身のテキストを話すことができる。後の物語モードでは、話されたテキストは、配置可能なトークンを本発明のトイセットの感知ユニットの有効範囲内に配置すると、再び出力され得る。
【0080】
本発明の一態様はコンピュータプログラム製品である。本コンピュータプログラム製品は、前に説明したように、制御ユニット、特に、1つ又は複数の配置可能なトークン(複数可)を検出することに基づいて、いくつかのインデックス付きトラックからトラックとトラックインデックス番号とを選択するように構成された制御ユニット上で、全体的に又は少なくとも部分的に実行されるように構成され、それにより、トラック及びトラックインデックスは、各配置可能なトークンに帰属させられる特定の一意の役柄に基づいて決定される。
【0081】
本コンピュータプログラム製品は、a)1つ又は複数の配置可能なトークン(複数可)の存在を検出するステップであり、特に、それにより、各トークンが、語られるストーリーに帰属させられる役柄を有する、検出するステップと、b)配置可能なトークンの一意識別子に基づいて特定のトラックとトラックインデックスとを選択するステップと、c)前記トラックインデックスからトラックを出力するステップとを含む、前に説明した方法を実行するように構成される。
【0082】
特定の実施形態では、本コンピュータプログラム製品は、特に、ストーリーの聴覚的な語りとして音声出力を生成することによって、ストーリーの聴覚的な語りとしてトラックを出力するために、出力を生成するように構成される。本コンピュータプログラム製品は、ディープラーニングアルゴリズムにアクセスし、及び/又は元の現実の人の声に類似した合成音声出力を生成することが可能であるそのようなディープラーニングアルゴリズムを備えるコンピュータシステムにアクセスするように構成される。
【0083】
特定の実施形態では、本コンピュータプログラム製品はトイセットのオペレーティングシステムである。本発明の文脈において、これは、すべての内部ソフトウェア構成要素を動作させるためのソフトウェア基礎を与えることとして理解され、外部デバイス及び/又はネットワークとの接続性と入出力とを管理することができる。好適なオペレーティングシステムは、明確に構成され、カスタマイズされたLinux(登録商標) OSに基づくことができる。当業者の裁量で、他の好適なオペレーティングシステムを使用することができる。
【0084】
これにより、本発明のトイセットは、トイセットによって出力される任意の物語が、たとえばなじみ深い音声によって語られることを可能にする、現代の音声クローニング技術とともに使用することができる。子供は、祖父母がストーリーを語るか、又は舞台劇中のキャラクターの役柄を話すのを聞くことができる。また、ライセンスを使用し、特定の役柄を話すために有名な俳優と話者とを有することが可能であろう。音声クローニング技術を用いると、それぞれの話者は、物語全体を話す必要はなくなるであろうが、かなりの音声サンプルがあれば、物語全体のための、また、ユーザによる配置可能なトークンの配置に応じた、いくつかの可能なストーリーラインをもつ分岐するストーリーのための、特定の現実の人の声での出力を、コンピュータプログラム及びディープラーニングアルゴリズムによって生成するのに十分であろう。音声クローニングの1つのさらなる利点は、物語のための話し時間全体を著しく低減することができるので、本トイセットのためのコンテンツ生成のために有名な俳優又は話者が雇用されるべきである場合のコストの低減である。
【0085】
本発明のトイセットにより、出力のために選定され、対話型要素で物語を豊かにして、ダイアログと分岐するストーリーとをシフトすることができる、物語のリポジトリを有する配信システムの作成が可能になる。さらに、本トイセットは、物語の出力のための高度にカスタマイズされたコンテンツを作成する可能性を与える。現実の記録に基づく合成された音声を使用することが可能であることにより、たとえば、距離にかかわらず、祖父母など、愛する人々が子供に物語を話すことが可能になる。
【0086】
以下のセクションでは、本発明は、図と具体例とに限定されることなしに、それらの図と具体例とによってさらに示される。
【0087】
当業者は、これらの例を検討することによって有利な実装形態と実施形態とをさらに認識する。図は、例示的な理由で示されており、概略的であり、縮尺どおりではない。
【図面の簡単な説明】
【0088】
図1】本発明による対話型トイセットを概略的に示す図である。
図2】本発明の対話型トイセットの作動原理を概略的に示す図である。
図3】3つの配置可能なトークンを伴う、本発明による対話型トイセットを概略的に示す図である。
図4図1図3に記載のトイセットとともに使用するための配置可能なトークンを示す図である。
図5】配置可能なトークンの特定の役柄に帰属させられるトラックとトラックインデックスとを概略的に示す図である。
図6a】本発明による対話型トイセットを概略的に示す図である。
図6b図6aのトイセットとともに使用するための配置可能なトークンのセットを示す図である。
図7a図6bの配置可能なフィギュアのインサイト(insight)を概略的に示す図である。
図7b図6bの配置可能なフィギュアのインサイト(insight)を概略的に示す図である。
図8a】本発明のトイセットのさらなる特定の実施形態を示す図である。
図8b】本発明のトイセットのさらなる特定の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0089】
図1は、本発明によるトイセットの概略表現である。本トイセットは、ハウジング10と、本例では、ハウジング10とは別個である3つの配置可能なトークン7とを備える。「3つの」配置可能なトークン7の数は、本例では例示的な実施形態としてのみ示され、当業者は、配置可能なトークン7の数は、トイセットの意図された用途に応じて異なり得、また、たとえば、より複雑なストーリー及び物語の需要がより高く、対話性をさらに高めることができる、特定のターゲット年齢層の選好を満たすように構成され得ることを容易に理解する。実用的な目的のために、本例は、3つの代表的な配置可能なトークン7とともに示されているが、このことは、決して本発明の範囲を限定するものとして理解されるべきではない。配置可能なトークンの好ましい数は、2つ~15個の間、好ましくは3つ~7つの間の配置可能なトークンまで及び得る。
【0090】
本例では、各配置可能なトークン7は特定のトークン役柄1、2、3に帰属させられる。各役柄1、2、3は、役柄を示す人形の様態で配置可能なトークン7を与えることによって物理的に表すことができる。例として、現在示されている配置可能なトークン7は、配置可能なトークンの第1の役柄1としての空飛ぶユニコーンと、配置可能なトークンの第2の役柄2としての乙女と、配置可能なトークンの第3の役柄3としての探偵とを有する。
【0091】
すべての配置可能なトークン7はトークンベース4.1、4.2、4.3を備える。本例では、トークンベース4.1、4.2、4.3は、たとえばRFIDタグ(図1には示されていない)であり得る一意識別子を備える。
【0092】
配置可能なトークン7は、ハウジング10の外側に、たとえば、本質的に矩形のハウジング10の本質的に滑らかな上面に形成された台座16.1、16.2、16.3上に配置することができる。
【0093】
台座16.1、16.2、16.3は、ジェネリックタイプのものである、すなわち、配置可能なトークン7のベースのいずれ1つを受けるように構成されるか、又は配置可能なトークン7の特定のベース4.1、4.2、4.3と対話することに限定されるかのいずれかであり得る。
【0094】
本例では、台座16.1、16.2、16.3は、配置可能なトークン7のいずれか1つを受けるように構成され、配置可能なトークン7は任意の順序で配置することができる。
【0095】
ハウジング10は、電子構成要素を収容するハウジング内部10.1を画定する。ハウジング10は、本発明のトイセットにポータブル機能を与えるなどのために、好ましくは、子供が容易に持ち運ぶことが可能である形態及び形状のものである。ハウジング10は、熱可塑性材料を射出成形することによって、又は、より高品質の体験を与えることができる、アルミニウム及び/又はステンレス鋼など、他の好適に形成される材料によって形成することができる。これらの材料は、たとえば深絞り(deep drawing)によって形成可能である。ハウジング10は、複数の部品と、材料の組合せとから構築することができる。
【0096】
ハウジング10のための好適なサイズは、辺長5~30cmの間、及び高さ2~20cmの間に及び得る。本形態は、例示目的のみのために本質的に矩形の形状として示されている。ハウジング10は、たとえば、顧客うけをさらに高めるために、当業者の裁量で、ハンドルと、ボタンと、グリップエリアとをさらに備えることができる。
【0097】
電子構成要素は感知ユニット11を備え、感知ユニット11は、本例では、有効範囲内の配置可能なトークン7の一意識別子を起動し、及び/又はそのような一意識別子の存在を検出するために、それぞれ前記有効範囲内でNFC走査を実行することが可能な、複数のセンサ11.1、11.2、11.3からなる。
【0098】
本例では、センサ11.1、11.2、11.3は、電磁信号を送信し、配置可能なトークン内のパッシブRFIDタグからの認証返答を受信する、アクティブリーダー、すなわち、パッシブタグシステムベースのリーダーである。もちろん、配置可能なトークン7のためのタグは、当業者の裁量に応じて、具体的な特定の適用例のためのアクティブタグでもあり得る。
【0099】
所望の機能に応じて、当業者が好適なRFIDタグを選定することができる。好適で容易に利用可能なタグは、最大読取り距離が最高8.4mの、動作周波数FCC(902~928MHz)、ETSI(865~868MHz)に基づき得る。好適なタグは、プラスチック、金属、ボール紙、木材に適用可能であることが好ましい。たいていのタグは、ポリエステルコーティングセルなど、セルにカプセル化されており、重さが0.1~1gの間である。好適なタグはまた、プロトコルISO/IEC18000-6規格への準拠に基づいて選定することができる。
【0100】
本発明とともに使用するために容易に構成可能である他の好適なタグ及びリーダーシステムは、それぞれ13.56MHz HF及び840~960MHz UHFの周波数で動作するST25 NFC/RFIDタグ&リーダーである。
【0101】
本例は、100~200kHzの間の周波数で作動するように意図されている。
【0102】
センサ11.1、11.2、11.3の各々は、特定の台座16.1、16.2、16.3の近傍の配置可能なトークンの存在を検出するために、前記台座をカバーするように構成される。もちろん、すべての台座を一緒にカバーするために単一のRFIDリーダーを使用することもできる。あらゆる配置可能なトークン7は、一意のコードをもつRFIDタグによる一意識別子を有するので、いくつかの配置可能なトークン7の存在を検出するには1つのセンサのみで十分であり得る。
【0103】
制御ユニット12は、感知されたデータを受信し、メモリユニット14にアクセスするためのプロセッサとして働き、Wi-Fiモジュール13よってワイヤレスインターネット接続を確立し、及び/又は出力ワイヤA出力ユニット15の生成を駆動する。
【0104】
本例は、Wi-Fi接続を確立することができるデバイスとして示されている。Wi-Fi接続は、たとえば、コンテンツ配信ネットワークと接続するために使用することができ、配置可能なトークン7の特定の一意識別子の感知は、トイセットにオーディオファイル再生をストリーミングするなどのために、特定のストリーミングチャネルを復号するために使用することができる。
【0105】
本例では、Wi-Fi接続は、いくつかのトラックをデバイス上にダウンロードし、本例ではフラッシュメモリユニットの形態を取るメモリユニット14にそれらのトラックを記憶するために使用することもできる。トイセットには、もちろん、たとえばSDカードなど、取外し可能な追加の又は代替のメモリユニットを装備することができ、また、対応するリーダーを装備することができる。Wi-Fiモジュールの代替又は追加として、さらなるデバイスとのBluetooth通信をも可能にするために、トイセットのメインボードにBluetooth通信プロトコル対応チップを組み込むことができる。特に好ましい実施形態では、トイセットは、DS、HS、UHS-I及びUHS-IIの好適な標準カードインターフェースなど、複数のSDカードタイプを受けるように構成されたSDバスを備える。
【0106】
1つの具体例は、トイセットについてのシステム設定、ダウンロード、又はペアレントコントロールへのアクセスを可能にするために、スマートフォンなど、計算デバイスとの接続を実装することができる。
【0107】
本発明のトイセットの基本的な作動原理は図2のダイアグラムによって示されている。感知ユニットは、連続的に、又は予め定められた設定された頻度でのいずれかで、有効範囲の感知を実行する。配置可能なトークン、又は一意識別子が有効範囲内で感知されない場合、一意識別子が感知されるまで、感知は繰り返され、それ以外のことは何も行われない。
【0108】
代替的に、又は追加として、配置可能なトークンが検出されない場合、デバイスはプロンプトを実行することができる。プロンプトは、配置可能なトークンのセットのうちのいずれか1つ又は特定の1つを配置エリアに配置するようにユーザに促す、オーディオ出力の形態を取ることができる。
【0109】
本基本的な例については、感知がただ繰り返される。配置可能なトークンが検出され、感知が肯定的である場合、#トークンは一意識別子によって識別される。一意識別子は、次いで、コントローラによって特定の#トラックインデックス番号と一致させられる。特定の#トラックインデックス番号が識別されると、そのトラックインデックス番号から始まるその特定のトラックの再生が開始される。
【0110】
図3は、本発明によるトイセットの外観の概略表現である。トイセットは、図1を用いてすでに説明した電子構成要素を格納することができるハウジング10を備える。
【0111】
ハウジング10は、配置エリア18として働く、上部の平坦なエリア中に凹部を有し、そこでは、事前形成された台座16.1、16.2、16.3上にいくつかのトークンを配置することができる。
【0112】
配置可能なトークンは、それぞれ、配置可能なトークンの役柄1、2、3を有する。配置エリア18は、すべての配置可能なトークンがハウジング10内のセンサのうちの少なくとも1つの有効範囲中に配置されることを保証するなどのように構成される。
【0113】
ハウジング10は、本質的に滑らかな表面を有し、滑らかな表面上でのデバイスの滑りを防ぐなどのために、ゴム構成要素を有することができる複数のスタンド20の上に載っている。ハウジング10の前部は、ディスプレイ19と、USBコネクタ21とを備える。USBコネクタは、当業者の裁量で、USB1.1~2.0又はさらには3.0のうちのいずれか1つのタイプのものであり得る。
【0114】
ディスプレイ19は、設定若しくはメニューのいずれかを示すように構成されるか、又はさらには、トイセットによって語られる際にビデオシーケンスを示すか若しくはテキストを出力することによって追加の出力を与えるように構成され得る、LCDディスプレイである。特定の例では、しかしながら、ディスプレイはタッチスクリーンであり得、デバイスの対話性をさらに高め得る。
【0115】
本発明のトイセットの特定の実施形態では、ディスプレイは、配置エリア中の役柄のいずれか1つのためにいくつかのダイアログオプションを与えるように構成されたタッチスクリーンである。ユーザは、いくつかの予め定められたダイアログオプションから選択することができ、それらのダイアログオプションは次いでトイセットからのオーディオ出力によって特定の出力を生じる。
【0116】
図4は、空飛ぶユニコーンの役柄の配置可能なトークン7の詳細図である。この配置可能なトークン7は、フィギュアの役柄を表すトークン本体6を有する。トークン本体6は、プラスチックから製造することができ、人形としての配置可能なトークン7の魅力をさらに高めるように好適に塗装され得る。本発明の特定の例では、トークン本体6はカスタマイズ可能であり得る。現代の3D印刷オンデマンドサービスを用いると、ユーザが完全カスタムメイドのトークン本体6を個々に作成し、注文することができる。トークン本体6は、ユーザが、本質的に完全にカスタマイズ可能である物語のためのキャストのユーザ自身のセットを作成することを可能にするなどのために、特定のベースに結合可能にさせることができ、また、一意識別子に帰属させることができる。さらに、知られているキャラクターのフランチャイズ化を使用し、人気のあるフランチャイズキャラクターのユーザ認識を高める形でトークン本体6を作り上げてもらうことが可能である。
【0117】
空飛ぶユニコーンのトークン本体6の本例は、内部にパッシブRFIDタグ5を収容するベース4上に配置される。
【0118】
図5は、いくつかの役柄がトイセットのハウジング上に配置された際に、それらのいくつかの役柄の識別に基づいて複数の役柄を伴う劇を本発明のトイセットがどのように物語ることができるかを概略的に示す。
【0119】
トラックインデックス97においてトラック番号1の出力を開始し、物語られるテキストAを話すことによって、配置可能なトークンの第1の役柄1が有効範囲中で検出されると、ナレーターオーディオ出力40の形態のナレーションが始まる。その物語られるテキストAが語られている間又は語られた後に、配置可能なトークンの第2の役柄2が感知ユニットの有効範囲中で検出された場合、次のトラックインデックス101が制御ユニットによって選択され、ナレーター40は、トラック番号2及びそれぞれのトラックインデックス101上の、配置可能なトークンの第2の役柄2によって決定されたテキストを話すことから始める。
【0120】
その語りの間に、第2の役柄2を表す配置可能なトークンが取り外された場合、制御ユニットは、依然として存在している配置可能なトークンの第1の役柄1のトラック番号1上のトラックインデックス103を継続する。第3の物語られるテキストCが次いでナレーター40によって物語られる。配置可能なトークンの第3の役柄3が検出された場合、ナレーター40は、トラック番号3上にあり、トラックのトラックインデックス108によって識別される、第4の物語られるテキストDを物語ることを継続する。
【0121】
したがって、ストーリーの進行は、常に、特定の配置可能なトークンの存在を反映し、また、進行並びにキャラクターを考慮に入れる続きを選定することによって進行自体を反映する。
【0122】
図6aは、『ピュラモスとティスベ』のよく知られている舞台の幕を実行するように構成された、本発明によるトイセットの具体的な特定の例を示す。トイセットは、舞台のように見えるように設計され、ハウジング10は、合計4つの台座16.1、16.2、16.3、16.4がそこに形成される、配置エリア18をもつ凹部を有する。台座上には、特定のキャラクターが演じているか又は話しているときに照明するように構成され得るLEDライト17.1、17.2、17.3、17.4が形成される。トイセットは、古典的な劇場のラウドスピーカーとして形成されたラウドスピーカー23を有する舞台22のフレームを有する。本例では、舞台22のフレームは、たぶんハウジング10中の第1の感知ユニットに加えて、感知ユニット11を保持するように構成される。感知ユニット11は、特にアンテナの形態の、有効範囲中でのタグとのNFC通信が可能な第1のセンサ11.1を備える。
【0123】
キャラクターのキャストは図6bに示されている。もちろん、キャラクターの個々のキャストセットは交換することが可能であり、トイセットが、4つ以上の台座で構成されたハウジングを有していたとしても、特定のキャストは、より少ない又はより多いキャラクターからなることができる。本例では、『ピュラモスとティスベ』の上演は、4つのキャラクターの配置可能なトークンセット、すなわち、『ライオン役』の配置可能なトークン7.1、『ピュラモス役』の配置可能なトークン7.2、『ティスベ役』の配置可能なトークン7.3及び『壁役』の配置可能なトークン7.4を備える。
【0124】
図7aでは、本発明のトイセットとともに使用可能な配置可能なトークン7のさらなる実施形態が、図6bに例示的に示された『ピュラモスとティスベ』のセットの『ライオン役』の配置可能なトークンの前の例によって示されている。
【0125】
この配置可能なトークンは、ライオンに見えるように作られた『ライオン役』のトークン本体33を有する。トークン本体33は、内部にアンテナ32をもつ高度なRFIDタグを格納するベースハウジング31から形成された第1のベース4.1の上に載っている。本実施形態では、ライオンの目はLEDライト34である。これらのライトは、第1のベース4.1中のRFIDタグの誘導結合によって電力供給することができ、また、現在アクティブであるか、話しているか、又はさもなければトイセットの特定の出力に関連がある特定の役柄のインジケータとして働くことができる。代替的に、又は追加として、ベースハウジング31はトークンバッテリー41を備える。
【0126】
ベースハウジング31はトークンマイクロコントローラ42をさらに備える。本例では、トークンマイクロコントローラ41はトークンメモリユニット43にアクセスすることができる。代替的に、又は追加として、トークンマイクロコントローラ42は、トイセットのハウジング内のメモリユニット(図7aには示されていない。参照の目的で図1の参照番号14を参照されたい)にアクセスするように構成することができる。この実施形態とともに使用するためのトークンバッテリー41は、交換可能及び/又は充電可能であるように構成することができる。後者の目的で、トークンにはUSBポート、たとえばマイクロUSBポート(図示せず)を装備することができる。図7bは、ベース4.1からライオンの目の中のLEDライト34までの電気接続35がどのように形成されるかを示す。
【0127】
図8aは、本発明の例示的な実施形態による対話型トイセット200を示す。トイセット200は、例示の目的で2つの配置可能なトークン7を備える。配置可能なトークンは、配置可能なトークンの第1の役柄1である城と、配置可能なトークンの第2の役柄2である騎士とを反映する画像を伴う木製のブロックである。実際には、トイセット200は、ユーザが直接アクセス可能な第1の物語を与える配置可能なトークン7のスターティングセットが装備された状態で来ることがある。本例では、トイセットは、センサ、制御ユニット、電源など(図示せず)、電子構成要素を収納するための、配置可能なトークン7をその上に配置することができるハウジングと、配置エリア18とを備える。
【0128】
各トークンはRFIDタグと一意識別子とを有する。
【0129】
本例では、ユーザ(又はユーザの親)は、ユーザ識別番号にマッピングされるアカウントを作成している。このユーザ識別番号を用いると、配置可能なトークンのさらなるキャストを購入し、それぞれの物語をアンロックすることができる。ユーザ識別番号は、たとえば、トイセット200の制御ユニットが物語のリポジトリ、たとえばデータベースにアクセスし、それぞれの配置可能なトークン7のためのアンロックされたコンテンツを取り出すことを可能にするために使用することができる。本例では、2つの役柄、城1と騎士2とを伴うトラックが取り出される。トラックは、トイセットのメモリユニット中に伝達されるか、又はトイセットに直接ストリーミングされ、また、インデックス付けされるWAVファイルフォーマットを有し、トラックは、城1のための少なくとも1つの第1のトラックインデックスと、騎士2のための第2のトラックインデックスとを有する。得られた物語は、城が導入される、騎士が導入される(配置可能なトークンの各々が単独で配置エリア上にある)、騎士が城内にいる(両方のトークンが配置エリア上にある)、騎士が冒険に出かける(城が配置エリアから取り外される)、及び騎士が帰還する(両方のトークンが配置エリア上にある)シーンを組み込むことができる。2つのトークンのみを用いたこの基本的な例は、すでに、多数の可能な組合せと高度に対話型の物語とを与えている。
【0130】
図8bの助けを借りて、さらなる有利な例を示す。トイセット200は、この場合も、例示の目的で2つの配置可能なトークン7を備える。配置可能なトークンは、図8aに類似して、配置可能なトークンの第1の役柄1である良い魔女と、配置可能なトークンの第2の役柄2であるマジックハットとを反映する画像を伴う木製のブロックである。
【0131】
さらなるオプションとして、たとえばトイセット200のマイクロフォンを使用することによって、ユーザがカスタムメイドの役柄を作ることができる。ユーザは、たとえば、ユーザがカスタムメイドの物語中にあることを望む図面又は図のプリント又はステッカーを注文することによって、カスタムメイドの配置可能なトークンを製作し、これらのプリント又はステッカーを何も描かれていない配置可能なトークンに貼り付けることができる。記録されたトラックを特定の配置可能なトークンに帰属させることによって、前記トークンを配置すると、記録が出力されるようにすることができる。
【0132】
トイセットハウジング10は、舞台22を受けるように構成された舞台スリーブ36を有する。舞台自体は、ボール紙から製造され、配置可能なトークンのキャストの一部になり、以て物語のための適切な背景を設定することができる。本例では、舞台22は、RFIDタグを装備し、それにより、ナレーターの音声としてストーリーを語ることによって物語を始める。ナレーターは、特定の配置可能なトークン、又はトークンの組合せの配置を要求することなど、いくつかの行為をプロンプトすることによって演じることもできる。
【0133】
図8aの例から逸脱して、図8bの配置可能なトークンのキャストを拡張、又は独立した物語として注文することができる。ユーザアカウントは、本例では2つの配置可能なトークン7と舞台22とをオンラインで備えるキャストを購入するために使用することができる。さらなるカスタマイゼーションオプションとして、記憶された及び/又はさもなければデジタル配信システムに預けられた音声サンプルに基づいて生成される合成された音声など、ストーリーを語るために特定のカスタム音声を選定することができる。
【0134】
たとえば、ユーザ(子供)の祖父は、示されている物語と、配置可能なトークンのキャストとを子供のための贈り物として購入することを選択することができる。祖父は、第2のデータベース(図示せず)に音声サンプルを預けることができる。第2の計算デバイスは、ディープラーニングアルゴリズムにアクセスするように構成することができ、祖父の音声サンプルに基づいて音声を合成する。祖父は、たとえばナレーターになることを選び、それにより子供を物語の冒険にいざなうことができる。
【0135】
この実施形態を用いると、高度に対話型のトイセットだけでなく、極めて個人的な思い出の品を作成することが可能になる。
【0136】
音声サンプルは、第2のデータベースに無期限に記憶することができ、それにより、祖父が亡くなってからずっと後でも、ユーザ(子供)は、祖父の合成された音声によって物語られる物語にアクセスし、注文することが可能になる。
【0137】
本発明によれば、高度の対話性と、デジタルメディアコンテンツに関するほとんど無限数のカスタマイゼーションオプションとを有する、上記導入部で説明したトイセットが提供される。
【符号の説明】
【0138】
1 配置可能なトークンの第1の役柄
2 配置可能なトークンの第2の役柄
3 配置可能なトークンの第3の役柄
4.1 第1のベース
4.2 第2のベース
4.3 第3のベース
5 RFIDタグ
6 トークン本体
7 配置可能なトークン
7.1 「ライオン役」の配置可能なトークン
7.2 「ピュラモス役」の配置可能なトークン
7.3 「ティスベ役」の配置可能なトークン
7.4 「壁役」の配置可能なトークン
10 ハウジング
10.1 ハウジング内部
11 感知ユニット
11.1 第1のセンサ
11.2 第2のセンサ
11.3 第3のセンサ
12 制御ユニット
13 WiFiモジュール
14 メモリユニット
15 出力ユニット
16.1 第1の台座
16.2 第2の台座
16.3 第3の台座
16.4 第4の台座
17.1 第1の台座の照明
17.2 第2の台座の照明
17.3 第3の台座の照明
17.4 第4の台座の照明
18 配置エリア
19 ディスプレイ
20 スタンド
21 USBコネクタ
22 舞台
23 ラウドスピーカー
31 ベースハウジング
32 アンテナ
33 「ライオン役」のトークン本体
34 LEDライト
35 電気接続
36 舞台スリーブ
40 ナレーター
41 トークンバッテリー
42 トークンマイクロコントローラ
43 トークンメモリユニット
97~111 トラックインデックス
97 第1の役柄のトラック開始
98 第2の役柄のトラック開始
99 第3の役柄のトラック開始
200 トイセット
A 第1の語られるテキスト
B 第2の語られるテキスト
C 第3の語られるテキスト
D 第4の語られるテキスト
図1
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図7a
図7b
図8a
図8b
【国際調査報告】