(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-22
(54)【発明の名称】連続分析物モニタリングデバイス用の可撓性回路基板
(51)【国際特許分類】
A61B 5/1473 20060101AFI20240115BHJP
A61B 5/1486 20060101ALI20240115BHJP
【FI】
A61B5/1473
A61B5/1486
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023539118
(86)(22)【出願日】2021-12-28
(85)【翻訳文提出日】2023-06-26
(86)【国際出願番号】 EP2021087700
(87)【国際公開番号】W WO2022144342
(87)【国際公開日】2022-07-07
(32)【優先日】2020-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516106184
【氏名又は名称】アセンシア・ダイアベティス・ケア・ホールディングス・アーゲー
【氏名又は名称原語表記】Ascensia Diabetes Care Holdings AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】リ,ジ
(72)【発明者】
【氏名】ゴフマン,イゴール・ワイ
(72)【発明者】
【氏名】アヴィロヴィケ,ドラガン
(72)【発明者】
【氏名】メイヤー,トーマス・エー・ジェイ,ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】ヤング,キャメロン・エム
(72)【発明者】
【氏名】エレコヴカンスキー,ニコラス
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038KK10
4C038KL01
4C038KL09
4C038KX02
4C038KY13
(57)【要約】
連続分析物モニタリング(CAM)デバイス用の可撓性回路基板は、各々がその上に回路を有する複数の物理的に別個の回路基板セルを含む。可撓性回路基板はまた、各々が物理的に別個の回路基板セルのうちの1つを物理的に別個の回路基板セルのうちの別のものに接続する複数の可撓性相互接続部を含む。可撓性相互接続部の各々は、それに接続された物理的に別個の回路基板セルに電力、電気信号、又は両方を結合するように動作可能である。可撓性回路基板は、三次元で複数方向に屈曲可能である。他の態様と同様に、CAMデバイス用の可撓性回路基板を構築する方法も提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続分析物モニタリング(CAM)デバイス用の可撓性回路基板であって、
各々がその上に回路を有する複数の物理的に別個の回路基板セルと、
各々が前記複数の物理的に別個の回路基板セルのうちの1つを前記複数の物理的に別個の回路基板セルのうちの別のものに接続する複数の可撓性相互接続部であって、前記複数の可撓性相互接続部の各々は、それに接続された物理的に別個の回路基板セルに電力、電気信号、又は両方を結合するように動作可能である、複数の可撓性相互接続部と、を備え、
前記可撓性回路基板は三次元で複数方向に屈曲可能である、可撓性回路基板。
【請求項2】
前記複数の物理的に別個の回路基板セルのうちの少なくとも1つが3つの信号層を備え、前記3つの信号層のうちの2つが前記複数の可撓性相互接続部のうちの1つと一体的に形成されている、請求項1に記載の可撓性回路基板。
【請求項3】
前記複数の物理的に別個の回路基板セルのうちの少なくとも1つが格子状接地面を備える、請求項1に記載の可撓性回路基板。
【請求項4】
前記複数の可撓性相互接続部のうちの1つが、その上に作製された回路と、前記回路を支持するためにそれに適用された防撓材とを備える、請求項1に記載の可撓性回路基板。
【請求項5】
前記複数の物理的に別個の回路基板セルのうちの1つがCAMセンサ回路を備える、請求項1に記載の可撓性回路基板。
【請求項6】
前記複数の物理的に別個の回路基板セルのうちの1つが無線通信回路を備える、請求項1に記載の可撓性回路基板。
【請求項7】
前記複数の物理的に別個の回路基板セルのうちの1つが電源回路及び電源を備える、請求項1に記載の可撓性回路基板。
【請求項8】
前記複数の物理的に別個の回路基板セルのうちの1つが相互接続回路を備える、請求項1に記載の可撓性回路基板。
【請求項9】
前記CAMデバイスは連続グルコースモニタリングデバイスである、請求項1に記載の可撓性回路基板。
【請求項10】
連続分析物モニタリング(CAM)デバイスであって、
請求項1に記載の可撓性回路基板と、
ユーザの皮膚表面に着装されるように構成されたハウジングであって、請求項1に記載の可撓性回路基板を封入する、ハウジングと、を備え、
前記CAMデバイスは前記皮膚表面から測定して約2.5mmの高さを有する、連続分析物モニタリング(CAM)デバイス。
【請求項11】
連続分析物モニタリング(CAM)デバイス用の可撓性回路基板を構築する方法であって、
各々がその上に回路を有する複数の物理的に別個の回路基板セルを提供することと、
前記複数の物理的に別個の回路基板セルの各々を前記複数の物理的に別個の回路基板セルのうちの別のものに、前記複数の物理的に別個の回路基板セルのうちの前記各々及び前記別のものに電力、電気信号、又は両方を結合するように動作可能なそれぞれの可撓性相互接続部を用いて相互接続することと、を含む、方法。
【請求項12】
ユーザの皮膚表面に着装されるように構成されたハウジング内に、前記それぞれの可撓性相互接続部を用いて前記複数の物理的に別個の回路基板セルのうちの別のものに各々が相互接続された、前記複数の物理的に別個の複数の回路基板セルを封入することを更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記複数の物理的に別個の回路基板セルのうちの少なくとも1つを、3つの信号層を備えるように構築することを更に含み、前記3つの信号層のうちの2つが、前記それぞれの可撓性相互接続部のうちの1つと一体的に形成される、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記複数の物理的に別個の回路基板セルのうちの少なくとも1つに格子状接地面を設けることを更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記それぞれの可撓性相互接続部のうちの1つに回路を作製することと、前記回路を支持するための防撓材を適用することと、を更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記複数の物理的に別個の回路基板セルのうちの1つにCAMセンサ回路を作製することを更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記複数の物理的に別個の回路基板セルのうちの1つに無線通信回路を作製することを更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記複数の物理的に別個の回路基板セルのうちの1つに電源回路及び電源を作製することを更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記複数の物理的に別個の回路基板セルのうちの1つに相互接続回路を作製することを更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
前記CAMデバイスは、約2.5mmの高さを有する連続グルコースモニタリングデバイスである、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
これは、2020年12月28日に出願された米国仮特許出願第63/131,273号の利益を主張するものであり、その開示は、あらゆる目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、連続分析物モニタリングデバイス用の可撓性回路基板に関する。
【背景技術】
【0003】
連続グルコースモニタリング(CGM)などの連続分析物モニタリング(CAM)は、特に糖尿病の個人のための日常モニタリング作業となっている。リアルタイムの分析物(例えば、グルコース)読み取り値を提供することによって、治療行為がよりタイムリーな方法で行なわれ得、CGMの場合には、グルコース状態がより良好に制御され得る。CAMデバイスのセンサは、典型的には、ユーザに皮下挿入され、一方、CAMデバイスは、腹部又は上腕の後ろ側などのユーザの皮膚の外側表面に付着される。CAMデバイスは、センサがCAMデバイスの無線送信機に信号を提供することで連続的に動作する。信号は、ユーザの分析物(例えば、グルコース)レベルを示す。ハンドヘルド型CAM受信機(例えば、スマートフォン)が、CAMデバイスから受信した信号を処理し、分析物読み取り値を表示し得る。グルコース読み取り値は、1日を通して何度も(例えば、数分ごとに、又は何らかの他の事前決定された時間間隔で)自動的に提供され得る。
【0004】
CAMデバイスは、可撓性基板上に作製された電子回路及び電子部品(以下、「回路」と称する)のアセンブリである可撓性回路基板を含み得る。可撓性回路基板は、CAMデバイスがユーザの皮膚表面に適合し、理想的には、ユーザが動き回る間、皮膚表面に適合することを可能にすることが意図される。しかしながら、可撓性の程度及び/又は周知の可撓性回路基板が屈曲することができる方向は限定される場合があり、したがって、着用の快適性、及びユーザの皮膚表面への、かつその上での、CAMデバイスの付着性に悪影響を及ぼす。
【0005】
したがって、CAMデバイスのための改善された可撓性回路基板が望まれる。
【発明の概要】
【0006】
いくつかの実施形態では、各々がその上に回路を有する複数の物理的に別個の回路基板セルを含む、連続分析物モニタリング(CAM)デバイス用の可撓性回路基板が提供される。可撓性回路基板はまた、各々が複数の物理的に別個の回路基板セルのうちの1つを複数の物理的に別個の回路基板セルのうちの別のものに接続する、複数の可撓性相互接続部も含む。複数の可撓性相互接続部の各々は、そこに接続された物理的に別個の回路基板セルに電力、電気信号、又は両方を結合するように動作可能である。可撓性回路基板は、三次元で複数方向に屈曲可能である。
【0007】
いくつかの実施形態では、連続分析物モニタリング(CAM)デバイス用の可撓性回路基板を構築する方法が提供される。方法は、各々がその上に回路を有する複数の物理的に別個の回路基板セルを提供することと、複数の物理的に別個の回路基板セルの各々を複数の物理的に別個の回路基板セルのうちの別のものに、複数の物理的に別個の回路基板セルの各々及び別のものに電力、電気信号,又は両方を結合するように動作可能なそれぞれの可撓性相互接続部を用いて相互接続することと、を含む。
【0008】
本開示の更に他の態様、特徴、及び利点は、本発明を実施するために企図される最良のモードを含む、いくつかの例示的な実施形態及び実装態様の以下の詳細な説明及び例解から容易に明らかとなり得る。本開示は、発明の範囲からまったく逸脱することなく、他の異なる実施形態を可能にし得、そのいくつかの詳細は、様々な点で改変され得る。例えば、以下の説明はCAM及びCGMデバイスに関するが、以下に説明される可撓性回路基板は、増大した可撓性を有する回路基板から利益を得る他の電子デバイス、特に小型のユーザウェアラブル電子デバイスに容易に適合され得る。本開示は、添付の特許請求の範囲内の全ての修正物、等価物、及び代替物を包含することが意図される(以下を更に参照されたい)。
【図面の簡単な説明】
【0009】
以下に説明される図面は、例解目的のためのものであり、必ずしも縮尺通りに描かれていない。したがって、図面及び説明は、本質的に例解とみなされるべきであり、限定とみなされるべきではない。
図面は、本発明の範囲をいかなる方法でも限定することを意図しない。
【
図1】本明細書で提供される実施形態によるセンサ回路及び無線通信回路を含む連続グルコースモニタリング(CGM)デバイスの側面図を示す。
【
図2A】本明細書で提供される実施形態による可撓性回路基板構成の(上部)側面図を示す。
【
図2B】本明細書で提供される実施形態による可撓性回路基板構成の平面図を示す。
【
図3】本明細書で提供される実施形態による別の可撓性回路基板構成の斜視図を示す。
【
図4A】本明細書で提供される実施形態による可撓性回路基板部品の層積層体の側断面図を示す。
【
図4B】本明細書で提供される実施形態による可撓性回路基板部品の層積層体の側断面図を示す。
【
図4C】本明細書で提供される実施形態による可撓性回路基板部品の層積層体の側断面図を示す。
【
図5】本明細書で提供される実施形態による、可撓性回路基板の格子状接地面の平面図を図示し、
図5Aは、
図5の格子状接地面の拡大部分を示す。
【
図6A】本明細書で提供される実施形態による、屈曲状態にある可撓性回路基板を有する連続分析物モニタリング(CAM)デバイスの斜視図を示す。
【
図6B】本明細書で提供される実施形態による、X軸次元について屈曲状態にある可撓性回路基板を有する連続分析物モニタリング(CAM)デバイスの斜視図を示す。
【
図6C】本明細書で提供される実施形態による、Y軸次元について屈曲状態にある可撓性回路基板を有する連続分析物モニタリング(CAM)デバイスの斜視図を示す。
【
図7】本明細書で提供される実施形態による可撓性回路基板を構築する方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書に記載の実施形態は、ユーザの体(例えば、腹部、上腕、又は他の好適な位置)に快適に着用及び着装されることができる連続分析物モニタリング(CAM)デバイスを提供する。CAMデバイスは、分析物モニタリングを実行するプリント回路及び個々の電子部品(以下、集合的に「回路」と称する。)の形態であり得る、電子回路及び電子部品のアセンブリを含む。CAM回路は、高度に可撓性の回路基板上に作製されている。高度に可撓性の回路基板は、有利なことに、複数の方向でCAMデバイスの改善された可撓性を提供する可撓性相互接続部を用いて相互接続された、小さい、相対的に物理的に独立した回路基板セルに区分けされており、したがって、ユーザに着用されている間のCAMデバイスの快適性を改善する。
【0011】
有利なことに、高度に可撓性の回路基板を用いて構築されたCAMデバイスは、デバイスの配向に関係なく、ユーザの体に着装することができる。すなわち、高度に可撓性の回路基板によって提供されるCAMデバイスの全方向性の可撓性により、CAMデバイスをユーザの体に対して位置決めして着装するときに、皮膚の任意の特定の輪郭に従う必要性がなくなる。
【0012】
各回路基板セルは、その上に作製された回路を有する。回路基板セルは、可撓性相互接続部を用いて互いに相互接続されている。可撓性相互接続部は、相互接続された回路基板セルに電気信号及び電力を提供するように構成されている。いくつかの実施形態では、可撓性相互接続部はまた、必要な場合には可撓性相互接続部に適用された防撓材によって回路がその上に支持された状態で作製され得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の回路基板セル及び可撓性相互接続部は、高密度相互接続(HDI)部品であり得る。
【0013】
各回路基板セルは、3つの信号層を含み得る超薄層積層体で構築され得る。1つ以上の信号層が、中実導体接地面の代わりに、格子状接地面を有し得る。格子状接地面は、増大した可撓性に更に寄与する。いくつかの実施形態では、層積層体は、わずか約6.5ミル(約0.17mm)の全厚を有し得る。これは、有利なことに、衣類への干渉を低減し、より目立たず、ユーザによる一連の動きを通して全体的な着用快適性を改善し得る、高度に可撓性で超低プロファイルのCAMデバイスをもたらす。
【0014】
1つ以上の実施形態によれば、
図1~
図7に関連して以下でより詳細に説明するように、高度に可撓性の回路基板及びそれらの構築方法、並びにそのような回路基板を含むデバイス及びシステムが本明細書で提供される。
【0015】
図1は、1つ以上の実施形態による、CAMデバイスの一例である、ウェアラブル連続グルコースモニタリング(CGM)デバイス100を示す。示されたように、CGMデバイス100は、ユーザの皮膚102に(接着剤を介して)着装され得る。CGMデバイス、方法、及びシステムは、典型的には、動作中に連続的に電気化学的グルコース信号を生成し、典型的には数分ごとに、生成された信号に基づいてグルコース測定/推定を実行する。つまり、CGMデバイス100は、連続的にモニタリングし、(例えば、5分ごと、又は他の好適な時間間隔で)定期的グルコース読み取り値を提供するように構成されている。CGMデバイス100は、その中にセンサ回路及び無線通信回路(
図1にはどちらも示さず)を封入し得るハウジング104を含み得る。ハウジング104は、可撓性ベース106と、例えば、両面テープ又は感圧性接着剤であり得る接着剤層108とを含み得る。接着剤層108の一方の側は可撓性ベース106に付着し得、一方、接着剤層108の他方の側はユーザの皮膚表面102Sに付着し得る。部分的ドーム形状として示されているが、ハウジング104は、他の好適な形状であってもよい。
【0016】
CGMデバイス100のセンサ回路は、センサ110を含み得、センサ110の一部分は、ユーザの皮膚102を貫いて挿入されて示されている。センサ110は、センサ回路から可撓性ベース106を貫いて延在し得、ユーザの皮下領域内の間質液中に少なくとも部分的に位置するように構成され得る。センサ110は、センサ先端部110T又はその付近などにある、分析物センサ若しくは分析物センサ部分であってもよいし、又はそれらを含んでもよい。センサ110は、ユーザの皮下領域内にセンサ110を導入するために皮膚に穿刺する鋭利なニードル又は「導入器」を有する挿入デバイス(図示せず)を用いて挿入され得る。
【0017】
CGMデバイス100の無線通信回路は、センサ回路及び1つ以上の外部デバイス(例えば、ハンドヘルド型CGM受信機、又は好適なCGMアプリケーションソフトウェアプログラムを実行するスマートフォンなどの他の携帯デバイス)と通信してグルコース測定信号及び/又は測定結果を提供する1つ以上の電子部品を含み得る。
【0018】
図2A及び
図2Bは、1つ以上の実施形態による、例えば、CGM100のセンサ回路及び無線通信回路を含むように作製され得る、高度に可撓性の回路基板構成200を示す。代わりに、他の回路がその上に作製されてもよい。可撓性回路基板構成200は、回路基板セル202、204、及び206並びに可撓性相互接続部203及び205を含み得る。回路基板セル202は、可撓性相互接続部203を介して回路基板セル204に相互接続され、回路基板セル204は、可撓性相互接続部205を介して回路基板セル206に相互接続されている。可撓性相互接続部203は、回路基板セル202と回路基板セル204との間で電気信号及び電力を接続するように構成され、可撓性相互接続部205は、回路基板セル204と回路基板セル206との間で電気信号及び電力を接続するように構成されている。示されたように、回路基板セル202、204、及び206並びに可撓性相互接続部203及び205は、いかなる特定のサイズ又はいかなる特定の形状にも限定されない。他の実施形態では、可撓性回路基板構成200は、他の数の回路基板セル及び可撓性相互接続部を有し得る。
【0019】
可撓性相互接続部203及び205は、各々、可撓性回路基板製造プロセス中、回路基板セル202、204、及び206に、(任意の好適な方法で)固定的にかつ/又は永久的に着装され、かつ/又はそれらと一体的に形成される。可撓性相互接続部203及び205は、より大型の電子デバイスにおいてプリント基板を接続するために一般的に使用されるように取り外し可能及び再接続可能であるように構成された着脱可能なコネクタではない。
【0020】
いくつかの実施形態では、例えば、可撓性相互接続部203などの可撓性相互接続部は、その上に作製された回路207を有し得、回路207は、可撓性相互接続部203に適用される防撓材208によって支持され得る。防撓材208は、回路207が作製される側とは反対側の可撓性相互接続部203の側に適用され得る。
【0021】
回路基板セル202、204、及び206並びに/又は可撓性相互接続部203及び205のうちの1つ以上を構築するために使用され得る材料及び層積層体を、
図4A~
図4Cに関連して以下に説明する。
【0022】
図3は、1つ以上の実施形態による、例えば、CGM100のセンサ回路及び無線通信回路を含むように作製され得る、別の高度に可撓性の回路基板構成300を示す。代わりに、他の回路がその上に作製されてもよい。可撓性回路基板300は、回路基板セル302、304、306、及び308並びに可撓性相互接続部303、305、307、及び309を含み得る。示されたように、回路基板セル302は、可撓性相互接続部303を介して回路基板セル304に相互接続され、回路基板セル304は、可撓性相互接続部305を介して回路基板セル306に相互接続され、回路基板セル306は、可撓性相互接続部307を介して回路基板セル308に相互接続され、回路基板セル308は、可撓性相互接続部309を介して回路基板セル302に相互接続されている。可撓性相互接続部303は、回路基板セル302と回路基板セル304との間で電気信号及び電力を接続するように構成され、可撓性相互接続部305は、回路基板セル304と回路基板セル306との間で電気信号及び電力を接続するように構成され、可撓性相互接続部307は、回路基板セル306と回路基板セル308との間で電気信号及び電力を接続するように構成され、可撓性相互接続部309は、回路基板セル308と回路基板セル302との間で電気信号及び電力を接続するように構成されている。
【0023】
可撓性相互接続部303、305、307、及び309は、各々、可撓性回路基板製造プロセス中、回路基板セル302、304、306、及び308に、(任意の好適な方法で)固定的にかつ/又は永久的に着装され、かつ/又はそれらと一体的に形成される。可撓性相互接続部303、305、307、及び309は、より大型の電子デバイスにおいてプリント基板を接続するために一般的に使用されるように取り外し可能及び再接続可能であるように構成された着脱可能なコネクタではない。
【0024】
いくつかの実施形態では、回路基板セル及び可撓性相互接続部上に作製された回路は、CAM(又は特にCGM)を実行するように構成され得、かつ以下のように区分けされ得る:回路基板セル302は、その上に作製されたセンサ回路を有し得、回路基板セル304は、その上に作製された相互接続回路を有し得、回路基板セル306は、その上に作製された電源回路及び電源を有し得、回路基板セル308は、その上に作製された無線通信回路を有し得る。他の好適な回路区分けが実装されてもよい。
【0025】
いくつかの実施形態では、可撓性相互接続部303、305、307、及び/又は309のうちの任意の1つ以上が、その上に作製された回路を有し得、回路は、可撓性相互接続部203に対して
図2A及び
図2Bに示されたように、可撓性相互接続部に適用される防撓材によって支持され得る。
【0026】
可撓性回路基板構成300は、概ね楕円形の形状を形成するように構成及び配置されて示されているが、他の好適な形状が、回路基板セル及び可撓性相互接続部を用いて形成され得、したがって、有利なことに、例えば、独自の又は奇妙な形状のデバイスでのカスタマイズされた使用を可能にする。
【0027】
他の実施形態では、可撓性回路基板構成300は、他の数の回路基板セル及び可撓性相互接続部を有し得る。
【0028】
回路基板セル302、304、306、及び308並びに/又は可撓性相互接続部303、305、307、及び309のうちの1つ以上を構築するために使用され得る材料及び層積層体を、
図4A~
図4Cに関連して以下に説明する。
【0029】
回路基板セル202及び204の間並びに回路基板セル302、304、306、及び308の間の間隔は、有利なことに、
図6A~
図6Cに関連して以下でより詳細に説明するように、二次元平面内の事実上任意の方向で著しく増大した回路基板の可撓性を提供する。
【0030】
更に、セル状回路基板構成は、材料使用量を少なくし得、それは、有利なことに、可撓性回路基板作製コストを削減する。
【0031】
図4A、
図4B、及び
図4Cは、1つ以上の実施形態による、回路基板セル及び/又は可撓性相互接続部を構築するために使用することができる層積層体400A、400B、及び400Cを示す。回路基板及び/若しくは可撓性相互接続部上に作製される回路の密度並びに/又は回路基板セル間に必要とされる信号線の数は、層積層体400A、400B、及び400Cのうちのどれを、回路基板セル及び/又は可撓性相互接続部を構築するために使用するかを決定し得る。
【0032】
図4Aは、層積層体400Aを使用した、回路基板セル402及び404並びに可撓性相互接続部403の構築を示す。層積層体400Aを用いて構築された回路基板セル402は、示されたように配置されたカバー層412及び419、3つの信号層413、416、及び418、剛性層414、接着剤層415、並びにポリイミドコア417を含み得る。層積層体400Aを用いて構築された可撓性相互接続部403は、示されたように配置されたカバー層420及び419、2つの信号層416及び418、並びにポリイミドコア417を含み得る。また、層積層体400Aを用いて構築された回路基板セル404は、示されたように配置されたカバー層422及び419、3つの信号層423、416、及び418、剛性層424、接着剤層425、並びにポリイミドコア417を含み得る。可撓性相互接続部403は、回路基板セル402及び404の一部と一体的に形成されていることに留意されたい。層積層体400Aは、その上に作製された高密度回路を有し得る回路基板セルを構築するために使用され得る。層積層体400Aを用いて構築された回路基板セルは、剛性-屈曲性回路基板セルとみなされ得る。
【0033】
図4Bは、層積層体400Bを使用した回路基板セル406の構築を示す。層積層体400Bを用いて構築された回路基板セル406は、示されたように配置されたカバー層432及び439、3つの信号層433、435、及び438、2つのポリイミドコア434及び437、並びに接着剤層436を含み得る。層積層体400Bは、その上に作製された高密度回路を有さない場合がある回路基板セルを構築するために使用され得る。層積層体400Bを用いて構築された回路基板セルは、屈曲性回路基板セルとみなされ得る。
【0034】
図4Cは、層積層体400Cを使用した回路基板セル及び/又は可撓性相互接続部40Xの構築を示す。層積層体400Cを用いて構築された回路基板セル/可撓性相互接続部40Xは、示されたように配置されたカバー層442、3つの信号層443、445、及び448、2つのポリイミドコア444及び447、接着剤層446、カバー層部分449A及び449B、適切に位置決めされた接着剤層450、並びに適切に位置決めされた防撓材層452を含み得る。接着剤層450及び防撓材層452は、高密度であり得る上記で作製された回路に支持体が提供されるように、層積層体400Cの底部に沿った任意の場所に適切に位置決めされ得る。したがって、層積層体400Cは、高密度回路がその上に作製された部分を有し得るが、回路基板セル又は可撓性相互接続部の残りの部分は、その上に作製された高密度回路を(あるとしても)有さない、回路基板セル及び/又は可撓性相互接続部を構築するために使用され得る。
【0035】
任意の好適な材料を使用して、層積層体400A、400B、及び400Cを構築し得る。例えば、カバー層は、例えば、Kapton(登録商標)などのポリイミド材料であり得る。剛性層及び防撓材層は、剛性ガラス強化エポキシ樹脂ラミネートであるFR4を使用して作製され得る。他の考えられる材料としては、繊維強化ラミネート、UV硬化樹脂、及び熱可塑性プラスチックが挙げられ得る。Kapton(登録商標)を使用して、ポリイミドコアを形成し得る。任意の好適なアクリル接着剤を使用して、接着剤層を形成し得る。また、信号層は、銅を使用して形成され得るが、他の好適な導電性材料が使用されてもよい。
【0036】
いくつかの実施形態では、回路基板セル406は、6.5~7.0ミル(0.165~0.18mm)の範囲の全高又は全厚を有し得る。剛性層又は防撓材層の使用は、回路基板セルの全体又は全厚に追加の6.5~7.0ミル(0.165~0.18mm)を付加し得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の回路基板セル及び可撓性相互接続部を用いて構築されハウジング内に封入されたCAMデバイスの全高は、(例えば、CAMデバイスが着装されたユーザの皮膚表面から垂直に測定したときに)約2.5mm(+/-5%)であり得る。
【0037】
図5は、1つ以上の実施形態による格子状接地面504を有する回路基板セルの信号層502の一部分500を示す。格子状接地面504は、信号線506によって占有されていない領域にわたって延在し得、回路基板セルの各信号層上に存在し得る。格子状接地面504は、銅であり得るが、他の好適な導体材料が代わりに使用されてもよい。格子状接地面504は、
図5Aの拡大図により良く示されるように、メッシュ又はネット状構造を有する。格子状接地面504の開口部は、概ね正方形又は長方形の形状を形成し得る。他の好適な形状が可能であり得る。格子状接地面504は、中実導体接地面によって従来提供されるRF(無線周波数)信号の品質を維持しながら、従来の中実導体接地面と比較して、回路基板セルの可撓性を増大させる。
【0038】
格子状接地面504は、層積層体400A~C(
図4A~
図4C)内、並びに可撓性回路基板構成200(
図2)の任意の1つ以上の回路基板セル及び可撓性相互接続部内、並びに可撓性回路基板構成300(
図3)の任意の1つ以上の回路基板セル及び可撓性相互接続部内の、任意の1つ以上の信号層に使用され得る。
【0039】
図6A、
図6B、及び
図6Cは、1つ以上の実施形態による(例えば、可撓性回路基板構成200又は300を有する)可撓性回路基板を用いて構築されたCAMデバイス602の非屈曲状態及び2つの屈曲状態をそれぞれ示す。特に、
図6Aは、非屈曲状態600AのCAMデバイス602を示す。
図6Bは、屈曲状態600BのCAMデバイス602を示し、CAMデバイス602は、X軸次元に沿った方向の横方向に屈曲している。
図6Cは、屈曲状態600CのCAMデバイス602を示し、CAMデバイス602は、Y軸次元に沿った方向の長手方向に屈曲している。有利なことに、CAMデバイス600は、示されたもの以外の方向で可撓性であり得る。例えば、CAMデバイス600は、三次元(例えば、示されたようなX-Y-Z平面)において任意の方向に可撓性であり得、X軸次元及びY軸次元の両方の横方向及び長手方向の同時の変動屈曲度を有する。
【0040】
図7は、1つ以上の実施形態によるCAMデバイス用の可撓性回路基板を構築する方法700を示す。プロセスブロック702において、方法700は、各々がその上に回路を有する複数の物理的に別個の回路基板セルを提供し得る。例えば、物理的に別個の回路基板セルは、例えば、
図2A及び
図2Bの回路基板セル202、204、及び/若しくは206、又は
図3の回路基板セル302、304、306、及び/若しくは308であり得る。回路基板セル上の回路は、例えば、
図3に示されたように区分けされた、CAMセンサ回路、無線通信回路、電源回路、及び/又は相互接続回路を含み得る。
【0041】
プロセスブロック704において、方法700は、複数の物理的に別個の回路基板セルの各々を複数の物理的に別個の回路基板セルのうちの別のものに、2つの相互接続された回路基板セルに電力、電気信号、又は両方を結合するように動作可能なそれぞれの可撓性相互接続部を用いて相互接続することを含み得る。例えば、
図2A及び
図2B並びに
図3に示されたように、各可撓性相互接続部は、可撓性相互接続部203、205、303、305、307、及び/又は309のうちのいずれか1つであり得る。可撓性相互接続部は、取り外し可能及び再接続可能であるように構成された着脱可能コネクタではなく、代わりに、可撓性相互接続部は、回路基板セルに固定的にかつ/若しくは永久的に着装され、かつ/又はそれらと一体的に形成されて、統合された高度に可撓性の回路基板構成を形成することに留意されたい。
【0042】
いくつかの実施形態では、方法700は、ユーザの皮膚表面に着装されるように構成されたハウジング内に、可撓性相互接続部を用いて複数の物理的に別個の回路基板セルのうちの別のものに各々が相互接続された、複数の物理的に別個の回路基板セルを封入するプロセスブロック(図示せず)を含み得ることに留意されたい。
【0043】
また、いくつかの実施形態では、方法700は、物理的に別個の回路基板セルのうちの少なくとも1つに格子状接地面を設けるプロセスブロック(図示せず)、及び/又は層積層体400A~C(
図4A~
図4C)のうちの1つに従って物理的に別個の回路基板セルのうちの少なくとも1つを構築するプロセスブロック(図示せず)を含み得ることにも留意されたい。
【0044】
本開示は、様々な改変及び代替的形態を受け入れることができるが、特定の方法及び装置の実施形態が、図面に例として示され、本明細書で詳細に説明されている。しかしながら、本明細書に開示される特定の方法及び装置は、開示又は特許請求の範囲を限定することを意図しないことを理解されたい。
【国際調査報告】