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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-22
(54)【発明の名称】太陽電池
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/056 20140101AFI20240115BHJP
【FI】
H01L31/04 624
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023540681
(86)(22)【出願日】2021-12-20
(85)【翻訳文提出日】2023-06-28
(86)【国際出願番号】 EP2021086837
(87)【国際公開番号】W WO2022144214
(87)【国際公開日】2022-07-07
(31)【優先権主張番号】2020727.0
(32)【優先日】2020-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523246639
【氏名又は名称】レック ソーラー プライベート リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】タン,ムージー
(72)【発明者】
【氏名】チョン,シュー ユン
【テーマコード(参考)】
5F251
【Fターム(参考)】
5F251DA07
5F251GA04
5F251HA07
5F251JA23
(57)【要約】
使用時に光源に面するように構成された前面と、前面の反対側の後面とを有する基板を含む太陽電池。前面は前面の形態を有し、後面は後面の形態を有する。前面及び後面の形態は、前面が後面よりも大きな表面積を有するように構成される。太陽電池は、基板の後面に配置されたエミッタも含む。基板の第1の(例えば前部)表面が第2の(例えば後部)表面よりも大きな表面積を有するように仕上げプロセスを実行することを含む、太陽電池の層状構造を形成する方法も開示される。この方法は、第2の表面の形態に合わせて調整することができるリフレクタ層を設けることをさらに含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池であって、
使用時に光源に面するように構成された前面と、前記前面の反対側の後面とを有する基板であって、前記前面は前面の形態を有し、前記後面は後面の形態を有し、前記前面及び前記後面の形態は、前記前面が前記後面よりも大きな表面積を有するように構成される、基板と、
前記基板の前記後面に配置されたエミッタと、
を含む、前記太陽電池。
【請求項2】
前記前面の形態がテクスチャを含む、請求項1に記載の太陽電池。
【請求項3】
前記後面の形態が滑らかで平坦である、請求項1または2に記載の太陽電池。
【請求項4】
前記後面の形態が研磨されたテクスチャを含む、請求項1または2に記載の太陽電池。
【請求項5】
前記基板の前記前面の表面粗さが、前記基板の前記後面の表面粗さよりも大きい、請求項1から4のいずれか一項に記載の太陽電池。
【請求項6】
前記基板の前記後面が、前記基板の前記前面よりも大きな加重平均反射を有するように構成される、請求項1から5のいずれか一項に記載の太陽電池。
【請求項7】
前記基板の前記後面が、13%を超える加重平均反射を有するように構成される、請求項6に記載の太陽電池。
【請求項8】
前記エミッタと前記基板の前記後面との間に界面層が設けられている、請求項1から7のいずれか一項に記載の太陽電池。
【請求項9】
前記基板の前記後面に配置されたリフレクタ層を含み、前記リフレクタ層は、第1の屈折率を有する第1の副層と、前記第1の屈折率よりも大きい第2の屈折率を有する第2の副層とを備え、前記第1の副層は前記第2の副層の後方にある、請求項1から8のいずれか一項に記載の太陽電池。
【請求項10】
前記第1の副層が酸窒化シリコンを含む、請求項9に記載の太陽電池。
【請求項11】
前記第2の副層が透明導電性酸化物(TCO)を含む、請求項9または10に記載の太陽電池。
【請求項12】
リフレクタ層が、透明金属酸化物(TMO)を含む第3の副層を含む、請求項9から11のいずれか一項に記載の太陽電池。
【請求項13】
ヘテロ接合太陽電池である、請求項1から12のいずれか一項に記載の太陽電池。
【請求項14】
太陽電池の層状構造を形成する方法であって、
太陽電池基板の第1の表面に第1の仕上げプロセスを実行して、第1の表面の形態を前記第1の表面に設けることと、
前記第1の表面とは反対側の前記太陽電池基板の第2の表面に第2の仕上げプロセスを実行して、第2の表面の形態を前記第2の表面に設けることと、
前記太陽電池基板の前記第2の表面にエミッタを配置することと、を含み、
前記第1及び前記第2の表面の形態は、前記第1の表面が前記第2の表面よりも大きな表面積を有するようにする、前記方法。
【請求項15】
前記第2の表面に前記第1の仕上げプロセスを実行して前記第1の表面の形態を前記第2の表面に設けることを含み、前記第2の仕上げプロセスは前記第1の仕上げプロセスの後に実行される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の仕上げプロセスは、角錐テクスチャを形成することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第2のプロセスが、前記第2の表面の前記角錐テクスチャを研磨することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
基板後面の形態を1つまたは複数選択することと、
後部リフレクタ層の構成を複数選択することと、
前記1つまたは複数の選択された基板後面の形態及び前記選択された後部リフレクタ層の構成から、基板後面の形態及び後部リフレクタ層の構成の複数の組み合わせを識別することと、
各組み合わせについて、前記後面の形態と後部リフレクタ層の構成の組み合わせを有する太陽電池の性能の特性を判定することと、
前記組み合わせの前記判定された性能の特性を比較することにより、最高の性能を有する前記組み合わせを識別することと、
前記太陽電池基板の前記第2の表面に後部リフレクタ層を配置することであって、前記後部リフレクタ層は、前記最高の性能を有すると識別された前記組み合わせの前記後部リフレクタ層の構成を有する、後部リフレクタ層を配置することと、をさらに含み、
前記第2の仕上げプロセスは、前記第2の表面の形態が前記最高の性能を有すると識別された前記組み合わせの前記後面の形態となるように実行される、請求項14から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記後部リフレクタ層が複数の副層を含み、前記後部リフレクタの前記構成が前記後部リフレクタ層の副層の構成を含み、前記副層の前記構成が各副層の厚さ及び屈折率を含む、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、太陽電池及び太陽電池を形成する方法に関する。本開示は、ヘテロ接合太陽電池及びそのような太陽電池を形成する方法に特に適用可能であるが、これのみではない。
【背景技術】
【0002】
太陽光から電気エネルギーを供給するソーラーモジュールは、太陽電池/光電池のアレイを含み、それぞれが半導体基板を含む。半導体基板は、エミッタとのpn接合を形成し(つまり、基板とエミッタの一方がN型材料で、もう一方がP型材料である)、それは、太陽電池に入射する光に反応して電流の生成を促進する。
【0003】
このような太陽電池の効率を最大化するには、(太陽電池の様々な層によって)周囲の空気に反射される光の量を減らすことが重要である。これは、その時にそのような反射光を太陽電池で使用して電流を生成することができないためである。
【0004】
この光の反射を減らすことができる1つの方法は、半導体基板の表面をテクスチャリングすることである。テクスチャリングの1つの一般的に使用される形式は角錐テクスチャリングであり、角錐テクスチャリングは、そこから突き出た角錐で構成された表面をもたらす。このテクスチャは、シリコンウェーハをケミカルバスに入れ、ウェーハの面に沿ってエッチングすることで形成でき、その結果、シリコンの化学構造により、これらの面に角錐テクスチャが形成される。
【0005】
しかしながら、そのようなテクスチャリングを用いても、すべての光が電流の発生に使用するために基板によって吸収されるわけではない。一部の光は依然として周囲の空気に反射され、一部の光は電池の非発電層により吸収され、一部の光は基板を直接通過する。
【0006】
太陽電池が電気を生成するために使用できる光が多ければ多いほど、太陽電池の効率は高くなる。したがって、太陽電池内に保持される光の量を(外部環境に反射するか、または太陽電池を直接通過するのではなく)増加させる継続的な必要性が存在する。
【0007】
効率低下のもう1つの原因は、太陽電池の異なる層間の界面に形成され得る表面の欠陥である。動作中、電荷キャリアは、電極によって収集されるのではなく、pn接合の近くにある欠陥のある場所で再結合する。この電荷キャリアの再結合は、太陽電池の光電変換効率の低下をもたらす可能性がある。
【発明の概要】
【0008】
第1の態様によれば、以下を含む太陽電池が提供される。
使用時に光源に面するように構成された前面と、前面の反対側の後面とを有する基板であって、前面は前面の形態を有し、後面は後面の形態を有し、前面及び後面の形態は、前面が後面よりも大きな表面積を有するように構成される、基板と、
基板の後面に配置されたエミッタと、を含む。
【0009】
より小さな表面積を有する基板の後面を設けることによって(すなわち、表面の形態によって)、後面(したがって、太陽電池の後ろ側)は、基板の前面(及び太陽電池の前側)よりも反射性が高くなり得る。前面は、光が最初に前面に入射するように、使用時に光源(太陽など)に面するように構成される。前面の表面積がより大きいということは、太陽電池の前側で反射される光の量を最小限に抑えることができ(基板に入る光を最大にする)、太陽電池の後ろ側で反射される光の量を最大化できる(反射して基板に戻る光の量を最大化する)ことを意味する。これにより、太陽電池の性能が向上し得る。
【0010】
さらに、より小さい表面積を有する1つの表面を基板に設けることによって、その表面での表面再結合を低減することができる(これも、太陽電池の性能を改善することができる)。
【0011】
加えて、より小さな表面積を有する後面を設けることは、後面に適用される(例えば、堆積される)各層に必要な材料の量を減らすことができる。これにより、そのような層を適用するのにかかる時間と、それらの層の材料のコストの両方を削減できる。
【0012】
本明細書で使用される場合、「~に、~の、~の上のなど(on)」という用語は、例えば「後面に配置された」という語句において、例えば基板、表面または層などの要素への直接的及び間接的な配置の両方を包含することを意図している。したがって、「~に、~の、~の上のなど(on)」という用語は、1つまたは複数の介在層が設けられる配置、または介在層が設けられない配置を包含する。対照的に、ある要素が別の要素「に直接的にある」(例えば「表面に直接的にある」)と呼ばれる場合、介在する要素は存在しない。したがって、エミッタは、基板の後面に直接的または間接的に配置されてもよい。
【0013】
エミッタが基板の後面に配置されるとき、それは、リアエミッタと呼ばれることがあり、太陽電池はリアエミッタ太陽電池と呼ばれることがある。
【0014】
「形態」という用語は、例えば、表面の範囲(例えば、エンベロープまたはフットプリント)とは対照的に、表面の形態または構造を記述するために本明細書で使用される。
【0015】
したがって、基板は、実質的に長方形の断面形状を含むことができる(断面は前面/後面に直交する)。したがって、前面及び後面は、実質的に同じサイズ(すなわち、エンベロープ、フットプリント、または各面の二次元投影に関して)であり得る。
【0016】
前面はテクスチャ加工されていてもよい(すなわち、前面の形態はテクスチャを含んでいてもよい)。例えば、前面の形態は、角錐テクスチャを含み得る。前面の形態は、それぞれが水平に対して約55度の傾斜を形成する側面を有する角錐を含むことができる。
【0017】
後面は、実質的に凹凸がなくてもよい。すなわち、後面の形態は滑らかで平面であり得る。代替として、後面は(前面とは異なるが)テクスチャ加工されてもよい。後面は、例えば研磨またはマイクロエッチングされてもよい。例えば、後面は、研磨された角錐テクスチャを含んでもよい。後面の形態は、滑らかな隆起を含み得る。後面の形態は、先端が取り除かれた角錐を含むことができる。
【0018】
後面の形態は、前面の形態の角錐と比較して、それぞれが水平に対してより低い角度の傾斜を形成する側面を有する角錐(先端が除去されているか、または除去されていない)を含むことができる。後面の角錐の傾斜角度は54度未満であってもよい。例えば、後面の角錐は、前面の角錐の傾斜角度の約40%から60%(例えば、約50%)の傾斜角を有することができる。特定の例示的な実施形態では、後面の角錐は、水平に対してそれぞれ55度の傾斜を形成する側面を有する前面の角錐と比較して、水平に対してそれぞれ30度の傾斜を形成する側面を有する。
【0019】
前面の表面粗さは、後面の表面粗さよりも大きくてもよい。本明細書で使用される「表面粗さ」という用語は、表面の「展開界面面積比(Sdr)」に対する言及であり、次のように計算されるものである。
【数1】
式中、投影面積は(3次元)表面の2次元投影(つまり断面積)である。完全に滑らかな/平らな表面は、Sdrの値がゼロになる(このようなシナリオでは、実際の表面積が投影面積に等しいため)。
【0020】
基板及びエミッタは、太陽電池の層状構造の一部を形成することができる。基板は、層状構造を、基板の前面を含み、その前方にある前側(または部分)と、基板の後面を含み、その後ろにある後ろ側(または部分)とに分割することができる。したがって、エミッタは、層状構造の後ろ側の一部を形成することができる。1つまたは複数の層を基板の前面に配置することができる。エミッタに加えて、1つ以上の層が基板の後面に配置されてもよい。
【0021】
「前方」という用語は、太陽電池の前面に向かう方向(すなわち、通常の使用では太陽などの入射光源に向かう方向)を記載するために使用される。「後方」という用語は、本明細書では、太陽電池の後面に向かう方向(すなわち、通常の使用では入射光源から離れる方向)を記載するために使用される。
【0022】
基板の表面(複数可)に配置された1つ以上の層は、薄いコーティングの形態で表面(複数可)に堆積され得る。このようにして、層は、下にある基板表面と実質的に同じ表面の形態を有することができる。例えば、各層は、基板の表面に形成されたいかなるテクスチャ(例えば、角錐)の高さよりも大幅に小さい厚さを有することができる。
【0023】
基板の後面は、基板の前面よりも大きな加重平均反射(WAR)を有するように構成することができる(例えば、400nmから1000nmの範囲の波長について)。基板の後面は、13%を超える(例えば、400nmから1000nmの範囲の波長に対する)WARを有するように構成することができる(すなわち、後ろから測定されるとき、後面に衝突する光子の13%超が反射される)。基板の前面は、13%以下のWAR(例えば、400nmから1000nmの範囲の波長)を有するように構成することができる。
【0024】
WARは、波長の範囲にわたって(表面の)反射率を積分することによって計算することができる。波長の反射率の重みは、光子束によって決まる。
【0025】
基板またはその一部は、正または負にドープされてもよい(すなわち、p型またはn型半導体であってもよい)。したがって、基板は、n型またはp型の半導体材料を含むことができる。半導体材料がn型半導体材料である場合、半導体材料は、リン(P)、砒素(As)、及びアンチモン(Sb)などのV族元素の不純物を含むように構成され得る。半導体材料がp型半導体材料である場合、それはホウ素(B)、ガリウム(Ga)、及びインジウム(In)などのIII族元素の不純物を含み得る。基板は、結晶シリコン(c-Si)を含んでもよい。あるいは、半導体材料は、シリコン以外の材料で形成されてもよい。
【0026】
エミッタは、ナノ結晶シリコン(nc-Si)、またはアモルファスシリコン(a-Si)(または炭化シリコンまたは亜酸化シリコン)を含むことができる。エミッタのドーピングは、基板と逆であってもよい。例えば、基板が負にドープされている場合、エミッタはp型エミッタであってもよい。
【0027】
太陽電池は、エミッタとは反対側の基板の表面に配置されたドープ層を含むことができる。ドープ層は、ナノ結晶材料(例えば、ナノ結晶シリコン(nc-Si))、またはアモルファス材料(例えば、アモルファスシリコン(a-Si))を含み得る。ドープ層は、例えば、シリコン、炭化シリコン、または亜酸化シリコンを含むことができる。ドープ層は、基板と同じドーピングを有することができる(例えば、ドープ層はアキュムレータ層を画定することができる)。したがって、基板が負にドープされている場合、ドープ層はn型層であり得る。
【0028】
層状構造の前側は、ドープ層(前部ドープ層と呼ぶことができる)を含むことができる。前部ドープ層は、基板の前面に配置することができる。
【0029】
太陽電池は、ヘテロ接合太陽電池、すなわちヘテロ接合技術(HJT)を用いて作製された太陽電池であってもよい。例えば、基板は結晶シリコンで形成することができ、一方、エミッタ及びアキュムレータはアモルファスシリコンで形成することができる。したがって、エミッタと基板の表面(例えば後面)との間に界面層を配置することができる。界面層は、アモルファスシリコンを含んでもよい。界面層は、真性アモルファスシリコン(i-a-Si)または真性アモルファスシリコン酸化物(i-a-SiOx)を含むことができる。界面層は、a-SiCx(i)、ポリシリコン、SiO2、Al2O3、SiNx、またはTiOxを含むことができる。界面層は、パッシベーションを設けるように構成することができる(すなわち、基板表面での電荷キャリアの再結合をさらに減少させるように構成することができる)。
【0030】
界面層は第1の界面層であってもよく、層状構造は、ドープ層と基板の表面(例えば前面)との間に配置された第2の界面層を含んでもよい。第2の界面層は、基板のエミッタとは反対側に配置することができる。第2の界面層は、真性アモルファスシリコン(i-a-Si)または真性アモルファスシリコン酸化物(i-a-SiOx)を含むことができる。第2の界面層は、i-a-SiCx、ポリシリコン、SiO2、Al2O3、SiNx、またはTiOxを含むことができる。第1の界面層と同様、第2の界面層は、パッシベーションを設けるように構成することができる(すなわち、基板表面での電荷キャリアの再結合をさらに減少させるように構成することができる)。
【0031】
太陽電池は、リフレクタ層を含んでもよい。リフレクタ層は、基板の後面に(例えば、間接的に)配置することができる。リフレクタ層は、層状構造の後ろ側の一部を形成することができる。リフレクタ層はエミッタの後方にあってもよい。リフレクタ層は、エミッタ上に(すなわち、直接的または間接的に)配置することができる。
【0032】
リフレクタ層は多層であってもよい(すなわち、複数の副層を含んでいてもよい)。副層の1つまたは複数は、リフレクタ層の反射性を最大化するように(そこに入射する光に対して)構成することができる。リフレクタ層(またはその副層のうちから選択されたもの)は、誘電体ミラーとして構成することができる。各副層の屈折率は、リフレクタ層に入射する光の反射を最大化するように構成することができる。
【0033】
リフレクタ層は、第1の屈折率を有する第1の副層と、第1の屈折率よりも高い第2の屈折率を有する第2の副層とを含んでもよい。第1及び第2の副層は互いに隣接していてもよい(すなわち、第1の副層は第2の副層に直接的に配置されていてもよい)。第1の副層は、第2の副層の後方にあってもよい(例えば、第1の副層は、第2の副層に比べて基板から離れていてもよい)。
【0034】
第1の副層は酸窒化シリコン(SiOyNx)を含んでもよい。上述のように、調整は、特定の屈折率(例えば、第2の副層の屈折率よりも低い)を設けるために、SiOyNx副層の酸素含有量を選択することを含み得る。
【0035】
第1の副層は、二酸化ケイ素(SiO)を含んでもよい。第1の副層は、誘電体膜(例えば、窒化シリコン(SiNx))を含んでもよい。
【0036】
第1の副層は、1~50nm、または1~40nm、または1~30nm、または1~20nmの厚さを有することができる。第1の副層は、約10nmの厚さを有することができる。
【0037】
第1の副層は、633nmの波長に対して1.8未満の屈折率を有することができる。第1の副層は、633nmの波長に対して、1.3~1.7、または1.4~1.6の屈折率を有することができる。第1の副層は、633nmの波長に対して約1.5の屈折率を有することができる。
【0038】
第2の副層は、酸化インジウムスズ(ITO)などの透明導電性酸化物(TCO)を含むことができる。代替的または追加的に、第2の副層は、IZO(インジウム亜鉛酸化物)、AZO(アルミニウム亜鉛酸化物)及びIWO(インジウムタングステン酸化物)のいずれか1つを含んでもよい。
【0039】
第2の副層は、30~100nm、または30~80nm、または30~50nmの厚さを有することができる。TCO層は、約40nmの厚さを有することができる。
【0040】
第2の副層は、633nmの波長に対して1.8を超える屈折率を有することができる。第2の副層は、633nmの波長に対して、1.8~2.2、または1.9~2.1の屈折率を有することができる。第2の副層は、633nmの波長に対して約2nmの屈折率を有することができる。
【0041】
リフレクタ層は、第3の副層を含んでもよい。第2の副層は、第3の副層に直接的に配置され得る(すなわち、第2の副層は、第3の副層の後方にあるか、または第3の副層に比べて基板から遠くにあり得る)。第3の副層は、遷移金属酸化物(TMO)層を含むことができる。TMO副層を設けることは、その屈折率のために、反射率を改善し、光が第2の副層に到達する前に光の反射を増加させ得る。第3の副層は、WOx(例えば、WO)、MoOx、V、CuOx、NiOx、TiOx、LiFx、KFx、TaNx、及びZnOのうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0042】
第3の副層は、633nmの波長に対して、1.8~2.2、または1.9~2.1の屈折率を有することができる。第3の副層は、633nmの波長に対して約2nmの屈折率を有することができる。
【0043】
リフレクタ層は、基板の後面の形態に合わせて(すなわち、リフレクタ層による反射を最大にするように)調整することができる。そのような調整は、所与の後面の形態の太陽電池の性能の特性(例えば、短絡電流(Isc)または短絡電流密度(JSC))を最大化するために、副層の1つまたは複数の物理的特性を選択することを含むことができる。1つまたは複数の物理的特性は、各副層の厚さ、各副層の材料(したがって屈折率)、及び/または副層の数のうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0044】
したがって、より一般的には、リフレクタ層の副層は、太陽電池の基板の後面の形態の反射率(したがって、短絡電流及び/または短絡電流密度)を最大化するように構成され得る。
【0045】
一例では、太陽電池は、約10nmの厚さを有する二酸化ケイ素で形成された第1の副層と、約40nmの厚さを有するITOで形成された第2の副層と、30度の角錐で形成された後面の形態を有する基板とを備え得る。
【0046】
太陽電池は、後部電極を含んでもよい。後部電極は、層状構造の後面(すなわち、最後面)に配置されてもよい。
【0047】
層状構造は、反射防止層をさらに含んでもよい。反射防止層は、層状構造の前側の一部を形成することができる。反射防止層は、ドープ層またはエミッタ(どちらが層状構造の前側の一部を形成するかに応じて)に(例えば、直接的に)配置することができる。前面TCO層は、層状構造の前面(すなわち、最前面)を画定することができる。反射防止層は、インジウムスズ酸化物(ITO)などの透明導電性酸化物(TCO)で形成することができる。反射防止層は、太陽電池に入射する光の反射率を減らし、それにより所定の波長帯域の選択性を高めて太陽電池の効率を高めることができる。
【0048】
一般に、層状構造は、SiOxNy、SiNx、SiOx、SiC、ITO、IZO、AZO、IWO、WOx(例えば、WO)、MoOx、V、CuOx、NiOx、TiOx、LiFx、KFx、TaNx、及びZnOから形成される、またはこれらを含む1つまたは複数の層(及び/または副層)を含むことができる。
【0049】
太陽電池は、前部電極を含んでもよい。前部電極は、層状構造の前面(すなわち、最前面)に配置することができる。
【0050】
第2の態様では、太陽電池の層状構造を形成する方法が提供され、この方法は、
太陽電池基板の第1の表面に第1の仕上げプロセスを実行して、第1の表面の形態を第1の表面に設けることと、
第1の表面とは反対側の太陽電池基板の第2の表面に第2の仕上げプロセスを実行して、第2の表面の形態を前記第2の表面に設けることと、
太陽電池基板の第2の表面にエミッタを配置することと、を含み、
第1及び第2の表面の形態は、第1の表面が第2の表面よりも大きな表面積を有するようにする。
【0051】
上記の議論によると、「~に、~の、~の上のなど(on)」という用語は、太陽電池基板の第2の表面への間接的(介在層あり)及び直接的(介在層なし)配置の両方を包含する。
【0052】
この方法は、(追加的に)第2の表面に第1の仕上げプロセスを実行することを含むことができる(第2の表面に第1の表面の形態を設けるため)。この場合、第1の仕上げプロセスの後に第2の仕上げプロセスを行ってもよい。
【0053】
いくつかの実施形態では、第1の仕上げプロセスは、第1の表面のみに適用されてもよい(すなわち、第1の表面であり、第2の表面には適用されない)。例えば、第1の仕上げプロセスは、テクスチャを第1の表面のみに適用することを含むことができる。
【0054】
第1の仕上げプロセスは、テクスチャリングプロセスであってもよい。第1の仕上げプロセスは、エッチングプロセスであってもよい。例えば、エッチングプロセスは、基板を化学槽に浸漬することを含むことができる。第1の表面の形態は、角錐テクスチャであってもよい。
【0055】
第2の仕上げプロセスは、研磨またはエッチング(例えば、マイクロエッチング)プロセスを含んでもよい。
【0056】
第2の仕上げプロセスは、片面インラインエッチング(例えば、アルカリまたは酸エッチング)を含んでもよい。
【0057】
第2の仕上げプロセスは、代わりに、第1の表面に保護層を堆積し、続いて基板にエッチングプロセスを実行することを含んでもよい(すなわち、エッチングが、保護されていない第2の表面でのみ起こるようにする)。保護層は、窒化シリコン(SiNx)を含んでもよい。この方法は、エッチングプロセスの実行に続いて、第1の表面から保護層を除去することをさらに含むことができる。
【0058】
したがって、第1の仕上げプロセスが第1及び第2の表面の両方に適用される場合、第2の仕上げプロセスは、第2の表面の表面の形態を、第1の表面の形態から第2の表面の形態に変換することを含み得る。
【0059】
例として、第1の仕上げプロセスは、第2の表面上に、例えば角錐テクスチャを含む第1の表面の形態を形成することを含んでもよい。第2の仕上げプロセスは、角錐テクスチャを研磨して隆起した表面を形成することを含むことができ、そこでは各角錐の上部が除去される(すなわち、第2の表面の形態を画定する)。
【0060】
第1の表面は、基板の前面であってもよい。第2の表面は、基板の後面であってもよい。
【0061】
第2の態様の層状構造は、第1の態様に関して他に記載された通りであり得る。
【0062】
この方法は、基板の第1及び/または第2の表面上に(すなわちエミッタに加えて)1つまたは複数の層を配置することをさらに含むことができる。
【0063】
基板上に1つまたは複数の層を配置することは、第1及び/または第2の表面上に1つまたは複数の層を堆積、注入、及び/または拡散すること(例えば、蒸着プロセスによる)を含み得る。第1及び/または第2の表面上に堆積された1つまたは複数の層は、(例えば、第1及び/または第2の)界面層、リフレクタ層、ドープ層、及び/または反射防止層(それぞれ第1の態様に関して上述した通りである)のうち1つまたは複数を含むことができる。
【0064】
基板上にエミッタを配置することは、第2の表面上にエミッタを堆積、注入、及び/または拡散すること(例えば、蒸着プロセスによって)を含むことができる。
【0065】
第3の態様では、第1の態様の太陽電池の構成を判定する方法が提供され、この方法は、
基板後面の形態を1つまたは複数選択することと、
後部リフレクタ層の構成を複数選択することと、
1つまたは複数の選択された基板後面の形態及び選択された後部リフレクタ層の構成から、基板後面の形態及び後部リフレクタ層の構成の複数の組み合わせを識別することと、
各組み合わせについて、後面の形態と後部リフレクタ層の構成の組み合わせを有する太陽電池の性能の特性を判定することと、
組み合わせの判定された性能の特性を比較することにより、最高の性能を有する組み合わせを識別することと、を含む。
【0066】
性能の特性は、太陽電池の短絡電流(ISC)または太陽電池の短絡電流密度(JSC)であり得る。
【0067】
後部リフレクタ層の各構成は、後部リフレクタ層の副層の構成を含むことができる。リフレクタの副層の構成は、各副層の物理的特性を含むことができる。各副層の物理的特性は、副層の厚さ、副層の屈折率(例えば、所与の波長における)、及び/または副層が形成される材料のうちの1つ以上を含み得る。副層の構成は、副層の数を含むことができる。
【0068】
性能の特性を判定するステップは、光学シミュレータを使用して実行することができる。光学シミュレータは、基板後面の形態と後部リフレクタ層の構成の識別された組み合わせを有する複数の太陽電池モデル(コンピュータでシミュレートされたもの)に適用され得る。
【0069】
形態の選択は、平坦な(すなわち、滑らかな、平面の)表面の形態、研磨された角錐形態(すなわち、頂点が除去された角錐)、30度傾斜した表面から形成された角錐、及び/または滑らかな隆起の形態のうちの1つ以上を選択することを含み得る。
【0070】
第4の態様では、太陽電池の層状構造を形成する方法が提供され、この方法は、第3の態様の方法を実行すること、及び最高の性能を有すると識別された基板の後面の形態および後部リフレクタ層の構成を有する層状構造を形成すること、を含む。
【0071】
第4の態様の層状構造の形成は、第2の態様に関して他に上記された通りであり得る。したがって、第2の態様で言及される第2の表面の形態は、最高の性能を有すると識別された組み合わせの基板後面の形態であり得る。すなわち、この方法は、(基板の形成に関して)基板の第2の表面に第2の仕上げプロセスを実行して、識別された組み合わせの後面の形態を設けることを含むことができる。
【0072】
第5の態様では、第4の態様の方法に従って形成された層状構造が設けられる。
【0073】
第5の態様の層状構造は、第1の態様に関して他に上記された通りであり得る。
【0074】
当業者は、相互に排他的である場合を除いて、上記の態様のいずれか1つに関して説明された特徴またはパラメータを他の態様に適用できることを理解するであろう。さらに、相互に排他的である場合を除き、本明細書に記載の任意の機能またはパラメータは、任意の態様に適用でき、及び/または本明細書に記載の他のいずれかの機能またはパラメータと組み合わせることができる。
【0075】
ここで、図面を参照して、例示のみを目的として実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0076】
図1】太陽電池の側面断面図である。
図2図1の太陽電池の変形例の一部の側面断面図である。
図3】太陽電池を形成する方法を示すフローチャートである。
図4】太陽電池の構成を判定する方法を示すフローチャートである。
図5図4の方法を例示する表である。
【発明を実施するための形態】
【0077】
本開示の態様及び実施形態を、添付の図面を参照してこれより説明する。さらなる態様及び実施形態は、当業者には明らかであろう。図では、明確にするために層の厚さが誇張されている。また、図に示されている層の相対的な厚さは、すべての実施形態における層の実際の相対的な厚さを必ずしも表していない。
【0078】
図1は、通常の使用において、他の層の間でも、(例えば太陽からの)光が最初に入射する第1の(すなわち前部)面102を含む結晶シリコン基板101と、前面102の反対側にある第2の(すなわち、後部)面103とを含む太陽電池100を概略的に示す。図1から明らかなように、前面102は角錐テクスチャを有し、後面103は滑らかで平坦である(すなわち、実質的なテクスチャが適用されていない)。これは、後面103よりも高い粗さを有する前面102をもたらす。前面102のより大きな粗さは、前面102の表面積が後面103の表面積よりも大きいことを意味する。
【0079】
基板101は、太陽電池100の層状構造117の一部を形成する。基板101は、層状構造117を、基板101の前方にある(ただし、前面102を含む)前側(または部分)104と、基板101の後方にある(ただし、後面103を含む)後ろ側(または部分)105とに分割する。太陽電池100に入射する光は、通常の使用において、層状構造117の後ろ側105に入る前に、層状構造117の前側104及び基板101を通過する。
【0080】
層状構造117の前側104及び後ろ側105のそれぞれは、複数の層を含む。前側104の層は、基板101の前面102上に堆積(または例えば拡散または注入)される。後ろ側105の層は、基板101の後面103上に堆積(または例えば拡散または注入)される。層は薄いコーティングとして堆積されるため、各層はその層が堆積される表面の形状をとる。結果として(そして図から明らかなように)、前側104の層はそれぞれ、後ろ側104の層よりも大きな表面積を有する。
【0081】
基板101の後面103のより小さい表面積は、電荷キャリアの再結合を減少させることによって後面103におけるパッシベーションを増加させる(すなわち、より小さい表面積は後面103における欠陥部位の数を減少させる)。基板101の後面103のより小さい表面積はまた、製造コストを削減することができる。これは、表面積が減少すると、その上に堆積する材料の量が少なくて済み、堆積するのに必要な時間が短くなるためである。
【0082】
太陽電池100は、リアエミッタ太陽電池(特に、リアエミッタヘテロ接合太陽電池100)である。したがって、太陽電池100のエミッタ106は、層状構造117の後ろ側105の一部を形成する。エミッタ106は、基板101とpn接合を形成し、図示の実施形態では、p型ナノ結晶シリコン層(p-nc-Si)である。他の実施形態では、基板はn型材料から形成されてもよい。
【0083】
第1の界面層107は、エミッタ106と基板101との間に設けられる。第1の界面層107は、後面103でパッシベーションをさらに増加させるように構成される。エミッタ106は、第1の界面層107に直接的に配置され、これは、基板101の後面103に直接的に配置される。第1の界面層107は、真性アモルファスシリコン(i-a-Si)層である。第1の界面層107は、そうでなければ、例えばa-SiOx(i)、a-SiCx(i)、ポリシリコン、SiO2、Al2O3、SiNxまたはTiOxを含んでもよい。
【0084】
層状構造117は、3つの副層、すなわち酸窒化シリコンを含む第1の副層108、TCO層115の形態の第2の副層、及び透明金属酸化物(TMO)114を含む第3の副層から形成されたリフレクタ層118を含む。リフレクタ層118は、エミッタ106の後面に配置される。TMO層114はエミッタ106の後面に直接的に配置され、TCO層115はTMO層114の後方に設けられる。TMO層114及びTCO層115は、エミッタ106と、層状構造117の最も後方の層を画定する第1の副層108との間に挟まれている。
【0085】
リフレクタ層118の副層は、そこに入射する光の反射を最大化し、基板101に戻すように構成される。特に、副層108、114、115の屈折率は、400nmから1000nmまでの波長を有する光の反射を最大化するように調整される。このように、リフレクタ層118は、誘電体ミラーとして構成することができる。
【0086】
副層108、114、115の屈折率を調整する一態様は、第1の副層の屈折率を変更するために、第1の副層の酸窒化シリコンの酸素含有量を管理することを含む。
【0087】
リフレクタ層118は、基板101の後面103の表面の形態に従って特に調整される。基板101の後面103の表面の形態は、リフレクタ層118に入射する光の入射角に影響を与える。したがって、副層108、114、115の厚さ及び屈折率は、その特定の入射角で基板101に向かって戻る入射光の反射を最大にするように選択される。好ましいパラメータ(厚さ及び屈折率)は、例えば、光線追跡シミュレータを使用して判定することができる。
【0088】
太陽電池100の前側104は、基板101から離れる順に、第2の界面層109、前部ドープ層110及び前部TCO層111を含む。図示の実施形態では、第2の界面層109は、真性アモルファスシリコン(i-a-Si)層である。前部ドープ層は、n型アモルファスシリコン(n-a-Si)層である。
【0089】
太陽電池100は、TCO層111の前面に配置された前部電極112と、リフレクタ層118の後面(例えば、最後面)に配置された後部電極113とをさらに備える。
【0090】
図2は、図1に示したものの変形である層状構造の後ろ側105’を示す。この実施形態では、基板101の後面103は、滑らかな平面の形態(前述の実施形態の場合と同様)の代わりに隆起した表面の形態を含む。隆起面は、基板101の後面103を研磨して、後面103のテクスチャを部分的に除去する(すなわち、後面103に形成された角錐の先端を除去する)ことによって形成される。
【0091】
そうすることによって、後面103の表面積が減少し、基板101の前面102の表面積よりも小さくなる。より小さい表面積は、パッシベーションを増加させ、また、後面103に堆積(またはその他の方法で配置)される層がその上に配置されるのに必要な材料がより少なく及び時間がより短いことを意味する。
【0092】
図1の実施形態と同様に、後ろ側105’は、後面103から離れる順に、界面層107、エミッタ106、TMO層114、TCO層115、及びリフレクタ層118を含む。
【0093】
図3は、上述の太陽電池の1つなどの太陽電池を形成する方法200を示す。この方法は、結晶シリコンウェーハの形態の太陽電池基板を設ける第1のステップ201を含む。第2のステップ202では、第1の仕上げプロセスが基板の前面及び後面に対して実行される。特に、第1の仕上げプロセスは、前面及び後面にテクスチャを適用することを含む。これは、例えば、前面及び後面をエッチングして、前面及び後面に角錐テクスチャを形成することによって行うことができる。
【0094】
第3のステップ203において、方法は、(第2の仕上げプロセスにおいて)後面から角錐テクスチャを少なくとも部分的に除去することを含む。これには、後面を研磨して角錐テクスチャを部分的に除去する(例えば、角錐の先端を除去する)ことが含まれる場合がある。このステップの結果、基板の前面よりも後面の方が、表面積が小さくなる。
【0095】
第4のステップ204では、基板の前面及び後面に層が配置(または形成)される。これは、例えば、堆積、拡散、ドーピング及び/または注入ステップを含むことができる。参照される層は、上述の太陽電池の前側及び後ろ側を形成する層である(例えば、エミッタ106、リフレクタ層118及び副層など)。
【0096】
第4のステップ204(具体的に図示されていないが)は、リフレクタ層を形成することを含み、これは、複数の副層を堆積することを含む(例えば、PECVDプロセスを介して)。副層の堆積は、副層の屈折率が(副層の間で)変化するようにすることができる。副層の厚さも変化し得る。一般に、リフレクタ層の副層は、反射を最大化するように調整される。
【0097】
副層の厚さと材料は、以下でさらに説明する最適化プロセスによって選択される。
【0098】
第5のステップ205において、太陽電池の前側及び後ろ側の最外面に電極が配置される。
【0099】
図4は、上述したような太陽電池の構成を判定するための方法300を示している。この方法300は、ブロック301で、基板後面の形態を1つまたは複数選択することを含む。この場合、表面の形態は、平滑/平坦な表面の形態(形態1)と、それぞれが30度の傾斜角を有する複数の角錐から形成される30度角錐形態(形態2)とを含む。
【0100】
ブロック302では、リフレクタ層の構成が複数選択される。各リフレクタ層の構成は、リフレクタの副層の構成を含む。これには、副層の数と各副層の物理特性が含まれる。物理的特性には、副層の厚さと素材が含まれる。
【0101】
ブロック303で、選択された後面の形態及びリフレクタ層の構成から、後面の形態及びリフレクタ層の構成の複数の組み合わせが識別される(すなわち、各組み合わせが後面の形態1つ及びリフレクタ層の構成1つから構成されるようにする)。識別された組み合わせには、すべての可能な組み合わせ、またはすべての可能な組み合わせのサブセットが含まれ得る。
【0102】
ブロック304では、識別された組み合わせのそれぞれが評価され、その組み合わせを有する太陽電池の性能の特性が判定される。これは、例えば、光学シミュレータによって実行することができる。したがって、例えば、コンピュータでシミュレートされた太陽電池モデルは、各組み合わせ(すなわち、組み合わせの後面の形態及びリフレクタ層の構成を有する太陽電池モデル)について形成され得、コンピュータでシミュレートされた太陽電池モデルに対して光学シミュレーションが実行され得る。このようにして、太陽電池の性能は、後面の形態と後部リフレクタ層の構成の各組み合わせについて判定することができる。性能の特性は、例えば、太陽電池の短絡電流(ISC)または太陽電池の短絡電流密度(JSC)であり得る。
【0103】
ブロック305で、最高の性能の組み合わせが識別される。例えば、性能の特性が短絡電流または短絡電流密度である場合、最高の性能の組み合わせは、最高の短絡電流または短絡電流密度を有するものであり得る。
【0104】
このプロセスは、図5に示す表で例示されている。この例では、8つのリフレクタ層の構成が選択されている(表の8行に対応)。各リフレクタ層の構成は、異なる材料及び異なる厚さの2つの副層を含む。さらに、2つの基板後面の形態が検討のために選択されている。これにより、後面の形態とリフレクタ層の構成の合計16通りの組み合わせが得られる。
【0105】
明らかなように、性能の特性(この場合は短絡電流密度)は、16の組み合わせのそれぞれについて計算されている。これは、様々な組み合わせのリフレクタ層の構成と表面の形態を有するコンピュータでシミュレートされた太陽電池モデルに基づく光学シミュレータによって実行された。
【0106】
判定された短絡電流密度の最高値は41.3(mA/cm2)で、図5に概説されている。これは、後面の形態2、厚さ40nmの材料1で形成された第1の副層、および厚さ10nmの材料2で形成された第2の副層を有する基板に対応する。
【0107】
本発明は上述の実施形態に限定されず、本明細書に記載の概念から逸脱することなく様々な変更及び改良を行うことができることが理解されるであろう。相互に排他的である場合を除き、特徴のいずれかを個別に、または他のいずれかの特徴と組み合わせて使用することができ、本開示は、本明細書に記載の1つまたは複数の特徴のすべての組み合わせ及びサブコンビネーションにまで及び、それらを含む。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】