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特表2024-502621香り保有量と香り保持性が増進した香料シートおよびこれを含む喫煙物品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-22
(54)【発明の名称】香り保有量と香り保持性が増進した香料シートおよびこれを含む喫煙物品
(51)【国際特許分類】
   C08L 1/08 20060101AFI20240115BHJP
   A24D 1/02 20060101ALI20240115BHJP
【FI】
C08L1/08
A24D1/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023541777
(86)(22)【出願日】2022-07-11
(85)【翻訳文提出日】2023-07-19
(86)【国際出願番号】 KR2022010036
(87)【国際公開番号】W WO2023033348
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】10-2021-0118609
(32)【優先日】2021-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519217032
【氏名又は名称】ケーティー アンド ジー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リー、ゲオン チャン
(72)【発明者】
【氏名】キム、イク ジョーン
(72)【発明者】
【氏名】ジュン、キュン ビン
(72)【発明者】
【氏名】ジェオウン、エウン ミ
(72)【発明者】
【氏名】フワン、ミン ヒー
【テーマコード(参考)】
4B045
4J002
【Fターム(参考)】
4B045AA41
4B045AB14
4J002AB001
4J002AB011
4J002AB021
4J002AB031
4J002AB041
4J002AB051
4J002AB053
4J002AB054
4J002AD022
4J002AE032
4J002AF003
4J002EC067
4J002EF056
4J002EH046
4J002EH056
4J002EU047
4J002FD202
4J002FD203
4J002FD204
4J002FD205
4J002FD206
4J002GC00
(57)【要約】
香り保有量および香り保持性が増進した香料シートおよびこれを含む喫煙物品が提供される。本開示の幾つかの実施例に係る香料シートは、シートを形成するハイドロコロイド物質、乳化剤および脂溶性香料を含むことができる。乳化剤は水溶性のハイドロコロイド物質と脂溶性香料間の架橋の役割を遂行することによって、香料シートの香り保有量および香り保持性を増進させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを形成するハイドロコロイド物質;
乳化剤;および
脂溶性香料を含む、香料シート。
【請求項2】
前記香料シートは、
全体100重量部を基準として、
0.5~10重量部の前記乳化剤を含む、請求項1に記載の香料シート。
【請求項3】
前記香料シートは、
全体100重量部を基準として、
10~40重量部の前記脂溶性香料を含む、請求項1に記載の香料シート。
【請求項4】
前記ハイドロコロイド物質は改質されたセルロース物質を含む、請求項1に記載の香料シート。
【請求項5】
前記改質されたセルロース物質は、
ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースおよびエチルセルロースの中から選択された少なくとも一つの物質を含む、請求項4に記載の香料シート。
【請求項6】
LM-ペクチン(low methoxyl pectin)をさらに含む、請求項1に記載の香料シート。
【請求項7】
前記LM-ペクチンは、
カルボキシ基を50%未満で含み、
放冷時にゲル化しない特性を有する、請求項6に記載の香料シート。
【請求項8】
喫煙物質部;
フィルタ部;および
前記喫煙物質部または前記フィルタ部の少なくとも一部を包むラッパー(wrapper)を含み、
前記喫煙物質部、前記フィルタ部または前記ラッパーの少なくとも一部には香料シートが配置され、
前記香料シートはハイドロコロイド物質、乳化剤および脂溶性香料を含む、喫煙物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は香り保有量と香り保持性が増進した香料シートおよびこれを含む喫煙物品に関する。より詳しくは、脂溶性香料に対する保有量および保持性が増進した香料シートと、このような香料シートを含むことによって香り発現性および香り持続性が増進した喫煙物品と、これらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
喫煙者の嗜好を満たすために、喫煙物品(例えば、シガレット)には多様な方式で加香処理が遂行される。代表的な加香処理方式の例としては、刻みのような喫煙物質またはフィルタプラグに香液を直接添加(例えば、噴射)することが挙げられる。しかし、例示された方式は、香液の添加量に制限があるか、意図した香りが発現しないか、喫煙中に香り発現性が急激に落ちるなどの多様な問題がある。
【0003】
具体的には、喫煙物質に香液を添加する方式は香液が喫煙物質と互いに凝集し得るため多量の香液を添加するのが難しい。また、喫煙の際に高い加熱温度(または燃焼温度)によって香液が変質することにより、意図していない香りが発現され得る。次に、フィルタプラグに香液を添加する方式は前述した方式に比べて多量の香液を添加することはできるものの、これも同様に添加量に限界が存在する。
【0004】
一方、いずれの方式であれ、添加された香液が喫煙初期に急激に発現することによって喫煙後半に行くほど香り発現性が落ちる問題があり、香液が過量添加されると、フィルタプラグまたは喫煙物質を包んでいるラッパー(wrapper)が濡れて汚染する問題が発生し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の幾つかの実施例を通じて解決しようとする技術的課題は、香り保有量と香り保持性が増進した香料シートおよびこの製造方法を提供することである。
【0006】
本開示の幾つかの実施例を通じて解決しようとする他の技術的課題は、香り発現性と香り持続性が増進した喫煙物品およびこの製造方法を提供することである。
【0007】
本開示の技術的課題は以上で言及した技術的課題に制限されず、言及されていないさらに他の技術的課題は下記の記載から本開示の技術分野での通常の技術者に明確に理解され得るであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記技術的課題を解決するための、本開示の幾つかの実施例に係る香料シートは、シートを形成するハイドロコロイド物質、乳化剤および脂溶性香料を含むことができる。
【0009】
幾つかの実施例において、前記香料シートは、全体100重量部を基準として、0.5~10重量部の前記乳化剤を含むことができる。
【0010】
幾つかの実施例において、前記香料シートは、全体100重量部を基準として、10~40重量部の前記脂溶性香料を含むことができる。
【0011】
幾つかの実施例において、前記ハイドロコロイド物質は改質されたセルロース物質を含むことができる。
【0012】
幾つかの実施例において、LM-ペクチン(low methoxyl pectin)をさらに含むことができる。
【0013】
前記技術的課題を解決するための、本開示の幾つかの実施例に係る喫煙物品は、喫煙物質部、フィルタ部および前記喫煙物質部または前記フィルタ部の少なくとも一部を包むラッパー(wrapper)を含み、前記喫煙物質部、前記フィルタ部または前記ラッパーの少なくとも一部には香料シートが適用され、前記香料シートはハイドロコロイド物質、乳化剤および脂溶性香料を含むことができる。
【発明の効果】
【0014】
前述した本開示の幾つかの実施例によると、シートを形成するハイドロコロイド物質、乳化剤および脂溶性香料を含む香料シートが提供され得る。この時、乳化剤は水溶性のハイドロコロイド物質と脂溶性香料間の架橋の役割を遂行することによって、香料シートの香り保有量および香り保持性を大きく増進させることができる。
【0015】
また、香料シートが喫煙物品に多様な形態で適用されることによって、喫煙物品の香り発現性および香り持続性が向上し得る。例えば、シート形成剤によって固定された香料が喫煙中に徐々に放出されることによって喫煙物品の香り持続性が大きく向上し得る。
【0016】
本開示の技術的思想による効果は以上で言及した効果に制限されず、言及されていないさらに他の効果は下記の記載から通常の技術者に明確に理解され得るであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本開示の幾つかの実施例に係る香料シートの製造方法を概略的に示す例示的なフローチャートである。
図2】本開示の幾つかの実施例に係る喫煙物品を概略的に示す例示的な図面である。
図3】本開示の幾つかの実施例に係るラッピング材料製造方法を説明するための例示的な図面である。
図4】本開示の他の幾つかの実施例に係るラッピング材料製造方法を説明するための例示的な図面である。
図5】本開示の他の幾つかの実施例に係る喫煙物品を概略的に示す例示的な図面である。
図6】本開示の幾つかの実施例に係る香料シートの適用方式を説明するための例示的な図面である。
図7】本開示の幾つかの実施例に係る香料シートの加工形態を説明するための例示的な図面である。
図8】本開示の幾つかの実施例に係る香料シートの加工形態を説明するための例示的な図面である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付された図面を参照して本開示の好ましい実施例を詳細に説明する。本開示の利点および特徴、そしてそれらを達成する方法は、添付される図面と共に詳細に後述されている実施例を参照すると明確となるであろう。しかし、本開示の技術的思想は以下の実施例に限定されるものではなく互いに異なる多様な形態で具現され得、ただし、以下の実施例は本開示の技術的思想を完全なものとし、本開示が属する技術分野で通常の知識を有する者に本開示の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本開示の技術的思想は請求項の範疇によって定義されるのみである。
【0019】
各図面の構成要素に参照符号を付加するに際して、同一の構成要素に対しては、たとえ他の図面上に表示されても、できるだけ同一の符号を有するようにしていることに留意しなければならない。また、本開示を説明するに際して、関連した公知の構成または機能に対する具体的な説明が本開示の要旨を不要に曖昧にさせ得る恐れがあると判断される場合にはその詳細な説明は省略する。
【0020】
他の定義がない限り、本明細書で使われるすべての用語(技術および科学的用語を含む)は本開示が属する技術分野で通常の知識を有する者に共通して理解され得る意味で使われ得る。また、一般的に使われる辞書に定義されている用語は、明白に特に定義されていない限り理想的にまたは過度に解釈されない。本明細書で使われた用語は実施例を説明するためのものであって、本開示を制限しようとするものではない。本明細書で、単数型は文面で特に言及しない限り複数型も含む。
【0021】
また、本開示の構成要素を説明するに際して、第1、第2、A、B、(a)、(b)等の用語を使うことができる。このような用語はその構成要素を他の構成要素と区別するためのものに過ぎず、その用語によって該当構成要素の本質や手順または順序などが限定されない。ある構成要素が他の構成要素に「連結」、「結合」または「接続」されると記載された場合、その構成要素は、当該他の構成要素に直接的に連結されるか、または接続され得るが、各構成要素の間にさらに他の構成要素が「連結」、「結合」または「接続」され得るものと理解されるべきである。
【0022】
本開示で使用される「含む(comprises)」および/または「含む(comprising)」は、言及された構成要素、段階、動作および/または素子は、1つ以上の他の構成要素、段階、動作および/または素子の存在または追加を排除しない。
【0023】
まず、本開示の多様な実施例で使われる幾つかの用語について明確にすることにする。
【0024】
以下の実施例において、「喫煙物品」(smoking article)とは、タバコ、タバコ派生物、膨化処理タバコ(expanded tobacco)、再生タバコ(reconstituted tobacco)またはタバコ代用物に基づいているか否かにかかわらず、喫煙可能な任意の製品または喫煙体験を提供できる任意の製品を意味し得る。例えば、喫煙物品はシガレット、シガー(cigar)およびシガリロ(cigarillo)等のような喫煙可能製品を含むことができる。他の例として、喫煙物品は燃焼型喫煙物品と加熱型喫煙物品を含むことができる。
【0025】
以下の実施例において、「喫煙物質」(smoking material)とは、煙(smoke)および/またはエアロゾル(aerosol)を発生させるか、喫煙に利用される物質を意味し得る。例えば、喫煙物質はタバコ物質を含むことができる。タバコ物質は例えば、タバコ葉の細片、タバコの茎またはこれらから加工された物質などを含むことができる。より具体的な例として、タバコ物質は粉砕されたタバコの葉、粉砕された再生タバコ、膨化刻み、膨化主脈および板状葉などを含むことができる。しかし、これに限定されるものではない。
【0026】
以下の実施例において、「上流」(upstream)または「上流方向」は喫煙者の口部から遠ざかる方向を意味し、「下流」(downstream)または「下流方向」は喫煙者の口部から近づく方向を意味し得る。上流および下流という用語は喫煙物品を構成する要素の相対的な位置を説明するために利用され得る。例えば、図2に例示された喫煙物品100で、フィルタ部120は喫煙物質部110の下流または下流方向に位置し、喫煙物質部110はフィルタ部120の上流または上流方向に位置する。
【0027】
以下の実施例において、「長さ方向」(longitudinal direction)は喫煙物品の長さ方向軸に相応する方向を意味し得る。
【0028】
以下の実施例において、「パフ」(puff)はユーザ(喫煙者)の吸入(inhalation)を意味し、吸入とはユーザの口や鼻を通じてユーザの口腔内、鼻腔内または肺に引き寄せる状況を意味し得る。
【0029】
以下の実施例において、「シート」(sheet)はその厚さより実質的に大きな幅および長さを有する薄層要素を意味し得る。当該技術分野で、シートという用語はウェブ(web)、フィルム(film)等の用語と混用されて使われてもよい。
【0030】
以下の実施例において、「香料シート」(flavor sheet or flavoring sheet)はシート形態で製造された香料含有材料を意味し得る。
【0031】
以下では、本開示の多様な実施例に対して添付された図面により詳細に説明する。
【0032】
本開示の幾つかの実施例によると、香り保有量および香り保持性が増進した香料シートが提供され得る。具体的には、水溶性(親水性)のシート形成剤に基づいた香料シートを製造する時、乳化剤を添加することによって脂溶性(親油性)香料に対する香り保有量および香り保持性が大きく増進し得る。乳化剤は水溶性および脂溶性構造を同時に具備することによって、水溶性のシート形成剤と脂溶性香料との架橋の役割を遂行でき、多量の脂溶性香料がシート形成剤によく固定されるようにすることもできる。したがって、乳化剤を通じて香り保有量および香り保持性が大きく増進した香料シートが製造され得、このような香料シートを通じて香り発現性および香り持続性が増進した喫煙物品も容易に製造され得る。
【0033】
まず、図1を参照して前述したような香料シートとこの製造方法について説明することにする。
【0034】
図1は、本開示の幾つかの実施例に係る香料シートの製造方法を概略的に示す例示的なフローチャートである。ただし、これは本開示の目的を達成するための好ましい実施例に過ぎず、必要に応じて一部の段階が追加または削除され得ることは言うまでもない。
【0035】
図1に図示された通り、前記製造方法はシート組成物を製造する段階S100で開始され得る。具体的には、ハイドロコロイド物質、乳化剤および香料を蒸溜水(water)、エタノールなどの溶媒とともに配合して液状(例えば、スラリー状態)のシート組成物が製造され得る。ここで、液状は液体状態だけでなく、液体と固体が混合された状態(例えば、スラリー状態)も含むものであり得る。前記香料は脂溶性香料であり得るが、本開示の範囲はこれに限定されるものではない。
【0036】
蒸溜水などの溶媒はスラリー状シート組成物の粘度を調節するための要素であり得る。
【0037】
次に、ハイドロコロイド物質は香料を被覆して固定する物質であり、シートを形成するシート形成剤であり得る。ハイドロコロイド物質は蒸溜水、エタノールなどの溶媒が接触する際に自主的に粘性を帯びるので、このような物質に基づいた香料シートは別途の接着剤がなくても喫煙物品に容易に付着され得るという長所がある(図3など参照)。換言すると、ハイドロコロイド物質がシート形成剤として利用されると、香料シートの付着(配置)工程が簡素化され得、接着剤による安全性の問題から自由となり得る。
【0038】
ハイドロコロイド物質の例としては、ゼラチン、寒天、ジェランガム、ペクチン、グアガム、キサンタンガム、グルコマンナン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、デンプン類などが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0039】
次に、乳化剤は脂溶性が強い香料と水溶性のハイドロコロイド物質がよく混合されるようにして香料シートの香り保有量と香り保持性を大きく増大させることができる。乳化剤の例としては、モンタノブワックス、オリーブ乳化ワックス、レシチン、グリセリルステアレート、ステアリン酸、レシチンなどの天然乳化剤と、モノグリセリド、ジグリセリド、ソルビタン、脂肪酸エステルなどの合成乳化剤が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0040】
次に、香料の例としては、メントール、ニコチン、ニコチン塩、葉タバコ抽出物、ニコチンが含まれた葉タバコ抽出物、天然植物性香料(例えば、シナモン、セージ、ハーブ、カモミール、枯れ草、甘茶、クローブ、ラベンダー、カルダモン、丁香、ナツメグ、ベルガモット、ゼラニウム、蜂蜜エッセンス、ローズ油、レモン、オレンジ、ケイヒ、キャラウェイ、ジャスミン、ショウガ、コリアンダー、バニラエキス、スペアミント、ペパーミント、カッシア、コーヒー、セロリ、カスカリラ、サンダルウッド、ココア、イランイラン、フェンネル、アニス、リコリス、セントジョンズブレッド、スモモエキス、桃エキスなど)、糖類(例えば、グルコース、フルクトース、異性化糖、キャラメルなど)、ココア類(パウダー、エキスなど)、エステル類(例えば、酢酸イソアミル、酢酸リナリル、プロピオン酸イソアミル、酪酸リナリルなど)、ケトン類(例えば、メントン、イオノン、ダマセノン、エチルマルトールなど)、アルコール類(例えば、ゲラニオール、リナロール、アネトール、オイゲノールなど)、アルデヒド類(例えば、バニリン、ベンズアルデヒド、アニスアルデヒドなど)、ラクトン類(例えば、γ-ウンデカラクトン、γ-ノナラクトンなど)、動物性香料(例えば、ムスク、アンバーグリス、シベット、カストリウムなど)、炭化水素類(例えば、リモネン、ピネンなど)が挙げられる。香料は、固体として使用されてもよく、適切な溶媒、例えば、プロピレングリコール、エチルアルコール、ベンジルアルコール、トリエチルシトレートに溶解または分散して使用されてもよい。これらの香料は、単独で用いられてもよく、混合物として用いられてもよい。ただし、本開示の範囲は前述した例示によって限定されるものではない。
【0041】
一方、幾つかの実施例において、シート組成物は多様なハイドロコロイド物質のうち改質されたセルロース物質を含むことができる。ここで、「改質されたセルロース」は分子構造内で特定の作用基が置換されたセルロースを意味し得る。改質されたセルロースの例としては、HPMC、MC、CMC、ECが挙げられるが、これに限定されるものではない。例えば、HPMCはヒドロキシプロピル基およびメチル基(またはメトキシ基)が置換された比率および分子量によって約4~40000の範囲内の等級(grade)を有することができる。等級により、改質されたセルロースの粘度が決定され得る。より具体的には、HPMCの物理化学的特性はメトキシ基の比率、ヒドロキシプロピル基の比率および分子量と関係があるが、アメリカ薬局方(USP)によると、HPMCの種類はメトキシ基およびヒドロキシプロピル基の比率によってHPMC1828、HPMC2208、HPMC2906およびHPMC2910などに分類され得る。ここで、前の二つの数字はメトキシ基の比率で、後の二つの数字はヒドロキシプロピル基の比率を意味し得る。本発明者らの持続的な実験結果、改質されたセルロースを含むシート組成物から製造された香料シートは、シート物理性および香り保有量が優秀なことが確認された。
【0042】
また、幾つかの実施例において、シート組成物はLM-ペクチン(low methoxyl pectin)をさらに含んでもよい。LM-ペクチンは、エステル化が比較的に少なく行われた低エステルペクチンまたは低メトキシルペクチンであり、具体的には、分子構造の内部にカルボキシ基(carboxyl group)が約50%未満で含有されたペクチンを意味し得る。LM-ペクチンはカラギナンとは異なって、放冷時にゲル化しない特性を有するので、スラリー状シート組成物の粘度を低減する(例えば、約600cp~800cp程度)ことによって製造工程の作業性を向上させることができる。
【0043】
LM-ペクチンは分子構造の内部にカルボキシ基を約50%未満、約40%未満、約30%未満、約20%未満、または約10%未満で含有することができる。LM-ペクチンの分子構造の内部にカルボキシ基含量が少なくなるほど、LM-ペクチンを含むスラリーの粘度が低くなり得る。
【0044】
また、幾つかの実施例において、シート組成物は増量剤(bulking agent)をさらに含んでもよい。増量剤は蒸溜水以外の構成成分の合計質量(すなわち、乾物質量)を増加させて製造される香料シートの体積を増加させることができ、香料シートの本来の機能に影響を及ぼさない物質であり得る。具体的には、増量剤は香料シートの体積を増加させるものの、スラリーの粘度を実質的に上昇させないと同時に、香料シートの香料保持機能に悪影響を及ぼさない特性を有することができる。好ましくは、増量剤はデンプン類、変性デンプン、またはデンプン加水分解物であってもよい。しかし、これに限定されるものではない。
【0045】
変性デンプンは酢酸デンプン、酸化デンプン、ヒドロキシプロピルリン酸二デンブン、ヒドロキシプロピルデンプン、リン酸二デンブン、リン酸一デンブン、リン酸化リン酸二デンブンなどを示す。
【0046】
デンプン加水分解物とは、デンプンを加水分解する工程を含むプロセスによって得られる物質を示す。デンプン加水分解物は、例えば、デンプンを直接加水分解して得られる物質(すなわち、デキストリン)、またはデンプンを加熱処理した後に加水分解して得られる物質(すなわち、難消化性デキストリン)を含んでもよい。増量剤は、例えば、デキストリン(dextrin)であって、さらに具体的には、シクロデキストリン(cyclodextrin)であり得る。
【0047】
デンプン加水分解物は、一般的に、約2~約40の範囲に含まれるDE値を有するデンプン加水分解物、好ましくは約2~約20の範囲に含まれるDE値を有するデンプン加水分解物であり得る。約2~約20の範囲に含まれるDE値を有するデンプン加水分解物として、例えば、パインデックス#100(松谷化学工業(株))、パインファイバー(松谷化学工業(株))、TK-16(松谷化学工業(株))が用いられ得る。
【0048】
ここで、「DE」は、dextrose equivalentの略語であり、DE値は、デンプンの加水分解の程度、すなわちデンプンの糖化率を示す。本開示でDE値は、ウィルシュテッター・シューデル(Willstatter-Schudel)法によって測定された値であり得る。加水分解されたデンプン(デンプン加水分解物)の特性、例えば、デンプン加水分解物の分子量やデンプン加水分解物を構成する糖分子の配列などの特性は、デンプン加水分解物の分子ごとに一定でなく、任意の分布またはバリエーション(variation)を持って存在している。デンプン加水分解物の特性の分布やバリエーション、またはカットされる区間の差異などによって、デンプン加水分解物は、その分子ごとに異なる物性特徴(例えばDE値)を発現することができる。このように、デンプン加水分解物は、異なる物性特徴を示す分子の集合であるが、ウィルシュテッター・シューデル(Willstatter-Schudel)法を用いた測定結果(すなわちDE値)は、デンプンの加水分解の程度を示す代表値として扱われている。
【0049】
好ましくは、デンプン加水分解物は、約2~約5のDE値を有するデキストリン、約10~約15のDE値を有する難消化性デキストリンおよびこれらの混合物からなる群から選択され得る。約2~約5のDE値を有するデキストリンとして、例えばパインデックス#100(松谷化学工業(株))が活用され得る。約10~約15のDE値を有する難消化性デキストリンとして、例えばパインファイバー(松谷化学工業(株))が活用され得る。
【0050】
また、幾つかの実施例において、シート組成物は可塑剤をさらに含んでもよい。可塑剤は香料シートに適切な柔軟性を付与することによってシートの物理性を向上させることができる。可塑剤は例えばグリセリンおよびプロピレングリコールのうち少なくとも一つを含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0051】
段階S200で、製造されたシート組成物を塗布および乾燥して香料シートが製造され得る。例えば、シート組成物を所定の基材上に塗布(例えば、キャスティング)し乾燥させることによって香料シートが製造され得る。
【0052】
このように製造された香料シートは多様な組成比(含量比)を有することができ、具体的な組成比はシート組成物の配合比と乾燥条件などにより変わり得る。
【0053】
幾つかの実施例において、香料シートは、全体100重量部を基準として、約0.5~10重量部の乳化剤を含むことができる。このような数値範囲内で、香料の保有量および保持性が増大することが確認された。例えば、乳化剤の含量が過度に少ない場合には香料の保有量の増加が微小であり、過度に多い場合にも香料を被覆するシート形成剤や香料の含量が減少して香料の保有量が大きく増加しないことが確認された。
【0054】
また、幾つかの実施例において、香料シートは、全体100重量部を基準として、約10~60重量部または10~40重量部の香料を含むことができ、好ましくは約20重量部、22重量部、24重量部以上または26重量部以上の香料を含むことができる。適切な量の乳化剤が添加される場合、脂溶性香料の保有量が未添加の場合より略10%、15%または20%以上増加することが確認された。
【0055】
また、幾つかの実施例において、香料シートは、全体100重量部を基準として、水分約2~約15重量部、改質されたセルロース約25~約90重量部および香料約0.1~約60重量部を含むことができる。また、香料シートは約0.5~10重量部の乳化剤をさらに含むことができる。
【0056】
また、幾つかの実施例において、香料シートは、全体100重量部を基準として、水分約2~約15重量部、ハイドロコロイド物質約1~約60重量部、LM-ペクチン約1~約60重量部および香料約0.1~約60重量部を含むことができる。また、香料シートは約0.5~10重量部の乳化剤をさらに含むことができる。
【0057】
また、幾つかの実施例において、可塑剤は、香料シート全体100重量部を基準として、約0.1~約15重量部だけ含まれ得る。このような数値範囲内で適切な柔軟性を有するシートが形成され得る。例えば、可塑剤が過度に少なく添加される場合にはシートの柔軟性が低下して工程中に香料シートが容易に破損し得、可塑剤が過度に多く添加される場合にはシートが良好に形成されないことがある。
【0058】
これまで図1を参照して本開示の幾つかの実施例に係る香料シートおよびこの製造方法について説明した。前述したところによると、水溶性のハイドロコロイド物質と脂溶性香料間の架橋の役割を遂行する乳化剤を添加することによって、香り保有量および香り保持性が増進した香料シートが容易に製造され得る。
【0059】
以下では、図2以下の図面を参照して前述した香料シートを含むことによって香り発現性および香り持続性が増進した喫煙物品(例えば、100)について詳細に説明することにする。
【0060】
図2は、本開示の幾つかの実施例に係る喫煙物品100を概略的に示す例示的な図面である。
【0061】
図2に図示された通り、喫煙物品100はフィルタ部120、喫煙物質部110およびラッパー(130;wrapper)を含むことができる。ただし、図2には本開示の実施例に関連する構成要素のみが図示されている。したがって、本開示が属した技術分野の通常の技術者であれば、図2に図示された構成要素の他に他の汎用的な構成要素がさらに含まれ得ることが分かる。また、図2は、本開示の多様な実施例に係る喫煙物品の一部の例示を図示しているだけであるので、喫煙物品の細部構造は図2に図示されたものと異なり得ることは言うまでもない。以下、喫煙物品100の各構成要素について説明することにする。
【0062】
フィルタ部120は喫煙物質部110で発生した煙および/またはエアロゾルに対する濾過機能を遂行することができる。このために、フィルタ部120はフィルタ(濾過)物質を含むことができる。フィルタ物質の例としては、セルロースアセテート繊維、紙などが挙げられるが、本開示の範囲はこれに限定されるものではない。フィルタ部120はフィルタ物質(プラグ)を包んでいるラッパー130をさらに含むものであってもよい。
【0063】
図示された通り、フィルタ部120は喫煙物質部110の下流に位置して喫煙物質部110の下流末端と連結され得る。例えば、フィルタ部120と喫煙物質部110は円柱(ロッド)状を有して長さ軸方向に整列され、チッピングラッパー(tipping wrapper)により連結され得る。チッピングラッパーはフィルタ部120の少なくとも一部と喫煙物質部110の少なくとも一部を共にラッピングしてフィルタ部120と喫煙物質部110を連結することができる。フィルタ部120が喫煙物品100の下流末端を形成する場合、フィルタ部120は喫煙者の口部と接触するマウスピースとして機能してもよい。
【0064】
フィルタ部120はロッドの形態で製造されるので、場合により「フィルタロッド120」と称されてもよく、円柱型、内部に中空を含むチューブ型、リセス型などのように多様な形態で製造され得る。
【0065】
次に、喫煙物質部110は燃焼または加熱されることによって煙および/またはエアロゾルを発生させることができる喫煙物質を含むことができる。喫煙物質部110は喫煙物質を包んでいるラッパー130をさらに含むものであってもよい。
【0066】
図示された通り、喫煙物質部110はフィルタ部120の上流に位置してフィルタ部120の上流末端と連結され得る。パフによって喫煙物質部110で発生した煙および/またはエアロゾルはフィルタ部120を経て喫煙者の口部に伝達され得る。
【0067】
喫煙物質部110もロッドの形態で製造されるので、場合により「喫煙物質ロッド110」と称されてもよい。または喫煙物質部110は「媒質部110」と称されてもよい。
【0068】
喫煙物質は例えばタバコ物質を含むことができる。タバコ物質は例えば、タバコ葉の細片、タバコの茎またはこれらから加工された物質などを含むことができる。より具体的な例として、タバコ物質は粉砕されたタバコの葉、粉砕された再構成タバコ、膨化刻み、膨化主脈および板状葉などを含むことができる。しかし、これに限定されるものではない。また、タバコ物質はタバコ刻み、タバコ粒子(particle)、タバコシート(sheet)、タバコビーズ(beads)、タバコ顆粒(granule)またはタバコ抽出物の形態を有し得るが、これに限定されるものではない。
【0069】
幾つかの実施例において、喫煙物質は湿潤剤(保湿剤)、香味剤および/または有機酸(organic acid)のような添加物質をさらに含むことができる。例えば、湿潤剤はグリセリン、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコールおよびオレイルアルコールのうち少なくとも一つを含んでもよい。湿潤剤はタバコ物質内の水分を適正水準に維持して固有の味をやわらかくし、霧化量を豊富にすることができる。また、香味剤は例えば甘草、ショ糖、果糖シロップ、イソ甘味剤(isosweet)、ココア、ラベンダー、シナモン、カルダモン、セロリ、コロハ、カスカリラ、ビャクダン、ベルガモット、ゼラニウム、蜂蜜エッセンス、バラオイル、バニラ、レモンオイル、オレンジオイル、ミントオイル、ケイヒ、キャラウェイ、コニャック、ジャスミン、カモミール、メントール、ケイヒ、イランイラン、サルビア、スペアミント、ショウガ、コエンドロ、クローブ抽出物(またはクローブ物質)またはコーヒーなどを含んでもよい。
【0070】
次に、ラッパー130は喫煙物質部110および/またはフィルタ部120の少なくとも一部を包んでいるものを意味し得る。ラッパー130は喫煙物質部110またはフィルタ部120の個別のラッパーを指し示すものであってもよく、チッピングラッパーなどのように喫煙物質部110とフィルタ部120の少なくとも一部を共に包んでいるラッパーを指し示すものであってもよく、喫煙物品100に利用されたすべてのラッパーを総称するものであってもよい。前記ラッパー130は多孔性または非多孔性のラッピングペーパー(wrapping paper)からなってもよいが、本開示の範囲はこれに限定されるものではない。例えば、ラッパー130は金属ホイル(foil)またはラッピングペーパーと金属ホイルの重ね合わせの形態からなってもよい。
【0071】
本開示の多様な実施例によると、図示された通り、香料シート10が喫煙物質部110および/またはラッパー130に適用(配置)できる。このように適用された香料シート10は喫煙中に持続的に香りを発現することによって喫煙物品100の香り発現性と香り持続性を増大させることができる。換言すると、香料が液状の形態で投入された場合とは異なって、シート形成剤によって固定(被覆)された香料が喫煙中に徐々にそして持続的に発現することによって喫煙初期に多くの香りが発現する問題が効果的に解決され得る。ただし、その具体的な適用方式は変わり得る。
【0072】
幾つかの実施例では、香料シート10がラッパー130の内側に配置(例えば、付着(重ね合わせ)、コーティング)され得る。例えば、香料シート10が喫煙物質部110の全部または一部を包む形態でラッパー130の内側に配置され得る。ラッパー130の少なくとも一部が金属ホイルからなる場合、香料シート10は金属ホイルの内側に配置され得る。このような場合、金属ホイルを通じて伝達された熱によって香料シート10の香り発現がさらに促進され得る。香料シート10をラッパー130に配置する工程に関しては今後図3および図4を参照して後述することにする。
【0073】
他の幾つかの実施例では、香料シート10がラッパー130の少なくとも一部を構成してもよい。すなわち、香料シート10自体が喫煙物品100のラッパー130として機能することができる。この時、ラッパー130は香料シート10のみで構成されてもよく、香料シート10とラッピングペーパーが一体化した形態で構成されてもよい。このような場合、香料シート10をラッパー130に配置する工程(例えば、付着(重ね合わせ)工程、コーティング工程)の遂行が不要であるところ、喫煙物品100の製造工程がより簡素化され得る。
【0074】
さらに他の幾つかの実施例では、香料シート10がラッパー130以外の他の部分に適用されてもよい。例えば、香料シート10は裁刻された形態で刻み(例えば、葉タバコ刻み、板状葉刻みなど)と配合されて喫煙物質部110に投入され得る。他の例として、香料シート10はタバコシート(例えば、板状葉のようなシート形態のタバコ物質)に積層(付着)された形態で喫煙物質部110に投入されてもよい。さらに他の例として、香料シート10はローリング(rolling)またはフォールディング(folding)された形態で喫煙物質部110または他の部位(例えば、冷却部内部、冷却部の内壁など)に配置されてもよいが、このような例示に関しては今後図5図8を参照してより詳細に説明することにする。
【0075】
これまで図2を参照して本開示の幾つかの実施例に係る喫煙物品100について説明した。前述したところによると、香料シート10が喫煙物品100に多様な形態に適用されることによって、喫煙物品100の香り発現性および香り持続性が向上し得る。例えば、シート形成剤によって固定された香料が喫煙中に徐々に放出されることによって喫煙物品100の香り持続性が大きく向上し得る。
【0076】
以下では、図3および図4を参照して香料シート10が適用されたラッピング材料の製造方法について説明することにする。
【0077】
実施例に係るラッピング材料は香料シート10またはこれの原料であるシート組成物を利用して製造され得る。ただし、その具体的な製造方式は実施例により変わり得る。
【0078】
幾つかの実施例では、香料シート10とラッピングペーパーを重ね合わせる工程を通じてラッピング材料が製造され得る。より理解の便宜を提供するために、図3を参照して本実施例について説明することにする。
【0079】
図3に図示された通り、ラッピングペーパーが巻かれている第1ボビン410を通じてラッピングペーパーが供給され、これと同時に香料シート10が巻かれている第2ボビン420を通じて香料シート10が供給され得る。そして、供給されたラッピングペーパーと香料シート10はプレスローラ440を通じて重ね合わせられ得る。この時、香料シート10がハイドロコロイド物質で構成された場合には、噴射機430を通じて所定の液体が噴射され得る。そして、噴射された液体によって香料シート10が粘着性を有するようになって、別途の接着剤がなくても香料シート10がラッピングペーパーと強く重ね合わせられ得る。また、これに伴い、喫煙物品のラッピング材料450が容易に製造され得る。製造されたラッピング材料450は適切な大きさで切断されて喫煙物品のラッパーとして利用され得る。
【0080】
前記所定の液体は例えば水(蒸溜水)、エタノールなどとなり得るが、これに限定されるものではない。
【0081】
また、第2ボビン420を通じて供給される香料シート10の厚さは約60μm~150μmであり得、好ましくは約60μm~120μmであり得る。このような数値範囲内で、香料シート10がラッピングペーパーに容易に重ね合わせられ得、ラッピング材料450が過度に厚くなる問題が防止されて適切な柔軟性が確保され得る。
【0082】
他の幾つかの実施例では、液状のシート組成物をラッピングペーパー上に塗布して乾燥するコーティング(coating)工程を通じてラッピング材料が製造され得る。より理解の便宜を提供するために、図4を参照して本実施例について説明することにする。
【0083】
図4に図示された通り、ラッピングペーパーが巻かれているボビン510を通じてラッピングペーパーが供給され得る。そして、塗布機(520;e.g.ノズル)を通じて液状(例えば、スラリー状態)のシート組成物530が供給されるラッピングペーパー上に塗布され得る。シート組成物530はラッピングペーパーの移送過程540の間自然乾燥されるか別途の乾燥設備内で乾燥され得る。その結果、シート組成物530がラッピングペーパー上に適切にコーティングされてラッピング材料550が製造され得る。製造されたラッピング材料550は適切な大きさで切断されて喫煙物品のラッパーとして利用され得る。
【0084】
この時、コーティングされたシート組成物530が占める厚さは約100μm以下であり得、好ましくは約90μm、80μm、70μm、60μmまたは50μm以下であり得る。このような数値範囲内でラッピング材料550が過度に厚くなることが防止されて適切な柔軟性が確保され得る。
【0085】
前述した通り、ラッピング材料450、550が製造されると、製造されたラッピング材料450、550を適切な大きさで切断し、切断されたラッピング材料450、550で喫煙物品(例えば、100)の少なくとも一部をラッピング(wrapping)することによって香り持続性および香り発現性が増進した喫煙物品(例えば、100)が製造され得る。例えば、ラッピング材料450、550で喫煙物質部(例えば、110)の少なくとも一部をラッピングして喫煙物品(例えば、100)が製造され得る。
【0086】
これまで図3および図4を参照して本開示の幾つかの実施例に係るラッピング材料の製造方法について説明した。前述した方法によると、喫煙物品(例えば、100)のラッピングペーパーと香料シート10が重ね合わせられたり、ラッピングペーパー上に香料シート10の組成物が塗布されることによって、喫煙物品(例えば、100)のラッピング材料が容易に製造され得る。また、製造されたラッピング材料を利用すると、既存の製造設備(すなわち、喫煙物品のラッピングを遂行する設備)をそのまま利用して喫煙物品(例えば、100)が製造され得るという長所がある。
【0087】
以下では、図5以下の図面を参照して本開示の他の幾つかの実施例に係る喫煙物品200と香料シート10の適用方式について説明することにする。ただし、本開示の明瞭さのために、前述された喫煙物品100と重複する内容に対する説明は省略することにする。
【0088】
図5は、本開示の他の幾つかの実施例に係る喫煙物品200を示す例示的な図面である。
【0089】
図5に図示された通り、喫煙物品200は喫煙物質部210とフィルタ部220を含むことができ、フィルタ部220は複数のセグメント221、222を含むことができる。
【0090】
喫煙物質部210は前述した喫煙物質部110に対応し得る。したがって、これに対する説明は省略することにする。
【0091】
次に、フィルタ部220は第1セグメント221と第2セグメント222で構成され得る。もちろん、フィルタ部220は第3セグメント(図示されず)をさらに含んでもよい。
【0092】
第1セグメント221は喫煙物質部210で発生した煙および/またはエアロゾルに対する冷却機能を遂行することができる。したがって、場合により第1セグメント221は「冷却セグメント221」または「冷却部221」と称されてもよい。
【0093】
第1セグメント221は多様な形態で製造され得る。一例として、第1セグメント221は紙材質で形成され、中空を含む円筒形態の紙管であり得る。他の例として、第1セグメント221は高分子物質または生分解性高分子物質で製作されたものであってもよい。例えば、第1セグメント221はポリ乳酸(PLA)繊維で製作され得るが、これに限定されない。さらに他の例として、第1セグメント221は複数個の孔が穿設されたセルロースアセテートフィルタで製作され得る。さらに他の例として、第1セグメント221は中空を含むチューブフィルタであり得る。例えば、第1セグメント221は中空を含むセルロースアセテートフィルタであり得る。しかし、これに限定されるものではなく、冷却機能を遂行できるのであれば、第1セグメント221は例示されたものとは異なる形態で製造されてもよい。
【0094】
幾つかの実施例では、第1セグメント221に香料シート10が適用され得る。具体的には、香料シート10は第1セグメント221の内部(例えば、中空、キャビティなど)または内壁に配置され得る。ただし、その具体的な加工形態および/または適用方式は変わり得る。
【0095】
幾つかの例では、図6に図示された通り、香料シート10が不規則的なパターンでローリングまたはフォールディングされて第1セグメント221に適用され得る(10-1参照)。または香料シート10がうず巻き形態(10-2参照)または同心円形態(10-3参照)でローリングされて第1セグメント221に適用され得る。または香料シート10が何度もフォールディングされた形態(例えば、長さ方向に気流パスが確保されるようにフォールディングされた形態)で第1セグメント221に適用されてもよい(10-4参照)。香料シート10が例示された形態で第1セグメント221に適用されると、長さ方向に気流パスが確保されて円滑な気流の流れと適切な吸引抵抗が保障され得る。また、香料シート10と高温の気流との接触面積が増大して、第1セグメント221の冷却性能も向上し得る。
【0096】
また、幾つかの例では、香料シート10が第1セグメント221の内壁に付着され得る。このような場合、香料シート10が第1セグメント221内で気流の流れに否定的な影響を全く及ぼさないため、円滑な気流の流れと適切な吸引抵抗がさらに良好に保障され得る。
【0097】
一方、前述した例示において、香料シート10は所定の工程を通じて加工されたシートであり得る。
【0098】
例えば、図7に図示された通り、香料シート10は喫煙物品200の長さ方向(すなわち、MD方向)にシワが発生するか折りたたまれるように加工されたものであり得る。例えば、香料シート10はクリンピング(crimping、捲縮)工程、プリーティング(pleating、シワ)工程、フォールディング(folding、折り畳み)およびギャザリング(gathering、集結)工程のうち少なくとも一つによりシワが発生するか折りたたまれ得る。具体的には、クリンピング工程はクリンピング機器のローラ圧力と速度差を通じてシート表面にシワ(creep)が付与される工程であり、湿式工程と乾式工程に分かれる。湿式工程は、原紙を水に濡らした後、やわらかくしてクリンピングをした後、再乾燥過程を経る工程を意味する。乾式工程は、互いに温度が異なる二つのドライヤによる乾燥工程を意味する。当該技術分野の従事者であれば、プリーティング工程、フォールディング工程およびギャザリング工程についてすでに熟知しているところ、これに関するさらなる説明は省略することにする。本実施例によると、例示された工程のうち少なくとも一つを通じて香料シート10に長さ方向に多数のチャネルが形成され得、形成されたチャネルを通じて円滑な気流の流れと適切な吸引抵抗が保障され得る。それだけでなく、香料シート10と高温の気流との接触面積が増大して、冷却性能も向上し得る。
【0099】
他の例として、図8に図示された通り、香料シート10は複数個のホール(101;hole)が形成されるように加工されたものであり得る。例えば、パンチング(punching)工程を通じて香料シート10に複数個のホール101が形成され得る。この時、ホール101の直径は約0.05mm~5mmであり得、好ましくは約0.1mm~3mmまたは約0.2mm~2.5mm、約0.3mm~2.1mmまたは約0.4mm~1.8mmであり得る。このような数値範囲内で、円滑な気流の流れと適切な吸引抵抗が保障され得る。それだけでなく、香料シート10と高温の気流との接触面積が最大化され、第1セグメント221の冷却性能が大幅に向上し得る。
【0100】
一方、幾つかの実施例において、香料シート10を構成するシート形成剤はセルロース系列の物質であり得る。セルロース系列の物質の例としては、HPMC、MC、CMC、寒天が挙げられるが、これに限定されるものではない。このようなセルロース系列の物質は高温の気流と接触時に相変化を通じて熱気をよく吸収する性質を有するので、第1セグメント221の冷却性能をさらに向上させることができる。それだけでなく、相変化されることにより被覆された香料をゆっくり排出することによって喫煙物品200の香り持続性も大きく向上させることができる。
【0101】
また、幾つかの実施例では、香料シート10に含まれた香料は融点が約80℃以下のものであり得る。このような場合、香料シート10が80℃以上の気流と接触時に香料が相変化されながら熱気をさらに吸収するので、第1セグメント221の冷却性能がより一層向上し得る。一般的に加熱された煙/エアロゾルの温度が80℃以上である点を考慮すれば、前記のような香料の使用は大多数の加熱型喫煙物品の冷却性能を効果的に増進させることができる。それだけでなく、相変化された香料が容易に揮散されることによって、喫煙物品200の香り発現性も増進し得る。融点が約80℃以下である香料の例としては、メントールが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0102】
再び図5を参照して説明する。
【0103】
次に、第2セグメント222は第1セグメント221を通過した煙および/またはエアロゾルに対する濾過機能を遂行することができる。したがって、場合により第2セグメント222は「フィルタセグメント222」または「フィルタ部222」と称されてもよい。または第2セグメント222はマウスピース部位に位置するところ、「マウスピースセグメント222」または「マウスピース部222」と称されてもよい。
【0104】
幾つかの実施例において、第2セグメント222は少なくとも一つのカプセル240を含むことができる。ここで、カプセル240は香味を発生させる機能を遂行してもよく、煙および/またはエアロゾルを発生させる機能を遂行してもよい。例えば、カプセル240は香料を含む液体を皮膜で包んだ構造であり得る。また、カプセル240は球状または円筒状を有することができるが、これに限定されるものではない。
【0105】
次に、ラッパー230は前述したラッパー130に対応し得る。したがって、これに対する説明は省略することにする。前述した通り、ラッパー230にも香料シート10が適用されてもよい。そのようにすることによって、喫煙物品200の香り発現性と香り持続性がさらに増進し得る。
【0106】
一方、図5に図示されてはいないが、喫煙物品200は末端に配置されたプラグ(図示されず)をさらに含んでもよい。例えば、プラグは喫煙物品200の上流末端に配置され、喫煙物品200の全体の長さを適切に調節する機能を遂行することができる。また、喫煙物品200がエアロゾル発生装置(図示されず)に挿入される場合、プラグは喫煙物質部210がエアロゾル発生装置内部の適切な位置に配置されるように調節する機能を遂行してもよい。
【0107】
これまで図5図8を参照して本開示の他の幾つかの実施例に係る喫煙物品200について説明した。前述したことによると、香料シート10が喫煙物品200に多様な形態に適用されることによって、喫煙物品200の香り発現性および香り持続性が向上し得る。それだけでなく、香料シート10が喫煙物品200の冷却セグメント221に適用されることによって、喫煙物品200の冷却性能も向上し得る。
【0108】
以上、添付された図面を参照して本開示の実施例を説明したが、本開示が属する技術分野で通常の知識を有する者は、その技術的思想や必須の特徴を変更することなく、本開示が他の具体的な形態で実施可能であることが理解できる。したがって、以上で記述した実施例はすべての面において例示的なものであり、限定的ではないものと理解されるべきである。本開示の保護範囲は下記の特許請求の範囲によって解釈されるべきであり、それと同等な範囲内にあるすべての技術思想は本開示によって定義される技術的思想の権利範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】