(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-22
(54)【発明の名称】交換型採血器
(51)【国際特許分類】
A61B 5/151 20060101AFI20240115BHJP
【FI】
A61B5/151 200
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023542015
(86)(22)【出願日】2022-01-12
(85)【翻訳文提出日】2023-07-11
(86)【国際出願番号】 KR2022000548
(87)【国際公開番号】W WO2022154469
(87)【国際公開日】2022-07-21
(31)【優先権主張番号】10-2021-0003831
(32)【優先日】2021-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0064536
(32)【優先日】2021-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0092247
(32)【優先日】2021-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523259824
【氏名又は名称】ローメッド カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ROAHMED CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】#208, 2F., MECA dong, 50, Wanam-ro, Seongsan-gu, Changwon-si, Gyeongsangnam-do, 51573 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】チェ,イムチョル
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038TA02
4C038UE02
4C038UE03
4C038UE05
(57)【要約】
本発明に係る交換型採血器は、管状のバレルに、ニードルキャリアと先端スライダーで構成されたニードルユニットを挿入して使用した後、使用されたニードルユニット又はニードルキャリアを入れ換えて再使用する。この交換型採血器は、再使用時に廃棄される部品を減らして資源の浪費を最小化できる。また、先端スライダーに設けられた引出し把持部により、バレル内に挿入される先端スライダーの組立及び分離が容易である。また、ニードルキャリアを前進方向に弾性的に押す駆動スプリングと、駆動スプリングが圧縮されて弾性力が発生するように支持する基端ギャップを備え、採血器がスプリングの弾性力によって採血作業を行うことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交換型採血器であって、
先端開口を有する管状のバレルと、
前記バレルの先端開口に挿入され、軸線方向に沿ってスライディング移動可能なニードルユニットと、
前記バレル内で前記ニードルユニットを先端方向外側に弾性的に押す駆動スプリングと、を備えていることを特徴とする交換型採血器。
【請求項2】
前記バレルは、前記先端開口から所定の長さ区間側方に開放されて前記ニードルユニットを露出させるか、長手方向に沿って所定区間切開形成されて前記ニードルユニットの引出しを案内する引出し開口部を有することを特徴とする、請求項1に記載の交換型採血器。
【請求項3】
前記バレルは基端開口を有し、前記基端開口を開閉し、前記駆動スプリングの基端に接触する基端ギャップをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の交換型採血器。
【請求項4】
前記バレルと前記基端ギャップとの間には前記基端ギャップの軸線方向位置を調節する針深さ調節部が設けられていることを特徴とする、請求項3に記載の交換型採血器。
【請求項5】
前記針深さ調節部は、前記バレルに形成された螺旋ガイド部と、前記基端ギャップに設けられて前記螺旋ガイド部とかみ合う噛合い移動部を有することを特徴とする、請求項4に記載の交換型採血器。
【請求項6】
前記バレルと前記基端ギャップとの間に介在されて前記基端ギャップと回転する止めブッシングをさらに含み、前記止めブッシングと前記バレルとの間には互いにかみ合って回転抵抗を誘発する掛止抵抗部が形成される、請求項3に記載の交換型採血器。
【請求項7】
前記ニードルユニットは、
前記バレル内に挿入されて軸線方向に移動可能であり、先端の一部領域が前記バレルの端部から露出された管状の先端スライダーと、
採血用ニードルを先端方向に突出するように支持して前記先端スライダー内に軸線方向に移動可能に収容されるキャリア本体、前記キャリア本体から後方に延長されて半径方向内側に弾性変形可能な複数の弾性変形部、及び前記弾性変形部に軸線方向の横方向に突出して前記先端スライダーの基端に引っ掛かり、前記先端スライダーの後退移動時に共移動する連動掛止突段を有するニードルキャリアと、を含むことを特徴とする、請求項2に記載の交換型採血器。
【請求項8】
前記先端スライダーの半径方向内側に突出して前記連動掛止突段に掛け止められて保持される止め突段と、
前記ニードルキャリアに設けられ、前記止め突段に引っ掛かって前記ニードルキャリアの後方移動方向への分離を阻止する離脱防止突段をさらに有することを特徴とする、請求項7に記載の交換型採血器。
【請求項9】
前記ニードルキャリアの前方に前記ニードルの突出長さよりも長く延長されるように装着されたバンパースプリングを有することを特徴とする、請求項7に記載の交換型採血器。
【請求項10】
前記バレルの内壁面と前記先端スライダーの外壁面のうちいずれか一方に設けられた待機掛止溝と、前記バレルの内壁面と前記先端スライダーの外壁面のうち他方に設けられ、前記待機掛止溝に引っ掛かって前記先端スライダーを一定範囲内で移動可能にする待機掛止部を含むことを特徴とする、請求項7に記載の交換型採血器。
【請求項11】
前記先端スライダーは、前記バレルに挿入された先端スライダーの一端を把持して取り出し可能な引出し把持部をさらに有することを特徴とする、請求項7に記載の交換型採血器。
【請求項12】
前記引出し把持部は、前記引出し開口部を通して前記先端スライダーに連結されて前記バレルの外部に露出されているか、前記バレルをリング状に囲むことを特徴とする、請求項11に記載の交換型採血器。
【請求項13】
前記バレルは、内部に設けられたトリガー部を有し、
前記トリガー部は、前記ニードルキャリアに設けられた前記弾性変形部と前記トリガー部のいずれか一方に設けられた傾斜面が、前記ニードルキャリアの後進時に前記弾性変形部を内側に変形させることを特徴とする、請求項7に記載の交換型採血器。
【請求項14】
管状のバレルを含む交換型採血器のニードルユニットであって、
前記バレル内に挿入されて軸線方向に移動可能であり、先端の一部領域が前記バレルの端部から露出された管状の先端スライダーと、
採血用ニードルを先端方向に突出するように支持して前記先端スライダー内に軸線方向に移動可能に収容されるキャリア本体、前記キャリア本体から後方に延長されて半径方向内側に弾性変形可能な複数の弾性変形部、及び前記弾性変形部に軸線方向の横方向に突出して前記先端スライダーの基端に引っ掛かり、前記先端スライダーの後退移動時に共移動する連動掛止突段を有するニードルキャリアと、を含むことを特徴とするニードルユニット。
【請求項15】
前記先端スライダーの半径方向内側に突出して前記連動掛止突段に掛け止められて保持される止め突段と、
前記ニードルキャリアに設けられ、前記止め突段に引っ掛かって前記ニードルキャリアの後方移動方向への分離を阻止する離脱防止突段をさらに有することを特徴とする、請求項14に記載のニードルユニット。
【請求項16】
前記ニードルキャリアの前方に前記ニードルの突出長さよりも長く延長されるように装着されたバンパースプリングを有することを特徴とする、請求項14に記載のニードルユニット。
【請求項17】
前記先端スライダーの外壁面に設けられ、前記バレル内で前記先端スライダーを一定範囲内でのみ移動可能にする待機掛止部を含むことを特徴とする、請求項14に記載のニードルユニット。
【請求項18】
前記先端スライダーは、前記バレルに挿入された先端スライダーの一端を把持して取り出し可能な引出し把持部をさらに有することを特徴とする、請求項14に記載のニードルユニット。
【請求項19】
前記引出し把持部は、前記バレルの先端部に設けられた引出し開口部を通して前記先端スライダーに連結されて前記バレルの外部に露出されているか、前記バレルをリング状に囲むことを特徴とする、請求項18に記載のニードルユニット。
【請求項20】
前記先端スライダーは、前記ニードルキャリアの基端方向離脱を防止する突起結合部を有することを特徴とする、請求項14に記載のニードルユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交換型採血器に関する。
【背景技術】
【0002】
血液型検査、血糖測定などのために身体の一部から少量の血液を採って検査を行う採血器が用いられる。
【0003】
一般に用いられる採血器は、管状のバレル内に、ニードルを備えているニードルキャリアが収容されており、このニードルキャリアを装填した後に弾性的に発射し、ニードルが皮膚を刺して微量の血液を採取する。このように使用されたニードルキャリアは、再使用による感染を予防するために先端部を解体したりニードルキャリア全体を分離したりして交換する。
【0004】
ところが、かかる採血器では、ニードルキャリア及びニードルキャリアを備えているニードルユニットの脱着を具現するために複雑な構造と多数の部品を必要とし、採血器の製造単価が上昇して経済性が低いという問題があった。
【0005】
また、ニードルキャリア及びニードルユニットの交換過程で部品の故障と紛失が多く、組み立てが難しいため、高齢の使用者にとって使用し難い問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、直観的で簡単な着脱構造によってニードルユニットを容易に交換できる採血器を提供することである。
【0007】
本発明の他の目的は、ニードルユニットの止め及び止め解除作用によって採血過程で発生する揺動を最小化したニードルユニットを備えた採血器を提供することである。
【0008】
本発明のさらに他の目的は、表皮に挿入されるニードルの深さ調節機能を備えた採血器を提供することである。
【0009】
本発明のさらに他の目的は、ニードルによる疼痛を最小化すると同時にニードルを速やかに撤回できる交換型採血器を提供することである。
【0010】
本発明のさらに他の目的は、ニードルを使用前まで衛生的に維持できる交換型採血器を提供することである。
【0011】
本発明のさらに他の目的は、再使用を効果的に防止できる交換型採血器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的は、本発明に係る交換型採血器であって、先端開口を有する管状のバレルと、前記バレルの先端開口に挿入されて軸線方向に沿ってスライディング移動可能なニードルユニットと、前記バレル内で前記ニードルユニットを先端方向外側に弾性的に押す駆動スプリングと、を備えていることを特徴とする交換型採血器によって達成される。
【0013】
そして、前記バレルは、前記先端開口から所定の長さ区間側方に開放されて前記ニードルユニットを露出させるか、長手方向に沿って所定区間切開形成されて前記ニードルユニットの引出しを案内する引出し開口部を有する場合に、引出し開口部を通してニードルユニットをバレルから離脱させやすい。また、バレル内にニードルユニットを挿入する場合にも有用に活用可能である。
【0014】
そして、前記バレルは基端開口を有し、前記基端開口を開閉し、前記駆動スプリングの基端に接触する基端ギャップをさらに含む場合に、バレルの基端開口から部品を挿入し、基端ギャップで仕上げることができ、採血器内部への部品の配置及び組立がしやすい。
【0015】
そして、前記バレルと前記基端ギャップとの間には前記基端ギャップの軸線方向位置を調節する針深さ調節部が設けられる場合に、ニードルユニットに含まれた採血用ニードルが表皮に挿入される深さを調節でき、採血目的と使用者によって柔軟に採血器を活用することができる。
【0016】
また、前記針深さ調節部は、前記バレルに形成された螺旋ガイド部と、前記基端ギャップに設けられて前記螺旋ガイド部とかみ合う噛合い移動部を有する場合に、基端ギャップをバレルから回転させてニードルが表皮に挿入される深さを微細に調節可能である。
【0017】
そして、前記バレルと前記基端ギャップとの間に介在されて前記基端ギャップと回転する止めブッシングをさらに含み、前記止めブッシングと前記バレルとの間には互いにかみ合って回転抵抗を誘発する掛止抵抗部が形成される場合に、掛止抵抗部により、ニードルが挿入される深さを一定に維持でき、掛止抵抗部に形成された溝によって各段階別挿入深さを調節して維持することができる。
【0018】
そして、前記バレル内に挿入されて軸線方向に移動可能であり、先端の一部領域が前記バレルの端部から露出された管状の先端スライダーと、採血用ニードルを先端方向に突出するように支持して前記先端スライダー内に軸線方向に移動可能に収容されるキャリア本体、前記キャリア本体から後方に延長されて半径方向内側に弾性変形可能な複数の弾性変形部、及び前記弾性変形部に軸線方向の横方向に突出して前記先端スライダーの基端に引っ掛かり、前記先端スライダーの後退移動時に共移動する連動掛止突段を有するニードルキャリアと、を含む場合に、ニードルユニットが先端スライダーとニードルキャリアとに区分されているため、先端スライダーとニードルキャリアの相互作用によって採血器の待機及び採血過程を容易にさせることができる。
【0019】
また、前記先端スライダーの半径方向内側に突出して前記連動掛止突段に掛け止められて保持される止め突段と、前記ニードルキャリアに設けられ、前記止め突段に引っ掛かって前記ニードルキャリアの後方移動方向への分離を阻止する離脱防止突段をさらに有する場合に、ニードルキャリアの移動範囲を制限し、ニードルキャリアの再使用を防止することができる。
【0020】
そして、前記ニードルキャリアの前方に前記ニードルの突出長さよりも長く延長されるように装着されたバンパースプリングを有する場合に、バンパースプリングがニードルよりも先に表皮を打撃して疼痛を軽減させることができ、採血後にニードルの露出を防止し、使用済みニードルによる事故を予防する。
【0021】
そして、前記バレルの内壁面と前記先端スライダーの外壁面のうちいずれか一方に設けられた待機掛止溝と、前記バレルの内壁面と前記先端スライダーの外壁面のうち他方に設けられ、前記待機掛止溝に引っ掛かって前記先端スライダーを一定範囲内で移動可能にする待機掛止部を含む場合に、先端スライダーがバレルの先端方向又は基端方向に一定範囲以上離脱しないようにし、待機状態及び採血過程で先端スライダーの誤作動を防止する。
【0022】
そして、前記先端スライダーは、前記バレルに挿入された先端スライダーの一端を把持して取り出し可能な引出し把持部をさらに有する場合に、必要によって使用者が先端スライダーを把持してバレルから取り出して強制に離脱させることができる。また、引出し把持部は、先端スライダーをバレル内に取り入れる時にも有用に活用される。
【0023】
また、前記引出し把持部は、前記引出し開口部を通して前記先端スライダーに連結されて前記バレルの外部に露出されているか、前記バレルをリング状に囲む形態である場合に、引出し把持部の把持領域が広くなり、先端スライダーをより取り出し易くなる。
【0024】
そして、前記バレルは、内部に設けられたトリガー部を有し、前記トリガー部は、前記ニードルキャリアに設けられた前記弾性変形部と前記トリガー部のいずれか一方に設けられた傾斜面が、前記ニードルキャリアの後進時に前記弾性変形部を内側に変形させることを特徴する場合に、ニードルキャリア又はバレルの移動によってニードルキャリアを先端スライダーの内部に引き込むことができる。
【0025】
一方、上記の目的は、管状のバレルを含む交換型採血器のニードルユニットであって、前記バレル内に挿入されて軸線方向に移動可能であり、先端の一部領域が前記バレルの端部から露出された管状の先端スライダーと、採血用ニードルを先端方向に突出するように支持して前記先端スライダー内に軸線方向に移動可能に収容されるキャリア本体、前記キャリア本体から後方に延長されて半径方向内側に弾性変形可能な複数の弾性変形部、及び前記弾性変形部に軸線方向の横方向に突出して前記先端スライダーの基端に引っ掛かり、前記先端スライダーの後退移動時に共移動する連動掛止突段を有するニードルキャリアと、を含むことを特徴とするニードルユニットによっても達成されてよい。
【0026】
また、前記先端スライダーの半径方向内側に突出して前記連動掛止突段に掛け止められて保持される止め突段と、前記ニードルキャリアに設けられ、前記止め突段に引っ掛かって前記ニードルキャリアの後方移動方向への分離を阻止する離脱防止突段をさらに有する場合に、ニードルキャリアの移動範囲を制限し、ニードルキャリアの再使用を防止することができる。
【0027】
そして、前記ニードルキャリアの前方に前記ニードルの突出長さよりも長く延長されるように装着されたバンパースプリングを有する場合に、バンパースプリングがニードルよりも先に表皮を打撃して疼痛を軽減させることができ、採血後にニードルの露出を防止して使用済みニードルによる事故を予防する。
【0028】
そして、前記先端スライダーの外壁面に設けられ、前記バレル内で前記先端スライダーを一定範囲内でのみ移動可能にする待機掛止部を含む場合に、先端スライダーがバレルの先端方向又は基端方向に一定範囲以上離脱しないようにし、待機状態及び採血過程で先端スライダーの誤作動を防止する。
【0029】
そして、前記先端スライダーは、前記バレルに挿入された先端スライダーの一端を把持して取り出し可能な引出し把持部をさらに有する場合に、必要によって使用者が先端スライダーをバレルから取り出して強制に離脱させることができる。また、引出し把持部は先端スライダーをバレル内に取り入れる時にも有用に活用可能である。
【0030】
また、前記引出し把持部は、前記バレルの先端部に設けられた引出し開口部を通して前記先端スライダーに連結されて前記バレルの外部に露出されているか、前記バレルをリング状に囲む場合に、引出し把持部の把持領域が広くなって先端スライダーをより取り出し易くなる。
【0031】
そして、前記先端スライダーは、前記ニードルキャリアの基端方向離脱を防止する突起結合部を有する場合に、採血器の揺れや回転などによってニードルキャリアが先端スライダーから基端方向に離脱することを防止することができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明に係る採血器は、直観的で簡単な着脱構造によってニードルユニットを容易に入れ換えることができる。
【0033】
また、本発明の実施例によれば、ニードルユニットの止め及び止め解除作用によって採血過程で発生する揺動を最小化し、表皮に挿入されるニードルの深さ調節機能、疼痛最小化、ニードルの衛生的維持、ニードルユニットの再使用防止などの効果を有する交換型採血器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本発明の一実施例に係る交換型採血器の斜視図である。
【
図2】本発明の一実施例に係る交換型採血器の縦断面図である。
【
図3】本発明の一実施例に係る交換型採血器の分解斜視図である。
【
図4】(a)~(c)は、本発明の一実施例に係るニードルユニットの組立過程を示す断面図である。
【
図5】(a)~(e)は、使用過程を順次に示す断面図である。
【
図6】本発明の他の実施例に係る交換型採血器の斜視図である。
【
図7】本発明の他の実施例に係る交換型採血器の分解斜視図である。
【
図8】本発明の他の実施例に係る交換型採血器の縦断面図である。
【
図9】(a)及び(b)は、本発明の他の実施例に係る交換型採血器のバレルと先端スライダーの組立関係を示す図である。
【
図10】(a)~(e)は、本発明の他の実施例に係る交換型採血器の採血過程を順次に示す図である。
【
図11】(a)及び(b)は、本発明の他の実施例に係る交換型採血器のニードルキャリアを交換する様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1~
図3は、本発明の一実施例に係る交換型採血器の斜視図、分解斜視図及び縦断面図である。
図1~
図3を参照して、本発明の一実施例に係る交換型採血器の詳細な構成を説明する。
【0036】
本発明に係る交換型採血器10は、管状のバレル100内に、先端スライダー200及びニードルキャリア300で構成されたニードルユニットを挿入し、バレル100内に挿入されたニードルキャリア300を、バレル100とニードルキャリア300との間に介在している駆動スプリング400によって弾性的に発射し、表皮1に形成される小さな針穴2から少量の血液を収集する装置である。
【0037】
バレル100は、先端部が開放された先端開口110を有する。先端開口110の周辺には、バレル100の一部を切取又は切開して形成された引出し開口部120が形成されている。バレル100の先端一側には、ニードルユニットが挿入されて掛止維持される待機掛止部130が形成され、バレル100の内部にはトリガー部140が形成されている。バレル100の基端部も先端部と同様に開放され、基端開口150、バレル100の外表面に形成された指示部160を有する。
【0038】
引出し開口部120は、先端から軸線方向に沿う所定長さ区間及び周方向に沿う所定幅区間にわたって切取又は切開されている。引出し開口部120の幅と長さは、使用者の指が、ニードルユニットに含まれた先端スライダー200の表面に接触し得る程度であれば十分である。引出し開口部120は少なくとも一つが設けられてよく、一対の引出し開口部120が先端開口110の周方向に沿って相互対向するように配置されることが好ましい。また、引出し開口部120は、切取又は切開された区間の長手方向に沿って、ニードルユニットに含まれた先端スライダー200の引出しを案内できるように設けられてもよい。
【0039】
待機掛止部130は、ニードルユニットの先端スライダー200がバレル100の内部に挿入された時に、先端開口110又はバレルの内部から離脱しないように先端スライダー200の移動範囲を制限する溝の形状を有する。待機掛止部130により、バレル100内に挿入された先端スライダー200は自由端部のみが露出され、残り部分はバレル100の内部から露出されない。また、先端スライダー200がバレル100の基端に移動した時にも、先端スライダー200の一端が先端開口110又は引出し開口部120に露出されているようにすることが好ましい。
【0040】
トリガー部140は、バレル100の内部から突出形成された部分であり、ニードルキャリア300の後方移動時にニードルキャリア300の一端がトリガー部140に当たってニードルキャリア300の後方移動を制限したりニードルキャリア300の一端が影響を受けるようにする。トリガー部140の表面には傾斜面141が形成され、ニードルキャリア300の一端がバレル100の長手方向に沿って移動する時に次第に影響を受けるようにする。
【0041】
基端開口150は、バレル100の基端に形成された開口である。基端開口150は、バレル100の先端開口110から挿入されるニードルユニットの他に駆動スプリング400などの部品を挿入し、後述する基端ギャップ500で仕上げ、採血器10の組立を容易にさせることができる。一方、バレル100の基端部は、目的によって閉鎖して基端開口150を形成しなくてもよい。このような構成を有する場合に、駆動スプリング400はバレル100の基端部に支持されてよい。基端開口150は、後述する基端ギャップ500が挿入される螺旋ガイド部151と、基端ギャップ500の回転角度を制限する掛止抵抗突段152を含む。
【0042】
ニードルユニットは、前述したように、先端スライダー200とニードルキャリア300で構成されている。
【0043】
先端スライダー200は、バレル100の軸線方向に沿う管体の形状を有する。先端スライダー200は、バレル100の先端開口110から収容され、一部が外部に露出されている。先端スライダー200の先端領域は、長手方向に沿って先端から基端に行くほど外径が次第に大きくなる形状を取ることが好ましい。先端スライダー200は、外側に延長形成された待機掛止突段210、先端スライダー200の基端に形成された止め突段220、先端スライダー200の先端部の一部を切開して形成された案内取出し切開部230、先端スライダー200の外表面や外側に形成された引出し把持部240、先端スライダー200の基端に形成された突起結合部250を含む。
【0044】
待機掛止突段210は、先端スライダー200の外側でバレル100の待機掛止部130に向かって突出形成される。したがって、先端スライダー200は、待機掛止部130に形成された掛止溝の区間内でのみ先端スライダー200が移動可能なように移動範囲を制限し、使用者の強制力が加えられていない単純移動の場合に待機掛止部130の一端に待機掛止突段210が掛け止められ、バレル100から先端スライダー200が離脱することを防止する。このような突段と溝の結合関係は逆に形成されてもよく、他の実施例の先端スライダー(200’;
図7参照)とバレル(100’;
図7参照)に形成された待機掛止部(130’;
図8参照)と待機掛止突段(210’;
図8参照)のように構成されてもよい。また、待機掛止部130の形状を突起状にし、待機掛止部130から前方に離隔した位置又は後方に離隔した位置に設けられてよく、相互掛止を溝形状の他に、突起形状の待機掛止突起(図示せず)と離脱阻止突起(図示せず)によって具現し、指定された範囲内で待機掛止突段210が引っ掛かるよう具現してもよい。
【0045】
止め突段220は、先端スライダー200の基端開口領域の末端に形成され、先端スライダー200の中心軸方向に突出形成されている。止め突段220は、ニードルキャリア300が先端スライダー200の基端外部領域に位置する時にはニードルキャリア300の前方運動に連動し、ニードルキャリア300の基端一部が先端スライダー200の内部に入らないように阻止する。そして、止め突段220は、ニードルキャリア300が先端スライダー200の内部に流入している時にはニードルキャリア300の後方運動に連動し、ニードルキャリア300が先端スライダー200の基端方向に離脱しないように掛け止める。
【0046】
案内取出し切開部230は先端スライダー200の先端領域に長手方向に沿って相互対向した切開面を有するように形成され、先端部の開口領域が備えられる。案内取出し切開部230により、先端スライダー200の先端部分は弾性的に変形され得る。したがって、先端スライダー200の先端部からも開口領域を通してニードルキャリア300を挿入して組み立てることができ、先端スライダー200が移動する過程でバレル100及びニードルキャリア300の干渉によって誤作動する問題を予防し、先端スライダー200のスライディング移動を容易にさせる。また、案内取出し切開部230の形成は、先端スライダー200の全体形状と止め突段220などの形成に関連した成形技術的な問題を解決することにも有利に作用する。
【0047】
引出し把持部240は、先端スライダー200の外側やその表面に形成され、使用者が先端スライダー200を把持してバレル100の先端開口110に挿入したり、先端開口110に挿入された先端スライダー200を取り出し易くする。引出し把持部240は、バレル100の先端開口110及び引出し開口部120から露出された先端スライダー200の外表面に該当してよく、先端開口110及び引出し開口部120から露出された先端スライダー200の外表面から外側に突出形成されたり、先端スライダー200の外表面から微細な突起が形成されたりして把持し易く構成されてよい。
【0048】
突起結合部250は、先端スライダー200とニードルキャリア300が最初結合してニードルユニットの組立状態を維持している時に、ニードルキャリア300が先端スライダー200の基端方向に離脱しないようにニードルキャリア300の一端に掛け止められる部分である。
【0049】
ニードルキャリア300は、先端スライダー200の軸線方向に沿って移動可能に先端スライダー200の基端に結合する。ニードルキャリア300には、採血のためのニードル320を収容するキャリア本体310が形成されており、キャリア本体310の基端には、軸線方向の後方に延長された延長部に少なくとも一つの弾性変形部330が設けられている。ここで、弾性変形部330は軸線を基準に対称な一対又は複数個で設けられてよい。
【0050】
弾性変形部330はその形状によってニードルキャリア300の半径方向に弾性変形が可能である。弾性変形部330の基端には外向き突起340が設けられており、この突起の先端側の突段は先端スライダー200の基端又は止め突段220に引っ掛かる連動掛止突段341として機能する。連動掛止突段341と止め突段220の連動作用により、先端スライダー200が後方移動する時にニードルキャリア300も共に後方に移動する。外向き突起340に形成された連動掛止突段341の反対側であるこの突起の基端側には離脱防止突段342が形成される。離脱防止突段342は、ニードルキャリア300が先端スライダー200の内部に流入した場合に、ニードルキャリア300が後方移動して先端スライダー200の基端から離脱しないように止め突段220に掛け止められ、ニードルキャリア300の基端離脱を防止する。ここで、連動掛止突段341と離脱防止突段342は、互いに分離された弾性変形部330にそれぞれ形成されてもよい。
【0051】
ニードルキャリア300の先端部には保護延長部350が長く延長されている。保護延長部350は、ニードル320を取り囲む状態でキャリア本体310の成形時に一体に形成されることが好ましい。保護延長部350は、ニードル320を使用前まで衛生的に保護し、ニードル320の変形を予防する役割を担う。保護延長部350とキャリア本体310間の連結部にはその外観をカバーする操作チューブ(図示せず)が配置されてよい。操作チューブ(図示せず)は、保護延長部350の半径方向から作用する外力に抵抗するようにし、操作チューブ(図示せず)の除去前まで保護延長部350が容易に脱去しないように保護する。
【0052】
ニードルキャリア300の基端には、駆動スプリング400の一端、又は後述する駆動部材800の一端を支持する連動支持部360が存在する。連動支持部360が駆動スプリング400と直接連結される場合に、ニードルキャリア300を加圧する駆動スプリング400の長さが長くなるので、駆動スプリング400の耐久性が低下し、反復する弾性変形過程で損傷しやすくなる問題が発生する。したがって、連動支持部360と駆動スプリング400との間には駆動部材800が介在していることが好ましい。
【0053】
駆動部材800は、駆動スプリング400から伝達される弾性力をニードルキャリア300の連動支持部360に間接に伝達することができる。駆動部材800によって駆動スプリング400の長さが減るので、少ない費用でも適切な弾性力を持つ駆動スプリング400を用いることができ、駆動スプリング400の安定性と耐久性が向上し得る。
【0054】
駆動スプリング400は、ニードルユニットに含まれたニードルキャリア300を先端方向に弾性的に発射する駆動力を提供する。したがって、ニードルユニット、すなわち、ニードルキャリア300及び先端スライダー200には後方移動時に弾性的な抵抗力が加えられる。駆動スプリング400は、バレル100の基端部が閉鎖されている場合に、バレル100の基端部によって支持されてよいが、バレル100の基端部が基端開口150によって開放されており、これをカバーする基端ギャップ500によって駆動スプリング400が支持されることが好ましい。
【0055】
基端ギャップ500はバレル100の基端開口150からバレル100の基端部に結合し、基端ギャップ500と基端開口150との間には止めブッシング600が介在している。
【0056】
基端ギャップ500はバレル100の基端開口150をカバーし、バレル100の内部に挿入された駆動スプリング400などの部品やニードルユニットが基端開口150から離脱することを防止し、採血用ニードル320の挿入深さを調節することができる。仮に、ニードル320の挿入深さ調節を必要としないと、基端ギャップ500及び止めブッシング600を省き、基端開口150を閉鎖したバレル100を有する採血器10としてもよい。
【0057】
基端ギャップ500とバレル100との間に止めブッシング600が介在していない場合には、バレル100の基端開口150の周辺に形成された螺旋ガイド部151に基端ギャップ500が直接結合するように噛合い移動部(図示せず)を基端ギャップ500に備えてもよい。基端ギャップ500と基端開口150とが直接結合した時に、基端ギャップ500は、螺旋ガイド部151によって形成された溝領域によって一定範囲を回転でき、螺旋形状によって基端ギャップ500が上昇及び下降移動する。一方、基端ギャップ500とバレル100にそれぞれ設けられ得る噛合い移動部(図示せず)と螺旋ガイド部151は互いに逆に形成され、バレル100に形成される噛合い移動部(図示せず)と基端ギャップ500に形成される螺旋ガイド部(図示せず)としてもよい。また、このような回転可能な結合構造は、基端ギャップ500又は基端開口150のいずれか一方に形成される噛合い移動突起(図示せず)と他方に形成される螺旋ガイド突起(図示せず)を有し、ねじ結合のような形態で具現されてもよい。しかし、このような場合、基端ギャップ500が回転可能であっても一定の地点に固定されないため、外力によって設定された針の深さが随時変わることがある。これを予防するために、基端ギャップ500と基端開口150との間に止めブッシング600が介在することが好ましい。
【0058】
基端ギャップ500と基端開口150との間に止めブッシング600が介在する場合には、基端ギャップ500は、止めブッシング600の一端に引っ掛かって基端ギャップ500の回転が連動するようにする回転掛止部520、スプリング支持部530、ブッシング掛止溝540、表示部550を含む。
【0059】
回転掛止部520は止めブッシング600と結合し、基端ギャップ500の回転運動が止めブッシング600に連動するようにする。
【0060】
スプリング支持部530は、基端ギャップ500の内表面から突出しており、駆動スプリング400を支持する部分である。
【0061】
ブッシング掛止溝540は、基端ギャップ500の内側周方向に沿って形成された溝であり、止めブッシング600の一端がブッシング掛止溝540に挿入され、基端ギャップ500と止めブッシング600とが相互固定結合するように補助する。
【0062】
表示部550は、基端ギャップ500外表面に配置された記号や文字表示である。使用者は、表示部550とバレル100の外表面に形成された指示部160とを合わせ、回転した基端ギャップ500によって調整された針の深さが直観的に把握できる。
【0063】
止めブッシング600は、基端開口150の周方向に沿って形成された円筒形の部材であり、基端ギャップ500とバレル100の基端開口150との間に介在し、基端ギャップ500が指定された回転角度で停止できるようにする。止めブッシング600は、基端ギャップ500に形成された回転掛止部520に結合する回転掛止溝610、基端開口150に形成された螺旋ガイド部151に結合する噛合い移動部620、基端開口150に形成された掛止抵抗突段152に掛け止められる掛止抵抗部630、ブッシング突出部640を有する。
【0064】
回転掛止溝610は、基端ギャップ500に形成された回転掛止部520を収容する溝である。基端ギャップ500が回転する場合に、基端ギャップ500の回転に連動して止めブッシング600も共に回転する。
【0065】
噛合い移動部620は、基端開口150に形成された螺旋ガイド部151に挿入され、止めブッシング600が螺旋ガイド部151によって形成された溝領域によって一定範囲を回転できるようにする。基端ギャップ500の回転は、回転掛止部520と止めブッシング600の回転掛止溝610が相互連動しているので、基端ギャップ500の回転によって止めブッシング600が回転し、螺旋ガイド部151の形状に沿って基端ギャップ500が回転しつつ上昇及び下降移動可能になる。止めブッシング600とバレル100にそれぞれ設けられる噛合い移動部620と螺旋ガイド部151は互いに逆に形成され、バレル100に形成される噛合い移動部(図示せず)と止めブッシング600に形成される螺旋ガイド部(図示せず)としてもよい。噛合い移動部620及び螺旋ガイド部151がいずれも同一に突出したり陥没した形状を有し、ねじ結合のような形態で具現されてもよい。
【0066】
掛止抵抗部630は、止めブッシング600の内表面半径方向に沿って形成される溝である。この溝は、一定の間隔で複数個が形成されることが好ましい。基端ギャップ500を回転させると、回転掛止溝610と回転掛止部520との結合関係によって止めブッシング600が共に回転し、掛止抵抗部630に含まれた各溝が掛止抵抗突段152に掛かって一定角度ごとに基端ギャップ500を止まらせることができる。このとき、用いられる掛止抵抗突段152は、その周辺の一部が切開されて弾性を有し得るように形成されることが好ましい。
【0067】
ブッシング突出部640は、基端ギャップ500のブッシング掛止溝540にはめ込まれ、基端ギャップ500と止めブッシング600を互いに固定結合させる。
【0068】
一方、ニードルキャリア300の先端には、ニードル320と保護延長部350を取り囲むバンパースプリング700が装着されている。バンパースプリング700はニードル320よりも先端方向にさらに長く延長されており、ニードルキャリア300が採血のためにバレル100の前方に駆動される時に、ニードル320よりも先に使用者の皮膚を打撃し加圧する。バンパースプリング700が使用者の表皮に当たると採血地点周辺の触覚神経を打撃して撹乱させ、バンパースプリング700が圧縮されながら、ニードル320が刺す表皮の周囲を圧搾して表皮周囲の痛覚神経を遮断する。このように触覚神経撹乱と痛覚神経遮断がされる際にニードル320が表皮を刺すことにより、比較的疼痛を感じずに済む。圧縮されたバンパースプリング700は復元弾性力が発生し、原状態に復帰する。これによって、ニードル320は表皮から迅速に離脱し、離脱過程で発生する疼痛を減少させることができる。バンパースプリング700は図示のような圧縮コイルスプリングの形態を有することが好ましいが、場合によっては板スプリング、シリコンなどの弾性材料の形態を有してもよい。
【0069】
図4の(a)~(c)を参照して本発明に係るニードルユニットの組立過程を説明する。
【0070】
図4の(a)のように、ニードルキャリア300の先端にバンパースプリング700を結合させ、先端スライダー200の基端に挿入する。このとき、ニードルキャリア300に形成された外向き突起340が先端スライダー200の基端部の止め突段220と突起結合部250との間に介在し、ニードルキャリア300は先端スライダー200に結合した状態となる。
【0071】
図4の(b)に示すように、組み立てられた状態のニードルキャリア300の先端部から保護延長部350を除去できる。保護延長部350の除去は、先端スライダー200がバレル100に挿入された状態でなされてもよい。
【0072】
先端スライダー200とニードルキャリア300が組み立てられたニードルユニットは、
図4の(c)のように、先端スライダー200の表面に形成された引出し把持部240を把持してバレル100の先端開口110に挿入する。このとき、使用者は、バレル100の長手方向に沿って形成された引出し開口部120によって形成された空間を通してニードルユニットをバレル100に容易に組み立てることができる。
【0073】
採血器10を使用する過程は、
図5の(a)~(e)を参照して説明する。
【0074】
図5の(a)は、
図5の(a)~(c)の過程によってニードルユニットが組み立てられた採血器10の待機状態を示す断面図である。ニードルキャリア300の先端部に採血用ニードル320が露出されており、先端スライダー200の待機掛止突段210とバレル100の待機掛止部130とが互いに掛け止められ、ニードルユニットの前方離脱が阻止されている。したがって、ニードルユニットはバレル100内で待機位置を維持することができる。
【0075】
この状態で、採血器10の先端、すなわち先端スライダー200の先端を採血対象者の表皮1に位置させてバレル100を加圧すると、先端スライダー200がバレル100の内部から基端方向に移動する。
【0076】
図5の(b)は、採血器10を採血対象の表皮1に近接させ、先端スライダー200がバレル100の内部で基端方向に移動した後退位置の状態を示すものである。
【0077】
この時、先端スライダー200の止め突段220とニードルキャリア300の外向き突起340が相互作用してニードルキャリア300も共に基端方向に移動する。ニードルキャリア300がバレル100の基端方向に移動すると、ニードルキャリア300と一体に形成された弾性変形部330が、バレル100の内壁に設けられたトリガー部140に接し、弾性変形部330は、トリガー部140に設けられた傾斜面141によってバレル100の内側に誘導され、弾性変形される。仮に、このような移動が続いて弾性変形部330が一定量以上弾性変形されると、両側の外向き突起340間の幅が、先端スライダー200に形成された止め突段220の内幅よりも狭くなって外向き突起340による阻止作用が解除され、ニードルキャリア300が先端スライダー200の内部に流入して先端方向に移動可能になる。一方、弾性変形を誘導する傾斜面は、トリガー部140ではなく弾性変形部300に設けられてもよい。
【0078】
一方、ニードルキャリア300が先端スライダー200によって基端方向に移動することにより、連動支持部360に連結された駆動部材800も基端方向に移動し、スプリング支持部530と駆動部材800との間に介在している駆動スプリング400が圧縮され、圧縮された駆動スプリング400の弾性力によってニードルキャリア300が下降して表皮1に達し得るような推進力が発生する。
【0079】
図5の(c)は、圧縮された駆動スプリング400によってニードルキャリア300が前方に発射され、バンパースプリング700が表皮に当たる瞬間の様子である。ニードルキャリア300は、駆動部材800を介して駆動スプリング400の弾性力が伝達されて表皮1まで直線運動し、キャリア本体310の前方に介在しているバンパースプリング700が表皮1を打撃する。バンパースプリング700が表皮1を打撃した後、続くニードルキャリア300の慣性運動によってバンパースプリング700にはバイブレーションと圧縮が起き、ニードルキャリア300の後退のための復原力を蓄える。
【0080】
図5の(d)は、使用者の体内に採血用ニードル320が浸透して針穴2を形成する様子を示すものである。このとき、挿入されるニードル320は、ニードルキャリア300とニードルキャリア300の連動支持部360を囲んでいる駆動部材800の直線運動によってニードルキャリア300の中心軸から横方向の揺動が最小化しつつ発射されるので、揺れることなく所望の地点に正確に針穴2を形成できる。
【0081】
ニードルキャリア300が加える慣性力によってバンパースプリング700が一定量以上圧縮されると、採血用ニードル320は、バンパースプリング700の復元弾性力によって後方に推進されつつ表皮1から抜け出して先端スライダー200の内部に復帰する。
【0082】
図5の(e)は、採血過程後に先端スライダー200とニードルキャリア300が復帰した状態を示すものである。圧縮されたバンパースプリング700の復元弾性力を受けた採血用ニードル320は、表皮1から速やかに離脱して先端スライダー200の内部に復帰し、先端スライダー200は先端方向及び基端方向のいずれの方からも力を受けていないので、後退位置から待機位置までの間で自由に位置する。
【0083】
この時、使用されたニードルキャリア300は、先端スライダー200の内部空間に位置しており、ニードルキャリア300が先端スライダー200の基端方向に移動する場合に、外向き突起340に形成された離脱防止突段342が止め突段220に引っ掛かるので、先端スライダー200の内部から基端方向に離脱できず、再使用が不可能である。
【0084】
したがって、使用された先端スライダー200とニードルキャリア300を含むニードルユニットは、バレル100の側面に設けられた引出し開口部120から把持してバレル100から分離でき、分離されたニードルユニットを廃棄した後、新しいニードルユニットを挿入して再使用することができる。
【0085】
以上の本発明の一実施例に係る採血器10は、先端スライダー200とニードルキャリア300を含むニードルユニットを備え、バレル100の先端開口110から取り入れたり取り出して用いることができる。
【0086】
そして、バレル100に形成された引出し開口部120と先端スライダー200に形成された引出し把持部240を用いてバレル100からニードルユニットを簡便に脱着可能である。
【0087】
そして、基端ギャップ500を用いて、採血対象者の皮膚厚さや採血目的に応じて挿入深さを調節することができる。
【0088】
また、本発明の一実施例によれば、コンパクトな構造と優れた作動性が提供される。
【0089】
図6~
図9の(a)及び(b)は、本発明の他の実施例に係る採血器の斜視図、分解斜視図、縦断面図、採血器10’のバレル100’と先端スライダー200’との組立関係を示す図である。
【0090】
図6~
図9の(a)及び(b)を参照して、本発明の他の実施例に係る採血器の構成を説明する。本発明のさらに他の交換型採血器10’は、バレル100’、先端スライダー200’、ニードルキャリア300、駆動スプリング400、及び駆動スプリング400を支持しながらバレル100’の基端をカバーする基端ギャップ500で構成されている。
【0091】
バレル100’は管状体で形成され、先端開口110’、引出し開口部120’、待機掛止部130’、トリガー部140、基端開口150、表示部160を有する。
【0092】
バレル100’の先端部に開放された先端開口110’からバレル100’の内部に先端スライダー200’とニードルキャリア300が収容される。引出し開口部120’は、先端開口110’から長手方向に沿って所定区間切開形成され、バレル100’に先端スライダー200’を収容したり引き出すガイドとして働く。待機掛止部130’は、バレル100’の外表面から突出形成され、バレル100’に組み立てられた先端スライダー200’が先端方向に離脱しないように掛け止められる。
【0093】
バレル100’の内壁には、先端開口110’から基端方向に離隔した位置に、基端に行くほど次第に内側に向かって傾斜するように変化する傾斜面141を有するトリガー部140が設けられている。
【0094】
バレル100’の基端部に開放された基端開口150には基端ギャップ500が挿入され、基端開口150の周辺には、基端ギャップ500が結合する螺旋ガイド部151と、基端ギャップ500を基端開口150の周方向に沿って一定区間ごとに停止させる掛止抵抗突段152が形成されている。
【0095】
先端スライダー200’は、バレル100’の先端部に収容される管状の部材であり、先端部の一部は、バレル100’の先端開口110’から露出されている。先端スライダー200’は、バレル100’の先端開口110’の周辺をリング状に囲んでいる引出し把持部240’が形成されており、待機掛止突段210’、止め突段220、案内取出し切開部230、突起結合部250を含む。ここで、引出し把持部240’は、引出し開口部120’を通して先端スライダー200’に連結されるように設けられ、バレル100’の外部に露出されてよい。
【0096】
引出し把持部240’は、使用者が引出し把持部240’を把持して先端スライダー200’をバレル100’から容易に組み立てたり分離できるようにする。引出し把持部240’は、スライダーガイド241’と弾性切開溝242’を含む。スライダーガイド241’は、先端スライダー200’の外表面と引出し把持部240’との間に介在して引出し把持部240’を支持する。スライダーガイド241’は、バレル100’に形成された引出し開口部120’に形成された溝に沿って先端スライダー200’が直線方向に移動するように助けることができる。弾性切開溝242’は、引出し把持部240’の一部領域が弾性を有し得るように切開された部分である。弾性切開溝242’は待機掛止突段210’の周辺に形成され、先端スライダー200’をバレル100’に組み立てたり分離する時に、待機掛止突段210’の周辺部を弾性変形させることができる。また、弾性切開溝242’により、待機掛止突段210’と待機掛止部130’が長期間反復して摩擦されても摩耗しにくくなる。
【0097】
待機掛止突段210’は、バレル100’の外表面に形成された待機掛止部130’を収容し、先端スライダー200’がバレル100’から先端方向に離脱することを阻止する。待機掛止部130’と待機掛止突段210’は、バレル100’と先端スライダー200’の相互対面する壁面に形成されるので、バレル100’と先端スライダー200’のうち一方に待機掛止部が形成されてよく、他方に待機掛止突段が形成され、互いに掛け止められてもよい。
【0098】
止め突段220は、先端スライダー200’の基端開口領域の末端に形成され、先端スライダー200’の中心軸方向に突出形成される。止め突段220は、ニードルキャリア300が先端スライダー200’の基端外部領域に位置する時にはニードルキャリア300の前方運動に連動し、ニードルキャリア300の基端一部が先端スライダー200’の内部に入らないように阻止する。そして、止め突段220は、ニードルキャリア300が先端スライダー200’の内部に流入している時にはニードルキャリア300の後方運動に連動し、ニードルキャリア300が先端スライダー200’の基端方向に離脱しないように掛け止める。
【0099】
案内取出し切開部230は、先端スライダー200’の先端領域に長手方向に沿って相互対向する切開面を有するように形成され、先端部の開口領域が備えられる。案内取出し切開部230により、先端スライダー200’の先端部分は弾性的に変形され得る。したがって、先端スライダー200’の先端部からも開口領域を通してニードルキャリア300を挿入して組み立てることができ、先端スライダー200’が移動する過程でバレル100’及びニードルキャリア300の干渉によって誤作動する問題を予防し、先端スライダー200’のスライディング移動を容易にさせる。また、案内取出し切開部230の形成は、先端スライダー200’の全体形状と止め突段220などの形成に関連した成形技術的な問題を解決することにも有利に作用する。
【0100】
案内取出し切開部230は、先端スライダー200’の長手方向に沿って対向するように切開して形成された部分である。案内取出し切開部230は、先端スライダー200’の形状と関連した成形技術的な問題を解決することに有利に用いられ、切開された領域によって先端スライダー200’の幅が柔軟に変化し得るので、先端スライダー200’の内部で駆動される部品の移動が円滑になり得る。
【0101】
突起結合部250は先端スライダー200’の基端に形成されており、ニードルキャリア300を先端スライダー200’の内部に引き込み、相互結合するようにし、結合した先端スライダー200’とニードルキャリア300がバレル100’の先端開口110’に組み立てられた後、発射前まで結合が解除しないように基端方向離脱を阻止する。
【0102】
ニードルキャリア300は、キャリア本体310、採血用ニードル320、弾性変形部330、外向き突起340、保護延長部350を有する。キャリア本体310の先端には採血用ニードル320が装着されており、キャリア本体310の基端には軸線対称に後方に延長された一対の弾性変形部330が設けられている。これらの弾性変形部330は半径方向に弾性変形が可能である。
【0103】
弾性変形部330の基端には外向き突起340が設けられている。この外向き突起340は、先端スライダー200’の止め突段220と突起結合部250との間に介在しており、ニードルキャリア300と先端スライダー200’とを結合維持させる。外向き突起340の一面に形成された連動掛止突段341は、先端スライダー200’が後方移動する時に止め突段220に引っ掛かり、ニードルキャリア300も先端スライダー200’と共に後方に移動するようにする。
【0104】
ニードルキャリア300の先端には保護延長部350が先端方向に長く延長されている。この保護延長部350は採血用ニードル320を取り囲む状態でキャリア本体310の成形時に一体に形成される。保護延長部350は採血用ニードル320を衛生的に保護する。保護延長部350は外観をカバーする操作チューブ(図示せず)によって外部から保護されてもよい。
【0105】
ニードルキャリア300の基端には連動支持部360が形成されている。連動支持部360は、後述する駆動部材800の一端を収容する。
【0106】
駆動スプリング400は、連動支持部360に接触した駆動部材800の他端と後述する基端ギャップ500との間に介在しており、ニードルキャリア300の移動によって圧縮され、圧縮された弾性力をニードルキャリア300に伝達し、ニードルキャリア300を先端方向に弾性的に押す。
【0107】
基端ギャップ500はバレル100’の基端開口150に組み立てられて基端開口150の開放部を遮蔽する。基端ギャップ500は基端開口150の半径方向に沿って回転するが、基端ギャップ500が回転区間内の一定の地点で停止し得るように後述の止めブッシング600とセットとして構成されることが好ましい。基端ギャップ500は、回転掛止部520、スプリング支持部530、ブッシング掛止溝540、表示部550を含む。
【0108】
回転掛止部520は止めブッシング600と結合し、基端ギャップ500の回転運動を止めブッシング600に連動させる。
【0109】
スプリング支持部530は、基端ギャップ500の内表面から突出しており、駆動スプリング400を支持する部分である。
【0110】
ブッシング掛止溝540は、基端ギャップ500の内側周方向に沿って形成された溝であり、止めブッシング600の一端がブッシング掛止溝540に挿入され、基端ギャップ500と止めブッシング600が相互固定結合するように補助する。
【0111】
表示部550は、基端ギャップ500の外表面に配置された記号や文字表示である。使用者は、表示部550とバレル100の外表面に形成された指示部160とを合わせ、回転した基端ギャップ500によって調整された針の深さが直観的に把握できる。
【0112】
止めブッシング600は、基端開口150の周方向に沿って形成された円筒形の部材であり、基端ギャップ500とバレル100の基端開口150との間に介在しており、基端ギャップ500が指定された回転角度で停止できるようにする。止めブッシング600は、基端ギャップ500に形成された回転掛止部520に結合する回転掛止溝610、基端開口150に形成された螺旋ガイド部151に結合する噛合い移動部620、基端開口150に形成された掛止抵抗突段152に掛け止められる掛止抵抗部630、ブッシング突出部640を有する。
【0113】
回転掛止溝610は、基端ギャップ500に形成された回転掛止部520を収容する溝である。基端ギャップ500が回転する場合に、基端ギャップ500の回転に連動して止めブッシング600も共に回転する。
【0114】
噛合い移動部620は、基端開口150に形成された螺旋ガイド部151に挿入され、止めブッシング600が螺旋ガイド部151によって形成された溝領域によって一定範囲を回転できるようにする。回転掛止溝610と回転掛止部520との結合により、基端ギャップ500の回転によって止めブッシング600が共に回転し得る。
【0115】
掛止抵抗部630は、止めブッシング600の内表面半径方向に沿って形成される溝である。このような溝は、一定の間隔で複数個が形成されることが好ましい。基端ギャップ500を回転させると、回転掛止溝610と回転掛止部520との結合関係によって止めブッシング600が共に回転し、掛止抵抗部630に含まれた各溝が掛止抵抗突段152と掛け止められ、一定角度ごとに基端ギャップ500が停止できるようにする。このとき、活用される掛止抵抗突段152は、その周辺の一部が切開されて弾性を有し得るように形成されることが好ましい。
【0116】
ブッシング突出部640は、基端ギャップ500のブッシング掛止溝540にはめ込まれ、基端ギャップ500と止めブッシング600を互いに固定結合させる。
【0117】
図6~
図9の(a)及び(b)を参照して、本発明に係る交換型採血器10’の組立過程を説明する。
【0118】
ニードルキャリア300の先端にバンパースプリング700を結合させ、ニードルキャリア300を先端スライダー200’の基端に挿入する。このとき、バンパースプリング700は採血用ニードル320よりも先端方向にさらに長く延長されており、ニードルキャリア300の発射時に採血用ニードル320よりも先に使用者の皮膚に接触し加圧して接触部周辺の触覚を先に撹乱させ痛覚を遮断するので、使用者の疼痛を軽減させることができる。バンパースプリング700は、図示のようなコイルスプリングの形態を有することが好ましいが、場合によっては板スプリング、シリコンなどの弾性材料の形態を有してもよい。
【0119】
このとき、ニードルキャリア300に形成された外向き突起340が先端スライダー200’の基端部と突起結合部250との間に介在し、ニードルキャリア300は先端スライダー200’に結合した状態となる。
【0120】
その後、組み立てられた状態のニードルキャリア300の先端部から保護延長部350を除去することができる。保護延長部350の除去は、先端スライダー200’がバレル100’に挿入されている状態でなされてもよい。
【0121】
ニードルキャリア300が挿入された先端スライダー200’を、バレル100’の先端開口110’に挿入する。このとき、バレル100’の長手方向に沿って形成された引出し開口部120’にスライダーガイド241’が挿入されて互いにガイドされるように組み立てる。
【0122】
このとき、引出し把持部240’に形成された弾性切開溝242’は待機掛止突段210’の周辺に形成されており、バレル100’に形成された待機掛止部130’に影響を受ける待機掛止突段210’を弾性変形させ、先端スライダー200’の組立を容易にさせる。
【0123】
一方、バレル100’の基端部には基端ギャップ500が組み立てられる。基端ギャップ500がバレル100’の基端部に組み立てられる前に止めブッシング600がバレル100’の基端部にまず取り付けられる。止めブッシング600の組立時に、止めブッシング600の内部に形成された掛止抵抗部630が、バレル100’の基端開口150の周辺に形成された掛止抵抗突段152に突き当たる。止めブッシング600はバレル100’の基端部に圧入状態で挿入されるため、平素の大きさに収縮復帰し得るように止めブッシング600の材質は収縮及び膨脹しやすい材質とする。
【0124】
そして、基端ギャップ500を止めブッシング600と基端開口150に組み立てる前に、スプリング支持部530には駆動スプリング400が連結される。連結された駆動スプリング400の他端には駆動部材800が組み立てられ、基端ギャップ500、駆動スプリング400、駆動部材800の連結体を形成する。このような連結体を形成した基端ギャップ500を、止めブッシング600及び基端開口150に形成された螺旋ガイド部151に結合させる。
【0125】
再び、駆動部材800及びニードルキャリア300’と結合した先端スライダー200’とバレル100’との組立関係において、バレル100’の先端開口110’に先端スライダー200’を組み立てると、ニードルキャリア300の基端にある連動支持部360は、駆動部材800をバレル100’の基端方向に押しながら接触し、駆動スプリング400が所定量圧縮され、バレル100’に挿入されたニードルキャリア300を加圧しているようになる。
【0126】
図6のような待機状態の採血器10’を使用する過程は、
図10の(a)~(e)を参照して説明する。
【0127】
図10の(a)は、保護延長部350が除去されたニードルキャリア300と先端スライダー200’がバレル100’の先端開口110’に挿入された採血器10’の待機状態を示す断面図である。ニードルキャリア300の先端部から採血用ニードル320が露出されており、先端スライダー200’は、待機掛止部130’と待機掛止突段210’の作用によって前方離脱が阻止されているため、先端スライダー200’はバレル100’から待機位置と後退位置との間を移動可能である。
【0128】
この状態で、採血器10’の先端、すなわち先端スライダー200’の先端を採血対象者の表皮1に位置させてバレル100’を加圧すると、先端スライダー200’がバレル100’の基端方向に移動する。
【0129】
一方、使用者は基端ギャップ500を回転させ、採血対象者の表皮1に挿入される針の深さを調節することができる。このとき、使用者は、基端ギャップ500の表面に形成された表示部550とバレル100’の外表面に形成された指示部160から、基端ギャップ500によって調整される挿入される針の深さが分かる。
【0130】
図10の(b)は、採血器10’を採血対象の表皮1に近接させ、先端スライダー200’がバレル100’の内部で基端方向に移動した後退位置の状態を示すものである。
【0131】
このとき、先端スライダー200’の基端と外向き突起340に形成された連動掛止突段341間の作用により、ニードルキャリア300も共に基端方向に移動する。ニードルキャリア300がバレル100’の基端方向に移動すると、ニードルキャリア300と一体に形成された弾性変形部330が、バレル100’の内壁に設けられたトリガー部140に接し、弾性変形部330はトリガー部140に設けられた傾斜面141によってバレル100’の内側に誘導されて弾性変形される。弾性変形部330が一定量以上弾性変形されると、両側の外向き突起340間の幅が先端スライダー200’の基端止め突段200間の内幅よりも狭くなって外向き突起340による阻止作用が解除され、ニードルキャリア300が先端スライダー200’の内部に流入して先端方向に移動可能になる。
【0132】
そして、ニードルキャリア300が基端方向に移動することにより、連動支持部360に連結された駆動部材800も基端方向に移動し、駆動スプリング支持部530と駆動部材800との間に介在している駆動スプリング400が圧縮され、圧縮された駆動スプリング400の弾性力によってニードルキャリア300が下降して表皮1に達し得るような強い推進力が発生する。
【0133】
図10の(c)は、圧縮された駆動スプリング400によってニードルキャリア300が前方に発射され、バンパースプリング700が表皮に当たる瞬間の様子である。ニードルキャリア300は、駆動部材800を介して駆動スプリング400の弾性力が伝達され、表皮1まで直線運動し、キャリア本体310の前方に介在しているバンパースプリング700が表皮1を打撃する。バンパースプリング700が表皮1を打撃した後、続くニードルキャリア300の慣性運動によってバンパースプリング700には圧縮が起き、ニードルキャリア300の後退のための復原力を蓄える。
【0134】
図10の(d)は、使用者の体内に採血用ニードル320が浸透して針穴2を形成する様子を示すものである。このとき、挿入される採血用ニードル320は、ニードルキャリア300とニードルキャリア300の連動支持部360を囲んでいる駆動部材800の直線運動によってニードルキャリア300の中心軸から横方向の揺動が最小化して発射されるので、揺れることなく所望の地点に正確に針穴2を形成できる。
【0135】
ニードルキャリア300が加える慣性力によってバンパースプリング700が一定量以上圧縮されると、採血用ニードル320はバンパースプリング700の復元弾性力によって後方に推進されつつ表皮1から抜け出し、先端スライダー200’の内部に復帰する。
【0136】
図10の(e)は、採血過程後に先端スライダー200’とニードルキャリア300が復帰した状態を示すものである。圧縮されたバンパースプリング700の復元弾性力を受けた採血用ニードル320は、表皮1から速やかに離脱して先端スライダー200’の内部に復帰し、先端スライダー200’は上下いずれの方向にも力を受けていないので、後退位置から待機位置までの間で自由に位置する。
【0137】
この時、使用されたニードルキャリア300は先端スライダー200’の先端部空間に位置しており、ニードルキャリア300の外向き突起340が先端スライダー200’の先端部内部面と摩擦しているので、先端スライダー200’から先端方向に容易に離脱することはないが、作用する摩擦力以上の力を加えるだけで容易に離脱させることができる。
【0138】
図11の(a)及び(b)は、交換型採血器10’を使用した後、先端スライダー200’をバレル100’から分離してニードルキャリア300を入れ換える過程を示す図である。同様に、前の
図1~
図5の実施例に係る交換型採血器10においてもニードルキャリア300の交換過程を適用することができる。
【0139】
図11の(a)は、使用された採血器10’の先端スライダー200’をバレルから離脱させた状態を示す図である。使用者は、先端スライダー200’が待機位置にある時、引出し把持部240’を先端方向に引っ張って先端スライダー200’とニードルキャリア300をバレル100’から離脱させることができる。
【0140】
図11の(b)は、離脱した先端スライダー200’に新しいニードルキャリア300を挿入する過程を示す図である。離脱した先端スライダー200’の内部にある使用されたニードルキャリア300は、新しいニードルキャリア300を先端スライダー200’の基端から挿入することによって自然に離脱する。使用されたニードルキャリア300の交換は、この他にも、採血器10’を振って採血器10’の外部に離脱させたり、ニードルキャリア300の基端を押して人為的に離脱させたりしてもよい。新しいニードルキャリア300を先端スライダー200’に挿入し、先端スライダー200’をバレル100’の先端開口110’に挿入して採血器10’を再び使用することができる。
【0141】
このような過程により、本発明に係る交換型採血器10’は、再使用時にニードルキャリア300のみを入れ換えて使用することができ、部品消耗による資源浪費を最小化できる。
【0142】
そして、引出し把持部240’により、先端スライダー200’をバレル100’に組み立てやすく、分離時にも、引出し把持部240’を把持して先端スライダー200’をバレル100’から容易に脱去できる。
【0143】
また、ニードルキャリア300を前進方向に弾性的に押す駆動スプリング400と、駆動スプリング400に圧縮されて弾性力が発生するように支持する基端ギャップ500を備えることにより、採血器10’がスプリングの弾性力によって採血作業を行うことができる。
【符号の説明】
【0144】
1:表皮
2:針穴
10,10’:採血器
100,100’:バレル
110,110’:先端開口
120,120’:引出し開口部
130,130’:待機掛止部
140:トリガー部
141:傾斜面
150:基端開口
151:螺旋ガイド部
152:掛止抵抗突段
160:指示部
200,200’:先端スライダー
210,210’:待機掛止突段
220:止め突段
230:案内取出し切開部
240,240’:引出し把持部
241’:スライダーガイド
242’:弾性切開溝
250:突起結合部
300:ニードルキャリア
310:キャリア本体
320:ニードル
330:弾性変形部
340:外向き突起
341:連動掛止突段
342:離脱防止突段
350:保護延長部
360:連動支持部
400:駆動スプリング
500:基端ギャップ
520:回転掛止部
530:スプリング支持部
540:ブッシング掛止溝
550:表示部
600:止めブッシング
610:回転掛止溝
620:噛合い移動部
630:掛止抵抗部
640:ブッシング突出部
700:バンパースプリング
800:駆動部材
【国際調査報告】