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特表2024-502646神経再生活性を有する神経再生促進細胞のスクリーニング方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-22
(54)【発明の名称】神経再生活性を有する神経再生促進細胞のスクリーニング方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 5/079 20100101AFI20240115BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20240115BHJP
   C12N 1/00 20060101ALI20240115BHJP
   A61P 21/04 20060101ALI20240115BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20240115BHJP
   A61P 17/02 20060101ALI20240115BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240115BHJP
   A61K 35/28 20150101ALI20240115BHJP
   A61K 35/30 20150101ALI20240115BHJP
【FI】
C12N5/079
G01N33/53 Y
C12N1/00 T
A61P21/04
A61P21/00
A61P17/02
A61P25/00
A61K35/28
A61K35/30
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023542573
(86)(22)【出願日】2022-01-12
(85)【翻訳文提出日】2023-07-11
(86)【国際出願番号】 KR2022000553
(87)【国際公開番号】W WO2022154474
(87)【国際公開日】2022-07-21
(31)【優先権主張番号】10-2021-0003879
(32)【優先日】2021-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0004077
(32)【優先日】2022-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Witepsol
2.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】523264415
【氏名又は名称】セラトズ セラピュティクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】イム,ジェスン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ミン ヨン
(72)【発明者】
【氏名】ソン,ミン キ
【テーマコード(参考)】
4B065
4C087
【Fターム(参考)】
4B065AA93X
4B065AC20
4B065BA25
4B065CA44
4B065CA46
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB44
4C087BB45
4C087CA04
4C087NA14
4C087ZA01
4C087ZA94
(57)【要約】
本発明は、中間葉幹細胞由来の神経再生活性を有する神経再生促進細胞のスクリーニング方法及び前記神経再生促進細胞を含む薬学的組成物に関する。本発明の神経再生促進細胞は、CDマーカーの発現パターンが幹細胞と比較して完全に異なり、神経再生効果に優れているところ、神経疾患の予防又は治療分野で様々に活用可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の段階を含む中間葉幹細胞由来の神経再生活性を有する神経再生促進細胞(Neuronal Regeneration Promoting Cell)のスクリーニング方法:
i)中間葉幹細胞から分化した細胞を準備する段階;及び
ii)前記段階i)の分化した細胞のうち、CD121a、CD106及びCD112からなる群から選ばれる1以上のマーカーが、分化前の中間葉幹細胞に比べて上方調節された(up-regulated)細胞を選別する段階。
【請求項2】
下記の段階を含む中間葉幹細胞由来の神経再生活性を有する神経再生促進細胞(Neuronal Regeneration Promoting Cell)のスクリーニング方法:
i)中間葉幹細胞から分化した細胞を準備する段階;及び
ii)前記段階i)の分化した細胞のうち、CD26及びCD141からなる群から選ばれる1以上のマーカーが、分化前の中間葉幹細胞に比べて下方調節された(down-regulated)細胞を選別する段階。
【請求項3】
前記中間葉幹細胞は扁桃又は脂肪に由来することを特徴とする、請求項1又は2に記載の神経再生促進細胞のスクリーニング方法。
【請求項4】
前記段階i)の分化した細胞は、中間葉幹細胞を培養して神経球を形成した後、それを分化させたことを特徴とする、請求項1又は2に記載の神経再生促進細胞のスクリーニング方法。
【請求項5】
前記神経再生活性は、末梢神経の髄鞘化(myelinization)を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の神経再生促進細胞のスクリーニング方法。
【請求項6】
請求項1又は2に記載のスクリーニング方法によってスクリーニングされた神経再生促進細胞であって、前記神経再生促進細胞は、下記の特徴を有する神経再生促進細胞:
a)分化前の中間葉幹細胞と比較してマーカーCD121a、CD106及びCD112の発現が上方調節され;及び
b)分化前の中間葉幹細胞と比較してマーカーCD26及びCD141の発現が下方調節される。
【請求項7】
前記神経再生促進細胞は、分化前の中間葉幹細胞と比較してマーカーCD121aの発現が30%以上上方調節されたことを特徴とする、請求項6に記載の神経再生促進細胞。
【請求項8】
前記神経再生促進細胞は、分化前の中間葉幹細胞と比較してマーカーCD106の発現が5%以上上方調節されたことを特徴とする、請求項6に記載の神経再生促進細胞。
【請求項9】
前記神経再生促進細胞は、分化前の中間葉幹細胞と比較してマーカーCD112の発現が10%以上上方調節されたことを特徴とする、請求項6に記載の神経再生促進細胞。
【請求項10】
前記神経再生促進細胞は、分化前の中間葉幹細胞と比較してマーカーCD26の発現が5%以上下方調節されたことを特徴とする、請求項6に記載の神経再生促進細胞。
【請求項11】
前記神経再生促進細胞は、分化前の中間葉幹細胞と比較してマーカーCD141の発現が5%以上下方調節されたことを特徴とする、請求項6に記載の神経再生促進細胞。
【請求項12】
請求項6に記載の神経再生促進細胞を有効成分として含み、薬剤学的に許容される担体を含む、神経疾患の予防又は治療用薬学的組成物。
【請求項13】
前記神経疾患は、シャルコー・マリー・トゥース神経病症、糖尿病性末梢神経病症、脊髄損傷、筋萎縮側索硬化症、手根管症候群、小児痲痺、ハンセン病、筋ジストロフィー、多発性筋炎及び重症筋無力症からなる群から選ばれる1以上の疾患であることを特徴とする、請求項12に記載の薬学的組成物。
【請求項14】
請求項6に記載の神経再生促進細胞の有効量を対象(subject)に投与する段階を含む、神経疾患の治療方法。
【請求項15】
請求項6に記載の神経再生促進細胞の神経疾患治療用途。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
本発明は、幹細胞由来の神経再生活性を有する神経再生促進細胞のスクリーニング方法及び前記神経再生促進細胞を含む神経疾患の予防又は治療用薬学組成物に関する。
【0002】
〔背景技術〕
中間葉幹細胞(mesenchymal stem cell,MSC)は、特定刺激によって別の細胞に分化し得る分化の柔軟性を有しており、逆分化幹細胞が持つ腫瘍発生の可能性、胚芽幹細胞が持つ倫理的問題などから自由であるので、細胞治療剤の開発に多用されている。中間葉幹細胞は成体幹細胞であり、通常、成人の脂肪、臍帯血、骨髄などの組織から分離して使用する。これらの組織を分離する方法は、侵襲的であり、苦痛を誘発し、多数の幹細胞が得られないという限界がある。
【0003】
〔発明の概要〕
〔発明が解決しようとする課題〕
そこで、本発明者らは、中間葉幹細胞から分化した様々な細胞のうち、神経再生促進細胞に分化した細胞の特定CDマーカー分析によって、神経再生効果を示す神経再生促進細胞をスクリーニングする方法を導出し、本発明を完成するに至った。
【0004】
したがって、本発明の目的は、中間葉幹細胞由来の神経再生活性を有する神経再生促進細胞(Neuronal Regeneration Promoting Cell)のスクリーニング方法を提供することにある。
【0005】
本発明の他の目的は、前記スクリーニング方法でスクリーニングされた神経再生促進細胞を提供することにある。
【0006】
本発明のさらに他の目的は、前記神経再生促進細胞を有効成分として含む、神経疾患の予防又は治療用薬学的組成物を提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的及び利点は、下記の発明の詳細な説明、特許請求の範囲及び図面によってより明確になる。
【0008】
〔課題を解決するための手段〕
本発明の一態様によれば、本発明は、下記の段階を含む中間葉幹細胞由来の神経再生活性を有する神経再生促進細胞(Neuronal Regeneration Promoting Cell)のスクリーニング方法を提供する:
i)中間葉幹細胞から分化した細胞を準備する段階;及び
ii)前記段階i)の分化した細胞のうち、CD121a、CD106及びCD112からなる群から選ばれる1以上のマーカーが、分化前の中間葉幹細胞に比べて上方調節された(up-regulated)細胞を選別する段階。
【0009】
本発明の他の態様によれば、本発明は、下記の段階を含む中間葉幹細胞由来の神経再生活性を有する神経再生促進細胞(Neuronal Regeneration Promoting Cell)のスクリーニング方法を提供する:
i)中間葉幹細胞から分化した細胞を準備する段階;及び
ii)前記段階i)の分化した細胞のうち、CD26及びCD141からなる群から選ばれる1以上のマーカーが、分化前の中間葉幹細胞に比べて下方調節された(down-regulated)細胞を選別する段階。
【0010】
本発明者らは、様々な由来の中間葉幹細胞を分化させ、これらの分化した様々な細胞に対して多数のマーカーのそれぞれの発現様相を確認した結果、驚くべきことに、神経再生促進細胞に分化した細胞が特定マーカー(例えば、CD121a、CD106、CD112のようなCDマーカー)の発現様相において互いに共通する傾向性を示すということを確認した。
【0011】
本発明で用語「神経再生促進細胞」、「Neuronal Regeneration Promoting Cell」又は「NRPC」は、中間葉幹細胞から分化した細胞で、神経再生効果(例えば、損傷した神経細胞において末梢神経を髄鞘化したり、神経再生に必要なサイトカインを分泌したりして構造的又は機能的の面で直間接的に神経再生を促進する効果)を保有した細胞を意味する。
【0012】
本発明の好ましい具現例によれば、前記スクリーニング方法は、下記の段階を含んでよい:
i)中間葉幹細胞から分化した細胞を準備する段階;
ii)前記段階i)の分化した細胞のうち、CD121a、CD106及びCD112からなる群から選ばれる1以上のマーカーが、分化前の中間葉幹細胞に比べて上方調節された(up-regulated)細胞を選別する段階;及び
iii)前記段階i)の分化した細胞のうち、CD26及びCD141からなる群から選ばれる1以上のマーカーが、分化前の中間葉幹細胞に比べて下方調節された(down-regulated)細胞を選別する段階。
【0013】
本発明の好ましい具現例によれば、前記スクリーニング方法は、下記の段階を含んでよい:
i)中間葉幹細胞から分化した細胞を準備する段階;
ii)前記段階i)の分化した細胞のうち、CD26及びCD141からなる群から選ばれる1以上のマーカーが、分化前の中間葉幹細胞に比べて下方調節された(down-regulated)細胞を選別する段階;及び
iii)前記段階i)の分化した細胞のうち、CD121a、CD106及びCD112からなる群から選ばれる1以上のマーカーが、分化前の中間葉幹細胞に比べて上方調節された(up-regulated)細胞を選別する段階。
【0014】
本発明において用語「幹細胞」は、自己複製能力を有しながら2つ以上の細胞に分化する能力を有する細胞のことを指し、前記幹細胞は、成体幹細胞、万能幹細胞、誘導万能幹細胞又は胚芽幹細胞を含み、好ましくは、中間葉幹細胞である。
【0015】
本発明において用語「中間葉幹細胞」は、ヒト又は哺乳類の組織から分離した未分化した幹細胞を意味する。中間葉幹細胞は様々な組織に由来してよく、特に、扁桃、臍帯、臍帯血、骨髄、脂肪、筋肉、神経、皮膚、羊膜、絨毛膜、脱落膜、及び胎盤からなる群から選ばれる1種以上に由来し得る。各組織から幹細胞を分離する技術は、当該業界に既に公知されている。
【0016】
本発明の好ましい具現例によれば、前記中間葉幹細胞は、扁桃又は脂肪に由来するものである。
【0017】
本発明の一実施例によれば、扁桃又は脂肪に由来する中間葉幹細胞を利用することが最も好ましいことを確認した。
【0018】
本発明において用語「CD」又は「cluster of differentiation」分子は、細胞表面に存在する表面分子構造を意味し、前記CD分子は、細胞の集団ごとに共通に現れるものがあり、それらを細胞集団を区分するために利用(すなわち、マーカー用途)する。同じ系列の細胞は同じ種類のCD分子を有しており、同じ細胞集団であっても分化又は活性化段階によって異なるCD分子を有しているところ、これは、細胞の系統、分化段階及び活性化などを確認するために有用に用いられる。
【0019】
本発明の一実施例によれば、本発明の幹細胞由来の神経再生活性を有する神経再生促進細胞と、中間葉幹細胞のCD分子発現パターンを比較することによって、本発明に係る神経再生促進細胞が中間葉幹細胞と異なる細胞であることを立証した。また、本発明において中間葉幹細胞に比べて発現が上方調節されるCD10、CD39、CD106、CD112、CD121a及びCD338などや、下方調節されるCD26、CD54、CD126及びCD141などを神経再生促進細胞の分化マーカーとして利用可能である。
【0020】
本発明の好ましい具現例によれば、前記段階i)の分化した細胞は、中間葉幹細胞を培養して神経球を形成した後、これを分化させたものである。
【0021】
本発明の好ましい具現例によれば、前記神経再生活性は、末梢神経の髄鞘化(myelinization)を含む。
【0022】
本発明において用語「髄鞘化」は、髄鞘が末梢神経の軸索突起を巻いて刺激の伝達速度をより速くする現象を意味する。損傷した末梢神経は、髄鞘化によって正常化(すなわち、再生)する。
【0023】
本発明の一実施例によれば、本発明のスクリーニング方法でスクリーニングされた候補細胞のうちの一部の細胞は、後根神経節共同培養過程によって細胞形態学的に髄鞘化がなされた。
【0024】
本発明のさらに他の態様によれば、本発明は、前記スクリーニング方法でスクリーニングされた神経再生促進細胞を提供する。
【0025】
本発明の好ましい具現例によれば、前記神経再生促進細胞は、下記の特徴を有する:
a)分化前の中間葉幹細胞と比較してマーカーCD121a、CD106及びCD112の発現が上方調節される;及び
b)分化前の中間葉幹細胞と比較してマーカーCD26及びCD141の発現が下方調節される。
【0026】
前記神経再生促進細胞は、分化前の中間葉幹細胞と比較して、マーカーCD121aの発現が、好ましくは30%以上、より好ましくは40%以上上方調節される。
【0027】
本発明の一実施例によれば、分化前の中間葉幹細胞と比較して、マーカーCD121aの発現が、T-MSC-1-1由来神経再生促進細胞は94%、T-MSC-1-2由来神経再生促進細胞は71%、T-MSC-1-3由来神経再生促進細胞は51%、T-MSC-1-4由来神経再生促進細胞は48%上方調節され、平均して66%以上上方調節されたことを確認した。
【0028】
前記神経再生促進細胞は、分化前の中間葉幹細胞と比較して、マーカーCD106の発現が、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上上方調節される。
【0029】
本発明の一実施例によれば、分化前の中間葉幹細胞と比較して、マーカーCD106の発現が、T-MSC-1-1由来神経再生促進細胞は30%、T-MSC-1-2由来神経再生促進細胞は11%、T-MSC-1-3由来神経再生促進細胞は16%、T-MSC-1-4由来神経再生促進細胞は13%上方調節され、平均して17%以上上方調節された。
【0030】
前記神経再生促進細胞は、分化前の中間葉幹細胞と比較して、マーカーCD112の発現が、好ましくは10%以上、より好ましくは15%以上上方調節される。
【0031】
本発明の一実施例によれば、分化前の中間葉幹細胞と比較して、マーカーCD112の発現が、T-MSC-1-1由来神経再生促進細胞は49%、T-MSC-1-2由来神経再生促進細胞は25%、T-MSC-1-3由来神経再生促進細胞は30%、T-MSC-1-4由来神経再生促進細胞は19%上方調節され、平均して30%以上上方調節された。
【0032】
本発明の好ましい具現例によれば、前記神経再生促進細胞は、マーカーCD26の発現が、分化前の中間葉幹細胞に比べて下方調節されたものである。
【0033】
前記神経再生促進細胞は、分化前の中間葉幹細胞と比較して、マーカーCD26の発現が、好ましくは5%以上、より好ましくは8%以上下方調節される。
【0034】
本発明の一実施例によれば、分化前の中間葉幹細胞と比較して、マーカーCD26の発現が、T-MSC-1-1由来神経再生促進細胞は9%、T-MSC-1-2由来神経再生促進細胞は11%、T-MSC-1-3由来神経再生促進細胞は27%、T-MSC-1-4由来神経再生促進細胞は16%下方調節され、平均して16%以上下方調節された。
【0035】
前記神経再生促進細胞は、分化前の中間葉幹細胞と比較して、マーカーCD141の発現が、好ましくは5%以上、より好ましくは8%以上下方調節される。
【0036】
本発明の一実施例によれば、分化前の中間葉幹細胞と比較してマーカーCD141の発現が、T-MSC-1-1由来神経再生促進細胞は9%、T-MSC-1-2由来神経再生促進細胞は20%、T-MSC-1-3由来神経再生促進細胞は16%、T-MSC-1-4由来神経再生促進細胞は38%下方調節され、平均して20%以上下方調節された。
【0037】
本発明のさらに他の態様によれば、本発明は、前記神経再生促進細胞を有効成分として含む神経疾患の予防又は治療用薬学的組成物を提供する。
【0038】
本発明のさらに他の態様によれば、本発明は、前記神経再生促進細胞の有効量を対象(subject)に投与する段階を含む、神経疾患の治療方法を提供する。
【0039】
本発明のさらに他の態様によれば、本発明は、前記神経再生促進細胞の治療用途(for use in therapy)を提供する。
【0040】
本発明において用語「神経疾患」は、遺伝又は老化などの内部的要因又は外傷などの外部的要因によって神経組織が損傷して誘発される疾患を意味する。
【0041】
本発明の好ましい具現例によれば、前記神経疾患は、シャルコー・マリー・トゥース神経病症、糖尿病性末梢神経病症、脊髄損傷、筋萎縮側索硬化症、手根管症候群、小児痲痺、ハンセン病、筋ジストロフィー、多発性筋炎及び重症筋無力症からなる群から選ばれる1以上の疾患である。
【0042】
本発明において用語「対象」は、本発明の組成物又は前記神経再生促進細胞を投与する必要がある個体を意味し、哺乳類、鳥類、爬虫類、両棲類、魚類など、投与対象に限定されない。
【0043】
本発明において「予防」は、本発明に係る組成物の投与によって神経疾患を抑制又は遅延させる全ての行為を指す。また、「治療」は、本発明に係る組成物の投与によって神経疾患の症状が好転したり有利に変更したりする全ての行為を意味する。
【0044】
本発明の好ましい具現例によれば、本発明の薬学的組成物は、薬剤学的に許容される担体又は賦形剤を含む。
【0045】
本発明の薬学的組成物は、当該発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に実施できる方法によって、薬剤学的に許容される担体及び/又は賦形剤を用いて製剤化することによって単位用量の形態で製造されたり又は多回容量容器内に内入させて製造されてよい。
【0046】
本発明に係る薬学的組成物は、通常の方法によって様々な形態で剤形化して使用することができる。例えば、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、懸濁液、エマルジョン、シロップなどの経口型剤形に剤形化でき、外用剤、坐剤及び滅菌注射溶液の形態で剤形化して使用することができる。
【0047】
本発明の組成物は、幹細胞由来の神経再生活性を有する神経再生促進細胞とともに、神経疾患に対して予防又は治療効果を有する公知の有効成分を1種以上含有してよい。
【0048】
本発明の薬学的組成物は、経口又は非経口で投与でき、好ましくは、非経口投与であり、例えば、静脈内注入、経皮投与、皮下注入、筋肉内注入、硝子体内注入(intravitreal injection)、網膜下注入(subretinal injection)、脈絡膜上腔注入(suprachoroidal injection)、点眼投与(eye drop administration)、脳室内注入(intracerebroventricular injection)、脊椎腔内注入(intrathecal injection)、羊膜内注入(intraamniotic injection)、動脈内注入(intraarterial injection)、関節腔内注入(intraarticular injection)、心臓内注入(intracardiac injection)、陰茎海綿体内注入(intracavernous injection)、脳内注入(intracerebral injection)、脳髄槽注入(intracisternal injection)、冠状内注入(intracoronary injection)、頭蓋内注入(intracranial injection)、硬膜内注入(intradural injection)、硬膜外注入(epidural injection)、海馬内注入(intrahippocampal injection)、鼻腔内注入(intranasal injection)、骨腔内注入(intraosseous injection)、腹腔内注入(intraperitoneal injection)、胸腔内注入(intrapleural injection)、脊髄内注入(intraspinal injection)、胸郭内注入(intrathoracic injection)、胸腺内注入(intrathymic injection)、子宮内注入(intrauterine injection)、膣内注入(intravaginal injection)、心室内注入(intraventricular injection)、膀胱内注入(intravesical injection)、結膜下注入(subconjunctival injection)、腫瘍内注入(intratumoral injection)、局所注入及び腹腔注入(intraperitoneal injection)などで投与できる。
【0049】
前記非経口投与のための製剤には、滅菌された水溶液、非水性溶剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥製剤、坐剤が含まれる。非水性溶剤、懸濁溶剤としては、プロピレングリコール(Propylene glycol)、ポリエチレングリコール、オリーブオイルのような植物性油、オレイン酸エチルのような注射可能なエステルなどが使用されてよい。坐剤の基剤としては、ウィテップゾール(witepsol)、マクロゴール、ツイン(tween)61、カカオ脂、ラウリン脂、グリセロゼラチンなどが使用されてよい。
【0050】
本発明の薬学的組成物の投与量は、前記薬学的組成物の製剤化方法、投与方式、投与時間及び/又は投与経路などによって多様化してよく、前記薬学的組成物の投与によって達成しようとする反応の種類及び程度、投与対象となる個体の種類、年齢、体重、一般的な健康状態、疾病の症状や程度、性別、食餌、排泄、当該個体に同時に又は異時に併用される薬物、その他組成物の成分などをはじめとする様々な因子及び医薬分野でよく知られた類似因子によって多様化でき、当該技術の分野における通常の知識を有する者は、目的とする治療に効果的な投与量を容易に決定して処方できる。
【0051】
本発明の薬学的組成物の投与経路及び投与方式はそれぞれ独立していてよく、その方式において特に限定されず、目的とする該当の部位に前記薬学的組成物が到達できればいかなる投与経路及び投与方式に従ってもよい。
【0052】
〔発明の効果〕
本発明の特徴及び利点を要約すれば、次の通りである:
(i)本発明は、中間葉幹細胞由来の神経再生活性を有する神経再生促進細胞のスクリーニング方法及び前記神経再生促進細胞を含む薬学的組成物を提供する。
【0053】
(ii)本発明の神経再生促進細胞は、CDマーカーの発現パターンが中間葉幹細胞と比較して完全に異なり、神経再生効果を保有するところ、神経疾患の予防又は治療分野で多様に活用可能である。
【0054】
〔図面の簡単な説明〕
図1〕扁桃由来中間葉幹細胞であるT-MSC-1-1を神経再生促進細胞に誘導した場合の結果を日別に取った写真である。
【0055】
図2〕CDマーカースクリーニングによって本発明に係る神経再生促進細胞のCDマーカー発現をヒートマップで示した結果である。
【0056】
図3〕神経再生促進細胞において、扁桃由来中間葉幹細胞と比較して発現量に差があるCDマーカーをスクリーニングした結果である。図3Aは、扁桃由来中間葉幹細胞に比べて発現量が増加したCDマーカーを、図3Bは、扁桃由来中間葉幹細胞に比べて発現量が減少したCDマーカーを比較した結果である。
【0057】
図4〕神経再生促進細胞において、扁桃由来中間葉幹細胞に比べて発現が増加したCDマーカー及び発現が減少したCDマーカーの発現パターンを比較した結果である。
【0058】
図5〕神経再生促進細胞において共通に発現が増加又は減少したCDマーカーのスクリーニング結果を示すヒストグラムである。
【0059】
図6〕神経再生促進細胞において共通に発現が増加したマーカーCD121a、CD106及びCD112の発現様相を扁桃由来中間葉幹細胞と比較した結果である。
【0060】
図7〕神経再生促進細胞において共通に発現が減少したマーカーCD26及びCD141の発現様相を扁桃由来中間葉幹細胞と比較した結果である。
【0061】
図8〕扁桃由来中間葉幹細胞(T-MSCs)、神経再生促進細胞(NRPCs)のCDマーカー発現パターンを比較するために、CDマーカーの発現を比較した結果をヒートマップで示す図である。
【0062】
図9〕神経再生促進細胞の神経突起の成長を測定して比較するために神経突起伸長アッセイ(Neurite outgrowth assay)を行った結果である。
【0063】
図10〕候補細胞と後根神経節の共同培養過程によって一部の細胞において細胞形態学的に髄鞘化がなされることを確認した結果である。
【0064】
図11〕CDスクリーニング(CD screening)で選別された上方、下方調節されたCDマーカーを個別抗体を用いて流細胞分析した結果である。
【0065】
図12〕T-MSCとNRPCで分析したサイトカインアレイ(Cytokine array)分析結果をヒートマップで図式化した結果(左)と、T-MSCに対比してNRPCで共通に増加したサイトカインを比率別に区分した結果(右)を示す(Fold change:NRPC1-1/T-MSC1-1、NRPC1-2/T-MSC1-2)。
【0066】
〔発明を実施するための形態〕
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明する。これらの実施例は単に本発明をより具体的に説明するためのもので、本発明の要旨によって本発明の範囲がこれらの実施例によって限定されないということは、当業界における通常の知識を有する者にとって明らかであろう。
【0067】
〔実施例〕
実施例1.中間葉幹細胞の準備
1-1.扁桃由来中間葉幹細胞の分離及び培養
イファ女子大学校医科大学から供与された多数の供与者に由来する扁桃組織を左及び右に区分し、扁桃組織を、ゲンタマイシン20ug/ml添加のDPBS(Dulbecco’s Phosphate-Buffered Saline)10mlが入っているチューブに入れ、1,500rpmで5分間遠心分離後に洗浄した。前記組織洗浄過程は2回反復した。洗浄された扁桃組織を、滅菌されたはさみを用いて細かく切って粉砕した。
【0068】
扁桃組織から扁桃由来中間葉幹細胞を分離するために、前記粉砕された扁桃組織に同一重さの酵素反応液を添加した後、37℃、200rpm条件の振盪培養器で60分間培養した。前記酵素反応液の組成は表1に示す。
【0069】
【表1】
【0070】
前記培養物に5% FBS(fetal bovine serum)を添加して混合した後、1,500rpmで5分間遠心分離した。遠心分離後に上澄液を除去し、DPBS30mlでペレットを再浮遊させた後、1,500rpmで5分間遠心分離した。遠心分離後に上澄液を除去し、ペレットにDPBS 10mlを添加後に再浮遊させて懸濁液を製造した。前記懸濁液を100μm濾過器に通過させた。濾過器に残っている扁桃由来中間葉幹細胞をDPBS20mlで洗浄した後、1,500rpmで5分間遠心分離した。遠心分離後に上澄液を除去した後、ACK溶解バッファー(Lysis buffer)を入れて37℃恒温水槽で5分間反応させた。前記懸濁液にDPBSを入れ、1,500rpmで5分間遠心分離した。遠心分離後に上澄液を除去した後、高グルコースDMEM培地(10% FBS、20μg/mlゲンタマイシン)でペレットを再浮遊させて細胞懸濁液を製造した。製造された細胞懸濁液の細胞を計数した。また、前記細胞懸濁液をT175フラスコにシードし、37℃及び二酸化炭素濃度5%条件である培養器で培養した。
【0071】
1-2.脂肪由来中間葉幹細胞の分離及び培養
脂肪由来中間葉幹細胞はLONZAから購入した(Human Adipose-Derived Stem Cells,Cat#PT-5006,Lonza,Swiss)。前記購入した脂肪由来中間葉幹細胞は、LONZAから提供する培養培地(Bulletkit ADSD,Cat#PT-4505)を用いて培養した。
【0072】
実施例2.神経球の形成
前記実施例1に記載された中間葉幹細胞を培養して神経球を形成した。具体的には、継代培養して継代数4~7の中間葉幹細胞を準備した。前記中間葉幹細胞の培養培地を除去した後、中間葉幹細胞をDPBSで洗浄した。洗浄された細胞にTrypLEを処理して細胞を収穫し、収穫された細胞を計数した。収穫された細胞を遠心分離して上澄液を除去した後、神経球形成培地を入れて再浮遊させた。前記神経球形成培地の組成は、表2に示す。
【0073】
【表2】
【0074】
神経球形成培地に再浮遊された細胞を、低付着表面ディッシュ(Ultra Low attachment dish)(60mm)に1×106個シードした。シードされた細胞は、37℃及び二酸化炭素濃度5%条件で3日間培養した。培養3日後に、ディッシュに生成された神経球を15mlチューブに収集した。収集された細胞を遠心分離後に上澄液を除去した後、新しい神経球形成培地を添加して再浮遊させ、神経球懸濁液を製造した。神経球懸濁液は低付着表面ディッシュに移した後、神経球を37℃及び二酸化炭素濃度5%条件で4日間培養した。
【0075】
実施例3.神経球を用いて神経再生促進細胞(Neuronal Regeneration Promoting Cell,NRPC)候補細胞への分化
前記実施例2で生成された神経球を23~26G注射器針を用いて均一に粉砕した。粉砕された神経球はピペットを用いて15mlチューブに移した後、遠心分離後に上澄液を除去した。前記チューブに神経再生促進細胞誘導培地を添加した後、粉砕された神経球を再浮遊した。前記神経再生促進細胞誘導培地は、GlutaMAX含有DMEM/F12に、1)5~20%のFBS(Fetal Bovine Serum)、2)5~20ng/mlのbFGF(Peprotech,USA)、3)100~400μMのブチルヒドロキシアニソール(butylated hydroxyanisole,Sigma,USA)、4)5~40μMフォルスコリン(Forskolin,MedCheExpress,USA)、5)0.1~10%のN2補充剤(N2 supplements;Gibco,USA)、6)1~100ng/ml脳由来神経成長因子(brain-derived neurotrophic factor,BDNF,Sigma-Aldrich,USA)、7)1~100ng/ml神経成長因子(nerve growth factor,NGF,Santa Cruz,USA)、8)0.01~1ng/mlソニックヘッジホッグ(sonic hedgehog,SHH,R & D Systems,USA)、9)1~10ng/mlのPDGF-AA(Platelet Derived Growth Factor-AA,(Peprotech,USA)、10)50~300ng/mlのヘレグリンベータ1(Heregulin-beta 1,Peprotech,USA)を3個以上組み合わせて様々な培地を作って利用した。
【0076】
前記様々な培地で再浮遊された神経球は、ラミニン(2μg/ml)でコートされたT175フラスコに全てシードした。シードされた神経球は8~10日間培養したし、3日間隔でそれぞれの神経再生促進細胞誘導培地を交換した(図1)。
【0077】
実施例4.神経再生促進細胞候補細胞の末梢神経の髄鞘化(myelinization)確認を用いた1次スクリーニング
前記実施例3で製造した神経再生促進細胞候補に対して、末梢神経の髄鞘化(myelinization)機能があるかを確認した。具体的には、分化した候補神経再生促進細胞と後根神経節(Dorsal root ganglia,DRG)の共同培養による髄鞘化を確認するために、候補細胞と後根神経節を共同培養した。
【0078】
ラット(Rat)から分離した後根神経節(DRG)細胞は、LONZAから購入した(Rat Dorsal Root Ganglion Cells,Cat# R-DRG-505,Lonza,Swiss)。該購入した後根神経節を候補細胞上に載せて共同培養させた。共同培養のために、前記DRG細胞を購入したLONZAから提供する培養培地(Primary Neuron Growth Medium Bullet Kit(PNGM)、Cat# CC-4461)を用いて培養した。
【0079】
培養液は毎3日ごとに入れ換えた。前記候補細胞と後根神経節の共同培養過程によって一部の細胞で細胞形態学的に髄鞘化がなされていることを確認した(図10)。
【0080】
実施例5.神経再生促進細胞のCDマーカー発現分析を用いた2次スクリーニング
前記実施例4で髄鞘化を確認した神経再生促進細胞候補群のうち、細胞形態学的に髄鞘化が最もよくなされたT-MSC-1-1(扁桃由来中間葉幹細胞1)、T-MSC-1-2(扁桃由来中間葉幹細胞2)、T-MSC-1-3(扁桃由来中間葉幹細胞3)、T-MSC-1-4(扁桃由来中間葉幹細胞4)とそれらから分化した神経再生促進細胞に対して、総242個のCDマーカー発現を分析した。
【0081】
CDマーカー分析のために3×107個の目的細胞を収集した。DPBSで目的細胞を洗浄した後、2000rpmで5分間遠心分離した。上澄液を除去した後、DPBSで1回反復洗浄した。遠心分離後に、30mlのFACSバッファーでペレットを再浮遊させた。丸底の96ウェルプレートを準備して細胞浮遊液を100ul(1×105cell)ずつ各ウェルに分注した。CDマーカーの1次抗体を96ウェルプレートの各ウェルに10ulずつ添加した。遮光して氷の上で30分間反応させた。FACSバッファーをウェル当たり100ulずつ分注して96ウェルプレートを洗浄した後、300gで5分間遠心分離した。上澄液を除去した後、FACSバッファーを各ウェルに200ul添加後に、300gで5分間遠心分離した。2次抗体を1:200の比率(1.25ug/ml)でFACSバッファーに製造して準備した。遠心分離終了後に上澄液を除去した後、準備した2次抗体を各ウェルに100ulずつ添加した。遮光して氷の上で20~30分間反応させた。FACSバッファーを各ウェルに100ul添加して洗浄した後、300gで5分間遠心分離した。上澄液を除去した後、FACSバッファーを各ウェルに200ulずつ添加して目的細胞を洗浄した。洗浄過程は2回反復した。洗浄過程後に、FACSバッファーを各ウェルに200ulずつ分注して細胞を再浮遊させた後、流細胞分析(Flow Cytometry又はFACS;Fluorescence-activated cell sorting)によって目的細胞からCDマーカーの発現を確認した。
【0082】
誘導された神経再生促進細胞のCDマーカーの発現をヒートマップ(heat map)で比較した結果を図2に示す。図2に示すように、神経再生促進細胞(NRPCs)及び中間葉幹細胞(MSCs)はCDマーカーの発現パターンが類似しているが、一部のマーカーは発現パターンが異なっていることを確認した。
【0083】
T-MSC-1-1、T-MSC-1-2、T-MSC-1-3、T-MSC-1-4由来の中間葉幹細胞(MSCs)と神経再生促進細胞(NRPCs)のCDマーカーの発現パターンを比較した結果、発現が増加又は減少したCDマーカーを神経再生促進細胞の分化マーカーとして利用する。前記発現が増加又は減少したCDマーカーは、図3に示す。
【0084】
図3Aに示すように、T-MSC-1-1、T-MSC-1-2、T-MSC-1-3、T-MSC-1-4由来の神経再生促進細胞において、扁桃由来中間葉幹細胞に比べて発現が増加したCDマーカーは、CD10、CD39、CD106、CD112、CD121a及びCD338などがあったし(4つのNRPCのうち、少なくとも3つのNRPCで増加したマーカー);図3Bに示すように、発現が減少したCDマーカーは、CD26CD54、CD126及びCD141などがあった(4つのNRPCのうち、少なくとも3つのNRPCで減少したマーカー)。
【0085】
前記扁桃由来神経再生促進細胞のCDマーカーの発現増加率及び減少率を比較した結果は、図4に示す。
【0086】
図4に示すように、T-MSC-1-1由来の神経再生促進細胞は、発現の増加したCDマーカーが12個であり、発現の減少したCDマーカーは9個であることを確認した。また、T-MSC-1-2由来の神経再生促進細胞は、発現の増加したCDマーカーが8個であり、発現の減少したCDマーカーが9個であることを確認した。T-MSC-1-3由来の神経再生促進細胞は、発現の増加したCDマーカーが40個であり、発現の減少したCDマーカーが3個であることを確認した。T-MSC-1-4由来の神経再生促進細胞は、発現の増加したCDマーカーが17個であり、発現の減少したCDマーカーが6個であることを確認した。
【0087】
前記結果から、T-MSC-1-1、T-MSC-1-2、T-MSC-1-3及びT-MSC-1-4由来の神経再生促進細胞の全てから、発現の増加又は減少したCDマーカーを選別した。選別されたマーカーは次の通りである:
- 共通に発現が増加したCDマーカー:CD106、CD112、CD121a
- 共通に発現が減少したCDマーカー:CD26、CD141
前記共通に発現が増加したCDマーカー及び共通に発現が減少したCDマーカーのパターンは、実施例1-2の脂肪由来中間葉幹細胞から分化させた神経再生促進細胞においても同一に現れた。
【0088】
T-MSC-1-1、T-MSC-1-2、T-MSC-1-3及びT-MSC-1-4由来の神経再生促進細胞の全てにおいて発現が増加又は減少したCDマーカーのCDスクリーニング結果をヒストグラムで図5に示す。
【0089】
図5に示すように、神経再生促進細胞において共通に発現が増加したCDマーカーであるCD121a、CD106、CD112は、分化後に発現率が10%以上高くなることを確認した。一方、共通に発現が減少したマーカーCD26、CD141は、分化後に発現率が減少したし、減少率が約9%以上であることを確認した。前記結果は、共通に発現が変化されたマーカーCD121a、CD106、CD112、CD26及びCD141が神経再生促進細胞の分化マーカーとして用いられてよく、特に、CD121a、CD106及びCD112が代表の分化マーカーとして用いられてよいことを意味する。
【0090】
6-1.共発現マーカーCD121a、CD106、CD112の発現比較
マーカーCD121a、CD106及びCD112は、T-MSC-1-1、T-MSC-1-2、T-MSC-1-3及びT-MSC-1-4由来の神経再生促進細胞において共通に、中間葉幹細胞と比較して発現が10%以上増加したものであり、神経再生促進細胞の大きい特徴の一つである。そこで、T-MSC-1-1、T-MSC-1-2、T-MSC-1-3及びT-MSC-1-4由来の神経再生促進細胞においてマーカーCD121a、CD106及びCD112を比較し、その結果を図6に示した。
【0091】
図6に示すように、マーカーCD121a、CD106、CD112は、扁桃由来中間葉幹細胞(T-MSCs)に比べて神経再生促進細胞(NRPCs)において発現が顕著に増加していることを確認した。
【0092】
6-2.共発現マーカーCD26及びCD141の発現比較
マーカーCD26及びCD141は、T-MSC-1-1、T-MSC-1-2、T-MSC-1-3及びT-MSC-1-4由来の神経再生促進細胞において共通に発現が減少したCDマーカーである。前記T-MSC-1-1、T-MSC-1-2、T-MSC-1-3及びT-MSC-1-4由来の神経再生促進細胞において前記CDマーカーの発現を比較し、その結果を図7に示した。
【0093】
図7に示すように、神経再生促進細胞は、扁桃由来中間葉幹細胞に比べてCD26及びCD141の発現が減少していることを確認した。
【0094】
6-3.CDマーカー発現パターン比較
扁桃由来中間葉幹細胞、神経再生促進細胞のCDマーカー発現パターンを比較するために、実施例6-1及び6-2で共発現CDマーカーの発現を比較した結果に基づいてヒートマップを作成し、図8に示した。
【0095】
図8に示すように、神経再生促進細胞は、扁桃由来中間葉幹細胞と比較して共発現マーカーの発現が異なっていることを確認した。
【0096】
6-4.共発現CDマーカーの平均発現
扁桃由来中間葉幹細胞、神経再生促進細胞のCDマーカーの発現パターンが細胞の凍結後にも同一であるかを比較するために、凍結前の生細胞である状態、凍結後に解凍された細胞、解凍した細胞を付着して培養した細胞において、例6-1、例6-2で共発現CDマーカーの発現を確認し、共発現CDマーカーの平均発現率結果を図11に示した。
【0097】
図11に示すように、神経再生促進細胞は、凍結後にも扁桃由来中間葉幹細胞に比べてCD106、CD121a、CD112の発現が増加し、CD26、CD141の発現が減少していることを確認した。この結果から、凍結状態に関係なく神経再生促進細胞は扁桃由来中間葉幹細胞と比較して共発現マーカーの発現が異なることを確認した。
【0098】
実施例7.本願発明の神経再生促進細胞の神経突起伸長(Neurite Outgrowth)効果
神経細胞体の樹状突起の1つが長く伸長した神経突起(neurite又はneuronal process)は、軸索の成長再生に必要な物質又は伝達物質、神経成長因子などの輸送に関連していることが知られている(L McKerracher et al.,Spinal Cord Repair:Strategies to Promote Axon Regeneration,Neurobiol Dis,2001)。本願発明の神経再生促進細胞の神経突起の成長を測定して比較するために神経突起伸長アッセイ(Neurite outgrowth assay)を行った。
【0099】
上記の方法は、N1E-115(mouse neuroblastoma cell line,ATCC,USA)を培養し、微細な多孔性のフィルター(Neurite outgrowth assay kit,Millipore,USA)にシードする。シードした細胞を神経再生促進細胞、幹細胞から収集した培養液で48時間培養し、微細な多孔性フィルターを透過して伸長された神経突起を染色して吸光度を測定した。神経突起伸長アッセイ(Neurite outgrowth assay)を用いた神経突起検出方法により、本願発明の神経再生促進細胞の培養液からN1E-115(mouse neuroblastoma)の神経突起(軸索)成長を調節又は刺激することを確認することによって神経再生効果を確認した。
【0100】
そこで、T-MSC-1-2由来の神経再生促進細胞、扁桃由来幹細胞培養液から生長したN1E-115細胞の神経突起を比較し、その結果を図9に示した(NRPCs:T-MSC-1-2由来の神経再生促進細胞、T-MSCs:T-MSC-1-2、Negative control:陰性対照群、Positive control:陽性対照群)。比較の結果、扁桃由来幹細胞に比べて神経再生促進細胞で多数の神経突起が観察されたし、吸光度測定の結果からも、神経再生促進細胞において扁桃幹細胞と比較して吸光度が高く増加することを確認した(- Negative control:多孔性フィルター(Neurite outgrowth assay kitに提供されるmembrane insert)をBSAでコートする。N1E-115細胞を培地(DMEM培地+20ug/mlゲンタマイシン)に培養する。- Positive control:多孔性フィルターをラミニンでコートする。N1E-115細胞を培地(DMEM培地+20ug/mlゲンタマイシン+1mg/ml BSA)に培養する。- NRPC、T-MSC試験群:多孔性フィルターをBSAでコートする。N1E-115細胞をそれぞれのNRPC、T-MSCの培養液に培養する)。
【0101】
実施例8.神経再生促進細胞のサイトカインアレイ(Cytokine array)分析
前記実施例4で髄鞘化が最もよくなされたT-MSC-1-1、T-MSC-1-2とそれらから分化した神経再生促進細胞に対して、507個のサイトカイン(Cytokine)発現を分析した。
【0102】
サイトカイン分析のために目的細胞を培養した。目的細胞をフラスコに同一の細胞数でシードした後、3~4日間培養した。目的細胞が培養されているフラスコ面積が80%以上到達した時に既存培養液を除去し、DPBSで目的細胞を2回反復洗浄した。洗浄後、目的細胞の培養培地に含まれたサイトカインの影響を排除するために、FBS(Fetal Bovine Serum)、サイトカインなどが添加されていないDMEM(Dulbecco’s Phosphate-Buffered Saline)培地に交換した。目的細胞を30時間培養した後、目的細胞の培養液を収集した。
【0103】
収集された培養液は3,600rpmで30分間遠心分離し、上澄液をセルロース膜(cellulose membrane)がある遠心管(Centrifugal tube)に移し、3,600rpmで20分間遠心分離して濃縮した。遠心分離後に分離膜を通過した条件培地は廃棄し、廃棄した条件培地の分だけの培養液を添加し、濃縮を続けた。濃縮された培養液が1ml以下になるまで遠心分離を持続し、完了した濃縮培養液はBradfordアッセイで定量した。濃縮された培養液はDMEM培地を混合して最終濃度1mg/mlにした。
【0104】
507個のサイトカインを検出可能な抗体が塗布されているメンブレン(membrane)(Cytokine array Kit,RayBiotech,USA)にブロッキングバッファー(blocking buffer)を処理して30分間反応させた。メンブレン(Membrane)にあるブロッキングバッファーを除去し、濃縮された培養液に交換して冷蔵条件で一晩反応させた。メンブレンを洗浄バッファーで7回反復して洗浄した。メンブレンにHRP結合ストレプトアビジン溶液(HRP-conjugated Streptavidin solution)を入れて室温で2時間反応させた。HRP結合ストレプトアビジン溶液を除去した後、メンブレンを洗浄バッファーで7回反復洗浄した。洗浄後に、ECL(Enhanced chemiluminescence)試薬(regent)を用いてメンブレンを濡らした後、imager機器を用いてサイトカインの発現を確認した。
【0105】
神経再生促進細胞のサイトカインの発現をヒートマップ(heat map)で比較した結果を図12に示した。図12に示すように、神経再生促進細胞と扁桃由来中間葉幹細胞は発現パターンが互いに異なっていることを確認した。
【0106】
T-MSC-1-1、T-MSC-1-2由来の中間葉幹細胞及び神経再生促進細胞のサイトカインの発現を比較した結果、発現の増加したサイトカインは図12の通りであった。
【0107】
- 1.5倍以上:Angiopoietin-1、Angiopoietin-4、BIK、BMPR-IA/ALK-3、CCL14/HCC-1/HCC-3、CCR1、EN-RAGE、Eotaxin-3/CCL26、FGF R4、FGF-10/KGF-2、FGF-19、FGF-21、Flt-3 Ligand、Follistatin-like 1、GASP-1/WFIKKNRP、GCP-2/CXCL6、GFR alpha-3、GREMLIN、GRO-a、HGF 、HRG-beta 1、I-309、ICAM-1、IFN-alpha/beta R2、IGFBP-2、IGF-I、IL-4、IL-5 R alpha、IL-10 R beta、IL-1 2R beta 1、IL-13 R alpha 2、IL-20 R beta、IL-22 BP、IL-23 R、FACX、LIF、LIF R alpha、LIGHT/TNFSF14、Lipocalin-1、Lipocalin-2、LRP-1、MCP-4/CCL13、M-CSF、MDC、MFG-E8、MICA、MIP-1b、MIP-1d、MMP-2、MMP-3、MMP-7、MMP-8、MMP-10、MMP-12、MMP-16/MT3-MMP、MMP-25/MT6-MMP、NAP-2、NeuroD1、PDGF-AB、PDGF-BB、PDGF-C、PDGF-D、Pentraxin3/TSG-14、Persephin、PF4/CXCL4、PLUNC、P-selectin、RANTES、RELM beta、ROBO4、S100A10、SAA、SCF、SIGIRR、Smad 1、Smad 5、Smad 8、Prdx6、Tarc、TCCR/WSX-1、TGF-beta 3、TGF-beta 5、Tie-2、TIMP-1、TROY/TNFRSF19、uPA
- 1.75倍以上:Angiopoietin-1、Angiopoietin-4、BIK、CCR1、FGF-21、GRO-a、HGF、IL-10R beta、IL-12R beta 1、MCP-4/CCL13、MIP-1b、MIP-1d、NeuroD1、PDGF-C、Prdx6、TIMP-1、uPA
- 2倍以上:BIK、GRO-a、HGF、MCP-4/CCL13、uPA
要するに、本発明者らは、扁桃及び脂肪由来中間葉幹細胞から神経再生促進細胞を製造し、そのCDマーカー分析によって発現パターンを確認した。また、前記神経再生促進細胞の神経再生効果を確認した。これは、医療廃棄物として捨てられていた扁桃組織から、神経再生効果がある細胞を製造できることを意味するところ、本発明の神経再生促進細胞は神経再生分野において多様に活用可能である。
【0108】
以上、本発明の実施例について説明したが、当該技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された本発明の思想から逸脱しない範囲内で、構成要素の付加、変更、削除又は追加などによって本発明を様々に修正及び変更させることができ、それらも本発明の権利範囲内に含まれるといえよう。
【図面の簡単な説明】
【0109】
図1】扁桃由来中間葉幹細胞であるT-MSC-1-1を神経再生促進細胞に誘導した場合の結果を日別に取った写真である。
図2】CDマーカースクリーニングによって本発明に係る神経再生促進細胞のCDマーカー発現をヒートマップで示した結果である。
図3】神経再生促進細胞において、扁桃由来中間葉幹細胞と比較して発現量に差があるCDマーカーをスクリーニングした結果である。図3Aは、扁桃由来中間葉幹細胞に比べて発現量が増加したCDマーカーを、図3Bは、扁桃由来中間葉幹細胞に比べて発現量が減少したCDマーカーを比較した結果である。
図4】神経再生促進細胞において、扁桃由来中間葉幹細胞に比べて発現が増加したCDマーカー及び発現が減少したCDマーカーの発現パターンを比較した結果である。
図5】神経再生促進細胞において共通に発現が増加又は減少したCDマーカーのスクリーニング結果を示すヒストグラムである。
図6】神経再生促進細胞において共通に発現が増加したマーカーCD121a、CD106及びCD112の発現様相を扁桃由来中間葉幹細胞と比較した結果である。
図7】神経再生促進細胞において共通に発現が減少したマーカーCD26及びCD141の発現様相を扁桃由来中間葉幹細胞と比較した結果である。
図8】扁桃由来中間葉幹細胞(T-MSCs)、神経再生促進細胞(NRPCs)のCDマーカー発現パターンを比較するために、CDマーカーの発現を比較した結果をヒートマップで示す図である。
図9】神経再生促進細胞の神経突起の成長を測定して比較するために神経突起伸長アッセイ(Neurite outgrowth assay)を行った結果である。
図10】候補細胞と後根神経節の共同培養過程によって一部の細胞において細胞形態学的に髄鞘化がなされることを確認した結果である。
図11】CDスクリーニング(CD screening)で選別された上方、下方調節されたCDマーカーを個別抗体を用いて流細胞分析した結果である。
図12】T-MSCとNRPCで分析したサイトカインアレイ(Cytokine array)分析結果をヒートマップで図式化した結果(左)と、T-MSCに対比してNRPCで共通に増加したサイトカインを比率別に区分した結果(右)を示す(Fold change:NRPC1-1/T-MSC1-1、NRPC1-2/T-MSC1-2)。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2023-07-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の段階を含む中間葉幹細胞由来の神経再生活性を有する神経再生促進細胞(Neuronal Regeneration Promoting Cell)のスクリーニング方法:
i)中間葉幹細胞から分化した細胞を準備する段階;及び
ii)前記段階i)の分化した細胞のうち、CD121a、CD106及びCD112からなる群から選ばれる1以上のマーカーが、分化前の中間葉幹細胞に比べて上方調節された(up-regulated)細胞を選別する段階。
【請求項2】
下記の段階を含む中間葉幹細胞由来の神経再生活性を有する神経再生促進細胞(Neuronal Regeneration Promoting Cell)のスクリーニング方法:
i)中間葉幹細胞から分化した細胞を準備する段階;及び
ii)前記段階i)の分化した細胞のうち、CD26及びCD141からなる群から選ばれる1以上のマーカーが、分化前の中間葉幹細胞に比べて下方調節された(down-regulated)細胞を選別する段階。
【請求項3】
前記中間葉幹細胞は扁桃又は脂肪に由来することを特徴とする、請求項1又は2に記載の神経再生促進細胞のスクリーニング方法。
【請求項4】
前記段階i)の分化した細胞は、中間葉幹細胞を培養して神経球を形成した後、それを分化させたことを特徴とする、請求項1又は2に記載の神経再生促進細胞のスクリーニング方法。
【請求項5】
前記神経再生活性は、末梢神経の髄鞘化(myelinization)を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の神経再生促進細胞のスクリーニング方法。
【請求項6】
扁桃由来中間葉幹細胞から分化した神経再生促進細胞であって、前記神経再生促進細胞は、下記の特徴を有する神経再生促進細胞:
a)前記扁桃由来中間葉幹細胞と比較してマーカーCD121a、CD106及びCD112の発現が上方調節され;及び
b)前記扁桃由来中間葉幹細胞と比較してマーカーCD26及びCD141の発現が下方調節される。
【請求項7】
前記神経再生促進細胞は、前記扁桃由来中間葉幹細胞と比較してマーカーCD121aの発現が30%以上上方調節されたことを特徴とする、請求項6に記載の神経再生促進細胞。
【請求項8】
前記神経再生促進細胞は、前記扁桃由来中間葉幹細胞と比較してマーカーCD106の発現が5%以上上方調節されたことを特徴とする、請求項6に記載の神経再生促進細胞。
【請求項9】
前記神経再生促進細胞は、前記扁桃由来中間葉幹細胞と比較してマーカーCD112の発現が10%以上上方調節されたことを特徴とする、請求項6に記載の神経再生促進細胞。
【請求項10】
前記神経再生促進細胞は、前記扁桃由来中間葉幹細胞と比較してマーカーCD26の発現が5%以上下方調節されたことを特徴とする、請求項6に記載の神経再生促進細胞。
【請求項11】
前記神経再生促進細胞は、前記扁桃由来中間葉幹細胞と比較してマーカーCD141の発現が5%以上下方調節されたことを特徴とする、請求項6に記載の神経再生促進細胞。
【請求項12】
請求項6に記載の神経再生促進細胞を有効成分、および薬剤学的に許容される担体を含む、神経疾患の予防又は治療用薬学的組成物。
【請求項13】
前記神経疾患は、シャルコー・マリー・トゥース神経病症、糖尿病性末梢神経病症、脊髄損傷、筋萎縮側索硬化症、手根管症候群、小児痲痺、ハンセン病、筋ジストロフィー、多発性筋炎及び重症筋無力症からなる群から選ばれる1以上の疾患であることを特徴とする、請求項12に記載の薬学的組成物。
【請求項14】
前記神経再生活性は、末梢神経の髄鞘化(myelinization)を含む、請求項12に記載の薬学的組成物
【請求項15】
請求項6に記載の神経再生促進細胞の神経疾患治療用途。
【手続補正書】
【提出日】2023-12-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の段階を含む中間葉幹細胞から分化した細胞からの、神経再生活性を有する神経再生促進細胞(Neuronal Regeneration Promoting Cell)のスクリーニング方法:
前記分化した細胞のうち、CD121a、CD106及びCD112からなる群から選ばれる1以上のマーカーが、分化前の中間葉幹細胞に比べて上方調節された(up-regulated)細胞を選別する段階。
【請求項2】
下記の段階を含む中間葉幹細胞から分化した細胞からの、神経再生活性を有する神経再生促進細胞(Neuronal Regeneration Promoting Cell)のスクリーニング方法:
前記分化した細胞のうち、CD26及びCD141からなる群から選ばれる1以上のマーカーが、分化前の中間葉幹細胞に比べて下方調節された(down-regulated)細胞を選別する段階。
【請求項3】
前記中間葉幹細胞は扁桃又は脂肪に由来することを特徴とする、請求項1又は2に記載の神経再生促進細胞のスクリーニング方法。
【請求項4】
記分化した細胞は、中間葉幹細胞を培養して神経球を形成した後、それを分化させたことを特徴とする、請求項1又は2に記載の神経再生促進細胞のスクリーニング方法。
【請求項5】
前記神経再生活性は、末梢神経の髄鞘化(myelinization)を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の神経再生促進細胞のスクリーニング方法。
【請求項6】
扁桃由来中間葉幹細胞から分化した神経再生促進細胞であって、前記神経再生促進細胞は、下記の特徴を有する神経再生促進細胞:
a)前記扁桃由来中間葉幹細胞と比較してマーカーCD121a、CD106及びCD112の発現が上方調節され;及び
b)前記扁桃由来中間葉幹細胞と比較してマーカーCD26及びCD141の発現が下方調節される。
【請求項7】
前記神経再生促進細胞は、前記扁桃由来中間葉幹細胞と比較してマーカーCD121aの発現が30%以上上方調節されたことを特徴とする、請求項6に記載の神経再生促進細胞。
【請求項8】
前記神経再生促進細胞は、前記扁桃由来中間葉幹細胞と比較してマーカーCD106の発現が5%以上上方調節されたことを特徴とする、請求項6に記載の神経再生促進細胞。
【請求項9】
前記神経再生促進細胞は、前記扁桃由来中間葉幹細胞と比較してマーカーCD112の発現が10%以上上方調節されたことを特徴とする、請求項6に記載の神経再生促進細胞。
【請求項10】
前記神経再生促進細胞は、前記扁桃由来中間葉幹細胞と比較してマーカーCD26の発現が5%以上下方調節されたことを特徴とする、請求項6に記載の神経再生促進細胞。
【請求項11】
前記神経再生促進細胞は、前記扁桃由来中間葉幹細胞と比較してマーカーCD141の発現が5%以上下方調節されたことを特徴とする、請求項6に記載の神経再生促進細胞。
【請求項12】
請求項6に記載の神経再生促進細胞を有効成分、および薬剤学的に許容される担体を含む、神経疾患の予防又は治療用薬学的組成物。
【請求項13】
前記神経疾患は、シャルコー・マリー・トゥース神経病症、糖尿病性末梢神経病症、脊髄損傷、筋萎縮側索硬化症、手根管症候群、小児痲痺、ハンセン病、筋ジストロフィー、多発性筋炎及び重症筋無力症からなる群から選ばれる1以上の疾患であることを特徴とする、請求項12に記載の薬学的組成物。
【請求項14】
前記神経再生活性は、末梢神経の髄鞘化(myelinization)を含む、請求項12に記載の薬学的組成物。
【請求項15】
請求項6に記載の神経再生促進細胞の神経疾患治療用途。
【国際調査報告】