(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-22
(54)【発明の名称】医療用拡張器、ならびに医療用拡張のためのシステム、方法、およびキット
(51)【国際特許分類】
A61B 18/14 20060101AFI20240115BHJP
A61B 34/20 20160101ALI20240115BHJP
【FI】
A61B18/14
A61B34/20
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023542804
(86)(22)【出願日】2021-01-14
(85)【翻訳文提出日】2023-07-27
(86)【国際出願番号】 IB2021050266
(87)【国際公開番号】W WO2022153082
(87)【国際公開日】2022-07-21
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522368684
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック メディカル デバイス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】デイビス、ガレス
(72)【発明者】
【氏名】クーン、ローレン
(72)【発明者】
【氏名】ウルバンスキ、ジョン ポール
(72)【発明者】
【氏名】モリヤマ、エドゥアルド
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160KK47
(57)【要約】
医療用拡張器は、近位端部分と、反対側の遠位端部分と、ルーメンとを有する細長い部材を含み、ルーメンは、近位端部分から遠位端部分まで細長い部材を通って延びている。拡張先端部は、遠位端部分にある。拡張先端部は、拡大された断面積の第1の端部を有し、縮小された断面積の第2の端部に向かって遠位方向に先細りになっている。少なくとも第1の電極が、拡張先端部と関連付けられている。導電体は、第1の電極に電気的に接続されるとともに、電気解剖学的マッピングシステムとの電気的接続のために第1の電極から近位端部分に向かって近位方向に延びている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用拡張器であって、
近位端部分、反対側の遠位端部分、およびルーメンを有する細長い部材であって、前記ルーメンは、前記近位端部分から前記遠位端部分まで前記細長い部材を通って延びている、細長い部材と、
前記遠位端部分にある拡張先端部であって、拡大された断面積の第1の端部を有し、縮小された断面積の第2の端部に向かって遠位方向に先細りになっている、拡張先端部と、
前記拡張先端部に関連付けられた少なくとも第1の電極と、
前記第1の電極に電気的に接続されるとともに、電気解剖学的マッピングシステムとの電気的接続のために前記第1の電極から前記近位端部分に向かって近位方向に延びる導電体と
を備える、医療用拡張器。
【請求項2】
前記第1の電極は、前記拡張先端部の前記第1の端部と、前記拡張先端部の前記第2の端部との間に配置されている、請求項1に記載の医療用拡張器。
【請求項3】
前記第1の電極は、前記拡張先端部の前記第1の端部の近位に配置されている、請求項1に記載の医療用拡張器。
【請求項4】
前記拡張先端部は、先端外周面を有し、前記先端外周面は、該先端外周面に画定された円周溝を有し、前記電極は、環状であるとともに、前記溝内に据え付けられている、請求項1~3のいずれか一項に記載の医療用拡張器。
【請求項5】
前記電極は、電極外面を有し、前記電極外面は、前記先端外周面と面一である、請求項4に記載の医療用拡張器。
【請求項6】
前記拡張先端部は、先端外周面と、先端内周面と、前記先端内周面と前記先端外周面との間に延在する先端側壁とを有し、前記導電体は、前記電極から前記先端側壁を通って前記ルーメン内に延びている、請求項1~3のいずれか一項に記載の医療用拡張器。
【請求項7】
前記細長い部材は、外周面と、内周面と、前記内周面と前記外周面との間で前記細長い部材の長さに沿って延在する側壁とを有し、前記導電体は、前記側壁に埋め込まれるとともに、前記電極から前記近位端部分まで延在している、請求項1~3のいずれか一項に記載の医療用拡張器。
【請求項8】
前記外周面は、該外周面に画定されるとともに、前記第1の電極から前記近位端部分まで延在する長手方向溝を有し、前記導電体は、前記長手方向溝内に据え付けられている、請求項7に記載の医療用拡張器。
【請求項9】
前記細長い部材は、前記外周面を画定する外側チューブと、前記外側チューブ内にあるとともに前記内周面を画定する内側ライナーとを含み、前記導電体は、前記外側チューブと前記内側ライナーとの間に配置されている、請求項7に記載の医療用拡張器。
【請求項10】
前記導電体は、管状編組である、請求項9に記載の医療用拡張器。
【請求項11】
前記第1の電極は、前記細長い部材から取り外し可能である、請求項1~10のいずれか一項に記載の医療用拡張器。
【請求項12】
前記細長い部材に取り付けられるとともに前記第1の電極から離隔された第2の電極をさらに備える、請求項1~11のいずれか一項に記載の医療用拡張器。
【請求項13】
前記拡張先端部は、遠位に面するショルダ面と、前記ショルダ面から遠位方向に延びるネックとを有する近位ピースを含み、
前記電極は、環状であるとともに、前記ネック上に受け入れられ、前記ショルダ面に当接しており、
前記拡張先端部は、前記電極の遠位方向で前記ネック上に受け入れられるとともに、前記電極に当接する遠位ピースをさらに含む、請求項1に記載の医療用拡張器。
【請求項14】
前記第1の電極は、前記拡張先端部を形成している、請求項1に記載の医療用拡張器。
【請求項15】
第1のセクションおよび第2のセクションを有する金属部材をさらに備え、前記第1のセクションは、前記金属部材を前記細長い部材に接合し、前記第2のセクションは、前記第1の電極および前記拡張先端部を提供する、請求項14に記載の医療用拡張器。
【請求項16】
前記電極は、放射線不透過性である、請求項1~15のいずれか一項に記載の医療用拡張器。
【請求項17】
前記電極は、白金-イリジウムを含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の医療用拡張器。
【請求項18】
前記電極は、エコー源性プロファイルを有している、請求項1~17のいずれか一項に記載の医療用拡張器。
【請求項19】
前記電極は、コイルを含む、請求項18に記載の医療用拡張器。
【請求項20】
医療用穿孔システムのための部品キットであって、
医療用拡張器であって、近位端部分、反対側の遠位端部分、およびルーメンを有する細長い部材であって、前記ルーメンは、前記近位端部分から前記遠位端部分まで前記細長い部材を通って延びている、細長い部材と、前記遠位端部分にある拡張先端部であって、拡大された断面積の第1の端部を有し、縮小された断面積の第2の端部に向かって遠位方向に先細りになっている、拡張先端部と、前記拡張先端部に関連付けられた少なくとも第1の電極と、前記第1の電極に電気的に接続されるとともに、電気解剖学的マッピングシステムとの電気的接続のために前記第1の電極から前記近位端部分まで近位方向に延びる導電体とを含む、医療用拡張器と、
前記医療用拡張器を受け入れるためのシースと、
前記ルーメンに受け入れ可能な穿孔デバイスと
を備える、部品キット。
【請求項21】
少なくとも第2の電極をさらに備え、前記第2の電極は、前記シースに固定されている、請求項20に記載の部品キット。
【請求項22】
少なくとも第2の電極をさらに備え、前記第2の電極は、前記細長い部材に固定されている、請求項20に記載の部品キット。
【請求項23】
少なくとも第2の電極をさらに備え、前記第2の電極は、前記穿孔デバイスに固定されている、請求項20に記載の部品キット。
【請求項24】
前記シースは、先端部を有し、
前記医療用拡張器は、前記電気解剖学的マッピングシステムに電気的に接続可能な第2の電極をさらに備え、
前記医療用拡張器が前記シース内に完全に挿入された場合に、前記第2の電極は、前記シースの前記先端に近接している、請求項20に記載の部品キット。
【請求項25】
医療用拡張システムであって、
医療用拡張器であって、近位端部分、反対側の遠位端部分、およびルーメンを有する細長い部材であって、前記ルーメンは、前記近位端部分から前記遠位端部分まで前記細長い部材を通って延びている、細長い部材と、前記遠位端部分にある拡張先端部であって、拡大された断面積の第1の端部を有し、縮小された断面積の第2の端部に向かって遠位方向に先細りになっている、拡張先端部と、前記拡張先端部に関連付けられた少なくとも第1の電極と、前記第1の電極に電気的に接続されるとともに、前記第1の電極から前記近位端部分まで近位方向に延びる導電体とを含む、医療用拡張器と、
前記導電体に電気的に接続可能であり、前記電極から電気解剖学的マッピング信号を受信するとともに、前記電気解剖学的マッピング信号に基づいて前記拡張先端部の位置を決定するように構成された電気解剖学的マッピングシステムと
を備える、医療用拡張システム。
【請求項26】
前記電気解剖学的マッピングシステムは、誘電性オープンソースシステムである、請求項25に記載の医療用拡張システム。
【請求項27】
医療用拡張のための方法であって、
a.医療用拡張器の拡張先端部を第1の標的解剖学的位置に向かって前進させるステップと、
b.前記拡張先端部に関連付けられた電極から第1の電気解剖学的マッピング信号を受信するステップと、
c.前記第1の電気解剖学的マッピング信号に基づいて、前記第1の標的解剖学的位置に対する前記拡張先端部の第1の位置を決定するステップと
を含む、方法。
【請求項28】
ステップc.の後に、d.穿孔デバイスを前記医療用拡張器から前進させ、前記穿孔デバイスを使用して前記第1の標的解剖学的位置に穿孔を形成するステップをさらに含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記拡張先端部に対する前記穿孔デバイスの位置を決定するステップをさらに含む、請求項27または28に記載の方法。
【請求項30】
ステップd.の後に、e.前記穿孔を通して前記電極および前記拡張先端部を前進させて、前記穿孔を拡張させるステップをさらに含む、請求項27~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
ステップe.の後、またはステップe.の間に、f.第2の電気解剖学的マッピング信号を受信するステップと、g.前記第2の電気解剖学的マッピング信号に基づいて、前記第1の標的解剖学的位置に対する前記拡張先端部の第2の位置を決定するステップとをさらに含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記第1の標的解剖学的位置は、心房中隔である、請求項27~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
左心房壁に対する前記拡張先端部の位置を決定するステップをさらに含む、請求項27~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
ステップa.は、前記拡張器をシース内に配置すること、前記拡張器および前記シースを前記第1の標的解剖学的位置に向かって前進させることを含み、前記方法は、前記シースの先端に対する前記拡張先端部の位置を決定するステップをさらに含む、請求項27~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記電極から第2の電気解剖学的マッピング信号を受信するステップと、前記第2の電気解剖学的マッピング信号を使用して解剖学的マップを作成するステップとをさらに含む、請求項27~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記解剖学的マップは、上大静脈のマップ、右心房のマップ、および肺静脈のマップのうちの少なくとも1つを含む、請求項35に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本文書は、医療用拡張、例えば、心臓組織に外科的に形成された穿孔の拡張に関する。より詳細には、本文書は、医療用拡張器、ならびに関連するシステム、方法、およびキットに関する。
【発明の概要】
【0002】
以下の概要は、詳細な説明の様々な態様を読者に紹介することを意図したものであり、いかなる発明の定義または範囲を定めることを意図したものではない。
いくつかの態様によれば、医療用拡張器は、近位端部分と、反対側の遠位端部分と、ルーメンとを有する細長い部材を含み、ルーメンは、近位端部分から遠位端部分まで細長い部材を通って延びている。拡張先端部は、遠位端部分にある。拡張先端部は、拡大された断面積の第1の端部を有し、縮小された断面積の第2の端部に向かって遠位方向に先細りになっている。少なくとも第1の電極が、拡張先端部と関連付けられている。導電体は、第1の電極に電気的に接続されるとともに、電気解剖学的マッピングシステムとの電気的接続のために第1の電極から近位端部分に向かって近位方向に延びている。
【0003】
いくつかの例では、第1の電極は、拡張先端部の第1の端部と、拡張先端部の第2の端部との間に配置されている。いくつかの例では、第1の電極は、拡張先端部の第1の端部の近位に配置されている。
【0004】
いくつかの例では、拡張先端部は、先端外周面を有し、先端外周面は、先端外周面に画定された円周溝を有し、電極は、環状であるとともに、溝内に据え付けられている。
いくつかの例では、拡張先端部は、先端外周面と、先端内周面と、先端内周面と先端外周面との間に延在する先端側壁とを有し、導電体は、電極から先端側壁を通ってルーメン内に延びている。
【0005】
いくつかの例では、細長い部材は、外周面と、内周面と、内周面と外周面との間で細長い部材の長さに沿って延在する側壁とを有し、導電体は、側壁に埋め込まれるとともに、電極から近位端部分まで延在している。外周面は、外周面に画定されるとともに、第1の電極から近位端部分まで延在する長手方向溝を有していてよく、導電体は、長手方向溝内に据え付けられていてよい。代替的に、細長い部材は、外周面を画定する外側チューブと、外側チューブ内にあるとともに内周面を画定する内側ライナーとを含んでいてよく、導電体は、外側チューブと内側ライナーとの間に配置されていてよい。導電体は、管状編組であってよい。
【0006】
いくつかの例では、第1の電極は、細長い部材から取り外し可能である。
いくつかの例では、医療用拡張器は、細長い部材に取り付けられるとともに第1の電極から離隔された第2の電極をさらに含む。
【0007】
いくつかの例では、拡張先端部は、遠位に面するショルダ面と、ショルダ面から遠位に延びるネックとを有する近位ピースを含み、電極は、環状であるとともに、ネック上に受け入れられ、ショルダ面に当接しており、拡張先端部は、電極の遠位方向でネック上に受け入れられるとともに、電極に当接する遠位ピースをさらに含む。
【0008】
いくつかの例では、第1の電極は、拡張先端部を形成している。医療用拡張器は、第1のセクションおよび第2のセクションを有する金属部材を含むことができ、第1のセクションは、金属部材を細長い部材に接合することができ、第2のセクションは、第1の電極および拡張先端部を提供することができる。
【0009】
いくつかの例では、電極は、放射線不透過性である。いくつかの例では、電極は、白金-イリジウムを含む。
いくつかの例では、電極は、エコー源性(echogenic)プロファイルを有している。いくつかの例では、電極は、コイルを含む。
【0010】
いくつかの態様によれば、医療用穿孔システムのための部品キットは、医療用拡張器と、シースと、穿孔デバイスとを含む。医療用拡張器は、近位端部分、反対側の遠位端部分、およびルーメンを有する細長い部材を有し、ルーメンは、近位端部分から遠位端部分まで細長い部材を通って延びている。医療用拡張器は、遠位端部分に拡張先端部をさらに有し、拡張先端部は、拡大された断面積の第1の端部を有し、縮小された断面積の第2の端部に向かって遠位方向に先細りになっている。医療用拡張器は、拡張先端部に関連付けられた少なくとも第1の電極と、第1の電極に電気的に接続されるとともに、電気解剖学的マッピングシステムとの電気的接続のために第1の電極から近位端部分まで近位方向に延びる導電体とをさらに有する。シースは、医療用拡張器を受け入れるためのものである。穿孔デバイスは、ルーメンに受け入れ可能である。
【0011】
いくつかの例では、部品キットは、少なくとも第2の電極をさらに含む。第2の電極は、シースに固定されてもよく、または細長い部材に固定されてもよく、または穿孔デバイスに固定されてもよい。
【0012】
いくつかの例では、シースは、先端を有し、医療用拡張器は、電気解剖学的マッピングシステムに電気的に接続可能な第2の電極をさらに含み、医療用拡張器がシース内に完全に挿入された場合に、第2の電極は、シースの先端に近接している。
【0013】
いくつかの態様によれば、医療用拡張システムは、医療用拡張器と、電気解剖学的マッピングシステムとを含む。医療用拡張器は、近位端部分と、反対側の遠位端部分と、ルーメンとを有する細長い部材を含み、ルーメンは、近位端部分から遠位端部分まで細長い部材を通って延びている。拡張先端部は、遠位端部分にある。拡張先端部は、拡大された断面積の第1の端部を有し、縮小された断面積の第2の端部に向かって遠位方向に先細りになっている。少なくとも第1の電極が、拡張先端部に関連付けられており、導電体が、第1の電極に電気的に接続されるとともに、第1の電極から近位端部分まで近位方向に延びている。電気解剖学的マッピングシステムは、導電体に電気的に接続可能であり、電極から電気解剖学的マッピング信号を受信するとともに、電気解剖学的マッピング信号に基づいて拡張先端部の位置を決定するように構成されている。
【0014】
いくつかの例では、電気解剖学的マッピングシステムは、誘電性オープンソース(dielectric open source)システムである。
いくつかの態様によれば、医療用拡張のための方法は、a.医療用拡張器の拡張先端部を第1の標的解剖学的位置に向かって前進させるステップと、b.前記拡張先端部に関連付けられた電極から第1の電気解剖学的マッピング信号を受信するステップと、c.前記第1の電気解剖学的マッピング信号に基づいて、前記第1の標的解剖学的位置に対する前記拡張先端部の第1の位置を決定するステップとを含む。
【0015】
いくつかの例では、方法は、ステップc.の後に、d.穿孔デバイスを医療用拡張器から前進させ、穿孔デバイスを使用して第1の標的解剖学的位置に穿孔を形成するステップをさらに含む。
【0016】
いくつかの例では、方法は、拡張先端部に対する穿孔デバイスの場所を決定するステップをさらに含む。
いくつかの例では、方法は、ステップd.の後に、e.穿孔を通して電極および拡張先端部を前進させて、穿孔を拡張させるステップをさらに含む。
【0017】
いくつかの例では、方法は、ステップe.の後、またはステップe.の間に、f.第2の電気解剖学的マッピング信号を受信するステップと、g.第2の電気解剖学的マッピング信号に基づいて、第1の標的解剖学的位置に対する拡張先端部の第2の位置を決定するステップとをさらに含む。いくつかの例では、第1の標的解剖学的位置は、心房中隔である。
【0018】
いくつかの例では、方法は、左心房壁に対する拡張先端部の位置を決定するステップをさらに含む。
いくつかの例では、ステップa.は、拡張器をシース内に配置すること、拡張器およびシースを第1の標的解剖学的位置に向かって前進させることを含み、方法は、シースの先端に対する拡張先端部の位置を決定するステップをさらに含む。
【0019】
いくつかの例では、方法は、電極から第2の電気解剖学的マッピング信号を受信するステップと、第2の電気解剖学的マッピング信号を使用して解剖学的マップを作成するステップとをさらに含む。解剖学的マップは、上大静脈のマップ、右心房のマップ、および肺静脈のマップのうちの少なくとも1つを含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
添付の図面は、本開示の物品、方法、および装置の例を示すためのものであり、限定することを意図するものではない。
【
図1】
図1は、例示的な外科的穿孔システムの斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1の外科的穿孔システムの拡張器の斜視図である。
【
図7】
図7は、別の例示的な外科的穿孔システムのシース、拡張器、および穿孔デバイスの部分斜視図である。
【
図8】
図8は、経中隔穿孔の形成および拡張のための例示的な方法の第1のステップを示す概略図である。
【
図9】
図9は、
図8の経中隔穿孔の形成および拡張のための例示的な方法の第2のステップを示す概略図である。
【
図10】
図10は、
図8の経中隔穿孔の形成および拡張のための例示的な方法の第3のステップを示す概略図である。
【
図11】
図11は、
図8の経中隔穿孔の形成および拡張のための例示的な方法の第4のステップを示す概略図である。
【
図12】
図12は、
図8の経中隔穿孔の形成および拡張のための例示的な方法の第5のステップを示す概略図である。
【
図13】
図13は、
図8の経中隔穿孔の形成および拡張のための例示的な方法の第2のステップを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
特許請求の範囲に記載の主題の実施形態の例を提供するために、様々な装置またはプロセスまたは構成が以下で説明される。以下に記載される例はいずれの請求項も限定せず、いずれの請求項も、以下に記載されるものとは異なるプロセスまたは装置または構成を包含し得る。特許請求の範囲は、以下に記載される任意の1つの装置もしくはプロセスもしくは組成物の特徴の全てを有する装置もしくはプロセスもしくは構成、または以下に記載される装置もしくはプロセスもしくは構成の複数もしくは全てに共通の特徴に限定されない。以下に記載される装置またはプロセスまたは構成は、本特許出願の発行によって付与される任意の排他的権利の実施形態ではない可能性がある。以下に説明され、本特許出願の発行によって排他的権利が付与されない任意の主題は、別の保護手段、例えば、継続特許出願の主題であってもよく、出願人、発明者、または所有者は、本文書におけるその開示によって任意のそのような主題を放棄、ディスクレーム、または公衆に提供することを意図しない。
【0022】
概して、外科的穿孔などの解剖学的開口部の拡張に使用することができる医療用拡張器(本明細書では単に「拡張器」とも呼ばれる)が本明細書で開示される。例えば、拡張器は、経中隔穿孔処置において使用される可能性があり、ここで、穿孔は、任意選択的に高周波穿孔デバイスを使用して、心臓の心房中隔に形成され、次いで、拡張器を使用して拡張される。そのような処置は、例えば、治療のために左心房へのアクセスを得るために行われ得る。
【0023】
概して、本明細書に開示される拡張器は、体内の拡張器の先端部(本明細書では「拡張先端部」とも称される)の位置、または他の手術器具に対する(例えば、穿孔デバイスに対する、または拡張器が収容されるシースに対する)拡張器の先端部の位置の非蛍光透視可視化および判定を可能にするように構成される。より詳細には、本明細書に開示される拡張器は、その先端に関連付けられた少なくとも1つの電極を含むことができる。電極は、電気解剖学的マッピング(EAM)電極であってよい。EAM電極は、EAMシステムに接続することができ、EAMシステムは、(直接またはパッドを介して)EAM電極との間でEAM信号を通信することができ、EAM電極から受信したEAM信号に基づいて、体内または他の手術器具に対するEAM電極の位置、したがって拡張器の先端の位置を決定することができる。これは、例えば、拡張器先端部を可視化して、先端部が標的組織に対して適切に配置されているかどうかをユーザが判定することを可能にし、穿孔デバイスが穿孔前に拡張器内に覆われていることをユーザが確認することを可能にし、および/または拡張先端部が非標的組織から十分に離隔されていることをユーザが確認することを可能にすることができる。
【0024】
ここで
図1を参照すると、例示的な外科的穿孔システム100が示されている。外科的穿孔システム100は、拡張器102と、EAM信号生成器106および1組(例えば3つ以上)のEAMパッド108(そのうちの2つのみが
図1に示されている)を含むEAMシステム104と、シース110と、その遠位先端に穿孔電極113を有する無線周波数(RF)穿孔デバイス112と、RF生成器114および接地パッド116とを含む。シース110、RF穿孔デバイス112、RF生成器114、および接地パッド116は、本明細書では詳細に説明されず、任意選択的に、Baylis Medical Company, Inc.(モントリオール、カナダ)によって、例えば、NRG(登録商標)Transseptal Platform、またはSupraCross(登録商標)Transseptal Platformの商標名で販売されているものとすることができる。
【0025】
さらに、代替例では、機械的穿孔デバイスなどの別のタイプの穿孔デバイスを、RF穿孔デバイスの代わりに使用することができる。任意選択的に、外科的穿孔システム100の部品のいくつかまたは全部は、組み立てられた状態または組み立てられていない状態のいずれかで、キットとして一緒に販売または提供され得る。
【0026】
ここで
図2を参照すると、拡張器102がより詳細に示されている。図示の例では、拡張器102は、使用時に概して外科医などのユーザに向けられる近位端部分120と、使用時に概して患者内の標的位置に向けられる反対側の遠位端部分122とを有する細長い部材118を含む。細長い部材118は、近位端部分120と遠位端部分122との間で長手方向に、かつ外周面126と内周面128(
図3Bおよび
図3Cに示される)との間で半径方向に延びる側壁124を含む。内周面128は、近位端部分120から遠位端部分122まで細長い部材118を通って延びるルーメン130(
図3Bおよび
図3Cに示される)を画定する。使用時に、ルーメン130は、RF穿孔デバイス112を受け入れることができる。
【0027】
細長い部材は、高密度ポリエチレン(HDPE)などのプラスチックを含むが、それに限定されない、種々の材料から作製されていてよい。
依然として
図2を参照すると、示される例では、ハンドル132が、近位端部分120に取り付けられる。ハンドル132は、様々な外部デバイスに接続するための様々なハブおよび/またはポートおよび/または接続点(図示せず)を含むことができる。
【0028】
依然として
図2を参照すると、拡張器102は、遠位端部分122に拡張先端部134を含む。拡張先端部134は、
図3A~
図3Cでより詳細に示されている。
拡張先端部134の全てまたは一部は、細長い部材118と一体化され得る。すなわち、細長い部材118の遠位端部分122は、
図3A~
図3Cに示すように、拡張先端部134を含んでいてよい。代替的に、拡張先端部134は、細長い部材118とは別個の部品であってもよく、
図14A~
図14Cに関して以下に説明するように、細長い部材118の遠位端部分122に接合されてもよい。
【0029】
図示の例では、拡張先端部134は、第1の端部136と、第1の端部136から遠位方向に離隔された第2の端部138とを含む。拡張先端部134は、第1の端部136から第2の端部138に向かって断面積が先細りになっており、その結果、第1の端部136は、第2の端部138に対して拡大された断面積を有し、第2の端部138は、第1の端部136に対して縮小された断面積を有している。拡張先端部134が開口部を通過すると、断面積の拡大により開口部が拡張する。
【0030】
図示の例では、拡張先端部134の第2の端部138は、拡張器102の遠位端140を形成する。代替例(図示せず)では、拡張先端部は、拡張器の遠位端から近位方向に離隔されていてよい。
【0031】
図3A~
図3Cをさらに参照すると、図示の例では、拡張先端部134は、側壁142(本明細書では「先端側壁」とも呼ばれる)を有し、側壁142は、拡張先端部134の第1の端部136と拡張先端部134の第2の端部138との間に長手方向に延在し、拡張先端部134の外周面144(本明細書では「先端外周面」とも呼ばれる)と拡張先端部134の内周面146(本明細書では「先端内周面」とも呼ばれる)との間に半径方向に延在する。先端側壁142、先端外周面144、および先端内周面146は、それぞれ、細長い部材118の側壁124、細長い部材118の外周面126、および細長い部材118の内周面128の一部を形成する。
【0032】
図3A~
図3Cをさらに参照すると、拡張器は、拡張先端部134に関連付けられたEAM電極148をさらに含む。上述したように、EAM電極148は、拡張先端部134の位置、例えば体内の拡張先端部134の位置、または外科的穿孔システム100の他の部分に対する拡張先端部134の位置を決定することを可能にすることができる。EAM電極148は、例えば、環状であってよく、ステンレス鋼または白金-イリジウムで形成されていてよく、またはそれらを含んでいてよい。いくつかの例では、EAM電極は、追加的に放射線不透過性であってよく、これにより、所望により、蛍光透視法を使用して電極を可視化することを可能にすることができる。さらなる例では、EAM電極は、所望により、超音波を使用して電極の可視化を可能にすることができるエコー源性プロファイルを有していてよい。例えば、EAM電極は、コイルを含んでいてよい。いくつかの例では、EAM電極148は、導電性塗料で作製することができる。
【0033】
上述したように、EAM電極148は、拡張先端部134と関連付けられている。「関連付けられる」という用語は、直接的(例えば、EAM電極148が拡張先端部の全部または一部を形成する場合、またはEAM電極が拡張先端部134に直接取り付けられる場合)であれ、間接的(例えば、EAM電極148が拡張先端部134から離隔され、EAM電極148の位置に基づいて拡張先端部134の位置を決定するために外挿が実行される場合)であれ、拡張先端部134の位置の決定を可能にするようにEAM電極148が配置されていることを示す。
【0034】
図示の例では、EAM電極148は環状であり、拡張先端部134の周りに円周方向に延在し、拡張先端部134の第1の端部136と拡張先端部134の第2の端部138との間に配置されている。代替例では(例えば、
図5A~
図5Dに示されるように)、EAM電極は、拡張先端部の近位に、または拡張先端部の遠位に配置されてもよい。このような例では、上述したように、EAM電極の位置に基づいて拡張先端部の位置を決定するために外挿が実行されてよい。
【0035】
図3Cを参照すると、示される例では、拡張先端部134の外周面144は、そこに画定される円周溝150を有し、EAM電極148は、溝150内に据え付けられる。EAM電極148は、接着、溶接、はんだ付け、および/または摩擦などの様々な方法で溝150内に固定され得る。さらに、示される例では、EAM電極148は、拡張先端部134のテーパに一致するようなプロファイルを有し、その結果、EAM電極148の外面は、拡張先端部134の外周面144と面一である。これは、例えばスウェージング加工によって実現することができる。これは、拡張先端部134が開口部を通過する際に滑らかな移行を可能にすることができる。
【0036】
図示の例では、拡張先端部134は、一体構造である。代替的な例では、
図4A~
図4Cを参照して以下に説明するように、拡張先端部は、マルチピース構造であってもよい。
さらに
図3A~
図3Cを参照すると、導電体152が、EAM電極148に接続され、EAMシステム104(
図3A~
図3Cには図示せず)のEAM信号生成器106に接続するために、EAM電極148から細長い部材118の近位端部分120(
図3A~
図3Cには図示せず)に向かって近位方向に延在している。導電体152は、EAM電極148とEAM信号生成器106へのその接続部との間で電気的に絶縁されており、その結果、電気信号が、EAM電極148とEAMシステム104との間で通信され得る。例えば、導電体152は、ポリイミド絶縁層を含んでいてよい。
【0037】
EAM電極148に接続された導電体152の端部は、本明細書では導電体152の「電極端部分154」(
図3Cに示す)と呼ぶことができ、EAMシステム104に接続可能な導電体152の端部は、本明細書では導電体152の「システム端部分156」(
図1および
図2に示す)と呼ぶことができる。導電体152のシステム端部分156は、様々な方法でEAM信号生成器106に接続されていてよく、または接続可能であってよい。図示の例では、コネクタ158が、システム端部分156に取り付けられている。コネクタ158は、EAM信号生成器106のコネクタ160と嵌合可能である。代替的に、クリップ(例えば、ワニ口クリップ)を使用して、導電体のシステム端部分をEAMシステム(図示せず)に接続してもよい。
【0038】
図3A~
図3Cをさらに参照すると、図示の例では、導電体152は、EAM電極148から先端側壁142を通ってルーメン130内に延びている。次いで、導電体152は、ルーメン130を通って細長い部材118の近位端部分120まで延びている。代替例では、以下に説明するように、導電体は、細長い部材の側壁内に埋め込まれていてよい。
【0039】
上述したように、図示の例では、EAMシステム104は、EAM信号生成器106と、一対のEAMパッド108とを含む。このようなシステムは、例えば、ENSITE PRECISION(商標)およびCARTO(登録商標)のブランド名で市販されており、本明細書では詳細に説明しない。簡単に説明すると、電気信号をEAM信号生成器106からEAMパッド108に、EAMパッド108からEAM電極148に、EAM電極148からEAM信号生成器106に戻す(または逆の順序で、すなわち、EAM信号生成器106からEAM電極148に、EAM電極148からEAMパッド108に、EAMパッド108からEAM信号生成器106に戻す)ことによって、EAM電極148を視覚化することができ、したがって拡張先端部134の位置を判定することができる。いくつかの例では、EAMシステム104は、誘電体オープンソースEAMシステム(例えば、ブランド名KODEX-EPDで入手可能なもの)であってよい。拡張器の拡張先端部の位置の判定を可能にすることに加えて、そのようなシステムは、以下でさらに詳細に説明されるように、必ずしも心臓組織に接触することなく、拡張器が解剖学的マッピングのために(例えば、心腔の幾何学形状をマッピングするために)使用されることを可能にすることができる。
【0040】
図示の例では、RF穿孔デバイス112の穿孔電極113を、追加のEAM電極として使用することもできる。すなわち、拡張器102のEAM電極148と共に、RF穿孔デバイス112の穿孔電極113は、EAMシステム104に電気的に接続されていてよく、その位置をEAMシステム104によって判定することができる。
【0041】
ここで
図4A~
図4Cを参照すると、拡張先端部の代替例が示されている。
図4において、
図1~
図3の特徴と同様の特徴は、300を加えた類似の参照番号で参照される。
図4の拡張先端部434は、
図1~
図3の拡張先端部134と類似しているが、拡張先端部434は、マルチピース構造である。具体的には、図示の例では、拡張先端部434は、近位ピース462と遠位ピース464とを含む。近位ピース462は、遠位に面するショルダ面466を画定するように段付けされ、ショルダ面466から遠位方向に延びるネック468を有する。EAM電極448は、環状であり、ネック468上に受け入れられ、ショルダ面466に当接している。遠位ピース464は、EAM電極448の遠位方向でネック468上に受け入れられ、EAM電極448に当接している。近位ピース462、EAM電極448、および遠位ピース464は、接着および/または摩擦などの様々な方法で互いに固定され得る。
【0042】
ここで
図5A~
図5Dを参照すると、拡張先端部の別の代替例が示されている。
図5において、
図1~
図3の特徴と同様の特徴は、400を加えた類似の参照番号で参照される。
図5の拡張先端部534は、
図1~
図3の拡張先端部134と類似しているが、導電体552は、細長い部材518の側壁524に埋め込まれている。具体的には、細長い部材518の外周面526は、そこに画定された長手方向溝570を有している。溝570は、EAM電極548から細長い部材518の近位端部分(図示せず)まで延びている。導電体552は、溝570内に据え付けられ、材料572(例えば、プラスチックまたは接着剤)のストリップが、導電体552を覆うように溝570を充填する。
【0043】
ここで
図6A~
図6Cを参照すると、拡張先端部の別の代替例が示されている。
図6において、
図1~
図3の特徴と同様の特徴は、500を加えた類似の参照番号で参照される。
図6の拡張先端部634は、
図1~
図3の拡張器と類似しているが、細長い部材618は、外周面626を画定する外側チューブ674と、内周面628を画定する外側チューブ674内の内側ライナー676とを含む。内側ライナー676は、例えば、ポリイミドまたはポリテトラフルオロエチレンのライナーであってよく、外側チューブ674は、HDPEなどのプラスチックで形成されていてよい。
【0044】
図6の例では、導電体652は、外側チューブ674と内側ライナー676との間に配置された金属ワイヤの管状編組によって画定される。
任意選択で、
図6の拡張器を製造するために、外側チューブ674、導電体652、EAM電極648、および内側ライナー676を最初に一緒に組み立てることができ、EAM電極648をスウェージング加工して、EAM電極648と導電体652との間に電気接続を形成することができる。次いで、外側チューブ674の材料を(例えば、熱を加えることによって)リフローさせて、外側チューブ674、導電体652、および内側ライナー676を接合することができる。次いで、拡張先端部634の遠位ピース664が、アセンブリに接合されてよい。次いで、導電体652のシステム端部(図示せず)は、任意選択でスカイビングによって、EAMシステム104への接続のために露出させられ得る。
【0045】
ここで
図7を参照すると、外科的穿孔システムの別の例が示されている。
図7において、
図1の特徴と同様の特徴は、600を加えた類似の参照番号で参照される。
図7では、システム700の拡張器702、シース710、およびRF穿孔デバイス712のみが示されており、システム700の残りの部分は、
図1に示される部分と同一または類似であってよい。
図7のシステム700は、追加のEAM電極を含む。具体的には、システム700は、
図1~
図3に関して上述したように、拡張先端部に関連付けられた第1のEAM電極748aを含む。加えて、システムは、拡張器702上にあり、第1のEAM電極748aから離隔された第2のEAM電極748bと、シース710上の第3のEAM電極748c、第4のEAM電極748d、および第5のEAM電極748eと、RF穿孔デバイス712上の第6のEAM電極748fとを含む。第2~第6のEAM電極(748b~748f)は、追加の導電体(図示せず)を介してEAM信号生成器に接続可能である。追加のEAM電極の使用は、追加の位置データが判定されることを可能にし得る。例えば、シース710の位置、またはシース710に対する拡張先端部734の位置を決定することができる。さらに、追加の電極を設けることによって、シースまたは拡張器の向きを判定することもできる。例えば、シースおよび拡張器の各々に少なくとも2つの電極を提供することは、デバイスが向けられている方向の決定を可能にする。
【0046】
別の例(図示せず)では、拡張器は、
図7の拡張器702と同様であってもよいが、第2のEAM電極は、拡張器がシース内に完全に挿入された場合に第2のEAM電極がシースの先端に近接する(例えば、シースの先端と面一であるかまたは面一に近い)ように配置されてもよい。そのような例では、シース自体がいかなるEAM電極も含まない場合であっても、拡張器の第2のEAM電極を使用して、拡張器がシース内に完全に挿入された場合のシースの先端の位置を決定することができる。例えば、拡張器の第2のEAM電極を使用して、経中隔穿孔処置中にシースの先端が左心房に入ったかどうかを判定することができる。
【0047】
ここで
図14A~
図14Cを参照すると、拡張器の別の例が示されている。
図14A~
図14Cにおいて、
図1~
図3の特徴と同様の特徴は、1300を加えた類似の参照番号で参照される。拡張器1402において、拡張先端部1434は、
図1~
図3の拡張先端部134と類似しているが、EAM電極1448が、拡張先端部1434を形成している。すなわち、第1のセクション1460および第2のセクション1462を含む金属部材1458(
図14Cに分離して示される)が提供される。第1のセクション1460は、金属部材1458を細長い部材1418に固定し、第2のセクション1462は、EAM電極1448として機能し、拡張先端部1434も形成する。第1のセクション1460は、細長い部材1418に埋め込まれるリブ1464を含み、金属部材1458を細長い部材1418に固定する。第2のセクション1462は、第1のセクション1460から遠位方向に延び、その第1の端部1436からその第2の端部1438に向かって断面積が先細りになっており、拡張先端部1434を形成している。この例では、EAM電極1448は、拡張器1402の遠位端1440を形成し、したがって、EAM電極との組織接触を可能にすることができる。
【0048】
拡張器のさらなる代替例(図示せず)では、EAM電極は、細長い部材から取り外し可能であってよい。例えば、拡張器の細長い部材は、標準的な拡張器(例えば、当該技術分野において既知のもの)であってよい。導電体に接続されたEAM電極は、細長い部材から分離されていてよい。例えば、EAM電極は、穿孔デバイスに固定され得る。EAM電極は、EAM電極が拡張器の遠位端に達するまで、細長い部材のルーメンを通して前進させることができる。アセンブリは、遠位端に到達するためにEAM電極をどの程度前進させるべきかを知ることができるように較正することができる。
【0049】
ここで
図8~
図13を参照して、医学的拡張のための方法、具体的には経中隔穿孔の形成および拡張のための方法を説明する。より詳細に説明されるように、方法の様々な時点で、EAM電極およびEAMシステムを作動させて、拡張器の拡張先端部の位置を決定することができる。すなわち、EAM信号は、拡張器のEAM電極から受信され、EAM信号に基づいて、拡張器の拡張先端部の位置が決定され、任意選択的にマッピングおよび追跡され得る。これにより、処置の安全性を高めることができる。本方法は、
図1~
図3に示されるシステム100および拡張器102を参照して説明されるが、本方法は、システム100および拡張器102を用いて実行されることに限定されず、システム100および拡張器102は、説明される方法による使用に限定されない。
【0050】
図8を参照すると、ガイドワイヤ800は、大腿静脈を介して心臓802に向かって前進させられ、上大静脈(SVC)804内に「留置」されてよい。
図9を参照すると、拡張器102がシース110内にあり、拡張先端部134がシース110から突出して延びている状態で、拡張器102およびシース110は、ガイドワイヤ800上をSVC804に向かって前進させられてよい。次いで、ガイドワイヤ800を除去することができ、RF穿孔デバイス112(
図9には図示せず)は、RF穿孔デバイス112の穿孔電極113(
図9には図示せず)が拡張器102の遠位端140のすぐ近くに来るまで、拡張器102を通して前進させることができる。
【0051】
上述したように、拡張器102のEAM電極148がEAMシステム104(
図8~
図13には図示せず)に接続されていることに加えて、RF穿孔デバイス112の穿孔電極113がEAMシステム104に接続されてよく、追加のEAM電極として機能することができる。RF穿孔デバイス112が拡張器102を通して前進させられ、穿孔電極113が拡張器102から露出されるか、または穿孔デバイス112の遠位先端部が拡張器102の遠位先端部と面一になった後、穿孔デバイス112の配置を、EAMシステム104を使用して確認することができる。具体的には、EAMシステム104を作動させ、EAM電極148および穿孔電極113から受信したEAM信号に基づいて、拡張先端部134に対する穿孔電極113の位置を決定することができる。例えば、穿孔電極113が拡張先端部134から突出していることをEAMシステムが示す場合、穿孔電極113が拡張器102内に深く前進しすぎていると判定され得る。あるいは、穿孔電極113がEAMシステムによって検出できない場合、穿孔電極113が拡張先端部134内に覆われており、したがって正確に配置されていると結論付けることができる。加えて、穿孔電極113およびEAM電極148の両方を提供することによって、2つの間の相対的な配置がマッピングされて、組み合わされたアセンブリの向きを決定することを可能にする。
【0052】
いくつかの例では、システム100は、穿孔電極113が拡張器102の遠位端140の遠位に前進する場合に警報を提供するようにさらに構成されてもよい。
任意選択的に、この時点で、解剖学的データが所望される場合、ユーザは、CTまたはMRIデータを参照することができる。
【0053】
ここで
図10を参照すると、EAM電極148およびEAMシステム104が拡張先端部134および穿孔電極113(
図10には図示せず)の位置を追跡するように作動された状態で、シース110、拡張器102、および穿孔デバイス112は、標的解剖学的位置に向かって前進させられて、拡張先端部134を標的位置に配置することができる。標的解剖学的位置は、例えば、心房中隔808の卵円窩806であってよい。EAM電極148およびEAMシステム104を使用して、卵円窩806に対する拡張先端部134の配置を確認することができ、穿孔電極113が拡張器102の遠位端140と面一であることを確認することもできる。
【0054】
図11を参照すると、次いで、穿孔デバイス112が作動され、拡張器102から前進させられて、心房中隔808に穿孔を形成することができる。
図12を参照すると、次いで、穿孔を通して拡張先端部134を前進させて、穿孔を拡張することができる。具体的には、拡張先端部134は、EAM電極148と共に、穿孔を通して前進させることができる。拡張先端部134およびEAM電極148の前進に先立って、前進中、および/または前進の後に、EAM電極148およびEAMシステム104を作動させて、拡張先端部134の位置を決定することができる。これは、穿孔が十分に拡張されることを確実にすることに役立ち得ると同時に、拡張先端部134が非標的組織に接触せず、それによって非標的組織を損傷しないことを確実にすることにも役立ち得る(例えば、左心房壁に対する拡張先端部の位置を可視化することができる)。
【0055】
穿孔の拡張に続いて、様々な処置を行うことができる。所望の時点で、
図13に示すように、拡張器102およびシース110を心臓802から引き抜くことができる。任意選択で、引き抜き中に、EAM電極148およびEAMシステム104を作動させて、拡張先端部134の位置を決定することができる。
【0056】
任意選択的に、方法全体を通して、拡張器1402およびEAMシステム104を使用して解剖学的マッピングを実行することができる。すなわち、上述したように、EAMシステム104が誘電性オープンソースEAMシステムである場合、拡張器102およびEAMシステム104は、必ずしも心臓組織に接触することなく、心臓マッピングに使用することができる。例えば、拡張器102の前進中、拡張器102が下大静脈にある場合に、EAMシステム104を作動させて(すなわち、電気解剖学的信号がEAM電極148から受信され得る)、SVC804をマッピングすることができる。さらなる例として、拡張器102が右心房808内にある場合に、EAMシステム104を作動させて右心房808をマッピングすることができる。さらなる例として、拡張器102が心房中隔808を横断した後、EAMシステム104を作動させて肺静脈をマッピングすることができる。これは、拡張器102を回転させることによって容易にすることができる。そのような例では、拡張器102が、マッピングされるべき位置に向かって前進するにつれて、より詳細で高い解像度を達成することができる。さらに、EAM電極が拡張器の遠位端にある例では、EAMシステムは、組織が拡張器の遠位端によって接触された場合に警報を提供することが可能であってよい。
【0057】
上記の説明は、1つまたは複数のプロセスまたは装置または構成の例を提供するが、他のプロセスまたは装置または構成が添付の特許請求の範囲内であり得ることが理解されるであろう。
【0058】
先行技術またはその他の技術に関して(本出願において、または任意の親、兄弟、もしくは子を含む任意の関連特許出願もしくは特許において)以前に行われた任意の修正、特徴付け、または他の主張が、本出願の開示によってサポートされる任意の主題のディスクレーマとして解釈され得る限りにおいて、出願人は、本明細書によって、そのようなディスクレーマを取り消し、撤回する。出願人は、任意の親、兄弟、または子を含む任意の関連特許出願または特許において以前に検討された任意の先行技術を再検討する必要があり得ることも謹んで申し述べる。
【手続補正書】
【提出日】2023-07-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用拡張器であって、
近位端部分、反対側の遠位端部分、およびルーメンを有する細長い部材であって、前記ルーメンは、前記近位端部分から前記遠位端部分まで前記細長い部材を通って延びている、細長い部材と、
前記遠位端部分にある拡張先端部であって、拡大された断面積の第1の端部を有し、縮小された断面積の第2の端部に向かって遠位方向に先細りになっている、拡張先端部と、
前記拡張先端部に関連付けられた少なくとも第1の電極と、
前記第1の電極に電気的に接続されるとともに、電気解剖学的マッピングシステムとの電気的接続のために前記第1の電極から前記近位端部分に向かって近位方向に延びる導電体と
を備える、医療用拡張器。
【請求項2】
前記第1の電極は、前記拡張先端部の前記第1の端部と、前記拡張先端部の前記第2の端部との間に配置されている、請求項1に記載の医療用拡張器。
【請求項3】
前記第1の電極は、前記拡張先端部の前記第1の端部の近位に配置されている、請求項1に記載の医療用拡張器。
【請求項4】
前記拡張先端部は、先端外周面を有し、前記先端外周面は、該先端外周面に画定された円周溝を有し、前記
第1の電極は、環状であるとともに、前記溝内に据え付けられている、請求項1~3のいずれか一項に記載の医療用拡張器。
【請求項5】
前記
第1の電極は、電極外面を有し、前記電極外面は、前記先端外周面と面一である、請求項4に記載の医療用拡張器。
【請求項6】
前記拡張先端部は、先端外周面と、先端内周面と、前記先端内周面と前記先端外周面との間に延在する先端側壁とを有し、前記導電体は、前記
第1の電極から前記先端側壁を通って前記ルーメン内に延びている、請求項1~3のいずれか一項に記載の医療用拡張器。
【請求項7】
前記細長い部材は、外周面と、内周面と、前記内周面と前記外周面との間で前記細長い部材の長さに沿って延在する側壁とを有し、前記導電体は、前記側壁に埋め込まれるとともに、前記
第1の電極から前記近位端部分まで延在している、請求項1~3のいずれか一項に記載の医療用拡張器。
【請求項8】
前記外周面は、該外周面に画定されるとともに、前記第1の電極から前記近位端部分まで延在する長手方向溝を有し、前記導電体は、前記長手方向溝内に据え付けられている、請求項7に記載の医療用拡張器。
【請求項9】
前記細長い部材は、前記外周面を画定する外側チューブと、前記外側チューブ内にあるとともに前記内周面を画定する内側ライナーとを含み、前記導電体は、
管状編組であり、前記外側チューブと前記内側ライナーとの間に配置されている、請求項7に記載の医療用拡張器。
【請求項10】
前記第1の電極は、前記細長い部材から取り外し可能である、請求項1~
9のいずれか一項に記載の医療用拡張器。
【請求項11】
前記細長い部材に取り付けられるとともに前記第1の電極から離隔された第2の電極をさらに備える、請求項1~
10のいずれか一項に記載の医療用拡張器。
【請求項12】
前記拡張先端部は、遠位に面するショルダ面と、前記ショルダ面から遠位方向に延びるネックとを有する近位ピースを含み、
前記
第1の電極は、環状であるとともに、前記ネック上に受け入れられ、前記ショルダ面に当接しており、
前記拡張先端部は、前記
第1の電極の遠位方向で前記ネック上に受け入れられるとともに、前記
第1の電極に当接する遠位ピースをさらに含む、請求項1に記載の医療用拡張器。
【請求項13】
前記第1の電極は、前記拡張先端部を形成している、請求項1に記載の医療用拡張器。
【請求項14】
第1のセクションおよび第2のセクションを有する金属部材をさらに備え、前記第1のセクションは、前記金属部材を前記細長い部材に接合し、前記第2のセクションは、前記第1の電極および前記拡張先端部を提供する、請求項
13に記載の医療用拡張器。
【請求項15】
前記
第1の電極は、放射線不透過性である
か、またはエコー源性プロファイルを含む、請求項1~
14のいずれか一項に記載の医療用拡張器。
【国際調査報告】