(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-22
(54)【発明の名称】直列追加エアロフォイル発射システム
(51)【国際特許分類】
B64U 10/50 20230101AFI20240115BHJP
B64U 10/60 20230101ALI20240115BHJP
B63H 9/069 20200101ALI20240115BHJP
B63H 9/072 20200101ALI20240115BHJP
【FI】
B64U10/50
B64U10/60
B63H9/069
B63H9/072
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023542870
(86)(22)【出願日】2022-01-11
(85)【翻訳文提出日】2023-08-21
(86)【国際出願番号】 GB2022000001
(87)【国際公開番号】W WO2022153031
(87)【国際公開日】2022-07-21
(32)【優先日】2021-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523266110
【氏名又は名称】ブルーウォーター エンジニアリング リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】弁理士法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マクガーリー, ジェームズ イアン
(57)【要約】
本明細書は、個々のエアロフォイルを、必要に応じて配備しかつ格納することを可能にするように、テザー型エアロフォイルの直列配列を配備するためのシステムについて記載している。これは、従前では可能ではなかった規模で風力を活用できるように、非常に大きいエアロフォイルと大きい配列の取り扱いを可能にすることが意図されている。当該システムは特に、海上での船舶の推進のために意図されている。当該システムは、プライマリテザーを空気中へと上昇させるために補助エアロフォイルを用いることによって、空気力の主要源を提供するように、制御可能なランナーを使用して、デューティーエアロフォイルを追加可能な主要配列構造を確立する。デューティーエアロフォイルは、あらゆる望ましい構成で配備可能であり、かつ配列全体を格納することなしに、単独で回収可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直列配列を形成するために多数のテザー型エアロフォイルを配備するシステムであって、
1.1.「テザー型エアロフォイル」とは、1つ以上あり得るテザーに物理的拘束が依存するエアロフォイルを意味するものとし、
1.2.「テザー」とは、可撓性張力支持要素を意味するものとし、
1.3.「直列配列」とは、1つのテザー又は複数のテザーのセットなどの共通要素に沿って、一定又はその他の間隔をあけていくつかのエアロフォイルが固定される配置を意味するものとする範囲において、
かつ、
1.4.1つのプライマリテザー又は複数のプライマリテザーのセットを備え、「プライマリテザー」は、少なくとも1つの補助エアロフォイルに接続され、かつ基部に引張力をかけるように前記基部に直接的又は間接的に接続される、テザーを意味し、
1.5.少なくとも1つの補助エアロフォイルを備え、「補助エアロフォイル」は、1つのプライマリテザー又は複数のプライマリテザーのセットを空気中に引き込み、かつそれが直接的又は間接的に接続される前記基部の反作用に逆らってそれに張力をかけるために使用されるエアロフォイルを意味し、
1.6.1つ以上のその他の「デューティー」エアロフォイルを備え、「デューティーエアロフォイル」とは、前記プライマリテザーに力を伝達し得るように前記プライマリテザーに接続されてよいが、補助エアロフォイルではない、エアロフォイルを意味し、
下記を特徴とする、
1.7.当該システムはランナーを備え、「ランナー」とは、プライマリテザーに沿って移動可能であり、かつデューティーエアロフォイルを直接的又は間接的に接続してよい装置を意味する、
1.8.当該システムは、デューティーエアロフォイルとランナーとを接続する手段を備える、
1.9.前記デューティーエアロフォイルは、ランナーを用いて、単数又は複数の前記プライマリテザーに前記デューティーエアロフォイルを接続することによって、前記配列に追加されて、案内、牽引、安全、反応もしくは拘束のため又はこれらの目的のいくつかもしくはすべてのために、単数又は複数の前記プライマリテザーを用いて、前記エアロフォイルを前記空気中に上げることができる、
1.10.前記ランナーの前記プライマリテザーへの接続は、前記プライマリテザーに対する前記ランナーの径方向運動が制限されるようになされる、
1.11.前記システムは、ランナーを前記プライマリテザーに沿ってアウトバウンドに移動させる手段を備える、
1.12.前記システムは、ランナーを必要な位置に停止させる手段を備える、
1.13.前記システムは、ランナーをインバウンドに移動させる手段を備える、
1.14.前記システムは、デューティーエアロフォイルから前記プライマリテザーまで引張力を伝達する手段を備える、
1.15.前記デューティーエアロフォイルの前記配列への接続は一時的であって、前記デューティーエアロフォイルは前記配列から切り離すことができる、
システム。
【請求項2】
デューティーエアロフォイルは、前記配列の中のその他のエアロフォイルの格納を必要とせずに、単独で前記空気中から回収することができることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
例えばエアロフォイルのサイズ又は種類の選択を可能にするために、デューティーエアロフォイルをあらゆる望ましい順番で前記配列に追加できることを特徴とする、先行する請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項4】
前記デューティーエアロフォイルは、事前に定義された位置で前記プライマリテザーに固定可能であることを特徴とする、先行する請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項5】
前記デューティーエアロフォイルは、その長さに沿ってあらゆる位置で前記プライマリテザーに固定可能であることを特徴とする、先行する請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項6】
前記ランナーは、前記プライマリテザーに接続可能であり、かつ前記プライマリテザーから切り離し可能であることを特徴とする、先行する請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項7】
前記テザーに沿った前記ランナーの前記動作を遅くし、停止し、作動させ、又はその他の態様で制御する機構を含むことを特徴とする、先行する請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項8】
ランナーが、前記デューティーエアロフォイルを前記空気中へと牽引することを特徴とする、先行する請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項9】
ランナーがデューティーエアロフォイルを前記空気中へとある位置から引っ張る際の当該位置まで、ランナーが前記プライマリテザーに沿ってアウトバウンドに移動することを特徴とする、先行する請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項10】
ランナーは、デューティーエアロフォイルが自身の力で前記空気中に発射し、又は発射凧によって引かれて、前記プライマリテザーに沿って、おそらくある制御された速度で急上昇し、かつ前記必要な位置で停止するようになる際に、デューティーエアロフォイルを拘束することを特徴とする、先行する請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項11】
いくつか又はすべてのランナーは自己推進式であることを特徴とする、先行する請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項12】
いくつか又はすべてのランナーは、牽引用の前記プライマリテザーを使用する駆動機構によって推進されることを特徴とする、先行する請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項13】
いくつか又はすべてのデューティーエアロフォイルは、例えば上方ランナー及び下方ランナーなどの、前記プライマリテザーのうちの少なくとも1つにおける2つ以上のランナーを用いて、発射され、位置決めされ又は回収されることを特徴とする、先行する請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項14】
前記デューティーエアロフォイルは、前記ランナーとは別個の取付装置によって前記プライマリテザーに固定されることを特徴とする、先行する請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項15】
取付装置及び/又はランナーは、例えば、とりわけ推進、エアロフォイル制御、内部制御、通信、データ収集、計算及び照明などの必要な機能を実行するために用いる局所的エネルギー源を有することを特徴とする、先行する請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項16】
局所的エネルギー源は、プライマリテザーに沿って移動可能であり、かつそれ自体の局所エネルギー源を有し得るランナー又はシャトルなどのその他の装置を用いて、適宜補充され、燃料補給され、再充電され、再エネルギー注入され又は交換されてよいことを特徴とする、先行する請求項に記載のシステム。
【請求項17】
前記システムは、エアロフォイル及び凧に代わってハイドロフォイルの使用に適用され、その作動媒体は空気に代わって水であり、前記フォイルは、水平位置より下に、当該水平位置上に、又は当該水平位置よりも上に配備されてよいことを特徴とする、先行する請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項18】
実質的に添付の図面を参照して記載され、かつ当該添付の図面に示される通りのシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
船舶の推進における風力の使用が、近年何らかの革新の対象となってきた。特に、テザー型エアロフォイル(一般的に「凧」として知られる場合もある)が、多くのデザインにおける従来の帆に取って代わってきた。本明細書は、必要に応じて、配列されたこのようなテザー型エアロフォイルを制御可能に配備することを意図した技術に関する。
【背景技術】
【0002】
推進のためにテザー型エアロフォイルを使用することは、カイトサーフィンのスポーツから、商用船舶又はプライベートヨットの補助推進用システムまで、多様な形態で証明されてきた。しかしながら、テザー型エアロフォイルシステムの電力容量は、特に後者の場合に、実用的に配備可能なフォイル領域の量によって制限されてきた。カイトサーフィンでは、利用可能な電力は十分過ぎる場合が多いが、より高い抗力を受けるより大きい船の推進については、より多い電力が必要とされる。非常に大きいエアロフォイルの物理的サイズは、取り扱いを難しくするが、並行した多数のエアロフォイルの使用は、非常事態を引き起こし得る深刻なもつれのリスクを提示する。
【0003】
我々の解決策は、複数のエアロフォイルが互いに並列ではなく直列に配置されるように、接続された配列で当該エアロフォイルを一緒に配備することにより、これら及びこれらのテザーが互いに独立して動く可能性が少なくなるため、互いにもつれ難くなるようにするということである。この解決策での難点は、事前に接続された又は事前に配置された配列を発射しかつ回収するには、多数のエアロフォイルを一度に扱う必要があり、かつこれらすべてが完全な配列として発射されるか、又は当該エアロフォイルのうちのわずかサブセットが発射される必要がある場合に、前記配列のいずれかの中間部分を基部に固定するかの、いずれかが必要である。この場合の発射及び回収は困難かもしれない。このシステムはまた、配列の構成は柔軟性が無いという点でも制限され、エアロフォイルは、変更できない特定の順番で、またその分布や間隔も変更不可で、事前に設置される。
【0004】
従来技術において直列の又は分岐したエアロフォイル配列の多様な形態が提案されてきたが、いずれも、配列が空中にある間の配列の再構成の問題には取り組んでいない。特定のエアロフォイルを随意に開閉することによって配列の性質を効果的に変更することを可能にする、提案される分岐配列での巻き上げ及び拡張システムについて説明してきたが、これは真に柔軟な再構成とはならず、分岐した配列は、なおもつれを生じやすい。直列配列が説明されている際に、非稼働中に基本的な変更を行うことなしに、配列の構成を変更させる手段についての記載はない。複数のフォイルの互いに対する位置又は間隔を変更する手段についても記載は一切ない。また、そして非常に重要な点として、配列全体を格納することをせずに、直列から1つのエアロフィルを格納する手段についての記載も一切ない。それは不満足なことであり、なぜならば、実行可能な最小揚力係数に調節されたフォイルでさえも、大きな総計エアロフォイル領域を有する配列の場合に、そのように行うための十分な電力供給が必要となるからである。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、直列配列の一部としてエアロフォイルを独立して配備かつ格納し、当該配列の主要構造部分に当該エアロフォイルを追加しかつこれらを減じる手段を提供することによって、推進用のエアロフォイルの使用を改良することを提案する。
【0006】
当該システムの基本原理は、1つ以上の「プライマリテザー」を空気中へと引き込み、かつこれらが直接的又は間接的に接続されている基部の反応に逆らってこれらに張力をかけることによってこの主要構造部分を確立するために、「補助エアロフォイル」もしくは凧、又はこれらのグループが最初に発射され、よって、案内、牽引、安全、反応もしくは拘束、又はこれらの目的のいずれかもしくはすべてのためにこれらのプライマリテザーを用いて、より大きくかつよりパワフルであり得る後続の「デューティーエアロフォイル」を制御可能に発射することができる。これは、前記プライマリテザーに沿って必要な位置まで走行させることが可能なランナーであり、かつデューティーエアロフォイルをプライマリテザーに接続するために使用し得るランナーを用いて達成される。
【0007】
本明細書において、以下の定義が適用されるものとする。
-「テザー型エアロフォイル」とは、1つ以上あり得るテザーに物理的拘束が依存するエアロフォイルを意味するものとし、
-「テザー」とは、可撓性張力支持要素を意味するものとし、
-「直列配列」とは、1つのテザー又は複数のテザーのセットなどの共通要素に沿って、一定又はその他の間隔をあけていくつかのエアロフォイルが固定される配置を意味するものとし、
-「プライマリテザー」とは、少なくとも1つの補助エアロフォイルに接続され、かつ基部に引張力をかけるように前記基部に直接的又は間接的に接続される、テザーを意味するものとし、
-「補助エアロフォイル」とは、1つのプライマリテザー又は複数のプライマリテザーのセットを空気中に引き込み、かつそれが直接的又は間接的に接続される前記基部の反作用に逆らってそれに張力をかけるために使用されるエアロフォイルを意味するものとし、
-「デューティーエアロフォイル」とは、前記プライマリテザーに力を伝達し得るように前記プライマリテザーに直接的又は間接的に接続されてよいが、補助エアロフォイルではない、エアロフォイルを意味するものとし、
-「ランナー」とは、プライマリテザーに沿って移動可能であり、かつデューティーエアロフォイルを直接的又は間接的に接続し得る装置を意味するものとする。
【0008】
ランナーは、発射プロセスの一部としてプライマリテザーに接続されることが好ましく、かつ使用中でない時には切り離し可能であってよいが、あるいは、ランナーは、デューティーエアロフォイルが発射前にこれらに接続されるように、プライマリテザー上に在してもよい。デューティーエアロフォイルは、直接的又は間接的にランナーに接続されてよい。ランナーがプライマリテザーに接続された場合、これらは、当該テザーに対して径方向運動が制限される。
【0009】
前記ランナーは、以下のいくつかの方法によってデューティーエアロフォイルを配備するために使用されてよい。つまり、ランナーがプライマリテザーに沿って進む際に、エアロフォイルを牽引することによって、高い位置からランナーに向かってエアロフォイルを引っ張ることによって、インシデントエアフローから生成された揚力を用いて、ランナーが自己配備する際に、又は別個の発射凧によって引き離される際に、これらからエアロフォイルを拘束することによって、又は、案内、牽引、安全、反応もしくは拘束、又はこれらの目的のいずれかもしくはすべてのためにランナーを使用し、かつプライマリテザーを使用するその他何らかの方法によって、前記ランナーは使用されてよい。デューティーエアロフォイルは、いずれかの所定のプライマリテザー上の1つ以上のランナーに接続されてよい。2つというのが好ましい解決策であって、1つは発射するためのもので、もう1つは拘束するためのものであるが、但し、例えば、数個を集めた電力が必要とされる場合には、より多くが必要とされるかもしれない。
【0010】
システムは、ランナーをプライマリテザーに沿ってアウトバウンドに移動させる手段と、これらを必要な位置で停止させる手段と、これらをインバウンドに移動させる手段とを備える。これらの機能は、例えば、電動牽引、作動制動などのためにランナー及びプライマリテザーを使用できるようにする、ランナーとプライマリテザーとの間の直接係合や、別個のセカンダリテザーなどの外部手段、又は風力ランナー推進システムもしくは推力源などの独立手段など、多様な方法によって達成され得る。ランナーは、制御、通信及びもしかしたら推進を可能にするための局所的エネルギー源を有してよく、又は操作基地から又はどこか他の場所から電力の供給を受けてよい。
【0011】
デューティーエアロフォイルが前記配列に配備されると、当該デューティーエアロフォイルは、前記ランナーによって直接、又は前記デューティーエアロフォイルを前記プライマリテザーに固定するために作動される別個の取付装置によって、その配列位置内に固定かつ拘束されてよい。この後者のオプションは、前記プライマリテザーに沿ってどこかに移動するために、前記ランナーを解放することを可能にしてよい。どの方法が用いられても、おそらくは前記プライマリテザー上に事前設置された固定点を設けることによって、前記拘束位置を事前に決められた地点に設定してよく、又は前記拘束位置は、例えば前記プライマリテザーに直接締め付けることによって、前記プライマリテザーの利用可能な長さに沿って継続的に可変であってもよい。継続的に可変な位置決めが好ましく、なぜならば、それによって前記配列にさらに多用途性を与えることにさえなり、かつ前記プライマリテザーが設置された部分から自由になることを可能にし、これらのテザーをより強く、かつこれらの扱いがより容易になる。
【0012】
このようなシステムは、所定の瞬間に前記配列に追加するエアロフォイルのサイズ及び種類の選択の自由、前記配列にエアロフォイルを追加する順番を選ぶ自由、及び前記配列構造におけるこれらの位置、すなわち、1つのエアロフォイルと次のエアロフォイルとの間の間隔を選ぶ自由を可能にする。このレベルの柔軟性は、操作者が、前記配列を非稼働中とせずに、おそらくは現在の状態又は差し迫った操作上の意図に合わせて、前記配列を意図的に構成することを可能にする。前記システムはまた、前記配列全体を同時に格納する必要無しに、デューティーエアロフォイルを格納することを可能にするものであり、このことは大きくパワフルな配列の動作電力の需要を最小限に抑える点で極めて重要である。
【0013】
本明細書では、エアロフォイル及び凧用のシステムについて記載しているが、当該システムは、水中でのハイドロフォイの使用にも同様に適用され、かつそのように代わりに解釈されてよく、その作動媒体は空気に代わって水であり、前記フォイルは、水平位置より下に、当該水平位置上に、又は当該水平位置よりも上に配備されてよいことが観察される。
【0014】
本明細書において説明するシステム内での通信は、例えばデジタルUHF通信などの無線周波数方法を使用することが好ましいが、有線通信、光学通信、音波通信又はその他の方法を用いてもよい。
【0015】
次に本発明について、単なる一例として、かつ以下の通り説明され得る添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、システムの重要な部品の概要を示す。
【
図2】
図2a及び
図2bは、ランナーが自己推進式であるシステムの好適実施形態を示す。
【
図3】
図3は、ランナーが、デューティーエアロフォイルをプライマリテザーに固定する独立した取付装置の運搬装置として作用する、システムの好適な展開を示す。
【
図4】
図4a及び
図4bは、ランナーがプライマリテザーに沿って自由に走るが、セカンダリテザーによって拘束されかつ/又は制御されるようになされた、好適ではない実施形態を示す。
【
図5】
図5は、ランナーが、ランナーをそれに沿って引っ張るインシデントエアフローを利用して制御される専用の「サービス凧」によって推進される、好適ではない実施形態を示す。
【
図6】
図6a、
図6b及び
図6cは、牽引、引っ張り及び急上昇を含む、ランナーを用いたデューティーエアロフォイルを配備する多様な手段を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1において、システムの概要図が示されている。補助エアロフォイル100は、プライマリテザー101を空気中に保持し、基部102の反応に逆らってプライマリテザー101に張力をかける。2つのプライマリテザーが示されているが(これは好適な解決策である)、数はいくつでもよい。また、多数の補助エアロフォイルがあってもよいが、1つのみが示されている。プライマリテザー101は、ウィンチ103及び/又はその他何らかの拘束手段を用いて基部102に拘束されてよい。デューティーエアロフォイル200は、デューティーテザー201及びランナー300を用いてプライマリテザー101に拘束され、デューティーテザー201及びランナー300を通して、デューティーエアロフォイル200は、プライマリテザーに、そして基部へと直接的又は間接的に自身の引張力を伝える。ここでは簡略化するために、エアロフォイルごとに4つのデューティーテザーを示しているが、数はいくつあってもよく、かつパラグライダー又はカイトサーフィンの凧に使用されるものと類似した細分化ブライドルシステムにおいて配置されてよい。
【0018】
このシステムは、プライマリテザーと係合して、これらに沿って望ましい位置へと駆動する自己推進式ランナーを使用するのが好ましい。
図2aに示される通り、デューティーエアロフォイル200は、ランナーがエアロフォイルを引いて飛ばすことができるようにするデューティーテザー201によって、これらの自己推進式ランナー301に接続され、また、一旦空気流で満たされると、エアロフォイルによって生成された揚力がプライマリテザーに伝えられるように、プライマリテザー101に対してエアロフォイルを拘束する。当該システムは、別個の上方及び下方ランナーを使用してよく、それによって、上方ランナー301aは、デューティーテザー201aを用いてエアロフォイルを引いて飛ばせ、そして下方ランナー301bは、デューティーテザー201bを用いてエアロフォイルをプライマリテザーに対して拘束する。自己推進式ランナーは、牽引のためにプライマリテザー101を用いる多様な駆動システムを使用してよく、例えば、
図2bに示されるような蛇行ウィンチ302(これは好適である)、スパイラルウィンチ、テザー把持対向駆動ホイール又は往復「ウォーキング」クランプ駆動機構などである。あるいは、自己推進式ランナーは、例えば、ロケット、ジェット、ファン又はプロペラを用いて、推進のために空気力又は推力を使用してよい。自己推進式の実施形態の変異形において、ランナーは、別のランナーによって押され、引かれ、又は操作されてもよい。
【0019】
いくつかの場合では、それぞれのプライマリテザーに上方ランナーは必要ないかもしれず、例えば、4個のプライマリテザーがあるとして、これらのうち2つのみについて上方ランナーを使用してよい。また、例えば、数個を集めた電力が必要であれば、1つのプライマリテザーに2つ以上の上方ランナー及び/又は下方ランナーがあってもよい。
【0020】
図3は、前記システムの好適な展開を示しており、これによってランナー300は、プライマリテザー上の望ましい位置まで取付装置400を移送させ、この地点で、当該装置は自身をプライマリテザー101に固定し、ランナーはこれを解放する。デューティーエアロフォイル200は、複数のデューティーテザー201(これらのうち数個でもよい)を用いて取付装置400に接続され、よって、ランナー300が後でこれを回収するまでは、これによってプライマリテザー101に固定されることになる。この場合のランナーは、上記の通りの自己推進式であることが好ましいが、とはいえ、別の代替方法で推進されてもよい。
【0021】
取付装置400は、例えば電気ケーブルによって、操作基地又は他の場所から電力の供給を受けてよく、又は、好ましくは、自身の局所的電源を有してよい。電力は、例えばデューティーテザー201を操作することによって、デューティーエアロフォイルの形状又は姿勢を改変する制御装置を作動するために必要であり得るもので、また、コマンドを通信かつ受信し、かつその他の必要な機能(例えば、データ収集、計算及び照明など)を実行するために必要であり得る。局所的エネルギー備蓄は、運転継続時間中は十分かもしれず、又は、プライマリテザーに沿って取付装置まで到達するように進み、かつ再充電、燃料補給又は再エネルギー注入することが可能な、ランナー又は同様の装置(「シャトル」と呼ばれ得る)によって補充可能であり得る。この場合、ランナー及びシャトルは、自身の電源及びエネルギー備蓄を有してもよく、又は他の場所から電力供給を受けてもよい。
【0022】
取付装置を用いず、かつプライマリテザーに対してデューティーエアロフォイルを拘束するためにランナーに依存する実施形態において、当該ランナーは、本明細書に記載される通り取付装置400に起因する機能のすべてを行い得るもので、かつこれらの装置について記載されているのと同じ態様で(その他のランナーによって又はシャトルによってこれらのエネルギー備蓄を補充することを含む)電力の供給を受けてよい。
【0023】
稼働中に取付装置のエネルギー備蓄を補充するための代替方法は、放電した取付装置400を交換品と交換することである。その後、放電した装置は操作基地又は遠隔エネルギー源まで戻されて、燃料補給され、再充電され又は再エネルギー注入されてよい。この原理は、例えば、取り外し可能な電池もしくはタンク、又は何らかの形態のモジュラー電力装置などの、取付装置の何らかの部分組立品に適用してもよい。
【0024】
図4aでは、簡略なランナー310bが別個のセカンダリテザー311によって制御される、好適ではない実施形態を見ることができる。これらのテザーは、デューティーエアロフォイル200が発射される際に、ランナー301bを拘束するために使用されることになる。デューティーエアロフォイルは、自身の揚力により、又は発射凧202によって引っ張られることによって、空気流の中へと発射されてよく、あるいは、テザー312を引き上げることによって空に向かって引っ張られる上方ランナー310aによって、空気中へと引っ張られてもよい。これらは、上方の機構によって引っ張り上げられ、又は上方の滑車313を通して操作基地へと下方に引き戻されてよく、この操作基地から、これらは引き込まれる。この巻き上げテザーシステムの重大な短所とは、より多くのデューティーエアロフォイルが発射されればされるほど、並行して飛行中となるテザーの多重度であり、もつれ、ねじれ及び擦れのリスクをより増すこととなる。
図4bに示される通りに、風力発射のかつ単に第2の拘束するテザー311及び1つのランナー310を使用すると、ランナー310をプライマリテザー101に固定する締め付け機構を使用することによって、これらのリスクを低減させることができ、セカンダリテザー311を緩め、かつこれらの下方端をその後のデューティーエアロフォイルのランナーに取り付けることが可能になり、多くのセカンダリテザーをすべて並行して操作基地へと戻るように導くよりもむしろ、エアロフォイルが発射する際に、エアロフォイルとエアロフォイルとの間にスラックループを形成する。これはリスクを完全に打ち消すわけではないが、スラックループが軽風の中に浮いたまま残されてしまうと、問題を生じる可能性もある。
【0025】
図5は、風力推進ランナー320を推進させる「サービス凧」321にかかる空気流を制御することによって操作される風力推進ランナー320を示す。繰り返すが、もつれのリスクがあるために、これは前記システムの好適実施形態ではないが、操作するために必要な電力入力が非常に少なく、牽引力の大部分はサービス凧上に流れる風から来ているため、これは新規で、おそらく有用なランナー推進手段である。プライマリテザー101に沿って望ましい位置にランナー320を固定するために、ここで何らかの形態の締め付け機構又は制動が必要になるだろう。
【0026】
図6a、
図6b及び
図6cは、エアロフォイルを発射し、位置決めし、かつ拘束するための、前記ランナーを用いたいくつかの異なる手段を示す。これらは、エアロフォイルが発射し、好ましくはある制御された速度でプライマリテザーに沿って上昇し、最終的に必要な位置で停止するようになる際の、
図6aに示される通りの牽引と、
図6bに示される通りの高い位置からの引張と、
図6cに示される通りの下方からの拘束とを含む。これの変異形としては、ランナーが、プライマリテザー上の事前に定義された地点で取付具又は機構と係合する機構によって、又は測定された時間もしくは距離の後に又はリモートコマンドにて、プライマリテザーに締め付ける機構によって、プライマリテザー上の望ましい位置で停止するようになることが可能であろう。
【国際調査報告】