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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-22
(54)【発明の名称】被検者の視野の測定方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/024 20060101AFI20240115BHJP
【FI】
A61B3/024
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023542897
(86)(22)【出願日】2022-01-14
(85)【翻訳文提出日】2023-08-24
(86)【国際出願番号】 EP2022050765
(87)【国際公開番号】W WO2022152861
(87)【国際公開日】2022-07-21
(31)【優先権主張番号】21151704.0
(32)【優先日】2021-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】21176171.3
(32)【優先日】2021-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】21196409.3
(32)【優先日】2021-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523266936
【氏名又は名称】エイチ アンド エム メディカル ソリューションズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100149032
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 敏明
(74)【代理人】
【識別番号】100181906
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 一乃
(72)【発明者】
【氏名】ホフマン,フリードリヒ
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー,ファビアン
【テーマコード(参考)】
4C316
【Fターム(参考)】
4C316AA18
4C316FA02
4C316FA04
4C316FB01
4C316FB05
4C316FB06
4C316FB12
4C316FB13
4C316FC02
(57)【要約】
本発明は、装置によって被検者の視野を測定するための方法に関し、前記方法は、以下の工程:視覚的に検出可能な試験スポットを、被検者の眼によって、被検者によって見える前記装置の平面ディスプレイ上に表示する工程であって、前記平面ディスプレイに対して被検者の頭部の空間的位置は変化しないままにする、前記工程;測定実行中に、前記装置によって前記平面ディスプレイ上の前記試験スポットを経路に沿って移動させ、かつ表示された前記試験スポットが、経路に沿って移動する間に、瞬間的位置でその被検者にとって見えなくなったか、又は再び見えるようになったときに、その被検者によって前記装置の対話装置を作動させる工程であって、前記対話装置の作動によって、前記装置に、それぞれの瞬間的位置、並びに前記瞬間的位置の置試験スポットがその被検者にとって見えなくなったか、又は再び見えるようになったかを導き出すことができる関連情報を記憶させる、前記工程;及び被検者の視野の領域をさらなる平面ディスプレイ上に表示する工程であって、前記瞬間的位置は前記領域のエッジ点を形成する、前記工程、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置(1)によって被検者(P)の視野を測定するための方法であって、以下の工程:
・ 前記被検者(P)の眼によって、前記被検者(P)によって見られる前記装置(1)の平面ディスプレイ(2)上に、視覚的に検出可能な試験スポット(6)を表示する工程であって、前記平面ディスプレイ(2)に対して前記被検者(P)の頭部の空間的位置は変化しないままにする、前記工程、及び
・ 測定実行中に、前記装置(1)によって前記平面ディスプレイ(2)上の前記試験スポット(6)を経路(7)に沿って移動させ、かつ瞬間的位置(9)にて前記経路(7)に沿って移動している間に前記表示された試験スポット(6)が前記被検者(P)にとって見えなくなるか、又は再び見えるようになるときに、前記被検者(P)によって前記装置(1)の対話装置(8)を作動させる工程であって、ここで前記対話装置(8)の作動により、前記装置(1)が、それぞれの前記瞬間的位置、並びに前記瞬間的位置で前記試験スポット(6)が前記被検者(P)にとって見えなくなったか、又は再び見えるようになったかを導き出すことができる関連情報を記憶するようにする、前記工程、
を含む前記方法。
【請求項2】
前記方法は、以下のさらなる工程:
前記被検者(P)の視野の情報及び/又は領域(90)を、前記平面ディスプレイ(2)及び/又はさらなる平面ディスプレイ(3)上に表示する工程であって、前記瞬間的位置が前記領域(90)のエッジ点を形成する、前記工程、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記試験スポット(6)は、前記平面ディスプレイ(2)上を移動するときに、cm/s単位の速度S/fを有し、ここで、Sは、cm単位の前記試験スポットによってカバーされた距離であり、fは、2~7の範囲の数であり、特に3~6の範囲の数であり、特に4~5の範囲の数であり、fは、特に4.7である、
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記試験スポット(6)を前記経路(7)に沿って移動させるときに、前記被検者(P)の眼が、前記平面ディスプレイ(2)に対して、10cm~400cmの範囲の距離(A)にあり、特に20cm~200cmの範囲、特に30cm~100cmの範囲、特に30cm~50cmの範囲、特に35cm~45cmの範囲の距離(A)にあり、前記距離が特に40cmである、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
1分間の期間の前記測定実行中に、視野内で、平面ディスプレイの少なくとも500~50000箇所の異なる場所のピクセルが、試験スポット(6)によって試験され、特に少なくとも1000~25000箇所の異なる場所、特に少なくとも1500~10000箇所の異なる場所、特に少なくとも2500箇所の異なる場所で試験され、及び/又は前記経路(7)は、少なくとも17.625cm~705cmの全長を有し、及び/又は前記経路(7)は、少なくとも35.25cm~352.5cmの全長を有し、及び/又は前記経路(7)は、少なくとも52.875cm~176.25cmの全長を有し、及び/又は前記経路(7)は、少なくとも70.5cmの全長を有し、前記試験スポット(6)は、1分以下である期間内の測定プロセス中に前記経路(7)全体に沿って移動する、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記経路(7)は、複数の互いに平行な第1の区間(70)を含み、及び/又は前記経路(7)は、複数の互いに平行な第2の区間(71)を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の区間(70)は、特に前記第1の区間と第2の区間とがグリッドを画定するように、前記第2の区間(71)を横切る、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記試験スポット(6)は、第1に、前記第1の区間(70)の各々に沿って移動し、次に、前記第2の区間(71)の各々に沿って移動する、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の区間(70)は、前記平面ディスプレイ(2)において垂直に延び、かつ前記第2の区間(71)は、前記平面ディスプレイ(2)において水平に延びるか;又は前記第1の区間は、前記平面ディスプレイにおいて水平に延び、かつ前記第2の区間は、前記平面ディスプレイにおいて垂直に延びる、請求項6~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記経路(7)が、垂直に、又は垂直に対して傾斜して走る少なくとも1つの区間(72)を有すること;及び/又は前記経路(7)が、円弧状、特に半円状の形状で走る少なくとも1つの区間を有すること;及び/又は前記経路(7)が、神経線維(N)を横切り、かつ特に神経線維(N)に対して直交して走る少なくとも1つの区間(72)を有すること、を特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記領域(90)を視覚化するために、前記試験スポット(6)が見えなくなった瞬間的位置(9)が、前記さらなる平面ディスプレイ(3)上で前記領域(90)のエッジ線として表示される線に連結され、及び/又は前記試験スポット(6)が見えるようになった瞬間的位置(9)が、前記さらなる平面ディスプレイ(3)上の前記領域(90)のエッジ線として表示される線に連結され、ここで特に、前記エッジ線によって囲まれた領域(90)が、前記さらなる平面ディスプレイ(3)のバックグラウンドから光学的に浮き上がって、前記さらなる平面ディスプレイ(3)に表示される、請求項2、又は請求項2に関する限りは請求項3~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記平面ディスプレイ(2)上にて検査者(U)によって制御される被検者(P)による観察下で前記試験スポット(6)を、前記検出された領域(90)から、前記試験スポット(6)が前記被検者にとって見える周辺領域へ、繰り返し誘導することによって、前記検出された領域(90)を検査する、請求項2、又は請求項2に関する限りは請求項3~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
測定実行中に、中心オブジェクト(10)は、前記平面ディスプレイ(2)上に表示され、特に、前記被検者(P)の視線方向を固定するために、前記試験スポット(6)よりも弱い光で、かつ前記被検者(P)により見られる十字の形で表示され、ここで前記装置(1)は、測定実行中に、前記被検者(P)の視線方向が前記中心オブジェクト(10)から逸脱しているかどうかを検出し、かつ逸脱が検出された場合に前記試験スポット(6)の移動を停止し、特に前記試験スポット(6)は、前記中心オブジェクト(10)からの距離が減少するにつれて直径が小さくなる、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
必要な場合に、検査者により、前記試験スポット(6)の速度を一時的に遅くし、特に前記装置(1)のユーザーインターフェースとの対話により、特に前記試験スポット(6)が見えなくなったか、又は再び見えるようになった瞬間的位置を指定するために、前記試験スポット(6)の速度を一時的に遅くする、請求項3、又は請求項3に関する限りは請求項4~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記方法は、以下の工程:2つの隣接する記憶された瞬間的位置(9)の間に延びる測定実行の前記経路(7)の各区間(91)に対してさらなる測定実行を実施する工程であって、ここでそれぞれの場合において、前記平面ディスプレイ(2)上の前記試験スポット(6)が、それぞれの区間(91)を中心として含む前記平面ディスプレイ上の領域(92)内のさらなる経路(7)に沿って前記装置(1)によって移動され、かつそれぞれの場合において、前記表示された試験スポット(6)が、瞬間的位置(9)において、前記領域(92)内の前記さらなる経路(70)に沿って移動する間に前記被検者(P)にとって見えなくなるか、又は再び見えるようになるときに、前記被検者(P)によって前記装置(1)の前記対話装置(8)を作動させる、前記工程、をさらに含み、前記対話装置(8)による作動により、前記装置(1)に、前記領域(92)における前記試験スポット(6)のそれぞれの瞬間的位置(9)、並びに前記瞬間的位置(9)で前記試験スポット(6)が前記被検者(P)にとって見えなくなったか、又は再び見えるようになったかを導き出すことができる関連情報を記憶させる、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
それぞれの場合において、前記さらなる経路(70)の2つの隣接する記憶された瞬間的位置(9)の間に延び、かつ前記領域(92)のエッジ部に位置する、それぞれの前記領域で見出された前記さらなる経路(70)の区間(91)に対するそれぞれのさらなる測定実行の後に、前記プロセスにおいて前記測定実行の間又はさらなる測定実行の間に以前に見出された区間(91)が検出されるまで、さらなる測定実行が実施され、ここでさらなる測定実行がまたこの区間(91)に対して実施される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
少なくとも1つの領域(92)は、様々な被検者の複数のデータセットで訓練されたAIアルゴリズムによって自動的に選択され、ここでさらなる測定実行が実行され、その際に、それぞれの場合において、前記平面ディスプレイ(2)上の前記試験スポット(6)が、前記平面ディスプレイ上の領域(92)内のさらなる経路(70)に沿って、前記装置(1)によって移動され、ここでそれぞれの場合において、表示された前記試験スポット(6)が前記領域内の前記さらなる経路(70)に沿って移動する間に、瞬間的位置(9)にて、前記被検者(P)にとって見えなくなるか、又は再び見えるようになる際に、前記装置(1)の前記対話装置(8)が、被検者(P)によって作動され、前記対話装置(8)による作動により、前記装置(1)に、前記領域(92)内の前記試験スポット(6)のそれぞれの瞬間的位置(9)、並びに前記瞬間的位置にて前記試験スポット(6)が前記被検者(P)にとって見えなくなったか、又は再び見えるようになったかを導き出すことができる関連情報を記憶させる、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記AIアルゴリズムは、様々な被検者のデータセットに基づく少なくとも1つの領域(92)を選択するように適合されており、ここで被検者の前記それぞれのデータセットは、前記被検者の記憶された瞬間的位置(9)を含み、及び/又は前記AIアルゴリズムは、様々な被検者のデータセットに基づく少なくとも1つの領域(92)を選択するように適合されており、ここで前記それぞれのデータセットは、被検者の視覚化領域(90)に対応している、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記方法は、以下の工程:検査者によって選択された領域について、少なくとも1回のさらなる測定実行を実施する工程であって、前記平面ディスプレイ(2)上の前記試験スポット(6)が、前記装置(1)によって、前記平面ディスプレイ上の領域内のさらなる経路(7)に沿って移動され、かつそれぞれの場合において、表示された前記試験スポット(6)が、前記領域内の前記さらなる経路(7)に沿って移動する間に、瞬間的位置(9)にて前記被検者(P)にとって見えなくなるか、又は再び見えるようになるときに、前記被検者(P)によって前記装置(1)の前記対話装置(8)が作動される、前記工程、をさらに含み、前記対話装置(8)の作動によって、前記装置(1)に、前記領域内の前記試験スポットのそれぞれの瞬間的位置、及び前記瞬間的位置にて前記試験スポット(6)が前記被検者(P)にとって見えなくなったか、又は再び見えるようになったかを導き出すことができる関連情報を記憶させる、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記方法は、以下の工程:少なくとも1回のさらなる測定実行を実施する工程であって、ここで前記平面ディスプレイ(2)上の前記試験スポット(6)が、前記装置(1)によって検査者の制御下でさらなる経路(70)に沿って移動され、かつそれぞれの場合において、前記表示された試験スポット(6)が、瞬間的位置(9)にて前記領域内の前記さらなる経路(70)に沿って移動している間に前記被検者(P)にとって見えなくなるか、又は再び見えるようになるときに、前記被検者(P)によって前記装置(1)の前記対話装置(8)が作動される、前記工程、をさらに含み、ここで前記対話装置(8)の作動によって、前記装置(1)に、前記領域内の前記試験スポットのそれぞれの瞬間的位置、並びに前記瞬間的位置で前記試験スポット(6)が前記被検者(P)にとって見えなくなったか、又は再び見えるようになったかを導き出すことができる関連情報を記憶させる、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記平面ディスプレイ(2)の内容がデータ伝送接続(V)を介して前記さらなる平面ディスプレイ(3)に伝送され、及び/又は前記さらなる平面ディスプレイ(3)の内容がデータ伝送接続(V)を介して前記平面ディスプレイ(2)に伝送される、請求項2、又は請求項2に関する限りは請求項3~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記装置(1)は、処理ユニット(5、55)を備え、特に、視覚的に検出可能な前記試験スポット(6)を前記平面ディスプレイ(2)上に表示し、かつ移動させるための処理ユニット(5、55)を備える、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記処理ユニット(5)は、前記被検者(P)の場所にあるローカル処理ユニット(5)であり、かつそれぞれの瞬間的位置、並びに関連情報は、前記ローカル処理ユニット(5)に記憶され、データ伝送接続(V)を介してさらなる処理ユニット(55)に伝送され、かつ前記さらなる処理ユニット(55)で評価されて、結果のデータセットが生成される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記処理ユニットは、前記被検者(P)の場所にあるローカル処理ユニットであり、かつそれぞれの前記瞬間的位置、並びに関連情報は、前記ローカル処理ユニット(5)に記憶され、かつ前記ローカル処理ユニット(5)で評価されて結果のデータセットを生成し、ここで前記結果のデータセットは、任意に、データ伝送接続(V)を介してさらなる処理ユニット(55)に伝送される、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記装置(1)は、前記平面ディスプレイ(2)に接続された、前記被検者(P)の場所にあるローカル処理ユニット(5)をさらに備え、前記処理ユニット(55)は、前記ローカル処理ユニット(5)へのデータ伝送接続(V)を介して、前記平面ディスプレイ(2)上の視覚的に検出可能な前記試験スポットの表示及び移動を行わせ、ここでそれぞれの瞬間的位置並びに関連情報が、前記処理ユニット(55)に記憶され、かつ評価されて、結果のデータセットを生成する、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
コンピュータプログラムが前記処理ユニット上で実行されると、請求項22~25のいずれか一項に記載の方法の工程を前記処理ユニットに実行させる命令を含むコンピュータプログラム。
【請求項27】
被検者(P)の視野を測定するための装置(1)であって:
前記被検者(P)によって見られるように構成された平面ディスプレイ(2)、
前記被検者(P)の前記平面ディスプレイ(2)上に試験スポット(6)を表示し、かつ前記試験スポット(6)を平面ディスプレイ(2)上で予め定義可能な経路(7)に沿って移動するように構成された処理ユニット(5、55)、
表示された前記試験スポット(6)が、瞬間的位置にて前記経路(7)に沿って移動している間に前記被検者(P)にとって見えなくなるか、又は再び見えるようになるときに、前記被検者(P)によって作動されるように構成された対話装置(8)、
を備え、前記処理ユニット(5)は、前記対話装置(8)が作動されたときに、それぞれの瞬間的位置、並びに前記瞬間的位置で前記試験スポット(6)が前記被検者(P)にとって見えなくなったか、又は再び見えるようになったかを導き出すことができる関連情報を記憶するように構成されている、前記装置(1)。
【請求項28】
前記装置(1)は、検査者(U)によって見られるように構成されたさらなる平面ディスプレイ(3)を備える、請求項27に記載の装置(1)。
【請求項29】
前記処理ユニット(5)は、前記被検者(P)の視野の領域(90)を前記さらなる平面ディスプレイ(3)に表示するようにさらに構成され、ここで前記瞬間的位置(9)は、前記領域(90)のエッジ点を形成する、請求項28に記載の装置(1)。
【請求項30】
前記装置(1)は、前記平面ディスプレイ(2)に対する前記被検者(P)の頭部位置を固定するように構成された固定ユニット(4)を備える、請求項27~29のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項31】
前記装置(1)は、さらなる処理ユニット(55)を備え、前記処理ユニット(5)は、データ伝送接続(V)を介して、前記瞬間的位置及び関連情報を前記さらなる処理ユニット(55)に伝送するように構成され、前記さらなる処理ユニット(55)は、前記瞬間的位置及び関連情報を評価して結果のデータセットを生成するように構成されている、請求項27~30のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項32】
前記装置(1)は、さらなる処理ユニット(55)を備え、前記処理ユニット(5)は、前記瞬間的位置及び関連情報を評価して結果のデータセットを生成し、かつデータ伝送接続(V)を介して前記さらなる処理ユニット(55)に前記結果のデータセットを伝送するように構成されている、請求項27~30のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項33】
前記装置(1)は、前記平面ディスプレイ(2)に接続された、前記被検者(P)の場所にあるローカル処理ユニット(5)をさらに備え、前記処理ユニット(55)は、前記ローカル処理ユニット(5)へのデータ伝送接続(V)を介して、前記平面ディスプレイ(2)上の視覚的に検出可能な前記試験スポットの表示及び移動を行わせ、それぞれの前記瞬間的位置並びに関連情報が、前記処理ユニット(55)に記憶され、かつ評価されて、結果のデータセットが生成される、請求項27~30のいずれか一項に記載の装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検者の視野を測定するための方法及びそれに対応する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ペリメトリー(視野測定法)(Perimetrie)とは視覚系の検査技術である。ヒトの視力は中心視力と周辺視力とに区別される。中心視力は中心の視力として測定され、周辺視力は周辺の視野として測定される。視野は山に相当し、ここでは視野におけるそれぞれの点の高さは、その点における視力に相当する。この視野である山の最高値は、網膜の中心である中心窩の上にある。この周辺部に向かって視力は低下し続ける。周辺の視力は、光差感度(Lichtunterschiedsempfindlichkeit)を用いて測定される。技術的には、この視野の山を測定するには2つの異なる方法が存在する:
・ 動的ペリメトリー(kinetische Perimetrie)
・ 静的又はプロファイル又はグリッドのペリメトリー(statische oder Profil- oder Rasterperimetrie)
【0003】
どちらの方法も、患者が光刺激の知覚を合図することで、視野の山を定義しようとするものである。知覚閾値はこのようにして主観的に決定される。動的ペリメトリーでは、試験マークは一定の明るさで半球の周囲をゆっくりと中心方向に進み、その後、さらに全周の子午線方向に進むが、静的ペリメトリーでは、最初は閾値下の試験マークの明るさが、子午線上に位置する固定された試験スポットで徐々に上げられる。知覚された試験スポットはそれぞれの場合でマークされる。山を水平にスキャンする動的ペリメトリーでは、こうしていくつかのアイソプター(輝度差の感度が等しい線)が徐々に作られる。山を垂直に走査する静的ペリメトリーでは、視野の山の中心を通る山の輪郭が作られる。コンピュータ制御による最新のラスターペリメトリーでは、予め決められた試験スポットのグリッドに沿って、かつ視野の山も垂直にスキャンし、標準からのずれを黒く塗り分けたマップを作成する。
【0004】
ペリメトリーとカンピメトリー(Kampimetrie)との違いは、カンピメトリーでは検査対象がペリメトリーのように半球ではなく、スクリーン又は平らな面上に提供されることである。したがって、カンピメトリーは傍中心視野の測定に適している。
【0005】
現在のすべての方法に共通するのは、知覚閾値に水平又は垂直にゆっくりと到達することである。この過程は手間と時間がかかる。検査時に多くの患者が高齢であること、多くの患者の協力意欲が短時間で低下することを考慮しなければならない。
【0006】
現在のペリメトリー検査では、通常片眼あたり15分の集中的な協力が必要である。検査時間が長いということは、すべての測定点における知覚閾値を正しく評価することが難しいということである。そのため、検査は大きく変動する結果となる。
【0007】
コンピュータ化された自動ペリメトリープログラムによって、検査者は退屈な検査から解放されたが、患者にとっては今のところ何の緩和もない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このような背景から、本発明の課題は、患者又は被検者の視野を測定するための改善された方法及び改善された装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は、独立請求項の目的によって解決され、好ましい実施形態は、以下の説明と同様に、対応する従属請求項に示される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明による装置の一実施形態の概略図である。
図2図2は、本発明による方法において試験スポットからトレースする経路の図である。
図3図3は、図2に示した経路の断面と比較するための視神経の模式図である。
図4図4は、可視性を変化させる試験スポットの瞬間的位置の検出又は記憶の表示である。
図5図5は、視野欠損に対応可能な本発明による方法又は装置で測定された被検者の視野の領域を色で強調した図である。
図6図6は、本発明による方法において試験スポットからトレース可能なさらなる経路の図である。
図7図7は、特に遠隔医療目的に適した、本発明による装置の一実施形態の概略図である。
図8図8は、第1の測定実行中に記録された、試験スポットが見えなくなった、又は再び見えるようになった瞬間的位置の概略図である。
図9図9は、縮小領域でのさらなる測定実行の概略図であり、その中心は、第1の測定実行中に以前に検出された欠損に対応している。
図10図10は、縮小領域でのさらなる測定実行の概略図であり、その中心は、ある領域で以前に検出された欠損に対応している。
図11図11は、縮小領域でのさらなる測定実行の概略図であり、その中心は、第1の測定で検出されたさらなる欠損に対応している。
図12図12は、患者データを用いて訓練されたAIアルゴリズムによって選択された2つの縮小領域における、さらなる測定実行の概略図である。
図13図13は、検査者によって事前に定義された2つの縮小領域における、さらなる測定実行の概略図である。
図14図14は、試験スポットが、例えばリアルタイムで検査者によって決定される、さらなる経路に沿って移動される、さらなる測定実行の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
請求項1によれば、装置によって被検者の視野を測定するための方法であって、以下の工程を含む:
a. 視覚的に検出可能な試験スポットを、被検者の眼によって被検者によって見られる装置の平面ディスプレイ上に表示する工程であって、平面ディスプレイに対する被検者の頭部の空間的位置が固定されている、前記工程、及び
b. 測定実行中に、装置によって平面ディスプレイ上の試験スポットを予め定義された経路上で移動させ、かつ表示された試験スポットが、好ましくは、瞬間的位置にて経路の移動中に被検者にとって見えなくなる(いわゆるオフポイント)又は再び見えるようになる(いわゆるオンポイント)際に、測定実行中に装置の対話装置を作動させる工程であって、ここで対話装置の作動により、装置に、それぞれの瞬間的位置と、瞬間的位置において試験スポットが被検者から見えなくなったか、又は再び見えるようになったかを導き出すことができる関連情報とを記憶させる、前記工程。
【0012】
任意に、被検者の視野の領域を表示し、好ましくは、本方法は、以下のさらなる工程を含む:
c. 被検者(P)の視野の情報及び/又は領域(90)を、平面ディスプレイ(2)及び/又はさらなる平面ディスプレイに表示する工程であって、前記瞬間的位置が領域(90)のエッジ点を形成する、前記工程。
【0013】
本発明による方法は、ラピッドカンピメトリーとも呼ばれ、被検者の中心10°の視野を可能最短時間、例えば1分以内に測定できるスクリーニング方法である。好ましくは1分弱の測定実行中の試験スポットの密度が比較的大きいことは、自動コンピュータペリメトリー法とは大きく異なり、暗点の検出を容易にする。自動コンピュータペリメトリー法では、通常、10°の視野内の16個又は25個の試験スポットでしか測定できないが、本発明の方法では、例えば、検査視野の中心の上下左右の10°の視野全体を5つの経路で走査する細かいグリッド走行で、高精度に被検者の視野を効率よく測定することができる。したがって、標準的な検査の実行中に検査点を通過する経路の長さは、患者からモニターまでの距離×係数0.5~患者からモニターまでの距離×係数3であり、特に患者からモニターまでの距離×係数1~患者からモニターまでの距離×係数2であり、しかし特に患者からモニターまでの距離×係数1.7625となる。
例01:患者からモニターまでの距離40cm×係数1.7625=距離70.5cm
例02:患者からモニターまでの距離80cm×係数1.7625=距離141cm
【0014】
試験スポットの比較的速い動き、平面ディスプレイのバックグラウンドと試験スポットとの間の好ましくは大きなコントラスト、及び短い検査時間は、注意を容易にし、測定データの確実性を高める。さらに、例えば1分という短い検査時間は、日常臨床における方法の適用可能性を向上させる。視野欠損が検出された場合、検査者が制御する追加測定により、収集される測定データの精度をより確実にすることができる。神経線維の進路は知られている。暗点の座標に割り当てられた暗点の境界は、視神経方向の神経線維の進路に従って、プログラムで正確に定義することができる(図3参照)。
【0015】
好ましくは、この手順は、それぞれの眼に対して、被検者の未測定の眼をカバーしながら、個別に行われる。視野の前記領域は、例えば、検査者のために領域の印象が作成されるように、前記瞬間的位置を表示又はマーキングすることによって表示することができる。さらに、さらなる平面ディスプレイ上の瞬間的位置を結ぶ外側エッジ線を作成することにより、領域をより明確に強調することができる。代替的又は付加的に、表示されたエッジ線内(又は非表示の仮想エッジ線内)の領域を、さらなる平面ディスプレイ上に表示されるバックグラウンドに対して色で強調表示することも可能である。
【0016】
試験スポットが移動する前記経路は、必ずしも連続的である必要はなく、例えば、互いに分離された個々の区間から構成することができ、これは次々に走行される。原則的に、経路又は前記区間は、考え得る任意の形状をとることができ、これにより、検査される被検者の視野の領域は、好ましくは、その経路に沿って試験スポットによって数回通過させ、その結果、領域は、例えば、二次元的に(すなわち、例えば、水平方向及び垂直方向に、又は平面ディスプレイに関して、例えば、行方向及び列方向に)走査されるようにする。
【0017】
本方法の一実施形態によれば、試験スポットが、平面ディスプレイ上を移動するとき、[cm/s]単位の速度S/fを有することが提供され、ここでS/fは、移動距離Sを、2~7の範囲、特に3~6の範囲、特に4~5の範囲にある数fで割った比であり、数fは特に4.7である。
【0018】
例01:患者からモニターまでの距離=40cm;検査領域の中央の上下各10°の垂直パスは画面上で合計14.1cmであり、したがって、計算式は14.1cm/係数4.7=3cm/sである。
【0019】
例02:患者からモニターまでの距離=80cm;モニター上の検査領域の中央の上下各10°の垂直パスの合計が28.21cmであり、したがって、計算値は28.21cm/係数4.7=6.00213cm/sである。
【0020】
さらに、本発明の一実施形態によれば、1分間の期間内の測定実行中に、視野内の少なくとも500~50000箇所の異なる位置(又は平面ディスプレイのピクセル)が試験スポットによって検査され、特に少なくとも1000~25000箇所の異なる位置(又は平面ディスプレイのピクセル)、特に少なくとも1500~10000箇所の異なる位置(又は平面ディスプレイのピクセル)、特に少なくとも2500箇所の異なる位置(又は平面ディスプレイのピクセル)が検査されることが提供される。好ましくは、測定実行の間、試験スポットとも呼ばれるこれらの位置は、部分的に重なり合うほど近接している。患者からモニターまで40cmの距離で、例えば約70.5cmの経路の移動により、主観的なドット又は試験スポットの軌跡が作成され、例えば狭い暗点では、暗点領域において主観的に知覚される軌跡が単に短く暗くなる。
【0021】
特に、本発明は、試験スポットが、動いている一定の光の点として患者に見えるという基本的な考えに基づいている。さらに、本発明の一実施形態によれば、経路が少なくとも17.625cm~705cmであり、特に少なくとも35.25cm~352.5cm、特に少なくとも52.875cm~176.25cm、特に少なくとも70.5cmの全長を有し、ここで測定プロセス中に試験スポットが1分以下の時間内に経路全体に沿って移動することが提供される。
【0022】
さらに、本方法の一実施形態において、好ましくは、試験スポットを経路に沿って移動させる際に、被検者の眼(片方又は両方)が、平面ディスプレイに対して10cm~400cmの範囲にある距離にあり、好ましくは20cm~200cmの範囲、好ましくは30cm~100cmの範囲、特に40cmの距離にあることが提供される。
【0023】
本発明のさらなる実施形態によれば、経路は、複数の互いに平行な第1の区間を有しても良い。さらなる実施形態によれば、経路は、複数の互いに平行な第2の区間を有してもよい。原理的には、これにより、被検者の視野の領域又は視野全体の二次元走査が可能になる。この場合、好ましくは、第1の区間が第2の区間を横切るように適宜設けられ、それにより、第1の区間と第2の区間とが例えばグリッド(格子)を画定するようにする。
【0024】
本方法の一実施形態によれば、試験スポットは、最初に、第1の区間(例えばそれぞれ第1の方向)に沿って移動させ、次に第2の区間(例えばそれぞれ第2の方向)に沿って移動させる。この場合、経路の第1の区間は平面ディスプレイ上で垂直に走ることができ、第2の区間は好ましくは平面ディスプレイ上で水平に走る(又はその逆も同様)。平面ディスプレイの一方又は両方が水平に対して傾斜している場合、これは垂直区間とも呼ばれ、したがって、経路の水平区間に対して実質的に垂直に走る。
【0025】
さらに、本発明の一実施形態によれば、経路が、垂直に沿って、又は垂直に対して傾斜して走る少なくとも1つの区間を有することが提供される。さらに、本発明の一実施形態によれば、経路が、円弧状、特に半円形である少なくとも1つの区間を有することが提供される。さらに、本発明の一実施形態によれば、経路が、神経線維を横切る少なくとも1つの区間を有し、特に、検査対象の被検者の眼の視神経の神経線維と直交して走ることが提供される。
【0026】
さらに、一実施形態によれば、経路が直線的に走る複数の区間を有することが提供される。
【0027】
さらに、本発明の一実施形態によれば、視野の前記領域を視覚化するために、試験スポットが見えなくなった測定実行の瞬間的位置が、さらなる平面ディスプレイ上の領域のエッジ線として表示される線に連結され、及び/又は、試験スポットが見えるようになった測定実行の瞬間的位置が、さらなる平面ディスプレイ上の領域のエッジ線としても表示される線に連結されることが提供される。
【0028】
本方法のさらなる実施形態によれば、エッジ線で囲まれた領域が、さらなる平面ディスプレイのバックグラウンドから光学的に分離されるように、さらなる平面ディスプレイに表示されることが提供される。
【0029】
さらに、一実施形態において、本発明による方法は、平面ディスプレイ上で検査者によって制御される試験スポットを、該領域から試験スポットが再び被検者に見える周辺領域内に、繰り返し誘導することによって、(記憶された瞬間的位置によって画定される)検出された領域を検査することを提供することができる。
【0030】
さらに、本方法の一実施形態によれば、測定実行中に、特に十字の形で、試験スポットよりも輝度が低く、被検者の視線方向(したがって視野方向)を固定するために被検者が見ることができる、中心オブジェクトが平面ディスプレイ上に表示され、好ましくは、本装置が、測定実行中に、被検者の視線方向が中心オブジェクトから逸脱しているかどうかを検出し、逸脱が検出された場合に試験スポットの移動を停止することが提供される。
【0031】
さらに、本発明の一実施形態によれば、対話装置(Interaktionseinrichtung)が作動される際に、経路に沿って反対方向への(特に、被検者の反応時間に対応する)試験スポットの停止及び戻り移動が実行されるように、測定実行中の試験スポットの移動が対話装置に相互接続されることが提供される。
【0032】
本発明の一実施形態によれば、試験スポットが、特に200cd/m~1000cd/mの範囲にある輝度を有し、特に300cd/m~400cd/mの範囲にある輝度を有することが提供される。
【0033】
好ましくは、一実施形態によれば、試験スポットは、平面ディスプレイ上の表示された(好ましくは暗い)モノトーンのバックグラウンドの前面において、平面ディスプレイ上に表示され、ここで試験スポットの輝度はバックグラウンドの輝度よりも大きい。バックグラウンドは、例えば、暗い青色、特に000066(16進数RGBコード)の色相で表示することができる。また、バックグラウンドを別の暗い色にすることもできる。
【0034】
さらに、一実施形態によれば、中心オブジェクト(例えば十字)は、16進数のRGBコード1111AAの色相を有することができる。試験スポットは、16進数のRGBコードFFFFFFの色相を有することができる。しかし、他の色又はコントラストの組み合わせも考えられる。
【0035】
本発明の一実施形態によれば、平面ディスプレイ上の試験スポットは、試験フィールド内で移動され(すなわち、前記経路は試験フィールド内に位置し、特にエッジを画定する)、前記試験フィールドは4つの角、並びに高さHを有する。
【0036】
さらに、本発明の一実施形態によれば、試験スポットは、試験フィールドの角における直径がH/4.7~H/470の範囲にあり、特に試験フィールドの角において直径がH/20~H/200の範囲、特にH/30~H/100の範囲にあるように、平面ディスプレイ上に生成されることが提供され、この直径は特にH/47であり、ここでHは、各場合において、垂直方向におけるcm単位の試験フィールドの高さである。
【0037】
さらに、本発明の一実施形態によれば、試験スポットの直径が中心オブジェクトからの距離に関連して自動的に変化し、ここで直径が中心オブジェクトに向かって減少し、かつ中心オブジェクトの領域で最小直径を有することが提供される。
【0038】
好ましくは、試験スポットの最小直径は、H/18~H/1800の範囲であり、特にH/75~H/750の範囲、特にH/125~H/500の範囲であり、特に最小直径はH/180であり、ここでHは、各場合において、垂直方向におけるcm単位の試験フィールドの高さである。
【0039】
本発明による方法の一実施形態では、上述した工程は、好ましくは、それぞれ自動的に実施されるが、被検者による対話ユニットの作動は除き、これは被検者の動作によって行われる。さらに、必要であれば、試験スポットの視認性が変化する限界を正確に音で確認するために、検査者が試験スポットを手動でトラッキングすることができる。処理ユニットに(装置のさらなる構成要素を用いて)方法の工程を実行させる命令を含むコンピュータプログラムが実行され得るコンピュータによって、処理ユニットは構成され得る(又は、そのようなコンピュータを含み得る)。処理ユニットへの言及がなされる場合、これは、方法の工程が、協働する複数の処理ユニットによって実施される実施形態も含む。コンピュータプログラムが実行される少なくとも1つのコンピュータ又は少なくとも1つの処理ユニットの代わりに、処理ユニットをハードワイヤードの制御ユニットによって形成することもできる。
【0040】
さらに、本方法の一実施形態によれば、試験スポットが見えなくなった、又は再び見えるようになった瞬間的位置を指定するために(例えば、必要に応じて前記位置を試験スポットで再び横切るときに)、特に必要に応じて、装置のユーザーインターフェースとの対話によって、検査者によって試験スポットの速度が一時的に大幅に減速され、例えば少なくとも50%減速されることが提供される。
【0041】
さらに、本方法の一実施形態によれば、上述した経路に沿った第1の測定実行の後、試験スポットが見えなくなった瞬間的位置又は再び見えるようになった瞬間的位置を検出する際に、特に前記領域(上記参照)をより正確に検出又は視覚化できるようにするために、それぞれの場合において、それぞれの記憶された瞬間的位置において少なくとも1回のさらなる測定実行が実行されることが提供される。
【0042】
さらに、本方法の一実施形態によれば、本方法は、以下の工程をさらに含む:隣接する2つの記憶された瞬間的位置の間に延びる(第1の)測定実行の経路の各区間について、さらなる測定実行を実行する工程であって、ここで各場合において、平面ディスプレイ上の試験スポットを、中心としてそれぞれの区間を含む平面ディスプレイ上の領域内のさらなる経路に沿って本装置によって移動させ、かつ各場合において、被検者により本装置の対話装置を作動させ、領域内のさらなる経路に沿って移動する間に表示された試験スポットが瞬間的位置で被検者から見えなくなったか、又は再び見えるようになった場合に、対話装置の作動によって、本装置に、領域内の試験スポットのそれぞれの瞬間的位置と、瞬間的位置で試験スポットが被検者から見えなくなったか、又は再び見えるようになったかを導き出すことができる関連情報とを記憶させる。
【0043】
本方法のさらなる実施形態によれば、それぞれのさらなる測定実行の後に、それぞれの領域内で見出されるさらなる経路の区間に対してさらなる測定実行が行われることが提供され、この区間は、それぞれの場合において、さらなる経路の2つの隣接する記憶された瞬間的位置の間に延在し、かつ領域のエッジに位置し、測定実行中又はさらなる測定実行中に以前に見出された区間がこの工程で見出されるまで、さらなる測定実行がまたこの区間についても実行され、ここでそれぞれの場合において、平面ディスプレイ上の試験スポットが、平面ディスプレイ上の領域内でさらなる経路に沿って本装置によって移動され、これは表示された試験スポットが領域内のさらなる経路に沿って移動する間に瞬間的位置で被検者から見えなくなるか、又は再び見えるようになる場合に、被検者によってそれぞれの場合に対話装置を作動させて、装置に、領域内の試験スポットのそれぞれの瞬間的位置と、瞬間的位置で試験スポットが被検者から見えなくなったか、又は再び見えるようになったかを導き出すことができる関連情報とを記憶させる。
【0044】
本方法の一実施形態によれば、さらに、それぞれの領域は、大きさが領域の中心の周りに5°、特に2.5°、特に1°であり、それにより、それぞれのさらなる測定実行中の領域内のさらなる経路の隣接する平行区間の距離が、それぞれの場合に2.5°、特に1°、特に0.5°となることが提供される。
【0045】
任意に他の被検者の測定結果をデータベースに保存することにより、例えば人工知能(AI)を使用して、被検者の潜在的な視野障害領域をさらに特定するために使用することができる。この目的のために、特に2つの基本的なAI手法を適用することができる:
- 記憶された瞬間的位置(例えば、それぞれの位置が(x,y)座標ペアとして指定される、平面ディスプレイ又はさらなる平面ディスプレイの座標系)に基づく統計分析-例えばAI機械学習を使用するもの、又は
- 視覚化された検査結果又は領域の画像分析-例えばAIディープラーニングを使用するもの。
【0046】
AIによる他の被検者の分析結果と、他の被検者と比較した視野欠損の可能性に基づいて、まだ検出されていないさらなる視野欠損がある可能性についてさらなる領域を自動的に検査することができる。
【0047】
したがって、本方法のさらなる実施形態によれば、本方法は、様々な被検者の複数のデータセットを用いて訓練されたAIアルゴリズムによって少なくとも1つの領域を自動的に選択するさらなる工程を含み、ここで、それぞれの場合において、平面ディスプレイ上の試験スポットを、平面ディスプレイ上の領域内のさらなる経路に沿って装置によって移動させる、さらなる測定実行が実施されることが提供され、それぞれの場合において、該装置の対話装置は、表示された試験スポットが、領域内のさらなる経路に沿って移動する間に、瞬間的位置でその被検者にとって見えなくなるか、又は再び見えるようになったときに、被検者によって作動され、ここで対話装置の作動によって、装置に、領域内の試験スポットのそれぞれの瞬間的位置と、試験スポットが瞬間的位置でその被検者にとって見えなくなったか、又は再び見えるようになったかを導き出すことができる関連情報とを記憶させる。
【0048】
さらに、本方法の一実施形態によれば、AIアルゴリズムは、様々な被検者のデータセットに基づいて少なくとも1つの領域を選択するように設計され、ここで被検者のそれぞれのデータセットは、被検者の記憶された瞬間的位置を含むか、又はAIアルゴリズムが、様々な被検者のデータセットに基づいて少なくとも1つの領域を選択するように設計され、ここでそれぞれのデータセットが、被検者の視覚化された領域に対応していることが提供される。
【0049】
さらに、本方法の一実施形態によれば、手動による領域検査中に、さらなる試験が自動的に実施される検査者が検査領域上の領域をマークすることが提供される。
【0050】
本方法の一実施形態によれば、本方法は、以下の工程をさらに含む:検査者により選択された領域について少なくとも1回のさらなる測定実行を行う工程であり、ここで平面ディスプレイ上の試験スポットを、装置により平面ディスプレイ上の領域内のさらなる経路に沿って移動させ、かつそれぞれの場合において、領域内のさらなる経路に沿って移動している間に、表示された試験スポットが瞬間的位置でその被検者にとって見えなくなったか、又は再び見えるようになった場合に被検者により装置の対話装置を作動させる、前記工程であり、対話装置の作動により、装置に、領域内の試験スポットのそれぞれの瞬間的位置と、瞬間的位置で試験スポットがその被検者にとって見えなくなったか、又は再び見えるようになったかを導き出すことができる関連情報とを記憶させる。
【0051】
さらに、本方法の一実施形態によれば、検査者が検査領域(例えば、平面ディスプレイ又はさらなる平面ディスプレイ)上で試験スポットを完全に手動で制御する手動の自由検査を実施することが提供される。
【0052】
この点に関して、本方法の一実施形態によれば、本方法が以下の工程をさらに含むことがさらに提供される:少なくとも1回のさらなる測定実行を行う工程であって、ここで平面ディスプレイ上の試験スポットが、装置によって検査者の制御下でさらなる経路に沿って移動され、かつそれぞれの場合において、表示された試験スポットが領域内のさらなる経路に沿って移動する間に瞬間的位置で被検者から見えなくなるか、又は再び見えるようになるときに、被検者によって装置の対話装置を作動させる、前記工程であり、ここで対話装置の作動は、装置に、領域内の試験スポットのそれぞれの瞬間的位置と、瞬間的位置で試験スポットが被検者にとって見えなくなったか、又は再び見えるようになったかを導き出すことができる関連情報とを記憶させる。
【0053】
平面ディスプレイ及び/又はさらなる平面ディスプレイに被検者の視野の前記領域を表示する場合、さらなる測定実行において記憶された瞬間的位置は、今や前記領域のエッジ点も形成するようになっている。このため、領域の精度がそれに応じて向上する。特に、領域を視覚化するために、測定実行及びさらなる測定実行において記憶された瞬間的位置、並びに試験スポットが見えなくなった瞬間的位置を、さらなる平面ディスプレイ上に領域のエッジ線として表示される線で連結することができる。代替的に又は追加的に、試験スポットが可視となった測定実行中及びさらなる測定実行中に記憶された瞬間的位置は、さらなる平面ディスプレイ上の領域のエッジ線として表示される線に連結することができ、それにより、特に、エッジ線に囲まれた領域は、さらなる平面ディスプレイのバックグラウンドから視覚的に浮き上がるような(分離するような)様式で、さらなる平面ディスプレイに表示される。
【0054】
上述の測定実行中又はさらなる測定実行中に、検査者は、任意に、例えば、以下によって、それぞれの場合においてそれぞれの測定実行に影響を与えることができる:
- 可変の試験スポットのサイズ(例えば、試験スポットの開始サイズと終了サイズ、及び試験スポットサイズの変更)、
- それぞれの経路に沿った試験スポットの速度、
- 移動する経路の方向(水平、垂直、斜めなど)
- 平面ディスプレイ上、又はさらなる平面ディスプレイ上、あるいは領域内を移動する経路の区間の数。
【0055】
本発明の別の態様は、コンピュータプログラムがコンピュータによって実行されると、コンピュータ又は装置に本発明による方法の工程を実行させるようにする命令を含むコンピュータプログラムに関する。
【0056】
本発明による方法のさらなる実施形態によれば、特に測定実行中に、平面ディスプレイの内容がデータ伝送接続を介してさらなる平面ディスプレイに伝送されること、及び/又は(特に測定実行中に)さらなる平面ディスプレイの内容がデータ伝送接続を介して平面ディスプレイに伝送されることが提供される。
【0057】
上述した実施形態の例では、データ伝送接続は、コンピュータネットワーク接続、特にインターネット接続であってもよく、1つ以上の知られているネットワークプロトコルを使用することができる。また、データ伝送接続は、無線接続であってもよいし、又は無線接続によって部分的に形成されていてもよい。
【0058】
本方法のさらなる実施形態によれば、装置は、特に、視覚的に検出可能な試験スポットを平面ディスプレイ上に表示し、かつ移動させるための処理ユニットを備えることが提供される。
【0059】
本方法のさらなる実施形態によれば、処理ユニットが被検者の配置にあるローカル処理ユニット(クライアント)であることが提供され、ここでそれぞれの瞬間的位置及び関連情報がローカル処理ユニットに記憶され、データ伝送接続を介してさらなる処理ユニットに伝送され、さらなる処理ユニットにおいて評価され、結果のデータセットを生成する。
【0060】
本方法の別の実施形態によれば、処理ユニットは、被検者の配置にあるローカル処理ユニット(クライアント)であり、それぞれの瞬間的位置及び関連情報がローカル処理ユニットに記憶され、ローカル処理ユニットで評価されて結果のデータセットが生成され、結果のデータセットがデータ伝送接続を介してさらなる処理ユニットに伝送される。
【0061】
ローカル処理ユニットは、特にデスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータなど、被検者のコンピュータ又はクライアントとすることができる。さらなる処理ユニットは、(リモート)サーバーとすることができる。
【0062】
本方法のさらなる別の実施形態によれば、本装置は、平面ディスプレイに接続された、被検者の場所にあるローカル処理ユニットをさらに備え、ここで処理ユニット(特にサーバー)は、ローカル処理ユニットへのデータ伝送接続を介して、平面ディスプレイ上に視覚的に検出可能な試験スポットの表示及び移動を行わせ、それぞれの瞬間的位置及び関連情報は、処理ユニット(サーバー)に記憶され、評価されて、結果のデータセットを生成することが提供される。
【0063】
ローカル処理ユニットは、したがって、被検者のコンピュータ又はクライアントとすることができる(上記参照)。処理ユニットは、好ましくは、データ伝送接続を介してローカル処理ユニットに接続される(リモート)サーバーである。
【0064】
上述した実施形態の例において、データ伝送接続は、コンピュータネットワーク接続、特にインターネット接続であってもよく、1つ以上の知られているネットワークプロトコルを使用することができる。また、データ伝送接続は、無線接続であってもよいし、又は無線接続によって部分的に形成されていてもよい。
【0065】
結果のデータセットは、被検者の視野の前記領域に対応する、又は符号化する、グラフィカルに表現可能なデータを有していてもよい。
【0066】
本発明の別の態様は、コンピュータプログラムが処理ユニット上で実行される際に、処理ユニット又は装置に請求項22~25のいずれか一項に記載の方法の工程を実行させるようにする命令を含むコンピュータプログラムに関する。
【0067】
本発明の別の態様は、本発明によるコンピュータプログラムが記憶されたコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に関する。
【0068】
本発明のさらなる態様は、特に本発明による方法を実施するために配置される、被検者の視野を測定するための装置に関する(この点で、装置は、本明細書に記載される本発明による方法の個々の特徴によってさらに形成されることも可能である)。本装置は、少なくとも以下を備える:
- 被検者が見ることができるように構成された平面ディスプレイ、
- 試験スポットをその被検者の平面ディスプレイ上に表示し、かつ平面ディスプレイ上の予め定義された経路に沿って試験スポットを移動させるように構成された処理ユニット、
- 表示された試験スポットが、経路上の移動中に、瞬間的位置において、その被検者にとって見えなくなるか、又は再び見えるようになったときに、その被検者によって作動されるように構成された対話装置であって、ここで処理ユニットは、対話装置が作動されたときに、それぞれの瞬間的位置と、瞬間的位置にて試験スポットがその被検者から見えなくなったか、又は見えるようになったかを導き出すことができる関連情報とを記憶するように構成されている、前記対話装置。
【0069】
特に、本装置は、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法の工程を実行するように、又は実行する際に使用されるように構成され得る。
【0070】
本発明の一実施形態によれば、対話装置は、対話装置を作動させるための作動要素を備える。これは、例えば、以下の作動要素のうちの1つであってもよい:スイッチ、マイクロフォン、タッチスクリーン、回転ノブ、スライダー。
【0071】
検査される領域又は視野が、試験スポットが交互に見えなくなったり再び見えたりするように、試験スポットから遠ざかって移動する場合、対話装置が単一の信号で作動されれば十分であり、この信号は、例えば、試験スポットの可視性が変化したときに、上述の作動要素の1つを一度作動させることによって生成される。この点で、マイクロフォンも作動要素であると理解される。対話装置からの信号は、様々な方法で処理ユニットに到達することができ、これによって受信され処理されることができる。ここで考えられるのは、例えば電気信号、電磁信号、光信号、音響信号などである。
【0072】
さらに、本装置の一実施形態によれば、本装置が、平面ディスプレイ上に、中心オブジェクト(特に十字の形)を生成するように構成されていることが提供され、これは測定対象の眼によって、被検者により固定可能である。本装置のさらなる実施形態によれば、本装置が、検査者が見ることができるように構成されたさらなる平面ディスプレイを備えることが提供される。
【0073】
さらに、本装置の一実施形態によれば、平面ディスプレイがスクリーンによって形成されるか、又はスクリーンを備えることが提供される。
【0074】
さらに、本装置の一実施形態では、検査者用のさらなる平面ディスプレイが、スクリーンによって形成されるか、又は投影面上に画像を生成するための光源を備えることが提供される。
【0075】
本装置のさらなる実施形態によれば、処理ユニットは、さらに、被検者の視野の領域を決定し、それをさらなる平面ディスプレイ上に検査者に表示するように構成され、ここで前記検出された又は記憶された瞬間的位置は、この領域のエッジ点を形成する。
【0076】
本装置のさらなる実施形態によれば、本装置は、平面ディスプレイに対する被検者の頭部位置を固定するように構成された固定ユニットを備えることが提供される。
【0077】
装置のさらなる実施形態によれば、装置がさらなる処理ユニットを備え、処理ユニットが、データ伝送接続を介してさらなる処理ユニットに瞬間的位置及び関連情報を伝送するように構成され、さらなる処理ユニットが、結果のデータセットを生成するために瞬間的位置及び関連情報を評価するように構成されることが提供される。
【0078】
結果のデータセットは、被検者の視野の前記領域に対応するか、又はそれを符号化するグラフィック表現可能なデータを有してもよい。平面ディスプレイ及び対話装置は、被検者の場所に設けられるか又は配置可能な処理ユニットに接続されてもよい。さらなる処理ユニットは、リモートサーバーであってもよい。データ伝送接続は、ここでもコンピュータネットワーク接続、特にインターネット接続であってもよく、これらは1つ以上の知られているネットワークプロトコルを使用してもよい。データ伝送接続はまた、無線接続であってもよく、又は無線接続によって部分的に形成されてもよい。さらに、さらなる平面ディスプレイは、コンピュータネットワーク接続を介してサーバー又はサーバーに接続されたクライアントに接続されてもよい。また、したがって上記の実施形態により、患者は、自宅のローカルな平面ディスプレイ上で測定実行を行うことが可能となり、対応するデータ(瞬間的位置及び関連情報)を評価用のリモートサーバーに送信することもできる。
【0079】
本装置のさらなる実施形態によれば、本装置がさらなる処理ユニットを備え、処理ユニットが、瞬間的位置及び関連情報を評価して結果のデータセットを生成し、データ伝送接続を介して結果のデータセットをさらなる処理ユニットに送信するように構成されていることが提供される。
【0080】
結果のデータセットは、次いで、被検者の視野の前記領域に対応するか、又はそれを符号化したグラフィック表現可能なデータを有してもよい。平面ディスプレイ及び対話装置は、被検者の場所に設けられるか又は配置可能な処理ユニットに接続されてもよい。さらなる処理ユニットは、リモートサーバーであってもよい。データ伝送接続は、やはり、コンピュータネットワーク接続、特にインターネット接続であってもよく、1つ以上の既知のネットワークプロトコルを使用してもよい。データ伝送接続はまた、無線接続であってもよく、又は無線接続によって部分的に形成されてもよい。さらに、さらなる平面ディスプレイは、コンピュータネットワーク接続を介してサーバー又はサーバーに接続されたクライアントに接続されてもよい。また、本実施形態では、患者が自宅のローカル平面ディスプレイで測定実行を行うことも可能であり、これにより、測定データ(瞬間的位置及び関連情報)の評価もローカルで行われ、結果のデータセットのみがリモートサーバー又は検査者に送信される。
【0081】
本装置のさらなる実施形態によれば、本装置は、平面ディスプレイに接続された、被検者の場所にあるローカル処理ユニットをさらに備え、処理ユニット(特にサーバー)は、ローカル処理ユニットへのデータ伝送接続を介して、平面ディスプレイ上に視覚的に検出可能な試験スポットの表示及び移動を行わせ、それぞれの瞬間的位置及び関連情報は、処理ユニット(サーバー)に記憶され、結果のデータセットを生成するために評価される。
【0082】
ここでもまた、結果のデータセットは、被検者の視野の前記領域に対応するか又はそれを符号化するグラフィック表現可能なデータを有することができる。平面ディスプレイ及び対話装置は、ローカル処理ユニットに接続されてもよく、このローカル処理ユニットは、被検者の場所に設けられるか又は配置されてもよい。処理ユニットは、リモートサーバーであってもよい。データ伝送接続は、コンピュータネットワーク接続、特にインターネット接続であってもよく、これらは1つ以上の既知のネットワークプロトコルを使用してもよい。データ伝送接続はまた、無線接続であってもよいし、無線接続によって部分的に形成されてもよい。さらに、さらなる平面ディスプレイは、コンピュータネットワーク接続を介してサーバー又はサーバーに接続されたクライアントに接続されてもよい。したがって、上述の実施形態により、患者は自宅のローカル平面ディスプレイで測定実行を行うことができる。それにより、測定実行はサーバー上で実行され、かつ評価される。患者は、例えば、ウェブブラウザを使用して患者のローカル処理ユニットを介してインターネットページにアクセスすることができ、これは測定実行を行うためのユーザーインターフェースを形成する。対応するアプリケーションはサーバー上で実行可能である。
【0083】
さらに、本発明による装置は、本方法に関連する上述した特徴によってさらなる形成が可能である。
【0084】
平面ディスプレイは特に、グラフィック表示のために本質的に平らな(平面の)表面を持つという事実によって特徴付けられる。
【0085】
以下では、本発明の実施形態並びに本発明のさらなる特徴及び利点について、図を参照しながら説明する。
【0086】
本発明による方法は、以下においてラピッドカンピメトリー(RAP CAMP又はRAP-CAMP)とも呼ばれる。本方法では、一実施形態によれば、例えば以下に詳細に説明する図1による装置を用いて、基本的に以下の工程を実施する:
・ 被検者Pの眼によって被検者Pによって見られる装置1の平面ディスプレイ2上に視覚的に検出可能な試験スポット6を表示する工程であり、平面ディスプレイ2に対する被検者Pの頭部の空間的位置は変化しないままである、前記工程、
・ 測定実行中の経路7に沿って、装置1により平面ディスプレイ2上の試験スポット6を移動させ、かつ表示された試験スポット6が経路7に沿った移動中に瞬間的位置9(図4を参照)において被検者Pにとって見えなくなったか、又は再び見えるようになった際に、被検者Pによって装置1の対話装置8を作動する工程であり、対話装置8の作動により、装置1に、それぞれの瞬間的位置と、瞬間的位置での試験スポット6が被検者Pにとって見えなくなったか、又は再び見えるようになったかを導き出すことができる関連情報とを記憶させる、前記工程、及び
・ 被検者Pの視野の領域90をさらなる平面ディスプレイ3に表示する工程であり、前記瞬間的位置9が領域90のエッジ点を形成する、前記工程。
【0087】
これは、本発明による方法又は該方法の個々の実施形態の決定的な利点を直接的にもたらすことが可能である:
- 試験スポット6の二重化及び検査の加速。
- 視野角10°の範囲では、(最新のコンピュータペリメーター(視野計)のように)16箇所又は25箇所ではなく、数百箇所から数千箇所の検査が実行可能であり、これにより絶対的な暗点の検出可能性が向上する。
- 約1分間で簡単に実施できることによる患者への集中と協力。これにより、患者の情報の信頼性が高まる。
- ペリメトリーとは対照的に、約1分間などの本方法の利用性の増大により、ルーチン検査に組み込むことができる。
- RAP-CAMPが、容易に適用可能な絶対的な暗点のスクリーニング法となる。
- 正常眼圧緑内障が疑われる患者であれば、誰でも検査を受けることができる。ドイツでは40歳を超える人口の約0.3%が正常眼圧緑内障である。
- 正常眼圧緑内障の危険因子は近視及び片頭痛である。ドイツにおける片頭痛の発症率は約1%である。近視及び片頭痛のある40歳を超える患者はすべて検査を受ける必要がある。暗点がより迅速かつ確実に発見可能であり、より多くの患者が検査することができるために、正常眼圧緑内障の診断頻度は増加するであろう。
- 緑内障の患者(ドイツでは40歳を超える人口の約1%)がより頻繁に検査することが容易である。
- しかしながら、本明細書に記載された方法は、特に診断方法ではなく、測定方法のみであり、特に診断工程を含まず、特に視野の測定のみを実行する。
【0088】
一実施形態によれば、本発明による方法は、例えば以下の工程により、実施することができる:
・ 患者は、スクリーンの形態の平面ディスプレイ2の前に、例えば40cmの距離Aにて座る。
・ 患者Pの頭部は、顎及び額の支持部を含む固定ユニット4を介して固定される。
・ 明るい白色の試験スポット6が暗い画面2を急速に連続して走行する。
・ 試験スポット6は視野を水平、垂直、斜めに通過するため、試験手順によってグリッド状の四分円がカバーされる。
・ 試験スポット6が患者Pにとって見えなくなり、かつその後再び見えるようになるとすぐに、それぞれの場合で患者Pはこの変化を通知する。
・ 検査終了時、このように、試験スポット6が見えなくなった(オフポイント)、又は再び見えるようになった(オンポイント)場所の検出された試験スポットの瞬間的位置9のすべては、視野欠損に対応し得る視野の領域90が認識可能となるように、予備的に互いに連結される(図4参照)。
・ その後に、動的ペリメトリーでこの視野欠損を特定することができる。
【0089】
図1は、本発明による方法を実施するのに適した、被検者Pの視野を測定するための装置1の実施形態を示している。装置1は、被検者Pが見ることができるように構成された平面ディスプレイ2を備えている。装置1は、検査者Uによって見られるように構成された別の平面ディスプレイ3と、任意に、平面ディスプレイ2に対する被検者Pの頭部位置を固定するように構成された固定ユニット4とをさらに備える。装置1は、被検者Pの平面ディスプレイ2上の試験スポット6を平面ディスプレイ2上の予め定められた経路7に沿って表示しかつ移動させるように構成された処理ユニット5(例えばコンピュータの形態)をさらに備える。装置1は、表示された試験スポット6が、瞬間的位置9で経路7に沿って移動する間に、被検者Pにとって見えなくなるか、又は再び見えるようになったときに、被検者Pによって作動されるように構成された対話装置8をさらに備え、ここで処理ユニット5は、対話装置8が作動されたときに、それぞれの瞬間的位置9と、試験スポット6が瞬間的位置9で被検者Pにとって見えなくなったか、又は再び見えるようになったかを導き出すことができる関連情報とを記憶するように構成される(図4参照)。処理ユニット5は被検者Pの視野の領域90をさらなる平面ディスプレイ3に表示するようにさらに構成されており、ここで前記瞬間的位置9は領域90のエッジ点を形成する。
【0090】
固定ユニット4は、例えば、患者Pが顎を置くことができる顎及び額の支持部を有することができる。この前に、必要である場合には眼鏡レンズの使用のためのホルダーを設けることができる。
【0091】
好ましくは、平面ディスプレイ2はスクリーンの形で設計され、患者Pの覆われていない眼から一定の距離Aに配置される。対話装置8は、例えば文字/音によって患者が操作することができる。
【0092】
さらに、患者Pが中央オブジェクト10(例えば十字)を検査対象の眼で確実に固視するように固視制御ユニットを設けることができる。好ましくは、この中心固視用の十字10の固視は、検査者Uによって制御され、検査の開始時に(例えば、角膜反射又は瞳孔像によって)正確に調整される。中心固視10からの逸脱の場合、固視制御ユニットは、好ましくは、試験スポットの走行を自動的に停止する。
【0093】
平面ディスプレイ2又はスクリーン2は、好ましくは、いずれの通常のペリメトリー及びカンピメトリーとは全く異なるものである。これは、好ましくは次のような特徴を持つ:
- 平面ディスプレイ2は暗くなり、例えばダークブルーの色合いになるが、他の暗い色もまた可能である。
- 患者の眼Pと平面ディスプレイ又はスクリーン2との距離は、例えば40cmに設定される。その結果、本発明によるカンピメトリーは、グリッドサイズ14.1cm(垂直)で中央10°の範囲~グリッドサイズ21.4cm(水平)で15°の範囲で実施される。緑内障の初期症例はすべてこの範囲にあり、盲点F(図3参照)もこの範囲にあり、これにより試験スポットが消失したことを患者に示すことができる。
【0094】
図3は、眼球後方の神経線維Nの進路を模式的に示したものである。この正方形は中心10°視野Gに対応する。さらに、最も鋭い視界の位置Sも示している。BSの丸は弧状暗点の進路を例示的に示す。
【0095】
本発明の例によれば、試験スポット6は明るい白色である。半球の周囲とは異なり、輝度(環境+試験スポット)の加算はない。暗いバックグラウンドの代わりに明るい試験スポットが存在する。
【0096】
中央オブジェクト10(例えば中央の十字)は、上述したように、固視点として機能する。したがって、容易に固視できるようにはっきりと見えることが好ましいが、その一方で、明るすぎて患者Pの目をくらませてはならない。したがって、試験スポット6よりも弱い光であることが好ましく、例えば水色の色相を有することができる(他の色も可能である)。
【0097】
試験スポット6の大きさ又は直径は、好ましくは可変的に調節可能であり、検査される患者に対して必要に応じて適合させることができる。一例によれば、試験スポットの直径は、視野の0.3°の範囲に対応する2mmとすることができる。特定の適用では、視力が周辺部に向かって低下するため、中心から10°超過の試験領域で2.5mm(視野内0.4°の範囲)の試験スポットが必要な場合がある。また、視力の低い患者の検査も可能でなければならない。1mm又は1.5mmといった小さな試験スポットは、それが容易に認識できる限り、より精密な検査を可能にするであろう。しかしながら、試験器はより大きくてもよい。好ましくは、装置1は、中心10からの距離が大きくなるにつれて試験スポット6が大きくなるように設計される。
【0098】
すべての先行技術の視野検査方法と大きく異なる点の1つは、試験スポット6の走行速度である。これは患者の視野内を比較的速く移動するためである。それ故、試験スポット6の知覚を短時間で非常に多くの位置で測定することができる。本発明の実施例によれば、例えば、30秒間に10°の範囲で3750箇所を検査することが可能である。最新のコンピュータペリメーターでは、プログラムにもよるが、10°の範囲で16~25箇所を検査する。一方、本発明の検査速度は、例えば、毎秒125フレームとすることができる。試験スポット6の走行速度は、本発明による方法又は本発明による装置1において、検査される患者の個々の要求に基づいて調整することができる。
【0099】
図2は、装置1の対応する構成又は設計により、測定実行中に試験スポット6が通過する可能性のある経路7を示している。
【0100】
本発明の一実施形態によれば、装置1は、試験スポット6を経路7に沿って、第1に6つの垂直区間70に沿って右から左へ、かつ特に上から下へ、また下から上へ交互に走行させ、次に4つの水平区間71に沿って走行させるように設計されている。経路7の長さは、例えば、平面ディスプレイ2上で約130cmとすることができる。3cm/sの試験スポット速度を使用した場合、この例では検査時間は1分未満となる。
【0101】
図5は、経路7の代替構成を示す。ここで、試験スポット6は、第1に、4つの垂直区間70に沿って右から左へ、特に上から下へ、下から上へ交互に誘導される。この後、試験スポット6は、垂直に対して傾斜している4つの区間72に沿って誘導され、それによって、例えば5°の円及び/又は10°の円を、特にそれぞれの円に対して直交して横切る。これは、視神経の神経線維N(図3参照)が可能な限り垂直に切断されるため有利である。
【0102】
検査者Uのさらなる平面ディスプレイ3又はさらなるスクリーン3はまた、好ましくは、スクリーン2上の患者の固視点10に対応する中心オブジェクト/十字10も有する。さらに、視野の大きさの5°、10°及び15°の円が好ましくは表示される。
【0103】
2つの平面ディスプレイ/スクリーン2、3は特に互いに連結され、協同し合うので、試験スポット6もまたさらなるスクリーン3上を検査者Uに可視的に走行する。患者Pが試験スポット6の消失又は再出現を合図すると、これらのスポット又は瞬間的位置9(図4参照)が検査者Uのこのスクリーン3上にマークされる。
【0104】
検査終了時に、試験スポット6が見えなくなった(オフポイント)、又は再び見えるようになった(オンポイント)場所でのすべての位置又は点9は、一例として図4に示すとおり、視野障害の可能性の高い形態が認識できるように、装置1の処理ユニット5によって予備的接続で互いに連結される。予め描かれた視野欠損の可能性は、必要に応じて、動的ペリメトリーのように、試験スポット(試験マークのようなカーソル)を見えない領域から見える領域に移動させることによって検証することができる。検査者Uによって制御されるこの試験スポットの移動は、例えば入力手段11、特にコンピュータ又は処理ユニット5の方向キーを介して検査者Uによって制御される。装置1又は処理ユニット5は、図5に示すとおり、検査終了時に前記領域90又は視野欠損の疑いがある領域を自動的に視覚化するようにさらに設計することもできる。
【0105】
測定の実行中、患者Pは、例えばボタンを押す、話すなどして、試験スポット6の可視性が変化したことを様々な方法で知らせることができる。対話装置8は、この目的のために対応する入力手段を設けている。
【0106】
患者Pによって合図された欠損の位置9は、装置1によって記憶される。第1の測定実行の後、患者Pによって合図された領域は、検査者によって手動で指定することができる。推定される視野欠損90のこのような指定は、例えば、第1の測定実行後の視界の変化のおおよその位置に、よりゆっくりと近づき、患者Pによって合図された欠損領域に焦点を合わせることによって、行われる。原則として、本発明による方法は、遠隔医療方法としての使用にも適している。例えば、測定実行又は検査はインターネットを介して行うことができる。患者Pは、自宅内にコンピュータさえあれば検査を受けることができ、検査者Uは、必要であれば遠隔操作で測定実行を行うことができる。特に経験豊富な患者、例えば既に何度か検査を受けたことのある緑内障患者は、検査手順を知っているため、必要に応じて自律的に検査手順を繰り返すこともできる(片眼を覆う、例えば40cmの距離を保つ、中心オブジェクト10を固定する、例えば試験スポットが消えたらボタンを押す)。補助スタッフは必要ないであろう。例えば、患者は定期的に結果を収集し、主治医(検査者U)に送ることができる。ペリメーターが利用できない世界の他の地域では、インターネットを介して検査技術を指導された介護者が、カンピメトリーの結果を収集し、送信することができる。
【0107】
図1は、被検者Pの視野を測定するための装置1のさらなる実施形態を示しており、これは、本発明による方法を実施するのに適しており、さらに、被検者Pの場所に検査者Uが立ち会う必要がない。
【0108】
この場合、本装置1は、被検者Pが見られるように構成された平面ディスプレイ2を備える。平面ディスプレイ(特にスクリーン)2は、ローカル処理ユニット(例えば、コンピュータの形態)5に接続されており、このローカル処理ユニット5は、次いで、例えば、コンピュータのキーボード又はマイクであり得る対話装置8に接続されている。ローカル処理ユニット5は、データ伝送接続V(例えばインターネット接続)を介して、例えばサーバーであってもよいさらなる処理ユニット55に接続される。サーバー側には、検査者Uのためのさらなる平面ディスプレイ3及びキーボード11が設けられていてもよい。測定実行に関しては、ローカル処理ユニット5上で実行されるコンピュータプログラムによってこれを実装することが可能となる。ローカル処理ユニット5上で、測定データ(瞬間的位置及び関連情報)を保存し、評価し、結果のデータセットを生成することができる。結果のデータセットは、データ伝送接続Vを介してサーバー55又は検査者Uに伝送することができる。あるいは、測定データをサーバー55に送信し、そこで評価することによって結果のデータセットを生成することも可能である。
【0109】
さらに、さらなる処理ユニット55(例えばサーバー)上で実行されるコンピュータプログラム、例えばブラウザベースのアプリケーションによって測定実行を実現することも可能である。患者は、データ伝送又はインターネット接続Vを介してこのアプリケーションにアクセスすることができ、測定実行中に収集された測定データはサーバー55に保存され、そこで評価されて結果のデータセットが生成される。
【0110】
前述のプロセス変形例において、結果のデータセットは、被検者の視野の前記領域90に対応するか又はそれを符号化するグラフィック表現可能なデータを有することができる(図4及び図5参照)。この領域90は、例えば、平面ディスプレイ2を介して患者に、又はさらなる平面ディスプレイ3を介して遠隔検査者Uに表示することができる。
【0111】
検査者Uは、特に測定実行中に患者Pと通信することができる。患者と検査者との間のこのような(例えば視聴覚的な)コミュニケーション(例えばビデオチャットの形態)はまた、2つの処理ユニット5、55の間のデータ伝送接続Vを介して、又は他の手段によっても実現することができる。
【0112】
図5による実施形態の様々な設計により、患者は自宅のローカル平面ディスプレイ上で測定実行を行うことができる。必要であれば、患者はリアルタイムで検査者の誘導、又は付き添いを受けることができる。
【0113】
さらに、本発明による方法又は対応する装置の一実施形態によれば、上述の定義された経路に沿った第1の測定実行の後、視野欠損が検出された場合(すなわち、試験スポットが見えなくなり、その後再び見えるようになる瞬間的位置9が検出されるイベント)、さらに、いずれの検出された視野欠損をより正確に走査する任意に詳細な検査又はさらなる測定実行を行うことができることが提供される。これは、特に(部分的に)自動化され(図9図11を参照)、かつさらなる人工知能(AI)に基づく方法(図12参照)の支援を伴って、上述の方法で(例えば、より小さな領域92について)行うことができる。さらに、手動の領域検査(図13参照)、あるいはさらに手動の自由検査(図14参照)を行うこともできる。
【0114】
詳細には、例えば、第1の測定実行又は標準実行の間に検出される経路7に沿った区間91は、被検者Pにとって試験スポット6が見えなくなるか、又は再び見えるようになる2つの連続する瞬間的位置9の間に延在する区間であり、例えば以下のプロセス工程を適用することにより、当該区間91(潜在的な暗点領域)の周囲の領域検査によって、自動化された方法でさらに詳細にされ、かつ特定することができる。
【0115】
領域92は、第1の測定実行中に検出された区間91(潜在的な暗点又は欠陥領域)の周囲に画定され(図8参照)、その中を試験スポットがさらなる経路70に沿って誘導され、それによって試験スポット6が見えなくなるか、又は再び見えるようになる瞬間的位置9が再び検出される(図9参照)。当該領域92におけるさらなる経路70に沿ったさらなる測定実行の後、それぞれの場合において領域92のエッジに位置する区間91(新たな潜在的欠損領域)がさらなる領域92の中心として使用され、これらの領域92は、第1の測定実行又はさらなる測定実行において検出されたさらなる区間91(潜在的暗点領域)と重なるまで再び走行される。この区間91もまた、同じ原理に従って通過される領域92の中心として選択される(図9図11参照)。
【0116】
この手順の代替として、第1の測定実行(図8参照)中に特定された区間91(又は潜在的な暗点又は欠損領域)はそれぞれ、試験スポット6がさらなる経路70に沿って誘導される領域92の中心としてそれぞれの場合で使用することができ、これにより、それぞれの場合において、試験スポット6が被検者Pにとって見えなくなるか、又は見えるようになる瞬間的位置9が記憶される(図9及び図11参照)。
【0117】
特に、領域92は、第1の測定実行の間に経路7が通過する領域よりも小さい領域を有する。特に、それぞれの領域92は、5°、特に2.5°、特に1°の視角に対応するそれぞれの中心(区間91)の周りの領域をカバーすることができ、これにより、さらなる経路70の隣接する平行区間70a間の距離は、それぞれの場合に2.5°であり、特にそれぞれの場合に1°、特にそれぞれの場合に0.5°である。
【0118】
さらなる測定実行に関して、例えばAIアルゴリズムを訓練するために、さらなる被検者の患者データを使用することもできる。このようにして、以前の検査法では発見されなかった潜在的な欠損領域又は区間91を特定することができる。この目的のために、とりわけ、2つの基本的なAI方法を適用することができる、すなわち、一方は、検査領域の座標系(例えば、平面ディスプレイ又はさらなる平面ディスプレイの座標系における(x,y)座標)における記憶された瞬間的位置9に基づく統計分析であり、また、他方は、視覚化された検査結果の画像分析であり、すなわち、例えば、位置9によってエッジが形成される領域90の画像分析である。他の被検者のAI分析の結果と、他の被検者と比較して潜在的な欠損/暗点の確率とに基づいて、さらなる領域92を自動的に検査することができ、そこでは潜在的にさらにまだ認識されていない区間91を位置づけることができる。この目的のために、上述したとおり、AIによって決定された領域92においてさらなる測定実行を行うことができる(図12参照)。
【0119】
さらに、それぞれの領域92は検査者により決定することもでき、その後、(自動的な)さらなる測定実行を、上述の方法でさらなる経路70に沿って実施することができる(図13参照)。
【0120】
最後に、検査者がさらなる測定実行のためのさらなる経路70をリアルタイムで決定又は制御することも可能である(図14参照)。
【0121】
上記のすべての検査方法又はさらなる測定実行において、検査者は任意に検査パラメータ、すなわち、特に以下の検査パラメータに影響を与えるか、又は調節することができる:
- 試験スポット6のサイズ又は直径(例えば、試験スポット6の開始サイズ及び終了サイズ、場合によっては、サイズ又はその速度の変更)、
- 移動する試験スポット6の速度、
- 通過対象の経路7、70の方向(例えば、水平、垂直、斜めなど)
- 領域92内、又は平面ディスプレイ又はさらなる平面ディスプレイ上で通過対象の経路7、70の区間70aの数。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【国際調査報告】