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特表2024-502670GARPタンパク質抗体及びその適用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-22
(54)【発明の名称】GARPタンパク質抗体及びその適用
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/13 20060101AFI20240115BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20240115BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20240115BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20240115BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20240115BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20240115BHJP
   C12P 21/08 20060101ALI20240115BHJP
   C07K 16/18 20060101ALI20240115BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240115BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240115BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240115BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20240115BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20240115BHJP
   A61K 35/12 20150101ALI20240115BHJP
【FI】
C12N15/13 ZNA
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12P21/08
C07K16/18
A61K39/395 T
A61K45/00
A61P35/00
A61K39/395 D
A61K47/68
A61K31/7088
A61K35/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023542963
(86)(22)【出願日】2022-01-17
(85)【翻訳文提出日】2023-09-07
(86)【国際出願番号】 CN2022072265
(87)【国際公開番号】W WO2022152285
(87)【国際公開日】2022-07-21
(31)【優先権主張番号】202110065290.8
(32)【優先日】2021-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521155852
【氏名又は名称】シャンハイ ジェミンケア ファーマシューティカル カンパニー,リミティド
(71)【出願人】
【識別番号】521155863
【氏名又は名称】チアンシー ジェミンケア グループ カンパニー、リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 達則
(72)【発明者】
【氏名】チャン チエンチエン
(72)【発明者】
【氏名】パン チョンツォン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン シンシウ
(72)【発明者】
【氏名】リウ シアオウー
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ルー
(72)【発明者】
【氏名】リウ ペイペイ
(72)【発明者】
【氏名】ツァオ シアオタン
(72)【発明者】
【氏名】トン スーチュン
(72)【発明者】
【氏名】ワン シュエピン
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4C076
4C084
4C085
4C086
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG27
4B064CA19
4B064CC24
4B064DA01
4B065AA01X
4B065AA57X
4B065AA72X
4B065AA90X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA25
4B065CA44
4C076AA95
4C076CC27
4C076CC41
4C076EE41
4C076EE59
4C084AA19
4C084MA02
4C084NA05
4C084NA13
4C084ZB26
4C084ZC751
4C085AA14
4C085BB31
4C085CC23
4C085DD61
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086MA03
4C086MA05
4C086NA05
4C086NA13
4C086ZB26
4C086ZC75
4C087AA01
4C087AA02
4C087AA03
4C087BB63
4C087CA12
4C087MA02
4C087NA05
4C087NA13
4C087ZB26
4C087ZC75
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA72
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
GARPタンパク質抗体、及びGARPタンパク質抗体を含むか又は発現する細胞が提供される。このGARPタンパク質抗体は、ヒトGARP/ヒトTGF-β1複合体へ、K値約1.0E-12以下で結合する。GARPタンパク質抗体及び免疫チェックポイント阻害剤を含む医薬品組合せ、並びにそれらの使用も、提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の特性の1又は複数を有する、単離された抗原-結合タンパク質:
a)OctetアッセイにおいてK値約1.0E-12以下でヒトGARP/ヒトTGF-β1複合体へ結合すること;
b)ヒトGARPのみを発現している細胞又はヒトTGF-β1のみを発現している細胞には結合しないこと;
c)Treg細胞におけるSMAD2リン酸化を阻害すること;
d)ヒトGARP/ヒトTGF-β1を発現しているHEK293T細胞からのTGF-β1の放出を阻害すること;
e)Treg細胞が、ヒト末梢血単核細胞(PBMC)からのIL-2及びIFN-γの放出を阻害することを妨げること;並びに
f)ヒトPBMC移植したマウスGvHDモデルにおいて、ヒトPBMCにより誘導されたGvHDに対するTreg細胞の阻害作用をブロックすること。
【請求項2】
配列番号:4に示されたアミノ酸配列を含むHCDR3を含む、請求項1に記載の単離された抗原-結合タンパク質。
【請求項3】
配列番号:3に示されたアミノ酸配列を含むHCDR2を含む、請求項1または2に記載の単離された抗原-結合タンパク質。
【請求項4】
配列番号:2に示されたアミノ酸配列を含むHCDR1を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の単離された抗原-結合タンパク質。
【請求項5】
配列番号:2に示されたアミノ酸配列を含むHCDR1、配列番号:3に示されたアミノ酸配列を含むHCDR2、及び配列番号:4に示されたアミノ酸配列を含むHCDR3を含む、重鎖可変領域VHを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の単離された抗原-結合タンパク質。
【請求項6】
H-FR1のC-末端側が、HCDR1のN-末端側側に、直接又は間接に連結され、並びにH-FR1が、配列番号:46に示されたアミノ酸配列を含むような、H-FR1を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の単離された抗原-結合タンパク質。
【請求項7】
前記H-FR1が、配列番号:5及び配列番号:22に示されたアミノ酸配列を含む、請求項6に記載の単離された抗原-結合タンパク質。
【請求項8】
H-FR2が、HCDR1とHCDR2の間に配置され、並びにH-FR2が、配列番号:47に示されたアミノ酸配列を含むような、H-FR2を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の単離された抗原-結合タンパク質。
【請求項9】
前記H-FR2が、配列番号:6及び配列番号:23のいずれか一つに示されたアミノ酸配列を含む、請求項8に記載の単離された抗原-結合タンパク質。
【請求項10】
H-FR3が、HCDR2とHCDR3の間に配置され、並びにH-FR3が、配列番号:48に示されたアミノ酸配列を含むような、H-FR3を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の単離された抗原-結合タンパク質。
【請求項11】
前記H-FR3が、配列番号:7及び配列番号:24のいずれか一つに示されたアミノ酸配列を含む、請求項10に記載の単離された抗原-結合タンパク質。
【請求項12】
H-FR4のN-末端側が、HCDR3のC-末端側に、直接又は間接に連結され、並びにH-FR4が、配列番号:49に示されたアミノ酸配列を含むような、H-FR4を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の単離された抗原-結合タンパク質。
【請求項13】
前記H-FR4が、配列番号:8及び配列番号:25のいずれか一つに示されたアミノ酸配列を含む、請求項12に記載の単離された抗原-結合タンパク質。
【請求項14】
配列番号:46に示されたアミノ酸配列を含むH-FR1、配列番号:47に示されたアミノ酸配列を含むH-FR2、配列番号:48に示されたアミノ酸配列を含むH-FR3、及び配列番号:49に示されたアミノ酸配列を含むH-FR4を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の単離された抗原-結合タンパク質。
【請求項15】
配列番号:5及び配列番号:22のいずれか一つに示されたアミノ酸配列を含むH-FR1、配列番号:6及び配列番号:23のいずれか一つに示されたアミノ酸配列を含むH-FR2、配列番号:7及び配列番号:24のいずれか一つに示されたアミノ酸配列を含むH-FR3、並びに配列番号:8及び配列番号:25のいずれか一つに示されたアミノ酸配列を含むH-FR4を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の単離された抗原-結合タンパク質。
【請求項16】
前記H-FR1、H-FR2、H-FR3、及びH-FR4が、以下からなる群のいずれか一つから選択されるアミノ酸配列を含む、請求項15に記載の単離された抗原-結合タンパク質:
a)H-FR1:配列番号:5、H-FR2:配列番号:6、H-FR3:配列番号:7、及びH-FR4:配列番号:8;
b)H-FR1:配列番号:22、H-FR2:配列番号:23、H-FR3:配列番号:24、及びH-FR4:配列番号:25。
【請求項17】
配列番号:50に示されたアミノ酸配列を含む重鎖可変領域VHを含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の単離された抗原-結合タンパク質。
【請求項18】
前記VHが、配列番号:1及び配列番号:21のいずれか一つに示されたアミノ酸配列を含む、請求項17に記載の単離された抗原-結合タンパク質。
【請求項19】
配列番号:12に示されたアミノ酸配列を含むLCDR3を含む、請求項1~18のいずれか一項に記載の単離された抗原-結合タンパク質。
【請求項20】
配列番号:45に示されたアミノ酸配列を含むLCDR2を含む、請求項1~19のいずれか一項に記載の単離された抗原-結合タンパク質。
【請求項21】
配列番号:11及び配列番号:28のいずれか一つに示されたアミノ酸配列を含むLCDR2を含む、請求項1~20のいずれか一項に記載の単離された抗原-結合タンパク質。
【請求項22】
配列番号:44に示されたアミノ酸配列を含むLCDR1を含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の単離された抗原-結合タンパク質。
【請求項23】
配列番号:10及び配列番号:27のいずれか一つに示されたアミノ酸配列を含むLCDR1を含む、請求項1~22のいずれか一項に記載の単離された抗原-結合タンパク質。
【請求項24】
配列番号:44に示されたアミノ酸配列を含むLCDR1、配列番号:45に示されたアミノ酸配列を含むLCDR2、及び配列番号:12に示されたアミノ酸配列を含むLCDR3を含む軽鎖可変領域VLを含む、請求項1~23のいずれか一項に記載の単離された抗原-結合タンパク質。
【請求項25】
配列番号:10及び配列番号:27のいずれか一つに示されたアミノ酸配列を含むLCDR1、配列番号:11及び配列番号:28のいずれか一つに示されたアミノ酸配列を含むLCDR2、及び配列番号:12に示されたアミノ酸配列を含むLCDR3を含む、軽鎖可変領域VLを含む、請求項1~24のいずれか一項に記載の単離された抗原-結合タンパク質。
【請求項26】
前記LCDR1、LCDR2、及びLCDR3が、以下からなる群のいずれか一つから選択されるアミノ酸配列を含む、請求項25に記載の単離された抗原-結合タンパク質:
a)LCDR1:配列番号:10、LCDR2:配列番号:11、及びLCDR3:配列番号:12;
b)LCDR1:配列番号:27、LCDR2:配列番号:28、及びLCDR3:配列番号:12。
【請求項27】
L-FR1のC-末端側が、LCDR1のN-末端側に、直接又は間接に連結され、並びにL-FRlが、配列番号:52に示されたアミノ酸配列を含むような、L-FR1を含む、請求項1~26のいずれか一項に記載の単離された抗原-結合タンパク質。
【請求項28】
前記L-FR1が、配列番号:13及び配列番号:29のいずれか一つに示されたアミノ酸配列を含む、請求項27に記載の単離された抗原-結合タンパク質。
【請求項29】
L-FR2が、LCDR1とLCDR2の間に配置され、並びにL-FR2が、配列番号:14に示されたアミノ酸配列を含むような、L-FR2を含む、請求項1~28のいずれか一項に記載の単離された抗原-結合タンパク質。
【請求項30】
L-FR3が、LCDR2とLCDR3の間に配置され、並びにL-FR3が、配列番号:53に示されたアミノ酸配列を含むような、L-FR3を含む、請求項1~29のいずれか一項に記載の単離された抗原-結合タンパク質。
【請求項31】
前記L-FR3が、配列番号:15及び配列番号:30のいずれか一つに示されたアミノ酸配列を含む、請求項30に記載の単離された抗原-結合タンパク質。
【請求項32】
L-FR4のN-末端側が、LCDR3のC-末端側に、直接又は間接に連結され、並びにL-FR4が、配列番号:54に示されたアミノ酸配列を含むような、L-FR4を含む、請求項1~31のいずれか一項に記載の単離された抗原-結合タンパク質。
【請求項33】
前記L-FR4が、配列番号:16及び配列番号:31のいずれか一つに示されたアミノ酸配列を含む、請求項32に記載の単離された抗原-結合タンパク質。
【請求項34】
配列番号:52に示されたアミノ酸配列を含むL-FR1、配列番号:14に示されたアミノ酸配列を含むL-FR2、配列番号:53に示されたアミノ酸配列を含むL-FR3、並びに配列番号:54に示されたアミノ酸配列を含むL-FR4を含む、請求項1~33のいずれか一項に記載の単離された抗原-結合タンパク質。
【請求項35】
配列番号:13及び配列番号:29のいずれか一つに示されたアミノ酸配列を含むL-FR1、配列番号:14に示されたアミノ酸配列を含むL-FR2、配列番号:15及び配列番号:30のいずれか一つに示されたアミノ酸配列を含むL-FR3、並びに配列番号:16及び配列番号:31のいずれか一つに示されたアミノ酸配列を含むL-FR4を含む、請求項1~34のいずれか一項に記載の単離された抗原-結合タンパク質。
【請求項36】
前記L-FR1、L-FR2、L-FR3、及びL-FR4が、以下からなる群のいずれか一つから選択されるアミノ酸配列を含む、請求項35に記載の単離された抗原-結合タンパク質:
a)L-FR1:配列番号:13、L-FR2:配列番号:14、L-FR3:配列番号:15、及びH-FR4:配列番号:16;
b)L-FR1:配列番号:29、L-FR2:配列番号:14、L-FR3:配列番号:30、及びH-FR4:配列番号:31。
【請求項37】
配列番号:51に示されたアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域VLを含む、請求項1~36のいずれか一項に記載の単離された抗原-結合タンパク質。
【請求項38】
配列番号:9及び配列番号:26のいずれか一つに示されたアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域VLを含む、請求項1~37のいずれか一項に記載の単離された抗原-結合タンパク質。
【請求項39】
IgG-由来の定常領域又はIgY-由来の定常領域を含む重鎖定常領域を含む、請求項1~38のいずれか一項に記載の単離された抗原-結合タンパク質。
【請求項40】
前記重鎖定常領域が、ヒトIgG4-由来の定常領域を含む、請求項39に記載の単離された抗原-結合タンパク質。
【請求項41】
前記重鎖定常領域が、配列番号:17に示されたアミノ酸配列を含む、請求項39~40のいずれか一項に記載の単離された抗原-結合タンパク質。
【請求項42】
軽鎖定常領域を含み、並びにこの抗体軽鎖定常領域が、Igκ-由来の定常領域又はIgλ-由来の定常領域を含む、請求項1~41のいずれか一項に記載の単離された抗原-結合タンパク質。
【請求項43】
前記軽鎖定常領域が、ヒトIgκ-由来の定常領域を含む、請求項42に記載の単離された抗原-結合タンパク質。
【請求項44】
前記軽鎖定常領域が、配列番号:18に示されたアミノ酸配列を含む、請求項42~43のいずれか一項に記載の単離された抗原-結合タンパク質。
【請求項45】
配列番号:19及び配列番号:32のいずれか一つに示されたアミノ酸配列を含む重鎖HCを含む、請求項1~44のいずれか一項に記載の単離された抗原-結合タンパク質。
【請求項46】
配列番号:20及び配列番号:33のいずれか一つに示されたアミノ酸配列を含む軽鎖LCを含む、請求項1~45のいずれか一項に記載の単離された抗原-結合タンパク質。
【請求項47】
配列番号:19及び配列番号:32のいずれか一つに示されたアミノ酸配列を含むHC、並びに配列番号:20及び配列番号:33のいずれか一つに示されたアミノ酸配列を含むLCを含む、請求項1~46のいずれか一項に記載の単離された抗原-結合タンパク質。
【請求項48】
前記HC及びLCが、以下からなる群のいずれか一つから選択されるアミノ酸配列を含む、請求項47に記載の単離された抗原-結合タンパク質:
a)HC:配列番号:19及びLC:配列番号:20;
b)HC:配列番号:32及びLC:配列番号:33。
【請求項49】
抗体又はその抗原-結合断片を含む、請求項1~48のいずれか一項に記載の単離された抗原-結合タンパク質。
【請求項50】
前記抗原-結合断片が、Fab、Fab’、F(ab)2、Fv断片、F(ab’)2、scFv、ジ-scFv、VHH、及び/又はdAbを含む、請求項49に記載の単離された抗原-結合タンパク質。
【請求項51】
前記抗体が、モノクローナル抗体、一本鎖抗体、マウス抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、及び完全ヒト抗体からなる群から選択される、請求項49~50のいずれか一項に記載の単離された抗原-結合タンパク質。
【請求項52】
請求項1~51のいずれか一項に記載の単離された抗原-結合タンパク質を含む、ポリペプチド。
【請求項53】
請求項1~51のいずれか一項に記載の単離された抗原-結合タンパク質又は請求項52に記載のポリペプチドを含む、イムノコンジュゲート。
【請求項54】
更に医薬として許容し得る治療薬を含む、請求項53に記載のイムノコンジュゲート。
【請求項55】
前記治療薬が、細胞傷害性薬剤及び細胞分裂阻害剤の群から選択される、請求項54に記載のイムノコンジュゲート。
【請求項56】
請求項1~51のいずれか一項に記載の単離された抗原-結合タンパク質又は請求項52のポリペプチドをコードしている、単離された核酸分子。
【請求項57】
請求項56に記載の単離された核酸分子を含む、ベクター。
【請求項58】
請求項1~51のいずれか一項に記載の単離された抗原-結合タンパク質、請求項52に記載のポリペプチド、請求項53~55のいずれか一項に記載のイムノコンジュゲート、請求項56に記載の単離された核酸分子、及び/又は請求項57に記載のベクターを含む、細胞。
【請求項59】
請求項1~51のいずれか一項に記載の単離された抗原-結合タンパク質又は請求項52に記載のポリペプチドを発現することが可能である条件下で、請求項58に記載の細胞を培養することを含む、請求項1~51のいずれか一項に記載の単離された抗原-結合タンパク質又は請求項52に記載のポリペプチドを調製する方法。
【請求項60】
請求項1~51のいずれか一項に記載の単離された抗原-結合タンパク質、請求項52に記載のポリペプチド、請求項53~55のいずれか一項に記載のイムノコンジュゲート、請求項56に記載の単離された核酸分子、請求項57に記載のベクター、請求項58に記載の細胞、並びに/又は医薬として許容し得るアジュバント及び/もしくは賦形剤を含有する、医薬組成物。
【請求項61】
請求項1~51のいずれか一項に記載の単離された抗原-結合タンパク質及び免疫チェックポイント阻害剤を含む、医薬品組合せ。
【請求項62】
前記免疫チェックポイント阻害剤が、PD-1/PD-L1の相互作用を阻害する物質を含む、請求項61記載の医薬品組合せ。
【請求項63】
前記免疫チェックポイント阻害剤が、PD-1/PD-L1遮断薬、PD-1拮抗剤、PD-L1拮抗剤、PD-1阻害剤、及びPD-L1阻害剤からなる群から選択される、請求項61~62のいずれか一項に記載の医薬品組合せ。
【請求項64】
前記免疫チェックポイント阻害剤が、抗-PD-L1抗体を含む、請求項61~63のいずれか一項に記載の医薬品組合せ。
【請求項65】
前記抗-PD-L1抗体が、配列番号:37に示されたアミノ酸配列を含むHCDR3を含む、請求項64記載の医薬品組合せ。
【請求項66】
前記抗-PD-L1抗体が、配列番号:36に示されたアミノ酸配列を含むHCDR2を含む、請求項64~65のいずれか一項に記載の医薬品組合せ。
【請求項67】
前記抗-PD-L1抗体が、配列番号:35に示されたアミノ酸配列を含むHCDR1を含む、請求項64~66のいずれか一項に記載の医薬品組合せ。
【請求項68】
前記抗-PD-L1抗体が、配列番号:35に示されたアミノ酸配列を含むHCDR1、配列番号:36に示されたアミノ酸配列を含むHCDR2、及び配列番号:37に示されたアミノ酸配列を含むHCDR3を含む重鎖可変領域VHを含む、請求項64~67のいずれか一項に記載の医薬品組合せ。
【請求項69】
前記抗-PD-L1抗体が、配列番号:34に示されたアミノ酸配列を含む重鎖可変領域VHを含む、請求項64~68のいずれか一項に記載の医薬品組合せ。
【請求項70】
前記抗-PD-L1抗体が、配列番号:41に示されたアミノ酸配列を含むLCDR3を含む、請求項64~69のいずれか一項に記載の医薬品組合せ。
【請求項71】
前記抗-PD-L1抗体が、配列番号:40に示されたアミノ酸配列を含むLCDR2を含む、請求項64~70のいずれか一項に記載の医薬品組合せ。
【請求項72】
前記抗-PD-L1抗体が、配列番号:39に示されたアミノ酸配列を含むLCDR1を含む、請求項64~71のいずれか一項に記載の医薬品組合せ。
【請求項73】
前記抗-PD-L1抗体が、配列番号:39に示されたアミノ酸配列を含むLCDR1、配列番号:40に示されたアミノ酸配列を含むLCDR2、及び配列番号:41に示されたアミノ酸配列を含むLCDR3を含む軽鎖可変領域VLを含む、請求項64~72のいずれか一項に記載の医薬品組合せ。
【請求項74】
前記抗-PD-L1抗体が、配列番号:38に示されたアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域VLを含む、請求項64~73のいずれか一項に記載の医薬品組合せ。
【請求項75】
前記抗-PD-L1抗体が、アテゾリズマブを包含する、請求項64~74のいずれか一項に記載の医薬品組合せ。
【請求項76】
医薬組成物であることができる、請求項61~75のいずれか一項に記載の医薬品組合せ。
【請求項77】
請求項61~76のいずれか一項に記載の医薬品組合せを含む、キット。
【請求項78】
腫瘍の予防、寛解、及び/又は治療のための、請求項1~51のいずれか一項に記載の単離された抗原-結合タンパク質、請求項52に記載のポリペプチド、請求項53~55のいずれか一項に記載のイムノコンジュゲート、請求項56に記載の単離された核酸分子、請求項57に記載のベクター、請求項58に記載の細胞、及び/又は請求項60に記載の医薬組成物。
【請求項79】
前記腫瘍が、充実性腫瘍を包含する、請求項78に記載の使用。
【請求項80】
前記腫瘍が、GARPタンパク質の発現に関連した腫瘍を包含する、請求項78~79のいずれか一項に記載の使用。
【請求項81】
前記腫瘍が、メラノーマ、乳房腫瘍、及び/又は肺腫瘍を包含する、請求項78~80のいずれか一項に記載の使用。
【請求項82】
腫瘍の予防、寛解、及び/又は治療のための、請求項61~76のいずれか一項に記載の医薬品組合せ、及び/又は請求項77に記載のキット。
【請求項83】
前記腫瘍が、充実性腫瘍を包含する、請求項82に記載の使用。
【請求項84】
前記腫瘍が、GARPの発現に関連した腫瘍を包含する、請求項82~83のいずれか一項に記載の使用。
【請求項85】
前記腫瘍が、メラノーマ、乳房腫瘍、及び/又は肺腫瘍を包含する、請求項82~84のいずれか一項に記載の使用。
【請求項86】
腫瘍の予防、寛解、及び/又は治療のための医薬品の製造における、請求項1~51のいずれか一項に記載の単離された抗原-結合タンパク質、請求項52に記載のポリペプチド、請求項53~55のいずれか一項に記載のイムノコンジュゲート、請求項56に記載の単離された核酸分子、請求項57に記載のベクター、請求項58に記載の細胞、及び/又は請求項60に記載の医薬組成物の使用。
【請求項87】
前記腫瘍が、充実性腫瘍を包含する、請求項86に記載の使用。
【請求項88】
前記腫瘍が、GARPの発現に関連した腫瘍を包含する、請求項86~87のいずれか一項に記載の使用。
【請求項89】
前記腫瘍が、メラノーマ、乳房腫瘍、及び/又は肺腫瘍を包含する、請求項86~88のいずれか一項に記載の使用。
【請求項90】
腫瘍の予防、寛解、及び/又は治療のための医薬品の調製における、請求項61~76のいずれか一項に記載の医薬品組合せ及び/又は請求項77に記載のキットの使用。
【請求項91】
前記腫瘍が、充実性腫瘍を包含する、請求項90に記載の使用。
【請求項92】
前記腫瘍が、GARPの発現に関連した腫瘍を包含する、請求項90~91のいずれか一項に記載の使用。
【請求項93】
前記腫瘍が、メラノーマ、乳房腫瘍、及び/又は肺腫瘍を包含する、請求項90~92のいずれか一項に記載の使用。
【請求項94】
請求項1~51のいずれか一項に記載の単離された抗原-結合タンパク質、請求項52に記載のポリペプチド、請求項53~55のいずれか一項に記載のイムノコンジュゲート、請求項56に記載の単離された核酸分子、請求項57に記載のベクター、請求項58に記載の細胞、及び/又は請求項60に記載の医薬組成物の有効量を、それを必要とする対象へ投与することを含む、疾患又は障害の予防及び/又は治療のための方法であって、ここで該疾患又は障害が、腫瘍を包含する、方法。
【請求項95】
前記腫瘍が、充実性腫瘍を包含する、請求項94に記載の方法。
【請求項96】
前記腫瘍が、GARPの発現に関連した腫瘍を包含する、請求項94~95のいずれか一項に記載の使用。
【請求項97】
前記腫瘍が、メラノーマ、乳房腫瘍、及び/又は肺腫瘍を包含する、請求項94~96のいずれか一項に記載の方法。
【請求項98】
請求項61~76のいずれか一項に記載の医薬品組合せの有効量を、それを必要とする対象へ投与することを含む、疾患又は障害の予防及び/又は治療のための方法であって、ここで該疾患又は障害が、腫瘍を包含する、方法。
【請求項99】
前記腫瘍が、充実性腫瘍を包含する、請求項98に記載の方法。
【請求項100】
前記腫瘍が、GARPの発現に関連した腫瘍を包含する、請求項98~99のいずれか一項に記載の方法。
【請求項101】
前記腫瘍が、メラノーマ、乳房腫瘍、及び/又は肺腫瘍を包含する、請求項98~100のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の技術分野
本願は、バイオ医薬の分野、特にGARPタンパク質抗体及びその使用に関連している。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
制御性T細胞(Treg)は、自己免疫疾患及び腫瘍形成に密接に関連しており、その異常な活性は、自己免疫疾患又は腫瘍形成を引き起こし得る。免疫学の分野における最新研究の活発な分野としてのTreg細胞は、低い免疫応答及び免疫抑制作用の2つの特徴を有し、且つ「活性」モードで免疫系を阻害することにより、負の免疫調節において役割を果たしている。Tregは、その起源及び作用機序に応じて、天然のCD4+CD25+Treg(内在性制御性T細胞、nTreg)及び誘導型適応制御性T細胞(aTreg又はiTreg)に分類され得る。
【0003】
80kDaのI型膜糖タンパク質としての、GARP(ヒト反復優位糖タンパク質A)タンパク質は、巨核球、血小板、及び活性型制御性T細胞(Treg細胞)上に発現され、ロイシン-リッチ反復配列-含有タンパク質ファミリーに属する。TGF-βは不活性状態で、不活性結合タンパク質LAPとケージ構造を形成し、これはGARP、インテグリン、プロテアーゼ又は他の基質により活性化され、活性型TGF-βを形成することができ、これがオートクリン又はパラクリンを介して受容体に結合することにより、細胞のシグナル伝達を活性化する。TGF-βシグナル伝達は、チェックポイント遮断療法に対し抵抗性の腫瘍の発達に主に関与していると考えられる。例えば、免疫抑制性細胞及び免疫抑制性因子は、腫瘍微小環境においてTGF-βにより増加される。
【0004】
免疫抑制性サイトカインとしてのTGF-βは、異なる機序を介して免疫応答を広範に阻害することができる。TGF-βは、全て重要な抗-腫瘍作用を提供するTh1細胞、Th2細胞、及び細胞傷害性Tリンパ球(CTL)の分化及び機能を低減する。TGF-βはまた、制御性T(Treg)細胞の数及び機能を調節することにより、免疫寛容及び腫瘍免疫回避(tumor evasion)を増強する。加えてTGF-βは、細胞増殖を阻害するか又は刺激することにより、免疫細胞の運命を制御し、これにより胸腺及び末梢のT細胞の発達に影響を及ぼす。
【0005】
現在、全てのTGF-βアイソフォームは、ほとんどの臨床抗体により中和され、このことは大きな安全性の問題を有する。GARP-TGF-β1複合体を標的化する療法は、Tregからの活性型TGF-β1の放出を阻害することができ、これによりPD-1/PD-L1の抗-腫瘍活性を増大する。現時点で、全てのTGF-βアイソフォームを広範に遮断するよりも、より少ない副作用、高い安全性、及び腫瘍微小環境に対する少ない有害作用を有するGARP-TGF-β1複合体に対する新規抗体の緊急の必要性が存在する。
【発明の概要】
【0006】
発明の要約
本願は、1)OctetアッセイにおいてK値約1.0E-12以下でヒトGARP/ヒトTGF-β1複合体へ結合すること;2)ヒトGARPのみを発現している細胞又はヒトTGF-β1のみを発現している細胞には結合しないこと;3)Treg細胞におけるSMAD2リン酸化を阻害すること;4)ヒトGARP/ヒトTGF-β1を発現しているHEK293T細胞からのTGF-β1の放出を阻害すること;5)Treg細胞が、ヒト末梢血単核細胞(PBMC)からのIL-2及びIFN-γの放出を阻害することを妨げること;並びに、6)ヒトPBMC移植したマウスGvHDモデルにおいて、ヒトPBMCにより誘導されたGvHDに対するTreg細胞の阻害作用をブロックすること:の特性の1又は複数を有する、単離された抗原-結合タンパク質を提供する。一局面において、本願は、配列番号:4に示されたアミノ酸配列を含むHCDR3を含む、単離された抗原-結合タンパク質を提供する。
【0007】
一部の実施態様において、この単離された抗原-結合タンパク質は、配列番号:3に示されたアミノ酸配列を含むHCDR2を含む。
【0008】
一部の実施態様において、この単離された抗原-結合タンパク質は、配列番号:2に示されたアミノ酸配列を含むHCDR1を含む。
【0009】
一部の実施態様において、この単離された抗原-結合タンパク質は、配列番号:2に示されたアミノ酸配列を含むHCDR1、配列番号:3に示されたアミノ酸配列を含むHCDR2、及び配列番号:4に示されたアミノ酸配列を含むHCDR3を含む、重鎖可変領域VHを含む。
【0010】
一部の実施態様において、この単離された抗原-結合タンパク質は、H-FR1のC-末端側が、HCDR1のN-末端側側に、直接又は間接に連結され、並びにH-FR1が、配列番号:46に示されたアミノ酸配列を含むような、H-FR1を含む。
【0011】
一部の実施態様において、この抗原-結合タンパク質のH-FR1は、配列番号:5及び配列番号:22に示されたアミノ酸配列を含む。
【0012】
一部の実施態様において、この単離された抗原-結合タンパク質は、H-FR2が、HCDR1とHCDR2の間に配置され、並びにH-FR2が、配列番号:47に示されたアミノ酸配列を含むような、H-FR2を含む。
【0013】
一部の実施態様において、この抗原-結合タンパク質のH-FR2は、配列番号:6及び配列番号:23のいずれか一つに示されたアミノ酸配列を含む。
【0014】
一部の実施態様において、この単離された抗原-結合タンパク質は、H-FR3が、HCDR2とHCDR3の間に配置され、並びにH-FR3が、配列番号:48に示されたアミノ酸配列を含むような、H-FR3を含む。
【0015】
一部の実施態様において、この抗原-結合タンパク質のH-FR3は、配列番号:7及び配列番号:24のいずれか一つに示されたアミノ酸配列を含む。
【0016】
一部の実施態様において、この単離された抗原-結合タンパク質は、H-FR4のN-末端側が、HCDR3のC-末端側に、直接又は間接に連結され、並びにH-FR4が、配列番号:49に示されたアミノ酸配列を含むような、H-FR4を含む。
【0017】
一部の実施態様において、この抗原-結合タンパク質のH-FR4は、配列番号:8及び配列番号:25のいずれか一つに示されたアミノ酸配列を含む。
【0018】
一部の実施態様において、この単離された抗原-結合タンパク質は、配列番号:46に示されたアミノ酸配列を含むH-FR1、配列番号:47に示されたアミノ酸配列を含むH-FR2、配列番号:48に示されたアミノ酸配列を含むH-FR3、及び配列番号:49に示されたアミノ酸配列を含むH-FR4を含む。
【0019】
一部の実施態様において、この単離された抗原-結合タンパク質は、配列番号:5及び配列番号:22のいずれか一つに示されたアミノ酸配列を含むH-FR1、配列番号:6及び配列番号:23のいずれか一つに示されたアミノ酸配列を含むH-FR2、配列番号:7及び配列番号:24のいずれか一つに示されたアミノ酸配列を含むH-FR3、並びに配列番号:8及び配列番号:25のいずれか一つに示されたアミノ酸配列を含むH-FR4を含む。
【0020】
一部の実施態様において、この抗原-結合タンパク質のH-FR1、H-FR2、H-FR3、及びH-FR4は:
a)H-FR1:配列番号:5、H-FR2:配列番号:6、H-FR3:配列番号:7、及びH-FR4:配列番号:8;
b)H-FR1:配列番号:22、H-FR2:配列番号:23、H-FR3:配列番号:24、及びH-FR4:配列番号:25:
からなる群のいずれか一つから選択されるアミノ酸配列を含む。
【0021】
一部の実施態様において、この単離された抗原-結合タンパク質は、配列番号:50に示されたアミノ酸配列を含む重鎖可変領域VHを含む。
【0022】
一部の実施態様において、この抗原-結合タンパク質のVHは、配列番号:1及び配列番号:21のいずれか一つに示されたアミノ酸配列を含む。
【0023】
一部の実施態様において、この単離された抗原-結合タンパク質は、配列番号:12に示されたアミノ酸配列を含むLCDR3を含む。
【0024】
一部の実施態様において、この単離された抗原-結合タンパク質は、配列番号:45に示されたアミノ酸配列を含むLCDR2を含む。
【0025】
一部の実施態様において、この単離された抗原-結合タンパク質は、配列番号:11及び配列番号:28のいずれか一つに示されたアミノ酸配列を含むLCDR2を含む。
【0026】
一部の実施態様において、この単離された抗原-結合タンパク質は、配列番号:44に示されたアミノ酸配列を含むLCDR1を含む。
【0027】
一部の実施態様において、この単離された抗原-結合タンパク質は、配列番号:10及び配列番号:27に示されたアミノ酸配列を含むLCDR1を含む。
【0028】
一部の実施態様において、この単離された抗原-結合タンパク質は、配列番号:44に示されたアミノ酸配列を含むLCDR1、配列番号:45に示されたアミノ酸配列を含むLCDR2、及び配列番号:12に示されたアミノ酸配列を含むLCDR3を含む軽鎖可変領域VLを含む。
【0029】
一部の実施態様において、この単離された抗原-結合タンパク質は、配列番号:10及び配列番号:27のいずれか一つに示されたアミノ酸配列を含むLCDR1、配列番号:11及び配列番号:28のいずれか一つに示されたアミノ酸配列を含むLCDR2、及び配列番号:12に示されたアミノ酸配列を含むLCDR3を含む、軽鎖可変領域VLを含む。
【0030】
一部の実施態様において、この単離された抗原-結合タンパク質のLCDR1、LCDR2、及びLCDR3は:
a)LCDR1:配列番号:10、LCDR2:配列番号:11、及びLCDR3:配列番号:12;
b)LCDR1:配列番号:27、LCDR2:配列番号:28、及びLCDR3:配列番号:12:
からなる群のいずれか一つから選択されるアミノ酸配列を有する。
【0031】
一部の実施態様において、この単離された抗原-結合タンパク質は、L-FR1のC-末端側が、LCDR1のN-末端側に、直接又は間接に連結され、並びにL-FRlが、配列番号:52に示されたアミノ酸配列を含むような、L-FR1を含む。
【0032】
一部の実施態様において、この抗原-結合タンパク質のL-FR1は、配列番号:13及び配列番号:29のいずれか一つに示されたアミノ酸配列を含む。
【0033】
一部の実施態様において、この単離された抗原-結合タンパク質は、L-FR2が、LCDR1とLCDR2の間に配置され、並びにL-FR2が、配列番号:14に示されたアミノ酸配列を含むような、L-FR2を含む。
【0034】
一部の実施態様において、この単離された抗原-結合タンパク質は、L-FR3が、LCDR2とLCDR3の間に配置され、並びにL-FR3が、配列番号:53に示されたアミノ酸配列を含むような、L-FR3を含む。
【0035】
一部の実施態様において、この抗原-結合タンパク質のL-FR3は、配列番号:15及び配列番号:30のいずれか一つに示されたアミノ酸配列を含む。
【0036】
一部の実施態様において、この単離された抗原-結合タンパク質は、L-FR4のN-末端側が、LCDR3のC-末端側に、直接又は間接に連結され、並びにL-FR4が、配列番号:54に示されたアミノ酸配列を含むような、L-FR4を含む。
【0037】
一部の実施態様において、この抗原-結合タンパク質のL-FR4は、配列番号:16及び配列番号:31のいずれか一つに示されたアミノ酸配列を含む。
【0038】
一部の実施態様において、この単離された抗原-結合タンパク質は、配列番号:52に示されたアミノ酸配列を含むL-FR1、配列番号:14に示されたアミノ酸配列を含むL-FR2、配列番号:53に示されたアミノ酸配列を含むL-FR3、並びに配列番号:54に示されたアミノ酸配列を含むL-FR4を含む。
【0039】
一部の実施態様において、この単離された抗原-結合タンパク質は、配列番号:13及び配列番号:29のいずれか一つに示されたアミノ酸配列を含むL-FR1、配列番号:14に示されたアミノ酸配列を含むL-FR2、配列番号:15及び配列番号:30のいずれか一つに示されたアミノ酸配列を含むL-FR3、並びに配列番号:16及び配列番号:31のいずれか一つに示されたアミノ酸配列を含むL-FR4を含む。
【0040】
一部の実施態様において、この抗原-結合タンパク質のL-FR1、L-FR2、H-FR3、及びL-FR4は:
a)L-FR1:配列番号:13、L-FR2:配列番号:14、L-FR3:配列番号:15、及びH-FR4:配列番号:16;
b)L-FR1:配列番号:29、L-FR2:配列番号:14、L-FR3:配列番号:30、及びH-FR4:配列番号:31:
からなる群のいずれか一つから選択されるアミノ酸配列を含む。
【0041】
一部の実施態様において、この単離された抗原-結合タンパク質は、配列番号:51に示されたアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域VLを含む。
【0042】
一部の実施態様において、この抗原-結合タンパク質のVLは、配列番号:9及び配列番号:26のいずれか一つに示されたアミノ酸配列を含む。
【0043】
一部の実施態様において、この単離された抗原-結合タンパク質は、IgG-由来の定常領域又はIgY-由来の定常領域を含む重鎖定常領域を含む。
【0044】
一部の実施態様において、この抗原-結合タンパク質重鎖定常領域は、ヒトIgG4-由来の定常領域を含む。
【0045】
一部の実施態様において、この抗原-結合タンパク質重鎖定常領域は、配列番号:17に示されたアミノ酸配列を含む。
【0046】
一部の実施態様において、この単離された抗原-結合タンパク質は、軽鎖定常領域を含み、並びにこの抗体軽鎖定常領域は、Igκ-由来の定常領域又はIgλ-由来の定常領域を含む。
【0047】
一部の実施態様において、この抗原-結合タンパク質軽鎖定常領域は、ヒトIgκ-由来の定常領域を含む。
【0048】
一部の実施態様において、この抗原-結合タンパク質軽鎖定常領域は、配列番号:18に示されたアミノ酸配列を含む。
【0049】
一部の実施態様において、この単離された抗原-結合タンパク質は、配列番号:19及び配列番号:32のいずれか一つに示されたアミノ酸配列を含む重鎖HCを含む。
【0050】
一部の実施態様において、この単離された抗原-結合タンパク質は、配列番号:20及び配列番号:33のいずれか一つに示されたアミノ酸配列を含む軽鎖LCを含む。
【0051】
一部の実施態様において、この単離された抗原-結合タンパク質は、配列番号:19及び配列番号:32のいずれか一つに示されたアミノ酸配列を含むHC、並びに配列番号:20及び配列番号:33のいずれか一つに示されたアミノ酸配列を含むLCを含む。
【0052】
一部の実施態様において、この抗原-結合タンパク質のHC及びLCは:
a)HC:配列番号:19及びLC:配列番号:20;
b)HC:配列番号:32及びLC:配列番号:33:
からなる群のいずれか一つから選択されるアミノ酸配列を含む。
【0053】
一部の実施態様において、この単離された抗原-結合タンパク質は、抗体又はその抗原-結合断片を含む。
【0054】
一部の実施態様において、この抗原-結合断片は、Fab、Fab’、F(ab)2、Fv断片、F(ab’)2、scFv、ジ-scFv、VHH、及び/又はdAbを含む。
【0055】
一部の実施態様において、この抗体は、モノクローナル抗体、一本鎖抗体、マウス抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、及び完全ヒト抗体からなる群から選択される。
【0056】
別の局面において、本願は、この単離された抗原-結合タンパク質を含むポリペプチドを提供する。
【0057】
別の局面において、本願は、この単離された抗原-結合タンパク質又はポリペプチドを含むイムノコンジュゲートを提供する。
【0058】
一部の実施態様において、このイムノコンジュゲートは、医薬として許容し得る治療薬も包含する。
【0059】
一部の実施態様において、この治療薬は、細胞傷害性薬剤及び細胞分裂阻害剤の群から選択される。
【0060】
別の局面において、本願は、この単離された抗原-結合タンパク質、又はポリペプチドをコードしている単離された核酸分子を提供する。
【0061】
別の局面において、本願は、この単離された核酸分子を含むベクターを提供する。
【0062】
別の局面において、本願は、この単離された抗原-結合タンパク質、ポリペプチド、イムノコンジュゲート、単離された核酸分子、及び/又はベクターを含む、細胞を提供する。
【0063】
別の局面において、本願は、この単離された抗原-結合タンパク質又はポリペプチドを発現することが可能である条件下で、細胞を培養することを含む、この単離された抗原-結合タンパク質又はポリペプチドを調製する方法を提供する。
【0064】
別の局面において、本願は、この単離された抗原-結合タンパク質、ポリペプチド、イムノコンジュゲート、単離された核酸分子、ベクター、細胞、並びに/又は医薬として許容し得るアジュバント及び/もしくは賦形剤を含有する、医薬組成物を提供する。
【0065】
別の局面において、本願は、この単離された抗原-結合タンパク質及び免疫チェックポイント阻害剤を含む、医薬品組合せを提供する。
【0066】
一部の実施態様において、この免疫チェックポイント阻害剤は、PD-1/PD-L1の相互作用を阻害する物質を含む。
【0067】
一部の実施態様において、この免疫チェックポイント阻害剤は、PD-1/PD-L1遮断薬、PD-1拮抗剤、PD-L1拮抗剤、PD-1阻害剤、及びPD-L1阻害剤からなる群から選択される。
【0068】
一部の実施態様において、この免疫チェックポイント阻害剤は、抗-PD-L1抗体を含む。
【0069】
一部の実施態様において、この抗-PD-L1抗体は、配列番号:37に示されたアミノ酸配列を含むHCDR3を含む。
【0070】
一部の実施態様において、この抗-PD-L1抗体は、配列番号:36に示されたアミノ酸配列を含むHCDR2を含む。
【0071】
一部の実施態様において、この抗-PD-L1抗体は、配列番号:35に示されたアミノ酸配列を含むHCDR1を含む。
【0072】
一部の実施態様において、この抗-PD-L1抗体は、配列番号:35に示されたアミノ酸配列を含むHCDR1、配列番号:36に示されたアミノ酸配列を含むHCDR2、及び配列番号:37に示されたアミノ酸配列を含むHCDR3を含む重鎖可変領域VHを含む。
【0073】
一部の実施態様において、この抗-PD-L1抗体は、配列番号:34に示されたアミノ酸配列を含む重鎖可変領域VHを含む。
【0074】
一部の実施態様において、この抗-PD-L1抗体は、配列番号:41に示されたアミノ酸配列を含むLCDR3を含む。
【0075】
一部の実施態様において、この抗-PD-L1抗体は、配列番号:40に示されたアミノ酸配列を含むLCDR2を含む。
【0076】
一部の実施態様において、この抗-PD-L1抗体は、配列番号:39に示されたアミノ酸配列を含むLCDR1を含む。
【0077】
一部の実施態様において、この抗-PD-L1抗体は、配列番号:39に示されたアミノ酸配列を含むLCDR1、配列番号:40に示されたアミノ酸配列を含むLCDR2、及び配列番号:41に示されたアミノ酸配列を含むLCDR3を含む軽鎖可変領域VLを含む。
【0078】
一部の実施態様において、この抗-PD-L1抗体は、配列番号:38に示されたアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域VLを含む。
【0079】
一部の実施態様において、この抗-PD-L1抗体は、アテゾリズマブを包含する。
【0080】
一部の実施態様において、この医薬品組合せは、医薬組成物であることができる。
【0081】
別の局面において、本願は、この医薬品組合せを含むキットを提供する。
【0082】
別の局面において、本願は、腫瘍の予防、寛解、及び/又は治療のための、この単離された抗原-結合タンパク質、ポリペプチド、イムノコンジュゲート、単離された核酸分子、ベクター、細胞、及び/又は医薬組成物を提供する。
【0083】
一部の実施態様において、この腫瘍は、充実性腫瘍を包含する。
【0084】
一部の実施態様において、この腫瘍は、GARPタンパク質の発現に関連した腫瘍を包含する。
【0085】
一部の実施態様において、この腫瘍は、メラノーマ、乳房腫瘍、及び/又は肺腫瘍を包含する。
【0086】
別の局面において、本願は、腫瘍の予防、寛解、及び/又は治療のための、この医薬品組合せ及び/又はキットを提供する。
【0087】
一部の実施態様において、この腫瘍は、充実性腫瘍を包含する。
【0088】
一部の実施態様において、この腫瘍は、GARPタンパク質の発現に関連した腫瘍を包含する。
【0089】
一部の実施態様において、この腫瘍は、メラノーマ、乳房腫瘍、及び/又は肺腫瘍を包含する。
【0090】
別の局面において、本願は、腫瘍の予防、寛解、及び/又は治療のための医薬品の製造における、この単離された抗原-結合タンパク質、ポリペプチド、イムノコンジュゲート、単離された核酸分子、ベクター、細胞、及び/又は医薬組成物の使用を提供する。
【0091】
一部の実施態様において、この腫瘍は、充実性腫瘍、乳房腫瘍、及び/又は肺腫瘍を包含する。
【0092】
一部の実施態様において、この腫瘍は、GARPタンパク質の発現に関連した腫瘍を包含する。
【0093】
一部の実施態様において、この腫瘍は、メラノーマを包含する。
【0094】
別の局面において、本願は、腫瘍の予防、寛解、及び/又は治療のための医薬品の製造における、この医薬品組合せ及び/又はキットの使用を提供する。
【0095】
一部の実施態様において、この腫瘍は、充実性腫瘍を包含する。
【0096】
一部の実施態様において、この腫瘍は、GARPタンパク質の発現に関連した腫瘍を包含する。
【0097】
一部の実施態様において、この腫瘍は、メラノーマ、乳房腫瘍、及び/又は肺腫瘍を包含する。
【0098】
別の局面において、本願は、この単離された抗原-結合タンパク質、単離された核酸分子、ベクター、細胞、及び/又は医薬組成物の有効量を、それを必要とする対象へ投与することを含む、疾患又は障害の予防及び/又は治療のための方法であって、ここで該疾患又は障害が腫瘍を包含する方法を提供する。
【0099】
一部の実施態様において、この腫瘍は、充実性腫瘍を包含する。
【0100】
一部の実施態様において、この腫瘍は、GARPタンパク質の発現に関連した腫瘍を包含する。
【0101】
一部の実施態様において、この腫瘍は、メラノーマ、乳房腫瘍、及び/又は肺腫瘍を包含する。
【0102】
別の局面において、本願は、この医薬品組合せの有効量を、それを必要とする対象へ投与することを含む、疾患又は障害の予防及び/又は治療のための方法であって、ここで該疾患又は障害が腫瘍を包含する方法を提供する。
【0103】
一部の実施態様において、この腫瘍は、充実性腫瘍を包含する。
【0104】
一部の実施態様において、この腫瘍は、GARPタンパク質の発現に関連した腫瘍を包含する。
【0105】
一部の実施態様において、この腫瘍は、メラノーマ、乳房腫瘍、及び/又は肺腫瘍を包含する。
【0106】
本願の他の局面及び利点は、以下の詳細な説明から当業者には容易に明らかになるであろう。本願の例証的実施態様のみが、以下の詳細な説明において示され且つ説明されている。当業者により認められるように、本願の内容は、当業者が、本願が関係する本願の精神及び範囲から逸脱することなく、開示された具体的実施態様に改変を行うことを可能にする。従って、図面及びその説明は、限定としてではなく、事実上例証とみなされるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0107】
図面の簡単な説明
本願が関連する本願の具体的特徴は、添付された請求項に示されている。本願が関連する本願の特徴及び利点は、以下に詳細に説明される例証的実施態様及び図面を参照し、より良く理解されるであろう。図面の簡単な説明は、以下のとおりである:
【0108】
図1A図1A-1Dは、本明細書記載の抗原-結合タンパク質抗原-結合活性を示す。
図1B図1A-1Dは、本明細書記載の抗原-結合タンパク質抗原-結合活性を示す。
図1C図1A-1Dは、本明細書記載の抗原-結合タンパク質抗原-結合活性を示す。
図1D図1A-1Dは、本明細書記載の抗原-結合タンパク質抗原-結合活性を示す。
図2図2は、本願の例証的マウス抗体8H2D7B3による遮断実験の結果を示す。
図3A図3A-3Bは、本願の例証的マウス抗体8H2D7B3の、Treg細胞におけるSMAD2リン酸化に対する作用を示す。
図3B図3A-3Bは、本願の例証的マウス抗体8H2D7B3の、Treg細胞におけるSMAD2リン酸化に対する作用を示す。
図4図4は、本願の例証的JYB1907hz18抗体の、Treg細胞におけるSMAD2リン酸化に対する作用を示す。
図5図5は、本願の例証的JYB1907hz18抗体の、HEK293T細胞からのTGF-β1の放出に対する作用を示す。
図6A図6A-6Bは、本願の例証的JYB1907hz18抗体の、PBMCからのIL-2及びIFN-γの放出に対する作用を示す。
図6B図6A-6Bは、本願の例証的JYB1907hz18抗体の、PBMCからのIL-2及びIFN-γの放出に対する作用を示す。
図7A図7Aは、ヒト化FcRnマウスモデルにおける本願の例証的JYB1907hz18抗体の薬物動態(PK)プロファイルを示す。
図7B図7Bは、ヒト化FcRnマウスモデルにおける本明細書記載のMHG8抗体の薬物動態(PK)プロファイルを示す。
図8A図8A-8Bは、マウスGvHDモデルにおける本願の例証的JYB1907hz18抗体試験の結果を示す。
図8B図8A-8Bは、マウスGvHDモデルにおける本願の例証的JYB1907hz18抗体試験の結果を示す。
図9図9は、マウスメラノーマモデルにおける本願の例証的JYB1907hz18抗体の薬力学試験の結果を示す。
図10図10は、マウス乳癌モデルにおける本願の例証的JYB1907hz18抗体の薬力学試験の結果を示す。
図11図11は、マウス肺扁平上皮癌モデルにおける本願の例証的JYB1907hz18抗体の薬力学試験の結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0109】
発明の詳細な説明
本願の発明の実施態様は、特定の実施例により例示されている。本願の他の利点及び効果は、本明細書の開示から、当業者には容易に明らかになるであろう。
【0110】
用語の定義
本願において、用語「単離された」は一般に、人工的手段により天然の状態から得られた生成物を指す。「単離された」物質又は成分が自然界に生じる場合、これは、その天然の環境から改変されないか、この物質はその天然の環境から単離されるか、又は両方であることができる。例えば、単離されないポリヌクレオチド又はポリペプチドは、生存動物中に自然に生じ、且つその天然の状態から高純度で単離された同じポリヌクレオチド又はポリペプチドは、単離されている。用語「単離された」は、人工物質又は合成物質の混合物も、その物質の活性に影響を及ぼさない他の不純物の存在も、排除しない。
【0111】
本願において、用語「抗原-結合タンパク質」は一般に、特定の抗原を特異的に認識し及び/又は中和することが可能であるポリペプチド分子を指す。本願において、用語「抗原-結合タンパク質」は、「抗体」又は「抗原-結合断片」を包含してよい。例えば抗体は、ジスルフィド結合により相互連結された少なくとも2本の重(H)鎖及び2本の軽(L)鎖で構成される免疫グロブリンを含んでよく、並びにその抗原-結合部分を含む任意の分子を包含してよい。用語「抗体」は、非限定的に、マウス抗体、ヒト抗体(完全ヒト抗体)、ヒト化抗体、キメラ抗体、一本鎖抗体(例えば、scFv)、及び抗原に結合する抗体断片(例えば、Fab、Fab’、及び(Fab)2断片)を包含する、モノクローナル抗体、抗体断片、又は抗体誘導体を包含してよい。用語「抗体」はまた、抗体の全ての組換え型、例えば原核細胞において発現された抗体、非-グリコシル化抗体、並びに本明細書記載の任意の抗原-結合する抗体断片及びそれらの誘導体なども包含する。各重鎖は、重鎖可変領域及び重鎖定常領域で構成され得る。各軽鎖は、軽鎖可変領域及び軽鎖定常領域で構成され得る。このVH領域及びVL領域は更に、フレームワーク領域(FR)と称されるより保存された領域が間に挟まれた、相補性決定領域(CDR)と称される超可変領域として識別されることができる。VH及びVLは各々、3つのCDR及び4つのFRにより構成されてよく、これらは、アミノ-末端側からカルボキシ-末端側へ、以下の順で配置されてよい:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、及びFR4。重鎖及び軽鎖の可変領域は、抗原(例えば、ヒトGARP)と相互作用する結合ドメインを含む。抗体の定常領域は、免疫系の様々な細胞(例えばエフェクター細胞)及び古典的補体系の第一成分(Clq)を含む、宿主組織又は因子への、免疫グロブリンの結合を媒介することができる。CDRの厳密な境界は、異なるシステムに関して異なるよう規定されている。Kabatにより説明されたシステム(Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest(National Institutes of Health, Bethesda, Md.(1987)及び(1991))は、抗原-結合断片の任意の可変領域に適用可能な曖昧でない残基ナンバリングシステムを提供するのみではなく、CDRを規定する正確な残基境界も提供している。これらのCDRは、KabatCDRと称されてもよい。Chothia及び同僚達(Chothia及びLesk、J.Mol.Biol.196: 901-917(1987)、並びにChothiaら、Nature 342: 877-883(1989))は、KabatCDR内の特定のサブ部分は、アミノ酸配列レベルの大きい多様性にもかかわらず、ペプチド骨格内にはほぼ同一の立体配置をとることを発見した。これらのサブ部分は、L1、L2、及びL3、又はH1、H2、及びH3と指定され、ここで「L」及び「H」は、各々、軽鎖領域及び重鎖領域を指す。これらの領域は、ChothiaCDRと称されてよく、これは、KabatCDRと重複する境界を有する。CDRを規定し且つKabatCDRと重複する他の境界は、Padlan(FASEB J.9: 133-139(1995))及びMacCallum(J Mol Biol 262(5): 732-45(1996))により説明されている。加えて他のCDR境界の規定は、前記システムの一つに厳密には従わないが、依然KabatCDRと重複するにもかかわらず、これらは、特定の残基もしくは残基群又は全CDRでさえも、抗原結合に著しい影響を及ぼさないという予測又は実験的知見を考慮し、短縮又は延長され得る。本願においては、Chothiaナンバリングシステムが使用される。
【0112】
本願において、用語「抗原-結合断片」は一般に、抗原へ特異的に結合するように機能する抗体の1又は複数の断片を指す。抗体の抗原-結合機能は、その抗体の完全長断片により達成され得る。抗体の抗原-結合機能はまた、以下によっても達成されてよい:Fv、scFv、dsFv、Fab、Fab’もしくはF(ab’)2の断片を含む重鎖、又はFv、scFv、dsFv、Fab、Fab’、もしくはF(ab’)2の断片を含む軽鎖。(1)Fab断片、すなわち、VL、VH、CL、及びCHドメインからなる、一価の断片;(2)F(ab’)2断片、ヒンジ領域でジスルフィド結合により連結された2個のFab断片を含む、二価の断片;(3)VH及びCHドメインからなる、Fd断片;(4)抗体の単独アームのVL及びVHドメインからなる、Fv断片;(5)VHドメインからなる、dAb断片(Wardら、(1989) Nature 341: 544-546);(6)単離された相補性決定領域(CDR)、並びに(7)任意にリンカーにより結合されてよい、2個以上の単離されたCDRの組合せ。例えば、VL及びVHの対形成により形成された一価の一本鎖分子Fv(scFv)も、包含されてよい(Birdら、(1988) Science 242: 423-426;並びに、Hustonら、(1988) Proc.Natl.Acad.Sci. 85: 5879-5883参照)。例えば、抗体軽鎖を欠いている重鎖可変領域のみの抗体VHHのクラスも、包含されることができる(例えば、Kang Xiaozhenら、Chinese Journal of Biotechnology, 2018, 34(12): 1974-1984参照)。「抗原-結合部分」はまた、以下からなる群から選択される結合ドメインを含む免疫グロブリン融合タンパク質も包含してよい:(1)免疫グロブリンヒンジ領域ポリペプチドへ融合された結合ドメインポリペプチド;(2)ヒンジ領域へ融合された免疫グロブリン重鎖CH2定常領域;並びに、(3)CH2定常領域へ融合された免疫グロブリン重鎖CH3定常領域。
【0113】
本願において、用語「モノクローナル抗体」は一般に、実質的に相同な抗体の集団を指し、すなわちその集団を構成する個々の抗体は、少量で存在し得る可能性のある天然の変異以外は、同一である。モノクローナル抗体は、高度に特異的であり、単独の抗原性部位に対し方向付けられている。例えばモノクローナル抗体は、ハイブリドーマ技術により調製され得るか、又は組換えDNA法を使用し、細菌、真核動物もしくは植物の細胞において作出され得るか、又は例えば、Clacksonら、Nature, 352:624-628(1991)及びMarksら、Mol.Biol., 222:581-597(1991)において説明された技術を使用し、ファージ抗体ライブラリーから誘導され得る。
【0114】
本願において、用語「キメラ抗体」は一般に、重鎖又は軽鎖の各々のアミノ酸配列の一部が、特定の種由来の、又は特定のクラスに属する抗体の対応するアミノ酸配列と相同である一方で、その鎖の残りのセグメントは、別の種の対応する配列と相同であるような抗体を指す。例えば、軽鎖及び重鎖の両方の可変領域は、一つの動物種(例えば、マウス、ラットなど)の抗体の可変領域に由来するのに対し、定常部分は、別の種(例えば、ヒト)由来の抗体配列と相同である。例えば、キメラ抗体を得るために、非-ヒト-由来B細胞又はハイブリドーマ細胞を使用し、可変領域を作製することができる一方で、それらと組合せた定常領域は、ヒト起源である。この可変領域は、容易に調製することができ、且つその特異性はそれが組み合わされた定常領域の起源により影響されないという利点を有する。同じく、キメラ抗体の定常領域は、ヒトに由来することもできるので、このキメラ抗体は、その定常領域が非-ヒト起源である抗体を使用するよりも、注入時に、恐らくより少ない免疫応答を誘起する。
【0115】
本願において、用語「ヒト化抗体」は一般に、非-ヒト免疫グロブリン由来のより少ない配列を含むキメラ抗体を指し、これによりヒトへ導入した場合に、外因性抗体の免疫原性を低減する一方で、その抗体の完全抗原-結合親和性及び特異性は維持する。例えば非-ヒト結合ドメインは、CDR移植法(Jonesら、Nature 321:522(1986))及びそれらの改変などの、技術的手段を用い、ヒト化されることができ;これは、「リシェーピング(reshaping)」(Verhoeyenら、1988 Science 239:1534-1536;Riechmannら、1988 Nature 332:323-337;Tempestら、Bio/Technol 1991 9:266-271)、「超キメラ化」(Queenら、1989 Proc Natl Acad Sci USA 86:10029-10033;Coら、1991 Proc Natl Acad Sci USA 88:2869-2873;Coら、1992 J Immunol 148:1149-1154)、及び「ベニヤリング(veneering)」(Markら、“Derivation of therapeutically active humanized and veneered anti-CD18 antibody.”、Metcalf B W, Dalton B J編集、Cellular adhesion: molecular definition to therapeutic potential. New York: Plenum Press, 1994: 291-312)、及びリサーフェシング(US5639641)を含む。ヒンジドメイン及び定常領域ドメインなどの他の領域も、それらが非-ヒト給源に由来する場合に、ヒト化されてよい。
【0116】
本願において、用語「マウス抗体」は一般に、可変領域フレームワーク領域及びCDR領域が、マウス生殖細胞系列免疫グロブリン配列に由来している抗体を指す。加えてこの抗体が定常領域を含む場合、これも、マウス生殖細胞系列免疫グロブリン配列に由来する。本願のマウス抗体は、インビトロにおけるランダム変異もしくは点変異により、又はインビボにおける体細胞変異により導入される変異などの、マウス生殖細胞系列免疫グロブリン配列によりコードされないアミノ酸残基を含んでよい。しかし用語「マウス抗体」は、マウスのフレームワーク配列に挿入された他の哺乳動物種由来のCDR配列を有する抗体を含まない。
【0117】
本願において、用語「GARPタンパク質」又は「GARP抗原」は、互換的に使用され、且つGARPの任意のバリアント及び相同体を含む。GARPは、細胞により自然に発現されるか、又はGARP遺伝子によりトランスフェクションされた細胞により発現される。本願において、GARPは、UniProt/Swiss-Protにおいて寄託番号Q14392を有するヒトGARPであることができる。本願において、GARPは、免疫細胞の表面に発現されることができる。例えば、これは、制御性T細胞(Treg)の表面に発現されることができる。
【0118】
本願において、用語「TGF-β1」及び「TGF β1」は、互換的に使用され、且つ一般に細胞増殖の調節及び分化に関連している。本願において、TGF-β1は、TGF-βのアイソフォームである。本願において、「TGF-β1」は、細胞により自然に又はTGF-β1遺伝子によりトランスフェクションされた細胞において発現される、TGF-β1の任意のバリアント及び相同体を含んでよい。本願において、「TGF-β1」は、ヒトTGF-β1であってよく、これはUniProt/Swiss-Protにおける寄託番号P01137を有する。本願において、「TGF-β1」は、GARPにより活性化され、且つCD8+T細胞上のTGFβ受容体へ結合し、腫瘍細胞に対するCD8+T細胞の殺傷機能を阻害することができる。
【0119】
本明細書において言及された具体的タンパク質及びヌクレオチドに加え、本願は、それらの機能性バリアント、誘導体、アナログ、相同体、及び断片も含んでよい。
【0120】
用語「機能性バリアント」は、天然の配列と実質的に同一であるアミノ酸配列又は実質的に同一であるヌクレオチド配列によりコードされ且つ天然の配列の1又は複数の活性を有することが可能であるポリペプチドを指す。本願の文脈において、いずれか所定の配列のバリアントは、その残基の特定の配列が、アミノ酸残基又はヌクレオチド残基のいずれであるかにかかわらず、そのポリペプチド又はポリヌクレオチドが、少なくとも1種の内在性機能を実質的に保持するように修飾されている配列を指す。バリアント配列は、当初の機能活性が維持される限りは、天然のタンパク質及び/又はポリヌクレオチドに存在する少なくとも1個のアミノ酸残基及び/又はヌクレオチド残基の付加、欠失、置換、修飾、置き換え及び/又は変動により得ることができる。
【0121】
本願において、用語「誘導体」は一般に、得られるポリペプチド又はポリヌクレオチドがその内在性機能の少なくとも1種を実質的に維持する限りは、配列由来/配列上の1個(又はそれよりも多い)アミノ酸残基の任意の置換、変動、修飾、置き換え、欠失及び/又は付加を含むような本願のポリペプチド又はポリヌクレオチドを指す。
【0122】
本願において、用語「アナログ」は一般に、ポリペプチド又はポリヌクレオチドの任意の模倣体、すなわち模倣体が模倣するポリペプチド又はポリヌクレオチドの少なくとも1種の内在性機能を有する化合物を包含する、ポリペプチド又はポリヌクレオチドを指す。
【0123】
一般に、アミノ酸置換、例えば少なくとも1個(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、又は20個もしくはそれよりも多い)アミノ酸置換が、修飾された配列が所望の活性又は能力を実質的に維持する限りは行われ得る。アミノ酸置換は、天然でないアナログの使用を包含することができる。
【0124】
本願において、用語「相同体」は一般に、天然の配列に対し特定の相同性を有するアミノ酸配列又はヌクレオチド配列を指す。用語「相同性」は、配列「同一性」と同等であることができる。相同配列は、対象配列と少なくとも80%、85%、90%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、又は99.9%同一であってよいアミノ酸配列を包含してよい。典型的には相同体は、対象アミノ酸配列と同じ活性部位又は類似のものを含むであろう。相同性は、類似性(すなわち、類似の化学特性/機能を有するアミノ酸残基)に関して考慮されるか、或いは配列同一性に関して表現されてよい。本願において、言及されたアミノ酸配列又はヌクレオチド配列の配列番号のいずれか一つにおいて%同一性を有する配列は、言及された配列番号の全長にわたりその%同一性を有する配列を指す。配列同一性を決定するために、配列アラインメントを、当業者に公知の様々な方式により、例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGN、NEEDLE、又はMegalign(DNASTAR)ソフトウェアなどを使用し、行うことができる。当業者は、比較される配列の完全長にわたり最適なアラインメントを達成するために必要とされる任意のアルゴリズムを含む、アラインメントに関する好適なパラメータを決定することができる。
【0125】
本願において使用されるタンパク質又はポリペプチドはまた、サイレント変化を生じ且つ機能的に同等なタンパク質を生じるアミノ酸残基の欠失、挿入、又は置換も有してよい。意図されたアミノ酸置換は、内在性機能が維持される限りは、それらの残基の極性、電荷、溶解度、疎水性、親水性、及び/又は両親媒性の性質における類似性を基に作製されてよい。例えば、負帯電したアミノ酸は、アスパラギン酸及びグルタミン酸を包含し;正帯電したアミノ酸は、リジン及びアルギニンを包含し;並びに、類似の親水値を持つ非帯電極性ヘッド基を含むアミノ酸は、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、及びチロシンを包含する。
【0126】
本願において、用語「腫瘍」は一般に、様々な腫瘍形成因子の活動下での、局所組織細胞の増殖により形成された新生物を指す。例えば腫瘍は、充実性腫瘍を包含してよい。例えば腫瘍は、GARPのタンパク質発現に関連した腫瘍を包含してよい。用語「GARPのタンパク質発現に関連した腫瘍」とは一般に、GARP発現が、疾患進行に繋がるか、又は免疫監視機構を回避するような腫瘍を指す。GARPのタンパク質発現に関連した腫瘍は、GARP陽性腫瘍であることができる。GARP陽性腫瘍において、腫瘍細胞表面上のGAPRのタンパク質の発現量は、正常細胞のそれよりも約1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%、70%、80%以上高い。例えば腫瘍は、転移性結腸癌であってよい。例えば腫瘍は、肝細胞癌であってよい。例えば腫瘍は、進行性腎細胞癌であってよい。例えば腫瘍は、非-小細胞肺腫瘍であってよい。例えば腫瘍は、メラノーマ、乳房腫瘍、及び/又は肺腫瘍であってよい。
【0127】
本願において、用語「メラノーマ」は一般に、メラニン形成細胞起源の高度な悪性腫瘍を指す。本願において、メラノーマは、皮膚に加え、粘膜及び内臓に発生し得る。
【0128】
本願において、用語「イムノコンジュゲート」は一般に、単離された抗原-結合タンパク質への別の物質(例えば、化学療法薬、放射性元素、細胞分裂阻害剤、及び細胞傷害性薬剤)の結合(例えば、連結分子の共有結合を介して)により形成されたコンジュゲートを指し、ここでこのコンジュゲートは、単離された抗原-結合タンパク質の標的細胞上の抗原への特異的結合を介して、この別の物質を標的細胞(例えば腫瘍細胞)へ送達することができる。次にこのイムノコンジュゲートは、そのような内部移行を受け、最終的に標的細胞の内部へ(例えばリソソームなどの小胞へ)侵入し、この時点でイムノコンジュゲート内のリンカー分子は切断され、この別の物質を放出し、これによりその細胞傷害性作用を発揮する。加えて、この抗原はまた、標的細胞により分泌され、且つ標的細胞の外側の空間に配置され得る。
【0129】
本願において、用語「医薬として許容し得る治療薬」は一般に、腫瘍及び/又は腫瘍細胞の増殖を阻害することができる薬剤を指す。本願において、この治療薬は、細胞傷害性薬剤又は細胞分裂阻害剤であってよい。例えばこの治療薬は、有糸分裂阻害剤、キナーゼ阻害剤、アルキル化剤、代謝拮抗剤、インターカレーション抗生物質、増殖因子阻害剤、細胞周期阻害剤、酵素、トポイソメラーゼ阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、抗-生存物質(anti-survival agents)、及び生体反応修飾物質からなる群から選択されてよい。
【0130】
本願において、用語「対象」は一般に、ヒト又は非-ヒト動物を指し、非限定的に、ネコ、イヌ、ウマ、ブタ、ウシ、ヤギ、ウサギ、マウス、ラット、又はサルを包含する。
【0131】
本願において、用語「核酸分子」は一般に、それらの天然の環境から単離されたか又は人工的に合成された、任意の長さの、ヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、又はリボヌクレオチド又はそれらのアナログの単離された形を指す。
【0132】
本願において、用語「ベクター」は一般に、好適な宿主において自己複製が可能である核酸分子を指す。ベクターは、挿入された核酸分子を、細胞へ及び/又は細胞間に導入することができる。ベクターは、主にDNA又はRNAを細胞へ挿入するベクター、主にDNA又はRNAを複製するベクター、並びに主にDNAもしくはRNAの転写及び/又は翻訳を発現するベクターを包含してよい。ベクターは、好適な細胞への導入時に、ポリペプチドへ転写又は翻訳されることが可能であるポリヌクレオチドであることができる。概してベクターは、ベクターを含む好適な細胞を培養することにより、所望の発現産物を生成してよい。本願において、ベクターは、レンチウイルスベクターを包含してよい。
【0133】
本願において、用語「細胞」は一般に、本明細書記載の核酸分子を含むプラスミド又はベクターを含んでよいか又は既に含んでよいか、或いは本明細書記載のポリペプチドもしくは本明細書記載の抗原-結合タンパク質を発現することが可能である、個別の細胞、細胞株又は細胞培養物を指す。この細胞は、単独の細胞の後代を包含してよい。自然の、偶発的、又は意図的な変異のために、この後代細胞は、形態学的に又はゲノムにおいて当初の親細胞に対し必ずしも同一でないことがあるが、本明細書記載のポリペプチド又は抗原-結合タンパク質を発現することは可能である。これらの細胞は、本明細書記載のベクターによる、細胞のインビトロにおけるトランスフェクションにより、得ることができる。これらの細胞は、原核細胞(例えば、大腸菌)又は真核細胞(例えば、酵母細胞、COS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、HeLa細胞、HEK293細胞、COS-1細胞、NS0細胞、又は骨髄腫細胞)であることができる。一部の実施態様において、これらの細胞は、免疫細胞であってよい。例えば、免疫細胞は、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)、マクロファージ、NKT細胞、単球、樹状細胞、顆粒球、リンパ球、白血球及び/又は末梢血単核細胞からなる群から選択されてよい。例えば、免疫細胞は、T細胞であってよい。
【0134】
本願において、用語「治療」は一般に、(i)疾患、障害、又は状態に易罹患性であるが、まだ診断されていない患者における、その疾患、障害、及び/又は状態の発症の予防;(ii)疾患、障害、又は状態の抑制、すなわち発症の阻止(curb);並びに、(iii)疾患、障害、又は状態の寛解、すなわち疾患、障害、及び/もしくは状態の、並びに/又はこの疾患、障害、及び/もしくは状態に関連した症状の退行の引き起こし:を指す。
【0135】
本願において、用語「ポリペプチド」、「ペプチド」、及び「タンパク質」は、互換的に使用され、且つ一般に任意の長さのアミノ酸の重合体を指す。この重合体は、線状又は分岐してよく、且つ修飾されたアミノ酸を含んでよく、並びに非-アミノ酸により隔てられてよい。これらの用語はまた、修飾されているアミノ酸重合体も網羅している。これらの修飾は、以下を含んでよい:ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、又は任意の他の操作(例えば、標識成分への結合)。用語「アミノ酸」は、グリシン、並びにD及びL光学異性体、並びにアミノ酸アナログ及びペプチド模倣体を包含する、天然及び/又は非-天然又は合成のアミノ酸を含む。
【0136】
本願において、用語「ポリヌクレオチド」、「ヌクレオチド」、「ヌクレオチド配列」、「核酸」、及び「オリゴヌクレオチド」は、互換的に使用され、且つ一般に、デオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチドなどの、任意の長さのヌクレオチド、又はそのアナログの多量体型を指す。ポリヌクレオチドは、任意の三次元構造を有してよく、且つ既知又は未知の任意の機能を発揮してよい。ポリヌクレオチドの非限定的例は、以下である:遺伝子又は遺伝子断片のコード領域又は非コード領域、ライゲーション分析により規定された複数の遺伝子座(1遺伝子座)、エクソン、イントロン、メッセンジャーRNA(mRNA)、トランスポートRNA、リボソームRNA、低分子干渉RNA(siRNA)、低分子ヘアピン型RNA(shRNA)、マイクロ-RNA(miRNA)、リボザイム、cDNA、組換えポリヌクレオチド、分岐型ポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、任意の配列の単離されたDNA、任意の配列の単離されたRNA、核酸プローブ、及びプライマー。ポリヌクレオチドは、メチル化されたヌクレオチド及びヌクレオチドアナログなどの、1又は複数の修飾されたヌクレオチドを含んでよい。存在するならば、ヌクレオチド構造の修飾は、ポリマーの集成の前又は後に実施されてよい。ヌクレオチドの配列は、非-ヌクレオチド成分により隔てられてよい。このポリヌクレオチドは更に、重合後に、例えば標識された成分への結合などにより、修飾されてよい。
【0137】
本願において、用語「K」(同様に、「K」又は「KD」)は一般に、「親和定数」又は「平衡解離定数」を指し、並びに滴定測定において平衡時に得られた値、又は解離速度定数(k)を結合速度定数(k)により除算することにより得られた値を指す。抗原(例えば、GARPタンパク質)に関する結合タンパク質(例えば、本明細書記載の単離された抗原-結合タンパク質)の結合親和性は、会合速度定数(k)、解離速度定数(k)、及び平衡解離定数(K)を用いて、表される。会合速度定数及び解離速度定数を決定する方法は、当該技術分野において周知である。蛍光-ベースの技術の使用は、高感度で及び生理的緩衝液中での平衡で試料を試験する能力を提供する。例えば、K値は、Octetアッセイにより決定され得、並びにBIAcore(Biomolecular Interaction Analysis)などの他の実験的方法及び装置(例えば、BIAcoreInternationalAB、aGEHealthcarecompany、Uppsala、Swedenから入手可能な装置)が、使用され得る。或いは、K値は、SapidyneInstruments(Boise, Idaho)から入手可能なKinExA(動的排除アッセイ(KineticExclusionAssay))を使用するか、又は表面プラズモン共鳴(SPR)装置を使用し、決定され得る。
【0138】
本願において、用語「及び/又は」は、選択肢のいずれか一方又は選択肢の両方を意味すると理解されるべきである。
【0139】
本願において、用語「含む(comprising)」又は「含有する(containing)」は一般に、明白に特定された特徴の内包を指すが、他の要素を除外しない。特定の場合において、「含む」又は「含有する」はまた、特定された成分のみの内包も網羅している。
【0140】
本願において、用語「約」は一般に、特定された値を0.5%~10%上回るか又は下回る範囲、例えば、特定された値を0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、又は10%上回るか又は下回る範囲を指す。
【0141】
本願において、用語「包含する(including)」は一般に、含む、総括する、網羅する又は対象とすることを意味する。特定の状況においては、「である」、「からなる」の意味も示されている。
【0142】
発明の詳細な説明
本願記載の単離された抗原-結合タンパク質
一局面において、本願は、K値約1.0E-12M以下(例えば、Kは、約1.0E-12Mよりも大きくない、約0.9E-12Mよりも大きくない、約0.8E-12Mよりも大きくない、約0.7E-12Mよりも大きくない、約0.6E-12Mよりも大きくない、0.5E-12Mよりも大きくない、0.4E-12Mよりも大きくない、0.3E-12Mよりも大きくない、0.2E-12Mよりも大きくない、又は0.1E-12Mよりも大きくないかこれ以下)で、ヒトGARP/ヒトTGF-β1複合体に結合することができる単離された抗原-結合タンパク質を提供する。
【0143】
本願において、この単離された抗原-結合タンパク質は、ヒトGARP/ヒトTGF-β1複合体への結合について、参照抗体と競合することができ、この参照抗体は、HCDR1、HCDR2、及びHCDR3の少なくとも1、2又は3を含むことができる、重鎖可変領域VHを含むことができる。
【0144】
本願において、この参照抗体のHCDR3は、配列番号:4に示されたアミノ酸配列を包含してよい。
【0145】
本願において、この参照抗体のHCDR2は、配列番号:3に示されたアミノ酸配列を包含してよい。
【0146】
本願において、この参照抗体のHCDR1は、配列番号:2に示されたアミノ酸配列を包含してよい。
【0147】
例えば、本明細書記載の参照抗体のHCDR1は、配列番号:2に示されたアミノ酸配列を含んでよく;HCDR2は、配列番号:3に示されたアミノ酸配列を含んでよく;並びに、HCDR3は、配列番号:4に示されたアミノ酸配列を含んでよい。例えば、この参照抗体は、抗体8H2D7B3、又は抗体8H2D7B3と同じHCDR1-3を有する抗体を包含してよい。
【0148】
例えば、本明細書記載の参照抗体のHCDR1は、配列番号:2に示されたアミノ酸配列を含んでよく;HCDR2は、配列番号:3に示されたアミノ酸配列を含んでよく;並びに、HCDR3は、配列番号:4に示されたアミノ酸配列を含んでよい。例えば、この参照抗体は、抗体JYB1907hz0、又は抗体JYB1907hz0と同じHCDR1-3を有する抗体を包含してよい。
【0149】
例えば、本明細書記載の参照抗体のHCDR1は、配列番号:2に示されたアミノ酸配列を含んでよく;HCDR2は、配列番号:3に示されたアミノ酸配列を含んでよく;並びに、HCDR3は、配列番号:4に示されたアミノ酸配列を含んでよい。例えば、この参照抗体は、抗体JYB1907hz18、又は抗体JYB1907hz18と同じHCDR1-3を有する抗体を包含してよい。
【0150】
例えば、この参照抗体のVHは、フレームワーク領域H-FR1、H-FR2、H-FR3、及びH-FR4を含んでよい。
【0151】
本願において、この参照抗体のH-FR1は、配列番号:46に示されたアミノ酸配列を含んでよい。
QVQLXQSGAEXPGXSVKXSCKAS(配列番号:46)、ここで、Xは、Q又はVであってよく、Xは、L又はVであってよく、Xは、K又はVであってよく、Xは、K又はRであってよく、Xは、A又はSであってよく、Xは、L又はVであってよい。
【0152】
本願において、この参照抗体のH-FR1は、配列番号:5又は配列番号:22に示されたアミノ酸配列を含んでよい。
【0153】
本願において、この参照抗体のH-FR2は、配列番号:47に示されたアミノ酸配列を含んでよい。
WMYWVXQXPXQGLEWIGSI(配列番号:47)、ここで、Xは、K又はRであってよく、Xは、A又はRであってよく、及びXは、G又はIであってよい。
【0154】
本願において、この参照抗体のH-FR2は、配列番号:6又は配列番号:23に示されたアミノ酸配列を含んでよい。
【0155】
本願において、この参照抗体のH-FR3は、配列番号:48に示されたアミノ酸配列を含んでよい。
THYNQKFXRXTVTVDKSXRIVYMXLSSLXSEDXAVYFCAR(配列番号:48)、ここで、Xは、Q又はKであってよく、Xは、D又はGであってよく、Xは、A又はVであってよく、Xは、S又はTであってよく、Xは、E又はQであってよく、Xは、R又はTであってよく、及びXは、S又はTであってよい。
【0156】
本願において、この参照抗体のH-FR3は、配列番号:7又は配列番号:24に示されたアミノ酸配列を含んでよい。
【0157】
本願において、この参照抗体のH-FR4は、配列番号:49に示されたアミノ酸配列を含んでよい。
WGXGTXVTVSS(配列番号:49)、ここで、Xは、Q又はTであってよく、及びXは、M又はTであってよい。
【0158】
本願において、この参照抗体のH-FR4は、配列番号:8又は配列番号:25に示されたアミノ酸配列を含んでよい。
【0159】
本願において、この参照抗体のH-FR1は、配列番号:5又は配列番号:22に示されたアミノ酸配列を含んでよく;H-FR2は、配列番号:6又は配列番号:23に示されたアミノ酸配列を含んでよく;H-FR3は、配列番号:7又は配列番号:24に示されたアミノ酸配列を含んでよく;並びに、H-FR4は、配列番号:8又は配列番号:25に示されたアミノ酸配列を含んでよい。
【0160】
本願において、この参照抗体のH-FR1は、配列番号:5に示されたアミノ酸配列を含んでよく;H-FR2は、配列番号:6に示されたアミノ酸配列を含んでよく;H-FR3は、配列番号:7に示されたアミノ酸配列を含んでよく;並びに、H-FR4は、配列番号:8に示されたアミノ酸配列を含んでよい。例えば、この参照抗体は、抗体8H2D7B3、又は抗体8H2D7B3と同じH-FR1-4を有する抗体を含んでよい。
【0161】
本願において、この参照抗体のH-FR1は、配列番号:5に示されたアミノ酸配列を含んでよく;H-FR2は、配列番号:6に示されたアミノ酸配列を含んでよく;H-FR3は、配列番号:7に示されたアミノ酸配列を含んでよく;並びに、H-FR4は、配列番号:8に示されたアミノ酸配列を含んでよい。例えば、この参照抗体は、抗体JYB1907hz0、又は抗体JYB1907hz0と同じH-FR1-4を有する抗体を包含してよい。
【0162】
本願において、この参照抗体のH-FR1は、配列番号:22に示されたアミノ酸配列を含んでよく;H-FR2は、配列番号:23に示されたアミノ酸配列を含んでよく;H-FR3は、配列番号:24に示されたアミノ酸配列を含んでよく;並びに、H-FR4は、配列番号:25に示されたアミノ酸配列を含んでよい。例えば、この参照抗体は、抗体JYB1907hz18、又は抗体JYB1907hz18と同じH-FR1-4を有する抗体を包含してよい。
【0163】
本願において、この参照抗体は、配列番号:50に示されたアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含んでよい。
QVQLXQSGAEXPGXSVKXSCKASGYTLSNYWMYWVXQXPXQGLEWIGSIAPSDSETHYNQKFX1011RX12TVTVDKSX13RIVYMX14LSSLX15SEDX16AVYFCARGGFGYGSSHWYFDVWGX17GTX18VTVSS(配列番号:50)、ここで、Xは、Q又はVであってよく、Xは、L又はVであってよく、Xは、K又はVであってよく、Xは、K又はRであってよく、Xは、A又はSであってよく、Xは、L又はVであってよく、Xは、K又はRであってよく、Xは、A又はRであってよく、Xは、G又はIであってよく、X10は、Q又はKであってよく、X11は、D又はGであってよく、X12は、A又はVであってよく、X13は、S又はTであってよく、X14は、E又はQであってよく、X15は、R又はTであってよく、X16は、S又はTであってよく、X17は、Q又はTであってよく、X18は、M又はTであってよい。
【0164】
本願において、この参照抗体の重鎖可変領域は、配列番号:1及び配列番号:21のいずれか一つに示されたアミノ酸配列を含んでよい。
【0165】
本願において、この参照抗体は、重鎖定常領域を含んでよく、これは、IgG-由来の定常領域又はIgY-由来の定常領域を含んでよい。
【0166】
例えば、この参照抗体の重鎖定常領域は、配列番号:17に示されたアミノ酸配列を含んでよい。
【0167】
本願において、この参照抗体は、軽鎖可変領域VLを含んでよく、これは、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含んでよい。
【0168】
本願において、この参照抗体のHCDR3は、配列番号:12に示されたアミノ酸配列を含んでよい。
【0169】
本願において、この参照抗体のLCDR2は、配列番号:45に示されたアミノ酸配列を含んでよい。
GATSLEX(配列番号:45)、ここで、Xは、S又はTであってよい。
【0170】
本願において、この参照抗体のLCDR2は、配列番号:11又は配列番号:28に示されたアミノ酸配列を含んでよい。
【0171】
本願において、この参照抗体のLCDR1は、配列番号:44に示されたアミノ酸配列を含んでよい。
ASDHINKWLA(配列番号:44)、ここで、Xは、K又はRであってよい。
【0172】
本願において、この参照抗体のLCDR1は、配列番号:10又は配列番号:27に示されたアミノ酸配列を含んでよい。
【0173】
例えば、本明細書記載の参照抗体のLCDR1は、配列番号:10に示されたアミノ酸配列を含んでよく;LCDR2は、配列番号:11に示されたアミノ酸配列を含んでよく;並びに、LCDR3は、配列番号:12に示されたアミノ酸配列を含んでよい。例えば、この参照抗体は、抗体8H2D7B3、又は抗体8H2D7B3と同じLCDR1-3を有する抗体を含んでよい。
【0174】
例えば、本明細書記載の参照抗体のLCDR1は、配列番号:10に示されたアミノ酸配列を含んでよく;LCDR2は、配列番号:11に示されたアミノ酸配列を含んでよく;並びに、LCDR3は、配列番号:12に示されたアミノ酸配列を含んでよい。例えば、この参照抗体は、抗体JYB1907hz0、又は抗体JYB1907hz0と同じLCDR1-3を有する抗体を包含してよい。
【0175】
例えば、本明細書記載の参照抗体のLCDR1は、配列番号:27に示されたアミノ酸配列を含んでよく;LCDR2は、配列番号:28に示されたアミノ酸配列を含んでよく;並びに、LCDR3は、配列番号:12に示されたアミノ酸配列を含んでよい。例えば、この参照抗体は、抗体JYB1907hz18、又は抗体JYB1907hz18と同じLCDR1-3を有する抗体を包含してよい。
【0176】
例えば、この参照抗体のVLは、フレームワーク領域L-FR1、L-FR2、L-FR3、及びL-FR4を含んでよい。
【0177】
本願において、この参照抗体のL-FR1は、配列番号:52に示されたアミノ酸配列を含んでよい。
DIQMTQSXLSXSXGXRVTITC(配列番号:52)、ここで、Xは、P又はSであってよく、Xは、A又はSであってよく、Xは、T又はYであってよく、Xは、A又はVであってよく、Xは、L又はVであってよく、Xは、D又はGであってよい。
【0178】
本願において、この参照抗体のL-FR1は、配列番号:13又は配列番号:29に示されたアミノ酸配列を含んでよい。
【0179】
本願において、この参照抗体のL-FR2は、配列番号:14に示されたアミノ酸配列を含んでよい。
【0180】
本願において、この参照抗体のL-FR3は、配列番号:53に示されたアミノ酸配列を含んでよい。
GXPSRFSGSGSGKDYTLXIXLQXDXATYYC(配列番号:53)、ここで、Xは、I又はVであってよく、Xは、T又はSであってよく、Xは、T又はSであってよく、Xは、G又はSであってよく、Xは、P又はTであってよく、Xは、D又はEであってよく、Xは、F又はVであってよい。
【0181】
本願において、この参照抗体のL-FR3は、配列番号:15又は配列番号:30に示されたアミノ酸配列を含んでよい。
【0182】
本願において、この参照抗体のL-FR4は、配列番号:54に示されたアミノ酸配列を含んでよい。
FGXGTKLEIK(配列番号:54)、ここで、Xは、G又はQであってよい。
【0183】
本願において、この参照抗体のL-FR4は、配列番号:16又は配列番号:31に示されたアミノ酸配列を含んでよい。
【0184】
本願において、この参照抗体のL-FR1は、配列番号:13又は配列番号:29に示されたアミノ酸配列を含んでよく;L-FR2は、配列番号:14に示されたアミノ酸配列を含んでよく;L-FR3は、配列番号:15又は配列番号:30に示されたアミノ酸配列を含んでよく;並びに、L-FR4は、配列番号:16又は配列番号:31に示されたアミノ酸配列を含んでよい。
【0185】
本願において、この参照抗体のL-FR1は、配列番号:13に示されたアミノ酸配列を含んでよく;L-FR2は、配列番号:14に示されたアミノ酸配列を含んでよく;L-FR3は、配列番号:15に示されたアミノ酸配列を含んでよく;並びに、L-FR4は、配列番号:16に示されたアミノ酸配列を含んでよい。例えば、この参照抗体は、抗体8H2D7B3、又は抗体8H2D7B3と同じL-FR1-4を有する抗体を含んでよい。
【0186】
本願において、この参照抗体のL-FR1は、配列番号:13に示されたアミノ酸配列を含んでよく;L-FR2は、配列番号:14に示されたアミノ酸配列を含んでよく;L-FR3は、配列番号:15に示されたアミノ酸配列を含んでよく;並びに、L-FR4は、配列番号:16に示されたアミノ酸配列を含んでよい。例えば、この参照抗体は、抗体JYB1907hz0、又は抗体JYB1907hz0と同じH-FR1-4を有する抗体を包含してよい。
【0187】
本願において、この参照抗体のL-FR1は、配列番号:29に示されたアミノ酸配列を含んでよく;L-FR2は、配列番号:14に示されたアミノ酸配列を含んでよく;L-FR3は、配列番号:30に示されたアミノ酸配列を含んでよく;並びに、L-FR4は、配列番号:31に示されたアミノ酸配列を含んでよい。例えば、この参照抗体は、抗体JYB1907hz18、又は抗体JYB1907hz18と同じL-FR1-4を有する抗体を包含してよい。
【0188】
本願において、この参照抗体は、軽鎖可変領域を含んでよく、これは配列番号:51に示されたアミノ酸配列を含んでよい。
DIQMTQSXLSXSXGXRVTITCXASDHINKWLAWYQQKPGNAPRLLISGATSLEXGXPSRFSGSGSGKDYTLX10IX1112LQX1314DX15ATYYCQQYWTTPYTFGX16GTKLEIK(配列番号:51)、ここで、Xは、P又はSであってよく、Xは、A又はSであってよく、Xは、T又はYであってよく、Xは、A又はVであってよく、Xは、L又はVであってよく、Xは、D又はGであってよく、Xは、K又はRであってよく、Xは、S又はTであってよく、Xは、I又はVであってよく、X10は、T又はSであってよく、X11は、T又はSであってよく、X12は、G又はSであってよく、X13は、P又はTであってよく、X14は、D又はEであってよく、X15は、F又はVであってよく、X16は、G又はQであってよい。
【0189】
本願において、この参照抗体の軽鎖可変領域は、配列番号:9及び配列番号:26のいずれか一つに示されたアミノ酸配列を含んでよい。
【0190】
本願において、この参照抗体は、軽鎖定常領域を含んでよく、これは、Igκ-由来の定常領域又はIgλ-由来の定常領域を含んでよい。
【0191】
例えば、この参照抗体の軽鎖定常領域は、配列番号:18に示されたアミノ酸配列を含む。
【0192】
本願において、この参照抗体は、HCDR1-3及びLCDR1-3を含んでよい。例えば、HCDR1は、配列番号:2に示されたアミノ酸配列を含んでよく;HCDR2は、配列番号:3に示されたアミノ酸配列を含んでよく;並びに、HCDR3は、配列番号:4に示されたアミノ酸配列を含んでよく;LCDR1は、配列番号:10に示されたアミノ酸配列を含んでよく;LCDR2は、配列番号:11に示されたアミノ酸配列を含んでよく;並びに、LCDR3は、配列番号:12に示されたアミノ酸配列を含んでよい。例えば、この参照抗体は、抗体8H2D7B3、又は抗体8H2D7B3と同じHCDR1-3及びLCDR1-3を有する抗原結合タンパク質を含んでよい。
【0193】
本願において、この参照抗体は、HCDR1-3及びLCDR1-3を含んでよい。例えば、HCDR1は、配列番号:2に示されたアミノ酸配列を含んでよく;HCDR2は、配列番号:3に示されたアミノ酸配列を含んでよく;並びに、HCDR3は、配列番号:4に示されたアミノ酸配列を含んでよく;LCDR1は、配列番号:10に示されたアミノ酸配列を含んでよく;LCDR2は、配列番号:11に示されたアミノ酸配列を含んでよく;並びに、LCDR3は、配列番号:12に示されたアミノ酸配列を含んでよい。例えば、この参照抗体は、抗体JYB1907hz0、又は抗体JYB1907hz0と同じHCDR1-3及びLCDR1-3を有する抗原結合タンパク質を包含してよい。
【0194】
本願において、この参照抗体は、HCDR1-3及びLCDR1-3を含んでよい。例えば、HCDR1は、配列番号:2に示されたアミノ酸配列を含んでよく;HCDR2は、配列番号:3に示されたアミノ酸配列を含んでよく;並びに、HCDR3は、配列番号:4に示されたアミノ酸配列を含んでよく;LCDR1は、配列番号:27に示されたアミノ酸配列を含んでよく;LCDR2は、配列番号:28に示されたアミノ酸配列を含んでよく;並びに、LCDR3は、配列番号:12に示されたアミノ酸配列を含んでよい。例えば、この参照抗体は、抗体JYB1907hz18、又は抗体JYB1907hz18と同じHCDR1-3及びLCDR1-3を有する抗原結合タンパク質を包含してよい。
【0195】
本願において、この参照抗体は、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含んでよく、ここで重鎖可変領域は、HCDR1-3及びH-FR1-4を含んでよく、並びに軽鎖可変領域は、LCDR1-3及びL-FR1-4を含んでよい。例えば、HCDR1は、配列番号:2に示されたアミノ酸配列を含んでよく;HCDR2は、配列番号:3に示されたアミノ酸配列を含んでよく;並びに、HCDR3は、配列番号:4に示されたアミノ酸配列を含んでよく;LCDR1は、配列番号:10に示されたアミノ酸配列を含んでよく;LCDR2は、配列番号:11に示されたアミノ酸配列を含んでよく;並びに、LCDR3は、配列番号:12に示されたアミノ酸配列を含んでよい。例えば、H-FR1は、配列番号:5に示されたアミノ酸配列を含んでよく;H-FR2は、配列番号:6に示されたアミノ酸配列を含んでよく;H-FR3は、配列番号:7に示されたアミノ酸配列を含んでよく;並びに、H-FR4は、配列番号:8に示されたアミノ酸配列を含んでよく;L-FR1は、配列番号:13に示されたアミノ酸配列を含んでよく;L-FR2は、配列番号:14に示されたアミノ酸配列を含んでよく;L-FR3は、配列番号:15に示されたアミノ酸配列を含んでよく;並びに、L-FR4は、配列番号:16に示されたアミノ酸配列を含んでよい。例えば、この参照抗体の重鎖可変領域は、配列番号:1に示されたアミノ酸配列を含んでよい。例えば、この参照抗体は、抗原-結合断片8H2D7B3、又は抗原-結合断片8H2D7B3と同じ重鎖可変領域を有する抗原-結合タンパク質を含んでよい。例えば、この参照抗体の軽鎖可変領域は、配列番号:9に示されたアミノ酸配列を含んでよい。例えば、この参照抗体は、抗体8H2D7B3、又は抗体8H2D7B3と同じ軽鎖可変領域を含む抗原-結合タンパク質を含んでよい。
【0196】
本願において、この参照抗体は、重鎖及び軽鎖を含み、この参照抗体の重鎖は、配列番号:19に示されたアミノ酸配列を含んでよい。例えば、この参照抗体は、抗体8H2D7B3、又は抗体8H2D7B3と同じ重鎖を有する抗原-結合タンパク質を含んでよい。例えば、この参照抗体の軽鎖は、配列番号:20に示されたアミノ酸配列を含んでよい。例えば、この参照抗体は、抗体8H2D7B3、又は抗体8H2D7B3と同じ軽鎖を有する抗原-結合タンパク質を包含してよい。
【0197】
本願において、この参照抗体は、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含んでよく、ここで重鎖可変領域は、HCDR1-3及びH-FR1-4を含んでよく、並びに軽鎖可変領域は、LCDR1-3及びL-FR1-4を含んでよい。例えば、HCDR1は、配列番号:2に示されたアミノ酸配列を含んでよく;HCDR2は、配列番号:3に示されたアミノ酸配列を含んでよく;並びに、HCDR3は、配列番号:4に示されたアミノ酸配列を含んでよく;LCDR1は、配列番号:10に示されたアミノ酸配列を含んでよく;LCDR2は、配列番号:11に示されたアミノ酸配列を含んでよく;並びに、LCDR3は、配列番号:12に示されたアミノ酸配列を含んでよい。例えば、H-FR1は、配列番号:5に示されたアミノ酸配列を含んでよく;H-FR2は、配列番号:6に示されたアミノ酸配列を含んでよく;H-FR3は、配列番号:7に示されたアミノ酸配列を含んでよく;並びに、H-FR4は、配列番号:8に示されたアミノ酸配列を含んでよく;L-FR1は、配列番号:13に示されたアミノ酸配列を含んでよく;L-FR2は、配列番号:14に示されたアミノ酸配列を含んでよく;L-FR3は、配列番号:15に示されたアミノ酸配列を含んでよく;並びに、L-FR4は、配列番号:16に示されたアミノ酸配列を含んでよい。例えば、この参照抗体の重鎖可変領域は、配列番号:1に示されたアミノ酸配列を含んでよい。例えば、この参照抗体は、抗原-結合断片JYB1907hz0、又は抗原-結合断片JYB1907hz0と同じ重鎖可変領域を有する抗原-結合タンパク質を含んでよい。例えば、この参照抗体の軽鎖可変領域は、配列番号:9に示されたアミノ酸配列を含んでよい。例えば、この参照抗体は、抗体JYB1907hz0、又は抗体JYB1907hz0と同じ軽鎖可変領域を有する抗原-結合タンパク質を包含してよい。
【0198】
本願において、この参照抗体は、重鎖及び軽鎖を含んでよく、参照抗体の重鎖は、配列番号:19に示されたアミノ酸配列を含んでよい。例えば、参照抗体は、抗体JYB1907hz0、又は抗体JYB1907hz0と同じ重鎖を有する抗原-結合タンパク質を包含してよい。例えば、参照抗体の軽鎖は、配列番号:20に示されたアミノ酸配列を含んでよい。例えば、参照抗体は、抗体JYB1907hz0、又は抗体JYB1907hz0と同じ軽鎖を有する抗原-結合タンパク質を包含してよい。
【0199】
本願において、この参照抗体は、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含んでよく、ここで重鎖可変領域は、HCDR1-3及びH-FR1-4を含んでよく、並びに軽鎖可変領域は、LCDR1-3及びL-FR1-4を含んでよい。例えば、HCDR1は、配列番号:2に示されたアミノ酸配列を含んでよく;HCDR2は、配列番号:3に示されたアミノ酸配列を含んでよく;並びに、HCDR3は、配列番号:4に示されたアミノ酸配列を含んでよく;LCDR1は、配列番号:27に示されたアミノ酸配列を含んでよく;LCDR2は、配列番号:28に示されたアミノ酸配列を含んでよく;並びに、LCDR3は、配列番号:12に示されたアミノ酸配列を含んでよい。例えば、H-FR1は、配列番号:22に示されたアミノ酸配列を含んでよく;H-FR2は、配列番号:23に示されたアミノ酸配列を含んでよく;H-FR3は、配列番号:24に示されたアミノ酸配列を含んでよく;並びに、H-FR4は、配列番号:25に示されたアミノ酸配列を含んでよく;L-FR1は、配列番号:29に示されたアミノ酸配列を含んでよく;L-FR2は、配列番号:14に示されたアミノ酸配列を含んでよく;L-FR3は、配列番号:30に示されたアミノ酸配列を含んでよく;並びに、L-FR4は、配列番号:31に示されたアミノ酸配列を含んでよい。例えば、この参照抗体の重鎖可変領域は、配列番号:21に示されたアミノ酸配列を含んでよい。例えば、参照抗体は、抗原-結合断片JYB1907hz18、又は抗原-結合断片JYB1907hz18と同じ重鎖可変領域を有する抗原-結合タンパク質を含んでよい。例えば、参照抗体の軽鎖可変領域は、配列番号:26に示されたアミノ酸配列を含んでよい。例えば、参照抗体は、抗体JYB1907hz18、又は抗体JYB1907hz18と同じ軽鎖可変領域を有する抗原-結合タンパク質を包含してよい。
【0200】
本願において、この参照抗体は、重鎖及び軽鎖を含んでよい。例えば、参照抗体の重鎖は、配列番号:32に示されたアミノ酸配列を含んでよい。例えば、参照抗体は、抗体JYB1907hz18、又は抗体JYB1907hz18と同じ重鎖を有する抗原-結合タンパク質を包含してよい。例えば、参照抗体の軽鎖は、配列番号:33に示されたアミノ酸配列を含んでよい。例えば、参照抗体は、抗体JYB1907hz18、又は抗体JYB1907hz18と同じ軽鎖を有する抗原-結合タンパク質を包含してよい。
【0201】
本願において、単離された抗原-結合タンパク質は、ヒトGARP/ヒトTGF-β1複合体へ結合することができる。
【0202】
本明細書記載の単離された抗原-結合タンパク質は、腫瘍を寛解又は治療することができ、ここで腫瘍は、充実性腫瘍を包含してよい。例えばGARPの発現に関連した腫瘍が、包含されてよい。例えば腫瘍は、転移性結腸癌であってよい。例えば腫瘍は、肝細胞癌であってよい。例えば腫瘍は、進行性腎細胞癌であってよい。例えば腫瘍は、非-小細胞肺腫瘍であってよい。例えば腫瘍は、メラノーマ、乳房腫瘍、及び/又は肺腫瘍であってよい。例えば腫瘍は、メラノーマ、乳癌及び/又は肺扁平上皮癌であってよい。例えば腫瘍は、メラノーマであってよい。
【0203】
本願において、この単離された抗原-結合タンパク質は、HCDR1、HCDR2、及びHCDR3の少なくとも1、少なくとも2、又は少なくとも3を含んでよい、重鎖可変領域VHを含んでよい。
【0204】
本願において、この抗原-結合タンパク質のHCDR3は、配列番号:4に示されたアミノ酸配列を含んでよい。
【0205】
本願において、この抗原-結合タンパク質のHCDR2は、配列番号:3に示されたアミノ酸配列を含んでよい。
【0206】
本願において、この抗原-結合タンパク質のHCDR1は、配列番号:2に示されたアミノ酸配列を含んでよい。
【0207】
例えば、本明細書記載の単離された抗原-結合タンパク質のHCDR1は、配列番号:2に示されたアミノ酸配列を含んでよく;HCDR2は、配列番号:3に示されたアミノ酸配列を含んでよく;並びに、HCDR3は、配列番号:4に示されたアミノ酸配列を含んでよい。例えば、単離された抗原-結合タンパク質は、抗体8H2D7B3、又は抗体8H2D7B3と同じHCDR1-3を有する抗体を含んでよい。
【0208】
例えば、本明細書記載の単離された抗原-結合タンパク質のHCDR1は、配列番号:2に示されたアミノ酸配列を含んでよく;HCDR2は、配列番号:3に示されたアミノ酸配列を含んでよく;並びに、HCDR3は、配列番号:4に示されたアミノ酸配列を含んでよい。例えば、単離された抗原-結合タンパク質は、抗体JYB1907hz0、又は抗体JYB1907hz0と同じHCDR1-3を有する抗体を包含してよい。
【0209】
例えば、本明細書記載の単離された抗原-結合タンパク質のHCDR1は、配列番号:2に示されたアミノ酸配列を含んでよく;HCDR2は、配列番号:3に示されたアミノ酸配列を含んでよく;並びに、HCDR3は、配列番号:4に示されたアミノ酸配列を含んでよい。例えば、単離された抗原-結合タンパク質は、抗体JYB1907hz18、又は抗体JYB1907hz18と同じHCDR1-3を有する抗体を包含してよい。
【0210】
例えば、この抗原-結合タンパク質のVHは、フレームワーク領域H-FR1、H-FR2、H-FR3、及びH-FR4を含んでよい。
【0211】
本願において、この抗原-結合タンパク質のH-FR1は、配列番号:46に示されたアミノ酸配列を含んでよい。
QVQLXQSGAEXPGXSVKXSCKAS(配列番号:46)、ここで、Xは、Q又はVであってよく、Xは、L又はVであってよく、Xは、K又はVであってよく、Xは、K又はRであってよく、Xは、A又はSであってよく、Xは、L又はVであってよい。
【0212】
本願において、この抗原-結合タンパク質のH-FR1は、配列番号:5又は配列番号:22に示されたアミノ酸配列を含んでよい。
【0213】
本願において、この抗原-結合タンパク質のH-FR2は、配列番号:47に示されたアミノ酸配列を含んでよい。
WMYWVXQXPXQGLEWIGSI(配列番号:47)、ここで、Xは、K又はRであってよく、Xは、A又はRであってよく、及びXは、G又はIであってよい。
【0214】
本願において、この抗原-結合タンパク質のH-FR2は、配列番号:6又は配列番号:23に示されたアミノ酸配列を含んでよい。
【0215】
本願において、この抗原-結合タンパク質のH-FR3は、配列番号:48に示されたアミノ酸配列を含んでよい。
THYNQKFXRXTVTVDKSXRIVYMXLSSLXSEDXAVYFCAR(配列番号:48)、ここで、Xは、Q又はKであってよく、Xは、D又はGであってよく、Xは、A又はVであってよく、Xは、S又はTであってよく、Xは、E又はQであってよく、Xは、R又はTであってよく、及びXは、S又はTであってよい、
【0216】
本願において、この抗原-結合タンパク質のH-FR3は、配列番号:7又は配列番号:24に示されたアミノ酸配列を含んでよい。
【0217】
本願において、この抗原-結合タンパク質のH-FR4は、配列番号:49に示されたアミノ酸配列を含んでよい。
WGXGTXVTVSS(配列番号:49)、Xは、Q又はTであってよく、及びXは、M又はTであってよい。
【0218】
本願において、この抗原-結合タンパク質のH-FR4は、配列番号:8又は配列番号:25に示されたアミノ酸配列を含んでよい。
【0219】
本願において、この抗原-結合タンパク質のH-FR1は、配列番号:5又は配列番号:22に示されたアミノ酸配列を含んでよく;抗原-結合タンパク質のH-FR2は、配列番号:6又は配列番号:23に示されたアミノ酸配列を含んでよく;抗原-結合タンパク質のH-FR3は、配列番号:7又は配列番号:24に示されたアミノ酸配列を含んでよく;並びに、抗原-結合タンパク質のH-FR4は、配列番号:8又は配列番号:25に示されたアミノ酸配列を含んでよい。
【0220】
本願において、この抗原-結合タンパク質のH-FR1は、配列番号:5に示されたアミノ酸配列を含んでよく;抗原-結合タンパク質のH-FR2は、配列番号:6に示されたアミノ酸配列を含んでよく;抗原-結合タンパク質のH-FR3は、配列番号:7に示されたアミノ酸配列を含んでよく;並びに、抗原-結合タンパク質のH-FR4は、配列番号:8に示されたアミノ酸配列を含んでよい。例えば、単離された抗原-結合タンパク質は、抗体8H2D7B3、又は抗体8H2D7B3と同じH-FR1-4を有する抗体を含んでよい。
【0221】
本願において、この抗原-結合タンパク質のH-FR1は、配列番号:5に示されたアミノ酸配列を含んでよく;抗原-結合タンパク質のH-FR2は、配列番号:6に示されたアミノ酸配列を含んでよく;抗原-結合タンパク質のH-FR3は、配列番号:7に示されたアミノ酸配列を含んでよく;並びに、抗原-結合タンパク質のH-FR4は、配列番号:8に示されたアミノ酸配列を含んでよい。例えば、この単離された抗原-結合タンパク質は、抗体JYB1907hz0、又は抗体JYB1907hz0と同じH-FR1-4を有する抗体を包含してよい。
【0222】
本願において、この抗原-結合タンパク質のH-FR1は、配列番号:22に示されたアミノ酸配列を含んでよく;抗原-結合タンパク質のH-FR2は、配列番号:23に示されたアミノ酸配列を含んでよく;抗原-結合タンパク質のH-FR3は、配列番号:24に示されたアミノ酸配列を含んでよく;並びに、抗原-結合タンパク質のH-FR4は、配列番号:25に示されたアミノ酸配列を含んでよい。例えば、この単離された抗原-結合タンパク質は、抗体JYB1907hz18、又は抗体JYB1907hz18と同じH-FR1-4を有する抗体を包含してよい。
【0223】
本願において、この単離された抗原-結合タンパク質は、重鎖可変領域を含んでよく、これは、配列番号:50に示されたアミノ酸配列を含んでよい。
QVQLXQSGAEXPGXSVKXSCKASGYTLSNYWMYWVXQXPXQGLEWIGSIAPSDSETHYNQKFX1011RX12TVTVDKSX13RIVYMX14LSSLX15SEDX16AVYFCARGGFGYGSSHWYFDVWGX17GTX18VTVSS(配列番号:50)、ここで、Xは、Q又はVであってよく、Xは、L又はVであってよく、Xは、K又はVであってよく、Xは、K又はRであってよく、Xは、A又はSであってよく、Xは、L又はVであってよく、Xは、K又はRであってよく、Xは、A又はRであってよく、Xは、G又はIであってよく、X10は、Q又はKであってよく、X11は、D又はGであってよく、X12は、A又はVであってよく、X13は、S又はTであってよく、X14は、E又はQであってよく、X15は、R又はTであってよく、X16は、S又はTであってよく、X17は、Q又はTであってよく、X18は、M又はTであってよい。
【0224】
本願において、この抗原-結合タンパク質の重鎖可変領域は、配列番号:1又は配列番号:21に示されたアミノ酸配列を含んでよい。
【0225】
本願において、この単離された抗原-結合タンパク質は、重鎖定常領域を含んでよく、これは、IgG-由来の定常領域又はIgY-由来の定常領域を含んでよい。例えば、重鎖定常領域は、IgG1-由来の又はIgG4-由来の定常領域を含んでよい。
【0226】
例えば、この抗原-結合タンパク質の軽鎖定常領域は、配列番号:17に示されたアミノ酸配列を含んでよい。
【0227】
本願において、この単離された抗原-結合タンパク質は、軽鎖可変領域VLを含んでよく、これは、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含んでよい。
【0228】
本願において、この抗原-結合タンパク質のLCDR3は、配列番号:12に示されたアミノ酸配列を含んでよい。
【0229】
本願において、この抗原-結合タンパク質のLCDR2は、配列番号:45に示されたアミノ酸配列を含んでよい。
GATSLEX(配列番号:45)、ここで、Xは、S又はTであってよい。
【0230】
本願において、この抗原-結合タンパク質のLCDR2は、配列番号:11又は配列番号:28に示されたアミノ酸配列を含んでよい。
【0231】
本願において、この抗原-結合タンパク質のLCDR1は、配列番号:44に示されたアミノ酸配列を含んでよい。
ASDHINKWLA(配列番号:44)、ここで、Xは、K又はRであってよい。
【0232】
本願において、この抗原-結合タンパク質のLCDR1は、配列番号:10又は配列番号:27に示されたアミノ酸配列を含んでよい。
【0233】
例えば、この抗原-結合タンパク質のLCDR1は、配列番号:10に示されたアミノ酸配列を含んでよく;抗原-結合タンパク質のLCDR2は、配列番号:11に示されたアミノ酸配列を含んでよく;並びに、抗原-結合タンパク質のLCDR3は、配列番号:12に示されたアミノ酸配列を含んでよい。例えば、この単離された抗原-結合タンパク質は、抗体8H2D7B3、又は抗体8H2D7B3と同じLCDR1-3を有する抗体を含んでよい。
【0234】
例えば、この抗原-結合タンパク質のLCDR1は、配列番号:10に示されたアミノ酸配列を含んでよく;抗原-結合タンパク質のLCDR2は、配列番号:11に示されたアミノ酸配列を含んでよく;並びに、抗原-結合タンパク質のLCDR3は、配列番号:12に示されたアミノ酸配列を含んでよい。例えば、この単離された抗原-結合タンパク質は、抗体JYB1907hz0、又は抗体JYB1907hz0と同じLCDR1-3を有する抗体を包含してよい。
【0235】
例えば、この抗原-結合タンパク質のLCDR1は、配列番号:27に示されたアミノ酸配列を含んでよく;抗原-結合タンパク質のLCDR2は、配列番号:28に示されたアミノ酸配列を含んでよく;並びに、抗原-結合タンパク質のLCDR3は、配列番号:12に示されたアミノ酸配列を含んでよい。例えば、この単離された抗原-結合タンパク質は、抗体JYB1907hz18、又は抗体JYB1907hz18と同じLCDR1-3を有する抗体を包含してよい。
【0236】
例えば、この抗原-結合タンパク質のVLは、フレームワーク領域L-FR1、L-FR2、L-FR3、及びL-FR4を含んでよい。
【0237】
本願において、この抗原-結合タンパク質のL-FR1は、配列番号:52に示されたアミノ酸配列を含んでよい。
DIQMTQSXLSXSXGXRVTITC(配列番号:52)、ここで、Xは、P又はSであってよく、Xは、A又はSであってよく、Xは、T又はYであってよく、Xは、A又はVであってよく、Xは、L又はVであってよく、Xは、D又はGであってよい。
【0238】
本願において、この抗原-結合タンパク質のL-FR1は、配列番号:13又は配列番号:29に示されたアミノ酸配列を含んでよい。
【0239】
本願において、この抗原-結合タンパク質のL-FR2は、配列番号:14に示されたアミノ酸配列を含んでよい。
【0240】
本願において、この抗原-結合タンパク質のL-FR3は、配列番号:53に示されたアミノ酸配列を含んでよい。
GXPSRFSGSGSGKDYTLXIXLQXDXATYYC(配列番号:53)、ここで、Xは、I又はVであってよく、Xは、T又はSであってよく、Xは、T又はSであってよく、Xは、G又はSであってよく、Xは、P又はTであってよく、Xは、D又はEであってよく、Xは、F又はVであってよい。
【0241】
本願において、この抗原-結合タンパク質のL-FR3は、配列番号:15又は配列番号:30に示されたアミノ酸配列を含んでよい。
【0242】
本願において、この抗原-結合タンパク質のL-FR4は、配列番号:54に示されたアミノ酸配列を含んでよい。
FGXGTKLEIK(配列番号:54)、ここで、Xは、G又はQであってよい。
【0243】
本願において、この抗原-結合タンパク質のL-FR4は、配列番号:16又は配列番号:31に示されたアミノ酸配列を含んでよい。
【0244】
本願において、この抗原-結合タンパク質のL-FR1は、配列番号:13又は配列番号:29;に示されたアミノ酸配列を含んでよく;抗原-結合タンパク質のL-FR2は、配列番号:14に示されたアミノ酸配列を含んでよく;抗原-結合タンパク質のL-FR3は、配列番号:15又は配列番号:30に示されたアミノ酸配列を含んでよく;並びに、抗原-結合タンパク質のL-FR4は、配列番号:16又は配列番号:31に示されたアミノ酸配列を含んでよい。
【0245】
本願において、この抗原-結合タンパク質のL-FR1は、配列番号:13に示されたアミノ酸配列を含んでよく;抗原-結合タンパク質のL-FR2は、配列番号:14に示されたアミノ酸配列を含んでよく;抗原-結合タンパク質のL-FR3は、配列番号:15に示されたアミノ酸配列を含んでよく;並びに、抗原-結合タンパク質のL-FR4は、配列番号:16に示されたアミノ酸配列を含んでよい。例えば、この単離された抗原-結合タンパク質は、抗体8H2D7B3、又は抗体8H2D7B3と同じL-FR1-4を有する抗体を含んでよい。
【0246】
本願において、この抗原-結合タンパク質のL-FR1は、配列番号:13に示されたアミノ酸配列を含んでよく;抗原-結合タンパク質のL-FR2は、配列番号:14に示されたアミノ酸配列を含んでよく;抗原-結合タンパク質のL-FR3は、配列番号:15に示されたアミノ酸配列を含んでよく;並びに、抗原-結合タンパク質のL-FR4は、配列番号:16に示されたアミノ酸配列を含んでよい。例えば、この単離された抗原-結合タンパク質は、抗体JYB1907hz0、又は抗体JYB1907hz0と同じH-FR1-4を有する抗体を包含してよい。
【0247】
本願において、この抗原-結合タンパク質のL-FR1は、配列番号:29に示されたアミノ酸配列を含んでよく;抗原-結合タンパク質のL-FR2は、配列番号:14に示されたアミノ酸配列を含んでよく;抗原-結合タンパク質のL-FR3は、配列番号:30に示されたアミノ酸配列を含んでよく;並びに、抗原-結合タンパク質のL-FR4は、配列番号:31に示されたアミノ酸配列を含んでよい。例えば、この単離された抗原-結合タンパク質は、抗体JYB1907hz18、又は抗体JYB1907hz18と同じL-FR1-4を有する抗体を包含してよい。
【0248】
本願において、この単離された抗原-結合タンパク質は、軽鎖可変領域を含んでよく、これは、配列番号:51に示されたアミノ酸配列を含んでよい。
DIQMTQSXLSXSXGXRVTITCXASDHINKWLAWYQQKPGNAPRLLISGATSLEXGXPSRFSGSGSGKDYTLX10IX1112LQX1314DX15ATYYCQQYWTTPYTFGX16GTKLEIK(配列番号:51)、ここで、Xは、P又はSであってよく、Xは、A又はSであってよく、Xは、T又はYであってよく、Xは、A又はVであってよく、Xは、L又はVであってよく、Xは、D又はGであってよく、Xは、K又はRであってよく、Xは、S又はTであってよく、Xは、I又はVであってよく、X10は、T又はSであってよく、X11は、T又はSであってよく、X12は、G又はSであってよく、X13は、P又はTであってよく、X14は、D又はEであってよく、X15は、F又はVであってよく、X16は、G又はQであってよい。
【0249】
本願において、この抗原-結合タンパク質の軽鎖可変領域は、配列番号:9及び配列番号:26に示されたアミノ酸配列を含んでよい。
【0250】
本願において、この単離された抗原-結合タンパク質は、軽鎖定常領域を含んでよく、これは、Igκ-由来の定常領域又はIgλ-由来の定常領域を含む。
【0251】
例えば、この抗原-結合タンパク質の軽鎖定常領域は、配列番号:18に示されたアミノ酸配列を含む。
【0252】
本願において、この単離された抗原-結合タンパク質は、HCDR1-3及びLCDR1-3を含んでよい。例えば、HCDR1は、配列番号:2に示されたアミノ酸配列を含んでよく;HCDR2は、配列番号:3に示されたアミノ酸配列を含んでよく;並びに、HCDR3は、配列番号:4に示されたアミノ酸配列を含んでよく;LCDR1は、配列番号:10に示されたアミノ酸配列を含んでよく;LCDR2は、配列番号:11に示されたアミノ酸配列を含んでよく;並びに、LCDR3は、配列番号:12に示されたアミノ酸配列を含んでよい。例えば、この単離された抗原-結合タンパク質は、抗体8H2D7B3、又は抗体8H2D7B3と同じHCDR1-3及びLCDR1-3を有する抗原-結合タンパク質を含んでよい。
【0253】
本願において、この単離された抗原-結合タンパク質は、HCDR1-3及びLCDR1-3を含んでよい。例えば、HCDR1は、配列番号:2に示されたアミノ酸配列を含んでよく;HCDR2は、配列番号:3に示されたアミノ酸配列を含んでよく;並びに、HCDR3は、配列番号:4に示されたアミノ酸配列を含んでよく;LCDR1は、配列番号:10に示されたアミノ酸配列を含んでよく;LCDR2は、配列番号:11に示されたアミノ酸配列を含んでよく;並びに、LCDR3は、配列番号:12に示されたアミノ酸配列を含んでよい。例えば、この単離された抗原-結合タンパク質は、抗体JYB1907hz0、又は抗体JYB1907hz0と同じHCDR1-3及びLCDR1-3を有する抗原-結合タンパク質を包含してよい。
【0254】
本願において、この単離された抗原-結合タンパク質は、HCDR1-3及びLCDR1-3を含んでよい。例えば、HCDR1は、配列番号:2に示されたアミノ酸配列を含んでよく;HCDR2は、配列番号:3に示されたアミノ酸配列を含んでよく;並びに、HCDR3は、配列番号:4に示されたアミノ酸配列を含んでよく;LCDR1は、配列番号:27に示されたアミノ酸配列を含んでよく;LCDR2は、配列番号:28に示されたアミノ酸配列を含んでよく;並びに、LCDR3は、配列番号:12に示されたアミノ酸配列を含んでよい。例えば、この単離された抗原-結合タンパク質は、抗体JYB1907hz18、又は抗体JYB1907hz18と同じHCDR1-3及びLCDR1-3を有する抗原-結合タンパク質を包含してよい。
【0255】
本願において、この単離された抗原-結合タンパク質は、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含んでよく、ここで重鎖可変領域は、HCDR1-3及びH-FR1-4を含んでよく、並びに軽鎖可変領域は、LCDR1-3及びL-FR1-4を含んでよい。例えば、HCDR1は、配列番号:2に示されたアミノ酸配列を含んでよく;HCDR2は、配列番号:3に示されたアミノ酸配列を含んでよく;並びに、HCDR3は、配列番号:4に示されたアミノ酸配列を含んでよく;LCDR1は、配列番号:10に示されたアミノ酸配列を含んでよく;LCDR2は、配列番号:11に示されたアミノ酸配列を含んでよく;並びに、LCDR3は、配列番号:12に示されたアミノ酸配列を含んでよい。例えば、H-FR1は、配列番号:5に示されたアミノ酸配列を含んでよく;H-FR2は、配列番号:6に示されたアミノ酸配列を含んでよく;H-FR3は、配列番号:7に示されたアミノ酸配列を含んでよく;並びに、H-FR4は、配列番号:8に示されたアミノ酸配列を含んでよく;L-FR1は、配列番号:13に示されたアミノ酸配列を含んでよく;L-FR2は、配列番号:14に示されたアミノ酸配列を含んでよく;L-FR3は、配列番号:15に示されたアミノ酸配列を含んでよく;並びに、L-FR4は、配列番号:16に示されたアミノ酸配列を含んでよい。例えば、この単離された抗原-結合断片の重鎖可変領域は、配列番号:1に示されたアミノ酸配列を含んでよい。例えば、この単離された抗原-結合タンパク質は、抗原-結合断片8H2D7B3、又は抗原-結合断片8H2D7B3と同じ重鎖可変領域を有する抗原-結合タンパク質を含んでよい。例えば、この単離された抗原-結合タンパク質の軽鎖可変領域は、配列番号:9に示されたアミノ酸配列を含んでよい。例えば、この単離された抗原-結合タンパク質は、抗体8H2D7B3、又は抗体8H2D7B3と同じ軽鎖可変領域を有する抗原-結合タンパク質を含んでよい。
【0256】
本願において、この単離された抗原-結合タンパク質は、重鎖及び軽鎖を含んでよい。例えば、単離された抗原-結合タンパク質の重鎖は、配列番号:19に示されたアミノ酸配列を含んでよい。例えば、この単離された抗原-結合タンパク質は、抗体8H2D7B3、又は抗体8H2D7B3と同じ重鎖を有する抗原-結合タンパク質を含んでよい。例えば、単離された抗原-結合タンパク質の軽鎖は、配列番号:20に示されたアミノ酸配列を含んでよい。例えば、この単離された抗原-結合タンパク質は、抗体8H2D7B3、又は抗体8H2D7B3と同じ軽鎖を有する抗原-結合タンパク質を含んでよい。
【0257】
本願において、この単離された抗原-結合タンパク質は、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含んでよく、ここで重鎖可変領域は、HCDR1-3及びH-FR1-4を含んでよく、並びに軽鎖可変領域は、LCDR1-3及びL-FR1-4を含んでよい。例えば、HCDR1は、配列番号:2に示されたアミノ酸配列を含んでよく;HCDR2は、配列番号:3に示されたアミノ酸配列を含んでよく;並びに、HCDR3は、配列番号:4に示されたアミノ酸配列を含んでよく;LCDR1は、配列番号:10に示されたアミノ酸配列を含んでよく;LCDR2は、配列番号:11に示されたアミノ酸配列を含んでよく;並びに、LCDR3は、配列番号:12に示されたアミノ酸配列を含んでよい。例えば、H-FR1は、配列番号:5に示されたアミノ酸配列を含んでよく;H-FR2は、配列番号:6に示されたアミノ酸配列を含んでよく;H-FR3は、配列番号:7に示されたアミノ酸配列を含んでよく;並びに、H-FR4は、配列番号:8に示されたアミノ酸配列を含んでよく;L-FR1は、配列番号:13に示されたアミノ酸配列を含んでよく;L-FR2は、配列番号:14に示されたアミノ酸配列を含んでよく;L-FR3は、配列番号:15に示されたアミノ酸配列を含んでよく;並びに、L-FR4は、配列番号:16に示されたアミノ酸配列を含んでよい。例えば、この単離された抗原-結合タンパク質の重鎖可変領域は、配列番号:1に示されたアミノ酸配列を含んでよい。例えば、この単離された抗原-結合タンパク質は、抗原-結合断片JYB1907hz0、又は抗原-結合断片JYB1907hz0と同じ重鎖可変領域を有する抗原-結合タンパク質を含んでよい。例えば、この単離された抗原-結合タンパク質の軽鎖可変領域は、配列番号:9に示されたアミノ酸配列を含んでよい。例えば、この単離された抗原-結合タンパク質は、抗体JYB1907hz0、又は抗体JYB1907hz0と同じ軽鎖可変領域を有する抗原-結合タンパク質を包含してよい。
【0258】
本願において、この単離された抗原-結合タンパク質は、重鎖及び軽鎖を含んでよい。例えば、この単離された抗原-結合タンパク質の重鎖は、配列番号:19に示されたアミノ酸配列を含んでよい。例えば、この単離された抗原-結合タンパク質は、抗体JYB1907hz0、又は抗体JYB1907hz0と同じ重鎖を有する抗原-結合タンパク質を包含してよい。例えば、この単離された抗原-結合タンパク質の軽鎖は、配列番号:20に示されたアミノ酸配列を含んでよい。例えば、この単離された抗原-結合タンパク質は、抗体JYB1907hz0、又は抗体JYB1907hz0と同じ軽鎖を有する抗原-結合タンパク質を包含してよい。
【0259】
本願において、この単離された抗原-結合タンパク質は、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含んでよく、ここで重鎖可変領域は、HCDR1-3及びH-FR1-4を含んでよく、並びに軽鎖可変領域は、LCDR1-3及びL-FR1-4を含んでよい。例えば、HCDR1は、配列番号:2に示されたアミノ酸配列を含んでよく;HCDR2は、配列番号:3に示されたアミノ酸配列を含んでよく;並びに、HCDR3は、配列番号:4に示されたアミノ酸配列を含んでよく;LCDR1は、配列番号:27に示されたアミノ酸配列を含んでよく;LCDR2は、配列番号:28に示されたアミノ酸配列を含んでよく;並びに、LCDR3は、配列番号:12に示されたアミノ酸配列を含んでよい。例えば、H-FR1は、配列番号:22に示されたアミノ酸配列を含んでよく;H-FR2は、配列番号:23に示されたアミノ酸配列を含んでよく;H-FR3は、配列番号:24に示されたアミノ酸配列を含んでよく;並びに、H-FR4は、配列番号:25に示されたアミノ酸配列を含んでよく;L-FR1は、配列番号:29に示されたアミノ酸配列を含んでよく;L-FR2は、配列番号:14に示されたアミノ酸配列を含んでよく;L-FR3は、配列番号:30に示されたアミノ酸配列を含んでよく;並びに、L-FR4は、配列番号:31に示されたアミノ酸配列を含んでよい。例えば、この単離された抗原-結合タンパク質の重鎖可変領域は、配列番号:21に示されたアミノ酸配列を含んでよい。例えば、この単離された抗原-結合タンパク質は、抗原-結合断片JYB1907hz18、又は抗原-結合断片JYB1907hz18と同じ重鎖可変領域を有する抗原-結合タンパク質を包含してよい。例えば、この単離された抗原-結合タンパク質の軽鎖可変領域は、配列番号:26に示されたアミノ酸配列を含んでよい。例えば、この単離された抗原-結合タンパク質は、抗体JYB1907hz18、又は抗体JYB1907hz18と同じ軽鎖可変領域を有する抗原-結合タンパク質を包含してよい。
【0260】
本願において、この単離された抗原-結合タンパク質は、重鎖及び軽鎖を含んでよい。例えば、この単離された抗原-結合タンパク質の重鎖は、配列番号:32に示されたアミノ酸配列を含んでよい。例えば、この単離された抗原-結合タンパク質は、抗体JYB1907hz18、又は抗体JYB1907hz18と同じ重鎖を有する抗原-結合タンパク質を包含してよい。例えば、この単離された抗原-結合タンパク質の軽鎖は、配列番号:33に示されたアミノ酸配列を含んでよい。例えば、この単離された抗原-結合タンパク質は、抗体JYB1907hz18、又は抗体JYB1907hz18と同じ軽鎖を有する抗原-結合タンパク質を包含してよい。
【0261】
ポリペプチド及びイムノコンジュゲート
別の局面において、本願は、本願の単離された抗原-結合タンパク質を含んでよい、1又は複数のポリペプチドを提供する。
【0262】
別の局面において、本願は、本願の単離された抗原-結合タンパク質を含んでよい、1又は複数のイムノコンジュゲートを提供する。一部の実施態様において、本イムノコンジュゲートはまた、医薬として許容し得る治療薬も含む。
【0263】
本願において、この治療薬は、細胞傷害性薬剤又は細胞分裂阻害剤であってよい。例えば、この治療薬は、有糸分裂阻害剤、キナーゼ阻害剤、アルキル化剤、代謝拮抗剤、インターカレーション抗生物質、増殖因子阻害剤、細胞周期阻害剤、酵素、トポイソメラーゼ阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、抗-生存物質、及び生体反応修飾物質からなる群から選択されてよい。
【0264】
核酸、ベクター、及び細胞
別の局面において、本願はまた、本明細書記載の単離された抗原-結合タンパク質をコードし得る1又は複数の単離された核酸分子も提供する。例えば、この1又は複数の核酸分子の各々は、この抗原-結合タンパク質の全体又はその一部(例えば、1又は複数のHCDR1-3及び重鎖可変領域)をコードし得る。
【0265】
本明細書記載の核酸分子は、単離されてよい。例えば、これは、以下の方法により作出されるか又は合成されてよい:(i)例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅による、インビトロ増幅、(ii)クローン性組換え、(iii)例えば消化及びゲル電気泳動分画による、精製、或いは、(iv)例えば化学合成による、合成。例えば、この単離された核酸は、組換えDNA技術により調製された核酸分子であってよい。
【0266】
本願において、この単離された抗原-結合タンパク質をコードしている核酸は、本明細書記載の単離された抗原-結合タンパク質の核酸分子を得るための、逆転写PCR及びPCRを使用することを含むが、これらに限定されるものではない、当該技術分野において公知の様々な方法により調製されてよい。
【0267】
別の局面において、本願は、本明細書記載の1又は複数の核酸分子を含む1又は複数のベクターを提供する。各ベクターは、1又は複数の核酸分子を含んでよい。加えてこのベクターはまた、好適な宿主細胞中及び好適な条件下でのベクター選択を可能にするマーカー遺伝子などの他の遺伝子も含んでよい。加えてこのベクターはまた、好適な宿主におけるコード領域の適切な発現を可能にする発現制御エレメントも含んでよい。そのような制御エレメントは、当業者に周知であり、且つ例えば、プロモーター、リボソーム結合部位、エンハンサー、及び遺伝子転写又はmRNA翻訳を調節する他の制御エレメントなどを包含してよい。一部の実施態様において、この発現制御配列は、調節可能なエレメントである。発現制御配列の具体的構造は、種又は細胞型の機能に応じて変動することができるが、典型的には、各々、転写及び翻訳の開始に関与する、5’非-転写配列並びに5’及び3’非-翻訳配列、例えばTATAカセット、キャッピング配列、CAAT配列などを含む。例えば、5’非-転写発現制御配列は、プロモーター領域を含んでよく、これは、機能的に連結された核酸の転写制御のためのプロモーター配列を含んでよい。この発現制御配列はまた、エンハンサー配列又は上流アクチベーター配列も包含する。本願において、好適なプロモーターは、例えば、SP6、T3、及びT7ポリメラーゼのプロモーター、ヒトU6RNAプロモーター、CMVプロモーター、及びそれらの人工的なハイブリッドプロモーター(例えば、CMV)を包含してよく、ここでこれらのプロモーターの一部は、他の細胞タンパク質(例えば、ヒトGAPDH、グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼなど)の遺伝子のプロモーターの一部に融合されてよく、これは追加のイントロンを含んでも含まなくともよい。本明細書記載の1又は複数の核酸分子は、発現制御エレメントへ機能的に連結され得る。
【0268】
そのようなベクターは、例えば、プラスミド、コスミド、ウイルス、ファージ、又は例えば遺伝子操作において通常使用される他のベクターを包含してよい。例えば、このベクターは、発現ベクターであってよい。例えば、このベクターは、ウイルスベクターであってよい。この患者は、ウイルスベクターと共に直接投与されてよい(インビボにおいて)か、或いは間接的に投与されてよく、例えば患者は、インビトロにおいて(エクスビボにおいて)そのウイルスにより処理された細胞と共に投与されてよい。ウイルスベクター技術は、当該技術分野において周知であり、且つ例えば、Sambrookらの文献(2001, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, New York)並びに他のウイルス学及び分子生物学のマニュアルにおいて説明されている。常用のウイルス-ベースのシステムは、遺伝子導入のためのレトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、及び単純ヘルペスウイルスベクターを包含してよい。場合によっては、レトロウイルス、レンチウイルス、及びアデノ随伴ウイルスの方法を使用し、挿入された遺伝子の長期発現のために、宿主ゲノムへ遺伝子を導入及び組込むことができる。レンチウイルスベクターは、非-分裂細胞に形質導入又は感染することが可能であるレトロウイルスベクターであり、典型的には比較的高いウイルス力価を生じる。レンチウイルスベクターは、末端反復配列5’LTR及び切断型3’LTR、RRE、rev応答配列(cPPT)、セントラル終結配列(CTS)、及び/又は翻訳後修飾配列(WPRE)を含んでよい。本明細書記載のベクターは、細胞へ導入されることができる。
【0269】
別の局面に従い、本願は、細胞を提供する。この細胞は、本明細書記載の単離された抗原-結合タンパク質、本明細書記載のポリペプチド、本明細書記載のイムノコンジュゲート、本明細書記載の1もしくは複数の核酸分子及び/又は1もしくは複数のベクターを含んでよい。例えば、それぞれ又は全ての細胞は、本明細書記載の核酸分子又はベクターを含んでよい。例えば、それぞれ又は全ての細胞は、多数(例えば2以上)又は複数(例えば2以上)の種類の本明細書記載の核酸分子又はベクターを含んでよい。例えば、本明細書記載のベクターは、該宿主細胞、例えば原核細胞(例えば、細菌細胞)、CHO細胞、NS/0細胞、HEK293T細胞、293F細胞、もしくはHEK293A細胞など、又は他の真核細胞、例えば植物由来の細胞、真菌もしくは酵母細胞などへ導入されることができる。本明細書記載のベクターは、当該技術分野において公知の方法、例えば、電気穿孔法、リポフェクチントランスフェクション、リポフェクタミントランスフェクションなどにより、宿主細胞へ導入されることができる。例えばこれらの細胞は、酵母細胞を包含してよい。例えば、これらの細胞は、大腸菌細胞を包含してよい。例えばこれらの細胞は、哺乳動物細胞を包含してよい。例えばこれらの細胞は、免疫細胞を包含してよい。
【0270】
これらの細胞は、免疫細胞を包含してよい、場合によっては、これらの細胞は、免疫細胞を包含してよい。例えばこれらの細胞は、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)、マクロファージ、NKT細胞、単球、樹状細胞、顆粒球、リンパ球、白血球及び/又は末梢血単核細胞を包含してよい。
【0271】
医薬組成物及び医薬品組合せ
別の局面において、本願は、医薬組成物を提供する。この医薬組成物は、本明細書記載の単離された抗原-結合タンパク質、ポリペプチド、イムノコンジュゲート、単離された核酸分子、ベクター、細胞、並びに/又は医薬として許容し得るアジュバント及び/もしくは賦形剤を含んでよい。本願において、医薬として許容し得るアジュバントは、緩衝剤、抗酸化剤、保存剤、低分子量のポリペプチド、タンパク質、親水性ポリマー、アミノ酸、糖類、キレート剤、対イオン、金属複合体及び/又は非イオン性界面活性剤を包含してよい。任意の常用の媒体又は物質は、それらが本明細書記載の細胞と不適合でない限りは、本願の医薬組成物のために意図される。本願において、医薬として許容し得る賦形剤は、医薬調製品中の主薬以外の添加剤を包含してよく、これらは医薬必需品とも称される。例えば賦形剤は、錠剤中の結合剤、充填剤、崩壊剤、及び滑沢剤を包含してよい。例えば賦形剤は、伝統的漢方丸剤中の酒精、酢、薬液などを包含してよい。例えば賦形剤は、半固形製剤の軟膏及びクリームの基剤部分を包含してよい。例えば賦形剤は、液体製剤中の保存剤、抗酸化剤、香味剤、芳香剤、可溶化助剤、乳化剤、可溶化剤、浸透圧調整剤、及び着色剤を包含してよい。
【0272】
別の局面において、本願は、単離された抗原-結合タンパク質及び免疫チェックポイント阻害剤を含有する医薬品組合せを提供する。
【0273】
本願において、免疫チェックポイント阻害剤は、PD-1/PD-L1の相互作用を阻害する物質を包含してよい。例えば免疫チェックポイント阻害剤は、PD-1/PD-L1遮断薬、PD-1拮抗剤、PD-L1拮抗剤、PD-1阻害剤、及びPD-L1阻害剤からなる群から選択される。
【0274】
例えばPD-1/PD-L1遮断薬は、BMS202(PD-1/PD-L1阻害剤2)、BMS-1(PD-1/PD-L1阻害剤1)、PD-1/PD-L1阻害剤3、BMS-1166及びBMS-1001からなる群から選択されてよい。
【0275】
例えばPD-1阻害剤は、抗-PD-1抗体を包含してよい。例えば、PD-L1阻害剤は、PD-L1抗体を包含してよい。
【0276】
例えば抗-PD-1抗体は、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、カムレリズマブ、トリパリマブ、シンチリマブ、及びチスレリズマブからなる群から選択されてよい。例えば、抗-PD-L1抗体は、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、及びアベルマブからなる群から選択されてよい。
【0277】
本願において、抗-PD-L1抗体は、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、及びアベルマブからなる群から選択される抗体のHCDR3を含んでよい。
【0278】
本願において、抗-PD-L1抗体は、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、及びアベルマブからなる群から選択される抗体のHCDR2を含んでよい。
【0279】
本願において、抗-PD-L1抗体は、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、及びアベルマブからなる群から選択される抗体のHCDR1を含んでよい。
【0280】
本願において、抗-PD-L1抗体は、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、及びアベルマブからなる群から選択される抗体のLCDR3を含んでよい。
【0281】
本願において、抗-PD-L1抗体は、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、及びアベルマブからなる群から選択される抗体のLCDR2を含んでよい。
【0282】
本願において、抗-PD-L1抗体は、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、及びアベルマブからなる群から選択される抗体のLCDR1を含んでよい。
【0283】
本願において、抗-PD-L1抗体は、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、及びアベルマブからなる群から選択される抗体のVHを含んでよい。
【0284】
本願において、抗-PD-L1抗体は、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、及びアベルマブからなる群から選択される抗体のVLを含んでよい。本願において、抗-PD-L1抗体は、HCDR3を含んでよく、これは配列番号:37に示されたアミノ酸配列を含んでよい。
【0285】
本願において、抗-PD-L1抗体は、配列番号:36に示されたアミノ酸配列を含むHCDR2を含む。
【0286】
本願において、抗-PD-L1抗体は、配列番号:35に示されたアミノ酸配列を含むHCDR1を含む。
【0287】
本願において、抗-PD-L1抗体は、配列番号:35に示されたアミノ酸配列を含むHCDR1、配列番号:36に示されたアミノ酸配列を含むHCDR2、及び配列番号:37に示されたアミノ酸配列を含むHCDR3を含む、重鎖可変領域VHを含む。例えば、この抗体は、アテゾリズマブ、又はアテゾリズマブと同じHCDR1-3を有する抗体を包含してよい。
【0288】
本願において、抗-PD-L1抗体は、重鎖可変領域VHを含んでよく、これは、配列番号:34に示されたアミノ酸配列を含んでよい。
【0289】
本願において、抗-PD-L1抗体は、LCDR3を含んでよく、これは、配列番号:41に示されたアミノ酸配列を含んでよい。
【0290】
本願において、抗-PD-L1抗体は、LCDR2を含んでよく、これは、配列番号:40に示されたアミノ酸配列を含んでよい。
【0291】
本願において、抗-PD-L1抗体は、LCDR1を含んでよく、これは、配列番号:39に示されたアミノ酸配列を含んでよい。
【0292】
本願において、抗-PD-L1抗体は、軽鎖可変領域VLを含んでよく、これは、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含んでよく、ここでLCDR3は、配列番号:41に示されたアミノ酸配列を含んでよく;LCDR2は、配列番号:40に示されたアミノ酸配列を含んでよく;並びに、LCDR1は、配列番号:39に示されたアミノ酸配列を含んでよい。例えば、この抗体は、アテゾリズマブ、又はアテゾリズマブと同じLCDR1-3を有する抗体を包含してよい。
【0293】
本願において、抗-PD-L1抗体は、軽鎖可変領域VLを含んでよく、これは、配列番号:38に示されたアミノ酸配列を含んでよい。
【0294】
本願において、抗-PD-L1抗体は、重鎖及び軽鎖を含んでよく、ここで重鎖は、HCDR1-3及びH-FR1-4を含んでよく、並びに軽鎖は、LCDR1-3及びL-FR1-4を含んでよい。例えば、HCDR1は、配列番号:35に示されたアミノ酸配列を含んでよく;HCDR2は、配列番号:36に示されたアミノ酸配列を含んでよく;並びに、HCDR3は、配列番号:37に示されたアミノ酸配列を含んでよく;LCDR1は、配列番号:39に示されたアミノ酸配列を含んでよく;LCDR2は、配列番号:40に示されたアミノ酸配列を含んでよく;並びに、LCDR3は、配列番号:41に示されたアミノ酸配列を含んでよい。例えば、抗-PD-L1抗体は、アテゾリズマブ、又はアテゾリズマブと同じHCDR1-3及びLCDR1-3を有する抗原-結合タンパク質を包含してよい。例えば、抗-PD-L1抗体重鎖可変領域は、配列番号:34に示されたアミノ酸配列を含むことができる。例えば、抗-PD-L1抗体は、アテゾリズマブ、又はアテゾリズマブと同じ重鎖可変領域を有する抗原-結合タンパク質を包含してよい。例えば、抗-PD-L1抗体の軽鎖可変領域は、配列番号:38に示されたアミノ酸配列を含んでよい。例えば、抗-PD-L1抗体は、アテゾリズマブ、又はアテゾリズマブと同じ軽鎖可変領域を有する抗原-結合タンパク質を包含してよい。例えば、抗-PD-L1抗体の重鎖は、配列番号:42に示されたアミノ酸配列を含んでよい。例えば、抗-PD-L1抗体は、アテゾリズマブ、又はアテゾリズマブと同じ重鎖を有する抗原-結合タンパク質を包含してよい。例えば、抗-PD-L1抗体の軽鎖は、配列番号:43に示されたアミノ酸配列を含んでよい。例えば、抗-PD-L1抗体は、アテゾリズマブ、又はアテゾリズマブと同じ軽鎖を有する抗原-結合タンパク質を包含してよい。
【0295】
キット、使用及び方法
別の局面において、本願は、本明細書記載の医薬品組合せを含むキットを提供する。
【0296】
別の局面において、本願は、腫瘍の予防、寛解、及び/又は治療のための、単離された抗原-結合タンパク質、ポリペプチド、イムノコンジュゲート、単離された核酸分子、ベクター、及び医薬組成物を提供する。
【0297】
例えばこの腫瘍は、充実性腫瘍を包含してよい。例えば、腫瘍は、GARPのタンパク質発現に関連した腫瘍を包含してよい。例えば腫瘍は、転移性結腸癌であってよい。例えば腫瘍は、肝細胞癌であってよい。例えば腫瘍は、進行性腎細胞癌であってよい。例えば腫瘍は、非-小細胞肺腫瘍であってよい。例えば腫瘍は、メラノーマ、乳房腫瘍、及び/又は肺腫瘍であってよい。
【0298】
別の局面において、本願において、キット及び/又は医薬品組合せは、腫瘍の予防、寛解、及び/又は治療のために使用される。
【0299】
例えばこの腫瘍は、充実性腫瘍を包含してよい。例えば腫瘍は、GARPのタンパク質発現に関連した腫瘍を包含してよい。例えば腫瘍は、転移性結腸癌であってよい。例えば腫瘍は、肝細胞癌であってよい。例えば腫瘍は、進行性腎細胞癌であってよい。例えば腫瘍は、非-小細胞肺腫瘍であってよい。例えば腫瘍は、メラノーマ、乳房腫瘍、及び/又は肺腫瘍であってよい。
【0300】
別の局面において、本願は、腫瘍の予防、寛解、及び/又は治療のための医薬品の製造における、単離された抗原-結合タンパク質、ポリペプチド、イムノコンジュゲート、単離された核酸分子、ベクター、細胞、及び/又は医薬組成物の使用を提供する。
【0301】
例えばこの腫瘍は、充実性腫瘍を包含してよい。例えば腫瘍は、GARPのタンパク質発現に関連した腫瘍を包含してよい。例えば腫瘍は、転移性結腸癌であってよい。例えば腫瘍は、肝細胞癌であってよい。例えば腫瘍は、進行性腎細胞癌であってよい。例えば腫瘍は、非-小細胞肺腫瘍であってよい。例えば腫瘍は、メラノーマ、乳房腫瘍、及び/又は肺腫瘍であってよい。
【0302】
別の局面において、本願は、腫瘍の予防、寛解、及び/又は治療のための医薬品の製造における医薬品組合せ及び/又はキットの使用を提供する。
【0303】
例えばこの腫瘍は、充実性腫瘍を包含してよい。例えば腫瘍は、GARPのタンパク質発現に関連した腫瘍を包含してよい。例えば腫瘍は、転移性結腸癌であってよい。例えば腫瘍は、肝細胞癌であってよい。例えば腫瘍は、進行性腎細胞癌であってよい。例えば腫瘍は、非-小細胞肺腫瘍であってよい。例えば腫瘍は、メラノーマ、乳房腫瘍、及び/又は肺腫瘍であってよい。
【0304】
別の局面において、本願は、この単離された抗原-結合タンパク質、単離された核酸分子、ベクター、細胞、及び医薬組成物を、それを必要とする対象へ投与することを含む、疾患又は障害の予防及び/又は治療の方法を提供し、ここでこの疾患又は障害は、腫瘍を包含する。
【0305】
別の局面において、本願は、この医薬品組合せを、それを必要とする対象へ投与することを含む、疾患又は障害の予防及び/又は治療の方法を提供し、ここでこの疾患又は障害は、腫瘍を包含する。
【0306】
例えばこの腫瘍は、充実性腫瘍を包含してよい。例えば腫瘍は、GARPのタンパク質発現に関連した腫瘍を包含してよい。例えば腫瘍は、転移性結腸癌であってよい。例えば腫瘍は、肝細胞癌であってよい。例えば腫瘍は、進行性腎細胞癌であってよい。例えば腫瘍は、非-小細胞肺腫瘍であってよい。例えば腫瘍は、メラノーマ、乳房腫瘍、及び/又は肺腫瘍であってよい。
【0307】
本明細書記載の医薬組成物、医薬品組合せ、及び方法は、例えば化学療法、手術、放射線治療、及び遺伝子治療などの、癌療法の他の型と組合せて使用されることができる。本明細書記載の医薬組成物及び方法は、例えば炎症、免疫疾患、及び感染症などの、免疫応答を左右する他の疾患状態のために使用されることができる。
【0308】
本願において、対象は、ヒト又は非-ヒト動物を包含してよい。例えば、非-ヒト動物は、以下からなる群から選択されてよい:サル、ニワトリ、ガチョウ、ネコ、イヌ、マウス、及びラット。加えて、非-ヒト動物はまた、ヒト以外の任意の動物種、例えば家畜動物、又は齧歯類、又は霊長類、又は家庭内動物、又は家禽動物なども包含してよい。ヒトは、コーカサス系、アフリカ系、アジア系、シュメール系、又は他の民族、又は様々な民族の混血であることができる。別の例としては、ヒトは、高齢者、成人、青年、小児又は乳児であってよい。
【0309】
ヒトにおける有効量は、実験動物における有効量から外挿され得る。例えば、Freireichらは、動物及びヒトに関する用量の相関関係を説明している(体表面積1m当たりのmg数を基に)(Freireichら、Cancer Chemother. Rep. 50, 219(1966))。体表面積は、患者の身長及び体重からおおまかに決定される。例えば、Scientific Tables, Geigy Pharmaceuticals, Ardsley, N.Y., 537(1970)を参照されたい。
【0310】
いずれかの理論に結びつけられることを意図するものではないが、下記実施例は、本願の融合タンパク質、調製方法、使用などの単なる例証を意図し、本願の範囲を限定することは意図していない。
【実施例
【0311】
実施例
実施例1:組換えプラスミドの調製及び免疫細胞株の構築
ヒトGARP(hGARPと称される)の完全長アミノ酸配列(Uniprot#Q14392)及びヒト潜在型TGF-β(hTGF-β1と称される)の完全長アミノ酸配列(Uniprot#P01137)を、DNA配列を合成するために、コドン最適化し、これらを各々、ベクターpLVX-IRES.puro及びpLVX-IRES.G418へ、確立された分子生物学的方法に従い、クローニングし;構築された組換えプラスミドを、レンチウイルスによりパッケージングし、その後293F細胞へ感染させ、並びに抗生物質耐性によりスクリーニングし;モノクローナルコロニーをピッキングすることにより、hGARP/hTGF-β1を過剰発現している293F-hGARP/hTGF-β1モノクローナル組換え細胞株を得、フロー抗-ヒトGARP抗体(Enzo life science、ALX-804-867FI-0100)及び抗-ヒトTGF-β1抗体(R&D Systems、FAB2463A)により染色し、検出のためにフローサイトメーターに装加した。結果を、表1に示した。高発現を伴う293F-hGARP/hTGF-β1モノクローナル組換え細胞株を、免疫化のためにピッキングした。同様の方法を、モノクローナル抗体のスクリーニング及び同定のための、CHOK1-hGARP/hTGF-β1、293T-hGARP及び293T-hTGF-β1モノクローナル組換え細胞株の調製に使用した。
【0312】
【表1】
【0313】
実施例2:マウス抗-ヒトGARPモノクローナル抗体の調製
2.1 免疫化
Balb/c及びSJLマウスを、293F-hGARP/hTGF-β1モノクローナル組換え細胞株2F4及び2D3で、各々、3~4回免疫化し、3~5×10個細胞/マウスを2~3週間隔で注射し、並びに血液を、免疫化後血清として、3回目の免疫化後7日目に採取した。免疫化した血清の結合度を、フローサイトメトリーにおいて、CHOK1-hGARP/hTGF-β1及びブランク細胞CHOK1により検出し、CHOK1-hGARP/hTGF-β1及びブランク細胞CHOK1への結合に関する平均蛍光強度を、フローサイトメトリーにおいて算出し、より高い比を持つマウスを、融合に使用した。融合の3日前に、マウスを、293F-hGARP/hTGF-β1モノクローナル組換え細胞株の3~5×10個細胞/マウスによる、ブースター免疫に供した。
【0314】
2.2 融合
融合の当日、マウスを安楽死させた後、マウスを解剖し、脾臓を取りだし且つ粉砕し、細胞を採取し、これを1500rpmで5分間の遠心分離により収集した。これらの細胞を、赤血球溶解液5mlで懸濁させ、4℃で5分間静置し、反応をDMEM+10%FBSにより停止させ、細胞をカウントした。遠心分離後、細胞を、40mlのDMEMで懸濁させた。2~3分間静置した後、上清を、別の50mL遠心チューブに移した。SP2/0細胞を収集し、SP2/0細胞:脾臓細胞=1:5の比で脾臓細胞と混合し、この混合物を、遠心分離し、上清を、十分にピペッティングし、遠心チューブを振り、細胞ペレットを混合し、これらの混合した細胞を、DMEMで2回洗浄し、その後常法に従うPEG融合又は電気融合に供し、これらの細胞をDMEM培地で洗浄し、DMEM+10%FBS+1×HATの選択培地に再懸濁させた。融合した細胞を、96-ウェル細胞培養プレートに添加し、37℃、湿度75%、5%COのインキュベーターにおいて、9~10日間培養した。
【0315】
2.3 抗体のスクリーニング及びサブクローニング、精製
96-ウェル細胞培養プレート由来のハイブリドーマ上清を、CHOK1-hGARP/hTGF-β1細胞への結合活性について、フローサイトメトリーによりアッセイした。
【0316】
このCHOK1-hGARP/hTGF-β1モノクローナル組換え細胞株を、T-75細胞培養フラスコ内で、集密度90%まで増殖させ、この培養培地を、十分にピペッティングし、この培養物を、PBS緩衝液(Invitrogenから入手可能)により2回洗浄し、次に酵素-非含有細胞解離緩衝液(Versene溶液、15040066、Life technologyから入手可能)により処理し、細胞を収集した。これらの細胞を、PBS緩衝液により2回洗浄し、細胞をカウントした後、これらの細胞を、PBS緩衝液により2×10個細胞/mLまで希釈し、FACS緩衝液(2%FBSを含有するPBS)を添加し、この混合物を、室温で15分間インキュベーションし、その後遠心分離し、且つPBS緩衝液で2回洗浄した。収集した細胞を、FACS緩衝液により、3×10個細胞/mLとなるよう懸濁させた。この細胞懸濁液を、96-FACS反応プレートへ、100μL/ウェルで添加し、96-ウェル細胞培養プレートからのハイブリドーマ上清を、100μL/ウェルで添加し、この混合物を、4℃で1hインキュベーションした。遠心分離後、上清を廃棄し、蛍光(Alexa488)標識した二次抗体(Invitrogenから入手可能)を、100μL/ウェルで添加し、この混合物を、4℃で1hインキュベーションした。これらの細胞を、遠心分離し、FACS緩衝液で3回洗浄し、固定液[4%(v/v)パラホルムアルデヒド]の100μL/ウェルの添加により懸濁させ、10分後、細胞を遠心分離し、FACS緩衝液で2回洗浄した。これらの細胞を、FACS緩衝液の30μLで懸濁させ、得られたものを、フローサイトメーターintellycite plus(Sartoriusから入手可能)により検出し且つ分析した。
【0317】
陽性ハイブリドーマ上清に対応する細胞クローンを、2~4日間の更なる培養のために、24-ウェル細胞培養プレートに移し、この24-ウェル細胞培養プレート内のハイブリドーマ上清(対応する細胞クローン名:8H2)を、CHOK1-hGARP/hTGF-β1細胞への結合活性のアッセイに使用し、結果を、下記表2に示した。陽性細胞を、24-ウェル細胞培養プレートから取りだし、CHOK1-hGARP/hTGF-β1に結合することができるハイブリドーマモノクローナル抗体の選択が可能である安定した細胞株8H2D7B3を得るまで、サブクローニング及びサブクローニングスクリーニングを行い、その後この細胞株を、小規模生成のために50mlの常用の血清-非含有培地において培養し、常用のプロテインAカラムにより精製し、後続の同定のための精製されたモノクローナル抗体を得た。
【0318】
【表2】
【0319】
2.4 軽鎖及び重鎖可変領域アミノ酸配列の決定
5×10個のハイブリドーマ細胞8H2D7B3を、遠心分離により収集し、総RNAを、トリゾール法により抽出した。逆転写反応後に得られたcDNAを、末端転移酵素によるG-付加反応に供し、可変領域配列を含むDNAを、VH、VKプライマー、及びポリCプライマーにより増幅させ、T-Aクローニング、その後シークエンシング及び抗体配列解析を行った。
【0320】
実施例3:マウス抗-ヒトGARPモノクローナル抗体の同定
3.1 マウス抗-ヒトGARPモノクローナル抗体の、293F細胞、293F-hGARP細胞、293F-hTGF-β1細胞、及び293F-hGARP/hTGF-β1複合体への結合機能のフローサイトメトリー同定
前述の細胞を、カウントし、且つ300gで5分間遠心分離し、上清を廃棄し、細胞ペレットを、1×PBSで再懸濁及び洗浄し、次に300gで5分間遠心分離し、上清を廃棄し、その後細胞ペレットを、2%FBSを含有するFACS緩衝液で再懸濁し、密度を1e6個細胞/mLに調節した。これらの細胞を、一定の容積100μL/ウェルについて、密度1e5個細胞/ウェル、4℃で0.5h播種し、300gで5分間遠心分離し、上清を廃棄した。被験抗体を、出発濃度15μg/mLで、2%FBSを含有するFACS緩衝液中に調製し、引き続き希釈因子1:5で合計7勾配、連続希釈し、その後一定容積100μL/ウェルとなるよう添加し、対照として0μg/mLを伴い、この希釈物を、ピペッティングし、4℃で1h十分に混合し、300gで5分間遠心分離し、上清を廃棄した。1×PBSを、一定容積200μL/ウェルとなるよう添加し、この細胞ペレットを、再懸濁させ十分に混合し、引き続き300gで5分間遠心分離し、上清を廃棄し、この工程を2回繰り返した。二次抗体Alexa488(ロバ抗-マウスIgG(H+L)、ロット番号:2018296、Thermo Fisher)を添加し、2%FBSを含有するFACS緩衝液中に、一定容積100μL/ウェルについて、比1:1000となるよう、4℃で調製し、この混合物を、1h遮光した。1×PBSを、一定容積200μL/ウェルとなるよう添加し、細胞を再懸濁させ、十分に混合し、300gで5分間遠心分離し、上清を廃棄し、この工程を2回繰り返した。この細胞ペレットを、2%FBSを含有するFACS緩衝液中に再懸濁し、FACS装置で測定した。ソフトウェアを使用し、マッピングし且つEC50を算出した。ここで、MHG8を陽性対照として使用し、マウスIgG1(mIgG1)を、アイソタイプ対照として使用した。結果を、図1A-1Dに示している:図1Aは、被験抗体の293F細胞への結合を示し、図1Bは、被験抗体の293F-hGARP細胞への結合を示し、図1Cは、被験抗体の293F-hTGF-β1細胞への結合を示し、並びに図1Dは、被験抗体の293F-hGARP/hTGF-β1複合体への結合を示し、マウス抗体8H2D7B3は、293F-hGARP/hTGF-β1複合体のみに結合することを指摘している。
【0321】
3.2 MHG8(抗-ヒトGARP抗体)の293F-hGARP/hTGF-β1複合体への結合機能を遮断するマウス抗-ヒトGARPモノクローナル抗体のフローサイトメトリーアッセイ
前述の細胞を、カウントし、且つ300gで5分間遠心分離し、上清を廃棄し、細胞ペレットを、1×PBSで再懸濁及び洗浄し、次に300gで5分間遠心分離し、上清を廃棄し、その後細胞ペレットを、2%FBSを含有するFACS緩衝液で再懸濁させ、密度を1e6個細胞/mLに調節した。これらの細胞を、一定の容積100μL/ウェルについて、密度1e5個細胞/ウェル、4℃で0.5h播種し、300gで5分間遠心分離し、上清を廃棄した。Alexa488(ロット番号:1905151702、1.39mg/mL)を伴う競合抗体を、一定容積50μL/ウェルについて、最終濃度30μg/mLとなるよう添加し;被験抗体を、出発濃度30μg/mLで、2%FBSを含有するFACS緩衝液中に調製し、引き続き希釈因子1:5で合計7勾配連続希釈し、その後一定容積100μL/ウェルとなるよう添加し、対照として0μg/mLを伴い、この混合物を、ピペッティングし、4℃で1h十分に混合し、300gで5分間遠心分離し、上清を廃棄した。1×PBSを、一定容積200μL/ウェルとなるよう添加し、この細胞ペレットを、再懸濁させ十分に混合し、引き続き300gで5分間遠心分離し、上清を廃棄し、この工程を2回繰り返した。二次抗体Alexa488(ロバ抗-マウスIgG(H+L)、ロット番号:2018296、Thermo Fisher)を、2%FBSを含有するFACS緩衝液中に、比1:1000となるよう調製し、一定容積100μL/ウェルになるよう、4℃で添加し、この混合物を、1h遮光した。1×PBSを、一定容積200μL/ウェルとなるよう添加し、細胞を再懸濁させ十分に混合し、300gで5分間遠心分離し、上清を廃棄し、この工程を2回繰り返した。この細胞ペレットを、2%FBSを含有するFACS緩衝液中に再懸濁し、FACS装置上に装加し、実験データを測定し、これを、ソフトウェアによりマッピングし、EC50を算出した。ここで、MHG8を陽性対照として使用し、マウスIgG1(mIgG1)を、アイソタイプ対照として使用した。結果を、図2に示し、マウス抗体8H2D7B3は、MHG8の293F-hGARP/hTGF-β1複合体への結合を遮断することができた。
【0322】
3.3 精製したマウス抗-ヒトGARPモノクローナル抗体によるTreg細胞におけるSMAD2リン酸化の阻害のウェスタンブロット及びアルファElisaアッセイ
新鮮なPBMC細胞を、ALLCELLSから購入し、最初にPBMC細胞を、400gで10分間遠心分離し、次に1%FBS(Thermo Fisher、10099-141)及び50mmol EDTA(Thermo Fisher、15400054)を含有する1×PBS培地(Thermo Fisher、10010049)中に再懸濁した。PBMCを、Treg抽出キット(Miltenyi、カタログ番号:130-091-301)プロトコールに従い、Treg細胞抽出に供した。Treg細胞抗体処理:Tregを、インビトロにおいて14日間増大させ、細胞を収集し且つカウントし、1.5×10個Treg細胞を、磁気ビーズで枯渇し、陰性対照として使用した。これらの細胞を、24-ウェルプレートに1ウェルにつき1×10個/mLで、一定容積1mL/ウェルとなるよう播種した。被験抗体を、濃度25μg/mLで、24-ウェルプレートに添加した。細胞を、二酸化炭素インキュベーター内37℃で、36h培養した。
【0323】
アルファElisaアッセイ:前述の細胞を、遠心分離により収集し、溶解緩衝液50uLを添加し、30分間溶解した。この溶解液を、1300rpmで5分間遠心分離し、上清10uLを、アルファElisaアッセイ(PerkinElmer、ALSU-PSM2-A500)のために取りだした。
【0324】
ウェスタンブロットアッセイ:前述の細胞を、遠心分離により収集し、溶解緩衝液50uLを添加し、30分間溶解した。この溶解液を、1300rpmで5分間遠心分離し、上清10uLを、ウェスタンブロットアッセイのために取りだした。結果を、図3A-3Bに示している:図3Aは、被験抗体によるTreg細胞におけるSMAD2リン酸化阻害のウェスタンブロットアッセイ結果を示し、並びに図3Bは、被験抗体によるTreg細胞におけるSMAD2リン酸化阻害のアルファElisaアッセイシグナル値を示し、これはマウス抗体は、両方共Treg細胞においてSMAD2リン酸化タンパク質を阻害することができる陽性対照抗-TGF-β1及びMHG8に類似していることを指摘している。
【0325】
結合及び遮断などの機能性同定により、8H2D7B3が、マウスの候補抗体として選択され、且つヒト化された。
【0326】
マウス抗-ヒトGARPモノクローナル抗体8H2D7B3の可変領域の配列は、以下のように決定された:
>8H2D7B3 VH
QVQLQQSGAELVRPGSSVKLSCKASGYTLSNYWMYWVKQRPIQGLEWIGSIAPSDSEWTHYNQKFKDRATVTVDKSSRIVYMQLSSLTSEDSAVYFCARGGFGYGSSHWYFDVWGTGTTVTVSS
>8H2D7B3 VL
DIQMTQSSAYLSVSLGGRVTITCKASDHINKWLAWYQQKPGNAPRLLISGATSLETGIPSRFSGSGSGKDYTLSITGLQTEDVATYYCQQYWTTPYTFGGGTKLEIK。
【0327】
マウス抗-ヒトGARPモノクローナル抗体8H2D7B3の重鎖及び軽鎖のCDR領域を、表3に示した。
【0328】
【表3】
【0329】
実施例4:マウス抗-ヒトGARPモノクローナル抗体のヒト化
4.1 マウス抗-ヒトGARPモノクローナル抗体8H2D7B3と最も相同であるヒト生殖細胞系列抗体(データ源:IMGT)を、ヒト化デザインのためのフレームワークとして、配列アラインメントにより選択し(軽鎖は、IGKV3D-15*01又はIGKV1-5*03、IGKJ2*02又はIGKJ4*02によりフレームとし、並びに重鎖は、IGHV3-7*03又はIGHV1-46*03、IGHJ3*01によりフレームとした)、この抗体のCDR領域を、抗体軽鎖及び重鎖の可変領域のChothiaナンバリング[Chothia及びLesk、1987]により以下のように規定し:CDRL1(L24-L34)、CDRL2(L50-L56)、CDRL3(L89-L97)、CDRH1(H26-H32)、CDRH2(H52-H56)、及びCDRH3(H95-H97)、抗体軽鎖及び重鎖の可変領域のアミノ酸を、可変領域の配列アラインメント及び構造情報に従うヒト化変異に供した。
【0330】
4.2 生殖細胞系列抗体の配列情報
IGKV3D-15*01:
EIVMTQSPATLSVSPGERATLSCRASQSVSSNLAWYQQKPGQAPRLLIYGASTRATGIPARFSGSGSGTEFTLTISSLQSEDFAVYYCQQYNNWP
IGKV1-5*03:
DIQMTQSPSTLSASVGDRVTITCRASQSISSWLAWYQQKPGKAPKLLIYKASSLESGVPSRFSGSGSGTEFTLTISSLQPDDFATYYCQQYNSYS
IGHV3-7*03:
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYWMSWVRQAPGKGLEWVANIKQDGSEKYYVDSVKGRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYYCAR
IGHV1-46*03:
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTSYYMHWVRQAPGQGLEWMGIINPSGGSTSYAQKFQGRVTMTRDTSTSTVYMELSSLRSEDTAVYYCAR
IGKJ2*02:
CTFGQGTKLEIK
IGKJ4*02:
LTFGGGTKVEIK
IGHJ3*01:
DAFDVWGQGTMVTVSS。
【0331】
4.3 発現ベクターを設計し、且つ遺伝子を合成した。次にこの組換え抗体を、哺乳動物細胞において発現させ、精製した。ヒト化抗体及びキメラ抗体を、活性及び物理化学特性に関して比較し、並びにヒト化最適化を1~2ラウンド実行し、ここで軽鎖及び重鎖は、フレームワークCDRとして生殖細胞系列抗体によりグラフトされたヒト化配列を使用することにより、最適に設計した。得られるキメラ抗体は、JYB1907hz0と称し、ヒト化抗体は、JYB1907hz18と称した。
【0332】
4.4 ヒト化抗体の発現及び精製
抗体操作により設計した配列の最適化後、完全長JYB1907hz18軽鎖及び重鎖タンパク質配列を、各々、コドン-最適化し、このコドン-最適化されたDNA断片(Genscript)を合成し、且つ合成された遺伝子断片を、発現ベクターpcDNA3.4(Life Technologies)へクローニングした。発現プラスミドの増幅及びプラスミドの抽出後、供給業者のExpiCHO発現システム法に従い、ExpiCHO細胞(ThermoFisher Scientific、A29133)を、2種のプラスミドで同時-トランスフェクションし、一過性抗体発現を行った。おおまかな手順は、以下である:ExpiCHO細胞を、密度6×10個/mLになるまで、総培養容積25mlの培養培地において、36.5℃及び8%二酸化炭素濃度で培養した。抗体軽鎖及び重鎖発現プラスミド10μgを、各々、ExpiFectamineトランスフェクション試薬を使用し、細胞へ移入し;トランスフェクションの1日後、ExpiCHOエンハンサー150μL及びExpiCHOアジュバント4mLを、培養した細胞へ添加し、培養を9日間継続した。上清を、3500rpm及び4℃での遠心分離により得た。AmMag(商標)プロテインA磁気ビーズ(Genscript、L00695)と抗体発現上清を混合し、この混合物を、室温で2hインキュベーションし、PBSで2回洗浄し、上清を廃棄し;適量の溶出緩衝液であるプロテインG又はA用Sefinose(商標)溶出緩衝液(Sangon、C600481)を添加し、この混合物を十分に混合し、その後5分間の静的インキュベーションのために試験管ラックに配置し;このインキュベーションの間に、磁気ビーズを、2~3回再懸濁させ、且つ溶出を2回繰り返した。溶出後、溶出液を、その直後の使用のために、適量の中和用1Mトリス-HCl(pH7.5)(Sangon、B548124)により中和した。
【0333】
4.5 精製されたヒト化抗体の親和性アッセイ
4.5.1 JYB1907hz18及びhGARP/hTGF-β1複合体(Kactus Biosystems、カタログ番号:GAR-HM4TG)の親和性を、Octet RED96e(Fortebio)により測定し、1907Hz18及びhGARP/hTGF-β1複合体の両方を、1×PBST(1×PBS:Sangon Biotech、B548117-0500;0.02%Tween(登録商標)20:Sigma、P1379)により希釈し、ここでhGARP/hTGF-β1複合体は、出発濃度100nMから3倍勾配で希釈し、並びにJYB1907hz18は、濃度33.3nMで使用した。
【0334】
4.5.2 検出のための試料負荷(Octet Data Acquisition 11.1.0.11):最初に、試料を、200μL/ウェルのシステムにおいて、96-ウェルプレート(Greiner bio-one、655209)へ添加した。次にソフトウェアパラメータを設定し、プレート温度を30℃に設定し、標準キネティックシグナルを収集する振動数を、5.0Hzとした。次にAHCセンサー(Fortebio、カタログ番号:18-0015)を、1×PBSTで10分間予め湿らせ、その後試料を、検出のために装置上に負荷した。各サイクルは、以下の工程を含む:1)試料を緩衝液中に60秒間含浸する工程;2)抗原(hGARP/hTGF-β1複合体)がセンサーに非特異的に結合するかどうか検出する工程;3)1.0mMグリシン溶液、pH1.7中で再生する工程;4)緩衝液中に60秒間含浸する工程;5)抗体(JYB1907hz18)をセンサー上に25秒間固定する工程;6)センサーを緩衝溶液中に180秒間含浸する工程;7)抗原(hGARP/hTGF-β1複合体)を抗体(JYB1907hz18)へ180秒間結合させる工程;8)抗原(hGARP/hTGF-β1複合体)を抗体(JYB1907hz18)と10分間解離させる工程;9)センサーを再生する工程。
【0335】
4.5.3 データ解析
FortebioのData Analysis 12.0ソフトウェアを使用し、1:1の結合様式での抗原(hGARP/hTGF-β1複合体)-抗体(JYB1907hz18)の会合定数(Ka)及び解離定数(Kd)を測定することにより、抗体の平衡解離定数(KD)を算出した。結果を、表4に示し、JYB1907hz18は、陽性対照抗体MHG8よりもより大きい親和性で、hGARP/hTGF-β1へ結合した。
【0336】
【表4】
【0337】
実施例5:JYB1907hz18によるTreg細胞におけるSMAD2リン酸化の阻害
新鮮なPBMC細胞を、ALLCELLSから購入し、最初にPBMC細胞を、400gで10分間遠心分離し、次に1%FBS(Thermo Fisher、10099-141)及び50mmol EDTA(Thermo Fisher、15400054)を含有する1×PBS培地(Thermo Fisher、10010049)中に再懸濁した。PBMCを、Treg抽出キット(Miltenyi、カタログ番号:130-091-301)プロトコールに従い、Treg細胞抽出に供した。Treg細胞抗体処理:Tregを、インビトロにおいて14日間増大させ、細胞を収集し且つカウントし、1.5×10個Treg細胞を、磁気ビーズで枯渇し、陰性対照として使用した。これらの細胞を、24-ウェルプレートに1ウェルにつき1×10個/mLで、一定容積1mL/ウェルとなるよう播種した。被験抗体を、濃度25μg/mLで、24-ウェルプレートに添加した。細胞を、二酸化炭素インキュベーター内37℃で、36h培養した。ここで、抗-TGF-β1及びMHG8を陽性対照として使用し、並びにヒトIgG4をアイソタイプ対照として使用した。
【0338】
アルファElisaアッセイ:前述の細胞を、遠心分離により収集し、溶解緩衝液50uLを添加し、30分間溶解した。この溶解液を、1300rpmで5分間遠心分離し、上清10uLを、アルファElisaアッセイ(PerkinElmer、ALSU-PSM2-A500)のために取りだした。
【0339】
JYB1907hz18は、先に説明した方法により評価したところ、Treg細胞におけるSMAD2リン酸化を阻害し、その結果は、図4に示している。
【0340】
実施例6:JYB1907hz18によるTGFβ1放出の阻害のアッセイ試験
293T-hGARP/hTGF-β1細胞を、Shanghai ChemPartner社により構築し、並びにLN229細胞を、Nanjing Cobai(カタログ番号:CBP60302)から購入した。これら2種の細胞が、密度70%まで成長した時点で、これらを、各々、トリプシン(Thermo、25200056)で消化し、10%FBS(Thermo Fisher、10099-141)及び1×Pen・Strep(Thermo Fisher、15140-122)を含有する新鮮なDMEM(Thermo Fisher、11965092)を添加し、各細胞を再懸濁し、1ウェルにつき3×10個細胞(50μL/ウェル)を、96-ウェルプレート(Corning、3599)へ逐次添加した。勾配様式で希釈したJYB1907hz18の50μL(最終濃度10μg/mLから連続2倍希釈し、合計10勾配、最終ウェルについての抗体濃度0を含む)を、各ウェルに添加し、この混合物を、37℃、5%COのインキュベーターにおいて5~6hインキュベーションした。この培養物を遠心分離し、上清を取りだし、TGF-β1 ELISAキット(Biolegend、カタログ番号:580709)による、TGF-β1アッセイに供した。ここで、MHG8を陽性対照として使用し、並びにヒトIgG4をアイソタイプ対照として使用した。
【0341】
JYB1907hz18は、先に説明した方法により評価したところ、293T細胞からのTGF-β1の放出を阻害し、その結果は図5に示している。
【0342】
実施例7:Tregのヒト末梢血単核細胞(PBMC)からのIL-2及びIFNγ放出の阻害を妨げるJYB1907hz18
新鮮なPBMC細胞を、TPCSから購入し、最初にPBMC細胞を、400gで10分間遠心分離し、次に1%FBS(Thermo Fisher、10099-141)及び50mmol EDTA(Thermo Fisher、15400054)を含有する1×PBS培地(Thermo Fisher、10010049)中に再懸濁した。少量のPBMCを、後続の実験のためにピペッティングし、残りのPBMCを、Treg抽出キット(Miltenyi、カタログ番号:130-091-301)プロトコールに従い、Treg細胞抽出に供した。抽出したTreg細胞及びPBMC細胞を、カウントし、濃度5e5個/mLに調節し、PBMC群には、PBMCの50μL、1%HBS(TPCS、A515)及び1×Pen・Strep(ThermoFisher、15140-122)を含有するTexMACS(商標)Medium培地(Miltenyi Biotec、170-076-309)48μL、及びCD3/CD28抗体磁気ビーズ(Miltenyi Biotec、130-095-345)2μLを補充した。PBMC+Treg細胞群には、PBMCの50μL、1%HBS(TPCS、A515)及び1×Pen・Strep(ThermoFisher、15140-122)を含有するTexMACS(商標)Medium培地(Miltenyi Biotec、170-076-309)46μL、及びCD3/CD28抗体磁気ビーズ(Miltenyi Biotec、130-095-345)4μLを補充した。被験抗体JYB1907hz18を、一定容積50μL/ウェルについて最終濃度25μg/mlとなるよう添加した。この混合物を、37℃、5%COのインキュベーターにおいて、20~24hインキュベーションした。この培養物を遠心分離し、上清を取りだし、IL-2 ELISA及びIFN-γELISAキットを使用し、IL-2(R&D、VAL110)及びIFN-γ(R&D、DIF50C)についてアッセイした。ここで、MHG8を陽性対照として使用した。
【0343】
JYB1907hz18は、先に説明した方法により評価したところ、末梢血単核細胞(PBMC)からの、インターロイキン-2(IL-2)及びインターフェロン-γ(IFN-γ)の放出を阻害し、その結果は、図6A-6Bに示している:図6Aは、被験抗体は、TregがPBMCからのインターロイキン-2(IL-2)の放出を阻害することを妨げることを示し;図6Bは、被験抗体は、TregがPBMCからのインターフェロン-γ(IFN-γ)の放出を阻害することを妨げることを示している。
【0344】
実施例8:ヒト化FcRnマウスモデルにおける薬物動態(PK)試験
ヒト化FcRnマウスを、試験動物として使用し、2種の被験薬物MHG8及びJYB1907hz18の、単回皮下投与後の薬物動態指数を、各々、試験した。全ての動物実験スキームは、IACUCにより検証され及び承認を受けた。6~8週齢の雄のhFcRnマウスを、Biocytogen Pharmaceuticals社(北京)から購入し、体重は23~26gであり、SPF-等級動物飼育室で飼育し、標準ペレット餌を給餌し、室温18~24℃及び相対湿度40%~50%で食餌及び水は自由摂取させ、毎日交互の明暗サイクル(すなわち12時間シフト)に曝した。合計12匹の実験動物を、3群に無作為に割当て、各群4匹の動物とした。これらの動物には、投与容積10mL/kgで、単回投与量10mg/kgを皮下投与した。血液を、薬物投与前、並びに薬物投与後2h、6h、24h(1日目)、2日目、3日目、4日目、7日目、10日目、14日目、21日目、28日目、35日目及び42日目にサンプリングした。全血を、頬の穿刺により、EPチューブに60μL/チューブで収集し、室温で30分間静置させ、その後遠心分離し(2000g、4℃、5分間)、血清を分離した。各試料を、10μL/チューブで2つの部分に分離し(検出チューブ及びバックアップチューブ)、-80℃で貯蔵した。
【0345】
3種の薬物の異なる時点での薬物動態を、間接ELISAにより分析した。このプレートを、抗原、マウス抗-ヒトIgG4 Fc(Abcam、ロット番号:GR3248093-2、ab99820)の2μg/mL、100μL/ウェルで、一晩、4℃でコーティングし、その後洗浄し、ブロッキング緩衝液の200μL/ウェルで、一晩、4℃でブロックした。血清試料を、一定容積50μL/ウェルとなるよう、37℃で1h添加した。検出抗体hGARP/hTGFβ1-ビオチン(0.78mg/ml、ロット番号:030201)+ストレプトアビジン-ペルオキシダーゼ(Sigma、ロット番号:SLCB5784)を、37℃で0.5h、一定容積100μ/ウェルとなるよう添加した。TMB呈色液(KPL、カタログ番号:52-00-03)を、呈色のために添加し、OD450を、マイクロプレートリーダー(Molecular Devices、SpectraMax M3)上で測定した。薬物濃度は、標準曲線に従い入手し、並びにPKパラメータは、PK Solverノン-コンパートメントデータ処理により得た。
【0346】
MHG8投与後の半減期(t1/2)=4.8日であり、最高濃度(Cmax)は、50036ng/mlであり(図7Bに示す);JYB1907hz18投与後の半減期(t1/2)=8.82日であり、最高濃度(Cmax)は、139437ng/mlであった(図7Aに示す)。
【0347】
実施例9:JYB1907hz18の物理化学特性の試験
9.1 SEC-HPLC純度分析
9.1.1 試料(JYB1907hz18)を、1mg/mLに希釈し、十分に混合し、且つ12000rpmで5分間遠心分離し、上清を、試料ボトルに移し、HPLC試料トレーに配置した。クロマトグラフィー条件は、表5に示したように設定した:
【0348】
【表5】
【0349】
9.1.2 クロマトグラフィーカラムは、移動相(200mMリン酸緩衝液、pH6.8)により平衡とし、試料を分析のために注入した。クロマトグラフィーソフトウェアを、データ解析に使用した。各ピークのピーク面積割合を、ピーク面積規準化法により計算した。
【0350】
9.2 HIC-HPLC分析
9.2.1 試料(JYB1907hz18)を、1mg/mlに希釈し、上清を、アッセイのために遠心分離した。クロマトグラフィー条件は、表6に示したように設定した。
【0351】
【表6】
【0352】
9.2.2 勾配溶出は、移動相A(50mMリン酸緩衝液/1M硫酸アンモニウム、pH7.0)及び移動相B(50mMリン酸緩衝液、pH7.0)で行い、主要ピーク保持時間を記録した。
【0353】
9.3 融解温度(Tm)値の分析
試料(JYB1907hz18)を、試料緩衝液により1mg/mLに希釈し、次にProtein Thermal Shift(商標)スターターキットの指示に従い、試料(JYB1907hz18)溶液13μLを、PCRチューブに添加し、Protein Thermal shift(商標)緩衝液5μLを添加し、10×染色液2μLを添加し、結果反応容積20μLとし、この混合物を十分に混合し、12000rpmで5分間遠心分離し、気泡を取り除いた。被験試料(JYB1907hz18)を、試料分析のために、PCR装置内に配置し、試料(JYB1907hz18)のTm値を記録した。
【0354】
9.4 iCIEF分析
試料(JYB1907hz18)溶液を、以下の十分に混合したシステムに添加した:1%メチルセルロース(MC)70μL、5M尿素80μL、両性電解質Pharmalyte(pH3~10)の8μL、pIマーカー5.5の2μL、pIマーカー9.5の2μL。このシステムに、好適な容積の超純水を補充し、200μlとし、この混合物を十分に混合し、その後遠心分離し、上清を分析した。その分析後、結果のファイルを、スペクトル積分処理及び各ピークの等電点並びに各ピークの割合の計算のためのChromPerfectソフトウェアへ取込んだ。
【0355】
JYB1907hz18の物理化学特性の分析の結果を、表7に示している。
【0356】
【表7】
【0357】
実施例10:マウスGvHDモデルにおけるJYB1907hz18抗体の試験
週齢7~8週の40匹の雌のNOGマウスを、Beijing Vital River Laboratory Animal Technology社から購入し;凍結保存したPBMCを、Miaotong(Shanghai) Biotechnology社から購入し;Treg細胞を、実施例5に説明したように、新鮮なPBMCから抽出し、インビトロにおいて増大した。NOGマウスを順応させた後、マウスを、ブスルファン25mg/kg、予め3日間腹腔内で処置した。10匹のマウスを無作為に選択し、同じバッチから凍結保存したPBMCを回収した。第1群として、各マウスに、3×10個のPBMCを静脈内注射した。回収したPBMCを、Treg細胞と混合し、残りの30匹のマウスは、3×10個PBMC及び3×10個Treg細胞を、尾静脈を介して静脈内注射した。注射の翌日、マウスを、体重に従い第2、3、及び4群に無作為に分割した。群別した後、第1群のマウスには、アイソタイプ対照を腹腔内注射し、第2群のマウスには、アイソタイプ対照を腹腔内注射し、第3群のマウスには、MHG8(陽性対照)を投与量20mg/kgで腹腔内注射し、並びに第4群のマウスには、JYB1907hz18を投与量20mg/kgで腹腔内注射し、投与頻度は毎週2回で、合計12回であった。マウスは、毎週2回秤量し、GvHDスコア化に供し、並びに生存数をカウントした。GvHDスコア化判定は、表8に示している。マウスは、それらの体重が25%より多く減少した場合、安楽死させた。
【0358】
【表8】
【0359】
42日目の実験終了時までに、第1群の4匹のマウスが死亡したことがわかり、第2群の3匹のマウスが死亡したことがわかり、並びに第3及び4群の5匹のマウスは生存した。第2群において、Treg細胞を添加したので、インビボにおけるPBMCの増大は阻害され、GvHDの出現時間は遅延されたのに対し、第3及び4群におけるMHG8及びJYB1907hz18の投与は、Tregの作用を阻害し、GvHDのスコア及び死亡率は、第1群のものよりも高く、結果は図8A-8Bに示している:図8Aは、マウスにおける被験抗体のGvHDスコアを示し;図8Bは、マウスにおける被験抗体の生存率を示している。
【0360】
実施例11:ヒトメラノーマA375マウス腫瘍モデルにおけるJYB1907hz18抗体の薬力学試験
週齢7~8の48匹の雌のNOG-DKOマウスを、Beijing Vital River Laboratory Animal Technology社から購入し;凍結保存したPBMCを、Miaotong(Shanghai) Biotechnology社から購入し;A375ヒトメラノーマ細胞を、ATCCから購入した。PBMCを回収し、且つPBMCを、各マウスへ、尾静脈を介して、6E6個の量で注射し、ヒト化マウスモデルを確立した。1週間後、増大し培養したA375細胞を収集し、マトリゲルと混合し、その後2E6個の量で、NOG-DKOマウスへ皮下接種した。この腫瘍が容積100mmまで成長した時点で、マウスを無作為に群別し、各群8匹のマウスとし、これらは同じ日に投与した。グループG1には、アイソタイプ対照を投与量20mg/kgで投与し;グループG2には、MHG8(陽性対照)を投与量20mg/kgで投与し;グループG3には、JYB1907hz18を投与量20mg/kgで投与し;グループG4には、テセントリクを投与量10mg/kgで投与し;グループG5には、MHG8(投与量20mg/kg)及びテセントリク(投与量10mg/kg)を投与し;グループG6には、JYB1907hz18(投与量20mg/kg)及びテセントリク(投与量10mg/kg)を投与した。全てのマウスは、1週間に2回腹腔内投与し、合計8投与量を投与した。
【0361】
群別後28日目に、G1グループの平均腫瘍容積は、1110±104mmであり、G2グループの平均腫瘍容積は、1088±116mmであり、G3グループの平均腫瘍容積は、1000±233mmであり、G4グループの平均腫瘍容積は、834±155mmであり、G5グループの平均腫瘍重量(weight)は、611±146mmであり、G6グループの平均腫瘍容積は、471±87mmであり、G5グループの腫瘍阻害率は、50%であり、並びにG6グループの腫瘍阻害率は、64%であった。G5及びG6の両グループは、G1グループと有意に異なり(G5対G1、G6対G1)、G5対G1はP<0.05;G6対G1はP<0.001であった。他のグループにおいては、統計学的差異は存在しなかった。MHG8のテセントリク(抗-PD-L1抗体)との、及びJYB1907hz18のテセントリク(抗-PD-L1抗体)との組合せは、腫瘍成長を阻害することは明らかであり、この結果は図9に示している。
【0362】
実施例12:ヒト乳房腫瘍JIMT-1マウス腫瘍モデルにおけるJYB1907hz18抗体の薬力学試験
週齢7~8の24匹の雌のNOG-DKOマウスを、Beijing Vital River Laboratory Animal Technology社から購入し;凍結保存したPBMCを、Miaotong(Shanghai) Biotechnology社から購入し;JIMT-1ヒト乳房腫瘍細胞を、ATCCから購入した。PBMCを回収し、且つPBMCを、各マウスへ、尾静脈を介して、6E6個の量で注射し、ヒト化マウスモデルを確立した。1週間後、増大し培養したJIMT-1細胞を収集し、マトリゲルと混合し、その後この混合物を、3E6個の量で、背中を介して、NOG-DKOマウスへ皮下接種した。この腫瘍容積が約100mmになった時点で、マウスを無作為に群別し、各群8匹の動物とし、これらは同じ日に投与した。グループG1には、アイソタイプ対照を投与量20mg/kgで投与し;グループG2には、JYB1907hz18を投与量20mg/kgで投与し;グループG3には、テセントリクを投与量10mg/kgで投与した。全てのマウスは、1週間に2回腹腔内投与し、合計8投与量を投与した。
【0363】
群別後28日目に、G1グループの平均腫瘍容積は、740±57mmであり、G2グループの平均腫瘍容積は、426±45mmであり、G3グループの平均腫瘍容積は、469±72mmであり、G2グループの腫瘍阻害率は、52%であり、並びにG3グループの腫瘍阻害率は、45%であった。G2及びG3の両グループは、G1グループと有意に異なり(G2対G1、G3対G1)、G2対G1はP<0.001;G3対G1はP<0.01であった。JYB1907hz18単独及びテセントリク(抗-PD-L1抗体)単独は両方共、腫瘍成長を阻害することが明らかであり、JYB1907hz18は、テセントリク(抗-PD-L1抗体)よりも優れた腫瘍成長阻害作用を有し、この結果は図10に示している。
【0364】
実施例13:ヒト肺扁平上皮癌EBC-1マウス腫瘍モデルにおけるJYB1907hz18抗体の薬力学試験
週齢7~8の24匹の雌のNOG-DKOマウスを、Beijing Vital River Laboratory Animal Technology社から購入し;凍結保存したPBMCを、Miaotong(Shanghai) Biotechnology社から購入し;EBC-1ヒト乳房腫瘍細胞を、ATCCから購入した。PBMCを回収し、且つPBMCを、各マウスへ、尾静脈を介して、6E6個の量で注射し、ヒト化マウスモデルを確立した。1週間後、増大し培養したEBC-1細胞を収集し、マトリゲルと混合し、その後この混合物を、3E6個の量で、背中を介して、NOG-DKOマウスへ皮下接種した。この腫瘍容積が約100mmになった時点で、マウスを無作為に群別し、各群8匹のマウスとし、これらは同じ日に投与した。グループG1には、アイソタイプ対照を投与量20mg/kgで投与し;グループG2には、JYB1907hz18を投与量20mg/kgで投与し;グループG3には、テセントリクを投与量10mg/kgで投与した。全てのマウスは、1週間に2回腹腔内投与し、合計8投与量を投与した。
【0365】
群別後24日目に、G1グループの平均腫瘍容積は、1273±212mmであり、G2グループの平均腫瘍容積は、797±113mmであり、G3グループの平均腫瘍容積は、842±115mmであり、G2グループの腫瘍阻害率は、42%であり、並びにG3グループの腫瘍阻害率は、38%であった。腫瘍成長傾向のグラフから、JYB1907hz18単独及びテセントリク(抗-PD-L1抗体)単独は両方共、この癌種に対し腫瘍成長を阻害する傾向があり、この結果は図11に示している。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9
図10
図11
【配列表】
2024502670000001.app
【国際調査報告】