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特表2024-502672複数の測定デバイスからの情報を使用する測定値評価
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  • 特表-複数の測定デバイスからの情報を使用する測定値評価 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-22
(54)【発明の名称】複数の測定デバイスからの情報を使用する測定値評価
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/10 20060101AFI20240115BHJP
   A61B 3/103 20060101ALI20240115BHJP
   A61B 3/107 20060101ALI20240115BHJP
【FI】
A61B3/10 100
A61B3/103
A61B3/10
A61B3/107
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023543007
(86)(22)【出願日】2022-01-13
(85)【翻訳文提出日】2023-07-14
(86)【国際出願番号】 IB2022050261
(87)【国際公開番号】W WO2022157606
(87)【国際公開日】2022-07-28
(31)【優先権主張番号】63/139,581
(32)【優先日】2021-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】319008904
【氏名又は名称】アルコン インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】ダニール ネクラッソフ
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ ハンター ペティット
(72)【発明者】
【氏名】マルティン グリューンディヒ
(72)【発明者】
【氏名】マーク アンドリュー ジールク
(72)【発明者】
【氏名】ジョン アルフレッド キャンピン
【テーマコード(参考)】
4C316
【Fターム(参考)】
4C316AA02
4C316AA03
4C316AA08
4C316AA13
4C316AA24
4C316AA26
4C316AB02
4C316AB09
4C316AB11
4C316FA06
4C316FA14
4C316FC02
(57)【要約】
眼を測定するための眼科システムは、測定データ及びコンピュータを含む。測定デバイスは、光干渉断層撮影(OCT)デバイス及び収差計を含む。OCTデバイスはOCT光を眼に向け、眼から反射されたOCT光を検出して眼を測定する。収差計は、収差計光を眼に向け、眼から反射された収差計光を検出して眼を測定する。コンピュータは、反射されたOCT光に従って眼の眼球モデルを生成する。眼球モデルは眼のパラメータを含み、各パラメータには値が割り当てられる。コンピュータは、眼球モデルに従ってOCTベースの波面を特定し、反射された収差計光に従って収差計ベースの波面を特定し、OCTベースの波面と収差計ベースの波面との間のずれを突き止め、ずれに従って測定デバイスの1つ又は複数からの測定値を評価する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼を測定するための眼科システムであって、
複数の測定デバイス
を含み、前記複数の測定デバイスは、
光干渉断層撮影(OCT)デバイスであって、
OCT光を前記眼に向け、
前記眼から反射された前記OCT光を検出して、前記眼を測定する
ように構成されたOCTデバイスと、
収差計であって、
収差計光を前記眼に向け、
前記眼から反射された前記収差計光を検出して、前記眼を測定する
ように構成された収差計と、
を備え、
前記眼科システムはコンピュータを備え、
前記コンピュータは、
前記反射されたOCT光に従って前記眼の眼球モデルを生成することであって、前記眼球モデルは前記眼の複数のパラメータを含み、各パラメータには値が割り当てられる、生成することと、
前記眼球モデルに従ってOCTベースの波面を特定することと、
前記反射された収差計光に従って収差計ベースの波面を特定することと、
前記OCTベースの波面と前記収差計ベースの波面との間のずれを突き止めることと、
前記ずれに従って前記複数の測定デバイスの1つ又は複数からの1つ又は複数の測定値を評価することと、
を行うように構成される、眼科システム。
【請求項2】
前記コンピュータは、
前記ずれに関連する1つ又は複数の問題を識別すること
により1つ又は複数の測定値を評価するように構成される、請求項1に記載の眼科システム。
【請求項3】
前記1つ又は複数の関連する問題は、測定条件又は測定デバイスと関連付けられる、請求項2に記載の眼科システム。
【請求項4】
前記1つ又は複数の関連する問題は、涙膜不安定性、不正確な水晶体トポグラフィパラメータ、不適切な患者固定、不適切なデバイス整列、及び不適切なデバイス較正からなる群から選択される問題を含む、請求項2に記載の眼科システム。
【請求項5】
前記コンピュータは、
前記ずれと関連する1つ又は複数の測定デバイスを識別すること
により1つ又は複数の測定値を評価するように構成される、請求項1に記載の眼科システム。
【請求項6】
トポグラファを更に含み、前記トポグラファは、
トポグラファ光を前記眼に向け、
前記眼から反射された前記トポグラファ光を検出するように構成され、
前記コンピュータは、
前記眼球モデルからOCTベースの角膜前面を特定し、
前記反射されたトポグラファ光からトポグラファベースの角膜前面を特定し、
前記OCTベースの角膜前面と前記トポグラファベースの角膜前面とを比較することにより前記眼球モデルをチェックすること
により前記眼の前記眼球モデルを生成するように構成される、請求項1に記載の眼科システム。
【請求項7】
前記コンピュータは、
不十分なサンプリング、涙膜不安定性、不適切なデバイス整列、及び不適切なデバイス較正からなる群から選択される問題を含む1つ又は複数の関連する問題を識別すること
により1つ又は複数の測定値を評価するように構成される、請求項6に記載の眼科システム。
【請求項8】
前記コンピュータは、
前記眼球モデルを通してシミュレートされた波面のOCTベースの球面度数パラメータ及び円柱度数パラメータを計算することと、
前記収差計ベースの波面の収差計ベースの球面度数パラメータ及び円柱度数パラメータを計算することと、
前記OCTベース及び円柱度数パラメータと前記収差計ベースの球面度数パラメータ及び円柱度数パラメータとを比較することと
により、前記OCTベース音波面と前記収差計ベースの波面との間の前記ずれを突き止めるように構成される、
請求項1に記載の眼科システム。
【請求項9】
前記コンピュータは、
不正確な軸長測定、不適切な患者固定、不適切なデバイス整列、及び不適切なデバイス較正からなる群から選択される問題を含む1つ又は複数の関連する問題を識別すること
により1つ又は複数の測定値を評価するように構成される、請求項8に記載の眼科システム。
【請求項10】
前記コンピュータは、
前記収差計ベースの波面の1つ又は複数の収差計ベース値を特定することと、
前記眼球モデルの1つ又は複数のOCTベース値を特定することと、
前記1つ又は複数の収差計ベース値と前記OCTベース値とを比較することと
により、前記OCTベースの波面と前記収差計ベースの波面との間の前記ずれを突き止めるように構成される、請求項1に記載の眼科システム。
【請求項11】
前記1つ又は複数の収差計ベース値は、前記収差計ベースの波面の1つ又は複数の収差計ベースの傾きを含み、
前記1つ又は複数のOCTベース値は、前記眼球モデルから出る1つ又は複数の光線の1つ又は複数のOCTベースの傾きを含む、請求項10に記載の眼科システム。
【請求項12】
前記コンピュータは、調整されたOCTベースの波面及び前記収差計ベースの波面が予め定義された許容差を満たすまで、
前記1つ又は複数の値を調整して、調整済み眼球モデルを生成することと、
前記調整済み眼球モデルに従って前記調整されたOCTベースの波面を特定することと、
前記調整されたOCTベースの波面と前記収差計ベースの波面とを比較して、それらが前記予め定義された許容差を満たすか否かをチェックすることと
を繰り返すことにより、前記パラメータの1つ又は複数に割り当てられた1つ又は複数の値を調整するように更に構成される、請求項1に記載の眼科システム。
【請求項13】
前記OCTデバイスは、
前記OCT光の角度と異なる角度で次のOCT光を前記眼に向けることと、
前記眼から反射された前記次のOCT光を検出することと
により前記眼球モデルをチェックするように更に構成され、
前記収差計は、
前記収差計光の角度と異なる角度で次の収差計光を前記眼に向けることと、
前記眼から反射された前記次の収差計光を検出することと
により前記眼球モデルをチェックするように更に構成され、
前記コンピュータは、
前記反射された次のOCT光に従って前記眼の次の眼球モデルを生成することと、
前記反射された次の収差計光に従って次の収差計ベースの波面を生成することと、
前記次の眼球モデルに従って次のOCTベースの波面を特定することと、
前記次のOCTベースの波面と前記次の収差計ベースの波面とを比較することと
により前記眼球モデルをチェックするように更に構成される、請求項1に記載の眼科システム。
【請求項14】
眼を測定するための眼科システムであって、
複数の測定デバイス
を含み、前記複数の測定デバイスは、
光干渉断層撮影(OCT)デバイスであって、
OCT光を前記眼に向け、
前記眼から反射された前記OCT光を検出する
ように構成されたOCTデバイスと、
トポグラファであって、
トポグラファ光を前記眼に向け、
前記眼から反射された前記トポグラファ光を検出する
ように構成されたトポグラファと、
を含み、
前記眼科システムは、コンピュータであって、
前記反射されたOCT光からOCTベースの角膜前面を特定することと、
前記反射されたトポグラファ光からトポグラファベースの角膜前面を特定することと、
前記OCTベースの角膜前面と前記トポグラファベースの角膜前面との間のずれを突き止めることと、
前記ずれに従って前記OCTベースの角膜前面及び前記トポグラファベースの角膜前面を評価することと
を行うように構成されたコンピュータと、
を含む眼科システム。
【請求項15】
前記コンピュータは、
前記ずれに関連する1つ又は複数の問題を識別すること
により、前記OCTベースの角膜前面及び前記トポグラファベースの角膜前面を評価するように構成される、請求項14に記載の眼科システム。
【請求項16】
前記1つ又は複数の関連する問題は、測定条件又は測定デバイスと関連付けられる、請求項15に記載の眼科システム。
【請求項17】
前記1つ又は複数の関連する問題は、不十分なサンプリング、不適切なデバイス整列、及び不適切なデバイス較正からなる群から選択される問題を含む、請求項15に記載の眼科システム。
【請求項18】
前記コンピュータは、
前記ずれと関連する1つ又は複数の測定デバイスを識別すること
により、前記OCTベースの角膜前面及び前記トポグラファベースの角膜前面を評価するように構成される、請求項14に記載の眼科システム。
【請求項19】
前記複数の測定デバイスは収差計を更に含み、前記収差計は、
収差計光を前記眼に向け、
前記眼から反射された前記収差計光を検出する
ように構成され、
前記コンピュータは、
前記反射されたOCT光に従って前記眼の眼球モデルを生成することであって、前記眼球モデルは前記眼の複数のパラメータを含み、各パラメータには値が割り当てられる、生成することと、
前記眼球モデルに従ってOCTベースの波面を特定することと、
前記反射された収差計光に従って収差計ベースの波面を特定することと、
前記OCTベースの波面と前記収差計ベースの波面とを比較することと、
前記比較に従って前記複数の測定デバイスの1つ又は複数からの1つ又は複数の測定値を評価することと、
を行うように更に構成される、請求項14に記載の眼科システム。
【請求項20】
眼を測定するための眼科システムであって、
複数の測定デバイスであって、前記複数の測定デバイスは、
光干渉断層撮影(OCT)デバイスであって、
OCT光を前記眼に向け、
前記眼から反射された前記OCT光を検出して、前記眼を測定する
ように構成されたOCTデバイスと、
収差計であって、
収差計光を前記眼に向け、
前記眼から反射された前記収差計光を検出して、前記眼を測定する
ように構成された収差計と、
トポグラファであって、
トポグラファ光を前記眼に向け、
前記眼から反射された前記トポグラファ光を検出する
ように構成されたトポグラファと
を含む、複数の測定デバイスと、
コンピュータであって、
前記反射されたOCT光に従って前記眼の眼球モデルを生成することであって、前記眼球モデルは前記眼の複数のパラメータを含み、各パラメータには値が割り当てられ、前記眼球モデルは、前記眼球モデルからOCTベースの角膜前面を特定し、前記反射されたトポグラファ光からトポグラファベースの角膜前面を特定し、前記OCTベースの角膜前面と前記トポグラファベースの角膜前面とを比較することにより前記眼球モデルをチェックすることにより生成される、生成すること、
前記眼球モデルに従ってOCTベースの波面を特定すること、
前記反射された収差計光に従って収差計ベースの波面を特定すること、
前記OCTベースの波面と前記収差計ベースの波面との間のずれを突き止めることであって、前記OCTベースの波面と前記収差計ベースの波面との間のずれは、
前記眼球モデルを通してシミュレートされた波面のOCTベースの球面度数パラメータ及び円柱度数パラメータを計算し、前記収差計ベースの波面の収差計ベースの球面度数パラメータ及び円柱度数パラメータを計算し、前記OCTベースの球面度数パラメータ及び円柱度数パラメータと前記収差計ベースの球面度数パラメータ及び円柱度数パラメータと比較し、
前記収差計ベースの波面の1つ又は複数の収差計ベース値を特定し、前記眼球モデルの1つ又は複数のOCTベース値を特定し、前記1つ又は複数の収差計ベース値と前記OCTベース値とを比較する
ことにより突き止められ、前記1つ又は複数の収差計ベース値は前記収差計ベースの波面の1つ又は複数の収差計ベースの傾きを含み、前記1つ又は複数のOCTベース値は前記眼球モデルから出る1つ又は複数の光線の1つ又は複数のOCTベースの傾きを含む、突き止めること、
前記ずれに従って前記複数の測定デバイスの1つ又は複数からの1つ又は複数の測定値を評価することであって、
前記ずれに関連するとともに、測定条件又は測定デバイスと関連する1つ又は複数の問題を識別することであって、前記1つ又は複数の関連する問題は、不正確な軸長測定、不十分なサンプリング、涙膜不安定性、不正確な水晶体トポグラフィパラメータ、不適切な患者固定、不適切なデバイス整列、及び不適切なデバイス較正からなる群から選択される問題を含む、識別すること、及び
前記ずれと関連する1つ又は複数の測定デバイスを識別すること
により評価する、評価すること、
前記パラメータの1つ又は複数に割り当てられた1つ又は複数の値を調整することであって、調整済みOCTベースの波面及び前記収差計ベースの波面が予め定義された許容差を満たすまで、前記1つ又は複数の値を調整して調整済み眼球モデルを生成し、前記調整済み眼球モデルに従って前記調整済みOCTベースの波面を特定し、前記調整されたOCTベースの波面と前記収差計ベースの波面とを比較して、それらが前記予め定義された許容差を満たすか否かをチェックすることにより調整する、調整すること、
を行うように構成されたコンピュータと、
を含み、
前記OCTデバイスは、前記OCT光の角度と異なる角度で次のOCT光を前記眼に向け、前記眼から反射された前記次のOCT光を検出することにより前記眼球モデルをチェックするように更に構成され、
前記収差計は、前記収差計光の角度と異なる角度で前記収差計光を前記眼に向け、前記眼から反射された前記次の収差計光を検出することにより前記眼球モデルをチェックするように更に構成され、
前記コンピュータは、前記反射された次のOCT光に従って前記眼の次の眼球モデルを生成し、前記反射された次の収差計光に従って次の収差計ベースの波面を生成し、前記次の眼球モデルに従って次のOCTベースの波面を特定し、前記次のOCTベースの波面と前記次の収差計ベースの波面とを比較することにより前記眼球モデルをチェックするように更に構成される、眼科システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般的には眼科測定デバイスに関し、より詳細には、複数の測定デバイスからの情報を使用して測定値を評価することに関する。
【背景技術】
【0002】
眼科測定システムは典型的には、特定の用途に対処する。例えば、専用システムが、白内障手術で眼内レンズ(IOL)屈折力を計算するための測定値を提供する。システムは一般には、同じことについての測定値を提供する複数のデバイスを有さない。したがって、測定誤差を検出することが難しいことがある。医師によっては、複数のシステムからの測定値を使用して、誤差をチェックし、又は複数のシステムからの出力の平均を計算して測定値を得る者もいる。そのような手法は時間がかかり、多くの場合、正確な測定値を得ることにおいて非効率的である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
特定の実施形態において、眼を測定するための眼科システムは、測定デバイス及びコンピュータを含む。測定デバイスは、光干渉断層撮影(OCT)デバイス及び収差計を含む。OCTデバイスはOCT光を眼に向け、眼から反射されたOCT光を検出して眼を測定する。収差計は、収差計光を眼に向け、眼から反射された収差計光を検出して眼を測定する。コンピュータは、反射されたOCT光に従って眼の眼球モデルを生成する。眼球モデルは眼のパラメータを含み、各パラメータには値が割り当てられる。コンピュータは、眼球モデルに従ってOCTベースの波面を特定し、反射された収差計光に従って収差計ベースの波面を特定し、OCTベースの波面と収差計ベースの波面との間のずれを突き止め、ずれに従って測定デバイスの1つ又は複数からの測定値を評価する。
【0004】
実施形態は、以下の特徴のいずれも含まなくてよく、又は1つ、いくつか、若しくはすべてを含んでもよい:コンピュータは、ずれに関連する1つ又は複数の問題を識別することにより測定値を評価する。1つ又は複数の問題は、測定条件又は測定デバイスと関連し得る。1つ又は複数の問題は、涙膜不安定性、不正確な水晶体トポグラフィパラメータ、不適切な患者固定、不適切なデバイス整列、及び/又は不適切なデバイス較正であり得る。
【0005】
コンピュータは、ずれと関連する1つ又は複数の測定デバイスを識別することにより測定値を評価する。
【0006】
測定デバイスは、トポグラファ光を眼に向け、眼から反射されたトポグラファ光を検出するトポグラファを含む。コンピュータは、眼球モデルからOCTベースの角膜前面を特定し、反射されたトポグラファ光からトポグラファベースの角膜前面を特定し、OCTベースの角膜前面と前記トポグラファベースの角膜前面とを比較することにより前記眼球モデルをチェックすることにより眼の眼球モデルを生成する。コンピュータは、不十分なサンプリング、涙膜不安定性、不適切なデバイス整列、及び不適切なデバイス較正からなる群から選択される問題を含む1つ又は複数の関連する問題を識別することにより1つ又は複数の測定値を評価し得る。
【0007】
コンピュータは、眼球モデルを通してシミュレートされた波面のOCTベースの球面度数パラメータ及び円柱度数パラメータを計算し、収差計ベースの波面の収差計ベースの球面度数パラメータ及び円柱度数パラメータを計算し、OCTベースの球面度数パラメータ及び円柱度数パラメータと収差計ベースの球面度数パラメータ及び円柱度数パラメータとを比較することにより、OCTベースの波面と収差計ベースの波面との間のずれを突き止める。コンピュータは、不正確な軸長測定、不適切な患者固定、不適切なデバイス整列、及び/又は不適切なデバイス較正を含む1つ又は複数の関連する問題を識別することにより、1つ又は複数の測定値を評価し得る。
【0008】
コンピュータは、収差計ベースの波面の1つ又は複数の収差計ベース値を特定し、眼球モデルの1つ又は複数のOCTベース値を特定し、1つ又は複数の収差計ベース値とOCTベース値とを比較することにより、OCTベースの波面と収差計ベースの波面との間のずれを突き止める。1つ又は複数の収差計ベース値は、収差計ベースの波面の1つ又は複数の収差計ベースの傾きを含み得る。1つ又は複数のOCTベース値は、眼球モデルから出る1つ又は複数の光線の1つ又は複数のOCTベースの傾きを含み得る。
【0009】
コンピュータは、調整されたOCTベースの波面及び収差計ベースの波面が予め定義された許容差を満たすまで、以下:1つ又は複数の値を調整して調整済み眼球モデルを生成すること、調整済み眼球モデルに従って調整されたOCTベースの波面を特定すること、及び調整されたOCTベースの波面と収差計ベースの波面とを比較して、それらが予め定義された許容差を満たすか否かをチェックすることを繰り返すことにより、パラメータの1つ又は複数に割り当てられた1つ又は複数の値を調整する。
【0010】
OCTデバイスは、OCT光の角度と異なる角度で次のOCT光を眼に向け、眼から反射された次のOCT光を検出することにより、眼球モデルをチェックする。収差計は、収差計光の角度と異なる角度で次の収差計光を眼に向け、眼から反射された次の収差計光を検出することにより、眼球モデルをチェックする。コンピュータは、反射された次のOCT光に従って眼の次の眼球モデルを生成し、反射された次の収差計光に従って次の収差計ベースの波面を生成し、次の眼球モデルに従って次のOCTベースの波面を特定し、次のOCTベースの波面と前記次の収差計ベースの波面とを比較することにより、眼球モデルをチェックする。
【0011】
特定の実施形態では、眼を測定する眼科システムは測定デバイス及びコンピュータを含む。測定デバイスは、光干渉断層撮影(OCT)デバイス及びトポグラファを含む。OCTデバイスは、OCT光を眼に向け、眼から反射されたOCT光を検出する。トポグラファは、トポグラファ光を眼に向け、眼から反射されたトポグラファ光を検出する。コンピュータは、反射されたOCT光からOCTベースの角膜前面を特定し、反射されたトポグラファ光からトポグラファベースの角膜前面を特定し、OCTベースの角膜前面と前記トポグラファベースの角膜前面との間のずれを突き止め、ずれに従ってOCTベースの角膜前面及び前記トポグラファベースの角膜前面を評価する。
【0012】
実施形態は、以下の特徴のいずれも含まなくてよく、又は1つ、いくつか、若しくはすべてを含んでもよい:コンピュータは、ずれに関連する1つ又は複数の問題を識別することにより、OCTベースの角膜前面及びトポグラファベースの角膜前面を評価する。1つ又は複数の関連する問題は、測定条件又は測定デバイスと関連し得る。1つ又は複数の関連する問題は、不十分なサンプリング、不適切なデバイス整列、及び/又は不適切なデバイス較正を含み得る。
【0013】
コンピュータは、ずれと関連する1つ又は複数の測定デバイスを識別することにより、OCTベースの角膜前面及びトポグラファベースの角膜前面を評価する。
【0014】
測定デバイスは、収差計光を眼に向け、眼から反射された収差計光を検出する収差計を含む。コンピュータは、反射されたOCT光に従って眼の眼球モデルを生成する。眼球モデルは眼のパラメータを含み、各パラメータには値が割り当てられる。コンピュータは、眼球モデルに従ってOCTベースの波面を特定し、前記反射された収差計光に従って収差計ベースの波面を特定し、OCTベースの波面と前記収差計ベースの波面とを比較し、比較に従って前記複数の測定デバイスの1つ又は複数からの1つ又は複数の測定値を評価する。
【0015】
特定の実施形態では、眼を測定する眼科システムは測定デバイス及びコンピュータを含む。測定デバイスは、光干渉断層撮影(OCT)デバイス、収差計、及びトポグラファを含む。OCTデバイスはOCT光を眼に向け、眼から反射されたOCT光を検出して眼を測定する。収差計は、収差計光を眼に向け、眼から反射された収差計光を検出して眼を測定する。トポグラファは、トポグラファ光を眼に向け、眼から反射されたトポグラファ光を検出する。コンピュータは、反射されたOCT光に従って眼の眼球モデルを生成する。眼球モデルは眼のパラメータを含み、各パラメータには値が割り当てられる。眼球モデルは、眼球モデルからOCTベースの角膜前面を特定し、反射されたトポグラファ光からトポグラファベースの角膜前面を特定し、OCTベースの角膜前面とトポグラファベースの角膜前面とを比較することにより眼球モデルをチェックすることにより生成される。コンピュータは、眼球モデルに従ってOCTベースの波面を特定し、反射された収差計光に従って収差計ベースの波面を特定し、OCTベースの波面と収差計ベースの波面との間のずれを突き止める。OCTベースの波面と収差計ベースの波面との間のずれは、眼球モデルを通してシミュレートされた波面のOCTベースの球面度数パラメータ及び円柱度数パラメータを計算し、収差計ベースの波面の収差計ベースの球面度数パラメータ及び円柱度数パラメータを計算し、OCTベースの球面度数パラメータ及び円柱度数パラメータと収差計ベースの球面度数パラメータ及び円柱度数パラメータとを比較し、収差計ベースの波面の1つ又は複数の収差計ベース値を特定し、眼球モデルの1つ又は複数のOCTベース値を特定し、1つ又は複数の収差計ベース値とOCTベース値とを比較することにより突き止められ、1つ又は複数の収差計ベース値は収差計ベースの波形の1つ又は複数の収差計ベースの傾きを含み、1つ又は複数のOCTベース値は眼球モデルから出る1つ又は複数の光線の1つ又は複数のOCTベースの傾きを含む。コンピュータは、ずれに関連し、測定条件又は測定デバイスと関連する1つ又は複数の問題を識別することであって、1つ又は複数の関連する問題は、不正確な軸長測定、不十分なサンプリング、涙膜不安定性、不正確な水晶体トポグラフィパラメータ、不適切な患者固定、不適切なデバイス整列、及び不適切なデバイス較正からなる群から選択される問題を含む、識別することと、ずれと関連する1つ又は複数の測定デバイスを識別することとにより、ずれに従って測定デバイスの1つ又は複数からの1つ又は複数の測定値を評価する。コンピュータは、調整されたOCTベースの波面及び収差計ベースの波形が予め定義された許容差を満たすまで、以下:1つ又は複数の値を調整して、調整済み眼球モデルを生成すること、調整済み眼球モデルに従って調整されたOCTベースの波面を特定すること、及び調整されたOCTベースの波面と収差計ベースの波面とを比較して、それらが予め定義された許容差を満たすか否かをチェックすることを繰り返すことにより、パラメータの1つ又は複数に割り当てられた1つ又は複数の値を調整する。OCTデバイスは、OCT光の角度と異なる角度で次のOCT光を眼に向け、眼から反射された次のOCT光を検出することにより、眼球モデルをチェックする。収差計は、収差計光の角度と異なる角度で次の収差計光を眼に向け、眼から反射された次の収差計光を検出することにより、眼球モデルをチェックする。コンピュータは、反射された次のOCT光に従って眼の次の眼球モデルを生成し、反射された次の収差計光に従って次の収差計ベースの波面を生成し、次の眼球モデルに従って次のOCTベースの波面を特定し、次のOCTベースの波面と次の収差計ベースの波面とを比較することにより、眼球モデルをチェックする。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】特定の実施形態による、眼の測定値を評価するシステムの一例を示す。
図2】眼の角膜前面を測定するOCTデバイスの一例を示す。
図3】眼の角膜前面を測定するトポグラファの一例を示す。
図4】眼と相互作用するOCT光及び収差計光の一例を示す。
図5A】レイトレーシング手順を適用して、眼の解剖学的境界面の位置を特定して、眼球モデルを生成する一例を示す。
図5B】レイトレーシング手順を適用して、眼の解剖学的境界面の位置を特定して、眼球モデルを生成する一例を示す。
図6】特定の実施形態による、図1のシステムによって実行され得る、眼の測定値を評価するための方法の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
実施形態例の説明
ここで、説明及び図面を参照して、開示される装置、システム、及び方法の実施形態例を詳細に示す。説明及び図面は、網羅的であることも、或いは、特許請求の範囲を、図面において示され、説明において開示される特定の実施形態に限定することも意図するものではない。図面は可能な実施形態を表すが、図面は必ずしも縮尺通りではなく、実施形態をよりよく示すために特定の特徴部を簡略化、誇張、削除、又は部分的に分割している場合がある。
【0018】
開示されるシステム及び方法の実施形態は、測定デバイスからの測定値を別のデバイスからの測定値と比較することにより、測定デバイスからの測定値を評価する。特定の実施形態では、測定値は、測定値から導出される波面を比較することにより比較される。
【0019】
図1は、特定の実施形態による眼12の測定値を評価する、一例のシステム10を示す。この例では、システム10は、図示のように結合されたコンピュータ20(ロジック22、メモリ24、及びインタフェース26を含む)、測定デバイス28、及び光学系36を含む。測定デバイス28は、図示のように結合された光干渉断層撮影(OCT)デバイス30、収差計32、及びトポグラファ34を含む。
【0020】
動作の一例によれば、コンピュータ20は、OCTデバイス30からの測定値に従って眼12の眼球モデルを生成する。コンピュータ20は、眼球モデルからOCTベースの波面を特定し、収差計32から収差計ベースの波面を特定する。コンピュータ20は、OCTベースの波面と収差計ベースの波面とを比較する。ずれがある場合、コンピュータはずれに従って測定値を評価する。
【0021】
システム10の部分に目を向けると、測定デバイス28は、OCTデバイス30、収差計32、及びトポグラファ34を含む。OCTデバイス30は、OCT光を眼12に向け、眼12の部位から反射されたOCT光を検出して、その部位の画像を生成する。OCTデバイス30は、OCTを使用して光散乱媒体、例えば眼組織内から2次元又は3次元画像を取得する任意の適切なデバイスであり得る。OCTデバイス30は、時間領域、周波数領域、又は他の適切なスペクトル符号化を使用することができ、単一点走査、並列走査、又は他の適切な走査を使用することができる。動作の一例について図2を参照してより詳細に説明する。
【0022】
図2は、眼12の角膜前面58を測定する、一例のOCTデバイス30を示す。一般に、OCTデバイス30は、媒体間、例えば空気と眼12との間又は眼12の部位間、例えば角膜と房水との間の境界面からの光の反射を検出する。OCTデバイス30は、検出された光の光路長を記録し、光路長を物理的距離に変換する。特定の実施形態では、OCTデバイス30からの生データは、眼12の境界面への距離が「空気中と同様」に、即ち組織の屈折率を考慮にいれずに表されるように変換される。
【0023】
図示の例では、OCTデバイス30は、角膜前面58からの光の反射を検出し、検出された光の光路長を記録し、「空気中と同様」での角膜前面58への距離を表す。表面58の異なる点への距離を使用して、眼球モデルにおいて表面58を構築することができる。OCTデバイス30は、動揺にして眼12の他の部位間の境界面への距離を測定して、眼球モデルの残りの部分を構築する。
【0024】
図1に戻ると、収差計32は収差計光を眼12に向け、眼12から反射された収差計光を検出する。収差計32は、収差測定法(即ち波面技術)を使用して、光がいかに眼12を通って、眼を反射する網膜まで移動するかを測定する。眼の収差は光に異なる形状をとらせ、これは収差を特徴付けるのに使用することができる。収差計32は、反射光から波面マップ(例えばゼルニケ係数マップ)を生成する。ハルトマン-シャック収差計は、収差計32の例である。
【0025】
反射トポグラファ34は、トポグラファ光を眼に向け、眼から反射されたトポグラファ光を検出して、角膜前面58の形状を測定する。特定の実施形態では、トポグラファ34及びOCTデバイス30からの測定値を使用して、眼球モデルの角膜前面58を構築する。動作の一例について図3を参照してより詳細に説明する。
【0026】
図3は、眼12の角膜前面を測定する、反射トポグラファ等の一例のトポグラファ34を示す。本例では、トポグラファ34は照明システム60及びセンサ62を含む。照明システム60は、トポグラファ光を眼に向ける。光は、パターン(例えば同心リング又はドットのグリッド)を角膜前面58上に投影する。センサ62(例えばカメラ)が、眼から反射されたトポグラファ光を検出し、反射光の画像を生成する。画像は解析されて、眼の特徴、例えば表面58の形状を特定する。表面が理想的な球面である場合、反射されたパターンは、投影パターンに一致する。表面に収差がある場合、パターンの反射部分(例えばリング又はドット)が互いに接近している領域ほど、大きい角膜曲率を示し得、部分が離れている領域ほど、平坦な領域を示し得る。トポグラファ34は、軸方向、接線方向、屈折力、又は高度マップ等の表面のマップの形態で結果を出力し得る。
【0027】
図1に戻ると、複数の測定デバイス28は測定値を順次及び/又は同時に取得し得る。測定値を比較するために、測定値は整列されるべきである。特定の場合、測定値は、眼12の特徴、例えば瞳孔又は虹彩のマーキングを使用して整列させることができる。他の場合、測定値は眼追跡機能を使用して整列させることができる。他の場合、測定デバイス28は、眼12が測定値で同じ整列となるように、同じ光路に沿って測定を行うことができる。測定デバイス28が同じ光路に沿って測定を行う一例について図4を参照して説明する。
【0028】
図4は、眼12と相互作用している、一例のOCT光54及び収差計光56を示す。例では、眼12は眼球部位、例えば角膜40、房水42、虹彩44、水晶体46、硝子体液50、及び網膜52を含む。特定の実施形態では、眼12の部位の1つ又は複数の表面及び/又は眼12の部位間の境界面は、眼球モデルの生成に使用し得る解剖学的境界面と見なし得る。例えば、解剖学的境界面は、角膜40の前面;角膜40、房水42、虹彩44、水晶体46、硝子体液50、及び/又は網膜52の間;及び網膜52を含み得る。
【0029】
例では、OCTビーム54は角膜40に入り、収差計光線56は網膜52から反射される。眼12が理想的な正常視である(光学収差がない)場合、各OCT光線54は、全く同じ光路を逆に移動する反射波面光線56を有する。眼12に光学収差がある場合、収差により、測定デバイス28からの光線54、56は、異なる経路で眼12を通って移動する。図示の例では、OCTビーム54は平行する。しかしながら、OCTビーム54は他の任意の適したビームジオメトリ、例えばシングルスキャンOCTビームを有し得る。ビームジオメトリが既知である限り、OCTビーム54の経路は特定することができる。
【0030】
図1に戻ると、光学系36は、測定デバイス28からの光を眼12に向ける1つ又は複数の光学要素を含む。光学要素は、レーザービームに作用(例えば、透過、反射、屈折、回折、コリメート、調整、整形、集束、変調、及び/又は他の方法で作用)し得る。光学要素の例としては、レンズ、プリズム、ミラー、回折光学要素(diffractive optical element、DOE)、ホログラフィック光学要素(holographic optical element、HOE)、及び空間光変調器(spatial light modulator、SLM)が挙げられる。
【0031】
コンピュータ20は、測定デバイス28からの測定値を評価するようにシステム10の動作を制御する。特定の実施形態では、コンピュータ20は、OCTデバイス30からの測定値に従って眼12の眼球モデルを生成する。コンピュータ20は、眼球モデルからOCTベースの波面を特定し、収差計32から収差計ベースの波面を特定する。コンピュータ20は、OCTベースの波面と収差計ベースの波面とを比較する。ずれがある場合、コンピュータはずれに従って測定値を評価する。特定の実施形態では、コンピュータ20はモデルで追加のチェックを実行し得る。
【0032】
眼球モデルの生成:眼球モデル。眼球モデルは、眼12を記述するパラメータを含み得、各パラメータには値が割り当てられる。パラメータは、眼12の特徴(例えば、水晶体の角膜等の部位)の特性(例えば、位置、寸法、形状、及び/又は屈折率等の材料性質)を記述し得る。パラメータは、例えば、眼12の以下又は眼12の部位を記述し得る:(1)眼12の波面;(2)眼12の部位の表面(例えば、角膜又は水晶体の前面又は後面)の形状;(3)眼12を通るか、又は眼12の部位間の距離(例えば物理的又は光学)(例えば、後部角膜と前部水晶体との間の距離、水晶体後部と網膜との間の距離、又は角膜、水晶体、硝子体、若しくは房水を通る距離);及び、眼12の部位の屈折率。パラメータに割り当てられた値は、パラメータに特定の値、例えば角膜の特定の厚さを与える。
【0033】
パラメータ値は制約を受ける。制約は、満たすべき優先度が高いハード制約又は満たすべき優先度が低いソフト制約であることができる。特定の例では、以下のパラメータ値は、確かであり得、ハード制約と見なされ得る:(1)眼全体:波面;(2)角膜:前面及び後面の形状、角膜を通る物理的距離及び光学的距離、及び屈折率;(3)房水:房水を通る物理的距離及び屈折率;(4)水晶体:水晶体前面の形状、水晶体を通る光路、及び全般的な屈折率プロファイル(しかし特定の値はない);(5)硝子体:硝子体を通る物理的距離及び屈折率。例では、以下のパラメータ値は不確かであり得、可変又はソフト制約であると見なされ得る:(1)水晶体:水晶体後面の形状、水晶体を通る物理的経路、及び屈折率プロファイルの特定の値;(2)硝子体:硝子体を通るビーム方向;(3)網膜:位置、表面の形状。
【0034】
眼球モデルの生成:レイトレーシング。コンピュータ20は、反射されたOCT光に従って眼球モデルを任意の適した様式で生成し得る。特定の実施形態では、コンピュータ20は、レイトレーシング手順を適用して眼球モデルを生成する。レイトレーシングは、眼12の部位間の境界面が光線をいかに屈折させるかを含め、眼12を通る光線の経路を特定する。組織境界において、屈折はスネルの法則に従って計算され、スネルの法則は、入射及び屈折の角度θの正弦の比率が屈折率nの比率の逆数であることを述べている:sinθ/sinθ=n/n。均一な屈折率を有する眼12の部位を通る光線は一定の方向に伝播し、一方、屈折率の勾配を有する部位を移動する光線は、湾曲経路で移動する。光線が眼12を通って移動する際、プロセスは光線と表面との交点及びそれらの点における表面法線を計算して、スネルの法則に従って光線の新しい方向を特定する。点及び点における表面法線を使用して、表面の形状を特定することができる。そのようなプロセスの一例について図5A及び図5Bを参照して説明する。
【0035】
図5A及び図5Bは、レイトレーシング手順を適用して、眼12の解剖学的境界面56の位置を特定し、眼球モデルを生成する一例を示す。図5Aは解剖学的境界面56を示し、解剖学的境界面56は、境界面56a(角膜前面58);房水42と水晶体46(水晶体前面)との間の境界面56b;水晶体46と硝子体液50(水晶体後面)との間の境界面56c;及び境界面56d(網膜52の表面)を含む。距離d’は、境界面56への物理的距離を表す。
【0036】
図5Bは、OCTデバイス30からの測定値を示し、OCTデバイス30は、「空気中と同様」にOCT光線が境界面56の一点に移動する距離dを記録する。光線は空気を通って境界面56aに移動し、したがって、距離d=d’である。しかしながら、光線は眼組織を通って境界面56bから56dに移動し、距離は、d’<dのように短くなり、i=b、c、及びdである。
【0037】
動作の一例によれば、コンピュータ20は、眼12の解剖学的境界面を通って移動する光線を定義し、光線から解剖学的境界面の位置を特定し、解剖学的境界面の位置を使用して眼球モデルを生成する。コンピュータ20は、各解剖学的境界面に対して以下を繰り返すことにより光線を定義する:組織の屈折率及び入射角を使用して、解剖学的境界面からの屈折の角度を特定し、OCT測定値から、次の解剖学的境界面への距離を特定する。
【0038】
例では、OCTデバイス30は、境界面56の点への初期「空気中」距離dを提供する。特定の実施形態では、トポグラファ34は、境界面56a(角膜前面58)の形状についての追加測定値を提供し得る。くわえて、不確実なパラメータ値を初期値に割り当てることができ、これは、追加情報に応答して調整し得る。例えば、角膜前面58はまずパラメータ化し得、例えば、初期値が割り当てられたパラメータに関して表現し得る。初期値は、例えば、集団の平均値であり得る。
【0039】
境界面56a(角膜前面58)から開始して、OCTデバイス30は、境界面56aまでの距離d=d’を提供する。境界面56b(水晶体前面)の点への距離d’は、点への距離d及び房水の屈折率から計算し得る。境界面56bの点における屈折角度は、水晶体前面の形状、光線の方向、房水屈折率、及び点における水晶体屈折率から計算し得る。残りの境界面56c及び56dの点への距離d’も同様に計算し得る。
【0040】
コンピュータ20は、光線の長さ及び位置から眼球モデルを構築する。光線が境界面56と交わる点及びそれらの点における表面法線を使用して、境界面56の形状を特定することができる。特定の実施形態では、コンピュータ20は、既存モデルを変更することにより眼球モデルを構築する。他の実施形態では、コンピュータ20は生データから眼球モデルを構築する。
【0041】
特定の場合、コンピュータ20は、眼球モデルを生成する間、眼12の追加の態様を考慮に入れ得る。これらの追加の態様は、例えば眼12の病歴において見出され得る。そのような考慮事項の例には、偽水晶体患者のIOLの屈折率、以前に交差架橋された角膜の非定型角膜屈折率、及び円すい(kerataconic)角膜の非定型角膜表面がある。
【0042】
眼球モデルの生成:モデルのチェック。特定の実施形態では、コンピュータ20は、眼球モデルの1つ又は複数のパラメータ値を眼12の他の測定値の値、例えば、システム10又はシステム10外部の測定デバイス28からの測定値と比較することにより、眼球モデルをチェックし得る。値間の有意なずれは問題を示し得る。有意なずれは、例えば、1又は2標準偏差外のずれ又は2%若しくは5%等の指定された割合よりも大きなずれであり得る。問題の例には、測定条件(例えば、不十分なサンプリング、不適切な患者固定、及び/又は涙膜不安性)、測定デバイス28(例えば、デバイスの整列及び/又は較正)、又はモデルのパラメータ(例えば角膜パラメータ)に伴う問題がある。幾つかの場合、ずれは、可能性の高い問題を示す特定の特徴を有し得る。
【0043】
コンピュータ20は、ずれの検出に対して任意の適した様式で応答し得る。例えば、コンピュータ20は、1つ又は複数の関連する問題、例えばずれの原因であるか、又はずれの原因である可能性が高い1つ又は複数の問題を識別する通知を送信し得る。別の例として、コンピュータ20は、例えばずれの原因であり得る、ずれと関連する1つ又は複数の測定デバイス28を用いて測定を再び行うことの推奨を提供し得る。別の例として、コンピュータ20は、ずれの状況を提供する眼12の状況を識別し(例えば眼12の病歴から)、状況をユーザに通知し得る。
【0044】
角膜前面の比較。特定の実施形態では、コンピュータ20は、眼球モデルの角膜前面58を記述する値を角膜前面58の他の記述からの値、例えばトポグラファ34により測定されたトーリック屈折力又は角膜前面58の測定値と比較し得る。有意なずれは、例えば、表面58の不適切なサンプリングに伴う問題及び/又は不適切デバイス問題(例えば、不適切なデバイス整列又は較正)を示し得る。例えば、コンピュータ20は、OCTデバイス30及び/又はトポグラファ34からの表面58の測定値が不十分である又はOCTデバイス30及び/又はトポグラファの測定値が他の測定値と整列していないと判断し得る。コンピュータ20は、問題又は可能性の高い問題を識別する通知及び/又はずれの原因であり得る1つ又は複数の測定デバイス28(例えばOCTデバイス30及び/又はトポグラファ34)を用いて測定を再び行うことの推奨を送信し得る。
【0045】
波面の特定。眼球波面は典型的には、眼の角膜表面又は入射瞳面で測定される。しかしながら、波面は、任意の適した場所、例えば水晶体前面で計算し得る(収差計及び/又は解剖学的OCTデータを使用して)。コンピュータ20は、眼球モデルに従って任意の適した様式でOCTベースの波面を特定し得る。特定の実施形態では、コンピュータ20は、レイトレーシング手順を眼球モデルに適用することにより、OCTベースの波面を特定する。網膜上のスポットを発端する光線は、図5Aに示されているものと同様であるが逆方向に、眼12を通って伝播する。コンピュータ20は、選択された場所での光線の位置及び無機を取得し、位置及び無機からOCTベースの波面を構築する。コンピュータ20は、収差計32からの反射収差計光に従って収差計ベースの波面を特定する。特定の実施形態では、収差計32は波面マップを生成し、コンピュータ20は、マップから収差計ベースの波面を特定する。
【0046】
波面の比較。コンピュータ20は、OCTベースの波面と主査系ベースの波面を任意の適した様式で比較し得る。特定の実施形態では、コンピュータは波面を比較して、それらの差が予め定義される許容差を越えるか否かを調べる。予め定義される許容差は、測定デバイス28の既知の誤差マージンに適合するように定義し得る。例えば、予め定義される許容差は、既知の誤差マージンのうちの最大であり得る。
【0047】
波面は同じパラメータを用いてパラメータ化し得、コンピュータ20は、パラメータの値を比較することにより波面を比較し得る。動作の一例によれば、コンピュータ20は、パラメータを用いてOCTベースの波面をパラメータ化し、各パラメータには、OCTベースの波面を記述するOCTベース値が割り当てられる。コンピュータ20は、パラメータを用いて収差計ベースの波面をパラメータ化し、各パラメータには、収差計ベースの波面を記述する収差計ベース値が割り当てられる。次いで、コンピュータ20はOCTベース値を収差計ベース値と比較する。
【0048】
一般に、比較するパラメータ値の数が増えるほど、比較を行うために必要な時間が増え得る。したがって、比較するパラメータの数は、期待される効率に鑑みて選択し得る。特定の実施形態では、コンピュータ20は、眼球モデルの主要な欠陥を識別するために、より少数のパラメータ値を比較するより高速の比較を実行し得、主要な欠陥は、より多くのパラメータ値を比較するより広範囲の(しかしより遅い)比較を実行する前に対処することができる。
【0049】
高速比較の一例によれば、コンピュータ20は、詳細度がより低いシミュレートされた波面を生成することにより眼球モデルをチェックし得る。例えば、コンピュータ20は、境界面56のトーリック表現を特定し、次いで、境界面56を通してシミュレートされた波面の円柱度数パラメータ及び球面度数パラメータを計算し得る。シミュレートされた波面のパラメータは、収差計ベースの波面の球面度数パラメータ及び円柱度数パラメータと比較し得る。有意なずれは、例えば、不正確な軸長測定値、不適切な患者固定、及び/又は不適切なデバイス整列又は較正に伴う問題を示し得る。コンピュータ20は、問題又は可能性が高い問題を識別する通知及び/又はずれの原因であり得る1つ又は複数の測定デバイス28(例えばOCTデバイス30及び/又は収差計32)を用いて測定を再び行うことの推奨を送信し得る。
【0050】
より高速の比較の別の例によれば、コンピュータ20は、シミュレートされた波面のパラメータが、例えばトポグラファ34からの測定値と一致するか否かをチェックし得る。例えば、コンピュータ20は、眼球モデルの角膜前面58をトポグラファ34により測定された表面58と比較し得る。例では、コンピュータ20は、眼球モデルからモデルベースの角膜前面を特定し、トポグラファ34からトポグラファベースの角膜前面を特定する。コンピュータ20は、モデルベースの角膜前面とトポグラファベースの角膜前面を比較することにより眼球モデルをチェックする。有意なずれは、例えば、涙膜不安定性及び/又は不適切なデバイス整列又は較正に伴う問題を示し得る。コンピュータ20は、問題又は可能性の高い問題を識別する通知及び/又はずれの原因であり得る1つ又は複数の測定デバイス28(例えばOCTデバイス30及び/又はトポグラファ34)を用いて測定を再び行うことの推奨を送信し得る。
【0051】
より広範囲の比較の一例によれば、コンピュータ20は、波面パラメータを含む波面マップ(例えばゼルニケ係数マップ)を利用する。例では、コンピュータ20は、収差計ベースの波面の収差計ベース値を用いてOCTベースの波面のOCTベース値をチェックする。例えば、収差計ベースの波面の傾きを、OCTベースのモデルに従った眼から出る光線の傾きと比較し得る。任意の適した数の、OCTベース値及び収差計ベース値(例えば傾き)を照合する値、例えば20~50、50~100、又は100超の値をチェックし得る。値の数は、所望の完全性及び/又は効率に従って調整し得る。高次のゼルニケパラメータ化での有意なずれは、例えば、涙膜不安定性、不正確な水晶体トポグラフィパラメータ、不適切な患者固定、及び/又は不適切なデバイス整列又は較正に伴う問題を示し得る。コンピュータ20は、問題又は可能性の高い問題を識別する通知及び/又はずれの原因であり得る1つ又は複数の測定デバイス28(例えばOCTデバイス30及び/又は収差計32)を用いて測定を再び行うことの推奨を送信し得る。
【0052】
パラメータ値の調整。OCTベースの波面及び収差計ベースの波面が、予め定義された許容差を越えて異なる場合、コンピュータ20は、波面の比較が予め定義された許容差を満たすまで、OCTベースの波面の1つ又は複数のパラメータ値(水晶体パラメータ値等)を調整する。コンピュータ20は、以下を繰り返すことにより値を調整する:値を調整して調整済み眼球モデルを生成し;調整済み眼球モデルに従って調整されたOCTベースの波面を特定し;調整されたOCTベースの波面と収差計ベースの波面とを比較して、それらが予め定義された許容差を満たすか否かを調べる。
【0053】
コンピュータ20は、パラメータ値を任意の適した様式で調整し得る。特定の実施形態では、確度のより高い値の前に、確度がより低い値が調整される。確度がより低い値は、直接測定されない値(例えば水晶体屈折率又は白内障グレード)、信頼性の低い測定デバイス28からの値、又はよりソフトな制約により与えられる値を含み得る。確度のより高い値は、複数の測定値によってサポートされる値、その技術分野で一般に既知の値、又はよりハードな制約により与えられる値を含み得る。
【0054】
別のチェックの実行。特定の実施形態では、システム10は眼球モデルの別のチェックを実行する。実施形態では、測定デバイス28は、眼12の測定に前に使用した角度と異なる角度から眼12を測定し、測定値が比較される。例えば、測定デバイス28はまず、「軸上で」眼を測定し得、即ち、測定デバイス28の光軸は眼12の軸(例えば視軸又は光軸)と整列する。眼球モデルをチェックするために、測定デバイス28は「軸外で」眼を測定し得、即ち、測定デバイス28の軸は眼の軸に対して傾斜する。角度は、例えば、0~10度及び/又は10~20度であり得、例えば概ね3度であり得る。コンピュータ20は、異なる角度での測定値を使用して、眼球モデルをチェックするために比較する新しい波面を生成する。
【0055】
例えば、OCTデバイス30は、異なる角度でOCT光を眼に向け、眼から反射されたOCT光を検出する。収差計32は、異なる角度で収差計光を眼に向け、眼から反射された収差計光を検出し、収差計ベースの波面を生成する。コンピュータ20は、反射されたOCT光に従って眼の別の眼球モデルを生成し、その眼球モデルからOCTベースの波面を特定する。次いで、コンピュータ20は波面を比較して、眼球モデルをチェックする。
【0056】
コンピュータ20は、生成された眼球モデルをメモリ24に記憶し、インタフェース26を介してモデルを出力し得る。特定の実施形態では、コンピュータ20は生成された眼球モデルを使用して、眼科手術、例えば白内障手術又は屈折率手術を計画する。例えば、モデルは、調節性眼内レンズ(IOL)のサイズ決定又はIOLの術後位置の予測に使用し得る。
【0057】
図6は、特定の実施形態による、図1のシステム10によって実行され得る眼の測定値を評価する方法の一例を示す。特定の実施形態では、コンピュータ20は、システム10のコンポーネントに命令を送信することにより方法のステップを実行し得る。
【0058】
方法はステップ110において開始され、OCTデバイス30はOCT光を眼に向け、眼は光を反射する。ステップ112において、OCTデバイス30は反射されたOCT光を検出して眼を測定する。ステップ116において、収差計32が収差計光を眼に向け、ステップ118において、眼から反射された収差計光を検出して、眼を測定する。ステップ120において、トポグラファ34がトポグラファ光を眼に向け、ステップ122において、眼から反射されたトポグラファ光を検出し、眼を測定する。
【0059】
コンピュータ20は、ステップ126において、反射されたOCT光に従って眼の眼球モデルを構築する。特定の実施形態では、コンピュータ20は、レイトレーシング手順を適用して眼球モデルを生成する。特定の実施形態は、眼球モデルの生成にバリエーションを含み得る。例えば、コンピュータ20は、OCTデバイス30及びトポグラファ34からの測定値に従って眼球モデルの角膜前面を構築し得る。コンピュータ20は、眼球モデルからOCTベースの角膜前面を特定し、反射されたトポグラファ光からトポグラファベースの角膜前面を特定し、OCTベースの角膜前面とトポグラファベースの角膜前面を比較することにより眼球モデルをチェックし得る。表面間のずれは、問題、例えば不十分なサンプリング、涙膜不安定性、不適切なデバイス整列、及び/又は不適切なデバイス較正を示し得る。このステップでずれがある場合、ステップ138等において、コンピュータ20はずれを報告し得る。
【0060】
コンピュータ20は、ステップ128において、眼球モデルに従ってOCTベースの波面を特定する。コンピュータ20は、レイトレーシングプロセスを適用して、OCTベースの波面を計算し得る。コンピュータ20は、ステップ130において、反射された収差計光に従って収差計ベースの波面を特定する。特定の実施形態では、収差計32は波面マップを生成し、マップをコンピュータ20に提供する。
【0061】
ステップ132において、コンピュータ20は、OCTベースの波面と収差計ベースの波面とを比較し、ずれを突き止める。コンピュータ20は、パラメータ値を用いて波面をパラメータ化し、波面値を比較することにより、波面を比較し得る。ステップ136において、コンピュータ20は、ずれに従って、1つ又は複数の測定デバイスからの1つ又は複数の測定値を評価する。コンピュータ20は、ずれに関連する1つ又は複数の問題を識別することにより測定値を評価し得る。関連する問題は、測定条件又は測定デバイスと関連し得る。測定条件と関連する関連問題の例には、涙膜不安定性及び/又は不適切な患者固定がある。測定デバイスと関連する関連問題の例には、不正確な水晶体トポグラフィパラメータ、不適切なデバイス整列、及び/又は不適切なデバイス較正がある。コンピュータ20は、潜在的にずれの原因である1つ又は複数の測定デバイスを識別し得る。
【0062】
特定の実施形態では、ステップ132における比較は、ずれに関連する問題についてコンピュータ20に通知し得る。例えば、コンピュータ20は、眼球モデルからOCTベースの角膜前面を特定し、反射されたトポグラファ光からトポグラファベースの角膜前面を特定し、OCTベースの角膜前面とトポグラファベースの角膜前面とを比較することにより眼球モデルをチェックすることにより、波面を比較し得る。表面のずれは、不十分なサンプリング、涙膜不安定性、不適切なデバイス整列、及び/又は不適切なデバイス較正等の問題を示し得る。
【0063】
別の例として、コンピュータ20は、眼球モデルを通してシミュレートされた波面のOCTベースの球面度数パラメータ及び円柱度数パラメータを計算し;収差計ベースの波面の収差計ベースの球面度数パラメータ及び円柱度数パラメータを計算し;OCTベースの球面度数パラメータ及び円柱度数パラメータと収差計ベースの球面度数パラメータ及び円柱度数パラメータとを比較することにより、波面を比較し得る。パラメータのずれは、不正確な軸長測定、不適切な患者固定、不適切なデバイス整列、及び/又は不適切なデバイス較正等の問題を示し得る。
【0064】
別の例として、コンピュータ20は、収差計ベースの波面の1つ又は複数の収差計ベース値を特定し;眼球モデルの1つ又は複数のOCTベース値を特定し;収差計ベース値とOCTベース値とを比較することにより、波面を比較し得る。幾つかの場合、収差計ベース値は収差計ベースの波面の収差計ベースの傾きであり、OCTベース値は眼球モデルから出る光線のOCTベースの傾きである。値のずれは、涙膜不安性、不正確な水晶体トポグラフィパラメータ、不適切な患者固定、不適切なデバイス整列、及び/又は不適切なデバイス較正等の問題を示し得る。
【0065】
ステップ138において、コンピュータ20は結果を提供する。コンピュータ20は、任意の適した様式で結果を表示及び/又は使用し得る。例えば、結果を使用して、眼科手術(例えば白内障又は屈折力)を計画し得る。その後、本方法は終了する。
【0066】
特定の実施形態では、コンピュータ20は眼球モデルをチェックして、眼球モデルの正確性を改善し得、それにより、検出の改善及び眼の測定値の評価が得られ得る。例えば、コンピュータ20は、調整されたOCTベースの波面及び収差計ベースの波面が予め定義された許容差を満たすまで、以下を繰り返すことにより、眼球モデルのパラメータに割り当てられた1つ又は複数の値を調整し得る:値を調整して調整済み眼球モデルを生成し;調整済み眼球モデルに従って調整されたOCTベースの波面を特定し;調整されたOCTベースの波面と収差計ベースの波面を比較して、それらが予め定義された許容差を満たすか否かを調べる。
【0067】
別の例として、システム10は、異なる角度で眼を測定し得、コンピュータ20は測定値を使用して眼球モデルを調整し得る。例では、OCTデバイスは、OCT光の角度と異なる角度で次のOCT光を眼に向け、眼から反射された次のOCT光を検出する。収差計は、収差計光の角度と異なる角度で次の収差計光を眼に向け、眼から反射された次の収差計光を検出する。コンピュータは、反射された次のOCT光に従って眼の次の眼球モデルを生成し;反射された次の収差計光に従って次の収差計ベースの波面を生成し;次の眼球モデルに従って次のOCTベースの波面を特定し;次のOCTベースの波面と次の収差計ベースの波面とを比較することにより眼球モデルをチェックする。
【0068】
本明細書に開示のシステム及び装置の(制御コンピュータ等の)コンポーネントは、インタフェース、ロジック、及び/又はメモリを含んでいてもよく、これらのうちの任意のものは、コンピュータハードウェア及び/又はソフトウェアを含み得る。インタフェースは、コンポーネントへの入力を受信し、且つ/又はコンポーネントから出力を送信することができ、通常、例えばソフトウェア、ハードウェア、周辺機器、ユーザ及びこれらの組み合わせ間で情報を交換するために使用される。ユーザインタフェース(例えばグラフィカルユーザインタフェース(GUI))は、ユーザがコンピュータと対話するために利用し得るインタフェースの一種である。ユーザインタフェースの例としては、ディスプレイ、タッチスクリーン、キーボード、マウス、ジェスチャセンサ、マイクロフォン、及びスピーカが挙げられる。
【0069】
ロジックは、コンポーネントの動作を実行することができる。ロジックは、データを処理する、例えば命令を実行して入力から出力を生成する、1つ又は複数の電子デバイスを含み得る。そのような電子デバイスの例には、コンピュータ、プロセッサ、マイクロプロセッサ(例えば、中央処理装置(CPU))、及びコンピュータチップが含まれる。ロジックは、動作を実行するために電子デバイスによって実行できる命令をエンコードするコンピュータソフトウェアを含み得る。コンピュータソフトウェアの例には、コンピュータプログラム、アプリケーション、及びオペレーティングシステムが含まれる。
【0070】
メモリは、情報を記憶することができ、有形のコンピュータ可読及び/又はコンピュータ実行可能な記憶媒体を含み得る。メモリの例としては、コンピュータメモリ(例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)又は読み出し専用メモリ(ROM))、マスストレージメディア(例えば、ハードディスク)、リムーバブルストレージメディア(例えば、コンパクトディスク(CD)又はデジタルビデオ若しくは多用途ディスク(DVD))、データベース、ネットワークストレージ(例えば、サーバ)、及び/又は他のコンピュータ可読媒体が挙げられる。特定の実施形態は、コンピュータソフトウェアを用いてエンコードされたメモリを対象とすることができる。
【0071】
特定の実施形態に関して本開示を説明してきたが、実施形態の修正形態(例えば、変更形態、置換形態、追加形態、省略形態及び/又は他の修正形態)が、当業者には明らかになろう。したがって、本発明の範囲から逸脱することなく、実施形態に対する修正がなされ得る。例えば、本明細書で開示されたシステム及び装置に対する修正がなされ得る。当業者に明らかであるように、システム及び装置のコンポーネントは、統合若しくは分離され得る、又はシステム及び装置の動作は、より多い、より少ない、若しくは他のコンポーネントによって実行され得る。別の例として、本明細書で開示された方法に対する修正がなされ得る。当業者に明らかであるように、方法は、より多い、より少ない、又は他のステップを含み得、ステップは、任意の適当な順序で実行され得る。
【0072】
特許庁及び読者がクレームを解釈するのを助けるために、出願人は、特定のクレームにおいて「means for」又は「step for」という単語が明示的に使用されていない限り、クレーム又はクレーム要素のいずれもが、米国特許法第112条(f)を想起することを意図していないことを言及しておく。請求項内の他の任意の用語(例えば、「機構」、「モジュール」、「デバイス」、「ユニット」、「コンポーネント」、「要素」、「部材」、「装置」、「機械」、「システム」、「プロセッサ」又は「コントローラ」)の使用は、本出願人により、関連する技術分野における当業者に既知の構造を指すと理解され、米国特許法第112条(f)の適用を受けることを意図しない。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
【国際調査報告】