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特表2024-502731DRI製造のためのスマート水素製造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-23
(54)【発明の名称】DRI製造のためのスマート水素製造
(51)【国際特許分類】
   C21B 13/02 20060101AFI20240116BHJP
【FI】
C21B13/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023536803
(86)(22)【出願日】2021-12-17
(85)【翻訳文提出日】2023-07-28
(86)【国際出願番号】 EP2021086477
(87)【国際公開番号】W WO2022129515
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】LU102327
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】LU
(31)【優先権主張番号】21153083.7
(32)【優先日】2021-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500173376
【氏名又は名称】ポール ヴルス エス.エイ.
【氏名又は名称原語表記】PAUL WURTH S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100110319
【弁理士】
【氏名又は名称】根本 恵司
(74)【代理人】
【識別番号】100099472
【弁理士】
【氏名又は名称】杉山 猛
(74)【代理人】
【識別番号】100150773
【弁理士】
【氏名又は名称】加治 信貴
(72)【発明者】
【氏名】カスタニョーラ、クリスティアーノ
(72)【発明者】
【氏名】クラビノ、ファビオ
(72)【発明者】
【氏名】イラクア、シルビア
(72)【発明者】
【氏名】マグナーニ、ステファノ
(72)【発明者】
【氏名】クルル、ジャン
【テーマコード(参考)】
4K012
【Fターム(参考)】
4K012DC03
4K012DC06
(57)【要約】
本発明は、直接還元鉄、DRIの製造に関し、水素直接還元は工業用プラントの実情に即して相乗的に行われる。水素還元は、埋め合わせ水素流を受け取り、少なくとも85体積%の水素を含む還元ガスで行われる。埋め合わせ水素流の少なくとも一部は、(i)工業用プラントの1つ以上の構成要素から回収された蒸気から、及び/又は1つ以上の構成要素によって放出された廃熱及び/又は高温ガスを使用して生成された蒸気から水素を製造するように構成された電解手段、(ii)工業用プラントの少なくとも1つの構成要素によって放出されたCO含有ガスを水素に変換し、COを除去するように構成されたガスシフト反応手段、の少なくとも一つにより現場で製造される。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフト炉がシャフト炉からトップガスを受け取るために配置されたプロセスガスループと接続され、トップガスをヒーター装置で加熱する前に処理し、かつ水素流が前記ヒーター装置の上流側で前記プロセスガスループに添加されて、少なくとも85体積%の水素を含む還元ガスを炉に戻し、鉄鉱石がシャフト炉内の水素富化雰囲気中で還元されるように、水素直接還元、DR、プラントを運転すること、
CO含有ガス及び/又は廃熱及び/又は高温ガスを生成するように工業用プラントを運転すること、
を含み、
前記水素流の少なくとも一部が、
工業用プラントの1つ以上の構成要素から回収された蒸気から、及び/又は1つ以上の構成要素によって放出された廃熱及び/又は高温ガスを使用して生成された蒸気から、水素を製造するように構成された電解手段、及び
工業用プラントの少なくとも1つの構成要素によって放出されたCO含有ガスを水素に変換し、かつCOを除去するように構成されたガスシフト反応手段、
の少なくとも1つによって製造される、
直接還元鉄、DRIを製造する方法。
【請求項2】
工業用プラントが、鉄鉱石からDRIを製造するために改質された天然ガスで運転する天然ガスDRプラントを含み、前記天然ガスDRプラントが更なるシャフト炉及び更なるプロセスガスループを含み、前記更なるプロセスガスループが還元ガスとして更なるシャフト炉に供給される合成ガスを天然ガスから生成するヒーター・改質手段を含む、請求項1に記載された方法。
【請求項3】
前記電解手段で蒸気を生成しかつ水素を製造するため、天然ガスDRプラントから熱を回収することを含む、請求項2に記載された方法。
【請求項4】
熱回収手段が、リサイクルされたトップガスから熱を回収しかつ前記電解手段に供給される蒸気を生成するために、前記天然ガスDRプラントの前記更なるプロセスガスループに、特にシャフト炉を出た後のトップガスと接触するように配置されている、請求項3に記載された方法。
【請求項5】
熱回収手段が、前記天然ガスDRプラントの前記プロセスガスループのヒーター改質手段からの煙道ガスから熱を回収して蒸気を生成するために、特に前記天然ガスDRプラントのスタックの前に配置されている、請求項3又は4に記載された方法。
【請求項6】
熱回収手段が、前記天然ガスDRプラントで製造された高温DRIから熱を回収して蒸気を生成するために配置されている、請求項3、4又は5のいずれかに記載された方法。
【請求項7】
工業用地はEAFを含み、かつ熱回収手段が、前記EAFによって放出される廃熱及び/又は高温ガスから熱を回収して蒸気を生成するために、かつ可能性として(possibly)下流の設備から熱を回収するために配置されている、請求項1~6のいずれかに記載された方法。
【請求項8】
前記天然ガスDRプラントからCO含有ガスを抽出すること、及び前記抽出したCO含有ガスを前記ガスシフト反応手段に供給することを含み、
好ましくは、第1のCO含有ガス流が圧縮機手段の下流でプロセスガスループから抽出され及び/又は第2のCO含有ガス流がプロセスガスループ内の除塵装置の後で抽出される、請求項2~7のいずれかに記載された方法。
【請求項9】
水素DRプラント内の1以上の場所に配置された熱回収手段によって熱を回収すること、及び生成された蒸気を電解手段に供給することを含む、請求項1~8のいずれかに記載された方法。
【請求項10】
熱回収手段は、リサイクルされたトップガスから熱を回収し、かつ前記電解手段に供給される蒸気を生成するために、前記水素DRプラントの前記更なるプロセスガスループに、特に前記更なるシャフト炉を出た後のトップガスと接触するように配置されている、請求項9に記載された方法。
【請求項11】
熱回収手段は、前記水素DRプラントで製造された高温DRIから熱を回収して、前記電解手段に供給される蒸気を生成するために配置されている、請求項9又は10に記載された方法。
【請求項12】
工業用プラントは、焼結プラント、コークス炉プラント、電気アーク炉、高炉(Blast Furnace)、埋没アーク炉(SAF)、連続鋳造機、圧延機、塩基性酸素炉等のうちの1つ以上を含む、請求項1~11のいずれかに記載された方法。
【請求項13】
前記プロセスガスループは、前記ヒーター装置の上流にガス浄化手段及び圧縮機手段を含み、前記水素流の添加は、前記圧縮機手段とヒーター装置との間で行われる、請求項1~12のいずれかに記載された方法。
【請求項14】
前記水素DRプラントの前記プロセスガスループに添加される前記水素流は、90~100体積%のHを含有し:かつ必要に応じて、更なる供給源からの水素が水素DRプラントに供給される請求項1~13のいずれかに記載された方法。
【請求項15】
CO含有ガス、廃熱及び/又は蒸気及び/又は高温ガスを生成する少なくとも1つの構成要素を含む工業用プラント、
鉄鉱石を水素還元雰囲気中で還元するシャフト炉、及びシャフト炉からトップガスを受け取り、それをヒーター装置で加熱する前に処理し、かつ前記ヒーター装置の上流側で水素流の添加を受けて、少なくとも80体積%の水素を含む還元ガスを炉に戻すプロセスガスループ、を含む水素直接還元、DR、プラント、
を含むプラントであって、
水素製造手段は、
工業用プラントの1つ以上の構成要素から回収された蒸気から及び/又は1つ以上の構成要素によって放出された廃熱及び/又は高温ガスから蒸気を生成するよう構成された熱回収手段によって生成された蒸気から、水素を製造するよう構成された電解手段、
工業用プラントによって放出されたCO含有ガスを水素に変換しかつCOを除去するように構成されたガスシフト反応手段、
の少なくとも1つを含み、
水素製造手段によって製造された水素流(複数可)は、少なくとも一部は前記プロセスガスループに添加するため水素DRプラントに供給される、
プラント。

【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
世界のCO放出量を削減する必要性と義務は、主要な責任あるプレーヤーの1つとしての鉄鋼業界に影響を与えている。世界的な脱炭素化は、鉄鋼メーカーがH2DRIプロセスに基づくより持続可能な生産への移行を後押している。
水素は、現在のCO削減、特に将来の脱炭素鉄鋼生産のための新たな重要な要素である(グリーン水素)。
【0002】
現在、主な統合水素製造プロセスは:
i)天然ガスの蒸気改質
このプロセスは、最も一般的で最も安価な工業用水素供給源である。
天然ガスは、蒸気とニッケル触媒の存在下で700~1100°Cまで加熱される。メタン分子は一酸化炭素と水素を形成するために分解される。
一酸化炭素ガスは、酸化鉄又は他の酸化物上を蒸気と共に通過し、更に水ガスシフト反応(water gas shift reaction)を経て更なる水素が得られる。
このようにして製造される水素は経済的に魅力があるが、化石燃料を必要としかつ放出を回避するためにCOを捕捉する必要がある。
【0003】
ii)電解(電気分解)ユニット
水系(Water-based)電解ユニットは、電解液に沈めかつ電源に接続されたそれぞれ1つの陽極と1つの陰極で構成された数個のセルで構成されている。電気は流入水(water inlet flow)を水素と酸素に分解する。
給蒸気(Steam-fed)電解ユニットでは、入力として代わりに蒸気を使用して、水系のものとほぼ同じ原理に基づき水素と酸素を製造する。
給水(Water-fed)電解ユニットは、設備投資(CapEx)と運用コスト(OpEx)の観点からみて高価である。給蒸気電解ユニットは、設備投資と運用コストの観点からみて高価であるものの;効率が高いため、給水よりも運用コストが低い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、水素製造は現在高コストを伴うため、主要な目的(main driver)は、伴うコストを削減しつつ水素を使用するための新しい持続可能な代替解決策を見付けることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、工業的環境に在って、持続可能かつ競争力のある仕方で水素を製造するための魅力的な構成(configurations)を見出すことを目的とする。
【0006】
本発明は、水素直接還元(DR)プラントにおけるDRIを製造するプラント及び方法を開示する。
【0007】
水素DRプラント用の水素(H)の製造は、複雑な製鋼プラント(又はより一般的には工業用地(industrial site))に既に存在するエネルギーキャリアを利用して水素を製造するためのガスシフト反応プラント及び/又は給蒸気電解ユニットを使用する革新的な構成によって実現する。
【0008】
上述のエネルギーキャリアは、蒸気及び/又はCO含有ガスである。
本発明によれば、直接還元鉄、DRIを製造する方法は:
シャフト炉がシャフト炉からトップガスを受け取るために配置されたプロセスガスループと接続され、トップガスをヒーター装置で加熱する前に処理し、かつ水素流(概して埋め合わせ水素(make-up hydrogen)と呼ばれる)がヒーター装置の上流でプロセスガスループに添加されて、少なくとも85体積%の水素を含む還元ガスを炉に戻し、鉄鉱石がシャフト炉内の水素還元雰囲気中で還元されるように、水素直接還元、DR、プラントを運転すること;
CO含有ガス及び/又は蒸気及び/又は廃熱及び/又は高温ガスを生成するように工業用プラントを運転すること;を含み、
前記水素流(埋め合わせ水素流)の少なくとも一部が、
工業用プラントの1つ以上の構成要素から回収された蒸気から、及び/又は1つ以上の構成要素によって放出された廃熱及び/又は高温ガスを使用して生成された蒸気から、水素を製造するように構成された電解手段、及び
工業用プラントの少なくとも1つの構成要素によって放出されたCO含有ガスを水素富化ガスに変換し、かつ好ましくはCO2を除去するように構成されたガスシフト反応手段(gas shift reactor means)、の少なくとも1つによって製造される。
【0009】
「水素DRプラント」は、還元ガスとして水素が供給されるDRプラントであり得る、その還元ガスの水素含有量は、85~100体積%間、好ましくは85、又は90超体積%、例えば90~95体積%間である。このような水素DRプラントは、典型的には、シャフト炉及びプロセスガスループとして知られる関連するリサイクルガスループを含み、これを介して炉トップガスが処理され(典型的には洗浄及び圧縮され)、加熱されて還元ガスとして、上述の水素含有量を備えた状態で炉内にリサイクルされる。任意の燃料ガスループ(リサイクルされたトップガスの一部を使用する)を、ヒーター装置の加熱目的に使用することができる。一般に埋め合わせ水素流と呼ばれる水素流によって提供される水素は、プロセス要件に従って、上述の水素濃度範囲に到達するのに十分な量でプロセスガスループに添加される。したがって、埋め合わせ水素流の役割は、還元ガス中の所望のH運転濃度に到達するまでプロセスループ内の水素量を補足することである。水素埋め合わせ流は、典型的には、90~100体積%のH含有量を有し得る。水素DRプラントは、典型的にはMIDREX(登録商標)H2プラントであり得る。
【0010】
蒸気は、蒸気が利用できる工業用地の任意の構成要素(component)から回収し得る。代替的に又は追加的に、蒸気は、そうでなければ熱損失となると思われる工業的プロセス中に存在する廃熱供給源を用いて、任意の周知の熱回収設備によって製造し得る。熱回収設備は、典型的には、蒸気を生成するために高温ガス/廃熱及び水を熱交換関係に持ち込むように構成された熱交換器を含み得る。熱回収装置は、例えば、水が高温ガス/廃熱によって加熱されるボイラーを含み得る。
【0011】
そのように生成された蒸気は、入力として電気を使用して蒸気を水素と酸素に変換可能な1以上の給蒸気電解ユニットに供給される。水蒸気から酸素を分離することができる任意の適切な電解ユニット、例えば固体酸化物電解セル(SOEC)を使用することができる。
【0012】
CO含有ガスは、かなりの一酸化炭素含有量(例えば、少なくとも20v%以上、実施形態によっては20~25v%、しかし、より高いCO濃度を有する他のガスを使用することができる)を有する任意の利用可能な工業ガスである。CO含有ガスは、製鉄の実情に即して一酸化炭素(例えばBFガス、BOFガス、TGFガス、SAFオフガスなど)、好ましくは窒素含有量が低いプラント全体に存在する任意の冶金ガス(metallurgical gas)であり得る。水ガスシフト(WGS:water gas shift)技術とCO2除去に基づく設備によって、CO含有ガスは二酸化炭素COの流れ(stream)に変換され、他のガスから分離され、実質的に水素富化(hydrogen-rich)の流れになる。種々の技術、例えば燃焼前のCO2捕捉のために当技術分野で用いられているものなどを用いることができる。以下では、この装置をガスシフト反応プラント(GSRP)と呼ぶ。当技術分野で知られているように、GSRPは、CO2捕捉設備(例えばアミン(Amine)技術)と組み合わせたWGS反応装置を含み得る。代替的には、集積技術(integrated technologies)を使用することができ、それによりWGS反応を実現し、かつCO2を分離するよう構成する単一の反応装置が構成される。これらの技術は当技術分野で知られており、さらに詳述する必要はない。
【0013】
任意の従来の給蒸気電解ユニット、任意のGSRPプラント及び蒸気を生成するように適合された任意の熱回収装置が本発明の実情に応じて使用し得る。
【0014】
実施形態では、水素DRプラントは、工業用地に存在する天然ガスDRプラントと組み合わされる。
天然ガスDRプラントは、典型的にはMIDREX NGプラントであり得る。あるいは、MIDREX MxColプラント又はNG/H2プラントで置換することができる。
【0015】
天然ガスDRプラントは、伝統的に鉄鉱石からDRIを製造するために改質された天然ガスで運転する。それは、更なるシャフト炉及び更なるプロセスガスループを含み、この更なるプロセスガスループは、天然ガス(及びリサイクルされたプロセスガス)から合成ガスを生成するヒーター・改質手段を含む。
この合成ガスは、異なるシャフト炉において還元ガスとして使用され、炉に供給される還元ガスの典型的な組成は、約30~34体積%CO、0~4%CO、50~55%H、2~6%HO、1~4%CH、0~2%Nである。
【0016】
当業者には明らかなように、天然ガスDRプラントは、高温ガスであってかつCOを含有するトップガスを放出する。
従来の天然ガスDRプラントは、水素DRプラントと相乗的に運転することで、外部供給源からの水素の必要性を低減することができる。MxCol及びNG/H2プラントについても同じことができる。
【0017】
実施形態では、この方法は、電解手段で蒸気を生成しかつ水素を製造するために天然ガスDRプラントから熱を回収することを含む。このことは、天然ガスDRプラントの数か所で行うことができる:
熱回収手段は、リサイクルされたトップガスから熱を回収しかつ前記電解手段に供給される蒸気を生成するために、特に除塵装置の上流で前記天然ガスDRプラントの前記更なるプロセスガスループに配置し得る。
熱回収手段は、前記天然ガスDRプラントの前記プロセスガスループのヒーター改質手段からの煙道ガス(flue gas)から熱を回収して蒸気を生成するために、特に前記天然ガスDRプラントの煙突(スタック;stack)の前に配置し得る。
熱回収手段は、前記天然ガスDRプラントによって製造された高温DRI(その形体は、例えば、HDRI、HBI又はCRDI)から熱を回収して蒸気を生成するために配置し得る。
【0018】
電解によって水素を製造するため、MxColプラントとNG/H2プラントにおいて同じ仕方(同じ場所)で熱を回収し、蒸気を生成することができる。
工業用地は、概して、特にDRプラントの1つ又は他の場所で製造されたDRIを溶融するための電気アーク炉、EAFを含み得る。そこでは、熱回収手段は、有利にも、蒸気(電解ユニットに供給される)を生成するために、EAFによって放出された高温ガス/廃熱から熱を回収するために配置し得る。
【0019】
実施形態においては、この方法は、前記天然ガスDRプラントからCO含有ガスを抽出すること、水素を製造するために、抽出した前記CO含有ガスを前記ガスシフト反応手段に供給することを含む。
第1のCO含有ガス流は、好ましくは圧縮機ユニットの下流でプロセスガスループから分岐し得る。第2のCO含有ガス流は、除塵装置の後で分岐し得る。
【0020】
実施形態では、この方法は、水素DRプラント内の1以上の場所に配置された1つ以上の熱回収手段によって熱を回収すること、及び生成された蒸気を電解手段に供給することを含み得る。
熱回収手段は、リサイクルされたトップガスから熱を回収し、電解手段に供給される蒸気を生成するために、特に除塵装置の上流で、水素DRプラントのプロセスガスループにも配置し得る。
熱回収手段は、水素DRプラントで製造された高温DRIから熱を回収し、電解手段に供給される蒸気を生成するために配置し得る。
一般に、熱回収手段は、工業用プラント内の1つ以上の構成要素、特にEAFから、(任意のDRプラントからの)1つ以上のDRI熱回収システムから、任意のDRプラントから、熱を回収するように配置し得る。
【0021】
別の態様によれば、本発明は:
CO含有ガス、廃熱及び/又は蒸気及び/又は高温ガスを生成する少なくとも1つの構成要素を含む工業用プラント;
鉄鉱石を水素還元雰囲気中で還元するシャフト炉、及びシャフト炉からトップガスを受け取り、それをヒーター装置で加熱する前に処理し、かつ前記ヒーター装置の上流側で水素流の添加を受けて、少なくとも80体積%の水素を含む還元ガスを炉に戻すプロセスガスループ、を含む水素直接還元、DR、プラント;を含むプラントであって、
水素製造手段は:
i)工業用プラントの1つ以上の構成要素から回収された蒸気から及び/又は1つ以上の構成要素によって放出された廃熱及び/又は高温ガスから蒸気を生成するよう構成された熱回収手段によって生成された蒸気から、水素を製造するよう構成された電解手段;及び
ii)工業用プラント(industrial plant)によって放出されたCO含有ガスを水素に変換する(好ましくは関連したCO除去を伴う)ように構成されたガスシフト反応手段、
の少なくとも1つを含み、
水素製造手段によって製造された水素流(複数可)は、少なくとも一部は前記プロセスガスループに添加するために水素DRプラントに供給される、
プラントに関する。
【0022】
このプラントは、概して上述の方法を実施するように構成し得る。
別の態様によれば、本発明は、水素DRプラントの運転方法に関し、水素DRプラント内の1つ以上の場所に配置された熱回収手段によって熱を回収すること、及び生成された蒸気を電解手段に供給して水素を製造し、次に少なくともその一部を水素DRプラントのプロセスガスループに供給すること、を含む方法に関する。
【0023】
熱回収手段は、リサイクルされたトップガスから熱を回収し、かつ電解手段に供給される蒸気を生成するために、特に除塵装置の上流で水素DRプラントのプロセスガスループに配置し得る。
熱回収手段は、水素DRプラントのDRI熱回収システムから熱を回収し、電解手段に供給される蒸気を生成するために配置し得る。
さらに別の態様によれば、本発明は、先に述べた方法を実施するためのシステムに関する(下記実施形態4も参照)。
【図面の簡単な説明】
【0024】
次に、本発明を本発明の異なる実施形態に関する図1図4である添付図面を参照して、例示により説明する。
図1】本発明の実施形態を示す図である。
図2】本発明の別の実施形態を示す図である。
図3】本発明の別の実施形態を示す図である。
図4】本発明の別の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
工業用地は、蒸気とCO含有ガスの利用可能性によって特徴付けられる。これに関連して、既存の工業用地内で完全に統合されたH直接還元プラント(例えばMIDREX H2)の設置が、以下の実施形態のように、実現する。
【0026】
明らかなように、本発明は、DRプラントが工業用地、特に冶金プラントにおいて完全に統合される構成(configurations)を提案する。本発明は、これらの工業用地内での相乗効果を活用することで、水素DRプラントによるH2の製造を支援することを目的とする。
以下の実施形態では、水素運転DRプラントは、例えばMIDREX H2(商標)タイプのものである。
実施形態によっては、水素DRプラントは、例えばMIDREX NGタイプの天然ガス運転DRプラントを備えた場所に設置される。
【0027】
実施形態#1-図1の革新的な事例を参照
ここで図1を参照すると、既存の冶金サイト12に、還元ガスとして水素で運転する水素DRプラント10を統合した、本発明の第1の実施形態が示されている。
【0028】
DRプラント10は、概して、MIDREX H2プロセスに対応する。知られているように、それは上部入口18及び下部出口20を有する垂直シャフト16を備える。塊状及び/又はペレット状の鉄鉱石の装填物は、炉の上部に投入され、重力によって還元ガスの中を通って降下可能である。
装填物は、入口から出口への移動中、固体状態を保つ。還元ガス(主にHで構成される)は、矢印22に示すように還元部の基部でシャフト炉に横方向に導入され、鉱層(ore bed)を通って上向きに流れる。酸化鉄の還元は、炉の上部のH富化還元雰囲気中で、850~950°Cの範囲の温度で起きる。固体生成物、すなわち直接還元鉄(DRI)又は還元スポンジ鉄(reduced sponge iron)は、CDRI(コールドDRI)、HDRI(ホットDRI)及びHBI(ホットブリケットアイアン)で示す通り、冷却後又は高温状態で排出される。
【0029】
MIDREX H2プロセスによれば、DR炉の還元ガスとしてほぼ純粋な水素が使用される。
還元ガスの理想的な水素含有量は100%である。実際には、H2含有量は、N2、CO、CO2、H2O及びCH4とのバランスを保持して85~100体積%の間で変化し得る。これらの成分は、H2埋め合わせの純度、及び当技術分野で知られている天然ガスの最終的な添加から生じる。
【0030】
当業者に知られているように、MIDREX H2は、H2投入ガスをプロセスの外部で生成する点を除いて、標準的なMIDREX 天然ガスプロセスと同様である。したがって、実行すべき改質プロセスは存在せず、ガスを必要な温度に加熱するための熱移動のみが存在する。
はHOに変換され、トップガススクラバーで凝縮するため、(特に上述のNGを高添加する場合を除き)CO除去システムは不要である。
【0031】
図面を参照すると、DR炉16は、上部ガスリサイクルループ(又はプロセスガスループ)24に接続され、スクラバー26、圧縮機ユニット28及びヒーター装置30を含む。したがって、DR炉16を出たトップガスは、スクラバー26を通って流れ、そこでダスト(塵芥)が除去され、水が凝縮されてさらに圧縮機装置28に流れる。プロセスガスループ24内の水素量は、プロセス要件に応じて、「水素埋め合わせ」と呼ばれる水素流を添加することによって調整される。水素埋め合わせ流中のH含有量は、90~100%であることが好ましい。水素埋め合わせ流-水素供給源はボックス32「水素埋め合わせ」で示されている-は、圧縮機ユニット28とヒーター装置30との間でリサイクルループ24に注入される。次いで、ガスはヒーター装置30において必要な温度範囲まで加熱され、それによって、還元ガスは炉16に導入する準備が整う。加熱エネルギーは、ヒーター装置の燃料として必要とされる廃熱、電気、水素、バイオマス、及び/又は天然ガスなどの環境に優しい熱供給源を介してヒーター装置30に供給し得る。
【0032】
本説明から理解できるように、還元プロセスに必要な水素流の大部分は、現場で製造することができ、ノード32に到達する。必要に応じて、H2を外部供給源から添加することができるが、これは通常、プロセスガスループに添加される水素流のごく一部のみであるべきである。
【0033】
蒸気S1は、それが利用可能であり得る工業用地12から回収するか、又は標準的な熱回収装置によって製造し得る。例えば、廃熱は、水から蒸気を製造するために熱交換器(例えばボイラータイプの蒸気製造)に仕向けられる。
【0034】
製造及び/又は回収された蒸気は、給蒸気電解ユニット3に供給し、H2 DRプラントに仕向ける水素流A1を製造するために使用できる。
工業用プラント12から回収するかそこで生成された蒸気S2の別の流れを、プラント12に存在する異なるプロセスで生成されたガスに由来するCO含有ガスG1と一緒に、水ガスシフト反応プラント1に供給し得る。
【0035】
ガスシフト反応プラントGSRP、1は、二酸化炭素と水素を形成するための一酸化炭素と水蒸気の反応:
CO+H2O⇔CO2+H2
で表す、水-ガスシフト反応を実行するよう設計されている。
GSRP1は、任意の適切な技術であり得る。したがって、工業用地12から2つの流れ(蒸気S2及びCO含有ガスG1)の供給を受け、一方では二酸化炭素、他方では水素富化流、流れA2を参照、を含む2つの主流を製造する。ここで、GSRP1はさらにCOを分離するように構成されており、したがってプロセスから除去し得ることが理解されよう。GSRPプラント1は、従来の任意の適切な技術に依るものであればよい。
【0036】
GSRP1から流出する水素富化流は、ガス流からN2を分離するために、必要に応じて窒素除去ユニット2(例えば、膜又は圧力スイング吸着を使用する)を通過し得る。
そのように製造された水素流A2はノード32に供給され、そこで第1流A1と混合され、場合によっては外部供給源から来る別のH2流と混合される。このように組み合わされた水素流は、トップガスリサイクルループ24に導入される。
CO含有ガス流G1は、圧縮機ユニット34によってGSRP1の上流で圧縮し得る。水素A2の流れからエネルギーを回収しかつ圧縮機34に供給する電力を生成するため、圧力回収システム(タービン)36をWGS反応プラント(reactor plant)1の下流側に配置し得る。
【0037】
この統合された解決策(integrated solution)により、H還元プロセスに必要な殆どの水素を、統合プラント内で自家製造された水素で充足することができる。
当業者は、BF-BOFルートに基づく標準的な製鋼プラントの熱回収(即ち、焼結冷却器での熱回収による、コークス乾式焼入れによるなどにより製造される蒸気)の潜在力(potential)を認識することとなろう。同様に、当業者は、BF-BOFルートに基づいて標準的な製鋼プラントで利用可能なCO含有ガスの量及びタイプ(すなわちBFガス、BOFガス、SAFオフガスなど)を容易に決定することになる。
【0038】
特に興味ある構成は、図示されているDRI-EAFプラントである。DRI-EAFプラントは、従来熱回収に限定されており、CO含有ガスは一般的に入手可能ではなく、有効に活用されていない。
したがって、本発明はその1実施形態において、電解及び水ガスシフト反応によるEAFからH2へCO含有ガス及び廃熱を利用する。これにより、DRプラントを運転するための外部H2供給源への依存を低減することができる。
【0039】
なお、図1の構成により、蒸気又はCO含有ガスに基づく選択的運転が可能になる。即ち、工業用地からの熱回収によって(すなわち電解により)生成された蒸気から製造されるH2、又はGSRPプラントによってCO含有ガスから製造されるH2、又はその両方を用いてDRプラントを運転することができる。
【0040】
実施形態#2-図2の事例
実施形態2は、H MIDREXプラント10が既存のMIDREX NGプラント40内に設置されている場合の実施形態1の詳細なケースである。
【0041】
当業者に知られているように、MIDREX NGプラント40は、従来、シャフト炉42、及びトップガススクラバー46、プロセスガス圧縮機48、熱回収システム50及び改質装置52を含むトップガスリサイクルループ44を含む。
図2に示す熱回収システム50及び改質装置52の配置は、MIDREX NG設備では従来のものであり、ここでは、合成ガス(主にCO及びH2)は天然ガスの改質により改質装置52内で形成される。CO含有リサイクルトップガスは天然ガスと結合し、炉用の還元供給ガスが形成され、熱回収システム50で予熱され、次いで改質装置52で反応して合成ガス流SGを生成する。天然ガス、一部のトップガス及び空気は、改質反応を維持するために改質装置52で燃焼され、かつ排煙(flues)は熱回収システム50に、さらに下流の周囲環境(煙突(stack)54)まで送られる。
【0042】
NG MIDREXプラント40と電気アーク炉12とから構成される製鋼プラントが、給蒸気電解ユニット3に供給する蒸気を製造し、かつMIDREX H2プラント10で使用する流れA1で示す水素を製造するのに利用可能な異なる廃熱供給源を有することが理解されよう。
【0043】
蒸気生成は、以下の1つ以上の場所に配置された熱回収/蒸気生成装置(例えばボイラータイプ)によって為される:
リサイクルループ44上のトップガス出口(項目(Item)5)において、蒸気流S4を生成する熱回収/蒸気生成ユニット5;
蒸気流S2を生成する、スタック(煙突)54入口の前の煙道ガス(flue gas)のところの熱回収/蒸気生成ユニット6;
蒸気流S1を生成する、EAFサイト12のところの熱回収/蒸気生成ユニット7;及び
HBI冷却システムから熱を回収するように配置され、蒸気流S5を生成する熱回収/蒸気生成ユニット8。ここで、熱は、炉42から放出されるHBIから取り出されるが、CDRI冷却システムから除去された熱から得ることもできる。
【0044】
様々な蒸気流S1~S5を混合ノード56、56によって結合して累積流S6を形成し、それを電解ユニット3に供給するが、電解ユニット3では水素流A1が製造され、ノード32(水素埋め合わせ)を介して水素運転DRプラント10のリサイクルループ24に供給される。
全熱回収ユニットによって製造される蒸気全体により、各MIDREXプラントユニットのサイズに応じたさまざまな比率で、必要な外部供給源からの水素埋め合わせを統合して低減することができる。
参考までに1 MTPY NG MIDREXを考慮すると、1 MTPY H MIDREXプラントの総冶金水素の約60~70%の節約が可能である。
【0045】
実施形態#3-図3の事例
実施形態3は、実施形態1の更なる詳細な事例を表し、実施形態2の代替(又は累積)例を表す。
ここでも水素DRプラント10はNG DRプラント40と結合されている。NG還元プロセスによって生成されたCO含有ガスの一部、即ちここではトップガス燃料-流れR2-及び/又はプロセスガス-流れR1は、NGリサイクルループ44から取り出され、H還元プロセス用の水素流C1を製造するためにGSRP1に仕向けられる。
GSRP1で生成されたCO流B1は、改質工程で所定のCO比率を満たすために、少なくとも一部をNG還元プロセスに再導入する。
【0046】
水素流C1は、必要に応じて別の供給源からの水素と組み合わされて、ヒーター30の上流にある水素DRプラント10のトップガスリサイクルループ24に導入される。
図1におけるように、GSRP1の前に圧縮機34を配置して、CO含有流R1及びR2を圧縮する。エネルギーは、任意の圧力回収タービン36によって回収することができる。
【0047】
以下の表1は、トップガス燃料(流R2)とプロセスガス(流R1)の典型的なガス組成を示す。
【表1】

【0048】
実施形態#4-図4の事例
この最後の実施形態は、以前の実施形態に追加的に実施することができる追加の可能性を表す。
MIDREXプラント及び電気アーク炉(EAF)を含む製鋼プラントは、図4に示す構成によって水素DRプラント10の還元プロセスに必要な水素の一部を自家製造する部分であり得る。この実施形態では、以下の場所のうちの1つ以上に配置された熱回収/蒸気生成設備(例えばボイラータイプ)によって蒸気を製造するために、異なる熱供給源が利用される:
蒸気流S7を生成する、スクラバー26の入口の前で炉16からのトップガス出口のところの、熱回収/蒸気生成ユニット60;
蒸気流S9を生成する、EAFの処(site)の熱回収/蒸気生成ユニット62;
蒸気流S8を製造するために、HBI冷却システムと組み合わせた熱回収/蒸気生成ユニット64(CDRI冷却システムから除去した熱によっても得られる)。
【0049】
流れS7、S8及びS9は(可能性として工業用地ネットワークからの追加の蒸気流と共に)、混合ノード66で結合され、得られた蒸気流S10は、給蒸気電解ユニット3に供給されて水素流A1を製造する。
熱回収オプション(options;10、11、及び/又は12)と電解ユニットは、図3の実施形態において簡単に統合できる。
【0050】
利点
運用コスト/設備投資のメリット
DRプラントの従来の運転は、現在は、水素製造又はプラント外の供給源からの購入に関して運用コスト(及び設備投資)が高いという欠点がある。
本発明は、市場環境が変化する現在と近い将来の両方に利点をもたらすことができるため、技術的に融通性のある解決策を提供する。
現在の給蒸気電解ユニットは、現在の電気料金ではトータルでみて良好な費用効率にできないのであれば、現在の市場で購入する工業用水素及び電解に基づく水素製品と比較して、最低限の運用コストで水素を製造する上で最も魅力的なものにみえる水ガスシフト技術を重視するプロセスへの貢献を最小限に抑えるか、止めることができる。
【0051】
近い将来電気料金は下がるであろう。給蒸気電解による解決策は、水素を製造するための最も便利な方法になるであろう。本実施形態の融通性は、最も好都合な市場環境に応じて2つの異なる技術を利用する機会を提供する。
したがって、自家製造水素がプロセスの要求を、そのプロセスの特性及びプラントのサイズに応じて、様々に満し得ることを考慮すれば、前述の革新的なプラント構成は現在及び将来の水素利用に関わるコストを削減すると言える。
【0052】
環境上の利点
提案する解決策は、CO含有ガス及び/又は給蒸気電解に基づいている。給蒸気電解を使用する場合、製造された水素は(結果的に電気が製造される場合)CO2フリーであると主張することができる。
CO含有ガスを使用する場合、(追加のCO2が放出されず、追加の化石燃料も必要がないので-つまり蒸気メタン改質との比較で)水素は少なくともCO2ニュートラルであると主張することができる。

図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2022-11-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフト炉がシャフト炉からトップガスを受け取るために配置されたプロセスガスループと接続され、トップガスをヒーター装置で加熱する前に処理し、かつ水素流が前記ヒーター装置の上流側で前記プロセスガスループに添加されて、少なくとも85体積%の水素を含む還元ガスを炉に戻し、鉄鉱石がシャフト炉内の水素富化雰囲気中で還元されるように、水素直接還元、DR、プラントを運転すること、
工業用プラントが、鉄鉱石からDRIを製造するために改質された天然ガスで運転する天然ガスDRプラントを含み、前記天然ガスDRプラントが更なるシャフト炉及び更なるプロセスガスループを含み、前記更なるプロセスガスループが還元ガスとして更なるシャフト炉に供給される合成ガスを天然ガスから生成するヒーター・改質手段を含み、CO含有ガス及び/又は廃熱及び又は高温ガスを生成するように工業用プラントを運転すること、
を含み、
前記水素流の少なくとも一部が、
工業用プラントの1つ以上の構成要素から回収された蒸気から、及び/又は1つ以上の構成要素によって放出された廃熱及び/又は高温ガスを使用して生成された蒸気から、水素を製造するように構成された電解手段、及び
工業用プラントの少なくとも1つの構成要素によって放出されたCO含有ガスを水素に変換し、かつCOを除去するように構成されたガスシフト反応手段、
の少なくとも1つによって製造される、
直接還元鉄、DRIを製造する方法。
【請求項2】
前記電解手段で蒸気を生成しかつ水素を製造するため、天然ガスDRプラントから熱を回収することを含む、請求項1に記載された方法。
【請求項3】
熱回収手段が、リサイクルされたトップガスから熱を回収しかつ前記電解手段に供給される蒸気を生成するために、前記天然ガスDRプラントの前記更なるプロセスガスループに、特にシャフト炉を出た後のトップガスと接触するように配置されている、請求項2に記載された方法。
【請求項4】
熱回収手段が、前記天然ガスDRプラントの前記プロセスガスループのヒーター改質手段からの煙道ガスから熱を回収して蒸気を生成するために、特に前記天然ガスDRプラントのスタックの前に配置されている、請求項2又は3に記載された方法。
【請求項5】
熱回収手段が、前記天然ガスDRプラントで製造された高温DRIから熱を回収して蒸気を生成するために配置されている、請求項2、3又は4に記載された方法。
【請求項6】
工業用プラントはEAFを含み、かつ熱回収手段が、前記EAFによって放出された廃熱及び/又は高温ガスから熱を回収して蒸気を生成するために、かつ可能性として(possibly)下流の設備から熱を回収するために配置されている、請求項1~5のいずれかに記載された方法。
【請求項7】
前記天然ガスDRプラントからCO含有ガスを抽出すること、及び前記抽出したCO含有ガスを前記ガスシフト反応手段に供給することを含み、
好ましくは、第1のCO含有ガス流が圧縮機手段の下流でプロセスガスループから抽出され及び/又は第2のCO含有ガス流がプロセスガスループ内の除塵装置の後で抽出される、請求項1~6のいずれかに記載された方法。
【請求項8】
水素DRプラント内の1以上の場所に配置された熱回収手段によって熱を回収すること、及び生成された蒸気を電解手段に供給することを含む、請求項1~7のいずれかに記載された方法。
【請求項9】
熱回収手段は、リサイクルされたトップガスから熱を回収し、かつ前記電解手段に供給される蒸気を生成するために、前記水素DRプラントの前記更なるプロセスガスループに、特に前記更なるシャフト炉を出た後のトップガスと接触するように配置されている、請求項8に記載された方法。
【請求項10】
熱回収手段は、前記水素DRプラントで製造された高温DRIから熱を回収して、前記電解手段に供給される蒸気を生成するために配置されている、請求項8又は9に記載された方法。
【請求項11】
工業用プラントは、焼結プラント、コークス炉プラント、電気アーク炉、高炉(Blast Furnace)、埋没アーク炉(SAF)、連続鋳造機、圧延機、塩基性酸素炉等のうちの1つ以上を含む、請求項1~10のいずれかに記載された方法。
【請求項12】
前記プロセスガスループは、前記ヒーター装置の上流にガス浄化手段及び圧縮機手段を含み、前記水素流の添加は、前記圧縮機手段とヒーター装置との間で行われる、請求項1~11のいずれかに記載された方法。
【請求項13】
前記水素DRプラントの前記プロセスガスループに添加される前記水素流は、90~100体積%のHを含有し:かつ必要に応じて、更なる供給源からの水素が水素DRプラントに供給される、請求項1~12のいずれかに記載された方法。
【請求項14】
CO含有ガス、廃熱及び/又は蒸気及び/又は高温ガスを生成する少なくとも1つの構成要素を含む工業用プラント、
鉄鉱石を水素還元雰囲気中で還元するシャフト炉、及びシャフト炉からトップガスを受け取り、それをヒーター装置で加熱する前に処理し、かつ前記ヒーター装置の上流側で水素流の添加を受けて、少なくとも80体積%の水素を含む還元ガスを炉に戻すプロセスガスループ、を含む水素直接還元、DR、プラント、
を含むプラントであって、
水素製造手段は、
工業用プラントの1つ以上の構成要素から回収された蒸気から及び/又は1つ以上の構成要素によって放出された廃熱及び/又は高温ガスから蒸気を生成するよう構成された熱回収手段によって生成された蒸気から、水素を製造するよう構成された電解手段、
工業用プラントによって放出されたCO含有ガスを水素に変換しかつCOを除去するように構成されたガスシフト反応手段、
の少なくとも1つを含み、
水素製造手段によって製造された水素流(複数可)は、少なくとも一部は前記プロセスガスループに添加するため水素DRプラントに供給され
工業用プラントが、鉄鉱石からDRIを製造するために改質天然ガスで運転する天然ガスDRプラントを含み、前記天然ガスDRプラントが更なるシャフト炉及び更なるプロセスガスループを含み、前記更なるプロセスガスループが還元ガスとして更なるシャフト炉に供給する合成ガスを天然ガスから生成する、ヒーター・改質手段を含んでいる、
プラント。
【国際調査報告】