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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-23
(54)【発明の名称】触媒カーボンファイバー調製方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 31/22 20060101AFI20240116BHJP
   B01J 37/02 20060101ALI20240116BHJP
   B01J 35/58 20240101ALI20240116BHJP
【FI】
B01J31/22 Z
B01J37/02 101A
B01J35/06 L
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023537924
(86)(22)【出願日】2021-12-20
(85)【翻訳文提出日】2023-08-09
(86)【国際出願番号】 US2021064390
(87)【国際公開番号】W WO2022140273
(87)【国際公開日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】17/129,453
(32)【優先日】2020-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/129,565
(32)【優先日】2020-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/536,850
(32)【優先日】2021-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503466820
【氏名又は名称】メリケム カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】リウ,チョウヨウ
(72)【発明者】
【氏名】アナンド,ナチケタ
【テーマコード(参考)】
4G169
【Fターム(参考)】
4G169AA04
4G169AA08
4G169AA09
4G169BA08A
4G169BA08B
4G169BA08C
4G169BA21C
4G169BA22C
4G169BA27A
4G169BA27B
4G169BA27C
4G169BB06C
4G169BB08C
4G169BB10C
4G169BB12C
4G169BB14C
4G169BC26C
4G169BC31A
4G169BC31C
4G169BC32A
4G169BC32C
4G169BC35A
4G169BC35C
4G169BC54A
4G169BC54C
4G169BC62A
4G169BC62C
4G169BC66A
4G169BC66C
4G169BC67A
4G169BC67B
4G169BC67C
4G169BC68A
4G169BC68C
4G169BC70A
4G169BC70C
4G169BC71A
4G169BC71C
4G169BC72A
4G169BC72C
4G169BD01A
4G169BD01B
4G169BD01C
4G169BD02A
4G169BD02C
4G169BD03A
4G169BD03C
4G169BD04A
4G169BD04B
4G169BD04C
4G169BD06A
4G169BD06B
4G169BD06C
4G169BD12C
4G169BD13C
4G169BD14C
4G169BD15C
4G169BE06A
4G169BE06C
4G169BE08A
4G169BE08C
4G169BE14A
4G169BE14C
4G169BE15A
4G169BE15C
4G169BE16A
4G169BE16B
4G169BE16C
4G169BE18A
4G169BE18C
4G169BE22A
4G169BE22C
4G169BE33A
4G169BE33C
4G169CB07
4G169CB79
4G169CC01
4G169DA05
4G169EA03X
4G169EA03Y
4G169FA01
4G169FA02
4G169FB14
4G169FB17
4G169FB27
4G169FB57
4G169FC02
4G169FC04
4G169FC10
(57)【要約】
触媒カーボンファイバーを生成する方法は、バージンカーボンファイバーを酸化して酸化されたカーボンファイバーを生成すること;酸化されたカーボンファイバーをポリアミン化合物と反応させてアミン修飾されたカーボンファイバーを生成すること;およびアミン修飾されたカーボンファイバーを有機金属系大環状分子と反応させて触媒カーボンファイバーを生成すること、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化されたカーボンファイバーを生成するためにバージンカーボンファイバーを酸化すること;
アミン修飾されたカーボンファイバーを生成するために前記酸化されたカーボンファイバーをポリアミン化合物と反応させること;および
前記触媒カーボンファイバーを生成するために前記アミン修飾されたカーボンファイバーを有機金属系大環状分子と反応させること
を含む、触媒カーボンファイバーを生成する方法。
【請求項2】
酸化のステップが、前記バージンカーボンファイバーを塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、ほう酸、フッ化水素酸、臭化水素酸、過塩素酸、ヨウ化水素酸、フルオロアンチモン酸、カルボラン酸、フルオロほう酸、フルオロ硫酸、フッ化水素、トリフリン酸、過塩素酸、酢酸、ギ酸、クエン酸、シュウ酸、酒石酸、およびそれらの組み合わせから選択される酸と接触させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ポリアミン化合物が、C2~C20の炭素長を有する第1級または第2級ポリアミンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ポリアミン化合物が、エチレンジアミン、プロパン-1,3-ジアミン、ブタン-1,4-ジアミン、ペンタン-1,5-ジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ベンゼン-1,3,5-トリアミン、およびそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つのポリアミン化合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記有機金属系大環状分子が、置換されない金属フタロシアニン、置換された金属フタロシアニン、またはそれらの組み合わせを含み、前記置換された金属フタロシアニンが、ハロゲン基、ヒドロキシル基、アミン基、アルキル基、アリール基、チオール基、アルコキシ基、ニトロシル基の少なくとも1つ、またはそれらの組み合わせで置換されかつ前記置換されない金属フタロシアニンまたは前記置換された金属フタロシアニンが、バナジウム(V)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、およびそれらの組み合わせから選択される金属を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
カーボンファイバーおよびアミノ化された大環状分子を提供すること、
前記カーボンファイバーおよび前記アミノ化された大環状分子を溶媒と混合すること;ならびに
前記カーボンファイバーと前記アミノ化された大環状分子の間でアミド結合を形成するために前記カーボンファイバーおよび前記アミノ化された大環状分子を反応させることそれにより前記触媒カーボンファイバーを形成すること
を含む、触媒カーボンファイバーを生成する方法。
【請求項7】
前記アミノ化された大環状分子が、有機金属系大環状分子および前記有機金属系大環状分子にグラフトされたC2~C20の炭素長を有するアミン基を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記有機金属系大環状分子が、置換されない金属フタロシアニン、置換された金属フタロシアニン、またはそれらの組み合わせを含み、前記置換された金属フタロシアニンが、ハロゲン基、ヒドロキシル基、アルキル基、アリール基、チオール基、アルコキシ基、ニトロシル基、スルホン酸基の少なくとも1つ、またはそれらの組み合わせで置換され、かつ前記置換されない金属フタロシアニンまたは前記置換された金属フタロシアニンが、バナジウム(V)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、およびそれらの組み合わせから選択される金属を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記溶媒が、水、ピリジン、DMSO、DMF、THF、エタノール、アセトニトリル、クロロホルム、エチレングリコール、メタノール、ベンゼン、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1つの溶媒を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記アミン基が、エチレンジアミン、プロパン-1,3-ジアミン、ブタン-1,4-ジアミン、ペンタン-1,5-ジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ベンゼン-1,3,5-トリアミン、およびそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つのアミン化合物の反応生成物を含みかつ前記アミノ化された大環状分子が、モノアミノコバルトフタロシアニン、ジアミノコバルトフタロシアニン、トリアミノコバルトフタロシアニン、テトラアミノコバルトフタロシアニン、およびそれらの組み合わせの少なくとも1つを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項11】
導管により定義される流路;
前記導管中に配置される触媒カーボンファイバー束であって、前記カーボンファイバーに共有結合されるアミン化合物、および前記アミン化合物に共有結合される有機金属系大環状分子を含む、触媒カーボンファイバー束;ならびに
前記流路中への流体の流れを可能にする入口
を含む、ファイバー束接触器。
【請求項12】
前記アミン化合物が、C2~C20の炭素長を有する第1級または第2級ポリアミンを含む、請求項11に記載のファイバー束接触器。
【請求項13】
前記アミン化合物が、エチレンジアミン、プロパン-1,3-ジアミン、ブタン-1,4-ジアミン、ペンタン-1,5-ジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ベンゼン-1,3,5-トリアミン、およびそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つのポリアミン化合物を含む、請求項11に記載のファイバー束接触器。
【請求項14】
前記有機金属系大環状分子が、置換されない金属フタロシアニン、置換された金属フタロシアニン、またはそれらの組み合わせを含み、前記置換された金属フタロシアニンが、ハロゲン基、ヒドロキシル基、アミン基、アルキル基、アリール基、チオール基、アルコキシ基、ニトロシル基の少なくとも1つ、またはそれらの組み合わせで置換され、かつ前記置換されない金属フタロシアニンまたは前記置換された金属フタロシアニンが、バナジウム(V)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、およびそれらの組み合わせから選択される金属を含む、請求項11に記載のファイバー束接触器。
【請求項15】
前記触媒カーボンファイバー束が、カーボンファイバーおよび前記カーボンファイバーに共有結合されるエチレンジアミンおよびフタロシアニンを含む、請求項11に記載のファイバー束接触器。
【請求項16】
メルカプタン硫黄を含む炭化水素、水性苛性溶液、および酸化剤を容器中に導入すること;
メルカプチドを生成するために前記メルカプタン硫黄の少なくとも一部および前記水性苛性溶液を反応させること;ならびに
ジスルフィド油を生成するために触媒カーボンファイバー束の存在下で前記メルカプチドおよび前記酸化剤を反応させることであって、前記触媒カーボンファイバー束が、カーボンファイバー、前記カーボンファイバーに共有結合されるアミン化合物、および前記アミン化合物に共有結合される有機金属系大環状分子を含む、反応させること
を含む、方法。
【請求項17】
前記アミン化合物が、C2~C20の炭素長を有する第1級または第2級ポリアミンを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記アミン化合物が、エチレンジアミン、プロパン-1,3-ジアミン、ブタン-1,4-ジアミン、ペンタン-1,5-ジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ベンゼン-1,3,5-トリアミン、およびそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つのポリアミン化合物を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記有機金属系大環状分子が、置換されない金属フタロシアニン、置換された金属フタロシアニン、またはそれらの組み合わせを含み、前記置換された金属フタロシアニンが、ハロゲン基、ヒドロキシル基、アミン基、アルキル基、アリール基、チオール基、アルコキシ基、ニトロシル基の少なくとも1つ、またはそれらの組み合わせで置換され、かつ前記置換されない金属フタロシアニンまたは前記置換された金属フタロシアニンが、バナジウム(V)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、およびそれらの組み合わせから選択される金属を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
ファイバー束上でメルカプタン硫黄を含む前記炭化水素および前記水性苛性溶液を接触させることをさらに含み、メルカプチドを生成するために前記メルカプタン硫黄の前記一部および前記水性苛性溶液を反応させることが、前記ファイバー束内で生じる、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
化学的プロセスは多くの場合、生成物流を生成するために複数の単位操作を必要とする。特定の単位操作は、液体-液体接触操作であり得、それにより2つの液体が密着させられて、液体間の物質移動、液体中の構成成分間の反応、またはその両方をもたらす。別の単位操作は、気体-液体接触操作であり得、それにより気体および液体が接触させられて、液体間の物質移動、液体中の構成成分間の反応、またはその両方をもたらす。液体-液体接触は、ある反応物質が第1の液体中で混和可能であるが第2の液体中では混和可能でない、いくつかのタイプの化学反応において有益であり得る。そのような反応の一例は、第1の反応物質が水などの極性溶媒中に存在し、第2の反応物質が炭化水素などの非極性溶媒中に存在し、水および炭化水素が非混和性であるものであり得る。液体-液体接触は、液体-液体抽出などの他の用途を有する場合があり、それにより第1の液体中に存在する種が、液体-液体界面を横切る物質移動により第2の液体中に抽出される。気体-液体接触は、気相中の構成成分が液相中の構成成分と反応し気体成分が液相に吸収される、いくつかのタイプの化学反応において有用であり得る。
【0002】
集合的に「物質移動装置」とも呼ばれる液体-液体接触器および気体-液体接触器の特定の課題は、物質移動または反応が適切な量でかつ経済的に無理がない様式で生じるように相間の適切な接触領域を確保することであり得る。一般に、液体-液体接触操作は、例えば、水性液体および有機液体などの、非混和性液体を用いて実行され得る。2つの非混和性液体を使用することは、液体-液体接触が完了した後に液体が容易に分離されることを可能にするであろう。しかし、液体-液体接触操作が非混和性液体を用いて実行される場合、相分離は、液体間の適切な接触が達成される前に生じるかもしれない。
【0003】
ファイバー束型接触器を含むがこれに限定されない、いくつかの物質移動装置および技術が、相の間の接触領域を強化するために開発されている。ファイバー束型接触器は一般に、シェル内に吊り下げられた1つまたは複数のファイバー束および2つまたはそれより多い入口を含み、そこで、気体-液体または液体-液体を含む相が、シェル内に導入され得る。ファイバー束は、第1の相がファイバー束の個々のファイバーに沿って流れることを可能にし、かつ第2の相が個々のファイバー間に流れることを可能にすることにより相の間の接触を促進し、それにより相の間の効果的な接触領域を大きくする。2つの相は、シェルの入口セクションからシェルの出口セクションへと流れてよく、その間、反応、物質移動、またはその両方が2つの相間で維持されるように密着を維持する。
【0004】
ファイバー束型接触器は、メルカプタン硫黄含有炭化水素流を処理するために開発されている。これらの接触器において、液体触媒または固体触媒ベッドが、メルカプタン硫黄をジスルフィド油に変換するために、苛性剤と併せて利用され得る。しかし、得られる生成物流が仕様どおりであるように反応の程度が十分であることを確保することを含む、このプロセスにおける課題が存在する。反応の程度が仕様どおりである生成物流を生じるのに十分であることを確実にするためのいくつかの方法は、物理的により大きな物質移動装置を構築することにより、より長い接触時間を有するように物質移動装置をデザインすること、または入口からの混合の効果を強化する特徴を有する物質移動装置をデザインすることであり得る。物質移動装置の物理的特徴はある程度まで最適化され得るが、酸化触媒の限界のため、物質移動装置の物理的構成に関わらず、反応が進行する程度に制限がある。
【発明の概要】
【0005】
本明細書で開示されるのは、バージンカーボンファイバーを酸化して酸化されたカーボンファイバーを生成すること;酸化されたカーボンファイバーをポリアミン化合物と反応させてアミン修飾されたカーボンファイバーを生成すること;ならびにアミン修飾されたカーボンファイバーを有機金属系大環状分子と反応させて触媒カーボンファイバーを生成すること、を含む方法の一例である。
【0006】
さらに本明細書で開示されるのは、カーボンファイバーおよびアミノ化された大環状分子を提供すること、カーボンファイバーおよびアミノ化された大環状分子を溶媒と混合すること;ならびにカーボンファイバーおよびアミノ化された大環状分子を反応させてカーボンファイバーとアミノ化された大環状分子の間にアミド結合を形成し、それにより触媒カーボンファイバーを形成すること、を含む方法の一例である。
【0007】
さらに本明細書で開示されるのは、導管により定義される流路;導管中に配置される触媒カーボンファイバー束(ここで、触媒カーボンファイバーは、カーボンファイバーに共有結合されるアミン化合物、ならびにアミン化合物に共有結合される有機金属系大環状分子を含む);ならびに流路内に流体を流すことを可能にする入口、を含むファイバー束接触器である。
【0008】
さらに本明細書で開示されるのは、メルカプタン硫黄を含む炭化水素、水性苛性溶液、および酸化剤を容器内に導入すること;メルカプタン硫黄の少なくとも一部および水性苛性溶液を反応させてメルカプチドを生成すること;ならびに触媒カーボンファイバー束の存在下でメルカプチドおよび酸化剤を反応させてジスルフィド油を生成すること(ここで、触媒カーボンファイバー束は、カーボンファイバー、カーボンファイバーに共有結合されるアミン化合物、およびアミン化合物に共有結合される有機金属系大環状分子を含む)を、含む方法である。
【0009】
これらのおよび他の特徴および開示されるプロセスの特性および本開示のシステムおよびそれらの有利な用途ならびに/または使用は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0010】
これらの図面は、本開示の一部の実施形態のある特定の態様を説明し、本開示を限定または定義するために使用されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、メルカプタン硫黄を含む炭化水素流からジスルフィド油を生成するためのプロセスのブロックフロー図の説明的な描写である。
図2図2は、触媒カーボンファイバーを含む炭化水素脱硫容器の説明的な描写である。
図3図3は、触媒カーボンファイバーを含む炭化水素脱硫容器の説明的な描写である。
図4図4は、触媒カーボンファイバーを含むスタンドアローンの苛性剤再生ユニットの説明的な描写である。
図5a図5aは、触媒カーボンファイバーを含むスタンドアローンの苛性剤再生ユニットの説明的な描写である。
図5b図5bは、分配器トレイの上面図の説明的な描写である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示は、液体-液体および気体-液体物質移動装置に関し、いくつかの実施形態において、触媒カーボンファイバーを含む物質移動装置に関する。触媒カーボンファイバーは、カーボンファイバーの表面上に化学的にグラフトされている有機金属系触媒を含んでよい。触媒カーボンファイバーは、不均質触媒として液体-液体および気体-液体物質移動装置で使用されてよい。
【0013】
本明細書で開示されるのは、触媒カーボンファイバーを調製する方法である。いくつかの実施形態において、触媒カーボンファイバーを調製する方法は、バージンカーボンファイバーを酸化して酸化されたカーボンファイバーを生成し、続いてアミン処理してアミン修飾されたカーボンファイバーを生成することを含むプロセスを含み得る。アミン修飾されたカーボンファイバーは、さらに有機金属系大環状分子と反応されて、触媒カーボンファイバーを生成する。いくらかの実施形態において、触媒カーボンファイバーを調製する方法は、溶媒の存在下でアミノ化された大環状分子をカーボンファイバーと反応させて触媒カーボンファイバーを生成することを含み得る。
【0014】
ポリアクリロニトリル(PAN)、中間相ピッチ、およびレーヨンを使用して調製されたカーボンファイバーを含むがこれらに限定されない、任意のタイプのカーボンファイバーが、本開示において利用されてよい。適切なカーボンファイバーは、乱層もしくはグラファイト状として分類されるそれらのカーボンファイバーを含む、任意の構造順序またはそれらの間の任意の構造順序を有してよい。カーボンファイバーは、約50重量%の炭素~約100重量%の炭素を含む任意の品質のものであり得、かつ2億4000万kPa未満の引張強さ係数を有する低係数カーボンファイバー、約2億4000万kPa~5億kPaの引張強さ係数を有する中間係数カーボンファイバー、または約5億kPa~10億kPaの引張強さ係数を有する高引張強さ係数カーボンファイバーなどの任意の分類を有してよい。カーボンファイバーは、約5マイクロメートル~約20マイクロメートルを含む任意の直径、またはその間の任意の直径を有してよい。カーボンファイバーは、撚り糸または束の形状であり得、それにより数百~数千の個々のカーボンファイバーが一緒に紡糸されて、カーボンファイバー撚り糸またはカーボンファイバー束を形成し得る。
【0015】
いくらかの実施形態において、触媒カーボンファイバーを調製する方法では、第1のステップは、バージンカーボンファイバーを酸化して酸化されたカーボンファイバーを生成することを含み得る。酸化は、液体または気体の環境で実行されて、カーボンファイバーの表面上に酸素含有官能基を形成する。酸素含有官能基は、カーボンファイバーを製造する炭素原子の少なくとも一部に共有結合されるカルボキシル、カルボニル、ラクトン、およびヒドロキシルを含み得る。酸化のステップは、任意の適切な程度にカーボンファイバーを酸化する。制限なく、カーボンファイバーは、約0.1wt.%~約25wt.%の酸素含有官能基を含むように酸化されてよい。代わりに、カーボンファイバーは、約0.1wt.%~約1wt.%の酸素含有官能基、約1wt.%~約5wt.%の酸素含有官能基、約5wt.%~約10wt.%の酸素含有官能基、約10wt.%~約15wt.%の酸素含有官能基、約15wt.%~約20wt.%の酸素含有官能基、約20wt.%~約25wt.%の酸素含有官能基、またはそれらの間の任意の範囲を含むように酸化されてよい。酸化の度合いを利用して、触媒カーボンファイバー上に分散される最終濃度の有機金属系大環状分子を制御してよく、それは今度は、触媒カーボンファイバーの触媒活性全体に同様に直接影響し得る。
【0016】
カーボンファイバーの酸化は、バージンカーボンファイバーを酸に浸漬すること、および酸がバージンカーボンファイバーと反応することを可能にすることにより達成されてよい。適切な酸は、例えば塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、ほう酸、フッ化水素酸、臭化水素酸、過塩素酸、ヨウ化水素酸、フルオロアンチモン酸、カルボラン酸、フルオロほう酸、フルオロ硫酸、フッ化水素、トリフリン酸、および過塩素酸などの無機酸、例えば酢酸、ギ酸、クエン酸、シュウ酸、および酒石酸などの有機酸を含み得る。酸を使用する酸化に加えて、またはその代わりに、酸化ステップはまた、酸素雰囲気中でのプラズマ処理、ガンマ線照射処理、水酸化ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム、硫酸、または硝酸などの酸化体を使用する電気化学酸化、水酸化ナトリウムまたは硝酸銀を用いる過硫酸カリウムによる酸化を使用して実行されてよい。酸性酸化は、約0℃~150℃の範囲の任意の温度で実行されてよい。代わりに、酸化は、0℃~約25℃、約25℃~約50℃、約50℃~約75℃、約75℃~約100℃、約100℃~約125℃、約125℃~約150℃の範囲、またはそれらの間の任意の温度範囲で実行されてよい。酸化は、カーボンファイバー上の酸素含有官能基の所望の濃度を達成するのに適切な任意の期間、実行されてよい。酸素含有官能基の指定された濃度を達成するのに必要な時間は、酸の同一性および濃度ならびに選択される温度条件を含む多くの因子に依存し得る。一般に、酸化は、約1時間~約24時間の範囲の期間、実行される。代わりに、酸化は、約1時間~約3時間、約3時間~約6時間、約6時間~約9時間、約9時間~約12時間、約12時間~約15時間、約15時間~約18時間、約18時間~約21時間、約21時間~約24時間の範囲、またはそれらの間の任意の範囲の時間で実行されてよい。酸処理による酸化の後で、酸化されたカーボンファイバーは場合によっては、水または他の溶媒を使用して洗浄されて、過剰の酸を除去してよい。酸化されたカーボンファイバーは、洗浄後に高温で乾燥されて、洗浄ステップで使用された水または溶媒を除去してよい。
【0017】
触媒カーボンファイバーを調製する第2のステップは、アミン修飾されたカーボンファイバーを生成することを含み得る。酸化されたカーボンファイバーが生成された後、酸化されたカーボンファイバーをアミン含有化合物と反応させて、アミン修飾されたカーボンファイバーを生成し得る。アミン含有化合物は、ジアミン、トリアミン、およびさらに高次のアミンを含む、少なくとも2つのアミン基を含む、任意のポリアミン化合物であり得る。アミン含有化合物は、C2~C20の範囲の炭素数を有する直鎖、分岐、または環状の第1級または第2級アミンを含み得る。いくつかの特定のアミの含有化合物は、限定されないが、エチレンジアミン、プロパン-1,3-ジアミン、ブタン-1,4-ジアミン、ペンタン-1,5-ジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ベンゼン-1,3,5-トリアミン、およびそれらの組み合わせを含み得る。酸化されたカーボンファイバーは、約0℃~250℃の範囲の温度を含む、任意の適切な条件でアミン含有化合物と反応されてよい。代わりに、酸化は、0℃~約25℃、約25℃~約50℃、約50℃~約75℃、約75℃~約100℃、約100℃~約125℃、約125℃~約150℃、約150℃~約175℃、約175℃~約200℃、約200℃~約225℃、約225℃~約250℃の範囲、またはそれらの間の任意の温度範囲で実行されてよい。酸化されたカーボンファイバーおよびアミン含有化合物を反応させるのに必要とされる時間は、アミン含有化合物の同一性および選択される温度条件を含む多くの因子に依存し得る。一般に、酸化されたカーボンファイバーは、約1時間~約24時間の範囲の期間、アミン含有化合物と反応されてよい。代わりに、酸化されたカーボンファイバーは、約1時間~約3時間、約3時間~約6時間、約6時間~約9時間、約9時間~約12時間、約12時間~約15時間、約15時間~約18時間、約18時間~約21時間、約21時間~約24時間の範囲またはそれらの間の任意の範囲の時間で実行されてよい。アミンの反応の後、アミン修飾されたカーボンファイバーは場合によっては、水または他の溶媒を使用して洗浄されて、過剰のアミンを除去してよい。アミン修飾されたカーボンファイバーは、洗浄後に高温で乾燥されて、洗浄ステップで使用された水または溶媒を除去してよい。
【0018】
触媒カーボンファイバーを調製する第3のステップは、アミン修飾されたカーボンファイバーを有機金属系大環状分子と反応させて触媒カーボンファイバーを生成することを含み得る。有機金属系大環状分子は、置換されない金属フタロシアニン、置換された金属フタロシアニン、およびそれらの組み合わせを含み得る。適切な金属フタロシアニンは、金属フタロシアニン上の1つまたは複数の末梢水素原子で、ハロゲン、ヒドロキシル、アミン、アルキル、アリール、チオール、アルコキシ、ニトロシル基、またはそれらの組み合わせの置換基を含んでよい。金属フタロシアニンは、限定されないが、バナジウム(V)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、およびそれらの組み合わせを含む、任意の適切な金属を含んでよい。有機金属系大環状分子は、アミン修飾されたカーボンファイバーと反応させる前に、水、ピリジン、DMSO、DMF、THF、エタノール、アセトニトリル、クロロホルム、エチレングリコール、メタノール、ベンゼン、またはそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない溶媒に分散されてよい。
【0019】
アミン修飾されたカーボンファイバーは、約0℃~150℃の範囲の温度を含む、任意の適切な条件で、有機金属系大環状分子と反応されてよい。代わりに、酸化は、0℃~約25℃、約25℃~約50℃、約50℃~約75℃、約75℃~約100℃、約100℃~約125℃、約125℃~約150℃の範囲、またはそれらの間の任意の温度範囲で実行されてよい。アミン修飾されたカーボンファイバーおよびアミン含有化合物を反応させるのに必要とされる時間は、有機金属系大環状分子の同一性および選択される温度条件を含む多くの因子に依存し得る。一般に、アミン修飾されたカーボンファイバーは、約1時間~約24時間の範囲の期間、有機金属系大環状分子と反応されてよい。代わりに、酸化は、約1時間~約3時間、約3時間~約6時間、約6時間~約9時間、約9時間~約12時間、約12時間~約15時間、約15時間~約18時間、約18時間~約21時間、約21時間~約24時間の範囲またはそれらの間の任意の範囲の時間で実行されてよい。有機金属系大環状分子の反応の後で、触媒カーボンファイバーは場合によっては、水または他の溶媒を使用して洗浄されて、過剰の有機金属系大環状分子を除去してよい。触媒カーボンファイバーは、洗浄後に高温で乾燥されて、洗浄ステップで使用された水または溶媒を除去してよい。
【0020】
さらなる実施形態において、触媒カーボンファイバーを生成するための合成方法は、溶媒の存在下でアミノ化された大環状分子をカーボンファイバーと反応させて触媒カーボンファイバーを生成することを含み得る。アミノ化された大環状分子は、有機金属系大環状分子および有機金属系大環状分子にグラフトされたアミン基を含んでよい。アミン基は、アミノ基、およびイミノ基、またはそれらの組み合わせを含み得る。アミン基は、アミノ化された大環状分子が、カーボンファイバーの表面上でカルボキシル基などの酸素含有基と反応して、アミノ化された大環状分子とカーボンファイバーの間でアミド結合を形成することを可能にする。カーボンファイバー生成は、カーボンファイバーの表面上にカルボキシル基などの酸素含有基を残す、上述した酸化的表面処理ステップを含み得る。カルボキシル基などの酸素含有基の濃度は、カーボンファイバーと反応し得るアミノ化された大環状分子の量を決定し得る。さらなる酸化的表面処理を利用して、カーボンファイバーがより多くの量のアミノ化された大環状分子と反応し得るように、カルボキシル基を含む反応性基の濃度を高めてよい。
【0021】
アミノ化された大環状分子は、置換されない金属フタロシアニン、置換された金属フタロシアニン、およびそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない任意の適切な有機金属系大環状分子を含み得る。置換された金属フタロシアニンは、金属フタロシアニン上の1つまたは複数の末梢水素原子で、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル、アリール、チオール、アルコキシ、ニトロシル基、またはそれらの組み合わせの置換基を含んでよい。金属フタロシアニンは、限定されないが、バナジウム(V)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、およびそれらの組み合わせを含む、任意の適切な金属を含んでよい。アミノ化された大環状分子は、有機金属系大環状分子にグラフトされた1つまたは複数のアミン基(-NHまたは-NH)を含んでよい。アミノ化された大環状分子は、有機大環状分子にグラフトされたアミン含有化合物を含み得る。アミン含有化合物は、C2~C20、モノアミン、ジアミン、トリアミン、およびより高次のアミンを含み得る。アミン含有化合物は、直鎖、分岐、または環状のアミンを含み得る。いくつかの特定のアミン含有化合物は、限定されないが、エチレンジアミン、プロパン-1,3-ジアミン、ブタン-1,4-ジアミン、ペンタン-1,5-ジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ベンゼン-1,3,5-トリアミン、およびそれらの組み合わせを含み得る。いくつかの適切なアミノ化された大環状分子は、モノアミノコバルトフタロシアニンおよびポリアミノコバルトフタロシアニンなどのアミノコバルトフタロシアニンを含み得る。ポリアミノコバルトフタロシアニンは、ジアミノコバルトフタロシアニン、トリアミノコバルトフタロシアニン、テトラアミノコバルトフタロシアニン、およびより高次のポリアミノコバルトフタロシアニンを含み得る。他の特定の適切なアミノ化された大環状分子は、ポルフィリン、ヘム、ポリアザ化合物、およびクラウンエーテルを含み得る。
【0022】
触媒カーボンファイバーは、アミノ化された大環状分子をカーボンファイバーと反応させてアミノ化された大環状分子間でアミド結合を形成することにより、調製され得る。カーボンファイバーとアミノ化された大環状分子の間のアミド結合の形成のためのいくつかの合成方法があり、そのうちのいくつかのみが、本明細書で開示され得る。1つの合成方法は、適切な溶媒中にて高温でカーボンファイバーおよびアミノ化された大環状分子を反応させることによるアミド結合の直接形成を含み得る。別の合成方法は、塩化チオニルなどの塩素化剤を用いるカルボン酸からの塩化アシルの生成を介するアミド形成を含み得る。別の合成方法は、カルボジイミドまたはベンゾトリアゾールなどのカップリング剤を使用するアミド形成を含み得る。別の合成方法は、酵素触媒アミド形成を含み得る。
【0023】
直接アミド結合合成において、カーボンファイバーおよびアミノ化された大環状分子が、溶媒中で組み合わされ加熱され、それによりカーボンファイバーとアミノ化された大環状分子の間でアミド結合を形成して、触媒カーボンファイバーを生成し得る。いくらかの適切な溶媒は、ピリジン、DMSO、DMF、THF、エタノール、アセトニトリル、クロロホルム、エチレングリコール、メタノール、ベンゼン、およびそれらの組み合わせを含み得るがこれらに限定されない。カーボンファイバーは、約100℃~200℃の範囲の温度を含む、任意の適切な条件で、アミノ化された大環状分子と反応し得る。代わりに、反応は、100℃~約125℃、約125℃~約150℃、約150℃~約175℃、約175℃~約200℃の範囲、またはそれらの間の任意の温度範囲で実行されてよい。カーボンファイバーおよびアミノ化された大環状分子を反応させるために必要とされる時間は、アミノ化された大環状分子の同一性および選択される温度条件を含む多くの因子に依存し得る。一般に、カーボンファイバーは、約1時間~約24時間の範囲またはそれより長い期間、アミノ化された大環状分子と反応されてよい。代わりに、反応は、約1時間~約3時間、約3時間~約6時間、約6時間~約9時間、約9時間~約12時間、約12時間~約15時間、約15時間~約18時間、約18時間~約21時間、約21時間~約24時間の範囲またはそれらの間の任意の範囲の時間で実行されてよい。アミノ化された大環状分子の反応の後で、触媒カーボンファイバーは場合によっては、水または他の溶媒を使用して洗浄されて、過剰のアミノ化された大環状分子を除去してよい。触媒カーボンファイバーは、洗浄後に高温で乾燥されて、洗浄ステップで使用された水または溶媒を除去してよい。
【0024】
塩化アシル合成において、カーボンファイバーは、塩化チオニル、三塩化リン、または塩化テレフタロイルなどの塩素化剤と組み合わされ、加熱され得る。塩素化剤は、カーボンファイバー上でカルボキシル基などの酸素含有基と反応して、カーボンファイバー上で塩化アシルを生成し得る。カーボンファイバーは、約0℃~150℃の範囲の温度を含む、塩素化剤の沸点未満の任意の適切な条件で塩素化剤と反応されてよい。代わりに、反応は、0℃~約25℃、約25℃~約50℃、約50℃~約75℃、約75℃~約100℃、約100℃~約125℃、約125℃~約150℃の範囲、またはそれらの間の任意の温度範囲で実行されてよい。一般に、カーボンファイバーは、約1時間~約24時間の範囲またはそれより長い期間、塩素化剤と反応されてよい。塩素化剤で修飾されたカーボンファイバーは、アミノ化された大環状分子と反応されて、触媒カーボンファイバーを生成し得る。例えば、塩素化剤で修飾されたカーボンファイバーおよびアミノ化された大環状分子が、溶媒中で組み合わされ加熱され、それによりカーボンファイバーとアミノ化された大環状分子の間でアミド結合を形成して、触媒カーボンファイバーを生成し得る。いくつかの適切な溶媒は、水、ピリジン、DMSO、DMF、THF、エタノール、アセトニトリル、クロロホルム、エチレングリコール、メタノール、ベンゼン、およびそれらの組み合わせを含み得るがこれらに限定されない。塩素化剤で修飾されたカーボンファイバーは、約0℃~150℃の範囲の温度を含む、任意の適切な条件で、アミノ化された大環状分子と反応されてよい。代わりに、反応は、0℃~約25℃、約25℃~約50℃、約50℃~約75℃、約75℃~約100℃、約100℃~約125℃、約125℃~約150℃の範囲、またはそれらの間の任意の温度範囲で実行されてよい。塩素化剤で修飾されたカーボンファイバーおよびアミノ化された大環状分子を反応させるために必要とされる時間は、アミノ化された大環状分子の同一性および選択される温度条件を含む多くの因子に依存し得る。一般に、塩素化剤で修飾されたカーボンファイバーは、約1時間~約24時間の範囲またはそれより長い期間、アミノ化された大環状分子と反応されてよい。代わりに、反応は、約1時間~約3時間、約3時間~約6時間、約6時間~約9時間、約9時間~約12時間、約12時間~約15時間、約15時間~約18時間、約18時間~約21時間、約21時間~約24時間の範囲またはそれらの間の任意の範囲の時間で実行されてよい。アミノ化された大環状分子の反応の後で、触媒カーボンファイバーは場合によっては、水または他の溶媒を使用して洗浄されて、過剰のアミノ化された大環状分子を除去してよい。触媒カーボンファイバーは、洗浄後に高温で乾燥されて、洗浄ステップで使用された水または溶媒を除去してよい。
【0025】
別の合成方法は、カップリング剤を使用するアミド形成を含み得る。この方法において、カーボンファイバーおよびカップリング剤は、適切な溶媒中で組み合わされ、加熱され得る。カップリング剤は、カーボンファイバー上の酸素含有官能基またはカーボンファイバーと反応して、官能化されたカーボンファイバーを形成し得る。いくつかの適切なカップリング剤は、カルボジイミド、ベンゾトリアゾール、およびそれらの組み合わせを含み得るがこれらに限定されない。官能化されたカーボンファイバーは、反応して触媒カーボンファイバーを形成し得るアミノ化された大環状分子および溶媒と組み合わされてよい。いくつかの適切な溶媒は、水、ピリジン、DMSO、DMF、THF、エタノール、アセトニトリル、クロロホルム、エチレングリコール、メタノール、ベンゼン、およびそれらの組み合わせを含み得るがこれらに限定されない。官能化されたカーボンファイバーは、約0℃~150℃の範囲の温度を含む、任意の適切な条件でアミノ化された大環状分子と反応し得る。代わりに、反応は、0℃~約25℃、約25℃~約50℃、約50℃~約75℃、約75℃~約100℃、約100℃~約125℃、約125℃~約150℃の範囲、またはそれらの間の任意の温度範囲で実行されてよい。官能化されたカーボンファイバーおよびアミノ化された大環状分子を反応させるために必要とされる時間は、アミノ化された大環状分子の同一性および選択される温度条件を含む多くの因子に依存し得る。一般に、官能化されたカーボンファイバーは、約1時間~約24時間の範囲またはそれより長い期間、アミノ化された大環状分子と反応されてよい。代わりに、反応は、約1時間~約3時間、約3時間~約6時間、約6時間~約9時間、約9時間~約12時間、約12時間~約15時間、約15時間~約18時間、約18時間~約21時間、約21時間~約24時間の範囲またはそれらの間の任意の範囲の時間で実行されてよい。アミノ化された大環状分子の反応の後で、触媒カーボンファイバーは場合によっては、水または他の溶媒を使用して洗浄されて、過剰のアミノ化された大環状分子を除去してよい。触媒カーボンファイバーは、洗浄後に高温で乾燥されて、洗浄ステップで使用された水または溶媒を除去してよい。
【0026】
別の合成方法には、酵素を使用するアミド形成が含まれ得る。酵素的触媒は、アミノ化反応が比較的低温で生じることを可能にする場合があり、より広い溶媒適合性を可能にする。この方法において、カーボンファイバーおよびアミノ化された大環状分子は、適切な溶媒中で酵素と組み合わせられる。酵素は、カーボンファイバーとアミノ化された大環状分子の間のアミド結合の形成を触媒できる任意の酵素を含み得る。適切な酵素のいくつかの例は、プロテアーゼ、サブチリシン、アシラーゼ、アミダーゼ、リパーゼ、およびそれらの組み合わせを含み得るがこれらに限定されない。いくつかの適切な溶媒は、水、ピリジン、DMSO、DMF、THF、エタノール、アセトニトリル、クロロホルム、エチレングリコール、メタノール、ベンゼン、およびそれらの組み合わせを含み得るがこれらに限定されない。カーボンファイバーは、約0℃~100℃の範囲の温度を含む、任意の適切な条件でアミノ化された大環状分子と反応されてよい。代わりに、反応は、0℃~約25℃、約25℃~約50℃、約50℃~約75℃、約75℃~約100℃の範囲、またはそれらの間の任意の温度範囲で実行されてよい。カーボンファイバーおよびアミノ化された大環状分子を反応させるために必要とされる時間は、アミノ化された大環状分子の同一性および選択される温度条件を含む多くの因子に依存し得る。一般に、カーボンファイバーは、約1時間~約24時間の範囲またはそれより長い期間、アミノ化された大環状分子と反応されてよい。代わりに、反応は、約1時間~約3時間、約3時間~約6時間、約6時間~約9時間、約9時間~約12時間、約12時間~約15時間、約15時間~約18時間、約18時間~約21時間、約21時間~約24時間の範囲またはそれらの間の任意の範囲の時間中に実行されてよい。アミノ化された大環状分子の反応の後、触媒カーボンファイバーは、場合によっては水または他の溶媒を使用して洗浄されて、過剰のアミノ化された大環状分子を除去してよい。触媒カーボンファイバーは、洗浄後に高温で乾燥され、洗浄ステップで使用された水または溶媒を除去してよい。
【0027】
触媒カーボンファイバーが上述のように合成されると、触媒カーボンファイバーは、触媒カーボンファイバーを成形することにより、さらに処理されてよい。例えば、触媒カーボンファイバーの個々の繊維は、一緒に引き寄せられ、固定されて触媒カーボンファイバー束を形成してよい。触媒カーボンファイバー束を反応器中で利用して、反応器内に反応ゾーンを形成してよい。カーボンファイバーの追加の処理は、カーボンファイバーのサイズを縮小して、例えば流動床反応器内で、流動床に適切な触媒カーボンファイバーを生成することを含んでよく、またはペレット化される、または充填された床反応器での使用に適するようにされてよい。
【0028】
精製所および化学プラント内の炭化水素流はしばしば、有機的に結合された硫黄化合物、カルボン酸、および硫化水素などの不要な汚染物質を含む。製品の仕様は、精製プロセス中にこれらの汚染物質の低減および/または除去を要求し得る。メルカプタン硫黄などの、有機的に結合された硫黄は、精製所または化学プラント内のいくらかの炭化水素流に存在するかもしれない。メルカプタン硫黄含有量が低減された生成物流を生成するために炭化水素流のメルカプタン硫黄含有量を低減することが望ましい場合がある。一般にメルカプタン硫黄含有流を処理するための2つの選択肢がある。メルカプタン抽出が利用されてよく、それによりメルカプタン硫黄は、苛性剤流と反応されて、メルカプチドなどの有機硫黄化合物を生成する。メルカプチドの一部は、苛性剤流の水性部分に溶解され、それにより炭化水素流からメルカプタン硫黄を除去し得る。一般に、有機硫黄化合物の溶解性は、炭化水素鎖長の関数であり、それにより比較的低い分子量のメルカプタンは、苛性剤流と反応されると、より溶解性の生成物を生成し得、比較的高分子量のメルカプタンは、苛性剤流と反応されると、比較的溶解性の低い生成物を生成し得る。有機硫黄化合物は、触媒の存在下で有機硫黄化合物を酸素と反応させることにより、ジスルフィド油へとさらに酸化されてよい。より重いメルカプタン硫黄含有化合物を含むいくつかの炭化水素流については、メルカプタン甘味料を利用して、触媒の存在下でメルカプタン硫黄を酸素と反応させることにより、メルカプタン硫黄をジスルフィド油へと直接変換し得る。ジスルフィド油へと直接甘味付与することは、生成された有機硫黄化合物が苛性剤流の水性部分に比較的不溶性であるいくつかの炭化水素流において好ましいであろう。いくつかの操作は、連続して抽出および甘味付与を含み得、それにより比較的低分子量のメルカプタン硫黄および比較的高分子量のメルカプタン硫黄の一部を含む混合された炭化水素流が苛性剤流と接触され、その後酸化されてジスルフィド油を生成する。そのような操作は、別個のユニット内で、または単一の容器内で一体化されたプロセスとして行われてよい。単一容器抽出/酸化の一例は、Merichem Companyから利用可能なMericat(商標)IIプロセスである。
【0029】
除去され得る汚染物質を含む、多種態様な炭化水素流がある。本出願はいくつかの特定の炭化水素流に関する実施形態を開示するのみであり得るが、本明細書での開示は、本明細書で特に列挙されない他の炭化水素流にも容易に適用されてよい。苛性処理プロセスは、例えばアルカン、アルケン、アルキン、および芳香族などの炭化水素を含むがこれらに限定されない、任意の炭化水素供給物の処理に適するであろう。炭化水素は、例えば約C~約C30、またはそれより大きい任意の鎖長の炭化水素を含んでよく、任意の量の分岐を含んでよい。いくつかの代表的な炭化水素供給物は、原油、プロパン、LPG、ブタン、軽質ナフサ、イソメラート、重質ナフサ、改質油、ジェット燃料、灯油、ディーゼル油、水素化処理蒸留物、重質減圧軽油、軽質減圧軽油、軽油、コーカ軽油、アルキレート、燃料油、ライトサイクルオイル、およびそれらの組み合わせを含み得るがこれらに限定されない。炭化水素流のいくつかの非限定例は、軽質ナフサ、重質ナフサ、ジェット燃料、および灯油、流動接触分解装置もしくは残油接触分解装置ガソリン、またはRCC、NGL精留由来の天然ガソリン、ならびにガスコンデンセートなどの原油蒸留ユニット流を含み得る。
【0030】
メルカプタン硫黄を抽出する方法は、水酸化物を含む苛性剤流と炭化水素流を接触させること、および苛性剤流中の水酸化物と炭化水素流のメルカプタン硫黄含有物の少なくとも一部を反応させることを含み得る。水酸化物は、メルカプタン硫黄と反応できる任意の水酸化物であり得る。いくつかの代表的な水酸化物は、例えばNaOH、KOH、RbOH、CsOH、Ca(OH)、およびMg(OH)などの第I族および第II族の水酸化物を含み得る。水酸化物は、特定の用途に適した濃度、一般に約5wt.%から飽和までかつ飽和を含む濃度で水性溶液中に存在してよい。
【0031】
水酸化物およびメルカプタン硫黄の一般化された反応は、反応1で示され、ここでメルカプタン硫黄(RSH)は、水酸化物(XOH)と反応して、対応するメルカプチド(RSX)および水を形成し、式中、Xは、第I族または第II族のカチオンである。
【0032】
【数1】
【0033】
上で議論したように、水酸化物と反応されるメルカプタン硫黄の分子量に応じて、生成されるメルカプタン硫黄の一部は、苛性剤流の水性部分に溶解する場合がある。メルカプタン硫黄が苛性剤流と反応されると、水、残留水酸化物、および可溶性成分を含む「使用済み苛性剤」または「濃厚な苛性剤」溶液が生成され得る。使用済み苛性剤は、再生されて、反応1に戻しリサイクルするために、メルカプチド含有量が低下された希薄苛性剤を形成する。再生の1つのプロセスは、酸素または空気を使用済み苛性剤と混合すること、および得られる混合物を触媒と接触させて苛性剤流を再生することを含み得る。再生の一般化されたプロセスは、反応2で示され、ここでメルカプチド(RSX)は、触媒の存在下で水および酸素と反応して、ジスルフィド油(DSO)とも呼ばれるジスルフィド(RSSR)、苛性剤、および水を生成する。
【0034】
【数2】
【0035】
上で議論したように、メルカプタン硫黄の処理での課題の1つは、反応の程度に関して問題があることであり、それによりメルカプタン硫黄濃度が、得られる生成物流が規格通りであるのに必要とされるレベルに低下されない。UOP Merox(商標)などの、抽出器セクションおよび酸化セクションを利用するユニットにおいて、触媒は、ユニットの抽出および酸化セクションを通って循環する苛性剤流中に分配される場合がある。甘味付与ユニットにおいて、触媒は、反応器内の固定床に含まれ得る。触媒は、炭または活性炭に含浸される場合があり、そこで触媒ベッドは、苛性溶液で湿る場合がある。いずれの場合でも、触媒は、十分な触媒活性を有しない場合がある、および/または反応器内の滞留時間は、メルカプチドを効果的に酸化するには短すぎる場合がある。本明細書で開示される触媒カーボンファイバーの代表的な使用の1つは、ジスルフィド油を生成するためにメルカプチドの酸化で現在利用される従来の酸素化触媒を置き換えることである。以下に詳細に議論されるように、触媒カーボンファイバーは、メルカプチドの酸化に対して高い反応性を示し、メルカプチド酸化反応器での使用に十分適する所望の物理的性質を有する。
【0036】
メルカプチドの酸化に適切な多種多様なプロセス条件があり得、その正確な条件は、炭化水素供給物に応じて変わり得る。より軽質の炭化水素について、操作圧力は、液相操作を確実にするために泡立ち点よりも僅かに高くなるように制御され得る。比較的より重質の炭化水素について、圧力は、酸化セクションで溶解された空気を維持するように設定されてよい。操作温度はまた、約20℃~約100℃の温度範囲の一般条件で炭化水素供給物に基づき選択され得る。
【0037】
図1は、メルカプチド酸化において触媒カーボンファイバーを利用する、炭化水素脱硫プロセス100の1つの実施形態を説明する。図1において、メルカプタン硫黄化合物を含む炭化水素供給物102は、逆流複数ステージ苛性処理セクションで処理され得る。希薄苛性剤104は、最後のステージ108に供給されてよく、そこで希薄苛性剤は、第1のステージ106で最初に処理された後で最後のステージ108に入る炭化水素からメルカプタンを抽出する。苛性剤は、最後のステージ108から流れ110として除去され、第1のステージ106に供給され、炭化水素供給物102と接触され得る。使用済み苛性剤流112は、第1のステージ106から引き出されてよく、処理済み炭化水素114は、最後のステージ108から引き出され得る。苛性処理セクションの特定のデザインは、本開示の触媒カーボンファイバーの機能性に重要でないが、1つのデザインは、図1で概略的に説明されるような逆流構成で操作する段階的接触器を含み得、別のデザインは、苛性処理溶液中への炭化水素供給物102からのメルカプタンの物質移動を支援するために、繊維フィルム液体-液体接触器を使用する。
【0038】
第1のステージ106および酸化剤118から引き出された使用済み苛性剤112は、酸化セクション116に供給されてよい。酸化剤118は、空気、酸素、過酸化水素、または任意の他の酸素含有ガスもしくは酸素を放出する化合物を含む、任意の適切な酸化剤を含み得る。酸化セクション116は、使用済み苛性剤112に存在するメルカプチドを酸化してジスルフィド油を形成できる、本明細書で開示される触媒カーボンファイバーを含んでよい。使用済み苛性剤112中のメルカプチド、水、および酸素は、触媒カーボンファイバーの存在下で反応2にしたがい反応して、ジスルフィド油、再生苛性剤、および水を生成する。再生苛性剤は、再生苛性剤流118として排出され得、ジスルフィド油は、ジスルフィド流124として排出され得る。残留気体状炭化水素、空気、酸素、または他の気体を含むオフガススチーム126は、酸化セクション116から引き出され、さらなる処理のための下流のユニットまたは必要があればフレアまで送られてよい。
【0039】
酸化セクション116内の状態は炭化水素および酸化剤の組み合わせを有する爆発性の混合物を形成する助けになり得るので、酸化セクション116に存在する気体が爆発下限界(LEL)未満であるかまたは爆発上限界(UEL)を超えるように酸化セクション116を操作することが望ましいことがある。気体流120が場合によっては、LEL/UEL状態が維持されるように酸化セクション116中に導入されてよい。気体流120は、燃料ガス、不活性ガス、またはLEL/UELを制御するための任意の他の適切な気体を含み得る。別の代替物は、酸化セクション116中への溶媒流122を含んでよい。溶媒流122は、任意の源由来であり得るが、ジスルフィド油をほとんど含まないか、全く含まないことが好ましい。溶媒流122は、酸化セクション116に入る前に使用済み苛性剤流112と混合されるか、それは酸化セクション116の底に別の流れとして注入されてよい。溶媒は、メルカプタンの酸化後に苛性溶液からのジスルフィド油の分離を支援するナフサおよび灯油などの任意の軽質炭化水素または軽質炭化水素の混合物であり得る。ジスルフィド油は、使用済み苛性剤112の水性部分と比較して、DSO中でより高い溶解性を有している場合があり、それらの溶解性の差がDSOでの抽出の駆動力を提供する。溶媒が利用される実施例において、溶媒は、ジスルフィド流124のジスルフィド油とともに引き出されてよい。
【0040】
いくつかの実施例において、再生苛性剤流118は、溶媒洗浄セクション128でさらに精製されてよく、それにより溶媒流130は、再生苛性剤流118に接触して再生苛性剤流118からDSOをさらに除去する。使用済み苛性剤流132は、溶媒洗浄セクション128から引き出され、新しい苛性剤流134からの追加の新しい苛性剤が添加されて、希薄苛性剤104を形成し得る。
【0041】
図2は、本明細書に記載の触媒カーボンファイバーを含む炭化水素脱硫容器200の1つの実施形態を説明する。説明されるように、炭化水素脱硫容器200は、ファイバー束204を含む苛性処理セクション202および触媒カーボンファイバー208を含む酸化セクション206を含む。導管210は、苛性処理セクション202を酸化セクション206から物理的に分離しかつ流体が通過するための流路を提供し得るファイバー束204を含む苛性処理セクション202を含んでよい。触媒カーボンファイバー208を含む酸化セクション206は、導管210と容器200の壁の間に形成される環状空間に配置されてよい。
【0042】
処理されるメルカプタン硫黄化合物を含む炭化水素供給物212は、酸化剤214と混合され、導管210に導入されてよい。いくつかの実施例において、スパージャー218を利用して、炭化水素供給物21中に酸化剤214を分布させてよい。酸化剤214は、空気、酸素、過酸化水素、または酸素を放出する任意の他の酸素含有気体もしくは化合物を含む、任意の適切な酸化剤を含み得る。一般に、導入される酸化剤214の量は、炭化水素供給物212に存在するすべてのメルカプタン硫黄化合物を酸化するのに十分であるべきである。炭化水素/酸化剤供給物が導管210中に導入されると、それは、導管210を通って流れ、ファイバー束204に接触する。苛性剤流220は、炭化水素供給物/酸化剤供給物がファイバー束204に接触する前に苛性剤流220と混合されるように導管210に導入されてよい。いくつかの実施例において、炭化水素供給物212からの炭化水素相と苛性剤流220からの水相の間の接触を強化するために、苛性剤流220から苛性剤を分散させることが望ましい場合がある。そのような実施例において、ライン222は、ファイバー束204の上に配置される分配器224に接続され得、それにより苛性剤流220は、ライン222を介して分配器224に接続し、炭化水素/酸化剤供給物は、ファイバー束204の上の苛性剤流220からの苛性剤と混合され得る。
【0043】
いずれかの実施例において、炭化水素/酸化剤供給物および苛性剤流220からの苛性剤は、ファイバー束204に接触してよく、それは、水性苛性剤がファイバー束204の個々のファイバーを湿らせるようにする。水性苛性溶液は、ファイバー204上でフィルムを形成し、それは、炭化水素が同じ導管を通過することにより、導管210を通って下流に引きずり込まれる。両方の液体は、容器200の分離ゾーン226に排出されてよい。炭化水素の体積は、水性苛性剤が炭化水素よりも低い体積流量でファイバー束を通過するため、より大きいであろう。ファイバー上の水性苛性剤フィルムについて炭化水素の相対的な移動の間に、炭化水素と水性苛性溶液の間の新規境界面は、連続的に形成され、結果として新しい水性苛性溶液が、この表面と接触するようになり、炭化水素中のメルカプタン硫黄またはフェノール類、ナフテン酸および他の有機酸などの他の不純物と反応することを可能にされる。炭化水素供給物に存在するメルカプタン硫黄は、反応1に示すように苛性剤と反応してメルカプチドを生成し得る。
【0044】
分離ゾーン226において、水性苛性溶液および炭化水素は、容器200の下方部分において収集され、炭化水素相228および苛性剤相230へと分離されてよい。容器200内の境界面232は、水性苛性フィルムが炭化水素相228に分散されることなく容器200の底で直接収集され得るように、ファイバー束204の下流端の底の上のレベルで維持されてよい。充填されたベッドに詰まりを生じ得るほとんどのフェノラートまたはナフテン酸不純物はこのように、苛性剤相の炭化水素から除去される。これは、酸化効率を高めるだけでなく、また維持費用を削減する。しかし、いくらかの不純物が、炭化水素中に残る場合があり、これは、酸化セクション206において苛性溶液でさらに処理する必要がある。苛性剤相230は、ポンプ234を介して容器200から引き出されてよく、苛性剤流220を介して導管210に戻されてよい。容器200内の境界面232の高さは、レベルセンサ、レベル制御装置、およびパージバルブを含むレベル制御システム236により制御されてよく、境界面232をファイバー束204の下流端より上のレベルで維持するように構成されてよい。
【0045】
分離ゾーン226から、炭化水素相228は、酸化セクション206中へと上向きに流れてよく、それにより炭化水素相228は、触媒カーボンファイバー208に接触する。追加の苛性剤が、必要であれば、ライン238を介して酸化セクション206に導入されてよい。分配グリッドが、ライン238から酸化セクション206中へと苛性剤を分配する酸化セクション206に存在してよい。酸化セクション206において、メルカプチド、水、および酸素は、触媒カーボンファイバーの存在下で反応2にしたがって反応して、ジスルフィド油、再生苛性剤、および水を生成してよく、それらは酸化セクション206を通って上向きに流れ得る。追加の苛性剤および炭化水素は、酸化セクション206を通って接触し、同時に流れ得る。触媒カーボンファイバーの上端で、追加の苛性剤は、分離セクション240においてチムニータイプのトレイなどの液体分離装置により炭化水素から分離されてよい。チムニータイプのトレイが示されるが、例えば、越流堰などの使用できる多くの代わりのタイプの液体分離器がある。追加の水酸化物は、分離セクション240で収集されてよく、かつ酸化セクション206に再度導入される流れ242として排出され得る。メイクアップ苛性剤244は、断続的に添加されてよく、苛性剤のパージが、必要に応じて利用されてよい。炭化水素生成物246は、分離セクション240の頂部から引き出され得る。容器200中で増大するオフガスは、ライン248を通って排出され、下流のユニットで処理されてよい。
【0046】
図3は、本明細書に記載の触媒カーボンファイバーを含む炭化水素脱硫容器300の別の実施形態を説明する。図3は、炭化水素供給物302、酸化剤304、苛性剤流306、および場合により溶媒流308が酸化セクション310中に導入される、単一容器内で実行されるプロセスを説明する。酸化剤304は、空気、酸素、過酸化水素、または酸素を放出する任意の他の酸素含有気体もしくは化合物を含む、任意の適切な酸化剤を含み得る。流れのそれぞれは、酸化セクション310中にフィーを分配し得る分配器312を通って容器300中に導入されてよい。酸化セクション310は、分配器312からの供給物を受け取るように配置される触媒カーボンファイバー314を含む。
【0047】
酸化セクション310において、炭化水素供給物302からの炭化水素および苛性剤流306からの苛性剤は、触媒カーボンファイバー314に接触してよく、それは、水性苛性剤が触媒カーボンファイバー314の個々のファイバーを湿らせるようにさせる。水性苛性溶液は、触媒カーボンファイバー314上にフィルムを形成し、それは、容器300を介する炭化水素の通過により、酸化ゾーン310を通って下流に引きずり込まれる。ファイバー上の水性苛性剤フィルムについて炭化水素の相対的な移動の間に、炭化水素と水性苛性溶液の間の新規境界面が、連続的に形成され、結果として新しい水性苛性溶液が、この表面と接触するようになり、炭化水素中のメルカプタン硫黄またはフェノール類、ナフテン酸および他の有機酸などの他の不純物と反応することを可能にされる。炭化水素供給物中に存在するメルカプタン硫黄は、反応1に示すように苛性剤と反応されてメルカプチドを生成し得る。生成されたメルカプチドは、触媒カーボンファイバー314の存在下で反応2に示すように酸化剤304により提供される酸素とさらに反応して、ジスルフィド油、再生苛性剤、および水を生成し得る。
【0048】
酸化セクション310内で生じるジスルフィド油へのメルカプチドの酸化は、連続相の苛性剤、苛性剤相に分散された非連続相の有機(ジスルフィド油、および存在する場合は溶媒)液滴、および気体(空気からの窒素および未反応酸素)で構成される混合物をもたらし得る。生成物、未反応反応物質、および不活性種の混合物は、酸化セクション310を出て、ファイバー束318に接触し、分離セクション316中へと流れ得る。ファイバー束は、以前説明されたように相分離を促進し得る。分離セクション316において、水性苛性剤および炭化水素は、分離セクション316の下方部分で収集され、炭化水素相320、苛性剤相322、および気相324へと分離されてよい。酸化剤304からの気体は、ファイバー束318の出口で液体流から離れ、オフガス328としてミスト除去装置326を通って出ていく。2つの非混和性液体は、単一の流れとして、ファイバー束318に沿って下向きに流れ、その間、有機炭化水素液滴は、合体し炭化水素相320を形成し、一方で水性苛性剤は、ファイバーに付着し、さらに下方に流れて苛性剤相322を形成する。
【0049】
炭化水素供給物302からの炭化水素ならびに、存在する場合、生成されたジスルフィド油および溶媒を含む炭化水素相320は、流れ330として引き出され得る。苛性剤相322は、残存するジスルフィド油を含み、それは、苛性剤が容器300内でリサイクルされる前にさらに還元されてよい。苛性剤相322は、流れ332として引き出されてよく、それは、ファイバー束338に接触し分離セクション336中に流れる前に新しい溶媒流334と混合されてよい。分離セクション336において、苛性剤相322からの水性苛性剤および溶媒流334からの溶媒は、分離セクション336の下方部分で収集され、溶媒相340および苛性剤相342で分離されてよい。溶媒相340は、ファイバー束338を通って流れた後で、苛性剤相322に存在する任意の残留ジスルフィド油の大部分を含み得る。溶媒相340は、溶媒流308として容器300に引き出され、リサイクルされてよい。苛性剤相342は、流れ344として引き出され、リサイクルされてよい。
【0050】
図4は、酸化ゾーン404に配置される触媒カーボンファイバー402を含む独立型の苛性剤再生ユニット400を説明する。使用済み苛性剤流406は、酸化剤408と混合され、分配器410を通って苛性剤再生ユニット400に導入されてよい。使用済み苛性剤流は、本明細書ですでに説明されたものを含む、任意のユニットからのものであり得、それは、使用済み苛性剤およびメルカプチドを含む。酸化剤408は、空気、酸素、過酸化水素、または酸素を放出する任意の他の酸素含有気体もしくは化合物を含む、任意の適切な酸化剤を含み得る。酸化剤408および使用済み苛性剤流406の混合物は、触媒カーボンファイバーに接触する場合があり、それは、水性苛性剤が触媒カーボンファイバー402の個々のファイバーを湿らせるようにさせる。苛性剤流406中に存在するメルカプチドは、触媒カーボンファイバー402の存在下で反応2に示すように酸化剤408により提供される酸素とさらに反応して、ジスルフィド油、再生苛性剤、および水を生成し、それらは触媒カーボンファイバー402に沿って上向きに流れる。得られるジスルフィド油、再生苛性剤、またはその両方は、流れ412として再生ユニット400から引き出され得る。1つの流れとして図4で説明されるが、流れ412は、水相および油性相が別個に引き出される、以前の図面中などの、2つのまたはそれより多い流れであり得る。オフガス414がまた、苛性剤再生ユニット400から引き出されてよい。
【0051】
図5aは、酸化ゾーン504に配置される触媒ファイバー502を含む独立型の苛性剤再生ユニット500を説明する。メルカプチドおよび/またはスルフィドを含む、濃厚な苛性剤流506は、容器の頂部に入る。酸化剤508は、分配器トレイ510の上に入る。酸化剤508は、空気、酸素、過酸化水素、または酸素を放出する任意の他の酸素含有気体もしくは化合物を含む、任意の適切な酸化剤を含み得る。分配器トレイの1つの例が、図5bに示されるが、他のバリエーションも同様に適用されてよい。分配器トレイ510で、溶媒流520はまた、分配器トレイ510の上に導入されてよい。分配器トレイ510は、これらの相を触媒ファイバー502に分配する。いくつかの実施形態において、ライザ管516が、分配器トレイ510の上に配置されてよい。少なくとも酸化剤508および濃厚な苛性剤流506の混合物は、触媒カーボンファイバー502に接触してよく、それは、水性苛性剤が触媒カーボンファイバー502の個々のファイバーを湿らせるようにさせる。苛性剤流506中に存在するメルカプチドは、触媒カーボンファイバー502の存在下で反応2に示すように酸化剤508により提供される酸素とさらに反応して、ジスルフィド油、再生苛性剤、および水を生成し、それらは触媒カーボンファイバー502に沿って下向きに流れる。得られるジスルフィド油、再生苛性剤、またはその両方は、流れ512として再生ユニット500から引き出され得る。1つの流れとして図5で説明されるが、流れ512は、水相および油性相が別個に引き出される、以前の図面中などの、2つのまたはそれより多い流れであり得る。オフガス514がまた、苛性剤再生ユニット500から引き出されてよい。図5bは、流体が分配器トレイ510を通って流れることを可能にするライザ管516および穴518を有する分配器トレイ510の上面図を示す。
【0052】
したがって、本開示は、流体-流体接触に関し得る、方法、システム、および装置を提供する。方法、システム、および装置は、1つまたは複数の以下のステートメントを含む、本明細書で開示される種々の特徴のいずれかを含み得る。
【0053】
ステートメント1。バージンカーボンファイバーを酸化して酸化されたカーボンファイバーを生成すること;酸化されたカーボンファイバーをポリアミン化合物と反応させてアミン修飾されたカーボンファイバーを生成すること;およびアミン修飾されたカーボンファイバーを有機金属系大環状分子と反応させて触媒カーボンファイバーを生成すること、を含む触媒カーボンファイバーを生成する方法。
【0054】
ステートメント2。酸化のステップが、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、ほう酸、フッ化水素酸、臭化水素酸、過塩素酸、ヨウ化水素酸、フルオロアンチモン酸、カルボラン酸、フルオロほう酸、フルオロ硫酸、フッ化水素、トリフリン酸、過塩素酸、酢酸、ギ酸、クエン酸、シュウ酸、酒石酸、およびそれらの組み合わせから選択される酸とカーボンファイバーを接触させることを含む、ステートメント1の方法。
【0055】
ステートメント3。酸化のステップが、約0℃~約150℃の範囲の温度で実行される、ステートメント2の方法。
【0056】
ステートメント4。ポリアミン化合物が、C2~C20の炭素長を有する第1級または第2級ポリアミンを含む、ステートメント1~3のいずれかの方法。
【0057】
ステートメント5。ポリアミン化合物が、エチレンジアミン、プロパン-1,3-ジアミン、ブタン-1,4-ジアミン、ペンタン-1,5-ジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ベンゼン-1,3,5-トリアミン、およびそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つのポリアミン化合物を含む、ステートメント1~4のいずれかの方法。
【0058】
ステートメント6。酸化されたカーボンファイバーをポリアミン化合物と反応させるステップが、約0℃~250℃の範囲の温度で実行される、ステートメント1~5のいずれかの方法。
【0059】
ステートメント7。アミン修飾されたカーボンファイバーを有機金属系大環状分子と反応させるステップが、約0℃~150の範囲の温度で実行される、ステートメント1~6のいずれかの方法。
【0060】
ステートメント8。有機金属系大環状分子が、置換されない金属フタロシアニン、置換された金属フタロシアニン、またはそれらの組み合わせを含む、ステートメント1~7のいずれかの方法。
【0061】
ステートメント9。置換された金属フタロシアニンが、ハロゲン基、ヒドロキシル基、アミン基、アルキル基、アリール基、チオール基、アルコキシ基、ニトロシル基の少なくとも1つ、またはそれらの組み合わせで置換される、ステートメント8の方法。
【0062】
ステートメント10。置換されない金属フタロシアニンまたは置換された金属フタロシアニンが、バナジウム(V)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、およびそれらの組み合わせから選択される金属を含む、ステートメント8の方法。
【0063】
ステートメント11。バージンカーボンファイバーを酸化して酸化されたカーボンファイバーを生成すること;有機金属系大環状分子をポリアミン化合物と反応させてアミン修飾された有機金属系大環状分子を生成すること;および酸化されたカーボンファイバーをアミン修飾された有機金属系大環状分子と反応させて触媒カーボンファイバーを生成することを含む、触媒カーボンファイバーを生成する方法。
【0064】
ステートメント12。酸化のステップが、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、ほう酸、フッ化水素酸、臭化水素酸、過塩素酸、ヨウ化水素酸、フルオロアンチモン酸、カルボラン酸、フルオロほう酸、フルオロ硫酸、フッ化水素、トリフリン酸、過塩素酸、酢酸、ギ酸、クエン酸、シュウ酸、酒石酸、およびそれらの組み合わせから選択される酸とカーボンファイバーを接触させることを含む、ステートメント11の方法。
【0065】
ステートメント13。ポリアミン化合物が、エチレンジアミン、プロパン-1,3-ジアミン、ブタン-1,4-ジアミン、ペンタン-1,5-ジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ベンゼン-1,3,5-トリアミン、およびそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つのポリアミン化合物を含む、ステートメント11~12のいずれかの方法。
【0066】
ステートメント14。有機金属系大環状分子が、置換されない金属フタロシアニン、置換された金属フタロシアニン、またはそれらの組み合わせを含む、ステートメント11~13のいずれかの方法。
【0067】
ステートメント15。置換された金属フタロシアニンが、ハロゲン基、ヒドロキシル基、アミン基、アルキル基、アリール基、チオール基、アルコキシ基、ニトロシル基の少なくとも1つ、またはそれらの組み合わせで置換される、ステートメント14の方法。
【0068】
ステートメント16。置換されない金属フタロシアニンまたは置換された金属フタロシアニンが、バナジウム(V)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、およびそれらの組み合わせから選択される金属を含む、ステートメント14~15の方法。
【0069】
ステートメント17。カーボンファイバー、カーボンファイバーに共有結合されるアミン化合物;およびアミン化合物に共有結合される有機金属系大環状分子を含む、触媒カーボンファイバー。
【0070】
ステートメント18。アミン化合物が、エチレンジアミン、プロパン-1,3-ジアミン、ブタン-1,4-ジアミン、ペンタン-1,5-ジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ベンゼン-1,3,5-トリアミン、およびそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つのポリアミン化合物を含む、ステートメント17の触媒カーボンファイバー。
【0071】
ステートメント19。アミン化合物が、エチレンジアミンを含む、ステートメント17~18のいずれかの触媒カーボンファイバー。
【0072】
ステートメント20。有機金属系大環状分子が、金属フタロシアニンを含む、ステートメント19の触媒カーボンファイバー。
【0073】
ステートメント21。導管により定義される流路;導管中に配置される触媒カーボンファイバー束;および流路に流体を流すことを可能にする入口を含む、ファイバー束接触器。
【0074】
ステートメント22。触媒カーボンファイバー束が、カーボンファイバー、カーボンファイバーに共有結合されるアミン化合物、およびアミン化合物に共有結合される有機金属系大環状分子を含む、ステートメント21のファイバー束接触器。
【0075】
ステートメント23。アミン化合物が、C2~C20の炭素長を有する第1級または第2級ポリアミンを含む、ステートメント請求項21~22のいずれか一項に記載のファイバー束接触器。
【0076】
ステートメント24。アミン化合物が、エチレンジアミン、プロパン-1,3-ジアミン、ブタン-1,4-ジアミン、ペンタン-1,5-ジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ベンゼン-1,3,5-トリアミン、およびそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つのポリアミン化合物を含む、ステートメント21~23のいずれかのファイバー束接触器。
【0077】
ステートメント25。有機金属系大環状分子が、置換されないフタロシアニン、置換されたフタロシアニン、またはそれらの組み合わせを含む、ステートメント21~24のいずれかのファイバー束接触器。
【0078】
ステートメント26。置換された金属フタロシアニンが、ハロゲン基、ヒドロキシル基、アミン基、アルキル基、アリール基、チオール基、アルコキシ基、ニトロシル基の少なくとも1つ、またはそれらの組み合わせで置換される、ステートメント21~25のいずれかのファイバー束接触器。
【0079】
ステートメント27。置換されないフタロシアニンまたは置換されたフタロシアニンが、バナジウム(V)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、およびそれらの組み合わせから選択される金属を含む、ステートメント21~26のいずれかのファイバー束接触器。
【0080】
ステートメント28。触媒カーボンファイバー束が、カーボンファイバーおよびカーボンファイバーに共有結合されるエチレンジアミンおよびフタロシアニンを含む、ステートメント21~27のいずれかのファイバー束接触器。
【0081】
ステートメント29。触媒カーボンファイバーが、38℃で少なくとも5.45×10^-4(1/M×分)の二次メルカプタン酸化速度定数を有する、ステートメント21~28のいずれかのファイバー束接触器。
【0082】
ステートメント30。メルカプタン硫黄を含む炭化水素、水性苛性溶液、および酸化剤を容器中に導入すること;メルカプタン硫黄の少なくとも一部および水性苛性溶液を反応させてメルカプチドを生成すること;ならびに触媒カーボンファイバー束の存在下でメルカプチドおよび酸化剤を反応させてジスルフィド油を生成すること、を含む方法。
【0083】
ステートメント31。触媒カーボンファイバー束が、カーボンファイバー、カーボンファイバーに共有結合されるアミン化合物、およびアミン化合物に共有結合される有機金属系大環状分子を含む、ステートメント30の方法。
【0084】
ステートメント32。アミン化合物が、C2~C20の炭素長を有する第1級または第2級ポリアミンを含む、ステートメント30~31のいずれかの方法。
【0085】
ステートメント33。アミン化合物が、エチレンジアミン、プロパン-1,3-ジアミン、ブタン-1,4-ジアミン、ペンタン-1,5-ジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ベンゼン-1,3,5-トリアミン、およびそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つのポリアミン化合物を含む、ステートメント30~32の方法。
【0086】
ステートメント34。有機金属系大環状分子が、置換されないフタロシアニン、置換されたフタロシアニン、またはそれらの組み合わせを含む、ステートメント30~33の方法。
【0087】
ステートメント35。置換された金属フタロシアニンが、ハロゲン基、ヒドロキシル基、アミン基、アルキル基、アリール基、チオール基、アルコキシ基、ニトロシル基の少なくとも1つ、またはそれらの組み合わせで置換される、ステートメント30~34の方法。
【0088】
ステートメント36。置換されないフタロシアニンまたは置換されたフタロシアニンが、バナジウム(V)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、およびそれらの組み合わせから選択される金属を含む、ステートメント30~35の方法。
【0089】
ステートメント37。ファイバー束上でメルカプタン硫黄を含む炭化水素および水性苛性溶液を接触させることをさらに含み、メルカプチドを生成するためにメルカプタン硫黄の一部および水性苛性溶液を反応させることが、ファイバー束内で生じる、ステートメント30~36の方法。
【0090】
ステートメント38。触媒カーボンファイバー束の存在下でメルカプチドおよび酸化剤を反応させることが、再生苛性剤流をさらに生成し、再生苛性剤流が、容器へとリサイクルされる、ステートメント30~37の方法。
【0091】
ステートメント39。メルカプチドおよび酸化剤を含む水性溶液を容器中に導入すること;ならびに触媒カーボンファイバー束の存在下でメルカプチドおよび酸化剤を反応させて水性苛性溶液を生成すること、を含む方法。
【0092】
ステートメント40。触媒カーボンファイバー束が、カーボンファイバー、カーボンファイバーに共有結合されるC2~C20の炭素長を有する第1級または第2級ポリアミン、およびアミン化合物に共有結合される置換されないフタロシアニンまたは置換されたフタロシアニンを含む、ステートメント40の方法。
【0093】
ステートメント41。カーボンファイバーおよびアミノ化された大環状分子を提供すること;カーボンファイバーおよびアミノ化された大環状分子を溶媒と混合すること;ならびにカーボンファイバーおよびアミノ化された大環状分子を反応させてカーボンファイバーとアミノ化された大環状分子の間でアミド結合を形成し、それにより触媒カーボンファイバーを形成すること、を含む触媒カーボンファイバーを生成する方法。
【0094】
ステートメント42。アミノ化された大環状分子が、有機金属系大環状分子および有機金属系大環状分子にグラフトされたアミン基を含む、ステートメント41の方法。
【0095】
ステートメント43。有機金属系大環状分子が、置換されない金属フタロシアニン、置換された金属フタロシアニン、またはそれらの組み合わせを含む、ステートメント42の方法。
【0096】
ステートメント44。置換された金属フタロシアニンが、ハロゲン基、ヒドロキシル基、アルキル基、アリール基、チオール基、アルコキシ基、ニトロシル基、スルホン酸基の少なくとも1つ、またはそれらの組み合わせで置換される、ステートメント43の方法。
【0097】
ステートメント45。置換されない金属フタロシアニンまたは置換された金属フタロシアニンが、バナジウム(V)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、およびそれらの組み合わせから選択される金属を含む、ステートメント43~44の方法。
【0098】
ステートメント46。アミン基が、C2~C20の炭素長を有するアミンを含む、請求項42に記載の方法。
【0099】
ステートメント47。溶媒が、水、ピリジン、DMSO、DMF、THF、エタノール、アセトニトリル、クロロホルム、エチレングリコール、メタノール、ベンゼン、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1つの溶媒を含む、ステートメント41~46のいずれかの方法。
【0100】
ステートメント48。アミン基が、エチレンジアミン、プロパン-1,3-ジアミン、ブタン-1,4-ジアミン、ペンタン-1,5-ジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ベンゼン-1,3,5-トリアミン、およびそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つのアミン化合物の反応生成物を含む、ステートメント42の方法。
【0101】
ステートメント49。アミノ化された大環状分子が、モノアミノコバルトフタロシアニン、ジアミノコバルトフタロシアニン、トリアミノコバルトフタロシアニン、テトラアミノコバルトフタロシアニン、およびそれらの組み合わせの少なくとも1つを含む、ステートメント41~48のいずれかの方法。
【0102】
ステートメント50。反応させることが、約100℃~約200℃の範囲の温度で実行される、ステートメント41~49のいずれかの方法。
【0103】
ステートメント51。カーボンファイバーを提供すること;カーボンファイバーを塩素化剤と反応させて塩化アシルを含むカーボンファイバーを生成すること;および塩化アシルを含むカーボンファイバーをアミノ化された大環状分子と反応させて塩化アシルを含むカーボンファイバーとアミノ化された大環状分子の間でアミド結合を形成し、それにより触媒カーボンファイバーを形成すること、を含む触媒カーボンファイバーを生成する方法。
【0104】
ステートメント52。塩素化剤が、塩化チオニル、三塩化リン、塩化テレフタロイルおよびそれらの組み合わせからなる群より選択される塩素化剤を含む、ステートメント51の方法。
【0105】
ステートメント53。アミノ化された大環状分子が、有機金属系大環状分子および有機金属系大環状分子にグラフトされたアミン基を含む、ステートメント51~52のいずれかの方法。
【0106】
ステートメント54。有機金属系大環状分子が、置換されない金属フタロシアニン、置換された金属フタロシアニン、またはそれらの組み合わせを含む、ステートメント53の方法。
【0107】
ステートメント55。置換された金属フタロシアニンが、ハロゲン基、ヒドロキシル基、アルキル基、アリール基、チオール基、アルコキシ基、ニトロシル基、スルホン酸基の少なくとも1つ、またはそれらの組み合わせで置換される、ステートメント53~54の方法。
【0108】
ステートメント56。置換されない金属フタロシアニンまたは置換された金属フタロシアニンが、バナジウム(V)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、およびそれらの組み合わせから選択される金属を含む、ステートメント53~55の方法。
【0109】
ステートメント57。塩化アシルを含むカーボンファイバーから塩化チオニルを除去すること、およびアミノ化された大環状分子と塩化アシルを含むカーボンファイバーを反応させるステップの前に塩化アシルを含むカーボンファイバーを溶媒中に分散させることをさらに含む、ステートメント51~56のいずれかの方法。
【0110】
ステートメント58。アミノ化された大環状分子と塩化アシルを含むカーボンファイバーを反応させるステップが、ピリジンの存在下で反応させることを含む、ステートメント51~57のいずれかの方法。
【0111】
ステートメント59。カーボンファイバーを提供すること;カーボンファイバーをカップリング剤と反応させて官能化されたカーボンファイバーを生成すること;ならびに官能化されたカーボンファイバーをアミノ化された大環状分子と反応させてカーボンファイバーとアミノ化された大環状分子との間でアミド結合を形成し、それにより触媒カーボンファイバーを形成すること、を含む触媒カーボンファイバーを生成する方法。
【0112】
ステートメント60。カップリング剤が、カルボジイミド、ベンゾトリアゾール、またはそれらの組み合わせを含む、ステートメント59の方法。
【0113】
ステートメント61。カーボンファイバーを提供すること;アミド結合形成を触媒できる酵素を提供すること;ならびに酵素の存在下でカーボンファイバーをアミノ化された大環状分子と反応させてカーボンファイバーとアミノ化された大環状分子の間で結合を形成し、それにより触媒カーボンファイバーを形成すること、を含む触媒カーボンファイバーを生成する方法。
【0114】
ステートメント62。酵素が、プロテアーゼ、サブチリシン、アシラーゼ、アミダーゼ、リパーゼ、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される酵素を含む、ステートメント61の方法。
【0115】
実施例
本開示のより良好な理解を容易にするため、実施形態のいくつかの以下の説明的な実施例が与えられる。そのような実施例は、決して本開示の範囲を限定したり、定義したりするものと読まれるべきではない。
【0116】
実施例1
本実施例において、バージンカーボンファイバーのメルカプタン酸化電位を、評価した。300ppmのメルカプタン硫黄を含む灯油を、調製した。3グラムのバージンカーボンファイバーの試料および150mLのメルカプタン硫黄含有灯油を、振盪機浴中にて300RPMおよび38℃で激しく混合した。灯油試料を、30分間にわたって引き出し、各試料中のメルカプタン濃度を、滴定により決定した。二次メルカプタン酸化速度定数を、0.22×10-4(l/M×分)であると算出した。バージンカーボンファイバーはメルカプタン酸化に対してほとんど触媒活性を示さなかったことが観察された。
【0117】
実施例2
本実施例において、コバルトフタロシアニンで修飾されたカーボンファイバーを、調製し、修飾されたカーボンファイバーのメルカプタン酸化を、評価した。ジメチルスルホキシド(DMSO)溶液を、4gの4-アミノピリジンを200mLのDMSOと混合することにより調製した。その後、4グラムのバージンカーボンファイバーを量り、DMSO溶液に添加し、混合物を、80℃で22時間維持した。カーボンファイバーを、イソプロピルアルコールで洗浄し、続いて蒸留水で洗浄し、空気中にて60℃で乾燥した。乾燥後に、カーボンファイバーを、1%二臭素化コバルトフタロシアニンを含む水性溶液中にて室温で15時間混合した。その後、コバルトフタロシアニンで修飾されたカーボンファイバーを、蒸留水で洗浄し、60℃で乾燥した。
【0118】
300ppmのメルカプタン硫黄を含む灯油を、調製した。3グラムの本実施例からのコバルトフタロシアニンで修飾されたカーボンファイバーの試料および150mLのメルカプタン硫黄含有灯油を、振盪機浴中にて300RPMおよび38℃で激しく混合した。灯油試料を、30分間にわたって引き出し、各試料中のメルカプタン濃度を、滴定により決定した。二次メルカプタン酸化速度定数を、3.5×10-4(l/M×分)であると算出した。
【0119】
実施例3
本実施例において、コバルトフタロシアニンで修飾されたカーボンファイバーを、上述した方法により調製し、修飾されたカーボンファイバーのメルカプタン酸化を、評価した。10gのバージンカーボンファイバーを、量り、80℃で5時間、175mLの70%硝酸に添加した。硝酸処理の後で、カーボンファイバーを、蒸留水で洗浄し、その後105℃で3時間、エチレンジアミンと混合して、アミン修飾されたカーボンファイバーを得た。その後、アミン修飾されたカーボンファイバーを、室温で22時間1.3wt.%の二臭素化コバルトフタロシアニンを含むピリジン溶液に添加した。
【0120】
300ppmのメルカプタン硫黄を含む灯油を、調製した。3グラムの本実施例からのコバルトフタロシアニンで修飾されたカーボンファイバーの試料および150mLのメルカプタン硫黄含有灯油を、振盪機浴中にて300RPMおよび38℃で激しく混合した。灯油試料を、30分間にわたって引き出し、各試料中のメルカプタン濃度を、滴定により決定した。二次メルカプタン酸化速度定数を、5.45×10-4(l/M×分)であると算出した。メルカプタン酸化活性は、コバルトフタロシアニンで修飾されたカーボンファイバーを調製するためのアミン法を使用して56%増加されたことが観察された。
【0121】
そのため、本開示は、言及された目的および利点ならびにその本質的なものを達成するために十分適する。本開示は本明細書の教示の利益を有する当業者には明らかな、異なるが等価な様式で修正されおよび実施され得るので、上で開示された特定の実施形態は単に事例的である。個々の実施形態が考察されるが、本開示は、それらの実施形態すべての組み合わせを全部カバーする。さらに、以下の特許請求の範囲に記載されたもの以外の、本明細書に示される構造またはデザインの詳細に対し、いかなる制限も意図されない。また、特許請求の範囲の用語は、特許権者により明示的で明確に定義されない限り、それらの平易な通常の意味を有する。そのため、上で開示された特定の説明的な実施形態は変更または修正される可能性があること、かつそのようなバリエーションのすべてが、本開示の範囲内または精神内とみなされることが明らかである。本明細書および参照により本明細書に組み込まれ得る1つもしくは複数の特許または他の文書における単語または用語の使用における任意の論争がある場合、本明細書と一致する定義が採用されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
【国際調査報告】