(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-23
(54)【発明の名称】予測的健康モニタと積極的な予防的メンテナンスを通じて眼科用医療機器のアップタイムを最大化するための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
A61B 3/18 20060101AFI20240116BHJP
G16H 40/40 20180101ALI20240116BHJP
A61F 9/007 20060101ALN20240116BHJP
【FI】
A61B3/18
G16H40/40
A61F9/007
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023538054
(86)(22)【出願日】2021-10-21
(85)【翻訳文提出日】2023-06-21
(86)【国際出願番号】 IB2021059738
(87)【国際公開番号】W WO2022136955
(87)【国際公開日】2022-06-30
(32)【優先日】2020-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】319008904
【氏名又は名称】アルコン インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】ナンシー アライ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン アルフレッド キャンピン
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン ジョージ グリーン
(72)【発明者】
【氏名】マーク アンドリュー ジールク
【テーマコード(参考)】
4C316
5L099
【Fターム(参考)】
4C316FA14
5L099AA00
(57)【要約】
本開示の特定の態様は、眼科用医療機器中のコンポーネントの将来の不具合の可能性を予測するため、及び眼科用医療機器に予防的メンテナンスを実行するための手法を提供する。例示的方法は一般に、眼科用医療機器から、その眼科用医療機器に関連付けられる1つ又は複数の動作パラメータの測定値を受け取ることを含む。1つ又は複数のモデルを使って、眼科用医療機器の将来の不具合が予測される。予測は、少なくとも一部に、受け取った1つ又は複数の動作パラメータの測定値に基づいて生成される。眼科用医療機器の予測された将来の不具合に基づいて、眼科用医療機器に予防的メンテナンスを実行するための1つ又は複数の措置がとられる。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼科用医療機器に予測モデリングに基づいて予防的メンテナンスを実行する方法において、
眼科用医療機器から、前記眼科用医療機器に関連付けられる1つ又は複数の動作パラメータの測定値を受け取ることと、
1つ又は複数のモデルを使って、前記眼科用医療機器の将来の不具合を、少なくとも一部に、前記1つ又は複数の動作パラメータの前記受け取った測定値に基づいて予測することと、
前記眼科用医療機器の前記予測された将来の不具合に基づいて、前記眼科用医療機器に予防的メンテナンスを実行するための1つ又は複数の措置をとることと、
を含む方法。
【請求項2】
前記1つ又は複数のモデルは、前記1つ又は複数の動作パラメータの前記眼科用医療機器の正常な動作に対応する数値と、前記1つ又は複数の動作パラメータの前記眼科用医療機器の不具合に対応する数値を定義するモデルを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1つ又は複数のモデルは、前記眼科用医療機器の将来の不具合を、少なくとも一部に、前記1つ又は複数の動作パラメータの前記受け取った測定値に基づいて予測するように訓練された1つ又は複数の機械学習モデルを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記予測された将来の不具合は、
前記眼科用医療機器の将来の不具合の可能性、又は前記眼科用医療機器が不具合となりそうな時期
の少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記1つ又は複数の動作パラメータは前記眼科用医療機器のコンポーネントに関連付けられ、前記眼科用医療機器の前記将来の不具合を予測することは、前記コンポーネント又は前記眼科用医療機器の中の1つ若しくは複数の他のコンポーネントの将来の不具合を予測することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記眼科用医療機器又はそのコンポーネントに関する校正データを受け取ることをさらに含み、前記眼科用医療機器の前記将来の不具合を予測することは、前記校正データにおいてある期間にわたって見られる傾向にさらに基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記眼科用医療機器に関する使用パターンデータを受け取ることをさらに含み、前記眼科用医療機器の前記将来の不具合を予測することは、前記使用パターンデータにさらに基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記使用パターンデータは、複数の時間ウィンドウにわたるシステムの利用に関する情報を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
複数の患者に関する前記眼科用医療機器により生成される患者解剖学的測定値を受け取ることと、
前記眼科用医療機器又はそのコンポーネントの性能が劣化したことを前記受け取った患者解剖学的測定値に基づいて特定することと、
をさらに含み、前記眼科用医療機器の前記将来の不具合を予測することは、前記眼科用医療機器又は前記コンポーネントの性能が劣化したとの前記特定にさらに基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記患者解剖学的測定値は、前記患者解剖学的測定値が収集されている間に記録された患者の眼球運動を含むアイトラッキング情報を含み、前記眼科用医療機器又は前記コンポーネントの性能が劣化したことを特定することは、前記複数の患者について前記記録された患者の運動が閾値量を超えたことを特定することを含む、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記眼科用医療機器又は前記コンポーネントの性能が劣化したことを特定することは、
前記受け取った患者解剖学的測定値の各々について、前記測定値が前記測定値により表されるデータポイントに関する閾値範囲から外れるか否かを特定することと、
前記受け取った患者解剖学的測定値のうちの少なくとも閾値数が典型値範囲から外れることを特定すること
を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記眼科用医療機器のコンポーネントに関する測定された動作パラメータと前記コンポーネントの正常な動作を示すものとして定義される前記測定された動作パラメータの数値範囲との比較に基づいて、前記コンポーネントの性能が劣化したことを特定することをさらに含み、前記眼科用医療機器の前記将来の不具合を予測することは、前記コンポーネントの性能が劣化したとの前記特定にさらに基づく、
請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記1つ又は複数の措置は、
前記眼科用医療機器で実行されると、前記眼科用医療機器の不具合又は予想される不具合を修復するプログラムによるソリューションを識別することと、
前記識別されたプログラムによるソリューションを、実行されるように前記眼科用医療機器に要求すること
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記1つ又は複数の措置は、
前記眼科用医療機器の不具合又は予想される不具合を修復するために交換すべき前記眼科用医療機器の1つ又は複数のコンポーネントを識別することと、
前記識別された交換すべきコンポーネントが交換されるまで、前記眼科用医療機器を無効にすることと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記1つ又は複数の動作パラメータは前記眼科用医療機器のあるコンポーネントに関連付けられ、前記1つ又は複数の措置は、
前記眼科用医療機器の前記コンポーネントを使って実行すべき1つ又は複数の措置を識別することと、
前記識別された1つ又は複数の措置を実行する1つ又は複数の命令を前記眼科用医療機器に送信することと、
前記1つ又は複数の命令を送信したことに応答して、前記眼科用医療機器から動作パラメータの追加の測定値を受け取ることと、
前記受け取った追加の測定値に基づいて、前記コンポーネントに前記予測された将来の不具合に基づいて予防的メンテナンスを実行するために行うべき1つ又は複数の追加的行為を特定することと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記1つ又は複数の動作パラメータは前記眼科用医療機器のコンポーネントに関連付けられ、
前記眼科用医療機器の前記コンポーネントに関連付けられる前記1つ又は複数の動作パラメータの前記測定値と前記眼科用医療機器の前記予測された将来の不具合を、他の複数の眼科用医療機器からの測定値及び予測と集計することによって集計データセットを生成することと、
前記集計データセットに基づいて、眼科用医療機器の複数のグループにわたる傾向を表す1つ又は複数の分析結果を生成すること
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記眼科用医療機器の使用者に対して表示するための、不具合になりそうな前記眼科用医療機器の1つ又は複数のコンポーネントを識別する情報、前記予測される将来の不具合、及び予防的メンテナンスを実行するために実行される前記1つ又は複数の措置に関する情報を含む通知を出力することをさらに含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項18】
眼科用医療機器の不具合イベントを予測するように予測モデルを訓練する方法において、
前記眼科用医療機器に関連付けられる動作パラメータの測定値群から訓練データセットを生成することであって、前記訓練データセットは複数の記録を含み、前記複数の記録の各記録は、
動作パラメータの測定値、
前記動作パラメータが測定された時間、及び
前記動作パラメータが測定された時間と不具合イベントが前記眼科用医療機器に関して発生した時間との差、
を識別する、生成することと、
1つ又は複数の機械学習モデルを、前記眼科用医療機器に関する1つ又は複数の不具合予測を生成するように前記訓練データセットに基づいて訓練することと、
前記訓練された1つ又は複数の機械学習モデルを1つ又は複数のコンピューティングシステムにデプロイすることと、
を含む方法。
【請求項19】
前記動作パラメータの測定値は、前記眼科用医療機器の中の電気的コンポーネントに関する電力測定値を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記動作パラメータの測定値は、時間ウィンドウにわたる使用情報を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記1つ又は複数の機械学習モデルを訓練することは、前記1つ又は複数の動作パラメータの測定値に関して、予測であって、前記眼科用医療機器が、前記予測が行われたときからの期間及び前記眼科用医療機器に不具合イベントが発生するまでの残り時間内に前記眼科用医療機器が不具合となりそうか否かの予測を識別する出力を生成する多出力機械学習モデルを訓練することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記1つ又は複数の機械学習モデルを訓練することは、予測であって、前記眼科用医療機器が、前記予測が行われたときからの期間内に不具合となりそうか否かの予測を生成する第一の機械学習モデルと、前記眼科用医療機器に不具合イベントが発生するまでの残り時間を予測する第二の機械学習モデルを訓練することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記訓練された1つ又は複数の機械学習モデルを1つ又は複数のコンピューティングシステムにデプロイすることは、前記訓練された1つ又は複数の機械学習モデルを前記眼科用医療機器に内蔵されたコンピュータにデプロイすることを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項24】
前記訓練された1つ又は複数の機械学習モデルを1つ又は複数のコンピューティングシステムにデプロイすることは、前記訓練された1つ又は複数の機械学習モデルを、前記1つ又は複数の眼科用医療機器が通信可能に連結されるリモートサーバにデプロイすることを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項25】
眼科手術機器に予防的モデルに基づいて予防的メンテナンスを実行する方法において、
眼科用医療機器に関連付けられる動作パラメータの測定値群から訓練データセットを生成することであって、前記訓練データセットは複数の記録を含み、前記複数の記録の各記録は、
動作パラメータの測定値、
前記動作パラメータが測定された時間、及び
前記動作パラメータが測定された前記時間と前記眼科用医療機器に関して不具合イベントが発生した時間との差
を識別する、生成することと、
1つ又は複数の機械学習モデルを、前記訓練データセットに基づいて前記眼科用医療機器に関する1つ又は複数の不具合予測を生成するように訓練することと、
前記眼科用医療機器から、前記眼科用医療機器に関連付けられる1つ又は複数の動作パラメータの測定値を受け取ることと、
前記1つ又は複数の訓練された機械学習モデルを使って、前記眼科用医療機器の将来の不具合を、少なくとも一部に、前記1つ又は複数の動作パラメータの前記受け取った測定値に基づいて予測することと、
前記眼科用医療機器の前記予測された将来の不具合に基づいて、前記眼科用医療機器に予防的メンテナンスを実行するために1つ又は複数の措置をとること、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
序説
本開示の態様は、眼科用医療機器に関し、より詳しくは眼科用医療機器の不具合を、少なくとも一部に、これらの機器から得たデータに基づいて予測すること及び、眼科用医療機器に対し、これらの機器の将来の不具合の予測に応答して予防的メンテナンスを実行し、機器のアップタイムを最大化することに関する。
【背景技術】
【0002】
眼科用医療機器には一般に、患者の眼の解剖学的特性を測定し、又は特徴付けて、診断された眼科的問題を修正するための外科的処置を患者の眼に実行し、及び/又は患者の外科的処置後の結果を測定するために使用される機器、コンソール、及び/又はシステムが含まれる。これらの機器は、様々な光学的、電気的、及び機械的コンポーネントを含み、これらには時間と共に調整又は交換が必要になり得る。例えば、光源は経時的に劣化し得て(例えば、時間が経つと弱くなるか、又は同じ光強度を生じさせるためにより多くの電流が必要となり得て)、機器により捕捉される詳細データの量が減る、光を利用した治療(例えば、レーザによる網膜再付着処置)の完了までにより長時間を要するようになる、等によって、機器の効果にマイナスの影響を与え得る。他の例では、バッテリが提供できるパワーは時間の経過と共に低下する可能性があり、他の電源コンポーネントは時間の経過と共によりノイズの多い出力を生成する可能性があり、これらはどちらも、より頻繁なバッテリ交換が必要となったり、或いは電源が不安定となり機器の機械的コンポーネントが損傷したりすることにより、眼科用医療機器の動作に悪影響を与える可能性がある。また別の例では、機械的装置は一般に、時間と共に摩耗する。ブレードは通常、使用すると鈍くなり、真空ポンプは時間の経過と共に効果的な真空を生成できなくなり、ギアは摩耗し、モータのパワーは低下し、又は提供するパワーの安定性が低下する。さらに、眼科用医療機器の各種のコンポーネントの性能の劣化の仕方は、使用パターン、環境パラメータ等によって異なるかもしれない。
【0003】
眼科用医療機器の光学的、電気的、又は機械的コンポーネントの性能は一般に時間と共に劣化するため、眼科用医療機器は典型的に、時々、これらのコンポーネントを交換して、機器を期待される性能レベルに戻すために使用停止状態となる。多くの場合、機器はコンポーネントが故障したか、それ以外に望ましくない結果が生じた場合にメンテナンスのために使用停止状態となり、故障したコンポーネントが解析されて、不具合の根本原因が特定され得る。しかしながら、その結果、医療従事者は予定外に眼科用医療機器を利用できなくなり得、なぜなら、医療従事者には機器がいつ使えなくなるかわからないか、又は予測できないかかもしれず、コンポーネントの不具合の根本原因が解明されるまで何度も同じ不具合が繰り返されることになり得るからである。
【0004】
しかしながら、場合によっては、予防的メンテナンス又はその他の是正措置を講じることによって、眼科用医療機器の性能レベルを期待される性能レベルに戻すことができる。例えば、予防的メンテナンスにより、眼科用医療機器内のコンポーネントを(自動的又は手動で)再校正して、再校正されたコンポーネントの性能を期待の性能レベルに戻すことが可能となり得る。それに加えて、予防的メンテナンスを利用して、コンポーネントが故障するか、又はその眼科用医療機器内の他の関係するコンポーネントへの損傷を招く前に交換すべきコンポーネントを特定し得る。それでも、予防的メンテナンス及びその他の是正措置は時間がかかるプロセスであるかもしれず、一般的には、必要のないときに予防的メンテナンス又はその他の是正措置を実行することは効率的とはいえない。さらに、眼科用医療機器に関する予防的メンテナンスの分野において、このような機器をモニタするための既存の技術ではこれらの機器の問題がいつ生じるかをそのような問題が発生する前に正確に予測することはできないかもしれない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、不具合の可能性及び眼科用医療機器又はその1つ若しくは複数のコンポーネントがいつ不具合となりそうかを正確に予測し、このような予測に応答して予防的メンテナンス又は是正措置を実行するための技術が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
特定の実施形態は、予測モデリングに基づいて眼科用医療機器に予防的メンテナンスを実行する方法を提供する。この方法は一般に、眼科用医療機器からその眼科用医療機器に関連付けられる1つ又は複数の動作パラメータの測定値を受信することを含む。1つ又は複数のモデルを使って、眼科用医療機器の将来の不具合が予測される。予測は、少なくとも一部に、受信した1つ又は複数の動作パラメータの測定値に基づいて生成される。眼科用医療機器又はそのコンポーネントに、眼科用医療機器の予想された将来の不具合に基づいて予防的メンテナンスを実行するための1つ又は複数の措置がとられ得る。
【0007】
特定の実施形態は、眼科用医療機器の不具合イベントを予測するための予測モデルを訓練する方法を提供する。この方法は一般に、その眼科用医療機器に関連付けられる動作パラメータの測定値群から訓練データセットを生成することを含む。訓練データセットは一般に複数の記録を含む。複数の記録の各記録は、動作パラメータの測定値、その動作パラメータが測定された時間、及び動作パラメータが測定された時間とその眼科用医療機器に関して不具合イベントが生じた時間との差を特定する。1つ又は複数の機械学習モデルは、訓練データセットに基づいて眼科用医療機器に関する1つ又は複数の不具合予測を生成するように訓練される。訓練された1つ又は複数の機械学習モデルは、眼科用医療機器の不具合を予測し、その予測に基づいて是正又は予防的メンテナンス措置を実行する中で使用するための1つ又は複数のコンピューティングシステムにデプロイされる。
【0008】
特定の実施形態は、眼科用医療機器に予測モデリングに基づいて予防的メンテナンスを実行する方法を提供する。この方法は一般に、眼科用医療機器に関連付けられる動作パラメータの測定値群から訓練データセットを生成することを含む。訓練データセットは複数の記録を含み得て、複数の記録の各記録は、動作パラメータの測定値、その動作パラメータが測定された時間、及び動作パラメータが測定された時間とその眼科用医療機器に関して不具合イベントが生じた時間との差を特定する。1つ又は複数の機械学習モデルは、訓練データセットに基づいて、その眼科用医療機器に関する1つ又は複数の将来予測を生成するように訓練される。眼科用医療機器に関連付けられる1つ又は複数の動作パラメータの測定値が受信される。眼科用医療機器の将来の不具合は、1つ又は複数の訓練された機械学習モデルを使って、少なくとも一部に、受信した1つ又は複数の動作パラメータの測定値に基づいて予測される。コンポーネントに対して予防的メンテナンスを実行するための1つ又は複数の措置が、眼科用医療機器の予測された将来の不具合に基づいてとられる。
【0009】
本開示の態様は、本明細書に記載の方法を実行するための装置、そのための装置、プロセッサ、及びコンピュータ可読媒体を提供する。
【0010】
上記及び関係する結果を実現するために、1つ又は複数の態様は以下で詳しく説明され、特許請求項において具体的に指摘される特徴を含む。以下の説明と添付の図面は、1つ又は複数の態様の特定の例示的な特徴を詳しく記している。しかしながら、これらの特徴は各種の態様の原理を利用し得る様々な方法のうちの幾つかを示しているに過ぎない。
【0011】
添付の図面は、1つ又は複数の実施形態の特定の態様を示しており、したがって、本開示の範囲を限定するものとはみなされないものとする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1A】本明細書に記載の特定の態様による、1つ又は複数の機械学習モデルが、眼科用医療機器の不具合を予測する中で使用するため、及び/又は予測に基づいて予防的メンテナンス若しくはその他の是正措置を実行するために訓練され、デプロイされる例示的な環境を示す。
【
図1B】本明細書に記載の特定の態様による、1つ又は複数の機械学習モデルが、眼科用医療機器の不具合を予測する中で使用するため、及び/又は予測に基づいて予防的メンテナンス若しくはその他の是正措置を実行するために訓練され、デプロイされる例示的な環境を示す。
【
図2】本明細書に記載の特定の態様による、予測モデリングに基づいて眼科用医療機器に予防的メンテナンスを実行するためにネットワーク接続されたコンピューティング環境の中のコンピューティングシステムにより実行され得る例示的な動作を示す。
【
図3】本明細書に記載の特定の態様による、眼科用医療機器の1つ又は複数のコンポーネントが不具合となる可能性及び/又は1つ又は複数のコンポーネントが不具合となりそうな時期を予測するように1つ又は複数の機械学習モデルを訓練するために1つ又は複数のコンピューティングシステムにより実行され得る例示的な動作を示す。
【
図4】本開示を実行できる環境での例示的なシステムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
理解しやすくするために、複数の図面に共通する同じ要素を指示するために、可能なかぎり同じ参照番号が使用されている。1つの実施形態の要素及び特徴は、さらに詳しく明記せずに他の実施形態に有利に組み込まれ得ることが想定される。
【0014】
前述のように、各種の眼科用医療機器(以下、「OMD」という)は、眼科において患者の眼の状態又は病気を診断及び治療するために使用され得る。これらのOMDは例えば、手術システム及びコンソールのほか、診断及び測定機器並びにシステムを含む。手術システム及びコンソールとしては、様々な眼科手術、例えば硝子体網膜手術、白内障手術、LASIK、及び/又は当業者の間で知られている他の何れかの眼科手術を実行するために使用されるシステム及びコンソールが含まれる。診断及び測定機器及びシステムとしては、患者の眼に関連付けられる状態若しくは病気を診断するか、又は眼の様々な解剖学的特性を測定するために使用される機器及びシステムが含まれる。診断及び測定機器の例は、屈折力診断装置、角膜曲率計、光干渉断層撮影(OCT)機器、及び/又は当業者の間で知られている他の何れかの眼科診断及び測定機器並びにシステムである。これらのOMDの各々は一般に各種のコンポーネントを含み、これらは時間が経つと摩耗し、又はそれ以外に劣化する。それゆえ、時間と共に、これらのOMDの性能は、OMDを使用停止状態にして、摩耗又は故障したコンポーネントを交換する必要のある程度まで劣化し得る。
【0015】
OMDを使用停止状態にすることは一般に、故障した、又はそれ以外に劣化したコンポーネントが交換されるまで、医療従事者がOMDを使用できなくなることを意味する。さらに、故障又は劣化したコンポーネントを交換してから、そもそもそのコンポーネントがなぜ故障又は劣化したかの根本原因を特定するまでにはかなりの時間がかかるかもしれない。それゆえ、最終的にコンポーネントの故障又は劣化を生じされた状態がそのまま続き、交換後のコンポーネントも同様に故障又は劣化することになり得て、それが最終的に、交換されたコンポーネント自体も交換する必要が生じると、さらにダウンタイムが追加されることになり得る。
【0016】
場合によっては、OMDのコンポーネントが使用中に(例えば、手術中に)不具合となるかもしれない。このような場合、コンポーネントの不具合の前に事前対応的に、OMDが使用中に不具合となる状況を予防するための措置を講じることが有利であり得る。例えば、OMD中のコンポーネントがまだ動作できるが不具合になりつつあるときにOMDを使用停止状態にするか、又は無効にしてもよい。
【0017】
本開示の態様は、予測モデリングを使って、OMDのある電流で測定された動作パラメータ、OMDの1つ又は複数のコンポーネントが不具合となる可能性、及びこのようなコンポーネントが不具合になりそうな時期を予測するための技術を提供する。予測モデリングを用いれば、広範なOMD動作データ(例えば、それに加えてコンポーネントの不具合の可能性、タイミング、及び/又は原因を予測するために使用できるその他の情報)を使って、コンポーネントが不具合となる可能性、そのようなコンポーネントが不具合となりそうなタイミング、及び/又はそのような不具合の原因を正確に予測することができる。さらに、不具合の可能性、不具合が生じそうな時期、及び/又は予測される不具合の原因の予測結果は、OMDに対して各種の是正又は予防的メンテナンス措置を実行するためのトリガとして使用でき、それによってこれらのコンポーネントの動作寿命が延長され得る。予防的メンテナンス措置とは、本明細書中で使用されるかぎり、OMDの中の、そのOMDのコンポーネントの不具合又は差し迫った不具合に関係する問題に対処するために実行され得る様々な措置を指す。このような措置としては例えば、OMDの動作で使用される各種の構成パラメータを調整すること、使用者又はメンテナンス要員に対し、不具合になりつつある、又は不具合となりそうなコンポーネントを識別する通知を発生させること、OMDの動作を調整して、不具合となりつつある、又は不具合となりそうなコンポーネントに関連付けられる機能を無効化すること、修理が行われるまでOMDの動作を停止すること等が含まれる。これらの是正又は予防的メンテナンス措置を実行することによって、本開示の態様はOMDのコンポーネントの動作寿命を延ばし、不具合となったコンポーネントを交換するためにOMDを使用停止状態にすることにかかわるダウンタイムを短縮させ得る。
【0018】
予測モデリングに基づいて眼科用医療機器に予防的メンテナンスを実行するための例示的コンピューティング環境
OMD内の1つ又は複数のコンポーネントの将来の不具合の可能性、タイミング、及び/又は根本原因を予測する(本明細書では単に、不具合を予測する、又は将来の不具合を予測する、ともいう)機械学習モデルを訓練し、デプロイするために各種の技術が使用され得る。様々なデプロイが
図1A~1Bに示されている。例えば、
図1Aが示すデプロイでは、機械学習モデルは、不具合を予測し、及び/又は不具合の予測に応答して予防的メンテナンス措置が実行されるようにするために、モニタ中のOMDに接続されたリモートサーバ上で訓練され、実行される。
図1Bが示すデプロイでは、機械学習モデルは、ローカルでの不具合の予測及び/又は不具合の予測に応答した予防的メンテナンスの実行のためにリモートサーバ上で訓練され、OMDにデプロイされる。しかしながら、OMD内のコンポーネントの将来の不具合を予測する機械学習モデルを訓練し、デプロイするための他の様々な技術も想定され得て、
図1A~1Bに示されているデプロイは非限定的な実例であると理解すべきである。
【0019】
図1Aは、OMD 110とサーバ120が、OMD 110内の1つ又は複数のコンポーネントの将来の故障を予測し、及び/又は予測に基づいてOMD 110に予防的メンテナンス措置を実行する中で使用するための1つ又は複数のMLモデルを訓練するために、ネットワークを介して接続される例示的なコンピューティング環境100Aを示している。MLモデルは、本明細書でさらに詳しく述べるように、少なくとも一部に、OMDにより提供される、そのOMDの様々な電気的、光学的、及び/又は機械的コンポーネントに関する動作パラメータに基づいて予測を生成し得る。本明細書中で使用されるかぎり、動作パラメータとは一般に、OMDの対応する1つ又は複数のコンポーネントの動作状態を示すパラメータを含む。例えば、動作パラメータは電気コンポーネントのための入力又は出力電圧又は電流、照明コンポーネントにより生成される光の強度、機械的機器のための機械的動作情報(例えば、モータ出力シャフトにおける、又はモータにより動力が供給される機器の回転速度、モータ温度)等を含み得る。
【0020】
OMD 110は一般に、眼科外科医が患者を診断し、及び/又はそのような患者に対して眼科手術を施行するために使用できる様々な機器を表す。OMD 110は一般に、時間が経つと摩耗又はそれ以外に劣化し得る1つ又は複数のコンポーネントを含む。例えば、図のように、OMD 110は機械的コンポーネント112、電気的コンポーネント114、光学的コンポーネント116、及び/又はその他の種類のコンポーネントを含む。これらのコンポーネントの各々は、各種のセンサ又はそのようなコンポーネントの様々な動作パラメータの測定を可能にするその他の測定機器を備え得る。一般に、幾つのOMDでもコンピューティング環境100Aの中に含められて、異なる種類の動作パラメータ測定値群を生成し得て、これらは将来のOMDの不具合を予測する1つ又は複数のMLモデルへの入力として使用できる。コンピューティング環境100A内の各OMD 110は、動作パラメータに関連付けられる測定値を生成し、その測定値をサーバ120及び/又は動作履歴レポジトリ140に提供し得る。
【0021】
幾つかの態様において、OMD 110は追加的に、使用パターンデータを生成して、解析のためにサーバ120に転送し得る。本明細書で使用されるかぎり、使用パターンデータとは一般に、各種の時間ウィンドウ中の履歴使用パターンを画定する情報を指す。例えば、使用パターンデータは異なる時間単位で(例えば、1日で、1日のうちの特定の部分で、等)OMDが使用された回数に関する情報を含み得る。この使用パターンデータは、OMD 110のコンポーネントの摩耗がさらに増大し、それがそのコンポーネントの不具合の可能性が高まることにつながり、それに対応してこれらのコンポーネントに関連付けられる寿命又はメンテナンス間隔が短縮することになるような動作状態を示し得る。例えば、OMDの中のコンポーネントは、OMDが使用されるたびに発熱し得て、発せられた熱はコンポーネントの性能を劣化させることになり得、熱の蓄積はさらなる劣化の原因となり得る。れそゆえ、使用パターンデータもまた、不具合の可能性とタイミングを特定するための不具合予測システムへの入力として使用され得る。
【0022】
幾つかの態様において、OMD 110は患者の眼の解剖学的測定値を生成するために使用される様々な診断及び測定機器を含み得る。一般に、解剖学的測定値は、患者の眼の1つ又は複数の解剖学的特性の測定値、例えば角膜横径、前房深度、軸長、又は角膜曲率である。これらの解剖学的測定値は一般に、平均測定値の2つの標準偏差内の値として定義できる期待値範囲内に入る。測定値のほぼ95パーセントが期待範囲内に入ると予想されるため、特定の人数を超える患者の測定値が期待値範囲から外れることは統計的に考えにくい。一般に、以下にさらに詳しく述べるように、OMDにより提供される測定値のパターンが常に期待値範囲から外れる場合、これはそれに対応するOMDの1つ又は複数のコンポーネントの現在又は将来の不具合を示し得る。
【0023】
幾つかの態様において、前述の校正データ、使用パターンデータ、及び/又は解剖学的測定値データのほか、その他の情報を、OMD 110のコンポーネントに関する将来の不具合を予測するためのMLモデルへの入力として使用できる。校正データ、使用パターンデータ、及び/又は解剖学的測定値がMLモデルへの入力として使用される場合、MLモデルにより処理される入力ベクトルは、OMD 110から得られる動作パラメータ測定値のほか、校正データ、使用パターンデータ、及び/又は解剖学的測定値データを含み得るが、これについては後でさらに詳しく述べる。幾つかの態様において、校正データ、使用パターンデータ、及び/又は解剖学的測定値データは、OMDのあるコンポーネントが、MLモデルを使用してさらにモニタするか、又は解析するための関心対象であるか否かを特定するために使用できる。例えば、後でさらに説明するように、特定の態様において、校正データ、使用パターンデータ、及び/又は解剖学的測定値データは、MLモデルがOMD 110のコンポーネントの不具合の予測を作成するのをトリガし得る。
【0024】
OMD 110を保守するために、OMDに対して校正作業が定期的に行われ得る。校正作業中に生成される校正データとしては、例えばOMD 110を既知の基本状態にするために行われるOMD 110への調整を定義する情報が含まれる。一般に、校正作業では、時間が経つほど、OMD 110のコンポーネントに対して、これらのコンポーネントの性能特性においてさらに進んだ劣化を補償するために、より大きい調整が必要となるかもしれない。校正作業は定期的に行われても、又はOMD 110のコンポーネントの動作パラメータが所定の閾値又はセットポイントまで劣化したときに行われてもよい。校正作業が定期的に行われる場合、OMD 110を既知の基本状態に戻すために必要な調整量を利用して、OMDが不具合となりそうであるかどうかを特定でき、これについては後でさらに詳しく述べる。同様に、動作パラメータの測定値が例えば所定の閾値又はセットポイントまで劣化したことが検出されたときにそれに応答して校正作業が実行される場合、このような校正作業が行われる頻度を利用して、OMDが不具合となりそうであるかどうかを特定できる。例えば、動作パラメータがよりしばしば劣化することによって校正がより頻繁に行われている場合、又はOMDのコンポーネントの劣化を補償するために校正により大きな調整が必要となる場合、これらはOMDが不具合となりそうであることを示し得る。
【0025】
サーバ120は一般に、1つのコンピューティングデバイス又はコンピューティングデバイスのクラスタを表し、そこで訓練データセットが生成され、それが、OMDの中の1つ又は複数のコンポーネントの将来の不具合を予測し、及び/又は予測に基づいてOMDに予防的メンテナンス措置を実行するための1つ又は複数のMLモデルの訓練に使用され得る。サーバ120は、OMD 110と、履歴動作パラメータの記録と不具合イベント情報(例えば、不具合の原因、不具合に関連付けられるタイミング情報等)を保存する動作履歴レポジトリ130(以下、「レポジトリ130」という)に通信可能に連結される。特定の態様において、レポジトリ130は、OMD 110及び/又はサーバ120から情報を受け取って、この情報を対応する記録の中に構造化され、整理された方法で保存するデータベースサーバであり得るか、又はそれを含んでいてよい。
【0026】
特定の態様において、レポジトリ130内の各記録は、動作パラメータがそこに関連付けられるOMD 110のコンポーネントの識別情報、センサ又は、コンポーネントに関連付けられるその他の測定機器により測定される動作パラメータ、それらの動作パラメータが測定された時間、及びコンポーネントが実際に不具合となった時間等の情報を含み得る。
【0027】
サーバ120は、OMD 110の中の対応するコンポーネントの履歴動作パラメータ及び動作パラメータの測定値のほか不具合に関連付けられるタイミングのこれらの記録を、OMD内のコンポーネントの将来の不具合を予測するためのMLモデルの訓練用に使用する。より具体的には、
図1Aに示されるように、サーバ120は訓練データ生成装置122(以下、「TDG 122」という)、モデル訓練装置124、不具合予測装置126、及び不具合修正装置128を含む。TDG 122は、レポジトリ130からデータを読み出してデータセットを生成し、これはモデル訓練装置124によってMLモデルを訓練するために使用され、それが不具合予測装置126によってOMD内の1つ又は複数の将来の不具合を予測するために使用される。
【0028】
モデル訓練装置124は、MLモデルを訓練するために訓練データセットを使用するように構成された1つ又は複数の機械学習アルゴリズム(以下、「MLアルゴリズム」という)を含むか、又は参照する。特定の実施形態において、訓練されたMLモデルは、ある入力群に対してOMDのコンポーネントの将来の不具合を生成又は予測するために使用される、例えば重み及びパラメータを用いた関数を指す。ある入力群に対する様々な種類の出力を生成するために、様々なMLアルゴリズムが使用され得る。
【0029】
MLアルゴリズムには一般に、教師付き学習アルゴリズム、教師なし学習アルゴリズム、及び/又は半教師あり学習アルゴリズムが含まれ得る。教師なし学習とは、ラベル付き応答を与えずに入力データからなるデータセットから推論を引き出すために使用される種類の機械学習アルゴリズムである。教師あり学習は、例えば入力を出力に例示的な入力-出力ペアに基づいてマッピングする関数を学習する機械学習タスクである。教師あり学習アルゴリズムには一般に、回帰アルゴリズム、分類アルゴリズム、決定木、ニューラルネットワーク等が含まれる。データセットについて以下に説明する。
【0030】
OMD 110の中のコンポーネントの動作パラメータ及び/又はコンポーネントの不具合に関連付けられるタイミング情報を含む、特定の入力群に基づいて訓練され、デプロイされると、MLモデルはOMD 110内のコンポーネントの不具合に関する予測を行うことができる。一般に、MLモデルにより行われる予測は、コンポーネントがある期間中に不具合となる可能性及び/又はコンポーネントが不具合となりそうな時期を含み得る。特定の態様において、モデル訓練装置124は、OMD 110の中の異なるクラスのコンポーネントに関する不具合イベントを予測するように構成された複数のMLモデルを訓練する。例えば、第一のMLモデルは、OMDの機械的コンポーネントの将来の不具合をその機械的コンポーネントに関連付けられる動作パラメータ(例えば、入力パワーノイズレベル、回転速度、温度等)に基づいて予測するように構成され得て、第二のMLモデルはOMDの電気コンポーネントの不具合を電気に関連付けられる動作パラメータ(例えば、入力パワーノイズレベル、出力電圧、出力パワーノイズレベル、温度等)に基づいて予測するように構成され得て、第三のMLモデルは、発光装置の不具合を発光コンポーネントに特定の動作パラメータ(例えば、入力パワーノイズ、入力パワーレベル、出力輝度等)に基づいて予測するように構成され得る、等々。ある例において、不具合の可能性とは、特定のコンポーネントが不具合となる、OMDが不具合となる等の不具合の一般的可能性、例えば20%の見込み、30%の見込み等とすることができる。他の例では、不具合の可能性とは特定の期間内の不具合の可能性、例えば特定のコンポーネント、OMD全体等が今後2日で不具合となる20%の見込み等とすることができる。
【0031】
MLモデルを訓練するために使用されるデータセット内の各サンプルは、MLモデルがそれについて訓練されている機器の種類に特定の動作パラメータ及び/又は動作パラメータがOMD 110で得られた時点からOMDの関連するコンポーネントの不具合までの経過時間の長さに関係するタイミング情報を含む。場合により、データセット内の各サンプルは、校正データのほか、測定された動作パラメータに関連付けられる使用パターン情報をさらに含み得る。使用パターン情報は例えば、前回の動作パラメータ群が生成されたときから現在の測定動作パラメータ群が生成されたときまでの期間中にその機器が使用された回数を含み得る。使用パターン情報は、より激しい使用パターン、又はより集中的な使用パターンがOMD内のコンポーネントの劣化を加速させるか、又はその速度に影響を与える可能性があるとの仮定に基づいて将来の不具合をさらに予測するために使用され得る。
【0032】
MLモデルを訓練するために、モデル訓練装置124はMLモデルに各サンプルの入力データを通して、入力データに関係する予測を生成する。予測は、幾つかの態様において、特定の期間(例えば、n)日間の確率分布であってよく、この場合、各日がOMD 110のコンポーネントがその日に不具合となる確率に関連付けられる。一般に、OMD110のコンホーネンは、いつかは不具合となるため、確率分布の総面積は1(すなわち、不具合の見込みが100パーセント)に近付くが、しかしながら機器は予測可能な期間では予測可能な方法で不具合となる可能性があるため、確率分布は多数の低い値と、コンポーネントがその時間ウィンドウ内の特定の時期に不具合となる可能性がより高いことを示す1つ又は複数のスパイクを含み得る。一般に、予測されたタイミング情報(すなわち、データセット中の各サンプルについて予測されたYΛ)とデータセット中の各サンプルの中に含まれる実際のタイミング情報(すなわち、データセットの各サンプルに含まれるY)の差が計算され、MLモデルの訓練に使用され得る。例えば、予測されたタイミング情報はコンポーネントの不具合までの予測される日数に対応し得て、各サンプルに含まれる実際のタイミング情報は各サンプルに含まれる入力が記録されてからコンポーネントが不具合となったときまでに経過した実際の日数であり得る。上述のタイミング情報は例に過ぎない点に留意すべきであり、MLモデルは、出力の他のパラメータ又は種類(出力の、時間を含まないパラメータ又は種類)を含むYの実際の値から学習することによってYΛを予測するように訓練され得る。
【0033】
幾つかの態様において、モデル訓練装置124は、MLモデルを実際のタイミング情報と予測されたタイミング情報との間の誤差(すなわち、Y-YΛ)に基づいて訓練(又は改良)し得る。換言すれば、モデル訓練装置124は、予測されるタイミング情報と実際のタイミング情報との誤差(又は相違)を最小にするためにMLモデルの重みを調整する。モデル訓練装置124がさらに多くのサンプルをMLモデルに通し、重みの調整を続けるうちに、MLモデルの正確さが増して、MLモデルは極めて低い誤り率で非常に正確な予測を行い始める。その時点で、MLモデルはOMD 110の様々なコンポーネント(例えば、機械的コンポーネント112、電気的コンポーネント114、及び/又は光学的コンポーネント116)に関する不具合予測を行うようにデプロイ可能な状態となる。
図1Aの例において、訓練されたMLモデルは不具合予測装置126にデプロイされ得て、OMD 110のコンポーネントに関する不具合を捕捉された動作パラメータに基づいて予測する中で使用され、これについては後でさらに詳しく説明する。
【0034】
幾つかの態様において、MLモデルは時系列ベースのアルゴリズム及びデータセットを使って訓練され得る。例えば、MLモデルは長・短期記憶(LSTM)MLアルゴリズムを使って訓練され得て、これはデータ内のタイミングの関係(又は他の順序依存性)を学習することができる。一般に、これらのLSTMモデルは、過去の一連の観察(すなわち、OMD 110のあるコンポーネントの過去の動作パラメータ)を出力観察(すなわち、そのコンポーネントが不具合となる可能性及びそのコンポーネントが不具合となる時期の)にマッピングする関数を学習する。その他のMLアルゴリズム、例えば回帰ニューラルネットワーク又は異なる入力間のタイミング関係を学習できるその他のアルゴリズムもまた、又は代替的に、捕捉された動作パラメータに基づいてOMD 110のコンポーネントの将来の不具合を予測するために使用され得る。
【0035】
モデル訓練装置124は、OMD 110全般に関する不具合予測を生成する(例えば、OMD 110の中の何れかのコンポーネントに関する将来の不具合を予測する)ために1つのMLモデルを訓練し得る。このような場合、1つのMLモデルを訓練するために使用されるデータセットは、OMD 110中のモニタ対象の複数のコンポーネントについて合計された動作パラメータ測定値及び/又はOMD 110の不具合に関するタイミング情報を含み得る。他の例では、モデル訓練装置124はOMD 110の異なるコンポーネントに関する不具合予測を生成するために複数のMLモデルを訓練し得る。複数のMLモデルは、機械的コンポーネント112に関する不具合予測を生成するように訓練された第一のモデル、電気的コンポーネント114に関する不具合予測を生成するように訓練された第二のモデル、光学的コンポーネント116に関する不具合予測を生成するように訓練された第三のモデル等々を含み得る。これらのMLモデルの各々を訓練するために使用されるデータセットは、各々の特定の種類のコンポーネントに関する不具合予測を生成するために使用され得る入力データを含み得る。
【0036】
一般に、モデル訓練装置124は、本明細書に記載のダイナミックデータセットを使ってMLモデルを再訓練できる。データセットがダイナミックと呼ばれ得るのは、これらがOMD 110及び他のOMDから収集される新たなデータポイントを常に受け取って、それを反映させ得るからである。再訓練は、(タイムスケジュールにしたがって)定期的に、例えばモデル訓練装置124がMLモデルを訓練及び再訓練するために使用する履歴データセットに閾値の数の新規エントリが追加されるたびに、又は手作業で行われ得る。これらのダイナミックデータセットを使ってMLモデルを再訓練することによって、モデル訓練装置124は、時間が経つとOMD又はそのコンポーネントに関する不具合予測をより正確に行うことができるようになるMLモデルを生成できる。OMDに関する不具合予測の正確さの向上によって、ひいては、OMD 110の1つ又は複数のコンポーネントに関する様々な予防的メンテナンス措置をよりタイムリに実行し、それに対応してシステムのアップタイムを増大させ得る。
【0037】
不具合予測装置126は一般に、捕捉された動作パラメータ、OMD 110からのその他の情報、及び訓練されたMLモデルを使ってOMDのコンポーネントが不具合となりそうか否かを特定する。不具合予測装置126は、OMD 110のためのコンポーネントの不具合に関する予測を行う中で使用するために、動作パラメータの測定値及びその他の情報をOMD 110からリアルタイムで、又は定期的バッチレポートの中で受け取り得る。
【0038】
一般に、不具合予測装置126は、少なくともコンポーネントに関するOMD 110により生成される動作パラメータと各種のモデル、例えばそのコンポーネントに適用可能な先験的に定義されたモデル又は訓練されたMLモデルを使って、OMD中のコンポーネントの(例えば、その動作パラメータ測定値に関連付けられるコンポーネントの、又はそれに関する不具合がそのコンポーネントに関連付けられる動作パラメータ測定値により示され得る上流若しくは下流のコンポーネントの)将来の不具合を予測することができる。OMD中のコンポーネントの将来の不具合の予測には例えば、コンポーネントの不具合の可能性及び/又はコンポーネントが不具合となりそうな時期及びその他の予測が含まれ得る。一般に、先験的に定義されたモデルは、モデル訓練装置124によって訓練される必要がなく、コンポーネントが不具合となりつつあること(例えば、それと共にそのタイミング/可能性)をこれらのコンポーネントの既知の特性に基づいて特定するために使用され得る。訓練されたMLモデルは、OMD 110のコンポーネント(又は、実際には1つのコンポーネントに関する動作パラメータの測定値は上流又は下流のコンポーネントが実際に不具合となっていることを示し得るため、関連するコンポーネント)に関する不具合予測を生成するために、先験的に定義されたモデルと共に、又はその代わりに使用され得る。
【0039】
前述のように、MLモデルは、動作パラメータ測定値群を入力として取り、確率分布を出力として生成し得る。確率分布は、動作パラメータ測定値が生成された後の複数の期間の各々に関するコンポーネントの不具合の可能性を示し得る。例えば、n日間の時間ウィンドウにわたり、確率分布は1日後、2日後等、n日までの確立を示し得る。確率分布内のスパイクは一般に、そのコンポーネントが不具合となる可能性が最も高い時期を示す。
【0040】
幾つかの態様において、MLモデルは、コンポーネントの不具合の可能性及び/又はコンポーネントが不具合となる時期を予測する中で使用するために、動作パラメータ測定値群と共にその他の情報も入力として取り得る。例えば、MLモデルは、校正データ、使用パターン情報、及び/又はOMD 110により生成された解剖学的パラメータの測定値(又はそこから導き出された情報)を動作パラメータ測定値と共に使用して、OMD 110のコンポーネントが不具合となる将来の不具合及び/又はそのコンポーネントが不具合となりそうな時期を予測し得る。使用パターン情報は例えば、ある期間中にOMD 110が何回使用されたか又は、ある期間にわたる使用に関するより詳細な情報(例えば、ある期間の中の異なる部分での使用)を含み得る。ある期間にわたり生成された解剖学的パラメータの測定値は例えば、測定値のうち、ある解剖学的パラメータの期待値範囲から外れたものの割合に関する情報を生成し得る。
【0041】
幾つかの態様において、先験的に定義されたモデルは、OMD 110のコンポーネントが不具合となりつつあるか否かを、先験的にわかっている、そのコンポーネントに関する正常及び異常動作パラメータ測定値に基づいて特定するために使用され得る。例えば、先験的に定義されたモデルは、最小値及び最大値として動作パラメータ測定値の正常値を特定し得る。最大値は、コンポーネント(又は上流若しくは下流のコンポーネント)の不具合が発生したことがわかったときの動作パラメータの値に対応し得る。OMD 110のコンポーネントに関して受け取った動作パラメータ測定値がこの最大値を超えた場合、不具合予測装置126は、そのコンポーネントが不具合となったと特定することができ、不具合修正装置128に対し、そのコンポーネントのために1つ又は複数の措置をとるように命令できる。幾つかの態様において、当初、先験的に定義されたモデルが使用されてよく、MLモデルは経時的に、捕捉された履歴データに基づいて訓練され得て、最終的に、訓練されたMLモデルを先験的に定義されたモデルの代わりに、又はそれと共に使用できる。
【0042】
幾つかの態様において、各種の閾値設定方式を使って、不具合予測装置126がOMD 110のコンポーネントの将来の不具合を予測するために、訓練されたMLモデルを使用すべきか否かを特定できる。これらの閾値設定方式を使用することにより、コンポーネントが差し迫った不具合の兆候を示しているか否かに関係なく、MLモデルは、OMD 110の全てのコンポーネントに関する予測の代わりに、OMD 110のうちの関心対象のコンポーネントに関する予測を生成するために使用できる。それゆえ、MLモデルを使って、さらにモニタするための関心対象のコンポーネントのみに関する予測を生成することにより、演算リソースを節約し得る。
【0043】
例えば、受け取った動作パラメータ測定値と期待される動作パラメータ測定値との比較を利用して、OMD 110のあるコンポーネントに関する不具合予測を生成するためにMLモデルを使用すべきか否かを特定し得る。一般に、OMD 110の各コンポーネントは、動作パラメータの所定の正常範囲に関連付けられ得る。例えば、機械的機器は入力電流/電圧、回転速度、振動測定値、等の正常範囲に関連付けられ得る。電気的機器は、出力電流/電圧、出力ノイズ、熱等の正常範囲に関連付けられ得る。発光機器は、要求される入力パワー、出力輝度レベル等の正常範囲に関連付けられ得る。OMD 110が、あるコンポーネントに関して、そのようなコンポーネントの正常範囲内にある動作パラメータを報告した場合、不具合予測装置126は、コンポーネントが正常に動作していて、OMDのコンポーネントがすぐに不具合となるか、又は近い将来、よりよく注意する必要がある可能性が低いことから、OMD 110のコンポーネントの将来の不具合を予測するためにMLモデルを使用する必要がないと特定し得る。
【0044】
幾つかの態様において、不具合予測装置126は、傾向分析又はその他の統計分析を使って、OMD 110のコンポーネントに関する不具合予測を生成するためにMLモデルを使用するか否かを特定し得る。前述のように、OMD 110の中の機械的、電気的、光学的、及び発光コンポーネントは、時間が経つとその性能が劣化する。場合により、これらのコンポーネントはある長さの時間にわたっては一貫した動作パラメータを生成し、その後、突然劣化するかもしれない。また別の場合には、これらのコンポーネントは動作パラメータの単調な変化パターンを示し、コンポーネントがその使用寿命に到達するか、又はそれ以外に不具合状態に近付くと、より大幅な変化が発生するかもしれない。機器の動作パラメータの先験的にわかっている劣化特性に基づいて、不具合予測装置126はある時間ウィンドウにわたってあるコンポーネントについて捕捉された動作パラメータを精査し、報告された動作パラメータにおける傾向を検出し得る。傾向が差し迫った不具合を示している(例えば、傾向が、その時間ウィンドウにわたる動作パラメータの大きな変化を示している)場合、不具合予測装置126は、OMD 110のコンポーネントをより詳しくモニタすべきであることを特定し得て、それゆえモデル訓練装置124により訓練されたMLモデルを使ってコンポーネントの不具合予測を生成し得る。
【0045】
幾つかの態様において、不具合予測装置126はまた、又は代替的に、OMD 110に対して行われた校正手順に関する情報を使って、MLモデルを使用してOMDのコンポーネントを検査すべきであることを特定し得る。一般に、OMD 110は定期的に(例えば、毎日)校正手順を実行して、コンポーネントを既知の基本状態に調整し得る。OMDのコンポーネントの性能は時間が経つと劣化し得るため、校正手順では、OMDのコンポーネントを既知の基本状態に調整するために徐々にさらに大きく変化させることが必要となり得る。さらに、各種のコンポーネントの性能特性は既知のパターンを有し得るため、OMDのコンポーネントを既知の基本状態に調整するために使用される校正手順は、コンポーネントの性能特性パターンを映すパターンを有し得る。それゆえ、不具合予測装置126は、傾向分析又は既知の校正パラメータ範囲を使って、コンポーネントの不具合予測を生成するためにMLモデルを使用すべきか否かを特定し得る。
【0046】
他の例では、不具合予測装置126は、OMD 110により生成された解剖学的測定値を使って、MLモデルを使用してOMD 110のコンポーネントを検査すべきであることを特定し得る。前述のように、解剖学的測定値は一般に、既知の数値分布内に当てはまる。しかしながら、OMD 110が既知の数値分布から外れる解剖学的測定値を常に生成する場合、そのOMD 110が不具合となりつつあるか、又は近い将来、不具合となりそうである可能性がより高い。不具合予測装置126は例えば、それに関して生成された解剖学的測定値が既知の分布から外れる患者の数がOMDにより評価される患者の閾値パーセンテージを超えた場合に、MLモデルを使用してOMD 110を検査すべきであると特定し得る。解剖学的測定値には例えば、解剖学的測定値の取得中に記録された患者の眼球運動を示すアイトラッキング情報、軸長(すなわち、角膜前と網膜との間の距離)、角膜の厚さ、前房深度(すなわち、角膜全部と水晶体全面との間の距離)、角膜横径(すなわち、眼の両側の角膜及び強膜境界間の距離)、水晶体の厚さ、水晶体の曲率、及び使用中にOMDにより記録され得るその他の解剖学的測定値が含まれ得る。
【0047】
不具合予測装置126がOMDコンポーネントは不具合となりそうであると特定し、及び/又はコンポーネントが不具合となりそうな時期を識別した後、不具合予測装置126はその予測と、不具合となるコンポーネントを識別する情報を不具合修正装置128に提供して、さらに処理されるようにすることができる。一般に、不具合修正装置128は、OMD 110の1つ又は複数のコンポーネントに関して様々な予防的メンテナンス措置を実行するように構成される。予防的メンテナンス措置は、コンポーネントの識別情報、コンポーネントについて記録された現在の動作パラメータ測定値、及びメンテナンスを遠隔的にそのコンポーネントに対して実行できるか否かを特定するために使用され得るその他の情報に基づいて様々であり得る。
【0048】
幾つかの態様において、不具合予測装置126は、OMDの使用者及び/又はOMDの保守を行うサポート要員に向けて表示するために、OMDの予測された将来の不具合に関する情報を含む1つ又は複数の通知を生成することができる。これらの通知は例えば、コンポーネントが不具合となりそうであるとの予測に応答して不具合修正装置128がとる措置に関する情報、その措置がなぜとられるか(例えば、動作パラメータ測定値の数値に基づいて行われた予測に応答して)、及び/又はOMD中のコンポーネントの状態の理解を助け得るその他の情報、OMD中のコンポーネントに関する問題、及びコンポーネントが不具合となりそうであるとの予測に応答してとるべき将来の措置を含み得る。
【0049】
不具合予測装置126は、様々な動作環境及び様々な地理的領域内にあるOMDに関する不具合予測を実行するために使用され得る。不具合予測装置126は、異なる動作環境及び地理的領域内の機器に関する不具合予測を生成できるため、モデル訓練装置124及び不具合予測装置126は、幅広い分野のデータを利用して、幅広い分野の配備されたOMDの不具合を予測することができる。さらに、配備されたOMDの分野から得られるデータポイントにより、大量のデータセットに基づいて各種の分析を行うことが可能となり得る。例えば、不具合予測装置126は、配備されたOMDの分野を複数のグループ(例えば、地域グループ、環境グループ等)に分割して、これらのグループの中でより優勢又はより優勢でない不具合を識別し得る。1つのグループにおいてより優勢な不具合に関する情報は、不具合予測装置126によって、OMDの特定のコンポーネントにかかわる技術グループに提供され、これらの不具合の根本原因と、これらのコンポーネントに関する、特定の使用者グループにとっての不具合の優勢度合いを下げ得る新しいデザイン又は手順を識別し得る。
【0050】
幾つかの態様において、不具合修正装置128は、OMD 110のコンポーネントの不具合又は予想される不具合を修正するために実行可能なプログラムによるソリューションのライブラリを含み得る。これらのプログラムによるソリューションは、例えば特定の種類のコンポーネント及び特定の動作パラメータ測定値群に関連付けられ得る。一般に、プログラムによるソリューションは、OMD 110に実行するように要求されると、OMD 110で異常な実行状態を修正する実行可能コードを含み得る。これらのプログラムによるソリューションとしては、例えば各種の動作のタイミングを制御するソフトウェアパッチ、OMD 110の校正を調整するために使用される校正目標の変更等が含まれ得る。プログラムによるソリューションとOMD 110により報告されたコンポーネント及び動作パラメータ測定値との間のマッチングがみられた場合、不具合修正装置128はプログラムによるソリューションをOMD 110に実行するように要求できる。
【0051】
幾つかの態様において、不具合修正装置128は、不具合となりつつある、又はまもなく不具合になりそうであると識別されたコンポーネントが不具合又は予想される不具合を修正するために交換すべきであると特定し得る。不具合修正装置128は、コンポーネントを交換すべきであることを、そのコンポーネントがソフトウェアでは補償できない電気的又は機械的障害によって不具合となりつつあることを識別する情報に基づいて特定し得る。例えば、不具合修正装置128は、電気的コンポーネントについて、そのコンポーネントに期待される出力を生成するために必要な電力量が徐々に増大したときに、電力需要の増大(例えば、及びそれに対応する電気的コンポーネントにおける抵抗の増大)がソフトウェアでは修正できない差し迫った不具合を示し得るため、それを交換すべきであると特定し得る。他の例では、不具合修正装置128は、機械的コンポーネントについて、その機械的コンポーネントに関して報告された動作パラメータ測定値が性能の劣化(例えば、電動機器の回転速度の不安定化)を示すか、その機器にハートビートはある(例えば、OMD 110のコントローラと電気的に接続されている)が機械的には動作しないことを示しているときに、それを交換すべきであると特定し得る。このような場合、不具合修正装置128は、OMD 110に対し、不具合となった、又はまもなく不具合となると識別されたコンポーネントが交換されるまでOMDを無効にする1つ又は複数の命令を実行させ得る。
【0052】
幾つかの態様において、不具合修正装置128は、OMD 110上のコンポーネントに関する診断テスト又はその他の行為を実行して、そのコンポーネントが不具合となりつつある、又はまもまく不具合となるか否かをさらに特定できる。診断テストは、OMDに特定の動作を実行させて、追加の動作的パラメータ測定値をさらに解析されるように不具合修正装置128に提供する命令を含み得る。追加的測定値がそのコンポーネントは不具合となりつつある、又は不具合となりそうであることを示した場合、不具合修正装置128は前述のように、予防的メンテナンス措置をコンポーネントに関して実行すべきであることを特定できる。
【0053】
図1Bは他の例示的なコンピューティング環境100Bを示しており、その中ではOMD中のコンポーネントの将来の不具合を予測するための、そのOMDへの予防的メンテナンスを実行する中で使用される機械学習モデルの訓練と使用が実行され得る。図のように、コンピューティング環境100Bは、測定機器110、サーバ120、及び動作履歴レポジトリ130を含む。
図1Bに示される例では、TDG 122及びモデル訓練装置124はサーバ120上で動作し、不具合予測装置126及び不具合修正装置128は、機械的コンポーネント112、電気的コンポーネント114、及び/又は光学的コンポーネント116に関連付けられる機器コンポーネント計装により生成されるデータを使ってOMD 110上で動作する。機器コンポーネント計装は一般に、様々なセンサ及び、OMD上のコンポーネントの各種の動作パラメータをモニタし、測定できる他の計測機器を含む。これらの動作パラメータ測定値は、前述のように、単独でも、他のデータ、例えば様々な患者に関する校正データ、使用履歴、又は解剖学的パラメータ測定値と共に、OMD上のコンポーネントが不具合となりそうであることを予測し、その予測に基づいてOMDに対して実行してコンポーネントが不具合となるのを防止するための予防的メンテナンス措置を識別するために使用され得る。
【0054】
予測モデリングに基づいて眼科用医療機器に予防的メンテナンスを実行する例示的方法
図2は、OMD中のコンポーネントの将来の不具合を予測するためのコンピューティングシステムにより実行され得る、そのOMDに予防的メンテナンスを実行する中で使用される例示的動作200を示す。動作200は、
図1A~1Bに示されるOMD 110又はサーバ120のうちの1つ又は複数により実行され得る。
【0055】
図のように、動作200はブロック210から始まり得て、そこでシステムはOMDからそのOMDのコンポーネントに関連付けられる1つ又は複数の動作パラメータの測定値を受け取る。測定値は、ある期間中の異なる時点での動作パラメータ測定値を含み得る。場合により、測定値は定期的に(例えば、OMD又は、そこで測定値が受け取られるサーバ上で動作するハートビートモニタにしたがって)受け取り得る。例えば、測定値は毎日、OMDが使用された後に毎回、又はOMDからの測定値を受け取るために設定された他の何れかの周期にしたがって受け取られ得る。
【0056】
ブロック220で、システムは、1つ又は複数のモデルを使って、OMDのコンポーネントの将来の不具合の可能性及び/又はコンポーネントが不具合となりそうな時期を、少なくとも一部に、受け取った1つ又は複数の動作パラメータの測定値に基づいて予測する。モデルは、コンポーネントが不具合となりつつあるか否かを、正常及び異常動作に対応する動作パラメータ測定値の既知の数値に基づいて識別する先験的に定義されるモデルか、又はOMDの将来の不具合を予測できる訓練を受けたMLモデルを含み得る。コンポーネントが不具合となりつつあるか否かを、先験的モデルを使って識別することは、OMDのコンポーネントが不具合となる可能性及び/又はコンポーネントが不具合となりそうな時期を、少なくとも一部に、受け取った1つ又は複数の動作パラメータの測定値に基づいて予測することを含み得る点に留意されたい。場合により、OMDのコンポーネントに関する将来の不具合を予測することにかかわる演算リソースの利用を削減するために、システムはOMDのコンポーネントの将来の不具合を、そのOMDからの他のデータがそのコンポーネントは予測モデリング及び予防的メンテナンスの実行が正当とされる程度まで劣化したことを示していると特定したことに応答して予測できる。
【0057】
例えば、予測モデリングが正当であると特定するために、システムはコンポーネントの動作パラメータ測定値をそのコンポーネントの既知の仕様に照らして検査することができる。既知の仕様には、例えばそのコンポーネントに関する動作パラメータの測定値の期待範囲に関する情報が含まれ得る。測定値が期待範囲から(例えば、閾値量だけ)外れる場合、システムは、予測モデリング及び予測モデリングに基づく予防的メンテナンスの実行が正当であると特定できる。他の例では、システムは、測定された光学パラメータ及び履歴測定値の傾向分析又は統計分析を使って、そのコンポーネントが、差し迫った不具合を示す性能劣化の兆候を示しているか否かを特定できる。
【0058】
場合により、システムは、測定された光学パラメータ又はこれらの光学パラメータの履歴測定値以外のデータを精査して、予測モデリングと予防的メンテナンスが正当であることを特定できる。例えば、校正テストの結果を精査して、OMDを校正するために使用される校正調整の量がだんだん増えているか否かを特定し得る。より大幅な校正調整の使用はOMDのコンポーネントが劣化していることを示し得るため、校正調整が増大して閾値量を超えることは、コンポーネントが不具合となりつつあるか、又は不具合となりそうであり、それゆえ予測モデリング及び予防的メンテナンスの実行が正当であることを示し得る。他の例では、システムは患者解剖学的測定値を精査して、OMDがある解剖学的パラメータに関する数値の正常な分布に関して異常な測定データを常に生成しているか否かを特定することができる。OMDが異常な測定データを常に生成している場合、システムは、OMDの動作が異常であると特定でき、予測モデリングと予防的メンテナンスの実行が正当であると特定し得る。
【0059】
ブロック230で、システムはコンポーネントに対して、予測された不具合の可能性及び/又はコンポーネントが不具合となりそうな時期に基づいて予防的メンテナンスを実行するために1つ又は複数の措置をとる。この1つ又は複数の措置としては、OMD上でのOMDに関して生じ得る不具合モードに対処するためのコードを実行すること、OMDに追加の診断テストを行って、さらなる一連の措置を特定すること、又は不具合となっているコンポーネントが交換されるまでOMDを無効にすることが含まれ得る。
【0060】
図3は、OMDの中のコンポーネントの将来の不具合を予測するように機械学習モデルを訓練するためにシステムにより実行され得る、OMDに予防的メンテナンスを実行する中で使用され得る例示的な動作300を示す。動作300は、例えば
図1A~1Bに示されるサーバ120により実行され得る。
【0061】
図のように、動作300はブロック310から始まり、そこではシステムがあるOMDに関連付けられる動作パラメータ測定値群から訓練データセットを生成する。データセットは、幾つかの態様において、そのOMDの各種のコンポーネントに関する測定された動作パラメータ及び/又は、そのOMDでその測定値が得られた時間やそのOMDが不具合となった時間に関連付けられるタイミング情報を含み得る。訓練データセットを生成することによって、OMDの異なるコンポーネント又はコンポーネントクラスに関する異なる訓練データセットが生成されることになり得るが、それは、異なるコンポーネント又はコンポーネントクラスが将来の不具合の可能性を示す異なるパラメータを有し得るからである。
【0062】
ブロック320で、システムは1つ又は複数の機械学習モデルを訓練データセットに基づいて訓練する。1つ又は複数の機械学習モデルは、OMDに関する不具合予測を生成するように訓練され得る。例えば、第一のMLモデルは、OMDの機械的コンポーネントに関する不具合予測を生成するように訓練され得る。第二のMLモデルは、OMDの電気的コンポーネントに関する不具合予測を生成するように訓練され得る。第三のMLモデルは、OMDの発光コンポーネントに関する不具合予測を生成するように訓練され得る。さらに別のMLモデルは、OMD内の他のクラス又は種類のコンポーネントに関する不具合予測を生成するように訓練され得る。他の例において、MLモデルはOMD中の特定の各コンポーネントに関する不具合予測を生成するように訓練され得る。
【0063】
ブロック330で、システムは訓練された1つ又は複数のMLモデルを1つ又は複数のコンピューティングシステムにデプロイする。幾つかの態様において、訓練されたMLモデルは、MLモデルを訓練するために使用されたものと同じシステム(又はシステムのクラスタ)上で動作する不具合予測装置にデプロイされ得る。代替的に、訓練されるMLモデルは、OMDにローカルのコンピューティングシステムにデプロイされ得て、それによって中央システムに接続されていないかもしれない、又は中央システムとの接続性が間欠的であるかもしれないOMDについて不具合予測及び予防的メンテナンスを行うことが可能となり得る。
【0064】
予測モデリングに基づいて眼科用医療機器に予防的メンテナンスを行うための例示的システム
図4は、外科的眼科術、例えば白内障手術の施行を支援するための機械学習モデルを使用する例示的システム400を示す。例えば、システム400は、
図1に示される測定機器110、サーバ120、及び/又はユーザコンソール130のうちの1つ又は複数に対応し得る。
【0065】
図のように、システム400は、中央処理ユニット(CPU)402、各種のI/O装置414(例えば、キーボード、ディスプレイ、マウスデバイス、ペン入力等)をシステム400に接続できるようにし得る1つ又は複数のI/O装置インタフェース404、それを通じてシステム400がネットワーク490(これは、ローカルネットワーク、イントラネット、インタネット、又は相互に通信可能に接続される他のコンピューティングデバイスグルーブであり得る)に接続されるネットワークインタフェース406、メモリ408、ストレージ410、及びインタコネクト412を含む。
【0066】
CPU 402は、メモリ408に記憶されたプログラミング命令を読み出し、実行し得る。同様に、CPU 402は、メモリ408内にあるアプリケーションデータを読み出し、記憶し得る。インタコネクト412は、プログラミング命令及びアプリケーションデータをCPU 402、I/O装置インタフェース404、ネットワークインタフェース406、メモリ408、及びストレージ410間で送信する。
【0067】
CPU 402は、1つのCPU、複数のCPU、複数の処理コアを有する1つのCPU等として含まれる。
【0068】
メモリ408は、ランダムアクセスメモリ等の揮発性メモリ及び/又は不揮発性ランダムアクセスメモリ、若しくは相変化ランダムアクセスメモリ等の不揮発性メモリを表す。図のように、メモリ408は機器コンポーネント計装ソフトウェア420、TDG 430、モデル訓練装置440、不具合予測装置450、不具合修正装置460、及び動作履歴レポジトリ470を含む。機器コンポーネント計装ソフトウェア420は一般に、センサ及びOMD中の他の測定機器とインタフェースして、OMDの、機械的コンポーネント、電気的コンポーネント、及び/又は光学的コンポーネントを含むがこれらに限定されないコンポーネントに関する様々な動作パラメータの測定値を取得する。機器コンポーネント計装ソフトウェア420により取得される動作パラメータ測定値は一般に、OMDのコンポーネントが不具合となりつつある、又は不具合となりそうであるかを予測して、それに当てはまれば、このような不具合がいつ発生しそうかを予測し得る各種のパラメータを含む。
【0069】
TDG 430は一般に、機器コンポーネント計装ソフトウェア420から得た情報を使って訓練データセットを生成し、これはモデル訓練装置440により、OMD中のコンポーネントの将来の不具合を予測するための、そのOMDに予防的メンテナンスを実行する中で使用される1つ又は複数のMLモデルを訓練するために使用される。訓練データセットを生成するために、TDG 430は、OMDのコンポーネントに関する様々な動作パラメータ測定値をそのコンポーネントの不具合に関するタイミング情報に関連付ける記録を生成できる。訓練データセット内の記録は、ストレージ410内の動作履歴レポジトリ470の中で持続されて、記憶され、将来、OMD中のコンポーネントの将来の不具合を予測するための、そのOMDに予防的メンテナンスを実行する中で使用されるMLモデルを訓練するためのアップデートされたデータセットを生成する際に使用される。
【0070】
モデル訓練装置440は一般に、不具合予測装置450によって使用される、OMD内のコンポーネントの将来の不具合を予測するための、そのOMDに予防的メンテナンスを実行する中で使用される1つ又は複数のMLモデルを訓練する。前述のように、モデル訓練装置440は、TDG 430によって生成された訓練データセットを使ってMLモデルを訓練し得て、訓練されたMLモデルを不具合予測装置450(又はリモートシステム)にデプロイして使用されるようにし得る。
【0071】
不具合予測装置450は一般に、機器コンポーネント計装ソフトウェア420を介して取得した動作パラメータ測定値を使って、OMD中のコンポーネントが不具合となりつつあるか、又は近い将来不具合となりそうであるか否かを特定する。コンポーネントが不具合となりつつあるか、又は不具合となりそうである場合(例えば、動作パラメータ測定値、校正データ、又は解剖学的測定値が期待範囲から外れていることに基づく)、不具合予測装置450は訓練されたMLモデルを使って、そのOMDがいつ不具合となりそうかを特定することができる。予測に基づいて、不具合修正装置460は、コンポーネントにまた別の診断テストを実行し、予防的メンテナンスコード又は修正命令を実行するようにOMDに要求し、及び/又は不具合となりつつある、若しくは不具合となりそうなコンポーネントが交換されるまでOMDを無効にするために使用できる。
【0072】
その他の考察
上記の説明は、当業者が本明細書に記載の各種の実施形態を実施できるようにするために提供されている。これらの実施形態への様々な変更は当業者にとって容易に明らかとなり、本明細書で定義される一般的原理は他の実施形態にも当てはまり得る。例えば、前述の要素の機能と配置には、本開示の範囲から逸脱せずに変更を加えてもよい。各種の例では、様々な手順又はコンポーネントを適切に削除、置換、又は追加してよい。また、幾つかの例に関して述べた特徴は、他の幾つかの例においては組み合わせてよい。例えば、本明細書に記載の他の幾つの態様を使用しても、装置を実装したり、又は方法を実践したりし得る。それに加えて、本開示の範囲は、本明細書に記載の本開示の様々な態様に追加される、又はそれ以外の他の構造、機能性、又は構造と機能性を使って実装される装置又は方法もカバーすることが意図される。本明細書において開示される本開示の何れの態様も、特許請求項の1つ又は複数の要素により実施され得ると理解すべきである。
【0073】
本明細書中で使用されるかぎり、品目リスト「の少なくとも1つ」という語句は、そこに属する1つの要素を含め、これらの品目のあらゆる組合せを指す。例えば、「a、b、又はcの少なくとも1つ」とは、a、b、c、a-b、a-c、b-c、及びa-b-cのほか、複数の同じ要素のあらゆる組合せ(例えば、a-a、a-a-a、a-a-b、a-a-c、a-b-b、a-c-c、b-b、b-b-b、b-b-c、c-c、及びc-c-c、又はa、b、及びcの他のあらゆる配列)もカバーすることが意図される。
【0074】
本明細書中で使用されるかぎり、「特定する」という用語は多岐にわたる行為を包含する。例えば、「特定する」は、計算、演算、処理、導出、調査、ルックアップ(例えば、テーブル、データベース、又は他のデータ構造をルックアップする)、確認等を行うことを含み得る。また、「特定する」とは、受け取る(例えば、情報を受け取る)、アクセスする(例えば、メモリ内のデータにアクセスする)等を含み得る。また、「特定する」とは、解決、選択、選び出し、確定等を行うことを含み得る。
【0075】
本明細書で開示される方法は、その方法を実現するための1つ又は複数のステップ又は行為を含む。方法ステップ及び/又は行為は、特許請求の範囲から逸脱することなく相互に入れ替えてもよい。換言すれば、ステップ又は行為の特定の順序が明示されていないかぎり、特定のステップ及び/又は行為の順序及び/又は使用は、特許請求の範囲から逸脱することなく変更してよい。さらに、前述の方法の様々な動作は、対応する機能を実行できる何れの適当な手段により実行されてもよい。この手段には、様々なハードウェア及び/又はソフトウェアコンポーネント及び/又はモジュールが含まれ得て、これには回路、特定用途集積回路(ASIC)、又はプロセッサが含まれるが、これらに限定されない。一般に、図中に動作が示されている場合、これらの動作は、同様の番号が付された、それに対応するカウンタパートのミーンズ・プラス・ファンクションコンポーネントを有し得る。
【0076】
本開示に関して記載されている各種の例示的な論理ブロック、モジュール、及び回路は、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、又は他のプログラマブルロジックデバイス(PLD)、ディスクリートゲート若しくはトランジスタロジック、ディスクリートハードウェアコンポーネント、又は本明細書に記載の機能を実行するように設計されたこれらのあらゆる組合せにより実装又は実行され得る。汎用プロセッサはマイクロプロセッサであり得るが、代替案として、プロセッサは何れの市販のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、又はステートマシンでもあり得る。プロセッサはまた、コンピューティングデバイスの組合せ、例えばDSPとマイクロプロセッサ、複数のマイクロプロセッサ、1つ又は複数のマイクロプロセッサとDSPコア、又は他のあらゆるこのような組合せとしても実装され得る。
【0077】
処理システムは、バスアーキテクチャで実装され得る。バスは、処理システムの特定の用途及び全体的な設計上の制約に応じて、何れの数の相互接続バス及びブリッジも含み得る。バスは、プロセッサ、機械可読媒体、及び入力/出力装置等を含む各種の回路を一体に連結し得る。ユーザインタフェース(例えば、キーパッド、ディスプレイ、マウス、ジョイスティック等)もまた、バスに接続され得る。バスはまた、他の様々な回路も一体に連結し得て、これらはタイミングソース、周辺機器、電圧調整器、電源管理回路等、当業界でよく知られているものであるため、これ以上列挙しない。プロセッサは、1つ又は複数の汎用及び/又は特定目的プロセッサで実装され得る。例には、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、DSPプロセッサ、及びソフトウェアを実行できる他の回路構成が含まれる。当業者であれば、具体的な用途及び全体的システムに加えられる全体的な設計上の制約に応じて、処理システムのための上述の機能をどのように実装するのが最善であるかがわかるであろう。
【0078】
ソフトウェアで実装される場合、機能は1つ又は複数の命令又はコードとしてコンピュータ可読媒体上に記憶されるか、又は送信され得る。ソフトウェアとは、命令、データ、又はそのあらゆる組合せを意味するように広く解釈されるものとし、それがソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロード、ハードウェア記述言語、又はそれ以外、どのように呼ばれるかを問わない。コンピュータ可読媒体には、コンピュータ記憶媒体と、例えば1つの場所から他の場所にコンピュータプログラムを転送しやすくするためのあらゆる媒体である通信媒体の両方が含まれる。プロセッサは、バス及び、コンピュータ可読記憶媒体上に記憶されたソフトウェアモジュールの実行を含めた処理全体の管理を担い得る。コンピュータ可読記憶媒体はプロセッサに連結され得て、それによってプロセッサが記憶媒体から情報を読み出し、情報をそこに書き込むことができる。代替案において、記憶媒体はプロセッサに統合され得る。例えば、コンピュータ可読媒体は、送信ライン、データにより変調される搬送波、及び/又は、無線ノードとは別の、命令が記憶されたコンピュータ可読記憶媒体を含み得て、プロセッサはこれらの全てにバスインタフェースを通じてアクセスし得る。代替的に、又は追加的に、コンピュータ可読媒体又はその何れかの部分がプロセッサに統合されてよく、これは例えばキャッシュ及び/又は汎用レジスタファイルの場合であり得る。機械可読記憶媒体の例としては、例えばRAM(ランダムアクセスメモリ)、フラッシュメモリ、ROM(リードオンリーメモリ)、PROM(プログラマブル リードオンリーメモリ)、EPROM(消去可能プログラマブル リードオンリーメモリ)、EEPROM(電気的消去可能プログラマブル リードオンリーメモリ)、レジスタ、磁気ディスク、光ディスク、ハードドライブ、若しくは他のあらゆる適当な記憶媒体、又はそれらのあらゆる組合せが含まれ得る。機械可読媒体は、コンピュータプログラム製品において具現化され得る。
【0079】
ソフトウェアモジュールは、1つの命令又は多くの命令を含み得て、幾つかの異なるコードセグメント上に、異なるプログラム間で、及び複数の記憶媒体間で分散され得る。コンピュータ可読媒体は、複数のソフトウェアモジュールを含み得る。ソフトウェアモジュールは、プロセッサ等の装置により実行されると、処理システムに様々な機能を実行させる命令を含む。ソフトウェアモジュールは、送信モジュールと受信モジュールを含み得る。各ソフトウェアモジュールは、1つの記憶装置内にあっても、又は複数の記憶装置に分散されてもよい。例えば、ソフトウェアモジュールは、トリガイベントが発生したときに、ハードドライブからRAMにロードされ得る。ソフトウェアモジュールの実行中、プロセッサは命令の一部をキャッシュにロードすることにより、アクセス速度を速め得る。すると、1つ又は複数のキャッシュラインは、プロセッサにより実行されるように、汎用レジスタファイルにロードされ得る。ソフトウェアモジュールの機能性について述べる際、このような機能性は、そのソフトウェアモジュールからの命令を実行する際にプロセッサによって実行されると理解されたい。
【0080】
以下の特許請求項は、本明細書において示される実施形態に限定されることは意図されず、特許請求項の文言と矛盾しない全範囲が付与されるものとする。特許請求項の中で、ある要素への単数形での言及は、特にそのように明記されていないかぎり、「唯一」を意味するのではなく、「1つ又は複数」を意味する。特に別段のことわりがないかぎり、「幾つか」とは1つ又は複数を意味する。特許請求項の要素は、その要素が「~のための手段(means for)」という語句を使って明記されていないかぎり、又は方法に関する請求項の場合は、その要素が「~のためのステップ(step for)」という語句を使って明記されていないかぎり、米国特許法第112条(f)の規定に基づいて解釈されないものとする。本開示の中に記載される様々な態様の要素の、当業者にとって既知の、又は後に知ることになる構造的及び機能的均等物は全て、言及により明確に本願に含められ、特許請求項により包含されるものとする。さらに、本明細書において開示されている事柄の何れも、このような開示が特許請求項の中に明記されているか否かを問わず、公衆に提供されることは意図されていない。
【手続補正書】
【提出日】2023-06-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0080
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0080】
以下の特許請求項は、本明細書において示される実施形態に限定されることは意図されず、特許請求項の文言と矛盾しない全範囲が付与されるものとする。特許請求項の中で、ある要素への単数形での言及は、特にそのように明記されていないかぎり、「唯一」を意味するのではなく、「1つ又は複数」を意味する。特に別段のことわりがないかぎり、「幾つか」とは1つ又は複数を意味する。特許請求項の要素は、その要素が「~のための手段(means for)」という語句を使って明記されていないかぎり、又は方法に関する請求項の場合は、その要素が「~のためのステップ(step for)」という語句を使って明記されていないかぎり、米国特許法第112条(f)の規定に基づいて解釈されないものとする。本開示の中に記載される様々な態様の要素の、当業者にとって既知の、又は後に知ることになる構造的及び機能的均等物は全て、言及により明確に本願に含められ、特許請求項により包含されるものとする。さらに、本明細書において開示されている事柄の何れも、このような開示が特許請求項の中に明記されているか否かを問わず、公衆に提供されることは意図されていない。
また、本開示は以下の発明を含む。
第1の態様は、
眼科用医療機器に予測モデリングに基づいて予防的メンテナンスを実行する方法において、
眼科用医療機器から、前記眼科用医療機器に関連付けられる1つ又は複数の動作パラメータの測定値を受け取ることと、
1つ又は複数のモデルを使って、前記眼科用医療機器の将来の不具合を、少なくとも一部に、前記1つ又は複数の動作パラメータの前記受け取った測定値に基づいて予測することと、
前記眼科用医療機器の前記予測された将来の不具合に基づいて、前記眼科用医療機器に予防的メンテナンスを実行するための1つ又は複数の措置をとることと、
を含む方法である。
第2の態様は、
前記1つ又は複数のモデルは、前記1つ又は複数の動作パラメータの前記眼科用医療機器の正常な動作に対応する数値と、前記1つ又は複数の動作パラメータの前記眼科用医療機器の不具合に対応する数値を定義するモデルを含む、第1の態様における方法である。
第3の態様は、
前記1つ又は複数のモデルは、前記眼科用医療機器の将来の不具合を、少なくとも一部に、前記1つ又は複数の動作パラメータの前記受け取った測定値に基づいて予測するように訓練された1つ又は複数の機械学習モデルを含む、第1の態様における方法である。
第4の態様は、
前記予測された将来の不具合は、
前記眼科用医療機器の将来の不具合の可能性、又は前記眼科用医療機器が不具合となりそうな時期
の少なくとも1つを含む、第1の態様における方法である。
第5の態様は、
前記1つ又は複数の動作パラメータは前記眼科用医療機器のコンポーネントに関連付けられ、前記眼科用医療機器の前記将来の不具合を予測することは、前記コンポーネント又は前記眼科用医療機器の中の1つ若しくは複数の他のコンポーネントの将来の不具合を予測することを含む、第1の態様における方法である。
第6の態様は、
前記眼科用医療機器又はそのコンポーネントに関する校正データを受け取ることをさらに含み、前記眼科用医療機器の前記将来の不具合を予測することは、前記校正データにおいてある期間にわたって見られる傾向にさらに基づく、第1の態様における方法である。
第7の態様は、
前記眼科用医療機器に関する使用パターンデータを受け取ることをさらに含み、前記眼科用医療機器の前記将来の不具合を予測することは、前記使用パターンデータにさらに基づく、第1の態様における方法である。
第8の態様は、
前記使用パターンデータは、複数の時間ウィンドウにわたるシステムの利用に関する情報を含む、第7の態様における方法である。
第9の態様は、
複数の患者に関する前記眼科用医療機器により生成される患者解剖学的測定値を受け取ることと、
前記眼科用医療機器又はそのコンポーネントの性能が劣化したことを前記受け取った患者解剖学的測定値に基づいて特定することと、
をさらに含み、前記眼科用医療機器の前記将来の不具合を予測することは、前記眼科用医療機器又は前記コンポーネントの性能が劣化したとの前記特定にさらに基づく、第1の態様における方法である。
第10の態様は、
前記患者解剖学的測定値は、前記患者解剖学的測定値が収集されている間に記録された患者の眼球運動を含むアイトラッキング情報を含み、前記眼科用医療機器又は前記コンポーネントの性能が劣化したことを特定することは、前記複数の患者について前記記録された患者の運動が閾値量を超えたことを特定することを含む、
第9の態様における方法である。
第11の態様は、
前記眼科用医療機器又は前記コンポーネントの性能が劣化したことを特定することは、
前記受け取った患者解剖学的測定値の各々について、前記測定値が前記測定値により表されるデータポイントに関する閾値範囲から外れるか否かを特定することと、
前記受け取った患者解剖学的測定値のうちの少なくとも閾値数が典型値範囲から外れることを特定すること
を含む、第9の態様における方法である。
第12の態様は、
前記眼科用医療機器のコンポーネントに関する測定された動作パラメータと前記コンポーネントの正常な動作を示すものとして定義される前記測定された動作パラメータの数値範囲との比較に基づいて、前記コンポーネントの性能が劣化したことを特定することをさらに含み、前記眼科用医療機器の前記将来の不具合を予測することは、前記コンポーネントの性能が劣化したとの前記特定にさらに基づく、
第1の態様における方法である。
第13の態様は、
前記1つ又は複数の措置は、
前記眼科用医療機器で実行されると、前記眼科用医療機器の不具合又は予想される不具合を修復するプログラムによるソリューションを識別することと、
前記識別されたプログラムによるソリューションを、実行されるように前記眼科用医療機器に要求すること
を含む、第1の態様における方法である。
第14の態様は、
前記1つ又は複数の措置は、
前記眼科用医療機器の不具合又は予想される不具合を修復するために交換すべき前記眼科用医療機器の1つ又は複数のコンポーネントを識別することと、
前記識別された交換すべきコンポーネントが交換されるまで、前記眼科用医療機器を無効にすることと、
を含む、第1の態様における方法である。
第15の態様は、
前記1つ又は複数の動作パラメータは前記眼科用医療機器のあるコンポーネントに関連付けられ、前記1つ又は複数の措置は、
前記眼科用医療機器の前記コンポーネントを使って実行すべき1つ又は複数の措置を識別することと、
前記識別された1つ又は複数の措置を実行する1つ又は複数の命令を前記眼科用医療機器に送信することと、
前記1つ又は複数の命令を送信したことに応答して、前記眼科用医療機器から動作パラメータの追加の測定値を受け取ることと、
前記受け取った追加の測定値に基づいて、前記コンポーネントに前記予測された将来の不具合に基づいて予防的メンテナンスを実行するために行うべき1つ又は複数の追加的行為を特定することと、
を含む、第1の態様における方法である。
第16の態様は、
前記1つ又は複数の動作パラメータは前記眼科用医療機器のコンポーネントに関連付けられ、
前記眼科用医療機器の前記コンポーネントに関連付けられる前記1つ又は複数の動作パラメータの前記測定値と前記眼科用医療機器の前記予測された将来の不具合を、他の複数の眼科用医療機器からの測定値及び予測と集計することによって集計データセットを生成することと、
前記集計データセットに基づいて、眼科用医療機器の複数のグループにわたる傾向を表す1つ又は複数の分析結果を生成すること
をさらに含む、第1の態様における方法である。
第17の態様は、
前記眼科用医療機器の使用者に対して表示するための、不具合になりそうな前記眼科用医療機器の1つ又は複数のコンポーネントを識別する情報、前記予測される将来の不具合、及び予防的メンテナンスを実行するために実行される前記1つ又は複数の措置に関する情報を含む通知を出力することをさらに含む、
第1の態様における方法である。
第18の態様は、
眼科用医療機器の不具合イベントを予測するように予測モデルを訓練する方法において、
前記眼科用医療機器に関連付けられる動作パラメータの測定値群から訓練データセットを生成することであって、前記訓練データセットは複数の記録を含み、前記複数の記録の各記録は、
動作パラメータの測定値、
前記動作パラメータが測定された時間、及び
前記動作パラメータが測定された時間と不具合イベントが前記眼科用医療機器に関して発生した時間との差、
を識別する、生成することと、
1つ又は複数の機械学習モデルを、前記眼科用医療機器に関する1つ又は複数の不具合予測を生成するように前記訓練データセットに基づいて訓練することと、
前記訓練された1つ又は複数の機械学習モデルを1つ又は複数のコンピューティングシステムにデプロイすることと、
を含む方法である。
第19の態様は、
前記動作パラメータの測定値は、前記眼科用医療機器の中の電気的コンポーネントに関する電力測定値を含む、第18の態様における方法である。
第20の態様は、
前記動作パラメータの測定値は、時間ウィンドウにわたる使用情報を含む、第18の態様における方法である。
第21の態様は、
前記1つ又は複数の機械学習モデルを訓練することは、前記1つ又は複数の動作パラメータの測定値に関して、予測であって、前記眼科用医療機器が、前記予測が行われたときからの期間及び前記眼科用医療機器に不具合イベントが発生するまでの残り時間内に前記眼科用医療機器が不具合となりそうか否かの予測を識別する出力を生成する多出力機械学習モデルを訓練することを含む、第18の態様における方法である。
第22の態様は、
前記1つ又は複数の機械学習モデルを訓練することは、予測であって、前記眼科用医療機器が、前記予測が行われたときからの期間内に不具合となりそうか否かの予測を生成する第一の機械学習モデルと、前記眼科用医療機器に不具合イベントが発生するまでの残り時間を予測する第二の機械学習モデルを訓練することを含む、第18の態様における方法である。
第23の態様は、
前記訓練された1つ又は複数の機械学習モデルを1つ又は複数のコンピューティングシステムにデプロイすることは、前記訓練された1つ又は複数の機械学習モデルを前記眼科用医療機器に内蔵されたコンピュータにデプロイすることを含む、第18の態様における方法である。
第24の態様は、
前記訓練された1つ又は複数の機械学習モデルを1つ又は複数のコンピューティングシステムにデプロイすることは、前記訓練された1つ又は複数の機械学習モデルを、前記1つ又は複数の眼科用医療機器が通信可能に連結されるリモートサーバにデプロイすることを含む、第18の態様における方法である。
第25の態様は、
眼科手術機器に予防的モデルに基づいて予防的メンテナンスを実行する方法において、
眼科用医療機器に関連付けられる動作パラメータの測定値群から訓練データセットを生成することであって、前記訓練データセットは複数の記録を含み、前記複数の記録の各記録は、
動作パラメータの測定値、
前記動作パラメータが測定された時間、及び
前記動作パラメータが測定された前記時間と前記眼科用医療機器に関して不具合イベントが発生した時間との差
を識別する、生成することと、
1つ又は複数の機械学習モデルを、前記訓練データセットに基づいて前記眼科用医療機器に関する1つ又は複数の不具合予測を生成するように訓練することと、
前記眼科用医療機器から、前記眼科用医療機器に関連付けられる1つ又は複数の動作パラメータの測定値を受け取ることと、
前記1つ又は複数の訓練された機械学習モデルを使って、前記眼科用医療機器の将来の不具合を、少なくとも一部に、前記1つ又は複数の動作パラメータの前記受け取った測定値に基づいて予測することと、
前記眼科用医療機器の前記予測された将来の不具合に基づいて、前記眼科用医療機器に予防的メンテナンスを実行するために1つ又は複数の措置をとること、
を含む方法である。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼科用医療機器に予測モデリングに基づいて予防的メンテナンスを実行する方法において、
眼科用医療機器から、前記眼科用医療機器に関連付けられる1つ又は複数の動作パラメータの測定値を受け取ることと、
複数の患者に関する、前記眼科用医療機器により生成された患者解剖学的測定値を受け取ることと、
前記眼科用医療機器又はそのコンポーネントの性能が劣化したことを前記受け取った患者解剖学的測定値に基づいて特定することと、
前記眼科用医療機器の将来の不具合を、少なくとも一部に、前記1つ又は複数の動作パラメータの前記受け取った測定値に基づいて予測するように訓練された1つ又は複数の機械学習モデルを使って、及びさらに、前記眼科用医療機器又は前記コンポーネントの性能が劣化したとの前記特定に基づいて予測することであって、前記眼科用医療機器又は前記コンポーネントの性能が劣化したことを特定することは、
前記受け取った患者解剖学的測定値の各々について、前記測定値が前記測定値により表されるデータポイントに関する閾値範囲から外れるか否かを特定することと、
前記受け取った患者解剖学的測定値のうちの少なくとも閾値数が典型値範囲から外れることを特定すること
を含む、予測することと、
前記眼科用医療機器の前記予測された将来の不具合に基づいて、前記眼科用医療機器に予防的メンテナンスを実行するための1つ又は複数の措置をとることであって、前記予測された将来の不具合は、前記眼科用医療機器の将来の不具合の可能性、又は前記眼科用医療機器が不具合となりそうな時期の少なくとも1つを含む、とることと、
を含む方法。
【請求項2】
前記1つ又は複数のモデルは、前記1つ又は複数の動作パラメータの前記眼科用医療機器の正常な動作に対応する数値と、前記1つ又は複数の動作パラメータの前記眼科用医療機器の不具合に対応する数値を定義するモデルを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1つ又は複数の動作パラメータは前記眼科用医療機器のコンポーネントに関連付けられ、前記眼科用医療機器の前記将来の不具合を予測することは、前記コンポーネント又は前記眼科用医療機器の中の1つ若しくは複数の他のコンポーネントの将来の不具合を予測することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記眼科用医療機器又はそのコンポーネントに関する校正データを受け取ることをさらに含み、前記眼科用医療機器の前記将来の不具合を予測することは、前記校正データにおいてある期間にわたって見られる傾向にさらに基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記眼科用医療機器に関する使用パターンデータを受け取ることをさらに含み、前記眼科用医療機器の前記将来の不具合を予測することは、前記使用パターンデータにさらに基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記使用パターンデータは、複数の時間ウィンドウにわたるシステムの利用に関する情報を含む、請求項
5に記載の方法。
【請求項7】
前記患者解剖学的測定値は、前記患者解剖学的測定値が収集されている間に記録された患者の眼球運動を含むアイトラッキング情報を含み、前記眼科用医療機器又は前記コンポーネントの性能が劣化したことを特定することは、前記複数の患者について前記記録された患者の運動が閾値量を超えたことを特定することを含む、
請求項
1に記載の方法。
【請求項8】
前記眼科用医療機器のコンポーネントに関する測定された動作パラメータと前記コンポーネントの正常な動作を示すものとして定義される前記測定された動作パラメータの数値範囲との比較に基づいて、前記コンポーネントの性能が劣化したことを特定することをさらに含み、前記眼科用医療機器の前記将来の不具合を予測することは、前記コンポーネントの性能が劣化したとの前記特定にさらに基づく、
請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記1つ又は複数の措置は、
前記眼科用医療機器で実行されると、前記眼科用医療機器の不具合又は予想される不具合を修復するプログラムによるソリューションを識別することと、
前記識別されたプログラムによるソリューションを、実行されるように前記眼科用医療機器に要求すること
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記1つ又は複数の措置は、
前記眼科用医療機器の不具合又は予想される不具合を修復するために交換すべき前記眼科用医療機器の1つ又は複数のコンポーネントを識別することと、
前記識別された交換すべきコンポーネントが交換されるまで、前記眼科用医療機器を無効にすることと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記1つ又は複数の動作パラメータは前記眼科用医療機器のあるコンポーネントに関連付けられ、前記1つ又は複数の措置は、
前記眼科用医療機器の前記コンポーネントを使って実行すべき1つ又は複数の措置を識別することと、
前記識別された1つ又は複数の措置を実行する1つ又は複数の命令を前記眼科用医療機器に送信することと、
前記1つ又は複数の命令を送信したことに応答して、前記眼科用医療機器から動作パラメータの追加の測定値を受け取ることと、
前記受け取った追加の測定値に基づいて、前記コンポーネントに前記予測された将来の不具合に基づいて予防的メンテナンスを実行するために行うべき1つ又は複数の追加的行為を特定することと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記1つ又は複数の動作パラメータは前記眼科用医療機器のコンポーネントに関連付けられ、
前記眼科用医療機器の前記コンポーネントに関連付けられる前記1つ又は複数の動作パラメータの前記測定値と前記眼科用医療機器の前記予測された将来の不具合を、他の複数の眼科用医療機器からの測定値及び予測と集計することによって集計データセットを生成することと、
前記集計データセットに基づいて、眼科用医療機器の複数のグループにわたる傾向を表す1つ又は複数の分析結果を生成すること
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記眼科用医療機器の使用者に対して表示するための、不具合になりそうな前記眼科用医療機器の1つ又は複数のコンポーネントを識別する情報、前記予測される将来の不具合、及び予防的メンテナンスを実行するために実行される前記1つ又は複数の措置に関する情報を含む通知を出力することをさらに含む、
請求項1に記載の方法。
【国際調査報告】